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1996-12-06 第139回国会 衆議院 予算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成八年十一月二十九日)(金曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。   委員長 深谷 隆司君    理事 小里 貞利君 理事 高橋 一郎君    理事 中川 秀直君 理事 藤井 孝男君    理事 愛知 和男君 理事 権藤 恒夫君    理事 中沢 健次君 理事 穀田 恵二君       相沢 英之君    石川 要三君       臼井日出男君    江藤 隆美君       尾身 幸次君    越智 伊平君       越智 通雄君    大原 一三君       菊池福治郎君    斉藤斗志二君       桜井  新君    島村 宜伸君       関谷 勝嗣君    高鳥  修君       葉梨 信行君    松永  光君       村上誠一郎君    村山 達雄君       谷津 義男君    愛野興一郎君       石井  一君    石田 勝之君       岩國 哲人君    太田 昭宏君       岡田 克也君    北側 一雄君       小池百合子君    左藤  恵君       田中 慶秋君    中井  洽君       二階 俊博君    平田 米男君       生方 幸夫君    海江田万里君       仙谷 由人君    日野 市朗君       志位 和夫君    不破 哲三君       上原 康助君    北沢 清功君       船田  元君 ————————————————————— 平成八年十二月六日(金曜日)     午前九時二分開議 出席委員   委員長 深谷 隆司君    理事 小里 貞利君 理事 高橋 一郎君    理事 中川 秀直君 理事 藤井 孝男君    理事 愛知 和男君 理事 権藤 恒夫君    理事 二階 俊博君 理事 中沢 健次君    理事 穀田 恵二君       相沢 英之君    飯島 忠義君       石川 要三君    石崎  岳君       今村 雅弘君    臼井日出男君       江口 一雄君    江渡 聡徳君       江藤 隆美君    尾身 幸次君       越智 伊平君    越智 通雄君       大原 一三君    菊池福治郎君       岸本 光造君    熊谷 市雄君       斉藤斗志二君    桜井  新君       島村 宜伸君    砂田 圭佑君       関谷 勝嗣君    高鳥  修君       葉梨 信行君    松永  光君       村上誠一郎君    村山 達雄君       谷津 義男君    柳沢 伯夫君       愛野興一郎君    石井  一君       石田 勝之君    岩國 哲人君       太田 昭宏君    岡田 克也君       北側 一雄君    小池百合子君       左藤  恵君    田中 慶秋君       中井  洽君    野田  毅君       平田 米男君    家西  悟君       生方 幸夫君    海江田万里君       菅  直人君    仙谷 由人君       日野 市朗君    児玉 健次君       志位 和夫君    松本 善明君       矢島 恒夫君    上原 康助君       北沢 清功君    船田  元君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 松浦  功君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         文 部 大 臣 小杉  隆君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  藤本 孝雄君         通商産業大臣  佐藤 信二君         運 輸 大 臣 古賀  誠君         郵 政 大 臣 堀之内久男君         労 働 大 臣 岡野  裕君         建 設 大 臣 亀井 静香君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      稲垣 実男君         国 務 大 臣 久間 章生君         (防衛庁長官)         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近岡理一郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石井 道子君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  吉井 一弥君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         内閣総理大臣官         房審議官         兼内閣審議官  安藤 昌弘君         内閣総理大臣官         房管理室長   榊   誠君         阪神・淡路復興         対策本部事務局         次長      生田 長人君         公正取引委員会         事務総局審査局         長       矢部丈太郎君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         総務庁人事局長 菊池 光興君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         防衛庁参事官  山崎隆一郎君         防衛庁参事官  澤  宏紀君         防衛庁参事官  藤島 正之君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         防衛施設庁建設         部長      竹永 三英君         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         経済企画庁物価         局長      河出 英治君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         経済企画庁調査         局長      中名生 隆君         環境庁長官官房         長       岡田 康彦君         環境庁自然保護         局長      澤村  宏君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵大臣官房審         議官      永田 俊一君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         国税庁次長   堀田 隆夫君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部大臣官房総         務審議官    富岡 賢治君         文部省生涯学習         局長      草原 克豪君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      小林 秀資君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省薬務局長 丸山 晴男君         厚生省社会・援         護局長     亀田 克彦君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         厚生省保険局長 高木 俊明君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省農産         園芸局長    高木  賢君         食糧庁長官   高橋 政行君         林野庁長官   入澤  肇君         通商産業大臣官         房長      広瀬 勝貞君         通商産業大臣官         房審議官    藤島 安之君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁石油部長   林  良造君         運輸省運輸政策         局長      相原  力君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         郵政大臣官房総         務審議官    高田 昭義君         労働大臣官房長 渡邊  信君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局総務部長  涌井 紀夫君         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ————————————— 委員異動 十二月六日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     砂田 圭佑君   尾身 幸次君     飯島 忠義君   越智 通雄君     江口 一雄君   斉藤斗志二君     柳沢 伯夫君   島村 宜伸君     岸本 光造君   高鳥  修君     今村 雅弘君   葉梨 信行君     石崎  岳君   村上誠一郎君     江渡 聡徳君   村山 達雄君     熊谷 市雄君   石田 勝之君     野田  毅君   生方 幸夫君     家西  悟君   仙谷 由人君     菅  直人君   志位 和夫君     児玉 健次君   不破 哲三君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     尾身 幸次君   石崎  岳君     葉梨 信行君   今村 雅弘君     高鳥  修君   江口 一雄君     越智 通雄君   江渡 聡徳君     村上誠一郎君   岸本 光造君     島村 宜伸君   熊谷 市雄君     村山 達雄君   砂田 圭佑君     臼井日出男君   柳沢 伯夫君     斉藤斗志二君   野田  毅君     石田 勝之君   家西  悟君     生方 幸夫君   菅  直人君     仙谷 由人君   児玉 健次君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   松本 善明君     志位 和夫君 同日  理事中西啓介君十一月二十五日委員辞任につ  き、その補欠として二階俊博君が理事に当選し  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  予算実施状況に関する件      ————◇—————
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 深谷隆司

    深谷委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事に二階俊博君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 深谷隆司

    深谷委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  予算実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 深谷隆司

    深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  6. 深谷隆司

    深谷委員長 予算実施状況に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  最高裁判所涌井総務局長から出席説明要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 深谷隆司

    深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  8. 深谷隆司

    深谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川秀直君。
  9. 中川秀直

    中川(秀)委員 広島県第四区選出の中川秀直であります。  新制度で行われた総選挙後初の予算委員会で、与党第一党、自由民主党を代表して質問に立たせていただくことは、私にとりましても大変な名誉でありまして、同僚議員皆さんに感謝を申し上げたいと存じます。  総理、昨日は、沖縄訪問東アジア社会保障会議大変御苦労さまでございました。  現下の諸問題について私なりの考えを申し上げ、質問の方は端的にお尋ねを申し上げたいと存じますので、要点だけで結構でございますから、総理初め関係大臣によろしくお願いを申し上げたいと存じます。  きょうはテレビでもこの質疑が中継をされておりますので、私は実は、我が国が今直面している大変な財政危機先進国でも一番悪い状態になってしまったということ、これは私ども立法府にも大きな責任がございます。こういうことが言われてまた随分時間もたつのでございますが、国民皆さんにとってこの財政危機国民生活にどういう影響があるかということについては、十分御存じない方も随分いらっしゃると私は思います。  そこでボードを使って、この際、お尋ねする前に簡単に御説明を申し上げたいと思っております。  総理初め委員皆様方にはお手元資料をお配りしておりますので、ごらんをいただきながらお聞き取りを願いたいと存じます。  まず、我が国長期債務でございますけれども、国の長期債務の方はついに三百二十兆円、地方債務残高は百二十六兆円。これ、ダブルカウントしたものを引きましても、ついに四百四十二兆円という、一年間の国内生産GDPの約八九%というところまでやってまいりました。国民一人当たりに直しますと約三百五十二万円、夫婦子供二人の家庭ですと、実に千四百八万円という数字になっているわけであります。  今、全世界の開発途上国累積債務、これも大きな問題になりつつございますがこれが百八十兆円でございますから、我が国の国、地方債務というもの、借金というものがその実に二・五倍に達しているということになっているわけでございます。  続きまして、これ以外にも処理をしなければならないという借金が、政管健保の棚上げ債務あるいは旧国鉄の長期債務、合わせまして四十三兆円ございます。前と合わせますと四百八十兆という、そういう数字になってくるわけでございます。  実は、この利息がどのくらいかかっているかということでございますが、これは国の方の三百二十兆に対する利息でございますが、一日当たり三百二十億円、一時間当たりでは十三億円、一分当たり二千二百万円という利息になっております。本日、私は二時間の予定でお尋ねを申し上げるわけですが、その二時間のうちにも金利だけで二十六億円という、そういった国費が必要になってくるわけでございます。  さて、そういう中で、ややこれは小さい字で申しわけないのですが、高齢化ピークに達する二〇二五年の我が国経済財政の展望、経企庁通産省あるいはアメリカ議会予算局CBO、こういうものが分析をしたものを比較をいたしましても、これは大変なことになっております。  高齢化ピークに達する二〇二五年の我が国債務、このまままいりますと、経企庁推計でそのときの国内生産の一五三%、通産省推計で一七五・二%。また、その年の単年度の財政赤字は、一年間の国内生産GDPの一四・七%というのが経企庁推計で出ておるわけであります。  そうなりますと、実は、経常収支日本国際収支でございますが、そのころにはやはりこれとあわせて赤字化をする。そして、今は債権国でございますが純債務国に転落をして、国民が汗を流した果実である国内生産の多くが海外への利払いで流出するようになる。その経常収支赤字幅が、経企庁推計で一四・三%、通産省推計で四・七%という数字になります。実は、このまま放置すると、二〇二五年、本当に高齢化ピークに達する我が国で、双子赤字という状態になるわけであります。  双子赤字と言われた八〇年代のアメリカで、経常収支が最も悪化した一九八七年に経常収支マイナス三・五%でございました。財政収支マイナス三・一%であったわけでございます。それが、実はこのボードでおわかりのとおり、日本は七%から一四%の財政赤字、そして経常収支は五%から一五%ぐらいの赤字になるわけですから、あの危機と言われたアメリカ双子赤字よりもはるかに倍する、あるいは三倍する、そういった事態を迎えてしまうわけでございます。  高齢化に伴います貯蓄率低下もございます。したがいまして、そのころには、双子赤字のもとで金利も高騰する、国内の投資も減退をする。長期金利は、経企庁推計では二〇一一年から二五年の平均で七%。そうなりますと、経済成長は大幅に鈍化をして、国民生活レベル低下をする。一人当たり実質所得は減少に転じまして、さらに勤労者一人当たり手取り所得伸び率も完全にマイナスになる。通産省推計ではマイナス〇・三%ということですが、これは少しどころか大いに甘い推計だと思います。  なぜかと申しますと、これはアメリカ議会予算局アメリカ自身について推計したもの、多少関連がございますから申し上げるわけでございますがアメリカ自身は、ベビーブーマー世代が退職をし始めます二〇一〇年ごろから、高齢化の進展によって財政赤字はまた大幅にふえていくだろう。そうなりますと、二〇三〇年には財政赤字GDPの三七%に達する、そして長年当然と考えていた生活水準の向上が低下に転ずる、そして著しい金利の高騰、さらには景気後退株式市場の崩壊を引き起こし、国民は大恐慌におびえ、消費の切り詰めに走るといった事態も生じ得る、かように書いております。  そのときのアメリカの二〇二五年の長期債務の対GDP比が一七四%。先ほど、通産省推計でも、日本の場合も一七五%近くになると言いましたが、このアメリカ議会予算局が言っているとおりの事態日本にも起こってくるわけでございます。  しかも、高齢化ピークは、実はこの下の段にございますけれども、これはアメリカ議会予算局の表現でございますが、なお高齢化については、米国先進諸国よりは恵まれた状況にある、日本においては二〇〇五年から米国以上に厳しい財政赤字の拡大が見込まれる、こう言っておるわけであります。  つまり、高齢化ピークは、アメリカが、六十五歳以上の人口比率生産人口の二十−六十四歳人口の中で三五・七%になるというのが二〇三〇年であるわけでありますが、しかし日本の場合は、それが二〇一〇年になる。つまり、二十年も早く来るわけでございます、事態アメリカを上回ってはるかに深刻、こういうことに相なるわけでございます。  さて、そういう中で、これはいわゆる国民負担率その他でございますが、実は最近、国民負担率については、税金社会保険料負担、これを国民負担率と言っておりましたが、その国が持つ財政赤字も足して、潜在的な国民負担率、こういう統計をとるようになってまいりました。  その国民所得に対する比率が現在は三十数%と言われておりますけれども、これが日本の場合、二〇〇〇年には経企庁推計でも通産省推計でも四割前後になる、二〇一〇年には四五、六%前後になる、二〇二五年にはこのように五一・五%から五六・四%になる。さらに、それに財政赤字を足した潜在的国民負担率は実に七三・四%、通産省推計でも六五・九%と、まさにもう働いても六割、七割は国民がそういった税金やあるいは社会保険料財政赤字の穴埋めのために支払っていかなければならない、こういうことになってしまうわけでございます。  これからこういうことを避けるためのいろいろなことを申し上げますが、最後にもう一点だけ申し上げたいと思いますのは、実はこれはある種の思い切った推計であるわけでございますけれども、ちょっとこれ、選挙のときのボードを使ったもので変なものがついていて、野党の方には御不満でしょうが、慌てたものですから。こっちへ向けたいところでございますが……。  これは一般政府債務の対GDP仮定計算であるわけでございます。お手元には資料があると思いますが、実は一般歳出、国の歳出をそのまま伸ばしてまいりますと、このように今申し上げたような事態になっていってしまう。つまり、財政赤字の結果、それを積み重ねていく残高というものが国内生産の二一八%といった方向、さらには先ほど言ったように一五〇%、一七〇%といった方向に二〇二五年、高齢化ピークまで向かっていってしまうわけであります。これは自然歳出伸び率を毎年三・八%といった場合であります。この一般歳出伸び率を二・四%にしましても、実に国内生産とほぼ同じぐらいになってしまう。さらには一般歳出伸びをゼロにして、西暦二〇〇〇年ぐらいで一〇〇に近づいて、その後下がっていく。これが平成十八年でございますから、そういうふうになってまいります。一般歳出伸び率マイナス五%にして初めて六割を切る。  実は今、欧州連合が、EUがユーロという共通通貨を目指しておりますが、その共通通貨の同盟に加入する参加条件は、一般政府債務いわゆる長期借金のその債務残高GDP比が六割以下、こういうことになっていることは御案内のとおりでございますが、我が国がそれを達成していこうと思うと、一般歳出を毎年五%ずつ削っていかなければならない、こういう厳しい推計になっていくわけであります。  さて、ここで、このような状況にある我が国財政を例えば家計に例えてみますと、まず今年度の、八年度の予算、この税収及び税外収入を合わせると五十四・一兆円でございますが、仮にこれを年収五百四十一万円の家計である、こう考えます。大体平均五・二カ月分をボーナスといたしますと、毎月の月収は約三十一万円ということになります。ボーナス時も通常の月と同率で田舎への仕送りや住宅ローンなどの返済を行うとすると、月々三十一万円の収入のうち、八万円は地方交付税交付金に相当する田舎への仕送り、そして九万円は国債費に相当する住宅ローンなどの元利払いに充てるために消えてしまう。実際使えるお金は十四万円程度しか残らない。しかしながら、一般歳出に相当する月々の生活費としては二十六万円が必要だということですから、三十一万円の月収では到底賄い切れず、不足分の十二万円もの金額が国債というクレジットカードによって支払いに充てられるという状況でございます。  この結果、ただでさえ膨大なローンを抱えているのに、ローンの残高がますます膨らんでいって、到底自分の時代だけでは払い切れないということで子供たちに膨大な借金を残していく、そういうまさに火の車の状況日本の国と地方財政状況がなってしまったんだということになると思うのでございます。  さて、総理、私どもは今回の総選挙国民皆さんから大変大きな温かい支持をいただきました。しかし、それでも二百三十九議席、過半数いただいたわけではございません。その意味で、私どもは常に謙虚に国民の声に耳を傾けながら、また民意を吸収して、その実現に努めていかなきゃいけない。特に最大課題の行革は、国民の理解を得ることが不可欠であるし、また困難も多いだけに、超党派でこれを実現していかなきゃいけない、またそうしなければ実現できるものではない、このように考えます。  しかしながら、総理は、最近の世論調査の内閣支持率五十数%台、また上がって、内閣発足当時の水準に戻られた。それだけ国民の多くは、行政改革を初めとする総理の掲げる五つの改革について総理のたぐいまれなリーダーシップの発揮を望んでいるわけでありまして、私ども自民党も、どんな努力をしても日本のためにこの総理の改革を支える。したがって、総理御自身も、決断と責任でどんどんこれらについての政治的なメッセージというものを発せられるべきだと思います。  しかし、同時にまた、国民に訴えていくことが非常に大事だ。暮らしを守るためにもこの改革をやらなければならないこと、それには痛みを伴うものであることも、そして、今やらなければ先ほど来御説明をしたように大変な事態を招いてしまうということを、決意を込めて訴えていくことが本当に大事だ、このように私は考えます。  実は、総理の尊敬される佐藤栄作首相、この佐藤内閣のときに、まあ内遊という言葉が悪いということで国内視察、その後一日内閣というふうに表現を変えられましたが、直接ブロックヘ出かけていって一日内閣をやるといったようなことも取り組まれたことがあるわけでございますが、このようなことも含めて、国民の理解、協力を得るために全国数ブロックでそういうものも催されてみてはいかがか、このように考えますが、お考えはいかがでありましょうか。
  10. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員からお述べになりました数字、これに多少私なりにつけ加えさせていただきますと、選挙中、私は、国と地方との債務、それを大体四百四十兆円と申し上げてまいりましたが、正確には、今議員からも御指摘がありましたように約四百四十二兆円に上るものがあります。そして、これは国民一人当たりに直してみますと、そのころ私は三百五十万円ぐらいと申し上げておりましたが、三百五十二万円に当たります。言いかえれば、夫婦子供二人の御家庭であるならば約一千四百八万円という債務を負うという計算になります。そして、こういう状況の中でなお赤字国債を増発していくようなことはやめなければならない、私はそう思うということを一生懸命に訴えてきました。一遍にゼロにはできません。しかし、何とかしてこれを減らしていかなければならないという状況にあることは、議員が御指摘のとおりでございます。  そして、今回この第二次内閣の発足に当たりまして、行政改革とともに財政構造改革、金融システムの改革、そして社会保障構造改革等々、私は五つの改革ということを訴えてまいりました。そして、ただ単に財政構造改革だけを行ったのでは、先ほど議員がお示しになりましたグラフの中で、例えばEUの基準を満たすというところまではまいりません。我々は、本当に少子・高齢社会というものの形に合った社会保障構造改革も進めなければなりませんし、それにはそれに耐えられるだけの経済を再建しなければならないわけでありまして、経済構造改革も、これをあわせて進めていかなければならないという厳しさがございます。  そして、当面それぞれの改革というものは間違いなしに痛みを伴うものでありますし、また非常に厳しい経済運営を強いられる場面もございます。しかし、それを乗り切っていかなかったら国が破産してしまう、そんな状態で次の世代に国を引き継ぐことはできない、そうした思いで全力を尽くしてまいりたいと思います。  一昨日から昨日にかけまして沖縄県を訪問しました機会にも、私は基地所在の市町村長さん方との懇談の場は持つことができました。さまざまな機会に国内でより多くの方々にお目にかかりながら、それぞれに御相談もかけ、訴えていくことは訴えていき、協力を願う、そのような努力は続けたいものだ、そのように思います。
  11. 中川秀直

    中川(秀)委員 ぜひそうお願いを申し上げたいと存じます。  さて、今お触れになった行政改革ですが、現内閣では、行革委員会あるいはまた行革推進本部、各委員会が精力的な提言を今取りまとめておられまして、きょうも大きな報告が新聞に規制緩和で出たとおりでございますが、それ以外にも、二十日には地方分権・地方行革委員会の報告がある予定だそうでございますし、官民活動の分担意見の報告も、十三日でございますか、予定をされている。財政審も年内にいろいろな御意見を出される。また、情報公開の御意見も行革委の中から出される。次々とそういうような報告がなされてくる予定でございます。  実は、先ほどちょっと私申し上げましたが、行革には本当に幅広い勢力の人々の協力が欠かせません。アメリカのクリントン第二期政権は、財政赤字削減がやはり重要な政策の最初に来る、こう言われていますが、その財政赤字削減について、超党派の取り組みをクリントン大統領は訴える意向であると伝えられております。場合によっては、共和党からも閣僚を迎えようという話も出ているということでございます。  実は、今次の総選挙において各党の公約というものを、私はこの質問に当たって見てみました。行政改革に関連しては、ほとんど変わりがございません。基本方向も全く皆同じでございますし、また同時に、この目指すものも、多少のでこぼこはございますけれども、一々それを御紹介はいたしませんが、本当に霞が関改革、中央省庁の再編についても、あるいはまた国の役割のスリム化、財政再建についても、あるいは規制緩和についても、特殊法人をある一定限度の期間内に集約化しよう、サンセット化、つまり役割を果たし終えたものはやめていこう、エージェンシー化、我が党もそういう公約を掲げ、各党も掲げておられる。皆、地方分権にしてもそうでございますし、また官邸機能の強化という点でも同じでございます。  私は、まさにこの各党の公約は、最大公約数どころ合わせで言うわけじゃありませんが公約を全部突き合わせても八割まで皆最大公約数としてまとまれるものだ、このように思います。  今、国民が陥っている政治あるいは行政に対する不信、これを払拭するためにも、今国民はそれを辛うじて願っているのじゃないか。それぞれ各党がそれだけの公約を掲げたならば、お互いに協力して一日も早くやってくれということを願っているのじゃないか。まして、今我々は、この国会は、国民の民意は非常に微妙な数字をこの議会に与えた。まさに野党も大きな責任を持つ。そういう中で、私は、超党派でこの行革を推進しなければすべての政党が否定をされる、次の総選挙は投票率が三割とか、そんな事態を迎えてしまうと思います。  そういう意味で、総理、私は、公約実現の協議の場をこの立法府の中に設ける、委員会審議とは別に設けるという取り組みがあってもいいと思うし、また、総理御自身のところの行政府においても、全閣僚が参加している行政改革推進本部と同様の、各党首、責任者から成る超党派の行革推進本部などを設けて御意見を聞かれる、それはもっと手前で党首会談でもというなら党首会談でもいい、ともかく、そういう取り組みをお呼びかけになるべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  12. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員から御指摘のありました点は、私自身、本当に国会に対してもお願いを申し上げたい、また院を構成する各党各会派にぜひお願いを申し上げたい思いの点であります。そして、本院で既に設置が決定されております行政改革に関する特別委員会というのは、私は、まさにそうした趣旨でおつくりをいただいたものだと解し、内心喜んでおりました。  と申しますのは、行政改革という言葉、大変大きな幅の広いとらえ方をなさる方から、特定の部分に着目されてポイントを絞り込んで御議論をいただく方、いろいろな方がございます。どれも実は大事なことばかりでありまして、逆に言えば、それだけ今の行政の仕組みというものが複雑多岐にわたってしまった。複雑になり過ぎて、本当にどこがどうなっているんだかわからないような部分もあります。これをいかにして簡素な、効率的なものに生まれ変えさせることができるか、これが何といいましても一番大事なことでありましょう。  そして、そのためには、国民皆さんの中にもいかにしてコンセンサスをつくり出すかという努力は、当然我々も払ってまいります。各党各会派におかれてもそうした御努力をぜひお払いをいただきたい。そして、違いを強調するのではなく、お互いの意見の合うことを中心にしながら、この行政改革という目的を達成できるようにぜひ御協力をお願いを申し上げたいと思います。
  13. 中川秀直

    中川(秀)委員 一つ例を挙げてみたいと思いますが、いわゆる国会に行政監察、行政監視の何らかの機能、機関を設けたらどうか。こういうことについても、我が党も今の行政の自己検証体制の確立は十分だとは考えていない。  党の公約では第三者評価・監査制度を導入すべきだとうたっておりますし、まあ新進党も同じようなことを言い、また民主党は、後ほど御質問もあるのでしょうが、アメリカの会計検査院、これは議会、立法府に置かれているものですが、GAOと言っております、これを国会に行政監視評価委員会といったようなことで設けたらどうか、こういう御提案がございます。社民党もさきがけも似たような公約をなさっている。私は、これについても柔軟に、もう公約も似たようなものですから、つくられたらいいのではないかと考えます。  行政府に行監局は必要と総理もおっしゃっている、私はそれはそうだろうと思います。内部監査も当然必要であります。しかし、今それが機能を十分果たしているかというと、今日の事態はそうは国民は思っていない。それにこたえるためにも、そういった機能を設けるということはやはり重要なことだと思います。  私は、そういう中で、今の総務庁の行政監察局も大蔵省から来たり、人がもう皆来るわけですね、集まっておるわけです。しかし、利益が相反するそういう人事交流というものは、省益をなくすために人事交流といいますが、相互監視しなければならないところの人事交流というのは、私は慎んだ方がいいのではないか、こう思います。そういう上で、また国会は国会でそういうものを設ける。  今参議院の方でも、国会の行政監視機関については、実効性ある仕組みをつくるために、行政内部では限界があるからということで、検討が参議院の調査会の中で行われておりますが、アメリカのGAOの内容をいろいろ全部読んでみましたが、確かにやはりこういうものが今後なければ国民の行政に対する信頼はなかなか回復できないな、こういう感じも強くいたすものでございまして、この日本版GAOの実現にも柔軟に取り組むべきではないかと思いますが、総理のお考えはいかがでしょう。
  14. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今まで国会のことを政府が御答弁をして、いつも僭越であるとおしかりをよく受けました。そして私自身、院のことについては院で御判断になることと今まで申し上げてまいりました。  その上で、あえてのお尋ねでありますから申し上げますなら、私は、国会がむしろそうした機能を充実されるということに全く異論を申し上げているのではありません。むしろ従来から、国会の機能を高めるために、例えば調査室のあり方といったことも随分議論になりました。そして、調査室のメンバーを個別委員会に張りつけるというよりも全部をまとめて調査能力を高めるのはどうだといった御議論もあったことを、私自身もその中にいたことがございますから、よく存じております。そして私は、国会が行政の監視機能というものを強化するという観点から、憲法の規定を踏まえて活動されるということはむしろ大切なことだと思ってまいりました。  同時に、私は、政府自身も自己監察の機能は持つべきだと思っております。そして、例えば郵政監察、あるいは警察における監察、国税の監察、こうした特定の部署に限定した監察と同時に、全体の行政監察も、私は自己努力として必要とするものだということを申し上げてまいりました。それは、私は国会の、憲法を踏まえた監視機能を強化されることに異論を申し上げているのではありませんということは改めて申し上げておきたいと思います。  ただ、私は、人事交流というのは実は本来、余り偏った行政にならないためにも、むしろある程度積極的に行うべきだと。これは、例えば中央省庁の諸君がそれぞれの省庁に入省し、そこでほとんどを過ごし、その世界のみのプロになっていくということが問題を含み得るものだということは、従来からも一つの問題点としてございました。それだけに私は、人事交流というものはむしろきちんとしたルールを設けて積極的に本来行っていくべきものではないだろうか、その方が全体の能力は向上するのではないかという気持ちは持っております。
  15. 中川秀直

    中川(秀)委員 総理、その点なんですが、これもアメリカの例で恐縮でございますけれども、そういう意味の人事交流と、例えばお互いにチェック・アンド・バランスでチェックしていかなければならないという機関間の人事交流とは分けておるのですね。  つまり、例えば今我が国の行政監察局には、先ほど申し上げましたように、人事交流の名目でいろいろな省庁から出向者がかなりいるわけでありますけれども、やはり自分が帰る役所の調査、監査に当たっては、あらかじめ情報が流れたり、あるいは多少、魚心水心となってしまう。それではいけないからということで、利益相反の、そういう機能の間の人事交流はやらないというのがアメリカの例でございます。そんなことも私は考えておくべきではないかということを申し上げたつもりでございます。  それからさらに、経済、景気のことについて二、三点お尋ねをするのでございますが、我が国の今の経済の現状ほど捕捉しづらいものは余りないと思います。  平成五年十月に景気は底を打った。こう言ったのでございますけれども、以後、月例経済報告でずっと、表現は若干違うものの一貫して回復宣言を続けているのですが、どうも国民にはその実感がない。まあバブル期の実感がまだ頭の隅っこに残っておって、その当時の状況とついつい比べてしまうから実感がないのかもしれませんが、本当に景気が回復しているのかどうか、半信半疑でいる人も少なくはないわけでございます。  私は実は、三日に経企庁から発表されたことしの七月−九月期の国民所得統計速報を拝見しましたが、前期比で〇・一%、年率で〇・四%成長ということでございますが、これは本当に低い数字だと思います。後半盛り返してくれて、何とかことしの政府見通し二・五%成長になることを心から願うものでございます。  景気対策として公共事業の重要性も私は認めておりますが、経済白書でことし政府が公共事業のことについていろいろ分析をされました。短期的に景気浮揚効果が、これだけ公共事業を追加しながら上がってこなかった理由、それも幾つか挙げております。  そしてまた、ケインズ没後五十年にことしは当たりますけれども、これまでのケインズ主義的な財政政策は、景気の後退時期に財政の、公共事業を初め赤字支出をふやして民間需要を刺激して、やがて相乗効果によって景気が回復するという、そういう景気循環論を前提とした経済政策であるわけですが、しかし、今回のバブル崩壊後の状況を見ると、ごらんのとおり、景気循環の規則性が経済の長期停滞で否定されるようだと、財政赤字がふえるだけでその効果は期待できないわけですね。そういうことに理論上なってしまうわけでございます。  そこで、経済白書は、通信インフラの生産力効果が高いことを指摘したり、いろいろな新しい分野に必要な予算を配分する重要性をうたったわけであります。そしてまた、自由民主党も公約で、創造的な経済活動による新たな産業分野の開拓が重要であるという認識から、研究開発や情報化の進展並びに新規事業を支える制度、環境の整備に取り組むと、こういう公約をうたったわけでございます。  私も、ついこの間まで長官在任中世話になった科学技術庁に対するエールも多少ございますけれども、総理、ことし概算要求で閣議決定いたしました。新設する経済構造改革特別措置並びに公共投資重点化枠、前者が三千億円、後者が五千億円でございますけれども、これをどのような形で配分するか。  私は、先ほど申し上げたような、国民のニーズに合う、そしてまた、真にそういった新しい経済構造の改革に資する、科学技術の基礎研究も含めまして、そういう分野に重点を置くべきだと、このように考えますし、国民生活のニーズということでいえば、まさに生活関連の分野、あるいは国際競争力を高めるような高速体系とかハブ空港とか、あるいはまた大型コンテナヤードとか、そういったものを視野に入れながら重点的に配分されるべきだと思いますが、いかがでありましょうか。
  16. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 まず、経済構造改革特別措置、これは二十一世紀に向けた経済構造改革を実現するための施策に活用するためにということで設け、私自身が全部に目を通しながらその政策の優先順位を定めて大蔵大臣に指示する、その宣言のもとに各省の要求を出させました。  見ておりますと、なぜこの枠を使って要求するんだと、少々私自身が唖然とするようなものもないわけではありません。逆に、確かにこういう分野に対して今までの方式ではなかなか予算配分はいかなかっただろうけれども、難しかったかもしれないが、今後継続して育てていけばここから新しいものが生まれる、そういう期待の持てるものもございます。  そして、今そういう中身の精査をしながら、内政室を中心に全部の洗い直しをして、本当に要求に値するものなのか、必要なものではあるけれども従来のルールの中で要求すればいいじゃないかというもの、そうしたものを今振るい落としの作業を実はいたしております。  一方、公共投資重点化枠につきましては、まさに委員が御指摘になりましたように、国民生活の質の向上に直結するそうした分野、また、次世代の発展基盤の整備など経済構造改革に資する分野、さらに、防災という視点から防災対策の充実などへの公共投資の重点化、こうしたものに対処するためのものとしてこの枠は設けました。  こうした趣旨を踏まえて、予算の編成過程においてきちんと対応していこうと考えております。党の御協力をもお願いを申し上げる次第であります。
  17. 中川秀直

    中川(秀)委員 次いで、公共投資一本だけの景気対策では、財政赤字を積み増すだけで、十分に効果的な政策とは言いがたいということは先ほど申し上げたわけですが、個人消費、住宅投資といった一般家計部門ですね、この家計部門の潜在成長力は、生産部門が陰りを見せているのとは逆に極めて大きく、適切な政策指導、誘導を行えば景気回復の先導的な役割を果たすと思うのでございます。  実は、来年四月には消費税率が五%に引き上げられる、これは、直間比率の是正また税の公平化や今後の、先ほど申し上げた財政赤字の削減、こういったことのためにかねてよりこの国会でこれを決定したということでございます。したがって、これはもうやむを得ない措置でございます。  しかし、これとあわせて、現在行われておる所得税減税、制度減税と特別減税と二階建てになっておりますが、これも同時期に、四月一日でこれを取りやめるということになりますと、実は民間の試算で実質経済成長GDPの成長率が消費税の引き上げで〇・七ポイント下がる。そしてまた特別減税が加わって、それに〇・二足されて〇・九%下がる。こういう見通しがおおむね一般的に出されているわけで、成長率は一%にとどまるだろうと言われております。  私は、仮に来年二%成長と見れば、これにもし医療保険の本人自己負担分一割アップがつながると、一・一%ぐらいそういうもので押し下げられますので、一%を割る可能性もあるということを考えますと、この特別減税の扱い、打ち切りの時期を、例えば来年いっぱいは続ける。これは九カ月延ばすということになります。あるいは平成十年度からする。一年ずらす。何かそういうようなことは考えてもいいのではないかなと、どうしても景気、経済のことを考えてそう思う次第でございますけれども、総理、いかがでありましょうか。
  18. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員が述べられましたように、確かにこの特別減税を取りやめました場合における景気への影響は、試算によれば〇・二ないし〇・三という双方の数字がございます。そして、私どもにとりましてこの数字が気にならないわけでは決してありません。同時に、これを継続するということによりまして、国、地方合わせますと二兆円の歳入の減、国だけでも一兆四千億円の歳入の減というものが生じます。そして、それにかわるべき財源というものを今見出せる状況ではございません。そうなりました場合に、そのところで赤字国債をまた追加をするのか、あるいは他の歳出でそれだけ削減の可能なものが果たしてあるか。そういう意味では、実は、来年の年度当初における景気の見通しとあわせまして、今極めて慎重な判断を求められるものでございます。  そして今、年末にかけての最終的な判断をしなければならないわけでありますけれども、私どもは本当に、特別減税の実施というものが危機的な財政状況というものをさらに悪化させる、そしてそれは、思い切って経済構造改革をあるいは財政構造改革を進めようとするその時期をいたずらに先延ばしする結果になりはしないか、こうした点におそれを持っておることも事実でございます。
  19. 中川秀直

    中川(秀)委員 総理の思いは私の思いでもございまして、慎重に慎重に、そういったすべてのことを考えて御判断なさらなきゃならぬということだと思いますが、他方補正予算の議論もございまして、これもまた重要なことでございますが、私は、個人の意見でもございますけれども、その補正予算の議論もあわせて、その中で少しでも財源がひねり出されるようであれば、仮に、本当に今申し上げましたように、半年でも時期をずらすということも視野に入れでいいのではないか、そんなことをあえて申し上げておきたい、このように存じます。  さらに、消費税の引き上げに伴いますいわゆる弱者対策、高齢者、低所得層に対する対策として、特別給付金の制度が現在五百億円予定をされておるわけでございますが、我が党もこれについては十分配慮して措置を講ずるという公約をいたしました。これについては引き上げるということで、やはりこれはもうしっかり公約どおり考えなければならぬ問題だ。私も、今次選挙でそのような点に努力するということを申し上げました。総理の御見解を伺いたいと思います。
  20. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 消費税の税率の引き上げに伴う臨時特別給付金につきましては、真に手を差し伸べるべき方々への配慮として、平成六年の九月に、生活保護世帯、老齢福祉年金等の受給者に対して一万円の臨時福祉給付金を支給させていただく。そのほかに、低所得の在宅寝たきりのお年寄り等に対しまして三万円の臨時介護福祉金を支給することが、これは既に決定をされております。これから恐らく国会におきましても、さまざまなこれに加えての御論議があろうと思いますが、私どもは一体どういう配慮をそのほかに可能であるか、そうした御論議の推移も今注視してまいりたい、そのように思っております。  約束をしたことは約束です。
  21. 中川秀直

    中川(秀)委員 ありがとうございます。与党の三党の間でもこれについては、一部新聞では四倍ぐらいに引き上げるという報道もなされておりますが、真剣に今検討して、政府にお願いしようということを今議論している最中でございますが、あえてそのことを申し述べておきたいと存じます。  さて、大蔵大臣、先般総理と会談をなさって、平成九年度予算においては三兆円赤字国債を減額するということを会談で確認をされたということでございますが、これはもう本当に過去最大幅の国債減額になるわけで、かつて二兆円減らしたことがございますけれども、三兆円というのは、これは本当に大変なことだと思います。事態は、これを実現することはなかなかそんな簡単なことではございませんが、そのことを決められたことは、私ども本当に心から賛同いたします。これをどのように実現するか、お考えがあったらお聞かせください。
  22. 三塚博

