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1997-06-04 第140回国会 衆議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月四日(水曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 杉山 憲夫君    理事 林  幹雄君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 横内 正明君    理事 江崎 鐵磨君 理事 細川 律夫君    理事 寺前  巖君       衛藤 晟一君    関谷 勝嗣君       橘 康太郎君    谷川 和穗君       中馬 弘毅君    古屋 圭司君       堀内 光雄君    森田  一君       米田 建三君    上田  勇君       今田 保典君    坂本 剛二君       玉置 一弥君    中田  宏君       萩野 浩基君    松浪健四郎君       川内 博史君    辻  一彦君       鉢呂 吉雄君    平賀 高成君       濱田 健一君    望月 義夫君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 古賀  誠君  出席政府委員         運輸政務次官  衛藤 晟一君         運輸省運輸政策         局長      相原  力君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省自動車交         通局長     荒谷 俊昭君         運輸省海上交通         局長      岩田 貞男君         運輸省海上技術         安全局長    山本  孝君         運輸省港湾局長 木本 英明君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         海上保安庁長官 土坂 泰敏君  委員外出席者         運輸省海上技術         安全局船員部長 土橋 正義君         労働省職業安定         局外国人雇用対         策課長     寺本 隆信君         建設省道路局日         本道路公団・本         州四国連絡橋公         団監理官    小坂 裕男君     ――――――――――――― 委員の異動 六月四日  辞任         補欠選任   川内 博史君     鉢呂 吉雄君 同日  辞任         補欠選任   鉢呂 吉雄君     川内 博史君     ――――――――――――― 六月四日  気象事業整備拡充に関する請願(金子満広君  紹介)(第三五一七号)  同(川内博史紹介)(第三五一八号)  同(児玉健次紹介)(第三五一九号)  同(穀田恵二紹介)(第三五二〇号)  同(辻第一君紹介)(第三五二一号)  同(中島武敏紹介)(第三五二二号)  同(春名直章紹介)(第三五二三号)  同(不破哲三紹介)(第三五二四号)  同(藤田スミ紹介)(第三五二五号)  同(正森成二君紹介)(第三五二六号)  同(川内博史紹介)(第三五四八号)  同(佐々木憲昭紹介)(第三五四九号)  同(坂上富男紹介)(第三五五〇号)  同(寺前巖紹介)(第三五五一号)  同(中路雅弘紹介)(第三五五二号)  同(山原健二郎紹介)(第三五五三号)  同(中田宏紹介)(第三五九八号)  同(川内博史紹介)(第三五九九号)  同(辻一彦紹介)(第三六〇〇号)  同(濱田健一紹介)(第三六〇一号)  同(平賀高成紹介)(第三六〇二号)  同(松本善明紹介)(第三六〇三号)  同(吉井英勝紹介)(第三六〇四号)  同(川内博史紹介)(第三六四六号)  同(佐々木陸海紹介)(第三六四七号)  同(濱田健一紹介)(第三六四八号)  同(矢上雅義紹介)(第三六四九号)  同(矢島恒夫紹介)(第三六五〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  内航海運組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第四二号)(参議院送付)  船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に  関する法律の一部を改正する法律案内閣提出  第四一号)(参議院送付)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ  き、関東運輸局千葉陸運支局自動車検査登録  事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提  出、承認第二号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付、内航海運組合法の一部を改正する法律案及び船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一弥君。
  3. 玉置一弥

    玉置委員 おはようございます。きょうは新進党では一人だそうでございますので、船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案に対して、関連事項を含めていろいろと御質問をしていきたいというふうに思います。  そこで、まず一番関連の深い船の検査、これも日本国籍日本国籍でない船といろいろあるわけであります。我々で一番身近な事件といえば、ことし一月のナホトカ号事件ということでございまして、私も、新進党の中でナホトカ号事故対策委員長を務めておりまして、最近、報告書をまとめてみました。個々にいろいろな問題点があるということがわかりました。それについて、まず、御報告かたがた質問していきたいというふうに思います。  そこで、この報告書基づいてお話を申し上げますが、日本国籍でない船が近海事故を起こしてオイルが流出した、そして船は沈没をしてしまったという事件でございます。本来、日本の、特に近海及び湾内、ここに力点を置いていろいろと防災準備をされてまいりましたし、海上災害防止センターも、一応、訓練としてはいわゆる近海湾内というふうに限定をされて、いろいろな対応考えてこられたということでございます。今回のように外国船籍の船が近海で遭難をする、それも領海内ではない、領海外ということでございまして、この辺について、やはりいろいろな問題点が生じているというふうに思います。  まず、事件の経過からいきますと、沈没した一月二日、それから五日間かかって三国の海岸に漂着をしたわけですね、船首の方は。船体、本体の方はその場で沈没したということでございますが、なぜその五日間の中で漂着した原油に対しての対応がおくれたのか、こういうこともありますし、もう一つは、荒天、荒れた海の中で、外国船籍とはいえ、非常に老朽化し、また今回破損をしたような船が航行を許されているのか、こういうことも考えてみますと、いろいろな面でこれから やっていかなければいけないことがあるのではないかというふうに思います。  そういうふうに分けて考えていきますと、まず一つは、国の緊急時における組織体制といいますか、これが統一化されていないということが、今回もまた確認をされたということでございます。前回、二年前の阪神大震災のときも、国、地方自治体あるいは自衛隊へこういうところの連携が非常にうまくいかなかった、大変多くの人を出していただきながら統一的な作業が進まなかったということもあります。  今回も、海上保安庁がいち早くお出になったわけでありまして、人命救助に対しては、まさに我々も目を見張るような活躍をされました。報道でそれを聞いたときに、ああよかったな、大変な一努力をされたということで感心をいたしました。しかし、漂着するまでの五日間、あるいはその後の情報によりますと、場合によっては、米軍がいち早く重油の流れを察知して警告を出したといういろいろな情報もあります。そういうようなことを考えると、それを受けて対応する組織的な動きが日本政府の中になかったということが、大変大きな原因ではないかというふうに思います。  一つ言えば、例えば海上保安庁自衛隊は、大体、協力体制に合うようないろいろな確認はできておりますが、海上保安庁自衛隊と警察、消防、この辺の連携がふだんから行われていないのではないか。それから、災害対策として、国は国で緊急の災害対策本部というのを設けますが、地方ではもう既に常設してあるわけですね。知事さんあるいは市長さんを中心にして、各市町村も含めてそういう対応がとれるということでありますが、なぜ国の方が災害対策という面で組織的な対応ができないのかということでございます。続けていろいろ言うとややこしくなりますので、まず、そこからお伺いしたい。  ごく最近でございますが、総理府というか内閣の方で、防災関係でいろいろやっている中で、内閣総理大臣権限がないということがようやくおわかりになったようでございまして、私どもの方はもう大分前から、内閣総理大臣に緊急時には指揮官としての、統括者としての責任においてまず指揮権を与えるべきだという話を、再三申し上げてまいりました。まずそこがスタートだと思うのですね。憲法では、一応、内閣総理大臣というのは最高権威者でありますが、内閣法では、内閣合議制という、そこで縛られてしまう。だから、緊急のときにほかの閣僚の方が集まってこないと判断できない、こういうことだそうでございますから、これをまず変えなければいけない。総理大臣が、やはり国の最高権威者として、国のいろいろな行政機関に対し、あるいはボランティアも含めた体制の中でどうするかという決断をすべきだというふうに思います。  今回、大臣は、災害対策本部長としていろいろ活躍をされましたけれども、今申し上げました私の前段の部分、国の組織体制という面で私も意見を申し上げましたけれども、それについてどうお考えであるか、お聞きしたいと思います。
  4. 古賀誠

    古賀国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。その前に、一月二日発生いたしましたナホトカ号油流出事故に際しましては、先生初め委員先生方には、大変御心配をおかけいたしますと同時に、それぞれのお立場で御支援をいただき、また御指導賜りましたことを、改めてこの席をおかりいたしましてお礼を申し上げたいと思っております。  今、先生から御指摘いただきましたこうした大きな事故に際しましての危機管理の問題について、総理権限等についてお触れをいただいているところでございます。御承知のとおり、五月の一日でございますが、行政改革会議におきまして、これはあくまでも「中間整理」だということで、実は提案がなされているわけでございます。こういった行政改革会議等を通じましても、総理危機管理に対するリーダーシップと申しますか、権限の強化というものがいろいろと実は論議をされているわけでございます。いずれにいたしましても、こうした大規模な事故が起きた場合に、政府としてどういう対応をしていくのか、極めて重要な問題だと認識をいたしております。  実は、昨日、こういった事故等を踏まえまして、中央防災会議を開かせていただきました。その会議におきまして決定されました防災基本計画におきましては、このような非常災害が発生した場合には、現地にも対策本部を設置させていただき、その対策本部には、その省庁政務次官本部長を受けるというようなことで、今までより以上に中央そして自治体、また省庁間、こういったところの連携を密にいたしまして、強化させていただきます。今回のナホトカ号事故を教訓といたしまして、あらゆる検証の中で、いろいろな問題点についてこれから適切な処置を行っていきたい、こういう考えで今作業を進めさせていただいているところでございます。
  5. 玉置一弥

    玉置委員 国としては、今のお話は我々も情報としては聞いておりますけれども、先ほど言いましたが、国の機関地方自治体公共団体あるいはボランティアの集団、その人たちとの連携は、今回、いかがでしたでしょうか。
  6. 土坂泰敏

    土坂政府委員 こういう事故に際して国と地方連携が大切であるというのは先生の御指摘のとおりでございまして、緊急時計画でもその点については触れられておるわけでございます。  今回のケースについて申し上げますと、国で対策本部関係省庁連絡会議というのをつくったわけですが、それと同時に、地方公共団体でもそれぞれ対策本部をおつくりになりました。それで、国としては、出先にまた現地対策本部をつくったわけですが、国の出先対策本部地方公共団体対策本部、これが相互に人を派遣し合いまして、そこで情報交換なり必要な調整をやるという格好で対処させていただいたわけでございます。  ただ、そういうやり方で本当に十分だったかどうかという点については、全体の検証の中でやはり反省すべき点もあると思いますので、ただいま大臣が申し上げましたようないろいろなことも含めて、これからのことは考えていきたいと思っております。
  7. 玉置一弥

    玉置委員 今回の防災会議の方からのお話では、私どももちょっと考えていることでございますが、総理並びに防災関係者の周辺にアドバイザー的な人を置こうと、これは何というお名前になるかわかりませんけれども緊急事態対応できる補佐官的な人を配置して、この人を通じて体制をとれるようにしよう、こういう考え方があるというふうに聞いております。  そこで、私たちが今回、この事故の現状をずっと精査いたしまして、先ほど地方対策本部を設けるという、これは今までにないことなんですよね。今までは東京だけで全部遠隔操作現地各省出先人たちが詰めかけられて、それぞれ縦割りでやっておられたということでありますつこの事態をやはり回避していくためには、現地におけるコーディネーター、いわゆる調整官各省要望とか府県、市町村のいろいろな要望があると思いますので、そういうものに対してどういう対応ができるかということを一括してそこで取りまとめができる、こういう人を現地に置かなければいけない、それが多分地方における対策本部だというふうに思います。制度的にまず調整官を派遣できるというような形にしていただきたい。  それから、今回のこの事故対応されたいろいろな方々のお話を聞きますと、やはり日ごろから訓練をされていないと、幾らいい施設があっても、設備が届いても、その機械さえ動かすことができない、こういうことがあったそうでございます。これは、端的に言えば、油回収のための機械石油連盟の方から届けられた、ところが、持っていった人がそのままそこに張りついて、その機械の動かし方から全部指導し、なおかつ自分たち作業しなければならなかった、たくさんの機械をどんどんと持ち込んだが、その都度その専門家人たちがそこに張りつけになったということで、本来の業務がなかなかできなかった、こういうお話を伺いました。やはりふだんから、こうい う油濁事故だけではなくて、いろいろな面で専門家を養成しておかなければいけないのではないか、こういうふうに思います。  それで、世界の中で、特にシンガポール、近くでいきますとシンガポール、ここに優秀な訓練センターがあるというふうにお聞きしておりますし、全体でいけばアメリカとかロンドンにそういうセンターがあるということであります。だから、国際的にもやはり、水準を高めていくために、また協力体制をとるためにそういう訓練もやらなければいけない。いわゆる人材養成といいますか、これも体制上の中ではかなり重要な事項だと思いますが、その辺についていかがお考えでしょうか。
  8. 土坂泰敏

    土坂政府委員 油の防除に際しまして、資機材整備と同時に、それを使いこなす技量というものがなければいけないのは、御指摘のとおりでございます。この点については、さっき御指摘にありました緊急時計画の中でも、ふだんから訓練をするようにということで、関係地方公共団体あるいはセンター保安庁自衛隊あるいは石油業者、そういった人たちが集まって、大体年に百回以上訓練をしておるわけでございます。それから、特に専門的な技量を要するものにつきましては、保安庁でそういう特別なチームをつくりまして、この人が指導するというようなやり方もしておりますが、そういう格好でふだんからそれなりの準備をいたしておるつもりでございます。  ただ、今回の事件に際して、それが、今御指摘になったように、必ずしも十分でない面があったことは事実でございまして、そういう点はこれからの訓練あり方の中で十分生かしていくようにしなければいけないと思っております。
  9. 玉置一弥

    玉置委員 同じような話でございますが、シンガポールとかロンドン訓練センターでは、例えば油濁事故とか海難事故というときに、コンピューターでシミュレーションできるというのがありますが、我が海上災害防止センターでは手でやるのですね。船がどこへ行ったときに油がどう流れるとか、何か手で一々置きかえてやっている。その辺はもう全く違うわけです。今の時代ですから、コンピューター化されている部分は非常にたくさんあるので、そんなに大してお金もかからないと思いますので、設備的にもやはり見直すべきではないか。  それから、もう一つ言えば、この油濁事故に対して、いろいろな機器類資機材、こういうものがほとんど太平洋側にあって、日本海側には新潟県に一つしがなかった。それから、御存じのように油回収船は全くないということですね。そういう状況考えると、ふだん使わないからお金がかかるという話はありますが、そこそこ対応考えなければいけない。  まず一番問題なのは、OPRC条約です。OPRC条約を締結したにもかかわらず、この条約に決められた精神に基づいて、通達では出ていましたけれども、その後の予算的な措置だとか、今の体制上の話とかというものが一向に進めてこられなかったということが、この事故を大きくしたというふうに思いますが、このOPRC条約に対してこれからどうされるのか。それから、今申し上げましたように、設備面でいろいろな問題点が一応把握されていると思いますが、どう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  10. 土坂泰敏

    土坂政府委員 OPRC条約二つ目的がありまして、一つはそれぞれの国の油防除能力の向上、もう一つ油防除に関する国際協力、こういうことだと思います。  前者の方について申し上げますと、今御指摘にありましたように、やはり費用対効果ということもありまして、資機材が、船舶交通量が多いとか、事故が起きやすい、それで、起きた場合に非常に社会的、経済的に影響が大きい、こういうところを中心整備が進められてまいりました。その結果が、今御指摘がありましたように、太平洋側に厚く日本海側に薄いというような結果になっておりますし、また、内水の静穏な海域を中心にしたものになっておって、外洋の、それも荒れた海には十分適応できないというような、資機材の性能なり配備上の問題があるということが、今回の事故反省として出てきたわけでございます。  これにつきましてこれからどうするかということですが、今、運輸技術審議会の場で、これからのあり方について、今回の反省を踏まえて議論をしていただいているところでございます。近く、何がしかの結論がいただけると思いますが、そういうものも踏まえまして、これからのあり方については十分に考えてまいりたいというふうに思っております。
  11. 玉置一弥

    玉置委員 今回のロシア船籍ナホトカ号事故原因は、いろいろ言われておりますけれども日本側ロシア側ではどうも意見が大分食い違っているそうでございます。  そこで、今までの調査委員会の中で、わかった範囲で結構でございますが、ロシア側意見と、向こうはたしかもう結論を出していると思いますが、日本側の今までの調査状況、この辺、わかればお答えをいただきたいというふうに思います。
  12. 山本孝

