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1997-04-15 第140回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十五日(火曜日)     午前十時二分開議  出席委員   委員長 杉山 憲夫君    理事 林  幹雄君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 横内 正明君    理事 江崎 鐵磨君 理事 北橋 健治君    理事 細川 律夫君 理事 寺前  巖君       石崎  岳君    衛藤 晟一君       田中 和徳君    橘 康太郎君       谷川 和穗君    中馬 弘毅君       堀内 光雄君    森田  一君       赤松 正雄君    上田  勇君       久保 哲司君    今田 保典君       坂本 剛二君    玉置 一弥君       中田  宏君    松浪健四郎君       川内 博史君    辻  一彦君       平賀 高成君    濱田 健一君       望月 義夫君    米田 建三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 古賀  誠君  出席政府委員         運輸政務次官  衛藤 晟一君         運輸大臣官房長 土井 勝二君         運輸大臣官房総         務審議官    西村 泰彦君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君  委員外出席者         科学技術原子         力局核燃料課長 泉 紳一郎君         大蔵省主税局税         政第二課長   森信 茂樹君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  三代 真彰君     ————————————— 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   関谷 勝嗣君     田中 和徳君   古屋 圭司君     石崎  岳君   玉置 一弥君     赤松 正雄君 同日  辞任         補欠選任   石崎  岳君     古屋 圭司君   田中 和徳君     関谷 勝嗣君   赤松 正雄君     玉置 一弥君     ————————————— 本日の会議に付した案件  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二七号)  日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を  図るために平成九年度において緊急に講ずべき  特別措置に関する法律案内閣提出第二六号)      ————◇—————
  2. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻一彦君。
  3. 辻一彦

    ○辻(一)委員 久しぶりなんですが、新幹線問題でかねてから質問を一回いたしたいと思っておりましたが、常任委員長を一年余りやっておりまして、なかなかその機会がなかったので、きょうはそういう意味では一年二カ月分の、多少地方の声もこの機会に聞いてほしい、このように思いますので、そういうことで五十分ひとつお願いしたいと思います。  まず、今、日本全体が財政赤字で大変なときでありますが、そういう中で旧国鉄長期債務問題ともう一つ林野庁特別会計、山の方、この二つ財投資金中心にして累積赤字がたまり込んで非常に大きな問題になっておると思います。そういう意味で、まず、一九八七年、昭和六十二年に二十五兆五千億と言われたこの旧国鉄債務が、十年たつわけでありますが、一九九七年度首で二十八兆三千億とふえております。非常に大変なことであり、残念だと思いますが、この主たる要因というのはどういうように考えているか、この点をまずひとつお伺いいたしたい。
  4. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生から今御指摘いただきましたように、昭和六十二年の四月に約二十五兆五千億円の国鉄長期債務があったわけでございますが、平成九年度首の見込みでは、これが二十八兆一千億に実は増加をいたしております。この間金利年金負担等によりまして、国鉄清算事業団の支出が実は十五兆四千億円に上っているわけでございます。これに対しまして、土地処分地価高騰時の凍結やバブルの崩壊によりまして当初見込みどおり円滑に実は進んでおりません。収入は十二兆九千億円にとどまっているわけでございます。  土地売却について申し上げれば、当時、御承知のとおり大都市を中心といたしまして地価が急激に高騰する状況におきまして、国家的な緊急課題とされた地価対策ということで、実は事業団用地一般競争入札による売却を見合わせるという措置がとられたことは御承知のとおりでございます。この地価高騰時におきまして、事業団土地売却を見合わせる、そういう主張が当時は国会やマスコミの大勢であったということは事実であります。こういう経過から、国鉄長期債務処理について、それぞれの経済社会情勢のもとで最善と思われる措置が講ぜられてきたものとは理解いたしておりますが、結果として今申し上げましたような国鉄長期債務累増してきているということを考えますと、反省の点もまたあろうかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、この国鉄長期債務の本格的な処理を早急に実施するということが必要だろうと思っておりまして、国民的な御論議を十分尽くした上で、本年中には成案を得るべく最大限の努力をするということが今私に課せられている使命だ、こう反省を兼ねた上で認識をいたしているところでございます。
  5. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大臣答弁を要約すれば、共済年金等負担、それからバブルによる地価の下落、そういうことがかなり大きな要因としてある、これはもう当然であろうと思いますが、バブル時に、土地を高く売ろうと思えば売れた時期が恐らくあったとは思いますが、政府地価を抑制するという政策のもとにそれができなかったという経緯もあったということも理解できるわけであります。  しかし、累積債務累増最大要因は、現在、財投金利がほかに比べても非常に高い、これをずっと利払いをやっているというところに一番大きな要因があるのではないか、このように私は思います。例えば、六十二年の旧国鉄債務は二十五兆五千億、今言われたとおり、平成九年の当初で二十八兆三千億、長期債務を見ると、六十二年では十九・九兆、十九兆九千億、それが十年間に二十四兆七千億となっておりますが、四・八兆円、約五兆円がこれでふえている。このために、国民負担というものが、当初では十三兆八千億、それだけを単純に加えれば十九兆円、恐らくそのほかを加えれば二十兆以上に増加をしていると見なくてはならない。   恐らく、今まで土地処分をし、また株式を売っていろいろな努力をされておったと思いますが、この二十兆を超える負担国民にかかろうとしているということも現実の問題であろうと思います。そうなると、この長期債務償還計画等見直しがなされずに十年間が、いろいろな事情はあると思いますが経過をした、結果としては今の大臣答弁のとおり、五兆円をさらに上回る負担増をもたらすことになったということになろうと思います。これについての反省、今一応御発言があったわけでありますが、これは私は、国民にこれからいろいろな負担をお願いしなくてはならない分野があるわけでありますので、政府としてもこの経緯について遺憾の意の表明があってしかるべきでないか、こういうふうに思いますが、この点について御見解をひとつ承りたいと思います。
  6. 古賀誠

    古賀国務大臣 若干御答弁が繰り返されることになるかもわかりませんけれども、お答えを申し上げます。  御承知のとおり、六十三年一月の閣議決定におきまして、まず、国鉄清算事業団自主財源である土地株式等の資産の適切かつ効率的な処分により対処すべきという基本的な考え方決定をされたわけでございまして、この考え方のもとに今日までそれなりに全力を挙げて国鉄長期債務処理について取り組んできたところでございます。しかし、今、先生も御指摘がありましたように、この金利負担の問題というのは国鉄改革時におきましても予測をされていたところでありまして、事業団といたしましても、その時々の状況のもとでできる限り有利な資金調達に努めてきたこともぜひひとつ御理解をいただきたいと思います。  また、政府といたしましても、利子を含めます債務増加を抑制する対策といたしまして、十年間で約一兆六千億円の補助金も交付いたしております。また、平成二年度には、営団の出資持ち分評価額、約九千億相当の有利子債務を国が承継をする等の対策も講じさせていただいたところでありますし、さらに、今回の法案におきましても、約三兆円の有利子債務の無利子化等特別措置をお願いいたしているところであります。可能な限りの措置を、政府といたしましても努力をしてきたと思っておりますけれども、国鉄長期債務について、この金利負担軽減を図っていくということが大変重要な課題であるということについては、先生から御指摘いただいたとおりでございます。このためにも、国鉄長期債務の本格的な処理について、金利負担軽減を含めまして、どういう選択肢があるのか精力的に検討する必要があろうかと思っております。   政府の責任ということについて国民への謝罪ということでございますけれども、政府は、もちろんそのときそのときに必要な国家的な課題について取り組んできたということは先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。しかし、結果としてこういう国鉄長期債務累増を見るときに、反省の点もあろうかと思いますけれども、一つ一つは、やはり政治家みずからも反省する立場を忘れてはいけないことではないかな、こんな感じを持っているということを御理解いただいておきたいと思います。
  7. 辻一彦

    ○辻(一)委員 先ほど冒頭で私も申し上げましたが、財政投融資資金を借りてその借入金雪だるま式にふえていく典型的な例は、旧国鉄長期債務と、三兆円を超す累積債務を持つ林野庁特別会計、これでなかろうかと思います。今御答弁のとおりそれぞれ努力をしてきたということは事実でありますが、いわばお手上げの状況になっておる、抜本的な対策がこの両者についてぜひ必要と林野の問題はきょうは別として、旧国鉄のように、清算業務に入っている、いわば倒れたところから高い金利を取るということが無理なのでないか。  住専の処理措置では、六・六兆円の借入金金利〇・七%、十年かかってもこれは七%ということになるのですが、この長期債務の場合には、財投平均は五・三%と言われておりますが、これはかなり高い、無理な金利ではないか。清算業務に入っている事業団に対しては、利子の減免とか低利への借りかえ、繰り上げ償還とか、財政当局に特例を認めさすべきでないかと思いますが、この点、いかがでしょう。
  8. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生から御指摘いただきますように、なるほど、この国鉄清算事業団の借り入れに財投というものを使ったということについて、いろいろ御論議はあろうかというふうに思っております。いずれにいたしましても、この財投に対する場合は、先生も御承知のとおり、債務の繰り上げ償還によります低利借りかえというものを行うということになりますと、債権者に借り手の金利軽減コストをつけ回すということになるわけでございまして、財投制度根幹にかかわる問題でございまして、大変難しいことだというふうに考えざるを得ないと思っております。  いずれにいたしましても、先生から御指摘いただいているような問題点は、今後の財投根幹の問題としてこれからさまざまな分野の中で御論議が行われていくことだろうとは思っておりますが、この国鉄長期債務の問題について、今、現実の問題として、先生に御指摘いただいたようなことが適切に措置されていくということは困難なことだろうというふうに思っております。
  9. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私も、財投そのもののあり方に触れなければならない、非常に大きな問題だとは思いますが、財政当局運輸大臣の方で、これはことしの最大課題でないかと思いますので、全力を挙げてひとつ取り組んでいただきたい。大臣の御努力を特に願いたいと思います。  第二に、私は、整備新幹線の問題について二、三伺いたいと思います。今までこの整備新幹線は、連立与党時代、いろいろな連立与党の形がありますが、いずれも、申し合わせあるいは関係大臣確認事項の中で、国家プロジェクトである、こういうふうにされていますが、新幹線における国家プロジェクトとはどういうことを意味しているのか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  10. 古賀誠

    古賀国務大臣 今後我が国高速交通体系ネットワークを考えた場合、この整備新幹線というのは、先生も日ごろから大変熱心にお取り組みをいただいておりまして、私ども、大変御指導いただいているわけでございますけれども、まさに、安全性確実性また省エネ、そして大量輸送高速交通機関として、我が国国土の均衡ある発展地域活性化に資するという意味で国家的なプロジェクトである、高速交通体系を今後ネットワークとして形成する中で一つ輸送機関である、こう位置づけをさせていただいているところでございます。
  11. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、整備新幹線推進すべきであるという立場に立って今までもいろいろと取り組んでまいりましたが、しかし、今回の新幹線国家プロジェクトという観点位置づけから見たときに、昨年末のこの新規着工の内容に実のところ強い不満を持っております。近い将来においてまたその見直しがなされるべきであるというので、そのことを強く要求すると同時に、二、三点を挙げて、率直に地方の声をこの機会に聞いてもらいたい、こういうように思うわけであります。それをひとつ今後の問題に役立ててほしいと思っております。  第一に、日本海沿岸は、今まで裏日本と言われて、表日本、いわゆる太平洋岸日本国土発展太平洋国土軸が太く設定をされ、それを中心日本国土開発、これは高速交通網その他を問わず展開されておった。しかし今、時代が大きく変わってまいりまして、裏日本ではなくて、日本海沿岸としてもう一つ日本海国土軸設定をする、こういう方向に大きく動いているということも事実であろうと思います。  そういうことで、日本国土発展を、太平洋国土軸に対して日本海国土軸を考えた場合に、国家プロジェクトとしての新幹線日本海国土軸方向に沿って展開をされるべきであると思います。私も縁がありますが、北陸新幹線、言うならば日本海新幹線意味を含めて、そういう方向に大筋は展開されるべきであると考えますが、これについての御見解をひとつ承りたいと思います。
  12. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま先生から、日本海国土軸のお話がございました。  確かに、新しい全国総合開発計画の策定に向けまして、昨年の十二月に取りまとめられました国土審議会計画部会調査検討報告におきましても、日本海国土軸を初めといたします長期的な国土軸の形成など、今後の国土づくりを進めるに際しましては、広域的な地域間の連携、こういったことを通じました地域の自立を促進すること、これを重要な課題といたしておりまして、このような地域間の連携とか交流の促進のためには、交通基盤整備というのが引き続き重要な課題である、こういうぐあいに位置づけられております。  北陸新幹線につきましては、先生承知のとおり、高崎—長野糸魚川—魚津石動—金沢間、これにつきまして着実な整備を進める一方で、昨年三月には、日本鉄道建設公団が、小松−南越の間の工事実施計画認可申請を行う、それから、南越敦賀間につきましては、ルート公表を行う、あるいは環境影響評価に着手している、こういう状況でございます。  私ども、基本的には、この国土審議会の「計画部会調査検討報告」において示されているような考え方も踏まえまして、今後、新幹線の問題に対処していく、基本的にはそのような考え方に立っております。
  13. 辻一彦

    ○辻(一)委員 国土庁を中心に、日本海国土軸は、まさに大きな、太平洋に匹敵する骨太い国土軸として今展開されようとしておりますから、それをひとつ十分考慮に入れた新幹線展開をぜひ考えていただきたいと思います。  第二の問題として、阪神大震災は、山陽新幹線切断という非常に大きな事故を引き起こしたわけであります。私も、二回ほど、山陽新幹線の災害の現状とその後の復旧状況について、委員会等で、あるいは個人で視察に出まして、自然の力が非常に大きいということをそのときに痛感をしました。そのとき考えたことは、今まで東海大地震というものが起こる可能性は、阪神大震災、この地震よりもはるかに大きく理解をされてきたし、また、東海道沿岸における最近の地震動き等を見ると、今後、この可能性がやはり強いと言わざるを得ないと思います。  もし、伝えられるように、東海大地震が起こって東海道新幹線切断をされたとするなら、その国土に及ぼす影響は、山陽新幹線の比ではなく、混乱と被害、それから全国的な影響というものも非常に大きいと思います。特に、東京大阪を結ぶ、日本の二大中心都市でありますから、この間が切断されることになりますと、大変なことになると思います。こういう東京大阪間の今日の大動脈東海道新幹線に対して、非常の場合の日本海側の動脈をもう一本持つことの必要性は、国家プロジェクトという観点からもぜひ必要なことではないか、このように思うのであります。阪神大震災はこのことをよい教訓として教えているのではなかろうかと私は思いますが、こういう役割を日本海新幹線とも言うべき北陸新幹線が果たそうとしている。  昭和四十八年十一月の、御承知のとおりでありますが、閣議決定整備計画どおり東京大阪間を直結する若狭ルート重要性というものは今もなお変わらない大事さを持っておると思います。これについて、大臣認識をちょっと伺いたいと思います。
  14. 古賀誠

    古賀国務大臣 阪神淡路大震災から、私たちは、実はさまざまな教訓を得たわけでございますけれども、まさに今先生から御指摘いただきましたように、まず、交通体系全体としての安全性の確保という観点から、必要なネットワーク多重化多元化を図るということは、その教訓の中でも極めて重要なことであったというふうに考えられるわけでございます。そういう意味で、先生から今御指摘いただいております北陸新幹線整備というものについては、私は、一つの御見識であるだろうと考えているわけでございます。  北陸新幹線整備状況につきましては、今、鉄道局長からも御答弁を申し上げましたとおりでございます。未着工区間につきましても、昨年十二月の政府与党の合意におきまして、長野上越間が与党三党の申し入れの中で新規着工区間とされているところでありまして、今後、政府与党から成る検討委員会におきまして、基本的な条件が整えられていることを十二分に確認した上で、財政構造改革と矛盾しないよう、適切に対処していくということにさせていただいているところでございます。  今先生から御指摘いただきましたような、阪神淡路のあの大震災教訓とする中での交通体系ネットワークという観点を十分踏まえながら、今後検討していく重要な課題だという認識は、全く先生と同じだと思っております。
  15. 辻一彦

