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1997-03-18 第140回国会 衆議院 科学技術委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十八日(火曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 佐藤 敬夫君    理事 小野 晋也君 理事 栗原 裕康君   理事 三ッ林弥太郎君 理事 山口 俊一君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 田中 慶秋君    理事 佐々木秀典君 理事 吉井 英勝君       石崎  岳君    江渡 聡徳君       河井 克行君    木村 隆秀君       桜田 義孝君    田中 和徳君       塚原 俊平君    渡辺 具能君       井上 義久君    近江巳記夫君       笹木 竜三君    中西 啓介君       大畠 章宏君    近藤 昭一君       辻  一彦君    鳩山由紀夫君       辻元 清美君    前田 武志君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近岡理一郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         科学技術庁科学         技術政策局長  近藤 隆彦君         科学技術庁原子         力局長     加藤 康宏君         科学技術庁原子         力安全局長   池田  要君 委員外出席者         原子力安全委員         会委員長    都甲 泰正君         科学技術庁原子         力安全局次長  田中 徳夫君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事長)     近藤 俊幸君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団副         理事長)    植松 邦彦君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      中野 啓昌君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      岸田 篤彦君         科学技術委員会         調査室長    吉村 晴光君     ————————————— 委員の異動 三月十四日  辞任         補欠選任   井上 義久君     西  博義君   近藤 昭一君     大畠 章宏君   鳩山由紀夫君     辻  一彦君 同日  辞任         補欠選任   西  博義君     井上 義久君   大畠 章宏君     近藤 昭一君   辻  一彦君     鳩山由紀夫君 同月十八日  辞任         補欠選任   近藤 昭一君     辻  一彦君   羽田  孜君     前田 武志君 同日  辞任         補欠選任   辻  一彦君     大畠 章宏君   前田 武志君     羽田  孜君 同日  辞任         補欠選任   大畠 章宏君     近藤 昭一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  原子力開発利用とその安全確保に関する件  (高速増殖炉もんじゅにおけるナトリウム漏え  い事故問題及び動燃東海処理施設における火  災爆発事故問題)      ————◇—————
  2. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  この際、さきの理事懇談会の協議に基づいて行われました動燃東海処理施設視察につきまして、その概要を私から御報告申し上げます。  本年三月十一日に発生した動力炉・核燃料開発事業団東海事業所の再処理施設におけるアスファルト固化処理施設火災爆発事故について、去る三月十四日に現地調査を行うとともに、あわせて茨城県から要望を聴取いたしました。  当日の視察委員は、私のほか、栗原裕康理事山口俊一理事斉藤鉄夫理事田中慶秋理事佐々木秀典理事吉井英勝理事石崎岳委員江渡聡徳委員桜田義孝委員田中和徳委員渡辺具能委員近江巳記夫委員西博義委員大畠章宏委員辻一彦委員辻元清美委員の十七名であります。  まず、動力炉・核燃料開発事業団東海事業所に赴く車中で、科学技術庁から、今回の事故概要火災爆発事故調査委員会第一回会合概要について説明を聴取するとともに、事業団から、事故発生した施設内部状況等についてビデオ等により説明を受けました。  また、現地に到着後、事業団側から、今回の事故の経過、施設破損状況作業員被曝状況放射線管理状況事故後の事業団対応等について説明を聴取いたしました。  引き続き、事故発生したアスファルト固化処理施設の外観、破損状況応急措置作業状況等視察いたしました。  視察後、質疑を行いましたが、事故原因及び対策については、現段階で質問しても答えが得られないと考え、これ以外の問題主として、事故内容事故発生通報状況火災鎮火確認方法爆発までの対処状況、緊急時マニュアル内容とその遵守状況被曝管理状況放射性物質環境漏えいとその環境影響応急対策内容、他の教訓の生かし方、施設内の放射能量等を取り上げました。さらに、今回の事故により被曝された作業員から心境を直接聴取いたしました。  事業団側は、当面の措置に追われ、事実関係整理が十分ではないとの印象を持ちましたので、事実関係整理及び資料の提供並びに事故原因の速やかな究明を要請いたしました。  なお、東海事業所において、茨城県副知事から、今回の事故に対する地元要望を聴取いたしました。  要望されました内容は、一、アスファルト固化処理施設事故原因徹底究明、二、原子力施設安全対策の総点検、三、事故故障発生時の情報伝達体制改善、四、テレビカメラ設置、スプリンクラーの自動化等安全対策に係る設備充実強化の四点であります。  以上であります。      ————◇—————
  3. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 原子力開発利用とその安全確保に関する件、特に高速増殖炉もんじゅにおけるナトリウム漏えい事故問題及び動燃東海処理施設における火災爆発事故問題について調査を進めま す。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事長近藤俊幸君、同副理事長植松邦彦君、同理事中野啓昌君及び同理事岸田篤彦君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 近岡国務大臣及び近藤参考人から動燃東海処理施設における火災爆発事故について発言を求められておりますので、順次これを許します。近岡国務大臣
  6. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 動燃事業団アスファルト固化処理施設火災爆発事故状況と今後の対応について御説明申し上げます。  三月十一日十時六分、アスファルト固化処理施設において火災発生し、十時二十二分に消火したと報告を受けましたが、同日二十時四分ごろ、同じ施設爆発発生して、窓等を破損し、放射性物質建屋外に放出されました。建屋周辺放射線モニタリングの結果によると、一時的にわずかに上昇が見られましたが、それ以降は通常変動範囲内でありました。また、敷地外放射線測定結果は、現在に至るまで異常な値は計測されておりません。さらに、同施設等作業に従事した者百十二人について全身測定を実施した結果、三十七人の体内から微量放射性物質が検出されましたが、その量は、最大のものでも基準値の約二千分の一以下でありました。  このよう事故発生し、地元方々を初め国民皆様に不安を与えたことは、大変重く受けとめております。また、事故後の対応について、迅速かつ正確な通報連絡が十分ではなかったことは、極めて遺憾であります。  この間、十二日に動燃事業団近藤理事長を呼び、早期の事態の収束及び原因究明等に万全を期すとともに、通報連絡体制改善及び地元住民等の不安、不信の払拭に真剣に取り組むよう強く指示をいたしました。  十三日には、橋本茨城県知事と会い、事故原因徹底究明情報伝達体制改善などについて要請を受け、これらに真剣に取り組む決意を御説明いたしました。  十五日には、私自身梶山官房長官及び佐藤通産大臣とともに現地を訪問し、現場視察するとともに、茨城県知事東海村村長を初めとする地元関係者とお会いし、直接、状況把握を行ってまいりました。これらを通じ、地元方々の御心配を肌で感じ、今回の事故の重さを改めて厳しく受けとめるとともに、徹底的な原因究明及び地元の不安を解消することの必要性を強く認識いたしました。  現在、科学技術庁としては、原因究明再発防止のための万全の対策を講じるため、十二日に専門家から成る調査委員会設置し、十三日に現地で第一回会合を開催いたしました。この委員会は、公開調査検討を進めてまいります。  「もんじゅ」に続き、二度目の大きな事故を起こしましたことは、原子力行政に携わる私にとって、まことに申しわけなく、残念に思っている次第でございます。私は、安全の確保に万全を期すとともに、地元方々国民皆様原子力に対する不安を解消し、信頼が得られるよう最大限の努力を重ねてまいりたいと考えております。  本委員会におかれましても、十四日に現地視察いただき、貴重な御意見をいただいたと聞いておりますが、今後とも、委員長初め委員皆様の御支援、御協力を心からお願い申し上げます。
  7. 佐藤敬夫

  8. 近藤俊幸

    近藤参考人 三月十一日に発生しましたアスファルト固化処理施設火災爆発事故につきましては、地元並びに国民皆様に大変な御迷惑と御不安をかけ、深くおわび申し上げます。  さらに、ごく微量とはいえ、当該施設外部への放射性物質の放出、二十七名の従事者被曝があり、また、通報連絡のおくれなど「もんじゅ事故教訓が十分に生かせなかったことは、まことにざんきにたえません。  事故発生後、直ちに副理事長現地に派遣した後、私も、災害対策本部設置等全社的応援体制の確立を図った上で現地に入り、みずから陣頭指揮に当たりました。  衆議院科学技術委員会先生方には急遽現地を御視察され、貴重な御意見、御指摘をいただきましたことに対し、お礼申し上げます。  まず、事故概要を申し上げます。  三月十一日午前十時六分、東海事業所処理施設アスファルト固化施設の室内のアスファルト充てん後のドラム缶から火災発生水噴霧により消火作業を行いました。その後、約十時間経過した同日午後八時四分、アスファルト固化処理施設において爆発発生、これにより施設の窓、シャッター、扉等が破損し、煙が出ていることが確認されました。  施設外への影響については、火災発生後、第一附属排気筒モニター確認の結果、一部の測定値がわずかに上昇しましたが、環境モニタリング結果には異常ありませんでした。爆発発生後、第一附属排気筒及び敷地内モニタリングポストのうちの一カ所の放射線測定値が一時的に上昇しました。三月十二日午前一時過ぎ、アスファルト固化処理施設周辺汚染状況調査したところ、一部に汚染確認しました。事業所敷地外放射線測定結果は、通常変動範囲内でありました。  被曝につきましては、十三日までに百十二人について放射能詳細測定を行ったところ、三十七人に微量放射能を検出、摂取量最大値でも法令に定める基準値の約二千百分の一以下でございます。  また、火災爆発放射線環境への影響等に関する自治体等への通報連絡のおくれなどにつきましては、「もんじゅ事故教訓が生かされなかった点、深く反省しております。  原因及び対策につきましては、三月十一日に、本社に災害対策本部東海事業所防護活動本部設置し、現場状況把握施設等応急的措置施設内外汚染検査等を実施してまいりました。破損した窓等密閉作業など、事故現場応急措置が整いつつあることから、三月十六日、原因究明再発防止対策班災害対策本部設置しました。また、原因調査を行うに当たり、学識経験者から指導、助言を得る所存でございます。  動燃といたしましては、「もんじゅ事故教訓から、改めて安全に徹し、開かれた地元重視動燃を目指し、信頼の回復に努めてきたところでございます。その途上でこのよう事故を起こしたことは返す返すも残念で、改めて深くおわび申し上げます。今回の事故は、日本原子力の根幹を揺るがしかねない事故と受けとめ、安全確保に万全を期すとともに、今後一徹底した原因究明とその対策を講じてまいります。  なお、本日の朝刊の職員のゴルフの件については、まことに申しわけなく思います。事実関係確認の上、厳格に対処する所存でございます。
  9. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口俊一君。
  10. 山口俊一

    山口(俊)委員 それでは、先ほど来御説明もございました、去る十一日に発生をいたしました動燃の再処理施設火災爆発事故についてお伺いをいたしたいと思います。  御承知のとおり、一年三カ月前ですか、「もんじゅ」の事故がありました。ようやく最終の報告が出てきたということで、当委員会もこの件について集中審議をしようというさなかに、実は今回の火災爆発事故発生を見たわけであります。しかも、ずっと各紙の報道を見ておりましても、これでもかこれでもかと、いわば相当数の失態と言わざるを得ない事態が出てくるわけであります。しかも、今回の事故というのは、どうやらいわゆる国際基準で言うレベル3ということで、まさに日本国内、歴史上最悪の事態に実はなってしまつ たわけでありまして、何とも遺憾であるとしか言いようがないわけであります。  御承知のとおり、今回は特に施設外放射性物質が拡散をしてしまった。しかも被曝者は三十七人というふうなことであります。もちろん、そうした事故内容、中身というのも重大でありますけれども、同時に事故後の対応ぶり、これがもうお粗末としか言いようがないんじゃないかと実は思っております。これでも国の重要な原子力政策を担っておる動燃なのかというふうな感じさえいたすわけであります。  いろいろと拾ってみましても、それはまず、最初に御報告もありましたが、県などへの通報のおくれ、委員会でもそういうふうな話がありました。あるいは現場にビデオカメラがなかった、結局あったじゃないか。あるいはまた、被曝者の数もころころ変わりまして、結局三十七人ということであります。しかも、作業員へのいわゆる退避の指示のおくれといいますか、そうしたことで結局二次災害的に被曝者をふやしてしまったというふうなこともあるわけであります。また、外へ漏れました放射能数値にしてもころころと変わってしまう。果たして「もんじゅ」でどのよう教訓を得られたのだろうか、非常に疑問に思います。  当時、「もんじゅ」直後の科学技術委員会議事録を読んでみましたけれども、今回あちこちで長官あるいは理事長がおっしゃっておられるのと全く同じようなことを繰り返しておるのですね。どこにその教訓を得られたのか、大変疑問に思います。しかも、昨日ですか、午前中に臨界警報が出るというふうなことまであったやに聞いておるわけでありまして、まさにこれからの我が国の原子力政策、大変厳しいものがあるんじゃないかと思わざるを得ないわけであります。  最初の質問でありますので、今回の事故の概況とかあるいは対策についてお伺いをしようと思っておりましたけれども、先ほど詳しくお話がございました。ただ、確認をいたしておきたいのですけれども、その都度いろいろ情報に行き違いがあったり、あるいは数値訂正があったり、あるいは対応訂正があったりというふうなことでありました。先ほどのお話でよろしいのでしょうね。
  11. 近藤俊幸

    近藤参考人 お答えいたします。  先ほど御指摘がありました三十七名の件でございますが、まことにこれも情報提供の非常なまずさから来ております。常識的に考えますと、大体対象者が何名でということを先に申し上げて、それを今検査しておりますと。あれは一回ごとにかなりの時間がかかるものですから、どうしても日数を要します。したがいまして、本日何名出ました、きょうまで何名出ましたというふうな報告をすればよかったのですけれども作業をやっていた人たちの数はわかっておりましたけれども、その周辺におる人たちがっかみづらかったということもありまして、全体の概数でもいいからまず申し上げて対応すべきだったと思いますが、結果的には小出しに出したというふうな形になりまして、また少なく言おうとしたのかというふうな疑問を残したこと、まことに残念に思います。  それから、私、ここに来て非常に痛切に考えて、この点をぜひ直していきたいと思っておりますのは、やはりどうしても小さ目に言おうという傾向はあると思います。それから、法定許容数値以下ならば問題はないじゃないかというふうな意識が根っこにあると思います。したがいまして、うそを言うな、ごまかしをするな、勇気を持って事実は事実として認めろということを相当強く言ってきたつもりでございますけれども、こういった意識改革をとにかく図るということで自己改革運動と名づけてやってまいりましたけれども、残念ながらまだ十分に末端まで徹底していなかったというのが事実でございます。今後さらに努力していきたいと思います。  それから、情報提供の際に、やはり非常に難しい面はございます。先ほど、きのう臨界警報情報提供があって、また誤報として取り消されたという御指摘でございますが、情報を即座に出せということになりますと、やはりどうしてもそういうふうになりがちな面がございます。あれは実は警報が出ているんじゃなくて、掲示板にそういう指示が出た、指示が出た途端にあの情報を流した、ところが実際はそうでなかったということでまた至急取り消したということで、やはり迅速にかつ的確にというのは相当私らは肝に銘じて、その情報通報体制、その出し方等についてさらにさらに工夫してまいりたいと思っております。
  12. 山口俊一

    山口(俊)委員 周章ろうばいといいますか、それこそ恐らくハチの巣をつついたような大騒ぎであったんだろうと思うわけでありますが、しかし「もんじゅ」の経験があって、しかも、一回は練習だ、二回目にうまくいったという性質のものじゃないわけなんですね。これは決してあってはならない事故であって、そうした場合にいかに対応するかというのが危機管理ということでありますので、そこら辺、恐らくいろいろ努力をせられたであろうと思うんです、あるいはまた技術屋だからとかあるいは専門家だからというふうなお話もあるかもわかりませんけれども、決してそういうことで許されるものではないというふうなことであろうと思うわけであります。  今回の事故におきましては、正確な情報伝達が迅速になされなかった、これもお話があったとおりであります。同時に、果たして的確な対応というのがその都度とられたんだろうかというふうな思いも私ども強く持っておるわけであります。事故原因等については、今現在まだ現場に立ち入れないというふうな状況でありますし、これは是が非でも鋭意究明をしていただきたいわけでありますが、とりあえずは今回、そうした対応についてどういうよう状況であったのか、その事実関係について、把握している範囲でお聞かせをいただきたいと思います。
  13. 池田要

    池田政府委員 ただいま、今回の事故後の対応についてのお尋ねがございました。  動燃事業団におきまして、このアスファルト固化処理施設におきまして、十一日十時六分に火災発生したという第一報を受けました。その後、午後に及びまして、従業員の一部に放射性物質を取り込んだ者がいる模様、かつ外部に対して放射性物質が放出された模様ということを知るに及びまして、私どもからは職員を三名現場に向かわせました。その間に、夜八時、二十時四分ごろに爆発発生ということになった次第でございまして、この直後に、これに加えまして、私ども原子力安全局次長ほかを加えて現地に派遣いたしました。その夜までには現地には五名の職員が着いて、その後これまでに、動燃事業団対応ぶり、それから職員自身建屋の中に入るなど、調査をしてきているところでございます。  また、この間に、火災発生確認されまして直後から、この敷地の中それから周辺放射線レベルにつきましては、モニタリング状況をつぶさに見守ってきてございます。これに影響が出ているかどうかといったことについては注視をして、これも現在まで続けてきているところでございます。この間、動燃事業団におきましては、現場及び周辺における放射線管理ですとか破損したところの応急処置等を実施していると承知してございます。  なお、翌日には、この事態に対処するために専門家から成る事故調査委員会を発足させまして、十三日には現地におきまして第一回の会合を、これは公開で開催させていただいたところでございます。なお、さらに専門家範囲を広げますために、化学的な火災といったようなことがほぼ主たる理由ということがわかってまいりましたから、これにこの専門家を加えまして、昨日の段階では一名増加された状況で、この全員が現地建屋内に立ち入って調査を行っております。なお、この調査につきましては、今週の二十一日には第二回目の会合を開催する予定でございます。  今後とも私どもとしましては、徹底した原因究明ということで、かつ今回の事故地元方々 を初め多くの方に多大な不安と不信を招いているということに注意をいたしまして、こういった作業につきましても速やかな情報公開ということで、積極的に対外的な紹介ぶり、これも注意しながら進あるように心がけているところでございます。
  14. 山口俊一

    山口(俊)委員 いろいろと、「もんじゅ」の例から始まって、当時の議事録を見ておりましても、いわゆる危機管理体制を一から洗い直す、マニュアルも総点検をするというふうな話でありました。ですから、当然そこら辺の洗い直しもやられたであろう。ただ、今回、前の「もんじゅ」の事故にかんがみて広報班というのをおつくりになったんであろうと思いますが、これは実は全く機能してないんですね。広報班にさえ情報が行っておらないというふうな事態が何度となくあった。機能しておらないと言わざるを得ないわけであります。  今回の事故に対する対応につきましては、申し上げましたように、「もんじゅ」の事故との類似点というのは数多く見受けられる。少なくとも対応については相当の類似点があると言わざるを得ないわけであります。ですから、今回の対応について、どこに「もんじゅ」の経験が生かされたのか、そしてどこに同じよう問題点が残ったのか。これは当然科学技術庁としても整理をしておられると思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  15. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 「もんじゅ」の事故教訓としましては、安全管理面危機管理体制の問題と両方ございます。  安全管理体制につきましては、施設設備設計、製作、運転・保守の管理等品質保証設計のミスとかございましたので品質保証体制強化、そういうことをやっている途中でございます。それから、運転マニュアル類についても再チェックが行われていました。  危機管理体制強化の一例としましては、例えば安全担当理事機能強化ということで権限をふやしまして、指揮をとれるようにするとか、それから何かあった場合の全社支援体制を整備するとか、それから、「もんじゅ」の場合、連絡通報に一時間程度第一報にかかった、それも社内のクリアランスをとるのに時間がかかった面もございますから、現場担当者の報告からすぐ外に出るような、そういう内部の連絡網を短縮化するというよう努力もしてございます。そういうことで、今回も三十分程度で外部報告できるというように、多少の改善はございますが、まだなお十分な改善がなされなかったわけでございます。  そういうことで、今後の問題といたしましては、先ほど先生も御指摘でございますが、不適切な情報伝達の問題、それから、理事長も先ほど申しましたけれども事故を過小に見せかけるような発表になってしまった一そういうようなことにもいろいろな問題があると思いますので、当庁としましても、これらを再評価して、特に危機管理の問題につきましては、「もんじゅ」のときは動燃事業団の自主的な改革を尊重いたしましたが、今回は、外部危機管理専門家を入れまして、第三者のチェックと申しますか、外部意見も入れたチェックをしたいと考えている次第でございます。
  16. 田中徳夫

    田中説明員 安全局サイドの方からお答えを申し上げたいと思います。  今局長からもお話がございましたが、今回の事故に対しましては、「もんじゅ」の経験から見まして、私自身、局長から、直ちに現場に出るようにということで、その日のほぼ夜中だったと思いますけれども現地に着きまして、ここにおいでになります植松理事長等ともお話をいたしまして、現場で、いわゆる閉じ込めを一刻も早くするように、それから対外対応についても的確にするように、そういうことをいろいろ指示あるいは指導いたしました。  それから、連絡の問題でございますが、お気づきのように、今回は第一報科学技術庁自身が発表いたしております。これは、「もんじゅ」の経験にかんがみまして、昨年の十一月から、現場に責任者を置きまして、事故などが起こりましたときには科学技術庁に直接連絡するようにという措置をとりました。これは十一月二十日だったかと思います。それによりまして、私どもへ連絡が参りますとともに、それを科学技術庁自身が発表する、そういう措置も実はとっております。  したがいまして、御指摘ございますように、今回、時間のずれ等いろいろありますが、科学技術庁も節目節目でみずから発表しておるということでございまして、これは明らかに「もんじゅ」のときに報告書で申し上げたことでございます。
  17. 山口俊一

    山口(俊)委員 それぞれ皆さん一生懸命やられたであろうということは、私もある程度お認めをさせていただきたい。数値がいろいろ変わって、二人が五人になって、二十二人になって三十七人、これも、ともかく一生懸命情報を出そうというふうなことのあらわれであろうと思うわけでありますが、しかし、いかんせん、結果として逆に、地元あるいは国民の皆さん方の不信感を買うというふうなことにも相なってしまったわけであります。  同時に、それこそ、恐らく理事長さんも、「もんじゅ」の後を受けていろいろと御努力をなさったであろうと思うのですね。しかし、どうもいろいろ聞いてみますと、笛吹けど踊らずといいますか、そういうのがあるのではないかというふうな気がしてならないわけであります。先ほどのお話の中にも、いわゆる情報云々の問題から、どうしても小さく小さく考えてしまうというふうな話、これは体質的な問題ではないかというふうな感じもいたすわけでありまして、後ほどまた質問させていただきます。  今、「もんじゅ」の反省から、設計の問題だとかミスだとか安全管理云々というふうなお話がありました。一つだけ具体的な話をお聞きいたしておきたいわけでありますが、今回、火災爆発を起こしましたアスファルトの固化施設、これは火災爆発が起こる可能性があるというふうなことを想定して、これに対して対策を講じておられたのかどうか。これはマスコミ報道でしか私はわかりませんが、十数年前にはベルギーで同じよう事故があった、あるいはこの同施設でも同じような若干の事故があった云々という話があるわけであります。そこら辺についてお伺いをいたしたいと思います。
  18. 植松邦彦

