運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-04-11 第140回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十一日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員   委員長 杉山 憲夫君    理事 林  幹雄君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 横内 正明君    理事 江崎 鐵磨君 理事 北橋 健治君    理事 細川 律夫君 理事 寺前  巖君       衛藤 晟一君    関谷 勝嗣君       橘 康太郎君    谷川 和穗君       中馬 弘毅君    古屋 圭司君       堀内 光雄君    森田  一君       久保 哲司君    今田 保典君       坂本 剛二君    玉置 一弥君       中田  宏君    松浪健四郎君       川内 博史君    辻  一彦君       平賀 高成君    濱田 健一君       深田  肇君    望月 義夫君       米田 建三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 古賀  誠君  出席政府委員         運輸政務次官  衛藤 晟一君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十一日  辞任         補欠選任   濱田 健一君     深田  肇君 同日  辞任         補欠選任   深田  肇君     濱田 健一君     ――――――――――――― 四月十日  公共交通安全運行と諸規制の見直し等に関す  る陳情書外三件  (第一八九号  )  ロシアタンカー油流出事故対策に関する陳情書  外一件  (第一九〇号  ) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二七号)  日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を  図るために平成九年度において緊急に講ずべき  特別措置に関する法律案内閣提出第二六号)      ――――◇―――――
  2. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂本剛二君。
  3. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 久しぶりに運輸委員会で質問をさせていただきます。どうぞ大臣、よろしくお願い申し上げます。  新幹線我が国交通網骨格として、これまで日本経済発展に大いに寄与してきたことは御承知のとおりでございます。また、全国から東京へのアクセスがスピードアップされ、時間の短縮があったということは大変な成果だ、こう思っております。  改めて大臣にお聞きしますが、我が国交通体系の中において新幹線が果たす役割についてどのような御認識を持たれておるか、お伺いします。
  4. 古賀誠

    古賀国務大臣 お答えいたします。  整備新幹線は、先生も御承知のとおり、定時性安全性また環境面、そういった面から見ましても、高速大量輸送機関といたしまして大変有為性を持った交通機関だというふうに認識をいたしております。また、申すまでもないことでございますが、我が国国土の均衡ある発展地域活性化に資するという意味からも、私は、極めて重要な高速交通機関であるという認識でおります。
  5. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 大変重要な交通機関であるという御認識でありますが、新幹線をそのような重要なものと認識していながら、新幹線の歴史を見てみますと、昭和四十五年に全国新幹線鉄道整備法が制定されましてから、その後、国鉄経営状況の悪化とか財政状況等々によって、昭和五十七年に整備計画凍結が行われました。そして昭和六十二年に凍結解除ということになってきました。解除凍結の繰り返しでありますが、解除されてから今日まで十年、着工が決定されるまでに十年かかっております。政策に一貫性がないんじゃないのかなという感じすらいたすわけでございます。一方、整備計画決定後、空港や高速道路整備がされております。これはもう主要都市間を三時間以内で行き来できるほど道路交通網整備が進んできております。新幹線整備計画見直しを、路線見直しですね、これを求める声さえも実は出ておるわけであります。しかし私としては、新幹線国土骨格を形成するものであり、計画どおり着実に、ジグザグしないで整備をしていく必要があるんじゃないか、こう思っております。  そこで、お聞きいたしますけれども新幹線我が国交通体系にとって必要なものであるということから、財政状況等により整備計画凍結をしたりといったようなことがないように、着実にその整備を進めるべきである、こう考えておりますけれども、これから先、運輸大臣、どのようにお考えでありましょうか。
  6. 古賀誠

    古賀国務大臣 整備新幹線必要性については、先生から御指摘いただいているとおりでございまして、日ごろから先生には整備新幹線につきまして大変御支援、御理解をいただいております。まず、そのことにお礼を申し上げまして、今先生が御指摘いただきました経過について若干御説明をさせていただきたいと思っております。  御承知のとおり、先生もお触れいただきましたけれども昭和五十七年、国鉄経営が危機的な状況にあったわけでありますが、そういった状況を踏まえまして整備新幹線計画は当面見合わせるということとされたわけでございますけれども昭和六十二年に、御承知のとおり国鉄改革が実施されました。その後、新たな状況等を踏まえまして、いわゆる凍結解除というものが行われたわけでございます。しかし、その際、整備新幹線計画につきましては国鉄改革考え方に沿って、国鉄分割民営化後の新しい会社の判断を尊重するということと同時に、行財政改革の観点からも財源問題だとか収支見通し等前提条件を慎重に検討した上でその取り扱いを決定する、こういうことにされたわけでございます。その閣議決定を踏まえまして、昭和六十三年から平成二年にかけまして、政府与党の申し合わせによりまして、確保された財源の範囲内において三線五区間着工を決定していただき、今回の政府与党合意におきましても、ぎりぎりの調整の結果として新しい財源スキームの成案が得られたところでございます。  御指摘のとおり、整備新幹線は、私がただいま申し上げましたように、国土の均衡ある発展地域活性化に資するという意味で大変重要なプロジェクトであります。そのためにこの整備推進 する必要があると考えておりまして、今後、収支採算性見通し等基本条件を十二分に確認した上で、財政構造改革と矛盾しないよう適切な対処が重要であろうと思っております。  先生からも、整備新幹線の今後の推進につきましてさらに御支援、御指導いただければ幸いだと思います。
  7. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 もう整備するならするで一瀉千里にやっていただきたい。途中何があろうとも、政策的に新幹線整備するという方針を打ち出した以上は横道にそれることなくという考え方はあるんですけれども、一方、財政構造改革必要性が叫ばれている中、今度はその収支採算性見通し、これは今度の三線五区間の中にだって、通勤通学を除いてしまったら一体何人乗りおりするんだというように、非常に心配される地区だってあるわけでございます。  そこで、この整備新幹線収支採算性はどのような考え方計算されることになっているのか、お伺いしたいと思います。
  8. 梅崎壽

    梅崎政府委員 整備新幹線建設収支採算性の問題でございますが、新幹線建設しまして、並行在来線経営分離いたしました場合の当該新幹線区間収支、それから当該会社関連線区収支、これを合計したものから、新幹線建設されない場合の在来線収支当該会社関連線区収支合計したもの、これを差し引きまして、すなわち収支改善効果というものを計算いたしまして、これによって収支採算性を判断する、こういうような考え方でございます。これは、三線五区間の場合も同じような考え方で対処しております。
  9. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 その収支採算性、具体的にはどんな方法計算されるのでしょうか。
  10. 梅崎壽

    梅崎政府委員 まず、収支採算性計算に当たりましては、輸送需要を算定する必要があります。将来どの程度の輸送需要があるかを把握するために、新幹線建設される場合と建設されない場合のそれぞれにつきまして、当該新幹線区間並行在来線、それから当該会社関連線区、それぞれにつきまして需要予測を行います。  この需要予測を踏まえまして、それから当該新幹線区間新幹線建設されない場合の並行在来線、それから当該会社関連線区のいずれにおきましても収入、支出を算定するわけでございますが、収入は、運賃・料金収入、それから広告収入預金金利などを構成要素といたしております。それから、費用の方でございますが、保守、運転等に要する経費車両減価償却費施設車両固定資産税それから借入金の金利等、こういったものが構成要素でございます。こういったような構成要素内容といたします収入経費をそれぞれ算定いたしまして、収支採算性を算出する、このようなやり方でございます。
  11. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 現状を分析しながらこの収支採算性というものを算出するのでしょうけれども、実は私は、運輸省が三、四年前につくったお祭り法案とか、さまざまな観光資源開発あるいは郷土芸能保存育成法案とか、いろいろなものをつくっているのですが、あれらがこういう全国地区振興発展とこの新幹線の導入とどんな結びつきがあるのか、全然そういうものを考えなしに全く単独に計算しているのでは、あるいは整備をやっているのでは、まさにその辺に行政の寂しさがあるな、こんな感じがするのですね。ですから、そういう総括的なものを踏まえながら、あるいは最大限の伸びとか、そんなようなものも採算性の中に算出されて、何年後、何年後とか、そういう計画もあっていいのじゃないのかという気がするのです。  先日、運輸省から示されましたモデルケースについてでございますが、具体的な計算結果が示されているだけに、新聞でも取り上げられて関心を集めております。このモデルケースはどのような性格のものと考えればよろしいのか、また、どのような前提条件を置いて計算されたものなのか、お伺いしたいと思います。
  12. 梅崎壽

    梅崎政府委員 収支採算性考え方なり計算方法につきましては、ただいま御答弁申し上げたとおりでございますけれども、それではなかなかイメージが明確にならないといったような点があろうかということで、今回モデルケース計算した結果を示したものでございます。  今回お示しいたしましたモデルケースでは、新たに整備する新幹線区間を百キロメートル、それからそれにつながります関連線区を四百キロメートルと仮定した上で、新たに整備されます新幹線区間輸送密度を一日一キロメートル当たり五千人キロ、一万人キロ、一万五千人キロそれから二万人キロ、この四ケースを設定いたしまして、さらに当該新幹線区間輸送需要は、新幹線建設されない場合の並行在来線輸送需要に対しまして一律二五%増加する、それから当該会社関連線区輸送需要は、新幹線区間輸送需要の二分の一の分だけ増加する、こういったような仮定条件を設定いたしまして計算を行っております。  この今回のモデルのケースは、さまざまな仮定と一定の前提条件を置いて、整備新幹線建設によります収支採算性イメージを示したものでございます。当然のことでございますけれども、実際の個別線区需要といいますのは、時間短縮による需要増のほか、各線区ごと事情によりまして、当該新幹線区間とか関連線区誘発効果、それから現在の並行在来線収支、こういったようなものに影響されますので、個々の線区につきましては、それぞれの事情に応じて、このような計算方法に従って収支採算性計算していくということでございます。
  13. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 収支採算性というのは極めて重要な基本条件でありますので、その計算は適切な方法で行っていただきたいと思います。  次に、収支採算性等基本条件の確認ですけれども政府与党による検討委員会において行われるということでありますが、国民関心の高い事項でもありますのでお伺いしますが、政府及び与党から成る検討委員会の設置時期及び検討スケジュールはどのようになっているのでしょうか。  また、政府与党から成ります検討委員会検討を行うに当たっては、検討内容情報公開に十分配慮しながら進めるべきと考えますが、大臣、いかがでございましょうか。
  14. 古賀誠

