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1997-02-21 第140回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十一日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員   委員長 杉山 憲夫君    理事 林  幹雄君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 横内 正明君    理事 江崎 鐵磨君 理事 北橋 健治君    理事 細川 律夫君 理事 寺前  巖君       衛藤 晟一君    関谷 勝嗣君       橘 康太郎君    谷川 和穗君       中馬 弘毅君    古屋 圭司君       堀内 光雄君    森田  一君       上田  勇君    久保 哲司君       今田 保典君    坂本 剛二君       笹木 竜三君    玉置 一弥君       中田  宏君    松浪健四郎君       川内 博史君    辻  一彦君       平賀 高成君    濱田 健一君       望月 義夫君    米田 建三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 古賀  誠君  出席政府委員         運輸政務次官  衛藤 晟一君         運輸大臣官房長 土井 勝二君         運輸大臣官房総         務審議官    西村 泰彦君         運輸省運輸政策         局長      相原  力君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省自動車交         通局長     荒谷 俊昭君         運輸省海上交通         局長      岩田 貞男君         運輸省海上技術         安全局長    山本  孝君         運輸省港湾局長 木本 英明君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         海上保安庁長官 土坂 泰敏君  委員外出席者         公正取引委員会         事務総局経済取         引局調整課長  栗田  誠君         警察庁刑事局暴         力団対策部暴力         団対策第二課長 宮本 和夫君         環境庁自然保護         局野生生物課鳥         獣保護業務室長 守口 典行君         国土庁計画・調         整局計画課長  浜野  潤君         外務大臣官房審         議官      東郷 和彦君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部専門機関         行政室長    花谷 卓治君         大蔵省主計局主         計官      南木  通君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       高橋  毅君         水産庁漁政部水         産流通課長   平野  昭君         水産庁研究部長 川本 省自君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     浦田益太郎君         建設省河川局防         災・海岸課海岸         室長      西口 泰夫君         建設省道路局企         画課長     佐藤 信秋君         自治大臣官房参         事官      門山 泰明君         自治省税務局市         町村税課長   武田 文男君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   玉置 一弥君     笹木 竜三君 同日  辞任         補欠選任   笹木 竜三君     玉置 一弥君     ――――――――――――― 二月十七日  北海道新幹線早期着工に関する陳情書  (第五四号)  九州における新幹線網建設促進に関する陳情  書  (第五五号)  北陸新幹線建設促進に関する陳情書  (第五  六号)  日豊本線の高速化複線化及び活性化促進に  関する陳情書  (第五七号)  航空運賃の低減に関する陳情書外一件  (第五八号)  九州地方における国際空港建設に関する陳情  書  (第五九号)  離島空路整備法の制定に関する陳情書  (第  六〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運海運及び航空に関する件等運輸行政の  基本施策)      ――――◇―――――
  2. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村田吉隆君。
  3. 村田吉隆

    村田(吉)委員 大臣が閣議でちょっと御到着がおくれるということでありますから、最初政府委員に対しまして質問をさせていただきたいと思います。  実は、軽自動車のことなのでございますが、せんだってというか昨年の九月に道路運送車両法施行規則の一部改正省令が公布されまして、軽自動車衝突安全基準強化ということで、軽自動車基準が、規格といいますか、これが改正されたのですが、ちょっとそこから局長説明をしていただきたいと思います。どういう内容だったかということを。
  4. 荒谷俊昭

    荒谷政府委員 お答えいたします。  軽自動車につきましての衝突安全性強化ということで、適用平成十年の十月からということにいたしておりますけれども、従来、長さが軽自動車の場合は三・三メートル以下、こうなっておりますものを十センチ長くいたしまして三・四メートル以下、そして幅につきましても一・四メートル以下となっておりますのを八センチ広げまして一・四八メートル以下ということでございます。なお、高さそれから排気量につきましての改定はございません。
  5. 村田吉隆

    村田(吉)委員 平成二年にもたしか長さとそれから排気量について規格変更があったというふうに思いますけれども、いずれもどういう理由に基づいて規格変更があったかということについて御説明をいただきたいと思います。
  6. 荒谷俊昭

    荒谷政府委員 平成二年には、やはり長さと排気量の拡大をいたしております。昭和五十一年以降、軽自動車につきましても、環境対策それから安全対策ということで、昭和五十一年、平成二年そして今回の改正ということで、安全対策環境対策という観点改正をいたしてきております。
  7. 村田吉隆

    村田(吉)委員 環境対策安全対策ということで、長さとか排気量がだんだん軽自動車については大きくなっている、そういう実情なのでございますけれども、一方、自治省来ていると思いますが、大蔵省の方がいいかな、自治省でいいですが、これに対します税制上の取り扱いといいますか、普通自動車と比べてどうなっているか、お聞きしたいというふうに思います。
  8. 武田文男

    武田説明員 御説明申し上げます。  軽自動車税率につきましては、現在、四輪の乗用自家用のものにつきましては、年額七千二百円というふうになってございます。一方、自動車税の中で一番小さな小型自動車、千cc以下の区分につきましては、現行二万九千五百円というのが年額税率でございます。
  9. 村田吉隆

    村田(吉)委員 ちょっと調べてみますと、地方税の方で軽自動車税が年に七千二百円かかっている。それから小型乗用車については二万九千五百円、四分の一か、そういった差があるわけですね。そのほかに、国税に該当しますけれども自動車重量税も一万二千六百円と四千四百円、こういうことでかなりの差があるわけですね。  それで、あとこの小型自動車軽自動車とどういう差があるかというのを見ていきますと、保険も、もちろん損害保険も差があるわけですけれども、これは調べてみますと、事故率かなりな差があるということでこういう結果が出てくるのかなというふうに思います。そのほかには高速道路料金とかフェリーの料金とか車庫法による車庫取り扱いとか、いろいろ出てくるわけでございますけれども、通産省来ていると思いますが、一体車両自体価格というものは、私がざっと見るところ、小型乗用車軽自動車もそんなに差がなくなってきているのじゃないかなという感じがするのですが、いかがですか。
  10. 浦田益太郎

    浦田説明員 お答え申し上げます。  私どもも厳密な意味規格をすべて比較したわけではございませんけれども、実は軽自動車につきましては、先生も御案内のとおり、最近の消費者の志向の変化といいますか、それに基づきましてかなり多様になってきておりますので、価格レベルも相当安価なものから若干それよりも上のクラスの千cc強の車に至るようなレベルのものまで、非常に広範に分布をしているという状況ではないかと思います。  今私の手元にある資料で見ますと、大体五十万円前後のものから百三十万円ぐらいというようなことであろうかと思います。
  11. 村田吉隆

    村田(吉)委員 私は決して軽自動車に対して反対するものではないのでございますけれども規格がどんどん、排気量とか長さとか幅が軽自動車の方が大きくなってくる、価格についても小型乗用車の方はかなり下げる努力をしてきているし、燃費の点でも、いろいろな意味小型乗用車の方が、環境対策あるいは価格の面でも努力をしているような感じが見えるのですね。  一方において、軽自動車の方は高価格化の方に、今消費者のニーズの向上に伴ってという言葉がありましたけれども軽自動車の方が割合高価格化といいますかそういう動きにある。だから双方がだんだん近づいてきている中で、一体それじゃ何が違うかといったら、維持費が違うのです。維持費が違う中でどれが違うといったら税金が一番違うのですね。  だから、そういう意味自治省に聞きたいのですけれども軽自動車に対しての税制上の今の値というものはどういう思想で決められているのか、ちょっとお伺いをいたしたい。
  12. 武田文男

    武田説明員 軽自動車税率自動車税税率と比べまして低く設定をされておりますが、これは昭和三十六年当時に、軽自動車税のうち四輪の軽自動車としての税率が定められたということがございますが、その当時、総排気量とか価格、性能、こういった面ではかなり小型自動車と乖離があったということで、そういう低い税率設定をされてきたわけでございます。  その後の税率見直しも何度か行ってぎておりますけれども価格に占める税負担割合とか道路関係経費状況、こういったものも勘案して見直し軽自動車税についても行ってきたところでございますが、一方で自動車税につきましても同様の観点から見直しがなされてきておりまして、結果として軽自動車税自動車税、比較をした場合の格差といいますか開きには大きな変化が生じないで現在に至っている。そういうことで、結果として軽自動車税税負担小型自動車に比べまして相対的に軽いものとなっているということでございます。
  13. 村田吉隆

    村田(吉)委員 これは運輸省に聞くのはちょっと酷なのかもしれませんけれども道路運送車両法カテゴリー分け自治省の方が多分徴税上のコストとか技術上の問題点で借用している、借りているという中でこういう問題が出てくるのですけれども省令改正軽自動車規格あるいは定義を変えると、自然と、どんなに高い軽自動車でも、どんなに排気量がふえても、大きい小型になっても、軽自動車というブラックボックスの中へ入って実質的な減税になっていくわけですよね。  だから、これが税の観点からいって担税力とかそういう観点から見ているわけであって、優遇政策上の観点からやっているのじゃないというふうにおっしゃるのかもしれませんけれども、こう近づいてくると、やはり軽自動車とは何なのかな、あるいはそれに対しての、普通小型自動車との、税の面というかほかの面でもそうなんですけれども、そこはもう一度何でそうなっているんだということは見直してみた方がよろしいのじゃないか。  私は、もし軽自動車に、地方公共交通機関がないところでとにかく安価に、割合安く住民に軽自動車ということで利用してもらうというのだったら、軽自動車をつくっているところにもうちょっと価格とかそういう面でやはり努力をしていただかぬと、二つが同じような市場で争うようになったときには、そこは担税力という観点からいえば差を設ける理由が乏しいのではないかというふうに思わざるを得ない。これは産業政策上の観点なのか、交通政策上の観点なのか、税金の問題なのか、あるいはほかの問題なのかよくわかりませんが、この規格を今度平成十年から改める機会に、もう一度この辺はみんなで御検討なさっていただくのがいいのではないかということだけ提案をさせてもらいたいというふうに思います。  軽自動車についての質問はこれで終わりますが、次に、ナホトカ号関係について質問をさせていただきたいというふうに思います。  私も含めまして運輸委員長を団長として一月三十日に衆議院から派遣をされまして、福井県三国町あるいは石川県の塩屋海岸被害状況について視察をさせていただきました。その結果につきましては当然のことながら議長にも報告し、また要望事項について取りまとめて総理にも御説明をいたしたところであります。  事故が起こってからほぼ二カ月近く、一カ月半ぐらいたつわけでございますけれども、流れてきた油の問題あるいは船首部分に残存していた重油の抜き取り、これについてはほぼ二月の十日前後をもって完了したというふうに思っておるのですが、今のそうした流出油についての現況はどんなぐあいになっているのか、御説明をいただきたいというふうに思います。
  14. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘流出油状況でございますが、沿岸近くで海面に浮流している流出油はほぼなくなっている状況でございます。なお、沿岸に漂着している油についてはまだ除去作業が必要な部分が相当残されておりまして、各地域におきまして地元関係者、そしてボランティアを含めまして漂着した油についての除去作業を行っているところでございます。  なお、二千五百メートルの深海に沈没いたしました船尾部からは依然として少しずつではございますが油が湧出している状況でございます。幅が数十メートル、長さは日によって、気象条件等によって変わるわけでございますが、数キロ程度、その先は消えております。これは海上保安庁の方におきまして常時監視いたしておりまして、巡視船による航走拡散あるいは放水等により防除に努めておりまして、数キロ先からは消滅している、このような状況になっております。
  15. 村田吉隆

    村田(吉)委員 私どもも参りましたけれども、それぞれの地域でいろいろな被害状況というのは本当にひどいもので、私ども現地被災者皆さん方の御苦労を考えるときに、本当に大変な事故が起こってしまったなという感じでございます。  二月の十八日に関連の九府県の知事さんが緊急要望書を提出されましたね。応急の浮遊あるいは漂着した油の回収作業というものがほぼ一段落を遂げつつあるという中で、次は被害とか損失に対してどういう対応をしていくのかというのが非常に大きな問題になってくるのだろうというふうに思います。被害とか損失というものはどう把握していったらいいか、ちょっと紙にまとめてみましたので、委員長、よろしゅうございますか、配付をしてもらって。
  16. 杉山憲夫

    杉山委員長 はい。
  17. 村田吉隆

    村田(吉)委員 被害といっても何が被害なのか、損害なのか、ちょっと漠然としたようなところがございまして、それで一体我々が救うべきといいますか、考えるべき被害というものはどういうものかということなんでございますが、まず第一に、要するに故意または過失がないという条件のもとで、補償限度額約二百二十五億円の限度内で基金が出資した費用とか損害について補償をしていくという構造だと思うのですが、ちなみにもし船主側故意過失があった場合はこれはどうなるのでしょうか。
  18. 岩田貞男

    岩田(貞)政府委員 お答えを申し上げます。  現実問題として故意があったとは思えませんが、過失があった場合なんですが、それは船主責任になります。これは責任限度額がないわけでございまして、被害補償を直接船主から受けるということになります。  ただ、船主はよく詳細は、保険内容について明らかにしておりませんが、保険をかけているようで、そこから償われることになります。
  19. 村田吉隆

    村田(吉)委員 それで、この表なんですが、故意または過失がないとして、基金補償できるものと補償できないものと思われるものがあって、それで縦軸の方で補償限度額が二百二十五億円、これからオーバーフローするものがあって、これも補償されない、こういう形になるのだろうというふうに思うのですね。  それで、一番上に、油の防除とか清掃費用、これは公共団体なんかが主としてやったものだというふうに思いますが、私は、一番問題にしなければいけないのは漁業被害とか旅館ホテル損害等だ、こういうふうに思います。我々、運輸省所管対象業種でも旅館ホテル、これはかなり損害を、あるいは得べかりし利益が逸失する、あるいは夏にかけて海水浴場なんかにもう人が来なくなるおそれもありますから、そういう意味かなり損害が今後も出てくるだろうというふうに予想されるわけです。  一般的に、今度は天災ではないから激甚災の指定がない、だからそこら辺で融資等についてどういうあれをしていくのかということなんでございますが、せんだって特別に農水省なり中小企業庁でナホトカ号流出油災害関係対策というものを出しまして対策を講じましたが、これと、仮に激甚災適用になった場合にどういう対策の違いがあるかということについて、クリアな説明をお願いいたしたいと思います。
  20. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  激甚災法につきましては、御案内のように国土庁が所管いたしておるわけでございますが、私の方からあわせましてお答え申し上げたいというふうに思います。  まず、漁業関係でございますが、水産庁指導のもとに、今回、ロシア船籍タンカー油流出事故対策緊急特別資金という制度を創設いたしております。この制度によりますと、例えば、これはいわゆるつなぎ資金運転資金に対する融資でございますが、貸付条件につきましては、漁業者等については利率が一・五%ということになっておりますが、県及び市町村からそれぞれ利子補給がございまして、実質的に無利子という形になっております。商業者等、これは旅館も含まれる、あるいは飲食店等も含めた商業者等でございますが、これも金利は二・五%ということでございますが、同じく利子補給ということで県及び市町村から実質二・五%の利子補給がなされる、そういう意味で無利子という形になっております。  それから、激甚災との関係での御質問でございますが、激甚災に指定された場合、これは一般的には天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する特別措置法というものがございますが、その災害激甚災害に指定される場合は非常に厳格な要件があるわけでございます。その激甚災に指定された場合の制度の御質問かと思いますが、激甚災の場合は運転資金対象にはなっておりません。例えば漁業の場合で申し上げますと、漁具の購入あるいは船の建造資金ということでございます。今回の場合、必要なのはむしろ運転資金が必要であるということでございますので、そういう意味では、先ほど御説明した今回の制度の方が有効ではないかというふうに考えております。  それから、据置期間につきましても、今回の制度は一年の据置期間が設けられております。激甚災の場合には据置期間がないということになっております。  それから、先ほど御説明いたしましたが、利子につきましては、今回の制度は実質的には無利子になっておりますが、激甚災の場合は有利子ということでございます。  したがいまして、今回、特に漁業者あるいは商業者等から必要とされております資金つなぎ資金が要請されているという現状に照らしますと、現行制度が非常に適切な制度として対応されているのではないか、こういうふうに考えております。
  21. 村田吉隆

    村田(吉)委員 政務次官にお伺いをいたしますが、今回、事故が起きまして、当初いろいろな問題の指摘がありました。油の回収船日本海側にはないとか老朽船かなりロシアの方で動き回っているとか、そういうような指摘がなされまして、今後の再発防止についてどういう構えでいくかということについて政務次官からお考えを聞きたいというふうに思います。
  22. 衛藤晟一

    衛藤政府委員 まず一点目は、今回のこのような老朽船に対する対策でございますが、事故防止のために改めて原因究明に努めるとともに、国際海事機関等を通じた旗国の検査の徹底、そして外国船舶の監督の強化等に取り組む所存でございます。  また、お話がございました二点目の初動体制、それから防除体制等についてでございますが、改めてどのような問題点があったのか検討し、今後、外洋における大規模かつ広域的な油汚染事故にも対応可能な油防除体制地方自治体及び関係業界を含めた一体的な即応体制につきまして、科学的、技術的な検討を含め、あらゆる角度から検討させていただきたいと思っております。  具体的には、今お話がございましたように、油回収船や漁網やジェットポンプ等回収資機材等検討、それからバイオ技術等を使っての油の分解等につきましても、具体的な検討をしなければいけないというように考えているところでございます。
  23. 村田吉隆

    村田(吉)委員 大臣がおいでになりましたから御質問をさせてもらいたいと思います。我々、視察から戻りまして総理に御報告を申し上げたときに、船尾部の、二千五百メートルに沈んでいるところのあれをどうするか、船首の方は、あれはとにかく今、中も洗って引き揚げるということまでいくのでしょうが、一番の問題点は沈んでいるものですね。  二月の十四日に第一回会合をやったと聞いておりますが、船尾部残存油対策検討会というのが開かれて、それを引き揚げる工法なんという技術的な問題についても検討が始まったやに聞くのでございますが、総理お話ししたときも、そんなに深いところから引き揚げたことがない、しかも油が入っている、それで、かつてもっと浅いところで潜水艦か何か揚げたことがあるのだそうですが、潜水艦はこれよりももっとかたいんだ、しっかりしているのだろうということで、あれをどういうふうにやっていくかというのが一番問題だと思うのです。二千五百メートルという深い海で沈んだ船を引き揚げる工法というのがあるのかどうか。しかし、あれが除去されるということが一方において被災をされている漁民等にとって一番の期待でもあるので、その点、大臣どういうふうにお考えでしょうか。
  24. 古賀誠

    古賀国務大臣 最初お礼を申し上げなければいけないと思っておりますが、今回のナホトカ号油流出事故に際しましては、当委員会杉山委員長さん初め各委員先生方には、冬の大変寒い日本海での事故でございます、御視察もいただきましたし、またそれぞれの角度で適切な御指導や御支援をいただいてまいっております。この機会に、各委員先生方のお寄せいただきました御支援や御指導に対しまして、応急対策本部長をお引き受けいたしました私といたしまして、まず冒頭に心からお礼を申し上げたいと思っております。  今村田先生の方から御質問いただいております船尾部の問題でございます。おかげさまで船首部の方は油の抜き取りもほぼ完了いたしております。今後船尾部を、事故原因究明にどうしても必要でございますので、どういう形であれを引き揚げていくのかということを今詳細に詰めているところでございますが、船尾部につきましても、今先生からお話しいただきましたように、やはり一番国民の皆さん方関心事であると同時に、安心していただくためにも、ここの結論をどう出していくのかということだろうと思っております。  おかげさまで、現状の詳細につきましては、ドルフィン3Kという非常に深海探査機を使いまして、今詳細にその状況の把握ができているところでございます。十四日には、今先生にもお触れいただきました検討委員会を、私の委嘱の中で設置させていただいておりまして、学識経験者や専門家の方々でこの船尾部の今の油の漏出状況はどうなのか、今おっしゃっておりますように、あの本体をそのまま引き揚げることができるのかどうか、こういったことを含めて御検討いただきたいというふうに思っております。私の聞くところによりますと、水深二千五百メートルのところからああいったタンカーを引き揚げる、油の適切な処理というのは、今まで世界の油事故を見た限りでは、承知をいたしていないという状況でございます。  いずれにいたしましても、検討委員会の各先生方に漏出状況、これから本体がどういうふうになっていくのか、こういったことを専門的に結論を出していただきまして、国民の皆さん方に御安心いただけるような結果を出していく、こういう処理に全力を挙げていくことが必要だろう、このように認識いたしておりますので、よろしくお願いしておきたいと思います。
  25. 村田吉隆

    村田(吉)委員 最後に残った問題というのが一番大変だろうと私も思います。技術的な問題もあると思いますが、どうかひとつ検討委員会で十分検討していただいて、最善の手当てをしてやっていただきたいと心からお願いをいたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  26. 杉山憲夫

    杉山委員長 橘康太郎君。
  27. 橘康太郎

    ○橘委員 自由民主党の橘でございます。  きょうは、当選してこれで二回目の運輸委員会での質問になるわけでございますが、この四年間の国会議員生活を通じまして、いささか胸にざんきの念と、それからまた、これから我々政治を立法府においてつかさどる人間にとって、もっともっと国民の負託にこたえて、立法府における真剣な活動をしていかなければならないという気持ちでいっぱいのため、ここに第二回目の質問に立たせていただきました。  まず最初質問でありますが、ナホトカ号事故による諸問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  質問の前に、海上保安部にまずお礼を申し上げたい、このように思うわけであります。私は、御存じのように富山県の出身でございます。今回の油は、我が富山県の北の方に富山湾というのがあるわけでございますけれども、ここへ入るかどうかというのが我々地元の住民の最大の関心事でございました。海上保安部におかれては、あのような悪天候の中で、しかも、かつての第二次世界大戦と同じように、竹やりを持って戦争したあの当時を思わせるような、ひしゃくだとか人力による回収作業をやっておる中で、富山湾へ油を入れなかったということにつきましては、私は、大変よくやっていただいたと、住民の一人といたしまして心から感謝を申し上げるものでございます。  特に私は、名前を挙げて恐縮でございますけれども、第九管区の伏木保安部の野網本部長、これは本当によくやったと思います。私どもも、平水区域で、平素は外へ、外海へ出ることのできないタグボートにまで出動命令をかけて、もう超法規的な措置の中で、うちの社員も決死の覚悟で海上へ出動いたしました。これは最大の決断であったと思うのです。超法規的措置であります。普通であれば、お役所へお縄ちょうだいの、そういう行動であります。それをあえてやったあの野網君、これは大した男だなと思っております。  それに比べて、今私ども考えております海上の安全対策と申しましょうかこの対策の設備の問題、これは先ほど我が筆頭も質問いたしましたけれども、非常に寂しい状況でありまして、戦後五十年たってまだあのような状況では本当に困ったものだなと思っております。同じような質問になって恐縮なわけでございますけれども、この回収船の問題についてもう少し前向きの御答弁をいただけないか、このように思うわけでありますが、担当の局長さんの方から、よろしくお願いしたいと思います。
  28. 相原力

    相原政府委員 お答えを申し上げます。  特に油回収船の問題、先生から御指摘いただきました。確かに現時点では、外洋で対応できる油回収船というのは港湾建設局の一隻しかなかったということで、それも日本海側には配備されていなかったということで、今までの油防除体制が、特に船舶交通のふくそうする海域あるいは港湾等の内水的な区域を重点に置いてやったというのは事実でございまして、そういう意味におきまして、日本海側、特に荒天下における油防除体制が不十分であったということは率直に認めなければならないというふうに思っております。  そういう意味におきまして、油回収船あるいはその防除資機材を含めまして、これは技術的な問題もございまして、現在の外洋対応型の油回収船にいたしましても、波の高さが二メートルを超えますと、十分な機能が発揮できないという問題もございます。そういう点を含めまして、技術的な問題、技術開発も当然でございますが、技術開発あるいはどのような形で油回収船防除資機材を整備していったらいいかという問題につきまして、関係業界あるいは関係の専門家等を含めた総合的な検討の場で十分前向きに検討していきたいというふうに考えております。
  29. 橘康太郎

    ○橘委員 今の時点ではその程度のお答えだろうと思いますけれども、かつて我々日本海では、新潟におけるジュリアナ号の油の汚染の問題、それからまた、我が国が油の大量消費国であることを考えましたときには、この問題は一刻も早く対策を立てなければならない重大問題だと思っております。できるだけ早く国民の期待を裏切らないような対応をお願いしたいと思います。  それからもう一つ、うちの筆頭と同じ質問になるわけですが、今本体の部分日本海に沈んでおりますけれども、これからも油がちょろちょろと漏れておる。この油が漏れなくなるような対策を立てない以上、これは本当に国民の皆さんも安心できないのじゃないかと思いますので、全く筆頭と同じお願いでございますが、本体に対する対策、これは技術立国であります我が日本においてやってやれないことじゃないだろう、このように思いますので、どうかひとつ速やかな対策をお願いしたい。  以上、要望を申し上げまして、この問題に対する質問を終わらせていただきます。  引き続きまして、運輸省の行政上の問題点、私、さっき申し上げましたように、この四年間国会議員生活をしておりまして、非常にいろいろな諸問題があるわけでございますけれども、少しく質問をしてみたいと思うわけでございます。  一つは、私はこの立法府に所属した議員として感じますことは、最近、自由民主党が単独政権であった時代から、あの小沢さんが反旗を翻して政界が不安定になった、いわゆる五五年体制が崩壊した後の三権分立に対する行政当局の皆様方の物の考え方が、かつての自由民主党が単独政権で、しかも、議会でもそれだけで過半数を有しておった時代の議会運営並びに行政とのギャップがあるにもかかわらず、自由民主党が単独政権であったときと同じような手法で行政に携わっておられるのかなと思われる節を相当見受けておるわけでございます。  我々は立法府でありますので法律に関する諸問題については立法府でやっていくのが当然のことでありまして、行政御当局におかれては、法律的な諸問題、あるいはそれを変えようという諸問題については当然のことながら立法府の了解を得てやるべきにもかかわらず、行政府が行政府独自の考えでもって物事を、実際にはまだ決定されておらないかもしれないけれども、新聞紙上であたかもこういうふうに決まりましたよというふうなものが最近ばんばん出ておるわけですね。これは全く立法府を無視した、ここにもたくさんの議員がおられますので、すべてがかんかんになって怒っておる、そういうことが次から次へと出てくることについて私は反省を促したい、このように思うわけでございます。  特に運輸省が一番できていない。大事な行政上の問題点としておられた需給調整の問題について、これを軽々しく需給調整廃止という言葉を使って新聞紙上に発表され世間を驚かせておるわけです。需給調整の廃止ということについては、物理的に見ても絶対に不可能な話であるにもかかわらず、こういうことを実際に発表されておる運輸省の態度について私は反省を促したい。  この点について、どなたからでも結構でございます。大臣は立法府の代表であって、たまたま議院内閣制において、我々の代表であるけれどもやむを得ず大臣になっておるわけでありますから、あなたはいい。行政当局からひとつ。
  30. 西村泰彦

    ○西村(泰)政府委員 大変厳しい御指摘をいただいたわけでございます。  私ども、軽々しく廃止というようなつもりではさらさらなく、かなりいろいろな方面の事柄を考えながらこういう方針になったわけでございますが、御指摘につきましては、行政改革委員会の方が昨年の十二月に、私どもと軌を一にしておるわけでございますけれども、まず需給調整規制を原則として廃止をし、市場原理によって自由競争を促進し、そういうことによって経済活動の一層の効率化を図るべきなんだ、こういう形の御意見をお出しになったわけでございます。  私ども運輸省の方はそのような委員会指摘を踏まえまして、私どもの行政の分野におきまして、原則として三年から五年の目標期限を定めて需給調整規制を廃止する、こういう方針を打ち出したわけでございます。こういう方針につきましては、これはとりあえずまだ私どもの方針ということでございますので、政府といたしましては、これを本年度末の規制緩和推進計画というものの中に盛り込みまして、その手順、スケジュールを明記していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  今後、私ども運輸省といたしましては、来年度のできるだけ早い時期に、この需給調整規制の廃止に伴いましていろいろ必要となる各般の措置、すなわち、生活路線の維持方策でございますとか利用者の保護方策あるいは安全確保等の方策、こういった環境、条件の整備を進めながらこれを運輸政策審議会に諮問いたしまして、幅広くいろいろな方々の御意見を伺いましてその環境、条件を整備していきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  こういうものを行政として済ませまして、その後ようやく法案という形でまとめ得るか、こういうふうに思っておるわけでございまして、こういった形で法案をまとめました後、国会に提出して十分に御審議をいただきたいというふうに思っておるわけでございます。先生の御指摘、あくまでもこれは手順の問題でございまして、決して立法府を軽視しているとかそういうことではございません。十分に御審議をいただくような体制を整えてから御審議をいただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  31. 橘康太郎

    ○橘委員 そこで、お伺いをいたしますが、需給調整の廃止というのは現実にできるのですか。
  32. 西村泰彦

    ○西村(泰)政府委員 ただいまの現実にできるかという御指摘の点でございますが、需給調整を廃止するに当たりまして、例えばの事例でございますが、航空につきましては空港制約、こういう要因がございます。したがって、空港制約があれば航空会社は自由に飛べないわけでございますから、そこで自由競争というものができない、したがって何らかの調整が残る、こういう意味合いでは調整というものは残るのでございます。  しかしながら、それは需給という観点からの調整ではございませんで、空港のあくまでも有効活用、正しい適正な航空ネットワークの維持、こういうような観点からの調整が行われるわけでございまして、これは需給調整という形で行われる調整ではございません。  そういうようなことでございまして、需給調整というもの、つまりこれは法律の条文で言いますと、例えば新しく事業の免許をする際に、その免許によって行われる交通需要に対する供給が過剰でない、あるいは不均衡でない、こういったような形の条文をもとに今事業規制を行っておるわけでございますが、そういうような規制の考え方がなくなるというだけのことでございまして、もちろん、あらゆる調整がすべてなくなるということではございません。私どもが申し上げておりますのは、法律上そういう形で需給調整をやっておりますものについての転換が行われる、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  33. 橘康太郎

