運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-12-05 第139回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成八年十一月二十九日)(金曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。   委員長 穂積 良行君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 粟屋 敏信君 理事 富田 茂之君    理事 田中  甲君       石橋 一弥君    久野統一郎君       下村 博文君    滝   実君       中野 正志君    西川 公也君       西田  司君    平沢 勝栄君       持永 和見君    渡辺 具能君       今井  宏君    上田  勇君       福留 泰蔵君    増田 敏男君       松崎 公昭君    吉田 公一君       鰐淵 俊之君    葉山  峻君       古川 元久君    穀田 恵二君       春名 直章君    畠山健治郎君 ————————————————————— 平成八年十二月五日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 穂積 良行君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 粟屋 敏信君 理事 富田 茂之君    理事 増田 敏男君 理事 吉田 公一君    理事 田中  甲君       石橋 一弥君    久野統一郎君       下村 博文君    滝   実君       中野 正志君    西川 公也君       西田  司君    平沢 勝栄君       持永 和見君    渡辺 具能君       今井  宏君    上田  勇君       福留 泰蔵君    松崎 公昭君       吉田  治君    鰐淵 俊之君       葉山  峻君    古川 元久君       穀田 恵二君    春名 直章君       畠山健治郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会 白川 勝彦君         委員長  出席政府委員         警察庁長官   國松 孝次君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         警察庁警備局長 杉田 和博君         自治政務次官  久野統一郎君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治大臣官房総         務審議官    嶋津  昭君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局公         務員部長    芳山 達郎君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 湊  和夫君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ————————————— 委員の異動 十二月五日  辞任         補欠選任   上田  勇君     吉田  治君 同日  辞任         補欠選任   吉田  治君     上田  勇君 同日  理事田中慶秋君十一月二十五日委員辞任につ  き、その補欠として吉田公一君が理事に当選し  た。 同日  理事粟屋敏信君同日理事辞任につき、その補欠  として増田敏男君が理事に当選した。 十二月三日  地方税法の一部を改正する法律案上田清司君  外四名提出衆法第九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 穂積良行

    穂積委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事粟屋敏信君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任による欠員のほか、理事田中慶秋君が委員辞任されましたので、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事に       増田 敏男君 及び 吉田 公一君 を指名いたします。      ————◇—————
  5. 穂積良行

    穂積委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国政に関する調査を行うため、本会期中  地方自治に関する事項  地方財政に関する事項  警察に関する事項  消防に関する事項 以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  7. 穂積良行

    穂積委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  この際、白川国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、これを許します。白川国家公安委員会委員長
  8. 白川勝彦

    白川国務大臣 警察庁長官狙撃事件に関し、元警視庁警察官犯行を自認する供述をしていることについては、警察に対する国民の信頼にかかわる重要な問題であるとの認識のもと、早急に事案解明を図るべく徹底した捜査を行っているところであります。  なお、この件に関し、十二月三日付で警視総監の交代人事を発令しましたが、国家公安委員会委員長として、警察当局に対し、今後とも警察庁長官狙撃事件を解決するために全力を挙げるよう督励してまいります。  また、年金会による出資法違反容疑事件、いわゆるオレンジ共済問題については、現在警察において全容早期解明に向け鋭意捜査を進めているところであります。  さらに、昨日、元厚生省事務次官国庫補助金交付等をめぐる収賄容疑で逮捕したところであります。  なお、これらの事案の詳細につきましては、担当局長から説明させることといたします。
  9. 穂積良行

  10. 杉田和博

    杉田政府委員 長官狙撃事件捜査状況について御報告を申し上げます。  警視庁の元警察官犯行を自認する供述をしております事案については、これまで、当該警察官供述につきまして、目撃者に対する再度の聞き込み、供述で言及をされた人物等に対する事情聴取、さらに神田川の捜索等裏づけ捜査を鋭意進めてきておるところでございます。  当該警察官供述につきましては、捜査中でありますので、その具体的な内容は差し控えさせていただきますけれども、その骨子は、一つは、平成七年の三月下旬、オウム真理教幹部とともに犯行現場の下見、さらにけん銃試射を行ったこと、二つは、長官を撃った後、現場から自転車で逃走したけれども、現場周辺にはオウム真理教幹部数人がいたこと、三つは、けん銃は、同日、水道橋付近神田川に捨てたということ等であります。  これまでの裏づけ捜査におきましては、けん銃試射を行った場所の特定及びけん銃の発見には至っていないことなどから、当該警察官長官狙撃事件実行犯であるか否かは判断できる段階にはございません。  しかしながら、現場及び現場周辺状況等供述が具体的かつ詳細であること、そして犯行時及び犯行直前、直後の状況に関する供述も、関係者目撃者等に対する昨年来の捜査結果と一致する点があることなどから、事件に関与していた疑いもあるので、今後、検察当局とも連絡をとりつつ捜査を進めまして、事案全容解明を図ってまいる所存でございます。  以上でございます。
  11. 穂積良行

