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1997-04-04 第140回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月四日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員   委員長 杉山 憲夫君    理事 林  幹雄君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 横内 正明君    理事 江崎 鐵磨君 理事 北橋 健治君    理事 細川 律夫君 理事 寺前  巖君       衛藤 晟一君    関谷 勝嗣君       橘 康太郎君    谷川 和穗君       中馬 弘毅君    古屋 圭司君       堀内 光雄君    森田  一君       上田  勇君    久保 哲司君       今田 保典君    坂本 剛二君       玉置 一弥君    中田  宏君       松浪健四郎君    川内 博史君       辻  一彦君    平賀 高成君       濱田 健一君    望月 義夫君       米田 建三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 古賀  誠君  出席政府委員         運輸政務次官  衛藤 晟一君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君  委員外出席者         運輸大臣官房技         術審議官    澤田  諄君     ――――――――――――― 四月三日  四国の新幹線鉄道整備促進に関する陳情書  (  第一五〇号)  九州における新幹線網建設促進に関する陳情書  (第一五一号)  公共交通規制緩和導入の反対に関する陳情書  外二件  (第一五二号)  ロシアタンカー油流出事故対策に関する陳情書  外二件  (第一五三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二七号)  日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を  図るために平成年度において緊急に講ずべき  特別措置に関する法律案内閣提出第二六号)      ――――◇―――――
  2. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案の両案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、来る九日、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その時間及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 杉山憲夫

    杉山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。堀内光雄君。
  5. 堀内光雄

    堀内委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案並び日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案について、若干の質問をさせていただきます。  まず最初に、全国新幹線鉄道整備法法案についての質問をいたします。  この法律は、新幹線建設に取り組む国の姿勢というものが転換されたという意味において画期的なものだと私は存ずるのであります。つまり、新幹線国土の総合的かつ普遍的開発に重要な役割を果たすものとして、国費をもって真っ正面から新線建設に取り組むことを表明したものでもあると思います。また、地方公共団体におきましても、従来の単なる新幹線建設の要望の立場から、この建設に資金を出して正式に参加をするということになった点であります。  そこで一つ伺いたいのでありますが、新幹線地域振興に資するということを今度の目的の中につけ加えられたわけであります。我々も感じますが、一般の人はなぜ今まで入っていなかったのかと不思議に思うようなものでありまして、この点、なぜであったのか、お願いします。
  6. 梅崎壽

    梅崎政府委員 新幹線につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、地域振興に大変大きな貢献をしてきているものだと思っております。地域格差の是正あるいは地域住民利便性の向上、産業振興などに大きな役割を果たすものでございます。  今般法律改正いたしまして、全国新幹線鉄道整備法目的規定に「地域振興」を入れましたのは、このような新幹線役割にかんがみまして、新幹線建設費につきまして地方公共団体負担法律上定めるということに際しまして、新幹線整備地域振興に資するものであることを目的規定におきましてあわせて明らかにするというような趣旨からこの改正を行うものでございます。
  7. 堀内光雄

    堀内委員 今のお話にもありましたように、新幹線ほど地方地域振興発展に役立っているものはないというふうに私は思うのです。明治二十年代に日本鉄道が敷設を始められました。それは日本の文明開化の役割を果たしたのでありますが、そこまでさかのぼりませんでも、現在でも新幹線は同じような役割地方で果たしているというふうに思っております。  先般の秋田新幹線の開通の様子をテレビなどで拝見をいたしましたけれども地域新幹線に対する大変な期待、思い入れ、そういうものが画面を通じて非常にひしひしと感じられてきたものがあります。もちろん、高速道路地方発展に対して同様に大きな役割を果たしていることは言うまでもありませんが、私は、それに比較してみて、新幹線が駅を中心に面的な地域発展効果を果たすところを含めて考えてまいりますと、高速道路よりはずっと大きな波及効果をその地域に及ぼしているのではないかというふうに思うのです。こう考えてみますと、昨今、道路の方は非常に一般国民からも評価されて、その着工に対しても認知をされている感じなんですが、新幹線がどうもいわれなき悪者扱いをされていることにちょっと義憤を感じるわけなんです。  そこで、新幹線道路との関係あるいは経済効果の問題、こういうものをちょっと質問させてもらいたいのでありますが、経済効果、まず両者比較してみて、両者建設費というのはどのぐらいのものになっているのか、一キロ当たりとかそういうことを含めて教えていただきたい。
  8. 梅崎壽

    梅崎政府委員 新幹線建設費、これは道路でも当然同じことであろうかと思いますけれども建設された時点あるいは建設する場所の地理的状況によりまして異なってまいりますけれども標準軌新線、いわゆるフルの既着工区間におきます実績を見てみますと、平成六年の価格で見ますと、一キロメートル当たり約五十億から七十億というのが実績的な状況でございます。  高速道路の方でございますけれども平成八年の十二月に第三十回の国土開発幹線自動車道建設審議会の終了後に発表された資料を見ますと、新たな整備区間の総延長は九百八十二キロメートル、これに対する概算事業費総額が約八兆四千七百二十億円となっておりまして、この概算事業費総額を総延長で単純に割りますと約八十五億円程度、こういうような数字でございます。
  9. 堀内光雄

    堀内委員 今の説明にありますように、高速道路と一概に比較はできないにしても、新幹線が五十億から七十億、高速道路は八十五億円ぐらい、似通っているかもしれませんが、新幹線の方がむしろ安いぐらいではないかというふうに思います。しかも、これは例のミニ新幹線なんというものを考えると、ずっとずっと安いものが、三億か四億でできるようなところもありますから、そういうものを含めて考えてまいりますと、新幹線効果というものは道路にまさるとも劣らないということがはっきりしてくるというふうに思います。  また、エネルギー消費という面で考えていったときに、どのような一人当たりエネルギー効率というかそういうものがありましたら、ちょっと教えてください。
  10. 梅崎壽

    梅崎政府委員 エネルギー効率でございますけれども平成六年の六月に財団法人運輸経済研究センターが取りまとめました「環境運輸交通」というレポートがございます。このレポートによりますと、各高速交通機関単位輸送量当たりエネルギー消費量は、新幹線を一〇〇とした場合でございますが、自家用車は約四七〇、すなわち四・七倍、航空機は約三二〇、すなわち約三・二倍でございます。こういった状況でございまして、新幹線は他の交通機関と比べましてエネルギー効率の面ですぐれている、こういうことが言えようかと思います。
  11. 堀内光雄

