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1997-05-20 第140回国会 衆議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十日(火曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 杉山 憲夫君    理事 林  幹雄君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 横内 正明君    理事 江崎 鐵磨君 理事 北橋 健治君    理事 細川 律夫君 理事 寺前  巖君       衛藤 晟一君    関谷 勝嗣君       橘 康太郎君    谷川 和穗君       中馬 弘毅君    古屋 圭司君       堀内 光雄君    松本  純君       森田  一君    上田  勇君       旭道山和泰君    久保 哲司君       今田 保典君    坂本 剛二君       玉置 一弥君    中田  宏君       松浪健四郎君    山中 燁子君       川内 博史君    辻  一彦君       平賀 高成君    濱田 健一君       望月 義夫君    米田 建三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 古賀  誠君  出席政府委員         運輸政務次官  衛藤 晟一君         運輸大臣官房長 土井 勝二君         運輸省運輸政策         局長      相原  力君         運輸省運輸政策         局観光部長   和田 敬司君         運輸省自動車交         通局長     荒谷 俊昭君  委員外出席者         法務省入国管理         局総務課長   本田 守弘君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十日  辞任         補欠選任   中馬 弘毅君     松本  純君   坂本 剛二君     旭道山和泰君   玉置 一弥君     山中 燁子君 同日  辞任         補欠選任   松本  純君     中馬 弘毅君   旭道山和泰君     坂本 剛二君   山中 燁子君     玉置 一弥君     ――――――――――――― 五月二十日  船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害の防止に  関する法律の一部を改正する法律案内閣提出  第四一号)(参議院送付) 同日  肢体障害者移動権交通権総合的保障の確  立に関する請願(濱田健一紹介)(第二八五  四号)  同(寺前巖紹介)(第二八七八号)  同(平賀高成紹介)(第二八七九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  外国人観光旅客来訪地域多様化促進によ  る国際観光振興に関する法律案内閣提出第  七二号)      ――――◇―――――
  2. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出外国人観光旅客来訪地域多様化促進による国際観光振興に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関谷勝嗣君
  3. 関谷勝嗣

    関谷委員 まず最初に、今回の外国人観光旅客来訪地域多様化促進による国際観光振興に関する法律につきまして、古賀運輸大臣に総論的なことを、二問ばかり質問いたします。あとは担当の方に伺いますから、その間はどうぞごゆっくりとお過ごしをいただきたいと思います。  まず、どうしてもこの法律を新しく出さなければならないという、新法提出趣旨をお伺いいたしたいと思うのです。  日本も終戦後五十二年、半世紀が過ぎ去ったわけでございまして、それぞれの団体、業界、あるいは社会的な通念といいましょうか、考え方といいましょうか、そういうようなことも当然大きく変わってきておるわけでございます。日本経済的な進捗も、言うまでもなくバブルのはじけるまでは大きく前進をしてきたわけでございますが、その後、経済環境、例えば産業空洞化が起こってくるとか国際間の競争がなお一層激化をしてくるという中にありまして、今後経済的にも力強い日本をつくっていくためには、昨年度から予算が倍増になってまいりましたけれども、いわゆる科学技術創造立国というようなことで、日本発科学振興をやっていこうということ。それともう一つ、私は、観光振興ということが非常に大きな日本の発展の一翼を担うような内容になってきたと思うのです。  それで、この観光振興というのは、私もずっと運輸畑を歩んでおりますけれども、私の記憶にある限りにおきましては、国際観光といいますと、国際観光振興会法というのがございます。これは、昭和三十四年に初めて我が国における総合観光機関としての特殊法人ということで、日本観光協会が設立されたということでございまして、その後、この法律改正平成六年度までに四度ばかり行われておるわけでございます。最初にこれがつくられました昭和三十九年では、この国際観光振興会というのは、国際観光昭和三十九年に海外渡航自由化が始まった、ですから、海外に出ていきます日本人の利便を図ろうというようなことであったと思うのです。  ところが、今度は、昭和六十年度、三度目の改正におきましては、日本人海外観光旅客情報提供だけにその範囲を狭めたわけでございます。この国際観光振興会法を見ましても、日本国際観光というものの変遷がその中にいろいろ出てきておるわけでございます。逆に言いますれば、観光基本法というものもある、国際観光振興会法というものもある、その一部改正で済ますことができないほど、今国際観光振興に力を入れなければならないという状態になってきて、今回新法提出をされたというわけです。  ですから、それはそういうようなことで趣旨もわかるわけでございますが、それに対して、私は、運輸省がもっと組織の中においても、この観光部門というものの地位を上げてこなければならないと思うのです。今はもう局ではないわけでございまして、昭和三十年の八月には観光局というのがあったのでございますが、四十三年の六月の行革において大臣官房観光部ということになりました。格下げをされたわけでございまして、やはりどうしても運輸行政においては陸海空というようなものが中心になら、ざるを得ない。  そういうようなことでございまして、今後、国際観光振興というものを力強く進めていくために今回の新法が出てきた。それに対しては、運輸省機構改革をやらなければならない、観光部の格上げをぜひやらなければならない。しかし、今御承知のように行革のときでございますから、これはなかなか難しい。  さてここで、古賀運輸大臣がどういうすばらしい手法を用いるかということを期待しておるわけでございますが、その考え方はいかがでございましょうか。
  4. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生には日ごろから運輸行政、大変御指導いただいてお世話になっているわけでございます。  今回提出させていただいております、国際観光増進を図っていくという意味で、この法案は、今先生からお話しいただいたように、まさにこれからの二十一世紀我が国が取り組むさまざまな課題がありますが、その一つの大きな重要な分野だというふうに思っております。  今先生は、科学振興観光振興と申しますか、この点に具体的に触れていただいたわけでございますが、この法案を成立させていただいて、国際観光というものの分野を大いに増進していかなければいけない、そういう意味で、今の観光部でなくて、この部そのものをひとつ格上げする必要もあるのではないか。ただ、一方では行政改革という機構の見直しが行われている中で、私自身大変難しい問題だというふうに思っております。  局から部に至った経過等については、今先生からもお触れいただきましたけれども、私といたしましては、部とか局とかそういうネーミングと申しますか、名前と申しますか、そういったことも大事でございますけれども、中身が極めて大事なことではないか。運輸省、まさに優秀な人材がそろっているわけでございまして、部であろうと局であろうと、豊富な人材の中でそれなりの仕事をしっかりやってくれる、私、そう誇りに思っておりますし、また信じております。いろいろ大事な局面でございますけれども、どうぞひとつ先生の御指導もいただきまして、さらにすばらしい人材が大きく伸びるような環境をつくっていくというのは、名前だけではない、ポストだけではないという意味で、今後とも励ましていただいて御指導いただければ大変幸いだ、こういう認識を持っております。
  5. 関谷勝嗣

    関谷委員 なかなかすばらしいというかずるいというか、答弁をいただきまして、これはやむを得ないことかなというようなことでございます。  もう一つ大臣にお伺いしておきたいのでございます。外客日本へ来られますときのいろいろなデータがあるのでございますが、日本を訪問する前の日本に対するイメージと、そして現に日本を訪問されてその後での感じたイメージ、その項目は全部一緒なのでございますが、そのランキングの変化があるわけでございます。  これは国際観光振興会平成六年に実施をいたしました訪日外客実態調査というものによるものでございます。訪日前でございますと、外国人日本に対して一番強烈なる意識を持っておりますのは、近代的で工業化が進んでいる国である、二位が、人々が勤勉でエネルギッシュな国である、それから、独特の伝統文化を持った国というのが三位にあるのでございます。私が問題にしたいのは、独特の伝統文化を持った国という感覚が三位であったのが、訪日後に至りましては、独特の伝統文化を持った国の感覚が下がりまして、三位から五位に下がってしまった。それから、訪日前の一番最後が八位で、自然が美しい国ということでございましたが、どうも外人日本自然環境というものはイメージにないようでございまして、やはり東京であるとか大阪とか、そういうところの工業国家というような感じが強いようでございます。まあ、京都を見られた方は自然の美しさを感じられるのではないかと思いますが。いずれにいたしましても、自然の美しさというものは見てとって帰っていないというところがあるのです。  それで、日本の独特の伝統文化というのは、実際のところ、我々国民もなかなか、一時学校教育で道徳であるとかそういうようなものを外された時期もございましたから、日本人自身日本歴史文化というものを余り知らないのです。  その一つの例が、これは大臣も読まれたことがあると思うのでございますが、新日本製鉄が、海外へ若い社員が出ていく、そして駐在する、あるいはまた長期出張もする。そのときに、海外方々いろいろ話をしておるときに、どうも日本から来ている社員の人は、日本の由来であるとか日章旗の表現しておる意味であるとか歴史、そういうことを知らないということがよく言われました。そんなことで、一企業が、十五年前でございますが、「日本 その姿と心」というようなことで、いろいろなことを日本語と英訳で、分厚いものを出しております。私も読ませていただいて、新たなる勉強をすることができたわけでございます。そういうようなことで、国民挙げてやはり日本というものをもっと理解もさせなければならない、そして、そういう方々が心から外人を迎えてくれれば、こういう独特の伝統文化というものはまた伝わっていくのではないだろうか。ですから、国際観光ということも、いわゆる学校等々でも教えていかなければならないと思うわけでございます。そのことをぜひ運輸大臣からも、各役所と連絡を密にしていただいて進めていっていただきたい。  それともう一つ、一番最後の、自然の美しい国というのが訪日後も全然変わっていないというのでございます。きのうの夜でございますが、テレビを見ておりますと、平成七年のCO2排出量いわゆる二酸化炭素でございますね、これが今までで最高値になってしまった。この二酸化炭素排出は、産業界が四〇%、それから運輸、いわゆる自動車等々の排気ガスでございますが、そういうものが二〇%、それから家庭からが一三%というようなことが報道されておりました。東京都内を走っておりますと、トラックが、最近は特に排気ガスが、黒煙を流して走っているのが非常に多い。ですから、こういうことに対する取り締まりをまた行わなければ、自然が美しい日本なんというのは、いつまでたっても、訪日した外国人からは、もっとランキングが上がってくるようなことは起こってこないと思うのです。  ですから、やはり外国人日本を訪問するのは、やはり何だかんだ言いながら、観光といっても、いわゆる工業国家としての感覚だろうと思うのでございますが、それだけでは、私は、これ以上来客がふえないと思うのです。そういう意味日本人感覚、それから自然の環境をもっときちっと守っていく等々を、ぜひ大臣指導のもとで進めていただきたいと思います。  このCO2排出量の問題は、観光部長あるいは担当の方が来てもらっていますから、その方から答弁をいただくとしまして、美しい自然環境をつくる、そして、日本を訪問する外国人目的がもっと多岐にわたるように施策を進めていただきたいと思いますが、そのことをお伺いいたしたいと思います。
  6. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生も御承知のとおり、これからの国際観光促進していくということは、日本の国が国際社会の中で信頼を得ていく、また、尊敬を得ていく、そういう意味で非常に大事な分野だろうというふうに思うのですね。  まず、いろいろな層の方々日本に直接お訪ねになるということは、国と国、また人と人と直接触れ合うことができる、そして、日本の国のことを理解していただくということは、そういう意味で非常に大事なことだろうというふうに思っております。  先生も御承知かと思いますけれども、一九九六年の数字では、外国を訪ねる日本人の数は千六百七十万人に上っていますが、日本の国に外国人観光客というものがどのくらいお見えいただいているかというと、約三百八十万人ということでございます。一九九四年のデータでは、世界で第三十一位という低い水準にあります。そういうことを考えますと、日本の国の今の経済人口、そういったことを比べると非常に低水準にある。しかも、今先生がお触れいただいておりますように、外国人の方が日本を訪ねられて観光される場所というと、ほとんど東京大阪というような非常にごく一部の限られた地域になってしまっている。  自然の問題それから伝統文化の問題、歴史問題等先生お触れいただきましたけれども、確かに、まず日本の国の国民一人一人が日本の国を愛する、そして正しく日本歴史伝統文化というものを知っておく、このことが一番大事なことだと思っております。そしてまた、そのことを世界の国々にPRをするということも大事ですけれども、実際外国観光客がお見えいただいたときに、触れていただく日本国民一人一人の中にそうしたものがにじみ出ていくということが、私は最も大事なことだろうというふうに思います。そういう意味では、教育場面で、また、社会のあらゆる活動場面でそういった機会をつくって、日本国民一人一人にもっと日本のよさというものを認識させるというための努力、これは省庁連絡をとってやっていかなければいけない、御指摘いただいたとおりというふうに思っております。  また、自然の問題につきましても、今申し上げましたように、外国観光客が行く、きわめて限られた東京大阪という意味では、やはり本当の自然の美しさというのが、残念ながら日本を代表する地域ではない。雄大な北海道もございます。私の地元の九州にもすばらしい自然がありますし、また、先生のおひざ元の愛媛にも道後温泉というすばらしい、古い伝統歴史を持った温泉があるし、また、自然にも恵まれている。全国のそれぞれの地域に、外国お客さんたちが来訪できるような環境をどうつくっていくかというのが、私は、今度提出させていただいた法案一つの大きな骨幹ではないかなというような気がいたしております。  そういう意味で、ぜひひとつ、国や国際観光振興会や、それぞれの地域団体だとか、そういったところと連携をとりながら、この法案を成立させていただいた後、目的達成に私たちは全力を挙げていく、こういう認識でおります。どうぞひとつ、御支援をいただければ大変ありがたいというふうに思います。
  7. 荒谷俊昭

    荒谷政府委員 黒煙中心といたします自動車排出ガス対策についてのお尋ねでございますが、トラック中心といたしましたディーゼル自動車から排出されます排ガス規制につきましては、私ども、これまでも段階的に規制強化を行ってきております。  最近では、平成五年、六年規制ということで、黒煙以外にも窒素酸化物あるいは粒子状物質についての規制強化してまいっております。そしてさらに、これだけでは必ずしも十分ではないということで、平成九年規制、十年規制、十一年規制、これにつきましても既に道路運送車両保安基準改正してございます。ただ、適用につきましては、ただいま申しましたように、九年、十年、十一年と車の大きさ等によりまして若干の時期のずれがございますけれども、そういったことで規制強化をさらに進めていくということで、これによりまして、黒煙につきましては、平成六年規制以前の車に比べますと、排出量は二分の一以下になるというふうに計算をしてございます。  それから、これとはちょっと違いますけれども、首都圏大阪湾岸地域におきましては、いわゆるNOx法適用されております。NOx法適用地域ということで、この地域に車の使用本拠を置こうとした場合には、一定排ガス基準に適合していなければ使用本拠を認めないということになってございます。新車ですと当然その基準を満たすわけでございますが、いわゆる使用過程車につきましては、一定経過年数を過ぎますと、新車に代替をしてもらう、あるいは改造してもらう、さもなければそこでの営業活動はできない、こういうようなことになってございます。  私ども、今後とも自動車排ガス対策につきましては、関係省庁とも連絡を密にしながら積極的に取り組んでまいりたい、このように考えてございます。
  8. 関谷勝嗣

    関谷委員 先ほど大臣の御答弁の中にもございましたように、これからは日本観光も大都市だけではない、いわゆる来訪地域多様化促進するための措置としての今回の新法であるわけでございまして、このことがこの法律案基本一つだろうと思うのでございますが、それを提出いたしました趣旨等につきまして、御答弁をいただきたいと思います。
  9. 相原力

    相原政府委員 御答弁申し上げます。  国際観光重要性につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。  先ほど、実績につきましても申し上げているところでございますが、一九九四年のデータで申し上げますと、外国人旅行者受け入れ者数、これは世界日本は三十一番目の順位になっております。一九九四年の数字で申し上げますと、日本へ来ている外国人旅行者数は約三百五十万人、これが昨年の一九九六年では少しふえまして、約三百八十万人になっております。一方、日本から海外へ行くお客さんは、昨年の数字で千六百七十万人いるわけでございます。こういう意味で、日本に来る海外旅行者が、我が国経済人口規模に比較しまして非常に少ないという問題がございます。それから、これも大臣から申し上げておりますが、訪問地東京大阪に集中していて地方の方には非常にまだ少ないというような状況がございます。こういうような現状を踏まえまして、外国人観光旅客来訪地域多様化する、これにより訪日観光交流を増加させまして日本に対する理解増進を図ろう、こういうものでございます。  この目的達成に向けまして、国、そして先ほど先生からお話がございました国際観光振興会、それから地方に行っていただくという意味で、関係地方公共団体の役割も非常に大きいものですから、関係地方公共団体それから旅行関係事業者、これらの関係者が一体となってこの目的のために積極的に取り組む、これがこの法律案趣旨でございます。
  10. 関谷勝嗣

    関谷委員 最後の質問といたしたいと思うのでございますが、そういったことで国際観光振興を進める、いわゆる訪問客をふやすということ、いろいろあると思うのですね。この法律の中にもうたわれておりますように、そういうようなことで地域に限ったガイドの育成を行う等、これは私も本当にすばらしいことだと思います。  それから、外国人に伺いますと、日本へ行くのは、もちろんその距離も非常に遠いわけでございますから、航空運賃といいましょうか、そういうものも非常にかかる。いざ日本へ着いても宿泊費であるとか、あるいはまた、日本は特に、外人がびっくりいたします一つに、いわゆる外食の高さ、ゼロが一つ多いんじゃないか、間違っておるんじゃないかと言われることがあるくらいでございます。ですから、私ら国内の者も外食費用が安くなればいいわけでございますが、せめて外人に対しては何か特別な方策ができないものであろうか、外人に対しては値段を安くするというのも、さてこれは問題といえば問題なのかもしれませんが、そういうようなことはどうしたらいいのだろうか、部長答弁をいただきたいと思うのでございます。  また、国際観光振興会など、この振興会の面々もこの法律ができたのを一つの転機といたしまして、なお、訪日者をふやすようにもっと真剣に努力しないといけない、そのためには海外宣伝というので振興会をつくっておるわけですから、もっと真剣に対処をしていただく、そういうこと等々いろいろあると私は思うのです。  まだあと、私が気づいていないところもあると思うのですが、最後に、国際観光振興のために新しくこういうようなことをやってまいります、新しい意識でこれをこう進めますということを、御答弁いただきたいと思います。
  11. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘ございましたように、日本に来る外国人旅客数が諸外国と比べて少ないという大きな原因といたしまして、やはり日本に来ると交通費宿泊費あるいは食事代等が高い、そういうイメージも非常にあろうかと思います。したがいまして、この法律案におきましても、外国人観光旅行客国内日本に来てできるだけ安い費用でできるように、そういう方策もいろいろと中身として取り入れているところでございます。  具体的に申し上げますと、外国人観光旅客を対象といたしまして、鉄道でも船でもバスでも共通して、また安い運賃で乗れるような共通乗車船券発行を簡単な手続で行えるような制度を創設する、あるいは美術館とか宿泊施設、先ほど御指摘がありましたレストラン等も含めまして、外客向け割引カード発行、こういうのを支援するというようなことを予定いたしております。  また現在でも、宿泊施設とかレストランでも、外客向けで比較的低廉な施設もあるわけでございますが、必ずしも十分に外国人旅客に対して情報が伝わっていないという状況もございますので、先ほど御指摘がございました国際観光振興会が、これらの宿泊施設とかレストラン等の安い施設情報につきまして、積極的に提供するようにいたしたいというふうに思っております。最近はインターネット等も利用いたしまして、全国i案内所というのもございますので、そういう全国案内所における情報提供等の充実に努めていくことにいたしております。  また、国際観光振興会は従来から海外宣伝を積極的に行っておりますが、本法律で特にテーマルート等で設定された地域については、重点的に海外における宣伝も行っていきたい、このように考えているところでございます。
  12. 関谷勝嗣

