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1997-05-13 第140回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十三日(火曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 杉山 憲夫君    理事 林  幹雄君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 横内 正明君    理事 北橋 健治君 理事 細川 律夫君    理事 寺前  巖君       衛藤 晟一君    下村 博文君       関谷 勝嗣君    橘 康太郎君       谷川 和穗君    谷畑  孝君       中馬 弘毅君    堀内 光雄君       森田  一君    上田  勇君       久保 哲司君    今田 保典君       坂本 剛二君    玉置 一弥君       中田  宏君    松浪健四郎君       川内 博史君    辻  一彦君       平賀 高成君    濱田 健一君       望月 義夫君    米田 建三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 古賀  誠君  出席政府委員         内閣参事官   安富 正文君         運輸政務次官  衛藤 晟一君         運輸大臣官房長 土井 勝二君         運輸省運輸政策         局長      相原  力君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省海上交通         局長      岩田 貞男君         運輸省海上技術         安全局長    山本  孝君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君 委員外出席者         人事院管理局高         齢対策室参事官 尾西 雅博君         人事院職員局職         員課長     高橋 秀樹君         内閣総理大臣官         房参事官    山崎日出男君         総務庁長官官房         総務課長    松田 隆利君         総務庁行政監察         局監察官    堀  明彦君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十三日  辞任         補欠選任   中馬 弘毅君     谷畑  孝君   古屋 圭司君     下村 博文君 同日  辞任         補欠選任   下村 博文君     古屋 圭司君   谷畑  孝君     中馬 弘毅君     ――――――――――――― 五月六日  運輸施設整備事業団法案内閣提出第二五号) 同月十三日  外国人観光旅客来訪地域多様化の促進によ  る国際観光の振興に関する法律案内閣提出第  七二号) 同日  肢体障害者移動権交通権総合的保障の確  立に関する請願(細川律夫君紹介)(第二七六  〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十五日  公共交通規制緩和に関する陳情書外六件  (第二四二号)  内航海運対策に関する陳情書  (第二四三号)  航空運賃低減に関する陳情書  (第二四四  号) 五月九日  バス事業維持確保に関する陳情書  (第二  八五号)  ロシアタンカー油流出事故対策等に関する陳情  書外六件  (第二八六号)  油回収船の配備に関する陳情書  (第二八七号  ) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  運輸施設整備事業団法案内閣提出第二五号)      ――――◇―――――
  2. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出運輸施設整備事業団法案議題といたします。  趣旨説明を求めます。古賀運輸大臣。     —————————————  運輸施設整備事業団法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 古賀誠

    古賀国務大臣 ただいま議題となりました運輸施設整備事業団法案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  特殊法人整理合理化については、行政減量化と新たな時代要請にこたえるため総合的かつ全般的に見直しを行い、平成七年二月に、鉄道整備基金船舶整備公団について、運輸関係施設の効率的な整備等推進する観点から、これらを統合するとの閣議決定がなされたところであります。  同閣議決定に基づき、特殊法人整理合理化推進するため、鉄道整備基金及び船舶整備公団を解散して運輸施設整備事業団設立することとし、運輸施設整備事業団設立組織運営等に関し必要な事項について定めるこの法案を提出した次第であります。  次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一に、運輸施設整備事業団においては、鉄道事業者海上運送事業者等による運輸施設整備推進するための支援を総合的かつ効率的に行うことにより、輸送に対する国民の需要の高度化多様化等に的確に対応した大量輸送機関を基幹とする輸送体系の確立を図ることとしております。また、基礎的研究推進が、科学技術創造立国を目指す我が国にとって極めて政策的必要性が高いものであることにかんがみ、運輸技術に関する基礎的研究に関する業務を行い、運送円滑化を図ることとしております。  第二に、鉄道整備基金船舶整備公団は、運輸施設整備事業団の成立のときにおいて解散するものとし、その一切の権利及び義務は、そのときにおいて運輸施設整備事業団が承継することとしております。  第三に、運輸施設整備事業団役員につきましては、特殊法人統合趣旨に即して、役員数縮減を行うこととしております。  第四に、運輸施設整備事業団は、その目的を達成するため、新幹線鉄道建設に要する資金についての交付金交付主要幹線鉄道都市鉄道建設、改良に要する資金についての無利子貸し付け海上運送事業者との船舶共有建造運輸技術に関する基礎的研究などの業務を行うこととしております。  第五に、運輸施設整備事業団監督等に関し、事業計画、借入金、業務方法書作成等について運輸大臣認可を要することとしております。  その他、財務及び会計に関する規定を整備するとともに、鉄道整備基金船舶整備公団の解散に伴う経過措置等を定めることとしております。  以上が、この法案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 杉山憲夫

    杉山委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田勇君。
  6. 上田勇

    上田(勇)委員 新進党上田勇でございます。  運輸施設整備事業団法案につきまして、また、特殊法人改革問題につきまして、何点かにわたりまして質問させていただきたいというふうに思います。  現在、抜本的な行政改革の断行が我が国にとりまして最重要な課題であるといこことは、論をまたないことであると思います。国と地方の役割あるいは官と民の役割、これらを見直してできる限り効率的で簡素な政府をつくっていかなくてはならない。現在八十八あると言われておりますいわゆる特殊法人をどのように改革していくかというのは、行革プログラム全体の中でも非常に重要な事項であるということは、間違いないことだというふうに思います。  村山内閣では、特殊法人整理合理化行革の柱と位置づけまして、確かに幾つかの特殊法人統合などを実施してきましたが、どう考えても、既に必要性が乏しくなっている法人を、同じ省庁所管する他の法人統合した数合わせ、そうしたものにとどまったのではないかという感が否めないというふうに思います。  もちろん、ほとんどの特殊法人というのは、設立時点ではそれなり必要性があってっくられたものということは疑いないわけでありますけれども、現在さらに将来の社会経済の情勢あるいは財政事情、こうした視点から見直す必要があるはずであるというふうに考えております。ところが、すべての特殊法人業務につきまして、本当にその特殊法人の行っている業務が必要な仕事なのか、あるいは公的セクターで行うことが本当に必要であるのか、他の省庁所管する業務あるいはほかの法人との重複はないのか、こういった抜本的な見直しがどうも不十分であったという気がいたします。その意味で、これまでの特殊法人改革というのは、到底実効のある改革とは評価できないのではないかというのが私の感想であります。昨年十二月に橋本内閣閣議決定された「行政改革プログラム」も、多少の前進は認められるものの、まだまだ本質的な部分には触れられていないのじゃないかという気がいたします。  私たち新進党は、かねてから、すべての特殊法人を原則として五年後までに廃止または民営化し、どうしても必要なものだけを時限立法で存続させるといういわゆるサンセット方式による改革を提案してきておりますし、法案も国会に提出してきた経緯がございます。先日の新進党大会で決定いたしました「「日本再建」のための基本政策構想」でも、このことを再度提案しているわけであります。  そこで、初めに大臣に、こうした新進党サンセット方式特殊法人改革案について、どのように考えられているのか、そういったことも含めまして、特殊法人改革に関します大臣基本方針について、御所見を伺いたいというふうに思います。
  7. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生から御指摘いただいておりますように、今我が国にとりまして、行政改革を含めましてあらゆる分野においての改革というものは、いわば国、国民にとって天の声であり、まさにこの改革をどう進めていてかによって二十一世紀我が国の新しい国づくり、また国民の新しい人間社会の構築というのはなし得るものだというふうに思っております。行政改革を初めとするあらゆる分野においての改革というものについて、全力を挙げて取り組んでいくということは、当然のことだというふうに思っております。運輸省といたしましても、御承知のとおり、今時の経済社会の構造的な変化国民ニーズ変化に対応いたしまして、特殊法人のあり方につきまして今日までも不断に検討し、改革をしてきたところでございます。  今回提案させていただいております法案につきましては、「特殊法人整理合理化について」の平成七年の二月二十四日の閣議決定に基づいて、鉄道整備基金船舶整備公団統合を初めとして、今後、帝都高速度交通営団民営化、また、東日本旅客鉄道株式会社等JR七社の純民間会社等について、着実に推進をしていくということが重要なことであろうというふうに思っております  新進党さんのさきの党大会で御決定いただいた特殊法人改革、見習うべきところは私も数点あるだろうというふうに思っております。そういう大前提の方向を落実にどういうふうに実態として成果を上げていくかということになりますと、なかなか一気に推進をするということは困難もあろうかと思いますけれども、あの党大会で御決定いただいている点について、私どもといたしましても、鋭意検討させていただく御提言であるということについては、高く評価させていただいているところでございます。
  8. 上田勇

    上田(勇)委員 この特殊法人改革について、やはり重要なことというのは、今これらの特殊法人が行っているのは、行政仕事の一部を行っているわけでありまして、本当にその仕事が、かつては必要であったものが今もなお必要性があるのか、あるいは今の財政事情、将来の経済構造を考えたときに、今後ともそういう行政仕事が必要なのか、それは官と民との役割においてどちらが行うのが適当なのか、そういったことをすべての特殊法人について洗い直すことが、重要なのじゃないかというふうに考えるわけであります。  運輸省所管特殊法人が十六、認可法人が四つ、そういう法人についてそうした必要性、あるいは官と民との役割といった観点から、その必要性を今後とも、そう時間の余裕があることでもないというふうに思います。早急にこれは当委員会の場でもまた大いに議論して、そうした改革案を進めていきたいというふうに考えておりますので、ぜひ政府の方でもこの点につきまして、今後も単なる数合わせに終わるのでなくて、抜本的な改革のために最大限の御努力をお願いする次第です。  今回の法案は、その中で鉄道整備基金船舶整備公団統合するという法案でありますけれども、鉄道整備基金それから公団、この基金公団内容を見てみますと、かなり内容性格も違う法人じゃないかというふうに思います。もちろん対象が、基金の方は鉄道事業対象になっておりますし、公団の方は海運事業対象になっております。技術の面でも当然違うでしょうし、また財源を見てみましても、基金の方は新幹線譲渡収入と国費が主な財源になっておるのに対して、公団の方は資金運用部資金、いわゆる財投が主要な財源になっておる。業務性格も、基金の方は補助金交付などといったいわば行政仕事の代行というような性格も含んでいるのに対して、公団の方は、一部技術支援などもありますけれども、基本的には金融であるというふうに思います。公団の方は、何かほとんどが、例えば英訳名でも金融機関というような形が表に出ておりますし、そういった意味では、まさに性格としては金融機関なんだというふうに思います。当然のことながら、そうした事情から会計も別々ですし、統合された後もその会計も別々だというふうに考えられす。  また、この間運輸省さんの方からも伺ったのですが、組織合理化も、七部のうち部が二つ減るんですか、あるいは課も十七課あるうち一つ削減される、定員も百三十六人のうち九人の削減にとどまっておりまして、この二つ統合したとしても、組織的な合理化は余り期待できないのじゃないかという感じがいたしました。  そこで、今回そういうことを踏まえまして、業務内容だとか仕事性格が必ずしも共通していない基金公団統合する理由、それから、統合によってどういうメリットを期待されているのか、この辺をひとつ大臣、御所見を賜りたいと思います。
  9. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  ただいま上田委員から御指摘のように、鉄道整備基金船舶整備公団、それぞれ対象とする業務が異なってきておるわけでございまして、そのために今まで独立の特殊法人として存在してきたわけでございます。  そういう意味では御指摘のとおりでございますが、一方で、特殊法人整理合理化行政改革というのも非常に重要な課題であるということで、平成七年二月二十四日の閣議決定特殊法人整理合理化について」、それから昨年十二月二十五日の同じく閣議決定行政改革プログラム」で決定されておりますように、一つ行政改革推進を図る必要がある、それから、業務的には鉄道船舶整備という意味対象は異なっているわけでございますが、運輸関係施設の効率的な整備推進する必要性がある、そういう二つ観点から、鉄道整備基金船舶整備公団統合いたしまして、今回、運輸施設整備事業団設立することとしたところでございます。  また、御指摘の、どのようなメリットがあるかということでございますが、今般の統合によりまして、第一には、役員削減あるいは管理部門縮減等による管理経費低減が図られるということがございます。また第二には、補助金交付とか無利子貸し付け資金の融通、共有方式あるいは債務保証等、多様な支援措置があるわけでございますが、この多様な支援措置による運輸施設の総合的、効率的な整備が図られる、こういうことから、時代要請に応じた運輸施設の円滑な整備推進されるものである、このように考えているところでございます。
  10. 上田勇

    上田(勇)委員 今、今度の統合によるメリットについて御答弁をいただいたのですが、ではちょっと具体的に、統合によってどれだけ、またどのような財政節減効果を期待しているのか、その辺をお答え願いたいと思います。
  11. 相原力

    相原政府委員 行われる業務については、それぞれ鉄道助成あるいは船舶整備というような観点で、その時点に応じて必要性があるものについて予算措置が講じられているところでございます。統合によります財政節減効果といたしましては、先ほど御説明いたしました役員削減管理部門縮減等による管理経費低減が当たるかと思います。  管理体制効率化を進めることといたしておりまして、現在、両法人合わせますと十一名の役員になりますが、それを統合法人では三名削減する、十一名から三名削減いたしまして、八名にするという方針でございます。職員につきましても、これは五年間で九名削減する、現在合わせまして百三十六名を九名削減するということといたしております。これらの要員削減によりまして、単年度で約一億五千万円の人件費削減を予定いたしております。
  12. 上田勇

    上田(勇)委員 今の御説明ですと、いわゆる財政を節減するというのは人件費のみに限られているというような御答弁だったのですが、しかも今お話があったように、年間約一億五千万円程度だ。この統合された事業団予算規模が三千億、四千億という規模からすると、せっかく統合しても、統合そのものによってそれほど大きな財政上のメリットはないのではないかという気がいたします。  そうすると、では、どういう統合するメリットがあるのか。先ほど局長、もう一点述べられました、総合的に運輸施設整備ができるというような、分かれていたものを一緒にやることによって効率的にできるのだというような、そういう御意見であったわけであります。では具体的に、例えば、組織的に船舶をやっていた部門と、鉄道をやっていた部門をどういうふうに統合していくのか。総務部門統合されるというのは、一つ事業団になるから、二つあった法人一つになるので、これは当然のことでありますけれども、先ほど、効率的な施設整備が可能になるというのでは、組織的にはどういうような形でその辺の総合的な整備というのを実現していくつもりなのでしょうか。その辺をお伺いしたいというふうに思います。
  13. 相原力

    相原政府委員 組織的には、現在、両法人合わせますと七部十六課になるわけでございますが、現在の方針といたしましては、総務部系統中心といたしまして、そのうちの二部一課を削減することといたしております。中身の細部につきましては、また今後の課題になろうかと思っておりますが、鉄道助成中心とする事業あるいは船舶整備中心とする事業はそれぞれございますが、その中でも、総合的な調整を図る部門充実等に努めてまいりたいというふうに考えております。  また後ほど御説明したいというふうに思っておりましたが、新たに基礎的な技術研究推進というようなことも本事業団で予定しておりますので、そういうような業務推進できる体制整備したいというふうに考えているところでございます。
  14. 上田勇

    上田(勇)委員 今二つの点にわたって御説明をいただいたのですが、正直申し上げまして、今回の統合メリットというのが、もう一つ納得のいくものではないような気がいたします。事業内容であるとか性格が全く違う法人を、とにかく数を一つ減らせばいいということで二つをくっつけた。総務部門というのですか、その辺の合理化というのはできるのでしょうけれども、どうも木に竹を接いだような、単なる数合わせ一つ減らしたというような印象が否めないということを申し上げたいというふうに思います。  それで、今ちょっと答弁の中にも出たのですが、今回の統合によって、もちろん幾つか、四点ばかり業務削減されるものがありますが、同時にまた追加されるものがある。「運輸技術に関する基礎的研究」という新たな項目が要綱なんかに入っているのですが、この「運輸技術に関する基礎的研究」というのは、具体的にどのようなことを想定されているのか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  15. 相原力