    古賀国務大臣 お答えいたします。  新規着工区間に取り組むためには、新しい財源スキームを成立させるということが前提になるわけでございます。そのために、当委員会でも御審議をいただいておりますが、関連法案を成立をさせていただくということがまず重要であろうかと思っております。そういう審議状況を勘案しつつ、検討委員会を設置させていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。  また、整備新幹線整備につきましては、今先生もお話しいただきましたけれども国民理解を得ていくということは大変重要であろうかと思いますし、必要なことであります。そういう意味で、検討委員会におきまして作業が進むわけでございますけれども、そういう状況国民皆様方情報を開示しつつ、その作業を進めていくということに努めてまいりたいというふうに考えております。
  15. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 新幹線建設に伴う問題といたしまして、鉄道貨物輸送の問題が案はあるわけでございます。並行在来線JR経営から分離された場合、JR貨物路線使用料が上がり、これが地域産業に、あるいは地域経済に悪影響を与えるのではないかという心配もあります。例えば、八戸—盛岡間なんかもかなり貨物の往来が実はあるわけでございますが、それがなかなか容易でない状況になるというと、一番安い運送手段ですから、あるいは車だ船だというわけにはなかなかいかない。そのJR貨物使用料が上がったとなれば、これは大変な問題であります。  並行在来線JRからの経営分離後も線路使用料が上昇することのないよう適切な処置を講ずる必要があるのではないか、こう思いますけれども、いかがでございましょうか。
  16. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま先生が御指摘されました、新幹線建設の際に鉄道貨物輸送をどうするか、これは大変重要な問題だと私どもも思っております。  我が国物流体系におきます鉄道貨物輸送役割考えますと、JRからの経営分離後も適切な輸送経路と、ただいま御指摘の適切な線路使用料、これを確保することが必要でございます。昨年十二月の政府与党合意におきましても、このような考え方で適切な輸送経路線路使用料を確保するということを確認いたしまして、その上で、貨物新幹線上を走行することも含めまして、関係者間で調整を図り、適切に対処していくということにしております。  新幹線建設した場合に、鉄道貨物新幹線の方を走るのか並行在来線の方を走るのか、これは、新幹線の安全問題、それから、並行在来線を走る場合は、ただいま先生指摘のように、特に線路使用料の問題をどうするかというのは非常に大きな問題でございますので、私ども、このような点につきまして、今後、十分関係者とも意見を調整しながら対処していきたいと思います。
  17. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 ぜひ対処していただきまして、新幹線が来たことによって、人は皆東京へ行ってしまう、物は動かなくなってしまうなんということがないように、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、国鉄長期債務関係についてお伺いいたします。  昭和六十二年の四月一日に国鉄改革が実施されましたが、これによって国鉄分割民営化され、本州三社は各社経営努力によって順調な経営を続けてきておるわけであります。利用者の立場から見ても、サービスの改善がなされるなど、国鉄改革は成功裏に推移していると思っております。この委員会でも言い尽くされ、質問し尽くされているわけでございますが、債務の処理が国鉄改革の中で残された問題としてクローズアップされてきております。昭和六十二年度当初において、総額三十七兆一千億円の国鉄長期債務のうち、JR各社新幹線保有機構が十丁六兆円を継承しまして、残る二十五・五兆円については日本国有鉄道清算事業団が処理するということになりました。そこで、事業団では、土地JR株式売却をして債務償還に充てるべく努力をしましたが、最終的に残る債務については国において処理することとなっていたのであります。  そこで、国鉄長期債務状況は一体どうなっておるのか、債務が増加してきた原因についてはどんなふうに端的に見ておるのか、お伺いをします。
  18. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま先生から御指摘いただきましたとおり、国鉄改革当時、すなわち昭和六十二年度首に国鉄等から国鉄清算事業団が引き継ぎました際に、長期債務等は約二十五兆五千億円でございました。現在、この長期債務残高は、平成八年度首で二十七兆六千億と私どもは言っておりましたが、これが平成八年度末には約二十七兆三千億円となる見込みでございます。これに対しまして、平成九年度首におきましては、鉄道共済年金厚生年金に統合される、こういうことに伴いまして、これは見込み額でございますが、約八千億円の移換金債務が生ずるということから、平成九年度首におきましては、これは速報値でございますけれども、約二十八兆一千億円の残高になるという見込みでございます。  このように債務が増大いたしましたのは、一つは、地価高騰問題に対処するために清算事業団土地売却が見合わされるということになったこと、これが一つでございます。二つ目は、その後、土地信託など、地価の顕在化をしない方法ということでいろいろな手法考えまして、そういった手法を活用しながら土地売却を促進しようといたしましたが、バブル崩壊に伴います土地需要低迷によりまして、土地売却が必ずしも順調には進まなかったという点が二点目でございます。  それから、一方、株式につきましても、株式の市況が低迷しているということ、それから、阪神淡路大震災影響によりまして、JR株式売却が進まなかったといったようなことによりまして、資産売却を初めとする収入が、昭和六十二年度から平成八年度までの十年間を見ますと、まだ八年度決算が確定しておりませんけれども、約十二兆九千億円という見込みでございます。  これに対しまして、昭和六十二年度から平成八年度までの十年間の金利それから年金負担、これが相当膨大でございまして、このような金利年金負担合計、さらに、鉄道共済財政危機に対処するために、平成二年度から毎年度約一千億、合計約七千億円の特別負担を新たに負ったという事情もあり、この十年間で約十四兆六千億円の負担が見込まれる。八年度はまだ決算がございませんが、それも入れますと、約十四兆六千億円の負担であるということでございます。さらに、平成九年度首におきましては、先ほど申し上げましたように、鉄道共済年金厚生年金への統合に伴います移換金債務約八千億円がございますので、これも加えますと、債務残高が約二兆五千億円増加したという結果になっている次第でございます。
  19. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 その後余分な負担もいろいろ出てきたり、苦労しておる姿はよくわかります。ただ、債務の増加した要因の大きなものとして、バブル崩壊後の土地の売買が非常におくれてしまったということを挙げられておりました。これは、私たちも多分そうではないかなと思っているわけです。事業団では、国鉄改革時に約九千ヘクタールの土地を保有しておりました。債務償還に充てるためにこれらの土地売却を進めてきたわけでありますが、平成元年閣議決定では、「土地処分については、平成九年度までにその実質的な処分を終了する」というふうにされております。特に、昨年度は汐留や品川といった都心の大規模物件売却を行いました。一兆円を超える土地売却収入を上げた、こんなふうに報道されております。  そこでお伺いしますが、これまでの土地処分状況がどうなっておるのか、それから、平成九年度中に土地実質的処分を終了させることにはなっておるのですが、その見通し等についてお伺いしたいと思います。
  20. 梅崎壽

    梅崎政府委員 清算事業団土地処分状況でございますが、そもそも清算事業団国鉄等から承継いたしました土地の全体の面積は、約九千三百ヘクタールございます。それで、この土地昭和六十二年度の発足時から平成八年度までの間に約六千八百五十ヘクタール処分いたしまして、総額約五兆六千億円の処分収入を上げてきております。この結果、平成九年度首で残りました土地は、約二千四百ヘクタールというぐあいになっております。この土地でございますが、ただいま先生が御指摘されましたとおり、土地実質的処分平成九年度中に終了するということが閣議で決められておりまして、この平成九年度、最大限土地処分に力を尽くす必要があるわけでございますが、清算事業団の予算といたしましては、土地処分収入といたしまして、平成九年度七千五百億円を計上いたしております。  なかなか厳しい事情がございますけれども、これが予算どおり処分できますと、残ったものは幾つかの類型に分けられますけれども一つは、鉄道施設の移転につきまして地元との調整が整っていないもの、例えば大阪の梅田、吹田の土地等がこれに該当いたします。それから二つ目のものといたしましては、都市計画事業が終了していないもの、これは例えば秋葉原の土地といったようなことが考えられます。それから三つ目類型といたしましては、訴訟中のものである、こういったような特段の事情があるものを除きまして、事業団用地大半につきまして処分を終了することができると考えております。  なお、今例示で挙げましたものにつきましても、私どもは、当然のことながら平成九年度中の処分に向けて鋭意努力をしてまいりたいと思いますけれども、今申し上げましたようなものはなかなか今年度中の処分は難しいと言わざるを得ない状況 でございます。したがいまして、こういったものを除きまして大半のものは今年度中に終了させたい、こういうことで最大限力を尽くしていきたいと思っております。  そのために、大規模物件早期確実な処分を図るために手続を一層進めるということ、それから地方公共団体に対しまして土地の購入をさらに要請するといったようなこと、昨年十二月の閣議決定を踏まえまして全力を挙げて早期処分を図りたい、このように思っております。
  21. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 いろいろ複雑な要件があって土地処分できないでいる、これもわかります。それから、全力を挙げて残りの土地については売却していきたいということもわかりますけれども、本当に売れるのかどうかという疑問も実はあるわけてございます。後で、その残地については一番最後のときにちょっと私の考えを述べてみたいと思います。  次に、株の処分でございますが、株価の低迷阪神淡路地震影響が大きかったというさっきのお話がございました。この分割民営化されましたJR七社の株式は、その売却益国鉄長期債務償還に充てるために全株式について事業団が保有するということになったわけであります。土地と並んでJR株式国鉄長期債務を減らすための重要な資産であるわけでございます。また、分割民営化されたJR各社完全民営化を達成するためにも、早期売却を行っていくことが必要ど考えておるわけでございます。JR株式については、土地のようにいつまでに処分を完了させるということにはなっておりませんけれども、お伺いしたいのは、これまでのJR株式売却実績と、今後の売却をどのように進めていかれるのか、お示しいただきたいと思います。
  22. 梅崎壽

