運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-05-21 第140回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十一日(水曜日)     午後一時開議  出席委員   委員長 仲村 正治君    理事 安倍 晋三君 理事 鈴木 宗男君    理事 中谷  元君 理事 浜田 靖一君    理事 白保 台一君 理事 池端 清一君    理事 古堅 実吉君       石崎  岳君    嘉数 知賢君       河井 克行君    河野 太郎君       桜田 義孝君    下地 幹郎君       林  幹雄君    吉川 貴盛君       石田 勝之君    原口 一博君       丸谷 佳織君    三沢  淳君       川内 博史君    松本 惟子君       上原 康助君    吉田 公一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      稲垣 実男君  出席政府委員         内閣審議官   及川 耕造君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         沖縄開発庁振興         局長      牧  隆壽君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         警察庁長官官房         国際部国際第一         課長      小田村初男君         大蔵省主計局主         計官      南木  通君         文部省高等教育         局専門教育課長 梶野 愼一君         農林水産省構造         改善局建設部開         発課長     江頭  輝君         運輸省港湾局計         画課長     川島  毅君         運輸省航空局監         理部航空事業課         長       杉山 篤史君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 横田 和男君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      小原 正則君         郵政省通信政策         局政策課情報通         信利用振興室長 勝野 成治君         特別委員会第一         調査室長    清水 紀洋君     ───────────── 委員異動 五月十五日  辞任         補欠選任   北村 直人君     冬柴 鐵三君 同日  辞任         補欠選任   冬柴 鐵三君     北村 直人君 同月二十日  辞任         補欠選任   北村 直人君     石田 勝之君 同月二十一日  辞任         補欠選任   新藤 義孝君     河野 太郎君   小平 忠正君     川内 博史君 同日  辞任         補欠選任   河野 太郎君     新藤 義孝君   川内 博史君     小平 忠正君 同日  理事北村直人君同月十五日委員辞任につき、そ の補欠として鰐淵俊之君が理事に当選した。     ───────────── 五月九日  北方領土早期返還実現に関する陳情書  (第  二九八号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  沖縄及び北方問題に関する件      ────◇─────
  2. 仲村正治

    仲村委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 仲村正治

    仲村委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事鰐淵俊之君を指名いたします。      ────◇─────
  4. 仲村正治

    仲村委員長 次に、沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下地幹郎君。
  5. 下地幹郎

    下地委員 質問をさせていただきたいと思っております。  五月十八日に尖閣諸島視察してまいりました。視察をする大きな理由が、中国からの過激派尖閣諸島に乗り込むというふうな話でありました。中国過激派が乗り込む、そういうふうな中で海上保安庁がどういうふうな態勢をとっているのか、そのことをしっかりと自分の目で見ておきたいというのが一つであります。二つ目には、私の選挙区は沖縄県の一区でございまして、尖閣諸島も入っております。国会議員としまして、このことをしっかりと受けとめて、その尖閣地域を見て、それを伝える役割が私にある、そういうふうなことも加味いたしまして、今度、尖閣諸島視察を行いました。  それで、尖閣諸島における海上保安庁態勢は、本当に厳重な態勢がしかれておりまして、本当に入るすき間がないというぐらい努力をしているなということがわかりました。そして、この態勢はしばらく維持しなければいけないというふうに思っております。  また、二十三日にもワールド・フィッシング・フェスタという名目で尖閣諸島に集まるというふうなことも聞かれておりますし、これから海上保安庁役割は大きなものがあるのではないかと思っております。  こういうふうな状況の中で、海上保安庁がどういう姿勢でこの尖閣において臨もうとしているのか、どういう態勢を維持しようとしているのか、まずお聞きをしたいと思っております。具体的には、上陸をする、強行突破で来た場合には逮捕するのかしないのかという観点もしっかりと明確にお答えをしていただきたいというふうに思っております。海上保安庁お願いします。
  6. 小原正則

    小原説明員 尖閣諸島周辺海域における警備につきましては、海上保安庁といたしまして、従来から関係省庁とも連携をしまして、巡視船艇、航空機により適切に警備を実施してきたものと考え ております。  今回、種々報道等にございますが、予測は困難であるということはございますけれども海上保安庁といたしましては、いかなる事態が生じた場合におきましても状況に応じた適切な警備を実施していきたい、こういうふうに考えてございます。
  7. 下地幹郎

    下地委員 適切な処置というのには、上陸に対して逮捕もやるというふうに理解してよろしいですか。
  8. 小原正則

    小原説明員 状況によっては、当然そのようなことも行うということかと思います。
  9. 下地幹郎

    下地委員 ありがとうございました。ちょっと小さな声でしたけれども、明確にお答えいただきましたので、感謝申し上げたいと思います。  それと、尖閣を見てまいりましたが、いろいろな方々に尖閣に何隻海上保安庁の船がいるということを言ってはいけないというふうに言われておりますから言いませんけれども、これは大変な労力が必要だなというふうに感じさせていただいております。  尖閣は私ども固有領土ということは間違いありません。この私ども固有領土を守るという観点から、いろいろな障害が出ています。この前、台湾の領域と与那国海域で、中国ミサイルが三発ですか、与那国海域に落ちましたけれども、今、施設庁においても補償制度がないのですね。水産庁も、自分のところの担当じゃないと言って、本当に苦しい思いをいたしました。  今、尖閣諸島の問題もそうでありますけれども、この尖閣領土の問題において隣国との間でいろいろな問題が生じたときに、困る皆さん石垣皆さんに出てくるのです。石垣の漁協の皆さんとか。そして、海上保安庁態勢だとかという問題が出てまいりますけれども安全操業をやるには海上保安庁が常時いてもらわなければできない。そういうふうなものには財政がどうしても必要だ。そして、石垣皆さんが非常に困る、経済的に困る場合の補償制度に関して、今日本制度はどういうふうな形になっているのか。まず財政再建といって、とにかく減らさなければいけないという状況の中で、大蔵省のこういうふうな問題に対するしっかりとしたスタンスをお聞きしたいと思っておりますけれども大蔵省、よろしくお願いをいたします。
  10. 南木通

    南木説明員 お答えを申し上げます。  もとより、国民の安全、安心を守るということにつきましては、国の重要な責務であるというふうに考えておるわけでございます。  それで、領海の警備を初めといたしまして、海上における治安の維持あるいは海上交通の安全の確保等のための監視、取り締まり業務必要性につきましては、十分認識しているところでございまして、平成九年度予算におきましても、関係省庁からの予算要求に基づいて適切に対処しているところでございます。
  11. 下地幹郎

    下地委員 今、省庁からの予算要求に対して適切に対応していくというふうなお答えでありますけれども、この尖閣の問題とか安全保障の問題は現実的に起こっているのですね。前までは、攻めてくるだろう、攻めてくるかもしれないというふうな話でありましたけれども、この前の中国からのミサイルの問題も、この尖閣の問題も、現実的に起こって、現実的に困っている人がいる、その現状をしっかりと認識していただきたいというふうに思っております。  日本橋本政権の六大改革で財政的に厳しいというのはよくわかっておりますけれども、しかし、その中においても、その分野だけは、過剰に反応しなくても、しっかりと受けとめるということは、大蔵省財政当局として大事だと思いますので、そのことをぜひお願いしたいというふうに思っております。  それともう一つ、私は、三月のこの沖特委員会でもお話をさせていただきましたけれども集団密航事件の件をお話をさせていただきます。  集団密航事件平成二年にはみんなで一件で十八人でした。それが平成三年には八十九人になり、平成四年には三百九十六人になり、平成八年には六百七十九人になりました。平成九年、ことし、二カ月間で五百二十二人、二十三件も起こっております。この密航の問題は、物すごい大きな問題になってきているというふうなことを私は申し上げさせていただきました。  そのときは、密航の件に関してだけお話をまとめさせていただきましたけれども、今、沖縄が新しい沖縄づくりをしたい、復興する沖縄をどうっくるかという話になってまいりましたときに、自立をする沖縄起爆剤としてノービザ制度が必要だ、ノービザ制度を何とか沖縄導入をしてもらえないかというふうな話を、今、私ども沖縄県ともさせていただいております。  しかし、この沖縄ノービザ制度経済論理の中で話をされると、このノービザ制度を断られる、ノービザ制度はできませんよと言われる。この結論は、麻薬の問題だとか、けん銃密輸、難民の問題だとか、いろいろな問題があるからノービザ制度はできませんというふうな話になっているのですね。私ども経済論理の中でお願いしたものが、密輸だとか麻薬だとかというふうな論理の中でノービザ制度はできませんという回答があちらこちらで聞こえているのです。  だから、私は三月にも申し上げたのです。警察庁に、これからどういうふうな対応で、しっかりとした不法入国者対策を立てていくかということを、沖縄特別振興対策費五十億円の中で、経済論理を助けるという意味においても必ずこの国際的な犯罪に対する調査費をつけてくださいよ、つけないと経済がしっかりできませんよというお話をさせていただいたのですけれども、まずそのことがどうなっておるのか、内政審議室にお伺いをしたいというふうに思います。
  12. 及川耕造

    及川政府委員 お尋ねの調整費の件でございますが、去る四月の末に配分をいたしました中で、警察庁に対し、沖縄国際化治安対策調査ということで三千万円の調査費を配分させていただいております。  先生指摘のとおり、安全な沖縄のイメージを損なうことのないよう適切な防犯体制の整備に向けてこの調査費をぜひ活用していただきたい、かように考えているところでございます。
  13. 下地幹郎

    下地委員 それでは警察庁にお伺いしますけれども沖縄密輸とかいろいろな問題で三千万の予算がついたというふうに内政審議室から今お話がありましたけれども、この予算に対して今どういう形で進められているのか、まず根本的なところをお話しいただきたいと思います。
  14. 小田村初男

    小田説明員 この調査費につきましては、沖縄県の国際化の進展に伴いまして外国人による犯罪深刻化が予想されますことから、沖縄県における警察事象国際化予測具体的対応策調査をすることといたしております。
  15. 下地幹郎

    下地委員 警察庁、これはいつごろまでにまとめる予定でございますか。
  16. 小田村初男

    小田説明員 今年度の予算として対応したいと考えております。
  17. 下地幹郎

    下地委員 今年度の予算というと、来年の三月三十一日いっぱいでよろしいのですか。
  18. 小田村初男

    小田説明員 そのようにしてまいりたいと考えております。
  19. 下地幹郎

    下地委員 今沖縄の振興問題が問われておりますけれども、今度の概算要求でこの問題はいろいろな形になってくると思うのです。そして、十二月に税制根本改正をやるという話が出ておりまして、この問題が先にある程度目鼻がつかないと、このノービザ制度の話も進められないのですよ。だから、来年の三月三十一日までに出していただいてもこのことは遅いのです。  だから、私ども密輸麻薬けん銃に対してこういう姿勢で臨むんだというふうなものが警察庁から明確に出てこないと、沖縄振興策で大きなウエートを占めているこのノービザ制度お願いが、ノービザ制度的でもいいですが、なかなか前に進まない。時間的にどうしても八月いっぱいまでにはそれをまとめ上げて、中間報告の形でもいいですから出していただかないと、その他の経 済政策に大きな影響が出てくることは間違いありませんので、ぜひそのようにお願いをしたいのですけれども、いかがでしょうか。
  20. 小田村初男

    小田説明員 調査につきましては、十分な調査をいたしたいと考えておりますが、できる限り早く調査を進めるようにしてまいりたいと考えております。
  21. 下地幹郎

    下地委員 できる限りというのは、八月までと理解してよろしいですね。
  22. 小田村初男

    小田説明員 調査でありますので、八月までに完全なものができるかどうかということは、今回ともお答えしかねるところでございますけれども、できる限り努力をしてまいりたいということでございます。
  23. 下地幹郎

    下地委員 ありがとうございます。ぜひ努力をしていただいて、八月までにある程度の中間報告を出していただければというふうに思っております。  今、経済の特別区の話、フリーゾーンの話が出ております。  沖縄が復帰して今度二十五周年を迎えました。いろいろな政策が二十五年前につくられました。二十四項目の特殊な税、そして五兆円に及ぶという大きな投資沖縄に落ちました。その大きな投資のおかげで、沖縄は、道路港湾やいろいろな施設が向上してきたことだけは間違いありません。沖縄生活水準もよくなってきたことだけは間違いありません。  しかし、私はいつも申し上げるのですけれども経済の中で失業率というのはしっかりと見ていかなければいけないと思うのです。どんなに経済がよくなった、道路がよくなった、空港がよくなった、生活水準が上がってよくなったといっても、失業率が高いところで本当によくなったと言えるのだろうかという疑問を私は感じるのですね。  今、六・七%の失業率、本土の二倍もある。三万五千人近くの完全失業者がいる。そのうちの六〇%近くが三十歳以下の若年層であるという今の現状。  私は、復興のときには一次振計、二次振計、三次振計というのは大きな役割を果たしてきた、そのことは間違いないと思いますけれども、二十一世紀に向けても、今の一次振計、二次振計、三次振計でいいのかという問いかけには疑問符を打たなければいけないと思うのです。  そのことも進めながら、新たな沖縄振興策というものを考えていく、大胆に変えていく、今までの既成概念にこだわらない新しい機軸で物事を設定していく、これは大事なことだというふうに私は思っています。  その意味で、ことし、平成九年度の予算フリーゾーン調査費四千二百万が開発庁につきました。私ども自由民主党は、しっかりとこの予算をつけてくださいというふうなお願いをさせていただきました。そして、行政改革という中においても、総合事務局の中に跡地利用対策課というものをつくり、返還地土地が早急に県民生活に貢献できる、そして沖縄経済に停滞を招かない、そういうふうな施策をつくらせていただいております。  その中の一つでありますフリーゾーン調査が今進められておりますけれども、これがどういうふうな方向で今進められているのか、その進捗状況をぜひ長官の方からお願いしたいというふうに思っております。
  24. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 今、下地議員から言われておりますとおり、将来の展望を、もっと先の先を見なさいということは十分わかるわけでございますが、ちょうど今、三次振計の後期展望を見出したところでございまして、この自由貿易地域を発展させるためにはどういうような調査が必要かということで、今かかっているところでございまして、そのために、沖縄産業振興貿易振興のための沖縄に展開する自由貿易地域のあり方、あるいはそのために必要な機能等について海外フリートレードゾーン実例分析を踏まえて調査検討を行うということで、この調査費が組まれておるわけでございます。  そこで、できるだけ速やかに調査を実施したいと考えておりまして、調査委託先選定をどうするか、あるいはまた実例分析を行う海外フリートレードゾーン選定が必要なことでもありますし、また沖縄県が設置した規制緩和に関する検討委員会検討状況も見ながら具体的な調査項目を確定する必要があろうと思うわけでありまして、現在、その準備を鋭意進めているところでございます。  委員が言われますとおり、三次の後期展望のさらに先までを見通したことを十分考えて、よく言われますように思い切って大胆にやらなければいかぬな、こんなふうに考えておるところであります。
  25. 下地幹郎