    相原政府委員 今先生質問のように、今回の統合に際しまして、従来両法人で行っておりました業務についても、総合的かつ全般的な見直しを行ったところでございます。四項目というようなお話がございましたが、港湾運送用船舶共有建造とか港湾運送用荷役機械共有製造貨物船解撤に伴う運転資金貸し付け及び債務保証、内航総連等の行う貨物船船腹調整事業に必要な資金貸し付け、これらの業務を廃止することとしたところでございます。  それから、今御質問基礎的研究につきましては、二十一世紀を目指した技術開発を図るために、運輸技術に係る基礎的研究の実施の業務を本事業団で行うこととしたものでございます。  基礎的研究業務につきましては、科学技術創造立国を目指す我が国にとりまして、これは、平成七年の十一月には科学技術基本法というのができておりますし、それから、これは閣議決定でございますが、昨年七月には「科学技術基本計画」というのができておりまして、その中でも、創造性独創性を生かした基礎的研究推進充実が非常に重要であるというふうにうたわれているところでございます。こういう観点から、公募方式による運輸技術に関する基礎的研究を新たに行うということにしたものでございます。安全の問題、公害の問題あるいはこれからの新しい交通技術に関係する基礎的な研究等々が、対象になろうかというふうに考えております。
  16. 上田勇

    上田(勇)委員 基礎技術研究開発が重要であるということは、私も全く同感なのです。また、今回の基礎的研究事業として追加するということは、そういう意味では今後の技術開発にとって重要な起とであるというふうには思います。  ところが、運輸省あるいはその周辺には、技術研究というのですが、基礎研究を行っている機関が既にたくさんありますね。ちょっと見ただけでも、運輸省組織の中でも船舶技術研究所というのがございます。電子航法研究所港湾技術研究所、これが運輸省の正式な研究所として存在しているようです。また、認可法人として、造船業基盤整備事業協会というのがございますね。ここも、技術研究技術開発を主たる業務としておりますし、運輸省からもそれなり支援措置がとられているというふうに理解しております。鉄道につけては、財団法人鉄道技術総合研究所、これもかなり基礎的な研究を行っているというふうに伺っておりますし、さらにJR各社研究所もあるというふうに伺っております。  また、公益法人も、これはちょっと私も内容はよく調べていない部分もあるのですが、研究とか技術とかいう名前のついているものだけでも、例えばその幾つかを御紹介しますと、日本鉄道技術協会日本鉄道電気技術協会あるいは日本自動車輸送技術協会日本造船研究協会日本造船技術センター、このほかにも幾つかございます。こうした公益法人でも技術開発研究を行っている、運輸省の中にも研究所があるへ認可法人の中でも重要な仕事としてやっている。その上で一さらに今回一この事業団でも技術研究を行う必要性があるのか、また、ただいま申し上げました運輸省所管研究機関あるいは各種公益法人JR等が持っている研究機関との内容重複はないのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
  17. 相原力

    相原政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、運輸省におきましても、ただいま御指摘がございました船舶技術研究所等研究機関がございまして、研究を行っているわけでございますが、国の研究は、主として行政ニーズに基づいた、例えば安全基準の策定に必要な研究というようなものに重点を置いてやっているところでございます。また、民間におきましても、今先生指摘のようないろいろな機関でそれぞれの研究を行っているわけでございますが、民間における研究は、実用化を目指した研究を主眼とじて行っているということでございます。  そういう意味におきまして、先ほどの御答弁でも触れましたが、昨年七月二日の閣議決定科学技術基本計画について」におきましても、「国は、基礎的・独創的研究など民間においては十分な取組が期待できない研究開発を積極的に実施することが必要である。」こういうふうにうたわれているところでございます。  こういうような観点で、もちろん民間がやっているものと同じことを今回事業団がやるということではございません。運輸施設整備事業団におきましては、今回公募方式によりまして、競争的な研究環境のもとで、従来の研究制度では実施が困難であった、行われてこられなかったような、研究者の創造性とかあるいは独創性を生かした基礎的研究を行おうとするものでございます。そういう意味では、従来、国あるいは民間機関で行われなかったような、そういう創造性独創性を生かした基礎的研究推進していきたい、こういうことでございます。
  18. 上田勇

    上田(勇)委員 今、国の機関、国の研究所では、いわゆる行政ニーズにこたえるので、それは応用研究ということなのでしょうか、が主体というような趣旨だったのかもしれませんけれども、事業団も当然行政の一部でありまして、行政ニーズに合わないような研究というのは、当然行われるべきではないのじゃないかというふうに思うわけなんですが、今、そういう基礎技術研究というのは行政ニーズとして必要になってきているのじゃないか、その意味で、では、国の研究所だから基礎研究はだめで、応用技術の開発みたいなのしかだめだというような考え方というのは、ちょっと私もよく理解できません。また、運輸省研究所もあるし、先ほど言った造船業基盤整備事業協会などでも、そういうような基礎技術に近いものもやりているというふうにも理解しているのですけれども、なぜ、そういった既存の研究所あるいは研究機関を利用するのではなくて、新たにこの事業団業務をつけ加えなければいけないのか、その辺の理由がもう一つよくわかりません。  それで、当然運輸省のこういう関係の研究所には船舶や港湾に関するものもありますし、鉄道に関するものも、JR総研もあるわけなので、そうした既存の研究機関組織としては十分にあるのじゃないかと私は思うのですけれども、あえてこの事業団でまだそういう研究業務を追加する必然性というのを、もう少しその辺、詳しく御説明いただければというふうに思います。
  19. 相原力

    相原政府委員 お答えする前に、まず、国の研究機関行政ニーズに基づいたというような御説明をいたしましたが、主として行政ニーズ行政上すぐに必要となるような、例えば安全基準の策定に必要となるような研究基礎的研究を含めて研究を行っている、そういう趣旨で申し上げたものでございます。  なお、それぞれの機関、国あるいは民間公益法人等を含めて研究機関研究を行っているわけでございますが、今回の措置は、再々申し上げておりますように、まず「科学技術基本計画」に基づきまして、一つは、民間だけに頼っていては取り組みが期待できないような研究開発、基礎的、独創的研究ですね、そういうようなものについては、従来からも民間研究機関ではなかなか十分な期待ができなかった。一  それから、国においてもいろいろな研究機関がございますが、それらを含めて、むしろ競争的な研究環境のもとで研究を行わせるのが非常に効率的であるのではないかということで、今回、公募制度ということで公募いたしまして、その応募者の中から厳格な審査のもとに一定の条件に合つた研究を選定いたしまして、それに基づいて創造性独創性を生かした基礎的研究を行ってもらおうというものでございます。  なお、これは、国全体といたしましても、平成八年度からほかの各省庁でもこのような制度の基礎的研究を開始したということでございます。運輸省は、平成九年度からこの事業団を通じて基礎的研究推進したいというふうに考えているところでございます。
  20. 上田勇

    上田(勇)委員 基礎技術研究が重要であるということは、そのとおりであろうと思いますけれども、もう既に運輸省の中にも研究所がたくさんあるわけですし、また認可法人もある、その他の研究機関もあるということですので、もちろん、これは民間部分もあるので、必ずしも運輸省で全部統括するというわけにはいかないのかもしれませんけれども、特に運輸省所管研究機関の中においては、同じような研究をいろいろなところでやっているというようなむだがないように、また、今回せっかく統合の提案をしていても、それによってかえって何か屋上屋を重ねるようなことにならないように、ぜひともお願いしたいというふうに思います。  一番最初に、こうした特殊法人というのは本当にその仕事が今この時点で必要なのかどうかということを、見直していかなければいけないというふうに申し上げましたけれども一次に、そういう意味で、この事業団の予定しております業務の中身につきまして、その必要性等につきまして、何点か質問させていただきたいというふうに思います。  まず、船舶整備公団では、公団と船主の共有建造という独特の方法が採用されております。事業団においても、その手法が継続されるという御提案になっております。  船舶の建造は、例えば政府金融機関、日本開発銀行であるとか、また中小企業対象には幾つか中小企業向けの政府金融機関がありますけれども、そうした機関からの融資の対象とする、あるいは債務保証、利子補給など必要最低限の一定の措置をとれば、民間金融機関からでも資金の調達というのは可能なのじゃないか、本当にそういう意味事業団による共有建造必要性が果たしてあるのか。また、今公団でも融資をやっていますが、共有建造から融資のみに切りかえていけば、事業団業務をかなり削減することが可能なのじゃないか、あるいは場合によっては事業団そのものも合理化できるのではないかというふうに感じるのですけれども、その点について御所見を伺いたいというふうに思います。
  21. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 お答え申し上げます。  沿革的な理由やあるいはその業態からきているのだということなんですが、内航海運事業者や国内旅客船事業者は、いわゆる一杯船主というような中小零細事業者がそれぞれ九割とか七割を占めておりまして、もちろん、少しずつ大きくはなっておりますが、現状では、十分な技術力や資金調達力に大変乏しいのが現状でございます。  今先生からお話がございましたように、これらの内航海運事業者などへの融資方策としては、他の金融機関にはない共有建造方式を採用しております。これは、例えば当初七割とか八割を船舶整備公団が所有し、残余の部分事業者さんが所有をする、そういう持ち分になるわけでございますが、十四年とか十五年の期間に少しずつ使用料という形で船舶整備公団事業者さんが返されて、その期間が経過するともともとの事業者の所有に移る、こういう方式でございます。そういった方式につきましては、船舶整備公団の持ち分に対しまして、担保が不要でございます。また、実質的な船舶の償却期間に見合った長期の貸し付けが行われるということでございますので、建造資金が多額な場合においても、中小零細事業者にとっては資金調達が大変困難でございますが、こういうことによりまして事業者の安定的な事業遂行が可能となっておる状況でございます。また、事業者側からすると、船舶整備公団、この法案を通していただければこれからは運輸施設整備事業団になるわけですが、船舶の設計や建造を行うために、技術的なノウハウ、将来的な技術の改善や何かも、最新技術を使った船舶を建造するということでございます。そんなノウハウを生かして船舶整備が可能となるなどの理由から、この制度につきましては、内航あるいは旅客船の国内の海運事業者間で十分定着して、建造される過半がこれを利用しているというような状況でございます。  そういうことを踏まえますと、ほかの金融機関にはないこのような共有建造方式は、国内の海運事業に特有の事情を踏まえた制度でありまして、安全かつ近代的な船舶整備を進めようとするものでありますので、これらの存続はやはり必要ではないかと思っております。  先生指摘のような政府金融機関による代替、もちろん資金力のある事業者さんは民間でも融資を受けられることは、それはそういうことでございますし、他の金融機関でもそういうことはできるのですが、この船舶整備公団あるいは運輸施設整備事業団共有建造方式というものにつきましては、引き続き維持していく必要があるのではないかと思っております。
  22. 上田勇

    上田(勇)委員 公団あるいはこれからの事業団共有建造方式が、事業者にとって大変メリットがあるということはよくわかったのですが、それでは、なぜそれが政府系の金融機関あるいは民間金融機関も含めて、そちらからの融資ではどうしてもだめなのかといった点が、もう一つはっきりしないような気がします。  先ほど担保の問題なんかも出たのですけれども、それでは、これまでのこの共有建造の実績で、使用料金が未納というのですか、回収できなかったというのはどの程度あるのですか。
  23. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 今、累積した数を承知しておりませんが、年によっては数隻出てきているということを聞いております。
  24. 上田勇

    上田(勇)委員 ということは、やはりこれだけ公団あるいは事業団で手厚い措置をとったとしても、結局は採算割れしてしまう事業者もそれなりにいるということなのかなということですね。まあ数隻ということですから、全体からすれば割合としては小さいのでしょうけれども、採算のとれる事業者、採算のとれない事業者、そういった見きわめというのが、公団そしてこれから事業団の方で本当にできるのかどうか。今の御答弁の中で、こうした業務が本当に適正に行われるのかどうか、その辺に甚だ懸念を感じました。  このことも重要なのですけれども、さらにもう一つ、ちょっと視点を変えて御質問をしたいのです。  今回統合されます基金それから公団の現在の役員の中には、運輸省御出身の方が多数就任されております。また、基金及び公団職員の中にも、運輸省から出向している方がかなり多く在籍しているというふうに伺っております。役員では、両方合わせて十一名中七名が運輸省の御出身ですし、職員の中でも、百三十六名の中、実に三分の一相当の四十四名が出向者だというふうに御説明を伺いました。  今回の統合が、本当に特殊法人仕事業務必要性から議論されたのではなくて、いわゆる退職後のポストの確保や人事ローテーション上のポストの確保のために、こうした特殊法人が維持されているのではないかというような懸念もあるわけですけれども、その点について御見解を伺いたいというふうに思います。
  25. 相原力

    相原政府委員 お答えいたします。  鉄道整備基金船舶整備公団、両法人が現在あるわけでございますが、鉄道整備基金が行っております業務、これは新幹線鉄道あるいは主要幹線鉄道都市鉄道等の整備に対する助成等の業務中心でございますが、そのためには経理、会計あるいは鉄道整備計画、鉄道助成制度等に精通している必要がございます。それからまた、運輸省を初め、鉄道事業者鉄道建設公団あるいは日本開発銀行等と適宜適切に折衝、協議する能力がある必要がございます。また補助金等を取り扱うために、厳格、公正な事務処理能力が要求される、このような要件を備えた者が業務に従事する必要があるという要請がございます。それからまた、鉄道整備基金自体も設立後そう長期間たっていないというような事情もございます。  一方、船舶整備公団につきましても、業務遂行に当たりましては、海運事情一般に関して深い知識、識見を有することが必要でございます。また、この公団性格から、政府の海運政策に精通している必要がある。あるいは、良質の船舶整備していくために、必要となる船舶に関する十分な知識を要求される、こういうような需要がございます。  こういうような観点から、御指摘基金及び公団の役職員につきまして、それぞれの分担における専門的な知識を有する運輸省と人事交流を行うことによりまして、その活用を図って、効率的に助成等の業務を実施してきているものでございます。
  26. 上田勇

    上田(勇)委員 こうした問題を質問させていただくと、大体のケースで今のような御説明をいただいて、これは運輸省に限ったことではなくて、それぞれの役所の考え方なのでしょう。  ただ、今のような御説明だと、今言われている天下り批判であるとか、外郭団体が実質的な行政の拡大になっているのではないかというような各種の批判に対して、到底説得力のあるような説明とは感じられない、このことだけは一つ申し上げておきたいというふうに思います。  それで、今回、この質疑を通じまして、特殊法人改革に対する姿勢について、正直申し上げて多くの疑問を感じました。法人の数を各省横並びで一つ減らせば事足りるというようなことでは、当然ないわけであります。それぞれの特殊法人が行っている業務というのは、行政機関の一部として行っている仕事であります。こうした業務が本当に必要なのか、将来とも財政事情を考えたときに残しておくべきなのか、民間ではなくてどうしても行政機関が行わなければならない仕事なのか、一つ一つ基本からの見直しが必要なのではないか、というふうに思うわけであります。  たまえまこれは月刊誌に京都大学の吉田和男教授が寄稿している中で、今回のこの統合について、こういうふうに述べられているのですね。船舶整備公団鉄道整備基金統合のように、むだな特殊法人とむだな特殊法人統合しても、超むだな特殊法人をつくるだけだと、今回の法案について疑問を提起しております。  私自身も今回の法案を見た中でまだ多くの疑問を感じるところでありますし、法案についても残念ながら十分納得のいかない点もあるという意見を申し述べまして、残りの時間を北橋委員の方に譲りたいと思います。どうもありがとうございました。
  27. 杉山憲夫

