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1996-12-12 第139回国会 衆議院 文教委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
平成八年十二月十二日(木曜日) 午前九時十分開議
出席委員
委員長 二田 孝治君 理事 稲葉 大和君 理事 河村 建夫君 理事 栗原 裕康君 理事
田中眞紀子
君 理事 岡島 正之君 理事 佐藤 茂樹君 理事 藤村 修君 理事 山元 勉君
栗本慎一郎
君
佐田玄一郎
君 阪上 善秀君 島村 宜伸君 戸井田 徹君 中山 成彬君 柳沢 伯夫君 山口 泰明君 渡辺 博道君 池坊 保子君
旭道山和泰
君 西 博義君 西岡 武夫君 福留 泰蔵君 三沢 淳君 鳩山 邦夫君
肥田美代子
君 石井 郁子君
山原健二郎
君 保坂 展人君 岩永 峯一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 小杉 隆君
出席政府委員
文部政務次官
佐田玄一郎
君
文部大臣官房長
佐藤 禎一君
文部省初等中等
教育局長
辻村 哲夫君
文化庁次長
小野 元之君 委員外の出席者
労働省労働基準
局監督課長
青木 豊君
文教委員会調査
室長 岡村 豊君 ――――――――――――― 十二月十日 行き届いた教育、ゆとりある学校に関する請願 (
愛野興一郎
君紹介)(第二七号) 三十人学級の
早期実現
、
教育予算
・
私学助成拡
充、
教職員定数増
に関する請願(
樽床伸二
君紹 介)(第二八号) 同(西博義君紹介)(第二九号) 同(
赤松正雄
君紹介)(第七七号) 同(
山本孝史
君紹介)(第七八号) 同(
近江巳記夫
君紹介)(第一三二号) 同(
寺前巖
君紹介)(第一三三号) 同(
藤村修
君紹介)(第一三四号)
私学助成
の
大幅増額
、
教育費
の
父母負担軽減
、
教育条件
の改善に関する請願(
愛野興一郎
君紹 介)(第三〇号)
私学助成
の
大幅増額
、四十人学級の実現に関す る請願(野田毅君紹介)(第三一号) 同(
矢上雅義
君紹介)(第三二号)
私学助成
の
大幅増額
と
小中高校
三十人学級の早
期実現
に関する請願(
井上義久
君紹介)(第三 三号) 同(
萩野浩基
君紹介)(第七九号)
訪問教育
の
高等部早期設置
に関する請願(西博 義君紹介)(第三四号) 同(
石井郁子
君紹介)(第一三五号) 同(坂口力君紹介)(第一三六号) 同(
西岡武夫
君紹介)(第一三七号) 同(
藤村修
君紹介)(第一三八号) すべての
子供たち
に対する行き届いた教育に関 する請願(川端達
夫君紹介
)(第七四号)
私学助成
の増額、行き届いた
教育実現
に関する 請願(
赤松正雄
君紹介)(第七五号) 小・中・高校三十人学級の
早期実現
と
私学助成
の
大幅増額
に関する請願(
青木宏之
君紹介)( 第七六号) 同(青山丘君紹介)(第一三九号) 同(
海部俊樹
君紹介)(第一四〇号) 同(島聡君紹介)(第一四一号) すべての
子供たち
に行き届いた教育に関する請 願(
伊藤達也
君紹介)(第一二一号)
教育費
の
父母負担軽減
、
教職員
の
大幅増
など行 き届いた教育に関する請願(
藤村修
君紹介)( 第一二二号) 行き届いた教育に関する請願(
春名直章
君紹介 )(第一二三号) 行き届いた教育の実現と
私学助成
の
大幅拡充
に 関する請願(
春名直章
君紹介)(第一二四号) 高校三十人以下
学級実現
、
私学助成大幅増
、障
害児教育
の充実に関する請願(
寺前巖
君紹介) (第一二五号)
私学助成
の
大幅拡充
、四十人以下学級の
早期実
現、
教育費
の
父母負担軽減
に関する請願(古堅 実吉君紹介)(第一二六号)
私学助成
の
大幅増額
に関する請願(
穀田恵二
君 紹介)(第一二七号) 同(
寺前巖
君紹介)(第一二八号)
私学助成大幅増額
と高校四十人以下学級の早期 実現、
障害児教育
の充実等に関する請願(西岡 武
夫君紹介
)(第一二九号) 小・中・高校三十人学級の
早期実現
、
私学助成
の
大幅増額
に関する請願(
春名直章
君紹介)( 第一三〇号)
人材確保法
に基づく
教職員
の
待遇改善
に関する 請願(
保利耕輔君紹介
)(第一三一号) 同月十一日 ゆとりある教育に関する請願(
穀田恵二
君紹介 )(第一六六号) 同(
石井郁子
君紹介)(第六六五号)
義務教育
諸学校の
学校事務職員
・
栄養職員
に対 する
義務教育費国庫負担制度
の維持に関する請 願(辻元清美君紹介)(第一六七号) 教育・
大学予算
・
私大助成
の
大幅増額
と学生・ 父母の
経済的負担軽減
に関する請願(
寺前巖
君 紹介)(第一六八号) 同(
保坂展人君紹介
)(第三三六号) 同(
前原誠司
君紹介)(第三三七号) 同(
玉置一弥
君紹介)(第四三四号) 同(
岩永峯一
君紹介)(第五一四号) 同(
伊吹文明
君紹介)(第六六六号) 三十五人以下学級の実現、
高校希望者全員入学
、
教職員定数増
に関する請願(西田猛君紹介) (第一六九号) 三十人学級、
教職員定数改善
、
私学助成
の大幅 増額に関する請願(
武山百合子
君紹介)(第一 七〇号) 同(細川律
夫君紹介
)(第五一五号) 同(
矢島恒夫
君紹介)(第五一六号) 三十人学級の
早期実現
と
生徒急減期特別助成
な どの
大幅増額
に関する請願(
正森成
二君紹介) (第一七一号) 同(
桝屋敬悟
君紹介)(第一七二号) 同(
斉藤鉄夫
君紹介)(第三三八号) 同(
正森成
二君紹介)(第五一七号) 同(
山元勉
君紹介)(第五一八号)
私学助成
の増額、
教育条件
の改善、
教育予算
の 増額に関する請願(
春名直章
君紹介)(第一七 三号) 同(
山原健二郎
君紹介)(第一七四号)
私学助成
の
抜本的拡充
とすべての学校の三十人
学級早期実現
に関する請願(
正森成
二君紹介) (第一七五号) 同(
斉藤鉄夫
君紹介)(第三〇六号) 同(
粟屋敏信
君紹介)(第六六七号) 同(
佐々木陸海
君紹介)(第六六八号) 小中高三十人学級の
早期実現
、
障害児教育
の充 実、
私学助成
の
大幅増額
に関する請願(志位和
夫君紹介
)(第一七六号) 同(実川幸
夫君紹介
)(第一七七号) 同(
岡島正之
君紹介)(第四三五号) 同(志位和
夫君紹介
)(第六六九号)
障害児教育
の充実、
教育予算大幅増
、三十人学 級実現に関する請願(
穀田恵二
君紹介)(第一 七八号) 同(
寺前巖
君紹介)(第一七九号) 同(
玉置一弥
君紹介)(第四三六号) 行き届いた教育、ゆとりある学校に関する請願 (
原口一博
君紹介)(第一八〇号) 同(
瀬古由起子
君紹介)(第六二六号) 同(
寺前巖
君紹介)(第六二七号) 同(
吉井英勝
君紹介)(第六二八号) 三十人学級の
早期実現
、
教育予算
・
私学助成拡
充、
教職員定数増
に関する請願(
穀田恵二
君紹 介)(第一八一号) 同(辻第一君紹介)(第一八二号) 同(
土肥隆一
君紹介)(第一八三号) 同(西田猛君紹介)(第一八四号) 同(
東中光雄
君紹介)(第一八五号) 同(
松浪健四郎
君紹介)(第一八六号) 同(
井上一成
君紹介)(第三〇七号) 同(
小池百合子
君紹介)(第三〇八号) 同(
中川智子
君紹介)(第三〇九号) 同(
平野博文
君紹介)(第三一〇号) 同(
藤木洋子
君紹介)(第三一一号) 同(
山元勉
君紹介)(第三一二号) 同(
石井郁子
君紹介)(第四二三号) 同(
旭道山和泰
君紹介)(第四二四号) 同(
玉置一弥
君紹介)(第四二五号) 同(
北側一雄
君紹介)(第五〇〇号) 同(
藤田スミ
君紹介)(第五〇一号) 同(冬柴鐵三君紹介)(第五〇二号) 同(
久保哲司
君紹介)(第六二九号) 同(
肥田美代子
君紹介)(第六三〇号) 同(
藤田スミ
君紹介)(第六三一号) 同(
前田武志
君紹介)(第六三二号) 同(
前原誠司
君紹介)(第六三三号)
私学助成
の
大幅増額
、
教育費
の
父母負担軽減
、
教育条件
の改善に関する請願(
原口一博
君紹介 )(第一八七号)
訪問教育
の
高等部早期設置
に関する請願(船田 元君紹介)(第一八八号) 同(
山原健二郎
君紹介)(第一八九号) 同(
衛藤晟一
君紹介)(第三一四号) 同(瓦力君紹介)(第三一五号) 同(
栗原裕康
君紹介)(第三一六号) 同(桑原豊君紹介)(第三一七号) 同(
谷垣禎一
君紹介)(第三一八号) 同(
中山利生
君紹介)(第三一九号) 同(
葉梨信行
君紹介)(第三二〇号) 同(
保坂展人君紹介
)(第三二一号) 同(
山口泰明
君紹介)(第三二二号) 同外五件(
山元勉
君紹介)(第三二三号) 同(
奥田敬和
君紹介)(第四二七号) 同(
旭道山和泰
君紹介)(第四二八号) 同(
森山眞弓
君紹介)(第四二九号) 同(森喜朗君紹介)(第五〇四号) 同(
池坊保子
君紹介)(第六三五号) 同(
奥田幹生
君紹介)(第六三六号) 同(
高村正彦
君紹介)(第六三七号) 同(
佐藤茂樹
君紹介)(第六三八号) 同(
戸井田徹
君紹介)(第六三九号) 同(
肥田美代子
君紹介)(第六四〇号) 同(
福留泰蔵
君紹介)(第六四一号) 同(
御法川英文
君紹介)(第六四二号) 同(
渡辺博道
君紹介)(第六四三号)
私学助成
の増額、行き届いた
教育実現
に関する 請願(
土肥隆一
君紹介)(第一九〇号) 同(
小池百合子
君紹介)(第三二五号) 同(
中川智子
君紹介)(第三二六号) 同(
藤木洋子
君紹介)(第三二七号) 同(辻第一君紹介)(第六四四号) 小・中・高校三十人学級の
早期実現
と
私学助成
の
大幅増額
に関する請願(
石田幸四郎
君紹介) (第一九一号) 同(
江﨑鐵磨
君紹介)(第一九二号) 同(
吉田幸弘
君紹介)(第一九三号) 同(
河村たかし
君紹介)(第三二八号) 同(
赤松広隆
君紹介)(第五〇五号) 同(
平田米男
君紹介)(第五〇六号) 同(
浅野勝人
君紹介)(第六四五号) 同(
村田敬次郎
君紹介)(第六四六号) すべての
子供たち
に行き届いた教育に関する請 願(
佐々木陸海
君紹介)(第一九四号) 同(
中島武敏
君紹介)(第一九五号) 同(
不破哲三
君紹介)(第一九六号) 同(
石井紘基
君紹介)(第三二九号) 同(
海江田万里
君紹介)(第三三〇号) 同(
保坂展人君紹介
)(第三三一号) 同(
中路雅弘
君紹介)(第五〇七号) 同(
山花貞夫
君紹介)(第五〇八号) 同(
新井将敬
君紹介)(第六四七号) 同(
西川太一郎
君紹介)(第六四八号) 同(
不破哲三
君紹介)(第六四九号)
教育費
の
父母負担軽減
、
教職員
の
大幅増
など行 き届いた教育に関する請願(
東中光雄
君紹介) (第一九七号) 同(
井上一成
君紹介)(第三三二号) 同(
北側一雄
君紹介)(第五〇九号) 同(
藤田スミ
君紹介)(第五一〇号) 同(
肥田美代子
君紹介)(第六五〇号) 同(
東中光雄
君紹介)(第六五一号) 同(
松浪健四郎
君紹介)(第六五二号) 高校三十人以下
学級実現
、
私学助成大幅増
、障
害児教育
の充実に関する請願(
穀田恵二
君紹介 )(第一九八号) 同(
玉置一弥
君紹介)(第四三〇号) 同(
穀田恵二
君紹介)(第六五七号)
私学助成
の
大幅拡充
、四十人以下学級の
早期実
現、
教育費
の
父母負担軽減
に関する請願(北橋 健治君紹介)(第一九九号) 同(
古賀一成
君紹介)(第三三三号) 同(
松本惟子君紹介
)(第三三四号) 同(
松本龍
君紹介)(第三三五号) 同(
古賀正浩
君紹介)(第四三一号) 同(
島津尚純
君紹介)(第四三二号) 同(
松本惟子君紹介
)(第五一一号) 同(
松本龍
君紹介)(第五一二号) 同(
吉井英勝
君紹介)(第五一三号) 同(
岩田順介
君紹介)(第六五八号) 同(
神崎武法
君紹介)(第六五九号) 同(
山本幸三
君紹介)(第六六〇号) 小・中・高校三十人学級の
早期実現
、
私学助成
の
大幅増額
に関する請願(
山原健二郎
君紹介) (第二〇〇号) 同(
山原健二郎
君紹介)(第六六四号) すべての学校における三十人学級の
早期実現
に 関する請願外三件(
坂上富男
君紹介)(第二九 八号)
教育環境
の
整備充実
に関する請願(
井上一成
君 紹介)(第二九九号) 同(
近江巳記夫
君紹介)(第三〇〇号) 同(
中野寛成
君紹介)(第六七〇号)
国庫補助
の拡大、
父母負担
の軽減、
教育条件
の 改善に関する請願(
二見伸明
君紹介)(第三〇 一号) 同(
丹羽雄哉
君紹介)(第六七一号) 同(
矢島恒夫
君紹介)(第六七二号)
私学助成
の
大幅増額
など
教育関係予算
の拡充に 関する請願(
佐々木洋平
君紹介)(第三〇二号 ) 同(
菅原喜重郎
君紹介)(第五一九号) 同(
達増拓也
君紹介)(第五二〇号)
私学助成
の
抜本的拡充
と三十五人
学級早期実現
に関する請願(
鹿野道彦
君紹介)(第三〇三号 ) 同(
今田保典
君紹介)(第四三七号) 同(
遠藤武彦
君紹介)(第五二一号)
文教予算
の増額、行き届いた
教育実現
に関する 請願(
小池百合子
君紹介)(第三〇四号) 同(
藤木洋子
君紹介)(第三〇五号) 同(
藤木洋子
君紹介)(第六七三号)
私学助成
の
大幅増額
と
小中高校
三十人学級の早
期実現
に関する請願(安住淳君紹介)(第三一 三号) 同(
松本善明
君紹介)(第四二六号) 同(
日野市朗
君紹介)(第五〇三号) すべての
子供たち
に対する行き届いた教育に関 する請願(
山元勉
君紹介)(第三二四号)
スポーツ振興くじ導入反対
、国民のためのス
ポーツ振興
に関する請願(
山原健二郎
君紹介) (第四一〇号)
義務教育費国庫負担制度
から削減・除外された 費用の復元、
教科書無償制度
の継続に関する請 願(
石井郁子
君紹介)(第四一一号) 同(
木村隆秀
君紹介)(第四一二号) 同(
保坂展人君紹介
)(第四一三号) 同(
北側一雄
君紹介)(第五二二号) 同(
佐々木憲昭
君紹介)(第五二三号) 同(
坂井隆憲
君紹介)(第五二四号) 同(
山元勉
君紹介)(第五二五号) 同(
瀬古由起子
君紹介)(第六七四号) 同(
平賀高成
君紹介)(第六七五号) 同(
福留泰蔵
君紹介)(第六七六号) 同(
山原健二郎
君紹介)(第六七七号)
義務教育費国庫負担制度
の堅持に関する請願 (
石井郁子
君紹介)(第四一四号) 同(
木村隆秀
君紹介)(第四一五号) 同(西博義君紹介)(第四一六号) 同(
保坂展人君紹介
)(第四一七号) 同(
北側一雄
君紹介)(第五二六号) 同(
栗原裕康
君紹介)(第五二七号) 同(
佐々木憲昭
君紹介)(第五二八号) 同(
西岡武夫
君紹介)(第五二九号) 同(
山元勉
君紹介)(第五三〇号) 同(
瀬古由起子
君紹介)(第六七八号) 同(
平賀高成
君紹介)(第六七九号) 同(
福留泰蔵
君紹介)(第六八〇号) 同(
山原健二郎
君紹介)(第六八一号) 同(
吉田幸弘
君紹介)(第六八二号)
公立小中学校事務職員
及び
栄養職員
の
義務教育
費国庫負担法適用除外反対
に関する請願(古智 誠君紹介)(第四一八号) 行き届いた教育、
私学助成
の抜本的な拡充に関 する請願(坂口力君紹介)(第四一九号) 同(
岡田克也
君紹介)(第六八三号) 同(中井洽君紹介)(第六八四号) 小中高三十人以下学級の
早期実現
と
私学助成
の
抜本的拡充
に関する請願(
児玉健次
君紹介)( 第四二〇号) 同(坂本剛二君紹介)(第五三一号) 豊かな
私学教育
の実現を求めるための
私学助成
に関する請願(
山元勉
君紹介)(第四二一号) 同(
秋葉忠利
君紹介)(第四二二号) 同(
粟屋敏信
君紹介)(第五三二号) 同(
池端清一
君紹介)(第五三三号) 同(
上原康助
君紹介)(第五三四号) 同(
佐々木秀典
君紹介)(第五三五号) 同(白保台一君紹介)(第五三六号) 同(
仲村正治
君紹介)(第五三七号) 同(葉山陵君紹介)(第五三八号) 同(
畑英次郎
君紹介)(第五三九号) 同(
原口一博
君紹介)(第五四〇号) 同(
藤村修
君紹介)(第五四一号) 同(
保坂展人君紹介
)(第五四二号) 同(
松本龍
君紹介)(第五四三号) 同(
村山富市
君紹介)(第五四四号) 同(
山花貞夫
君紹介)(第五四五号) 同(
横光克彦
君紹介)(第五四六号) 同(
鰐淵俊之
君紹介)(第五四七号) 同(
愛野興一郎
君紹介)(第六八五号) 同(
新井将敬
君紹介)(第六八六号) 同(
石橋大吉
君紹介)(第六八七号) 同(
岩田順介
君紹介)(第六八八号) 同(
上田清司
君紹介)(第六八九号) 同(
金田誠一
君紹介)(第六九〇号) 同(菅直人君紹介)(第六九一号) 同(
北村直人
君紹介)(第六九二号) 同(
中沢健次
君紹介)(第六九三号) 同(
平野博文
君紹介)(第六九四号) 同(
中西績介
君紹介)(第六九五号) 同(
中山太郎
君紹介)(第六九六号) 同(西博義君紹介)(第六九七号) 同(
西川太一郎
君紹介)(第六九八号) 同(
濱田健一
君紹介)(第六九九号) 同(
肥田美代子
君紹介)(第七〇〇号) 同(
保利耕輔君紹介
)(第七〇一号) 同(
松浪健四郎
君紹介)(第七〇二号) 同(
山口泰明
君紹介)(第七〇三号)
私学助成
の
大幅増額
に関する請願(
玉置一弥
君 紹介)(第四三三号) 同(
伊吹文明
君紹介)(第六六一号) 同(
奥田幹生
君紹介)(第六六二号) 同(
前原誠司
君紹介)(第六六三号)
学校事務職員
・
栄養職員
の給与費の
半額国庫負
担堅持に関する請願(河村建
夫君紹介
)(第四 九一号) 同(
藤村修
君紹介)(第四九二号) 同(
保坂展人君紹介
)(第四九三号) 同(
山原健二郎
君紹介)(第四九四号) 同(
石井郁子
君紹介)(第七〇四号) 同(
稲葉大和
君紹介)(第七〇五号) 同(
栗原裕康
君紹介)(第七〇六号) 同(
戸井田徹
君紹介)(第七〇七号) 同(西博義君紹介)(第七〇八号) 同(
肥田美代子
君紹介)(第七〇九号) 行き届いた教育の充実に関する請願(
肥田美代