    植松参考人 お答え申し上げます。  アスファルト固化施設でございますので、アスファルトを使います。アスファルトそのものは燃える性質を持っておりますから、当然、火災についての防止対策というのは十分にこれを行うというのが基本になっております。火災が起こりました後、それをいかに早く消火をして、いわゆる爆発ような状態にならないようにするかということが設計の基本であったというふうに考えております。  そのために、使いますアスファルトにつきまして、ある引火点以上の材料を使うであるとか、それから、アスファルトには可燃性を促進するような触媒を入れないようにするであるとか、それからまた、アスファルトを加熱するに当たっても、蒸気を使って、しかも飽和温度を二百十五度C以下に制限するような加熱方法を使う、それからまた、セル内部にも、着火源になるようなものをできるだけ排除する、配管・機器などは接地を行うというよう設計にしてあります。また、アスファルト固化体そのものの温度上昇を防ぐということが重要でございますので、入気側にある、上流側の空気の温度をできるだけ低目に調節するというふうな設計になっておりまして、このセルは火災については十分な対応を行うという設計にしております。  また、火災が起こりましたときの対応として、炭酸ガス消火設備水噴霧の消火設備も設けております。この施設設計、建設を行っておりました当時に、ベルギーのユーロケミックで同様な火災事故発生いたしました。そのときは、火災の鎮火には炭酸ガス消火、水噴射というようなこと も行われております。こういった経験を踏まえてこの施設設計がされておりまして、それに必要な炭酸ガス消火設備水噴霧消火設備とが設けられておるわけでございます。
  19. 山口俊一

    山口(俊)委員 それにもかかわらずこういうことが起こったということですね。この件につきましては、今回の事故の直接の問題でありますので、恐らく各委員さんの方からもお話があろうかと思います。  実は、これと類似の施設が既存の原子力発電所でも数多くあるというふうに聞いております。国内八カ所ですか。私の地元の四国電力も入っておるわけでありますので、そこら辺、十分精査をしてきちっと対応していただかなければ、それこそ原子力全体に対して不信感が広がってしまうと思うのです。そこら辺は科学技術庁としてもきちっと対応していただきたい、要望しておきます。  今回の事故原因究明、これはもちろん一番大事な話であります。しかし同時に、前の「もんじゅ」の事故あるいは今回の事故を見ておりますと、やはり組織体制面に問題があったのではないか。あるいはまた、事故後の対応に対する国民の皆さん方の不信というのが非常に大きいわけです。ですから、物理的、化学的な原因究明、これはもちろん大事でありますが、どうしてこのようなことになったのか。いわゆる人的な面あるいはマニュアル的な面、そうした面の原因究明、これは実は非常に大事な話でありまして、これを是が非でも早急に御検討いただいて、整理をしていただいて、また私どもの方にお示しをいただきたい、これも強く求めておきます。  それと、先ほど来申し上げましたように、確かに理事長初め動燃の皆さん方も、いろいろな経験を踏まえ、あるいは持てる知識をもって大変御努力をいただいたと思うわけでありますが、今回のことを見ておりましても、相当これは体質的な問題もあるのではないか、組織自体に問題があるのではないかというふうな思いがいたすわけであります。御承知のとおり、核燃料のリサイクルの推進というのは我が国の原子力政策の根幹でありまして、しかも、それを担っておるのが動燃という事業団であります。果たして、こうした事業団に我が国の重大な原子力政策を今後ともにお任せしていいのかどうか。組織の見直しのみならず、そこら辺の抜本的な見直しというのが求められてくるのではないかと思いますので、そこら辺御答弁願います。
  20. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 御承知ように、動燃事業団は、核燃料サイクルの確立に向けまして、産官学各界の総力を挙げて設立され、その後推進されているわけでございます。  今回の事故後の問題につきましては、先ほど申しましたが、安全管理、安全対策の面につきましては、事故調査委員会報告をもとに徹底的に対策を講ずるわけでございますが、それ以外の、ソフトの面と申しますか、緊急時の対応の問題、それから連絡、情報等がまずかった点により、かえって事故国民にとって大きくさせてしまった、そういうような反省の点につきましては、先ほど申しましたけれども、そういう緊急時の対応のシステム、危機管理体制、その辺につきまして徹底的にチェックして反映させていきたいと考えている次第でございます。
  21. 山口俊一

    山口(俊)委員 既に、政府高官といいますか、いろいろな方々から動燃という組織自体の見直し、あるいはまた民営化ということも視野に入れた原子力政策の見直し等々の発言が出ております。今回のことを見ておりましても、やはり抜本的に考え直していかなければ、それこそ我が国の原子力政策というのは不信感の真つただ中で立ち往生じてしまうのではないかと心配をいたしますので、是が非でもそこまで踏み込んで御検討していただきたい。  最後に、今回の事故によりまして、本当に地元の皆さん方初め国民の皆さん方には多大の御心配あるいは不安感を与えてしまったということでありまして、前の「もんじゅ」直後の委員会でも、当時の大臣が何度も御答弁いただいておりますが、今回もそうしたことを受けて、信頼回復へ向けての大臣の御所見、御決意をお伺いをしておきたいと思います。
  22. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 昨日も、参議院の委員会におきましていろいろ御意見がございました。今も御指摘ありましたとおり、今回の事故というものを振り返ってみますと、「もんじゅ」以来の反省点、いろいろあると思います。また、大変な不信を買ったということも事実でございまして、今も御指摘ように、やはりマニュアルあるいは人的なそういった部面が、本当にそこに従事している方々、その職場に携わっている方々が過去において実践訓練が身についておったのかどうかということが、私は非常に疑問を持っております。  考えてみますと、あのときに本当に消火したということが確認されてさえおったら爆発事故は防げた事故じゃないかな、こんなふうにさえ私は思うわけであります。そういったふうなことを見ましても、本当に、何といいますか、基礎的といいますか、私の役所の方々も非常に技術者が多いわけなんですが、やはり動燃の方にもいろいろ高度な技術者はいると思いますよ。しかし、その末端で従事している方々作業をしている場合に、それが委託の労務者なりなんなりいるでしょう、はっきり申し上げて。そういう方々が本当に、現場でいざそういったふうな事故が起きたときに、それならばすぐに消火活動ができるかというと、だれか責任者の許可をもらってからやらなければならぬというようなこと一つを見ましても、この信頼回復のために、本当にこれから我々監督官庁としてもそういう実践訓練というものを徹底的にやっていかなければならないし、調査委員会原因究明その他に基づきまして改めるべき点があるならば決して改めるにやぶさかじゃないというふうなことで、厳然としてこの責任を感じながら、私たちは本当に信頼回復のために努力してまいりたい、このように思います。
  23. 山口俊一

    山口(俊)委員 もう時間が参りました。ともかく大臣も情報公開に徹するというふうなことでずっとやられておるわけでありますので、どうかそこら辺も踏まえながら、同時に、物理的、化学的に原因がはっきりすれば、それに対する不安感というのは大したことないのですね。それよりはむしろ、そうしたことに対する対応が全くできておらないということが不安の一番の原因になってくるわけでありますので、是が非でも原因究明を進めると同時に、今回のもろもろの対策について検証をきちっとしておいていただきたい。  以上で質問を終わります。
  24. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 石崎岳君。
  25. 石崎岳

    石崎委員 山口委員から総括的な質問がありましたので、私、少々ディテールについて質問させていただきます。  私も先日、現場視察させていただきましたけれども、爆風のすごさというのを目の当たりにして実感をしたわけなんです。一九八〇年にこの施設設置承認申請書というのがあるわけなんですけれども、その中に、このアスファルト固化施設についてのくだりがあります。  その中で、アスファルトというのは火災爆発原因として考えられるという明確な表現があって、そのために次のいろいろな対策を施す、さっき副理事長から御発言があったような施策を施す、その結果、火災が起こることは考えられないというような文言がはっきり書いてあるわけです。火災爆発ということが考えられると前段にあって、後段では、その対策の結果、火災は考えられない。爆発がどこか消えてしまったわけなんですけれども、そういう設置承認申請書の中で、火災事故は考えられないのだという前提に立ってこの施設が運営をされてきたという部分があります。  それから、けさほどの報道を見てみますと、この同じ申請書の中で、耐火・耐爆構造をとるという申請があったにもかかわらず、実際にはとられていないというような報道がありました。  ですから、つまり、火災事故が起きないのだという前提でこの施設があるという発想自体そのも のが大変危険な発想ではないか、原子力施設に対する思想としては危険だというふうに思います。動燃設計思想そのものにそもそも問題があったのだ、それを承認した科技庁の姿勢そのものにもまた問題があったのだというふうに思いますけれども、科技庁、動燃、それぞれ考えをお聞かせください。
  26. 池田要

    池田政府委員 先生御指摘のとおり、この再処理施設につきましては、この設置設計段階での審査の過程で、火災爆発原因として考えられるアスファルトを取り扱いますことから、この施設につきましては幾つかの要件が明記されてございます。先ほど動燃事業団から紹介がございましたので、この点につきましては省略をさせていただきます。  ただ、そういった手当てを講じて、火災は考えられないとしているものの、火災が生じた場合に備えまして、さらにこの消火設備につきましても、水の噴霧でございますとか炭酸ガスの噴射、こういったものを設けることにしてきているところでございます。  なお、今回、新聞におきましても、この安全審査の過程で耐火、耐爆について十分審査していなかったのじゃないかといったような御指摘もいただきました。しかしながら、再処理施設全体がこの耐火とか耐爆については考えなければいけないという基本的な考え方があるわけでございまして、それに今回のこの施設について着目しましたときに、こういった手当てを講じていながらも実際に火災を生じてしまった、さらにその後の処置が悪かったことと考えられるわけでございますけれども爆発する事態まで招いてしまったということを考えますと、このような基本的な考え方が設計段階から、さらに施工、実際につくる過程、それからそのマニュアル運転管理といった過程で十分に措置されていたかどうかといったことにつきましては、今後、この事故原因究明する過程で十分その辺を見きわめたいと考えているところでございます。
  27. 植松邦彦

    植松参考人 先ほどもセルの構造その他についての設計の基本的な考え方については御説明をしたとおりでございますので、繰り返しをいたしません。  ただ、先ほども申し上げましたように、ヨーロッパでの経験を踏まえてこの施設設計、建設したという経緯がございます。その間のヨーロッパでの火災その他の経験を踏まえて、徹底的な消火設備設置するということを基本に考えておりまして、そのために炭酸ガス消火設備及び水噴霧消火設備の両方を備えておいた。したがって、火災を起こしさえしなければ、もしくは火災を早期に鎮火することができさえすれば、いわゆる爆発的なことは起こらぬだろうということが一つの基本的な考え方になっておったと思います。  したがいまして、再処理工場全体については耐火及び耐爆構造を行うことが必要だということになっておるわけでございますが、アスファルト施設については、各セルの持つ特色を検討しながら、どういうふうに耐爆構造を考えるかということを行ってきたわけであります。残念ながら、このアスファルト施設のセルにつきましては、耐火構造にはなっておりますが、耐爆構造的には不十分であったということが明らかである、結果として明らかであるというふうに認めざるを得ないというふうに考えております。
  28. 石崎岳

    石崎委員 つまり、再処理施設全体の中ではこのアスファルト施設というのは出口であって、しかも扱うのは低レベルであるから、万一事故が起きても流出する放射能の量というのは知れているから、その程度の対策しか施さないということであろうというふうに思いますけれども、そういう発想でいきますと、原子力施設の大前提である多重防護とかフェールセーフとかという発想が全然ないということになると思います。  特に、今回は事故現場というのが、アスファルトの充てん室というのはふだんは無人で行われて、レッド区域というのですか、立入禁止区域になっている。それぐらい危険な場所であるという前提のところが、それが爆発が起きますと、窓ガラスも破れ、シャッターも壊れ、その立入禁止区域であるところが外界ともう境がなくなってしまうというような現象が起きる。そして、放射能が当然漏れるわけですね。  そして、その充てん室は減圧装置、負圧というのですか、減圧システムになりていて、中のものが外に漏れないようなシステムになっているのだけれども、煙がちょっと出たらもうフィルターが詰まってしまって、その減圧が働かないというようなシステムになっている。ちょっとしたことで、もう安全装置というのが崩壊してしまうようなシステムになっているということですね。  そして、今回の場合は、ほかの建物、建屋にいた人まで被曝をしてしまう。渡り廊下ですぐ空気が通ってしまって、ほかの建物にいる人まで、そっちの方が多かったということですけれども、ほかの建物にいて被曝をしてしまうというようなお粗末な安全システムであるということが非常に問題だというふうに思います。  つまり、原子力施設というのはあくまでも、それは中心部だろうがアスファルト固化施設であろうが、やはりフェールセーフなり多重防護なりの思想が貫かれて当然だというふうに思います。原子力安全委員長も、放射能の閉じ込めができなかったことが問題だというふうに発言されているそうですけれども、この多重防護システムがないということそのものが構造欠陥だったんじゃないか、構造システムに問題があったんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょう。
  29. 植松邦彦

    植松参考人 お答え申し上げます。  もちろん、先生御指摘ように、原子力のどの施設においても多重の閉じ込めを行うというのが設計安全確保の基本であるというふうに思います。  このアスファルト固化施設では、一番内部にガラス固化をするための装置類がございますが、装置類もできるだけ密封性の高いようなものを考える、その周りを囲む固化セルも密封性の高いものを考える、さらにその外側にはアスファルト固化処理施設建屋を置くということで、できるだけ多重の負圧が保てるよう設計管理を、運転管理を行っていたわけであります。  もし固化セルで今回のよう火災発生した場合には、消火も行いますが、空気が外の方からセルの中に入ってまいりますとさらに火災を助長することもあるので、空気が入ってくる方の弁を閉じるという操作をすることになっておりまして、排気系のみを運転して負圧を保持するという考え方になっておるのですが、今回の場合には、先生も御指摘ように、残念なことに高性能フィルターが早く詰まってしまって、排気が全くきかなくなってしまったという問題が起こったわけでございます。このために、建屋内に放射性物質がまず漏れ出していったということがあります。  通常ですと、建屋内の一部にそういう放射性物質が漏れ出していっても、さらにその建屋の中の換気を行う設備がございまして、それがさらに高性能フィルターを持っておりますので、それを通じて施設外に、建屋外に出ていくということになっておりますので、十分防護がされておるというふうに考えておったわけです。  それともう一つ、先生御指摘ように、他の施設とのつながりについては、廊下その他でずっとつながっておりまして、ある意味では、アスファルト固化施設を独立にいろいろ考えた、隣の施設は隣の施設で独立に考えたというところに何らかの問題があったのではないかというふうに感じております。
  30. 池田要

    池田政府委員 ただいま動燃事業団から説明があったわけでございますけれども、今のこの施設が多重防護になっていなかったのではないかということにつきましては、私ども規制の立場からちょっとコメントさせていただきたいと思います。  まず、多重防護という考え方をどういうふうに確保するかということでございますけれども、これはまず第一に、不燃性あるいは難燃性の材料を 使って火災発生を防止する、これがまず第一でございます。それから第二に、火災が仮に発生しましても、その拡大を防止するための措置が講ぜられること、第二にそういう考え方が必要でございます。それから第三に、万一火災事故発生しても周辺の公衆に与える影響が十分小さいこと、これが私ども原子力施設に対しましては必要な多重防護の考え方であると存じております。  具体的には、この施設につきましても、先ほど御紹介がございましたように、使用されるアスファルトの品質管理については気をつける、それから温度につきましても、過熱蒸気温度を一定温度以下にするとかそういったこともしてございますし、必要な消火の設備等も設けていたわけでございます。こういったことによって、重大な事故に至らないよう確保はしてきたところでございます。さらに、万が一火災事故発生して大気中に放射性物質が出されるというようなことになったとしても、周辺公衆への放射線影響が十分小さいこと、こういったことを安全審査の過程では確認してきたわけでございます。  ただ、こういうことはしているわけでございますけれども、今回の事故発生原因究明された場合に、このよう設計が実際にどう実現されていたのか、確保されていたのかといったことについての調査が必要であると考えてございます。
  31. 石崎岳

    石崎委員 ですから、低レベル施設だからその程度でいいのだという前提だということですから、それはおかしいということを言っているわけです。  それで、不思議なのは、火災が起きた場合には、報知機もありスプリンクラーもありというような表現で対策を施していたのだということでありますけれども、そのスプリンクラーが手動で動かすということであります。ちょっと現場状況を想像してみると、非常にスクランブルの中で、原子力施設内の緊急時という場合に、消火をするのか退避をするのかというような非常に難しい問題が、作業員は選択を迫られる。消火した方がいいのか、とにかく退避しなければならないのか。手動であったら、それを動かさなければ消火作業ができないという中で、退避が優先する場合も人命上あるだろうというような、非常に人命を軽視したような、フェールセーフの思想がない非情なシステムになっているということがそもそも問題ではないですか。
  32. 中野啓昌

    中野参考人 お答え申し上げます。  先生今御指摘の点は、まず退避か消火か、それがいわゆる作業者に判断を任されているような格好になっているという御指摘かと思うのでございますが、通常警報が鳴りますと、警報と申しますのは放射線があるレベル以上に達したという警報の意味でございます、それが鳴りますと、応急の措置をして退避をするというマニュアルになってございます。この場合、応急の措置という意味合いは、汚染が拡大しない最低のこと、それから自分自身に直接的に被害がこうむるような、同時発生で火事が横にあるような場合、こういう場合は応急の措置がそれ以上できないわけでございますから、そういう場合には直ちに退避するようにということで、マニュアルの上、あるいは常日ごろの指導の中で実施しておるわけでございます。  今回の場合は、いわゆる初期、十三分までは、約六、七分の間でございますか、モニターは鳴っておりませんで、中の火事の対応をやっておったわけでございます。さらに、そのモニターが鳴っていわゆる退避の態勢に入らなければならない状況の後は、いわゆるブロワーを消すとか、セルの中に空気が入り込んでさらに燃焼が拡大しないよう措置、そういった措置をとりつつ三十二分に退避をしたといった状況になった次第でございます。
  33. 石崎岳

    石崎委員 その退避ですけれども動燃からいただいた時系列の記録の資料を見ますと、十時六分の発生でありますけれども、退避の指示が十時三十二分ということであります。これは随分遅くないですか。
  34. 中野啓昌

    中野参考人 ただいま申し上げましたように、その後、火災を発見いたしましたのは先生おっしゃるとおりに十時六分でございますが、操作区域内での警報が一番最初に、ベータダストモニターというものが室内にございますけれども、これが吹鳴いたしましたのは、第一回目が十三分でございます。結局ここから退避態勢に入っていくわけでございますけれども、その後、排気ブロワー、吸気ブロワー等の手動による停止、それから、これから退避するという連絡等最低限の指示を行って、そして三十二分に退避指示が出されたということでございます。  なお、本件につきましては、先ほど植松参考人の方からも申しましたが、こういった火災というものが通常の消火設備等々を使うことによってないという前提の中でやってまいりましたので、そういう意味では設計の想定を超える事態にも備えるためのマニュアルを準備していきたいと考えておるところでございます。
  35. 石崎岳

    石崎委員 ですから、その前提条件が非常におかしいということであります。  ちょっと気になったのは、きのういただいたその時系列の記録の中で、今御答弁でも十時十三分にベータダストモニターの警報が鳴ったというお話がありますけれども、この中に、きのういただいた動燃の資料の中に十時十三分にはそういう記載が全然ないわけですね。これを見てちょっと不思議だなと思ったのですけれども、六分に発生して三十二分に退避指示をした。ところが、十三分に警報が鳴っているという記載がない。これはどうしてですか。
  36. 中野啓昌

    中野参考人 大変申しわけございません。三月十五日の記者会見のときには、実は十三分、それから十四分、引き続きたしか十五、十七と四つの警報が鳴っているということで記者発表をいたしておりますのですが、この表をつくる際にミスで落としました。申しわけございません。
  37. 石崎岳

    石崎委員 ちょっと意図的な感じもしたもので確認をしたまでです。  それともう一つ、非常に住民の方がナーバスになる大気中への放射性物質の放出ということなんですが、その確認が五時間後ということでありますけれども、これはなぜこんなにおくれたのでしょうか。
  38. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  今ほど御説明させていただきましたように、先生からも御指摘がございましたように、十時六分に火災発生いたしておるわけでございます。それで、同十時十四分ごろでございますが、これは後からわかったのですが、第一附属排気筒の沃素を表示する指示値が上昇しておったのでございますけれども、これはいわゆる警報を鳴らすという設定値にまでは至らなかったわけでございます。放射線管理第二課の職員が十時十三分から十七分にかけましてダストモニター、今申し上げました警報でございますが、鳴ったところでその対応にまず追われていたということが一つございます。  それから、ダストモニターが鳴りますと、三十二分に退避につながっていくわけでございますが、その後の状況を時系列等で調べてまいりますと、放管の職員は、いわゆる鼻スミアーと申しまして、職員汚染しているかどうかという対応に大変追われておったようでございます。特にその後、汚染の拡大の防止とか、それから従事者の退避、鼻スミアーの検査等々を実施いたしまして、上昇に多少気がついてはいた、放射線が外に出ているということに気がついてはいたものの、通常変動範囲内というふうに判断していたようでございます。  その後、十五時四十分ごろになりましてから、事業所の対策会議の方から、本当にないのかという再度、再々度の確認がございまして、十五時四十三分に、第一附属排気筒の連続記録装置、連続記録紙がございます、それのコピーを送付いたしております。本部ではそれを見まして、いわゆる通常変動内ではあるけれどもその時間帯に変化しているではないかということから、外に微量の放出があったと判断いたしまして、十五時五十五 分、その判断をし、五十七分、本社の対策会議に連絡をしてきたわけでございます。その後、直ちに私ども、科技庁ほか関係機関に報告したという経緯でございます。
  39. 石崎岳

    石崎委員 今の答弁を聞いていても、随分主観のまじつた対応を当日していたという印象を否めません。  ちょっと細かい話になりますけれども、やはりこういう事故が起きると環境への放出ということを住民は一番恐れるわけで、それに対して細かい調査をする、配慮をする、現場は混乱状態だったとは思いますけれども、その辺についても当然小まめに調べるということがあってしかるべきだというふうには思うのです。  この時系列記録によりますと、十五時四十三分に排気モニターのデータを入手して初めて、基準値内ではあるけれども放射性物質の放出、数値の上昇ということを確認した、そして本社に連絡をしたとあります。それより前に、十一時三十二分にも、排気モニターのトレンドグラフ入手というふうにありますけれども、これは十五時四十三分のグラフというものとは別なんでしょうか。それと、十一時三十二分段階での異常を認識するということはなかったのでしょうか。
  40. 中野啓昌

    中野参考人 十一時三十二分に第一附属排気筒のモニターのトレンドデータを放管員が入手いたしておりまして、それを所属長に報告しておりますが、先ほど来申し上げておりますように、そのことは、いわゆる異常値ではない、通常変動範囲内という判断で、そこに結果的にはホールドされたということでございます。
  41. 石崎岳