    杉山委員長 北橋健治君。
  28. 北橋健治

    ○北橋委員 上田議員に続きまして、今回提案をれました行政改革関連の法案につきまして、質問をさせていただきたいと思っております。  まず、大臣の率直な御所見を最初にお伺いしたいのですが、今回の法案で、特殊法人関係の改革は十分と思っていらっしゃるかどうかということであります一  特殊法人改革については、長い間論議が交わされております。大正十二年に農林中央金庫が設立されまして以来、今日まで百七十三の特殊法人設立されました。この間、やはり見直しの議論が叫ばれまして、廃止が七十八一民間法人化が八つございます。そして、ことしの四月一日現在、八十七の特殊法人が存続をいたしております。  この長い歴史の中で廃止が七十八とありますが、今回の運輸省関連の事業団法を見ましても、二つ法人は廃止になるわけでありますが、その仕事内容の多くは引き継がれておりますので、純粋たる民間法人化してしまいますと、これは本当に歴史的使命を終えて民間にゆだねるということですから、私どもの感覚では法人一つ整理されたというふうに思うわけであります。そういった意味では、百七十三設立されて、ちょうど半分の八十七が存続をしている。その多くの中には、廃止されたとはいえ、多くの業務が現在あるものに引き継がれていることが多い、そういう状況の中で、今回運輸省の方から、とりあえずというのでしょうか、政府で決まった内容法案にされて提出されたわけであります。  今日まで特殊法人改革行政改革の大きな柱として各方面から指摘されてきたことを思いますと、やはり我が党内では、まだまだ不十夢ではないか、これからが正念場を迎える、特殊法人についても大胆な切り込みが必要であるとの認識を我が党は強く持っているわけでございますが、大臣、いかがでございましょうか。
  29. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生指摘のように、特殊法人のあり方につきましては、私自身も、今回の、運輸省のみならず、取り組んできている平成七年の特殊法人統合、廃止問題について決定されているあり方にもいては、不十分だという認識を持っております。  ただ、今日まで特殊法人の果たしてきた役割というものについては、それぞれ評価すべきことだというふうに思っておりますが、これだけ社会経済構造というのが急速に変化してくる中でございますから、それに即した検討、そしてまた、改革というものが今求められているわけでございます。  今先生が長い経過をお話しいただきましたけれども、運輸省を初めといたしまして、それぞれ各省ともに不断の努力はしてきたと思っておりますけれども、それだけでは国民の期待にこたえることはできない、また、行政改革の柱と言われております特殊法人の、国民にこたえることのできる改革というものにはまだまだ努力をしていくことが必要ではなかろうか、率直に私はそういう感じを持っております。
  30. 北橋健治

    ○北橋委員 百七十三、これまで設立された法人の中で、最初に百の大台に乗ったのは昭和四十二年であります。それからいろいろと整理統合があるわけでありますが、いずれにしましても、昭和四十年代初頭と現在とは大変大きな経済社会情勢の変化があるわけでございまして、大臣の決意に沿って、今後とも鋭意、特殊法人については踏み込んだ整理、統廃合を進めていただきたい、そのように思います。  さて、特殊法人に関連いたしまして、最近、天下りということがしばしば論議をされるわけです。余りいい表現ではないかもしれませんが、天下りという場合は、かつて中央官庁の管理職、高級公務員と言われる人たちでありますけれども、民間企業に行ったり、あるいは特殊法人認可法人に行ったりすることをいわゆる天下りと言われているわけであります。これについては、既に昭和五十四年の十二月十八日に閣議了解の形で、こういったもろもろの役員の人事管理については、チェックをしていこうという申し合わせが行われております。  そこで、運輸省にお尋ねをいたしますが、運輸省関連の特殊法人は現在二十一であります。そして、今回そのうちの二つが統廃合されるわけでありますが、この特殊法人役員についての管理について、昭和五十四年十二月十八日、数項目の閣議了解事項があります。例えば、いわゆる天下りについてはできるだけ減らす、半数以内にとどめる、民間人をできるだけ起用せよ、たらい回しは基本的にはやってはいけない、一回限りだ、長期留任についても真にやむを得ないものに限る、幾つかの具体的な役員の人事管理についての規定がございますが、二十一の特殊法人について、これは守られておりますでしょうか。
  31. 土井勝二

    ○土井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘の昭和五十四年の閣議了解におきまして、先生も今おっしゃいましたように、特殊法人役員につきまして、特に常勤役員につきまして、国家公務員からの直接の就任者等を半分以下にすることを目標にするとか、たらい回し的な異動を原則真にやむを得ないものとして、しかも一回限りである、年齢あるいは長期留任の問題につきましても、真にやむを得ないものに限る、例外を極力少なくしなさいということ等が定められておりまして、運輸省におきましても、これに沿いまして運用を行ってきております。  具体的には運輸省所管先生も今おっしゃいましたように、全体で二十一、運輸省専管でございますと十六法人でございますが、この運輸省専管の十六法人のうち、いわゆる株式会社で代表権のある役員以外につきましては、役員について国の関与がないものがJR関係七社及び関空会社がございますので、この八法人を除いた八法人について申し上げますと、常勤役員数六十名、合計でございます、国家公務員からの就任者が三十五名、六〇%弱でございます。半数には、残念ながら至っておりません。  それから、たらい回し的な異動、いわゆるわたりと呼ばれておりますが、これにつきましては、二名おります。それから、高齢者、長期留任に相当する者は、現在おりません。  以上でございます。
  32. 北橋健治

    ○北橋委員 今の御答弁で、閣議了解は完全に遵守されていないということがわかりたわけでありますが、今後、こうした問題につきまして、どのように具体的に対応されるのでしまうか。
  33. 土井勝二

    ○土井政府委員 五十四年の閣議了解の文言から見ると、先生も御指摘のように、一〇〇%の遵守状況になってございませんが、今後、私ども運輸省所管法人につきまして、このような常勤役員のあり方あるいは運用につきまして、極力この閣議了解の線に沿いますように、努力をしてまいりたいと思っております。
  34. 北橋健治

    ○北橋委員 今後の改善方策を注視をしてまいりたいと思います。  きょうは、特殊法人役員の人事管理について担当されております内閣参事官室の方にもお越しをいただいていると思いますが、この機会にお聞かせ願いたいのです。  今、運輸省関連の特殊法人についての状況をお伺いいたしましたが、全特殊法人について、八十七特殊法人ございますけれども、昭和五十四年の閣議了解は遵守されているかどうか、その状況をお答え願いたいと思います。
  35. 安富正文

    ○安富政府委員 お答えいたします。  全特殊法人の常勤役員に占める国家公務員出身者の割合でございますが、平成九年一月一日現在、八百二十人中三百五十七人ということになっておりまして、比率で申しますと四三・五%となっております。  また、特殊法人の常勤役員の例外人事といいますか、わたり等を含めましたものについてでございますが、これについては、真にやむを得ないものに限るよう厳しく運用しているところでございますけれども、同じく平成九年一月一日現在、相互間の転任、いわゆるわたりにつきましては十二名、全体の一・五%でございます。  それから、在職年齢につきまして、総裁等については七十、理事等については六十五を超える高齢役員につきましては現在十五人おりまして、全体の一・八%を占めております。それから、在職期間が長期にわたるものに該当する者につきましては十七人ということで、これは二・一%という状況になっております。
  36. 北橋健治

    ○北橋委員 今のお話を聞いておりますと、昭和五十四年だから随分前の話でありますけれども、具体的に閣議了解の形で全省庁に確認の意味で流されていると思うのです。遵守されていないという状況がはっきりしたわけでありますが、それでは何のための閣議了解であったのかという議論になるわけです。昭和五十四年ですから、随分前であります。行政改革に対する国民の期待というのは、当時と比べ物にならないほど高まっておりますし、また政府におかれましても、行政改革には不退転の決意で、火の玉になって総理みずからやろうとおっしゃっているときでありますが、これは早急に善処していただける、そのように期待してよろしいのでしょうか。
  37. 安富正文

    ○安富政府委員 五十四年の閣議了解につきましては、当時から比べますと、現在ある程度の進展が進んできておるというふうに我々は了解しておりますが、人事の関係で必ずしも守れない部分がございます。  我々としては、真にやむを得ないものに限るように各省庁に対して指導しているところでございますし、役員の選考に当たりましては、閣議了解の趣旨にのっとって、各省庁がこれを尊重してやっていくように、今後とも指導していきたいというふうに考えております。
  38. 北橋健治

    ○北橋委員 内閣参事官にもう一つお願いしておきたいのですが、今の閣議了解にのっとって守られていない事例、数字、お話しいただいたのですが、後ほど各省庁別の数字をお出しいただきたいと要望しておきます。  さて、ざるとは言葉が過ぎるかもしれませんけれども、余り守られていない状況も明らかになったわけであります。  そこで、見方を変えまして今度は、今我々は、この事業団法をめぐりまして特殊法人のあり方を議論しているわけでありますが、特殊法人と同時に、よく類似した仕事であると見られておりますのに、認可法人あるいは一部の公益法人がございます。特殊法人についてこの間整理統廃合の世論が高まっていることもございまして、しばしば世間の厳しい批判の目にさらされておりまして、それにかわって、認可法人公益法人がふえてきた傾向があるのではないか、このように思っております。  運輸省にまずお尋ねしたいと思います。  現在運輸省認可法人は四つであります。この四つの認可法人に対して、運輸省職員であった方が今何人役員として行っていらっしゃるか。あるいはまた、この認可法人四つに対して国庫の支出金というものが総計どの程度出ているか。まずそれをお伺いしたいと思います。
  39. 土井勝二

    ○土井政府委員 お答え申し上げます。  運輸省所管認可法人の数でございますが、現在、日本小型船舶検査機構以下、合計六法人ございます。この六法人の常勤役員の総数が三十六名でございます。それで、この三十六名のうち、運輸省の出身者の数はちょうど半分の十八名でございます。  次に、先生お尋ねの国庫支出金でございますが、これらの認可法人に対する補助金等の国庫からの支出は、平成九年度予算におきまして、一般会計と特別会計に分けまして、一般会計では、海上災害防止センター及び造船業基盤整備協会に対して六億三千三百万、それから特別会計におきましては、自動車事故対策センター及び空港周辺整備機構に対して三百八十六億八千二百万。これら一般会計、特別会計を合計いたしますと、三百九十三億一千五百万円でございます。
  40. 北橋健治

    ○北橋委員 数え方によって、運輸省今六つだとおっしゃったんですけれども、それで結構ですが、いわゆる天下りといいますか、元運輸省の官僚の方が半分行っていらっしゃる、そして国庫の支出金もあるということでございまして、要するに、特殊法人と比べて、実態的にはかなり類似したものがあるということであります。  きょうは時間がありませんので、運輸省関連の公益法人については問いませんけれども、同じような傾向がやはり一部にあるのではないかということで、今特殊法人整理合理化については総務庁を中心にいろいろ議論がございますが、私どもは、やはり今後認可法人も含めた議論が必要になってくるのではないか、こう思うわけであります。  この点について、運輸省として今後、認可法人についても見直しをされていくお考えはあるかどうか、お伺いします。
  41. 土井勝二

    ○土井政府委員 運輸省所管特殊法人あるいは認可法人につきまして、現在でも政府あるいは与党の中で、見直しと申しますかさらなる改革ということについてやっております。運輸省といたしましても、その大きな流れの中で、特殊法人のみならず認可法人につきましても、不断の見直し改革をしてまいりたいと考えております。
  42. 北橋健治

    ○北橋委員 この問題について、また改めて質問できる機会があればと思っております。  認可法人ともう一つ公益法人についてもこの機会にお尋ねをしておきたいと思います。公益法人の数は相当な数に上っているわけでございますが、所管をされているのが総理府官房管理室でございますか、きょうお越しいただいていると思います。  まず、全体の公益法人のあり方を所管されている大臣管理室にお伺いしたいのでございますが、今特殊法人認可法人の議論をしておりますが、公益法人についてもいろいろな問題点が各方面からこれまで指摘されております。そういった意味では、行政改革の重要な柱として正面から議論を闘わされたというのは、まだ日が浅いように思うわけでありますが、その余りにも膨大な数、そして、特殊法人が抑制されております関係でそういったものがどんどんふえてきているのではないか、そういう認識も一部にあると思うのですけれども、そういった意味で、今後やはり公益法人のあり方についても厳しいチェックというものが必要ではないか、こう思っております。  平成八年九月二十日に閣議決定がございまして、公益法人については設立許可及び指導監督基準というものが出されております。しかも、公益法人に対する検査等の委託についての基準も、行政代行的な行為をやっているところがありますから、透明性を図るための措置もあります。これはこれで結構でございますけれども、しかし、公益法人がこの間非常に数がふえてきたということは、やっている仕事の中身にもよりますが、多くの面では、特殊法人認可法人にして中央省庁から切り離してやってきた、そういう世界で、やはり同じような範疇にあるものが結構その中にある。そういった意味では、特殊法人を締めたことによって公益法人にどんどん広がりが出ているという面もあると思いますので、最近の公益法人の増大傾向というのは、行政改革の見地から見てやはり大いに検討を要するのではないかと思うのでありますが、そういった見地からの具体的な改革方針というのはないのでしょうか。
  43. 山崎日出男

    ○山崎説明員 お答えいたします。  公益法衣に対します指導監督を適正に行っていくというのは極めて重要な問題だと認識しております。このような観点から、先生指摘のとおり、昨年九月には「公益法人設立許可及び指導監督基準」といったようなものを閣議決定した次第でございます。今後とも本基準応沿いまじて一層適切な指導監督に努めてまいりたい、このように考えております。
  44. 北橋健治

    ○北橋委員 最初に設立をするときにチェックをされるというのはわかりますし、行政代行的行為を行っているものについて、いろいろと委託等に関する基準を定めることもわかるのでありますが、現実に行革の見地から、果たして公益法人のあり方にメスを入れなくていいかどうか、そこの踏み込みが少し足りないような気がいたしております。  御案内のとおり、国所管公益法人は現在六千九百二十二であります。運輸省はそのうち八百四十二、このように報告をされております。平成六年から七年の間に新設されたものだけで、国所管で七十四もある。都道府県所管を入れますと、四百三十一もあります。物すごい数で公益法人がふえている。そしてまた、この一年間に解散した数というのも、実に国所管、都道府県所管を合わせて百七十一もある。どんどんできますけれども、どんどん減るものもある。大変激しい変化があるところであります。こういったものに対して、特殊法人と同じような、そういった視点でやはりそのあり方を根本的に見直すという、現在ある平成八年の閣議決定にはその趣旨は具体化されていないように思いますが、どうでしょうか。
  45. 山崎日出男

    ○山崎説明員 お答えいたします。  公益法人につきましては民間のイニシアチブによりまして設立されるものでございまして、真に公益性を有して、かつ、「公益法人設立許可及び指導監督基準」等の諸基準を満たすものであれば、主務大臣の判断で設立を許可されるものでございます。このような性格を考えますと、行政組織あるいは特殊法人とはやや性格が異なっているものと認識しております。しかしながら、国からの委託事業を主たる事業としているものなど、国と関係の深い公益法人につきましては、平成七年三月にその設立を抑制することを申し合わせているところでございます。
  46. 北橋健治