  12. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 元厚生省事務次官らによる贈収賄事件につきまして御報告申し上げます。  警視庁は昨日、厚生省兄事務次官収賄罪で逮捕いたしますとともに、社会福祉法人理事長贈賄罪で再逮捕いたしましたが、その容疑は、兄事務次官が、特別養護老人ホームの設置に関する補助金交付等に関し、有利な取り計らいをしたことなどの謝礼として、社会福祉法人理事長から、平成四年六月ごろ、社会福祉法人理事長関連会社レンタカー会社から三年間の期間で借り受けた普通乗用車一台を無償で貸与され、賃貸料相当利益供与を受け、平成六年七月から八月ごろまでの間、二回にわたりまして現金合計六千万円の供与を受け、平成七年七月ごろ、社会福祉法人理事長関連会社レンタカー会社から三年の期間で借り受けた普通乗用車一台を無償で貸与され、賃貸料相当利益供与を受けたというものでございます。  警視庁におきましては、引き続き元厚生省事務次官らによる贈収賄事件及び元埼玉県高齢者福祉課長らによる贈収賄事件につきまして、事案全容解明に向け、鋭意捜査を進めているところでございます。  以上でございます。
  13. 穂積良行

  14. 泉幸伸

    泉政府委員 年金会による出資法違反容疑事件について御報告申し上げます。  まず、事件の概要でございますが、政治団体である年金会が、法定の除外事由がないのに、同会が行う年金会オレンジ共済またはオレンジ共済組合の業務に関し、平成六年七月ごろから平成八年二月ごろまでの間、不特定多数の相手方である七名から、貯蓄型オレンジスーパー定期名下に、一年につき年利六・七四%を支払う約束で、現金約六千万円を受け入れ、もって業として預かり金をした出資法違反容疑事件でございます。  これに対しまして、警視庁広島警察及び北海道警察において、十一月十二日に年金会オレンジ共済事務所のほか、墓尺、千葉、神奈川、広島など一都七県に所在する支部など関係箇所二十七カ所について捜索を行い、関係書類等を多数を押収いたしたものであります。現在、関係者の取り調べ及び押収証拠品の分析など、多角的な捜査を進め、事案早期全容解明に向けて鋭意捜査中のものでございます。
  15. 穂積良行

  16. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 年金会収支状況等につきまして御報告申し上げます。  年金会は、昭和六十一年の五月二日に自治大臣に届けられました政治団体でございまして、代表者友部みき子氏、会計責任者友部達夫氏となっております。  政治資金収支報告書保存期間は三年でございますために、現在残っておりますのは平成五年から七年分でございますが、これらにつきましては、いずれも収支ゼロの報告となっております。  それ以前の分につきましては、官報にょりましてその内容を確認いたしましたところ、設立年であります昭和六十一年から平成元年分につきましては、収支いずれもゼロの報告となっております。  平成二年分におきましては収支とも二百八十一万円、平成三年分は収支とも千四百十六万円、平成四年分は同じく収支とも千五百二十万円となっておりまして、各年の収入内訳は、いずれも個人の党費、会費でありまして、また、各年の支出内訳は、いずれも政治活動費のうちの組織活動費となっております。  以上でございます。
  17. 穂積良行

    穂積委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本公一君。
  18. 山本公一

    山本(公)委員 自由民主党山本でございます。  白川大臣には、このたびの自治大臣就任まことに御苦労さまでございます。ますます精進をされまして、国家国民のために励まれますことを御期待を申し上げておきたいと思います。  ただいま政府側から御説明をいただきました事案につきましては、後ほど同僚議員が詳しく質問をさせていただきます。私の方からは、地方自治につきまして総括的な質問をさせていただきたいと思います。  まずは大臣にお伺いをいたします。  自治省というものを含めて、地方自治というものについて基本的にどのようなお考えをお持ちであるか、お聞かせを願いたいと思います。
  19. 白川勝彦

    白川国務大臣 自治というのは、やはり民主主義ということと不可分の問題だろうと思っております。  私が大学に入って間もなく携わった。そして私が政治の原点としておりますのが、学生寮自治会活動からでございました。要するに、読んで字のごとく、みずからを治めるということ。民主主義もしくは民主政治というのは、いずれにしろ、国家であれ団体であれ、何らかの意味で、特に国家等になりますと極限の状態もあるわけでございますので、統治と被統治という関係があるわけでございますが、被統治者の同意のある政治体制民主政治だ、こんなふうに昔教わった記憶がありますし、そうなんだろうと思います。  ただ、形式上そうなっているということと、実際に統治される人が、本当に、自分が選んだ代表者が、自分の選んだ統治者法律に従って現実統治をしており、かつ、そのやり方は自分たちにとって意に添うものである、こういう気持ちが持てればその民主政治は成功したと言えるでしょうし、形式上はそういうことになっているけれども、どうも本当に私たちの意に沿っていないという側面が多ければ、形式上仮に自分たちが選んだ代表がやっていたとしても、その民主政治はその実を上げていない。私は、一般的に自治とか民主政治というのばそういうことなんだろうと思います。  そんな関係の中で地方自治という問題をとらえますと、国全体についても国民自治ということが本来あっていいのだろうと思いますが、日本のような大きな国を考えますと、一億二千万を超える大きな仕組みでございますから、仮にどういう仕組みをつくったとしても、やはり個々国民から見たならば、自分がみずから治めているという気が持てないのは当然だろうと思います。ですから、国全体にかかわり合うことは国がやるしかしようがございませんけれども、そうでない問題は、それぞれの地方に分けて、それぞれの地域で、みずからの地域のやれることは基本的にみずから行うというのが地方自治というものの仕組みであり、そういうことをやっていかなきゃならぬというのは民主政治をより徹底させるために出てきたことなのではないかと、極めて概括的でございますが、私はそう思います。  それを具体的に申しますと、新しい憲法のもとでは、それまで法律に書いてあったものを憲法的な、制度的な保障をしたというところが大変大きなところであり、以来五十年以上たつわけでありますが、時間とともにその実を上げてきたと私は思っているわけでございますが、さらにその地方自治を発展させ、民主政治の実を上げていかなければならないという運動が地方分権と絡んで全国的に強くなっているということは、大変好ましいことだと思っております。  まあ二つの面があるわけでございまして、一つは、住民自身責任においてみずからの手でみずからの地域政治を行うという住民自治というのが一方の側面であろうかと思います。それからもう一つは、国と地方とは別に対立するものではありませんが、ある基準を国が決めれば、それに適切でない地域もあるわけでございまして、国と地方との問題、地方公共団体自主性自立性を持って自分たち地域の実状に合ったものをやっていくという団体自治という側面が一方では地方自治の中にはあるのではないだろうかな、こう思っております。  いずれにいたしましても、民主政治というものの実を上げていくために、地方自治ということをより一層充実させていくというのがその目的にかなうことだと私は思っております。
  20. 山本公一