    堀内委員 エネルギー効果という面から考えても、非常にこれは比較にならないぐらい大きいものでありますし、また環境面で、エコロジーの面から考えても大変な違いがあるだろうというふうに思っております。  次に、新幹線そのもの経済効果というようなことについて伺いたいと思うのでありますが、新幹線の線が引かれたことによる旅客の流動面ですね、流動量がどういうぐあいに変化をしてきたか、成果をもたらしたかというようなものがもしありましたら、教えていただきたいと思います。
  12. 梅崎壽

    梅崎政府委員 新幹線効果はたくさんございますけれども、まず最初に、直接的な効果といたしましては、新幹線利用者が受けます時間の短縮の効果、それから定時性やフリークエンシーが向上するといった効果がございます。これに起因いたしまして行動圏が拡大するということによりまして発生いたします沿線人口増加、入り込みの観光客数増加であるとか産業活動活発化、そういったような開発効果が見込まれるわけでございます。  これは、具体的に昭和五十七年に開通いたしました東北新幹線につきまして、開業前と開業後の若干の数字を申し上げさせていただきますと、まず人口の推移でございますが、開業前の昭和五十年に対しまして開業後の平成七年、昭和五十年と平成七年の比較でございますが、青森市、八戸市などの非沿線地域におきましては人口が約一・〇五倍になっているということに対しまして、仙台市、盛岡市等の沿線都市は約一・三倍、こういうぐあいになっておりまして、新幹線沿線都市人口増加が大きい、こういうことが言えるかと思います。  それから、入り込みの観光客数でございますが、開業前の昭和五十六年に対しまして開業後の平成六年、これで比較いたしますと、入り込みの観光客数全国平均で約一・四倍になっておりますが、岩手宮城福島、この東北三県の平均は約一・八倍となっておりまして、これも新幹線開業効果が見られると思います。  それから、製造業におきます製造品出荷額でございますけれども、これも同じく開業前の昭和五十六年と開業後の平成六年で比較いたしますと、全国平均では約一・三倍でございますが、岩手宮城福島東北三県では平均で約一・七倍となっておりまして、これも新幹線開業効果が見られる、このように私ども考えております。
  13. 堀内光雄

    堀内委員 今の地域人口への影響、観光客の入り込み増加あるいは鉱工業生産増加とかいうようなものすべて、幅の非常に広い効果を出しているということがわかるわけであります。  同時にあわせて、新幹線ができた当時から現在までの営業の結果、利用客は相当ふえてきていると思うのです。東北新幹線をつくったってとても採算に合わないよとか、人が乗るものかというような話が相当言われたこともありましたし、上越新幹線についても同じような話がありましたが、開かれて五十八年から十年ぐらいになりますか、その成果というのはどのぐらいの増加になっているかお答えいただきたい。
  14. 梅崎壽

    梅崎政府委員 東北新幹線でまず申し上げますと、年間の輸送人員でございますが、開業直後の昭和五十八年度で約二千三百万人でございました。これが平成年度で約五千八百万人、平成年度で約七千二百万人と、着実に東北新幹線輸送人員増加いたしております。  また、上越新幹線につきましても、開業直後の昭和五十八年度には約一千万人の輸送人員でございましたが、平成年度で約二千三百万人、それから平成年度で約二千八百万人と、これも着実に増加いたしております。
  15. 堀内光雄

    堀内委員 非常に大きな伸びを示しているわけなんですが、これだけの成果が上がりますと、収支の面ではどうなんでございますか。新幹線収支というのは合っているのか合っていないのか。
  16. 梅崎壽

    梅崎政府委員 実績といたしまして、線区別新幹線につきまして、線区別収支状況運営会社の方が基本的に明らかにしておりませんので、確たるデータを私どももつかんでおるわけではございません。一般論で申し上げますと、当初は償却負担も大きいとか輸送量が小さいということで、経営的には当然のことながら苦しいという状態で出発すると思いますけれども、需要の開発効果も出まして輸送人員がふえてくるとか、償却負担も年数がたつに従いまして減ってくるとかいうようなことで、だんだん経営的にも安定してくる、このような状況だろうと思っております。
  17. 堀内光雄

    堀内委員 成績はいいだろうというお考えなんでしょうけれども、今新幹線がこれだけ世の中でいろいろ批判をされたり、また望まれたり、大変な注目を浴びるものであるだけに、監督官庁としてもやはりその辺の収支は、新幹線だけの収支、極端に言えば、大体鉄道というのは、今の切りかえの中で、新幹線ができ上がって、古い鉄道というものから新しい輸送機関新幹線に移っていくのが当たり前なんで、企業の三十年寿命説などということから考えたら、この新しい新幹線そのものJRの将来の中心になるものでありますから、そういうものについての収支の面もしっかりつかまえておいていただきたい、これはお願いをいたしておきます。  今のようなお話を聞いてまいりますと、すべての面で新幹線というのは、道路に比べても経済効果が非常に高い。地域活性化、活力をもたらすものとして大変な力を発揮いたしているわけであります。と同時に、全国の均衡ある国土発展というものを視野に入れて考えていった場合には、新幹線以上の効果を発揮できるような輸送機関というものはこれからもちょっとないだろうというふうに思います。  さっきも申し上げましたけれども一般的に高速道路建設には理解がありながら、新幹線建設ということになると、どうしていろいろな批判が一緒に伴ってくるんだろうかということなんでありますが、その点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  18. 梅崎壽

    梅崎政府委員 大変難しい御質問でございますが、今お答え申し上げましたとおり、新幹線は大変経済的な効果もある、私どもはこう考えておりますが、従前から鉄道整備というものが道路と違いまして公共事業的に行われてこなかった。すなわち、今でも民営都市鉄道はそうでございますけれども、原則として運賃によって賄うという基本的な考え方に立って、そのような形ではできない場合に国が補助をするというような形で鉄道整備が基本的に行われてきた、こういうことによりまして、計画はあっても現実の着実な整備はなかなか進まなかったという点で、実態的に道路鉄道は異なっているところがあろうかと存じます。  そのような点、整備新幹線に関しましては、今の三線五区間建設公共事業関係費整備をするということになりまして、昭和六十三年度平成年度に三線五区間につきましての基本スキームが策定されたわけでございますが、それからやっと、正直申し上げまして、道路に比べますと大変少ない公共事業関係費で、そのような財源の中で効果が高いものから少しずつやっている、このような状況で、一つ関係地域が限定されている。これに対しまして、道路はもう財源が確保されているということもございまして全国的に整備が行われている、こういったような違いが多少は反映されているのではないか、このように思っております。
  19. 堀内光雄

