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1997-02-20 第140回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十日(木曜日)     午前九時三十分開議  出席委員   委員長 仲村 正治君    理事 安倍 晋三君 理事 鈴木 宗男君    理事 中谷  元君 理事 浜田 靖一君    理事 北村 直人君 理事 白保 台一君    理事 池端 清一君 理事 古堅 実吉君       石崎  岳君    嘉数 知賢君       河井 克行君    桜田 義孝君       下地 幹郎君    新藤 義孝君       林  幹雄君    吉川 貴盛君       原口 一博君    丸谷 佳織君       三沢  淳君    鰐淵 俊之君       小平 忠正君    松本 惟子君       上原 康助君    吉田 公一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国務大臣         (沖縄開発庁長         官)      稲垣 実男君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      伊藤 康成君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         沖縄開発庁振興         局長      牧  隆壽君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         北方対策本部審         議官      川口  雄君         特別委員会第一         調査室長    清水 紀洋君     ───────────── 二月二十日  理事古堅実吉君同月十九日委員辞任につき、そ  の補欠として古堅実吉君が理事に当選した。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  沖縄振興開発特別措置法及び沖縄の復帰に伴う  特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第五号)  沖縄及び北方問題に関する件      ────◇─────
  2. 仲村正治

    仲村委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 仲村正治

    仲村委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事古堅実吉君を指名いたします。      ────◇─────
  4. 仲村正治

    仲村委員長 次に、沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めることとし、池田外務大臣武藤総務庁長官及び稲垣沖縄開発庁長官所信に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下地幹郎君。
  5. 下地幹郎

    下地委員 自由民主党を代表いたしまして、そして沖縄県民の一人として、質問をさせていただきたいと思います。きょうは、ある意味では、自由民主党の党籍でありながら、野党のような気持ち質問をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  まず最初に、今大きな問題となっている劣化ウラン弾誤射事件について、外務大臣にお伺いをしたいと思っております。  二月十八日の予算委員会におきまして、外務大臣はこのような答弁をなされている。在日米軍我が国の平和と安全を守るために劣化ウラン弾使用することもあり得る、撤去を求めるのは適当ではないと答弁をなされておりますけれども、このことに間違いありませんか、まず御答弁をいただきたいと思います。
  6. 池田行彦

    池田国務大臣 そのとおりの御答弁を申し上げました。
  7. 下地幹郎

    下地委員 沖縄県民気持ち考えると、このような答弁はするべきじゃない、私はこう思うのであります。  それは、今この劣化ウラン弾の問題、そして、昨年十二月にも那覇港の十キロ沖の米軍機による爆弾投棄事件、この二つがこの三カ月以内にあったわけです。そして、ウラン弾の問題はまだ解決もしていない、環境問題がどうなったのか、そういうふうな不安も取り除かれていないままに、ウランイコール放射能というふうな考えをお持ちの方々が多くいる中で、なぜ大臣はこのような発言をするのか、私にはちょっと感覚的に理解ができないのであります。  私は、その意味におきましても、今沖縄県の方々がしっかりとした認識を持って、国の安全保障の問題だとか、そして基地撤去政府が一生懸命に取り組んでいる、そういうふうなことをしっかりと理解していただかなければならない、そういうふうな時期に、まだ、・事件が起こって解決もしていない、目安も立っていない、そういうふうな状況の中でこういうふうな答弁をすることが果たしていいことかどうか、沖縄県民気持ちを逆なでするのではないかというふうに思っているのですけれども、その辺に関して、大臣、まず御答弁をお願いしたいと思うのです。
  8. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもは、我が国の安全を守るためとはいえ、沖縄県民方々に長きにわたり非常に大きな御負担をちょうだいしているということ、そのことにつきましては大変心苦しくも思っておりまして、安保条約目的完遂との調和を図りつつではございますけれども、でき得る限りの御負担の軽減を図ってまいりたい、そういうことで現在も全力を尽くしておるところでございます。これからもやってまいります。  そうしてまた、沖縄県民皆様方のお気持ちを大切にしなくちゃいけない、それは私ども十分承知はしておりますけれども、しかしながら、だからといってこちらが、政府としてできないことを、いや、やりますと申し上げるのは本当に誠実に対応する道なのかどうなのか、それは考えなくちゃいけないと思うのでございます。  今回の劣化ウランを含んだ徹甲焼夷弾の問題につきましても、その連絡通報のおくれについては、私どもも大変遺憾に思い、また反省するところもあるわけでございます。  また、これまでの米側調査によりまして、一応、人に対してあるいは環境に対して大きな影響を及ぼすものではないのだということは、米側から説明を受けておりますけれども、さらにそれに念を入れるために日本側としても調査をする、沖縄県の御推薦なさる方々の御参加も得て、また米 側もさらなる調査をする、こういうこともやってまいります。  しかしながら、今問題になっております御質問、そして私の答弁でございますけれども我が国の一部の施設にございます劣化ウラン弾撤去するかという問題につきましては、私どもといたしまして、国内の訓練においてはこれは使用しない、これが米軍内規でございますから、それは確保してまいりたいと思いますけれども我が国あるいは極東地域において緊急な状態ができたときに、我が国の一部施設区域に保管されているこの種爆弾使用されるという可能性は、これはあり得るわけでございますので、それがあるということを承知しながら、いや、それはそういう緊急事態になっても使わせません、あるいは、撤去いたしますとお答え申し上げるのは、事実そういうことができないのにそういうお答えをするのほかえって不誠実な対応じゃないかと考える次第でございます。
  9. 下地幹郎

    下地委員 大臣、僕は別にこのウラン弾使用をやめろとかなんとかということをアメリカに言ってくれと言っているわけじゃないのですよ。物事にはやはりタイミングというのがあると思うのです。日米安保が大事だということは、よくわかります。私どももそれをしっかりと守りながらやっていかなければいけないという感覚で政治をやらせていただいておりますから、大臣と同じ考えなことは間違いないのです。  しかし、このウラン弾の誤射事件があって、その爆弾管理がどうなるのか、そして環境問題がどうなるのか、そういうふうな問題のまだ結論も出ていないうちに、そのような答弁が適当かどうかという話をさせていただいているのです。これは冷静に考えてみる必要があると私は思うのです。  そして、きのうの沖特委員会でも、大臣所信表明で述べております。「沖縄県民方々への配慮が不十分であったと反省しております。」そして二つ目には、「政府沖縄県との間の意思疎通を一層緊密にすべく、去る十四日、原島大使沖縄担当に発令しました。」私どもはこういうふうな努力をしながら、沖縄県民気持ちを酌みながらやりたいと大臣が自分でおっしゃっているのですよ。  私はそれが大臣の本心から出ている言葉であると信じておりますけれども、そのためであったら、まず、事故再発防止、厳格な弾薬の管理日米間でしっかりとその仕組みができる、そして、鳥島地域環境調査の結果、環境に対する危険度がないことが確認され、安全の確保に万全を期すこととなりました、このような二つ論点をしっかりと県民大臣みずから示されてから、今のウラン弾管理に関しましては、日米安保条約の問題があります、在日米軍関係もあります、だから、私どもができないというか、その言える範囲と言えない範囲というものがありますよ、そういうふうな答弁だったら私どもも納得できるのです。  しかし、この前提条件一つ解決できない、前提条件一つも整わない中でそのような発言がぽんと出てくる。これが果たして大臣がおっしゃっている県民に対する配慮でしょうか。県民気持ちをきっちりと酌んで、政府県民との親密な関係をつくる、そういうふうな論点になるのでしょうか。私は、大臣が幾ら、いや、そうじゃありません、私どもはそういうふうな関係を維持していきたいのですと言っても、百二十七万県民はそう簡単なものじゃないと思いますよ。  私は、その意味におきましても、予算委員会の二月十八日にやった答弁を撤回していただいて、ウラン弾撤去に関しましては私どもは言及しません、今はまず前提条件、今の条件整備環境整備をやります、それから前向きに日米の間で協議をしていきます、その程度でいいのじゃないかと思うのですけれども、撤回してくださいよ、二月十八日の答弁
  10. 池田行彦

    池田国務大臣 予算委員会におきますこの問題に関する論議一多くの委員方々からいろいろな角度から御質問をちょうだいし、御答弁申し上げてまいりました。  そういった中で、当然のことでございますが、連絡が遅延したことに対する反省、遺憾の意、反省の意も申し上げ、そしてまた、米側において一応の調査の上で、こういうことは聞いておりますけれども、さらにそれに念を入れて、我が方、日本側としても調査を進めます、また米側にもさらなる調査を求め、米側もそれをやると申しておりますというようなことにつきましていろいろ御答弁申し上げたわけでございます。  そういった上で、劣化ウラン弾撤去という御質問がございましたので、先ほど答弁をしたわけでございます。その一連の流れの中で、私といたしましては、今委員御指摘のような、まずこういう前提を置くべきだという点については申し上げたつもりでございます。もとより、管理体制にも万全を期するということも答弁申し上げております。しかし、あの部分だけを取り上げられるとそういうふうに見えるかもしれませんが、そういう一連の中でひとつ御理解をちょうだいしたいな、こう思います。  それから、こういう時期であるから、はっきりこれは撤去米側に申し入れられるような話ではないのだということは言わずに、これからのさらなる調査などを見てからいろいろその検討をというふうな答弁の仕方をしたらどうかということをおっしゃいましたけれども、その点につきましては、先ほども申しましたけれども、事実問題としてあり得べき緊急事態における対処ということもあるわけでございますから、その撤去を申し入れるということは考えていないわけでございますから、そこのところは、いろいろございましても、正直にありのままに申し上げる方がむしろ真摯な姿勢ではないかと考える次第でございます。  そもそも今回問題になっているものにつきましても、実際にこのような劣化ウラン弾を誤って使用したということがあった、そのことが直ちに明らかにならなかったという面をつかまえておしかりをちょうだいしておるわけでございますね。そういったことも考えれば、むしろその事実をあるいはこちらの政府としてやろうとしている対応をできる限り明らかにしていくという方が私は誠実な対応だ、こう考えております。
  11. 下地幹郎

    下地委員 誠実な対応イコール理解されるということにはならないと思うのです。僕は、理解が一番必要だということをこの前の外務委員会でも大臣にもお話ししたと思うのです。僕は、十一月におきまして、この場所における外務委員会でもお話をさせていただきました。日米安保条約は大事であります、しかし、今は昔以上に沖縄県民感情というのが日米安保条約を守っていく上で大きなウエートを占めてくるのではないでしょうかというふうなお話をさせていただきました。そして、その中で、基地というものが今現在ある以上はいろいろな問題が起こる。事故は起こしたくて起こすわけではない。そういうふうに起こったときには、日米安保条約枠組みもしっかりと守らなければいけないけれども、それと同時に、県民感情はどういう方向に行っているのか、県民の不満はどこにあるのか、県民の不安はどこにあるのか、そのこともしっかりとウエートを置いて、スタンスを置いて物事に対処しなければいけないのではないでしょうか、私はそういうふうに提言をさせていただいたというふうに思うのです。  だから、今回、昨年の十二月に爆弾投棄事件があって、まだ冷めやらないうちにこうやってウラン弾の問題が起こった。投棄の問題はもう解決をいたしましたけれども、この問題はまだこれから。きようですか、環境調査の船が行かれるのは。まだそうやって調査をして結論が出ていない段階の中で、あの日米安保条約段階にとらわれただけの、範囲内にとらわれただけの、今の大臣の、これは誠実な発言です、誠実な本当気持ちですというのが、私が今言いました県民感情ウエートというものとバランス感覚が果たして合っているかどうかを聞いているのです。これはバランス感覚が合っていませんよ。枠組みを崩せと言っているわけじゃないのです。県民感情日米安保条約バランスは絶えずもう少し重視をしないと、大臣、今から沖縄で進めようとしている基地の問題が真っすぐ進みませんよ。僕はその感覚大臣に説いているのです。  だから、ぜひ二月十八日のこの答弁は訂正していただいて、しっかりとした形で環境調査をやって、日米の間でいろいろな厳格な仕組みができてからもう一回討議をするというふうな方向お話ししてください。お願いします。
  12. 池田行彦

    池田国務大臣 お気持ちは非常に大切にしなくてはいけませんけれども、一方におきまして、事実も、また今政府がとろうとしている方針もでき得る限り正直に申し上げる、これが大切なのだと思います。これを申し上げたらお気持ちを損ねるから言わずにおこうというのが、果たして本当意味での沖縄県の皆様方の御理解を得ることにつながる道でございましょうか。それが沖縄県民皆様方のお気持ちを大切にする道でございましょうか。私は、あとう限り事実を、そうして政府方針を明らかにさせていただき、そうしてお話も申し上げて御理解を得たい、こう思っております。  それで、もとより、先ほども御答弁申し上げましたけれども、現在、日本の一部の区域施設にございます劣化ウランを含んだ徹甲焼夷弾撤去しないということだけを申し上げておるわけではない。それとの関連において、まず、訓練では使用しないということが米軍内規でもございます。その内規に違反して誤って使用されたということは、これは大変遺憾なことでございますということも当然のことでございますが申し上げておりますし、申し上げます。そして、これが再発しないように、さらなる管理その他の厳正な運用というものはしなくてはいけない、これも米側にも求めておりますし、米側もそういう対応をしております。  それからまた、誤って使用されたことによる環境あるいは人体に対する影響の有無については、一応米側において調査されて、これはその危険はないのだということの説明は受けておりますけれども、念を入れて、米側にもさらに調査を求め、調査をしようとしている。それから、我が国としても、先ほど申しましたけれども沖縄県の御推薦される方々の御参加も得て、来週早々に海洋の調査をしようとしているわけでございます。そういった努力はやってまいります。進めてまいります。  それから、そもそも全体としてこの種の問題についての連絡通報体制改善というものを進めておりまして、これは遅くとも三月の末までにきちんとつくってまいります。そういった努力を全体としながら進めてまいります。  しかしながら、そういった中で、先ほどからおっしゃっております十八日の御答弁は、これは撤回しろという御主張でございますけれども、それは事実としてあるいは政府方針としてこういった劣化ウラン弾撤去を求めるというつもりはないわけでございますから、にもかかわらず、ともかくこの際はこれは一たん引っ込めておけと言われましても、それは、先ほども申しましたけれども、決して誠実な対応とは言えないのだと思います。
  13. 下地幹郎

    下地委員 今アメリカ軍に対して、この劣化ウラン弾の問題で、問題なのは、今訓練で使ってはいけないというのは決まっているのです。内規になっているのです。だけど、それが使われた。そのことに対する不安なのです。(池田国務大臣「そういうわけでやりますと言っているのです」と呼ぶ)だから、やりますではなくて、やっているのがきちっと見えなければだめなのです。やりますではなくて、環境問題の結果を出して、それから日米安保論を説くべきなのです。そうではないですか。きちっとした結果を一つずつ出してから、日米安保関係ではこうですよというのが筋ですよ。大臣は、日米安保から先に出して、まだこれの結果も出てない、こっちも結果も出てないのに、そういう答弁をするのはどうかと僕は申し上げているのです。もう一回お願いします。
  14. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほどから御答弁を申し上げておりますけれども再発防止のためのいろいろな努力はしております。米側にも当然のこととして申し入れておりまして、米側もそれに対応してさらに厳正なる管理をやってまいります、こういう答えも来ております。それからまた、念を入れての再調査、これは米側においてもやろう、それから日本側独自の調査もやろう、これも進めておるわけでございます。そういうことを進めながら、それから一方において方針はこの方針でございますと申し上げているんですが、どこかおかしゅうございましょうか。
  15. 下地幹郎

    下地委員 おかしいかと言ったって、理解ができないという話です。私は、その意味でも、この事件事故に当たってのそのときの答弁というものはもっと慎重であるべき、そして、県民感情が絶えずどこにあるかというのを考えながら答弁するということをもう少し考えられたらいいと思うのです。  この中で意見を聞いている方もいらっしゃいますし、その中でどういうふうな判断を周りの方がやられるのか、立場がおありになるからそういうふうなことは言えないと思うのですけれども、その辺のところを、沖縄問題が政府の一番の課題とするならば、私は、もう少しウエートを高くした感じで大臣がもう一回しっかりとお考えになるということを希望を申し上げたいと思います。ちょっと移らせていただきますけれども、今回、三カ月の間に大きな事故二つありました。事故が起こって、事件が起こってからやらなければいけないのは、私は二つだと思う。一つは、とにかく不安を取り除くために処理をしなければいけない。事件そのもの処理、それをまずやらなければいけない。そして、二点目には、処理が終わってこの不安定な状況解決された後、なぜこういうふうな問題が起こったのか、根本的にはどういうふうな対応をしていかなければいけないのか、そのことをしっかりとまとめ上げなければいけないというふうに私は思うのです。  今回、劣化ウランの問題と、そして那覇港沖の、十キロ沖の爆弾投棄、その二つ事件がありましたけれども、その中で、大臣が見て、今私が申し上げた事件処理、そして根本的な解決、そういうふうな二点に照らし合わせて、この事件事故共通点は何かおありになるとお考えになりますか。
  16. 池田行彦