    ○北橋委員 具体的に問題のある公益法人を、また次の委員会でも指摘をします。そこからもう一遍議論をいたしましょう。ほかに質問したいことがございますので、続けさせていただきます。  先ほどいわゆる天下りという問題を取り上げたわけでありますが、現在でも国家公務員法で規制があって、人事院でチェックをされておられます。そもそもこういう規制をしたというのはどこに原因があると、なぜこういう規制をしたと人事院はお考えでしょうか。
  47. 高橋秀樹

    ○高橋説明員 職員の就職制限制度の趣旨でございますが、職員がその在職中め権限あるいは地位の影響力によりまして、営利企業と関係を結びまして就職を図るというような不正を防止し、もって公務の公正な執行を確保するというところにねらいがございます。  ただ、離職後の就職につきましては、憲法で保障されております職業選択の自由等にかかわっているものでございまして、人事院が承認した場合にはその就職を認めるということによりまして、憲法の要請とまた公務の公正な執行の要請というものの調和を図っているものでございます。
  48. 北橋健治

    ○北橋委員 運輸省にお尋ねをいたしますが、運輸省の元職員であった方が、過去三年間、特殊法人認可法人公益法人民間企業のそれぞれに何人就任をされたか、数字があれば教えていただきたいと思います。
  49. 土井勝二

    ○土井政府委員 お答え申し上げます。  過去三年間、平成六年から八年の間におきまして、本省課長級以上の退職者が合計二百二十三名でございます。それで、この再就職先の内訳でございますが、特殊法人が十三名、認可法人が二十八名、公益法人が九十六名、それから民間企業が五十四名、その他へ任憲法人等でございますが、三十二名ということになっております。
  50. 北橋健治

    ○北橋委員 本省の課長までお務めになるということは大変有能な方ばかりだと思うのですけれども、特殊法人に行くのが、あるいは民間企業に行くのがすべて悪いだとか、そういう観点ではございません。私はそういう趣旨からではなくて、やはりこの機会に、六十歳定年制というのがあるわけですから事務次官が五十代で就任されますと、同期の皆さんはほかのところに行かれるという慣例がずっとあるわけなんですけれども、トップの官僚が五十代で就任をされるというのは、いつぐらいからなんでしょうか。もしわかりましたら、人事院にお尋ねをいたします。  それから事務次官は、六十歳まで定年制があるわけですから、やはりそれまで勤務をしていただくというふうにすべきだと思うのですけれども、これについて人事院にもしお考えがあれば、聞かせていただきたいと思います。
  51. 尾西雅博

    ○尾西説明員 今お尋ねの就任年齢の件につきましては、ちょっとデータを持ち合わせておりませんが、ただ最近では、事務次官を例にとりますと、五十八、九歳で退任するというのが平均でございまして、この退任年齢は以前に比べますと、上昇しているといったところでございます。  また、先生の御提言でありますところの定年まで勤務すべきであるというお話でございますけれども、現在、国家公務員には原則六十歳を定年とする定年制度が設けられております。一方で、幹部職員中心といたしまして、比較的早期に退職勧奨が行われているという人事慣行も存在しております。こういった早期退職の慣行は公務組織の活力を維持する面も一方であるわけですが、他方では、高齢社会の到来など行政をめぐる環境が変化する中で、こういった公務員の人事管理につきましても、これまでの慣行を見直すべきものと考えております一在職期間の長期化に向けまして、人事院におきましても、そのための条件整備等の検討を進めているところでございます。
  52. 北橋健治

    ○北橋委員 民間企業にいきますと、今度もある航空会社の新社長は六十歳だったと思いますけれども、六十歳以上で社長になられているケースはいっぱいあります。それが、日本のシンクタンクとも言われてきた霞が関の中央省庁の世界におきまして、トップが五十数歳、そして、同僚の皆様方はそれまでに皆省外に出られている。これはよく考えてみると、正常な姿ではないのではないか。毎年毎年こういうことがあると当たり前になってしまいますから、そういうものだというふうにお考えかもしれませんが、これはやはりあるべき姿ではないのではないか、私はそのように思います。  最近、関空の事件を初め、いろいろなところで問題がありました。政官業の問題はしばしば議論されておりますが、総選挙が終わりまして、一連のことが集中的に厚生省、通産省、大蔵省、運輸省と出てきたわけであります。そういったことで、国家公務員法で、民間企業に行くときには人事院でチェックをするというシステムがありますが、そういう法律改正、法令をつくったときと比べまして、今日の方が規制をするという必要性はずっと高まっているんではないか、こう思うわけであります。そういった意味からも、高齢化社会の到来というお話もございましたが、いろいろな観点から、やはり公務員については定年制があるわけでありますから、六十歳まできちんと働いていただける、そして安易に特殊法人認可法人公益法人民間企業、そういうところに行くのはいかがなものかと私は率直に感じております。  これについては関係方面でいろいろ議論があるのでございましょうが、もし古賀大臣に、これまで政治家として官庁の世界も、いろいろな世界も熟知をされておられると思いますけれども、今は行革ということが叫ばれております。もともと規制緩和だとか、官から民へと言われるんですが、やはり民間企業の自発的な創意工夫を促していくという大きな時代の流れに今我々は立っているわけでありまして、そういった意味では五十代で事務次官が就任するのが当然の社会ではありますけれども、この際、思い切ってそういったものも見直していってはどうか、そういった考えについてもし御所見がございましたら、お聞かせ願いたいのであります。
  53. 古賀誠

    古賀国務大臣 今先生の方から天下りについていろいろな観点から御論議をいただいたところでございます。先生もお触れいただきましたけれども、私も、天下りそのものがすべて悪いことだというふうには思いません。  ただ、御論議を聞いておりまして、行政組織体制と今の世の中との、体制のあり方というものが余りにもかけ離れているんではないか、そういう気は私自身いたしております。今日まで行政組織の活性化や公務能率の維持向上を図るという意味で、一定の早い時期に退職勧奨というのが行われてきた、こういう経過があろうかと思っておりますが、今もお話があっておりますように、今後、これだけ天下り問題というものが国民の関心事であり、またいろいろな議論が出てくるということを考えた場合に、六十歳まで公務員として務めを果たすということについての実現可能性について、いろいろな角度から検討していくということは当然必要なことだろうというふうに思います。一方では、ライフサイクル全般を視野に入れるという、こういった意味での人事管理のあり方というものが必要になってくるわけでございまして、そういうことを考えてみますと、今後あらゆる角度から、幅広い総合的な検討が必要になってくるだろうというふうに思っております。  なかなか難しい問題でございますけれども、政府も、こういった問題を含めて今総務庁を中心といたしまして検討いたしているところでございます。先ほど申し上げましたように、行政組織体制のあり方と、やはり世間が考える一般常識の体制のあり方というものが余りにも離れてしまっているということについては、私どもとして反省もし、また検討していく課題だという認識を持っております。
  54. 北橋健治

    ○北橋委員 官から民へと、大きな時代の流れの中で、今行革政府・与党で進められておりますので、こういった面につきましても鋭意御検討いただきたいと思います。  きょうは、時間ございましたら、これから、財政構造改革で、いわゆる行革関連でいろいろな歳出カットの動きがございます。そういう中で、いわゆる中小零細事業の下請業界が、単なる単価切り下げが結局大変なしわ寄せになるんではないか、そういう問題を中心にお伺いしたかったわけでありますが、時間が参りましたので、最後に一点だけ。  今回の法案、私どもはいろいろと議論をいたしました。理解できる点も多々ございます。ただ、行革を、心を鬼にして私ども野党なりに一生懸命推進をさせていくという意味において、いまだ不十分であるという認識から、今回は反対をさせていただきたいと思います。しかし、今回、事業団で新たな業務に加わりました基礎研究業務というのは、まことにこれから重要な仕事になると思っております。この点について、運輸関連の基礎研究業務というものを、新たな事業団において思い切り強力に推進をしていただきたいと思っておりますが、その決意の一端をお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  55. 古賀誠

    古賀国務大臣 全面的な御賛成をいただけないというのは大変残念でございますが、一定の評価をいただいたということについては、大変感謝を申し上げたいというふうに思います。  まさに特殊法人改革、これは喫緊の、政府挙げての課題でございます。今後とも不断の努力を行うことによって、期待にこたえていくように全力を挙げてまいりたいと思っております。  今回、新しい事業団の中で基礎研究分野を入れさしていただきましたが、その点について先生から高い評価をいただいたということは、大変心強いことでございます。先生の期待にこたえること、また国民の多くの方々の期待にこたえる意味からも、この事業団で行います基礎研究分野がこれから大きな成果を上げるように、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思いますので、御支援、御指導をお願いしたいと思います。
  56. 北橋健治

    ○北橋委員 ありがとうございました。
  57. 杉山憲夫

    杉山委員長 川内博史君。
  58. 川内博史

    ○川内委員 民主党の川内博史でございます。  新進党さんはこの法案には反対をするというふうに今北橋理事の方から御発言があったわけです。また、上田議員はむだとむだを合わせたら超むだだという表現もされていたようですが、私どもは、ゼロとゼロを合わせれば、ゼロ足すゼロはゼロですから、やらないよりはやった方がいいというところで賛成の方針でございますので、まずそのことをお含みおきをいただいた上で、御答弁をいただければというふうに思います。  まず最初に、運輸施設整備事業団法とは直接の関係はないんですが、若干、航空行政というか空港のことについてお尋ねをさしていただきたいんです。  私は当選をさせていただいて、この国会では大蔵委員もさせていただいているんですけれども、金融システム改革ということで、外為法の改正やら日銀法、そしてまた金融監督庁と、二十一世紀に向けて、大変なメガコンペティション、大競争と訳すそうですけれども、大競争の時代へ向けて、とにかくグローバルなスタンダード、世界的な標準に合わせていこうということで、金融の世界は、資本や資金の移動に柔軟に対応できるようにと、あらゆるお金や物が国内、日本に集まるようにということで、いろいろ工夫をされていらっしゃるようなんです。お金が移動する、資本が移動する場合には人も当然移動するわけでございまして、そういう意味では、首都圏の空港、成田空港というのは、私なども利用しておりまして大変に遠いなという印象を受けますし、また使い勝手も余りよくないのではないかというようなことを感じているんですけれども、都心からの距離とか国内線からの乗り継ぎなどを考えましても、東京にあるいは首都圏に人を集めようという場合に、成田空港というのは大変に問題が多いんじゃないかなということを考えております。  そういう意味で、七次空整では、首都圏第三空港というような構想も出ているようですけれども、また不便な遠いところにでっかい空港をつくられても、なかなか人は集まってくるようにならぬと思うんですが、羽田をもっともっと大きく拡張して、そこにすべてのものを集中させるということを考えたらいかがかというふうに思うんです。その辺、直接法律には関係ないんですけれども、ちょっと一時間と長いものですから、とりあえずこのことを聞かせてください。
  59. 古賀誠

    古賀国務大臣 最初に、今回提案を申し上げております鉄道基金船舶公団統合につきまして、先生の方から一定の評価をいただいたということについて、敬意を表しますと同時に、お礼を申し上げたいと思っております。  具体的なことについてもしお尋ねがあれば、政府委員の方から答弁をさせていただきますが、私の方から、まず先生、今御質問の羽田空港の再拡張の問題でございますけれども、結論を申し上げまずと、非常に厳しゅうございます。難しい問題だというふうに思っておりまして、まず一つは、東京港の港湾機能の影響というものを考えますと、大変困難であるということでございます。また、仮にこの羽田空港を再拡張いたしましても、今度は航空機によります騒音問題が出てまいります。これは、飛行経路がどういうふうに制約されているか、こういった点は事務当局の方から御説明を申し上げ、先生の御質問があればお答えさせていただきたいと思っておりますが、そういうことを考えますと、航空騒音問題の処理能力というものが見込めないということを考えた場合に、極めて今の状況の中では、先生の御指摘いただいた点については、困難であるというふうにお答えせざるを得ないというふうに考えております。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  60. 川内博史

    ○川内委員 この点に関しての議論は、次の機会に譲らせていただきたいと思います。  続いて、法案質疑に入らせていただきますが、委員長もいなくなってしまうし、委員の皆さんも余りいらっしゃらないんですけれども、元気を出してやりますので、ひとつよろしくお願いいたします。  今回の運輸施設整備事業団法というのは、二つ特殊法人統合するという行政改革の一環であるというふうに、私どもは見るわけでございますがなぜこの二つだったのかということはまた後で御答弁をいただくとして、運輸省所管特殊法人というのは幾つあるのかというところから確認をさしていただきたいと思います。
  61. 土井勝二

    ○土井政府委員 お答え申し上げます。  運輸省所管特殊法人は、運輸省専管のものが十六法人、それから他の省庁との共管のものが五法人でございます。
  62. 川内博史

    ○川内委員 それはJRは入っていないんですか。
  63. 土井勝二

    ○土井政府委員 ただいま申し上げました運輸省専管の十六法人の中に、JRの七社が入ってございます。したがいまして、JR七社を除きますと、運輸省専管のものは九法人でございます。
  64. 川内博史

    ○川内委員 運輸省専管が九法人、JRは今後どんどん民営化していくわけですから、だんだん運輸省さんの手を離れる、形としては離れることになるんでしょう、実態としてはどうかわかりませんけれども。  その九法人のうちの二つ船舶整備公団鉄道整備基金を合併をさせましようということだと思うんですけれども、先ほどから上田議員や北橋議員も、これでは行政改革にはまだまだほど遠いのではないかということを指摘をされていたようでございます。  私も率直に申し上げて、ついせんだっての、運輸省の最高の事務方のトップをお務めになられた方が特殊法人に天下りをして、そこで事件をお起こしになるというような、ニュースというのは悪いことしかニュースにならぬわけですけれども、いいことはなかなかニュースにならぬわけですから、ああいう事件が不幸にして起きて、何となく特殊法人というものに対する風当たりが非常に強い中で、それを国民の皆さん方に御理解をいただけるように、御納得をいただけるようにどう整理をしていくのか、統合をしていくのか、効率化をしていくのかというところだと思うんです。まずその前提として、何となく国民の皆さん方の間には、運輸省所管特殊法人であるとするならば、運輸省を頂点としてその関連の特殊法人があって、そこに何かいっぱい人が行っていて、また何かよくないことをしているのではないか、決してそんなことはないと思うんですけれども、私などは、みんな一生懸命頑張っていらっしゃると思うんですけれども、悪いニュースが出てしまうもんですから、何となく悪いことをしているんじゃないかというふうに思っていらっしゃるのではないかと思うんです。  そこで、お尋ねをさしていただきますが、運輸省から所管特殊法人に天下りをしている、あるいは運輸省OBの方で、渡り鳥的にいろいろな法人を渡り歩く方もいらっしゃると思うんですが、とにかく運輸省に関連のある方、あった方で、その特殊法人九社、これはJRも含めていただくと十六法へそれから共管で五法人ですか、とにかく運輸省に関係のある特殊法人にいらっしゃる方々、役員と一般の職員を合わせた人数をお答えいただけますか。
  65. 土井勝二

    ○土井政府委員 申しわけございませんが、手持ちの資料でいわゆる天下り関係あるいは常勤役員の規制関係で、一般的にJRの七社及び関西空港株式会社というのが商法上の会社でございまして、代表権を持つ役員以外の役員について政府の関与がないという観点から、ただいま手元にございます法人がJR七社と関空を除いて八法人でございます。  それで、この八法人の常勤役員総数が、先ほども申し述べましたように、六十名でございまして、そのうち運輸省出身者は二十一名でございます。これが役員の状況でございます。  それから、運輸省の出身または出向の職員でございますが、これにつきましても八法人で計算をいたしますと、八法人の総数、職員の総数が一万五千三百十人でございますが、このうち運輸省出身の、あるいは出向の職員数は百三十人、約〇・八%ということになっております。
  66. 川内博史