    山本(公)委員 自治大臣地方自治に対します基本的なお考えをお伺いをいたしたわけでございますが、昨今、国と地方との関係というのが新しい地方時代を目指しましてさまざま論議をされているところでございます。その中で、これはやはり行革とも絡んでくる話なのですけれども、地方分権ということがここ随分と議論をされてまいりました。  今大臣もおっしゃいましたように、自主性自立性を持った地方自治を進めていく、そのためには地方分権というのは極めて重大な意義のあることである、そういう観点からの地方分権推進論であったかと思っております。その地方分権も、地方分権推進委員会なるものができて、さまざま議論を重ねられて、ことしの三月に中間報告提出をされました。この年末には最終報告提出をされるやに聞いております。  大臣自身は、自治大臣に御就任になられまして、この地方分権論の今日に至るまでのさまざまな議論、特に中間報告という公式なものが提出をされまして、お目を通されましたか。
  21. 白川勝彦

    白川国務大臣 大体の大綱については説明を受けたところであります。  地方時代とか地方分権ということが言われたのはいつごろか。ずっと昔から言われてきたのでしょうが、私が記憶しているところでは、昭和五十三年に行われた自由民主党総裁選挙で、大平正芳氏が地方時代、こう言ったのを、当時私はまだ当選はしておりませんでしたが、地方衆議院を目指して政治活動をしている者としては非常に新鮮に受けとめたような気がいたします。大平さんが総裁になり、総理大臣になって田園都市国家構想とかそういうことを言って、そして、そのころ、五十四年に私は初当選したわけでございますが、地方時代というか田園都市国家構想を受けていろんな施策を、これはいつもやることでございますが、総理が大きな目標を立てると各省がそれにみんな藉口してといいますか、いろんな政策を出したのを私は記憶しております。  以来、こうずっと続いてきたのが地方時代であったり地方分権であったと思うわけでございますが、しかし、地方自治担当者からいったら、かけ声は確かに上がるようになったけれども、なかなかその実がないというのを一方では言われてきたというふうに私は記憶をしております。  ただ、それではいけないというので、平成七年に地方分権推進法ができて、今本格的な審議をやっているわけでございます。そして、この十二月には、さきに中間報告をいただいたものの最終報告、特に機関委任事務についてはこれをもって一つ最終報告としたいというものが出る、こういうふうに聞いております。そして、機関委任事務については原則廃止ということでございますから、今までのことに比べればかなり抜本的なことなのではないかなと思っております。  そして、機関委任事務以外のことに関する分権の問題については、来春までに全体の最終答申を出して、政府はそれを受けて直ちに計画をつくり、実施していく、こういう基本的な方針であるということで、私も今その準備を一生懸命しているところであります。
  22. 山本公一

    山本(公)委員 今お話を伺った中で、ちょっと次の質問と重複するかもしれませんけれども、今後最終報告が出てきて、来春にはまた個々の問題についてのさまざまな報告が出てくる。そうした中で、これはやはり地方分権論でございますから、地方との切っても切り離せない関係。さすれば、自治省というものが、今後地方分権推進委員会からさまざまな最終報告が出てくる中で、現実実行に移していかなければいけない。恐らく自治省というものの果たされる役割というものがやはり重大なものが出てくるだろうと思っております。  現実にそのような事態が想定をされるわけですが、自治省として、今後この地方分権に関して、地方自治体との間、また中央官庁との間でどのような役割を果たしていかれるおつもりなのか。今のお答えと重複するかもしれませんが、もう一度お話しを願いたいと思います。
  23. 松本英昭

    松本(英)政府委員 大臣お答えになります前に説明をさせていただきたいと思います。  ただいま大臣からもお話がありましたように、地方分権推進委員会におかれましては、十二月末にも機関委任事務廃止問題等を含めた行政関係につきまして指針勧告を行うという方向で今作業をしていただいておるところでございます。続きまして、税財政関係その他の問題等につきましては、来春になろうかというように伺っているところでございます。  自治省といたしましては、当然これらの指針勧告を受けまして、総理府、総務庁あるいは各省庁とともに、政府全体の分権推進計画の策定に向けまして、その役割を果たしていくべきものは果たさなければならない、かように考えているところでございます。  同時に、今回の地方分権方向というものは、これは当然に自治省所管をいたしております国と地方との準則に係る地方自治法の大きな改正も必要になってこようかというように考えているわけでございまして、そういう点につきましても作業を進めてまいらなければならないのではないか。  また、各省庁あるいは地方公共団体の御意向等も踏まえまして、それを吸い上げて、あるべき地方自治制度というものを構築していくように努力をしていく、これもまた私どもの仕事ではないかと考えているところでございます。
  24. 山本公一