    ○三塚国務大臣 総理より、財政危機構造改革元年にふさわしい予算編成をと、こういうことです。その中の骨子は、御指摘のとおり、三兆円の赤字国債を減ずるようにと。  ちなみに、平成八年度一般会計予算で国債発行、公債費でありますが、二十一兆発行いたしております。そのうち、赤字国債と言われる分野、十二兆でございます。建設国債が九兆でございます。そして、片や元利償還分として、元金もそれに入るわけでありますが、ほとんど利払いでありますところの国債費、歳出に立っ分野でございますが、これが十六兆円。  簡単に対比をいたしましょうか。仮に十二兆赤字国債を発行して、なおかつ今日までの国債発行に対する元利償還が十六兆、こういう会計は会社にございませんね。一般常識から考えますと、到底、そのことは破産状態でございますから、どうしようもない。公経済という、こういう立場の中で全体のバランスをとりながらまいるということでございますし、財投資金等の活用によりまして、総体的に経済の勢いを伸ばしながら、償還財源は見込めるという見通しの中でやられておることでございます。  よって、わかりやすい言葉で申し上げます。後世に借金を残すな、これは政治家の務めではないかとよく言われます。後世に借金を残す、目の前のわかりいい形が実はここにあるわけでございますから、何としても公債、赤字国債の発行は減じなければいけません。確実な目途はただいまかすかにしか見えていませんけれども、予算編成の過程において、適切な歳出、聖域を設けずきっちりとやり抜いていかなければなりませんし、税制改正、今政府税調、三党の中において論議が行われております。同時に、国会中であります。各党の御意見も十二分に拝聴をしながら、九年度税制どうあるべきかということをにらみながら、歳出とのバランスの中で、三兆の目標は至上命題だと私は考えておりますから、全力を尽くしていかなければなりません。格段の御理解を賜りたいと思います。
  23. 中川秀直

    中川(秀)委員 まさにそれを実現するためにも行政改革が必要だ。その意味では、財政再建と行政改革は本当に車の両輪、表裏一体だ、こう思うわけであります。  これまでの行革、いろいろな答申が出たものが十分実効性を持ったかというと、私は必ずしもそうとは言えない。そういった経験にかんがみて、財政改革の面でも、数値目標とかあるいは期限を設けるとかいうことは本当に大切なことだ。今、そういう意味で、財政再建法がいずれ必要だろう、これについて議論しようと、党でも行革本部でそういう機関が設けられ、財政改革委員会などもできましで、私もその責任者を命ぜられたりいたしておるわけであります。  今、その数値目標あるいはその達成年次について、大蔵省と財政審は、例えば一両年内にプライマリーバランスといいましょうか、いわゆるこれ以上もう国債の対GDP比を上げないようにしようではないか、つまり歳出からの国債費、歳入からの国債発行、両額を減額してバランスさせる、これを一両年内にやろう。それから中期目標としては、二〇〇五年に赤字国債脱却、GDP財政赤字三%以下ということを考えているように新聞では報ぜられておりますが、私は基本的には賛成ですけれども、先ほど申し上げたように、このボードで冒頭申し上げた。この日本事態を考えますと、実はこれで果たしていいのか。  アメリカは二〇〇二年財政均衡という目標を掲げている、そういう国際的な基準もございますが本当に日本の場合は、高齢化ピークは十年早いし、あるいはまたヘビーブーマー世代の退職というものも早く始まってくる。そうすると、二〇〇五年というよりも、もう一年でも二年でも三年でも早く、アメリカでは二〇〇二年にもそういうふうにすると言っているのでありますが、一年でも早く前倒しをしていくべきだ。  また同時に、今のは中期目標なんですが、長期目標として、ストック、財政赤字全体の残高、このGDP比も今、現行九〇%ですが、高齢化ピークの二〇二五年には本当に五、六〇%以下を目指すような長期目標もぜひ入れるべきではないかと思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  24. 三塚博

    ○三塚国務大臣 御指摘のとおりであろうかと思います。その目標に向かってどう取り組むかにつきましては、基本的な方針はできるだけスケジュールを縮めてやるべきであるという御見解、そう思います。  しかしながら、膨大な世界最大の、ただいま御紹介をいただきました各種データに基づく劣悪な財政状況にございます。赤字の負担が先進国中最悪になりました。こういう事態を踏まえていけば、一日も早くこれを達成をしようということであります。  しかし、御指摘のように経済構造改革、総理はマクロ経済の中でこれを達成をし、健全な財政の基盤をつくろう、税収の基盤をつくろう、こういうことでありましょうし、当面は財政構造改革の中で、退路を断って、プライオリティーをしっかりと見詰めながら、国民各位の要望するところに向けてやらなければなりませんし、同時に、そのことは給付と負担という、最終的には国民負担率にかかわることでもございます。こういう論点もあるわけでございますから、ビッグバンに象徴される資本市場、ニューヨーク、ロンドンに肩を並べるところまでいかなければならないだろう。  総合的なプランの中で着実に一つ一つ行うことということでありますと、総理の指揮下におけるそれぞれの分野でこれを担当しなければなりませんし、全閣僚一つになりまして、その目標を横断的な論議の中で、国務大臣としての論議の中でそういう、これも総理、大臣としての国政に対する責任であろうということも提示をされておるわけでございまして、やり得ることはやりながら、早目にこれが達成できるように早い計画年次を設けたいという気持ちがありますが、もう少しお時間をかしてください。  ただいま予算編成準備の最中でございますので、これをやり遂げまして、来春ぐらいまでにめどを立て、そして総理に提出をし、閣議において御検討を賜る、こういうことになろうかと思います。
  25. 中川秀直

    中川(秀)委員 我が国の場合は、西暦二〇〇〇年、もうあとわずかですが、生産年齢人口が減り始めるのですね。今までずっとふえていたのですが、逆に減っていくわけですね。二〇〇五年にはベビーブーマー世代が退職し始める。そういうことですから、やはり本当にそういう気持ちで財政再建法を行政府、立法府一丸となってつくっていかなければいかぬ、このように考えます。  さて、そういう中で、行政改革の中の一つとして、今、金融検査機能の分離、二元化の話とかいろいろ出ておるわけですが、私ども自民党も、この十月三十一日、新しい政権に向けての社民党、さきがけとの三党政策合意において、行政改革については、「総理官邸のリーダーシップを強化するとの観点から」、「予算の枠組み作成、国の主要人事、行政管理の機能を官邸機能と一体化する」。つまり、予算の枠組み作成機能と官邸機能、これを一体化するという合意をしておるわけでございます。  また、総理の直属の行政改革会議でも、予算編成権を内閣官房、官邸に移す方向で検討しているという新聞報道もなされました。  予算枠組み作成と予算編成権、私は、枠組み作成ということになれば予算配分の変更も入ると思うわけでございまして、そういう意味では編成権と大きく言っても余り間違いではない。結果として、予算編成権と税の企画、徴収の部門というものを少し分けて、総理官邸の機能を強めるということになるこう考えるわけであります。その方が私も望ましいと実は思っているわけです。  予算編成権を持つ機能とそれに必要な資金を調達する機能というのは、今まで一緒の方がいいと言いましたが、一緒にしてまいりましてこの四百四十兆円の財政赤字であります。むしろ分離をしてチェック・アンド・バランスを働かせた方が、例えば必要な資金を集める方は、この必要な資金を、借りたものなら返さなければいけないという機能が当然ありますから、税収がふえれば返すことも真剣に考える。それから一方、予算編成の方は支出、歳出の方でございますから、これは要求をする。いろいろなそういうものが必ずしも一体ではなくて、少し離れて、総理のリーダーシップを発揮するという形の方がこの財政再建のためにもむしろいいのではないか、私はそう考えております。  お金が余った場合は、予算の支出をただふやすだけではなくて、優先的に国債の返済に回すということも可能になってまいりますし、実は、むしろ予算が足りないから税制を考えるというような面さえ、今地価税の問題だとか単純併課の問題だとか、いろいろ考えますとあるわけですね。そういうことを考えましても、私は、予算の枠組み作成ほかこの予算編成の機能を官邸機能と一体化するということは極めて重要なことだと思います。これについて、総理の御見解を伺いたいと思います。
  26. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 御質問があるということで、過去の経過を調べてみました。そうしますと、その予算編成部局を内閣に移すという議論、これは実は第一次臨調以来の議論がございましたようです。  そして、平成五年十月二十七日の第三次行革審答申で、いわゆる内閣予算局の考え方は取り入れないという結論が出されました。その一つの理由として、諸外国におきましても、大統領または首相直属の部局が予算編成を行っているところはないというようなこともあったようであります。  そして、私は、予算編成権のあり方というのは、これは何といいましてもやはり日本の行政機構のあり方の根幹の問題でありますし、中央省庁の再編を初めとする行政改革全体の中で考えていきたいと思っておるテーマでありますけれども、一つの問題点として、純粋に財政的な立場を代表する大臣がなくなるという問題はあるのではなかろうか。言いかえますと、今度は予算編成の段階で総理と各省大臣が折衝をするという形になるのだろうか。現実にそれが本当にできるだろうか。そうなると、やはり財政専任の国務大臣を置く必要が出てくるのではないだろうか、そんな疑問は正直、今ございます。  そして、どういう形であるとそこがうまくいくのかな、まだ自分でも実は考え方が整理できておりません。今議員が述べられましたような、歳出を主管する閣僚、歳入を主管する閣僚、これを分けるという考え方、これも一つの議論として私は今後も有力な議論されるべき中身の一つだと思っておりますが、今の時点におきまして、そこまで詰めて考え切れておりません。
  27. 中川秀直

    中川(秀)委員 極めて重要な点だと思いますので、また議論を続けさせていただき、本当に総理の熟慮そしてまたリーダーシップを心からお願いしたいと思う次第であります。  私は、今議論の中に、ちょっと時間が迫りますので省略をしようと思ったのですが、財投クランチという言葉が最近言われるようになりまして、これはどういうことかと申しますと、いろいろ郵便貯金その他、お金を集めてまいりましても貸し先がだんだんなくなる。今国内の郵便貯金には二百二十兆円、金融不安を背景に資金が流れ込んでおります。しかし、その使い道、財投の出口となる住宅金融公庫ほか政府系金融機関の融資は一向に伸びない、貸出金利が民間の長期プライムを上回っている上、民間金融機関の攻勢も激しいわけでありますから、結果、財投の司令塔である資金運用部にお金が滞留する財投クランチというのが深刻になってきた。こういう表現で新聞は書いているわけであります。  実は、確かに資金運用部の国債等の買い、それから日銀の国債の買いオペを合わせた国債の買い上げは、九六年度に六兆八千億円に上る見込み。これは大和証券の調べでありますが、前年比五三%、もちろん過去最高、借りかえを除いた国債の新規発行の半分以上を国自身が買い上げる、こんな事態になっていると言われております。  私自身もこの財投の内容を調べてみますと、ちょっと今資料が見つからなくなってしまったのですが、私が二年前に伺ったときには、財投、資金運用部資金の中から国債が買われているのが五十数兆円でありました。それが一年後のデータだと六十数兆円。もう十兆円ぐらい伸びておるわけです、資金運用部資金が国債を買うという分がですね。そういうように記憶をいたします。  私は、やはり財投改革というのは、そういう意味でも入り口、出口両方にらんだ議論をして真剣に考えないと、国民からお預かりしているお金ですから、これが第二住専だなんということになったらもう破滅的でございまして、そういう意味でも、本当に本格的に議論しなければならぬときだ、また、改革に着手しなければならないときだと思うのでありますが、総理、いかがでしょうか。
  28. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、財投の議論を本当に真剣にする必要があるという御指摘は、そのとおりだと思います。ただ、今の議員の御発言、事実をよくつかんでいただいておるようでありますけれども、国債による運用という場合でありましても、これは結局金融市場に還流しているわけでありまして、政府部内に滞留している資金があるということでないことは御理解をいただかなければなりません。  ただ、いずれにいたしましても、財政投融資というものについて、その使われ方、そして使い方、使う機関、そしてそのシステムそのものについて、私は、有償資金というものが必要性を持つということは、有償資金というものが活用されることが適切な分野というものが存在するということは、将来ともに変わらないと思うのです。  しかし、当然ながら、社会経済情勢の変化の中でその役割も違ってくるわけですし、今現在変化をしつつあることは御指摘のとおりでありまして、財投というものについて本当に議論が行われるべきだということは、私は委員の御意見を全く否定するものではありません。むしろ、その必要性は感じております。
  29. 中川秀直

    中川(秀)委員 もう一点、これも総理にお伺いをしたいと思うのですが、公共事業では、例えば欧米諸国では、かなり活発にビルド・オペレーション・トランスファーという方式をとっているのですね、アメリカでもヨーロッパでも東南アジア諸国でも。  ちょっともう時間がないから例を挙げませんが、いわゆるプロジェクトごとに、民間企業の直接資本経営参加によって、ある一定期間、高速道路をつくったり、橋をつくったりいたしまして、ある一定期間が来ると、これを公的資本としてお返しをする。したがって、つくるビルドと、それから運営するオペレーションと、それから最後は政府に移転する、こういう方式で公共投資を随分やっておるわけであります。  我が国財政事情を考えましても、我が国も、ある意味では道路公団もそうなんですが、しかし、道路公団だけがやるのじゃなくて、民間にも開放して、そういう事業をやるところは参加をさせる。いわばコンペをやって、一番有利な条件、つまり、国の財政支出が少ないもの、あるいは料金設定が安いもの、そこにさせるといったような形で入札をさせると聞いておりますが、そういう方式を我が国でも考えるべきだと思います。  また、公共事業もプロジェクトごとに、欧米諸国ではやはり需要を予測して利益と費用を測定して国民に公表するという方式をとっているようでありますが、総理我が国もこういう議論もすべきではないか、そしてその試みをやるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  30. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、要は費用効果分析というものが公共事業等についてもきちんと行われるべきだという視点からは、まさに御指摘がそのとおりの方向を一つ指すものだと思う部分はございます。ただ、私は、たまたま野党の政調会長でありましたときに、タイで、我が国が出資をいたしましたBOT方式のプロジェクトが完全に失敗をしてしまったケース、その後始末のことに大使館が大変苦労しておられる現場を見てしまうことになりました。  確かに、政府の財源の不足を一部で解消する、またビジネスチャンスが確保される、こういったメリットは確かにあるわけです。一方で、料金が高く設定されることに対する国民生活への悪影響、それからまた官民の交渉の遅延等による事業のおくれ、高い事業のリスク、こういったものも指摘されております。  たまたま私がタイでぶつかりましたのはこの三つが全部ひつかかるようなケースでありまして、その意味では、BOT方式のプロジェクトを最初に見るチャンスとしては非常に悪いものを見てしまったという気持ちもないではないのですが、私は、そうした問題点や課題も踏まえながら可能性について検討していくべきものじゃなかろうか、そう思います。
  31. 中川秀直

    中川(秀)委員 総理もワシントンヘ行かれてダレス国際空港なんかもおおりになったことがあると思いますが、あれとワシントン市内を通ります道路は、まさにBOTであります。そのようにアメリカや、ロンドンの橋もそうですし、いろいろなものが幅広くやっております。そして、かえって公共財源を節約できる、また財源の制約を軽減できる、事業の早期実施が可能になる、いろいろな技術革新にインセンティブを与える、いろいろな効用を生んでいるいい例も欧米にはございます。そういうこともぜひ御検討いただきたい、かように考える次第であります。  この際、厚生大臣にお伺いしたいのですが、医療保険本人負担二割にアップといったことが審議会等で議論されているようですが、私は介護保険というものは、実は社会保障というのはお互いの支え合いですから、むしろ四十歳からじゃなくて二十歳からにして、医療保険の本人負担というものを上げていくことを抑えられるならば、むしろその方がいいのではないか、こんなふうに考えるのです。  なぜかというと、社会連帯という理念、これを考えますと、財政安定化の観点も考えますと、年金と同時に介護保険もやはり二十歳から被保険者というのが本当ではないのでしょうか。もちろんその場合、二十歳以上の者の全員に給付を用意する必要があるわけですが、障害者の福祉サービスと共通するものを取り込むことにし、したがって、高齢障害と若年障害の双方にスムーズに対応もできるわけであります。  ドイツの場合も、介護保険と医療保険はベースが同じようにしておりますから、被保険者も、原則として医療保険と同じ扱いをいたしておるようであります。  国民負担率が五割を超えないためにも、介護保険は加入を二十からにして、むしろ医療保険の方の本人負担を余り上げないという努力をしていく方がいいのではないかと考えますが、基本的なお考えをお聞かせ願えればと思います。
  32. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 二十歳以上という議論も確かにありました。しかしながら、二十歳の方々が介護保険に加入したとしても、要介護を受ける数は私はわずかだと思います。そして医療保険、この制度の改革も、来年の通常国会に提出するよう準備を進めておりますが、どのような負担と給付の関係にするかというのはまだ決定しておりません。各方面からの御意見を聞いて、国民のあるべき給付と負担の姿はどういうものにして国民の御理解を得るかという点について今後十分議論を重ねて、しかるべき法案を用意してきて御議論をいただきたい、そう思っております。
  33. 中川秀直

    中川(秀)委員 いろいろな観点からの御検討を賜りたいと存じます。  総理、お戻りになられてすぐで恐縮ですが、行政改革委員会の官民活動分担小委員会で、官民分担の基準を近々に御提言なさるという記事が報道されました。  その原案によれば、基準と考え方、二部構成になっていて、基準の部では、官業を見直すための基本原則として、民間でできるものは民間にゆだねる、行政活動は必要最小限にする。第二として、効率的な行政を実現するために、国民が必要とする行政を最小の費用で行う。第三に、行政は関与する活動内容について国民への説明責任、アカウンタビリティーを必ず果たすというような考え方が出されようとしていると伺うのでありますが、総理自身、この官民の役割分担について、特に行政機能の範囲というものについて、基本的にどんなお考えをお持ちでありましょうか。
  34. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 現在、行政改革委員会の小委員会で作業をしておられる最中でありますので、その詳細を私は存じているわけではございません。しかし、恐らくその中に盛られる内容というものは、委員が御指摘になりましたような方向に基づくもの、そしてそれを、学問的なという言い方がいいかどうかわかりません、きちんと理論的に位置づけられたものになるであろう。言いかえれば、行政と民間との活動領域を洗い直すための基準づくり、そうした内容のものをいただけるのではなかろうかと思います。  当然のことながら、そこでちょうだいをいたします。その判断基準というものを我々は指針として、それぞれの行政分野についてその洗い直しを行う、そしてその整理を行っていく、そう考えております。
  35. 中川秀直

    中川(秀)委員 次に、金融の検査・監督の新機関のことについてお伺いをしたいのですが、この発足の時期やら、またそのトップとして閣僚を置く形がいいのか、あるいは官僚を置く形、総理府の外局の機関として二元化をして官僚を置くという形では、まあ宮内庁なんかもそうなのかもしれませんが、あるいは民間人を置くという形もあるかもしれません。そのいずれが望ましいか。  また、農林系金融機関やノンバンクも、やはりこれは住専の問題等考えましても、その反省の上に立って、やはりいずれ将来は完全な二元化をしていった方がいいと思いますが、その点についてどうか。また、現在ある証券監視委員会も、私は最終的には新機関の中に吸収するのがいいと思うのでありますが、総理のお考え、いかがでありましょう。
  36. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 まさに現在、与党三党における検討の進められております中で、発足時期あるいはそのトップの人選といったような具体的な事柄にはお答えをできる状況ではないと思います。  ただ、当然のことながら、大蔵省自身も証券局、銀行局の統合は必要といたすわけでありますし、その上で、新たにつくられます機関が私は大蔵省に所属するものになるとは考えておりません。同時に、それは新しい機関として、従来大蔵省が検査・監督の対象と実態的にはいたしていたとは言えない他の金融機関に対しても、当然のことながら、私は、その機能を発揮するようなものになるような御意見を与党三党からいただけるもの、そのように考えております。その御意見をいただきながら、私どもとしては、できるだけ早く成案を得たい、次期通常国会にこれを提出したいと申し上げておるわけでありまして、その点はぜひ御協力をいただきたいと思います。  ただ、証券等監視委員会と一つにするという点につきましては、私は、与党三党からちょうだいをいたす御意見の中身にもよろうかと思いますが、証券等監視委員会というのは非常に強い、検察的な能力を持っている機関として、現時点においてこれが一つになることの方がよいかどうかということは、にわかにお答えをすることは控えたいと思います。
  37. 中川秀直

    中川(秀)委員 わかりました。  今、世界で一番高い日本の法人税、これをやはり何とかしないと空洞化を防げないではないかという議論の中で、かといって財政難の昨今でございますから、課税ベースを少し広げようか、そのかわり法人税を下げようか、こんな議論も行われているようですが、実は、特殊法人はもちろん非課税なんですけれども、引当金というのが、やはり退職給与引当金とかいろいろあるわけですね。これが非課税であります。  例を挙げればちょっと長くなるからやめるのですが、大変な金額が積まれておるのですね、それぞれの公社公団、いろいろ。住都公団あたりでいうと、退職給与引当金は七百三十六億、そんな金額ですね。そういう中から非常に高額な退職金が払われる、これに対しては国民の理解はほとんど得られていない、非常に反発が強いわけです。ましてや、企業の方の退職給与引当金は六割有税ですよ。無税は四割だけですよ。有税償却ですね。でも、必要だから税金を払って積み立てておる。特殊法人の退職給与引当金は全く無税です。やはりこれは国民常識から考えても私は著しく不公平ではないかと思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  38. 薄井信明

    ○薄井政府委員 事実関係を御説明いたします。  特殊法人、公益法人等ということになろうかと思いますが、あるいは公共法人ですか、そういう企業につきましては、公益的な部分と収益的な部分を分けて税制上処理しておりまして、収益事業部分につきましては一般の企業と同じ対応をしております。公益部分については、まさに公益であるということで、税とは切り離されて今位置づけられておるということを御理解いただきたいと思います。
  39. 三塚博

    ○三塚国務大臣 御指摘は今後検討しておきます。
  40. 中川秀直

    中川(秀)委員 国民の理解なしには行政も行政改革も進まないのでございますから、そういう観点からもぜひ御検討賜りたいと思います。  同じように、私は、アカウンタビリティー、情報公開は非常に大事であると考えておりますが、国、地方公共団体、そしてまた特殊法人、公益法人、この間の補助金の流れの実態などは、今はもうコンピューター社会ですから幾らでも明らかにする方法があるわけでございます。いろいろデジタル化して、そういう行政情報をネット上、インターネットとかその他のものに公開をするということは、これからは、欧米諸国じゃもう常識でありますし、必要なことだと思います。  それからまた、これは若干数が多いから言うんですが、今度の事件だから言うわけじゃありませんけれども、自治省、各省庁から地方自治体にたくさんの人が出向しておられる、こういった実態も公開をしていくべきだなと。これは各省大臣に伺うわけにいかないんで、自治省に、自治大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり地方自治の観点からも、そういうものもちゃんと公開をしていく、いろいろな努力が必要だと思います。  いかがでしょうか。まず前者、大蔵大臣、お考えがあったらお伺いしたいと思います。
  41. 小村武

    ○小村政府委員 最初のお尋ねの、特殊法人、公益法人等に対する補助金の流れをインターネット等で広く公開すべきではないかということでございますが、私どもといたしまして、これまでもマスコミ等を通じましてわかりやすい形でそうした公表に努めてまいっております。  それから、基本の予算につきましては、国会等でも御議論願いまして、予算書等でも反映をしているわけでございますが、インターネット等の広報媒体の普及等を踏まえながら、できるだけそうした方向で努力をいたしたいと思います。
  42. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 各省庁から地方公共団体への出向状況につきましては、さきの参議院決算委員会においても御指摘をされましたので、私から、閣議後の閣僚懇談会の場において、全省庁的な出向の実態について調査するよう提案したところであり、現在、内閣官房と総務庁において調査をいただいているところであります。  自治省に限って言えば、平成八年四月一日現在で、地方公共団体に出向している人数は二百四十名でございます。特別職が三十名、課長以上が百六十三名、一般職員四十七名。特に自治省と地方公共団体との人事交流について言うならば、自治省は地方自治制度、地方財政制度等を所管しており、これらの制度を十分に機能させていくために地方の現場の体験を踏まえていく必要がある。  一方、自治省では多くの地方公共団体からも職員を受け入れております。百二十二名受け入れております。  このような交流が刺激となって相互に切磋琢磨し、資質の向上が期待できるものという前提に立って人事交流をいたしたところであります。
  43. 中川秀直

    中川(秀)委員 今度の厚生省の不祥事では、実は国民税金が、補助金が、大変巨額なものが贈収賄の関係で使われた。行政不信、国民の怒りは、本当にあきらめにも似た底深いものがあると思うのでございます。  やはり、そういう意味でも、そういう問題を解決するためには、補助金などの流れについてもインターネットでデジタルデータ化して、もう国民はだれでも見えるようにする。あるいはまた、地方分権のそういう流れの中で、地方へ出向していく、そういう人たちがこの補助金の流れの中で事件を起こし、逮捕された。そういったことも考えますと、やはりどんどんもっとこういうことを情報公開をし、またそのこと自身についても国民の中で議論を深め、改革すべきは改革するということが必要だと思います。  補助金による社会福祉施設建設の丸投げによる巨額利益、二十六億円、小山容疑者のところではあった。丸投げによって抜いた利益が。これは大変なことでございます。これはすべて国民税金です。私は、こういうことを考えると、厚生省においても過去の事例についてもある程度調査すべきだと思います。  それからまた、丸投げ防止のために、実際に工事を施工した会社の領収書も、補助金の実績報告書をいずれ施設設置者は出さなきゃいかぬわけですが、今は元請の領収書だけなんですね。だから、丸投げのことはわからない。実際工事を請け負ったそういうところの会社の領収書も義務づけられるべきではないか、報告書に添付を、こう考えますが、厚生大臣、いかがでしょうか。
  44. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今回の厚生省職員の不祥事について、特に社会福祉法人に対する補助金制度を悪用したこの事件について、昨日大臣官房に調査委員会を設置しまして、今言われたような業務に問題がなかったか、再点検をいたしまして、本日は、この予算委員会終了後に第一回の会合を開きますが、全般にわたるこの補助金制度が悪用されないような改善措置を鋭意検討していきたいと思いますので、よろしく御指導をお願いいたしたいと思います。
  45. 中川秀直

    中川(秀)委員 ぜひよろしくお願いいたします。  また、事件に絡む話ですけれども、小山容疑者が国立国際医療センターの医療廃棄物収集運搬業務、これを実績なしで、しかも都の許可が出る前に指名に参加して落札をし、都の許可が出た翌日から業務を始める、全く異常な形になった経緯についても、これは厚生省はきちんと調査をしておいていただきたいと私は思います。  また、経済審議会がシルバーマークについて、こういうマークは参入規制やカルテル行為の温床になりやすいということで、十一月二十六日、撤廃を求めたということでありますが、私は、こういう公費を使う分野にかかわるいわゆるマル通マークといいましょうか、これは本当に過去の幾多の例を見ましても、参入規制やカルテル行為、公取からの排除勧告、再々にいろいろ受けるようになってきているということから考えても、この際全面的に見直すべきだと思いますが、厚生大臣、いかがでしょうか。
  46. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 シルバーマークについては、行政改革委員会等の御指摘もございました。消費者保護そして規制緩和という観点から、厚生省としては、国が関与するそういうシルバーマークは廃止するということにいたしました。ただ、民間がどのようにやるのか、そこまで権限もございませんし、それは民間に任せる、しかし、国が関与する部分は廃止しようということに決定いたしました。
  47. 中川秀直

    中川(秀)委員 公費の支出に関するところは、これはやはり国民の納得が得られぬと思います。そういう意味でも、そういう点について御決定いただいたというのはいいことだし、さらに、民間の経済活動についてもいろいろな問題点もないわけではございませんので、そういう面も含めてさらに御検討を願いたい、かように思います。  今回の厚生省の不祥事で、共同募金の特定指定寄附制度が悪用された。これもまた、共同募金、赤い羽根を百円出して、あるいは街頭でそれを募集して一生懸命やっている人たちに対しても、何とも言いようのないことだと私は思いますね。その防止策として、これから、例えば一千万円以上共同募金から指定寄附を受けた法人は公表するとか、そういうこともやるべきじゃないかと思います。  それからまた、政令で指定された特定公益増進法人、これへの寄附に対しては、特定寄附金の扱いで、寄附の倍額が損金として税金から控除されておるわけです。そういう点も、大幅に課税を減免されているということは、補助金を上げているようなものです。国民税金です。そういう意味で、そういう組織を使って、寄附の倍額が損金として控除できるからといって関連業界に寄附を要請して寄附させ、その所管の特定公益法人を使って自分の省の所管の公益法人へ助成金を出す、そして公益法人の収入としたり、天下りのOBの人件費に充てることもできなくはない。本来得べき税金が得られなかったり、むだな公益法人が出てくることになる。  そういう意味で、同一省庁の所管の特定公益増進法人から公益法人への助成は、年一同年次報告もさせる。ちゃんとそうやって公表して、本当にこれは正しいのか正しくないのかチェックするということが、こういうことをなくしていくためにぜひ必要だと思うのです。総理、いかがでしょうか。
  48. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今回の厚生省にまつわる不祥事を見ていますと、この寄附金についても、国民の公益事業に対する善意を悪用している事件です。できるだけ国民の善意をそういう公共の事業に使おうという、これを巧妙に悪用していた点もあると思いますので、この点も調査委員会の中で再点検して、今の御指摘の件とその防止策を含めて改善策を講じていきたいというふうに思っております。
  49. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今厚生大臣から答えられましたものに私からつけ加えたい部分一点は、公益法人の情報公開についての御意見であります。これは非常に重要な御指摘であると思いますし、さらに検討を加えたい、そしてそういう方向に持っていきたい、そのように思います。
  50. 中川秀直

    中川(秀)委員 今回の事件で、この小山容疑者がスポンサーをしていた医療福祉研究会、そういうことで便宜供与や利益供与があったことがもう数名出ておるわけですが、私は、こういう業者や利害関係者が中心になったり、あるいはメンバーになったりしている役所の中の私的研究会というのは、やはり癒着や汚職事件の温床になるのだなということを感じました。  いろいろ厚生省の中にも、ほかにもそういう研究会があるかもしれない。あるいは全省庁にあるかもしれない。やはりこういうこともきちんとこれからしていかなきゃいかぬと思います。人間はやはり過ちを犯したときには犯さない仕組みを考えなきゃいけない。その意味で、そういう研究会のようなものをつくる場合は、官房かどこかで登録させるということが必要じゃないかと思うのですが、まあこれは厚生省のみならずのことでございますけれども、総務庁長官、どうでしょうか。
  51. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これは、今厚生省だけではなくて全体のというお話でございますから、私からお答えをさせていただきます。  正直、いろいろな研究会があると思うのでございますけれども、中にはやはり本当に行政をより国民のために、より国家のためによくする、こういうことで勉強している会もあるだろうと思います。  ただ、問題は、そういうところに、利害関係のある団体とか、利害関係のある人たちと一緒になってやるというところに問題が私はあるんじゃないか。だから、役人同士でいろいろな勉強会をやることは、私はそうは問題はないのではないか。その辺はきちんとけじめをつけてやっていかなきゃならない。ただ、登録制度というものまで果たしてできるのかどうかはちょっと私も疑問に思いますけれども、今いろいろとこういう問題を私の方で検討いたしておりますので、検討課題とさせていただきます。
  52. 中川秀直

    中川(秀)委員 今回の場合は、新聞報道によると、厚生省のこれは幹部なんですが、岡光さんに安心してついていったら、僕らを運んでいった先は地獄だった。こういうことを語っている。今度の事件の罪深さは、疑惑もさることながら、庁内の倫理観を麻痺させたり、癒着の空気をはびこらせた。次官になるような人がそうやって来いよと言ったら、それは行きますよ。結果的にそういうことになってしまったわけで、こういう研究会は、政策研究でお互いに会費を出す研究会なら、やはり利害関係者やそういうのが入るときだっ一であると思います、それは。それを全部禁止することはできないと思うのですよ。だけれども、それはちゃんと公開へさらす、登録して。そうすればできないんですよ、そんなことは。ゴルフへ行ったり、車を借りたり、せんべつをもらったりなんてできないんですね。  だから、そういう意味で私は、登録も考えたらどうだ、こう言ったわけであります。ぜひお考えもいただきたいと思います。
  53. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今もお答えいたしましたように、今そういうことを含めて、そういう会合に参加すること自体が綱紀粛正の中でどう取り扱っていくべきか、テーマとして私どもやっておりますので、そういう意味で先ほど、検討の課題とさせていただきます、こうお答えしたわけでございます。
  54. 中川秀直

    中川(秀)委員 オレンジ共済事件についてお尋ねいたします。  近々この事件は年内にも強制捜査の方向、こう聞いておりますが、オレンジ共済組合あるいは年金会に、捜索をした際に現金は数万円しかなかった。また、ほかの、口座、預金等を調べても、これは報道ですが、八百万か二千万か、幅が多少あるんですが、そのくらいのものしかなかった。そして、五十億円を、この五十億円も実は今の段階でわかっている数字であって、KKCなんかは、当初百億と言っていたのが今四百億ですか、被害額。もっともっとふえるだろうと言われていますが、二千人から今の段階でわかっている五十億円、これがどこへ行っちゃったかわからない。そしてまた、その五十億円を運用した事実は把握できたのか、今の捜査の段階であるいは、五十億どこかに資産があることを今の段階、捜査の段階で把握できているのか。  事実関係をちょっと警察に確かめたいんですが、もし把握していないということになると、単なる出資法違反ではなくて、まさにこれは詐欺そのもの。そういう詐欺ということも視野に入れて捜査を進めていくべきだと思うが、どうかということです。
  55. 泉幸伸

    ○泉政府委員 年金会による出資法違反容疑事件につきましては、警視庁、広島県警察、北海道警察が、十一月十二日に年金会オレンジ共済組合の事務所等を捜索し、関係書類等を押収し、現在、押収した帳簿類の分析や関係者の事情聴取などを行って、全容解明に向けて捜査を行っているところでございます。  資金の運用先、使途先等は、現在その旨の確認のための捜査を行っておりますので、まだ確定的なことを申し上げることはできませんが、いずれにしても、本件は、詐欺罪などに当たるのではないかという御指摘も十分念頭に置きまして、全容解明に努めてまいっているところでございます。
  56. 中川秀直

    中川(秀)委員 焦点は、この五十億円の使途ですね。当然、捜査としては、例えばAという人がこの共済へいつどこへ振り込んだか、そして共済組合の年金会がどこでおろしてどこへ持っていったか、帳簿や会計処理はどうなっているかということを確定していかなきゃいかぬわけですね。当然、使途は、いつ、だれが、どこへその資金を持っていったかということを解明しなければならぬと思うのであります。  実はスーパー定期などというのもやっているようでありますが、これなどはまさに、共済というよりも、これは本当に定期預金ですから、しかも元本保証、まさに出資法違反ではありますね。完全に不特定多数からお金を集める、金融機関でもないのにということになるわけであります。  その問題はその問題として、もう一点だけ彼ほど伺いたいと思っていますが、それよりも今のこの事件として、この五十億円をどうしたか、もっとふえるかもしれないが、どうしたかということを調べなきゃならない。  実は、その関連で驚いた報道がなされたのが、先日、ことし六月、細川元首相のところへ、これは共済組合の幹部が語っていることですが、この秋に行われた衆議院選挙の資金として細川さんに渡したつもりだということで、初村謙一郎氏に三千万円を渡した。当初は五千万円を要求された。初村氏も、渡してくださいと言われ受け取った。こういうことであります。返済は、これが報道なされて問題になってから、この十月になって、四カ月後の十月になって全額を返した。こういうことでございます。  いろいろなうわさも乱れ飛んでおりますけれども、私は、この資金がどういうふうに使われたかということは政治資金規正法の面でも問題でありますし、また、この詐欺事件の被害者がたくさんいるわけですから、その使途という点でも問題であります。そういう意味で、こういう使途はきっちりと確定をすべきだと思います。  同時にまた、そういうことがあった政治の側自身も、国民の政治不信を払拭するためにも真相をやはり徹底的に解明しなければいけない、みずから徹底調査して事実を明らかにすべきではないかと、この際申し上げておきたいと思います。  この使途の確定については、先ほどの御答弁で、きちんとそれは確定して捜査をしていかなければいけないという御答弁があったから、あえて御答弁を求めません。よろしくお願いをいたします。  それから、これは出資法違反という点でもう一点言うと、私はこういう事件が本当に多過ぎると思うのですが、やはり今の出資法の「不特定且つ多数」というのを、不特定または多数というような、なかなか法律論は難しいのですが、要件も多少つけ加えて変えて、「多数」を例えば百人以上とかいうふうにして、そうすれば、町内会の無尽や講や互助組織は制約を受けないし、今回のような多数な被害者は出ないのではないかと思います。  やはりそういう出資法の制度そのものにも検討を加えていくべきではないか、余りにこういう事犯が多過ぎるものですからそう考えるのですが、いかがでしょうか。
  57. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように「不特定且つ多数の者」というものが出資法上の規定でございます。そうなっております理由は、個々のつながりのない、ある程度以上の複数の者というものを観念としてとらえているわけでございまして、すなわちこの規定は、知り合いだとかあるいは親戚など、個人的なつながりのある特定の者の間における関係についてまで禁止はしないというような趣旨で「不特定多数」という言葉になっておるわけでございます。  委員の御指摘は、一定人数以上からの預かり金であれはすべて禁止の対象にする方がいいのではないかという御趣旨、御提案だと考えますが、確かに、一定の人数を定めることによりまして構成要件は非常に明確になります。  ただ、例えば、一定人数を具体的にどのように決めたらよいのか、あるいは、一定数以上であっても個々人の間につながりがある場合が考えられまして、そのような場合まで禁止してよいのかという問題がございます。さらに、意図的に一定人数以下に抑えることによりまして、かえって脱法でないという誤解を生じさせることがないだろうかというような問題点がございまして、御指摘のような改正につきましては、いろいろ困難な問題を含んでいるんではないかというふうに考えております。
  58. 中川秀直

