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日下部禧代子君 小泉
大臣には初めて
質問をさせていただきます。
厚生行政の御経験、また高い御見識をお持ちでいらっしゃいます
大臣にきょうは社会保障の構造
改革の方向、あるいはまた国と地方の役割分担などこれからの
厚生行政についての根本的な
課題について
大臣の御意見、あるいはまた哲学をお聞かせいただければと楽しみにして参りました。
まず、今回の厚生官僚による汚職
事件に関連いたしましてお伺いしたいと存じます。
大臣は、今回の
事件につきまして、たびたび
岡光前次官については極めて特殊で例外的な
人物というふうなお言葉を使って御説明をされております。そしてまた、昨晩、
厚生省関係官僚の
処分が発表されました。しかしながら、今回の
事件というのは、単に極めて特殊な例外的な
人物による個人的な
事件として、あるいはまた単に倫理的な視点からだけで片づけられる問題とは思われません。
つまり、この
事件にはシステムとしての問題がたくさんあるというふうに私は思うわけでございます。特に、国と地方の役割分担、そしてまた
補助金行政のあり方についても構造的な問題を提起しているように私には思われるわけでございます。
一九八六年のいわゆる機関委任事務の
団体事務化法、これは地方公共
団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律という長い法律でございますが、機関委任事務の
団体事務化法と呼ばせていただきます、によりまして
社会福祉法人の設立
認可等多くの権限が都道府県知事に移譲されました。さらに、一九九〇年の福祉八法の改正によりまして
措置権限が市町村に移管され、市町村が
施設・在宅福祉サービスを担う制度的な枠組みが整備されたというふうに言われております。
しかしながら、実際こま
社会福祉法人の
認可は、
社会福祉施設の設置にかかわる
国庫補助の内示と表裏一体として行われております。そして、国は
補助金交付によって広範な裁量権と事実上の決定権を握っているというふうに言ってもよろしいかと思います。
機関委任事務から
団体委任事務に転換されたと申しましても、これは一九九五年三月末現在でございますが、機関委任事務の項目は、都道府県の事務の八割以上を占めている、そしてまた、市町村の事務の四割以上を占めているわけでございます。その中でも
厚生省関係がトップでございます。
さらにまた、いわゆる必置規制というのが御承知のとおりございます。これは中央
政府が自治体に対して
施設の設置あるいは特別の資格及び職名を配置するということを義務づけておりますし、またその配置基準というのも詳細にわたって省令あるいは通達によって規制しているわけでございます。このような必置規制もやはり各
省庁の中で
厚生省関係が一番多いのでございます。今、必置規制というのは六百八十九事項あると言われております。そのうち
厚生省関係が何と五百三十三事項にわたっております。
こう見てまいりますと、一見地方分権が進められているというふうに見えましても、
厚生省は最も各
省庁の中で中央コントロールが強い
省庁であるということも言えるのではないかと思うわけでございます。
また、
補助金を受けることができた事業につきましては、起債が簡単に認められるわけであります。また、その元利償還は地方交付税で面倒を見るということもできるわけであります。したがいまして、財政力の弱いいわゆる三割自治と言われている自治体にとりましては、補助事業を獲得するか否かということはまさに死活問題と言ってもよろしいのかと思います。したがいまして、国の
補助金を幾ら引き出せるのかということが自治体
職員の仕事になってしまっている、常に国の方を見詰めているという状況があるわけでございます。
また、ゴールドプラン、新ゴールドプランによりまして
厚生省の
補助金交付決定権というのは量的にはむしろ拡大強化されているように思うわけでございます。今回の
事件というのは、自主財源の裏づけのない権限移譲、地方分権がいかに危ういものであるか、特に
厚生省にとってはいかに中央コントロールが強いかということを図らずも露呈した
事件ではないかというふうに私は思うわけでございます。
本年三月の地方分権推進
委員会の中間
報告におきましても、「地方公共
団体の自主性・自立性を高める見地から、国と地方公共
団体の役割分担の見直し、」「国と地方公共
団体の財政
関係についても基本的な見直しを行う必要がある。」というふうに言っております。このように、財政的なコントロールによって、人と金によりまして国が実質的権限を握っている現在の
補助金行政の仕組みというのは、地方分権の観点からはやはり問題があるのではないか。
このような
補助金行政に象徴される現行の
厚生行政におきますいわゆる集権的パラダイムをどのように変えていくべきか、この点に関しましての
大臣の御見解をまずお伺いしたいと存じます。