    梅崎政府委員 JR株式のまず売却実績でございますけれども平成五年度にJR東日本の株式売却いたしました。全株式四百万株中二百五千万株、約六三%でございます。それから、平成八年度にはJR西日本の株式売却を行いました。全株式二百万株中の百三十七万株、約六八%でございます。この二つの、JR東日本とJR西日本の株の売却によりまして、合計約一兆六千億円の売却収入を上げてきたという状況でございます。その結果、国鉄清算事業団が現在持っておりますJR七社の株式合計は、五百三十二万株となっております。  今後でございますが、平成九年度におきましては、昨年十二月の閣議決定を踏まえまして、まずJR東海の株式売却、上場を目指すということといたしております。それから、JR東日本などの既上場の株式の第二次売却につきましても、早期処分が図られますよう関係者間で調整を進めるということにいたしております。  それから、清算事業団が保有しております株式は、本州三社のほかに、JR北海道、JR四国、JR九州それからJR貨物の四社の株式が当然あるわけでございますけれども、この四社につきましては、厳しい経営状況の中で直ちに株式上場を行うことは困難でございますので、まず、上場を実現するための前提となります経営基盤の強化を図っていくということが重要であると考えております。  それから、先ほど私、秋葉原の土地の件を、都市計画事業実施中のものの例示として申し上げましたが、秋葉原は実は立ち退きについての訴訟が行われておりまして、この訴訟がなかなか容易に解決がつかないという見通しであるということで、訴訟が起こっているものの例示でございました。訂正させていただきます。
  23. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 土地は二千数百ヘクタール、JR株式については五百万株ぐらいしか残っていないということになるわけでございます。これらの資産売却していっても、債務残高が二十八兆一千億円ということになっている状況と照らし合わせますと、かなりの額が国民負担ということになってくるわけであります。昭和六十二年度には、国民負担額の試算として十三兆八千億円という数字が発表されておりましたけれども、このままでは国民負担は二十兆を超えてしまうのじゃないか、このように心配されます。  この極めて膨大な国鉄長期積務の処理をどうするかという議論がマスコミを初めとして大きな話題を呼んでおりますけれども経営が順調な本州三社に対してもっと負担を求めたらどうかという意見も出ているようであります。そもそも国鉄改革時に債務の分担を決めたわけでありまして、今になってからJR三社に負担を求めるというのは、おかしいと私は思うわけであります。ましてやJR東日本と西日本にゆきましては、先ほどの答弁のとおり既に上場されておって、株価にも大きな影響を与え、一般の株主に損失を与えかねないということになるわけであります。  そこで、お伺いしますけれども国鉄長期債務の本格的な処理に際して、JR負担を押しつけるべきではないと思うのですが、これは運輸省のお考え方はいかがでございましょうか。
  24. 梅崎壽

    梅崎政府委員 国鉄長期債務等の本格的処理でございますが、ただいま先生も御指摘されましたとおり、これに要する費用が大変膨大であるというところから、JRにつきましても、国鉄改革後の経営状況が順調であるので、こういったところからJRも一定の負担をすべきではないかといったような意見、あるいは国鉄清算事業団国鉄職員の年金負担しておりますが、JRも一層の負担をすべきではないか、こういったような意見があることは私ども承知しております。これに対しまして、JRによる長期債務負担国鉄改革時に基本的に枠組みを決めているのであって、その決めた枠組みを変更するようなことはおかしいというような意見、それから、民間企業でございますJRに対しまして追加負担を求めることは、一般株主との間でも問題があるのではないかといったような意見があることも私ども承知しております。  この問題については、本格的処理に必要な新たな財源・措置につきまして国民的な議論を十分に尽くしまして、国民のコンセンサスを得ることが、不可欠でございます。運輸省といたしましては、国鉄長期債務の処理のための具体的な処理策につきまして幅広い論議を十分に踏まえた上で、平成九年中にその成案を得るべく最大限努力を行ってまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、今後最終的な国民負担のあり方としていかなる措置があるかにつきまして、あらゆる選択肢を精力的に検討してまいる必要があると考えております。
  25. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 そういったものがいずれ国民に回ってくるなんということのないように、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  昨年十二月の閣議決定で、「平成十年度より、国鉄長期債務等の本格的処理を実施する。」「このため、その具体的処理方策の検討を進め、平成九年中にその成案を得る。」こういう閣議決定があります。いよいよ国鉄長期債務の本格的処理を来一年度から実施するということでありますけれども、我々新進党におきましても、この問題につきましてはチームをつくりまして、玉置委員がその座長になっておりますが、本格的な検討を開始したところでございます。処理額が巨額であり、本当にその処理を行うのは大変だなと実は思っております。  お伺いしますが、国鉄長期債務の本格的処理のための具体的処理方策について今年中に成案を得ることどなっておりますけれども検討に当たっては国民の前でオープンに議論していただきたい、そうすべきである、こう考えるわけでありますが、いかがでございましょうか。これは大臣にひとつ。
  26. 古賀誠

    古賀国務大臣 国鉄長期債務の本格的な処理方策を策定するに当たりましては、今先生政府委員とのやりとりの中でも、また既に御承知のとおり、その積務が大変膨大であります。よほど幅広い御論議を重ねていただき、そして十分な議論が必要になってくるだろうというふうに思っております。  また、今までも国鉄長期債務状況につきま しては国会等に御報告を申し上げさせていただいてきたところでございますし、また、土地売却状況だとか債務状況等につきましても、大変きめ細かに定例の発表等も行ってまいりました。運輸省国鉄清算事業団等は広報にはそれなりに大変気を配ってきたところでございますけれども、今回の本格的な処理方策の策定につきましては、さらに国民皆様方理解を得るべく情報の開示等、適切に行っていく必要があろうかと思っております。  先生から今お話しいただきましたように、昨年暮れの閣議決定におきまして、本格的な処理の実施を平成十年から始めさせていただくということでございます。そのために平成九年中に本格的な処理方策についての策定を行うわけでございます。十分国民皆様方に御理解を得るべく最大限努力を払ってまいりたいと考えているところでございます。
  27. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 ところで、国鉄清算事業団債務償還を行うために土地JR株式売却していくことを業務としておるわけでありますけれども資産も減少しておりますし、業務量が減少していくことは明らかであります。  平成七年二月二十四日の閣議決定は、「日本国有鉄道清算事業団については、長期債務等の処理、資産処分等の主たる業務が終了した時点で、職員の雇用の安定・確保を図った上で、整理することとし、当面、定員削減の実施を含めた要員の効率的な活用等を通じ、土地JR株式等の資産早期.適切かつ効率的な処分等を進める。」こういう閣議決定をいたしておるわけであります。「長期債務等の処理、資産処分等の主たる業務が終了した時点で、職員の雇用の安定・確保を図った上で、整理する」こういうふうになっております。  事業団が整理されるということになりますと、その職員の身の振り方を措置する必要が出てまいります。事業団の職員はこの十年間国鉄改革のために一生懸命努力した方々であって、土地売却等についても本当に大変な努力をしてこられた方々であります。昨年末の閣議決定では、この人たちの再就職対策を今年度から実施する、こう言っております。  お伺いしますけれども、現時点において事業団のプロパー職員は何人ぐらいいらっしゃるのか、また事業団がその役割を終えて整理される場合、これらの職員全員の再就職対策が必要になると思います。組合の方では、JR総連の方ですね、その際の生活条件確保のため財政支援を図るなどの要望をしていると聞いております。例えば再就職のための公的再就職先のあっせんとか、退職後三年間の手当の支給問題あるいは再就職が成って移転の際の住居の問題とかいろいろあるようでございますね。そういう要望があると聞いておりますが、これにどのように対処していかれるのか、お伺いをいたします。
  28. 梅崎壽

