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1996-12-17 第139回国会 参議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年十二月十七日(火曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員氏名     委員長         真島 一男君     理 事         浦田  勝君     理 事         高木 正明君     理 事         石井 一二君     理 事         一井 淳治君                 青木 幹雄君                 井上 吉夫君                 岩永 浩美君                 佐藤 静雄君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 阿曽田 清君                 及川 順郎君                 高野 博師君                 都築  譲君                 常田 享詳君                 谷本  巍君                 村沢  牧君                 須藤美也子君                 国井 正幸君                 島袋 宗康君     ―――――――――――――    委員異動  十一月二十九日     辞任       補欠選任      高野 博師君     高橋 令則君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         真島 一男君     理事                 浦田  勝君                 高木 正明君                 石井 一二君                 一井 淳治君                 国井 正幸君     委 員                 青木 幹雄君                 井上 吉夫君                 岩永 浩美君                 佐藤 静雄君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 阿曽田 清君                 及川 順郎君                 高橋 令則君                 都築  譲君                 常田 享詳君                 谷本  巍君                 村沢  牧君                 須藤美也子君                 島袋 宗康君    国務大臣        農林水産大臣   藤本 孝雄君    政府委員        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産省経済        局長       堤  英隆君    事務局側        常任委員会専門        員        秋本 達徳君    参考人        全国農業協同組        合中央会専務理        事        松旭 俊作君        農林中央金庫専        務理事      内藤 滿夫君        東京農業大学農        学部教授     白石 正彦君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○農林中央金庫信用農業協同組合連合会との合  併等に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○農業協同組合法等の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○派遣委員報告に関する件 ○新たな農業農村基本法制定に関する請願  (第一七七号) ○林野公共事業促進に関する請願(第一七八号  ) ○減反政策反対、安定的な米の供給に関する請願  (第三六〇号) ○継続調査要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 真島一男

    委員長真島一男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十一月二十八日、前川忠夫君及び山崎力君が委員を辞任され、その補欠として谷本巍君及び都築譲君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 真島一男

    委員長真島一男君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 真島一男

    委員長真島一男君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事国井正幸君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 真島一男

    委員長真島一男君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、農林水産政策に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 真島一男

    委員長真島一男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 真島一男

    委員長真島一男君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林中央金庫信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会参考人として、全国農業協同組合中央会専務理事松旭俊作君、農林中央金庫専務理事内藤夫君及び東京農業大学農学部教授白石正彦君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 真島一男

    委員長真島一男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  9. 真島一男

    委員長真島一男君) 農林中央金庫信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。藤本農林水産大臣
  10. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 農林中央金庫信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農協系統は、農業者協同組織として、組合員が必要とする営農及び生活に関するサービスを提供し、農業振興農村地域活性化に大きな役割を果たしてきたところであります。  近年、農業農村をめぐる状況が大きく変化する中で、農協経営環境が厳しくなるとともに、我が国農業競争力強化が要請されており、農協は、これまで以上に農業者に対して良質のサービスを低コストで提供できるよう、経営体質を改善することが求められております。特に、信用事業については、金融自由化等が急速に進展する中で、他の金融業態との競争が激しくなってきており、一層の事業機能強化効率化健全化を図っていくことが急務となっております。  このような状況を踏まえ、信用事業中心とする農協系統事業組織改革推進するため、この二法案を提出した次第であります。  まず、農林中央金庫信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  農協系統事業組織改革の一環として、単位農協広域合併とあわせて都道府県連合会全国連合会統合による組織二段の推進が大きな課題となっておりますが、農林中央金庫信用農業協同組合連合会統合は、根拠法が異なることから、現行法上できないこととなっております。  このため、農林中央金庫信用農業協同組合連合会につきましても、農林中央金庫存続法人とする合併及び信用農業協同組合連合会から農林中央金庫への信用事業譲渡を行うことができることとし、合併事業譲渡に関し、総会での承認、債権者異議の申し立て、主務大臣の認可の手続などを定めることとしております。  次に、農業協同組合法等の一部を改正する法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、農業協同組合法改正であります。  農業協同組合業務執行体制強化を図るため、常勤役員等の兼職・兼業を制限するほか、経営管理委員会制度を選択的に導入できるようにすることとしております。また、信用事業を行う組合経営健全性確保するため、最低出資金制度導入法定準備金積立基準引き上げなどによる自己資本内部留保充実を図るとともに、員外監事常勤監事の必置、中央会監査強化による監査体制強化等を行うこととしております。さらに、農協貯金の健全な運用に資するため、資金運用規制を緩和することとしております。  第二に、農業協同組合合併助成法改正であります。  農業協同組合広域合併推進するため、合併経営計画につき都道府県知事認定を求めることができる期限を平成十三年三月三十一日まで延長することとしております。  第三に、農林中央金庫法改正であります。  農協系統全体としての自己責任に基づく健全な資金運用を実現するため、農林中央金庫の非居住者向け貸し出し規制緩和などを行うとともに、法定準備金積立基準引き上げを行うこととしております。  このほか、農業信用保証制度充実を図るなど、農協改革関連して、関係法律の規定を整備することとしております。  以上が農林中央金庫信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  11. 真島一男

    委員長真島一男君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。  それでは、先ほど決定されました参考人方々に御出席いただいておりますので、御意見を承ることといたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。  農林中央金庫信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の法案審査参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。  それでは、これより順次御意見を述べていただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。  御意見をお述べいただく時間は、議事の都合上お一人十分とし、その順序は松旭参考人内藤参考人白石参考人といたします。  すべての方の御意見の開陳が済みました後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  それでは、これより各参考人に順次御意見をお述べいただきます。  まず、松旭参考人からお願いをいたします。松旭参考人
  12. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 私は全国農協中央会松旭でございます。よろしくお願いいたします。  諸先生方におかれましては、日ごろから農業農村問題を初めとしまして、系統農協各般にわたりまして格別の御指導、御支援をいただいておりますことにつきまして、心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。  私からは、今回の農協改革関連法案に関しまして、現在、我々JAグループ組織を挙げて取り組んでおります農協改革取り組み方針重点対策につきまして、要点を申し上げ御参考に供したいと存じます。  まず、農協改革のねらいとしているところについてでありますが、その第一は、農協組合員等の期待と信頼に十分こたえていくとともに、地域農業振興農村活性化に主体的に貢献し得る強い農協をつくり上げていくことであります。第二には、こうした立派な農協をつくり上げることによりまして、現在三段階制をとっておりますJAグループ事業組織を二段階基本として組みかえていくということでございます。第三は、JAグループ全体の経営合理化効率化を図るとともに、経営健全性透明性向上させていくということであります。つまり、我々が目指しております農協改革とは、JAグループ全体の事業組織経営三つ改革を志向しているものでございます。  こうした改革を実現していくために、今後の重点対策につきまして三点に絞って申し上げたいと存じます。  第一には、農協広域合併推進していくとともに、合併農協機能体制整備を図っていくということでございます。農協合併の将来構想といたしましては、現在二千二百四十二ある農協平成十二年に向けて五百四十八農協合併することといたしております。このうち、既に全体構想の四三%に当たる二百三十三農協合併を達成いたしておりまして、着実な進展を示しておるということでございます。  また、これとあわせまして、合併農協組合員等の多様、高度なニーズを充足し得る高水準な事業機能を具備し、自己責任経営が可能な体制を確立するということであります。言いかえれば、合併推進といういわば器づくり体制整備という中身づくりの両面の対策を講じていくこととしているものでございます。特に、合併農協におきましては、事業規模の拡大に対応いたしまして、経営のかじ取りや経営チェックをこれまで以上に的確に行う必要がございます。また、我が国金融システム一員としての社会的な責任を果たす上からも、他業態に劣後しない経営健全性確保が求められておりまして、農協経営執行監査体制充実強化や、自己資本充実等急務というふうに考えております。  具体的には、このたびの農協改革関連法案に盛り込まれておりますように、代表理事常勤理事等経営専念体制確保員外監事常勤監事設置中央会監査の義務づけ等を図っていくとともに、経営執行体制の面におきましては、機動的な理事会運営学識経験者理事への登用促進を図る観点から、新しい業務執行体制導入について取り組んでまいりたいと存じます。あわせて、これからの農協を担っていく人づくりも重要な課題でありますので、連合組織からの人的支援役職員の再教育対策等を講じていくことといたしております。また、自己資本充実対策といたしましては、早期是正措置導入に対応しまして、自己資本内部留保の増強を強力に推進していく所存でございます。  なお、中央会監査法定化に対応いたしまして、中央会監査機能充実監査独立性強化監査要員体制整備監査能力向上を図っていきますとともに、外部からのチェックの目を導入するために中央会公認会計士設置し、活用を図ってまいりたいと考えております。  第二には、事業二段、組織二段対策についてでありますが、農協合併進展等条件が整った県から逐次合併農協と全国連との直接利用を進めてまいっております。また、多くの県におきましては県連と全国連組織統合に向けての検討が進められておりまして、合併構想の達成を目前に控えております一部の県におきましては、連合組織統合について既に個別協議に入っているところであります。この場合、信連農林中金統合につきましてま、それぞれの根拠法が異なるために現行法制度のもとでは事業譲渡合併が困難でありますので、今回制度改正措置をとっていただきますようお願い申し上げます。  第三はJAグループ全体の経営合理化効率化を図るために、人、物、金の三つ改革を進めることであります。  人の面では、平成十二年に向けまして三〇%の労働生産性向上を目標として、JAグループ全体の職員数を現在の三十五万人体制から三十万人体制へと五万人の削減を図ることといたしております。このため、採用調整早期退職優遇制度導入等によりまして、職員に雇用不安を起こすことなく円滑に進めていく所存であります。  物の面についてでありますが、支所施設機能見直しと統廃合を進めていくことであります。農協合併によりまして本所の数は急速に減ってきておりますものの、支所施設の数は余り減っておりません。このことが農協合併経営合理化効率化に結びついていかない原因でもあり、経済事業等事業収支の改善が進まない隘路ともなっております。したがいまして、今後合併によるスケールメリットを生み出していくために、組合員理解を得ながら対策強化していく所存であります。  それから、金の面につきましては、事業管理費等経費節減を徹底する。欠損金の解消や不良債権の処理を計画的に進めていくことといたしております。  以上、農協改革取り組み方針重点対策につきまして要点を申し上げましたが、農協を取り巻く昨今の厳しい情勢を踏まえまして、早急かつ確実な実践を進めるために、JAグループ組織平成八年度から平成十二年度を計画期間とする経営刷新五カ年計画を策定しまして、組織ぐるみ推進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。  どうか諸先生方におかれましてはこうしたJAグループ取り組みにつきまして御理解をいただき、今回の農協改革関連法案につきまして特段の御支援を賜りますようお願い申し上げまして、私の意見とさせていただきます。  ありがとうございました。
  13. 真島一男

    委員長真島一男君) ありがとうございました。  次に、内藤参考人にお願いいたします。
  14. 内藤滿夫

    参考人内藤滿夫君) 農林中央金庫内藤でございます。  平素より諸先生方には農協系統信用事業につきまして御支援、御指導を賜っておりまして、改めてこの機会に厚く御礼を申し上げます。とりわけ、昨年来住専処理問題につきましては、我が国金融システム安定性回復という高い見地から御高配を賜りまして、ようやく解決の段階に至りましたことに重ねて厚く御礼を申し上げる次第でございます。  JA改革の全般につきましては、先ほど来、全中の松旭専務理事から陳述がございましたので、私からは農協系統信用事業に関して、その諸課題対応方向について所見を申し上げて、御批判を仰ぎたいと存じます。  まず、系統信用事業課題を申し上げます。  農協系統信用事業は、第一に協同組織金融機関であります。第二に農業農家のメーンバンクであります。第三には地域金融機関であります。  そういう原点を踏まえまして、まず第一の課題は、組合員等利用者ニーズに的確にこたえるため事業推進を一層強化することでございます。第二には、系統信用事業全体の資金運用力強化すること。第三の課題は、審査リスク管理強化拡充等経営管理体制整備強化により、経営健全化を図ることと認識しております。私ども農協系統は一丸となって全力を挙げて取り組み農協系統信用事業に対する信頼性確保に努めてまいる所存でございます。  以上を若干敷衍いたしますと、第一点目は、組合員等利用者との紐帯を一層強めるとともに、認定農家等新しい農業担い手層に対しても十分な金融対応を行うなど、利用者ニーズを踏まえた業務を展開することであります。第二点目は、地域における系統資金活用を目指して、地場中小企業あるいは地方公共団体等への貸し出しを始め、地域振興に資する金融対応強化することであります。また、第三点目は、日本の金融システム一員として、自己資本充実信用事業担当理事常勤監事設置経営情報開示等経営管理体制整備強化することでございます。  以上につきまして、農林中金といたしましては他の連合組織と連携して強力に支援してまいります。また、みずからの資金運用力強化して系統団体の負託にこたえてまいる所存でございます。  次に、組織整備について申し上げます。  組織整備は、何よりも組合員等信頼にこたえ得る強い農協をつくることをその最大のねらいといたしております。このため、系統信用事業におきましては、農協合併推進等により金融機能強化高度化及びそのための体制整備する一方で、現状三段階事業運営方式を二段階とすることによる事業運営効率化に取り組んできているところであります。  その実践に際しましては、本年一月に組織決定されましたJA改革要綱に基づいて、厳しさを増す経営環境の変化に対応すべく、系統信用事業におきましても今回の法改正を契機に組織内の検討を一層深め、条件の整った信連から順次統合に向けた具体的協議に取り組んでまいります。また、これと同時に、みずからの努力による経営合理化効率化を喫緊の課題として推し進める所存でございます。  今回の法改正との関連について申し上げます。  以上のような、私ども系統信用事業自助努力に加えまして、本年八月、農政審議会農協部会では、「信用事業中心とする農協系統事業組織改革方向」と題する報告が取りまとめられました。  報告書は、第一に信連農林中金統合を可能とする組織二段に向けた法律制定必要性を掲げております。第二に自己資本内部留保充実を含めた経営健全化確保に向けた制度的手当て必要性を言っております。第三番目に農協系統資金の健全かつ効率的な運用のための資金運用規制見直し等農協系統信用事業取り組みに必要な事項につきまして主要課題を掲げられました。  農政審議会では、審議の過程でも系統の諸事業につきまして厳しい批判が相次ぎました。私どもは御指摘いただいた点につきましては厳粛に受けとめて、改革すべき事項については確実に実行してまいりたいと考えているところでございます。  今般、行政庁におかれては、こうした農政審議会農協部会報告を踏まえまして、農林中金信連との合併等に関する法律案及び農協法等改正法案を今国会に提出されましたことはまことに時宜を得たものと思う次第でございます。  農林中金といたしましても、今回の法改正により、組織整備への取り組み全力を傾注いたしますとともに、付与された機能を十分に発揮し、農協系統資金の効率的かつ健全な運用を行い、これらを通じて農業農村発展に寄与してまいる所存でございます。  終わりに当たりまして、系統信用事業は、今回の法改正に伴いまして、従来にも増して経営健全性確保機能強化経営効率化を進め、組合員利用者サービス充実し、農業農村地域発展に貢献してまいる所存でございます。  先生方におかれましては、どうか我々農協系統取り組みにつきまして御理解をいただきまして、特段の御配慮、御支援を賜りますようお願い申し上げます。  御清聴ありがとうございました。
  15. 真島一男

    委員長真島一男君) どうもありがとうございました。  次に、白石参考人にお願いいたします。白石参考人
  16. 白石正彦

    参考人白石正彦君) 東京農業大学白石と申します。よろしくお願いいたします。  私は研究者立場から今回の改革二法についての意見を述べさせていただきます。  私はこの二年ぐらいの間、国際協同組合同盟という協同組合国際組織がございますけれども、そこで協同組合原則改定検討委員をしておりまして、いろいろ各国の協同組合の皆さんとも議論する機会がございました。そういうふうな少し国際的な視点と、それから日常的に私は東京農大の方で協同組合それから農協論を講義しておりますので、いろいろ各地の実情を調査したりする機会がございました。そういうことで、その辺を踏まえまして意見を述べさせていただきます。  私のお話しします柱としましては、第一に農協系統及び金融をめぐる状況認識です。それから第二番目に農協改革必要性基本方向。この二つに絞ってお話しさせていただきます。  第一の農協系統及び金融をめぐる情勢認識ですけれども、既に系統農協では平成三年の第十九回全国大会で今回出されております組織二段の方針を打ち出しております。既に六年たっているということで、ある面で私は若干遅過ぎているのじゃないか、もっと早くこういう法律を通さなきゃいけなかったのじゃないかという感じがしております。系統では平成三年の十九回大会、それから平成六年の第二十回のJA大会、ここでもそれを強力に進めるということで方針を打ち出されております。  あわせて、その間の情勢の急激な変化がございます。先ほどから言われましたバブルの崩壊、金融をめぐる大きな難題、こういう点を抱えているわけですけれども、私が先ほど申しましたように、ICAでは新原則、従来は一九六六年の六原則というふうに言っておりましたけれども、昨年の九月のICAの百周年大会で七原則が決定されております。さらに、協同組合の定義なり価値なりこういう点もあわせて決定しておりまして、こういう点を踏まえてこれから取り組んでほしい、こういうふうに私は思っております。  あわせて、私は発展途上国の方といろいろ話す機会があるんですけれども、日本の農協に対する期待が非常に高いんですね。日本の国内で見ますと非常に批判が強いのですけれども、タイの人たち、韓国の人たち、あるいは中国の人たちは、やはり日本の協同組合はしっかりしてほしい、あるいは学びたいということでいろいろそういう意見を聞くことが多いわけです。ですから、今回のこの改定についても単なる国内的な視点だけじゃなくて、国際的なそういう期待ということもあわせて見ておく必要があるんじゃないかと思います。  そういうふうな状況認識に基づいて、それでは農協改革必要性基本方向ですけれども、そのうちの一つ、組織再編、これは農協合併組織二段ということですけれども、私の認識も、従来の全国組織がいろいろ指導していくという状況あるいは政府指導するというところから、今の段階広域合併をしまして単位農協がみずからその方向を決めていく、組合員に支えられながら取り組んでいく、そういう舞台、枠組みをつくる上で非常に重要であると。  しかも、それは今のように非常に厳しい状況、川下といいますか、スーパーなり消費者に接近した流通業界の力が強くなっておりますから、それとのバイイングパワーをつける意味でも、自分たちがみずから自己責任を持ってやる意味でも、やはりこういう改革単位農協を軸にして連合会がバックアップしていく、こういう体制をつくる必要があるというように考えております。  もう一つは経営健全化、これも今までは、私の認識では、農協経営信用事業、共済事業の黒字であとの部分を、基本的な部分である例えば営農指導事業等もそのいわば収益でもって指導をやってきたということがあると思いますけれども、これからはそういう特定の分野に依存して経営をやるということではなくなってきたわけですね。しかも既に食管法も廃止されております。みずから取り組まなきゃいけない、こういう段階になりますと、従来は組織代表を軸にしてやっていけたと思うんですけれども、だんだん今の厳しい専門的な機能が求められる段階においては、この業務執行体制の中に今回選択肢という形で提案されておりますけれども経営管理委員会がそういう専門的に日常の経営責任を持てる理事選任していくと、こういうふうな選択肢も非常に注目されるところだと思います。  これを導入するかどうかは最終的には農協の総代会等で決めることですから、選択は個々の農協だと思いますけれども、そういう新しい枠組みを提示したということは私は大いに評価しております。また後ほど質疑がございましたら触れますけれども、私自身ヨーロッパ等の農協をいろいろつぶさに見ている中で、やはりこれは必要だという感じがしております。  それから、経営健全化の中で、自己資本内部留保、これも私、協同組合原則の改定にかかわってきましたけれども、その中で一つの最大の課題は大規模化、これは流通業界、生産体制もそうですけれども、その中でやはり資本の充実というのが極めて重要だという点は各国とも共通です。例えばカナダあたりでは、最近向こうの先生から聞きますと、サスカチュワンという小麦地帯、それからアルバータ、ブリティッシュコロンビア、そういうところで広域の酪農協をつくったりする。それは何が目的かといいますと、やはり自己資本充実だということを皆さん言っております。  そういうふうに、このためのバックアップの体制が今回できている、またミニマムのそういう点を導入するということは、そういう経営健全化促進する上で非常に注目されると思います。  それから、経営監査体制、これもやはり経営者をチェックしていく、こういう力がますます私は求められていると思うんです。これはヨーロッパの協同組合等を見てもそうですし、またヨーロッパでは、ここで触れられている以外に社会的監査といいますか、協同組合あるいは農協が社会的にどこまで貢献しているか、こういう点をチェックするような、これはむしろ法律というよりも内部的なことですけれども、そういうことまで含めて監査体制をどう拡充するかということが大きな課題になっております。  さらに、この部門別損益、これは先ほど申しました。やはり農協組織基盤がかなり変わっております。従来の同質的な農業者だけではなくて、かなり兼業化している農家、あるいは准組合員という形で地域に住んでいる方々組織も少しずつ変わってきております。そういう状況に対応して、やはり信用事業、共済事業で得た利益をほかの分野に回すという時代は既に終わっていると思うんです。それぞれの分野が独立して透明性を持って損益をきちっとしていくということがますます求められる。それをバックアップする今回の体制も注目すべきではないかと思います。  それから、資金運用の規制の問題、これもやはり農協の場合、協同組合金融ということでいろんな規制がたくさんございました。それを少しずつ緩やかにしていこう、最終的にはこれは自分の責任ということになりますけれども情勢の変化に機動的に対応できる、そういう枠組みを少し緩和していくということも極めて重要だと思います。  協同組合らしさを生かしたこういう資金運用というのは、やはり地域に密着した循環だと思います。そういうことを農協という、総合農協の形態で事業をいろいろ改革しながらやっていく意味で、それを資金面での運用もやれる体制づくりをバックアップするという意味でも今回の改正は非常に重要だと思います。  今までの農協法の改正あるいは戦前の産業組合法の導入にしても、どちらかといいますと上からという視点が強かったかと思いますけれども、今回の改革法案は、二十一世紀に向けて農協が自律的といいますか、みずからの責任組合員に支えられた参加型民主主義というものをどんどん出しながら改革をみずからやっていくと。二十一世紀社会は今までの効率中心から、むしろ効率と効果といいますか、持続型といいますか、要するに本当の意味での心の豊かさ、経済だけに偏重しないあり方が求められていると思います。  そういう意味では、農協の歴史も、例えば農村部での医療事業、これは既に大正時代に産業組合導入しておりますけれども、それは無医村の中でやっているという、こういうふうな人を大事にするという組織になるためにも、もっとそれを充実するためにも今回の改革法案は重要であるというふうに考えております。  以上でございます。
  17. 真島一男