    山本(孝)政府委員 ナホトカ号事故原因調査状況でございますが、先般、中間報告ということで取りまとめをさせていただきまして、簡単でございましたが、中間的な報告をさせていただきました。  これまでの状況を簡単に申し上げますと、まず、ロシア側の方から先に申し上げますと、ロシア側につきましては、皆さん御案内のところと思いますが、早々と、何か水中を漂っているものに衝突をして、それによって加えられた力が船体を破壊させた、当初は、さらにそれに引き続いて、積み荷重油かと思われるものが爆発をして、それによって沈んだという説を中間報告として唱えておりました。これにつきまして、我が方の専門家意見交換をいろいろ行っておりましたが、なお現在、ロシア側はこの説を取り下げるには至っていないと伺っておりますが、爆発したという説については余り強く主張しなくなっている、こういう状況でございます。  一方、我が国事故原因調査の概況でございますが、我が国は、こういったシナリオを推定して、いわば推理小説といいますか、そういったような手法ではなくて、あくまでも、得られました事実関係を現実的に解析を進めまして、原因を突きとめようという考え方で進めております。  これまでにわかっておりますところを申し上げますと、まず、ナホトカ号沈没をした当時の気象海象状況、これは気象庁が付近に設置して通年観測を行っておりますブイによりまして明らかになっておりますが、こういった情報。それから、乗組員のいろいろな供述がございます、供述といいますか説明をしていただいたところ、これはロシア側が聞いたところと、こちら側が事故直後に海上保安庁に話をしていただいたところを両方突き合わせましたものが一つロシア側から提供していただきましたこの船舶の構造の詳細、設計情報の詳細。最近の検査の経歴といいますか履歴。船首部漂着をしておりましたので、そこの部分の実際の衰耗状況調査、これは中間報告をまとめた段階ではまだ詳細な調査が行われておらず、それに先立つ簡易な現地での調査をもとにしておりました。さらに加えまして、二千メートルの海底に沈んでおります船尾部海洋科学技術センターのドルフィン3Kというものによって撮影したビデオの結果による所見、こういったようなものを加えまして、総合的に検討を進めておるわけでございます。それから、実際にこの船が運航していた時点でどのような油の積みつけの仕方をしていたのか、これのデータも入手しております。これらを考えまして、この当時、波及びこの船舶積み荷状況から、船体に加わりました、いわゆる波浪外力と言いますが、こういう力と、船体自身が固有に強度としてどれだけの強度を有していたか、これらを突き合わせて、今解析を進めているところであります。  ロシア側とかなり我々の考えは違いまして、私ども調査委員会では、かなり衰耗が進んでいた ことと、加わった外力との関係で破断に至ったのではないかというようなことを推察しているようでございますが、最終的な結論につきましては、七月末にも、この船首部詳細調査を踏まえました詳細な解析によって明らかにしたいと考えております。  したがいまして、この時点ではまだ断定をするという状況には至っていない、以上のような状況でございます。
  13. 玉置一弥

    玉置委員 そこで、これからは近海を走る外国船籍の船の検査ということもかなり問題になってくるわけであります。今回のように、かなり老朽化した船が自由に航行しているということで、条約でいろいろ規制をされているわけですが、本当に、ちゃんとした国はちゃんとした検査もやっているわけでありますけれども、そうでない国もたくさんあるわけですね。今回のことを踏まえて、いわゆる旗国に対してどういうふうな協力要請をされたのか、あるいはこれからされるのか。それからポートステートコントロールPSCですね、FSCに対してPSC、いわゆる日本湾内といいますか領海内での船に対して、どういう検査並びに指示をされるのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  14. 山本孝

    山本(孝)政府委員 まず、老朽船対策ということで、我が国及び世界各国でどのようなことが行われているかを御説明申し上げたいと思います。  我が国におきましては、既に、船齢十年以上の船舶につきましては、定期検査におきまして衰耗状況などを把握するために、板厚計測あるいはタンクの圧力試験等を義務づけておるところでございます。また、国際的にも、総トン数五百トン以上の外航の油タンカーにつきましては、船齢に応じまして板厚の計測あるいはタンクの圧力試験など、損傷の生じやすい箇所についての精密検査を国際条約で定めておりまして、それに従って検査の強化を行っているところであります。  我が国といたしましては、引き続きこれらの検査の確実な実施に努めるとともに、国際海事機関を通じまして、国際条約に定められました検査の徹底を既に各国に求めておるところでございます。  具体的に申し上げますと、まず、事故が発生しました直後でございますが、たまたま国際海事機関旗国委員会、これはフラッグステート、これの問題を検討する小委員会が開かれておりましたので、ここにおきまして、事故の概要を報告するとともに、旗国による検査の強化について各国に働きかけを行いました。  それから、たまたま現在でございますが、この五月から六月にかけまして、同じ国際海事機関で海上安全委員会というのが開かれております。ここには、我が国の提案といたしまして、旗国検査を一層強化するとともに、ポートステートコントロール船体衰耗状況等も把握しやすいような仕組みをつくって、その結果を、ポートステートコントロールをいたした国が、IMO、国際海事機関とフラッグステート、旗国双方に連絡をする、そういうシステムの提案をしております。なお、それによって是正措置が一定期間にとられない場合には、国際的にこういった船が運航を非常にしにくくなるような制度というものを提案して、審議をしておるところでございます。
  15. 玉置一弥

    玉置委員 何か伺うところによりますと、船会社とか保険会社の方とうまく連携がとれれば、それぞれの船籍の船が今どういう状況でどこを走っているか、それからどのぐらいの積み荷を積んだかとか、いろいろな把握ができるという話を聞いているのです。要するに、船歴で、ある時期になったら検査する船がありますね、その船がどういう状態なのかをチェックできるのだ、こういう話を聞いたことあるのですけれども、これは保険会社ですが、向こうはそれが本来の仕事ですから、一生懸命把握に努めておられる、そういうものを運輸省は情報として入手できているのかどうか。要するに、今船がどこに行って、どういう状態だということをだれか管理しているか、一言で言えばそういうことなんですが、それについてはいかがでしょうか。
  16. 山本孝

    山本(孝)政府委員 先生のお考えに直接百点満点の答えになるか、ちょっとあれでございますけれども、私どもポートステートコントロールをいたします場合に、どのような情報をもとにポートステートコントロールに行くのか、こういうところがその一端を把握していることにつながる、それをもとにしておるということでございますので、その仕組みを申し上げます。  まず、我が国に入港いたします船舶の入港情報を――これはそれを受け入れる外国の船舶の代理店あるいは港湾当局などから教えていただきまして、それによって得られる船舶状況、これは船の種類はもちろんですが、船齢状況、船種とかどこの国の船であるとか、こういったことがわかります。そういったところで、特にポートステートコントロールを厳しくやる必要があると思料される船舶のところには、チームを組んで優先的に立ち入るという方法でPSCをやっておるわけでございます。しかしながら、体系的に世界の船が今どこをどう走っていて、それがどれぐらいの船齢の船であって、どうであるというところを把握するには、残念ながら私どもはまだそこまでには至っておりません。  しかしながら、こういったポートステートコントロールをやるに際しては、一国だけで完全にやることもできませんし、また各国がてんでんばらばらにやりますと、ダブって同じ船に何回も立ち入る、一方だれも立ち入らない船が出てきたりという非常に不便を生じます。そういったことから、情報交換を密にして、一つ船舶に平均的に、満遍にポートステートコントロールがどこかの国で必ずできるようにする仕組みを今構築中でございます。この仕組みが次第にでき上がってきて、運用の実を上げるようになりますと、先生の御指摘の目的は達成できるというふうに考えております。
  17. 玉置一弥

    玉置委員 とりあえずはポートステートコントロール、全船把握というのが一番望ましいと思うのですね。  今回のように近海を航行している船については把握をしていただいて、その旗国に対して要望をいろいろ出す、それによってデータ交換をするとか、そういうことをぜひお願いを申し上げたいと思います。  それから、今回は、定期検査の方が四年から五年に延期をされたということですが、普通、事故があれば逆に短くなるのではないかと思ったのですけれども、それが延ばされたということは、まずどういうことを基準にして考えられましたか。四年から五年ですね。
  18. 山本孝

    山本(孝)政府委員 確かに、ああいう事故が起こった直後でタイミングは大変悪いといえば悪いのでございますけれども、実は、全般的なお話で申し上げますと、特に我が国船舶につきましては、ほかの先進諸国の船舶と同じく、近年の船舶の設計方法、建造方法、使用する材料、用いる航海設備あるいはモニターの設備その他といったようなものが全般的に技術進歩しておりまして、それに伴って、いわゆる船舶のハードといいますか、ハードに起因する事故は漸減傾向にございます。  一方、四年に一度の検査というのは、古くは明治以来やっておるのですが、国際的にも四年というのがずっとこれまで主流でありましたので、それも勘案して四年という体制を続けてまいったわけでございますが、冒頭申し上げましたような技術の進歩の成果が具体的に見られる状況になったわけでございます。こういった状況を踏まえまして、昨年、私ども運輸技術審議会検査の新しいやり方について諮問をいたしました。昨年十二月に、現在既に先進諸国で試みられて成果をおさめているような四年の定期検査の間隔を、五年に延長してもいいのではないかという答申をいただきました。それに従って、今回の改正をお願いするという次第になったところでございます。  したがいまして、四年を五年に延ばしましても、我が国船舶についての安全性の低下はほと んどない、このように考えております。
  19. 玉置一弥

    玉置委員 ナホトカ号はこのぐらいにいたしまして、定期検査の方に移っていきたいと思います。  中間検査二・五年、ちょうど真ん中でやるということですが、検査期間が延びた割には、延びた割にといいますか、中間検査の実施時期の幅が十八カ月ですよね、何でこんなたくさん要るのだろうという気がするのです。というのは、チェックするのだったら、比較するためにもある程度焦点を絞ってもりと狭くすべきだと思うのですよ。これは何で十八カ月なんですか。要するに、その間にやりなさいということですよね。突然疑問を感じましたので、済みませんが、よろしくお願いします。
  20. 山本孝

    山本(孝)政府委員 従来ですと、ちょうど四年を真ん中で割りますと二年ということで、二年ごとにやっていくということで、非常にわかりやすくて、実施面でも円滑な実施ができたという面も大きかったと思いますが、これを五年にいたしますと、中間というのを、二・五年というのは、やはり船舶の運航スケジュールからいってもぐあいが悪いだろうということもございます。それから、船舶に積んでおりますもろもろの機器のメンテナンスぐあいというものも、それぞれ機器の性質とか運航状態によって若干のばらつきがあるのも、これは船主さんの整備方針等によってもばらつきが当然あってしかるべきだろう、こういう感じでございますが、厳密にちょうど真ん中で二・五年でぱたっと壊れるとかおかしくなるとか、そういう機械があるわけではございません。そういったことを考えまして、メンテナンス計画がきちんと立てられて運用されているという実態もございますので、そういうところを勘案しますと、やはりここは二年ないし三年の間に検査をもう一回中間的に受けてその確認をしてもらえれば、あと、残りは三年残りであっても、二年残りであっても、次の定期検査までは安全に運航できるだろう、こういう考え方でございます。  それに加えまして六カ月分、十八カ月ですから、今のは一年の間、それに六カ月というのがついておりますが、これは実は三カ月ずつの猶予期間といいますか、実際に船の運航スケジュールにある程度の幅を持たせるということで、それぞれ前後に三カ月を加えて十八カ月ということでございます。この程度の余裕、アローアンスの中で整備をきちんとやっていただければその残りの期間も安全である、こういう考え方基づくものでございます。
  21. 玉置一弥

    玉置委員 片方では、今度自主整備ということが言われておりますが、この自主整備について各業界が本当にどうしようかという、結構いろいろ困っているところがあるみたいなんですね。今のお話を聞いていますと、一年の検査猶予があって、その両わき三カ月で十八カ月というふうに幅があるわけですね。では、それだけ幅があったら何で定期的に自主整備を毎年やらなければいけないかという話が出てくるのだと思うのですけれども、そんな話はないですか。
  22. 山本孝

    山本(孝)政府委員 自主的な整備考え方というものは、やはり船舶を実際に運航しておられます船主さんが、みずからの船の安全を確保するというのが一義的で最大の責任を有するわけでございますので、当然自分の保有する船舶の安全を確保する手段を計画的に立てていただきたい。  それで、実際に整備を行う場合、ただ自主的整備といいましても、これをそのまま私どもがいわゆるうのみにするというわけではございません。当然に、その整備やり方、方針につきましては、あらかじめ私ども船舶所有者あるいは乗組員の皆様と十分に打ち合わせを行って、立派な保守管理形態というものが確立されるということを見た上で、こういった整備の活用といいますか、それを進めていくべきだと考えております。
  23. 玉置一弥

    玉置委員 貸渡業者というのですか、船だけ持っておられて、船員がいないから船だけ運航会社に貸されるのですね。そこで、ほかのところが船員を手当てして、その船は、名義は確かに船主にあるということでございますが、実際の運航は運航業者がやっておられるということですね。こういう場合が約二〇%ぐらいあるのだということでございます。それをどう管理していくかというのは、非常に難しい問題だと思うのです。  それから、場合によっては、船主と船員さんとそれから運航会社、それぞれが別という場合もあると思うのです。そういう場合を想定していきますと、実際は船主が船員を抱えて運航会社もやっているというのが一番いいわけですけれども、分業された場合、どういう把握の仕方でどういう管理をされていくのかということもお聞きしたいと思います。
  24. 山本孝

    山本(孝)政府委員 船舶を船員、乗組員を伴わないで、裸用船といいますか、貸し渡しを行う場合ですが、この場合は、貸し渡しを受けて乗組員を配乗した用船者というのでしょうか、その人が船舶安全法上の義務を負うという法体系にはなっております。  なお、先生の御指摘の点で、そういったところで実態上だれが責任を持って保守点検整備を徹底するべきかということが、もしまだ徹底してないようなケースがありますれば、私どもはそれを再度徹底するように指導したいと思いますし、先ほど申し上げましたように、保守点検整備がどのような形態で行われるのか、あるべき形態というものをあらかじめ船主あるいは乗組員を含めて検討して、それに従っていきたいと思っておりますので、そういった検討の中に、当然先生の御指摘の点も含めてまいりたいと思います。  以上でございます。
  25. 玉置一弥

    玉置委員 心配しますのは、船員さんがその都度入れかわるということもあり得ることですね。それから、運航業者の方が荷主さんの都合に合わせて配船をされて、船が全然つかまらない、帰ってこないということもあり得るかと思うのです。そういうときに強いのはやはり荷主さんだと思うので、それを断ってまで、いや、検査ですからという、そういうことができるかどうか。だから、取り決めのときに、だれが責任を持ってやるか、それから、船主さんが、自分のところに戻ってこられない船があったときに、では、どういうことをやるかというのをあらかじめ予定をされておかないと、本当にきちっとした定期整備はできない。それから、検査の都度、わざわざ船主さんが指定するところへ戻ってくるというのも大変なことだと思うのですね。その辺を含めて、事前の打ち合わせというのはやっておくべきではないかというふうに思いますが、いかがでございますか。
  26. 山本孝

    山本(孝)政府委員 先生の御指摘のとおりでございますので、そのような体制づくりといいますか、そういうものの徹底について強く指導をしてまいりたいと思います。  なお、そういったところで先生が御懸念のような船舶が出てまいりましても、実はポートステートコントロールを国際的な中で強化するということは、まさにそういった抜け穴を探して抜け道的なことをやる船舶を排除するというのが目的でございますので、ポートステートコントロールの国際協力体制を強化することも、問題の解決に大変役に立つものと思っております。
  27. 玉置一弥

    玉置委員 それから、検査の中身でございますが、ここに五月二十八日の日本海事新聞というのがございます。これは内航総連の方が翼下の五組合に対して申し入れをしたということでございます。何かといいますと、「承認図面と異なる船舶の建造防止」、これはとんでもない話ですが、こういうものが行われている。  どういうことかといいますと、一つの例として出てまいりましたのは、例えば内航小型船舶千馬力の登録船というのがありまして、この千馬力の登録船が、検査を受けた後、メーカー封印で封印をされる、その封印をされた船の少なくとも三割ぐらいが千馬力以上で実際は走っておられる、こういうことなんですね。だから、考え方によっては、千馬力そのものがもう実用的でないという話になるかと思います。  もう一つは、そこに配置をされます船員の方 が、この千馬力の基準で見ますと、千馬力以下の場合は、甲板のいわゆる船長さんが一名と機関長が一名ですね。その資格が、またそれぞれ六級ということ。ところが、千馬力以上になりますと、それぞれ二名、二名ということで、最低四名になるというふうに基準が変わってくる。実際上は、規格内で申請をすればより船費が少なくなる、こういうことだと思うのですよね。そこが抜け道になっている。やはりメーカーの立場で見ると、いわゆる船主さんがまあ少しくらい言うことを聞いてくれやとか言って後で変えるということは、可能なんですね。可能というか、あり得ることなんです。  そういうことを考えると、封印そのものを第三者機関でやるか、あるいは国がやるか、これは行革とは逆行するわけですが、そういうことでもしないと、こういう類のものはなくならないのではないかというふうに思うわけです。この辺をどう受けとめておられるか、あるいはこれからどうしていくべきとお考えになっているか、それについてお伺いしたいと思います。
  28. 山本孝

    山本(孝)政府委員 ただいまの問題は、いわゆる船舶機関部の職員の配乗数が、船舶職員法によりましてエンジンの出力によって区切られていて、それによって変わるところがある、その境目のところで何かうまいことをやって、実際より高い出力で運航しようということを考える船主がいるのではないかという御指摘だと考えます。  こういう実態につきましては、私どもは、やはり事は船舶の安全運航にかかわることでございますので、関係者船舶安全法及び船舶職員法の遵守ということを強く指導することが必要だと、当然のことながら考えております。したがいまして、本年二月にもこれに関する通達を出しまして指導に努めているところでございます。なお一層、こういった趣旨の徹底を図っていくように努めてまいりたいと思っております。  なお、船舶安全法検査時点におきますエンジンの馬力の封印につきましては、これを変更しにくいものにするということの可能性についても、検討したいと考えております。
  29. 玉置一弥

    玉置委員 メーカー封印だりたら、メーカーの方で幾らでもあるわけですね。また、それを外して違うものをつければいいということなんで、封印を登録するか、既にありますよね、実際に。封印を登録しておいて、封印に番号があって、まあそれもつくれないことないですよね、どうせ鉛か何かですから。そういうふうに考えたら幾らでもつくれるのです。だから第三者ぐらいがいいのではないかと思うのですが、ぜひ方法を改めていただきたいというふうに思います。内航総連の方とまた十分打ち合わせをしていただいて、問題点をやはり解消していただきたい、こういうふうに思います。  これから、中小零細業者の方の保守、自主検査、これがいろいろと問題になってくると思いますが、どういうふうに把握をされ、指導されていくのか、余り指導というのはよくないと思いますが、自主検査ですから、相手がやらなければという気持ちになるのはどうしたらいいのかということを、把握も含めてお伺いしたいと思います。
  30. 山本孝