    関谷委員 外食値段を、外人だけ安くするというのは可能なのかどうか。
  13. 相原力

    相原政府委員 一つレストラン外国人には安いというのはなかなか難しいかと思いますが、外国人向けレストランで比較的安いレストランはこういうところがありますという情報一つ提供できる。  それからもう一つは、先ほど申し上げました宿泊施設あるいは美術館等を含めて、外客向けの、外国人向け割引カードというのを発行することを考えております。これもレストラン等も含まれれば、そのカードを持っていれば、例えば旅館に泊まる場合にも二割引きになる、レストランで食事する場合にも二割引きになる、そういうような外客向け割引カード発行も、積極的に支援していきたいと思います。こういうのが普及していけば、外国人旅客が行けば、特定のレストランであれば一定の割引が受けられる、こういうことが可能になろうかと思っております。
  14. 関谷勝嗣

    関谷委員 どうもありがとうございました。
  15. 杉山憲夫

    杉山委員長 細田博之君。
  16. 細田博之

    ○細田委員 ただいま御質問をされました関谷委員は大観光地松山の地元の議員でいらっしゃいますし、私は島根県松江市の、やはり観光産業に非常に頼っている地域の代表でもあるわけでございます。  折しも、先週の土曜日から大変大きな、十二年に一回のホーランエンヤという日本三大船神事、そういうお祭りが始まりまして、今週の末まで一週間、そしてそういうことに合わせまして、運輸省、通産省両省からも伝統芸能フェスティバル、日本じゅうの伝統芸能、お祭り、それから伝統的な行事を一堂に会して、国民理解を深めるとともに、海外観光客日本観光客にお見せして大いに伝統芸能と観光振興しようということで、政策的な助成もいただいているわけでございます。その点、運輸省さんの政策に大変地元も感謝をしているわけでございますけれども、この大きな行事に外国人も非常にたくさん来ておりました。先週の土曜日、私も歩いておりましたら、オーストリアのウィーンからはるばるやってきたというような人もおりました。  先ほどの関谷委員の御質問にもありましたけれども、日本人海外旅行者数千六百六十九万人、また外国人訪日旅行者数三百八十数万人と言われております。これがいわば観光目的という名目で来ておる人の合計のようでございますが、中には仕事、いろいろなビジネスで行き来する人も多いと思うのですが、純粋に観光目的を定めて観光のために来ておるという人がどのぐらいいるのか、なかなか把握は難しいと思います。中にはけしからぬ者もかなりあって、働くために来ておるけれども、観光ビザで入っているという者もおるようでございまして、そういった者を除外したときに、大体どのぐらいの規模であるのかということを把握しておられるかどうか、まずお答えいただきたいと思います。
  17. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  日本に来る外国旅行者数は三百八十四万人でございますが、そのうち観光が主な目的である旅行者に限定いたしますと、二百十一万人でございます。
  18. 細田博之

    ○細田委員 二百十一万人ですか。言われているよりも、またはるかに少ないわけですね。千六百六十九万人についてはどうです。
  19. 相原力

    相原政府委員 日本人海外旅行者数、昨年千六百六十九万人でございますが、そのうち、観光が主な目的であります旅行者数は、千三百七十七万人でございます。
  20. 細田博之

    ○細田委員 向こうに出かける人のうち、三百万人ぐらいはやはり仕事で出かける。そして、こちらへ入ってくる外国人観光客のうち百七十万人ほどは、いわば違う用向きで入ってくるということで、千三百七十七対二百十一でございますから、六・五倍以上の格差があるわけですね。  そこで、よく言われることは、先ほどの御質問にもありましたけれども、日本が円高で物価高によるところが大きい、日本に行ってどのぐらいの予算で旅行ができるかよくわからないというようなこともあって、また、日本のさまざまな諸事情による制約があってこの格差が大きい。したがって、今回の法律のような措置をとりまして、何とか観光振興をしようではないかということにつながっておるとは思うのですが、私は、まだまだ日本の努力が足りない部分が非常に多いと思っておるわけでございます。  それは第一に、外国人といいましても、アジアの人もおれば、あるいはヨーロッパやアメリカやその他の地域の人もおられると思うのでございますが、どういうところに行きたいのか、日本歴史を知りたいとか自然の美しさを見たい、温泉に行ってみたいとか都市に行ってみたい、あるいはアミューズメント施設のような楽しいところに行ってみたいというような、年齢階層、国民階層によってさまざまな事情があると思うのでございますけれども、どうもそういっだ希望に応じた観光というものを、きめ細かくやれるような体制になっているのかどうか、やや怪しいのではないかという点がございます。  第二に、日本観光で私どもも回ってみますと、道路などのアクセス、飛行機、バス、道路等いろいろな面で時間がかかり過ぎ、楽しい時間の割合が少なくて、行き来する時間がこの狭い日本であるにもかかわらず、非常にかかり過ぎるというようなこともあると思われます。  第三に、予約の面でございますけれども、飛行機とか鉄道、バス、宿泊などが有機的に予約できないような体制になっているのじゃないか。便利にやろうと思うと、どうしても旅行社などのパックの料金で、パック方式。だから、何から何までお仕着せに近いようなもので旅行するという癖が日本人にはついておりまして、その中で自由度をより高めようという動きはもちろんあるわけでございますが、そういったことは、個人主義的な考え方で旅行する外国観光客に、余り合わないのではないかというようにも思われるわけでございます。  そして第四に、言葉のハンディーというものが非常に大きくて、やってきてもなかなかこれを乗り越えるだけの親切な対応ができていないのではないかといった点が見受けられるわけでございます。  そういった認識に立ちながらいろいろお伺いをしたいわけでございますけれども、最初に申し上げましたような、国とか世代によりまして、日本に対する観光目的にいろいろ差があるということを言われるわけでございますが、それの実態、そして、それに対する対応策がどうなっておるのか、やや詳しく御説明をいただきたいと思います。
  21. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  細田委員指摘のように、外国人観光客日本に来ていただくためにはどういうニーズがあるのかということが、非常に重要であるというふうに考えております。  先ほど来お話のございます国際観光振興会は、海外宣伝をしておるわけでございますが、現在海外に十四事務所がございます。従来から、海外宣伝事務所を通じましてそれぞれの国のニーズを把握するということ、そして、ニーズを把握した上で適切な宣伝を行うことに努めてきているところでございます。  昨年、ウエルカムプラン21を策定したわけでございますけれども、この機会に各事務所が集積しましたデータ、ノウハウを地方公共団体などに活用してもらうために、世界の二十四カ国についての訪日旅行マーケットに関する資料を取りまとめたところでございます。  それから、御指摘のように、旅行者が国とかあるいは性別によりまして、日本のどこに行きたいか、あるいはどういうことを楽しみたいかというのが異なるわけでございます。そういう面につきましても、国際観光振興会が具体的に面接調査を行いまして、定期的に実態を取りまとめているところでございます。この調査によりますと、欧米系の外国人旅客の方あるいはアジア系の方ということで大きく異なるわけでございます。また、アジアの近隣諸国であっても、国、地域ごとにそのニーズとか興味の対象が微妙に異なっているということが明らかになっております。これらの調査結果等を踏まえまして、例えば韓国の高校生には九州への修学旅行を推薦するとか、あるいは暑い国からは、例えば北海道の雪を楽しんでもらうとか、そういう形で対象ごとに宣伝の手法とか内容を調整しながら、効果的な誘致活動を行っているところでございます。  我が国地域の特性は、非常に地域によって異なっております。また、各国の市場のニーズも異なっているわけでございまして、その双方を踏まえまして、関係者と一体となって、より効果的な観光宣伝を行っていきたいというふうに考えております。
  22. 細田博之

    ○細田委員 今おっしゃったように、それぞれの対応が必要でございますので、きめ細かい対応をとるべきだと思います。それを民間サイドで十分できない場合には、できるだけそういうノウハウを政府あるいは政府関係の機関が提供できるような体制をつくるべきではないかと思うわけでございます。  第二は、やはり私は、道路問題が非常に大きいと思います。例えば、皆様方も旅行へ行かれてすぐおわかりのように、京都へ行きましても、熱海とか伊豆へ行きましても、日光でも沖縄でもそうでございますね、北海道は非常に道路がよろしゅうございますけれども、いわゆる観光地というものは、どこへ行きましても道路が狭くて、観光客がどこかへ移動しようというときに難渋をして、いつ到着てきるのかよくわからない、そのための時間を非常にとられるというようなことがあるわけでございます。きょうは別に建設省さんを呼んでいるわけじゃないのですよ、むしろ運輸省観光という立場からおっしゃっていただきたいのですが、観光という観点から見て、どうも道路が整備されていないな、もっとこういうふうに道路を整備すれば観光のためにいいのにという、観光中心に考えた場合の道路整備についてどう考えているのか、そして、何か具体的にそういう働きかけをやっているのかどうか、そういった点の考え方を御披露願いたいと思います。
  23. 相原力

    相原政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおりでございまして、我々も、例えば熱海あるいは伊豆等に出かけた場合に、非常に道路が混雑して、大変長い時間がかかるというような経験を持っているわけでございます。地方の有力観光地におきまして、道路の渋滞によりアクセス時間が非常にかかるということで、利便性に問題を抱えている観光地が相当数あることは、よく承知しているところでございます。運輸省といたしましても、今後の観光振興重要性にかんがみまして、観光面に配慮をした道路整備も非常に重要であるというふうに考えております。  具体的には、従来から観光立県推進会議というのを各ブロックごと、あるいは各県ごとに毎年開催しているわけでございますが、この観光立県推進会議の場におきましても、道路渋滞解消のための改善というのが一つの大きなテーマになっております。ここには、もちろん建設省さん、各地方公共団体方々が出席しているわけでございますが、そういう場におきまして、道路渋滞解消のための改善について、関係当局と連携して対応してきているところでございます。ただ、これは予算の問題もあるでしょうし、工事の実施上の問題等もあろうかと思いますが、なかなか思うように整備が進められていないというのも事実でございます。今後とも、関係省庁あるいは地方公共団体とも密接な連絡をとって、少しでもアクセス時間がかかり過ぎないような、道路の渋滞が少しでも解消できるような方向に進むように、運輸省としても努力をしていきたいというふうに考えております。
  24. 細田博之

    ○細田委員 まさにこの点は大事でございまして、アメリカやヨーロッパに比べると本当におくれておりますので、もっと強力にやっていただきたいと思います。  第三ですが、これは非常に大事なことです。インターネット時代に世界じゅうから予約が可能になるようなシステムを構築すべきだと思います。  私は、アメリカにおったときに、例えば、大陸横断鉄道を使って西海岸まで旅行をして、方々を回って、また飛行機で帰ってくるということを計画いたしまして、向こうのある社団法人のような観光サービスのところに出かけていって申し込むと、すべて鉄道は、ではこれで幾らだ、飛行機は幾つかあって、安い飛行機はあるけれどもどっちにしますかということで、そこで選ぶともうそれで決まる、そして宿泊は、こういうホテルがありますよ、幾らで大体済みますよということで、幾らか決まる。いわば手数料なしで、安い行程を全部自分で管理できるような組織があるんですね。そして、それを選びますと、お金を払えばもうあとは旅行の日に行けばいいだけのことになるわけでございます。  日本の場合は、とてもそんなふうにいかないですね。旅行代理店もそれぞれが競争をしているけれども、コンピューター一つとっても同じシステムになっていないわけですよ。何か申し込んでも、パックのようなことは非常に得意でございますけれども、それ以上いかない。そして、旅館側から聞いてみると、それが逆の弊害をもたらしているのですね。つまり、温泉地、我々のところの何とか温泉という温泉地でもそうでございますけれども、旅行代理店に事前にそれぞれ枠を上げているのですよ。A社には、では何室分お客を一応あてがっておきます、予定しておきます、B社には何室、何人分ということで、その旅行社がパック旅行などで埋まっていくと、ありがとうございました。ところが、日が悪かったりなんかしてなかなか埋まりません、残念でございますというと、もう直前になってその大半がキャンセルされてしまって、ほかの自由な、フリーなお客さんが予約を入れてきても満室でお断りする。しかし、結果として、当日になってみると客室があいてしまうというような、非常な弊害が見られるわけでございますし、その弊害のみならず、安いものを、例えばコンピューターの画面で自動的に選んで好きなような旅行、そうして、全体の予算が幾らということが確定できるような旅行ができない。これは、特にそういった旅行になれている外国人お客さんにとってみると、日本以外はそういうシステムがどんどん発達しておりますから、非常に大きな障害になっているのではないかと思うわけでございます。こういった点の、インターネット時代の予約システム、交通、宿泊価格を透明にして、安くて、個人が計画を立てられる旅行を可能にするための具体的な方策がないかという点について、お答えをいただきたいと思います。
  25. 相原力

    相原政府委員 御指摘のように、今、インターネットを初めとして、非常に情報化があらゆる分野で進んでいるわけでございますが、運輸観光業にとりましても、この情報化の進展にどのように対応していくべきかということは、非常に大きな課題となっているところでございます。  アメリカ、欧米等に比較して、日本運輸観光業は、こういう情報化の面ではおくれている面も確かにあるわけでございます。我が国におきましては、例えば交通機関、鉄道なら鉄道、エアラインならエアライン、あるいは宿泊施設、それぞれが独自のシステムづくりを行うという方向で、現在、同一業種内でのシステムづくりが進められている。したがいまして、それぞれの機関が別々に予約を行っているのが現状でございます。そういう意味で、細田委員の御指摘のとおりでございます。  そういう中で、少しでも情報化時代に対応した方策をとる必要があるということで、いろいろ検討をしているわけでございます。これは国際旅行ではございませんけれども、交通と宿泊を組み合わせましたいわゆるパック旅行につきまして、従来はコンビニ等では予約ができなかったわけでございますけれども、コンビニエンスストアで端末を設置いたしまして、その端末を個人が操作することによりまして、個人が旅行契約を結ぶことができるようなシステムを、早ければ六月から開始したいということで進めているところでございます。こういうものも異業種間の協力の新たな試みとして注目していけるのではないかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、情報化の進展に対応した異業種間の協力あるいは関係業種のシステム統合というものを、積極的に支援していく必要があるというふうに考えておりまして、現在、運輸省の中に運輸分野におけるマルチメディア調査委員会というものを設置いたしております。これは、平成七年度から三カ年の計画で検討をいたしておりますが、問題点の整理あるいは今後目指すべき方向等について調査検討をしているところでございます。その検討結果も踏まえまして、早急に具体的な施策を進めていきたいというふうに考えております。
  26. 細田博之

    ○細田委員 着々と進められているということで、大いにやっていただきたいわけでございます。  それに加えて、例えば外国の人が、外国にいながらにして、どういう観光地が日本にはあって、温泉へ行きたいならどうだとか、歴史ならばこうだ、自然ならばこうだ、あるいは娯楽施設ならばこうだという情報をとれる。そうして、どことどこに行きたいなということが彼らにとってよくわかる、まあお勧めコースをたくさんつくってもいいのでございますけれども、そして、そのコースを選ぼうと思うと、いろいろな選択肢があらわれて、幾らの予算の範囲内で、大体これでできるなということが判断できる、そして、判断をした上で、それを遠隔地から申し込む、クレジットカード等で予約をすれば、自動的に決済も行われるというところまで進むべきであるし、当然進んでいくであろうと思いますので、より包括的かつ世界に開かれた制度をつくっていただきたいと思います。  それに加えて、今度は日本に来た後、道路標識の問題とか立て看板の問題あるいはレンタカーの問題等々、通訳とかですね、外国人旅行客にとってはもうどこへ行ったらいいかわからないというようなことがよく言われるわけでございます。今回の法案でも、通訳関係その他、政策をいろいろ考えておられるとは承知しておりますけれども、この点についての政府の努力、政策の中身についてやや詳しくお願い申し上げます。
  27. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問にお答えする前に、冒頭ございました、インターネット等で簡単に情報が入手できるようにというような御趣旨の御質問がございました。現在、国際観光振興会におきましても、数年前からインターネットによりまして情報提供をしているところでございますが、非常に多くの接続がございまして、月間五十万件とか、一月に数十万件のオーダーで、世界各国から日本のいろいろな観光情報についてインターネットを通じての接続が来ている、こういう状況でございます。これからもより一層そういう面での情報提供も充実させていきたいというふうに考えております。  それから、御質問の、言葉のハンディーの問題、これも、日本外国人観光客の来にくい大きな理由の一つでございます。道路標識、案内板あるいは通訳等の問題でございまして、必ずしも十分ではない。また、通訳については、東京大阪は相当通訳がいるわけでございますけれども、地方にはまだ人数が足らない、こういうような問題がございます。  そういう観点で、外国人国内に来てひとり歩きすることができるように、これは、法律の中でも外客来訪促進計画というのを策定することになっております。その際に、国、観光振興会あるいは地方公共団体等が協力して、道路標識、案内板等の整備に努める、あるいは今回、地域に限定した通訳案内業という制度を導入することといたしておりますので、それによる受け入れ体制の整備というようなことで、外国人の言葉のハンディを乗り越えるための施策を実施していきたいというふうに考えております。
  28. 細田博之

    ○細田委員 これまでも観光振興に関係する法律はたくさんありまして、地域伝統芸能法あるいは総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法、国際観光振興会法、コンベンション法、国際観光ホテル整備法、通訳案内業法等々がございまして、それなりに一生懸命やってきておられるとは思うのです。今回の国際観光振興に関する法律案によりましても、例えば外客来訪促進地域というような、地域を指定する中身になっておりますが、既にコンベンション法という、国際会議などを開くための、地域指定をしてコンベンションを誘致するような法律もあると思いますけれども、コンベンション法がどのように今進んでおるのか。それと外客来訪促進地域というのは、地域的にどのぐらい重なっておるのか、その辺の融合といいますか、どういうふうに考えておられるのか、お答えを願います。
  29. 相原力