    委員長真島一男君) ありがとうございました。  以上で参考人方々からの御意見の聴取は終わりました。  これより参考人方々に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  18. 松村龍二

    松村龍二君 自由民主党の松村龍二でございます。  昭和二十二年に農協法が施行されまして、本年ちょうど五十年の節目に当たるわけでございます。農業協同組合法が、「農民の協同組織の発達を促進し、以て農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図り、併せて国民経済の発展を期する」ということの目的を持ちまして、本当に戦後、米粒が十粒しかないようなおかゆといいますかすいとんのようなものを食べた時代を思い返すわけでございますけれども、食糧の増産、また最近に至りまして食管法の改正、お米の問題だけとりましてもこのような大変革を遂げてきたわけでございますが、車の両輪のように我が国農業とともに農協が発達してまいりました。  そこで、今この半世紀を振り返りましてどのような感慨をお持ちか、三人の参考人にほんの一、二分で結構でございますので、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  19. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 農協法が制定、公布されまして五十年ということでございます。私自身、ほぼ四十年こういった仕事をやっております。私自身の仕事の足取りとも大体符合するわけでございます。思いはいろいろな思いがございますけれども農協改革というような側面から今後の農協はいかにあるべきかというような観点での感想を一言申し上げたいと思います。  それは、五十年の歳月の中で我が国の経済社会構造というのはさま変わりしたということでありますが、我々組織の内部におきましても、組合員の世代交代がかなり進んできたということ、それから、組合員の意識、ニーズあるいは行動様式というものも多様化してきたということであります。じゃ、そういう中で農協が十分な対応を果たし切ってこられたかどうか。この辺を私ども検証し、総点検をしてみる必要があると思います。十分な対応が図れなくて、その間にかなりギャップが出ているというのが私ども課題認識であります。  こうした問題につきましては、農協だけではございませんで、世界の協同組合が共通に抱えている課題だということでありまして、ただいま白石先生からもありましたように、昨年新しい協同組合原則が採択されたということであり、まさに我々もこれからの農協というのは組合員のためにいかにあるべきかということを基本的に考え直す時期に来ているような気がしておるわけでございます。  そこで、私どもも実は来年が第二十一回の農協大会を開催する年でございます。これからの農協はいかにあるべきか、我々は組合員のために何をなすべきかということをもう一度原点に立ち返って考え直そうということで、現在JA綱領づくりに入っております。研究会等で今議論しておりますが、そういったものをひとつ今後の我々の行動指針としてきちっと見据えていきたいというふうに考えております。  いずれにしましても、私冒頭、農協改革というのは事業組織経営三つ改革だと申し上げましたが、これを実践していく上で一番大事な改革は、私は意識改革という第四の改革が不可欠であるというふうに考えております。  そんなことで、私は五十年の教訓を踏まえまして、これからの農協づくりに注力してまいりたいというふうに考えております。
  20. 内藤滿夫

    参考人内藤滿夫君) 先生、五十年を振り返って感慨を込めてというふうなことでございまして、私どもも振り返りますと、感慨を込めて、本当に一昔という感じでございます。  信用事業におきまして申し上げますと、何といいますか、まさに隔世の感があるという感じでございます。と申しますのは、かつては資金不足でございまして、今のような資金過剰期ではございませんでした。したがいまして、農村社会、農業生産に必要な資金をどう供給するかというのが我々に課せられた課題でございました。それからいろいろ歴史を経まして、各種制度資金が拡充されました。そして、高度経済成長の時代を経まして、またその中には農家はもちろん行政等も含めた関係者の努力もありまして、こういう農村社会の著しい資金不足の状態は次第に解消へ向かいました。そして、今では農家組合員金融資産の運用者、そういう役割を我々に期待されるようになったわけでございます。  特に、最近の金融の自由化、国際化は非常に進展の激しいものがございまして、この中で組合員金融ニーズも一層多様化、高度化しているわけでございます。したがいまして、系統信用事業の役割も非常に多岐にわたるものとなっているわけでございます。  農林中金といたしましても、このような状況に対応いたしまして、系統信用事業の全国機関として系統資金の安全確実な運用に努めてまいりたいと考えております。そして、多様化、高度化する組合員ニーズに十分に対応できるよう、今後とも時代に合わせて対応できるように系統金融充実強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
  21. 白石正彦

    参考人白石正彦君) 私自身も農家の長男だったので、小さいときから父、母のそれを見ておりました。やはり急激な変化、これは一言で言いますと、従来の農協は制度に支えられた農協、食管制度、金融関係にしろ、こういう点が大きな柱。ですから、どちらかといいますと、全国連の動きを見れば大体状況はわかるということだったと思うんですね。  しかし、今の段階はそうではなくて、そういう画一的な農協のイメージから、これからは地域に根差した個性ある農協という形へいかに脱皮するか、これが求められていると思うんです。そういう面では、戦前は産業組合法で地域協同組合でしたから地域を考えるという点があります。しかし、戦後はやや問題点といえば、職能型になったためにどうしても視野が、軸はあくまでも農業でいいんですけれども、もっと地域的広がりで取り組んでいくという点が若干法制度の枠組みの中で弱かった点があるんじゃないか。  特に、今、高齢化が進んでおります。その中で、やはり先進的な農協では、高齢者のための施設をつくって、そしてバスで送り迎えしながらそこでいろいろエンジョイしていただく、こういう取り組みをやったり、あるいま子供たちの幼稚園を経営している農協もございます。こういうふうに地域の中でともに歩んでいく、こういうスタイルが私はこれからの二十一世紀に向けての課題ではないか。そういうふうな形をつくっていきますと、恐らく今回の金融にかかわる法律地域の中でいろいろ拡充あるいは利用できる。  ある農協では最近、薬王園という、いわば健康を軸にした、地域資源を活用した公園をつくっております。そして都会の人たちに来ていただいて、そこで,フレッシュしていただく。そこでも膨大な資金投資を農協でやっておりますけれども、都会の人たち、消費者にも来ていただく。そういう誘客型といいますか、今まではどっちかといいますと都会に物を持っていくという発想が強かったんですけれども、むしろ都会の人たちに来ていただきながらそこで自分たちの所得も上げていく、そしてまた設備投資もそういう中でやっていける。こういうふうないわば有機的な、むしろお互いに支え合う、人のぬくもりを大事にする、協同組合らしい地域の個性に合った農協づくりが課題ではないかというふうに考えております。  以上です。
  22. 松村龍二

    松村龍二君 ちょうど一年前の十二月十九日に住専スキームの決定を見まして、それまで日本の国が大変に金融信用の不安をシステムとして抱えているといった中で、何が何でも住専の問題を解決しようと、そしてその住専の問題を解決する際に、農協系統が五兆五千億住専に金を貸し込んであるということが昨年の住専スキームの解決の中心課題にもなったわけでございます。そして、ことし一月から六月まで行われました百三十六通常国会が本当に住専国会と別名言われたようなことで、不良債権処理方策をめぐって激しい論戦が行われたところでございます。  ことし八月の農政審議会報告でも、農協系統信用事業につきまして、「貸出業務が制約されている中で、住専等特定業種への資金集中がみられた」ということが指摘され、また「住専問題を契機に、我が国金融システム全体の再編とともに、農協系統金融機関の再編・合理化の早急な実現が強く要請されているところである。」ということが指摘されたわけでございます。  なお、このたびの農林中央金庫信連合併の道を開くこととされました法律、また農協法の改正に関する法律によりまして、農協信用事業を行う業務執行体制強化自己資本内部留保充実監査体制強化資金運用規制の緩和等がまさに改正されようとしているところでございます。  私、時間がございませんので、これと関連いたしまして、松旭参考人にひとつお伺いしたいことは、このたびのこのような信用事業中心とする他金融機関と同様の法整備をする、体制整備するということの裏に、先ほどお話のございました農協合併ということが裏打ちされまして初めてこのこともなし遂げられるんではないかというふうに思うわけでございます。  現在、二百三十三の農協合併が実現しておりまして、将来五百四十八の農協構想であるという先ほどのお話でございますけれども地域による差が大きい、また合併進展しない事例も見られるところでございます。また、合併の実現農協におきましても、一部農協合併参加を見送る例もあるとされております。このように合併が進まない要因はどこにあるのか、また今後どのような構想推進していくのか、お伺いしたいわけでございます。  そして、あくまでもこの農協合併は労働生産性の向上施設効率の改善を図るということ、合併によるメリットを図るということが大切であろうかと思いますけれども、三段階が二段階を目指しておりながら、事実は、中央または県連そして合併農協、従来の農協、何か三段階が二段階でなくて四段階にむしろなっているような現実もあるような感じがするわけでございますが、その辺の合併の問題について松旭参考人の御意見を聞かせていただきたいと思います。
  23. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 先生御指摘のように、今の農協合併の現状といいますのは大きく分けて三つの流れがございます。私さっき二百三十三農協ができ上がったと申し上げましたが、合併というのは通常、研究会とか協議会を地区で持って合併協議に入るわけですけれども、その研究会、協議会もまだできていないという地区が実は百近くあると。残りが今、研究会、協議会をつくって平成十二年までにやろうというような三つの流れがある。確かに、御指摘のように地域格差というのはかなり残っているという認識をしております。  それはいろんな原因があると思いますが、私はややマクロ的に言いますと、環境格差といいますか、地域の格差ということにもなろうかと思うんですが、一例を申し上げますと、私はよく農協合併の風景というのは西高東低である、西日本が進んで東日本が余り進んでいない、こういういわば冬型の気圧配置みたいになっているわけです。  それは何かということを考えていきますと、どうも米に依存している地帯、それは制度に依存しているということにもなるのかもしれませんが、そういうところはえてして進んでいないような気がいたしますし、また他業態との競争関係の中で、そういう風に強く当たっているところと当たっていないところでまた取り組み格差があるというふうなことが原因であろうと思います。それから、一般的には、経営格差といいますか、地区内にいい農協と悪い農協というのが併存していてなかなか一緒になりにくいというようなことがこれまではネックだったと思います。  そういった合併阻害要因は今後どうやって除去するのかという先生のお尋ねでございます。  私思いますのは、個別の問題を解決する手法というのもこれは必要なんでしょうが、私は農協合併全体の流し方というのは大きな川に例えておりまして、真ん中の流れを速く動かしていけば周りのよどんだ水は必ず動く、そういう運動方針を持っております。したがって、今私ども合併の進んでいない地区にも小まめに回りましていろいろ訴えてはおるんですが、何よりも大事なことは真ん中に速い流れをつくることというふうに考えております。  つまり、それはどういうことかといいますと、今全国の農協合併で、もう一地区合併をすれば県内の合併構想が仕上がるという県が五県あります。それから、平成十年度に県連と全国連統合しようという方針を決められておるところが四県あります。  そうなりますと、私どもはそういった速い流れをきっちり流していく、そこにいわば事業組織改革メリットというものを生み出していくような努力をする、そういったものが組合員の目に、視野に入ってくる。そうすれば、組合員もうちの農協はこのままじゃいかぬというようになっていくのではないか。  つまり、言葉を言いかえますと、これまでの合併推進というのは御指摘のように全中が旗を振りました、県中が旗を振りました、農協はまた理事会なり組合員段階を説得するという上から下へ向けた合併推進の手法だった。それで本当の改革になるのかと言われればそうではなくて、やはり組合員が自分たちの農協をこうしていきたいということを考えていくことが大事であって、そのために我々の農協合併が必要だというようなことを組合員なり農協職員の方がやはり考え出していくということが私は本当の改革につながっていくというふうに考えております。  ちょっとお尋ねと脱線しましたが、そんな感じでございます。
  24. 松村龍二

    松村龍二君 終わります。
  25. 常田享詳

    常田享詳君 平成会の常田享詳でございます。  きょうは、参考人方々、本当にありがとうございます。心から感謝を申し上げつつ、お三方に質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、白石先生にお尋ねをしたいんですが、白石先生の著書、経歴等を拝見いたしましても、先ほどお披瀝がありましたように「協同組合の国際化と地域化」、「協同組合間提携の戦略的展望」、「協同組合基本的価値」等々、多くの協同組合関係の著書を物にしておられるわけでありますけれども、そういった意味で基本的なことで先生にちょっとお尋ねをしたいと思います。  協同組合組織の母となりますロッチデール公正先駆者組合、ドイツのライフアイゼンらの取り組みが基礎となって農協は今日まで伸びてきたわけであります。協同組合原則に沿って今日の農協があるのでありますけれども農協は利益追求、経営安定の方向へ傾斜していく感じがしてならないわけであります。  先ほどお話がありましたように、三年前の改正で商法準用の改正があり、今回また経営者には員外理事、雇われ組合長で運営することになれば、一段と営利団体の方向をたどる危険性があると思うわけであります。非営利団体であり、相互扶助の精神である農協思想を生かした本来のあるべき姿の実現をどのようにしていったらいいのか、国際的な視野の深い先生の御示唆をいただきたいと思います。  また重ねて、農業基本見直しに伴いまして関係法改正の一環として農協法の再改正が必要と考えますけれども、先生の御意見をいただきたいと思います。
  26. 白石正彦

    参考人白石正彦君) 先生の御質問に簡単に答えさせていただきます。  先ほどのイギリスの生協の源流と言われているロッチデール、それからライフアイゼンはドイツの農村協同組合ですけれども、私は簡単に言いますと、やはり協同組合というのは事業体なんですね。単なる運動で政府に圧力をかけるということじゃなくて、やはりみずからの組合員とともに事業を通じてイノベーションを起こしていく、そしてその成果を組合員確保する。要するに、いわば事業の面でのイノベーション、それをまさにロッチデールは流通過程でやりましたし、それからライフアイゼンの場合は金融、そういう面で高利貸しを排除していく、こういう形でいわば経済組織のマクロレベルでの革新も果たしてきたと思うんです。  そういうふうな面からいきますと、それを今のようにグローバル化しておりますとなおさらそういう組織の大規模化をしていかなきゃいけないという点があります。そうしますと、非営利組織のポイントは組合員参加なんですね、先生がおっしゃいました。それは限りなく分権化、農協の場合ですと、米部会であるとか園芸部会であるとかこういうところの権限、これで運営していく。あるいはまた支所組織がございますけれども、そういうところで組合員の日常のコミュニケーションを大事にしていく。そしてまた、ある面では大きくなればなるほど分権化、要するに支所レベルで決められることはどんどん決めていく。組織が大きくなった場合に、それに応じていわば権限をどんどん委譲しながら組合員に近いところで物事を決定していく。しかし自己資本だとかは大きくしていく、こういう時代になっているんじゃないか。そして、大きな基本方向を決めていく。  いわば、スーパーであるとか川下等との対抗関係にしても、刻々と情勢が変化しますので、金融もそうですけれども、それに的確に判断を日常的にやっていくのはやはり専門化ではないかと。そこの分権化といわば大規模化といいますか、これは言うはやすくなかなか簡単ではないんですけれども、それがこれからの課題ではないか。  それから、もう一つの農業基本法について、私は家の光協会の方で、農業基本法制の中で農協課題を書いておりますけれども、それは先ほど若干触れましたけれども、今の農協法はどちらかといいますと農民あるいは農家というところに焦点がありますけれども、やはりもう少し幅を広げて、農村なり地域の人たちを含めたいわば協同組合組織に、そうはいっても中核は農業者だと思いますけれども、今のいわば正組合員、准組合員というあたりのもう少し運用といいますか、適用の仕方といいますか、これは検討の余地があるんじゃないかなと。  フランスあたりでも、聞いているところによりますと、基本的に農業者組織だということですけれども、具体的な適用としてはもうちょっと幅広い適用をして地域に開かれた組織に変えているようなんですね。ですから、その辺、先ほど言いましたように、分権化をきちっとしますとその余地は広がるんじゃないかというふうに考えております。  以上でございます。
  27. 常田享詳

    常田享詳君 二年後を目途としております農業基本法の見直しにあわせて、今先生から御示唆いただきましたような点についてもさらに農協法の見直しが必要であろうというふうに思います。  時間がありませんので、各参考人にお聞きしたいんですが、先ほど白石先生のお話の中で、このたびの改正の中で経営管理委員会に期待が大きいというお話がありました。昨日も、我が党の高橋議員が代表質問の中でこの問題を取り上げましたけれども、明確な答弁がいただけませんでしたので重ねてお尋ねを、これは松旭参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  何点か疑問点を申し上げますので、それらについてお答えをいただきたい。  まず、理事責任経営管理委員責任、そして運営権限等はどうなっているのでしょうか。これらが明らかになっていないわけでありますけれども、お尋ねをしておきたいと思います。  そして、理事経営管理委員会選任することになっておりますけれども、解任は総会に請求することができるとしてあります。管理委員の解任はないのでしょうか。これもお尋ねしたいと思います。  理事を解任する場合の基準、違反の程度、これはどのようなことになっているのか、また経営管理委員会業務基準、権限に私は不安があるというふうに思いますけれども、これらの点についていかがでございましょうか。  総括して、経営管理委員会に対する疑問に対してお答えをいただきたいと思います。
  28. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 今、経営管理委員会に関するお尋ねでございますが、これ法律事項の範囲でしか私どもちょっとまだ理解しておりませんが、まず経営管理委員理事の職責の問題、職務の問題、これは定款で定めることになってございますので、業務基本方針とか事業計画というようなものは多分その経営管理委員会基本方針を決めるのであろうというふうに思いますけれども、それは個々の組合の定款で決めていくことではないかというように思っております。  それから、理事の解任は管理委員会が解任請求権を持っておると。管理委員の解任につきましては、これはちょっと私中身は詳しくありませんが、多分現在の理事と同等な扱いになるんではないか、つまり総会に対する解任請求権ということになっていくんではないかというふうに承知をいたしております。したがって、責任の問題につきましては、そういった定款の定めに従ってそれぞれその区分に応じて責任が出てくるということになろうかと思います。  御質問に対しては以上でございますが、何せこれも私ども初めての制度なものですから、私どもは、こういう制度が無理なく農協の方に導入されるように、きちっとした基本的な取り組みの考え方、指針、こういったものを全中としては別途これについてはきちっと整理をしてまいりたいというふうに考えております。
  29. 常田享詳

    常田享詳君 どうもよくわからないのでありますけれども、また午後にも質問がありますし譲りまして、とりあえず三人の参考人にお尋ねをしたいと思います。  内藤参考人にお尋ねをいたしますが、いわゆる信連農林中金合併についてであります。  農協では、系統再編で一番要望の強いのは経済連と全農の合併であり、特に組合員からは全農との直の取引の要望が強いと言われているわけであります。共済連と全共連の合併は問題は少ないと私も考えております。今回、信連と中金の合併については特に幾つかの点が疑問として残ります。それらにお答えをいただきたいと思います。  第一に、今までの信連からの配当や奨励金のメリットはこのことによってより出てくるということになるのかどうかということが一点目であります。二点目は、金融機関職員としてのレベルアップのためのその補完、指導面での対応が中金でできるかということであります。これらについてお答えいただきたいと思います。  さらに、今日では全国信連協会が各信連指導調整機関としてかかわっておりますが、全国信連協会の存立と機能はどのように再編の中で考えられておられるのか。また、昨日の国井議員からの質問と共通するのでありますけれども、少なくとも中金理事には農協代表理事が過半数を占めるべきだと私も思いますが、このことについてお尋ねをいたします。
  30. 内藤滿夫

    参考人内藤滿夫君) まず最初の信連との統合によりまして農協に対する配当、奨励金等についてメリットがあるのかどうかというふうなことかと存じます。  組織二段が実現いたしますと、基本的には農林中金農協の余裕金を預かって運用するということになりまして、そして、奨励金、配当等の還元を農林中金が端的に行うということになります。その還元の水準でございますけれども、これは組織整備の目的でございます機能強化、あるいは事業運営効率化、要するに合理化等々を実現していくということで、組織を挙げて取り組んでいく中で効果が生じてくるというわけでございまして、農林中金といたしましても、適切かつ効率的な運用に心がけて農協の負託にこたえていかなきゃいかぬ、できるだけの努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、職員についてのレベルアップのところでございます。  信用事業の担当職員の教育、研修でございますけれども、具体的に申しますと、平成七年度からJA信用事業人づくり運動というのを展開して取り組んでいるところでございます。それはまず金融部門内の人事のローテーションを確立するということであり、それから二番目には中長期展望に立った人材育成、それから三番目には連合会ヘトレ一二ーを派遣するというふうな人材の早期育成、それによる早期育成でございますけれども、そういうことが内容でございます。  現在でもこうした教育は信連農林中金が役割を分担しつつ行っているわけでございます。統合が実現した県にありましては、主として農林中金が担うこととなるわけでございます。教育、研修を主要業務とする関連会社等もございます。それとあわせて一緒に対応して万全を期していきたいというふうに思っております。  それから信連協会の問題でございます。  統合が進んでいくと信連がなくなっていく。すると、信連協会が従来果たしている役割、あるいは今後の位置づけということになるかと思います。信連協会の役割でございますが、まず第一番目には信連相互間の連絡調整をしております。それから二番目には信連意見集約、行政関係機関等への意思反映、それから三番目には信連の認可事項等にかかわる折衝あるいは連絡、それから四番目には系統金融機関への指導事項の徹底等の役割を果たしているわけでございます。  一方、もう一つ全国機関である農林中金でございますけれども、こちらの方は系統における余裕金の集中、効率運用、そしてその成果の系統への還元等々の役割を果たしておるわけでございます。そして一方で、我々実際に金融業務を行っている立場から、系統信用事業における全国的な業務推進あるいは企画機能体制充実強化策の策定、実施等々をやっておるところでございます。  統合が進んでいく中でも信連が存続してその役割を発揮している状況というのはかなり長く続くわけでございますけれども、その代表機能を担う組織として信連協会は必要だと認識しているところでございますが、組織整備の趣旨を体しまして、極力信連協会と農林中金との分担を明らかにしながら、一層効率的な運営に努めてまいるという所存でございます。  それからなお申し上げますと、信用金庫とか信用組合等々のほかの協同組織金融業態におきましても、その全国組織業態代表機能等を担う協会組織とそれから業務を営む金融機関としての組織、これを分離していることが通例でございます。  それから、農林中金について理事が過半数を占めるべきだということでございます。先生御存じのとおり、農林中金農協信連のみならず、漁協、森林組合、さらにこれらの組合の連合会を出資者とする協同組織の全国金融機関でございます。したがいまして、ほかの農協団体の全国連とちょっと違いまして、その辺のバランスをとりながら運営をしていくということでございます。ただ、意思反映のために我々といたしましてはいろいろと工夫をしておるわけでございます。  まず、その農林中金業務から申し上げますと、私から申し上げるのもあれですけれども、非常に高度な専門的金融業務への十分な対応をする必要がある、あるいは業務運営の公正、中立の確保という観点から、すべての役員の兼業・兼職が禁止されているわけでございます。これはほかの民間金融機関には見られない非常に厳格な規定でございます。こういう意味で、専門家としての常勤の役員による経営というのが我々の農林中金の状態かというふうに思います。その中でいかに出資者の意思を適切に反映するかということで、いわゆる非常勤の理事を六名、理事に就任していただいているというふうなことがあります。それから、審議委員会制度というのがございまして、これは理事長の諮問機関ということでございますけれども、十名以内で委員を選ぶということですが、この大半は出資団体からの委員が就任しているわけでございます。  そういうこととか、あるいはいろんな会長会議とか常務者会議等々を通しまして出資者の意思を業務執行に反映させていくというふうなことで、今先生が言われたような点について工夫をしているところでございます。
  31. 常田享詳