    中川(秀)委員 さらにさらに、こういう事犯が本当に続いています、KKCもそうですが、いろいろな観点から行政の責任としても検討してもらいたい。これは本当に、捜査当局、司法当局ともよく相談なさるべきだと思いますよ。それはよくお願いを申し上げておきます。  もう先ほどから申しているとおり、本当に、行政は国民の信頼なしに成り立ちません。不祥事に当たって、行政、当該官庁は、みずから徹底的に調査すべきだ。過去の綱紀粛正の閣僚申し合わせ等々でも、そういうことはずっと言われて申し合わせをしてきているわけですが。  通産省は、泉井容疑者と職員の交際について調査、公表し、処分も、大臣が記者会見をなさって明らかにされました。関連の分野、いろいろな分野、もう私は特殊法人も含めて調査をすべきではないかと思いますが、今回の調査は現職の職員、こういうことで、しかも、例えば石油公団とか、うわさがいろいろ新聞で報道されている、そういうところの職員まで、あるいは出向した職員までお調べになったようではないようですが、閣僚申し合わせによると、特殊法人も右へ倣えということで書いてございます。この辺も含めて、さらにきちんとされていくべきような気がするのです。特に、ベトナム油田開発のための現地法人との関連が盛んに報道されておりますだけに、この石油公団の出融資の経過、経緯というものもやはり事実を確認していくべきではないかと思います。通産大臣、いかがですか。
  59. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今御指摘のように、泉井石油商会の代表と当省職員との関係についていろいろ報道がなされております。  そういうことで、先月の二十六日以降、石油公団への出向者を含む関連部署の課長以上経験者及び総務課長以上の幹部職員合わせて百三十八名を対象として、この泉井代表との面識の有無、その内容について、綱紀の観点から調査を実施しまして、昨日、その結果を報告したとおりでございます。  この調査結果の概要というのは、調査対象が百三十八名のうち四十六名が何らかの形で泉井氏と面識があったということが判明いたしました。こういう事態を招いた監督責任のほかに、接触の回数だとか態様、綱紀の保持を率先垂範する立場にあるかどうか、こういうことで事務次官以下六名の処分を発表したわけでございます。  公務員の綱紀が厳しく問われている中で、このような事態が明らかになったことは深刻に受けとめておりまして、二度とこのようなことが起こらないよう、より一層厳しく綱紀の粛正を図っていきたいと思います。  なお、今お問い合わせがございました石油公団職員と泉井氏との関係については、公団の独自の調査によれば、部長級以上の役職員二十四名全員、泉井氏とは面識がないという報告を受けております。  以上です。
  60. 江崎格

    ○江崎政府委員 ただいま委員から、後段の石油公団の出融資の経緯について御質問がございましたけれども、これについてお答えいたしますと、ベトナムでは、御承知のように一九八六年にドイモイが始まりまして、石油開発に関しては九一年に国際入札が実施されたわけでございます。それで、三菱石油のこのベトナム沖の探鉱権益でございますが、九二年三月にベトナム国営石油会社が行った第二次の国際入札に参加して落札したものでございます。これは通常の手続にのっとったものであるというふうに承知しております。  それで、九二年八月になりまして、三菱石油が中心になりまして、日本ベトナム石油株式会社が設立されたわけでございますが、この会社に対する探鉱作業の……(中川(秀)委員「経緯はいいです」と呼ぶ)  出融資ですが、九二年十月に第一回の出資を石油公団から行いまして、以後累次出資をいたしまして、現在までに四十二億五千万円。それから融資でございますが、これは九四年六月に第一回の融資が始まりまして、現在までに十六回融資をしておりまして、現在までに五十三億円というふうになっております。  以上でございます。
  61. 中川秀直

    中川(秀)委員 いろいろ報道がなされているだけに、事実関係はきちんとされて、堂々と公表する、そういう姿勢が正しいのだろうと思います。  おおむね時間が近づいておりますので、最後に二点ばかり。  公務員倫理法、公職倫理法の中身として、米国等では贈り物や接待の金額にまで、例えば二十ドルとか、罰則つきで枠をかぶせ、また一定の職以上の公務員の資産公開を義務づけております。そして、行政倫理局という組織をつくって、その倫理規則を守らせるチェックをして、また規則もその時に合わせて直す。これは、もちろんアメリカにもちゃんと刑法はあるし、贈収賄なんか刑法でやるわけで、司法当局がやるわけでありますが、そういう司法権、刑法なんかに抵触をしないで、あるいは国家公務員法なんかに抵触しないで、むしろ行政倫理を守るための利益抵触という考え方でそういう法制度をつくっているわけであります。  やはり、国民税金を使い公正に職員を果たす、その重荷に耐えなければ国民の信を失うというふうにいろいろ書かれておることは全くそのとおりであって、私は、この際、単なる精神規定や訓示規定でない公務員倫理法を制定していくべきだ、かように考えます。  これについて一点お伺いしたいことと、最後にもう一点は、国民の行政不信をぬぐい説明責任を果たしていくためには、国民が共鳴、共感する政策決定のために政策決定過程にも何らかの形で国民を参加させる、そういう方策も検討していくということが必要だ。  実は、私、科学技術庁長官の時代に「もんじゅ」の事故等がございましたが、これについていろいろ地元の方々や批判派の方々のお声も聞く、そして、そういう方々にもう一回開かれた行政に対して信頼を与えていただくために、審議会などの専門部会まで議事を公開する、マスコミもごらんいただきたいということにいたしました。また、報告書を一カ月程度原案の段階で公開をいたしまして、国民に意見を求めるという方法を大幅に取り入れることを決めました。  昨日、原子力安全委員会もこの原子力委員会の決定と同じ決定をいたしました。やはりそういうことをどんどんしていくべきだと思いますが、それについて総理のお考えがあればお伺いをしたいというのがもう一点でございます。  最後に、最高裁の総務局長がお見えになりましたので、呼んでいてお答えいただかないのは恐縮なので。  自己責任、自由競争のこれからの社会で大切なのは、司法手続であります。五倍に今訴訟はふえたとあるものには書かれておりますが、裁判官は一・七倍にしかふえていない。現状の法廷では、裁判官としては、これは訴訟が取り下げられましたというのが無上の喜びだというぐらい、一人で年間三百件も四百件も訴訟をこなすという事態も起こっているようでありますが、司法に対する国民の信頼確保のためにも、ぜひ私は裁判官の大幅な増員というのは必要だろうと思うのですね。こんな程度ではこれから大変なことになるのではないかと思いますが、それについての御見解、以上三点を伺って、私の質問を終わらせていただきます。
  62. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 まず第一点に、公務員倫理についてのお尋ねでありますが、現在、政府部内において綱紀粛正の真に実の上がるものをということで作業を急がせておりますけれども、だんだんさまざまな事態が発覚してまいります中で、法の制定あるいはその必要性のありなしまで含めて検討しなければならないという思いが現在の思いであります。  次に、本当に私は、中川長官の時代に、「もんじゅ」の事故発生の後を受け原子力行政に信頼を取り戻すべく努力をされた中で、審議会の公開に踏み切られた。議事録の公開に踏み切られたというものが大変大きかったことを、私も横で拝見をいたしておりました。  そして、こうした努力というものは、現時点におきましても今一生懸命に努力をいたしておりますけれども、問題は、実は委員の方々よりも事務局の姿勢にある場合がしばしばあります。それだけに、本当に公表をすべきではない種類のものもあるいはたしかにあろうと思いますけれども、基本的に議事録が公開されるようにこれからも努力をしていきたいと考えております。
  63. 涌井紀夫

    涌井最高裁判所長官代理者 御指摘のような状況を踏まえまして、私どもとしても、裁判官の増員にはずっと力を入れてきておるところでございます。  ただ、裁判官を増員いたします場合、その主たる給源は司法修習生でございますので、実はつい最近まで、司法修習生の修習終了後の仕事先といいますか、そういう点ではどうも弁護士さんの人気が高くて、なかなか裁判官にふさわしい方にたくさん裁判官になっていただくというところが難しい状況がございました。  ただ、最近、司法修習生の増加が図られてまいりまして、給源の問題も相当程度改善されてきております。その結果、このところ着実に裁判官の増員ができるような状況になってきておりますので、今後とも事件の動向等を見ながら、必要な人員の確保に努めてまいりたい、かように考えております。
  64. 中川秀直

    中川(秀)委員 終わりますが、関連に同僚の柳沢議員から質問をお願い申し上げたいと存じます。ありがとうございました。
  65. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、柳沢伯夫君から関連質疑の申し出があります。中川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。柳沢伯夫君
  66. 柳沢伯夫

    柳沢委員 臨時国会の冒頭の予算委員会総括質問で、中川議員の関連質問ということで立たせていただきました。これは、私が今党内でやらせていただいておる仕事との関連、また同僚議員との質問の割り振りということもございまして、本日の私の質疑は行政改革の関連に絞っての質問でございますので、まずもってよろしくお願い申し上げたいと思います。  先般、総理の所信表明演説を伺いました。何か演説後の野党の批判の中には、総理の言葉が聞こえないみたいな、従来繰り返されてきた評価もあったようですが、私は、もうこの演説は総理の肉声そのものだという感じがして、感銘深く聞いたわけでございます。  中でも、総理がへ行政改革が国民的課題の中心であることは言うまでもない、こういうようなことを、冒頭、行政改革の段落の最初でおっしゃられる。最後には、行政改革には「いろいろな抵抗や困難が予想されますが、私は、身を燃焼させ尽くしてもやり抜きます。」こういうかたい、強い決意をお述べになられました。  まず冒頭、総理がここまで、これほどまでの言葉を使われて決意を述べられ、国民への、あるいは同僚議員への協力をお訴えになられた背景、理由、これを簡潔に国民に向かってもう一度御説明賜ればと思います。
  67. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 ああした言葉を使いましたのには、私なりにこの数カ月間に感じさせられてきた幾つかの思いがございました。  私は、実は就任直後から、審議会が非常にたくさんございます、この審議会というものが何とかもっと、一つの問題をいろいろのところでおやりになるのではなくて、あるいは大きく課題をとらえていただくためにどうにか工夫ができないものだろうかと思いまして、主要の審議会の会長、会長代理の方々と事務局をあわせて会合を持つような工夫もしてみました。しかし結果的には、なかなかそれは、効果の上がった部分はありますけれども、やはり上がってまいりません。そして現在も、同じ問題について複数の審議会でそれぞれの立場から御議論をいただく、あるいは大きい立場からいただいた御見解に対して専門書がまた違った議論をされる、そういった状況が続いております。  そうした状況をもたらしておりますものは、まさに実は縦割り行政以外の何物でもありません。そして、大きな課題にこれから取り組もうとするときに、この状況のままでいいのかという思いは一つ強くございました。  そして、規制緩和等を進めてまいりますにつきましても、議員にも御協力をいただきました一つの、例えば輸入建物、海外からの輸入建物の規制をひとつ緩和しよう。全く私が考えておりませんでした省庁まで含めて、六つの省庁がその規制緩和一つにかかわっている。そのどれか一つが欠けても、せっかくの規制緩和というものは実効が上がらない。こうした点でも、行政の細分化、そして横の連携の悪さというものを痛感させられてまいりました。  もともと今の行政の仕組みというものが人生五十年時代の設計であり、人生八十年時代に合った設計に変えなければならないというのは、私自身が今までにも言い続けてきたことでありますが、これからの国際社会の中で日本が大競争時代と言われる時代に勝ち抜いていこうとするならばこのままでは到底だめだ、そんな思いが行政改革についての、どうぞ国会においても御協力を賜りたい、国民にも御協力を賜りたい、ただし既存のルールで守られている方々には痛みを与えることにはなるけれども、それは仕方がない、そんな思いに私を駆り立てております。
  68. 柳沢伯夫

    柳沢委員 総理のお気持ちの一端をここでまたさらにかいま見た感じがいたします。  それにしても、最近の橋本行革の進め方について、国民の中に、根本のところは大変な期待があると思います。しかしその手法において、やや機関の乱立というか、指示の、何と申しますか、必ずしも系統立っているのかなというようなことについて若干疑問なしとしない声もあることも私は認めざるを得ない、こう思うんです。  例えば、これは非常にいきさつがあって、いきさつを聞いてみますと総理のお気持ちが手にとるように私もわかるんです。それは例えば、橋本総理が通産大臣として産業構造審議会、産構審に経済構造改革の問題を審議させていらっしゃった。それで、総理におなりになった。産業構造審議会は、中間段階ではあるけれども、非常にいいポイントをついたリポートを用意されんとしておった。したがって、総理財政構造改革を通産省、産業構造審議会に投げられたわけです。  しかし、通常、普通の常識からいえば、経済構造の問題といえば、それは経済企画庁の問題ではないのか、経済審議会の問題ではないのかという先入見がありますから、若干あれっと、こういうふうに思う人が出てきてもこれはやむを得ないと思うんですね。  それから、これは必ずしも橋本総理の責任とも言えないわけですけれども、例えば規制緩和、これは六分野の規制緩和をやるんだといって経済企画庁長官が今度は経済審議会の方に投げかけられた。それで、経済審議会は一生懸命やられたリポートを出す。しかし、この問題についてはもとより行政改革委員会の中に規制緩和関係の小委員会があって、後から御紹介するように大変もない大きなエネルギーを投じて頑張ってくださっているわけですね。  そうすると、この経済審議会がやっている六分野の規制緩和と、あるいは行政改革委員会の中の規制緩和小委がやっている規制緩和とは、一体、作業としてどうやって調整されるんであろうか、今のところはどうも投げ出されっ放しになるんじゃないか、結局その調整は総理手元でやられるんじゃないか、こういうようなことが起こっているやに我々には外から見て見えるわけでありますが、これらにつきましては総理はどんなふうなお感じをお持ちになり、また、国民に向かって大丈夫だよというようなお言葉をぜひお願いいたしたい、このように思って、たださせていただくわけであります。
  69. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今日まで歴代内閣のもとでさまざまな審議会あるいは委員会が生まれ、そしてそれぞれが大変一生懸命にその審議会の与えられた分野における作業に取り組んできていただいております。そして、それは間違いなくそれぞれが大切なものでございます。  ただ、それが逆に、私がさっきから申し上げたように、それぞれの所管省に与えられた機能の中の議論に終わってしまっている場合はないんだろうか、あるいは省庁の壁に阻害されている部分はないんだろうか。それが、当初私が実は経済審あるいは各種の審議会を一体的にということを考えた理由でもありました。しかし、それがうまくワークしなかった最大の理由は、実は事務局がそれぞれの省庁に分散して存在をし、それぞれの事務局はそれぞれの省庁に与えられた機能の中でのみ物を進めようとする、また、それを越えて行動することはできないわけでありますから、問題を生ずる。  そうした中で、確かに経済審の方で熱意を示していただいたテーマについて、経済構造改革という視点から作業をお願いをしたことが私は間違っていたとは思いません。同時に、産構審が産業構造の改革という視点から、さまざまな企業の立地する要因という視点で、従来であれば産構審で議論をしなかった角度まで議論をしていただいたことは、私は決して間違っているとは思わないのです。  ただし、その結果として、食い違ったり濃淡が出ている部分があることを、私はそれは認めます。そして、それはすべて、実は問題をいろいろな角度からとらえた結果の指摘でありますから、それは内閣全体として受けとめながら実行にいかに移していくか、その手順を我々は決めていかなければならない、そのように思います。
  70. 柳沢伯夫

    柳沢委員 総理は、逆にむしろこれまでの縦割りにとらわれないで問題を投げかけてみられ、そしてまたできるだけそういう枠にとらわれない意見を打ち出させて、そしてそれを内閣の責任において調整されていく、こういう御決意を述べられたように承りました。  私も、これは総理の総合調整というか、あるいは内閣の総合調整への負担というものは大変大きなものになってくると思うのですけれども、これはやはりやり遂げなければ、何回も繰り返されることが今回も繰り返されるだけという結果になりかねませんから、むしろそれを避けるためにはそういったことも思い切った手法か、このように思って、私が評価するというのもおかしいのですけれども、よく理解をさせていただきます。  それからもう一つ、行革の一般論なんですけれども、総理、実は非常に国民の間には素朴な疑問があるのです。  今回の総選挙、これは各党ともに行革を主張の一番の柱に置いて選挙運動をやったわけですけれども、国民の中には、正直に我々に対してこういうことを言う、疑問点を投げかけてきたわけです。それは、その行政改革をやれば役人は一体何入減るんですか、税金は一体幾ら安くなるんですか、あるいはさらに、我々の生活にとって何がどう今日よりもよくなるんですか、こういうことをぶつけてこられました。  これは、総理、恐らくお答えになるときにおっしゃるでしょうけれども、私は、これはむしろ今日より日本の国を悪くしないためのというようなことでよく説明に努めたつもりですけれども、この素朴な疑問に対して、総理自身の言葉で、きょう国民皆さんに、今次の行政改革の効果として国民に対して何が期待されるんだということを御説明賜わればと思います。
  71. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、第二次臨調以降の、ちょっと正確な数字を記憶をいたしておりませんけれども、国家公務員の純減はたしか四万数千人に上っておると思います。そして、そういう意味では、今までも実はこつこつこつこつと行政改革の努力というものは進められてまいりました。  しかし、例えば、一つの部分を占めます規制緩和という問題一つをとりましても、その規制緩和によって国民によりよいサービスあるいはよりよい商品が従来より安く手に入るというメリットは生まれてまいりましょう。あるいは地方分権という視点から、住民に身近な仕事を住民に身近な自治体にお願いをしていくことによって、より手の届く範囲、それがかゆいところにまで手の届くような行政サービスというものが行われる、そういうメリットもありましょう。  そして、まさに縦割り行政というものの持つ最大の弊害は、意思決定がおくれる、あるいは似たような事業がばらばらに並列して実施される、そうしたことが指摘されておりますけれども、当然そういうものは改善されていくわけです。同時に、規制が廃止あるいは緩和をされていくことによって、行政の介入あるいは過剰な規制によって、市場原理に基づく活力のある経済活動がきちんと行われる体制ができる、当然のことながら、私はメリットとしてはそういうものが挙げられると思います。逆に、それによって守られてきた部分については、その規制が排除される結果、痛みを受ける、そうした部分があることもまた間違いありません。
  72. 柳沢伯夫

    柳沢委員 ところで、これまた総理の今次臨時国会における所信表明に戻らせていただきますけれども、総理は、今次行政改革につきまして、「この国民本位の行政改革を中央省庁の再編を中核として進めてまいります。」こういうふうにおっしゃられたわけでございます。もちろんその中では、このことに伴っては大胆な規制の撤廃や緩和あるいは地方や民間への業務や権限の移譲、こういうことによって行政のスリム化を進めていくんだということを言葉を継いでおっしゃっていらっしゃいますから、この点はこれでいいんですけれども、世の中の普通の人は、実は行政のスリム化なくしては中央官庁の再編はないだろうということで、通常、総理の問題の立て方とは逆の発想をしておるわけであります。私自身もそんな発想に傾きがちの人間なんですね。  ところが、総理は、思い切って行政改革の中核にこの中央省庁の再編を据えられたわけでございますが、この理由というか、いや、それほどのことはないんだよとおっしゃるのか、ここにこの行政改革のいわば目的があるんだ、これをこそ実現するんだということを言い切られたことにはやはり総理なりの行政改革の手法についてのお考えがあるんではないかとも私は思うものですから、その点についての総理のお考えを承れれば、このように思います。
  73. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 既に行政改革委員会における作業の中から、官民の役割のあり方あるいは規制の問題等については相当の作業を進めていただいております。また、地方分権推進委を中心にして、地方分権に向けての方向づけというものもどんどん進んでまいりました。しかし、実はそれは、全部パート、パートをとらえて、そういう審議会の組み立てをしてしまった方が悪いんですけれども、お願いをしたテーマとして一面からの取り組みをお願いをしている状況なわけです。そして、私は、それぞれの部分の改善は当然なされましょうけれども、それだけではどうにもならない、そんな思いをいつの間にか強く持つようになりました。  そして、もともと私は、実は、人口構造の変化に応じた行政の仕組みの見直しということを世間にも言い、自分でも考えていた人間ですけれども、そればかりではない大きな国際的な状況の変化の中で、一体二十一世紀の日本というのはどんな姿になるんだろう、そしてその二十一世紀の日本という中で国家の機能のあり方は一体どうなんだろう、そこから議論をしないと本当にあるべき行政の姿というものは出てこない。当然ながら分権も進める、規制の緩和、撤廃も進める。  同時に、私は私なりに、その国家機能というものを、一つは国家存続のための機能であり、もう一つは国の富をつくり出すための機能であり、もう一つは国民のまさに暮らしの安全を守る、安心のできるという機能であり、そして教育あるいは文化を生み出す、こんなふうな機能に自分なりに頭を整理してみました。そして同時に、緩やかに連携のできる、いわば縦軸の行政と同時に、横の切り口で行動できるような仕組みはないものだろうか、まさにそのような思いから、中央省庁の再編というものを今議論を願おうとしております。
  74. 柳沢伯夫

    柳沢委員 私は、剣道は知りません。総理は剣道の達人であられるわけでございまして、まさに正眼の構えというか、真っ正面からの構えをなさっているという感じがいたしました。  実は、ちょっと私、総理に対して失礼だったのかもしれませんが、さっき普通の人という言葉を言って、普通の人はおやっと思うと。しかし、識者の中には、これはおもしろい手法かもしれない、非常に成果を生んでしまうのじゃないか、つまり省庁を少なくすることによって、余分なことを役所はやっていられなくなる、そういうプレッシャーとしても非常にこれは機能するかもしれないというようなことも言っておられる方がおりまして、御披露するまでもなく御存じだと思いますけれども、私もここでちょっと申し上げておきたい、こう思います。  ただ、総理、私ちょっと二、三、この四つの分野については、大変恐縮なんですがひっかかる点があります。この点は、総理もすぐにこの四つの機能の後で、「機能のあり方について幅広く議論することが何よりも重要」、こうおっしゃってくださっていますから、私はある種安心しているのですが、やはり総理のお言葉ということになると、これはひょっとしてだんだん固定していくとしたら、我々としてはどうしても議論の余地を残しておいていただきたいと思うものですから、その点で私ちょっと申し上げるのですが、二つあるんですね。  その一つは、財政の位置づけなんですね。財政の位置づけを総理は国家の存続のための機能の例に挙げているわけですけれども、これはなるほどそうなんです、実際は財政というのは。私も若干財政にかかわったことのある人間で、そういったことについて若干の知識も持っているわけですが、領邦国家の財政などというのはまさにお賄い役だったわけでございます。  逆に、ケインズの経済学が出てから、国の財政、どこの国の財政もそうですが、その賄い役としての、つまり会社でいうと経理部みたいな形の役、機能というものをむしろ放てきしてしまった。経理部とかお賄い役というのは、借金をしたらいついつまでに返すんだということをぴしっと見込みを立てていなければならないのですね。そういう機能を逆に非常に軽視してしまった。ここに、私は今日の財政がどこの国も直面している問題の一つの理由があるというふうに思っている人間なんです。  しかしそれにしても、やはりこの二十世紀の末から二十一世紀へかけての財政の機能が、お賄い役というか、そういうことで本当に済むのだろうか。やはり国民経済の循環の中で何といってもまだまだかなりの役目を果たし、国民生活の安定あるいは経済の成長などにも相当大きなかかわり合いを持っていくのだろうと思うのですね。そういうような意味で、ややこの財政の機能というものを矮小化して、小さなところにとどめ過ぎていはしないか、こういうことを感じるというのが一つ。  それからもう一つは、経済の位置づけなんですが、産業と経済というふうにくくられておられるわけでございます。国を富ませる機能でございましたでしょうか、そういうことなんですが、経済というのは私は、ちょっと私の個人的な意見ですが、やはり産業と一緒に一くくりにするには余りにも基本的、余りにも広範な機能ではないか、こういうように思うのですね。  例えば、資金の流れというものを考えてみますと、資金というのは、国民経済の血液と言われるように、どこにでも行きます。これは産業としてかかわる人たちは、銀行だとか証券というようなことで産業としてあるわけですが、しかし資金は当然消費者にも行って、消費者が貯蓄という格好でまた国民経済の、あるいは国民資金循環の中に流していくというようなことがあります。  今はこの資金の流れという経済現象をとらえたわけですが、やはり経済というのはそういうように消費者とか社会の隅々にまで流れていく一つの循環なり機能でありまして、産業というものはその一部なんですね。ですから、私は、やはりそこを一くくりにすることについてもやや抵抗感を持ちました。  この間もシラク大統領が来られたときに、私は、あるインタビューをちょっとたまたま見る機会があったのですが、シラクさんですら、彼は別にマルキストではないのですが、マルクスが言った。経済こそ下部構造です、その他のものはその下部構造の上に花開いてもらう上部構造なんですというようなことを彼が口にしまして、私もちょっと驚いたのですけれども、やはり経済は下部構造なんですね。したがって、私としては、このあたりのことについては総理ももう御自身おっしゃられておりますように、幅広く我々に議論の余地を残しておいていただきたい、こう思いますが、いかがでございましょうか。
  75. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、あくまでも自分なりに申し上げたことでありまして、私は決して独裁者ではありません。そして、私自身が、例えば科学技術に対する研究というものを教育研究の機能として扱うべきなのか、あるいは国の富を増していくというとらえ方をすべきなのか、本当に迷いました。あるいは、委員経済、産業というものを挙げられましたけれども、例えば一方でとらえております金融システム改革一つをとりましても、これは国民の資産運用という面からとらえるなら、国民の暮らしを守るという分類もできるんです。  ですから、私は何も自分の考え方に固執するのではありません。ただ、全く議論のたたき台なしては議論もお願いできない、そんな思いの中から、私はこう思いますということを申し上げただけでありまして、広くまさに議論をしていただきたい。そして最善の姿をつくり出したい。その中には、規制緩和によってスリム化する部分、地方分権によってスリム化する部分、そうしたものは当然反映されてしかるべきだと思います。
  76. 柳沢伯夫

    柳沢委員 もうちょっと総論を続けさせていただきますが、また総理の所信表明に戻らせていただいて、何か言質をとったみたいで大変恐縮な物の言い方になりますが、総理はこの所信表明の中で、女性の関係では、私がざっと見させていただいた限り「男女共同参画社会の実現」というくだりでお触れになられて、もちろんその前に「女性と男性が支え合い、喜びも責任も分かち合える」という、そういう具体的な叙述もなさっておられたわけでございます。  ところで、今度はこっちの手前みそみたいな話なんですが、いわゆる自由民主党の行政改革推進本部の出しました橋本行革ビジョンにおきましては、もうちょっと女性の問題について我々は触れさせていただきました。それから同時に、今回選挙に当たっての党の公約におきましては、さらにこれをブレークダウンした形で、女性の政策、女性に対する政策の問題に実は触れさせていただいたのでございます。  我々がこの党公約の草稿をつくっている段階で、ある外国人の、これはもう大変な知日派でございまして、日本語も堪能な、私なぞかなり高く評価しておる、経済エコノミストと申しましょうか、そういう方ですけれども、自民党の公約に行政改革をトップに持ってくるなどというのは、それは女性問題の大事さということがわかっておらぬ証拠だ、女性対策こそこれを公約のトップに位置づけるべきぐらい大事な、国家存亡の問題なんだ、こう言って、我々は実は啓蒙というか、ウォーニングを受けたわけなんです。そのくらい女性が、これから少子化の中あるいは高齢化の中でどういうスタンスで我々の国の社会の構成員として生きられていくか、このことは、我々の福祉であるとか年金、もう総理が御承知のことですから、物すごい重大な影響がある、経済成長にも影響がある、こういうことですね。  中には、年金制度に関連して、年金というものが、我々の年金は修正積み立てといってやや賦課的な部分があるということで仕組まれているわけですけれども、この賦課的なことで考えてみると、女性が年金の保険料を支払うことと子供を産むこととは全く同じ価値を持っている。子供を産んでくれさえすれば、その次の時代にちゃんと働いて、また年金の保険料を払ってくれるわけだから、今少々の、働いている女性が年金の保険料を払ってくれるよりもはるかに大きな、年金制度の維持という次元で考えても、大きな効果を上げるのだということを言う人すらいるわけであります。  私は、女房と娘が二人きりなものですから、ますますフェミニストになっている面もあるかもしれませんが、しかし、まじめな話、この女性をどういうふうに、ともすれば負担を今までしわ寄せられてきた。さらに今後もそういうことがほっておけば起こりがちなそういう女性を、結婚もする、家庭も持ってもらう、それからまた子供も持ってもらう、そのときに、そういう条件でなお女性が力を発揮できる、こういう条件を本当に真剣につくってやるということが必要なのです。  私は、橋本総理は五つの五大改革を掲げられましたけれども、できれば六大改革に一つふやしていただいて、女性の幸せのためというか、これはもう国全体、社会全体の幸せにつながる問題でありますから、こういうことを総合的に考える改革、これをぜひ御検討いただきたい。御見解を賜りたいと思います。
  77. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは、事務的なお答えを申し上げるならば、年内には新たな国内行動計画をつくるということを申し上げるにとどまると思います。  ただ同時に、多少、内閣発足時、誤解を生みましてマスコミをもにぎわせましたけれども、私は今回、行革担当大臣であり、同時に行政改革会議の会長代理を受けていただいている総務庁長官に女性問題担当をあわせて兼務をしてもらいました。そして、そのときにお願いをしたことは、現在、労働省の婦人局がほとんど中心になって、そこから膨らみがなかなか出ていかない、こういう状況を変えていき、行政改革の中においてもその女性という施策をきちんと位置づけられる仕組みを考えていくためにここを一人の大臣の所管にあわせた。そんな思いでこうした措置もとってまいりました。  男女共同参画型社会という言葉がもう既に定着をいたしておりますけれども、これが名実ともに進むかどうかというのは、まさにこれは我が国の将来を決定する大きなかぎであります。最近も、ある小さな金融関係の機関におきましても、昇進差別の問題が耳目を集めるようなケースもございました。こうしたことが裁判によって決着をしなければならないというような状態を直していきますために、その女性の位置づけをむしろ行政改革の中においてもきちんと確保してまいりたい、私はそのように思います。
  78. 柳沢伯夫

    柳沢委員 ありがとうございました。我々は党のサイドでこれに努力を傾けてまいりたい、このように思います。  それで次に、一、二、各論をやる時間しか残っていないわけですが、規制の撤廃と緩和の問題を取り上げさせていただきます。  行政改革のうちで、いろいろな、すべての行政改革はもちろん国民に関係があるわけですが、直接性という意味では最も関係の深い分野が、実は規制の撤廃、緩和であると私は思っているわけでございます。先ほど来申し上げましたように、行政改革委員会の宮内小委員会、この活動も、先般宮内さんに党に来ていただいて状況の報告をいただきましたけれども、それはすさまじいマンパワーを投入して、ある同僚の我々の委員は、宮内さん、社長業はどうなりましたかと言って尋ねたぐらいに、物すごい時間を費やしてこれに取り組んでおられて、我々は敬意を表しておるわけでございます。  ただ、最近、私はちょっと一つのことに気がつきまして、それはどういうことかと申しますと、まあ、つまらないエピソードですが、ちょっと話をわかりやすくするために申し上げますと、中山太郎先生、我が党の中山太郎議員が、臓器移植法案を出されました。私も、今政審の委員も務めておりますので、法案をざっと読んだ。読んだというか、何もすることがないものですから、さっと目を通しておったのですが、そうしたら、非常におもしろいくだりに突き当たったのです。  第十二条というところに「業として移植術に使用されるための臓器を提供すること又はその提供を受けることのあっせんをしようとする者はこと、こうあるわけです。業として移植される臓器をあっせんしたり提供する世話をしようとする人は、「厚生省令で定めるところにより、臓器の州ごとに、厚生大臣の許可を受けなければならない。」そして、その厚生省令で、当然ほかも定めるのだけれども、その中の大どころとしては、営利を目的とするおそれがあっては困りますよとか、あるいはだれがこの臓器を提供されるのだということについての選択は公平かつ適正に行われなければなりませんよ、こういうようなことが書いてあるわけですね。  私、この条文を見たときに、困ったなと思ったのですよね。これはどういうことが困ったなと思ったかと申しますと、我々の今やらんとしている行政改革というのは、事前許可制、事前統制型の社会から事後チェック型の社会に転換する、システムに転換する、このシステムの転換がなければ何事も動かない、そういうことによって市場の力をより一層日本が重視するようになる、それからルールの支配、裁量じゃなくてルールの支配、こういうものが前面に出てくる、こういう社会にすることが行政改革ですよという、行政改革のもう一つの側面は我々がかねてから研究をしておるところだと言っていいと思うのですね。ところが、こういう今言ったような条項の法律がどんどん出てきてしまうということなんですね。  きょうの新聞に載った。きのう大変な決断が行われたわけですが、例えば運輸サービス業の参入について、需給調整条項を外します、ルールの中から外します、こういうことで、ああ、規制緩和小委員会は大きな仕事をしたね、こういうことになるわけですが、それは実は、運輸大臣が許可するに当たって配慮する条件の中から、ルールの中から、その需給調整の事項を除いたということなんですね。ですから、その限りにおいては確かに規制は緩和されたわけですよ。しかし、相変わらず、そういう条件のものに許可を与えますよ、許可制ですよ、事前許可制ですよ、許可を受けなければならないのですよというようなことになりますと、事前統制型というシステムについては何らの変更が加わっているわけじゃないのですね。  つまり、我々が直面している規制の問題というのは、ここで気がつくわけですが、二重の構造を持っている。規制をするときに配慮するいろいろな条件について緩和をしなければいけないということと、最後のその締めのところの許認可というところについてもできる限り、事の性質にもよりましょうけれども、事後チェック型のものにしなければいけない、これを一体どうするんだという問題が提起されているのだろうと思うのです。  そこで、私は、あえて申し上げますけれども、我々今次国会でも、幾つかの法案を提案され、そして審議をさせていただくわけですけれども、一体今、内閣法制局、これは最終的に法制について、我が国の特に内閣提出の法律については総合調整をする機関でございますけれども、この我々が事前統制型のシステムから事後チェック型のシステムに転換しようといったようなことについて、その総合調整に当たって何らかの配慮をしているのですか。既存の法律について改革することばかりが我々の仕事じゃないのですね。これから生み出す法律は、もう初めからそういう事後チェック型の法律にしておく必要があるのですね、後の手間を省くためにも、また何よりも行政改革を早く実現するために。そういうことなんですね。  この点、法制局長官、どうですか。
  79. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 法制局における法案審査の基本的な考え方いかんということにかかろうかと思いますが、まず一般的に申し上げますと、各省庁が立案されます法案について、従来から、その政策目的に応じ最も合理的な制度であるかどうかという観点から厳格に審査してまいったところでございます。  そして、ただいまお尋ねの規制緩和という点に限定してお答えいたしますと、先般の内閣総理大臣所信表明においても述べられましたように、経済的規制は原則排除し、社会的規制は白地から見直し、必要最小限度のものに絞り込むということが述べられているわけでございますが、このような観点から、この問題は、まず総務庁において政策上の検討が行われているはずのものではございますけれども、内閣法制局の立場におきましても厳格に審査を行っていく所存でございます。
  80. 柳沢伯夫

    柳沢委員 時間の関係で一、二言葉を継ぐ余裕があるみたいですので継ぎますが、本当にやられますか、それを。  そうするとルールが要るんですね。つまり、どういうものは許可制、事前許可制を残していい、どういうものは事後の報告とか、そういうようなことで、もう規制というものを最後のところでも、最後の段階においても緩和する、あるいは撤廃するんだ、これは相当のルールが要りますよ。  例えば、今私が中山先生の臓器移植法案を読みましたよ。私は、これは法律構成という意味で非常にわかりやすいから例として挙げたんですよ。しかしこれが、私も、この臓器移植が厚生大臣の許可制にかかわらしめなくて大丈夫だろう、市場原理でやらせた方がいいじゃないかとまでは言っていないんですよ。  とすると、実はここの、許可制にするべきものか報告制にとどめるものかといったこと、あるいは報告もなしにするかといったことについては、まさに大変もない作業のもとで、国民の合意も得ながらルールをつくらなければいけないんですよ。そういうルールが既に内閣法制局の中に法令審査の基準の一つとしてしつらえられているんですかということです。  通り一遍の答弁じゃだめですよ。行政改革推進本部の事務局長ですから、私は。そういう通り一遍の答弁ではなかなか納得できない。本当にシステムを転換しようと、我々は非常な大きな抵抗を受けながら今一生懸命やっているわけでしょう。それはやはりちょっともう一度お答えいただきたい。本当にルールを持っているのか、ルールについて、今持っていないとしたらどういうことを今後やっていかなければいけないと考えているか、この点について御答弁をいただきます。
  81. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 ただいま私のお答えの中で、まず総務庁において政策上の検討が行われているはずのものでありますがと申し上げたのは、まさにそこの点について触れたことでございまして、委員お尋ねの振り分けのルールを持っているかという点に関しましては、内閣法制局の審査に入る前段階として、いかなる政策をとるかどうかということについては前段階で十分に政策の振り分けがなされてその上で持ち込まれている、持ち込まれるべきものであろうということに、性質上はそういうことでございます。
  82. 柳沢伯夫

