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1997-04-23 第140回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二十三日(水曜日)     午前九時三十分開議  出席委員   委員長 杉山 憲夫君    理事 林  幹雄君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 横内 正明君    理事 江崎 鐵磨君 理事 北橋 健治君    理事 細川 律夫君 理事 寺前  巖君       臼井日出男君    衛藤 晟一君       関谷 勝嗣君    橘 康太郎君       谷川 和穗君    中馬 弘毅君       古屋 圭司君    堀内 光雄君       森田  一君    赤羽 一嘉君       上田  勇君    久保 哲司君       古賀 一成君    今田 保典君       坂本 剛二君    玉置 一弥君       中田  宏君    松浪健四郎君       川内 博史君    山元  勉君       平賀 高成君    濱田 健一君       望月 義夫君    米田 建三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 古賀  誠君  出席政府委員         運輸政務次官  衛藤 晟一君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     高見澤將林君         防衛庁防衛局計         画課長     金澤 博範君         防衛庁経理局施         設課長     富田 耕吉君         法務省刑事局刑         事課長     藤田 昇三君         通商産業省機械         情報産業局航空         機武器課長   久郷 達也君         工業技術院総務         部研究開発官  濱野 径雄君         運輸省航空事故         調査委員会事務         局長      武林 郁二君 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   谷川 和穗君     臼井日出男君   上田  勇君     赤羽 一嘉君   玉置 一弥君     古賀 一成君   辻  一彦君     山元  勉君 同日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     谷川 和穗君   赤羽 一嘉君     上田  勇君   古賀 一成君     玉置 一弥君   山元  勉君     辻  一彦君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  空港整備法の一部を改正する法律案内閣提出  第三号)      ――――◇―――――
  2. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出空港整備法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀一成君。
  3. 古賀一成

    古賀(一)委員 本日、空港整備法審議と採決ということで、私、運輸委員会委員ではございませんけれども、実は昨年も、そして一昨年も、予算委員会でございましたけれども空港整備に関して、ぜひとも日本としてこの点は急いでやるべきだろうという一点の思いがございまして、毎回のように立たせていただいております。そういうことできようは質問に立たせていただいたわけでございますが、私は、新進党の運輸交通政策担当の副大臣といいますか、それも仰せつかっております。あわせ航空政策の小委員会の方も担当させていただいておりまして、そういうことでお許しをいただきまして質問をさせていただきたいと思います。  私は、かねてより、いわゆる国際ハブ空港というものについて日本は大変立ちおくれていると思っております。東南アジアあるいは世界各国におきますところの航空インフラ整備の著しい進展というものをつぶさに見るにつけ、これで日本は大航空時代を前に果たして玄関足り得るんだろうか、こういう思いを常に持っております。そういう点から、日本のこれからの経済社会あるいは政治もあるでしょう、そういうもの全体を見ながら、何としてでもハブ空港建設に新しいスキームで一刻も早く政府運輸省は取り組んでいただきたい、こういう思い質問するわけでございます。  今般、本題でございます空港整備法の一部改正提案をされております。私も勉強させていただきましたけれども、いわゆる共用空港防衛庁との共用空港について工事負担の比率を変える、あるいは地方空港について工事負担の特例を設ける、こういうことでございます。これは時代の変化に対応した所要の改正だ、そうでありましょう。あるいは共用空港地方空港とも地方主導地域主導を認めた空港整備に乗り出すんだ、こういう評価もできようかと思います。それはそれで大いに結構だと思うんですが、しかしながら、問題はここにあるんだろうか。国内的な航空政策分野では、確かにこれは一つの前進であろうと思うんですが、今、航空政策全体、あるいは日本経済全体が突きつけられている問題というものは、ここだけではない、むしろ国内的な事情による空港整備だけではなくて、国際的な視野におけるところの国際ハブ空港整備というものが、実は一番重要じゃないかと私は思うわけです。今回、この空港整備法にはそのくだり一つもございません。それが心配で今回立たせていただいたわけであります。  航空審議会答申が第七次空整を期に出ておりまして、ここにいわゆるハブ空港に関する記述もございまするる書いてございますけれども、私は、この航空審議会の分析というのも大変甘いんじゃないかと思うのです。  そこで、まず冒頭でございますけれども古賀誠大臣に御質問させていただきたいのです。第七次空整にかかわりますいわゆる航空審答申を初め、各界から、日本における国際ハブ空港の不十分さあるいはハブ空港整備喫緊性指摘されておりますけれども、この点についてどう基本的に認識をしておられるのか、ぜひとも担当最高責任者でもございます運輸大臣の御認識をお聞かせ願いたいと思います。
  4. 古賀誠

    古賀国務大臣 最初に古賀一成先生みずからもお話がありましたように、我が国航空行政に対して大変深い御理解と御認識をいただいております。とりわけ、我が国における国際ハブ空港必要性については、大変高い見地からさまざまな御指導をいただいていること、私もよく承知いたしておりまして、まず、冒頭に心からお礼を申し上げたいと思っております。  先生からもお触れいただいておりますように、今後、我が国国際社会の中で安定的な経済の発展を見る、また、国民の質の高い生活の向上を図るという観点から、交流基盤施設でございます国際ハブ空港整備していくということは、私も先生と全く同じ認識でいるということを、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。そういう中で、昨年十二月、閣議決定されました第七次空整五カ年計画に従いまして、大都市圏におきます拠点空港整備を最優先して進めていきたいというふうに考えております。  なお、国際空港我が国における必要性、当然のことでございますので、さらに前進でき得るべく、さまざまな分野において検討を続けてまいわたいと思っておりますので、この上とも御指導をよろしくお願いをいたしておきます。
  5. 古賀一成

    古賀(一)委員 基本的には大臣も、国際ハブ空港機能が十分でないという各界指摘、同感だという御答弁だったと思います。その中で、大臣の方かち、大都市圏中心にというお話がございました。この点につきましては、私は実は異論がございまして、後ほど質疑の形で申し上げます。私自身は、その以前に、航空政策が非常に遠慮してあるんではないか、あるいは気迫不足といいますか、失礼な言い方かもしれませんが、そういうものを感るわけであります。  今度の空港整備法のこの改正前提ともなった第七次空室、あるいはその前提となりました航空審議会答申をじっくり見てみますと、こういうことが書いてあるんです。「国際ハブ空港国内拠点空港整備を時機を失うことなく進め、空港がそのボトルネックとならないよう努めることが喫緊課題」、次の行には、「特に、東アジア地域においては、大規模な空港整備が積極的に進められているが、東アジアの主要な一員である我が国としても、今後とも増大が予想される需要に適切に対応するため、国際ハブ空港中心とした国際交流拠点整備を進めることが焦眉の急である。」  さらっと読みますと、前向きに書いてあるようにも思えるんですが、私は、空港ボトルネックにならないよう、要するに日本ハブ空港は大変おくれている、これからもおくれるかもしれない、そういう気持ち行間ににじんでいるように見えてしようがないんです。東アジアではあれだけの空港をつくりている。もう目に見えてできてきている、日本はなかなか進んでいない、時間もかかる。だから、成田空港各国からアクセスをしたいという定期航空路交渉があっても、なかなか応じられない。つまり、国際交流の一環として、日本は今迷惑をかけている、今後ともかけるんじゃないか、そういう思いが、この航空審答申の文書の行間ににじんでいるように私は思えてならないのですね。  だから私は、そういうボトルネックにならないようというような消極的な発想が今求められているんではなくて、まさに東アジアにおける拠点争奪戦争をやっているんだ、そういう気構えで、気迫でこの問題に立ち向かわない限り、この財政難の折であります、決して私はできるものじゃないと思います。  そこで、ちょっと運輸省の方にお聞きしたいのですが、今後、どのようなタイムスケジュール国際ハブ空港整備促進を図ろうとしておられるのか。法制度整備を、例えばこの第七次空整の間に考えるとか、財源制度に新しい検討の目を向けるとか、いろいろなやり方はあると思うのでありますけれども政府として、これだけの論議がある国際ハブ空港、とりわけ諸外国が急速なスピードでつくっている国際ハブ空港について、具体的にどう整備しようとしておるのか。その方策について、あるいは具体的日程についてお考えがあろうと思います。質問をいたします。
  6. 黒野匡彦

    黒野政府委員 私どもも、国際ハブ空港必要性十分認識をしておりまして、急いでいるところでございます。  具体的に申し上げますと、ま成田でございますが、おかげさまで話し合いという路線が定着いたしまして、私どもも、強制的な手段はとらないというお約束をしながら、今、各地権者の方あるいは地主の方々話し合いをさせていただいております。私ども、この成田のもう一本の平行滑走路につきましては、二〇〇〇年に完成するということを目標にきせていただいております。さらに、関西空港につきましても、全体構想の一部でございます平行滑走路、この完成を二〇〇七年という目標にしております。  七次空港整備五箇年計画で、新たに中部空港につきましても国際空港という位置づけをさせていただいておりまして、まだこれは予算工事業化が認められておりませんから、余りはっきりしたスケジュールお話し申し上げるのはなかなか難しいのですが、二十一世紀の初頭には完成をさせていただきたい、かようなことで進めておるところであります。  なお、それ以外に、特に首都圏につきましては、羽田空港が順調に工事が進んでおりまして、平成十二年の三月にはもう一本滑走路が沖合に展開することになります。こちらの方も、国内輸送について伸びが非常に高いものですから、限界が近い将未来るであろうということで、首都圏にもう一つ新しい空港をつくるということで、調査検討をしているところでございます。
  7. 古賀一成

    古賀(一)委員 これから先の見通しというものを述べられました。概して空港整備は予定よりもおくれてきておりまして、成田にしてもそうでございます。順調にいったと思われる関西空港にしても、私も役人時代にこれとのかかわりがございましたけれども、ああもう十有余年たったな、こう思うわけでございます。ところが、私が先ほど言いましたように、これは国内的な発想ハブ空港を急ぐべきということではないんですね。まさに、名前のとおりハブ空港、しかも国際がついておりまして、各隣国との、あるいはアジア諸国とのまさに戦争という様相が極めて強い空港でございます。  もう質問ではございませんで、私の知る限りのことを申し上げますけれども、私も上海なんかはしょっちゅう行きますが、かつて二〇〇五年につくると言っておった上海第二国際空港も、去年行ったら、一九九九年に完成をさせるんだ、中国共産党結党五十周年の大記念イベントとして前倒しで二十一世紀の前にやるんだ、こうなっております。韓国仁川におきますところの新メトロポリタン空港も、ほぼ同時期にできる。マレーシアあるいはチャンギの空港もそうです。香港もそうであります。巨大空港メジロ押しという中で、しかも物すごいスピード完成を見つつある。これまでのような空港整備でも大変でございました。今度はハブ空港でございます。一刻も早く安くつくるということが、このハブ空港に課された第一条件ではないかと私は思うわけでございます。  時間もわか三十分なので余り長く申し上げられませんが、そこで、運輸省具体的な取り組みについて、私はお聞きをいたしたいと思います。  昨年の運輸委員会において、私は、具体的な提案として、一番安く早くできる空港として、まさに運輸大臣地元でもございます、私の地元でもございますけれども大牟田、この地の地先に、普賢岳の二億五千万立米余の土石の一部を使ってこれを早急に整備したらどうであろうか。普賢岳から大牟田地先まで、恐らく十五キロございません。二億五千万立米の土砂が排出されまして、関西空港で一億立米余でございまして、恐らく有明海のあの地域の干拓ということであれば半分で済むのではないか。搬送コスト等考えた場合は、もう信じられないほど安い価格でできると私は確信をしております。そして、具体的な私の試算した数字も出して質問をいたしました。そのときに、仁井善之大臣、有益な御指摘でございまして、検討いたしますという答弁がございました。  さかのぼること一年前の予行委員会でも、同じ亀井大臣でございますが、亀井静香運輸大臣予算委員会質問をしました。検討いたしますという御回答を得たわけでございますが、私は、これは別に思いつきで言っているわけではなくて、日本航空行政が一番厳しく突きつけられた課題、これに具体の案で、しかも説得力ある案だと私は思っています。御提言を申し上げ、検討するとも回答をいただきました。  その後、どういうふうにこれを検討していただいたかを、ぜひお聞かせを願いたいと思います。
  8. 黒野匡彦

