○
委員長(
野沢太三君) 御異議ないと認めます。
橋本
内閣総理大臣は、御退席いただいて結構でございます。
これより
平成六
年度決算外二件について討論に入ります。
平成六
年度決算の議決案はお手元に配付のとおりでございます。
なお、
内閣に対する警告案文につきましては、理事会において協議の結果、
意見が一致したものでございます。案文を朗読いたします。
議決案
一、一本件
決算は、これを是認する。
二、
内閣に対し、次のとおり警告する。
(一) 厚生省の前事務次官が収賄容疑で逮捕・起訴されたのを始め、
大蔵省、厚生省及び通商産業省の幹部職員が
関係業界及び業者との過度の癒着を
指摘されるなど、最近の公務員をめぐる一連の不祥事により、行政に対する国民の
信頼を失墜させたことは、極めて遺憾である。
政府は、国民の行政及び公務員に対する
信頼が早急に回復されるよう、行政と
関係業界との癒着の防止に努めるとともに、公務員に関する具体的行為規範の遵守を図るなど、綱紀粛正の徹底が図られるよう諸般の方策を講じるべきである。 (二) 消費税の納付について、その新規
発生滞納額が、近年、多額で推移しており、
平成六
年度末の滞納額も三千三百五十九億円に上っていることは、遺憾である。
政府は、消費者が負担した消費税の一部が国庫に納入されていない
事態となっていることを重く受け止め、消費税に対する国民の
信頼を損なわないよう、滞納の未然防止及び滞納整理の
促進に一層
努力すべきである。
(三) 病原性大腸菌O−一五七による食中毒が全国的に
発生する中で、学校給食においても集団食中毒が相次いで
発生し、死者が出る
事態となったことは、遺憾である。
政府は、O−一五七に対する総合的な対策を着実に進めるとともに、安全な学校給食が提供されるよう、衛生管理の徹底や施設・設備の
充実を
促進するなど学校給食における食中毒の再発防止に一層努めるべきである。
(四) 健康保険又は厚生年金保険に関し、特定の国民健康保険組合に加入している土木建築業の従業員や地方公共団体に雇用されている嘱託職員等について適用漏れの
事態が生じ、
平成六
年度決算検査報告において、百十三億円を超える保険料の徴収不足が
指摘されたことは、遺憾である。
政府は、社会保険の公平・適正な適用の
重要性にかんがみ、社会保険事務所における調査確認及び指導の徹底を図るなど、健康保険及び厚生年金保険の適用の適正化に格段の
努力をすべきである。
(五) 医療費について、支払の不適切等に係る
指摘が、
決算検査報告において、昭和六十一
年度以降毎年続いており、それに係る国庫負担額も
平成六
年度までに七十八億円に上っていることは、遺憾である。
政府は、今後も高齢化の
進展等により医療費の増加が見込まれるとともに、医療保険財政の
状況も深刻化していることにかんがみ、
審査支払機関及び保険者等による
審査点検の徹底を図るなど、医療費の請求・
審査の適正化に一層
努力すべきである。
(六) 国庫補助事業である特別養護老人ホームの施設整備等を巡り、贈収賄
事件が発覚するなど、その国庫補助金の適正な支出等に関し疑惑が持たれる
事態が生じていることは遺憾である。
政府は、今後の高齢化に
対応した新ゴールドプランの強力な推進が求められている中で、こうした
事態が生じたことを厳しく認識し、特別養護老人ホームの施設整備等に関し早急に必要な実態の把握を行うとともに、補助金交付や社会福祉法人の認可等について
制度の全般にわたる見直し・再点検を行い、社会福祉事業の適正な実施が確保されるよう万全の対策を講じるべきである。
(七) 農業構造の改善に寄与すること等を
目的とした農業者年金事業における経営移譲年金について、不適正支給の事例が見られることは遺憾である。
政府は、農業者年金
制度が多額の国庫助成を行わざるを得ない
状況となっていることにもかんがみ、その支給の適正化に万全を期するとともに、年金財政の健全化、情報開示に向けて今後とも更に
努力すべきである。
(八) 労働者災害補償保険の診療費の算定について、全国的な統一基準が定められているにもかかわらず、これと異なる割高な料金を設定したいわゆる地域特掲料金が、なお一部の都県において解消されていないことは遺憾である。
政府は、地域特掲料金の解消について
平成元
年度決算検査報告で
指摘されて以来、既に六年が経過していることにかんがみ、その完全解消の
早期実現に
努力すべきである。
(九) 国庫補助事業に係る食糧費の
使用について、補助事業との関連性が明確でなく、また、その経理
関係書類が不備である等の不適切な
事態が見られたことは遺憾である。
政府は、食糧費の
使用について、今後国民の疑念を生じさせないよう、補助事業者である地方公共団体に対し一層の指導に努めるとともに、食糧費を含む事務費の支出
状況を的確に把握し、不適正な
使用が明らかになった場合には返還を命じる等、厳正な措置を講じるべきである。
(十) 各地の地方公共団体において、いわゆる食糧費の不正
使用やカラ出張・カラ飲食等による不適正な公費支出が相次いで明らかとなり、しかも、公正な行財政
執行を確保すべき監査
委員及び同事務局においても同様な公費支出が見られたことは、遺憾である。
政府は、公正で能率的な行政の確保という監査
委員制度本来の機能が発揮されるよう必要な指導等に努めるとともに、地方分権の推進に伴う監査機能の
充実方策について
検討すべきである。
以上でございます。
それでは、御
意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。