    相原政府委員 いわゆるコンベンション法は平成六年に制定されたものでございますが、現在四十五都市が国際会議観光都市として認定されております。国際観光振興会と連携を図りながら、国際会議の誘致を図っているところでございます。国際コンベンションの開催件数の推移で見ますと、平成五年に千六百六十五件でございましたが、平成七年には千八百二十件と着実に増加しているというふうに考えております。  また、このコンベンション法の指定都市と、それから本法律による区域との関係ということでございますが、国際会議等の誘致を一層推進するためには、国際会議観光都市と国際観光振興会が一体となって誘致活動を行うことが重要であるわけでございますけれども、この法律により地方観光魅力が増加することによりまして、地方国際会議観光都市の国際会議の増加にも資するものであるというふうに考えております。  具体的な区域につきましては今後の問題になろうかと思いますが、ブロック単位ぐらいのことを考えておりまして、全国で大体十ブロックぐらいが対象になるのではないかなというふうに考えておるところでございます。
  30. 細田博之

    ○細田委員 これまで長い間税制がございまして、宿泊、料飲などについては料飲税が課される。それが、消費税導入に伴いまして、三%の特別地方消費税という形で長らく制度があるわけでございますが、このたび、いよいよ三年後に特別地方消費税廃止ということが決まったわけでございます。それは旅館業を初めホテル業とか料飲業にとって非常に結構なことなのでございますが、実はその中から若干のお金を交付金として観光に役に立てているのですね。それが税収としてなくなるものですから、非常に地方観光振興にとっても問題はあるということで、特別地方消費税廃止が三年後でございますので、これにかわるといいますか、補完するような知恵を出していかなければならないと思います。今すぐにというわけではございませんが、こういったものがかなり観光振興にも役に立っておりますから、運輸省としても前向きに取り組んでいただきたいと思います。  時間の関係もございますので、最後大臣に申し上げたいと思います。今申し上げましたように、外国人日本に来ていただくということは日本理解していただくということであり、それは国際親善の上でも非常に役に立つ。一度日本に来た外国人日本が好きになって帰る割合が非常に多い、しかし、日本に留学した人はどうも反日的になって帰る人が多いと言われておるわけでございます。これは別の問題としても、やはり外国観光客に大いに日本に来ていただきたい、そして日本理解していただきたいわけでございますので、今いろいろ質問もさせていただいたわけでございますけれども、大臣関係省庁も含めて叱咤激励をしていただいて、観光振興、特に外国人観光客の増大にぜひ貢献していただきますようお願い申し上げますので、大臣の御決意を一言お願い申し上げます。
  31. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生の方から、国際観光重要性、また産業としての観光産業重要性、両面にわたっていろいろと御論議をいただきました。  また、この法案を通じまして、これから私どもが考えております国際観光増進をされ、世界の多くの国々から、日本の良さ、また日本人と心の触れ合いを持つことによって、より以上に日本の国に対する尊敬、信頼を得ていく。また同時に、二十一世紀の基幹産業としての観光産業、こういった側面もこれから進展させていかなければいけない。そういう意味で、この法律案というものは非常に大きな意味を持つものだというふうに思っております。  ぜひ、先生方の御賛同をいただきまして法律案を速やかに成立させていただいた上、国やそれぞれの関係機関が一体となりまして法案目的達成に全力を挙げて期待にこたえていきたい、こういう決意でございます。
  32. 細田博之

    ○細田委員 ありがとうございました。
  33. 杉山憲夫

    杉山委員長 江崎鐵磨君。
  34. 江崎鐵磨

    ○江崎委員 新進党の江崎でございます。  引き続いて、国際観光振興に関する法案について何点かお尋ねを申し上げます。既に細田先生、そして関谷先生の方からお尋ねがありましたので、もし重複がございましたら簡単なお答えで結構であります。  先日、この質問に当たって、観光部から資料をいただきました。我が国観光産業、生産波及効果は全体で四十八兆三千億円という大変大きなものがあります。そして、雇用波及効果では四百十万人、これを見ましても経済的役割は極めて大きいときに、今日、日本人海外旅行者は年々増すばかりであります。一九九六年、平成八年の統計は千六百七十万人に達しております。しかしながら、日本を訪ねる外国人旅行者は三百八十万人であり、日本経済人口の規模、そして四季とりどり非常に特徴のある美しい日本にとっては、やや少ないのではないか。そうしたときに、このたびの法案には私ども非常に賛同するものであります。  世界観光機構、WTOによりますと、今日までの外国旅行者数の推計で、一九五〇年代には二千五百万人だった世界じゅうの外国旅行者が、一九七〇年代には一億六千万人、一九九〇年には四億五千万人に至っておるときに、今後、二〇〇〇年には七億五千万人を予想され、そして、二〇一〇年には十億人が海外旅行に動くと推計されております。これからわずか十年後に十億人もの海外旅行者が動くと予測されるときに、その中心経済発展の続くアジア地域とも言われております。特に、一九九四年の資料では、第一位のフランスでは国際観光客受け入れ数が何と六千六十万人に及ぶとき、日本は三百四十六万人とけた違いの数であります。  特にアメリカでは、一九九四年、貿易赤字が千百十億ドルであったときに、観光産業の外貨獲得額は七百八十億ドルに至り、特に当時のブッシュ大統領はかつてアメリカ観光のCMにみずから出演したほどであります。既にアメリカでは観光産業を基幹産業一つとしておりますときに、本法案提出されましたことは、特に古賀大臣の今後の強力なリーダーシップと、運輸省の適切な行政指導への取り組みがあれば、自治体、旅行業界また観光に携わる人々、地域住民の理解と協力のもとに、我が国では二十一世紀に向けて、これからいよいよ観光産業がまさに基幹産業一つになるのではなかろうかと私は受けとめております。  特に、古賀大臣には現状の日本経済におけるこの観光産業といったものを、どのような位置づけをされておられるか、冒頭にお尋ねする次第であります。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  35. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生の方から、観光産業についての立場から御質問をいただいているわけでございます。  先生も御承知のとおり、観光産業といいますのは、旅行業だとか交通産業、飲食業、アミューズメント産業、またそれに、もっと具体的に言いますと、お土産品にかかわってくる産業、保険業等、私は非常に幅広い分野を包括した産業だというふうに認識をいたしております。  御承知かと思いますが、平成六年の実績で申しましても、我が国国内旅行によります総消費額というのは二十兆円に上っております。それに伴います雇用も百九十万人に上るということ、また、世界の実績から申し上げましても、GDPの約一割、雇用の面でも約一割という、極めて基幹産業としての役割を果たしているというふうに私自身が認識をいたしております。先生も御指摘いただいたように、二十一世紀にはますますこの観光産業という分野は発展をしてくるだろう、そして恐らく二十一世紀経済を引っ張っていく基幹産業にまで成長してくるのではないか、こういうふうに、私も先生と全く同じ認識でおります。  ただ、残念ながら、観光産業の経営基盤というのが非常に弱いということも事実でございます。今後こういった面を、総合的にどう発展させていくのか、また社会認識と申しますか、そういう分野ででもどう向上を図っていくのか、そういう面が残されていることは事実でございます。我が国におきましても、そういった面を、今回提案させていただいています法律等を達成することによって一つずつひとつ克服をさせて、二十一世紀我が国経済の基幹産業たる観光産業として成長できるように、環境整備、またあらゆる努力をしてまいりたいと思います。先生運輸行政に対するいろいろな御支援、御指導をいただいていることは十分承知いたしておりますが、観光分野におきましても、ひとつさらなる御支援を賜れば大変幸せだと思っております。
  36. 江崎鐵磨

    ○江崎委員 二番目の質問に移ります前に、ぜひ古賀大臣には、まだ私は議員としての駆け出しであります、したがって、先生といった敬称はおやめいただきまして、江崎委員で結構ですので、どうぞよろしくお願いいたします。政府委員の方にもお願いを申し上げる次第であります。  実は、私、五月十一日、十二日とメキシコシティーで行われました日本人メキシコ移住百周年記念式典に、衆議院の派遣で出席させていただくことができました。大臣並びに衆議院の先生方に心からお礼を申し上げる次第であります。  メキシコに出かけましたときには、今メキシコ政府が世界に誇るリゾート地、カリブ海に面したユカタン半島にあるカンクンまで足を運びました。三日間滞在いたしましたが、団長が元運輸大臣奥田敬和先生であったことから、カンクンの観光局の責任者、そしてカンクンのあるキンタナ・ロー州選出の上院議員が私どもを訪ねまして、特に熱っぽく説明がありましたのは、一九七〇年代からメキシコ政府がカンクンの観光開発に力を注ぎ、わずか二十五年足らずでアカプルコをしのぐリゾート地にまで押し上げた、現在、メキシコ全体の観光収入の中で二五%を占めるに至り、この州は、メキシコで最も豊かで、また住みやすい地域になりましたといりたことを、誇らしげに時間をかけての説明がございました。国家プロジェクトの成果を目の当たりにしたわけでありますが、特に美しい海、白い砂浜のカンクンを見ましたときに、私ども、何か沖縄と共通点を感じたような次第であります。いろいろ問題を抱えておる沖縄の県民、今こそ国が挙げて、私は沖縄の振興策には観光振興を柱とした国家プロジェクトが必要であるのではなかろうかと強く思った一人でもあります。例えば沖縄において長期滞在しても料金の安い大規模なリゾート施設や、また、冬場には高齢者が一カ月、二カ月と沖縄へ赴き本当の保養ができる、そうした施設を沖縄につくることが、私は、沖縄県民が今この本土、政府に対して一番心和らぐ施策ではなかろうかといった気持ちを強く持った次第であります。  特に、二十一世紀はアジア・太平洋地域の時代と言われております。アジア近隣諸国と最も近い距離にあり、長い交流の歴史を持つ沖縄にとっても、今後国際観光交流の促進が最も重要な課題になることが予想されるとき、運輸省としても積極的に支援をするべきと考えますが、これは、特に古賀大臣並びに運輸省の御所見をお聞かせいただきますように、お願い申し上げます。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  37. 古賀誠

    古賀国務大臣 それでは、改めて江崎議員と呼ばせていただいて答弁をさせていただきたいと思います。  先生のおっしゃっている沖縄の振興策というのは、非常に我が国にとって大事な課題でございます。そういう意味でも、沖縄の全産業のトップの収入を上げているのが観光でございます。そういう意味で、私は、観光振興というのは沖縄振興策の重要な柱であるというふうに考えております。とりわけ、沖縄県は日本とアジア・太平洋諸国のちょうど接点に位置するわけでございます。そういう意味からも、近隣諸国からの来客の促進は、まさに沖縄県が目指している国際都市形成構想の推進のためにも、大変重要な課題であろうというふうに思っております。  運輸省といたしましても、従前から沖縄の観光振興を積極的に支援をしてまいりましたけれども、今回、改めてまた沖縄特別振興対策調整費の配分を受けまして、広域観光ネットワーク構築等を具体的に検討して、これを進めてまいりたいというふうに考えております。沖縄の国際観光交流の促進に当たりまして、今回提案させていただいております法案が十分活用されることを、私自身大いに期待をいたしているところでございます。  運輸省といたしましても、本法案を初めといたしまして、各種の施策を通じまして、沖縄の国際観光交流の促進という点で積極的に従前以上に支援をしてまいりたい、そういう強い決意を持っているところでございます。
  38. 江崎鐵磨

    ○江崎委員 古賀大臣の強力なリーダーシップのもとに推し進められることを、心から期待申し上げる次第であります。  実は、私の地元愛知県では、今、二〇〇五年万博実現に向けて誘致運動が大変盛んになっております。官民一体、同時に、国では超党派の誘致議員連盟、自民党でも議員連盟をおつくりいただきました。相手が冬季オリンピックで実績のあるカナダのカルガリーだけに、全く予断が許されない状況にあります。  特に、この万博では担当省庁が通産、外務の二省庁でありますが、万国博覧会といえば当然国際観光振興に大きく寄与するものであります。これからは運輸省も積極的にこうした機会には参加していただかなければならないと強く思いますと同時に、国際観光振興会海外に十四の事務所を設けておられますが、この国際観光振興会は万博に対しての各国に対する働きかけをしていただいておるかどうか、その点についてもお尋ねする次第であります。
  39. 相原力

    相原政府委員 愛知の万博の件でございます。  御指摘のように、外務省と通産省が責任省庁であるということは事実でございますが、関係省庁連絡会議等を通じまして、運輸省も積極的に参画しているところでございます。  御指摘のように、万博が開かれますと、今回も六カ月間の開催期間を予定しているようでございまして、これはもちろん日本人お客さんを含めてでございますけれども、全体で約二千五百万人の入場を予定しているようでございます。今までの実績からいいますと、そのうち数%ぐらいは外国人お客さんになるのではないかというふうに言われております。  そういうこともございまして、国際博覧会の開催が国際観光振興の観点からも、非常に大きな意義を有するものであるというふうに考えております。そういう意味で、今までも関係省庁連絡をとりながら、運輸省としてその誘致に協力してきているところでございます。引き続き関係者と連携を図りながら、愛知県における国際博覧会の開催に向け協力してまいりたいと思っております。  なお、御質問の国際観光振興会につきましては、この法人の趣旨が、宣伝というのが主目的でございまして、現時点で積極的な誘致活動を行える状況にはなっておりませんが、博覧会が開催される段階になれば、外国人お客さんに国際博覧会に来ていただくという意味において、当然積極的な貢献ができるのではないかというふうに考えているところでございます。
  40. 江崎鐵磨

    ○江崎委員 本法案の実効を上げるには、まず基本的に何をするべきか。私自身、駐日オーストラリアとオランダの大使館の友人に率直に尋ねましたら、まずその友人が、これはぜひひとつ江崎から委員会で提案をしていただきたいと、たっての希望が一、二カ月前にありました。  特に交通移動に関して、主要空港、主要な駅に外国人総合観光案内所を設置してもらいながら、できれば、先ほど細田先生からお話がございましたように、インターネットホームページ、こうしたものも整えてもらいたい。現在、国際観光振興会のツーリスト・インフォメーション・センターは東京、京都に事務所を置いておられますが、これは実際、個人で日本へ旅行に来た方々がどの程度知っておるかといったようなことも、外交官が言っておりました。  同時に、団体旅行ならともかく、個人、小グループの移動は列車が多い、特に欧米人の荷物が非常に大きい、そんなとき、新幹線及び主要線には荷物を置くスペースが非常に狭隘であるといったような指摘がございました。  いま一つ、それぞれ駅の構内のエスカレーターの幅が狭いので、大きな荷物を持つと、結局何段もある階段を上らなければならない、そうした苦労もあるといった話もありました。  一方には、外国人観光客を受け入れる主要空港、主要駅には、今、時代からおくれるかと思うけれども、ポーターもしくはポーターとなることのできるようなスタッフを配置してもらいたいといった率直な意見があると同時に、これも細田先生からお話がございましたが、特に空港、駅においての乗り継ぎ案内掲示板、これが外国人に非常にわかりにくいといった指摘もございました。  また、これからいよいよ二十一世紀に向けてアジアの外国人旅客を受け入れるには、それぞれ地域事情によって来訪外国人比率が異なってまいります。したがって、そうした配慮をするべきだといった指摘がございました。  駅の乗り継ぎの話は私自身も非常に共鳴をしました。私は、大学時代四年間東京住まいでありましたが、それ以降はすべて愛知県に住んでおる者、いまだ、東京駅に来て、さあどこどこへ行くと言われたときに、案内表示板を探し出すにも苦労する。日本人がそれほど苦労するようなときに、とても外国人ではお手上げ状況だといった考えを、私自身も持っておるものであります。  また、外国人は、特にバスでの観光は本来快適なものだと思っておったところ、日本のバスはシートが狭く、天井は低い。例えば冬場だと窓が曇ってしまう。非常にバス観光が愉快でない。したがって、特に運輸省ではEUの基準程度に規制を緩和したらどうかといったような率直な意見がございましたが、ぜひひとつ、友人からの質問の中で、主要駅の案内表示、そしてバスのつくりの規制緩和について、二点だけお答えをお願い申し上げます。
  41. 相原力

    相原政府委員 江崎委員からいろいろと広範にわたりまして御指摘をいただいたわけでございます。今回提案いたしております法律によりまして外国人観光旅客が大勢来ていただいたといたしましても、今御指摘いただいたようなことがあって、御不満に思うような状況であるということは避けなければならないというふうに思っております。外国人観光旅客に円滑に、そして快適に国内を旅行していただけることが非常に重要で、そうでなければ本当の意味での外客誘致には結びつかないのではないか、そういう意味で、先生指摘のとおりであるというふうに思っております。  今いろいろ御指摘がございました中で、特に案内表示板の点でございます。これも各鉄道事業者等は今までも努力しているところでございますが、必ずしも十分でないというのも事実でございます。また、我々日本人にとっても必ずしも十分ではないということも事実でございます。実態を申し上げますと、本州JR三社の主要駅におきましては、案内表示については日本語と英語により表示しているということでございます。それも十分であるかどうかという問題はあろうかと思いますが、日本語と英語により表示いたしております。また、関西国際空港駅などの特定の駅におきましては、特に必要な場合には英語以外の外国語による表記も加えるということで、今後とも海外からの利用者の利便が向上するように取り組んでまいりたいというふうに考えております。  それからバスのシートピッチの話でございます。これは確かに、日本人でも最近非常に体位が向上しておりますので、大きい人にとってみれば少し狭過ぎるということもあろうかと思います。ただ、この規制につきましては、現在、安全基準の観点から、特に緊急時の避難の場合、多数の者が乗降するものですから、乗降の容易性を確保するという観点で、必要最小限の規制を行っているところでございます。したがいまして、現実問題といたしましても、現在、自動車メーカーあるいはバス事業者におきましては、ゆとりのあるバスを製作して使用しているという実態にございます。  ただ、それが特に欧米の非常に足の長い人にとって十分かどうかという問題がございますが、そういう意味で問題点があれば、いろいろな中央の協議会とかいう場もございますので、そういう場を通じて、なるべく不満が起こらないような措置が講じられるように、対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  42. 江崎鐵磨