    黒野政府委員 昨年の二月だと思いますが、先生から御指摘がございまして、私ども先生の御提案を重く受けとめているところでございます。  その後、七次の計画を決定したわけでございますが、一応この七次におきましては、中部空港というのを正式にオーソライズしたということでございます。それから後をどうするかという問題、これは各方面の御意見を聞きながら、あるいは今先生のおっしゃった点も含めて、いろいろな勉強をさせていただいております。空港をつくる際には、コストの問題あるいは需要源からの距離の問題、いろいろなファクターがありますけれども、なるべく安くつくりたいという気持ちは私どもも同じでございます。  そこで、第七次の空港整備五箇年計画の中に、運輸省の資料ということで別添の紙がございまして、その中で、これからも着実に増大する国際航空需要動向等への対応について調査検討をする、こういう方針を出させていただいております。中部の後に続く国際ハブ空港をどこにするかということについて、これから勉強しながら結論を求めたいと思っております。  なお、九州につきましては、かなり早い時期から九州国際空港という話がございまして、これを我々も十分承知しているところでございますが、九州の中でまず意見がまとまらないかということで、知事会あるいは財界の方々中心になりましてワイズメン・グループというのをつくられ、そこでの検討がちょうどそのときなされておりまして、私どももその動向を注意深く見守りっついるところでございます。これから地元における議論、それと国における方針、これをどういうふうに調整していくかということだと思っております。
  9. 古賀一成

    古賀(一)委員 今、地元での動きの話がございました。これまでの地方空港等々、確かに地元のコンセンサス、用地の特定あるいは地元の熱意、こういうものは確かに必須の条件であったと思うのですね。  ただ、この問題の本質は、国際社会の中で空洞化が懸念される、経済も雇用も、あるいは場合によっては、上海の浦東のあの巨大なるビジネス群ハブ空港つきであと数年したらオープンするわけです。そのときに、東京金融機能だって私は怪しいと思うのですよね。本当に危惧をいたしております。まさにそういう問題でございまして、この国際ハブ空港という問題の本質からいうならば、今お話が出ました、地域でいろいろ議論していることを待ちます、注意深く見守るという話がありましたけれども、注意深く見守って、それがいつまでもらちが明かないのなら、では、ハブ空港論というのはストップしたままなのか。私は、これはおかしいと思うのですね。  私は、ここで強く強く申し上げたいんですが、具体的な提言で、実際の土量まで、あるいは埋め立てコストまで、九百億足らずというふうにあえて私は申し上げて提言をしたわけでございます。冒頭申し上げましたような事柄の本質からいって、ぜひ試算をしていただきたいと思うのですね。僕はやるべきだと思うのですよ。国会で私が申し上げ、歴代大臣お二人が貴重な御意見あるいは有益な御意見ということで、私は空港政策進展に、場合によっては大いに役立つ提言をしたわけでありますから、では、具体的に水深が何メーターあって、予想される土量が幾らで、皆さんのプロの力、コンピューターの力で、これの地域なら大体コストが何ぼでできるというのを、ぜひ試算していただきたいと思うのですね。検討するというのは、そういう意味だろうと思うのです。  私は、別に追及するために言っておるわけではなくて、私の地元利益誘導で言っているわけでもございません。恐らく、二年後に上海開港、三年後に韓国の新メトロポリタン空港開港、その二年後にはワールドカップということになるのですね。そして、最後に質問したいと思うのですが、その三年後ぐらいには、場合によってはマッハ二から二・五のSSTが世界に就航するわけです。そうしたときに、現在の段階で韓国日本都市空港は、韓国大韓航空ほか二十路線を持っているわけですよ。地方空港まで韓国エアライン路線を開いている。日本は六つしかない。採算性が合わないからです。  空港開港したら恐らく日本の新聞も書き立てるでありましょう。そして、ワールドカップ直前になれば、ほとんどの日本人が韓国エアラインで、完成した直後の新メトロポリタン空港ワールドカップを見に行く、そしてまた、韓国の人も韓国エアライン日本都市ワールドカップを観戦に来る。そのときに、上海ももう既にできておる。日本ハブ空港はどうなっているのだと、私は必ず問われると思うのですね。それを私は今予想しているわけでございます。財政難もわかります。確かに大変な問題でありますが、だからこそ、早くできる空港というものを、国のリーダーシップでいち早く見つける、それがいわゆる都市圏人口の面で、背後人口の面で、あるいはニーズの面で問題があるかということを、そこで検討されればいいのではないか、私はこう思うのです。  それで、もう時間も短くなってきたので、もう一点の論点をぜひ強く申し上げたいのですが、大都市圏中心にというくだり航空審にもにじみ出ておりましたし、今も大臣及び局長の方からの答弁でございました。果たしてそうなんだろうかと私は思っております。  実は、この八月に、例えばの話でありますが、中国で文化的なシンポジウムをやるということでこの前会議をやったのですが、北海道の人が中国に何十人で行く。私は申し上げました。皆さん成田に行かない方がいいよ、福岡-札幌便福岡空港に来たら距離のロスはゼロですよ。それは東京に行って混雑した地域へ行って、もちろん、札幌成田路線はあるのでしょうね、幸いにも福岡はあるのですが、成田はほとんどの地方都市との路線はないわけです。だから、典型的な例を言えば、地方都市成田路線がなければ、羽田におりてぐるっと回って、お金をかけて成田に行って、場合によっては一泊を強いられて中国に行く、東南アジアに行く、こういうパターンなんですね。東南アジアあるいは中国に対する限り、南西の九州におきますところの国際空港というのは、ほとんどの地域から客を寄せられる空港なんです。だから、都市圏背後人口が多い、少ないというのは、私は二の次だと思うのです。  現に韓国だって、先ほど言いましたように、ああいう路線を敷いているのは、別に韓国仁川近辺都市圏人口であそこにつくったわけではないのです。国家戦略として、結局、日本から二十の都市エアラインを結んで、大韓航空なり韓国エアラインでソウルに来てもらって、欧米に行ってもらおうではないかという戦略そのものなんです。だから、私は、大都市圏というものにこだわるのは視野が狭いと思うのですけれども、この点にこだわっておられることに私はずっと疑念を持っております。この点について、もう時間がございませんが、ひとつ御意見を賜りたいと思います。
  10. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生の御指摘も私、十分理解できるところでございますが、成田ができまして、今でもこの成田東京から遠いということで大きな批判を浴びております。したがいまして、私どもといたしましては、やはり背後に大きな需要を持っているところにつくるというのが理想であろうとは思っております。  ただ、先生からもお話ございましたように、コストとの相関関係、これをどういうふうに組み合わせて一番いい選択をするか、こういう問題だと思っております。
  11. 古賀一成

    古賀(一)委員 それでは、大臣、せっかくでございますから、大牟田の、三井鉱山の閉山直後でございまして、百二十四年、石炭を掘ってきた最大産業がなくなるということでございまして、この地域を維持する、活力を維持するということも大変でございます。まして、再浮上するということは容易なことではない。かつて高度経済成長時期に閉山をした、そして、国も面倒を見たあの筑豊地域でも今その傷はいえていないわけでありまして、これから日本の財政なり経済そのものの力が危ぶまれるときに、三井重池炭坑閉山をいたしました。  私は、この地域活性化の決め手として、日本航空行政最大課題をあわせて解決するということで、再度申し上げたいのです大牟田荒尾地先ハブ空港建設へ向けて、結果はどうなるかは別として、一歩譲って調査をするということについて、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  12. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生も私と全く同じ郷里でございますので、このたびの三井三池石炭閉山については、大変御心労もいただいておりますし、さまざまな形で御支援も賜わっております。  政府といたしましても、この閉山に伴いまして、緊急に対応していかなければいけない問題、また中長期的な問題、関係省庁が一体となりまして、今全力を挙げているところでございます。先生が御心配いただいておりますように、百二十八年の歴史を持つ三井三池の石炭閉山は、一企業、一労働者ということではなくて、広く広範な地域において今後どういう振興策を図っていくのか、極めて難しい問題がございます。  今申し上げましたように、その地域を振興させていくということについて、まず一番必要なのは、インフラ整備を図っていくということだろう。今、全力を挙げて取り組んでいるところでございますが、そういう一つの大きな国家プロジェクトとして、先生がかねておっしゃっていただいております大牟田荒尾地先国際ハブ空港十分理解できるところではございますけれども、現段階におきましては、場所を特定するというようなことはなかなか困難な状況でございます。今後とも慎重な調査検討が必要であろう、こういう認識に立っていることを御理解をいただいておきたいと思います。
  13. 古賀一成

    古賀(一)委員 場所の特定ということの言葉が出ましたけれども、私は、先ほど申し上げましたように、思いはそういうことでございます。まず真摯に、内密でも結構です、専門家集団運輸省で、本当にコストなり時期的なものを真剣に一回試算をしていただきたい、かように思います。  最後に、もう時間はとりません、せっかく通産省の方からお越しいただいておりますので、一点だけ簡潔に質問をいたします。  将来の大航空時代へ向けて、我々、余り知るところではございませんけれども、実は、背後でハイパーソニックトランスポートエンジンといいますか、いわゆる極超音速機のエンジンが日本のイニシアチブで開発されつつあるわけでありまして、その途中でSST、スーパーソニック、超音速機のエンジンが完成され、二十一世紀初頭には就航するというようなシナリオで研究開発を進めておられます。  そこで、これは大航空時代空港整備とも非常に絡むので、このSSTあるいはHSTの開発状況について、通産省の方に概略、御説明をお願い申し上げます。
  14. 濱野径雄

    ○濱野説明員 先生指摘のHST、いわゆる極超音速輸送機用エンジンの研究開発は、通産省工業技術院の産業科学技術研究開発制度において、超音速輸送機用推進システムプロジェクトとして実施しているものでございます。平成元年度より十カ年計画で、我が国と米、英、仏との国際共同開発により行っております。  本プロジェクトの具体的成果といたしましては、平成八年度に本システムの中核部分でございますターボジェットエンジンの高空性能試験を実施いたしまして、高度約二万メートル、速度マッハ三までの飛行条件を模擬した試験に成功をしております。最終年度であります平成十年度には、ターポジェットエンジンとラムジェットエンジンを統合したコンバインドサイクルエンジンでの高空性能試験を予定しております。これによりまして、東京-ニューヨーク間を三時間で巡航いたします、速度マッハ五クラスで、燃費がよく、低吸音、低公害のエンジンの開発に必要な技術の確立を目指すこととしております。  なお、SSTの就航時期の見通し等に関しましては、担当の機情局の方からお答え申し上げます。
  15. 久郷達也