    柳沢委員 性質上はそういうことだと。それはそうだと思うのですよ。それを否定するつもりはない。しかし、内閣法制局というのは、やはりここに意識がいっていればいろいろな形での総合調整ができるんです。私はそう思います。私は法制局審査も受けたことがある。ですから、それはこういうなるべく事後チェック型のものに移行していくんだという眼でもって今後とも事務に当たっていただくことを希望しておきたい、このように思います。  次に、地方分権の問題に移ります。  地方分権につきましても、地方分権推進委員会の諸井委員長以下、これもまた、もう本当にすごいボリュームの作業をしていただいておることは御案内のとおりでございます。やや神学論争ではないかというようなことも聞こえできますけれども、それほどに熾烈な役所との議論を進めておるということは、私どもとしても高く評価しなければいけないことだ、このように考えているわけであります。  私は、我が国の今後の活性化のためにはどうしても特色ある地域づくりということが不可欠の条件だ、それにはやはり今の体制よりも地方分権を進めた方がより特色ある地域づくりということになるだろう、これはもう言うまでもないこととして考えている人間であります。  亡くなられた司馬遼太郎の言葉に、私は作家の司馬遼太郎さんの言葉にも触発されている人間ですけれども、司馬遼太郎さんはこういうことを言っているのですね。  それはどういうことかというと、江戸時代、諸藩のあった地域と天領、幕府の直轄の地域とでどういうことが現象として出てきたかというと、人材ははるかに諸藩から出てきた。天領からは出てこなかった。まあ、天領から出た人を知っている人がいたら、それは一般論でありましょう。いずれにしても、そういうことを言っておる。  ただ、あのときにどうして中央集権国家というものが必要だったかというと、やはり国際情勢に対処して日本の国全体としての安全保障というものを考えたときには、諸藩でばらばらの体制では不適切であったのだ、こういうことを述べておられます。  そういうことも考えながら、私なぞはこの地方分権問題に取り組んでいるわけでございます。  これまでは本当に中央主導でありました。これは、多くやはり旧内務省の伝統というものが、戦後、民選知事に転換された後も残っていたという面もあろうかと思います。  実は私なぞも非常に反省をしているわけでございますけれども、例えば法律をつくるとき、例えば私も農林の関係の法律をつくったことが、つくることに参画したわけですけれども、何の気なしに、この計画は都道府県知事においてつくるとか、市町村がその案をつくって県知事に上げて審議を求めるとかということを何の疑問もなく書いてしまう。あるいは、書いたものを読んでも、うん、そうだろうなというようなことでやっていたわけですが、これは機関委任事務をどんどんふやしているという結果に結びついてしまうわけなんですね。  これは先ほど法制局長官にやや厳しい言葉で言ったことを自分自身に向けているようなわけですけれども、やはりみんな、我々同僚議員も法律の制定に参画するわけですが、そのときにできるだけそういうことを頭を切りかえていかないといけないのだということをお互い自戒をいたしたいものだ、このようには考えておるわけであります。  私は、あるときからこういう考え方を持つに至りました。中央省庁がこのごろ極端にみずから手を下さないで、お金を地方団体なりにやって仕事を進めていく、こういうことが、かつての内務省の遺風が残っていたという以上に行う傾向が出てきた。こういうことなんですね。  それで、あるとき聞きました。これは、ある非常に不幸な事件、ここで言うのはどうかと思うのですけれども、ある事件がありまして、それで中央省庁の役人が非常に厳しい目に遭った。住民との対決を強いられて非常に厳しい目に遭った。そのときから中央官庁の役人というのは、どうしても地方から発意をして、それに受け身で受けていく、それで実現していく、こういう行政手法に傾く傾向が強くなってきたということでございます。  そんなことで、その結果どういうことになったかというと、日本は、今や中央で二、十のうち二、仕事をしている、地方で八、仕事をしている、こういう状況になっております。外国ではどうか。外国は、連邦制のアメリカでも中央で四、地方で六です。四対六です。二対人なんていうのは信じられない。これはもちろん公平に言っておきますが、ドイツとかカナダとかはまあ日本と似たような国ですが、いずれも連邦制、強い連邦の伝統のある国ですね。単一国家はどうか。イギリス、フランスの例を見ると、中央が六、地方が四でございます。  というくらいに、結局、今言ったような傾向の帰したところ、二対八になってしまった。みんな中央官庁の役人さんというのは、お金を配ってやらせるという立場に立ってしまった。あとは自分の指揮命令に従うように担保しておく、こういう行政体制になってしまったということであります。  もう時間がございませんから余り申し上げませんけれども、要するに、そういうことで今度の地方分権というのは、この二対人をそのまま固定化して財源を保障するということではあるまいと思うのですね。これは、本当の仕事の役割分担というものをもう一回根っこから考え直す、こういうことでなければならないと私は考えておるわけですね。  それともう一つ、これから胸突き八丁、機関委任事務などの比ではない格好で大きな困難が予想されるのが財源問題ですね。これはもう長い長い論争の歴史があります。私がこのごろ読んだ本の中でも、三好重夫さんと奥野先生の大論争というのが実はあります。  そんなことで、この地方財政問題についても、一体今のような本当の財源保障、地方への財源保障という制度を今の形で残していけるのか、維持していけるのかというようなことを含めて、大変な問題を我々は処理しなきゃいけないということになっていることを申し上げたいと思いますが、今の仕事の割り振りの問題がそうなっているということについて、どの大臣からでも結構ですので、ちょっと御感想をいただいて、終わりにしたいと思います。
  83. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今のお答えの前にちょっとだけ、先ほど法制局長官からも話がございましたので。  私、今いろいろ規制緩和の問題は、きのう出てきた問題といい、また経済審議会からの問題といい、大変すばらしいものを出していただいて、本当に果たしてこれ全部できるのかと正直皆さんも思っておられると思うのでございますけれども、やらなきゃいけない問題だろうと思っております。  そこで、先ほどの中山太郎さんの提案の問題。  私が今事務当局といろいろと話し合っているのは、先ほどのお話で、経済規制は原則廃止、そして社会規制は白地からもう一回見直す、こういうことになっておるわけでありまして、そういう人間の生命にかかわるような問題は、私はやはり規制の方向に入れていかなきゃならないんじゃないかというふうに考えております。  それから、今のお話の地方分権との関連で、今地方に仕事が多いというのは、これは一つは、何か、ずるいといえばずるいのかと思うのですけれども、地方自治という名目から、お金をやるからという形で地方自治はやられているよというのがどうも現状ではなかろうかと思うのでございます。今言われていることは地方分権ですから、そうすると、下手をするともっと仕事がふえるんじゃないかというおそれもあるわけでございます。  私は、やはりその辺の仕分けは、国でやるべきことは、今機関委任事務でもやっております、今度機関委任事務は原則廃止するわけでございますから。そういう中で、国がやるべきことは、やはり国の存立にかかわるような問題は、これは国でやらなきゃいけない。それから、全国一律でやらなきゃならない仕事はやはり国でやらなきゃいけないだろう。あとはできるだけ地方に、いわゆる官から民、中央から地方、こういっているわけでございますから、いかなきゃいけない。  ところがそれに当然財源の問題、そうなると税配分をどうするかという問題は、これはついて回る問題だと思っておりまして、地方分権推進委員会でもその問題も含めて議論をいただいておるようでございますから、そんなような考え方に立って私としては対処してまいりたい、こう考えております。
  84. 柳沢伯夫

    柳沢委員 ありがとうございました。
  85. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて中川君、柳沢君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時開議
  86. 深谷隆司

    深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野田毅君。
  87. 野田毅

    野田(毅)委員 ちょうどこの前、総選挙が終わりまして、事実上、論戦としては初めての国会になるわけです。  今度の選挙を振り返っていろいろ総理と意見交換をしてみたいんですが、今入りました情報によると、長野県で大変な事故が発生をして、建設大臣がこれから現地へ行かれるということのようですから、本当は、きょうは建設大臣、一時間余りしっかりおってもらって、報復予算の問題だとか、新進党を応援したら地獄に落ちるぞとか、そんなような話を厳しく糾弾しようと実は思っていたんですが、これは別途、全体の話もありますから、総理からお答えをいただくということにして、どうぞ亀井さん、どうぞお出かけください。無罪放免にしますから。(発言する者あり)いや、今そういう話が私のところに、おたくの理事から話が入りましたので……。
  88. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 まだ他の質疑者で同意を与えてくだすってない方がありますので……
  89. 野田毅

    野田(毅)委員 ああ、そうなの。
  90. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 ですから、その御了解がいただけたら……
  91. 野田毅

    野田(毅)委員 ああ、そうですか。それじゃ、おられるときに、流れの中で質問することになると思います。  冒頭、我々申し上げたいんですが、橋本総理も、選挙前と選挙の後で若干表現が変わってきたなという印象を持っています。我々の言っていることを結構取り入れている、よく言えば、発想として。  例えば、行政改革。中央省庁の統廃合にしても、最初、自民党の公約は、国会移転に合わせて大体十五年後くらいにやるんだという種類の話があったんだけれども、中央省庁再編、いつの間にかどんどん縮めてきて、どうやら最近は二〇〇一年というか、その辺に期限を区切ってきたなと。我々は今世紀中にと言っていたことに平仄が合ってきておる。あるいは、物事の表現の仕方として、火だるまになってもやる、これを言うなら命をかけますということだから、そうであれば、我が党の党首が、一郎、命をかけますと言うのと随分似たような発想をしてきているのだなと。ですから、そういう意味で、本当に命がけでお取り組みをいただく、五つの改革を前面に出しておやりになるということであれば、私は大変結構なことだと思っています。  しかし、どうも中身を見てみますと、これから一年かけて案をつくります、特に行革系統については来年の通常国会ではなくて再来年の通常国会に法案として提出をしますという話なものですから、随分とのんびりしておられるのだねと。  だから、言葉だけ聞くと、何かすぐにでも具体案が出て、すぐにでも実行に移るのかなというイメージで見ているんですが、言葉はいいんだけれども、本当にどこまで実行が伴うのか、これは見てみなければなかなかわからないし、我々もかたずをのんで見ておる。名前のごとく竜頭蛇尾にならぬようにひとつしっかり頑張ってもらいたいし、本気でおやりになるなら、我々としては、国益にかなうことであるなら、与党、野党ということを超えて一緒に命がけで取り組んでいくということは政治家として当然のことだと思っております。  しかし、それが単に国民に対する、政権政党としてできるだけ長続きしたいというための一つの方便みたいな形にもしなるとするならば、これはやはりそれを座視するわけにいかない。我々はそういう思いでこれから取り組んでいきたいと思っております。  この点について、まず総理の基本的なスタンス、決意を改めてお伺いをしておきたいと思います。
  92. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 答弁に入ります前に、ただいま議員からもお話がございましたように、小谷村における土砂崩壊によりまして十数名の犠牲者が発生したという報告が参っております。委員のお許しかいただけましたならば、建設大臣を現地に至急に派遣したいと考えておりますので、その場合にはどうぞ御協力をよろしくお願いをいたします。  さて、行政改革というものについての取り組みの、いわば心とでもいうような点についてのお尋ねをいただきました。  議員が御承知のように、私はもともと実は、人生五十年が八十年に変わった。それからでもそのシステムを変えなければならないということは以前から申し上げていたこと、御承知のとおりであります。  しかし、それだけでは済まなくなった。そして、本当に私なりに、就任して、先ほども当委員会で申し上げましたように、例えば分立しております審議会を束ねようという努力をしてみましても、それもなかなか実効が上がらない。そうした状況の中で、確かに私は、中央省庁の再編というものを急がなければならない、私が当初考えていた以上に急がなければならないという思いになっておることはそのとおりであります。  そして、さまざまな御意見が中央省庁の問題について既に議論をされておりますけれども、二十一世紀における国家の機能というものがどうあるべきかという点について、国民的な議論が煮詰まっているとは残念ながら私には思えません。  そうしたことから、私は私なりの視点を提供しながら選挙でも国民にお話を申し上げ、支持を願ってまいりました。そして、行政改革会議を発足させるに当たりましても、私は自分の意見にこだわるものではありませんが、一年という時間を区切ってその成案を得たい、そしてそれを次の、ですから再来年の通常国会でありますが、通常国会には提出をしたいということを、既に第一回の会合の席上から宣言をいたしております。  今後、さまざまな角度からの御意見は、当然、その行革会議だけではなく他の方々からの御意見も承りながら、二十一世紀の国家機能にふさわしい中央省庁のあり方、さらにはその中におきまして官邸の機能強化を含めて成案を得るように全力を尽くしてまいりますので、この点につきましてはぜひ御協力を心からお願いを申し上げます。
  93. 野田毅

    野田(毅)委員 今度の総選挙は、新しい選挙制度で初めての選挙でありました。なかなか、候補者側もそれから有権者側も戸惑いもあったと思いますし、同時に、選挙結果、個別には申し上げませんが、あるいは重複というシステムなり、あるいは法定得票という問題だったり、いろいろなことについてのいろいろな話もあり、戸惑いがあるのも事実だと思います。  それと同時に、今度の選挙は、小選挙区ということが基本ということになったのだけれども、残念ながら政策中心の選挙になかなかならなかったという声が自民党の中で随分出ている。この点私は、なぜそういうことなのか。それはならなかったのか、あるいはあえてしなかったのではないか、この視点も私はぜひ申し上げておきたいと思います。  その一つは、例えば消費税の引き上げ問題について、ではどれだけの皆さんがみずからの選挙公報の中に堂々とそれをお書きになったのか。あえてそのことを避けて通っている。そして、いろいろな公報関係を見ると、逆に自分たちの政党と違うことを堂々と選挙公報にお書きになっている。あるいは、新聞社の候補者に対するアンケートにおいても全然違うんじゃないですか。自民党だけでも百人以上が違うんじゃないですか。つまり、選挙の政策をあえて逃げている、政策の争いを。  それだけじゃない。報復予算の話もあったけれども、新進党を応援したら地獄に落ちるぞとか指名から外すぞとか、政策ではない、そういう恫喝的な、利害誘導的な、そういう選挙をやったのは一体だれですか。そういうことをやった人に限って、逆に選挙制度の弊害のせいにしているんだ。  私は、そういう意味で、選挙制度は絶対的なものではないと思います。常に見直しは結構だと思いますが、少なくとも、今度の選挙制度のせいにして、恫喝や報復だとかそんなことをやるというのは言語道断。私は、そういう意味で、現在自民党の中で大分中選挙区制に戻そうという動きがあるやに報道されておるのです。しかも、加藤幹事長も、この報復予算の話が出てきていることに対するコメント、小選挙区だったらそういう声が出るのもやむを得ないような発言までしている。  私は、また中選挙区に戻そうという動きがある、この点について、総理は中選挙区に戻す気持ちがあるのかないのか、この機会にはっきりさせてもらいたいと思っております。
  94. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 内閣は、法律によって定められた制度を守る責任がございます。そして、国会において御決定になりました新たな制度において、先日、初めての総選挙を実施いたしました。  そして、その中において、あるいはその後におきましてさまざまな御批判が出ておることは事実であります。そして、私は、議員も今お話しになりましたように、選挙制度というものが不断に見直されて、よりよい制度を求めていく、しかし完全なものはあり得ないというのもまたこれは事実だと存じます。  今回の選挙の結果を踏まえて、各党各会派におかれても、その点検、反省といったものが行われることは、私は当然のことであろうと思いますが、内閣として今中選挙区を採用する、そうした考え方は、国会の御意見がない限りにおきましてありません。
  95. 野田毅

    野田(毅)委員 それは当然の話なんで、議院内閣制であり、総理大臣はそうなんだが、少なくとも総理は、そういうところで逃げないで、やはり自民党の総裁でもあるわけですから、今幹事長初め自分の政党の中でそういった議論が行われていることについて、党総裁としての、それはやはり答えるのは当たり前じゃないでしょうか。
  96. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、これから党内において、今回の選挙の結果を踏まえながら、選挙制度についての議論は行われるであろうと思っております。そして、その議論に一定の枠をはめるつもりはありません。よりよい制度を探求するという意味において、その自由な政党の中における議論は封殺されるべきではありませんし、国会における各党各会派の御議論もまた同様と思います。
  97. 野田毅

    野田(毅)委員 この問題でいろいろ議論しても後の問題に入れませんので、いずれ別の機会にまたやりたいと思います。  そこで、今報復予算の話をしたんですけれども、これは選挙制度とは全く別の問題だと思います。少なくとも、どうもこれは政党の体質の問題だという感じがしますね。やはりポイントは、国民税金をいかにも自分のポケットマネーのような感覚で、自由に扱えるんだというこの感覚が、結局は平気で利害誘導だとかそういった問題につながっておるわけですね。(発言する者あり)今やじっている人もそういう感覚の人なんでしょうね、多分。  そういう点で、私が余りこの問題を自分の口で言うと、党派的な関係で物を言っているように聞こえるとよくありませんから、あえて客観的に報道記事をもって申し上げてみたいと思います。  ある社説でありますけれども、「予算を私物視する自民党のおごり」という見出してあります。   自民党は予算税金)を私物化しようとするのか。   自民党を支援した地域(選挙区)には厚く、新進党に敗れた地域は冷遇するといった議論が役員会などで飛び出し、加藤幹事長がそれを容記する発言をしているからだ。   選挙区ごとの勝敗を基準に、報復的に予算配分をしようとするのは前代未聞だ。本気で実施するなら、党利党略で予算を山分けするに等しい山賊的行為である。反対党の存在そのものをつぶしてしまおうという点では議会制民主主義とは相いれない考えである。   自民党の態度は、同党が得意とする利益誘導選挙を露骨な形で打ち出したもので、それ自体、公選法に触れる行為となる。同時に許認可(規制)の撤廃や地方分権という行政改革の中身自体にかかわる問題で、橋本内閣の金看板である行政改革そのものに反する動きだ。   公共事業の個所付けに代表される補助金の配分や許認可権が政権党や役所の半ばし意的に行われるところに政官業の癒着が生まれ、汚職が起きることは今回の厚生省スキャンダルが端的に示している。 こう書いてあるわけで、これは客観的な記事であります。このことをまず総理はどう受けとめますか。
  98. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは本会議でもしばしば御答弁を申し上げたところでありますけれども、同じ言葉をきちんと使わせていただきたいと思います。  国の予算の配分、執行というものは、その政策目的などに照らし厳正かつ公正に行われるべきことは当然であり、例えば、これは私自身、愛知万博に関しまして、国際博覧会事務局が見えましたときに、この愛知県の万博が誘致できますように全力を尽くして事務局との話し合いをも持ちました。この愛知県は、我々が遺憾ながら勝利し得なかった県の一つであります。これを例示として本会議でも申し上げたところでありまして、種々の報道があったことは承知をいたしておりますけれども、私どもは、国の予算の配分、執行に当たって、その政策目的、効果などを踏まえて厳正、公正に対処してまいります。本会議でも申し上げたことであります。
  99. 野田毅

    野田(毅)委員 もしそうであれば、答弁だけでなくてそのことをきちっと閣議なりなんなり、事務当局に徹底してもらいたい、この点を。私は、ぜひそれをお願いしたいと思います。
  100. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、国会という国権最高の場において、しかも報道を通じて国民にすべて見える場所で今申し上げております。改めて閣議決定をいたすようなことではない、当然行うべきことを淡々と行ってまいります。
  101. 野田毅

    野田(毅)委員 国会へ答弁していれば役所が全部そうなるかどうか、これはまだわからないですね。わからないから、あえて、公務員の規律の問題にせよいろいろな綱紀粛正の問題にしても、改めて大事なときには節目節目で閣議決定なりなんなりというものをやっているわけだ、今まで。なぜこれだけできないんでしょうかね。  なぜ私がそのことにこだわるかというと、さっきやじの中でもあったように、総理自身もおっしゃっているんですよ、何となく、雰囲気として。「これに関連し、橋本首相は同日、記者団に対し「我々が野党の時も当時の与党でそうおっしゃった方がいた」」こう書いてある。おっしゃったんですね。ということは、すなわち、自民党で今やじっている人たちの言うことに役所が動かされるということを、理解を示したという受けとめ方になる。当たり前じゃないですか。  しかも、さっき建設大臣、行ってもらったんだけれども、少なくとも今度の選挙に当たっても、実際に新進党を支援したら地獄に落ちるぞと言って、そう言った張本人の人を、最もそういった報復予算絡みについて誤解を与えるような大臣のポストに現に据えているじゃないですか。こういう現実をつくっておいて、国会で総理が言ったから全部末端まで徹底するということをだれが信じられますか。どうしてできないんですか。
  102. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 確かに、今引用されましたように、最初、番記者の諸君からそうした質問がありましたとき、反射的に私は、野党自由民主党の政調会長でありましたときに、こう言われましたという訴えを聞いたことを思い出しました。しかし、そうしたことがあってはならないというのは議員の御指摘のとおりであります。そして、各閣僚は、ここで皆、今のこのやりとりを聞いております。当然ながら、私は報復予算などという言葉を、私自身も使ったことはありませんし、そうした行動をとる、そのようなことは考えてもおりませんということを繰り返して申し上げております。
  103. 野田毅

    野田(毅)委員 まあこの問題で何遍も何遍も時間をとっても仕方がないと思うんですが各閣僚に本当は全部一人一人チェックをしてみたいところなんですよ、これは。だけど、私は、本当にここのところを、今やじっている連中は、むしろ報復人事をやれとかいっていろいろ言っていた人たちでしょう。こういうものを放置しておいて、総理がここで答弁したからといって、じゃ今度の、今永田町あたり、どれだけ大勢の陳情団を呼んでいますか。閣僚の中には、陳情の多いところから話がわかるのは当たり前だと言わんばかりの、陳情政治を、陳情行政を逆にバックアップするような、そんな発言まであるじゃないですか。  そういう環境の中で、やはり総理、ここで答弁するだけじゃなくて、閣議なり、官房長官でもいいですが、各役所の官房長初めその部局に対してその趣旨を徹底せしめるということは当然じゃないですか。やる気があればできるんだ。そうでしょう。なぜそんなに拒否するんですか。もし総理が厳正、公平にやるんだということをそうやって本当に心底お持ちであれば、どうしてそれができないんですか。
  104. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 まず、今陳情団を呼んでいるというな言葉がありましたが、それはどうと言葉を改めていただきたいと思います。各閣僚が陳情団を呼びつけておる、私はそのような事実は存じません。  同時に、厳正、公正に実施することが当然の予算、それを改めて閣議決定の必要は私はないと思います。
  105. 野田毅

    野田(毅)委員 今、根拠がなくて言っているんじゃないんですよ。ある大臣が、自分のところに新進党の議員が今のところ来ないから不熱心だ、そういう言い方をしている。頭下げて来たら予算をつけてやるぞと言わんばかりのことを現に言っているじゃないですか、今はいなくなったけれども。そうでしょう。だから言っているのです。そういう人を建設大臣にあなたは置いているじゃないですか。そういうことをしていなければ別ですよ。私はそのことを、ぜひ総理、反省してもらいたい。私は、総理自身がそういうさもしい考えの人だとは思わないし、今一生懸命、火だるまになってでも日本のために頑張ろうとしている、その姿勢はそれで評価しますよ。  しかし、総理総理としても、命がけで国益のために頑張ろうというんじゃなくて、党利党略を国益よりも優先するような考え方が与党の中に現にあるから、私はそれを心配して言っているんですよ。そのことだけ申し上げておきたいと思います。そうでなければ、じゃ、自分たちの気に入らぬところにどんどん予算がつくような、そんな政府には税金を納めないよという、新聞にも出ていたでしょう、担税運動が起こりかねないですよ、そんな報復的なことばかりやっておると。私は、そのことだけは心配をしていますよ。  いずれにしても、この問題は、制度として見れば実は行政改革とも関係するんですよね。なぜそういうようなことが物が言えて恫喝ができるのかというと、やはり許認可権限や予算の配分権限、補助金の決定権限を国が握っているということなんです。だから、それに基づいて、権限行使を背景として、いろいろやろうとできる。言うならば、さじかげんの余地を国が握っている。それは今度の厚生省の事件の問題でも同じだと思います。やはの中央集権的な、補助金そのものも、何でもかんでも国が決めてしまおうという、そういうところにこれらの問題の根源がある。それが言うならば陳情政治のもとにもなるし、あるいは官官接待のもとにも実際なっているわけです。  だから、やはりこの機会に、中央省庁の再編の問題も大事だけれども、少なくとも補助金を事細かに各省が中央で決めるような、そういう体制をこの機会に改めて、地方に一括して交付して、熊本県だけでも例えば三千億ぐらいあるんですよね、工事は。それならそれは地元に任してしまえばいい。どの事業にやるかということは、各県に自分たちで決めさせればいい。全部一件一件中央あ役所が決めるから、今度の厚生省の問題だって関係がありますよ、今度の恫喝政治にしたって同じようなものだ。  私は、そういう意味で、今度の行革の中で、中央省庁の再編だけじゃなくて、これは補助金の財政削減といいますか、重複投資を避けるとか地方分権とか、いろいろな問題と実は根源的に絡んでいるんですよ。よくわかるでしょう。そういった根本を正すということを、ぜひこの機会に総理はやってもらいたい。どうですか。
  106. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 大変失礼しました。先ほど多少議員の指摘された意味を取り違えた部分があったようです。そして、私どもは中央省庁の問題だけに取り組むと申し上げておるわけではないことは、ぜひもう一度御理解をいただきたいと存じます。  午前中も答弁で申し上げましたように、私自身が今、いろいろな審議会がいろいろな角度から議論をしていただいている、それはそれぞれに非常に大切なことでありますけれども、ある場合、その重複する答申に濃淡がありましたり、さまざまな問題に苦しんでおります。そして、そうした中で、規制緩和あるいは廃止を含めまして、一方では我々はこれを進めていかなければなりませんし、また、官民のあり方の問題にいたしましても、そして、地方分権の推進という観点から、多分間もなくちょうだいできるであろう機関委任事務等についての分権委の御意見等も、当然ながらこれは一つずつ我々は実行に移していかなければなりません。  そして、そうした作業に補助金の問題が関連することは委員の御指摘のとおりであります。そうした部分を見直していく努力は、ただ単に今まで予算編成の時点でその補助金の性格を洗い直し、額を決定したとは違った思いで当然のことながら見直してまいることになります。その点は、先ほどちょっと私、委員の御指摘を取り違えておりましたので、その点を訂正し、改めて、こうした実務は一つずつ着実に進めていきたい、答申をいただき次第それを実行に移していく努力を払ってまいりますと言い直させていただきます。
  107. 野田毅

    野田(毅)委員 厚生省のいろいろな不祥事件、大変ショッキングな話であります。本当にまじめに一生懸命、使命感を持ってやっておられる現場の皆さんから見ると言いようのない憤りだろうと思いますし、何か厚生行政全体が非常に汚れてしまっているイメージになっているのは残念なことだと思います。  これは、一連の問題は彼ほど我が党の権藤委員からいろいろ論議をしてもらいたいと思っていますが、ここでは基本的な問題点だけ聞いてみたいと思います。  まず、事務次官が逮捕された。事実上現職事務次官が逮捕されたと同じような話だと思いますね、現実的には。その点について総理としてどういう責任を感じておられるのか。  そして同時に、総理は、たまたまこのときの総理というのではなくて、だれもが知る厚生族のドンですね、これは本当に。ドンと言うと言葉が悪いのなら、言うならこの世界の王様みたいなものだ。本当にそうですよ。それだけみんなが尊敬もし、それだけのその世界における実績をみんなが評価している部分でもある。それだけに、私は、この問題について総理としてというだけではなくて、やはり厚生族の大御所としての責任というものがあるのじゃないのか。この点について、まず総理はどのように責任を感じておられるのか聞かせてください。
  108. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私自身、岡光前次官は大変若い官僚のときから仕事上よく知っている人物であります。それだけに、最初にマスコミの報道に接しましたときは、まさかという感じがありました。  そのとき、自動車の話だけでも私は言語道断だという思いで見ておりました。同時に、金銭的な問題はうそであってほしいという思いがありましたことも事実です。ところが、その報道が、本人は否定をしておられましても、どんどんどんどん広がっていく。二言でうまく形容のできるようなことではありませんけれども、何とも情けない思いで毎日の報道を眺めております。  同時に、こういう事件が発生する、現実に発生しておるわけでありますけれども、制度が悪用されてマスコミの報道によるまでこれが発覚しなかった。行政監察が監察を行い勧告をいたしましたものが守られておらなかったということも後で知りました。この事件のプロセスにおいて知ったことであります。  こうしたことを思いますとき、私自身がその責任者でお答えのできることではありませんけれども、こうした状態が発生したこと自体を大変情けなく思いますし、同時に、どうすれば再発を防げるのか、まずしかし事実そのものを解明することによって今後の方針を立て得る、そうした思いの中で厚生大臣に指示し、厳重な、厳重など申しましても、法律的な捜査権を持つわけではありませんから限界はあるのかもしれませんが、できるだけの事実の解明を今求めております。
  109. 野田毅

    野田(毅)委員 まあ言葉を選び選びおっしゃって、つらい気持ちだという気持ちだけはわかったのですが、責任をどう感じているか、こう申し上げたんですが、何ともその点については、正面からのお話ではなかったようにも思います。  ただ、この問題、私は、単なる公務員の綱紀の問題というだけでは済まない、この点は。いろいろな行政組織だとかそういうような構造問題もあると思うんです。しかし、それはどうもそれだけじゃないんじゃないか。政治家も含めて、私は相当厳しいんじゃないかと思いますよ。  この事件に関連して、何も小山容疑者からの直接とかなんとかじゃないんだけれども、特に橋本総理とか小泉さん、こういったところにやはり厚生関連の、直接ではないけれども、寝具何とか連盟ですか、いろいろそういうような関連団体、企業からのやはり政治資金が、みんな知っている、報道されて。それは確かに、処理としては、政治資金としては適正、適法な処理でしょう。だけれども、国民の多くの中に、役人がもらったら公務員の綱紀が緩んでおる、こういう話になって、大臣が受け取るんならこれは適正、適法だという処理の仕方は一体どういうことなんだ、一つの役所の中で、大臣は許されて役人は許されないというのはやはりおかしいんじゃないのというのは、私は率直に言って偽らざる国民感情だろうと思うんですよ。  そういう点で私は、小泉さん、どうですか。今までのことをどうのじゃないんだが、どうぞ、今これから今後厚生省の関連団体企業から在任中あるいは退任後一定期間は、やはり李下に冠を正さず、そういったことをやる気持ちはありませんか、小泉さん。
  110. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私は、小山容疑者関係から政治献金を受けたことは一切ありません。また、寝具協会からも献金を受けたことはありません。政治連盟から過去に受けたことはあります。しかし、その政治連盟は既に解散しております。そして、政治資金規正法にのっとり、適正に処理されている、何らやましい、不正なことはないと思います。  そして役人が、献金というのはいいけれどもわいろをもらったらおかしい。政治家と同列に扱われるのは私は大変心外なことだと思います。公務員というのは政治的行為を厳しく制限されております。政治家から政治的行為を除いたら、一体何が残るんでしょうか。  政治活動を支えるためには政治資金が必要であります。政治資金規正法にのっとり、公正に処理されている。多くの国民が政治家や政党を育ててくれる。そしてその資金によって自由で活発な政治活動がなされて、民主政治が成り立っている。善意で政治家を育てたい、献身的に日ごろ地域の住民の福祉の向上や国家発展のために、国民のために献身的活動をしている政治家を応援したいと思う善意の国民も私はたくさんいると思います。あたかも、一部の不正な献金によって、すべての献金がいけない、私はそうは思わない。やはり政治活動を支えるためにどういう政治資金が望ましいのかということは、私は今後各党会派でじっくりと冷静に議論していただきたい問題だと思います。  同時に、公務員というのは政治的行為が厳しく制限されているという、この国家公務員法を我々、かなりいいかげんといいますか、甘く受けとめていたんじゃないかという点は、私は反省しなきゃならない点があると思います。公務員の中立性、これは与党も野党も厳に、もう一度見直す必要があると思います。公務員に選挙の応援をさせない、政治家の、政党のため、一部の利害団体のために使わない、公務員も中立性を保つ、この現在の国家公務員法のあり方というもの、公務員が政治的行為を厳しく制限されている点について、与野党ともに、私は真剣に問い直すことが必要だと思っております。
  111. 野田毅

    野田(毅)委員 小泉さん、ちょっと私が言っていることを誤解しているんじゃないですかね。私は、政治家全体に全部政治資金をやめると言っているんじゃないんですよ。少なくとも所管大臣である間は、そうでしょう。今みたいな状況の中で、公務員に対して大臣がどうやってそれだけのことが言えますか。じゃ大臣はいいのかという話になっちゃうんだ。それはやはり無理でしょう。
  112. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私は、今回の大臣のときのみならず、最初の厚生大臣就任時も、また郵政大臣就任時も、今回の厚生大臣就任時も、大臣就任中は省関係の献金は自粛することにしております。
  113. 野田毅

    野田(毅)委員 最初からそう言っていればよかったんです。だから、そういう考えはないですか、こう申し上げたんです。これは、小泉さんはそういう方針でやっておられるし、今後もそうされるということですから、それはそれでいいと思いますよ。  この点、厚生省だけではないんですよ。実は、各閣僚の皆さん、よく利権官庁という言葉がある。例えば、それぞれの所管の大臣は少なくとも在任中は所管の関連団体なりあるいは企業から政治資金を受け取るということは、私は辞退すべきだと思いますよ。この辺はどうですか、総理。官房長官でもいいんですが。  せめてそのことぐらいは閣議できちっとやらぬと、公務員に対して、何か、悪いのは役人だけだ、大臣はいいんだよということでは、これは進みませんよ。本当にこれは、何も政治資金全体を否定しているわけじゃありませんよ、もちろん。だけれども、少なくとも所管のことはあっていいんじゃないでしょうかね。
  114. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今のやりとりを伺いながら、私自身、その場合には一切政治資金が受け取れなくなるなど、総理大臣という職分にある限り。  しかし、私自身は親から膨大な財産を残してもらったわけでもありませんし……(発言する者あり)お調べいただきたい。相続税を払うために私は父の残した家を土地とともに売り払って、その差額で今居住しているマンションを購入し、そこに今も続けております。今、警備のために公邸に住まわせていただいておりますけれども。その辺はお調べをいただきたいと思います。  そして、私自身本当に、自分の政治活動の資金というものは、皆さんの善意の寄附でここまで仕事をしてまいりました。  確かに私は、議員がおっしゃろうとすることの裏にある、政治資金というものの提供に際して本当に十分注意をして行動すべきだという、その部分はそのとおり私は受けとめます。その上でそこからどう行動していくかというのは、私は、一人一人のまさに考え方の中で、法の範囲をどう自分として受けとめるかにかかるものだと思います。
  115. 野田毅

    野田(毅)委員 官房長官どうぞ、何か……。
  116. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 官房長官としての答弁よりはむしろ議員全体に及ぶことでありますが、今の政治資金規正法がどれだけ厳しいものであるか、それは野田委員みずからがつくったことでもありますから、よくおわかりのとおりだと思います。そして、便法あるとすればパーティーぐらいでありましょう、実際に言って。そのパーティーも厳に大臣在任中は自覚をすること、この申し合わせをしますと、大体ほとんどすっからかんの状態で、恐らく大臣は、虚勢を張りながら、長くやれないかもしらないとすら思うほど、私は自重自戒をしながらやっているという自負心を各大臣が持っていると思います。
  117. 野田毅

    野田(毅)委員 実情はわかりますよ。今官房長官がおっしゃっている、相当厳しくなっている。  しかし、やはり一つの役所の中で、役所のいろいろな局長や官房長や次官よりも、大臣の方がはるかに権限を持っているんですね、日本の国家構造上。だから一政治家という立場じゃないわけですよ、閣僚は。だから言っているわけ。  この点について、小泉さんは、自分の厚生大臣在任中は厚生省関係の団体や企業からは辞退をする、受け取りすることは、こうおっしゃった。それじゃ通産大臣、佐藤さん、あなたはどうします。
  118. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 私自体、委員のお考えのような資金集めをしておりませんから、適切に処理しておりますし、また、常識の範囲でもって自分の行動を慎みたいと思います。
  119. 野田毅

    野田(毅)委員 なかなか小泉さんみたいに在任中は受け取らないということは一概には言えない、こういうことかな。そういうことですか。
  120. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、おっしゃる意味がわかるし、私の今までの政治行動、そういうことに関して委員はよくおわかりだと思うから、あえて言わなかったんです。  確かに、御指摘のように、今私の省がどういう立場に置かれているか、よくわかっております。ですから、上に立つ者が身を慎めという言葉、肝に銘じます。ですから、今申したように、もらってないものはこれ以上もらうわけにいかない、かように申したわけであります。
  121. 野田毅

    野田(毅)委員 本当は全部の閣僚に聞いてもいいと思ったんだけれども、時間の関係がありますから。やはり大蔵大臣には聞かなければいかぬでしょうね。
  122. 三塚博

    ○三塚国務大臣 今次の大蔵大臣は、改革の先頭に立ってやり抜いておるところでございます。御遠慮を申し上げております。
  123. 野田毅

    野田(毅)委員 本当は建設大臣に聞きたかったんだけれども、いなくなっちゃったから。  この問題だけでというわけにいかぬものですから、次に行きたいと思いますが、総理ぜひ、それはわからぬではないですよ、総理大臣になったら政治資金が全然もらえなくなっちゃうよと言われたら大変だと。だけれども、今これだけ大きな問題になって、これは厚生省だけじゃないですよ。そういう中で、何か悪いのは役人だけで、閣僚はいいんだよという仕切りは、やはり国民感情からいくとなかなか容易じゃないなということを素直に、関係閣僚ですよ、ほかのあれは別ですよ。それだけ申し上げておきます。もともとこれは厚生省の関係でちょっと申し上げたんで。  それから次に、この問題で出てきたのは、埼玉県の調査ですか報道されておりますが、小山容疑者の経営する社会福祉法人関係の事業で、十七億円ですか丸投げによって巧妙に税金からそっちへ流れておるという、これは埼玉の知事が答弁しておられたという報道を見ました。  で、これは本当に本件だけの特殊なケースなのか、あるいは氷山の一角であってほかにもまだこんなのがあるんじゃないかという、そんな疑念が広がっているわけですね。これの疑念が広がっている間は、これは容易じゃないなと思います。  そこで、特に消費税の引き上げたとか、そんな増税計画メジロ押しと、こういうような話になっているときですから、厚生省関係について、まず大臣、総点検を全国きちっとやって、そして国会に実態を報告してもらいたい。この点どうでしょうか。
  124. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今回の厚生省職員にかかわる不祥事についていろいろ今御指摘のあった点、特に補助金制度を悪用した点について、その業務に問題がなかったか、そういう点について再点検するための調査委員会を昨日設置して、きょうもこの委員会終了後に第一回会合を開いて、そのような補助金全般に施設整備費あるいは選定手続等問題がなかったか、また、これからこういう事故が起きないような再発防止策はないものか、改善措置を講ずるために積極的に対処していき、時期が来ましたらその点も公表したいと思っております。
  125. 野田毅