    堀内委員 確かにそういうことだろうと思います。運賃でと言われるけれども、片方は通行料で取っているのでありまして、運賃で賄うから公共事業ではないというような認識ではないと思うのですよ。私はやはり今まで新幹線が歩んできた足取りというものが、理解をされるのに妨げになっているのではないかというふうに思います。  さっきのお話のように、道路は国がっくるものだということが基本的認識になっていますね、国民的な。新幹線国鉄がつくるものだという認識がこれまた定着をしているわけであります。その国鉄は昔、私が言うのはおかしいけれども、昔政治家がいろいろと関与しまして、新線建設とかいろいろな問題で批判をされることがあって、国鉄自体経営を大変悪化させてしまった。新幹線というものもそういう同じ轍を踏ませてはいかぬという危惧の念を持っている人が多いのではないかというふうに私は思うのです。  新幹線整備法改正案というのを、昭和四十五年にでき上がってからずっと眺めてまいりまして、時代の流れというものを感じるわけなんですが、整備新幹線法が制定された昭和四十五年の五月からちょうど四半世紀たって二十七年経過した。当時の国鉄JR民営・分割された。それで新しい姿になった。高速道路全国に広がって、航空機も非常にもう路線を伸ばして、二十一世紀日本交通体系がどうあるべきかということが今改めて問われる状態になってきているわけであります。  この法律ができた四十五年当時というのは、新幹線建設費用というものは国鉄負担するんだ、今もそのままでありますけれども国鉄負担するんだ、国と地方公共団体は助成するという立場にあったわけですね。その後、国鉄経営が悪化して建設費用がだんだん負担できなくなってきた。そのときでも、五十六年の改正で見ますと、国の助成のほかに地方公共団体財政措置を加えることができるというようなものになってきた。さらに、五十八年の十月の改正では、既設の新幹線に駅をつくる場合にはその費用地方公共団体財政措置をしてつくらせることができるということになった。平成三年の四月の改正では、フル規格ではなくてミニ新幹線もできるようになった。  こういうような法律改正で来ておりますが、この改正をずっと眺めておりまして、どんどん前向きに進んでいるということよりも、逆に当初の新幹線をつくるという意気込みのあった、当時は国鉄もよかったのでありますが、そういう意気込みがじりじりと何か後退をしてきているような印象を受ける法律改正がずっとつながってきているということなんであります。そういう意味で、今度の法律改正というのは非常に前向きな大きな、私も最初画期的なことだということを申し上げたのはそういうわけなんであります。  整備法そのものがスタートしたころを考えますと、国鉄が主体でつくるという構えから始まったためにそれがずっと後を引いてきてしまっている。国が三分の二、地方が三分の一を出し合って次の世代のための新幹線をつくるという今度の法律改正基本姿勢が明確になったところで、やはり国が大所高所に立って全体を考えて、進めるべき計画は進めるというやり方を確立してもらいたいというふうに思うのです、及び腰ではなくて。毎年暮れの予算編成最終段階で徹夜に近い折衝をしながら決める、こういうものも、考えてみると、日本の国の均衡ある発展をさせる重要な公共事業としての新幹線予算を決めることとしては随分おかしなものである。国民にも本当におかしな印象を与える。やはりもっと常々積極的に攻め姿勢新幹線というものにしっかり取り組んでいただきたいというふうに思いますが、これは大臣、いかがでございますか。
  20. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生には、日ごろから整備新幹線整備について大変御理解もいただいておりますし、また御指導いただいております。今先生政府委員のやりとりを聞いておりましても、先生整備新幹線整備期待をかけていただいているということを肌で感じて、私も大変心強く思っております。  先生がおっしゃっていただいておりますように、この整備新幹線、これからの我が国高速交通ネットワークを形成していくという意味大変有為性の高い大量輸送機関であるというふうに私は思っております。全く先生と同じ認識でございます。まず、今も御議論いただいておりますが、省エネの問題、ということは非常に環境の面でも利点があると私は思っておりますし、何といっても大量輸送がききますし、正確でありますし、安全であります。そういう意味で、これからの国土の均衡ある発展、また沿線地域経済活性化という観点から考えてみますと、やはり国家的なプロジェクトとしてこれを自信を持って進めていくということは、私たちにとって大変大事な責任だろうというふうに思います。  そういう意味で、整備新幹線というのも従来から公共事業という位置づけをされて、その観点から整備を進めてきたわけでございます。しかしながら、今先生がおっしゃっているように、もっと積極的な姿勢の中で、何といっても国民に、そういう今申し上げましたような観点からも整備新幹線整備していくことが必要なんだということがわかりやすいように進めるべきではないか、そのとおりだと思っております。  私ども、こういった御論議を重ねながら、国家的なプロジェクトとして、公共事業の大事な一つの分野だということで、概算要求、そして暮れの予算編成整備新幹線の果たしていく今後の役割と、これからの我が国国土の均衡ある発展、また地域活性化のみならず、道路だとか空、海のあらゆる交通機関の総合的な高速交通体系のあり方の中で整備新幹線の占める役割というものをしっかりと国民皆さん方にPRしながら着実に公共事業として推進していく、このことにさらに心がけていきたい、こういう決意でおりますので、先生の御指導と御支援をさらにお願いを申し上げる次第でございます。
  21. 堀内光雄