    ○久郷説明員 先生の御質問がHSTとSSTと二つ含んでおりますので、SSTについて、簡潔にお答えさせていただきます。  マッハ二から二・四ということで構想されておりまして、大陸間の長距離航空輸送ということを目指して開発をしております。アメリカの開発計画では、一応二〇〇五年とか二〇〇七年とか、そこら辺に初就航をするということでございます。開発費に二兆円以上要する等、いろいろ技術課題もございますので、そのとおりすんなりいくかどうかは別にいたしまして、二十一世紀初頭を目指して各国が研究開発をしている。私どもも、先ほど研究開発官のお話にありましたとおり、エンジンを初め材料等々について研究を進めさせていただいておる、そういう状況でございます。
  16. 古賀一成

    古賀(一)委員 これで終わりたいと思いますが、要するに、マッハ五のエンジンが今着々と開発されつつあるということでございまして、私は航空整備、一刻の猶予もないという思いを最後に申し上げまして、質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  17. 杉山憲夫

    杉山委員長 細川律夫君。
  18. 細川律夫

    ○細川(律)委員 民主党の細川でございます。  まず、本日のこの法案の審議に入る前に、大臣に感想なり、決意についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。  けさのニュースなどでは、ペルーの人質事件が解決をしたということで、大きな報道になっております。九時のNHKのニュースでは、人質全員無事だというような報道も流れておりましたけれども、昨年の十二月から大変長い間、日本じゅうというか、世界じゅうの人たちが心配していた事件が解決をしたわけでございます。この間、人質になられた方あるいはその御家族の方、大変な御心労があったかと思いますし、また関係当局の皆さん方にも大変な御苦労があったかと思います。無事解決をいたしまして、私も大変うれしく思いますし、関係者皆さんの労をねぎらいたいという気持ちでいっぱいでございます。  そこで、これは危機管理の問題であろうと思いますけれども、運輸行政におきましても、いつハイジャックが起こるかわからない、どこで起こるかわからないし、日本の中で起こるかわからない。こういうことに備えて常に危機管理を確立しておかなければならないと思いますけれども、きょう、ペルーの人質事件が解決をしたということをお聞きになって、大臣がどういう御感想を持たれ、そして今後、運輸行政における危機管理についてどのようにお考えなのか、簡単で結構でございますから、ひとつお答えいただきたいと思います。
  19. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生からお話があっておりますように、もう既に多くの国民も御存じかと思いますけれども、大変長い間、政府また与野党、衆参の国会議員の先生方一体となって、このペルーの大使館人質事件に対してざまざまな御指導や御支援を賜ってまいりました。大変長期にわたっておりまして、心配をされたところでございますが、御案内のとおりのような決着を見たということでございます。  まず第一に、今回のこの解決に当たりまして、我が国のみならず、ペルーを初めとする世界の多くの国々に大変な御心配また御支援を賜ったことに、私もお札を申し上げなければいけないし、心から感謝を申し上げたいと思っております。そして、何よりも喜ばしいことは、今先生もお触れいただきましたけれども、全員の人質の方が救出をされたということに対して、本当に皆さん方と一緒にほっと胸をなでおろすと同時に、御家族の皆様方の長い間の御心労に対してお見舞いを申し上げますと同時に、喜びを分かち合わなければいけないと思いますが、お聞きいたしますと、今回のこの解決のために多数の方々の犠牲者も出たようでございます。そういった方々には心から哀悼の意を表しますと同時に、けがをされた方々等に対する一日も早い御快癒をお祈りを申し上げるということは、当然のことだろうというふうに思っております。何よりも、改めて全国民の皆様方に、今回の事件に対する御心配、心からお礼を申し上げておきたいというふうに思っております。  また、同時に、こうした事件を教訓として、運輸行政における安全の問題について、心を引き締めてそれぞれの分野において適切な措置を講じてくれていると信じておりますけれども、さらに、運輸行政に携わる全員が気を引き締めることによって、危機管理体制のさらなる充実に、打って一丸となって決意を新たにして取り組んでいきたい、こういう認識でおりますことも御理解をいただいておきたいと思います。
  20. 細川律夫

    ○細川(律)委員 航空行政の中における航空機のハイジャックなど、いつ、どういう事態が起こるかもわからない、そういう中での運輸行政の責任者としての大臣からの大変心強い決意もお聞かせをいただきまして、ありがとうございました。ひとつ今後ともよろしくお願いをしたいと思います。  それでは、今回の空港整備法の一部を改正する法律案について、質問をしてまいりたいというふうに思います。  今回のこの法律案そのものは、自衛隊と民間の飛行機が飛行場を共用する、その共用飛行場の延長などの負担の割合の問題、そして二種空港及び三種空港における工事費用の負担など、そういうことでの改正の案でございますけれども運輸省といたしまして、高速ネットワークの中での空港整備をどのようにお考えになっているのか。これは国際的にもあるいは国内的にも大変大事なことであろうかと思います。私自身は、高速ネットワークをつくって、地域の開発、振興を図る、こういうことでの国内的な空港整備というものは大変大事であるというふうに思いますし、加えて財政が大変厳しいときでありますから、資金というものを余り投入せずにインフラ整備できるということについては、大変結構であろうというふうに思っております。  運輸省としては、今後の空港整備というものをどういうふうに考えておられるのか、簡単にちょっと御説明をしてください。
  21. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生からの御指摘は、我が国の国内におきます高速交通ネットワークの形成ということもさることながら、今後の空港整備に対する基本的な考え方についての御質問かと思います。ただいま古賀一成先生の御質疑の中ででも私、申し上げましたけれども、まず大切なことは、今後の空港整備考えた場合に、ボーダレス化がどんどん進展する中で、我が国が今後とも国際社会の中で安定した経済の発展を持続していくということ、また、そのことが国際社会におきます一定の地位を確保していくということにつながってくるわけでございます。そういう意味で、航空需要動向に対応しました交流基盤施設である国際ハブ空港国内拠点空港整備ということを、何といっても大切なことは、時期を失しないように進めていくということが不可欠なことだろうというふうに思っております。  昨年十二月に閣議決定されました第七次空整五カ年計画に従いまして、そういう観点から新東京国際空港、関西国際空港の二期事業等、大都市圏におきます拠点空港整備を最優先課題といたしまして、今後とも力強く推進していく方針でおります。
  22. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今回の法律案では、自衛隊と民間が一つの飛行場を共用する、これについての法案でございます。そもそも自衛隊と民間が一つの飛行場を共用する、一緒に使うということについて、運輸省あるいは大臣はどのようにお考えになっているのでしょうか。自衛隊というのは、国防を目的として存在するわけでありまして、そのために飛行場を使う。民間は民間で、これは目的も全然違いますから、その異なる目的の飛行機がそれぞれ一つの飛行場を共用するということは、そもそも望ましいことか、それとも本来は別であるべきなのか、そういうところをどういうふうにお考えになって共用を進めているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  23. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生の御指摘の、自衛隊機を使用する飛行場、それから民間航空が使用する飛行場、私は、分離をした方が本来の姿ではないかな、こういう認識を持っております。  しかしながら、我が国の国土を考えていただいた場合に、大変狭い中でこれからの航空需要に対応していくということを考えますと、今回御提案を申し上げております共用の飛行場、これは現状においては現実的な一つの解決策としては最適なものではなかろうか、こういう認識でいることを御理解いただきたいと思います。
  24. 細川律夫

    ○細川(律)委員 新しく飛行場を延長するとか、飛行場をさらに便利に使いやすくするための費用の負担などについての法案であります。公共事業ということについては、今国の財政が大変厳しい中でありますから、一つ一つむだのないような形で進めていかなければいけない、あるいは検討しなければいけないということだろうと思いますし、この空港整備についても例外ではないというふうに思います。  そういうことで、この法案については、滑走路とかあるいは着陸帯などについて、国と自治体が費用を分担して整備をしていくということになるわけでありますけれども、例えば、今後新しく百里基地が民間との共用も予定しているというようなことも聞いているわけであります。果たして民間も一緒に共用してやるように整備をした場合に、採算などもきちんととれていくのかどうなのか、これらについてお聞きをしておきたいというふうに思っております。  これは農水の予算であったかと思いますけれども、農道空港などというものが全国にできておりまして、大変採算がとれないというようなことで批判されております。そういうことからしましても、採算性というものは大変大事だろうと思いますけれども、百里基地を例にとって考えると、どういうふうにその点を考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  25. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生指摘のとおり、第七次空港整備五カ年計画で百里の飛行場の共用化を図りたいと思っております。もちろん、防衛庁さんとは十分な協議を経た上で決めることになると思います。そこで、今の先生の御指摘は、そこを共用して民間用の空港にしたとしても、本当に需要があるのかというところに尽きるかと思います。  私ども、羽田の利用客の方々が、どの地域を目的地としているか、あるいはどこから羽田空港へ向かわれたかという調査をしておりまして、その結果、現在のままでも、年間百万人程度の茨城県の関係者が見えます。したがって、少なくともそのくらいの程度の需要はこの百里についても生ずるであろうと思っておりまして、つくったまま利用もなくということではなくて、むしろ地元も大変歓迎していただいておりますし、それなりの需要はあると考えております。
  26. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今後の議論も含めまして、そもそも自衛隊と民間が一つの飛行場を共用して使うということについて、それを決めていく上においての何らかの基準といいますか、そういうものはあるのでございましょうか。ただ、地元の要求とか需要とかではなくて、自衛隊と民間が共用する場合のきちんとした何らかの基準ですね、こういうのはどういうふうに決めておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  27. 黒野匡彦

    黒野政府委員 率直に申し上げまして、基準的なものはございません。  では、しからばおまえたち、腰だめでやるのか、こういうおしかりを受けるかもしれませんが、一つは、今申し上げたとおり、当該自衛隊の飛行場を民間にも開放したとして、そこに航空路線を敷くだけの需要があるかどうかというのがまず一つのポイントであります。それから二番目は、これは若干矛盾するのですが、余りにも需要が大き過ぎて、逆に本来の防衛庁さんの空港としての機能を阻害するということがあってもいけないわけでございます。その辺の両方をにらみながらやっていくというふうに考えておりまして、結果としては、やはりケース・バイ・ケースの対応かと思っております。  なお、従来、千歳につきまして防衛庁さんの飛行場を借りて長い間使ってきたわけでございますが、結果として需要が大変伸びたものですから、その隣に完全な民間空港をつくったという例もありまして、需要との関係で何事も考えてまいりたいと思っているところでございます。
  28. 細川律夫

    ○細川(律)委員 同じ質問になりますけれども防衛庁さんの方では、民間と飛行場を共用することについての何らかの基準とか条件、そういうものはあるのでしょうか。
  29. 富田耕吉