    野田(毅)委員 実は、これは厚生省関係だけじゃなくて、つい先日やはり報道されておりましたが、会計検査院の検査によると、地方団体の中で、発注するときに役所の方で見積もりをする。ところが、その見積もりをしている中で一けた間違えて高目の見積もりをしてしまった。ところが、どういうわけか落札した人は、その同じ間違いをした人が落札しているというんですね。これは一つだけじゃないというんですよ。  やはりこんな報道を見せつけられますと、これだけ財政再建、財政赤字で大変だと言っているときに、この問題を放置したままで、さあ金が足りないからやれ何とか増税だよ、特別減税も打ち切りだよとかいろいろな話が出てくると、これは何だ、まずそういった不正支出なりそういったことをなくすることが先決じゃないかというのは当たり前の話ですね。  そういう意味でぜひ、今度の厚生省の件もこれあり、この機会に全国で、これは地方団体も含めて、税金を使って行われる事業について丸投げとかそんなことがないように、あるいは中抜きという言葉があるのかどうか知らぬけれども、本当によく耳にしますよね。契約は元請としかしないわけでしょう。その元請が下請、孫請に、だれに幾らでやっているかということはみんな全然わからない。だから、結果的にこういうようなことができているんですよ。これはもっと本当は情報公開されて、だれが下請を幾らで受けたのか。そうすると、どこでだれがピンはねしているのかというのがみんなわかってくるんですよ。  実はこの機会に、本当に財政構造改革元年だ、これから先徹底して本当に行政経費を節減しようというのであれば、私は、そのあたりに目をつぶっては進めないだろうと思うのですよ。それは特に建設工事の単価の問題にもみんな連動している。よく言われているでしょう。民間工事に比べて二割、三割当たり前というんだ。本当かうそかわからない。  だけれども、そういう中で、巷間言われている中で私は、少なくとも、橋本総理が火だるまになって行革をやろうという言葉の中に国民の多くは、単に中央省庁の再編だけじゃなくて、まさにこういった国民税金のむだ遣いなり不正使用なり、そういったことを徹底的にチェックしてもらいたい、これがまずあるんじゃないんですか。そのことをぜひこの機会に、厚生省だけじゃなくて、税金を使って行われる全事業についてもう一遍徹底的な再点検をしてもらいたい。総理、どうでしょうか。
  126. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 その前に一点ちょっと追加して。  先刻自衛隊に緊急出動の要請をいたしました。それほどの被害の状況になっておるようであります。これは御報告であります。  今建設大臣、その災害現場にお許しを得て派遣をいたしておりますので、詳細については私も存じませんけれども、少なくとも平成九年度予算の概算要求基準を策定いたしましたときに、実質前年と同額というシーリングをいたしました。非常に内容は、当然のことながら厳しいものになります。そして、そうした中で単価の洗い直し等も行われるはずでありまして、そういう努力はきちんとやっていきたいと思います。
  127. 野田毅

    野田(毅)委員 今申し上げた。この際シーリングとか査定とかじゃなくて、その辺はどうですか。徹底的に実態調査をしてもらいたい。今、小泉さんがやろうとしている、厚生省関係について。同じことを各省においてやってもらいたい。
  128. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今の御要望は閣僚も聞いておることでありますし、それぞれの主管省庁において過去の実態を点検をさせます。
  129. 野田毅

    野田(毅)委員 実態を点検させる、こういう総理のお話ですから、ぜひその結果をまた国会に報告してください。お願いします。  それから、今度の厚生省問題について私からもう一つだけ申し上げておきたいと思うのです。  やはり残念なことなんですが、今度の介護保険法案なんですが、この骨格をつくった人、あるいはそれを推進してきた人、全部汚れてしまった。今度の問題で。私は、このことが非常に問題というか、それとこれは別だというのは通らないと思います。法案の内容については、いずれ場を改めていろいろ申し上げたいと思います。  世の中は、介護保険法案が通れば、いかにも介護の問題が解決できるような大変甘い期待を持っています。しかし、中身を見ると、実際はもちろん介護の行政は進むでしょうけれども、一方では年金生活者から強制的に天引きする、負担増を迫る法案でもあるんですよ。ある意味では、これは国民の負担増の法案なんですよ。この実態を多くの皆さんが知ったときに、私は大変なことになるんじゃないかと。今は、国民の、特に年金生活者から強制天引きする、公的年金支払い額から、このことが表面に出ていないから。むしろ、この介護保険が成立したら、家庭内で介護疲れしているいろいろな苦労が解決するんだという、そういう側面ももちろんあるかもしれない。しかし、これだけでは解決できないわけだ。介護保険の中身というのは、公的保険というのは、むしろファイナンスの話でしょう、基本的には、保険というのは。質の話じゃないのですよ。  だから、そういう国民に負担増を迫る、特に年金生活者に負担増を迫るこの法案を、それをつくった人が今度の事件の中心人物たちであったということは、急がば回れということからいってもお考え直しになった方がいい、私はそう思いますよ。厚生大臣、どうですか。
  130. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 介護保険制度を導入することによって介護問題がすべて解決するとは思っておりません。それは、政治改革法案が成立したから政治改革が終わったということが言えないのと同じであります。一歩一歩前進して、よりよいものをつくっていくということで、確かに、今回の不祥事にまつわる方々がこの法案づくりに関係していたのは事実でありますけれども、この法案を作成するまでには、各党の御意見を伺い、識者の意見を伺い、一歩一歩前進していこう。  確かに、保険料を徴収する際に負担をいただきますが、同時に、介護を必要としている方の給付もできるわけであります。負担だけじゃない。給付と負担、これはもう避けて通れない、これからあらゆる福祉制度の問題であります。給付を受けるためにはどこで負担するのか。税金も負担する、保険料も負担してもらう、利用者も負担してもらう、その中で給付をどうやって受けていくかという問題で、私は、一歩一歩、導入することによって悪い点は改善していくということで、今回、介護法案の創設、導入に踏み切ったわけであります。これから国会で審議していただきまして、不祥事をこの法案の審議に影響させないように私は最善の努力は払っていきますが、内容は内容として皆さんにじっくりと議論をしていただきたいと思っております。
  131. 野田毅

    野田(毅)委員 時間の関係がありますから、次に消費税の問題に移りたいと思いますけれども、総理、自民党公認候補の選挙公報、一通ごらんになったことがありますか。中にはいろいろありますね、個別に見ると。だけれども、これは本当に大事なんですよね。これはやはり、選挙公報というのは、国民に、有権者に、これに基づいて有権者は判断して投票しているんでしょう。それでなきゃ選挙公報は要らない。総理は、消費税については御自分の選挙公報では二言も触れておられません。そのことをいいとか悪いとかは言いません。  ただ、閣僚の中には、「消費税より行革が先。5%は行革が実現されてからの議論です。」選挙公報にそのように書いておられる。私は固有名詞は言いませんが、心当たりのある閣僚がおられるはずだ。どうですか、言いましょうか。  そういう閣僚は、この問題について、第二次橋本内閣の閣議で、もう一遍消費税五%に引き上げるということを議論をやり直したらどうかという議論はありましたですか。官房長官、いなくなっちゃったな。大蔵大臣、どうですか、いつも総理ばかりじゃなんだから。
  132. 三塚博

    ○三塚国務大臣 もう既に決まっておることですから、閣議ではその話はありません。
  133. 野田毅

    野田(毅)委員 では、選挙の公約、何だったのでしょうね。  三塚さん、選挙公報では別なんですが、選挙時期には現地の各新聞社が全部候補者のアンケートをとります。その中で、大蔵大臣、当時は大蔵大臣じゃないんだけれども、地元版の読売新聞、この中で、消費税については「延期」ということをあなたは書いてある。書いてある。ううんと言ったって、わざわざ注釈が書いてあるんですよ。解説の中で、「自民の三塚博氏が党の方針と異なる「引き上げ延期」の考えを示し注目される。」こう書いてあるんですよ。大蔵大臣、どうなんですか。じゃ、これはうそですか。有権者はやはりこれを見て投票しているんですよ。
  134. 三塚博

    ○三塚国務大臣 本件は、私の政策集団、新政策研究会というのがございますが、この総会で、八月末、九月の初め、消費税のあり方の論議がありました折、私からは、少子化・高齢化社会、これに対応していかなければなりませんし、同時に危機的な財政状況、これを突破してまいりますためにも、平成六年に決定をされた事項であり、その後もそれぞれの論議が行われ、閣議決定もなされておることもこれあり、本件については決まったとおり取り組むことが政治集団として重要と、各位の理解と今後の行動をお願いをしたいと、御案内のとおり政策集団は、総会が開かれるたびに記者諸君が各社全部出ます、その場面で申し上げてまいりました。  同時に、本件は、総選挙公示の直前、五日でしたか六日でしたか、このこともこれあり、地元に戻りました折に、地元各社、支社の合同記者会見を、一人一人ではなくてやらさせていただきました。そこで同様の趣旨を実は申し上げておるところであります。  読売さんと言われましたが、それを見ておりませんけれども、どういう形でそう書かれましたのかは定かでありません。ですから、それはあなたが見ているとおり取りまとめでやってあるのでしょう。(発言する者あり)静かに聞いてください、人が話をしているとき。そういうことです。国会の演説の、選挙の演説の中でも、遊説でもそのことは明言をいたしております。そういうことです。
  135. 野田毅

    野田(毅)委員 これ、コピーを見せましょうか、十月七日付の読売新聞ね。ずらっと候補者が書いてあって、それぞれ項目について簡潔にいろいろ書いてありますね。中には、例えば宮城県一区であれば、我が党の愛知さんのところでは、消費税については「先に行革」、こういう言い方になっているし、それぞれ「中止」とか「廃止」とかいろいろなことが書いてあります。その中で、三塚さんのところは「延期」、こう書いてあるだけ。だから、これは書いてあることは事実なんですね。わざわざさっき言ったように記事にまで、解説までしてあるものだからあえて申し上げておる。  実は、今そういうことですとおっしゃったということは、ここに書いてあるということは事実だし、別のところで別のことをおっしゃって必要性をおっしゃったという話を今るる話があった。それも事実でしょう。だから、両方おっしゃっているのですよね。要するにそういうことなんですよ。実態はやはり両方おっしゃっているんだ。そのことは事実なんですよね。それだけは申し上げておきたい。  それで、閣議の中で全然議論にならなかった。こう言うのだけれども、さっきちょっと言いませんでしたが、伊藤公介さん、大臣、何で閣議で議論を持ち出せなかったのですか。
  136. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 私の公報は、私の政治生命をかけて自分自身の手で書きました。私は、消費税の問題も、現在置かれております我が国財政、これからの高齢化社会を考えれば当然大事だと考えてきました。しかし、国民皆さんに一定の負担を求めるというなら、国がまず痛みを伴う行財政改革を先行すべきだ、そう考えました。  そして、私はこの長官に橋本総理から御指名をいただきまして、その場で行政改革にしっかり取り組むように、そう命令をいただきました。そして御案内のとおり、明治から続いてまいりましたこの日本の霞が関大改革のスケジュールが既に決まったところであります。  私は、そう考えると、この行政改革は必ず進む、そして私も閣僚の一員としてこれは絶対に前進させなければならない、そういう決意の中で消費税の問題にも私はこれから対応していきたいというふうに思っています。
  137. 野田毅

    野田(毅)委員 これを聞いたら、投票した人は裏切られたという思いになるかもしれない、あるいはしっかり頑張ってくれということになるかもしれないが、少なくとも選挙公報というのは、やはり有権者に対してこれはもう生涯確実に残る約束事です。  今、橋本総理が、火だるまになってやろうと。これからやるわけです。まだでき上がっていないのですよ。だから、でき上がる前にやる気を起こしただけで、やるぞというだけで消費税率を上げていいのでしょうかということなんです。私は、そこのところを申し上げておきたいのです。  もうこの問題だけでずるずるできないんですが、中にはおもしろいのがあります。  若い人ですけれども、ある兵庫県の人は、「造反します。消費税アップ、三%に戻します。」「造反します。」とまで書いてあるのですから、多分この方は我が党の据え置き法案に賛成するんでしょうね。  それからもう一人、今度橋本内閣の政務次官になった方ですけれども、いや、これは我が党の候補者じゃないかと思うぐらいのことを書いてあるのですね。「アイル・ドゥー・イット、私はやります、景気を回復させるには所得税、法人税等の大減税と消費税の暫定据え置きがぜひとも必要です。」これ、今政務次官です。  ですから、こういう方々が、自分の有権者との約束を大事にして、そして今度、我が党の法案、消費税据え置き法案に際してどういう態度をとるのか。選挙の最中、自民党の首脳の方々は、フリーなんだ、党の公約はこうだけれども、各候補者がどう言うかは、それはフリーなんだということを公に言っておられたから、どういう行動をおとりになろうと、それは別に党議違反にはならぬのでしょう。  だけれども、少なくとも、私はこの点で申し上げたいのは、ずっと調べてみますと、自民党の当選者の中で、選挙公報ではっきり引き上げに反対とか、いわゆる行革をやらない限りだめだとか、そういう前提条件つきでやった人たちが、公報を見る限り三十人ほどありますね。これは決して自民党だけではない。この前、本会議で、社民党の幹事長、えらいおっしゃってくれたんだけれども、社民党の中でも、上原先生、堂々と書いておられますね。あるいは民主党の中もそうだ。  そんなことをいろいろ入れますと、公報だけじゃなくて、今三塚大蔵大臣に申し上げたのですが、各新聞社が、選挙公報に書くか書かぬかということは、自分が何を訴えるかであって、そのときの有権者が何に関心を持っているかということとはちょっと図式が違う。だから、触れたくないものは選挙公報に触れなくていい。しかし、やはり多くの国民が関心を持っていることは、マスコミが全候補者に対して各テーマについてアンケートを出してきて全部載せるでしょう。事実上、多くの有権者は、選挙公報だけではなくてその新聞報道を見ながら判断しているわけですね。だから、国民の目から見れば、公報に書いてないからいいじゃないかというだけじゃないのですね。  そういうことでいくと、そこまで含めていくと、どうやら自民党の当選者の中で、はっきり消費税引き上げはもう決まったことだから理解してくれとかそういうことを言わないで、ともかく反対とか条件つき賛成とかごじょごじょ言ってやった人が百人以上ありますね。だから、二百三十九人当選者があるのだけれども、そのうちの百人以上、自民党の中でも。それから、民主党では三十人以上、やはりそんな感じですね。そのほか、社民党あるいは共産党の皆さん、我が党を入れたら、五百人のこの前の選挙で当選した代議士の中で、実に三百人以上が消費税引き上げについては否定的な公約なりアンケートヘの回答を通じて選挙をやってきた。  これが、選挙が終わったら、何かいつの間にか、余り議論もなくて、すっともう決まったことだということでいっていいんでしょうか。これで有権者は認めたんだということになるのだろうか。橋本総理、ちょっと、その辺、どう判断しますか。
  138. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 御答弁の前に、今入りました連絡をそのまま読み上げさせていただきます。  本日十時四十分ごろ、長野県小谷村の工事現場で土石流が発生し、土木工事作業員数名が行方不明になっているとともに、橋が壊されたために、約三十名が住む民家等が孤立しております。自衛隊は現在、十三時十六分、高田の第二普通科連隊、松本の第一三普通科連隊より初動対処部隊を現地に派遣をいたして救出に当たることにいたしております。  私は、今回の衆議院選期間中、自分の選挙区を除きまして百六の小選挙区の遊説に参りました。最初私は、実は消費税の問題よりも沖縄の問題を重視いたしておりましたし、景気対策を重視しておりましたから、私自身、公報に確かに消費税を取り上げませんでした。しかし、告示の翌日以来、全箇所において、私は二%消費税を引き上げさせていただきたいという訴えを続け、もちろん喜んで受け入れられはしませんでしたが、それを真剣に聴衆に聞いていただいた。そのように思っております。  そして、その結果として私どもは、もちろん私ばかりではありません、党員全員の結束の努力の結果として二百二十九という議席を与えていただいたと考えておりますし、その限りにおいて、国民に我々の考え方は一生懸命御説明を申し上げてきた。私自身はそう考えております。
  139. 野田毅

    野田(毅)委員 総理はそうでしょうけれども、総理の御意見とは違って、それぞれ党は党、自分は自分、自分の名前を書いてもらって当選しているのだ。そのことを承知で自分でお答えになっているわけですよね、政治家として。それが三百人を超えておるということになると、これはやはり問題でしょうね。私は、そのことがなお一層政治不信を増すことだろうと思いますよ。  これは本当に、政権政党であるだけに、今度の選挙の投票率が低かった。なぜ低かったかという中に、違いがわからぬという話もあった。それはわからぬはずですよ。自民党としては、消費税引き上げを決まったことだ、こうおっしゃるけれども、候補者個人を見ると、全然違うこと言っているのだもの。そんな、政党を超えて似たようなことを言っているのだからわかるわけがない。まさに政策隠しの選挙をやった。こういうことになるのじゃないのでしょうかね。私は、そのことだけ申し上げておきたい。  時間の関係もありますから、なぜ私がそういうことを言うかというと、それは消費税問題は、少なくとも高齢化社会にどうやって対応するかというためにつくった税制ですから、いずれ高齢化がどんどん進展していくということになれば、それに要する費用がある程度高まっていく。その部分をどうやって賄うかということは避けがたい。国民の多くもそこまでは理解しているのですね、基本的には。  ところが、それにはやはり前提条件があるよ。そのためには、まず第一に、これはこの前の引き上げ法案の附則の中に見直し条項があって、はっきり書いてある。それを要約すれば、社会保障等に要する費用の財源を確保する観点、行財政の改革の推進状況、それから課税の適正化の状況財政状況等を総合的に勘案して検討を加え、必要があると認めるときは、平成八年九月三十日までに所要の措置を講ずる、こう書いてあるのですね。つまり、前提条件つきなんですね。  では、この前提条件についてどういう議論をしたのか。本来ならば、この法律のとおりでいくならば、九月三十日前にこれらの状況について国会で点検する議論があって、その上、その結果で、必要とあるならば見直ししたらいい。ところが、そういったチャンスを一回も与えないで解散したじゃないですか。そして九月三十日が過ぎて、引き上げを既成事実化して知らぬ顔している。そうでしょう。  ですから、そうであれば、私はこの問題について、この附則二十五条に書いてあることなんですから、社会保障の費用の見直し、行財政改革の推進状況財政状況、課税の適正化の状況、この四項目についてぜひ本委員会に出してもらいたい。本来ならこれは九月までに出すはずなんだ。それに基づいてこの国会で議論があって初めて決定されるべき話なんだ。それは全く出されていないじゃないですか。当然出すのが当たり前じゃないですか。大蔵大臣、出すべきじゃないですか。
  140. 三塚博

    ○三塚国務大臣 本件の附則二十五条の解釈の問題がありますが、それはそれとして、何もやっておらないのではないかということにお答えを申し上げます。  御案内のように、平成六年秋に成立をいたしました税制改革関連法、政府から提案した法案によるものでありますので、当該法案の提案者の立場からは、検討条項における所要の措置を講ずることの必要性の判断は第一義的に政府が行うべきものである、こういうふうに解釈をされるわけです。したがって、当該検討条項は、政府において第一義的に検討を加え、その結果、消費税の税率を変更する必要があると判断した場合には、改正法案を国会に提出し、国会の判断を仰ぐ必要があることを規定しておると解されるわけであります。  政府としては、当該検討事項に基づき検討を加えた結果、法定された消費税の税率を変更する必要がないとの判断に至ったところであります。  しかも、政府は消費税を執行する責務があり、消費税は企業活動、国民生活全般に深く関連するものでありますことから、できる限り早期に国民の皆様に対して周知する必要が考えられるわけであります。  以上から、政府としては、法定された税率を変更しないことを明確に確認する必要があると考えましたために、判断したためにと言ってもよろしゅうございます、その旨を閣議決定したところであり、これは、検討条項の趣旨に沿った措置であると考えられるわけであります。  御案内のとおり……(野田(毅)委員「もう時間がないから」と呼ぶ)もう一つありますから……。  消費税の税率については、租税法律主義、野田さんの言わんとするのはここであろうと思うのでありますが、その改正は法律の改正によらなければならない、当然であります。当該検討条項は、消費税の税率を変更する必要があると認めたときにとるべき措置について規定しておるのでありまして、変更する必要がないと認めたときは、とるべき措置については何ら規定をいたしておりません。  したがって、消費税率を変更しない場合に、内閣の立場を文書で国会に提出し、これについて国会論議を行い結論を得るという手続が求められておるとは考えられない、こういう法解釈でありますから、このとおり取り組んできたわけであります。
  141. 野田毅

    野田(毅)委員 そういう開き直りの議論をするとこっちも開き直りになってしまうのだな。  法律の中で、必要があるかどうかをだれが判断するんですか。政府が勝手に判断していいということが書いてありますか。必要があるかないかをどうやって、議論もしないで政府だけが勝手に決めるんですか。そうでしょう。  だから、国会で議論をした結果、見直しが必要であるか否かをするのが当たり前じゃないですか。それは、国会での議論を逃げて、自分たちの閣議だけで必要ないと勝手に認めて、とんでもない、そんな法律ありますか。  だれが必要と認めるか認めないかを決めるんですか。それは開き直ってはいけませんよ。そんなことだったら国会は要らなくなってしまう。だめですよ。だから、本来ならば九月の間にもそれをやるべきだった。だけれども、もう済んだことだからしょうがない、解散されたんだから。  だけれども、いよいよ今度は消費税の引き上げを前提にした来年の予算をこれから組むわけだ。そうであるならば、その前に、改めて、なぜその税率を三%に据え置かないで五%のままでいくということを決定したのか、そのことについて明確な政府としての検討結果なり状況を国会に対して文書で出すのは当たり前の話じゃないですか。当たり前の話じゃないか。だからその資料を出しなさいと言っているんですよ。言葉では要らない、文書で出しなさい。当たり前の話ですよ。その上で、国会の議論の中で、その必要があるのかないのかということを議論してもらえばいいのだ。  そうでしょう。それを勝手に自分たちだけで言って、その上で自分たちだけで、いや、必要があるとかないとか、そんなことを言い出したら国会は要らなくなっちゃう。それは当然、資料を出すのは当たり前じゃないですか。委員長、指示しなさいよ。こんなばかな話はないですよ。だから出しなさいと言うのです。なぜ出さないのですか、大臣。
  142. 三塚博

    ○三塚国務大臣 ですから、お答えしますが、附則二十五条の法的解釈の中において現行のとおり取り進めたい。また、諸状況等もそういうことの中で、前段申し上げましたとおり、周知徹底も図らなければなりません。そのことは、現行において行う、こういうことでありますから必要で、ここに書いてありますとおり、二十五条には、「消費税の税率については、社会保障等に要する費用の財源を確保する観点、行政及び財政の改革の推進状況、租税特別措置等及び消費税に係る課税の適正化の状況財政状況等を総合的に勘案して検討を加え、必要があると認めるときは、平成八年九月三十日までに所要の措置を講ずるもの」である、こういうことでありますから、本文に決まったことでありますので、そのとおり決められた。こういうことであります。
  143. 野田毅

    野田(毅)委員 私が言っていることの答えになっていない。だから、必要があるかないかをだれが決めるんだと。国会で議論するようになっているのは当たり前じゃないですか。その議論の素材も供さないで、そうでしょう、またその議論の前提になるそういった財政状況なり行革の推進状況なりということを国会に出しもしないで決めていいんですか。  だから、本来なら六月二十五日に閣議決定する前に出した上で、そうでしょう、その結果で決めるのは当たり前じゃないですか。それを半年間おくればせながら出しなさいと言っているんだ。何か出せない事情でもあるんですか。それは、出すのは当たり前でしょう。
  144. 薄井信明

    ○薄井政府委員 平成六年秋に、この法案は議論いたしまして、十一月に通ったわけでございます。その後一年半ございまして、平成八年の九月三十日までに結論を出すということで、この一年半の間に七年度予算編成、八年度予算編成がございました。その過程で、行政改革、一部行いましたし、税制についても行いました。また、厚生関係では福祉の議論も十分いたしました。そして折々に、今どういう状況にあるかということを予算委員会なり大蔵委員会で、御質問なり当方からの説明で申し上げてきました。  そして、最終的には、ことしの六月に五%を上げる必要はないという判断をしたわけでございまして、その過程で、例えば政府税制調査会あるいは与党の税調、そういったところでも十分この点については議論を重ねてまいりました。また、当時の久保大蔵大臣は、五%を上げることについてはなかなか難しいのではないか、これこれこういう理由でということも御説明してまいりました。その最終的な結論を閣議決定で国民にあらわしたということでございまして、その理由につきましては、例えば政府税調の「意見」にはきちっと書いてございます。これも世の中に示してございます。  そういう背景がございまして、六月に一片の紙ですべてを終えたということではないということは御理解賜りたいと思います。
  145. 野田毅

    野田(毅)委員 何の議論も政府がしていないとは言っていないんですよ。だけれども、政府の中でいろいろおやりになるのは、それはそれで結構です。それはまた当然その責任があるんでしょう。だけれども、これは附則の中できちっと書いてあることですから。  では、そういった検討の素材を国会に提供して、そしてその国会での議論を経た上で政治としての意思決定をするということがなぜできないんですか。  おくればせではあるけれども、もう一遍、その前提条件になる四つのポイント、今私が言いましたが、社会保障の費用の見直し、行財政改革の推進状況、あるいは財政状況、課税の適正化の状況、これらについて国会になぜ出せないんですか。これから出すべきでしょう。当たり前の話じゃないですか。なぜこれは出せないんですか。何か隠さなければならないことがあるんですか。そんなはずはないはずだ。何も今すぐ、ない物ねだりしているんじゃないんですね。だから、これを今国会中に出してくれればいいじゃないですか。  委員長、おい、理事、だめだよ、こんなことじゃ。
  146. 深谷隆司

    深谷委員長 薄井主税局長
  147. 野田毅

    野田(毅)委員 いや、もう局長の話はいい。役所がいろいろ努力しているのは知っているんだ。もう時間がないんだよ。
  148. 薄井信明

    ○薄井政府委員 先ほど申し上げましたように、一年半の期間の間に、折々にその辺の議論をいたしまして、国民にもお示ししております。また、まとまったものとしましては、政府税調の「意見」というものをもらっておりまして、これは総理も受けとめております。そういう形で御説明をしてまいっているわけでございまして、少なくとも法律の解釈として内閣の立場を文書で国会に提出し、これについて議論をし、結論を得るという手続が求められているわけではないということを先ほど申し上げたわけです。
  149. 野田毅

    野田(毅)委員 やはりとんでもない話だ。
  150. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、もう一度主税局長に私自身が念を押しまして、理事会で御決定をいただきましたなら、御要求資料を提出する用意をいたします。
  151. 野田毅

    野田(毅)委員 そういうふうに最初から、大臣、そうしてくださいよ、あなた。総理が一々そこまでしりぬぐいせぬでもいいじゃないですか。もう時間があれなんですが……
  152. 深谷隆司

    深谷委員長 野田毅君、恐れ入りますが、ちょっと速記をとめますから。  理事、ちょっとおいでください。  一たんとめて。     〔速記中止〕
  153. 深谷隆司

    深谷委員長 速記を起こしてください。  ただいま協議をいたしました結果、この問題については、理事会において後刻相談をして結論を出したいと思います。
  154. 野田毅

    野田(毅)委員 もう、これから経済構造改革、財政構造改革、本題のところに実は入りたいんだけれども、大分前のところで時間をとってしまったのであれなのですが、ただ、五つの改革の中で、総理は本年を財政構造改革元年という位置づけを……(橋本内閣総理大臣「来年度予算」と呼ぶ)来年度予算の中でね、それの初年度だこういう位置づけをしておられる。それはそれで僕は結構だと思います。しかし、内容を見ると、財政構造改革とは何を指すのかということが大変気になります。それは歳出削減の第一歩にどうもなっていないように見える。歳出削減なんです。財政再建ということは、ただ単に国債を減らせばいいという話じゃないんです。国債を減らすんなら増税でもできるんです。そうでしょう。歳出削減を優先するという発想がないととんでもない増税路線になりますよ。  財政構造改革元年と来年の予算を位置づけていろんなら、その中で消費税の引き上げで五兆円でしょう。特別減税打ち切りでしょう。そうでしょう、大蔵大臣。二兆円でしょう。これで七兆円なんです。そのほかに国民健康保険の保険料引き上げたとか国民年金、そっちの方を二兆円余りまたふやすんでしょう。言うなら事実上の税金と同じじゃないですか。十兆円近いんじゃないんですか。  この国民負担増が財政構造改革なのか。もし財政再建イコール国民負担増であるということになると、私は、とんでもない誤りをすることになる。それに先立って歳出削減ということを優先して考えるという発想がなぜ出てこないんだ。ポイントはそこなんですよ。私はそのことをぜひやってもらいたい。その歳出削減の計画をつくる気持ちがあるのかどうか、大蔵大臣。
  155. 三塚博

    ○三塚国務大臣 それは野田さん御質問のとおりです。今そのために来年度予算編成、聖域を設けることなく、待ったなしの見直しをする、諸制度の見直しをする、実行率がどうであったかを確かめる等々、歳出のカットに全力を尽くす、こういうことであります。
  156. 野田毅

    野田(毅)委員 もうそういうことを毎年毎年言い続けてきた。そしてその結果が今日なんですよ。  実は、今までそんな努力をしていなかったんじゃないのです。つまり、七月に概算要求で集めた要求を数カ月間大蔵省の役所が中心になって査定して、構造的な問題にメスが入ると思いますか。そうでしょう。いつも大事な問題は全部先送りじゃないですか。そういった目先のつじつま合わせを卒業しなければだめなんです。そこをやるのが財政構造改革なんです。中期的な、やるやると言ったって、全然案も出ていない、今財政審で何かそんな話が出ているらしいが、全部国債をいかに減らすかという話ばかりだ。まさに歳出削減計画というのは全然どこの発想にも出ていない。今一番やるべきことはそこなんです。  我々はこの前いろいろな公約をした中で、やはり本当に歳出削減ということに行革の中心を置かないと、中央省庁の再編、大事ですよ、だけれども、それによって、じゃ行政経費が幾ら節減できるんだ、今一番大事なことの一つは、財政再建と言うなら、何で歳出削減計画が入らないんだ。私は、そこのところがどうもちょっとずれているんじゃないか、本当にそう思いますよ。そうでなければ、これからの財政再建路線というのは、言葉はいいが結果的には国民負担増加路線ということになってしまう。  そして、その結果どういうことになるんだというと、もう時間がないからあれだけれども、せっかくつくったからちょっとだけ。余りパネルはあれだと思うんだけれども、言葉で言うのはちょっと言いにくいからあれですが、今やろうとしているのは、財政が悪いから増税をしようという話だ、十兆円ほど、来年度予算で。  そうするとどうなるかというと、明らかに景気は悪くなる。午前中の自民党の質問でもみんなそう言っているでしょう。二%程度、民間の経済予測では、来年の成長率。しかし、その中には国保の、健康保険の引き上げたとかは入ってないんですよ、あれもしそれまでカウントされていろんなら、もっと下になりますよ。そうなるとどうなるんだ。結果的には、一つは景気が悪くなれば税収は落ち込むのですよ。そして同時に、景気が悪くなればどうなるか、雇用の問題にだってみんな影響するから何をやるんだ、必ず景気対策を必要とするのです。その結果何をやるかというと、公共事業を借金でやるのです。  そうすると、片っ方で増税したって片っ方で借金をふやしちゃうわけですから、全然財政再建になっていないじゃないですか。そして、景気が悪いから超低金利をずうっと続けているじゃないですか。その結果がどれだけまた消費に悪影響を及ぼしているか、どれだけ年金生活者を直撃しているんだ。年金基金の運用益だっておかしいから、みんなおかしなところへいっているじゃないですか。この悪循環を何年続けてきたか。それは我々も反省がありますよ。マクロの中で、マクロ政策を重視した余り、そして目先の財政のそろばん勘定を一生懸命優先した余りに、結果的にこの呪縛の中に落ち込んでしまっている。これをどうやって脱却するかという話なんですよ。  今ここで増税から始まると、また同じことをやるんじゃないですか。予言者じゃないからなんですが、見ていてごらん。ことし、本当に今度の予算で、今考えておられるとおり、十兆円近い増税効果をやってごらんなさい。多分株価は二万円を切るでしょう。恐らくまた大変な騒ぎが起きて、大幅な景気対策をやれという議論が春ごろから必ず噴出する。そうすると、そのときにまた借金をして、結局景気対策をやることに追い込まれるだろうと思いますよ。そうならぬことを願いますが。  そうなるなら、何のために増税したのですかという話になるのです。むしろやるべきは、減税をこそ優先するという発想が出てこなければだめなんですよ、この悪い呪縛からいくならば。ここが大事なポイントなんですよ。我々の五つの契約、もう時間がないからそこまで言えませんが、我々の発想はここなんですよ。  財政再建にしても、やはり一つは、行政経費をいかに削減するかということに一つの中心軸を置かなければだめだ。だから、今世紀いっぱい消費税を据え置こうというのは、たかを緩めたら行政経費削減に入らないですよ。もし仮に、来年四月から消費税の引き上げをしない、相変わらず三%のままだよという閣議決定のもとでやったら、今回の予算編成はうんと質が変わっていると思いますよ。やはり子供の小遣い銭と同じで、小遣い銭をふやしておいてむだ遣いするなと言ったってなかなか締まらないのです。やはりそこのたがを締めていくという一つの効果がある。  いま一つは、何といってもこれは経済再建なくして財政再建はあり得ないのですよ。これは一番の根本なんだ。だから、その経済構造をどうやって、低金利と公共事業に依存するような経済構造から、もっと民間が、民間部門が主体になって実質で三%から四%の潜在成長力を発揮させて、そういう中期的な経済展望をしっかりとつくり上げることなんだ。それに対する民間の確信をいかに抱かせるかという話なんです。これがないと、ただ単に規制緩和だけじゃ動かない。  それからいま一つは、本気で行政経費を削減しようとするのなら、それはGDPに対する効果からいえばマイナス効果ですよ。当たり前の話だ。だからこそ、一方で減税効果が必要なんですよ。減税すればその分だけ財源が必要だという話をみんなよく言うのです、今度の選挙でも。しかし、ああいうばかみたいな議論をするからだめなんです。  例えばかつて、これは三塚さん御存じだと思う。昭和五十九年税制改正で酒税の増税をしたのですよ。酒税の増税。あのころは一兆円減税の話があって、その財源づくりのために法人税の話だとか酒税の引き上げたとかやった。結果的に一年後の税収、酒税はどうなったか。増税したけれども減収になったのですよ。経済とはそういうものでしょう。税収だってそうですよ。  法人税だってみんなそうじゃないですか。税率は変わらないけれども、景気がよければたくさん入っているけれども、今景気が落ち込んでいるから、同じ税率でももう五兆円もピークに比べて落ちているじゃないですか。それをただ単に、はい、消費税何%上げればこれだけ入りますよなんて、そんなばかみたいな計算するからだめなんですよ。そのことによる景気に対するマイナス効果があったら、消費税だけじゃなくて、ほかの税収だってみんな落ち込むじゃないですか。そうでしょう。消費税五%にしたら五兆円ほど税収は入るともくろんでいるかもしれないが、実際ふたをあけてみたら入らないじゃないですか。私は、そういったことをトータルとしてぜひ考えてもらいたい。  もう時間がないですから次の質問に譲りますけれども、私たちはそういった。この二つの柱、経済再建なくして財政再建はないんだよということ、それから歳出削減計画のない財政再建計画はないよということ、このことだけは指摘しておきたい。  ぜひひとつ、これから総理が火だるまになるとおっしゃっているんですから、まあ見るしかないですね。それがいかぬとは言えませんから、これからやりますとおっしゃっているんですから、本当におやりになるかどうか、おやりになることを期待をしたい。おやりになるなら、我々は、冒頭言いましたように、一生懸命国益優先でやっていきたい、与党対野党という、そういうことだけじゃなくて。それは当たり前の話だ。しかし、その実績が、結局は何もなかった。竜頭蛇尾に終わったということでは、これはぐあいが悪いんですよ。そのことだけ最後に申し上げて、次に譲ります。  どうもありがとうございました。
  157. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、石井一君から関連質疑の申し出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石井一君。
  158. 石井一

    石井(一)委員 時間も大分限られてまいりましたので、私は外交、安全保障、そして沖縄の問題に絞ってお伺いをいたしたいと存じます。閣僚の皆様からも、簡潔な御答弁をお願い申し上げておきたいと存じます。  最初に、昨日沖縄をまた総理は訪れられたというふうに聞いておりますが、大変御苦労さんであります。  日米特別行動委員会、いわゆるSACOの最終報告が十二月二日に出されております。そして、これで一つの、沖縄に対する今後の展望と区切りをつけたというふうなコメントが出ておりますし、特に2プラス2の、アメリカ側の大変満足したそれに対する評価、それに対して我が方の2はいささか謙虚に評価をしておるというふうに私は拝見をいたしました。  しかし、このSACOの最終報告に対して、沖縄の県民の皆さんかどう受けとめておるか。  現地の沖縄タイムスとか琉球新報をつぶさに拝見しましても、また我が党の二人の代表の仲村、白保両代議士の意見を聞きましても、中央と沖縄の温度差は余りにも大きい。  要するに、今回の報告は余りにも抽象的で、基地の整理縮小というよりも、むしろ基地の強化だ、たらい回しだ。今回、十一施設の返還を言われても、具体的な成果はない。まさに普天間方式と言ってよい。普天間方式というのは、これを返還しますが、普天間を返還いたしますが、そのためにはここここへ移設をいたします。県内のたらい回し。そして、地元の了解を得ておるかというと、全然得ておらない。したがって、反対運動というのはもう確実に起こってくる。  こういうことを繰り返しておったのでは、残念ながら沖縄問題はいつまでたっても解決しないのではないか、私はそのように思うのでありますけれども、今回のこのSACOの発表に当たって、事前に地元の根回しというものに対してどれほどの配慮をされたのか、お伺いをしたいと存じます。
  159. 久間章生

    ○久間国務大臣 地元の根回しというわけじゃございませんけれども、私どもの念頭には、今度の問題は、日本アメリカだけで決めるのではなくて、やはり沖縄の皆様方の御理解を得ながら片づけていかなければならない、前進していかなければならないということは絶えず頭にあったわけでございまして、そういう中であのような結果を一応得ることができたというふうに理解しております。
  160. 石井一

