○
中沖参考人 おはようございます。
富山県知事の
中沖でございます。
整備新幹線の
建設促進を熱望しております沿線
地域を代表いたしまして、
意見を述べさせていただきます。
整備新幹線は、国土の均衡ある発展と魅力ある
地域づくりに不可欠な
総合交通体系の基盤でありまして、極めて大きな意義を持っております。
整備新幹線には、御案内のように、北海道
新幹線、東北
新幹線、北陸
新幹線、九州
新幹線鹿児島ルート、九州
新幹線長崎ルートの五線があります。そして、この
整備新幹線につきましては、
昭和四十八年に
整備計画が決定されまして以来、その時々の時代の流れの中で
建設促進と
凍結が繰り返されまして、私たちは、その都度一喜一憂してまいりました。しかし、
昭和六十三年には、
政府・与党の合意によりまして、ようやく
建設優先着工区間が決まり、翌年の北陸
新幹線高崎-軽井沢間の着工以来今日まで、東北、北陸、九州の各
地域におきまして三線五区間の着工がなされ、着実に工事が進んできております。このうち、北陸
新幹線高崎-長野間につきましては、ことし秋の開業が間近に迫ってまいりました。これまでの国
会議員の諸
先生方を初め運輸省など
関係機関の
皆様方の積極的な御尽力に対しまして、心から感謝を申し上げたいと存じます。
整備新幹線は、国土の骨格を形成し、大都市圏と
地方圏とがともに均衡ある発展を遂げ、生き生きとした我が国を築くために極めて重要な国家プロジェクトであります。
新幹線の及ぼす効果や
メリットは、四点に集約されるものと考えております。
まず第一に、
新幹線は、多極分散型の国土を形成し、我が国の均衡ある発展を目指す上で重要な高速
交通体系であります。こうした意味で、
新幹線はこれまでも大きな貢献をしてまいりましたが、今後さらに全国的なネットワークとして
整備されることによりまして、その役割は一層増大するものと考えております。特に、北陸
新幹線は、今後更新が必要となってくる東海道
新幹線を代替補完する機能を持っておりまして、阪神・淡路大震災において山陽
新幹線が不通となったときの状況等も考えますと、その
建設を急がなければならないと考えております。
第二に、
新幹線は、沿線
地域の開発や
振興に極めて大きな効果を果たしております。
地域におきましては、高速
交通のないところでは、企業誘致などもままなりません。東北
新幹線の沿線で見られますように、その沿線
地域において企業誘致や各種プロジェクトの進展があったところでありまして、
既設新幹線の沿線
地域の発展には、まさに目をみはるものがあります。
第三に、
新幹線は、高速性、安全性、大量輸送性などすぐれた特性を持っております。こうじた特性は、
国民の一日行動圏を拡大し、沿線
地域の豊富で多彩な観光資源の魅力を高め、大都市圏に住む人々はもちろん、
国民の余暇活動の充実と広域的な活動を促し、
地域に活気を、生活に潤いをもたらすものであります。
第四に、これは
牧野先生もおっしゃいましたが、
新幹線は、他の
交通機関に比べ、エネルギー効率の面ですぐれた輸送手段であることが挙げられます。
自動車や
航空機等に比べ単位輸送量当たりのエネルギー消費量が少なく、非常に効率的であり、地球の温暖化等の環境問題への対応手段として極めて重要であると思っております。このように、
整備新幹線には大きな効果、
メリットがあるにもかかわらず、その
整備には余りにも時間がかかり過ぎております。
昭和四十八年に
整備計画が決定されまして以来、二十三年を経た今日におきましても、なおまだ
整備五線全線の
整備スケジュールが明確になっておらず、まことに残念であります。
そもそも、我が国におきまして
国民が真に豊かさを実感できますためには、必要な社会資本の
整備を積極的に、また着実に実施していくことが重要であります。現下の国、
地方を通じての厳しい
財政環境の中にあっても、事業の重要性にめり張りをつけて計画的に実行していくことが
国民の信頼にこたえ得る国政の基本であると考えます。中でも、
整備新幹線は、高速
交通体系の根幹をなす社会資本であり、国家プロジェクトとして
建設を進めなければなりません。
整備五線全線をフル規格で
整備するとしましても約七兆円でありまして、公共投資
基本計画の総額約六百三十兆円の一%をわずかに上回るだけであります。また、
平成九年度予算におきましても、公共事業費総額のわずか〇・三%しか投入されていない状況にあります。
整備新幹線に充てる公共事業費の枠をさらに増額していただきまして、
建設を促進することが極めて重要であると考えております。
以上、
整備新幹線の
建設促進につきまして申し述べてまいりましたが、
整備新幹線沿線十八
都道府県は、二十有余年の長きにわたりまして
新幹線の
建設促進を強く要望してきたのであります。このような
地元からの熱望にこたえまして、各政党におかれましても、
整備新幹線の
建設について御尽力をいただいてまいりました。そして、昨年末には新しい
基本スキームの見直しが行われたところであります。
そこでは、
平成三十年度までの
財源スキームの中で、優先的に新規着工する区間が盛り込まれ、今後、収支
採算性等が十分検討され、優先着工順位と事業費の配分が決められることになっております。沿線
地域としましては、
平成三十年度などと言わず、もっと前倒しにしていただきまして、
整備が促進されるよう心から願っております。
そして、この新しい
基本スキームを受けまして、今回、
全国新幹線鉄道整備法の
改正案が
国会に提案されました。新
基本スキームの策定、
改正法案の提出など、国
会議員の諸
先生方、運輸省を初め
関係機関の
皆様方に大変御苦労、御尽力をいただいてまいりましたが、心から感謝を申し上げます。
それでは、この
改正法案につきまして
意見を申し上げます。
まず、今回の
改正法案におきましては、
新幹線鉄道の
建設に関する工事に要する
費用につきまして、国と
地方公共団体の
負担が規定され、さらに、
地方の
負担に対する国の
財政支援
措置が講ぜられることになっております。現下の厳しい
財政状況の中でこうした
改正法案が提出されていることにつきましては率直に評価したいと考えております。
なお、従来、
整備新幹線の
建設に係る
地域負担につきましては、
平成元年一月の
政府・
与党申し合わせに基づき、
地域の熱意のあかしとして
地域が一定の範囲、約一五%を
負担してきた経緯があります。今後とも、実質的に現行の一五%の
負担を超えることがないよう、改めてお願いしたいと存じます。
また、こうしたことにあわせまして、法律の
目的に「
地域の
振興に資すること」が加えられることもあり、また、工事実施計画に関する認可をしようとするときはあらかじめ
都道府県の
意見を聞かなければならないものとされましたことは、
地方の
立場について十分配慮されたものであると考えております。今後は、この
改正法案の審議を尽くしていただきまして、一日も早く
法案を可決いただきますように、心からお願いを申し上げます。
整備新幹線の
建設は、沿線十八
都道府県住民約六千万人の長年にわたる悲願であります。
新幹線鉄道は全線
整備されてこそ初めて効果が発揮できるものであります。一日も早く全線の
整備スケジュールが示され、沿線住民の悲願が実現いたしますように、一層の御尽力をお願いいたしまして、私の
意見といたします。
どうもありがとうございました。