    ○辻(一)委員 国土の均衡ある発展を目指して、新幹線は五線が閣議で四十八年の十一月に決定をされた、御承知のとおりであります。以来二十三年間、それぞれの地方は、国土の均衡ある発展を目指して新幹線整備計画の実現に取り組んできたということも、よく御承知のとおりであると思います。それも、この東海道、山陽、そして上越、初めの方の東北新幹線は、全額国費をもって地方の直接負担なしに取り組んできた。新幹線で結ばれた地域は、今お話しのとおり、安定した、そして大量高速交通体系によって結ばれて、大きく発展をし、そのメリットを享受してきたということも事実だろうと思います。しかも、それは、残された地方に比べれば、比較的、財政力の豊かなといいますか、財政力のある地方であったとも言えると思います。  一方、取り残された地方は、多くは財政力が弱い地域が多い。また、国土の均衡ある発展を願うために、地方は、今乏しい財政の中でも、その一部負担、相応な負担をして、この新幹線を実現したい、こういう大きな夢を実現したいとして追求をしている。私は、一部にはそういうのを地方エゴであるというような理解がされているということを、非常に残念に思うのであります。二十三年にわたるこの地方悲願、この声はなお実現されていないが、こういうことを単なる地域エゴという言葉で切り捨てることは許されない、こういうように思っております。東京一極から離れた地方の声、それは正当な声でなかろうか。国の財政が厳しいということは十分承知の上で、このような地方の声を国土の均衡ある発展のために生かすべきではないか、聞き入れていかなくては日本政治はない、このように思いますが、これについての御見解をまずお尋ねしたいと思います。
  16. 古賀誠

    古賀国務大臣 改めて私が申すまでもなく、先生におかれましては、本当に整備新幹線推進に大変御理解をいただいておりまして、心強く思っておりますと同時に、まさに我が国の今後の国土の均衡ある発展という観点から考えましても、この整備新幹線、着実に推進を進めていくことが、長い間の沿線地域皆様方の夢にこたえるということだけではなくて、今申し上げましたように、二十一世紀に向かっての国土の均衡ある発展、そして地域活性化に資するということを踏まえて、大変重要な国家的なプロジェクトであるというふうに思います。  ただ、極めて今財政が厳しい状況であるということも、私ども国政に携わる者としては考えていく必要があろうかと思っております。それだけに、未着工区間着工につきましては、線区ごとに、先生もよく御承知のとおり、収支採算性の見通し、それからJR貸付料等負担、また並行在来線経営分離によります地方公共団体同意JR同意等の基本的な条件というものを実はつくらせていただいているわけでございます。その基本的な条件を十二分に検討した上で、財政構造改革という緊急の重要な課題に矛盾しないような形で適切に対処していかせていただくということが重要なことだというふうに思っております。  ぜひひとつ、二十一世紀我が国国土の均衡ある発展という観点からも、先生のさらなる御指導と御鞭撻を賜れば大変幸いだと思っております。
  17. 辻一彦

    ○辻(一)委員 昭和四十八年の十一月、閣議整備五線の新幹線整備計画が決まりましたが、その中で、まだ具体的な工事計画もなくルートが決まっていないのは、北海道新幹線の函館から札幌間、それから北陸新幹線敦賀から大阪間のいわゆる若狭ルートでありますが、この二つがあると思います。今日の国家財政の厳しさから、時間がかかるということはやむを得ないことであると思いますが、せめてルートだけを明らかにしてほしい、公表してほしい、これは二十数年にわたる地方住民の声でありますが、その悲願はなお今日、残念ながら達成されていない。私も非常に残念に思っておりますが、このことで一、二お尋ねしたいと思います。  実はこの若狭湾一帯は、世界一の原子力発電所基地になっております。運輸委員会の場で原子力発電の話をするのも若干おかしいと思いますが、国土の均衡ある発展という観点から見れば、この世界一のエネルギー基地を、こういう形でいいのかどうかということが問われねばならないと思います。きょう、通産、科技庁も出席しておりますが、簡単に申し上げます。福井県の若狭湾には十五基、約千二百万キロワットの原子力発電所があります。私は、旧ソ連のチェルノブイリそれからアメリカのスリーマイル、各地の原子力発電はいろいろな機会に随分と見てまいりましたが、フランス、ドイツ、イギリス等も含めて、原子力発電一つの箇所、地域にこれだけ集中している例は、日本にもないし世界にもその例がない。世界一の原子力発電基地と言わなくてはならないと思います。  いま一つは、青森県の六ケ所村に核燃料リサイクルの基地日本における原発の燃料の製造、再処理、それから低廃棄物の貯蔵であるとか、日本の核エネルギー政策の一大基地と今日青森がなりつつある、これも事実であると思います。  この二つ日本におけるエネルギーの二大基地と言ってもいいのではないかと思いますが、その投資額は、時間の点があれば詳しいことを科技通産に伺いたいのですが、大まかなことを言って間違いなければ、それで確認していただければいいと思います。若狭湾の場合は、全体として約三兆一千億の投資が十五の発電所、研究用の「もんじゅ」を初め、新型転換炉を初め、十三の原子力発電所に行われておる。青森の方は、核燃、いわゆる再処理工場を中心に、現在一兆九千億弱、恐らく二兆円と言っていいと思いますが、いずれも大きな投資がなされております。  そこで、そういう点では非常に重要な基地であるということは言うまでもないわけでありますが、通産、科技庁に、今の投資額のおよそは余り違っていないかどうか、簡単でいいですから確認だけしたい。
  18. 三代真彰

    ○三代説明員 今、辻先生かちお話のありました総投資額、若狭湾にある商業用発電所十三基、これの総投資額は、建設費を電気事業者から徴収したものを単純合計いたしますと、約二兆二千億円ということでございます。
  19. 泉紳一郎

    ○泉説明員 福井県におきます原子力施設でございますけれども、ただいま通産省から御答弁のありました十三基の商業用の原子力発電所に加えまして、研究開発段階の原子炉といたしまして、新型転換炉の「ふげん」及び高速増殖原型炉「もんじゅ」がございまして、両者の建設費の合計額は約六千六百億円となっているところでございます。  それから、青森の方でございますけれども、核燃料サイクル施設、これの事業者でございます日本原燃が公表してございますそれぞれの施設の建設費でございますけれども、ウラン濃縮工場約二千五百億円、低レベル放射性廃棄物埋設センター約千六百億円、高レベル放射性廃棄物の貯蔵管理センターが約八百億円、それから再処理施設でございますが、これが一兆八千八百億円となってございます。
  20. 辻一彦

    ○辻(一)委員 いずれにしても、大筋の数字は間違っていないということはいいですね。  そこで、これは大臣にお尋ねしたいのですが、今回の新規着工のスキームづくりにおいて、青森基地には私は大きな配慮がなされたと思いますが、それはそれで結構だし、当然であろうと思いますが、もう一つ基地である若狭湾基地には、この点では何らの配慮がなされていない。この日本一のエネルギー基地が、過去、敦賀における日本原電の放射能漏れ、それから関西電力の美浜発電所の蒸気発生器の細管の破断事故、それからおととしの暮れにおける「もんじゅ」のナトリウム漏れの火災事故、これらによって、この打ち続く事故の中で、この地方の住民が安全性に不安を持ち、そして風評被害、イメージダウン、こういう中に随分と出ておりますが、これらに耐えてなお日本一の発電基地として関西経済の電力の四割をここから送電をしている、送り続けておる。この地区に対して、こういう重要な基地に対して、国土の均衡ある発展から取り残してはならないと思いますが、今回の新規着工における内容を見ると、この点の配慮が余りにもなさ過ぎると言わざるを得ない。この点、政策決定に当たった運輸大臣としてどう考えておるかお尋ねをいたしたい。
  21. 古賀誠

    古賀国務大臣 昨年の十二月の政府与党の合意における与党三党の申し入れにつきましては、与党におきまして地方公共団体JR等の意見を十分踏まえながら実は取りまとめられたものであります。その際に、青森県のみならず関係の電力会社も、与党に対しまして整備新幹線整備を繰り返し実は要請があったというふうに承知をいたしているところでございます。  北陸新幹線敦賀以西を含めまして整備計画が策定されておりまして、その必要性は今先生がエネルギーの観点からも御指摘がございましたけれども、十分認識をしているところでございますが、大変厳しい財政事情の折からでございまして、ぎりぎりの調整の結果といたしまして、北陸新幹線長野上越間が与党三党申し入れの中で新規着工区間とされたものであるというふうに考えているわけでございます。先生のお考えに十分沿うことができなかったかと思いますけれども、今申し上げましたような経過がございましたことにも、御理解を賜っておきたいというふうに思います。
  22. 辻一彦

    ○辻(一)委員 一、二だけちょっと具体的な問題をお尋ねします。  長野上越新規着工は決まったのですが、それは結構であると思いますが、収支採算というものを、ここは東京に近いし、十分な、一万人以上という可能性はあると思いますが、そこいらをどう考えているのかということ、それをちょっとお尋ねしたい。要点だけで結構です。
  23. 梅崎壽

    梅崎政府委員 新規着工区間収支採算性の見通しでございますけれども、これは、今後需要予測を行いまして、当然のことながら収入、支出それぞれにつきまして幾つかの構成項目別に見通しをして、明らかにしていくということでございます。この作業は政府与党検討委員会の場におきまして今後具体的に進めてまいる、こういう手順となっております。
  24. 辻一彦

    ○辻(一)委員 本当は検討委員会の結果をこの方へ出してもらって検討すべきであると思うのですが、時間の点からいえばかなりの無理があるでありましょうから、十分な検討を重ねることを要望しておきます。  そこでもう一つ、北陸、新潟から長野へずっと行って、その三県で音のしないのが福井県だけというのでちょっと寂しい感じがするのですが、辛うじて富山駅、小松駅、福井駅の駅舎整備を行うということが一応この間決められております。福井駅の駅舎の整備についてどういうめどがあるのか、簡単にお尋ねしたい。
  25. 梅崎壽

    梅崎政府委員 昨年十二月の政府与党合意におきます与党三党の申し入れの中では、ただいま先生御指摘のとおり、福井駅に関しまして駅整備事業をやるというようなことになっております。福井駅に関しましては、平成七年度と八年度に駅部調査を行うということで、現在その調査をやってきております。  ところで、この駅整備事業の具体的な内容であるとか、これをいつから実施するかという実施時期につきましては、先ほど申し上げました政府与党から成ります検討委員会の場におきまして、新規着工区間の取り扱いとあわせまして今後検討されていくというぐあいに考えております。
  26. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは十分検討してもらわなければならない。今申し上げた一連の経緯を踏まえて、ひとつ努力をしてほしいと思います。  次に、リニアモーターカーの問題をちょっと伺いたいのです。山梨におけるリニアモーターカーの取り組みについては、その将来に期待をし、関心を持っておりますが、開発とその実用化の見通しはどう見ているか、これもひとつ簡単にお答えいただきたい。
  27. 梅崎壽

    梅崎政府委員 超電導リニアモーターカーでございますが、この実用化に向けました技術開発推進するために平成二年度から山梨の実験線の建設を行ってまいりました。これができ上がりまして、去る四月三日より先行区間におきまして本格的な走行試験を開始いたしました。  この山梨の実験線では、平成九年度には第一編成車両によりまして基本走行試験を実施いたしまして、年度内に時速五百五十キロという最高速度の達成を目指すということにいたしております。それから、来年度、十年度以降でございますけれども、第二編成車両を投入いたしまして、すなわち、実験をする車両を一つの編成から二つの編成にするということで、新たに第二の編成車両を投入いたしまして、高速のすれ違いの試験、複数列車の制御の試験それから環境影響の確認試験、こういったような試験を実施する予定でございます。  今後三年間をかけまして、平成十一年度までに長期耐久性試験の一部を除きまして、実用化に向けました技術上のめどを立てるためのさまざまな試験を実施していく、こういう予定でございます。
  28. 辻一彦

    ○辻(一)委員 リニアモーターカーの問題や軌道を変えるところの可変電車の問題等、二、三技術的な面でも伺いたい点がありますが、時間がもう限られておりますからカットします。  最後に、北京−上海間における中国の新幹線問題についてちょっとお尋ねをしたい。  私も、青年運動の時代から中国に縁が深いので、北京−上海千三百キロに新幹線が敷設されるならば日本が何かいい意味の協力をしてやれれば一番いいな、こういうふうに思って、非常に深い、強い関心を持っております。昨年の九月に北京の鉄道省を訪ね、十一月は上海の鉄道局を訪ねて率直な意見交換もやってみました。中国側は、日本新幹線についてかなりよく知っていますが、特に最近は理解を深めておるというように思いました。ただ、そのスピード、コストについてなお問題を感じているようにも思ったわけであります。  こういう点で、私は訪中前に、運輸省の方からもまたJR西日本の方からも、五〇〇系に一遍乗ってスピードを実感をして中国へ行って物を言ったらどうか、こういう助言を受けまして、去年の七月に博多から岡山まで五〇〇系の新型に、運転席の後に座って大分走ってみたのです。これはもうコンスタントに三百キロは出る、こういうことで、もう既に今「のぞみ」は走っておりますが、半年前の話であります。  これは確実にスピードではもう劣らない、こういうことを中国で話をし、それから駅間距離が日本の場合は三十キロ、フランスは二百キロ、ドイツは八十キロ、中国は今千三百キロに三十八の駅ですから、三十四キロ平均ということになる。日本と非常に似通っている。だから、フランスやドイツ式の機関車方式のブレーキを三十キロというふうにしょっちゅうかけてとめたら、二日間ほどでブレーキが摩耗して車庫入りだ。折り返し運転をやるには余分な車両を持たなければいかぬが、そうなればコストは随分高くなりますよ、こういう話をかなり詳しくすると、随分理解をしてくれるのです。こういうことを私は、もっと中国に、専門的にはいろいろなされておると思いますが、より理解を深めていくということが非常に大事じゃないかと思いますが、この点、お伺いしたい。
  29. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま中国の具体的な北京−上海間の新幹線問題に関しまして、先生から御指摘をいただきまして大変ありがとうございました。  この問題に関しましては、先生に常日ごろ関心を持っていただき、また御指導も賜っておりまして、ただいま先生がいろいろ御指摘されたとおりでございますが、中国は、先生承知のとおり、この北京−上海間の高速鉄道計画につきましては、諸外国の高速鉄道技術につきまして研究した上で、中国独自の技術開発を行って、中国の実情に最も適した鉄道システムを構築していきたい、こういう考えでございます。  私どもは、ただいま先生御指摘ございましたように、北京−上海間の事情といいますのは、日本でいいますと、東京−博多間の事情と比較的よく似ておりますし、日本新幹線が非常に中国の高速鉄道のよいモデルになる、こう考えておりまして、従前からこの問題に取り組んでいるところでございます。具体的には、我が国の高速鉄道技術に関しまして専門家を派遣する、研修員の受け入れを行うといったようなこと、あるいはセミナーの開催、鉄道に関します技術交流会を開催する、こういったことでございますが、今後ともこういったことを積極的に推進いたしまして、我が国新幹線のよさを中国の方々にも理解してもらいたい、このように思っております。
  30. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今、局長の御答弁のように、中国は自主的な開発ということに非常に力を入れております。中国の原子力発電所の第一号は浙江省、上海の近くの秦山にありますが、私も二、三回行きましたが、やはり各国の部品というか重要な機械を全部集めて、自分で組み立てて自前の発電所として出発させている。時間がかかるけれども、自分でやるということが大事だという、それは非常に大事なことだと思う。しかし、それは大事ですが、やはり電車方式をとる日本新幹線の体系、あるいはフランスやドイツのように機関車方式をとる高速鉄道の体系、どちらを基本に据えるかということによって、随分と今後の影響が変わっていくと思うのですね。そういう意味で、やはりひとつ日本新幹線の優秀性、すぐれた点をきちっと伝えて、協力ができる分野は協力を拡大するということが大事だと思うのです。  そこで、ちょうど十一月に私が訪中したときに、ドイツの大統領が北京と上海の方に見えて、それは音楽、文化の交流であるということでありますが、しかし、実質はドイツの経済界の代表をたくさん連れて、欧州の新幹線のPRの機会にかなり活用されているというように聞いたのであります。こういう面で、国柄は違いますが、日本ももっと総理との首脳交流をやって意見交換をすべきであるし、特に運輸大臣は具体的に中国の運輸大臣、鉄道相と行き来をして、相互に交流を人間的にも深めて関係をつくっていくということが大変大事じゃないか、そういう意味での努力をぜひやってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  31. 古賀誠