    梅崎政府委員 清算事業団の組織としてのあり方の問題、ただいま先生から御指摘ございましたとおり、平成七年二月の閣議決定がございますし、さらにこれに加えまして、昨年十二月の閣議決定がございます。昨年十二月の閣議決定では、本格的処理を実施した上で速やかに清算事業団を整理する方向で、再就職対策を平成九年度より開始するというぐあいになっております。  そこで、お尋ねの清算事業団の職員でございますが、この中でプロパーの職員、清算事業団には国から出向したり、あるいはJRから出向したり、こういった職員もございますので、これらを除きましてプロパーの職員の数でございますが、これは平成八年度首は千八百七十二人でございまして、この数が平成九年度首におきましては千六百九十一人というぐあいになっております。平成八年度におきまして、閣議決定の趣旨も踏まえまして前倒しで再就職の対策に一部努めておる、こういう状況でございます。  それから、再就職対策といたしまして、運輸省におきましては、既に、事業団職員の再就職対策を支援するために、事務次官を長といたしまして日本国有鉄道清算事業団職員雇用問題プロジェクトチームというものを設置いたしまして、JR各社であるとか運輸省所管の特殊法人等に対しまして、清算事業団の職員の採用の要請を行うといったこと、あるいは公的部門におきます受け入れを各省庁に対して要請するといったようなことを行っております。  今後、さらに再就職希望職員の受け入れの促進を図るということから、引き続き私どもの所管の法人に対しまして要請を行うほか、今後は地方公共団体とか民間企業に対しましても要請を行うとともに、事業団の職員の早期退職や転職を促進するような措置につきまして、事業団と連絡をとりながら、関係各方面の協力も得ながら、最大限努力をしていきたいと考えております。  清算事業団の組合の方からは、ただいま先生から御指摘ございましたような、この問題に関しまして運輸大臣への要請書が提出されております。その中で、具体的に退職時の特別給付等々につきましても要望が出されているところでございますが、これらにつきましては、国鉄改革時にとられた措置とのバランス等々ございますので、具体的には今後、私ども政府部内で検討してまいりたいと思っております。
  29. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 職員や家族の皆さんにとっては大変な問題であります。十年前にいろいろトラブって、今なお就職が決まらない係争中の方がおりますけれども、この清算事業団の方々にだけはそんな思いは、そんなふうな追い込み方は絶対しないようにぜひきちっとやっていただきたいな、心からお願いをさせていただきます。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕  それから最後に、これは要望ですからお答えにならなくても結構でございますが、この整備新幹線の問題とか清算事業団の清算の問題等々、目先の、目の前のことだけの処理にかかるのではなくて、もっと広い視点で私はやっていったらどうなのかなと思うのですね。例えば、今度の土地処分だって、大阪の梅田あるいは今の八重洲ですか、大体いい土地は、売れるのはこのぐらいかな。今秋葉原云々という話がありましたけれども、あとは北海道が随分多いというのではありませんか。安くてどうにもならない。この北海道の土地なんて売ったって何にも役に立たないということですね。  私は、整備新幹線を今の三線五区間をやるにしても、先ほど、そこに人々が集まる、交流入口がふえる、そんな政策を併用しながらというお話をいたしましたけれども、青森の下北半島に恐山というのがあって、あそこにイタコというのがいますね。拝むと死んだ人の霊が出てきていろいろしゃべってくれる。二、三十年前に、マスコミの人だと思ったのですが、ベートーベンの生誕百年祭だか没後百年祭だかで、べ−トーベンの霊魂を呼び出そうという大がかりなことをやりましたね。そして、ひょっとしたらドイツ語で話すのではないか、ラテン語で話すのではないかというのでいろいろ通訳を用意して、当時はテープレコーダーを設置してイタコに拝んでもらった。いよいよ乗ってきてべ−トーベンが話し始めたら、何だか津軽弁でしゃべったものだからだれもわからなかったという、こんな話が「天声人語」に載っておりました。  これはお笑いじゃなくて本当なんですね。お祭り法案の中からこのイタコを今は三十人なら百人ぐらいにふやして、育成して、専門の通訳を置いて、どんどん外国から、あなたの先祖様が出てくるよという、こんなふれ込みで日本には珍しいオカルト的な魅力を日本の観光資源の中に埋め込んでいく、そんなこともあっていいのじゃないのか。  あるいは、北海道はあれだけ大きな原野ですから、清算事業団が保有している土地を活用して、世界一のレジャーランドをあそこにつくるためのデベロップ会社、設計会社、企画会社を、清算事業団職員全員で別会社の中に移行して、そういう企画会社をつくって、ディズニーのディズニーランド、有名ですけれども、トムとジェリーの世界とかポパイの世界とか、そういったようなものを あの北海道の原野に現出して、世界の子供たちを飛行機で呼ぶ。壮大な計画を立てて、売却。買い手は外国人でいいじゃないですか。今度の八重洲だって香港資本が買っているのでしょう。だから、アメリカにはいるのですよ、そういう好きなのが。幾らでも買ってやるぞという。そういういろいろな外国資本に売り払って、北海道のごく一部分ですから、外国が入ってきたって、そんな大騒ぎをすることはない。それよりも、そこからくる雇用、精算事業団の職員の子弟の雇用の問題とか、あるいはまた、そこに東京から北海道までのリニア鉄道だって引けるではありませんか。  そういう大きな視点に立って、清算事業団の業務というのはやるべきではないのかなと実は私は思っているのです。何か目先のことばかり、十年に一遍、ああ法律が切れる、間もなく約束時間だから何とかしなければならぬという対症療法的なやり方をしているという、これがもっと早くからそういった方向で動けば、今からだって遅くないでしょう。これから十年かけてやったって、それだけの経費売却代金で十分出てくるわけだし、そんなことは高く売りつければいいのですから。開発はそれこそ造成でも設計でも全部清算事業団から移っていった職員が別会社でやればいいのであって、非常に能力のある方々だと聞いていますので。  私は、政策に関連性のある、そういうもので国鉄が果たしてきた役割をさらに今後高めていくという、そんな方向に、ぜひ運輸省の皆さん方にお願申したいと思います。これはお答えは要らないのだけれども、何か感想がありますか。感想があればお聞きしてもいいし、ないですね。ちょっと時間が余ったかな。まあ新幹線ですから早く終わるのはいいだろうと思って、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。     〔村由(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  30. 杉山憲夫

    杉山委員長 中田宏君。
  31. 中田宏

    ○中田委員 中田宏でございます。今から一時間お時間をいただきました。質問をさせていただきたいと思います。  日ごろは個大的にも大臣にしばしば不思議な御縁で御指導賜ったりしておりますけれども津きょうは大臣に私も運輸委員としては初めて質問させていただくことを大変幸いに存じておるところでございます。いろいろと整備新幹線のことについてお聞きをしますけれども大臣には私、るる恐らく意見を言わせでいただくと思いますが、それについての政治家としての御所見をお伺いをしたい、こういうふうに思っているところであります。  まず、委員長大臣を初めとしまして、他の先生方もまた運輸省の皆さんにもぜひ誤解のないようにお聞きをいただきたいと思うわけでありますけれども、私は整備新幹線そのものに反対をするものでは全くありません。国土の均衡ある発展という観点から考えましても、新幹線の重要性というものは十分に認識をしているつもりでございますし、また、その地域発展ということを考えてもそれは承知をしているつもりでございます。  ただし、仮に採算性を無視したような形でこれが着工され、そして整備され、営まれる。結果、格好のよい、さっそうと走る新幹線の裏側に、国民に大きなツケ回しが来るという事態になるのではよろしくないわけであって、その点についてやはり私はまだ疑問を持っているという観点から、質問させていただきたいと思うわけであります。  思い起こせば、国鉄JRに変わった経過というのは余りよろしくない言葉でありますが、まさに我田引鉄と巷間言われるように、我々政治家の諸先輩方がさまざまな地域への利益誘導、そして、国鉄収支を無視した鉄道建設を進めた結果によって、国鉄が大変大きな赤字を抱えて、昭和六十二年に民営化されたわけでありました。民営化直前の国鉄長期債務は、全体で三十七兆一千億円、そのうち二十五兆五千億円が清算事業団に引き継がれ、さらに四月一日現在で、一年前よりも五千億円ふえて二十八兆一千億円の債務になっていることは、この委員会で別途、別途といいますか、一括して審議されているその経過の中で、我々全員承知をしているところであります。  もちろん国鉄の赤字については、単に鉄道路線の問題だけではなくて、職員の勤務の効率性に代表されるような、いわゆる親方日の丸的体質、こういうことがあったのも事実であります。ただ、計画的に設備投資と利益をきちっと計算をした上で事業の運営に当たるという企業の体をなしていなかった、それが国鉄の赤字を大きくしてきたことは間違いのない事実だというふうにだれもが認識をできると思います。  今回、その国鉄が抱えた莫大な長期債務の処理についても、現在、この委員会において一括して議論をしているわけでありますが、まさにその反省に立ったとき、民間新生JRに対して、私たちが第二の国鉄になるような鉄道建設を無理強いするわけには当然いかないわけであります。このことについては、JRそのものが赤字になるということで第二の国鉄と私は言っているのじゃなくして、かつてと同じように採算性を無視した形で鉄道建設を進めることが、結局は国民負担につながってくるというその体質を指して第二の国鉄という意味を今申し上げた。これは後ほど詳述をさせていただきたいというふうに思うわけであります。  さて、冒頭申し上げたように、私は、別に整備新幹線にはやみくもに反対をしているわけではありません。あえて私の本音を申し上げますならば、私は、新幹線というものを建設することによって、東京から鹿児島あるいは札幌まで、距離にしたらこれはえらい長い、大変な、東京から鹿児島まで新幹線で行くかなというのは、率直に言って私は行かないだろうと思いますが、大阪からでも鹿児島に行ったり、あるいは仙台から札幌に行ったり、こういう利用の仕方はたくさんあるわけでありまして、それは利便性が増すわけで、これはむしろ大賛成をしたいというふうに思います。  ただ、問題なのは、これを今やるべきなのかどうなのかという、時間、タイミングということを私は思うわけです。それは、今、国が抱えている当面の緊急課題はいわゆる行財政の改革であって、先般、四月一日に消費税は二%上がったわけであります。これは国の財政が極めて厳しいから、そのはね返りとして、私たちの生活に既にその財政のゆがみというものが来ているわけであって、この国の財政構造を転換するために思い切った行財政改革を断行をしようというのが、これは与野党一致した今の国の命題であるということになります。  医療制度の改正なんというのも既に話題に上っているわけでありますから、当然のことながらこれは行政改革という観点を考えたときに、この整備新幹線という問題について、いま一度頭を冷やす必要があるのではないか。基本的な姿勢というのは不要不急なものに関しては歳出を慎み、まずもうて国の財政を立て直していって、その後にこういった重要性のあるテーマについての優先順位をつけて、これは国家的な整備新幹線なのか、あるいは空港なのか、あるいは運輸関係ではないそのほかのものも含めて、優先順位をつけてやっていくということになるのだろう。それをやっていかないで、今とにかくすべてのプロジェクトをどんどん進行していくということには非常に疑問を持つわけであります。  早速でありますが、昨年十二月の政府与党合意の中では、新規着工分として二〇一八年までに約一兆二千億円を確保していくということになったわけですね。これはスーパー特急やミニ新幹線を導入することで建設費用の軽減化を図っているわけであります。そして、今後検討委員会着工順位などが検討されること、これはもう既にこの委員会の中でしばしば議論をされているわけであります。この一兆二千億という金額で東北新幹線の八戸—新青森、北陸新幹線の長野—上越、九州新幹線の船小屋—新八代という財源スキームを新たに組まれているわけでありますが、これは一兆二千億で果たしていけるのか、マスコミのとらえ方なども一投的には一兆二千億という予算というふうに思われているわけでありまして、この一兆 二千億をこれから先、この枠内でやろうとしているのかどうか、ここについてまずお聞きをさせていただいてよろしいですか。
  32. 梅崎壽