    ○川内委員 職員が一万五千三百十名というのは、圧倒的に数の多い特殊法人というのはどこがあるんですか、職員数が多いのは。
  67. 土井勝二

    ○土井政府委員 この一万五千三百十人中圧倒的に職員の数が多いのは、帝都高速度交通営団でございます。職員数が一万三百九十七人でございます。
  68. 川内博史

    ○川内委員 全体で、役員職員合わせて百五十名ぐらいの方々が特殊法人でお仕事をしていらっしゃるということだと思いますが、こういう特殊法人に人を送り込んでどんな仕事をしているのだろう、あるいはその天下った人、出向している人が個人のポストとしてどんな仕事をしていらっしゃるのだろうということを、みんな興味を持って知りたいと思っているわけですね。  それはなぜかというと、特殊法人というのは、普通の民間事業会社とは違って、一生懸命セールスをするわけではないですし、かばんを持って営業に歩くわけではないと思うのですね、政府が本来行うべき仕事を代替してやるということでしょうから。では、飯の種であるお金はどこから来るのだろうということを考えますと、一般会計あるいは財政投融資から、毎年の予算に応じて資金調達をされていらっしゃるのだと思うのです。  そこで、これらの特殊法人法人について、財投から幾ら資金調達をしているのか、また一般会計からは幾ら出ているのか、平成九年度予算でお答えをいただけますでしょうか。
  69. 相原力

    相原政府委員 私の方から、財政投融資の関係についてお答え申し上げます。  運輸省関係の特殊法人でございますが、そのうち、平成九年度財投が予定されていない法人もございます。鉄道整備基金とか観光振興会等でございますが、それらを除きまして、それから一部、住宅・都市整備公団建設省と共管でございますが、鉄道分が四十一億ほどございますので、これを含めまして八特殊法人でございますが、運輸省関係八特殊法人合わせまして、平成九年度一兆一千九百二十二億円の財投を計上いたしております。
  70. 土井勝二

    ○土井政府委員 一般会計からの補助金等の支出額でございますが、一般会計からお金が出ている特殊法人全体で申し上げたいのでございますが、日本鉄道建設公団平成九年度予算におきまして五百四十四億八千七百万円が支出されているのを初めといたしまして、合計で、運輸省所管特殊法人に対して九百九十一億一千万円の補助金等が支出されております。
  71. 川内博史

    ○川内委員 合計で、財投と一般会計と合わせて一兆三千億程度ということだと思うのですが、一兆三千億ものお金を、七つか八つか、そのくらいの法人で使うわけですから、一つ一つ法人は、民間事業会社でいえば、これはもう大会社ですよね。年商が大体一千億程度ある会社あるいは二千億ある会社というのは、株式を上場して、株主総会を経ていろいろな情報というものが開示をされていくわけですけれども、特殊法人については、お金の流れとか、もちろん先ほど申し上げました人事とか、どうもよくわからないというところが、一般の国民の皆さん方が不審を抱く、どうなっているんだろうなと思われるところだと思うのです。  そこで、本当に瑣末な、重箱の隅をつつくようなことをお伺いをして恐縮なのですけれども、しかし、財投やら一般会計やら、国民の皆さん方からお預かりをしたお金を使って事業をしていらっしゃるわけですから、あえてお尋ねをさせていただきます。  先ほど天下りの職員の数をお伺いをしたわけでございますが、次は、その職員の方々の給与の総額というものが年間幾らぐらいになるのかということを、お尋ねをさせていただきます。
  72. 土井勝二

    ○土井政府委員 お答え申し上げます。  運輸省所管特殊法人法人、これにはJR関係七社と関空が入っておりませんが、この八法人の常勤役員総数は六十名でございます。このうち、運輸省出身者が二十一名でございます。この二十一名の年間給与総額は約四億九千四百四十五万円でございます。  他方、職員の方でございますが、先ほど百三十人の者が運輸省の出身あるいは出向していると申し上げましたが、この百三十人の給与の総額、申しわけございませんが、今データを持ち合わせてございません。
  73. 川内博史

    ○川内委員 では、それはまた後日教えていただきたいと思います。  役員の方々が一人平均大体二千五百万円のお給料を毎年毎年その特殊法人でいただいているということでございましょうから、恐らく一生懸命にお仕事をしていただいているのだというふうに思います。  ところで、そういうふうにたくさんの人々を抱えて、また運輸省からも人を送り込んで特殊法人事業を展開をしていらっしゃるわけですけれども、運輸省所管特殊法人の中で、まあ特殊法人というのは利益を出さないのが原則なんだという議論があるわけですけれども、あえてお尋ねをいたしますが、利益を出している、毎年毎年決算すると、もうかっている特殊法人というのはあるのでしょうか。
  74. 土井勝二

    ○土井政府委員 お答え申し上げます。  運輸省専管の特殊法人JR各社等も含めまして先ほど専管は十六と申し上げました。この十六のうち、九年度の認可予算におきまして当期利益を出す見込みとされているものは、合計七社ございます。この七社の中には、東日本旅客鉄道の四百七十九億円を初めとして、JRの五社が入っております。したがいまして、JRを除きますと、二社が利益を出す見込みでございます。この二社は、帝都高速度交通営団三十億円、それから国際観光振興会六千万円、こういう当期利益を出す見込みとなっております。
  75. 川内博史

    ○川内委員 JRは除くとして、利益を出している法人に関しては民営化してもいいという議論は当然出てくると思うんですね。特に帝都、地下鉄については、巷間でも早く民営化しろというような議論もあるようでございますが、そういう、利益を出せる、あるいは自力でやっていける特殊法人があるにもかかわらず、今回、船舶整備公団鉄道整備基金二つ特殊法人統合対象に選んだ理由はどこにあるのか。また、この二つ特殊法人運輸施設整備事業団という新しい特殊法人に生まれ変わることによって、国民の皆様方にどんな利益があるのかということをよくわかるように御説明をいただきたいと思います。
  76. 相原力

    相原政府委員 行政改革というのは非常に大きな課題でございます。その中でも特殊法人整理合理化というのは、ずっと前からの大きな課題でございまして、政府といたしましても、その都度検討、そしてまた逐次実行に移してきているところでございます。そういう中におきまして、平成七年二月二十四日に、特殊法人整理合理化という閣議決定を行いました。また、この閣議決定も受けまして、昨年の十二月二十五日にも「行政改革プログラム」を閣議決定したところでございます。  これらの閣議決定に基づきまして、一つには、行政改革推進を図る、要するに、簡素で効率的な行政という観点での行政改革推進を図る、もう一方では、運輸関係施設の効率的な整備推進する必要がある、こういう両者の観点から、今回鉄道整備基金船舶整備公団統合いたしまして、運輸施設整備事業団設立するということにいたしたところでございます。  国民にとってどういうようなメリットがあるかということでございますが、そういう行政改革観点あるいは運輸関係施設の効率的な整備ということがもちろんあるわけでございますが、また、統合によりまして、まず役員削減される。現在の両法人合わせますと十一名になりますけれども、そのうち三名を削減して八名にするということを考えております。また、その他の部等の管理部門縮減あるいは定員の削減等もあわせまして、管理経費低減を図るというのが一つメリットがあろうかと思います。  それから、現在それぞれの法人で、補助金なり無利子貸し付け資金の融通、共有方式あるいは債務保証等.いろいろな形での支援をしておるわけでございますが、このような多様な支援措置による運輸施設の総合的また効率的な整備を図ることができる、こういうことにより、時代要請に応じた運輸施設の円滑な整備推進される、このように考えております。
  77. 川内博史

    ○川内委員 いろいろと理由説明をしていただいて、御丁寧にありがとうございます。  ただ、役員の数を、両方合わせると十一名から八名になるんだ、三名減になりますというふうに御答弁になられたわけですけれども、私が、ちょっと間違っていたらごめんなさい、ずっと前御説明をいただいたときに、削減される三人の中で定年で退職する人がいるんでしようと聞いたら、二人いますとお答えをいただいたような記憶があるんです。ですから、まあ一人少なくなろうが三人少なくなろうが、それはそれほど大きな、それでも税金ですから大きい話ですが、質問通告はしていませんので、あえてもう一度確認はいたしませんけれども、その辺、例えば、両方合わせると十一名ですが、しかし今期限りで役員を退任をする人間が二人おります、あるいは一人おります、それで、二名削減をして合計で八名にしますとか、やはり正直に何でもお答えをされる方が、あらぬ誤解を受けずに済むというふうに思いますが、それはいいです。  いろいろな理由を御説明をされたわけですけれども、結局、国民にとっての利益あるいは国益というのは何なんだろうかということを考えると、やはり国鉄というのは民営化されて本当によかったなというふうにいろいろな意味で皆さん思っていらっしゃると思う。大成功の例だったと思う。その遺産として清算事業団というものはあるにしても、やはりJRで働く人々も意欲を持って働いていらっしゃるし、また、JRに乗る、私なども乗る者としても大変にありがたいことだなというふうに、政府の御努力に敬意を表するわけでございますし、感謝もしているわけでございます。そういう意味で、せっかく行政改革をやっていくのであれば、もっともっと国民の皆さん方にとって、なるほどな、やってよかったんだなと思っていただけるようなことを、これからもどんどんおやりいただけるんだというふうに信じておりますので、よろしくお願いをいたします。  具体的に質問をさせていただきますが、統合される二つ特殊法人のうちの船舶整備公団でございますけれども、これは、つい最近、平成九年の三月に、海上運送事業に関する行政監察の結果報告書に、船舶整備公団事業運営の合理化効率化に関する勧告が出ております。内容的には事業をもっと効率化しなさいということですから、整備公団が今回合理化対象に選ばれたというのは、そういう意味では運輸省の御判断というのは正しい御判断であった、この監察が出る前に閣議決定がされているわけですから、そういう御判断は正しかったというふうに思うのですが、確認の意味で、総務庁さんに来ていただいておりますので、この行政監察の結果、勧告の内容について御報告をいただければと思います。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  78. 堀明彦

    ○堀説明員 御説明をいたします。  船舶整備公団につきましては、海上運送事業に関する行政監察の中で、関連する特殊法人として公団事業についても調査し、本年三月に勧告をしたところでございます。  勧告事項といたしましては、貨物船の改造工事に係る融資業務見直し、重点化及び組織体制整理合理化と要員の合理化の二点でございます。  具体的には、まず、改造工事に係る融資業務につきましては、船舶の能力増加、性能向上、そういったものを目的としない改造工事への融資実績が極めて少ないということになっております。そうしたことからこれを見直しまして、能力増加等を目的とする改造工事への融資に重点を置いた制度運用とするよう勧告をしたところでございます。  また、組織体制へ要員につきましては、共同建造業務のうち、近海船の共同建造業務は現在新たな共同建造を行っておりませ、債権管理業務のみを行っておりますけれども、件数も少なく、また一命後大幅な業務量の減少が見込まれる。さらには、公団の内部組織における同種類似の業務といったものにつきまして、一人当たりの取扱件数といったものを比較しますと、客船部なり貨物船部へそういった各部間での格差が生じている。そういったことから、業務量に対応した組織体制なり要員の見直しを行って、その合理化を図るよう勧告したところでございます。
  79. 川内博史

    ○川内委員 今総務庁さんかち御報告があったわけですけれども、それでは運輸省さんにお尋ねをいたしますが、この勧告をどのように受けとめて対処をしていかれるおつもりであるのかということをお聞かせをください。
  80. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 ただいま御説明がございました行政監察の御指摘は、鉄道整備基金船舶整備公団との統合が予定される中で、これちの統合とあわせて、業務運営の合理化を徹底していくことを求めておられるというふうに思っております一私どもといたしましても、今御指摘があるようにただ合併するだけではなくて、業務内容に即したように変えていかなければならない、効率化を求めていかなければならないということはぶそのとおりに受けとめておりまして、真剣に対応していきたいと思っております。  具体的には、今回の統合に際しまして、今御説明輝ございました業務の運用及び内部組織について再検討を行いまして、勧告の御趣旨に沿った融資業務の重点化、部や課の整理を含めた組織体制、要員の見直しを行いたいと考えております。ただいまの説明の中で要旨を御説明いただきましたけれども、実際の勧告はもう少し詳しく詳細にわたっておりますので、そこら辺も含めまして、真剣に対応していきたいと思っております。
  81. 川内博史

    ○川内委員 ぜひこの勧告を重く受けとめていただいて、御努力をいただきたいと思います。  次に、先ほどの北橋議員の質疑の中でも出てまいりましたけれども、今回のこの合併で、新たな業務が出てきているわけですね。法案を見ますと、研究業務というものが出ているわけでございます。船舶整備公団それから鉄道整備基金鉄道と船なんですけれども、第一条には、航空輸送に係るという文言も出てきているわけです。これは、今回の合併でどういう研究開発を予定をされているのか一公募をして決めるんだというふうに先ほど御答弁があったわけですけれども、公募して、審査委員か何かがいらっしゃって、これがいいやといって決めるのか、ある程度何かこういった分野のというものがなければ、航空輸送とまではお書きにならないでしょうし、何かそういう具体的なものがあるのかないのか、その辺まで含めてお聞かせをいただければと思います。
  82. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  基礎的研究の実施でございますが、先ほど来御答弁いたしておりますように、公募方式でやるということでございまして、現在考えておりますスキームといたしましては、運輸施設整備事業団の中に課題選定委員会というふうなものを設けまして、そこで研究課題を選定していただく、各分野の専門家等に委員になっていただきまして研究課題を選定していただく、また、その後、研究評価委員会というのも設けまして、研究内容の評価を行っていただく、こういうことを考えているところでございます。  そういう前提で、その課題の検討委員会の中で具体的な課題についても選定していただくということになるというふうに考えておりますが、現時点で、私ども、どういうようなものが考えられるかということでございますと、募集テーマといたしまして考えられますのは、例えば輸送システムの高度化に関する技術、安全性の向上に関する技術あるいは環境技術などが考えられるととろでございます  また、航空機との関係、御質問がございましたけれども、例えば先年ございました中華航空機事故、名古屋でございましたけれども、その際の原因とも考えられておりますヒューマンエラーの防止、航空機事故においては、ヒューマンエラーの防止というのは非常に重要なファクターになっておるわけでございますが、そのヒューマンエラー防止のための航空機の操縦の際の人間と機械とのかかわり合いのあり方について、人間工学あるいは心理学の観点も含めた研究というふうなものも想定されるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  83. 川内博史

    ○川内委員 いろいろと幅広い分野で公募をして、選定委員会において決定をして研究をされていかれるということだと思うのですけれども、現在運輸省所管研究開発をやっている、運輸にかかわる陸海空の分野研究開発をやっているところ、機関というのは今までになかったのですか、それをもう一度……。
  84. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  運輸省関係でも、船舶関係の研究所あるいは港湾技術研究所電子航法研究所研究機関はございます。ただ、そちらでも一般的な基礎的研究業務も行っているわけでございますが、主として、例えば自動車関係、船舶関係等につきまして安全基準を国が設定しているわけでございますが、その安全基準の策定に必要な研究とか、あるいは港湾でいえば港湾工事に必要な研究ということで、そういうニーズに直結したような研究が主眼であったということでございます。
  85. 川内博史

    ○川内委員 研究しているところはある、しかし実用的な研究をしていて基礎的なものではない、だから、基礎的な研究機関をつくるんだということでよろしいですか。
  86. 相原力