    古賀国務大臣 最初に、鉄道局長からもお礼を申し上げたかと思いますが、先住、青年運動を通じまして、日中の友好、親善に対して日ごろから大変御尽力をいただいているわけでございます。先生のそうした御苦労の本も二冊ほど私も読ませていただきました。特に議論していただいております中国の新幹線と申しますか、高速鉄道について、いろいろな面で先生の方からもアドバイスしていただいたり、また日本の技術等についてPRをしていただいたり、御努力をいただいていることも十分承知いたしております。  今先生から御指摘いただいたように、我が国の高速鉄道の技術、それから特に中国が考えております北京−上海というものは我が国東京から博多間と非常に類似しているわけでございまして、非常に参考になるだろうというふうに思っております。今、局長が御答弁いたしましたような形で、技術者間の交流等は鋭意努力をしているわけでございますけれども、各国も、今具体的にドイツのお話をいただきましたけれども、さまざまなルートを通じて強力に中国側にも自国の高速鉄道の技術等を実はPRしているようでございます。  具体的に、私自身がもっと積極的にということもお話いただきました。十分先生の御指摘を踏まえまして、私のみならず政府挙げて、日中国交回復二十五年という節目でもございます、高速鉄道の分野におきましても、もっとお互いの意見交換、交流が深まる努力をしていくということは大変重要なことだと思っておりますので、今後、私もそうした行動の中で期待にこたえていくことができるまうに努力をしてまいりたいと思っております。
  32. 辻一彦

    ○辻(一)委員 時間をちょっと超過したのですが、後の細川さんに若干時間調整をお願いしましたので、御了解いただきたいと思います。  以上申し上げました。ぜひひとつ、政府の方も大変な時期でありますが、頑張りてもらうように御奮闘を期待をして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  33. 杉山憲夫

    杉山委員長 細川律夫君。
  34. 細川律夫

    ○細川(律)委員 民主党の細川でございます。  今、この委員会では整備新幹線に関する法案、そしてもう一つ国鉄長期債務の法案、この二つが同時に審議をされているわけでございます。まず、私の方からは、この二つの法案の関係といいますか、それについてちょっとお伺いをいたしたいというふうに思います。  私は、整備新幹線の建設というものは国土の均衡ある発展地域活性化にとって大変有益であるということについては異論がございません。また、エネルギー効率あるいは環境の面から考えましても、高速交通の中での新幹線の役割というのは大変大きいというふうに思っているところでございます。  そもそも交通インフラにつきましては、総合的、体系的に検討をいたしまして、そして整備されるべきものだと考えます。空港、新幹線、高速道あるいは港湾、これらがそれぞれの地域に合った特性を発揮をする、そうすることによってインフラとしての真価も発揮をされるものだというふうに思います。したがって、私は、我が国の総合的な交通整備網の整備の一環として整備新幹線が建設をされていく、こういうことについては肯定的に考えるものでございます。  しかし一方で、国鉄の清算事業団が抱えます旧国鉄長期債務というものは、今年度初めでも二十八兆一千億円という大変膨大な額に上っているところでございます。今後、清算事業団の持っております土地とかJR株式売却をいたしましても、その収入は六兆円から七兆円でありまして、結局二十一兆円から二十二兆円の債務が残るというふうに推定をされているところでございます。  そういう大変な債務が残るわけでありますけれども、国鉄改革当初におきまして、国が負担をしなければいけない、国において処理をされるとされました債務は十三・八兆円でございました。ところが、今日までに二十二兆円という大変大きな債務になったところでございます。しかも、この十年間抜本的な債務の返済計画もなされないままに、昨年は、概算要求時には抜本対策をするということで予算要求もいたしながら、これを先送りをしてきたところでございます。こういう政府の方での長期債務に対する取り組み方の真剣さがなかったということが、今日の債務の肥大化になつておるわけでありまして、政府の方はきちんと国民の皆さんに謝罪をすべきではないかというふうに私は思います。  そして、これほどの大変な債務を抱えながら、この抜本的な返済計画もまだ立っていない段階で新たな整備新幹線の大プロジェクトに税金をつぎ込むということが、国民の皆さんから見て、国民感情として、果たして納得がいくかどうか。私はどうも納得はできない、しかねるというのが国民の皆さんの感情ではないかというふうに思います。そういう意味で、私どもは、この整備新幹線新規着工に関しては、旧国鉄長期債務の抜本的な返済計画をきちんと立てた後に着工をする、そういうことをやることが国民の皆さんの気持ちに合うのではないかというふうに思うところでございます。  その点につきまして、まず大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  35. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生にお答え申し上げたいと思います。  まず、整備新幹線につきまして、先生には一定の御理解をいただいているということをお聞きいたしまして、実はほっとしているわけでございます。先生おっしゃっていただいておりますように、この整備新幹線につきましては、何回も何回も繰り返させていただいておりますが、国土の均衡ある発展、またその地域の経済の活性化に資するものでありますだけに、どうしてもその整備推進する必要があろうかと思っております。ただ、やみくもに整備推進するということであってはならないわけでございまして、それだけに、政府与党の申し合わせの中で、収支採算性の見通し、JR貸付料等負担並行在来線経営分離についての地方公共団体同意JR同意等の基本条件が整えられていることを十二分に確認した上で、しかも今時の財政事情でございますから、財政構造改革と矛盾しないような形で、その取り扱いを厳正に判断をするということにさせていただいているところでございます。  一方、国鉄長期債務の今日の現状について、今先生から厳しく御叱正をいただいたところでございます。先ほど辻先生の御質問の中でも御答弁申し上げましたけれども、長期債務処理につきましては、そのときそのときの国家的な政策の中で最善の措置を講じてきたと思っておりますけれども、結果として、今先生が御指摘のように、当初の債務よりも大幅に増加をしていることは事実でございまして、その取り組みについて、さまざまな御批判やまた御叱正があろうと思っております。私どもも、今振り返ってみるときに、反省の点もあろうかと思いますけれども、今後この長期債務というものをこれ以上先送りすることは許されない。  平成九年度の概算要求の中におきましても、本格的な処理ということで要求させていただいたことが実現していないのではないかという御指摘でございますけれども、非常に膨大な債務でございます。まず国民の十分なコンセンサスを得る、このことが大事だと思っております。そのためにさらにひとつ論議を深めていこうということで、昨年の暮れに、御承知のとおりのような閣議決定をさせていただいたわけでございまして、平成九年中にひとつ何とか本格処理方策を策定させていただきまして、そして平成十年度から本格的な処理に取りかかっていくという基本的なことを閣議決定させていただきました。そのため、先生を初めとして、幅広い国民の御論議をいただく中で、あらゆる選択肢を検討して、本格的処理方策を取りまとめたい。そのために全力を尽くして努力してまいりたいと思っているところでございまして、先生から御指摘いただきました全幹法によります整備新幹線整備国鉄長期債務処理の問題、私はそれぞれ別個の問題として今申し上げましたような観点から推進していくべきものであるというふうに考えておりまして、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案において、国鉄長期債務処理方策の策定を待って同法を施行するものであるということは適当ではないという判断をしているところでございます。
  36. 細川律夫

    ○細川(律)委員 国民のこの新しい整備新幹線に対する気持ちというものは、今大臣がお答えになられたそれ以上に、今なぜ新幹線を新たに着工しなければいけないのかとか、あるいはまた第二の国鉄になってはいけないという大変な心配もありますし、国の財政が厳しい折に新幹線着工はとんでもないという大変強い意見がございます。そういう意味で、整備新幹線の新たな着工と旧国鉄長期債務の抜本的な返済計画については、私は、きちんと関連させて、国民の納得のいくようなことをしなければいけないだろうというふうに思うところでございます。  そこで、整備新幹線新規着工に関しましては、国民の皆さんの不安あるいは一体どうなっていくのかということについて、いろいろな疑問にきちんと答えていかなければいけないだろうというふうに思います。特に、整備新幹線収支採算性の問題あるいは並行在来線の沿線自治体の人たちの問題、こういう問題につきましても、これからの新規着工に向けての過程の中で、きちんとした情報の公開をぜひしていかなければならないというふうに思います。当委員会に対しても、これらの資料については、私どもの方から強く提出の要求をいたしたところでございます。  今後、与党政府の間で検討委員会が開催をされるという予定のようでございます。そういうところの中で検討をするその資料、これらについてはぜひとも開示をしていただきたい。資料及び会議録などをこの委員会にも提出もしてもらいたいと思いますし、国民の皆さんにも、どういう資料のもとに新規着工決定をされていくのか、これを広く開示をしていくべきだというふうに私は考えますけれども、この点についてどのようにお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。
  37. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生も御指摘いただきましたように、整備新幹線整備を進めるに当たりましては、国民理解を得るということが一番必要なことだというふうに考えます。そのためにも今後、政府与党検討委員会の方でその作業が進められていく過程の中で、国民皆様方には十分な情報の開示を行ってまいりたいというふうに考えておりまして、先生の御質問に一〇〇%お答えできる答弁にはなりませんが、ぜひひとつ御理解をいただきたいと思います。
  38. 細川律夫

    ○細川(律)委員 国民の皆さんに情報公開をされていくということについてはお答えがありましたけれども、当委員会の方にも、ぜひとも検討委員会に出されます資料あるいは会議録、そういうものをぜひ出してもらいたいと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  39. 梅崎壽

    梅崎政府委員 今後、政府与党から成ります検討委員会の場におきまして、いろいろな問題点、基本条件につきまして検討してまいりたいと思います。その際、そこでの検討の資料につきまして、当然のことながら、私どもといたしましては、外部に出せるものはできる限り出していく、こういうようなことで、今後事務的に対処していきたいと考えております。
  40. 細川律夫

    ○細川(律)委員 外部に出せるものは出していくというお答えでは、納得できませんよ。きちんと、検討委員会に出す資料、会議録、そういうものを当委員会に提出する。当たり前の話じゃないですか。もう一度お答えください。
  41. 梅崎壽

    梅崎政府委員 まだ、どのような資料でどうこうする、どういうようなことをやっていくかというのは具体的に決まっているわけではございませんので、検討委員会の資料と申しましても、途中段階での資料等々いろいろあると思いますから、そのすべてを外部にお出ししていくことが適切かどうかという問題もあると思います。したがいまして、私、先ほどそのように答弁させていただきました。  今後、具体的にはこの検討委員会の作業の状況を見ながら、できる限り国民理解を得られるように、検討の状況を御理解いただけるように資料を提出していきたいと考えております。
  42. 細川律夫

    ○細川(律)委員 理解をいただけるように資料を提出いただくということを御答弁いただきましたので、前に進めていきたいと思います。  これは委員長にもお願いでございます。整備新幹線の新規の着工ということにつきましては、大変国民的な関心もあるわけでございまして、ぜひ、当委員会でも、具体的にいろいろそのことについても議論をしたいというふうに思いますので、開会中はもちろんでありますけれども、閉会中にも、検討委員会などからの資料提出をいただきながら、この委員会でもそれについてぜひ議論をさせていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いをしたいというふうに思います。
  43. 杉山憲夫

    杉山委員長 後日。
  44. 細川律夫

    ○細川(律)委員 はい。それでは、ぜひそのようなお取り計らいをよろしくお願いをしたいと思います。  次に、新規の着工についての政府与党との間で合意されました平成八年十二月二十五日付の新幹線取り扱いについてという合意文書の中身について、ちょっとお伺いをしたいと思います。  「政府及び与党からなる検討委員会において、整備区間ごとに、収支採算性の見通し、受益の範囲を限度としたJRの貸付料の負担、用地確保の見通し、並行在来線経営分離についての沿線地方公共団体同意の取付け、JR同意等基本条件が整えられていることを確認した上で、」その順位に従い着工するというような、そういう文章になっております。その中で、「並行在来線経営分離についての沿線地方公共団体同意の取付け、」というこの文書の「沿線地方公共団体」とはどういうのをいうのか。説明をお願いします。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  45. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま建設いたしております三線五区間につきましても、並行在来線JRからの経営分離というのが基本的な考え方として決められているわけでございますが、その三線五区間におきましては、現実問題といたしまして、運輸省は、関係の県に対しまして、この並行在来線の分離につきましての同意の確認をいたしております。  今後、新規着工区間についてどうするかでございますが、これは、ただいま先生御指摘ございました政府与党検討委員会におきまして、具体的な手順をどうしていくか決めていくことになろうかと思いますけれども、現在、三線五区間で講じております措置一つの参考になるのであろう、こう考えております。
  46. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今の局長のお答え、大変大事なことを言われましたけれども、今まで既に着工している三線五区間については県の方の同意を取りつけた経験がある、それと同じような形で検討委員会でというようなお話でありましたけれども、この合意文書の「沿線地方公共団体同意」というのは、県だけではなくて市町村も入っているんではないですか。そういう同意がなくてもいいんですか。
  47. 梅崎壽

    梅崎政府委員 私、政府与党から成る検討委員会の場において今後の手順は決められていく、したがいまして、どこの範囲で同意をとるか決められていくもの、こう考えておると申し上げましたが、現在の三線五区間につきましては、私ども運輸省は県に文書を出しまして県から文書をいただくというようなことをやっております。これは一つの参考になるのではないかというように申し上げさせていただきました。ただ、最初に申し上げましたとおり、政府与党検討委員会の場でこれは決めていくべき問題だと考えております。
  48. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今局長が言われているのは、地方公共団体同意をもらう、どういうふうにしてもらうかという手順の問題でしょう。私が質問しているのは、この合意文書にある「並行在来線経営分離についての沿線地方公共団体同意の取付け、」というこの「地方公共団体」とはどこを指すんですかと聞いているんですよ。市町村は当然入るでしょう。
  49. 古賀誠

    古賀国務大臣 現在行っております三線五区間におきまして局長が御答弁申し上げました県というのは、運輸省が県との同意ということでございます。県は沿線市町村との話し合いを行った上でじゃなければ、当然県もそういった判断はできないというふうに思っております。  また、今回、政府与党で合意いたしております並行在来線経営分離について関係地方団体との同意というようなことは、手順的には、これからできできます検討委員会の中でどういうところを指すかというのは決めるわけでございますが、当然関係する市町村、そして、その取りまとめが県になるかどうかは別にいたしまして、沿線の市町村との十分な協議というものが行われるということは当然のことだと私も理解しておりますし、そういうとで進めていきたいというふうに思っております。
  50. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今大臣の方からは、沿線の市町村との協議も当然なされるだろう、こういう話でございましたけれども、私はこの合意文書の「地方公共団体同意」というのは、府や道や県それから沿線の地方公共団体、やはりこの同意が前提だというふうに素直に解釈していたわけなんですけれども、その手順をどういうふうにするのか、直接的に国の方が市町村とやるのか、あるいは県を通じて県にその同意を取りつけてもらうのか、手順はいろいろとあろうかと思います。それは検討委員会でまさに検討する事項じゃないかというふうに思いますけれども、そういうふうな理解でよろしいですね。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  51. 古賀誠

    古賀国務大臣 鉄道局長政府委員という立場で御答弁を申し上げましたので、若干舌足らずのところがあったと思いますけれども、今、先生認識いただいている認識で私も一致いたしております。
  52. 細川律夫