    ○富田説明員 お答えいたします。  まず、自衛隊の飛行場につきましては、先生も御指摘のとおり、防衛上の必要性から設置して使用しているものでございますので、本来は専ら自衛隊のみで使用できることが望ましいものではございます。  ただ、航空行政上あるいは地域振興上必要であり、さらに基地の安定的使用に資する場合には、防衛上の任務に十分配慮しつつ共用化の御要望に対応するという方針でございますので、これがその条件という言葉が当たるかどうかわかりませんけれども、まず第一に、共用化に当たっては、自衛隊の任務遂行や機能が十分に確保されていること、さらには基地の安定的使用に資することということを踏まえて検討するということでございます。
  30. 細川律夫

    ○細川(律)委員 いずれにしましても、設備にはいろいろ費用がかかるわけでありますから、自衛隊との共用で民間も乗り入れるということになりますと、その費用、採算性の問題などにつきましても十分検討して、財政の許す範囲での整備の方も進めていただきたいというふうに思います。  そこで、自衛隊と民間との双方の共用、両方が使っていることについての関係といいますか関連といいますか、そういうことでお聞きをしたいと思います。自衛隊と民間両方が使っております共用の飛行場でありますと、例えば自衛隊機が緊急出動あるいはそういう準備というようなことになりますと、民間機の方は離発着はできないというようなことに多分なるのだろうと思いますけれども、いざそういうときの、防衛庁運輸省の方できちんとした話といいますか協議というのは調っているのでありましょうか、どうなっているのでしょうか。
  31. 黒野匡彦

    黒野政府委員 後ほど防衛庁さんの方からも別途御答弁があるかもしれませんが、まず私の方から申し上げます。  確かに、自衛隊さんが使っている空港でございますから、いわゆるスクランブルとかそういうことがあるわけでありまして、これにつきましては、防衛庁と私どもでかなりきめの細かい約束をつくっております。それをきちんと守りながらやっておりますが‘具体的に申し上げますと一実際にスクランブルで発進するという段階におきましては、当該空港の管制官の方でこれをチェックいたしております。その管制につきましても、空港により私どもがやるケースと防衛庁さんの方にお願いしているケース、二つございます。いずれにいたしましても、スクランブル機があったとしても、きちんと管制の方で追いかけるというか、安全をチェックいたしております。  さらに、上空に行った場合には、防衛庁さんの方のレーダーで捕捉されまして、その周辺に民間機がないかどうかということは常時チェックをしながら安全に誘導している。もちろん、防衛でございますから、対象となる物体になるべく早く到達しなければいけないという事情があるかと思いますが、基本的には安全を考えながら防衛庁さんの方で誘導しているということになっております。
  32. 高見澤將林

    ○高見澤説明員 お答えいたします。  自衛隊の任務といたしまして、基本的には、先生おっしゃいましたように、スクランブル等の場合と、それから人命財産の保護をすぐ必要とするような場合ですとか、災害派遣といったような場合が考えられるかと思います。  それで、まずスクランブルの場合におきましては、自衛隊と運輸省の関係の当局というのは常日ごろ連絡をとっておりますので、実際にスクランブルをやるような場合にも、そういった状況に自衛隊が置かれているということは同時に管制の方にも連絡が行きまして、そこで、実際の民間機の運航状況ですとか、自衛隊のスクランブルの準備の状況というようなことをやりながら、その調和を図りながらやっておるということでございます。  それから、災害派遣の場合ですとか人命救助の場合ということになりますと、これは単にスクランブルということではなくて、実際にそこで対応が必要な場合、あるいは地震が起きたときに被害状況がどうなっているかというようなことをすぐ確認に行かなければいけないということでございます。これは協定に基づきまして優先的な取り扱いといいますか、もちろん、民間機の運航には配慮しますけれども、事は人命とかにかかわっているというような場合もございますので、そういうふうな扱いをしていただくというようなことで、ちゃんとした協定なり、共通の考え方に基づいてやっておるということでございます。
  33. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今、運輸省それから防衛庁の方からそれぞれお答えをいただきましたけれども、最初の、黒野局長の方かちお話しいただいた件で、こういうことですか。共用飛行場の場合、防衛庁の方が管制をつかさどっている場合と、それから運輸省がつかさどっている共用飛行場があると。例えば緊急発進、スクランブルのような場合に、運輸省が管制の管理をしているような場合は運輸省がやるということもあるわけですか、緊急発進のような場合にも。
  34. 黒野匡彦

    黒野政府委員 私、ちょっと言葉足らずでございましたが、広い意味での共用空港というのは、防衛庁が管理している空港を民航が使わせてもらう場合と、逆に我々の空港運輸省が管理している空港を自衛隊に開放している二つの例がございまして、前者の数がたしか五空港、それから後者は八空港かと思います。  一番御理解賜れるかなと思う例は那覇空港でございまして、これは沖縄返還のときにも最大の目玉ということで、あの空港は今民間空港になっておりまして、私どもが管制を行っております。そういうふうに私どもが管制を行っている空港でスクランブルが起こるという場合について先ほど御説明申し上げたわけでございまして、防衛庁さんの方で管制をやっているのは、もちろん同じ考えではありますが、出発のときから防衛庁さんの方で管制をやっているということでございます。
  35. 細川律夫

    ○細川(律)委員 これについては、連絡調整をしてきちんとやっているというようなお話がありましたけれども、これはしっかりした協定書あるいは協議書というか、そういうものはつくってないのですか。つくってあるのじゃないですか、きちっとしたものが。
  36. 黒野匡彦

    黒野政府委員 きちんとした協定はつくってございます。専門的な点も含めて、両者合意の上の約束事がかなり細かいところまできちっとできております。
  37. 細川律夫

    ○細川(律)委員 どういう名称ですか。
  38. 黒野匡彦

    黒野政府委員 名称は「要撃機等に対する管制及び誘導に関する中央協定」という長い名前でございますが、私どもは、これをSARPというローマ字で、これはサーブ協定というのでしょうか、そういうふうに略で呼んでおります。
  39. 細川律夫

    ○細川(律)委員 それは、災害時などで自衛隊機が緊急に発進を、スクランブルじゃないですけれども、ほかの民間機よりも優先的に発進をしていくとか、そういう協定もこれに含まれているわけですか。それはまた別の協定があるわけですか。
  40. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今申し上げましたのは、要撃機、いわゆるスクランブルについてであります。それ以外のことについても別々の協定でルールをつくっております。
  41. 細川律夫

    ○細川(律)委員 地震などの災害のときにどうするのかという協定というのは、どういう名前の協定があるわけですか。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  42. 高見澤將林

    ○高見澤説明員 お答えいたします。  先ほど先生の御質問の件は、「航空法第百三十七条の二第三項の規定により運輸大臣防衛庁長官の行う業務の運営に関する事項について行う統制の範囲に関する覚書」という長いものでございますけれども、災害派遣等、人命財産の保護のために緊急に出動する必要のある自衛隊機ということでございまして、これはスクランブル機とは別の形で規定してございます。
  43. 細川律夫

    ○細川(律)委員 私がこういう共用飛行場におけるいろいろなことを細かく質問をしておりますのは、実は、平成六年四月二十六日、名古屋空港で中華航空機の事故が起こりました。これはいわゆる共用空港であります。もちろん運輸省所管の空港でありまして、それを自衛隊の方が使っている、こういう空港でございました。御承知のように、乗員乗客二百七十一名のうち二百六十四名の方が亡くなり、重傷七名という大変な事故でございました。この事故につきまして、運輸省の常設の機関であります航空事故調査委員会の最終報告も出ているわけでございます。  そういうことで、こういう共用飛行場での事故、その際に、どのように乗客を救助していくかということがいろいろこの事件でも問題になりましたし、共用飛行場というのはそういうような一つの危険性といいますか、そういうのもはらんでいるのではないかというふうに思いますけれども共用空港ならではの防災体制の不備というのがこの最終報告でも指摘をされておりまして、この点についてお聞きをしていきたいというふうに思います。  それで、昨年、この調査委員会の最終報告がなされまして、台湾そしてフランスに対してそれぞれ勧告を出しております。この勧告を出した後、台湾あるいはフランスの、中華航空あるいはエアバス、これらがきちんとその勧告に沿って指摘をされた部分について改善をしているのかどうか。どういう点を勧告をして、どういうふうに改善がされているのかいないのか、お答えをいただきたいと思います。
  44. 武林郁二

    ○武林説明員 昨年の七月、航空事故調査の報告書を公表しました際に、あわせまして、台湾とフランスの航空当局に対しまして、安全勧告を行っております。台湾に対しましては、主として乗員の教育訓練体制のあり方について改善するように、それから、フランスに対しましては、自動飛行システムのあり方について改善を検討するようにというような勧告をしております。  両関係当局におきましては、安全勧告に対する対応につきまして、現在しかるべく検討が行われているものと思いますけれども、今のところまだ勧告に対する回答は受け取っておりません。  以上です。
  45. 細川律夫

    ○細川(律)委員 もう大分時間もたつわけなんでありますけれども、これについては、勧告のしつ放しというか、これは国際間の問題ですから、なかなか難しいとは思いますけれども、勧告をした場合に、それが改善されたかどうかというのは、どういうふうに確認をしたり、あるいは改善されない場合にはどういうふうにするんでしょうか。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  46. 武林郁二

    ○武林説明員 国際民間航空機関という国際的な航空関係の機関がございまして、その規定に基づきますと、勧告を受けました国は、何らかの回答をするということになっております。期間は定められておりません。何も対応をとらないという回答も含めまして、何らかの回答をしなければならないということでございます。昨年九月時点で、台湾及びフランスからは、現在検討中であるというような非公式な連絡を受けておりますけれども、その後、日もたっておりますので、近く改めて催促をいたしたいというふうに思っております。
  47. 細川律夫

    ○細川(律)委員 大変大きな事故でありまして、国際的には、こういう、他の国に対して安全勧告をするという例は余りない、希有の例のようでありますから、そういう勧告をした以上、それが一体どうなっていくのか、これについて、ぜひ運輸省の方でも最後まできちんと見届けるといいますか、確認をしていただきたいなというふうに思います。  そこで、この調査委員会での記録を見ておりますと、名古屋空港での被害が増大をした、たくさんの人が亡くなった原因として、初期の消火、事故が起こった当初に消火をする、この消火体制がおくれたというようなことが調査委員会の報告書にはっきりと出ております。  それで、報告書の中からちょっと引用してみますと、これは、公聴会の記録で、羽深さんという方が述べておられることが記録をされている。これをちょっと御紹介しますと、こういうふうに書いております。   救難の遅れにはまだ多くの問題がありました。事故発生直後、春日井消防本部が航空事務所に消防車の進入口を確保するため連絡したが、話し中で連絡がとれなかったこと、緊急車が野次馬を含めた道路の渋滞のために思うように空港に近づくことができなかったこと、空港の消火体制を自衛隊に依存していたことなど重要な問題が露呈しております。今回、中華航空のエアバスは帰りの燃料を満載していたようです。そのためにさらに大規模な火災になってしまいました。空港には消火設備の不備があるなど、改善に間に合わない状態ではいま現在の状況として安全な空港とは言えません。 というようなことが、これは公聴会の記録として調査委員会の報告書の中に載っているのです。こういうことについて、運輸省、この名古屋の場合には、運輸省の所管でありながら自衛隊に消火を任せた問題なども指摘をされておるわけなんですが、防衛庁所管の空港についても同じような、同質の問題があるのではなかろうかと思うのですけれども、この調査委員会の報告に基づいて、その後どういうふうにこれらのことについてきちんと改善がなされているのか、その点についてお聞きしたいと思います。
  48. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生指摘のとおり、名古屋空港につきましては、消火体制というのは、従来、防衛庁さんの能力、こちらの方に頼ってきておりまして、私どもの調べでは、中型の消火のための自動車が五台防衛庁さんの方で用意をされておりまして、それでやってきたというのが従来の実態でございます。  そこで、今回の事故が発生いたしたものですから、私ども、急遽、民としての体制の強化を図っておりまして、この一月には大型の化学消防車一台と給水車を一台配置いたしました。また、今年度中には、これに加えまして、化学消防車を二台配置する予算措置をとっているところであります。  さらに、大事なのは、そういう事故が起きたときにだれが指揮をするか、ここがまた大事でございまして、国の管理する空港につきましては、指令・指揮をする要員を配置いたしまして、これにつきましても、これは全国的でございますが、体制の強化をしております。さらに、夜間の事故につきましては、電源照明車、明るくしないと実態がわからないということで、そういうものの配備につきましても、今順次進めているところでございます。いずれにいたしましても、名古屋につきましては、今年度中にはさらにきちんとした体制をつくるという状況にございます。
  49. 細川律夫