    山本(孝)政府委員 初めに、先生の今のお尋ねのところですが、自主的整備やり方についてというお話でございましょうか、今の封印の話ではなくて……(玉置委員「封印ではないです」と呼ぶ)承知しました。  ちょっと先ほどもお答え申し上げましたが、自主的な保守整備やり方につきましては、やはり実態を踏まえた上で効果的な方法をまずそのメーンに考えていくべきでございますので、船主と乗組員の皆さんを交えて、また整備をもちろん行っている事業者の実態といいますか、そういう方も加えて、効果的なやり方をこれから検討してまいって、そのやり方をもとにいたしまして厳格な運用を図るという形で対応をしてまいりたいと考えております。
  31. 玉置一弥

    玉置委員 ちょっと派生した話でございますが、今の船員さんの話です。これから自主検査等あるいは安全面ということを考えていきますと、船員さんの資質とかいろいろな問題が出てくると思います。片方では船費を安くするために外国人労働者をかなり受け入れておられるところがあります、これは内航じゃなくて外航だと思いますが。この辺が今後どういうふうになっていくのかということも、お聞きしたいと思います。  一つは、例えば沖縄の石油精製会社が日本に石油を輸送される、そういうときに外国船で輸送したいという話が出ているということですね。あるいは、日本船の中の外国人の比率を変えて船費を下げるというような話があるわけですけれども、いずれにしても、日本の船員さんの需給事情とかいうことを考えていきますと、将来の形がどうなっていくのかというのは、非常に微妙なことがいろいろ含まれているわけでありまして、そういう面でお聞きをしたいというふうに思います。  そこで、労働省、労働省に先に聞くと、結果が出てしまうのであれですが、労働省がお見えだと思います。外国人労働者が、船員さんの場合は特殊技術に当たるのかどうかというのはありますけれども、例えば、後でお聞きする荷役会社とかこの辺の作業員という形になるとどうなのかとか、あるいは一般的な労働者、そういう面で、これから外国人労働者が日本に来て働かれるということについて、どういう考えを今お持ちか、まず、その辺を確認をしたいと思います。   〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  32. 寺本隆信

    ○寺本説明員 外国人労働者の受け入れにつきまして、政府の基本方針が閣議決定をされております。最近のもので、平成七年十二月に閣議決定されました第八次雇用対策基本計画の中では、専門的、技術的分野の労働者については可能な限り受け入れるが、いわゆる単純労働者の受け入れについては、十分慎重に対応するというふうなことで定まっております。労働省といたしましては、この方針に沿って対応をいたしておるところでございます。  今述べましたところの後段の部分、いわゆる単純労働者の受け入れの問題について、どういう理由でそのように定まっておるかということを補足しそ申し上げます。この計画にも述べられているところでございますが、第一には、国内で雇用機会が不足している高齢者等への圧迫が生じかねない、第二には、我が国労働者と外国人労働者の労働市場の二重構造化が生じかねない、景気変動に伴い失業問題が生じ得る、外国人労働者の定住化に伴い、いわゆる社会的コストが増大する懸念もある等々、さまざまな問題が懸念されるところでございます。いわゆる単純労働者の受け入れにつきましては、今後とも多様な角度から慎重に検討する必要があると考えております。
  33. 玉置一弥

    玉置委員 単純労働者の定義といいますか、逆に言えば技術的、専門的な人といいますか、そういう人で、今の関連することでいいますと、例えば船員さん、船員さんでもいわゆる船長さんみたいな資格を持った人とか機関員、こういう人たちはどういうのに該当するのか、あるいは荷役関係のクレーンを扱う人とかいろいろありますね、そういう人たちはどうなのかということはわかりますか。
  34. 寺本隆信

    ○寺本説明員 ただいま雇用対策基本計画の内容を御説明いたしました。専門技術分野についてはできる限り受け入れていくということで、平成二年に入管法の改正が行われまして、在留資格がその範囲について整備されております。その中で、船員という項目は、日本国内で雇用できるという部分について、船員というものは特記、特別な在留資格としては書かれていないということでございます。  それから、先ほど雇用対策基本計画、御説明申し上げましたけれども、役所の所管といたしましては、雇用対策基本計画自体は労働省の所管します雇用対策法に基づいて定まっておるものでございまして、この雇用対策法は船員に関しては適用がないものとなっております。  以上でございます。
  35. 玉置一弥

    玉置委員 今、全般として船員不足というお話を聞くのですが、実際に商船学校を出てあるいは船員学校を出て就職される人がすべて、卒業者全部受け入れてもらっているかというと、そうではないというお話を聞くのですけれども、船員の需給状況というのですか、雇用状況といいますか、この辺について今どういう状態なのかということを、まずお聞きしたいと思います。
  36. 土橋正義

    ○土橋説明員 船員全体の需給状況についての御質問にお答え申し上げます。  内航船員につきましては、ここ数年若干減少ぎみで推移してきております。一番最近の数字でございますと、平成七年約四万八千人ということでございますけれども、その中でも現在の一番の問題点は、内航船員全体の年齢構成がだんだんと高齢化しておるというところに問題があろうかと思います。  それで、先生指摘の、最近、船員の教育機関を内航船員になるために卒業してもなかなか就職先がないではないかという点でございますけれども、これにつきましては、実は、内航の職員の専門養成機関としては現在全国に八校の海員学校がございます。この八校の海員学校の平成八年度における卒業者は四百名強ございましたけれども、就職を希望している学生さん三百五十五名の中で二百八十六名が海上産業へ就職を果たすことができたというふうな状況になっております。卒業生全体からいえば七割近くが内航を中心とした海上産業の場に就職できた、こういう実績になっております。  先ほど申し上げましたとおり、今の最大の問題点というのは、内航船員全体の中で中高年齢者の占める割合が非常に高くなってきておるという点でございます。将来の後継者不足が心配される事態になっております。これに対処するために、私どもとしては、従来からこういった海員学校の強化を初めとして、若手船員の育成に努めておるところでございまして、船員確保対策を今後とも続けてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  37. 玉置一弥

    玉置委員 今労働省からお伺いすると、船員の方はいわゆる専門家、技術者ではないという話で、すべて日本の方から調達をするということになるわけですけれども、今でも七割しか就職できていないですね。この辺の原因は何なのかということを、まずお聞きしたいと思います。  それからやはり、長期的に需給の計画といいますか、それぞれが私企業でございますから非常に難しいと思いますけれども、予測をされて、それが公的な船員学校とかいうところで教育をしたり、育てていくということになるわけでありますし、あるいは、途中入社といいますか転職されて船に乗りたいという方もおられると思いますが、そういう人たちを受け入れていくための体制ができているかどうかということも、気になるところでございます。わかる範囲で結構でございますから、お答えをいただきたい。
  38. 土橋正義

    ○土橋説明員 お答え申し上げます。  先ほどの、海員学校の卒業生の中の七割しか海上職場に就職できていない理由は何かということでございます。ここ数年、バブルがはじけた後、日本経済が若干景気が低迷しておりまして、その関係で内航業界全体のそれぞれの会社の経営状況が厳しくなっておるということで、船員の採用を手控える傾向が四、五年続いてきております。そういうことで若干海員学校卒業生の海上職場への就職状況が落ちてきておるということではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。  なお、ちょっと恐縮でございますが、先ほど外航船員について若干議論が出ておりましたので、その点について説明を補足させていただきます。実は、外航船員につきましては、先ほど労働省の方から答弁いたしました閣議決定なり過去の閣議了解を引用いたしまして、日本船に乗り組む外国人船員につきましても、同様の取り扱いをしておるところでございます。  ただ、日本船の中でも、日本の船社が外国の会社に貸し渡しをいたしまして、その外国の会社が外国人船員を配乗して日本に再度チャーターバックしてくるマルシップという方式がございます。これについては、先ほどの閣議決定なり閣議了解の枠外ということで、日本船でも外国人を乗せて運航しているものが一部ある、こういう状況でございます。    〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  39. 玉置一弥

    玉置委員 ついでにお伺いしますが、一応運輸省としても、今のマルシップということで、その制度そのもの、この間何か報告書が出ましたですね、ああいうものを今いろいろ研究されていると。研究されていると言うと変ですけれども、結果としてああいうものが出てきたということですよね。結局、船費を安くするために外国船籍にして運航だけを日本がやると、あるいは運航も向こうに任せるというような方向がいろいろ出てきているのですが、確かに費用という面ではそうだと思いますが、本当を言えば、日本の荷物は日本の人が運ぶというのが一番いいと思うのです。  それで、これから、例えばハブ空港、ハブ港湾、あるいはFAZ法とか輸入拡大をやるということでもっと貿易面が活発になってくると思いますが、そういうような状況の中で、今の外国船籍へ移管されたり、あるいは運航そのものを向こうに依存するという状況が多くなるのかどうか、その辺もちょっとお聞きしたいのですが、いかがでございますか。
  40. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 お尋ねの日本籍船の減少でございますが、これにつきましては、毎年、年によって幅がございますが、減ってございます。数も減っておりますが、それほどではないのですが、日本籍船のトン数も減っております。  これは一つには、国際海運ですから、完全な競争のもとにあるわけでございます。そうしますと、船価と燃料費と船員費と営業費、それからもう一つは集荷能力ということが大きな要因に挙げられますが、船価と燃料費というのは国際的な価格で決まるわけで、ほかの船と変動はないわけでございます。そうすると、営業費と船員費、それから営業力というのはそれぞれの会社の力、努力によって決まるわけですが、中でも船員費の方と営業費の方が非常に差が出てくるということで、日本の船の場合は船員費が外国と比べて非常に高い。日本の船員さんが悪いわけではなくて、日本人の賃金が高いことによってそういうことになるわけでございます。  一つは、外国の船が競争力が増して日本の港により入ってくるということと、もう一つは、日本の船会社が対抗上便宜置籍をしまして、パナマ籍とかリベリア籍にしまして、安いコストで船をチャーターバックしまして運航しているというような理由によりまして、少しずつ、あるいは年によってはかなりの幅で日本籍船が減っているということは事実でございます。
  41. 玉置一弥

    玉置委員 船費を一つの例で見たのですが、これは大体二千キロリットル級の内航船タンカーなんですけれども、これでいくと、船員費そのものは大体一八%ぐらいということですね。運航経費全体を見ますと、まさに一〇%を切っている。むしろ五%ですね、五%を切っていると、こんな状態なんですね。ところが、いわゆる港湾費といいますか港の経費が七%近くということで、どちらかというと、船員費よりも港湾経費とか燃料費とかそういう費用の方が非常に多い。あと大きいのは減価償却費ということになります。  こういうふうに考えていきますと、船員費で計算上みんな大きく出ているのですね。外国にかえたら、基準は何かちょっと忘れましたけれども、何百万と下がったとかいうことを言われておりますけれども、実際には、減価計算上のいろいろなデータを見せていただきますと、船員費というのはそんな大した比率じゃないと思うのですよね。これがちょっと何でかわからないというのが一つあります。  その中でやはり港に関する費用がかなり大きいということでございまして、ちょっと港の方もお聞きしたいと思います。  まず、港の原価計算と言ったら変ですが、係留 費といいますか、各埠頭を使用するに当たってそれぞれ、埠頭公社が逆に貸し方になるわけでありますけれども、それがどういう形で原価計算されて賃貸料を決めておられるか、まず、それをお聞きしたいと思います。
  42. 木本英明

    ○木本政府委員 コンテナターミナルは、専用貸しする場合、公社が国等の無利子貸し付け等の支援を受けまして、その他財投資金あるいは市中借り入れ等の資金を調達いたしましてターミナル整備をしております。そういったものを船社に専用貸し付けをするわけですが、その貸付料の考え方といたしましては、そういった資本投下した減価償却費、地代だとか土地に関連するいろいろな税金、借入金等に関する支払い利息、維持メンテをしていくための修繕費、それから災害復旧引当金の繰入額、その他管理費、こういったものをすべて計算いたしまして貸付料を算出する、こういう考え方になってございます。
  43. 玉置一弥

    玉置委員 日本の港湾使用料が非常に高いという話を今まで何回も聞いてきたわけでありますが、この運航の費用から見ても大分ウエートは高いというような感じがします。  そこで、今心配しておりますのは、例えば片方でFAZ法というのがありまして、それは輸入促進のための基地をつくろうということですね。これは流通とか製造も含めて、二次加工的な要素も含めてそういうものをつくろう、こういうFAZ法があるわけですが、片方では運輸省は国際ハブ港湾ということで予定をされている。その両方にダブるところもあるわけですね。そのダブるところも含めて考えていきますと、例えば神戸港あるいは大阪港、横浜港、川崎港あるいは北九州港、こういうものはハブ港湾とFAZ法の指定地域とダブります。それぞれ別に計画をされるというふうになるのかどうか。それからほかの地域、例えばハブ港湾以外のFAZ法に指定される港、こういうものに対しては運輸省としてどういうふうに考えていくのか。公共投資の一つだと思いますが、その辺の物の考え方をまず整理をしてお聞きをしたい。  それから、昨日ですか、決まりました財政構造改革会議ですね、これで七%公共投資をダウンさせます、三年間で一五%というのがあります。この七%ダウンをどういうような形でされていくのか、あるいはそれ以上計画されているのか。  この間、何か新聞によりますと、整備新幹線は依然変わりなくやりますというような話があったように聞いております。ところが、きょうの新聞で細かく読んでみますと、条件提示で、あの条件を十分踏まえた上で決定をしなければいけない、こういうようなことが言われているということでございますので、まず公共投資全般の進め方について、FAZ法とハブ港湾のダブりの部分、それから、昨日決定をされた財政構造改革会議の決定を受けてというか、もう既に情報はあったわけですが、どうされていくのかということをお聞きしたいと思います。
  44. 木本英明

    ○木本政府委員 まず、FAZとハブとの関係でございます。御案内のとおり、FAZの指定は輸入の促進と対内投資事業の円滑化のために、神戸港とか、その他地方の港湾もありますけれども、そういった国際貿易港湾を初めとする空港とか港湾の地域を指定いたしまして、税の優遇等によります民間事業者等の活動を支援する、こういった趣旨のものでございます。  それで、先生も御指摘をされましたけれども、港湾では既に十六地域が指定されておりまして、その中には、神戸等のいわゆる国際ハブ港湾として機能していく港、それから新潟とか松山とかの中核港湾だとか、その他の国際貿易港として機能を果たしていく港が指定を受けております。  国際ハブ港湾というのは、御案内のとおり、いわゆる欧米等の国際定期コンテナ航路を中心といたしまして世界の諸国との港を結ぶ、そういうネットワークの中心となる、基幹的な我が国を代表する港でございます。  その他の地方の港というのは、特に日本の貿易構造は従来どちらかといえば北米とかヨーロッパ中心でございましたけれども、最近はアジアの経済成長によりまして、アジア、特に東アジアと日本を結ぶ貿易量亡いうのが非常に多くなってきております。それは、従来の横浜、神戸を経由する一のではなくて、地方の拠点的な港と中国とか台湾、韓国、シンガポールとか香港等を結ぶネットワーク、国際定期コンテナ航路の就航がどんどん出現してきております。  そういった状況を受けまして、それぞれの地域では、従来の神戸、横浜を経由したのではやはり物流コストが高くなるものですから、それぞれの近間の港を経由して、そういうアジア地域との交易、貿易を活発化させていこうという動きが出てまいりました。ちょうどFAZのそういう動きと軌を一つにしまして、FAZの指定を受けてそれぞれの地域の経済の発展を図っていこう、あるいはそれぞれの経済活動、企業活動の物流コストの削減を図っていこう、こういった動きが出てまいったものですから、それぞれの地域がFAZの指定を受けられてきておるということで、港湾につきましては、やはりそういった地域の動きというものを、ある程度港湾物流の面から支えていく必要があるものですから、それぞれの地域で所要の、ニーズに合った施設をつくっていく、こういう考え方をいたしております。先ほど言いましたハブ港湾の考え方と、地方圏におけるFAZ指定の港の整備というのは、それぞれの地域のニーズに合った整備をしていくという考え方をいたしておるわけでございます。  それから二番目の財政改革会議、きのう閣議決定もされましたけれども、公共投資全体で来年度七%削減、七%以上ですか、そういった数字が出ております。  御案内のとおり、来年度の予算編成に向けた大きな方針が決定されたわけですから、この方針に基づきまして、私ども、来年度の予算要求の内容をこれから検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。  具体的には、今お話しいたしました中枢・中核港湾というよりハブ港湾、御案内のとおり非常に諸外国の港湾、大水深コンテナターミナルに立ちおくれている状況にございますから、これを何とか早く、国際競争力を確保する上からも、財政改革会議でも言われております物流の効率化に資する、そういった対策のためにも最も重点的、優先的に投資をしていきたいと考えております。一方、生活関連にも絡むわけですが、廃棄物の海面処分場の整備も大変立ちおくれている状況でございますので、国際物流それから廃棄物海面処分場といったものを優先、重点的に投資をしていく、そういった内容で予算要求を取りまとめていきたい、こういうふうに考えていることでございます。  一方、公共工事のコストの削減だとか既存ストックの有効活用あるいは各省の枠を超えた連携事業、こういったことも十分踏まえながら効率的、効果的な港湾整備に努めてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  45. 玉置一弥