    常田享詳君 最後に、時間がございませんので、白石先生にお尋ねいたします。  実は住専問題がありましたときに、私、当委員会で大蔵省の方に、母体行が紹介融資をした先なんかの情報はもっと早く公開すべきではないかということを申し上げましたけれども、物すごい抵抗があってそれが公開されないままにずるずるずると後になってその問題が大きくなっていった。  私は、このたびの改革に伴ってディスクロージャーの問題は重要な問題だというふうに思っております。こういった問題は前倒ししてでも徹底してやっていくべきだというふうに思いますが、最後に白石先生のディスクロージャーに対する御見識を承って、終わりたいと思います。
  32. 白石正彦

    参考人白石正彦君) それでは簡単に答えさせていただきます。  住専問題は私の見解では、よく貸し手責任ということも言われるんですけれども、これはアメリカでは一般的に貸し手、例えば銀行であるとか農協等が仮にお金を貸した場合には、貸すと同時に役員を派遣するとか、そういう介入した結果問題があった場合に貸し手責任ということが言われるわけで、基本的には今回の農協はそういう形ではなくて一定のルールをつくりながら貸しているわけですから、私はそういう面での一般的に言われる貸し手責任はないと。しかし、モラルといいますか、もうちょっとその実態を調べて貸すべきであったということは結果として言えるのではないかと思います。  そういう面では、母体行の実態なり、それから何よりも貸し手先がどういうふうな形で運用しているかがほとんど私たちにも伝わってきておりません。ですから、やはりその点はぜひ国会議員の先生方中心になりながら、国民の代表としてどういうところにお金が使われているのか、さらに母体行は役員等を送り込んでいるわけですから、その実態、まず最初にどこに責任があるかと言う前に、実態をまさに言われるようにオープンにする、そこから今後二度とそういうことを起こさない教訓が出てくるんじゃないか。今はまだそこは解明されていないというのが私の見解でございます。  以上でございます。
  33. 常田享詳

    常田享詳君 終わります。
  34. 一井淳治

    一井淳治君 松旭参考人にお尋ねさせていただきたいと思います。  農協信用事業につきましては、住専問題が論議されたのがつい先刻なんでございますけれども、今まさに金融情勢を見ますと金余り現象があり、大変厳しい経営環境の中で、現実に競争に負けないようにしなくちゃならないという状況があるわけであります。そういう中で、今後自己責任の原則を基本にしながら農協関係の信用事業が心配なくやっていけるのかどうかということが一番問題だと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  35. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 私、両面あると思うんですが、これは他業態経営健全化と大体同じ趣旨になりますが、一つはやはり融資審査体制強化、これをぜひやらないといろんな問題が、まだほかにもございますので、出てくる。ここのところはやはり大きなポイントだと思います。ただ、この中の対策の一環として、農協の場合になかなか二審制というのがとれません。つまり、営業で審査をする、審査部で再審査をするという二審体制がとれませんので、今回の法制度改正の中で信用補完措置、つまり信用保証機関の目で審査をしてもらうというような趣旨から、信用補完制度の充実を一方の整備としてお願いしているところであります。  それからもう一つは、そういった融資について経営リスク管理をきちっとやっていくということが大事だと思います。これは、ただ監査体制充実の前に、系統全体として与信管理、それにはいろいろ限度管理もあれば、保全管理もあれば、いろいろあるわけですが、系統全体としてのリスク管理ということを仕組んでいかないといかぬのじゃないかというのが一つ。それから、監査充実ということで、これにつきましては中央会監査をさらに強化していかなきゃいかぬ。特に私ども中央会監査で大事だと思いますのは、こういう監視機能といいますか、ただ単に決算監査、三月末の帳票の適正性を評価するのではなくて、やはり日常の動きの中で十分監視していく、これが大事な機能であろうというふうに思います。  そういうような幾つかの対策を総合的に講じていくことで、これはきちっと自己責任でやってまいるという所存でございます。
  36. 一井淳治

    一井淳治君 もう一点お尋ねしたいと思います。さっきお話も出た監査体制、今回の法改正にも関係するわけですけれども、これがきちんと実施できるのかどうかという問題でございます。  回収可能性ということを常に考えながら、貸し出しの場合には責任感を持ってやらなくちゃいけないわけなんですけれども、現実には背任罪等の刑事問題がちょくちょく起こるということでよく新聞に出ます。これは基本的な問題だと思うんですけれども、やはり監査がしっかりしないと農協経営が揺らいでくるということがあるわけです。今後の法改正もありますけれども農協系統監査はきちんとできるのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  37. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) それにつきましては、私どもこれまでの中央会監査というのは受託監査でございまして、受け手の農協中央会監査を依頼するという格好で中央会監査が入っておったわけです。今回の法改正によりまして、中央会監査につきまして一定規模以上の農協については監査を義務づける、法定化されるわけでございます。そうなりますと、これは中央会にとっても大変大きな責任を伴う、つまり公認会計士に課せられていると同じような法的責任が出てまいります。したがって、これからの中央会監査というのは私は今までの延長線上でなかなかやっていけないんじゃないかというようなことで、私どもとしては中央会自身の機能体制整備ということを考えております。  その中で特に申し上げたいのは、さっき言いました経営リスク管理早期是正措置中央会版ですね、そういったものを一つノウハウとして入れていきたい。それから、責任体制なり監査ノウハウを向上させるために主任監査士制度というのを中央会監査の中に設けまして、きちっと責任ある主任者が行くということを制度として仕組むと。それから、ドイツに入っておりますのに上級監査士制度というものの導入検討しておりまして、今監査士は一つの資格でございますが、それに上級監査士というものを導入してはどうか。  さらには、おっしゃるように中央会監査というのは外から見ますとしょせん身内じゃないかという御指摘もあるわけでございます。これに私、中央会監査独立性というのも大変重要でございます。したがって、公認会計士を県中、全中にきちっと置いていって外部のチェックの目を活用するということと、少し将来の話になりますが、全中の中に全国監査機構という機構を設けまして、そこで一元化していってはどうかという将来方向も、研究会レベルでございますが出しております。  これは大きな課題でありますけれども、私どもが法定監査ということで義務づけられた以上は、我々はそれにきちっとこたえるべく努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  38. 一井淳治

    一井淳治君 次に、内藤参考人に質問させていただきます。  なかなか農協が積極的に地域貸し出しをするという力が十分ないわけですから、どうしても農林中金にお金が集まってまいります。そして、農林中金内容を見ますと、有価証券運用が六一・二%ということが言われておりますけれども、大変運用に困難を来しておられるのじゃないかというように思います。今度、法改正もあるわけなんですけれども農協系統から集まってきた金融資金の運用をして運用益を十分上げていけるだけの自信があるのかどうか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
  39. 内藤滿夫

    参考人内藤滿夫君) おっしゃるとおり、私ども系統の最終資金運用者という位置づけでずっと来ているわけでございまして、国内外の金融市場で幅広い運用を行っているわけでございます。  国内におきましては、今先生おっしゃいました有価証券市場で長年の運用で蓄積されたノウハウを生かして効率的な運用をやっているわけでございます。ただ、先生が今おっしゃった農林中金で有価証券が六〇・二%というようなことでしたけれども、そういうあれじゃございませんで、大体四十兆円の資産に対して三分の一ぐらいの有価証券運用かと存じます。そういうことで、有価証券については大変なノウハウを持っているというふうに自負しているわけでございます。  それから、企業融資につきましても、都銀等の一般金融機関に伍して貸し出しを行ってきているわけでございます。それから、海外におきましては、ニューヨーク、ロンドン、シンガポール等の有力国際金融市場に拠点を持っておりまして、証券市場における運用もありますし、それから貸し出し業務もございます。そこで効率的かつ安全な資金運用に努めております。  こういう資金運用につきましては、今回の法改正に伴う規制緩和によりまして一層充実するというふうに思っております。統合によって農林中金に集中する系統資金運用についても、十分に対応し得るというふうに考えているところでございます。
  40. 一井淳治

    一井淳治君 終わります。
  41. 須藤美也子

    須藤美也子君 三人の参考人の皆さん、本当にお忙しいところを御苦労さまでございます。私の持ち時間は十分ですので、まず三人の参考人方々に質問を一括してさせていただきたいと思います。  まず最初に、全中の松旭俊作参考人にお尋ねいたします。  本を読まさせていただきました。先ほどおっしゃるとおりのことを書いているなと思って感心して聞いていたんですが、二〇〇〇年までに農協を五百四十八にする、広域になればなるほど組合員農協から遠くなり利用しにくいと言っています。私は山形です。山形もかなりのところで広域合併が進んでおります。そこの父ちゃん方が、農協合併されたら、もう簡単に農協に行けなくなって利用できない、困ったもんだと、こういう話であります。それから、支所施設の統廃合によって、支所中心金融の窓口になって、購買とかそういう生産者にとって必要な仕事がされていない、これにも私は問題があるのではないかというふうこ思います。  それと、先ほどお話ししておりましたが、大型合併組合員の要求で合併されるのであれば、組合員は大型合併された農協利用してその地域活性化につながると思うんですが、私が今申し上げましたように、だんだん遠く離れて農協離れが進んでいる、それはどこに問題があるのか。上からの計画だから、方針だからといって合併させていく、こういうやり方に問題があるのではないかというふうにも考えているんですが、その点が一つです。  それから二つ目は、信連不良債権を県内で処理するということは具体的にどういう内容なのか。まず単位農協、それから農家組合員にその不良債権を負担させるのか。それからもう一つは、信連経営者の不良債権に対する責任はどのように考えておられるのか。この二点を松旭参考人にお尋ねしたいと思います。  それから、農林中金内藤参考人に対しては、農林中金信連と今度合併する、これまで信連が各県で果たしてきた単位農協における営農支援あるいは地域振興のための融資、貸出人の拡大への援助など、農家経営に役立っために今度どのような具体的な施策をお持ちなのか。農林中金の貸出先の一覧表を見ましたら、残高で全体の半分を占めているのが加工業、食品会社等、ここが七兆八千九百八億円となっておりますね。参考までに農林水産関係者の場合は一兆数千億円と圧倒的に少ないわけです。これが今度、海外の人にも貸す、団体にも貸すというふうになりますと、つまり日本国内の生産者や農業者を今輸入で苦しめている、加工で苦しめているそういう業者に多額の融資をして、本当に借りたい地域農業者に融資できなくなるのではないかというような心配はないのか、この一点であります。  最後に、白石先生なんですが、経営管理委員会設置によって正組合員でない理事を選出することは協同組合の目的と性格に反する、つまり先ほど来お話ししていましたけれども、原則に反し、協同組合を変質させるものになるのではないかという心配を持っておりますので、この点についてお尋ねをしたいと思います。  以上であります。
  42. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 第一点の農協合併の弊害といいますか、そういう点の御指摘だったと思うんです。  私は、大事なことはさっき申し上げましたように、合併するに当たっては組合員によく理解を求めるということが大事だというふうに申し上げたんですが、何か上から改革を強制されるようなことであってはならないというふうに私はかねがね考えております。  そこで、お尋ねの組合員から見て農協合併がどういうふうに映っているのかという話ですが、私はこう考えているんです。確かに、施設や何かが統廃合されますと利便、サービスは低下すると思います。それは手元にあった方が非常に便利だし、いいと思うんです。ただ、肥料、農薬でも価格破壊が進んでいまして、量販店が農協より一五%も安い肥料をどんどん売っているわけですね。そうすると、やっぱりそういう経済的メリットはどうするのかという問題と二つ方程式を解かなきゃいかぬわけです。  ですから、私はそこのところを組合員とよく相談していただいて、どちらのメリットを求めるのかという理解のもとで施設の統廃合を進めませんといかぬというふうに思っております。それが一つです。  それから、私は最初、農協合併は西高東低だと言って、東北は進んでいないと申し上げましたが、実は山形は東北の中では先進県でございます。なぜ進んだのか、ここを申し上げたいのですが、実は山形県は平成二年に全組合員を対象にしたアンケートをとられました。これは大変なアンケートでございまして、組合員十万人にアンケートを出して七万通回収したわけです。そういうことで、その中にやはり農協活動に対する不満が大変強く盛られておった、そういうところから私は改革が進んできたというふうに思っていますから、山形県の農協改革というのは下から盛り上がってきた改革だというふうに考えて、むしろ私は高く評価をしているわけでございます。  それから、二番目の信連不良債権の問題でございます。これは現実に幾つかの信連におきまして不本意な結果が出ております。これにつきましては県内の農協の御理解を得ながら、可能な範囲での御支援を得ながら再建に努力をしているというふうに拝察をしております。  そのことに関連いたしまして、信連経営者の責任をどうするのかということでございます。これも私は個別の問題として言う立場にはございませんが、そういった再建計画を立てるに当たりましては、それぞれの信連におきまして経営責任が明確にされた上で再建計画がスタートを切っているものというふうに理解をいたしております。
  43. 内藤滿夫

    参考人内藤滿夫君) まず、合併後の営農支援といいますか農業者に対する貸し付け等々についての問題でございます。  まず、農協合併を行う目的というのは、我々は農協を強くして、組合員あるいは地域の住民等に対する融資機能、相談機能等々を強化していくんだ、それが最大の目的でございまして、まず、そこでそういうニーズに対応していくということでございます。もちろん合併に伴いまして、例えば信連がなくなって二段階になる、そのときには我々は、法的にも今いろいろ出ていますけれども信連地域産業貸し付け機能等も承継して農協をサポートしていくというふうなことでございます。そういうことで対応していきたいということでございます。  それからもう一つは、農林中金について、いわゆる消費者等へのサービスといいますか、独占資本に対するということになるんでしょうか、そういう融資についてということでございます。そして、本来の農業貸し付け等々に対するニーズに対応できないのじゃないかというふうな御質問かと思います。  私どもの企業貸し付けと申しますのは、いわゆる農林水産関連産業というところに主体を置いております。それはつまり、農家がつくる農産物を原料とする加工産業に対してその設備資金を融資するなり運転資金を融資するなり等々、一例を挙げればそういうことでございまして、いわゆる農家のため、地域のためを目的とする融資が主体でございます。そんなことで、JA、農林中金挙げて農家そして地域のために機能を発揮していくということでございます。
  44. 白石正彦

    参考人白石正彦君) 先生の御質問にお答えさせていただきます。  今回の改正は、先ほども説明ございましたように、選択肢としてこういう経営管理委員会理事会制度を導入するということで、今までになかった一つの枠組みを選択肢として法制度で導入するということで、これが導入されれば直ちにこれになるということではないというふうに理解しております。最終的にはこれは理事会、総代会等で決定するものだということで、それが前提です。ただ、こういう制度は日本では今までなかったものですので、これがどういうふうに育っていくかはやはり農業者なりあるいは各地域での知恵ではないかと思います。  ただ、私が見聞しているドイツ等では、あるいはイギリス等でもそうですけれども基本的に経営の執行というのはこういうプロに任せるという形をとっているんです。それは恐らく今のように競争が激化してきますとそれに対応するいわば専門的なノウハウがなくして一刻もやっていけないという、従来の小さな農協で、しかも食管制度その他に支えられておればいいですけれども、そうでなくなったという環境激変があるのじゃないか。  しかし、先生が言われるように、民主的運営はどうなるんだということは、先ほど申しましたように分権といいますか、限りなく支所に権限を与えていく、あるいは部会組織の意思決定を十分反映させていくと、こういうふうなもう一つの協同組合原則に基づく内部的ないわば仕組みをやっていく。あるいはまた、場合によっては理事会と経営管理委員会が合同で絶えず議論していくというような運用の仕方もあるんじゃないかと。  いずれにしても、今の環境激化に対応して持続的に組合員に効率的にサービスしていくためには、一つの選択肢として導入することは意義があるんじゃないかというふうに考えております。  以上です。
  45. 国井正幸

    国井正幸君 民主党・新緑風会の国井正幸でございます。私も余り時間がないので何点かに絞って御質問をさせていただきたいと思います。  先ほど、今度の改正農協法等に関する御意見をそれぞれ御開陳いただいたわけでございますが、まず最初に、松旭参考人にお伺いをしたいと思います。  平成四年にもいわゆる員外理事の拡大ということで、これまでの四分の一から三分の一になったわけですね。法改正がありました。そして、このたびは選択制とはいいながら経営管理委員会導入するというふうな法改正があるわけでございまして、いずれもこれは可能規定なんですね。やってもいいしやらなくてもいい、こういうことなんですが、ただいま御意見を賜ったわけでございますが、全中としてこういう法改正を受けてどういう指導をしていくつもりなのか。  僕は員外理事の問題なんかを見てみますと、仏つくって魂入れず、と率直に思います。私は栃木でございますが、JAなすのという大きな合併農協もできました。組合員二万人、従業員も九百七十人、そして預金の保有も一千三百億、共済なんかでは保有高が一兆円を超えるわけですね。しかし、そういうところにさえもこの員外の理事というのが置かれてないんです。いわゆる学経を置いてないんですよ。やっぱりこれは問題があるというふうに思うんです。だから、そういう意味で今度の法改正の趣旨、それを生かしてどのようにやっていくつもりなのかが第一点です。  それからもう一つは、やっぱり今度の法改正の知恵というものは、いかに健全な経営体を確保するかということが一つと、もう一つはやっぱり協同組合ですから、組合員の意思をいかにその経営体の中に反映させるか、ここをうまくどうやってマッチングさせるかというのが今回の法改正の中の知恵なんですね。だから、ここを大切にしてもらわないと私は困るというふうに思っているんです。そういう意味で、どのように指導していくかということを松旭さんにお伺いしたいと思います。
  46. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 御指摘のように、農協業務執行体制の問題につきましては、私ども大規模合併農協の運営指針というのをつくりまして、平成四年の制度改正の趣旨に沿った指導をいたしております。ただ、御指摘のように、現在ちょうどその過渡期に当たるというようなことで、まだ十分実績が上がってきておりません。  確かに、員外理事の登用数は農水省の統計によりますと平均的に〇・一人ということでございますが、私ども合併農協だけを取り出して、これもややサンプル調査でございますが、やったところでは、常勤理事は平均三人、それから員外理事は一・一人、これもそれで決して十分とは思っておりませんけれども、という状況でありますので、今の合併農協では平均的にはもう員外理事は少なくとも一人、大きいところでは二、三名置いておるところもございます。  ですから、私ども引き続きその面の指導強化していきたい。特に、今回の法律改正というのは、私はそういう意味で業務執行体制の面でお取り上げいただいたことは大きなインパクトになっていくというふうに考えております。  それから、組合員の意思反映、これも私ども広域合併農協での大きな課題だというふうに承知いたしております。特に、支所の統廃合というようなことを視野に入れてまいりますと、いよいよ組合員の意思反映の拠点がなくなっていくわけですから、そこのところのやり方を誤ると大変なことでございます。したがって、私どもは、この意思反映の方策につきましては、実は総合審議会、会長の諮問機関でもこの辺の意思反映対策について検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  47. 国井正幸

    国井正幸君 時間がない中であれなんですが、中金の内藤参考人にお伺いをしたいと思います。  今度の法改正で、いわゆる農協法に基づく農業協同組合組織である信連農林中央金庫合併をする、こういうふうなことになるわけですね。今の松旭さんへの質問とも共通するんですが、いかにその会員の意思を中金の経営の中に反映させるか、大変重要なことだというふうに思っているんです。  そういう意味で見ていきますと、いわゆる中金法に定める管理委員会制度というのはただ役員を推薦するだけの機関なんですね。あとは何にもないんです、書いたものは。定款上も何もない。それで、審議委員会というのがあって、これが審議委員十人以内を置く、現在九人いるようですが、この九人の方にいろんなことをお聞きする、こういうふうなことになっているんですね。これは細かなことが書いてあります、定款上。  しかし、今度、非居住者向けの融資等も含めて海外法人等に対しても融資ができるようになるわけですね。そういうことからすると、国際金融の問題とか大変なやっぱり見識が要求されるというふうに思うんです。むしろそういう部分こそ学識経験者等を審議委員にして、そして協同組織である協同組合会員の意思というものは今度の法改正の趣旨に基づくような形で経営管理委員会のようなものをきちっと設ける、このことが私は必要なんではないかなと思っているんです。  そういう意味で、私はさらに中金法の改正が必要だという考えを持っていますから、午後は政府にそういうことをやっていきたいというふうに思うんですが、その辺に対して、十分会員の意思を尊重できるような仕組みになっているのかどうか。ましてや、今度は改正農協法のもとで農業協同組合組織である信連合併するんですから、その辺を含めてどのようにお考えか。  それから、白石先生に、そういう議論の中で、私は経営の安定という問題と、それから運動体としての農業協同組合でありますから、組合員の意思をいかに反映させるか、冒頭申し上げましたように、これが私は今回の非常に大切な部分だというふうに思うんです。そういう意味で、今の中金法に定める中金のあり方だけで十分なのかどうなのか、その辺のお考えを先生の方からお伺いしたいと思います。
  48. 内藤滿夫