    ○細川(律)委員 この事故調査委員会の最終報告の中では、「建議」ということで、運輸大臣調査委員会の方から建議が最後になされております。その建議の中にこういうことが書かれております。「今後の消火救難体制の充実強化について」、こうありまして、「全国の飛行場における民間航空機に係る今後の消火救難体制に関し、想定される事故の態様に対応し、緊急時の指揮・命令系統の確立、消火救難に必要な設備及び器材、関係機関との協力体制、定期訓練等の充実強化について、早急に検討を行うとともに所要の措置を講じること。」これが事故調査委員会の最後の建議で、運輸大臣に対して、「全国の飛行場における民間航空機に係る今後の消火救難体制に関し、」ということで建議がなされているわけなんです。  今局長の方からお答えをいただきましたけれども、この建議というのは、大変細かいところまで、非常にきつい詞子で書いているわけなんですけれども、今の局長の緊急自動車とか救急自動車あるいは電源照明車、そういうものの整備だどかいろいろありましたけれども、これはまだまだ不十分じゃないかなというふうに僕は思うのです。そこちあたり、もっときちっと、この建議に沿った形でどういうことがなされているのかということを、ぜひ言っていただきたいと思います。これは「全国の」というふうに建議の方では書かれているわけですね、名古屋の空港だけではなくて。その点どうでしょうか。
  50. 黒野匡彦

    黒野政府委員 消火救難体制はソフトの面とハードの面と両方あるわけでございましてハードの方は、消火のための自動車、それから、先ほど申し上げました給水車とか照明車というのが必要になるわけでございますが、我が国におきましては、一部の離島空港、極端に回数が少ないところを除いては、全空港につきまして、このハードの面では、ICAO基準、ICAOという国際的な航空の組織があるのですが、そこの基準を満たすだけのものを既に配置をしております。  それに対しましてソフトの面、実際、事故が起きたときにどういう体制で指揮命令ができるか、その辺の問題もございまして、これにつきましては、先ほども申し上げました指令・指揮要員を今、配置をしつつございます。  それから三番目に、実はその地元の消防当局、その辺との協定というか、約束といいましょうか、この問題もございます。福岡で起きました事故のときには、大変地元の消防なりお医者さんの御協力というのがありまして、非常に円滑に事故の収拾ができたわけでございまして、現在、私どもも各空港につきまして、地元の消防当局あるいは医師会とか、その辺等との連携を密にいたしております。  その三点をまとめますと、我が国空港といたしましては、それなりの消火、救難体制が整備されているというのが実態でございます。
  51. 細川律夫

    ○細川(律)委員 ちょっと抽象的なお答えでよく理解できなかったところもありますけれども、これは防衛庁さんのいわば管理をしている空港と、運輸省の方の管理といいますかそっちの空港、これによって、そういう点での違いといいますか、そういうものはあるのでしょうか。同じような形でやっているのでしょうか。これは防衛庁さんにもお聞きしたいと思います。
  52. 黒野匡彦

    黒野政府委員 いわゆる共用飛行場、その中で防衛庁さんの方が管理している飛行場、これにつきましても、民航機が入っておりますから、我々の方での体制の整備をやっているところでございます。
  53. 富田耕吉

    ○富田説明員 お答えいたします。基本的には、防衛庁、自衛隊の場合には、消防隊というのを各基地に持っておりまして、そういったものを中心に、今航空局長から御答弁があったとおり、民航と共用しているものにつきましては同じような基準でやっておるということでございます。
  54. 細川律夫

    ○細川(律)委員 大きな事故で大変多くの犠牲者が出られた、名古屋空港での中華航空機の事故の教訓を、今後の航空行政にぜひとも生かしていただきたいなというふうに思います。そういう意味で、いろいろ細かく私の方からもお聞きをしたわけでありますけれども、ぜひこの事故調査委員会の最終報告に沿った、特に建議という部分で運輸大臣の方に対してもいろいろな所要の措置を講じてほしいという要望、その点についてぜひ充実した施策をよろしくお願いをしたいというふうに思います。  そこで、防衛庁さんの方にお聞きをしたいと思いますけれども、今回の法案が可決、成立していくならば、例えば、徳島空港では滑走路の延伸がなされるという計画でございます。この滑走路が、これは二千五百を三千にするのか、あるいは二千を二千五百にするのか、ちょっと今あれですけれども滑走路が延長された場合に、自衛隊機としては、今まで使っていた機種あるいはその使う頻度というものがこの延長によって変わってくるのかどうか、そこらあたり、防衛庁さんにちょっとお伺いしたいと思います。
  55. 金澤博範

    ○金澤説明員 徳島飛行場におきましては、徳島教育航空群隷下の練習機及び救難機等約三十機を配備しているところございますけれども、現時点におきまして、在来以外の機種を配備するといったような計画はございませんし、またそれに伴って、運用の形態が変わるといったようなことも考えておりません。
  56. 細川律夫

    ○細川(律)委員 防衛庁の方からはそういう御回答でありますから、そういうことはないというふうにお聞きをしておきたいと思います。もし回数がふえるとかそうようなことになれば、これはやはり地元ともいろいろ関係があると思いますので、地元意見も十分配慮して、その意向に沿った形でひとつよろしくお願いしたいというふうに思います。  そこで、また先ほどの中華航空の問題に返りますけれども、この事故は、先ほども申し上げましたように、二百六十四人が死亡するという大変大きな事故でございます。しかも、事故調査委員会の最終報告などによりましても、明らかに関係者の過失といいますか落ち度といいますか、そういうことが指摘をされているわけでございます。そうしますと当然、民事、刑事の責任の問題が上がってくるわけでありますけれども、これの刑事事件の方の責任の方はどうなっているんでしょうか。
  57. 藤田昇三

    ○藤田説明員 お尋ねの件につきましては、名古屋地方検察庁におきまして、平成八年の九月に、中華航空公司に勤務をしていた被疑者六名について、名古屋空港警察署から事件送致を受けております。業務上過失致死傷の罪、それから航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律違反の罪、この二つの罪によって送致を受けて、これを受理しておりまして、現在、捜査中でございます。
  58. 細川律夫

    ○細川(律)委員 大変大きな事故であり、また国際的な事件でもありますから、なかなか捜査も難しいとは思いますけれども、検察庁におかれましては、ひとつ鋭意捜査をしていただいて、早く結論を出すようによろしくお願いしたいと思います。  続いて、民事責任の方について、この補償の問題などについてはどのようになっているのか、運輸省が把握している内容をお聞かせいただきたいと思います。
  59. 黒野匡彦

    黒野政府委員 この補償の問題、大変悩ましい問題でございまして、現在のところ、事故の後にできました遺族会が六つございますが、それがいずれも提訴いたしまして、裁判中という状況でございます。  その背景をお話し申し上げますと、中華航空につきましては、約款の方で上限として二十五万金フラン、今の為替で換算いたしますと、約百八十万円ぐらいだと思いますが、それを上限とする、こういう約款になっておりまして、これをそのまま守ったのではそもそも全く話にならない状況でございますが、中華航空の方も、この約款に必ずしも縛られずに、私どもがとっている情報では、一人当たり千六百万程度の額を提示をしているようでございます。ただし、これでも満足はできないということで、皆さん方が今係属中、こういう状況でございます。
  60. 細川律夫

    ○細川(律)委員 私の聞くところによると、日本人の被害者の方は何か一人もまだこの示談ができていないというふうにお聞きをしておりますけれども、これについて、こういう事故でたくさんの方が亡くなられて、しかも補償がもらえない、和解が成立しない、大変残念に思います。  そこで、こういうことは検討していただけないだろうかということでお尋ねい心します。日本から離陸をする飛行機、民間機、そしてまた日本に着陸する飛行機、これらについての乗客の人たちには強制保険を掛けるような形で、万が一の場合にはその保険金がもらえるような仕組みがつくれないものだろうか。例えば、交通事故なんかにつきましては、自賠責といいまして、車を保有する、運転をする者は必ずその保険に加入をしなければいかぬということになっております。交通事故の場合には、本当にそれによって被害者あるいは遺族が大変助かっているということでありますけれども、そういうような仕組みのものが航空機の事故などでもできないものだろうか。ぜひひとつ検討もお願いをしたいというふうに思いますけれども、そういう点はいかがでございましょうか。
  61. 黒野匡彦

    黒野政府委員 実は、私ども先生の御指摘もわかりますが、さらに前進した提案世界にしておりまして、上限額、要するに補償の上限というのが一般的に低いものですから、この上限額を撤廃しようではないか。日本エアラインは既にもういずれも約款で上限なしとしておりまして、この上限額をなくすということを航空関係の機関等に提案をいたしまして、事あるごとに関係の航空企業にも話をしております。方向として今動きつつありまして、まだいつにどうなるかということは、明言はちょっと難しいわけでございますが、世界的にもこの上限を設けるというのは問題である、上限なしにしようではないかという動きがこれから徐々に水面上に出てくるかと思っておりまして、私どももその方向で努力をしたいと思っております。
  62. 細川律夫

    ○細川(律)委員 例の名古屋の中華航空機、大変な犠牲者が出ましたけれども、この事故を教訓にいたしまして、今後の航空行政の中で、人の今、安全性の問題をさらにさらに高めていただくように、運輸省の方にもいろいろとお願いを申し上げまして、私の質問をこれで終わります。ありがとうございました。
  63. 杉山憲夫