    石崎委員 そうすると、その前の十時三十九分ですか、本社に対して環境への影響がないというふうに報告している根拠となるものは何だったのでしょうか。
  42. 中野啓昌

    中野参考人 十時三十五分ごろでございますが、環境モニタリングのデータが手に入っております。一つ先生に申し上げ忘れたのでございますが、いわゆる上昇傾向とかそういうのを認識しつつ、通常範囲内と、まあ通常変動する範囲内であったわけでございますが、これを異常と認めなかったもう一つの理由といたしまして、いわゆる周辺モニタリングポストというのがございます。それらの値が通常値であったということもございまして、そのままそこを異常値のところに結びつけなかったということがございます。  今先生のお尋ねの三十二分のデータは、第一附属排気筒排気モニターのトレンドデータでございます。
  43. 石崎岳

    石崎委員 つまり、最初の発表というものがだんだん変わっていくという経過ではあります。  ちょっとまた話は変わりますけれども、今回の事故、十時六分の火災、二十時四分の爆発、その間の十時間、その間の動きということがかぎを握るわけでありまして、要するに焦点は、鎮火の確認ができたかどうかということにある意味では尽きるのじゃないかというふうに思います。もちろん、その火災現場、充てん室の確認というのができない状況である、機械でも確認する方法がないということでありますから、また前提条件の話、蒸し返しになりますけれども、どうも構造上の欠陥、つまり確認のしようがないという構造上の欠陥がそもそもあったのじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
  44. 植松邦彦

    植松参考人 御指摘ように、火災発生した後消火は行いました。消火に携わった作業員が一応火が消えたというふうに思っておったと思います。その後十時二十二分に至って、上司から別の二人を消火確認のために派遣しております。二人が操作室まで入りまして、消火したかどうかということを確認に行ったようでございます。それの報告においても、消火状況確認はできたというふうに言っております。  それを受けて、二十時四分の爆発が起こりますまでの間、何回かそのアスファルト固化施設の中に入域をしていろいろと調べております。  まず第一班は、十三時三十四分にはもう一度消火状況確認をするために入っております。  その後、十五時十五分には第二班が入りまして、内部の放射線レベル確認するという作業を行っております。  そして、十六時五十七分からは第三班が入りまして、換気系の再起動を行おう、すなわち負圧を何とかして保持したい、もしくは負圧を確立したいというつもりがありまして、排気系の再起動ができないものかどうかという努力をしております。これが第三班の努力であったわけです。  そして、第四班は、その第三班の結果を見て、これではフィルターが詰まっておるようであるので排気系の再起動が難しい、したがってフィルターの交換をやるべきであろうということで、第四班はフィルター交換作業に入るための準備をしておって、そのために隣のZ施設会合を開いておったところでございます。そうしたところ、二十時四分に爆発が起こったというよう状況でございます。  職員としましては、できるだけ放射性物質外部への飛散を防ぐ努力を一生懸命にやってくれておったのだというふうに思っております。
  45. 石崎岳

    石崎委員 ですから、爆発職員の入域というのが重なっていればもっと大惨事になっていた可能性があるわけです。  こちらに動燃の最近の事故の例というのがずっとありますけれども、再処理施設における事故、平成四年、五年、六年、七年と毎年のようにあるということであります。事故がもう慢性化しているというのが実態であります。  それから、この現場ですけれども、寄り合い世帯であり、協力企業があり、それからアスファルト固化施設には動燃のプロパーの職員もいないという話でありますけれども、こういう非常に寄り合い世帯の体質が事故を招いているのではないかという懸念があります。  それから、「もんじゅ」の事故もあり、それから今回の再処理の事故もあり、それからバックエンド対策も進まないというような実態、つまりエネルギー政策の非常に重要な部分を担っている動燃が本当にこのままでいいのだろうか、こういう体質で日本のエネルギー政策を背負っていけるのかどうかという不安が私にはあります。  ですから、つまり「もんじゅ」の事故があり、いろいろ改善したのだけれども、今回の事故にはそれが反映されていないということでありますから、動燃のあり方について抜本的に、あるいは第三者による手直しとか科技庁の強い指導とか、そういうあり方の変革ということを考えるべき時期ではないかというふうに思いますが、科技庁、動燃の見解をお聞きします。
  46. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 先ほど山口委員からも同様の御指摘がございましたが、動燃事業団は、核燃料サイクルの開発の中核機関として設立された法人でございます。動燃事業団がうまく機能しないと核燃料サイクルの確立に支障を来すわけでございますので、そうならないようにしなければいけないと考えております。  先ほど申しましたように、安全対策の関連につきましては、事故調査委員会原因究明の結果を見まして徹底的に対策をとりたいと思いますし、今回多大な御迷惑をかけました事後処理の問題、連絡通報の問題とか、適切な情報が適時出せなかったという問題につきましては、危機管理体制と申しますか応急システムに問題があるわけでございますので、徹底的なチェックを行い、的確な対応をとり得る体制にしていきたいと考えている次第でございます。
  47. 近藤俊幸

    近藤参考人 寄り合い世帯の話がございましたけれども、御指摘のとおりに、動燃のプロパー、それから電力会社等からの出向社員、それからいわゆる下請の関連企業というのがございます。これは、動燃がやっております技術開発というものは非常に大きなプロジェクトでございまして、長期間、それから多くの資金が要る、リスクが高いということで、これはなかなか民間だけではやれない。したがいまして、官民協力してやっていくということが不可欠だということになります。  それから、開発しました成果を円滑に民間に移 転していくというのがまた事業団の使命でございますので、エンドユーザーの電力会社とかあるいはメーカーからも出向してもらって技術の交流、技術の移転を円滑にやっていくということで、やはりどうしても寄り合い世帯にならざるを得ない側面もございます。  それで、御指摘のこのアスファルト固化のところには全体で四十九名いまして、職員がそのうち四名でございます。あとの四十五名が請負の方等というふうな構成になっております。しかし、責任者は、一応動燃の方で責任者をつけておりますが、ここの下請も、言葉は悪いのですけれども、いわゆるチープレーバーを使うというようなそんな考えじゃなくて、やはりこういった危険な仕事をやってもらっておりますので、むしろ専業特化ということで、その方面についてはかなりな経験を持った者を使っております。ただ、やはり寄り合い世帯からくるいろいろな面もございますので、そこは十分動燃が全体を管理していく、それからまた職員も出向者も下請も含めて安全管理を徹底していくということに今後とも努めていきたいと思います。不十分だったと思いますので、今後ともさらに強化してまいりたいと思っております。
  48. 石崎岳

    石崎委員 終わります。
  49. 佐藤敬夫

  50. 田中慶秋

    田中(慶)委員 新進党の田中慶秋です。  このたびの動力炉核燃料開発事業団のアスファルト固化施設火災並びに爆発事故について質問をさせていただくわけでありますけれども、今回の施設火災爆発事故は、平成七年十二月八日の「もんじゅ」ナトリウム漏れの事故発生のときの教訓が全く生かされていない、このように御指摘を申し上げ、そしてまた「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故を真剣に受けとめていなかったのではないか、こんなふうにも申し上げられるのではないかと思います。  原子力施設に対する火災あるいは爆発事故の徹底した危機管理というものが少なくとも今回されていない。極端なことを申し上げて、「もんじゅ」の事故が今回の事故に全然生かされていなかった、教訓が生かされていなかった、こういうことを指摘せざるを得ないと思いますが、科学技術庁、この辺について御答弁をお願いしたいと思います。    〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕
  51. 池田要

    池田政府委員 先生御指摘のとおり、一昨年十二月の「もんじゅ」の事故を踏まえまして、科学技術庁といたしましては、まず事故発生時の通報連絡体制改善、それから積極的な情報公開の推進、こういう措置について努力をしてきたところでございます。  このよう努力を定着させようとしておりましたやさきに今回の事故発生したところでございまして、結果として「もんじゅ」の事故教訓を十分生かし切れなかったということは大変残念に思っております。  本件に関しましては、事故原因究明と万全の対策を講ずることはもちろんでございますけれども、今回の事故原因調査等の過程におきましても、迅速かつ正確な情報伝達体制、こういったことを常に念頭に置きながら、地元を初めとする国民の皆さんの不安と不信の回復を図るよう努力してまいりたいと考えております。
  52. 田中慶秋

    田中(慶)委員 「もんじゅ」の問題とあわせて、今御答弁いただいておりますけれども、この「もんじゅ」の経験を生かして、具体的にどのようマニュアルをつくったか、あるいはどのような具体的な指示、あるいはどのようにそれを現場に採用されたのか。その辺についての答弁をお願いしたいと思います。
  53. 近藤俊幸

    近藤参考人 「もんじゅ」の事故の反省から、今「もんじゅ」はソフト、ハード両面にわたりまして総点検を進めております。これは「もんじゅ」だけではなくて、全事業所、全設備に水平に展開していくということでやらせております。  具体的には、安全担当理事の権限の強化とか現場責任者の第一報の発信、それから情報専任者の配置など、「もんじゅ」以降そういった組織的な面も改善を図ってきております。  ただ、現実に通報のおくれ等が出まして、御指摘のとおり「もんじゅ」の教訓が生かされず、非常に地元国民に大変な迷惑をかけたということで、深くおわび申し上げます。  それから、特に意識の面でございますが、私が理事長になりまして感じておりますのは、技術開発集団でございますので、それ特有のものがそこにあるように思っております。基準値以下のものならば許容されるじゃないかというふうな感触、それからまた、できるだけ事故は小さく見せたいという感触、これは否めないと思います。  それで、そういうことがあってはならないということで、うそをつくな、ごまかすな、事実を事実として認める勇気を持てということで意識改革は進めてまいっておりますが、残念ながら事業所末端まで及んでいないというのが実情だと、このほど痛切に認識させられております。  今後とも、しっかりそういった意識改革を軸にして、また諸制度も再度見直して進めたいと思います。  よろしくお願いします。
  54. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私どもは三月十四日に現地視察をさせていただいたわけでありますが、そのときに、極端なことを申し上げて、危機管理等についての緊張感が感じられなかった。同時に、教育あるいは訓練というものが、爆発はあってはいけないわけでありますけれども、そういうことを想定した危機管理というものが現実にされてなかったのではないか。  例えば、火災発生して、上司の指示を受けてスプリンクラーを手動で、こういう問題を一つとっても、どの世界においてもそんなことはないと思います。例えばここで火事になったときに、すぐ瞬間的に自動的にスプリンクラーというのは役目を果たすわけであります。しかし、そういうことを全然されていない。まして、上司の指導あるいは指示がなければ初期消火ができない、こんなばかなことはあり得ないことなのですよ。しかし現実に行っている。  まして、国の重要な施策でありますエネルギーあるいは原子力、こういう施策の中で、安全というものについての認識やあるいは教育、訓練というものについて徹底されてなかったのではないか。口では言いますけれども、現実にはそういう指示がなかったのではないか、こんなふうに私は受けとめているのですけれども、この辺についてどのように考えられているのか。  現場での説明の中で、例えば消火のときに職員確認と消防士の確認、片方は消防士に頼り切っている、片方の消防士の方は、真っ暗でわからなかった、こんな見解が述べられていること自体消火に対する確認の徹底のなさ、一次確認、二次確認、三次確認しているような発表をされておりますけれども、それはもう形式的にすぎなかったのではないか、こんなふうに思われるわけです。現実に確認という問題。  ましてや、スプリンクラーを使っていながら、普通ならば炭酸ガスを使用し、泡の施設もあるわけですから、そういうものが全然使われてなかったこと、こういう問題についてやはり認識というものが非常に形骸化されているような感じを受けているわけでありますけれども、その辺をどういうふうに考えられているのか、答弁をしていただきたいと思います。    〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  先生の御指摘、まずは、消火のための作業に入る、そういったことが適切な形になっていなかったのではないかということが第一点、第二点は、鎮火に際して、その確認等について十分でなかったところがあるのではないか、こういう御指摘かと存じます。  消火の活動開始に関しましては、先生の御指摘ように、マニュアルの上で、水を噴霧する際には班長の了解を得てから散布をするようにということになってございます。これは一つの理由は、 もう一つの消火の方法といたしまして炭酸ガスの方法があるわけでございまして、火災状況によってはそちらを選択するというようなこともございまして、そのようマニュアルになっておったわけでございます。事実、こういうふうなマニュアルになっていたことで、初期消火の重要性、これを失念してしまったということはまことに残念なことだと思っておりまして、大いに反省するところだと思っております。また、二番目の問題に入りますが、一分間その後散布いたしまして、十時十三分でございますが、目視で炎が消えたということを判断をし、そのころちょうど、先ほど来ほかの先生にも御説明しておりますが、モニターが鳴ったというようなこともございまして、退避の準備に入るとかいう等々のことがございました。しかし、まあ一応鎮火されたな、それでは次に退避の準備に入ろうということで入りつつ、十時二十二分、もう一度指示によって中の確認をしました。そのところ、炎が見えなかったということで最終確認をしたということで、三十二分に全員退避をしたわけでございます。しかしながら、その後、村の消防の方もいらっしゃいましたし、十三時三十四分でございますけれども、中に入りまして目視で確認をいたしました。先生もおっしゃいましたけれども、中は真っ暗で何も見えなかったということは確かでございますが、逆に、炎が出ていれば暗ければ暗いほどわかりやすいのではないかなということで、恐らく判断したのだろうと思います。  いずれにいたしましても、消火、鎮火に対する、あるいは、これで消火されたんだということに対する確認マニュアルもございませんし、また確認のための措置も講じていなかったということは事実でございますので、今後、施設設計も含めて対処していきたい、そのように考えております。
  56. 田中慶秋

    田中(慶)委員 アスファルト固化というのは、高温で処理をするということはわかっているわけであります。そういう中で、たった一分のスプリンクラーの水で消火ができるということ自体が不自然だと思わなければいけないと思います。まして、一方においては泡、炭酸ガスの設備を整えていながら、それを全然使用していない。今のお話ように、火事になって、スプリンクラーで消すか、あるいは炭酸ガスで消すか、上司の指示を得なければいけないという、こんなマニュアルはどこにもないと思う。マニュアル点検をしていない、こういうところが今回の火災原因になったと思う、はっきり申し上げて。  その辺は、やはり皆さん方がこのマニュアルその他を含めて総点検をされる必要があろうと思いますが、どのようにお考えになっておりますか、答弁してください。
  57. 植松邦彦

    植松参考人 お答えいたします。  先ほど来、いろいろな場面で御説明しておりますように、必ずしもマニュアルが十分ではなかったという認識を十分いたしております。「もんじゅ」の事故の折に、いろいろなマニュアルの見直しということを徹底しつつございましたけれども、先ほど理事長からも御説明いたしましたように、その見直しの効果というのが必ずしも十分発揮できていない、まだ時間がかかっておるという状況の中でこういうことが起こってしまったのはまことに残念に思っておりますが、動燃といたしましても、そのマニュアルの見直しというのを徹底的にやり直すということが必要かというふうに考えております。
  58. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、原子力あるいはまた放射能等々を含めて、大変危険な作業に当たられている認識というものをもう少し、教育なりそういうことを含めて徹底していかなければいけないと思います。  後ほどまたこれらについて若干触れてまいりますが、その前に、今のあの建物そのものの安全基準と、あるいはまた防火設備現場へ行って、あの建物の二階、三階のガラスが飛ばされている、あるいは放射能もほかの施設まで漏れている、爆発が、ある面では予想以上に大きかった、このように思われるわけであります。そういう点では、安全に対して二重、三重の対策がとられていなかった。  先ほども触れられておりますけれども、現実には、建築基準法、あるいは消防法、さらには原子炉等規制法等、すべての法令がクリアをされた建物かどうか、私はいささか疑問に思っているわけであります。例えば、スプリンクラー一つとっても、手動でするなんということ自体が今の消防法では絶対あり得ないことであります。現在の窓ガラス、網入りとはいえ、あるいはスレートの外壁の問題をとっても、安全対策やいろいろなことを含めて、現実問題として個々の放射能数値が低いから危険性はないのだという前提でこの建物やほかの部分の設計に当たられ、あるいは、場合によっては消防法違反、建築基準法違反に相当するのじゃないか、こんなふうに私は思っておりますけれども、この辺について御答弁をお願いしたいと思います。
  59. 池田要

    池田政府委員 ただいま先生から、再処理施設のこの建物の構造についてのお尋ねがございました。  再処理施設につきましては、万一の火災爆発、こういったものを想定しまして、アスファルトを充てんしておりますような、このようなセルのたぐい、ある程度の気密性を有し、差圧によって外からは空気等が入るものの内からは出ないといったような、こういったセルのたぐいにつきましては耐火・耐爆性とする、それと同時に、換気系などの必要箇所も耐火・耐爆性とすることになっているわけでございます。  しかるに、今回の事故では、火災それから爆発という事態を招きまして、これまでのモニタリングの結果等から見ますと、少量とは思いますものの、放射性物質建屋外に放出されるという事態になって、地元を初め皆さんに多大の不安を与えたことについては、極めて重く受けとめざるを得ないと考えております。  今回の事故から、私どもは、謙虚に教訓を学ぶことが必要であると考えておりますし、事故調査委員会での徹底的な原因究明を踏まえまして、設計上の問題点などが明らかになりましたような場合には、万全の対策を講じたいと考えております。
  60. 田中慶秋

    田中(慶)委員 問題があればということではなく、私は、安全というのは二重、三重にやらなければいけない問題だと思います。はっきり申し上げて、今の耐火なり、あるいは消防法なり、そういうことと比較しても、古い建物かどうか知りませんけれども、現実には全然おくれている、あるいは安全対策上なっていない、こういうことを申し上げられると思いますが、その辺について、認識としてどのように感じられているのか。  私は、近代的な建物だったら絶対あんなことはあり得ない、こんなふうに思っております。そういう点で、改修するのに経費がかかり過ぎるとか、あるいは、いろいろな予算の関係がそんなところまで及んでいるのじゃないかな。安全と金という問題で、そういうことを含めて、改修すべきものをもっともっとしなければいけない、ところが全然していなかったのじゃないか、こんなふうに思うのですけれども、いかがでございますか。
  61. 植松邦彦

    植松参考人 御指摘ように、このアスファルト施設は、もう過去十二年間、端的に申しますと、五十九年の白煙を発したという故障以外問題なく運転を続けてきておったというその過信が、先生おっしゃるように、全体を施設として見直してみるというところに思いが至らなかったのではないかというふうに感じます。  この施設、十二年間、三万本のドラム缶詰めのアスファルト固化体をつくるという長い経験を積み上げてきて、職員の皆さん、大変な努力をされてきましたので、それが逆に過信というような面に出てきたのではないか、それがおっしゃるよう施設の近代化、見直しということを必ずしも優先させなかったという結果になったのではないかというふうに考えております。そういった点も含めて、総点検ということが必要かというふうに 思っております。
  62. 田中慶秋

    田中(慶)委員 特に動燃にお伺いしたいのは、あそこで作業に従事されている人たち、俗に言えば現場を担当される人たちについては、動燃職員ではない外部職員といいますか、丸投げみたいな形の中で作業に従事されている、こんなことが現場調査の中で明確になってきているわけであります。  こういうことを含めながら、別にそれをやってはいけないということよりは、むしろ外部職員に対する教育や資格等々を含めて、ずさんではなかったのかな。原子力作業に従事する人たちは、一定の資格やあるいは教育等々を十分積んだ人間でなければいけないわけでありますけれども、当然それはおやりになっていると思います、しかし、この下請の末端までされていないということが明確になっている、こういうことについてどのように受けとめておられるのか、お聞きしたいと思います。
  63. 中野啓昌

    中野参考人 お答え申し上げます。  私どもの職場には、先ほど来出ておりますが、いわゆる動燃事業団職員と、それからそれ以外の従業員等々で構成されておりまして、全部で五千九百名のうち、職員が二千八百名、先生御指摘のございましたそれ以外の従業員といいますのは、約三千百名おるわけでございます。  これらの人々に対してきちんとした教育がなされた上で今のような直接の現場に従事させているのかというのが先生の御指摘の最たるところじゃないかとお伺いいたしましたが、私ども、どこの職場においてでもそうでございますが、特に管理区域それから指定された区域で働く場合には、一つ一つ、そこで働くための教育の詳細を決めてございます。  ちなみに、この施設で働く場合には、放射線安全作業教育講座というものを必ず受けさせることにいたしております。時間的には、大体丸一日かけて実施いたしております。  さらに、この教育だけでは足りませんで、私どもの方では、このことがこうした作業に十分対応できるかどうかということで、放射線業務従事者指定教育というものを行いまして、この施設で働く方の指定のための教育を行っております。この講座を受けました後、いろいろなやり方がございますが、十分にそれを理解したかどうかということを判断いたしまして、従事者としての指定を行っておるわけでございます。  従事者としての指定を行い、そういう教育を受けただけで、それで十分かというと、決してそうではございませんで、それ以降は現場において、いわゆるOJTと申しましょうか、そういうシステムを使い、班長あるいはその下の係員、経験の長い係員等をつけましてOJTを実施し、万全を期するようにしてきておるところでございます。
  64. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、徹底した教育をさらにこれはしておかなければいけないだろう、そんなふうに思っております。  特に、こんな話が出ているわけです。今回の火災爆発事故は、ある面では起こるべくして起こったんじゃないか。ということは、この危険性が高いということで、現場の第一線の人たちは、前々からいろいろな施設やその設備等についての改善指摘をされていたようであります。こんなことから、今回の事故について、やはりもう少しこういう現場の声を上の人たちが聞いていたならばこういう事故にならなかったんじゃないか等々が言われております。  こういう問題も含めて、当然皆さん方がこれらについてマニュアルをつくるときにそういうものを生かされる必要もあるでしょうし、また現実には、その現場の声をもっともっと安全という面で採用していたならば今度の事故は起きなかった、こんなことを言われているわけであります。  その辺について、私自身、皆さんからのいろいろなことを考えたときに、それぞれの情報等々もくるくる変わっていたわけでありまして、こういう一連のことを含めて考えたときに、この現場人たちの声はある面では正しいのかな、こんなふうに認識しているわけですけれども、これについての答弁をお願いしたいと思います。
  65. 近藤俊幸