    ○細川(律)委員 そうしますと、いわゆる整備新幹線の未着工区間新幹線と並行する在来線が通過する市町村なんですけれども、運輸省の方からいただきました資料によりますと、東北新幹線八戸−新青森間が十市町村、北陸新幹線長野上越間では五市町村、九州新幹線船小屋—新八代間では十七市町村等ということで、これは四十一市町村あるわけなんです。これらの市町村にとっては、並行在来線JRから経営分離をされて、では地元として住民の足をどうするかという場合に、当然第三セクターの形で鉄道を経営するのか、あるいは廃止をするのか。第三セクターで経営するとしても大変ないわゆる財政負担が予想されますし、廃止をするとなればこれまた住民の足が確保されなくなるという、沿線自治体の皆さんにとっては大変重要な問題だろうということで、私はこの自治体の同意の問題を取り上げて確認をさせていただいたわけなんです。  そういう趣旨でありますけれども、どうですか、これについて自治体の反対というのがあれば運輸省としてはどうされるつもりですか。
  53. 梅崎壽

    梅崎政府委員 並行在来線につきましてJRから経営が分離をするという場合、ただいま先生御指摘ございましたように、それでは地元が鉄道として持つ場合は、やはりこの負担というような問題になりますし、それから鉄道を廃止する場合は、代替交通機関をどうするかというのがやはり大きな問題になります。このような問題に関しまして、必ずしも地元の市町村の意向が一致するとは限らないケースがあると私どもも思っております。  このような場合にどうするかということでございますけれども、これはやはり私どもといたしましては、県におきまして地元の市町村の意向を十分調整していただきまして、そのような努力を尽くした上で県としても全体的な判断としてこういうぐあいにしたいという方針が示されましたならばそれを私ども尊重していくべきか、このように考えております。
  54. 細川律夫

    ○細川(律)委員 沿線自治体にとりましては大変重要な問題でございますから、その検討委員会でこれらも検討されていくと思いますので、沿線自治体の同意の問題などにつきましても、ぜひ情報を開示をしていただきながら、みんなの納得のいくような整備新幹線着工の検討をしていただきたいというふうに思います。  それでは次に進めたいと思いますけれども、整備新幹線が建設をされてまいりますと、在来線の廃止あるいは第三セクターなどでの経営というところからしますと、いろいろ心配がされますのは、貨物がどういうふうになっていくかという問題でございます。  政府は、これまでモーダルシフトの重要性をずっと主張されてまいりました。現在も鉄道や船舶へのモーダルシブトについて、十分その意義はお考えになっておられるというように思いますけれども、簡単に、今どういうふうにこのモーダルシフトの意義について考えておられるか、説明してください。
  55. 西村泰彦

    ○西村(泰)政府委員 ただいまお尋ねのモーダルシフトのことでございますが、相変わらず我が国物流を取り巻く制約要因といたしまして、環境問題道路交通混雑あるいは労働問題、こういうような諸問題があるわけでございまして、そういう問題に対応するためにやはりモーダルシフトは重要である、こういう認識には全く従前と変わりはございません。  このような点につきまして、実は、四月四日に政府全体といたしまして総合物流施策大綱、こういうものを取りまとめたわけでございます。四月四日に閣議決定をいたしたわけでございますが、この内容におきましても、内航海運でございますとか鉄道、こういったようなものが環境負荷の観点などから大変有利であるということから、利用の促進を一層するべきだ、こういうことが決められておるわけでございます。したがいまして、この総合物流施策大綱におきましても、モーダルシフトの推進ということがますますうたわれておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。  運輸省といたしましても、このモーダルシフトの受け皿づくりという観点で、鉄道輸送力の増強につきましての無利子貸付金の問題でございますとか、あるいは船舶整備公団を通じました内航海運の整備でございますとか、そういったような施策を着実に進めてまいる、こういうふうにしております。また、先ほどの総合物流施策大綱の中でも、鉄道駅に対するアクセス道路の整備といったようなことを相互連携して、連携を重視した施策として進めていくんだ、こういうような点も記されておるわけでございます。先生御指摘のとおり、モーダルシフトにつきまして今後一層進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  56. 細川律夫

    ○細川(律)委員 この整備新幹線着工部分の着工ということになってまいりますと、並行在来線の経営が分離をされて、廃止になるところも出てくるというふうに予測されるわけなんです。そうしますと、化物の輸送が、せっかくモーダルシフトということを進めていく運輸省の方としても、その施策を全面的に推進をしていく上にこれが障害になるのではないかという心配があるわけでございます。  そうすると、この貨物のためだけに在来線を残すかどうなのか、あるいは整備新幹線の上を貨物が通過できるようにしていくのか。これはまた安全性の問題などが大変大きな問題になりますし、費用も多くかかるだろうということにもなるわけなんですけれども、その点をどういうふうに政府は考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  57. 梅崎壽

    梅崎政府委員 並行在来線JRの経営から分離した場合の鉄道貨物輸送の問題は、ただいま御指摘いただきましたとおり、我が国の貨物輸送を考える場合の非常に重要な問題であると私どもも認識いたしております。  そこで、ケースは幾つかに分かれますが、まず、新幹線の上を走るのか、あるいは在来線を走るのかということでございますが、基本的な問題点を申し上げますと、新幹線の上を走る場合には、安全性の確保をどうするか、それから貨物が走るための追加投資が必要になってまいりますので、これをどうするかといったような問題が基本的な問題でございます。  それから、下といいますか在来線を走る場合は、鉄道が第三セクターとして維持される場合は、その第三セクターに貨物鉄道が走るための現在の条件になっております線路の維持費、これはアボイダブルコストという考え方でやっておりますので、そのような考え方が第三セクターに対しても通じるのか、こういった問題がございます。  それから、並行在来線を走る場合で第三セクター鉄道としては維持しない、こうなりましたら、貨物会社、JR貨物自体がその線路を維持するのかどうか、こういった問題になります。  この問題につきましては、実は幾つかの問題がふくそうしておりまして、まだ明確に結論を出せる状態にはございませんが、昨年十二月の政府与党合意におきましては、並行在来線につきましてJRからの経営分離後も適切な輸送経路と線路使用料を確保するということを確認いたしまして、その上で、JR貨物が新幹線鉄道上を走行することも含めまして、関係者間で調整を図るというぐあいになっております。安全問題等々に関しまして、専門家から成る検討委員会などをつくりましてこの問題を検討しておりますけれども、今後ともこの合意に従いまして、関係者間で十分調整を図ってまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、鉄道貨物輸送の維持に万全を期していかなければならない、このように思っております。
  58. 細川律夫

    ○細川(律)委員 物流に関する鉄道輸送というものは大変重要であろうというふうに思いますので、その安全性の問題も含めまして、ひとつ長期的な展望に立って、検討のほどよろしくお願いをしたいと思います。  次に、安全性の問題についてお伺いいたしますけれども、並行在来線が分離をされまして、区間によっては在来線の第三セクターによる経営、こういうことになろうかと思います。このことで思い出しますのは、国鉄が分割・民営化をされたときに、経営の難しい赤字路線など、経営を分離をいたしまして第三セクターによる経営ということになった、その後大変大きな事故が起きたのが思い出されます。それは、平成三年五月の十四日に起こりました信楽高原鉄道、あの事故ではたしか三十数名の方が亡くなられたのではないかと思います。これは、まさに国鉄からの経営分離、第三セクターの経営によってああいう事故が発生をしたわけであります。  今度新しく整備新幹線によりまして、在来線が第三セクターによって経営をされるというふうになったときの安全性の問題をどういうふうに確保していくのか。JRは大変、世界的にも事故のない優秀な会社ということで評価をされておりますけれども、これが第三セクターに経営がかわったときに、安全性の確保という面についてどのようにしていくのか、運輸省の方からお答えをいただきたいと思います。
  59. 梅崎壽

    梅崎政府委員 並行在来線JRの経営から分離いたしまして、地元が第三セクターとして鉄道事業を経営しようといったような場合でございますが、この場合は、当然のことでございますけれども、鉄道事業法に基づきまして免許を受けるということになります。その際に、法律上は、「事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであること。」というのが基準として決められておりまして、当然私どもはその第三セクターが、列車運行の安全確保のために必要な要員であるとか施設、そういったようなものを確保しているかどうか、これをチェックいたします。  一つはそのような免許の際のチェック、それから事業開始後におきましては、従業員の教育訓練の状況であるとか車両の管理とか保守、そういった点につきまして、安全管理体制でございますけれども、そういった体制につきまして、保安監査などの機会を通じまして指導を行うとか、あるいは不十分な場合は措置を講ずるように指摘を行う、こういったようなことを私ども運輸省側としてはやってまいります。  それから、第三セクター、なかなか十分な体制を確保するというのが困難な場合もございますので、これは北陸新幹線の高崎−長野のケースに見られるわけでございますけれども、JRに対しまして、第三セクターに対し要員派遣を行っていただくとか、あるいは運行面での協力を行っていただくとかといったような面で、安全面も含めました人的な支援体制を講じてもらうように指導をする、こういったようなことを、高崎—長野のいわゆるしなの鉄道という、しなの鉄道株式会社でございますが、そのケースについてはそのようなことをやっております。一般的に申し上げまして、第三セクターとして鉄道を維持するような場合には、JRに対しましてそのような協力を指導していきたい、このように思っております。
  60. 細川律夫

    ○細川(律)委員 第三セクターによる経営というのは結局、赤字路線でありますし、赤字ならば経費の節減に努める、その経費の節減に伴って安全性がおろそかになるのではないかという、これはだれが考えても心配があるわけでありますから、どうぞその点についてはきちんと取り組んでいただきたいというふうに思います。  外国では、こういう安全性の問題につきましては、いろいろな機関がございまして、そこで常に研究なり、あるいは事故が起こったときの事故原因の調査とかに取り組んでいるようであります。例えば、イギリスの健康安全庁の中に置かれております鉄道監督局、オランダの運輸安全委員会あるいはまたアメリカには国家運輸安全委員会など、常設的に独立してつくられたいわゆる事故調査機関などもございます。そういうのを参考にしていただきながら、ぜひともこれからの鉄道におきますいわゆる安全性の問題に、より積極的に運輸省の方としても取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に、新しく出されました改正案、この法案の中での財源のスキームについて、私の方からもちょっと質問をさせていただきたいというふうに思います。  新しい財源スキームにつきましては、運輸省の資料によりまして、例えば九年度の予算につきましては、この建設につきまして千七百三十五億円が計上をされるということになっておりまして、そのうち、国の負担が千六十四億円、地方公共団体が五百三十二億円、こうなっております。そのほかに貸付料等といたしまして百三十八億円が計上され、これが建設費用になっているわけでありますけれども、この貸付料等としての百三十八億円、これはどういうものなのかを説明をしてください。
  61. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま御指摘の百三十八億円は、北陸新幹線高崎—長野間の建設に充当するために行います借入金でございます。この借入金は、新幹線開業後に、JR新幹線の建設保有主体であります日本鉄道建設公団に対して支払う貸付料によりまして、償還するというような考え方になっております。
  62. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今の御答弁だと、それは借り入れをしている、こういうことでありますね。
  63. 梅崎壽

    梅崎政府委員 新幹線高崎—長野に関しましては、従前から有償資金を投入して、すなわち借り入れを行って、真水のお金と合わせまして工事を進めてきております。
  64. 細川律夫

    ○細川(律)委員 建設費用を借入金で行っているということ、そして、それを後で貸付料などで返済をしていくというこの方法ですけれども、今局長の説明では、高崎−長野間の貸付料でこの借入金は支払っていくんだ、こういうことをおっしゃったわけなのですけれども、では、今後、高崎−長野間以外の貸付料ということを考慮して、これからも建設の費用として借入金をしていくということも考えられるのですか。
  65. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ちょっと私の答弁が不十分で御理解を十分得られなかった面がございますが、今の三線五区間につきましては、平成元年の政府与党の申し合わせにおきまして、貸付料をプールして使用するということになっております。したがいまして、高崎—長野に投入いたしました借入金償還は、高崎—長野分の貸付料だけではなくて、三線五区間の貸付料全体で償還をしていくという考え方でございます。  それから、今後も借り入れを行っていくかどうかということでございますが、一般論で申し上げますと、借入金を投入して工事を進捗するというときは、償還確実性、借り入れの償還が確実にできるということが担保されておりまして、それから借入金を投入してまで工事の促進を図る必要があるといったような段階で、借入金を導入するということになろうと思います。具体的には、個々の線区の事情によってこの点は違ってまいりますので、それぞれの線区の事情によりまして、また判断していくということになろうかと思います。
  66. 細川律夫

    ○細川(律)委員 高崎—長野は、オリンピックに間に合わせなければいけないというようなことから借り入れをした、その他については、今局長が言われたような要件のもとにと言われましたけれども、これから先、私が心配するのは、そういう将来の貸付料、これを当てにして借金をどんどんして、結局、鉄建公団の労で借金が膨大になって、これまた従来の国鉄のような形になってはいけないと心配をするからお聞きをしているのです。例えば、特別な場合をちょっと言われたのですけれども、高崎−長野間のオリンピックを控えての借り入れだということなのですけれども、そのほかに将来的にこういうことが考えられるというのはあるのですか。
  67. 梅崎壽

    梅崎政府委員 高崎—長野は、御指摘のとおり早期に完成する、ある目標までに、オリンピックまでに完成するということで、借入金を投入して工事の進捗を図ってまいりました。それ以外の区間をどうするかというのは、正直申し上げまして、今の段階で借り入れをするとかしないとかいうことが明確に定まっているわけではございません。  ただいま先生の御指摘された点、大変重要な問題点でございまして、私どもも、十分開業後の貸付料で償還ができるということが確実であるといった場合でないと、借入金はやはり投入すべきでないと思っておりまして、個々のこれからの具体的な線区でどうしていくかということに関しましては、この点を十分チェックをしながら、借入金を投入するかどうかを判断していく、こういうことになろうかと思います。
  68. 細川律夫

    ○細川(律)委員 どうも私にはよくわかりません。理解ができないところもあるのです。  すると、この高崎−長野間の費用が、オリンピックということを控えて緊急性があったので借り入れをした、こういうことだったのですが、この整備新幹線については、原則としてそういう借入金をしなくて建設をしていくんだという理解でいいのですか。
  69. 梅崎壽

    梅崎政府委員 原則的には、借り入れがない方が望ましいとは言えると思いますが、ただ、工事の進捗を図るために、開業後の貸付料で確実に償還できるといったようなケースについてまで借入金を一切排除するというのもまたいかがなものか、こう思います。この点は、先ほども御答弁申し上げましたとおり、個々の線区の事情に応じまして考えていくべき問題であろうと思っております。
  70. 細川律夫

    ○細川(律)委員 この借入金の問題につきましては、これまでの国鉄長期債務がこのようになったという経過も踏まえて、ぜひ慎重にやっていただきたいというふうに思いますので、この点を要望しておきたいと思います。  それでは、時間もなくなってまいりましたので、ちょっと先に行きたいと思います。  長期債務の法案でありますけれども、これは本来ならば昨年、政府の方としてはこの長期債務についての抜本的な返済方策を立てて、そしていわば今年度から実行に入っているべきだった。それが先延びになっているわけでございます。今年中にその返済の抜本的な計画を立て、来年度からそれを行っていくというお話がございましたけれども、そもそも今回の法案につきましては、利子負担をする者が、これが清算事業団の方から単に国の方に肩がわりになった、かわっただけではないか、国民立場から見れば、別に実質的にその意味が変わったとは全然受け取れないというふうに感じますが、これについてはどういうふうに考えておりますか。
  71. 梅崎壽

    梅崎政府委員 国鉄清算事業団でございますけれども、平成九年度におきまして、約三兆円の借り入れを行わざるを得ないという状況でございます。この三兆円の借り入れでございますが、三兆円の有利子債務から発生する利子分を事業団にかわって国が負担を負うということに関しましては、確かに御指摘のとおり国民負担軽減されるわけではないと思います。  ただ、このような措置を講じませんと、事業団は、その利子分の負担を賄うために、また借り入れをするということにならざるを得ない。要するに、ほかに清算事業団は何ら自主的な財源がないわけでございますので、利子を払うためにまた借り入れをするというようなことになります。そのようなことを容認いたしますと、結局、その利子負担の問題を先送りいたしまして、結果的には長期債務が増大するというようなことでございます。したがいまして、この三兆円の無利子化という措置、これは利子のためのまた借り入れを行うことを防止するということで、長期債務の増大を防止するという点で有益であると私ども考えております。
  72. 細川律夫