    杉山委員長 平賀高成君。
  64. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成です。  私は、まず第一種空港の国の責任について伺います。  成田空港や関西新空港のときから、空港整備法第二条の国際航空路線に必要な飛行場、あるいは第三条の第一種空港は国が設置するという原則が崩れてきていると思います。成田空港は公団に、そして関西国際空港は特殊法人となり、第一種空港建設に初めて地方負担が導入をされました。さらに、関西国際空港の第二期工事は上下分離方式となるなど、地方負担は莫大なものになってきています。関西国際空港のやり方を見ますと、国際ハブ空港は国家的に必要な空港と位置づけながら、国が責任を負っていないというのが実情だと思います。  運輸省は、今後、空港整備法に基づいて国が一〇〇%負担する第一種の空港はつくらないということですか。
  65. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今、先生指摘のように、一種空港につきまして、いろいろな整備方式がございます。従来の空港整備法、その中では、一種空港は国が設置し管理するとなっておりまして、国が全面的にやったわけでございます。  成田につきましては、あれだけの大きな空港を私どもの直轄工事ということにいたしますと、国家公務員を相当ふやさなければいけないとか、その辺の問題もございまして、公団という形で別の方式をつくり、進めてきたわけでございます。また、公団とすることによりまして、民間からの資金の調達とか、いろいろな方式があるものですから、当時としてはこの公団方式を支持を受けて、当然これは国会でもお認めいただいて採用したわけでございます。  その後、関西国際空港につきましては、当時、民間の活力を十分利用すべきであるという時代でございまして、私どもも、株式会社という形で、国、地方公共団体、さらには財界の方々……(平賀委員「今後つくるかどうか」と呼ぶ)この後につきましては、いわゆる特殊法人というのが新設を認めていただけるかどうかという非常に難しい問題がございまして、私ども、これからについてどうするかは、大きな問題として今検討しておりますが、まだ方針としては確定いたしておりません。
  66. 平賀高成

    ○平賀委員 今後つくる予定があるかどうかということについてだけ、ちょっと改めてお願いします。
  67. 黒野匡彦

    黒野政府委員 第一種空港をつくる予定は、将来の国際ハブ空港ということも視野に入れる必要がございますから、将来はあり得ます。
  68. 平賀高成

    ○平賀委員 あるという言明でした。  空港整備法において、空港設置に対し国が採択権限を持ち、空港の役割と負担を第一種、第二種、第三種に種別して定義づけを行っています。これらの規定は、空港整備も総合的な交通政策の中で、空港間の調整を初め、他の交通機関との役割分担によって、国民の移動と利便性を確保し、経済的な効果を発揮させることにあります。  第一種空港のように国として必要としている空港は、設置、整備においても国が責任を持って進めることが必要です。中部国際空港については、九一年から運輸省自身が空港の規模、需要、そして海上につくるということで技術的な問題などを直接調査を行ってきました。中部国際空港は、国が必要としている空港なんですか。
  69. 黒野匡彦

    黒野政府委員 国も必要だと思っておりますし、地元の関係公共団体その他地元経済界も必要と思っていただいております。
  70. 平賀高成

    ○平賀委員 関西国際空港のように、国際ハブ空港という国家的事業の負担を地方自治体に押しつけることによって、地方自治体の財政が今非常に圧迫されています。空港整備法の第二条で「国際航空路線に必要な飛行場」、また第三条では「第一種空港は、運輸大臣が設置し、」となっています。中部国際空港は、第七次空整で、国が必要とする空港と位置づけられています。この空港を国が将来、国際ハブ空港にしていこうということであれば、空港設置に関して国が責任を持つことが当然であります。運輸省は、こうした姿勢をきちんとさせるべきだと思いますが、いかがですか。
  71. 黒野匡彦

    黒野政府委員 国の責任ということを私ども、逃げるつもりはありませんで、おっしゃるとおりだと思います。  ただ、どういう形式で整備をするかということにつきましては、その時々の財政事情あるいは社会的情勢も踏まえた上で、結論を出す必要があるかと思っておりますし、その際には、当然のことながら、国会の御承認を得て決めるといいましょうか、空整法の中での位置づけを御了解をいただくようになろうかと思っております。
  72. 平賀高成

    ○平賀委員 事業を進める上で、どのような枠組みで責任をどうするのかという肝心な事業主体も現在明らかにしていないわけです。それで、そういう話で地元合意といいましても、これはなかなか地元の方は納得できないと思います。はっきりさせたいわけですが、中部国際空港建設における運輸省の責任は、一体どこにあるのですか。
  73. 黒野匡彦

    黒野政府委員 どういうふうにお答えしたらいいか、ちょっと難しい御質問でございます。先ほど来御議論いただいていますように、これからの国際社会において日本がそれなりの地位を保つためには、空の玄関である国際ハブ空港、この能力の拡充がぜひとも必要だと思っておりまして、国の意思としても今の中部空港は必要だと思っておりますが、あわせて地域方々の期待も大きいと思っているところであります。
  74. 平賀高成

    ○平賀委員 三月末に中部国際空港の問題でいわゆる五点セットが出されました。しかし、この内容を見ますと、肝心の事業主体がまだ決まっておりません。これは今言ったとおりです。また、埋め立てによって失われる常滑沖の漁場の再生など、漁業の振興策もまだはっきりしておりません。運輸省や愛知県は、こうした不十分な内容をもとにして合意を得ようとしているわけです。  大臣に伺いますが、地元の合意を得る上で、そういう性急なやり方ではなくて、やはり事業主体をしっかり示すことが私は大事だと思います。特に、漁業問題についても伊勢湾全体の漁業と深く関係している問題でありますから、私は漁場の再生など漁業対策はしっかりするべきだと思います。そういうものをきちんと明らかにして地元合意をやるべきだと思うのですが、この点について大臣はどのようにお考えですか。
  75. 黒野匡彦

    黒野政府委員 私の方からお答え申し上げますが、いわゆる五点セットにつきまして、必ずしもあらゆる問題を網羅していないということは、御指摘のとおりでございます。まさに今みんなで力を合わせまして最終的な段階に入っておりますので、地域方々によく御理解賜るようなものにしなければいけないということは、我々も考えておりますし、地元の方もそういう御意思であろうと思っております。  いずれにいたしましても、御指摘の点も踏まえまして、検討を急ぎたいと思っております。
  76. 平賀高成

    ○平賀委員 さきの委員会のときに、大臣も性急な進め方はしないというふうに言われておりましたし、とにかく概算要求に間に合わせようというやり方はぜひ避けていただきたいと思います。あわせて、国の方針空港をつくって、そして民間の会社が使う国際空港をつくるに当たって地元に負担をさせるということは、今まではありませんでした。地元負担をさせられた例えば関空でいいますと、大阪府や大阪市でいいますと、地元の負担というのは千七百六十億円にもなっています。地元の自治体は莫大な負担を押しつけられて深刻な事態になっています。  中部国際空港の問題でも、こちらの方はいわゆる陳情型の空港でありますから、財政負担の点でいいますと、もっと大きなものになる、そういう危険性が予測をされています。少なくとも国が必要だというふうに認めるのだったら、やはり財政面も含めてしっかり責任をとるべきだということを、私は指摘をしておきたいと思います。  そして、次に三点目になりますが、共用飛行場の地方負担の導入について伺います。共用空港滑走路延長事業などに対する地方負担の導入は、軍事を目的に自衛隊が優先的に使用している共用空港の軍事的な強化に地方公共団体を加担させることになることは、私は明らかだと思います。共用空港においては、便をふやしたり新路線の開設を望んでも、家主である防衛庁の許可がなくては一つも状況は変わらないということも、現状では明らかだと思います。  初めて共用空港に地方負担を導入して、滑走路の延長事業をやるのが徳島空港であります。この空港海上自衛隊の徳島教育航空群との共用であって、基地の主な任務は海上自衛隊の操縦士の育成であります。ここで初等訓練を受けて、実用機で訓練を経てP3Cなどの操縦士になっています。  九十六年五月五日の地元の徳島新聞で、航空群司令部の甲谷運用幕僚は、民間機の発着が年間一万二千回なのに自衛隊の訓練機の発着回数はその倍もある、訓練カリキュラムに盛り込まれている飛行回数をこなすのに四苦八苦することもあると語っています。防衛庁の説明では、一日に二十機、土曜日、日曜日も年間でいいますと三百磯、夜間も年間二百十機が訓練を行っているという話でした。  このような自衛隊の空港使用の実態から、民間の空港需要がふえるに従って、いずれ必ず発着枠の問題で共用空港の限界にぶつかることになると思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  77. 黒野匡彦

    黒野政府委員 防衛庁さんの方が管理してみえるいわゆる共用飛行場、これにつきましては、常に防衛庁さんと連絡をとりながら運用しているということでございまして、今を例を引かれました徳島空港につきましても滑走路の延長を御提案じ、おおむねの御了解を賜っているという状態であります。  私どもといたしましては、将来、仮に民航機の需要が非常に大きくなったというときには、これはこれでまた別の手段を講じなければいけないことになろうかと思いますが、まさに国の財政事情もありますので、同じ施設を共用することによってお互いにマイナスがない限りにおいては、共用方式というのは決して非難をされるような方式ではないと思っております。
  78. 平賀高成

    ○平賀委員 さらにもう一つ伺いますが、自衛隊が設置、管理する共用空港滑走路延長に新しく地方自活体の負担を導入するわけですが、このことによって地方自治体と防衛庁との間で協議する仕組みができるようになるのですか、ならないのですか。
  79. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今の法律が国会でお認めいただければ、新しい制度でございますから、私どもそれから防衛庁地元、どういう形で協議をし、必要なお約束をするかというのは、法律成立後に直ちに取りかからなければいけない問題だと思っております。
  80. 平賀高成

    ○平賀委員 これは、まだ未定だというふうなことですね。
  81. 黒野匡彦

    黒野政府委員 一般論からいいますと、当然.共用飛行場を民間が使うときにいろいろなケースがございますから、それにつきましてそれぞれの約束がありますし、先ほども御論議ありましたような要撃機の飛行あるいは救難機の飛行等について、既にきちんとした約束があります。同じようなことをその時々の必要性に応じながら運用をしていく、約束をしていくというごとだと思っております。
  82. 平賀高成