    池田国務大臣 この二つの問題は、共通部分もございますし、また、非常に別個の面もございますから、ここだけが共通でございますと言いますとあるいは誤解を招くかもしれませんけれども、少なくとも、問題は、一つは、やはり委員もおっしゃいます問題そのもの処理でございますね。  こういった点についてどうだったかといいますと、先般の爆弾投棄の際には、事実上自衛隊そしてまた米軍共同でその捜索活動をいたしまして、何とかそれは回収することはできたわけでございますけれども、その過程におきまして、ちょうど航路に近いところでもありまして、危険が生じたということがございました。そして、そういった危険があるならば、まずそういったことを周知徹底するための警報を出さなくちゃいけないわけでございますが、その警報を出すタイミングが時間的に少しおくれがありました。だから、そういったところは反省材料だと思っております。  それからまた、全体として、米軍内におけるあるいは米軍から我が国に対する、それから我が国から沖縄県の地元に対する連絡通報、そういったところについて時間的に適切であったかどうか、もう少し早くすべきではなかったかという問題があったと思います。  それから、今回の劣化ウラン弾の問題につきましては、これは一年以上も前に起こった問題でございますけれども、そもそもその誤使用があったということが問題でございますけれども、その後連絡通報がなかったという問題、それからまた、そのおくれという問題があったと思います。  そういった意味では、連絡通報のおくれというものは、この二つの問題に共通している、こう思います。そういったことで、現在、この種の問題に ついての連絡通報システム改善という作業を急いでおるところでございます、先ほど申し上げましたが。  再度申しますと、今回の劣化ウラン弾の問題は、実はそのシステム改善しようという作業を進めている中で、米側から、実はこういうこともありましたということで出てきた。こういうことでございますので、このこと自体は非常に問題でございますけれども、しかしながら、連絡通報システム改善していこうという中で出てきた。それでまた、米軍も出してきたということは、米軍も決して逃げているわけじゃなくて、将来に向かっても改善をしていこうというその気持ち共通しているものであるというふうに御理解いただきたいと存じます。
  17. 下地幹郎

    下地委員 この二つ事件は、大臣がおっしゃるような通報の問題があります。  那覇港沖における米軍機投棄は、平成八年十二月十日、事故発生米側から外務省に第一報が入る、四時であります。十六時であります。夕刻、外務省から防衛庁海上保安庁報告防衛庁沖縄側事務レベル報告平成八年十二月十一日、米側から外務省に正確な情報が入る。海上保安庁警報を発令。平成八年十二月十三日、非公式に自衛隊調査に入るが、官邸よりの指示で戻される。それから、平成八年十二月十五日、事務次官通達を出し、協力をする。その夜、掃海艇「おおしま」「にいじま」が現場調査に入る。そして、平成八年十二月十六日、米軍掃海艇ガーディアンとパトリオットが佐世保より現場に出港する。平成八年十二月十八日、米軍掃海艇現場へ到着、処理作業をする。平成八年十二月二十二日、現場において爆弾を発見する。そして、平成八年十二月二十五日、鳥島の射爆場において爆弾処理を行う。このかかった時間が十五日間であります。  今回は、アメリカからの通報は抜きにしまして、平成九年一月十六日、米軍より報告があります。そして、一月十七日、官邸秘書官へ報告。二十日に審議官が総理へ報告。二月七日、広報計画を立てる。そして、平成九年二月十日に、午後三時に沖縄県庁へ通報する。米国から事件報告があってから二十五日間。そして、きょう、二月二十日現在、三十六日間かかっておりますけれども、まだ調査がスタートしていないというふうな状況なんです。  私は、大臣は御認識がおありなのでもうそれ以上は申しませんけれども、スピーディーな通報、そしてスピーディーな事件処理事故処理、これがやはり大事だと思うのです。まずこのことをしっかりとやらなければ、なかなか不安というものは取り除けないというふうに思うのです。  この事件事故アメリカが悪い、そういうふうな論法だけではなく、だれが悪いとかいいとか、そういうふうな問題ではなく、まず、冒頭で申し上げました住民の不安というのを取り除くことが最優先であるべきだというふうに私は思っているのです。そのことをこれから、現在沖縄にこれだけの基地が残っている現状をかいま見ますと、こういうふうな万が一の体制づくりを本当に急いでやっていただきたい、私はそういうふうに思っております。  この米軍機投棄の問題だって、早目に捜し出して処理をする。今度の問題だって、早目に爆弾の厳格な管理の方法を日米間で協議をする、それと同時に環境問題をしっかりする、この二つを早急にまず県民の前に示していただきたい。そのことが最優先だと私は思うのです。このことをシステムとして早くおつくりになるようにお願いをしたいというふうに思っております。そのことに関して、お気持ちだけひとつ。
  18. 池田行彦

    池田国務大臣 おっしゃるとおり、やってまいりたいと思います。先ほどシステム改善作業を急いでいると申しましたけれども、現在、大体そのルートは決まりましたけれども、細部の詰めがある。  それから、特にこれまでは事件事故というものについての通報連絡をということでやってまいりましたけれども、例えばそういった過程でこの劣化ウラン弾の誤使用の問題が出てまいりましたけれども、これは、これまでに出てきたようないわゆる事件とか事故というものと必ずしも同一じゃないわけでございますね。行われたのは射爆場の中でありますし、誤って使用したことによって次なる被害が起きたという問題ではございませんので。しかし、我々は、こういったものを当然連絡通報体制に乗せなくちゃいけないと思っております。これまでですと、必ずしもこれは入ってこなかったかもしれない。だから、そういったこともありますので、そういった面も含めて今検討を急いでいるところでございまして、先ほども申し上げましたけれども、遅くとも三月末までにはこれを確定して、御連絡もし、これを動かしてまいりたい、こう思っております。  そういった中で、一つ申しますと、これまで私ども外務省沖縄のお地元には人間も機関もございませんでした。それで、今回、十四日でございますが、外務省として、沖縄駐在の大使を任命させていただき、それに数名のスタッフもつけさせていただきます。  これは、そこへ行きましても、何らかの権限を持って、例えば防衛施設庁の方のようにいろいろな仕事をするあれじゃございませんけれども、しかし、実質的に沖縄県あるいは関係の市町村の方々からのいろいろな御要望やお話もお伺いさせていただきたい。それから、現場で、現地で、可能な範囲内において米軍との間のいろいろな円滑剤としての調整の役割も果たさせていただきたい、こう考えておりますし、そういったものも活用しながら、こういった連絡通報仕組みも、システムとしてきちんと決めるだけじゃなくて、現実の運用においても円滑にいくように心がけてまいりたい、こう考えております。
  19. 下地幹郎

    下地委員 今、事件事故本当に多くあって不安におののいておりますけれども、根本的には、やはり基地がどんどん整理していくことが事件事故がなくなる大きな要素なんです。だから、早急な対応と一緒に、基地がなくなる沖縄というのをつくっていかなきゃいけない、段階的に考えていかなければいけない、そのために今政府も一生懸命に取り組まれていると思うのです。基地段階的に整理縮小していくというのは、沖縄県民の祈りなんです。これは、大田知事もそうお考えでありますけれども、私ども自由民主党も、大田知事だけの特許じゃなくて、みんなが考えていることなんです。  しかし、日本を取り巻く現状、極東情勢や、そして、好き嫌いは別にして、五十一年間基地が存在した沖縄における経済の状況や雇用の問題。今度でももう六・八%の史上最高の失業率です。三万五千人の方が完全失業者。そのうちの十五歳から二十九歳までが五三%の失業率。  私は、自分の政治姿勢の中で、政治は生活を守ることだということをずっと訴えてまいりましたけれども、生活を守る観点となると、やはり雇用の問題がしっかりと、働く職場がなければ生活ができるということはないのです。そういうような私の政治哲学から言わせると、今政治がきちっと稼働していないんです。だから、これだけ失業率が多くなって、沖縄状況もそうなっているという感じなんです。  そういう意味においても、しかし沖縄基地の整理縮小、撤去を進めていく、そして、それを進めながらも失業率が上がらない、そして、経済が守れる、生活がしっかりできるという状況も両面で進めなければ、私は本当のものはできないと思うのです。  それで、大臣、この整理縮小という定義、段階的な整理縮小という定義をぜひ大臣のお考えでちょっとだけまとめ上げて御答弁をお願いしたいのです。
  20. 池田行彦

    池田国務大臣 御承知のとおり、SACOというのをつくりまして、沖縄における基地の整理、統合、縮小をできる限り現在の条件のもとで進めようと思って作業を進めてまいりました。そして、昨年の暮れにまとめました最終報告で、トータルとしてたしか五千二ヘクタールだと思いましたけ れども、現在沖縄にございます基地の二一%に相当するものを整理縮小していこう、こういう計画をつくりました。まずはこのSACOの報告をきちんと実施していく、具体化していく、これに全力を傾けてまいりたい、こう考えております。しかし、これでもう基地の整理、統合、縮小の問題は終わりだとは毛頭考えておりません。今後ともさらに基地の問題について政府としても取り組んでまいりたい、こう考えております。  それから、それを進めるためには、現在の状況の中でもと先ほど申しましたけれども、やはり我が国を取り巻く国際情勢、とりわけ安全保障環境改善を図ってまいらなくちゃいけない、こう思っております。そのためには、あらゆる面での外交努力を傾注してまいりたい、こういうことは先般の予算委員会で橋本総理もおっしゃっていただきましたけれども、そのように進めてまいりたいと思います。  ただ、現在の段階で、それならば、外交努力を傾注していって、我が国を取り巻く国際情勢が何年後にはこういうふうに改善いたしますよ、そうすれば日本にいる駐留軍の数もこうなりますよということは具体的には申し上げることはできませんけれども方向としてはそういうふうに安全保障環境改善に努めてまいりたい、こう思っております。  そして、そういうことがあれば、今後、日本にございます米軍の兵力構成も含めたいろいろな兵力のレベルについても、日米間でいろいろ協議はしていこうということでございます。この点については、従来から折に触れて申し上げておりましたけれども、昨年四月の日米首脳間の日米安保共同宣言におきましてはそのこともきちっと書いておるわけでございますし、私どもは、そういった面でも誠意を持って対応してまいりたい、こう考えております。
  21. 下地幹郎

    下地委員 私は、今定義という話をしましたけれども基地の整理縮小は県民の祈りでありますというふうなお話をさせていただきました。世界情勢が許せば、その整理縮小、そして、将来基地のない沖縄をつくりたい、沖縄全体の環境をできればつくりたいというのが県民の祈りだ。しかし、その前段として段階的な整理縮小が大事だ。  私は、段階的な整理縮小というのは四つあると思うのです。一つは、兵力がどんどん減っていく、これも基地の整理縮小につながるでしょう。二つ目には、面積がやはり小さくなっていく。そして三つ目には、基地が今あるところで危険だというものがあるならば、危険じゃないところに移していくというのも整理縮小の一つだと思うのです。四つ目には、基地が固定化をしない、そして、将来の基地に対する目安ができるというふうなことが見えることが、今動かなくても、見えることが私は整理縮小だと思うのです。そういうような観点で段階的に進めていく必要がある。  そして今、総理が沖縄基地という問題を考えて英断をなされた普天間の移設。シュワブに行く。私が言っているこの四つの整理縮小の問題に当てはめると、この普天間がシュワブに行くということが、シュワブとまだ決まっていないかもしれません、その移設をするということが四つの方向からして整理縮小であると私は自信を持っておるのですけれども、その四つに当てはめると、シュワブの問題は整理縮小ですよ、兵力の面から全部。  ちょっと御答弁をしていただきたいというふうに思います。
  22. 池田行彦

    池田国務大臣 委員、どうでございましょうか、確かに議員のおっしゃるお考え、私も共感するところがございます。さらに言えば、これは基地のあることによる県民の御負担をいかに軽減するか、そういうことだと思うのでございますね。整理、統合、縮小の一環として、例えば仮定の問題でございますが、シュワブ沖がある、これも挙げるべきかどうなのか、要するに負担を軽減するのにどうするかという観点からいえば、面積が減ることは確かに一つの要素である。  それと同時に、普天間に典型的に見られるように、人口密集地域の真ん中にある施設というものは取り除くというのは、これは本当に大きな負担の軽減であるということが言えると思います。そしてまた、その代替の施設として海上の施設を追求するということで進んでおりますのも、そういった意味ではその御負担基地の存在することによる生活上の不便、そういったものがなくなる、ある危険も少なくなるという意味負担の軽減でございましょう。  それから、また同時に、いま一つおっしゃいました要素、固定化を避けるという面から申しましても、情勢の変化によって将来その使用が必要でなくなればそれは撤去可能なものである、こういうことであるかと思いますので、委員御指摘になりましたような四つの要素はすべて、要するに基地に伴う県民皆様方負担を軽減していく方途であると考えております。
  23. 下地幹郎

    下地委員 普天間基地で、年間にヘリの発着は一万五千回であります。平均しますと一日に四十七回。そして、昭和四十七年から平成七年までの間に五十五回の墜落事故や被害がある。そして、基地から出る被害が二十七件。これだけ多くのものが起こっています。あれは人口の密集地なんです。私は、早急な対応が必要だというふうに理解をさせていただいております。  そして、もう時間がなくなってまいりましたので、開発庁長官にお伺いしたい。  今、基地の問題を大臣答弁いただきましたけれども沖縄が復興から自立の歴史がスタートする、大臣がいつもおっしゃっていることであります。そういうふうな中では、基地の整理縮小が淡々と進まなければ沖縄の自立というものは難しい、そういうようなものは大臣がいつもおっしゃっているとおりだと思うのです。そういうふうな問題でありまして、開発庁もこれから基地問題に、振興開発をやるというふうな大きな目的がある省庁でありますけれども基地を抜きにして振興開発が図られないという現状に来ている以上は、大臣ももっと基地問題に対して積極的に取り組んでいただいて、それと振興開発という両方の観点から、もっと大きな目で私は政策を進めていく必要があると思うのです。  先ほどからの論議を聞いていただいて、それで感想と、そしてこれからの沖縄基地問題と振興というものに対する御答弁をひとつお願いをしたいと思います。
  24. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 今まで切々と訴えておられました質問状況を私お聞きしまして、全く同感でありますし、沖縄県民が今次まで抱えておられるいろいろな問題が、次から次へと起こってきておる問題について大変な御留意をしておられることの気持ちを十分重く受けとめたいと思っております。  沖縄におきまする米軍施設区域をめぐる問題におきましては、委員御承知のとおり、第三次の沖縄振興開発計画におきましても、いわゆる米軍施設区域の整理縮小及び返還跡地の有効利用の重要性が指摘されておるところでございますし、私といたしましても、これからの沖縄の振興開発を進める上でぜひ解決を要する問題である、そのように重要な課題であると認識をしております。  政府としては、沖縄米軍基地問題協議会における協議を踏まえつつ、沖縄における米軍施設区域をめぐる問題の解決に向けて最大限の努力を行っていくことにしておりますし、私としましても、沖縄の振興開発に責任を持つ立場から、県民の皆さんのお気持ちを酌みながら、あるいは沖縄県のいろいろな御要望を十分踏まえながら、そして関係省庁と密接な連携をとりつつ最善の努力をしてまいりたいということを申し上げたいと思います。
  25. 下地幹郎

    下地委員 もう時間が終了いたしましたので、最後に一つだけ述べさせていただきます。  今度、五月十四日に米軍基地使用期限が切れます。その中身ですけれども答弁は必要ございません。今度三千人の方々がこの期限にかかりますけれども、そのうちの一坪反戦地主と言われる方が二千八百八十五人、九六・一%いらっしゃい ます。そのうちの千三百九十二人、四六・何%が本土の在住者であります。そして、三十六・八ヘクタールの大きな土地の中で、その二千八百人が持たれているのは〇・二ヘクタールであるということを御理解をしていただきたい。  だから、粛々と物事考える必要があるというふうなことを最後に述べさせていただき、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  26. 仲村正治