    石井(一)委員 例えば、この普天間の空港を移転して、そして海上の施設をつくるというふうなことがございます。これに関してもどれだけの話し合いが事前にできたのか。ほとんど行われておらない。名護の市長を初め、反対の総決起大会がもう既に起こっておるというのが現実の姿である。  そして実際、海上のヘリポートというふうなものが実現可能なのだろうかということを考えた場合に、ほとんど世界に先例はありません。軍事基地でこういうふうなものをつくっておるというふうなものもない。大変な台風のやってくる台風銀座のようなところである。そこへ巨額な金をかけてこれをつくるというふうなことだけれども、恐らく、漁業の問題にしても騒音の問題にしても環境の問題にしても、大変な問題が山積をしておるのではないか。  私は、神戸沖空港だとか関西空港というときに浮体の空港ができないかということを相当研究をしたこともございますが、瀬戸内海のああいう場所でも結局は埋め立てに変えた。また、沖縄の現状を聞いてみても、何キロか離れたところへ浮体のものをつくるよりも埋め立てた方がコストでも約十分の一ぐらいだ。そういう可能性もあるかもしれないというふうなことも言っておるときに、突然浮体?」ういうふうな案が出てくる。これは沖縄の方から見たらたまったものじゃないというふうに私は思うのであります。沖縄のサンゴに対する保護というものもどうなるでしょうか。いろいろな問題があろうかと思います。  普天間方式というのは、できもしないことを振り回して、結局は沖縄ヘツケが回ってくる。こういう感じを持ってくれば、楚辺通信所で起こったような混乱が、村山内閣の起こしたあの失態と同じようなことが総理の意に反して今後沖縄に起こってくるのではないかということを私は危惧いたすわけでございますが、いかがですか。
  161. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、今石井議員が御指摘のようにならないような事態を切に願っております。  この普天間の返還という問題は、大田知事が、私が総理として最初にお目にかかりましたとき象徴的に挙げられたことでありました。そして、サンタモニカの日米首脳会談、私自身が初めての場で、一つのシンボリックな例示として、大田知事から述べられておりましたことも頭にあり、これを俎上にのせたことであります。その後、二度三度と大田知事とお話をする間に、この普天間基地というものをなくすということがいかに重い課題であるかということは十分理解をしたつもりでありますが、その上で私は、議員は今埋め立ての問題を口にされましたが、埋め立てということは決して沖縄の皆さんが受け入れられる方式ではないという印象を持ちました。  そして同時に、私は、日米安全保障条約というものを良好な関係で機能させていく責任もございます。ぎりぎり考えていきますうちに、私は、海上に移すことができないだろうか。そして、まさに議員が御指摘になりましたように、沖縄の海というのは非常に美しい。ただ美しいだけではなく、貴重なサンゴ等も存在をする海であることは、沖縄の海中公園を決めました当時の政務次官として私もよく覚えております。その被害を最小限にとどめながら、海に移すしかないのではないか、しかし、それが未来永劫固定する方式は避けなければならない。そんな思いでおりますうちに、アメリカ側からも同様の発想のもとに撤去可能な海上基地という案が出てまいりました。  そして、これは技術的に可能性があるかどうかということについても、その専門の技術者たちによる、また学識経験者等から成る技術アドバイザリーグループ等、ぎりぎりの検討をしてもらいました。現在、幾つかの工法が技術的に実現可能と専門家から報告をされております。私は、その専門家たちの検討が非現実的なものだとは思いません。そして、同時にもう一つ、これが撤去可能ということは、私にとりましては大変関心のあるテーマであったことも事実であります。  今後、日米の技術専門家によりまして支援されます普天間実施委員会というものでその工法を含むいろいろな項目についての作業をして、平成九年の十二月までに詳細な実施計画を作成することになっているわけでありますが、一昨日、基地所在の沖縄県の市町村長さん方にお集まりをいただきまして、当初の予定を大幅に延長しての議論をさせていただく機会もありましたが、私は、現地の頭越し、納得を得ずして工事をするというようなことはしない、しかし、移転をする場所が決まらなければ普天間返還ができないのだということだけはわかっていただきたいということは申し上げて帰ってまいりました。  今後なお論議を煮詰めていくこと、そして適地を探させていただくこと、その適地が決まりました段階で、おのずからその深さその他によって工法も変わりましょう。しかし、私は、技術的に全く可能性のないものを推したとは思っておりません。専門家たちから技術的に可能というお答えをいただいた上で決断をしたものであります。
  162. 石井一

    石井(一)委員 この議論はこれ以上申し上げませんが、私はここで、この海上空港というものはまず不可能だろう、そういうことを申し上げておきたい。昨年一年の台風で、那覇空港が閉鎖されたのが三回ございます。七月三十一日、一日。次に、八月十二、十三、十四と九月の二十八、二十九、三十。ほとんどの航空便を欠航しておる。これは陸上の問題を言っておるのでありまして、そこから何キロも離れた。しかも太平洋に全く面しておるその大海の中に、これまでどこでもつくっていないものをやるということ自体、私は大変な無理があるということを御指摘しておきたいと思います。  また、今総理が、地元の了解が得られない限り基地を移転できないんだと言われることは、SACOで十一施設返還するということ、そのうちほとんど今沖縄の県民の皆さんは反対ののろしを上げておられるのですが、それならSACOのペーパーは全く有名無実だ、書いてあったってできないということになりかねないとも私は危惧するのですけれども、一点確認をいたしておきたいのは、地元の反対があれば強行しない、こういうお考えでございますね。
  163. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 一昨日、私はこのような申し上げ方をいたしました。  今後は、SACOでの合意に基づき施設の統廃合が進められます。私は、これが基地が返還される喜ばしいニュースだという側面だけではないことをよく認識しております。施設の移設先によっては、新たな御苦労をお願いするところが出てくることにもなります。しかし、いかなる施設も、受け入れていただくところがあって初めて移設できるということは当然の出発点です。県と市町村の了解を得ることは不可欠であり、私は地元の強い反対を押し切ってまで移設を強行することがあってはならないと考えております。  これは全体について申し上げたことでありますし、その普天間につきましても、住民の代表である皆様自身が納得されないうちに、その頭越しに、国がいわば見切り発車をして特定の場所に押しつけるつもりはありません。これは、確かに私は申し上げてきました。  ただここで御理解をいただきたいのは、やはり受け入れてくださるところがなければ動かせないということも現実であります。そして、そのための努力を我々も一生懸命にいたします。できないのだとお決めにならずに、ぜひこの問題については御協力をいただきたいと心から願います。
  164. 石井一

    石井(一)委員 いや、我々も二人の代議士を三つの選挙区で持っておるわけでございますから、これは国家的問題として協力しようというふうに思っておるわけでありますが、しかし十分事前の協議もしていただきたいというふうに思うのであります。今回の選挙を通して二人の新進党の議員が選ばれたということは、やはり国民の、県民の信頼を得ておるということにもつながっておると思うのであります。  今のお話では、沖縄の懸案はまず沖縄の方で処理してこい、結局たらい回したと思うのです。了解ができなければできないのだということになっておれば、私は、これはいつまでたっても沖縄の悩みを解決することはできにくい。  そこで、在日米海兵隊の問題についてお伺いをしたいと思うのでありますが、御承知のとおり、現在沖縄には約一万八千人から二万人の海兵隊、一万九千ヘクタール、七六%の施設面積を占めております。ほとんど海兵隊で占められておるということを言っていいでしょう。  確かにこの海兵隊は大きな歴史と足跡を持っております。しかし、冷戦終結後の今日、極東における米国の世界戦略の中の海兵隊の果たす意義というものは非常に変わってきておるわけでありまして、私は直ちにこれの撤退ということを言うわけではございませんが、せめて中期的、長期的な意味で海兵隊に対して何らかの措置をする、こういう基本的な方途をしていかなければ、七六%をこれは占めておるのですから、全く変わらない。  しかも、海兵隊というのは、現在、ソ連の脅威がなくなりました後、極東の脅威というのは、ソ連の脅威が消えましたために第七艦隊の空母の機動部隊と在日空軍で十分だという軍事専門家の意見がアメリカにもたくさんございます。そうして、この海兵隊は、四十年、五十年前の朝鮮戦争の、動乱の時代でこそ有効であったけれども、今ここでなぜこれがあるのかという疑問が投げかけられております。実態は、実戦部隊というよりも新兵の訓練専門部隊に変わっておるとまで言われておる。  私は、何もアメリカの軍事問題について手を突っ込めと言うわけではございませんが、これだけ沖縄の県民の皆さんが苦しんでおるときに、これまで一回でも防衛庁長官なり外務大臣、海兵隊の問題について日本政府としてアメリカ側に問いかけたり要求されたりしたことはありますか。いかがですか。
  165. 池田行彦

    ○池田国務大臣 日米間におきましては、国際情勢あるいは防衛政策等につきましていろいろな機会に話し合って協議をしてきたところでございまして、その際には、在日米軍の兵力構成を含めていろいろな体制についてもこれまでにも話し合ってきたことはございます。そういうことでございます。  そして、さて今、委員御指摘の海兵隊の問題でございますが、在日米軍の存在というのは、やはり日米安保条約の目的を遂行する上でこれは必須のものでございます。そうして、その中で海兵隊の存在というものは、その優れた機動性であるとか即応性という観点から申しまして、現在の時点でやはりこれは大切な在日米軍の一翼を担っているものだと認識しております。  先ほど御指摘のありましたように、軍事専門家の中でいろいろな意見があることは私は承知しております。しかしながら、米国の章あるいは国防省を含めまして、現在の時点で海兵隊というものの意義というものはきちんと位置づけられておるわけでございまして、先般の2プラス2におきましても、ペリー国防長官の方から、やはり現在の在日米軍の存在、それには海兵隊も含めますが、そういったもの全部含めてアジア太平洋地域での約十万人の米軍のプレゼンスというものが大切なんだという、これまで日米間でお互いに意見の一致してまいりましたことを前提としていろいろなことを考えていくんだ、こういう話があったところでございます。  他方、今後におきましては、先ほど申しましたように、在日米軍の兵力構成を含めた米軍の体制のあり方についても、将来的にもやはゆいろいみ話をしてまいりたい。たまたま来年の五月に、四年ごとの国防計画の見直しか行われることになっておりますので、その関連でも話をしようということは話し合ったところでございます。  しかし、先ほどの水準を当面変えることはないということは大前提でございます。
  166. 石井一

    石井(一)委員 私は、過ぐる八月に民主党大会で渡米をいたしましたときに、アメリカ・ワシントン等でかなりの人々にこの問題について会見をし、議論をしてまいりました。一々申し上げませんが、米政府関係、議会の上下院議員、軍事専門家、学者等々でございます。もちろん政府当局は、この問題に対して大変な一つの驚きといいますか意外感を示したことは確かでございます。しかし、アメリカの中では、我が日本よりもはるかにはるかにこの問題について議論が進んでおると申してもいいでしょう。  きょうはたくさん資料を持ってまいりましたが、一つ、レーガン、ブッシュ政権のアジア・太平洋担当国防次官補、国際安全保障担当であったリチャード・アーミテージという、これは恐らく岡本首相補佐官も沖縄問題で相談をしておる相手だと申し上げてもいい、知日派であり沖縄問題にも精通をし、日本の問題にも明るい人でございますけれども、私は、この人と会見をいたしましたときに二つの示唆を与えられました。  一つは、今すぐにはできないが、朝鮮情勢が緩和すれば海兵隊は要らなくなるよ、しかし、そのためにはもう今から準備を始めなければいかぬということが一点。  もう一つは、最近アメリカとオーストラリアが提携を結んで、ほとんどの射撃の訓練はオーストラリアでやっておる、日本もそれを交渉してみたらどうかというような意見がありました。私は直ちに当時の臼井長官に、こういう意見があるよということを御報告しておきましたが、それから選挙があり、がたがたといたしました。  最近、十一月六日、ワシントンの戦略国際問題。研究所で、パシフィック・フォーラムという非公開の軍事専門家のいわゆる議論の会がございましたときに、このアーミテージが出席をいたしまして、沖縄の問題が混迷をきわめておるが、単にすぐに撤退せよとは言わない、しかし解決する時期が間もなく来ると。私はこれは、アメリカは朝鮮情勢を見ておると思うのであります。そのときには沖縄の海兵隊を撤退すべきであり、少なくとも小規模の中核となる部隊だけは残るだろうと。間違いであれば一遍問いただしていただきたいと田小うのでありますが、戦略研究所の中で権威あるアメリカの知日派がこういうことを言っております。  そして、七二年の沖縄の返還後、米国が無感情に近視眼的に沖縄に基地を集中させたことも間違っておった。日本政府も余りにも関心が薄かった。この問題は今のような解決でなく根本的な手を打たなければいかぬということで、海兵隊の問題に触れてきておる。  こういう深刻な事態があるというときに、今海上にヘリポートをつくられるのに、計画に一年二年かかる、建設に五年六年かかる。そのコストだけでも五千億、移管費に一兆円、一体どれだけの負担をやって、できたころには朝鮮半島は緩和をしておる、あるいは極東の情勢は全く変わっておる、こういう問題が起こってくる可能性が非常に多いわけであります。  私は、この問題に対しまして真剣な具体的なひとつ御検討を要望しておきたいと思います。いわゆる常時駐留なき安保体制というものを新たに模索していく必要がある時期が来ておると思うのでございますが、御所見があれば簡単にお答えいただきたいと存じます。ちょっと簡単にしてください。
  167. 池田行彦

    ○池田国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、米国において専門家の間にいろいろな意見があるのは、そのとおりでございます。アーミテージさん、私っい最近も、十日、二週間ぐらい前にもお会いしていろいろ話を聞いておりますけれども、必ずしも、今委員御指摘のように、非常に近い時期にそのような大きな変化が必要であるというような御認識であるというふうには理解しておりません。遠い将来の話として、いろいろな変化があればということはありましょうが。  いずれにいたしましても、私どもとしましては、現時点におきましては、先ほども申しましたような現在の体制というものをきちんと守っていく、その前提で物を考えてまいります。  なお、中長期的には、いろいろ米国側とも協議し、我が国政府としてもいろいろ考えていくのは当然でございます。
  168. 石井一

    石井(一)委員 いずれ機会を得ていろいろ議論を展開したいと思いますが、橋本・クリントンの日米共同宣言によりまして、日米のいわゆる体制というものが盤石になってきたことは間違いございません。しかし、それと同時に、これに対して中国がどういう関心を持っておるか。あるいは、マレーシアのマハティール首相がどういうコメントを出しておるか。まさに日米強化、二国間強化の中に、マルチラテラルな他の近隣国家というものは、一種異様な警戒感、不信感というものを強めておるのも確かであります。  今回、日米共同声明において、過去に対する再認識、リアフアームというつことはできたかもわからぬが、将来に対するいわゆる新しい日米安保の定義、リデフアインするということについては、これは欠落しておったんではないかというふうに思います。私たちが今やっていくべきことは、沖縄でしっかりとした基地をつくるとか後方支援をどうするかということもこれは日米関係で必要でありますけれども、中国あるいは北朝鮮等々の緊張緩和にどれだけの努力をするかということに、アジアの対話と安全保障の構築にもう少し真剣な目を向けていくということも、私は大変必要ではないかなというふうに思います。  まあ、金丸先生が北朝鮮への扉をあけて、いろいろ議論もありましたが、私は、この政治家は非常に大きな足跡を残されたと思っております。私が事務総長でそれに同伴したからこんなことを言っておるわけではありません。しかし、一年ほど交渉したままほうっておる。  しかし、もうこの国などは南進をする力も、石油もない。石炭もない。食糧もない。これに脅威だという形でこれだけの海兵隊を置き、五十年前一と同上ような体制で、四万七千と十万体制を極東に固定化するという我が国の安全保障と外交というものがいいのか。私は、大変大きな問題があると思いますので、この問題を提起し、今後、バイラテラルな日米関係はしっかりと構築できたと思いますが、マルチラテラルな体制の中から、アメリカ方向を見るだけでなく、アジアの方向を見た形での積極的な、自主的な外交というものを当然我が国としては展開していくべきではないか。  その点において、国民にはクリントンと橋本総理の美しい握手の絵は刻み込んでおるけれども、その陰でどれだけこの姿に不信を持ってきておる近隣国家もあるかということを考えた中に、今後、二十一世紀に向けて、日本はもっともっと自主的なアジア外交に転換をするべきであるということを申し上げまして、御意見があればお伺いをしたいと思いますが、私のきょうの質問を終わらせていただきたいと存じます。
  169. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、議員に議論を申し上げるつもりはありません。ただ、私は、昨年の自動車協議の非常に緊張しました中で、本当にアジア太平洋地域だけではない、ヨーロッパの国々からまで、日米関係をこの問題で破壊しないようにということを言い続けられました。そして、日米関係が安定していることの重要さというものは、自分自身が当時の自動車協議の交渉者として心の底に刻み込んでまいりました。そして、私は今、日米関係を安定させることに一方で全力を尽くしております。  と同時に、最初に首脳会談を行いましたサンタモニカ以来、何回かのクリントンさんとの議論の中に、私は、米中関係の改善ということを絶えず求めてまいりました。今回、マニラにおけるAPECを機会に米中関係が大きく好転したことを、その意味で大変私は喜んでおります。  と同時に、その同じマニラでの日中の首脳会談におきまして、相互の首脳訪問をお互いに招請しますとともに、日米安保共同宣言並びにその指針について中国が持っている疑念、不安というものに対し、今後ともに外交的にも説明を続けていくけれども、恐らく口頭で説明するだけでなかなか中国としても安心のできない部分があろう、これはこの指針作成のプロセスを透明化していくことによって、事実をもって知っていただくように努力をする、そのようなことも申し上げてまいりました。  今後、そのような努力を一方では傾け、各国が、近隣諸国が不安を持たないような情勢をつくることにも我々は努力をしてまいります。しかし同時に、日米関係を安定させていくこと、そして、その基盤に日米安全保障条約というものがあるという実態は忘れてはならないことだ、私はそのように考えております。
  170. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、権藤恒夫君から関連質疑の申し出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。権藤恒夫君。     〔委員長退席、小里委員長代理着席〕
  171. 権藤恒夫

    権藤委員 私は、橋本総理が沖縄を訪問なさることについて、非常に注意しておりました。それは、戦後になりまして、総理大臣が沖縄を訪問されるということは佐藤総理以外なかったからであります。そして、どういうステートメントを、ごあいさつをなさるかということにつきまして拝聴しておったわけでございますけれども、あのいかがわしい少女暴行事件で、沖縄の県民の皆様方の怒りが一挙に噴き上げてきた。そして、基地の返還の声が県民の声として、非常に厳しい糾弾とともに反対の声が上がった。そついう中で総理が述べられた言葉は、困ったときに何かを言うというような言葉にしか、また、私どもの心にそういうふうな響きしか返ってこなかったというふうに思います。  読み上げてみますと、日米双方の沖縄の位置づけについて自分なりに調べておったわけでありますが、国民全体が戦後五十年の平穏な生活のうちに忘れてしまっていた沖縄の方々の痛みや苦しみを再認識いたしました。沖縄問題には長年関心を持って取り組んできたと多少自負してきた私自身、長いから省きますが、最後に、今改めて、長年我々が余りにも沖縄の方々の心に無関心であったことをおわびしたい気持ちでいっぱいですというのが、これが第一回のごあいさつです。  それから第二回目には、本当の意味の謝罪を込めたようなごあいさつになっております。評価したいと思っております。  私は、ドイツが、それこそ軍人もまた国民もすべて瓦れきの中で、戦死した人よりも餓死をした人が多いと言われるくらいの中で、あのベルリン問題にどういうことで対応したかと申し上げますと、時のアデナウアーさんが、ベルリンから若者が去ってはいけない、だからこのベルリンを守るためには、我々も全部被害者であるけれども、若者が定着するような、そういうドイツ全体でベルリンを守ろうじゃないかと言って、あの瓦れきの中から叫んで、そうして日本語で訳しますと負担均衡法という法律を制定しました。直訳いたしますと一蓮托生税、どこかで聞いたような、だれかとだれかが一蓮托生というようなことを聞いたような気がしますが、一蓮托生税というそういう税を出して、あのベルリンの復興に努力をしてきた。  それで、第二回目の総理のごあいさつの中に、その負担は日本国民が等しく負わなければならないというものでありますというふうに結んであります。その御心境をお聞かせいただければと思います。
  172. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 大変失礼でありますが、その第二回目と言われますものは、おとといの夜、基地所在市町村長さん方に申し上げたことの骨子でございますね。
  173. 権藤恒夫

    権藤委員 十二月四日のお話でございます。
  174. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 それは、まさに基地所在市町村長さん方に、私は、せっかく沖縄に、東アジア社会保障担当閣僚会議に行くのなら、お目にかかりたいということでお願いをいたしました。本当に、当初一時間というお願いをしておりましたものが、皆さんの御了解雇得て、相当長い時間の実のある議論になりました。もちろんそれですべてが終わるわけではございません。ただ、双方が思ったことを言い合い、しかも嫌な印象を残さずに議論ができた。これは、私はすべての出発だったと思っております。  そして、その限りにおきまして、今まで県から出ておりますこれからの県政についての要望事項、アクションプログラムと言われるものもございます。また、官房長官のもとに私的に懇談会をつくりまして、島田座長を初め非常に熱心に努力をしていただきました成果もございます。こうしたものは、いかに厳しい財政事情のもととは言いながら、何としても具体的なプログラムとして進めていかなければならない。その限りにおきまして、私は、今申し上げた言葉をそのまま続けてまいります。
  175. 権藤恒夫

    権藤委員 今の御答弁は評価しておるわけでございますが、残念なことには、やはり五十年は遅かった。沖縄返還の当時にそのようなことを、私は、時の政府の代表者がおわびをして、朝鮮半島や中国や東南アジア、いわゆる日本が侵略したと言われるところにつきましてはいろいろと頭を下げていきました。けれども、昭和十三年に国家総動員法が発動され、そうして初めて日本の本土で陸上戦がなされたということは沖縄以外ないわけでありますから、戦前、戦中、戦後を生きてまいりました。この目で、肌で感じてきました沖縄の方々に対しては、やはり心の底からおわびをして、またこれから先、かつての、ついさっき、あの台湾海峡で第七艦隊と中国の演習がございましたときには、あの沖縄の基地から偵察飛行なんかをやりながら、そして情報を交換していくという、まさに憲法に違反するような問題も起こってくるわけでありますが、直ちにそれは攻撃目標になるかもわからない。  そういう中に位置づけられております沖縄の県民の方々に対しましては、ただ当面の課題を解決するためにやろうというんじゃなくして、心からわびるという、そして御協力を賜るという姿勢が私は最も必要だろうということをここに重ねて要望しておきまして、今後も沖縄対策を遂行していただきたい。これは答弁は要りません。要望でございます。  それから、今度の予算編成について、野田政審会長がるる詳細なことを聞いておりますから私は申し上げませんが、肝心なことだけ聞かせてもらいたいと思います。  一つは行政改革、それから経済構造改革、金融システム改革、社会保障構造改革、財政構造改革。九八年に法案を提出して二〇〇一年から実行する、うちの政策と全く同じのようでございますが、若干内容が違うところもあるわけでございます。(発言する者あり)まあどっちでもいいじゃない。日本の国がよくなることはいい。  その中で一つお願い、これは参事官の方には答弁は要らぬと言ったんですけれども、一つだけお聞きしたいことがございます。行財政改革についてであります。  いろいろと世上御批判があっているようでございますが、こちらの方には自民党の改革本部がある、政府の本部もある、そして諸井委員長さんもいらっしゃれば飯田委員長さんもいらっしゃる、中に官僚の若手が十三人おる、ここに学者がいらっしゃって、経済界の方がいらっしゃって、労働界があって、マスコミの方まで入っていらっしゃる。このことにつきましては、日本人の方、外国人の方もいろいろと御批判していらっしゃいますが、それについては今さら触れようとは思いませんけれども、こんなに要るものでしょうか。  あの前川レポートというものを拝読させてもらいました。そして、土光臨調でもこのことは触れてあります。それから、鈴木さんのときの行革審にも触れてあります。もう既に中間報告なんかは、今地方分権等は中間報告もされ、もう十二月に提出されるでしょう。ですから、屋上屋ではないかというふうに思います。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕  それで、あるエコノミストが、このような委員会を使って何かを実行しようという手法は、これは政治が対応し切れないからじゃないか、政治不信があるからこそそのような手法を用いるんじゃないかというふうに批判をしていらっしゃるわけでありますけれども、今回の選挙では、みんな行政改革は全部言ってまいっております。すばらしい大臣の方も、仕事をやろうとしてここに今いらっしゃるわけでございます。  私は、そういうような委員会も、意見を聞くことは必要だと思いますけれども、この大事な問題については、まさに時代の転換を図ろうという時代におきましては、政治家が先頭に立ってやることが当たり前じゃないか。なぜ政治家がやれないんだろう、族議員があるのかというようなことが盛んに言われておるわけでありますけれども、このような、屋上屋を重ねるような委員会を使って、審議会を使ってやるということは、橋本総理、あなたの時代におやめなすったらいかがでございますか。我々だって政治改革を唱えてきたわけでございますから、たとえ与党であろうと野党であろうと、国益のためになることならば何でも率先してやるという決意は表明してあるわけでありますから。  そのことについて、何か御意見があればお聞かせください。
  176. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、議員の御指摘が全く私と考えが違うなんて申し上げる気はありません。  問題は、先ほどから申し上げておりますように、私自身が総理を拝命いたします前から、行革委員会あるいは地方分権推進委員会等、幾つかの審議会が既にこうした問題について生まれておりました。そして、その業務といいますか役割というものは、重なっておる部分もありますし、欠落しておる部分もあります。殊に、第二臨調当時と大きく違いましたのは、行革委に対して諮問の機能がございません。もしここで諮問の機能がございましたならば、私は状況はまた違ったものを考え得たと存じます。  そして、今一方で規制緩和あるいは官民の役割分担等の作業を進めていただいております。分権委には機関委任事務を中心にした作業をしていただいております。それを束ねていく上で、私には、今、行政改革会議という形で考えましたようなものをつくるという結論しか逢着をいたしませんでした。  ただ、これは従来のように外部の方に会長あるいは委員長をお願いをしておるものではございません。私自身がその行政改革会議の会長であり、武藤総務庁長官が会長代理であり、その上で二十一世紀の国家のあり方、機能というものを考えます場合に、むしろ学問の世界、幅の広い方々の意見を例えるように、そんなつもりでこの場所をつくりました。そしてそこに行政改革委員会の御論議も、そして地方分権推進委員会の結論も移しかえながら、それを参考にしながら中央の仕組みを考えてまいろう、そのような考え方をとっております。  御批判はいろいろありましょう。しかし、私なりに実効を上げていくために、既存の審議会、委員会の果たしていただいております役割を生かしながら進めていく手法として考えたことであります。
  177. 権藤恒夫

    権藤委員 やはりこの審議会方式、これは何といいますか、結論から見まして、やはりコーポラティズムといいますか、私、余り英語を習っている、そういう世代じゃありませんから発言が悪いと思いますけれども、意味はとってください。(発言する者あり)ありがとうございます。それで、そうなりますと、労働界や企業の方たちが来るわけでありますから、やはりその私企業である人たちが、自分の意見が突出をしてくる、また、国家の権力が介入をしてくるという、そういうことが以前から言われておるわけであります。  だから、今ビッグバンとおっしゃっておりますことは、過去のやり方を大爆発させようということ。そのねらいは、今世界の各国とも、冷戦構造が壊れて、そして経済の基調が同じになってきた。そうすると、ただ一国だけでやっていけないようになる。国際社会の中で協調していかなければならぬ。でありますから、税制にしたって、いろいろなその仕組みにしても、お互いに参入をできるような、あのアメリカでいうペコラ、イギリスのビッグバンということをおっしゃっていると思うわけです。  ところが、こういう審議会に任せていきますと、その自分の立場に立って出してきた答申を政治が変えられるか。でありますから、与野党には優秀な若い、閣僚もすばらしい方ばかりでありますから、全力挙げて、今二十一世紀に向けて日本が国際社会の中で堂々とやっていくことができる体制をつくるのか、あるいは旧態依然として一国だけうまくやっていくか、選択肢は二つしかないわけであります。しかし一国主義はあり得ないわけでありますから、思い切って、過去のそういう積み上げは積み上げとして参考にして、大胆に改革をするというふうにしていかなければ、私は目的は達成できないのじゃないかというふうに心配をしておるところです。  それを、さっき時間がないからといって野田さんが、ちょっと中途半端になりましたけれども、この最後に言われております財政構造改革というのは、財政を削減するということではなくして、要するに、財政再建のためにどういうふうにしていけば財源を確保することができるのかというふうな誤解を受けるぞというふうに、先ほど政審会長が申し上げておったわけであります。  まあ、ここでどうしようこうしようという返事をもらうつもりはございませんけれども、いずれにしても、予算が出た国会ではこの問題が中心になってくるでしょうから、どうか我々が申し上げておりますことをひと……(発言する者あり)耳を傾けて、そういうことでございます。おっしゃるようなことでございますから、ひとつ耳をかっぽじって聞いておいてもらいたい、そういうふうに思います。答弁は要りません。  次に、総理の所信表明についてお伺いいたしたいと思います。  総理の所信表明の案文と、それから表明された分、二冊いただいておるわけでありますがこの国会で表明されました。「まず初めに、最近、行政に対する信頼」云々という、原案ではこれは四ページにあるようでして、その中で、「また、同時に、政治の責任も痛感しております。」ということを、こちらのにはないのですけれども、こちらに入っておりますが、何かその間の御心境の変化はあったでしょうか。
  178. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 所信表明の原稿は、恐らく回数にいたしますと大きくいじりましただけでも四回ぐらい原稿は手直しをしておると存じます。しかし、最終的には閣議で決定をいたし、本会議で読み上げさせていただきましたものがその内容でございます。その間に、原稿の中に、当初この辺がなということで全体を組み立てたものを改めること、あるいは当初書いておりませんでした問題に触れること、そうしたことは少しでもきちんと自分の申し上げたいことをという努力の中でいたしたことでございます。
  179. 権藤恒夫

    権藤委員 新聞の報道によりますと、総理みずからが四ページにあったのを一ページに、最初に持ってきた。それは綱紀粛正に対する強い総理の対応のあらわれだ、こういうふうに、また「政治の責任」もそこにみずから挿入されたということであります。  二十八日にどなたと御相談があったんでしょう。
  180. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 ちょっと今とっさにお尋ねでありますから、恐らく官房長官の意見も聞きましたし、たしか論説懇のあった日ですから論説委員の方々の意見も伺いましたし、いろいろな方々の意見をその日も多分伺っだろうと存じます。
  181. 権藤恒夫

    権藤委員 確かに、総理の行動予定の中に論説委員の方々と一時間余りの懇談ということが、漏れ伝わってまいりますとそのようなことであります。  これは、ブレーンとしてやはりいろいろな方々のお知恵を拝借するということは、これはもう当然でございます。だけれども、総理の発言について、前もって各マスコミの論説委員の方々と懇談したということは余り聞いたことがないという話もあります。やはり政治とマスコミの間には、ある一定の緊張感を持っていかなきゃならぬというふうに私は思っております。  なぜかならば、細川内閣のときに、テレビが当時の与党に有利な報道を流したということで随分と問題になりました。報道は申立てあれとか平等であれとかといいますけれども、公平であるということが妥当だろうと思っておりますのでありますから、私どもはあのときに反対いたしました。証人喚問はしちゃならない、安易にするべきじゃないんじゃないかと。  ところが、いろいろな方々は、そうじゃない、偏った報道をするということはけしからぬ、それによって世論が操作されている。今度の選挙でも、かなり郵政省から各テレビ会社にはそういうようなことが、注文がついたというふうに聞いております。それで、その担当者を呼ぶ呼ばないということで、政治特の方で理事会で協議したわけでありますけれども、言ったと言われている本人がくるくる変わるものですから、では聞いて真相を確かめましょうということで証人喚問になったわけであります。  それは、なぜそういうふうに証人喚問までして真相をたださなきゃならないかということは、やはり政治とマスコミの間に緊張感があってこそ初めて、私は政治が正されてくるというふうに理解しておる。そういうふうにあの証人喚問のときも理解をいたしました。  ですから、総理大臣が一国の政治を、一億三千万の人たちをしょってこれから先政治をやろうというときに、そのような報道機関と緊張関係のないような中で総理としての仕事をなさろうということは、よくとれば、善意にとれば広く意見を聞く、万機公論に決すべしというような意味にもとれましょうけれども、悪く言えば批判を避けるということにもなるかもわかりません。政治改革の中にマスコミの代表も入っていらっしゃるということは、そのことも決して自然じゃないよ、こういうふうに思うのですが、総理はいかがでございましょう。
  182. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私から申し上げるのも大変おかしいのですけれども、マスコミの皆さんは大変乱をよくいじめてくだすっておりまして、緊張関係がないなどという状態では恐らくなかろうと存じます。  それと同時に、私は、あえて私が論説懇を開かせていただいたことを正当化するつもりはありませんけれども、今までの各内閣も論説懇等は開かれ、その意見を受けて字句の修正等もなされておられたと聞いております。そして、よりよくその内容を知っていただこうという努力の一つとして、私は論説懇を開いたことが問題だとは思いません。  ただ、そのような誤解が生ずるとすれば、逆にどういうふうにすれば、論説、解説の方々にいろいろな場合に、我々自身がまた政策の説明をしたいと思うときもありましょうし、その方々から意見を言いたいとお考えになるときもありましょうし、そうした会合の持ち方については内閣広報とよく相談をしてみたいと思います。その点だけは、ただ、私は意見を伺うということは今までもあったことと聞いておりましたし、当然行うべき私の責務と思って行いました。
  183. 権藤恒夫

    権藤委員 私は総理大臣になったことはないのでわかりませんから、総理の心境ははかり知ることはできませんが、通常そういうようなことも言われておりますので、その御真意をお聞きしたかっただけの話でございます。  マスコミの方はそんなにいじめていらっしゃらないのじゃないですか、うちの方はからゃからゃやって……。  それから、橋本総理大臣と岡光さんのことについてお伺いしたいと思います。  あれはいつだったでしょうか、橋本総理が大蔵大臣のときであったと思います。私どもは当時、過去にどういうことがあるにしろ、人間の終末が不幸であってはならないということで、今日まで日本を支えてきたそういうお年寄りの方に対しては本当に何とかできることはないかということで、老人福祉その他、政府にその政策の実行を求めてまいりました。  そのときに、厚生省で考えていらっしゃった老人健康福祉十カ年計画というものがたしかあったと思っております。ところが、それを実行するためには金が足りない、どうするかということで、二十一世紀になったならば一人半ぐらいでお年寄りを支えていかなければならぬというようなさまざまな論議がなされているのです。そして、一般消費税の導入ということが政策として上がってきたわけでございます。  それが、お葬式のときまでその消費税がかかるということで、見直しをしようという話が参りました。たしか、三塚大蔵大臣が当時は議運の委員長であったと思いますけれども……(橋本内閣総理大臣「政調会長」と呼ぶ)政調会長だったですか、四、五年たつとすぐ忘れてしまいますけれども。そういうような中で、この福祉問題というのが十年計画が三カ年計画になりました。  そうして、もう改めてここで資料を出す必要もないと思いますけれども、三年間でその十年間分を達成しようじゃないか、そういうことになったわけでありますけれども、この第一次ゴールドプランの設計から少しずつ、私は最近知ったわけでございますけれども、総理大臣が岡光のやろうと言って怒られだというような、そういう信じられないようなことが芽吹いてきたように思うわけでございます。  そこで、お尋ねしますが、総理大臣はあの方を御存じでしょうか。日本寝具協会の理事長やあるいは食品の会社をつくられました会長さんたち、総理大臣と小泉厚生大臣に、そういう方々とおつき合いがあったかどうか、お聞きしたいと思います。
  184. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 大変申しわけありませんが、答弁に入ります前に、一点御報告だけお許しをいただきたいと思います。  三時三十分現在、小谷村の中州に取り残されておられた方々は、自力で全員脱出をされました。ただ、行方不明者十四名以外の従業員は安全な場所に避難した模様でありますが、行方不明者が現在十四名、引き続き捜索中ということであります。  それから、高齢者保健福祉推進十か年戦略をつくりましたとき、三塚政調会長から森山官房長官を通じて私ども関係する三閣僚に指示がおりてきた。それは、その当時私が大蔵大臣でありましたこと、そして関連する閣僚の一人でありましたことも事実であります。  それから、岡光君につきましては、私は、本当に若い官僚のときから社会労働委員会の委員として存じております。  それから、小山という人は全く面識がありません。  それから、村田士郎という方については、むしろ私は、このお父様である村田英二郎さんという方はよく存じ上げておりました。ですから、例えば社長交代とか、そういうときに御紹介を受けたのではないかと思いますけれども、全く自分としては記憶をいたしておりません。
  185. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 病院寝具協会の何名の方々は知っております。
  186. 権藤恒夫

    権藤委員 回りくどい聞き方で恐縮でございますけれども、今納税者の立場からどういう声が上がっておるかと申し上げますと、このような血税を食い物にしている。しかも先のないお年寄りの方々を、何とか生きがいを求めていらっしゃる方々に対して、我々ができることは最善を尽くそうといっていろいろなボランティア活動であるとかなさっていらっしゃる、そういう方々の怒りはもう心頭に発しているということでございます。  総理はこの前いろいろと、日本病院寝具政治連盟、メディカル給食政治連盟、みずから献金をいただいたということをおっしゃっておるようでありますが、どうして問題があるの、僕は二つの政治団体から献金を受けていたことは今ちゃんと申し上げたし、村田氏のお父さんのことはよく知っている、この二つの団体に問題があるならともかく、僕はどうしてそういうふうに聞かれるのかわからない、それが僕の認識だ、それ以上僕は言うことはない、ということなんです。そして七百万ということでございますが、もう一回聞かせていただけませんか、ここで。
  187. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 事実関係を申し上げますと、九〇年以降、日本病院寝具政治連盟及び日本メディカル給食政治連盟を合わせまして計七百万円の寄附を受けております。これはまさにそのとき申し上げたことでありますが、私ども非常に残念に思いますことは、そうした質問した人間の質問は書かれないままに、それに対して答えた答えがひとり歩きをすることであります。  その答えをいたしました時点で、実は私は、その村田という人がその小山という人間とそれほど深い関係にある人間だとは存じませんでした。というのは、むしろ先代の時代から、綿久という会社の社長ということで私どもは先代を紹介され、それ以来の縁を持っておりました。そして、その綿久という会社がワタキューセイモアという名前になっているというのも、この事件が起きまして知りました。そして、それが政治連盟のものでありましたから、その政治連盟とは全く別の場所でその人が何をしているかという知識を持たないままに、またその辺の説明のないままに聞かれましたことでありましたから、そのような答えをいたしました。
  188. 権藤恒夫

    権藤委員 小泉厚生大臣も、ここに名簿があるのですが平成四年の八月一日現在のものですが何か名誉会長さんか会長さんでございますかね。何か御説明いただけませんか。
  189. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 名誉会長を仰せつかったことがあります。名誉的な会長であり、運営とかその他のことについて関与したことはございません。
  190. 権藤恒夫