    梅崎政府委員 昨年十二月の政府与党合意におきまして、「新規着工区間の事業規模は、平成三十年度までの間で、概ね一・二兆円程度とする。」こうされているのは事実でございます。これにはJR新幹線開業後、受益の範囲内で支払う貸付料は含まれておりません。  この一・二兆円でございますが、これは平成七年価格の表示でございまして、この政府与党合意の別紙に書いてございます新規着工区間等の申し入れにつきまして、これから具体的に詰めてまいるわけでございます。基本的にはこの平成七年価格で表示しております一・二兆円で、この別紙の事業はこれから具体的に詰める作業ではございますが、私どもとしましては、おおむね財源的な意味では確保されているのではないかと考えております。
  33. 中田宏

    ○中田委員 仮に一兆二千億で建設ができて、それでJR側も経営が成り立つということならば、私はこれは大いにやるべきだと思います。  ただ、これはもうちょっときちっと考えなければいけないのだろうと思うのでお聞きをしたいのですが、今整備をしようとしている整備新幹線についてもお聞きしたい。  その前に、東北新幹線、上越新幹線、既に開業している分でありますけれども、ここの当初の予算、それから実際にその後かかった金額、ここについてはいかがでございますか。
  34. 梅崎壽

    梅崎政府委員 まず東北新幹線の方からお答え申し上げます。  東北新幹線につきましては、昭和四十六年に工事実施計画を認可いたしておりますけれども、この認可時の工事費は八千八百億円でございました。これに対しまして、実績は、平成三年に上野—東京間の完成を見まして、盛岡まで完全に完成したわけでございますが、これも含めまして、全体の完成時までの工事費は二兆六千六百億円となっております。約三倍でございます。  それから、上越新幹線でございますけれども、これも昭和四十六年、認可時の工事費は四千八百億円でございましたけれども昭和五十七年完成時までの工事費は約一兆六千三百億円となっております。これは約三・四倍でございます。  なお、このように両線の工事費が増加しました主な理由は、二度にわたるオイルショックがございまして、計画当初は予想できない異常な物価の高騰によるというのが大きな要因でございます。この工事費の高騰の八割はオイルショック等によりますいわゆる物騰分というものでございます。
  35. 中田宏

    ○中田委員 物価高騰やオイルショックがあってということですが、物価や土地の代金が上昇したという理由はあったとしても、当初見込みと相当に違うわけですね。三倍以上の開きがあるわけです。ここら辺のことを今回もいいかげんなままあいまいにして、あえて言うならば感情だけで突っ走っていくということになると、これはこれから先の新規着工についても同様のことを我々は覚悟しておけというふうに言われているのかなと思うわけであります。  大臣、ちょっとお伺いをしたいのでありますけれども、これは今私が申し上げたように、同様にさまざまな要因があれば二倍、三倍、下手したらオイルショック以上に何かあれば四倍、五倍、そこまで基本的には覚悟をして、とにかく整備新幹線をつくるということの結論をまずもって私たちは何か迫られているような気がするのでありますけれども、所見をお伺いしてよろしいでしょうか。
  36. 古賀誠

    古賀国務大臣 中田先生にお答えいたしますが、基本的なお尋ねの前に、先生が最初におっしゃった整備新幹線考え方、若干私の考えでおりますことに触れさしていただきたいと思っております。  御承知のとおり運輸省関係、社会資本の整備には先生もお触れいただきましたけれども、この整備新幹線、空港だとか港湾だとかこういった分野を所管いたしているわけでございますけれども、今までも、先生方に御指摘をいただく点はあろうかと思いますけれども運輸省といたしましては効率的な、効果的な投資というものに心がけ、これを基本として実は整備を行わせてきていただいたわけでございます。  とりわけ整備新幹線は、先ほどの坂本先生の御質疑の中にもありましたけれども、その時代の財政的な状況だとか社会構造のさまざまな変化の中で、ある意味では凍結をされたり解除されたりという歴史的な経過があるわけでございますが、基本的に二十一世紀の我が国の高速交通体系のネットワークを考えたときに、この整備新幹線というのは欠くことのできない重要な高速交通機関だ、私は基本的にそう認識をいたしております。だからこそ今行財政改革だとか、行政改革はもちろんですけれども、とりわけ財政構造改革が言われている中で、どうだというような先生の最初のお話がありました。私は、そういう非常に厳しい中ではありますけれども財政構造改革会議の中で御指摘いただいている点に矛盾しない範囲で、整備新幹線というのは堅実に推進していかなければいけないというのが、私の基本的な考えであるということをまず最初に申し上げておきたいと思っております。  そうした中で、先生もお触れいただきましたけれども、旧国鉄がどうしてああいう経営破綻を来したのか、このことにもお触れいただいたわけでございます。また、これから進めようとする未着工区間着工についての政府与党合意の問題、特に収支採算性の問題について、今までの東北本線それから上越線等の問題で今政府委員の方から御答弁申し上げましたけれども、今回、私は物騰というものについては、ある意味ではやむを得ないと思いますけれども、その他の分野においてどうきめ細かく収支採算性を議論していくのか。そして、仮にそういう状況になったときにどこにその責任を明確にしていくのか、そういったところを明らかにしていけば、私は今までみたいな一・四倍だとかそんな急激な、見通しから大幅に増加していくというようなことはないのではないか。また、そういう状況をつくってはいかぬということを基本にして、検討委員会の方でこれから具体的に未着工区間着工さしていただく場合にはさまざまな基本条件を十分に確認していただくわけですが、その中で一番大事なところはその点だ、今先生が御指摘いただいている点だ、この点をどういうふうに論議していき、そして、将来にわたって責任を持っていくのか、こういうところをしっかりさしていきたい、こういう考えで、私はこの整備新幹線についての整備はぜひひとつ力強く前進をさせたい、こういう考えでおります。
  37. 中田宏

    ○中田委員 大臣が今お答えをいただいた趣旨というのは、三月十八日に財政構造改革会議の議長橋本総理からも同じように、対外的にも同じ趣旨のことが言われているわけですね。「歳出の改革と縮減の具体的方策を議論するに当たっての基本的考え方」というものを総理が出しておられて、その中で整備新幹線については「財政構造改革と矛盾しないようにその取り扱いを検討する。」こういうふうに明記されているわけであります。  大臣に大変漠とした聞き方をしますけれども財政構造改革と矛盾しないように整備新幹線を進めていくということは、大臣はどういうふうにその中身を御説明になりますか。
  38. 古賀誠

    古賀国務大臣 御承知のとおり、財政構造改革会議というのも、具体的にはこれからいろいろと検討していくわけです。そういった中で、この財政構造改革会議の中で、整備新幹線の問題だけではなくて、全体の問題としてどういう議論が進められていくかということにもよろうかと思いますけれども、そういった会議の中で議論されていくということを踏まえながら、やはりその線に沿って整備新幹線整備についてこの未着工区間のあり方等を検討していくということは、整合性を持たせるという意味では当然のことだというふうに思っております。  そういう意味でへ財政構造改革会議を踏まえつつ、私どもといたしましては、その線に沿う形で 整備新幹線整備、未着工層間の着工について着実に進めていく、そのことが適切な対処という表現の中であらわれているのではないかというふうに御理解をいただければ幸いだと思います。
  39. 中田宏

    ○中田委員 大臣がおっしゃっていることも総理がおっしゃっていることも、財政構造改革と矛盾しないようにということなんですよ。これしか出ていないものですから、私、ここをお聞きをするわけでありますけれども、矛盾しないということは、どういうケースだと矛盾するわけですか、どういうケースだと矛盾しないのですか。こだわるようで大変恐縮でありますけれども
  40. 古賀誠