    下地委員 大臣、大胆にお願いをしたいと思っております。  先ほど警察庁にも申し上げましたけれども、九月から十月にかけて税の根本改革の大綱をまとめようという話が出ております。この問題も早目開発庁の案をまとめ上げる、このことが大事だというふうに思っております。  このフリーゾーン制度というのは、まさに税でありまして、税をどう取り入れていくかという制度であります。今でも法人税事業税不動産取得税市町村税県税やといろいろあるのです。  法人税でいいますと、特別償却費として経費に算入ができる。一千万円を超える設備投資に対して特別償却を認める。前は一千九百万でございました。これが今度の三月ですか、一千万に下がりました。しかし、あの敷地の中に一千万円以上投資をしている人がいないのですね。この税制が使われていないのです、法人税の中で。  そして、自由貿易地域への投資損失準備金として損金算入ができるというのがまた法人税の中であります。しかし、あの二十七社が今十一社になっておりますけれども、全体が赤字でございまして、赤字企業の中に投資をする人がいないものだから、この投資損失準備金税制が使われておりません。  ちょっとかけ離れた話になりますけれども不動産取得税というのがありますけれども、あれは、国から県が借りて、建物を県がつくって民間に貸しているわけですから、この不動産取得税税制も中に入っている企業には全く使われないんですね。  もう一つは、事業所税なんというのがありますけれども、これは、保税施設の、第三セクター地域を、許可を受けている第三セクターにやっているものであって、これも中の民間企業には全く入らない、そういうふうな税制体系になっているんです。  私は、住民に合わせて、企業に合わせて税制をつくるのか、国がつくってくれた税制を生かせる企業が向こうに入るべきなのか、それはいろいろと論議があろうかと思います。あながち、この税制が全部悪くて、中に入っている企業が全部いいというふうなものでもないと思うんです。ただ、使い切れないような状況になっていることだけは現実的にあると思うんです。そのことをこの税制改革の中で、フリーゾーン調査の中でよく検討をなされて、具体的に張りつけまでできるような感じでぜひやっていただきたいというふうに思っているんです。  これは私の提案なんですけれども、今、日本選択課税というものがありますけれども、この選択課税一つでもこのフリーゾーンの中に取り入れると大きな効果が出てくるんです。  今、原料の牛を入れますと四六・二%かかります。製品にして入れると二三・八%です。あの地域保税地域になっておりますから、アメリカから牛を輸入してもノータックスです。そして、あの中で製品にしてもう一回海外に出してもノータックスなんですね。ただ、そのときに、つくった製品沖縄や東京の市場に出すと、原料のときの税率四六・二%を選ばなければいけない。アメリカから製品のときには二三・八%だけれどもフリーゾーンでつくったものが製品となって出るときは四六・二%なんです。だから、この選択課税を、安い方の税率を選択できるというだけでも物すごい効果が出てくるんです。  いま一つ言えば、マクドナルドとか吉野家さんなんかも全部アメリカでつくって二三・八%で入れているわけですから。保税地域でつくったものが二三%で出るとなりますと、沖縄に物すごい工場ができるんです。そうすると、沖縄で物がつくれるんです。雇用が創出できるんです、こういうふうにしてやっていければ。アメリカから入っても二三・八、保税地域から出ても二三・八ですから、これは市場を荒らすということにもならないんです。同じ税率ですから。  だから、選択課税一つを入れても、沖縄雇用の問題が相当解決することだけは間違いないと思っています。総務局長、そういう意味で、この選択課税をぜひ検討の課題に入れていただきたいというふうに思っておりますので、その辺のところをぜひお願いをしたいんです。
  26. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 御答弁を申し上げます。  私ども先生先ほどお触れになりました自由貿易地域調査の中におきまして、その税制上の特別措置についても調査をすることにいたしておりまして、法人税等軽減措置あるいは関税制度導入、デューティーフリーショップ、また、今御指摘のございました関税課税選択制度等につきましても調査の内容として検討させていただきたい、このように考えているところでございます。
  27. 下地幹郎

    下地委員 ぜひこの選択課税というのを具体的に検証なされて、その選択課税によってどれだけ雇用が生まれるのか、沖縄経済にどれだけ貢献するのか、そのことをしっかりと具体的な数字で、ぜひ四千二百万円の調査でまとめ上げていただきたいというふうに思っております。今は抽象論は必要ありません。何をやってどれだけ効果があるのかという具体的な話が必要でありますから、ぜひしっかりとそのことを出していただいて、あとは開発庁長官政治力に期待を申し上げたいというふうに思っておるわけでございます。  時間も迫ってまいりましたので、石垣空港の問題を少しお話をさせていただきたいというふうに思っております。  長官石垣空港は、今まで調査費で九億八千万使っております。宮良川の土地改良で八百七十七億。白保補償金が四億五千万。空港建設に全体で四百三十億、あの宮良川につくるとかかると言っております。みんなで一千三百億円。二千メートルの空港をつくるのにこれだけのお金がかかるんです。四百三十億円は空港をつくるからいいにしても、八百七十七億の宮良川の土地改良はみんなむだになってしまうんですね。そういうような状況であえて宮良川に空港をつくらなければいけないと言っている沖縄県の政策は、私どもには理解を得ません。  そして、石垣で年間上がる農作物の収穫高は二十一億です。宮良牧中を土地改良して、水事業もしっかりとやって、この宮良牧中で上げようとしている金額がみんなで六十億です。石垣の農業になくてはならない地域だということが、この農林省の政策沖縄開発庁政策からしても、これは間違いありません。  もうサトウキビは百万トンを切りました。厳しい状態になっております。財政再建の中で、鉢巻きをしてサトウキビの代金を上げろと言う時代でもなくなってまいりました。私どもは、効率のいい農業を農業安保という観点からもやっていかなければいけないんです。  そういうふうな中で、あの土地をつぶしてまで空港をつくるというのが、果たして国が農業政策でやったものを根本から失うような政策が認められていいのだろうかという疑問を私は感じるんです。そのことについて、まず大臣の見識をいただきたい。抽象論でなくて、ずばっとお願いします。
  28. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 下地議員の大変熱烈あふるるお話を承りまして、私も同感だと思われる点もございます。  しかし、新石垣空港の建設は、県が事業主体であることは御承知のとおりです。そこで、平成四年、沖縄県知事が宮良地区を建設候補地ということで選定されましたが、選定に当たっては、現空港の拡張案も含めて検討したというふうに承知をしております。また、ほかの地域検討されたということも聞いております。  いずれにしましても、沖縄開発庁としては、沖縄県が事業主体でございますので、その選定については沖縄県が判断するものと考えておりますが、県や地元関係者が、八重山地域の将来の発展のために、新石垣空港のあるべき姿についてもろもろの議論がなされ、大局的見地から十分協議をしていただくことになろうかと思うわけでございまして、何とかお互いの理解をもとに一日も早くこの合意形成といいますか、これだというものを見出していただきたいなと率直に思うわけでございます。  委員のおっしゃっておられるいろいろな論点については十分理解をいたすのでございますが、何にしましても県が事業主体でございますので、どうしても住民との合意形成を何とか一日も早くつくっていただくということが必要であろうと思うわけでございますので、よろしくお願いします。
  29. 下地幹郎

    下地委員 もう時間もなくなりました。  最後になりますけれども、この農林事業の八百七十七億、これは大事な国民の税金でございます。私ども沖縄県はむだに使うわけにはいきません。将来の沖縄の農業というものを考えた中で、効率的に、費用対効果も考えながらやらなければいけないと私は思います。そして、四百三十億かかると言われております今の石垣空港は、九〇%が国民の税金でつくらなければいけません。その意味においても、今の日本制度の中で沖縄県の予算を取りまとめる開発庁の見識というものは大きいものがあると私は思うのです。  その事業を進める主体は県でありますが、取りまとめて、しっかりとそれを運輸省にお話をして、開発庁の大きな役割がありますから、ぜひ主体にも負けないようなアドバイスが必要じゃないかということを最後にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。     〔委員長退席、白保委員長代理着席〕
  30. 白保台一

    白保委員長代理 仲村正治君。
  31. 仲村正治

    仲村委員 沖縄県の祖国復帰二十五年の政府施策の総括とその評価についてお尋ねをいたしたいと思います。  沖縄県は、去る五月十五日で祖国復帰二十五周年を迎えました。沖縄県民は米軍の占領統治から脱却するために、あの世界一強い力を持つアメリカ軍政府を相手に、血のにじむような闘いの中から、筆舌に尽くしがたい苦難を乗り越えて悲願の復帰をかち取りましたが、戦中戦後のあの苦難の歴史を振り返ると、本当に感無量なるものを覚えます。  政府は沖縄の復帰に当たって、米軍占領下で放置された戦後処理と本土との格差是正、経済の自立基盤整備を中心に、この二十五年間、振興開発事業の施策を展開してこられたが、その二十五年間の施策の総括とその評価について稲垣沖縄開発庁長官にお尋ねいたします。簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  32. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 ただいま仲村委員長から質問をいただきまして、私も、沖縄県民の祖国復帰二十五周年を迎えられた気持ちを感じまして、今まさに、私ども沖縄開発庁としてどうあらねばならぬかということを切実に感じておる次第でございます。  全国民がひとしく待ち望んでおりました沖縄の本土復帰からちょうど二十五年の節目を迎えまして、その間、三次にわたりまする振興開発計画に基づいて沖縄の振興開発のための諸施策が講じられてまいりました。県民の皆さんの多大な努力等もありまして、本土との格差は次第に縮小されるなど、沖縄経済社会は総体として発展してまいりました。  しかし、生活産業基盤の面ではなお整備を要するものが多く見られますと同時に、産業振興雇用の問題、米軍施設・区域をめぐる問題など、なお解決しなければならぬ多くの課題を抱えておるのであります。  三次振計は平成九年度から計画期間の後半を迎えることから、去る三月、沖縄振興開発審議会におきまして三次振計の後期展望を取りまとめたところでありますが、今後は、この後期展望で示された施策の展開の方向に基づいて、三次振計の目標達成のために一層努力してまいりたいと思っている次第でございます。  いずれにしましても、沖縄開発庁といたしましては、沖縄政策協議会において検討なされておる沖縄振興策についてこれから積極的に取り組んでまいる所存でもありますし、沖縄開発庁に課せられた責務は大変重いものと思いまして、開発庁といたしましては、今後、各省庁あるいは沖縄県と連携をとりながら、ただいま委員長が言われましたように、沖縄県が地域経済として自立をしていく、なお雇用が十二分に確保され沖縄県民の生活の向上に資する、そして我が国の経済社会の発展に寄与する地域として整備されるように沖縄の振興開発について全力を傾注してまいる所存でございます。
  33. 仲村正治

    仲村委員 ありがとうございます。  米軍占領統治、まさに軍事優先、民生不在の、民主主義とか人権とかというものがあった時代ではなかったわけです。そういうふうに乱麻のごとく乱れた社会を、復帰することによって、政府が三次にわたる振興開発計画を実施いたしまして、戦後処理あるいは本土との格差是正が、私は、順調に進んできたものだと政府の施策の展開を評価いたす一人でございます。  そこで、一番大事なことは、米軍占領下で放置されたもろもろの戦後処理が解決され、また、社会の各分野に存在していた本土との格差やひずみも大方は解決されたと今申し上げたところでございますが、しかし、米軍占領下の負の遺産ともいうべき米軍基地の整理縮小こそが、復帰後の最大の戦後処理と本土との格差是正の最たるものであったと私は思います。しかし、この問題は遅々として進まず、沖縄県の経済の自立基盤整備を阻み続けている元凶が復帰二十五年の今なお未解決のままであるということは、政府の重大な責任であると私は考えております。  第一に、全国の〇・六%の県土面積に、全国の七五%の米軍基地を沖縄だけに押しつけているという現実。第二に、この二十五年間で、本土では六〇%の米軍基地が返還、縮小されたのに、沖縄県にはわずか一五%の縮小しかなかった。このような沖縄県の最大の戦後処理と本土との格差をますます大きくしている政府の怠慢と責任を厳しく指摘せざるを得ない、このように私は考えておりますが、外務大臣、この点についてどのようにお考えでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  34. 池田行彦