    堀内委員 大臣の力強い御答弁をいただき、まことに我が意を得たりという気持ちがいたします。  次に、今の新幹線攻めの問題であるとすると、今度は、守りの問題である清算事業団債務負担軽減を図るための特別措置法についての質疑をさせていただきます。  この法律は、法案名を読めばそのとおりわかるような内容でありまして、清算事業団平成年度収支不足額約三兆三十五億円を年度末に一般会計で承継して、また、政府から無利子貸付金の五兆三千億円を一年据え置きの延長をすることによって、平成年度から開始される債務本格的処理策を九年度中につくるための時間的余裕をつくるというか、緊急避難というか、そういう処置の法律案だというふうに理解をいたします。したがいまして、この法案内容自体というものはさして中身があるわけではないと思います。しかし、この特別措置法の後に来る本格的処理策といいますか、これについて、この際、問題を詰めてみたいというふうに思います。さかのぼりまして、六十二年度の、JR発足のときに清算事業団が引き継いだ赤字というのが二十五兆五千億ですね。このときの処理スキームというのがどうして蹉跌を来したかということなんであります。これは、やはりこれから先の大きな問題点としてしっかりつかまえておかなければいかぬと思うのですね。1私がいろいろ資料を見させてもらった結果では、六十二年のスキームというのでは、土地売却収入が七・七兆円、JR株式売却が一・二兆円、新幹線保有機構へ譲る施設の再評価差額といいますか、これが二・九兆円、残る十三兆八千億が国民負担お願いするものということになっているわけであります。これを平成年度末というか、現状でどういうぐあいに処理をしたのだろうかというふうに眺めてみますと、資料が間違ってない限りにおいては、土地売却収入が五・七兆円ぐらい、JR株式売却が一・六兆円ぐらい、新幹線保有機構へ譲る施設の再評価差額が二・三兆円。  ですから、さっきのスキームによる全額でいくと、六十二年の計画のときに十一兆八千億の収入考えていたものが九兆五千億までいっているのですね。大体においていい線を出している。極端に言うと、当初の見込みそこそこまで清算事業団というものは努力努力を払って成果を上げてきたというふうに私は見るのです。それにもかかわらず、なぜ二十八兆一千億と増加をしてしまったのかということなんです。これはどういうことだとお思いですか。
  22. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま先生から、具体的な数字を挙げて、六十二年当時の、当初の処理スキーム考え方について御発言がございましたが、まさに御指摘のとおりでございます。  ところで、当時に比べまして、現在、清算事業団の長期債務の残高がふえました理由でございますが、一つ、とても大きな事情としては、六十二年度から今まで、金利の支払いの負担がとても大きかったということでございます。  ちょっと具体的な数字を申し上げさせていただきますと、国鉄清算事業団では、昭和六十二年度から平成年度までの九年間に、まず金利といたしまして九兆二百二十六億円の支払いを行ってまいりました。これに、鉄道共済年金の財政危機に対応いたしまして平成年度から負担することとなりました毎年一千億円の特別負担、これを初めといたします年金関係負担その他の費用の約四兆三千億円、この負担が発生いたしまして、これを合計いたしますと、昭和六十二年度から平成年度までの九年間で十三兆三千億円の負担、こうなっております。  このような状況から、先ほど先生からも御指摘がございましたが、土地の処分を相当行うとともに、株式の処分を行いましたけれども、このような金利の負担あるいは年金関係負担その他の負担に及ばなかったというようなことが原因でございます。
  23. 堀内光雄

    堀内委員 おっしゃるとおりなんですね。支払いの金利、年金の差額にしても、これは積み立ての金利を計算していますから、これは同じなんです。ということになると、十三兆三千億円が出てきてしまったから、その分で赤字がふえてしまったということなんですね。これは、六十二年のスキームに金利という言葉が入ってないのですよ。金を借りていっているとしたら、その金利というものを全く考えてないというのは、これは最初スキーム自体おかしいのですね。私はそう思うのが一つ。  と同時に、清算事業団というのは、民間で考えたら赤字倒産会社を清算するのと同じ会社なんですよ。国鉄だからといって生き返らせて向こうへ出して、残りを清算しているのですから、これも民間でいったら赤字の倒産会社。この赤字の倒産会社というものは、何しろ経常収支がないのですから、収入、インカムがないのですから、ということは、あとは所有するところの土地、資産というものを売却して、そして借り入れを返済して、完了したらおしまいという事業団なんですね。  ですから、本来、普通の日本の民間の清算会社に対して考える場合だったら、銀行はまず金利の減免ということを必ずやってくれるのですよ。そこから清算会社というのは始まるので、金利をどんどんいただいていて清算するなんという会社は、役所は別にして、民間で考えたらそんな常識はないですよ。今、各地でいろいろなバブルの後の問題が出てきていますけれども、そういうところの立て直し、清算をするときには一番先に金利の減免、さらに言うならば、貸付金の免除までやっているところもあるのですよ。  これを考えてまいりますと、十三兆三千億円がもし免除されていたとするならば、当時の二十五兆五千億から十三兆八千億を引いて、さらに、さっき国鉄清算事業団の人が、一生懸命、粒々辛苦して集金をしたというか金を集めた、その金額が九兆五千億ですから、それを引きますと、残りはわずかに二兆二千億なんです。あと二兆二千億清算する。持っている株式と土地を売ればそのぐらいになりますけれども、きれいに清算できたはずのものなんです。それが、金利をずっと取っていた。清算事業団からそれこそ苛斂誅求に金利を取り立てたところが、どこか知りませんが、これがあったわけです。  そこで、九年度首というか、ことしの四月一日における借入金利というものはどういうものかというふうに眺めて調べさせていただい光のです。そうしましたら、一番高いのは昭和四十九年度から三十年間で長期借り入れしていた八・七%ですね。七%以上が二・三兆円です。六%から七%が二・一兆円、五%から六%が三・八兆円、四%から五%が五・一兆円、三%以下はこれからいけぼまあ勘弁するとしましても、四%、五%以上の金利を清算事業団から取っているというのは、ちょっとこれは常識で考えられませんね。有利子の借入金十八兆四千億の七四%が今の四%以上の金利を取っているのですね。もちろん、国は無利子貸付の五兆円をしておりますから、国は非常に協力をしていただいているということだと思うのです。  これを考えますと、この内容をさらにどこが何だというふうに眺めてみますと、財投資金が債務残高十五兆五千億ですね。民間借り入れが二兆七千億。この財投資金の借り入れの十五兆五千億は、平均利率五・三五%というのです。構成比率が六五%ですね。その中に三十年物の五十年に借りたのがずっと八%でつながっている。民間では、高い金利で借りたものはみんな借りかえするのですよ。これは借りかえするといっても借りかえさせてくれないのだと思いますけれども、みんな、最初に決めたからそれで最後まで三十年間やらなければならぬなんと思っている民間の人はいないはずなんです。民間からの借り入れの二・七兆円は金利が二・四四%ですね。  ですから、金利というものを考えたときに、清算事業団というのは最後にツケは国民に回ることになっているのです。最初スキームでも、十三・何兆円は国民負担お願いするということが書いてある。ということは、この財投資金で、全部で十三兆か、この金をどんどん吸い取ってしまうということは、民間にどんどん負担をさせるために清算事業団の金をずんずん財投に吸い上げているということになるのですよ。私の感じでは、そう思います。これはやはり問題ですね。  さっきも申し上げたように、政府の財投が国鉄清算事業団が粒々辛苦して集金した金を吸い上げて、当初以上に悪い状態にしてしまった、これは間違いない事実だと思います。ですから、国民負担をふやして国民にツケを回しているというような、こんなわけのわからぬ話と言ったらちょっとあれですが、これは後、国民に最後の清算をお願いします、負担お願いしますといったときに通るかどうか、私はちょっと問題だと思うのです。大臣、どういうふうにお思いになりますか。
  24. 古賀誠