    仲村委員長 白保台一君。
  27. 白保台一

    ○白保委員 新進党の白保台一でございます。  きょうは、池田外務大臣、そして武藤総務庁長官稲垣開発庁長官の三大臣所信を受けての質疑でございますが、先ほどから大変議論があるように、劣化ウランの問題と沖縄基地の問題が大きくクローズアップされておりますし、そういった中で、外務大臣の方に勢い質問が多くなろうかと思いますが、長官にはまた後ほどお伺いいたしますので、ひとつよろしくお願いいたします。  まず最初に、外務大臣、この劣化ウランの問題については、一報を受けられてから、そういった連絡があってから公表するまでの間の経過、非常に時間がかかっていますから、この時間がかかっている状況の中で、しかも沖縄県はワシントン・タイムズから話を聞いた、こういうような状況でございます。どうしてこんな時間がかかるのか、この経過について簡単に御答弁いただけますか。
  28. 池田行彦

    池田国務大臣 連絡おくれ、二つの局面があると思います。一つは、米側から日本側への連絡の一年にわたる遅延。二つ目は、米側から私ども外務省連絡を受けましてから沖縄県に御連絡申し上げあるいは公表するまでに三週間を超える時日を要した。こういう二つの面があると思います。  まず第一点につきましては、いずれもこれは私どもはそれでよかったと思っておりません。米側からのおくれは大変遺憾なことでございますし、我々からそれを申し入れ、米側からも深い遺憾の意を繰り返し表明しております。そしてまた、私どもの、外務省が聞きましてから沖縄県への御連絡のおくれにつきましても、私ども沖縄県あるいは県民皆様方への配慮がいかにも不足しておった、ここのところは反省をしておるところでございます。  しかし、それがどうしてそうなったかという点でございますが、まず最初の方につきましては、米側の意識としては、これはいわゆる事件というよりも、射撃訓練場の中で行われた訓練の一環において、使用する爆弾の種類が米側内規で定められているルールに違反した、いわば誤使用の問題であった、そういった認識がまずあったわけでございましょう。したがって、これは必ずしも日本連絡する必要があるものかどうなのか、そこのところが当初の段階では米側の認識としてはっきりしていなかった。それでまた、一応米側としての事後処理調査その他、また、一部回収作業もしたのであるからというので推移しておった。これが一番大きなおくれの理由であったと存じます。  それで、先ほどから御説明を申し上げておりますけれども、いろいろな事件事故についての通報のおくれのケースがあったものですから、そのシステム改善しょうじゃないかという作業日米間でやってきた。そういった中で、米側としても、考えてみるとこういうのもあった、これもあるいは連絡通報の対象にすべきものかもしれないということで出してきた、こういうことでございます。ですから、最初の認識の問題が大幅なおくれにつながったと思います。そういうことでございます。  それから、我々外務省連絡を受けてからのおくれの問題でございますが、これは実は先ほど申しましたような形で出てまいりましたから、我々も、聞きまして、一体これはどういうものなのか、どういう問題なのか、実態がなかなかよく掌握できなかったということがございます。それに、いろいろな説明を求めたりあるいは資料の提供を求めたり、何度も米側とやりとりがあった、それで時間を要したというのが一つでございます。  それといま一つは、確かに迅速に対応しなくてはいけないのだけれども、これは既に一年前に起きている事故であり、今すぐに何かの対応、対処をしないとどんどんと危険が大きく広がっていくという性質のものではない、いわば一応そちらの方は固定化されているといいましょうか、そういうことであるから、むしろ事実関係をある程度正確に掌握した上において公表なりすべきものである、こういう配慮が働いたということもあったと思います。  それにしても、三週間を超える時日を要したということは、非常に、少しかかり過ぎであったなと思います。日本もお役所でございますが、米側もお役所でありますので、いわゆるレッドテープなんて言われますけれども、それぞれの中でそういうこともあったかと思います。それから、日米間のやりとり、何度も往復したということがあったと思います。  それから、さらに申しますと、これは愚痴じゃございませんけれども一つ不幸なことは、今委員が御指摘になりましたワシントン・タイムズというアメリカのメディアが事前に報じてしまった。そのことが米国あるいは日本政府もひょっとすると公表するつもりはなかったのじゃないかというような憶測を招いているところもありますけれども、そこのところは、これはぜひ御信用賜りたいのでございますが、私どもも事態をある程度掌握した上で沖縄県にも御連絡申し上げたい、そして公表もしたい、そういう段取りで進めておりました。それで、大体それが固まったというところで米側メディアの察知するところとなったというのが実態でございます。  いずれにいたしましても、このような大幅な連絡あるいは公表の遅延を来したという点については、いかにも配慮が不足しておったと反省しているところでございます。
  29. 白保台一

    ○白保委員 外務省の担当者に来てもらってお話を伺っても、今外務大臣から答弁をいただいても、大体一貫して流れておるものがあるのです。立ち上がって、こういうことがありましたということを公表して批判に耐えられるような理屈がもうでき上がって、それから表へ出てくる、こういうことですよ。だから、前回の爆弾投棄についても、内容をよく調べて、危ないとか危なくないとかそういった問題以前に、とにかくこんなことがあって立ち上がって、そのときに批判が出てくる、この批判に耐えられる理屈づくりをやっておいて、それから立ち上がってくる。だから、担当者に話を聞いても、二十分、三十分、一時間でも、ウランがこうです、あれがこうですという話をしますよ。安全です、特に問題はありません、こういうことで大丈夫です、こういう話をするのですね。だから、結局は時間がかかる。  現場においては、その周辺の人たちは生活しているわけですよ。毎日生活しているのです。ですから、危ない、あるいは何か起きたといったときには、早く教えてもらわないことにはいけない。前回の問題のときにも、システムの問題が出てきました。まずは教えてもらわなければいけない。そしてまた、それぞれ住民は対応もします。今回のこの問題についても、官邸と外務省の間でいろいろ、不快感を示したとか、こういうことが出てくるようでは危機管理がなってないんじゃないか。  そういう面では、これはシステムづくりについても大事ですが、このシステムの中で、お互いが連絡通報する関係の中でやる人の問題です。どういう感覚でやっていらっしゃるのか、この問題が一番大事です。システムをつくっても、結局は、調べ上げて、批判に耐えられるような状況になって、それから出動をしていたんじゃ何にもならないわけです。そういう面では、現場県民が生活をしているんだ。聞いていますと、鳥島では周辺には人がいませんから大丈夫ですなんということを言う人もいますが、とんでもない話で、漁民は操業をしたり、さまざまな生活の場です。そういう面をぜひ考えてもらわないといけないということを強く申し上げておきたいと思います。  そこで、この劣化ウランの誤射の問題について、 これは誤射でございましたということを非常に言うんですけれども、どうも説得力がないんですよね。先ほどの議論を見ておりましても、いよいよとなったときには使うんだ、そういうような話も出てくる。そうしますと、これは、日本にはこの弾薬はないんだ、日本では使わないんだが、使ってはいけないということはないということですか。そもそも日本にはこの弾薬はないという取り決めになっておるんですか。
  30. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども御答弁申し上げたと存じますけれども、この劣化ウランを含んだ徹甲焼夷弾は、米軍内規によりまして日本訓練場では訓練の際には使用しないということになっております。米国におきましても、数カ所の特定の訓練場に限定して使用する、それ以外では使わない、こういうことに米軍内規でなっておるわけでございます。  じゃ、日本における訓練では使わないんだから日本には存在しないのかという点でございますけれども、それは、私どもの認識はそうじゃございません。日本にございます一部の提供区域施設の中にこの爆弾は保管されている、こう考えております。これは訓練には使用いたしませんけれども我が国あるいは極東地域等におきまして緊急の事態が起きましたときには、米軍日米安保条約に基づく役割を果たすべくきちんとした対応、対処をしなくちゃなりません。その対処をするときに、いろいろな武器なりなんなり、要するに爆弾なりを使って対処するということはあるわけでございますが、そういったときに、このいわゆる劣化ウラン弾使用するという可能性も、これはあり得るというふうに承知しております。  そういったことで、訓練には使用しないけれども我が国の一部施設には保管されておる、こういうことでございます。
  31. 白保台一

    ○白保委員 これは、千五百二十発撃ったところで、これは誤射だというふうに気がついて、それでやめたということですよね。千五百二十発撃って、発射させて、その時点で気がついてやめたということですね。  それで、これはどちらのところから持ち出した弾薬ですか。
  32. 折田正樹

    ○折田政府委員 誤射をした飛行機は、岩国基地所属のAV8Bでございます。それで、アメリカ側にどこで積み込んだのかということを聞いているところでございますが、アメリカは嘉手納飛行場で積み込んだということを言っております。  この徹甲焼夷弾がそれではどこに貯蔵されるかということにつきましては、アメリカとして、それは明らかにしないのが方針であるという言い方をしております。
  33. 白保台一

    ○白保委員 誤射をしてしまう、要するにこれは完全に武器管理がいいかげんな形になっているんだろうと思うんですね。  そういう中で、どこに、どういうふうになっておるのかということは、私たちは全くわからない、知らされていない。それで、誤射をする、誤射でございました、こういうことでは県民は大変なんですよ。そこで生活しているわけですから。こういうことがよく起こり得る。誤ってやりました、後、再発防止に頑張ります、こんなことを繰り返してやっているのが現状なんです。  ですから、そういう面では、私たちは、県民は、相当激怒しているんです、今。いつも事件事故を起こして、間違えました、再発防止いたします、こういうことですり抜ける。こういうことでは、私たちはこの体制が、必ずしも期待するわけじゃないけれども、認めて、大事だと思いながらも、このような現場における大きな事件事故、これは県民の大きな怒りを買っています。こういった面の問題についても、ぜひ改善をされなきゃならないし、再び起こしてはならない。そしてまた、システムの問題もありましたけれども、私たちは強く今抗議しなきゃならない、こういうふうに思っています。  そこで、再発防止の問題です。常に再発防止という話が出てきます。ずうっと今日まで米軍事件事故が続きました。そのたびに再発防止、こういうことが言われるわけですが、再発防止についてどのような形でなされるのか。言葉としての再発防止というのは常に出てきますが、再発防止というものをどのようになされるのか、事件事故に対して、また今回の問題についても。この件について大臣の御答弁をいただきたい。
  34. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、今回の問題につきましては、それは大変な問題でございますけれども先ほど申しましたけれども、いわゆる事故とか事件というものと若干性格の違ったところがあると思います。  問題の起こりましたのは、鳥島の射撃あるいは爆撃の訓練をする訓練場の区域内でございます。そうして、そこに爆弾を投下すること自体は、これは通常の訓練として御理解をちょうだいしているところでございます。問題は、正規に行われる訓練の中で投下される爆弾が、米軍内規訓練使用しないことになっている種類の爆弾が使われたということでございます。まずこれが前提でございまして、しかし、それにしても、使ってはならない種類の爆弾が使われたということは大変遺憾なことでございまして、これは再発しないようにしなくちゃいけない、こう思っております。  その再発防止のためにいかなる手段を講じたかということでございますけれども、それは、現在保管されております。その保管の状況をきちんと厳正にすること、そしてまた、それの出入り、出し入れでございますね、それも厳正に行われること、これを確保するということがまず肝心なことでございます。  米軍におきましては、既にその措置は講じた。まず、こういうことが起こった原因をいろいろチェックしましたところ、その爆弾の表示の仕方が不十分であった、こういうふうに聞いております。それで、カタログの方と砲弾を入れている容器、その両方の表示は従来よりも明確に、これは日本で使ってはいけないものだということが明瞭にわかるように表示の仕組みを変えた、こういうふうに承知しておりまして、さらに出し入れについてのチェックも一層厳正に行うようにした、こういうふうに聞いております。  それから、なおもう一点申しますと、本件以外に誤って使用された事例がないか、これも過去にさかのぼっていろいろこの種の爆弾の出入りの記録をずっとチェックしてやりまして、これ以外には誤使用はないというふうな結論に達している、このように説明を受けておるところでございます。
  35. 白保台一

    ○白保委員 これまで何度も事件事故がありまして、そのたびに再発防止という話が出てきます。そして、そのたびにこういった方向でやっていきますということなんです。ところが、常にこういった事件事故というのは沖縄では繰り返される。  例えば、こういう同地域、同種の訓練について事故が起きた場合には訓練をさせない、そういう同じ訓練はさせない。これをきちっと主張してもらいたいんです。そうしませんと、安保条約や地位協定や、後ほど触れますが五・一五メモ、こういったものの中で、自分たちはやれるんだ、気をつけてやります、こういう手だてでやりますといって、また引き続き行う。ひどいのは、この問題の解決が済まないうちにもう既にやっているということが間々見られる。こういう問題は、同種の問題についてはもうやらせない、こういうことをきちっとしてやっていかないと再発防止につながらない、こういうふうに私は思います。  このことについて、大臣答弁をいただきたいと思います。
  36. 池田行彦

    池田国務大臣 これは、委員のおっしゃる御心配、よくわかります。  しかし、例えばこれが今回の劣化ウラン弾の誤使用の問題のケースではなくて、ほかのいわゆる典型的な事故でございますね、例えば航空機が墜落した、しかもその墜落の原因が、これまでの通常考えられるような要因ではなくて、どうもこれまでになかったような新しい原因、理由であるおそれがあるという可能性が強いなんというケース が仮定されたとします。そうした場合には、その原因について徹底的に究明され、その危険性がないということが確認されるまでは、同種の訓練も控えるべきであるということは、それはあり得るんだと思います。  しかし、今回の問題について申しますと、これは先ほどから申しましたように、訓練そのものは、認められたその区域において、認められた方法によって爆弾を投下しているわけですね。その投下された爆弾の種類が誤っておったというケースでございますので、誤った爆弾使用されないような改善措置がきちんと講じられれば、それはそれで、同じ事件の再発ということは、同一事件の再発というのは防げるんだと思います。そうして、その爆弾の誤使用可能性を排除するための厳正な管理管理方法の改善ということは、先ほど答弁申し上げましたけれども、既に米側において講ぜられているということでございますので、本件についてはそういうことだと思います。  しかし、先ほど申しましたように、いわゆる典型的な事件事故で、しかも原因がこれまでわかっていなかったけれども再発する可能性もあるし、さらに究明に時間を要するという問題については、それは委員おっしゃるようなケースもあり得るとは思いますけれども、本件はちょっとそういうケースに当たらないと思うんです。
  37. 白保台一

    ○白保委員 大臣は殊さら話が小さくなっていくんですが、事件事故が常に起こり得る、そういう状況にある。これまでもずっとあった。それで、再発防止と言いながら、それを努力しますと言いながら、常にまた引き続き事件事故が起きてくる。  だから、私たちは、そういった問題が、このウランに限らず、事件事故が起きた場合には、一定の間、あるいはまた訓練をさせない、こういう形でもって強く当たっていただかないと県民は不安で生活ができませんよ、こういうことを申し上げているんです。  それで、一つ申し上げたいことは、私の友人で、今キャンプ・ハンセンの金武町の町長をやっているのがいます、吉田さん。この人たちは、決して皆さんと同じような立場ではないんだけれども、キャンプ・ハンセンに海兵隊の隊員が沖縄の総数の三分の一いる、そして海兵隊がよく事件事故を起こす、これを怒ってばかりはいられない、現実にその場で生活しているんですから。そのために、町長、助役が中へ入っていって、隊員に対して沖縄の歴史や文化やあるいは環境の問題、人権の問題、こういったスピーチをして、隊員にいろいろな問題を教えて、お互いわかり合って、事件事故が起きないように一生懸命努力しているんです。  皆さんは協定やあるいはまた安保の建前論で物をおっしゃいますけれども、現実にその現場で生活をしている人たちは、それを認める認めないにかかわらず現実にそこで生活しているわけですから、そうやって一生懸命努力をしてやっておられる、そういうことがあるんです。ですから、ぜひそういったことについてはもっと強腰で強く当たっていただかないと、県民生活は不安です。そういう意味で、もう一回大臣の御答弁をいただきたいんです。
  38. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま委員のおっしゃいましたように、日本に駐留いたします米軍の兵士のいろいろな行動、それが地元の住民の方々に大変な御迷惑をおかけしている、場合によっては大変な危険を伴ったりする、これはあってはならないことだと思います。そういった意味で、いわゆる地位協定をめぐる問題につきましては、これまでもいろいろ改善を図ってまいりましたけれども、とりわけSACOをめぐる昨年来の作業の中で精力的に改善すべきところは改善しようという努力をしてまいりました。  そういった中で、幾つかの問題、例えば車の表示の問題であるとか任意保険の問題であるとか、幾つか改善が図られてまいりました。今後とも、そういった地位協定をめぐる問題につきましても改善を図ると同時に、駐留米軍のそれぞれの兵士の心構えの問題地元に対して御迷惑をかけないように、本当にビヘイブするように、教育が徹底するようにこれまでも米側にも繰り返し申し入れてやってきましたけれども、さらに徹底を図ってまいりたい、こう考える次第でございます。
  39. 白保台一