    参考人内藤滿夫君) 私ども系統団体からの意思反映の問題でございますけれども、これにつきましては、いわゆる組織代表理事理事の中に入れておる制度、あるいは今おっしゃいました理事長の諮問機関であります審議委員制度、それから役員候補の推薦機関である管理委員会、これも先生おっしゃったとおりでございます。そういうものを通じるほか、決算状況とかあるいは総代会の付議内容等々について御理解をいただくために全国の本支店を駆使いたしまして総代懇談会を開催するとか、あらゆる場面で出資団体の意向をくみ上げるために努力をしているところでございます。  それで、農林中金のさらに経営の重要な課題につきましては、随時、全国信連会長会議あるいは全国地区別信連常務者会議等々の諸会議を通じて幅広く相談させていただいております。統合した場合におきましても、これらの仕組みを基本に、出資者の意思反映が十分に図られるように努力していきたいと存じております。
  49. 白石正彦

    参考人白石正彦君) 簡単にお答えさせていただきます。  やはり、今のように情勢がどんどん変化しておりますので、なお検討の余地が十分あると思います。  ただ、今の国際化の対応の中で、例えばこれは生協関係ですけれども、イギリスのコーポラティブバンクというのがございます。マンチェスターに本部があります。そこに行きますと、自分の協同組合銀行の場合には、環境に優しいところに融資しますよ、それから動物を虐待したり武器をつくったり、そういうところに一切やりません、こういう人間らしい金融のあり方、これを本部の壁に書いております。それから、マンチェスターの空港に行きますと支店がありますけれども、そこでもそういうPRをしているんですね。  ですから、どちらかというとモラルかもしれませんけれども、自分の協同組合らしい金融というのはこういうものだというビジョンを明確にすることによって、イギリスのコーポラティブバンクの場合は融資がどんどん伸びているんですね。ですから、そういう形で民間のそれとの違いを出していく、こういう内部的規律みたいなものがこれからの課題ではないかというふうに考えております。  以上です。
  50. 国井正幸

    国井正幸君 ありがとうございました。
  51. 島袋宗康

    島袋宗康君 時間の都合で、参考人御三方に一括して質問をいたしますので、御回答をよろしくお願いしたいと思います。  まず、松旭参考人にお聞きしたいと思います。  平成六年九月、全国農協大会において、二〇〇〇年までの組織二段の実現を決議されております。全中の調査では、二〇〇〇年までに農林中金への統合を予定しているのはわずか十七信連であり、なお多くの信連では統合についての態度または時期についてまだ決定していないとのことのようでありますけれども、その見通しについてお伺いをしたいと思います。  次に、内藤参考人にお聞きしたいと思います。  農林中金の貯貸率が他の金融機関に比べて極めて低い要因はどこにあるとお考えになっておりますか。一点についてお伺いしておきたいと思います。  次に、白石参考人にお尋ねいたします。  今回の改正の効果についてはどのような見通しをされておるのか、その点についてお伺いいたします。  以上です。
  52. 松旭俊作

    参考人松旭俊作君) 第一点の問題は、確かに先日私ども調査いたしましたら、現在の統合計画は御指摘の数字でありました。ただ、多くの県で検討中とありますけれども、これは来年私どもJA全国大会をやるわけですが、県大会もそれぞれ各県で来年組まれておるんです。したがって、その来年の県大会に向けて方針を決めようというのが現状でございます。かなり多くの県で統合を決議していただけるものだというふうに考えております。
  53. 内藤滿夫

    参考人内藤滿夫君) 私ども農林中金の貯貸率が低いということでございますが、系統全体で見ますと三段階を通じて五〇%程度でございます。それで、確かに貯貸率、農協をとりますと特に三〇%程度で低いわけでございます。  原因としては三点ぐらい考えられると思います。第一には、組合員中心とする個人分野を主要な対象としているということでございます。もともと、個人部門というのは金を借りるよりも貯蓄超過部門でございます。そういうことでございますので、JAとしては個人から預かる部分が大きいということでございます。それで、一般的に見ますと、個人部門における最大の資金需要というのは住宅関連資金が大きいわけでございますけれども組合員農家というのは土地所有者であります。そんなことから、一般の勤労者世帯に比べますと借り入れニーズが小さいとか、あるいは農協貯金の基礎的部分には先祖伝来のもので極めて貯蓄性の高い土地代金が含まれている等々もございます。それから、農業投資が総体的に減少しているというものもございます。さらに、員外貸し出し上の制約等々もあったというふうなことでございます。  ただ、今後、機能体制等を整えまして、組合員農業資金と生活資金に加えまして、市町村、地場企業等々に対して着実、漸進的に取り組みを進めたいというふうに思っています。
  54. 白石正彦

    参考人白石正彦君) 先生の御質問にお答えさせていただきます。  今回の改正は、一つの器づくりというふうに私はとらえております。ですから、これがどうなるかはやはり組合員に支えられた農協にどう内発的に取り組むかが課題ですけれども、その器として、農協がともすれば内向きになりがちなところを外に向かって透明性を発揮する、そしてどういうことをやっているかというのをいわば開示する、それからまた環境激化の中で、事業情勢が変わることに対してこういう専門性を発揮できるようなシステムの導入が可能になるという、そういう選択幅を今回の改正で大きくしているんじゃないかというふうにとらえております。  以上です。
  55. 島袋宗康

    島袋宗康君 ありがとうございました。
  56. 真島一男

    委員長真島一男君) 以上で参考人方々に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言お礼を申し上げます。  本日は長時間にわたりまして貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  午前中の審査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  57. 真島一男

    委員長真島一男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林中央金庫信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。  これより両案に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  58. 三浦一水

    三浦一水君 自民党の三浦一水でございます。  若干の項目について、質疑をさせていただきたいと思います。  農村を取り巻く状況についてはもう話を避けたいと思いますが、JA改革につきましては、けさ、参考人白石先生のお話にもありましたが、大変積極的な評価をされる一面で、この問題が、JA独自の取り組みとして平成二年あるいは六年から打ち出しがありながらなかなかその進捗を見ていなかった、そのような率直な指摘もあったわけでございます。私もその点は同感でございまして、実にじくじたる思いを持ちながら今日まで来ていたわけでありますが、住専問題もこの取り組みがもうちょっと早くいっていればなと思うところもあるわけでございます。  いずれにしましても、自由民主党といたしましても基本政策問題小委員会におきまして、六月以降十数回いろいろな取り組みをやってまいりました。そういう状況の中で、今回法案提出に結びつきましたことは、それなりにほっとする思いもあるところでございます。  今回の農協改革法案の考え方と、それから農協改革に取り組む大臣の決意をまず冒頭にお伺いをいたしたいと思います。
  59. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、三浦先生から御意見を交えまして御質問があったわけでございますが、農協改革は先ほど言われました幾つかの前提がございます。  金融の自由化であるとか、他業態との競争の激化であるとか、また住専処理方策の策定を機会にしてリストラを強く要望、指摘されたというようなこと、そういう前提から、今後農業また農協系統の将来の展望を切り開いていくためにはこの農協改革は避けて通れない、そのような認識を持っております。  このたび農協法案提案させていただいたわけでございまして、この法律を成立させていただきましたら、この成立を契機にいたしまして改革を本格的に推進する、そのように考えております。
  60. 三浦一水

    三浦一水君 次に、合併の問題をお尋ねしたいと思います。  けさ、これも全中の松旭専務さんが若干見解を述べられておりましたが、全中の調査で、今、中金等との統合を希望され構想を持たれている信連につきましては十五県、あるいはまた一県一農協構想を実現すべく取り組みがされているところが二県、そのような状況が伝えられておりました。これらの法案整備をされました後の今後の見通しについて、ちょっとお考えをお聞きしたいと思います。
  61. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 今御指摘のように、信用事業につきましては金融の自由化あるいは住専問題を契機としてのリストラの要請そういう状況の中で農協自体もこの問題を大変重く受けとめまして、みずからの自己改革という形の中で対応してきているところでございます。  現在のところ、これも法律をこれから御審議いただきまして成立をさせていただきますれば、大臣申し上げましたような本格的な農協改革の軌道にこれから乗るというふうに思いますが、この法案が出された段階におきましても、現在既に十五の県におきまして農林中金信連の具体的な統合をしたいという手が挙がってきております。さらにまた、今おっしゃいましたように一県一JAという県が二県ございまして、これは農林中金信連統合という形でない。そういう意味では合わせまして十七の県がそういった意味での農協改革、リストラに手を挙げてきているというふうに私ども認識しております。  そういう意味では、こういった法案を通していただきますことによりまして、農協みずからの農協リストラの改革の動きというものが本格的な軌道に乗る、そういうふうに理解いたしております。
  62. 三浦一水

    三浦一水君 態度がまだ決定されていないというところも、法案審議の過程でありますからそれも当然かと思いますが、随分ある、迷いもあるというような話も伺っております。ぜひ進めていただく.ようにお願いを申し添えたいと思います。  それから、これも松旭さんがけさおっしゃっていたんですが、系統としては、信用事業だけじゃなくして経済事業も含めて、系統全体のいわゆる組織再編を二〇〇〇年までにやっていきたい、平成十二年までであります。そのような目標をお持ちのようでございますが、実現の見通しにつきまして、余りにもこれまでの進捗が悪いという状況を見ながら、大臣にその見通しについて、また大臣としてのその辺に対する決意も含めて、所見を述べていただければと思います。
  63. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 農協系統におきましてもJA改革取り組み指針、これをことしの七月に決定いたしております。この指針におきましては、二〇〇〇年に向かいまして、農協広域合併構想の実現、組織二段に向けた県連と全国連統合、これを推進することといたしております。こういうことによりまして、農協系統では事業組織改革のうち実行可能なものから順次着手しているところでございまして、農協合併につきましては、現在五百五十の合併構想のうちで約四割が実現されていると聞いております。  また、県連と全国連統合につきましては、先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように、十五から二十前後の県連、信連が手を挙げている、そういう状況でございます。
  64. 三浦一水

    三浦一水君 特にこれは各方面から御指摘があるところでございますが、経済事業合理化と申しますか、その点についてはもう各組合員、例外なく非常に期待の大きいところでありますし、これについては法的な制限もないわけですから、すぐにでも取り組めるという状況であります。しかし、事柄的には非常に複雑な内容も多いと聞いております。ぜひこれには積極的な取り組みを今後続けていただきますように、この点も要請しておきたいと思います。  それから、執行体制について若干お尋ねしたいと思います。  今回の改正で兼職・兼業が禁止されるということでございますが、私は職業としての農業は当然これは例外扱いになるだろうと信じております。しかし、行政庁の例外認可というものが述べてあるわけでございますが、これは具体的にどのような場合にその例外取り扱いを行うのか。例えば、系統内の兼職が現在非常に多うございますが、どうするのか。あるいは各級の議会議員との兼職をどうするのか。加えて、知事、市町村長、この辺は例としてどう扱うのか、その辺も含めてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  65. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) この兼職・兼業につきましては、さきの通常国会で、信用組合等につきましてもそういった兼職・兼業規定が導入されております。これまで農協につきましてはそういった兼職・兼業禁止規定はございませんで、御案内のように県連の会長さん方が幾つもの横の会長さんを兼ねる、あるいは単協の組合長さんが県連の会長あるいは全国連の会長を兼ねられるということで、縦横の兼職は系統内部においてはかなり常態化している面があるというふうに指摘されております。御案内のとおりでございます。  この点につきましては、やはりこれからの厳しい金融事情を考えますというと、金融業務は非常に高度化し、専門化されてきておりますので、やっぱり職務に専念をしていくということでないと、金融機関として国民の皆様、それからそれを利用されております組合員の皆様から見ましても不安感がどうも出てきているという実態にございます。  したがいまして、農協におきましても、他の金融機関と全く同様の形で兼職・兼業の制限規定を入れていかなければ日本の金融システム一員として信頼関係にやや欠ける、こういうことから今回兼職・兼業の制限規定を入れているということでございます。  その趣旨に照らしますれば、今申し上げましたような縦横の兼職というのは好ましくないというふうに私どもは思っております。これは、このことを前提とした上でなお当面の農協系統の動きということを考えてみますというと、今御審議いただいておりますように、農協のリストラを非常に大胆に単協の合併、それから農林中金信連合併という縦の合併、垂直統合でございますけれども、そういうことを進めていかなきゃならないという中で、縦横の兼職禁止まで直ちに全部だめだということになりますと相当に不安感が生じてくる面が大きいのではないかというふうに考えます。  したがいまして、そういった意味で二〇〇〇年まで大変大胆な縦横の農協リストラが進む過程にございますので、そういう意味ではある程度実態を踏まえた対応が要るのではないかということで、兼職・兼業制限規定の趣旨を逸脱しない範囲の中で対応していくことが望ましいと考えております。例えば具体的には、他に組合の職務に専念できる常勤理事あるいは代表理事の方がおられるというような場合におきましては、例外的に兼職の認可を行っていくということは現実妥当な方法ではないか。そういう他に組合の職務に専念できる方、常勤理事代表理事を置いていただいて、その方が、その別途の方は縦横の兼職をある程度兼ねていかれると、そういう道が一番現実妥当ではないかなと思っております。  それから、今おっしゃられました県会議員、国会議員についての御指摘ございましたけれども、この点につきましては地方自治法上でも県会議員については常勤という扱いになっておりません。そういう意味では事業でもございませんので、法律上は兼職することは可能ではないかというふうに見ております。ただ、そういう方々を実際理事としてお迎えするかどうか、これまそれぞれの農協法律の範囲の中での御判断というふうに思っております。  それから、知事や市町村長さんは、これは地方自治法の規定に基づきまして常勤というふうになっておりますので、兼職・兼業制限禁止規定に該当するというふうに思っております。
  66. 三浦一水

    三浦一水君 農業者はどうですか。
  67. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 農業者の方につきましては、これは条文上は他の事業にという意味での事業の中に観念的こま入るというふうに思います。  これは、他の兼職・兼業禁止規定におきましても基本的には同じ考え方でございますが、ただ農協はもともと農業者をもって構成する組織でございますので、農業との兼職を全面的に禁止していくということはこれは実態にそぐわないのではないかと思っております。現実に法人という形で大規模に事業を展開されております場合には、やはり兼職・兼業制限規定に事実上該当すると思いますけれども、通常の家族経営として行われている場合には、農協のそういう農業者をもって構成する組織であるということとの関係において該当しないというふうに思っております。
  68. 三浦一水

    三浦一水君 前段の部分ですが、この例外規定や例外認可ということについては、確認しますと二〇〇〇年まではある程度の過渡期的な措置はやむを得ずと、そういう解釈でよろしゅうございますか。
  69. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 先ほど申し上げましたのは、そういった農協のリストラが当面非常に農協系統として大きな課題として進めていかなきゃならない時期であるということでございますので、そういうことを配慮していきたいというふうな考え方を申し上げました。二〇〇〇年という期限を限っているかどうかというのは、これからまた農協自体のリストラの状況組織整備状況という形の中で現実妥当な方法として対応していきたいと思っております。  しかし、いずれにしましてもやはり信用事業ということで、六十八兆円もの受信を受けて業務を展開いたします農協につきましても、それにふさわしい専門化され高度化された知識を持った方がやはりそこに当たっておられるという意味での信頼関係は、これは基本に置いて考えていきたいというふうに思っております。
  70. 三浦一水

    三浦一水君 農協組織整備の進捗をにらみながらというふうな理解をさせていただきたいと思います。  次に、経営管理委員会制度、いろいろと問題提起がなされているようでありますが、あくまでこれは各関係農協の自主判断に基づくものということでございますが、どのような農協で具体的に導入されると見通されているか。加えて、この経営管理委員会の権限の問題がやや明確でないんじゃないかというお話もございます。  それから、私としては、その権限と同時に、経営管理委員会が持ちます義務、現行の理事組織におきましては、いわゆる善良管理義務と申しますか、連帯責任の原則はあるわけでございますが、この点が新制度の中で経営管理委員会とJAのいわゆる新設の理事会とどういう分担になってくるのか、この辺も具体的に教えていただきたいと思います。
  71. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 今回の経営管理委員会制度は、先ほどの御指摘と絡むわけでございますけれども農協が非常に高度化された信用事業を十分に果たすだけの経営管理体制になっているかどうかということについての厳しい御批判を受けまして、組織代表から成ります経営管理委員会と、それから、そのもとで日常的な高度化された業務を行います理事というふうに、ある意味では機能を分化しつつ、お互い相互牽制という形の中で、農協組織性の要請にもこたえつつ高度化された専門的業務もこなしていく、両方の要請にこたえるものとして選択として導入してございます。  したがいまして、これを採用するかどうかというのはそれぞれの地域農協で御判断をされるというふうに思っております。そういう意味で、どういう農協になるかということを一義的に申し上げにくい部分でございますけれども、例えば事業量が非常に大きい農協で全体のマネジメントがなかなか見がたいというところについては、こういう制度を導入されるということはそれなりに意味があると思っております。  それから、非常に地区が広くて、例えば地区のそれぞれの方から理事を選ばれるというような農協があります場合には理事の数が非常にふえてしまう、そういった農協につきましても、今申し上げましたような新しい制度を選択される余地があるんじゃないか。  さらに、今後農協広域合併が進んでいくと思いますけれども、そういう広域合併を契機に、今申し上げましたような形で新しい経営管理委員会制度理事会制度を導入していこうというふうな動きになる、三つが大きなこれからの見通しができるというふうに思っております。  その仕事の関係につきましては、経営管理委員会の方は組合の意思を反映するという形になっておりますので、組合業務基本方針、それから重要な財産の取得、処分等、要するに業務執行に関します重要事項を決定していただく。理事の方は、経営管理委員会が決定されたところに従いまして、日常的にだれとどういう契約を交わしていくかという形での具体的な日常業務をやっていただくということでございまして、全体的にはやはり経営管理委員会の大きな系統としての意思を受けた形で、日常業務を展開していただくという形になろうかと思っております。  その責任関係でございますけれども経営管理委員会を置いております組合理事の方は、当然その職務を遂行するに当たりましては、法令、定款、総会決議等を遵守していただくということは当然でございますけれども経営管理委員会の決議を遵守していただく、当然経営管理委員会のもとにある理事会でございますから、という形になろうと思います。  それから、経営管理委員につきましても、法令、定款、総会決議等の遵守義務があります。それから理事は、その任務を怠りましたときは組合に対しまして連帯して損害賠償責任を負うということになっております。これは法律に明定されております。それから、経営管理委員も同様の責任を負うという形で、それぞれの任務に応じまして任務解怠等がありました場合の組合に対する責任を負うという形になってこようかと思います。
  72. 三浦一水

    三浦一水君 それでは、行政庁としては特段に指導はしないということか。もう一点は、細かいことですけれども経営管理委員会、現在は各単協は月に一回程度は役員会、理事会を開かれておりますが、その辺の頻度は具体的に言うとどのような状況になるんだろうか。
  73. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 経営管理委員会制度は、冒頭申し上げましたような趣旨で導入されるものでございますので、基本的にはそれぞれの地域の実情に応じて、現行の理事会制度を導入されるのか、あるいはこの新しい制度を導入されるということにつきましては、基本的にはそれぞれの地域において御判断していただくということだと思います。  ただ、役所といたしましては、やはり今の農協信用事業をめぐります厳しい状況の中で、組合員の皆様、それから国民の皆様から信頼を得た信用事業を展開していただくということのためには、この新しい制度はそういう意味での経営改善にも役立つという認識を持っておりますので、系統の皆さん方への啓蒙普及、実態に合った導入方ということにつきましては必要に応じて指導をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、現行の理事会制度等につきましては、それぞれの農協によって違うと思うんですけれども、例えばおっしゃいましたように月に一回程度の理事会が開かれているという場合もあろうと思います。これは結局、経営管理委員会制度導入する農協におきまして経営管理委員会をどの程度の頻度で行っていくのか、あるいはそのもとにおける具体的な日常業務を執行するための理事会はどの程度の頻度でなけりゃならないのか、これはそれぞれの組合の中でその意思の疎通あるいは日常業務の達成、その両面から見て御判断になっていく事柄ではないかと思っております。
  74. 三浦一水

    三浦一水君 次に、自己資本の拡充と内部留保の問題についてお尋ねします。  最低出資金の額の考え方をまずひとつお尋ねしたいと思いますし、それから出資金の額が一千万でよいと言われております農協、それに対する要件はどういうものか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  75. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 今回、最低出資金制度を設けました趣旨は、金融の自由化が非常に進展する中で農協信用事業をめぐりますリスクが非常に増大をしている、そういう中でやはり自己資本をきちんと厚みをつけて一人前としての農協としてやっていただく必要があるのではないかという御指摘が各方面から大変強うございました。そういう意味から、今回最低出資金制度導入することにしたところでございます。  この場合の、今おっしゃいました最低出資金を定めるに際しての下限となる法定額につきましては政令で定めるということになっておりますが、この制度は他の信用金庫、労金等についても導入されておりますので、その状況を見ながらバランスをとりながら今後検討したいと思っております。今のところ申し上げますというと、私どもとしましては、合併構想実現農協の平均貯金量は大体八百五十億ぐらいになってくると思います。今申し上げました信用金庫、労働金庫につきまして最低出資金が導入されました昭和五十六年当時、やはり八百億円程度の出資金がございました。そういうことを考えて、最低出資金がその当時一億円で導入されましたので、大体横並びを考えますと原則として一億円ということでいいのではないかというふうに思っております。  ただし、今御指摘のように、離島でありますとか山間地域農協のように正組合員が少ない、あるいは地理的条件から必ずしも合併することが容易でないという農協も事実ございます。そういう農協につきましては例外的に、信用組合の場合の例が一千万というふうになっておりますので、そういうことを考えながら対応してはどうかというふうに思っております。
  76. 三浦一水