    山本(公)委員 今局長の方から御答弁がありましたように、自治省が果たす役割本当に大きいと思っております。とりわけこの地方分権論というのは、私はたまたま四国の本当片田舎の出身でございますので、この地方分権論片田舎から見ておりまして、本当地方のためになるのだろうかなという思いを時々感ずることがあります。ややもすれば、どちらかというと中央の論理で地方が語られているなというような気すら感じることが多々ございました。まさに、そういった地方でも本当に取り残されたような地域のこの分権論に対する考え方を、自治省がやはり今回の地方分権を進めていく中で十二分にしんしゃくをしていただいて、その意向が生かせるように役割を果たしていただきたいと願うわけでございます。  よく言われるように、この地方分権論地方の側から見ますと、俗に言う権限、財源、人的資源という三つの要素がそろわなかったら本当意味地方分権にはならないということがよく言われております。そういったことを自治省ならではの十二分な議論を尽くしていただきまして、本当意味地方分権論推進に頑張っていただきたい。再度お願いを申し上げておきたいと思っております。  そこで、これはさっき申し上げましたように地方分権とも絡んできた話でございますが、この国会行政改革ということが大きなテーマになってきております。この行革という一つの流れを受けまして、それぞれの省庁リストラを恐らくお考えになっている時期だろうと思いますが、自治省本体リストラということは現在お考えになっていらっしゃるのでしょうか。そしてまた、自治省所管をされます地方自治地方行革というものについて自治省が実際どういう指導を、指導というのでしょうか示唆を今後与えていかれるおつもりなのか。ちょっとその辺についてお考えをお聞かせを願いたいと思います。
  25. 白川勝彦

    白川国務大臣 私は、就任以来、最も地方行革をしなければならない、そのために私は自治大臣になったのだ、こういうことを機会あるごとに繰り返し繰り返し申し上げております。  人によって受けとめ方が違うのでしょうが、私も確かに、国会議員というのも公務員でございますので、もう十五、六年になるでしょうか、確かにそういう意味では公務員であります。また、若いころ、司法修習生というので、これは公務員なのかどうかわかりませんが、最高裁からお金をもらっていたわけでございますから、税金から給与をもらっていた。あれから十七年ぐらいになるわけでございますが、いわゆる特別職でございますので、私自身は全く民間の中で生き、民間人たちとともに政治を語ってきたという記憶があるわけでございます。  そういう立場から見ると、国であれ地方であれ、およそ公務員という人と一般国民との間の溝はあなた方が考える以上に広くて深いよということを事あるごとに私も感じておりますし、一般国民も感じていると思うわけでございまして、とにかくそこの溝を埋めなければならない、それを含めて行政改革だということを申し上げているわけでございます。  行革については、委員もお考えをお持ちでしょうし、私も持っておりますが、それらをきょうは議論しませんが、とにかく行政改革をせずして、そして行政改革のために努力しているという姿なしに、地方分権でございます、あるいは何々でございますと言ったって、国民は多分公的なものがやることを今簡単に支持しないという、それほど深刻な時期だと思うわけでございます。  ですから、今回の選挙では各党が行政改革を叫び、そして今度は、今回の選挙が行われ、その総選挙の結果を受けて橋本第二次内閣がスタートをいたしたわけでございますが、私はその橋本総理から自治大臣を命ぜられた者として、とにかくすべての施策の遂行に当たっては行政改革という視点を置いてもらいたいし、またすべての優先課題は地方の行政を含めて行政改革である、これを言い続け、そして、そのように実施せしめるのが私に今与えられた。国民から託された私の最大の仕事だと私自身は承知をいたしております。
  26. 山本公一

    山本(公)委員 自治省自体の、何か内部の行革に対する取り組み方をちょっとお伺いしたいのです。
  27. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 もちろん自治省本省としても中央省庁の一省でございますし、そういう角度から、私どもが所管をいたしております行政、財政それぞれにかかわる法律の権限、実際の運用面、そうしたものを含めて、大変抽象的で恐縮でございますが、例えば地方自治法の中では、各都道府県に部局をつくるときの一定の人口によるいわば協議制というのがあるわけでございますが、そうした点がこのままでいいのかどうか、あるいは、地方債であるとか地方交付税の現在の仕組みがいわゆる自治省の職務権限という形の中でこのままでいいのかどうか、そうしたものを含めて幅広く検討しておるところでございますし、大臣からもまず隗より始めよということをその都度御指摘いただいておるわけでございますので、そうした全体の行革を進めるという一環で私どもも鋭意現在検討を進めているという状況でございます。
  28. 山本公一