子君紹介)(第四九五号) 同(
肥田美代子
君紹介)(第七一〇号) 行き届いた教育を進めるための
教育条件改善
に 関する請願(
畠山健治郎
君紹介)(第四九六号 ) 同(
松本善明
君紹介)(第七一一号)
私立専修学校
の教育・
研究条件
の改善と父母負 担軽減に関する請願(
古堅実吉
君紹介)(第四 九七号) 同(
松本龍
君紹介)(第四九八号) 行き届いた教育に関する請願(
山元勉
君紹介) (第四九九号) 同(大森猛君紹介)(第六五三号) 同(
古堅実吉
君紹介)(第六五四号) 同(
正森成
二君紹介)(第六五五号) すべての子供、生徒に対する行き届いた教育に 関する請願(
木島日出夫
君紹介)(第六一八号 )
教育予算
の増額、三十人以下
学級実現
、
教職員
定数改善
に関する請願(
金子満広
君紹介)(第 六一九号) 同(
中路雅弘
君紹介)(第六二〇号) 行き届いた教育、ゆとりある
学校づくり
に関す る請願(
平賀高成
君紹介)(第六二一号) 行き届いた教育、小・中・高校三十人学級の早
期実現等
に関する請願(
児玉健次
君紹介)(第 六二二号) 行き届いた教育、小中高三十人学級の
早期実現
に関する請願(
平賀高成
君紹介)(第六二三号 ) 高校三十人学級の
早期実現
、
保護者負担
の軽減 、
教職員
の定数増に関する請願(
佐々木憲昭
君 紹介)(第六二四号) 同(
中島武敏
君紹介)(第六二五号)
私学助成
の
大幅増額
、四十人学級の実現に関す る請願(
松岡利勝
君紹介)(第六三四号) 行き届いた教育の実現と
私学助成
の
大幅拡充
に 関する請願(
春名直章
君紹介)(第六五六号) 同月一二日
私学助成大幅増額
と高校三十人以下学級の早期 実現に関する請願(
久間章生
君紹介)(第七七 三号) 三十人学級の
早期実現
、
教育予算
・
私学助成拡
充、
教職員定数増
に関する請願(
石垣一夫
君紹 介)(第七七四号) 同(
佐藤茂樹
君紹介)(第七七五号) 同(前田正君紹介)(第七七六号) 同(
赤羽一嘉
君紹介)(第九七三号) 同(石井一君紹介)(第九七四号) 同(
高市早苗
君紹介)(第九七五号)
訪問教育
の
高等部早期設置
に関する請願(柿澤 弘治君紹介)(第七七七号) 同(
栗本慎一郎
君紹介)(第七七八号) 同(小林守君紹介)(第七七九号) 同(
鳩山邦夫
君紹介)(第九七六号)
私学助成
の増額、行き届いた
教育実現
に関する 請願(辻元清美君紹介)(第七八〇号) 同(
赤羽一嘉
君紹介)(第九七七号) 小・中・高校三十人学級の
早期実現
と
私学助成
の
大幅増額
に関する請願(
近藤昭一
君紹介)( 第 七八一号) 同(
伊藤英成
君紹介)(第九七八号) 同(
杉浦正健
君紹介)(第九七九号) すべての
子供たち
に行き届いた教育に関する請 願(
遠藤乙彦
君紹介)(第七八二号) 同(大森猛君紹介)(第七八三号) 同(
藤田幸久
君紹介)(第七八四号) 同(
大野由利子
君紹介)(第九八〇号) 同(
鳩山邦夫
君紹介)(第九八一号) 同(
吉田公一
君紹介)(第九八二号)
教育費
の
父母負担軽減
、
教職員
の
大幅増
など行 き届いた教育に関する請願(
石垣一夫
君紹介) (第七八五号) 同(前田正君紹介)(第七八六号)
私学助成
の
大幅拡充
、四十人以下学級の
早期実
現、
教育費
の
父母負担軽減
に関する請願(麻生 太郎君紹介)(第七八七号) 同(
岩田順介
君紹介)(第七八八号) 同(古賀誠君紹介)(第七八九号) 同(権藤恒
夫君紹介
)(第九八三号)
国庫補助
の拡大、
父母負担
の軽減、
教育条件
の 改善に関する請願外一件(
塚原俊平
君紹介)( 第七九〇号)
文教予算
の増額、行き届いた
教育実現
に関する 請願(
藤木洋子
君紹介)(第七九一号)
義務教育費国庫負担制度
から削減・除外された 費用の復元、
教科書無償制度
の継続に関する請 願(
金子一義
君紹介)(第七九二号)
義務教育費国庫負担制度
の堅持に関する請願 (
石田幸四郎
君紹介)(第七九三号) 同(
金子一義
君紹介)(第七九四号) 同(
久野統一郎
君紹介)(第七九五号) 同(
伊藤英成
君紹介)(第九八七号) 同(
草川昭三
君紹介)(第九八八号) 同(
藤村修
君紹介)(第九八九号)
公立小中学校事務職員
及び
栄養職員
の
義務教育
費国庫負担法適用除外反対
に関する請願(金子 一義君紹介)(第七九六号) 行き届いた教育、
私学助成
の抜本的な拡充に関 する請願(
伊藤忠治
君紹介)(第七九七号) 豊かな
私学教育
の実現を求めるための
私学助成
に関する請願(石崎岳君紹介)(第七九八号) 同(
今村雅弘
君紹介)(第七九九号) 同(
衛藤征士郎
君紹介)(第八〇〇号) 同(
遠藤乙彦
君紹介)(第八〇一号) 同(
小里貞利
君紹介)(第八〇二号) 同(
栗本慎一郎
君紹介)(第八〇三号) 同(
城島正光
君紹介)(第八〇四号) 同外二件(
土井たか子
君紹介)(第八〇五号) 同外四件(
土肥隆一
君紹介)(第八〇六号) 同外五件(
中西績介
君紹介)(第八〇七号) 同(
福永信彦
君紹介)(第八〇八号) 同(
丸谷佳織
君紹介)(第八〇九号) 同(山下徳
夫君紹介
)(第八一〇号) 同外三件(
山元勉
君紹介)(第八一一号) 同(
池端清一
君紹介)(第九九〇号) 同(
大野由利子
君紹介)(第九九一号) 同(
長内順一
君紹介)(第九九二号) 同(
海江田万里
君紹介)(第九九三号) 同(
小平忠正
君紹介)(第九九四号) 同(
坂上富男
君紹介)(第九九五号) 同(葉山峻君紹介)(第九九六号) 同(
鉢呂吉雄
君紹介)(第九九七号) 同(
鳩山邦夫
君紹介)(第九九八号) 同外三件(
濱田健一
君紹介)(第九九九号) 同(
藤田幸久
君紹介)(第一〇〇〇号) 同(
松本惟子君紹介
)(第一〇〇一号) 同(
横路孝弘
君紹介)(第一〇〇二号)
学校事務職員
・
栄養職員
の給与費の
半額国庫負
担堅持に関する請願(
山原健二郎
君紹介)(第 八一二号) 同(
鳩山邦夫
君紹介)(第一〇〇三号) 行き届いた教育の充実に関する請願(
石垣一夫
君紹介)(第八一三号)
私立専修学校
の教育・
研究条件
の改善と父母負 担軽減に関する請願(
岩田順介
君紹介)(第八 一四号) 同(北橋健治君紹介)(第一〇〇四号) 行き届いた教育、ゆとりある
学校づくり
に関す る請願(望月義
夫君紹介
)(第八一五号) 小・中・高校三十人学級の
早期実現
、
私学助成
の
大幅増額
に関する請願(五島正規君紹介)( 第九八四号)
義務教育
諸学校の
学校事務職員
・
栄養職員
に対 する
義務教育費国庫負担制度
の維持に関する請 願(小林守君紹介)(第九八五号)
私学助成
の増額、
教育条件
の改善、
教育予算
の 増額に関する請願(五島正規君紹介)(第九八 六号) は本委員会に付託された。 ――――――――――――― 十二月六日 完全学校週五日制の実施に伴う学習指導要領の 早期改訂に関する陳情書 (第三七号) 公立
学校事務職員
・同
栄養職員
給与費の義務教 育費国庫負担制度堅持に関する陳情書外四十件 (第三八号)
私学助成
の充実に関する陳情書外十一件 (第三九号)
私学助成
の充実強化及び高校生徒急減対策の確 立に関する陳情書 (第四〇号) いじめや不登校等の問題への対応強化に関する 陳情書外一件 (第四一号) 朝鮮学校に対する処遇の改善等に関する陳情書 外三件 (第四二号) 学校の耐震診断・補強工事に対する補助率の引 き上げに関する陳情書外一件 (第四三号) 人口急増過密都市の
義務教育
施設整備に関する 陳情書 (第四四号) 更なる宗教法人法改正反対等に関する陳情書 (第四五号) サッカーくじ法案反対に関する陳情書 (第四六号) 教育文化行政の充実強化に関する陳情書 (第四 七号) 国立博物館の設置に関する陳情書 (第四八号) 同月十二日
義務教育費国庫負担制度
の堅持に関する陳情書 外一件 (第二〇六号) 豊かな
私学教育
の実現を求める
私学助成
に関す る陳情書 (第二〇七号) 子供の不登校問題解決に関する陳情書 (第二〇八号 ) は本委員会に参考送付された。 ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第 六号) ――――◇―――――
二田孝治
1
○二田
委員長
これより会議を開きます。 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。小杉文部大臣。 ————————————— 著作権法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
小杉隆
2
○小杉国務大臣 このたび、政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 我が国の著作権制度については、これまでも逐次改正をお願いし、その
充実
を図ってまいりましたが、近年の著作権をめぐる国際的な動向の変化や情報化の進展などの社会状況の変化には目を見張るものがあり、新しい文化立国を目指して内外への積極的な貢献を進めるべき立場にある我が国としては、その文化を支える法的基盤である著作権制度の一層の
改善
を進めていく必要があると考えているところであります。 このたびの改正は、このような内外の情勢の変化及び我が国の占める国際的地位にかんがみ、著作権制度のさらなる
充実
を図るため、所要の措置を講ずるものであります。 次に、この法律案の概要について申し上げます。 第一は、写真の著作物の保護期間に係る特例を廃止することであります。 現行の著作権法では、写真の著作物の保護期間については、他の著作物と異なり、公表後五十年まで存続することとされているところでありますが、最近は、国際的にも、これを著作者の死後五十年までとする国が先進諸国の大勢となってきていること等を考慮し、写真の著作物の保護期間に係る特例を廃止し、著作者の死後五十年までとするものであります。 第二は、民事上の救済規定及び罰則規定の整備を行うことであります。 近年の情報化の進展等、社会経済情勢の急速な変化により、著作権に関する法的紛争の多様化、複雑化が進んできており、著作権法においても特許法など他の知的所有権法制との整合性を図りつつ、著作権の実効的な保護をより一層
充実
することが、民事、刑事の両面にわたって求められております。このため、著作権法におきましても、著作権等を侵害する行為によって生じた損害の額を計算するため必要な書類について、当事者の申し立てにより裁判所が当事者に対しその提出を命ずることができる旨の規定を設けることとするとともに、罰金額の上限を引き上げることとするものであります。 第三は、著作隣接権の保護対象を遡及的に
拡大
することであります。 世界貿易機関、WTOの加盟国に係る実演、レコード及び放送については、平成六年の著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律により、我が国に著作隣接権制度が導入された昭和四十六年一月一日以降に行われたものが著作隣接権による保護の対象とされたところであります。しかしながら、その後、先進諸国において、五十年前に行われた実演等までを保護する国が多数を占める状況となっており、我が国としても、国際的な協調を図る観点から、我が国及び世界貿易機関、WTOの加盟国に係る実演、レコード及び放送について、他の諸国と同様に、五十年前に行われたものまでを著作隣接権の保護対象に加えることとするものであります。 なお、これに伴い、旧法において保護されていた演奏歌唱及び録音物の著作隣接権による保護期間に関して現行法で定められている経過措置についても、所要の見直しをすることとしております。 最後に、施行期日等についてであります。 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、所要の経過措置を講ずることとしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概略であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。 以上でございます。
二田孝治
3
○二田
委員長
これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
二田孝治
4
○二田
委員長
これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
戸井田徹
君。
戸井田徹
5
○
戸井田
委員 自由民主党を代表いたしまして質疑をさせていただきます。初当選で初土俵であります。若干上がっておりますけれども、よろしくお願いいたします。 何分にも、我々、著作隣接権と言われましても当初ぴんときませんでしたけれども、新聞の記事をずっと拾い集めてみますと、九六年、ことしの一月二十五日、日経新聞に、「米、日本をWTO提訴へ」という見出しのもとに、こんなことが裁っておりました。 カンター米通商代表部代表は二十四日、米業界 が問題視している日本での音楽ソフトの「著作 隣接権保護」について、「日本が
改善
を示さな い場合は、直ちに行動を起こす」と述べた。W TOへの提訴を示唆した発言で、関係筋による と今週末か来週早々にもWTOの下での二国間 協議を正式要請する方針だ。米国が単独で日本 をWTO提訴する初めてのケースとなる。 ということで、それからわずか十日ほど後の記事を見ますと、そこですぐ、「保護期間を延 長政府方針 米との摩擦回避」こういう記事が載っておりました。 また、それから五日後の二月十日には「著作権法改正を検討 政府、「協定違反」には反論」ということでありまして、 WTO協定をめぐる解釈が日米で食い違ってい る。 ただ先進国で著作隣接権を五十年間さかの ばって保護していないのは、日本とイタリアの 二国だけ。政府は知的所有権をめぐる経済摩擦 を避けるためにも、欧米の基準に合わせるのが 望ましいと判断した。ちなみに、イタリアはもう既に保護期間の延長が済んでいる ということであります。 そしてまた、当初からいいますと一月後に、橋本総理が日米首脳会談、最初の首脳会談でありますけれども、それが開かれたわけであります。その場で、 橋本龍
太郎
首相が就任して初めての日米首脳 会談が、日本時間の二十四日昼、米国で行われ る。経済問題で米国は、日米半導体協定の延長 など優先的な解決を期待する「経済四分野」を 指定しており、四月のクリントン大統領訪日を にらんで、こうした分野での双方の基本姿勢を 確認することになりそうだ。ただクリントン大 統領の言及の仕方によっては、今後の日米関係 の大きな懸案に発展しかねない。 そういう記事の一番最後に、 ハリウッドなど地元受けのする著作隣接権問題 などで、日本側に「おみやげ」を求める可能性 もある。こんなような記事がずっと一月半ほどの中にありました。 そして最後に、「著作隣接権で譲歩へ」ということで、翌九六年の二月二十五国の新聞では、 日本はルールができる前に(七一年以降と)決 めている。多くの国で五十年前にさかのぼって 適用しているが、そういう方向に日本も行くと 思う ということを総理が会見で述べておられるわけであります。 こういう流れをずっと見ておりますと、著作権法の改正案をこの秋に提出ということで今に至っているのだろうと思います。 以上、新聞の記事を追っていくだけでも、わずか短期間の間に、こうした法律改正が行われなければならないということがよくわかってくるわけですけれども、今回の改正において著作隣接権の五十年遡及を行うということでありますけれども、我が国では既に、WTO設立に伴うTRIPS協定関係の法改正が二年前に、先ほどの記事にも出ておりましたように、ことしの一月から施行されたばかりであります。なぜ平成六年の改正の段階で五十年遡及させなかったのか、また、アメリカやECの主張はどんなものだったのか、御説明願えませんでしょうか。
小野元之
6
○小野(元)政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘ございましたように、今回、臨時国会で著作権法の一部改正をお願いしておりますのは、特に第一点目の、著作隣接権の保護対象の遡及的
拡大
をお願いしているわけでございまして、この点につきましては、先ほど来お話ございましたように、平成六年の法改正で私どもといたしましては、当時の時点で判断したことでございますけれども、現行の著作権法が施行になりました昭和四十六年一月一日まで遡及的
拡大
をしようということで対応したわけでございます。 そのような判断をいたします経緯といたしましては、私どもの方も、TRIPS協定のさまざまな外交交渉あるいは各国の著作権担当者等との話し合いの中で、現行法の考え方でございますけれども、私どもが昭和四十六年一月一日までさかのぼったということにつきましては、著作隣接権について、そもそもそういう遡及的な
拡大
というのは従来の考え方には余りなかったということもございますし、著作隣接権自体が四十六年の現行法ができたときに新しい概念として法律上規定をされたということがあったわけでございます。 その段階で、私どもとしては、結果的に二十五年さかのぼるということで法改正を行ったわけでございますけれども、その時点では、各国の状況が正直に申し上げまして必ずしも十分把握できていなかったこともございました。結果的に、WTOのこの関係では、先生先ほどお話がございましたように、先進国のほとんどが五十年さかのぼっておるということがございました。 その結果といたしまして、具体的な例といたしまして、日本が著作隣接権は四十六年までしか遡及的
拡大
していないということで、例えばプレスリーでございますとか、ビiトルズでございますとか、ポール・アンカでございますとか、そういった著名なアーチストのヒット曲の多くが著作隣接権の保護対象から抜け落ちておるということになったわけでございます。 このようなことがございまして、アメリカやEC等におきましては、レコード業界が政府に対して強い突き上げといいますか要請を行われまして、結果として、アメリカやEUが、先ほどお話がございましたように、WTO提訴ということに立ち至っておるわけでございます。 私どもといたしましては、TRIPS協定におきますベルヌ条約の解釈につきましては、解釈の面では間違っていないという確信をしておるわけでございますけれども、現実問題として先進国の多くが五十年遡及的