    三浦一水君 次に、剰余金の問題をお尋ねします。  剰余金の処分方法の基準というものを行政庁が決めていかれるということになっているわけですが、それはどのようなものを想定されているかという点。それから、JAにも規模におきまして相当格差があるようでございます。自己資本比率の著しく低い組合に対して、これは例外規定も含めてどのように対応されていくのか、その二点をお尋ねします。
  77. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 剰余金の問題につきましては、現在は組合の性格から見まして剰余金を利用高配当という形で御案内のとおり組合員に精算的に還元をするという形になっております。実際の剰余金処分に当たりましても、やはり利用高配当ということを重視してきましたために、自己資本なり内部留保が他の金融機関に比べて薄いという大変強い御指摘があったところでございます。  したがいまして、これからはやはり厳しい金融情勢の中で農協としても生き残っていくためには、自己資本内部留保を厚くしていくということによりまして、金融機関として一人前だという信頼関係を国民あるいは組合の皆さん方にぜひ知っていただくということが重要ではないかということで、今回剰余金処分の方法につきまして一定の基準を設けるという形にしております。  この点につきましては、ほかの金融業態にも例がございまして、例えば配当性向の上限を設定したり、それから利用配当の自粛をしたり、それから出資配当の上限を設定するといったさまざまな他の金融業態で行われている例示がございます。したがいまして、私どももこれらを参考としながら、自己資本比率の状況にかんがみまして、自己資本比率が低いというところにつきましては、できるだけ内部留保を厚くするような対応をしてほしいと、そういうような形での基準を設定していきたいと考えております。  それから、農協によりましては自己資本がかなり低いところもございます。そういう意味では、今後増資等をそれぞれの中で御議論いただきまして、組合員方々からの増資、あるいは今申し上げましたような利益が生じました場合の利用高配当を抑えて内部留保を厚くするという形の運用を当面努めていただく。そういう形でほかの金融業態並みに自己資本等が厚くなれば、組合の本来のものに戻りまして利用高配当をやっていただくと、こういうことで当面対応をしていったらいかがかというふうに考えております。
  78. 三浦一水

    三浦一水君 今お話にもありましたように、農協というものにおきまして、利用分量配当あるいは出資配当というものは非常に特徴的なものである、出資配当は一般的ではありますけれども。これらを内部留保を高めるために非常に抑制することになりはしないか。これらのことが農協指導力の低下につながるならば今後の運営が非常に懸念されるところでありますが、その点どのようなお考えなんでしょうか。
  79. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 御指摘の点は、この利用高配当と内部留保の関係をどういうふうに考えるかということであろうと思います。  それは、やはり農協信用事業をやります金融機関として、私のところは非常に内部留保が薄いんです、利益が上がったらすべて農家に還元しますものですからということだけでは、これから厳しい金融情勢、大きな変動が見込まれるわけでございますが、そういう中では非常に組合員方々からも農協は大丈夫かといった面での不安が生じてくる。そういう意味で、自己資本内部留保の問題は、やはり金融機関として活動するためには早く最低限度のものとして備えていただくということをまず御理解いただかなければならないと思っております。そうでないと、長い目で見ましても組合員の方に対しまして安定的な形での金融サービスを提供することもできなくなるおそれがあるというふうに思っております。  それからもう一つ、差し迫った問題といたしまして、金融健全化法が成立をして、再来年の四月一日から自己資本比率に基づきます早期是正措置という制度が導入されております。したがいまして、非常に客観的明白な基準でもって農協経営に対するさまざまな是正勧告、是正指導という制度がもう導入されることがはっきりしておりますので、そういう意味では待ったなしで農協としては自己資本充実していかなきゃならない状況になっていると思います。この点につきましては、系統方々もその必要性については十分御認識をされていると私ども理解をいたしております。
  80. 三浦一水

    三浦一水君 最後になりますが、員外監事常勤監事を置くということでありますけれども、これを置く組合の規模についてどのように考えられているか、その点を最後にお尋ねしたいと思います。
  81. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) この点につきましても、員外監事常勤監事設置につきましては、他の金融業態におきましても金融健全化法で導入をされております。したがいまして、そこと同じ金融機関として横並びということも考えていきたいと思っておりますが、その横並びということを考えますと、員外監事につきましては、大体他の業態と同じように貯金旦里千億円以上の農協について導入をしていく、それから常勤監事につきましては、これも他の業態と同様に貯金量二千億円以上の農協について対処する方向検討をしていきたいというふうに考えております。
  82. 三浦一水

    三浦一水君 ありがとうございました。
  83. 須藤美也子

    須藤美也子君 午前中に参考人方々からお答えをいただいたわけですけれども、全中の松旭さんが、東北では山形県が一番先進的に農協合併をしている、こういうふうにお褒めの言葉をいただいたような感じになったわけですけれども、その山形で何が起きているか。この山形で、もう農協は自分たちの存在からずっと遠い存在になってしまった、農協利用が非常に弱くなった。合併してよかった、こういう話は私の耳には入ってきません。  ですから、そういう点で、農協合併して規模を大きくしても、その中心が本当に組合員中心にした農協事業になっていないのではないか、あるいは地域農業振興のための農協になっていないのではないか、こういうふうに大変心配をしているわけであります。  しかも、近くにある小規模農協、五百人ぐらいの農協、こういう地域こ根づいている小さい農協の方が非常に活力がある、事業地域農業振興でも努力をして成果を上げている。これは衆議院でも数字が出ておりましたね。これでおわかりのように、例えば組合員一人当たりの販売取扱高を見ますと、組合員一万人以上の農協は五百戸未満の農協の約四分の一でしかない。  こういう点で、農協合併についてはこの点を体どのようにお考えになっていらっしゃるのか、またこういう小さいながらも組合員と力を合わせて努力をしている農協をどう評価しているのか、この点についてまず大臣からお聞きしたいと思います。
  84. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 農協組合員中心であり、また地域農業振興のためにある、これはまさに私もそのような認識をいたしております。  次に、農協合併の問題についていろいろ御意見がございました。須藤先生も御承知のように、農協合併組合員の自主的な選択を基本といたしておるわけでございまして、戦後、三十六年に一万二千の単協が現在におきましては二千二百の組合合併をいたしております。したがいまして、この合併組合員の自主的な選択を基本にしておるわけで、ただ、今言われましたような合併によりまして農協がきめ細かい対応ができなくなるのではないかという点については、十分にそういうことがないように私どもも気をつけていかなければならない、そういう問題であろうかと思っております。
  85. 須藤美也子

    須藤美也子君 小さい農協で頑張っている、成果も上げている、こういう農協に対する評価はどうですか。
  86. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 今回、系統の方では、現在の金融情勢非常に厳しい中でございますので単協合併を積極的に進めたいということで、二〇〇〇年までに五百五十にしたいという考え方を持っております。  ただ、これはきょうの参考人質疑のときにもそういう御質疑があったかと思いますが、やみくもに大きいことはいいことだということで単協合併を進めていくという基本姿勢ではございませんで、基本的にはやはりそれぞれの地域におきます実情と組合員方々の意思を反映しながら対応していくものというふうに系統も思っておりますし、私どももそういう考え方を持っております。  その際、今御指摘のように、規模は小さな農協ではございますけれども、かえってそのことによって理事の方と組合員との関係が言ってみれば顔が見える関係でございますので、意思疎通が図られて活発な活動を展開されている農協も私どもも承知をいたしております。そういう農協で、これからもそんな形で展開していけるということであれば、それはそれとして地域の判断でございますので、そういう農協についてもそういう形で活発に展開していただくことは結構なことだと思います。  ただ、大きな流れを見ましたときに、農協金融農協事業だけにとどまりませず、例えば都市銀行の支店でありますとか地方銀行の支店でありますとか信用金庫でありますとか、そんな形で地域によりまして相当に厳しい業態競争を展開している地域も全国を見ますとかなり多うございます。  そういう中で、やはり農協として一定の規模を持つことによりまして管理部門を縮小したり、それから人件費あるいは物件費等を節減することによりましてコストダウンを図る、スリム化するということによりまして農家方々の御負担を少なくして逆にその分だけ活発に農家に対しますサービスを提供していく、こういう必要性が生じている地域もかなりあると思います。  そういう意味では、それぞれの地域の実態に合いながらも、今申し上げましたような基本的考え方で農協合併問題は考えなきゃならない問題というふうに理解をいたしております。
  87. 須藤美也子

    須藤美也子君 ぜひ、大型合併を上から押しつけるということでなくて下から、組合員の要求で、組合員の意思で、そういう立場合併するなら合併する、合意のもとで進めていくべきだと思うんです。それを上から計画だからということで何年度までに合併せよ、こういう形できますと、私も東北各地を回りまして、私らは反対なんだという声が多く私の耳に入っております。ですから、そういうことも配慮していただいて、そういう立場で自主性を尊重するということだと思うので、その辺をぜひ注意しながら指導をしていただきたいと思うんです。  きのりの私の本会議での質問に大臣は、合併に当たっては結びつきを弱めない、配慮すべきと答弁なさいました。ですから、最も身近な支所を統廃合したり、今までですと身近にすぐ目の前に農協があるから農作業衣のまま農協に走っていけるわけです。そして、いろいろなことを顔を見ながらお話しすることができるし営農指導も受けることができる。ところが、町のど真ん中に大きな建物ができる、そうすると一々農作業していたものを着がえをして二十キロも三十キロも離れた本所に行ってやらなければならない。こういうのではもう自分たちの農協ではないと。しかも今、新食糧法のもとで業界からの攻勢が激しくなっています。  こういう中でこそ、本当に組合員がおれらの農協なんだ、自分たちを救ってくれる、あるいは営農にプラスになるような、そういう指導をしてくれるのが農協なんだという信頼関係が持てるような農協をぜひつくっていかなければならないのではないかというふうに思いますが、もし行政側としてその配慮について具体的な案があれば教えていただきたいと思います。
  88. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) これはもう農協合併ということにつきましては、広域合併におきましても農協組合員との結びつきということがそのことによって希薄化していくということがないように、またしかし現実はそういった指摘が各方面からされているということも事実でございますので、そういったことを踏まえながら今後十分留意して対応していかなきゃならないと私どもも思っております。  具体的には、例えばこれは各農協合併を見ますというと、大きくなったから組合員との意思の疎通がなくなったとか、サービスが低下したということだけではございませんで、例えば支所というのがそれぞれの地域、集落に密着した形で展開しているわけでございますけれども、そういった支所機能充実するということによりまして農家組合員との接触を多くしてそのニーズを取り上げていくということでやっておられる農協もございます。  それからもう一点は、組合員組織の育成強化ということで、青年部や婦人部ということももちろんでございますけれども、例えば作目別の生産部会というものを農協がそれぞれの地域につくることによりまして、そういう中で農協の具体的活動と農家組合員の具体的な営農活動とをリンクしていく、そんな形で対応されている農協もかなりございます。  さらに、普及センターとの結びつきとか、そういうことを私どもとしましても今御指摘の点を踏まえまして組合員ニーズをできるだけくみ上げて、組合員との接触を保った形で農協としての営農活動あるいは生活サービスができるよう十分系統に対しても指導もし対応もしていきたいというふうに考えております。
  89. 須藤美也子

    須藤美也子君 今おっしゃったことを具体的に実践していただきたいということをまず申し上げまして、次に移ります。  先ほど来お話がありました経営管理委員会導入についてであります。  この経営管理委員会導入に対して、ごらんになったかもしれませんが、日本経済新聞が十二月十四日にこういう記事を載せています。「全国の農協理事からは「農協を実務家に乗っ取られてしまう」と設置反対の声が上がる。」、こういうふうな記事が載っております。  それから、フランスとかドイツにこういう例があるというようなことをおっしゃいましたけれども、ヨーロッパはもう既にオランダ、イギリス、フランスの協同組合は、六〇年代から七〇年代にかけて構造改革と呼ばれる広域合併組織再編が進められたわけですね。協同組合の規模は拡大したけれども、外部からプロの経営者を雇い入れ、事業運営協同組合らしさを失わさせてしまったと。それが経営破綻を来した最大の原因だと言われております。  そういう点で私は、専門の実務家、学識経験者、あるいは金融機関、そういうところから来たプロの方々農業協同組合の原点もわからないままに理事になっても、私は協同組合発展するというふうには考えられないんです。  というのは、そういう人たちが企業の経営者として、例えば金融機関やほかの経営機関なんかでも、そういう人たちがいて住専問題とか破綻が起きているわけでしょう。ですから、そういうプロが入ったからといって農協経営効率化され合理化される、こういうふうには考えられないんですね。  私は、やっぱり協同組合協同組合の原点に立ち返って組合員で構成すべきだというふうに考えているものですから、その点についてどう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  90. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) ただいまの御指摘は、例えば現行の農協理事会制度でございますれば、三分の二以上の方が組織代表、要するに農家の代表であるという形になっております。したがいまして、今御指摘のような形で、考え方でこれからも今までの理事会制度を採用していかれる農協もあると思います。それはそれで、それぞれの地域の御判断でございますので、先ほども御指摘がありましたように、これを強制したりするという性格のものではないというふうに思っております。  ただ、今回導入いたします経営管理委員会制度も、これはすべて組織代表の方をもって構成するということがまず一つございます。それからその仕事も、農協業務執行に関する重要事項、要するに業務基本方針、重要な財産の処分という一番重たい仕事をそこでやっていただく。そういうところは農協組合員農家の意思がそのまま反映された形、要するにすべて組織代表でございますから、その方々の意思が反映された形での業務執行がなされるということでございます。  日常的な業務をやっていただく理事につきましても、その組織代表から成ります経営管理委員会がすべて理事を任命される、こういうことでございますので、今御指摘のような農協の持っております協同組織性、この考え方は私は貫かれているというふうに思います。  他方で、どうしても日常的な業務が非常に高度化、専門化されておりますので、そういったニーズにもやはりこたえていかなきゃいけないという形の中でのことでございまして、これはあくまでも農協協同組織性の基本をきちっと据えた形で対応をしていると私どもは考えております。  住専の例もお出しになりましたけれども、住専の場合におきましても、プロの方が行ってもあれだけのことが起こったわけでございますが、これはどう見るかということでございまして、プロが入ったから間違いがないということを私ども申し上げているわけではございません。プロが入ってもなおあれだけのことがあったというふうに理解するのか、あるいはそういうことを考えなくても、少なくとも農協についてもプロの方がやっぱり一生懸命専念してやっていただいているんだという信頼関係というのは、国民やあるいは組合員方々がかなり要望をされているところではないか。そういった考え方でこれを導入し、しかもそれはそれぞれの地域の判断という形で選択制というふうにしているということでございますので、特段の御理解を賜りたいと思っております。
  91. 須藤美也子

    須藤美也子君 時間が来ましたのでもうやめますけれども、非常に重大な問題だと思うんです。  これは経営組織が非常に離れやすくなってしまう。経営組織が離れてしまったら協同組合は成り立たなくなるわけですから、今おっしゃった方向、私は十分厳しく注目しながら今後を見ていきたい、このことを申し上げて質問を終わります。
  92. 国井正幸

    国井正幸君 国井正幸でございます。  今も話題になっておりました経営管理委員会制度導入等に関して、それと農林中央金庫の現在のあり方、これについてちょっと大臣の考え方をお聞きしたいと思います。  私、きのうの本会議での質問の中で、今度の農協法の改正の一つのポイントは、非常に農協も大型合併化をしてきて事業分量も相当ふえてきた。そういう中で、これは数字を読むだけだって大変ですよ。私も農協組織の中におりましたが、これは貸借対照表から損益計算書からきちっと読んでいくという方は、なかなか大変なことだというふうに僕は思うんです。そういう意味で、きちっと経営に当たるという面からすると、やっぱり経営に精通した者を、業務に精通をした者を充てていく、これは必要なことだと僕は思うんです。  だから、そういう意味で私は今度の改正農協法の考え方、これは非常にいいことだと思っているんです。しかしその一方で、農協というのは協同組合ですから、組合員なり会員の意思をいかに事業に反映させるかという、このことも非常に大切なんですね。その英知を絞ったのが、私はこの経営管理委員会制度だというふうにとらえているんです。  だから、そういう視点から私はきのうも大臣に質問をしたんですよ。まあさらにもうちょっと言えば、農林中央金庫にも管理委員会というのがあります。しかし、これをよくよく調べてみると、いわゆる農林中金理事長以下、役員を推薦するときに、その管理委員会が推薦した者が総代会というか、総会で選ばれるということになっているだけなんです。あとは何することも、規定もないんです、この農林中金の中では。一方で、審議委員というのを十名以内置くということになっていて、現在九人いるんです。理事長がこの人たちに重要な事項について諮問をするんです。今農林中金がそういう仕組みになっているんですよ。  今度の信連というのは、これは農協法に基づく法人ですから、信用農業協同組合連合会ね、これを農林中央金庫と一緒にさせるということからして、やっぱり私はこの改正農協法の趣旨を生かして、農林中央金庫の今のあり方だけではまずいんじゃないですかと、こういうふうなことを大臣に質問したんです。そうしたら大臣の答えは、これはもう既に制度上も実態上も会員の意思を十分反映しながらやっていると、こういうお答えなんです。大臣、私はこれは農水省においても大きな研究課題だと思っているんです。ぜひそういうふうにしてもらいたいと思っているんです。私は、研究しますとか検討しますとか、何かそのくらいの答弁をもらってしかるべきだと思うんですが、もう完璧だみたいな話じゃ、私は再質問できなかったのが本当残念なんです。大臣、どのように思っていますか。
  93. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 大臣のお答えの前に私の方から趣旨につきまして御説明させていただきます。  これはもう先生御案内のとおりでございますけれども、今おっしゃいましたように、まさに協同組織性を踏まえながら日常のマネジメントは理事会でやっていただく、こういう意味での経営管理委員会制度導入したわけでございます。この点と、農林中金との関係というふうなことを考えてみますというと、農林中金につきましては、まずその職務として日常のマネジメントはどうなっているかというと、結局、従来から役員につきまして兼職・兼業を制限いたしておりますので、そういう意味では常勤を基本とした日常のマネジメント体制がもう既にできている、これはこのとおりだろうというふうに思います。  他方で、会員意思の反映ということにつきましては、今、審議委員制度と管理委員会制度についての御指摘がございましたけれども、少なくとも例えば審議委員につきましても理事長の諮問に応じまして業務運営に関します重要事項については御審議をいただいて、その審議の答申等も反映させながら具体的な中金の業務に当たっているということは大変大きなことだと、重要なことだと私ども理解をいたしております。  それから、審議委員につきましても、これは役員を推薦するだけという御指摘もございますけれども、役員の推薦自体が大変重要なことでございまして、そういう意味での組織の意思はそれなりに私は反映されているというふうに思っておりますが、今後ともできるだけ今御指摘のようなことも頭に置きながら、所属団体のニーズ、それから所属団体の意思ができるだけ農林中金の具体的な業務に反映されますよう、私どもとしてのそういう意味での適切な運営ということを心がけるよう中金を十分指導してまいりたいと考えております。
  94. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、御答弁申し上げましたとおりでございますが、私からも総代会のほか、審議委員、管理委員会制度が設置されているものと認識をいたしております。  さらに、御指摘の組合員の意思を反映するということにつきましては、私もそのとおり、これから適切な運営がなされるように指導してまいりたい、かように考えております。
  95. 国井正幸

    国井正幸君 今度の農中の改正の中で、非居住者に対する融資もできるようになるわけです。つまり、外国の企業なり外国人に対しても融資ができるというふうなことにもなるわけですね。そういう意味からしますと、やっぱり国際金融問題とかそういう部分で十分に知識を持った人が経営に当たっていただかなくちゃならない、これはそうだと思うんですよ。ましてや、一般の農協よりも農林中央金庫ということになると、これだけの資金量が集まっていて我が国を代表する金融機関なんですから、これは大変な問題ですよ。  だから、そういう意味で兼職禁止なんという、そんなことを私は言っているわけじゃなくて、これは当たり前の話で、それでやってもらえばいいと思うんです。だから、そういうきちっと経営に精通した人が理事になってやることが悪いということを言っているんじゃないんですよ。そのことはいいんですよ。しかし、一方でやっぱり会員の意思というものを反映させなくちゃならないわけですから、そこの兼ね合いというものが大切なんだと。  そして、むしろ審議委員の方にいろんなことを、重要な事項をいろいろ列記されています、これは定款にも。そういうことは率直な話、なかなか組織代表の方でもわかりにくい部分があると思うんです。世の中これだけ有識者もいっぱいいるわけですから、そういう金融に通じた方々等をむしろ審議委員にして、理事会なり何なりの諮問機関として、どうなんだろうというアドバイスをいただくような形にして、会員の意思を反映させるという部分では、理事の推薦をすることも大変重要なことです。  しかし、推薦をする限りは、罷免することを要求することができるぐらいのことを裏腹の関係でつくるべきですよ。私はそう思うんです。推薦しっ放しで、何か事が起きても、再任はさせないということはできるかもしらぬけれども、途中何もできない。これはやっぱり推薦をする限りは裏腹に罷免をするという権限ぐらい持つようにすべきではないのか。極めて僕は常識的な話を言っているんです。  これ農林水産省においてもぜひ今後の研究課題にして、何度も言うようですが、農協法に定める法人を一緒にさせるわけですから、この信連という組織を。そしたら、今度の改正農協法のその本当の目玉の趣旨である、いかに経営健全性というものと運営の民主性というか、この運動体と経営体というものをいかに両立させるかというところに英知があるわけですから、これをぜひ農中の方にも反映させるように、私は研究してもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  96. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 例えば審議委員の方につきましても、現在は三分の二以上が所属団体の関係者というふうになっております。そういう意味では、運用におきまして今御指摘のような国際業務に精通した方も、例えば審議委員に入るということは現行でも可能かなという感じはいたします。  それから、理事の解任につきましては、これはやはり現行の管理委員会制度ということを前提にすれば、解任のところまで権限を強めていくということは全体としてどうかなという感じがいたすわけでございますが、確かにいろんな御指摘を私ども受けまして、先ほども大臣から御答弁申し上げましたように、農林中金が単位組合それから県連の最上部の機関でございますので、今御指摘のように組合員方々の意思、それから系統の意思ができるだけ風通しのよい形で農林中金の具体的な日常の運営に反映されますよう十分心して対応してまいりたいと考えます。
  97. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 先ほどから国井先生の御議論を承っておりまして、私も非常に勉強するところがございました。  そこで、組合員の意思を反映するその内容につきまして、私も十分勉強してみたい、かように考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  98. 国井正幸

