○上田耕一郎君 私は、
日本共産党を代表して、
総理並びに
関係大臣に
質問いたします。今回の総
選挙は、小
選挙区比例代表並立制による初めてのものでしたが、戦後最悪の
選挙制度であったことが立証されました。
第一は死票のひどさで、何と五四・六%、約三千九十万票が死票でした。
第二は大政党の圧倒的有利きです。小
選挙区では自民党が三八・六%の得票で五六%、百六十九議席を独得した一方、私ども
日本共産党は、その三分の一近い一二・五%の得票を得ながらわずか〇・六%、二議席でした。民意の歪曲ぶりは、「正当に
選挙された国会における代表者」という憲法前文違反の疑いさえあります。
さらに重大な問題は、五九・六%という戦後最低の投票率です。これは三年間の連立政権
時代の説明なしの公約放棄、住専問題を初めとする悪政の連続、政党の離合集散と
政治家の無節操に対する痛烈な批判のあらわれでもありました。この結果、第二次橋本内閣は全有権者の二割の支持しか得ていません。
総理はこの三つの
問題点をどう
考えるか、まずお聞きしたい。
有権者の
最大の批判は、公約違反の
消費税の
税率アップに向けられました。
国会として問題にしなければならないのは、
政府が六月二十五日の閣議で、
消費税改正法附則第二十五条に基づき
検討した結果として五%施行を勝手に決定したことです。しかし、一昨年十月の衆議院
税制特別委員会で武村
大蔵大臣は、国会が判断することですと
答弁しています。この国会無視、閣僚
答弁じゅうりんの暴挙について
総理の責任ある
答弁を求めます。
国民の怒りに押されて、総
選挙では自民党の候補者中五%支持はわずかに五人に一人でした。公約は
政治家にとって命です。閣僚中、例えば亀井建設
大臣の公約は「再
検討」で、三塚
大蔵大臣はある新聞アンケートでは「延期」、別の新聞には「決定どおり」でした。
大蔵大臣、真っ向から矛盾した公約乱発という無責任な態度と、
消費税担当
大臣としての方針との
関係について
お答えいただきたい。
今回の
消費税増税は、四人家族で平均十一万円の負担を十八万円にふやすもので、
年金生活者、低
所得者には死活問題です。
国内総生産の六割は家計
消費ですから、景気にとっての影響は甚大です。減税こそ必要なとき、逆に五兆円の増税、
所得税、住民税の特別減税打ち切りを加えますと七兆円の大増税となり、景気対策としても最低の愚策です。
私どもが呼びかけました
消費税税率引き上げ中止の署名は現在三百五十二万、中止決議を行った自治体は四百を超えました。この世論にこたえて、私どもは参議院で各派共同の三%据え置き
法案を提出する準備を行っておりますので、ぜひ各位の御賛同を心からお願いいたします。
私は、
国民生活の擁護、景気回復のために、
消費税税率アップの即時中止、
所得税、住民税の
制度減税化を強く要求し、
総理の
答弁を求めたい。
次に、
行政改革について
質問いたします。
総理は、みずから
行政改革政権と名乗り、所信表明でも「身を燃焼させ尽くしても」と、火だるま風の決意を強調されました。
我が国の
行政機構が中央、
地方を問わず、その存在理由を問われるほどの構造的危機にある深刻な事態が多くの都道府県での官官接待、巨額の裏金づくり、
大蔵省、通産省、
厚生省などの高級
官僚の汚職続発で衝撃的に暴露されました。特に
厚生省汚職は、政官財の大がかりな癒着で
国民のための
福祉行政を
食い物にしてきた驚くべき事態として、かつてない憤激を
国民の間に巻き起こしています。
ここでは閣僚にかかわる問題を取り上げます。
〔
議長退席、副
議長着席〕
八九年秋の
臨時国会中、
消費税の理由づけとして
厚生省に
ゴールドプランの急遽作成を指示されたのは当時の橋本蔵相だったと報じられています。老人保健
福祉部長が
岡光氏でした。
総理には小山容疑者からの献金は一切なかったのかをお尋ねします。
事件の元凶となった彩
福祉グループにかかわる人物が代表者となっている
日本病院寝具協会、
日本医療食協会の関連
政治団体などから、
総理の
政治団体には合計七百五十万円、三塚蔵相系には千百五十万円、小泉厚相系には三百五十万円の
政治資金が提供されていました。適正に処理されている、どこに問題があるの、という
総理の言葉には、問題の所在も
国民感情もわからない言葉として暗然たる
思いであります。
なぜなら、両協会はかつて医療
福祉関係の乱脈営業で公正取引
委員会から警告や排除勧告を受けていたからです。
総理らが受け取った
政治献金が、その時期からいっても、特権的な優遇措置や診療報酬引き上げなどに絡む厚生族
議員としての尽力との引きかえでなく、また、
国民の税金や健康保険を悪用した法外な暴利の一部でなかったとどうして言えますか。
総理として、また元
厚生大臣として、みずからと閣僚の献金問題も含め、
厚生省汚職に対してどういう