    ○池田国務大臣 復帰後二十五年の間、政府といたしましても、日米間で話し合いをしながら、返還できるものについては返還する、そういう作業をやってきたわけでございます。しかしながら、それで十分であったかといいますと、決してそうは思っておりません。  ただいま委員も御指摘になりましたように、その間、二十四年間にわたる作業を通じましても、沖縄に所在しました基地のうち、面積でいいまして一六%弱のものしか返還できなかったわけでございます。そして、実に全国にございます基地の七五%が沖縄県に集中している。このことが沖縄県の経済あるいは沖縄県民の皆様方の生活にどれほど大きな影響を与えているか、このことをやはり真剣に考え、なお、沖縄に米軍の駐留するという現実は将来にわたって続くかもしれないけれども、しかし、そういった状況の中でも、でき得る限りの基地の縮小は図らなくてはいけない、県民の皆様方の御負担は軽減しなくてはいけない、そういった認識のもとに、政府といたしましても、米側と精力的に作業を進めてまいりました。いわゆるSACOという枠組みも特別につくりまして、あのような一年間にわたる作業をしたわけでございます。  そして、昨年末に合意を見ました、これがすべて実施されますならば、将来に向かって、現在沖縄にございます基地の二割を超えるもの、全体としてこれまでの二十四年間に返還を実現したものよりも広い面積が返還されるわけでございます。それでもなお、県民の皆様方には十分ではないというお気持ちはございましょう。  しかし、今政府といたしましては、ともかくこのSACOの合意を見たところを着実に実施してまいりたい、そして、あとう限り県民の皆様方の御負担を軽減してまいりたい、このように考え、真剣に取り組んでおるところでございます。
  35. 仲村正治

    仲村委員 よく、復帰して二十五年の間に戦後処理も大方片づいた、そして本土との格差是正もおおむね順調に進んでいる、こういう見方、言い方があるわけでありますが、私が先ほど御指摘を申し上げたとおり、最大の戦後処理、本土との格差、これがまだ未解決のまま存在しているということについて、政府は十分この御認識の上で、あの駐留軍特措法改正のときに大議論が起こった問題についてぜひ心に受けとめていただいて、特にあの国会決議の趣旨を誠意を持って実行する、これは一番、沖縄の戦後処理、本土との格差是正の最たるものとして受けとめていただきたいということを申し上げておきたいと私は思います。  次に、二十一世紀を展望する沖縄県の振興対策についてお尋ねいたします。  最近、政府は沖縄県に対して三次の振興開発事業を展開したにもかかわらず、県民所得が全国平均の七〇%程度で推移し、常に全国最下位、加えて失業率は全国の二倍の六・七%台であるということの最大の原因は、こういうことを言われているわけであります。これはなぜそうなっているのか。いわゆる全国の七五%の米軍基地を沖縄に押しつけてきたことがその最大の原因であるということに責任を感じていただきまして、この事態を解決するために、梶山官房長官を担当大臣として、沖縄振興策の提言や意見が毎日の新聞に躍り出てきている状況であります。  いろいろの意見や提言をしたにしても、要はこれらの提言や意見を明確に政策として決定し、三次振計の後期の課題に着実にのっけて実施すること、さらに中長期的課題は、ポスト三次振計の実施目標を定めて着実に実行計画を立てることだと思っております。  その一つが、沖縄の地理的位置の優位性を生かした国際交流の拠点形成の事業を着実に実行できる施策を早急に決定すべきであるということであります。  二つ目には、沖縄県の海洋島嶼性のすぐれた自然景観、温暖な気候を生かした、国際的評価にたえ得る国際的観光リゾート地形成をより確実に実施するための施策を決定、実施することであると思っております。  三つ目には、沖縄の全国唯一の亜熱帯気候を生かした冬春季野菜、熱帯果樹、花卉園芸、畜産、漁業の食糧生産地形成の施策を確実に実施することであると考えております。  そうすれば、過密な米軍基地の存在に阻まれた県民の雇用創出事業が実現し、自然に県民の所得向上対策も同時に解決できると私は思っております。稲垣長官、それから梶山長官のかわりに出席をいただいております内政審議室からも、この点についてのお答えをいただきたいと思っております。
  36. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 ただいま仲村委員長からお話がありましたとおり、私どもは、沖縄県の将来展望ということで、いわゆる二十一世紀を展望する沖縄振興策について鋭意ただいま立案をしているところでございまして、いずれにしましても、沖縄の問題というものは、その解決に内閣を挙げて取り組んでいかなければならぬ極めて重要な課題であることは御承知のとおりでございます。  沖縄県においては、二十一世紀に向けた沖縄のグランドデザインとして国際都市形成構想を策定 して、沖縄政策協議会において各般の沖縄振興策に対する検討がなされておりますとおりでございます。そのために、昨年の内閣総理大臣談話によりましても、空港港湾等の社会資本や、あるいは観光関連施設の整備等をさらに積極的に進めていく、そしてまた、自由貿易地域の拡充等々を図っていくために産業や貿易の振興についても一層検討を行っていくということでございまして、そしてその第三次振興計画の後期の着実な実施をただいま取りまとめたところでございまして、この後期展望で示された施策の展開の方向として、一層この目的達成のために努力をしてまいるところでございます。  さらに、二十一世紀という展望になりますと、三次振計のポストはどうか、次はどうだ、こういうことになるわけでございますが、計画期間中に実施される諸施策の全般の状況沖縄経済社会の状況等を十分踏まえて、しかるべき議論がされることになろうかと思うわけでございます。  さらに、国際観光リゾート地域の形成、そしてまた、平成二年だと思いましたが、沖縄県でリゾート沖縄マスタープランを策定されまして、さらに平成三年十一月に総合保養地域整備法に基づきまして沖縄トロピカルリゾート構想が承認されて、重点整備地区を中心に観光リゾート関連施設の整備等が進められているところでございまして、このように沖縄開発庁も参加いたしました沖縄政策協議会の国際観光・保養基地の整備プロジェクトチーム、あるいはまた、先ほど申し上げましたように、三次振計を取り巻くもろもろの問題について、沖縄開発庁として二十一世紀の沖縄展望をして、いずれにしましても沖縄県が地域経済として自立をしていく、そしてまた若い人たちの雇用が期待ができるというような雇用が確保され、さらに沖縄県民の生活の向上に資するように、そしてこの地域が我が国の経済の発展に寄与する地域として全力を傾注してまいる覚悟でございます。
  37. 及川耕造

    及川政府委員 お答え申し上げます。  仲村委員長指摘の点、それぞれ大変重要な二十一世紀沖縄の課題であるというふうに認識いたしております。したがいまして、ただいま開発庁長官も御答弁申し上げましたように、政策協議会のプロジェクトチームの中で、いずれも鋭意取り組んでいる課題でございまして、引き続き適切な施策が立案、実施できますよう努力してまいりたい、かように感じております。
  38. 仲村正治

    仲村委員 今お述べになりました件につきましては、ぜひ着実にこれが実行できるような方向で道を開いていただきたい、こういうことを御希望申し上げたいと思います。  次に、沖縄県は四全総や多極分散型国土形成法に基づく振興策から考えましても、我が国の南の玄関口として那覇空港や那覇港は、我が国と外国との人、物、文化の交流、流通の拠点として極めて優位な位置にあります。特に、数少ない我が国の二十四時間空港一つであります那覇空港と那覇港を、国の重要な交流、流通の拠点として整備を図るべきだというふうに考えております。この件についての考え方。  二点目は、七月一日から航空旅客運賃の引き下げが実施されるわけでありますが、同時に航空貨物運賃の引き下げにつきましても、これは農林水産業との関係で非常に重要な問題であると考えておりますので、同時に引き下げを実施すべきであると考えております。この点についてお答えをいただきたいと思います。
  39. 横田和男

    ○横田説明員 先生お尋ねの那覇空港の件でございますけれども、那覇空港は、先生お話にもありましたように、二十四時間運用をやっております国が設置する空港でございまして、現在、本土線、島内線の利用客のためにということで新国内線ターミナル地区の整備を鋭意やっているところでございまして、平成十年度の供用開始をめどにこの整備を進めております。  当面の需要の対応というのは、この進めている整備で何とかやっていけるのではなかろうかというふうに思っておりますけれども、いろいろ地元で言われているようなもっと大々的な整備、こういったものにつきましては、沖縄特別振興対策調整費というのが昨年度ついておりますので、その中で必要性も含めて検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  40. 川島毅

    ○川島説明員 引き続きまして、那覇港について御説明申し上げます。  運輸省におきましては、全国におけるコンテナターミナルとして中枢国際港湾を四地域に、中核国際港湾を八地域に配置することとしております。那覇港につきましては中核国際港湾一つに位置づけておりまして、鋭意整備を進めておるところでございます。  具体的には、本年八月に、振興地区におきまして水深十三メートルのコンテナターミナル、沖縄におきます初のコンテナターミナルでございますが、この供用を開始する予定となっております。さらに、本年度二バース目の事業に着手することとしております。  また、沖縄特別振興対策調整費調査におきまして、那覇港の今後のあり方につきましてハード、ソフトの両面から検討することとしております。
  41. 杉山篤史

    ○杉山説明員 航空貨物運賃の引き下げの件のお尋ねでございますが、先生からお話がございましたように、本年の七月一日から本土−那覇間に係ります空港使用料等の軽減措置の拡充に伴いまして旅客運賃を引き下げることにしておりますので、あわせまして、貨物運賃につきましても航空会社は引き下げることとしております。例えば東京−那覇線で申し上げますと、生鮮貨物一トン当たり、現在十六万七千円ということでございますが、これが十五万二千円ということで九%程度の引き下げということで考えております。
  42. 仲村正治

    仲村委員 どうもありがとうございます。  航空貨物運賃の値下げは、農林水産物の消費地への輸送の面で非常に大きなコストになっていますので、その措置を講じられたことは大変結構なことだと思っております。  次に、高等教育施設の拡充、新設及び人材育成対策についてであります。  沖縄県の高等教育の解決すべき課題は、沖縄県が国の中央から遠隔の地にあることと、県民所得が全国最下位であること、そのような中で沖縄県の大学進学率は二三%で、全国の三八%よりも一五%も低いわけであります。その最大の原因は、親が所得の割に過重な負担を余儀なくされているために進学を断念することが多い、こういうことであります。せっかく地元に琉球大学があるにもかかわらず、全国から集まる受験生に地元の学生ははじき出されている、高い学資をかけて他県に行かざるを得ないということであります。  以前から、私は、地方の国立大学に地域指定の入学枠制度を設けるべきだというふうに考えておりましたが、五月十四日の新聞に、中教審がそのような答申をしたと書いてあります。  ぜひこの点を、沖縄県の場合にも琉球大学への入学の枠を設けるということは非常に大事なことだと思っておりますが、その件についてお答えを、いただきたいと思います。
  43. 梶野愼一

    ○梶野説明員 ただいまの国立大学の入学者選抜の件でございますけれども、まず、国立大学の入学者選抜につきましては、全国的に平等な入学機会が開かれているべきという考え方に基づきまして、現在まで特定地域についての進学枠の割り当ては行われていないところでございます。  ただ、今委員長指摘いただきましたように、地域を重視した入学者選抜につきまして現在中央教育審議会第一小委員会において議論を重ねているところでございまして、ここでは、地域に根差した大学づくりを進めたり若者の地域定着を進める観点から、各大学の判断により、新たにそうした入学定員の枠や推薦入学を導入したり拡大していくことも有益であるという認識で議論が進んでいるところでございまして、私どもといたしましては、この中央教育審議会の結論などを踏まえまして検討していく必要がある事柄であるというふ うに考えているところでございます。
  44. 仲村正治

    仲村委員 ありがとうございます。  これはぜひ実現をしていただきたいと思っております。  時間が迫りましたのでまとめて申し上げますが、昨年からことしにかけて、政府は、戦後五十年余、沖縄県に日米安保維持を理由に在日米軍基地の七五%を押しつけてきたことに余りにも無神経過ぎたという反省の上に立って、沖縄県民が、戦中戦後五十年余、国策の犠牲として苦渋、苦難の歴史に耐えてきた償いを、橋本内閣の命運にかけてこれにこたえていかなければならない、こういうことになっているわけでありますが、米軍基地のさらなる整理縮小、そして大胆な経済振興対策を打ち出されている点については、それを所管される梶山官房長官も、内閣の命運にかけて必ずやり通すということを記者会見などでもたびたび披瀝されておるところであります。沖縄県民もこれを信じ、期待をいたしております。  しかし、駐留軍用地特措法の改正法案が成立した後、マスコミは、もう沖縄問題は終わったという声が政府・与党の中から聞こえる、こういうふうに新聞に書かれているわけであります。もしこれが政府・与党の本音だとすれば、看過できない重大な問題だと思っております。この点について外務大臣の確認をいただきたい。本当に国会決議に基づいて沖縄の振興対策や基地の整理縮小をおやりになるのかならないのか、この点が一つであります。  もう一つは、先ほども質問をいろいろといたしましたが、これを実施するために、何としても沖縄開発庁がその実施主体にならなければならない。そういう反面、今橋本内閣は行政改革を断行する、こういうことになりますと、恐らく沖縄開発庁沖縄総合事務局が統廃合のターゲットにされる。こういうことになりますと、先ほど稲垣開発庁長官お答えになられたいろいろな振興策を実施する機関というものが、私は、一体どこがやるのか、大変難しい問題が起こってくると思う観点から、沖縄開発庁沖縄総合事務局の存続は絶対に必要である、こういうふうに考えますが、両大臣からその点についてのお答えをいただきたいと思います。
  45. 池田行彦