    相原政府委員 お答えいたします。実用的なもので基礎的なものをやっていないという趣旨ではございませんで、基礎的なものも含まれますが、実際、行政上必要となるようなものに直結するような研究一その部分でも基礎的な研究も含まれるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますような技術基準の策定に必要な研究とか、あるいは港湾工事に必要な研究というような意味で、基礎的研究であっても行政ニーズに直結するまうなものが主眼でありました。  今回主として考えておりますのは、科学技術基本沫あるいは昨年七月に閣議決定されました「科学技術基本計画」等にもうたわれておりますように、基礎的、独創的研究、こういうようなものが従来民間でも必ずしも十分に行われていない、それから国の研究でも必ずしも十分に行われていない、そういうような分野について、公募方式による競争的な環境下においてそのような研究を行えば、基礎的あるいは独創的な研究が非常に進むのではないか、そういうような観点から、今回こういう方式を採用したものでございます。  なお、これは平成八年七月二日の閣議決定にもございますように、平成八年度から、政府全体といたしましては、科学技術庁を初めほかの省庁でもこういう制度を開始しているところでございます。
  87. 川内博史

    ○川内委員 済みません、ちょっとよく聞き取れなくて。予想的研究ですか。
  88. 相原力

    相原政府委員 失礼いたしました。基礎的及び独創的研究、これらについて、民間にも、そしてまた現在の国の機関にも現状では必ずしも十分な期待ができないということで、公募方式によって競争的な環境下で行えば、このような基礎的、独創的な研究がより進むんではないかというようなことが「科学技術基本計画」にもうたわれているところでございます。
  89. 川内博史

    ○川内委員 基礎的な研究というのはどんな分野においても非常に地味な研究だと思うんです。で、独創的というのは、何か言葉から受けるイメージはちょっと華々しいというようなイメージがあるんですけれども、その基礎的な研究と独創的な研究というものが、いかに両立をするのかよくわからないんです。独創的な研究というのは、例えばさっき御説明をされたヒューマンエラーの問題ですとか港湾の何たらかんたらとか、そういうものが独創的な研究だとはちょっと私には思えないんですけれども、その独創的研究というものが予想している研究内容というのは、どういうものですか。
  90. 相原力

    相原政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、具体的には、選定委員会というような場で専門家の先生方に選定をしてもらうことになろうかと思います。私どもが今想定しているものは、先ほど申し上げました航空機事故の際のヒューマンエラーの関係、それから、例えば港湾工事で先ほども言及いたしましたのは、運輸省研究機関である港湾技術研究所において、港湾工事のために必要なものということでやっているという例で御説明いたしたわけでございます。それ以外にも、例えば、阪神・淡路大震災の際に大変神戸港は大きな被害をこうむったわけでございますが、そういう大災害の場合に復旧対応を著しく早めるような、埋め立てに用いられるような土砂とそれから何らかのものを混合すれば、非常に短期間で固化できるようなもの、そういうようなものも、従来余り考えられていなかったようなものを、独創的というような意味で考えているところでございます。  それからなお、リニアモーターカーなども、現在は、極低温というか非常に低い低温のものでなければできないということになっておるのでございますが、それを、極低温でないものであってもできるようなリニアモーターカー、こういうようなものも、言ってみれば独創的な研究ということで期待をしているところでございます。
  91. 川内博史

    ○川内委員 しつこく申し上げて大変恐縮でございます。せっかく二つを合併をして新しい業務をつけ加えられるわけですから、国民の皆さん方からよくやったとおっしゃっていただけるような、あっと驚く独創的な研究をしていただいて、そして、発表をしていただいて国民の皆さん方に還元をしていただけるように、ただつけ加えて、何十年たっても何をやっていたかよくわからなかったということではなくて、せっかく新しい分野業務をやるわけですから、そういう意味で一生懸命頑張っていただけるんだというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。  それからもう一点、船舶整備公団についてお尋ねをいたしますが、船舶整備公団が船を船主さんと共同で建造をする場合に資金を融資をするわけでございますが、そのときの金利の決め方、どういう金利でその融資を実行をしていらっしゃるのかということに関して、教えていただければと思います。
  92. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 お尋ねの船舶整備公団の貸出金利につきましては、長期プライムレートを基本として金利を決定しております。  ただ、超低金利時代が到来しておりまして、現状では、財投金利に一般管理費に相当する額として〇・二%を上乗せして貸出金利として決定をしております。
  93. 川内博史

    ○川内委員 今度、長期プライムレートが〇・六引き上げられて三・一に上がりますけれども、そのマーケットの金利との、現時点では逆転しているわけですけれども、マーケットの金利が財投金利を上回った場合には、即座にそれは変更されるものなんですか。
  94. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 今後長期プライムレートがどのようになるかということなんですが、基本的に、先ほど申し上げましたように、プライムレートの方が普通は財投金利よりも高いわけでございますので、そのようなことになれば原点に戻ることとなりますが、ちょっと今、どういう状態でどうなるかという、まさに金利、生き物でございますので、財政当局とも相談しながら決めていきたいと思っております。
  95. 川内博史

    ○川内委員 ぜひ、国民の皆様方からお預かりをしたお金でございますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、鉄道整備基金についてお伺いをいたします。  今までは、この鉄道整備基金は財投と一般会計ということで資金調達をされていらっしゃいますけれども、平成九年度は、JRの三社の経営安定化基金ですか、から千六百三十億円を利率四・九九%、まあ五%で調達をされると。これは、今まで財投で資金調達をしていれば二・六で調達が済むんですけれども、経営安定基金から調達をすることによって、その約倍の金利負担を負うことになるわけです。この鉄道整備基金自体の決算というのは赤字になっておりますけれども、赤字の特殊法人でありながら、なぜ高い金利のものを調達をするのかということに関して、御説明をいただきたいと思います。
  96. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 今年度から鉄道整備基金、JR北海道、JR四国、JR九州、この三社の経営安定基金から借り入れることにいたしました。  それで、このような措置を講ずる趣旨でございますけれども、JR北海道、四国、九州、この三社の最近におきます経営の悪化が、低金利に伴います経営安定基金の運用益が減少している、これが大変大きな要因であるということから、鉄道整備基金資金調達機能を活用いたしまして、この経営安定基金の運用益に関しまして一定の水準を確保してあげようと、こういった措置を講ずるということによりまして、このたびの経営基金の予算から、三社からの借り入れというのを実施したわけでございます。  その際に、四・九九%というものの根拠でございますが、これは、過去十年間、具体的には昭和六十一年度から平成七年度までの間の長期国債の応募者利回りの平均が四・九九%でございますので、これを採用いたしました。  御質問趣旨は、さらにそのような措置を講ずることによる負担が一体どうなっているかということであろうかと思いますが、このような措置によりまして、基金がいわゆるJR北海道など三島会社から借り入れた資金の償還と利払いにつきましては、新幹線の譲渡の約定に基づきましてJRの本州三社が負担をするということになっております。そういう意味では、高目の運用益を確保することに伴う負担につきまして、JR本州三社の協力に基づいて基金の高い運用益の確保という措置が成立をしている、こういうことでございます。
  97. 川内博史

    ○川内委員 JRの本州三社が高い部分については払っているわけですか。どのくらい払っているのですか。
  98. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 先生御承知のとおり、既設の新幹線、すなわち東海道、山陽、東北、上越新幹線、これにつきましてはJR本州三社に譲渡いたしましたけれども、この譲渡代金といいますのは、鉄道整備基金とJR本州三社との約定に基づきまして、ある一定の条件のもとに年賦の償還をしております。したがいまして、今申し上げました経営安定基金を借り入れるというのは、要するに、新幹線の年賦償還に基づきます代金決済システムを活用したシステムの中で位置づけておりまして、JR北海道、四国、九州から、高い一定の利率で経営安定基金から借りました分、これにつきましての利子なりそれの償還は、JR本州三社の新幹線の譲渡代金の償還の一部になってくるということでございます。したがって、利率が高まった部分は本州三社が負担をするということでございます。  なお、さらにつけ加えさせていただきますと、これに対して、JR本州三社は、それだけでは単に負担の増大になりますので、一方では、新幹線の譲渡代金に関しまして、基金の方に繰り上げの償還を行う、こういうことを認めておりまして、基金との間の一定の金利に基づく償還を、例えば本州三社はもっと低金利のお金で調達いたしまして償還をするというような方法も、あわせてことしから認めることにいたしております。
  99. 川内博史

    ○川内委員 鉄道局長説明ではようわからぬのですけれども、結局、私が申し上げているのは、鉄道整備基金自体として、四・九九で千六百三十億調達しているのは間違いないわけでしょう。だったらば、鉄道整備基金の財務諸表上あるいは損益計算書上に、千六百三十億を四・九九で調達した分の金利の払いというものが出るわけですよね。今まで二・六で済んでいたものを、なぜ四・九九にするのかということをお尋ねしたわけです。何が何ちゃらかんちゃらとかいって、持って回って、結局、そういう運輸省ファミリーとして関連の法人を全部丸抱えにして、わけのわからぬようにしているから、みんなが疑いを持つのですよということを冒頭に申し上げたのです。  一つ一つ特殊法人をそれぞれ独立させて、しっかり頑張れというふうにしていかなければ、ここは赤字だからこっちから面倒見よう、こっちはちょっと苦しそうだから、こっちから金を引っ張やてこよう、そういうことをしておるから、みんなが疑問を持つのです。そういうことをしておるかち、悪いことをする幹部も出てくるのじゃないですか。結局、どこかから金が流れてくるのだから。行政改革特殊法人改革というのはそううことだと思います。  私、両法人の、鉄道整備基金船舶整備公団の財務諸表も拝見をさせていただきましたけれども、ここ十年ぐちいですか、船舶整備公団は見事にプラス・マイナス・ゼロ。もうけもないし損もないプラス・マイナス・ゼロの状態が十年ぐらい続いております。鉄道整備基金は若干の、といっても何十徳の単位の赤字でございますけれども、この両法人が合併をする、そうすると、損益上は毎年また赤字になるということでよろしいですか。
  100. 相原力

    相原政府委員 両法人統合は、私どもとしては本年度十月一日を目標としているところでございますが、両法人、それぞれ重要な業務を行っておりますが、特殊法人性格もあり、必ずしも現時点では利益を上げるというところではございませんが、新法人業務につきまして、一層の効率化等を図りまして、経営につきましても効率的な経営ができるように、私どもとしても十分見守っていきたい、あるいは指導をしていきたいというふうに考えております。
  101. 川内博史

    ○川内委員 両法人を合併させるのに、損益がどうなるかも現時点ではわからぬということですから、そんないいかげんな合併はないと思います。  時間が参りましたので、最後に大臣にお伺いをさせていただきます。  とはいうものの、今回の一法人統合に関しては、とにかく、行政改革を行っていくという意味では前進をしているというふうに考えております。しかし、今後、運輸省所管で先ほど帝都高速度交通営団の名前も出ましたけれども、民営化をすべき法人もあるのではないかというふうに考えております。大臣として、特に、運輸省所管特殊法人整理合理化に今後どのように取り組んでいかれるのか、御決意、御所見をお伺いをさせていただいて、最後の質問にさせていただきます。
  102. 古賀誠

    古賀国務大臣 御承知のとおり、今日までも運輸省といたしましては、経済社会の構造的な変化国民ニーズ変化に対応すべく、特殊法人改革には不断の努力をしてきたところでございます。  整理合理化につきまして、平成七年の二月の閣議決定によります「特殊法人整理合理化について」に基づきまして、今回御提案を申し上げております鉄道整備基金船舶整備公団統合を初めといたしまして、今先生もお触れいただきましたけれども、帝都高速度交通営団民営化、JR東日本を初めといたしますJR七社の純民間会社化、こういった問題につきまして、着実に推進をしてまいりたいと思っております。  なお、運輸省所管のあらゆる特殊法人の今後のあり方につきましても、今までより厳しく、不断の検討、そして改革への意欲、努力、そういったものに努めていきたいと思っておりますので、御指導のほどよろしくお願いいたします。
  103. 川内博史

    ○川内委員 どうもありがとうございました。
  104. 杉山憲夫

    杉山委員長 この際、暫時休憩いたします。      午後零時二十九分休憩      ————◇—————      午後二時二分開議
  105. 杉山憲夫

    杉山委員長  休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。寺前巖君。
  106. 寺前巖

    ○寺前委員 運輸施設整備事業団法の改正について質問をしたいと思います。  きょう、大臣説明を聞いておりましたけれども、まことしやかな立派な言葉がざっと出てくるわけです。しかし、だれが考えても簡単に言えることは、鉄道整備基金船舶整備公団とを一つに統一したということ以外の何物でもないのではないか。九五年の二月に閣議決定されて、特殊法人整理合理化と大上段に振りかぶったけれども、結局のところ、これやったのかということになるんじゃないだろうか。そんなもので賛成できるかいな、新進党の人がおっしゃったのも理のあることだと思います。民主党の人が質問をされた内容を聞いておりましたら、反対されるのかなという感じを受けました。どうも違うらしいけれども、しか七、気持ちはやはりそういうことになっているんじゃないだろうか。私はこの際に、本当に取り組むのだったら取り組むらしくやりたいものだということをつくづく感ずるものであります。  大臣の御説明を聞いておりますと、「鉄道事業者海上運送事業者等による運輸施設整備推進するための支援を総合的かう効率的に行うことにより、輸送に対する国民の需要の高度化多様化等に的確に対応した大量輸送機関を基幹とする輸送体系の確立」を図ります、こう言われるのです。  そうすると、鉄道事業の方はこんな格調でやるんやけれども、それでは空の方はどうなるんや、港湾の方はどうなるの。あれは運輸省でやっているじゃないか。こういう格調で、こういうものをしますと言うんだったら、全部一緒にやったらよさそうなものなのに、全部一緒にやろうとは言わない。考えてみたら、大体そういう鉄道整備基金なるものが要ったんだろうかというふうに、もう一度原点にさかのぼって振り返らざるを得ないと私は思うのです。  税金や公的資金等によって公共事業の基盤整備をやるというのは当然のことですが、運輸省の場合でも、空港や港湾整備については運輸省で直接やっているのに、何で鉄道だけが特殊法人として行わざるを得ないんだろうか。どこから考えても、この原点が私にはわからない。そうなると、もうこれ以上質問することがなくなる。政策決定は全部運輸省がやるのに、何で金を動かすところが、別なところをつくらんならぬ。全部そういうことになってしまわへんか。何で鉄道に限ってそうなるんだ。これは一定の経過がありましてと言うんだりたら、それはそれなりに、そうかいなと。そうだけれども、今となったら、もうあれから随分時間もたったんだから、整備してしまったらどうなのか。こうなったら、なるほど、私もそれなりにわかりますよ。そうじゃない。何やらわけのわからぬものを二つぽんとあわせて、言うことだけはでかい話をするから、ええかげんにしといてくれや、こう言わざるを得ないという性格になると思うのです。  大臣、どうでしょうか。こんな中途半端なやり方というのは、メスをもう一度入れ直してやってもらいたいと私は思うのですがいいかがなものでしょう。
  107. 古賀誠

    古賀国務大臣 今回御提案を申し上げております法律案、それぞれの党から評価をいただいているところでございます。確かに特殊法人、これから大胆な改革が求められてくるわけでございますが、そのための最初のスタートとして、今回、鉄道整備基金船舶公団とを統合いたしまして、運輸事業団法として御提案申し上げている、こういうことでございます。先生から見られると、生ぬるいという御指摘でございます。私どもといたしましては、まず特殊法人改革への一歩だということで、ぜひ御理解をいただきたい、こう思っているところでございます。  なお,この鉄道整備基金設立された経過について、先生はよく御承知おきいただいていると思っておりますが、新幹線鉄道保有機構というものが保有しておりました既設の新幹線譲渡収入の一部をどういう形で活用していくかということを考えた場合に、鉄道整備基金というものを設立させていただくことによって、一般会計からの補助金等を加えまして、鉄道助成の実施に係る業務をこの基金で行わせていただく、また同時に、同機構から承継した債務の償還等を行う、こういうことで平成三年に設立されたという経過があるわけでございます。まさに実務を鉄道整備基金がやっていただいて、そして国の方は鉄道助成に係る企画立案という業務に専念をする、こういうことで、先生が御指摘いただいている二重行政というのには当たらないのではないか、こういう認識を持っているわけでございます。  こういった事情から、今般の法人統合におきまして、今までどおり鉄道整備に対する助成については、今後もその必要性の高いことから、引き続いて、今回御提案申し上げております運輸施設整備事業団によって円滑に行わせていく、このようにいたしているところでございます。
  108. 寺前巖