拡大
を図っておるということでございますので、日本としても、国際社会の一員として、あるいはアジアにおける著作権面でのリーダーといいますか、そういった立場もあるわけでございますので、条約解釈の問題とは一応切り離しまして、政策的判断として五十年まで遡及的
拡大
を速やかに図ろうということを政府部内で考えたわけでございます。 先ほどお話もございましたように、そういった経緯を踏まえましてこの臨時国会にこの法案を提出しているわけでございまして、ぜひともよろしく御審議をお願いしたいと思っておるところでございます。
戸井田徹
7
○
戸井田
委員 ありがとうございます。 また新聞に戻るわけですけれども、その後、九六年三月七日の新聞を見ますと、もうそれに対する一つの反応が出ておりまして、法律が新しく変わるということになりますと、やはり民間の人たちは、いろいろな形で、自分たちにどういう影響があるのだろうか、そういうことで右往左往するわけであります。 その三月七日の読売新聞に、「著作隣接権の保護」ということで「ニュースQ&A」というのがあるわけですけれども、その中で、「遡及期間延長は、消費者にも影響があるのか。」という質問に対して、その答えとして、「著作隣接権の使用料を支払っても、格安CDが三百−四百円程度値上がりするだけ、との試算もある。しかし、人気の高い曲はオリジナルのレコード会社が複製を認めない二とも予想され、ビートルズなどの格安CDは姿を消すだろう。」ということが出ております。 ちょうど我々の世代ですと、やはりプレスリー、ビートルズというのは非常に魅力のあるアーチストでありますから、そういったものが安く手に入るということで、それぞれ非常に手に入れやすいということで利点があったわけですけれども、著作隣接権がこうして新しく五十年ということになってくると、そういうものの影響がこういった分野に出てくるのだろう。 その中におきまして、保護対象が一気に二十五年遡及するとなるとさまざまなこうした摩擦があると思うのですけれども、今回の改正法が成立した場合、現時点で既につくられている廉価盤CDのようなものはどういう取り扱いになるのでしょうか、また、在庫としてたくさん持っているような業者はそれをどういうふうに処理したらいいのか、その辺のことをちょっとお伺いしたいと思うのです。
小野元之
8
○小野(元)政府委員 御指摘にございましたように、今回法改正をお認めいただきますと、遡及的
拡大
で五十年さかのぼるということになりますので、現在駅頭なんかで売られています廉価盤CDにつきましては、この法律施行後は新たにそれをつくるということは恐らくできなくなるわけでございます。 それは、この著作隣接権について許諾を得るということができればもちろん製作はできるわけでございますけれども、恐らく、見込みでございますけれども、こういった廉価盤CDについては、アメリカやEC等のレコード会社は許諾はしないであろうということが予想されるわけでございます。 そういった意味で、確かに、先生お話にございましたように、ビートルズとかポール・アンカとかプレスリーとか、こういった方々のビツト曲だけを集めたCDが今廉価盤で出回っておるわけでございますけれども、国民の皆さんにとっては、そういうものがこの法施行後は手に入りにくくなるということは事実だろうと思うのでございます。 ただ一方で、先ほど来申し上げておりますように、著作隣接権の保護対象をきちんと保護していくということにつきましては、先進諸国はほとんどが五十年まで遡及的
拡大
をしておるということでございますので、我が国といたしましても、国際社会の一員として、あるいは著作権についての先進国の立場というものも考えなければいけないということで、その点については著作隣接権をきちんと保護していかなければいけないというふうに私どもは思うわけでございます。 具体的には、廉価盛業者の方々に対しても私どもいろいろお願いしておるわけでございますけれども、この法律が成立いたしますれば、現在持っている在庫についてはこの法律施行後もそれを売るということはできるわけでございますけれども、新たにそれをプレスすることは恐らくできなくなるということになると思うのでございます。そういう意味で、約三十社ある廉価盛業者の方には大変お気の毒だと思うのでございますけれども、先進国並みに著作隣接権をきちんと保護していくという立場から、私どもとしてはやむを得ないというふうに考えているところでございます。
戸井田徹
9
○
戸井田
委員 それから、この著作隣接権に関して、アメリカ、ECがセールオフ期間を設定するように我が国に求めているということを聞いておりますけれども、セールオフ期間というのは何なのでしょうか。また、文化庁としてこのセールオフ期間についてどのように考えておられるのか。
小野元之
10
○小野(元)政府委員 お話のございましたセールオフでございますけれども、アメリカ、ECとしては、セールオフ期間を設定して、その期間が終わった後には一切売れないようにしてほしいという要望があるわけでございます。それは、著作隣接権をきちんと保護するという意味で、今までつくっている在庫のものにつきましても、セールオフ期間が終了すればそれは売れなくなるということを求めておるわけでございます。 この点につきましては、私どもとしては、現在の時点では、廉価盤CD等につきましても、著作権自体は払っておられるわけでございますし、隣接権について、許諾、あるいはその料金を払っていないということはあるわけでございますけれども、一応現時点では合法にはつくられたCDであるわけでございます。そういった合法につくられたCDを、この法が施行された後とはいえ、それを一定の期間が過ぎれば売れなくするということにつきましては、日本の法制度の建前といいますか、著作権に関する基本的な考え方といったものを踏まえましても、そういったものを設定することは適切でないし困難であるということで、私どもとしては、アメリカ、ECに対して、セールオフ期間を設定することはできないということを御説明申し上げておるわけでございます。 それでは、今のうちに駆け込みをどんどんつくってしまわれるのではないかという御懸念が一部あるかと思うのでございますけれども、私どもの得ております情報では、廉価盛業者の方々も、この法律が国会に出されるということで、駆け込みでどんどんつくっておいて、そしてその後売るというようなことはお考えになっていないというふうに理解しているところでございます。
戸井田徹
11
○
戸井田
委員 次に、写真著作物の保護期間の延長に関して、日本写真家協会からの要望があったように聞いておりますけれども、文化庁は御存じでしょうか。
小野元之
12
○小野(元)政府委員 著作権の保護期間、写真の著作物、今回、公表後五十年から死後五十年ということで、実質的にはかなりの延長をさせていただく内容の法案を提出しているわけでございますけれども、お話がございました写真家協会自体は、そのことについては大賛成、ぜひやってほしいということでございますが、一点、御要望がございます。 お話にございましたように、死後五十年に延びることは大変ありがたいわけでございますけれども、従来、実は写真につきましては、保護期間が非常に短い時期が過去ずっと続いておったわけでございます。明治三十二年に旧著作権法ができたわけでございますけれども、写真の保護期間は、当時の時点からずっと、公表後十年、創作後十年以内に公表されない場合は創作後十年ということでございます。したがいまして、過去ずっと十年、非常に短い期間の保護期間しかなかったわけでございます。そういったことが、写真家の権利を十分守っていないではないか。 そして、この十年で短かったがために、現行の著作権法ができました時点で保護期間が既に切れてしまっている写真がかなりあるわけでございます。それは、現在生きていらして活躍していらっしゃる写真家の方でも、昭和三十一年までに公表されたものについては、保護期間を満了して、今フリーになっておるわけでございます。写真家協会の方たちは、そういったものについても、ぜひ今回の法改正のときに何らかの措置なり検討をしてほしいというお気持ちをお持ちでございまして、そういう御要望をされておるということは私どもも承知しておるところでございます。
戸井田徹
13
○
戸井田
委員 著作後十年という旧法でありますけれども、それがいきなり死後五十年ということに変わってくるわけです。それは写真家にとっては非常にプラスなことだろうとは思うのですけれども、既に十年で切れてしまった。そういった人たちの権利が、今回、場合によっては復活するケースがあるのかなと思っていたのですが、どうもそれがないというようなことなんです。 その辺のことについて、そういうものだと言ってしまえばそれまでかもわかりませんけれども、何かもう一つ救済できる措置がないものかなというふうに思う部分があるのですが、その点はいかがでしょうか。
小野元之
14
○小野(元)政府委員 ただいまお話ございましたように、旧著作権法時代に、保護期間が十年ということで大変短かったわけでございます。これは、当時といいますか、写真については、その氏名をそこできちんと表示されるというような慣行も比較的ほかの著作物に比べれば薄かったというようなこともございまして、いろいろな事情があったと思いますけれども、いずれにしても十年という大変短い期間であったわけでございます。これを昭和四十六年に現在の著作権法ができる時点で、実はその問題、恐らく同じ問題が起きておったと思うのでございますけれども、四十六年の時点では、それをさかのぼって保護するということはしていなかったわけでございます。 したがって、切れてしまっておるということになるわけでございますけれども、写真家協会の方々の、同じ著作権として過去十年というのは非常に短かった。そのことがゆえに切れてしまったものについて何らかの配慮をしてほしいというお気持ち、私ども、非常によくわかるのでございます。お気持ちとしては非常によくわかるのでございますけれども、今回の法案にその御要望については対応できていないわけでございます。 その理由でございますけれども、著作権に関しましては、一たんその権利が消滅するといいますか、保護が切れてしまったものを再度復活させるということになりますと、それらの利用関係におきましていろいろな混乱も生じ得るわけでございます。 例えば、今までフリーに使えておりました写真が、それをまた一つ一つチェックして、今度はそれを使う場合に許諾を得たり、あるいは料金を支払ったりということになりますので、利用者の関係、例えば出版社でございますとか放送局でございますとか、これを利用する側の立場からいいますと、今までフリーだったものが、さかのぼってそれをフリーでなくなるということにいたしますと、既存の利用関係に非常に大きな影響を与えるわけでございますし、出版社、放送局等はそういったことについては反対を当然されると思うのでございます。 もう一つは、今回の法改正の中では、著作隣接権の関係で、そうは申し上げましても、一部、一たん切れたものを復活するということをしておりますけれども、これは対象を非常に一部に限定しておりまして、しかも内外無差別という観点で、私どもとしては、やむを得ざる措置ということで考えておるわけでございまして、この写真の案件と全く同じに考えるというのは難しいのではないかと思うのでございます。 もう一点は、私ども、著作権審議会でこういった問題についてもいろいろ御審議をいただいておるわけでございますけれども、審議会の中でも、一たん切れた写真の著作物の保護を復活させるということにつきましては、反対意見が大勢であったわけでございます。 そういったこともございまして、写真家協会の御要望、お気持ちとしては大変よくわかるのでございますけれども、今回の法改正においては対応していないところでございます。
戸井田徹
15
○
戸井田
委員 わかりました。写真一枚が世論を動かすということもあるわけでありますから、そういう中で、写真家に対するそういう保護ということで前進していくことはいいことだろうと思います。 また、次の質問に移りたいと思いますけれども、情報のデジタル化に伴い、コピーが、複製品がいとも簡単にできてしまう、そういう時代に入ってきました。今後のマルチメディアの進展の中で、写真の著作物の保護はかなり難しいということも聞いておりますし、また一層重要になってくるのだろうと思います。文化庁は今後どのように対応していくおつもりがあるのか、その辺のことももう一つお聞かせいただきたいと思います。
小野元之
16
○小野(元)政府委員 お話ございましたように、マルチメディアというのがどんどん進展をしておるわけでございます。そういう中で、写真等の著作物につきましても、大量かつ多様な利用の形態というものが予想されるわけでございまして、こういったものをきちんと保護していくという問題は、私どももより一層重要になってくると思うのでございます。 そういった意味におきましても、先ほどお話ございました写真家協会の御主張でございますけれども、私どもとしては、過去の保護期間が、今から考えますれば、十年と大変短かったということも事実であるわけでございます。もちろんいろいろな経緯があったわけでございますけれども、短かった。ただ、既に保護が切れてしまったものについては、これを復活させるということは、法的安定性といっ北観点からもいろいろ難しい問題があるわけでございます、 この御要望につきましては、実はWIPOの新条約におきましても、写真の保護期間の検討といったものもされておるわけでございまして、国際的な観点から、そういった国際的な動向にも配慮し、私どもといたしましては、要望の御趣旨については重く受けとめまして、一つの課題として今後引き続き検討してまいりたいというふうにも思っておるわけでございます。 そういう中で、写真の著作物について円滑な権利処理体制を築いていくどいうことは、権利者にとっても大変重要なことだと思うのでございます。私ども文化庁におきましては、写真の著作物を含めまして、著作物の権利処理をより円滑に進めていくように、さまざまな著作物の権利情報を一つの窓口で処理する、私どもはJICISと言っておりますが、著作権権利情報集中機構、こういったものを何とか
実現
したい、そういったところで、写真のデータベース等についても今いろいろな試験的な研究も行っておるわけでございますけれども、そういった関係団体を含めまして、今後、マルチメディア社会の中で権利情報の集中管理体制の構築に向けて検討してまいりたいと思っておるところでございます。
戸井田徹
17
○
戸井田
委員 ありがとうございます。 また、そのマルチメディアの進展というのは、情報のデジタル化、ネットワーク化に伴って、新しい、それこそ我々め想像を超えたような利用形態をもたらすことがあると思うのですけれども、著作制度上も何らかの形の対応を進めるべきだろうと思いますし、それをある程度予測していきながら、またそれに対する対応も先、先と考えていかなければならないのだろうと思います。そういう方面の取り組みがあれば、またちょっとお聞かせいただきたいのです。
小野元之
18
○小野(元)政府委員 お話ございましたように、デジタル化でございますとかネットワーク化も進んでおるわけでございます。マルチメディアというのが大変進歩しておるわけでございます竹れとも、私どもといたしましては、著作権審議会の中にマルチメディア小委員会というのを今設置させていただいておりまして、こういったマルチメディア問題についての著作権上のいろいろな課題につきまして御検討をいただいておるところでございます。 この小委員会におきましては、制度上の問題をいろいろ考えていく必要があるのではないかということもございました。例えば、送信についての規定をもっときちんと整備していくということも必要だろうと思いますし、あるいはコピーについては、違法コピーのプロテクションを、機器にそういった装置が設けられておるわけでございますけれども、こういったコピープロテクションを解除する装置等も今は出されておるわけでございまして、そういった問題についても適切に対応するべきではないかという御意見もあるわけでございます。 そういった点も踏まえますとともに、現在、WIPOにおきましても、デジタル化とネットワーク化、こういったものの進展を踏まえまして新しい条約を三本検討されておるわけでございますけれども、その一つにも大きな課題として挙げられておるわけでございます。 現在、私どもも、職員を派遣して外交会議の中でさまざまな検討をしておるわけでございますけれども、そういったことも踏まえまして、マルチメディアについて著作権制度としてきちんと対応していくということについて、積極的な検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
戸井田徹
19
○
戸井田
委員 どうもありがとうございました。またいろいろ大変なことがあるのだろうと思いますけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 初土俵もやっとなれて落ちついてきたなと思うころに、目の前の時計が残り五分ということで、紙が持ち時間五分ということで来ました。 最後は、大臣へお伺いしたいのです。 こうしたマルチメディア時代にあっては、無断で他人の著作物を複製したり使用したりする事例が蔓延する可能性があると考えられるのですけれども、第一に、著作権の保護に対する国民の理解を促進することが極めて重要なことだろうと思います。 私、選挙区は関西でありますけれども、割と関西いうところは、物があって何ぼという、そういう価値判断というものが強いのですね。知的所有権みたいな、物も何もない、そういったものに価値があって、それに金を払うとかいうことになかなか発想がいきにくい地域だろう、そういうことを感じる部分もあるのです。 しかし、日本が国際社会の中でそういった行き方が通せるわけでもありませんしこういう知的所有権に対する理解を啓蒙、宣伝、そういう活動もまた必要なんだろうと思うのですけれども、そういうことに対して、著作権の保護憲識等を高める、今後どのようなそういう取り組みがあるのか、また、その辺の大臣の御所見をちょっとお伺いしたいと思うのですけれども、よろしくお願いいたします。