    古賀国務大臣 いろいろと先生から、財投のあり方についての御指摘だと思います。最終的にはその論議になってくるという問題だと思います、今の論議を詰めてまいりますと。  ただ、先生も十分御承知のとおり、六十二年、国鉄改革がなされたときに、この財投というものの必要性というのは、私は、それなりに認識をしていかなければいかぬと思っております。しかし、これだけ長期債務が累増してまいりますと、まさに先生経営者としても第一人者でございますので、とりわけ、とても普通の実業家、企業家では到底考えられないこういう事態が起きてきている中で今御指摘をいただいていることだというふうに思っておりますけれども、現実に今の状況の中で、しかし、それだから、ではこんなことが間違っているから全部ぶん投げていいよというわけにはいかないと思っております。  それだけに私どもが今先生方にいろいろと御指導いただきながら悩み苦しんでいるわけでございまして、この国鉄の長期債務問題、どう国民の皆様方のコンセンサスをいただけるような本格処理施策というものがあるのか、こういうことで、昨年の実は暮れに閣議決定をさせていただきまして、本格処理というものは平成十年から始めさせていただく、そして、九年中にその処理施策について幅広く国民の皆様方の御論議をいただいて実は成案を得ていこうと。  しかし、そういっても、では九年、その成案を得るこの一年間どうするんだ、そういう論議の中で、今回御提案を申し上げております、緊急異例の措置といたしましてこの法案を提出させていただいているということでございまして、先生のいろいろな今までの御論議の中で、率直に申し上げまして、利子が累増していく、またそれには年金の問題もある、非常に国民皆さん方に御理解いただいていない点が多いわけですね。そういう点で、今回も、整備新幹線整備と全く同じように、こういった論議を深めながら、そして、それぞれの政党間の中でも長期債務の問題について本格処理施策について御勉強いただいているわけでございますが、そういったこともできるだけ国民に情報公開することによって、なぜこれだけの長期債務が累増してきたのか、そして、どういう処理のあるべき姿が必要なのか、こういったことを踏まえながら、九年中に、本当に英知を実は結集して、先生方の御指導をいただく中で、ひとつ何とか本格処理施策というものをまとめたい、そういう決意でいるということを御理解いただきたいと思います。
  25. 堀内光雄

    堀内委員 今のお話、よくわかります。私も、これまでの出てきた問題についてどうしろという問題ではなくて、これから先のスキームをつくるときに、これはやはり、よく考えませんと大変なことになるのではないかということを申し上げているわけなんです。  それと、財投論議になるといけないのですけれども、金融機関というのは金を貸せばいいというのではなくて、もし何か起きたときにはその面倒を見るというのが金融機関だとしますと、財投というのは郵便局。郵便貯金は、私は、あれがあることによって、日本の財政あるいは経済的なインフレを抑えたり、非常に効果のあるものだと思っているのですよ。しかし、あそこで集めるだけ集めて、出すだけ出しているのでは、金融機関と言えなくなってきてしまいますね。そういうところに、郵便貯金自体に対する問題にまで波及することになります。やはり、財投におきましても、問題点が出てきたものはそこである程度面倒を見られるものを考える必要があるのではないか。それが、郵便貯金をまた存続させていく大きな理由にもなってくるというふうに思いますので、その点含めてよく次の問題のときにお考えをいただきたいというふうに思います。  今大臣からもお話がありましたが、年金問題がやはりありまして、この年金も一般にはわかりにくいものなんですね。しかも、この四月一日には、JRの年金は全部で八千億の持参金というか、それでも少ないのでしょうけれども、厚生年金では受け取ったがらないところでしょうが、一兆二千億というのを八千億で勘弁してもらって受け取ってもらったということで、これは将来に向かって一つの前進だと思いますが、その後の問題なんですね。その後の問題で、JR国鉄関係は、終戦後、大量な復員の人たちが日本に戻ってこられた、それをみんな失業させるわけにいかぬということで、当時は国鉄はなかなかしっかりした体制でありましたから、それを雇用、救済したという経緯があります。  この数字を眺めてみますと、昭和二十年に九万九千人、復員関係で採用しているのですね。二十一年に六万五千人、合わせまして十五万五千人の人を国鉄は救済をした。そして、失業をふやさないようにして取り組んだ。これはいいことだと思うのですよ。この人たちが、旧国鉄時代の拠出をしない、恩給というような性格の中での年金をもらっているわけです。これは、もらうのは資格があるのですから、もらっていかぬというのではないのです。もらっているわけです。この人たちの年金、あるいは旧国鉄時代にずっと仕事をされた方の恩給的なものの年金、こういうものがそのまま清算事業団に残るということだそうです。  そうすると、これらの年金受給者の方々の、平成七十二年まで、こう言っておられますけれども、七・二兆円払わなければいかぬというのですね。これは払うことは払わなければいけないのでしょうが、収入が全くなしでこれだけ払うということは、これから先の清算事業団の本格的な処理策をつくるときに、これもやはりもう一つよく考えておきませんと、また予定が狂ってきてしまうようなことにもなりかねない。  ですから、これらの人々への支給ということは、支給する年金は当然のこととしましても、収入がなくて、赤字の額をそのまま国民負担につながるようなところに持っていくということではないような方法を考えなければいけないのじゃないかなというふうに思うのであります。この問題点については、さっきは大臣に承りましたけれども、担当の局長さんでもちょっと、これについてのお考えがありましたら。
  26. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま先生から御指摘いただきましたとおり、昭和六十二年の国鉄改革によりまして、昭和三十一年七月の公共企業体職員等共済組合法の施行前に当時の国鉄に在職しておられました職員の昭和三十一年六月以前の在職期間にかかわる年金負担、こういったような問題は大変大きな問題でございます。  この年金負担等でございます鉄道共済年金の、私ども追加費用と言っておりますが、それから恩給負担金、さらには年金に対する国庫負担の不足分でございます公経済負担の清算金、これにつきましては、国鉄の地位を引き継ぎました国鉄清算事業団負担するということになっております。  現時点におきますこの事業団の試算によりますと、平成年度以降の今後の支払い見込み額は、平成七十二年度までの累計で、鉄道共済の年金の追加費用が約六兆八千二百億円、恩給負担が約六百億円、合計約六兆九千億円になると見込まれております。ただいま先生御指摘の七兆云々というのは、これのほかに業務災害補償とか管理費が入った数字だと思いますが、年金の分だけで申し上げますと六兆九千億、こういうことでございます。  これは、国鉄改革時には、当時の長期国債の十年間の平均の利率七・三%で、割り戻しという言葉を使っておりますが、六十二年度の現在価格に割り戻すということをやっております。割り戻した価格が当時五兆円でございますので、二十五・五兆円の中にこの五兆円が含まれているわけでございます。これを同様に、七・三%の利率でこの六兆九千億円を割り戻しいたしますと、現在の価格で三兆四千億、こういうことでございます。  事実関係はこのようなことでございますが、この問題をどうしていくか、大変私どもも頭の痛い問題でございまして、本格処理策の検討に当たりましては、当然のことながらこの年金の問題を一つの非常に大きな問題として適切な処理策を考えていかなければならないと思っております。この問題は、今までの長期債務は既に発生している債務が大部分でございますが、このようにこれから払っていかなければならない債務であるということで、若干問題を異にしております。  今申し上げましたように、重要な問題と考えておりますが、広範な検討を行いまして、国民の御理解が得られますように、これにつきましても抜本処理策を鋭意検討してまいりたいと考えております。
  27. 堀内光雄