    ○橘委員 それはあくまであなたの解釈であって、廃止という言葉、これは日本語であります。廃止ということはすべてやめてしまうということなんです。そんないろいろと、条件づきのやめるという、廃止という言葉はないですよ。廃止であれば廃止ですよ。  私はかつてNTTの分割の問題で、今の行革委員の鈴木良男とやり合いました。NTTは独占だと彼は言うわけです。冗談じゃない、現に技術革新の中で、携帯電話もあれば衛星からの通信もあって、NTTを通さなくたって幾らでも市内通話はできるじゃないか、どこが独占なんだということで食い下がりました。あなたみたいなわけのわからぬ人が行政改革委員会にいるから日本はおかしくなるんだ、だから私はこのNTTの問題については、物すごくあなたの独占という言葉については反対するということで徹底的に闘いました。その結果、今NTT問題はああいうふうになりました。あなたの廃止という問題についても、物理的にはできないんじゃないですか。航空局長、どうですか。
  34. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 先生指摘のとおり、空港制約のある空港につきましては、その空港を全体としてどう効率的に使うかという非常に難しい問題が生じておりますし、現にこの三月に新しいランウエーができますから、それに対してどう扱うか、いろいろな御意見を今賜りながら検討しているところでございます。  私ども考え方は、需給調整という面もあるにはあるのですが、むしろ空港という国民全体の財産をどう効率的に使うか、そういう観点からこの枠の問題を解決していきたいと思っております。例えば、私どもが会社とか路線だとか、その辺を指定して使っていただく場合もありますし、あるいはA会社には五枠差し上げますからどうぞそちらの判断で飛んでください、こういうやり方もありまして、その辺をどういうふうにうまく両立させるかというような検討を今さしていただいているところでございます。いずれにいたしましても、航空というのは幾つかの空港制約がございますから、それを頭に入れながらこの需給調整問題に対応していきたいと思っております。
  35. 橘康太郎

    ○橘委員 航空局長がお答えのとおり、物理的には廃止はできないんですよ。私はきのうも自民党の規制緩和委員会の堀内委員会の中で経団連にも指摘いたしましたが、決して廃止という言葉は使っていないんです。需給調整の見直しという言葉を使っているんです。行政改革委員会、政府のいわゆる鈴木良男氏なんかが入っているあそこは廃止という言葉を使っている、そういう問題を持ち出したときに運輸省が、あなた方は行政のベテランであって、霞が関だけで、クーラーの下であるいは暖房の下でぬくぬくと育った人じゃないんですよ。現実をよくわかっている人たちだ。行政改革委員の人なんかというのは象牙の塔で、何にもわからないのが好き勝手言っているわけですよ。そういう人たちがわからぬことを言ってきたら、直ちに反発するのがあなた方の責務ではないですか。理論的に物理的にできないことを、あなた方は唯々諾々と受けて、国民の皆様に全く理解のできないようなことを、新聞で決定もしていないのに発表するという、この行政当局の立法府を無視したやり方については全く言語道断であると指摘しておきたい。  したがいまして、私は、この問題が出たときに、直ちに交通部会長にお願いをして、交通部会長の司会のもとで、今後一年間にわたって利用者の方々、学識経験者の方々、労働組合の皆さんが集まって徹底的にこの問題を論議してくれ、いいか悪いか。かつて我々は、若林交通部会長のもとで運賃問題を一年間、それこそたたき合いするぐらいの激しい討論をいたしました。そして、あの結論を出したわけであります。この問題についても、単に象牙の塔の一部の委員の言うことに対して、間違っておったら間違っておるということをしっかりと行政当局が言うか、あるいは、わからなかったら、我々立法府に対して率直に、こういう問題が出てきた、どうしましょうかと相談をかけて立法府の判断を待つのがあなた方の仕事なのではないですか。  私は、終戦直後、軍事教育も受けてきました、民主教育も受けてきました。軍事教育の最大の憲法の趣旨は主権国家でありました。しかし、我々が受けた新しい憲法の最大のポイントは、主権在民であります。そして三権分立の精神。これが民主主義の基本であるということを徹底的にたたき込まれてやってきたわけです。主権在民ですよ、主権国家ではない。我々は、主権を民にゆだねられ、その民の代表者としてここにやってきているわけであります。あなた方、決して主権国家ではない。主権在民のもとにおける法律のもとで的確な行政をやっていただけばいいのであって、それを無視してやろうということについては、絶対に許されないことである、私はこのように考えるわけであります。  最後になりました。大臣、何か今の行政当局がやっておるのを見ますと、相撲において行司が回しをつけて、そして土俵に上がってくるような態度である。これは国民が見てもまことにおかしい、漫画にしてもおかしいぐらいのへんてこな行政のあり方であります。立法府の代表として、今嫌々大臣になっておられるのだろうけれども、どうかひとつ、立法府の代表としてでも、大臣でありますから、ここは民主主義を守る立場において一言あってもいいのではないかと思いますが、いかがなものでございますか。
  36. 古賀誠

    古賀国務大臣 大変先生から強い御指摘をいただいておりますが、先生御承知のように、民主主義の原点は在民にあるわけでございますから、私どもは、民主主義国家がこれからも国民の理解を得ながら、また信頼を得ながら、行政の面でどうそれにこたえていくかということは当然考えていかなければいけない一番大切なことだというふうに思っております。  今御議論をいただいております、かつて運輸省の根幹をなしてきました需給調整の規制、この問題につきましては、先生は運輸サービスの分野においては経験者でもあるわけでございますから、十分御承知のところだというふうに思っております。ただ、御案内のとおり、行政改革、経済構造の改革、我が国がこれから国際社会の中で日本の経済というものをどう発展させていくのかということを真剣に議論する中で、運輸行政としても避けて通れない議論だろうというふうに私は思っております。  そういう中で、行政改革と運輸省とのさまざまな論議の中で、昨年の十二月に行政改革委員会の方から総理に提出された今回の需給調整規制の見直し、廃止というものについて御論議を今いただいているところでございますが、一番大事なことは、今先生も触れられましたけれども、このことによって、例えば生活路線の問題だとか利用者の保護の問題、それから一番大切な安全の確保の問題、こういったことをどう環境、条件を整備していくかということではないかと思っております。  このことにつきましては、政府委員からも答弁申し上げましたように、運政審等を通じまして、幅広い国民の御意見を踏まえながら、これから法律を改正していくわけであります。その中で先生方のさまざまな御論議をいただくわけでございます。どうぞひとつ御理解をいただきまして、さらなる運輸行政の適切な措置に対します先生の御指導をいただければ大変幸いだと思っております。
  37. 橘康太郎

    ○橘委員 残念ながら、まだ大臣も、大臣になられたばかりであって、実情をよく御理解しておられないと思います。この廃止という言葉は、小学校の生徒でも国語で、意味を聞けばどういうことかわかりますよ。条件つきの廃止なんて、そんなものはないですよ。廃止はあくまでやめてしまうということです。物理的にできないじゃないですか、これは。物理的にできないものを廃止という言葉を使って国民を愚弄するような政府であっていいのですか。これは、国語審議会か何か知りませんけれども、文部省の問題になってきますよ。廃止という言葉に、場合によったらこういうこともあり得る、やめてしまうということなら廃止だったのではないかと思うのですけれども、子供でも、中学校の生徒でもわかる日本語なんですよ、これは。  こういうことを政府の、しかも一流の大学を出てきてだれにも恥ずかしくないほどの良識と見識を持っておられるお役人の皆様が、物理的にも全然できない、その言葉と全く違うことを、我々が今審議しておるわけですけれども、全くもってこれは良識を疑われると言うしかほかはないわけであります。  この問題については、我々交通部会から、一年にわたって、もう一生懸命、いろいろな学識経験者の皆様にもこの言葉の意義だとかいろいろなことも、これは当然のことながらあれいたしますけれども、余りにもお粗末な運輸省の行政のあり方、これはもう、私は四年間衆議院の議員生活をやってきて、三権分立に反するやり方でありますとか日本語の意味すらはっきりと理解し得ないような役人であれば、即刻退陣していただきたい。はっきり言ってそうですよ。国民から見ればそのくらいの気持ちで憤っておるということを私はつけ加えて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  38. 杉山憲夫

  39. 玉置一弥

    玉置委員 大分厳しい先生の後ですから、おとなしくやりたいと思います。  運輸行政も大分方向が変わってまいりまして、今までは許認可権限の中枢みたいなことを言われてまいりました。また、特に戦後のいろいろな経済発展とか地域の発展、あるいは総合的な国土開発といいますか、そういうものに片方ではいろいろな面で力を入れ、またもう一つは、いろいろな業界を育てよう、こういう意図がありありとわかるような規制がたくさんあったわけでありますけれども、私どもが今運輸行政を国民全体のニードとか国際的な観点から見てまいりますと、大分方向が変わりつつあるのではないか、こういうふうに思います。  その一つは、やはり国際的ないろいろな関係、協力をどう進めていくか、これは日本の貿易全体とか国際協調という観点から方向が決められていくというふうに思うわけでありますが、従来から、日本の運輸行政を中心にしたいろいろな規制、こういうものが輸入の障害になっていたり、あるいは外国からの企業参入というものがなかなかできない、こういうことにつながってきて、貿易摩擦の一つでもあったわけでありますれども、国が大分方向転換をしたというふうに一つは受けとめております。  三年ほど前に、特に規制緩和という問題については、少なくとも三年間ぐらいで約二〇%の緩和をやりたい、こう運輸省の方で方向を打ち出されたという話を聞いておりますが、少なくとも今の時勢からいきますと、規制緩和はもう二〇%どころではなくて、まず一つは全般に総点検、見直しをすべきだ。まず廃止を考えて、なおかついろいろ影響がある場合には残すことを考える、スクラップ・アンド・ビルドということになるわけでありますけれども、そういう状況で物事を見ていく必要があるだろう。  それから財政的にも、今の日本の財政は、国が企業を援助したり地方財政の負担を丸かぶりしたりということのできない状況でありまして、法律的にも、今回、ことしも何件かそういう要素の法律が出ておりますが、やはり今まで国がすべてやるんだということができなくなっている。それからもう一つは、国内景気の低迷というものがあるわけで、国鉄の長期債務とか、これから大幅な財源を投入しなければいけない、そういう事態が今もう間近に迫っているわけであります。そういう状況をずっと考えていきますと、もうまさに自分たちが自分たちの努力で交通網のネットワークをある程度整備をせざるを得ない。これは地方とか企業、いわゆる民間ですね、その辺の力をやはりいかに活用していくかということにあるかと思います。  そういう意味で、総合的にまずお伺いしたいのは、運輸省としてこれからの日本の総合交通体系、これはもう規制絡みという状況からどういうふうに脱皮をされ、どういう方向を目指しているのかということをまずお伺いしたいと思います。
  40. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生から御指摘をいただいておりますように、二十一世紀に向けて、運輸省が所管いたしております陸海空、こういった陸海空にわたっての整合性のとれた交通体系の形成ということは極めて重要なことだというふうに思っております。しかも、その交通体系の中で、どのように安定的に、また質の高い運輸サービスを提供していくかということに関しましては、現在新幹線や港湾、空港等の運輸関係の社会資本の整備というものは効率的、効果的な整備を心がけて推進いたしているところでございますが、今先生指摘いただきましたように、今日の我が国の財政の問題、また経済の状況といったことを踏まえまして、さらに大事なことは、各省庁の枠を超えて連携を密にして交通体系をどうつくり上げていくか、国民の期待にこたえていくかということだろうというふうに思っております。  こういった政策の実施に当たりましては、今も申し上げましたように、緊急性の高いもの、必要性の高いものといったものにより予算の配分に心がけると同時に、複数の交通機関の連携によます交通政策の推進のための各省庁との協議、こういったことをさらに密にしていく必要があろうと考えておりまして、具体的には、事務次官レベルの公共事業実施に関する連絡会議の設置等をもちまして関係省庁との連携を密にいたしているところでございます。ぜひひとつ御理解を賜り、運輸関係公共事業の重点的な推進についての御支援をお願い申し上げる次第でございます。
  41. 玉置一弥

    玉置委員 緊急性の高いものとか必要性というのは絶えず昔からあるわけでありまして、そういう面でも方向転換ではないなという感じがするのですが、むしろ規制緩和とか外国からの参入という面でかなりこれから話が出てくるかと思うのですね。後で質問をするつもりでございますが、今回、自賠責保険なんかでも新しい保険会社の認定がありまして、また任意保険でも新しい保険会社の認定があったということで、いろいろな情報網も含めてあらゆる分野に外国からの参入という可能性があると思うのです。その辺から見て、規制緩和という意味だけではなくて、やはり国内的ないろいろな、今まで保護されてきた国内業者を刺激をしていく一つの刺激剤という意味で活用していかなければいけない部分もあるかと思います。  また一方、余り力の差がありますと、自由化して果たして、では日本の産業を守らなくていいかということがあるのですが、その辺で規制緩和、新規参入という意味で、新しい分野の参入に対し、特に外国からの参入の可能性というのをどういうふうに見ているか、もしわかればお願いしたいのです。
  42. 土井勝二

    ○土井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生お尋ねの、規制緩和し、その結果新しい方がどういうふうに参入してくるか。航空の分野でも、今度国内の航空を規制緩和をしていこう、あるいはしつつあるということでございますけれども、例えば国際間の問題でございますと、現在日米の航空交渉を行っておりますけれども、この中でも需要に応じて新しい会社が参入し路線が開発されていく、それによって利便を向上していくというものが一つ挙げられると思います。  それで、運輸省といたしましても、こういう動きに対しまして、例えば条約の改定等も含めまして、あるいは枠組みの改定も含めましてきちんと対応していこうということが一つあろうかと思います。
  43. 玉置一弥

    玉置委員 今までの全体の動きからすると、かなりいろいろな業界が日本の国として守られてきたというような感じを強く受けるわけであります。これは後ほど参考にいろいろな業界の値段のお話をちょっとするのですが、企業体質あるいは経営方針というものに対してやはりいろいろ示唆をし、変えていかなければならない部分があるのではないか。民間同士での競合というのはあるわけですから、そういう面ではされていると思いますが、それでもなおかつ、特に日本の流通に関する費用は高いというふうに言われているわけでありまして、そういう面でいろいろな手直しがこれから必要ではないかというふうに思います。  それともう一つは、これからの一つの流れとして、財政再建途上であるということで、今まで大変高額な投資が交通関係にも行われているわけでありますが、この辺の流れが、昨日も自民党を中心にして、総理を中心にした財政構造改革会議というのがありまして、そこでこれから二〇〇四年までの総額六百三十兆円の公共投資の見直しをしよう、こういう話が出てまいりまして、これを受けてというわけではございませんけれども、交通関係の公共事業は今ざっと計算しますと、大体平成七年度で十七兆円、これだけあります、道路関係がそのうち十四兆四千億円ありますということでございまして、残りは全く運輸関係だけということですね。  昨年末かことしの初めぐらいだった思いますが、先ほど大臣の話にありましたように、各省との協議という形で、特に建設省とこれから交通体系あるいは交通施設についていろいろと協議をしていきたいという話がありましたけれども、今私が大変危惧しているのは、建設省なんかで道路の仕様がだんだんとぜいたくになりまして、あの感覚のままでこれからいろいろな交通機関等の施設整備の協議をされていくと、決して安いものではないというふうに思うのですね。今回のいただいた資料の中でも、平成七年度十七兆円、これは対前年度伸び比五・九%ということで、この時世に公共投資が拡大をされる、こういうことであります。  そこで、まず一つお伺いしたいのは、交通関係に限定をいたしまして、公共投資の総額規制あるいは公共投資の削減、これはもう財政再建途上であって、いつまでも拡大拡大という方向ではないと私は思うのですが、その辺について、運輸省、運輸大臣として方針をどういうふうにお考えか。きのうのきょうだから急には決まらないと思いますが、今までの考え方の中にありましたら、お答えをいただきたいと思います。
  44. 古賀誠

    古賀国務大臣 公共事業のあり方については、今さまざまな御論議をいただいております。先生もお触れをいただいたとおりでございます。  私といたしましては、今後の公共事業のあり方というのは、一つは、二十一世紀のこれからの高速交通体系というものをどう整備していくのか、国際競争がさらに激化してまいります。そうした国際社会の中で我が国が着実に経済を伸ばしていかなければいけないという意味でも、この点は大変大事なことだろうと思っております。そういう観点から見ますと、空港だとか港湾、こういった点は大変重要な分野であろうかというふうに考えるわけでございます。  同時に、公共事業というのが、では今までのような執行でいいのかどうかといいますと、これも大変御論議いただいておりますが、コストをどうやって縮減していくかという問題の視点がございます。これは、当然私どもといたしましては、建設コストの縮減というものについては最大限の努力を図っていかなければいけないだろうというふうに思います。  これからの、運輸関係の公共事業に限らず我が国の公共事業というものに今求められているものは、どう重点的に効果的にまず予算を配分して事業を推進していくかというのが、一番重要な一つの視点ではなかろうか。あわせて、今申し上げました、運輸省のみならず公共事業全体のコストの縮減というものに努力をしていく、こういうことが今求められているのではないかな。私どもといたしましても、その点については、十分国民の皆様方に透明度、また情報を開示しながらしっかりとしてやっていきたい、こういう認識でおります。
  45. 玉置一弥

    玉置委員 大蔵省においでいただいていると思いますが、同じような話でございまして、特に、公共事業関係の方にお聞きをしたいと思います。  現在、財政再建途上ということで、その中で、空港、鉄道、道路、いろいろな公共投資がございますけれども、この辺の施設の関係とか総額の話、これからどういう方向に向かっていくのかということと、仕様上大変ぜいたくになってきているという感じを私は持っているわけでありますが、査定のときに、大蔵省としてそういう仕様上の話まで詰めているかどうかということについてお聞きをしたいと思います。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  46. 南木通

    南木説明員 私、公共事業といいますよりは、運輸係を担当いたしております。  それで、運輸係の方で関係をしております鉄道関係のことについて申し上げますと、そういったことももちろん当然のことでございますけれども、政策論議をいたしました上で、あと個別の積算につきましても十分検討いたした上で、予算案として閣議決定して出しているということでございます。
  47. 玉置一弥

    玉置委員 お願いしたのは公共事業ということだったのですが。
  48. 土井勝二

    ○土井政府委員 ただいまお尋ねの、運輸省関係の公共事業の経費というか予算、どういうふうになっているかというお尋ねでございますが、ただいまお出ししている九年度の予算案の中で、運輸省関係の公共事業費は、いわゆる沖縄関連特別措置を含めまして全部で五千百六十一億円でございます。それで、他の省の所管分を含めますと、この五千百六十一億円が六千七百二十九億円になります。  内訳的に申しますと、今、南木主計官の方から鉄道について触れたわけでございますが、例えば、港湾整備事業ですと二千三百三十三億円、空港整備事業でございますと千二百五十五億円、それから新幹線鉄道整備事業で三百四十億円、都市・幹線鉄道整備事業で七百十九億円といった額になっております。  参考までに、伸び率も含めて申し上げますと、先ほど大臣も申し上げましたけれどもかなり投資の重点化を図ってございまして、例えば、空港整備事業が三・〇%に対して、港湾整備事業がマイナス〇・四%とほぼ横ばいといったような差が分野ごとについて、また、港湾整備事業の中でも、いわゆる地方港湾対大港湾の比率は、比較的大港湾の方にめり張りが置かれつつあるという状況でございます。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  49. 玉置一弥

    玉置委員 いつかの新聞に、港湾事業でかなり日本全国の港湾整備ができました、しかし、使用の頻度というのは非常に低下している、こういう話もあったそうでございますが、やはり効率というものから、どこもかも、何もかもというのはなかなか難しいと思うのですね。  それで、今回、整備新幹線の話が昨年秋からかなり積極的に、いろいろな人が大臣のところへも来られていると思いますが、私どもは、この整備新幹線は、基幹線については本来、国が責任を持ってやるべきだ、地方線に当たるような部分についてはやはり地方と十分相談をしながら費用負担を考えるべきだというのが考え方の基本なんですけれども、一つは、財政再建と言われている今の状況の中で、この新幹線をつけても財政上の問題で、果たして地方で、その新幹線を受けて地方の発展につながるようなプロジェクトが対応できるかどうかという心配もあるわけですね。それからもう一つは、東海道新幹線は黒字だ、しかし、山陽新幹線は黒字じゃない、東北は赤だというようなことを採算上言われているというようなことを考えていくと、これからつくるところはみんな赤字じゃないかというような気がするわけです。  公共投資全体の総枠というのもあるのですが、整備新幹線についてお伺いをしていきたいと思いますが、整備新幹線の考え方についてもう一回確認をしたいと思います。この間、十二月の二十五日に一応合意ができたということでありますが、その辺についてちょっとお伺いしたいと思います。
  50. 古賀誠

    古賀国務大臣 整備新幹線につきましては、私の考えは、新幹線が我が国の経済に果たした役割というものは大変大きいと思っております。国土の均衡ある発展ということが言われてもう久しくなるわけでございます。また、地域活性化するという意味では私は、この整備新幹線の推進というのは大変必要なことだ、まずそういう認識でおるということを先生に御理解をいただきたいというふうに思います。  そういう中で、先生もお触れいただきましたけれども、昨年十二月の二十五日、政府・与党で整備新幹線の新規着工区間についての合意というものを実はさせていただいているわけでございますが、新しい整備区間につきましてはそれの合意に基づいて基本的な条件が確認されて適切に処理をする、こういたしているところでございます。  その基本的な合意とは何かといいますと、まず、今も御心配いただいております収支採算性の見通し、第二の国鉄にならないようにちゃんとした採算性を見通しましょうというのが一点でございます。もう一つは、JRの受益の範囲を超えることのない範囲で貸付料等の負担をお願いをするということであります。また同時に、並行在来線を経営分離するわけでございます。そうなりますと、その地方公共団体の方々との十分な協議が必要になってくるということは当然でございますので、工事を実施に移すまでに同意を得るように努力をしてくださいよということを合意事項の一つといたしております。同時に大切なことは、申すまでもないことでございますが、経営主体でありますJRの同意。  こういうことを基本といたしておりまして、こういう要素が確認された上で、ひとつ適切に整備新幹線の事業を推進させていきたい、こう考えているところでございます。
  51. 玉置一弥

    玉置委員 私ども新幹線の検討をしているときに心配になりますのは、新幹線のつく都市周辺はいいわけでありますが、それ以外の在来線地域、ここが見捨てられてしまうのではないか。逆に言えば、在来線そのものの存続が非常に危ない。  いろいろお伺いしますと、JRから切り離して第三セクターにするとかいろいろな検討をされておりますが、今現在でも、例えば本州三社以外の経営状態を見ておりますと、JR九州とかJR北海道、歴年赤字なんですね。本体が赤字なのに新幹線を持ったらもっと赤字がふえるのじゃないかという心配があります。その辺をどうされるのかということですね。  それからJRが、これは赤字のところは初めから終わりまでずっと赤字なんですね。いまだに赤字だということでございまして、要するにJRというのは東日本と東海と西日本しか残らないのじゃないか、こういうふうに心配するわけです。全部第三セクターになるのかという心配ですね。  そういう状況で、地元の方に、新幹線はつくけれども在来線はなくなりますよ、第三セクターももう存続しませんよと私はもうはっきり言うべきだと思うのですが、いかがでございますか。
  52. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 お答え申し上げます。  整備新幹線の整備に当たりましては、第二の国鉄をつくらないという大原則のもとにこれを進めておりまして、新幹線と並行しております在来線につきましては原則分離をするという考え方でございます。この点に関しましては、ただいま先生から御指摘ございましたように、地域の足の確保という観点から大変大きな課題でございますけれども、やはり地域としても整備新幹線を望まれておられるということもございますので、それにつきましては地域の皆様方との話し合いを十分尽くした上でこの問題に取り組んでいくという考え方でございます。  それから、その際に、ただいま先生、JR北海道、四国、九州、いわゆる三島会社のことだと思われますが、経営状態が赤字なのに新幹線でますます赤字になるのではないかということでございます。いわゆる北海道、四国、九州の経営、これは確かに一般的に申し上げまして大変厳しゅうございますが、これは主として、国鉄改革の際に設けられました約一兆三千億円の経営安定基金が低金利であるがために当初の運用益が確保できない、こういう事情から大変厳しい状況に置かれておりまして、この点に関しまして、私どもは、来年度、平成九年度の予算におきまして、鉄道整備基金資金調達機能を活用いたしまして、一定の範囲でこの運用益の確保を図るというような施策を講じようとしているところでございまして、いわゆる三島会社の経営安定のために可能な限り手を尽くしていきたいと思っております。  それから、いわゆる三島会社、北海道、四国、九州、総じて大変苦しい状況と申し上げましたけれども、これはやはり三者それぞれ事情が違いまして、例えば九州などは、苦しい中でも経常利益をわずかではございますが上げておりまして、決して赤字という状況ではございません。確かに一時赤字になりましたけれども、昨年一月の運賃改定の効果もございまして、若干ではございますが黒字になっている、こういう状況でございます。  それから、新幹線の収支採算性の問題に関しましては、新幹線を整備した場合の収支、これは当然需要の誘発効果もございますのでそういったプラスの面、それから、並行在来線の分離に伴います、並行在来線は普通赤字であることが多うございますけれども、その赤字がなくなるというプラスの面、そういったものと、このまま並行在来線を引き続き経営する場合の収支、この差し引きをもちまして収支採算を考える、あるいは受益を考える、こういう考え方でやっております。これは今の三線五区間も同様でございまして、決して整備新幹線を進めるから赤字になるということではないと私ども考えております。
  53. 玉置一弥

    玉置委員 もう一つ在来線についてお伺いしたいのですが、国鉄民営化のときの一番最後の方の国鉄の財政状態、ちょっとうろ覚えで合っているかどうかわかりませんけれども、在来線のいわゆる保全について当初大体三千億以上の補修費的な費用が出されていたのですが、国鉄として、新幹線に食われておりまして、それでだんだん減ってきて少なくなってしまったということがあります。  そのときにお聞きしましたら、橋梁部分、特に橋の部分あるいはトンネルの部分というところで危険箇所が非常に多い、全然手がつかないのだという話がありました。JRになりましてからやはり採算重視ということでさらにそういう傾向があるのじゃないかとちょっと心配しているのですが、そのままJRで、また整備もされないで第三セクターに行ったら、第三セクターとしてはとても修理はできないということで、いずれ事故につながってしまうのではないか、こういう心配もしています。その辺がわかればお答えをいただきたいと思います。
  54. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま先生指摘の点でございますが、確かに国鉄末期におきましてはなかなか経営的な余裕もなかったので、鉄道施設に関します保守、維持のための十分な投資ができたかどうか、これは確かに御指摘のとおりいろいろ意見があるところでございます。  それでは、JRになりましてからどうだということでございますが、当然のことながら、一方では合理化もやらなくちゃいけないということでございますけれども、今先生から御指摘ございました橋梁であるとかトンネルであるとかその他の鉄道施設等の構造物につきましては、鉄道運転規則に基づきまして、二年を超えない期間におきまして定期検査を行うということが義務づけられております。私どもも、保安監査の際にそういう定期検査を行っているかどうかということを確認しておりまして、何といいますか、保守管理に手を抜いているということはなかろうと考えております。  むしろ、どちらかといいますと、JRになりましてから経営状況もよくなった部分がございますから、必要なものはきちんと投資もしているというぐあいに私ども理解しております。
  55. 玉置一弥

    玉置委員 それは推定だと思うのですね。もう一回ちょっとJRの方で確認してほしいと思うのです。そうでないと、ほとんど第三セクターに行くのですから、これは行くと決めたら悪いですけれども、多分行くでしょうから、そのときに、さあいざとなったら費用が捻出できないということで廃止になったら困りますので、ぜひ確認をいただきたいと思います。  それから、規制緩和問題をちょっと先に、残ったところをやりたいのですが、運輸省として規制緩和をやるという一つの方向が出ましたけれども、これだけがんじがらめの規制をされていた運輸省ですから、いかに許認可のために人がおられるかということを思うのです。それで、規制緩和が進んでいきますと、運輸省としては人が大分余ってくるのじゃないかと思うのですが、そういう人たちを組織上これからどうされていくのか、あるいはどういう活用をされていくのか、それについてお伺いしたいと思います。
  56. 土井勝二

    ○土井政府委員 ただいま先生お尋ねの点につきまして、現在、政府全体として行政改革を推進しているわけでございますが、その中に当然規制緩和が主な項目として含まれているわけでございます。このような行政改革全体というのは、我が国の経済社会の構造的変化でありますとか国民のニーズの変化に敏感に対応する、そういう目的を持ってやっているわけでございまして、その一環として行政のあり方についても見直しをしていくということだと思います。この点が重要な課題だと認識しております。  それで、行政組織につきましては、運輸省といたしましては、従来からも行政需要の変化に対応しましてそのあり方を不断に検討し、組織の改革もしてきております。現在行われている行政改革の規制緩和に伴いましても、今後の運輸省の組織のあり方につきまして、先生指摘のように、適切な対応をしていくべきであるというふうに考えてございます。  ただ、この運輸省の組織につきましては、現在、政府の行政改革会議の場におきまして、政府全体の行政改革の方針の検討等が行われつつありますので、これを踏まえながら適切に対応していきたいというふうに考えております。
  57. 玉置一弥

    玉置委員 それから、規制緩和の問題で、今まで運輸省関係のカルテルがたくさんあったのですが、これをかなり今回緩めようということであります。何でこんなに古くから今まで続いてきたのかということが非常に疑問でございます。というのは、確かに業界保護というのはあったと思いますが、逆に高コストになってしまっているわけです。その辺を含めて公取の方からちょっと御説明をいただきたいと思います。
  58. 栗田誠

    ○栗田説明員 お答えいたします。  事業者間の競争制限的な行為を許容いたします独占禁止法適用除外のカルテル制度につきましては、活力ある事業活動なり経営効率化努力というものを阻害したりして、需要者あるいは消費者の利益を害するというおそれがございますので、自由経済体制のもとにおきましてはあくまで例外的な措置、したがって、必要最小限にとどめるべきものというふうに考えております。  現在存在しております運輸関係適用除外カルテル制度の多くにつきましては、昭和二十年代から三十年代にかけて設けられ実施されてきているものでございますけれども、我が国の経済社会の抜本的な構造改革を図り、自己責任、市場原理にのっとった自由な経済社会としていくということが現在の喫緊の課題でございます。特に先生指摘になりましたような物流コストの節減が現在求められている折でもございますので、こうした適用除外の制度の意義なり必要性については、国民各層が納得し得るような理由がないものについては、原則廃止していくべきであろうというふうに考えておるところでございます。  こういう観点から、公正取引委員会におきましては、従来から適用除外制度見直しということを関係省庁とも協議いたしながら積極的に進めてきているところでございますけれども、個別法に基づく適用除外制度につきましては、平成七年三月の規制緩和推進計画に基づきまして、平成十年度末までに原則廃止するという観点から見直しを行いまして、昨年三月の改定されました規制緩和推進計画におきましてその結果が得られたところでございます。政府としては、この見直しの結果を実施するために、二十の法律に基づく三十五の制度につきまして、廃止を含む措置をとることを内容とする一括整理法案というものを本日、閣議決定いたしたところでございます。  このうち、運輸関係制度につきましては、四つの法律に基づく四制度については廃止をし、二つの法律に基づく二制度につきましては適用除外の範囲の限定、明確化などを行うことといたしておるところでございます。また、残る制度につきましても引き続き見直しを行っていくといたしておりまして、公正取引委員会といたしましては、平成九年度末までに具体的な結論を得たいと考えているところでございます。
  59. 玉置一弥