小杉隆
20
○小杉国務大臣
戸井田
委員が初当選後の初質問で、大変熱心に勉強された成果を御披瀝いただき、今、文化庁の小野次長との間でのやりとりを私も大変傾聴しておりました。 確かに、日本人の著作権に対する意識はまだまだ私は十分高まっているとは思えない。まして、これからマルチメディア時代が進んでいく中で著作権保護の実効性を高めるということのためには、この著しい情報伝達技術の進歩とかあるいは社会経済情勢の変化に即応した著作権制度の
整備充実
というものを不断に、絶え間なく図っていく必要があると考えております。また、今御指摘のように、一人一人の国民の著作権保護に対する意識というものを高めることも重要であります。 そのため、文化庁といたしましても、制度面での
改善
を検討するとともに、あわせて講習会の開催とか資料の発行などを通じまして、国民の著作権保護の意識の向上に努めているところであります。 特に、最近、大量に導入され、普及しているコンピューターに関しまして、ソフトウエアの違法コピーを防止する観点から、平成六年度から三カ年計画で、「コンピュータ・ソフトウェア管理の手引」という手引書を作成し、これを配布しております。 また、
学校
とか大学などでの著作権の適切な保護についての周知徹底を図っているところであります。 さらに、中
学校
の
生徒
が著作権について学習できるように、わかりやすい著作権読本というものを作成しまして、全国の中
学校
等に平成八年度から、今年度から毎年配布するということによりまして、中
学校
の段階から著作権保護憲識の向上を図るということにしております。 今後とも、急進展を続けておりますマルチメディアの時代に対応して、著作権思想の一層の普及に努めていきたいと考えております。 ありがとうございました。
戸井田徹
21
○
戸井田
委員 どうもありがとうございました。 早い、中
学校
の時期からそういう指導、普及に努めていくということで、著作権だけでなしに、介護、福祉の方のそういうあれもひとつ最後にお願いしたいなというふうに思っております。 どうもありがとうございました。
二田孝治
22
○二田
委員長
西博義
君。
西博義
23
○西委員 新進党の
西博義
でございます。 著作権法の一部改正案につきまして質疑をしたいと思います。 まず、質疑に当たって、私の質疑の趣旨を理解していただくために、今回の著作権法改正の背景になっております著作権の世界における国際的な動向といいますか流れ、これを私なりにお話をしてみたいと思います。 その中で、私、特に、平成六年四月に合意されましたWTOの協定及びその附属書として添付されておりますいわゆるTRIPS協定、これがどんな意味を持っているのかということを考えていくのは大事なことではないかというふうに考えております。 御存じのように、著作権に関する条約というのはベルヌ条約を中心としてでき上がっておるわけですが、その後、隣接権というものができて、ローマ条約が作成されました。そして、この隣接権の考え方は、著作物を新たに創作する場合にではなくて、既に創作された著作物を一般公衆に伝達する者に対して著作権に準じた保護を与えていく、こういうところの趣旨だというふうに理解をしております。日本でも、昭和四十六年の改正で著作隣接権が初めて創設されて、著作権の世界は、今は、一つは創作者の権利を定めた著作権、これと、この周りに伝達者の権利を定めた隣接権、この二つから成り立っている、こう思います。 ところが、特許権を初め著作権など包括的な知的財産権に関する国際的なルールをつくっていこう、こういう目的であろうと思いますが、TRIPS協定ができました。このTRIPS協定は、著作権の世界に大きな変化をもたらそうとしているのではないかというふうに考えられます。今までのベルヌ条約を中心とした既存の著作権の世界では、創作というのは著作者の人格の発現である、こういう考え方、そしてそれを侵害してはいけない、これが基本でありまして、著作者の権利のいわば保護に重点を置いたものでございました。 しかし、これらベルヌ条約等は、産業政策的な観点から見ると必ずしも適合しているというふうには言えない面もございまして、ある意味では柔軟性を欠いている、こういう理解もできるであろうと思われます。また、そういうふうに考えているのがアメリカなんかの考え方ではないかというふうに思っております。 アメリカでは、著作権法の目的というのは、不正なコピーをしてはいけない、こういうことで、財産的な利益にどちらかというと重点を置いた立法になっておりまして、いわば不正競争を防止するための法律、こういうふうに言ってもいいのではないかというふうに思われます。 アメリカは、一方、この著作権や特許権など知的財産権を重要な戦略的な武器だというふうに位置づけており、世界的な規模で知的財産権の強化、法律的な強化を図ることによって自国の産業の利益を確保しよう、こういう政策を展開しているように思われます。したがって、この目的を達成するために、既存の条約ではなくてTRIPS協定という、いわばアメリカ的な考えがかなり入っておるこの協定を中心とした枠組みをつくることをもくろんでおるのではないか、こういうふうにも思われるわけでございます。 さらに、最近では著作権のコンピュータープログラムヘの適用、これが行われておりますが、そういう意味で、著作権の産業政策上の重要性が増す一方で、技術的な著作物が出現しておりまして、創作性という概念からは少し
拡大
している面もあるように思われます。 TRIPS協定をターニングポイントとして、アメリカのように、知的財産権を戦略的に用いようとする考えが著作権の世界に入ってきたことによって、これまでの法体系の中ではますます整合性がとれなくなってくる事態になっているのではないかというふうな考え方もできます。 大臣は、WTOの特別委員会の委員でいらっしゃったと思います。その当時は農業問題が大変激しく論じられたときでありましたが、そんな中において、大臣はこの問題をあの委員会で取り上げておられたように思います。このような、私が申し上げた先ほどからの問題点といいますか、私なりの考え方を申し上げたわけでございますが、大臣も、最近の知的財産権をめぐる問題について、その当時、産業界の死活問題になりかねないという問題意識を持って質問をされておったということを拝見いたしました。 そこで、大臣にお伺いしようと思うのですが、アメリカのように、産業政策上、著作権を積極的に活用する、こういう方向に行くべきか、それと一も、従来のように著作者の権利の保護を重視するという方向を日本としてはとるべきかということについて、大臣の本当によく御存じの世界だと思いますので、ぜひとも御答弁をお願いしたいと思います。
小杉隆
24
○小杉国務大臣 西委員がアメリカのTRIPS協定に対する考え方、戦略的な考え方ということを御指摘になり、また、たしか二年前でしたか、私がWTO特別委員会で質問したときの議事録を引用されての御質問でございますが、今、産業戦略上なのか、あるいは著作者の権利の保護ということを重視するのか、いずれか、こういうお尋ねであります。 そもそも著作権制度というのは、著作物という人間の知的な創造活動の産物を保護する、こういうものであって、我が国の文化を支える基盤であるというふうに受けとめております。著作権制度によって著作者の権利が保護されることは言うまでもありませんが、知的活動を基盤とする産業にとっても、これは極めて重要な問題であるというふうに考えております。したがって、著作者の権利の保護と産業の発展というものは、相反する、二者択一の性格のものではないと私は考えております。 私としては、著作権制度が社会へ与える影響についても配慮しながら、著作者の権利を適切に保護し、そして、文化の創造の基盤としての著作権制度の発展を図ってまいりたい、こういう考えでございまして、決して産業上の利益と個人の著作権というものは相反するものではない、並立、併存すべきものである、こういうふうに考えております。
西博義
25
○西委員 今後、国際的にもさらに議論が続いているようでございますので、大変大事な時期であると思います。大臣の今後の御活躍、この方面についてのリーダーシップを期待したいと思います。 それでは、具体的なところで質問をさせていただきたいと思います。 今回の著作権法改正の直接的な理由となりましたTRIPS協定十四条、この解釈について、先ほどちょっと次長からお話がございましたけれども、再度確認させていただきたいと思います。 この問題は、ことしの二月、アメリカが日本をWTOに提訴したということから具体的な問題が起こりました。著作隣接権については、五十年前に遡及して保護すべしというのがアメリカの主張であり、条約上、遡及の範囲については各国が定める、こうされているというのが日本側の条約の解釈をめぐる論争でございました。 そもそも、それまで著作隣接権に関する国際条約であるローマ条約では、著作隣接権は不遡及、これが原則でした。それがTRIPS協定では、著作隣接権を遡及して保護しなければならない、こういうふうにされて、平成六年十二月、WTO設立協定等に関する特別委員会の中で、著作権法改正案の審議を経て、遡及については現在の著作権法が施行された昭和四十六年までさかのぼって保護される、こういうことになりました。 論争については、ことしの二月、同じ提訴された二月の下旬でございますが、橋本首相が訪米した折に政治決着が図られて、前回の改正からわずか一年余りで五十年前に遡及し直す、こういう今回の改正に至ったわけでございます。 そこで、今回の政府の、TRIPS協定十四条五項ですか、この解釈について改めて確認をしておきます。もちろん条約的なことですから本来は外務省マターだと思うのですが、政府としての考えということで文部省の方にお聞きをしておきたいと思います。
小野元之
26
○小野(元)政府委員 先生から御説明ございましたように、著作隣接権の遡及的な保護、遡及するということについては、従来、いわゆる著作権の世界におきましては余りないことであったわけでございます。 お話ございましたように、TRIPS協定の中でベルヌ条約第十八条を準用しておるわけでございまして、その十八条におきましては、各国が遡及的保護の原則の適用に関する方法を定めるというふうに記されておるわけでございまして、TRIPS協定の時点で、私どもも、アメリカやECその他の著作権の担当者等と私どもの担当者がいろいろな協議を行ったわけでございます。その時点におきましては、年数を含めまして遡及の範囲についても各国に大きな裁量の余地を与えているというふうに私どもも理解していたし、アメリカやEC等の担当者もそのように理解していたと私どもは思っておるのでございます。 したがって、私どもといたしましては、平成六年の法改正の時点におきましては、WTO加盟国の実演等につきましては、我が国に著作隣接権制度が導入されました。現行の著作権法が施行されました昭和四十六年一月一日まで遡及して保護する、これで当時の時点としては十分であろうと思っておったのでございます。 一方で、先ほど来御説明申し上げておりますように、先進国は同じ時期に、ある程度それぞれの国で法改正をしておったわけでございます。私どももできる限り各国の状況も把握しようと努力したつもりではございましたのですが、必ずしも十分な情報が入ってこなかったのも事実でございます。 結果といたしまして、先進国のほとんどが五十年さかのぼっておるということで、先ほど来お話し申し上げておりますように、ビートルズでございますとか、そういった著名なアーチストの作品について、隣接権が日本においては切れてしまっておる、保護の対象になっていないという事態ができたわけでございます。その時点で、アメリカのレコード業界、ECのレコード業界、それぞれ政府に動きかけられたと思うのでございますけれども、アメリカは二月九日にWTOに提訴されました。ECも、その後五月に提訴をされておるわけでございます。 私どもとしては、従来の解釈といいますか、ベルヌ条約十八条の解釈については、日本の解釈というのは外務省が最終的にお考えになるものでございますけれども、私ども文化庁としても、条約について解釈自体が間違っていたとは今でも思っていないのでございます。 ただ、先進諸国でほとんどの国が五十年遡及的な
拡大
をしておるということもございますし、日本の立場というのは、やはり先進国としてそういったものをきちんと守っていくということも大事なことでリ」ざいますので、私どもとしては、この八年一月一日から施行されたばかりの法律を同じ年内に改正をしなければいけないということで、しかも、この忙しい臨時国会の中でお願いしなければいけないということになったわけでございます。 国際的な調和を図るということで、さらには、アメリカやECもWTOに提訴をされておるわけでございますけれども、まだその個別の協議でございますパネルにまでは至っていないのでございまして、早急にアメリカ、ECからも法改正を要請されておるという点がございますので、この国会にお願いをしておるわけでございまして、解釈自体は私どもとしても間違っているとは思っていないわけでございますけれども、先進国との協調を図るという観点から法改正をお願いしておるところでございます。
西博義
27
○西委員 時間がもう半分たってきましたので、早くいきたいと思います。 著作隣接権の保護対象について、先ほどお話ありました。保護期間を二十五年から五十年に今度さかのぼるということで、その際、五十年前に行われた実演等についても遡及的に保護をしていくということでございます。先ほど、ほとんど例がない、隣接権に関しては不遡及の原則である、こういうふうにおっしゃられましたが、今回の五十年の遡及に当たって、保護期間が一度満了した実演が再び保護されるというケースが出てくることになります。 一般的には、長年
継続
した事実の状態を法が尊重してこれをみだりに覆さない、これが社会的な安定を図っているわけでございます。その一例として、時効、一たん時効になったも」のを再び持ち上げるということはない、こんなこともそうだと思いますが、一度満了となったものを再び保護するということは法律の一般原則を崩すということになると思います。先ほどの写真の例が逆の意味でちょうど裏表の関係になるかと思いますが、それについての御見解を伺いたいと思います。
小野元之
28
○小野(元)政府委員 まことに先生の御指摘のとおりでございます。 我が国の旧法下におきます例えば演奏歌唱といったものにつきましては、現行法の施行日、昭和四十六年一月一日以降は隣接権の規定が適用されるということになるわけでございますけれども、実は、これにつきましては、旧著作権法の残存期間、これは旧著作権法では著作者の死後三十年までということになっているわけでございますけれども、その三十年までを隣接権の保護期間とするというふうに定められておったわけでございます。 したがいまして、今回、この法改正を行わせていただくことによりまして隣接権を実演後五十年ということにするわけでございますので、現時点では既に切れたものについて、この法改正によりまして、お話ございましたように、遡及して再び保護されるということになるわけでございます。 これは、御指摘ございましたように、法律の一般原則からいきますと例外の措置になるわけでございます。例えば、私しども把握している例としては、「上海帰りのリル」でございますとか「ミネソタの即売り」といったような曲が昔にあったわけでございますが、そういったものが、今までは隣接権が切れているわけですが、今回の措置によって復活をするということになるわけでございます。 こういったものにつきましては、WTO加盟国のものは五十年遡及されるということがございますので、やはり内外無差別といいますか、内外の実演に関する保護のバランスを考えて、私どもとしては、確かに法律の一般原則を崩すものでございますけれども、やむを得ないということで、このことが今後の一般的な前例になるものではないと思っているのでございます。 一方で、写真家協会の方々の御主張とは先生御指摘のように全く裏腹の問題でございまして、写真家協会の御要望はまさにこの逆の話でございまして、一たん切れたものでもやはり保護してほしいという御要望も強いわけでございます。その点、大変私どもとしては心苦しく思っているのでございますけれども、この問題につきましては、内外無差別ということ、バランスを図っていかなければいけないということで御理解を賜りたいと思っでいるのでございます。
西博義
29
○西委員 今次長から、バランス論というお話がございました。著作権審議会の第一小委員会の報告でもこのバランス論が展開されておりまして、それが一つの根拠になっているというふうに理解をしております。 実は、平成六年の改正、いわゆる二十五年遡及のことでございますが、そのときには、そこまでの配慮はされておらなくて、いわゆるバランスはとられておらず、今回初めて五十年にさかのぼると同時にバランスの世界に踏み込んだ、いわゆる遡及の世界にといいますか復活の世界に踏み込んだというふうに思うのですが、遡及により保護の効力が今回及んだのは、WTO加盟国の実演等、それだけであります。これは、国内の実演が昭和四十六年以降既に保護の対象になっていた。こういうことでございます。したがって、先ほど来おっしゃっておられるこのバランス論をもって法律の一般原則を崩すというのは、法体系上問題があるのではないかというふうに指摘をしたいと思います。 もし御見解があれば、お伺いしたいと思います。
小野元之
30
○小野(元)政府委員 西先生の御指摘、確かにもうそのとおりなのでございます。 先ほど来申し上げておりますように、WTO加盟国に係ります実演等の保護について五十年遡及的に
拡大
するということがございますので、権利が一度消滅してフリーになっておるものについてむやみに保護の復活を認めるというのは、私どもも、法的安定性の問題あるいは法の一般原則と、いったものから、なるべく避けるべきだということは十分認識をしておるわけでございます。 いずれにしても、そういったことはあるわけでございますけれども、今回、ある程度限定された範囲の中で保護のバランスをとるという観点で措置をしたいということでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