    ○江崎委員 ただいまバスに関しては必要最小限と。まさに、これから規制緩和を推し進めるときには、必要最大限の取り組みをお願い申し上げる次第であります。  いま一つは、宿泊施設について、洋室、特にビジネスホテルにおいてベッドの大型化と、外国人利用のために必要な部屋のサイズアップを図ってもらいたい。  いま一つは、和室利用の場合には、外国人の体型に合った浴衣、布団等の基準を見直したらどうかと。これは、村田先生がおれおれと言っておられますが、体の大きい人には今、布団とか浴衣といったものが小さくなりつつあるんじゃなかろうか。率直でおもしろい意見だなと。特に、日本に五年の外交官、日本に二年の外交官からの話であります。温泉は大好きで、和室に掘りごたつがあるとこんなに楽しいものはない、ただし、大勢で食事をするとき浴衣を着ると、非常に短いもので前がはだけてしまう恥じらいといったものは、日本人では想像がつかないだろうといったような意見も出ておりますので、こうした指導なんかが果たして今回の法案でできるのかどうか。  そして、フロント、仲居さん等の接客担当者に対する語学研修もやってもらいたいと言うのですが、外交官の言うことは何か金のかかることばかりだなと自分自身思うものであります。  それで、もう一つ大切なことは、治安が非常にいい日本ではあるが、多額の現金を持ち歩く習慣のない外国人にとって、現在、余り訪れない地域でキャッシュレス化が進んでいないのが現状であります。したがって、外国人を誘客するために、それぞれ地方でこれからどうキャッシュレス化に取り組むか。そうした対応、もしお聞かせいただければ、お願いを申し上げる次第であります。
  43. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員から御指摘のありましたようなニーズでございますが、観光の推進を図る上で、個々の外国人観光客のニーズにマッチした宿泊施設のサービス改善というのは、非常に重要な問題だと考えておるところでございます。これにつきまして、各事業者におきましてもこれまでも努力は行われてきているところでございますが、最近の外国人観光客も非常に多様化しておりまして、文化、習慣が必ずしも一つではない、いろいろな方が来られているわけでございます。したがいまして、洋室、和室あるいはベッド、布団、あるいは浴衣のサイズ、こういうものにつきましても、おのおのの国の外客によってニーズが異なるような面もございまして、なかなか一律に論じにくい面もございます。  いずれにしましても、各事業者における今後の外国人観光客受け入れのためのきめ細かい工夫と努力により、改善を図っていくことが望ましいと考えておりまして、こうした外国人観光客のニーズにつきまして所要の情報提供等を行って、その努力を支援していきたいと考えておる次第でございます。  それから、外国人の接客についてでございますが、国際観光ホテル整備法に基づきまして登録しているホテル、旅館につきましては、外客接遇主任者を置くことを義務づけております。また、個々の接客担当者につきましては、宿泊業界の団体等が研修という形で資質向上に努めている次第でございます。運輸省としましても、この法案趣旨に基づきまして、さらに、宿泊団体等を指導しながら、接客担当者の話学を含めた接遇研修等に努めてまいりたいと思っておる次第でございます。  それから、委員指摘の治安の問題なりキャッシュレス化の問題でございます。  確かに、欧米では、キャッシュレス化というんですか、こういう傾向が非常に進んでおります。こうした地域から来られた外国人観光客の利便性の向上のためにも、地方観光地でキャッシュレス化を推進するということは、非常に重要な課題であると受けとめております。一部、国際観光ホテル整備法の登録ホテル等あるいは主要なレストラン等におきましては、既にカードによる決済が進んでいるところもございますが、地域によって、一般的にはなかなかキャッシュレス化が進んでいない現状であるのも事実でございます。  この法律の施行に際しましても、こうした宿泊、飲食業界はもとより、交通事業者等を含めました広い意味での観光事業者につきまして、その取り組みを推進するとともに、外国人観光旅客を対象とするような共通乗車船券の設定ということを通じたキャッシュレス化というような努力もいたしまして、さらに、関係者一体となって外国人旅客の接遇の向上施策を推進したい、こう思っている次第でございます。
  44. 江崎鐵磨

    ○江崎委員 引き続いて、旅行会社を経営する友人からの意見であります。  二年ほど前からアジアのお客さんが非常に多くなった。特に、韓国、シンガポール、香港、台湾からのお客さんが一番行きたがるまさにゴールデンルートというのは、五日から七日のコースで、成田空港に着き、東京、ディズニーランド、富士山、名古屋、京都、大阪、そして関西空港から帰途に着く。いま一つは九州と東京をつなぐコース、福岡から長崎、宮崎などのテーマパークから東京に向かい、ディズニーランドから成田で帰途に着く。この二つのコースは、私ども日本人にとっても非常に人気が高い。今回の法案は、特にこうしたルート上にない地域へ新たな外国人観光客の来訪を促進するといったとき、大変これは至難のわざではなかろうか、国として地域に対してどのような整備や支援、補助がなされるか、これをぜひ聞いてもらいたいといったことであります。  いま一つは、外国人の白バス運用についてであります。特に、最近、アジアからの格安ツアーは白ナンバーのバス利用を見かけることがしばしばある。万が一事故でも起こした際の責任問題は一体どこにあるか。  この二点を特に聞いてもらいたいといったことでありましたので、お尋ね申し上げる次第であります。
  45. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答えいたします。  現在、余り外国人観光客が訪れていない観光ルートをもっとクローズアップして外国人に来てもらうというのが、まさにこの法案趣旨であるところでございます。こうした地方公共団体による計画を後押しするために、国といたしましても、多くの支援をやろうということを考えておる次第でございます。  具体的に申しますと、地方公共団体が共同してつくるそうした外国人誘致のための計画に基づきまして、国際観光振興会を通じました重点的な海外広報宣伝を行うつもりでございます。また、ウエルカムカードというのがございますが、これは外国人観光客の利便向上のためにいろいろな施設の割引をするカードでございます。こうした事業についても、現在、モデル事業の推進について国として調査を始めたところでございます。また、こういう発行支援についても、各地方団体について十分行っていきたいと思っております。  さらに、地方公共団体がその地域文化伝統について紹介していますような国際交流拠点の整備ということでございますが、これにつきましても財政的な援助をすることとしております。  また、外客来訪促進地域の宿泊拠点地区でございますが、こうした中で、外国人観光客が宿泊しながらいろいろな伝統文化を体験をしてもらうというような特定の施設あるいは設備がございます。例えば、その地域にしかないような伝統芸能を見せるような施設伝統的な文化を体験するような施設あるいはその郷土の歴史紹介施設、こういうものがございますが、こうした一定の設備に対しまして、国税、地方税をあわせました税制上の特例措置を設けておる次第でございます。  また、実際に観光事業者がいろいろな形でイベントを行う、あるいはPR活動を行う際には、指導助言を十分行っていきたい。また、観光に関して、具体的な観光プロジェクトをいろいろな分野の関係事業者が推進する際には、その調整、支援に当たりたいということを考えております。こうしたことで、広域観光ルートヘの外客来訪促進の取り組み全般につきまして、できる限りの支援を行っていくという所存でございます。
  46. 荒谷俊昭

    荒谷政府委員 白バスが事故を起こした場合の保障の問題でございますが、これは、利用者と白バス運行者あるいは旅行会社との契約関係がどうなっているかということによってそれぞれ異なってくると思いますけれども、一般論として申し上げさせていただきますと、旅行会社はいわゆる運送の責任を負っていないのが通例でございますので、事故が起きた場合には、利用者とその白バス運行者との間で民事的な責任、損害賠償の要求ということになろうかと思います。  ただ、白バスにつきましても自賠責保険の対象になっておりますから、いわゆる強制保険であります自賠責保険からの賠償額は支払われるということになります。
  47. 江崎鐵磨

    ○江崎委員 時間が参りましたが、特に国際観光振興ほど奥行きの深いものはありません。経済的な側面だけではなく、人の交流を通じ世界的な相互理解増進を図るとともに、また国内においては地域の活性化といった、平和を構築する唯一の産業と言っても決して過言ではございません。  ぜひひとつ古賀大臣には、この法案が実効を上げるための格段の御努力をいただきますとともに、この法案で一番問題になること、民間企業の努力と協力といったものがないと、これはなかなか実りあるものにはならなかろうと思います。民間はメリットのない協力はしないといったことが多いときに、民間が協力意欲を持つようにするため、国としてこれから協力要請を的確に行っていただくことを心から期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
  48. 杉山憲夫

    杉山委員長 山中燁子さん。
  49. 山中あき子

    山中(燁)委員 新進党の山中燁子でございます。  日本は小さな国であっても、細長いということで四季の変化はございますし、それから起伏に富んだ地形もあります。また、歴史文化を見ましても、日本というのは本当に観光産業に大変適したところであるにもかかわらず、なぜか国内的にも国際的にも、今の観光産業というのは低迷しているのではないか。これから二十一世紀に向かって、新しい産業のあり方としての観光産業、そして雇用の創出、そういったことを期待するには抜本的な政策の転換が必要であろう、そういう立場からきょうは質問させていただきたいと思います。時間も限りがございますので、できるだけ簡潔にお答えいただければ大変幸いでございます。  まず一番最初に、観光政策審議会の答申が一九九五年六月二日に出ておりますが、「観光の定義」、これに、「余暇時間の中で、日常生活圏を離れて行う様々な活動であって、触れ合い、学び、遊ぶということを目的とする」というふうに載っております。  では、今国際的にいろいろな人たちを呼び込むのに日本は魅力があるのかどうか、そういった視点で見てみますと、大変暗い数字が出てまいります。申し上げるまでもなく、全世界の主要国の、これはジェトロの調べでございますけれども、地域の総投資額で対米が二四・三、対EU三一・二、日本を除くアジアは二三・九%というシェアにもかかわらず、日本へのシェアというのは〇・四%にすぎません。また、九五年の日本企業の対内、国内の直接投資はわずか二千五百億円でありまして、海外投資が四兆六千億円というのに対して、日本国内に対して日本の企業の投資も非常に減ってきています。  観光客数については、先ほどから何度もお話がありましたので省略いたしますけれども、日米の留学生、九五年段階で日本からアメリカには八万二千八百人行っておりますけれども、アメリカから日本には一千八十七名しか来ておりません。  また、港湾コンテナの扱いにいたしましても、香港が二〇・六%のシェアに対して、日本は一・七%。ハブ港、港も、釜山、高雄、香港そしてシンガポールというふうになっております。  また、国内的に大変期待されました主要テーマパークも、ディズニーランドやハウステンボスは大変成功しておりますけれども、例えば日光の江戸村というのは年々顧客が落ちていき、ほかのテーマパークも大変厳しい状態にある。  こういった、余りうれしくない状況の中なのですが、ここで国際的な観光をどういうふうに日本の中で位置づけていくか。そして、日本産業に対してどういう効果をもたらすかという点について、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  50. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生は、日ごろから海外で大変御活躍をいただいている経験をお持ちでございますので、そういう視点も踏まえて、今、我が国観光産業のあり方、そういった点についてお触れいただいているのではないかと思っております。  私は、国際観光というものは、先ほども御答弁申し上げましたけれども、まず一番大切なことは、諸外国の幅広い層の方々に直接日本の国に来ていただくことによっての交流、それは今先生もお触れいただいた、日本のすばらしい文化だとか歴史だとか自然、そういったものとの触れ合いの中でお互いの信頼関係、お互いの理解が深まっていくということ、その国と国、人と人との理解が深まるということは、ひいて言えば、経済的また政治的な摩擦が回避されるでありましょうし、国際社会の中で日本の国が孤立化するというようなことも免れるでありましょう。そういう大きな成果を国際観光というものは持っているのではないかと私は思います。  一方で、観光産業という問題についても、先ほどお話を申し上げましたけれども、まさに二十一世紀経済を引っ張っていく、そういう基本的な根幹をなしていく。それは、地域においてもそういうことが言えるのではないか。そういう意味で、ぜひひとつ、今後、この法案を成立させていただいた上で、法案趣旨に沿って精いっぱいの努力をし、達成することによって、日本の国が観光国としても世界のトップの水準に並べるような努力をしていくということが、今非常に大切なことだという認識で、これから観光振興に向かっても努力をしてまいりたいというふうに思います。
  51. 山中あき子

    山中(燁)委員 ただいま御決意を伺いましたが、観光地に対するニーズの変化というものは極めて速いスピードで変わっております。申し上げるまでもなく、一過性の景勝地という発想から、滞在型そして体験型あるいは研修型、そういった方向に多様化しているわけでございますから、今回の法案も、ぜひ運用の面で、それに対応できるよう十分配慮いただきたいというふうに思っております。  今おっしゃいました御決意を実現するためにも、推進の上でどういう点が一番問題があるというふうに、御認識でいらっしゃいますでしょうか。大臣にお伺いできれば幸いです。
  52. 古賀誠

    古賀国務大臣 いろいろと問題点は数点あろうかと思いますけれども、今も先生がおっしゃったように、大変多様化していることは事実でございます。とりわけ我が国外国からお訪ねになる方々は、どうしても東京とか大阪といった都市部に集中されております。本当の日本のよさというのは、先生が冒頭おっしゃったように、北海道から沖縄県まで非常に長い日本列島の中にいいところが、歴史文化、自然、そういった観点から考えてもたくさんあるわけでございます。そういう地域の、むしろ積極的によさというものをPRし、その地域外国お客さんたちが見えたときに御不便をかけないような対応ができるか、こういった点に一番気をつけていくということが、重要なことではないかというふうに思います。
  53. 山中あき子

    山中(燁)委員 先ほども御紹介しました政策審議会の答申の中に、大変いいポイントが幾つか出ておりまして、文化遺産の問題とか自然環境の問題もありますけれども、すべての人々が旅に出かけられるゆとりを持つ、そういった機会を持つということも指摘されております。  地域のさまざまな格差があるとは思いますけれども、今回の外国人観光促進ということと表裏一体となって、国内日本人観光客増進というものにもぜひ波及的な効果をもたらしていただきたい、それが一つの視点ではないか。その意味で、ウエルカムプラン21には、この辺が少し記述の面で弱いというふうに私自身は感じておりますので、今後運用の面で、ぜひ大臣もそういう視野でお考えいただきたいと思います。  それでは、時間もありませんので、法案の内容について、何点か御質問させていただきます。  まず一番最初目的のところですけれども、この目的の中でも、ただいま申し上げましたのと同じことでございますけれども、外国人に対してということが触れてあります。御承知かと思いますけれども、一九六九年にイギリスではディベロプメント・オブ・ツーリズム・アクトというのが採択されまして、その中で二つの役割というのを述べております。一つが、人々が英国を訪れることを促進し、また英国に居住している人々が休日を英国で過ごすように促進すること。そして二つ目が、英国における観光のアメニティー施設の設置及び改善を促進するということで、この点も含めまして、今回は外国人ということではありますけれども、先ほども申し上げましたように、日本人も同じように日本国内を楽しめる、ぜひそういうところに波及させられるように考えていただきたいと思うのですが、この点はそういうふうに読んでよろしゅうございますか。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  54. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  今回提案いたしております法律案でございますが、外国人観光旅客の来訪促進というのが目的でございます。観光振興を図る上では、先生指摘のように、外国人観光だけではございませんで、当然日本人観光振興あるいは旅を楽しんでもらうというような観点も重要でございます。  観光基本法というのが昭和三十八年に制定されておりますが、その中でも大きな柱といたしまして三つあるわけでございます。一つが本日御審議いただいております国際観光交流の促進という点でございます。あと二つあるわけでございますが、一つは消費者に対する適切な観光サービスの提供ということで、例えば旅行業法等でやっている。それからもう一つが、観光振興を通じた地域の活性化、これが主として国内観光の面でございます。これを三本の柱として対応いたしております。  今回特に大臣から御答弁いたしましたように、外国人旅客数東京大阪に集中し過ぎているというような観点を踏まえまして、この法律案を提案させていただいたわけでございますが、当然、地域観光魅力の増大あるいは地域の活性化等を通じまして、日本国内における観光振興地域観光振興にも結びつくものである、また結びつけるように運用してまいりたいというふうに考えております。
  55. 山中あき子

    山中(燁)委員 ただいまのお答え、大変私としては満足しております。  と申しますのは、ともすれば、ばらばらに法案が展開していきますと、その間でいろいろなことが、抜けていくところ、あるいはオーバーラップするところが出てきますから、やはり観光政策としては総合的に全体を、その三本の柱を上手に運用していっていただきたいと思います。  それから次に、外客来訪促進地域ということで、先ほどの前段の御質問の中で、十ブロックぐらいを考えているということがあったと思います。それで、私も、やはり日本全体を十ぐらいのブロック、十か十一か、まあそれはいろいろあると思いますけれども、幾つかのブロックに分けて、その地域地域の特性を生かさせるということは大変重要なことだと思います。そういう方向ということで再確認させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
  56. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  外客来訪促進地域ということで、地域を指定することになっているわけでございます。これは、我が国固有の文化とか歴史、自然等のすぐれた観光資源を有する地域を、外国人観光旅客の利用に適した宿泊拠点地区を有機的に結ぶ、そしてまた、外国人観光旅客が三泊から五泊程度で周遊できるような観光ルートを整備する広域的な地域を想定しているところでございます。  具体的には外客来訪促進計画を都道府県が策定するわけでございますけれども、運輸省といたしましては、各地域が特色を発揮できて、また海外へのアピール度の高い広域的なスケールの大きい地域として設定されることが望ましいというふうに考えております。そういう意味で、各地方がブロック単位で特色ある取り組みが行われるのが適切なのではないか、そういうことからいえば、全国で十ぐらいの数が設定されるのではないかというふうに期待しているところでございます。
  57. 山中あき子

    山中(燁)委員 ブロックでびいっと線を引くというやり方ではなくて、ぜひその辺は柔軟に対応しながら、一つのまとまった地域を育てていくという発想で推進していただきたいと思います。  その次に、外客来訪の促進計画についてなんですが、大変細かく記述されておりまして、促進地域の区域であるとか宿泊拠点地区の区域、その促進地域における観光の経路あるいは案内施設の整備、それから固有の文化歴史その他の理解、これは大変いいと思うのですが、宣伝の方針もよろしいのですが、何かこの区域、この区域と非常に細かく書いてありまして、それが運輸大臣の同意が要るというふうになっております。私は、やはりこれからの観光といいますのはもっと柔軟な、いろいろなものに対応できるという意味では、余り日本で、よく日本人はツーカインドと言われます。親切過ぎるというのは、ありがたいと思って言っているのではなくて、余計なお世話ではないかということもあるわけですから、その辺の運用の面でもう少し選択のできる、ここに特定していなくても、あるいは運輸大臣の同意がなくてもある程度実際的には行えるというような、その辺の運用の妙というのは十分含まれているというふうに判断してよろしゅうございますか。
  58. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答え申し上げます。外客来訪促進計画につきましては、これはもちらん促進地域の設定と同様でございますが、各地方公共団体が自主的に設定するわけでございます。その際、なるべく広域的な方が一つの特色を出しやすいということから、隣県等と相談しながら、ある程度広域的な区域を設定しておるわけでございます。この地域であれば、今までは余り外国には知られてなかったけれども、十分自信を持って薦められる自然的景観がある、あるいは歴史的な景観があるということで策定するわけでございます。  その計画につきましては、先ほど委員の方から御指摘がありましたような促進地域の具体的な地域、あるいはその中で、集中的に旅館、ホテル等整備する必要があるような宿泊拠点地区、あるいは三泊、五泊で回るにちょうど適したような観光ルートを設定するとか、案内施設を整備するとか、こういうことを具体的に盛り込むわけでございます。  この趣旨といたしますのは、地方公共団体が協力して計画をつくったときに、どういう計画を持っているかということを国としても十分承知して、意思を合致させた上で、それに対して税制、財政を含めたいろいろな形での支援を考えておるわけでございます。そういう意味では、十分、公共団体の自由な意思で、フレキシブルに、こうした運用に当たるつもりでございますし、また意思の合致はあくまでもそうした支援のためのことでございます。国が援助していくけれども、そうしたお互いの意思を十分確認し合って進めていく、このために同意という制度があるわけでございます。  この同意につきましても、やはり国が都道府県と一緒の立場に立って、一緒に計画を一体となって推進していこうという考えに立つものですから、承認とか許可とかそういうものではなく、あくまでも意思を合致させましようという意味の同意という制度にしたわけでございます。
  59. 山中あき子

