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1997-04-09 第140回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月九日(水曜日)     午前九時三十分開議  出席委員   委員長 杉山 憲夫君    理事 林  幹雄君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 横内 正明君    理事 江崎 鐵磨君 理事 北橋 健治君    理事 細川 律夫君 理事 寺前  巖君       衛藤 晟一君    関谷 勝嗣君       橘 康太郎君    谷川 和穗君       中馬 弘毅君    古屋 圭司君       堀内 光雄君    森田  一君       上田  勇君    久保 哲司君       今田 保典君    坂本 剛二君       玉置 一弥君    中田  宏君       松浪健四郎君    川内 博史君       辻  一彦君    平賀 高成君       濱田 健一君    望月 義夫君       米田 建三君  出席政府委員         運輸政務次官  衛藤 晟一君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君  委員外出席者         参  考  人         (三菱総合研究         所相談役)   牧野  昇君         参  考  人         (東京大学名誉         教授)     岡野 行秀君         (創価大学教授)         参  考  人         (日本大学教授桜井  徹君         参  考  人         (全国知事会副         会長)         (富山県知事) 中沖  豊君 本日の会議に付した案件  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二七号)  日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を  図るために平成九年度において緊急に講ずべき  特別措置に関する法律案内閣提出第二六号)      ――――◇―――――
  2. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案の両案を議題といたします。  本日は、両案審査のため、参考人から意見を聴取いたしたいと存じます。  本日御出席参考人は、三菱総合研究所相談役牧野昇君、東京大学名誉教授創価大学教授岡野行秀君、日本大学教授桜井徹君、全国知事会会長富山県知事中沖豊君、以上四名の方々でございます。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、お忙しいところを本委員会出席していただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせ願いまして、審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げます。  牧野参考人岡野参考人桜井参考人中沖参考人の順にお一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。  それでは、牧野参考人にお願いいたします。
  3. 牧野昇

    牧野参考人 参考人牧野でございます。三菱総合研究所に勤めております。非常に大事な問題、新幹線問題と清算事業団の問題、発言機会を与えていただきましてどうもありがとうございます。  五分ずつということになるわけですけれども、最初新幹線問題ですね。これは私も拝見いたしまして、法律案について、これは細かい点は私が何も言うことはないのですけれども、結論としては、国及び地方公共団体負担するということでございます。そして、そのためには自治体の方のいろいろな意見も聞く。  この件は、まず最初結論だけ申し上げますと、賛成でございます。賛成の理由を幾つか申し上げたいと思いますけれども、まず、どうして新幹線が必要だという議論があって、もういいじゃないか、そんな奥までやることないだろうという意見が多いのですけれども、私はそうは思わない。いろいろな議論がございまして、いわゆる地域分散とか活性化の問題、イノベーションの問題、経済効果の問題、採算性の問題というのが議論されておりますが、私は私なりにそれにつけ加えて二つだけお話を申し上げたいと思います。  一つはエネルギー問題なのですね。私は、政府エネルギー調査会という、いわゆるエネルギー計画を決めるあの代替エネルギー部会長を十何年やっております。はっきり言うと、石油は四十年後になくなりますから、道路を幾らつくったって道路は使えなくなるわけでしょう。それに対して対案があれば別ですよ。もし御質問いただければ……。なくなったときにだれが日本じゅうを歩くかということですよ。そのために少なくともこれから隅々まで、隅々というのは骨のところ、そこには新幹線をどうしても置かなければならないんだ。それはその先に、地方線でいいと言ってもそれは無理なわけですね。皆さんも昔の鉄道東京-大阪行ったり、東京-仙台行ってごらんなさいよ。それはもう考えられないぐらいのデメリットがあるわけだ。新幹線を引けば仙台から東京まで十年間で三倍も人がふえている、旅客が。こんなにメリットがある。しかも、それしかなくなってしまうのですから。そうでしょう、四十年後に石油がなくなるわけですから。どうするのか。電力はありますよ。電力高速増殖炉で約千年から、この間原子力委員会メンバーに聞くと、まあ五千年はあるだろう。このルートしかない。だけれども、そう慌てなくていいですよ、今ここでエネルギー問題を言うわけじゃないのですれども。そういう点で、どうしても必要なんだというやや中長期的なことで考えていただきたいというのが第一点ですね。付加すべき第一点。  第二点は、いわゆる今交通事故で、特に車が多いのですけれども、年に一万人死んでいますよね。ところが、新幹線では三十年間一人も死にませんよ。そうでしょう。人間の最後の尊厳というか死、あるいはその死なれた家族のことを考えた場合に、やはりウエートを新幹線に置かなければいけませんよということなんですよ、私の言っているのは。もちろん鉄道の工事のときは死んでいますよ。だけれども、運行のときには、飛び込みはあっても、ないのですよ。だから、僕は、いわゆる国民のセキュリティーの問題からこれは考えていただきたいということ。  その次、費用をどうするかという問題ですね。費用は、結局三つお話をしたい。また御質問があれば詳しく言います。  一つは、建設費を下げろということですよ。少なくとも三割から四割は下がりますから。余り詳しく言うと、これはまた議員ざんの中には怒る人もいるかもしれないけれども、これははるかに高いのですよ。後で、何でしたら具体的にいろいろ説明いたしますけれども、下げろと。下がるんだということですよ。  二番目に、どういう問題かというと、結局道路予算というのがありますね。いろいろ計算はございますが、特定財源で約六兆円、それ以外に農道も入れてどうかと今、岡野さんと議論していたのですけれども、全部入れると十兆円超しますよ、よろしいですね、十年間で百兆円です。新幹線は、恐らく完成までに十年かかるとしても、今一兆五千億、これだけで今の費用賄えない。恐らく五兆円です。わずか四、五%出せというのですよ、同じ交通システム。それは、ドイツでもアメリカでもごらんなさいよ。いわゆる石油税や何かの特定財源というものは道路に使っていませんから。一部はもう前から鉄道に回していますから。どうして日本だけできないのか、こういうことですね。  三番目に、これも余り国会で言うとまずいけれども、農業予算というのがある。ウルグアイ・ラウンドの六兆円だって、これは新聞によるとなかなかいい案がないと言う。六兆円があっという間について、今のような新幹線につかないという政治の仕組みがわからない。ただ、これはわからないということだけにしておいて、農業の問題は余り言わない方がいいので、それだけにしておきたいと思います。  さて、その次に、――あと三分ぐらいですかな、始まったのが三十二分ですから、十分だけしゃべりますから。  その次は清算事業団の問題ですよ。これはいろいろある、過去のことを言い出すと切りがないけれども。何しろ、これは何とかしないと、もうどうにもしようがない。例えば大阪とかあるいは東京駅のど真ん中、駅のすぐ隣の土地を一千億円くらいで売ったって。ええ、すごいな、一カ月分の金利金利支払いですから。だから、これは何はともあれ、過去はまあまあというので、延ばした借金がいっぱいあるし、いろいろある。過去を言ってもしようがない。じゃ、どうするかという問題については至急の課題。特に、今財投中心でやっていますから、金利が五%なんです。五%の金利というのは、これは大変ですよ。どういう手を打つかというのでいろろろございますけれども、一つは、国会でもあるでしょうけれども、五%は高いから返してしまえ、二%、二・五%にかえろ、それだけで半分になるじゃないかというのだけれども、そうはいかないのだね。なぜかというと、それだったら皆さん定額預金貯金金利を半分にしろと言わないと、頭からしっぽまでつながらないのですよ。途中だけ抜けば必ずそこにたまりますから。済みません、もう二、三分、それではもう一分でやりますから。  もう一つは、無利子国債というのをやったらどうか。これは、財界の大黒幕とかあるいは政界の大黒幕に確認をとってまいりまして、どうですかと言ったら、いいだろうという。それは、無利子国債を出せというわけですよ、二十八兆円のために。そして、相続税をその分だけ免除してやれと。これは大蔵省、この間言ったのですよ。大蔵省も入りと払いと、いわゆるメリットデメリットがありますから、当然細かく計算しているのかと言ったら、計算してないと言うから、計算してくれというのですよ。というのは、私が言っているのは、現在においてお金があるのは、千二百兆の個人資産ですから、千二百兆の個人資産を出さなければしようがないのですよ。後はもう、ですから、やるためには今のようなやり方がいいのだということでございます。  それから、JR各社負担をふやせという話もあるが、これは無理ですよ。それは、卵を産んでいる鳥を殺すようなものだから。だから、産んだ卵を使えばいいのです。例えば、二千億払ったでしょう、税金を。その税金をここへ入れればいいのです。卵を回せばいいので、本体を絞めてはだめなんだ、こういうことでございます。  時間がありませんので、まだ不十分かもしれませんけれども、私の意見は以上のとおりでございます。  どうもありがとうございました。
  4. 杉山憲夫