具体的方策をとる決意なのか、お聞きいたします。
昨日、衆議院で不破委員長の追及に対し、スポーツなどへの寄附と同じとこじつけた苦し紛れの
企業献金合理化論を展開された小泉
厚生大臣には、受け取った
政治献金が何らかの見返りでなかったかどうか、明らかにしていただきたい。
私どもの調査によれば、あなたは元
厚生大臣でありながら、九二年から九三年、さらに九五年五月から今回三回目の
厚生大臣に就任した十一月七日まで、当の
日本病院寝具協会の会長でした。ですから、九四年の公正取引
委員会の独禁法違反警告について一番よく御存じのはずです。こういう
福祉関係の利権行為をどうやって
改革するのか、反省も含めて
お答えいただきたい。
通産省汚職は、三菱
石油の油田開発などに絡む巨額の
政治献金だった疑惑があり、自民党の山崎政調会長にパーティー券一千万円の泉井マネー流入も報道されています。
今こそ金権腐敗の
仕組みそのものにメスを入れ、莫大な
企業献金を財源とした政官財の癒着を根絶して、
国民の求める
行政改革をから取らなければならないときです。
今回の総
選挙は、総自民党勢力と、私ども国政
改革を願う勢力との二つの流れの対決でした。
行政改革も、政官財の癒着を維持しつつ
国民に犠牲を負わせようとする流れと、癒着を根絶し、公共事業と軍事費、特権的減免税の巨大なむだを省いて真に
国民に奉仕する
行政を
実現しようとする流れとの二つの道の対決となっています。
橋本内閣は、首相直属の
行革会議に、豊田経団連会長、諸井日経連副会長、飯田三菱重工相談役と、財界首脳を任命しました。これでは
国民の望む
行革ができるわけがないではありませんか。
総理は、所信表明で省庁再編を
行政改革の中核と位置づけ、首相官邸の
機能強化を挙げました。しかし、財界から莫大な献金をもらい続け、政官財の癒着は放置しっ放しのままで、
政府・
与党と首相官邸が財界の要求に屈しない
制度的、法的保障は一体どこにあるのですか。
政官財癒着の根絶のために、私ども
日本共産党は、企業・団体献金禁止
法案、天下り禁止
法案、情報公開
法案の大綱を公表しました。
政府と自民党は、直ちに
選挙制度審議会が過去三回にわたって答申した企業・団体献金の禁止に勇気を持って踏み切るべきです。私どもは、
企業献金を一切もらわずに、政党助成金も受けずに、旺盛な政党活動を展開しています。自民党という政党は財界献金なしには存続できないのですか、お
伺いします。
天下り禁止も緊急
課題です。業界団体や特殊法人を禁止の
対象に加えることを初め、抜け穴だらけの
現行法を抜本的に
改革すべきです。
以上の各問題について、
総理、逃げないで
答弁をいただきたいと
思います。
他方、
行政改革の名による
国民生活に対する攻撃はすさまじいものがあります。
日本共産党は、全国の都道府県で進行しておりますリストラ
地方行革の
実態調査を九月に行いました。浮き彫りになった共通の特徴は、大型開発中心の公共事業にはほとんど手を触れずに、保健所の統廃合、老人
福祉手当の削減や切り捨て、公共料金の値上げ、職員の削減など、みみっちいほどの
福祉と
教育、住民サービスの切り下げであります。
厚生省は通常国会に、独占大企業の異常に高い薬価や医療機器価格にはメスを入れないで、患者負担だけを三倍にする医療保険改悪
法案を提出しようとしています。これでは赤字と
国民負担増の悪循環が続くだけであります。次官を先頭に
福祉を
食い物にしてきた
厚生省にこんな
法案を提出する資格はどこにあるのですか。
厚生大臣、いかがですか。
行政改革、中でも
規制緩和に対する財界の要求は傍若無人のものがあります。日経連が六月五日に
行政改革委員会に提出した
要望には、残業に関する三六協定の届け出の廃止、労働基準法の所定労働時間における八時間規定の削除、罰則の廃止など、とんでもない要求が列挙されています。これは
世界でもまれなルールなき資本主義の道をさらに突き進もうとしているものでしかありません。
今、変形労働時間を悪用した長時間労働の強要が多くの職場で広がっています。既に、郵便局のニュー夜勤という連続夜勤では過労死三十一名という悲惨な事態が生まれており、国立病院での看護婦二交代勤務制も患者の命と看護婦の健康にかかわる危険が
指摘されています。この上、女性の深夜労働の保護規定切廃止や労働基準法の原則の緩和が行われれば、女性の職場進出はより困難になり、労働者の健康と家庭生活の破壊はとどまることを知らないでしょう。
政府は、財界の法外な要求を受けての改悪を一切やめるべきです。
総理の
考えをお聞きしたい。
超低金利による
銀行くの
所得移転、産業空洞化による下請中小企業の深刻な
状況、減反に悲鳴を上げる農民、小売店の全国的減少と衰退など、長い不況の中で
国民生活の苦しみは加重されるばかりであります。
総理はこのような