    国井正幸君 ぜひ大臣、そういう意味で今後とも研究課題にしてやっていただきたいと思うんです。  なぜ私がこの問題についてこんなに申し上げているかと言いますと、私は栃木でございますけれども信連と農中との合併の中でいわゆる事業譲渡という考え方が出ているんです。その事業譲渡の中で不採算部門があるんですよ、これ。やっぱり組合員サービスをしていかないと、ほかの金融機関競争ができないと、こういうふうなことで、例えばキャッシュカードの問題だとか為替の問題とかいろいろあるわけです。そうすると、サービスの部分というのは必ずしも収益を生まない部分なんです。不採算部門なんです、言うなら。しかし、それは対抗上やっていかざるを得ないんです。  そういう部分を選択して、この部分はもらうけれどもこの部分は置いておくよと、皆さん方やったらいかがでしようと、こういう形になってくるとどうなるかといいますと、今度は各県の中で今の中央会みたいな形になって、金を各単協が出してきてそれらを何とか運営しなくちゃならないなんということなんかも想像されて、現場では相当騒いでいる部分もあるんです、率直なところ。  したがって、私はそういう意味でぜひ会員の意思というものが農林中央金庫の中に十分反映されて、うまいものだけつまみ食いをするというのじゃなくて、やっぱりトータルとして抱え込む場合は抱え込むということをやらないといけないというふうに思うんです。これは農水省にお願いする部分というのは出てくるというふうに思うんですが、今回のやっぱり法改正のこの議論の中である程度しておかないと、法律を通してしまうと後はもう農林中金信連との話だと、御随意に皆さん方でやってくださいということになると、その辺の問題が起きるんじゃないかということで現場で相当騒いでいるんで、その問題をあえて私は申し上げておきます。  そういう意味で、今後農林中央金庫組織のあり方というものも研究していただきながら、この合併に当たっての農林水産省の指導として、ぜひ会員の意思がそれなりに農中に反映されるように特段の御指導というものをお願いして、御見解があれば承って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  99. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今の御意見に対しまして重ねて私から、このようなことについて十分に勉強して対応いたしたいと考えておりますので、申し上げます。
  100. 阿曽田清

    阿曽田清君 平成会の阿曽田でございます。まずもっておくれましたことをおわび申し上げたいと存じます。  今までそれぞれの委員から御質問があったかと思います。重複するかもしれませんが、御了承いただきたいと思います。  今回の農協二法の改正は、住専問題に端を発して、金融系統のあり方というような問題とあわせて系統再編というような問題が二段階性を踏まえてあっておったわけでございます。そういう意味からして、今回の提案について私も大筋理解と納得のいくところでありますが、部分的に気がかりなところがございますので、その点について御質問をいたしたいと思います。  まず、監査制度についてでありますが、監査制度そのものが現状の監査制度では不十分だ、だからせめて信用組合や信用金庫並みの監査体制をしくべきだということから、今回の改正員外監事常勤監事、さらには中央会監査については公認会計士を伴っての監査というものがつけ加えられたわけであります。私は、今単協において監査なされておるものを挙げてみましても、内部監査、そして監事監査、さらには中央会監査、県の検査と、この四つが行われております。その監査を受ける立場からしますれば、いろんな角度での検査であったにせよ、私は余りにも多過ぎるんじゃないかという感じさえ持っているんです。  いわば中央会監査とそれから県の検査、中央会監査指導監査でございますから、これに強制力を持たせて県の検査と同時にやられたら私はもっと効果が出てくるんじゃなかろうか、それで十分じゃないかという感じを持っておるわけでありますけれども、この点についていかがお考えでございましょうか。
  101. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 先生も今御指摘ございましたように、バブルの発生それから崩壊の過程におきまして、農協のみならず我が国の金融機関をめぐりますリスクが飛躍的に増大をしたにもかかわらず、監査体制が十分ではないのではないかということで、国会での御議論、さまざまな世論という意味での国民の皆さんの御批判が私は非常に強かったという理解をいたしております。  そういうものを受けて、さきの通常国会におきましても監査体制強化ということが必須だということで、他の金融業態におきましては既にそういった意味での、今おっしゃいましたけれども員外監事常勤監事も含めまして監査体制強化が図られたわけでございます。その際に、農協につきましては、例えば県の検査もございます。それから中央会監査もあるわけでございますけれども、しかし農協につきましては殊のほか貸付審査体制、それからさまざまな意味での業務執行体制が不十分だという御批判が大変私は強かったというふうに思っております。  そういう意味で、私ども今後二十一世紀に向けまして、農協信用事業を日本の金融システム一員として果たしていくということによって、国民や農協利用者、要するに組合員方々信頼にこたえていくためには、最低限ほかの金融業態でとられている事柄については入れていくということによりまして、農協も他の金融機関並みの最低の条件を入れたなということについて御安心をいただいて、後はその上で、そういった導入されました監査制度を十分に活用して、決算検査その他におきまして組合員方々農協経営に対します信頼確保していくという、今はそういう時期ではないかと思っております。  そういう意味では、過重になるのではないかという御指摘もございましたけれども、私はそういった他の金融業態等の状況、住専をめぐりますさまざまな農協経営に対する御批判、そういうことを踏まえれば、このぐらいのことはやはり最低限度のものとして備えていかなければならない、そういう考え方から今回御審議をお願いしているところでございます。
  102. 阿曽田清

    阿曽田清君 監査そのものを重ね重ねしていくということは悪いことではないかもしれないけれども、実際それを受ける側の実務サイドは極めて時間がかかるし、手間をとらせられるし、極端に言うならば県の検査そのものについて、ある意味では単協では逆にお教えをしているというような実態さえもある。ですから、業務執行上非常に重荷になっているということも忘れないでいただきたいなと思います。  実際、農協金融、これは他の金融機関と私は違っておると思います。と申しますのは、御存じのとおりに、組合員からそれぞれ出資をいただき、あるいは預金をしていただいて農協は成り立ってきているわけですね。そして、組合員方々に貸し出すというのが基本であります。そしてその中で、異常気象やあるいは経営能力等々の問題で経営がおかしくなって、個々の借入者の中に固定化負債が出てきたとしても、その方がどうやったらさらに農業を続けることができるかということについて、資金面だけでなくて営農指導、技術面、経営面において一つの経営計画を立てさせるわけです。どうしてもいけないという人については、どうやったらこの悪い状態からうまく立ち退いて別の道へ転身するかというところまで農協組合金融はお世話をしているんです。  他の金融機関は問答無用式で、まさに銀行として、悪くなったところはもうあっさり支払い命令をかけて処分していくというのが金融機関のあり方ですけれども組合金融は、そこには心の通った対応で進めておるというのが実態であります。農協はそういう農家方々に相当の今エネルギーを向けて対応をしているということからするならば、私は他の金融機関とおのずから違うんじゃないかなという思いを強く持っておるわけであります。  ただいま申し上げましたように、組合員が出資者でありそして運営者でもある協同組合、フランスの例をとられて経営管理委員会というものを導入されたと聞いておりますが、フランスには監査制度はありません。とするならば、私は協同組合の理念から申し上げて、みずからの組織監査体制で行うことが本来のあり方ではないかなというふうに考えるわけでありますが、再度そこのところの心の通った金融制度という観点から、いかにお考えかお尋ねをいたします。
  103. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 先生、具体的な組合業務運営にも従事されておられるわけでございますので、そういう意味での大変貴重な御指摘というふうに私も受けとめております。  今御指摘のように、農協金融機関としてのあり方というふうに考えてみますというと、他の金融機関と、今御指摘二つ、三つほどの例を出されましたけれども農協金融機関としてのあり方というものは、まさにそういうことに存在意義があるということについては、私もそのとおりと思います。したがいまして、今後ともそういう意味で組合員との心の通った金融行政、金融業務が展開されることが望ましいし、ぜひそれを基本に置いて具体的な日常業務をやっていただきたいというふうに私も思っております。  他方で、世の中の金融情勢から見ますというと、そのことだけを強調して農協は違うんだと、協同組合員だから違うんだということを言えば言うほど、農協金融機関としての、何といいますか、一人前ではないんじゃないかという意味での不安感、信頼感の低下ということをこれまた来していることも事実だと思います。  そういう意味で、協同組織制の基本は維持しながら、業務執行体制でありますとか、それから自己資本の厚みでありますとか、そういうことと並びで監査体制についても最低限度のものは備えていくということをやっていかなければならないのではないかと思っております。  御案内のように、私ども今非常に大きな問題として、農協の貸出金がこの三月から連続して毎月下がっております。これもさまざまな要因がございますので一概には言えませんけれども農協組合員方々が貯金をおろされるという場合もあるとすれば、やはり農協信用事業に対する不安感もある。そういう意味では監査体制のみならず業務執行体制その他、今回法案でお願いしておりますさまざまな制度改正をやることによりまして、農協も日本の金融システム一員として汗をかいてやっているんだなという意味での信頼関係を早急につくっていくことが私は重要だと思っておりまして、監査体制もそういうものの一環としてぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  104. 阿曽田清

    阿曽田清君 後ほどそれも絡みまして、関連のところでまた質問いたしたいと思いますけれども、続きまして、経営管理委員会のことについてお尋ねしたいと思います。  午前中の参考人への常田議員の質問でも不明確な答えしか得られなかったというようなことであります。理事会の上に経営管理委員会があるということに今回なるわけでありますが、理事責任経営管理委員責任は、そして運営権限はどうなっておりますか、明らかになっていないわけでありますので、まず教えていただきたいと思います。
  105. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) この経営管理委員会制度につきましては、経営管理委員会のもとに理事会を置くということになっておりまして、この経営管理委員会はすべて組合員農家の方をもって構成するということでございます。  具体的な権限につきましては、業務執行に関する重要事項、さらに具体的に申し上げますと、業務基本方針それから重要な財産の処分といった組合にとりまして一番基本になる事柄はこの経営管理委員会で決めていただく、権限として決めていただく。それともう一つの権限といたしましては、日常の業務に当たります理事を任命していただく、大変重たい責任がございます。  理事会の方は、これを受けまして、経営管理委員会の決めました方針に沿って日常の業務をしていただくという形になるわけでございまして、そういう意味では経営管理委員会農家方々の意思を反映した業務執行機関ということでございますし、その組合員の意思を反映した業務執行機関のもとに日常の業務理事会が業務執行機関としてやっていただくという上下の関係に立っているということでございます。  したがいまして、両者の責任関係について申し上げますと、経営管理委員につきましても、当然ながら法令、定款、総会決議を遵守していただく義務がございます。それから理事につきましても、当然ながら法令、定款、総会決議を遵守していただく義務がございますが、それに加えまして、上部機関でございます経営管理委員会の決議を遵守していただく義務があるという新たな義務が付与されております。したがいまして、理事がその職務を怠りましたときには、今申し上げましたような形でのそれぞれ損害賠償責任を負っていくという形になるわけでございます。  経営管理委員会理事会ともそれぞれ明確な権限と責任関係を今回の法律の中に手当てをして対応しているところでございまして、その趣旨に沿いました運営が行われますよう私どもとしては啓蒙普及、指導に努めたいというふうに考えております。
  106. 阿曽田清

    阿曽田清君 権限、運営の中身はわかったんですが、責任のところがなかなか理解に苦しむところでございます。  うまくいっておるときはそう問題ないんですが、うまくいかなくなった、問題が生じた、そういったときに責任分野が明確に分かれていないと、私はお互い責任のなすり合いになってしまうということが十分考えられるんじゃないかなと思うんです。  古い話を持ち出して大変恐縮でありますが、十数年前に鹿児島市農協で不祥事が起きましたのを御承知だと思います。いわゆる都銀の支店長経験者が専務理事に御就任になって、そして不動産事業に手を出されてああいう事態になった。まさに私はそういうことになったときに、経営委員会責任、そして理事会の責任というのを具体的に明らかに基準を示しておかないとトラブルを起こしてしまうことになるんじゃないかなというのが一つであります。  それから、理事の方を管理委員会選任するということでありますが、先ほどの国井先生のお話にも関連するんですが、解任については総会に請求できるということになっておりますね。ですから、私は、そういう責任問題についての明確な位置づけをきちんとしておかないと、変にトラブったときは双方からお互い責任回避の話が出てくる心配があるわけでございます。いわゆる鹿児島の事例でもありますように、そういう経験者を持ってきていてさえも不祥事を起こすというわけでありますから、よほどそこのところを、専門家の方々を置いて執行されていって、経営管理委員会は非常勤ですから、往々にして知らなかったというような事態というのが十分考えられます。  ですから、もう前もってきちんと責任の分担を明らかにしておくことが必要ではないかというふうに思いますので、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  107. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 経営管理委員会とそれからそのもとに置きます理事会との関係につきましては、先ほど申し上げましたような形で権限と責任がきちんと条文上使い分けをされた形でなされております。  したがいまして、あとは具体的に非常に複雑な事例がいろいろ起こると思いますけれども、具体的な事例でその法律に照らしてどちらがどういう責任があるのか、一方だけなのかあるいは共通にあるのか、今鹿児島市農協のお話もございましたけれども、具体的な事例に即して、この新しい改正法の趣旨に従って解釈をしていくことになるというふうに思います。基本的には理事会もそれから経営管理委員会も執行機関でございますので、先ほど申し上げましたそれぞれの任務を怠りましたときには当然損害賠償等の責任を負うということになろうと思います。  それは今申し上げましたように、それぞれ具体的なケースに応じてその権限と責任との関係において判断していくしかないわけでございますけれども、例えばこれは非常に単純化して申し上げますれば、理事会が経営管理委員会の決定に従って業務執行を行って損害が発生したというような場合につきましては、これはその決定に従わざるを得なかった理事というよりは、むしろそういう決定に参画した経営管理委員会の方が責任を負うということに一般的にはなろうかと思います。  逆にまた、管理委員会の決定した業務基本方針は正しいんですけれども、その方針の中で具体的にだれとどの段階でどういう契約をした、そこの部分において間違ったことがあった、業務解怠があったというような場合につきましては、これはやはりその場合の責任理事が負っていくという形になろうと思います。  これは一般論で申し上げたわけでございますが、いずれにしましても、改正法のそれぞれの与えられております権限と責任に応じて、具体的なケースに応じて適切に対応してまいりたいと考えております。
  108. 阿曽田清

    阿曽田清君 今、堤局長からお話がありましたような具体的な規定といいますか、違反した場合の基準と規定、そういうもの等をやっぱりある程度明確に知らしめてやっていかないと、末端ではなかなかわかりにくい、区別しにくいというような感じを持っておりますので、マニュアルをちゃんとつくっていただければなというふうに思います。  それにいたしましても、先ほど監査制度あるいは経営管理委員会に専門の、いわゆる関係ない方を常勤監事とかあるいは組合長に据えることができるというようなことになっている今回の改正でありますが、我々はいわばこの協同組合、一人は万人のために、万人は一人のためにというロッチデール組合のその思想といいますか、それを受け継いでずっと今日まで相互扶助の精神のもとでやってきた。今回の改正の中にも商法の適用部分も員外監事の面で出ておるわけでありますが、三年前も商法を準用するというようなことで改正がされました。農協が非営利団体としての機能から営利団体へ志向するようなことにだんだん動いていっているような感じがしてならないわけであります。  やはり一人は万人のためにから始まる協同組合原則というものを遵守した運営というものが基本にならなきゃならない、またそれを今後この資本主義社会の中においても存在させていかなきゃならない、そういうふうに思うわけであります。非営利団体であり、相互扶助の精神である組合思想、農協思想を生かした本来のあるべき姿というものをどのようにお考えなのかお尋ねいたしたいと思います。
  109. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 今回の法改正を考えるに当たりまして、今御指摘のように、農協の持っております協同組合性、言いかえれば非営利性ということと、それから、非常に金融機関としてほかの業態並みに信用度を高めなければならない、そうでなければ、経営にもしものことがあれば一番迷惑を受けますのはそれを利用されておられる組合員方々である、あるいは国民の方々である、そういう両方の要件をどういうふうに兼ね合わせていったらいいのかということが大変難しい問題であったわけでございますが、今回の法改正におきましては、今先生御指摘のように、農協組合員に最大の奉仕をするということが農協法八条で明確になっております。  したがいまして、組合員方々から利益を獲得することを目的とするものではないという理解を私どもはしているわけでございますが、その点についての農協協同組合性という性格は今回はいじっておりません。そういう意味では、原則をきちんとまず据えたいというふうに考えたわけでございます。  この点についてもいろいろな方々から御意見がございます。農協も相当変わってきているのではないか、あるいは担い生育成という観点から従来の画一的な平等主義だけでいいのかとか、そういったさまざまな御批判はございますが、今回御審議を賜ります過程におきましては、農協のそういった最大の奉仕者としての非営利性、協同組織性という原点は押さえた上で、先ほどから申し上げておりますような農協信用事業をめぐりますリスクが非常に増大をしているという状況の中で、それを無防備のままで置いておくということは組合員や国民の方々に大変御迷惑をかけてくる、そういう客観情勢が増大しているという面からも目をそらすことはできない。  とすれば、やはり業務執行体制、それから先ほど御指摘ございました監査体制、それから住専のときもさまざまな御批判がございましたけれども内部留保が非常に薄いのではないか、そういった意味での御指摘、そういったことを私どもとしては真摯に受けとめさせていただいて、先ほど申し上げておりますような協同組織性の原則を維持しつつ、現在信用事業として、金融機関としていや応なしに求められている信用回避のためのさまざまな手段、これをやはり導入していくということで対応させていただいたということでございます。
  110. 阿曽田清

    阿曽田清君 せんだっての住専の影響が単協にまで及んで貯金の減少等が出てきておるわけであります。実際、住専に貸し出したところは単協どこもないわけでありまして、何か単協まで非常にその債権保全していなかったじゃないかというような不安を受けているという感じも局長の中にちらっと、信連の問題も全部農協にかかわりあるようなニュアンスも聞き取れないでもなかったわけでありますが、そういうふうに農協をもうちょっときちんとしていくために自己資本充実内部留保というものの充実を図っていくということで御提案されていること、これは大変私もすばらしいことだというふうに思っております。今まで十分の一、しかも出資総額の半分までは法定準備金十分の一で積み立ててきておったわけでありますが、今回、出資総額まで五分の一を準備金として積み立てなければならないというふうに改正されております。大変私はこれはすばらしいことだと思います。  そこで、もう一歩突っ込んで出資総額まで、農協の利益の上がったときに法定準備金として、出資総額をもう既に超えている農協ならば私は五分の一というようなことで法定準備金の枠内でいいと思いますが、出資総額まで五分の一の法定準備金じゃなくて、できれば可能な限り積み立てができるようなことはできないかという思いであります。極端に言うならば、二〇%までは無税だけれども、それから先の法定準備金積み立てば税金がかかりますよということでありますから、税金がかからない法定準備金の枠をもっとふやすべきではないですか、それはできませんかというお尋ねであります。いいですか、意味はわかっていただけますでしょうか。  と申しますのは、もう御承知のとおりに合併を今盛んに進めておるわけでありますが、合併をした時点で、いわゆる第三分類なり第四分類を整理して合併に持ち込みますから、内部留保金をそれに充当することによって合併に入りますと、当然のことながらいわゆる内部留保金が非常に少なくなるというのが合併した時点での農協の実情であります。  かてて加えて、総合農協信用事業だけやっているわけじゃありません。販売、購買、特に生産農協においては生産施設や流通施設というものに多大な投資を行っております。それが投資をし過ぎて、逆に言うと組合員サービスが行き届いて固定比率が非常に少ないという指摘を絶えず中央会監査から受けておるのが実態であります。内部留保を高めていくことによって固定比率を一〇〇%まで持ってくることができるというわけでありますので、出資金をさらに募るということはなかなか容易じゃありません。  そういう意味で、合併時点での単協が基盤をきちんとつくっていく上におきましても、あるいは組合員サービスを行う上においても生産、流通施設整備等にどうしてもいわゆる内部留保金が多く要るわけであります。それを一年でも二年でも早く意図されておる出資総額まで法定準備金で補っていただくという特段の配慮はできないものか、無税対象にできないものだろうかという質問であります。  熊本県で、今固定比率はどれくらいかといいますと、六八・二五%です。これは県平均でありますから、一〇〇まで持っていくのに相当まだ足らないわけであります。中央会監査で出資金をふやして固定比率を健全にしなさい、こういうような指摘をたびたび受けるわけでありますが、先ほど申し上げましたように出資金を募っての充実はなかなか難しい。  ならばせめて利益の上がった年に、法定準備金として無税の対象の幅を広げて資本の充実を図っていくことは、私は農林省の政策として、農協地域で確固たる奉仕ができる、そうするためには足腰を強くしておかなきゃならない、そういう御配慮はできないものだろうかということでの、局長並びに大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  111. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 大変御専門の分野でございますので、私の方がちょっと質問を履き違えているかもしれませんが、農業協同組合の留保所得の特別控除のことを御指摘になっているのではないかというふうに思います。  現在これにつきましては、農協につきまして所得の全部あるいは一部を留保する、これは今御指摘のように法定準備金あるいは特別積立金という形で積むわけでございますが、そうした場合には出資総額の四分の一に達するまでは損金に算入するという形の対応がされておるところでございます。この点について、出資総額の四分の一ということでなしに、今回法定準備金が全体の出資総額までということになったこととの見合いで、例えば出資総額までという形で損金算入、要するに特別控除制度の拡充が図れないかという御指摘であろうかと思います。  私どもは、今回は金融機関としてほかの業態最低出資金制度というものがとられておるということやなんかいろんなことを考えまして、信用金庫と同様の形で法定準備金の積み立て基準を引き上げていくという考え方をとって御審議を賜っているわけでございますが、今御指摘の農協の留保所得の特別控除制度につきましては、内部留保促進を目的として設けられているという趣旨は私ども理解をいたしておりますが、過度の優遇措置になってはならないということで、他の協同組合と同様に出資総額の四分の一という形になっているというふうに理解をいたしております。  この点につきましては御指摘のような御意見もあろうかと思うんですが、現状を申し上げますと、税務当局は九年度の税制改正の中で、こういった言ってみれば優遇措置については廃止を含めて厳しい見直しを実は求めてきておりまして、そういう意味では私どもとしては、そこでこの制度の必要性等についていろいろとるる説明に努めているという段階でございまして、これをさらに出資総額まで引き上げるというような状況には客観的に残念ながらないということを言わざるを得ないと思います。  いずれにしましても、私どもとしましては、法定準備金引き上げその他、今回御審議いただいております出資金等内部留保充実、さまざまな手だてを講じておりますので、他の金融機関との関係も見ながら、そういった面である意味では公明正大な形での内部留保充実系統努力していただくよう私ども指導を強くしていきたいというふうに考えております。
  112. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、局長が答弁申し上げましたのと同じ考えでございます。
  113. 阿曽田清