    山本(公)委員 恐らく、地方分権が進んでいく中で自治省というものの本体の行政改革というのも進んでいくものだろうと思っております。  次に、大臣就任当初、外国人の地方公務員への任用の問題について談話を発表されたわけでございます。マスコミでも大きく取り上げられたところですけれども、従来の見解から一歩踏み込んだお話だというふうに認識をいたしておるわけでございますが、現実にはペーパーになった談話を読んでみますとわかりにくいところもちょっとあるような気がいたしておるわけでございまして、もう一度大臣のいわゆる外国人の公務員への採用についてのお考えを、真意をこの場でお聞かせ願いたいと思います。
  29. 白川勝彦

    白川国務大臣 地方公務員の採用、国籍条項についてでございますが、特別新しいことを言ったわけでもないと思いますし、特別過激なことを言ったつもりではありません。また、今までの自治省が言っていることも、よく見てみると、だめだと言っているわけではないわけでございます。ただ、受けとめ方は、「適当でない」という言い方でございますが、結果としてはだめなんだというように受け取られたところもあるようでございますので、私がそこのところを、地方分権とこれだけ皆言っておる、そして地方分権というのを多くの地方自治体が言っている、その味方でなければならない自治省がそういう視点でこの問題を考えられないのかということで申し上げ、問題提起をさせていただき、そして問題提起をしただけでは行政の長としての役目になりませんので、一度いろいろな議論をいただきましたけれども、私なりに整理をしたということでございます。  何よりも、公務員法理というものは憲法並びに法律から出てくるところでございまして、憲法並びに法律の解釈は国民がひとしく正しく解釈しなければならない義務があるわけでございますし、かつできるわけでございます。ですから、今まで憲法並びに法律に基づく当然の法理だ、法理に基づけばこうだと、こう言ってきたわけでございますけれども、それは内閣法制局長官とかあるいは政府が示すだけではなくて、地方公共団体もそういう立場にあるし、またそういう権限があるんだから、それに基づいて地方公共団体が、自分たち地方公共団体に外国人を採用するかしないかという問題は、それらを各地方公共団体においてお考えをいただいてみずから決めることである、それが地方分権と言われる時代のまず第一のスタンスであるでしょう、こういう当然のことを申し上げただけであるわけでございます。  それに対して、歓迎する声もありましたけれども、そんなこと言われたってわかりにくいし困るなという人がいましたが、それでは困るわけでございまして、やはり私は、地方自治地方分権と言われる以上、それぞれの地方自治体がみずからの判断をみずからしていただいて、そして採用される方の立場にも立って、身分が不確定でないようにしながら、この問題についてそれぞれの方針でやっていただきたい。  なお、自治省にお問い合わせがあれば、必要な限りにおいて親切に丁寧に、かつ法律の趣旨はもちろんでありますが、一方では採用される者の立場に立って、また雇用の機会の拡大を図るという観点に立って、今までとは違った適切な指導をするようにということを事務当局には指示したところであります。
  30. 山本公一

    山本(公)委員 私は、今大臣の法理論に基づくお考えについて賛意は示すところでございますけれども、現実には、公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる職というものに本当地方自治体の首長さん、大変失礼な言い方ですけれども、判断つくのかなという現実論もあることも、これは私自身聞いております。  そういうことを考えますときに、今大臣自治省に相談があったら適切なアドバイスもしたいというようなお答えでございましたけれども、やはりわかりやすい、実際の地方自治において、地方政治において公の意思の形成への参画の職がどんなものであるとか、それからまた公権力の行使云々が関係するような職はどんなものであるのかということを、地方自治体に対して何かガイドラインを示されるようなお考えはございませんか。
  31. 白川勝彦

    白川国務大臣 基本的にはありません。それをしたのでは、何のために私がこんなことを言ったのか意味がないわけでございます。まず、地方公共団体においてお考えをいただきたい。そして、今申し上げたように、地方公共団体だけでは荷が重いというところは、市町村長会というのもあるでしょう。まず、それぞれでお考えをいただきたい。やはり地方自治、みずからを律するということは、困難であっても、みずから考えるということを抜きに自治というのはあり得ないのではないでしょうか。  私は自治省に申し上げたいのは、要するに、我々さっき申し上げた。民間の目から見たらおせっかいといったぐいの話はするなどいうことを言っているのです。それは親切という言葉もあるかもしれないけれども、それが度を過ぎるとおせっかいというわけでございまして、しかも親切になりますと、さっき言ったとおり、それぞれの地方自治体の本当意味での力をつけていくという面でマイナスのこともあるわけでございますから、この問題について早速出てきたのがガイドラインを示してもらいたいということでございますが、ガイドラインを示す前に、それぞれの市町村長さんも全国市町村長会、それぞれの会を持っているわけでございますから、そういうところでまず御検討を賜りたいというのが私の第一の希望であります。
  32. 山本公一

    山本(公)委員 今言われること、これからの本当の、真の地方時代を迎えるために、制度とか仕組みとかというものが地方時代に適したものになる以前に、地方のリーダーたる首長さんあたりの一つのお考え、見識、そういったものが、まさに大臣のおっしゃるように地方自治というものをいま一度考え直すことが先決である、私もそのように実は思っております。今度の国籍条項のことを考えながら、自治体の本当の、片田舎の首長さんに至るまで、地方自治の原点に立ち返るような御努力をこれからしていただきたい。  大変難しいし、時間のかかる問題だろうと思っております。長年親しんできた現在の地方行政のやり方でございます。自治省との関係でもございますので大変難しい問題だろうと思いますけれども、こういったことを機会に地方自治体の首長さんの意識改革というものも同時に進んでいくことを切に希望をいたし、大臣の生の声での御答弁をいただきましたことに御礼を申し上げまして、私の質問を終わります。
  33. 穂積良行