    ○白保委員 話を進めますが、私どもは、県民気持ちは、同種の訓練はさせない、そういう強い姿勢でぜひ外務省には当たってもらいたい、政府にやってもらいたい、こういう強い気持ちがあることを強く訴えておきます。  同時に、みんなが基地の中で非常に不安に思っていることは、五・一五メモです。合意メモです。せんだって知事と総理が会見された折に、知事から五・一五の公開について、合意メモの公開について総理にお話があったように報道されておりますが、総理は前向きである、こういうことですが、大臣、そのことについてどのように認識でしょうか。
  40. 池田行彦

    池田国務大臣 沖縄返還時に交わされましたいわゆる五・一五メモでございますが、私どもも、これをできるだけ早く、なるべくできる限りの公表ができるように今米側とその話を進めております。前向きに対応してまいる所存でございます。
  41. 白保台一

    ○白保委員 それは、時期が大体わかりますか。
  42. 折田正樹

    ○折田政府委員 私ども、なるべく早くということで米側と折衝をやるつもりでございますが、今のところ、いつというめどが立っているわけではございません。できるだけ早くということでございます。
  43. 白保台一

    ○白保委員 五十年前に米軍が占領をいたしましたそのころの沖縄状況というのは、まさに焼け野原です。焦土と化しておりました。そして、米軍が占領し、基地をつくる。その後、周辺に、ふるさとへ戻ってくる。そして、基地を中心にして町並みができていく。その後、今度は二十五年前に復帰をしました。五十年前の基地周辺の状況と、また二十五年前の基地周辺の状況と、今日の基地周辺の状況、これは全く違います。五十年前に接収したそれが二十五年前にそのまま五・一五メモで合意されて、引き継がれて今日に至っている。そういう状況であるならば、その使用目的や、何が行われたのか、そういったものが表へ出てまいりませんと、周辺の社会状況が全部変わってきた中で、五十年前や二十五年前と同じような使用のされ方をしているとこれはいけないと思うんです。無理があると思います。  したがって、私たちは、早期にこのことが表へ出されて、現状とそのものとがどういう関係になるのか、基地というのは、この基地がこのような形で使われて適当なのか不適当なのか、適切なのか不適切なのか、こういったことが五十年たった今見直されていかなければならないだろう、こう思っております。枠組み枠組みとして、現実に県民はそちらで生活をしているわけです。  せんだって、私ども新進党は、十六日、十七日、沖縄調査団を出しました。知事とも会見し、また関係市町村長ともお会いしてお話を伺いました。嘉手納町の町長に至っては、八三%も接収されて一七%の中で地域振興をやっていこうと思ってもどうにもならない、まさに閉塞状況である、こういうようなことをお話しされていました。  ですから、私たちは、こういう狭いところで大変な思いをしている住民の皆さん方のために、このことは、今基地の見直しを、本当にこれでいいのかという見直しを五十年たった今やっていかなければならないときが来ただろう、そういうふうに思います。大臣、そのことについてはどう思いますか。
  44. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもも、沖縄県民皆様方が戦争中にあのような大変な辛酸をおなめになった、そしてまた、その後長い間米軍の占領下に置かれておった、そしてさらに、本土復帰後も今日に至るまで、非常に多くの米軍基地が集中する状況の中で多大の御負担を強いられ、そしてまた苦痛を強いられておられるということに対しては、大変心苦しく思いますし、その御負担が少しでも軽減されるように努めてまいらなくてはいけないと考えております。そういったことがあればこそSACOというものをつくりまして、現在の状況の中でどれだけの基地の整理、統合、縮小が できるかということで精力的に作業を進めたわけでございます。  その最終報告が出ましたので、まずはこの最終報告を着実に実施していくことに全力を注ぎたいと思いますし、それと同時に、これで基地の問題は終わりではない、さらなる整理、統合、縮小も我が国としての重要課題でございますし、さらに、将来に向かって我が国をめぐる国際情勢が改善いたしまして、また、そういった観点から基地の問題についても格段の変化が可能になるような状況をつくる、そのために外交努力もしてまいりたい、こう考えている次第でございます。  それと同時に、先ほどからお話ございますように、地位協定をめぐる問題等々についてもあとう限りの改善措置を図ってまいりたい、こう考えております。
  45. 白保台一

    ○白保委員 大臣、どうも話がかみ合っていないみたいな感じなのですが、私は、五十年たった今、県民生活を考えたときに、基地の整理縮小の問題について、この基地が適切かどうかという問題も含めた見直しをやっていかなければいけない。ずっとお話しされましたので、これは見直しに対して賛成であるというふうに理解してよろしいですか。
  46. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもは、確かに五十年前あるいは二十五年前と比べましても、国際情勢あるいは我が国の周囲の状況も大きく変化したということは、そのとおり認識しております。しかし、現在の時点における我が国並びに周辺地域の安全保障環境その他から考えまして、やはり日米安保体制というものはこれは堅持しなければいけないし、また、それの中核をなす在日米軍の存在というものも必要である、こういう前提で物を考えております。  しかし、そういった前提に立ちましても、でき得る限りの沖縄県民方々の御負担の軽減を図らなければいけないということで努力していると申し上げた次第でございます。これは、将来に向かってはまたいろいろ、単に国際情勢の変化を待つというのではなくて、我が国としても主体的に、その変化を実現するために、いい方向への変化をもたらすための外交努力はしていこう、こういうふうに御答弁申し上げたつもりでございます。
  47. 白保台一

    ○白保委員 非常にいい答弁を聞きましたので、重ねてお聞きしますが、努力をなされるということは、沖縄基地の整理縮小をしていこうとなった場合に、兵力削減が必要なんです。海兵隊の兵力削減、これは知事も常に言っておりますし、私どももこのことを申し上げております。  今一番大事なことは、SACOで皆さん非常に努力された、努力をされたことについては評価をするわけですけれども、県内で県民の皆さん方が言っていることは、結局はたらい回しじゃないかと。整理縮小を求めました、ところが皆さんは整理、統合、縮小、こういうふうにおっしゃる。統合ではなくて整理縮小なんです。ですから、その整理縮小に向けてやっていただきたい、こう思っておりましたら、SACOで統合、こういった形になってまいりました。それについても非常な不満があるわけですね。同時に、本当に削減をしていこう、縮小をしていこうというならば、どうしても兵力の削減が一番大事です。  したがって、今度国防総省の国防見直しがありますから、それに対しても、前にも申し上げましたが、ぜひ先ほど大臣答弁のように御努力をいただきたいと思うのです、兵力削減へ向けて、日本政府として。いかがでしょうか。
  48. 池田行彦

    池田国務大臣 まず最初の、整理、統合、縮小ではなくて整理縮小で、そういうお気持ちは我々もよく承知しております。  しかしながら、現実問題といたしまして、御負担を軽減する方法としていろいろやってまいります努力の中で、どうしてもかなり関係する部隊や施設などと近さが必要であるということで統合という手法も組み込まなくてはいけなかったということは、御理解を賜りたいと思います。  それから、将来に向かっての努力の点でございますけれども、私先ほど申しましたように、将来に向かって国際情勢の変化、改善がもたらされるように努力はしてまいります。そう申しました。  ただ、今米側においていろいろ見直しをしているが、そういったときに、具体的に例えば海兵隊の問題を提起すべきではないかという点でございますけれども、そういったことを沖縄県民方々が熱望しておられるということ、また、大田知事さんもそういうようなことをおっしゃっておられることはよく承知しております。しかし、私どもは、先ほど申しましたように、現在の時点におきましては、やはり兵力構成における今日のレベルというものが、アメリカがこの地域で持っております責務、コミットメントというものを達成していく上において必要であるというふうに判断しておるわけでございます。  それから、現在の見直しというのも、いわゆるQDRのことをおっしゃっているのだと思います。四年ごとの見直しをおっしゃっているのだと思いますけれども、これも昨年の首脳会談その他でアメリカが繰り返し明確にしております。アジア・太平洋地域について在日米軍も含めて大体十万人のプレゼンス、この大前提は変わらないんだ、この基本は変わらない、その中でのいろいろな検討だということを明らかにしております、今回のQDRについては。したがって、今回は大きな変化というものは残念ながら期待できるような状況ではない、こう認識しております。
  49. 白保台一

    ○白保委員 この議論をやっていますと、政府の姿勢がそういうことですから。理解できませんけれども現場は大変な状況にあって、少しずつでも削減をして、そのことが基地の整理縮小につながることだからやっていただきたい、こういう強い訴えをしているわけです。相手がどういう姿勢であれ、外務大臣日本外務大臣ですから、少なくとも県民の声はぶつけていただきたい、こういうのがみんなの気持ちなんです。そのことをぜひわかっていただきたい。ですから、大臣、いろいろと立場を説明されましたが、現場の声はそういうものではないということを強く申し上げておきたいと思います。  時間がありませんので、もう一点。五月十四日期限切れの問題で、目前に迫っております。外務大臣、これをどのようになされようとするのか、対応をお聞きしたいと思います。
  50. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもも、何とかきちんとした使用権原の上に立って基地の提供ができるような状態をぜひ可能にしたい、このように考えておる次第でございます。現在、沖縄県の収用委員会の方の手続が進んでおるわけでございますけれども、確かに時間的に非常に厳しい状況にあるということはよく認識をしております。しかし、今後ともさらに御理解をちょうだいして、こう考えておりますし、また、沖縄県の御理解もいただきながら、何とかその期限までに適切な措置がとれるように今後とも努力してまいりたい、こういうことでございます。
  51. 白保台一

    ○白保委員 法改正等の問題についても考えておられますか。議論に出ておりますか。
  52. 池田行彦

    池田国務大臣 政府といたしましては、できる限り現在の仕組みの中で手順を踏んでいって、それを促進させていただきまして、御理解を得ながらぜひ、こう思っております。まだ、今御指摘の点につきましては最終的な結論政府として出したわけではございませんけれども、今鋭意努力をして、ともかく正常な状況の中で提供できるようにしてまいりたい、させていただきたい、こう考える次第でございます。
  53. 白保台一

    ○白保委員 政府としては、あくまでもこの期限内に何とかということですから、あえてこれ以上はお聞きしませんが、ひとつ御理解いただきたいのは、沖縄には沖縄の戦後の歴史があります。そういった中で、米軍のもとでの生活で相当な苦労をしてきた。権力というものはこういうことをやるのかというようなことで、多くの辛酸をなめてきた人たちにとってみれば、突然ルールが変わるなどということは、これについては県民が総立ちで反対していくことだって考えられます。そういった面では、まさに粛々とやるならばともかく として、ルールを変えようなどということがあってはならないということを申し上げて、私の質問を終わります。
  54. 仲村正治

    仲村委員長 上原康助君。
  55. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと予算委員会とかけ持ちでありまして、前の質問者の御質問をみんな聞いていないで重複する面もあるかと思いますが、また、新進党の鰐淵先生の御了解を得て先に質問させていただくことにしてあります。  最初に、沖縄開発庁長官にお尋ねをいたします。  本委員会に沖振法の一部改正が出ておりまして、間もなく審議もなされると思うのですが、私は、沖縄基地問題も大変難しい重要な課題であることは後ほどちょっと取り上げますが、復帰してこの五月で二十五年になりますけれども、当初目標とした格差の是正であるとか、自立経済への基盤整備であるとか、あるいは国際交流拠点としての産業構造振興というものがなかなか前進しておりません。そういうことに対しても、県民の不満、不信、本土不信というか政府不信というのが強いということはおわかりいただけると思うのですが、沖縄の産業構造を抜本的に解決していくその過程で基地問題も前進をさせるということであるならば、やはり自立に向けた国際交流の拠点づくりというものを積極化しなければいかないと思うのですね。  その意味で、自由貿易地域の問題というのは、私はぜひ実現をしていかなければならないと思うのです。既に予算委員会でも官房長官が、やってやれないことはない、蓬莱経済圏構想を打ち出しておられます。これに対して、早くも、一国二制度はだめだとか、規制がどうのこうのと官僚の物言いがついているやに聞いておるのですが、沖縄開発庁、しっかり頑張ってもらわぬといかないと思うのですね。これに対する大臣所信と、私はこれは前から言っているけれども、内閣として、政治家同士がこの問題についてはきちっと方向性を打ち出せないとだめだと思いますので、まず最初に稲垣大臣の御決意と、その問題に対するお考えを聞かせていただきたいと存じます。
  56. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 上原先生にお答えをいたします。  上原先生からも常々、沖縄に対する処置の仕方というものは、抜本的な沖縄のいわゆる構造改革をうんとやらないとこれは解決つかない。とするならばということで、過日、官房長官にも思い切った御答弁を得られたことは事実でございまして、先生はかねてから、国土庁長官時代のときに亜熱帯交流圏構想などを打ち出して、沖縄を中心として、台湾、中国を含めた交流圏の拠点として位置づけをしようという構想を大変描かれて、私も先生のその構想という偉大なものについて感服をしているところでございます。  そういったようなところを十分踏まえて、今度の自由貿易地域の拡充強化というものがさらに一歩でも二歩でも前進していくことが、沖縄の経済、いわゆる自立経済へ向けて、画期的な二十一世紀に向けての柱立てになるだろう、私は同じような考え方を持っておるところでございます。  そこで、自由貿易地域につきましては、御承知のとおり、沖縄県あるいは県の経済団体等から、税制あるいは関税面を中心とした特別措置を導入をしてほしい、あるいはまた、指定地域の拡大等による拡充強化が強く要望されておることは、よく承知しております。  そこで、自由貿易地域につきましては、御承知のとおり、昨年九月に、内閣総理大臣の談話におきましても、その拡充ということにつきまして、産業や貿易の振興について、また沖縄県とともにこれを検討することになっております。今後、沖縄政策協議会の場が設けられておりまして、議員御承知のとおり、国際貿易物流基地の形成プロジェクトチームにおきましても、いわゆる自由貿易地域の拡充強化について幅広く検討をしていこう、こういうことであります。  既に沖縄開発庁におきましても、この平成九年度に予算化をしております。いわゆる自由貿易地域についての沖縄県の要望を十分踏まえて、沖縄の産業振興、貿易振興のための沖縄に展開する自由貿易地域のあり方、そのために必要な機能等について調査を行うために四千二百万円の予算計上を行っておるところでありますので、当面、先生が言われますように、じゃ、どういうような活性化ができるんだということでございますが、先ほどお話ありましたとおり、自由貿易地域の那覇地区の活性化を図るために、平成九年度においては、工業等の用に供する機械等の特別償却制度一あるいは自由貿易地域投資損失準備金制度等の税制上の優遇措置の拡充、及び税制、関税法上の保税地域の許可手数料の軽減を行うということで、今国会に沖縄振興開発特別措置法等の一部改正案を提出しておるようなことでございますので、全然やっていないわけではございません。一歩一歩進めておるところでございますが、今後とも、関係省庁及び沖縄県と連携をとりながら自由貿易地域の充実強化に鋭意取り組んでまいりまして、先生の構想に一歩でも二歩でも近づいていくように最善の努力を尽くしてまいりたいと思う次第でございます。
  57. 上原康助

    ○上原委員 私は当事者でありませんから、これは沖縄県と沖縄開発庁、政府、政策協議会でやっていかれると思うのですが、この沖振法の一部改正、こんなものでは、とてもじゃないが県民の期待に沿えることにはならないということ。これも必要がないとは言いませんけれども。本来の自由貿易港、自由貿易地域とは何ぞやというのは、もう申し上げるまでもない。そういうことを真剣にやらないで、基地だけ押しつけているところに県民の強い不満や怒りがあるということを十分御理解をいただいて、ぜひ御努力を願いたいと存じます。  そこで、外務大臣にお尋ねしますが、私は今こういう立場ですから余り強くは言いませんけれども、二十二日に、原島大使を任命して事務所開きをしますね。全くの黒星スタートですね。これは、総務庁長官外務大臣をなさって、この委員会でしたか、歴代の外務大臣が一度も沖縄へ行っていないとは何事か、アメリカ基地問題を話すときにそんな臨場感覚もなくてできるかということを僕は野党時代から言っているのに、まだ実現していない。行くやさきになって、県民から総スカンを食った中で事務所開きをせざるを得ない。これは、私は残念ながら、戦後この方、復帰この方、復帰前後を挟んでの政府沖縄問題に対する姿勢が凝縮された形になっていると言わざるを得ないですね。  そこで、劣化ウラン問題ですが、これは誤射と言っているが、やはり私は誤射じゃないと見ているのです。ある面では劣化ウラン弾とわかって使用したかもしらぬ、いろいろ調べてみますと。一つは、どうしても納得しがたいのは、私が資料を提出してもらいたいということで資料を出してもらった。出してもらったのは、確かにこれは人の名前を書いてあるから消したかもしらぬが、一体日本政府というのは、こういう資料をアメリカから出されて了解したのですか。まずそのことから明確にしてください。本当にこれはアメリカが消したのか。あなた方がアメリカに指示したんじゃないのか、はっきりさせてください。
  58. 折田正樹