    堀内委員 これからの、来年度から始まる本格的な債務処理策について、その点をよく考えて、国民理解が得られるような方法をひとつやっていただきたいと思います。  次に、二月十四日の大臣の所信表明の際にもお話をいただいておりますが、そのとき、次世代に向けた技術開発として積極的に取り組むという項目の中に、リニアモーターカーがございます。非常に積極的な所信表明の中の位置づけを拝見して、まことに意を強くいたした次第であります。  たまたま昨日、私の地元の山梨で、リニア山梨実験線の出発式が行われまして、大臣も御出席になられたということであります。そして、新しい走行試験がスタートをいたしたものでありますから、そんな折でもありますので、リニアについて二、三質問をさせていただきたいと思います。  これから三年間で実用化に向けての技術上のめどを立てるというふうに言われておりますが、平成十一年度までの三年間の実験の進め方みたいなもの、これをひとつ承りたいと思います。
  28. 澤田諄

    ○澤田説明員 お答えいたします。  山梨リニア実験線につきましては、関係者の御努力によりまして、昨日四月三日に走行開始式典が開催され、本格的な走行試験を開始する運びとなりました。今後三年間をかけまして、平成十一年度までに長期耐久性試験の一部を除き、実用化に向けて技術上のめどを立てるためのさまざまな実験を行っていく予定であります。  初年度平成年度は、第一編成車両によりまして基本走行試験を開始し、九年度内に時速五百五十キロの最高速度の達成を目指す予定であります。また、十年度以降は、第二編成車両を投入いたしまして、高速すれ違い試験、複数列車制御試験、環境影響確認試験等を実施する予定となっております。
  29. 堀内光雄

    堀内委員 有人実験に入るのはいつごろになるのでありますか。人を乗せて走るものですね。
  30. 澤田諄

    ○澤田説明員 超電導磁気浮上式鉄道の運転は、基本的には自動制御によりまして実施することとなっておりますので、実験につきましても自動制御が基本でございます。しかしながら、利用者立場からの試験ということも必要でありまして、平成年度以降につきましては有人による乗り心地試験や車内環境等に関する試験も実施する予定と聞いております。
  31. 堀内光雄

    堀内委員 地元もですが、国全体でこの技術の次世代に向けた技術開発に期待を持っているところですから、大いに頑張っていただきたいと思います。  そこで、今度完成いたしましたのは十八・四キロ、先行区間というのが完成して走行試験に入ったのですが、当初は全区間四十二・八キロということになっていたのです。そして、これが一般区間の二十四・四キロと十八・四キロに分けられたのでありますが、今度の実験の十一年度までの予定の中を見ますと、長期耐久テストは除き、こう書いてありますので長期耐久テストはこのところではできないのではないかと思いますが、長期耐久テストは実施しなくてもいいのかどうか、あるいは二十四・四キロはどういうふうにするのか、これについて質問をします。
  32. 澤田諄

    ○澤田説明員 超電導リニアモーターを実用化するに当たりましては、当然長期耐久試験という試験を行うことは必要と考えております。また、その後の、四十二・八キロ全線の試験線の必要性というものは十分に必要な試験線区と考えております。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  33. 堀内光雄

    堀内委員 十分に必要性のあるものと考えていらっしゃるということでありますが、実は平成四年の七月の十四日、奥田運輸大臣の当時でありますが、山梨県にも事前の連絡はなしに突然の記者会見というのがあったのです。  実験線四十二・八キロを十八・四キロの先行区間と二十四・四キロの一般区間に分けて、先行区間を先に着工する。その理由としては、用地買収のおくれということ、これに対して先行区間の方が進んでいるからこれを先にやりますというのが一つの理由。もう一つは、技術の進歩によって短距離区間でも実験に支障がないことがわかったということがそのとき発表されているのです。  そういう意味でいきますと、長区間の耐久試験というのは先行区間だけでも用が足りるというふうに読めるのですよね。当時の大臣がこういうふうに発言をされているのですが、審議官、ひとつ、どうですか、今のお話とちょっと違うので。
  34. 澤田諄

    ○澤田説明員 平成四年七月につきまして先行区間の設定を行ったわけでありますが、その理由につきましては、用地買収の問題、それから一つは、実験を早期に実用化のめどを立てるという立場から、技術の進展を活用することによって、いわゆるシミュレーション技術の活用等によりまして先行区間において技術開発を十分効率的に行うということが可能だということを申し上げたわけであります。  しかしながら、やはり長期耐久試験と申しますのは、列車を長期的に走行させて試験を行うものでありますので、延長が短いということは非常に長時間かかる。したがいまして、長期耐久試験については別途、四十二・八キロの区間ということで行うということで、その時点から考えておったものでございます。
  35. 堀内光雄

    堀内委員 どうしてもつくっていただけるのだという、必要だというお話であります。  ということになりますと、一般区間の方は、二十四・四キロという方は大変トンネルが多いのです。一番長い御坂トンネルというのが八・七キロメートルで、あと三つのトンネルを合わせると十二キロあります。御坂トンネルの八・七キロというのはいかに手際よく掘っても二年以上かかるのではないか、もっとかかるかもしれませんね。  ということになると、三年間の走行うストを終えて次の長期耐久テストをしよう、四十二・八キロが必要だということになりますと、今の先行区間の試験が終わってトンネルを掘り出したのではブランクができてしまうということになりますね。ですから、並行して一般区間のトンネルの掘削というのが行われることになるのかどうか、それもひとつお願いします。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 澤田諄