    杉山委員長 ありがとうございました。  次に、岡野参考人にお願いいたします。
  5. 岡野行秀

    岡野参考人 岡野でございます。  私は、きょう、そこに簡単なレジュメの形でお配りいたしましたので細かい内容については省略させていただきますが、結論的に言いまして、私は、今回の法律改正で、「目的」の改正として「地域振興に資すること」というのを加えていますが、これが、さらに新幹線のネットワークをもっと密に、大きくしようというようなためであるとすると、ちょっと問題があるというふうに考えております。基本計画の十二線、三千五百十キロ、さらにこれに加わる可能性もあるわけですけれども、これが本当に地域振興に資するかどうか。私は、道路審議会メンバーとして高速道路のことを随分やってきましたけれども、高速道路でも同じことを地元では言うわけですね。できれば地域振興すると言うのです。私は、新幹線にしましても高速道路にしましても、これは十分条件ではない、必要かもしれないけれども十分条件ではなくて、地元の方でそれを使うような開発をしない限りこれは役に立たない、そういう考えを持っておりますので、したがって、ちょっと問題があるということであります。  それから、もう一つの問題は、在来線原則廃止になります。このことは鉄道貨物輸送廃止を意味いたします。したがって、こういう在来線原則廃止とのトレードオフ、さらに、航空規制緩和が行われまして航空との競争がますます激しくなると思いますが、こういった航空輸送との競争も考慮すべきではないかという点を、ちょっと問題輝として述べておきます。  それから二番目、建設費が、物価の上昇がなくても予想より多くかかる可能性が大きい。採算性に問題が生ずることをちょっと心配しております。私としては、代替案としては、在来線高速化まで含めてもう一回議論すべきではないかというふうに考えております。  それから、財源についてでありますが、国鉄改革昭和六十三年八月の政府与党申し合わせでは、JRが当時の新幹線保有機構に納付していた既設新幹線リース料の余剰は、JRグループとしてプールして使用する、したがって、JRが出すお金というふうな形になっていたのですが、今回は、これを国の分とみなすと。みなすというのは解釈で、そういうふうにしてしまった。国の方は、実際、その分だけは、初めの、これがないとした場合の国の負担分よりも少なくなるという形にしているわけですが、建設費増嵩の危惧はありますし、JR経営に影響することがないようにしなければいけないというふうに考えます。  それから四番目に、地方に応分の負担を求めることにつきましては、細かく申し上げませんけれども、基本的には賛成であります。  次に、清算事業団債務問題でありますが、これも、もう死んだ子の年を数えてもしようがないわけですけれども、大変残念だった、国鉄改革については私もかなりお手伝いしたものですから、その点では、この問題だけがこういう形になってしまったことを大変残念に思っております。  特に,土地の売却を凍結したときに、債務返済を進められなくなり、利子負担が増大し、これが借金の増大をもたらすという点を考慮して、その時点で利子負担が増大しないように処置すべきであったわけですけれども、その間何もなされなかった。わずかに一九八九年度だけは国が補助金を大変ふやしておりますけれども、単に補助金をふやすという格好でなくて、そこで考えておかなければならなかったはずだと思います。  二番目に、政府お金のなる木を持っているわけではありません。結局は国民負担するほかないわけであります。早急にその処丘の仕方については決めなければいけませんけれども、当面、今回の措置は、私は妥当であるというふうに考えます。利子負担がふえ、そのために債務がさらに膨らむことがないように措置をし、私はもうちょっと時間をかけても、二十年はちょっと長過ぎると思いますが、長期で、十年ぐらいかけて返済すべきだと考えております。  政府借金だらけですけれども、国民は決して貧乏ではないわけです。負担する能力はあるというふうに私は考えております。現に、二年前のパチンコの玉貸し料が一年間で十七兆円、一昨年が二十六兆円だった。それから、競馬の有馬記念一レースに、おととしは八百十九億円、去年は八百七十五億円の馬券を買っているわけです。この話を外国から来た人に話しますと、外国の人はみんな驚きます。日本国民は何て金持ちなんだ、ギャンブルにそれだけ金を使えるのかという話になるわけですが、これだけの国民でありますから、負担する能力はあるはずです。  しかし、国民税金の使い方に不信を持っているという点が大変重要な問題であって、透明、明快な負担方法を提示して、納税者に旧国鉄債務返済がどう進んでいるかを毎年示していくという形にでもしないと、とても国民はうんと言わないと思います。この点は、昨年の選挙の前、それから、ことしの四月に入ってから、消費税の二%引き上げ後、国民に対してテレビ等でマイクを向けますと、皆、払うのは決してそんなに嫌ではない、だけれども、一体どう使われるのかという点に問題があるんだと。  私は、もともと、財政裁量的なやり方よりは、ジェームズ・ブキャナンと同じように、できるだけ目的税化した方がいい、そうすれば国民の方に負担とそれから受益との関係をはっきりさせなければならないという点で、そういう主義なんですよ。これは日本では全くマイノリティーであります。  先ほど前の参考人もおっしゃったようですけれども、揮発油税等道路特定財源の転用につきましては、私は基本的に、納税者との約束をほごにするものであるという点で反対であります。現在、昭和五十一年から暫定税率で、二十四円三十銭の揮発油税がかかっているわけであります。私は、道路整備のために、車を利用する人はお金を払ってくれ、税金を払ってくれということを、ずっと二十年ぐらい前からそれをお願いしてきた方でありまして、今、お願いしてきたものがここの段になってもういいから回してもいいですよと、国民納税者に対して言えません。したがって、それを転用するような考え方は間違いだ、もしそうであるならば、もう一回、少なくとも暫定税率は減税する、そして、改めて国民にその分を負担してもらえないかという形で出さなければ、ますます国の信用を失うということになると思います。  それから、JR利用者負担させよう、そういう点もありますけれども、これも、交通機関競争が激しくなっていますから、JR利用者負担をさせたときにJR経営にどういう影響があるかという点も考えるべきであります。  多くの財政学者裁量的財政賛成でありますが、私は、基本的には、財政裁量の乱用が起きないようにすべきだ、その場合には、その場その場のお手軽な財政裁量が結局国民不信を買っているというのが私の考え方であります。その点を国民に明快に示して、説得しなければならない。これは、皆様方先生方責任だというふうに私は思っております。  その他、国鉄債務処理につきましては、昨年の九月十日の読売新聞で、石弘光君と私とで反対賛成で討論をやっておりますので、その記事を、もし御機会があれば読んでいただければ幸いかと思います。どうもありがとうございました。
  6. 杉山憲夫

    杉山委員長 ありがとうございました。  次に、桜井参考人にお願いいたします。
  7. 桜井徹

    桜井参考人 ただいま御紹介いただきました日本大学桜井徹です。  安企業論立場から、国鉄分割民営化問題を研究してきました。特に、最近では、民営化国際比較という視点から、ドイツ鉄道改革問題を研究しております。  今回提出されました、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案は、一方は新幹線鉄道建設、他方は国鉄清算事業団債務処理にかかわる問題を扱っております。  この二つ法案に関する意見を述べます前に、国鉄分割民営化基本的枠組みについて、簡単に触れておきたいと思います。というのは、新幹線鉄道建設債務処理問題は、国鉄分割民営化基本的枠組みにかかわる問題だと認識しておるからであります。  国鉄分割民営化基本的枠組みは、第一に、交通市場自由競争にゆだねられるべきで、破綻に瀕している国鉄交通市場の中での激しい競争にたえ得る事業体に変革することが重要であるという認識が採用されたことです。換言すれば、自動車航空、船舶などの交通機関を調整する交通政策の中で鉄道事業を再生するという方向が採用されなかったということであります。  第二に、鉄道事業自立的経営個別企業内での収支均衡の達成が重視され、JR各社の設立の前提として、特定地方交通線分離人員削減などの措置と並んで、長期債務減免措置がとられたことです。  第三に、線路や駅舎などの鉄道基礎施設、これをインフラストラクチャーと呼びますが、その建設を含めて、自立的な経営が強調されたことです。新幹線鉄道の場合を除いて、在来線は、鉄道敷設法廃止に見られますように、鉄道建設には国家は責任を負わなくてよくなりました。ただし、新幹線鉄道、具体的には整備新幹線計画でありますが、八二年七月の臨調基本答申を受けてその建設凍結が閣議決定されていましたが、分割民営化時にはその取り扱いがあいまいであったため、国鉄改革法案成立後の八七年一月に凍結解除が閣議決定され、八九年八月から整備新幹線の着工が一部実施され、今日に至っているという状況であります。  以上のことを前提に、二つ法案についての意見を述べます。  まず、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案については、新幹線鉄道建設の是非と、建設の場合の費用負担原則財源の問題を指摘いたします。  法案は、新幹線鉄道整備目的として、国民経済の発展、国民生活領域の拡大というこれまでの二つ目的に加えて、地域振興を新たに規定しようとしていますが、新幹線鉄道建設整備は、東京一極集中を加速させる危険性があり、果たして地域振興に役立つと言えるかどうか疑問です。むしろ、在来線活性化させる方が先決なのではないでしょうか。ましてや、並行在来線分離ないしは廃止前提とした新幹線鉄道建設は、地域振興の上からも弊害が大きいと考えます。  在来線活性化しつつ新幹線鉄道建設する場合には、国土全体の交通体系の中に、すなわち、高速道路航空を踏まえた総合交通体系の中でそれを位置づけられるべきであり、その検討なしに整備を進めることは、国民経済的に見て浪費を招くことになると思います。ヨーロッパでは、交通事故、騒音、大気汚染などの交通社会的費用を考慮して、自動車交通よりも鉄道交通を重視する考え方が強くなっていることを申し添えておきたいと思います。  新幹線鉄道費用負担に関しては、法案では、営業主体から支払いを受ける貸付料その他の日本鉄道建設公団に係る収入をもって充てるものとして算定される額に相当する部分を除いて、国及び都道府県負担することとされました。これは、鉄道建設に関する公費負担原則を明記したということであると考えます。そういう点では評価できるわけでありますが、しかし問題は、第一に、本当に公費負担になっているのかどうかということであります。国の負担分については、本法案基礎となっている財源基本スキームでは、その大部分既設新幹線譲渡収入によるものであって、公共事業関係費は少ないので、公費負担と言うにはほど遠いものになっております。既設新幹線譲渡収入は、本来は国鉄清算事業団債務返済に充てられるべきものだと考えております。  第二に、都道府県地方公共団体負担割合は、現行の財源基本スキームに比較して一五%から三〇%に増加し、これについては地方交付税で配慮するとされていますが、建設費用の増額に伴って、地方負担がふえる危険性があります。  第三は、今、公費負担原則と言いましたが、営業主体、具体的にはJRですが、JR貸付料内容をも明確にすべきだと思います。いずれにしても、建設費が今後膨張することになりますと、公共事業関係費が増額されないとしますと、財源基本スキームは破綻することになると思います。交通体系の中で新幹線鉄道がどうしても必要であるならば、道路財源などを含めた総合交通特別会計を創設して財源を見出していくべきではないでしょうか。いずれにしても、鉄道建設公費負担原則の導入は、自立的経営を図るという国鉄分割民営化基本的枠組みの修正であります。国鉄分割民営化以降、鉄道建設が進捗していないことは、分割民営化に基本的に賛成の態度をとる論者であっても、それは分割民営化問題点だと反省されているところであると考えております。  次に、清算事業団債務処理の問題について、簡単に触れます。  御承知のように、清算事業団債務残高は、一九九七年度首では二十八・三兆円になると推定され、分割民営化時の承継額二十五・五兆円に比べて約三兆円の増加になっております。この債務累積問題に関して、この法案では、単に本年度における金利支払い部分の増加を食いとめるということのみを目的としたものであり、それを根本的に解決しようとしたものでない、そこが最大の問題点であります。速やかに根本的解決を図らなければ、国鉄清算事業団の資産価値が減少することなどを考慮したとき、その債務は増加する可能性があります。  ここで、なぜ債務がこれまで二十五・五兆円から二十八・三兆円に増加したかという原因については省きます。しかし、そういう原因についてはあるのですが、最大の問題は、私は、根本的には国鉄分割民営化基本的枠組みそのものに問題があったのではないかと考えております。というのは、冒頭でも申し上げましたように、国鉄分割民営化は、個別企業内での収支均衡を図ることにその基本的枠組みがあり、その際に、国鉄長期債務だけでなく、鉄道建設公団や本四架橋公団にかかわる債務を含めて処理すべき債務額を膨張させ、かつ、その債務発生の責任主体を明確にせずに、債務の多くを国鉄清算事業団に押しつけたところにあります。  今日、国鉄清算事業団債務処理のために、JRに対する鉄道利用税の創設や、揮発油税などの道路財源の転用などの案も出ていますが、それらはむしろ、国鉄分割民営化基本的枠組みを変更する必要があることを物語っているように思われます。この点を強く申し上げたいと思います。  最後に、以上に指摘しました問題を考える場合に、一九九四年一月一日に実施されましたドイツ鉄道改革、国鉄民営化が重要な示唆を与えていますので、この点について簡単に触れておきたいと思います。  参考資料を配付してあると思います。  三つの点を指摘します。  第一は、自動車との競争条件を平等化するという意味を含む上下分離が実施されて、その際に、幹線鉄道建設費用については連邦が責任を持つということが規定されたことであります。なお、その前提として作成された連邦交通路計画では、連邦道路への投資総額よりも連邦の鉄道網への投資総額が多くなっていることも、あわせて述べておきます。  第二に、ドイツ鉄道改革においても、我が国と同様、正確には我が国を半ば見習って、債務処理を行う機関として連邦鉄道財産が設立され、二つの国有鉄道債務のすべてを引き継ぎましたが、その債務は連邦の債務であると明確にされたと同時に、債務返済財源として、鉱油税、一リットルについて、ガソリン十六ペニヒ、ディーゼル七ペニヒが引き上げられたことです。総じてドイツ鉄道改革は交通政策を念頭に置いた鉄道改革であった、そこに我が国の分割民営化よりもすぐれている点があって、この点を見習うべきではないかということを最後に申し添えて、私の意見陳述を終わらせていただきます。
  8. 杉山憲夫