    ○細川(律)委員 どうも説明を聞きながらも国民の皆さんがそれで納得していただけるかどうか、何となく疑問に思うところであります。  それでは、今後、長期債務償還計画の策定を行っていくという政府の方針のようでありますけれども、この長期債務償還計画というのは、大変難しいといいますか、大変御苦労されるのではないかと思います。そういう中にあって、結局は国民の皆さんに大きな負担をいただくということになろうかというふうに思います。そうしますと、この償還計画の策定の経過といいますか、どういうふうにしてそういう計画が出てくるのか、これをやはり国民の皆さんに情報を開示をして、国民の皆さんに十分納得のいただくような、そういう償還計画を策定していただかなければいけないというふうに思うわけです。そういう意味での国民の皆さんに対する情報の公開をどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  73. 古賀誠

    古賀国務大臣 今、先生にも御心配をいただいておりますように、国鉄長期債務の本格的な処理策を策定するに当たりましても、非常に額が膨大でありますだけに、国民の皆さん方の理解を得ると一言に申し上げましても大変なことだなと、実は私も非常に不安と同時に、その重大性にかんがみまして、実は本当にその非力を今省みて、どうやって皆様方のお知恵をおかりしながら本格的な処理策の策定ができるかということで、今、大変大げさに言いますと、夜も眠れない状況がこれから続く、こう思っているところでございます。  今までも既に国鉄長期債務状況等については国会等で報告をさせていただいておりますし、また土地売却、そういった状況について、それぞれ会見等を通じまして御報告を申し上げてきましたけれども、今回は、ただそういう定例的なことだけでは済まないというふうに正直思っております。先生の方の民主党の方にもいろいろな勉強会をつくっていただいたようでございますし、新進党さんもそうでございますし、それぞれの政党さんでも本当に真剣にこの問題に取り組んでいただいております。与党自民党におきましても検討委員会をつくっておりますし、財政構造改革会議の中ででもこれが議論になってくるだろうと思います。もとより、所管する運輸省はその中心でございますから、しっかりひとつ、どういう選択肢があるのかということを幅広い御論議の中で私どもは取りまとめていかなければいけないというふうに思っております。そういう過程の中で、国民の皆さん方にはきめ細かくあらゆる機会を通じて情報の公開を行わせていただいて、そして、その都度国民皆様方の生の声も聞かせていただき、十分な配慮をしていくということが一番大事だ。住専等で私どももいい教訓を得ておりますから、それぞれの機関で御検討いただくということと同時に、国民の皆さん方にいかにこの論議というものを公開していくかということが一番大事なことになろうと思っております。とりわけ、この国鉄長期債務について、こういう経過、そして、どういう問題点の中でこれだけ債務累増したかということ自体が、まだよく御理解いただいていないという点も私たちは十分踏まえて、配慮が必要になってくるのではないかと思っておりますので、どうぞ御示唆のほどもよろしくお願いしておきたいと思います。
  74. 細川律夫

    ○細川(律)委員 この長期債務償還計画、本当に難しい問題であります。大臣も言われましたように、政府そして政党、また国会議員、国民の皆さんにもいろいろな知恵を出していただきながら、ぜひこれは解決をしていかなければいけないだろうというふうに思います。私どもも、それについて積極的に御提言もさせていただきたいなというふうに思っております。  その際、財投の問題あるいは揮発油税などの特定財源の問題、これらも含めまして、やはりこの際、抜本的にいろいろ検討をしていかなければいけないというふうに考えておりますので、ぜひ私どももいろいろ御意見も言わしていただきながら、お互いに知恵を出し合いたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  75. 杉山憲夫

    杉山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時十五分開議
  76. 杉山憲夫

    杉山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。寺前巖君。
  77. 寺前巖

    ○寺前委員 旧国鉄長期債務棚上げ法案ともいうべき法律について、それを中心にして聞きたいと思います。  国鉄分割・民営化は、八五年の七月の答申によって分割・民営化の道に入ってきたわけですから、十年たったならば、当然のことながらその結果はどうだったかというのを見なければならぬことになります。私どもは、あの高度成長の中でつくられてきた多くの借金をそういう形でやることはだめだよと言って反対を示してきましたし、またそこで働いている皆さんにも大問題だし、また民営化することを通じて国民にとって安全性はどうなるだろうか、こういう問題についても心配をして反対をしてきたものです。  当時の再建監理委員会の答申を見ると、国鉄改革はなぜ必要かと。昭和六十年度予算における実質的赤字額、単年度で二兆三千億円という膨大な赤字、借金残高も昭和六十年度末に実に二十三兆六千億円の巨額に達する見込み、民間会社なら既に破綻をしている、国鉄経営は危機的状況にあるという認識で実行されてきたものです。  当初の債務が二十五・五兆であったものが二十八・一兆円となってきているわけだけれども、今度の法律によって、とりあえず無利子貸付金の五・三兆円を引き続き棚上げし、新たに利払い等の資金三兆円を一般会計に引き継いで、来年度から無利子貸付資金としようというようになってきている。考えてみたらこれは大変なことをやっているのだけれども、大体、十年前にはこういうふうになると見ておったのか。それとも、どういう姿になると見ておったのか。そもそもこの道に入ったときにはどんなつもりだったのか。これはだれに聞いたらいいのです。大臣に聞きましょうか。だれでもいいですよ。
  78. 梅崎壽

    梅崎政府委員 国鉄長期債務の問題でございますが、国鉄改革時におきまして、昭和六十三年一月二十六日の閣議決定でございますが、「土地株式等の資産の適切かつ効率的な処分を進め、自主財源の増大を図り、極力国民負担軽減に努めるものとする。」こういうぐあいにされておりまして、決して債務累増する事態になるということが想定されていたわけではございません。  ただ、残念ながら、今までの経緯を申し上げますと、国鉄清算事業団の支出は、昭和六十二年度から平成八年度までの十年間、金利年金負担等の合計で十四兆六千億円、それから平成九年度首におきまして鉄道共済年金の厚生年金への統合に伴う移換金の債務約八千億円が新たに発生するという状況でございます。これに対しまして、収入の方は、いろいろな事情がございましたけれども、土地株式処分がなかなか進まなかったということもございまして、昭和六十二年度から平成八年度までの十年間に、まだ決算が八年度は確定いたしておりませんが、概算で約十二兆九千億円、こういうような見込みでございます。  したがいまして、六十二年度首二十五・五兆円でございました国鉄長期債務の残高が、平成九年度首におきましては約二十八兆一千億円になっている、こういうような状況にございます。
  79. 寺前巖

    ○寺前委員 ということで、よくわからぬのだけれども、十年たったら借金ゼロになるという計算を想定しておられたのですか。十年たったら借金がふえないということを想定しておられたのですか。ふえたのは遺憾だった、ふえなんだらよかったというのが計算であったのか。半分にするのか、ゼロにするのか、十年間の間にどこへ到達させるということを計算しておられたのかを、ちょっともう一回説明してくれますか。
  80. 梅崎壽

    梅崎政府委員 当初は、国鉄清算事業団が負いました債務二十五・五兆円のうち十三・八兆円は国民負担とならざるを得ないということで、これは当時の国会におきましてもそのように御答弁を申し上げてまいりました。  ただ、先ほど申し上げましたように、まず、清算事業団が持っております自主財源であります土地株式、これを効果的に処分をするということによりまして、この国民負担を極力圧縮をするという基本的な考え方のもとに今まで努力をし、推移をしてきたわけでございます。
  81. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、土地、財産を持って、おまえのところ会社つくれよ、子供にいろいろなJRの会社をつくらす、持たしてやるものは持たしたよ、残った分で処理しますのや、株をつくってもうけますのや、というのが清算事業団の仕事や、あとは、年金処理や、その仕事があるけれども、そういうことだと。  さて、そうすると、この発想はバブルになるのじゃないの。上がったらいいけれども、下がったらえらいことになる、何もそれ以外に生産力を持っていないのだから。一種の不動産屋ですわな、違いますか。だから、そういうやり方は、今にして思えば大変なやり方をしたなという反省に立つのですか、立たないのですか。大臣いかがでしょう、この問題。
  82. 古賀誠

    古賀国務大臣 私も十年前、十年たって私がこういう大きな問題を抱える運輸大臣になるとは思っていませんでしたので、今国鉄長期債務のことでいろいろと御論議をいただいているわけでございますけれども、確かに、結果として先生から御指摘いただいているようなことが言えないわけではないというふうに、率直に私も認めざるを得ないというふうに思います。
  83. 寺前巖

    ○寺前委員 素直に言ったらそうだと思うのです。そこで、大臣就任のときの新聞を読んでおったら、そういう趣旨のことをお書きになって、この人はわかっている人だな、私、そう思って読ましてもらっておったわけです。  そこで、次に行きます。  何かというと、そういうふうにして土地を売ったり株を売ったりしてやっていこうというのだったら、途中で、五年計画とか十年計画とか二年計画とか、いろいろなやり方があるでしょうけれども、年度末の残高とか五年後残高とか十年後残高とか、一定の目安を決めて事業団にやらせなかったらいけません。普通だったら、自分の家の借金の処理でも計算してやっていきます。これは、目安は年度別にあったのですか、あるいは五年後とか十年後にあったのですか。どんな目安を立てておったのです。あったんだったら資料を出してほしい。
  84. 梅崎壽

    梅崎政府委員 当初におきましては、土地株式がいつどの程度の価格で処分できるかというのを確定的に見通すことができませんでしたので、御指摘のような年度別というようなものはなかなか策定することができなかったという事情にあると思います。  基本的な考え方を先ほど申し上げましたように、土地株式という自主財源を効率、効果的に処分いたしまして、十三・八兆円と試算されておりました国民負担をできるだけ縮減していく、こういう考え方のもとに、土地株式の資産の適切かつ効率的な処分を進めるという基本方針のもとに、この清算事業団債務処理が進められてきた、こういうことでございます。
  85. 寺前巖

    ○寺前委員 去年の七月の財政制度審議会の答申を見ていると、こういうのがある。国鉄改革によって新たに誕生した旅客会社、とりわけJR日本、西日本、東海各社は、総じて順調な経営状況で推移してきており、その背景には各社の経営努力があったことはもちろんであるが、そもそも、昭和六十二年度首において三十七・一兆円あった国鉄長期債務の過半が新事業体から切り離され、清算事業団に承継されたことが重要な要因となっている、ということで批判をしているのは、大臣の御答弁と一緒です。それで、目安はなかったのだ。  そして、そのくせ、国民負担軽減努力しなければならないということを閣議で何回か言っている。目安も持たないものが努力のしようがないじゃないか、いいかげんなことをやっておったんだなと言ったら失礼かしらぬけれども、私、そう思います。これは民間では持たなかった姿だなどと分割・民営化するときには言っておきながら、目安も立てずに、バブルだから結局どうなるかわからぬのだ、いいかげんなことでやっていくものだなと思って、私、考えてみたら、十年間、こんな無責任な話はなかったなと言わざるを得ないと思う。  そこで、去年の九月に日本世論調査会というところでアンケート調査をやった。「旧国鉄長期債務は、土地JR株などの資産を売り切っても二十兆円余り残り、国民一人当たりに直すと約十六万円になります。この債務国民が新たに負担する考えがありますが、あなたは賛成ですか、反対ですか。」という質問に対して、「賛成」ということを言った人は一・九%、「反対」が五四・八%、「どちらかと言えば反対」を入れると八六%、圧倒的多数である。僕はそうやと思うわ。国鉄というあれだけの国民の財産を持っておるのに、そのときからまた借金がふえていきますのや、それで、最後、おまえら持てと。この十年間は一体何だったのだ。それは国民が怒って私は当たり前だと思う。これは私、運輸省は立派な活動をおやりになったなどとは言うわけにはいかぬと思う。  今度、第二の質問に移ります。  国鉄清算事業団法の第三十一条に、事業団債務等の償還のために政府は基本方針を定めと書いてある。同三十二条では、事業団はその債務償還等を確実にするため、運輸省令で決めるところにより、その債務償還等のための資産の処分、資金の確保その他の事項について実施方針を決めなくてはならない、こうなっている。実施方針を決めていましたか。
  86. 梅崎壽

    梅崎政府委員 国鉄清算事業団法第三十二条に基づきます償還実施方針につきましては、これまでのところ策定されておりません。
  87. 寺前巖

    ○寺前委員 何で策定しないの、法律にあるのに。
  88. 梅崎壽

    梅崎政府委員 まず、三十一条の方で償還基本方針を定めるということになっておりますが、これにつきましては、昭和六十三年の一月二十六日の閣議決定で、日本国有鉄道清算事業団債務償還等に関する基本方針というのが定められております。  ところで、償還実施方針につきましては、まだ定められていない状況にございますが、これはこの債務償還実施方針が、事業団債務償還それから利子の支払いの予定額、資産の処分に関する業務の実施方針、事業団債務償還のために行う資金の確保に関する方針、その他事業団債務償還等の確実かつ円滑な実施に関する事項について定められているということになっておりますけれども、これらの事項につきましては既に償還の基本方針におきまして規定されているほか、特に土地JR株式処分方針につきましては、その後、平成元年十二月の閣議決定等におきまして詳細かつ具体的な定めがされました結果、事実上、償還実施方針について新たに規定をしなければならないという事項がなくなったこと等の事情によるものでございます。
  89. 寺前巖

    ○寺前委員 簡単に言うたら、政府でいろいろなことを決めておやりになっているのですから、清算事業団の方ではそんなことやっていけまへんのや、もう向こうがおやりになっていますのやという話と一緒や。こんな自主性のないものはない。自主的に十年間の間にここまでいかなければならないという気迫がそこから生まれへん。おかしな話やなと僕はこれを聞いておりながら感じておった次第です。  それで、一体清算事業団というのは何をしておったんやろと。三年間は何か職員の一定部分がおって、それで就職口の世話をする。結局、それに全部、行かぬ人が残ってきて、いまだにほったらかしになっておるという姿が存在しているかと思ったら、片一方では不動産屋の仕事をしているわけでしょう。それが目安もなしに、ともかくやっていますというだけ。それであとは年金の仕事やら何やらの仕事をやっている。計画的にどういうふうにやっていくのか、償還実施方針は政府の方で基本方針でおやりになっているから、私の方は知りまへんというのは、ひどい事業団やなというように私は感じます。  つい、そういうところから要らぬことを考えて、月給は何ぼもろうとるのやろなと思って、理事長の月給は何ぼですのや、役員の年収はどうですのやと。理事長三千三十二万円、理事は二千六十一万円、ようけもろうとるなと。退職金は何ぼになるのやとつい言いとうなる。  退職金、何ぼやったか、きのう書いたのを人が持ってきてくれはった。三年間おって千六百五十二万円もろうてやめはったのかな、これ、三年間と違いますか、杉浦さん。石月さんというのは、三年間いはつて千八百九十七万円というような調子で、えげつないなと。方針も立てぬといて、結果として借金いっぱいつくっておいて、これで、お世話になりましたといってもろうていっている。こんなもの、必要やったんかいなというような感じがする。国民に対して申し開きが立たぬような活動、自主性のない活動になっているやないか、そう思う。  ところが、この間新聞を読んでおったら、こういうのが載っておった。昨年の四月からことし二月までに行われた旧国鉄用地の公開入札では、六百七十五件のうち四割が入札参加者がない。そのため、売却を促進するために、一億円以上で不動産情報流通システムに登録した土地を対象にして、国鉄清算事業団は、落札者を紹介した宅建業者に対して落札金額が五億円を超える場合には二%、五億円以下の場合は三%の仲介手数料を払うと。国鉄清算事業団自身が大きな不動産屋になっているのに、何でそういうところに手数料を払って業務をやらなければならないのだろうか。これも横着な話やなと私感ずるのやけど、間違うてますか。どうです。
  90. 梅崎壽