    近藤参考人 今先生が御指摘になったのは、情報提供が二転、三転しているじゃないかという御指摘だと思います。  御指摘のとおり、例えば今回、三十七名の被曝者を出しましたが、その出し方も、毎日毎日少しずつふえていったということで、はたから、外から見ますと、数を小さく言うために小出しにしたんじゃないかという誤解を受けました。これはまことに残念で、情報提供の仕方が間違っておりました。  というのは、常識的に考えますと、大体被曝者の数は、この把握がまず難しかったということがございます。そこで、固化施設で働いていた人、それからその周りで働いていた人、特にその周辺にいた人の数が当初確実につかめなかったということもございまして、結局、測定して被曝のあれが出たという人の数を次々に足していったという結果になりました。本当は、これは大体の概数でもいいから、先に百二十名程度はいますということを申し上げて、この数字については固まり次第また報道しますからということで、これは測定には非常に時間がかかるものですから、どうしても数日かかったわけでございますけれども、毎日何名出てきたというふうな報道をすればよかったと思います。  そういった、わかったことはすぐ報道しろ、こういうことになりますと、やはりまだそういう形になるということで、まことに御不安を与えて、御迷惑を与えて申しわけないと思っておりますけれども、こういった情報の出し方についても「もんじゅ」の事故で相当反省したつもりでございましたけれども、まだまだ反省が足らない、工夫が足らないということを反省しております。  そういうことでお許しをいただきたいと思います。
  66. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、「もんじゅ」にしても、今回の動燃のこのアスファルトの固化の事故にしても、ある面ではなれというものがそうしてしまった。危機管理という意識が非常に少ない、貧弱である。ある面では、起こるべくして起こった人災的な要素が十分あるわけであります。  ですから、こういうことをこれから、少なくとも日本原子力あるいはエネルギー産業として大変重要な仕事をしておられる皆さんでありますから、危機管理、責任感等々含めてしっかりとしてもらわないと、国民原子力エネルギーに対する不信というものは募る一方なんですから。まして、いろいろなことが二転三転、そういうことをされるようでは大変困るわけでありまして、今後とも動燃は初心に返ってやらなければいけない。あるいは動燃はもう要らないのじゃないかとまで言われるわけですから、あるいはまた人事が硬直化しているからそうなっているのじゃないかとか、ここまで言われているわけですから、初心に返ってその辺を再出発していただきたい。それに対する考え方を、あるいはまたそれについて御意見を聞かせていただきたいと思います。
  67. 近藤俊幸

    近藤参考人 私は、昨年の五月二十四日にこちらに来まして感じておりますのは、それでそれをかなり直してきておりましたが、まだ十分ではございません、今後いろいろと考えていく必要がありますが、一つは、言うなれば非常に優秀な技術開発集団でございます。だから新しい技術の開発には非常な情熱と精力を投入していっている。これは否めないと思っておりますが、動燃の場合は大型なプロジェクトを運転しておりますので、設備運転とか保守、こういった面がどうも、軽視しているわけじゃございませんが、ちょっとそこいらにもつと気を使う必要があるということを痛切に感じます。  ウランとかプルトニウムとか非常に危険なものを扱っている動燃でございますから、とにかく安全運転に徹してその中で研究開発をやっていく、そういった考え方を、えてして研究開発のために運転しているというふうな安易な発想になります けれども、そうじゃなくて安全運転に徹してその中で研究開発も進めていくのだ、そういった基本姿勢をしっかり持って今後取り組んでいきたい、こう思っております心
  68. 田中慶秋

    田中(慶)委員 終わります。
  69. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 笹木竜三君。
  70. 笹木竜三

    ○笹木委員 新進党の笹木竜三です。質問を始めさせていただきます。  東海の再処理施設における火災爆発事故の問題と、それと「もんじゅ」の事故についてあわせて質問をさせていただきたいと思っております。  最初に、先般もこの委員会で「もんじゅ」の一番直近で出た報告書について簡単な御報告も事務方の方からお聞きしました。もう一回繰り返してお聞きしたいわけですけれども、あの「もんじゅ」の事故を総括して、まず動燃の皆さんは何をどう変えたか。これは全体の危機管理体制、連絡体制あるいは意識の問題、人の教育の問題、いろいろなことがあると思います、設計の問題もあると思いますけれども、ここのことはそう詳しくなくても結構ですから、どういう分野、このぐらいの広がりまで見直しをやって体制も変えたのだ、そのことについてお答えいただきたいと思います。  さらに、あのときに何度も、動燃だけじゃなくて科学技術庁の監督責任も非常に重いのだということをこの委員会でも何人かの委員指摘もしておりましたし、その点についてもたくさんの質問が出ておりました。科技庁自身は、何を総括して、何を科技庁として変えてこられたのか、監督という面から変えてこられたのか、お尋ねしたいと思います。
  71. 植松邦彦

    植松参考人 お答え申し上げます。  「もんじゅ」の反省はいろいろな面でやらせていただきました。最初動燃近藤理事長からもお話ししましたように、安全に徹する、開かれた、地元重視、そういうふうに変わらなければいけないというのが最初の反省点でございます。そこから、社内での討議を踏まえ、いろいろな面で反省すべき具体策というのをいろいろと考えさせていただきました。  先ほど来もちょっと話がありましたが、安全担当理事の機能を強化するだとか、全社支援体制を組むだとか、情報専任者を配置するだとか、また通報においては現地責任者による第一報の発信を行うようにする、一斉同報ファクスを設置する、それからさらに教育訓練を反復実施する、こういったことをいろいろとやってきておるわけであります。その中ですべてが今度のアスファルトの事故に反映されたものではなかったというふうに思っており、さらに具体化を、実現化を図らなければならないのだというふうに考えております。  ただ、情報公開につきましては、情報公開総括者を置くと同時に、プレスセンターのようないわゆるインフォメーションセンターも設置いたしまして、十分情報公開を促進してきたつもりであります。今回の事故におきましても、事故現場での速やかなプレス公開もさせていただきましたし、入域によって撮影したビデオもすべて公開させていただきましたし一写真もすべてお渡しする、そういうことをやらせていただきました。  まだその反省が十分でなかった、実施が十分でなかったというのが今回の問題点に残っておるところだと思いますので、その点についても今後努力をしていきたいというふうに考えております。
  72. 池田要

    池田政府委員 「もんじゅ」の事故を踏まえて科学技術庁としてどういう点に取り組んできたのかということでございますけれども事故発生時の通報連絡体制改善でございますとか積極的な情報公開の推進、こういった点につきましては、事業者に対しましてもこういうことについての徹底を働きかけてきたところでございます。  また、科学技術庁としましては、「もんじゅ」の事故に際しまして、役所自身の初動、最初のアクションというものは必ずしも適切に行われたとは言えなかったといったことも、五月の報告書で既に明らかにしたところでございます。  この点につきましては、今回の東海事業所におきます事故発生についての第一報を受けまして、その後に、午後に及びましてから、従業員の一部には放射性物質を体内に取り込んだおそれがある、そういう模様というふうに聞きましてから直ちに職員現地に赴かせました。また、夕刻に至りまして、八時でございますけれども爆発といったことになりました段階では、私どもの安全局次長現地に向かわせるといったことで、夜の時点までには都合五名の職員現地に到着させたということで、事態の早急な把握、それから情報の正確な入手ということで、その直後からこれまでそういう体制で臨んできているところでございます。  また、今回につきまして付言させていただきますと、火災の時点から直ちに、周囲の放射線モニタリング状況でございますとかこういったことにつきましてはそのデータをつぶさに見ておりますし、周囲に放射性物質の放出といったことがあるかどうかといったことについても注意を払ってきたところでございます。  このように、役所自身も必ずしも事業者だけを当てにできないといった点を「もんじゅ」のときにも経験したわけでございますし、私どもとしましても、現場情報の正確かつ迅速な把握といったことでの反省を踏まえて、今回はただいま申し上げましたよう対応をしてきたところでございます。
  73. 笹木竜三

    ○笹木委員 ここでお尋ねをしたいのですけれども、一番直近の報告書にも書いてありましたけれども、あの「もんじゅ」の事故について、温度計のさや管が他のものと構造が違っていて、それを一度抜き取ってまた戻す、そのときにどうも完全にもとの形で戻していなかった、そのこともあったのと、構造が違う、形が違うことで事故が起こったんだ、そういった詳しい報告がありました。  あのことについて、この委員会でもお尋ねしたことがありますけれども、あの構造が他のものと違っているということ、それを科技庁の皆さんは事故が起こる前には一切御存じなかったということ、この委員会でも質問させていただきました。そのことはそのとおりですよね。
  74. 池田要

    池田政府委員 お答え申し上げます。  今回「もんじゅ」におきまして、二次系のナトリウムの温度をはかるための温度計のさや、この構造につきましては、安全審査、それからその後に続きます設計、工事方法の認可、この過程でも、直接行政庁がこの部分について見る格好になってございませんでした。そういった意味で、今回の構造について改めて認識することになりましたのは事故の後でございます。
  75. 笹木竜三

    ○笹木委員 それではお尋ねをしたいわけですけれども、あのときに、構造が違う、そして、だれが途中で抜いたのかはっきりわからない、いつだれが抜いてまた戻したのか、そこら辺の事実関係がわからないというお答えでした。ここで動燃の方にお聞きしたいわけですけれども、そこら辺の事実関係は今は把握されておられるのでしょうか。
  76. 岸田篤彦

    岸田参考人 折損したさや管の中の熱電対の入れかえの件でございますが、原因究明していく過程の中で次のようなことがわかりました。  実際に、もとの熱電対を取りつけたのは平成二年の七月でございます。それで、据えつけ完了後に単体の機能試験を実施いたしましたところ、その熱電対の断線が見つかりました。というところで、三月に新しい熱電対に取りかえてございます。  それは、申しましたように、原因究明の過程でわかったわけですけれども、ルールとしては、メーカーさんから我々の方に連絡があってしかるべきものでございますけれども、ということでは、今回、総点検の中で実施しております品質保証体系の見直しという中で、その体系がどうなっているのか、現実にどういう活動がなされたのか等について点検をしておるところでございます。
  77. 笹木竜三

    ○笹木委員 つまり、今まだはっきりわかってないということなんですね。具体的に、名前は結構 ですけれども、どの作業をされている方が担当されて、抜いてまた戻してという、具体的な日にちについてはわかっておられないということなんですね。
  78. 岸田篤彦

    岸田参考人 温度計熱電対の施工業者は東芝でございます。ということでは、具体名は別にいたしますと、そこの作業員作業し、断線を認定をして、言葉を悪く言いますと無断で取りかえておったということで、いずれもメーカーは東芝でございます。
  79. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 参考人に申し上げますが、十二時半から本会議が始まりますし、答弁は簡潔にわかりやすくお答えください。
  80. 中野啓昌

    中野参考人 今、岸田参考人が東芝と申しましたが、東芝が元請になりまして、IHIが実際に作業しているということで訂正させていただきます。
  81. 笹木竜三

    ○笹木委員 はっきり答えていただきたいのですけれども、ですから、いつさや管を抜いて、そしてまた戻したか、そのことについて具体的な日付とか、そういうことはまだわかっていないということですね。
  82. 岸田篤彦

    岸田参考人 申しましたように、二月に熱電対の単体の機能試験をやり、それで断線を確認をして、三月に取りかえたということでございますけれども、具体的に何月何日はちょっと今、申しわけございません。
  83. 笹木竜三

    ○笹木委員 科技庁の方にもう一度お聞きしたいのですけれども、一応審査の対象になっていたのだけれども、その機能については対象になっていたが、構造とか形については審査の対象になっていなかった。だから、他のものに比べて形が違うということは一切知っていなかった。それで、事故が起こるまでも、他のさや管に比べて形が違うということもわからなかった、事前に取りかえがあったということも知らなかったということでした。こういう状態で今後もいいと思っているのかどうか。この「もんじゅ」の事故を経て、科技庁による監督がこの程度のものでいいと思っておられるのかどうか、確認したいと思います。
  84. 池田要

    池田政府委員 今、温度計についてのお尋ねでございますけれども、今回の「もんじゅ」の事故につきましては、二次系のナトリウムの流れの温度をはかりますために都合四十八本の温度計が挿入されておりまして、この温度計のさやが途中に段がついている構造であって、これがナトリウムの流れによって振動を防げないといった構造だということがわかったわけでございます。  なぜ一本かということについての原因究明の結果等を先般御報告したわけでございますけれども、このさやの中に、シースと言っております熱電対が入っております。これが、この当該折れました温度計につきましては、ただいま御報告がありましたように、二月の段階で断線をしていたということがわかって、その後メーカーによって取りかえられた。そのときに、恐らくは挿入の仕方だと思いますけれども、この一本がしかるべく挿入されていなかったために、この当該温度計だけが一本破損に至ったということにつきまして、先般報告書で御報告させていただいたところでございます。
  85. 笹木竜三

    ○笹木委員 質問に答えていただきたいのですけれども、構造については違っているということも認知していなかった、そして取りかえたという事実についても全く知っていなかった。監督についてはその程度でいいと思っているのかどうか、答えていただきたいと思います。
  86. 池田要

    池田政府委員 このような温度計の構造につきましても、今般の事故によって、二次系につきましては全部取りかえるといった方針も既に出しているところでございまして、今後この温度計の設計から施工に至るまで、設計、工事方法の認可といった過程で厳密に見てまいりたいと考えているところでございます。
  87. 笹木竜三

    ○笹木委員 それで、今回の東海事故が起こつてから、いろいろなことを科技庁の方にも、きのうもまたお聞きしているわけですけれども動燃から説明がないとか、まだ把握していない、情報が来ていない、そういう答えが非常に多いわけですけれども事故が起こってから、科技庁の方が実際に現場に行って、その情報把握するためあるいは調査するため、どのような活動を行われているのか、何人の方々がどういう活動をやっておられるのか、お聞きしたいと思います。
  88. 田中徳夫

    田中説明員 御説明申し上げます。  先ほども局長からお話がありましたけれども、全部で五名、当日現場に行っております。最初の時点で二名、それから現地から、水戸事務所でございますが、一名応援に来てもらっております。それから、その後、こちらは十時過ぎになりまして私ともう一人が参りまして、夜中には五名のスタッフになっております。  そこで建物の周辺状況を見ました。それから、すぐに中に入れる状況ではございませんので、事故対策本部におきます状況についてフォローいたしました。それから、その状況を本庁と連絡をいたしました。その間、いろいろプレス発表等、動燃において行われておりましたけれども、それもフォローいたしておりまして、私どもから本庁の方にも連絡はいたしております。ただ、正式な報告につきましては、当然のことながら連絡のルートというのがございますので、これは本庁の方で把握しているのはそこで整理いたします。それから、正式にいわゆる法令報告というのがございますけれども、これはまだ出ておりませんで、発生から十日以内に出る、そういうことになっております。  それから、先ほど御報告ございましたように、事故調査委員会というのができまして、十三日に現地で第一回会合を開いておりますが、私は、その前の十二日の夜に入れる状況になりましたので、一応建物の中を確認いたしました後、一度帰京して、本庁に報告した後、再度この委員会出席のために現地に行ってきております。現在、現地には三名の職員がおりまして、事故対策本部の活動状況のフォロー、それから状況把握などをしているところでございます。
  89. 笹木竜三

    ○笹木委員 ここでお聞きしたいのですけれども火災の直後から、テレビカメラについては設置されていないというような報道がずつとされていたわけですけれども事故の二日後、あったことがわかる。その過程でも、科学技術庁テレビカメラがあったことを知らなかった、最初段階で。これはそのとおりなんでしょうか。
  90. 中野啓昌

    中野参考人 先生御指摘ように、事故が起きましてから約二日ばかり、テレビカメラはないというふうに報道に申しておりました。これは一つは、報道から質問がございまして、その施設の中にテレビはあるのか、こういう問い合わせがございまして、私どもも、そういうことで現場の方に問い合わせをいたしましたが、現場の方でそれを取り違えたといいましょうか、いわゆるセルの中を監視するようなカメラがあるのかというふうに明確に受け取らなかったという事情が一つございます。  それからもう一点、いわゆるセルの中をきちっと映す監視カメラ、そういうものがないのかということを聞き直しましてから時間がかかりましたのは、それを知っている従業員といいましょうか、それをきちっと見出すまでに時間がかかってしまったということでございます。今後、このあたり十分気をつけていきたいと思っております。
  91. 笹木竜三

    ○笹木委員 科技庁の方に。
  92. 池田要

    池田政府委員 科学技術庁といたしましても、事業者からの報告によればそういう事実でございましたから、カメラがあるということは承知しておりませんでした。
  93. 笹木竜三

    ○笹木委員 「もんじゅ」の事故のときに、いろいろな委員の方が、実際に確認するときに、わざわざ中央の制御室から現場まで行って、そしてドアの外から見る、これは非常におかしいのではないか、当然モニターですとかがあってしかるべきではないか、たくさんの方が言われました。そういったことがあったわけですけれども、そのことを生かして、今言った、こういった施設の中にこういったモニターがあるか、テレビカメラがある か、そういったことの検討は科技庁はこれまで一切されていなかった、そういうことですね。
  94. 池田要

    池田政府委員 今回の事故経験いたしまして、その後の状況が正しく把握されなかったということは事実でございますし、このようなことにつきましては、今後、原因調査の過程で明らかにしなければならないことだと思っております。その過程で、こういった施設面につきましても、今回どんな問題があったのかといった点につきましては明らかにできるものと思っております。
  95. 笹木竜三

    ○笹木委員 質問に答えていただきたいのですけれども事故後のことじゃなくて、事故以前に「もんじゅ」の経験を生かしてそういった施設面の、例えばモニターがあるかどうか、そういった検討は一切されていなかった、そういうことですね。
  96. 池田要

    池田政府委員 「もんじゅ」の事故以降、全体の原子力の事業者につきましては、安全性総点検ということを呼びかけておりましたけれども、このような個別の特殊な施設につきましてのカメラの有無等につきましては、そこまで確認には至っていなかったということは事実でございます。
  97. 笹木竜三

    ○笹木委員 それと、スプリンクラーによる消火が一分間しかされていなかったということがいろいろ問題にされております。それと、その後の温度の変化もほとんど確認がされていなかった、この問題もたくさんの方によって指摘がされています。結局どうしてなのか。わずか一分間の消火で終えたのは結局どうしてなのか。いろいろな報道がされています。防護マスクがなかったからだとか、スプリンクラーの処理できる容量、スプリンクラーの水の量が非常に少なかったとか、いろいろなことが言われておりますけれども、結局理由は何だったのか。あるいは温度の確認がなかった。これは温度計が結局なかったのだとかいろいろなことも言われていますけれども、事実を動燃の方にお答えいただきたいと思います。
  98. 中野啓昌

    中野参考人 先生御指摘の点は、要するに、その後爆発につながった火災の鎮火がどういう方法で確認をされたのかということにつながっている御質問かと存じます。  スプリンクラーを回しましたのは、先生御指摘ように、一分から約二分の間かと今のところ推定されております。十二分に開始をいたしまして十三分に終わっておるわけでございますので、初めから終わりということになりますと、そういう時間になろうかと思います。  その時点で、いわゆる燃えておりました炎が消えたといったことは確かでございました。また、その後二十二分に、再度上司からの指示で中を確認いたしましたところ、炎は見えなかった。白い煙はあったけれども炎は見えなかったということを確認をいたしまして、一たん退避をした次第でございます。  そこで問題となりますのは、いわゆるアスファルトの炎が消えてもアスファルト自体の温度がかなりまだ高かったかもしれない、そういったよう事態も考えられるわけでございますが、先生御指摘ように、それ以外の検知の方法として温度を測定するとかそういった設備は、この装置にはついてございませんでした。  今後、そういった面についても考えていきたいと思っておりますし、また、その後のセルの中の対応の仕方につきましても、直接そのドラム缶ではございませんけれども、外側のドラム缶の表面温度を外からはかるなど、その事件後は対応をいたしておるところでございます。
  99. 笹木竜三

    ○笹木委員 確認をしたいのですけれども、消火用スプリンクラーの操作室には放射能防護のためのマスクが準備されていなかった、それによって非常に慌てて消火活動が行われた、そういうことは絶対ないということですね。  それと、このスプリンクラーの容量が非常に少なくて、その結果短い時間で終わってしまったということも絶対にないということでよろしいのですね。確認したいと思います。
  100. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  防護マスクは各人に配付されるようになっております。特に、私ども東海事業所で使っております防護マスクの場合は、個人個人にきちっとフィットするかどうかということをテストした後、その個人個人に渡すようにいたしております。それが第一点の御質問。  第二点につきましては、水の容量につきましては、先ほども申しましたように、一分から二分ということでございますので、大体三立米から六立米ぐらいの間流したのかと思いますが、大体八分ぐらい流しましても、全体として受け入れる容量が十分あるようになっておろうかと、後から推定いたしております。
  101. 笹木竜三

    ○笹木委員 今、少なくとも温度計はなかった、それで消火の後の温度については確認ができなかったのだというお答えがありました。この温度計がなかったということについては、科技庁の方は事前に把握をされていたのでしょうか。
  102. 田中徳夫

    田中説明員 お答えいたします。  事故発生いたしましたときには、その温度計が特定の場所に一つであったということについて、それだけであったということは認識しておりませんでした。
  103. 笹木竜三

    ○笹木委員 それと、先ほど委員会でも他の委員もいろいろこのことについて質問されていたようですけれども確認をしたいんですけれども、この設置承認申請書には、放射性物質の存在する部分は耐火・耐爆構造、換気糸は必要箇所を耐火・耐爆性とすると記載されている。しかし、実際にはされていなかったんじゃないかということがあります。  それと、この施設建設後の八六年に安全委員会が定めた指針では、耐火・耐爆に加え火災爆発時にも放射性物質を外に出さない閉じ込め機能を義務づけた、しかし、この基準は既に建設された施設には適用できないとして特に改善策はとられなかった、これは事実でしょうか。
  104. 池田要

    池田政府委員 この再処理施設につきましては、先ほど申しましたように、一般的にこういうセルというよう施設がございますから、こういったところにつきましては耐火・耐爆構造にするということになってございます。  それから、アスファルトの固化処理施設につきまして、ここにもセルがございますから、そういったものにつきましてはある程度の火災といったものも想定し、そのための、火災が生じた場合の対処の仕方をこれまで定めてきたところでございます。  ただし、今回ここで火災経験し、かつそれが爆発に至って施設の破損を来すということになったわけでございますから、この基本的な設計のときの考え方、それがその後の実際の設計、施工、それから運転の過程でしかるべく確保されていたかどうかといったことがこれから明らかにできると考えております。  それからもう一つは、八六年の安全審査指針。これは、基準が整備されますとかそれから安全委員会が発足するとか、確かに体制の変化がございました。ただし、この再処理施設につきましては、この間に行われましたのは、動燃事業団がつくりました東海再処理工場、こういった実例を踏まえまして、その後予想されました民間の再処理工場、これの建設のために指針の基準等の整備をしたわけでございまして、この間に特に考え方が変わったといったようなことはないということを御理解いただきたいと思います。
  105. 笹木竜三

    ○笹木委員 先ほどの構造については、事前にはこれが耐火・耐爆構造を持っているという認識で許可をしていたということだと思います。  それともう一つ、この連絡体制なんですけれども、夜の爆発が起こって、それが動燃から科技庁に連絡があったのが二十時三十分だと聞いております。科技庁は、この動燃からの二十時三十分の連絡を受けて、いつ内閣情報室なり官邸に連絡をされたのか、お答えをいただきたいと思います。
  106. 田中徳夫

    田中説明員 爆発の連絡を受けまして以降、官邸に連絡を開始いたしましたのは九時三十五分以降でございます。官邸といいますか、官邸の関係 者に連絡を開始いたしました。
  107. 笹木竜三

    ○笹木委員 二十時三十分に動燃から連絡を受けて、今言った二十一時三十五分ですか、その間一時間以上ありますけれども、一時間以上たってから連絡をされた、そういうことですね。
  108. 田中徳夫