    玉置委員 港湾整備の、埠頭公社に対する出資の方で調べてみますと、水深、海の深さによって出資比率が大分違うということになっているわけですね。  私がいろいろな方から聞いたのは、神戸港が大震災に遭って、それでコンテナ船が、海外だけではないのですけれども、海外に船が大分逃げているという話を聞いております。実際に、統計上も日本に、輸入量としては景気の回復とともに若干ふえてきている、ところが船は全然ふえないという話があります。  それで、今の原価の出し方とか賃貸料、貸付料、この計算方法を見ていると、建設費がもろにかかってくる。その建設費に対して修繕費なり、いわゆる災害対策費といいますか災害引当金が非常に高率なんですね、率が高い。四分の一近く、五分の一ぐらいあります。こういうことで、二割も災害対策の引当金に充てるようなことはまず普通は考えられないのですけれども、こういう経費の出し方そのものもやはり問題があるのではない か。  それから、埠頭公社が税引き後で五%ぐらいの利益を出しているわけですね。公社が何で五%も利益を出すのだという問題もあります。そういうふうに、海外に逃げられるように、逃げられるようにしてくる。それから、船が減っているのにこれから投資していきますと、その投資費用は全部貸付料にかかるわけですから、今までより以上に貸付料が高くなるのではないかというふうに心配をしております。安くなるように仕向けていくのが当たり前ではないかと思うのですが、その逆の方向をたどっておられるというふうに思えてしようがないのですね。だから、本当にやり方を変えた方がいいと思いますが、いかがでございますか。
  46. 木本英明

    ○木本政府委員 コンテナターミナルが、最近の船舶の大型化に伴いまして、既に六千TEUクラスのコンテナ船が就航する時代を迎えておりますが、従来の十二メートルとか十三メートルとか、そういった水深のコンテナターミナルでは十分対応できないということで、現在十五メートル級のコンテナターミナルの整備を急いでいるわけです。神戸、横浜等、御案内のとおり、新しいターミナルをつくっていく場合、どうしても沖合に空間を求めていかざるを得ない状況になってきております。そういったところは深くて、しかも軟弱地盤ということで、非常に建設条件が厳しい状況になってきております。したがいまして、結果として建設費も従来のターミナルと比べて非常に膨大なものになっている。しかも、ターミナルのサイズが、従来例えば間口が三百メートルぐらいで奥行きも三百メートルぐらいだったものが、最近の船舶の大型化で間口が三百五十メートルで奥行きが五百メートルとか、サイズも非常に大きなものになってきております。そういったことに起因しまして、建設費が非常に膨大になってきている。  それが貸付料等にどうしてもはね返ってくるわけですから、私どもも、やはり国際競争力を確保するためには貸付料を何とか安くしなければならぬということで、財政当局ともいろいろお話をさせていただいて、国からの無利子貸し付けの比率を従来二割だったものを三割に上げる、港湾管理者からの無利子貸し付けの比率も二割から三割に上げる、したがいまして、無利子貸し付け全体では六割に上げさせていただくとか、あるいは税制につきましても、免税措置、減免措置等の特例措置をしていただくように従来からやってきております。いろいろな形で、貸付料が高くならないように、安くするようにいろいろな努力をしてきているわけです。  ただいま御指摘いただきましたように、引当金だとかいろいろなものも高いのではなかろうかということですが、引当金につきましては、七%ぐらいの率なのですけれども、神戸の地震では従来のそういった引当金では、あの回復をするためにはお金が足りなかったものですから、特別措置を講じまして国からの支援措置も講じたわけです。ああいう地震が起きた場合には、どうしても引当金というものも必要になってまいりますし、そういったことをいろいろ勘案しながらやっておるわけでございます。  管理費につきましても、できるだけ公社の組織をスリム化していく、そういったことも私どもは要請をし、また指導してきているわけですが、これからも引き続き貸付料が少しでも安くなるようにあらゆる手だてを講じてやっていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  47. 玉置一弥

    玉置委員 原価の出し方は、全部回収しようという立場に立てば今までどおりでやむを得ないと思いますが、少なくとも国として輸入拡大とか自国船をふやしていこう、あるいは外国船も寄りついてもらおうというふうに考えていきますと、高くすれば来る船が減るというのは当たり前の話で、特に一番近い釜山とか基隆、高雄、シンガポール、香港、そういうところがどんどんふえているわけですね。東南アジアは特に船がふえている、そういう状態でありますけれども日本は減っているということは、やはり大きな問題だと思うのですね。この辺をぜひ運輸省として考えていただきたい。  それから、日本に来てもらうために投資するのではなくて、今の考え方だったら、いかにお金を使わないで多くの船で消化するかというしかないのですね、下げる方法は。だから、それはどうしてもだめだということになれば、やはり国が政策部分については責任を持つということを考えていかなければいけないだろうというふうに思います。  大臣、その辺はどういうふうにお考えですか。下げていくにはどうしたらいいかということ、利用度を高めるにはどうしたらいいかということですね。
  48. 古賀誠

    古賀国務大臣 今、先生政府委員のやりとり、御論議を聞かせていただきました。確かに、今後港湾の我が国の利用のあり方というのは、国際競争がますます激しくなる中で、十分に慎重に検討していかなければいけない問題だというふうに思います。  今先生から御指摘をいただいた点について、政府委員の方から御答弁申し上げておりますが、運輸省といたしましても、さまざまな観点から、何とか港湾の利用費用というものを下げることはできないかということで努力をいたしているわけでございます。これからも国際競争というのはどんどん激しくなるわけでございますから、そういうことを踏まえますと、先生から御指摘いただいた点を十分視点に入れながら、国としてどういう支援ができるかも含めて、慎重に検討してまいることだと思っております。  先生の御指摘を視野に入れながら、研究してまいりたいと思っております。
  49. 玉置一弥

    玉置委員 時間がなくなりましたので、この後荷役関係をいろいろお聞きしようと思ったのですが、荷役作業、荷役会社、これも、この間日米貿易摩擦のような、アメリカの会社のいろいろなクレームがつきましたけれども、まさに向こうの御指摘どおりだと思うのですね。その辺はよく考え対応していかないと、先ほどの外国からの船が着かなくなるということでございます。  あと一つ心配事がございまして、実は船腹調整事業が将来廃止をされるというようなことで、この間も法律の改正がありましたけれども、この中で、先ほどの内航船も高齢化を迎えてという話もあります。  しかし、一番のものは、今までの引当営業権利といいますか、引当船ですね、担保力のある権利がその廃船する船についていた、要するに入れかえの船という保証ですね。これが金融上担保能力を持っていたわけでありますが、急激にそれがなくなるということで、場合によってはもう金融機関の資金回収ができないのではないか、倒産する人がふえるのではないかというようないろいろな心配があるわけで、最後に、この辺について将来を踏まえて運輸省としてどう対応されるのか、一言聞いて終わりたいと思います。
  50. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 お尋ねの船腹調整事業の計画的解消でございますが、先生からお話がございましたように、引当営業権が担保として作用してきたということは事実でございます。私どもとしては、計画的解消までに一定の期間を設けまして、その間に環境整備計画ということで、例えば今御審議いただいておりますような債務保証制度をつくっていただく、あるいはその間に船会社の自己資金の充実とか集約化による経営基盤の強化、それからもう一つは、やはり荷主さんは大変大企業が多くて力がありまして、運賃その他の交渉について船会社の方が負けてしまうものですから、荷主の優越的地位の乱用防止のための新たな施策の検討、これは公正取引委員会と一緒に勉強しておりますが、そんなものを確立しながら円滑な計画的解消をしようと思っております。  ただ、閣議決定でこの解消時期を前倒しするということが決まっておりまして、その際には中小企業に配慮しつつという条件がついてございますが、その前倒しのためにいろいろなことを関係の 組合と協議をして勉強しているところでございます。事業者さんあるいは組合のぎりぎりの自助努力をもとに、我々としてもどんな支援ができるのかということを今勉強しているところでございます。
  51. 玉置一弥

    玉置委員 終わります。ありがとうございました。
  52. 杉山憲夫

  53. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私、二月二十一日にこの委員会重油の流出事故に伴う論議をしたのです。あれからかなりの期間がたっておりますが、若干それに関連した問題でお尋ねしたいと思います。もちろん、きょうはこの二つの法案があります。内航海運組合法の一部を改正する法律案船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案、これに関連しての質問ということになると思います。  その前に、まず、冬以来、政府におきましても運輸大臣を初め海上保安庁長官ほか皆さん方を合わせて、今回のナホトカ号の重油流出事故につきまして大変御苦労いただきまして、心から敬意を表したいと思います。私も福井でありますが、県の災害対策本部もようやく解かれて、そして一時は大変汚れた海になっておりましたが・おかげで静かな海、きれいな海、砂浜に回復をしてまいっております。この間、二十万を前後するボランティアの皆さんの御努力や、非常に広範な各方面からいただいた御努力に、この場をかりてひとつ心から敬意を表したいと思っております。  そこで、二月に私は、日本海に油回収船が、リベリア船のあの七年前の事故、あそこから学び取るならば、もっと配備されるべきであったというかなりの論議をいたしました。ところが、そのときに、海が荒れて、早く油回収船が着いても荒れた海では余り有効ではないということで、その問題については論議をしなかったのであります。ここ一、二日、運輸省の方からいろいろな資料をもら。て見てみると、あの荒れた海の時期にもかなり波がおさまっていたときがある、そういうことを考えると、やはり早く回収船が現地海域に到達すれば、相当な油が回収されたのではないだろうか、こういう感じを強くするので、その点についての若干の論議をしたいと思います。  ちょっと委員長、資料配付をお願いしたいのですが……。
  54. 杉山憲夫

    杉山委員長 はい。
  55. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そこに二枚の資料がありますが、若干それを見ていただいて、お願いしたいと思います。  まず第一にお尋ねしたいごとですが、清龍丸、これは三千五百トン、日本でやや外洋で動けるという唯一の回収船で、名古屋にいつもいたわけです。一月二日に事故が発生して、四日に出動要請があって名古屋港を出帆して、結局、現地海域に到達したのは一月九日。一時は海が荒れて境港に避難する、こういうふうにして六日目に到達をして、その日直ちに四百八十二キロ、約五百キロリッターの重油を一日でそのとき回収しておるのですね。  そのときの波の有義波高、この有義波高というのは、聞きますと、最高波の大体三分の一ぐらい、そういうのをいうようでありますが、経ケ岬、京都の沖では二・五メーター、二・一メーター、朝八時と十六時にそういう観測がされる。明くる日一月十日は波がかなり静かになって、一・七メーター、一・五メーターというように、逆に言うと波が静かになっている。しかし、油の回収は百キロリッターというように、逆に五分の一に落ちているのです。  これはおよそ推測できるのでありますが、改めて、波が静かになったのにどういうことで油の回収が落ちておるのか、お尋ねしたい。
  56. 木本英明

    ○木本政府委員 清龍丸が現地に参りまして、保安庁の指導のもとに回収作業に入ったわけでございますが、確かに先生指摘のように、最初の第一日目は四百八十二キロリットルということで大変多くの回収ができました。二日目以降は百とか百十八ということで落ちておりますが、これは最初の日にこぼれた油の、流出油の帯といいますか、固まった状況の中で大変効率的に回収ができたということでございます。二日目以降は大幅に固まった油の帯といいますか、そういったものはかなり分散しているような状況でございまして、そういった中を、こっちで取り、また少し動いてあっちで取りというようなことをどうもやっていたようでございまして、そういう意味から一日目ほど効率的な回収ができなかったという状況かというふうに私ども考えております。
  57. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ほぼそういうことであろうと思うのです。私どもは、初めは時間がたって油が固まってきて、ポンプで吸い上げるのに詰まって吸い上げられない、そういうのが大きかったかと思ったのですが、今答弁のとおりに、また私もいろいろ聞いてみると、確かに初めの九日は大量に回収できた。それが大量かどうかはわかりませんが、五百キロリッターから回収できたときは、油の中におるような感じだったということを説明で聞いておるのですね。船は油の中にいるような状況であった、だから大量に回収できた。しかし、明くる日になるとだんだん拡散をして、油が散らばって、結局能率が上がらない。  続いて経ケ岬から福井の沖に船は移動しておりますが、そこでもさらに波がおさまって、一・四メーターと一・二メーターというように非常に波がおりているのですが、それでも百十八キロというような回収しかできていない。ということは、拡散によって回収能力が非常に落ちたということですが、逆に言うと、名古屋から六日間も七日間もかかって、現地に到達するのに時間がかかって、拡散する前の最も能率のいいときに船が機能し得なかったということに大きな要因があるのではないか。  そういう点でもうちょっと補足をしますと、そのデータを見ると、一月四日、一月五日、これは資料の二の方の一月二日から八日の波高のデータを見ていただくとわかりますが、二・六メーター、二・二メーター、三・二、二・五というように、五日は一・六、一・二、二・四、一・八というように、経ケ岬、京都の沖も、福井港の沖合も皆波はかなり静かになっているのですね。それから、一月二日と三日は、事故のあった前後ですから波が高い。これはなかなか船は動かぬと思いますね。八日になるとまた波がおさまって、一・五、二・二、二・三、二・六というように波が下がっている。  だから、この三日間は早目に現地に船が到達をしたら、恐らく九日の五百キロリッターぐらい、あるいはそれ以上の油を回収し得たのではないか。三日間それをやれば千五百キロリッター。これは、全部油でない、水も入っていると思うのですが、三国や若狭の石川県の海岸に到達するまでに相当量の油が、二千キロリッターぐらいの量が回収される可能性があった。そういう点からいうと、名古屋から遠回りをしてずっとやってきた時間帯の中に、もっと有効に使えた時間がある。逆に言うならば、リベリアのあの七年前の経験に学んで日本海側油回収船を配備しておけば、一日や二日かかってもすぐ現地へ行って、現在ある清龍丸も最も有効に活用し得たのではないか、こう思いますが、これらのデータについてどういう感じを持たれるか、お尋ねしたい。
  58. 木本英明

    ○木本政府委員 先生指摘のように、確かに事故の起きた前後の日は大変高い波が続いておるようでございまして、その後、五日とか四日ですか、少し波がおさまったときもあるということでございます。おっしゃるように、確かに早く現地に到着をしておれば、それだけ回収の能率も上がったのではなかろうかというふうに考えておりますが、名古屋から四日の日に出動いたしまして、関門海峡を抜けまして日本海に入りましたら大変しけておりまして、その中を船長以下大変頑張っていただきまして島根半島の沖合まで行ったわけでございます。もうこれ以上進むのは危ないということで、どうしても一時的に避難せざるを得ない状況でございまして、境港に避難をさせていただいた。そして、波のおさまるのを待って再 度出動いたしまして、九日の早朝に現地に到着した、こういう状況でございます。そういった清龍丸のしけた中での許容行動等を考えれば、私といたしましては精いっぱいやっていただけたのではないかな、こういうふうに考えておるところでございます。
  59. 辻一彦

    ○辻(一)委員 名古屋から出発したことは事実ですから、それを思えば、確かにできる限りのことはやったと思いますね。問題は、名古屋に配備したのと日本海の沿岸に配備したのとでは、うんと条件が違ってくるということなんですね。  三、四の資料をごらんいただくと、私は、二月にもちょっとこの資料を出して何か論議をしたように記憶をしておりますが、リベリアの船が、七年前にあの事故があったときに、日本海配備が、当時も言いましたが、近畿の知事ブロック会議でも強い要請があり、私も国会で二回このことを取り上げて論議をし、要求しました。ところが、実態を見ると、これにあるように、第八管区というのが今の島根から福井にかけての、三国にかけての今回の重油事故の起こった管区であり、それから第七、第八、第九というのが日本海側の管区になるのです。これはもう二月にいろいろ論議したから繰り返しませんが、百二隻ある油回収船は一隻しかこの第八管区に配備されていないし、その能力を見ると、海上保安庁海上災害防止センターやそれ以外の官公庁が持つものではなしに、その他の、これは備蓄基地かどこかに持っている小さなものであって、それが一隻配備されているだけ。そして、第七、八、九の日本海側油回収能力は、平成元年度末で締めて五万五千キロリッターが平成七年度末で五万二千キロリッターで、三千キロリッター逆に能力が落ちているということになるのですね。  私は、海保庁長官からもこの二月の論議で、太平洋や瀬戸内海にたくさんの船が行くので、それの割合を考えると、そうならざるを得ないという説明も聞きました。聞きましたが、この実態と、そして今回の名古屋から時間をかけることによってのおくれということを考え合わせると、この状況の中で日本海に油回収船の配備を再検討し、改善を行うべきであると思いますが、この点についての見解をお尋ねしたい。
  60. 相原力

    ○相原政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のように、今回のナホトカ号事故災害によりまして、さまざまな状況におきます油防除あり方について教訓が残されたわけでございます。政府としても、防除体制など関係機関の活動がどういうふうに行われて、どのような問題点があったのか、ただいま先生から御指摘があった点も含めまして、検証いたしております。  また、特に今油回収船の数についても御指摘がございましたけれども、外洋に対応できる油回収船といたしましては、先ほど御指摘いただいた清龍丸しかないというのも実態でございます。そういう意味におきまして、御指摘日本海側を含めた、特に外洋における大規模なかつ広域的な今回のような油汚染事故にも対応が可能である油防除体制あり方につきまして、総合的に検討を行っているところでございます。  具体的には、三月五日に運輸技術審議会に流出油防除体制総合検討委員会というのを設置いたしまして、その場で関係の学識経験者あるいは関係団体、関係業界とも密接な連携をとって御審議をいただいているところでございます。今月中にはその委員会中間報告が出される予定になっておりますので、その中間報告を踏まえて、適切に対処をしてまいりたいというふうに思っております。
  61. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これからの取り組みはこれから論議しますが、まずこれらの事実を踏まえて、日本海に油回収船の配備を改善すべきであると思いますが、大臣、これについてお答えをひとついただきたいと思います。
  62. 古賀誠