    阿曽田清君 堤経済局長はよくわかっていらっしゃって、環境が許さないというような感じでありましたが、今急速にそれぞれ単協は合併をし、あるいは連合会もそういう合併をしていくというような中ですから、合併後の問題もちゃんとやっぱり配慮していくべきじゃないか。それには農協がちゃんと経営的に安定するための特別な税控除の対策を、今まで環境がおかしくなっていくといいますか、環境が厳しくなってきているから農協も今までどおりですよというようなことじゃなくて、もっとやっぱり政策的に、ここは農協を育てるというような観点で特別控除の無税の対象の考え方を改めて出す必要があるんじゃないか。  この法案を契機に、こういう提案は政策的にできないものだろうかということをお尋ねをいたしておるところでございます。局長、どうですか。
  114. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) まことに申しわけございませんが、これは先ほどお答えを申し上げたとおり、こういった特別控除制度については全体の税制改正、来年度の税制改正要望の中でもむしろ縮小、廃止を含めての見直しを求められているわけでございまして、私どもとしてはその点についての拡充を持ち出すということは極めて難しいというふうに思わざるを得ません。  そういう意味で、いずれにしましても、今回お願いしておりますような形で自己資本内部留保充実という形に努めさせていただきたいというふうに考えております。
  115. 阿曽田清

    阿曽田清君 恐らく農業団体あたり、そういうところに温かい御配慮があればという思いが恐らくどこの農協にもあるんじゃないかと思いますので、引き続きひとつ御検討いただきたいというふうに思います。  次に、資金運用規制の緩和といいますか、これにつきまして質問したいと思います。  員外貸し付けの上限を百分の十五から百分の二十まで枠を広げられたわけでありますが、その根拠はどこにあるのかお尋ねをいたします。
  116. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 農協につきましては、御案内のように貯貸率が他の金融業態に比べまして非常に低うございます。それから、そういうことの中でどうしても特定の業種への資金集中が見られるということで、農協経営としては余り健全でない貸し出しという形になっているという指摘がございますし、そういう実態にあろうかというふうに思っております。  そういう意味では、農協農業者方々にできるだけ営農と生活に関しますサービスを提供する意味でそういった資金ニーズにこたえていくということと同時に、地域金融機関という役割も果たしているわけでございますので、地域振興、そういう形にやっぱり農協のお金を使っていただくということが極めて重要だと、こういうふうに思いまして、今回は二つ改正をお願いしているわけでございます。  一点は、今御指摘のように、組合の員外貸出規制の緩和ということをお願いして、貯金量の百分の十五でありましたものを百分の二十まで拡大をいたしております。  もう一つは、地方公共団体の貸出枠の規制といいますか、この点についても緩和をいたしまして、農協地域金融機関としての充実強化が図られるようにしたいということで、こういう改正をしているところでございます。  百分の十五から百分の二十ということで指定農協については拡大をいたしておりますが、百分の十五を拡大するとしてもいきなり百分の三十というわけにもまいりませんので、安定的な形で農協の員外貸し出しが行われるよう百分の二十というところが一番妥当かなと、そういうことも考えまして、今回百分の二十まで拡大をさせていただいております。
  117. 阿曽田清

    阿曽田清君 今、二つの提案がなされたことについての説明があったわけでありますが、生産地農協と都市型農協とはおのずから貸し出しの中身が違います。御承知のとおりです。  我が農協では六〇%はいわゆる組合員貸し付けであります。都市におきましては恐らく一〇%台というのが実態じゃなかろうかと思います。都市も生産地もいわゆる百分の二十に緩和ということじゃなくて、ある程度その地域の実態に即した段階的な緩和策というのが望ましいんじゃないかなという感じも一方持っておりますが、その点について。  それから、いわゆる地方公共団体、市町村に対して貸付規制を撤廃するというような御提案でございます。これも結構なことだと思いますが、郵政省から予算要望について同様に市町村に融資を認める要請が出されておるわけでございますが、末端では郵便貯金と農協貯金が極めて争っておるさなかでございますし、貸し付けまで、融資まで郵便局が参加してこられることになると、これはいわゆる官業でございますから、とてもじゃないけれども金利の面で勝てないんじゃないかといった心配をいたしております。その点、私は郵便局からの市町村に対する融資の要望が出ておることについてぜひ反対をしていただきたいということが二点目でございます。  そして、農業投資資金ですけれども、いわゆる農協の資金を生かして利子補給等を図っていただいた上で近代化資金等があるわけでありますが、この際、近代化資金というのは非常に幅広く利用できるわけでございます。L資金、S資金並み以下に利子補給等が図られないものだろうか。これはつけ加えての質問になりますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。  三点です。
  118. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 指定農協のことからまずお答えさせていただきます。  これにつきましては、先ほど申し上げましたような趣旨で、指定農協の員外貸出枠を緩めるということによりまして農協地域金融機関としての役割を増大させていく。農協貯金がそれぞれの地域において還元をされて農家の営農と生活に資するだけでなしに、地域発展にもそのお金が使えるようにという観点から今回、制度改正をお願いしているところでございます。  この指定農協制度についての枠をどうするかということにつきましては、むしろこれは指定農協がそういう枠を拡大されても、きちんとした管理体制を整えて適正な間違いのない貸し出しを行って組合員の方に御迷惑をかけないと、そういう意味でのリスク管理体制がちゃんととられているかどうかとか、あるいは単協の財政基盤がしっかりしているかどうかとか、そういったことを見ながら指定農協制度の運営を考えているわけでございまして、立地によってそこだけでもって差をつけていくということはなかなか合理的な理由が立ちがたいのではないかと私どもとしては考えております。  それから、二点目の郵政省の関係の御指摘でございますけれども、これは私ども理解といたしましては、郵政省は大蔵省の資金運用部から原資を借り入れまして、これを郵政大臣が有価証券等に自主運用するという形になっているというふうに考えております。この自主運用の対象として地方公共団体への直接融資ということも認めてほしいということで、昭和六十三年から継続的に予算要求が行われていると聞いておりますが、これまでのところ認められていないと承知をいたしております。それは、やはり資金運用部自体から行われております地方公共団体への融資といわゆる二元化するということの理由というふうに承知をいたしております。  今回、来年度予算要求で郵政省が予算要求をさらにしているということは承知いたしておりますが、私どもとしては、この予算要求が認められるかどうかということにかかわらず、農協地域金融機関として地方公共団体に貸していくということはそれだけ安全確実な融資先を拡大することができるわけでございますので、郵政省の方の要求がどうなるにしろ、農協の自己努力によって今回の改正の趣旨を踏まえた対応をしていただくことによりまして、できるだけ安全確実な融資先の確保をしていただきたいと考えております。  それから三点目の、ちょっと私、理解が十分でないかもしれませんけれども、財投との関係で御指摘があったのでしょうか。
  119. 阿曽田清

    阿曽田清君 近代化資金等のいわゆる利子補給等をやっていますね。これをこの際もっと、今非常に低くなってきておりますし、L資金、S資金というのはかなり精査が厳しゅうございますから、近代化資金だったら容易に使えると。財源は農協のプロパーでございますから。
  120. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 系統資金が六十八兆円あるということで、かつその運用先がまだ十分低いということの中で、系統資金を、民間資金ではありますけれども政策資金としてもっと活用できないかという御指摘であろうかと思います。  もちろん、近代化資金のように従来から系統資金活用して利子補給をやるということによりまして政策的にこれを運用する手だても講じてきているところでございますが、それをさらに近代化資金と同じような形で拡充できるかどうか。むしろ今は、今御指摘のL資金のように農家の実質の利子負担は二%ということで期間も非常に長くなっておりますし、そういう意味ではガット・ウルグアイ・ラウンド体制その他国際化の中で農家の方が大変御苦労いただいておりますので、公庫資金、近代化資金のそれぞれの特徴を生かしながら、制度資金としてその特徴を生かした手だて、商品を幾つか持つということの方が農家にとってはありがたいことではないかと私は思います。  そういう意味では、超長期で超低利のものにつきましてはやはり財投資金を活用した公庫資金を中心として、制度資金をいろいろ起こすことによって農家方々に御利用していただき、運用資金的なものを中心として民間資金を活用してこれに政策的な利子補給をしていくと、そういう二つの方法を従来からも持ってきておりますし、これからもそういう二つの方法をうまく利用して、農家方々の営農の改善に役立てるような形での工夫を試みていきたいと考えております。
  121. 阿曽田清

    阿曽田清君 堤局長、私が申し上げている根底にあるのは、L資金、S資金という長期の、しかも金額の大きい、安い金利があります。しかし、それは既に借入している人たちにとっては対象としてなかなか借り入れられない状況、基準があるんですよ。ですから、こういう七年でも十年でもいい、中期間の、近代化資金等のいわゆるL資金、S資金並みの利子補給をしてやって、使いやすい形をとられたらどうですかと。この際、資金運用を、農協の資金を使うわけですから、農協のプロパー資金をそういう形で有効にふやしていくということは必要ではないですかと。  今のL資金、S資金につきましては評判のいい面と評判の悪い面とありまして、どちらかというと、もう既に大規模経営しているところはもう借りられない、もうあなたのところではこれは利用できませんよというところが結構実態としては多いんですよ。  ですから、今、安易と言ってはおかしいんですが、農協の持つ資金をうまく有効活用するためには、安い金利のもとで貸し付けができるように利子補給等をさらに、今低金利の時代ですから、考えていただければ、農協の資金も利用できるし、農家も喜ばれるんじゃなかろうかなということで申し上げておりますので、御検討をいただきたいと思います。  もう時間もありませんので、あと幾つか中金との合併の問題等も用意いたしておりますので、かいつまんでこの点を質問いたしたいと思います。  中金と県信連との合併、これは住専に端を発したことが急速にこういう形になってきたと思いますが、組合員から言わせれば、経済連と全農の一体化というような問題についての希望が一番多いわけでございます。単協から直取引のできるようにというような要望がいつも部落座談会等々をするときには出てくるわけでございまして、今回、三連合会とも二〇〇〇年を目指して合併ということであります。  そり中で、信連と中金とり合併について若干私が危惧いたしますのは、一つは、今、単協が県信連に預金をして、それから信連からいただいておる奨励金やあるいは金利等々、そのメリットが、中金に直接今度は広域農協から加入をする、そうした場合のメリット等がよくなるのかどうかなという心配があります。現に、今、中金に直接預金をしておる単協の話を聞きますと、県信連に預金していたときの方がメリットがあるようだと、こういうお話もちょっと聞いております。  ですから、中金に直接単協が預金をする、出資をして会員になる、そうした場合のメリット、信連のときよりもメリットがあるというようなこと等が実証されるのかどうかなという点、これはやってみなきゃわからぬことでもありますが。その点と、今、信連があることによって各単協の金融指導なりあるいは補完的機能を十分やっていただいている。その点を中金になったときに、中金がきちんと単協の指導なり補完的な機能を果たしてくださるのだろうかなといったような心配が現実にあるわけでございますので、そこのところの考え方をひとつ教えていただきたいなと思うわけでございます。  それから、専門連との関係で、総合農協はどんどん合併をし、そして組織を再編成していくんですけれども、専門連についてはいまだ手つかずということだと思います。農政審議会農協部会等でどれほどその専門連の合併といいますか、再編といいますか、そういうもので御論議があったのかどうか。なかったとするならば、農林省はどういう方向で専門連と、いわゆる総合農協との関連の中でこういう合併が進んでいっておるのに、専門連をこのままにしていきますと、少なくとも半分ぐらいは赤字じゃなかろうかと私は推測するわけであります。  そういう点で、専門連の機能を県段階に早目に一本化すれば全国連も自然とそうなっていくでしょうし、県連が全国連に先に加盟してしまいますと、県連にある専門連農協は県連に集約できず、そのまま全国につながっていかなきゃならないということになります。どういう手法で専門連農協体制を図っていかれようと思っておられるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  122. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 第一点の中金と信連統合に伴います配当なり奨励金の水準がどうなるのかということについては、それはやってみなきゃわからないという先生の御指摘もございましたように、これはこの段階で一律的にこうなるということを申し上げることは大変難しゅうございます。  ただ、申し上げたいことは、従来から中金から信連信連から農協に各種の奨励金あるいは配当ということが行われておりまして、それが単協の経営にとって極めて重要なものであったという認識はいたしております。したがいまして、そういう認識を踏まえて、今後、農林中金信連統合が行われました際に、そのことによりまして連合会段階での機能重複が排除されるわけでございますし、その点につきましてはいわゆるコストダウンということにもなるわけでございます。  また、農林中金自体の今回の資金運用規制の緩和等によりまして、農林中金の収益力の向上にも寄与することができれば、それがまた信連やあるいは単協への配当金等という形で具体的にあらわれてくるというふうに思います。その点につきましては、そういった統合のメリットをどういう形で単協に生かしていくかという観点から、それぞれ適切に、今後、系統の中でさまざまなことを考えながら対処されていくべきものというふうに理解をいたしております。  それから、従来、信連が行っておりました単協の指導につきましては、現在でも、例えば事業推進指導、新商品の開発の指導あるいは経営指導、情報の提供、相談といった形で信連が単協に対しましてさまざまな指導をいたしております。御案内のとおりでございます。  したがいまして、今後、農協系統信用事業組合方々ニーズにこたえていきますためには、こういったさまざまな意味での指導業務というのは重要な業務でございますので、信連農林中金統合されました際には、信連機能を引き継ぎます農林中金が、こういった従来、信連が果たしておりました機能を引き継いで行っていかなきゃならないと、そういうふうに理解をいたしております。  ただ、例えば統合の方法といたしまして、事業譲渡を選択して、県段階で例えば推進指導業務を残そうという場合もあるかと思います。これは信用事業とは別でございますけれども、そういう場合には県段階に残りました組織推進指導をやればいいわけでございますけれども基本的には信連業務を担います中金において従来、信連が果たしておりました機能を引き継いでいくべきだというふうに私どもも思っておりますし、そういう指導をしていきたいというふうに考えております。  それから、専門連のお話がございましたけれども、専門連の問題は総合農協の問題とは違ってさまざまな業種がございますし、規模もさまざまでございます。かつ全国必ずしも画一的でもないということの中で、難しい問題ではありますけれども基本的には今御指摘のように総合農協等と同様に、やっぱり組織整備基本的に目指していかなければならないという理解をいたしております。  現実に、例えば専門農協系統でも全畜連系統でありますとか全酪連系統のように一県一農協を目指しまして取り組みに着手をしているところもございます。しかし、それ以外のところについてはまだこれからそういった方向検討されつつあるというのが現状ではないかと思います。  それからもう一つは、平成四年の合併助成法の改正によりまして専門農協合併助成法の対象に追加をいたしておりますので、そういった手法も利用しながら専門農協のそういった合併取り組みを私ども支援をしてまいりたいと考えております。
  123. 阿曽田清

    阿曽田清君 終わります。
  124. 一井淳治

    一井淳治君 市中にお金がだぶついているような状況でございますけれども、そういった中でほかの金融機関との競争も非常に厳しくなりまして、有利な融資先がなかなか見つからないという状況が現実にあると思うわけであります。  先ほどまで住専問題で議論されておったわけでありますけれども、今後融資先を確保できて、それでこれからは自己責任の原則で決せられていくと思うわけでありますけれども、今回の法改正でもって農協系統金融機関が生き残り、発展していけるのかどうかということをまずお伺いしたいと思います。
  125. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 住専問題を契機にさまざまな御指摘もございましたので、私どもはそういった意味で業務執行体制自己資本充実監査体制強化、それから資金運用規制の緩和、そういったことの御指摘を今回いずれも法律の中に盛り込んでおります。  そういうことと、それから農協系統は現在三十五万人の人がいるわけでございますけれども農協の方もこういう頭でっかちの状態でいくのはなかなか難しいということで、当面五万人を減らしていこうという考え方を持っておりますし、それから経済事業が赤字であった理由としまして支所施設をかなり持っていた、そのことが農協全体の赤字部門を拡大していたということもございますので、そういった面での具体的な支所施設等の統廃合もこれからはやっていこうと。そういうような従来とは本当に違った意味で本格的なリストラクチャリングをしていかなきゃならないというふうに系統も思っているところでございますし、この点は参考人の質疑でも御確認いただいていると思います。  そういう意味では、私どもがお願いいたしております法律改正農協の方の自主的なそういう改革への熱意、両々相まちまして、先ほどから御指摘のように、農協が本来の使命を果たしていけますよう私どもも十分指導をしていきたいと考えております。
  126. 一井淳治

    一井淳治君 今回は、合併とか事業譲渡など、ほかの金融機関に対抗できるそういう組織づくりが進んでおるわけであります。しかし、何といいましても農協協同組織金融でありまして、組合員とともに生きる、あるいは地域発展のために尽くさなくちゃいけないという基本的な原則がありますし、この個性といいますか特徴が今後とも生きるようにしていかなくちゃならないと思うわけでございます。この協同組織金融機関としてのあり方というものについて今後どのように考えていかれるんでしょうか。
  127. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 農協については、今御指摘のように協同組織性、相互扶助という形の中で基本理念があると私どもも思っております。  現在の農業情勢農村状況から見ますというと、そういう意味で農家方々の生活と営農に必要な資金等を安定的に供給していくということは、農業の特殊性あるいは零細性、災害に左右されますとかそういうことをもろもろ考えますと、これからも農協信用事業として十分の機能を果たしていかなきゃならない。そういう意味で、農協が持っております協同組織性ということをきちんと据えて対応をしていきたいというふうに考えております。  と同時に、ほかの業態との競争が大変厳しくなっておりますので、ほかの業態との競争にも伍していけるような意味での経営体制強化自己資本充実等々につきましても、ほかの金融業態整備状況を見ながら私どもとしてもそれをぜひ農協にも備えていただく。そういうことによって、本当の意味で農家方々から安心して農協の預金、施設利用していただけるように、そういうふうに持ってこなきゃならないと思っておりますし、私どももそういうふうに努めていきたいと考えております。
  128. 一井淳治

    一井淳治君 次に、農林中金関連してお尋ねします。  これまでの資金の運用などを見ましても、有価証券に対する運用が非常に高いとか、他の金融機関に比べてなかなか苦労しているという状況が見えるわけでございます。今回の改正でかなり前進はあったにしても、果たして農業関係から集まってきたお金を十分に運用して、そこで利益を確保していけるのかどうかという点が不安でありますけれども、いかがでございましょうか。
  129. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 農協貯金は全体で六十八兆円ございますし、そのうち信連に四十六兆円程度、さらに中金の方に御案内のように二十八兆円という膨大な預金が上がってまいります。そういう意味では、農林中金は最終的な系統の中におきます資金運用機関ということでございますので、大変重たい任務を持っているというふうに思います。  そういう意味では、集まってまいります膨大な資金を貸付業務に展開していくということは当然でございますけれども、それだけでこなせるわけじゃございませんで、今御指摘のように証券的なもの、国債等も含めまして証券的なものに運用せざるを得ない、あるいは一部は海外へ持っていって運用するという形で、そこで収益を生んで、先ほども御指摘がありましたように信連や単協に対しましてそれを還元してくると、そのことによって信連や単協の経営が安定すると、そういう両面を持っていると思っております。  現在は有価証券の運用は確かに多うございますけれども、ただその中身を見ますというと株式は非常に少なくて、国債でありますとか地方債でありますとか金融債でありますとか、そういった非常に安全度の高いものを中心農林中金の場合は運用をしている実態にあるということでございます。そういう意味では、その点についてはこれからも堅持をしてまいりたいと考えております。  ただ御指摘のように、信連との統合等に伴いまして農林中金へやはり資金が集中する、増大してくるということは予想されるわけでございますので、従来以上に貸出業務への展開に努力をするということと、今申し上げました国債や地方債といった安全なものを中心とした有価証券の運用に努めるということと、今回お願いいたしております海外におきます非居住者貸し出しということで、海外におきます資金運用ということにつきましても規制緩和を行いたいということで、そういった三つのものがバランスよくうまく運用先として回転できますよう心していかなきゃならないと、こういうふうに考えております。
  130. 一井淳治