    田中説明員 連絡を受けました後、私どもも、他のところに発表あるいは連絡いたしますときに私ども自体として事態把握する必要がありますので、その時間はしばらくは見ていただくことは必要かと思います。それで、どこに連絡するかということで連絡の開始を始めたのが、先ほど申しましたように二十一時三十五分過ぎ。  ただ、その間いろいろ、後ほど御指摘もございますように、例えば官邸にもう少し早く連絡ができなかったかという御指摘も実はいただきましたし、それにつきまして私どもとしてなお改善できるのではないかということで、その反省も含めまして改善してまいりたいと考えております。
  109. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 笹木君、質問時間が終了しておりますから、最後の質問にしてください。
  110. 笹木竜三

    ○笹木委員 最後に、今お話をずっと聞いてきたわけですけれどもテレビカメラの問題あるいは温度計の問題あるいは設計上の問題あるいは連絡上の問題、こういったことについてはお聞きしてきたわけですけれども、全く「もんじゅ」の経験が生かされていないのは動燃だけじゃないということをつくづく実感するわけです。科技庁の監督の体制のあり方、これは「もんじゅ」のときにも再三お話しさせていただきました。科技庁の監督の体制のあり方自体がこれではとても信用ができない。ですから、単に動燃動燃はもちろんで、動燃と同時に科技庁自体も抜本的に組織を変える、このことなしで今後の原子力政策はとても信頼ができない、そう思っております。  それと、これからある事故の評価あるいは調査、これについても、「もんじゅ」のときにもお話しさせていただきました。事業者みずからによる評価あるいは科技庁の内部につくった専門家による評価、これではとても安心ができません。あのときにもお話ししましたけれども、ぜひ第三者による調査をやっていただかないと、とても国民も我々も安心ができません。そのことを絶対にやっていただきたいということをお話しさせていただきまして、質問とさせていただきます。
  111. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 午後三時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後三時開議
  112. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鳩山由紀夫君。
  113. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 私は、今回の動燃事故に関して、大変、寂しいというか残念な思いがしてなりません。  日本は、御案内のとおり資源のほとんどない国でありますから、科学技術で生きていくということ、また、特に発展途上国に対しても、環境などのさまざまな支援に科学技術というものが大変大きな役割を果たさなければならないと思っております。その意味で私も、従来から、原子力に関しては当然、将来、五十年、百年あるいは二百年先ほどうなるかということになるとそれはわかりませんが、当面は必要な手段である、エネルギーであるというふうに認めている立場でございます。その立場から、残念な思いをせざるを得ないということ自体が極めて寂しいのでございます。  この二つの、「もんじゅ」の事故と今回の再処理施設事故、極めて類似性があると私は思っています。その類似性とは、コアではない部分の事故であるにもかかわらず、それを本質的な事故に高めてしまったということではないかと思っています。したがって、本当にこのまま原子力を推進していけるのかどうかということすら、特に核に対するアレルギーを多く感じているのが日本人であります、それは当然のことだと思いますから、その慎重な日本人に対して、原子力を推進しなきゃならないという立場からも、果たして疑念なしにこれから進めていくことができるのかどうか、大変心配な状況になってきたと思っています。  どうも、コアではない、いわゆる周辺の部分に対して知識の十分な集積がなかったのではないか。動燃の皆さん方は、当然日本で最高の英知の結集体でありましょうが、しかし、やはり皆様方の興味というものがコアの部分に集中してしまっていて、例えば「もんじゅ」の事故の場合には、温度計のさやの部分の欠陥であった、設計ミスであった。今回は、御案内のとおりアスファルト固化の処理施設であった。いわゆる低レベルの廃棄物の処理施設火災であり、爆発であった。それを本質的な事故にまでしてしまったということは、やはり、ある意味で動燃の体質にあるのではないかと言わざるを得ないと思っているのです。そこが極めて残念であります。すなわち、事故を人災がさらに大きな規模のものにしてしまったということではないかと思っています。  そこで、まずお尋ねしたいことは、先ほど私も低レベルの廃棄物というふうに申し上げましたけれども、本当に低レベルなのかどうかということであります。私の感ずる限り、これはむしろ高レベルにかなり近い廃棄物ではないか。  ちょっとお尋ねいたしますが、原発の、例えば低レベルの廃棄物から出てくるドラム缶一本の中の放射線の物質量と、今回の再処理施設の中における、低レベルと言われているドラム缶一缶の中の放射線の物質量、比較をしていただけないでしょうか。
  114. 植松邦彦

    植松参考人 お答え申し上げます。  一般的に、放射性廃棄物の分類というのは、確かに形態的な分類もありますれば、放射性廃棄物の濃度、放射性核種によって分類されておりまして、いろいろな形で使われておると思うのです。気体性、液体性、固体のものというような分類もありますし、今先生の御指摘ようレベルの相違によるものもございます。それから、中に含まれておるもので、どういったものが主たるものになるかということで、アルファであるかベータであるかガンマであるかということによっても分類が違っておると思うのです。  現在のところ、高レベル廃棄物というのは、再処理工程の第一サイクルで燃料とフィッションプロダクトを分離した残りのところ、そこから出てくるものを高レベルと呼んでおると了解しております。その他のものは一応すべて低の領域に分類されておるというふうに理解をしております。  しかし、先生御指摘ように、同じ低といっても、放射性物質の入っている量はうんと違いがあります。実際の工場等ではさらに分類を追加して、中と呼んでおるものもありますし、低と呼んでおるものもあるということでございます。  動燃の工場などの例を見ますと、高と低、もしくは中を含んでの、その放射性物質の濃度の差、割合といいましょうか、それは、高と低の間では約十万倍の差がございます。低の方が十万分の一低い数値になっております。  その再処理工場で言っておる低の中にでも、放射性レベルの高いものと低いものが、いろいろなものが存在しております。しかし、再処理工場のような場所で出てくる廃液の低も、例えば原子力発電所のものに比べるとまだ相当高い量になっておるというふうに了解いたしております。
  115. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 時間が十分ありませんので、この問題は余り、これ以上追及できないのですが、できれば、より明快な数値的な比較を将来お出しいただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。  私が申し上げたいのは、我々、ある意味では、低レベルの放射性廃棄物ならばそれほどのことはなかろうというくらいに実は最初思っておりましたし、そう信じておりました。しかし、いろいろと新聞等々、また事実を拝見していくにつれ、いわゆる原発の施設における低レベルとは決して同等に扱うべきものではないなということもだんだんとわかってくるようになってまいりました。  そういう意味では、このドラム缶の廃棄物の処理というものに関して、同じ低レベルだからといってまさか同じようなところに貯蔵されているわけではないと思っておりますが、これからも、今お話がありましたように、我々は心理的に低レベルだということで安心をさせられてしまっているような気もしておるものですから、そうではないのだという認識を十分に皆様方にも持っていただかなきゃなりませんし、管理の問題をなお一層厳密にしていただかなければ困るな、そんなふうに申し上げたいと思っております。  もう一つ申し上げたいことは、もう時間が十分ありませんので、きょうは実は三点申し上げたかったのでありますが、その二点目を申し上げさせていただきますと、廃棄物の処理の問題でありますが、今申し上げたように、低レベルでこのよう事故が起きたということになりますと、高レベルを一体これからどこに処置をしたらいいのか、そのような問題に当然暗い影を投げかけざるを得ない。  最終的な、ごみと言って軽視されていた部分であるかもしれませんが、それをどこに処理をさせていただくことができるのかというところがはっきりわからないと、そしてさらに、こういう事故があると市町村の反発というものが、また懸念というものが強まっていかざるを得ない、こういう環境の中で、例えばプルサーマルの計画というものはこのまま実行を続けていかれるおつもりなのか、あるいは原子力政策というもの全体に対してやはりこれは相当大きな影響を与えざるを得ないと思うのですが、今後とも変わらない原発政策をお続けになっていかれるおつもりなのか、お聞かせを願いたいと思います。
  116. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 御指摘ように、今回の事故あるいは「もんじゅ」の事故も含めまして、原子力開発に与える影響は非常に大きなものがあると思いますが、我が国におきましては、資源的な制約、環境保護の観点から、原子力発電を長期的に進めていくためには、プルサーマルを含めます核燃料サイクルを円滑に進めていく必要がございます。先般の閣議了解もございますし、国民の理解が得られるように全力を挙げて進めてまいりたいと考えております。それから、高レベルの廃棄物の問題につきましても、二〇〇〇年までにもう少し明確なものにするということで、一生懸命努力している次第でございます。  今回の事故にかんがみまして、改めて安全確保情報公開の重要性を痛感いたします。原子力関係者一同、最大努力を傾注してまいりたいと考えている次第でございます。
  117. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 ぜひその辺の確認をさらにしていただきたいと思いますが、例えば体質に問題なしとしないという話になった場合に、低レベルにせよこのよう事故が起きた、高レベルではさらにもっと不安があろう。さらに、こういったある意味で中枢でない、コアでない部分で事故が起きたことが、それならば中枢で起きてないから高速増殖炉の本体的な議論は大丈夫だと言い切れるのか。あるいは、再処理というもの自体に関しても、廃棄物の部分であるから本体の再処理の議論はこのまま進めていって大丈夫なのか。末端で事故が起きるとむしろ本体は大丈夫なんだという議論もあるかもしれませんが、逆に、末端でまだよかった、これが本質的な事故であったらどうなるのかというような懸念もなしとしないわけでありまして、どうぞますます慎重に図っていただきながら、当然、周辺の市町村の皆様方の懸念というものもこれで残念ながら増していくばかりだと思っておりますから、時間をかけて御理解をいただけるように、そのためにも情報公開にますます道を開いていただきますようにお願いをいたしたいと思っています。  最後に、私が申し上げたいことが一つございます。  これは民主党という党を超えた議論でありますが、民主党という党においても行政監視院法案という法案を現在提出をいたしております。ある意味でそれの科学技術版だと言うべきなのかもしれませんが、科学技術評価法というものを私どもはつくらせていただいて、科学技術を評価をするシステムを国会の中に設置をしていくべきだというふうに思っているものでございます。  この件に関しては、かなり、数年来の科学技術委員会の中での議論をいただいているわけでありますが、例えば、原子力政策というものをこれからどのようにして進めていくべきであるのか、あるいはエネルギー問題に関しての優先順位をどのようにすべきなのか、あるいは倫理の問題に絡む話かもしれませんが、クローン人間などというような話が出てきております。こういった問題に対して国会の場で、皆様方の知見ともども、すなわち、科学技術庁が持っておられるいろいろな会議の知見もあると思いますが、それとあわせて国会の中でしっかりそれを評価をするシステム、優先順位をしっかりと国家の未来のためにつくり上げていくシステムが大事だと思っておりますが、この件に関して、科学技術庁の方からぜひ前向きな御答弁をお願い申し上げたい。
  118. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 ただいま先生からおっしゃられたことは、まことに私も大変大事なことだな、このように思います。  特に、原子力利用を初めとしまして科学技術に関する政策は、その時々の情勢も踏まえながら、やはり将来の方向を十分に議論していくということが私は大事だと思っております。そして、立案していくことが極めて重要であると認識いたしております。このため、政府におきましては、現在、科学技術会議あるいは原子力委員会設置されまして、長期的視野に立って、それぞれ関係の政策について十分審議をお願いしているわけであります。  御指摘ような仕組みを今後国会の中に置くことにつきましては、国会側において十分に御論議をいただくものと考えておりますが、いずれにしましても、政府としては、幅広く各界の御意見を拝聴しながら、一層的確な科学技術政策の企画立案及び推進に努めてまいる所存でございます。    〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕
  119. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 時間が参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございます。
  120. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員長代理 辻一彦君。
  121. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私、福井県の「もんじゅ」の近くにおりますので、この間も「もんじゅ」の事故があり、続いて動燃の再処理工場の事故があって、今、日本の二つの大きな柱が揺らいでいる、日本原子力政策自体が問われている大変大事なときであろうと思います。そういう認識の上に立って、短い時間でありますが、二、三質問いたしたいと思います。  既に今、私どもの鳩山代表から大局についてのお話がありましたので、若干具体的なことから入っていきたいと思います。  今回の場合は、原因が何であったかという第一次発火の原因究明と、それから初期消火のまずさ、問題点がないか。さらに、赤の地域から放射能が絶対に出てはならない、それが漏れている事実があるということ。それから、初期の消火以来爆発までの十時間の間は一体どうであったのか。さらに、諸外国のいろいろな例等が十分生かされているかどうか。あとは、こういう上に立ってプルトニウムの需給計画や原子力の長期計画にまで論議をすべきものであると思いますが、きょうはほんのわずかな時間ですから、二、三ちょっと具体的なお話伺いたいと思います。  初期の消火の体制はどうであったか。一分間から二分弱、三・三トンほどの水を注いだ、これで消火が終わったというふうに見たようでありますが、まずちょっと具体的に伺いたいのは、当時タンクに水は容量として何トンぐらいあったのかということ。それから、ドラム缶の中に廃液と一緒にまぜたアスファルトがいっぱい詰まっているのだが、それはいっぱい詰まっておったのか、あるいは缶に相当な余裕があったのか。ごく簡単で結構だから、ちょっと事実だけ伺いたいと思います。
  122. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。 質問でございますが、ちょっと今資料が手元にございませんので、具体的にその時点で幾らあったかというのはお答えできませんが、この施設の場合に、八分から十分流すことができます。その出し方にもよりますが、一分間に大体一立米から三立米出せまして、したがいまして、それに十分たえ得る量があったというふうに思っております。
  123. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ドラム缶は。アスファルトがどれぐらい入っておったのか。
  124. 中野啓昌

    中野参考人 ドラム缶の詰め終わったものが二十七本ございました。それ以外に五本ございまして、トータルで三十二本。そのうち一本は、五〇%ぐらいしか入っておりません。
  125. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私の聞いているのは、一本のドラム缶にアスファルトがいっぱい入っておったのか、あるいはすき間が随分あったのか。簡単でいいから、それだけ。
  126. 中野啓昌

    中野参考人 二十七本分につきましては、ほぼいっぱい入っているということでございます。
  127. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そこで、ある新聞を見たら、何か七トンぐらいしか水がなかったというようにも書いてあったのだが、八分間というと、三トンなら二十四、五トン。たくさんあったということですか。それでいいんですか。
  128. 中野啓昌

    中野参考人 具体的な数字につきましては、後ほどまた調査してからお知らせしたいと思いますが、十分の量があったと認識しております。
  129. 辻一彦

    ○辻(一)委員 素人考えですが、ドラム缶の中に廃液とアスファルトがいっぱい詰まっている、そこへ一分間水を流す。そうすると、そのスプリンクラーから水が落ちてくる、冷やす、消える。だけれども、アスファルトは、熱いのに水をかけると、上に膜を張ってもう水は通らなくなる、熱も通らなくなる。断熱材に使うぐらいなんだから熱は通らないのですよ。ドラム缶の中に半分ほど入っていて水が入るのなら、上から半分は水がいっぱいになる。だけれども、満杯のドラム缶に水を注げば、あとは全部流れてしまう。流れた水は、セルの中にあるのは、床のテーブルの上にドラム缶を並べているのだから、全部下に落ちてしまうのですよ、床へ。しかも、それは恐らく何百度かの、まあ三百度か二百何十度の熱ですから、すぐに蒸発してしまうのですよ、上に乗ったのは。そうすれば、水は十分であったと言うけれども、果たして完全消火に十分な水があったと考えていいのかどうか、そこはいかがですか。
  130. 植松邦彦

    植松参考人 今の御質問にお答えいたします。  その前に、先ほど中野参考人から御説明しました七トンというのは、セルの下にあって、水受けのタンクの容量でございまして、それが七トンということでございます。上からかける水のタンクはもっと大きな量を持っております。  その話とは別にしまして、水をかける、それで消火をするということにつきましては、ベルギーで火災が起こりましたときの経験に基づいて設計をいたしております。ベルギーの火災のときには、炭酸ガスと水とを両方使っておりますけれども、水をかけることによって蒸発する、水が蒸発することによってドラム缶自体を冷やす、そういう方式で冷却をしたわけで、それで成功いたしましたので、動燃の方でもその技術を採用したということでございます。
  131. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ベルギーの例を引いておられるのだが、午前中も私はその論議の様子を伺いました。では、そのベルギーの、あれは八一年の十二月十五日に起きた事故であるけれども、あれから一体我が国は何を学んだのか。項目で結構だから、ちょっと要点だけ聞かせてください。
  132. 植松邦彦

    植松参考人 細かいことは申し上げませんが、当方のアスファルト固化施設設計、建設は、日本の会社の日本揮発油に契約をされました。日本揮発油が、その設計を行うに当たってベルギーの会社と提携をしまして、そこから技術を入れてきておりますので、それをそのまま使ったということ……(辻(一)委員「何を学んだのか、ポイントだけ」と呼ぶ)そのアスファルトの固化体をつくることそのもの、それからアスファルトの火災が起こった経験をもとにして火災を鎮火する方法についての技術、そういうところでございます。
  133. 辻一彦

    ○辻(一)委員 科技庁の出した資料で、ベルギーで起こった事故対応というのを私も承知しておりますが、七項目ほどあるのですよ、何をやったかという。これは、四つの固定スプリンクラーを天井につけて、大量の水を用意した、注ぐようにした、こう書いてあるのですね。それから、気流が逆流するのを抑えるために換排気筒にアブソリュートフィルターを設けた。それから、全部新しい火災検知器に入れかえた。それから、問題があるという懸念のあるときには試験をやって、全部温度計をつけて測定して云々とあるのですね。  全部は別として、この中で、大量の水を注ぐべく用意したというのは、これは改善策として挙げられておるのですよ。七トンぐらいの水が一体大量になるのか。しかも、一分間で三トン余りの水を注いで大量というのは、さっぱりベルギーの具体的な例から学んでいる技術はないと思うが、どこを学んでいるのですか。
  134. 植松邦彦

    植松参考人 具体的に、放水できる水のタンクの容量、そのときにあった水の量については今ここにデータを持っておりませんので、また御説明いたしますが、先ほど来七トンと申し上げておるのは、放水があったときに、それが流れ込んでいくため升といいましょうか、そういったタンクの容量が七トンであったということで、必ずしもそれが、かける水の量が七トンに制限されておるというわけではございません。それよりもっとたくさんかけることができるようになっております。
  135. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ベルギーは、その経験から、大量の水を用意して天井から流す、こうちゃんと改善策で挙げておるのですよ。しかし、午前中からべルギーの例に学んでいるということがしばしば発言されているけれども、私からすればさっぱり学んでいないのですね。  もう一つ、炭酸ガスを使っているということを午前中発言されておるけれども、今回の場合になぜ炭酸ガスを使わないのか。これはもう火を消すのなら炭酸ガスで酸素を遮断するのが一番だ。しかも、動燃の昭和五十三年の設置申請書、それから五十五年の二月に出ている再処理施設設置承認申請書に、炭酸ガスを一番先に使うように書いてあるのですね、安全審査の資料には。まず第一に炭酸ガスを使うと書いてある。しかし、今度は水だけで炭酸ガスを使っていない、CO2を。それは一体どういうようにやっておるのか、それを聞きたい。
  136. 植松邦彦

    植松参考人 先ほど御説明しましたように、ベルギーのケースは炭酸ガスと水とを使っております。動燃の場合にも、水噴射と炭酸ガスで空気遮断と、両方を使っております。  水噴射の方は、単に火を消すというだけではなくて、冷却という面も重要な役割を持っておる。ただし、残念なことに、炭酸ガスは空気を遮断するというだけで、水の使用のような冷却能力を与えることはできないというところに炭酸ガスの……(辻(一)委員「両方使えばいい」と呼ぶ)おっしゃるとおり、両方使うというのはフランスの例にも見えます。ベルギーの例にも見えております。したがって、動燃としては、水噴射と炭酸ガスの両方を設備としては設置しておったわけでございます。
  137. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは使わない理由にならないでしょう。なぜCO2を使わなかったか。安全審査のときにも、冒頭に、CO2を使う、炭酸ガスを使う、こう挙げて、マニュアルには二つ並んでいますね。それは両方使っていいわけだから。しかも、水で冷却するといったって、さっき言ったとおりですよ。ドラム缶にアスファルトが半分ぐらいなら、その中に水がたまって冷やすのですよ。だけれども、いっぱいあったら、上から来た水はみんな流れてしまって、下の床へ流れて、冷やす効果も大してないですね。これは炭酸ガスを使えば、あるいは大量の水をそのときに使えば、完全消火はなし得たと思うのですが、それはどう考えていますか。
  138. 植松邦彦

    植松参考人 もちろん両方使った方がよかった のかもしれませんが、そのときの操作員は、一応マニュアルに従って上司にどうしましょうかということを連絡しております。上司の方から水噴射によって消火をするようにという指示を受けて、直ちに水噴射にかかったということでございます。水噴射の結果、炎が見えなくなったというふうに言っておりまして、それ以上CO2をさらに追加して使用することを必要と思わなかったのじゃないかというふうに思います。
  139. 辻一彦

    ○辻(一)委員 こんな短い時間では話はなかなか詰められませんが、とにかく火が完全に消せなかった。暗いところから見て、のぞき窓から見て、炎はなかったのでしょうが、中身は完全に消火されていない。だから熱が残っている。その残っている熱が、長い時間たっていろいろな揮発性の物質やあるいは廃液との複雑な反応を呼んで、だんだん熱が上がってきて爆発という不幸なことになったのじゃないか、これは推察ですが、そういう感じがしますね。だから、初期の消火にやはり非常に問題がある、この場合は。やはり大量の水を使い、そして炭酸ガスをすぐに使う、こうすればこれも不幸な事態に至らなかったと思うのですね。そういう点がまず第一の問題だと思いますね。  それから、私は、ナトリウムというか、「もんじゅ」の問題をかなり勉強してみて、この間フランスも行っていろいろ調べてきたのですが、この前の予算の分科会でも、理事長は御出席長官も御存じのとおりであるが、ナトリウム漏れもフランスではいろいろな経験をして、ナトリウムが漏れて火災を起こしたらいかないというので、第一次だけじゃなしに第二次系にもいろいろな手当てをしておるのです。まず、ナトリウムを早く検出するための三つの種類の検知器を備えているのですね。それから、テレビカメラも中に入れて様子がわかるようにしている。それから部屋も区切っている。それからマニュアルも、もうこれは間に合わぬというので全部入れかえておるのですよ。  そんなのを動燃科学技術庁は、三年も前に事実は資料で承知していましたと言うけれども、資料で承知しておったって、あれだけの一年半もかかって改造をやっているスーパーフェニックスのそういう事実を承知もせずに、それは資料だけ見ておったって役に立たぬですね。同じようなことが、ベルギーからずっと一連の国際的な、アスファルトの燃えている中にもあるのですよ。そんなものもやはりちゃんと学び取っていない。  私は、非常に動燃の体質に、一人一人の動燃の皆さんはすぐれた技術者だと思いますよ、しかし、組織として考えている動きというものを見ると、非常に問題があるように思うのです。「常陽」でナトリウム漏れもなかったし、心配なかったのだから、日本ではもうナトリウム漏れというのは起こり得ないのだという、技術過信というか、そういう過信があって、正当なきちっとした判断を誤らせておったような感じがします。そういう点で私は、動燃の独善性がないのかどうか厳しく問われるべきだと思いますが、ここはひとつ理事長の方からお答えいただきたい。     〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  140. 近藤俊幸