    ○寺前委員 二重行政とあえて大臣の方から言われたから、そのとおりです、二重行政になっているよということをあえて申し上げて、中途半端なことをやらないようにしてほしいものだとつくづく感じます。  同じように、運輸省といえば、前から懸念している問題が幾つかあるのです。  行政改革をいうのだったら、いろいろなところで中途半端にならないようにやってほしい。その一つに、日本船舶振興会問題があるのです。これは前から私も気になっているのです。  平成三年、一九九一年の十二月二十六日に総務庁の事務次官が日本船舶振興会の笹川良一理事長あてに、「日本船舶振興会は、設立の形式から特殊法人とされているが、総務庁としては、実質上、民法上の財団法人として取り扱うこととする。」という文書を出しておられる。これは参議院でも問題になりました。船舶振興会から、振興会は特殊法人であるが、同時に民法法人でもある、したがって、一般特殊法人と違って民間法人的な性格が強いということを確認してほしい、総務庁作成の「特殊法人総覧」に、民法法人であることを明確にするため、(財)という字をつけてほしい、この種の答弁委員会でやっておられました。総務庁、お見えですか。間違いございませんか。
  109. 松田隆利

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  先生先ほど御指摘のとおり、日本船舶振興会につきましては、モーターボート競走法によりまして設立されている法人でございます。同法におきまして、「民法第三十四条の規定により設立される財団法人とする。」とされているところでございます。同時に、この法人設立に当たりましては、政府設立委員を命じまして、いわば強制的に設立させるということでございまして、当庁、総務庁設置法で言いますいわゆる特殊法人に該当するものでございます。  総務庁といたしましては、こういう民法法人としての性格を持ちつつ同時に特殊法人であるということでございまして、民法法人であるということを考慮に入れつつ、これまで行政管理あるいは行政監察の対象である特殊法人としてこの日本船舶振興会を取り扱ってきたところでございます。  くだんのメモは、その点における、民法法人であるという性格を確認してほしいという要請が当時ございまして、お出ししたものでございますが、その文書を出す出さないのいかんにかかわらず、特殊法人としてこれまで行政改革等の対象にしてきているところでございます。昨今におきましても、各般の行政監察において日本船舶振興会を取り上げておりますし、今国会におきましては、行政監察の結果に基づきまして、特殊法人のディスクロージャー法を御提案申し上げておりますけれども、その中においても日本船舶振興会をり上げているということでございます。その旨を、先般の参議院内閣委員会で、当方よりお答え申し上げた次第でございます。
  110. 寺前巖

    ○寺前委員 これを何ぼ読んだって、あなたは同時にとかなんとかいろいろおしゃべりになったけれども、読めません。「総務庁としては、実質上、民法上の財団法人として取り扱うこととする。」こう書いてある。実質上、特殊法人として扱いませんと読めるのですよ、実質上こうやと言うたら。何ば書いてあったってそうですよ。これはそうしか読めない。だから、あなたのところの大臣も、でき得ればこれは何とかしたいということを言わざるを得ないというのは、僕はそういう読み方にならざるを得ないなと思ったんだけれども、これを私はそういうふうにしか読めないんだけれども、運輸省はこれを知っていましたか。
  111. 山本孝

    ○山本(孝)政府委員 総務庁が出したとされますこの文書につきましては、私ども運輸省としては関与しているものではもちろんございませんが、日本船舶振興会は、財団法人としてモーターボート競走法によりその設立を強制されておりますことから、設立当初よりこれは財団法人たる特殊法人であると考えております。
  112. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、運輸省はちゃんと、モーターボート法で特殊法人だ、こう言っておられると。総務庁は、実質的には民法の財団法人だと。そんなことを言っておったら、おかしなことになりませんか。だから大臣も、こんなものは誤解を生むから云々という答弁をされたのでしょうけれども、これのけりはどうしますか。
  113. 松田隆利

    ○松田説明員 この日本船舶振興会に関する総務庁の対応につきましては、今るる御説明申し上げたところでございますが、先般の内閣委員会におきましてこの問題が取り上げられました際、当方の大臣から、もう一つ不明確であるというお話がございまして、その後、私どもの方から、日本船舶振興会に対しまして、日本船舶振興会につきましては、民法三十四条の規定により設立された財団法人であると同時に、総務庁設置法に基づきます特殊法人であるということを確認すべく、日本船舶振興会に対して通知をいたしているところでございます。
  114. 寺前巖

    ○寺前委員 わかり切ったことを何で通知をまた出すのか、これもわからぬことです。法律にちゃんと決まっていることを何であえてやったのだろう。  私は、そこから起こってくる疑問がある。何の疑問を感ずるかというと、一つは、総務庁の設置法に規定されている審査権限、第四条の十一号、それから監察権限、法第四条の十三号は特殊法人対象にしているけれども、実質的には財団法人だと言ったら、そんなものはやめるということにしか読めないことになってしまう。  さらに、それだけじゃない。特殊法人役員について、一九七七年、昭和五十二年十二月二十三日の閣議決定で、「役員の長期留任は、これを避けることとし、原則として、その在職期間はおおむね六年を限度とすること。ただし、総裁等又は副総裁等の職にある者で特別の事情がある場合は、この限りでないが、この場合においても、原則として八年を限度とすること。」になっている。だから、特殊法人だ、特殊法人でないんだということによって取り扱いが、総務庁、違ってくるわけなんです。実質的に財団法人だというふうに言うたのだったら、今言うた内容について、やらぬことになる。特に人事の問題について、長期に同じ人間が在職しているのは悪いんだ、メスを入れようやないかとわざわざ閣議決定をやっていたことを、その団体についてはそうは扱いませんよということを宣言したのに等しいことになるじゃないか。そういうことにはならぬように改めて文書を出した、こういう意味ですか。
  115. 松田隆利

    ○松田説明員 日本船舶振興会に対しましては、御答弁申し上げておりますように、いわゆる行政改革ですとかあるいは行政監察の対象として、これまで取り上げてきたところでございます。行政監察の対象といたしましては、特殊法人に関する一連の調査を昭和六十二年以来行ってきておりますけれども、そういう中において取り上げまして、勧告等を行ってきているところでございます。同時に、特殊法人整理合理化におきましても、日本船舶振興会につきましても、これを対象外とすることなく、いわゆる経営合理化等を推進すべく閣議決定に取り上げているところでございまして、決して特殊法人の例外として取り扱ってきたところではございません。
  116. 寺前巖

    ○寺前委員 そうしたら、何であんな文書を出したのか、ますますわけがわからぬことになってしまう。  そこで、今度は運輸省に聞きたい。閣議でこういうことを決定しているのに、何でそのとおりにやらないんだろうかなということを、私、今度は運輸省に疑問を感じている。私は、さっき二つ疑問を感じたという一つだけを提起しましたので、も、一つを言っておきます。  それは何かというと、ちょっと調べてみた。石川という人が事務次官のときに、平成三年十二月二十六日、実質上、民法上の財団法人として扱うということをわざわざ書いた。この人のときに何が起こっておるかというと、こういうことが起こりている。総務庁事務次官退官後、九三年七月一日から平成六年七月五日まで新東京国際空港公団の監事に入っている。運輸省の中にどおんと、指導監督の中に入ってきて、それでその後運輸審議会の委員になるわけでしょう。審議会の会長にまでなってくる。何か、船舶振興会のところに運輸省の偉いさんがさあっと天下りしておったかと思うたら、今度は、こうやって財団扱いをすると言う人が出てきた。その人がだあっと運輸審議会の会長にまでなってしまう。おかしいな、何かあってこの文書が出てきたんやろうか。なかったら幸いです。だけれども、そういう疑問が出てくるんじゃないか。それから、総務庁出身者が公団役員や運輸審議会委員に就任しためは、私ちょっと調べてみたら、初めてのことなんだ。また、総務庁所管公益法人は、日本船舶振興会からの交付金を受けているわけです。事務次官の文書が出される前後の交付金の金額を見る七一平成四年度には、七法人に三億八千八百八十万円、五年度、七法人三億九千六百十万円、六年度、七法人四億二千四百十万円、七年度,八法人四億六百九十六万円、八年度、十法人四億一千四百四十万円。どっどっとふえていくんだ。法人数がふえていくし、金額も、べらぼうだとは言わぬけれども、だあっとこの分野ふえている、前後かち。  だから、僕は何か忌まわしいことがあるのと違うかいなと。これは邪推だったら、邪推で済んでよかったなあということになるかしらぬけれども、やっぱり何となしに感じざるを得ない。私、そういう疑問をこの文書が出たために感じたんだ。これは私だけが感じているとは思わへん。恐らく何かあったはずだから、こういうことになったんだろう。まあお役人の皆さんにどうやと聞いたって,そうですなんて絶対言わへん話だ。だから、お役人の皆さんには聞かぬけれども、運輸大臣は、少なくとも何かあったはずだからこういうことになってきたのと違うやろうかと、そして運輸省としても、そんな通達は、そういう扱いはしていないということをはっきり言っておられるんだから、運輸大臣として、その疑惑の問題についてともかく調べてみてくださいよ。何であんなものが出てきて、運輸省の中にまで関係してきやへんかどうか、大臣の責任においてひとつ一回見てくださいよ、私わからぬから。どうです。
  117. 古賀誠

    古賀国務大臣 大変敬愛する先生のこの問題についてのお話を承っておりまして、先生、これは素直にひとつお受け取りいただいた方がいいのではないかと思っております。  私も至って愚直なほど素直なものですから、今おっしゃっていただいているような点につきましては、石川さんのそれぞれの人事の問題についても、持っている経験だとか力量によってそのポストにおつきになっていただいているというふうに素直に実はとらせていただいております。ぜひひとつ、私に何かを調べろということでございますけれども、あえて先輩の先生に、申しわけございませんけれども、この点については、今申し上げましたような素直さというのが一番大切なことではないか、そういう認識でおります。
  118. 寺前巖

    ○寺前委員 素直にもほどがあるので、それでは、素直に閣議決定について運輸省はやっていたんだろうか。あの船舶振興会について、この閣議決定がされて十数年、二十年とは言わぬけれども、近くまで船舶振興会の会長をおやりになっていたのは笹川良一さんですよ。そうすると、閣議決定で決められておった線と違うことが起こっている  笹川陽平さんが振興会の理事長に就任しておられるけれども、これはまだ期限が、今度ですかな、もうそろそろ来て切るんですか。少なくともこうし走りやないかといって閣議で決めていることが、通用していないんでしょう。素直に聞いたら、何で素直に通用しないんだろうか。運輸省のやっていることに、私は疑問を感じます。どうですか。何でそうなっているんですか。
  119. 山本孝

    ○山本(孝)政府委員 現在日本船舶振興会の理事長をされております笹川陽平氏の在任期間についてのお尋ねだと思いますが、笹川陽平氏は、平成元年五月に理事長に就任し、その後二度再任され、現在の任期は平成十一年三月までとなってございます。  笹川陽平氏が理事長として再任されました理由といたしましては、同氏が現在のモーターボート競走業界におきまして指導的な役割を担っており、信望も厚いというようなことと考えられております。  さらに、先生再三にわたりまして昭和五十二年の閣議決定及び五十四年の閣議了解との関係をお尋ねになられましたのですが、この特殊法人役員につきましては、御質問閣議決定及び閣議了解のほかに、民間出身の役員に関する昭和六十一年七月一日付内閣官房長官決裁「特殊法人役員の選考について」というのがございまして、この運用方法は、いわゆる官僚等の出身ではない役員につきまして一若干の期限の延長を認めるというような内容になってございます。笹川理事長につきましても、この運用方針の範囲内であると考えているところでございます。
  120. 寺前巖

    ○寺前委員 わしが聞いているのは、笹川良一さんが長いことおやりになったといたということを中心に聞いている。その後の陽平さんの話をあなた長々とおやりになるけれども、私は、この通達が出ている時期というのは、ずっと人事面において長期にわたって会長の職にとどまっておられた時期だから、何でメスを素直に入れられなかったのだろうか、こういう問題についてやっぱり素直に取り上げなかったら、運輸省というのはあかんよということをわしは提起している。だから、邪推だと言って、まあそうは言われなかったけれども、さっきの問題はそう返されたから、また返させてもろうて、それでは、運輸省のやっておったことは素直に見られるかと言っている。ちょっと私、素直に見られへんよ。これはもう改めてもらわなあかん。これは大臣、後でお答えをいただくことにする。  同時に、今度はモーターボートの運営の話ですよ。モーターボート競走の収益の一部を毎年、交付金で六百とか七百億円とか受けて、その配分が公正中立にやられるようにということで仕事をしてもらっていると思うのです。  そこで聞きたいのは、特別競走なんです。あれはもともと、公営競技問題懇談会というところがあって、そこで、開催回数、開催日数について検討をいろいろやってきた。収益の配分に関する問題、施行権及び収益の均てん化の問題、のみ行為等の弊害の除去の問題及び業務の管理運営規則の問題に主眼に置いて検討してきた。そして、昭和五十四年六月二十一日にその結果の中において、「開催回数、開催日数については、各競技間の均衡、収益状況その他の要因を総合的に考慮して慎重に検討すべきであり、みだりに拡大しないようにすること。」こうなっておる。  そこで、その一般的回数をずっと決めておるわけだ。万博をやる。よっしゃと。そのときに特別にちょっと金を、収益を集めたいからやらせてほしいなということで、いろいろやる。地方競馬会でも、長野でオリンピックをやるからちょっとやらせてほしいな。そうかと。  ところが、僕は、気になり出したのは、船舶振興会がやるこの特別競走は、初めには二年間に限るとしておったものが、いつの間にやら「当分の間、」と広がってくる。「当分の間、」になるだけじゃない。やる中身が固定的な中身になってくる。しまいには、笹川冠がついたところの事業団活動が始まり出してくる。B・G財団に行ったら、入り口に銅像が置いてあったり、いろいろなことが起こってくるわけだ。そうでしょう。  僕はやはり、ここに書いてあるように、みだりに拡大しないようにすべきだというならば、それに従ってちゃんとやったらええと思うんだ。ところが、もう特別開催というのは、一たんこれだけの日数をやったら、それがもう当たり前のごとく恒常化させていくというやり方についても、僕は、長年検討してきた結果、わざわざみだりに拡大せぬようにと言うとるのに、この船舶振興会に関するところのこの分野だけは、一般開催とこの開催の日数とをもう固定的に見始めているということが気になり始めている。  その中身の問題になってくると、今度の予算を見ていると、こういうのが今度は出てくるわけでしょう。国際・奨学というものが予算に出てくるわけだ。平成九年度予定の拠出先に国際・奨学というのがある。二十五億円拠出する予定になっている。そこで、国際・奨学とは何だろうかと関係者にいろいろ聞いてみた。そうしたら、日本国際研究奨学財団と言われるものをずっと準備しているというわけだ。これまた同じように新しい、恒常的な組織をつくっていく、基金をつくっていくと。何で、船舶振興会が、片一方でみだりにするなよと総合的に研究してきたところがなっているのに、また新しい事業を一千億の予算でもって進めていこうと。一体どういうことになっているんだろうか。  私は、いわゆる公的な賭博と一般的に言われているこういう分野について、みだりにそういうことを既得権のごとくにしてやっていく、これは僕は問題だと。だから、大事において長期にわたっている問題についてもメスを入れなければいかぬし、事業のやり方についてもメスを入れなければあかんと。本当に行政改革をいろいろ云々するならば、中途半端にすることなく、そこにメスを入れてもらいたい。大臣、いかがでしょうか。
  121. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生から御指摘いただいているような人事の問題、また事業の中身の問題等、日本船舶振興会の運営のあり方につきまして、所管いたします運輸省といたしまして、今後十分指導、そしてまた監督に努めてまいりたい、このように思います。
  122. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来たのでやめますが、十分に監督指導をやる、この中身を意識してやってもらうことを期待申し上げて、質問を終わります。
  123. 杉山憲夫