    玉置委員 ありがとうございました。  それでは、国鉄長期債務についてお聞きをいたしたいと思います。  この長期債務をどうしたらいいかというのは、大変厳しい業況の中でございますので妙案はないかと思いますが、少なくともこの長期債務をどこが主体になって償却をしていかなければいけないかということで、その当時の約束事でございますが、JR分あるいは清算事業団、国といろいろ分かれていきましたけれども、清算事業団の債務は国が面倒を見るということで、そういう割り振りを全部当時行ったということでございます。  まず国鉄の長期債務の負担分、これをどれだけ国が責任を持ってやらなければいけないのか、当時の金額と今の金額で、それも含めてもう一回念のためにお伺いしたいと思います。
  60. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 国鉄長期債務問題でございますが、御指摘のとおり、昭和六十三年一月二十六日の閣議決定におきまして、「最終的に残る債務等について国民に負担を求めざるを得ない」ということとされておりまして、それの処理につきましては、土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残るの債務等については最終的には国において処理するとされているところでございます。  ところで、国鉄改革時は、清算事業団が負いました債務、二十五・五兆円ございますが、これに対しまして、当時、土地、株式それから新幹線に対する債権等々を合わせまして、これらの自己財源によります収入を除きまして、十三・八兆円は国民負担とならざるを得ないということを明らかにしておりますが、現在清算事業団が負っておる債務でございますけれども、これは平成八年度首におきまして、当初負いました二十五・五兆円が二十七・六兆円、こういうぐあいになっております。  それから平成九年度首におきましては、平成八年度、今年度におきまして清算事業団、予定どおり予算どおり土地の処分ができたといたしましても、鉄道共済の厚生年金への移換に伴う債務約八千億がございまして新たな負担というのが出てまいりまして、二十八・三兆円に上ると見込んでいるところでございます。
  61. 玉置一弥

    玉置委員 当初の十三・八兆円がもう既に国の負担、国民の負担ということは国の負担ですね、という形で残されたということでございますが、この国民の負担というふうに決められた中で、これからどういうふうに処理をされていくかという論議がいろいろされていると思いますが、一つは一般会計で償却をする、そこから支出をするということがあると思うのです。それからJR運賃に上乗せをして、その分を国がもらうというのもあると思います。いろいろな方法があると思いますが、通常、一般に国の責任ということであれば一般会計で処理をするということが妥当だと思いますけれども、その辺について、どういう検討でどういう方法が論議になっているかということをお聞きしたいと思います。
  62. 古賀誠

    古賀国務大臣 この件は、国鉄改革十年目を迎えるわけでございますが、総決算という意味でも極めて大事な問題だろうと認識をいたしております。とりわけ、今御論議いただいておりますように、大変大きな費用になっているわけでございます。それだけに、一番大事なことは国民の皆さん方のコンセンサスをどう得て本格処理ができるかということだろうと思っております。  御承知かと思いますが、昨年の暮れの閣議決定におきまして、国民のコンセンサスを得る本格的な処理は平成十年度から行う、そして九年じゅうにその成案を得るということで閣議決定をさしていただいているところでございます。我が党におきましても、検討委員会でそれぞれ御論議をいただいているところでございます。お聞きいたしますと、それぞれの政党間の中でもこの問題についての勉強会が開かれているというふうにもお聞きいたしております。  いずれにいたしましても、平成九年じゅうに本格処理の成案を得るということをいたしているところでございますので、幅広い御論議をいただく中でまとめていきたい、このように思っているところでございます。
  63. 玉置一弥

    玉置委員 その当時、今の橋本総理が中曽根内閣の運輸大臣だったと思うんですが、七・七兆円ですか、土地売却収入の試算という形で七・七兆円、そのぐらいはあるということで、実際は凍結で売られなかったですね、大変な失敗だと思うんですけれども。これは経済理論の違いだと思うんですけれども、我々は大きな土地が売られると値段は下がると思うんですが、そうじゃない方がたくさんおられたらしいんです。少なくともそれを除きまして、残りの七兆円ぐらいになりますけれども、まずそこの償却が国の負担ということになっていたわけですから、なぜその償還が今まで十数年にわたっておざなりになっているのかということ。それから、これから処理していく第一歩がなぜ平成十年なのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  64. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 お尋ねの御趣旨は、なぜ清算事業団の債務が膨らんでいったのかということであろうかと思います。六十二年度当初に清算事業団が負担いたしました債務は、先ほど申し上げましたとおり二十五・五兆円でございますが、昭和六十二年度以降平成七年度までの実績といたしまして、その間に新たな十三・二兆円の負担が生じております。このうちの主なものは利子でございます。そのほかに、鉄道共済年金にかかわる負担等々ございまして十三・三兆円でございます。  一方、それに対しまして現在までに上げました収入でございますが、これは合計十一・三兆円でございます。土地の収入、JR株式の売却収入等が主なものでございまして、国からの補助金もこれには含まれております。差し引きいたしまして二兆一千億の収入不足でございまして、こういうところから、先ほど申し上げましたとおり、八年度首には二十七・六兆円に膨れているというのがこの債務増加の要因でございます。
  65. 玉置一弥

    玉置委員 そういうことも必要なんですけれども、実は国民負担が決まったのは昭和六十三年ですね、二年ですか、の閣議ですね。そのときに決められたのになぜ十年も置いてあって、それに利息がつくのがわかっていたわけですね、そういう状態で放置されてきたというのはなぜなのかということなんです。
  66. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 今数字的なことを申し上げましたけれども、その間、要するに毎年毎年清算事業団に必要な資金、これは当然のことながら元本の返済それから金利の負担ございますけれども、これの償還のためにまた借入金によって借りかえてきたというところが主な原因であると言わざるを得ないと思います。  それから、十年度になぜ本格処理をやるかということでございますが、平成元年の閣議決定におきまして、清算事業団の土地処分は平成九年度までに実質的に終了する、こういうことが決められております。平成九年度まではまず自己財源の、自主財源の中心でございます土地の売却に全力を挙げるということがそもそも決められておりまして、決して平成十年度まで何もしないで手をこまねいているということではなかろうと考えております。
  67. 玉置一弥

    玉置委員 国鉄の長期債務はまだまだ時間のかかる話でございますので、また次の機会に継続してやりたいと思います。  自賠責保険についてお伺いをいたします。  二月四日に自賠責審議会の方で一応答申が出されまして、これによりますと、自賠責保険が平均で七・七%引き下げられる、こういう話になりましたということでございます。私どもユーザーの側にとりまして非常にうれしい話でございますが、今現在、この自賠責の基金の中から大蔵省に、大蔵省というか一般会計に九千数百億円ずっと貸しているわけですね。そういう状態であります。  それから、この累計の積立額、いわゆる滞留資金の合計を見ますと、平成七年度末で二兆円という大変高額な金額になっております。これをまた資金運用部資金として、総額幾らかな、まあ向こうにお願いして運用されている。それから、民間の方は民間の方でまた運用されているということでございますが、まず幾ら運用されて、幾ら運用益が出ているかということをお伺いしたいと思います。
  68. 南木通

    南木説明員 まず運用益でございますけれども保険勘定の運用益といたしまして、七年度で千百億円ということでございます。  それから、運用益の活用といたしまして、自動車事故対策センターが行ういろいろな業務の資金の一部に充てるために、同センターに対しまして出資、貸し付け補助を行っているところでございます。
  69. 玉置一弥

    玉置委員 自賠責保険の経過をずっと見てみますと、損害率が平成五年から一〇〇%を上回ったという状態でありますが、試算によりますと、今回値下げをされたのは、やはり運用益が大分たまってきたからだ、それから運用益が安定して出ているということもあるかと思いますが、今おっしゃったように、運用益を大蔵省が使うのかあるいは運輸省が使うのかわかりませんけれども、例えば、今おっしゃった千百億円ですね、この運用益を事故対策センターとかいろいろな方面に使われているという話ですが、どこでだれが決めて使っているのか、なぜなのかということを知りたいのですが、いかがですか。
  70. 南木通

    南木説明員 自賠責保険の運用益の活用方法につきましては、通常の予算と同じく、運輸省からの概算要求を受けまして、予算編成過程で検討いたしました上で、自動車損害賠償責任保険特別会計の予算案といたしまして閣議決定しているところでございます。
  71. 玉置一弥

    玉置委員 自賠責審議会の方だと思うのですが、「自動車事故被害者の援護の在り方に関する研究会報告書」というのがございまして、これの意見書を座長に向けて出されている。その中で、ノーロス・ノープロフィットの原則のもとに自賠責保険は成り立っています、しかし、公的介護保険等国レベルのいろいろな社会保障制度がある中で、要するに、各分野縦割り行政の中でいろいろ保障を考えていくというのはちょっとおかしいのではないか、こういう意見があるのですね。  私ども考えますには、本来、千百億円の運用益が出ているということは、ユーザーに還元すべきだ。今回七・七%引き下げられたというのは、運用益がやはりかなりたまり過ぎているということがあると思いますね。二兆円も、要するに滞留資金ですね、運用益の結果ですけれども、滞留資金がためられているということに対して、ユーザーの立場として非常に不満があります。  この辺、まず、もっと滞留を減らして引き下げるべきだ、それから運用益を勝手に使うなということなのですが、いかがですか。
  72. 高橋毅

    ○高橋説明員 お答えいたします。  まず最初に、保険料率の引き下げということでございますが、先生指摘のとおり、本年の二月四日に自動車損害賠償責任保険審議会を開催いたしまして、その場におきまして、自賠責保険保険料率の引き下げにつきまして、本年の五月一日から平均約七・七%引き下げることを内容とする料率算出団体からの届け出に関しまして、これを適当とする大蔵大臣あての答申をいただいたところでございます。  その審議会における検討に当たりましては、先生の御指摘にございましたような累積黒字あるいは累積運用益の額、こうしたものを見込みまして、例えば累積運用益につきましては、平成九契約年度から平成十六契約年度までの八年間で契約者に還元するということで計算をいたしまして、中長期的に安定的な保険料を設定する観点から見て妥当なものということで答申をちょうだいしたということでございます。  それから、自賠責保険の運用益の使い方ということでございますが、自賠責保険審議会の事務局をつかさどっております私どもの方からということでお答えいたしますと、自賠責保険の運用益の活用の仕方につきましては、昭和五十九年に自動車損害賠償責任保険審議会で答申をいただいております。将来の収支改善のための財源や交通事故防止対策、救急医療体制の整備、自動車事故被害者救済対策の充実等の被害者保護の増進等、こうしたものに資する施策に効果的に活用することが適当であるという旨の答申でございます。  自賠責保険の運用益は、この答申の趣旨に沿いまして、被害者保護の増進等に資する施策に効果的に活用されているというぐあいに考えております。
  73. 玉置一弥

    玉置委員 予算に出るわけでもないし、また議会で審議するわけでもないということで、この運用益の用途につきましては我々の目に触れないところとなっているわけです。自由裁量でやるにしてはちょっと金額が大き過ぎるし、毎年毎年継続して出てくる話ですから、その辺、ぜひ考えていかなければいけないこれからの課題だと思うのですね。  だから、運輸審議会で方向を決めるのに、運用益の使い方まで決める必要があるのか。それから、大蔵省運輸省の、逆に自由裁量の資金になるわけですけれども、これは与党も、資金の使われ方がちょっとおかしいのではないか。本来、国でやるべきことを、こういう資金、いわゆる国民に戻さなければいけない資金を使っているということで、今後の課題として問題点指摘しておきたいと思います。  時間がなくなりましたので、最後にオイルタンカー、ロシアナホトカ号の件で、運輸大臣、当初から本部長としていろいろ努力をされておりました。敬意を表する次第でございますが、どうも今まで地元要望とかいろいろな方のお話を聞きますと、問題点が二つですね、いろいろあるのですが、その都度やっていますから、問題点を絞って。  これは、いろいろな対応をする、初期動作ですね、そのときにやはり資金的な裏づけが全くないということで、非常に不安があった。ですから、例えばアメリカで行われているようなスーパー基金、ふだんから基金を積んでおいて、災害対策でまずそこかちとりあえず支出をする、そして後で予算で穴埋めをするという方法をとればいいのではないか。これは地方自治体と国が折半ということでもいいわけですけれども、そういう方法がありますということで、ぜひそれを考えていただきたい。  それから、ボランティアがしょっちゅう現場にお越しになるわけで、非常にありがたいのですが、逆に、地元にずっとおられる住民の方とか海上保安庁初め市町村の職員の方、そういう方々は交代がないので疲れ切ってへとへとだということがあるので、健康管理上の意味から、全体を統括できるようなシステムにすべきじゃないか、こういうふうに思います。時間がないので、とりあえず要望だけにしておきます。  終わります。ありがとうございました。
  74. 杉山憲夫

  75. 笹木竜三

    笹木委員 新進党の笹木竜三です。質問を始めさせていただきます。  ロシアのタンカー重油流出事故について、ほとんどの時間を使わせていただいて質問したいと思っております。  まず、今回のロシアタンカー事故、その油の回収ですとか除去の作業について、日本全国から、あるいは海外からもたくさんのボランティアの方々が来ていただきまして、二十一万人を超えております。作業に協力をしていただいております。本当にありがたいことだと思っております。それと、作業にかかわった方の中で亡くなった方がおられて、御冥福をお祈りするとともに、本当に申しわけないことだと思っております。  この事故が起こってから、私も五日、六日とそのころから何度も省庁に問い合わせをしました。簡単に言ってしまえば、非常に楽観をしていた。海流に乗って船首も流れていくだろう、まず沿岸に漂着することはないだろう、非常に楽観をしていた。そうした楽観と、さらにその後、沈んでいる船体について、この船の本体から油がまた浮かんでくる可能性はないのか、そのおそれはないのか、そんなこともしつこく問い合わせをさせていただきました。それについても、まず大丈夫だということを終始繰り返されての回答でした。今、既に若干量が本体からも油が漏れているという状態になっております。こういったことを見ましても、私自身も五日、六日の段階で問い合わせをして、大丈夫だと言われて、ああそうか、じゃ大丈夫かなと信じているしがなかったわけですけれども、我々全体も、そして役所も国会も、阪神の大震災、あのときにもさんざんこういった議論がありましたけれども、まだまだこういった危機管理ということになれていない、対策に対してまだまだしっかりとした体制が組まれていない、そのことを本当に反省をしております。  きょうは、そういうことについてもいろいろお伺いをしたいと思っているわけですけれども、まず、一九九〇年にOPRC条約が結ばれて、一九九五年には油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画、閣議決定がされております。この条約が結ばれて、そして閣議決定がされた。そのことを受けて、例えばこういった油汚染の事件が起きたときのためにどういうような体制を組んでいくか、当然いろいろな充実策がとられてきたと思うわけですけれども、この条約と閣議決定を受けてどのような体制充実を図られてきたのか、事実をお聞きしたいと思います。
  76. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 先生からお話がありましたような経緯でOPRC条約を批准いたしまして、それに基づいて防除計画、緊急時の国家的な計画というものを平成七年に決めさせていただいた。実は、これは基本的には油の準備と防除のための計画でございますが、この緊急時計画が決まってから油の防除について体制を整え始めたわけではございませんで、昭和四十年代から既に海上保安庁では油の防除のための体制の整備というのは心がけてまいっております。  ただ、この計画が決まって以降のことについてのお尋ねでございましたので、その点について申し上げますと、具体的にはいろいろございますが、代表的なものを二、三申し上げますと、一つは、やはり官民合同の実態に即した訓練でございます。これを年百回程度やってきております。それからもう一つは、海域ごとの防除計画でございまして、これは従来六海域しかございませんでしたけれども、十六海域に拡大をして計画を定めております。また、そのためのさらに詳細なマニュアルなどの作成も進めておりますし、それからもう一つは、情報連絡というのが非常に大事になりますので、情報通信のためのバックアップ体制あるいは船と陸地との間の通信体制の強化、こういったようなことに取り組んできた、こういうことでございます。
  77. 笹木竜三

    笹木委員 今お話を伺っていますと、海域を十六海域に拡大した、訓練等も実施した、連絡会議を設置した、それと情報通信連絡網の整備、そういったことが挙げられておりましたけれども、では、例えばオイルフェンスですとか回収の方法、事件が起こったときに油の回収の方法について、そういった道具の整備あるいは回収船、そういったことについてはどうであったのか。
  78. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 回収船、回収装置を含む防除資機材でございますが、これも先ほど申し上げましたように、四十年代からずっと整備をしてきておるわけでございますが、この整備の基本的な考え方といたしまして、事故が起きやすい海域あるいは事故が起きた場合に非常に経済的、社会的に影響が大きい海域、そういうものを念頭に置いた整備を進めてきたわけでございまして、それは保安庁と同時にセンターもそうでございますし、石油業者あるいはタンカー、みんなそういう考え方で整備を進めてきております。いざとなればそういうものを総動員して対応するわけでございますが、その体制が、結果的に見ますと外洋、外海でございますね、特に荒天下、荒れた外海に対応できるようになっていなかったという点が一つの反省点でございまして、これはリベリアの例の経ケ岬の事件のときもその点が指摘されましたけれども、世界的にそういうものが開発されていないこともありまして、現時点でもそういう外洋型にまだなれ切っていない、そういうことで課題が残っておるという状況でございます。  今回も、その点についてこれからの課題として受けとめなければならない、こういうふうに考えております。
  79. 笹木竜三

    笹木委員 四十年代から一貫して体制は整備してきたんだというお話ですけれども、もう一回繰り返しになりますけれども、条約を結んで閣議決定もなされて立派なマニュアルもできたわけです。当然そういったことでいろいろな検討ももう一回見直しもされるべきでしょうし、あるいは他の国、ASEANとも、あるいは中国、韓国、ロシア、さらにアメリカとも、油事件が起きたときにどうするかということでいろいろな情報交換、この条約、そして閣議決定をきっかけにいろいろされてきたと思うわけです。  要は、この一九九〇年あるいは九五年をきっかけとして、ハード面の整備ということは、先ほどの通信機器、連絡体制、そのこと以外はほとんどされていない、変化としてはほとんどなかった、そう理解していいわけですね。
  80. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 防除資機材の面におきましては、御指摘のとおり計画が決まって以来格段の進歩というのはございません。しかしながら、通信手段その他についてはある程度の実績を上げてきておるというわけでございます。  それから、なお念のために申し上げますと、防除資機材の整備については問題点が確かにございますが、それはそれなりの理由があってやってきたことでございまして、ただ、これが非常に外洋型という点で問題があるということが痛感されましたので、これを今後の課題として受けとめてこれからしっかりやらせていただきたいと思います。
  81. 笹木竜三

    笹木委員 大臣にちょっと御意見を伺いたいと思うわけですけれども、なれていないとかこういった事件についてなかなか具体的なイメージを持つことができなかった、これは別に何も役所だけを責めようとは思いません。しかし、この条約を結んで閣議決定もされて立派なマニュアルをつくって、しかしハード面ではほとんど特段の進歩がなかった、充実が余りなかった、通信の問題以外はなかったという、そういうお答えでした。  この事実を踏まえて、今後具体的に何を整備するかということだけでなくて、基本的な姿勢としてこういった油の事件あるいは事故的な災害に対する対策、もう少し縦割りを超えて総合的に検討していくべきだと思いますけれども、今どういったことを考えておられるのか、検討されているのか、お答えいただきたいと思います。
  82. 古賀誠

    古賀国務大臣 最初に、先生も地元のことでございまして、大変今回の油の流出事故に際しましては御心配をおかけいたしましたこと、また地元に対する御支援、御指導に対してお礼を申し上げておきたいと思っております。  今政府委員の方からも御答弁を申し上げておりますが、今回の油の流出事故に際し、さまざまな問題点、今も先生から御指摘いただいておりますが、あります。また、私といたしましても、大変反省するところが多いということも事実でございます。率直にそれは認めていかなければいけないと思っております。  危機管理というのは、常に、問題点の検証、そして、それをどう改善していくかということを言われておりますけれども、今回ほど私も、この危機管理の難しさというものを、またある意味では痛感したことはございません。  今、今回の事故の重大性にかんがみまして、それぞれの問題点を検証しているところでございますけれども、私は、非常に多方面にわたって反省するところがあろうと思っております。例えば、今御議論をいただいております初動体制の問題、それから、こういう外洋での、しかも荒天の中での、あれだけの大規模な油の流出事故に備える油回収船、また資機材の問題、それから、そういった問題をどう日本海側、太平洋側と配置していくのか、また、国家的緊急時計画に沿ったどういう今後の具体的なマニュアル、スキームづくりが必要なのか、システムが必要なのか。  いずれにいたしましても、この事故原因究明をこれから早急に進めていくわけでございますが、同時に、さまざまな御指摘をいただいている先生方問題点、そして、私が感じている反省点、こういったところを、再びこうした大きな被害が仮に起きた場合の対応として、沿岸の方々に安心していただけるような対応というものに対しての策定を、ぜひひとつ研究して早急にまとめてみたい、今、そういう感じでおります。
  83. 笹木竜三

    笹木委員 今お話もありましたけれども、マニュアルの見直し等も含めまして、そしてさらに、阪神大震災のときにも議論がよくされましたけれども、こういった危機管理については、やはりアメリカが非常に進んでいるように思います。今回の事件についても、後で質問の中でもお話しさせていただきますけれども、縦割りによる弊害なんかもいろいろあります。そういったことをどう克服していくか。ぜひ、アメリカの例も見ながら、マニュアルの再度の見直しをお願いしたい、そう思っております。  次に、こういった事故災害に対する多国間の協力体制についてお伺いをしたいと思うわけですけれども、この油汚染事件に対する多国間の協力の体制として、条約が結ばれて、閣議決定もなされて、その後、どのようなことが現実的に多国間の協力として行われてきたか、お伺いしたいと思います。
  84. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  重油事故に関する多国間での協力体制の問題でございますが、先生の御指摘のいわゆるOPRC条約、一九九五年十月に締結されたところでございますが、このOPRC条約の中でも、こういった油汚染事故の場合に、船舶に対して迅速、効果的な措置をとるための国際協力の枠組みについて定められているところでございます。  ただ、具体的な枠組みの実施に関しましては、現在、国連環境計画の提唱のもとに、これは世界的に、十三の地域といいますか海域で、いわゆる地域海行動計画というのがつくられております。  日本に関係するものといたしましては、環日本海ということで、環日本海の海洋環境の保全ということを目的といたしまして、我が国とそれからロシア、中国、そして韓国が中心となりまして北西太平洋地域海行動計画、これは英語で頭文字がNOWPAPでございまして、我々ナウパップと言っておりますが、このNOWPAPというのがございます。この行動計画の中で、今回のような重油流出事故等の際にどういうふうに対応していったらいいかという、沿岸国間の協調した行動のあり方等について、検討が進められることとなっております。ただ、まだこの行動計画が定められたばかりでございまして、具体的な対応については今後の問題になっているわけでございますが、今後、我が国といたしましても、このNOWPAPにおきまして積極的に活動していきたいというふうに考えております。  NOWPAPの中にいろいろな部門がございまして、大きく分けて五つの部門があるわけでございますが、特に、今御指摘関係では、海洋汚染緊急時対応という部門がございます。この部門、運輸省が中心になって対応している部門でございますが、第一回目の会議を、我が国におきまして、ことしの夏ごろ開催する予定になっておりまして、その第一回会議でも積極的に対応していきたいというふうに考えております。
  85. 笹木竜三

    笹木委員 今御説明があったような活動として、いろいろな国との、事故があったときにどうするかといった専門家会合、政府間会合もされているわけです。ロシアとも中国とも韓国ともやっているようですが、今回のこの事件が起こって、具体的に韓国ですとか中国ですとか、ロシアからは若干の協力が当然ありましたけれども、具体的な要請はされたのか、あるいは向こうから具体的な申し出はあったのか。
  86. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 今回の事件に際しまして、外国に照会というか問い合わせをいたしまして、どんな機材をお持ちか、どれぐらいのタイムリミットで貸していただけるか、有償か無償か、そういうようなことを外交ルートを通じて問い合わせをいたしました。各国から一応御回答をいただきましたが、御承知のように、非常に荒れた日本海の冬の気象条件のもとで有効に活用できるかどうかという点がやはり問題になるわけでございまして、現実には、やはり照会してお答えをいただいた分の中ではそういうものはなかった。  それから、外国の方から積極的に協力要請があった、具体的にお助けしましょうと言われたのは、実はロシアだけでございまして、そのほかの国からは協力要請は正式にございませんでした。ロシアは、御承知のように、船を三隻出していただきましてずっと油の防除に当たっていただいておる、こういう状況でございました。
  87. 笹木竜三

    笹木委員 韓国なんというのは非常に近いわけですけれども、具体的にいろいろ、機材ですとか、ポンプを二基ですか、借りたとか聞いております。シンガポールからも油の回収装置ニセットを借りたというふうにも聞いております。今後、こういった油の事故なんかが起こった場合に、国内の遠いところから船が来たり、あるいは装置をもらうよりも、対岸の国から直接協力を仰いだ方が非常に早い、その方がより有効な場合も多いと思います。  ここでお伺いしたいわけですけれども、阪神大震災のときにも、いろいろなことを検討していきましたら、アメリカのFEMAのマニュアルがございました。FEMAのマニュアルを見ましたら、もうありとあらゆる最悪の事態を想定したマニュアルでありました。例えば、原子力発電所で壊滅的な事故が起こった場合に、起こっては困るわけですけれども、どうするか、そういったマニュアルがある。それと比べて、日本でいろいろ調べていきましたら、日本が言い出して、そういった原子力の事故が起こったときに多国間の協力体制をしこうということで、援助を受けるときと援助を与えるときの条約をつくりました。いざ事件が起こったときに、援助を受けるとき、あるいは援助を与えるときに、担当の窓口はどこの省のどこの課なのかと調べていきましたら、科技庁に聞いても、外務省に聞いても、両方ともがお互い相手の省庁で担当課があると思っていた、結局、担当課は決まっていなかった、ましてや、日本みずからが言い出してつくった条約についてマニュアルが一切なかった、そういった経験がございました。  今回、こういった事件が起こったときに、アメリカなんというのはいろいろなノウハウもあると思います。そして対岸の韓国、中国、ロシア、ここらからもいろいろな協力を仰ぐときも、あるいは逆に協力をするときもあると思うわけですけれども、担当の窓口はどこで、どういったマニュアルができているのか、お答えいただきたいと思います。
  88. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  今先生の御質問は、特に国際的な協力の場におけるマニュアルあるいは担当窓口という御質問というふうに受けとめておりますが、先ほどお答え申し上げましたいわゆるNOWPAPにつきましては、これはまだ立ち上がったばかりでございますが、全体の計画につきましては運輸省それから外務省、環境庁の三省庁で推進しているところでございます。それから、その中で大きなテーマといたしまして五つあるわけでございますが、現在御討議いただいております海洋汚染緊急時対応につきましては、運輸省の運輸政策局において取りまとめを行っているところでございます。  なお、具体的なマニュアルにつきましては残念ながら国際的なものは現時点では作成されていないわけでございますが、先ほども申し上げましたように、ことしの夏に日本で開催が予定されておりますNOWPAPの海洋汚染緊急時対応に関する第一回会議におきまして、このマニュアルづくりにつきましても検討を始めることといたしております。また具体的なそれぞれについての窓口につきましても、そのマニュアルの中で実務に適した窓口を決めていくということになろうかというふうに思っております。
  89. 笹木竜三

    笹木委員 要はマニュアルはできていないということなんですけれども、こういうことが非常にやはりおかしいと思うわけです。  当然外国からの協力を仰いだり、あるいは協力しないといけない事態がたくさん起こってくる。これは、閣議決定のあのマニュアルを見ればそういったことも大体想定ができるわけで、あるいは非常に進んでいるアメリカとも、一九九〇年以降、条約を結んだ以降、例えばハワイでの米国沿岸警備隊主催の油防除の演習に担当官を日本から派遣している。あるいは平成六年の十一月には、東京で第三回日米油防除専門家会議、こういうこともやっている。平成七年の五月には、米国沿岸警備隊の長官が来日して海上保安庁の長官と会合もしている。こういった中で、当然いろいろな情報のやりとりで多国間の協力についてマニュアルが必要だという話にならないのが逆に不思議なくらいだと思うわけです。  現状ではこういった危機管理に弱い体質があるわけで、マニュアルさえもできていないという体質があるわけで、ぜひこういった点を早く直していっていただきたい。大臣に一言コメントをいただきたいと思います。
  90. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生のさまざまな御指摘を参考にさせていただきまして、多国間との関係等を通じた問題点というのも整備させていただきたい、このように思います。
  91. 笹木竜三

    笹木委員 次に、今、目に見えるような大きな油の回収はかなり地元でもボランティアの方々の協力をいただいて進んできたわけです。あるいは船首部分の油、これをとることも大体終わりました。  しかし、これは十九日の朝刊ですけれども、十八日の朝、ロシアタンカー・ナホトカの船首部の重油抜き取り作業が終わってから一週間もたっている十八日の朝、さらにまた芦原町の海岸で新たな重油が漂着している。一体どこから漂着したのか、全くわけがわからない。地元でいろいろ調べている。漂着があったのはこれで八回目になる。直径三センチから五センチの無数の油の玉が砂浜に曲線を描いている。地元の方がこのことに関連して言っているわけですけれども、「晴れた日には波打ち際付近の海底にごみのような黒い塊が見える」。あるいは実際に潜った方の話、これは三国町ですけれども、海底には油が沈んでいる。当然こういったことがたくさんあります。政府委員の方で結構ですけれども、さらにまた、どこから来たのかわからない油が漂着している、こういったことが頻繁に起きていることは御存じでしょうか。
  92. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 御指摘の芦原町の件につきましては、私どもも存じております。私ども、特別救難隊というプロのチームを持っておりますので、それを使いまして現場で潜水調査などもしておりますが、原因等についてはいまだ確認ができておりません。ただ、実態は承知をいたしております。
  93. 笹木竜三