    山中(燁)委員 私は、やはり進んだ社会というのは選択ができる社会だというふうに思っております。そしてまた、観光地方分権の一つの先導的役割を果たすという意味地域を活性化していく、そういう意味から、ぜひ地方を重視して、運輸省はバックアップするということで進めていただきたいと思います。何か支障を来したときに、ほかのところでフォローできるような柔軟な制度と柔軟な意識、このことをきちっと踏まえていただきたいというふうに思います。  その次に、国の援助ということでございますけれども、国の援助もいろいろあるわけですが、ここに「必要な事業を行う者に対する必要な助言、指導」「援助」と書いてあります。私は一つだけ確認させていただきたいのですが、いろいろな今までの経緯の中で、指導という名の規制というのが現実には、運輸省だけの話ではないんですが、たくさんありました。そういうことにはならない、先ほどのようなフレキシブルな考え方というふうに、きちっとここでもう一度確認させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  60. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答えいたします。  国がいろいろな形で支援することを予定しておりますが、その中で、「必要な助言、指導」によりまして、地方公共団体が画一的な計画を押しつけられ偽とか指導を迫られるというようなことは毛頭考えておりません。あくまでも、国が持っている知見の中で最大限の援助をしてあげたい、あるいは国際観光振興会海外の事務所を通じて蓄えられたノウハウを十分に使っていきたい、そういう面から真の意味での支援をするということでございまして、押しつける気持ちは全く持っておりません。
  61. 山中あき子

    山中(燁)委員 ぜひそのようにお願いいたします。  それから次に、PRについてでございますけれども、これは日本人が一番下手であるという、恥じらいの文化ということで、聞こえはいいんですけれども、実際には大変にそのノウハウがうまくいってないということがよく言われるわけです。先ほど一番最初の御質問にもありましたように、観光機関がもう省レベルの国の機関となっている国が四十カ国くらいあるわけですし、あるいは観光宣伝というのを政府が直接宣伝活動をしているというのが米国、英国そしてカナダ、ニュージーランド、その他あります。また、政府関係の機関が主として宣伝活動をしているというのがドイツ、スイス、シンガポール、マレーシアなどあります。  日本の場合には、国際観光振興会というのは別組織でございますけれども、別組織であるということで費用対効果ということのマイナスはないのかどうか。この辺、これから少ない予算の中でどういうふうに宣伝というものを、あるいはPRという言い方の方がいいと思いますけれども、推し進めていくつもりかという点についてお答えいただきたいと思います。
  62. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答えします。  組織として、外国では観光省というのが省レベルで設けられているというふうな話もございます。あるいは局にすべきではないかという話がございますが、この点につきましては、大臣の方から答弁いたしましたように、局あるいは部であるを問わず、全力でPRに努めていきたいと思っている次第でございます。  具体的な宣伝の方法でございますが、いろいろな方法があり得ると思いますが、特に国際観光振興会を通じましたさまざまなPR方法を考えております。外客来訪促進地域紹介するためのパンフレット、ビデオ等を作成して、国際観光振興会の、十四カ所にございます事務所あるいはインターネットを通じて配布、紹介をするということでございます。また、地方公共団体と共同いたしまして、国際観光振興会外客来訪促進地域歴史とか文化、自然、そうした魅力を前面に押し出した海外キャンペーンを行っていくという方法も考えております。また、海外における旅行事業者を対象として紹介をしたり、セミナーを開催するということも考えております。また、各国で旅行の国際見本市等が開かれておりますが、こうしたところにも積極的に参加して、日本地方観光の魅力というのをPRをしていきたいと思っておる次第でございます。  以上でございます。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  63. 山中あき子

    山中(燁)委員 PRに関してもう一点伺いたいのです。例えば、ここに私がたまたま持っていますのは、スカンディナビアのデンマーク、ノルウェー、スウェーデンの三国が共同で日本向けに開発したパンフレットでございますけれども、これには地図はもとより交通手段、宿泊の予約の仕方、または歴史、動植物に関して、それからお祭り、物産品、たったこれだけの中にかなりきめ細かく、役に立つものが入っております。それから、もう一つ紹介したいのは、ノルウェー、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、この五カ国がヨーロッパ向けに共同でつくっているパンフレットです。  こういう時代になってきていることを考えますと、例えば日本の場合には、日本のことを外国に知ってもらうというだけではなくて、国際的な観光というのは、例えば東アジアの中で近隣の諸国と共同してヨーロッパから呼び込むとかあるいは北米から呼び込む、そういったところにまで将来広げて、PRの仕方、周知をさせるやり方、あるいは来客の振興を図る、そういう発想はありますでしょうか。
  64. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答えいたします。  委員指摘のような、数カ国が共同してその魅力を外国にPRするということにつきましてでございますが、日本でもそうした努力は、まあ外国に比べると、そこまでいってないかもしれませんが、ある程度やってきておるところでございます。アジア各国と共同いたしました一つ機構がございまして、そこでアジア全体、日本を含めた各国の観光魅力を共同して打ち出して、欧米の観光客にもっと来てもらうということを討議するような場もございます。  また、二国間の協力の例といたしましては、二〇〇二年にワールドカップが日本と韓国で共同開催されるわけですが、これにつきましても、観光面でもワールドカップ参加者あるいは観客のその後の観光につきまして、日本観光当局と韓国の観光当局でも具体的に共同して、お互いの魅力をタイアップしながらPRしていこうということをやっているところでございます。御指摘を踏まえまして、今後ともそういう努力をしていきたいと思っております。
  65. 山中あき子

    山中(燁)委員 ぜひ、これから北海道からまた北方四島の方にも行くかもしれませんし、沖縄から蓬莱圏、そういうことで、日本の国土から圏域としては広がっていくという発想も含めて、今後の戦略を考えていただきたいと思います。  それからもう一つ、これは要望させていただきたいと思いますが、宿泊のPRの中には、大手のホテル、旅館のみならず、ホームステイ、ファームステイ、つまり日本人は大変優秀な品物を生産しているけれども、一体どんな生活をしているのだろうか、そういった興味が海外で随分聞かれます。もう既に各地域で、札幌にもございますし福岡にもございますが、ホームステイ協会あるいはファームステイ協会、いろいろなものができておりますので、そういったところもネットワーキングしながら、ユースホステルあるいはリュックをしょったバックパックなど、これもヨーロッパの例ですと、大変たくさんのチョイスの中から選んで自分でパッケージをつくれる。つまり、ここの標語にありますように「私が作る旅」である、そういった発想も含めて、今できているさまざまな組織を活用する、ぜひそういう形のPRをしていただきたいと思います。  次に、コストについての面でございますけれども、先ほどから、非常に高い、高いということが言われておりますが、例えば、これは随分昔、八六年にニュージーランドのクライストチャーチに行きましたときに、ケーブルカーに乗りましたら、大人五ドル、子供三ドル、ファミリー十ドル。ファミリーは何人までですかと聞いたら、いや、ファミリーは何人でもファミリーだよと。こういうファミリー料金という設定、これもぜひもっと推進していくべきで、これは、外国人のみならず、日本人の顧客を喚起して、そして家族を考えるという意味からも考えていただきたいと思います。  また、アメリカのシアトルの市営バスの中には、土日は、正規の料金を支払った大人と一緒の十七歳以下の子供は無料というふうになっています。これも私、何人まで無料ですかと聞きましたら、十七歳以下であれば近所の子でもだれでもみんな無料ですよと。こういうふうにして、土日、例えば動物園に行くとか海岸に行くとか、そういうことで動けるような想定をしています。観光客もそれに一緒に乗れますので、子供を連れていっても大人の料金を一つ払えばいいわけです。そういった、観光客と地元の人たちが享受できる料金設定というのを、ぜひ導入していただきたいというふうに思っております。  また、例えばユーレールパスですとか、これは外国人向けの特別の措置でございますけれども、実際は、先ほどもお話がありましたように、私も、昨年は三百ポンドぐらいで三日間滞在、イギリスからイスタンブールの方に行きましたし、そういった、国内の人も、実は別の体系でウイークエンドは物すごく安くなるとか、ですから、外国人に向けての料金の低コスト化を今図ろうとして、これは大賛成ですが、ぜひこれを、いろいろな形で、全く同じものを使う必要はありませんが、国内の人たちも享受できること。先はどのように、レストランに行って外国人の人だけ割安で、一緒に行った日本人が高かったら、その外国人の人は決してカンファタブルではないと思うのですね。  ですから、そういったことも含めまして、料金の低廉化に関しては、もっと広げていっていただきたい。そういうさまざまな工夫をしていただきたいと思いますが、その辺はいかがですか。
  66. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答えいたします。  外国客のみでなく、日本国内旅行についてもいろいろな便宜を図るべきだという御指摘だと承ります。今回の法律は、特に、インバウンドと申しますが、外国からやってくる外国観光客、それから日本から外国へ出ていく観光客、アウトバウンドと申しますが、この差が余りにも大きいから、もう少し国際相互理解のために外国人観光客のための環境整備を行おうということで、それに絞った対策をこの法律に盛り込ませていただいたところでございます。  国内観光それ自体の振興につきましては、これも重要な課題だと受けとめておりまして、また別なフレームで、促進のための協議会を設定しまして、いろいろなワーキンググループを使って、何とか低廉な費用で快適な旅行ができないかということに努めている次第でございます。したがいまして、そうした日本に対する対策も十分踏まえて観光政策全体は推進していくということをつけ加えさせていただきます。
  67. 山中あき子

    山中(燁)委員 その次に、人材育成についてでございますけれども、通訳、ガイド、このたび、都道府県の知事が許可することができるようになりました。これもできれば、先ほどのブロック内で共通の、例えば歴史的な課題を課すとか、そういったことも含めて柔軟に対応していただきたいと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  68. 和田敬司

    ○和田政府委員 通訳案内業につきましても、今回提案させていただきました法律の中で具体的な制度を設けておりますが、委員から御指摘のありましたように、その地域において歴史あるいは伝統文化について十分な知識がある方につきましては、通訳案内業の試験の一部につきまして特例的な研修を受ける。研修につきまして、相当高度な研修を考えておりまして、そのレベルの知識経験を修得したことが認定された人につきましては、その地域で自由にガイドとしての職業をしていただくというような制度を設けたところでございます。
  69. 山中あき子

    山中(燁)委員 ということは、運輸省の方で特例として課すその研修のほかに、例えば、その地域としてはこういうものを入れたい、こういう試験をしたいというような場合にも、話し合うことによってそれを加味していくこと、あるいは試験を課すということが可能だというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  70. 和田敬司

    ○和田政府委員 通訳案内業の試験の中には、語学による筆記試験がございます。その次に、語学による面接試験がございます。最後に、社会歴史文化、そうしたものについては、一般教養を問う試験がございます。  語学認定試験につきましては、特に地域的な要素を取り込むような要因がございませんし、また、都道府県ごとにこうした語学試験をやるということは、極端に応募者の少ないところまで多大な負担をかけるということもございまして、全国  一律の試験とさせていただいております。ただ、受験者の負担を少なくしようという趣旨から、全国の八会場で行って、なるべく近傍で受けられるというような便宜を図っているところでございます。  第三の試験でございます一般教養、社会文化歴史でございますが、これにつきましては、一定の実務経験を持っている人につきまして、運輸大臣が指定いたしました研修を修了した者につきまして、その教養部分については免除するという制度になっております。この研修の内容につきましては、その地域ごとの歴史文化について十分な特色を加味いたしまして、その地域ごとの知識あるいは経験を持っていただくという制度になっておりますので、そこのところで、地方の特性を十分加味した運用はしていけるものと思っておる次第でございます。
  71. 山中あき子

    山中(燁)委員 もう一つの視点は、サービス向上のためにどういう人材を育てていくかということで、例えばシンガポールなどでは国策としてサービス、ホテル業、そういったものを育成してきているわけです。例えば日本でも、立教大学でホテル学をやっていまして、それがまた例えばコーネル大学に留学すると世界のどこに行っても大体マネジャーになれる、そのぐらいのステータスのある学問的な背景もあるわけです。  そういった意味では、普通のサービスに今従事している人たちのサービスを向上させるための研修、それから若い人たち、特に女性もこれから、今超氷河期と言われていますけれども、新しい雇用先としてある程度管理職の部門に行けるような観光学とかホテル学、そういったものを、これは文部省の管轄になると思いますが、文部省に働きかけて、そういったところで人材の育成を図っていく、これは大臣にお伺いしたいのですけれども、そういうお考えはありますでしょうか。
  72. 相原力

    相原政府委員 私の方からお答えさせていただきます。  ただいま委員指摘のような、観光に従事する人たちの研修の問題あるいは高等教育といいますか大学教育問題等々、必要性については、かねてから我々も考えているところでございます。  委員指摘のように、既に一部の大学では観光学科というような学科がございまして、そういう教育も行っているところでございますが、今後、どういう体系で専門教育あるいは高等教育を行っていったらいいか、いわゆる観光大学構想というような構想もございますが、そういう点も含めまして、正式の大学になりますと、文部省所管になりますが、観光という観点から運輸省としてどういう取り組みができるか、観光教育機関のあり方というような観点からの懇談会を設置いたしまして、現在検討をしていただいているところでございます。その辺の検討結果を踏まえまして、適切な措置を講じていきたいというふうに考えております。
  73. 山中あき子

    山中(燁)委員 この法案を実効あるものにするためには、今までいろいろな具体的なPR方法とか出てまいりましたけれども、その根本にあるその地域をどういうふうに発展させていって、そこの地域の人たちをどういうふうに巻き込んでいくか、そういう点が非常に大事で、それがなければなかなか実効性がある方向に向いていくのは難しいと思います。  有名なドイツのロマンチック街道のあの黒い森と呼ばれているのも、あれは実は最初は人工林であったということもございますし、例えば、サンフランシスコパークも、御存じのように防砂林として植えたものが今は緑滴る公園になっています。また、カナダのビクトリアにあります、これは個人の庭園ですけれどもブチャードガーデンというのは、石灰を採掘した跡が余りに荒れてしまったので、それで大もうけをした石灰王のブチャードさんの奥様が一九四〇年にこの荒廃ぶりを見て、とてもこのままではということで、世界各国から木の苗を移植したり、種を取り寄せたり、それが今や本当にバスが引きも切らない観光地になっております。  やはり観光、何を味わってもらって、何を楽しんでもらって、何を見てもらうか、これをつくるのには大変長い年月がかかるわけで、その長い年月をかけてつくるのはその地域であり人でありますから、そういった観点で、観光というのは運輸省の管轄からもっとずっと広げていただいて、地域の再認識をそれぞれの地域でしていただくとか、あるいはその上で、どこを除去して、どこを改善して、どこを新しくつくり上げて創造していって、そういったことで景観をつくっていくかとか、あるいはインフラストラクチャーの整備というのは、先ほどから何度も出ておりますが、必ずしも早いだけがいいのかどうかという点もありますから、何を相手に提供できるかということで考え直すことも必要ですし、それから、もちろん料金の設定のこともあります。  そういったさまざまな観点から、ぜひ大臣最後にお伺いしたいのですけれども、この法案を実効あらしめるために各省庁に積極的に働きかけていただいて、そして総合的に海外からの渡航者も、そして国内の人たちもその地域地域を享受できる、そういった日本にするために積極的にお働きいただけますでしょうか。
  74. 古賀誠

    古賀国務大臣 外国人観光客の来訪の促進につきまして、先生の大変豊富な経験の中から何点が御指摘をいただきまして、正直、大変参考になりました。お礼を申し上げたいと思います。  ぜひひとつ、これを成果が上がるものといたすためには、今先生から最後に御指摘いただいたように、各省庁間でしっかりと連携をとりまして、もちろん運輸省それから国際観光振興会が先頭になって最大限の努力はいたしますけれども、総合的な関係を構築する中で、一体的に全力を挙げて努力をしてまいる所存でございますので、先生の豊富な経験、これからまたいろいろと御指導いただければ大変幸いだと思います。
  75. 山中あき子

    山中(燁)委員 官同士、官民一体となってぜひ複眼的に政策を進めていただきたいと思います。御期待申し上げます。どうもありがとうございました。
  76. 杉山憲夫

    杉山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十八分開議
  77. 杉山憲夫

    杉山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川内博史君。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  78. 川内博史

    ○川内委員 国際観光に関する法案ということで、外国の方にたくさん日本に来ていただいて、この国のよさを知っていただいて、国際交流につなげていきたいというのが法案趣旨と承っているわけでございます。外国からたくさんのお客様に来ていただいて、当然御宿泊をいただかなければならないわけであります。しかしながら、現状、バブル崩壊以降、設備投資に莫大な資金を投下をして設備をされた旅館、ホテル業を営んでいらっしゃる経営者の皆さんというのは、今大変に苦しい思いをしながら、日々地域において粒々辛苦お客様をもてなし、経営に御努力をいただいている、世界各国あるいは国内旅行者も含めて、お客様にサービスをしていただいているという状況だというふうに思います。  しかしながら、一つの側面では、随分前から言われていることでございますが、公的宿泊施設、いわゆるかんぽの宿あるいはメルパルクとか、いろいろ片仮名のものもありますが、そういう公的な宿泊施設が民業を圧迫しているのではないかというふうに言われております。  昭和五十八年の閣議では、こういった民業を圧迫するような宿泊施設の新設を行わない、また、現状ある施設については民営化をしていくというふうに閣議で決定をされているわけでございますが、どうもこれは厳密に守られていないのではないか。その後も、金に糸目をつけずというんでしょうか、豪華な、民間も及びもつかないというぐらいにお金を投じてっくられた施設全国各地に展開をされている。それで、地域で大変な御努力をいただいております民間の旅館、ホテル業者の皆さん方に、大変な御迷惑をおかけしているのではないかというふうに思うわけでございます。  外国からのお客様を受け入れるということを考える上で、民間の受け入れる皆さん方に頑張っていただかなければならぬと思うのですが、大臣、まず、公的宿泊施設に関して、民業圧迫ではないかということについてどのようなお考えをお持ちか、そしてまた、閣議決定が守られていないことに関して今後どうされるおつもりなのか、それをお聞かせをいただきたいと思います。
  79. 古賀誠