    ○池田国務大臣 私ども沖縄の抱える問題に対する解決の取り組み、あるいは沖縄の抱いておられる夢を実現するための取り組みは、もう終わったなどとも頭思っておりません、むしろこれからこそ大切だと思っております。  先ほど来、沖縄の振興開発の方向について、またそれに取り組む姿勢について開発庁長官からも御答弁がございましたし、基地問題についてのこれからの真摯な取り組みについて先ほど私も御答弁申し上げましたが、橋本内閣全体といたしまして、国会の御決議も踏まえながら今後とも真剣に取り組んでまいる所存でございます。  また、当然のこととして、それに取り組んでいく上において、政府として適正な体制を組まなくてはいけないのはもとよりだ、このように考えております。
  46. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 御承知のとおり、行政の仕組みや組織の改革も極めて重要な課題であると考えております。現在、行政改革会議において検討されているのは、委員御承知のとおりでございます。  沖縄はさまざまな特殊な事情を抱えておりますし、その振興開発はいまだ道半ばにあります。また、これを着実に推進していくことが重要な国の責務でありますし、さらに沖縄政策協議会における沖縄経済振興策検討あるいは推進や、基地所在市町村懇談会の提言の実施がまさに内閣を挙げて取り組んでいかなければならない最重要課題でございますので、沖縄開発庁はその中心的な役割を担っていることを十分考慮する必要があろうかと思うわけでございます。  全体の省庁再編がどのような形になってまいりますか、今後の議論の推移を見たいと考えておりますけれども、いずれにしましても沖縄の振興開発は今いまだ道半ばでもございますし、その着実な推進を担保するための沖縄開発庁のそのような仕組みは今後とも絶対必要であると考えておるのであります。
  47. 仲村正治

    仲村委員 ありがとうございました。終わります。     〔白保委員長代理退席、委員長着席〕
  48. 仲村正治

    仲村委員長 白保台一君。
  49. 白保台一

    白保委員 外務大臣、大変忙しい日程の中で委員会へ出席いただきまして、何点か外務大臣にもお伺いをしたいと思っております。  特措法の改正で暫定使用がなされました。沖縄県民の願いというのは、外務大臣、よく御存じのように、先ほどからも議論がありますように、基地の整理縮小を確実に進めていくということです。しかし、特措法改正で、審理中でありますけれども、暫定使用でそのまま進められていく、こういう状況になってまいりますと、駐留している、使用している、そういう立場の人たちは、沖縄県民の心、気持ちというものをしっかりと理解しておかないと、いろいろな議論の中で特措法が改正されて、暫定使用でそのまま引き続き使用されていっているわけですから、一番大事なのは使用する側の気持ちの問題だ、こういうふうに思っております。  そういう意味では、特措法が改正されて暫定使用が進んでいく中で、先ほど申し上げた使用する側の態度、姿勢、こういうものが大事だと思いますが、外務大臣、どのようにお考えになりますか。
  50. 池田行彦

    ○池田国務大臣 もとより、特措法の改正による暫定使用ということが仮にございませんでも、基地が存在するということによって、地元の住民の方々がいろいろな面で御負担を強いられ、あるいは生活上の不便を強いられているということは厳然たる事実でございますから、そのことは十分理解した上で政府としても対応しなければいけません。また、その基地を現に使用する米側も、そういった認識の上に立って行動すべきものだと存じます。  そしてまた、先般の特措法の改正によりまして、収用委員会の決定が出るまで暫定的な使用ができるということになったわけでございますが、そういうことがございましても、地主の方はそれを納得していないのだという事実が存在する、その中での暫定使用でございますので、そのことも十分考えながら適正に対処していくべきものと考える次第でございます。
  51. 白保台一

    白保委員 既に外務省の方も御存じだと思いますが、去る十四日に、米海兵隊普天間基地所属のCH53E大型ヘリコプターが沖縄周辺海域でギアボックスのカバーパネルを落下しているということがあるわけですね。この事実関係についてどのような報告が来ているのでしょうか。
  52. 折田正樹

    ○折田政府委員 私ども、在京アメリカ大使館より通報を受けておるわけでございますが、今回の事故の事実関係は次のとおりでございます。  五月十四日、アメリカの海兵隊第三六海兵航空群、普天間飛行場所属のヘリコプターCH53Eが、十四日の十五時から十九時の間飛行を行い、普天間飛行場に帰投したということでございますが、十五日の午前になりまして、ギアボックスのカバーパネルが落下していたことが判明したということでございます。  このギアボックスのカバーパネルというのは、機体の上部のプロペラ取りつけ部位の金属板で、大きさは、長さが約百二十センチ、幅が四十六センチ、重さは約二キロとのことでございます。  そして、事故を起こしたヘリコプターの正確な飛行経路については、米側において確認中でございますが、このヘリコプターはほとんど洋上を飛行していたとの説明を受けているところでございます。
  53. 白保台一

    白保委員 そこで、先ほども外務大臣にも申し上げましたが、こういう状況の中で米軍基地を使用し、県民の理解を得ようということでありますけれども、現実にはこういう事件事故というのが絶えず起きる。  外務大臣、覚えていらっしゃると思います。三月二十九日ですか八日ですか、事件事故が起きた 場合に、直ちに連携がとれて、報告がとれて対応ができる、そういうシステムをつくることが再発防止にもつながっていくことであるということで、合同委員会の持ち回りでこのシステムづくりをされたわけですね。  ところが、今回のこの事故を見ても、直ちに報告があったという話ではない。原島大使も地元で大変お困りのようでございますけれども、現実には、こういう事故後の報告がまず遅い。二日たっておる。そして、事故後の調査があいまいであるし、いろいろ聞いてもなかなかよくわからない、こういう状況なのです。このシステムというのは、一体どういう形になっているのですか。
  54. 池田行彦

    ○池田国務大臣 委員指摘のとおり、これまでもこの種の事件が何度か起きました。また、その連絡なりあるいは事後処理が必ずしも適切でないという事例も間々見られたわけでございます。  そういうことではいけないということで、私どもは、その都度、再発の防止等々も申し入れましたけれども、それを担保するために、連絡通報のシステムをきちんと見直していこうということで作業を続けまして、たしかこれは三月三十一日でございましたけれども、最終的に新しいシステムをつくったわけでございます。  これで従来のようないろいろな不適切な対処ぶりを改めることができる、また、そうしなくちゃいけないと思って運用してきたわけでございますが、今回、また御指摘のような事故の通報おくれがあったというのは、まことに遺憾に存じております。そのことは、米側にも我が方から申し入れまして、再発防止ということを強く申し上げているわけでございますけれども、米側もそこのところは遺憾であったということは認めておるわけでございます。  それにいたしましても、あれほどのいろいろな経過があり、システムは改められたわけでございますけれども、これまでの惰性とは申せないかもしれませんが、まだそういったものが残っているという面がないとは言い切れないと存じます。従来でございますと、その報告おくれは、何日も、もっともっと長期にわたったわけでございますけれども、今回でも一日経過した後に通報というのは、今回のシステムをつくった趣旨といいましょうか、決してその目的にかなったものではないと思いますので、今後とも、米側に対してもその点は厳格に対処するように強く求めてまいりたい、こう考える次第でございます。
  55. 白保台一

    白保委員 私はシステムのことについてお伺いしたのですが、いずれにしましても、なかなか大事な話がきちっと伝わってこない。  確かに、大臣おっしゃるように、一年前に起こったのがことしになってわかったとか、おととしの話がことしになってわかったとか、そういうものに比較すれば二日では早いではないかという話になるのかもしれませんが、現実にヘリコプターから物を落下させているのです。しかも、このヘリコプターが飛ぶのは、普天間飛行場の周辺は物すごく多くの住宅が密集している。  そして、きょうあたりの地元の新聞などを見てみますと、どこに落としたかわからない。非常に無責任なのは、人々の中からここに落ちていますという話がないから恐らく海だろうというようなことを、冗談にしろ、これは非常にいい加減な、あいまいな調査が行われている。  上空から物が落ちた、どこで何が落ちたのか、大変だということで直ちに連絡をとられることが当然の姿なのですけれども、連絡は遅い、調査はあいまい、こういうような状況になっております。  ですから、私たちはこれまでも申し上げてきたように、事故を起こしたら同種の訓練はしばらくの間はさせないというペナルティーを科さなければ、練度を高めるためにといいながら事故ばかり起こしておられたのでは、県民にとっては大変な負担になっていくのです。  大田知事は、その後の会見の中で、要するに特措法改正で終わりというふうに言われているようだけれども、事件事故については引き続き起こっており、これまで以上に厳しく対処しなければならない、したがって、原島大使も含めて三者協を頻繁にやって、問題点をきちっと洗い出して、それに対応してもらうというふうに言われています。  まず、このことについて、大臣はどのように受けとめられますか。三者協の問題です。
  56. 池田行彦

    ○池田国務大臣 いわゆる三者協、沖縄県と国と米軍の代表の間の協議の仕組みをつくり直して再活性化していかなければいけない、そういう認識を私ども持っております。  我々外務省も今度現地に原島大使という駐在大使を置いたわけでございますので、それも、どういう形になるかはともかくとして、参加するような仕組みをつくりたいということで、沖縄県とも、それからまた米側とも、もとより国側の諸機関の間は当然でございますが、いろいろ相談を進めているわけでございます。早くその結論を得て、今回のような問題についても、現地で敏速に、また適切に対応できるような体制づくり、体制固めに努力してまいりたい、こう考える次第でございます。  それから、前半でおっしゃいました点でございますが、今回、我々もせっかくこういうふうなシステムをつくったわけでございますから、現実にそれが行われ、それが目的とするところが担保されるように努力をしなければいけない。そういった意味で、米側にもさらに強く働きかけてまいりますし、またそれが実際沖縄のために、三者協議等を通じて一体どういう問題点があり、どういうふうなことが必要かということもよく現地でも話し合ってまいりたいと存じます。  ただ、ペナルティーという考えについては、前の委員会でも議論したことがございますけれども、これはほかのいろいろな観点も総合的に勘案いたしますと、まだ私はにわかにそうでございますと御答弁申し上げられないという点だけは御理解賜りたいと思います。
  57. 白保台一

    白保委員 さまざまな課題が多うございますし、そういった意味では三者協をきちっと開いて、これまでなかなか米軍側が応じないというところもありましたし、一つ一つ課題は克服していかなければならないと思います。  もう一つ、大臣はペナルティーの問題についてはなかなか答えられないということでしょうけれども、現実に基地周辺で生活している者にとってみれば、演習を行い、訓練を行う、その中から派生してくるさまざまな危険については、常に生活の場で負っていかなければならない問題です。  そういう面では、当然これは県民の声であるし、私自身も、軍隊が練度を高めなければいけないから練習するのだといって事件事故を起こされては、これは県民にとっては大変迷惑な話ですし、危険なことです。ですから、私は常にこのことは申し上げておかなければいけない、こういうふうに思っているところでございます。  次に、開発庁の方にも何点かお聞きしていきたいと思います。  予算委員会沖縄集中審議でも私伺いましたが、長官が直ちに関係するところではありませんけれども沖縄特別振興対策調整費の配分が先月なされました。そういった中で、私は、特別区について二つ、一つはマルチメディアの特別区の問題、もう一つ経済特別区の問題、こういう経済にかかわる問題で二つ質問をさせてもらったわけです。  今回、マルチメディアについて、沖縄マルチメディア特区構想調査ということで郵政省に五千万、それからまた同じく郵政省に共同利用型研究開発施設の整備ということで五億、マルチメディアアイランド構想調査ということで通産省と郵政省で一億を半分ずつ配分するということで、郵政省分については六億ですか、そういう配分がなされております。  そこで、沖縄のマルチメディア特区構想ということが今進んでいっているわけですが、その前に、郵政省として、マルチメディアの構想、日本 の構想そのものについて骨格を説明してもらいたいと思います。
  58. 勝野成治

    ○勝野説明員 マルチメディアは二十一世紀の我が国のリーディング産業になる可能性が極めて大きい分野であろうと思っておりますし、また、このマルチメディアを上手に使いこなせば企業活動や国民生活にも多大の利益をもたらすという認識のもとに、郵政省では情報通信基盤の整備等に鋭意取り組んでおるところでございます。  そうした中でも、特にアジア・太平洋地域において、情報の受信、発信や、あるいは技術、人材等の交流、さらには情報通信関連の企業活動が盛んに行われるような拠点、言いかえれば情報通信ハブというのを我が国に形成するということが、これからの情報通信政策の重要課題の一つであろうというふうに考えておるところでございます。  ちなみに海外に目を向けてみますと、アメリカやヨーロッパはもちろんでございますが、アジア、例えばシンガポールやマレーシアにおいても、情報通信ハブを目指した先進的なプロジェクトが鋭意進行中であるという状況でございます。  こうした諸外国の動向も踏まえまして、我が国に情報通信ハブを形成するとした場合には、やはり地理的、文化的、歴史的にアジアとのつながりが深い沖縄というのが、そのポテンシャルが非常に高いのではないかと考えておるところでございまして、そういう観点から、沖縄政策協議会で沖縄マルチメディア特区構想というのを提案させていただいて、今、その具体化に取り組んでおるという状況でございます。
  59. 白保台一