    近藤参考人 私も、昨年の五月二十四日に今の理事長に就任いたしまして感じています一つには、やはり技術集団が持っているかなり閉鎖的な性格は基本的にあるように感じ取っております。それで開かれた動燃ということを今盛んにあれしているわけでございますが、これは世間に対して情報を徹底的に公開していくという意味合いだけじゃなくて、今御指摘の技術の分野においても、海外のそういった技術、経験といったものも取り入れていく、そういうことで社内では指導しております。  先生御承知ように、今「もんじゅ」はソフト、ハード両面にわたって総点検をやらせていただいておりますけれども、先ほど御指摘のフランスの例等、総点検の中でそういった外国の経験といったものも取り入れていくということで今やっております。
  141. 辻一彦

    ○辻(一)委員 さっき挙げた幾つかの問題があるのですが、赤の地域から、レッド地域から、管理の非常に大事なところからはそもそも放射能は漏れてはならない、漏らさないというのが大原則ですね。動燃や科技庁は、量は少なかったということだけを強調しているけれども、一番大事なのは、あそこから放射能を漏らしてはならぬということですよ。これはもう放射能の管理上、絶対大事な点ですね。それが漏れて、しかも一週間、きょうあたりできるかもしらぬが、窓に板を張ったり目張りをしているが、これはもうまことにお粗末と言わざるを得ないですね。こういう放射能が管理区域以外に出たということは大変大きなことだけれども、そこらを安全管理というような面から一体どういうように認識をしているのか、お尋ねしたい。
  142. 池田要

    池田政府委員 ただいま先生御指摘のとおりに、再処理施設につきましては、この低レベルの廃棄物のアスファルト固化処理施設も同様でございますけれども放射線レベルに応じまして、一番高いところは先生が御指摘ようにレッド、その次はアンバー、グリーンといったように、放射線の管理をする区域をレベルによって分けてございます。  一番強いところからは放射能が漏れないように、それぞれレベルを分けているところでございますけれども、今回こういった施設から火災、それに続きます爆発ということで閉じ込め機能が失われたというごとは、大変これは重く受けとめる必要があると思っております。このようなことにつきましては、この施設自身がいわゆる多重防護という考え方でつくられたはずでございますけれども、これはなぜこういったことで破られたのかといったことにつきましては、今後事故原因についての解明をする過程で明らかにしてまいりたいと考えております。
  143. 辻一彦

    ○辻(一)委員 とにかく赤地域から放射能を漏らしたということは大変な失態だということを認識してもらわないと、量が少ないだけでは済まぬということをこれはよく確認しておいてほしいと思いますね。  それから、初期の消火から爆発まで十時間、この間にあの暗がりの部屋の中に起こっていることが何もわからなかったというのも、これだけの技術を持っている日本としてどうなのかという感じがするのですね。これはベルギーあたりにしても、ほかの国でも、熱電対、いわゆる温度計を適正に配置するとか、それからテレビカメラを中に入れるとか、いろいろな方法で中で起こった十時間の変化を外におっても計測器で掌握をできなければならぬ。それが、何もわからぬ。  しかも、爆発寸前までもう隣の部屋には作業員が入ろうとしておったというのですね。もしわずかの時間の差があったら、何十名という犠牲者が出かねない。不幸中の幸いであったかもわからないですが、そういうことですよ。だから、こういう問題をやはり厳しく考えなくてはならないということ。  もう答えを聞く時間がありませんから、最後に一つ聞きたいのは、日本は、アスファルトに詰めたそもそもの出発点は、海洋投棄をやろうとしていたのですね。海の中にはうり込むのだから、だから火災への対策はそんなに考えなくてもいいというので火の出やすいアスファルトに詰めてやったという出発点がある。国際条約で海洋投棄がとめられて、これは方針を変えなければならぬ。それがそのまま延長上にある。  フランスは、一九九一年に廃棄法ができて、それに基づいて廃棄物は最終的には海外に送り返すということになりましたから、輸送を考えれば火災が非常に懸念があるということで、アスファルトをもう使わないという方向を出して、私が確かめたところでは、一九九五年からもうアスファルトを使っていないのですよね。それだけではない。日本の一番新しい施設である六ケ所村では、これだってもうアスファルトを使っていないのでしょう。そうすれば、外国の例だけではない、日本でも既にそういうアスファルトはもういかないというので使わないという中で、一体この東海村 では今まで何を考えておったのか。  しかも、防災、火災対策が十分に補うだけのことがやられているならいいけれども、それも大して外国の例から学んでいない。防災、火災対策も、何年か前に出した申請書のままで過ぎておりますね。そして新しい方向は、今動いている中で、それも先送りになって、時間おくれになっている。日本原子力政策のかなめである、いわゆるプルトニウムを使用済み燃料から分離をする再処理工場とそのプルトニウムを使おうとする高速増殖炉の二つで重大な事故を起こして、まさに日本原子力政策は根元から揺らいでいるのですね。  原子力安全委員長、おいでいただいておりますか。では、安全委員会の最高の責任者でありますから、こういう状況を見てどういうようにお考えになっていらっしゃるか。じっくりお話を聞く時間はありませんが、ひとつ考え方と気持ちをお伺いいたしたいと思います。
  144. 都甲泰正

    ○都甲説明員 お答え申し上げます。  今回の事故によりまして、地元住民の方々を初め国民皆様に多大な不安を与えましたこと、原子力安全委員会といたしましても極めて遺憾に存じておるところでございます。  現在までのところ、今回の事故では従事者の体内から放射性物質が検出されましたが、その摂取量最大でも法令に定める基準値の約二千百分の一でありまして、また、敷地外放射線測定結果は通常変動範囲内であるという報告を受けております。  しかしながら、ただいま辻委員の御指摘いただきましたように、放射性物質の閉じ込め機能が喪失した。この放射性物質の閉じ込め機能というのは、安全確保の上で極めて重要な機能でございますので、これが失われたということ、これは、私ども安全委員会といたしましても、今回の事故は重大な事故であると認識しておるところでございます。
  145. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ちょっと三十秒ほど超過しますけれども長官伺いたいのですが、この東海の再処理工場を一体どうするのか。あれはもうとめてやめてしまうのか、あるいは新しい施設につくり直すのか、このアスファルトをやめるのか、ちょっと政策的な考え方をひとつ聞かせてくださ  い。
  146. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 先ほどもアスファルト固化のお話がございましたが、低レベルの廃棄物処理につきましては、研究開発の一環といたしまして、今年度からアスファルト固化でない方式の研究開発もするところでございます。そういうものの成果を見まして、一部につきましてはアスファルト固化でなくすることができる、そういうことの可能性もございますから、そういう研究開発の成果を見たいと考えております。  なお、再処理工場につきましては、六ケ所村の操業開始が二〇〇三年ごろでございます。そうなりますと、東海工場は研究開発を専ら行うよう施設に移行すると考えておりますが、その際も、再処理に関するいろいろな技術的な研究、安全性を高める研究、そういうことは東海施設を使ってやっていきたいと考えている次第でございます。
  147. 辻一彦

    ○辻(一)委員 時間が来ましたからまたの機会にしますが、しっかりやってもらわないと、もう不信感がいっぱいですよ。そして、政策形成には国民合意が必要ですから、国民の多くが参加できる、これだけはぜひ努力してもらわないと支え切れなくなると思いますから、その点をひとつ長官理事長、安全委員長にもよく希望しておきたいと思います。  終わります。
  148. 佐藤敬夫

  149. 吉井英勝

    吉井委員 三月十一日に動燃東海事業所でアスファルト固化施設での爆発火災事故発生しましたが、この事故状況というのは、発表されるたびに汚染施設が広がっていく、それから被曝者の数もふえてくる、放射線測定値も変わってくるという事態で、一体何を信じよというのかというのが率直に言って国民の皆さんの声だと思います。  そこで、私は、放射能汚染の問題から伺っていきたいと思いますが、アスファルト固化体が爆発によって飛散したときのアルファ線の核種についてです。  それで、プルトニウム239の場合は半減期が二万四千年余りということになりますが、そのプルトニウム239はもとより、238、239、240、242、それから半減期が四百三十二年のアメリシウム24、これらが入っていると思うのですが、このほかに入っているものがあったら、つけ加えてお聞きしたいと思います。
  150. 中野啓昌

    中野参考人 先生のお尋ね、今プルトニウムを中心にお尋ねになったかと思いますが、アルファ核種として考えますとそれ以外にはアメリシウムなども考えられますが、それ以外のものは特にないと思っております。
  151. 吉井英勝

    吉井委員 それで、アルファ線の核種にプルトニウムが含まれている、プルトニウムが入っているということで、プルトニウムは、体内に入ったときには骨や肝臓に沈着してそこでアルファ線を放出するわけですから、周辺の組織を破壊するということになります。しかも、寿命が非常に長いのですね、さっきも言いました半減期二万四千年余りですから。しかも、これは体外への排出の速度が非常に遅いものだ。沈着の有無を外から検出するのが非常に難しいというものですし、マウスに対する相対的毒性ではカドミの約七倍というデータも出ております。  したがって、私は、今回やはり体内被曝について調べる必要があるのじゃないか。ホール・ボディー・カウンターの話はずっとしてこられましたが、やはり便・尿検査などを行って、体内被曝についてもきちんと見ておくことが必要だと思いますが、これはどうですか、やりましたか。
  152. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  被曝線量につきましては、先生も既に御案内のように、詳細検出、すなわちホール・ボディー・カウンティングを実施いたしましてトータル放射線量は測定しておるところでございますけれども、そのいずれもが保安規定で決めます法定基準値の二千百分の一以下ということで、極めて少ない量ではございます。  核種についてはまだ調べておりません。
  153. 吉井英勝

    吉井委員 アルファ線というのは体の組織から外へ出るものじゃありませんから、ホール・ボディー・カウンターでカウントできないのですよね、そういうことは当然おわかりだと思うのだけれども。だから問題は、便とか尿検査をされたのかどうか。それをやらないと内部被曝はわからないのです。
  154. 中野啓昌

    中野参考人 先ほど先生御質問の初めのころにおっしゃったことでございますが、いわゆる体内摂取した人たちの数がどんどん変わっていったというような過程をおっしゃいましたが、当初発表させていただきましたのは、実は、鼻スミアーによって検出した人の人数を出していったわけでございます。したがいまして、この鼻スミアーからアルファ摂取をどの程度やったかということを逆算していくわけでございますけれども、その基準値からまいりますと、通常作業等で被曝したような場合の量に比べまして、いわゆる排せつ物の分析をする基準に至っておりませんので、今のところやる予定は立てておりません。
  155. 吉井英勝

    吉井委員 要するに、尿と便の検査はやっていないということがはっきりしたわけです。  今まで皆さんのおっしゃっている話を聞いて、ホール・ボディー・カウンターのデータはこうだああだというお話がありました。しかし、結局、プルトニウム等は内部被曝がどうなっているかということをきちんと見ないと、働いている皆さん、これは本当に保障できないのですよ。ですから私は、今みたいな気楽な話じゃなしに、プルトニウム吸引によるアルファ線の体内被曝をやはりきちんと、その危険性というのはもう指摘されているわけですから、もちろん線量によるということはわかっていますけれども、これは少なくとも検査をする姿勢を示すべきだと思いますが、どう ですか。
  156. 中野啓昌

    中野参考人 ただいまも申し上げましたけれども、アルファに関しましては、現在のところ検出限界以下でございましたので、尿及び便に関しては検査をしないという方向で考えております。
  157. 吉井英勝

    吉井委員 それは鼻にちょこつとついただけの話のことであって、経口、口を大きくあいて摂取するとかいろいろなケースがあるわけですから、やはりきちんと調べるということが一番の基本であって、なぜそれぐらいのことをやろうとしないのですか。
  158. 中野啓昌

    中野参考人 先生がおっしゃいますのは、いわゆる働いている者の心理的な不安、そういうものもあるだろう、そのあたりのことを十分勘案して考えないのか、そういう御趣旨かと存じます。  先生の御提案もございますので、一度、こういうような場合にアルファの測定後の処置についてどうあるべきか、評価してみたいと思います。
  159. 吉井英勝

    吉井委員 心理的要因だ何だということじゃなくて、もっと素直に、こういうものはきちっと体内被曝について検査をする。当たり前のことだと思うのです。これだけ被曝問題が出ている中で、そういうことすらしようとしないという姿勢自身が私は本当に理解に苦しみますよ。  それで、これまでアルファ線、ベータ線などずっと排気筒から外部に放出してきているわけですが、半減期の長い核種ですからこれは蓄積されていくわけですね。風下側の住民の間で長期間被曝という問題が生じ得るわけです。放射性廃液の海上への流出についても同様の問題が出てきます。ですから、外国では再処理工場周辺での放射線障害が問題になってきているところもあって、もちろん非常に線量が多かったという問題はありますよ、ラァーグとかセラフィールドとかあるわけですが、やはりこの点は、私は、科学技術庁としても長期にわたる測定と健康調査、こういうものをきちっと進めていくという姿勢は国の方もとるべきだと思いますが、どうですか。
  160. 池田要

    池田政府委員 ただいまの、この事故に対する環境調査についての御質問でございますけれども、今回の事故につきましても、その通報を受けて直ちに、敷地内及び敷地の外のモニタリングを行うポストにつきましても、その影響が出ていないかといった点についてはこれまでつぶさに見てきたところでございます。幸いにして今までのところはそういう影響は出ていないということを確かめているところでございますが、今後もこういう周辺につきましては、茨城県あるいは原子力研究所、原子力発電等こういった関係機関の協力も得ながら、空間の線量でございますとか、それから大気の浮遊じん、ちりのたぐいでございますとか、あるいはこれが土壌等にどういうふうに影響を与えているのかといったことにつきましては調査をしてまいりたいと思います。  ちなみに、東海村につきましてはこのよう体制が、この再処理工場ができます以前から用意がしてございまして、今申しましたよう周辺に対する放射線影響ということにつきましては定期的に見てきてございます。そういったことがございますから、今回の事故につきましても、ただいま申し上げましたよう体制でこれをより念入りに行うということで、その影響については確実に見きわめられるものと考えております。
  161. 吉井英勝

    吉井委員 現在は微量で、人体や環境への影響は軽微であるとしても、やはりこれは長期にわたってきちっと測定や健康調査というものをやっていくということが大事なことですから、今大体そういう趣旨でお話がありましたが、これは科学技術庁としてきちっとやってもらいたいと思います。  次に、動燃の再処理工場の運転停止は三月十一日の二十時十五分と聞いておりますが、その時点で、再処理工場のそれぞれの工程の中に、放射性の使用済み燃料ウランやプルトニウムと、TBPそして硝酸などの混合溶液、及び既に廃液となっているものなど、現在大体それぞれの工程ごとに何日分ぐらいたまっていますか。
  162. 植松邦彦

    植松参考人 私が手元に持っております高レベル及び低レベル廃液の量について御説明しまして、あと工場内の滞留状況については中野参考人の方から御返事させていただきます。  東海再処理工場の現時点における貯槽内の廃液の量でございますが、高レベル廃液は現在五百十立方メートル、それから、先ほども議論がありましたが、低レベル廃液というものがございますが、これは当方では三種類に便宜上分類しておりまして、酸性の低レベル廃液三百四十立方メートル、それからアルカリ性の低レベル廃液百六十立方メートル、それからいわゆるごく低レベルの廃液、これはアルカリ性ですが、六百四十立方メートル、これだけの量が今現在東海工場の中にございます。
  163. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  いわゆる主工程と申しましょうか、各工程の中にそれぞれの仕掛かり品がどの程度残っているのかというのが先生の御質問の趣旨かと存じます。  せん断機には、マガジンの中に燃料が装荷された状態にございます。すなわち、そこに一体ございます。それから、溶解槽にはせん断片が未溶解の状態で保持されてございます。また、抽出前の溶解液が工程内に約二バッチ分ございます。それから、次はメインの抽出工程になるわけでございますが、そこにはアクティブな溶液が保持された状態になってございます。  なお、ウランの濃縮蒸発缶、それからプルトニウムの溶液蒸発缶などは停止中でございました。  なお、溶解槽から分離精製工程までの間の使用済み燃料の相当量で申しますと、約一トンぐらいになろうかと存じます。また、分離精製工程の中にございます今申し上げたものでございますが、これも使用済み燃料の量でいきますと大体一トン分ぐらいかなというふうに見ております。合わせまして、溶解槽から分離精製工程までの間に、使用済み燃料の相当でまいりますと約二トン分がホールドされた状態になってございます。
  164. 吉井英勝

    吉井委員 植松さんのお話、トータルしますと大体一・六トンですから、まあ二・六トンぐらいになろうかと思います。  それで、何日分ぐらいに相当するかと言った方が国民にはぴんとくるのですね。これはプルトニウム等を濃硝酸で溶かしていくのですから、全体として見れば、普通でいうと三カ月ぐらいじわじわかかっていくぐらいになるかと思うのですが、その中で、主工程の部分とかあるいは廃液部分でいいますと何日分ぐらいが結局たまっていることになるのですか。
  165. 植松邦彦

    植松参考人 東海の再処理工場の処理能力は、機器そのものの処理能力が設計上は〇・七トン・パー・デーという設計になっておりますので、その程度の速度で処理はできるわけでございます。  実際にせん断にかかりましてから溶解、それから抽出、精製工程と通り過ぎて、最後に製品になりますまでに大体二週間ぐらいかかるというふうにお考えいただいたらよろしいんじゃないかというふうに思っております。
  166. 吉井英勝

    吉井委員 そうすると、処理能力からいうと、大体三日分ぐらいと今の割り算でいけば出てきます。  さてそこで、アスファルト固化施設は破壊されていて再開のめどは今ないわけですが、多くの施設汚染されていて、すぐに再開というわけにはなかなかいかないわけです。そうすると、今お話伺いました工程中あるいは廃液の中で残っているもの、これらが化学反応の進行状況はどうなっているのかとか、それから反応熱はどういうふうに出ているのかとか、温度や濃度の測定をして反応の進行をコントロールできているのかどうかとか、廃液の成分分析をやっているのかどうかとか、その結果はどうかとか、各工程ごとの放射線量がどうなっているかとか、やはりきちんと把握をして、そしてこの全部が公表されるということが必要だと思うのですが、この全部は把握できているわけですか。
  167. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  先生お尋ねの要素、いわゆる運転をしている最中のデータもございますけれども、とまっている ときのデータというのも、もちろん我々は採取しておるわけでございまして、全体として申し上げますと、当該壊れましたアスファルトの施設を除きますとすべてそういう管理はいたしております。
  168. 吉井英勝

    吉井委員 いや、そうじゃなくて、今の現状が把握できているかということを聞いているんです。
  169. 中野啓昌

    中野参考人 失礼いたしました。  アスファルト以外は現状を把握いたしております。
  170. 吉井英勝

    吉井委員 放射性の使用済み燃料であるウラン、プルトニウムを分離するために濃硝酸の溶液に長くつけておく、その後、抽出装置を経てウラン、プルトニウムそれぞれに取り出すわけですが、その過程というのは、TBP、ドデカンなどが硝酸と混合した溶液を形成していく、こういう工程もあって、ですから、これは長期に放置すると非常に強い放射線による溶媒の分解とか装置・配管類等の損傷という問題が出てくるんですね。  大体この種のものは、反応はそれぞれ進行しておったりいろんな状態なんですよ。何か静的にとらえて、わかっていますから大丈夫、そういう気休めというのは余りよくないわけで、そういう点で、この溶媒の分解とかあるいは損傷という問題がやはり出てくるんじゃないかという点を非常に重視しなきゃいけないと思うんですが、この点どうですか。
  171. 植松邦彦

    植松参考人 その点は吉井先生御指摘のとおりでございまして、再処理工場の設計自体がそう長期間にわたって仕掛かり品をそのまま置いておくということを想定したわけではございませんので、そういった面での安全の確保というのは、直ちに仕掛かりを終わった方がよろしいというふうに我々は考えております。  そのためには、今仕掛かりになっておりますものはどうしても最終製品まで仕上げておくということの方がより安全サイドに働くと考えておりまして、現在、国、県と御相談させていただいておるところでございます。  それから、仕掛かり品の一つに、せん断機に乗っかったままでまだせん断が開始されていない集合体が一体ございます。これは、プールに逆に戻そうということで現在考えております。
  172. 吉井英勝

    吉井委員 このウラン、プルトニウムの分離などのために使った硝酸の回収工程に、TBPとドデカンの有機溶媒がかかわってレッドオイルが生成する可能性とか危険性とか、もちろんこれは温度もかかわりますから、そう簡単に単純化して私も物を言うわけじゃありませんが、やはり最大の危険の問題の一つというのは、トムスク7で起こったようなレッドオイルの爆発、あるいは放射化学工場で見られるような、やはりそういう化学プラント内部での事故発生の可能性というものを非常に重視しなきゃいけないと思うんですね。その工程の状況が、とめた状況で一応把握できておるとはおっしゃるんだが、しかし、かなりの部分はこれはブラックボックスなんですね。  ですから、化学プラントにおける爆発事故を未然に防止するため、やはり今はそのために全力を尽くすということが私は非常に緊急に必要になっているんじゃないかと思うんですが、この点についても伺っておきたいと思います。
  173. 植松邦彦

    植松参考人 吉井先生御指摘のとおりでありまして、ロシアのトムスクで起こった爆発というのは、溶媒の反応によってレッドオイルができ上がって、それが急激な反応を起こしたということでございます。  我々のプロセスにおいても、そういうことは多分起こらないというふうには思っておりますけれども、いずれにしても、仕掛かり品をそのまま置いておくというのは決して安全サイドの状況ではございませんから、できるだけ早く処理を完了させていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  174. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、先ほどおっしゃった、一時運転して中に入っているものは全部早く出してしまいたいというのは、これはプラントの長期停止による装置の破損、強い放射線による影響、そしてレッドオイルの生成の問題など、最大の危機を回避するためにそれはやろう、こういうお考えだなということだけもう一度確認しておきたいのですが。
  175. 植松邦彦

    植松参考人 吉井先生のおっしゃるとおりでございまして、安全確保のためには、今の仕掛かり品の押し出しを早く完了しておいた方がよろしいというふうに私どもは考えております。
  176. 吉井英勝