    ○澤田説明員 超電導リニアモーターカーにつきましては三つの開発目標を設定しております。一つ目につきましては、高速性の目標といたしまして営業最高速度、時速五百キロメートルの実証。それから二つ目には、輸送能力、定時性の目標としてピーク時間当たり片道一万人程度の輸送能力を確保するということでございます。それから三つ目につきましては、建設コスト、運営コストの低減を図り、採算性を踏まえたシステムの経済性の達成ということでございます。これらの三つの目標を掲げまして一技術開発を推進しているところでございます。  長期耐久試験を実施するために必要な一般区間建設につきましては、先行区間における走行試験等の成果をもとに、超電導リニアモーターカーの三つの開発目標の達成の度合いを勘案して、各種設備の仕様等を検討することが肝要と考えております。  したがいまして、一般区間建設着工時期につきましても今後の試験成果等を勘案して検討してまいりたいと考えております。
  37. 堀内光雄

    堀内委員 そういう三つのテストをきわめた後でというお話はわかりますが、だんだん地元の方はそういうのを聞いているうちに、みんな大丈夫かなという気にますますなってくるのですよね。というのは、一般区間についてはもう必要ないのではないかという声がちらほら出ているわけなんです。  昨年、八年九月十三日の読売新聞でありますけれどもJR東海の後藤リニア開発本部主幹という方が、九九年度以降、先行区間で走り込みを続ければ長期耐久試験もクリアできる、一般区間は実用化の判断には必要ない、こうはっきり話しているのですね。さらに、それだけならまだしも、その後に運輸省も「先行区間の実験に不測の事態がない限り、一般区間着工の予定はない」、これは鉄道技術企画課ということになっていますが、こう言っているのです。  ですから、地元の人々も、国家的プロジェクトだから我々も協力していろいろ問題があったけれども、先祖伝来の土地を出して実現に協力をしています。しかし、これではだまされたのじゃないだろうかというような地元の住民の反発が非常に大きく出ているのです。審議官が考えているほど平穏無事じゃないのですよ。大変心配して、不信感を募らせているような状態なんです。  ですから、さっきも一般区間は必要だ、こう審議官はおっしゃいましたが、一般区間は本当に着工するのかしないのか、これは非常に重大な問題でありますので、ひとつ大臣からお答えをいただきたい。
  38. 古賀誠

    古賀国務大臣 きのう、実は実験線先行区間十八・四キロの出発式で私、テープカットさせていただきました。実際、リニアの研究所を見てまいりましたけれども先生のお地元の関係者の方々の大変な努力できのうを迎えることができたわけでございますが、久しぶりに本当に明るい気分になりました。国鉄の長期債務だとかいろいろ、どちらかというと前向きの議論の少ない、議題の少ない本委員会で、きのうは久しぶりに本当に夢を持つことができたという意味で大変うれしく思って家へ帰ってきたわけでございます。  今政府委員の方で答弁申し上げておりますけれども、今回の十八・四、この先行区間は、今申し上げているような実用化に向かっての試験を積み上げていくということでございまして、どうしても最終的に実用化に大切な長期耐久試験というのは必要だ、きのうも研究者の方々がお見えでございましたけれども、こうおつしゃつていただいておりました。  全長四十二・八でございますか、だから一般区間につきましても、今後用地の買収の問題だとか、既に用地買収が終わっているところの土地の管理をどうするのか、事業主体、JR総研だとかJR東海、そして鉄建公団、三つの機関で事業を進めているわけでございますので、そうした事業体に適切に指導していきたい、こういう認識でおりますので、この一般区間の必要性というのは十分承知をいたしているということを先生の方にも御理解をいただくようにお願いを申し上げておきたいというふうに思います。
  39. 堀内光雄

    堀内委員 今前向きな御答弁はいただいたのですが、前に同じ運輸大臣がつくらなくていいというのが出ているものですから、今のでひとつ一算払ったぐらいなところなんでして、もう一度、まことに失礼で申しわけありませんが、つくるというような表現をしていただきたい。お願いいたします。
  40. 古賀誠

    古賀国務大臣 最終的な実用化ということが、私たちの夢を実現するためのことでございますから、そのためには、長期耐久試験として全長四十二・八ですか、一般区間が必要だということでございます。
  41. 堀内光雄

    堀内委員 必要だということはつくるということだというふうに判断をいたしますし、うなずいていただきましたから、そうだと思います。  そこで、先ほどの審議官のお話で、高速の試験、輸送力の調査、建設コスト、経済性の問題、こういうものの三つが整えば今度の一般区間に乗り出すことになるということになると思いますが、そこで一つ問題になりますのは、一般区間というところには、さっきもお話ししたように、トンネルが非常に多いのですね。さっき申し上げたように、長大トンネルを含めて三カ所あって、そこから搬出される土の量が百三十万立米、十トントラックで二十五万台必要だということになっております。この土捨て場の確保というのが路線決定の際の重大な要件になっていたというふうに聞いております。  山梨県では、実験線を山梨に持ってくるということに決定を見たのが平成元年八月の七日なんです。そして、概略ルートの公表、ここに概略ルートが決まりますということが決まった発表が平成二年の六月八日なんです。この十カ月間にルートの選定にいろいろ取り組んだわけであります。この間に、平成元年の十二月十九日から二十日にかけて、建設主体と山梨県が土捨て場の現地調査を行っております。鉄道建設公団から四名、山梨県から二名出まして、ずっと調査をいたしまして、そして候補地を十二カ所選んだ、それから予備箇所を二カ所選んだという案をまとめて、これが今度のルート決定のための大変大きな要素にもなったというふうに聞いているのです。  この中に境川村というところが一つあるのですが、ここに、特に一般区間の方のトンネルの百三十万立米という土量を吸収するためには、相当大きなものを一カ所でまとめようということで、約二十一・九ヘクタールを地元に要請をして、まとめて、それを県の方で公社に買い取らせたというのがあります。そして、この一カ所でほとんどのものができるというので、そこに対してトンネル現場からの道路整備やいろいろなものをして待っているところへ、さっきのお話の先行区間一般区間の分離というのが出てきて、先行区間の方の候補地は全部活用していただいたから問題なかった、一般区間の方の境川の土地だけが残ってしまったということになったのであります。  この一般区間に残された土地、これによりまして、県は毎年金利に追われて大変な状態だということを言ってきております。県は、当時土地がリニア問題で高騰した時代でありますから、県でもいち早く押さえておかないと、こういう土地が土捨て場として受け入れができないと大変だということで買ったのでしょうが、今度は、それがいつまでたっても土捨て場になって活用されないために、金利でだんだん追われて、土捨て場の終わった後で活用できる方法もまだできてこないということなんですね。  ですから、さっき申し上げたように、トンネル現場から土捨て場に至る道路まできれいに整備をしておいたものですから、土は捨てに来なかったのですけれども、ごみを捨てにみんな来るようになっちゃった。ひどいのは自動車まで捨ててあるのですよ。自転車なんて何台も捨ててありますね。それで、地元の人というよりはよそから持ってきて、きれいに舗装道路をつくったものですから、非常にやりやすいからどんどんどんどん捨てていっちやう。私も見てきましたけれども、大変なことであります。電気製品なんかもぼんぼん落っこっているわけですね、写真もありますけれども。  これは地元が本当に困ってしまったのです。国のプロジェクトだから協力しろと県に言われて、それじゃやりましようと言って、持っているその中の、沢の中には桃畑やいろいろな畑もあったのを全部提供して売り払った。そうしたら、今度はそこにごみがみんな来て捨てられちゃった。これは村長さんにしましても、今たまっているごみが大雨でも降ってきて下の町村の方にでも流れていったら大変なことだと言って、それも心配している。県に何とかできないかと言ったら、県もこれはだまされた口だというので、一緒になって参っている方ですから、やってくれない。ほとほと参っているのがその境川村の地元なんですね。  これはトンネルを掘り出せば簡単に解決するのですが、さっきのお話のように、それはっくることは間違いないが、今すぐにいつからっくるというふうな話にまでいくものではないということになりますと、真っ先に協力体制をつくったこの村が一番悪い目に遭ってしまうということになりますと、これは将来にも大変悪い影響を及ぼすことになると思うのです。何とかしてあげないことには、これから先、一般線の工事あるいは実用線化に際しての問題のときにいろいろ影響が出てくるというふうに私は思います。そういう意味で、この問題をひとつ何とか解決できるようにぜひ御検討を願いたいと思うのですが、いかがですか。
  42. 澤田諄