    杉山委員長 ありがとうございました。  次に、中沖参考人にお願いいたします。
  9. 中沖豊

    中沖参考人 おはようございます。富山県知事中沖でございます。  整備新幹線建設促進を熱望しております沿線地域を代表いたしまして、意見を述べさせていただきます。  整備新幹線は、国土の均衡ある発展と魅力ある地域づくりに不可欠な総合交通体系の基盤でありまして、極めて大きな意義を持っております。  整備新幹線には、御案内のように、北海道新幹線、東北新幹線、北陸新幹線、九州新幹線鹿児島ルート、九州新幹線長崎ルートの五線があります。そして、この整備新幹線につきましては、昭和四十八年に整備計画が決定されまして以来、その時々の時代の流れの中で建設促進と凍結が繰り返されまして、私たちは、その都度一喜一憂してまいりました。しかし、昭和六十三年には、政府・与党の合意によりまして、ようやく建設優先着工区間が決まり、翌年の北陸新幹線高崎-軽井沢間の着工以来今日まで、東北、北陸、九州の各地域におきまして三線五区間の着工がなされ、着実に工事が進んできております。このうち、北陸新幹線高崎-長野間につきましては、ことし秋の開業が間近に迫ってまいりました。これまでの国会議員の諸先生方を初め運輸省など関係機関の皆様方の積極的な御尽力に対しまして、心から感謝を申し上げたいと存じます。  整備新幹線は、国土の骨格を形成し、大都市圏と地方圏とがともに均衡ある発展を遂げ、生き生きとした我が国を築くために極めて重要な国家プロジェクトであります。新幹線の及ぼす効果やメリットは、四点に集約されるものと考えております。  まず第一に、新幹線は、多極分散型の国土を形成し、我が国の均衡ある発展を目指す上で重要な高速交通体系であります。こうした意味で、新幹線はこれまでも大きな貢献をしてまいりましたが、今後さらに全国的なネットワークとして整備されることによりまして、その役割は一層増大するものと考えております。特に、北陸新幹線は、今後更新が必要となってくる東海道新幹線を代替補完する機能を持っておりまして、阪神・淡路大震災において山陽新幹線が不通となったときの状況等も考えますと、その建設を急がなければならないと考えております。  第二に、新幹線は、沿線地域の開発や振興に極めて大きな効果を果たしております。地域におきましては、高速交通のないところでは、企業誘致などもままなりません。東北新幹線の沿線で見られますように、その沿線地域において企業誘致や各種プロジェクトの進展があったところでありまして、既設新幹線の沿線地域の発展には、まさに目をみはるものがあります。  第三に、新幹線は、高速性、安全性、大量輸送性などすぐれた特性を持っております。こうじた特性は、国民の一日行動圏を拡大し、沿線地域の豊富で多彩な観光資源の魅力を高め、大都市圏に住む人々はもちろん、国民の余暇活動の充実と広域的な活動を促し、地域に活気を、生活に潤いをもたらすものであります。  第四に、これは牧野先生もおっしゃいましたが、新幹線は、他の交通機関に比べ、エネルギー効率の面ですぐれた輸送手段であることが挙げられます。自動車航空機等に比べ単位輸送量当たりのエネルギー消費量が少なく、非常に効率的であり、地球の温暖化等の環境問題への対応手段として極めて重要であると思っております。このように、整備新幹線には大きな効果、メリットがあるにもかかわらず、その整備には余りにも時間がかかり過ぎております。昭和四十八年に整備計画が決定されまして以来、二十三年を経た今日におきましても、なおまだ整備五線全線の整備スケジュールが明確になっておらず、まことに残念であります。  そもそも、我が国におきまして国民が真に豊かさを実感できますためには、必要な社会資本の整備を積極的に、また着実に実施していくことが重要であります。現下の国、地方を通じての厳しい財政環境の中にあっても、事業の重要性にめり張りをつけて計画的に実行していくことが国民の信頼にこたえ得る国政の基本であると考えます。中でも、整備新幹線は、高速交通体系の根幹をなす社会資本であり、国家プロジェクトとして建設を進めなければなりません。整備五線全線をフル規格で整備するとしましても約七兆円でありまして、公共投資基本計画の総額約六百三十兆円の一%をわずかに上回るだけであります。また、平成九年度予算におきましても、公共事業費総額のわずか〇・三%しか投入されていない状況にあります。整備新幹線に充てる公共事業費の枠をさらに増額していただきまして、建設を促進することが極めて重要であると考えております。  以上、整備新幹線建設促進につきまして申し述べてまいりましたが、整備新幹線沿線十八都道府県は、二十有余年の長きにわたりまして新幹線建設促進を強く要望してきたのであります。このような地元からの熱望にこたえまして、各政党におかれましても、整備新幹線建設について御尽力をいただいてまいりました。そして、昨年末には新しい基本スキームの見直しが行われたところであります。  そこでは、平成三十年度までの財源スキームの中で、優先的に新規着工する区間が盛り込まれ、今後、収支採算性等が十分検討され、優先着工順位と事業費の配分が決められることになっております。沿線地域としましては、平成三十年度などと言わず、もっと前倒しにしていただきまして、整備が促進されるよう心から願っております。  そして、この新しい基本スキームを受けまして、今回、全国新幹線鉄道整備法改正案が国会に提案されました。新基本スキームの策定、改正法案の提出など、国会議員の諸先生方、運輸省を初め関係機関の皆様方に大変御苦労、御尽力をいただいてまいりましたが、心から感謝を申し上げます。  それでは、この改正法案につきまして意見を申し上げます。  まず、今回の改正法案におきましては、新幹線鉄道建設に関する工事に要する費用につきまして、国と地方公共団体負担が規定され、さらに、地方負担に対する国の財政支援措置が講ぜられることになっております。現下の厳しい財政状況の中でこうした改正法案が提出されていることにつきましては率直に評価したいと考えております。  なお、従来、整備新幹線建設に係る地域負担につきましては、平成元年一月の政府与党申し合わせに基づき、地域の熱意のあかしとして地域が一定の範囲、約一五%を負担してきた経緯があります。今後とも、実質的に現行の一五%の負担を超えることがないよう、改めてお願いしたいと存じます。  また、こうしたことにあわせまして、法律の目的に「地域振興に資すること」が加えられることもあり、また、工事実施計画に関する認可をしようとするときはあらかじめ都道府県意見を聞かなければならないものとされましたことは、地方立場について十分配慮されたものであると考えております。今後は、この改正法案の審議を尽くしていただきまして、一日も早く法案を可決いただきますように、心からお願いを申し上げます。  整備新幹線建設は、沿線十八都道府県住民約六千万人の長年にわたる悲願であります。新幹線鉄道は全線整備されてこそ初めて効果が発揮できるものであります。一日も早く全線の整備スケジュールが示され、沿線住民の悲願が実現いたしますように、一層の御尽力をお願いいたしまして、私の意見といたします。  どうもありがとうございました。
  10. 杉山憲夫

    杉山委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  11. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村田吉隆君。
  12. 村田吉隆

    ○村田(吉)委員 自由民主党の村田でございます。  本日は、各参考人におかれましては、本当にお忙しいところ出席をいただきまして、またそれぞれ示唆に富む御意見をいただきまして本当にありがとうございました。  時間も大変短いようでございますので、直ちに質問に入りたいというふうに思います。  まず、牧野先生でございますが、ことし、実は京都でCO2の排出抑制に関する京都会議というのが開催が予定されておりまして、いろいろなこれまでの経緯を聞いてみますと、目標の達成というのは大変厳しくなっているという状況にあるようであります。そういう中で、そういう意味では環境に非常に優しいといいますか、そうした新幹線鉄道をぜひとも整備していかなければいけないと私どもは思っているわけであります。しかしながら、なかなか、これまでのところプライオリティーをつけることが政治的にも難しくて、中沖知事から早く路線の決定をというふうな再三の御依頼がございましたけれども、私どもも、新幹線の中でどこをやるかということのほかに、やはり総合交通体系として道路とか飛行機あるいは新幹線鉄道とかそうしたものに対しての優先順位というものを、政治的にもしっかり考えていかなければいけないときに来ているというふうに思います。  ただし、整備新幹線に限って言えば、中沖知事の御指摘をまつこともなく、大変時間がかかっておる。今度予定となっております区間につきましてもちょぼちょぼとやっておりまして、私としては、コストを削減するためにもやはりつながるように、延びるようにもうそろそろやっていくときに来ているのじゃないかな。要するに、ことしの秋にいよいよ長野まで開通しますが、その後どうやって新幹線の延長ができるかどうかということについても、我々としては大変厳しい判断が求められているのではないかというふうに考えております。新幹線について本当に御支持、御理解をいただいて、私どもありがたく思っております。  それから、岡野先生でございますが、先生のペーパーをちょっと拝見いたしまして読んでみました。一番目のところの「地域振興に資すること」、こういうのは多分政府側の答弁としては、地元お金負担する、そういうことになりましたものですから、前よりも明確にその負担が法定されるということにかんがみて、目的に「地域振興に資する」と書いたのだと私も理解しております。  それからあと、今までのリース代、これを国の分とみなす、そこはちょっと問題ではないかということで御指摘がございましたが、これは今までは同床異夢的にJRお金なのか、それから国の負担分なのかということがちょっと不明確になっていたところがございまして、今度はそういう意味で国の分だというふうに明確化したわけでありますけれども、これは先生御心配の御趣旨ではなくて、JRの受益の範囲内でいくというわけですから、これまで以上にJR負担がふえるということでもないだろうなというふうに思います。  最後に、特定財源のことがちょっと書いてあります。道路財源につきましても、私の岡山県では岡山道というのが高速道路、今度いよいよ開通しまして、日本海から瀬戸内海を渡って太平洋まで簡単に行けるというぐあいになりまして、大変便利になって、まさに私の選挙区を走るものですから大変感謝はしておるのですが、私も自民党の交通会長というのをやっておりまして、こうした財政改革あるいは行政改革の中で、私は、特定財源廃止すべきだということを盛んに、事あるごとに主張をしております。今回の新幹線財源スキームでも、この問題について私はかねてより言及をして、仕組みを変えていただくのが本筋であるというふうに考えておりました。岡野先生のただいまの御意見では、これはだめだ、とにかく財源は、特定財源にするときに道路財源に使うのだということで国民から徴収したものだからこれは要するにチャラにしなければいけない、改めて仕切り直しをしなければいかぬというわけでお話があったと思います。  しかし、私も、例えば自動車重量税なんかの一部は法定されてないのですね、特定財源にするということは。それを一般会計から譲与税等々で特定財源に使う、そういう決まりになっている。私は、そういう意味で少なくともその部分は直ちにでも特定財源化をやめるのが本当は筋ではないかというふうに考えますが、もちろん地方の事情もございますから、大変この問題も難しいと思いますが、その特定財源の問題について岡野先生の御意見を改めて賜りたいと思います。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  13. 牧野昇