    ○折田政府委員 これは、私どもアメリカからもらったときに、そういうふうになっていたわけでございます。個人名にかかわるところでございまして、調査参加していた人の個人の名前が書いてあるところが消されているわけでございます。私どもアメリカ側に要請したとか、そういうことではなくて、資料の提供を受けたときに既にそうなっていたわけでございます。
  59. 上原康助

    ○上原委員 もしそうであるとするなら、それを了解した日本政府の態度がけしからぬと言うんだ。これは調査をした公式文書でしょう。それは外務大臣、外交努力によって正式なものを出させてください。
  60. 池田行彦

    池田国務大臣 委員のお手元にお渡ししました資料、これは今局長から答弁いたしましたように、米側から受け取りましたものをそのままの形でコピーして差し上げたものでございます。そして、抹消されているのは個人名に関するところだった、こう考えております。  米側からの提供の資料といいましても、その調査に携わった、あるいは調査にかかわる個人名に つきましては、やはりプライバシーその他の観点もございますから、それが秘匿されることはやむを得ない点もあろうかと存じます。  そして、この問題をいろいろ委員において解明していかれる中において、どうしてもその抹消された部分が支障になるのだという格段の御事情がおありになるならば、またお話しいただければと存じますけれども、ただ、一般的に、こういうふうな個人名のところを消したから、これがけしからぬということで米側に申し上げるというのはいかがかと存ずる次第でございます。
  61. 上原康助

    ○上原委員 そこが、日本政府の外交姿勢を僕は言いたいのですよ。  そうはいっているものの、あなた、しかし文書の中には、疑問とか何かもっと情報が欲しければ問い合わせてくださいと書いてあるんじゃないですか。しかし、名前は全部消している。それだけ言うからには、責任があるからそういうことをするんでしょう。私は、それは納得しません。ぜひそれは全文を公表してもらいたい、どういう人々が調査をしたかを含めて。こんなのはいずれわかることなんです。失礼ですよ、あなた。こんなものを出されて、はい、そうですかと言えますか。これが日本政府の外交の姿勢ですか。至るところ、そうなんだ。肝心なところは全部消してある。私はそういうことには、これは沖縄県も承服しがたいと言っている。  そこで、これはいつ翻訳をして、きちっとした内容として国会に提出いたしますか。
  62. 折田正樹

    ○折田政府委員 予算委員会委員から御質問がありまして、今予算委員会理事会でお話し合いになっていると承知しております。
  63. 上原康助

    ○上原委員 これは、私はそう簡単な内容ではないと見ていますよ、あなた。  では、外務省としてはこの扱いはどうなさるのですか。
  64. 折田正樹

    ○折田政府委員 かなり専門的な文書でございまして、これを全文を訳すとなると、相当程度の時間がかかるのではないか。かなり科学技術の専門的なことが書かれておりますし、その過程で、アメリカ側に一体これはどういうことなのか等々を問い合わせもする必要がありますので、全文をつくるということになりますと、かなりの時間がかかるのではないかというのが私ども考えでございます。
  65. 上原康助

    ○上原委員 大臣、専門的で中身が難しいことを書いてあるから、やはりこれはきちっとしなければいけないのですよ。これは、政府の責任において、早急に全文翻訳をして明らかにしてもらいたい。このくらいやらないといけないですよ、大臣本当に。外務大臣、お答えください。
  66. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど政府委員から答弁申し上げましたように、本件につきましては、委員御自身から予算委員会で提起されまして、今予算の理事会の方でいろいろ御協議願っていると存じますので、そちらの方でまたいろいろ考えてまいりたい、その御指示を待ちたい、こう考えております。
  67. 上原康助

    ○上原委員 これはもちろん予算の理事会等々でも私の方からも強く申し入れますが、私はこういうことで納得しろといったって、これは難しいですよ。できない。こういうことが重なると、余計不信感だけ多くなる。  そこで、この中身に、二十四、五日に日本側調査をするということですが、これははっきりお答えいただきたいのですが、なぜ沖縄本島周辺の海水とかいろいろなところをサンプリングしたのか、あるいは嘉手納基地とかトリイ・ステーションとかキャンプ・キンザーの調査もしたと書いてある。どうして、どういう因果関係があって調査をしたのか、わかっておったら答弁してください。
  68. 折田正樹

    ○折田政府委員 これも多分に専門的な話になろうかと思いますが、鳥島自体のサンプルと、それから一般的なほかの部分のサンプルをとりまして、それを比較する。鳥島以外のところのサンプルは、言ってみればバックグラウンドの資料として利用する、そういう考えに基づきまして、そういうところでサンプルをとったというふうに承知しております。
  69. 上原康助

    ○上原委員 そういった、何か全く他人事みたいなことをおっしゃっても困るのだ、これは。やはりアメリカ側は、この事故というか事件というものは相当重要視をしておった。だからこそ、あれだけの科学者を動員して調査をしているわけで、しかも、沖縄本島周辺なり東シナ海の海水についても定期的に調査をしなければいけないというふうになっている。だから、皆さんが幾ら基準より低いレベルの放射性だと言ったって、これは県民なり沖縄周辺は不安を持ちますよ、きっちりせぬと。だから、この内容というのはきちっとしてもらいたいということだ。  これは大臣、もう少し積極的におやりになる御意思はありますね。
  70. 池田行彦

    池田国務大臣 私どももこれまで米側から、米側調査によって、文字どおり委員がお示しのその資料でございますが、危険がないというふうに考えているという説明を受けておりますけれども、我々としてはそれでは十分納得できるものではないということで、米側に対してもさらなる調査を求めております。米側もそれを進めることにしております。そしてまた、我が国といたしましても、沖縄県の御協力もちょうだいしながら、独自の調査を来週早々にもしようということでやっておるわけでございます。いずれにいたしましても、さらにそういった努力を進めてまいりたいと思います。  そして、米側としては、本件全体としての報告というものをまとめて、三月末までに米側からこちらに提供させるように今調整を、話を進めておりまして、そうなりましたら、国会の方にも、またお地元の方にもそれを明らかになるようにしてまいりたい、こう思っております。
  71. 上原康助

    ○上原委員 もう時間がありませんので、最後に、三月末というのは遅すぎる、もっと前倒しで早目にやってもらいたい。  私たちがなぜ、皆さん、自民党の先生や新進党、沖縄、みんな含めてこういうことを言うかというと、これはいろいろな問題が関連してくるから言うのですよ。ある面では、どんなに県民理解と協力を求める環境づくりをしようとしたって、今の政府対応ではこれは無理ですよ。閣僚の皆さん、本当にそのことはよく御理解いただかないと。五・一五メモについて、これもぜひ。昭和五十三年の二月二十八日の沖北、この委員会で私が取り上げた。会議録があります。そのことはもう一編外務省関係者が精査をしてもらって、簡単な代物じゃいけませんよ、これは。鳥島なんかの使用条件はどうなっているのか、書いていない、これには。今回はきちっとしたものをアメリカ側に、五・一五に皆さんが日米合同委員会でアメリカ側と協定したものを、合意したものを、全容をお出しになってもらいたい。早急に出してもらいたい。できればこれは今月いっぱいぐらい。大臣、いかがですか。
  72. 池田行彦

    池田国務大臣 御承知のとおり、これまで合同委員会の議事は明らかにしないことでやってまいりましたけれども、昨年の三月二十八日の合同委員会で、自後の、それ以後の合同委員会の議事の内容は明らかにしようということで、そういうふうに進めてまいりました。同時に、過去のものにつきましても、できる限り内容を公表できるように検討を進めようということで進めてまいりました。そういったことでもございますので、その一環にもなるわけでございますから、今御指摘の五・一五メモにつきましても、極力早く、またでき得る限りの公表を実現してまいりたい、こう思います。
  73. 上原康助

    ○上原委員 時間ですから、五・一五に合意した合意内容、それから、その後アメンドメントされたもの、いわゆる修正とか訂正されたもの、使用条件が。それを含めてお出しになりますね。
  74. 池田行彦

    池田国務大臣 米側とよく調整してまいりたいと思います、御趣旨も含めながら。
  75. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  76. 仲村正治

    仲村委員長 池端清一君。
  77. 池端清一

    ○池端委員 民主党の池端清一でございます。  昨日の三大臣所信表明に関連をしまして、幾つかの問題についてお尋ねをいたします。  まず最初に、先ほど同僚議員からも御質問のあ りました沖縄米軍用地強制使用問題についてであります。  この五月十四日で国の使用期限が切れる沖縄県内の米軍用地十二施設についてでありますが、これは沖縄県の収用委員会がこの二十一日から公開審理を始める、こういうふうに承知をしております。従来の三回の裁決を見ますると、最短でも半年、裁決までには平均十カ月かかっております。この十二施設使用期限が切れる五月十四日までに終わらないということはもうはっきりしているわけなんですが、この問題について、改めて政府はどう対処するつもりか、まずお尋ねをしたいと思います。
  78. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えします。  先生今御指摘のように、私どもは収用委員会の方に申請をしておりまして、あしたの二月二十一日に第一回目の公開審理、それから三月十二日に第二回目の公開審理が決められておるところでございます。  私どもは、この収用委員会に対して今お願いしております状況は、過去の実績から見ますと、先生御指摘のように、大変厳しい状況であることは十分認識しておりますが、一方では、安保条約に基づくこういう施設区域の提供というものの重要性等につきましてもそれぞれ委員会の場で陳述させていただいて、何とか期限内に間に合うように裁決をお願いするということで今鋭意努力をしておる、こういう状況でございます。
  79. 池端清一

    ○池端委員 新聞報道によれば、防衛施設庁は県の収用委員会に、公開審理は一回で終わらせていただき、そして三月半ばまでに裁決をしていただきたい、こういうふうに申し入れたというふうに報ぜられております。私は、これは全くけしからぬ話だと思いますね、これが事実だとすれば。それは別として、今長官から話がありましたけれども、従来防衛庁は、臼井前防衛庁長官は、立法措置についても将来に向けて勉強をしっかりとさせていただきながら、前回のような、いわゆる楚辺通信所のような使用権原のない状態にならないよう全力を尽くしたいということを国会で答弁されている。衆参両院の委員会で答弁をされておる。池田外務大臣関係方々にぜひ協力をお願いをしたいという趣旨の発言をされておるわけでありますが、私はこれは法改正も視野に入れた発言だというふうに理解をするのでありますが、そういう理解に間違いはございませんか。
  80. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 現在、私ども、期限内に間に合うように収用委員会の方にお願いしておる立場でございまして、総理からも予算委員会等で再三御答弁されておりますように、あくまでもこの収用委員会の裁決が整々と行われることを今お願いしておる段階でございます。  もちろん、従来から私ども、現在の法手続等につきましては、それを誠実に執行する立場にございます。しかしながら、現在の法律制度そのものについてどういうような問題点があろうかというようなことについては従来から幅広ぐ勉強させていただいておりますが、現段階では、あくまでも裁決が間に合うように、期限内に裁決いただけるようにお願いをしておるという姿勢に変わりはございません。
  81. 池端清一

    ○池端委員 二月十三日の梶山官房長官の記者会見で、どんなことがあっても失権状態をつくらないようにする、法改正について最小限のことも考慮に入れなければならないかもしれない、こういう発言をされたというふうに承知をしております。これは各紙新聞報道等されております。これは明らかに法改正も視野に入れた発言ではないか、こういうふうに思います。  あわせて、それを裏づけるように、各紙報道では、まず第一に、二月下旬に六カ月間の緊急使用を県収用委員会に申し立てるとともに、第二に、期限内に緊急使用の許可の見通しが立たない場合は、遅くとも四月中に駐留軍用地特別措置法を改正して、県収用委員会が審理中の土地については継続使用を認めるという趣旨の規定を同法の附則に追加をする、こういう二段構え、いや、きょうあたりの新聞によると、緊急使用申し立てというものは省いて法改正一本で行くというような報道もされておるわけであります。この官房長官の発言、そしてそれを裏打ちするような新聞報道、これはどういうふうに理解をすればいいのですか。事実ですか。
  82. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 そういう報道がされていることは私ども承知しておりますが、先ほど答弁申し上げていますように、第一回目の公開審理が明日開かれるわけでございまして、そこで私ども初めて起業者側としての陳述といいますか、そういう説明をさせていただくのがあしたでございます。それから、三月十二日に二回目という予定が既に組まれておりまして、私どもは、そういう期限内に裁決がいただけるようにいろいろな御説明をして、何とか間に合わせていただきたいという立場でございまして、今先生御指摘のようなことについていろいろ報道はされておりますが、現段階で、あくまでも期限内に裁決いただけるように心からお願いする、こういう姿勢でございます。
  83. 池端清一

    ○池端委員 きょうの新聞報道にもありました、先ほど同僚議員も指摘されておりましたが、試合の途中でルールを変えるなんて法治国家のすることかという報道があったわけであります。私はまさにそのとおりだと思うのです。県収用委員会の裁決が間に合わないからといって、一方的に法律を改正する、そしてその効力を延長するというのならば、これは法治国家とは言えないのではないかと思います。  今、長官言われました五月十四日、まだ三カ月期間があるわけです。したがって、政府の任務は、強権的な法改正によるのではなくて、あくまでも沖縄県との話し合いによる問題解決に努めるべきだ、打開に努力すべきだ、精いっぱいそのことの努力をお願いをしたい、こう思うのであります。  屋良朝苗さんがお亡くなりになりまして、きのう葬儀があったわけでありますが、私もかつては教職員でありまして、教員でありまして私の教職員としての大先輩でもありました、選挙で選ばれた初の琉球政府の主席でありましたし、復帰後初の知事でございました屋良朝苗さんが常々口にされておったことは、基地は諸悪の根源である、こういうふうに言われておったというふうにお聞きをしておるわけであります。  いつも言われておりますように、沖縄米軍基地というのは、戦後間もなく銃剣とブルドーザーによって強制的に接収された。そういう原点というものをやはりきちっと踏まえる、この基本的な矛盾をきちっと押さえて、これに目をつぶるような対応をしてはだめだということを私は申し上げておきたいと思うのであります。ことしは本土復帰二十五年という節目の年であります。それだけに、この問題の対応については本当に大事にやっていただきたい、このことを強く申し上げておきたいと思います。  次に、県道百四号線、一〇四号線越え実弾射撃訓練の分散実施の問題についてであります。  いわゆる三事案の一つでございました県道一〇四号越えの実弾砲撃演習の移転といいますか廃止の問題については、いろいろな経緯があったわけでありますけれども、昨年の八月二十九日の日米合同委員会におきまして、北海道の矢臼別を初めとする全国五カ所の演習場で分散実施することが合意をされたわけでございます。この合意に基づいて、現在、防衛施設庁は関係自治体との話し合い、理解と協力を求めるための話し合いを行っておるようでありますが、この折衝の状況、これは一体今日どうなっているか、その現状についてお聞かせをいただきたいと思います。
  84. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  今先生御指摘のように、私ども、本土の五つの演習場、具体的には矢臼別演習場、王城寺原演習場、北富士及び東富士演習場、日出生台演習場、この五カ所において訓練の分散実施を行いたいということで、昨年八月以降、関係の自治体等に御説明をしておるところでございます。  現段階では、一部の自治体からは御理解をいただいておりまして進んでおるところでございますが、他の大方の自治体といいますか、そういうと ころではまだ地元事情というのが非常に厳しい状況にございまして、私ども、まだ受け入れ容認というのを五つの演習場すべてからいただいているわけではございません。  しかしながら、平成九年度以降は何とか本土の五つの演習場で実施できるように現在私ども全力を挙げて取り組んでおる、こういう状況でございます。これからも、この実施に向けて、私ども、演習場関連の関係自治体等の皆さんに対しては今総力を挙げてお願いをしておりまして、何とかこの三月いっぱいぐらいにめどを立て、九年度からの移転ができるように今努力をさせていただいておる、こういう状況でございます。
  85. 池端清一