    笹木委員 ここでお話ししたいのは、手作業も含めまして一生懸命作業をしまして、肉眼で見た分にはかなりきれいになったように見えます。ただ、今お話ししましたように、海底にもかなりたまっている。目撃した方もたくさんいます。決してこれで海がきれいになったわけでもない。あるいは海岸もきれいになっているわけじゃございません。  そこで、海をどうさらにきれいにしていくか。科学的な処理、分化剤を使って処理するところまでは一応やったとしましても、その先の処理、これが今後の課題になります。これからの海岸をどうきれいにしていくか、あるいは海そのものをさらにどうきれいにしていくか、これについての基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
  94. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 油全体の動向につきましては、先生御承知のように、いわゆる浮流油と言っております海上に浮いている油はもうないわけでございますが、漂着した油が残っておるという状況でございます。  この問題はどういうふうにということですが、やはり漂着油というのは地域の人々の暮らしあるいは地域の経済、社会、そういうものに非常に深くかかわります。今までも地方自治体が中心になって防除作業に取り組んでこられた。それを支援する形で自衛隊等、国もいろいろな形で一緒にやらせていただいた、こういう状況でございます。これからも中心はやはり自治体にお願いをいたしまして、知事さんの御判断あるいは要請に従って国としても最大限の支援をする、そういう格好でこの問題に引き続き取り組んでいきたいと思っております。
  95. 笹木竜三

    笹木委員 御存じだと思うから、大臣にお伺いしたいのですけれども、例えばクウェートではバクテリアを人工的に増殖させてこういった油、これは海の中ですけれども、その処理にいろいろ有効な方法として使っている。あるいはアメリカでもヨーロッパでも、バクテリアを使ってもともといるバクテリアに対してえさというか栄養を与えることで増殖をさせて、それで海を浄化する、あるいは海岸をきれいにする。そういった方法として一般的にされているわけですけれども、このことについては御存じでしょうか。
  96. 古賀誠

    古賀国務大臣 余り技術的に、科学的に詳しい方ではございませんが、お話は聞いております。
  97. 笹木竜三

    笹木委員 先ほど政府委員の方から、今後の海岸の問題については自治体の課題だろうというお話がありましたけれども、要は、例えばもうアメリカでは常識的にやっている方法、これはアメリカの環境保護局が中心になって、今言った、バイオスティミュレーションという言葉だそうですけれども、既にあるバクテリアに対して栄養分を与えることで増殖させて海をきれいにする、海津をきれいにする。これはあのアラスカでのエクソン・バルディーズ号の事件の後一カ月後から実験を始めて三カ月ぐらいでかなり効果があったということで、処理範囲をすぐに、三カ月後に拡大をどんどんしていって、この方法が一般的になった。メキシコ湾での事件でも当然使われている。ヨーロッパでも何カ所かで使われております。これは日本では今ほとんど使われていません。それは、国が許可していないのか、こういう方法を一般的に使ってない、その理由は何なのかお答えをいただきたいと思います。
  98. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生がおっしゃっているバイオの活用の件でございますが、一つには、これによって富栄養化が起きてくるという心配と申しますか、そこのところが、我が国におきましては環境にどういう影響を与えるだろうか、こういったことについての今調査や研究が行われているちょうど途中でございまして、結論が出ていない。富栄養化によって海面がどういうふうに、またそこに住んでいる生態がどうなっていくのかというところの結論をまだ出していない、こう私は承知をいたしているところでございます。  先生の御指摘でございますので、こういったバイオの技術によるものが、今後関係省庁と相談いたしまして、どういう適用ができるか、今調査研究はいたしておりますけれども、早急に検討に入ってみたい、こう思っております。
  99. 笹木竜三

    笹木委員 ぜひお願いしたいわけです。  お話ししましたように、アメリカの環境保護局ではいろいろなノウハウもある、そして今御心配になっているような富栄養化、このことについてもほとんどクリアをしていると聞いております。もちろん、アメリカの海岸の事情と日本の今回の対象の海岸の事情と異なる面も当然あると思いますけれども、ぜひこのEPAと一緒になって、これこそ国際協力で、アメリカのいろいろなノウハウを生かしながら、一緒に実験をしていく。これは期間がたてばたつほどますます油が固まっていくわけですから、なるべく早く共同の実験を行っていくべきだと思っております。  ぜひこれについて大臣にもう一度御返答いただきたいと思います。
  100. 古賀誠

    古賀国務大臣 ただいまも申し上げましたように、先生の御指摘でもございます。関係省庁と相談をいたしまして、早急に検討に入りたいと思います。
  101. 笹木竜三

    笹木委員 ぜひお願いします。  次の質問ですけれども関係の自治体、この被害を受けた自治体あるいは団体から、ほとんどもう共通に事故が起きてかなり早い段階からずっと言われている要望で、いまだに実現していないことがあります。補償の問題とか被害の額について、各団体、各自治体、いろいろなグループからいろいろな申請とか要望とかあるわけですけれども、この補償の問題についての窓口をどうして一本化しないのかとずっと要請がされているわけですが、いまだに実現しておりません。各政党が個別に要望とか苦情を聞く、議員が個別に聞くとかそんな動きがずっと続いているわけです。  運輸省の中にいろいろ窓口はあるわけですけれども、どうしてこの補償について取りまとめの役割をしっかりと果たしていかないのか、その理由をお聞きしたいと思います。
  102. 相原力

    相原政府委員 補償についての窓口の一本化の御質問でございますが、運輸省の中に被害者等に対する政府の対応窓口というのをつくっております。運輸省の運輸政策局で対応いたしておりますが、その中で当然一番大きな課題であります被害補償に関しても、窓口として十分機能をしておりますし、これからも機能していきたいというふうに考えております。  今まで、例えば二月の六日には関係の自治体あるいは漁業者団体等をお招きいたしまして、賠償手続等についての御説明も行っております。その場でまた各自治体等からの御要望もお聞きしているところでございます。  なお、そういう意味での被害者等に対して、政府の対応は一元的に運輸省運輸政策局で行っているところでございますが、もう一方で、補償交渉自体も政府で一本化して行ってほしいという要望もお聞きしております。その補償交渉自体の問題でございますが、これも先生も御案内のように、油濁損害に対する補償につきましては、基本的には原因者があるわけでございまして、原因者である船主でございますが、船主側被害者側の民事上の問題になっております。条約等に基づきまして、一定の補償がなされるというシステムもできているわけでございます。  現状におきましては、国も防除措置等で相当の費用もかけておるわけでございまして、そういう意味では国も一被害者の立場に立っているわけでございまして、同じように賠償請求を行う立場にあるわけでございます。そういう意味では、例えば地方公共団体あるいは漁業関係者等々のほかの請求者の方々と利害が反する場合もあり得るということで、そういうものを一緒にやるのがいいのかどうかというような問題もございます。それから、現実問題といたしまして、賠償につきましては保険会社あるいは油濁補償基金の方から支払いがなされるわけでございますけれども、その支払いにつきましては、個々の損害につきまして個々に査定がなされるという事情がございます。したがいまして、一本にまとめても、まとめたために損害額あるいは賠償額がふえるということにはならないという問題もございます。  現実問題といたしましては、例えば漁業者の場合には、既に全漁連が一本化して弁護士も選任いたしまして請求する手続に入っているというふうにもお聞きしておりますし、それから地元であります福井県、石川県の方も共同で同じ弁護士さんを頼んでいろいろと請求することを検討している、あるいはその他の関係府県も共同で請求するということも検討をしているというふうにもお聞きしております。  いずれにいたしましても、今回の事故に伴う被害は甚大なものでございまして、国としてもやはり重大な関心を持っていることはもちろんでございます。全面的な支援をしていきたい、こういうふうに考えております。
  103. 笹木竜三

    笹木委員 数日前に暫定で支払いも行っていくということが報道もされておりますけれども、上限六〇%までということで暫定で支払いもやっていくという報道がされました。例えば、暫定で支払われるものについて、その配分をどうやっていくのか、あるいは最大限が二百二十五億円ですか、この最大限の二百二十五億円よりも被害額が上回る可能性が非常に高いと思うわけですけれども、そのマックス、最大限を超えた場合にどうやって切っていくのか、これは無理だということで支払いのときに切っていくのか。それを単に基金と各被害者の民事に任せて、基金と各団体、各グループあるいは各自治体の交渉、示談だけに任せていって本当に問題が起きないのか、不公平は起きないのか、当然起こると思います。  例えば、ある自治体が十億円という被害、ある自治体は一千万円という被害を出していて、その場合にマックスを超えた、二百二十五億を超えて、結果的には一律、七〇%でもいいです、七〇%しか支払われない。任せていけばそういうふうになると説明を受けておりますけれども、そうしますと、十億円の被害を受けていたところは三億円その自治体は支払うことになる、一千万円だけの被害のところはわずか三百万円の支払いでいい、その負担ですけれども。パーセントが一定だから問題が起こらない、それは逆で、多様なグループあるいは自治体、団体が被害を受けて申請をしているわけです、恐らく単純に。  しかも、神戸に事務所を設けたとはいってもどれだけのスタッフがいるかわかりません。どれだけの集約をしているのか非常に心もとない。どうして国が優先度、そういったことについてしっかりと取りまとめをして、その上でしっかりと申請をさせていく調整をしないのか。このままやっていけば、間違いなく、単純に基金と各当事者間でやって訴訟が続発すると思っておりますけれども、そのことについてはどういうような御認識でおられるのか。基金と各当事者間だけに個々に任せて何の問題もないのだという御認識なら、そのことをお答えいただきたいと思います。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  104. 相原力

    相原政府委員 被害額が二百二十五億円を超えた場合、補償関係がどうなるかという御質問でございますが、現在政府全体で被害額の算定といいますか被害額の全体の把握に努めているところでございます。  現時点におきましてどの程度の額になるか、まだ最終的な確認ができていない状態でございまして、そういう意味で、二百二十五億円を超えるのかどうかというところもはっきりしていない状態でございます。いずれにいたしましても、仮にの議論でございますが、もし総額が二百二十五億円を超えるとなると、先生の御指摘のような問題も起こり得るということは十分認識いたしております。  その場合に、先生の御質問でもございましたように、十億円被害があったものと一千万円被害があったもの、どちらをどう優先するかというのは非常に難しい問題であります。これは、各当事者によってそれぞれ考え方が違うというケースも当然あろうかと思います。関係者も、地元の漁協の方々を初め、例えば観光の関係者、地方公共団体、それから、先ほど申し上げましたように、国も防除費用を払っているということで、それぞれが賠償の請求をできる立場にあるということでございまして、仮に二百二十五億円を超えた場合にどうするかというのは、今後の大きな課題であるということは十分認識いたしております。
  105. 笹木竜三

    笹木委員 その二百二十五億円を超えた部分については、全部責任を持って面倒を見るんだとすべて言えるのなら問題がないと思います、そうとも限らないのならさらに心配なわけですけれども。いずれにしましても、今被害額の見積もり、取りまとめというお話がありました。農林省がやっているのか、お話を聞きましたら、漁連関係漁業関係かなりやっておりますけれども、それ以外はやっておりません。各省庁がやっているみたいですけれども、まだまだ進んでおりません。  ぜひ運輸省が中心になって全体の取りまとめについてももっとスピードアップするようにお願いしたいのと、大臣にもお答えいただきたいわけですけれども漁業補償、その交渉についていろいろな項目があると思いますけれども、その項目について、優先度の高いもの、そうじゃないもの、そういった割り振りも含めましてある程度指導していく、意見を言っていく、そんなことが必要だと思います。各党の対応だけに任してはさらに問題になる可能性が高いと思っております。いかがでしょうか。
  106. 古賀誠

    古賀国務大臣 補償の問題、大変難しい問題でございまして、特にこれだけの大きな被害でございますので、私が言うのはいかがかと思うのでございますが、各省庁の中で窓口を一つにしてどこできちっと被害総額を把握する、それから交渉の経過をちゃんと見ていく、本当のことを言って、しり込みする省庁が多かったのじゃないかと思っております。  そういう意味では、運輸省の運政局にこのお願いを無理を言って引き受けていただいていることに、私も責任感じているところが一方ではあるということだけは、先生にも御理解をいただきたいというふうに思います。しかし、受けました以上は被害者の方々にできる限りの安心感を持っていただくという、窓口の、また相談所のあり方だとかそういったことについては努力をしてまいりたいというふうに思います。  ただ、政府委員から答弁いたしておりますように、交渉につきましては、基金側といたしましても個別に精査してくるということでもあるようでございますから、それぞれの個別ごとの精査の方が具体的な交渉というものはよりスムーズにいくのではないかと思います。しかし、だからといって、窓口の運政局の方でほったらかしておくというわけではございません。逐次調整が必要とあれば外交ルート等を通じまして、ある意味では外務省に強烈にお話ししていただかなければいけないことがあるでしょうし、こちらの方でどういう手だてが必要かということを精査して、そのルートからそれぞれ努力をしていく。こういったこともぜひ、私どもで引き受けた以上はやらせていただきまして、なお限度額を超えた分について、優先順位等につきましても、政治的に現行制度の中でどういう手当てができるのか等を含めて、私の方で、この対策に対しての内閣官房長官が主宰する関係閣僚会議もあるわけでございますから、そういう場を通じまして努力をして、国民の皆様方、特に被害者の方々の御心配のないように最善を尽くしていくということでお約束をさしていただきたいと思います。
  107. 笹木竜三

    笹木委員 ぜひお願いし幸いと思います。調整の役割をさらに積極的に果たしていただきたい、そう思っております。  もう時間になりました。最後に、沈んでいる船体本体について。ここから油が漏れてきて、また同じ作業をやらされるのじゃないだろうなと地元の方から何度も念を押されております。ぜひこの沈んでいる船体本体について監視をして、仮に油がたくさん浮かんでくるような事態になりましても、絶対にまた沿岸に漂着することを避ける、その方策を今からしっかりと、委員会で議論しているみたいですけれども、早く対策を決めていただきたいと思っております。どうかよろしくお願いします。  質問を終わります。
  108. 村田吉隆

    村田(吉)委員長代理 北橋健治君。
  109. 北橋健治

    ○北橋委員 最初に私は、このたび百有余年の歴史を今閉山という形で残念ながら閉じようとしております三井三池炭鉱の問題につきまして、働いている皆様方はもとより、地元経済にとりましても甚大な影響が今出ようとしております。この問題については、大臣の御地元ということもありまして大臣もこれまで大変御苦労をされて、鋭意今後の対応について御検討されている、こう思っております。  新進党も、二月十九日に大牟田、荒尾両市に三池炭鉱閉山対策現地調査団を送りまして、私もその一員として、いろいろと今後の御要望について拝聴してまいったところであります。  幾つかの要望の中で、運輸省につきましては、九州新幹線鹿児島ルートを早くつくってほしいとかJR九州、西鉄が市街地を走っておりますので、この鉄道立体交差事業についてもぜひとも予算を早くつけて優先採択でやってほしい、そういった幾つかの意見があるわけでございますが、何といっても、三池港というこの港湾を整備をいたしまして、ちょうど地理的に九州のへその位置に当たりますので、物流の拠点として大牟田周辺の地元活性化をぜひともやっていただきたいという強い要望がございました。  この問題を解決していくためには、三井鉱山のプライベートな港湾になっておりますので、例えばそれを県に譲渡いたしまして、そして公共的な観点から国、県が一体となってそれを整備して地元の御期待にこたえるという道が有力な検討方向とも聞いておりますが、大臣はこういった問題につきましてどのように取り組むお考えか、御所見を承りたいと思います。
  110. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生も私と全く同じお気持ちではないかと思うのでございますが、百二十四年、三井三池石炭、具体的な閉山提案がなされたところでございます。考えてみますと、戦後の我が国の復興に大きな役割を果たしてきた三井の山が歴史的な幕を閉じるわけでございます。ローカルな話で恐縮なんですが、先生も福岡県でございますので、私も地元の一人といたしまして、率直に言いまして寂しい思いがすると同時に、感慨深いものを覚えております。  また、先生からも今御指摘いただきましたように、これから再雇用の問題だとか大牟田、荒尾等を含めます広域的な地域の再活性と申しますか、そういったことをどうやって図っていくのか、先生にもいろいろ御縁の深い地域でもございますし、また、組合の方々とのおつながりもあるわけでございます。いろいろと御指導や御支援をいただいていかなければいけないと思っております。ぜひひとつよろしくお願いをしたいということを、私からも最初にお願いを申し上げておきたいと思います。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕  今具体的にお触れいただきました三池港なのですが、私も再三言われております、この港を何とか大牟田再生への拠点にしたい、物流、人流の拠点として、ここから新しい大牟田、そして広域的な有明地域を浮揚発展させるのだということで、強い地元の皆様方の御要請をいただいているところでございます。  今私の立場から港湾局の方にも、こういう歴史的な閉山の中で大牟田の再開発、再生を期すという意味で、この三池港というものがいかに大事であるかということを御理解を得ながら、ぜひひとつ九次港湾計画、この期間には事業採択までこぎつけたい、こういう実はお願いをさせていただいているところでございまして、今先生もお触れいただきました三井鉱山と県の方で譲渡の問題等協議をしていただいているようでございまして、市、県、国、一体となって新しい三池港、重要港湾で公共施設のない唯一の港でございましたが、公共港湾として生まれ変わるように最善の努力をしてまいりたい、こう思っております。
  111. 北橋健治

    ○北橋委員 今大臣の方から、もろもろの対策について万全を期すことはもとより、とりわけ三池港についても最善の努力を尽くしたいという力強い御決意を聞かせていただきました。  閉山となりますと、これから大変な影響が出てくる中で、新たな町の再生に向けての取り組みが大事になるわけですが、この問題については与党も野党もないものと思っております。そういった意味で、第九次港湾整備計画の中にもぜひというお話もございましたが、この三池港の整備につきましては、大臣、蛮勇を振るっていただきまして、当局におかれましても、厳しい予算事情の中だとは思いますけれども、ぜひともお力添えいただきたい、このように要望してまいりたいと思います。  それから、運輸省関係の御要望の中でもう一つ、大牟田沖に将来のアジア地域のハブ空港、そういうような位置づけで九州国際空港を設置してはどうか、こういう御要望がありました。大牟田のみならず荒尾市周辺の地域からもそういう要望がございました。これについては、間もなく空港整備法改正の審議が当委員会でございますので、そちらの方で突っ込んで議論をさせていただきたいと思っておりますが、やはり地元のハブ空港建設に対する夢といいますか、それは大変熱いものがありました。率直に大臣として御所見をお聞かせいただければと思うのですが、いかがでしょうか。
  112. 古賀誠

    古賀国務大臣 国際ハブ空港の必要性につきましては、これから国際化がどんどん進んでくる中でございます。まさに人流、物流、公共施設として十分今後の対応を考えていかなければいけない施設だというふうに認識をいたしております。九州のそれぞれの各界の方々で、九州国際ハブ空港ということでいろいろと御検討いただいていることは私も承知いたしております。  今申し上げましたように、運輸省といたしましても、これからの国際化に対応すべき国際ハブ空港というものの大変前向きな考え方というのは私も承知いたしておりますが、これが九州で、しかもどこでということになるとなかなか難しい問題なのかな、私も、有明海でということはしょっちゅう聞かせていただいておりますけれども。日本の国また九州全体の発展ということを考えてみると、今、わかりましたというような状況にはない、こういう認識で慎重に検討してまいりたい、こう思っております。
  113. 北橋健治

    ○北橋委員 機会を改めまして、この問題については、必要性の議論はもとより、やはり建設コスト、もろもろの議論が必要になってくると思いますから、改めて議論させていただきたいと思います。ただ、この有明海に大型の空港を建設したいという強い要望は大臣も先刻御案内のとおりでございまして、ぜひとも真剣に省内において議論を進めていただきたい、こう思っております。  さて、今空港のお話をさせていただきましたが、次に、国際競争力という見地から、日本の交通政策、とりわけハブ空港あるいはハブ港湾という問題についてお尋ねをしたいと思っております。御案内のとおり、物づくり、製造業の世界におきましては、円高になりまして大変なリストラを民間企業は強いられてきておりまして、厳しい国際競争に耐え抜いて、品質、コストとも競争力を確保して、会社を、会社といいますか雇用を守るために労使を挙げて大変な努力を強いられてきております。メガコンペティション、大競争という言葉が最近はやり言葉になっておりますけれども、すべての産業の面でこういった外国との厳しい競争というものが今後さらに起こってくるであろう、こういう認識を持っております。  そこで、まず事務局にお伺いをしたいと思っておりますが、港湾につきまして、まずいわゆるアジア周辺、極東地域におきまして、幾つかの地域で大型のハブ港湾を目指す建設その他の事業が今、進んでいると聞いておりますが、こういった国際ハブ港湾につきまして、進捗はどのようになっているか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  114. 木本英明

    ○木本政府委員 世界の貿易量が非常に飛躍的に伸びておりまして、それを輸送する海上輸送のコンテナ船というのも非常に大型化をしておりまして、現在六千個積みだとかあるいは六千数百個積みのコンテナ船が出現をしている、そういう状況にございます。一方、先生お尋ねのように、アジアの経済成長というのは非常に高い伸びを示しておりまして、そういった状況を反映しまして、お尋ねのアジアの主要港、いわゆる国際ハブ港湾と言われるような港では、そういったコンテナ船の大型化等に対応しまして、水深十五メートル級のコンテナターミナルの整備が急速に進められているという状況にございます。  幾つかの港の例を御紹介させていただきますと、例えばお隣の韓国の釜山港では、一九九七年ですからことしじゆうに釜山港で四バース、そのお隣にあります光陽港という港で四バース、合計八バースが、水深十五メートル級のコンテナターミナルが完成するという予定になっております。台湾の高雄港では一九九八年に三バース、それから香港の港では、ここは既に四バースが供用されておりますけれども、二〇〇〇年までにさらに十二バース、それからシンガポールでは既に六バースが供用されておりますけれども、二〇〇〇年までにさらに七バース追加されるということで事業が進められる、こういうふうに聞いております。そういった状況でございます。
  115. 北橋健治

    ○北橋委員 ハブ港湾のアジア近隣諸国の状況を聞いておりますと、もう既に大変な勢いで整備を完了しているところもある、そして、ますます今後さらにそのハブ港湾の機能を高めようという動きが各国争うようにして今行われているという状況がよくわかるわけであります。  そういうアジア諸国の流れを見ておりますと、それに対して、我が国においてハブ港湾、交通の拠点を港湾においても築いていくんだという認識はお持ちだと思いますし、それに向けて、厳しい財政事情の中で予算を確保する御努力というものは多としたいと思いますが、やはりアジア近隣諸国の大変なハブ港湾にかける意気込みを見ると、これから日本が整備をしていったとしても、国際競争という面において相当立ちおくれるのではないか、大変な不安を禁じ得ないわけでございますが、そういった点についてはどうお考えでしょうか。場合によっては、港湾整備計画もあるわけでございますけれども、これは与野党挙げて大蔵ともかけ合わねばならぬ問題でありますけれども、計画を前倒しするなり、もっと予算面での充実も含めて、哲学をきちんと、理論武装もして、計画を前倒しするぐらいの構えがないと国際競争を確保するということは非常に難しくなるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  116. 木本英明

    ○木本政府委員 先生がおっしゃるとおりでございまして、私どもも、近隣アジア諸国の港湾の競争力に負けないようにしていかなければならないということで、平成八年度から始まっております第九次の港湾整備五カ年計画におきまして、こういった大型の大水深のコンテナターミナルの整備を最重点課題、最優先課題として取り組むことといたしております。  御紹介させていただきますと、神戸港では昨年の四月に十五メートル級のコンテナターミナルを二バース供用開始をさせていただいております。現在非常に有効に、活発に利用されておるという状況でございます。この九次五カ年中には、そういった神戸港を含めまして、東京湾、伊勢湾、大阪湾、それから北部九州地域のいわゆる国際ハブ港湾としての機能が期待されます諸港湾におきまして、水深十五メートル級のコンテナターミナルを、既に神戸の二バースを含めまして、合計十四バースを二〇〇〇年までに緊急課題として整備しておく、こういう考え方で取り組みっつあるということでございます。
  117. 北橋健治

    ○北橋委員 その計画は私ども承知をいたしておりますが、それを前提にしても、やはり単に港湾施設ができるだけではなくて、もろもろのコストという面もその場合重要になってまいります。そういったこともあわせますと、やはりアジア近隣諸国は、海運王国と言われた日本からそういったハブ港湾的な機能をどんどん奪っていくのではないか、そのことがひいては近い将来の日本の港湾における雇用その他にいろいろな影響を生じ得る可能性がある、こういう認識を持っておりますので、これは改めてまた議論させていただきますが、ぜひとも計画の前倒し、一層の財政の裏づけといった問題について、特段の御配慮をいただきたいと思っております。  続きまして、空港の方でございますけれども、私の地元北九州の姉妹都市は韓国の仁川でございますが、大変なスピードで国際ハブ空港の建設が進んでおります。また、中国においても同様に四千メーター滑走路の、将来アジア、極東におきますハブ空港としてそれだけの大変なインフラを持った空港の整備が進められているところでございますが、それに比べて我が日本の場合は一体どうであろうか。国際競争力をこれから確保していくという見地から、やはり相当の財政的な裏づけを含めた計画の整備というのが必要になるのではないかと思うのですが、その辺の状況をどのようにごらんになっておられるのでしょうか。
  118. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 今先生おっしゃいました空港の国際競争力というのは二つあると思いまして、一つは、空港自体の使用料といいましょうか、その空港を利用するコストがどのくらいかかるかということ、それから二つ目は、施設として、物理的な意味においてそれ相応の施設があるかどうか、この二点になるかと思います。  前者につきましては、非常に残念ながら、我が国の空港につきましては、空港使用料が特にアジアと比べますと、大変高いのが実態でございます。コストそのものも高いという面がございますし、我々なりにいろいろ努力はいたしておりますが、なかなか他国並みの使用料に下げるというのは難しい事情でございます。我々だけの希望から申し上げれば、一般財源といいましょうか、そういうものをなるべく確保した上で、使用料を適正なものにしたいとは思っておりますが、国全体の財政事情も見ながらこの点は進めなければいけないと思っております。  それから二番目の施設の問題でございますが、これにつきましては、アジア各国とも大変立派な空港をつくる計画が今それぞれ進んでおります。私どもも、それに負けるとか勝つとかいうことは別にいたしまして、日本の国の需要に十分こたえるだけの空港はつくらなければいけないということで鋭意努力をしておりまして、関西空港の第二期も既に事業化を認めていただいておりますし、それに中部が続き、あるいはその後に、まだこれからの問題でございますが、九州のどこかに国際空港をつくるというような話にもなろうかと思っておりまして、需要及び財源等考えながら着実に進めてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  119. 北橋健治

    ○北橋委員 それぞれ港湾、空港の状況について御説明を聞いたわけでございますが、いずれにしても、民間の製造業の世界におきましては、このメガコンペティションの中で我が国の産業と雇用を守るために必死の努力が続けられております。そしてまた、関係する官庁におきましても、どうすればこの競争力を確保していけるのかという問題については大変な検討が多角的になされております。そういった意味で、私は率直に、この交通の分野におきましては、アジア近隣諸国の投資、その意気込み、そしてまた国家の全体のプロジェクトという形で進められておりますので、大変な脅威を感ぜざるを得ません。ぜひともこの国際競争といった面から、もう一度ハブ空港、バブ港湾の建設について理論武装をしていただきたいと思っております。  それに関連しまして、それではその財政的な裏づけがどうかという問題ですが、この問題については非常に注目すべき動きが最近政府・与党内部にあると思います。六百三十兆円の公共投資基本計画を見直す、場合によっては、この予算修正に当たりましても、予算そのものは修正できないけれども、公共事業費を減額できないかという中で、例えば執行段階でコストを見直すだとかいろいろなことで減額できないか、そういう議論が行われております。とにかく、国、地方を合わせて五百二十兆円の債務を抱えている時代でございますから、六百三十兆円の基本計画についても見直す、そういう客観情勢は理解しているものでありますが、やはり中長期的に見て、必要な財政というものは何としてでもやりくりをして確保せねばなりません。  そこで、お伺いしたいのでございますが、伝え聞くところによれば、予算の執行段階において公共事業のコストを削減するというお話、そういう議論が政府・与党内部であるというようにマスコミを通じて私ども聞いているのですけれども、どのようにお考えなんでしょうか、運輸省関係の公共事業については。率直な御意見を聞かせてください。
  120. 土井勝二

    ○土井政府委員 お答えをいたします。  ただいまの公共事業にかかわる予算の、あるいは減額云々というお話かと思いますが、私ども直接、運輸省として具体的に何かの動きがあるということは聞いてございません。  それで、運輸省の予算でございますが、九年度の公共事業予算におきまして、空港あるいは整備新幹線等の増額をお願いしているところでございます。それから港湾につきましても、先ほどお話がございましたような大港湾、特定重要港湾等につきましては一〇%を超える伸びを求めている。それから、廃棄物海面処分場等も、必要なものについて、例えば八%増というような要求をしております。他方、一般港湾については前年度減ということで抑制しておりまして、私ども運輸省といたしまして、その中でめり張りのついた、重点的な投資内容によりまして必要な社会資本整備を図っていくというふうに考えているわけでございます。私どもとしては、このような予算が必要であるというふうに思っておるところでございます。
  121. 北橋健治

    ○北橋委員 公共事業費のコストを見直す、場合によっては一割ぐらいカットしようか、こういう議論は実際にあると思うのですね。それが正式に決まって、事務局には伝わっていないということだと思いますけれども、議論はあるのです。既に建設大臣は本院の委員会において、コストは削減する余地はある、しかし、事業費がそのままストレートに減るわけではないという、具体的に踏み込んだお答えをされているのです。この問題は、すぐれて政治的な、高度に政治的な問題ともなっているようでございますので、大臣からお答えいただけるとありがたいのですが、大臣としては、この運輸省所管の公共事業について、コストを例えば一割削減するとか、そういうお考えに基本的に同意されているのか。建設大臣はそれなりのお答えをされているのですけれども、どうですか。
  122. 古賀誠

    古賀国務大臣 御承知のとおり、今、公共事業にさまざまな御論議があっております。その中の一つに、建設コストの縮減という問題がございます。それは私は、当然、積算の問題を初めとして努力をしていく必要はあろうかと思っております。  しかし、それが縮減されたから、ではその分をよその省庁に回すだとか、そういったことは私といたしましては到底考えられないことでございまして、縮減することによって事業を推進していくということは当然のことだろう、事業の拡大という意味に結びつけていくということは私は納得できる話だというふうに思いますけれども、コストの縮減がそのまま他の分野の中で使用されるというようなことは、私はあってはならないことだと思っております。  特に、運輸関係の公共事業につきましては、今先生から具体的に、近隣諸国との国際ハブ港湾の問題、また国際ハブ空港の問題、例をとって政府委員の答弁の中で御論議をいただいております。残念なことですけれども、大変立ちおくれていることは事実でございます。これからの国際社会でますます激しくなる経済競争、産業競争、これは当然でございますけれども、国内でも、経済構造改革の中でのコスト高、これを是正するという意味では、今言われているような、御指摘の点の社会資本の整備というものは、早急に、取り組むだけではなくて完成させていかなければいかぬということが大事なことだろうと思っております。  おかげさまで、運輸省内での公共事業のシェアというものについては、大変めり張りをつけてくれております。効果的に重点的に配分してくれておりますけれども、ただ、運輸省の中だけでは私はとても追いつかないと思っておりまして、公共事業全体の中で運輸省の緊急かつ必要性の高い社会資本に対してどう予算を確保していくか、私にとって大事な仕事だと思っております。
  123. 北橋健治