西博義
31
○西委員 これに関連して、先ほどちょっと申し上げました写真の件でございますが、今回の法改正の範囲には当然入っておりません。私、承知しておりますが、問題点の一つとして指摘をさせていただいて、今後また検討の対象の一つとしてお考えいただければ幸いだというふうに思います。この件については、もうそれで終わらせていただきます。 それから、WTOやWIPOをめぐるこの動向を考えていきますと、今後の著作権法のあり方は、もはや一国で決めていくという時代ではなくて、国際条約や国際機関における審議というのが大きな影響力を持ってくるということが今回勉強させていただいてよくわかりました。 そうした国際的な影響を受けるこの著作権の世界に関して、今までの国会の関与の仕方でございますが、今回のいきさつを見ましても、果たしてこのままの状態でいいのか、つまり、国会が単なる条約の事後承認の機関になってしまっているような気がしてなりません。そういうふうなことにならないように、国際動向に注意を十分払いながら、できる限りこの著作権の問題を先行して、もしくは同時並行でも結構でございますが、審議できる体制をつくっていかなければならないのではないか、こう思います。 そこで、
委員長
にお願いでございますが、当文教委員会が、今現在も行われているそうでございますが、国際機関における討議の内容について早い時期に政府から何らかの説明を受けて、そして審議をしていける、そういう体制をつくっていただければという
委員長
に対するお願いでございます。
二田孝治
32
○二田
委員長
この種の問題につきましては、各党でも十分に御審議の上にこの委員会に臨んでいることと思われますけれども、
委員長
といたしましても、
理事
の方々と十分御相談申し上げまして対処させていただきたいと存じますので、御理解のほどをお願い申し上げます。
西博義
33
○西委員 ありがとうございました。 それでは、そういう前提で、最後に、今現在行われているWIPOの新しい条約の採択に向けての動きでございますが、その件についてお尋ねを申し上げます。 ただいまジュネーブの方で会議が開かれている最中だそうでございますが、たくさんの検討項目、私も拝見いたしました。その規定の中で、種々の問題があるのですが、一つは、現行の著作権法には規定されていない、著作隣接権に関して実演家の人格権、これを確立するように今取り組まれようとしているようにお伺いをいたしました。この状況と我が政府としての見解、これをお聞きしたいと思います。
小野元之
34
○小野(元)政府委員 お話ございましたように、現在、ジュネーブで、WIPOで三つの新しい条約が検討をされておるところでございます。一つは、基本条約でございますベルヌ条約の上乗せ部分を規定する、文学的及び美術的著作物の保護に関する特定の課題に関する条約というのが一つございます。それからもう一つ、先生からお話ございました実演家及びレコード製作者の権利の保護に関する条約、これが、著作隣接権に関しての基本条約でございますローマ条約とは別に新しい条約を検討されておるところでございます。 そういう中で、お話ございました実演家の人格権でございますが、これについては、すべての実演家に、WIPOの事務局から案が出ておるわけでございますけれども、そういった人格権といったようなものを導入するということについて国際的な議論が行われておるわけでございます。 私どもといたしましては、日本の国内におきますそれぞれの皆様方の御要望もあるわけでございます。そういったものを踏まえまして、今、会議が行われている最中でございますけれども、いずれにしても、そういったさまざまな御要望について政府部内でも検討しつつ、外交の場で、国際的な場でそれぞれについて理解を求める、あるいは部分部分については積極的に推進するという立場で努力を行っておるところでございます。
西博義
35
○西委員 ぜひとも積極的に隣接権における人格権の創設について頑張っていただきたい、こういうふうに思うわけであります。 その次の問題として、この著作権のうちの頒布権及び輸入権、これは一部同じ内容だと思うのですが、これについて、自由貿易を阻害しかねないという立場から、私個人としては、国際消尽頒布権といいますか、これが望ましいというふうに思っておるわけですが、このことについての動向並びに政府としてのお考え、これをお聞かせいだだきたいと思います。
小野元之
36
○小野(元)政府委員 現在議論がされております頒布権の問題でございます。頒布権につきましては、新たなこういったものを導入することについて、特に大きな反対といいますか、異論というのは余りないのではないかと私ども思っておるのでございます。 それから輸入権につきましては、これは各国でもかなり反対があるように聞いておるところでございます。もちろん、権利者にとっては大変大きな利益になるというメリットの部分があるわけでございますけれども、商品の流通でございますとか通商、そういった観点からいろいろな問題があるということで、そういった省庁からは慎重に対応すべきだというような御意見もあるわけでございまして、そういったものをすべて踏まえまして、諸外国の動向等もにらみながらそれぞれの課題について適切に対応してまいりたいということで、今、職員も派遣しておるわけでございまして、連絡をとり合っておるところでございます。
西博義
37
○西委員 時間も迫ってまいりましたので、最後の質問にしたいと思います。 今の会議の中で、既にウルグアイ・ラウンドで合意されましたTRIPS協定の祖父条項、この廃止の問題についてでございますが、いわゆるレンタルの問題でございます。今現在広く商行為として行われているレンタルの経済行為、これを阻害しようとする動きがあるやに聞いております。 レコードのレンタルというのは日本だけの特殊な商行為のようでございましで、この合意を今後とも日本としては、せっかくウルグアイ・ラウンドで合意をしたわけでございますので、尊重していくべきだというふうに国際的に最大限主張していかなければならない、こう私は思っておりますが、最後に文化庁としてのこの問題に対するお考えをお聞きして、終わりたいと思います。
小野元之
38
○小野(元)政府委員 今御指摘ございましたレンタルCD等の問題でございますが、実はこのレンタルにつきましては我が国とスイスだけがこういった制度があるということで、この問題につきましても、日本としては、この制度の基本的な考え方を各国に理解を求めるということで、こういったものに対する配慮が残るように今努力をしておるところでございます。 ただ、お話ございましたように、これにつきましては日本とスイスしか現実にそういったものをやっていないということもございまして、各国の対応は比較的冷たいといいますか、そういう制度が本当に要るのかという議論も正直言ってあるわけでございます。会議の状況が非常に厳しいということもございまして、私どもとしては、文化部長を急通、今週ジュネーブに派遣をいたしまして、こういった制度を各国に理解を求めるべく最大限の努力を今行っておるところでございます。ただ、客観情勢といたしましては、こういった制度を実施している国が非常に少ないということもございまして厳しいものはあるわけでございますけれども、最大限の努力を今しておるところでございます。
西博義
39
○西委員 文化庁のますますのこの知的財産権に対する御努力を期待して、質問を終わります。ありがとうございました。
二田孝治
40
○二田
委員長
次に、
福留泰蔵
君。
福留泰蔵
41
○
福留
委員 新進党の
福留泰蔵
でございます。 今回お許しをいただきまして、当文教委員会におきまして、今回の著作権法改正案、そしてそれに関連いたしまして、著作権の周辺にかかわる問題、日本の文化行政にかかわる問題等について御質問をさせていただきたいと存じます。 今まで種々議論ありまして、伺ってきたところでございます。今回の改正について私なりの感じ方といたしましては、どうも今回の改正は、総理大臣がアメリカやEC等に改正の約束をして、ある意味で言えば外圧によってこの改正を急ぐ必要が生じたというふうな感じがしているところでございまして、この十二月の臨時国会という審議時間も余りとれない状況の中での、時期での提出になったという感じがしている次第でございます。 今回の改正は国際的にも必要とされる改正であったと承知しているわけでございますけれども、これまでもさまざま議論があったとおり、著作権法にかかわる問題については種々まだ課題が残されているという感じがしているところでございます。外圧があって総理大臣が約束したから改正するというような姿勢については、私は大変色倶を抱いているという立場をまず表明したいと思います。 文部省が平成五年に「我が国の文教施策」を発表されまして、副題には「「文化発信社会」に向けて」というふうなことで発表されました。その前書きの中でも、 近年、心の豊かさを求める人々の志向を背景 として、一人一人が生きがいと潤いをもって充 奏した生活を営むことの大切さが広く認められ るようになっております。また、様々な困難や 摩擦が生ずる一方、相互依存が深まっている国 際社会の中で、我が国は、文化を通して国際貢 献することを求められるようになってきました。 と書いてございます。 そして、文化の振興を主要テーマとして我が国の文教施策、種々施策が取り上げられ、こういう方向で文化庁、文部省として文化施策を推進されていると理解しているわけでございます。 先ほどの文部大臣の趣旨説明の中にも、文化大国を日本としては目指さなければならないというふうな御趣旨のお話があったわけでございますけれども、まず文部大臣から、日本の文化の現状、そして文化大国を目指すに当たってのお考え——小杉文部大臣におかれましては、私の承知している範囲では、特に環境の分野で国際的に大変御活躍なさっているというふうな受けとめ方をしているところでございまして、そういう国際的な視野を大変お持ちの大臣だと認識しているわけでございまして、文化という面でも、国際的な状況の中での日本の文化の今の位置づけ、そして、これから国際的な社会の中で日本の文化がどうあるべきかというようなところについて御所見を賜ればと思います。
小杉隆
42
○小杉国務大臣 私が着任して以来、ヨーロッパの各国の文化大臣が私のところへ参りまして、ヨーロッパの状況を伺いましたが、大体どこの国でも、文化大臣というのは独立してあります。日本も、文部省の中の組織としては、ほかの局とはちょっと違って、文化庁という非常に高い位置というか、そういう位置づけになっております。 今先生が御指摘のように、人々が本当に豊かさを実感して潤いとゆとりのある生活を送るためには、やはり文化というものを国の存立基盤としなければいけない、そして、文化に対して重点的に投資を行っていく必要があると考えております。私といたしましても、今、予算の時期を迎えておりますが、文化予算の
充実
に最大限努力をしていく所存でございます。どうぞ、各党の皆様にも御協力をお願いいたします。 こうした文化立国の創造によって、文化による国際貢献を行っていく、そして、日本人が日本の文化にもっと誇りを持っていく、そのことによって世界から尊敬される日本になるというふうに考えております。 今まで文化庁としてはいろいろな施策をやっておりましたけれども、特に、今御指摘のありましたような文化の国際交流・協力の
充実
強化ということ。さらに、すぐれた舞台芸術や世界に誇るべき文化財の積極的な海外発信、こういうものがありますよという行動。三番目には、人類共通の貴重な財産である文化遺産の保存、修復への協力、これは種々やってきております。 そういう決意で今後の文化政策の
充実
に努めてまいりたいと思っております。
福留泰蔵
43
○
福留
委員 今、文部省の文部大臣としての御答弁しか伺えなかった感じがするわけでございます。 私が先ほど質問したもう一つの趣旨は、小杉大臣としての、国際的なさまざまな御経験に基づいて日本の文化をどうごらんになっていらっしゃるのか、そして、その日本の文化が、例えば国際貢献というお話もありましたけれども、貢献するレベルにあるのかどうか、文化後進国なのか先進国なのか、アジアの中で日本の文化はどうなのかということをお聞かせ願いたかったわけでございますけれども、大臣として何かその点について御所見があれば再度お尋ねしたいと思います。
小杉隆
44
○小杉国務大臣 私も、多くの外国の政治家とお会いしてよく言われることですが、日本は科学技術で非常に高い水準にあるというふうに、これはもう世界的な認識になっております。しかし、日本という国は、そういう超近代的な科学技術を持っていると同時に、非常に古い貴重な文化遺産を持っている、文化を持っている、文化と科学技術というものが両立している、そういうところが非常に驚きであるこういう感想をよく聞くわけです。 先日もシラク大統領が、もう四十二回目の訪日一になりますが、私も歓迎晩さん会等で御一緒したのですが、実に日本の文化に対する造詣が深くて、私が文化庁からにわか勉強でいろいろ仕込んだ知識を披露しようと思いましたら、むしろシラクさんの方から縄文式土器とか弥生式時代のいろいろな文物についての解説、ちょうど橋本総理の配慮で迎賓館に並べておりましたけれども、そういうふうに非常に造詣が深く、説明を逆に受けたような次第であります。 私は、世界の中で文化というものは非常に高く位置づけられている、それに比べて日本の文化政策というのはもっともっと
充実
させなければいけない、しかし一方において、日本が持っている文化あるいは文化遺産というものは非常に世界的にもすぐれたものであるという誇りを持っております。
福留泰蔵
45
○
福留
委員 私も、今大臣がおっしゃられたとおり、過去の遺産について、また日本の伝統ある文化については、世界に誇れるものがあると認識しているわけでございます。 文化といっても、現状の日本の文化を考えていきますと、先ほど西委員の方から、産業的に考えるのか、それを創造する立場から考えるのかという質問がありました。そこに対して大臣は、それは相反するものではない、そこに調和があるのであるというふうな趣旨の答弁があったわけでございますけれども、私は、今回の著作権法の勉強をさせていただく中で、どうもそれは相反しているのではないかと思わざるを得ないという状況があるような感じがしてならないわけであります。 というのは、文化といっても、それを創造する立場と、その成果を享受する立場の二つの側面があるのではないかと思っております。それは、先ほど西委員の質問の、産業としての文化、それからそれを創造する立場としての文化、そういうふうな立て分け方にも近いものがあるかと思います。そして私も、過去の遺産を守るとか。日本の伝統文化はすばらしいということは共通認識として持っているわけですが、どうも今の日本の文化の現状を見ていると、今回の著作権法の問題もそうですけれども、外圧によって改正をするという姿勢というのは、私は、文化に携わって、なりわいとしてそこで生活をしていらっしゃる芸術家、実演家と言われる方々が、日本の社会的な地位というものがそんなに高いのだろうか。そういう方々が本当に十分文化活動、文化的な創造活動に安心して取り組める環境に日本があるのだろうか。我が国の文化を見たときに、私は、極端な言い方かもしれませんが、後進国と言わざるを得ないのではないかというふうな見方をしているわけであります。 そういう意味で、これから日本が文化立国としていくためには、そういう過去の遺産を大事に保存していったりということも大事でしょう。それから、さまざまな美術館、博物館、箱物をつくっていくことも重要だと思いますけれども、私は、今回の著作権法でも提示されている問題でありますけれども、そういう文化に携わる方々の創造物である著作権、またそうした方々の権利というものをやはりしっかり保障する社会というものが文化先進国ではなかろうかと思っております。そういう意味で、今回の著作権法の改正は、遅きに失した感がありますけれども、一歩前進したと評価しているわけでございます。 そういう意味で、実は先ほど大臣が、産業戦略と、それから文化を創造する立場、それは相反するものではない、それは公式的にお話しになりましたけれども、実際、著作権法の改正についても、さまざまな御意見を伺うと、CDの問題で言えば、それを販売する人たちの産業の方々の御意見とそれをつくる側の意見が対立しているという現実があるわけですね。ですから、私は、文化政策を総合的に考えている立場からすれば、それを相反するものではなくして調和していくように考えていくべきだろうと思います。 しかし、私は、先ほど文化後進国とあえて申し上げましたけれども、そういう文化に携わる方々の社会的な地位を高めるということを考えるのは文部大臣じゃなかろうか、または文化庁じゃなかろうかと思います。そういう方々が一番頼りにするのはそこじゃなかろうかと思いますから、そういう調和を保つ、相反する立場ではないという言葉はわかりますけれども、できれば、産業的な立場よりももう少し創造する立場に立った文化行政というものをぜひともとっていただきたいと思うわけでございます。大臣として何か御所見があればお願いします。
小杉隆
46
○小杉国務大臣 基本的な認識においては、私とそう変わらないと思います。決して私は、文化というものが産業に奉仕する、産業に従属するものであってはならないと思っております。やはり文化は文化として独立の基盤が与えられなければいけない。そういう意味で、私は、先ほど申し上げたように、文化と産業というものは両々相まってお互いに発展をしていくということが望ましいと思います。 今回の著作権法の改正を一つのまた契機として、文化に携わる方々の社会的な地位の向上とか、あるいはそういった意識を国民に植えつける一つのきっかけになればというふうに願っておりまして、今後ともそういう姿勢で臨んでいきたいと思っております。
福留泰蔵
47
○
福留