  34. 下村博文

    下村委員 このたび初当選をさせていただきました下村博文でございます。よろしくお願いをいたします。  まず初めに、大臣にお聞きしたいと思います。  今の山本委員の関連質問にもなりますが、今回、政府として、行政改革内閣ということで、一年以内にそれをまとめるということでございます。そして、先ほどの答弁のちょっと詳しいお話をまたしていただければと思うのですが、大臣が先ほど、地方行革をするために自治大臣になったとお話をされました。自治省という国のレベルから見れば、行政改革をするということはできるだけ権限を地方に移譲する、地方分権するということにつながってくるかというふうに思いますし、またそういう意味でもぜひ地方分権推進をしていただきたいというふうに思いますが、地方分権をして、さらに地方自治の、地方自治体における行政改革をどうしていくか、これも同時に重要な問題になってくるかというふうに思います。地方分権をしながら、国そして地方ともに行政改革をするために、基本的なお考えがどのようなものがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
  35. 白川勝彦

    白川国務大臣 就任当時、事務当局から説明を受けたときも、地方分権という言葉、地方行革という言葉が必ずしも整然と整理されていないのではないのかなという印象を受けました。また、それぞれの地方団体の長の皆さんと若干話す機会があったのでございますが、その辺も整理されてなかったような気がいたします。  私なりに考えますと、こう考えております。  まず、歳入ベースで見ますと国税が二に対して地方税は一でございますが、支出ベースで見ますと国が一に対して地方が二で実際は支出しているわけでございます。ですから、国民行政改革をせよと言っているのは、国の行政を指しているだけでもない、地方の行政を指しているわけでもない、地方であろうと国であろうとを問わず行政全般の行政改革をせよということであって、国の行政と地方行政との間に大きな差はないと考えております。  さてそこで、行政改革分権との関係でございますが、これは総理が申し上げているように、まず官から民へということ、地方であれ国であれ公がやらなくてもいいことはこの際できるだけそぎ落とそうというのがまず行政改革の一般的な問題としてあると思います。そして、どんなにそぎ落としても、しかしこれは行政がやらなければならないというもののうち、これは国がやったらいいのか、地方がやったらいいのかというのが地方分権の問題なのではないのかな。  私は大ざっぱにそんなふうに整理しているのですが、またよく私自身も確信が持てるところではありませんので、御意見を賜りながら研究してみたいと思っております。
  36. 下村博文

    下村委員 基本的なお考えは全く同感でございます。  そういう意味でも、できるだけ行政改革という筋道の中で地方分権を積極的にしながら、国の権限を都道府県、そして都道府県の権限を市町村、もちろん基本的な行政改革ということで見直すということであれば三千三百の自治体そのもののあり方についても考える必要があるかというふうには思いますが、基本的な権限の移譲の中でさらに官から民に移していくということについては全く私も同感でございます。官から民に移譲していくというふうなことができるということが、ある意味では先ほど大臣がおっしゃった自治地域の方々がみずから地域をつかさどっていく、あるいは運営していくということにもつながっていくかというふうに思います。  実は、その件で既に先行している部分が、私の選挙区、東京第十一区、板橋区でございますが、この板橋区は東京においては特別区に入ります。そして、この東京都と特別区、二十三区の間で東京都の権限をできるだけ特別区に移譲することによって、特別区を他の市町村と同じような基礎的自治体に早く移行していこう、このようなことが特別区制度改革として行われようとしております。  これは、そもそも平成二年九月二十日に第二十二次地方制度調査会答申の中で答申をされました。要点としては、今申し上げましたように、一つは、特別区は、都の特別区の存する区域の基礎的な地方公共団体であるようにすること、二つ目として、今回の改革は清掃事業の区移管と一括して実施すべきこと、三つ目として、清掃事業の区移管は労組との意見の一致が望まれること、これが実現をされれば特別区制度の改革をしてもいいのではないか、すべきではないかということが答申をされました。  これを受けまして、平成六年九月に都と区で合意をされまして、また、先ほどの三つの要点においても労使の合意が行われ、清掃事業の特別区への移管にかかわる覚書も行われまして、今それが進みつつあり、同年、平成六年十二月には当時の野中自治大臣がこれを正式に受理をし、そして、平成七年、昨年十一月十六日には当時の深谷自治大臣が調整ということで国と都と区から成る連絡調整会議を設置をしまして、これに向けて進んでいるところでございます。  このときに、第二回の十二月二十日、ちょうど一年ほど前ですが、当時自治省の行政局長が、ぜひこれについては平成十二年四月に実施の方向でいきたいということを発言されているというふうに聞いておりますし、また同時に、この法改正については先ほどのような条件整備の進捗を見ることも必要だという発言をされておりますが、この平成十二年四月の実施をするためには、来年から法改正に着手をしなければ時間的に準備期間が間に合わないのではないか、私はこのような危惧を持っております。  このことについて、今自治省ではどのように認識され、どのように進んでいるかお伺いいたします。
  37. 松本英昭