    ○北橋委員 基本的な方針についてはよくわかったわけであります。  この公共事業のコストを見直すという議論は、実は私も、二年ぐらい前に武村大蔵大臣と質疑をしたことがありまして、これは、当時新党さきがけの政策方針に、公共事業のコストを一、二割減らせばかなりの予算というものが圧縮できる、そういう議論があったので、大蔵大臣、本当にやる気があるのですかという質問をしたのですが、地元で大変反響がありました。  どういう反響かというと、実際公共事業にかかわっている人たちは、大手の企業が受注しますけれども、実際の現場では中小零細企業の人たちがたくさん仕事をしているわけです。ですから、圧縮ということになりますと、現実に仕事をしている中小零細企業の経営者なり労働者が一番そのしわ寄せを受けるんだ、その辺の事情をわかってくれるのか、こういう大変な反響がございました。  そういった問題も含めまして、私どもとしても、政府・与党がこの公共事業のコストをどう見直されるのかということについては今深い関心を持って、また改めてこの委員会で質疑をさせていただければと思っております。  いずれにしましても、六百三十兆円の見直しという作業が進められるという客観情勢は、残念ながら認めざるを得ません。しかし、その中にありまして、やはり港湾、空港を初めとして重要な仕事が運輸省には山積しているわけでございまして、それを確保していくために特段の御研究を、今後さらに奮起を御期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  124. 杉山憲夫

    杉山委員長 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議
  125. 杉山憲夫

    杉山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。辻一彦君。
  126. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、このナホトカ号油流出事故の問題について二、三質問いたしたいと思います。  ナホトカ号油流出事故について、非常に多くの皆さんに大変な御苦労をいただきまして、これに対して、まず心から敬意を表したいと思います。そういう中で、海上保安庁の皆さんにもなかなか御苦労いただきました。去年、私は委員長時代に「やしま」で特殊救助部隊の訓練を委員会として視察をして、非常に人命救助についての猛訓練をやっているということを実感しまして、そういう意味で今回の場合にも大変御努力をいただいた、これはもう敬意を表したいと思います。  また、漁村の皆さんには年配の人が相当多いものですから、毎日毎日でもう疲れ果てて、肉体的、精神的に限界を超えている、そういう中で、遠方から来てもらったボランティアの皆さんが非常に大きな支えになったと思いますので、これも大変ありがたいことだと思っております。と同時に、五名の方が残念ながらこのボランティア活動中に、あるいはその後に亡くなられたわけでありまして、この機会に心から弔意を表したいと思っております。しかし、個々の人が大変な努力をしていただいても、こういう危機のときにこれを支える体制というものがないと、なかなか一人一人の努力が必ずしも十分に実を結ばない、そういう感じがしております。  私もこの一月四日から九日までフランスにおって、原子力関係の調査に行っておりましたが、一月十日から国会議員団の調査や、あるいは現地の激励等に出て、現地の皆さんの大変な御苦労には随分と触れてきたわけでありますが、そういう中で、行ったところで素朴な質問があるのですね。それは、一つは、一月二日にナホトカ号が沈没をして、福井県のあの安島の海岸に定着するのに六日間という時間がかかっておるのですが、この間に何とかならなかったのか。二千八百キロリッター、約三千トンの重油を積んで、あそこまで来る間に何らかの方法がなかったのか。これだけ科学の発達する中で、これが何とかできなかったか、こういう気持ちが非常にありました。  それからもう一つは、七年前に、私もこの国会でリベリアの船の問題について論議をしたことがありますが、あれ以来さっぱり様子は変わっていないというか、あの教訓から何を一体学んだのかという、今も最後はひしゃくで、そして網ですくって、手で浜の油をすくう、そういうことが最終的な、最も今確実な道でありますが、依然として変わっていない。そういう意味で、七年間たって、前のリベリア船のあの経験から一体学ぶところがなかったのか、こういう声を非常に率直に聞きましたので、極めて素朴な声であるが、大変大事なことだと思うので、大臣からひとつこれについての感想を聞かせていただきたいと思います。
  127. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生本当に、地元ということもございますが、この事故発生以来、先生みずからも、今お話しになっておりますように、現地の皆様方、またボランティアの皆様方、大変な精神的、経済的な苦痛の中で献身的な実は油の防除作業に取り組んでいただいているわけでございまして、私も心から、そういった多くの方々に敬意を表すると同時にお礼を申し上げたいと思いますし、先生におかれましても、本当に再三現地をお訪ねいただきまして、そういった方々に激励をしていただく、また御指導をいただいておりますことにも、心からお礼を申し上げたいと思っております。  今先生の御指摘の点でございますけれども、振り返ってみますと、ちょうど本年の一月二日、この事故が発生をいたしました。まず第一に、海保といたしましては、命がけで人命の救助に当たったということは先生も御承知のとおりでございます。風速二十五メートルから波浪八メートルというような大変な荒天の中だったようでございます。余分なことかもわかりませんが、私もビデオを見させていただきまして、海保の皆さん方が人命救助に携わっていただいているあの姿を見まして、職責とはいえ、本当に使命感に燃えて立派にその責務を果たしてくれている姿を見て、感激いたしました。  三十一名の人命救助がおかげさまで成功したわけでございますけれども、同時に、タンカーでございますので、油の流出ということは当然予想されるわけでございまして、その日のうちに油の流出を実は海保といたしましては承知いたしておりました。ただ、今申し上げましたような大変な、日本海でも珍しい荒天がその後約一週間ほど実は続いております。しかしながら、今具体的にお話しになっております船首部につきましても、何とか沿岸に漂着することのないように、沖合曳航等、これもまた本当に海保の皆さん方に必死になって頑張っていただきましたが、その功を奏していないという結果になっているわけでございます。  しかしながら、結果として、これだけ一府七県、多くの方々に御迷惑をおかけしたということについては、今もお話しになっておりますように、さきの教訓をどう実は生かしているのかということに思いを寄せますと、平成七年に閣議決定いたしております国家的緊急時計画等を通じまして、防除体制というものの整備、そういったことについてはそれなりに努力をしてきているのではないかというふうに思います。  ただ、本当に残念なことでありますけれども、今回の事故後、一つずつ問題点を検証してみますと、教訓として生かされた中でのこの油の流出事故に対する対応、ハードの面、ある意味ではソフトの面、まだまだ改善すべき点があったのではないか。私も、応急対策本部長としてこの問題に取り組ませていただいてもう五十日ぐらいになるわけでございますけれども、素直に反省をする点が多いということを認めざるを得ない、このように思っております。
  128. 辻一彦

    ○辻(一)委員 平成二年の一月二十五日であったと思います。京都の経ケ岬にリベリア船籍の船が座礁して、そして約九百二十リッターの、C重油が中心だったのですが、これが流れて、私の方の若狭湾に油が上がって、そのときも手で随分やったのです。あのときに、実は私も平成二年の六月十二日、四月は災害委員会、六月十二日は本院の農林水産委員会で、この問題をかなり論議をしました。そのときも指摘したのですが、日本海は非常に古い船が通るというのですね。しかも荒れる可能性があるので、そういう中でこの種の事故は将来とも起こる可能性が非常に大きいというか強い。     〔委員長退席、細田委員長代理着席〕  そこで当時、近畿の知事会議が開かれて、将来そういう懸念があるので、日本海油回収船を配置してくれ、こういうことを知事会議で決議をして政府の方にも知事一行が、福井の栗田知事を初め申し上げておるのですね。そのことを私は引用して、十二日の国会においても、「こういう知事会議等における要望を踏まえて、保安庁としては将来日本海側にしかるべき油回収船の配備を検討すべきである」と思うがどうか、これに対して答弁がなされておりますが、要するにその内容は、「今回の事故の教訓は大変貴重なものであり、今後の油防除についてこの教訓を生かしていく必要があると考えておりまして、そういう中で今後の技術的な検討を踏まえ、必要な資機材の配備について検討してまいりたい、」これは一時間余りの論議の中でこのような答弁が何回も繰り返されておったのですね。  そこで、あれから七年たって、一体、日本海側における油回収能力というものは改善をされておったのかどうか、ちょっと資料を今委員長、お願いしたいのですが。     〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  129. 杉山憲夫

    杉山委員長 はい、どうぞ。
  130. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この資料を見ていただくとわかりますように、平成二年に比べて平成七年の油回収能力は日本海側全体としては逆に落ちているし、特に現地を含むところの第八管区においては減少しているということが言えるのです。経験を踏まえて、教訓に学んで検討したいと言いながら、事実としてはこういう数字が出ておりますが、これについて一体どういう改善があったのか。  油回収船の配備状況もそこに一緒にありますが、百数隻の中で八管区には一隻しかないのですが、そこらで一体どういう改善が七年間の間に行われたか、具体的にひとつ示していただきたい。
  131. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 我が国の油回収船、油回収装置などの配備の基本的な考え方が、船舶交通がふくそういたしまして事故が起きやすい、起きた場合の影響が経済的、社会的に大きい、そういう海域を中心に整備が進められてきたという経緯がございまして、その経緯の結果といたしまして、日本海側と太平洋側でこういった防除機材の配備状況に差が出てきた。それからまた同時に、その結果として、いわゆる外洋型の整備がおくれて、内水型というか平穏な海域を前提とした体制になってきた、そういう経緯がございます。  そういうところに、平成二年のマリタイム・ガーデニアの事故が起こりまして、その事故の教訓は、いわゆる平水というか内水というか静穏な海域だけの体制ではだめなので、外洋にも対応できる体制をつくらなければいけない。それも、荒天というか荒れている状況でも対応できるような回収船、回収装置の開発研究がこれからは必要です、そういうものをつくっていきましようということがその教訓として指摘されたわけでございます。ただ、残念ながら、その後具体的に、荒天下の外洋でも効果が上がるような回収船あるいは回収装置というのが世界的にもまだ開発をされていないというのが現状でございます。  これは御承知のように、油は水の上に浮くわけでございまして、その油を回収するわけでございますけれども、やはり波がありますと、油だけすくうということがなかなかできない。水と油とを一緒にのんでしまうというか、取ってしまう、そういうような姿になってしまうわけでございます。そういうところが問題になって、いまだに効果的な、これがあれば大丈夫だというものは世界的にもないという現状でございます。そういうこともありまして、課題になりました荒天下の外洋でも対応できる体制の整備がおくれたわけでございます。  そのおくれたまま、また今回の事故で同じ問題点の意識をしておるというのが現状でございます。この点については、先ほどから大臣もおっしゃっておられますけれども、反省すべき材料の一つでございまして、今後の課題の中できちんと対応できるように努力をさせていただきたいと思います。
  132. 辻一彦

    ○辻(一)委員 海上保安庁が出している「山陰沿岸・若狭湾海域排出油防除計画」、これがあります。これをさっと見てみると、この一番最後に、「外国船舶に対する措置」というので、いろいろな条件から、海域、気象、海象等の状況不慣れから座礁事故等を起こして、「二次災害として、油の大量流出事故を発症させる蓋然性が高い。」こういうふうに書いておるのですね。ところが、その対策は、保険に入っておらぬのが多いから、経費を要求するときに「捻出が困難な場合があるので、経費の求償方法等について検討しておく必要がある。」ということで、これは終わっておるのです。保険に入ってないのが多いから経費をどう要求するか、そういうことの検討が必要だということで、この項目は終わっています。リベリアのあの船も、この報告書の中にも「当海域」、ということは七管区、八管区、九管区をいうわけですが、日本海側は外洋に面した広範な海域であるから、回収船及び油回収装置の効率が波によって低下することを考慮すれば、引き続き増強を進めることが必要であり、このためにほかとの連携を図る必要がある、こういうように海保で出した文書は書いておるわけですね。  ところが、さっき言ったように、波の荒い外洋の座礁の経験が七年前にあったにもかかわらず、この中のマニュアルをざっと見ると、ほとんど内面、いわゆる瀬戸内海であるとか、波の静かなところの対策しか出ていないのです。例えば、早急に、二日間で勝負をしなくてはいかぬ、油は、出て時間がかかれば固まったり、難しくなるわけですから、二日間の勝負だと書いてあるのです。オイルフェンスを張って、油を抱えて吸収するというけれども、オイルフェンスなんか波のちょっと荒いときには一メーター超えたら役に立たないのだから、外洋では、オイルフェンスを張ろうといったって間に合わない。  それから、この中に「黒物」、「黒物」というのは、黒いものですから重油を指していると思うのですが、それからこの間のようなC重油、これはもう二日間で処理しなくてはいかぬから、こういうことをちゃんと指摘をしてはあるのですね。だけれども、波の静かなところのマニュアル、対応は出ているけれども、外洋における対応がこの中にほとんど見当たらないのです。そして、通航する船も、日本海で、ロシア、リベリア等の古い船が随分往来する、こういうことを指摘しているけれども、船にそういう波の荒いときに対する能力はない、だから無理だということかもしれませんが、ほとんどそのマニュアル等の中にも外洋における対策が出ていない。そういうことで七年間このままずっと過ぎておったわけですが、今の状況からすればまだまだこれから、しょっちゅうとは言いませんが、起こる可能性がある。  海保の方は、この中に、タンカーがいるのは太平洋、瀬戸内海は九割、それから日本海側は一割だと言う。だから、さっきの長官の説明のように、数の多いところに起こる可能性が多いから船を配置して、日本海のように数の少ないところには余り配置していないということを言っていると思うのですが、しかし、太平洋や瀬戸内海に寄港する船は、九割の船は日本へ立ち寄っているのです、どこかの港へ。太平洋をただ、日本に寄らずに来るような船はない。ところが、日本海側は、一割は確かに日本の港に、日本海側に寄港するけれども、あとは、たくさんの船というのは外洋、日本海を日本に寄らずに往来をしている、例えばナホトカですね。  これは推定ですが、四十隻ぐらいタンカーがあるということを聞いているのですが、一月に一回稼働すれば、一年に四百八十回。往復すれば千回ぐらい外洋船、ロシア等のタンカー等がこうやって動いている。そんな数は全然把握されていなくて、数は少ない、こう言っているのですが、外洋を通るところのそういう数を把握しているのかどうか、ちょっと伺いたいと思います、日本海を。
  133. 相原力

    相原政府委員 御指摘のように、外洋を通過するだけの船舶につきましては、現状においては、そういう公的な統計もありませんし、把握される体制になっておりません。日本を入出港する船舶はもちろん把握できるわけでございますが、日本海をただ通過するだけの船舶については、現状では把握できない状態になっております。  ただ、今回のような事故にかんがみまして、再発防止観点からも、そういう航行の状態等についても把握する必要性は十分認識いたしておりますので、関係国との協力も必要になろうかと思いますが、実態把握に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  134. 辻一彦

    ○辻(一)委員 では、数はつかんでいない、簡単に言えばそういうことなのですね。だから、日本海を往来する日本に寄らないものは、海上保安庁が統計上言うところの、太平洋、瀬戸内海は九割、日本海は一割というのは、外洋を走っているものを含めたら、一割ぐらいだからそういうところに油回収船は余り要らないという論理は成り立たないと思うけれども、これはどうなのですか。
  135. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 先ほど申し上げましたように、船舶交通量が多く云々という考えでやってきたわけですが、そのときの前提が、油防除資機材そのものがやはり外洋型にできていなかったこともありまして、外洋に目を向けない状態で、そういう考え方で今までやってきたということでございます。  この点が、したがって、排出油防除計画なんかを見ましても、事故の想定そのものが、港の中でタンカーが衝突するとかあるいは沿岸の近くで船が座礁する、そういうふうなことを前提にして、それに対応する体制をどうするかということで計画ができておる。それは、外洋で航行中のものが、日本海の真ん中でタンカーが二つに折れるというようなことまでその時点では想定をせずにやってきたということでございまして、これはやはり反省材料の一つであるということで受けとめて、これからきっちり対応させていただきたいと思います。
  136. 辻一彦

    ○辻(一)委員 だから、そのマニュアルの中身、それから対応においても、外洋の面では余り対策がなかったということですね。  ところが、七年前にやはり外洋でリベリアの船は起きておるのですね。そのリベリアの船は七年前に、外洋、日本海で、経ケ岬で事故を起こしている。そこから、結果としては、七年たって何も変化がないということは、余り学び取っていないと見ざるを得ないのだけれども、そこはどう思いますか。
  137. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 基本的には、仰せのとおり受けとめます。  ただ、経ケ岬の事故の例は、沿岸から数百メートルのところの座礁でございました。港の中であるとかあるいは湾の中ということではありませんでしたけれども、そういう意味では、確かに外洋かもしれませんが、やはり岸の近くであるという前提でいろいろな対応策を想定しておるわけでございまして、そういう場合であれば、ある程度の対応はできる。  ただしこのとき、先生計画を見ていただくとおわかりのように、風速が五メートルという前提になっております。そこにやはりもう一つ問題がございまして、これは年間の平均の風速をとっておるわけですが、非常に厳しい条件のときは、実は風速は二十メートル、三十メートルになるわけでございます。マリタイム・ガーデニアのときも二十メートル近くございました。そういった厳しい条件のところまで考えた想定になっていない、沿岸ではあったけれども、なっていない、やはりそういう点に問題があったというふうに思います。御指摘の点については、きっちり受けとめたいと思います。
  138. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは海保のやり方が悪いという意味ではないので、やはり過去を検証し現在を検証して将来に備えるということがぜひ大事なので、この状況はいろいろと検討する必要があろう、こういう意味で私は申し上げておるので、わかってほしいと思います。  そこで、マニュアルの中に、被害想定があるのです。あれをずっと見ると、貨物船が座礁して、そして一千キロリッターの油が流れたという、そこから全部出発しておるのですね、災害の想定というのは。現在の状況は、五千キロリッターの油が既に仮定で流れてしまったという。というと、その災害の想定がはなから、マニュアルにある想定は、今回起きた実態と全然合わないのですが、これはやはり、今の現実に合わせたマニュアル改正等を、実態を踏まえて想定等も変えていく必要があると思いますが、いかがですか。
  139. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 排出油防除計画、想定が二つございまして、今先生がおっしゃいました一千キロリットルは、経ケ岬付近の海域で一万五千トンの貨物船が他船と衝突をしてC重油一千キロという想定でございます。もう一つの想定がございまして、これは、福井の方で二十万トンのタンカーが他船と衝突して原油一万八千キロリットルを放出するというケース、この二つのケースを想定しております。  それぞれにつきまして、油が漏れた後、風、波の影響でどういうふうに拡散していくかということを予測した上で、どれだけの防除資機材が必要かということを計算いたしまして、その防除資機材、先ほど先生の資料を見せていただきましたけれども海上保安庁だけで対応するということでなくて、海上保安庁以外にも石油業界であるとか地方自治体であるとかいろいろな方が防除資機材はお持ちでございますから、そういうものを総動員して対応する、そういう計画でございます。  そのためには、どこにだれがどういう機材を持っておるのか、それをいざ事故があったらどこへどういう輸送手段で運ぶのか、それは何分ぐらいかかるのか、そんなことも防除計画を受けたマニュアルの方で詳しく決めておりまして、全体としてそれでも足りない場合には、他管区から持つてくるとか、そういうところを整備をしてやってきたということでございます。
  140. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その資料は、私、今もらった海保の中にはなかったので、失礼しました。  そこで、大臣にお伺いしたいのですが、外洋への対応が、マニュアルの面からもいろいろな船の能力面からいっても、非常に不十分だということは確認されたのですが、ならば、これから一遍にロシアの船が新しくなるわけではないので、この種の事故がこれからも起こる可能性が、やはり冬の日本海にあり得ると思うのです。そうすれば、もうちょっと性能の高い油回収船を日本の造船技術を駆使して、これは世界に冠たる技術を持っているのですから、いつまでも二メーターしかできませんというわけではないと思う。もっと力を出して、新しく開発するということは当然考えられると思うんですね。  で、清龍丸のこの図を見ると、水平線の、喫水線というかそこから取り入れてやっている。だから波が高くなれば無理なことはわかるのですが、もっと新しい五、六メーターぐらいの波に耐え得るような、可能な開発ということが日本の造船の今日の技術を用いてできないのか。そこらの見通し等はどうなんですか。
  141. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生から御指摘いただいておりますように、特に日本海外洋での今後の油の流出事故が起きないとは限らない、まさにおっしゃるとおりだと思っております。平成二年のリベリア船籍の後の教訓等についても今先生からるる御指摘をいただいておりまして、荒天の中での外洋での油汚染の防除に対する整備というのは、今海保の長官からもお話があっておりますように、世界どの国を見てもなかなかそれを有効に活用できる新しい資機材というものが実用化されていないというのは確かにそうかもわかりません。しかし、それで事が済むというわけではない。今回のこの事故の重大性にかんがみて、私といたしましては、今御指摘いただいているように、油の回収船一つとりましても、日本の技術をもってしてみれば何かできるのではないかと。  ただ、これが油回収だけのものとして建造するということになると、コストの面でそれが許されるかどうかという問題も当然出てくるだろうと思うのですが、多目的に災害に対応できるような、こういったことを含めて総合的に検討してみる必要があるだろうということを考えておりまして、ぜひ、この教訓の中で、油の回収船の多目的な災害に対する何か船というものを、本当に真剣に取り組んで考えてみる必要があるということを痛切に感じているところでございます。
  142. 辻一彦

    ○辻(一)委員 海事振興連盟というのがありますね、議員団もおりますが、造船業界、船主業界等の代表が参加をされて、そこのある会合において私はこういう問題を出したときに、五、六メーターまでの波の中でやる可能性は技術的にあり、ある程度検討もしているんだということをそこで聞いたんですが、運輸省はそういう動きを十分御承知のことだと思うんだけれども、そこらの検討というものは一体どうなっているのか。これはいかがでしょう。
  143. 相原力

    相原政府委員 先生の御指摘の件でございますが、海洋法を批准して新体制に備えるということもあります。それから、今回の油の事故の経験もございます。こういうのを踏まえまして、運輸省としても、関係の造船業界等に対して、油回収船の、先ほど来御議論がありますような技術等についても、依頼といいますか一緒に検討をしているところでございます。  今後、そういう関係業界あるいは学識経験者等も入れた場で、総合的な形で、技術開発も含めてどういった油回収船が現実的に可能なのか検討してまいりたいというふうに考えております。
  144. 辻一彦

    ○辻(一)委員 どれぐらい検討しておるんですか。かなり私の耳には自信のある話を聞いているんだけれども運輸省等もそんな状況はわかっているはずだと思うんですが、何メーターぐらいまで現在の技術をもってするならば開発の可能性があるのか、そこらは運輸省としていかがですか。
  145. 相原力

    相原政府委員 今回の経験で、現在、外洋対応型の油回収船一隻あったわけでございますが、波が二メートルぐらいまでしか適切な対応ができなかったということでございますので、当然それ以上、四メートル、五メートルでも対応できるような油回収船が望ましいわけでございまして、そういう前提で検討をしておるところでございます。例えば五メートルぐらいの波にも対応できるような油回収船が現時点ですぐに対応が可能であるというところまでは進んでいないというのが現状でございます。
  146. 辻一彦

    ○辻(一)委員 例えば船をつくるとすれば、概算要求ぐらいには出さなければ話にならないわけだけれども、六月までに検討して、一応の方向を出すというような考えはあるんですか、いかがですか。
  147. 相原力

    相原政府委員 当然、来年度予算には何らかの形で必要な措置を反映させることが前提になろうかと思いますので、概算要求の時期までに何らかの検討結果を出す必要があるというふうに考えております。
  148. 辻一彦

    ○辻(一)委員 こういうものは政党、党派抜きの問題ですから、与野党問わずにバックアップできることだと思いますから、大臣、ひとつ腹を据えて、これぜひ実現さすようにやってもらいたいんですが。
  149. 古賀誠

    古賀国務大臣 概算要求には、ぜひひとつ先生方の御理解もいただきまして、段階的に、平成十年の概算要求の中で船の建造というところまで行くかどうかは別にいたしまして、御理解をいただけるような概算要求ができるようにはしていきたい、そう思っておりますので、先生方の御支援をよろしくお願いしたいと思います。
  150. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その場合に、前々から懸案であった、日本海油回収船を配置すべしという近畿ブロック知事会議以来の、七年前からの声があるわけですね。今回はひとつ新鋭船をつくって、波の荒い冬でも対応できるように日本海側に配置を優先さすべきだと思いますが、いかがですか。
  151. 古賀誠

    古賀国務大臣 今後、再発防止観点からもさまざまな問題点を検証していくことになろうと思っておりますが、その中には、当然、今先生と御議論をいたしております油の回収船の問題、また防除資機材の配置の問題、そういった問題も大きな問題点だろうと思います。総合的にぜひひとつ検討さしていただきたい、このように思っております。
  152. 辻一彦

    ○辻(一)委員 日本海側にはこの数字で見る限り余り改善がなかったんですから、今回はひとつ実施をしてほしいと思いますが、もう一遍重ねてお伺いします。
  153. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生の強い御指摘を十分私も踏まえまして、期待にこたえていけるように最善の努力を尽くしてまいります。
  154. 辻一彦

    ○辻(一)委員 次に、補償問題を若干お尋ねしたいんです。個々のことは別にして今現地に仮設道路、船が海岸から二百メートルほどの向こうの方にいるものだから、それを海の方からやるのと、そして陸の方からと両方からやったわけですね。何とかしなければならぬというあらわれだと思うんです。しかし、その建設費、それから、これは石を積んだものだから、水産資源のいい漁場の中に二百メーター近い道、百七十五メーターかつくっているので、後はやはり用が終われば撤去ということを考えなければいかぬのですが、四十五億からの大体概算見積もりがなされておるんですね。それで、国際油濁基金の代理人の方は、費用それから効果の点からいってなかなか補償対象にはなりにくいということを新聞では伝えられておるのです。これは、私は当然今の状況からすれば補償対象として賄われるべきものであると思いますが、政府の方はこれに対してどんな見解を持っているかお伺いしたい。
  155. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 三国の船首部から油を抜き取るというのは、もう大変緊急性のある仕事でございまして、全力を挙げて取り組んだわけでございます。  一つは、先生御承知のように、海の方からバージで抜き取るやり方でございます。ただ、これは波が一メートル以上ありますと、やはりそういう作業はできないわけでございまして、二千キロリットル以上の油が残っているわけで、一日も早くと言いながら、天候次第によっていっ抜き取れるかわからないということに海からだけだとなる。それではやはり地域の期待にこたえることにはならないわけでございまして、同時に確実に抜ける方法を考えよう、それは天候に左右されずにやれる陸側からの仮設道路、その先端からの抜き取りであるということで、これは両方必要である。仮に海の方からの抜き取りで運よく終わればもうその時点で道路は要らないわけでございますけれども、海の方からの抜き取りがおくれて道路が役に立つならば、それはそれでよしということで、とにかくできることを全部やる、一日も早くやるということで両方やった、こういう経緯でございます。  したがいまして、これは私どもは油の抜き取りのためにどうしても必要な作業の一環であると考えておりまして、基金にきちんと求償をしたいと考えております。
  156. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これはしっかりやっていただきたい。これはどうなっていくのか、地元の人はちょっと心配しておるんですよ。船の船首部をどうするかということとあわせて仮設道路のことを非常に心配しておりますから、今長官の言うように、ひとつしっかりやっていただきたいと思いますね。  それから、ちょっとこれに関連することですが、船首から油を抜き取るという決定ですね。それは一月十四日に行われているんだけれども、三国の現地には、着底というのか、船首が、底が下に着いたのは八日だったはずですね。  私は、十日から何日間か現地をずっと歩いておったのですが、そのときには割と天候が最初はよかったのですよ。日本海の冬というのは非常に変化をするし晴れというのは割と少ないのですが、珍しく何日間も暖かい晴れが続いたのですね。そのときに、その方針を決める会議に時間がかかって、その方針が決まった十四日は、取り組んだと思ったら夕方から波が荒れて、何時間か、二、三時間やってもう引き揚げて、ずっとおくれたのですね。  ああいう初期における初動体制というものがやはり非常に大事なのですが、そういうものがおくれたのはいろいろ事情があると思うけれども、あるいはもう少し早くあの天気のええ問に油を抜いてくれたら、大体あの期間でこの船首部の油は抜き取れたんじゃないか、そういう気持ちを現地の人は随分持っておるのですね。初動体制がきちっとやれなかった事情はいろいろあろうと思うのですが、外から見ていると、いかにもあの六日間は貴重な時間を空費している感じがするのですが、そこらはどうでしょう。
  157. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 八日とおっしゃいましたけれども、実は七日に着底をいたしました。それで、十日過ぎに先生がおっしゃったようななぎの時期がございまして、そういう時期に抜き取ればよかったというのは、本当に何というか、こう言っては失礼ですけれども、お気持ちとしては極めてよく理解できますし、私もそう思います。  ただ、決して言いわけするわけではないのですが、ちょっと事実だけ申し上げますと、三国のあそこは岩場でございますね、あそこに船底を上にしてひっくり返った状態で着底をしたわけでございます。それで、それがぺたっと安定した状態で着底したんじゃなくて、少し傾きまして、波で揺れる状態のまま着底しておったわけでございます。  船というのは、底の方は非常に頑丈にできておるのですが、上の甲板の部分は船底に比べると少し弱いわけでございます。  そうすると、それが揺れた状態で岩場にいるというのは大変危ない。油を抜き取るときに、どうやったら安全に油が抜き取れるかということは、きちんとやはり検討しないと、いきなりかかることはできない。まず最初先生、潜って調査をするわけです。どういう状況になっているかというのをつぶさに調査しなければいかぬのですが、まことに申しわけなかったのですが、非常に天候が荒れていますと潜水調査ができない。合間を見て潜っても、海中が濁っていてうまく見れないとか、あるいはそばへ寄ると潮流で船の底に引き寄せられそうになって非常に危ないとか、いろいろな事情がありまして、潜水調査そのものが十三日までかかってしまったという経緯がございました。  並行して、我々は現地で専門家を集めて検討しておりました。これは十一日から検討しておりましたけれども、その潜水調査が終わったのが十三日、その結果をもとに十一日からの専門家の検討の結果がまとまったのが十三日の夜でございまして、それから地元の御了解を得て十四日に対策本部で正式決定して、すぐに指示をしたということでございました。言いわけするわけではございませんが、事実の経緯はそうでございました。  ただ、今回の反省事項の一つとして、こういう点についてもこれからどういう改善ができるのか、よく考えておきたいというふうに思っております。
  158. 辻一彦