    吉井委員 そこで、九四年九月八日の科学技術庁がまとめられた「ロシアのトムスク再処理施設事故に関する調査報告書」というのを私は以前読ませていただきました。その中では、ロシアは温度管理が不十分で事故をやった、日本は大丈夫だと言っていたわけです。動燃は、プラント内部の状況も十分把握するというのは非常に困難な中で、まあ困難なのは事実なんですが、このトムスク7の報告書の中では、「我が国の再処理施設では適切な安全対策が講じられているため、トムスク再処理施設発生した爆発事故と同様な事故が起こるおそれはない」としてきたわけです。それから、濃硝酸と有機物の発熱反応、いわゆるレッドオイル形成等について、安全裕度の確認等の試験研究を進めていくんだということもこの報告書では言っておりました。  ところが、現実は、もちろん、今回の事故をレッドオイルによる爆発と決めつけて言っているんじゃないですよ。問題は、ロシアよりももっと簡単で技術的には易しいはずのところですね、アスファルト固化施設というのは、そこで国内最大規模の爆発事故となってあらわれたわけです。その上、今レッドオイルの危険性というのが問題になってきているわけです。  ですから、これは動燃の監督官庁である科学技術庁が、日本原子力は安全だという思い込みを捨てて、やはりそういう立場で事故調査教訓を得るということをやらなかったら、何か事故が起こったから、前面に動燃を立てておいて、それで監督しますの何だのということじゃ、もともと、トムスク7の事故調査に行って、日本関係ない、安全だというようなことを、そんな報告書をまとめておったんですから、私は、やはりこれは科学技術庁がそこのところの姿勢を、根本をきちっと正すということが必要だと思うのですよ。  これは大臣、やはりそういうふうにきちっとしなきゃいけないんじゃないですか。
  177. 池田要

    池田政府委員 先生の御指摘でございますけれども、今回の動燃東海事業所におきます事故は、再処理工程から出てまいります低レベル廃棄物のアスファルト固化処理施設で起こったわけでございます。ですから、トムスクについての言及がございましたけれども、これは再処理の精製ですとか溶媒抽出を行うような本体での部分でございますから、その過程で行われています内容も全く別のものでございますし、これを同じものとして議論するのは適切ではないと存じます。  ただし、今回の事故につきましては、まだ原因究明の途中でございますから、この過程で、こういう放射性廃棄物を扱うよう施設につきましての教訓についてはできるだけ学び取る必要があると存じておりますから、これが本体についても反映すべき点がありますれば、これは我々は積極的に考えていきたいと考えておるところでございます。
  178. 吉井英勝

    吉井委員 議論をよく聞いておられたら、私は、トムスク7と同じことが東海で起こったんだなんということを言っているんじゃないんです。問題は、トムスク7のような主工程よりもっといわば単純で簡単なはずのアスファルト固化施設のところで事故をやっているじゃないかと。トムスクのときに、あれは日本と違うんだよ、そういうことであいまいにしてしまったということが、私はやはり、何のためにわざわざ税金を使ってロシアまで調査に行かれたのかということを言いたくなるぐらいですよ。  だから、それはやはり科学技術庁の根本的な姿勢を、日本原子力は安全だというこの思い込みに立って、日本は違うんだという、そこを根本的 に正していかないと、私は監督官庁としての役割は果たせないということを言っておきたいと思います。  次に、八〇年二月の動燃事業団の出した「再処理施設設置承認申請書添付書類」の中で、「想定される事故の種類とその解析」として「火災爆発」を挙げ、「アスファルト固化技術開発施設において、火災爆発という観点からみれば、その原因として考えられる物質にアスファルトがある。」としていたわけですが、午前中からずっとこの議論がありましたから、別に確認するまでもなく、そのとおりのことです。そこで、その対策として五点挙げておりましたが、アスファルト加熱に使う飽和蒸気温度は二百十五度C以下、アスファルト固化体の冷却には適切な処置などとしていました。  そこで、私はちょっと聞いておきたいのですが、こういう申請書に挙げたようなことについて本当に対策をとろうと思うならば、まず、蒸気温度とかターンテーブルやベルトコンベヤー上のそれぞれのアスファルトの温度とかセル内温度、それからアスファルトと混合される放射性濃縮廃液とその揮発成分ですね、揮発性ガス成分の分析、ガス濃度、放射線量などについての検出器を必要なところにきちっと設置して、そして温度コントロールをするとか異常を早期に覚知する。そういう検出器やコントロールするシステムというものは本来必要であったと思うのですが、実態としてはどうも、動燃の方からこの間も寄せていただいた資料を見ると、七十度Cで設定されているセンサーというのは、セルの中の天井の、そのまた中のダクトの中にしかない、これが実態なんじゃないですか。
  179. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  温度計についてでございますが、先生、天井の方とおっしゃいましたが、排気口の中に一カ所、おっしゃるとおり、ついております。
  180. 吉井英勝

    吉井委員 天井でも横でも、要するにダクトの中ですよ。  それで、一番コントロールするのに必要なところになかったというのは事実なんです。つまり、人が中に入れないレッド区域で、管理区域で、事実上、そこがブラックボックス状態になっている。これは事実なんですね。そこのところをやはり考えておかなきゃいけないと思うのです。  さて、そうすると、私は非常に不思議に思うのですが、最初火災の消火完了ないし鎮火という確認は、結局、温度でも、雰囲気ガスの成分によってでも、あるいは揮発性ガスの濃度などにしても、ブラックボックスで全くデータはないわけですから、これは判断できなかった。それなのに、消火という言葉を使うにしても鎮火という言葉を使うにしても、鎮火したとして、今度は二十時四分の爆発のちょうど十分前に、これは既によく伝えられておりますように、セルの中の温度やガス濃度を検出して安全を確認してから入るということじゃなしに、入室準備をさせていたわけですね。これは非常に人命を危機にさらす、人道に反することじゃないかと思うのですが、こういうところは理事長、一体どういうふうにお考えなんですか。
  181. 近藤俊幸

    近藤参考人 後でいろいろ聞きますと、今先生がおっしゃったとおりに、中の状況を十分把握できないままに入ろうとしていたということは、結果的に考えますと大変なことだったと思います。
  182. 吉井英勝

    吉井委員 それで、実は私は、動燃のお使いのアスファルトというのをいろいろ調べてみたのですが,これは、分子量が平均一千、揮発成分の引火点が三百度から三百二十度ぐらいとかなり高いのですね。通常の石油精製企業などから出てくる精製したてのアスファルトというのは百数十度台もありますし、東京消防庁が出している資料によれば、アスファルトは二百四度というのもあります。だから、かなり高いものであって、揮発成分がうんと少ない。そうしたら、なぜこういうことになったんだということも非常に疑問に思うわけですが、それだけに、ブラックボックスの中でやっておった、これは本当に何にもわからないという状態で、これは、爆発火災指摘しながら、一体こういうことでよかったのだろうかという根本が今問われていると思います。  それは後ほどまた伺いますが、最初の十時六分の前に、放射線量の増加ないしは温度検出器の温度上昇などのチャート紙があれば、異常がもつと早くわかったと私は思いますよ。つまり、異常がいつから始まったのか。ですから、十時六分というのは果たして、そのときが火災の始まりであったのか、あるいはもっと早かったのかということになってきたときに、恐らくもっと早かったであろうと。それから、二十時四分よりも前に、本当は火災ではなくて小規模な爆発が起こっていたのではないかということも、その場合には明らかになってくるのではないかというふうに思うわけです。  いろいろ伺っていると、先ほども質問ありましたが、私がどうも脇に落ちないのは、火災なら普通はスプリンクラーと、いただいた資料でも、ちょうど真上に炭酸ガス消火の施設があるわけですね。しかし、小規模爆発があって、例えば鉛ガラスその他のところにひび割れが入ったりして煙が出てくるとなれば、それは当然、操作員は炭酸ガスを使うわけにいかないのですよ、窒息してしまうから。だから本当は、これは火災なんじゃなくて、午後八時に起こったようなああいう大規模なものではなかったにしても、小規模な爆発であったという可能性も否定し切れない。あるいは、小規模爆発から火災に移行していったということですね。だから、その煙を見て炭酸ガス消火はできなかった、その可能性は十分あり得ると思っているのです。私は決めつけて言っているのではないのです。  ただ、動燃の皆さんの側で、夜の二十時四分よりも小規模であったにしても一朝の十時六分に小規模爆発であったというこの可能性について、何かそれを否定する根拠があれば示していただきたいと思うのです。
  183. 植松邦彦

    植松参考人 まず、十時六分であるという時間については、我々のところではデータロガーがございませんので、操作員が自分の時計を見るということでもって時間の確認をしておりますから、多少の前後はあり得るのではないかというふうに感じております。  それから、十時六分の火災というものが、基本的に、それは小爆発であったのではないかという御指摘でございますけれども、そのときに火災を発見し、また消火の作業に携わった作業員から直接ヒアリングをいたしましたが、ヒアリングをしました結果、まず最初に発見したときには、アスファルトのドラム缶から火柱が見えたと言っております。そしてさらに、消火に至る操作を始める前にはさらに多数本のドラム缶から一斉に火柱が見えたという報告をしておりますので、そういう意味からいきますと、小規模爆発という仮定を置くのは必ずしも妥当ではないのではないか、火災であるというふうに私は現在も考えております。
  184. 吉井英勝

    吉井委員 小規模爆発あるいは爆燃から火災への成長、そういう可能性については現時点では否定はできないというところですね。ちょっと伺っておきます。
  185. 植松邦彦

    植松参考人 もちろん、現在、原因究明調査中でございますので、いろいろな仮説を考えてみて、そして一つ一つつぶしていくべきことだと思っておりますし、私の申し上げたのが結論だというわけでは決してございません。
  186. 吉井英勝

    吉井委員 私は実は、堺・泉北コンビナートの石油精製企業三社の方から、アスファルトの揮発成分と引火点の資料その他をもらったり、回収装置周辺の、大体、石油化学工場がどんなふうにやっているかというのをちょっとデータをもらいました。それを見てみると、再処理工場というのは基本的に化学工場と放射性物質を扱う工場の両方の性格を持っているわけですが、普通の石油化学工場に見られるような検知器さえ置いてない。一体何を考えているんだろうかと、本当に驚きです。  そこで、私は原子力安全委員長に伺っておきた いのですが、八〇年二月の設置承認申請書については、このとき、八〇年二月七日に審査をする指針を出しておりますが、その指針に基づいて審査をきっちり行ったのか。アスファルト固化施設爆発火災対策について具体的にどういう検討が行われたのか。つまり、出てきた書類について独自の実験をやるなりあるいは検証して、そしてこういう対策をとらないと、幾ら申請図書が出てきたってそのまま認めるわけにいかないよというのが、本当だったら安全審査のあり方だと思うのですが、この点はどういうふうに進められてきたのか、伺っておきたいと思います。
  187. 都甲泰正

    ○都甲説明員 先生御指摘の安全審査の内容についてでございますが、まず最初に安全審査の仕組みをごく簡単に御説明申し上げます。  まず、審査に当たりましては、そのときの申請書の記載内容につきまして、技術基準並びに安全審査指針類等に照らしまして、安全上問題があるかどうかという基本設計の審査をいたすわけでございます。この場合に、安全上重要な事項に関しまして必要と認める場合には、安全委員会といたしましても独自に解析コード等を用いましてクロスチェックを行うこととしております。それで、「もんじゅ」のときを申し上げますと、炉心解析につきまして、別の計算コードを用いまして独自の評価を行ったケースがございました。それから、そのほか地質、地盤等についても実地に確認することとしております。  今御指摘の、火災爆発の具体的な評価について実験等で確認するということ、これは実は安全委員会の審査の段階ではやっておりません。ただし、これは安全上必要と判断できる場合には、開発途上におきまして十分にそのデータをそろえまして、安全審査の段階で評価されることとなっております。  以上のように、書面のみの審査以外にも多面的に安全審査を行うよう努めておるところでございますが、このほか原子力施設の安全を確保するためには、後続の規制段階、いろいろとあるのは御承知のとおりでございます。例えば行政庁によります……(吉井委員「そこらはもうよくわかっていますから」と呼ぶ)その段階で基本設計に合致することを確認することとなっております。  私どもといたしましては、今回の事故から謙虚に教訓を学び取ることが重要であると考えておりますので、今後、原因究明等が進んだ段階で、結論の出ました段階で、安全審査の面におきましても改善すべき点があれば改めるという考えで取り組んでまいる所存でございます。
  188. 吉井英勝

    吉井委員 いろいろお聞かせいただいたのですけれども、結局、当時はまだ技術基準もないときで、指針だけの時代なんですね。  それで、委員長さんには悪いけれども、この間も科学の委員会で「もんじゅ」の例でやりました。ナトリウムが漏れたときの温度にしたって、出てきたものと再現実験で随分違ったのですね。しかし、安全委員会が大丈夫だと言ったら、それで地域の人も職場の人も物が言えなくなっちゃう、もうお墨つきをもらっていることになりますから。だから、安全委員会の責任というのは非常に重いわけです。  そういう中で、アスファルト固化施設については、実は当時としてはきちんとした事故未然防止のための検討やそれらがされていないわけですから、そういう点で私は、やはり今、安全委員会というものが、本当にこういう体制をちゃんとそろえてもらわないと仕事できないのだということであれば、委員長の方からそれをおっしゃってもらうことが大事だと思うのです。今のよう状況では、人その他の体制ではできないということを、これは言っておかなきゃならぬと思うのです。  それで最後に、こういう中で、今動燃は、いろいろくるくる話が変わるということで目が向いております。総理も、動燃とは一体どんな会社かという発言もありました。しかし、一番の問題というのは、この動燃理事長、副理事長、監事の皆さん、これは総理が任命しているわけですよね。そして国の管理のもとにあるわけですよ、法律上は。しかも、見てみますと、理事長、副理事長は、プロパーの方一人を除いてみんな、電力会社十一人とか、原発・核燃メーカーが三人、そして通産、科学技術庁の天下りの方が三人と、政府が任命してきたわけなんです。  これまでの動燃の予算は約三兆円になりますが、この動燃に使った三兆の国費が、動燃をトンネルにして原発メーカーなどの技術開発に回され、その成果物については企業の財産権保護だということで、何度も私たちは公開を求めましたけれども、例えば「もんじゅ」について、三万ページの中で一万ページが真っ白けで出てくる。一体そういうことでいいのかということを国民の皆さんが言っているときに、しかし原発推進が国の政策だということでもって、そして安全委員会がお墨つきをくれているんだということでもって、どんどん批判拒否の体質で進んでいく、そういうふうな秘密主義が増勢されてくる。  私は、こういう中で今回の問題が出てきているわけですから、大臣、やはりこれは、何か今動燃が批判にさらされているから、動燃に皆任せておいて自分はタコつぼに引っ込んでおったらいいというものじゃないと思うのですね。どうも科学技術庁を見ているとそういう感じがして仕方がないのだけれども。政府がこれまで、管理監督の責任が法律上にもきちっとあるのにそれをやっていないということについて、根本に立ち返って、大臣として今日の動燃のあり方について、これは政府の責任だと深刻な反省を持っていただくとともに、少なくとも原子力安全委員会については、この前も提起しましたが、必要なスタッフをそろえた第三者機関でもって安全審査がきちっと行えるものにしないと、チェック・アンド・バランスの機能を果たすところは日本にはどこにもない、こういうことになると思うのです。そのままでは繰り返しますよ、これを。だから、その点について、最後に大臣の見解というものを聞いておきたいと思います。
  189. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 ただいまも御指摘ありましたように、この動燃事業団というのは、日本の政府あるいは学界、産業界、その他日本の将来のエネルギーにかかわる重要な原子力関係をぜひ開発、利用、そういった意味で責任体制の一元化を目指して設立されたのがこの特殊法人であります。  そういった意味で、今いろいろ御指摘ありましたとおり、今回の事故というのは本当に「もんじゅ」に続きまして大変重大な事故だということを肝に銘じるがゆえに、私は、監督官庁としましても本当に原点に立ち返って、そして二度と再びこういった事故の起きないように、我々監督官庁としても改むべきものは改めなきゃならぬし、これから二度とこういったことのないように、私初め、役所の一同に対しましてさらに厳重に指示してまいりたい、このように思います。
  190. 吉井英勝

    吉井委員 終わります。
  191. 佐藤敬夫

  192. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美と申します。  私は、きょう、これまでのやりとりを聞かせていただきまして、その中でさらに疑問に感じました細かい点につきまして幾つかお尋ねしたいと思います。  今回のアスファルト固化技術開発施設事故というのは、何回もここでも指摘されておりますが、物理的システムと、それを支える人的システムといいますか、今御答弁いただいております近藤理事長から始まりまして下請で働いていらっしゃる皆さん、その管理にかかわる物理的システムと人的システムのずれから起こっているのではないかというふうに思っております。その中で、今回、こういうことは今に始まったことじゃなくて、ここで正しておかないと今後あちこちでこういう事故が起こる可能性を十分含んでいる、また、そのほかの施設でもあすも起こるかもしれないという危機感を持ちながらここで質問に立っております。  さて、そういう中で、まず最初に当日の作業体制についてお伺いしたいと思います。  まず、三点お伺いします。  この日、理事長は当時どこにおられて、何時にこの通報をお受けになったのか、これが一点目です。  そして二点目は、この事故当時、この施設の中のセル操作室に何人の職員がいらっしゃり、そのうち動燃職員は何人だったのか。  そして三点目に、このセル操作室に、事故当時、原子炉等規制法による核燃料取扱主任者及び労働安全衛生法に基づく放射線取扱主任者、この二つの主任者はこの現場にいたのかいなかったのか。  その点について、まずお答えください。
  193. 近藤俊幸

    近藤参考人 火災のあった当日どこにおったかという御質問でございますが、本社におりました。それで時刻は、十時四十分ごろ報告を受けました。
  194. 中野啓昌

    中野参考人 お尋ねは、核燃料取扱主任者がその事故の当時にどこにいたかというお尋ねかと存じます。  この領域は、いわゆる再処理工場全体を取り仕切っております核燃料取扱主任者がおるわけでございまして、当時、主任者は再処理主工程の工場の中にございます主任者の部屋におりました。  それから、三つ目のお尋ねは、操作室にだれが何人ぐらいいたかということですが、当時、発見した人、それから、その直後にすぐ連絡をした人、水をかけた人、その当人になると思いますけれども、そこの現場で働いておりましたのは二人でございます。
  195. 辻元清美

    辻元委員 動燃職員の方ですか、二人は。
  196. 植松邦彦

    植松参考人 このアスファルト固化施設運転は四班三交代で行っておりまして、一つの班が八名でできております。そして、全職員数は四十九名です。そのうち四名が動燃職員、それからさらに四名が動燃の嘱託ということで運転の責任を持っております。  それから、当日その事故当時に操作室にいたのは何人かというお尋ねだったと思いますが、その火災発生した瞬間には、その部屋にいたのは一名でございます。
  197. 辻元清美

    辻元委員 その人は職員ではないのですか。
  198. 植松邦彦

    植松参考人 その一名は、作業請負の人間でございます。
  199. 辻元清美

    辻元委員 それでは、先ほどから消火の話が出ておりますけれども、上司に連絡をしたというふうに何回か御答弁いただいておりますが、このときにこの上司の方はどこにいらっしゃったのか。そして、この上司の方は十時三十二分にそこにいる人たちに退去するようにという指示を出しておりますけれども、この間にこの上司は現場確認したのかどうか。お答えください。
  200. 植松邦彦

    植松参考人 その火災発生しました瞬間の人員配置でございますが、一名は、申し上げましたように、操作室におりました。その操作室は一階ですが、その上の二階の制御室にも何人か職員がおりまして、さらに二階の居室にも何人かの職員が張りついておったわけです。  それで、火災が起こりましたのを発見した操作員は、直ちに電話で制御室に連絡をいたしております。しかしながら電話は話し中で通じませんでしたので、インターコムによって制御室と連絡をとり、それで制御室を経由して居室にいた責任者に連絡をとり、責任者から現場の操作員に対して、水噴射消火をするようにという指示が出ておる、そういう連絡の体制でございました。
  201. 辻元清美

    辻元委員 その指示をした人がこの間に現場にいらっしゃったのかどうかということを聞いているわけなんです。現場を見ずに指示されているわけですよね、そのときは。普通だったら走ってきて見るのじゃないですか。
  202. 植松邦彦

    植松参考人 居室からは多少の距離がございますので、インターコムで連絡をしましたとき、そこにいました班長代理は、直ちに二階から一階の操作室に支援のため駆けおりております。そして、さらに連絡をする必要がありますので、操作室にいた他の操作員にお願いをして、上司と連絡をするようにいたしました。その連絡を受けて、水消火をするという指示を受けたときには、もう既に班長代理は操作員の支援のために一階の操作室に行っておりました。そういう状況でございます。
  203. 辻元清美

    辻元委員 ということは、この指示をなさった上司は一回も現場に行っていないということですね、本人は。
  204. 植松邦彦

    植松参考人 おっしゃるように、その一番上におった上司は現場には行っておりませんが、班長代理が責任を持って作業をすることができますので、そこにいました上司としては、火災警報が鳴っておりますので、全体としての総指揮をとる必要がありますから、必ずしも火災現場に直ちに向かうということが適切かどうかについては、そのときの判断によるというふうに思います。
  205. 辻元清美

    辻元委員 私は、現場を見ずに水だけで一分という判断をされた点は、非常に責任重大だと思います。  さらに、鎮火をしたと判断なさった方は、そうしますと、だれになるわけでしょうか。
  206. 植松邦彦

    植松参考人 もちろん現場にいた人でないと火が消えたかどうかわかりませんので、火が消えたかどうか判断したのは、消火作業に携わりました作業員と班長代理、この二人であると思います。
  207. 辻元清美

    辻元委員 それから、この折に消防署への届けがおくれたというようなことで、何か消防署の人がテレビにも出て顔を真っ赤にしてはったのを私も拝見しました。  それと同時に、消防法によれば、そのまま延焼を防ぐための努力をしなければいけないという規定がございます。このときに、鎮火をしたということで、この延焼に対して、先ほどからも追及されておりますが、手が打たれていないというふうに理解させていただいてよろしいのでしょうか。
  208. 中野啓昌

    中野参考人 先生御指摘ように、消防署への連絡が十時四十五分ということで、遅いのではないかというおしかりをいただいております。今後、このあたりにつきましては改善措置をとっていきたいと思っております。  その後の措置についてでございますけれども、十時二十二分だったかと思います、再度中を確認いたしまして、火のようなものが見えないということ、さらに、十三時になってからでございますか、もう一度中を確認いたしまして、燃えていないということで、フォローしてございます。
  209. 辻元清美

    辻元委員 普通、火事になったら何回も水をかけるとか、CO2があるのでしたらもう一回念のためにやっておこうかとか、私、自分でもそういうふうにするかと思うのです。その点におきまして、これは消防法に触れているのではないかというふうに私は思うのですが、今のところのお考えでは、消防法に違反していないとはっきり言明なさるのでしょうか。その点についてのみお答えください。
  210. 中野啓昌

    中野参考人 その点についてのみということでございますが、ああいう放射性物質を扱っております管理区域でございますので、一度退避命令が出ますと、その後続いて入るときには、特殊作業の届け出とかそういったことを、簡易的にではありますけれども、やるわけでございます。したがいまして、そのままもとに戻って見るということもできません。  現在のところ、消防ともいろいろ打ち合わせをしておりますが、特に反するとかどうとかということにはなっておりませんけれども、今後、地元の消防とも相談をしていきたいと思っております。
  211. 辻元清美

    辻元委員 それで、電離放射線障害防止規則の四十三条に、放射線遮へい物が破損した場合はその旨を直ちに所轄の労働基準監督署長に届けなければいけないという規定があるのです。いただきましたこの時系列の報告にはそれが出ておりませんが、いつお届けになりまして、その後この監督庁の調査を受けるということになっておりますが、受けたのでしょうか。
  212. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  先生御指摘ように、労働基準監督署に報告をすることになってございます。  この事故届でございますが、この報告に関しましては、内容、書き方につきまして、現在労働基 準監督署と御相談させていただいているところでございますが、きょう調査に来ておるというふう  に聞いております。
  213. 辻元清美

