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国務大臣(
池田行彦君) お答えになりますかどうですか、必ずしも自信がございませんけれ
ども。
考えてみますと、
人間の諸
活動、経済
活動から文化
活動からあるいは政治
活動、あらゆるものを含めまして、割に
一つの国、
国民としてまとまってとらえられたという時代がいわゆる
国民国家の時代、近代から現代だったかもしれないと
思います。
最近の状況というのを見てみますと、
委員も御
指摘なさいましたように、経済は文字どおりグローバリゼーションということで、全
世界を全く
一つのものとしていくという流れがとうとうとして進んでいるわけでございます。また一方、政治あるいは防衛、安全保障という
観点から申しますと、いわゆる米ソニつの超大国がきちっと抑えておったその枠組みがとれまして流動化してきた。そういう中で、国家連合と言っていいのかどうか、要するに幾つかの国が地域的にまとまりながら安全を確保していこうという動きがあちらこちらにあるというのはそのとおりだと
思います。
そういった状況でございますので、一面で見ますと、例えば経済の方なんかに注目していきますと、いわゆる
世界全体が
一つになっていくという流れがずっと顕著である。ところが、政治とか安全保障という面を見ますと、むしろ冷戦構造が壊れたということの効果として、それぞれの国が
自分の安全を考えながら地域的に手をつないでいこうという動きをするというので、国家というものがいっときよりもむしろ存在が際立ってきた、そんな状態にあるんじゃないかというふうな気がいたします。
さて、そういった中で、EUにつきましては確かに経済の面から始まってその他の面につきましてもずっと統合が進んでいって、ある意味じゃフュージョンじゃないか、融合じゃないかという言われ方をされるところもございますけれ
ども、非常にいろんな面での結びつきが評価されておりますので、これは将来の
世界に与える
影響という
観点からも大きな
関心を持って見守るべき存在だと、こう思っております。
それから、
中国でございますけれ
ども、もともと
中国は
中国ではなくて中華ではないかということを言われることもあるぐらいでございまして、あれだけ大きな国でございます。それは地理的に申しましても、また人口から申しましても、そしてまたその中には非常に多様な要素がございますし、例えば経済社会の発展段階から申しましてもいろんなものが混在しております。それだけに、
中国自身が
一つのものとなってこれから進んでいくという点でも、いろいろな
解決できなくちゃいけない、克服していかなくちゃいけない問題、
課題を抱えておるんじゃないか、こんな気がいたします。
それから、他方、そういった
中国が一体となってさらに周辺の国との間に統合というか関係を強化していく、そういうことがあり得るかどうかというのが御質問の
一つだったと
思います。
その点については何とも申せませんけれ
ども、近年、とりわけここ二、三年、いろいろな地域的な結びつきでございますね、APECにいたしましてもあるいはARFにいたしましても。そういったものに対する
中国の
関心と申しましょうか、あるいはかかわり方が従来よりもかなり積極的になってきたんじゃないか、こんな気がいたしております。ことしのAPECの会合でも極めて積極的に発言をしておりました。従来の
中国でございますと、
自分のところにかかわりのある問題についてだけ発言して、そういったリージョナルな枠組み全体のあり方についての発言は少なかったのでございますけれ
ども、そういうものが出てきたというのがここのところの特徴じゃないかと
思います。
さらに、それが経済面を主体とするAPECだけではなくてARF、これは信頼醸成、そして予防
外交、将来的には安全保障の面で
役割を果たせるんじゃないかと期待されている枠組みでございますが、そこでも
中国が積極的に
役割を果たそうとしている。例えば、信頼醸成に関するワーキングパーティーがございます。これまで
日本が共同議長をやっていたのでございますが、来年からは
中国が
自分がやろうといって手を挙げてきたということがございますので、確かに
中国が近隣の諸国との間の関係を積極的に考え
行動していこうという
傾向が顕著になっているということが言えるんだと
思います。
そして、私
どもも基本的に
中国のそういった
姿勢というものは歓迎すべきものだと、こう思っております。プラス・マイナスいろいろございましょう。しかしながら、
中国がこういったアジアあるいは
アジア太平洋という地域の本当に
建設的な、そして積極的な
役割を果たしていくメンバーとしてみずからをきちんと位置づけていくということがこの地域の安定なり平和にとっても基本的に有意義なことだと
思います。そういった
中国の動きを肯定的にとらえながら
我が国としても対応すべきものである、こんなふうに考える次第でございます。
これはリージョナルな問題だけじゃなくて、例えばさらにグローバルな枠組み、現在もやっておりますが、WTOなんかにつきましても
中国がそれに加盟の申請をしており、
我が国もそれを積極的に支援していこうということにしていることは御承知のとおりでございますが、地域的なものであれグローバルなものであれ、
中国をそういった枠組みの中にきちんと位置づけていくということはいいことだというふうに基本的に考えているところでございます。
それから、APECとおっしゃいましたけれ
ども、ASEAN初め東南アジアの国を中心として、
アジア太平洋の国々がどういうふうにこれに結びついていくかということでございますが、これはいろいろございますけれ
ども、それぞれの国は非常に多様性を持っておりますし、また経済社会のいろんな構造から申しましても、その地域だけではなくて、例えばアメリカあるいはヨーロッパ、その他の地域ともいろいろ関係を持っていかなくてはその存立は難しいという性格があるんじゃないかと
思います。
そういった意味で、ヨーロッパだとかあるいはラテンアメリカなんかであるような、まず内向きにしっかりと固めていくという方向ではなくて、お互いの連携も強化はしてまいりますけれ
ども、常に外に対しても開かれた、オープンな枠組みとしてこれからも歩んでいくんじゃないかなと、そんなふうに考えている次第でございます。
突然の御質問でもあり、甚だ頭の整理ができていないお答えで恐縮でございますが、いわば感想めいたことをお答えさせていただきました。