    松本(英)政府委員 お答えいたします。  委員ただいま御指摘のように、この特別区の制度改革につきましては、平成二年、地方制度調査会からの答申をいただきまして、その内容につきましてはただいま要点を御説明になったところでございます。その後、これもただいま御指摘がございましたけれども、都と区、そしてその関係者、これらの間でいろいろと協議がなされまして、そして平成十二年四月に向けての特別区制度の改革という方向が合意をされているわけでございます。  その中で、いわゆる清掃事業の特別区への移管、しかもこれは収集、運搬、処理までの一貫した移管ということを打ち出されまして、そのための条件整備というものをしなければならない。具体的に申し上げますと、各区で収集いたします際の車庫の整備とかあるいは清掃工場とか、そういうものの整備をしないと、これは特別区にこの事業を移管するわけにいかないということでございますので、そういう条件の整備というものを確認をし合おうということで今も御指摘の覚書ができているわけでございます。  その後、東京都あるいは特別区ないしは関係者間でいろいろ御議論をしていただいているわけでございますが、この条件の整備の確認というのをいつやるか、いつできるか、やるかというよりはできるかということがポイントでございます。私どもは当然この十二年の四月一日ということに向けて速やかな確認というものがなされることが望ましいと思っておりますが、一方では、車庫の整備とかあるいは清掃工場の問題というのはなかなかそう容易ではない面もございまして、先日も、この秋にも私どもと東京都それから関係者の間で条件整備の進捗状況等についての意見の交換を課長レベルでしたようでございます。  ただ、その中でも、なかなか車庫整備はできない、いっその条件整備の確認ができそうかというような話でございますが、私どもが今伺っておりますところでは、どうも来年の夏以降になるのではないかというようなことを伺っておりまして、私どもといたしましては、条件整備の確認ということが前提となってこの法律改正というものをできるだけ速やかに行わなければならないだろう。今御指摘のように、十二年四月といいますと、やはり平成十年には法律改正するのが望ましいということは言えると思いますめで、できるならば来年の夏以降に、早い時期に条件の整備の確認を行っていただければな、かように考えているところでございます。
  38. 下村博文

    下村委員 今の御答弁の中で、平成十二年の四月から法の実施をするためには平成十年に法改正をすれば間に合うということでよろしいのでしょうか。一応今までの経緯で見ると、平成九年からの、来年の春の通常国会から法改正をしていかないと十二年四月の実施は間に合わないのではないかというふうな危惧があると聞いておりますが、これはいかがでしょうか。
  39. 松本英昭

    松本(英)政府委員 私どもが伺っておりますところは、やはりただいま申し上げましたような清掃移管のための条件整備というのが大前提であるということでございまして、東京都等ともいろいろ御相談をいたしておりますと、これは十年であれば何とか十二年に間に合うのではないかというような感触を、あくまで感触でございますけれども、感触を得ております。
  40. 下村博文

    下村委員 条件整備の内容の問題でございますけれども、清掃事業を特別区へ移管をするということについて、三つの条件があったというふうに思います。  一つは最終処分場の確保であり、そして二つ目はそれぞれ地域処理が図れる程度の全量焼却体制の確保、清掃工場をそれぞれの地域につくるという、そして三つ目は直営車の車庫整備であるということで、先ほどの御答弁の中の直営車の車庫整備ということについて、今、都と区の中で条件整備に向けて努力をしているわけでございますが、この条件整備というのがどの時点での条件整備なのか、これについては自治省のお考えはいかがでしょうか。
  41. 松本英昭

    松本(英)政府委員 清掃事業の問題でございますので、これは基本的には厚生省の方でそれなりの御判断をいただくことになろうかと思います。法律自身も、御承知のように、廃棄物の処理及び清掃に関する法律でございますので、厚生省所管法律でございますから。  ただ、私どももその全体の制度の担当省として申し上げているわけでございますけれども、この車庫の問題につきましては、現在、いわゆる未整備が十三区あって、この十三区について、やはり車庫の整備は見通しをきちっと立てるだけでなくて整備がされなければならない。確認をいたします時点ではまだ整備が完全にできていないかもしれませんけれども、事業が移管される前には整備ができるという見通しを立てていただくということが前提になるのではないか、原則としてそういうふうに考えております。  御案内のとおり、現在、東京都におきましては、ごみの処理の計画そのものの見直し作業を進めておられるようでございまして、これが大体来年の夏ぐらいまでかかるだろうというのが、先ほどの確認との関係があるわけでございますけれども、そういうことも踏まえて、今後の第二の清掃工場の整備とかそれから海面の最終処分場の整備の問題とかというようなことも検討なされるのではないか。この辺になってまいりますと、これは先ほども申し上げましたように専門技術的な問題もございますので、厚生省さんともよく打ち合わせをしながら判断をしていただかなければならないのではないかというふうに考えております。
  42. 下村博文