    ○平賀委員 少なくともあなた方の部下の方といろいろ話をしたときには、とにかく防衛庁は家主ですから、いざいろいろ問題が起きた場合はやはり自衛隊の任務が優先するのだというふうな話でありました。  徳島空港では、昨年の四月十八日に米海兵隊の攻撃用へリコプターAH1Wが離陸直後にエンジントラブルを起こして緊急着陸し、滑走路を一時間四十分閉鎖しました。二つの便が欠航して九つの便の出発がおくれる。こういうふうになりましたが、地元の徳島新聞、九六年の四月十九日付で、海上自衛隊徳島教育航空群によると、徳島空港には1カ月に二、三回程度米軍ヘリコプターが訓練のために立ち寄ると報道しています。防衛庁の説明でも、徳島空港における米軍機の管制を行った回数は、九四年に八十回、九五年に六十二回、九六年が三十七回であったと言っています。徳島空港も軍事優先の空港使用になっているのが実態です。  これまで、共用飛行場の滑走路の延長、改修などに対して、国が一〇〇%負担をしてきたわけです。改正案は新たに三分の一の地方負担を導入することにしておりますが、共用飛行場は防衛庁長官が設置管理者であり、自衛隊が優先的に使用し、民間は自衛隊の任務に支障のない範囲で暫定的に借りているものであります。滑走路延長事業等に地方公共団体が負担して延長された滑走路においても、自衛隊優先の使用は従来と全く変わらないものではありませんか。
  83. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生は、民航機と自衛隊機との関係をいわば敵対する同士だという御認識があるのかなと思うのですが、私ども、同じ飛行場をお互いに補い合いながら使うということは、これで国民の負担がそれだけ減るわけでございますし、決して悪いことではないと思っております。現に民間空港につきましても、防衛庁が使っているところがあるわけでございます。ただ、先ほどのトラブルの話でございますが、民間の航空機がトラブルを起こすこともありますし、あるいは完全な民間空港でもトラブルは起きるわけでございましくトラブルがあるから共用はまずいのだというところに、いきなり結びつく問題ではないと思っております。  いずれにいたしましても、航空機を安全に飛ばす、あるいは飛行場をより効率的に使うということにつきましては、私ども防衛庁さんとの間では考え方に何ら違いはないと思っております。
  84. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、別に対立的にどうこうと言っているわけではなくて、自衛隊の本質というのは、やはり軍事行動をきちっとやるということが本質だと思いますよ。自衛隊と共用するに当たって、地元の人たちは、滑走路の延長がずつとされていきますと、ジェット基地化されるのではないか、こういう不安を持っておりますし、そして自衛隊が設置、管理している飛行場が民間との共用空港ということで、自衛隊が軍事目的に優先使用している飛行場の滑走路延長の事業で、自治体がそういうものに加担をしていくというふうなことは許されることでないと私は思います。  百里基地も今後、第七次空整計画がありますけれども、実際、百里基地の場合でいいますと、F15の戦闘機が四十機配備をされて、隊員も二千二百名います。こういうところで、一たん、非常事態だということでスクランブル態勢というふうになりますと、これはやはり自衛隊優先で、民間機は空でちょっと待っていてほしいとか、空港を封鎖するとか、そういうふうないろいろな事例が生まれると私は思います。そういう意味で、民間機の安全の問題からいいましても、非常に重大な問題だということを私は指摘をしておきたいと思います。  次に、第二種、第三種空港の特別事業について伺います。  改正案の附則の第五項で、地方公共団体は、「輸送需要に対応した輸送力を有する航空機が発着することができる長さを超えてその滑走路を延長する工事」ができることになっています。この規定は、地方公共団体が工事費を一〇〇%負担した場合は、運輸省としては航空法上の安全性だけは関与するけれども、航空需要とは関係なぐ地方公共団体は滑走路延長などの工事が自由にできるということですか。
  85. 黒野匡彦

    黒野政府委員 従来、空港をつくる場合には、空港整備法の規定に基づきまして、空港の種別によりまして国と地方の負担を決めていたわけでございます。今回の仕組みは、それをむしろ地方の側にまず考えてもらおうではないかという、発想を若干変えまして、地方公共団体といたしまして、滑走路を延長することによって、将来の地域の振興とか、あるいは他の公共事業との調整とか、いろいろなことを考え、その地方がぜひやりたいというものについてはそれを認めるということでございます。今まで専ら国だけでというか、国が主導的にルールを決めていた一部につきまして、地方の意思を尊重するようにしたいというものでございます。
  86. 平賀高成

    ○平賀委員 この法案の説明では、航空需要に関係なく、地方公共団体が滑走路の延長事業をできるようになるという説明で、それに国際化だとか、さらには雪や氷対策というふうな特別な計画があれば、改めて国が援助するという中身です。これでは空港整備で地方公共団体に際限のない負担をさせる道を開くことになると私は思います。  それで、特に、空港整備のむだもいろいろ今問題になっている中で、運輸省に伺います。特に福島空港は九三年に開港して、九五年には新しい二千五百メートルの滑走路建設に着手をしています。これが完成する二〇〇〇年には現在の二千メートルの滑走路を壊すことになっていて、わずか七年しか使用されません。さらに二千五百メートルの滑走路完成もしていないのに、第七次空整では早々に三千メートル級の滑走路延長が認められています。このように、普通ではちょっと考えられない特異な空港整備になっております。いずれも、運輸省と県が詰めた協議を行って事業化がされています。もっと見通しを持った空港整備ができないものかという問題です。  当初、県の方では、二千五百メートルの滑走路空港計画をされて、設置許可申請の段階で、二千メートルの滑走路に縮小されました。滑走路縮小について福島県と運輸省はどういう協議を行ったのか、この点について伺います。     〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
  87. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先ほどのお答えと趣旨がダブるかもしれませんが、従来は私どもが補助金を出す、あるいは国が負担を出すということから、地方として、ぜひ二千五百が欲しいということについても、二千で十分ではないかという指導をさせていただいたわけであります。そのときの根拠は需要予測でございまして、国の尺度で考えますと、当時は二千で足りるのではないかと考えたために、そういう意見を福島県に申し上げたということでございます。
  88. 平賀高成

    ○平賀委員 今建設中の二千五百メートルの滑走路についても、福島県は、建設コストがより低い延長をということで、五百メートル南側に継ぎ足すつもりで、滑走路を延長する案を中心に国に要望していました。ところが、ジャンボ機を飛ばす必要があるという運輸省指導があって、構造も違うので滑走路を新設する方向になったと言われています。  第七次空港整備では、三千メートル級に滑走路の延長を行うことにしています。その理由は、二千五百メートルの滑走路では、サンフランシスコやヨーロッパに飛べない、北関東圏での空港需要の増加分を福島空港が担う、大規模な震災が起きたときに首都圏空港の代替ができる、こういう理由です。これらの理由というのは、三千メートル級に滑走路延長する必要性というものが県民の要求からではなくて、空港整備法の役割分担からいっても、第三種の空港に、北関東圏での航空需要の増加分を福島空港が担うだとか、大規模な震災が起きたときに首都圏空港の代替などの役割を負わせる必要が果たしてあるのかどうなのか、この点について伺います。
  89. 黒野匡彦

    黒野政府委員 私ども、地方公共団体、特に県が、県の中でもいろいろな議論を経た上で決断されるという場合には、国としてもそれを尊重すべきではないかという考えを持っておりまして、今回のこの法律改正も、現在の地方分権化といいましょうか、あるいは地方への権限の移譲といいましょうか、流れといたしまして、もっと地方の自主的な判断を尊重しようではないか、こういう世の中の動きに対応してこの特別事業というのを考えたわけでございまして、まさに今先生指摘のように、何事についても霞が関に了解をとるとか、そういうシステムが将来にわたって本当に日本にとっていいのだろうかという点も考えまして、こういう法律改正をお願いしているところでございます。
  90. 平賀高成

    ○平賀委員 そういう話になってきますと、わざわざ第一種だとか第二種、第三種という、そもそも区分そのものが必要でなくなっていく、本当に無責任な話になっていくわけです。  それで、空港需要の見込みを見ても、福島空港需要は、周辺の茨城県三・九%、栃木県七・六%ありますけれども、福島県内が八六・五%であります。茨城県では百里基地の共用空港化が第七次空整計画をされています。また、周辺の仙台空港も、三千メートルに滑走路延長を行うなど需要の見通しも非常に厳しいわけです。なぜ第三種の地方空港が、二千メートル、二千五百、三千メートルと、滑走路をつくっては壊し、つくっては壊しというふうにならなければいけないのか、普通では考えられない話だと思います。しかも、開港から三年九カ月という異例の早さで三千メートルの延長が決められる、こういうふうな事例というのはほかにありますか。
  91. 黒野匡彦

    黒野政府委員 私の知る限りにおいてはないと思います。
  92. 平賀高成

    ○平賀委員 私は当然の話だと思います。  それで、地方に第三種の空港、いろいろありますけれども、その第三種空港が一体どういう収支状況にあるかというのを、運輸省はつかんでいますか。
  93. 黒野匡彦

    黒野政府委員 空港の収支というのは、非常に見方が難しいわけでございまして、各空港がどういう収支かは私ども、把握いたしておりませんし、空港の収支をどういう計算方法でやるのがいいか、この辺についてもまだ決めかねております。ただ、それ以外の、例えば今回の関空のような株式会社でありますと、これはこれで独立いたしますから、それなりの計算はできるということでございます。
  94. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、収支状況がどういうふうになっているのかつかんでいないことそのものが、大問題だと思います。  それで、私ども、ちょっと調べたんですけれども、例えば山形の庄内空港であるとか岩手の花巻、長野の松本それから島根の石見、そういうふうなところは全部赤字なんですね。富山の富山空港、鳥取の鳥取空港は黒字になっておりますけれども、大体のところが赤字になっています。特に今回の法案と関係でいいましても、一つは、その収支状況がよくわかっていなくても、それから二つ目に、需要の見通しがなくても空港の延長ができる、さらに政府の支援があったとしても、支援め補助率が今度下げられますから、そういう意味では、地方自治体の財政破綻に大きく道を開くものになるのじゃないかというふうに私は思わざるを得ないわけです。  それで、福島空港もなかなか国際化の点についてはめどが立っておりませんし、福島空港でいいますと、着陸料等の収入から人件費や維持管理費を差し引きますと、毎年三億円程度の赤字なんですね。一般会計から繰り入れをやっているんですよ。さらに福島空港でいいますと、三回もその工事を全部やったとしますと、一千億を超える工事費になります。既に工事が終わった分についても、国かちは二百五十億もお金をつぎ込んでいるわけですから、やはりこういう見通しのない、財政めどの立たないようなやり方は、きちっと改めるよう指摘をして、私の質問を終わります。大臣、最後に一言どうですか、こういうやり方、今の状況について。
  95. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生政府委員との御論議を踏まえまして、今後、御心配いただくようなことにならないよう、十分注意をしておく必要はあろうかと思っております。
  96. 平賀高成

    ○平賀委員 以上で終わります。
  97. 林幹雄

    ○林(幹)委員長代理 濱田健一君。
  98. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 きのうからきようにかけまして、ほぼ論議は出尽くしたと思うのですが、私の方からも五、六点、質問をさせていただきたいと思います。  まず、民間機と自衛隊機の共用空港の重要性につきましては、きのうからるる論議をされてまいりました。近年、四つの共用空港の民間の利用客の増加を見てみますと、十万、二十万という単位で増加をしているようでございます。何人かの方も質問されましたが、この共用空港整備について、これまで国が全額負担していたものが、各都道府県も拡張について三分の一だけを負担するということになるわけでございまして、民間の航空機の利用についてのニーズといいますか要求、路線の拡大とか便数の拡大等についてその要望等は強くなってくるだろうというふうに思うのであります。  当然、これまでも運輸省防衛庁の方で、それについては協議をしてこられたというふうに思いますし、会社の採算性の問題等もこれには絡んでいるあけでございます。すぐには雄しい問題かもわかりませんが、今後、運輸省としてどのように対処されようとしておられるのか、局長の方にお答え願いたいと思います。    〔林(幹)委員長代理退席、委員長若席〕
  99. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今の御質問は、共用飛石場をこれから運輸省もふやしていくつもりか、こういう御質問だとしますと、私どもといたしましては、地元の要望、それから実際に需要があるかどうか、さらには、より大事かもしれませんが、防衛庁の方の運用との関係でそごを来さないかどうか、そういうことを総合的に考えながら対応していかなければいけないと思っております。
  100. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 いや、私が言ったのは、共用飛行場そのものを、今四つありますよね、それをふやしていくのかということではなくて、先ほど何人かの方も質問されたと思うんですが、地域にとってはやはり重要な民間の航空機を、路線も便数もふやしていくニーズというのは私たちもよく聞くものですから、そういう部分について、当然これは防衛庁との協議にかかってくるということはわかっているんだけれども、姿勢として、運輸省は、そういう要望等について、積極的な取り組みというのはどういうふうにされようとするのかということを聞きたいわけです。
  101. 黒野匡彦