    古賀国務大臣 最初に、今回の油流出事故におきましては、先生の地元の皆様方、地方自治体の方々に大変御支援をいただきまして、先生を初め地元の皆様方に心からお礼を申し上げたいと思います。  今、この事故が起きたことによって、さまざまな問題が提起され、検証させていただいているところでございます。政府委員の方から答弁申し上げておりますけれども油回収船日本海への配置ということも当然検証し、その問題点をこれから改善していく中の一つの大きな課題だと思っておりますが、今申し上げておりますように、いろいろな広範囲の中でどういう油の防除体制が必要なのか、検討委員会をつくらせていただいて、今そこで検討させていただいております。今月の終わりにはその中間報告がまとまるということでございますので、そういうことを踏まえまして、総合的なひとつ検討を、私どもといたしましても適切に措置していくべきことだ、こういう認識で取り組んでいきたいと思っております。
  63. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは具体的にきちっとやっていただきたいと思います。  そこで、今大臣も、また政策局長からも御答弁がありました、新たなる高性能の油回収船、いわゆる外洋向けの、外洋で動き得る油回収船をどう開発するかという問題があり、これは二月、私もデータというか資料をもらいましたが、まだ今お話しのとおりいろいろ検討されているようであります。平成九年六月二日、日本造船工業会の代表に来てもらって、私として、一体こういう取り組みをどうやっているのだということを聞き取り調査といいますか、やってみました。  それを聞くと、現在の回収船の規模は、長さは五十メーターぐらいで、船が全体として小さい。そこで、船を、百メーター以上の長さ、幅二十メーター以上、一万トンクラスでやると非常に安定性ができてくる。そのときに、有義波高、波は三・五メーター、最高の波が大体倍ぐらいというのですが、六、七メーターの波が最高に立っても、平均的に三・五メーターぐらいまではやれるというめどがある、こういうことを聞きました。  そして、そういう性能を持つと、今回の一月二日から二月二十日までのこの期間中、使用できない日は、この一覧表にあるように一日か二日は使えない日があるが、あとは有効に使えることになる。その一覧表を見ると、一月二十一日と一月二十二日は五・一メーター、六・五、四・七という波ですね。これはちょっと無理にしても、大体、日本海の冬の波といえども、この程度の性能を持てば、ほぼ八五%、九〇%は稼働し得る能力を持ち得る。  経費はどれぐらいかかるのだと言ったら、それはこれからのようでありますが、一万トンクラスのならば百億以下で可能であるというようなことを、極めて大まかな話ですが聞いたわけであります。一年設計、建造に一年をかければ満たし得る、こういうことを日本造船工業会のこの面の責任者から聞いたのですが、こういうような可能性をどういうように政府としては見ておるのか、お尋ねしたい。
  64. 相原力

    ○相原政府委員 お答え申し上げます。  油回収船の能力の問題でございますが、御指摘のように、今回の事故の教訓といたしまして、特に荒天下の外洋で使用できるもの、三メートルあるいは四メートルから六メートルぐらいの波でも使用できるものがないかどうかというのが、一つ大きな課題でございました。こういう観点で、先ほど御答弁いたしましたように、運輸技術審議会の流出油防除体制総合検討委員会におきましても、新しい技術開発を含めた問題についても御審議をいただいているところでございます。  これまでの検討では、先ほど先生から御紹介がございました日本造船工業会からも、提案の中身についてヒアリングをしてお聞きしているわけでございます。世界的に見ましても、今回相当波が荒かった、四メートルから六メートルぐらいの荒波の条件で使用できる資機材は、まだ世界的にもございません。また、外国では、作業が危険な荒天下の場合には、油を機械的に回収するというよりも、むしろ処理剤を使用する場合があるということなども先生方の方からも指摘されている、そういうようなこともございます。いずれにいたし ましても、現在、その技術開発の課題あるいはその可能性につきまして検討をしているということでございます。  先ほどの、日本造船工業会で技術的可能性ということの御説明があったようでございますが、当然のことながら、油回収船は、船体自体は当然対応可能でございますが、油回収装置そのものについては、今後まださらに開発を進める必要性があるのではないかというふうに理解しているところでございます。
  65. 辻一彦

    ○辻(一)委員 専門的には私も余りわからないのです。しかし、日本世界一と言われた造船技術を駆使して、すべての波というのは無理にしても、四メーターとかそこらの、大体日本海でやれるぐらいのものは何とか開発すべきであると思うし、また、そういう試験や実験を造船業界に委託するという道もあるでしょうが、運輸省が船の試験所、研究所も持っておるわけですから、そういうところで十分取り組んで具体的に積み上げる必要があろうと思うのです。それらについての開発あるいは実験、試験等に対する取り組みの考えはどうなのですか。
  66. 相原力

    ○相原政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、技術開発の課題あるいはその可能性につきまして、現在委員会の方で検討していただいているところでございます。その検討結果を踏まえて対応することになろうかと思いますが、技術開発を行う場合には、官民の協力のもとに一体的に取り組む必要があるのではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、委員会結論を踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
  67. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大臣にお尋ねしますが、二月二十一日の本委員会で私はこの問題をかなり取り上げたのですが、夏の概算要求にこの問題を持ち込みたい、こういう御答弁がありましたが、現在の状況からして、夏の概算要求に向けてどういうような腹づもりでいらっしゃるのか、お尋ねしたい。
  68. 古賀誠

    古賀国務大臣 この油の回収船について、二月の先生の御質問における私の答弁は、概算要求の中で前向きに検討したいということを御答弁したことを、今記憶いたしているわけでございます。当然、今回のあの油流出事故の重大性を反省いたしますときに、どうしても、この油の回収船、技術的にもこれからどういう開発ができるのか、また実用化ができるのかという問題点がございます。そういうことを踏まえて、今検討委員会で御審議をいただいているわけでございますから、その報告というものは尊重していかなければいけません。  しかしながら、あの事故を私どもは振り返るときに、非常に厳しい中でございますけれども中間報告を踏まえた中ではございますが、前向きに何とか私としては概算要求の中で考えられないものか、こういう認識のもとに努力をしてみたい、こういう気持ちでいることは、今も二月に御答弁申し上げたときと変わっていないということを明確にしておきたいと思います。
  69. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題は党派抜きの問題ですから、バックアップをしますから、しっかり夏に向けて頑張っていただきたいと思います。  それから、これに関連して、日本海における老朽船のタンカーは、これもいろいろ論議しましたが、日本に寄らない船が随分日本海を往来しているので、古いのが余り往来しないようにしてもらうというのが一番大事だと思うのです。ロシアを初め各国の老朽船対策について、強力な申し入れといいますか対応が必要であると思いますが、政府で今どう取り組んでおるか、ちょっとポイントだけ聞かせていただきたい。
  70. 山本孝

    山本(孝)政府委員 タンカーを含む老朽船の対策でございますが、まず、国内的な措置と国際的な仕組みと、それに対する我が国の働きかけということでお答えをしたいと思います。  国内的な措置につきましては、既に船齢十年を超えるような船舶につきましては、板厚を計測するとかタンクの圧力テストをやりまして、漏れたり変なところはないかとか、こういうところを見つけるというようなことで、厳しい検査を行っております。また、国際的にも、五百総トン以上の油タンカーにつきまして、船齢に応じました板厚測定だとかタンクの圧力テスト、これは水を張って漏れるかとか空気を入れてとかといったようなことをやるわけですが、それでふぐあいなところがないように持っていく、厳しい検査をやるという申し合わせができておりまして、国際的にやっております。  それから、船の検査の場合は、それぞれフラッグカントリー、旗国が第一義的に検査をするのでございますが、それのみでは不十分なものもあるのは事実でございますので、別途それぞれ船が入港するところでポートステートコントロールというのをやりまして、本当にきちんと検査が行われているのか、これを確かめるという制度がございます。これも国際的協力のもとにやっております。  一方、これにもかかわらず、なお老朽船が運航されるという事態を排除する必要がございます。そこで、我が国は、一月に一度、まず各国が検査を強化すべきであるということを、この事故の経過とともに報告をいたしました。続きまして、現在ロンドンで行われております国際海事機関の海上安全委員会というところで、我が国からある提案を行っております。この提案は、一つには、船舶検査をしたところでは、その船舶の船齢に応じて板厚の減耗程度などを明らかにした書き物をきちんと持たせるということを義務づけておき、一方、入国を許した国が、ポートステートコントロールの際には、その持っております衰耗状況を記した、これは、衰耗でも安全でないというわけではなくて、これでも大丈夫という、手当てをしたという証明でございます、それと現実の船を突き合わせまして、衰耗状況が書いてあるよりさらに進んでいるようであれば、直ちに当該旗国に連絡をしてこの船をできるだけ早く修理をしてください、それから、国際海事機関、IMOにもその事実を報告いたします。それから一定期間、例えば一年といったような期間を経過した後、しかるべき是正措置がなされていない場合には、つまりそういう措置をしたという通報を行わなかった場合には、その船のリストを各国に回しまして、この船は気をつけろ、こういう回章をするという仕組みを提案して、各国に徹底を働きかけているところでございます。    〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  71. 辻一彦

    ○辻(一)委員 老朽船対策は一番もとですから、なおひとつ強く国際的に働きかけて努力をいただきたいと思います。  時間的に限られておりますから、あと一、二点だけ伺いたいのです。三国の海岸に、船首部から油を抜き取るために仮設道路をつくったんですね。その船首部は今ほかの方へ撤去されて静かになったのですが、仮設道路はそのまま残っております。これは当然補償の対象として撤去されるべきものであると思うので、いつ撤去されるのか、それは補償対象としてきちっと確保されるのか、そして、最終的には政府が責任を持つべきだと思いますが、これについてポイントだけお尋ねしたい。
  72. 土坂泰敏

    土坂政府委員 仮設道路の撤去について地元からの強い御要望がありますし、その間の事情についても十分承っております。そのために、まず四月から具体的にどういう撤去方法がいいかということで調査をしてまいりました。この調査結果を踏まえまして、関係の方面と早急に調整をしたいというふうに思っているところでございます。  それから、その費用でございますけれども、これはおっしゃいましたように、油の抜き取りのためにつくった道路でございます。建設の場合と同様、撤去についても基金に求償をしてきちんと取りたいというふうに考えております。
  73. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは最終的には政府が責任を持って、きちっと処理をしていただきたいと思います。  それで、大きな石が随分あるんですね。今度は、あの地区で埋め立てをやっているところが、皆、公有地埋め立てをやっているのですが、そういうところで、せっかくその岩石を捨てるのならそこへ持っていって活用したい、こういう声を聞くのですが、これは払い下げは無償で払い下げられるものとは思いますが、そこらの可能性というのはどうか、ちょっとお尋ねしたい。
  74. 土坂泰敏

    土坂政府委員 撤去された場合に捨て石が回収されるわけでございますが、それについて地元の方で、埋め立てであるとかあるいは護岸であるとか、いろいろな工事に使いたいという御要望が来ております。当然これにつきましても、御要望を踏まえてこれから十分相談をしてまいりたいというふうに思っております。
  75. 辻一彦

    ○辻(一)委員 二、三お尋ねしたいことがありますが、法案の問題についてあと三、四点、お尋ねしたいと思います。  その前に、もう要望でとどめますが、静かな海、きれいな海になったのですが、まだイメージは重油のイメージが、テレビや新聞等を通して随分一般に広がったものですから、風評被害が観光地では非常に大きいわけなんですね。それで、風評被害に対する対応というものが観光の元締めたる運輸省では考えられなくてはならぬと思うのです。簡単で結構ですから、ちょっと一言その考え方を示していただきたい。
  76. 相原力

    ○相原政府委員 御指摘のように、風評被害による観光被害、これは重要な課題であるというふうに考えております。運輸省といたしましても、そういう観点から、関係の地域、それから観光関係者で構成いたしました流出油事故関係地域観光需要連絡協議会というのを発足させまして、三月に第一回会合を東京で開きましたが、第二回は四月中旬に現地で、福井県、石川県の方で開催いたしております。第三回を今月中旬にまた開催いたしますが、そういう連絡協議会の場等を通じまして積極的にキャンペーンの展開あるいは送客等について関係者が協力していくということにいたしております。  それからもう一つ、違った観点で、北陸三県の観光交通地域振興アクションプランというのもございます。これは先月策定したばかりでございますが、その中でも、例えば若狭―越前―加賀ルートというのを北陸三県の三大ルートの一つとして設定いたしておりまして、こういう形で積極的な展開をしてまいりたいというふうに思っております。
  77. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今局長が答弁の中で触れられましたが、当初、運輸省の観光中部地区のアクションプランの中には黒部峡谷と北陸の温泉地域があって、越前、若狭海岸は落ちておったのですが、県の要望や越前海岸、若狭海岸の町村の要望等が強く反映されて、今三つ目の柱として越前海岸、若狭海岸が三大柱の一つとしてアクションプランの中に位置づけられたということは、大変いいことではないかと思っています。  最後に、船舶安全法の改正案について二、三点伺いたいのです。一つは、船舶検査証の有効期間を四年から五年に延長したわけですが、これは五年に延長することで問題はないのか。延ばすということは性能がよくなったということであろうと思いますが、もう時間の点から簡潔で結構でありますが、お答えいただきたい。
  78. 山本孝

    山本(孝)政府委員 この検査の間隔の問題につきましては、近年の船舶の設計技術、検査技術等の発達から、船舶自体の事故の減少傾向が大変顕著であるということと、英国、米国などの先進国でも既に五年に延ばしていて、さしたる支障はないという実態を踏まえまして、私どもも、運輸技術審議会の方に諮問を行い、その答申をいただきました。検討していただいた結果、やはり四年を五年に延ばしても大きな問題はないので構わないという答えでございましたので、この際、四年を五年に延長することといたしたものでございます。
  79. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今まで本邦、我が国施行地外で製造検査が行われなかったのが、今回はそれでもいいということになったのですが、今までなぜそれがやれなかったのか、その理由はいかがですか。
  80. 山本孝

    山本(孝)政府委員 端的に申し上げますと、従来、日本船舶はすべて我が国で建造されておりましたので、制度上、海外における製造検査を定める必要はなかったということでございます。  しかしながら、最近では、外国造船所の能力向上等もございまして、例えば豪州などで日本籍船を建造するものがぼつぼつ出てまいっております。こういったものの検査の効率的な実施、より徹底した実施を図るために、今回、このような措置をすることにしたものでございます。
  81. 辻一彦

    ○辻(一)委員 最後にもう一つ船舶発生廃棄物汚染防止規程、船舶発生廃棄物記録簿、船舶発生廃棄物の排出に関し遵守すべき事項等の記載内容、これらを船舶に備え置きまたは掲示することによる効果は、どういうように考えられておりますか。
  82. 相原力

    ○相原政府委員 まず、船舶発生廃棄物の関係の規制でいろいろ義務づけられるわけでございますが、これらの措置によりまして、廃棄物の取扱者が船舶から発生する廃棄物の適正な処理について十分認識することができるとか、船員あるいは旅客船の場合は旅客もどういうふうな規制が行われているかというのを十分認識できる、そして適切な処理方法や規制内容を知らなかったことによる廃棄物の排出というものが減少する、こういうことによりまして、不適正な廃棄物の排出が抑制されるというふうに考えております。
  83. 辻一彦

    ○辻(一)委員 内航海運組合法の一部改正案についても二、三点お尋ねしたいことがありますが、同僚の鉢呂議員がそういうものにお触れになると思いますので、時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  84. 村田吉隆