委員 ちょっと具体的なことで質問をする時間が少なくなりましたので、今そういう視点から具体的なことで質問をさせていただきたいと思います。 まず、これはこの改正案の中に入っていないのですけれども、映画に関する実演家、監督、メーンスタッフの権利の見直しについてお尋ねしたいと思います。 映画に関する著作権保護上の問題は現行法成立時からの課題でありまして、これまでもこの点に関して衆参の文教委員会で一二回の附帯決議がなされているわけです。映画というものは、まさしく音楽あり演劇あり、また舞台装置あり衣装あり照明あり、さまざまな文化のいわゆる総合芸術だと言われているわけでございます。 こういう今の日本の映画産業というもの、産業としてとらえるとあれですけれども、それは日本の文化の一つの象徴だと思いますが、諸外国に比べて決していい状態であるとは言えないと思うわけでございまして、そういう中で、この映画に関する著作権保護上の問題というものほかねてから言われてきているわけであります。 衆参の文教委員会の附帯決議も、例えば、平成四年十一月二十六日、第百二十五臨時国会衆議院文教委員会で、 録音・録画された実演の利用が多様化している 等の実態を勘案して、映画監督、実演家等の権 利の適切な保護等について検討すること。と附帯決議されておりますし、また、平成四年十二月七日、第百二十五臨時国会参議院文教委員会の著作権法一部改正案に対する附帯決議でも、 衛星放送、有線テレビ、ビデオグラムの発達等 により録音・録画された実演の利用が多様化・ 増大化している等の事情を考慮し、映画監督、 実演家等の権利の適切な保護等について検討す ること。等の内容の附帯決議がなされております。 これまでも議論がありましたけれども、映画の利用が多様化している現在、このマルチメディアの時代も踏まえて、実演家、監督、メーンスタッフの権利のあり方について抜本的な検討が行われるべきであろうと思います。 この実演家等の権利については、著作権法の第九十一条、第九十二条で基本的には認められておりながら、同条第二項では除外規定を設けて、実態的には認められていないという状況であると認識しているわけでございます。 こういうふうなことを考えていきますと、この第九十一条、第九十二条、また、監督、メーンスタッフについては同法の第二十九条一項、これの改正またはそこの除外規定についての削除が早急になされるべきではないかと考えるわけでございますけれども、これについて文化庁の御見解を伺いたいと思います。
小野元之
48
○小野(元)政府委員 今お話にございましたように、私どもも、映画というのは国民の大変身近な芸術であり、娯楽であり、多くの人が映画を楽しんでおるわけでございます。そういう中で、先生御指摘ございましたように、実演家、監督等の権利をもっと適切に保護すべきではないかという御質問だと思うのでございます。 私どもといたしましては、先ほど附帯決議のお話もあったわけでございますけれども、そういったことも踏まえまして、特に問題になっておりますのは、映画の二次的利用についての著作者や実演家の権利をきちんと確保すべきだという点だと思うのでございますけれども、この点につきましては、平成四年に文化庁の中に映画の二次的利用に関する調査研究協議会というのを設けまして、実はここで約二十回議論を重ねてきておるところでございます。 ただ、この会議の中で、実演家や映画監督等の方々と映画製作者でもございます映画会社等の意見の間には実は大変大きな隔たりがあるわけでございます。今のところ、検討の結果がまとまるということには至っていないわけでございます。 一方で、お話にございましたように、こういった二次的利用について実演家の権利をきちんと確保すべきではないかという御主張があるわけでございます。 私どもといたしましては、現在、マルチメディアが大変進んできておるわけでございますけれども、こういった問題につきましても、著作権審議会のマルチメディア小委員会を開いておりまして、この中で実演家の権利のあり方について検討を行っておるのが一つあるわけでございます。それから、先ほど来議論が出ておりますWIPOにおきます新しい条約につきまして、実演家の権利のあり方についても検討がなされておるところでございます。 私どもとしては、こういった動向を踏まえまして、実演家や映画監督等と映画会社等の間の適正な関係を築いていかなければいけない。それから、制度上の対応も含めまして、審議会でもこういった国際的な動向を踏まえながら検討しておるところでございまして、今後さらに積極的な検討をしてまいりたいと思っておるところでございます。
福留泰蔵
49
○
福留
委員 今次長の方から御説明がありまして、映画の二次的利用に関する調査研究協議会等をつくられて検討をされていたという話、私も承知しております。今、その審議の中身については詳しく御報告はなかったように感じましたけれども、私の聞いているところでは、結局、その実演家の団体と製作者また映画会社等の意見は、どうしても利害が対立しますからまとまらないという状況になるのではないか、現状もまとまっていないというふうに聞いているわけでございます。 これは先ほど冒頭私が大臣といろいろ議論させていただいたことになっていくわけでありますけれども、どうか文化庁としては、文部省としては、実演家の方々の立場にできるだけ立っていただいて、どうしてもその利害を言ってしまうと、当事者同士の話し合いに任せていくと、それは結論は出ないだろうと思います。それが結論が出ないのであれば、やはり
早期
に法制度の整備をやっていかなければならないと思うわけでございまして、それは時期的な問題があろうかと思いますけれども、この点についてはやはり
早期
に法改正を含めた検討がなされるべきではないかというふうに思っております。 今、WIPOの件についてもお話がありました。私の方からもWIPOについて御質問させていただきたいと思っておりましたので、関連して、引き続きWIPOの件について質問をさせていただきます。 今、ジュネーブで、世界知的所有権機関、WIPOで議論がなされているということでございます。その中で、実演家及びレコード製作者の権利の保護に関する条約の検討がなされているということでございまして、これはローマ条約以来三十五年ぶりに検討されている新たな国際的規則であるというふうに言われているようでございますけれども、このWIPOで今議論されている中身について、先ほど西委員の方から、別途またその中身について報告を受けて議論する場を設けてほしいという要請がございましたけれども、今できれば御報告できる状況の中で、先ほどの西委員の答弁も伺いましたけれども、もう一つ深く、実態的にアメリカの立場はどうなのか、そしてヨーロッパの立場はどうなのか、その中で日本はどういう立場で今その会議に臨んでいるのか、この日本のスタンスをはっきりしていただいて御答弁いただきたいと思います。
小野元之
50
○小野(元)政府委員 御指摘ございましたように、私ども文化庁といたしましては、実演家の方々の権利保護を適切に図っていくということは非常に大切なことだと思っておるわけでございます。 そういう意味におきまして、先ほど来、二次的利用についての協議会を開いておったわけでございますけれども、正直言いまして、意見が大きく食い違っておるということで、まとまっていないわけでございます。 基本的な問題としては、実演家の方々にしてみれば、映画に出演した場合に、そのときに出演料が払われるわけでございますけれども、それはその映画が劇場で公開される分だけではないかというのが実演家の御主張でございます。一方で、映画会社の方といたしましては、映画産業、非常に財政的にも厳しいということもございまして、ただ劇場へ配給されるもの以外に、例えば衛星放送で流れるとかテレビで流れる、そういったところでのいわゆる二次的使用についての報酬といいますか、そういったものを含めて最初のときに一回払っているのだというのが映画会社側の主張でございまして、この両者については意見がかなり食い違っておるわけでございます。 実は、WIPOの中で、新しい条約として、実演家及びレコード製作者の権利の保護に関する条約案が先ほども御答弁申し上げましたように検討されておるわけでございますけれども、この中で、各国の考えもかなり食い違っておるわけでございます。 私ども文化庁としては、芸団協等も所管している立場もございまして、実演家の方々の適正な権利保議を図られるというのが一つの大きな願いとしてあるわけでございますけれども、政府全体の立場といたしましては、例えば映画会社の御意見、そういったものも考えていかなければいけない部分があるわけでございます。 いずれにいたしましても、私ども、職員を派遣しておりまして、新しい条約におきまして実演家の適正な権利保護を図られますように、私どもの立場としても努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
福留泰蔵
51
○
福留
委員 もう少し深くWIPOの対応について議論をさせていただきたく思っているのですけれども、残り時間がなくなりましたので、一言だけこのWIPOのことについては要望を申し上げて、最後にもう一つ質問をさせていただいて、終了させていただきます。 私の承知している範囲ては、アメリカとヨーロッパが意見が対立している、また、この条約の中身について、その対象とする固定物を音だけに限るのか、音と影像にするのかということで立場が分かれている、A案とB案と分かれている、つまり、アメリカは音だけにしてほしい、ヨーロッパは音と影像を加えてほしいという立場だと聞いております。 また、その中で、先ほど西委員の方からも質問がありましたけれども、人格権の問題についても、アメリカは、この人格権を基本的には音楽の実演に関して有するというふうに限定をしたいという立場であるようでございます。 先ほどアメリカの産業戦略というふうなお話もございましたけれども、基本的に、こういう芸術に携わる実演家の皆様の環境というのは、アメリカと日本が根本的に違うのは、アメリカは契約社会であって、そういう方々の権利というものが契約できちっと守られているという点で大きな違いがあるのだろうと思います。日本はまだそういう契約関係ができない。日本の今の芸術に携わられる方々の契約というのは、ある意味で言えば、もう非常に立場の弱い状況の中で一方的な関係があるように仄聞しているわけでございます。 そういうことで考えていきますと、アメリカの主張というものは、それをひとつ考慮した上で我々は考えていかなければならないと思っておりますし、そういヶ観点から、ぜひとも文部省としては、このWIPOについては実演家の方々の立場に立った条約改正——私が先ほど来お話ししているとおり、どうも中からは変わりようがありません。条約を変えて、そして、こういう条約が決まったから法律の改正をしようではないかということで進めるしかないのかなというふうな感じがしているわけでございまして、ぜひその条約改正、一生懸命やっていただきたいと思います。 WIPOには、文部省だけではなくして、通産、郵政、外務と四省の代表が出ているということでございまして、日本の中でまた通産、郵政はそれぞれ産業の立場からのいろいろな御意見があろうかと思いますけれども、どうか文部省、頑張っていただいて、実演家の立場に立った条約の草案がまとまるよう頑張っていただきたいと申し上げたいと思います。 そこで、最後に、実演家の方々のお話の中で一点だけ、これはせっかく労働省に来ていただきましたのでお尋ねします。 芸術家の地位に関するユネスコ勧告というのがかつて出されまして、それに基づいて日本の文化行政というのが進められてきたことを承知しておるわけでございますけれども、今申し上げたとおり、日本の芸術に携わられる方々の地位というものが大変弱い状況にある。その一つの課題が、さまざまな社会保障制度が整備されていないという状況もあるわけでございます。 この社会保障制度の中で、特段、例えば労災保険の問題等についてもさまざま指摘があるところでございまして、これについて労働省の方でさまざまな取り組みがなされているというふうにも聞いておりますし、かつて浜本労働大臣に対して、芸団協でしたか、何か申し入れがあったというふうに聞いておりますけれども、その後の経過と、こういう実演家の方々に対する、社会保障といったら厚生省も関連するのだと思いますけれども、労災関係、労働者と認定するのか、そういうふうな考え方についてお尋ねをしたいと思います。
青木豊
52
○
青木
説明員 労働基準法あるいは労災保険法を初めとします労働基準関係法令においては、労働基準法九条の労働者に当たるかどうかということで適用が決まってまいります。 その労働者については、「事業に使用される者で、賃金を支払われる者」というふうになっております。これの具体的な判断については、業務遂行上の指揮監督の有無でありますとか、時間的、場所的な拘束の有無等を総合的に勘案して、具体的なケースによって判断するということでやってきております。 しかし、芸能者の方々については、特に、労働者に当たるかどうかという判断が非常に難しい場合がございます。そういうこともございまして、専門家の方々に、こういった労働者性の判断についての具体的な基準について平成六年から検討をお願いしまして、先般、ことしの三月におまとめいただきました。具体的なそういった判断基準もまとめられましたので、そういったものを参考にしながら、労働省としては、労働者性の判断に当たって具体的に的確に適切に進めてまいりたいというふうに思っております。
福留泰蔵
53
○
福留
委員 時間が来ましたので終わりますけれども、さまざまな芸術、例えば映画制作等の場での事故等が多発していることも聞いておりますし、その際に労災適用が受けられないということも聞いているわけでございます。現行法でそれが対応できないのであれば、新規に芸術家を対象とした制度を整備するための法律も必要になるのではないかなという感じもしておりますけれども、とりあえずそういう方々の状況があるということをよく御理解いただいて、ぜひとも安心してそういう芸術創造活動に携わることができるような社会をつくっていただけるよう、文部大臣、また労働省も来ていただいておりますので、取り組みをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
二田孝治
54
○二田
委員長
次に、
肥田美代子
君。
肥田美代子
55
○肥田委員 民主党の
肥田美代子
でございます。どうぞよろしくお願いします。 質問に先立ちまして、小杉文部大臣、御就任おめでとうございます。私は思うのでございますけれども、さっそうと走られる文部大臣が、
子供たち
のために、
子供たち
が主人公の
教育環境
をつくってくださることを大きく期待いたしております。 そこで、第一の質問は、通告を申し上げてなくて大変恐縮なのでございますが、今、日本の
子供たち
が文化的に大変恵まれているかどうか、大臣の率直な御意見をお一つだけ伺いたいと思います。
小杉隆
56
○小杉国務大臣 最近、テレビを初めいろいろメディアが発達しておりまして、
子供たち
には情報量は非常にたくさんふえてきていると思います。しかし、みずから文化に親しみ、文化を育てるという面からいいますと、まだまだ
充実
している環境とは言いがたいと思います。
肥田美代子
57
○肥田委員 それでは、著作権法の質問に移らせていただきます。 著作権法は、「思想又は感情を創造的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」を著作物として定義しております。私たちは、こうした作品に触れることで、先人たちの思想や精神的な営みを感じたり知的興奮を覚えるのであります。だから、作品の保護にかかわる著作権の内容と質はその国の文化のレベルをまさに表現するものと私は考えます。 日本は、経済ばかりではなく、深みのある文化を育て、それを保護して、著作権の内容において文化先進国と評価される国にしたい、私はそう願っております。著作権に対する文部大臣の基本的なお考え方を伺いたいと思います。
小杉隆
58
○小杉国務大臣 そもそも著作権制度というのは、文化的な所産である著作物の創作意欲を高め、豊かで文化的な社会を構築するために必要不可欠な法的基盤である、こう考えております。 近年、コンピューターの導入とかデジタル化の進展及び国際的な動向を踏まえまして、従来から時代に合った改正を行ってきているところであります。文部省としては、まだまだ時代は非常に急進展しておりますし、国際的な状況も刻々変わっておりますので、そういった状況を踏まえつつ、社会的な要請にこたえるために、タイミングを逸することなく制度の
改善
に努めていきたい、こう考えております。
肥田美代子
59
○肥田委員 アメリカが日本の条約解釈の誤りを理由にWTOに提訴したのは二月九日であります。それから約二週間後の二月二十三日、橋本首相は、訪米の際の記者会見で、著作権問題に関連して先進国を見習う必要がある、そういうふうに発言されました。この発言を私は評価しております。しかし、時間の経過から見まして、外圧で動いているという印象を受けるばかりか、受け身の姿勢を感じるのであります。 作者とその作品を守ることは日本と世界の文化を継承、発展させることでありますが、もっともっと文部省として能動的に、むしろ政治家がもっともっと強い姿勢でこういうことに積極的なリーダーシップをとるべきだと思うのですけれども、いかがお考えでしょうか。
小杉隆
60
○小杉国務大臣 肥田委員は童話作家としてこうした問題に非常に熱心に取り組んでおられることに敬意を表しております。 先ほど来、外圧という言葉がありましたが、著作権問題については、日々刻々、日本の中でも、あるいは国際的にも状況が変化しておりますし、非常に急テンポでこの分野の論議が進んでおります。 それで、今回の改正は、結果から見れば、著作権保護という面では大変な進歩であるというふうに私は考えております。先ほど来申し上げているように、私たちは、これだけ日本が国際化した今日、やはり国際的な動向というのは無視できませんし、また、日本がアジアにおける文化の先進国という立場から考えましても、タイミングを失することなく政策的な判断をしていくということが必要だと思います。私どもは、アメリカやヨーロッパがそうやったから追随をしたということよりも、日本の今置かれている状況あるいは国際的な動向も勘案しながら、主体的に政策的に判断をして今回の改正に踏み切ったということであります。 今後も、いろいろ状況の変化に応じて、著作権保護という観点から累次の改正をまたお願いすることになろうかと思いますが、その辺はひとつよく御理解をいただきたいと思います。