    白保委員 課長日本の構想がありますね、それと沖縄のマルチメディア構想の関係、かかわりをもう一回明確にしてください。
  60. 勝野成治

    ○勝野説明員 マルチメディアは世界的に二十一世紀の生き残り戦略というようなことで、国家的に取り組んでいるところが非常に多くなっている。  そういう中で、例えば通信のアジアの拠点をどこに置くのかというようなことを見た場合に、東京に置かずに例えばシンガポールに置くというような企業、多国籍企業と言われるものの中にそういう動きをするところがかなりふえてきておるというような状況もございます。  こういったことから、日本としても、マルチメディア振興、マルチメディアの拠点を日本のどこかに形成していくべきであろう、さらに力を入れていくべきであろうと考えておるところであります。  そうした中で、どこに置くかということを考えた場合に、先ほど申し上げましたけれども、歴史的、文化的、地理的にもアジア諸国との関係の深い沖縄というのが最も適しているのではなかろうか、こういうふうに考えているところでございます。
  61. 白保台一

    白保委員 次に、時間が余りありませんので、まとめていろいろと聞いていきたいと思います。  先ほども自由貿易地域の問題について質問がございました。これは、県の構想の結論を待って国の方で決定をしていく、こういうことがよく言われておるわけでございますが、県の構想そのものは出てくると思います、一方、国の方では一定の考え方をお持ちなのでしょうか。待ってということですから、一定の考え方を持っていらっしゃるから、それを見てこっちは削りなさい、こっちはふやしなさい、こういう話になるのか、この辺の手法の問題ですが、いかがでしょうか。
  62. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 委員御承知のとおり、自由貿易地域については、沖縄県や県の経済団体から、税制関税面を中心として、特別措置導入等によって拡充強化が要望されているのは委員も御承知のとおりでございます。  私どもとしては、今般、第三次沖縄振興開発計画の後期展望におきましても、沖縄経済のグローバル化に対応して内外各地と結んだ中継加工貿易機能を持つ経済活動の拠点となるように自由貿易地域制度の活用を一層進めることとなっておりますので、本年度におきましても、先ほどから申し上げておりますとおり、自由貿易地域の拡充強化に関する調査費を組みまして、今後の自由貿易地域のあり方、またそのための必要な機能について検討することに相なっておるわけでございます。  もちろん県の要望やそういったものがございますが、私どもで独自に後期展望の趣旨を踏まえた調査を行いながら、沖縄産業振興貿易振興に資するように貿易地域の拡充強化に取り組んでまいるつもりでございます。  また、関係省庁沖縄県も参加した沖縄政策協議会の国際貿易・物流基地の形成プロジェクトチームというのもやっておるわけでございますので、こういった点で幅広く検討していくことになると思いますので、決して委員が御心配のように県の案を待ってということじゃございません。積極的に国として対応していきたい、こういうことでございます。
  63. 白保台一

    白保委員 沖縄の方で知事が取りまとめをしてこれから上げてくるだろう、皆さんの答弁の中でよくこういうような話がございますので、私は、県の方から上がってきた、そうすると、皆さんの方は考えはないんだけれどもそのままやるとか、そういう意味ではなくして、きちっとしたものを持って、その間にお互いすり合わせをして、よりいいものをつくる、そういった方向でなければいけない、こういうことで申し上げたわけでございます。  時間がありませんので、これは開発庁長官現状を申し上げておきたいと思います。  一つは、前に開発庁長官の所信に対する質問の際に私は申し上げたのですが、要するに地域間格差というものがいっぱいありますね。本土と沖縄、また沖縄の中でも中南部と北部、そういった中での地域間格差。それから、先島、離島、こういったふうな地域間格差がある。  そういう地域間格差の中で、今非常に大きな問題の一つに物価の問題があるのです。かつて豊かさを求めて島を出て、一定の使命を果たしてリタイアされて、またふるさとに帰る。ところが、帰ってみると生活がしにくい。それはなぜかというと、結局は物価の問題だ。沖縄県が物価の指標を出しています。物価の問題はこういう方々にとってみたら大変大きな問題です。  細かいことを今申し上げる時間はありませんが、そういう物価の問題について、これは真剣に地域間格差の問題で取り組んでいかなければならないものの一つであります。  もう一つは、先日も波照間島で豪雨がありました。そこで相当な被害が出たわけですが、公共事業に対する被害が非常に大きく出ている。やはりそれぞれの地域に見合った工事、事業をしていかないと、地形や降雨量あるいは自然環境、そういったものもしっかりと見きわめた上の設計をしていかないと、結局は多くの工費を投入していながらもう一度やり直さなければならない、こういう状況がある。  ですから、先ほど地域間格差の問題を申し上げましたが、その問題と、そしてまた地域におけるところの実情に見合ったそういう工費の投入をしなければ真の意味地域の振興にはつながらない、こういったことを私は強く申し上げまして、ぜひその辺のことを対応をしていただきたい。最後に大臣にお答えいただきたいと思います。
  64. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 委員ただいま御指摘のとおりでございまして、私どももこの県内の地域間格差、あるいは本土との格差是正のために全力を挙げてやる所存でございますし、今、波照間の問題につきましても御指摘がございましたとおり、鋭意これに努力して、とにもかくにも地域間格差の是正というものにつきまして、県全体を通じて均衡ある発展、また本土との格差ができないように全力投球してやることにつきまして、おこたえをいたしたいと思います。
  65. 白保台一

    白保委員 終わります。
  66. 仲村正治

  67. 川内博史

    川内委員 民主党の川内博史でございます。  沖縄問題ということでございますが、私は鹿児島から出てきております。沖縄と鹿児島というのは古い昔から大変な因縁がございまして、明治維 新をなし得た薩摩藩の財政的な裏づけは琉球があったからこそということも言われているわけでございます。そういう意味では、第二次世界大戦後もそうですけれども、大きな意味で明治維新を裏で支えたのも琉球でしょうし、沖縄なかりせば今日の日本はないというぐらいの気持ちで私はいるわけです。  今日、いろいろ沖縄振興について言われているわけでございますけれども、何をやるにもお金が要るわけでございます。行政改革やら財政改革に絡んで、事業の見直しというようなことも勇気を持ってやっていかなければならない。その見直しで余裕の出る資金でもって本当に大事な、集中して取り組むべき沖縄などの課題に対して資金を投入していくというような態度が今求められているのではないかと思うのです。  昨日、諌早湾の事業については、そのまま継続をするというようなことを閣僚懇談会で了承をしたというような記事を拝見させていただきました。池田外務大臣、そしてまた稲垣長官、大臣にはこの間沖縄の特措法の問題であるとか、あるいは外務大臣はペルーの問題等で大変に御尽力をいただき、御努力をいただいておりまして、諌早の公共事業がどの程度のお金を必要とし、またどのような事業であるのかということも、余りこの間御説明がもしかしたらなかったのかもしれないなというような気がしております。ですから、きょうは後半で沖縄のことを十分に聞かせていただきますが、諌早湾のことについて両大臣にもぜひ聞いていただきたいという思いで農水省の構造改善局に来ていただいておりますので、そちらを若干聞かせていただきます。時間がございませんので、手短に構造改善局には御答弁をお願いをいたします。  この諌早湾の干拓事業なんですけれども、きのうの農水大臣の閣僚懇談会の後の記者会見のコメントでは、防災に非常に効果がある、防災に効果があると。干拓事業をやると言っている割には、防災防災と非常に矛盾をしたことをおっしゃっていらっしゃるわけでございます。  それではお尋ねをいたします。諌早湾の潮受け堤防の全長は、何キロの潮受け堤防ですか。
  68. 江頭輝

    ○江頭説明員 潮受け堤防の全長は約七キロでございます。
  69. 川内博史

    川内委員 潮受け堤防は全長七キロで、高さは今現在三メートルですね。完成後は、今現在三メートルのその堤防を何メートルにしますか。
  70. 江頭輝

    ○江頭説明員 堤頂は標高七メーターというふうになっております。
  71. 川内博史

    川内委員 あと四メートルかさ上げをするということですね。七キロの潮受け堤防をあと四メートルかさ上げする。  さらにお尋ねいたします。この潮受け堤防の内側に内部堤防をおつくりになられますが、この内部堤防の総延長及び高さを御答弁ください。
  72. 江頭輝

    ○江頭説明員 総延長は十七・六キロメーターでございます。堤防の標高は四・五メーターであります。
  73. 川内博史

    川内委員 復習しますと、総延長七キロの潮受け堤防を四メートルかさ上げする。それで、総延長十七・六キロメートルの内部堤防、これは高さ四・五メートル、これはまだ全く工事に手がついていないということでございます。したがって、四メートル、七キロ、十七・六キロメートル、四・五メートルの高さ、これをこれから工事をするということです。  それで、計画当初の総事業費、そしてまた、今まで使った費用、事業費というのは幾らか、二つ御答弁ください。
  74. 江頭輝

    ○江頭説明員 計画当時千三百五十億円でございました。それで、平成八年度までには、総事業費で現在二千三百七十億円となっております。
  75. 川内博史

    川内委員 総事業費二千三百七十億で、そのりち堤防の費用がお幾らですか。
  76. 江頭輝

    ○江頭説明員 潮受け堤防が、全体で千五百四十五億であります。
  77. 川内博史

    川内委員 千五百四十五億。約千五百五十億円を使って、まだ高さ三メートルの潮受け堤防しかできていない。あと四メートルかさ上げする。内部堤防十七・六キロメートル、高さ四・五メートルをこれからつくる。それで残りの事業費は幾らですか。
  78. 江頭輝

    ○江頭説明員 平成九年度以降、全体で八百億円でございます。
  79. 川内博史

    川内委員 残り八百億の計画で、潮受け堤防の高さを四メートルさらにかさ上げして、そしてまた、内部堤防は、総延長十七・六キロメートル、高さ四・五メートルの内部堤防をつくり、その内部堤防の内側を干拓して農地にする。残り八百億でこれらすべてができるのですか。
  80. 江頭輝

    ○江頭説明員 これは平成八年度単価の見積もりでございますが、可能であると考えております。
  81. 川内博史

    川内委員 可能である、残り八百億でできるというふうに今御答弁があったわけです。  できなかったらどうするのですか。やめるのですか。
  82. 江頭輝

    ○江頭説明員 これで実施すべく努めております。
  83. 川内博史

    川内委員 私は、工事の進捗状況を見ますと、まだまだこれからお金がかかるところに入ってくるという状況だと思いますけれども、潮受け堤防七キロ、高さ三メートルをつくるのに千五百億もかかっているのに、これをさらに四メートルかさ上げして、また、これから内部堤防を十七・六キロメートルつくるのですよ、高さ四・五メートルで。それで、その中に農地をつくる。  農地をつくった場合、一ヘクタール当たり幾らで分譲するのですか。
  84. 江頭輝

    ○江頭説明員 現時点で、一ヘクタール約一千百万円を予定しております。
  85. 川内博史

    川内委員 九州地方の平均的な農地の値段を御存じですか。
  86. 江頭輝

    ○江頭説明員 九州地方の平均は、ただいま手元にございませんが、諌早湾の周辺地域で現在百万から百五十万の範囲であると認識しております。
  87. 川内博史

    川内委員 今の答弁は大変にごまかしがあると思いますね。九州の平均的な農地の値段というのは五十五万円です。それは農水省が諌早湾に関して出している資料の中に出てきている数字ですよ。十アール当たり五十五万ですから、一ヘクタール当たり五百五十万ですか。平均的な農地は五百五十万です。それを一千百万で分譲すると今おっしゃった。  これは一体だれが買うのかよくわかりませんけれども、入植する人がいなくて事業が失敗だったら、一体だれが責任をとるのですか、大変な金額をかけて。そんなお金があるぐらいなら、両大臣、沖縄のことにもっともっと有効に使って、沖縄を守り立てていく方が大きな意味で国益につながるというふうに私は思います。  我が党が質問主意書を提出させていただいておりますが、あした多分開議でその正式な決定が行われると思います。稲垣大臣に、あした閣議で、私どもの党が提出をさせていただいている質問主意書に対して何らか御発言をいただけるかどうか、また、諌早湾のこの干拓事業に対してどのような御見解をお持ちでいらっしゃるか、率直なところを承りたいと思います。
  88. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 本事業につきましては、所管外でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。  それから、今お尋ねの質問主意書が提出されて五月十九日に内閣に転送されたということは承知しておりますが、答弁書の中についてはまだ承知しておりません。  しかし、本事業の推進に当たっては、環境保全に留意しつつ、当該事業の目的を果たしていくことが重要であると考えております。
  89. 川内博史

    川内委員 所管外のことであっても、内閣のボードのメンバーとして、これは外務大臣もそうだと思いますが、すべてのことに責任を負われていらっしゃるというふうに考えております。ぜひともいろいろな資料を御検討いただいて、農水省さんを責めるわけではございませんが、地元の方たちは防災を望んでいらっしゃるのであって、決して干拓は望んでいないというふうに私は考えて おります。  防災は防災としてきちっとした事業を行わなければならないでしょうし、あえて内部堤防をつくり、だれも買う人のない高い農地をつくる必要はないのではないか、干拓事業というのは見直すべきではないかというふうに考えておりますので、ぜひ御検討をいただければと思います。  それでは、沖縄振興策についていよいよお伺いをさせていただきます。  この間、たくさんの委員の方から、また政府の内部でも大変な御努力をいただいているのだと思います。沖縄の地元からは、ノービザ制度を何とか導入してくれとか、法人税税率を軽減してくれ、あるいはフリートレードゾーンのことに関してもそうですけれども、いろいろな要望が寄せられている。それに対して、池田外務大臣は、一生懸命検討はするがもう少し待ってくれというようなニュアンスなのかなというふうに感じております。  しかし、沖縄の方たちというのは大変に独立心は旺盛だと私は思います。国会があるいは政府が決めてくれないのであれば、例えば上原議員とか、委員長もそうですけれども沖縄出身の先生方が沖縄の県議会やら市町村の議会に働きかけて、自分たちで条例をつくってしまおう、沖縄に入る人はビザは要りませんよ、あるいは沖縄に本社を置いてくれる会社は法人税税率は国内の半分ですよというようなことを地方の議会が決めた、国がやってくれないのだったら自分たちでどんどん決めてやりましようというふうなことになったとしたら、仮定の話で非常に恐縮ですけれども、地方自治法には十四条に、地方自治体は法律に反しない限りにおいて条例を定めることができるというふうに書いてはあります。しかし、私たちが決めた枠組みの中で、政府が沖縄に対して検討すると言うだけで何もしてくれないのであれば、自分たちで決めます、自分たちでやりますというようなことを沖縄の県議会なりあるいは市議会なりが議決をした場合、私は十分あり得ると思うが、これから地方分権の時代ですし、地方主権の時代ですし、そういうことを沖縄がされた場合、国としてはどのような態度で対応をされるのか、外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
  90. 池田行彦