    古賀国務大臣 お答えを申し上げます。  先生から御指摘いただいております公的団体が所有する宿泊施設につきましては、ある施設は職員の福利厚生施設として設置されているものもございますし、また、ある施設は青少年の育成のために設置されているものもありますし、広く国民の健康の増進と保養のために設置されるもの、多様な目的のために設置されているものだというふうに認識をいたしております。これらの施設は、今先生から御指摘いただいたように、一般の旅行者を対象とした通常のホテルだとか旅館とは性格を異にするものでありますから、直ちに民業を圧迫するものと言えるのかどうか。当該施設について、その設置目的に応じた適切な運営が行われるべきものだというふうに考えております。  今先生もお触れいただきましたが、運輸省といたしましては、五十八年の閣議決定がございます。本質的に行政改革の一環として論議をされるものだ、そういう論点であるというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、今申し上げましたようなことではありますが、現実問題として、それぞれの地域で大変御苦労をいただいておりますホテル、旅館業の方々、こういった問題があることは事実でございますので、民間の宿泊事業者の意見なども十分聞くことによって、さらにこの問題点を把握して対処していく必要があろうか、こういう認識でおります。
  80. 川内博史

    ○川内委員 ありがとうございます。  公的な宿泊施設というのは全国に二千軒くらいあるというふうに聞いております。その正確な実態は、まだ恐らく運輸省さんの方でも把握をしていらっしゃらないのではないかというふうに思うのですね。  実は、昨年の七月ですか、総選挙の前、落選中でございましたので、余りお金もなく、かく言う私も、夏休みに一泊二日ぐらいで子供をどこかへ連れて行かなければいけないと思ったものですから、安いところはないかなとついつい探してしまいまして、山口県の岩国にあるかんぽの宿に、それはもう大変豪華な宿泊施設でございましたけれども、八千円で泊めていただきまして、一泊二日で家族サービスをさせていただいたんです。そのときは何げなしに使わせていただいて、大変おいしいお料理をいただいて、大変ありがたい施設だなというふうには思ったわけです。  そういうかんぽの宿あるいはほかの、先ほど申し上げた公共団体、公的な団体が持っているいろいろな宿泊施設というものが、民間の旅館、ホテル業とイコールなコンディションの中で競争をしているのであれば、イコールコンディションの中で値段を安くして誘客する、それは経営努力によってやっていらっしゃるわけですから、大変立派な経営だというふうに言えると思うのです。しかし、実態は、そういう安い値段お客様をお泊めできるというのは、どうも違う要因があるらしい。  私も、この点に関しては、旅館業の方、ホテル業の方あるいは業界団体の方から伝え聞くだけですから、正確かどうかはわかりませんが、その辺も含めて、税制がどうなっているのかとか、基本的には、日本全国にどのくらいの公的な宿泊施設があって、それぞれにどういう経営をしているのか。補助金が出ているのかどうか、あるいは決算して赤字が出た場合に補てんがされているのかどうか、いろいろと調べる視点があると思うのです。その辺について、観光を所管していらっしゃる運輸省さんとして、公的宿泊施設の実態というものを、今後ぜひ調査していただきたいというふうに思うのですが、そのあたりの御決意を御答弁いただければと思います。
  81. 相原力

    相原政府委員 公的団体宿泊施設は非常に多数あるわけでございます。運輸省関係でもこういう実態等について、特に日本観光協会という法人もございまして、そういうところで数について調べた経緯がございます。私どもの日本観光協会の調査によりますと、これはどこまでを公的宿泊施設として含めるかという定義にもよるかと思いますが、主な公的宿泊施設としては約一千軒というような結果をいただいております。利用状況等も、わかる範囲で調べているところでございます。  それ以外に、今先生から御指摘がございました、どういうような補助とか、決算等の状況がどうなっているかというところ、運輸省あるいは運輸省観光関係の団体でどこまで情報が入手できるか、その辺必ずしも自信がございませんけれども、このようなものも観光関係の一つの統計でもございますので、先生の御指摘も踏まえまして、どのような調査ができるかを含めて、検討してまいりたいというように思います。
  82. 川内博史

    ○川内委員 調査することを検討すると、今おっしゃったんですか。それとも、きちんと調査をしていただけるということで理解していいでしょうか。
  83. 相原力

    相原政府委員 何らかの形で調査をしたいと思っております。ただ、どこまで運輸省あるいは運輸省の関係の団体情報が入手できるか、その辺が必ずしも現段階で明確でございませんので、どこまでの調査ができるかというのは、現段階ではちょっとお答えできかねるということでございます。
  84. 川内博史

    ○川内委員 大臣、一般的には、事業会社というのは、約八割が赤字の中で、黒字を出しているのは二割、これはもう旅館、ホテルに限らず大変な苦労をしながら日々企業努力をしていらっしゃる、営業をしていらっしゃる。観光部門、宿泊部門についても、特に宿泊業というのは、その日その日に部屋を売っていかなければなりませんから、部屋を在庫で、きょうは二十室売れなかったから、あしたは二十室まとめて売りましようということはできないんですね。もうその日その日で全部売り上げを上げていかなければいけない、そういう面もございます。そして、最初の設備投資に、初期投資に大変なお金がかかる。また、労働集約型の産業ですから人件費も、日本というのは大変高うございます。それはもう釈迦に説法で、こんなことを私が申し上げるまでもないと思うんですが、そういう大変厳しい状況の中で旅館、ホテル業というものを営んでいらっしゃるわけでございますね。  一方では、私もチラシを見たことあるんですけれども、イセエビつきで一人八千円とか、もうほとんど信じられないような値段お客様をとっている公的宿泊施設というものがある。これは、適正な競争の中で行われているのであれば私も理解はするのですが、どうもそうではないらしい。しかし、その実態はまだ、今政策局長の御答弁をいただいたように、これから調査をしたいと思っているということでございます。これはもう旅館業者、ホテル業者の本当に死活にかかわる大変痛切な叫びが私のところに届いております。大臣からその辺の実態を調査をするという御決意を、ぜひぜひいただけませんでしょうか。
  85. 古賀誠

    古賀国務大臣 公的宿泊施設の実態についての詳細な調査というのは、今政府委員の方からも御答弁申し上げましたように、完全にどこまで把握できるかという問題はあろうかと思いますけれども、今先生から御指摘いただいているような、地域のホテルとか旅館業の実態というのは非常に厳しいものがあるわけでございます。まず問題点がどこにあるかということは、詳細な調査をどこまでできるかということが基本でございますので、可能な限りの詳細の実態調査というものに全力を尽くさせていただきます。
  86. 川内博史

    ○川内委員 大臣、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  そこで、今回の国際観光振興法案についてお伺いをさせていただきます。今回の法案というのは、現在二百三十万人余りの外国人観光客を、二〇〇五年、あと八年で七百万人にしよう、倍増をしようという意図でつくられたというふうに聞いておりますが、現在三百三十万人の外国人観光客を八年の間に七百万人にするというのは、ここ十年ぐらいはほとんどふえていない、あるいは若干減りぎみのところにある入り込み客をふやしていこうというのですから、運輸省はこれから大変な御努力をされるのだなというふうに思います。  私どもも、やはり日本国じゅうに世界じゅうから人々をお迎えをして、日本のそここで国際交流の実を上げていただきたいという気持ちは全く一緒でございますので、協力をさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。さはさりながら、運輸省さんがこの法案をおつくりになられて、国際観光振興会に予算をおつけになるわけでございます。毎年二十四億円余りの補助金ですかをおつけになるわけでございますが、本当にこの法案によって外国人観光客が倍増する、三百三十万人から七百万人にできるという自信を持っていらっしゃるかどうか。また、これは国民の大切な税金を国際観光振興会に補助金として投じるわけでございますから、できなかったときはどうされるのか。これは率直な、素朴な疑問でございますが、まずそのあたりの御決意から御答弁をいただければと思います。
  87. 相原力

    相原政府委員 ただいま先生指摘の七百万人を目指すという計画、ウエルカムプラン21ということで、訪日観光交流倍増計画と言っておりますが、実は一昨年に策定したものでございます。一昨年から見れば西暦二〇〇五年が十年後ということ、十年間で約倍増を目指すということで、七百万人というのを目標に設定したものでございます。  これ自体は、本日午前中からの御審議の過程でも御説明いたしておりますように、日本への外国人観光客外国と比べても非常に少ないというのが背景にある、それからまた、東京大阪に集中している観光客地方にもなるべく多く行っていただこうということもございます。国と観光振興会、地方公共団体、関係事業者一体となって取り組もうということで、ウエルカムプラン21、またひいては本日御審議いただいております法律案を準備させていただいたところでございます。  一昨年の段階で約三百数十万でございましたが、昨年は、若干円高が円安傾向に振れたという影響もあったかと思いますが、三百八十万ということでふえてきておるわけでございます。この傾向を、私ども、本日御審議いただいている法案の施行とそれ以外のいろいろな施策、それから従来から行っております国際観光振興会海外における宣伝等も一体となって、全力を挙げて十年後に倍増を目指す、七百万人達成に向けて努力をしてぜひ実現をしたい、このように思っている次第でございます。
  88. 川内博史

    ○川内委員 倍増をぜひしたいというふうに御答弁されましたけれども、倍増させますというふうに自信を持って御答弁をいただきたかったなと。もちろん私どもも一生懸命協力をさせていただきますし、ぜひぜひ御努力をいただきたいというふうに思っております。  この法案の中で幾つか、こんなことをします、こういう計画をつくりますとかいろいろ書いてございますが、外国人観光客の方に対して、これが目玉だ、これが一推しの商品なんだというものがあれば御紹介をいただきたいと思います。
  89. 相原力

    相原政府委員 お答えいたします。  具体的には後ほど申し上げますが、法律案全体の中で目玉を申し上げますと、今回法律案を準備いたしましたのは、先ほど来申し上げておりますような、東京大阪以外の多様な地域への来訪を促進するというような観点で、地域に対する外国への知名度の問題とか、国内における旅行費用、これは相対的に我が国は円高等の関係もあって高いのではないかという費用の問題あるいは地域の受け入れ体制の問題、これらが障害になっているのではないかという観点で、それらを除去するための施策を法律として制定しようということでございます。そのような施策を国と観光振興会、地方公共団体、関係事業者が一体となりまして、総合的にまた体系的に取り組むということをこの法律で位置づけた、これが大きな目玉であろうかと思っております。  また、具体的な柱といたしましては、大きく分けまして三本、目玉といいますか柱があるわけでございますが、第一点は、外客来訪促進計画というのを策定いたしまして、外客来訪促進地域を整備する、それについて観光振興会等を通じて海外宣伝を行うというのが第一点でございます。  第二の目玉は、費用をなるべく安くするという観点で、共通乗車船券発行により、外国人旅客が安く簡単に旅行できるようなシステムをつくる。それからまた、低廉な宿泊施設とかレストラン等に関する情報を提供する、こういうようなシステムをつくるというのが第二点でございます。  第三点といたしましては、外客に対する接遇を向上させる必要があるということで、ガイドについて十分な通訳案内業を確保できるようなシステムということで、地域を限定した通訳案内業免許の導入をする。あるいは、外客向け観光案内所の機能の充実を図るということで、接遇の向上を図る。この三つが具体的な施策としての目玉になろうかというふうに思っております。
  90. 川内博史

    ○川内委員 いろいろと法案中身について御説明をいただいたわけでございますけれども、「三人寄れば文殊の知恵」という言葉があって、いろいろな人が寄って相談をすればいい知恵が出ますよということなのでしょうが、しかし、観光というか人を呼び集める、たくさんの人々に来ていただこうという場合に、どうも政治家とかお役所の官僚の方はかたくかたく考えがちになって、やはりツーリストというか旅行者というのは刺激を求めるわけですから、かたい考え方をする我々が考える方策よりも、もっと民間の自由な発想で、独創的なお客様の呼び方、集客の仕方という方が、私は結果としてお客様をたくさん呼ぶことにつながるのではないかというふうに思うのです。  大臣、どうでしょう。行政改革で今もう避けて通れないわけですから、国際観光振興会ももっと名前を格好よく変えて、もう民営化してしまって、どんどん自由な発想でやってくれというような形でされた方が、より外国人の方に日本という国を理解していただけると思うのですよ。  私、きのう、振興会の会長室に例えば外国の関係の方がいらっしゃったときに、どういうお茶の出し方をしますかというふうにお聞きしたら、いや、ただ茶わんにお茶を入れて出していますと言うのですね。せっかく日本観光振興会のトップの部屋に来たのに、いいお茶わんで抹茶の一つも入れて、和菓子のおいしいものを出して、日本というところをまず味わっていただこうとか、そういう発想がないわけですね。とにかく事務的にお茶を出して、どうも日本をよろしくお願いしますと、それで外国からお客さんがいっぱい来たら、苦労はないわけです。やはり自由にやっていただくことの方が外国お客様にはたくさん来ていただけると思うのですが、行政改革もあるし、この辺で民営化したらどうだろうという意見に関しては、大臣の御意見をお聞かせをいただいて、最後の質問にさせていただきます。
  91. 古賀誠

    古賀国務大臣 国際観光振興会の民営化の問題でございますけれども、先生も御承知のとおり、国際的に日本理解してもらうという業務は、基本的には国の業務であろうというふうに思います。また、これらの業務にはそもそも収益性はないわけでございまして、企業的な経営による業務の遂行にはなかなかなじめないのではないか、そういう意味では、民営化という問題は困難であろうかなというふうに思います。  ただ、先生がおっしゃっているように、これから国際観光ということで外国観光客に一人でも多く来訪していただく、そういうためには、もちろん運輸省国際観光振興会が先頭になってともかく全力投球で努力をするということもさることながら、それぞれの一番よく地域を知っている関係地方団体方々だとか、直接その地域観光事業に取り組んでいただいている民間の方々、まさに官民一体となった総合的な国際観光地域づくりと申しますか、そういうことが必要であるということは当然だと思っております。総合的な検討の中で、その地域に合った特徴のある観光資源というものをつくり上げていく、そういう努力は、今後とも私ども、最善の努力をしていく必要があろうかと思っております。全力を尽くさせていただくつもりです。
  92. 川内博史

    ○川内委員 終わります。頑張りましょう。
  93. 横内正明

    ○横内委員長代理 細川律夫君。
  94. 細川律夫

    ○細川(律)委員 民主党の細川でございます。  私の方からは、法案の細かい点に入る前に、ちょっと大臣の方にお聞きをいたしたいことがございます。  今、諫早湾の干拓事業、これを進めるべきか、あるいは中断をすべきか、中止をすべきかということが大変大きな問題となっております。その件についてお尋ねをしたいというふうに思います。  御承知のように、四月十四日に潮どめの水門が閉じられてから、既に一カ月以上がたとうといたしております。この間、カキなどは死滅をして、あるいはムツゴロウなども全滅をするのではないか、時間の問題だというふうに言われているところでございます。諌早湾には二百八十二種類の生物が生息をして、その中には絶滅のおそれのある種もいるということでございます。この諫早湾の干拓事業というのは、大変大きな規模でございます。水門で閉め切った湾の奥は三千五百五十ヘクタール、そのうち千七百十ヘクタールを調整池に、そして千六百三十五ヘクタールを農地などに造成をするという計画でございまして、二千三百七十億円の大変な巨額の国費を投じてこの事業が進められているところでございます。  この事業が始まりましたときには、食糧を増産をするということから始められましたが、しかし、今では災害の防止ということも言われております。この事業、食糧増産、米の増産ということが今のこの時勢に果たしてマッチするのかどうか。減反政策がとられている今日、米の増産という目的はむしろなくなったのだろうというようにも思いますし、水害の防止ということにつきましても、これもまたいろいろ疑問点が投げかけられているところでございます。これは単に農水省の問題あるいは建設省とかいうような問題ではなくて、今公共事業を見直さなければならないと言われているとき、開発かあるいは環境かというような、大きな象徴的な問題でもございます。  そういう意味で、政府の大変重要な任務を背負って頑張っておられます大臣に、この問題についてどのようにお考えになっておられるのか、まずお聞きをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  95. 古賀誠

    古賀国務大臣 諌早湾の干拓事業についてお尋ねでございます。  御承知のとおり、今先生もお触れいただきましたけれども、この事業は、長崎県それから地元の市や町の大変長い間の強い要望に沿いまして、有用な農地を造成するということでございます。  先生、水田というお話でございましたけれども、この農地はむしろ基本的には畑作それから畜産と。我が国の食糧の自給率がどういう状況にあるかということは先生も御承知のとおりで、大変低い水準にあるわけでございます。そういう観点から、今申し上げましたような分野で、ぜひ農地を生かしていきたいというような基本的な考えの中で、この干拓事業が始められたというふうに認識をいたしております。  また一方では、先生もお触れいただきましたけれども、災害常襲地帯でございます。実は、私ごとで恐縮ですが、私も、諌早湾のちょうど反対側の有明湾に居を構えているわけでございます、出身地でございますが、本当にこの地域は、ちょっとの降雨量で高潮だとか洪水被害という常襲地帯になっておりまして、諌早湾の地域方々の防災対策に対する悲願ともいうべき強い要望が実はあって、そういった側面も、目的として諌早の干拓事業というものが実施されているということで、ぜひひとつ御理解をいただいて、着実にこの事業の推進をさせていただきたい、私自身、そういう認識をいたしているところでございます。  なお、お触れになりませんでしたけれども、いろいろ言われております環境問題に関しましても、当然のことでございますが、実施に当たりましては、環境影響評価の結果等を踏まえまして、事業者及び地元の地方公共団体において、適切な環境保全対策というものは行われてきたというふうに理解をいたしているところでございます。
  96. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今、この問題が大きな国民的な話題としていろいろなところで取り上げられ、マスコミなどでも報道をされておりますのは、決められたのが一九五二年、もう四十数年前に決められた事業を、現代、見直しをする必要があるのではないかという大変強い声が上がっているわけであります。ぜひ政府にこの点について再考を促したいというふうに思います。  そういう意味を込めまして、我が党の渡辺周衆議院議員が政府に対して質問主意書を出しております。この質問主意書の中で、「内閣法八条に基づく「中止権」によって、内閣総理大臣が潮受堤防内水位調整作業の中止命令を出すことも可能だと考えるが、政府の見解を伺いたい。」こういう質問をしているわけでございます。  いずれ、これは一週間以内に回答があるということになっておりますから、当然閣議でこのことも議論されることになろうかと思います。その際、先ほどの大臣のお答えでは、これについては予想としては中止というようなことにはならないかもわかりませんけれども、ぜひこれについて、閣議が開かれたときには大臣の率直な環境問題などについての気持ちを強く言っていただきたいと、私としては思いますけれども、大臣のこの場合の御意見はどういうことになるのでしょうか。
  97. 古賀誠