    ○辻(一)委員 当時は一生懸命やっても難しい事情が、天候という動かせない条件がありましたから、いろいろあったとは思いますが、いずれにしても、沖合で沈没したときも、それから三国へ船首部が着いたときも、早く処理をしないといけない、初めの何時間かが非常に重要なので、これをひとつ最大の教訓にして、やはり新しいマニュアルをつくるときに十分生かして、また何年か後に同じことが再びこの国会で言われなくていいようにぜひやってもらいたいと思います。それからもう一つ、島根の沖合に沈んだ本体は一万トン以上の油を積んで深海に沈んでおるんです。これはなかなか、あそこへ入って引き揚げるとか、それは容易じゃないと思うんですが、非常に懸念されるのは、これからあの油が下から湧出してくる、そして若狭湾に、夏五百万からと言われる海水浴のお客さんが西日本有数の海水浴場として来ているその砂浜にそういう油が押し寄せたら、これは大変なことになるんですね。  だから、そういう懸念がいろいろあるわけなので、沈んだ船をすぐどうするかということが難しければ、湧出してきた油に直ちに対応できるような体制をつくっておくということが非常に大事だと思うのですが、これに対する備えというか体制はどうなのか。
  159. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生指摘のとおり、本体、船、尾部の方の問題についても非常に国民の皆さん方、特に沿岸の皆様方が不安に思っているところだろうと思っております。  これにつきましては、科学技術庁の御協力もいただきまして、ドルフィン3Kという深海探査機で、沈没している本体の状況が今どうなっているかということでかなり詳細な調査が実は出てまいっております。  現在、湧出油がどういう状況になっているかといいますと、大体幅十メーターから、あれは二十メーターぐらいありますかね。(「二百メートル」と呼ぶ者あり)ああ、幅がそんなにありますかね。長さが十数キロから、長いときには二十キロ以上というようなこともあるようでございます。  波によって若干帯状になって実は湧出油が浮遊しているわけでございますが、これにつきましては、海上保安庁航空機それから船艇等で航行拡散、船を油の中を走らせることによって拡散させる、または放水拡散、こういったことの防除作業を現在続けているわけでございまして、おかげさまで帯状の先端は拡散、消滅をしている、こういう状況でございますが、今おっしゃっているように、これがいつまで湧出するのか、どういう状況でそれが起きているのか、春先までなのか夏までなのか、いろいろなことで、今、このところの調査をきちっとやらなければいけないなということを考えておりました。おかげさまで、今申し上げましたように、大体水深二千五百メートルのところに沈んでいるわけでございますが、その状況も詳細に調査が出てまいっております。  私といたしましては、今月の十四日でございますか、実は私の委嘱で学識経験者や専門家の方々による本体の残存油のこれからの対応についての検討委員会を設置させていただきました。今、詳細なデータの中で、それぞれの学識経験者、専門家の方々に、湧出油の状況がどういうふうに今後推移していくのか、ともかく二千五百メートルのところだけれども、何か技術的にそれを抑えることができるのかどうかとか、あらゆる角度から実は検討していただいて、何とか結論を早々に出していただきたい、こういうことにまず全力を尽くすべきではないかということで、今その対応を、実は専門委員先生方の中で検討委員会での結論をお願いしている、こういう状況でございます。  いずれにいたしましても、湧出している油につきましては、大変でございますが、海保にもう一頑張りしていただいて、何とか防除作業に全力を尽くしていただきたい、こういう考えでおります。
  160. 辻一彦

    ○辻(一)委員 石川県、福井県は海水浴場が随分多い、いい砂浜がずっとありますが、そこで地元の漁民の皆さんが、随分高齢にもかかわらず、ボランティアの皆さんが出てくれるんだからもうじっとしておれないというので、非常に無理をしてでもやっている面、それはボランティアに対する気持ちが一つありますが。もう一つは、砂浜が油で汚れたらもう砂浜の生命というか海水浴場、観光の生命がもうだめになってしまうので、何としても今のうちに油を除いて夏を心配ないようにしたい、この思いが強いわけですよ。それで随分無理をしていると私は思うのですね。同様に、島根の沖からまた油が出てきて、それが風の状況で海岸へ寄せてくる、夏にそういう状況になったら大変な死活問題になるので、この対策は、ひとつぜひ万全を期して取り組んでいただきたいと思います。  それから、今回の事故災害と見るのかどうか。これは予算委員会で、総理とそれから国土庁長官の答弁を見ると、災害だ、事故災害である、こういうふうに認定して答弁をしておりますが、災害対策本部長としての運輸大臣から、この見解をもう一度確認させていただきたい。いかがですか。
  161. 古賀誠

    古賀国務大臣 予算委員会の中で、総理国土庁長官からも既に答弁をさせていただいているところでございますが、災害対策基本法上、異常な自然現象により生じた被害あるいは大規模な事故により生じた被害災害災害の定義としてはそうさせていただいているわけでありますが、今回の事故は、そういう意味で、災害対策基本法の災害に該当するということは当然のことでございます。これを激甚災害法による認定はどうかということでございますが、今申し上げましたように、対象が基本的には自然災害に限定をされているという激甚災害法には、今回の事故適用されるということはなかなか難しい、こう考えております。
  162. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そこが非常に問題だと思うのですね。災害基本法に、自然災害、大規模な自然災害、もう一つは大規模な事故によるところの被害があった場合に災害と認定する、それは確認されている。そして、被害の範囲は、例えば冬に東北や北陸の方に大雪が降って山の木が全部折れたり倒れたりする、そういうときに激甚災害を発動しておる。たしか五十億以上の被害で数府県にまたがる、そういう被害の場合に発動している、激甚災害を指定している。  今回は、災害であるとするならば一府八県にわたる広範な範囲に被害が及び、その被害の額ははるかに大きいわけです。中身は全く激甚災害に該当する中身である、こう言わざるを得ないですね。しかるに、各省が持つ個々法を見れば、それは自然災害だから手が出せぬ。これは何で災害だというんですね。地方の人が災害に認定してほしいと言うのは、災害と認定されることによって激甚災害や救助法やいろいろなことが発動されて、それによっていろいろな支援が国から受けられるということを期待して、災害に認定してくれ、こう言っておるのです。だから、片方だけは認定してあとは実態が伴わないとすれば、それは単なるリップサービスにすぎなくなるのですね。個々法を改正するとか、あるいは特別措置によるとか、とにかく阪神大震災の例もあることですから、何らかの道をこれらのことについて、この激甚な災害に対して開くべきでないかと思うのですが、政府としては見解はどうなんですか。
  163. 相原力

    相原政府委員 激甚災害との関係でございますが、ただいま大臣から御答弁いたしましたとおり、その対象が基本的に自然災害に限定されておりまして、今回のような事故災害については適用することは想定されていないわけでございます。  先ほど先生から御指摘ございましたように、今回の重油流出事故に伴いまして、被害関係府県も非常に多岐にわたり、また被害額も、まだ確定はいたしておりませんが、相当大きな額になるということが想定されているわけでございますが、基本的には、今回のケースの場合は、損害をこうむった被害額については民事上の責任ということで賠償システムができておりまして、トータルでは二百二十五億まで補償されるシステムになっているということがまず第一点ございます。  ただ、そうはいっても、現実に被害をこうむっておられる現地の、特に漁業者あるいは観光関係者等々多数おられるわけでございますが、特に切実な問題としてお聞きいたしておりますのは、当面の、例えば漁業関係者が油の除去作業等に携わったということ等による運転資金、いわゆるつなぎ資金でございますが、そういう問題が非常に切実な問題としてあるというのは十分伺っているところでございます。  これにつきましては、特に漁業関係ということで、農水省の方からも指導がございまして、ロシア船籍タンカー油流出事故対策緊急特別資金制度というのを一月の時点で創設いたしております。これによりますと、実質的には金利も無利子ということで貸し付けが行われているシステムになっております。ちょっと条件を申し上げますと、使途は運転資金であるということがございます。それから据え置きが一年である。実質的に無利子である。これは形式的には有利子になっておりますが、その分を県と市町村の方で利子補給するということで実質無利子で貸し出す、こういう制度ができたわけでございます。  一方で、一般的な制度といたしまして、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法というのがございまして、天災の場合に農林漁業者等が非常に大きな被害を受けたときに資金を融通するという法律がございますが、先ほどのような大きな被害で、これは激甚災害に指定されるためには非常に厳格な要件があるわけでございますが、その厳格な要件に合致して激甚災害に指定された場合と比較してみますと、その激甚災害で指定した場合でも、この激甚災害で予定しているのは、例えば漁具の購入とか船の建造資金というのが対象になっておりまして、運転資金対象にされておりません。そういう意味で、運転資金に限って申し上げますと、激甚災害の指定になされている以上の措置が既に講じられているということでございます。  今一例として申し上げましたが、そういう意味で、災害として認定といいますか考えているということで、状況に応じた適切な支援体制を講じてきておりますし、これからも必要に応じて講じてまいりたいというふうに考えております。
  164. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それで終わるのなら災害と言わないんだ。災害と認定した以上は、やはり災害に対して適用できることをやるべきだと思うんだが、それは総理も答弁をし、国土庁長官も答弁をし、災害対策本部の本部長もこれは災害ということを確認されているのなら、それで被害はもう激甚災害に十分該当する中身であるし、ただ、法律的に天災とか自然災害と書いてある、そこで適用できないということだけれども、そういうのは特例とか特別措置とか、何か方法によって道を開くことはできないのか。何もないのなら、なぜ災害と認定したのですか。
  165. 古賀誠

    古賀国務大臣 この問題、これから具体的に基金等を通じてそれぞれの被害者の方々が、あくまでも基本は民事上の問題でございますけれども、御案内のとおり、私の本部長応急対策としての本部長でございまして、これからそういった補償の問題、賠償保障の問題、それから再発防止の問題等、官房長官が主宰する関係閣僚会議を設置いたしてもおります。そういう中で、今先生の御懸念いただいているような点については、ぜひひとつ論議を重ねまして、そして結論を見出していきたい、こう思っております。
  166. 辻一彦

    ○辻(一)委員 現行で決めた法律の中で言えば、今の事務当局のことでいいのでしょう。しかし、繰り返すようだけれども災害と認定をし、それから内容激甚災害に該当する、ところが個別法では、自然と、こうあるからできないというのだけれども、そこを特別の道を開くことを、政府としても、私は、本部長としてぜひ閣僚会議においてこの問題を論議してほしいと思いますね。  それから、委員長にちょっとお願いがあるのですが、この委員会で、これだけ大挙して三十名もの国会議員が現地へ行って、災害だ、こう言えば、地方の人は、何か災害としての扱いをやはりやってくれるのじゃないかという期待はあるのですよ。だから、本部長も、行政、政府側としても、そういうことをひとつ官房長官中心の会議検討したいと言われるわけですから、この委員会としても、そういうことを実現せよとプッシュするというか応援をする、そういう意味委員会決議等によってこの問題をさらに前進をさせてほしいと思うのです。そういう意味で、理事会でひとつ検討していただいて、この問題の御処理をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  167. 杉山憲夫

    杉山委員長 辻議員の発言に対して、私ども重く受けとめて、理事会で協議させていただきます。
  168. 辻一彦

    ○辻(一)委員 あと五分ほどですが、ちょっと大急ぎで残った問題を二、三伺います。  水産庁見えていますね。  岩ノリとか貝類が大打撃を受けたんだけれども、この被害はことし一年は、全滅したのは補償対象になるでしょう。けれども、岩ノリは資源として再生されるのには何年かかかるわけですね。そうすると、何らかの援助、手当てをしないと、一年間で補償が終わっても、何年間かはノリも生えないし、貝も死んでしまったのじゃどうにもならぬですね。そういうものに対する対応策ということ。  もう一つは、さっき同僚の笹木議員が質問されておったけれども、油が海底に沈んでおって出てきたのじゃないかということですね、この懸念もあるのですが、ある意味ではヘドロという対策、これには水産庁運輸省建設省が海岸区域の担当によって皆それぞれ対象になるのですが、それらも含めて、水産庁、どう対応する考えがあるのか、簡単で結構ですから。
  169. 川本省自

    ○川本説明員 現に水産資源の影響を把握するために調査を実施しているわけでございまして、この結果をもちまして、今後、漁場の再生等につきましては、各種の振興策をもちまして被害状況を踏まえながら対処してまいりたい、このように考えております。
  170. 辻一彦

    ○辻(一)委員 同様に、建設省見えていますか。ちょっと一言、簡単でいいですから。
  171. 西口泰夫

    ○西口説明員 先生の御指摘の海域浄化対策事業というのがございます。これは、公害防止計画等の区域あるいはそれの指定が確実な水域においてヘドロを除去する事業でございます。先ほど水産庁の方からもお話ございましたが、今後調査を実施いたしまして、その調査結果によりまして、海岸保全施設への影響がある場合等につきまして、適用について検討してまいりたいと考えております。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  172. 辻一彦

    ○辻(一)委員 あと大急ぎでちょっと飛ばしますが、ボランティアが非常に活動してくれたのですね。先ほども申し上げたけれども、漁村の地元の人だけなら、本当に精神的、肉体的に限界を超えてもう倒れかねないのですが、全国からあれだけ、何万という皆さんにずっと連日来ていただいて、それに勇気づけられておると思うのです。非常にボランティアの活動が大きな影響を与えたのですが、そういうボランティアに対して、例えば炊き出しをするとか、それからJALは二十人だけ往復の航空券を羽田から小松まで発行しておったですね。同じように鉄道、JRの方でいわゆる片道助成をするとか、何かボランティアに対する助成の道、援助の道。それからボランティアの保険料、皆万が一があるといかぬので保険を掛けますが、その保険料等も何千万かになっておるのですが、そういうようなボランティアに対する支援の道というのは、本部長として何か考えられないのか。これはどうなんでしょうか。難しい問題だと思うのですが、一言。
  173. 古賀誠

    古賀国務大臣 大変難しい問題だと思います。私も現地を何回となくお訪ねいたしまして、民間ボランティアの方々の献身的な努力というものに本当に感動を覚えた一人でございます。現行制度の中で、今先生に御指摘をいただいたことに対して、今私の立場で、具体的にこういうことがしてあげられますというような答弁ができないのは大変残念に思いますけれども先生のそうしたお気持ちというものは、私もこれから政治家として続けていく中で何らかの形で持ち続けていかなければいけない課題なのかな、そういう感じで聞かせていただいたところでございます。
  174. 辻一彦

    ○辻(一)委員 本部の方でも検討の中に、機会があればひとつこういう問題について論議をお願いしたいと思うのです。  最後に外務省にひとつ聞きたいのですが、詳しいことはもう申し上げませんが、こちら側が一生懸命やっても、向こう側の、日本海を通る船が、古い船が通り、それから安全検査等が甘いのが通ると、こちら側の体制を幾ら固めてもまた事故が起こってくるわけですから、そういう意味で、やはりリベリアの船にしても、償却費が、この前の七年前に二百万しか残っていないというような古い船だったのです。だから、もう償却の終わる寸前の船だったわけですし、今度のナホトカ号かなり、船齢が二十六年というと、日本の八年とかそれから償却の十四年に比べれば随分古いわけですから、こういう船に対する安全検査の強化と、それから余り古い船はもう使わないようにという、内政干渉になってもいけないことですが、こういうことを厳しく国際的な場で申し入れて、きちっとやってもらうことが非常に大事だと思いますが、その点どう対応しているかお伺いしたいと思う。
  175. 東郷和彦

    ○東郷説明員 先生指摘の点を含めまして、ロシア側に対して再発防止、これをやれるだけのことを全部やってくれということを、事故発生以来、私ども全力を注いで申し入れております。  一月九日に在モスクワの都甲大使からロシア指導部に対して申し入れたのを皮切りといたしまして累次にわたって申し入れております。特に、二月五日から七日までモスクワで開催されました海洋汚染防止当局間会合、これは主として現時点では原因究明の話をいたしておりますけれども、その中で再発防止の問題も取り上げまして、国際的な基準を満たさない船の監督を強化すべきだということで、まさに先生指摘の点も含めて、これからロシア側に本当に真剣に考えろということを申し入れております。その他、多数国間の枠組みでもこういう問題を取り上げるべく指摘しております。
  176. 辻一彦

    ○辻(一)委員 政府それぞれ御答弁が大臣初めありましたが、ひとつここだけの問題ではなしに、ぜひこれを具体化するために最善の努力をされんことを期待して終わりたいと思います。どうもありがとうございました。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  177. 杉山憲夫

    杉山委員長 細川律夫君。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  178. 細川律夫

    ○細川(律)委員 民主党の細川でございます。  古賀運輸大臣が十四日になされました所信表明に対しまして、私の方から何点か御質問をさせていただきたいと思います。  その前に、大臣におかれましては、日本海で発生いたしましたナホトカ号の海難事故で、この緊急事態に対し、政府の対策本部の対策本部長として大変な御努力をいただいておりますことに心から敬意を表したいと思います。また、今後とも、被害対策あるいは再発防止に向けて、ひとつよろしくお取り組みをお願い申し上げたいと思います。  そこで、せんだっての所信表明、大臣お話を聞いておりまして、これからの日本の経済構造が大変変化をしている、そして大変財政も厳しいと。そういう中でいろいろな意欲的な諸施策を展開をされたわけなんですけれども、まず、私の方から最初にお聞きをいたしますことは、大臣最初に言われました、二十一世紀に向けて、陸海空にわたり整合性のとれた交通体系の形成と安定的で質の高い運輸サービスの提供を目指したい、このように言われました。  そこで、お聞きをいたしますのは、大臣の言われました、陸海空にわたり整合性のとれた交通体系の形成というのは、具体的にどういうようなことをお考えなのか、お聞きをしたいと思います。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  179. 古賀誠

    古賀国務大臣 御承知のとおり、交通サービスの提供というのは、基本的には市場原理によるものだろうというふうに思っております。陸海空それぞれ交通機関の特性を踏まえまして、二十一世紀にふさわしい交通体系を形成していくということは肝要なことだというふうに思っております。  しかし一方、市場原理を基本としながらこのことを考えてまいりますと、御承知のとおり、離島の採算の合わないそれぞれの足の確保と申しますかへまた過疎地におきます足の確保と申しますか、そういう問題をどうしていくのか。これらの問題については、やはり先生たちとの御論議を深めながら、政策的な対応が必要になってくるだろう、こういうことを総合的に考えて交通体系の整備というものをやっていかなければいけないと思っております。  しかし、これは一運輸省という問題だけではなくて、総合的な交通体系ということになりますと、道路の問題だとか、こういったところにどのような調整と調和を図っていくかということも極めて大事な分野だろうというふうに思っております。実際に施策を実行していく中で、例えば道路ということになりますと建設省、こういった分野での連携を密にしてしっかりとした交通体系、二十一世紀にふさわしい形成を図っていく、こういうことを念頭に置いて推進してまいりたいと思っております。
  180. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今大臣の言われたような総合的な交通体系を整備していくためは、やはり財源が問題だろうというふうに思います。  そこで、道路のようなものには特別な、ガソリン税のようなもので特別に道路が建設できる。しかし一方、鉄道の方はそうではないというようなことでは、大臣の言われるような総合的な交通体系というのもなかなか難しいのではないかというふうに思います。総合的な交通体系を整備していくためには、財源の方も弾力的に考えて、これをどううまく使っていくかということが大変大事じゃないかなというふうに思います。  例えば、高速交通機関としても、新幹線もあれば高速道路もありますし、あるいは飛行機もあるわけですね。そういうのを総合的に、どういうふうに高速交通体系をつくり上げていくのかということ、そこには、やはり財源を柔軟に、弾力的に使っていかなければいけないのじゃないかというふうに思いますけれどもそういう点はどういうふうにお考えなのか。
  181. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生の御指摘のとおりでございまして、これから極めて厳しい財源の中で、その必要性、そしてまた緊急性、そういったことを考えながら、空、海、陸、効率的な効果的な重点的な予算の配分、そして投資、こういったことが極めて大事な分野になってくるのではないかなと思っております。まさしくおっしゃるように、弾力的に、今申し上げました経済構造改革、また国際社会の進展、そういった中で、運輸関係の公共事業、今何をやるべきなのか、必要性と緊急性というものを十分踏まえながら、効果的な公共事業の推進というのは最も重要な課題だ、そう認識いたしております。全く先生と同じ考えでおります。
  182. 細川律夫

    ○細川(律)委員 そこで、建設省の方にお聞きをいたしたいと思いますけれども、先ほど大臣の方からも、陸海空の整合ある交通体系、そして、その財源などについても弾力的に運用をしなければいけないのではないかというようなお話がありましたけれども、国民の皆さんの生活と大変密着をしております高速道路あるいは一般国道などの幹線道路、これらのネットワーク整備、あるいはどういうような整合性のもとにそれらがつくられているのか、その点について、建設省、どういうふうな考えか、お願いいたします。
  183. 佐藤信秋

    ○佐藤説明員 先生指摘のように、陸海空の交通体系の体系的な整備、整合性のとれた整備、これは大変大事な問題だと私どもも認識しております。  例えば港湾や空港や新幹線の駅など、特に国際的に重要な港湾とか国際競争力といったような面からも、大変重要なネットワークを国内でも形成していく必要がある、こういう観点から、実は、高速道路あるいは一般国道と自動車専用道路というのも含めまして、それらのインターチェンジと空港や港湾の地域に直結する、直結といいましてもちょっとゾーンがありますから、インターチェンジから十分以内ぐらいには到達する、こういうことで目標を掲げて考えておりまして、将来的には九割、ですから、おおむね大部分の物理的に可能な範囲は、インターチェンジと空港や港湾や新幹線の駅を直結型の構造にしてまいりたいと思っております。  ただ、残念ながら、現在、高規格幹線道路も一万四千キロメートルの計画の五割弱という形成状況でございますので、そういう意味では、重要な空港、港湾等の直結率という見方をしましたときにはまだ残念ながら三割弱という見込みでございますので、これをできるだけ早くほとんどの空港、港湾と新幹線の駅と直結というような形のネットワークをつくってまいりたい、これが私どもの大きな目標としておるところでございます。  特に、もう一つ申し上げますと、平成九年度からは、そういう重要な空港、港湾周辺の開発も一緒に計画を立てていきながら重点的なアクセス整備をしていきたいということで、運輸省と連携しまして国際交流インフラ推進事業、こういうものを出発させることにいたしておりまして、これからも、そういう観点から、陸海空の整合のとれた交通体系の整備という観点を高速道路等の整備の重要な眼目として特に重点的にやってまいりたいと思っております。
  184. 細川律夫

    ○細川(律)委員 縦割り行政の弊害がいろいろ言われているわけなんでありますけれども、今、運輸省さんと建設省さん、お互いに連携をとり合いながらこれから進めていくということを言われまして、大変うれしく思うわけでありますけれども、日本の国全体、どういうような総合的な交通体系をつくり上げていくのかということは、全国のいろいろな総合開発的なことと当然連結もしているものだというふうに思います。  そういう意味で、国土庁の方に聞きますけれども、そういう点はどういうような進め方をされているのか、御説明をいただきたいと思います。
  185. 浜野潤

    ○浜野説明員 御説明いたします。  私ども、現在、新しい全国総合開発計画の策定作業をしておりますが、昨年の十二月に、国土審議会の計画部会におきまして、計画部会の調査検討報告というものを取りまとめまして公表したところでございます。この報告書では、長期的な国土軸の形成など、今後の国土づくりを進めるに際しましては、広域的な地域間の連携などを通じて地域の自立を促進するということを重要な課題としております。この基盤となる交通体系の整備が引き続き重要であるとしております。  具体的な交通体系整備の方向といたしましては、こうした地域自立の促進に向けまして、国内交通の分野では、これまで進めてまいりました全国主要都市間での日帰り可能性を一層高める全国一日交通圏の形成や、地域における広域的な諸活動を支えます利便性の高い地域交通体系を形成することなどが示されておりまして、こうした交通体系の形成に当たりましては、各交通機関相互の連携の強化や機能分担が必要とされているところであります。  今後、この調査検討報告を踏まえまして、新しい全国総合開発計画の策定に向けまして、一層検討を深めてまいりたいというふうに考えております。
  186. 細川律夫

    ○細川(律)委員 次に、大臣の所信の中で、ゆとり、豊かさを実感できる社会に向けて諸施策を推進をしていくということが言われました。その中で、大都市圏におきます通勤通学混雑の緩和を図りたい、こういうことも所信で述べられたわけなんですけれども、実は、私は埼玉であります。この議事堂に来るには電車で来ております。これは、車で来ますとなかなか時間が正確でないというようなこともありまして、電車を利用して参ります。ラッシュ時に乗りますと大変な混雑でございまして、私は東武線あるいは営団の千代田線を利用しておりますけれども、ラッシュ時にはどの駅にももう中に入れなくて、ホームから駅員がしり押しといいますか押して、もうぎゅうぎゅうで、中にいますと全く身動きができないような状況で通勤となります。  そういう電車に乗りますと、本当に豊かさだとかあるいはゆとり、そういうのは全く感じないわけでありまして、一体、この通勤通学の混雑は何だろうと本当に不愉快な気持ちがいたしますけれども、その混雑緩和に向けて、大臣、どのようにこれからやっていかれるのか、具体的にひとつお述べをいただきたいというふうに思います。
  187. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ラッシュ時におきます首都圏の鉄道の混雑率、これは先生ただいま御指摘ございましたとおり、まだ相当高い状態にございます。  平成七年の数字で申し上げますと、東京圏のラッシュ時の混雑率は一九二%ということで、まだ相当に高いという状況でございまして、私ども、一層の改善が必要というぐあいに認識いたしております。  首都圏におきます鉄道の整備につきましては、昭和六十年の七月に出されました運輸政策審議会の答申、ちょっと名称を申し上げますと、「東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画」というのがございまして、これに基づきまして都市鉄道の整備を進めてきております。今後とも鉄道の計画的かつ着実な整備が不可欠でございますので、地下鉄であるとかあるいは複々線化であるとか、そういうことにつきましてさらに努力をしていく必要があると考えております。
  188. 相原力

    相原政府委員 私の方から一点補足させていただきます。  ただいま鉄道局長の方から、通勤混雑緩和のために鉄道整備について申し上げましたが、ハードの整備といわゆる車の両輪という形で、オフピーク通勤の促進というのも、運輸省を中心に重点を置いて今行っているところでございます。例えば、時差通勤とかフレックスタイム制、これも相当浸透しておりまして、千人以上の企業でいいますと、もう三割ぐらいがフレックス制を導入しているところでございますが、そういうようなフレックスタイム制、時差通勤制を中心といたしますオフピーク通勤の促進ということで、これは労働省とも協力しつつ、経済界、労働界あるいは交通事業者等をメンバーといたします快適通勤推進協議会というのを平成五年に設置いたしておりまして、官民一体となりまして積極的な取り組みを進めているところでございます。先ほどの鉄道整備の推進とオフピーク通勤の促進、これを車の両輪として推進してまいりたいというふうに思います。
  189. 細川律夫

    ○細川(律)委員 企業などとも十分連携をとりながら、せめて通勤時に新聞ぐらいは読める、そういう通勤ができるような状況をぜひ実現していただきたいというふうに思っております。  次に、大臣の所信の中でございました、運輸関係の社会資本の整備の問題でございます。大変厳しい財政的な制約の中で、投資の重点化、建設コストの縮減を図った効率的、効果的な運輸関係社会資本の整備に努力をされるというふうに言われました。  今、国際化が大変進んでいるところであります。その中で、国際ハブ空港、特に成田空港の整備については最優先課題として推進をしていくというふうに述べられたわけでありますけれども、この成田空港の整備状況について説明を。
  190. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 成田空港が開港いたしましたのが五十三年五月でございまして、それ以来、一本の滑走路で何とかやりくりしてきた、大変苦しい時期を過ごしたわけでございます。現在、世界の中で三十九カ国から乗り入れ希望がありまして、いわばウエイティングサークルで待っていただいているという状態でありますし、また、現在飛んでいる各社からも、まだまだ需要があるので増便をしてほしいという要望がございます。残念ながら、これらをすべてお断りしているという状況になっております。  ただ、大変多くの方々の御努力おかげで、シンポジウム、円卓会議という、地元の方々との話し合いの場ができまして、国の方は、強制的に土地を取り上げるといいましょうか、いただくといいましょうか、そういう方式はもう放棄します、同じ立場に立って十分話し合いをしましょう、こういうお願いをいたしまして、そこについては御理解を賜っております。  少なくとも、平行滑走路については、その必要性は認めようというところまでやっとこぎつけたわけでございます。昨年の十二月に、空港と地域との共生策、空港整備のあり方、地域整備のあり方、これを一体のものとしてこれからの空港整備を進めましようという基本的考え方を公表いたしまして、さらに、この考え方をもとに、二〇〇〇年には平行滑走路を開業するという目標を掲げるところまでやっと来たというところでございます。  また、未買収地につきましては、元小川派の幹部の方々二軒から全体で五・一ヘクタールの買収をやっと終えまして、残り十五、六ヘクタールが残っている、こういう状態でございます。これからも努力をしてまいりたい、かように思っているところでございます。
  191. 細川律夫