    ○池田国務大臣 政府といたしましても、沖縄の振興を図っていかなくてはいけない、そのためには思い切った施策を講じなくてはいけない、こう思っております。沖縄問題を束ねておられます梶山官房長官は、それを時には一国二制的なという表現をしておられますけれども、我々も思い切った措置を講ずる必要もあろうと思っております。  しかし、今具体的にノービザ制度ということをおっしゃいましたけれども、この点について申しますと、ビザの問題を含めて出入国に関する問題というのは、幾ら最近地方分権が叫ばれる時代であるといいましても、そこのところはおのずから国の役割と地方公共団体の役割というのはあるわけでございまして、こういった出入国に関する問題というものは国の役割として全体として統一的に取り扱われるべきものであろうと思っております。  また、実際上申しましても、仮に全体としての出入国、日本の国全体としてはビザを求めておきながら、沖縄についてだけビザが必要ないということをやりますと、これは本当にその面だけで一国二制になってしまいます。  確かに、海外から沖縄においでになるところは便利になりますでしょう。しかしながら、逆に今度は沖縄から日本国内の他の都道府県への移動はどうなるのか。そこへ今度は壁をつくらなくてはいけないわけですね。そこでのチェックが必要になってくる。そうすると、海外から沖縄へおいでになった方だけではなくて、日本国民も含めて、沖縄と他の四十六都道府県との間が非常に不便なことになるというふうなこともございます。  それからまた、それでは全国的に全部ノービザにすればいいという声もありましょうが、その点につきましては、全体としての入国管理政策をどう考えるかという観点もございますし、最近の不法入国者あるいはビザの期限が切れた後の残留者の数が急増しているというようなことも勘案いたしまして、どうするかということを考えなくてはいけないという点があると思います。  そういったことを考えながら、どうやって沖縄海外との人的な交流がスムーズにいくようにするかという点をいろいろ考えてまいりたい。そういった意味で、例えばビジネスの関係の方についても、査証取得の手続を思い切って簡略化して早く取れるようにしようかとか、観光なんかについても、団体であるとかパックのものについての手続を思い切って簡素化しようか、適用関係としては全国統一とならざるを得ないけれども、実態から見て沖縄の方へおいでになる方が非常に多い国だとか地域についてそういうことは考えられないかとか、そういったことをいろいろ検討してまいりたい、こう考えている次第でございます。
  91. 川内博史

    川内委員 私は池田大臣の声というのは大変好きで、刑事コジャックのような低音の大変心地よく響く声で、今、何となくはあはあと理解をしてしまいそうになったのですけれども、しかし、結局は国の方針に従ってもらうよということなのでしょう。  結局、本当にその地域を何とかしなければならない、またそこを私どもの方も何とかしてやりたい、するんだというふうに思っているとするならば、それはいろいろな問題はあると思うのです、細かく詰めていけば。これが問題です、あれが問題ですと、事務方の方々がいろいろな問題をおっしゃるかもしれない。しかし、そこを、多少のことには目をつぶってえいやと決断をする。ペルーを御解決された外務大臣でありますから、その辺の御決断の力というものは十分に持っていらっしゃると思うのです。そこをえいやと決断をするのが政治家であるというふうに思うのです。沖縄平成の楽市楽座にするというような気概でもってやっていただきたいなというふうに思うのです。  先ほど、沖縄振興策沖縄問題については特措法が成立した途端に熱が冷めてしまったというような新聞記事もあるがどうなんだという御質問もあったわけでありますが、沖縄問題の政策協議会は特措法成立後何回ぐらい開かれているのか、また開かれているとすればどういったことが話題になったのか、その辺を事務当局から御説明をいただけますか。
  92. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 本来ならば担当の内閣官房の内政審の方でお答えすべきところでございますが、私ども政策協議会には重大なる関心を持って見守っておりますので、かわりまして御答弁をさせていただきます。  次回は、五月二十七日を予定しているというふうに聞いております。申しわけございませんが、前回はいっ開催されたかちょっと正確な日時は覚えておりませんので、もし必要でございますれば後ほど追って御連絡を申し上げたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。
  93. 川内博史

    川内委員 特措法成立後はまだ開かれてないですよね。それで、特措法成立後、今度五月二十七日に沖縄問題政策協議会が開かれるということで、これはちょっと間があき過ぎかな、もっともっと頻繁に開いていただいて、どんどん問題の詰めをしていただきたいというふうに思うわけでございますが、稲垣長官、その辺はいかがでございましょうか。
  94. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 今、政府委員よりお答えいたしましたとおり、まだ事務当局からも伺っておりませんし、どういう問題点をどのようにいたすかということもまだ煮詰まっていないやに伺っておりますので、十分問題点を浮き彫りにいたしまして、委員が御期待のとおりにこれから鋭意努力をしてまいりたいと思う次第です。
  95. 川内博史

    川内委員 稲垣大臣、事務当局からまだ私は聞いておらぬが、上がってきたら鋭意取り組むということではなくて、沖縄を御担当される大臣として、積極的に大臣の方から、これはいつやるんだ、早くやろうと言うぐらいの意気込みでもって やっていただかないと。それは、世間の人たちは、みんなそれぞれ自分の人生があって、いろいろな悩みを抱えながら日々を送っておるわけですから、沖縄のことばかりみんな考えでいるわけじゃないですよね。そういう中で、今日、日本を支えていただいている沖縄に対して報いていくという意味では、最高の責任を持っていらっしゃるわけですから、その辺は、大臣の方から積極的に会議を呼びかけていただいて、リーダーシップを発揮していただきたいというふうに思うわけでございます。  時間もございませんけれども、次にもう一度外務大臣にお伺いをさせていただきます。  沖縄については、佐藤元総理が大変な御努力をいただいて返還を実現していただいたという経緯があるわけでございます。それで、どうしても本土におりますと、沖縄が返還された、佐藤総理は大変な御努力をされたということだけで今日に至っていて、その後若干の基地の整理縮小はあったものの、最近、新聞やテレビでもちらほら拝見するのですが、米軍が大変な面積の基地を沖縄に持っていて、沖縄はまだまだ実質的には占領されている状態じゃないかというような極端なことまでおっしゃる方がいるわけです。  そういう意見というのは、新聞、少なくとも三大紙や日経には出てこなかったと思うのですが、最近はそういう意見も出てくるようになっている。沖縄はまだまだ占領されている状況だ、このままで日本はいいのかというような論調があるわけでございます。  私もそういう感を若干抱いている者の一人として、アメリカに対して、米国に対して言うべきはしっかりと言っていくという姿勢が必要ではないか。現状では十万人体制、それはそうでしょう、しかし、十年後にはこうですよ、こうしてください、こうしましょうみたいなビジョンというものを、そろそろ米国に対してお示しをいただいた方がいいのではないかという気がするのですが、そのような点に関して、最後に外務大臣の御見解をお伺いして、質問を終えたいと思います。
  96. 池田行彦

    ○池田国務大臣 沖縄に駐留するものも含めまして、在日米軍の態勢あるいは兵員数と申しますか、レベルがどうなるか、あるいはアジア・太平洋地域の米軍のプレゼンスがどういうことになるか、これは当然のこととして国際情勢その他によって変化してくるものでございます。そしてまた、そういった国際情勢の変化に対応して、どのような軍事態勢が適切かというようなことについて日米間でいろいろ協議していこうということは、これは御承知のとおり、昨年の日米安保共同宣言にも書いておりますので、そういうふうにやってまいりたいと思います。  しかしながら、現在のアジア・太平洋地域十万人のプレゼンスというものは、国際情勢を見て、これが適切であるという判断を実は最近したばかりでございます。具体的に言いますと、昨年の十二月二日のいわゆる2プラス2でもそれは合意したばかりなのでございますね。  それを今の段階でどうだこうだ、見直せないかと言われても、それは無理でございますということを申し上げている。そして、今の時点で予見し得る比較的近い時点でどうだと言われますと、まだ我々はこういった判断を変えるような状況じゃないということでございますけれども、将来の問題としては、先ほど申しましたように、いろいろ状況を見ながら、日本としての判断も言うべきときには米側にもきちんと言ってまいりたい、こう思います。
  97. 川内博史

    川内委員 終わります。ありがとうございました。
  98. 仲村正治

    仲村委員長 古堅実吉君。
  99. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本共産党の古堅です。  長官には余りお伺いする機会がございませんし、沖縄経済振興についても大事な時期です。直接の担当でいらっしゃる大臣がどのような基本的な立場で御努力をされるかということは、これから三次振計の一層の成果を上げるというだけではなしに、沖縄の将来にもかかわってまいります。それで、基本点だけを一、二点お伺いしたいというふうに思います。  沖縄振興開発審議会は、三月二十五日に第三次沖縄振興開発計画の後期展望を発表いたしまし一た。その中で「三次振計で想定したフレームの中で産業振興に係る部分の現状は、策定後の我が国経済の長期にわたる低成長等もあり、総じて厳しい状況にある。」というふうに述べています。  一方、三次振計策定後の施策の変化として、政府側では、沖縄政策協議会や島田懇談会などの協議に基づいた各種の沖縄振興策が提案、具体化され、沖縄特別振興対策調整費も三分の二の予算が配分されました。また、沖縄県側からは、基地返還アクションプログラムや国際都市形成基本計画も発表されております。開発庁はこうした施策を三次振計とのかかわりでどのように位置づけて展開されようとされるのか、その基本点について最初にお伺いします。
  100. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 第三次振計のポストいかがかということでございますが、その前に、今委員から御指摘がありましたとおり、三次振計の後期展望ということで、私どもこの三月に沖縄振興開発審議会におきまして第三次振計の後期展望が取りまとめられたところでございます。  そこで、これをもう一度ここで申し上げますと、三次振計策定後の社会経済情勢の変化というものがいろいろとございますので、これに対しまして沖縄への影響が考えられるわけであります。また、全体としてグローバリゼーションの進展が非常に図られておるところでもあり、環境への認識というものも非常に高まっております。  また、高齢化時代や高度情報化時代の到来等についても指摘をされておりますので、三次振計後半の施策展開の方向といたしまして、経済社会の変化に対応して地域特性を生かした特色ある産業の振興を図ること。そして、国際性豊かな県民性や地域特性を生かして我が国の南の交流拠点の形成を推進する。これらを推進する上で基盤となり自立的発展を支える社会資本の整備を推進していく。沖縄の豊かで多様な自然環境の保全、継承など、環境に配慮をしていかなければならぬ。  また、離島及び圏域については、その特性を生かしつつ、交通・情報通信体系等の整備や産業の振興、また県内外の交流を積極的に進めていかなければならぬ。それから、米軍施設・区域の整理、統合、縮小に伴いまして、返還跡地の有効利用をさらに進めていくということが指摘されておるのでございます。  沖縄県の策定した国際都市形成構想については「構想の具体化の状況をみながら、引き続き国として必要な支援を行っていく必要がある。」と指摘されておるのでございます。  こういった点を踏まえて、計画の目標達成のために一層努力を進めておるところでございます。
  101. 古堅実吉

    ○古堅委員 もう一点、基本にかかわる点をお伺いします。  沖縄経済の自立的発展の基礎となる産業振興の基本は、沖縄の豊かな自然を生かした農業、漁業の発展、自然と伝統にはぐくまれた特産物や伝統工芸品に関する産業や、三次振計で戦略産業として位置づけられている観光リゾート産業等をどう発展させるかにあると考えます。  政府の提案している沖縄振興対策事業や沖縄県の国際都市形成基本計画では、どちらかというと南の交流拠点の形成の立場からの事業が多く、産業振興の基本となる農業、漁業、商工業等の発展をどのようにするかについては、率直に言って弱い感じがあると申さねばなりません。  沖縄の基幹作物であるサトウキビの生産量は、最高時の百七十七万トンの半分以下の八十万トンを割るという事態にまでなっておるのであります。  沖縄開発庁は、後期展望で「総じて厳しい状況にある。」と指摘された産業振興、とりわけ農業、漁業、商工業等の今後の発展をどのように位置づけて考えておられるか。大事な点ですので、御所見を賜りたいと思います。
  102. 牧隆壽

    ○牧政府委員 御指摘のとおり、沖縄の今後の振興開発を図る上において、産業振興を図るということはその中核をなすことであります。  とりわけ農林漁業振興につきましては、開発庁としましてこれまでやってきました施策について申しますと、まず農業基盤の整備を行う、水の確保を行う、そういう社会資本の整備を行っておりますし、また担い手の育成、あるいはソフトとしまして果樹等の振興策を行ってきております。  農業生産全体としては、復帰当時からは大きく伸びておりますが、最近は若干その伸びは鈍っております。ただ、大きく伸びたもので一つ申し上げますと、御存じのとおり花卉の生産でございまして、復帰の当時、一、二億という数字でございましたが、現在は二百億近いところまで伸びている。これは社会資本の整備に負うところはもちろんでございますが、県民の方々の大変な御努力に負うところが多いのではないか。  若干数字で申しましても、平成九年度の私ども沖縄振興開発事業費の中におきまして、農業農村整備あるいは植物防疫対策経費あるいは糖業振興費等の経費を計上いたしまして、鋭意基盤整備等に努力しているところでございます。
  103. 古堅実吉