    古賀国務大臣 渡辺議員からの質問主意書、昨日政府に対して送付があったというふうに聞いております。恐らく、一週間以内ということで、五月二十三日の金曜日には閣議付議の予定だというふうに承知をいたしております。  そのときの私の対応でございますけれども、諫早湾の干拓事業についての基本的な考え方については、先ほども申し述べたとおりでございます。いずれにいたしましても、閣議でこの問題が付議された場合には、基本的な考えは今申し上げましたとおりでございますけれども、農林水産省からの回答案を伺った上で、私の対応というものは適切に決定させていただきたいと考えております。
  98. 細川律夫

    ○細川(律)委員 ぜひ、環境に配慮した御意見も、率直にその場で述べていただけたらというふうに思うところでございます。  続いてもう一つ、今、マスコミ等でも大きく報道され、国民の皆さんから関心が大変高くなっております野村証券の問題について、お伺いをしておきたいと思います。  この野村証券の問題は、元大使に対して転換社債の割り当てで便宜を図ったという件に端を発しまして、総会屋の小池隆一容疑者に利益提供を行うなどということで、野村証券だけではなくて、大手の銀行あるいは他の証券などにも大変問題が波及をして、拡大の一途をたどっているというような状況でございます。  特に、野村証券の問題につきましては、野村証券の方にVIPの口座があって、その口座の名義人にはいろいろな優遇的な取り扱いがされているんではないかということが言われております。そして、その中で政界とか官界の人たちも、そのVIP口座にたくさん名を連ねているということも言われておりまして、大変ゆゆしき問題だというふうに思います。  そこで、これは大変失礼な質問になって恐縮ではございますけれども、大臣にお尋ねをしたいと思います。  この野村証券との間で大臣がお取り引きをされているのか、あるいはVIPの口座に入っているのかどうなのか、そこらのことについてお聞きをいたしたいと思います。
  99. 古賀誠

    古賀国務大臣 明確にお答えをさしていただきますが、私自身はもとよりでございますが、家族も含めまして、野村証券との取引、また口座の開設はございません。
  100. 細川律夫

    ○細川(律)委員 ありがとうございました。  続いて運輸省の方にお聞きをしたいと思いますけれども、このVIP口座には岡光前の厚生省の事務次官なども名前が入っていたというようなことで大変残念に思いますけれども、どうなんでしょうか、運輸省の方で、野村証券との間でのお取引あるいはVIP口座に名が連なっておるのかどうか、そこで優遇的な取り扱いを受けたかどうかというようなことについて、お調べになっているのかどうか、今後お調べになるつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 土井勝二

    ○土井政府委員 お尋ねの件でございますが、まず、運輸省におきましては、平成七年九月二十八日の事務次官等会議申し合わせに基づきまして、職員の株式の取引に関し、その職務との関係から国民の疑惑や不信を招くことのないよう、運輸省の所管企業の株式の取引の自粛等につきまして、省内に周知徹底を図っているところでございます。  それで、株や債券の取引そのものは正常な経済行為の一つでもございますことから、運輸省の個々の職員につきまして、特定の証券会社への口座開設の有無を特段の理由なくして聴取をすることは適当でないと考えております。このため、現時点では、先生お尋ねの件でございますが、職員の口座開設の実態は調査ないし把握してございません。  今後、仮にと申しますか、万一と申しますか、仮に運輸省職員に関しまして具体的な疑惑等が生じた場合は、もちろん、事実関係を十分調査の上、厳正に対処することといたしたいと考えております。
  102. 細川律夫

    ○細川(律)委員 大変失礼な質問ばかりをいたしまして失礼いたしました。  ただ、せんだっては、運輸省の最高の地位まで行かれた方が関空問題で逮捕され裁判になっているというような状況を考えますと、国民から疑惑が持たれないように、ぜひとも十分監督もしていただきたいと思うところでございます。  では、私の方は終わります。
  103. 杉山憲夫

  104. 寺前巖

    寺前委員 この間、「観光文化」という本の一九九六年十一月号の中に、アジアツーリストセンターの社長さんが「アジアからの訪日旅行の現状と課題」ということを書いておられましたので、今ちょうど話題の法案の問題でもありますので、これはひとつよく勉強しようかなと思って読んでみたわけです。で、こういうことが書いてある。  「日本のインバウンドの最犬の問題は、諸外国と比べた日本の物価高と円高にある。昨年発生した阪神大震災や地下鉄サリン事件は、日本の安全性についての信頼性を大きく揺るがし、日本離れの原因となった。」というところから始まりまして、五年間で日本の円高がどういうふうになってきたかを見ながら、アジア諸国の旅行の吸収の姿が書いてある。「九十年対比で香港一四七%、台湾一七六%、シンガポール二三二%、韓国二四五%と、日本の一三九%と比較するといずれも極めて高い伸びを示している。」日本だけがお客さんの吸収が減っている。ああ、そういうことになっていたんだなと。  それで、「残念なことに日本だけが爆発的に急増するアジアの海外旅行者を吸収」することができないんだから、その対応をいろいろ考えてみる必要があるということで、最近の起こっている事態についての解析をやっておられるんです。「ここ数年の最も顕著な傾向は、一人当たりの旅行費が毎年円高に合わせて下落すること」。それで、「我が社の場合、過去五年間で一人当たりの単価は半減した。九十年に一人当たりの売り上げ額は七万五八〇〇円であったが、九十五年は四万三三〇〇円に過ぎない。」と。その「一人当たりの旅行費低減は如何にして実現」されていったかという根拠を分析している。一番「滞在日数の縮小」、二番「宿泊費の大幅な下落」、三番「日本人ガイドの利用廃止」、四番「訪問地域の集約化」、五番「入場料金の高い訪問箇所の回避等である。」と。  なるほど、これを読んでおると、私、何で日本が減ってきているのかなということの一端をうかがうことができると思うんですが、こんな分析は間違うてるとおっしゃるのか、それはそれなりに値打ちのある分析だとおっしゃるのか。  まず、担当のお方からお聞きしたいと思います。
  105. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘も、大筋につきまして、なぜ日本への外国人旅行者数がほかのアジア諸国と比べてそう大幅にふえないのかという点につきましての分析といたしましては、当たっているんではないかというふうに考えております。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕  数字的には、私どもが把握しているのと若干違う点がございますが、例えば旅行費用の問題、これは、外国人日本に来たときに外国人観光客がどのくらい使っているかという調査がございますが、円ベースで申し上げますと、一九八七年のときは全体で一日当たり二万九千円でございました。これが、一九九四年では一日当たり二万一千円ということで、円ベースでは相当減少いたしております。ちなみにこれをドルベースで申し上げますと、一九八七年が二百七ドルでございますね、一九九四年が二百五ドルでございますので、ドルベースでいくとほぼ同じ額である。こういう意味で、円ベースでいうと相当大幅に減っている。  それから、日数の御指摘もございましたが、滞在日数につきましても、昭和六十一年、訪日外国人の平均滞在日数が十三日ございました。これが、平成八年では八・四日、八日とちょっとということで、そういう意味で大幅に減っている。こういうように、大体におきまして先生の御指摘のような点があったのではないかというふうに思っております。
  106. 寺前巖

    寺前委員 別に僕が調べたわけではないので、この人が本に書いておられたわけで、なるほど、そういう見方が成り立つんやな、それで念のために聞いてみたわけです。  そこで、私は四つの点を聞きたいと思うのです。  第一番目は、外国お客さん、なかんずくアジアの各地のお客さんを吸収したい。中には倍増をしたいというプランなん、かもおありになるようで、それに基づいて法案の検討もされたようです。そこで、何という組織でしたか、外来の、来訪促進地域をつくったり宿泊拠点地区をつくって、国際観光振興会というのですか、ここに海外宣伝をさせて吸収していくんだということを従来もやっておられたし、今回もまたそこを強調しておられます。  そこで、聞きたいのですが、新しい時点に当たって、振興会はどんな目玉の活動をやるのか。従来やっておられたことを、私は聞きたいとは思いません。倍からの人を吸収するにふさわしい、そういう活動は何があるんや。目玉になる話を具体的にちょっと紹介してください。
  107. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答えいたします。  国際観光振興会は従来から、世界十四カ所の海外宣伝事務所を通じまして、日本観光諸般についていろいろとPRの努力をしてきているわけでございます。  今回、法案の目玉ということでございますが、従来、余り海外に知名度が高くなかった地方観光地を十分にイメージを整備しまして、近隣の地方公共団体同士が手を合わせまして、協力して、従来から持っています自然の美しさ、あるいは歴史的な遺跡とかを一つのテーマとして各地域でいいイメージづくりをし、それを外国で十分評価してもらえるようなPRを行うということが、今回の法案の大きな目玉の一つでございます。観光振興会は、こうした、今まで必ずしも知名度が高くなかった地方観光につきまして、そうした地方公共団体の努力と相まちまして、積極的にいろいろな形でキャンペーンなりPRの努力をしていくということでございます。  具体的には、そうして掘り起こしました各地域の名勝なり自然の資源を十分活用した外客来訪促進地域につきまして、いろいろな形でパンフレット、ビデオをつくる、あるいは最近非常に力を入れておりますインターネットを通じて、各旅行者にPRをするというようなことも非常に力を入れていこうと思っております。  また、地方公共団体との共同キャンペーンを今までも多少やっておりますが、さらに強力に、各地域観光魅力につきまして、いろいろな地方公共団体と共同のキャンペーンを世界各地で行っていくということも考えております。  それから、座って事務所で待っているだけではなくて、積極的に、外国で各地域の旅行事業者に集まっていただきまして、そこでビデオなりを紹介し、具体的なセミナーの形で、各国の需要層がどういう需要、ニーズになっているかということを具体的に把握しながら、強力にキャンペーンを行うということも考えております。  また各地で、大きな、旅行の国際見本市と言えるような形で開かれておりますが、こういうところにも乗り込んでいきまして、各地で十分練り上げられた、促進計画にのっとった各地の観光魅力につきまして十分なPRをやっていくということで、国際観光振興会の役割に対する期待が非常に大きくなっているところでございます。
  108. 寺前巖

    寺前委員 何か新しいものがあるなという感じを私、一つも受けませんでした。これ、やるというのだったら、今までは何をしておったんや、やっていなかったのか。ということの反論になりますね、そんなことを言ったら。やはり、わざわざ法律をつくってやる以上は、宣伝に頑張ります、倍からの人を連れてきます、ふさわしいことをちょっと具体的に聞かせてくれないと、これ、私、賛成しようと思っておったけれども、ちょっと考えなければならぬなというふうになってくる、今の話を聞いておったら。違いますか。  私、別に意地悪するわけではありませんので、次に聞きます。四点聞きたいと言っておったのは、法律ないしは関連するところの話を聞いておったら、この中に一つ、安い旅館を紹介するんだというのがあった。これはあなた、海外宣伝するときに、高いから行けぬと言っておったんやさかいに、安いところを宣伝しないとあかん、紹介しないとあかん。運輸省に登録しているところのホテルの数では千軒ほどあるけれども、それでは高いから。そうすると、安いところの紹介を積極的にやるというのが重要な目玉になっているのかな。そうすると、登録していないところの、いろいろな指定地域の計画地域で何か考えるのか。そうすると、差しさわりのある問題が起こるのか。そこらはどういうふうにやるのか。これはあなた、具体的には倍からの吸収をやろうという場合には、考えなければならぬ処置でしょう。具体的にそれはどないします。何かいい知恵はありますか。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  109. 和田敬司

    ○和田政府委員 委員指摘のように、新味がないといえば、手法としては従来と同じくいろいろな観光情報を提供するということに尽きるのですが、低廉な宿泊につきましては、外国日本の宿泊あるいは飲食が高いというイメージが余りに先行し過ぎているというところが、我々としても、観光業界としても大きな反省点でございます。しかし、実際に日本に来られた外国人観光客は、相当程度いろいろな知恵を働かせまして、それなりにリーズナブルな価格でのサービスを受け、飲食をしているというようなこともございます。努力すれば、そういう形で、合理的な費用での滞在も可能なわけでございます。  また、従来のような登録旅館、ホテルといったような高級なところばかりではなくて、それなりのサービスでそれなりの料金で行けるようなところも随分ございます。そうした典型例としまして、ウエルカム・インというのがございます。これは従来から、一泊一万円を超えず、八千円とかそうしたレベルで、外国人が相当来られてもいいようなウエルカム体制になっているということ、また、もちろん諸法令には十分適合していることでございます。こういうことで、それなりの快適さが楽しめて、安く、あるいは長い滞在が可能なホテルというのが相当な数ございます。八年度で既に七百軒近く、六百九十九軒という数字がございますが、こうしたことがございます。  こういう点につきましても、観光振興会は従来からもやっていますが、今後ともいろいろな形で宿泊業界団体にも働きかけまして、ウエルカム・インというグループの増加に努めているところではありますが、これにつきましても、インターネットを初めいろいろな形で外国お客様にも十分広めまして、情報を与える、あるいは予約を直接受けるというようなことで、今後とも力を入れて、少しでも日本における滞在費用の低廉化に努力したいということを考えている次第でございます。
  110. 寺前巖

    寺前委員 余り魅力が、こうなっておるのをこういうふうにするために、今こういう準備をしていますと具体的に言ってくれないと、あなた、魅力ないで、ちょっと。  では、その次、ちょっと聞きます。  共通乗車船券というのが書いてありますね。これ、現在やっているのはありますのか、ないのですか、どっちですか。
  111. 和田敬司

    ○和田政府委員 共通乗車船券につきまして、日本では外国人を対象とした割引制度を伴うものとしては、特に現在のところはございません。ただ、一部で、地域的なものですが、国内観光客を対象にしまして一定地域、箱根地域等にございますが、そこで船、これは水に浮かぶ船ということでございます、これとか電車とかバスとかを、一地域に限りまして、一定費用をあらかじめ払った場合に、その中で自由にその期間内だけは乗れるというのがございます。  また、諸外国におきましては、外国人観光客を呼び寄せるということから、外国人観光客に対して割引制度を伴う制度が、あちこちで実際にとられております。スイスとかドイツとかオーストリアとか、こうした国でも同様に、複合した各交通モードの乗りおりにつきまして、共通した乗車船券をパスポートを提示の上購入いたしまして、その決められた条件の範囲内では三日間、五日間あるいは一週間、そういった中でいろいろなモードの交通機関を乗り継いで行ける、しかも、それについて相当な割引を伴うというような制度がございますので、この法案でも、共通乗車船券促進という観点から、一定規制緩和を行っておるところでございます。
  112. 寺前巖

    寺前委員 いろいろ聞かせてくれはつたけれども、要するにないとおっしゃるのだけれども、僕はあるように思う。  一九八一年、国鉄が訪日観光旅客の利便を促進させるためにといってジャパン・レール・パスというのを発売しましたよ。これは今も制度は残っていますよ。この制度を見てごらんなさい。七日間用で普通車の場合二万八千三百円、グリーン車の場合三万七千八百円、こういう制度はある。それで、この商品に匹敵する国内向けの商品では、フルムーンパスとか。それだと七日間用で二人でグリーン車九万七千円とか、一人約五万円ぐらいになる。だから外国の方が安い。中には外国で買うて日本で乗っている人もある。こういう話もあるのです。  それほど国鉄時代というのは、国内全体ずっと支配をしている路線を持っていたから、ずっと大きくやることができる。今JR時代になっても、そういう系列はずっと昔からある。そこの諸君たちはどう言っているかというと、これはちょっと値が安過ぎて採算上も余りうまくないのです、こう担当たちは言っているのです。全国ネットワークを持っているところですらこうだったら、持っていない民鉄の関係なり民間のバスだったら、どうなのだろうか、うまいこといけるのかいなというふうに思う。  私、全部聞いてみた、どないなっているのやと。そうしたら共通して言うことは、そんなこと、今進んでますのか。知恵を運輸省と一緒になって出し合うているという話、全然どこからも出なかった。そんなこと、これはどうなるやろうか。それで’しかも外国お客さんの日数が減ってきているのだから、田舎へなかなか行ってくれません。そんなところをつなぐような路線の割引券なんてできますのかいな、ちょっと考えさせてもらいますわというのが共通した意見。今やっているJRの関係者のところですらも、あれ、ちょっとねと言ってはるのやわ。そんなふうになったら、運輸省、何のためにこの法案の中で、これは共通乗車船券でもって宣伝しますねんと言うとったって、何も足元の方はだれも火がついておらないりこれでいいのか。  これは、JRあるいは民鉄協会というのですか、バスの関係、結構やと言って、何かこういうふうにと提案をあなたのところへ持ってきていますか。持ってきているのだったら説明していただくし、持ってきていないのだったら持ってきていませんでいいです、あなた、長々としゃべるさかいに。
  113. 相原力

    相原政府委員 まず共通乗車船券、先ほど先生からJRの御指摘がございましたが、確かにJRの関係は、JRの鉄道ということで、外国人の旅客に対する割引券というのは発行されてきております。一命回は共通乗車船券ということで、鉄道も含めまして、鉄道、バスあるいは船一体として割引制度の共通乗車船券というのが一つの……(寺前委員「来ているかと聞いておるのや、私は」と呼ぶ)はい、それについては、具体的な要望というような形では来ておりませんが、私ども、ウエルカムプラン21を策定あるいは法案を策定している段階でいろいろな関係者からお話を聞いている過程で、このような制度が非常に有益であるということを、お聞きしているところでございます。
  114. 寺前巖