    ○池端委員 今、諸冨長官は、一、二の自治体からの御理解はいただいておる、こうおっしゃいました。一、二の自治体というのはどこの自治体を指すのか、具体的に固有名詞を挙げていただきたいと思います。
  86. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 固有名詞ということですので、はっきり申し上げるという段階では本当はないかもしれませんが、北海道の別海町の町議会におきましては、いわゆる移転の受け入れ容認決議をいただいております。そしてさらに、別海の町長さんからは、受け入れについて差し支えないということの御返事はいただいております。  ただ、矢白別演習場もほかに関連する町が二町ございまして、こちらの町長さんからは、一応現段階では、国の政策ということで実施することについてはあくまでも反対であるが、実施そのものについてはやむを得ないというようないわゆる確認といいますか、そういうことを今いただいておるという段階でございます。  あと、報道等によりますと、北富士演習場にかかわります山中湖の村長さんからは、個人的な御意見かとも思われますが、受け入れについての理解を示していただいておる、こういう状況でございます。
  87. 池端清一

    ○池端委員 今、北海道矢臼別演習場の問題について長官から御答弁がありました。確かに、別海町の議会は、昨年の十二月十八日に受け入れという決議をいたしております。そのことは事実でありますけれども、しかし、関連する厚岸町、浜中町では依然反対の態度は崩していない、私どもはそのように承知しておりますし、北海道庁としてもその二つの町のこういう方針を了解をしておる、こういうふうに聞いているわけでございます。私は、そういうことで、三月中に結論を出したいという長官の発言でございますけれども、三月までに結論を出すことは極めて至難のわざではないか、こういうふうに考えているわけでございます。  私ども、別に安保条約を反対する立場ではありません。これは肯定いたしますし、沖縄の痛みを国民全体で分かち合おうという立場も持っているわけであります。しかし、関係自治体の同意なしに強行するというようなことがもし起これば、これは沖縄の二の舞ではないか。やはり関係自治体の皆さん方の意見をよく聞く、同意、理解と納得、これが前提とならなければならないというふうに考えるわけであります。今後ともそういう姿勢で臨むということ、これを確認してよろしゅうございますか。
  88. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 現在のところ、私どもそれこそ総力を挙げて三月中に地元の御理解をいただけるべく努力をしておるところでございまして、当然、そういう理解を得ながら、九年度以降の移動といいますか、訓練の実施が整々と行われるように今後とも努力を続けさせていただきたいというふうに私ども考えておるところでございます。
  89. 池端清一

    ○池端委員 では、次の問題ですが、先ほども御指摘ありましたけれども劣化ウラン弾の誤射事件の問題について、これはもう既に予算委員会等でも取り上げられておりますので、時間の関係もありますから、ごく簡単にいたしたいと思うのです。  地元の新聞によりますと、劣化ウランを含む徹甲焼夷弾を誤って使用したということについては一年余も過ぎて初めてわかった、こう言われますが、これは初めてわかったのじゃなくてそれが露見をしたのだ、露見したと言うべきであるという報道もなされております。私も、実にこれは遺憾な問題である。このウランという重大な問題に加えて、二重の通報おくれ、そして事件隠し、これは許しがたい行為である、こういうふうに私は言わざるを得ないと思っておるわけであります。  大田知事は、事件事故は次々と起こってきている、全く異常としか言いようがない、海兵隊は米国に帰ってもらうしかない、沖縄をまだ占領下のように思っているのではないか、こういうふうに語気を強めて述べたと言われております。この怒りは、沖縄県民すべて共通の怒りである、こういうふうに思うわけであります。いや、県民のみならず、我々国民の怒りである、こういうふうに思っておるわけであります。  そこで、二月十四日、沖縄県議会が劣化ウランを含有する徹甲焼夷弾発射に関する抗議決議というものを全会一致で上げられた。五項目の要求事項がありますけれども、この五項目の要求事項についてどういうふうに評価をされ、またどう対処されようとしているのか。これについてお尋ねをしたいと思います。
  90. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま委員御指摘の二月十四日の沖縄県議会の意見書につきましては、去る十七日に、私、直接沖縄県議会の代表の方からこの意見書を受け取りました。  それで、五項目についてどのように考えているかという点でございますが、まず第一に、劣化ウランの含有する徹甲焼夷弾撤去、こういう問題につきましては、先ほど別の議員からの御質疑にもお答え申し上げましたけれども、この種の弾丸が我が国施設区域の一部に保管されているというのは事実でございますし、これは我が国が武力攻撃を受けるといったような緊急事態において米軍使用するということはあり得るということでございますので、その点については御理解をちょうだいしたいと考える次第でございます。  今回のように、この種の砲弾を使用しないということとされている訓練における使用はいたしませんけれども緊急事態における使用可能性はあり得るわけでございますので、したがって、撤去ということは、残念ながら政府としてわかりましたと申し上げるわけにはいかないということを県議会の代表の方にも御説明させていただきました。     〔委員長退席、白保委員長代理着席〕  それから二つ目の、管理体制の強化、また事故原因の調査、公表という点でございますが、この点につきましては、先ほど来御説明も申し上げておりますけれども、従来から一応きちんとした管理の規則はあったのだ、こういうことを米軍は言っておるのでございますけれども、しかし、現実問題としてこういった誤使用が起こったわけでございますから、さらにルール、管理の基準であるとか規則の徹底的な見直し、そして、それをきちんと実行していくということを我が方から求めまして、米側もそのような改善措置を講じた、そして二度と誤使用が生じないように厳重な管理をしていく、このような米側からの回答にも接している次第でございます。我が方は、さらにその点は、米側のその対応を今後ともよく見守ってまいりたい、こう思っております。  それから、第三点が早期回収及び環境調査の実施ということでございますが、この点につきましては、米側もさらなる調査、そして回収の努力をしようということにしておりますし、それからまた、日本側におきましても、別途、沖縄県の御協力もちょうだいしながら、政府関係機関が協力して、一緒になりまして、来週早々調査をしよう、こう考えている次第でございます。  それから、第四点が通報体制の強化の点でございますが、文字どおりこれが一番肝心なところで、これは作業を進めておりまして、その過程で今回の問題も出てきたわけでございますので、これは遅くとも三月末までにきちんとした結論を出して実行していくようにしたい、こう考えている次第でございます。  それから、そのほかに、これ以外に公表されていない事件事故があるのじゃないか、その辺も明らかにしろという点でございますが、この点に つきましては、私ども事件事故通報体制を一層整備しようということで作業を進めているわけでございますが、それでまたこんな問題が出ましたので、同様なことがあるのじゃないかというので、我が方からも随分米側にもそれをただしました。米側としても、過去の記録その他を徹底的にチェックいたしまして、同様の事件、問題はこれ以外には起こっていない、こういう結論が出てきている次第でございますが、今後ともいろいろ努力してまいりたいと思います。  なお、この件以外に、過去に起こった航空機の事故等で五件ほどまだ最終的な報告が来ていないものがございますが、こういったものにつきましても、今米国といろいろ話を進めておりまして、まとまり次第、順次公表してまいりたい、こう考えている次第でございます。
  91. 池端清一

    ○池端委員 昨年十二月、日米間で合意をされました特別行動委員会、SACOの最終報告では、この問題に関連して、「全ての主要な事故につき、日本政府及び適当な地方公共団体の職員に対して適時の通報が確保されるようあらゆる努力が払われる。」そういうことで合意を見ているわけであります。  その合意をしたことがすぐ無視をされているということは、これは全く私は遺憾なことだと思いますし、これは日本政府の弱腰、こういうものに対する県民の怒りというものが増幅しているということは私もわかるわけでございますので、こういうことのないように毅然とした態度でこれからも対応していただきたいということを強く申し上げておきます。  次に、稲垣沖縄開発庁長官に一、二お尋ねをいたします。  沖縄の振興開発に対しては、現在、政府沖縄政策協議会を設置をして、いろいろ検討されておるようであります。そこでお尋ねをしたいのは、沖縄県が昨年の十一月に明らかにいたしました国際都市形成構想、二十一世紀に向けた沖縄のグランドデザインという構想、これはおおむね二十年後を構想した沖縄のビジョンであり、平和、共生、自立を基本理念とする二十一世紀に向けた沖縄の新しいグランドデザインとして国際都市沖縄の実現を目指すものである、こういうふうに言われておりますが、この構想について開発庁はどういうふうに評価をされておりますか。
  92. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 池端議員の今の御質問に対しましてお答えを申し上げたいと思います。  御指摘のいわゆる国際都市形成構想ということでございますが、沖縄の歴史、文化、自然環境等の特性を生かした多面的な国際交流を進めることによりまして、いわゆる自立的発展を図るとともに、アジア・太平洋地域の平和と持続的発展に寄与する地域の形成を目指した二十一世紀に向けた沖縄のグランドデザインとして、沖縄県の願いを込めて策定された構想であると承知しております。  国際都市形成構想は、昨年十一月に沖縄政策協議会で提示されまして、現在、同協議会におきまして、沖縄県の提案と関係省庁との提案を中心といたしまして沖縄の振興策に関する検討が行われておるところでございまして、沖縄開発庁としましては、沖縄政策協議会に設置されました十のすべてのプロジェクトチームに積極的に加わりまして、関係省庁及び沖縄県と密接な連携をとりながら、空港、港湾等の社会資本の整備や自由貿易地域の拡充等、必要な支援を行ってまいりたいと存じておる次第でございます。
  93. 池端清一

    ○池端委員 時間があと五分だということでございますので、まだまだ稲垣長官にお聞きしたいのでありますが、武藤長官にもお尋ねすることがございますので……。  北方四島との交流事業と北方領土墓参の問題について、一、二お聞きしたいと思います。  北方四島とのビザなし交流が実現をしまして、過去五年間に三千六百二十二名の人が相互訪問をいたしております。その結果、相互理解が進み、友好が深まる、非常に成果が上がっておるわけでございますが、ただ、現状では、交流できる人は、北方領土の元居住者、返還運動の関係者、報道関係者、この三つに制約をされているわけですね。ぜひこの制約を取っ払って、もっともっと訪問できる人の枠を広げてもらいたい、こういう要望が非常に強いわけでございますが、これについてどういうふうにお考えか。  それから、戦後五十年が経過をしまして、元島民の皆さんも、引き揚げのときには一万七千人おられたわけでありますが、現在約九千五百人、高齢化が進んでおります。せめて生きているうちに島の土を踏みたい、もう一度踏みたい、墓参りをしたいという希望者が依然として非常に多いわけであります。  ところが、交通手段は、長官も御案内のように、三百五十トンという非常に小さな船でございまして、渡航手段について改善を望む、もっと大型の船を使えないものか、こういう声も非常に大きいわけでありますので、この二点についてどういうふうなお考えか、お聞きをしたいと思います。     〔白保委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 御指摘の交流の拡大ということでございますが、私も率直に言って、もっと多くの方々が交流ができるとより相互理解が深まるという意味においてはぜひお願いを申し上げたいと思っております。  残念ながら、今のところは、不法占拠とはいいながらロシアの支配下にある現状でございまして、昨年秋に行われました日ロ外相会談でもこの問題を取り上げていただきまして、交流枠の拡大ということにおいては合意を得、外交ルートを通じてこれからその具体的な方向において詰めていく、こういうことに決めていただいているようでございますから、これは外務省にもお願いをして、できるだけ外交ルートを通じて交流枠の拡大になるようにお願いをしたい。  私どもの方は、そこで合意がなされれば、交流の拡大についてはどんな方向でも結構でございますが、とにかくより多くの方が交流をしていけるようにしていくようになれば大変ありがたいと思っております。  いま一つの御指摘の点は、墓参をぜひしたい、あるいはまた、もっと向こうへ行きたいという方々、今のように三百何トンというような船ではとてもじゃないがという御指摘で、そのとおりだと思います。平成九年度は、水産庁にお願いをして、何か水産大学校にある二千トンの船を今度は提供していただけるようでございますから、従来よりは少し規模が大きくなると思うのでございますけれども、これで十分かといえば必ずしも十分ではないと思います。  今御指摘のように、大型船で行ければ大変いいことで、ちょうど私もこの間、青少年の船で、大阪商船三井船舶から今青年の船の方は提供を受けておるわけでございまして、ちょうどその結団式と申しますか、私もそのときちょうど社長にもお目にかかりましたので、北方領土の方に行くときにはもう少しそういう船も使えないだろうかと言ったら、喜んで提供しますという話で、そこまではよかったのでございますが、どうも私もまだ認識が不十分でございまして、事務当局に聞きますと、向こうの港湾設備が不十分だ。結局、大きな船で行ってみても接岸するところがない。だから、結果的には、何か沖合ではしけに乗りかえて行かなきゃいけない。となると、割合あの周辺の海域は、私もこの間参りましたけれども、そんなに平穏な海域でもございません。その辺の安全という問題をどうしていくかという問題もあるわけでございます。  交流の枠の拡大に伴いまして、その辺のところは本当に真剣に考えて、何かそうすれば、向こうでその辺の港湾施設を整備するのにも、これは我々の固有の領土であり、そういうところに余り経済協力をするのはどうかというような話もありますし、一方においては、やはりあの地域の振興ということに日本が協力したらいいんじゃないかということも議論されておるわけでございますから、例えばこういうような問題は日本にとってもいいわけでございますから、港湾の設備というものに向こうがぜひ思い切って協力をしてくれというときには、これも考えるというのも一考ではな いかと私は考えております。  いずれにいたしましても、より多くの方々が交流に行くこと、そして、それもなるべく大きい船で行くこととなれば、港湾設備をいかに充実していくかというところが一つのポイントではなかろうかと考え、私はなるべく前向きにそういうことを進めていけるように努力をしていきたいと思っております。
  95. 池端清一

    ○池端委員 昨日の所信表明でも、池田外務大臣は「さらなる努力を重層的かつ多面的な形で傾けていく」とおっしゃっておりますので、一層の御努力をお願いをしたいと思います。  時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  96. 仲村正治

  97. 古堅実吉

    古堅委員 沖縄は、この通常国会開会中の五月十五日に祖国復帰二十五周年を迎えます。復帰前後に行政主席や県知事の要職にあられた屋良朝苗氏が二月十四日にお亡くなりになり、きのうはその告別式でありました。私も参列してまいりました。五千三百人が参列されたと報道されています。  屋良さんは、こよなくふるさと沖縄を愛し、屈辱的な米軍基地が際限なく県民に被害をもたらし、あらゆる困難をもたらし続けている状況をとらえて、基地は諸悪の根元だと言われたものであります。屋良さんがその実現のために頑張られたすべての米軍基地がなくなった平和なふるさとを見ることなく他界されたことは、まことに残念であります。  私は、戦後の沖縄の苦難な闘いをともにしてきた一人として、先生に対する最大の御供養は、日本国憲法のもとで、核も基地もない、演習の被害もない平和なふるさと沖縄を一日も早く取り戻すために奮闘することだと考え、その思いを込めて本日も質問させていただきます。  沖縄の施政権返還に伴ういわゆる五・一五メモについて質問します。  政府は、これまで五・一五メモについてその全容を明らかにすることを拒み続けてまいりました。しかし、米軍基地被害から一日たりとも逃れることのできない沖縄県民にとっては、この五・一五メモは深刻なかかわりのある問題です。それなのに、いまだに施設の大半については使用条件さえ公表されておりません。  今回の劣化ウラン弾発射事件を契機に、当然の  ことながら改めてその全面公表の県民世論が高まっております。  ところで、先ほど来、できる限り公表ができるように前向きに努力したいと述べておられますが、部分的な公表について考えておる、いまだにそういう程度のものかなというふうに思いながら聞いておりました。いかがですか。
  98. 池田行彦

    池田国務大臣 この問題につきましては、先ほど来繰り返し御答弁申し上げておりますけれども、できるだけ早く、そしてできる限りの内容を公表できるように進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  99. 古堅実吉

    古堅委員 五・一五メモは、これまで県道一〇四号線を封鎖しての実弾演習や、キャンプ・シュワブ内でのハリアー機訓練、北部訓練場内のダムでの湖上訓練などを実施した際、提供施設内での米軍の行動を正当化する主張の根拠として言われてきました。沖縄県民にはその全容が知らされない五・一五メモが、基地被害をまき散らす米軍からは、その権利の根拠とされる。しかし、そんなことがあっていいのか。率直な県民気持ちです。県民が怒るのも当然ではありませんか。  ところで、使用条件がいまだに公表されていない鳥島射爆場は、五・一五メモではどうなっておりますか。
  100. 折田正樹

    ○折田政府委員 鳥島も含めまして、合同委員会合意の中身をできる限り公表するようアメリカ側と調整してまいります。
  101. 古堅実吉

    古堅委員 鳥島については公表できないということについての日米間の合意があって、いまだに公表されてないということなのですか。
  102. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど局長が御答弁申し上げましたのは、鳥島も含めて公表できるように今その努力をしておる、こういうことでございます。
  103. 古堅実吉