    ○古堅委員 ありがとうございました。  次に、沖縄返還交渉における基地自由使用密約問題について外務大臣にお伺いしたいと思います。  アメリカ政府がこのほど解禁した沖縄返還交渉に関する文書、一九六九年四月三十日の国家安全保障研究メモ第五号という文書に関連して伺いますが、大臣はその文書を読んでいらっしゃいますか。
  104. 池田行彦

    ○池田国務大臣 今御指摘の件に関する報道は承知しておりますけれども、事は米国政府の内部文書に関することでございますので、その内容について我が国政府としてコメントすることは適切ではないと存じます。
  105. 古堅実吉

    ○古堅委員 解禁文書でありまして、何もアメリカの内部の問題について介入するなどというふうなことをお尋ねしているのではない。その文書を読んでおられるかということです。読んでいらっしゃいますか。
  106. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど御答弁したとおりでございます。  いずれにしても、そこに記載されておる、そしてその内容の一部にいわゆる密約があったということが報ぜられているという件については、これも従来政府が一貫して繰り返しお答えしておりますように、そういうようなものは存在しないわけでございます。
  107. 古堅実吉

    ○古堅委員 大臣、何も答えられないことを私は質問しているつもりはないのですよ。解禁文書を読んでいらっしゃるかということで、丁寧に質問をしているのです。そういうことにも答えられないとはひどいものですね。  この文書は、核密約とともに、返還後の沖縄基地の自由使用確保を返還交渉の柱に据えたものということが明瞭な文書となっております。自由使用という点でいうと、例えば沖縄についての特別の取り決めがあれば、日本政府との事前協議なしに、通常兵器による軍事作戦を進める現在の自由の一定の部分を維持することができる、現在、日本政府はこの要請にこたえる何らかの道をとる準備をしている兆候があると書いています。また、現在の朝鮮の国連軍の場合と同様に、ある特定の不測の事態の際の基地の自由使用は恐らく正当と認められるだろうとも書いてあります。  この四月三十日の国家安全保障会議は、「キッシンジャー秘録」、私はここに持ってきておりますが、この本に出ている。「キッシンジャー秘録」によれば、この国家安全保障会議の後、いよいよ沖縄交渉が発足したと書いてあります。  米国家安全保障会議が掲げた沖縄返還後の基地の自由使用要求は、アメリカ側にとっては満額回答であったというふうに考えられますが、外務大臣、どうお考えですか。
  108. 池田行彦

    ○池田国務大臣 いずれにしても、米国政府の内部文書の内容についてあれこれコメントする立場にはないわけでございますけれども、今委員がおっしゃいました自由使用ということでございますけれども沖縄に存在するものあるいは本土に存在するものを問わず、米軍の戦闘作戦行動のための基地の使用につきましては、これは安保条約上の枠組みとしましては、事前協議の対象になっておるわけでございます。そして、それに対してどういうふうにこたえるかは、具体的な事態に即して我が国の国益に立って判断するわけでございます。  そういうことでございますから、沖縄に存在する基地について、おっしゃるような自由使用というような、そういった約束があるわけではございません。
  109. 古堅実吉

    ○古堅委員 そうじゃないのですね。アメリカにとってはまさに満額回答であったというふうな立場がとられている。  六九年の佐藤・ニクソン共同声明と、佐藤首相のナショナル・プレスクラブでの演説で、日本政府はこのアメリカの要請にこたえたことが明らかであります。ですから、沖縄交渉に当たったキッシンジャー氏は「キッシンジャー秘録」で、日本が哲学的な表現ながら、韓国、台湾、ベトナムの安全保障に対する関心を表明してくれたおかげで、これら諸国の防衛のために、通常兵器の事実上の無制限使用の権利を認める旨の原則をうたいあげる方式ができあがったことになったのであるというふうに書いてあります。  ところで、外務大臣、ある国との外交関係を規律しようという場合、政府が日本の国会で表明したことだけで相手国を拘束することはできないのではないかというふうに考えますが、一般論として御意見を聞かせてください。
  110. 池田行彦

    ○池田国務大臣 一般論と申しましても、今の委員の御質疑のコンテキストの中で考えますと一般論にはならぬのじゃないかと思いますけれども、それでもあえて一般論と言われるならば、やはり具体的にどういう問題についてどういうふうな、例えば国会におけるやりとりがあったかということに即して考えなくちゃいけないのだと思います。  しかし、今委員が具体的に提起している問題との関係で申しますと、言われるような密約なんというものは何ら存在しないということを、当事者だと言われる佐藤総理自身も含めて、歴代の総理、外務大臣がずっと答弁しているわけでございますし、現に国際約束である日米安全保障条約その他をずっとごらんになりましても、どこにもそのような取り決めはないわけでございますから、国会答弁だけではなくて、全体としてごらんになりましても、御心配のようなことはないというふうに御理解賜りたいと思います。
  111. 古堅実吉

    ○古堅委員 核密約問題についても、それを裏づけるようないろいろな証言と申すべきものやら文書などもありますし、基地の自由使用問題について、今引用いたしましたアメリカの解禁文書などを含めて、日本政府が沖縄返還交渉に当たってどういう隠された交渉を続けておったのかということが次々に本当に暴露されてくるような、そういうものとなっておりまして、ただ、そういう密約はないないというふうなだけでは済まされない。日本政府が国会でどんなになかったと言っても、アメリカはその密約に基づいて、万一の場合には約束に基づいて沖縄の基地はこのようにして使えるのだという立場をとろうとしているわけですから、事は重大です。  ですから、核密約問題や基地の自由使用密約問題について、先ほどおっしゃっていましたが、事前協議があると幾らこの国会で主張しても、肝心のアメリカ政府はアメリカの希望が実現したというふうに考えているわけですから、直接これはアメリカとの外交交渉によってこういうことはなかったのだということについての決着をつけておかなくちゃいかぬ大事な問題ではないか、このようにも考えます。そのまま放置しますというと、アメリカの理解をそのまま日本政府が容認するということにもなりかねない、こういう問題でもあります。  言われているこういう問題について、核密約問題、基地自由使用問題についてアメリカ政府との間で交渉の上で決着をつける、そういうお考えはありませんか。
  112. 池田行彦

    ○池田国務大臣 決着をつけるも何も、そもそも米国との間でそういう合意も約束もないわけでございますから、今おっしゃるようなことを事改めてやる必要はないわけでございます。
  113. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきますが、実は、海上ヘリ基地問題について施設庁にお尋ねする計画でありましたが、時間の関係でそれは取り下げさせていただきます。  終わります。
  114. 仲村正治

    仲村委員長 上原康助君。
  115. 上原康助

    ○上原委員 きょうは、開発庁長官と外務大臣に多分それぞれ一問ずつお尋ねしたいと思います。  まず、先ほど来同僚委員の方からもお尋ね、御指摘があったのですが、いろいろ沖縄振興策やら基地の整理縮小、その跡利用等について、構想やら提言やら、また政府がやろうとしているプロジェクト、検討事項など出ているわけですが、私は、政府もそれなりの御努力をなさっておられること、また内閣も沖縄問題を最重要課題としてやっておるというその熱意は多としつつも、かなり懸念を持ちつつあるこのごろです。  どうも受け皿の面もなかなか進捗しない、進行しない。政府も総論ではいろいろ言っておられるのだが、依然として各省庁縦割り型の検討になっているような感がしてなりません。そこいらは政治が相当ある意味では荒っぽくというか、かなり蛮勇を振るうつもりでやっていただかないと、私は、沖縄の問題は従前どおりの議論倒れとなって、沖縄の表現で言うと、ハナシービカークワッチーシミティ、中身は何もない結果になる。それではいかないと思うのですね。  そこで、まず自由貿易地域の問題に絞ってお尋ねいたします。  私は、いろいろ沖縄の産業経済構造、地場産業のことやら農水産業ももちろん重視をしなければいかないわけですが、少なくとも二十一世紀に向けての沖縄の位置づけをもっと開放的にやっていくには、フリーポート、経済特別区の立地というものはぜひ実現しなければいかない課題だと認識をしている一人なんですね。  そこで、具体的にお尋ねしますが、これはもう既に沖縄振興策調整費の配分等を、内閣内政審議室ですか、やっている中で、産業・経済部会の国際貿易・物流基地の形成プロジェクトチームでいろいろ自由貿易地域問題も検討されているようですが、ここでは、自由貿易地域制度の拡充、地域の拡大というふうになっているのですね。一国二制度的法的整備あるいは制度の改革ということにはなっていないのですよね。これでは、官房長官なり私がかねがね提言、提起をしてきたこと、あるいは大田知事初め沖縄県が今国に求めておられるような自由貿易港、経済特区というものは期待できかねるような感じがしてならないのですよね。  そこで、皆さんいろいろ予算を計上して調査なさるというわけですが、ただ拡充強化とか今の制度を見直すという程度では、とてもじゃないがこれは期待外れになりますよ。この件について、もう一度開発庁長官なり外務大臣の御見解を端的にお聞かせください。
  116. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 お答えいたします。  今委員指摘自由貿易地域制度の拡充、または地域の拡大状況は一体どうなっているのだ、特に与党合意では、一国二制度的な大胆な改革を目指すとなっているが、一体どうなのだ、こういうことでございます。  一国二制度的発想につきましては検討すべき事項も多々ございますが、私といたしましては、沖縄が基地依存から自立した経済発展を遂げるために、中長期的観点に立って思い切った振興策を講ずるべきだと考えております。そういうような認識のもとで、自由貿易地域の拡充強化に鋭意取り組んでまいりたいと思う次第でございます。  また、これらの検討を行うための調査費四千二百万円を計上しております。できるだけ速やかにこの調査を実施をいたしまして、この沖縄政策協議会でプロジェクトチームがせっかくつくられておりますので、一刻も早くその自由貿易地域の拡充強化のあり方、またその果たすべき役割、そのために必要な機能等について検討をさらに進めてまいりたい、こう思う次第です。
  117. 上原康助

    ○上原委員 これまでの御答弁と余りかわりばえしないのですが、やはり抜本的に新しい制度をつくる、法律を立法化するということでないと、この問題はできないと思うのですね。ノービザ問題についても確かにいろいろなハンディがあるでしょう、障害があるでしょう。しかし、予算委員会で答弁なさっておった外務大臣の御見解と最近は大分後退しているような印象を受けました。それは後で聞きますから。  それで、私は連休を利用してフィリピンのスービック・ベイを見てまいりました。これは見事に軍事基地が跡利用をされておりまして、シアゾン外務大臣にもお会いしたし、ゴードン・スービック開発庁長官にも幸いお会いできて、意見交換をする機会がありましたが、条件が全然違うのですね。スービックの場合は全部国有地なのです。国が基本法をつくって、法律をつくり、予算をつくって、きちっとやっているものですから、それはうまくいくはずです。だから、あそこは沖縄の参考にはなってもまねはできない。参考にはできるが、規模も違うし条件が全然違う。  そういうことも念頭に置いて、まず大事なことは、よく言われているように、税制、税関係をどうするかということです。  向こうは原則的にあらゆる税は免除ですよ、国税、地方税。ただし、総収益に対するいわゆる事業税的なものを五%支払うということになっているわけですね。収入を上げる場合になって五%。日本事業税とは全然雲泥の差がある。その程度のことです。外国為替管理も、自由港内では自由な外国為替、金、証券及び先物の取引が認められている。これも自由。外国送金、資本引き揚げも自由。外貨勘定及び比国通貨勘定でやる。永住権も認める。関税については防護地域に限り無税というように、この自由貿易港内、経済特区内ではすべて自由なのですよね。  雇用の問題では、外国人雇用をやる場合にはいろいろ条件をつけて、労働センターというのを設けて、そこで入ってくる企業とフィリピンのスービック開発庁との調整で雇用とか労使関係というものも持していく。あるいはエコロジーセンターという面で、環境問題、生態系等々のことについても行う。  大体九つぐらいのメニューをきちっとつくって、それを法律で規制をする、あるいは自由化していくという制度なのですね。だから、今政府がやろうとしている、あるいは沖縄側もそのことについては、私はもっと具体的に提言をしなければいかないという段階だと見ております。  そこで、少なくとも沖縄の自由貿易港、経済特区というものを考えていく場合には、制度、法律を新しく立法化するなり制定化しないとできないと思うのですよね。皆さん調査をなさる中にはそういったことも構想しておられるのか、お考えになった上で進めておられるのか、この点もぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  118. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 今委員がスービックをごらんになって、あの地域は国有地である、だから非常にやりやすい、沖縄とはちょっと前提条件が違う、しかし、あの国にとりましては一国二制度というか、そのぐらい思い切ってやっているではないか、こういうことでございます。  私も、実は昨年とおととしと二回フィリピンへ参りましたときに、参考になるかなと思って参ったことはございます。  なるほどいろいろなところがてきぱきと着々と振興する姿を見ておりまして、たしか台湾の企業が一定の地域を、台湾側の方から資本当資して、土地の整備やインフラなどを思い切ってやっておるようでございました。それから、空港の整備も 着々と進んでおる。港湾は、もともと軍港でありますから、いつでも荷物が輸出入ができるというような状況下の中で、今日非常に目まぐるしい発展をしておるというところを私見てまいりまして、これは非常に参考になるなと思っております。しかし、その後、昨年からことしにかけてはまだ見に行ったことはございません。  いずれにしましても、スービックでは法人税の引き下げ等々をやっておるようでございます。お聞きいたしますと、スービック地域への進出のメリットは、資料によりますと、法人税は人件費などの営業諸経費を除いた収入の五%である。輸出入税あるいは付加価値税などその他の税金は一切免除だ。  このぐらい思い切ってやっておるわけでありますので、官房長官も大胆に思い切った一国二制度的と言っておられますので、それらの問題で、ただし特別税というような形でいくのか、あるいは法体系そのものの仕組みをどうしていくのか、その点はまだ案も出されておりませんが、私どもとしては、できるだけこの自由貿易地域、あるいはそういったような機能が十分に発揮できるように、税制面を含めてどうあるべきか等について調査をただいま行おうとしているところでございます。  いずれにしましても、沖縄開発庁としては、振興策に関する与党合意を踏まえまして、関係省庁及び沖縄県と連携をとりつつ、沖縄産業振興貿易振興のために、自由貿易の一層の拡充強化に鋭意取り組んでまいる所存であります。     〔委員長退席、白保委員長代理着席〕
  119. 上原康助