    寺前委員 何を言っているのや。関係者から知恵を出させなかったら、難しいよと言って、JR自身はやっておるのですね、従来から。それがそんな調子や。まして民鉄やバスの協会に聞いてみたら、みんな、そんなことになりますのか、これはどういう知恵が出ますやろかと言うのだから。  ならば、その次に聞く。  さっきの旅行業者の社長さんが書いておったこの文章を読んでおったら、そこにこういうことが書いてあるのですよ。「日本人ガイドは経費節減の対象となり、代わって台湾市場を中心に、海外かちの添乗員が添乗業務と合わせてガイディングも行う体制が一般化した。」もう普及してしまったというのです。このことについては韓国市場にも拡大していると。  そうすると、専門のガイドの資格を取ろうと思ったら難しいのや。その人たちは一体この問題をどういうふうに見ているのだろうかと思ったら、私のところに手紙が来た。通訳案内業本来の仕事としてのガイドは三十二日、一七%、通訳の仕事が四十五日、二四%、海外添乗が百十二日、五四%、合わせて百八十九日ですと。自分の仕事をしたいというのは、ガイドをやる仕事をやりたいのだけれども、仕事がありませんというのが訴えや。  そこへもってきて、今度中国語や朝鮮語の地域限定の資格者をつくっていくということになったら、これはますます仕事がなくなることになるということを、私はこの社長さんの文章を読みながら、旅費をできるだけ安くするために、こういうことを現地から連れてきてやっておる。日本人を雇わぬようになる。日本の試験が難しいというのは、それは日本の権威をちゃんと、きちっと外国の人に理解してもらうためにこの資格問題は大事なのだ、こう言って資格を取らせてきたけれども、その人たちは仕事がなくなっていく。そして、簡便なと言うたら悪いかもしらぬけれども、地域限定資格をそういう別な人たちに与えていくということになってきたら、いよいよもってそういう値打ちのある人の仕事を奪ってしまうじゃないか。  これに対してどういう対策を組んでおられるのか、私は教えてほしいというのがその次の問題。答弁できなかったらいいですよ、もう。
  115. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答えします。  通訳ガイドでございますが、現在六千五百人ほど通訳ガイドの免許を持っておる人がございます。しかしながら、大体東京大阪周辺に八割以上が集まっているということでございます。  今回省都道府県で積極的に売り出そうという地方観光地につきましてですが、こうした地域については、従来、東京大阪に比べれば比較的外国人が余り訪れていなかった、今後非常にふえるというような地域であるわけでございます。これにつきましては、英語のガイドについても相当不足ぎみでございますが、さらに最近、観光客としてふえておりますアジア言語についても大変不足を来しておるわけでございます。  通訳ガイドの料金につきましては、法規制は全くございませんで、相対の自由料金制度でございます、全くありません。したがいまして、需要と供給である程度ガイド料金が決まっていく面もあるわけでございます。そうした面で、地方に実際に訪れた外国人とガイドの間で、払底しているガイドにつきまして、若干割高になるというのは避けられないことだと思います。それがまた、通訳の料金が高いことによって敬遠される面もあったかと思います。  今回、地域ごとの限定ガイドを相当規制緩和いたしまして確保しやすくするという方策をとったわけでございますが、これによってある程度各地域で、特にアジア言語を中心とした通訳ガイドがふえれば、需要と供給の関係でもう少し料金も下がり、利用しやすくなるのではないか、それにまた利便性も増すのではないか、こういう面も考えておる次第でございます。
  116. 寺前巖

    寺前委員 せっかくいろいろ教えてくださるのはいいけれども、私の疑問にはちっとも答えられてへんのや。要するに、海外から来る人は、旅行業者の面からいったら、もうカットすることによって安上がりで旅行しようということで来よるのや、そうしたら、日本の一番いい、立派な役割を果たす、従来の免許を持っている人たちの仕事が今でもないのに、ここへ今度は地域限定の人をやったら、この人たちの権威は一体どこへ飛んでしまうのや、その対策を何か考えないかぬやないかというのに、答弁一つもない。  その次、もう時間がないから、最後にもう一つ起こった疑問。  倍からの人を受け入れるといったら、今度は通関業務や、それ税関や、それ検疫やという分野が仕事が倍からになるということを意味するわけだ、きょうからすぐに、直ちにそうなるとは言わぬけれども。  そこで、私は図書館へ行って、そういう分野におけるところの問題が新聞紙上で出ているものはないかといって新聞を取り寄せたのです。そうしたら、福岡空港でこういうことが起こっているという記事があるのです。   過密ダイヤに悩む福岡空港国際線の離着陸時間をめぐって、運用時間の拡大を求める航空会社側と、人手不足から現状維持を主張する入国管理局との間でホットな〃綱引き〃が繰り広げられている。入管側は最近、業務を完全にストップしていた昼休みのうち二十分間を、臨時便に限って受け入れることを決めるなど、空港国際化の進展に押し切られる格好で、業務体制の見直しを迫られている。   離着陸は、長年の慣行で午前八時から午後九時半まで。うち正午からの昼休みには、離着陸を含めて空港業務が停止し、〃空白の四十五分間〃と呼ばれている。   福岡空港の国際線は二十社が週二百六十二便を運航している。昨年は入国約百九万人、出国約百五万人で、いずれも五年前より二倍近くに増えた。このため航空会社側はここ数年 一昼休みを撤廃し、臨時便を運航 二 午前八時以前の定期便の離着陸を、と入管、税関、検疫の官庁側に要望してきた。   航空各社、二十分短縮にも不満   これに対し、入管の審査官はわずか十九人で、五年前から増えていない。入国者だけを相手にする税関、検疫に比べ、入管は出国者も扱う。「一息つけるのは昼休みだけ」という。   ところが、「空港発展のために、いつまでも人手不足を言い訳にできない」という声が内部で上がり、正午-午後零時十分と零時三十五-四十五分の計二十分間は、臨時便の運航を認めると譲歩を決めた。 云々ということが書いてある。  私は、大手新聞の報道で流れていたからこの事実は間違いないだろうと思うのだけれども、倍からの対応をやろうと思ったら、政府関係機関がそういう対応策になっていなかったらできないことになると思うのです。  法務省に来てもらっておりますから、法務省の人に一言聞いた上で、私、先ほどから聞いておって、余りにも抽象論で、おしゃべりはされるけれども、具体的にこれに対応するところの策は立っていないというふうに思うので、最後大臣の御答弁をいただきたいというふうに思います。まず法務省から。
  117. 本田守弘

    ○本田説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、国際交流の活発化あるいは国際間の輸送体制の充実強化に伴いまして、我が国を訪れる観光客は、外国人を含めて毎年増加しております。また、地方国際化の進展に伴いまして、地方空港を離発着する国際便も増加傾向を示しております。  当局といたしましては、我が国に入国する外国人の増加、地方空港の国際化といった状況を踏まえまして、これまでも関係当局の御理解を得て所要の体制の整備を図ってきたところであります。今後とも、出入国者数及び業務量の増大に対応した所要の体制整備に努めてまいりたいと考えております。
  118. 古賀誠

    古賀国務大臣 御承知のとおり、これからの我が国国際観光という立場を踏まえて、ウエルカム21、七百万を目標に努力をさせていただくわけでございます。そういうことを含めて、また、日本のよさというのは地域にもあるということで、ともすれば東京だとか大阪、京都というような、先生のおひざ元を中心とした都市圏が日本の国の観光地でありますけれども、そうではなくて、日本列島を北から南まで地域を広げていくというような観点から、この法律案を提案させていただいているわけでございます。  もとより、先生からさまざまな点で御指摘をいただいている点、今後各省庁と緊密な連携をとっていくということも大事ですし、それぞれの地域のよさの中で、やはり一番よく知っているのはその地域に実際に根づいている地方自治体の方であり、また民間の方であろうと思います。各省庁間だけではなくて官民一体となって、この法律案の運用をできるだけゆとりを持って幅を持たせることによって、七百万という目標を達成するという努力に向かって全力を尽くしていくことが必要であろうと思っております。努力をしてまいりたいと思いますので、御支援をよろしくお願い申し上げておきたいと思います。
  119. 寺前巖

    寺前委員 時間が来ましたので、終わります。
  120. 杉山憲夫

  121. 濱田健一

    濱田(健)委員 寺前先生の鋭く厳しい質問と、午前中からの四時間近い質疑でほぼ出尽くした中で、非常にやりにくいわけですが、きょうの審議のまとめとして質問をさせていただきたいというふうに思います。答えてくださる方は簡潔に答えていただきたいというふうに思います。  我が国への外国の旅行客が世界の中で三十一位と低い状況、一九九五年で三百三十四万人の来客、これを七百万に倍増しようということですが、今回のウエルカム法でどのような効果を上げようと思っていらっしゃるのか、どのような効果があると確信をしていらっしゃるのか、お聞きいたします。
  122. 相原力

    相原政府委員 御指摘のように、世界で第三十一位という低い水準にあるわけでございます。これにつきましては、円高等により国内旅行費用が相対的に高いという物価高のイメージがある、それからほかの魅力ある観光地との競合の問題、日本のPRが必ずしも十分行き届いていないことによって観光地としての知名度が低い、あるいは日本語というコミュニケーションの問題がある、そういったさまざまな問題が理由となって、こういう結果になっているのではないかということでございます。  そういう観点から、一つは、低廉な旅行ができるように、共通乗車船券、低廉な宿泊施設情報提供等による国内旅行費用の低廉化の問題、広域的な観光ルートを創設して、積極的に海外宣伝をするということ、あるいは地域限定通訳案内業の導入等によって接遇の向上を図るということによる問題点の解決を図ることによりまして、外国人旅客を少しでも多く、そして、従来東京大阪に集中していた観光客を、できるだけ多くの地域に行っていただくということを目的として推進するということでございます。
  123. 濱田健一

    濱田(健)委員 先ほどの寺前先生の質問の中でも、本当にそういう担保というか、外国の方が来られて、思ったほど日本での旅行が、何といいますか、低廉で中身の濃いものにならなかったというようなことのないような、しっかりとした基盤整備をやっていただきたいと要望しておきます。  それと、私の鹿児島県もそうなんですが、民間の方で外国の皆さん方を受け入れるという交流が進んでいる実態があります。今回の法案においては、外客来訪促進地域という制度といいますか、中身が入っておりまして、各県でも期待が高くなっているというふうに聞いておりますが、その整備にかかわって、各自治体、地方にどういう支援策をきちっと運輸省としては示そう、バックアップしようとされているのか、その点を簡潔に。
  124. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答えいたします。  地域観光地のPRの促進でございますが、もちろん、民間事業者のみでなく、官民一体となってこれを行うわけでございます。  具体的に国が行う支援でございますが、国際観光振興会を通じた地方観光地の魅力の海外宣伝、あるいは外国人に対する割引カード発行についての支援、それから、外国人に対して郷土の歴史とか文化を示すための一定施設につきまして、財政的な助成を行います。それから、外国人が、日本地方文化伝統歴史、こうしたものを具体的に体験できるような施設、これにつきまして、国税、地方税、税制上の特例措置を講じることとしております。さらに、具体的に、観光事業者等が、客に集まっていただくためにいろいろなイベント等を催すわけですが、これについても、従来培ったノウハウを、あるいは観光振興会、その他の団体に蓄えられたノウハウを活用しながら、国が調整をとりながら十分御支援していきたいということで、さまざまな形で御支援することを考えております。
  125. 濱田健一

    濱田(健)委員 各都道府県が広域的に連携をして、観光客の皆さん方に、五日なら五日、一週間なら一週間という形での広域ルートというものを設定をしていこうというお考えがあるようですが、全国的にどれぐらいそれが設定されることを期待されておられるのですか。
  126. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答えいたします。  具体的な計画は、法律の成立後に、各都道府県が、みずから主体的に近隣の都道府県と相談しながら決めていただくことになりますが、法律で想定しておりますのが、外国人観光客が大体三泊ないし五泊程度で周遊する広域的な地域というのを想定した計画になっております。そういうことから考えますと、大体ブロックごとに一固まりがあるかなというような感じを持っておりまして、おおむね土地区程度は出てくるのではないかという気はしております。これはあくまでもこちらの予測でありまして、具体的には、都道府県が実際に近隣と相談して出てきたところについて、御相談していくというようなことになると思います。
  127. 濱田健一

    濱田(健)委員 通訳案内業の免許、地域限定を、運輸大臣が指定された研修を修了した後に付与するということが出されておりますが、特定地域全国で何カ所ぐらいなのか、研修を受け入れてもらえる先の手当てはどういうふうにするのか、そこを簡潔にお答えください。
  128. 和田敬司

    ○和田政府委員 特定地域につきましては、地域的、歴史的あるいは文化的、こうした観点から一つのまとまりのある地域について、その地域についての通訳案内業の確保を図るということを考えております。そういうこととあわせて、また、この法律が予定していますのが、外客来訪促進地域として、おおむねブロックぐらいな大きさで出てくるのではないかということを想定をしております。こういうことをあわせて考えていきますと、やはり、北海道、東北、関東、東海、こうしたブロック単位の地域ごとに地域限定のガイドを確保するのが妥当ではないか、こういうふうに考えている次第でございます。  また、この実際の研修の受託先としては、通訳案内業をその地域でやっていくのに必要な日本の地理、歴史、こうした一般常識に関する知識経険の研修を行うにふさわしい機関ということで、法律の成立までに十分検討していきたいと思っております。具体的に一、二ございますが、そうした十分な経験を積んでいる機関をそれに想定して、その研修に充てたいと思っている次第でございます。
  129. 濱田健一

    濱田(健)委員 先ほども出ましたけれども、国際観光振興会、いわゆる海外宣伝日本はこういうふうに、東京大阪だけでない、いいところがありますよという宣伝をしていかれると思うのですが、先ほどの質問でも、何か具体性が見えない。もう少し細かい、国内の手当てと、それを外に持ち出す具体性というものを一つ二つ出してください。
  130. 和田敬司

    ○和田政府委員 若干繰り返しになりますが、観光振興会が、日本の各地域観光上の魅力につきまして、各公共団体中心となって、官民一体となつてつくりました計画に基づきまして、この地域に行くとこういう具体的な自然景観が見られます、あるいは、温泉の非常にいいところがございます、あるいは、歴史的な建物が並んだ地区があります、こうしたものについて、その促進的な計画の中で具体的に目玉とされている地区につきまして、そういうことをパンフレットなりビデオなりで示して、外国お客あるいは潜在的なお客に示すわけでございます。また、インターネットでいつでもアクセスできるようにいたしまして、個人でもその情報に触れることができる、こういうことを考えております。  また、各地方公共団体ごとに、自分の特色を大きくPRしたやり方がございます。九州なら九州で、そこにある自然環境、景観及び温泉資源とか、こうしたものをテーマとして計画をつくるわけですが、こういう地方公共団体の計画とあわせまして、地方公共団体との観光促進の共同キャンペーンというのを世界各国でも行っていって、特に、マーケティングで重点的に絞り込んだ旅行需要のあるところにつきましては、そういうところでキャンペーンを行っていくということでございます。  それから、観光振興会の事務所は十四カ所ございますが、そこに来ていただくお客だけでなくて、そこの各地区で、日本の交通公社なり日本旅行なり、そうしたことに該当しますような旅行事業者に具体的に集まっていただきまして、各地区でつくったイメージを具体的に示して、セミナーの形でマーケティングあるいは売り込みを行うということも考えております。また、国際的にあちこちで旅行の見本市みたいなものが開かれますので、こういうところにつきましても積極的に参加していって、各地区でつくられたイメージを示しまして、ぜひとも来てくださいというようなPRをする、こういうことを考えておる次第でございます。
  131. 濱田健一

    濱田(健)委員 従来も一生懸命やってこられたとは思うのですが、外務省の特殊法人との関係で、この国際観光振興会の見直しというものが従来から言われていた。それの歯どめといいますか、見直しをさせないための法律案であるというような見方をされる方もおられます。この法律ができ上がって実効あるものにするために、振興会の仕事の中身というものをしっかりと明確にしていただきたいと要望しておきたいと思います。  それと、先ほども出ましたけれども、アジア・太平洋地域の皆さん方を国内に受け入れていく、これもこの法案の大きな中身になるというふうに思うのですが、その観光ニーズをしっかりと把握するとともに、アジア言語というものをしっかり使える人を設置しなければならない、掘り起こさなくてはならないというふうに思うのですが、そのような観点からの施策の方向性、これも簡潔によろしくお願いします。
  132. 相原力

    相原政府委員 先生指摘のように、アジア・太平洋地域からの訪日旅行者、現実に増加しておりますが、これからますます増加させていく必要があるというふうに思っております。そういう観点で、八年度から周辺アジア諸国の訪日旅行の需要予測をやっております。また、日本のどのような観光魅力が期待されているかというような調査分析も行っているところでございまして、観光ニーズの把握に努めているところでございます。  具体的に、先生から御指摘がございましたように、アジア言語についてのガイドが不足しているということもございますので、地域を限定した通訳案内業の免許制度というのを今回導入したいというふうに考えているところでございます。  また、観光振興会の観光案内所というのが東京、京都にございますが、その運営を十分効果的にするということ。それから、各地方公共団体に、観光案内所のi案内所というのが平成八年度末現在では九十一カ所ほどございますけれども、ここにおいても、アジア言語等への対応能力不足に対する問題、具体的には案内所の職員への研修とかあるいは助言等の機能向上について、観光振興会が中心になって積極的に支援をしていくこととしております。こういうことによりまして、アジア・太平洋諸国からの来訪外客への対応に万全を期す所存でございます。
  133. 濱田健一

    濱田(健)委員 最後に、大臣にお伺いいたします。  外国人旅行者の来訪促進というものは、この法律を使って国や地方、民間を含めて共同作業が始まるというふうに思うわけでございます。日本という国、本当にアジアの北東部にあって、昔から世界の人々にとっては不思議な国というか、魅力ある国であることにはいまだに変わりないわけでございます。そういう面では、観光立国ということも、今第三十一位ということでございますので、この法律を使ってどの辺まで高めるかということの展望もあるかと思うのですが、それらの観光振興についての大臣の強い決意をお伺いいたしたいと思います。
  134. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生を初め、きょう各委員先生方から国際観光振興についてそれぞれの視点で御論議をいただいてまいりました。私といたしましては、国際観光振興は二十一世紀我が国にとって大変重要な政策だというふうに思っております。その必要性については、それぞれの先生の中で御答弁を申し上げました。  今、先生から御指摘いただきましたように、外国人観光旅行者の来訪を促進するという意味では、国だけでそれを達成できるというふうには私は思いません。今まさに先生がお触れいただきましたように、それぞれの関連する地方公共団体それから観光関連の事業者方々、いわば官民、運輸省国際観光振興会がそういった方々と一体となって総合的な対策を講じることによって、初めて観光立国としての実現が図られるのではないか。そういう意味で、私ども、御指摘の点を十分踏まえながら、全力を尽くして観光立国を目指して頑張ってまいりたいと思いますので、御指導と御支援をお願いいたします。
  135. 濱田健一

    濱田(健)委員 ありがとうございました。
  136. 杉山憲夫

    杉山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  137. 杉山憲夫

    杉山委員長 本案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  外国人観光旅客来訪地域多様化促進による国際観光振興に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  138. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 杉山憲夫

    杉山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  140. 杉山憲夫

    杉山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十五分散会