    梅崎政府委員 土地の市況の状況からなかなか土地処分ができないという事情もございますので、清算事業団におきましては、公開競争入札によります一層の売却推進を図るために、宅地建物取引業者の能力、経験を活用いたします媒介型の公開競争入札というものを実施するということで、この三月に具体的な実施方針を取りまとめたところでございます。
  91. 寺前巖

    ○寺前委員 ようわからんのや、もう。  鉄道の土地というのは目立つところにある。どこかわけのわからぬところにあるというのは少ないやろ、そんなものは。部分的にはあるかもしらぬけれども。それを売りにくいなんというようなことを気楽に言わして、これやったら、民間会社はこんな事態はほっとかへんぞと偉そうに分割・民営化するときには言っておきながら、事が始まり出したら不動産屋のあっせん業者みたいなところへ持っていって、売ってくれや、手数料やるさかいなんというのでは、どう考えても、これも横着な仕事をやっておるなと言わざるを得ないと思う。  その次に移ります。  今度は、債務処理をどうしていくのか。  昨年十一月の運輸省の試算を見ると、処理期間を三十年置いてみたケースの場合に、調達金利五%の場合は毎年一・七兆円の償還等の費用が、金利条件が同様で処理期間が六十年の場合には一・三兆円の償還等の費用が必要であるという試算が何かに出ておったのです。こんなことをまたやらされるのかなというふうに私は心配してそれを読んでおったのです。  そこで、私、聞きたいのだけれども、国鉄を分割・民営化するときに、国鉄の資産というのは簿価で渡したという。当時のお金でいったら何兆円になるところの財産を持っておって、何ぼ財産をもろうてそれぞれのJRがつくられていったのか。これは国民の財産だから、ちょっと国民の前に言ってもらわなあかん。調べてみたけれども、当時の時価で何ぼになってたんやというのはちょっとも出てこないのだけれども、明らかにしてぐれますか。子供に財産を渡した以上、何ぼで渡してやったんやということをちょっと言ってくれぬと困る。簿価で言われたって、そんなもんあかへんでの。当時の状況ではどうだったのだと。
  92. 梅崎壽

    梅崎政府委員 国鉄改革の際に、鉄道事業につきまして新たな経営体制を確立して事業を継続していくということを目的とするものでございまして、個々の財産を処分するということを目的とするものではないというところから、財産の承継に当たりましても、事業運営の継続性の確保という観点から、原則として帳簿価格により引き継ぐということにしたものでございます。その際、在来線の鉄道施設等につきましては時価による算定というのは行っておりません。
  93. 寺前巖

    ○寺前委員 何を言っているのかさっぱりわからへん。当時のお金何ぼで子供に新しい会社をつくらせてやったんやと胸を張って語らないかぬ。国民の財産や、国鉄や。それをもってそれぞれの会社をつくったんやったら、何ぼ金やったんや、あれ、いけるはずですのやとか、親だったら、子供が独立するときに、おまえに財産何ぼ渡したんだからしっかりやれよ、そのかわり、おれに返せとは言わぬとか、あるいは、そのうちおまえ何年たったら持ってこいよとか、何か言うもんです、親は。同じことです。国の宝を財産分けして、おい気張ってやれよ、これだけ金を渡したんだから、おまえ失敗するなんて許されへんでとか言って当たり前や。その当時の時価で何ぼで渡してやったんや、時価にして何ぼあそこの会社には出してやったんやと胸を張って語って当たり前でしょう。違いますか。  当時の時価で何ぼや、それぞれの会社は。はっきりしてくれよ。そんなもの言えないというようなばかなことはない。
  94. 梅崎壽

    梅崎政府委員 あるいは答弁の繰り返しになるかもしれませんが、先ほど申し上げましたとおり、国鉄改革の際には鉄道事業を継続していくということを目的にしているものでございます。したがいまして、財産の承継に当たりましても、事業運営の継続性という観点から、原則として帳簿価格で引き継ぐということにしたものでございまして、時価による算定は行っておりません。
  95. 寺前巖

    ○寺前委員 算定はそのときにしなくたって、今だったら何ぼや。今、算定せいと言っている。今も算定できへんのか。ところが、あんた、新聞やらでわうわう言われている。例えば、いろいろある。これ、持っておるのです。  自民党の国鉄基本問題調査会国鉄再建に関する小委員会の会議録を読んだら、国鉄の全資産の六千八百九十九億円の簿価があるけれども、時価にすると百倍の七十兆円というところでしょうかというのが出てくるものがある。文芸春秋の八六年十月号を見たら、国鉄分割・民営化当時は百兆円とも言われていたというのが出てくるし、それから、ほかのを見ておったら、日経新聞だったか、何かのやつをずっと引っ張り出しておったら、七十兆というのが出てくるし、いずれにしたって、みんな、七十兆から百兆のところで、当時の時価になったらそれだけある、こう言われておる、全体として。  何で直接仕事をするところが、継続するんだから計算せぬかていいなんて、そのくせ、民間になりました、あそこは独立したから民間会社でございましてなんて、その都度その都度平気でまた言う。言うことがばらばらや。素直に、何ぼの金を持って独立路線で今気張らしてますのやというのを語れないようなことをしなさんなよ。国民に明らかにできないようなことをしておって、何が成功しますだ。この十年間の事実から考えても、もっと素直になってやらなんだら、私はうそだと思う。  この間、本会議で、うちの平賀さんが質問していました。この再建を考えるときには、一つは、低利に切りかえるということを考えないかぬと違うか、あるいは本州JR会社による、これは、財産分けをしてもらってまでいっているんだから、もうちょっと金を持ってもらわなあかんのと違うかとか、あるいはまた総合交通特別会計を創設して、全体として交通体系を見直す、財産についても、費用についてもそういうふうに特別会計で見ていくというやり方で、道路部分に匹敵する線路部分について考えないといかぬのと違うかとか、こういう問題を提起しているんです。  十年間の経験から反省せんならぬのは、そういうところにメスを入れて初めて新しいものがつくられるのと違いますか。大臣、いかがでしょうか。
  96. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生も御指摘いただきましたけれども、さきの本会議におきまして御党の平賀先生の方からも、債務処理の具体策として、今お示しになりました三点についてお尋ねがあったところでございます。  総理もその折に御答弁を申し上げておりますけれども、まず、低金利の資金への借りかえの問題でございますけれども、御承知のとおり、国鉄清算事業団が既に借り入れを行った債務の繰り上げ償還によります低金利の資金への借りかえにつきましては、債権者に借り手の金利軽減コストをつけ回すということになるわけでございますので、財投制度根幹にかかわる問題であるので、非常に難しいということを御理解をいただきたいと思っております。  また、二点目について、JR本州三社に対する負担を御指摘でございますけれども、御案内のとおり、その経営状況から見まして追加的な債務JR負担させるべき、そういう御意見がある一方で、国鉄改革経過を踏まえますと、そうすべきではないという意見があることも御承知のとおりでございまして、こういった御論議を私どもは十分今後のあらゆる選択肢の検討の中で慎重に検討していくことが必要であろうというふうに思います。  また、三点目として、交通総合特別会計の創設によりまして、この債務処理について、現在、揮発油税を初めとする特定財源制度等をひとつ総合的な特別会計として債務処理に充てたらどうだということでありますが、私も答弁を申し上げておりますけれども、それぞれの施設は利用者の負担で、受益と負担のバランスの上に実は負担が決められているわけでございますので、別の整備等に充当していくということが適当かどうか、国民理解を得られるかについて、慎重な検討が必要であるということを申し上げてきているところでございます。  いずれにいたしましても、先生の十年間の経過についてのいろいろな御論議がございましたけれども、まさに国鉄改革総決算、この債務の本格的な処理策策定なくしてできないわけでございますので、いろいろな角度から国民の御論議を十分踏まえながら、何とかして国民理解を得られるような策定に向かって全力を尽くすということが今私に課せられている最大の責務だ、そういう認識努力をしてまいりたいと思っております。
  97. 寺前巖

    ○寺前委員 この間、JR日本の最高顧問の住田さんが何かに書いておられました。かつて運輸省で仕事をしておられたお方でしょう。国鉄に資金をどんどん貸した母体行は日本政府です、返す当てがないことがはっきりしちやまずいから先送りしてきました、結局は国民負担です。ここに落ち込んでしまうのと違うかいな。私は、そういう意味で、三点の問題提起はぜひ真剣に考えてほしいということを申し上げておきたいと思います。  次に、せっかくの機会ですから、この十年の間のさらなる問題が一つ感じられるんです。一つは、働いておられた方々の問題です。もう一つは、安全性の問題です。  時間がありませんので、絞った形でお聞きをしたいと思うんですが、まず、横浜人材活用センターの問題です。  国鉄分割・民営化法案が国会で成立した直後の八六年十二月三日、横浜人材活用センター事件ということが起こっています。私はテレビで二度ほとこれを見ました。同事件は、同センターにおいて、同センターの廃止、職場復帰の抗議中に旧国鉄職員が助役に暴行を振るったとして公務執行妨害で逮捕、起訴されましたが、九三年五月、横浜地裁で無罪が確定しました。逮捕され、起訴された五人のうち三人は、国が刑事・費用補償、それから起訴猶予処分とされた二人も被疑者補償がされました。いわばこの事件はでっち上げであったことが裁判の上でも明確になって、受け入れざるを得なくなっているわけです。この五人は、東京高裁で免職無効仮処分判決が確定して、国鉄清算事業団から給与を支給され、JR共済にも加入するということに今なっています。しかし、JRへ復帰をめぐってまだ裁判が残っています。  しかし、この五人以外に、この事件を理由に懲戒処分が行われ、停職六カ月三人、一カ月四人の処分が行われた七人は、国鉄時代処分の原因となったでっち上げ事件を争っている中で、国鉄清算事業団に入れられ、九〇年四月に同事業団を解雇されるという経過になりました。でっち上げ事件をめぐって当時の国鉄当局と争っていた元職員が、でっち上げ事件を理由に処分が行われ、その処分に基づいて、設立委員会から要請されてJR採用名簿を当時作成していた国鉄が外してしまう、JRに入ることができなくなるという結果です。  こうなってくると、あのときの、分割・民営化を前にしてでっち上げをやって、不幸な目に遭っていた人たちが、名誉が回復されたからといってほったらかされておった日には、名誉は回復していないことになるじゃないか。私は、この問題をいつまでも放置しておくわけにはいかないと思うのです、でっち上げ事件であったということを受け入れているんですから。でっち上げの証拠まで裁判に持ち出されました。だから、確定して、言いようがなくなって決まったわけでしょう。それでいながらいつまでも放置されている。おかしな話だなと言わざるを得ないです。  これらの元国鉄職員には、八八年十二月、神奈川地方労働委員会でJR採用命令、九五年十月には中央労働委員会でもJR採用命令が出ています。このうち四人について、九六年二月に中央労働委員会は東京地裁に緊急命令を申し立てています。東京地裁は、棄却もせず一年以上も取り扱いに苦慮するという姿になっています。政府のつくっている労働委員会制度がこんなことを出しながら無視されているという姿、一方、裁判では不当であるということが、それはでっち上げ事件としてなっている以上は、運輸大臣、これは放置することのできない問題だと私は思うのです。  不当にも清算事業団に送られて、そこでも首を切られて、中央労働委員会でもJR日本と貨物に職場復帰させることを採用命令しているのに、今裁判中裁判中ということで既に十年が過ぎてきているこれらの人に対して、さらに引き延ばすことは、元職員に対する重大な人権侵害ではないでしょうか。国鉄分割・民営化のスキームの中で、でっち上げに遭ったような人は無条件にもとへ戻すように、それこそJRに指導しなければならない話じゃないでしょうか。私は、こういうことをきちんとできないようで、運輸省ここにありというわけにはいかぬだろうと思うのです。これはだれか説明できますか。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  98. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたが、私どもの方からまた事実関係も御説明させていただきたいと思います。  いわゆる横浜の人活センター事件に関連いたしまして、国鉄により昭和六十二年の二月に懲戒免職処分を受けられました五名の方につきましては、解雇された五名の方の地位保全、それから、賃金の支払いを求める仮処分に関しましては、先ほど先生御指摘のとおり、清算事業団に賃金の支払いを命ずる横浜地裁の判決が出されまして、平成七年の六月、東京高裁で清算事業団の控訴が棄却されまして、確定いたしております。  ただ、これに関しましては、仮処分に対応します懲戒免職無効、地位確認請求の本訴の方につきまして、平成六年三月に清算事業団JR日本JR貨物を相手といたしまして、横浜地裁に訴訟が提起されまして、現在係争中であるという状況でございます。  それから、この事件に関連しまして、処分を受けたということを理由といたしましてJRに不採用となりまして、労働委員会に救済を申し立て、中央労働委員会から救済命令を出されました三名の方につきましても、現在、東京地裁で係争中である、こういう状況でございます。  ただいま先生から御指摘もございましたけれども、やはり、裁判で係争中のものにつきまして、私どもは、まず裁判の状況を見させていただくというのが基本的な考え方でございます。
  99. 寺前巖

    ○寺前委員 でっち上げということは、運輸省としてはどう見ているんですか。でっち上げというようなことはなかったというふうに見るんですか。それはまだ係争中だと見るんですか。でっち上げということは事実であったということは認めるんでしょう。そこはどうなんです。
  100. 梅崎壽

    梅崎政府委員 刑事事件におきまして、ただいま先生御指摘のような事情から無罪となったということは十分承知しております。
  101. 寺前巖

    ○寺前委員 でっち上げであったということになったら、ちょうど切りかえのときの名簿をつくらなならぬということで、でっち上げられた人は不幸になっていくじゃないか。無条件に何とかせいと言って当たり前だと私は思うんだけれども、いつまでもこれは裁判中だとかなんとか、いろいろな形の裁判があるから延ばしていくのか知らぬけれども、私は、そんなことは許せぬ人権問題だと思う。でっち上げが確定しているんだから。だから、名簿に載らなかったんだから。不幸なことの出発はでっち上げにあったんだ。  大臣、これはぜひ検討してくださいよ。こういう問題について放置するわけにはいかぬと思うのです。
  102. 古賀誠

    古賀国務大臣 ただいま鉄道局長から御答弁申し上げましたように、現在、訴訟によって係争中だということでございますので、コメントは差し控えさせていただきますが、私自身、この問題について、もう少し詳細に事実関係を把握したいと考えておるところでございますので、その時間をいましばらくおかしいただきたいと思います。
  103. 寺前巖

    ○寺前委員 当時の国会でも三塚運輸大臣は、今の事件とは関係ないんですが、「大変雇用対策について各方面からの心配、不安、御指摘をいただいております。今亀井監理委員長が申されましたとおり、まさに改革最大のポイントが雇用安定対策であります。一人といえども路頭に迷わせることがあってはならない。そのために政治、特に政府がこの衝に当たるわけでございますから、全力を尽くすことは当然」だ、全力を尽くしてでき得ないことはあってはならないとまで言ったり、あるいは、「一人の職員も路頭に迷わせることがないように万全を期す、このことは総理が何回も言明されておりますが、その点はよろしゅうございますか、」との質問に対して、中曽根総理は、「そういう決心で努力いたしております。」とも言うし、あるいは国会の附帯決議でも全会一致で採択されてくるというような経過があるわけです。千四十七人が依然として、地方労働委員会なり中央労働委員会なり、いろいろなところで、政府の関係機関で採用命令が出たりしているんだけれども、放置されたままになっている。政府機関までなめられてきた話だということになるんですから、それがそのまま過ぎていくというようなことはいつまでもやっておるわけにはいかない。  十年という問題のけじめのときにそれなりに責任を果たしていただきたいということを要望したいんですが、大臣、改めてどうですか。
  104. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生から御指摘いただきました千四十七人の方々、この問題につきましては、現在、東京地方裁判所において係争中でありますけれども、歴代の運輸大臣また労働大臣が、何とか政治決着に向けて、労使双方に対して協力方を求められると同時に、明るい展望が開けないか大変御努力いただきました経過について私も承知をいたしております。また、今、先生からの強い御指摘をいただいたところでございますが、私の事実関係の把握によりますと、関係者間におきましてまだ大変大きな意見の隔たりがあったり、経営者側は、どうしても裁判で決着させる、そういう方針を堅持している、こういう事実があるのもまた事実のようでございます。  私といたしましては、歴代のそれぞれの大臣、またいろいろな経過等を十分踏まえまして、労使双方の対応を見守ることは基本でございますけれども、この問題の解決のために、今まさに国鉄改革十年、なすべきことがあればどんな努力もしていかなければいけないということで、今詳細にそれぞれの経過について勉強させていただいているところでございます。そういう姿勢でいるということには、ぜひひとつ先生にも御理解をお示しいただきたい、このように考えているところでございます。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 寺前巖