    黒野政府委員 私どもも、地元の住民の方々の御要望はなるべく実現したいと思っております。需要があれば、それ相応の便数をふやすということは努力をしてまいりたいと思っておりまして、そういう方向で防衛庁さんの方にもお願いをするということになろうかと思っております。
  102. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 各都道府県もお金を出すということになっておりますので、ぜひともこれまで以上の御努力をお願いしたいと思います。  もう一点は、運輸省が管理する共用空港、特に那覇空港等でございますが、民間機と自衛隊磯、それぞれ担っている役割が違います。そういう意味では、着陸や離陸のときのさまざまな機体の運用の仕方、操作の仕方が違いますのでややもすると、つい最近も起こりましたけれども、ニアミス等の重大事故につながるような部分というものがあるわけでございまして、運輸省が管理するという立場から、事故防止等についてのイニシアチブをしっかりとってもらいたいというふうに思うのですが、その辺はいかがでしょう。
  103. 黒野匡彦

    黒野政府委員 まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、先ほども答弁申し上げましたけれども、民間機と自衛隊機の共用につきましては、細かいところまでマニュアルを決め、お互いの了解のもとできちんとしたルールをつくっておりますし、これからも、事故を起こすことがないように我々としては最大限努力をしなければいけないと思っております。
  104. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 よろしくお願いいたします。  三点目ですが、航空審議会答申、いわゆる第七次空港整備五カ年計画の中で、「離島空港、コミューター空港等の整備」ということで、「民生の安定、地域の振興及び高速交通ニーズヘの対応」をしていかなければならないという答申を得ているわけでございますが、附則第五項関係で言いますと、この法律が通れば、いわゆる地方公共団体が主体的に滑走路等の延長ができるという方向になるわけでございます。当面、岡山空港だけを想定をされているというふうに私も理解をしているわけでございますが、北海道や一般の離島、奄美、沖縄、これらのところでも、生活条件等々厳しいところということで非常に御配慮いただいているわけでございますけれども、第五項関係については、こういうところにも法律の中身として適用されるのかどうか、そこをお聞かせてださい。
  105. 黒野匡彦

    黒野政府委員 形式的に申し上げますと、適用されます。  ただ、今先生の御指摘の、離島とかその辺につきまして、YS機がリタイアしてその後継機にしなければいけないとかいろいろな事情がありますから、それはこの特別事業ではなくて、むしろ本来の空港整備のルールに従ってやるということもあり得るわけでございます。この特別事業を、何といいましょうか、優先してというか、そういうつもりは我はございません。
  106. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 一般的に言って、当然適用されるということでございます。  私が申し上げたこれらの地域については、当然国の配慮がございまして、離島振興法や奄美群島振興法等々で、国の補助率が百分の八十とか九十とか、本当に配慮をいただいているわけでございます。仮にそういう地域が自主的に、例えば滑走路、二百メートルぐらいだから何とか主体的に始めたい、ただ、やはり財源的な問題については国の力をかりなければならないというときに、百分の四十という今度制定されようとする中身では、虫のいいような言い方になってしまいますけれども、なかなか厳しいというようなときに、現在の法律にうたわれている補助率等々、多少は、一〇%ぐらい引かれるかもしれませんけれども、そういうところでの配慮ができるのや否や、ちょっと虫のいい質問になってしまうかもしれませんが、局長、どうでしょうか。
  107. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生の御趣旨も私なりに理解できないことではございませんが、一応、この制度につきましては、地方公共団体がリーダーシップを持って進める事業でございまして、その意味から、百分の四十というのを限度にするというところは、我々としては今変える予定はございません。
  108. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 当面、岡山空港を対象ということでそういうことになるのかもわかりませんが、今の財政構造改革の論議の中でも、中央の負担と地方の負担の見直しとか、いろいろ出てくると思います。特に離島の空港を抱えている、例えば私の出身の鹿児島県あたりでも、答申にうたわれている「民生の安定、地域の振興」、例えば観光に頼っている島々などは、余りジェット化して便数が減っても困るし、ある程度の便数を確保しながらある程度のお客の数も確保したいということ等もあるものですから、現実的にそういう要求が出ている、主体的にやるということが出ているということではないのですが、この法律ができることによって、先ほど申し上げましたとおりに、二百メートルぐらいだったら何とか主体的にやりたいという気持ちが出てくるやに聞いております。  ですから、補助率等については、百分の四十というのを、局長としては、現時点では、今法律を通そうとしていらっしゃるところですので、それ以上のことは答弁できないだろうとは思うのですが、今後とも、そういう状況が出てまいりましたときには、十分御検討もしていただきたい中身だということで要望しておきたいというふうに思います。  関連いたしまして、今申し上げた鹿児島の空港ですが、抱えている課題は、奄美群島の三つの空港、喜界、沖永良部、与論、ここにサーブ34OB型機というのが就航しているわけでございます。先ほどからお話ししておりますとおりに、観光に頼っている島々でございます。特に夏場の多客期等には、滑走路が短いということで、お客さんを満杯に積んで着陸できないというような悩み等がございまして、三百メートルの滑走路の延長を、今県としては計画を立てているところでございます。もちろん、着陸帯、エプロン、駐車場等々の整備考えております。  そして、新種子島空港のジェット化、既に平成四年の十一月に設置許可をいただいて、その十二月から事業に着手しておりますけれども、これらの空港についての役所としての事業の進展といいますか、それらの方向性を示していただきたいと思います。
  109. 黒野匡彦

    黒野政府委員 いずれもやはり需要との関係をどう考えるかという問題でございますが、新種子島空港につきましては、ジェット機の就航が可能な二千メートルにするという工事を、もう先生御案内かと思いますが、平成二年度から着手しております。これはなるべく早く解決したいと思っておりますが、一部におきまして用地買収が難航しているという情報も入っておりまして、地元としての一層の御努力をむしろ我々からもお願いしたいと思っているところでございます。  それから、それ以外の空港についてどうするかということでございますが、御案内のとおり、YSがそろそろリタイアの時期が来ております。そこで、それに対応する措置をどうするか、これは我々、今いろいろ考えておりますが、YSのリタイアイコールジェット化ではないと思っておりまして、その中間のあたりにも一つの選択肢があるかなと思っております。  いずれにいたしましても、離島空港あるいは離島航路につきましては、私どもも今までも精いっぱいやらせていただいたつもりでございますし、生活の足、住民の生活手段として必要である航空路線は、将来とも維持をしなければいけないと思っております。
  110. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 例えば、今東京から奄美に行くには、朝一便そして帰りは夜一便ということで、もっともっと需要といいますか、便数拡大の必要性を訴えられているわけです。今局長からお話がありましたとおりに、離島の中の離島というのは、ジェット化ということもないではないのですが、やはり便数の確保ともう少し機体の大きな航空機の導入が欲しいなというところがございますので、そういう観点で整備の方向性というものをより一層進めていただきたい。これらは県からも新たな方向性を模索しての要望等は上がってくると思いますので、よろしくお願いをしておきたいというふうに思います。  最後に、きのうから九州の仲間の委員皆さん方が、再三にわたって九州国際ハブ空港お話をされております。もう大臣地元のことでございまして、何回も同じことを答弁させるなとお思いかもわかりませんが、やはり九州の、私、鹿児島から見ておりまして、羽田まで行って、羽田からバスか電車で成田に行って海外に飛んでいくということは、非常に難儀でございます。韓国に飛びますと、羽田に行くよりも近くて海外にすぐ飛んでいける、割安の航空運賃というふうなことで、どんどん吸い取られている現実もあると思います。  ましてや、上海空港や新メトロポリタン空港等々、二年後、三年後に開港いたしますと、もっともっとそれが、需要はあるにもかかわらず吸収されていってしまうという状況の中で、今度の空港整備五カ年計画、第七次の答申の中には、文言として九州国際ハブ空港というのは出てこないわけでございますが、運輸省としては当然、将来の見通しというものを持ちながら対応されるおつもりであろうということは、承知をしております。その辺の大臣の決意と、地元九州の議員、そして関心を持つ多くの皆さん方に、こういうところをまずは今解消してもらわなければ先に進めないよというようなこと等もございましたら、御示唆をいただいて、私の質問を終わりたいというふうに思います。大臣、よろしくお願いします。
  111. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生もお触れいただきましたが、第七次空整五カ年計画におきましては、「地域において多様化し、着実に増大すると見込まれる国際航空需要動向等への対応について調査検討を行う。」こととしているわけでございます。当然、私ども九州人が期待する九州国際空港の期待というものを、その中に見出すことができるというふうに私自身は思っているわけでございます。  御承知のとおり、九州国際空港検討につきましては、九州各界方々において大変熱心に検討が進められているということも私自身も承知をいたしておりますが、九州地方のどの場所で整備するかということについて決めるというのは、現状においては困難なことだというふうに思っております。  いずれにいたしましても、運輸省といたしましては、ただいま申し上げましたような認識のもとに、慎重に九州国際空港の問題については検討してまいりたいと考えております。
  112. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 新幹線の問題、高速道路の問題、航空の問題等々、本当に二十一世紀に向けた日本の交通インフラを含めた、経済的流通の関係を含めた取り組みというのは、ますます重大になってきております。総合交通体系ということで運輸省も御苦労なさると思うのですが、私たちもこれから、子供たちや孫たちにしっかりとしたインフラ整備を残していく、将来を展望したものが必要だという認識のもとに頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  これで終わります。
  113. 杉山憲夫

    杉山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  114. 杉山憲夫

    杉山委員長 この際、本案に対し、林幹雄君外一名から、修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。林幹雄君。     ―――――――――――――  空港整備法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  115. 林幹雄

    ○林(幹)委員 私は、自由民主党及び社会民主党・市民連合を代表して、空港整備法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げます。  施行期日について、原案では「平成九年四月一日」といたしておりますが、既にその日が経過しておりますので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。  よろしく御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  116. 杉山憲夫

    杉山委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  117. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。寺前暴君。
  118. 寺前巖

    ○寺前委員 日本共産党を代表して、空港整備法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行わせていただきます。  反対する理由を簡潔に三点述べます。  第一の理由は、自衛隊が優先使用している共用飛行場の整備に、地域の利用者利便の向上とか、地域経済発展のためとかいって地方負担を導入し、軍事的強化に地方自治体を巻き込んでいるからです。  第二は、地域振興等を理由にして、地方空港滑走路延長等の整備は地方自治体の主体のもとで施行させるとし、国庫補助率を引き下げているからです。  第三は、空港整備事業に新たな地方負担の導入と一層の負担を強化しながら、大規模空港プロジェクトの整備費だけは維持、強化を図ろうとするものです。  なお、本法案の修正案は、本法案の内容を変えるものではなく、反対であることを申し述べておきます。  以上をもって反対討論を終わります。
  119. 杉山憲夫

    杉山委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  120. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより採決に入ります。  空港整備法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、林幹雄君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  121. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決された修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  122. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 杉山憲夫

    杉山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  124. 杉山憲夫

    杉山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     正午散会      ――――◇―――――