    ○上原委員 外務大臣、閣内の有力閣僚のお一人として、また自由貿易というのはやはり外交とも十分に関係するのですよね、ビザ問題、税制その他を含めて。向こうは世銀の融資を受けながらやっているわけで、そういう面からすると、外務大臣はこのことについてはどうお考えで、またどういう御協力をしようとするか、少し決意を聞かせてください。
  120. 池田行彦

    ○池田国務大臣 沖縄振興策の中で、私はいわゆるフリーゾーンといいましょうか、そういったアイデアは非常に大切だと思います。  と申しますのも、何といいましても、振興策の目指すものはいろいろございますけれども、いかに新しい雇用を創出していくかということが肝心なんだと思います。そういった場合には、経済特区とかあるいはフリーゾーンといったものをつくって、企業が立地して、事業所がどんどんできるということは非常に大切だと思います。  ただ、今スービックとの関連で言われましたけれども、こういった特別の地域をつくる場合に、一般的に言いまして、そういうものが設置される国なりその周辺の地域が、税制あるいは関税あるいは外国為替管理その他の面でいろいろな規制が多い、いわば高い壁がある中で特別の取り扱いをすると、その効果が非常に大きいんだと思います。沖縄でも、かつての貿易特区がつくられたときに、最初のころ日本も輸入関税なんかも非常に高うございましたから、それなりのメリットがあったんですが、今、その後ずっと関税が下がってまいりましたので、そういったメリットが失われているという状態がございます。そういった中で、いかにして日本の他の地域と比べてメリットを持たせるかということでいろいろ工夫してまいらなくちゃいけないと思います。  確かに、そういった観点からいいますと、税金、税制の面なんかは、そういった格差はっけやすいところだと思いますけれども、これはこれでまた、日本の税務官僚というのは大変理論武装も強うございますし、こういった財政事情でございますので、なかなかそういったことにうんと首を振らないというような面はございますけれども沖縄のこれからの振興を考えていく場合に、いわゆるフリーゾーンがいかに大切かということを真剣に考えて、政府としていろいろ有効な手だてを講じていかなくちゃいけない、こう考えている次第でございます。
  121. 上原康助

    ○上原委員 ですから、これは官僚に、役所に任せておっては私は非常に難しいと思う、その壁を乗り越えるには。内閣として決断をしてもらいたい、制度面、法律面を含めてぜひ調査の中でやっていただきたい。それは、開発庁長官、いいですね。(稲垣国務大臣「はい」と呼ぶ)いいなら答弁してくださいよ。     〔白保委員長代理退席、委員長着席〕
  122. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 今御指摘のあったように、鋭意努力をして、実現へ向けて最善の努力をいたします。
  123. 上原康助

    ○上原委員 だんだん肝心なところになると、自席ではい、はいと言っても、これは記録に残りませんからね。  あと一問。米軍基地問題で、きのう安保委員会でも取り上げたので。時間がありませんから、これも苦言になるんですが、先ほどもありました五月十四日の普天間駐留のヘリの落下物の件です。  本当にまたかという気持ちなんですね。外務大臣、せっかく原島大使も御赴任なさって、今いろいろ御苦労、努力なさっている。しかし、二日おくれる。皆さんは、劣化ウラン弾のこと、あるいはその前の那覇港沖に爆弾を不当投棄をしたときも、米軍との連絡体制を密にして、これからは遅滞なく連携をとりながらやると言っていて、今度できないわけですよ。なぜできないんですか。  これは直してもらわぬと。これは小さいことじゃないんです。こういう積み重ねが政府不信、不満になっている、きのうも申し上げた。核疑惑なんて、ここに核爆弾を持ってきて、これが核爆弾だと言わぬ限り証明にならないのかと思うほど、材料はあっても、いつもそんなものはありませんと言われてきた。なぜこうなっているんですか。  この点については、沖縄県も県民も非常に不満を持っております、せっかく大使までいるのに何でこんなことをするかということで。ですから、三者協議なり、あるいは政府と米側との連絡調整機関を機能させるような善処策を改めて求めたいと思うのですが、大臣の決意を聞きたい。
  124. 池田行彦

    ○池田国務大臣 またかというお気持ちだとおっしゃいました。私も同じでございます。  本当に沖縄の県民の皆様方のお気持ち、そうしてこの国会でもいろいろな角度からいろいろ取り上げられました。そして、何とか改善をしようといってああいった仕組みまでつくったのでございますけれども、また今回のような通報おくれがあった。やはり、仏をつくっても魂を入れなくちゃいけません。これに関係する当事者がすべて、米軍も含めて、真にこの問題の重要性を認識し、そしてきちんとした対応ができるように、今御指摘ございました三者協の活用も含めて全力を尽くしてまいります。
  125. 上原康助

    ○上原委員 ぜひ県民の期待にこたえるようにやっていただきたいと思います。  終わります。
  126. 仲村正治

    仲村委員長 吉田公一君。
  127. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 沖縄につきましては、いろいろな助成策が行われてきているわけでありますが、私ども一番心配をいたしますことは、きょうのこの沖縄特別委員会は、沖縄出身の先生方が多数おられて、本来私がいろいろ申し上げることはないんですけれども、そういう前提で質問させていただきたいと思います。  一番心配いたしておりますのは、先般も申し上げましたように、当面は、基地対策ということで国の施策が沖縄にいろいろ行われているわけでありますが、つまり補助金島みたいな形になってしまって、結論からいえば、沖縄県民の皆さん方の自立能力というものを失わせやしないか、そのことを非常に心配をするわけでございます。  一般論からいえば、我が国の農業だって、言ってみれば補助金農業とよく言われて、結局は補助金がなければ日本の農業は続かない。これは、花卉園芸、米、酪農、すべてにわたって我が国の農業は補助金で成り立っている。自立してくれといっても、そのときには自立する方法を忘れてしまって、なかなかそこから脱却することができな い。  したがって、沖縄の問題については、実は将来的にそういうことを心配をするわけでありますが、長官、この辺はそういうことにはならないというようなことでいろいろな施策を行っているのかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  128. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 今吉田議員が言われましたお気持ちは十分理解できるのでありまして、自立経済を目指すということは、正直言いまして、実は私の出身地のことを申し上げて大変恐縮でございますが、愛知県の三河湾に接した地域の小さな二万五千の町でありますが、それでも日本一のものが五つあるわけであります。  それは、若い人たちが、大学も出ていないかもしれぬが、花をつくるのに、これはカーネーションでありますけれども、一生懸命つくってもどうしても解決できない。学者に聞いたりいろいろしますと、苗そのもの、種そのものがウイルスに侵されておる、これを解決しなきゃならぬ。種屋に相談しても、そんなものはないと言うから、それじゃ、みんなしてかわりばんこに学者のところに通って研究すればいいじゃないかということで、一年ばかり通いまして、立派にメリクロンの施設自分たちの力でつくった。  たまたまその話を私も役所やなんかに相談したものですが、多少補助金はいただきましたが、自分たちのうちの納屋の上につくって、立派に今は、バイテクとかいろいろなことが言われますが、そのはしり、昭和五十三年のときに、私が一生懸命骨を折りまして、本当に高等学校を出ただけですが、みんな今や所得は、恐らく農家の人にとってびっくりするほど、四千万から一億五千万ぐらい所得を得ているんです。だから、そんな勤めに行っているのは一体何だというぐらい、非常に自信を持っております。  そういったような工夫をしていけば、私は、その点では、今、日本一のカーネーションをつくっている産地だとほらを吹いております。そのとおりであります。  でありますから、そういったようなことをみんなが研究をして、適地適作を行っていく。それで、もう補助金をもらわなくても、自分たちの力だけで、お金を出し合って、どんどん売れて、どこからも喜ばれて、今カーネーションも、その当時、最近はよくわかりませんが、とにかく十九円だったものが二十九円で売れていくというように、全くびっくりするぐらい収益が非常に高くなる。というふうに努力をすれば、まだそういう環境に合わせたことを進めていけば、必ず自立経済はなし得るものだ、そのための手助けをこれから一生懸命やってみたいと私は思うわけでございます。
  129. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 たまたま愛知県のことは成功したようでございますが、ぜひ沖縄でも愛知県同様成功させていただきたい、そう思うわけであります。  農林省が農業基盤整備ということをよく言うんですけれども、これは事務方にお尋ねしたいんですが、農業基盤整備をすることによって最終的には増産につながらなきゃ、幾ら金をつぎ込んだって、要するに行政サイドでやっているだけの話ですね。要するに、農家のためになっていない。  したがって、農業の基盤整備という言葉が──何でも整備という言葉がはやっているけれども、整備がつかなきゃ予算がつかないみたいに、あらゆることに整備がついている。整備新幹線なんて一番いい例です。何のことはない、新幹線を建設してくれという話なのに整備新幹線。海の整備なんといったって、何のことはない、セメントのテトラポッドを置くだけなのに海の整備とかなんとかいって。  本当に農業基盤整備を計画的に、そして沖縄県民のためになるような、必ず増産につながるという確信があって言っているんですか、農業基盤整備というのは。
  130. 牧隆壽

    ○牧政府委員 先ほど大臣からもお答えがありましたけれども、御指摘のように、自立につながる基盤整備でなければいけないよ、農業投資でなければいけないよというお気持ちは、沖縄産業振興を励ましていただく言葉として非常にありがたく受け取っていきたいと思いますし、私どももそういう姿勢でやっていかなきゃいけないというふうに心しているわけでございます。  実は、具体的に申しますと、宮古に地下ダムをつくっておりまして、あそこは石灰岩が何十メーターか、下が不透水層でございますから地下に水をためるというシステムでございますが、それをつくりましたときにモデル圃場を一つつくりまして、その圃場と対比しまして、サトウキビが水を必要としたときにやった場合、やらない畑とどれだけの収穫の差があるだろうかということを、私、現地の総合事務局に勤務しておりましたが、実際にやってみました。  ところが、水をやりますと六割違うわけでございます。それが、今かんがい排水施設が、復帰のときはほとんどゼロでございまして、宮古も今地下ダムをやっておりますし、本島南部は五カ所ほど国営のかんがい排水をやっておりますが、水が来ているのは石垣を含めまして一四%ぐらいでございまして、まだほとんど来ておりません。ですから、今のところは投資に見合う収穫はございませんけれども、実際にダムができ上がり、一〇〇%水が行くことになりますと、適切な営農活動をやることによって、私は、サトウキビにしても、先ほども御質問がありましたけれども、六割増収ということが可能になるのかなと。  それから、これも体験で恐縮でございますが、四、五日前、ちょっと沖縄へ行ってまいりまして、久米島に行きましたら、久米島の村長さん方が、実はあそこの海岸のところにクルマエビの施設がございまして、しみじみ言っておりましたが、これは復帰直後とか、あるいは最近したものでございますけれども、数字は何十億だったかちょっと失念しましたが、これが非常に、何十億というクルマエビを生産しております、この基盤整備のおかげですという話をしておりました。  私ども、死んだ施設にならないようなことでやりたいと思います。  長くなりまして申しわけありません。
  131. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 クルマエビだかサクラエビだかわからないんだけれども、こっちは時間がないものだから。  そこで、鉄道建設なんというのは大事な話だと思うんですが、今モノレールをつくっておられるようですが、物資の輸送、人口の移動、物流対策、そういう面から鉄道建設をするべきではないかと一般論として思っているんですが、それについて御質問をいたしたいと思います。
  132. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 沖縄県は軌道のない県でございまして、過日、都市モノレールの建設ということでその起工式に私も参りました。県民の皆さんが、いよいよ軌道という交通機関ができるんだということで大変喜んでおりまして、これも、実は道路網の整備の推進と都市モノレールの建設促進というものが盛り込まれておるのであります。  鉄道の敷設についての御提案ですが、現状においては鉄道の輸送需要の見通しが極めて厳しいということでございますので、御提案の鉄道敷設につきましては、当面の検討課題として取り上げる状況にはないものと認識しております。  いずれにしましても、沖縄開発庁といたしましては、第三次振計に盛られておる事業を着実に推進する上におきましても、今計画されておる都市モノレールの建設を早く進めて、観光あるいは通勤の利用に供するために、早く完成するように努力をしてまいりたいと思う次第です。
  133. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 外務大臣に御質問と思ったんですが、時間がございませんので次に譲らせていただきます。  どうもありがとうございました。
  134. 仲村正治

    仲村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十七分散会