○
国務大臣(
三塚博君) ただいま松村
委員から、現下、
我が国の
財政の危機的
状況について御指摘をいただきました。
まさにそのとおりでございまして、先進七カ国サミット構成国の重要なポジションを占める、G7、蔵相・中央銀行代表者
会議でこれまた重要なポジションを占める。G10というのもございまして、そういう中でマクロ経済はもとより、それぞれの
主要国が健全
財政を達成することなくして地球の平和はあり得ない、こういうことで、それぞれの国がそれぞれに目標を明示いたしまして
努力いたしております。
委員御指摘のGDPに対比する債務残高、九〇%程度であります。最悪の
状態であるというイタリーをはるかに凌駕する形に相なりました。経済大国
日本どこへ行くという御批判が出てくる昨今でございます。このようなことを踏まえながら、まさに
財政構造改革元年というので九年度
予算編成に当たったわけでございますが、その基本的な方式といたしまして、まずは公債債務残高の対GDP比を二〇〇五年までにできるだけ全体で、地方
財政の
財政赤字も含め、国の
財政赤字を含めたその対比を三%、この目標に到達をしなければならないだろうと、こういうことであります。
御案内のとおり、アメリカ合衆国の目標、EUの
主要国の目標、それに向けて、二〇〇一年でありますとか二〇〇〇年まででありますとかという厳しい目標達成年を明言しながらスタートを切っておるところであります。
我が国は二〇〇五年というところに目標を置いたわけでございますが、しかしこれとてもできるだけ早い機会に健全体質に戻っていかなければならないということであります。それには、この公債依存度の引き下げを断行することであろうということでございます。これらの目標を達成することは、後ほど申し上げますが、九年度はもとより十年度以降、聖域のない歳出カットをしていかなければなりませんし、この
努力が引き続き求められておるわけであります。
なぜこれだけのことが、先進各国だけではなくそれぞれの国家が目標を立てるということでありますと、現世代の受益が
国民負担をはるかに超えて行うということは決していいことではございませんし、それ以上に
国民の一体化というものに大きな問題を投げかけるものでございますから、やはり現世代とすればこの問題、目的達成のために痛みを伴うだけではなく血が出るかもしれません。これにあらゆる観点からメスを入れることによって取り組んでいかなければなりません。
そして、初年度である
平成九年でございますが、そのことを踏まえまして全体としての歳出規模を厳しく抑制することにまず努めたところでございます。この結果、消費税国庫負担分の増加などの特殊要因、いわゆる上がりますと国も消費税を払わなければいけませんから、四千億円を歳出に計上したわけでございます。そういう中で、九年度の
一般歳出は一・五%の増ということでございましたが、これは
財政健全化目標を達成するために定められました名目経済成長率よりも低く抑えるという原則を忠実に守りながら、三・一の名目成長に対し一・五ということであります。
ちなみに、
平成八年度
予算編成の際には、対前年比二・四というシェアであったことは御記憶のとおりでございます。消費者物価、九年度の見通し一・六と言われておりますが、この点を下回る倍率になったということでございます。
財政赤字の縮減につきましては、健全
財政の目標といたしまして、ただいま申し上げましたとおり現世代の受益が負担を上回る
状況は解消しなければなりません。そういう意味で、国債費を除く歳出を租税等の範囲内とするということであります。さらに、二〇〇五年、
平成十七年でありますが、できるだけ
早期に特例公債依存から脱却するために公債依存度の引き下げを図るということで
努力をいたしたところでございます。
この公債依存からの脱却後、公債残高が累増しない
財政体質を速やかに構築していかなければなりません。九年度予算において既に一つの問題、ただいま申し上げました租税等の範囲内ということは達成をいたしたわけでありますが、
平成十七年度、二〇〇五年の特例公債からの脱却につきましても、八年度で十二兆円を上回る特例公債が発行されておったわけでありますが、九年度においては七・五兆ということで縮減をいたしたところでございます。目標値とすればまさに元年にふさわしい縮減額四・五兆円であったことは御案内のとおりであります。また、八年度の二八・〇%の公債依存度から今回は二一・六%、こういうことに引き下げたわけでございます。
これらを勘案いたしますと、九年度予算の
制度改革の内容、
財政赤字の縮減の両面から
財政構造改革元年予算ということで御評価をいただけるものと、こういうふうに思っておるところであります。
いずれにいたしましても、あくまでも初年度にすぎません。マスコミ
報道を昨日、今朝来拝見いたしております。また、御指摘をいただきました。ミドルで見ていただかなければなりません。初年度は初年度で決意表明に値するそれぞれの切り込みをやらせていただいたところでございます。しかしながら、御案内のとおりに、十年度の
予算編成に三月以降入るわけであります。そして、八月には概算
要求基準が明示をされて十二月と、こういうことで、年が明けますと早々にそういう準備態勢に入るということであります。
私は昨日の閣議におきましても申し上げたわけでございますが、次の
平成十年度
予算編成に向けて早い時期から歳出の全般的見直しに取り組むと同時に、一層厳しい概算
要求基準を設定することによりましてさらなる歳出削減の実現を図ってまいりたい。まさに、将来の世代に負担を残さない
財政構造をつくり上げますことが現下の政治、社会、経済全般にわたって活躍をいただいておる現世代の役目であり、ましてや
政府が預かっておる
予算編成権を握る者として、また全体として、本件は
国会両院の議員各位に、置かれておる
現状の御
理解を賜りながら、その目標を達成してまいります。
日本はどこに行くのだろうかという、最近、極めて憂慮すべきことが
外国評論家、
外国の学者から飛び出すようなことであります。そのことを肝に銘じながら、九年度予算を元年に、スタート台にふさわしいものにするために、議員各位の、与党の
皆様方の特に御辛抱、御
努力をいただいたわけでありますが、まさに正念場は十年度
予算編成でありますから、新春早々にその態勢に入って、結果として
努力を実らせるようにしてまいらなければならぬと思っておるところであります。