    杉山委員長 濱田健一君。
  124. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 本日の中心的な議題であります運輸施設整備事業団法案、一九九五年二月二十四日に閣議決定をされた「特殊法人整理合理化について」というものと、昨年の十二月二十五日に閣議決定された「行政改革プログラム」をひっくるめて、こういう形に法案として出てきたわけでございます。  けさからの話を聞いておりまして、ゼロ足すゼロはゼロというお話が出てきたり、いわゆる特殊法人整理合理化についての中身の過不足の問題等々、いろいろな質問等が出されているわけでございます。特殊法人の改組のスタートということに当たって、運輸関係施設の効率的整備推進するということで、二つ特殊法人統合するということになるわけです。役員の数が多少減るとか、いろいろな面であるのでしょうけれども、鉄道と船に関する部分を一緒にするということや、補助金等が削減されるのでありましょうけれども、国民に対してきちんと説明できるメリットといいますか、けさから何回も質問になっているようですが、そのことを局長の方から御答弁願いたいと思います。    〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  125. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  先生の御質問にございましたように、今回の特殊法人整理合理化でございますが、平成七年二月二十四日の閣議決定、そして昨年十二月二十五日の閣議決定、両閣議決定に基づいて推進しているわけでございます。平成七年二月の閣議決定にもございますように、行政減量化と新たな時代要請にこたえるために、特殊法人について総合的かつ全般的な見直しを行ったということでございます。行政改革推進、そして運輸関係施設の効率的な整備推進するという観点で、二つ法人統合いたしまして、運輸施設整備事業団設立するわけでございます。この統合によりまして、先生の御質問にもございましたように、役員削減とか管理部門縮減あるいは定員の削減等によりまして、極力管理経費低減に努めている、これが一つメリットであろうかと思います。  また、第二のメリットといたしましては、いろいろな形での支援がございますが、補助金交付あるいは無利子貸し付け資金の融通、共有方式債務保証等、多様な支援があるわけでございまして、それが従来は鉄道船舶の両法人により別々に行われていたものでございますが、今回それを合わせまして、一つ運輸施設整備事業団の中で運輸施設の総合的、効率的な整備を図ろうとするものでございます。これによりまして、時代要請に応じた運輸施設の円滑な整備推進を図ることができるものである、このように考えております。
  126. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 資料をいろいろあさってみますと、二つ特殊法人一つになることによって業務見直しが示されているようですが、鉄道の方の業務見直しというのは、私が調べた範囲ではほとんどないわけで、港湾の方は四つぐらいあるように認識をしております。これは、いわゆる内航海運組合法ですか、これとの関係があるのではないかなというふうに思っているわけですが、追加する業務というものも、「科学技術基本計画」に基づいた中身のようでございますが、その洗い直しの中身について、もう少し具体的にお知らせください。
  127. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、鉄道関係につきましては、今回特に廃止等のものはございません。今回統合するに際しまして、業務の総合的かつ全般的な見直しを行ったわけでございますが、船舶整備公団の従来行ってきた業務の中で、今までの社会経済情勢が変化する中で、対象施設に対して、例えば業界団体からの支援が進んだもの、あるいは対象施設そのものに利用するニーズが減少した、そういうようないろいろな事情がございますが、政策的な必要性、緊急性が変化したことに伴い、廃止するべきものを今回廃止することとしたものでございます。  具体的に申し上げますと、港湾運送用船舶共有建造、それから第二に、港湾運送用荷役機械共有製造、第三に、貨物船解撤に伴う運転資金貸し付け及び債務保証、第四に、内航総連等の行う貨物船船腹調整事業に必要な資金貸し付け、これらの業務について今回廃止をするということにしたところでございます。  それから、新しい業務といたしましては、二十一世紀を目指した技術開発を図るために、運輸技術に係る基礎的研究の実施が必要であるということで、特に基礎的研究業務につきましては、科学技術創造立国を目指す我が国にとりまして、創造性そして独創性を生かした基礎的研究推進が極めて重要である、そういう観点から、今回公募方式によります運輸技術に関する基礎的研究というのを、新たにこの新しい運輸施設整備事業団の方で行うということにしたところでございます。
  128. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今の答弁については、後ほどもう少しお聞きしたいことがございます。  二つ法人一つになるわけで、当然、役員も三名ですか、合算した部分よりも三名減るというお話がけさからございましたが、やはりこういう場合には、私たちは一番心配なのが、職員の勤務の、労働条件の見直しといいますか、これが心配でございます。鉄道整備基金職員数が平成八年度で五十八名、船舶整備公団職員数が七十八名ということで、約百四十名ぐらいの職員の方がいらっしゃるわけですが、不利益が生じないようにやはり改組をしていかなければならない、細心の注意が必要だというふうに思いますが、大臣の御所見を。
  129. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生から御心配をいただいている労働条件の問題でございます。  御承知のとおり、統合されることによりまして、何といっても業務の効率的な運営というものが図られていかなければいけないわけでございます。そういう意味では、新しい事業団であります運輸施設整備事業団職員の方々が一丸となってやる気を持っていただき、一体感でこれを進めるとでりことが、まず何よりも大事なことだろうというふうに思っております。  そういう意味で、運輸省といたしましても、今回の統合に当たりまして、閣議決定趣旨を踏まえつつも、統合によって職員の労働条件等が悪化を来すということが万が一にもないように、私としては適切に対処してまいりたいと考えておりま
  130. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 そこのところはしっかりと、労使の話し合いを含めて指導をしていただきたいというふうに思います。  内航海運組合法の一部を改正する法律案があるわけでございますが、今の内航海運の現状といいますた厳しい経営環境にあるというふうに思っております。業者に対しての、今度のこの法律といいますか、特殊法人の改正を含めて、積極的な運輸省支援姿勢というものをちょっとお聞かせください。
  131. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 内航海運事業は、四五%ぐらいの国内輸送量を担っておるんですが、長期的には、日本の経済の構造が変わってきて、原材料の輸送分野が少しずつ減ってきているというか横ばい、微減の状態でございます。あるいはまた、短期的な経済の変動を受けて、輸送量が少し横ばいないしは微減の傾向にあるという状態でございます。その結果、用船料や運賃も、少しずつ物価は上がっているかあるいは横ばいなんですが、逆にこの用船料どか運賃につきましては、長期的に見ると、下がっている傾向にある、こんな状態でございます。そんな中で、大変厳しい事業運営に今直面しているということでございます。  私どもといたしましては、これは船腹調整事業の将来に向けての計画的解消とも関連するんですが、総連合会が昨年六月に内航海運の環境整備計画というものを策定をいたしまして、五年間を目途に所要の整備を進めることにしておるんですが、その中でいろいろなことが書かれています。運輸省といたしましても、内航海運組合の事業船舶の建造のために必要な資金の借り入れというものがありますだそれに債務保証事業を追加するということで、後刻また御審議いただきたいと思っています内航海運組合法の改正をお願いをしているところでございます。それに加えまして、ただいま御審議いただいていますような、今船舶整備公団がやっている船舶共有建造方式を新しい事業団に引き継ぎましてお願いをしたいと思っております。その活用のための必要な資金の確保、あるいは、これと裏腹になりますが、船舶の近代化とか転廃業、集約化、これもやはり企業の規模を大きくしていかなければならないものですから、集約化というものが当然必要なんですが、それに資するような租税特別措置のお願い、あるいは、これは今公正取引委員会と協議をいたしておりますが、やはり大方の荷主さんは内航海運事業者から見れば大変巨大な事業者でございまして、これらの荷主さんの優越的な地位の乱用の防止のための新たな措置の検討、荷主さんが全部乱用しているというわけではございませんが、仮に起こった場合の措置の検討、あるいは、これは内航海運組合自体の問題ですが、中で多重取引、オペレーター、第二次オペレーターあるいは船舶の貸渡業者間で多重取引が行われていますので、これをできるだけ解消する観点からの、オペレーターにできるだけ容易になれるような要件の緩和などを推進しておりまして、今後とも内航海運事業の環境の整備推進に積極的に助力していきたいと思っております。   〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 いろいろしゃべってもらいましたけれども、厳しい環境にあるということはお互いにわかっているわけですので、これから先審議されます組合法を含めて、十分な論議をしてみたいというふうに思っております。  鉄道局長にお尋ねします。  財政構造改革会議の、アンケート調査ではないのですけれども、出ましたね、新幹線が突出して、どうにかしろというのがありましたが、鉄道輸送についてはいこれからの環境問題、エネルギー問題を含めて、改めて見直さなければならないという声は、国民の中に物すごく多いのですね。もちろん高速道路も必要だけれども、クリーンな空気の中で、クリーンなエネルギーの中でということを多くの方が言っていらっしゃいます。やはり鉄道輸送の積極的な活用という方向に向けて、午前の部が終わった後に、理事の皆さん方と、リニアも早く見に行きたいねという話なんかも出たのですが、運輸省としてどういうふうにこれから積極的に、いろいろな重たいものを抱えながら取り組んでいかれようとするのか、御所見をお聞きしたいと思います。
  133. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 今後とも国土の均衡ある発展を図り、豊かさを実感できる社会を実現するためには、交通サービスの充実向上が重要であると考えます。その際、鉄道につきましては、ただいま先生から御指摘がございましたとおり、環境問題、エネルギー問題、こういった制約条件がこれからますます強まってくると考えられますので、そのようなことを考えますと、鉄道特性が発揮できる分野につきましては、やはり鉄道役割というのは高まってくるものだと、私どもも認識いたしております。  そのために、御承知のとおり、幹線交通の分野では整備新幹線整備あるいは在来幹線の高速化、高質化といった施策を講じております。また都市鉄道分野におきましては、通勤通学時の混雑緩和が重要な課題でございますので、新線の整備であるとか複々線化といったようなことで、これらの対策を講じているところでございます。  今後とも、私どもといたしましては、鉄道充実に向けて、できる限り措置をしていきたいと考えております。
  134. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 時間がなくなりましたので、あと一点。  先ほど運輸政策局長が、私の質問に対して、いわゆる運輸技術に関する基礎的研究を新たな事業見直しの中に織り込むということで、答弁をしていただきました。これは去年の七月二日の閣議決定に基づいてなされるものというふうに認識をし、基礎的、そして独創的な研究の積極的な実施ということが、その中に織り込まれているわけです。  では、運輸省としての科学技術推進を、ほかの役所と違う特徴的なものをどういうふうに推進されていこうとしていらっしゃるのか。そして、それが今度できる事業団の基礎的な研究業務の中でどのように位置づけられようとしているのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  135. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  運輸省が抱える行政分野は、御案内のように大変広範にわたっているわけでございます。航空、陸運、鉄道、自動車、海運と広範にわたっているわけでございますが、いずれに共通するものとして、安全の確保、それからより速く、より快適に運ばなければならない、そういう観点で、技術の果たす役割は非常に大きなものがあるというふうに感じているところでございます。  そういう観点では、運輸省といたしましても、昨年七月に、先ほどの閣議決定と時を同じくするわけでございますが、技術総括審議官というのを、新しい組織を設置いたしまして、運輸に関する技術に関する総括を行うということで担当を行っているところでございます。あわせまして、運輸省各局あるいは各研究所があるわけでございますが、それぞれが密接に連携して、多岐にわたる運輸分野技術研究開発につきまして、総合的かつ一体的な取り組みを一層強力に推進していく必要があるということから、運輸省技術研究開発本部を同じく昨年設置いたしまして、運輸技術開発にかかわる推進体制を強化したところでございます。この体制のもとで、先ほど来お話がございます、独創的、創造性のある基礎的研究推進を図れるように、運輸省としても一生懸命努力をしてまいりたい、このように考えております。
  136. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 終わります。
  137. 杉山憲夫

    杉山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  138. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。平賀高成君。
  139. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、日本共産党を代表して、運輸施設整備事業団法案に対する反対討論を行います。  反対する第一の理由は、本法案が二重行政のむだを温存するものになっているからです。今回整理統合される鉄道整備基金業務内容は、運輸省が従来行ってきた新幹線、主要幹線、都市鉄道の補助事業などを行い、主要ポストも運輸省の出向者で占められています。事業についても、交付先や補助額は運輸省の予算編成の中で細かく決められるなど、もともと二重行政のむだとして我が党は批判をしてまいりました。  こうした鉄道整備基金船舶整備公団統合させることは、業務のスリム化とはほど遠いものであり、名称変更したにすぎないものであります。  第二は、船舶整備公団業務から老朽貨物船等の解撤などの融資や債務保証貨物船船腹調整事業に対する資金貸付業務が廃止されることです。この業務の廃止は、船舶の建造など、大半が中小零細業者で占められている内航海運業者の経営に大きな影響を与えるものであるからです。  最後に、国民本位の行政改革とは、行政のむだと浪費をなくし、利権と汚職、腐敗を一掃して、簡素で効率的な行政機構をつくることであることを指摘し、討論を終わります。
  140. 杉山憲夫

    杉山委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  141. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより採決に入ります。  運輸施設整備事業団法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  142. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  143. 杉山憲夫

    杉山委員長 この際、本案に対し、村田吉隆君外二名から、自由民主党、民主党及び社会民主党・市民連合の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。細川律夫君。
  144. 細川律夫

    細川(律)委員 民主党の細川でございます。  ただいま議題となりました運輸施設整備事業団法案に対し、附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、民主党及び社会民主党・市民連合の三会派を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     運輸施設整備事業団法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一 我が国海運事業の振興に努めるとともに、船舶の運航等の一層の安全性の向上を図ること。  二 事業団の行う業務必要性について不断に検証し、適宜その改廃に努めること。  三 事業団役員構成について、国家公務員法上の公務員で管理職の地位にあった者に偏った大事にならないよう配慮すること。  四 行政改革の一層の推進を図るため、その他の特殊法人についても組織の簡素効率化を図りその改革を強力に推進するとともに、運輸事業施策の体系的整理統合に努めること。 以上であります。  本附帯決議案は、ただいまの法案審査の過程におきまして、委員各位からの御意見及び御指摘のありました問題点を取りまとめ、政府において特に留意して措置すべきところを明らかにしたものであります。  何とぞ委員各位の御賛成を賜りますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  145. 杉山憲夫

    杉山委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  村田吉隆君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  146. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古賀運輸大臣
  147. 古賀誠

    古賀国務大臣 ただいま、運輸施設整備事業団法案につきまして、熱心なる御審議の結果、御可決いただきましたことを心からお礼申し上げます。  なお、運輸施設整備事業団法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、運輸省として十分な努力をしてまいる所存であります。  ありがとうございました。     —————————————
  148. 杉山憲夫

    杉山委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 杉山憲夫

    杉山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  150. 杉山憲夫

    杉山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三分散会      ————◇—————