    牧野参考人 新幹線が非常に必要だという要因は幾つかございまして、私も後ろでベルが鳴るものですから急いでやった点で省いたところでございます。その省いたところの一つに、やはり今度の京都会議があるように環境問題が大きいですね。これはやはりアメリカでも自動車、カリフォルニアでも自動車を抑えていますから、そういう形でいうと、非常に重要だというような感じがするわけでございます。  私の率直な意見を申し上げますと、四人の参考人全部、外国ではやはり道路から鉄道なんですね。これはもう間違いない方向ですけれども、なぜ日本新幹線と言うとマスコミがたたくか。今評論家が書きますと、日本政府がああだこうだ、例えば新幹線のことをむだな投資と。これが、評論家というのは割と単純でございますから、人の意見をそのまますっといくわけですね。私も評論家と言われているので、内々もっとよくわかるわけです。だけれども、よく考えてくれということについては、私はここで一つだけ強調したいのは、道路から鉄道に行くのがやはり世界の流れなんだよという形は、皆さんもよく頭に置いていただけたらな、こう思います。  もう一点、岡野さんへの質問を横取りするようなので、一分ぐらいですけれども、特定財源の問題ですね。おれたちが石油を使ったのだからそれはおれたちの道路だ、そういうことを言ったら切りがないのですよ、これは。じゃ酒を飲んだやつは、酒税というのはすごい金額ですから、酒飲みに全部返してくれるかということですよ。そうでしょう。たばこをのんだら、たばこをのんだやつに金を返してくれるか、大きな喫煙所なんかつくって、ただで飯を食わしてくれるかというと、そうはいかないのだよね。  だから、特定財源というのはある特定の期間の間だけに生きるものであって、税金にああだこうだっけていき出したら、私の方はお酒で相当稼いでいますとか、いろいろございますよ。それをやったらおしまいですから、だから特定財源というのはいいですよ。いいけれども、これはある期間に有効であるというふうに限定しないと、だから特定なんですから、そういう点をちょっと申し上げておきたいと思います。
  14. 岡野行秀

    岡野参考人 御質問は、JRの分の国の分への切りかえは別にJR負担がふえない、それは実質的に負担がふえないような形にしていっていただきたいというふうに思います。  それから、特定財源の問題ですが、今のお話の酒とたばこは、これは全く議論のすりかえでありまして、たばこやお酒になぜ高い酒税やたばこ税の税金がかかっていたか、あれはぜいたく税でかかっていたわけであります。片一方は、サービスを提供するのに使うものに対する対価としての負担であるわけで、その点が全く違うわけですね。この点をごっちゃにしますと、名前がたまたま特定財源だということで引っかかるだけであって、こういうのはまことに問題な発言であります。  それで、私は、公共投資についてもいろいろな公共投資の分野があるわけですから、それについてお金を使うことについてやぶさかではありません。ただ、税で負担国民にお願いしている限りにおいては、それについては、仕組みについてははっきりさせなければいけない。今一番国民が不満に思っているのはその点であるわけですね。  私も既に老齢基礎年金をもらうようになっているわけですけれども、実はいただかなくても十分生活できるわけです。ですから、財源をつくろうとすれば、所得が十分ある高齢者についても所得税をちゃんと払わせるというぐらいのことは当然やってしかるべきだと思っています。したがって、今ある財源の中から、どこかからここへ持ってこようというような考え方だけじゃなくて、新幹線財源がもし必要であれば、やはりそういうふうに考えてみなければいけないのではないかというふうに思います。それから、なぜ新幹線は国がそんなにお金を入れないとできないのかということですね。これが実は問題になるわけです。  地球に優しいとか環境に優しいというのがありますけれども、ただCO2の問題につきましても、最近イギリスで出ている本に「ザ・ワースト・イズ・ファースト」というのがありますけれども、いつも一番悪いことを言って、それで攻撃をする。実はそんな悪くないのだけれども、相手を説得するには一番悪い状態を言う。病人に対して、あなたこのままいったら死にますよと言ったら必ず病人は医療を受ける。それと似たようなことでありまして、本当にそれがどういう影響を与えるかということについて考えるべきだと思います。  その点で、道路につきましては、ヨーロッパにつきましては、ヨーロッパが上下分離をやっているのは特別の理由があるわけでして、あれだけ大陸の国ですから、お互いに国がつながっています。国際列車を走らせます。そこで、インフラストラクチャーをそれぞれの国が民間でやったり国でやったり、維持補修等について責任が持てないような状態では国際列車は走らせられないわけですね。したがって、インフラストラクチャーについてはEUの段階で共通にしようというので、何らかの形で国が関与するという形にしたわけです。  それから、ドイツの場合には、東西ドイツの合併ということがありました。ちょうど合併するころに私たちベルリンでコンファレンスをやったのですが、そのときに問題になったのは、東ドイツ鉄道及び道路がいかにもひどくなっている、これを救わなければならないということがあったわけでありまして、したがって、どこかの国から一つの例を持ってきて、そのいいところだけをとつて議論するというのは間違いであって、よほどちゃんと、どういうバックグラウンドで、それがどのような理由で、なぜそういうのがとられたかということをちゃんと追わないと間違いになると思います。  私は、重量税については、確かにあれは閣議了解ですね。国会でたしか答弁されたのだと思います、その当時の福田大蔵大臣が。それはそうですけれども、それでも、そういうふうに使ってきたわけですね。そうしますと、それをではなぜ変えるかということについて、法律上問題がないからさっと変えるということをやるから、国民にとってはおかしいじゃないかと。法律上問題がないから変えてもいいということであるならば、我々から見ると、そういう仕組みに、では初めからなぜそうじやなかったかという議論になるわけですから、どうしてもやはり国民にはっきり説明をしなければいけない。  そのためには、国民反対もあるだろうと思いますが、それをできるだけ国民に、反対等々の意見を聞かなくても済むようにさっと、法律上問題ないのだからこういうふうにやるというやり方をやっていくこと自体が、今の政治だけじゃなくて、日本の企業、それから銀行等がいろいろ問題を起こしていますけれども、すべて、そういうふうにそれぞれが自己責任と節度を持たないで、ある限りの中で適当にやっていこうというところから出てきていると思いますので、その点についてはぜひはっきりさせていただきたいと思います。
  15. 村田吉隆

    ○村田(吉)委員 最後の質問ですが、桜井先生、ちょっと時間がなくなりまして大変どうも失礼しますが、中沖知事にお願いをしたいと思うのですが、新幹線ですね。私もちょっとかかわってまいりましたけれども、行革の趣旨に反するとか、それから地域エゴとか言われました。私は、エゴには地方のエゴもあるし、それから都会のエゴもあるのだろうというふうに思うのです。飛行場なんかを見ていますと、私はそっちの方もかかわっていますけれども、神戸空港なんか見ていますと、この前ゴーサインを出しましたけれども、これは都会のエゴみたいな感じがするなという感じがいたします。私ども、地方にも空港をつくってきたし、だから、いろいろやりながら、結局やはり表玄関に立派な飛行場が要るということで、これから首都圏空港の整備ということを言っているわけですね。  だけれども、都会には都会の受忍義務といいますか、都会の住民が、首都の機能として持っていなければいけない設備を建設していくときに、我慢してもらわなければいけないこともやはりあるのだろうなと思いながら、地方のエゴ、都会のエゴ、こうあるのでございますが、これまで中沖知事、整備新幹線建設について本当に一生懸命努力をされてこられましたけれども、そうした観点からこの問題についてどうお考えになっておられるか、御答弁願いたいと思います。
  16. 中沖豊

    中沖参考人 まず、先ほど申し上げましたように、整備新幹線につきましては、国土の均衡ある発展や地域活性化に極めて大きな効果を持つ事業でありまして、また安全性、高速性、そして省エネルギー性等についてもすぐれた特性を持っております。このように、私は整備新幹線は極めてすぐれた交通機関であるというふうに考えておりますし、現に、こうしたことから大都市あるいは地域が大変発展してまいりました。  それから次に、整備新幹線建設に要する経費につきましては、公共事業費の中で本当にごくわずかでありますし、またその着工に当たりましても、検討委員会におきまして収支採算性等が十分に検討された上で決定されるというように、非常に厳しい条件がついておるわけでありまして、財政構造改革の趣旨にも反しないというように思っております。新幹線は行政改革の趣旨に反するという意見がありますけれども、これはやはりこうした整備新幹線の持つ重要性などについて十分御理解をいただいていない御意見ではないかというようにも思っております。他の国家的な事業が着々と進行いたしますが、整備新幹線につきましては遅々として整備が進んでおりませんで、率直に申しまして、私は整備新幹線は大変不幸であるという気持ちを持っております。  それから、そもそも行政改革というのは、これはもう大変先生方に恐縮でありますが、不要不急の事業は改めますが、真に必要なものは、これはやはり延ばさなければならないと思うわけでありまして、各種の事業につきましても、やはりめり張りがあるべきであります。整備新幹線につきましては、何よりも二十一世紀の我が国の交通体系整備する基盤でありまして、また沿線住民六千万人もの住民の長い間の悲願でもあるわけであります。こうした点から、ぜひ、整備新幹線につきまして、今後とも一層その整備を促進していただきますように、行政改革でもめり張りの部分のこの張りの部分の事業に該当すると思いますので、今後よろしくお願いしたいと思うわけであります。  それから、ちょっと申しわけありませんが、地域エゴではないかというお話がございました。関東や関西の大都会では、これまで高速道路新幹線などが整備されてまいりまして、その住民たちはその恩恵を享受してきたわけであります。特に、新幹線につきましては、地域負担がなくて、全額国費で整備されてきたという状況があります。でありますから、既に新幹線整備されました地域皆さん方には、やはりこれから整備しようとする新幹線地域にもっと温かい理解を持ってもらいたい、協力をしてもらいたいという気持ちを持っております。  これからは国土の均衡ある発展が必要であると思いますが、私はやはり乏しきを憂えず等しからざるを憂うということが大事だというふうに思うわけであります。そういう面から申しましても、ぜひ既設の新幹線地域皆さん方には、これから整備しようとする新幹線地域に温かく、積極的に協力をしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  国会議員の諸先生方、それから運輸省並びに関係機関の皆さん方の一層の御尽力をお願い申し上げる次第であります。
  17. 村田吉隆

    ○村田(吉)委員 どうもありがとうございました。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  18. 杉山憲夫