    辻元委員 これは直ちにということに法律では明記されているのですが、動燃意識では直ちにというのは一週間たっということなんでしょうかね、ちょっと理解に苦しむのです。  さて、次に移りたいと思うのですが、先ほどからこういう事故が想定されていたか、いなかったかということが議論になっております。この中で、中野さんだったと思いますけれども、耐爆構造は不十分であったと先ほど御答弁なさいました。また、設計を超えた事故を想定したマニュアルをこれからつくりたいと先ほど御答弁なさったわけですが、ということは、設計を超えた事故を想定したマニュアルは今まで一個もなかったということなんでしょうかね。
  214. 中野啓昌

    中野参考人 私が先ほど申し上げましたのは、いわゆる設計を考える場合に、封じ込めばどうするか、どういうことが仮定されるかという条件を置いて設計をしていくわけでございます。  ああいう施設の場合に、まず火災が起きないように基本的に考えます、その次は、火災が起きたとしてもそれが広がらないように、そしてさらに、それが広がったとしても緩和されるようにということで、いわゆる封じ込め、いわゆる多重防護という思想で行うわけでございます。  そういう意味では、例えばスプリンクラーをつけるとか、あるいは火元にならないように蒸気を使うとか、いろいろな配慮をして全体の設計をしたわけでございますけれども、そういう設計に対して、その設計の際考えた基準を超えた事故が今回あった、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  215. 辻元清美

    辻元委員 こういうものを建てたりつくったりするときに、私は、素人で考えても、最大想定事故というものを考えると思うのですね、こういう施設の場合は。そうすると、今回事故が起こったこの施設で、最大想定事故は何とお考えだったのか、お答えいただけますでしょうか。どういうふうに考えていたのか、全く考えてなかったのか、もう完璧だと思っていたのか、もう水も出るしCO2も出るしと思っていらっしゃったのか、お答えください。
  216. 中野啓昌

    中野参考人 この施設の場合は、先ほど来ここでもいろいろ議論になっておるところでございますけれども、また申請書等の中でも言われているところでございますが、アスファルトというような言うなれば非常に燃えやすいものがございますので、火災最大事故というふうに仮定して考えてございました。
  217. 辻元清美

    辻元委員 今、設備施設、それから事故の想定ということを伺いましたが、そうすると、それに対する人的な訓練はどうなっていたのか。あの設備従業員火災訓練を何回行い、そして一番最近はいつ行ったのか、そのことにお答えいただきたいと思うのです。幾ら設備をそうしていても人が動かぬとこれは話になりませんので、お答えください。
  218. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  アスファルト固化処理施設での火災を想定いたしました訓練の最近の実施例でございますが、毎年行っております総合防災訓練では、東海村の消防署とは共同の訓練を行っております。ただし、消火訓練を行うかどうかはその年の訓練で決まっておりまして、ちなみに平成八年度、これは八年度と申しましてもつい最近でございますが、平成九年の二月二十八日に訓練を管理区域の中で行っております。この場合は、いわゆるホースを持ってまいりまして、筒先を持ってダミーで行っております。
  219. 辻元清美

    辻元委員 それは東海事業所全部を含めてということでしょうか。このアスファルトの設備についての最大想定事故を想定したものなんでしょうか。何か、消防署に来てもらってぴゅーぴゅー消す練習とちょっと今回は違うと思うのですけれども、ああいう事故が起こるということ。
  220. 中野啓昌

    中野参考人 今申し上げましたように、アスファルト固化施設でございます。
  221. 辻元清美

    辻元委員 残念ながら、その訓練は全く役に立たなかったということになるんじゃないかと思うのです。もしくは、想定されていた訓練と実際起こったことに対する対応、これは訓練が生かされてなかったのではないかというふうに私は理解いたします。これは言われてもしようがないと思うのですけれども。  さて、そういう中で、先ほどからそれぞれ民間の企業への請負の話も出ておりますけれども、ここでお聞かせいただきたいのが、あの施設について、どういう会社、何社が入っていたのか、そして下請の会社は、一体何社で構成されていて、どのような会社で構成されているのか、聞かせてください。
  222. 植松邦彦

    植松参考人 あのアスファルト固化施設で働いておる人たちは、動燃から委託を受けておりまして、委託先は二社ございます。委託先の会社名は、一つは三井東圧機工株式会社、それからもう一社は草野工業、この二社に委託をしております。
  223. 辻元清美

    辻元委員 それから下請というのはないのでしょうか。いかがですか。
  224. 植松邦彦

    植松参考人 私どもとしましては、その下のさらに下請ということについては、特に動燃が契約上介入することはできませんので、それ以上の介入はしておりませんので、私どもとしてはよくつかんでおりませんが、多分ないのではないかと思います。
  225. 辻元清美

    辻元委員 時間が来ましたので、最後にちょっと質問を何点かしたいのですが、今回、東海村には私も二回参りました。住民の方のお話も直接聞いてきました。そして、水戸でも、住民が不安だということで大きな集会が先週も開かれております。そういう中で、市民調査団というのを市民の皆さんが自主的に、学識経験者、弁護士、そして技術者、医者という構成で結成しようというふうに考えていらっしゃると聞いております。  先ほどからも出ていますが、動燃が組織された調査団もしくは科技庁が組織された調査団では、もうなかなか信用してもらえぬと私は考えております。このよう調査団ができた折に、茨城県が中心になりますが、動燃の方ではこういう調査団を受け入れる、前向きに考えるのかどうか。これは、今回動燃が一歩踏み込んで、市民の皆さんの信頼を取り戻すかどうか、具体的に動くかどうかという具体例として挙げさせていただいておるのですが、いかがでしょうか。
  226. 植松邦彦

    植松参考人 動燃は「もんじゅ」の事故以来、あらゆるものを、特に国際協定に基づくものとか核不拡散防止条約上いろいろ問題があるものとか以外はすべて公開いたしますというお約束をしておりまして、現在、情報公開指針というものを策定しておる真っ最中で、もうすぐできますが、その中に書いてあります公開するべきものに該当しますものはすべて公開するつもりでおります。
  227. 辻元清美

    辻元委員 今、公開すべきものはすべてと伺いましたので、私もこの市民調査団に対しては非常に共鳴をしております。こういうことをオープンに受け入れていくということが非常に大事だと思っておりますので、これは動燃の方に、またこの人たちの動きも把握いたしまして、ともに調査したいと思いますので、その折はよろしくお願いしたいと思います。  以上です。
  228. 佐藤敬夫

  229. 前田武志

    前田(武)委員 太陽党の前田武志です。  想定していなかったよう事故が「もんじゅ」に続いて起きたわけです。そしてまた、あってはならないようなその後の対応といいますか、そういうことで、同僚議員との質疑を聞いておりまして私自身も暗然としているわけでございます。資源のない日本、エネルギー源のない日本において、私も含めまして、この原子力に対する国民の期待というものは大きいだけに、本当に取り返しのつかないことになったなということをつくづく感ずるわけでございます。  こういうような複雑なプラントと申しますか、 これを設計し、そして操作、運転し、それを管理し、そして危機管理対応していく。私は素人でございますので、ただ一般的な受け取り方としては、日本の技術陣はもう大したものであって、そしてまた、こういう安全を一番要求される原子力施設に対する管理というものは、非常に厳密に、また各現場における技術者あるいは職人めいた現場人たち、それぞれ責任を持ってやってくれているから、日本原子力関係というのは世界でも相当ハイレベルにあるというふうに思っておったのですが、それがどうやら裏切られた、国民一般はそういうふうに感じているだろうと思います。  それだけに、同僚議員の議論を通じてつくづく思うのは、この任にあった動燃及び科学技術庁、そして政府、もちろん政治の場の我々も含めて責任が非常に重いな、こう思います。特に、政治がこんなていたらくの中、日本にはまだそういう技術者魂のたくみの集団がおるぞというふうに思っていただけに、まことに残念な気がするわけであります。  そこで、もう大抵のところは皆様方の議論の中に入っているわけでございますが、こういう安全管理というものをどういうふうにやっていくか、想定外のことが起こり得る、人知の及ばぬものがあるという前提で、どういうふうにしていったらいいかということにもう少し議論を絞ってやってみたいと思うわけでございます。  まずは、操作マニュアル、そして、その中に安全対策としてのマニュアルというものが当然できておるわけでございますが、もう既にあるいは御説明あったかもわかりませんが、そのマニュアル自体がどういうふうな考え方のもとになされているのか。当然、危険な施設でありますから、施設設計方針であるとか、二重、三重のフェールセーフというか、安全対策を施した設計になっていると思うのですが、そういう設計のもとにいろいろな化学的なプロセスがある、そのプロセスを追って操作があるわけですから、その操作を追っての安全マニュアルというものができているのだろうと思うのですね。そういうマニュアルの考え方というものについて、まずお聞きをしたいと思います。
  230. 中野啓昌

    中野参考人 先生お尋ねの件は、今回のよう施設の場合に、どういう考え方に立ってマニュアルをつくっているのか、こういうことのお尋ねかと存じます。  既に話に出ておりますように、こういった施設、ハードの面できちんとした安全性を確保していくということと同時に、どのようにして人間がそこにかかわって、安全にそれを操作していくかという意味で、両方がきちっと一体になった形で運転がされて初めて安全が確保されるわけでございます。そういった意味で、まずは安全を旨として考えていくわけでございますが、マニュアルそのものは両方の整合性を持った形でつくられていく、そのように考えておるわけでございます。  特に、今もお話がございましたが、いろいろ高度な技術を使ってございますし、複雑な機器で構成されておるわけでございまして、特に運転操作におきましては、経験とか勘に頼らなくても安全、安定に稼働できるようマニュアル類を整備いたしておるところでございます。また、こういったことは、訓練等の実施によりましてさらに改善を図っていくということにしてございます。  なお、御参考までに、平常時のマニュアルといたしましては、運転要領書といったようなもののマニュアルがございますし、事故時を想定いたしましたマニュアルといたしましては、事故対策手順書等が整備されております。そして、訓練につきましては、汚染火災発生を想定いたしましたシミュレーションや連絡通報訓練というものを常日ごろ行うようにしてきておるところでございます。
  231. 前田武志

    前田(武)委員 マニュアルについては相当細かくつくっておられるようですね。後ほども議論したいのですが、多少私が気になるところは、現場技術者の勘であったり、そういった判断に頼らなくてもやれるようマニュアルをつくって整備されておった、こういうことで、もちろん、マニュアルの目的というのはそういうことなんでありましょう。しかし、実際には、そのマニュアルで想定できなかったようなことが起こった場合に対応危機管理ができなくてこういうような結果を来しておるわけでございますから、問題はそこに帰着するんだろうと思うのですね。  当然これは、現場対応する技術者集団のシステムの問題にもなってくる。先ほど来の議論を聞いておりますと、操作室には一人いただとか、あるいは上の方に何人かいて、電話がつながらなかっただとか、いろいろな具体的な例が出ておりました。何となく心配ですね。マニュアルどおりではあったのかもわかりません。その辺に何か大きな問題がありそうですね。  例えば、こういうような異常の事態になったときに、この施設そのものがどういうような思想で設計されていて、こういう事態が起こったときにはどういうような危険性があるかということを考えることができるような、そういうようマニュアル外のことまで想定できるようなエンジニアというか、そういう人がこういうところにちゃんと責任者としておったのかどうか、そこをまずお聞きしたいと思います。
  232. 中野啓昌

    中野参考人 先生御指摘の点、大変難しいところでございまして、マニュアルできちっと決めて、そしてそのとおりにきちっとやるということにしてまいりますと、先生の御指摘ように、予想もしなかったときの柔軟な対応、これができるのか、その柔軟な対応のためには、それなりの知識を持った人間が必要なのではないか、そしてまた、そうした人間がその現場にいたのか、こういうお尋ねかと存じます。  私ども、午前中にも申し上げたのですが、この施設で働く人たちにつきましては、一定時間以上の教育を行うことにいたしております。それは、先ほども申し上げましたが、安全保安にかかわる教育をまず一日行います。さらに、この種の施設で働くための放射線従事者指定講座、これを、二日間でございますが、実施いたしております。こういった、まず基本的な、放射線を取り扱っているような場での対応それから素養を十分に備えるような教育をいたしております。  また、先ほども申し上げたわけでございますが、そこの現場に配置されますと、長年のベテランの人が必ず一人つきまして、長時間にわたりまして、仕事をしながら、こういうときにはこうする、こういうときにはこうするというような教育を、いわゆるOJTと呼ばれておるものでございますが、教育をするようにして、全体の技術者のレベルを上げるように常に意識しておるつもりでございます。  それで、当日でございますが、班長代理以下、作業をしておる者、それからまた当日ここで作業をしておった者、既に五年以上のベテランでございまして、それなりに対応のできた技術者でなかったかというふうに思っておるところでございます。
  233. 前田武志

    前田(武)委員 動燃の幹部の方から見るともちろんそういうことでございましょうが、先ほど来の議論を聞いておりましても、例えば訓練の話、大臣も実践的な訓練が必要だというふうに言われ、先ほどの御答弁の中でも、東海村の消防とともに毎年訓練もやっている、こういうことでございました。しかし、それでも対応できなかった。恐らく、ああいう状況になったときには、東海村の消防署を呼んでやるよう状況じゃないですよね。その場で対応せにゃいかぬ。そういう状況が想定されてなかったんだろう、こう思うのですね。  だから、やはりこれは、フェールセーフというのですか、よく知りませんが、きちっと想定してマニュアルをつくって、安全管理万般をやっていても、その想定外のことが起きた場合に何かバックアップするような複線の、そういう安全管理というよう体制がとれていたのか。これだけ専門分化していきますと、そのプラントのある部門部門ごとにきちっとしたチームを組んでやっている のでしょうが、それを統括して機動的に、想定外のそういう事態のときにはどうするかといったような観点からの安全管理チームというか体制というか、そういうものが当然あってしかるべきだと思うのですが、その辺はあったのですか、なかったのですか。
  234. 中野啓昌

    中野参考人 いろいろな形で教育を行ってきておるということを今申し上げたわけでございますが、「もんじゅ」の事故の反省の一つといたしまして、私ども危機管理に関する事項、とりわけ危機意識改革ということで進めてきております。一つ一つの事象に対して、そういう意識の中に立って物を判断し対処していくということは極めて重要なことと思い、そういった運動を展開しておるところでございます。  今回の場合も、先生がおっしゃいましたように、もう少し応用動作がなかったのかという立場から見てまいりますと、マニュアルどおりに班長に了解をもらって、そして消火を始めたというようなことが実態でございますが、とにかく、先ほど辻元先生にもお答えいたしましたように、この施設で予想される最大事故というのは火災であるということの認識が頭の中にばっと来たときに、その前にまず火を消す、まず水を流すというような動作があってもよかったのかなというふうに反省をしたりしておるところでございます。
  235. 前田武志

    前田(武)委員 今までの議論の中で、結局は、この原子力政策というのは安全管理というものが一番重要になってくると思います。そして、この分野については、一たん事故が起きたら、一動燃現場施設の管理にとどまらず、この問題自体は国家の将来も左右しかねないぐらいの大きな影響を持っているわけでございますから、科学技術庁というか政府としては、そういったところも想定して、安全基準というよりもこれはもう危機管理の範疇だろうと思うのですが、この危機的な状況が続く原子力施設に対して、どういうふうに危機管理の立場から安全管理というものを再点検ようとしているのか、その辺のことについてお聞きをしたいと思います。
  236. 池田要

    池田政府委員 先生御指摘のとおりに、原子力開発利用を進めるに当たりましては安全の確保が大前提でございまして、この安全確保の基本でございますけれども、これは原子炉等規制法に基づいて行います災害の防止であろうかと思います。すなわち、最終的に一般公衆の安全が確保されることが目的でございまして、このために原子力施設の規制を実施しているところでございます。まず、異常な事態というものの発生の防止、それからそれの拡大の防止、それから周辺環境への放射性物質の放出の防止を図るといった、このような多重防護の考え方に基づいて、施設設計、建設それから運転等、各段階において安全規制を実施することが必要だと考えてございます。  今回、動燃東海事業所事故発生を見るに至ったわけでございますけれども、このよう事故発生した場合には、どんな事態でございましても、これは的確な状況把握と迅速な情報伝達、こういった点が不可欠であろうと考えてございます。この点で、今回の事故対応には不十分な点があったということを考えてございまして、極めて重く受けとめている次第でございます。この点でも、「もんじゅ」の事故経験、反省が生かせなかったということは、私どもとしても残念に思っているところでございます。  今回、こういったことで地元を初め皆様には大変不安、不信の念を抱かせているわけでございますけれども、私どもとしましては、事故の徹底的な原因究明、それから再発の防止対策というものが必要だと考えておりまして、このようなことを講じることによりまして、どんな事態でも適切に対応できるよう情報伝達の仕組みでございますとか、そういった対処が行えるよう体制の確立に全力を挙げてまいりたいと考えております。
  237. 前田武志

    前田(武)委員 お立場ではよくわかるのですが、最後に私の所見を申し述べて、大臣の御所見、御決意を聞きたいと思うのです。  いろんな事故、完璧に事故を防ぐ対策を講じてやっていくというお話でありますが、結果としては起こる。起こった後、起こった事故が最小限の被害でとどまるよう対策ができておれば、これはまた起こったとしても危機管理という意味では評価ができるんだろうと私は思うのですが、この一連の事故というものは、事故が起こった後のその対応がさらに被害を大きくしてしまうよう対応の仕方になっている。そこに大きな問題があるということを政府としてはよほど腹に据えて受けとめないと、とにかくお話を聞いていると、完全を求めて、完全な安全管理をやっていくんだということを前提に、これは当然のことです、当然のことですが、それのみを求めていく。それはもう当然そうなんですよ、当然そうなんですが、しかしそれを超えて、人知の及ばざるところで何かが起こり得るんだということを前提に危機管理ということを考えるべきじゃないかということを私は申し上げているわけでございます。  それは、はっきり申しますと、もうすべて最終的には政治のレベルまで達するわけですね。日本危機管理の問題であり、私自身——関係のないことまでは言うつもりはございませんが、その辺に日本の今置かれた状況の危うさだとかもろさだとか、せっかくここまで先人たちが営々と築き上げてきたすべて万般にわたって、何か土台からむしばまれているのじゃないか、その一端がこういうところに出てきたんじゃないかというぐらいの危機感を実は私は持っております。  特に、近岡大臣は、かつて、多分軍人の卵としてそういう危機管理、命を的にやった方だというふうに私も承知をしておりまして、こういった面において、その後の長い政治生活の中で大変な御苦労をされてきた方であるだけに、なかなか今のお立場では言いにくいことも多いかと思いますが、まずは科学技術庁は、日本のエネルギーの大半はこの科学技術庁の行政、それからさらに言えば、単にこの原子力の問題だけではなしに、科学技術立国という以外に日本の将来はないわけでございますから、その責任ある科学技術庁として、やはり人知を超えたというようなところにおいてもちゃんとした危機管理をやっていくんだということを、しっかりと受けとめてやっていかなければ、最近の科学技術の発達というのはなかなか科学技術行政のみでは、今までのそういうすべて完璧主義で対応していこうということではとらまえられないのではないかというふうに思う次第であります。  最後に大臣の御所見をお伺いして、終わります。
  238. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 今も前田先生から、いろいろな角度からお話があったわけでありまして、私も全く同感でございます。  御案内のとおり、宇宙、地上から、地球から三百キロ上空、ここは気圧の差は一気圧しかありません。ところが逆に海の底、マリアナ海溝あたりは、海底一万メートルになりますと気圧の差が約千気圧あるわけであります。私たち人間がこの一気圧に住んでおりまして、これからこの地球上にいかにして共存していくかということを念頭に置いた場合に、本当に今我々、特に私たちの国というのは、先ほど来お話しのとおり八割の資源を海外からの輸入に頼らなければならぬということになりますと、どうしてもこのエネルギー問題というのは欠かせない重大な問題になってくるわけであります。  特に、エネルギーの中で原子力関係をどうするかというようなことは、皆様御案内のとおり平和利用に徹する我が国でございますから、これを安全に、また国民の支持を得ながらやっていかなければならぬというやさきに、動燃におきまして「もんじゅ」並びに今回の事故というのが発生したわけであります。  先ほど来、きのうからも参議院の御意見を聞いておりまして、なぜこういった初歩的なものがこういったことで発生しなければならぬのか。さらに、これが万が一、先ほども委員の先生が指摘しておったのですが、もしあの中に、これで大丈夫だなんて言って人が入っておったときに爆発なん かしたら大変な惨事になったのではないかなというようなことを考えてみますと、本当に私たちは今回の事故を、反省するものはやはり心から反省しなければならぬし、そして改めるものは何といっても国民的立場に立って、情報といえどもすべて公開せいと私は常に指示をしておりますし、国民とともに歩む科学技術庁でなければならぬし、またこの原子力の問題なんかは、その中でも特にこれからどうしても日本の産業、経済構造改革等になくてはならない問題でございますので、本当に先生方の御指摘になったことを肝に銘じながら、これから初心に返りまして一生懸命努力していかなければならぬ、このように思います。
  239. 前田武志

    前田(武)委員 終わります。     —————————————
  240. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 この際、先刻の理事会の協議に基づき、委員長から一言申し上げます。  平成九年三月十一日に発生した動力炉核燃料開発事業団東海処理施設アスファルト固化処理施設火災爆発事故は、「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故を契機として広まった国民原子力に対する不安感をなお一層増大させており、まことに遺憾であります。  科学技術委員会としては、去る三月十四日の現地視察及び本日の質疑を踏まえ、政府及び動力炉核燃料開発事業団に対し、次のとおり要請します。  一 今回の事故発生の際、政府部内をはじめ、地元自治体、国会等に対する連絡に不手際があったことは遺憾であり、原子力施設全般について危機管理への対応を改めて見直し、このようなことが二度と生じないよう措置すべきである。  二 放射性物質の密閉管理のための応急措置を早急に行うとともに、作業者の放射線管理、健康管理に万全を期すべきである。  三・今回の爆発事故では、放射性物質外部への異常な漏洩といった設計上本来予定されていない事象が生じており、このことは他の原子力施設に対する国民信頼感を損ねかねないものである。事故原因を速やかに究明するとともにその情報公開し、国民信頼を取り戻すよう努力すべきである。 以上であります。  この際、近岡国務大臣及び近藤参考人から発言を求められておりますので、順次これを許します。近岡国務大臣
  241. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 ただいま佐藤委員長から御要請のありました動燃東海処理施設アスファルト固化処理施設火災爆発事故への対応につきましては、その趣旨を十分踏まえ、今後万全の対策を講ずるよう努めてまいる所存でございます。
  242. 佐藤敬夫

  243. 近藤俊幸

    近藤参考人 ただいま委員長よりいただきました御要請並びに本日の御質疑を踏まえ、事の重大性を厳粛に受けとめ、的確に措置を講じてまいる所存であります。  本日は、先生方の貴重なる御意見、御指導をいただき、まことにありがとうございました。
  244. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会