    古賀国務大臣 私も同じような答弁になって恐縮なんですけれども、まさにこれから財政構造改革会議の中でいろいろな分野で実は論議が始まるわけですね。例えば公共事業というものが一般歳出の中で平成十年度にはどういう取り扱いになっていくのか、社会保障関係がどうなっていくのか、恐らく六つの改革ということを、当面、平成十年度の予算編成の中でそれを具体的にどうしていくのかということがこれから議論されてくるだろうと思うんですね。当然そういった中で、今申し上げました公共事業だとかいろんな分野の中の一つとして、公共事業には整備新幹線だけではございませんけれども、いろんな分野があるわけでございますが、当然そういった財政構造改革会議の中での議論というものを基本として、私たちはあらゆる分野の中で検討していくということになろうかと思っております。  矛盾をしないということは、どういうことだということなんですけれども、矛盾をしないということはあくまでも矛盾をしない、こう私ども理解していかなければいかぬのじゃないかと思っておりました。
  41. 中田宏

    ○中田委員 大臣、私はここのところをこだわってお聞きをしたわけでありますけれども、私はこう思っているんですよ。財政構造改革と矛盾をしないように整備新幹線考えるという際に、では一番重視をしなければいけないのは何なんだろうと言われれば,これはやはり採算性の問題だと思うんですね。先ほど申し上げたように、結果として国民にツケ回しをするようなものに仮になってしまった場合は、財政構造改革に明らかに矛盾するという話になってしまいます。ですから、そういう意味考えれば、これは採算性というものが一番大きな要因なんではないのかというふうに私は思っています。そこら辺についてのお答えを欲しかったわけでありますが、でも言ってしまいましたけれども、いかがですか。
  42. 古賀誠

    古賀国務大臣 具体的に、おっしゃるように収支採算性というのが一番重要なことであるということは、私も最初の御答弁の中で申し上げましたように、それが基本になってくるということは先生認識と全く同じであります。
  43. 中田宏

    ○中田委員 ありがとうございます。やはり一番重要だと思うんですね。我が党を含めて整備新幹線採算性について試算を出すようにということを、運輸省に対して、また与党の皆さんに対して、これまで何度もこの委員会理事会の中で諮られ、言い続けてきたことでありました。その結果が、今週四月八日に運輸省から私どもの手元に、私もいただいたものがございます。そのペーパー、「整備新幹線について」という資料でありますけれども、まず一言で感想を申し上げるならば、余りにも具体性に欠ける中身、中身がない資料としか残念ながら言わざるを得ない。  資料が私たちに提示しているのは、単に新幹線に五千人乗ったら、一万人乗ったら、二万人乗ったら、仮定で、その際は収支がとれますとか、とれませんとか、そういうモデルをここでは提示しているだけであって、新規着工区間というのはもう既に目星がついているにもかかわらず、その具体的な路線についての、今までの在来線であるとか人口であるとか、あるいは飛行機だとか、自動車だとか、こういったところも踏まえたきちっとした採算性の答えには全くなっていないわけですよ。  今大臣がおっしゃってくださったように、収支採算性というのは一番重視をされるはずであります。しかし、私は、これを委員会理事会という場で要求をしなければ出てこないということも何やら合点がいかないけれども、そこで要求をしても、この程度の、小学校の教科書に出てくるような、何だか棒グラフを使ったり、計算式を使ったり、えらい複雑にごちゃごちゃこねくり回してはいるけれども、中身が全くないものしか運輸省から出てこないというのはどういうことなのか、まず、この資料の意味合いというのはどう考えればよろしいのかなと思うわけでありますが、担当の方おられたら、御答弁をお願いしたいと思います。
  44. 梅崎壽

    梅崎政府委員 新規着工区間につきましての収支採算性等の問題、これは先生も御承知のとおり、昨年十二月の政府与党合意におきましては、政府与党から成ります検討委員会におきまして十分検討するということになっております。  このように具体的な個別の線区収支採算性につきましては、整備区間ごとに検討委員会検討していくということにされておりますけれども収支採算性をどのように検討していくのか、その考え方とか方法については必ずしも十分理解を得られていないという面がございますので、私ども、先般、提出させていただきました資料によりまして、収支採算性考え方あるいは算定の方法についてお示しをしたというものでございます。  それからさらに、単に考え方方法というだけでは余りイメージがわかないというような面もあるだろうということで、新幹線新規着工区間を百キロメートル、それから関連線区を四百キロメートルといった仮定のモデルを置きまして、四つの需要のケースにつきまして試算を行ったものでございます。そういうことによりまして、収支採算性につきましてのイメージにつきましてもお示しをし、御審議の御参考としていただければ、こういうことで提出したものでございます。
  45. 中田宏

    ○中田委員 イメージとかなんとかではなくて、具体的にやるべき箇所は決まっているわけですよ。なぜこれが出てこないのか。
  46. 梅崎壽

    梅崎政府委員 個別の線区の具体的な収支採算性見通し、これは政府与党検討委員会の場で検討していくこととなっておりますけれども、具体的な線区となりますと、当然のことながらいろいろな線区ごと条件がございます。そういうものに対しましては、関係者、特にJRとの意見調整もしながら現実の作業は進めていくわけでございますけれども、これはやはり検討委員会の場で行っていくということでございますので、私どもが今の段階で、それにつきましてまだ提出をできるような状態でないというのが現状でございます。
  47. 中田宏

    ○中田委員 線区ごと条件と今おっしゃって、そのとおりでありまして、そのことを我々は今、注視をしているわけでありますし、これは予算委員会の話なのかもしれないけれども、予算として通っているわけですよね。予算として通っているものを後で検討するというなら、百歩譲ってそれは後で理解をするとしましても、では、これから検討してどうなるかわからないものに対して予算だけ認めた、採算性についても、これから検討するものについて予算だけは決めたんだ、こういうことですか。それではどうしようもないでしょう。だからそこが、国家予算の中において往々にしてこういうケースはあるんだけれども、当然、よく言われるように民間企業なんかではあり得ない話なわけですね。とりあえず予算だけ先につけました、後で検討しますというのは。  では、百歩譲ってですよ、そこまで予算がついたということを今申し上げたように認めたとしましても、では、これから検討委員会の中でその収支採算性をきちっと出すのですね、路線ごとに。
  48. 梅崎壽

    梅崎政府委員 政府与党検討委員会の場で各線区ごと収支採算性を明らかにして優先順位を決めていくということが政府与党合意でも決められておりますし、私どももそのとおりやっていくつもりでございます。
  49. 中田宏

    ○中田委員 それは本当にきめ細かくシミュレーションをして出す必要があると思います。そう じゃないと、やはりそれが最終的にいろいろな形で国民負担としてはね返ってくるわけですから、採算性というものは一番重要である、財政構造改革と矛盾をしないためには一番重要である、こういうふうに大臣もおっしゃってくれているわけでありまして、この採算性の資料というものを具体的にきちっと、本来、そのほかの交通機関も含めて出すべきだと思います。  それは、政府与党検討委員会というのも結構ですけれども、先に予算だけつけた、その後は国会は知らない、私たち議員はそこにタッチできない、政府与党の間だけでやるんだということだと、私は、ある意味では予算だけ何か食い逃げをされかねないという気がするわけであります。食い逃げというのは大変失礼な言い方でありますけれども、何やら不安を覚えるわけでありますけれども、これは委員会とか国会に報告する必要がありませんか。大臣、いかが思われますか。
  50. 古賀誠

    古賀国務大臣 御承知のとおり、予算委員会の中でも公共事業のそれぞれの箇所づけの問題等々でいろいろと御議論があった点でございますけれども整備新幹線新規着工区間につきましても、政府与党から成る検討委員会を設置させていただきまして、そこで、今先生から御指摘をいただいているような一番大事な収支採算性見通しを初めといたしまして、基本条件を十分確認する必要があるわけでございます。これについては、政府与党検討委員会の中で、各線区ごとに、今、鉄道局長が御答弁申し上げましたように、論議を重ねていくわけでございます。  当然、整備新幹線整備につきましては、まず何よりも国民理解を得るということ、それから今先生も御指摘いただきました今次の財政の状況を踏まえ、財政構造改革に反しない、矛盾しないということが第一でございますから、十分国民にその議論というものは公開をしていく必要がある、そういう中で線区ごと収支採算性というのも明らかになっていくわけでございますから、国民皆様方にもその都度議論の状況等が明らかになっていくということの中で、理解を深めていくという手順を踏んでいくわけでございます。予算が通って、その後は食い逃げではないかというのには当たらないのではないか、私はそういう理解をぜひしていただきたいと思います。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  51. 中田宏