    ○村田(吉)委員長代理 鉢呂吉雄君。
  85. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄でございます。大臣、本当に御苦労さまでございます。  まず最初に、ただいま審議されております内航海運組合法の一部改正案について、岩田海上交通局長に御質問を申し上げます。  本法案は、船舶建造にかかわる資金調達の円滑化が図られるよう、内航海運業者が行う船舶建造資金の借り入れについて、内航海運組合が債務保証を行うことができるようにすることの内容であります。  そこで、船舶整備公団、ただいま参議院に法案が送られて、運輸施設整備事業団という名称に変更になりますけれども、この事業団が行う共同建造業務、事業者の持ち分というのは四〇%から二〇%あるわけでありますけれども、この事業者持ち分についても債務保証というものが適用されるのかどうか、まず局長にお伺いいたします。
  86. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 お答えを申し上げます。  当然のことながら、この法案の成立がなされた後に決めることでございますが、具体的な債務保証の事業の内容につきまして、今、私どもと一緒になりまして、日本内航海運組合総連合会において検討を始めようとしているところでございます。  今お尋ねの、船舶整備公団の共有建造方式の船舶についても、今先生お話にございましたように、四〇%から二〇%は事業者さんの共有持ち分になるわけで、その中のどの範囲を、どんな手数料で債務保証の範囲とするかということを勉強し始めたところでございまして、引き続き精力的に勉強していきたいと思っております。
  87. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そこで、この事業団の共同建造業務については、全国の旅客船の七四%あるいはまた貨物船の五六%というものがこの事業に依存をしておるわけであります。私は、農水関係、特に水産庁関係をこの間ずっとやってきまして、漁船の建造についても、この事業団の共同建造業務というものが適用できないかどうか、実は運輸省にも、水産庁にも盛んにこの間かかわってきております。  運輸省は非常に積極的な面が見られるというふうに私は思っておりますけれども、私も長年この 関係に携わっているのですけれども、どうも農水省は全く消極的であります。漁業者の要望も強いわけでありまして、ぜひ漁船の建造にこの事業団の共同建造を適用していただきたい。この点について、局長のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  88. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 ただいまお話にございましたように、鉄道整備基金とこの船舶整備公団は統合することで御審議をいただいているわけですが、御審議の中で、統合法人は既存の業務の見直しやスリム化をするべきであるというようなことが、大変多く御意見として出ております。そんな流れ、それから行政改革の流れで、新しい法人がまた違う業務を行うということは、大変慎重に検討しなければならない事項ではないかと思っております。  そういう要望につきましてどうするかということは検討しなければいけないのですが、もう一つの問題として、船舶整備公団の職員、審査をして共有建造のためのお金を手当てして共有建造をしているという審査業務サイドがいるわけであります。御案内のように、内航も、タンカーも旅客船も貨物船もあるのですが、船舶の構造面それから利用面において、いろいろな技術者あるいは知識の豊富な職員もいるのですが、漁船につきましては、建造、それから採算性といいますか支払い能力、使用料がどのように取れるのかとか、そこら辺の知識が皆無でございまして、恐らく、職員サイドにおきましても、ちょっと自信がないのかなというふうに思っているのだろうと思います。  いずれにしましても、農水省と相談をしまして、あるいは、そういう共有建造方式を農水省の方で、農水省の担当する農林漁業金融公庫の方でできないのかとかを含めまして、相談をしていきたいと思っております。
  89. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 その御答弁は随分私は聞かされておるわけでありまして、いわゆる農林漁業金融公庫資金との絡みで、縦割りの弊害が顕著に出ておるわけであります。運輸大臣も、この点について、いつまでも繰り返し同じような答弁にならないように、指導性を発揮していただきたいものだというふうに思っております。  そこで、若干法案と離れますけれども日本とロシアとの二国間の航空協定交渉について、大臣並びに航空局長にお尋ねいたしたいと思います。  まず最初に黒野航空局長にお尋ねいたしますけれども、諸外国との二国間航空協定が、ロシアとの場合既に締結されておるわけですけれども、さらに乗り入れ地点の追加要望があった場合、どのような協議あるいは手続というものが必要になるのか。この点についてまず最初にお聞きいたします。
  90. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 いわゆる二国間の航空当局者間の協議、ここは、ある意味におきましては両方の政府がエゴとエゴをぶつけ合う場でありまして、私どもが欲しい権益を主張し、ロシア側はロシアとして欲しい権益を主張する、こういう場であります。  したがいまして、その間で、例えば需要の見通しをどうするかとか、そういうことを背景にし、最終的には両方がある程度妥協しつつ、例えば二国間の具体的な運航路線をどこにするか、それから輸送力、便数等をどうするかということを決める、そういう場でございます。
  91. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 局長にお尋ねしますけれども、昨年の十月にロシアと日本との航空交渉が行われたというふうにお聞きをいたしております。ロシア側からは、北海道の新千歳空港に八地点からの乗り入れ希望が、非公式にあったというふうに聞いていますけれども、交渉の経過についてお尋ねをいたします。
  92. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 今のお話は若干経緯がございまして、お時間をいただくかもしれませんが、昨年の十月の上旬に私どもとオランダとの間で航空交渉がまとまりまして、オランダのKLMという会社がアムステルダム―新千歳―名古屋、こういう運航を行うということでオランダと私どもで合意に達したわけでございます。  ただ、ヨーロッパから来る便はほとんどがシベリア上空を通るわけでございまして、ロシア政府としては、この上空通過についてもロシアと交渉した上でなければだめだと、こういう従来からの主張になっております。私ども、このKLMのことを頭に置きつつ、ロシアに対しまして上空通過を認めてほしい、こういう交渉をしたわけであります。  結果といたしまして、今先生がおっしゃった点も含め、両者の間での考え方が余りにも大きな差があるものですから、現在の段階では交渉は合意に達していないということでございます。
  93. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 いわゆる乗り入れ地点の希望の関係ですけれども、時間がありませんから私の方からお尋ねします。八点の非公式の希望があったと、その中には新千歳―ロシア・サハリン州のユジノサハリンスク市、ユジノサハリンスク空港との路線もあったというふうに聞いておるわけであります。  これについては、私も大臣にもう何回かお会いしておりますから、きょうは委員会の席でお尋ねをするわけでありますけれども、過去の経緯がございまして、当初、ロシアのアエロフロート航空は、五年前ですか、ユジノサハリンスクと新千歳空港を希望して航空交渉があったというふうに思っています。しかし、日本のこの新千歳空港が自衛隊の基地にもなっておるということで防衛庁との関係が協議が調わないということで、急遽、私の地元の函館市とユジノサハリンスクの定期航路開設という形になったというふうに、私も考えておるところでございます。  そこで、今回、新千歳ということになりますと、北海道の二つの空港にロシアの一空港から乗り入れをする、これは、全国でもどこの県にもないということでございます。また同時に、先ほど言いましたような経緯を踏まえれば、このことについては相当慎重でなければならぬというふうに考えておるところでございます。  特に、ロシアとの航空の定着状況は必ずしも芳しいものではありません。函館―ユジノサハリンスクについても、三年を経過いたしまして、三十六人乗りという小型の機材でありますから必ずしも他に比較はできませんけれども、それでも、大変な努力をされて搭乗率が七〇%から六五%と、ほかの方が二〇%台に比べますと、大変な努力をしております。例えば、それは大臣にも申し上げておりますけれども、函館市が国際ターミナルを運輸省の十一億円ほどの御予算をいただいて建設をしておりますけれども、ターミナル使用料というのは一千万以上の、普通からいけばそういう利用料金をサハリン航空からいただかなければなりませんけれども、現状はその十分の一以下というようなことで、大変な努力をしながら利用客の確保に努めておる。  また、大臣も御案内のとおり、先般の池田外務大臣の訪ロに基づきましてプリマコフ外務大臣と外相会談を行いまして、函館市が、ロシアの大使館の札幌総領事館の函館支所という形で開設を見ることに至りました。これはもう決定をしたわけでありまして、そういう中で函館市がユジノサハリンスク市とも姉妹都市を提携をするということで、大変な御努力をされておるところであります。先ほど言いましたような新千歳空港とユジノサハリンスクの航路が新設されるというようなことになりますと、大変大きな支障になるわけであります。  そこで、大臣にお尋ねを申し上げますけれども、この間の函館市を含めて南北海道の地域の皆さんが、定期航路を開設し、その後のこの利用の確保等についての実績、あるいはこの間の経緯についてどのように評価をされておるか、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  94. 古賀誠

    古賀国務大臣 この問題につきましては、先生からもお触れいただいておりますように、大変先生が御熱心で、私も十分いろいろな経過等については承知いたしているところでございます。  御承知のとおり、この函館―ユジノサハリンスクの間には、平成六年の四月からアエロフロート が週二便実は運航しているわけでございます。今先生もおっしゃっていただいておりますように、輸送実績も、利用率が大体七〇から六五と非常に安定した中で推移をしております。これについても、函館市を初めとして、大変地元の皆さん方の御努力があっての結果だろうと思っておりますし、また同時に、空港の整備につきましても、今先生から詳細にお話しいただきましたように、それぞれの立場で御努力をいただいているということも承知をいたしております。  いずれにいたしましても、この週二便の運航というものが、函館を中心とした我が国とサハリン間との人間的な交流または経済的な交流、こういったものに大変大きな役割を果たしているということについては、ひとつ大きな評価をすべきだと思っております。函館市を中心とする、また、地元の皆さん方の交流を通じての市を挙げての努力というものに対しては敬意を表したい、こういう認識でおります。
  95. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そこで、新千歳線が開設されるということになりますと、大部分の利用者がそこにシフトして函館―ユジノ線が事実上休止に至るという懸念が極めて強いわけであります。  そこで、今のところ六月二十四日から航空交渉がモスクワで始まるというふうにお聞きをいたしておりますけれども、この日ロ航空交渉に当たって、大臣としてぜひとも、函館線が事実上閉鎖に至るような形にならないように、あらゆる交渉の場で、この存続、維持に関して相手側に説明もして御理解をしていただくような御努力をぜひお願いいたしたいというふうに思いますので、御答弁をいただきたいと思います。
  96. 古賀誠

    古賀国務大臣 御承知のとおり、さきの日ロの航空交渉では、ロシア側から具体的にこの函館線についての発言はなされていないというふうに聞いているところでございます。  いずれにいたしましても、新千歳とユジノサハリンスク線の問題というのは、外国企業の希望、運航計画に関するものでございます。日本側運輸省といたしまして、この航空交渉でこれをあくまで拒否した場合には、今札幌市を中心といたしております日本とオランダ、こうした航空交渉にまで大きな支障を来してくるわけでございます。こういうことを考えてみますと、航空交渉、あくまでこれを拒否するという場合に、今申し上げましたような交渉全体がまとまらなくなるというおそれがあるということは、先生にもよく御承知おきいただいているところでございます。  したがいまして、運輸省といたしましては、函館市を中心とする地元の強い要望、こういったことを当然ロシア側紹介をしていく、そして、この函館線の維持を要望させていただくという方針を堅持しつつ、この交渉は行わせていただきますけれども、最終的には、新千歳―ユジノサハリンスク線を拒否するというようなことは、なかなか困難なことだということもぜひ御理解をいただいておきたいと思います。
  97. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 先ほど航空局長、エゴとエゴ、権益を絡めて交渉がなされる、その際に、需要の見通しというものが大きなかなめになるというお話もありました、あるいは輸送力の問題。  時間がありませんから、もうあと二分少々だと思いますので、詳しくは話す時間はないのでありますけれども、二つの路線が並行的に存続をするということは考えられない状況でありますので、拒否をするというようなことではなくて、相手側の、ロシア側あるいはこの航空関係者にぜひ説明をして、御理解をいただく御努力をお願いいたしたい。  五月の二十六日にも、市民の皆さん一千四百名が緊急総決起大会というものを開いて、私も出席いたしました。大変な熱意と重大な関心を市民の皆さん一人一人が持っておりましたし、今、木戸浦函館市長を中心に、サハリン州を訪問いたしまして、あそこの州知事さんや市長さん、航空関係者等々にこの間の函館市の取り組みなり今後の取り組みの方向、存続について行動を起こしているということもありますので、ぜひそこは、大臣、粘り強い、あらゆる交渉の場面で御努力をお願いいたしたい。再度、御答弁をいただければと思います。
  98. 古賀誠

    古賀国務大臣 申すまでもなく、地元の皆様方の熱い熱意というものに対して、ロシア側にはこの路線の維持について強く要望していきたい、このことを誠心誠意行わせていただきたいと思います。
  99. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 これで終わります。ありがとうございました。
  100. 村田吉隆

    ○村田(吉)委員長代理 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  101. 杉山憲夫

    杉山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。平賀高成君。
  102. 平賀高成

    平賀委員 日本共産党の平賀高成でございます。  私は、改正案にある内航海運組合総連合会が行う事業に債務保証を追加すること自体には反対するものではありません。しかし、この債務保証は、船腹調整事業の廃止を前提に導入されるものであります。船腹調整事業の廃止は、内航海運業者にとってまさに死活的な問題であります。内航海運における船腹過剰の及ぼす影響は、極めて深刻なものがあります。船腹過剰を解消するための決め手として、さまざまな船腹調整の規定が定められています。既に船腹調整事業が行われまして三十年を経過してまいりましたが、この間、数年間を除いて常に船腹量は過剰な状態に置かれております。  現状について伺いますが、現在はどの程度の船腹過剰の状況にあるのでしょうか。
  103. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 船腹需給の現状のお尋ねでございます。  これは、例年六月の三十日時点の現状をとっておるものですから、去年の数字になってしまいますが、現有船腹量は、貨物船で約百七十万総トン、それから油送船は百万総トンでございます。昨年の十二月に策定をしました内航適正船腹量によりますと、貨物船で四・二万総トン、油送船で約七万総トンの過剰となっているところであります。
  104. 平賀高成

    平賀委員 今お話がありましたように、内航海運業界というのは、非常に船腹過剰の状況にあるために、今激しい競争が既に行われています。三十年前と比べてみましても、事業者数は五八・六%に減少しております。その一方で、輸送量は一・五七倍となるなど、着実に近代化や合理化が進められてきました。船腹調整事業は、ストックのきかない産業である内航海運業界の需給のバランスを調整するためのものであり、この調整事業があるために老朽船であるとか放置船が比較的少なくて、内航の安全や環境にも大きな役割を果たしています。  船腹調整事業をやめてスクラップ・アンド・ビルド方式を廃止するということは、私は三十年前と同じような過剰な船腹を生むことになると思います。船腹が過剰な状況になった場合、運輸省はどういう対応をされるのでしょうか。
  105. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 船腹調整事業の役割でございますが、先生から今お話がございましたように、この事業を通じまして、安定輸送の確保が図られている、あるいは経営の安定が図られているということも事実でございます。  ただ、一方で、この規制によりまして意欲的な者の事業規模の拡大や新規参入が制限されているとか、調整事業への過度な依存体質により事業規模拡大などによる経営基盤の強化に向けた構造改善が進まないというような指摘もございます。実は、これは、内航海運事業者さん、船員組合、もちろん荷主の方々も含めました海運造船合理化審議会で、一昨年の今ごろに、これを計画的に解消するのだという内容の答申が出たところでございます。  ただ、その答申の中でも指摘はしておりまして、調整事業を行うことをやめると、過剰船腹が生じやすいということが記述されております。したがいまして、船腹調整事業の解消後においても、需給の適正化については特段の配慮をしていく必要があると考えております。具体的には、内航海運業者の船舶建造の中長期的な指針となります適正船腹量を今後とも引き続き策定し、より精密なものにしていくとともに、これを補完するものとして、内航海運業者と荷主業者との定期協議機関の場を活用しまして、総論だけではなくて、それぞれの物資別のきめ細かい船腹需給見通しについて相互認識を図ることが必要だと思っております。実は、その方向でもう何度もそういう会議をやっております。  さらに、役所としても、荷主の団体それから内航海運業者の団体と役所が入りました協議会の場もありますし、役所が直接荷主団体とお話し合いをしていろいろな情報を聞いて、将来的な見通しを誤らないような資料の作成、情報の提供をする所存でございます。
  106. 平賀高成

    平賀委員 私が聞いているのは、船腹調整事業が廃止をされた後、過剰な船腹になった場合、どういうふうな対応政府はされるのか、手短に答えてください。
  107. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 ただいま申し上げましたように、いろいろな長期的な見通しに立った適正船腹量を策定し、これを内航海運事業者の方々の参考となるように提示をする、あるいはそういう協議会の場を通じてみんなに認識を広げていただくということで、景気によりまして輸送需要というものは変動するものですから、需給の破衡が将来的に見通せるような情報を提供していきたいと思っております。
  108. 平賀高成

    平賀委員 非常によくわからない説明なんですが、事前のレクの段階では、この制度そのものは残すことになって、非常事態としてセーフガード的な発動をするのだというふうなことも、この対応の中に含まれるのですか。
  109. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 内航海運業法には、実は、今御指摘がございましたように、最高限度を定めるという規定がございます。著しく船腹が過剰になっているようなときに定めるわけでございまして、定めるときの要件がいろいろございます。これを定めますと、新たに船腹を建造しようとする人は許可が要るわけですが、その許可がおろせない、要するに許可をおろさないという措置がございます。著しい過剰になった場合としてそういう措置が規定されてございます。
  110. 平賀高成

    平賀委員 セーフガード的な対応も含まれるというふうな趣旨の答弁だったと思います。  それで、内航海運業界にとって船腹調整事業を廃止するということは、先ほども申し上げましたとおり、まさに死活問題であります。制度が今後どういう基準で運用されるのか、私は明確にしておかなければならないと思います。異常な船腹量だとか非常事態だというふうな説明もレクのときにありましたが、私はこういう非常に不明瞭な状況では、業界としても納得することはできないと思います。  それで、制度としてそういうふうなことがあるという話でありましたけれども、私は、実際の問題としてそのような制限が発動されないのではないのかというふうなことも心配をしています。運輸大臣が定める適正船腹量を基準にして、実際どのような状況になったら、今お話があったようなセーフガード的な対応がされるのか、またどういうふうな事業を行うのか、この点について伺います。
  111. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 先ほどの答弁が少し足りないところがございますので、補足をさせていただきますと、セーフガードとして先ほど申し上げましたような最高限度の措置がある、こういうことでございます。  それから、もう一つのセーフガードとしては、先ほど申し上げました海運造船合理化審議会の中に書いてあるわけですが、著しく船腹が多くなった場合を想定しまして、船腹調整事業が解消をされた後も制度としては残す。それで、もし、物すごく著しくというか、大変大幅な需給バランスの乖離が生じた場合については、答申によれば、再度そういう船腹調整事業を行うことがあり得べしというように記述されているところであります。  さて、今のお尋ねの、どういうときにそういったセーフガードを発動するかということでございますが、こういう場合にこうするんだということを今決めているわけではございません。まだ船腹調整事業があるわけでございますので、決めているわけではないのですが、どういったときに発動するかということを検討する際には、過去において最高限度額を定めたような状況、例えば過剰船腹が一〇%以上もあるとか二〇%以上もあるとか、そのようなことを頭の中には描いておりますが、そういうことで、まだ決めているわけではございません。
  112. 平賀高成