    権藤委員 ここにわかりやすいようにパネルをつくっていただきました。  それで、私が思いますには、マル通という適マークがある業者については、病院のシーツ、白衣それからおしめ、ベッド、まくらカバー、これが日本寝具協会。それから、あとはメディカル給食。この適マークがついておれば、これは診療報酬として加算をされるわけであります。それだけ収入がふえれば病院は結構なことでありますから、その適マークをいただいている業者に委託するということは、これはもう病院としては当然のことでしょう。だから、こういうことをなぜしなきゃならなかったかという、そこに問題があるわけであります。  これが市場を独占していると、さまざまな同業者、同じような仕事をしていらっしゃる方から批判が起こりまして、そうして公取が調査をしたわけでございますけれども、これは市場を独占していく、独禁法に触れるということで排除勧告されておりますし、また警告もされておるわけです。  皆さん、献金の量が少ないということで、そのくらいのことはというふうにおっしゃる方もございますけれども、これはみんな税金でありますから、しかも一般消費税を財源としている。何回も繰り返しますけれども、そういう不幸な方々に対して、気の毒な方々に対して、総理がいつもおっしゃるように生きがいのあるお年寄りになってもらいたいという、その精神でもってこの制度ができたわけであります。この補助金から政治献金をもらうなんということは、これは量の問題じゃありませんと私は思っております。なぜこのような政治連盟をつくらなければならぬか、補助金によって仕事をするところが何で政治連盟をつくらなければならぬかという疑問を持っております。  きょうは公正取引委員会を呼んでありますから、この寝具とそれから給食センターが排除勧告を受けたその理由と、好ましくないという警告を受けたその理由、経緯を含めてひとつ説明を願いたいと思います。
  191. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 病院寝具と医療用食品についての独占禁止法事件の概要についてのお尋ねでございますが初めに病院寝具の方から簡単に申し上げますと、公正取引委員会は、平成五年の十二月から平成六年六月にかけまして、病院寝具に係わる独占禁止法事件につきまして数件の排除勧告と警告を行っております。  その中の一つに、社団法人日本病院寝具協会への警告がございまして、この事件の概要を申し上げますと、病院等向けの寝具の賃貸業者ですとか洗濯業者が病院と契約を締結する場合には、社団法人日本病院寝具協会のいわゆる業務代行保証というものを得なければならないこととされているわけでございますが、この病院寝具協会は、その業務代行保証を引き受けるに当たりまして、あらかじめ近隣、近県の会員から意見を聴取すること、あるいはまた会員になっていない者の業務代行保証の引き受け手続をおくらせる、こういうことによりまして新規参入事業者の営業を行いにくくしている疑いが認められた。これは独占禁止法の第八条第一項第三号に該当する疑いがあるということで、平成六年六月、日本病院寝具協会に対しまして、今後同様の行為を行わないよう厳重に警告するとともに、違反行為の再発を防止するために必要な措置をとるよう求めたものでございます。  それからもう一つ、医療用食品につきましては、本年四月に排除勧告を行ったものでございまして、これは日清医療食品株式会社と財団法人日本医療食協会が共謀いたしまして、同協会が、保険点数が加算される医療用食品の唯一の検査機関として厚生省から指定を受けていたことを利用いたしまして、医療用食品の製造業者あるいは販売業者の事業活動を支配、排除することによりまして、この分野での取引を実質的に独占していたという事実が認められたわけでございまして、これに対しましては、独占禁止法第三条の私的独占に該当するということで、日清医療食品株式会社及び日本医療食協会に対しまして排除勧告を行ったところでございます。
  192. 権藤恒夫

    権藤委員 そこで、総理と小泉厚生大臣にお聞きしますが、独禁法の八条というのは団体に対する調査でありまして、その結果が勧告ということでございます。やめなさいということです。それから、食品の方は、これは三条でありますから、個々の業者に対する警告であります。どちらも、好ましくない、補助金をもらっているようなところが独占をするようなことをやっている、これは不当であるというような、こういう結論でございます。  何も理屈でとやかく言うつもりはございませんが、小泉厚生大臣があの問題が起きてきたときに、役人がこういうことをすることはけしからぬ、市中引き回し、打ち首、獄門というような表現でもって、綱紀の粛正を図ろう、こう決意の表明をなさっておりました。  ところが厚生大臣も総理大臣も、きちんとしたところに政治団体からお金をいただいて、そうして自治省に届けておるのだから何もやましいことはない、こういうふうに何回も申されておりますけれども、今独禁法の話がございましたが、それは、好ましくない事業の展開をなさっておる人たちが、国の補助事業でありながらストレートにはそこから政治献金ができない、だから公職選挙法に適用しないような方法をとったとしか考えられないような政治団体の中からの献金であるということについて、今どういうお気持ちでございましょうか。総理、厚生大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  193. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 まず第一に、日本病院寝具政治連盟につきまして私自身が調べましたところでは、九三年以降私は寄附を受けておりません。独禁法の違反の問題が出てまいりまして公取から独禁法違反ということが言われましたのは、先ほど伺っておりますと九五年でありますか、それ以前に受領を停止しておるということが一点であります。  また、今公取の方の話を伺っておりまして、日本医療食協会と日本メディカル給食協会が混線をされておるように思います。私は確かに日本メディカル給食政治連盟から献金を受けております。そして、それは九〇年と九三年でありますが、独禁法違反の疑いで勧告を受けたのは日本医療食協会という別の団体のように今公取のお話があったように思います。ただ、いずれにしても、こういうことは私自身うれしい話ではございません。
  194. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今公職選挙法に適用されていない献金を受け取っているんじゃないかと言いましたけれども、法に合わないような献金は、私は一切受け取っておりません。誤解をしていただくと困ります。  そして、既に病院寝具協会の政治連盟は解散されております。
  195. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今秘書官からちょっと注意を受けまして。  九三年まで日本病院寝具政治連盟から受け取っていると申し上げたつもりが、から受け取っていないというふうに申し上げたようです。そこは申しわけありません、訂正します。
  196. 権藤恒夫

    権藤委員 もうそのことには触れません。五十万という話でしょう。  重ねて申し上げますけれども、やはり、さっき申し上げましたように、個人の事業家に対しては公正取引委員会が三条を適用していくわけでありまして、八条というのは団体に対してやるわけであります。それが市場を独占して、しかもそれは補助金で成り立っているという、税金で成り立っているという、そういう事業に対して、自由に参入できるのが好ましい形であるにもかかわらず、できないから排除されたわけですから、そういうことはやめなさいと。  そこからお金をもらっていらっしゃると言っているのじゃない、そういう人たちがなぜ政治連盟をつくっていかなきゃならぬかということを言っているわけでありまして、だから、そこに何らかの政治的なものがあったと言っているのじゃないのです。あれば、これはわいろになりますから、公式に届けておっても、そこに政治的な何か便宜を図るとかがあれば、わいろになる。そんなことを言っているわけじゃないのです。政治家の良心として、国民皆さん方が一生懸命に出した税金で、お年寄りの方に少しでも役に立ててもらいたい、そういうような中から政治献金をもらわなくたっていいじゃないか、こう言っているわけなんです。それをわかってもらいたい。  なぜこういうことを申し上げますかというと、総理は、村田さんは知らない、お父さんは知っているとおっしゃいますけれども、いろいろと私たちがその関係者の方にお話を聞いてまいりますと、あの小山という人は、それこそ不当な行為でもって、老人ホームや、寝たきり老人はつくっちゃいけません、そういう方々が寝たきりになってしまうと逆にかえって健康を害してしまう、だからケアハウスをつくりましょう。そうして、そのときに申し上げました。あのノーマライゼーションというもの。思い出してくださいよ、大臣、あのノーマライゼーションというのは一体何だったのか。我々は、論文をつくって皆さん方に差し上げて、そうして、体の悪い人でも、ハンディキャップをしょってでも、健常者と同じような環境の中でコミュニケーションをとっていけば、よりお年寄りが生きがいを感ずるのじゃないかと言って、そのケアハウスをつくるように予算を決めた。  総理大臣、あのときに、十年計画を三年にしました。そうして、老人ホームはどんどん伸びました。また、ケアハウスも伸びました。けれども、三年でもって五万人のホームヘルパーをつくろうということを約束したわけでありますけれども、これは政調会長の責任でしょう。平成三年には五万人じゃなくて四万人です。建物はどんどん建っていく、中間のそういうケアハウスは建っでいっている。本当にボランティアにボランティアが要るような中で、ホームヘルパーを五万人にするというのが、そこだけ一万人も少ないのです。そうして、その建物にはがばがば補助金をつけた。丸投げをした。それがあの小山グループじゃありませんか。  そうして、この村田グループというのは、今度は、おしめでありますとか、食品でありますとか、白衣でありますとか、シーツでありますとか、病院で必要なそういうようなものについては、きちっと仕分けしたとは言いませんけれども、結果としてそうなっている。まるで補助金を食い物にしているというふうに言われても仕方がないような結果として出ておる。  それを、どこかで、福祉計画何とか研究会とかというところに官僚が集まって、業者も集まって、到底政治家の我々でもわからないようなことを、布団屋さんとかあるいは議員の秘書の人が何でも知り尽くして、そうしてそういう施設ができるたびに先取り、先取り、先取りをして、しかもそれが自由に参入されないような、そういう枠をはめてやっているということ、決してこれはいいことじゃないでしょうというふうに私は思っております。  だから、先ほど野田政審会長が、補助金でもってつくる公共事業に対しては、入札にはきちっとした基準があるけれども、それを、入札が終われば後は元請にしようが丸投げにしようが、それは会計検査院が検査はしているでしょうけれども、情報として一向に納税者の方に情報が公開されていないから、だから入札と竣工検査前には必ず報告をするような義務づけをしなさいと言っているのはそこなんです。そうしなければこのようないかがわしい問題は根絶できない、こう思いますけれども、総理、いかがでございましょうか。
  197. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先ほど野田議員からも、過去のこうした事業について厚生省のみならず点検をするようにという御意見をいただき、そのようにさせるというお答えを申し上げました。  事実をもってお答えできないのは残念でありますけれども、そうした御疑念を払拭するためにも、それだけの努力をする責任があろうと存じます。
  198. 権藤恒夫

    権藤委員 小さなボードで見えにくいと思いますけれども、ここを見てください。平成二年、平成三年、平成四年、平成五年、関係者のところにはずんと政治献金がふえている。ここには一億一千数百万というものが出ている。詳しいことは述べませんが、細川内閣のときにはぽこんと引っ込んで減っているのです。というようなことは、こういうような建物ができる、こういう制度ができるということを前もって知っておかなければ対応できないというようなことがたくさんあるわけですけれども、そこまでは申し上げません。ここのところに手を当てて聞かせてやれば、自分が一番よくわかるでしょう。  それともう一つは、先ほど小泉厚生大臣が、監査を受けて、そうして公取から排除勧告を受けた。あとは何もありませんというふうになり、これから先は政治家は名前が出てきませんけれども、今度はまた社団法人シルバーサービス振興会というのが、平成八年の五月にまた同じ人間がこういうものをつくっている。これは、初代の振興会の会長さんは鈴木永二さんでした。これは立派な方でございます。そうしてお亡くなりになって、別の人にかわっていった。  そうすると、このシルバーサービス振興会というのがどういうものかといいますと、シルバーマークというものをつけている。この事業内容は何かといいますと、これは在宅介護に対する給食一のサービスなんです。あのときには、おしゅうとさんが倒れた。そうすると嫁が全部その介護に当たらなければならぬ、何とかしなければならぬといって、あのゴールドプランをつくるときに、せめてそういう家庭で介護なさる人に対しては、少しぐらいは税法上の特典、恩典があってもいいじゃないかということで、介護手当、これを基礎控除二十万にしたことがございました。  ところが、病院の方では公正取引委員会から排除勧告を受けた。今度はシルバーマークをつくって、そうしてそこにまた、同じ業者なんです、これが。村田何とかという人が。あなたのお友達ですよ、布団屋さんですよ。(橋本内閣総理大臣「私よく知らぬ人ですよ」と呼ぶ)お父さんの子供です。その人がまたこういうものをつくって、そうしてシルバーマークがあれば、国が三分の一、県が三分の一、市町村が三分の一の補助金をもらって、そうして厚生省の幹部が、こういうシルバーマークを持っておるところから頼みなさい、こう言って行政指導をしている。  これに入るには、まず申込金が十万円要ります、十五万円要る。そうして、その資格審査に行くために旅費、交通費として八万円から十万円要ります。申請するのに五万円要ります。そうして、売上金の中から、五千万売れば約五十万円になるほどの金をその協会の方へ振り込まなきゃならぬ。これは全部補助金なんです。  というようなことを考えたときに、どこまでこの人たちは補助金を食い散らかしていくのか。納税者の立場から考えてごらんなさい。大体政治家は何をやっているんだ、大臣は何をやっているんだ、こういうふうに、実際に福祉に携わっている人が、もう政治には希望は失った。だけれども、私はこういう仕事については自分の信念に基づいて責任持ってやり遂げたいという、そういう人もおるのです。  小泉厚生大臣、またこんなことをやろうとしている人に対して、事実は御存じですか。
  199. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 大体の事実は伺っておりますが、これも一般の市民、消費者の方々から、変な業者は紹介してもらいたくない、どうせ業者に頼むんだったらば信用の置ける業者を紹介してくれないかという気持ちがあると思うのです。そういうことから、こういう振興会あるいはある程度しっかりした経営基盤のある業者が集まって、何か照会があるとそこの方を使った方がいいという動きもあると思うのです。  しかし、御指摘のように行政改革委員会等、規制緩和という指摘もございました。厚生省としては、そのようなシルバーマークを国として関与していくのはやめようということになっております。
  200. 権藤恒夫

    権藤委員 ぜひそうしてください。そんな全く同じこういう業者に、だから公正取引委員会からやめなさいといって勧告を受けた人、そしてこういうことをしてはいけませんよといって警告を受けた人が、今度はまた別の補助金に看板がえしてまでやろうとしておる。これはもう徹底的にひとつ追及してもらいたいと思います。  そんな福祉を食い物にするようなのは言語道断です。そういう人こそ、小泉大臣、市中引き回し、打ち首、獄門でやってください。あなたがならぬようにひとつ注意して。うわさはたくさんありますよ。  それから、茶谷さんのことについて。茶谷さんなんて、茶谷のことについてお伺いしますが、総理大臣は茶谷候補のところに行って応援演説していらっしゃいますけれども、御記憶ございますでしょうか。
  201. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 前職中に犯していたさまざまなことを全く見抜けないままに、自由民主党としてこれを公認し、また私自身、党の指示によって応援に参りましたことをおわびをすると同時に、自分の不明を恥じております。
  202. 権藤恒夫

    権藤委員 まあ人のことばか旦言えません。うちの方も参議院の方で、私は全く知りませんけれども、変なことをしておりますから。だから、あれはどんどん呼んでもいいと思います、証人喚問なんかして。そういう面では、私どもは除名したんですけれども、除名は嫌だといって、どこか無所属になった。やめなさいと言うけれどもなかなかやめらっしゃれぬから。  そのときに総理大臣は、「彩の国」とかいろいろ言っていらっしゃいますが、この埼玉は福祉王国にしようというようなことで言っていらっしゃるわけでありますが、そのことについてはもう触れません。  ただ、ここで私は問題にしたいことがございます。それは会長さんの大友弘道さんという人が、   北足立郡市医師会長より下記の講演会の出席  依頼がありましたので是非多数の先生方のご出  席をお願い致します。   なお、当地区では十五名の出席割当です。   出席者には後日費用弁償が支給されます。   出席者を把握したいので九月十八日までにご  連絡下さい。   軽食の用意があります。ということでありますが、その演題の内容でございますけれども、「今後医療費は拡大出来るか」というのが演題であります。  これは総理、自民党の政策でございましょうか。
  203. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 大変恐縮でありますけれども、何の会合で、だれが呼びかけておりますものでしょうか。
  204. 権藤恒夫

    権藤委員 お届けしてよろしいですか。要するに……
  205. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今拝借をいたしますと、桶川北本伊奈地区医師会の会長さんから発出された文章であり、「三師会合同講演会のご案内し、確かにそういう仮の演題がついた御案内状であります。  ただ、こういう会合、私はわかりません、全く。
  206. 権藤恒夫

    権藤委員 そんな会合はわからないでしょう、それは一々。だから、こういうようなことで、今後医療費の拡大はできるのかということが講演の内容でございます。そしてメンバーは三師会で、歯医者さんとそれから薬剤師、医師会。前もって総理大臣が茶谷候補者のところに行かれて、この人は老人問題の専門家ですと、もう唯一の専門家でございますと、だから、この人を当選させていただければこの埼玉は福祉王国になりますと。そうかわからぬですね、あなたのお友達が平成二年にあそこに大きなのをつくっていらっしゃいますから。  あなたのお友達という人のお父さんが埼玉に大きなものを、平成会というものをつくられて、そして福祉の事業をなさっておるから、そういう御縁もあってあなたが茶谷さんのところに応援に行かれて、そして、この茶谷さんを埼玉から出してくれ、そうすれば埼玉県は老人問題のエキスパートで専門家だと。だから、埼玉を福祉王国にしましょう、どんどん特老やら何かつくろうという意味でしょうけれども、そのときにそういうような応援演説をなさっているわけなんです。茶谷さんを当選させれば、この埼玉県は福祉王国になります、茶谷さんは老人医療問題の専門家でございます、我が党にもこういう人が必要なんですということで当選の依頼をされておるわけでございます。  ですから、私が聞いておるのは、その茶谷さんが三師会の人を集めて、そして講演の内容が今後医療費は拡大できるのかということを言っているから、医療費の拡大は自民党の政策でございますかと、こう聞いておるわけなんです。
  207. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 ですから、私は、党の遊説計画の中で、埼玉県の遊説の途次、茶谷候補を応援したことを何も否定をいたしておりません。同時に、埼玉県医師会の中における地区医師会が他の二師会に呼びかけをされて、その講演にどなたを呼ばれるか、そしてその講師がどのような演題を選ばれるかについて私にお尋ねをされても、非常に私はお答えに窮します、私がしていることではありませんから。むしろ、医療費の膨張をいかにして適正化するかが今我々にとっての悩みであります。
  208. 権藤恒夫

    権藤委員 以上で終わります。
  209. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて野田君、石井君、権藤君の質疑は終了いたしました。  次に、菅直人君。
  210. 菅直人

    ○菅(直)委員 きょうは、民主党を代表いたしまして、橋本総理を初め橋本第二次内閣の皆さんに御質問をさせていただきます。なお、後ほど同僚の家西委員の方からも関連質問をさせていただきたいと思います。  私も、ついせんだってまで第一次橋本内閣で席を同じくさせていただきましたが、この選挙直前に民主党を仲間とともに結党いたしまして、そして今回の選挙で衆議院で五十二名の当選者を出すことができました。国会の中での活動としては、それなりの活動の基盤を与えていただいたと思っておりまして、国民皆さんにそうした基盤を与えていただいたことを大変感謝を申し上げております。そういった意味では、国民皆さんに対して十分こたえられるように頑張って、この国会という場で行政のあり方についても大いに議論をさせていただき、あるいは立法などを通して反映をさせていただきたいと思っております。  そこで、まず、どうしてもこれは触れざるを得ない問題が、厚生省の岡光前次官の逮捕という問題であります。私自身、岡光次官を保険局長から次官に任命をする、その任命者でありまして、まさかこういうことをやっている人物とはもちろん当時わかりませんでしたけれども、しかし、そのことが私自身見抜けなかったことについては、不明を恥じ、その責任を痛感をいたしております。  先ほどの議論の中でも、総理もこの岡光前次官との面識はかなり以前からあったというお話もありましたが、総理御自身のこの岡光次官逮捕に関しての感想といいましょうか、あるいはそのことを受けてのお気持ちをまずお聞かせをいただきたいと思います。
  211. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 岡光前次官の逮捕というものは、これは厚生行政の直前までの最高首脳、実質的には、辞任をしたわけではありますけれども、最高首脳と申してもよろしいでしょう、最高首脳の、事務方の最高幹部による事件、国民の厚生行政に対する信頼を地におとしめた。本当に残念に思います。  菅委員とはまさに本年一月から約十カ月間、エイズ問題に端を発した厚生省の体質改善でありますとか、介護保険制度の創設を初めとする社会保障構造改革等、政策的に足並みをそろえながら一緒に仕事をさせていただいてきました。そして、その過程におきまして、心機一転という立場から、岡光君を事務次官にという新体制を発足させたわけでありまして、私がどのような思いをしておるかは議員にもよくおわかりがいただけることだと思います。
  212. 菅直人

    ○菅(直)委員 この事件は、厚生省の政策課題としてはこの十年最大とも言える高齢化社会に対するゴールドプラン、新ゴールドプラン、それのまさに中心的な課題を実行する中で行われただけに、本当に、私自身もいまだに、何といいましょうか、信じられないという以上に、私なりに、前次官にある期待を持って任命をした者としては、責任を感じると同時に、大変、何といいますか、憤りを含めて感じているわけであります。  そこで、今お手元にある、この図をお示しをいたしましたが、今、前の同僚議員の方からもこの背景について幾つかの御質問がありましたので、重なる部分は省略をいたしたいと思います。つまり、既に逮捕されている小山形福祉グループ代表、そしてこれの関連として先ほど来名前の出ている村田士郎日清医療食品社長、こういう関係の中で、国民から見ると、何か福祉が食い物にされてきている、それに岡光事務次官初め、いわば加担をしたという構図が見えてくるわけであります。  実は、私が在任中、先ほども出ました医療食の問題について、その医療食制度、これを公取委の御指摘もありまして、国会などで御質問もありまして廃止をいたしました。同時に、この医療食協会の解散も、来年の三月ですけれども、私の在任中に決めたところであります。  そして、今、それによく似たような団体が相変わらずいろいろな動きをいたしております。先ほど出ました日本病院寝具協会あるいは日本メディカル給食協会あるいは日本ダイアパー事業振興会、これらはいずれも業務代行保証を行っている公益法人であります。つまりは、会社が何かの事情でサービス提供ができないときにかわりにだれかやってくれる、そういう保証を持っていないと仕事に参入できないという仕組みをつくり上げて、そしてこれらの協会に高い費用を払って入らなければいけない。この三つの代行保証を行っている公益法人、二つは先ほどの村田さんという人が理事長、残りの一つも副会長という立場を占められているわけであります。  私どもなりに調べてみましたけれども、これらの代行保証という考え方は、一見必要に見えますけれども、新規参入を防ぐという意味が大変強くて、いわば独占のための仕組みというふうに言わざるを得ないわけでありまして、既に公取委からの指摘を受けたところもありますので、これは、こういう制度を廃止すると同時に、これらの団体については解散するという方向で厳しく見ていく必要があると思いますが、小泉厚生大臣、いかがでしょうか。
  213. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今、先生がお示しになりました三つの団体のことでございますが、代行保証につきましては、病院等におきます食事の提供あるいは寝具、おむつの洗濯の業務の特殊性というようなことから、継続的なサービスが滞ることがないようにするための一つの方策であるというふうに考えております。  なお、この社団法人日本病院寝具協会につきましては、先ほど来御議論がございましたように、平成五年から六年にかけましての公取の勧告あるいは警告を受けまして、この病院寝具協会を唯一の代行保証機関とするのではなくて、その他の業者についても代行保証ができるというような形で制度を改めたところでございます。  なお、メディカル給食協会及びダイアパー事業振興会につきましては、今までのところ、この代行保証の問題について特に具体的に問題があるというような形では私どもは認識をしておりません。  ただ、いずれにいたしましても、公正な取引というものが損なわれないよう今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。
  214. 菅直人

    ○菅(直)委員 これは、小泉大臣、私のときも似たようなことだったんですよ。国会でこの日本医療食協会について質問がありまして、それも質問は公取委ですよね、ある意味では厚生大臣として当時私も恥ずかしい思いをしました。つまりは、内容そのものがおかしいけれどもそこではチェックはできなくて、公取委が——この機構を使って、つまりは特定の会社にのみ、あるいはせいぜい二つぐらいの会社しか参入できないようにして、毎年毎年診療報酬の中から百億以上のお金がそれに、いわば、何といいましょうか、回っている、そういう形になっているわけですね。  それで、今の局長の答弁だと、問題は起きていない。じゃ、なぜこんなものが必要なんだ。それは民間だって、もちろんいろいろな給食サービスをやって、急に来なくなれば困りますけれども、それはそれなりの手当てというのは民間は民間でやるわけですから。これは、ほとんどがまた天下り先になっているわけですね。  ですから、今この場で廃止するということまで約束しろというのはきついかもしれませんが、徹底的に内容をよく洗っていただいて、廃止を含めて検討する、そういうことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  215. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 公正な競争を阻害することのないよう、今の御指摘も含めて、どういう改善方法があるか、よく検討してみたいと思います。
  216. 菅直人

    ○菅(直)委員 そして、シルバーサービス振興会については、先ほど他の委員の方からもありましたが、シルバーサービス、私のときにも大分内部で議論をしまして、いろいろな理屈で必要なんだという議論があったわけですが、これは小泉新大臣の方で最終的な決着をつけられたようですから、この振興会自体も果たして必要なのかどうか、あわせて検討をいただきたいということを申し上げておきます。  そこでもう一点、これはもう先ほどありましたので簡単にしますが、この構図の中に、茶谷前厚生省課長補佐が自民党公認として立候補する。自民党の中の議論で、自分の党が当選したところは予算をつけるけれども、そうでないところは予算を抑えるといったような議論が少なくとも党の方であったということは、これは紛れもない事実だと思うわけです。  そういった意味でまさに、私は、官僚の皆さんの中から人材として政界に入ってくる、議員になる人があるということは、これはある意味では必要でもあり、場合によっては好ましい場合もあると思っておりますが、そういう人物が、役所のいわば権益を引っ張り出して、そこで選挙をやる。この茶谷氏の場合は、出向先である埼玉県で、その業者である小山容疑者の支援を受けて、自民党公認候補として戦って、多分当選していればまさにますます予算が流れていくという構造ができ上がっていたのではないか、こう考えますと、政官業のある意味の癒着の原点といったものがここに浮かび上がってくるわけであります。  これは行政改革を進める上でも、まさに最も切り離さなければならない構造であると思いますが、総理は、自民党総裁という立場も含めて、これについてどうお考えですか。
  217. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先刻申し上げたことでありますけれども、私は、我が党の公認候補としての応援依頼の中で、確かに応援のマイクを持ったわけでありまして、この点、人間を見る目がなかったという不明をおわびする以外にございません。  そして、私は、議員もお認めになりましたが、官僚の諸君が政治に転身することが悪いと言うのではない、その地位を利用し、あるいはその関係の中でという戦い方はよくない、そういう御指摘があったと受けとめます。それは私も本当にそう。思いますし、公務員が、本来選挙運動をやってはいけない、そういうことの条件の中で、それが有利に運ぶというような事態があっていいことではありません。  また、本当にこの報道されておりますこと、率直に私はまだ今でも、岡光の問題にしても、本当に全部報道の伝えるとおりなんだろうかという気持ちが一方ではいたします。同時に、あの自動車の問題だけでも本当に何たることをしてくれたんだという思いがいたしますけれども、こうしたいわゆる癒着と指摘を受けるような状態というものをなくしていくためにも、私は、当面の綱紀粛正とかそういったこととは別に、規制緩和でありますとか分権というものを進めていく中で、官の仕事そのものを減らしていくという努力も必要なことと、そのように思っております。
  218. 菅直人

    ○菅(直)委員 この問題は、かなり私は、従来から、よく以前の参議院の全国区などでも、いろいろなポストにいた人がその役所の力を使って組織的に選挙をやるといったようなことが指摘されていたわけですが小選挙区という形になってさえこういう具体的な形で出てきたということは大変大きな問題だと思っておりまして、まさにこのことは、今総理もありましたが、各党とも人材をいろいろなところに求めることはそれはそれとしていいでしょうし、それを党として応援することはそれはそれでいいでしょうが、役所を使ってやるということは、与野党が交代した場合においてもそれはしないというのが当然のことであるわけでありますので、そこはお互いに本当にきちっとした態度で臨まなければならないと改めて感じているところであります。  そこで、厚生省問題はまだまだ展開があるかもしれませんが、同時に今、泉井事件あるいはオレンジ共済事件といったような問題も政治家がいろいろな形で絡んでいるわけであります。  泉井事件では、脱税で逮捕をされ、昨日通産大臣がいろいろな処分を行われたわけですけれども、果たしてあれですべてが十分だと言えるのかどうか。国民の目から見ると、必ずしもまだ納得はされていないのではないかと思います。  捜査の方も、果たしてこれで終わりになるのか。あるいは背任、横領といったような、そういう側面も浮かび上がってくる可能性があるのではないかと思いますが法務省、この問題についてどういう認識でおられますか。
  219. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの件につきましては、東京地方検察庁におきまして平成八年十一月七日に所得税法違反の容疑で逮捕いたしまして、所要の捜査を遂げた上で、同月二十七日、所得税法違反で起訴したところでございます。  御質問は、今後どのような捜査が考えられるのかということでございますが、具体的な事件に関連いたしまして検察がどのような捜査を進めるか、あるいは特定の犯罪の成否に関しましても、そのような状況、事情は検察当局におきまして具体的に収集した証拠に基づきまして判断すべき事柄でございますので、法務当局の立場としては答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、一般論として申し上げることをお許しいただきますならば、検察当局におきましては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、まさに法と証拠に基づきまして適正に対処してまいるものと存じます。
  220. 菅直人

    ○菅(直)委員 オレンジ共済事件、これも出資法違反というようなことが言われておりますが全く資金運用がされていないという報道もありまして、それだともう完全な詐歎と言う以外にはないわけでありますし、これも中心人物が、国会議員の人物がかかわっているというふうに言われております。これについて、国家公安委員長、どういう認識を持っておられますか。
  221. 泉幸伸

    ○泉政府委員 年金会における出資法違反容疑事件につきましては、警視庁、広島県警、北海道警が十一月十二日に年金会オレンジ共済組合の事務所など二十七カ所について捜索を実施し、帳簿等関係書類を押収したところであり、現在、押収した帳簿の分析や関係者の事情聴取などを行って、全容解明に向けて鋭意捜査を行っているところであります。  本件は、詐欺罪に当たるのではないかという御指摘もあることは十分承知しておりまして、そのことも念頭に置きまして、全容の解明に努めているところでございます。
  222. 菅直人

    ○菅(直)委員 この政治と金の問題は、それぞれ政治家として、あるいはそれぞれの政党、大変難しい問題といいましょうか、身を正さなきゃいけない問題ですが、私たち民主党としては、できればこれからの政治と金のあり方では、国の助成と個人の献金で政党運営あるいは政治家の活動ができるようにしていきたいという、そういう方向を目指して努力したいと思っております。まだ現在のところ、そこまで割り切れてはおりませんが、そうした方向が私は必要ではないかと思います。  小泉厚生大臣は、この点では若干私とは意見が違うようで、企業献金もスポーツとかの支援と同じようだというような発言もされているようです。先ほど来議論がありますように、民間が民間だけの力で利益を上げて、その中から支援をするという、それでもいろいろな問題点はあるかと思いますが、この間出ておりますのは、公的なお金、それが税金であったりあるいは健康保険料であったり、そういうものを受け取るような関係機関が政治献金をするというのは、これはやはり余り好ましい、国民に理解されるものではないと思いますがこの点だけ小泉大臣に見解を伺いたいと思います。
  223. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 政治資金規正法で、国民税金から政党、政治家にどの程度資金を提供すべきか、また個人献金がどの程度望ましいか、そして企業献金はどうあるべきか、団体献金はどうあるべきか、私はそれはバランスの問題と、そして企業献金、団体献金、個人献金、政党助成金、税金を使う場合に、どの程度の規制が必要か、これはじっくり冷静に議論する必要があると思います。  しかし、余り多額の税金を政党、政治家にやるというのは、私は余り感心しません。
  224. 菅直人

    ○菅(直)委員 そこは透明性の問題と比較考量だと思いますので、これはまた議論をする場がありましたら議論を続けさせていただきたいと思います。  それでは、薬害エイズについては、私も厚生大臣に就任したときから私なりに精いっぱい対応してきたわけでありますが、被害者であり、大阪の原告団の前団長でもあります家西悟さんが私たち民主党の仲間として当選をされました。関連質問として、家西さんの方からこの問題についての御質問をさせていただきます。
  225. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、家西悟君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。家西悟君。
  226. 家西悟

    家西委員 本委員会で初質問をさせていただくことに関し、本当に身に余る光栄と思っております。本当にありがとうございます。  私は、非加熱血液製剤のために、B型肝炎、C型肝炎、HIV・エイズに感染しています。それでも血の通った私は人間です。  薬害スモンの和解のときの厚生大臣であり、薬害エイズ和解時の総理である橋本総理に対し、ともに代表として決断した者同士として総理の英断を高く評価し、改めて御礼申し上げます。  総理には後ほど伺いますが、最初に厚生大臣に伺います。  薬害エイズで何人のとうとい命が奪われているか御存じでしょうか。
  227. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 私からお答えさせていただきます。  エイズサーベイランス調査によりますと、日本人における患者・感染者のうち、累積死亡数は八百三十九名となっておりまして、非加熱血液凝固因子製剤による死亡者は平成八年五月末現在で四百三十八名でありますので、全体の約半数を占めている、こういうことでございます。
  228. 家西悟

    家西委員 私は厚生大臣にお答えいただきたいと今申し上げたので、再度厚生大臣の方からお願いしたいと思います。
  229. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今、具体的な数字が間違うといけませんので局長に答弁を促しました。  全体の八百人のうちの四百人が非加熱製剤による被害者であるということを伺いました。
  230. 家西悟

    家西委員 和解成立後の今も、亡くなっている者たちが多くいることを大臣に御認識していただきたいと思います。  次に、薬害エイズの感染被害者として、具体的に質問いたします。  憲法十五条では、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」となっています。これは、法解釈上は公務員の個人責任を追及したものではありませんが、薬害エイズ被害者の率直な感想として大臣に伺います。  私にはどうしても忘れることのできないことがあります。  一九八三年八月、私は故石田吉昭氏とともに、厚生省に対して医療費の問題と安全な血液製剤の供給を求めて、母子衛生課に要望書を持って説明に行きました。そのときに課長が、この要望書はうちじゃないと言われたので、私が、じゃどこへ持っていけばいいんですかという質問をしたときに、それはあなた方が勉強して持っていったらいいんだという投げやり的な言い方をされました。そのときたった一言、一階にある生物製剤課に持っていけばいいんですよと教えてくれていたなら、私たちは必ずそれを持っていったはずです。そして、二千人に及ぶ被害者は出なかったでしょうし、四百人以上のとうとい命は犠牲にならなかったはずです。その人たちはいまだに元気で生きているかもしれません。そして、そのときの課長は、逮捕された松村明仁氏の後任として保健医療局長となった小林氏です。  大臣、こういう方が保健医療局長として適任者だとお思いでしょうか。お伺いしたいと思います。
  231. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 その当時の担当者の対応を私はじかに聞いておりませんが、もしそういうようなことで訪問者に不快な対応をしたということならば、この件に限らず、反省すべき点は反省しなきゃいかぬ、そういうふうに思います。また、今家西さんが言われたような問題、よく厚生省職員としても心して、こういうことがないような姿勢を保っていくべきだと私は思っております。
  232. 家西悟

    家西委員 では、大臣にもう一つ伺います。  伊藤雅治審議官は、一九八八年、エイズ予防法成立当時、結核・感染対策室長でありました。エイズ予防法案、救済基金の成立後に、私の主治医であった関西医大第一内科の教授安永幸二郎氏が、この救済では患者さんが救われない、何とかやってほしい、してほしいということを言ったときに、伊藤室長は、我々としてはやるだけのことはやりました。後は上から頭をたたいてくださいと返答されたそうです。これは居直りです、裁判をしてくれという。そして、翌年の一九八九年五月に大阪HIV薬害訴訟が始まったわけです。  その伊藤審議官は、和解成立後の恒久対策、積み残しの恒久対策の医療問題を担当する最高責任者として現在原告団と交渉しています。こういう方が適任者だと私は思えませんけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  233. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 その具体的な対応というのは私にもどういうものだったのかわかりませんが、恐らく今議員が指摘されたような不愉快な対応も多々あったと思います。そういう姿勢というものがこの薬禍に結びついているんじゃないか。幸いにして菅大臣のときに、そういう姿勢を改める、またこれら和解が成立した。今までの、今議員が言われたような対応を反省しながら、今後の再発防止策、治療体制の整備に省を挙げて私は取り組んでいく必要があると思います。
  234. 深谷隆司

    深谷委員長 家西悟君に申し上げます。  どうぞおかけになったままお続けください。どうぞ。
  235. 家西悟

    家西委員 いいですか。済みません。ありがとうございます。  それでは、もう一例、具体例を挙げてお話しします。  感染者・患者の多くが驚くような話を伝え聞いています。それは、一九八八年十二月、エイズ予防法成立直後、厚生省の幹部が厚生省内の慰労会で、これで人間のごみは、ごみの問題は終わった。あとは本当のごみだという発言をされたということです。つまり、エイズ対策を手がけた後に、ごみ処理を担う部署に異動してほっとしてこうした発言をした幹部職員がいるということです。私は、まさかあり得ない話だと思っていますが、一抹の不安を覚えております。大臣、このことについて調査してもらえますでしょうか。
  236. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私もまさかそういうような発言はするとは思えませんが、後ほど調査してみたいと思います。
  237. 家西悟