    ○澤田説明員 山梨リニア実験線のトンネル工事等により発生する土砂の土捨て場につきましては、一般的な話でございますが、まず、工事を担当する鉄道建設公団が山梨県にその候補地を照会し、山梨県から回答があった候補地について、個別の候補地ごとに協議をした上で実際の土砂処分を行っているところであります。  御指摘の境川村の土捨て場につきましては、山梨県から回答のあった候補地の一つでありますが、個別の候補地ごとに行う協議が行われていないと聞いております。一方、山梨県からは、当該土捨て場につきましては、山梨県土地開発公社が、山梨リニア実験線の工事から発生する土砂を活用する用地造成を計画し、個別の協議が調う以前に用地を取得いたしたわけでありますが、その後、発生土砂がなく、造成が進捗していないところと聞いております。このようなことのため、御指摘のような問題が生じたのではないかと考えております。  それらにつきまして、山梨県サイドの主張、鉄道建設公団、JR東海の主張というところでそごがある、従来の議論で意見の違いがあるというふうに感じて、私どもも頭を痛めている問題でございます。
  43. 堀内光雄

    堀内委員 確かに、恐らく、最初に共同で土捨て場を選んだときに、検討したときには、候補地として双方で意見が一致して、それから後の協議というところまで行く前に、さっきお話ししたように、土地の高騰だとか、当時の県知事は積極的にこれに協力しなければということでその用地の買収もしたのだろうというふうに思います。したがいまして、どっちが悪いとかいいとかいう話になりますと、なかなか解決する話ではないので、これは県も被害者の一人でありまして、勇み足も多少あったと言いたいところなんでしょうけれども、それを初めに了解をし合ったというところには、やはり発注主体、工事主体の方にも責任があるというふうに私は思います。  そんなことで、この責任がどうだとかこうだとか言う前に、一番困るのは地元の境川の人なんですね。毎日のように夜中に廃棄物を持ってきてはどんどん捨てて、知らない間に帰ってしまうのですから、そういうのがたまってきてしまうという状態考えますと、これは何とかしてくれという切実な気持ち、それと同時に、ここが一番先にこのプロジェクトに協力して用地を提供したという協力姿勢、こういうものを考えたときに、ここは地元を何とか救ってやる方法というものをお国で考えてあげなければいかぬと思うのですよ。それをひとつ何とか考えていただきたい。どうですか。
  44. 古賀誠

    古賀国務大臣 大変御心配をおかけいたしております。  先生がおっしゃったように、今回この実験線というのが一般区間と先行区間というふうに区分けをされまして、一方では、早く実験を進めたいというようなことでとられた措置でございますけれども、実態としてそういう経過をたどってきているわけでございます。そういう中で、今先生から御指摘をいただいたような問題が出てきたのだろうと思っております。  いずれにいたしましても、今後この実験を積み上げていく上にも、何といっても関係機関と連携を密にしていくということが極めて重要なことだろうというふうに思っております。  そういう意味で、関係者による連絡会議をぜひ設置させていただきまして、今具体的にお話があった境川村の土捨て場の問題、この連絡会議は、運輸省、もちろん御地元であります山梨県、それに事業主体であります鉄道総研、JR東海、それに鉄建公団、この五者による連絡会議を設置するように、私、指示させていただきたいと思っておりまして、その中で、実験の円滑な推進を図っていくことも当然ですけれども、今具体的に御指摘をいただきましたこの境川村の土捨て場の問題についても、早急にひとつその連絡会議で取り上げるように指示をさせていただきたいとお約束を申し上げたいと思います。
  45. 堀内光雄

    堀内委員 大臣から、今の地元の人たちの苦衷をお考えいただきまして、御理解いただきまして、大変前向きで非常にはっきり御答弁をいただいたということで、まことに感謝をする次第であります。  何しろ、やはりこの工事の中で一番問題なのは、建設主体というのがJR東海、鉄建公団そして鉄道総研、この三つが建設主体ということになっているものですから、こっちに行くと向こうだ、向こうに行くとこっちだ、どこがどうだかさっぱり見当がつかない、その間にずるずる時間がたってしまう、不満は募るということになっているのは確かであります。今の大臣お話のように、運輸省がそこにちゃんと入っていただきまして、そして指導的立場でいろいろと協議をしていただく、連絡協議会をつくっていただくということは大変地元にとってもありがたいことだというふうに思います。その点を一日も早く実現をさせていただくように、ぜひお願いを申し上げる次第であります。  ちょうど時間になりましたので、以上で私の質問を終わります。大臣の前向きな御答弁に対して心から感謝を申し上げます。
  46. 杉山憲夫

    杉山委員長 次回は、来る八日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時二十七分散会