    杉山委員長 久保哲司君。
  19. 久保哲司

    ○久保委員 新進党の久保哲司でございます。  参考人皆さん、本日は大変にお忙しい中、ありがとうございます。  時間の関係もありますので、すべての参考人に御質問させていただければいいのですけれども、何人かに限らせていただくことになろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  先ほど来、四人の参考人の方、限られた時間の中での参考意見をお述べいただきました。それを聞いているだけでも、それこそさまざまな意見がある。まさに日本を代表する識者、当事者の皆さん意見がなお分かれる。そういう意味では、今回のテーマというのは、私ども国会議員にとっても大変難しい課題だな、そんなふうに思います。そんな中で、何か言うたって、関連を求めればどうしようもないですが、皆さん方の意見参考にしながら、私どもとしては、なお審議を尽くし、ベターな結果を出すということに結びつけていかなければならない、そんなふうに思います。  まず、中沖知事にお尋ねをしたいことがあるのです。  今国家的プロジェクトなどという名前が冠せられるものというのは、もうそれこそ、先ほど来余りにも長いというお怒りの声を発しておられたわけでありますけれども、実は私もかつて大阪で関西国際空港の仕事に携わったことがございます。これも三十年近くを要して、三十年近くたてば、世の中変わりますし、時代も変わりますし、金が裕福だったのがなくなってくるとか、さまざまな要素があって、当初の計画はこうだったのがこうなってみたり、ゆがんでみたり、さまざまな状態になるわけであります。そういう意味では、大事なものこそ一気呵成にやることが必要なのかな、そんな思いもしております。しかし、現実には物をつくろうとすればお金は要るわけですし、そのお金がないとなれば、後は知恵を出してどうすればいいか、こんなことをせざるを得ないのか、そういう意味では、関西空港の経験から見ても、ある種、整備新幹線も同じ運命をたどっているのかな、そんな気がいたします。  先ほど来知事は、沿線住民六千万人、そして総工費、フル規格でやったとして七兆円だ、そういう意味では、そんなにびっくりするような金額ではないではないか、こういうお話もあったわけでありますけれども、しかし、これは一つ間違うと、もう一つのテーマであります国鉄債務が二十兆円、また三十八兆円、こういう話につながっていくわけであります。そういう意味では、将来的に採算性を確保するというのが非常に大事なことかな、そんなふうに思います。  そこで、北陸新幹線はこの秋には長野まで開通する。しかも、私も地域のエゴをあえて言わせていただきますと、今横浜と争っておりますけれども、二〇〇八年に大阪でオリンピックをやろうか、こんな話がございます。そうなりますと、東から西から北から南からということでオリンピックの会場に路線がつながる。そういう意味では、ともに力を合わせて、北陸新幹線をぜひ早期に完成させたい、そんな思いでおるのです。  そこで、今申し上げましたようなさまざまなことを踏まえて、ある意味ではミスター北陸新幹線とも言われる中沖知事として、まさに地元として、また地域自治体として、この問題をどのようにとらえ、そして先ほど来四つの、多極分散あるいは沿線の発展といったようなことを仰せでありましたけれども、さらに突っ込んだ形で、なぜこの新幹線が北陸にとって必要なのかという点について、もう一度御意見を伺わせていただければ幸いだと思います。よろしくお願いします。
  20. 中沖豊

    中沖参考人 整備新幹線につきましては、先ほど来申し上げておりますように、国家プロジェクトであるという大きな機能、使命があると思っております。そしてまた、その事業の実現につきましては、沿線住民約六千万人の強い熱望がございます。こうしたことから、私どもこれまで大変努力してまいりましたが、先ほど申し上げましたように、この整備に大変時間がかかっております。他の国家的プロジェクトが非常に着々と進んでおりますけれども、残念ながら整備新幹線につきましては本当に遅々とした状況でありまして、まさに私ども切歯扼腕しておるというのが現状であります。しかしながら、これまで国会議員の先生方などに大変御尽力をいただいてまいりましたので改めて感謝を申し上げますが、今後ともさらにこの整備が促進されますように、一層の御尽力をお願い申し上げたいと思っております。  新幹線の必要性あるいはその効果、メリットにつきましては、先ほど四点を申し上げました。今さら繰り返すことをいたしませんが、こうしたすぐれた高速交通機関でありまして、ぜひ二十一世紀の我が国の建設のためにこの建設がさらに促進されるべきであるというふうに思っております。  特に、北陸新幹線につきましては、環日本海の時代を迎えまして、まさに日本海国土軸の形成の一環をなすものであるというふうに考えます。さらにまた、北陸新幹線は東海道新幹線の代替補完機能を持つという大きな機能もあると思っております。もちろん、当然この沿線地域の発展を担う大きな使命もあるわけでありまして、そういう面からいたしましても、ぜひ、北陸新幹線建設につきまして、私どもも一生懸命に頑張ってまいりますが、先生方の御尽力も重ねてお願い申し上げたいと思うわけであります。
  21. 久保哲司

    ○久保委員 ありがとうございましたぜひ、早急に完成することを私自身も尽力をさせていただきたい、そんなように思います。  次に、岡野先生にちょっとお尋ねをしたいのですが、先ほどお示しをいただいたペーパーの中で、清算事業団債務問題、これをお聞きし、読ませていただいて、まさにそのとおりという感を強くしておるのです。二十兆円、どう転んだって最後残るであろうと言われる二十兆円。これは、もう皆さん御承知のことでありますけれども、国民一人当たりに直すと一人十七万円ぐらいになる。昨年の住専、まるで種類の違う話かもわかりませんが、住専六千八百五十億円の公費をつぎ込むということで一国民一人当たり五千円。これであれだけの反対運動が起こった。そういった国民感情等から考えても、まあまあこれはちょっと大変な話やな。かといって、ほっとけばほっとくほどますます悪くなるというこの重病状態を一体どうやっていくねんということであります。  そこで、粗っぽい議論をする方は、そんなこと言ったって、国や地方全部合わせれば、もう五百兆円超える借金があるのやないかい、そこへ二十兆円一緒にほうり込んだってええんちゃうんかい、こういう言われ方をされる方も、中にはおいでであります。しかし、多くの皆さん方の御意見というのは決してそうじゃないだろう。むしろ、やはりよって立つ歴史も当然違うわけでありますし、責任の明確化、そして国鉄債務というものが一体どうなるんだということを明確にするためにも、いわば特別会計なるものをつくって、その中で国民が明らかにそのことを確認できるような状況でやっていくべきであろう、こんなふうなことが多く言われております。  いずれにしても、それも含めて最終的には国民負担ということになるわけでありますけれども、その国民負担という中で、ある方は、とはいえ、やはり国鉄長期債務により多くかかわってきた交通関係の人ないしは企業、こういった方々が、一般国民というよりは、まずは優先をして負担をすべきではないか、このような議論がございますけれども、この点について先生のお考え、いかがなものでございましょうか。
  22. 岡野行秀

    岡野参考人 私が申し上げたのは、結局、それは国民負担する以外にない。今十七万円とおっしゃったのですが、これは一年でもしやってしまえば十七万円であります。  それから、国民全員一人当たりといいますが、所得税を払っている人はそんなにいないわけですから、割り算しますと、実は、税金を払っている人の額からいえばもっともっとはるかに高い額になります。ぜひ、その辺を間違えないようにしていただきたいと思います。払っていない人もたくさんいるわけですから、その人たちは一人当たり十七万円だからとんでもないとおっしゃいますけれども、自分は払っていないのだから関係ないわけでありまして、我々所得税を多額に払っております者が大変実は影響があるわけですけれども、それは、そういう人たちはやはりしようがないじゃないか。我々は、たまたま払えるだけの能力があればその人たちが負担しなきゃならない。私はやむを得ない、そういうふうに思います。たまたま、国民からしますと、こういういろいろ財政上問題を起こすような政府を持った国民は不幸せでありますけれども、これはしようがないのですね。もう実際、そういうことになってしまったわけですから、それに従わなければならないと思います。  それから、交通関係の企業に負担させたらどうかとおっしゃいますけれども、これは、先ほど申し上げたのは一例で、交通機関間の競争があります。ですから、もし競争関係を無視、中立化しようとすれば、全部に適当にかけて、競争条件を変わらないようにしろというのは理論的には、理屈の上では考えられます。しかし、それはまず不可能でしょうし、実際問題として、例えば民鉄さんあたりは、何で我々が国鉄の、あの国労とやって、ストライキまでやって、そうして赤字をつくったものを、我々が何で我々のお客さんに負担させなければならないんだと。多分民鉄は、お客さんにその負担をしてもらうことについての理解を求めることはまず不可能だろうと思うのですね。これは、同じことはほかの交通機関についても言えると思います。  したがって、確かに、何か負担をするときに、村で、まず村長、一口出してくれと、そうすればいいじゃない、格好がつかないという意味ではわかりますけれども、今までの日本がどうもそういうことをやり過ぎたんじゃないか。やはり、もっとやらなければならないことはちゃんとはっきりさせて、正攻法でやるべきだというのが私の考え方でございます。
  23. 久保哲司

    ○久保委員 もう一点だけ、ちょっと岡野先生にお伺いをしておきたいんですけれども、先ほどのペーパーの中で、長期、十年から二十年かけて、できれば十年という御発言だったかと思いますけれども、今の五%の金利なんというのはもってのほかという意見もありますが、それにしたって金利がかかるわけで、そうすると、十年返済といっても、二十兆円がやはり二十数兆円、三十兆円近い金額になるんだろう。単年で割っていったとしても三兆円。この三兆円の規模のお金を、先ほど来お示しの一般財源の中から負担する、こういうことになるのかと思いますけれども、その後で書いておられますように、いずれにしろ、国民税金の使い方に不信を持っていることが一番問題なんや。さらには、その国民不信の根本要因ということをおっしゃっておられまして、今もおしかりいただいたように、私ども自身がその不明をわびぬといかぬわけでありますけれども、それじゃ一体、具体にはどんな手法があんねんといった場合に、先生今お考えというか、こういう方法、こういう方法、この方法が考えられるよといったような御提言というか、もしもお持ちでありましたらお示しをいただければというふうに思います。
  24. 岡野行秀

    岡野参考人 大変難しいですけれども、特に、今年度は消費税の引き上げをしたばかりですからあれですけれども、消費税一%で大体二兆円になるわけです。そうしますと、もし一%上げた分を十年間だけ使うという形にしても二十兆円出るわけですから。したがって、これは多分非常に不評だろうと思いますけれども、国民が納得しないのは、大変問題だと思いますのは、我々は国鉄改革に携わった者ですから、したがってよく覚えているわけですけれども、今やっと税金を払うぐらいの年になった方は、今JRからもともとあるので、国鉄なんというのはあったのかいという人たちがもう中心になっています。そうすると、なかなか過去のそういう債務を、おやじたちがつくった債務を何で我々が今負担しなければならないか。難しいと思いますけれども、これはやはり、説得する以外にないと思うんですね。それは、国としてはそれだけの借金を負っていると同じことでありますから。  したがって、入れていくときに特別会計にしてはっきり、ことしは何兆円やってどれだけ減ったかということをやって、年々目に見えて減っていく状態がわかれば、ちょうど私たちが住宅金融公庫からお金を借りてうちをつくったようなことと同じである。そういうことがはっきりすれば、私は国民に、大変難しいでしょうけれども、理解を求める以外にないだろうと思います。そうですね。それだけにしておきましょう。
  25. 久保哲司