    ○細川(律)委員 ぜひひとつ、成田空港整備に御努力をお願いいたしたいと思います。やはり、国民の皆さんがこの成田空港を利用するときにできるだけ利用しやすいような、そういうアクセスの面でも整備が大変大事じゃないかというふうに思います。  ちょっとお伺いしますが、この成田空港、例えば東北とか北関東、新潟、長野、こういうところの人たちはどの程度成田空港を利用しているのか、ちょっと言っていただけますか。簡単で結構ですから。
  192. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 簡単に結論だけ申し上げますと、日本人の成田空港の利用者は、発着ベースで年間千七百四十万人ほどでございます。このうち、今先生が御指摘になった地域を合わせますと、約四百万人がそういう地域からのお客さんでございまして、これを一日平均に直しますと一万  一千人、こういう数字になっております。
  193. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今挙げられました数字の大部分が、東京の北玄関と言われております大宮を通過して、成田の空港に行っているということだろうと思います。そこで、私が一つ提案を申し上げたいのは、大宮から成田に向けて、JR線を利用しながら、大宮から成田までの直行の電車を開設できないものだろうかというふうに思っております。  私どもの試算でいきますと、大宮から京浜東北線を利用しまして南浦和、そして武蔵野線を利用しまして新松戸、そして常磐線を利用しまして我孫子、我孫子から成田線を利用しまして成田空港までという線でございます。これは各駅停車の時間という十分な時間をとりましても百四分というようなことで、この開設がされますと、先ほど申し上げました東北地方、北関東あるいは新潟、長野、そういうところの方々の成田空港へのアクセスとしての利用が大変便利になるだろうというふうに思います。以前は、リニアによります大宮から成田までのリニアの開設というようなことも言われておりましたけれども、私は、大臣の言われる、今財政難、大変金がないというときに、金をかけないような形での、大宮から成田までの直接のJR便を使う、そういう線ができないものだろうかというふうに思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  194. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 先生の御提案、内々私ども伺いまして、JR東日本とも相談させていただきました。ただいま先生がおっしゃいました京浜東北線、武蔵野線、常磐線、それから成田線経由で行く、こういう直通運転でございますが、これは非常に多くの線区をわたるということと単線区間もあるために、条件によって変動はございますが、今のところ大体百三十分ぐらいかかるんじゃないか、こういうことで、大宮から東京駅に参りまして、そこで成田エクスプレスに乗りかえるといったケースに比べますと、時間が相当余計にかかるところから、利便性の改善が余り図られないために、どうも現在の段階ではJR東日本もそう積極的になれない、こんな状況でございますので、その点はその点といたしまして、便利なアクセスのためにどうすればいいか、引き続き、私どももJRとも相談しながら検討してまいりたいと思います。
  195. 細川律夫

    ○細川(律)委員 地元の要望も強いようでありますので、ぜひひとつ御検討のほどをお願いをしたいというふうに思います。  次に、これはマスコミでちょっと載っておりましたので、私の方から、ちょっと心配ですので、御質問をさせていただきたいと思います。日本財団、これは通称ですけれども、正式には財団法人日本船舶振興会、会長が曽野綾子さんであります。この日本財団から運輸省を相手取りまして、不承認処分の取り消しを求める訴えが東京地裁に起こされたという報道がございます。  これは、日本財団の評議員にヤマト運輸の前会長、小倉昌男氏を評議員に選任するということになったけれども運輸省の方がそれに承認を与えないということで裁判になったという報道でございます。一体どうしてこういう事態になったのか、ひとつこの間の事実関係を聞かせていただきたいと思います。
  196. 山本孝

    ○山本(孝)政府委員 お答えいたします。  昨年九月、船舶振興会の評議員の欠員二名につきまして補充したい旨の申請がございました。同十月、うち一名については承認をいたしましたが、他の一名、すなわち小倉昌男氏につきましては、年齢構成、男女比率、専門分野に関することなどの理由を提示いたしまして、再考をお願いいたしました。その後、同十二月に、小倉昌男氏につきまして再申請が出されまして、運輸省におきましても、引き続き対応を検討しておりましたところですが、本年一月に至りまして、船舶振興会から訴訟が提起されたものでございます。
  197. 細川律夫

    ○細川(律)委員 その小倉氏が評議員になることについて、いろいろな報道によりますと、どうも今言われたような理由ではないのではないかということが報道されております。というのは、このヤマト運輸の元会長の小倉氏が運輸省に対していろいろ批判的な意見を持っている、こういうことが原因でその評議員の方を承認しないのではないかというような報道でありますけれども、そういうようなことならば本当にゆゆしき問題であり、その運輸省の対応というのはおかしいのではないかというふうに私は思いますけれども、もう一度、なぜ承認をしなかったんでしょうか。
  198. 山本孝

    ○山本(孝)政府委員 小倉氏の評議員就任につきまして再考をお願いいたしました理由は、昨年十月に船舶振興会に対して示しました文書でも明らかなとおり、年齢構成等に関してでございます。小倉氏の発言に関する新聞や週刊誌等の報道とは関係がございません。もとより、運輸省批判論者だからという理由で評議員としてふさわしくないと考えているわけではございません。
  199. 細川律夫

    ○細川(律)委員 年齢というようなお話をされておりますけれども、しかし、ほかの評議員の方には同じように七十歳以上の方が評議員になられておるわけですから、そんなのは理由にならないはずですよね。運輸省の方ももっと大人になって、批判があっても、それはむしろいいことだというくらいの気持ちで受け入れるようなことでなければ、本当の運輸行政というのですか、それもよくならないのじゃないかというふうに思いますし、そういう意味で、私はぜひ再考してほしいというふうに思います。  今、これは裁判になったわけでしょう。もう大変なことだろうと思うのですよ。裁判が決着がつくまでこの問題を何もしないで待つなんてことも、これは私はまたよくないというふうに思います。こういう状況が続きますと、いろいろマスコミにも出たり、また船舶振興会の会長さんは書く方が専門のような人でもありますから、しょっちゅうこの話がいろいろなマスコミにも出てくる。そうしましたら、また変な意味運輸省の方に対する誤解も生じるかもわかりません。そういう意味では、私は、ぜひ早く運輸省と船舶振興会が話し合いをして、きちっと解決をした方がいいんじゃないかというふうに思います、またしなければいけないんじゃないかというふうに思います。  それで、評議会の委員の構成などについては、運輸省はいろいろ考えておられる、年齢の問題もあるでしょうし、いろいろな分野から公平に評議員の方を選任していただきたいという御希望もそれはあろうかと思いますから、そういうことも率直にいろいろ話をして、そして今回のこのことについては運輸省の方がひとつ大人になって、小倉さんのことについては評議員として認める、ぜひ今回そういう措置をおとりいただいて、裁判の方も和解かあるいは取り下げをしてもらうような、そういうことにぜひしなければいけないと思いますけれども、本当にどうですか、大臣、ひとつ英断を持って解決していただきたいと思います。
  200. 古賀誠

    古賀国務大臣 本件について先生の方から大変貴重な御意見をいただきました。私といたしましては、きょう先生からいただいた貴重な御意見を踏まえ、参考にさせていただき、早期に解決するべきだ、私自身そう思っております。そういう考えのもとに対処してまいりたいと思っております。
  201. 細川律夫

    ○細川(律)委員 大臣の方から、早期にこの問題については解決をしたいというお話がございました。本当にぜひそういう早期解決を私としても望みます。こういう事態が長く続くということは、運輸省と船舶振興会の方でお互いに不信を持ち合うということは、これからのいろいろな運営の上において決していいことではありませんので、ぜひ解決をしていただきたいと心からお願いをいたしまして、私からの質問を終わりにさせていただきます。
  202. 杉山憲夫

    杉山委員長 平賀高成君。
  203. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成です。私は、日本海におけるロシア船籍タンカーのナホトカ号の重油流出災害について質問をいたします。  運輸大臣は、所信表明の中で、重油流出災害被害対策再発防止について取り組んでいくというふうに述べられました。私は、一月の十七日に、福井県の三国町と、三十一日には石川県の珠洲市で、重油災害の現地調査を行ってきました。美しい海岸一帯に重油が漂着したその現場を見まして、本当に胸が痛みました。大量の重油が漂着した海岸では、岩ノリやワカメやサザエが全滅をしまして、漁場が破壊をされております。さらに、被害が広がりまして、観光業界など地域の産業や経済にも大変大きな影響を与えています。被災地域の住民の皆さんの国に対する怒りというのは、初動体制のおくれと、一体なぜ海上で油を回収することができなかったのか、このことにあります。  そこで、私は海上保安庁の長官に伺いますが、昨年の八月に海上保安庁がつくりましたこの計画書でありますが、排出油防除計画で、今回の被害を受けた地域の最新の防除計画だと私は思いますが、これで、今回のような大量の重油災害に対して対応することができるものになっているかどうか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
  204. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 御指摘のありました防除計画は、一定の事故を想定いたしまして、それからどれぐらいの油が出るか、どういうふうに拡散していくか、それに対してどういう防除体制をみんなでとっていくかというようなことで組み立てられておるわけでございますが、その前提となっております事故は、港の中あるいは沿岸の近くでタンカーなり貨物船が座礁なり衝突をするというケースでございます。また、前提になっております海象、気象も、例えば、風でいいますと平均五メートルというような状況になっておりまして、今回の事故は、御案内のように、日本海の真ん中で風が二十メートルから三十メートル、波が四メートルから六メートル、そういう状況のもとでタンカーが真っ二つに折れるという事故でございます。したがって、この計画で想定しているいわゆる想定事例とは違っておりまして、そのまま当てはまるものではございません。  ただ、ここで言っておりますような有事の場合の、有事というか事故があった場合の防除機材の動員体制であるとか日ごろの訓練あるいは通信体制の整備、こういうものについては、今回の場合も活用ができたというふうに思います。
  205. 平賀高成

    ○平賀委員 十分なものではないというふうな理解を私はいたしました。  私も、今説明がありましたように、これを見ました。やはり二つの事故の想定がされておりますが、一つは、経ケ岬沖のこの海域で貨物船に対してほかの船が衝突をするというその想定と、もう一つは、今お話がありましたように、福井港の中で係留中のタンカーに他の船が衝突をするという二つの事故の想定であります。大体、外洋で油の回収ができる船が日本海に一隻も配備をされていなかった、このことに私は象徴されていると思いますが、今回のように、外洋でタンカーが真っ二つに破断して大量の重油が流出をするという想定が、この計画書の中には全く出ておりません。  先ほども議論がありましたが、私は、過去の教訓をはっきりさせることが再発防止につながると思います。日本海では、今まで議論がありましたが、これまで新潟沖やまた経ケ岬沖でもこのタンカーの事故が起きて、重油災害が発生しております。このような事例があるにもかかわらず、なぜ運輸省はこのような外洋に対応できる防除計画をつくってこなかったのか、この点について、二つ目に伺います。
  206. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 ジュリアナ号のときもマリタイム・ガーデニアのときも非常な荒天下、荒れる海でございまして、そういうときの教訓として、荒天下の外洋の油回収船なり回収装置が要る、ただし、要るといっても現実にはありませんので、そういうものを開発しなければいけないということが指摘されたわけでございます。  ただ、残念ながら、水の上に浮いている油というのは、波があると、油だけをうまくすくうというのは、それが四メートル、六メートルというような波になりますと、大変難しい。現実問題としては、現時点で、そういうものをすくえるような技術というのは世界のどこにもないというのが現状でございます。そういうことで、結果的に外洋型の体制整備がいまだにできていない、そこにもう一回今回のナホトカ号事故が起こったというのが経緯でございます。  ただ、繰り返すようで申しわけございませんが、今回の事故をきちんと踏まえまして、あらゆる角度から体制の整備に努めていきたいというふうに決意をしているところでございます。
  207. 平賀高成

    ○平賀委員 これまでの国会での議論や教訓が生かされてこなかったその一番の大もとには、大規模な港湾建設にはたくさん予算を使いますが、しかし、私たち国民の側の財産や生命、さらには環境を守るという点では本当に予算がないがしろにされてきた、この問題が私はあると思うのです。それで、現に海上保安庁の油防除のための予算というのは、この九〇年代以降ずっと一貫して六千九百万しかないわけです。  この点で、七年前の経ケ岬沖のタンカーの座礁事故に当たりまして、私たち日本共産党の寺前巖議員が、外洋で油回収作業ができる大型の回収船と、そのための体制を緊急に求めています。それに対して、海上保安庁の野尻次長がこう言っています。厳しい状況下におけるより迅速かつ効果的な流出油防除手法、資機材の配備のあり方について検討すると明確に答弁をされています。ところが、寺前議員が指摘をされた方向や、また運輸省が答弁された方向に、実際の問題としては進んでこなかったわけです。全く改善されてきませんでした。この点で、運輸省責任は極めて私は重いと思います。  大臣伺いますが、私は、予算を大幅にふやして、日本海における排出油防除計画を、今回のような大規模な重油流出災害に対応できるものに抜本的に改めるかどうか、このことについて伺いたいと思います。
  208. 古賀誠

    古賀国務大臣 最初に申し上げておきますが、政府もまた運輸省も、国民の生命、財産は最も大切にしておるということだけは先生の方に御理解をいただいておきたいと思っております。  いろいろ先生に御指摘をいただいております今回のナホトカ号油流出事故に際しての取り組みでございますけれども、確かに、平成二年でございますか、リベリア船籍の事故の教訓という中で、外洋における油汚染に対する防除体制、政府委員の方からも海保の長官からも御説明申し上げましたように、荒天の中で波高が五メーター、六メーターを超えるようなところで、油の回収船というものが、技術的に効果の上がる活用が実際実用できるのかどうかというのは、今のところ世界どの国にもないわけでございます。  しかし、過去の教訓を生かすという意味でも、今回、これだけの多くの被害の重大性にかんがみ、技術的にそういった回収船ができるかどうかということをまず検討してみたい、このことはお約束をしたいというふうに思っております。そして、総合的な観点から、これからの、外洋での、しかも広範な、今回のような事故に対する防除体制というものはどうあるべきなのか、問題点を検証いたしまして、改善には万全を尽くしてまいりたいと思います。
  209. 平賀高成

    ○平賀委員 抜本的に改めるかどうかという点では、どうですか、改めてお願いします。今のこの計画を、外洋で対応できるような計画に抜本的に改めるかどうか。
  210. 古賀誠

    古賀国務大臣 そういう点も含めて、今度の問題点がどこにあったのか、検証をやって改善すべきところは改善をするということでございます。
  211. 平賀高成

    ○平賀委員 そのような改善がされるということですので、私は、この際に油回収船について伺いたいと思います。  これはテレビのニュースでも報道されましたが、経ケ岬沖でのタンカーの重油流出災害の教訓を踏まえて、造船メーカーが四年ほど前に、日本海でも通用する、清龍丸の六倍の回収能力を持ち、ヘリコプターも搭載する大型の回収船を、設計図までつくって関係者のところに要請に回ったそうです。ところが、だれからも声がかからなかったそうです。確かにお金はかかりますけれども、しかし、技術的には日本海でもちゃんと回収できる、そういう技術は既に持っているということは私は明らかだと思います。  きのうの毎日新聞でも、日本造船工業会の会長が、外洋で活動できる油回収船の建造に乗り出すというふうな報道もされております。その場合、多目的船とすることで維持費用の低減を目指す考えもあわせて表明されております。また、運輸省の港湾建設局には、ドラグセクション式のしゅんせつ船として、名古屋港の清龍丸以外に、関門航路には海鵬丸、そして新潟港には白山丸、この二隻があります。それぞれの船は建造してから三十二年とか三十三年という船歴が経過をしています。耐用年数からいいまして、もう既にこのかわりの船をつくる時期に来ていると思いますが、船を効率よく使用するために、私は、油回収機能を持ち、しゅんせつもできる船をつくることを具体的に検討するべきだと思います。  今回の災害では、外洋で対応できる油回収船日本海に一隻もなく、第一義的にやらなければならない海上での油回収が思うようにできなかったわけです。その意味で、運輸大臣は、被災地域住民や自治体から強い要望が出されています、私も珠洲市の市長からも要望書を受け取りましたが、大型の油回収船日本海に配備するつもりがあるかどうか、明確に答弁をお願いいたします。
  212. 古賀誠

    古賀国務大臣 既に何回も御答弁申し上げておりますように、今回の事故の重大性にかんがみ、十分問題点を検証して、あらゆる点についてこれから改善すべきところは改善していかなければいけないわけであります。  今御指摘をいただいている油の回収船にいたしましても、まだこれだけの厳しい冬の日本海、風速二十五メーターから三十メーター、波高が八メーター以上というような、そういう荒天に、油回収船として技術的に実用可能な油回収船が建造できるかどうか、正直言って、私はまだ承知をいたしておりません、技術的にそれができるかどうかということを。  そういうことも総合的にこれから検討させていただきまして、今お話しいただいておりますように、いろいろな資機材の整備等につきましてもこれから検討させていただくということをお約束させていただいているところでございます。
  213. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、この重油流出災害が起きて以降、総合的に検討する、こういうことを何回も聞いています。午前中の政務次官の答弁でも、外洋型の大型の回収船を配備するということや、そのための体制をつくるという、このことを検討する、このような答弁を伺いました。  七年前から政府としては検討するということを言い続けて、しかも外洋型の災害に対する備えがなかったわけですから、この期に及んで検討するという答弁は、今回の重油流出災害に対して私は適当じゃないと思うのですね。少なくとも、国民的な合意としては、日本海側にせめて一隻は大型のものを配備すべきだという合意ができているわけですから、ぜひこの点で、私は、具体的な例を言っているわけではなくて、日本海側に配備する用意があるかどうか、これぐらいは言明するべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  214. 古賀誠

    古賀国務大臣 まず第一に、荒天の日本海で実用化できる油の回収船ができるかどうかということを技術的に検討させてくださいということを申し上げているのでございます。  私としては、先生指摘のように、これだけのすばらしい油の回収船ができますよというようなことを実際に計画し、そしてそれぞれの方々にお話をされたという方がいらっしゃるということですが、私は承知をいたしておりませんということを申し上げているのでありまして、そういう技術的な観点からも検討していかなければいけないということを申し上げております。  そしてまた、油の回収船だけで、経済効果からいいましても、投資効果からいっても本当にそれでいいのかどうか。もっと災害全体的な、多目的な要素が必要なのかどうかということも検討していかなければいけないでしょうし、そういうことを総体的に踏まえて、では日本海にどうするのかということも当然今後の課題としては残ってくるでしょうけれども、総体的なことを検討していかなければいけないことは当然のことだと思います。
  215. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、総合的に検討して、国民的な合意ができているわけですから、この点はぜひ踏み込んで答弁していただきたいということを強く求めまして、次の問題に移ります。  予算委員会で、木島議員が、我が国の港に寄港しないで日本海を行き来するタンカーの把握についての質問に対して、運輸省相原政策局長は、公表した統計がない、現状では把握が困難だと答えております。OPRC条約には、各国は必要に応じて二国間の協力等により国際的な地域システムを構築することが盛り込まれています。この条約に沿って積極的に近隣諸国と、油防除体制として国家間あるいは多国間の協定を推進すべきだと思います。既に、油防除にかかわる国際協力に関する地域協定は、黒海やバルト海、地中海やアラビア湾などで発効されています。こうした国際協力によって日本海を航行するタンカーの把握もできますし、流出油災害への対策にも役立つことになります。  私は、運輸大臣伺いますが、ロシアや南朝鮮、中国政府などとの間で二国間協定あるいは地域協定を締結して、お互いに日本海を航行するタンカーについては情報交換を行うようにするなど未然に災害を防ぐ、この点についてどのように考えておられるのか、この点についてお願いします。
  216. 相原力

    相原政府委員 先生の御指摘の中で、先日の予算委員会の中で私が答弁した関係もございますので、私から御答弁させていただきます。  日本海を通過するだけの船舶、日本に出入港しない船舶で日本海を通過するだけの船舶については、先ほどの御質問にもございましたように、現状では把握されていない状況でございますが、それの航行状態を把握することの必要性については、私どもも十分認識しているところでございます。先生の御質問にもございましたように、OPRC条約におきましても、二国間あるいは多国間の協力の必要性がうたわれております。  それから、現実の動きといたしましては、特に日本海、環日本海関係国によります北西太平洋地域海行動計画、これはNOWPAPと頭文字をとって言っておりますが、国連環境計画の提唱のもとに行われている計画でございまして、ロシア、韓国、中国、日本という環日本海関係国によってこの行動計画が策定されているところでございます。  この中で、海洋汚染緊急時対応というのも具体的に検討することになっておりまして、ことしの夏には我が国でその第一回の会議を開催することになっております。その会議の場におきまして海洋汚染に対する準備体制の情報交換とか、あるいは地域間の緊急時の対応計画等を検討することになっておりまして、御指摘のタンカーの運航実態につきましても、この場におきまして情報交換を含めて国際協力体制づくりを進めてまいりたいというふうに考えております。
  217. 平賀高成

    ○平賀委員 この点は、巨額の予算がかかるわけではないと思いますので、ぜひ積極的にやっていただくことを要望しておきます。  次に、中部新国際空港の問題について伺います。  昨年の十二月に閣議決定を行いました第七次の空港整備計画で、中部新国際空港も、成田や羽田や関空などとあわせて四大プロジェクトの一つに位置づけられております。空港建設に当たって、私は、やはり地元住民の皆さんの合意が大変重要だと思います。  中部新国際空港でも、名古屋空港の一元化の問題や伊勢湾の優良な漁場がなくなる問題、さらには地方自治体の莫大な財政負担、こういう問題が残されたままであります。運輸大臣伺いますが、この中部新国際空港建設に当たりまして、地元住民との合意の重要性についてどのように認識されておられるのでしょうか。この点についてお願いします。
  218. 古賀誠

    古賀国務大臣 御承知のとおり、空港整備を進めるに当たって一番大事なことは、御指摘をいただいている地域社会との共生ということだろうと思います。まずそういう視点に立つことが大変重要なことだと私も認識をいたしております。  昨年十二月の第七次空港整備五箇年計画におきましても、航空審議会答申においても改めてその必要性というものをきちっと示されているということでございます。中部新空港につきましては、第七次空港整備五箇年計画におきまして、「総合的な調査検討を進め早期に結論を得た上、その事業の推進を図る。」としているわけでございます。共生の視点に立ちつつ、地元を含む関係者の御意見に十分配慮しながら、国と地域が連携をいたしまして事業の推進を図っていく。地元との共生、この視点を十分踏まえていきたい、こう思っております。
  219. 平賀高成

    ○平賀委員 地元の住民の皆さんとの合意は大事だということを承認される答弁だと思います。ところが、実際、愛知県に行きますと、愛知万博が二〇〇五年に行われるという。このことに間に合わせるために二〇〇五年までに空港建設を進めよう、こういう声もいろいろ出ているわけです。私は、こういう動きというのは、解決しなければならない問題が山積しているにもかかわらず、こういう問題を解決しないまま強行しようという動きだと思うわけです。  運輸大臣伺いますが、私は、万博と空港建設というのは別個の問題だと思います。この点で、逆算方式でやるのが運輸省の態度なのかどうなのか、伺いたいと思います。
  220. 古賀誠

    古賀国務大臣 私も、万博と中部新空港とは別個の問題だと思います。
  221. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、地元の住民の皆さんとの合意や、また、問題をきちっと解決しないまま強行する、こういう態度はとらないという、このことの言明だったと思います。そういうふうに受け取って、私の質問を終わらせていただきます。
  222. 杉山憲夫

    杉山委員長 寺前巖君。
  223. 寺前巖

    ○寺前委員 大臣の所信表明を聞きました。私は、聞いて、原案をお書きになった人が悪いのか、あるいは配慮しておっしゃらなかったのか、気になることがあるのです。  それは、運輸省の事務次官までおやりになった方が、初めての民活型の関西空港をつくってそれで逮捕される。それは何だったんだといったら、わいろをもらったという、世間さんに通じない話でしょう。しかも、御本人だけではなくして関係者が、事件があの関空をめぐっていろいろ起こっているんだから、運輸省として深くこれは研究されていなければならないはずだ。  ところが、この所信表明を見まして、そういうことについては一言もお話もなければ、あえて私、最後のところに、「運輸行政をめぐる課題は山積しておりますが、私といたしましては、」と言って、その次におっしゃるのかと思っておったら、「長期的展望に立ち、また、国民の行政に対する信頼を確保しつつ、」暗にここでおっしゃっているのかなと善意に受け取りながらお話を聞かしていただいた次第です。  私は、別にけちをつけて言いたいのではなくして、やはりこの問題は運輸省にとって真剣に考えてもらわなければならない問題だろうというふうに思いますので、その問題を一つ聞きたい。  もう一つは、これは前から私、提起しているのですが、一向に耳をかしてくださらないので、あえて新しい大臣のもとで提起をしたいと思いますのは、運輸省航空局を初めとする関係者が、海外なり国内なりの出張を何で無料でされるのだろうかという問題です。これは、監督行政をやるところが、いわば、悪い言葉で言えばたかりをやるようなことを、この際にきっぱりと検討してもらわなければならないのではないだろうか。外務省の人と一緒に国際会議に行かれる。おまえはええな、ただだそうやなんて言われて本当に気持ちいいんだろうか。私は、やはり出すべきものはきちんと出してもらう、そういう運輸行政に立ってほしいな、これが私のきょう聞きたい内容です。  そこで、二つの面について聞きたいと思うのです。時間の都合もありますから、端的な話の方から先にやりますと、民間航空機の、言葉は悪いけれども、ただ乗り問題です。それで、資料を出してもらったんです。  一九九五年度、海外出張に際して航空会社に対する無償搭乗は年何件であり、延べ人数は何人であったのか。そしたら、百七十四件、延べ人数三百八十一人。海外の場合、全額無償だ。国内は五千四百四十八件、人数にして五千四百四十八人、うち全額無償引きが二千四十八件だ、こういうふうなお話でした。その前はどうなっているんだ。九四年度、海外が百七十二件、国内が六千三百八十七件、うち全額無償が二千三百八件だ。九三年は、海外が百八十五件、それから九二年は海外が百六十七件という、万事このような調子なんです。  問題点は極めて明確なんです。何でそんなことをいつまでもするんだ。例えば、前のときに聞きましたら、それは、国際的にIATAで認知されているんだ。それで、IATAの日本事務局に聞いてみたら、いわゆるガバメントオーダーというものだろうが、IATAではそのような規定はないというふうに言うわけや。どんな言い方をしようと、私は、外務省の人とそろって行くのに、片一方は無償で片一方は有償だ、同じ日本の公務員としてこれはだれが考えてもまともじゃない。私は、長い経過があるんだろうからすぐにと言わないけれども、調査し研究して改善しなければならないと思っておられるのかどうかだけは、きょうは新しい大臣だから素直に見てほしいということで質問したいと思うのです。いかがでしょうか。
  224. 古賀誠

    古賀国務大臣 大変経験豊かな先生の御質問を受けることは、私も先栄でございます。  この問題、常に同じ答えが繰り返されているのではないかと思っておりますが、私も全く同じ返事になろうかと思っていることをお許しをいただきたいと思いますが、先生みずからも触れていただきましたように、まず、この制度というのは国際的に慣行として確立をされたものだというふうに聞いております。航空行政の遂行に必要性がある場合に、無償または割引ということで確立された制度だということでございます。先生がおっしゃるようなただ乗りというのはちょっとひど過ぎるのではないかな、国際的に確立された慣行であるということだけはひとつ知っていただきたいというふうに思います。  ただ、私自身、今先生もおっしゃったように、そのままでいいのかどうかということは別問題でございます。これは、きょうのこの政府委員の答案には書いてございませんけれども、まず、この制度が適切に運用されるということはもとよりでございますけれども、やはり、何らかの改善に向かって研究してみる必要がある時期に来ているのではないかな、こういう感じはいたしております。  私は、そういう私自身の感じをきょうは申し上げて、答弁にかえさせていただきたいと思います。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  225. 寺前巖

    ○寺前委員 大臣の積極的見解は私も同感でございますので、検討してみてください。APECなどに、何で片方はただで片方は出してもらうのか。監督官庁の方は大きな顔をして乗っていく、乗っていく人も気が気でないだろうなと私は逆に心配しているのですよ。だから、こういうことがろくなことにならぬことにつながらないようにしないと、いつの間にやら存在が意識を変えてしまうということになるだけに、これはひとつ私の心配を聞いてください。  それから第二の問題、関西国際空港の問題です。  大体、国際空港の設置、管理は空港整備法で規定されて、国みずから、または公団方式で行うのが原則として行われておりましたところ、関空会社がつくられるときに、特殊法人、株式会社の運営形態になりました。それで、行革・民活のモデルケースとして華々しく開港した関空会社に、事もあろうに運輸省の元事務次官の、関空会社の前社長であった服部氏が収賄容疑で逮捕されたのですから、あれあれと思わざるを得ないわけです。  ところが、この関空をめぐっての事件というのはそれにとどまらない。一期工事着工中の砂利船汚職事件がありました。海土協の八社談合事件というのがありました。また、開港後には、一昨年の九五年五月でしたが、大規模商業施設エアロプラザを舞台にした贈収賄事件というのが摘発されて、当時の関空会社複合管理棟建設課長が収賄容疑で逮捕された。この汚職事件に関連して、贈賄業者から関空会社役員、運輸省大阪航空局幹部職員らがゴルフ接待を受けていたことも発覚してくる。そして、いろいろ綱紀の粛正という問題が論議されるようになりました。  ところが、私は当委員会においてこの問題について聞いていたのですが、ちょうどその時期に、今回の、事務次官であった服部さんが贈収賄にかかわっていたのですから、これは一体どうだったのだろう。それであのときには、ちゃんとそのための副社長をトップとするところの特別な調査をする委員会がつくられていました。それでいろいろおやりになった。  おやりになった結果について、私聞いていないのだけれども、ちょうどそれと時期を同じくするときに、もう一つ上のトップの社長さんみずからが疑惑にかかわるようなことになっていたとすれば、これは、全体として組織的運営のあり方、万々歳で大々的に売り出したこの関西空港であっただけに、これでいいのだろうかという、組織的にもメスを入れてもらう必要があるのではないだろうか。  それで、この間、関西空港の関係するところの役職員の出身別一覧なり、管理職の出身元一覧なり、関西国際空港施設エンジニアの役員一覧表などの資料を出していただきました。  役職員の出身別一覧では、役員十四名のうち国からの出身者が半分の七名。内訳は、運輸省出身者が三名、その他四名である。運輸省出身者が役職員の中で全体の二一%である。また、職員は四百九十四名のうち国からの出身者が二百二十五名。そのうち運輸省出身者が百八十九名である。職員については、全体の三八%を運輸省の出身者が占めている。  管理職の出身元一覧については、出向者総数八十六名のうち四十九名が運輸省出身者。全体の五七%を占有している。しかも、そのポストは、総務部長、経営企画部長、空港計画部長、業務部長、営業部長等々、主要ポストを占めておるわけです。施設エンジニアの役員一覧では、社長以下十三名中六名が運輸省の出身者である。  まさに、関空会社や施設エンジニア会社の予算も人事も、組織全体を握る主要ポストのすべてを運輸省が掌握しているというふうに見るが、私は過言ではないと思う。そういう実態であるだけに、ここから生まれてきた、今疑惑を持たれている内容はどこにあるのかということを説明してもらわなければ困るわけですよ。  私、この間、担当の課長さんにおいでをいただいて御説明をいただきたいと言ったら、私どもは下請会社までは知っていますが、それから下の孫請その他のことについては知りませんと。知らぬで済む話なんだろうか。孫の段階の問題が収賄容疑の問題の関連性で出ているのに、そこの問題も調査しなかったら、一体何をやっているんだろうかと思わざるを得ないのです。これは責任を持ってこの問題について考えてくれているんだろうか、なるほど大臣の所信表明に出てこなかったのはこれの関係だろうか、勝手な思惑かもしれませんけれども、解明するときには徹底して解明しなかったら、二度とそういう問題が起こらないということにはならないと思うのですよ。だから、私はそういうふうに思い切ってやってほしいと思うのです。  それで、今回の事件の発端となった関空会社の子会社関西国際空港施設エンジニア、これは関空会社が五二・五%、大林組が四・五%、その他四三・〇%の出資比率の清掃会社、そこで、清掃業務の請負契約について聞きたいわけです。ここが一括してやっている会社ですから。  清掃の請負契約については、九三年十月四日、新聞に募集の公告を行い、その後、プロポーザル方式によって九四年一月に六社を決定したと言われています。  その六社は、アサヒファシリティマネジメント、東洋ビルサービス、関西明装、ジャパンメンテナンス、南海ビルサービス、第一建築サービス、こういう会社だというのですが、間違いございませんか。
  226. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 今先生の挙げられました会社とダブるかもしれませんが、アサヒファシリティマネジメント、東洋ビルサービス、関西明装、それからジャパンメンテナンス、南海ビルサービス、それに第一建築サービス、この六社でございます。
  227. 寺前巖