国民生活の具体的な改善策はお持ちなのか、あれば示していただきたい。
法人税は減税、他方、
国民には
消費税増税、
福祉、
教育は無残に打ち切る。
アメリカと財界の要求に屈した軍事費とゼネコン型の公共事業放漫拡大のために国債を野方図に発行し続けた結果が今の
財政危機、なぜそれを
国民の犠牲だけで脱出しようとするのですか。
総理の選択は決定的に誤っています。それぞれの問題に
答弁を求めたい。
次に、
阪神・
淡路大震災被災者への個人補償問題について
質問します。
被災者の窮状は、百名を超える孤独死、自殺者の続出と、言語を絶するものがあります。私どもは
被災者の生活再建支援
法案大綱を公表しました。家屋全壊の方で住宅と生活再建に一千万円という内容です。憲法上無理という
政府の主張は論拠がありません。憲法第二十五条に生存権と
政府の
努力義務が規定されているからです。災害救助法第二十三条一項七号には、「生業に必要な資金、器具又は資料の給与又は貸与しと規定しており、個人補償は
現行法でも可能でございます。
個人補償問題について研究してみたいという態度を表明された伊藤国土庁長官に研究の中間
報告をいただければと
思います。
次は、
沖縄・安保問題であります。
沖縄の軍事基地の
整理・
縮小問題では、普天間飛行場問題でも、百五十五ミリりゅう弾砲の実弾射撃訓練でも、基地たらい回しという
政府の方針では何も解決しません。那覇軍港の返還が二十二年たって一歩も前進しないのは移設条件つきだからであります。今回の最終
報告が了承しました代替ヘリポートの海上施設計画、これには新たな基地建設と
環境破壊に対して
地域住民と自治体、
沖縄の漁業組合がこぞって強烈な反対運動を展開しているではありませんか。
政府はあくまで強行するつもりなのですか。
在
沖縄米軍の六割を占め、少女暴行
事件など米軍犯罪の主役となっております米
海兵隊の撤去こそ基地
縮小の本丸であります。
沖縄海兵隊は、
日本防衛には全く無
関係で、西太平洋から東アフリカまでが守備範囲、師団
規模の米
海兵隊の海外基地は
日本だけてあります。琉球新報、
沖縄タイムズも
海兵隊撤去を主張しています。来年の戦力構造見直しを控えて米軍内部にさえ
海兵隊縮小・撤去論があるのに、
日本がなぜその主張ができないのですか。
総理の
考えをお聞きしたい。
日米の
外交・防衛当局の間で進行中の日米安保共同宣言に基づく日米防衛
協力の指針の見直しについて
質問いたします。
十一月の日米共同演習キーン・ソード97では、米軍と自衛隊機が米空母インディペンデンスの防衛訓練を行いました。ガイドライン見直しで、
日本有事でなく、
日本周辺有事の際の自衛隊の対米
協力の中に、米軍艦船の護衛や対潜哨戒、機雷の樹海、AWACSやP3Cなどによる監視・警戒活動、情報収集などが含まれる可能性があるのかどうか、久間防衛庁長官の
答弁を求めます。
日米軍事
協力の拡大を先取りした昨年の新防衛計画大綱について、
アメリカの議会調査局の
報告書は、現在の憲法解釈を超えるものと評価しています。明白な憲法違反のガイドラインの見直しは中止すべきであります。
総理の
答弁を求めます。
本年九月、
アメリカは、イラクが不当な軍事行動をとったとしてミサイル攻撃を強行しました。橋本首相は、攻撃のその日の夜、いち早く支持コメントを公表しました。
そこで、お聞きしたいのは、
アメリカの軍事行動の国際法上の根拠は何なのかという問題です。
国連憲章のもとでの武力の行使は、国連の決議に基づくか、憲章第五十一条の個別的、集団的自衛権に基づぐかの二つ以外に承認されておりません。前者については、米軍の軍事行動はどの国連決議も認めておらず、国連安保理事会も承認しませんでした。後者については、今回、
アメリカも同盟国もイラクから何らの武力攻撃を受けておりません。
アメリカのイラク攻撃は国際法を全く無視した違法のものであります。
だとすると、
アジア太平洋地域でも、安保再定義とガイドライン見直しによって、
日本が何らの武力攻撃を受けていないにもかかわらず、国際法を無視した
アメリカの軍事行動に
日本が巻き込まれ、自衛隊が憲法違反の軍事行動に出る現実の危険が生まれるではありませんか。だからこそ
日本共産党は、平和と安全のために日米安保条約第十条の終了通告による日米軍事同盟の解消を求めているのであります。
日本が当面している深刻な危機的
状況は、二十一
世紀を迎えて
日本が選ぶべき進路は何かという問題を全
国民の前に
提起しています。
日本共産党は、今回の総
選挙で「
国民の声が生きる
政治で二十一
世紀の新しい
日本を」と訴えて奮闘いたしました。非核・非同盟、
国民本位の民主的
改革という道以外に進路はないという確信を述べて、
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣橋本龍太郎君
登壇、
拍手〕