    平賀委員 全体としては非常にあいまいな感じがあるというふうな説明でありました。  それで、一杯船主の百九十九グロストンの船でも、建造のためには今大体三億円近くかかります。そして船の償却期間は大体十四年から十五年です。一度過剰になった船腹量は、ただ単にセーフガードを発動したとしても直ちに解消するわけではありません。  ですから、初めに運輸省も答弁しましたように、三十年船腹調整事業を続けてきて、その上で今過剰の状況にあるわけでありますから、この船腹調整事業については船主の人たちも、それから、その閣議決定の後でも、内航海運総連合会の人たちでさえも、船腹調整事業は大事だ、このように強調をしているわけです。  それで、九六年四月の運輸省の通達に基づいて内航海運組合総連合会が作成しました「内航海運の環境整備推進のための計画について」を見ますと、現在四千事業者の一杯船主がおられるわけですが、一杯船主を今後は千五百事業者に減らして、さらにその残りの二千五百事業者のうち千事業者を廃業にして、さらに残りの一千五百事業者をグループ化であるとか協業化をさせる、こういうふうな計画が出ています。この計画を進めていきますと、一杯船主の事業者は結局排除されてしまうということになります。  さらに、整備計画の中では、自己資本比率を現在の四%から二〇%に引き上げることを目標とするとか、年間約一〇%の増益が必要であるとか、内航海運の経営実態から非常にかけ離れた目標が提起をされています。内航海運業界の収益率は運輸省の資料におきましても〇・五%、自己資本率は四・二%です。運輸省の指導のもとに行っていくこの環境整備計画というのは、私は非常に現実離れをした目標だと思いますが、この点についてはいかがですか。
  113. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 環境整備計画につきましては、先ほど申し上げましたように、海造審の答申が出まして、将来に向けて船腹調整事業を計画的に解消を図るんだということを前提としまして、内航海運組合総連合会がいろいろな関係者を交えてつくったものでございます。  私どもとしましては、内容がいろいろ多岐にわたっておりまして、大変総合的な対策だと思っております。これを役所が押しつけたというわけではなくて、総連合会がみずからの検討で出してきたものでございまして、私どもとしては、これを尊重して、それらの計画が達成されるように努力しているところでございます。  ちなみに、内航総連合会等の間ではこの整備計画の達成のために定期的にお話し合いをしているというようなことでございまして、役所としましても、この計画に即した実行がなされるように努力しているところでございます。
  114. 平賀高成

    平賀委員 今、内航海運総連合が自主的に出した計画だと言われましたが、これは、そういうものを出さざるを得ないような閣議決定をして追い込んでいったというのが事の経過だということを一言言っておきます。  それで、運輸省に伺いますが、環境整備計画で は、経営の合理化努力や適正なコストプラス適正利潤での運賃や用船料の収受に努めるとなっています。運賃や用船料の適正化についても、荷主の協議会で内航海運の業者が納得できるような運賃や用船料の改善が行われるように運輸省はきちっと指導をするのかどうなのか、この点について伺います。
  115. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 運賃の問題につきましては、かねてから大企業対中小零細、大きな会社も中にはありますが、大部分が中小零細、交渉をしますと負けるということで、適正化を図っていかなければならないということでございます。  私どもとしまして、先ほど申し上げましたような荷主協議会の場に役所が入りましてというか、むしろ荷主さんと船会社の方を集めまして、我々の司会進行のもとに物資別の協議会を開いて荷主さんに御理解を願っているわけでございます。さらに、私どもとしましては、これも先ほど申し上げましたけれども、役所がじかに荷主の団体のしかるべき人との間で話をしながら、それも業界別に話をしながら御理解を願っているところでございます。  もう一つ、私どもとして今努力をしている点について申し上げますと、そうは言っても、やはり荷主さんの方が力が強いということでございます。公正取引委員会と今協議をしているところでございますが、荷主の優越的地位の乱用防止のための新たな措置ができないかということで、今まさに協議をしているところでございます。
  116. 平賀高成

    平賀委員 今いろいろ言われましたが、実際、現在の内航海運業界というのは中小零細業者がほとんどであります。特に、利用者は石油だとか鉄鋼関係の大手の企業です。日常的な運賃のダンピングが行われております。  先日、私は中国や四国地方の内航海運の会長さんとお話をしましたが、例えば一カ月の用船料を一千四百万円もらわなければならないところが、現実には九百万円しかもらっていない、それから運賃についても、六カ月先の手形でもらっているとか、また、運賃を何とか上げてもらおうということで荷主と交渉しましても、石油関連の荷主は、自分たちが勝手に船をつくっておいて我々はその責任をとらない、そういうめちゃくちゃな言い分を主張しているわけですよ。  こういう状況の中にあって、運賃や用船料もどんどん下がっていく。経営実態そのものは非常に深刻な状況に置かれているわけです。運賃や用船料の改善が、現状ではとても改善できるような状況ではありません。ですから、今説明があった改善計画というのは、非常に現実離れをした、絵にかいたもちだと言わなければならない、私はそのように指摘をしておきたいと思います。  次に、引当権について伺います。  営業権ともいうべき引当権にしても、現在、トン当たり約十万円です。一般的な四百九十九グロストンの船で引当権は約一億五千万円になります。船腹調整事業がなくなると、引当権としての一億五千万がなくなり、船を建造する場合、融資の担保権がなくなってしまいます。中小零細の船主が多く集まっている中国、四国地方では、閣議決定で船腹調整事業が廃止することが決まってから、金融機関は追加担保を要求してきた、さらに、引当権を担保にしてお金を貸してもらえなかった、こういう事例がいろいろ生まれています。私も伺うところによりますと、内航海運の業界の皆さんはほとんどが赤字だというふうな話も聞いています。  今度の改正法にある債務保証制度について伺いますが、内航海運業者が債務保証を受ける場合、どういう要件が必要だと運輸省は考えておられますか。
  117. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 この法案が成立をしたときにそういうことが実現可能なんですが、今まさに検討を始めたところでございまして、今こういうふうにするという結論は出ておりません。  ただ、趣旨として、引当権というものが今までお金を借りる場合の担保になっていた、そういうものにかわる債務保証制度ですから、そのかわる趣旨が生かされるようにしていかなければならないと思います。今後関係組合と十分密接に連絡をとりながら、遺漏のないようにしていきたいと思っております。
  118. 平賀高成

    平賀委員 債務保証を受ける基準というのは、まだこれからだという話だったと思います。これは非常に不明瞭です。  さらに伺いますが、実際に船腹調整事業が廃止をされて、それにかわる事業だということであります。そうしますと、今まで引当権を担保にして船を建造してきた業者は、失われる引当権に相当する融資を保証されるということですか。これはちょっと大臣に伺いたいと思います。
  119. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 お答えを申し上げます。  引当権自体は、船腹調整事業というもの、カルテルなんですが、それに副次的に生じてきたものでございまして、これをやめるから直ちに国が補償するというのは少し難しいのだろうと思います。  ただ、長年続きましたこういう船腹調整事業を計画的解消するに際しましては、いろいろな、今申し上げましたような環境整備計画を通じまして少しずつ、余りショックがないように解消を図っていくところでございます。  一方、この解消計画の前倒しにつきましても閣議決定で決まっておりまして、前倒しをする場合において関係者、事業者、組合のぎりぎりの努力を前提に、どのような支援が必要なのかということにつきまして、組合員の方の要望もございます。私どもとして、今何度も協議をしているところでございます。
  120. 平賀高成

    平賀委員 この点についても保証がされるという話ではありませんでした。  それで、国の政策変更で担保権を失うときに債務保証が受けられるかどうかは、船を建造できるかどうかの非常に重大な問題であって、今のような答弁でいきますと、基金として積み立てる百三十億円、これも果たして事業者が出すかどうかも非常に心配になってきますよ。どういう事業者が債務保証を受けられて、どういう事業者が債務保証を受けられないのか、この点について基本的な考えを再度私は伺いたいと思います。
  121. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 今までありました船腹調整事業の副次的な産物でございますが、引当権というものが資金の担保として機能してきたということでございます。したがいまして、その担保として機能してきたものが債務保証の中で生かされるようにしなければならないと思いまして、それは引当権と同じような機能、能力といいますか役割を持って運用されるべきものと考えております。
  122. 平賀高成

    平賀委員 では、同じようにきちっと保証されるということですか。債務保証は今までと同じようにきちんと、銀行などからもきちんとお金が借りられるということになるのですか。
  123. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 保証業務でございますから、どのような審査が行われるかと申し上げますと、抽象的に申し上げれば、保証して、それが、ちゃんと事業がなされてお金が返ってくる、そして保証義務が生じないということが審査されるのだろうと思います。  ただ、これは組合の事業としてやっているものですから、銀行が非常にドライにやっているのとは少し違った運用がなされるべきだと思っております。そこら辺につきましては、具体的にはどのような基準、どのような内容、料率あるいは保証料でやるかということについてはこれから、まさに今検討を始めたばかりでございますので、これから成案を得ていきたいと思っております。(「そんなの見通しもないぞ」と呼ぶ者あり)
  124. 平賀高成

    平賀委員 本当に見通しのない状況だと私は受けとめています。  特に、船腹調整事業が廃止されることによって引当権そのものがなくなるわけです。政府は、これは副次的に発生したもので、私たちがその責任をとるべきものではない、こういうふうな説明でありますが、しかし、余りにもいわば無責任な対応だと思います。政府の船腹調整事業によって生まれてきた問題ですから、少なくともこういうも のを補償する考えはないですか、運輸大臣
  125. 古賀誠

    古賀国務大臣 今政府委員の方から御答弁申し上げておりますように、まさにさまざまな問題点について、債務保証事業の具体的な内容等につきましても内航海運の組合総連合会において検討されているところでございます。  いずれにいたしましても、今先生指摘のように、運輸省といたしましては、検討される内航総連に対しまして、今回の法律改正というものが経営基盤の非常に弱い中小零細企業の方々の資金調達の円滑化を図るという趣旨であることを十分踏まえまして、担保能力に欠ける事業者の方々にも船舶建造が行えるように、債務保証事業の内容が策定できるような指導をやっていくということは当然重要な役割だと思っております。そういう観点に立って指導をしてまいりたいと思っております。
  126. 平賀高成

    平賀委員 この内航海運の問題の最後になりますが、今この業者の中で、今まで引当権があるから安い運賃でも頑張ってやってきたけれども、船腹調整事業の廃止で莫大な借金が残り家屋敷もなくなるとか、さらには、同じ規制緩和で、他の業者はゼロからのスタートになったとしても、みずからの海運業界はゼロからのスタートではなくてマイナスからのスタートだ、こういう点について補償してほしいというふうな要望もいろいろ出ております。私は、この質問の最後に、少なくとも、廃業したいと思っていても借金が多過ぎて廃業ができない業者、それから転業したいと思っていても転業するための資金がない業者に対して、支援策は考えていらっしゃるのでしょうか、運輸大臣
  127. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 これは、船腹調整事業をすぐやめるからとかそういうことではなくて、直接関係なく、先ほど先生からお話がございましたような過剰船腹があるという話、そもそも過剰船腹をどうするんだという対策の一環として今やっているところでございますが、日本内航海運組合総連合会においては、従来から転廃業しようとする者に対して、船舶のトン数に応じた助成金を交付しております。さらに、現在、考えているところでございますが、この措置に加えて、転廃業をしようとする者から、優先的に過剰船腹の引当権を買い上げることを検討しております。  これとは別なんですが、税制上も、転廃業、一言で言えば海から陸に上がろうという方々に対しましては、税法上の圧縮記帳ができるような特別措置も制度的には設けられておりまして、これらの措置によりまして、事業者の転廃業がうまく円滑にいけるのではないかと思っております。
  128. 平賀高成

    平賀委員 私は、今の議論を聞いてきまして、一つは、環境整備計画そのものも非常に非現実的なものであるということもわかりましたし、債務保証も果たして受けられるかどうかも非常に不明だ、さらに、廃業を余儀なくされるような人たちへの対策についても、本当に実際の実のある制度になるかどうかも私はよくわかりません。こういう現状のままで船腹調整事業を廃止するということになったら、内航海運事業者にはかり知れない被害を与えるものになるということを一つ指摘をして、次の問題に移ります。  船舶安全法改正について一つだけ伺います。この改正案は、外国で建造される日本船舶が建造地で製造検査を受けることができる、こういう改正案です。現在の検査状況でいいますと、船舶検査官の数からいいましても、非常にぎりぎりの体制でやられていると思います。外国でその検査をする船舶が、検査水準が国内よりも下がるおそれはないかどうか、このことだけ伺いたいと思います。
  129. 山本孝

    山本(孝)政府委員 お答えいたします。  まず、国内におきます日本船舶検査体制でございますが、現在、各地の支分部局に約二百二十名の船舶検査官を配置して検査を実施しております。一方、海外におきましては、海外における日本船舶検査につきまして、六カ所、すなわち、シンガポール、ニューヨーク、ハンブルク、ラスパルマス、これはスペインでございます、それからオーストラリアのパース及びペルーのリマの六カ所に、それぞれ一名ずつ検査官を配置して海外の検査に当たらせております。また、必要な場合には、日本から船舶検査官を出張により派遣いたしまして検査を行っております。  今般導入いたします海外での製造検査につきましては、現在のところ年間数隻程度ということでございまして、本改正の施行後直ちに受検件数が大幅に増加するということも、これまた予想されないところでございます。したがいまして、当面は、現在の国内、国外体制検査は十分対応できるものと考えております。  いずれにいたしましても、船舶検査の水準が低下するということがあってはなりませんので、今後とも必要な船舶検査体制整備には万全を期してまいりたいと考えております。
  130. 平賀高成

    平賀委員 わかりました。ぜひ頑張っていただきたいと思います。  それでは、次の問題に移ります。  日本海の油回収船の配置の問題についてであります。先ほども質問がありました。今、運輸省の検討委員会でも検討されておりますが、日本海へ油回収船をぜひ配置してほしいという地元の自治体の強い要望もありますが、検討委員会の方もこの方向に沿って検討が進められていると思いますが、検討委員会は検討委員会として、ぜひしっかり検討していただきたいと思います。私は運輸大臣に伺いますが、日本海でも対応できる大型の油回収船の配備について、考えていらっしゃるのかどうなのか伺います。
  131. 古賀誠

    古賀国務大臣 先ほども、今回の事故についての御質問に対し、御答弁を申し上げているところでございますが、今回の事故というものはさまざまな教訓を残しております。それだけに、広範囲にわたりまして問題点検証して、今先生から御指摘いただいているような日本海側を含めて、油回収船の配備等さまざまな問題点についてどう対応していくのか、総合的な検討が必要であろうというふうに思っております。  今先生もおっしゃっていただいておりますように、実は、運輸技術審議会の方で流出油防除体制総合検討委員会というものを三月五日に設置させていただいております。これの取りまとめが六月中には行われるというふうに承知いたしているところでございます。まずその検討委員会報告を私としては見守りつつ、どういう報告をいただくことになるのか、その点を踏まえつつ適切に対応していくということが大切なことではないかと思っております。
  132. 平賀高成

    平賀委員 この油回収船要望を主張するところは大臣しかおりませんので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  それで、運輸大臣は、ことしの初めの私の質問に対して、投資効果からいっても、災害全体的な、多目的な要素が必要か検討していかなければならない、日本海にどうするのかということも検討課題であると答弁をされています。油回収船を建造するのには二、三年はかかりますが、少なくとも、概算要求の時期にも来ておりますので、日本海への油回収船の配置を含めた予算要求を考えられているのか、伺いたいと思います。
  133. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生から御指摘をいただきましたように、油の回収専用船というのは、やはり平時の運用ということから考えますと、極めて非効率だというふうに思います。そういう意味では、どうしてもこの油の回収船というのは多目的なものでなければ、なかなか御理解をいただくことができないのではないか、こういうふうに思っております。そういう意味では、これからそういった機能を含めて、技術的にどういうことが考えられるのか等も含めて、この検討委員会の方で御検討いただいていることだと思っております。  先ほど御答弁申し上げましたように、まずは検討委員会報告を受けまして、私としては今回の事故の重大性というものは十分認識をいたしているつもりでございますし、また先生方にも大変な御心配と、また御支援をいただいた中で、国民挙げてこの問題に対する関心と申しますか、極めて 期待も大きいだろうと思います。いずれにいたしましても、そういうことも十分私なりに踏まえた中で、概算要求にどう対応していくのか適切に考えさせていただきたいと思います。
  134. 平賀高成