    ○中田委員 その点を本当に大臣によきリーダーシップをとっていただいて、やはり国民理解を得るというのは、国民は、以前の国鉄、以前の我田引鉄という言葉が生まれてしまっているように、そういう観点からは非常に疑問を持っているわけですね。疑いの眼で見ているわけであります。だから、しっかりとその収支採算性、こういったことについて理解を得ていくためには相当な努力が必要だと思います。私は、今回のこのモデルプランというのを見ても、ある意味でこれは、もう何か収支採算性をちゃんと発表したら、何だか整備新幹線がつぶれるというような危機感を運輸省は持っているのかな、出さないことの方がこれは得なんじゃないのかというような、そういう情報の閉鎖性みたいなものも感じました。だから、大臣は政治家でありますから、国民理解を得ていくために、ぜひ運輸省にそこら辺のところのよき指揮をとっていただきたい、本当にこうお願いをしたいと思います。JR各社はやはり整備新幹線に対して、現状もまだ恐る恐るだと思うのですね。このモデルをつくる際には全然JRはかかわっていないということは、この間JRの方からもお聞きをしました。  昨年十二月の二十五日に、この整備新幹線についての政府与党合意を受けて、その際、JR東日本の松田社長はこうコメントをしているわけであります。株式も上場しているので、整備新幹線のような大プロジェクトについては、経営に悪影響を与えないように、十分に検討をして進めてもらいたい、こういうふうに発言をしているわけでありますね。今のJRの態度というのは、ある意味ではもう既に民間企業になっていて、民間企業としてのJRの立場からいえば、マイナスにならなければいい、損害をこうむらなければいいという態度だと、この整備新幹線については見えます。受益の範囲内でなら負担をするというのは、もちろん、これは政府与党がきちっとこれを枠組み、こういう受益の範囲内でということを提示しているわけであって、JRが率先してこういうことを提示しているわけではないですけれども、しかしJRについて言うならば、収支がプラスもマイナスもなく損失さえこうむらなければ、つくっていただいたらそれはそれで結構ですよというような態度だと思うのですね。  来年以降つくっていく整備新幹線収支採算性の問題を、引き続きちょっと議論を後ほどももう一回させていただきますが、今年度予算にはとりあえず整備新幹線総額一千七百二十五億円計上されているわけです。その内訳、事業費名目で新規着工分が百億あります。既に着工している三線五区間が一千六百二十五億円であるわけでありますが、この百億というものを今後どういう形で使っていくのか、執行していくのかということについて、お伺いをさせていただきたいと思います。
  52. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま御指摘のとおり、新規着工区間の分といたしまして、百億の予算が確保されているということでございます。これにつきましては、先ほどからたびたび御答弁申し上げておりますが、政府与党検討委員会の場で基本的な条件を確認いたしまして処理をしていくということになりますが、その中で収支採算性等々の点から優先着工順位を決めまして、それに基づきまして配分をしていくという考え方でございます。  なお、この合意におきましては、「別途確保の必要がない場合には、これを三線五区間建設事業費に充当することができる」、こういうぐあいにされております。
  53. 中田宏

    ○中田委員 次に移りますが、整備新幹線整備していくに当たっては、政府与党間の申し合わせの中で、並行在来線経営分離、これが確認されているわけであります。「整備新幹線について」というあの資料の中で「整備新幹線建設着工する区間並行在来線については、JR経営に過重な負担をかけることを避け、第二の国鉄をつくらないという観点から、従来どおり開業時にJR経営から分離する」というふうに再度確認をされています。このことは、新幹線の誘致を熱心に進めている各自治体も当然よく理解をしているといいますか、よく覚悟をしているというふうに言った方がいいのかもしれませんが、覚悟をしておられるのだろうと私は思いたいし、そう認識をしないとこれは進まない。これも後で、いや待てよという話になると、困るわけです。  私は、本来、並行在来線というものも含めて、整備新幹線というものの収支採算性というのは問うていかなければいけないと思うのですね。でないと、先ほど申し上げたように、国民負担というものがいろいろなところで発生をしてくる可能性があるわけですから、新幹線単体が黒字であればいいということでは本来ないと思うわけであります。いろいろな、新幹線を熱心に誘致をしている自治体でも、既にそういう議論は当然出ているようですけれども、もし同じお金をかけるなら通勤通学の足を便利にするための在来線の強化の方がよっぽど重要だ、こういうような意見もそれぞれ出ています。しかし、結論としては、それぞれの自治体が熱心に誘致をしているということは、県民の意向なんだろうと我々は解釈せざるを得ないわけですが。  この在来線の扱いなんですけれども、この間もJR九州の方とお会いしたときに、佐賀新聞という新聞に去年の十一月の世論調査で、九州新幹線が必要かを無前提で聞いてみた場合、佐賀新聞ですから、恐らく佐賀県民を対象にしているのでしょうけれども、三五%の人が「必要」だ、「必要なし」と言った人は二一%だ、「わからない」が四三%。しかし、そこで並行在来線の問題を出して、並行在来線経営分離についての意見を問うてみると、五二%の人がJRによる経営を存続すべきだ、こう答えているのですね。そのことを JR九州の方にこの間聞いたのです。JRによって経営存続すべきだというふうな答えが佐賀新聞のアンケートだと半分を超えている、だけれども、まさかこんなことをやっていられないだろうしやるつもりないですねと言ったら、いや、そんなもの、やるつもりありませんと、明言をしておりました。それはそのとおりだと思うのですね。  先ほど私、このJRの現状の態度というものを、何か自分たちが損害さえこうむらなければいいよという態度に見えるというふうに申し上げたのですけれどもJRは、仮に新幹線在来線も両方ともJR経営するということなら、私は多分ではなくて当然JRはのめないと思うのです、この整備新幹線建設に際しては。簡単に言うならば、赤字経営在来線の方は、整備新幹線整備後ですよ、ノータッチで、そしてリスクの少ない方の新幹線だけは税金でつくってくれるならオーケーだ、その後の運営は私たちでやることはやぶさかではない、こんなような姿勢だと思うのですね。新幹線在来線とを両方経営するつもりがないというのは民間企業のJRとしては当然で、先ほど申し上げたとおり、佐賀新聞のアンケートに対しても、そのつもりはないということだと思います。  そこで、お聞きをしたいのですが、並行在来線については各県が責任を持って対応する、こういうふうに与党のチームに対してヒアリングで答えているわけですよね。しかし、今触れたように、佐賀なんかではこれは単なるアンケートレベルではなくて、市町村レベルにおいても在来線の問題に関してこれを考えたときに、整備新幹線に対して賛成という形の世論形成になっていない。各市町村のトップもそういう態度になっている。それに対して佐賀県は、今後責任を持って対応する、こういうふうに言っているわけでありますけれども、今それぞれの県の在来線の存続について、どの程度具体化が進んでいるのか、プランが立てられているのか、このことについてお聞きをしたいと思います。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  54. 梅崎壽

    梅崎政府委員 新規着工区間につきまして、昨年来第一次橋本内閣当時の連立与党整備新幹線検討委員会等々の場におきまして、まずJRはどういう分離を考えるのかというのを、JRの意向を聞いております。それから、それに対しまして、各県はどのように考えるのかというのも、この検討委員会の場においてヒアリングがなされております。そのようなヒアリングの場におきましては、並行在来線経営分離に関しましては、県が、あるいは道が責任を持って対処したいというのが基本的な考え方でございます。  なお、御指摘の九州新幹線の長崎ルート、佐賀のケースはそのケースでございますが、これにつきましては、並行在来線経営分離に反対しておられます長崎本線の沿線市町村の理解を求めるべく折衝を続けていきたいとい方のが、そのヒアリングの際におきます自治体の基本的なお考えでございます。  この並行在来線の問題、いずれにいたしましても、政府与党検討委員会におきまして、営業主体でありますJR経営分離する区間を正式に提示いたしまして、これに対しまして沿線地方公共団体の同意の取りつけを確認するということをやりまして、その上で鉄道建設の諸手続が進められていく、こういうような手続になろうかと思います。
  55. 中田宏

    ○中田委員 四月九日の本運輸委員会で、参考人陳述に来ていただいた富山県の中沖知事が、陳述の中で、並行在来線は引き続きJRが運営してもらった方が本当は一番いいんだ、これは恐らく本音だと思いますが、しかし、それは決まっている以上は経営離はやむを得ない、こういうふうに、先ほど私が申し上げた表現、覚悟をしておられるということだと。しかし、住民の通勤通学の足を考えたとき、富山県においては現実には第三セクターでこれを運行していくことになるだろうというふうに、中沖知事はその場でおっしゃっていました。さらに知事は、その際に、鉄道の資産の無償貸与であるとか、あるいは地方自治体が第三セクターで当然財政支出が必要になるわけで、そこに関して、国としての地方自治体の支援などを要請したいということをつけ加えているわけですね。  この並行在来線を今後運営していくに当たって、国として、直接国がそれにタッチをすることはないと思いますけれども、地方自治体なり第三セクターなりがこれをやっていく際の援助、このことは、これから先、どういうプランで考えておられますか。
  56. 梅崎壽

    梅崎政府委員 並行在来線分離後の地域の足の確保、これに支障が生ずることがないように、関係者間で十分協議して適切に対処をしていくというのは、私どもも必要なことだと考えております。  その場合に、第三セクターによります鉄道で維持を図るといったような場合でございますが、このケースは、北陸新幹線の高崎—長野が本年秋に完成いたしますが、これに伴いまして、軽井沢と篠ノ井の間を第三セクターのしなの鉄道株式会社並行在来線を引き受けまして、鉄道として運営していくという関係者合意がなされております。初めて、新幹線建設に伴います並行在来線の廃止、その際の第三セクター鉄道による運営の引き受けというのが例として出るわけでございます。  そのような時期でございますので、私ども、この第三セクター鉄道に対する支援策といたしまして、平成九年度から、登録免許税、不動産取得税につきましては非課税、それから、固定資産税、都市計画税につきましては開業後十年間二分の一といった税制上の措置を講ずるということにいたしたわけでございます。  それから、第三セクターに対しましては、JRから要員の派遣を行ってもらうとか、あるいは運行面での協力をしてもらうとか、そういった面に関しましてJRを指導するというようなことを、しなの鉄道につきましても行いましたが、今後とも、第三セクター鉄道に対しましてやっていきたいと思っております。
  57. 中田宏

