○安住淳君 私は、民主党を代表いたしまして、ただいま
趣旨説明のありました
農協改革二
法案について
質問いたします。
まず、本論の
質問に入る前に、
農政全般についての
政府の
基本的姿勢をお伺いいたします。
今日、
我が国農村社会は、過疎、高齢化の進展、深刻な
後継者不足など、厳しい環境にあります。次の時代に
我が国農業が産業として生き残ることができるのかどうか、極めて疑問に感じざるを得ません。
先般も、来年度米価と米の
生産調整が深夜に及ぶ政治折衝で決まりました。しかし、新
食糧法が施行され、新しい時代の
農政がスタートしたにもかかわらず、その決定過程は残念ながら旧来と何ら変わりがありませんでした。新
食糧法では、市場実勢を反映する透明な米価決定方式を導入しているにもかかわらず、新しい
法律の
趣旨を十分に生かすことができたとは思えない結果になりました。
私は、東北の
農村社会に生きる一人として、今こそ、一連の政治決着に見られる戦後
農政に終止符を打ち、米の備蓄や減反
政策の
あり方、さらには
自由化や
国際化時代に向けて、
我が国農業の
あり方を政治も勇気を持って根本から論議するべきときが来たと思っております。
二年前、
政府は、米の市場開放に当たり、六年間で六兆百億円のガット・ウルグアイ・ラウンド対策費を計上いたしました。この対策費は、本来、
我が国の
農業基盤
強化と
国際化に
対応できる
農業への体質の改善を図ることを
目的とした予算であったと認識しております。しかし、今日の
我が国農業・
農村の実態を見る限り、この特別対策費が有効に機能しているのかどうか極めて疑問であります。
農業再建のかなめとなる後継者対策一つとっても、
状況は一向に改善をされておりません。
今日の硬直した予算構造やそれに連なる補助金
行政、複雑な価格
制度などが、
農業に新たなビジネスチャンスを求める人々にとって大きな参入障壁になっていることは間違いありません。二十一世紀に向けた
我が国農業の構造
改革を断行するには、ガット対策期間である今の時期を逃してほかにはないのではないでしょうか。
食糧需給が世界的に逼迫基調にあると言われる中、世界的な食糧不足時代の到来が懸念される今日、
農政の構造
改革をどのように進めるのか、食糧の安定供給の展望をいかに指し示すのか、まず橋本
総理大臣の御所見をお伺いいたします。
次に、今後の
農協系統金融機関の
あり方について
お尋ねをいたします。
住専問題を
契機として、
農協系統金融機関に対しては、その
経営体力の脆弱さや
業務執行体制の不備が
指摘され、国民から大きな批判を浴びることになりました。こうした批判に端を発し、系統
金融に対する不信感はますます増大しており、
農協の貯金残高が一貫して減少するという事態が端的に示すとおり、その信頼を大きく失墜させるまでに至っております。
農協系統の
信用事業は、まさに危機的
状況にあると言っても過言ではありません。
それゆえ、
農協系統金融機関に対しては、それが
我が国金融システムの一部であることを強く自覚するとともに、
組合員はもとより、国民の信頼を早急に回復するため、効率的で健全な責任ある
経営体制を早急かつ着実に
整備することが不可避のものとなっております。
今回
提出された
農協改革二
法案は、このような点を踏まえ、
信用事業を
中心とした
事業・
組織の
体制整備と機能の
強化に主眼が置かれているものでありますが、今回の改正が、
住専問題に対する謙虚な反省のもとに、二度とこのような問題が
農協系統に生じることのないよう万全の
措置を講じたものになっているのかどうか、
農林水産大臣の率直なお
考えをお聞かせください。
また、これに関連し、現在
農協系統金融機関が抱える
不良債権のディスクロージャーの推進、そしてその解消に向けて具体的にどのように行おうとしているのか。また、市場原理に基づき一層の競争激化が想定される中で、系統
金融に対しては、今後どのような
方向に活路を見出して
事業を展開していくことが求められているのか、これも
農林水産大臣の明確な答弁を求めます。
続きまして、両
法律案の主な
内容に関連した
質問をさせていただきます。
第一に、
農林中金と信連との
統合についてであります。
今回の新たな
法案は、
農協系統信用事業につき
組織二段化を推進して、その
効率化及び健全な運営の確保を図ることを
目的としたものでありますが、その
内容は、
農林中金と信連とが
合併または
事業譲渡を行うための
所要の
手続等を
規定したものであり、実際の
統合に当たっては、あくまでも当事者が自主的に取り組むことが必要条件となっております。つまり、本法の
統合のスキームというのは系統
組織に対して何ら強制力を有していないのであり、その実効性は
農協系統組織自身の取り組みにゆだねられていると言っても過言ではありません。
こうした点にかんがみ、本法の制定により、
農協系統組織みずからの手により
信用事業の
組織二段化がどの程度促進されることになると見込んでおられるのか、その法的効果について
農林水産大臣の御所見を伺います。
また、さきの
住専問題では信連の不健全な
経営実態が露呈することとなり、一部の報道からは信連の
経営危機が伝えられることとなりましたが、このことに関連し、国民の中には、今回の
措置は
経営不振に陥った信連の救済を
目的としたものにすぎないという疑念を抱いておられる方も少なくないと思います。そのような救済は
農林中金の
経営体力を著しく弱め、ひいては
農協信用事業全体に重大な
影響を及ぼすおそれがあるのではないかと危惧をいたしております。この点に対する
農林水産大臣の明確な答弁を求めます。
第二に、
経営管理委員会制度の導入についてであります。
今回の改正により、
組合は、新たな
組合の
執行機関として
経営管理委員会制度を選択肢として導入することにしておりますが、その
目的及び仕組み等についてはいまだ十分な
説明が行われておらず、
関係者においても理解されていないのが実情ではないでしょうか。そこで、
経営管理委員会制度は
現行の
理事制度と具体的にどこがどう違うのか、
農林水産大臣に明確な答弁を求めます。
第三に、
組合に対する
監査制度についてでありますが、今回の改正では、内部
監査に関しては、
組合に員外、
常勤の監事を置かなければならないこととしておりますが、
監査体制が一層
充実強化されることになるよう
政府の十分な指導を求めるものであります。
また、
外部監査に関しては、
組合は
中央会による
監査を受けなければならないこととしておりますが、私は、
組合に対し適切な
監査を実施するためには、他
業態同様、直接
組合に対し
公認会計士による
監査を義務づけることが必要であると
考えております。また、一歩譲って、今回の
法律に明記してあるとおり、
中央会の
監査において
公認会計士を活用するとしても、その関与の度合いを具体的にどのように高めていくのか、この点について
農林水産大臣の所見を伺いたいと思います。
最後に、私は、これまでの
農政の延長に
我が国農業の抜本的な解決策はないと思っております。今我々の目の前に映し出されている
農村の姿に、将来への明るい展望を見出すことはできません。米
政策に代表されるように、言うなればその場しのぎの場当たり的な
対応を政治も
行政も幾度となく繰り返してきたツケが、今の
農村に重くのしかかっております。今こそ、次の時代を見据えた
我が国農業の
あり方を真摯に議論するときであります。私と同じ世代の若者にとって、エネルギーと活力にあふれた働きがいのある産業に
農業をよみがえらせるために、惜しみない努力をされんことを
政府に強く望み、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣橋本龍太郎君
登壇〕