    ○寺前委員 本当に、十年といったら、ちょうど子供を育てる上において大変な時期だったという客観的なことも考えて、速やかに政府の責任で解決されることを希望しておきたいと思います。  次に、安全問題について聞きたいと思います。  国鉄民営化発足時のJR七社の鉄道部門の総人員は十七万九千三百六十人でしたが、現時点では十四万六百二十六名、将来的には十一万九千九百人、こう減ってくるという姿になってきています。国鉄分割発足時と比べると、三万八千七百三十四人現時点で減っている。将来的には五万九千四百六十人減る。鉄道部門でそれだけの人が減っていくという事態になってくると、安全性の問題において大丈夫かということをいろいろな分野で検討してみることが必要になってくるでしょう。  そこで、運輸省の関係法律などの緩和という問題がいろいろな分野で見られるようなのですね。例えば、車両の重要部検査の検査周期を、ことし四月より走行距離四十万キロメートルから六十万キロメートルに変えるとか、電気機関車の交番検査、九十日間走行か二万五千キロメートルを九十日走行後に変えるとか、あるいは電気機関車の全般検査を七十二カ月か八十万キロメートルを八十万キロメートルに変えるとか、いろいろな政令や省令の緩和によって行われているようです。  九五年の国労の調査を見ますと、こういうのがあります。首都圏三百四十七駅中、終日ホーム要員無人の駅は二百三十駅、首都圏内にある駅の六六%が無人になってきている。昨年十月の国労の新橋支部の「山手線ホーム事故等実態調査報告書」を読ませていただくと、JR日本の事故件数は八七年度から九四年度の間、鉄道運転事故件数は三百七十六件から百六十八件と減少しているが、運転阻害件数では八千六百七十四件から一万一千五百八十五件と一・三倍に増加している。このような運転阻害件数の増加について、JR日本の「JRひがし」という九六年の六月号には、「こうした阻害は、私たちが目指している「お客様と社員の死亡事故ゼロ」をおびやかしかねない」として、「運転阻害から摘み取ろう事故の芽」という呼びかけを社内で行っておられるようです。  運輸省として、運転阻害件数というのがふえてきている、こういう問題について、どういうふうに現時点を御理解になっているでしょうか。
  106. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま御指摘の運転阻害件数でございますけれども、確かに列車本数の増大によります高密度運転の影響もございまして、運転阻害件数は残念ながら増加しているという状況にございます。ただいま先生御指摘ございましたが、運転事故件数は減少しておりますが、運転阻害件数はふえているという状況でございます。  この内訳を見てみますと、鉄道施設や車両などの故障など、すなわち鉄道側に責務のあるものにつきましては、どちらかといいますと、ここ数年横ばいでございます。これに対しまして、風水害、地震などの自然災害、それから自殺などによります運転阻害につきまして増加をしているという状況でございます。  運輸省といたしましても、利用者の安定輸送の確保というような観点から、JR各社に対しまして、定期的な保安連絡会議などの場を通じまして、この運転阻害の増大に対しまして適切な対応を講ずるよう要請をしているところでございます。
  107. 寺前巖

    ○寺前委員 そう私も思っていたんです。ところが、その国労新橋支部の調査を読むと、ホームからの転落事故件数が九五年三月から九六年二月の一年間に百四十四件発生している。飛び込み以外で、ホーム転落・ドア接触、引きづられ事故等による負傷者数が四十人以上、確認できたものでそうなっているというんだ、一年間に。  そこで、運輸省に、どんなふうになっているのか資料が欲しいといって出してもらった。九五年度のJR全体で、ホームからの転落件数は三十五件、ホーム上で接触件数は四十三件、合わせて七十八人の死傷者数、うち二十一人が死亡だ。  そうすると、新橋の国労の支部の範疇だけで、ホーム転落・ドア接触、引きづられ事故等による負傷者数が四十人。全国的な調査の数字を見ると七十八人の死傷者数である。これはちょっと報告がおかしいんじゃないだろうか。正確に全部掌握するような体制になっているんだろうか。私は、事実問題というのはやはりきちっと握るようにしなかったら、これはやはりメスを入れるのはどこに入れなければならないのかという問題に関係するので、私はそれが気になったのです。  ところが、事故報告基準というのが変わりつつあるのですね。国鉄分割民営化時に、事故報告基準を、ホームで列車に接触事故にならない限り報告しないことに、前は報告することになっているのに、それが、ホームで列車に接触事故がない限りは報告せぬかてよろしいというふうに、従来だったらホームの事故報告というのは、いろいろな形で事故が起こっておるのだからそうなっていたのが、変化が生まれるという事態が最近ずっといろいろな分野で出てきているということが出ているのです。  私は気になって、この間、ある人に会うたら、あそこの、八王子地区というんですか、その駅にあれが張ってあった。出したのですね、「非常事態宣言」というのが出ていますというわけだ。ここに持っていますけれども、三月十八日、八王子地区駅長、各長殿と書いてある。平成八年度も残り少なくなりましたが、最近、お客様に迷惑をかける事故、絶滅を期する事故が下記の内容で多発しております。ダイヤ改正を迎えるに際し、地区内の全社員が事の重大性を認識することを踏まえ、ここに非常事態宣言を行いますといって、五件書いてある。平成八年度三月十八日現在事故件数、最近だけで上記五件のA事故が発生していますと。A事故、ここに書いてあるのは九件、B事故六十六件、総計七十五件。A事故というのは何やろうかなと、書いてある五件を読んでみたら、降車できなかった旅客二百名、原因は何だろうといったら停止位置不良、そういうのやらずっといろいろ、パンタグラフがどうなっているとかいうようなことが書いてあるのです。それで鉄道の人に聞いてみて、A事故というのは何ですのやといったら、A事故といったらもうみんな震えますのや、こういう話になるのです。それほど大変な事故らしい。だから、この非常事態宣言というのが出される。  それで、うちの部屋の人に、ちょっと運輸省に聞いてみなさい、そんな事故ありたんかいと。そうしたら、きのうまで知らぬかったと言う。非常事態宣言と言与てもう震え上がるようなことを鉄道職員が言うのに、知らぬかった。鉄道局からそんな報告はないのか、鉄道局も知らぬと言っておると。  そうしたら、JR日本ですか,現場では必死の思いで安全性の問題、かっかかっかしているのに上の方が握らぬという事態になってくるし、その調査の仕方も変わってきている。要するに、わからぬようにしつつあるのかいな、そんなことも考えてみたり、つい思わざるを得ないんです、さきの統計の問題から考えても。  ですから、事故の問題については、かつての国鉄時代にやっておったように、きちんと掌握できるような体制をつくるべきではないか、お聞きしたいのはそのことなんです。いかがですか。
  108. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ホームにおきます列車との接触等の事故も含めました事故の報告でございますが、鉄道事故等報告規則、これは私ども運輸省の省令でございますけれども、これに基づきまして、列車の「運転により人の死傷を生じた事故」として報告を受けるということになっております。この運転事故に関する報告に関しましては、JRと民鉄、それからJRにつきましても、国鉄時代と現在のJRの場合もこの報告規則は同様でございます。  それから、御指摘いただきました八王子の非常事態宣言でございますが、私どもも調査をさせていただきましたが、これは、八王子の地区駅長から関係する職場の方々に対しまして、非常事想宣言という表現を用いまして、係員の取り扱いミスなどの防止を図るように指導をしておられるということが私どものつかんだところでございます。  それで、この非常事態宣言におきましてA事故どかB事故とかいう分類をされておりますけれども、これは運輸省令で定めております鉄道事故等報告規則に基づくものではなくて、比較的大きな輸送障害であったものをA事故、それ以外のものをB事故ということにされているものでございます。
  109. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、もう最近、踏切のところで、ちょっと若干の工事をやっておられるところで、去年滋賀県で、三人の人がぱあんと列車に飛ばされて死んだというのに直面したり、どもかく下請、孫請化してぐる中できちっとした事態が生まれなくなってきている、安全性について心配だという問題がそこに出てくる。それから、今度は保線の関係で、臨時の電車が入る場合にはちゃんと末端まで連絡をきちっとしなさいよ。何回か、和歌山線で、私はJR西日本の問題について指摘したことがある。何回か言わなんだら、末端まで行かないことになってきている。  私は、最近一連の安全性の問題に対する対応について、片っ方で人がこれだけ減ってきている事態の中で運営していくんだから再三の注意をしなければいかぬ、それだけは、事故についてはきちんとやはり掌握できる体制を確立しておかなかったら分析することができないではないかということをあえて強調して、最後に大臣の御答弁をいただいて終わりたいと思います。.
  110. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生から御指摘いただきましたように、運輸行政を担うに当たりましては、何といいましてもその基本は安全第一だということは、鉄道の分野だけではなくて、陸海空のそれぞれの分野においてまず心しておくことだと私自身自覚をしているわけでございます。  御指摘をいただいておりました、それぞれの線区のホームの要員配置等の問題につきまして今御論議をいただいたところでございますが、基本的には、鉄道事業者が線区ごとの輸送状況等によって決められていくことでございますけれども、今後^具体的なホームの安全対策等につきましても、ただいま申し上げました安全第一ということを基本に、遺漏なきを期していきたいというふうに考えておりますので、先生の方からも御指導いただければ大変ありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
  111. 寺前巖

    ○寺前委員 どうもありがとうございました。
  112. 杉山憲夫

    杉山委員長 北橋健治君。
  113. 北橋健治

    ○北橋委員 ことしの二月二十八日に衆議院本会議におきまして、整備新幹線の法案の代表質問させていただきました。加えまして国鉄清算事業団債務負担軽減措置の審議も始まりました。一カ月半に及ぶ間各会派各党におきまして真摯な議論が行われてきたと思います。きょうはもういよいよ議了、採決の日を迎えるに当たりまして、とりわけこの間の議論におきまして私どもが重要な論点と考えておりますことについて、それぞれのお立場から確認をさせていただければ、こう思っております。  まず第一に、国鉄清算事業団債務負担軽減措置でございますが、党内で議論の結果、今回はやむを得ない、止血剤である、これ以上債務をふやすわけにはまいらない、しかしもう一度このような趣旨の、その場しのぎの止血剤が国会に提案されるようになりますと、党内におきましても、そのときは賛成いたしかねる、そういう議論が大勢でございました。  そこで、政府に確認をさせていただきたいと思うのでありますが、既に政府は、今年中に成案を得る、そして来年度から本格的な処理を実行する、このように閣議で決まっているということでございますが、間違いなくその方針に沿って行動をされると理解してよろしいでしょうか。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  114. 古賀誠

    古賀国務大臣 御論議をいただいておりますこの国鉄長期債務の問題につきましては、今、先生もお触れいただきましたけれども、昨年十二月の閣議決定におきまして、本格処理平成十年度から始めるに当たりまして、九年中に本格処理策定についての成案を得るということにさせていただいているわけでございます。  北橋先生を初め、与野党の先生を問わず、この非常に重要な国鉄長期債務の問題について大変熱心に今日まで御論議をいただきました。私も、そうした先生方のさまざまな御意見、そしてまた御指導に大変感謝をいたしますと同時に、そうした御論議を十分踏まえながら、なお国民的な論議を深めることによって、閣議決定に基づきましてこの難しい、大変困難な問題ではございますけれども、本格処理策の策定を平成九年中に成案を得るということに全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。
  115. 北橋健治

    ○北橋委員 今回の出資によります特別な負担軽減措置は今回限り、このように理解をさせていただきたい、そして今後の成案を得る作業を見守らせていただきたい、こう思っております。  この旧国鉄長期債務の本格的処理は、それは政府与党はもとよりでございますが、野党のそれぞれにとりましても極めて困難な、そして重要な、緊要な課題だと認識をいたしております。これまでの大臣の御答弁を聞いておりましても、どのようにしてこの本格的な処理を行うかにつきまして何人かの委員の方から質問がありましたけれども、非常に慎重な言い回しをされておられました。  きょうは本席に大蔵省の主税局の方にお越しをいただいていると思います。大臣答弁は、あらゆる選択肢を今後幅広く検討するという趣旨だったと理解をしますが、税にかかわる問題は当然大蔵省主税局が非常に重要なお立場にあるわけでございまして、そしてこれまでの税制改正の議論は、与党あるいは野党の立法府における議論はもとよりでございますが、政府税制調査会あるいは財政制度審議会、非常に著名な学識経験者のお入りになった席で、相当程度突っ込んだ議論がなされ、そこが、政府与党内における議論の一つの流れをつくってきた。そういう経緯にかんがみまして、最近のこの旧国鉄債務の本格処理に当たりまして、既に、そうそうたる首脳の方がみずからの私見をいろいろな席で公表されておられます。  ある方は、ドイツの例に倣え、鉱油税がある、それは、鉱油税を引き上げる際に一般財源化をした。またある人は、総合交通体系が重要なのだ、道路だけ、あるいは運輸省所管の交通手段だけではなくて、総合交通体系の中で財源を一本化してやるべきだ、したがって、桎梏になっているのは道路特定財源だからそれは一般財源化すべきだ、そういった議論が出てきたりしております。大蔵省としましては、この問題について、政府税調あるいは財政審の首脳陣がいろいろな席で私見を述べられておりますので、十分承知をされておると思いますが、一つの行き方、考え方として理解できないものではありませんが、今大事なことは、税に対する不信感を招かないことが大事だと思います。  揮発油税、この税一つをとりましても、これは、税金を取られるときに、海外に比べて物すごく高いガソリン料金を皆払っているわけでありますが、その負担は道路をつくるために、そういうことで泣く泣く重い負担に耐えてきた経緯がございまして、それをいきなり、道路特定財源を外すというような議論を政府税調首脳の人たちがどんどんいろいろな席でされるということは、税に対する信頼感を著しく失うのではないか、これは納税者に対する背信行為につながるのではないか、そういった声も聞こえてくるわけでございます。今日の事情は、昭和五十八年度税制改正のときにも、財政が非常に厳しくなって、一般財源化しようかどうか大変大きな問題になりました。あのとき、全国九割の、たしか知事会、市町村議会が、それは絶対に困るという反対運動もありまして、国民的な大論議発展したことを承知をいたしております。  大蔵省にお尋ねをします。重大な背信行為につながるようなことは考えるべきではないと思いますが、いかがでしょうか。
  116. 森信茂樹

    森信説明員 お答え申し上げます。  現在、揮発油税等は、道路整備緊急措置法等によりまして、その税収を道路整備に充てることとされておりますが、これは、道路利用者による道路整備費の負担という受益者負担の理念に基づいたものでございます。  このような特定財源制度につきましては、政府税制調査会の答申におきまして、次のように指摘されておるところでございます。「一般に、特定財源制度は、特定される公共サービスの受益と負担との間にかなり密接な対応関係が確認される場合には、一定の合理性を持ちうるが、一方、それが資源の適正な配分を歪め、財政の硬直化を招くものであることから、その妥当性については常に吟味していく必要がある。」こと、それから、「特定財源制度の問題は、財政需要の優先度等を含め、財政の資源配分調整機能を有効に活かす見地から、幅広く検討を行う必要がある。」というふうな指摘がなされているところでございます。こうした指摘を踏まえつつ、道路特定財源を国鉄長期債務の財源に充てることが適当か、また、国民理解が得られるかという点につきましては、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。  いずれにしましても、国鉄清算事業団長期債務等の処理につきましては、財政構造改革会議において示されました基本的な考え方にもあるとおり、「将来世代への負担の単なるつけまわしとならないよう、あらゆる選択肢を精力的に検討する」必要があるものと考えておるところでございます。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  117. 北橋健治