    ○久保委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  26. 杉山憲夫

    杉山委員長 細川律夫君。
  27. 細川律夫

    ○細川(律)委員 民主党の細川でございます。  きょうは、参考人皆さん方、おいでをいただきまして、有意義な御意見をいただきまして、大変ありがとうございます。それぞれの参考人皆さんに、簡単にこちらの方から御質問をさせていただきたいと思います。  まず、牧野参考人にちょっとお尋ねいたします。  牧野参考人は、新幹線、特に鉄道についてのメリットといいますか、いい点について、安全性ということも強調されました。せんだっての七日には、京浜急行でちょっと事故もあったんですけれども、前にちょっと牧野参考人が言われていたと思いますけれども、整備新幹線について、これを建設するについては、並行在来線についてはこれを分離をする。分離をして、例えばそれが第三セクターとかそういうところで今後経営されるということになると、安全性についてちょっと疑問を持たれて、むしろJRがタッチをして経営をされるのがいいんではないかというようなことをちょっと伺ったような気がしますけれども、その点についてどういうふうにお考えなのか。また、前に全部もうフル規格でやればいいじゃないかというようなこともおっしゃったと思いますけれども、そういう点についてどういうふうにお考えなのか、よろしくお願いします。
  28. 牧野昇

    牧野参考人 一番問題はやはり在来線をどうするかという問題でございまして、今までもそうであるように、在来線国鉄が残して運転する場合と地方セクターでやっている場合と、それからそれ以外の形でやっている場合があるわけでございます。その中にはうまくいっているところもありますし、問題のところもある。  私はやはり、かなり民間の活力を加えていく方がいいだろうという意見でございますけれども、在来線の問題については、今みたいに観光的なものと、もう一つは、岡野さんもちょっとおっしゃったように貨物を、今貨物が多いのはコンテナと、それからいわゆる大量輸送だけで、小口便はもうほとんどできませんけれども、そういうのに対しては残してもいいだろう、こういうことでございます。  ただ、何はともあれ、今までの新幹線の施設、西日本からずっとやった場合に、心配している在来線の全体の赤字なり運営の問題は、新幹線の効果によって消されているという感じでございますね。僕はそういう点で言うと、まあそれほど心配ないだろうと見ているわけです。それは、今みたいに幾つかの方法があって、どれが一番いいという方法は地域地域で考えてもらいたいということですし、あるいはバス代行で、普通の車は問題だけれども、三十人乗ればガソリンの消費量は三十分の一ということになるわけですから、そういう方法もいいだろう、こういうことです。  もう一つ、おっしゃるようにフル規格がいいというのは、私は技術屋でございますから、中途半端よりはフル規格がいいということでございます。いずれ、まあ私なんかいなくなるころには全部フル規格になるんですから、だったら早い方がいいだろう、こういうことでございます。フル規格がなぜいいかというと、今までフル規格でやって途中、例えば秋田、こまちかな、こっちの山形とかいうんでも非常にみんな喜んでいますね。私も何回も乗ったけれども、たしかあれは一年間で一・三倍か四倍ぐらいふえていますね。  ですから、そういうメリットというのがございますから、私はフル規格の方、技術屋でございますから、設備をやるんだったら完璧なものがいいですよ。工事を分断しても、ちょこちょこやるよりは、我々の後の世代までを考えた場合にはフル規格がいいだろう、こういうことでございます。  一つ追加さしていただきますけれども、目的税の問題、岡野さんと合わないんだけれども、これは私が言っているのは例でございまして、その例を一つ一つやられると困るんだけれども、特定の財源というのは、未来永劫まで固定してはだめだということなんですよ、結論は。それだけちょっと追加しておきたいと思います。
  29. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今並行在来線の問題が出ましたので、これについて中沖参考人の方にちょっとお伺いをしたいと思います。  整備新幹線がつくられますと、並行在来線経営分離、まず赤字になるだろうと思いますし、あるいは廃止になるところもあるだろうというふうに思います。そうしますと、その地域の住民の人たちにとって果たして本当に便利になるのかどうかというと、逆に不便になるんではないかというような地域の人たちの御意見もあるやには聞くんですけれども、そうした場合に、県の立場としては整備新幹線推進ということで積極的に対応される、ただ、沿線の自治体の中にはそれは困るというような自治体もあるんではないかと思いますが、そういう自治体の同意が最終的に十分得られるのかどうなのか、あるいはまた住民の足というのをどういうふうに確保していかれるのか、そういう点について御意見をちょっといただきたいと思います。  それから、先ほども出ましたフル規格かスーパーかあるいはミニ新幹線か、いろいろありますけれども、それについて中沖参考人はどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  30. 中沖豊

    中沖参考人 並行在来線につきましては、私としましては、やはりJRが引き続いて運営をしていただくことが望ましいと思います。しかし、これまでの政府・与党の申し合わせもありまして、経営分離が決まっておりますので、やはりやむを得ないものというふうに考えておるところであります。  経営分離された後の並行在来線についてでございますが、やはり通勤通学の足を守る、そして住民の生活を確保するということが必要であります。こうしたことから考えますと、経営分離された後の並行在来線につきましては、やはり第三セクターによって運営されることになるというふうに考えておりますし、また、関係地方自治体、住民等と十分協議しながらそのような方向で進めなければならないと考えておるわけであります。今私が答弁申し上げておりますのは、富山県のことを中心にして申し上げておりますが、恐らくは他の地域においても大体同じような考えではなかろうかというふうに思っております。  そこで、第三セクターの運営についてでございますけれども、経営の健全化を図りますために地域としてできるだけの努力をしなければなりませんが、国に対してもいろいろと支援策をお願いしなければならないと思います。例えば資産の無償譲渡、貸し付けあるいは第三セクターに対する地方団体の支援に対する財政措置、さらには優遇税制などにつきましてやはり強く国に要望していきたいというふうに思います。そして地元としましては、県、市町村、経済界などが一体となって取り組むこと、また効率的な経営を行うこと、それからさらには、利用面で住民に役立つようなそういうサービスの向上を図ることが大事でありまして、何よりも住民のマイレール意識を醸成することが非常に重要ではないかというふうに思います。  それからまた、第三セクターに関連いたしまして、地域の発展を図ることが大事であります。ですから、駅前の駐輪場の整備でありますとかあるいは盛り場を育てるということ、さらには観光などのイベントを進めることが大事であるというように思うわけであります。いずれにいたしましても、第三セクターの運営は非常に厳しいものがありますので、ぜひ国に対しましても積極的に支援をお願いしたいというふうに思いますが、地元としてもできる限りの努力をしていかなければならないというように考えております。  それから、ミニ新幹線あるいはスーパー特急などについての御意見でございますが、私は基本的には従来の鉄道高速化するということがやはり一番大事だというふうに思っております。そのために今いろいろな方法があります。枝線のような、側線のようなところについては本線と一体となって運営されるというような意味で、私はやはりミニ新幹線というのは非常に有効であるというふうに思います。  それから、在来線との接続というようなことなどでスーパー特急の問題が出てまいりますけれども、これは将来、フル新幹線になるという一つ前提でありますから、そういう暫定的な施策として進めるべきであろうというように考えております。いずれにいたしましても、地域にとりましてはやはり鉄道高速化ということが一番大事でありまして、それにつきましていろいろな手段があるというふうに思いますが、ただ、基本的な本線につきましてはあくまでもフルで進めるということが基本でなければならない、約二百キロを超える高速のフルの規格で進めることが本線にとっては基本であるということを申し上げたいと思います。
  31. 細川律夫

    ○細川(律)委員 最後になりますが、では、桜井先生にちょりとお聞きしましょう。  桜井先生は、国鉄の民営・分割、ちょっと批判的なお考えで言われましたけれども、現在残っている長期債務、二十八兆円に上りますこの債務、具体的にはどういうふうに解決をしたらいいかということが話されていなかったと思いますけれども、簡単に、どういうふうにやったらいいのか、お願いします。
  32. 桜井徹

    桜井参考人 大変難しい問題を言われまして、学者の任務は批判することにあるので、というのは逃げ道になりますのでやめます。  簡単に言いますと、先ほどの陳述でも言いましたように、根本的には債務を発生させた者ですね、負担責任を貫くべきではないか。先ほどどなたかから、住専の問題のときに、六千八百五十億円のときでもそういう問題を言われまして、それがなかなか貫徹しなかったように私は思っておりますけれども、二十八・三兆円はもっと大きい額でありまして、それこそ岡野先生が言われましたように、国民が納得するような債務処理をしなければいけない、そのときにやはり一番の公正な債務処理の方法は、債務を発生させた者が処理すべきである。  では、そこで、国鉄債務はなぜ発生したかという原因に遡及しなければいけないのですが、当面は、私は、先ほどどなたかも言われましたように、あるいは自動車との関係国鉄経営危機に陥ったということも考えますと、そしてまた先ほども言いましたように、ドイツの例も言いましたが、鉱油税などを勘案してやるべきではないかと思っております。数量的な検討はまだ行っておりませんが、債務を発生させた者が負担するという方向が望ましいのではないかと思います。
  33. 細川律夫

    ○細川(律)委員 ありがとうございました。岡野先生にはちょっと質問できなくて、大変失礼いたしました。では、私の方は終わります。
  34. 杉山憲夫

    杉山委員長 寺前巖君。
  35. 寺前巖

    ○寺前委員 今、桜井先生に質問がありましたのを、もうちょっと続けさせていただきたいと思います。  率直に言って、国鉄長期債務負担問題が、十年たったのに一向に解決されない、これはやはり最大の問題だろうと思うのです。分割民営化していっぱい借金があったものを、子供たちに、おいおまえはここや、おまえはここやと言って、安い安い簿価で、はい、財産持っていきなよと言って渡してやった、それを渡してやったところがまた債務がずっとふえていっている。そんなやり方をしておって、また親元へぱっと帰られた日にはたまったものじゃない。だから閣議の方でも、国民負担にならぬようにせいやとわざわざ決めなければならぬということは、そんな分け方をしたやり方には問題があるんじゃなかったか、十年たった今、その反省をはっきりするということが私は大事だろうと思うのです。  そこで、私は、その経過を長々とやることは別にして、二十五兆五千億であったものが三兆円も膨れ上がって二十八兆三千億円になってしまった、これは、もともとこういう分割・民営が悪かったものの、その後の形においてもやり方に問題があったというふうに言わざるを得ぬのじゃないだろうかと思うのですが、桜井先生、さっきからずばりずばり言っておられたから、私率直に、ずばり聞かせていただきたいと思うのです。こういう仕組みをやっておったらあかんやないかというやつをひとつお聞かせいただきたい。
  36. 桜井徹