肥田美代子
61
○肥田委員 民主主義は公平と平等が基本になっているということはもう言うまでもありませんけれども、私は今、文化的民主主義という概念をイメージしているわけでございます。それは、いろいろな作品の保護に当たって不平等とか格差が出てはいけないというふうに思っております。すべて公正に扱ってほしい。 アメリカは、今も過去もでございますけれども、写真についてはかの分野と同じように扱っていると私は理解しておりますけれども、これはやはり文化的民主主義の姿を示したものである、そういうふうに感じます。このアメリカの写真保護についてどうお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
小杉隆
62
○小杉国務大臣 確かに、従来、写真の著作権保護については日本は少しおくれていたと思いますけれども、今回は相当
改善
をされたと思っております。 米国の著作権法におきましては、写真の著作物は、絵画、図画及び彫刻の著作物として保護されておりまして、その保護期間は、著作者の生存している聞及び死後五十年となっていると承知しております。今回の改正によりまして、まさに同じ内容のものになったと理解をしております。
肥田美代子
63
○肥田委員 今回の改正で、写真の著作権もやっと作者の死後五十年ということに改められることになりました。しかし、フランスとかスペイン、ポルトガルでは、既に一九五〇年代に、写真家の死後五十年以上の保護期間を認めている。日本はそれにおくれること約五十年でございます。実に遅きに失したという感じを私は持っております。 しかし、レコードがさかのぼって保護されるのに対して、写真の作品は、今回の改正でも、さかのぼった保護がなされないのであります。このために、やはり現役の写真家たちが保護を受けられないという不条理が出てくるわけでございます。私は、日本が光り輝く文化国家というならば、やはりすべてに対して平等な扱いをしなければいけないと思うし、それこそが今回の法律の理念ではないかと思うわけですね。 先ほどから文化庁の方では、心苦しいというお言葉もございました。私は実に本音をおっしゃっていただいていると思います。そして、聞いておりますと、利用者と著作者両方を本当に大事にしているかなど考えますと、どうも利用者の方に少し偏っているのではないかという感じもいたしました。大きく声を上げた者が保護される、強い立場に立っていくというのは、文化の中では私は認めるわけにはいかないわけでございます。 写真家たちが生きている間に自分の作品の著作権がなくなるということを、文化庁、頭を少し絞っていただいて何とかならないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
小野元之
64
○小野(元)政府委員 先ほど来お話が出ておりますように、過去の著作権の保護期間というものが、写真につきましては公表後十年というのが原則で、ずっと続いてきておったわけでございます。実はその間に、ほかの分野につきましては三十三年に延びたり、それぞれ延びていたわけでございますけれども、写真につきましては、若干、歴史的な経緯といいますか、もともと著作者名の表示を欠くような例が多かったこととか、国際条約上も他の著作権の保護期間とは異なる取り扱いがなされていたといったこともございまして、正直に申し上げまして、従来の立場からいきますと、写真については、保護の期間が必ずしも十分でなかった期間が長かったわけでございます。 今回、写真家協会の長年の御要望でございました。原則でございます著作者の死後五十年に改めさせていただきまして、その意味では、写真の著作権の保護期間が実態としてはかなり長く延びるわけでございます。 しかしながら、先ほど来お話が出ておりますように、既に切れてしまったものについて、これも、過去に十年というのが非常に短過ぎたのだから、今の時点でさらに検討して何とかならないでしょうかという御要望があることも、私ども十分承知をしておるわけでございます。 ただ、この点につきましては、先ほどから法的安定性の問題も出ておるわけでございますけれども、既に写真を利用したデータベースなんかもつくられております。今までフリーでございましたものが、あるとき急に許諾が要るということになりますと、やはり写真の利用も、マスコミもございますし、出版もございますし、放送もあるわけでございまして、そういった利用者の反対ということも当然予想されるわけでございます。 一方で、私どもも、そういった問題につきまして著作権審議会の中で、写真家協会の方々も入っていただいて十分議論を尽くしてきたわけでございますけれども、審議会の中でも反対の意見が非常に強かったということもあるわけでございます。 ただ、先ほど来御答弁申し上げておりますように、著作権のあり方につきましてはWIPOでもさまざまな議論が行われておるわけでございまして、そういった国際的な動向も踏まえながら、写真家協会の御要望も十分踏まえながら、引き続き検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
肥田美代子
65
○肥田委員 今のお答えの中で、引き続き検討したいというそのお言葉に私は一続の望みを持ちたいと思います。 ただ、もう一回お聞きしますけれども、この法案の中で遡及と不遡及が同居しているのですけれども、これについて、私たちはどういうふうに理解したらよろしいでしょうか。
小野元之
66
○小野(元)政府委員 この法案の中で、WTO加盟国の著作隣接権につきまして五十年ということを、保護的な
拡大
を図ったわけでございますけれども、それに関連いたしまして、内外無差別といいますか、従来既に切れていたもの、ごく一部あるわけでございますけれども、それについては、WTC加盟国のものと我が国のものを違う取り扱いというのも問題があるわけでございまして、ある程度例外的かつ限定的な範囲で確かに遡及的
拡大
を図ったわけでございます。 そういう意味で、一部保護が切れたものにつきまして復活させたということはあるわけでございますけれども、ただ、これは、写真家協会がおっしゃっておられるような、既に切れたものでも全面的に復活させるということではないわけでございまして、例外的かつ限定的な範囲の中で復活ということをとっておるわけでございます。 いずれにしても、この点についてはやむを得ない措置というふうに私ども理解をいたしておりまして、御理解をいただきたいと思っているのでございます。
肥田美代子
67
○肥田委員 物をつくる立場は私の方も共通でございます。生きている間に自分のものの著作権がなくなるというのは本当に寂しいことでございますので、大臣、この点についてもう一度、将来的にわたってでございますけれどもお考えいただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
小杉隆
68
○小杉国務大臣 私も長い間環境問題に取り組んでおりまして、やはり利害の対立というのはどこにでもあるわけですね。世界の中でも先進国と途上国、あるいは同じ先進国の中でも日本、EU、アメリカ、それぞれ利害が違いますし、また、特に今回の著作権についても、今お話しのとおり、著作者と利用者との利害の対立というものは非常に大きいわけでございます。 行政の立場でいうと、やはりバランスということを考えていかないとやっていけませんので、今次長から御説明のとおり、写真の件に関してはもう既にいろいろ写真を利用したデータベースが構築されていて、さまざまな形で利用関係が形成されているということで、権利を一回消滅したものをまた復活させるということについては、既存の利用関係に重大な影響を与えるということで、しかも、放送局を初め出版社、新聞社等でも反対が非常に根強い、こういう状況の中で我々も苦慮しているわけで、今直ちにこれを受け入れるのは困難であると言わざるを得ないわけでございます。著作権審議会でもいろいろな意見を出していただいて審議をしてきたところですが、大勢としてはやはり反対の意見が強かった。こういうことでございます。 ただしかし、考え方として、今後、環境問題もそうですけれども、やはり弱い立場の人の側に立った考え方、そういうものも十分踏まえて議論をしていくことは必要だと私は思っておりまして、今回は残念ながら御要望にこたえられませんけれども、今後の事態の進展については、今まで弱い立場にあった人たちのことも十分勘案しながら行政は進めていかなきゃいけない、そういうふうに考えております。
肥田美代子
69
○肥田委員 最後の質問にさせていただきます。 電子図書館化についてなんですが、今、国会図書館の関西館でもそうですし、平成十年に完成します国際子ども図書館もそうですけれども、電子図書館化をプロジェクトとして研究段階に入っております。 それで、その現場の人たちがちょっとおっかなびっくりでやっていらっしゃるのですね、これは権利に触れないかどうかということで。ですから、その辺について、大丈夫なのか、それともどこまでが危ないのか、少し御説明いただきたいと思います。
小野元之
70
○小野(元)政府委員 お話がございました電子図書館の構想、各地でいろいろ進んでおると私ども聞いておるわけでございます。マルチメディアの発展に伴いまして、多種多様な著作物が大量かつ多様にさまざまな形で利用されるということがあるわけでございまして、権利処理がより円滑に行われるようなシステムというものを私どもとしては構築していく必要があるというふうに考えておるわけでございます。 そういう意味で、私どもとしては、著作権審議会の中にマルチメディア小委員会を設置していただいておりまして、この中で、権利者と利用者の双方が協議を行う場をつくっていく、あるいは著作物の適切、円滑な権利処理ルールを確立していくことが必要である、あるいは権利情報を一元的に提供していくための著作権権利情報集中機構等をつくっていく必要があるということ等も提言をいただいておるわけでございます。 マルチメディアヘの対応というのは、現行の著作権法でも十分対応できるところはたくさんあるわけでございますけれども、しかし、その利用の形態が非常にさまざまでございますし、今までなかった利用の形態がどんどん出てきておるわけでございまして、こういったものにきちんと対応していくということも大切なことだと私は思うのでございます。 実は、この電子図書館構想につきましては、私どもの文部省全体の研究機関でございます学術情報センターでいろいろ御研究もされておるというふうに聞いておるわけでございますけれども、例えば学会誌をその構想の中で使われる場合に、権利者であります学協会との間で適切な権利の処理ルールをつくろうということで、いろいろ話し合いを行っておられるということも聞いておるわけでございます。そういう意味で、利用する側と権利者の側との協議というものがいろいろな形で進んでいくということが望ましいことではないかと思っておるわけでございます。
肥田美代子
71
○肥田委員 法律が後追いするのではなく、どんどんと先に制度をつくっていただいて、現場の人たちが本当に安心して新しいシステムに取り組めるように頑張っていただきたいと思います。 終わります。ありがとうございました。
二田孝治
72
○二田
委員長
石井郁子
君。
石井郁子
73
○
石井
(郁)委員 日本共産党の
石井郁子
でございます。 著作者、芸術家の権利を守ることは、将来にわたって文化の創造的な営みを保障するために欠かせない条件であることは言うまでもありません。日本共産党はこれまで、著作権法を日進月歩の技術革新の実態に見合うように速やかに改正し、芸術家の著作権を守ることは急務と考えてきたところでございます。 今回の著作権法の改正で、今問題の写真の著作物の保護期間が一般の著作物と同様に著作者の死後五十年までということになりました。写真家の方々の悲願が実ったわけでありまして、本当に前進だというふうに思います。私自身も、一九八八年の著作権法改正のときには国会、文教委員会におりまして、この保護期間の問題を質問したことがございます。そのときに、公表後五十年を死後五十年に改めるべきだということで主張したわけで、それを今思い起こして、私にとっても感無量だというふうに思っておるところであります。 しかし、既に議論されているところでありますけれども、保護期間が切れた写真の保護の問題ということで、今回の改正をもってすべてよしとするわけにいかないということでございます。 文化庁の方からもいろいろお答えがあったとおりですけれども、ちょっと具体的に見ていただきたいというふうに思うのですね。 これは日本写真家協会会長の田沼武能さんの作品でありますけれども、平成八年八月二十五日に発行されているのです。東京の「下町今昔物語」という写真集ですね。この中では、百三十一ページ中三十六ページ、二七・五%が一九五六年以前のものなんですね。だから、法改正ではこの部分が脱落をすることになるわけです。この方はまだ六十七歳で存命中でございますから、無断使用されても法的権利が主張できないという問題ですね。 それからもう一点ですけれども、これは土門拳さんの「こどもたち」という写真集なんですが、九五年九月一日の初版発行です。これですと、百五十九ページで八十九ページ、だから五六%が一九五六年以前のものということになるわけであります。ですから、もしこの八十九作品を全部精密にコピーして発行して大ベストセラーになっても何も請求できないという、いわば無権利状態ということになるわけですね。 ですから、これまでも議論されましたが、レコードなどの著作隣接権の保護期間が五十年前にさかのぼるということで遡及的保護ということになったわけですから、なぜ写真がそうならないのかという疑問が多くの方にあるのは当然であります。だから、この写真についてもぜひ遡及して保護してほしい、こういう関係者からの強い要望があるのはもう文化庁御存じのとおりであります。 そこで、私は、答弁を繰り返していただくのは結構ですから、肥田さんの質問も今ございましたけれども、ここは大臣に重ねて、今改正ではできなかったけれども、今後の改正というか、今後の保護のこういう措置についてぜひ強い御決意を伺いたいなというふうに思います。
小野元之
74
○小野(元)政府委員 先ほどお話がございました写真集等ございますが、現実に、出版におかれましては出版界の慣行がございまして、旧法を機械的に当てはめるのではなくて、仮に保護期間が切れた写真等が含まれておる場合であっても、出版界の慣行としてはそれについても含めた印税を払っておられるというのが実態であるということはお聞きしておるのでございます。 それからもう一点は、昔の写真等を放送局や出版社等で、例えば、特に放送局では資料映像で使っておるわけでございますけれども、大変有名な写真家の方の写真というのはある程度わかるわけでございますけれども、これはプロの方以外にアマチュアの方の写真もすべて同じ権利が働くわけでございまして、仮に今までフリーだということでいろいろ使われていたものが、データベースもつくっておるわけでございまして、それを遡及的にすべて一律に権利を復活させてしまうということになりますと、やはり既存の利用関係に重大な影響を及ぼすことは事実なのでございます。 そういったこともございまして、先ほど来御答弁申し上げておりますように、写真家協会の御意見、本当によくわかるわけでございまして、昔十年というのは非常に短かったことも私は一つの反省材料だと思っておるのでございますけれども、国際的にも条約の検討も進められておるわけでございまして、そういう中で引き続き一つの課題として検討させていただきたいと思っているのでございます。
小杉隆
75
○小杉国務大臣 今具体的に、写真集を持ってこられて指摘をされまして、そういうお話を聞きますと大変胸が痛むのでございますが、今回の改正については先ほど来答弁しているとおりでございますが、今次長からもお話しのとおり、写真の著作物についてはこれからも大量かつ多様な利用が予想されるということで、保護の問題、より一層重要になってくると思います。 そこで、文化庁、文部省としても、今後、写真の著作物の適切な保護のあり方について十分検討していきたい。しかも、今WIPOにおきまして検討されております新条約がどうなるかというようなことも、十分そういった国際的動向も留意しながら検討していきたいと思っております。先ほど肥田委員にもそういうお答えしたのですけれども、今後十分検討して前向きに対処していきたいと思っております。
石井郁子
76
○
石井
(郁)委員 どうぞそのようによろしくお願いをしたいと思います。 次に、実演家の権利保護の問題でお伺いをいたします。 これもるる言われているように、ちょうどWIPOの会議が並行して進行中だということでもありますけれども、しかし、私はやはり国内の問題として検討が急がれるというふうに考えるわけであります。 一九九一年の改正のときには、我が党の山原議員がこういう例を申し上げました。「役者には未戸銭無用と旧作ラッシュ」だということで、映画の二次使用における実演家の権利保護ということを要請したわけですね。それで、衆参で附帯決議がもう相当上がっているわけですけれども、この問題で、当時の井上文部大臣がこのように答弁されておられるわけであります。歌手や俳優、こういう実演家の方が我が国文化の創造と発展に寄与している役割には重要なものがある、関係機関の努力の推移を見きわめながら、また国際的な動向や国内的な合意形成にも留意しつつ、今後さらに著作権審議会等の場で検討してまいりたいということですね。 この点も、著作権審議会、そしてさらに映画の二次的利用に関する調査研究協議会がこの間設けられてきたということは私も承知をしておりますけれども、しかし、このときから五年以上が経過しているわけであります。だから、この間にどういう前進的なことがあったのかという点で、もう時間も余りありませんから、本当に要点をお知らせいただければというふうに思います。
小野元之
77