    ○北橋委員 この運輸委員会に大蔵省の方にお越しいただくのも当初気が引けたわけでありますが、政府税調の首脳、財政審の首脳が、国鉄赤字をたくさんつくり出した原因は道路だ、こんなことを言っておりまして、道路はつくり過ぎなのだ、だから特定財源を外せばいいのだ、こういう議論、これは尊敬をする先生方のお考えでありますけれども、これは暴論ではないか、私はこう思っております。  慎重に今後検討するという姿勢を今聞かせていただいたわけでありますが、何といいましても、私は、これを安易に転用するということは、納税者、国民に対する、自動車のユーザーというのは、これは国民そのものでありますから、背信行為につながる。それだけの重要な問題点をはらんでいるということを十分御認識いただきまして、もう既に大蔵省の審議会でそれぞれ役職につかれておりますからいたし方ありませんけれども、十分慎重な議論を今後お願いをしておきたいと思います。大蔵省の方、結構でございます。  さて、もう一問、国鉄清算事業団につきましては、現在約二千名の職員の方がいらっしゃるわけであります。そして、土地処分の問題というのは、平成九年度までに土地処分を終了するという目標がございますので、果たして平成十年度以降、業務が縮小してまいりますと、自分たちの雇用がどうなるのであろうか、生活設計についても不安を抱えていらっしゃると思います。  お伺いしますと、職員の七割ぐらいは五十歳以上ということもございまして、今後、雇用の安定に万全を期していただきたいと要望するものでありますが、政府の御見解をお尋ねしておきたいと思います。
  118. 梅崎壽

    梅崎政府委員 清算事業団の職員の雇用の問題、大変重要な問題だと私どもも認識しております。清算事業団と十分連絡をとりながら、最大努力してまいりたいと考えております。
  119. 北橋健治

    ○北橋委員 ぜひとも御留意をいただきたいと思っております。  さて、この整備新幹線の議論に当たりまして、同僚の民主党の細川理事の方から、議論の前提として、収支採算性についての運輸省の方針を示していただきたいという、その議論からこの委員会は始まった、このように理解をしております。  私ども新進党にとりましても、この整備新幹線について、円滑な国民合意の形成を期すためには、やはり最大の論点である収支採算性について国民が納得していただけるような、そういったデータをぜひそろえてほしいということでお願いをしたわけでございます。そして、この委員会でその資料をいただきました。確かに、平成二十五年度に営業をするという前提で、平成二十五年でございますから、経済情勢も大きく変わっていると思います。そういう中での予測でございますので、精いっぱいの御努力をされたことは了としますけれども、これによりますと、結論が、一日一万人以上輸送需要があればプラスになるのだ、こういう御説明でございます。今後、政府与党検討委員会におきまして新規にどこから着工するかをお決めになるわけでございますが、そこでも、収支採算性は重要な論点であると政府与党の方針で書かれております。  そこで、確認をさせていただきたいと思いますが、政府与党検討委員会が優先順位を決定されまして、いよいよ着工を図るというときには、必ず国会に御報告をいただきまして、その御報告をいただくときには、五つの条件検討委員会で示されておりますが、そういったものについても国民が納得できるような、そしてこの国会において、厳しい財政再建の中を新幹線整備していくわけでありますから、十二分に闊達に議論できるような資料をともに添付していただきまして、この国会の場に御提出をいただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  120. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生から御指摘いただきました新規着工区間の今後の取り扱いについてでございますけれども、昨年の十二月の政府与党の合意に基づきまして、政府及び与党から成る検討委員会において、収支採算性の見通しなどの基本条件を十分確認した上で、財政構造改革と矛盾しないように、また、今先生から再度御確認がありました御指摘について、その御趣旨を踏まえまして適切に対処してまいります。
  121. 北橋健治

    ○北橋委員 ぜひとも、この国会におきまして自由闊達にこの問題について議論ができるような保証を心から要望させていただきたいと思います。  きょうは時間が限られておりますけれども、もう一点お伺いしておきますが、経済波及効果シミュレーションを示すということは、実に困難を伴うものだと思います。しかし、例えば通産省でもよくマクロ経済研究会というような私的研究機関をつくりまして、例えば投資減税をすればこれだけの効果が上がるというようなことをいろいろな学者たちと議論をしましてシミュレーションをして、そして財政当局に対して、この投資減税が必要だ、こういうふうに予算獲得のために頑張っております。  運輸省についても当然そういったことをされていると思うのですが、今回お示しいただきました整備新幹線についての試算というものを見させていただきまして、これは全体の話でございますね、私は北九州、九州の一角におりますけれども、収支採算性についてはどこに出ていっても絶対に納得していただけるような、そのような理論的武装は完備できていると確信を持っておるわけでございますけれども、それぞれの新たに着工する区間について、いよいよ着工すると決めるときには、その地域の方々のみならず全国民的な合意が得られますような、そういったシミュレーション、経済波及効果についても一段と工夫をされてはどうか。そのための局長さんの私的な勉強会でもいいし、そういったところで理論武装をさらに深められてはどうかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  122. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生おっしゃっていただいているように、この整備新幹線、未着工区間着工については、国民理解を得るということが私は最も必要なことであり、重要だと思います。そういう意味では、今先生御指摘いただいた点、大変参考にさせていただくことだと思っております。よく検討させていただきたいと思います。
  123. 北橋健治

    ○北橋委員 時間が参りましたので、終わらねばなりませんが、この審議を通じまして、JR貨物の皆様にとりましては、将来、整備新幹線が完成いたしますと、自分たちのネットワークが一部寸断されるのではないかという心配もございます。そういった問題につきましても、ぜひとも政府としては、既に答弁の中で万全を期すという趣旨でございますけれども、こういった問題も含めて、今後努力をさせていただきたいと思います。  この審議を終えるに当たりまして、私は特定財源を変えることについては反対でございますが、確かに、十兆円を超えるような道路整備予算がある中で、わずかに三百四十億円しか国の公共事業費が整備新幹線につけられていない、それを考えますと、政府与党検討委員会で決めるというのは、何か不自然だなという感じが最初しておりましたけれども、それだけ与党が大蔵省や自治省に対して財源をとるために激しく闘っておられるのだろうと思うわけであります。  そういった意味では、与党も大事だと思いますけれども、野党の中にも前向きに、協力できるものは思い切って協力しょう、それは党派を超えた問題だという認識を持った議員も少なくないわけでございますので、今後、着工に当たりましては、そういった良識ある各党各会派の考え方を信頼していただきまして、みんなでこの整備新幹線を円滑に成功させる、そういったためにともに頑張らせていただきたい、そのことを表明いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  124. 杉山憲夫

    杉山委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  125. 杉山憲夫

    杉山委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  この際、本案に対し、細田博之君外一名及び細川律夫君から、それぞれ修正案が提出されております。  提出者より順次趣旨の説明を求めます。細田博之君。     —————————————  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案  に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  126. 細田博之

    ○細田委員 私は、自由民主党及び社会民主党・市民連合を代表して、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げます。  施行期日について、原案では「平成九年四月一日」といたしておりますが、既にその日が経過しておりますので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。  よろしく御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  127. 杉山憲夫

    杉山委員長 細川律夫君。     —————————————  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  128. 細川律夫

    ○細川(律)委員 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由と、その趣旨を御説明.いたします。  まず、その案文を朗読いたします。     全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に対する修正案   全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則第一項を次のように改める。   (施行期日)  1 この法律は、別に法律で定めるところにより策定される日本国有鉄道清算事業団処理すべき債務を確実かつ円滑に償還するための長期債務償還計画の策定の日から施行する。以上が修正案であります。  次に、この修正案の提案理由とその趣旨を御説明いたします。  我が党は、交通インフラは総合的、体系的に検討し、整備されるべきであり、空港、新幹線、高速道、港湾がそれぞれの地域に合った特性を発揮するものとして整備されたときにインフラとしての真価を発揮するものと考えております。ゆえに、我が国の総合的な交通網整備の一環としての整備新幹線建設には肯定的な立場に立つものであります。このことは、党の公約においても記されており、また、本会議質疑、委員会における質疑においても再三申し上げてきたところでございます。  今後とも、我が党は、財政構造改革論議とも関連させつつ、施策、整備事業の硬直化の要因ともなっている縦割り財源の統廃合を前提に、より有機的に機能する総合交通ネットワーク建設に向けた政策的取り組みを積極的に行っていく所存であります。  しかしながら、長期債務問題については、莫大な負担国民に求めることになることは明らかであります。政府が概算要求時点の方針であった昨年度中の償還計画の策定を放棄し、先送りしたままで、また新たに大プロジェクトに税金が費やされることに、率直な国民感情として反発があることも事実であります。  本来、国民生活、経済社会の発展に寄与する整備新幹線建設が猜疑の目にさらされたままで行われるとするならば、それこそ不幸なてんまつにほかなりません。ゆえに、我が党は、整備新幹線建設の意義について国民の御理解をいただくためには、これ以上長期債務償還計画の策定を先送りしない決意、速やかに長期債務償還計画策定を行うことを国民にお示しすることが必要であると判断をいたしました。  本修正案の趣旨は、償還計画策定をもって改正案の施行及び予算の執行を行うとの制約をみずからが課すことによって、国政にある者としての責任を明確に示すことにあります。  原案の本則部分に関しては賛成しつつも、原案の趣旨を国民に御理解いただくための補強的な提案として、附則において定められる施行期日部分の修正を提案いたすものであることを改めて申し上げ、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由といたします。  以上でございます。
  129. 杉山憲夫

    杉山委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  130. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより原案及びこれに対する両修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。平賀高成君。
  131. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、日本共産党を代表して、全国新幹線鉄道整備法改正案に対する反対討論を行います。  反対の第一は、改正案の最大のねらいは、整備新幹線建設費の地方自治体負担を従来の一五%から三〇%に倍増することにあります。整備新幹線建設の財源スキームにおいて、今回は既設新幹線の譲渡収入を全額国の負担分とみなし、国の負担分の見かけを意図的に膨らませた上で、その二分の一が地方自治体負担とされています。一部地方交付税措置が行われるものの、住民と地方自治体の負担増をもたらすことは明らかです。  第二は、我が党が従来からその不当性を指摘してきましたが、整備新幹線に伴う並行在来線JRからの切り離し、廃止が条件とされるなど、地域住民にとっては、負担の強化と相まって二重三重に厳しいものになっています。  第三に、その一方で、国の負担は従来と変わらず、JR負担に至っては受益の範囲を限度とした貸付料によるとされており、収支状況が悪化した場合には負担しなくてもいいというものであり、とても負担と言えるものではありません。  このように、整備新幹線建設の財源スキームは、従来型の無責任なままの方式が継続されているものです。さらに、北陸新幹線建設にかかわる財投などからの借入金も膨大になっているにもかかわらず、その返済に充てられる各路線のJR貸付料の見通しさえも明らかにしておりません。これでは、国民が真に望む新幹線建設を実現することができないことは明らかです。  最後に、自民党、社民党提出の修正案、民主党提出の修正案も、さきに述べました根本問題を何ら解決するものではなく、本法案の実施時期を延ばすだけのものであり、両修正案には賛成できないことを表明し、討論を終わります。
  132. 杉山憲夫

    杉山委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  133. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより採決に入ります。  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。  まず、細川律夫君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  134. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、細田博之君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  135. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決された修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕     —————————————
  136. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
  137. 杉山憲夫

    杉山委員長 この際、本案に対し、村田吉隆君外三名から、自由民主党、新進党、民主党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。江崎鐵磨君。
  138. 江崎鐵磨

    ○江崎委員 ただいま議題となりました全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、新進党、民主党及び社会民主党・市民連合の四会派を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一 鉄道、道路、空港、港湾などの交通ネットワークについての将来展望を踏まえ、これらを総合的に検討するとともに、効果的な整備に努めること。  二 整備新幹線新規着工の優先順位を決定するに際し、収支採算性の見通し、沿線地方公共団体同意の取付け及びJR同意等について、厳正に判断すること。  三 整備新幹線新規着工区間についての結論が得られた場合は、速やかにこれを当委員会に報告すること。  四 整備新幹線の建設に当たっては、建設事業コストの見直しと事業の効率的執行に努めることにより、極力総事業費を抑制すること。  五 整備新幹線の建設に伴う並行在来線経営分離によって、将来JR貨物の輸送ネットワークが寸断されないよう、万全の措置を講ずること。 以上であります。  本附帯決議案は、ただいまの法案審査の過程におきまして、委員各位からの御意見及び御指摘のありました問題点を取りまとめ、政府において特に留意して措置すべきところを明らかにしたものであります。  何とぞ委員各位の御賛成を賜りますようお願い申し上げます。
  139. 杉山憲夫

    杉山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  村田吉隆君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  140. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古賀運輸大臣
  141. 古賀誠

    古賀国務大臣 ただいま全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の結果御可決をいただき、まことにありがとうございました。  また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、政府として十分努力をしてまいる所存でございます。ありがとうございました。     —————————————
  142. 杉山憲夫

    杉山委員長 次に、日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案について議事を進めます。  これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。平賀高成君。
  143. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党を代表して、日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案に対する反対討論を行います。  本法案は、清算事業団への無利子貸付金五・三兆円の償還を九八年度に繰り延べるとともに、新たに三兆円余りの債務政府が肩がわりし、清算事業団が抱える旧国鉄債務の一部を一時的に棚上げするにすぎないものです。長期債務の具体的な処理策もないまま安易に債務を棚上げしても、債務増加に歯どめをかけることにはならず、結局は国民負担を押しつけることになるものです。  国鉄分割・民営化の最大課題とされたのが旧国鉄長期債務の解消ということであったにもかかわらず、債務は減るどころか約三兆円も膨れ上がっています。  政府は、長期債務の抜本的な処理策も示さず、このままでは何の責任もない国民に一人当たり二十万円を超える負担を押しつけることになります。このような無責任な、国民へのツケ回しは断じて容認できません。  旧国鉄債務を解決するために、長期債務の発生の原因と経過に照らし、低金利への借りかえを行うこと、本州JR三社に追加負担を求めること、道路財源を含む総合交通特別会計をつくること、この三つの抜本的な処理策を提案し、討論を終わります。
  144. 杉山憲夫

    杉山委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  145. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより採決に入ります。  日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  146. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  147. 杉山憲夫

    杉山委員長 この際、本案に対し、村田吉隆君外三名から、自由民主党、新進党、民主党及び社会民主党。市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。川内博史君。
  148. 川内博史

    ○川内委員 ただいま議題となりました日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、新進党、民主党及び社会民主党・市民連合の四会派を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一 日本国有鉄道清算事業団の残存資産の有効売却等により、債務の縮減に可能な限り努めること。  二 国鉄長期債務について情報開示を行いつつ、その抜本的処理方策を一日も早く策定し、来年度より実施すること。 以上であります。  本附帯決議案は、ただいまの法案審査の過程におきまして、委員各位からの御意見及び御指摘のありました問題点を取りまとめ、政府において特に留意して措置すべきところを明らかにしたものであります。  何とぞ委員各位の御賛成を賜りますようお願い申し上げます。
  149. 杉山憲夫

    杉山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  村田吉隆君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  150. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古賀運輸大臣
  151. 古賀誠

    古賀国務大臣 ただいま、日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案につきまして、慎重御審議の結果、御可決をいただき、まことにありがとうございました。  また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、政府として十分努力をしてまいる所存でございます。     —————————————
  152. 杉山憲夫

    杉山委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 杉山憲夫

    杉山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  154. 杉山憲夫

    杉山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十二分散会      ————◇—————