    桜井参考人 先ほど陳述で飛ばしました部分を質問していただきました。  なぜ国鉄清算事業団、二十五・五兆円を引き継いだ国鉄清算事業団が二十八・三兆円になったか。もう皆さん先生方御存じのとおりでありますが、念のために再確認してみたいと思います。  第一に、国鉄清算事業団債務償還計画が、バブル経済による土地価格と株価の高騰に依拠しようとしたからである。これはもう皆さん御存じのようであります。バブル経済時に高く売っておけばよかったのではないかという御意見もありますけれども、そもそもバブルでありまして、淡い期待を抱くべきではなかったわけです。  第二に、国鉄清算事業団への財政措置として、専ら財政投融資資金に依存した。そして、逆に言えば政府助成が、要するに一般財源の投入が極めて低い水準にとどまったからです。国鉄分割民営化時に国民負担分とされた十三・八兆円を三十年間で償還するには毎年一・三兆円の政府助成額が必要とされた、当時審議官が述べられておりますが、しかしながら、実際の政府助成額は極めて低水準であった。もちろん、それでも一九八七年度から九〇年度までは、千六百六十八億円、千九百五十三億円、六千百億円と増加していましたが、九〇年度には千五百十億円、九一年度には千億円、九二年度から千億円を割り込んで、九四年度では七百六十二億円。バブルが崩壊した後一さらに政府助成額が減っているわけです。債務が累積するのは目に見えているわけです。  第三に、先ほども少し言いましたが、新幹線譲渡収入、これが整備新幹線に充てられたという問題も、大きな問題ではありませんが、姿勢の問題として重要ではないかと思っております。
  37. 寺前巖

    ○寺前委員 ちょっと私、引き続き率直に聞かせてほしいのですが、財投の話、先ほどから質問にありました。今、低金利の〇・五%のときだけれども、五%の利子で財投資金を借りている。あるいはいろいろな、鉄道関係しておったところから借りているとかいろいろあるでしょう。その低金利への切りかえというものはできるのかできないのか。私、これは一つ国民的な、やはり注目を受けている課題だと思うのです。  それから第二番目に、国鉄が持っておった財産というのは七十何兆とか、その後のことを計算に入れると百兆からの財産を分けてみんな持っていった。財産の少ないところもあれば多いところもあった。財産の多かったところはその後いろいろな事業もやってもうけたかしらない。あるいは働いている人たちを首切るという問題もあって、いろいろがたがた、その後問題も引き継ぎました。だから、そういう財産を持っていかせたあれについて、追加負担というものは考えられないのだろうかということを私は率直に思うのです。  それからもう一つは、これもさっきから出ておった問題です。国鉄の場合は九割以上が借金で賄われていた。ところが、道路の場合、例えば一九七五年から十五年間に投資額は七割を占めていた、税金でその財源の八割以上が賄われてきたという数字が出ています、十五年間の経過に対して。だから、道路投資偏重政策になって、そして道路がまたずっと都市中心にして行き詰まってくる、交通事故が起こってくる、こういうことを考えたときに、財源の面も含めて、総合交通特別会計にして総合的に体制を考えていかなければいかぬじゃないかということがいろいろな方面で言われ始めてきている。  私さっき話を聞いておって、ドイツを見てこられたというお話がありましたので、ドイツではやはり同じ問題に、分割・民営して直面してきたのだろうと思うのですが、それぞれの国には事情がいろいろあって同一視するわけにはいかないけれども、ここらのところをどういうふうにやっておられるのか、うまくいっているのか、いっていないのか。三つの点について、引き続きお聞かせいただきたいと思います。
  38. 桜井徹

    桜井参考人 非常に難しい問題であります。  まず、財投の場合ですが、大蔵省はできないというような基本的な考え方だろうと思うのですが、私は、できるし、しなければいけないと思っております。低金利の借りかえはしなければいけないと思います。  二番目のJRへの追加負担でありますけれども、これは、それこそ私が言う分割民営化基本的枠組みを見直すということが必要だろうと思うのです。そこまでいかなくても、先ほど寺前議員は事業資産の評価の問題を言われていました。まさに既設新幹線の再評価において、一・二兆円でしたでしょうか、浮いたわけでありまして、それを本来は国鉄清算事業団債務償還に充てるべきであったというように思うわけであります。  それからもう一つJRへの負担分については、実際には行われておりますけれども、清算事業団土地JRが購入するということもあり得るのではないか、鉄道復権を言うならば、鉄道のために事業用資産としてJR清算事業団土地を購入することもあり得るのではないか、そういう積極的な活用がされるべきではないかと思っております。  最後に、ドイツの場合についていいますと、皆さんにお配りしました「意見陳述参考資料 ドイツ鉄道改革に関する資料」というのがあります。これの表一を見ていただきたいと思います。「ドイツの連邦交通路計画一九九二」というのがあります。これは計画期間が一九九一年から二〇一〇年で、ドイツ統一後に成立したものでありますが、それによりまして、鉄道網への投資が連邦遠距離道路、要するに日本ではアウトバーンと言われるものを中心とするものでありますが、そういうものへの投資額を超過しております。何よりも我が国と違うのは、ドイツの連邦交通省は、鉄道網、連邦遠距離道路、連邦水路などを総合的に管理して交通投資計画を立てているということであります。  最初にも言いましたように、国鉄分割民営化基本的枠組みは、鉄道鉄道でやりなさい、道路道路でやりなさい、総合交通体系競争市場の中でうまく自立的に調整されるのですよというような無理な基本的な枠組みがなされたために、そして実際にも日本の場合は運輸省と建設省が並立しているがために、こういうドイツのような総合的な交通投資計画がとれないのではないかと思っております。そういうことをとるだけでも日本交通事情の改善に大いに役立つのではないかと思っております。  最後についでに言いますと、ドイツの場合は、連邦的な鉄道は連邦政府負担します、州は負担しませんということを言っておきたいと思います。
  39. 寺前巖

    ○寺前委員 お時間だそうで、もう先生、結構です。
  40. 牧野昇

    牧野参考人 言いいですか。  短い時間で、今の寺前さんの質問の中で二つだけお答えしておきたい。  一つは、借りかえをできるかどうか、五%。これも大変なことで、一番いいのですけれども、借りかえはできないのですね。  なぜかというと、私はわかりやすく言うために、ちょっと誤解されるけれども、例えば定額預金をした人が、その預金を資金運用部に持っていって五%で貸しているというのは、この定額預金の利子、十年間五%でいくよと、そのときによって違いますけれども、約束していますから。それを、おれのところはいいから返すよと言われたときに、それをここへ持っていくのだったら、国会皆さんがいわゆる預金者に対して、国もつらいらしいから少し下げるのに協力してくれ、こう言ってもらうことが必要だ、不可能じゃない。  もう一点、総合交通会計というのがおっしゃるとおり非常にいいのだけれども、できないでしょうね。道路族と鉄道族、余計なことを言わない方がいいかな、それぞれあってできないのですよ、僕も何回言っても。寺前さんが大いに言っていただいて、やはり総合的に考えなければいけないのですね、会計は。だから、その点では非常に私も大賛成ということでございます。  済みません、余計なこと。
  41. 杉山憲夫

    杉山委員長 ありがとうございました。
  42. 寺前巖

    ○寺前委員 もう時間もないから、ここで論争するわけにはいきませんので、僕は借りかえの問題は検討すべきだというふうに思っています。  最後に、もう時間があれですから、知事さんにお聞きしたいと思うのです。新しいスキームは、これだったらもう二度と心配するような債務をつくるということにならぬというふうに思われるのか。やはりこれも心配だな、自治体の話だけじゃないのですよ、全体のスキームとして。  というのは、このスキームの中で、JRは受益の範囲で金を納めていくという問題がある。そうすると、もうからなかったら払わなくてもいいということになると、このスキーム自身が、それならその分だれが責任を負うのだという問題が出てくると僕は思う。僕はやはり心配だ。だから、心配だから一々協議をやって、この線は大丈夫かなと収支の採算を見ないことにはいかぬなと一回一回言っておるけれども、収支の採算を見ていて、毎年毎年これまでもやってきて、全部パアになってきて、整備新幹線もそうなってきたわけでしょう。だから、スキームの組み方自身に問題があるんじゃないだろうか、知事さんはどういうふうにお考えになっているのだろうかなということをひとつお聞きしたい。  もう一つは、整備新幹線をやっていくと、既存の線を、あかんところはつぶしていくんだというのがちゃんと条件になってきている。だから、現に長野のあの新幹線をつくるときに、群馬県から長野県の県境のところはつぶれてしまうと通学が困難になってくる、大変な問題が起こりますね。やはり、それを条件にするようなことにしたらいかぬ。やはり既存の鉄道路線は確保するということを考えなければいかぬじゃないかと思うのだけれども、知事さんはその問題についてどういうふうにお考えになっているだろうか。第三セクターでやれるところもあるし、やれぬところも出てきたわけです。第三セクターでこれまでいろいろな形でやったもので、何例あって、何例はうまくいかぬのだという問題点について、お知りだったら教えてほしい。  以上です。
  43. 中沖豊

    中沖参考人 整備新幹線は、国土の均衡ある発展と地域活性化に極めて大きな効果を持つ事業でありまして、これからは国と地方が一体となってその整備を進めていかなければならないと思うわけであります。「そういう点から、」今回新幹線鉄道整備法の改正案が提出されておりますが、この改正案におきましては、新幹線鉄道建設に要する費用につきまして国と地方公共団体負担が規定されまして、また、地方負担に対する国の財政支援措置が講ぜられることになっておるわけであります。今、国におきましても大変厳しい財政環境の中にあるわけでありますがその中でこうした改正法案が提出されますことにつきましては、やはり率直に評価を申し上げたいというふうに思っております。  ただ、従来、この整備新幹線建設にかかわる建設負担につきましては、政府・与党の申し合わせなどもあったりいたしまして、地域が一定の範囲で、つまり約一五%を負担してきているという経緯があるわけであります。したがいまして、地方といたしましては、今後とも実質的に現行の一五%の負担を超えることがないように改めてお願いをしたいというふうに思っております。  なおまた、JRにつきましては、やはり積極的に協力をしていただくということが非常に大事でありますから、ぜひ運輸省等におかれましても、JR負担について御尽力をお願い申し上げたいというふうに思います。  それから、並行在来線の問題に.つきましては、先ほどの御質問でもお答え申し上げましたが、やはり従来のこの申し合わせからも、経営分離されることはやむを得ないのではないかと思っております。ただ、その場合におきましても、通勤通学の足を守り、住民の生活を確保するということが極めて重要であります。そういう面から申しますと、やはり経営分離後の並行在来線につきましては、第三セクターによる運営ということが必要になってぐるのではないかというふうに思っております。富山県の場合はそういうような方向で進めておるわけでありまして、全国におきましてもそのような考えが多いのではないかというふうに思います。  ただ、この第三セクターの運営につきましては、先ほども申し上げましたが、非常に経営が難しい面がありますので、地元といたしましてもできる限りの努力をいたしますが、国におきましてもいろいろな優遇政策をとっていただく必要があるというふうに思います。現在、運輸省と地元で研究会などもつくっておりますが、こうした点なども十分煮詰めていただきまして、これから運輸省にもいろいろと御尽力をお願いしたいというふうに思いますし、また国会議員の先生方の一層の御尽力も重ねてお願い申し上げたいと思います。
  44. 寺前巖