    一井淳治君 もう一つ、経営管理委員会というものについて、どのようにこれが有効に活用され、農協活性化とかあるいは農協組合員のための活動とか、そういった面で生かされていくかということがいま一歩ちょっとわかりにくいところがあるように思うわけでございます。  経営管理委員会というものにつきましては、どのような場合にこれを組合内に置くことを想定されておるのか、そのあたりからまずお伺いしたいと思います。
  131. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 経営管理委員会制度は初めての制度でございますので、どういった農協あるいはどういった地域にまず入れていただくかというのはここの段階で一義的に申し上げにくいわけでございます。基本的には、やはり一つには農協事業量が大きいということで、日常的な専門的な経営判断を専門の方にやっていただかないとなかなかうまく農協として機能しない、そういう農協でありますとか、それから農協地域が非常に広くて、それぞれの地域から理事の方が選ばれてくるというような運用をされている場合もあるわけでございます。そうなると農協理事が非常に多くなってしまうということで、そういう意味では理事会としての機能が十分働かないおそれがある地域農協というものもあろうかと思います。そういったところを中心にこういった新しい制度を導入していただける素地があるのではないかと思っております。  さらに、今後二〇〇〇年に向けまして五百五十の農協に集約、再編していくわけでございますけれども、その過程で、この際、経営管理委員会制度とそのもとにおける理事会という新しい制度を導入して、農協信用事業として専門的に非常に高度化した農協経営に当たる形のものを組合員の方に認識していただくということによって信頼をかち取っていこうと、そういう御判断をされる農協もあると思います。  そういった三つのパターンを観念的には思っているわけでございますが、いずれにしましても、この制度の趣旨をそれぞれの関係者に十分御理解いただきまして、それぞれの実態に合った形で、自主的な形で導入していただきますよう私ども心していきたいと考えております。
  132. 一井淳治

    一井淳治君 大型の合併ができて、そこで従来の農協理事さんがみんな入ってこられると理事があふれてしまう。それの対策だと言ってしまえば余りぱっとしないような気もいたします。  農林省の方では、例えば一定規模以上あるいは定面積以上の場合には経営管理委員会を置くような指導をするとか、何かあるんですか。
  133. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) これは国会の御審議におきましても、農協方々に十分まだその趣旨の理解がいっていない面があるのではないかという御指摘もございました。それから、強制にわたるということではこの制度はかえってうまくいかないのじゃないかという御指摘もございました。それぞれ理由のある御指摘だというふうに私ども思っております。  いずれにしましても、日本で初めて導入する制度でございますので、一定の事業規模以上のところには導入しなきゃいけないとか、一定の地区の広がりのあるところについては導入を義務づけるとか、そういうことでは恐らく農協の自主的な団体としての性格から見ましてもなかなかうまくいかないのじゃないかと逆に思っております。  そういう意味で、こういう制度を新たに導入しなければならないような農協信用事業をめぐる厳しさを御認識いただく過程の中でこういった制度を導入して、先ほども申し上げましたような形で組合員信頼をかち取っていこう、地域の住民の信頼をかち取っていこうと、そういう農協の御理解が進む過程で、こういう制度を導入していこうというような動きが出てくれば非常に私は結構なことじゃないかなと思っております。  そういう意味で、もう少しそういったところも含めまして、当面はこの制度の啓蒙普及という形に力を入れさせていただきたいと思っております。
  134. 一井淳治

    一井淳治君 もう一つ監査の問題について伺います。今回、相当の前進があったわけですけれども、今回の改正監査とすれば十分であるかどうかというそこのところをお尋ねしたいと思います。
  135. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 今回につきましては、員外監事常勤監事につきましては他の制度と同様のものを取り入れております。特に、その際、外部監査につきまして、ほかの金融業態におきましては公認会計士活用という形になっておりますこととの関係で、農協の場合はそこは大丈夫かという御指摘をいただいております。先生もそういう意味での御指摘だと思います。  この点につきましては公認会計士をそのまま使うという手だてもあるわけでございますが、農協の場合は、農協中央会が昭和二十九年にできておるわけでございますけれども、できました当時から、中央会、これは全中と県中でございますけれども監査という形の中で仕事をしてまいっております。そういう意味で、かなりの監査のノウハウも身につけておりますし、それから千三百名の監査士も養成をいたしております。そういう意味では、農協が持っております。そういう人材を活用するということとノウハウを生かしていくということによりまして、これを使うということも一つの手だてではないかと。  しかし、そのままではやはり信頼性に欠けるということで公認会計士を必ず置く、必置するということによりまして、言ってみれば公認会計士の必置によって中央会監査全体のレベルを上げて、それを会計監査という形で義務づけていく。こういう手法をとりまして、今回、外部監査といいますか中央会監査を義務づけておりますので、そういう意味では私どもとしましては員外監事常勤監事の制度導入と相まって、農協におきます監査は格段に拡充強化されてきたのではないかと思っております。
  136. 一井淳治

    一井淳治君 この監査というものは、例えば公認会計士の資格を持っている人が監査したからといってよくできるものじゃないと思うんです。  例えば、住専問題であれほどたたかれた住専会社が、公認会計士中心とする監査法人がちゃんと監査をして、これは黒字であるという監査をしているわけですね。それで配当もしているわけですよ。でも、後から振り返ってみると実際には大赤字であったというのが実情であります。公認会計士の資格を持っておったからというのじゃなくて、まじめに監査をしなくちゃいけないというんですか、少々敵ができてもやるべきものはやらなきゃいかぬ、そういう精神力といったものが私は一番基本であると思うんです。  例えば、担保物権がとってあるかどうかということは極めて簡単で何も専門知識は要らないわけです。それをきちんきちんと点検していくというまじめさといいますか、ただしこれをやろうとすれば嫌われて、次はもう公認会計士さん、おまえさんは頼まないというふうになっちゃうこともあるものですから非常に厳しい、自分のシェアも確保しなくちゃいけないし、非常に今厳しい関係に置かれていると思うんですけれども、やはり何かそういうふうなものがないと、幾らこの制度をつくってみても結局は、最近刑事事件がよく出ておりますけれども、背任罪ということで農協関係者が出てまいりますけれども、ああいう問題が起こると思うわけでございます。  監査においては、今申し上げました精神力といいますかやる気といいますか、これが一番大事だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  137. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 住専の御議論の際も、今先生おっしゃいましたように、住専もすべて公認会計士が見ていたのではないかという意味での御指摘があったことは私も承知をいたしております。  ただやはり、公認会計士という専門の方が会計監査という職責を持っておられます場合に、それを活用することによって農協の検査におきましても外部の目が入っているという意味で農協経営自体に信頼感、これは組合員の方も含めまして信頼感をやっぱり確保していくということは今現在の状況においては重要なことではないかというふうに思っております。  そういう意味で、公認会計士の必置を義務づけた上で中央会監査を義務づけたわけでございますが、今御指摘のように公認会計士を置けばいいというものじゃございませんので、公認会計士の本来の業務に沿った監査が行われますように、中央会監査レベルが上がるような形で公認会計士活用していただくように、全中、県中に対する指導を強めていきたいと考えております。
  138. 一井淳治

    一井淳治君 監査の問題もやる気の問題ですけれども、やはり農業問題は非常に厳しい状況に置かれておりまして、何か沈滞ぎみであるというふうに思います。農林省におかれましてはとにかくやる気を持って頑張っていただくことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  139. 島袋宗康

    島袋宗康君 二院クラブの島袋宗康でございます。  今回の改正で、貯貸率の低さを改善するために資金運用規制の緩和を行うこととし、その一つとして員外貸し出しの緩和をすることになっております。しかし、農協系統信用事業は、本来組合員みずからの貯金を原資に安い利息で融通し合い、農業の再生産と生活の向上を図ることを主眼としたものである。それにもかかわらず、農業投資意欲の減退等により農村地域における資金需要が停滞している現状にかんがみ、員外貸し出しの緩和という方向に持っていくものと思われるわけであります。  しかし、農協法が初めに意図した目的に従って考えるならば、農民が農業投資意欲をかき立てられるような農政こそ求められているのではないかと考えますが、今回の改正方向では日本の農業はますます衰退の道をたどるのではないかと懸念されます。  農水省は日本農業の将来についてどのように考えておるか、まずお伺いしておきたいと思います。
  140. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 農業は国の大本でございますし、また改めて申し上げるまでもございませんが、国民への安定的な食糧の供給であるとか、また農村地域活性化であるとか国土の保全であるとか、そういう重要な役割を持っておるわけでございまして、農業振興はもとより国政の基本的な中心の問題であると思っております。  そのような観点に立ちまして、農業振興を図るために私どもは、農業従事者が少なくとも他産業従事者並みの所得それから労働時間、そういうものが経営体の相当部分を占める農業構造を実現したい、また住みやすい地域も実現したいというふうに考えておるわけでございます。そのために、そういうことを目指してウルグアイ・ラウンド対策費等の事業を行っておるわけでございます。  このような施策によりまして、投資意欲も上がってきておると存じております。農業経営基盤強化資金を調べてみますと、その実績は平成五年の百八十九億円に対しまして平成六年は五百五十八億円、平成七年は八百五十一億円とこの強化資金がふえておるわけでございまして、投資意欲も増大してきておるものと承知いたしております。
  141. 島袋宗康

    島袋宗康君 資金運用規制を緩和するに当たって、融資審査体制強化、研修による人的能力の向上資金運用能力の充実向上等が求められています。これらの点について政府としては今後どのような施策を考えておられるのかお尋ねします。
  142. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 今御指摘のように、今回の改正におきましては、資金運用規制を緩和するという形で対応させていただいておりますが、同時にそういう形で融資規制を緩和するということになりますというと、それに見合った組織体制とそれから人的養成ということがやはり不可欠だと思っております。  このために、従来も融資体制整備とかあるいは専門能力を有します人材の確保ということで、農協信連職員を対象にした通信教育あるいは集合研修それから実地研修、さらには講師派遣という形でそれぞれ農林中金なりそれから信連というところで対応をしてきております。そういう意味での相当な研修や通信教育あるいは講師派遣等をやってきておりますし、トレー二ーという形で実地訓練という形のものも行ってきております。  そういう意味で、これからも規制緩和をすればその分だけリスクを負う形になりますので、従来以上に審査体制等の充実を図っていくことが必要でございますので、今後ともそういった人的養成ということにつきましては十分心がけて各系統が行えますよう指導を強めてまいりたいと考えております。
  143. 島袋宗康

    島袋宗康君 私、沖縄県出身でありますから、沖縄県の問題についてちょっとお聞きしておきたいと思います。  全国農協中央会の資料によりますと、平成八年四月一日現在の沖縄県における農協合併構想の進捗状況は、現在数二十八、構想数八、実現数七で八七・五%となっております。一〇〇%実現に関する見通しはどうなっておるのか。さらに、沖縄県における農協のあるべき姿としてその数、規模、機能体制整備について政府としてはどのような御見解をお持ちなのか、それをお聞きしておきたいと思います。
  144. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、沖縄の合併構想についてお尋ねでございました。  現在、八年十月末の総合農協二十八を平成十二年末までに八農協へ集約するというものでございますが、問題は、離島農協についての対応が最大の課題だと思います。私も沖縄開発庁長官経験者でございますので、沖縄のことはよく存じております。特に離島関係につきましては、島の名前を見ながら懐かしく拝見しておりますけれども、この点が非常に問題であるというふうに考えております。
  145. 島袋宗康

    島袋宗康君 大変ありがとうございます。  農協の大型化に伴い、農協組合員農協と市町村行政との関係の希薄化等の問題点が指摘されているようであります。特に我が沖縄県は多数の離島を有する多島県であるために、この点については非常に関心を持たざるを得ないわけであります。  政府としては、この多島県に対してどう対応されていかれるのか、その辺についてお考えをお聞きしておきたいと思います。
  146. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 農協合併につきましては、基本的にはやはり事業規模の拡大ということによりますそれぞれの経営基盤の強化、あるいは先ほども御指摘ありましたように、能力のある役職員活用、養成という人材養成の観点、それから施設の再配置、統合という意味でのコストの低下、そういう意味で統合合併にはそれなりのメリットがあるというふうに思っておりますが、やはり統合あるいは合併に伴いまして、どうしても農協とそれから組合員との関係の希薄さ、それから市町村行政との関係の希薄さということは各方面から御指摘をされているところでございます。  その点に十分留意をしながら、農協合併というものは、それぞれの地域の中で十分御議論をいただいてその合意の上で実施に移されていくということがまず基本であろうと思います。それでも、先ほどもちょっとお答え申し上げましたように、それぞれの合併地域におきまして、広域化したけれども農家と希薄にならない形で指導をしている、あるいは連携をとっている、相談活動をしている、そういう農協もあるわけでございます。  要は、それぞれの地域において十分な御議論を詰めていただいて、農家組合員ニーズに沿った合併のあり方あるいはそれに沿った支所施設の再整備、そういったことを十分詰めていただいて、納得ずくでこれからやはり農協合併を進めていただくことが今御指摘の点にこたえることになるんじゃないかと思っております。
  147. 島袋宗康

    島袋宗康君 事業譲渡を行った信連は解散するかまたは信用事業を廃止するために必要な定款の変更を行わなければならないとされております。このように事業譲渡について規定したのは、信用事業譲渡後も信連システム、為替等の事業を継続して行うことを規定したものであるわけであります。  そこで、農林中金事業譲渡を行った後の信連については、農水省としてはどのような対応をされるのかお伺いをしておきます。
  148. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 農林中金事業譲渡を行いました後の信連をどういうふうにするかというのは、それぞれの地域におきまして組合員方々の意思が反映した形でいろいろとお話し合いが行われると思います。  基本的には、やはり今回の農林中金信連統合というのは、戦後営々として三段階でやってまいりました農協組織がそのままではもたないということで二段階にしようということでございますので、農林中金統合いたしました信連信連という形で残っていくというのはおかしいというふうに思います。そういう意味で、信連農林中金に全部譲渡という形で対応をしていく。逆に申し上げますと、信連という名前を付した形では残らないということにならざるを得ないと思います。  ただ、それでは何もかもなくなってしまうかというと必ずしもそうではないわけでございまして、残りました組織において、例えば今御指摘のように電算業務という形で残るところもございましょうし、あるいは何か営農指導業務というものを担ったものとして残るところもあると思います。それは、それぞれのところでそれぞれの必要に応じて対応されていく事柄ではないかということでございますし、私どもも今回の統合の趣旨ということを踏まえて、そういう形で柔軟な対応がそれぞれの地域で行われますよう指導をしていきたいと考えております。
  149. 島袋宗康

    島袋宗康君 全国農業協同組中央会調査によれば、平成十二年度、二〇〇〇年までに農林中金への統合を予定している信連は十七であり、このほか二県については一県一農協合併構想に伴い県連が解散されるということになっております。しかし、その他多くの信連については、統合についての態度または時期についてまだ決定していない状況である。  そこで、政府としてはこの点についてどのように認識され、どのように見通しを持っておられるのかお伺いをしておきます。
  150. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 県連の意向につきましては参考人質疑のときでも御質問があったと思いますが、今御指摘のとおりでございます。今おっしゃいました数字のところがそれぞれの県段階の取りまとめの結果というふうに私どもも承知をいたしております。  これはことしの十月段階での取りまとめ結果でございます。そういう意味では、まだ法案という形にもなりませず、また、こんな形で国会で御審議をいただく前の段階での組織討議の姿としてあらわれてきたというふうに思っておりますが、私としましては、その段階で今おっしゃいました十五とか十七という形で具体的に手が挙がってきているということは大変なことではないかと思っております。  今御指摘のように、様子を見ているところもまだ多いわけでございますけれども、こういう形で具体的に法案という形で系統の皆さん方ももう読んでおられると思います。それから国会審議の過程でさまざまな意味で今後の農協のリストラがどんな形で行われるかということにつきましても具体的なイメージで見ておられる方も多いと思います。  そういう意味では、この農協のリストラ、組織再編というものはより身近なものとして、具体的なものとして系統方々に受けとられつつあるのではないかなと思っております。この法案の成立を見させていただきますれば、各地域におきましてもっと具体的な形で統合あるいは単協の合併という形の中で議論が進んでいくのではないか。そういう意味では相当農協の自主的な改革を後押しすることになるというふうに理解をいたしております。
  151. 島袋宗康

    島袋宗康君 信用事業のほか経済事業、共済事業においても県連と全国連との統合を進めることになっておりますけれども、この点についての見通しについてどのようにお考えになっているか、承りたいと思います。
  152. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 先ほど信用事業の中金との統合についての数字を御指摘でございましたけれども、今、各全国段階で見ますというと、例えば経済事業を取り上げますと、信用事業の動きよりやや先行いたしておりまして、平成十二年には四つの経済連で全農と統合したいという形で手が挙がってきております。それから共済につきましては、信連の場合より数が多うございまして、一県一JAのところも含めまして二十三の共済連で統合のための手が挙がってきているというふうに承知をいたしております。  今回の農協組織再編は、法律的には信連と中金の統合ができませんのでその部分をお願いしているところでございますけれども系統もそれから私どもも、単に信用事業の問題ということにとどまらず、経済事業や共済事業も含めた農協全体のリストラといいますか、組織再編が必要というふうに思っておりまして、そういう意味で、今も申し上げましたように、それぞれ経済事業あるいは共済事業におきましても具体的な組織再編の動きがあるというふうに承知をいたしております。  私どもは、そういう意味では全体の農協のリストラを進めることによりましてスリム化をして、経済事業も共済事業信用事業農家方々のためのサービス充実しますように、そういうふうに役立つようにこの組織再編を持っていくべきだ、こういうふうに考えております。
  153. 島袋宗康

    島袋宗康君 終わります。
  154. 真島一男

    委員長真島一男君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  ただいま議題となっております両案のうち、まず、農林中央金庫信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案について討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農林中央金庫信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  155. 真島一男

    委員長真島一男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、農業協同組合法等の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  156. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、農業協同組合法等の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。  本法案では、経営管理委員会制度を新たに導入することとしていますが、この経営管理委員会は、農協の代表権を持つ理事選任することができ、その選任される理事は正組合員に限らなくともよく、何ら資格要件は問わないというものです。その結果、正組合員でない実務家が農協業務を執行することができるようになります。これは、企業のやり方を農協に持ち込み、組合員こそ主人公とする協同組合の原点を大きく後退させるものです。  また、農協合併助成法の合併期限を二〇〇一年三月末まで延長することについてですが、農協広域合併は、支所の統廃合や職員の削減により、最も大切な営農指導などを切り捨て、農協組合員との結びつきを弱めています。農協広域合併推進は、地域農業発展にとっても深刻な事態を招かざるを得ません。  最後に、信連農林中金合併が進められることにより、信連不良債権農家組合員に押しつけられないようにすべきこと、また信連職員などの雇用の確保を図り、労働強化にならないようにすべきであることを強く指摘いたしまして、反対討論を終わります。
  157. 真島一男

    委員長真島一男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  農業協同組合法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  158. 真島一男

    委員長真島一男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、石井君から発言を求められておりますので、これを許します。石井君。
  159. 石井一二

    石井一二君 私は、ただいま可決されました農林中央金庫信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会及び二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  以下、案文を朗読いたします。     農林中央金庫信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   農業協同組合は、農業者協同組織として、組合員の負託にこたえるとともに、地域農業振興地域活性化に大きな役割を果たしてきた。   しかしながら、最近における我が国農業及び農村の変化、金融自由化等農協系統を取り巻く厳しい状況の中で、農協系統組合員の多様化・高度化するニーズに的確にこたえるとともに、系統信用事業に対する国民の信頼を回復し、金融システムの安定を図るためには、農協系統事業組織見直し改革が現下の最重要課題となっている。   よって政府は、両法の施行に当たっては、今後の金融改革の動向等を考慮しつつ、次の事項の実現に努め、組合員はもとより国民の目に見える形での早急かつ着実な改革促進に万遺憾なきを期すべきである。  一 農協系統事業組織改革推進・実行に当たっては、経営合理化効率化等によるメリットを組合員地域社会に最大限に還元するという改革の趣旨を徹底するとともに、農協活動の原点である営農支援事業充実や高齢者福祉事業など地域社会のニーズに即した事業への取組を強化すること。  二 農協広域合併推進するに当たっては、合併後の経営展望を明示すること等により、組合員を初めとする関係者の理解と納得の下に行われるよう指導すること。    また、組織二段を推進するに当たっては、地域の実情等に配慮しつつ、組織の自主的な協議、合意形成が円滑に進められるよう環境整備に努めること。  三 農林中央金庫信用農業協同組合連合会との統合に際しては、系統信用事業全体の効率的かつ健全な発展を阻害することのないよう不良債権の処理等を徹底するとともに、要員の処遇や再配置等にも十分配慮すること。  四 新たに経営管理委員会制度導入するに当たっては、その趣旨を役職員組合員に周知徹底し、これが選択肢として導入されるよう環境整備に努めること。    あわせて、常勤役員等の兼職・兼業の制限の的確な実施、学識経験者等の理事への積極的登用等により、責任ある業務執行体制の確立が図られるよう十分指導すること。  五 員外監事常勤監事の必置等により、監査体制強化が図られるよう十分指導するとともに、中央会による監査が、中央会に置かれる公認会計士の積極的活用により、他の金融業態と同等の監査となるよう指導すること。また、行政検査等の充実と併せて、監査の実効性が確保されるよう努めること。  六 自己資本内部留保については、組合員理解と協力の下、早急にその充実を図ること。    また、部門別損益の組合員への開示等については、これが組合経営体質強化に適切に反映されるよう十分指導すること。  七 農業信用基金協会の行う保証業務への対象追加等により、信用補完事業としての機能が十分発揮されるよう信用保証保険制度の適切な運営に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  160. 真島一男

    委員長真島一男君) ただいま石井君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    [賛成者挙手〕
  161. 真島一男

    委員長真島一男君) 全会一致と認めます。よって、石井君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、藤本農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。藤本農林水産大臣
  162. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。
  163. 真島一男

    委員長真島一男君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 真島一男

    委員長真島一男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  165. 真島一男

    委員長真島一男君) この際、派遣委員報告に関する件についてお諮りいたします。  先般、本委員会が行いました農林水産業の実情調査のための委員派遣については、第一班及び第二班からそれぞれ報告書が提出されておりますので、現地での要望とあわせて、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 真島一男

    委員長真島一男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  167. 真島一男

    委員長真島一男君) 請願審査を行います。  第一七七号新たな農業農村基本法制定に関する請願外二件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会で協議の結果、第一七七号新たな農業農村基本法制定に関する請願外一件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第三六〇号減反政策反対、安定的な米の供給に関する請願は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 真島一男

    委員長真島一男君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 真島一男

    委員長真島一男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  170. 真島一男

    委員長真島一男君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産政策に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 真島一男

    委員長真島一男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 真島一男

    委員長真島一男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十六分散会      ―――――・―――――