    古堅委員 改めて確認いたしますが、五・一五メモはなぜ国民、県民に全容を公表することができないのですか。
  104. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもはこれを公表することに前向きに今取り組んでいるところでございますので、そういうことで御理解いただきたいと思います。
  105. 古堅実吉

    古堅委員 大臣質問に答えてください。  復帰後二十五周年を迎えます。これまでこの国会においても、また沖縄県当局その他の場にあっても、どれだけ数多くの方々がこの問題を重視し、五・一五メモを公表しろ、こういうことを言い続けてきたか。それなのに、部分的な公表らしいものを、しかし公表そのものではなく概要を知らせるなどという部分的なものはありましたが、公表を避けてきたんです。なぜ公表ができないのかということについて説明してください。
  106. 池田行彦

    池田国務大臣 確かに、従来は五・一五メモだけではなくて、合同委員会の議事の内容につきましては公表しないという原則のもとに、ずっと日米間で合同委員会の協議が行われてきたわけでございます。それで、確かにそういう時代におきましては、国会等でお求めがございましたときに事柄を絞って明らかにしていく、こういうプラクティスがあった、こう思っております。  しかしながら、委員も御承知だと思いますけれども、昨年の三月二十八日の日米合同委員会において、自今合同委員会の内容も公表するようにしよう、そういうふうにルールを与えまして、それ以後の日米合同委員会の議論の内容あるいはその決定の内容については公表されてきております。その典型的な例が、例えばSACOの報告などでございます。そして、その際に、あわせて不公表の原則で運営されていた過去の合同委員会についても、できるものは公表するように検討していこうということも合意されておりまして、そういう作業を今進めているところでございます。  そういったものの一環として、五・一五メモについても、これは公表できるのではないか、すべきではないかということで、また、今回このような御議論がございましたので、過去のいろいろな、ほかにも対象があるわけでございますが、五・一五メモをまず優先的に取り上げて、そういうものを公表に向かっての努力をしよう、こうしているわけでございます。
  107. 古堅実吉

    古堅委員 政府はこれまでも、国民生活に密接な関連があり、それについて公表する必要がある場合には、アメリカの了解を得てその概要を公表するというふうなことを答弁してまいっています。国民生活に密接な関連があり、それを公表する必要がある場合と言うけれども、どういう基準でだれが判断するのか、それを明らかにしてください。沖縄は密接な関連があると考えているからこそ、その全容の公表を要求し続けておるのです。
  108. 池田行彦

    池田国務大臣 確かにそういうふうな御答弁を申し上げたようなことがありますけれども、それは、先ほど答弁申し上げました昨年の三月二十八日の合同委員会決定に至るまでの従前の合同委員会の運営ルールあるいはプラクティスの状況下での御答弁でございまして、現在、我々はさらにそこから進んで、原則として公開するということで昨年来の合同委員会をやっているわけでございますし、さらに、この五・一五メモのような過去のものにつきましても、いろいろ調整して、公表できるものはしていこうという作業を進めている、こういうことでございます。
  109. 古堅実吉

    古堅委員 一九七八年五月に、当時の米軍五十一施設のうち二十二施設について、一部が公表されたことがございます。しかし、その内容は基地使用条件の概要をまとめたもので、五・一五メモそのものではありませんでした。肝心かなめの部分を除くような文書をつくっても県民は納得いたしません。  今おっしゃられる公表に向けて努力をしているというその内容は、かつてのそういうものではなしに、五二五メモそのものを全容を公表する、そういう立場で検討しているということなんです ね。念を押してお伺いします。
  110. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど来何度も繰り返して申し上げておりますけれども、合同委員会そのもののルールなりプラクティスは変えたわけでございます。そして、我々もこういった問題についての公表に対する姿勢というものを基本的に変えておるわけでございます。  それで、委員はその過去のプラクティスだとか過去の姿勢を前提にあれこれ今ただされるわけでございますけれども、我々はもうそういった時代のそういったレベルというものを超えた世界でこの問題に対応しているというふうに御理解いただきたい。  そして、先ほどからほかの委員の御質問にも繰り返し御答弁申し上げておりますし、委員御自身の御質問にもさきの方で御答弁申し上げましたけれども、現在、私どもとしては、できるだけ早く、できる限りの内容のものを公表できるようにしようと前向きに取り組んでいるところでございます。
  111. 古堅実吉

    古堅委員 できるだけ早く、できるだけの内容を、そういう説明が繰り返し言われておるのですが、ということは、全容を公表するという立場には立っていないということですか。
  112. 池田行彦

    池田国務大臣 要するにまだ作業の最中でございますから、だからこうだということで断定的には申し上げられませんけれども、基本的に私どもはどういうふうな姿勢で取り組んでいるかということは御理解いただけると思うのでございます。  私はよくわからないのは、お伺いしておりますと、委員はどうして、なぜ、政府があたかも、なるべく公表する範囲は少ないんだ、少ないんだという答弁を引き出そうと考えておられる、そんな感じもするわけでございますけれども、私どもは、できる限りのことをしようと努力しているということをひとつ御理解いただきたいと思います。
  113. 古堅実吉

    古堅委員 質問にお答えください。  全容を公表する、そういうおつもりですか。しかし、全容は公表できないだろうから、アメリカといろいろと話し合いをし、できるだけ多く公表しようと考えておる、そういう御説明なんですか。どっちなんですか。
  114. 池田行彦

    池田国務大臣 だから、先ほど来、委員は何となく政府は狭い限定された立場をとっておるんだろうという前提でいろいろおっしゃっているようでございますけれども、私は、そうじゃないんだ、過去のプラクティスもルールも、そして姿勢も変わったんだ、なるべく広くということで現在はやっているんだ、そういう前提に立って今取り組んでおるんだと申し上げているわけでございまして、ただ、それが具体的に一言一句すべてになるのかどうかというところは、それは今の段階では申し上げられない、こういうことでございます。
  115. 古堅実吉

    古堅委員 念を押して改めてお伺いします。  政府としては、五・一五メモについて公表できない内容はない、そうお考えですか。
  116. 池田行彦

    池田国務大臣 できる限り広く、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  117. 古堅実吉

    古堅委員 五・一五メモの中にはまだ公表できない部分もあるというふうな判断ですか。
  118. 池田行彦

    池田国務大臣 文字どおり、アメリカ側ともこれは相談しなくちゃいかぬわけでございます、合同委員会での話でございますから。だから、そういうことでこれははなから話をしているわけでございますから、しかし、基本的にできる限りの公表を行っていく、そういう立場で、そういう姿勢でやっておるんだと申し上げておるのでございますから、寄りそう性急にならずに、しばらくお待ちくださいませ。
  119. 古堅実吉

    古堅委員 怒りたいのは沖縄県民、国民の立場ですよ。こういう二十五年にもわたる間要求し続けている五・一五メモの公表もせぬ、アメリカの立場に立ってその公表を拒否してきた、そういうものに対して、沖縄県民の側から、国民の立場に立って、怒りを込めて、抗議を含めて追及し質問するのは当たり前ではありませんか。外務省アメリカの出先機関でもありますまい、下請機関でもありますまい。主人公は国民です。アメリカのために、全容を公表するということもここで言えない。質問してもまともに答えようともされない。こんな態度が許されてはならぬと考えるからこそ、沖縄県民も怒りを込めて、改めてあの鳥島射爆場との関係においても五・一五メモは全容を公表しろ、このように強い要求をしておるのです。  ところで、十七日の橋本首相と大田知事との会談では、五・一五メモの公表について政府が前向きに取り組むというふうな話し合いもされたようで、外務省防衛庁作業を指示したということが報道されています。具体的にどういう指示がなされておるんですか。
  120. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど来申し上げますように、我々としましては、過去の、つまり昨年の三月以前の合同委員会のものについても、公表できるものはなるべく公表していこうということで作業を進めてまいりました。五・一五メモもいわばその対象になるものでございます。  しかし、今こういったことで五・一五メモの公表を優先すべきだというお話が、状況が出てまいりました。そして、さらに具体的に十七日の会談の席で大田知事からも橋本総理にお話があり、橋本総理も、そういった状況を踏まえまして、それじゃ五・一五メモの公開というものを前向きに検討いたしましょうという答弁をされまして、こういうことだから作業を進めるようにという御指示が我が方に、外務省並びに防衛庁にありました。  それを受けまして、我々も当初から、先ほども言いましたように、こういった作業を進めておったわけでございますが、ともかくこの五・一五メモをほかの案件に先立って最優先に、しかもなるべく早くということで今話を進めておるところでございます。
  121. 古堅実吉

    古堅委員 大田知事は、五・一五メモの全容を公表しろというふうな要請の話だっただろうというふうに思います。その知事の要請というのは、沖縄県民の願いを込めたそういう公的な立場のものですから、県民の意思だと踏まえて、その全容を公表するという立場でアメリカとも話し合いをする、そのようにお約束できますか。
  122. 池田行彦

    池田国務大臣 五・一五メモを公表するようにという知事のお求めを、御要望を総理は前向きに検討する、こういうふうにおっしゃり、そういったことを踏まえて作業を進めるように我々は指示を受けているわけでございます。  また同時に、私どもといたしましても、先ほど来何度も申しますように、そういった過去の合同委員会の内容についてもできる限り公表していこうという姿勢でこれまでも相談してまいりましたので、これは急いで公表に持っていきたい、こういうことでアメリカとやっておる、こういうことでございます。
  123. 古堅実吉

    古堅委員 もう時間が参りましたから終わりますが、恩納通信所が返還されるということになりましたが、その恩納通信所について返還が決まって後、PCBなどが基準値をはるかに上回るような状態になっておるということで、その調査を改めてしなくちゃいかぬような事態になっています。その使用条件などについても明らかにされないままでした。そういうことですから、過去におけるもの、何か条件がもう変わったということでそのものについては公表しなくてもいいというふうな立場ではなしに、復帰の時点における五一五メモを全容公表し、その後、使用条件などについて変わった部分についても、変わった部分がわかるような、そういう意味合いにおいて全面的な公表をするように強く要求して、終わります。
  124. 仲村正治

    仲村委員長 鰐淵俊之君。
  125. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 余り時間がないものですから、本当にアウトラインの御質問になろうかと思いますが、今委員会でいろいろ沖縄問題の御質疑がございましたように、非常に大事な問題だと思いますので、これはまた政府の御努力も切にお願いをしたいと思っております。  さて、私は、実は今度は北の方の問題でございます。  私自身は釧路というところに住んでおりますので、根室には一年に数回参るわけでございますが、羅臼などに行きますと、国後が目前にございまし て、本当にあの島が私どもの固有の領土であると認識しつつも、ロシアの監視船が走っているところを見ますと、やはり残念な思いをいたしているわけでございます。  このたびの通常国会の総理大臣の施政方針あるいはまた池田大臣の演説をお聞きしますと、いわば東京宣言をもととして粘り強く交渉したい、それからまた、この委員会等におきましても、その内容等につきましても、その決意の披瀝があるわけでございます。  この領土という問題は、国家国民の主権にかかわる最も根幹の問題だと私は思っているわけでございます。したがって、これは難しい問題であるがために、戦後五十年を経た今日でもなおなかなか解決のめどといいましょうか、それが立っておらないということが現実でございます。  しかし、この北方領土解決のためには、三つ、四つの方法があるんじゃないか。一つは、何といっても外交だと思います。二つ目は、その外交を強力たらしめるための援護射撃としての国内の世論の喚起、盛り上がり。それからその次は、国際的な世論といいましょうか、いわゆる国連を中心にあるいはまた日本の国と友好を結んでいる国々のバックアップを受ける、こういうようなことが必要ではないか、このように思っているわけでございます。  私もかつて釧路の市長を長くやっておりましたので、根室の市長さんとはいつも一緒になるわけでございますが、根室の市長さんが全国いろいろ北方領土の問題で駆けめぐっておるわけでありますが、政府も確かに努力をされていると思っております。政府広報あるいはまた総理府等でもいろいろな形で努力されておることを承知をいたしておりますが、なかなかこれがまた国民的世論としての盛り上がりに欠ける面がある。根室の市長もくしくも言っておりましたが、この北方領土の問題を言いますと、これは根室の問題だ、あんた、大変だねと言われると言うんですね。しかし、これは日本の問題であって、一根室の問題ではない、こういうように思うわけでございます。  そこで、私はやはり強力な外交というものがなければならないと思うんですが、特に、外務大臣におかれましては、この披瀝の中にありますとおり、東京宣言に基づいて粘り強く交渉をしていくんだ、このように言われておるわけですが、外交上の問題ですので、いろいろ言えること言えないことがあると思いますが、この問題に今後どうアプローチしていくのかということでぜひひとつお話をいただきたいと思うんです。
  126. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国固有の領土である北方四島の返還といった国民の悲願を実現するために、本当に我々外交の面で全力をかけなくてはいけませんが、そのほかにも、委員御指摘のように、国民の皆様方の御支援、そしてまた国際社会における理解と支持というものも大切だと思います。  さらに申しますならば、四つ目の要素といたしまして、私は、ロシア自身におけるあるいはロシアの国民の中におけるこの問題の正確な理解、これが広まるということも肝要ではないか、こう考えている次第でございます。  さて、外交の面でどのようにこれから進めていくつもりかということでございますが、領土をめぐる問題でございますから、非常に難しゅうはございます。しかし、少なくとも東京宣言の中でも明らかになっておりますように、ロシアも、この四島について領土問題の争いがある、このことは明白に認めておるわけでございますね、この島の名前まで明記しながら。そういった前提に立って、我が方は歴史的なあるいは国際法上のいろいろな論点からの我が国の主張の正当性をロシアに迫ってまいりたいと思います。  それから、先ほど申しましたロシアの国民の理解を得るためにというので、これは数年前でございますが、いろいろな歴史的な資料その他について日ロが突き合わせを行いまして、日ロ両国語におけるそういった文書を刊行しております、客観的な資料を。それをロシアの国内でも配布したわけでございますけれども、その後の時間的な経過もございますから、さらにこれの増補改訂というものも行い、さらなるロシア国内での、もちろん日本でもそうでございますけれども、頒布ということも考えてまいりたい、こう思っている次第でございます。  それから、外交交渉の方では、主張してまいるといいましても、ロシア側は日本とは少し違った主張を、立場を明らかにしておるわけでございますね。ただ、それがそう簡単に向こうが引き下がるとは思いません。  しかし、我々といたしましては、何とか話し合いを進めていきたい。この帰属の問題を話すと同時に、こういった帰属の問題がスムーズに話し合われるような環境も整備しなくてはいけないというので、そちらの方も努力していこうということで、今私とプリマコフ外相の間でも何度も話し合っておりますし、また外交ルートでも全力を傾注しているところでございます。  これはなかなか難しゅうございまして、やはりこちらの国内の事情もございますが、ロシアの方もいろいろあるんだと思います。日本側の主張とぶつかり合う中で、ロシアは従来の立場に何らかの変化をもたらそう、変更をしようと思いますならば、やはりそれを国内的に納得せしめるだけの政治的な力あるいは政治的な安定度ということも必要なんでございましょう。そんなことも見ながら粘り強く取り組んでまいる所存でございます。
  127. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大臣お話は大体わかるわけでございますが、私も国会図書館の力をちょっとかりまして、幕末時代の北方領土の経緯についてずっと調べさせていただきました。時間がないわけですから、これは一々披瀝できませんが、時には二島返還論が出てみたり、あるいはまた、時には全く領土は解決済みとけんもほろろの時期もございましたし、あるいはまた今のように、東京宣言のように、領土というか、そういうことについての問題は存在する、こういうこともございます。  しかし、エリツィンさんも今ちょっと健康不安というような状況もございますし、あるいは北方領土も、たび重なる地震災害等におきまして相当社会的なインフラが壊れているということで、大変島民が不安だということも聞き伝えに私聞いておるわけでございまして、世論調査の動向などを伺っても、日本と領土問題について何とか少しでも協力していくような方向はないのかという方たちが大分ふえておる、世論調査の中でも。  そんなようなお話も聞くわけでございますので、やはりこの北方領土は何としてもまず外交面で、それぞれ外相会談とかその他の外交交渉があるわけでありますが、その中の一つ部分としてお話しするということもそれは大事だと思いますけれども、北方領土解決という問題が主力になった外交交渉というものがあってもいいのではないか、私はそのように考えるのですが、いかがでしょう。
  128. 池田行彦