    ○寺前委員 どうもありがとうございました。
  45. 杉山憲夫

    杉山委員長 濱田健一君。
  46. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 社会民主党の濱田健一でございます。  牧野先生はお時間の都合でお帰りになりましたけれども、岡野先生、桜井先生、中沖知事、お忙しい中、本当にきょうはありがとうございました。私は、時間がございませんので、一点に絞って三名の参考人の方々にそれぞれのお考えをお聞きしたいというふうに思います。  先ほど中沖知事がお話をしてくださいましたとおりに私も鹿児島の出身でございまして、地方に住む住民にとりましては整備新幹線、そして一応去年の七月に北海道から九州の端っこまで高速道路、背骨の中心が貫通いたしましたけれども、どうしても早くつくってほしいという悲願であるということは、私もそのとおりだというふうに認識をしております。そして、おっしゃいますとおりに、多極分散型の国土、均衡ある発展ということも、まさに言葉の上で私たちにとって、国民全体にとって悲願であることは事実だと思うのでございます。  しかもながら、先ほどから何名かの委員が質問をしておりますとおりに、高速体系が整うがゆえに、地方で日々生活をしている、どういう表現をしたらいいのでしょうか、一般の、普通の市民は逆に生活上のデメリットを来していくのではないか。現実にそういうことが起きているのではないか。例えば、私の住む地域のある離島が、橋ができたがゆえに、車を持っている人は便利になったのですけれども、車を持たないお年寄りは、今まで自分のうちのすぐ前から船が出ておりました。十分ぐらいで対岸に行けたのに、橋ができたがゆえに、とぼとぼとぼとぼと橋を渡って、船がなくなってしまって非常に困っているというようないびつな状況も出てきているわけでございます。  それで、中沖知事のお話の中に、東北新幹線の沿線で見られるように、企業誘致や各種のプロジェクトの進展が見られたところであり、既設新幹線沿線地域の発展は目をみはるものがあるというふうにお話をしてくださいましたが、もともと経済圏が東京だとか大阪だとかというところと結びついていて、高速道路道路体系その他の交通機関もある程度できているところは、そういうふうな総合的な戦略といいますか戦力といいますか、そういうもので、新幹線も相乗効果を与えることによって、いろいろな地域の発展に結びつくのではないか。そういうものがないところでは、例えば岡野先生が先ほど言われましたが、新幹線、高速道も地域振興十分条件ではないというふうに言われましたし、逆に桜井先生が、東京一極集中を招くのではないか、まさに地方がより形骸化していくのではないかというようなお話をされたわけですが、私自身、新幹線一日も早くという思いがありながら、そのメリット地方デメリットも考えながらの対策というものが必要だと思うものですから、その辺を三名の皆さん方に三分か四分ぐらいずつでお話しいただければと思います。
  47. 岡野行秀

    岡野参考人 私も長い間、かつて特に若いころは地域経済のことをやっておりまして、方々回ったりしてきたわけでありますけれども、交通条件がよくなればいいことばかりではありません。特に、地域については、メリットを受けるところもあり、メリットを受けないところもあり、産業についても、メリットを受けるものもあり、メリットを受けないものもあります。  例えば、東京の付近はその点では恵まれておりまして、高速道路ができて、例えば大根の出荷は、今北海道からも東京へ出荷しております。かつてそういうものがないときには、とてもそんなことはできなかったわけです。したがって、北海道の農民にとっていいますと、それだけ自分たちの市場が広くなったわけで、潤ったということになりますが、逆に山梨等、どこですか、二、三県については、以前よりも大根の出荷が東京については減っております。これは本当はマイナスかどうかといいますと、たまたま首都圏の場合には、ほかで埋め合わすもの、あるいはほかでもっといいものがあるからかわったのであって、したがって相対的にマイナスは受けていません。しかし、これがないところでは、マイナスを受けるということは明らかであります。  それから、先ほどの離島の話のようなことがありますけれども、これは要するに、橋にかわったときに、今までの船とは違うんだということを前提に、新しいことを考えなければいけないわけです。  かつて、過疎地で有名な匹見町へ私調査に行ったのはもう二十年ぐらい前ですけれども、そのころ既にバスが廃止になりまして、町営のバスがやっておりました。そのうちに実際には自家用車の公共的利用みたいなものが始まるわけですね、バスがなくなれば。有線のスピーカーで、だれだれさんがどこどこに行きたいと言っているけれどもだれか行ってやれないかと言うと、自分の車を持ってきてやる、こういうシステムはただ保険の問題があります、事故については。それさえやれば片がつくわけでして、今の場合も、老人をだれが乗せていってあげるという人がいれば社会はうまくいくわけでありまして、それを橋ができたからまずいという話にしてしまうのは余りにも惜しいのじゃないか、橋によって恩恵を受けた人もたくさんいるわけですから。したがって、常にいいことばかりではないということは初めからわかっておりました。これは貿易自由化と全く同じであります、よくなる産業と悪くなる産業があるということは明らかでありますから。  したがって、私が申したいのは、そういう新しい交通手段あるいはよりよい交通手段の整備によって、それを生かすように自分たちが新しい仕組みを考えなければいけない、そういう用意をしていないと、せっかく新幹線が来たけれども、珍しいうちは皆来てくれたけれども、そのうちにもう来なくなってしまったというような話になってしまう。私が、新幹線にしても高速道路にしても、この整備十分条件ではないというふうに申し上げたのはそういう意味でございます。
  48. 桜井徹

    桜井参考人 今の御質問、確かにそうだと思います。そして、私は陳述でも言いましたが、それを整理しますと二つの対抗軸があるのではないか。  一方は在来線地域的な在来線活性化、それからもう一つは高速鉄道地域と全国的な幹線鉄道網という対抗軸。それからもう一つは、鉄道道路という対抗軸でありまして、そして、まず地域的な鉄道と全国的な整備新幹線的な鉄道との対抗軸でいえば、私はまずは地域的な鉄道整備することが重要である。その次に、あるいはそれと並行して道路鉄道との対抗軸で考えますと、鉄道の優先的整備が図られるべきである。二つの対抗軸で考えないと、混乱するのではないかと思っております。  それで、ついでに言いますと、しばしばドイツの例を出して申しわけありませんが、ドイツでは、地域的な交通については、ドイツ鉄道改革法とともに同時に地域化法という公共近距離輸送の地域化に関する法律という法律が通りまして、それに基づきまして地域的な鉄道経営はすべて州ないしは市町村に移管するということになっております。そして、そのための費用は連邦政府が鉱油税から、従来、ドイツ国鉄時代に出しておりました赤字相当分をはるかに超える額を連邦政府が州政府に出しております。あわせて同時に、これまた鉄道改革法と同時につくられました法律で、連邦通路整備法という法律ができまして、その連邦通路整備法の中に、毎年の連邦の鉄道投資総額のうちの二〇%は近距離鉄道輸送、要するに日本でいえば、ローカル線輸送にかかわる線路の投資に充てるんだということになっております。ドイツ鉄道投資額がいかに多いかというのは、先ほどの表及び表二にも書いてありますので、御参照ください。終わります。
  49. 中沖豊

    中沖参考人 整備新幹線地域に与える効果でありますが、まず直接的な効果としましては、新幹線利用者が受ける時間短縮や定時性などが挙げられます。そして、それらに起因して、行動圏が拡大し、沿線人口の増加、入り込み観光客数の増加あるいは産業活動の活性化など、間接的な効果が見られるわけであります。既にいろいろと何遍も例が挙がっておりますが、例えば東北新幹線につきましては、入り込み観光客あるいは製造品出荷額につきまして、全国平均を上回って伸びておる状況でありまして、私どもも率直に言って大変うらやましいという感じもいたしますが、整備新幹線地域の経済振興に大きな役割を果たしているというふうに思っております。ただ、濱田先生御指摘のような点につきましては、これは非常に重要な点でありまして、やはりあらかじめ対応することを考えておかなければならないというふうに思います。  大都市にはいろいろなものを吸引する力がありますし、特に東京につきましては何でも吸収してしまうというあやしい力があるように実は思ったりいたしております。そういうことに対抗して、地域がたくましく生きていきますために、やはり明確なビジョンを持つことと、それを着実に実行するということが大事ではなかろうかというふうに思います。地域の主人公というのはあくまでも住民の皆さんでありますから、やはり住民が知恵も汗も出していろいろ頑張っていくということが非常に大事ではないかということを感じております。  今後、ひとつ先生方の一層の御指導もいただければ大変ありがたいと思うわけであります。
  50. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 あと三分ぐらいありますので、岡野先生に。  岡野先生の債務問題についての御指摘の中で、③のところに「納税者に旧国鉄債務返済がどう進んでいるかを示すことである。」と書いていただいておるのですが、私もきのうの質問で、もつともっと国民皆さん方に、こういう状況なんだ、政府がとかJRがとかということでなくて、国民全体の国鉄を利用してきたというかそういうツケなんですよということで、情報開示を明らかにしながら納得を得られる方向性というものを進めるべきだという質問をさせていただいたのですが、これを示すことによって、上の方の「政府借金だらけだが、国民は決して貧乏ではなく、負担する能力はある。」この「負担する能力」をどういう形で引き出せばいいと思っていらっしゃるのですか。
  51. 岡野行秀

    岡野参考人 特別会計にしなければいけないというのは、これは国鉄改革のときはまさにそうだったわけですね。  ドイツの改革は、我々日本で改革が終わった後二年後にベルリンでやったわけですが、盛んに日本のことを勉強しておりました。ですから、日本やり方問題点があったかどうか、あるいはドイツの国情に合わせるように日本のを見てやったのが彼らです。特別会計になっているといいということは、日本国鉄改革も、多分過去の債務について特別勘定に明示的に挙げておかなかったならば進まなかっただろうと思うのですね。それはドイツにしてもイギリスにしても、途中で何年かごとに、全部政府が面倒を見て、切ってしまった。したがって、これだけの借金があったと残ってないわけですね。  日本国鉄の場合には、そういう特別勘定にちゃんと明示することにしましたから、たまっていきます。それはたまっていくものは見えますから、国民も、これではどうしようもないだろうということがわかるわけですが、イギリスやドイツの場合にはそれを切ってしまったものですから、毎年、何年かたまっていくとまた切ってしまう、もうゼロになってしまいますから。すると国民は、ああ大丈夫なんだな、問題ありそうだけれどもと。目に見えないわけですね。したがって、それと同じように、今度の場合も特別会計にして、そして毎年どれだけどういう財源でそれを投入して減らしていくかということを明示してやっていくべきだと思います。  先ほど申し上げましたように、今、確かに国民税金にアレルギーになっておりますけれども、私もかなり税金を払っているのですけれども、それでもやはり何かしなければいけないということがあれば、私は、今は特別減税分なんかありますけれども、それによってどのぐらい私たちが恩恵を受けているかというと、大したことないわけです、そういうことを言っては申しわけないですけれども。少しぐらい、特に時限的に、何年かにわたってこういう税で取りたい、問題は、そういったときに国民はなかなか信用してくれないのですね。何年かたちました、特別会計の方の借金はなくなりました、しかし、何かもったいないな、せっかく取った税金だから、では何とかという名目をつけて、そのまま維持して続けよう、そういうような態度がどうも国や政府にあるものですから、それで国民は納得しないわけです。この際、ちゃんとけじめをつけて、そして、これは五年限りだ、あるいは、これは十年限りであるという形でやっていけば、私は、国民のかなりの人は、文句は言いますけれども、しようがないというふうに思うのではないかと思います。
  52. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。
  53. 杉山憲夫

    杉山委員長 以上で参考人に対する質疑は終了 いたしました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。  参考人各位には、大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。委員会を代表しまして御礼申し上げる次第でございます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十一分散会