○小野(元)政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、映画の二次利用につきましては、実演家の方々は、当初の契約の時点で二次利用の分は払ってもらっていないのだという御主張でございます。一方で、映画会社の方は、一回の契約でその後の分も払っているのだ。いわば全く言い方は違うわけでございます。 ただ、お話にございましたように、二次利用といいますか、映画が劇場で見られるというだけではなくて、テレビあるいは衛星放送で再放送されるというようなことが非常に進んできておるわけでございます。そういう意味で、私どもとしては、先ほどの二次利用の調査研究協議会は残念ながら結論がまとまる段階に至っていないわけでございますけれども、マルチメディア小委員会等におきましてさらに検討を続けていただくつもりにいたしておりまして、先ほど来御答弁申し上げておりますように、日俳連や芸団協の方々、実演家の権利についていろいろな御要望もいただいておるわけでございます。そういったことも十分念頭に置きながら、国際的な動向も踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
石井郁子
78
○
石井
(郁)委員 先月十一日、衆議院の会館会議室で、日本俳優連合の方が多数見えられました。その中で、三崎千恵子さん、「男はつらいよ」に四十七回出ている、それでテレビでの再使用料をということで交渉したけれども、聞いておきますだけに終わっているということでございました。そういうことで、非常にテレビで再放送が盛んになるにつれて仕事の方は来なくなったという話がされておりました。私もその場で直接お聞きいたしまして、本当に何か胸が詰まる思いがしたのですけれども、今お話しのように、二次利用の問題、それに対する権利の保障というのがほとんどないという実態であります。 それで、日俳連の調べでも、九三年度で、日本映画はビデオカセットで年間二百二十二億円販売されているのですね。しかし、俳優には映画利用報酬は一円も払われていないということですね。 それから、これからどんどんデジタル化、ネットワークの時代だ、録音・録画された著作物が自由に改変、切除されるハード機器も簡単に買うことができるということで、これを使用して俳優の実演を勝手に改変、切除し、ネットワークに乗せて世界中にばらまくこともできるというようなことになっています。 ですから、今、実演家、とりわけ俳優の皆さんの権利侵害というか、権利が保障されない事態というのは、私は大変危機的な状況に来ているのじゃないかというふうに思うのですね。 そういうことで、俳優、日俳連の皆さんを初めとして関係者の方がぜひ、「実演家の権利」ということが著作権法で言われているけれども、俳優の著作隣接権が及んでいないという映画の例外規定、ですから、この九十一条第二項、九十二条第二項二号のロの撤廃をするということを含めて、そのWIPOの決定とは独立して、今、実演家の保護、俳優等の人格権の保護ということにもう踏み出すべきではないのか、そういう事態に来ているのではないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
小野元之
79
○小野(元)政府委員 今お話がずっとあっているわけでございますけれども、これは、映画としての実演に最初に固定されるときにといいますか、最初に映画を撮影されるときに、そのときの契約のあり方というのも当然問題になってくるわけでございます。そこの中で実演家の方々と映画会社の方々がうまく話し合いができればより望ましいと私どもは思っておるわけでございます。 ただ、この問題につきましては、そうはいっても、やはり実演家の方々、俳優の方々は、そんなにうるさく言うのだったらこの映画にもう出ていただかなくて結構ですというふうに会社側から言われてしまいますと、非常に立場の弱いことも事実でございます。 しかしながら、実演家の方々の権利をできるだけ保護していくということを私ども文化庁としては考えていかなければいけないと思っているわけでございまして、先ほどお話もございましたけれども、WIPOの新条約の中で実演家の方々の権利がきちんと保護されるように文化庁の立場としては努力をしておるつもりでございまして、今後とも積極的に検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
石井郁子
80
○
石井
(郁)委員 実演家の方々は、著作者に準ずる権利が保障されてしかるべきだということでの人格権ということをやはり要望されていると思うのですね。契約という話がありましたが、なかなか日本では契約ということがそうすんなりいかないということがありますから、最低のルールをつくってほしいということがあるかというふうに思います。 そういうことで、私は、文化の発展にとっても創作活動の促進ということが大事ですから、それはやはり物をつくる人間を大切にするということだと思うのですね。だから、そういう立場でこの問題をぜひ積極的に検討されてほしい、していくべきだというふうにお願いというか要望したいと思います。 最後に、この点でもちょっと大臣の御決意のほどをぜひお聞かせいただきたいと思います。
小杉隆
81
○小杉国務大臣 芸術、文化の振興を図っていくためには、俳優や演奏家などの実演家が安心し、誇りを持って芸術活動に専念できるようにするということは大切なことだと思います。そのために、著作権法の分野においても、実演家の権利の保護というものを
充実
強化していくということが大変重要になっているわけでございます。特に、マルチメディア時代と呼ばれるデジタル化、ネツトワーク化の進む中で、実演家の適切な権利保護はますます重要な課題になってきていると思います。アメリカなどと違って、まだまだ日本にはそういう風土といいましょうか、共通理解、共通認識が得られない、そして、利害がいろいろ対立をしているという中で、そういった国民の理解というものを得るために、そういった活動もぜひ、委員の側でもやっておられると思いますけれども、そういうことも重要だと思います。 今、再三お答えしておりますように、WIPOにおけるこの審議の状況等も見きわめ、そして、著作権審議会でも積極的にさらに検討していただきまして、実演家の利益が適切に保護されるように今後とも努力をしていきたいと思っております。
石井郁子
82
○
石井
(郁)委員 どうもありがとうございました。
二田孝治
83
○二田
委員長
保坂
展人君
。
保坂展人
84
○
保坂
委員 社民党の
保坂
展人です。よろしくお願いします。 これまで論議をされました著作権法の一部を改正する法律案につきまして、私も、アトランタ・オリンピックにアジアの代表で「花」という歌を持っていった喜納昌吉という友人がおりまして、プロデュースをやった関係から、アーチストの権利保護という方向で、ぜひ今後ともその方向がさらによりよくなるようにお望みしていきたいと思います。 きょうせっかくの機会ですから、文教委員会、この臨時国会で文部大臣の肉声をいただくこれは最後の機会になろうかと思いますので、いじめの問題について、時間が限られていますけれども、ちょっと触れてみたいと思います。そして、ぜひ大臣の御決意を伺いたいということです。 私は、一九八〇年前後の校内暴力で揺れる
学校
現場の中で、ちょうど十五年ぐらい前になりますが、
子供
の声を聞いていくということで、主に
子供
が読んでいる雑誌でずっとレポートを続けてきました。 そして、ちょうど八〇年代の初め、一九八三年ごろからいじめをめぐる手紙が大変多くなりました。これのピークが一九八六年の廃川君の事件のときですね。この廃川君の事件のときに、生き地獄という言葉を残して彼は亡くなるという、その一カ月だけで約一千通の手紙を受け取るという体験をしているのです。以後も、文部省の統計ではいじめの件数は減ったというグラフがあるのですけれども、実際のところ、届いてくる手紙は全然下り坂にならない。雑誌でいじめの問題を取り上げると、ほかのテーマの約三倍から四倍という手紙が入ってくるという状況です。 そのために、何らかのSOSや訴えをする
子供
に対して、要するに彼らが励ましか受けられるような、そういう仕組みができないだろうかということで、テレホンサービスを九〇年に始めました。このピークが、実は二年前のちょうど今、大河内清輝君が亡くなるということで日本じゅうがいじめ論議の中に包まれている中で、一カ月で約一万人の方が電話をしてくる、そして、約一千人の
子供たち
の声が入ってくるということになりました。 これは、十年間いじめというのはずっと変わらなかったわけですけれども、我々ジャーナリズム、そのときには僕はジャーナリストだったので自分自身の反省もあったのですが、これをこのまま放置していいのだろうか、この十年間、この国の社会やあるいは大人という我々すべては一体何をやってきたのだろうかと、非常に深い自責の念に駆られたわけです。 そこで、何らかの解決策を探そうということで、昨年とそしてことし、イギリスのいじめ問題への取り組みというのを取材して、見てまいりました。 これは実はいろいろな取り組みがあるのですが、時間がないので一つだけ申し上げますと、二十四時間電話相談で、チャイルドラインという名前で十年間既に、
子供たち
が電話料を気にせずにフリーダイヤルで話が聞ける、こういう相談の仕組みがあるということを知ったのですね。これは民間が中心に、一年間で六、七億円の寄附が入ってきて、そして運営するのは八百人のボランティアの、主にお母さんたちが四時間交代でこれを運営している。 大河内君以後、実際にいじめの事件で、私の手元にある限り、三十数人の子がもう亡くなっているのですね。ことしも何人も亡くなりました。亡くなっている子の時間というのは大体深夜です。つまり、夜中に孤独にさいなまれて、非常に苦しくなって、助けを求めたいのだけれども求めることができずに亡くなっていく。 これは、二十四時間の電話相談がフリーダイヤルであるということは、極めて具体的に、いじめのいろいろな問題はあるけれども、亡くなっていく
子供
を一人でも減らすという意味では有効だろうというふうに考えまして、今回、橋本政権が発足する直前に、自民、社民、さきがけ三党の政策協議というのをやらせていただいたのですが、その最終項目に「いじめ等に悩む子どもたちの声を受け止めるため、二十四時間ホットラインの整備をはじめとした緊急のとりくみを進める。」という項目が、第十項目で入っているわけですね。 ですから、「緊急の」ですから、「緊急の」というのは、十一月一日にこの項目が出て三カ月後ということではもう緊急ではありませんので、この臨時国会で小杉大臣の、この「緊急のとりくみ」、そして今私が御提案したような内容について、ぜひ前向きの決意あるいはお考えをまずは伺っておきたいというふうに思います。
小杉隆
85
○小杉国務大臣
保坂
委員はこの問題について長年取り組んでおられることを承知しておりますし、その御努力に敬意を表するものであります。 今御提言のいじめ二十四時間電話相談につきましては、お説のとおり、三党政策合意として提案されたものであり、その内容については、今後、三党で協議、検討していかれるものと承知しております。 文部省としても、このいじめ問題、非常に深刻な状況、頭を痛めております。平成六年度だけで一年間に五万七千件も起こっているわけでございまして、そのために、今お話しのとおり、自殺する
子供
もいる、こういう状況で極めて深刻に考えております。 したがって、いじめられている児童
生徒
に対する相談体制というものを整備することは極めて重要だということで、これまでさまざまな取り組みをしてきたところでございます。 具体的に申し上げますと、現在、
学校
にスクールカウンセラーというものを配置しております。私も、先日、品川区立の伊藤中
学校
でしたかに参りまして、実際に働いておられるカウンセラーの方ともお話をしましたが、全国の
学校
の中でまだわずか五百人ということで、来年度予算はこれを倍増して千人にふやそうということをやっておりますし、また教室も、何か無味乾燥な部屋ではなかなか
子供
が心を開いて相談ができないということで、花を飾ったり、絵をかけたり、さまざまな工夫を凝らしている現場も見てまいりましたけれども、そういうスクールカウンセラーのさらに増配置とか、それから、いじめ問題に対する調査研究をさらに深めていかなければいけませんし、また、今、国立
教育
会館でフリーダイヤルの電話相談をやっております。具体的にはまた政府委員の方から答弁させますけれども、そういうことでさまざまな努力をしております。 そして、あわせて各地方の
教育
委員会におきましても、電話相談とか電話相談員の配置を行っている。これは
保坂
委員もよく現場を御承知だと思うのですけれども。 こういったことをやっておりますが、これで果たして十分だろうかという点は、御指摘のとおり、まだまだ
改善
の余地は多々残されております。そこで、文部省としては、これからもこうした施策をどうしたらもっと有効適切に行えるか、そういったことを考えながら
充実
していきたいと思っております。 お尋ねの二十四時間電話相談ということにつきましては、今、各都道府県の警察などでも設置している例が多く見られるのですけれども、そのほかに、社会福祉法人「いのちの電話」というのがあると承っております。文部省だけではなくて、こういう警察とか民間団体との連携ということもどうやってやっていったらいいのか、あるいは国立
教育
会館の電話相談のあり方なども含めて、さらに詰めて検討していきたいと思っております。 なお、今御指摘のイギリスのチャイルドラインというのは私も非常に感心して聞いていたのですけれども、イギリスのチャイルドラインというのは、おっしゃったとおり、民間から盛り上がってきた活動であって、日本と風土が違うのですね。ボランティアが八百人も参加して協力をしているというようなこと、そういうボランティアによって支えられているというようなこと、それから、昼間だけではなくて深夜、早朝問わず、一番大事なそういう深夜というお話がありましたけれども、そういうところも、もう本当に昼夜兼行でみずからの持ち時間の中で責任を持って当たっているということ、さらに、個人とか企業の寄附、税金ではなくてそういう寄附によって成り立っているということ、そして、現に多くの
子供
さんの相談を受けて大きな役割を果たしているというようなお話を伺いまして、非常にすばらしい実践例だと思って受けとめて、参考にさせていただきたいと思います。 しかし、これを直ちに我が国に導入するということについて、特にボランティアがどのくらい確保できるのか、それも、ただ単に人間だけ配置するのじゃなくて、やはり
子供
さんのいじめの相談に対して十分対応できる専門的な知識なり集積がないとできないと思いますし、そういうマンパワーといいますか人的な面の確保が可能かどうか、また、税金だけでやっているというのは非常に限界がありますし、果たして個人なり企業なりの寄附がどのくらい寄せられるかといったような具体的な財源の問題等、検討すべき課題がたくさんありまして、今非常に苦慮しているところでありますが、また委員のいろいろ研究された成果もお聞かせいただきながら、できるだけ早くこの二十四時間体制の相談というものを
実現
したいと考えております。
保坂展人
86
○
保坂
委員 大変誠実な御答弁をありがとうございました。 私、イギリスから帰ってきて、六月に日本経済新聞にかなり大きく、日本もこの二十四時間電話相談を特に法人が、利益を上げている法人がバックアップすべきではないかという呼びかけをしたのですが、残念ながら、問い合わせはゼロ社でした。日本のこういうNGOというか
子供
のためにサポートというのは、どこかまだ民間の側も意識が弱いところがあります。 しかし、ボランティアでこれをやりたいという人だけは物すごく多いのですね。大臣のお話にありました「いのちの電話」についても、阪神大震災以降、ボランティアの方が大変ふえている。問題点は、いつも話し中なんですね。イギリスのチャイルドラインですらいつも話し中なんです。 最後に一点だけ。 文部省も、いじめの問題については、ここ二年、今までの枠を破って大変いい取り組みをされていると思います。ここにパンフレットがございます。このパンフレットの内容は大変踏み込んだ内容だと私は評価をしています。 ただ、皆さんにも見ていただきたいのですが、このパンフレットは表紙が鉛筆でございますね。実は、これをいじめに悩んでいる子、傷ついている
子供
が見て目を覆ってしまったという話があるのですね。つまり、いつも後ろから鉛筆で刺されている。鉛筆のとんがったものを見ただけでぎゅっと心が痛んだという話があります。 ですから、このいじめの問題への取り組みの中で、
子供
の声を聞く、特にいじめで傷ついて悩んだ
子供
の声を、小杉大臣も、そしてこの文教委員会の委員の先生皆様もぜひ直接耳で聞いていただきたいなということを要望して、二言大臣にお話をお願いします。
小杉隆
87
○小杉国務大臣 みずからイギリスに行ってチャイルドラインを見てきて、あるいはまた今までいろいろ書物もお書きになって、私も、まだ全部は読みませんけれども、読ませていただきましたが、そうしたいろいろな御意見なり体験をぜひ聞かせていただきながら、精いっぱい努力をしていきたいと思っております。ありがとうございました。
保坂展人
88
○
保坂
委員 ありがとうございました。 通常国会でぜひ本格的にやらせていただきたいと思います。きょうはこれで終わります。
二田孝治
89
○二田
委員長
これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
二田孝治
90
○二田
委員長
これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
二田孝治
91
○二田
委員長
起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
二田孝治
92
○二田
委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
二田孝治
93
○二田
委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十九分散会 ————◇—————