    ○中田委員 これは、今後、補助金というような形で国から地方にお金を出すというようなことは考えておりませんか。
  58. 梅崎壽

    梅崎政府委員 補助金という形では考えておりません。
  59. 中田宏

    ○中田委員 それは当然あってはならないと私は思うわけでありますけれども、そういうことがないにしても、地方公共団体が第三セクターなどに経営で参加をする。例えば、今局長がおっしゃったしなの鉄道の場合、資料を取り寄せてみたら、資本金は二十三億円なんですね。そこに、長野県が七五%お金を出しているわけです。それから、そのほかの十市町で合計一五%出している。それ以外に、残りの一〇%ほどの中に民間企業なりがお金を出しているのだろうと思いますけれども、ここで、資本金二十三億のうち九割は、国ではないけれども、税金という形でお金が支出されているわけですね。  こういうぐあいで、整備新幹線は、建設は国持ちですよ、JRも出さなくても結構ですよ、地方は出す、そして採算は、これは先ほど来議論しているように、採算は重要なのだけれども、採算が仮に合ったとしても、今度は並行在来線整備をするのに税金の中からお金が支出をされていく、その後のランニングコストでも、下手をしたらさらに地方財政の中から出していかなければいけないということになりかねない。こうなりますと、国民の立場からは、間接的に税金がこういうふうに投入をされることによって、ここが先ほど私が申し上げた第二の国鉄的な要素を含んでいるということになるわけでありますが、JRそのものが第二の国鉄にならなくても、新幹線整備をされることによって、結果として間接的に国民の税金がつぎ込まれていくのが、新幹線のみではない、これは並行在来線にも、まず資本としてお金を出さなければいけない、さらにはランニングコストにも下手をしたら出さなければいけない、結果として、地方財政が破綻をし、それが国の方にもまた、補助を何とかしてくれとか、そういうような 話で少しずつのひずみが押し寄せてくる、こういうことが考えられると思うのです。  まず、この点について、ここが私は一番、非常にまずいな、第二の国鉄要素をはらんでいると思うところなんですが、局長、いかがでございますか。
  60. 梅崎壽

    梅崎政府委員 並行在来線の分離の問題、これは、まず、JRサイドから見ますと、新幹線並行在来線をあわせて経営するというのは、JRに過剰な負担をかけるおそれがあり、第二の国鉄をつくらないという基本的な考え方のもとに、今の三線五区間においてもとられている基本的な考え方でございます。  一方、それに対しまして、地域負担というのが大変大きな負担になるではないかというような御指摘でございますが、新幹線整備いたしまして並行在来線JR経営から分離する場合に、どのような形で地域の足を確保するのかというのは、地域の方々の判断を尊重して、関係者間の合意によってこれを行っていくわけでございますが、地域として鉄道として維持する必要があるということでそのような選択をする場合は、地域としての負担が発生するのは、これは私ども、やむを得ないことではないかと考えます。  ただ、地域としては、新幹線整備されることによりまして、地域の開発の効果あるいは産業の振興であるとか、いろいろな意味での新幹線整備に伴う開発効果というのもございますので、私どもとしては、地域は、そういった面も含めまして、全体的な判断の中で第三セクターによる鉄道の維持ということも選択されて、例えばしなの鉄道の場合は長野県及び沿線の市町村の方々がそういう選択をされ、今後の並行在来線におきましても、そのような全体的な中で選択がされていくものだ、このように認識しております。
  61. 中田宏

    ○中田委員 だから、そこのところを、地方の、例えば長野県民の人たちも含めて、はっきり申し上げて余りよくわかっておられない。新幹線が来ることは喜ばしいことだと思っているけれども在来線等に自分たちの県民税や市町村税というものが、そっちの方に今度は出ていくのだよというところまで、きちっとした説明がなされているとは思えないわけであります。  私は、今局長がおっしゃったように、地方の人がその覚悟を持って、そして、それを地方の中で解決をしていける問題として、では私たち国という機構で仕事をしている者が、そこは地方がそう考えているのだからいいじゃないかということで済めばそれはいいと思いますが、まずもって地方がそう理解をしているとは思えない。  さらには、地方が財政的に非常に厳しい状態になったときに、それは国が看過できる問題では恐らくなくなるであろう。また、何をもっても整備新幹線をつくるというのは、新しいスキームでも国の税金を半分以上使って建設をしていくわけですから、国としての国税を使ってやっていくわけであります。そういうことになると、この種の問題というものをそのまま過ごして、ただ単に新幹線よウエルカムということだけで進めていくことは非常に危険だ。デメリットの方の、県民税や市民税やそのほか、結果として国に回ってくるかもしれないさまざまなひずみの方を理解をしていない、こう思うわけです。大臣、ちょっと御所見をいただきたいと思います。
  62. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生の御意見は一つの見識ではないかと思います。  ただ、政府委員の方から御答弁申し上げておりますように、この整備新幹線整備していくときに、幾つかの基本条件を必ず確認をさせていただかなければいけない。その一つに、議論をいただいている並行在来線の問題があるわけでございますが、これは、整備新幹線整備されて開通することによってその地域、それぞれの県がどういう将来の発展考えながら整備新幹線に期待しているのか、そのことによって経営が分離される、例えば新しい代替の交通機関によって県の財政にどういう支障を来すのかということは、当然その地域、その県によって議論されてくるわけですね。  そうした中で御判断をいただいて合意ができるかできないかということでございますから、私は、そこを国で、こういうことだからだめですよ、これはやめますよというようなことではなくて、あくまでも第二の国鉄をつくらないという意味で、JR考え方、それにはどうしても経営を分離していかなければ成り立たない、こう収支採算性の問題でなってくるわけでございますから、そうなれば、経営分離について、では県の考え方、その地域の方々がこれをどう判断していただくのか。やはりそこでの支出はあるけれども整備新幹線が通ることによってその地域が将来どういうふうに発展していくのだ、そうすると、結果としてその地域のためには整備新幹線が開通した方がいいという判断になるのか。  これはまさに地域でお考えになることであって、では国として何もしなくていいということではなくて、まさに今御答弁申し上げましたように、いろいろな税での軽減措置だとか、今可能な限り考えられる措置として支援をしていく。また、JRも、既に在来線というのはあるわけでございますから、それをどう活用していくのかということについての支援をやっていくということ等を、総合的にそれぞれの地方の自治体の中で考えていただくということが、一つ基本条件の中の大きな条件になっているわけでございます。そういうことを御理解いただいた中で、この整備新幹線というのは、それぞれの地域が、国土の均衡ある発展と同時に、その地域活性化整備新幹線が通ることによってどう認めていくのかという観点から考えられていくべきものだというふうに、理解していったらいいのではないかというふうに私は考えております。
  63. 中田宏

    ○中田委員 先ほど局長がお答えになった中で、しかし一方で、地域は開発効果があるのだということをおっしゃっておられた。私はそのこともわかります。しかし、今までの議論の中でそういったことがきちっと数字に出てきてないわけですよ、どれだけの開発効果があるのか。また、今回、私が前半で取り上げていたように、収支採算性ということに対してきちっとした数字が全然出てきてないわけですよ。これから検討委員会の中で検討すると言うけれども、そこは先ほど大臣に注文をつけさせていただきましたけれども検討委員会でやるにしても、ちゃんと国会を無視しないような形でやっていただきたいし、それは国民に対して情報をしっかり開示をしていく、採算性に合わないのだったら思い切って古賀大臣もやはり英断をしていただく、そういうことをやっていかないと、財政構造改革は絶対この国はできませんよ。  今、大臣は、基本的には地域が責任を持って考える問題である、しかし、総合的にさまざまに勘案してというふうにおっしゃいましたけれども、私は総合的にトータルなコストでやはり考えていく必要があると思っていて、新幹線をつくったはいいけれどもJRを第二の国鉄にしないのはいいけれども、しかし、JRだけではなくて新幹線をつくったことによって、並行在来線にまた別のお金をつぎ込むという形になるのであれば、これは明らかに第二の国鉄的体質をまた国はつくっているのです。そういうぐあいになってしまう。  経済効果があると言うなら、それもしっかりとシミュレーションしてやるべきである。そうでなければ、例えば先般、本委員会でも話題になっていたように、鳥取港がえらい莫大な金を使って、三百億だか四百億だか使って投資をして、大型タンカーが入れるようにしたけれども、全然利用されていない、十分の一以下の利用率だ、そういうぐあいになってしまって、いや、最初はそんな見込みではなかったと言っても遅いわけであります。人間だからたまに間違うなんといういいかげんな気持ちで、それは突き詰めて突き詰めて考えて数字も出してやってみたけれども、そうなったのだったらしようがないですよ。数字もろくすっぽ出さないで見込み違いだったなんて、これが国の財政をどんどん赤字にしているのですよ、今この国は。  そういう観点から考えたときに、新幹線という 問題をやはりトータルに考える必要がある。新幹線という単体で収支が出るかどうかだけではなくて、もっと国のトータルな鉄道網で考える必要があると思うし、よりさらに突っ込んで言うならば、空港、飛行機、道路、こういったことの整備とあわせて国は効率のよい税金の使い方をしていかないと、均衡ある国土発展というものは、金さえ幾らでもあればできるけれども、結果としては、それが大きな国民負担につながり、私たちは税金でそれを返していく。返せないほどの借金というものを、今ですらそう言われているのに、新たにつくることには非常に危機感を覚えるものであります。  一時間いろいろと質疑を行ってまいりましたけれども、最後にもう一度申し上げますけれども、や微力採算性というものを、これをしっかり答え切れていない現状において、今委員会でかかっている整備新幹線推進を意図していく法案について、私は反対と言わざるを得ないわけであります。この採算性というものについて大臣は、財政構造改革と矛盾をしないという点に立ったときに第一番目の要因である、こうおっしゃっていただきました。そこのところをしっかりといま一度注文をつけて、そして私は、運輸省は、このままほっといたらちゃんとした数字なんというのはろくすっぽ出てこないと思いますよ。大臣には財政構造改革という、国の行政改革というもう一方の方の大きな公約があるわけでありまして、そこにおけるよきリーダーシップをぜひとっていただきたい、このように強くお願いをしまして、質問を終わりたいと思います。
  64. 杉山憲夫

    杉山委員長 次回は、来る十五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十九分散会