    平賀委員 私は、先日、新潟港にある運輸省の第一港湾建設局のしゅんせつ船であります白山丸を視察させていただきました。白山丸は、一九七二年五月二十六日に機雷に接触して爆沈した海麟丸の一部の船首と船尾の部分に継ぎ足してつくられた船であります。海麟丸は一九六五年に建造されまして、既に耐用年数も過ぎて、船底の板厚計測では二五%も薄くなっている、こういう状況報告がありました。そして、十九ミリの外板が七・二ミリに減っていたので取りかえたというふうな部分もあったそうです。今後、船首部分の船底を大幅に張りかえるという計画もあるそうですが、このように修繕や改造に毎年三億から四億必要になっています。  こういう現状からも、老朽化した港湾建設局のしゅんせつ船の代替建造が今求められていると思いますが、新潟港のしゅんせつは今後とも続くと思われます。当然必要なものです。しゅんせつ船と油回収船との兼用というのが、今お話があったように、私は非常に経済的にも、活用の面でも合理的だと思います。第四港湾建設局の海鵬丸も代替建造の時期に来ています。これは清龍丸並みのしゅんせつ船で、代替建造に当たっては、こちらの方は油回収船と兼用、こういう計画も持っていると伺いました。  私は大臣に伺いますが、少なくとも日本海に油回収船を配備するに当たりまして、しゅんせつ船と油回収の両方の機能をあわせた船というのは、やはり選択肢の重要な一つに入っていると思いますが、この点についてはどうでしょうか。
  135. 古賀誠

    古賀国務大臣 御指摘をいただいた点については、私も先生と認識を同じくいたしているところです。    〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  136. 平賀高成

    平賀委員 これは、一番私は現実的な方向だと思いますので、ぜひ積極的にこの点で頑張っていただけたらと思います。  それで、最後になりますが、今、日本海を通過するロシアの老朽したタンカーの航行というのは、日常的になされているという状況であります。九六年に日本海を航行した外航型のタンカーは、推計によりますと九千七百七十一隻です。日本海はタンカーが行き交う海になっています。ナホトカ号のような大規模な重油流出災害が再発する可能性が現にあるのが実態です。七年前にリベリア船籍の貨物船が経ケ岬沖で座礁しまして、重油災害が起きたわけであります。そのときに地元の自治体はぜひ日本海に油回収船を配備してほしいという切実な要望を掲げておりましたが、これに対して、国の方はこたえることがなかったわけです。  今回のナホトカ号の災害で同じ轍を踏んだことになるわけです。ナホトカ号のこの重油災害のときに、関係の地元の住民の皆さんが素手とひしゃくで重油に立ち向かわざるを得ませんでした。本当に住民の皆さんの命や財産を守るというのであるならば、国の責任でしっかりと地元の皆さんの要望にこたえるべきだと、油回収船日本海への配備を再度強調いたしまして、私の質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  137. 村田吉隆

    ○村田(吉)委員長代理 濱田健一君。
  138. 濱田健一

    濱田(健)委員 いつも最後の社会民主党の濱田健一でございます。  今回の法案には社会民主党として賛成しているという立場で、その他の件についても六点ほどお伺いしたいと思います。  まずは、けさから出ておりますとおりに、船舶の安全性に関しまして、ナホトカ号沈没事故から五カ月たちましたが、国内船については、船腹を二重底にするとか、老朽船に対するいろいろな対応が進められていると聞きますけれども、国外船についてはその辺がどのようになっているのかを含めて、国内外の老朽船に対する安全確保対策をお聞きしたいと思います。
  139. 山本孝

    山本(孝)政府委員 まず、国内の方からお答えいたしたいと思います。  一般的に老朽船舶に対して検査を厳しくするということでございます。船齢が十年を超えたものにつきましては、板の厚さの測定を厳しくやるとか、タンクなどの圧力試験をやるといったようなことで、厳しい検査を行っております。  それから、国際的にも、五百総トン以上の油タンカーにつきましては、船齢に応じまして、今申しました板厚の計測であるとか、タンクの圧力テストで漏れがないかあるかといったようなことの検査を、次第に強化していくというプログラムが国際的に合意されておりまして、これを各国とも実施に移しているところでございます。  さらに、これに加えまして、旗国、つまり船舶の所有者が船を登録している国が検査を行うというのが第一義的なものでして、一番の責任があるのですが、単にそれにのみ任せるのではなくて、こういう船が入港した場合のその入港国、そちらの政府も、監督と称しまして、船舶設備とか構造の安全の確保の状況をチェックするということが行われております。いわゆるポートステートコントロールと申します体制につきましても、国際的な協調のもとに、すべての船に一定割合であまねくこういったチェックが及ぶような仕組みを現在、次第に広げているところでございます。  さらに、加えまして、今回のナホトカ号事故状況を勘案しまして、我が国からは、こういった国際的な仕組みを話し合う場になっております国際海事機関に対しまして、まずこの一月、事故が起こった直後でございますが、一義的に責任を有する旗国がそれぞれの検査を強化すべきであるということの注意喚起の問題提起をしております。  それから、現在開催中でございますが、同じ国際海事機関の海上安全委員会におきまして、我が国からこういった老朽船対策の提案をいたしております。  簡単に申し上げますと、あらかじめそれぞれの国は、きちんと検査をした所見に従いまして、老朽船舶がどういった船体衰耗状況にあるのかを、まあ航海が許されるわけですから直ちには事故につながらない程度でありましても、その状況をその船主に持たせておく。入港国は、こういったものを参考にし、現実の船体と照らし合わせてみまして、その持っている書面より超えて衰耗が激しいと思料される場合には、その検査の責任を有する旗国に通報するとともに、国際海事機関に通報する、それによって是正措置を講じさせる。加えまして、最後に、一定期間がたってなおその是正が行われていない、行われたという通知がない場合には、こういった船は気をつけろということで各国に回章する、すなわちブラックリストとして回すといったような措置の提案を行って、現在検討いたしておるところでございます。  以上が対策の概要でございます。
  140. 濱田健一

    濱田(健)委員 今局長が、幾重にも安全性を高める取り組みということでお話をされましたが、日本海の油流出事故、環境そして産業、多くの人力という観点からも、とにかく二度と起こしてはならない、これは日本だけではなくて世界のどの海でもということでございますので、より強力な検査体制、監視体制というのを要請しておきたいと思います。  二点目ですが、雇用関係について若干お伺いいたします。  本州四国連絡橋、明石海峡大橋の供用開始が、来年の四月ということが決まっております。これに関しまして、昭和五十三年十月に、政府と当時の労働組合のナショナルセンターであった総評との間で、「本州四国連絡橋に伴う港湾・陸上運送関係雇用問題等に関する協定書」というものが締結されております。これは、本州四国連絡橋を建設することにより物流が大きく変化するために、本州四国連絡橋近隣の物流関係労働者の雇用不安が生じることを想定して締結されたものというふ うに、私は理解をしているところでございます。署名等については、建設省、運輸省、労働省、本四公団等と総評というふうになっているようです。  供用開始があと約九カ月に迫っているわけですが、この協定書というものは今も効力を持っているというふうに、私たちは理解をしてよろしいのでしょうか。
  141. 小坂裕男

    ○小坂説明員 御指摘をいただきました協定書につきましては、五十三年十月六日付でございます。これを受けまして、翌年、五十四年に本州四国連絡橋雇用対策協議会の港湾労働問題小委員会が設けられまして、引き続き、大阪府、兵庫県、徳島県、高知県、岡山県、香川県、広島県及び愛媛県の各府県ごとに本州四国連絡橋雇用対策協議会が設けられておりまして、自来活動を重ねてきておるところでございます。
  142. 濱田健一

    濱田(健)委員 ですから、効力を持っているのかどうか、そのことだけでいいのです。    〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  143. 小坂裕男

    ○小坂説明員 ただいま御説明いたしました点につきましては、御指摘のとおりでございます。
  144. 濱田健一

    濱田(健)委員 さまざまな仕事をされる皆さんがいらっしゃるわけですが、この協定書の中には、港運事業に関連する労働者の皆さん方の雇用対策についても記されていると思います。橋がかかるわけですので、港運事業者の荷役取扱量が減少する、そして港湾労働者の雇用不安が起こることを想定しているというふうに思うのですが、あと九カ月に迫った現段階で、今、小坂さんからお話がありましたとおり、いろいろな方策を講じていらっしゃるということで、雇用対策に万全の措置がなされているとは思うのですが、どのような取り組みがなされているのか、具体的にありましたら出してください。
  145. 小坂裕男

    ○小坂説明員 建設省といたしましては、港湾労働対策というのは非常に重要な問題であると認識してございます。本四架橋の建設により影響を受ける、その影響の軽減を図るために明石海峡大橋の供用を控え対策を講じたい、こう認識しております。  このため、大阪府へ兵庫県、徳島県等につきましては協議会を開いて相当の回数を重ねております。その中で現在協議を進めておりまして、具体的には、本四公団の工程のスケジュールとか影響の大小、今後新しく出てくる業務の見込み、こういったものをこれまでずっと話し合ってまいりまして、今後引き続いてより具体的に協議を重ねてまいりたい、このように思っております。
  146. 濱田健一

    濱田(健)委員 建設省としてはというふうに今前置きをされて言われましたが、私としては、この署名をされたときに建設省の道路局長が筆頭になってされたというふうに理解しております。お伺いするところでは、運輸省や労働省等含めた窓口になっていらっしゃるというふうに理解しているわけですが、今の答弁は、全体を通してのことなのか、建設省だけのことなのか、全体を通してあらゆる角度からやっていらっしゃるのかどうか、そこを答えてください。
  147. 小坂裕男

    ○小坂説明員 大変御無礼いたしました。関係省庁と協力いたしまして、地方公共団体、もちろん本四公団も入りまして、全体として進めております。
  148. 濱田健一

    濱田(健)委員 お聞きするところによりますと、ことしの九月にも雇用創出のための、どういう仕事があります、その数はどのぐらい受け入れることができるでしようというような具体的なものを、働いていらっしゃる皆さん、または所属されている労働組合の皆さん方にも示していただくようにお伺いしているわけです。確実にいっだということは今お答えいただけなくても、方向性としてはそれで進んでいるのかどうか、そして、各労働組合と働いている皆さん方との中身の詰めというものを急がれる用意があるのかどうか、お聞きします。
  149. 小坂裕男

    ○小坂説明員 御指摘の時期でございますが、本四架橋のうちの明石海峡大橋が来年春供用に向けてスケジュールが進んでいるということを考えますと、ことしの秋という時期は極めて重要な時期と、私ども建設省だけでなくて全体で認識しております。したがいまして、関係省庁地方公共団体、公団等、一体になりまして進めてまいりたいと思っておりますが、ただ、全体がございますので、全体をにらみつつまとまるように努力しております。
  150. 濱田健一

    濱田(健)委員 ありがとうございました。  次は、航空機が発達しまして飛行機による移動というのはポピュラーになっているのは事実なんですが、やはり飛行機に乗らないという人もいっぱいいるのですよね。私が時々不思議に思っていることを質問するのですが、いわゆる東海道・山陽新幹線と東北・上越新幹線の乗り入れの問題なんです。  地盤の問題とか車両の問題等々あるのだということは知っているということを前置きしながらお聞きしたいのですが、この東海道・山陽新幹線、東北・上越新幹線、ともに東京駅からの始発、特に平成三年六月から東北新幹線、上越新幹線も九五%以上が東京駅から始発になっているという事実がございます。ですから、南に行くのも北に行くのもほぼ一〇〇%近く東京駅が起点になっているということでございまして、会社間のつながりはありませんが、線路のつながりは既にできているということだけは言えると思うのです。その中で、特にお年寄りが九州や中国地方から重たい荷物、たくさんの荷物を持って新幹線に乗られて、それで乗りかえるという光景をよく目にするわけですが、これを一本化できないのかということなんです。厳しい点があるのかもわかりませんが、その辺の方向性、今すぐにということにはならないのでしょうが、展望はないのかどうか、やり方としては何かあるのではないか、局長、どうでしょうか。
  151. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 先生ももう問題点を御承知の上でということでございますが、この問題点を整理させていただきますと、一つは相互直通運転の需要がどれだけあるかということでございます。  それから、二つ目はハード面でございまして、レール接続のための建設工事が要るということ、それからモーターの周波数であるとか信号保安設備が違いますので、車両に搭載しております機器の改良工事、こういったことが必要になりまして、多額の投資が要るという点でございます。  三点目は、いっぱいのダイヤによって運行されておりますので、線路とかホーム、ともに余裕がないという状況でございます。一部の列車を直通運転させることによりまして、トラブルが発生したり、あるいは雪害に伴いましてダイヤの乱れが発生したら、これが新幹線全体に及ぶということで、多数の旅客に迷惑がかかる危険性が生ずる、それをどうするかといったような点が問題点でございます。  この点につきまして、確かに旅客の利便上は直通の運転がいいということは、もう論をまたないところであろうと思います。現在の工事実施計画の完了時期は平成十五年度末というようになっておりますので、私どもといたしましては、今後の需要の動向などを見ながら検討していきたいと考えております。  ただ、基本的には、この需要の動向を見ながら、あるいはその投資効果を考えながら、経営主体であるJRの経営判断による、こういった問題であろうと考えております。
  152. 濱田健一

    濱田(健)委員 さまざま克服しなければならない課題というふうに、今局長はおっしゃいました。それはそれで認めざるを得ないところがあるような気もするのですが、やはり国民から見たら、なぜ直通で行けないのかということを考えざるを得ないのですね。この件については、時間がありませんので、これ以上はきょうは論議の対象としませんけれども、将来に向けての展望として、今後とも質問の中でさせていただきたいというふうに思います。  もう一点は、物流関係なんですけれども、特に女性の皆さんから時々お話を伺う中身なんですが、デパートで同じ物を買い物した、そして同じ 地域に送った、そのときに、私の持っている資料によると、配送料金が、九州、北海道の例をとりますと、MデパートとIデパートでは六キロまでで百七十円配送料金が違う、十キロになると四百円も違うという数字があるのですね。トラックで動かすのだろうと思うのですけれども、トラック運送の料金というのは、自由化されているということはわかるのですが、頼む側にとってみたら、同じ品物を同じ地域に送るのにこんなに差があっていいのか、四百円というお金が大きいか小さいかはその人によって違うかもしれませんけれども。これはどういう仕組みなのか、まさに私が言ったとおりの域を超えないのかどうか、もっと何かあるのか、その辺ありましたら。
  153. 荒谷俊昭

    ○荒谷政府委員 デパートの配送は一般的にトラック運送事業者によって行われていると思いますが、デパートとトラック運送事業者との間では、運送する貨物の重さですとか、運送距離に応じて運輸省に届け出をしていただいております運賃の収受がなされていると、私どもは認識をいたしております。  ただ、デパート側がトラック運送事業者に支払った運賃を個々の消費者からどのようにして回収をするかといったことにつきましては、例えば、その全額を配送料金で回収するのか、あるいは、一部は商品価格そのもののコストとして織り込むか、そこらあたりはデパートの営業戦略に属する問題だというふうに考えてございます。そういった意味で、デパートによっては、無料の配送区域が広いところあるいは狭いところ、それから、有料でも額が違うといった現象が出てきておるのではないかというふうに考えてございます。
  154. 濱田健一

    濱田(健)委員 この点についても、時間が来ましたので、またもう少ししっかり調べて、今の局長の答弁のとおりなのかどうか、論議をさせていただきたいというふうに思います。  最後に、一つだけ鉄道局の方にお願いしておきたいと思います。  教育の部分で、いじめ、登校拒否を含めて、高等学校に行けなかったり、高等学校を卒業できなかったという子供たちが今大検の予備校に通っているという現実が各地で見られます。私の町でも、ある大検の予備校なんですが、生徒数が三十名ぐらいいるわけで、そのうちJRを二十名ぐらい利用しているということなんです。在学証明書も発行されております。  ただし、学生割引の申請に行きましたら、入っていらっしゃる塾、塾というか学習の場の物件がその予備校の自己物件ではないから学生割引が出せないというようなことを言われたということなんです。入っているものがテナントであろうと、自分のものであろうと、そういうことは関係ないというふうに思いますので、これは善処をしていただきたいということをお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
  155. 杉山憲夫

    杉山委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  156. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより討論に入ります。  両案中、内航海運組合法の一部を改正する法律案に対し、討論の申し出がありますので、これを許します。寺前巖君。
  157. 寺前巖

    寺前委員 日本共産党を代表して、内航海運組合法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  反対の理由は、この改正案が前提としている船腹調整事業の廃止によって、中小零細の内航海運業者に深刻な打撃をもたらすからであります。  これまで過剰船腹による過当競争を防止するために行われてきた船腹調整事業が廃止されることで、内航海運業界への参入が容易になり、恒常的な船余りの状態に歯どめがなくなります。そのため、ほとんどが中小零細業者で占められている内航海運業者は、運賃のダンピングを押しつけられ、廃業に追い込まれることは必至であります。同時に、内航海運労働者にとっても、労働条件悪化につながります。  また、法改正により、内航海運業者が船舶を建造する際、内航海運組合が債務保証できるようになりますが、船腹調整事業が廃止され、内航海運業者の解撤権が保障されない以上、債務保証を受ける対象は限定されます。営業権がなくなった少なからぬ内航海運業者は、借金だけが残るという事態になりますが、ここへの対策も明らかではありません。  このように、船腹調整事業の廃止は、内航海運業者、労働者の事業と労働条件をまさに切り捨てるものであり、このための環境整備を進める本法案には反対であります。  以上をもって反対討論を終わります。
  158. 杉山憲夫

    杉山委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  159. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより採決に入ります。  まず、内航海運組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  160. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  161. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。      ――――◇―――――
  162. 杉山憲夫

    杉山委員長 次に、内閣提出参議院送付地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局千葉陸運支局自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。  本件に対しましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局千葉陸運支局自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  163. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各案件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 杉山憲夫

    杉山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  165. 杉山憲夫

    杉山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十八分散会