    家西委員 答えというものは大体想像が私はつきますのですけれども、やった側は水に流すことができても、やられた側は石にそのことを刻んでいきます。そして私は、十三年かかって今ここで発言させていただいております。  そして最後に、エイズ予防法について総理にお伺いいたします。  一九八八年にエイズ予防法が成立した際に、数々の人権に関する問題点の指摘がありました。国会審議の際にも、三年後の見直しを含んだ附帯決議がなされています。行政当局の判断で患者・感染者のプライバシーが侵害される点、また患者及び感染のおそれのある者に対し取り締まりに力点を置いた条文で構成されているなど、人権についての配慮が不十分です。エイズに対する正しい知識の普及を図り、発症を抑制させるワクチンの開発、治療に力を注ぐことが今一番重要です。  総理、管理型の法律からケアを基本理念とした法律に変えていくお考えがあるかどうか、お伺いいたします。
  238. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 まず、率直な意見を聞かせていただいたことにお礼を申し上げます。  そして、今改めて後天性免疫不全症候群の予防に関する法律の概要を目を通し直しておりました。そして、平成八年の十月十七日から、公衆衛生審議会の中に基本問題小委員会を設けて、全体のフレームワークをチェックしていることはもう御承知のとおりです。  実は、この問題は、エイズだけではありません。最近、エイズ以外にも、例えばエボラ出血熱などの新興感染症、あるいは、一時期は完全にたたきつぶしたと思っておりました結核あるいはマラリアなど再興感染症群、こうしたものに対応しようとしたとき、我々はまさに、かつての隔離を中心とした法体系から全く進歩していないという状況にいや応なしに気づかされました。その間、たまたまこうした法律を見直さなければならなかったような大きな被害に我々が遣わなかったということかもしれません。  しかし、いずれにしても、我々は今、感染症対策全般を平成十年の法改正に向けて見直しを図っております。今家西さんからお話の出ましたそのエイズ予防法というものにつきましても、あなた御自身の指摘も我々は今緊張して拝聴していました。そうした御指摘の点も含めて、どのようなあり方が適切か、感染症対策全体の中でも見直していきたいと思います。それだけに、これからも率直な問題点の指摘、でき得ればそれを具体化するための協力をこの場をかりてお願いします。  ありがとうございました。
  239. 家西悟

    家西委員 ありがとうございました。  私の質問はこれで終わりますのですけれども、法律を改正される際は、やはりケア、そして患者のプライバシーを最大限に保護された法律体系になるようにお願いしたいと思います。また、私もそのためには努力してまいりますので、よろしくお願いします。  本日はありがとうございました。
  240. 深谷隆司

    深谷委員長 御苦労さまでした。  菅直人君。
  241. 菅直人

    ○菅(直)委員 同僚の家西委員の方から、まさに当事者としての、被害者である当事者としての発言をいただきました。大変この問題は重い問題というふうに私は常に常に思っておりますが、こういうことが二度と起こらないためのいろいろな改革をこれからも引き続き進めなければならないというふうに思っております。  その中で、直接的には薬事行政のあり方についてであります。従来の業務局を来年には医薬安全局に変えていくという方向を私が在任中に大筋まとめさせていただいて、この方向で進んでいくものと期待をいたしております。  しかし、実は、医薬安全局に、今提案をしているものになったとしても、それで十分かといいますと、必ずしも私はまだ十分とは言えない。現在、医薬の審査がやや停滞をしているとか、あるいは医薬審査の関係が新しい組織になったとしても、本庁と研究所とそして医薬品機構という外部の団体、今それぞれまたがるような形になっておりまして、これは定数の問題などで一挙にふやせないといったような制約があったからそれなりに工夫をしてやったということであるのですけれども、しかし、本当に必要なものは、どこかの定数を大きく削減してでも一体のものとしてつくる方が本当は望ましいのではないか、そのようにも考えておりますが、まずは第一歩の改革として期待をいたしております。  その後の充実についてぜひ力を尽くしていただきたいと思いますが、厚生大臣、いかがでしょうか。
  242. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 医薬安全局については、かねがねアメリカのFDAですか、食品医薬品庁みたいな体制をつくるべきであるというお話も伺っております。しかし、今の日本状態に比べますと十数倍規模の組織を持っておられる、また高度の専門的知識の職員をどうやって確保するか、いろいろ課題はあると思いますが、今御指摘のお話のように少しでも前進するような体制をとっていきたい、勉強していきたいと思います。よろしく御指導をお願いしたいと思います。
  243. 菅直人

    ○菅(直)委員 この問題は日本の医薬産業のあり方にもつながる問題で、日本はかなりたくさんの薬をつくっているわけですが、世界に通用するような薬の開発という面では非常に立ちおくれているという面もあると思います。治験でよくいろいろな事件が起きますが、それでは合理的に治験が、どこかに持っていけばやってくれるかというと、なかなかそういう場所がないために、いろいろな人脈などによって治験が行われる。そういうことを考えますと、もう少し合理的なシステムを、この問題だけはどうも厚生省が中心になって引っ張っていかないと、なかなかいろいろな関連があって難しいのではないかと思っておりますので、ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思います。  そしてもう一つ、目前の大きな問題として医療保険の改革という問題があります。これも私の在任中にもいろいろ議論を続けてきていたわけですけれども、どうしてもGNPの伸び低下し給与の伸び低下した中では医療費の伸びと保険収入の伸びの間にかなりギャップができて、来年度からの政府管掌保険の大きな赤字が予想される、そういう構造は私も十分承知をいたしております。  しかし、ただそこにギャップが生じるから国民皆さんに負担をお願いする、それだけではなかなか納得されないのではないか。つまりは、その場合には医療保険といいましょうか、医療のサービスの供給の構造自体も改革をするという方向の中で取り組んでいく必要があると思います。  例えば、一つには今在宅介護の問題がよく言われますが、在宅医療といった問題。往診でお年寄りを面倒を見ることが今少し広がっていますが、そうすれば、入院をしていただくよりも本人は自分のうちで治療が受けられ、家族も自分のうちでお年寄りを看護でき、しかも医療費でいえば入院が月で四、五十万はかかるでしょうが、往診を二日に一回ぐらいお願いしても、やってもらえれば月十万か十数万で終わるというデータもあります。  あるいは薬についても、今医療費の約三割を占めておりますが、果たしてこれが適正な規模なんであろうか。諸外国と比べるとかなり割合が高いように思います。そうすると、薬の使用を適正化するという方向につながるような改革、あるいは負担の仕方、こういった構造的な改革につながるような形であわせて議論をしていかないと、なかなか国民皆さんの理解を得るのが難しいのではないかと思いますが、こういった点についての厚生大臣の考えをお伺いしたいと思います。
  244. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 当面の問題としては、増大する医療費をどうやってだれが負担していくか、また適切な医療サービスをどのように提供していくか、さらに今御指摘の医療提供体制やらあるいは社会的入院の多さ、かかりつけ医、いろいろな問題があると思います。また、薬剤費の問題。こういう点、当面の財政状況を改善しつつ将来のあるべき改革にどうやって芽を出すか、今苦慮しているところであります。  いろいろな知恵、案が出ております。最終的にまだ決定する段階には至っておりませんけれども、当面の改革をするにしても、何らかの将来のあるべき改革の非なり志向的なものがその中に盛れないか、今省内で十分いろいろな御意見を聞きながら検討しておりますので、法案が提出された段階には皆さんでじっくりと御議論いただければありがたいと思っております。
  245. 菅直人

    ○菅(直)委員 それでは少し話題を変えまして、行政の改革について幾つかの点から御質問なり問題提起をさせていただきます。  私も、行政改革は本当にやらなければ、これは日本という船がじわじわと沈んでいってしまう、そういう危機感を大変強くいたしております。そして、この行政改革を進めるには、一つには具体的に行政の改革をどの部分をどう変えるかということももちろん重要ですが、もう一つ手前の問題として、行政改革を進めるための仕組みといいましょうか、改革を推進するためのいわばインフラ整備のようなものがないと息切れをしてしまうというのが、私なりの多少の経験からそんなふうにも感じております。そして、行政の改革というのは、何のために改革をするのか、このことをきちっと踏まえておかなければならないと思います。  私は、簡単に言えば、社会が大きく変化をし、国民のニーズが大きく変化をしているにもかかわらず、それに対応すべき行政が変化をちゃんとしていない、あるいは対応できていない。先ほどの薬事行政の問題も、業務局の人員が百五十名というのを私も知ったときに、これだけ権限のある部署がわずかこれだけの人間でやられているのか、アメリカのFDAは千四百人ぐらいの専門家がいるわけですけれども、つまりは、それで本当によかったのかという感じが大変強くいたしました。  そういう意味で、社会が変化し、より重要になったところ、あるいは社会が変化して、従来は重要であっても今は部署としては小さくとも済むところ、そういうところのスクラップ・アンド・ビルドをしていくことが基本的に行政改革の目的ではないか、このように考えているところです。  そこで、行政の内容をチェックする必要があるわけであります。今回の厚生省の問題でも、総務庁の行政監察局は、平成四年に社会福祉法人の指導監督に関する行政監察ということを行われて、そして平成四年六月二十六日には厚生省に勧告を出されているわけです。  しかし、せんだって厚生委員会で行われた質疑で、同僚の枝野議員がいろいろ質問いたしましたが、結局のところ、総務庁の勧告は必ずしも厚生省によって実施をきちっとされてこなかった。そのために今回のような問題の、いわば丸投げとかいろいろな問題をとめることができなかった。そういう質疑があったことを聞いております。そういった意味で、行政の内部で、政府の中で監査をする、監察をし合うというのは、私はそれだけでは限界があるのではないか、このことからもそのことが言えると思います。  そこで、さきの代表質問の中で我が党の鳩山代表から、我が党が提案をいたしております行政監視院について、総理にいろいろお伺いをいたしました。総理はその答弁の中あるいはきょう午前中の他の委員質問に対しても、ここにありますが、国会が行政の監察、監視機能を強化される、こういうことは大事だと思うけれども、その手前に、憲法の諸規定を踏まえ、活動されることは大切なことだと思う、こういうふうに答えられております。  また、総務庁長官は、これは報道ですから正確かどうかわかりませんが、三権分立の立場から、国会は行政監視をするのはいいけれども、監察はだめではないかというようなことを発言されたようにも伺っております。  私はこの議論の中で、誤った三権分立の考え方がこの霞が関に何となく俗論としてあるのではないかという感じがいたしているわけです。つまりは、憲法六十五条に「行政権は、内閣に属する。」と書いてある、この条項をもって、いわば内閣は国会からある程度独立した存在なんだ。あるいはよくマスコミなどでも、何かやろうとすると行政権への介入と、さきに通産省での人事問題がありましたが、党派性で人事をやっていいということではもちろんありませんけれども、大臣が役所の人事をもし行うことができないとしたら、国民はどうやって役所の人事をコントロールできるのか。先ほどの家西さんの質問の中にもありましたような、いわゆる国民が公務員の選任、罷免の権利を固有的に持っているということからすると、そういう機能は与えられているはずであります。  また、私は、三権分立というのは、司法、立法、行政というのが機能として分立をしているという意味であって、権限として、例えば国会と内閣が同じ権限といいましょうか、同じ並列の問題だというのは、これは誤りだと思っております。  アメリカの場合は、主権者である国民が大統領を選び、同時に国会議員を選ぶわけですから、これは大統領と国会が同一のレベルであると考えることは、これは十分できると思いますが、日本の憲法構造はそうはなっていないわけです。つまり、国会は単に立法府であるだけではなくて、まず行政の長たる総理大臣を指名する権利を持っている。また憲法六十六条では、内閣は国会に対して連帯して責任を負うこう規定されている。そして四十一条では、国会は国権の最高機関にしてそして唯一の立法機関と、最高機関であることを明記をいたしております。  こういった全体からして、国会は行政全般について行政監督権ともいうべき機能を持っていると考えるのが私は適当だと思いますし、それなりに私も調べてみましたが、そういう考え方を持つ方もかなりおられます。この点についての、基本的な問題ですので、ぜひ総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  246. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは本来、法制局長官から精密なお答えを申し上げるのが至当な内容かもしれません。  私は、確かに憲法第四十一条において、国会は国権の最高機関である、そう規定されております。国会が、主権者である国民によって直接選挙をされたその議員から成っております国民の代表機関、こうした位置づけでありますから、国家機関の中で、何といいましても一番主権者に近い、しかも最も高い地位にあるにふさわしい、そういう趣旨を当然のことながらこれはあらわしていると思います。  同時に、憲法が国家の基本法制としてのいわゆる三権分立という制度を採用しておりまして、これは行政権及び司法権との関係において、国会の御意思が常に他に優越するということでは私はないのではなかろうか、むしろ、そこまで最高機関と位置づけました場合に、司法との関係には非常に微妙な問題を生ずるのではないかという感じがいたします。  国会と内閣ということになりますと、六十五条で「行政権は、内閣に属する。」と定めておりますけれども、同時に、憲法は議院内閣制を採用しておりますし、国会が立法や予算の議決権、国務大臣の出席あるいは答弁要求権等によって行政権を統制されることを認めております。また、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と定められております。ですから、私は、内閣の行政権行使の全般にわたりまして政治的責任を、あるいはその政治責任を追及する上での行政監督権というものは、国会は当然のことながらお持ちになっていると思います。  ですから、私は、この前御答弁申し上げましたときにも、まさにそうした憲法のもとにおきまして、国会が行政に対する監督、監察の権限をお持ちになるということを全く否定してはおりません。  ただ同時に、私は、本当に行政自身が全く自己監察の機能を持たなくてよいのかということになりますと……(菅(直)委員「それは後ほどまた」と呼ぶ)はい。ただ、せっかく言い出したのですから、ここだけは言わせていただきたい。  例えば郵政監察あるいは国税の監察、警察の監察等、不祥事の防止のための内部監察組織というものも機能している。私はやはり、不十分な点はより強固なものにしていく努力をしながら、行政そのものも自己を監察する能力は持っているべきだ、そう思っているということであります。
  247. 菅直人

    ○菅(直)委員 司法との関係はお尋ねをしておりませんでしたので、その部分の答弁は御答弁として、最終的には国会は行政全般について行政監督権を持つという今の御答弁でありましたので、私も同じ考えですので、納得をしたいと思います。  そこで、今度は総務庁長官にさらに少し具体的にお聞きしたいのです。  従来何かいろいろ総務庁が関係者に説明している文書が私の手にも来ているのですが、何か憲法上、この行政監視院という民主党が提案したのが問題であるとかなんであるというようなことも、ある時期には議論があったように聞いております。  しかし、この行政監視院法案が憲法上の問題があるとか、政策上はもちろんこれはいろいろな判断があるのは当然ですが、ということはないというふうに思っておりますが、その点をまず確認をいたしたいのが一つ。  もう一つは、今回の法案にはそこまでは含まれておりませんが、行政への直接の勧告、あるいは現在総務庁の行政相談という形で行われている行政相談を受けてのあっせん、こういった行為も、法律で規定すれば、国会に設けた行政監視院といったものがやることは憲法上許されないということではない。つまりは、憲法上は、法律でそれを決めた場合は許される、こういうふうに考えておりますが、この二点について総務庁長官の御意見を聞きたいと思います。
  248. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今総理から憲法の解釈を含めて答弁がございました。私は、民主党がお考えいただいている法案に対して反対をしたわけでもございませんし、これは国会でおやりになることでございますから、国会でお決めをいただければ結構ですということを申し上げているわけでございます。今総務庁の方で何か事務的にそういう文書があったとかなかったとか、私ちょっと承知をいたしておりませんけれども、私はそういうようなことを言ってはおりません。  それから二番目の、勧告あるいはあっせんといったようなものがそれじゃできるのかどうかということでございますけれども、今お話の中にもありましたが、国会は最高機関として行政監督権を持っておられるわけでございます。それに基づいて国政調査権も持っておられるわけでございまして、そういういわゆる国政調査権という形で勧告をお出しをいただく場合、それは政府としてはそれを受け入れていかなきゃいけないと思っております。  ただ、あっせんというのは、私はよくわからないのでございますけれども、いろいろこれはケース・バイ・ケースであるだろう。具体的にあっせんの場合もいろいろのものがあるだろうと思うのでございますが、それが今総理のお話の中にもありましたように、立法府は確かに最高機関でございますが、同時に行政府は行政府としての責任を持っておるわけでございまして、行政府の責任において、その行政が曲げられていくというようなことになったり、行政がいわゆるあっせんによって曲げられたり、あるいは、よくわからぬのです、私、あっせんというその、いろいろケース、ケースで。もしそういうようなケースのときには、これはやはり問題があるのではないかなという感じは持っております。
  249. 菅直人

    ○菅(直)委員 あっせんというのは、私が申し上げているのじゃなくて、行政相談の法律に書かれている言葉があっせんだというふうに説明を受けたものですから、あっせんという言葉を使っているわけです。もう一度ちょっと確認をしますが、長官は御存じないかもしれませんが、いろいろとあちこちに、総務庁から文書を持って説明が飛んでいるようであります。あるいは全国にもいろんなものが飛んでいるようです。その中で、憲法上の問題とかいったようなことが触れられているものですから、それについては違うんですねということを確認をさせていただいたわけです。  今申し上げた問題は、もう一度ちょっと整理をいたしますが、例えばアメリカのGAOも、これは国会にあります。イギリスにはNAOというものがありますが、これも一応身分は国会です。しかし、いずれも直接に行政に対して勧告もしておりますし、いろいろなことを直接今やっております。  そういった意味で、この間の議論の中で、行政の内部でやるか外部でやるか、あるいは両方でやるか、これはもちろん政策判断として当然あっていいと思います。ただ、ある範囲のことは内部でしかできないんだ、外部ではできないんだ、特にこの国会ではできないんだという議論が一部にあったものですから、それはどうなんだろう。  今回の私どもが出した法案でも、行政相談というのは実は外してあるんです。なぜ外しであるかというと、衆議院の法制局との中でこの問題が詰め切れなかったわけです。  しかし、この間いろいろ詰めていきますと、そうした。つまりは、あっせんというのはあくまで先ほど言いましたように行政相談でやられていることで申し上げているんですが、いろいろと相談があったときに、これはこういう意見があるからどうですかといって、最終的にはもちろんそれぞれの役所が責任を持って対応する。行政執行権は当然それぞれの役所にあるわけでありまして、総務庁にあるわけじゃないわけです。それと同じことを国会でこうした院を設けたときにできるかできないか、私は事務方からはできるという返事をいただいていますが、これを総務庁長官として確認をしていただけますか。
  250. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は、一般論としては、それはあっせんも結構が、こう思っております。
  251. 菅直人

    ○菅(直)委員 そこで、私どもの法案ではこういう機能を国会に持たせる、約八百人規模のかなり大きなものを考えております。そしてこれが機能し始めた後に、現在総務庁にあります行政監察局は、ある意味では機能がダブるので、それは廃止していいのではないかということで私どもは法案を出しております。  これに関して、先ほど総理も言われましたが、行政の内部にも監察が必要だ。私はこれを一概には否定しません。ただ、内部の監察もやり方がいろいろあります。つまりは、厚生省の中に厚生省を監察する部門、あるいは警察なり郵政省は、もちろん郵政省は持っておられますが、郵政省の中に部門を持つ、そういうやり方も諸外国ではかなりとられております。  総務庁の場合は各役所ではない。だから、役所別にいえばこれは外部監察なんですね、役所からいえば。厚生省からいえば外部なんです。しかし、政府という幅からいえば内部なんですね。あるいは会計検査院、これは憲法上規定されておりますが、これも広い意味では行政の内部ですが、内閣というものとは独立した存在というように位置づけられております。  ですから、これはどういう位置づけで内部監査、外部監査をするか。内部監査であっても各役所の中に置くのがいいのか、それとも役所の外の別の役所でやるのがいいのか。それとも今回私どもが提案しているように、国会にしっかりしたものを置く、今までのような国会議員の議員としての活動だけではなくて、相当の規模のそういうものが対応できる部署を置くことによってそれをやっていく、そういう組み合わせだと思います。  そういった意味で、私は内部監査をすべて否定するわけではありませんが、現在の総務庁の行っておられる行政監察というのは、先ほどの事例でも申し上げたように、必ずしも、勧告をしても厚生省もそれは聞かなかった。現実にそういう状態がありますから、私は、それを含めて全体として見直すべきではないか。つまりは、まさに八百人規模のものを国会に置いたときに同じ規模のものがまだ残っている必要があるのかどうかは、もう一回白紙の中から議論していただいていいのじゃないかと思いますが、長官の方でお願いします。
  252. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は、今の御議論の中で、先ほどから申し上げておりますように、国会の方でどうお決めになるかは国会でお決めいただくことでございます。  そこで、国会でもしそういうものができたときに、行政府には置く必要がないのではないかという点になりますと、私は、先ほど憲法問題で総理も御答弁になりましたように、やはり行政府は行政府としての一つのチェック機能は持っていく必要がある。  そこで今度は、行政府の中で持っていくとして、それは、それじゃ郵政監察あるいは国税監察のようにそれぞれの役所の中に設けるのか、あるいはそうではなくて、外で、いわゆる行政府の中と独立した一つのもので考えるかということになると、私は独立したものの方がいいんじゃないかと。それは、先ほどの厚生省のお話もありましたし、やはり役所の中でのチェックは私は必ずしも十分ではない、やはり一つの独立した立場でチェックをする行政府の中のそのような機能は必要だ。  ただ、そうかといって、私は総務庁の行政監察局がそのままでいいとは思っておりません。やはり私は、今も行政監察局にも言っておりますけれども、本当はもっと何か、同じ行政府の中でも、ちょうど会計検査院のように何か一段高い立場で監察ができるようにしていかないと、結果的に効果が上がらないんじゃないかということを私は言っているわけでございまして、今後の行政改革の中でそのようなことを私はぜひ検討していただきたい問題だ、こう思っております。
  253. 菅直人

    ○菅(直)委員 この部分は、今後は、私どもの法案あるいは自民党からもこういう基本的な考え方は出されておられますので、ぜひ政策論として大いに議論をさせていただきたいと思っております。  そこで一点、これは場合によったら法制局長官でも結構ですが、憲法六十五条が言っている行政権というものの中に自治体の行政権というのは含まれているのか、含まれていないのか。つまり、内閣というのは、また、その意味は中央政府、つまり政府の内閣ということだと思いますが、つまりは、なぜこういうことを聞くかというと、地方分権の議論をするときに、すべての行政、つまりは自治体も含めてすべての行政権をいったん内閣が持って、そしてその一部を地方自治体に渡しているというような、そういう理解の仕方をされることもあります。  私が以前、都市計画法を出そうとしたら、これは自治体の条例で都市計画を決めるようなドイツの方式を出そうとしましたら、これは衆議院の法制局でしたが、私権制限に当たるから、それはまずは法律できちんと規定したその内側で条例にやってもらわなきゃ無理だ、条例で直接やるのは無理だと言うから、どこに書いてあるんだといって議論したことがあります。  そういった意味で、行政権というものは、例えば自治体は自治体なりに議会手続があるわけですから、主権者である国民が自治体の議会を選んで、そこで条例を制定するというのは一つの国民主権から導かれた機能ですので、そこでもう一つの条例制定権があり、そして、自治体はそれに基づく一つの行政権もあると思いますが、これについてどういう見解をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  254. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 要点だけお答えいたしますが、現行日本国憲法は、第八章におきまして地方自治の原則を明文で認めております。そして九十四条は、「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する機能を有するこのように明文で規定しているわけでございますので、地方公共団体の行政執行権は憲法上保障されておる。  したがいまして、ただいま御指摘になりました憲法六十五条の「行政権は、内閣に属する。」というその意味は、行政権は原則として内閣に属するんだ。逆に言いますと、地方公共団体に属する地方行政執行権を除いた意味における行政の主体は、最高行政機関としては内閣である、それが三権分立の一翼を担うんだという意味に解されております。  以上でございます。
  255. 菅直人

    ○菅(直)委員 この議論は、きょうはここでとめます。今の議論は、ある意味では自治体においても独自の行政権が認められる、それ以外のところは内閣であるという御説明でしたので、これから地方分権を考えるときもやはりこの基本的な考え方、大変重要だと思うので、きょうは指摘にとどめさせていただきます。  そこでさらに、内閣の中で行われている閣議について、少し意見を聞きたいと思います。  私も閣僚を経験させていただきまして、閣議という場に出させていただきました。初めの、つまり、それの中身を知らないころは、憲法上の規定で閣議というのは行政の最高の決定機関でありますから、相当かんかんがくがくの議論が内部であるのかなとかつては思っておりました。  しかし、経験者の話を聞きますと、どうもそうでない。私も経験しまして、ほとんど、率直に申し上げて、議案を副長官なり法制局長官が読み上げられるのをずっとサインをしている。短いときには五分程度、長いときでも十五分程度。そして終わった後の閣僚懇談会、一次内閣では長い閣僚懇談会を開いた場面も何度かありましたし、大変有意義だったと思いますが、多くはやはり十五分前後ということであったと記憶をいたしております。  なぜそれで終わってしまうのか。聞くところによりますと、といいましょうか、事務次官会議というのが前日に行われている。確かに、役所のチェックでも、全部事務次官会議に出た議案がそのまま閣議で出る。つまり、今の仕組みは、事務次官が合意したものが上に上がってきて閣議で決定される。ですから、事務次官が一人でも反対すればその議案は上がってこないわけですから、結局は各役所の縦割りの構造、つまりは霞が関が一つの役所でもノーと言ったら閣議の席に来ないという仕組みに現実になっているわけであります。  そこで、この事務次官会議というのは、憲法上なり法律上どういう権限があるんですか、ないんですか。
  256. 吉井一弥

    ○吉井政府委員 お答え申し上げます。  事務次官会議につきましては、法令上の根拠があるわけではございませんが、従来より、統一的な行政の実施を図るという観点から、閣議の前段階におきまして事務次官会議にかけまして、それから閣議にかけるというふうなことでやっておるところでございます。
  257. 菅直人

    ○菅(直)委員 ということは、事務次官会議にかけなくても閣議決定は当然できるわけですね。
  258. 吉井一弥

    ○吉井政府委員 閣議に付議する案件につきましては、基本的には事務次官会議等を経るのが普通でございますが、事案の性格によりましては、現在でも、例えば国会召集でございますとか総理の所信表明とかは直接閣議に付議しておりますし、また緊急を要する案件等につきましては直接閣議に付議しているところでございます。
  259. 菅直人

    ○菅(直)委員 普通にというのはちょっと困るんですね。権限として、事務次官会議はなくてもできるんですね。その場合は、だれが提案するんですか。
  260. 吉井一弥

    ○吉井政府委員 法令上は、事務次官会議等を経ずに直接閣議にかけることも十分可能でございます。その場合、各閣僚等が閣議に付議する、請議することができるということになっております。
  261. 菅直人

    ○菅(直)委員 そうすると、閣僚がこういう議題を出して、直接閣議に提案していいということですね。
  262. 吉井一弥

    ○吉井政府委員 議題によりましては、例えば法律案、政令案等につきましては、既存の制度との整合性を図る必要もございますので、事務レベルで各省庁の意見等を調整する必要があるわけでございますが、閣議請議につきましては閣議に直接ということで、法令上は可能でございます。
  263. 菅直人

    ○菅(直)委員 これは総理、おわかりだと思いますが、これから例えば役所がオーケーしない問題でも法律をつくらなきゃいけない問題が出るかもしれません。  私たち民主党は、そういう意味では、内閣に今回代表を送っておりません、属しておりません、責任を分担しておりません。野党ですから自由に先ほどの行政監察局の廃止の法案も出しました。しかし、これを政府から出されるときには、これまでの手続だと事務次官会議を通して閣議にかかりますから、事務次官がオーケーしない、ということは局長がオーケーしない、課長がオーケーしない問題は事実上上がってきません。ですから、そういう法案は出せないわけですね、これまでの普通のという言い方ですと。  しかし、今の説明をよく聞くと、実はそれは慣例であって、すべての議案というのは大臣の責任で出せる、そういうように理解できるのですが、そういう理解でいいんですね。
  264. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは法律的なことでありますから、もし間違っておりますといけませんので、後で法制局長官にもきちんと説明をしてもらいたいと思いますけれども、議員が第一次内閣で一緒に席を同じくしておりましたときにも、事務当局から何らその閣議に付議されていない問題を閣僚懇談会で議論をしながら、それをその場の指示で逆に作業をおろしていったケースがあることは御記憶だと思います。そして、私は、そういう意味で、必ずしも固定して閣僚自身が閣議に問題を提起できないとは考えておりません。今までもその閣僚懇という形式を活用しながら、実態的にそうした話題は出してまいりました。  ただ、法律案をということになりました場合に、その法律案、どういう形態で作業をするのかといった問題は出てまいりましょうし、仮に全く事務的な調整を経ずに、言いかえれば法制局の審査も経ずに、そういう手順を省略した法律案が出ましたときに、他の法律案との整合性といったことをどこでチェックするのかなという疑問は残ります。この点、法制局長官からの答弁をお許しいただきたいと思います。
  265. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 まず、現行内閣法上そういう事務次官会議を経ずに閣議に付議できるかという問題につきましては、内閣法の第四条第三項という規定によりますと、「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。」と書いておりまして、その前提として事務次官会議を経たものである必要はないということになるわけでございます。  それからもう一点、なぜ現在のような慣行が生じたのかというのは、多分に憲法問題とも関連いたしまして、先ほどから問題になっております憲法六十六条第三項、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」そして、行政権は内閣総理大臣及び国務大臣によって構成される合議体であるという原則を憲法はとっておりまして、したがいまして、これは明文の規定があるわけじゃございませんけれども、憲法慣行といたしまして、閣議は全会一致で定めるべきであるというふうに考えられているわけでございます。  したがいまして、事務次官会議を飛ばして、突如というのは語弊があるかもしれませんが、閣議に付議されますと、必ずしも全会一致で常に定まるとは限らない。したがいまして、国政の円滑な運営を確保するために事前調整の場として次官会議を経ているのが、慣行が成立した憲法関係の根拠であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  266. 菅直人

    ○菅(直)委員 後のは全くわからないですね。それは霞が関が勝手に慣行をつくったのじゃないですか。  つまり、日本の縦割り行政というもののぎりぎりのところにいくと、それは閣議で不一致だから決定できないというのであれば、まさにかんかんがくがく議論して、それが決まるまで議論すればいいわけですよ。しかし、事務次官が全会一致をしておかないと閣議で一致しないなんという話は、結局は霞が関が自分たちが横並びで、他の役所が勝手に自分たちの権益を侵すことを決められないようにお互いに手を縛り合っている慣行であって、何一つ法的根拠がないということを法制局長官も言われたわけです。  ついでに聞いておきますが、事務次官と政務次官の権限の差というのはあるのですか、ないのですか。法制局でもいいです。法律的に言ってください。
  267. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 法律的に説明しろ、こう……(菅(直)委員「差があるかないかだけでいいです」と呼ぶ)まあ、差があるといえばありますし、ないといえばないという、一言で言えということになりますとそういうことでございますが要するに国家行政組織法上、事務次官と政務次官の所掌事務には、よくお読みいただきますと、やはり差が設けられているわけでございます。  国家行政組織法第十七条をごらんいただきますと、第三項で「政務次官は、その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、政務を処理し、並びにあらかじめその機関の長たる大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行する。」こういうふうに規定しております。それに対しまして、事務次官等の所掌事務はその次の条にございまして、十七条の二の第二項で「事務次官は、その機関の長たる大臣を助け、省務又は庁務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する。」というところで切れております。  これを重ね合わせますと、ずれが生ずるわけですね。それが、大ざっぱに申し上げますと、政務を処理するとか、大臣不在の場合その大臣の職務を代行するという職務は事務次官には規定されていない、大体こういうことでございます。
  268. 菅直人

    ○菅(直)委員 不在の場合は政務次官は閣議に出られますか。
  269. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 政務次官は国務大臣ではございませんので、内閣を構成する構成員として閣議に列席するということは憲法上考えられないわけでございます。  ただし、閣議室の中に入って同席するということの当否につきましては、これは法律問題というよりも慣行の問題ということになろうかと思います。
  270. 菅直人

    ○菅(直)委員 大変物事が明確になってきたと思います。  実は、きょうはさらに予算編成についていろいろ議論をしたかったのですが、少し、一部だけこれと関連して話を申し上げてみたいと思います。  私は、民主党の方で副大臣制というものを提案をいたしております。これは小沢一郎新進党代表も提案をされていることは、私も承知をいたしております。  副大臣がたくさんつくられているイギリスをせんだって私も見てまいりました。現在、大臣、副大臣合わせて八十九名、そして院内幹事という与党から出ている人を含めると百九名が与党・保守党から、国会議員であって内閣に全部出ております。  そして、大蔵省を見ますと、大蔵省というのは、形式上は第一大臣というのは総理だそうであります。それに加えていわゆる大蔵大臣が一人おられます。そしてさらには、チーフキャビネットと呼ばれる予算担当の大臣、これは閣内大臣です。大体の役所は閣内大臣は一人ですが、大蔵省は総理以外でも閣内大臣が二人いて、そしてそれに加えて財務担当とかなんとかの担当の三人のさらなる副大臣がいる。つまりは、総理大臣を外したとしても、大蔵大臣とその閣内の主席政務次官のような大臣とそれからあとの副大臣が三人、五人おります。  そして、予算編成についてもいろいろ聞いてきましたが、各役所の大臣とそのチーフセクレタリーと呼ばれる大臣が議論をして、そして閣内で議論をする場合には閣僚会議というものが、いろいろな種類が置かれていると聞いております。そして、予算用の閣僚会議というものが、EDXというものが置かれておりまして、そこで議論をし、最終的には閣議で決定するわけですが、そういう形になっております。  イギリスの場合はお役人が、つまり官僚が国会で答弁をすることは全くありません。参考人あるいは証人のような形で発言をする場面は委員会であるようですが、それ以外で役所がかわりに出てくることは全くないわけであります。  ですから、私は憲法を見てみて、内閣というのは、先ほど法制局長官も言われたように、閣僚で構成されているわけです。しかし、実際的には霞が関が構成しているのが実態なのじゃないでしょうか。  私は、三年半前になりますか、宮澤自民党単独政権から非自民党政権、細川政権が生まれたときに、本当に政権交代が行われたと思いましたし、ある意味で、私も期待をした一人であります。しかし、三年半たって今日、あのとき何が変わって、変わらなかったのか。変わったのは、せいぜい政治改革に関して選挙法が変わったことはお互いよくわかっているわけですが、それ以外は、事務次官以下、顔ぶれも変わらなければ、言うことも変わらなければ、やっていることも変わらない。つまりは、閣僚の顔ぶれとか政党の枠組みは変わったけれども、事務次官以下は何一つ変わらない。そういう中で、現実の行政は何一つ実は変わらなかったのではないか、こう感じております。  そういう意味で、行政改革というのはまさに行政を変えなければいけない大事な仕事でありまして、私は、総理が行政改革会議をつくられてやろうとされている意欲は大変高く評価をしたいし、その決意も私なりに総理の決意として重いものだと思っております。  しかし、では、行政改革会議に集まっている着手の官僚の皆さんがどっちを向いて仕事をするのか。つまりは、後々自分の役所に帰ったときに、おまえ、あんなことをやってくれてどうしたんだ、いつの間に総理府の行政監察局なんかをつぶしてもいいと言ったんだとか、いつの間にこの局をつぶしていいと言ったんだとか言われて、出世コースから外されるのか。いや、そうじゃない。逆に、いや、大いにやってくれた。うちの役所はなくなったけれども、日本のためにはそのことの方がよくなったというふうに言われるのか。私はこれは紙一重だと思いますね。  ですから、そういう点で、これからの政治というのは、やはり行政というものの中でも、つまりは閣僚である皆さん方の責任と、事務次官以下の責任は峻別をしていただかなければならないと思っております。  同時に、もう一つ言いますと、これは後藤田さんが幾つかのところで話をされておりますが、副大臣などについて、いや、逆に心配だと言われているのですね。なぜ心配が。族議員がもっとふえるのではないかというふうに心配をされている新聞記事が出ております。  つまりは、政と官の関係を、日本の場合は非常に官僚組織が政治の方にまでずっと入り込んでいる、イギリスに比べてみてそういう感じが非常にしたわけですけれども。それを押し返して、政が官をきちんとコントロールする、こういう体制をつくることが必要なんですが、コントロールする政治家あるいは政党が、与党が今度はそのコントロール力を使って、自分の党に都合のいい予算をばらまいたのでは、これはまだお役人に任せた方がよつぽどよかったじゃないかということになりかねないわけでありまして、多分、後藤田さんはそのことを、自民党を一番よく知っておられる方として、そのことを心配をされて、副大臣をふやすのは大丈夫なのかと言われているのではないかと思います。  そういう点で私は、報復予算の話は先ほどもうありましたから、私からあえて申し上げませんが、そういう政と官の峻別と、さらにはその政の中で、本当の意味で国民の立場に立ったコントロールができるのかどうか、そこが今問われていますし、さらに申し上げれば、私たち民主党が、今回行政の責任を分担しないけれども、国会において法案を出して、行政のあり方についていろいろと意見を申し上げると言ったのは、国会こそが、先ほど来申し上げている、あるいは総理もお認めになったように、行政に対する総合的な監督権を持っている。そこで発言をし、あるいは法律をつくることがそのことを可能にする、そう考えたからであるわけであります。  そういった点について、時間もそろそろなくなりますので、最後に総理に、私の今申し上げた閣議、あるいは官僚と政治のあり方について御意見を聞かせていただければと思います。
  271. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 閣議というもののあり方については、私は「議員がみずから体験されたことをそのまま述べられたことを、間違っているとかそんなことを申し上げるつもりはありません。  ただ、同時に、閣僚懇という形で本当に、例えば規制緩和で二時間以上の議論をお互いに四回ぐらいやったのじゃなかったでしょうか。そして、あのときみんなそれぞれが、国務大臣という立場で随分激しい議論も行いました。そして、そこで生まれたものは、全く事務方とかかわりのない議論でありましたが、当然ながら、それを事務当局に指示していくという形をお互いにとったことを覚えていただいていると思います。そして我々は、今の制度の中でも、それをよりよいものに活用していく努力というものはこれからも続けてまいります。  制度というのは、これは一般論で言いますと、ブラスでもマイナスでもいろいろな議論ができる話です。そしてそういう中で、どうやったらいかにマイナスを少なくしてブラスを多くできるか、試行錯誤の中でもそれだけは常に気をつけなきゃなりません。  私は今度自分なりにいろいろ考えまして、あえて閣僚経験者を政務次官に起用するという手法をもとりました。そして、それはまさに政が官に対してそれだけの影響力を持ち得る具体的な手法として考えたことでありまして、こうしたやり方が一層有効に機能いたしますよう国会にもぜひ御協力をお願いを申し上げたいと思います。
  272. 菅直人

    ○菅(直)委員 時間ですので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  273. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて菅君、家西君の質疑は終了いたしましたで次回は、来る九日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時散会