    池田国務大臣 もとより、私ども、日ロ間の外交において最大の課題は、この北方領土の問題であると考えております。だから、それを何とか進展させ解決へ近づけるために、半歩でも一歩でも近づけるために、そのほかの面での日ロ関係もいろいろ考えていくわけでございます。  そういったことで、例えば、先般、昨年の十一月でございましたか、プリマコフ外務大臣日本に来られまして外相会談を持ちましたときに、先方から共同経済行動というアイデアが出てまいりました。これは具体的な内容が余り詰まっているものではございません。仮置きみたいな形で向こうが話し出した問題でございますので、余り詰めた精緻な議論は行うに至っておりませんけれども、そういった中でも、北方領土の問題についていずれ考えなければいかぬのは事実だけれども、例えば共同経済行動なんというのは、領土をどうするかというその帰属の問題を棚上げしたり、あるいはそれに代替するものであってはいけない。そのことはきちんと申し上げながら、しかし、一方においてこの帰属の問題を話し合う環境がよくなるための一助になるという観点から具体的なものが出されるならば、それを検討してみるにはやぶさ かではない、こういうふうなことを申し上げている次第でございます。  それから、そのほかの問題につきましても、例えば極東地域のいろいろな経済面での開発に対して我が国はどういうふうに協力していくかという問題なんかも、それが効果として北方領土問題の解決に向かって何らかのいい効果をもたらす、例えばロシアの国民の、とりわけ極東地域におる住民のいろいろな気持ちの上で、場合によっては利害も含めた気持ちの上での変化を兆すということもあり得るのかなとか、いろいろそういったことも考えながら対応してまいりたいと思っております。
  129. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 余り時間がないので論を詰められないんですが、私自身もこの北方領土の問題で、ヨーロッパ、それからイギリスの王立外交の研究所ですか、あるいはアメリカの国連代表部、シャーマン大使だと思いましたが、行ってこの問題をお話ししますと、かなり理解をしていただくわけでありますが、ソビエトは、今のロシアは、御案内のとおり、かなり国境の紛争やらあるいは領土問題で複数の国といろいろあるようでございます。したがって、そういった国々や国連を中心として日本の主張についてバックアップしていただく、今後、こういうような活動をぜひしていただきたい、このようにお願いを申し上げておきたいと思います。  せっかく武藤長官いらしておりますので、総理府の、特にこの北方領土問題につきましていろいろ御苦労していただいておるわけでありますが、北方基金も百億というお金を積んでおりますが、御案内のとおり、利息が相当安くなって果実が少ないということから、一市三町、四町ですかで使うためには非常に額が少なくなってきております。そういう意味では、各市町村の方でも、せっかくの基金でありますけれども、なかなかこれを有効に活用することが難しいような状況一つあります。  それからもう一つは、総理府でいろいろ協会等を通じまして世論の喚起をやっておられると思うわけですが、北方領土の日も、過日、大臣と御一緒させていただきましたが、あのようにいろいろな行事はやるのでございますが、国民的な世論の盛り上げということになりますと、もう一つ盛り上がりがないのではないかな。  例えば、かつて沖縄返還のときも、沖縄の返還なくして戦後の解決はない、こういうことで佐藤総理のお話がありましたように、あのときは世論が二分するほどの騒然とした空気ではございましたけれども一つの領土問題を解決していくということになりますと、国内の世論が相当な盛り上がりを見せなければなかなか外交を進めていく援護射撃にならないと思うわけであります。  私は、実は学校の教科書も随分調べました。小学校の四年生の社会の下の方で北方領土に記述しておりまして、教科書も半ページにわたるもの、また半ページの四分の一くらいで終わるものといろいろありますが、あの程度だけでは、これは文部大臣がおられませんので、これは長官のあれではないのですが、なかなか今の戦後世代のジェネレーションでは、北方領土という問題が、はっきり日本の主権として、日本の固有の領土としての意識づけというものがまだまだ希薄ではないか、こういう感じがします。  それから、領対でもいろいろなものをつくって各都道府県にやっているようでありますが、これも聞きますと、一学校にせいぜい二十冊程度というようなことでございますから、ある学校によっては、そのまま積んでおかれますとほとんどこの問題について勉強する機会がない、あるいは学習する機会がない。こういうことになりまして、総理府といたしましても、ぜひ世論喚起のために具体的な手を打っていただきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  130. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 本当に残念ながら、私自身もこの北方領土の返還問題の国民運動というのが、以前と比べると何か風化してきたというか、マンネリ化してきたというのか、特に若い方々にはある程度関心がどうも少ないように感じております。大変遺憾に思っておるわけでございます。  幸い、今外務大臣からお話がありましたが、これは外務省のことでございますが、私自身がおととしてございましたか、ガイダルがロシアの選択という政党をつくりましたときに、その結党大会にお招きをいただいてあいさつをさせていただきました。その席で余り私は申し上げませんでしたけれども、その後、大統領候補の何人かの方とお目にかかりまして、レベジさんみたいな人には会わなかったのですが、我々に理解のある大統領候補には結構会いました。その一人は、明らかにこれは日本のものである、早く返すべきであるということをはっきり言ってくれておった人もあります。  ですから、今外務大臣から答弁がありましたように、これから本当に粘り強くやっていただければまたいい方向が生まれてくるのではないかと思っておりますが、そこで、今お話しのとおりで、日本の国内がもっと盛り上がっていかなければならないというのは当然のことだと思います。  沖縄との御比較がございましたが、沖縄の場合にはたくさんの我々の同胞が住んでおるところをああいう形で占領下にあったということ、北方領土の方は残念ながらみんなこちらへ引き揚げさせられてしまっているということ、その辺がやはり国民運動として残念ながらなかなか盛り上がってこないものがあると思うのでございます。  それからもう一つは、やはり五十年という長い歴史の中で何となく忘れられがちになってきたということがあると思いまして、我々としては、そこを何とか直さなければいけないわけでございます。  特に、若い方々にこれからできるだけ御理解いただかなければいけないということで、ことしの夏には、もう御承知かと思いますが、根室市へ全国の中学校の代表に来ていただいて、旧島民の皆様方の話を聞いていただいたりいたしながら、弁論会みたいなものもやったらどうだろうかということも計画をいたしておりますし、今教材の話もございましたが、四島の交流のビデオができておりますので、そのビデオを全国の中学校に配布をして、できるだけ教材に使っていただきたいということをこの平成九年度ではお願いしようと思っております。  地道な運動かと思いますけれども、そういう積み重ねをして何とかもう少し国民運動が若い人たちの中に盛り上がっていくように、その辺に重点を置いて努力をしていきたいと思っているわけでございます。
  131. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 時間もなくなりましたが、ただいまこの委員会でも池端委員からお話がございましたように、旧島民の方もだんだん少なくなってまいりまして、高齢化しております。戦後もう五十年を過ぎておりますから、二十年に生まれた方でももう五十二歳、やがて孫ができるという時代になってまいりました。そうしますと、どうも世代がだんだんたっていきますと、北方領土という問題は、本当日本の固有の領土で、日本の主権にかかわる大切な問題だという認識がだんだん薄れていくということに私は非常に危惧を持っているわけでございます。  そういう意味で、一層国内外の世論喚起、それから強力な外交を発揮していただきまして、少しでもこの北方領土問題が解決に迫れるような御努力をお願いしたいということを申し述べまして、質問を終わらせていただきます。
  132. 仲村正治

    仲村委員長 吉田公一君。
  133. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 持ち時間が十分しかございませんので、質問そのものがしり切れトンボになる可能性がありますが、あらかじめ御了承いただきたいと思います。  もう既に御承知のとおり、我が国にあります米軍基地は九十二基地施設でありますが、そのうち三十八基地施設沖縄にあるわけでございます。そのこと自体がまず基本的に問題になっているわけでございまして、沖縄県民の皆さん方にとってみれば、何で沖縄基地が集中しているのだろ う、歴史的なことも踏まえてそう思っておられるだろう、こう思うのですね。  したがって、我が国にとって日米安保条約というのは最も大切な条約であり、安全保障だけではなくて経済保障の面も日米安保条約の中にはうたわれているわけでありますから、そういう意味では、一つの県の責任に帰するということ自体がまさに改めていかなければならない、私はそう思っております。  したがって、その三十八基地施設を、このたびは普天間基地の返還ということになりましたが、しかし、せっかく返還しても同じ沖縄本島に同じような機能を持った基地をつくらなければいかぬなんということになれば、地名は普天間基地の返還とはなっていますけれども沖縄全体として見れば普天間基地の返還ということにはならないだろう、こう思うのですね。  私ども伺っている中では、この際、海兵隊をハワイへ移駐させたらどうだ、ハワイも海兵隊の移駐を望んでいるというようなことを伺っておりますが、そういう点についていかがでございますか。
  134. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国の安全を守っていきます上で、日米安保体制というものが不可欠であるということは、委員も御理解いただいております。  そして、現在の国際情勢というものを前提といたしまして、米軍安保条約で担っております責任、義務でございますね、我が国を守るといった、あるいは極東地域の平和を維持していくために対処しなくちゃいけない、そういった義務を果たしていくという観点から見まして、現在、沖縄にございます海兵隊も含めまして、日本にございます施設区域、そして駐留の米軍というものは、これは必要である、こういう認識に立っておりますので、これを例えば現時点でハワイへ移駐をということはちょっと考えられないということでございます。ただ、将来の課題としては、いろいろな国際情勢の変化等々あれば、いろいろなことはあり得るんだと思います。  それから、前半におっしゃいました、日本の国内でも、やはり沖縄だけにこれだけ大きな御負担をかけているということは、それはそのとおりでございまして、それだけに、私どもも現時点でもでき得る限りの御負担の軽減等、全力を傾注しているところでございます。これにつきましては、沖縄県民方々だけじゃなくて、日本の国民全体でよくこの事態を御理解賜り、対応していかなくちゃいけない。沖縄振興策についても国民全体の理解と支援をちょうだいすることが大切だ、こう思っております。
  135. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 日米安保条約は、もちろん極東の安全ということも日米安保条約でうたわれているわけでありますが、もし海兵隊がハワイへ行った場合に、著しく極東の安全を損なうというような軍事的な、戦略的なマイナス要因があるということになれば、これはまた考え直さなきゃいけません。しかし、もともとハワイには米太平洋艦隊はあるんですし、海兵隊の本部もあるんですから、沖縄に駐留しております海兵隊がハワイへ戻りましても極東の安全を脅かすということには……。  ただ、問題が一つありますのは、沖縄にあれば、言ってみれば至れり尽くせりの、我が国のいろいろな施設に対する補助でありますとか負担金でありますとか。だけれども、ハワイへ戻ってしまった場合には、そういうことができなくなってしまうというような懸念もあると思うんですね。  だから、極東の安全ということが戦略的に見て問題でなくなれば、ハワイへ移駐しても、今までの普天間基地でやっておった維持費というものを我が国負担をするというぐらい思い切ったことを提案をしない限りは、いつまでたっても沖縄県民の皆さん方の要望というのはなくならないのではないか、そして、解消することはできないのではないか。  いずれにしても、もう戦後五十一年たったわけですから、極東の安全という意味合いも違ってまいりましたし、また、ロシアに対するいろいろな我が国の防衛上の問題も変わってきているわけでありますから、東南アジアに対する、かつてのようなベトナム戦争等があるわけじゃありませんし、そういう意味では、極東の安全ということについては、今の海兵隊がハワイへ戻ってもそれほど安全を脅かすことにはならない。  問題は、負担の問題だと思うんですね。そのことを我が国政府はきちっと明確にした上で、一遍提案をしていただけないものか。そのぐらい思い切った提案をしない限りは、幾ら沖縄米軍基地を議論したって堂々めぐりになってしまう。  今度、いろいろな法律がまた出てまいりますけれども、つまり、米軍基地そのものは縮小しない、そのかわり、とにかく沖縄本島に対してはいろいろな補助金をできるだけやってやるよと。それじゃ本質的な解決策にはなっていないわけです。  だから、私は一番心配いたしますのは、要するに、沖縄が補助金漬けみたいな、補助金島みたいなことにならないように、本来は自力更生ということが大事でありますから、沖縄米軍基地を認めさせるためにこちらの方から何か認めさせるような、全く本質と違ったようなお金をどんどんどんどん出して認めさせるという姿勢そのものが私はおかしいのではないか、そう思っておりますが、大臣、いかがでございますか。
  136. 池田行彦

    池田国務大臣 米国が我が国米軍を駐留させているのは、これはいわゆるホスト・ネーション・サポートを含めての経済的な面でのコスト負担の観点からだけじゃございませんし、それが極めて大きな要素であるとは言えないんだと思います。現在のこの地域、日本周辺のいろいろな情勢、国際情勢の中で、安保条約での米国の責務を全うしていくためにはどういうふうなことをしなくちゃいけないか、そしてまた、どういうふうな兵力構成のものをどの程度日本にも駐留させなくちゃいけないか、そういった観点から置かれているんだ、こういうふうに考える次第でございます。  それにしても、先ほども申しましたように、まず本土でも極力負担を分担していくことはできないか。沖縄方々から見れば非常にわずかなものかもしれません。しかし、それにしても、一〇四号線越えの射撃訓練沖縄では行えなくするために、あるいはKC130の部隊が本土へ移転するようにという若干の変化があるわけでございますが、そういったことについては本土の方々も十分御理解を賜りたい、こう思っております。  また、将来の問題としては、先ほどから申し上げておりますように、外交努力も含めて、国際情勢のより一層の安定化を図っていく、そういった中でいろいろ考えてまいりたい、こう思っております。
  137. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 日米安保条約というのは、我が国の安全、平和にとって不可欠な条約であることは私どもも認めているわけでありますが、問題は、大切な我が国の防衛あるいはまた日米にとっても大事な安全保障を、長い間、一地方自治体にその負担と責務を負わせるということ自体が基本的に問題がある。だから、日米安保条約というものが大事ならば、五十年も沖縄県という一つの地方自治体に三十八基地を継続して温存させておく、基本的な解決策を見出せないまま、ただその場その場の手当てをしてくるというだけでは、地方自治が成り立たないのじゃないかと思う。そういう視点からも、日米安保条約というものが大事であればこそ、もっともっと抜本的な解決策を図っていく必要があるのではないか、私はそう思っているわけでございます。  もう十分になりましたから、もっともっと質問したいのでありますが、最初から申し上げましたように、しり切れトンボになるということでございますから、そのとおりになりました。終わります。ありがとうございました。      ────◇─────
  138. 仲村正治

    仲村委員長 次に、内閣提出沖縄振興開発特別措置法及び沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。稲垣沖縄開発庁長官。     ─────────────  沖縄振興開発特別措置法及び沖縄の復帰に伴う   特別措置に関する法律の一部を改正する法律   案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  139. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 ただいま議題となりました沖縄振興開発特別措置法及び沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  政府は、沖縄が本土に復帰して以来、本邦の諸制度の沖縄における円滑な実施を図るため、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律により各般の特別措置を講ずるとともに、沖縄における基礎条件の改善並びに地理的及び自然的特性に即した沖縄の振興開発を図るため、沖縄振興開発特別措置法により三次にわたり総合的な沖縄振興開発計画を策定し、及びこれに基づく事業を推進する等特別の措置を講じ、もって、沖縄の振興開発等を積極的に推進してきたところであります。  しかしながら、本土からの遠隔性、島嶼性等の不利性に加え、広大な米軍施設区域の存在など、本土とは異なる事情を抱え、沖縄の経済社会は依然として厳しい状況にあります。  このため、昨年九月には沖縄問題についての内閣総理大臣談話が閣議決定され、沖縄県が地域経済として自立し、雇用が確保され、沖縄県民の生活の向上に資するよう、また、我が国経済社会の発展に寄与する地域として整備されるよう、政府として全力を傾注することとしているところであります。  このような中で、このたび、沖縄島と本土との間の航空運賃の引き下げに資する措置等を新たに講ずることとするほか、沖縄の復帰に伴う国税関係法令の適用の特例措置のうち内国消費税及び関税に関する特例措置をそれぞれ五年延長することとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その概要を申し上げます。  まず、沖縄振興開発特別措置法の一部改正でございますが、  第一に、沖縄島と本土との間を航行する旅客の運送の用に供される航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税を軽減することとしております。  第二に、自由貿易地域内における関税法上の保税地域に係る許可手数料を軽減することができることとしております。  第三に、沖縄の離島の地域内において新増設された旅館業の用に供する建物等について特別償却を行うことができることとしております。  次に、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部改正でございますが、沖縄県産酒類に係る酒税の軽減措置等の内国消費税に関する特例措置及び製造用原料品に係る関税の軽減措置等の関税に関する特例措置の適用期限を五年延長することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及び概要でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願いいたします。
  140. 仲村正治

    仲村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  なお、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十三分散会      ────◇─────