    ○寺前委員 それで、私は関空会社のある関係者から今回の問題について話を聞きました。清掃業務請負に当たっての関空会社側の方針は、一、元請が下請まで使うと中間マージンなどで予算が膨らむ、二番、経理が不透明になる云々という理由で、下請会社方式を導入しないことを役員会で決めたと聞いているのですが、それはいかがなものですか。
  228. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 私どももそれなりに調べておりますが、今先生のおっしゃられたような、下請を出さないことを条件としたという事実はない、こういう報告を関空会社から受けております。
  229. 寺前巖

    ○寺前委員 条件としないというふうに言われると、関空会社の人たちが語っている話と少し違ってくると私は思うのです。条件にしないか知らないけれども、そういうふうに運営するということを決めたというふうに聞かされています。  そこで、次に聞きますが、関空側の意向がそのようだと彼らは受けとめておるわけですが、元請六社の中の数社の関係者から聞き取りをやりました。共通の話は、清掃の仕事はもともともうからない仕事で、下請を加えることには反対だった、こう言っているわけです。ところが、九四年一月、関空本社内で開かれた説明会で、関空の元常務やエンジニアの担当者から突然下請相手が通告されたという証言が出ているのです。そして、会社側から強く勧められたので、相手のことをよく知らないままに契約を行ったという、数社の幹部の方々も出てくるわけです。  こういう事実、御存じですか。
  230. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 その点でございますが、率直に申し上げまして、私は承知しておりません。それをきちんと調べろ、こういう御指摘が来るかと思いますが、今回の事件の公判がこれから始まるわけでございまして、それにつきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思っております。
  231. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、関空会社の方からそういう話を持ち込まれたという、そういう話を聞いただけでも調査しなかったら、これは組織的な運営の問題にかかわる問題であって、これは大変なことになると思う。いいことなのか、悪いことなのか。いいことだったら、別に何も調べることはないでしょう。悪いことだったら、やはり調査をしなかったら、これは運輸省の諸君たちがたくさん出向しているところであるだけに、おい待てよということをチェックしなければならない性格だと思うのです。  そこで、お聞きしますけれども、問題になった下請業者の名前を明らかにしてください。
  232. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 私ども、承知しておりません。
  233. 寺前巖

    ○寺前委員 知らないとなったら、ますますもって不可解なことになる。  あの服部前社長が収賄容疑で二月二十一日に起訴されています。公訴事実を見ると、被告人服部は関西国際空港株式会社の代表取締役社長として云々、関西国際空港施設エンジニア株式会社にかかわる同空港旅客ターミナルビル清掃業務の下請業者選定などについて好意ある取り計らいを受けたことに対する謝礼並びに今後も同様の取り計らいを受けたい趣旨のもとに供与されることを知りながら云々、各わいろを供与したと述べている。しかも、その時期は、九五年のエアロプラザの汚職事件の前後、すなわち九四年四月、十月、九五年十月、九六年四月であります。  当時の関空会社は、服部社長ではなくして副社長を大将にして、綱紀粛正・業務改善検討委員会というのを九五年五月二十三日に設置していますから、社内の綱紀粛正等々の取り組みをしているその最中に、一方でこのようなことをやっておる。このような時期に服部氏は、関空社長の権限を行使して、行政、業務をねじ曲げたということになりますから、司法の問題は司法の問題にしたって、業務上ねじ曲げて、あれを入れたってくれというようなことを言うということは、もしもあるとするならば、組織的にやはり点検をしてみなければならない話だと私は思う。  どういう会社が話題になって、何でそこのところを調べないのか、私には理解できない。これは一体、何で調べないのですか。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  234. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 服部前社長は私どもの大先輩でありますし、今回の関空の開業に当たりましてはそれなりの成果を上げていただいた方でありまして、今回の事件、我々大変残念に思っております。  ただ、今先生が御指摘になりましたような点も含めまして、これから公判廷において明らかになる、我々が調べるよりもより正確に明らかになるだろうと思っておりまして、その辺の展開を待ちたいと思っております。
  235. 寺前巖

    ○寺前委員 僕は、みずからまいた種はみずからが整理をして、どこに問題があるかということを調べないと、それは何も司法の話ではないですよ、みずからの責任の話だと思うのです。  警察庁にお聞きしたいのです。  今名前は知らないというお話でしたが、大幸工業とか共和商事とか、りんくう北中というのですか、ケンダンレンサービスというような名前が下請業者の名前としてずっと出てきています。現地ではもう公然と言われています。  そこでお聞きしたいのですが、大幸工業はアサヒファシリティマネジメント、東洋ビルサービス、第一建築サービスの下請。共和商事はジャパンメンテナンスの下請。りんくう北中は関西明装の下請業者であります。九四年三月に共和商事の幹部らが書類送検をされて、九五年五月に大幸工業の社長が逮捕された。どんな容疑で書類送検、逮捕されたのか。私は、名前が出てくるこれらの下請会社というのは、ただ者でないということを感ずるので、あえて警察庁にお聞きしたいと思います。
  236. 宮本和夫

    ○宮本説明員 御質問の事件は、一つは大阪府内の会社役員らが石川県内において賭博をしたというものでございまして、平成六年二月十五日、大阪府警察が被疑者六人を賭博罪で逮捕しております。  もう一つは、やはり大阪府内の会社役員が、社会保険事務所に対し暴力団組長が同社において稼働していた旨の内容虚偽の報告をした一方で、同組長が不正に取得した健康保険保険者証を病院において使用し、療養給付費用の支払いを免れたという健康保険法違反及び詐欺事件であり、平成七年九月四日、大阪府警察が会社役員及び暴力団組長を逮捕しております。
  237. 寺前巖

    ○寺前委員 警察庁ありがとうございました。私は、ただごとでない会社だということをちょっと発言をしてもらったわけです。  そこで、運輸省にお聞きしたいのですが、服部前社長はこのような犯罪歴を持った企業を泉井容疑者から請託を受けて元請企業に押しつけた結果になっている。さらに言えば、大幸工業は、八〇年十一月、大阪湾に二万トン近くに上る未処理汚泥を不法投棄したとして産業廃棄物処理法違反容疑で社長が逮捕されておる。また、共和商事は、九三年一月、大阪湾埋立工事に絡み架空の警戒船料を取得していたとしてマスコミで報道された企業でもあります。さらに、りんくう北中は、元漁業組合長が社長をしている企業で、組合長時代りんくうタウン建設工事にかかわる資材輸送や警戒のための用船代を横領したとして組合員が大阪府警に告訴をし、後に組合長を解任された経緯もあります。  こうやって挙げていったら切りがないのですが、官公庁が清掃業務を民間に委託する場合に、建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づくものとして登録業者を指名要件にしているところが多いわけです。  そこで、大阪府に聞きました。共和商事は未登録業者ではないのか。そうしたら、そうです、こう言う。大幸工業は九四年九月二十八日に登録をしています。開港したのはこの九月四日ですから、そうすると、開港して約三週間後に清掃業としての登録をした。りんくう北中は九六年月二月二十六日に登録しているのですから、それよりもっと後です。しかも、この中の大幸工業は丸投げの疑いもあるぐらいだ。元請の関係者は、契約は大幸工業と交わしているのだが清掃業務の仕事には一切タッチしていないとも言っています。ある下請業者は、毎週金曜日に下請業者約二十社が集まって業務連絡会議という名称の会議を開いているが、大幸工業の担当者の顔を見たこともないとまで言っている。  考えてみたら、これらが事実だとするならば、それはとんでもない連中を紹介したことになるし、また、そういう登録もされていない人たちを清掃業務の中に引き入れていく。えらいことを平気でやっておったものやな。だれが考えても、これがまともな行政機関のやる仕事なのだろうか。出向者まで入れている、運輸省の大部分の諸君たちが指導権、発言権を持っている、そういう中でやられておっていいことなんだろうか。私は疑問、首をかしげざるを得ないわけです。  エアロプラザの問題で、贈収賄事件で摘発されたところの贈賄業者松田平田は、常務が逮捕されて、九五年五月二十三日から九六年二月二十二日の九カ月の指名回避処分を受けています。ところが、指名回避後二カ月後に、エアロプラザ連絡コンコースの風よけ設置工事実施設計など四件を随意契約で受注をしている。これでは、請負業者が問題を起こしても、少し謹慎しておったらすぐにもとに戻ってしまうということになるではないか。  こうやってずっと一つずつ挙げていったら、関空会社とは名をつけておるものの、運輸省のこの件に対するところの調査の実態を恐らく大臣にも報告していないのだろう。だから国会にも言えないという姿になっているのじゃないのだろうか。こんなことをやっておって、これが行革だ、これが民活型だ、その第一号だ、模範だ、事務次官を先頭にしてやっていたんだ。国民は黙って、こんなものがいいとだれが語ることができるだろう。そういう内容を持っているものが所信表明で大臣の口から出なかったということは、ただごとではない。だからそういう意味では、私はもうここでやめます。  私は、大臣は率直に言われるお方だからほれ込んでおるんだ。大臣、恐らくそこまで聞いておられなかっただろうと思う、僕は。だから、調査をされて、国会に改めてきちんと報告をしていただきたい。お願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  238. 古賀誠

    古賀国務大臣 まず、運輸省の事務次官を経て、関空会社の最高責任者の地位にあった服部前社長が起訴されたということにつきましては、まことに遺憾であり、極めて残念なことだと思っております。運輸省といたしましても、まず最初に、関空会社を初めといたしまして、信頼回復に努め、さらなる綱紀の粛正に全力を挙げていくということは当然のことだと思っております。  なお、今回の関空の服部前社長の起訴に当たり、さまざまなお話を今聞かせていただいたところでございます。まず、これから服部前社長の公判等も行われるわけでございまして、そういう事実関係をしっかりと把握した上で、今回、前回に引き続いてこういう不祥事を起こした関空会社の業務そのもののあり方、そういった点につきましても、私なりにひとつ取り組んでまいりたい、こう思っております。
  239. 寺前巖

    ○寺前委員 ありがとうございました。
  240. 杉山憲夫

    杉山委員長 濱田健一君。
  241. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ナホトカ号油流出事故に限うて質問をいたします。  一月二日に、おとそ気分もまだ抜けない状況の中で、突如として起こった甚大な被害でございます。大臣も、対策本部長として本当に二カ月近くいろいろな対策に御苦労をいただいておりますし、与党としても、各政党としても、そういう形でいろいろな取り組みをしているところでございますが、阪神・淡路のときもそうでしたが、危機管理がどうなっているのかということでいろいろとお話が出てまいります。  今回も、対馬海流に乗って大陸に行くのではないかといったそういう状況が、偏西風やいろいろなかかわりもあったのでしょう、日本海の、国土の方に流れてきて大きな被害があったということ、本当に残念でございますが、私たちも調査に行ってみまして、これから後の、例えば国際法の整備とか老朽船の航行についての厳格な基準を設けるというような点、それと、先ほどから出ております大型の外洋でも使う油回収船を今後どういうふうに国内で開発、また外国にもしノウハウがあるのであればそれも使いながら配備をしていくという緊急な課題、そして災害基本法や海上災害防止法などの中身も見直しながら、ある意味でいうと天災ではない災害にもどう対応していくかというような、そういう課題もいっぱいあると思うのです。きょうは、二月の十日と十一日に福井と石川に行ったときの、本当に現場にいらっしゃる皆さん方の声を率直に大臣や役所の皆さん方に聞いていただき、前向きな答弁をいただければ幸いだなというふうに思っているところでございます。  一番私の耳に残っているのは、六十歳、七十歳の海女さんたちのお話でした。小さいころから海に潜って、本当に親しんできた自分たちの海が二度と返ってこないのじゃないかと。一人で生活されている方もいらっしゃるわけで、金になるとかならないという問題じゃなくて、やはり海を愛していらっしゃるということが率直な意見として出てくるのですね。  漁師の方は、おれたちは舟をこいで魚とりに行くんだけれども、ひしゃくを使って油を取るなんて真っ平だという声もいっぱい聞きました。大臣もお聞きになったと思うのです。本当に率直なそういう思いを私たちがどういうふうに解決してさしあげるかということが今喫緊の課題だなというふうに思っています。  それでまずお尋ねしたいのは、この事故が起こって、いわゆる民間が所有する船が、どういう理由だったかはまだ明らかにされておりませんけれども船首と船尾というか折れてしまって、壊れてしまって、船首部分が三国町に流れ着きそこから油が出ていた、船尾の部分も少しずつではあるけれども今も漏れているという状況の中で、政府としても、このことについて、災害基本法等を中心とする災害という形で認定しようじゃないかというようなお話も出ていたのですが、その話が近ごろは消えたかのように聞こえてこない。その辺をどういうふうにされるのかということが一点。  それと、本当に深刻かつ甚大なこの災害について、現行法の中で各役所の皆さん方が精いっぱい頑張ってもらっているというのはわかるのですが、特別な措置というものを考えていらっしゃるのか、その方向があるのかどうか、一点目はそういうことです。
  242. 相原力

    相原政府委員 御質問の、まず第一点の、災害対策基本法上の「災害」として認定されているのかどうかということでございますが、災害対策基本法によりますと、異常な自然現象により生じた被害あるいは大規模な事故により生じた被害が「災害」とされているわけでございます。  ちょっと長くなりますが、読まさせていただきますと、「暴風、豪雨、豪雪、洪水、」「地震、津波、噴火その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう。」ということになっております。  政令におきましては、その「定める原因」といたしまして、「放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模な事故」ということが規定されております。したがいまして、今回の事故につきましては、この政令に書かれております「船舶の沈没その他の大規模な事故」ということに該当いたしまして、これによる被害は、別途の指定行為によることなく、災害対策基本法の「災害」に該当するというふうに解されているところでございます。  なお、災害対策基本法の所管省庁は国土庁でございますが、予算委員会等におきましても、国土庁長官等から同じような趣旨の御説明があるところでございまして、災害対策基本法の「災害」に該当するということで、そういうふうに解釈されているところでございます。  なお、今回の被害にかんがみ適切な措置等を講じているのかどうかということでございますが、まず、特に被害を受けた方々、それから冒頭、先生からお話ございましたように、地元の漁民の方々等には、当初から海面に浮かんでいる油あるいは漂着した油の防除活動に献身的な作業をしていただいたわけでございますが、そのために相当期間漁にも出られないということで、実質的に、その間の生活資金といいますか、運転資金等にも支障が生じるというのが一番切実な問題であったわけでございますが、これにつきましては、水産庁さん等の御指導をいただきまして、漁業者等対象にその経営に配慮いたしまして、資金の円滑な融通について対応してきているところでございます。
  243. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 災害という形で認定できるというお話なんですが、激甚対応というのは考えていらっしゃるんですか。
  244. 相原力

    相原政府委員 お答えいたします。  激甚災害ということは、激甚災害法というところで規定されているわけでございますが、法にあります国庫補助率のかさ上げ等を行っている法律でございますけれども対象が基本的には自然災害に限定されているところでございます、一部、火災も対象になっておりますが。そういう意味におきまして、今回のような事故災害については適用することは想定されていないわけでございます。  ただ、通常の場合の自然災害等を対象とした激甚災害と、今回の重油流出事故に伴う被害災害との違いは、今回の災害はいわゆる民事、要するに原因者が特定されておりまして、原因者から民事責任において損害賠償がなされ得るというシステムができている。最終的には、油濁損害賠償基金から総額二百二十五億までは補償されている、そういうシステムがあるというのが一つ大きな違いがあろうかと思っております。  それからもう一点は、先ほどもちょっと御説明いたしましたように、地元の漁業者あるいは中小企業者等の一番切実な要望になっております、いわゆる当面の生活資金つなぎ資金につきましては、先ほど申し上げましたような資金の融通措置について、これは、県、市の利子補給を含めますと、実質的には無利子資金融通措置も講じている、こういう違いもございまして、特に激甚災害法の指定に遜色ないといいますか、十分な支援の措置を講じているのではないかというふうに考えております。
  245. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 激甚と遜色ないような対応をしていらっしゃるということでございますが、阪神・淡路を見ましても、時間がたつにつれて、そのとき想定されなかったいろいろな被害といいますか、対応の仕方というのも出てきますので、これらもしっかりと展望を持ちながら対応していただくということをお願いしておきたいというふうに思います。  けさのどなたかの質問の中で、油濁被害の集約はできているのかという質問がございました。私もいろいろな方からお話を聞きますと、当然、目に見えるものや目に見えないもの、被害の大きさ小ささ、いろいろあるわけで、まだまだトータルした被害状況というのは把握し切っていないということのようです。  いわゆる補償の問題についても、当面、見える部分について認定をしていこうというような方向性があるようですが、やはり多くの皆さんにしっかりとした補償の認定ができる方向性というのは、また後ほどちょっと聞きますが、この被害状況というものをできるだけ早く的確につかむということが補償交渉に臨む大きな基盤だろうというふうに思いますので、今やっていらっしゃると思うのですが、どうぞその部分を早く進めていただきたいというふうに思うのでございます。  これもけさお話がありましたが、各自治体や民間の皆さん方、各業種の皆さん方から、国内の、政府、自治体、その他のところでいろいろなことをやってもらえるという、いわゆる窓口、それと、補償についてのいろいろなことを相談していく窓口というのが一本化されるべきではないかというようなお話がございました。  運輸省が所管の官庁として今一生懸命やっていただいているわけですし、このことはいわゆる民事の問題として、それぞれの被害をこうむった皆さんが、これは国も含めてということで、やられるべき筋合いのところもあるのですが、やはり民間の皆さん方はその辺のノウハウがなかなかおわかりにならないところもあるようでございます。やはり民間に任せておくべきではないというような声も強いところがございますので、運輸省は外務省などとも外交関係部分についてはいろいろ協力しながらやっていらっしゃるというふうに理解をしているのですけれども大臣、この辺をこれからどういうふうに詰めていっていただけるのか、思いを聞かせていただければと思います。
  246. 古賀誠

    古賀国務大臣 これから、大事な賠償、補償の問題という分野にだんだん関心も移っていきますし、また、その分野が大切なことになってくるだろうというふうに思います。  まさに先生の御指摘いただいているとおりでございますが、関係閣僚の、官房長官が主宰する会議もございますけれども、当面、関係省庁の会議におきまして、やはり今おっしゃっているように、具体的な交渉は個別のものであろうというふうに思います。  これは、船主責任、それから被害者の方々、こういったところで全部一遍に窓口に絞って交渉せよということは、実は国も賠償交渉するいわば当事者でございますので、被害者でございますから、その国にもそれぞれの関係する省庁があるわけでございます。恐らく、そういったことを考えてみますと、それぞれのお立場で被害者として船主基金の方と交渉が始まっていくだろうということになるわけでございます。それにしても、今御指摘いただいているように、例えば手続の問題だとか、こういうときにはどういうことが必要なんだろうかとか、いろいろな相談窓口だとか、円滑に交渉が行われるための指導だとかが一本にきちっと決まっていなければ大変御不便なことだろうというふうに思っておりまして、今申し上げましたように、関係省庁の会議におきまして、運政局の方で窓口を引き受けさせていただいたということでございます。  こういう窓口を一本化させた中で、それぞれの関係省庁からの被害総額なんかも把握ができましょうし、具体的に漁業者等の交渉が今どういうふうになっているのかということも十分把握していきたいと思っておりますし、そういう一元化という意味では、運輸省の運政局の方で責任を持って進めていきたい、このように思っております。
  247. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。  そういう意味で、外交ルートについては外務省が担当していらっしゃると思うのですが、いわゆる補償基金、二百二十五億が上限だ。今から被害をいろいろ調べていくと、それ以上、三百億、四百億というような話なんかもちらほらしているようですが、いわゆる基金との話し合いの場といいますか、そういうところに出ていらしてどういう対応をしていらっしゃるのか。また、基金が出す以上の補償が出てきた場合に、ロシアという国に属する船会社を国のルートでどういうふうに交渉の土台にのせていく、そういう努力をしていただいているのか、その辺のところをちょっと聞かせてください。
  248. 花谷卓治

    ○花谷説明員 基金の会合における政府の対応についてお答えします。  二月十八、十九日の両日、ロンドンで開催されました千九百七十一年の国際油濁補償基金理事会におきまして、我が国はオブザーバーとして出席いたしました。その場で、ナホトカ号事故の油濁損害に対する円滑かつ速やかな補償の実施を望む旨発言しました。これを受けまして、同理事会は、ナホトカ号事故の油濁損害被害者からの請求に対して、被害総額の確定を待つことなく、示談決着額の六〇%までの暫定支払い権限を基金事務局長に付与する、こういう決定を行ったところでございます。  政府といたしましては、今後とも、国際油濁補償基金の会合におきまして、円滑かつ速やかな補償を確保するよう対応してまいる所存です。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  249. 東郷和彦

    ○東郷説明員 ロシア関係の側面について申し上げます。  私ども、この事故が発生しまして以来、日ロ関係は非常事態に入ったと認識して、ロシア側からできるだけの誠意を引き出すべく全力を尽くしております。  御質問の点に関して申し上げれば、ただいま御説明のありました国際油濁補償基金からの補償でカバーできない部分が出てきた場合に、ロシア政府としてどのように対応するかという点でございますけれども、現在の国際的な制度の中では、民事で賄い切れない損害について、ナホトカ号の船籍国であるロシアの政府から補償を受けるというシステムにはなっておりません。しかしながら、今申し上げましたように、日ロ関係が緊急非常事態に入っているという認識のもとに、ロシア側から最大限の誠意を引き出すべく、国際油濁補償基金における交渉のぐあいを見ながら全力を尽くして対処してまいりたいと存じております。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  250. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今外務省から話をしてもらったのですが、やはり地元の皆さん方の関心というのはまさにここにあるということなんですね。先ほどの大臣の、いろいろな形で一本化できるところ、一本化できないところあるけれども、ノウハウを含めて政府が全力を持って被害をこうむられた皆さん方のバックアップをしたいということを決意を述べていただきました。やはりチームワークということで、これらの課題について絶えず基金の動き、ロシアの動きをチェックをしていただいて、私たちにはもちろんのこと、地元の皆さん方にも情報提供という形でフィードバックしていただくということを心がけていただきたいというふうに思っております。  けさ、村田委員が、補償対象になる災害補償対象にならない災害の話をペーパーを使ってされたわけなんですが、これらは当然、被害の実態というものがまだまだわかっていない状況の中で、役所としてはある程度の分類をすることが机の上でできるのかどうか。地元の皆さんは、すべて起こっている被害については補償がある。これは先ほどどなたかおっしゃいましたが、国も金を出しているわけですから、基金から金を返してもらいたいというものもあります。地元にいる皆さんは、自分たちが仕事ができない、漁ができない部分についてはすべて補償だというふうに言っていらっしゃるわけで、それを、これはいいよ、これはいけないよというのが、今示すのがいいかどうかはちょっとわからない状況なんだけれども、ある程度の予測というものは立てておく必要があると思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  251. 岩田貞男

    岩田(貞)政府委員 お答えを申し上げます。  けさほどお話がありました、村田先生の方からペーパーが出ておりますが、大変すばらしい要約だと思います。実際に国際油濁補償基金が発行している「請求の手引き」というのがございまして、これはかなり厚いものでございまして、それをもとに私どもが研究しているのは、まさに朝、村田先生がお配りになった資料でコンパクトにまとめられております。  時間の限られた中で再度説明するのを省略をいたしますが、これよりももっとベースになる詳しいマニュアルがあって、さらに、実際にどれがどう当てはまるかというのはマニュアルをベースにするわけですが、最終的にはこれは民事のことでございまして、保険の査定になるわけです。私はこれぐらい取れるけれども保険会社の方からするとそれはこのぐらいだということで、最終的にはお話し合い、俗な言葉で言えば示談によって決まるということでございます。さらに不満足の場合は、民事上の手続を裁判所とかいうことに持っていかなければならないということでございます。  いずれにしましても、どのようなものが対象になり得るのかということにつきましては、けさ配付がありました資料にコンパクトにまとめられていると思います。
  252. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 時間がなくなりましたので、急ぎます。  いわゆる被害の、先ほど、六割でしたか、三割でしたか、認定をするというようなことでございましたが、基金の支払いが二年、三年かかるというような話も聞いているわけですが、こういう状況が起きたときに、民事の中身ですので国には関係ないよということで済ませてしまうのか、何らかの国民の生活困窮の状況が出てきた場合に先ほどのいわゆる法律改正等も含めて対応ができるのかどうか、この辺考えていらっしゃるのかどうか、ちょっとありましたら。
  253. 古賀誠

    古賀国務大臣 先ほどもお話し申し上げましたけれども、私が本部長として、応急対策を中心として災害対策本部を設置させていただいたわけでございますが、続きまして、今後の取り組み、応急対策も含めまして補償の問題、それに再発防止の問題について、官房長官の主宰する閣僚会議を設置させていただいているところでございます。  恐らく、今先生お話しいただいているようなさまざまな状況が出てくるだろうと思います。あくまでも民事上のことですから、どうぞ示談なり訴訟なり御勝手にというわけにはいかない。責任ある政府としては、それぞれに対してどういう対応ができるか、この閣僚会議の中で私は検討していく問題だと認識をいたしておりまして、まず被害者の方々に御迷惑をかけないように、政府が可能な限りの措置をしていくということに努めていきたいというふうに思っております。
  254. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。  自治省にお聞きします。  九六年の特別交付金の算定をする時期になりました。白川大臣も自治体に対しては、とにかく油の回収作業を全力で進めてくれ、何とかやるというようなこと等をお話をされておりますが、この辺の部分について、既に積算等進んでいるのかどうか。どうぞ。
  255. 門山泰明

    ○門山説明員 ナホトカ号油流出事故応急対策にかかります諸経費につきましては、船主責任保険あるいは油濁補償のための国際基金、さらには他省庁の措置の対象となるもの、こういったものも当然想定されるわけでございますが、地方公共団体が負担せざるを得ない経費につきましては、自治省といたしまして、関係地方団体の実情をよくお伺いいたしまして、特別交付税の算定を通じ、関係地方団体の財政運営に支障が生ずることがないように適切に対処してまいりたいと考えておりまして、現在、各地方団体の実情をお伺いしているところでございます。
  256. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 九三年の鹿児島の水害のときにも本当にこれが助かったのです。ほかのところも年度末に欲しいとおっしゃっているところを、地元の首長さんたちは、大変だけれども今回はというお気持ちで願っていらっしゃいますので、ぜひともその辺の配慮をお願いをしたいと思います。  最後に、風評被害、その他いろいろな根も葉もない評判が立っております。水産庁、環境庁にまとめてお伺いいたします。  私たちも向こうでカニやいろいろなものを食べました。自分たちでは全く安全だというふうに自信を持って言えるわけですが、やはり世間の風に聞こえてくる便りというのは怖いもので、新鮮なカニや魚介類が買いたたかれているという状況が現実にございます。その辺をしっかりと調べて、市場だけじゃなくて、国民に直接、安心だよというようなことをどういうふうにアピールしていらっしゃるのか、これからどういうふうにアピールしようと努力されるのか、安全宣言等はどういうふうにして出す予定があるのかということが一点。  それと、鳥類とか水生動物など、いわゆる生態系がなかなか回復をし得ないというようなところがあるわけですが、これらを外国のノウハウ、いろいろな研究の蓄積等々でどのようにこれから対応していかれようとするのか。これは環境庁にお聞きしたいというふうに思います。
  257. 平野昭

    ○平野説明員 お答えいたします。  重油の流出事故に対する水産物の風評被害対策でございますけれども水産庁といたしましては、一月十日付で風評被害防止のための通達を発出しまして、生産段階、流通段階におきまして油の付着の有無に関する検査を実施しまして、安全な水産物の安定供給の確保が図られるよう、また買いただきとか取引停止等のいわゆる風評被害が生ずることのないよう、関係者への周知徹底に努めているところでございます。このため、スーパーでありますとか鮮魚小売店、そういった流通関係者による連絡会議を設けまして、適切な情報の提供を行うことにより、風評被害防止に努めております。また、この一月十日付の通達で示しました検査などが円滑かつ的確に行われるように、水産庁の担当者を現地に派遣いたしまして、水産物の産地市場などの関係者に対しまして指導を行っているところでございます。  今後とも、安全な水産物の安定供給を図るためにその指導の徹底を図ることによりまして、風評被害が発生しないように努めてまいる考えでございます。
  258. 守口典行

    ○守口説明員 海鳥を初めといたします生態系への影響に対する対策でございますけれども、環境庁といたしましては、環境への影響を的確に把握、評価するとともに、これを今後の対策に生かしていくということが重要であるというふうに認識いたしております。このため、先般、専門家から成る検討会を設置したところでございまして、環境影響調査の内容等について、こういう専門家から御意見を伺いながら、海鳥類への影響を初め、生態系に及ぼす影響の調査を推進しているところでございます。  今後、これらの調査結果を踏まえるとともに、外国の専門家からの意見も伺いながら、必要に応じ、海鳥の個体数の回復など、生態系の回復に結びつく取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。
  259. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 これで終わりたいと思いますが、ジュリアナ号の新潟沖の話も先ほど出ましたが、阪神・淡路についても、こういう今度のいわゆる直接的な災害、民事による事故なんだけれども地元の人々にとっては災害というこの事態を、やはり日にちがたつにつれて風化していくということがあると、また同じことを繰り返すということになってしまいますので、それらをやはりしっかりと私たちは念頭に入れて、今後の対策に努めるということをお願いして、終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  260. 杉山憲夫

    杉山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十八分散会