    下村委員 さて、その都区制度移管の中で、区の方に都の権限を移譲するという中で、実は今後の行政改革にもつながっていくかというふうに思いますが、この二十三区ができたときから比べまして現平成八年度の時点で、各区の人口バランス、あるいはそれぞれの自治体としての組織が、大変にそのレベルの差が出てきた。一番大きい世田谷区等は鳥取県等と同じような人口を抱える区であるし、一方で千代田区等、その十一分の一にも満たない人口を抱える医もある中で、そういう行政改革地方分権という視点から考えれば、そもそもこの二十三区のあり方も見直す必要があるのではないかという見方も一方であるわけでございます。  そういう視点と、それから今答弁がございましたが、都区制度移管で東京都の権限を区に移譲することによって区が基礎的自治体として存在をするためには、今のような清掃工場の移管がきちっとされなければならないということはよくわかるわけでございますが、しかし、東京の都区における地理的な制約された条件の中で必ずしもそれをきちっとやることが本当行政改革と照らし合わせて適切なのかどうか。一方で、直営車の車庫整備をきちっとその区の中に置かなくても既にこみ処理は十分運営はできているということであればその辺は柔軟に、既に現実的な処理はされているわけですから、現実的な処理がされているけれども法律上は条件が合わないということで制度改革がおくれるということであってはならないのではないかというふうに私は思うわけでございます。  もちろん、この問題とそれから地方分権行政改革は別の視点ですから、これはまた改めて別なときに議論をする必要があるかというふうに思いますが、この都区制度改革だけに限って申し上げれば、この法整備、法律の改正等は、今までと同じようなしゃくし定規の中でこれとこれとこれの条件が合わなければ一切認めないというような視点ではなくて、基本的に、分権をするあるいは自治を求めるということはそれぞれの自治体が個性豊かな活力のある発展を同時に望むということであれば、地方自治法の改正等、法改正も一律的な改正ということでなく、事情に合った。状況に合った柔軟な法改正というのもそろそろ考える時期ではないかというふうに思いますが、これについてはいかがでしょうか。
  43. 松本英昭

    松本(英)政府委員 ただいま御指摘のように、この都区の制度の性格、特別区というものの性格づけにかかわるような制度の改正、これは地方制度調査会のときにもいろいろ論議がございまして、やはり東京都において特別区は、一般の市町村が行っております上水道とか下水道だとか消防とか清掃というような仕事を、最も住民に身近な仕事を行っていない。これは例えば上水とか下水とかそれから消防とかというようなものは無理としても、清掃というようなものは、これからのごみの増大とかそういうものを考えてみますと、やはり身近なところで処理していくのが適当であろうという考え方でございました。  そのときには、実は御承知のように、収集と運搬まではいいけれども、処理まではこれは無理かもしれない、東京都でやらなきゃいかぬのかもしれない、こういうような議論であったわけです。だから、地方制度調査会の答申の段階では収集、運搬までで、処理は考えていなかった。ところが、東京都の中で、やはり収集、運搬、処理まで一貫をしてこれを特別区に与えることが必要だ、こういう御判断をなされて今のようになっているわけでございます。  したがいまして、この特別区の性格づけというものと関連をした法改正というものは、これはやはり一括をしてやっていく必要があるだろうという考え方ですが、個別の権限について、例えば他の一般にありますような権限でできるならば特別区に先行して移管をする、これは私どもも結構なことであろうと。現実に、食品衛生法の一部は来年の四月から特別区に移管されることになるようでございます。そういうことで、関係省庁の方にも、移管できるものはできるだけ先行して移管していただくように、これは私どもも申し上げているところでございます。
  44. 下村博文

    下村委員 時間が限られておりますので、この問題は最後にさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、平成十二年の四月一日から新制度における法の実施ができますよう、国と都と区から成る連絡調整会議等の中で、ぜひ自治省におかれましては東京都やあるいは特別区に対する調整役あるいは御指導をいただくことによって進めていただきますようにお願いを申し上げます。  続きまして、オレンジ共済の問題について質問をいたします。  昨日の夕刊等報道記事で、このオレンジ共済が倒産をしたという記事が載っておりました。これは先ほど御説明もありましたが、「友部達夫参院議員の政治母体「年金会」が運営する「オレンジ共済組合」は四日、理事長(同議員の妻)名で振り出された手形が二度目の不渡りとなって銀行取引停止処分を受け、倒産した。出資法違反容疑で同共済組合を捜査している警視庁などによると、一時、約二千人から約五十億円を集めたとされる共済「オレンジスーパー定期」は解約が相次いだが、なお四十億円近い負債があるとされる。」こういうことでございます。  今、鋭意捜査をされているということでございますが、この出資法違反容疑ということについて、その後の進捗状況があればお聞かせ願いたいと思います。
  45. 泉幸伸

    泉政府委員 ただいまのお尋ねの事件につきまして、先ほどの、冒頭の御報告では、捜査の過程で捜索をいたすため私どもが証拠に基づいて認定できた事実に限って御報告申し上げましたが、ただいまお話にありましたように、本件自体は、私ども、今までの内偵及び捜査状況から、全国約二千人から五十億円以上集めた事件だというふうに見込んでございます。  お話にありましたように、現職の国会議員の親族あるいはその関連する政治団体にかかわる事件でありまして、また捜査範囲も、ただいま申し上げましたように、北海道、東京を初め全国七県に及ぶ広域の大型事件でございます。また本会に対しまして不安定な形で拠出した人も非常に多く、またその額も多額でありまして、そういう意味で当然ながら社会的関心も強く、その全容解明警察にとって重要な課題である、こういう認識のもとに、現在、所要の体制で捜査を進めておるところでございます。
  46. 下村博文

    下村委員 既に参議院の地方行政委員会でもこのことは議論されたようでございますけれども、今申し上げましたように、もう昨日倒産をしたということですから、今までのような対応であってはならないのではないかというふうに私は思います。そういう意味では、今まで以上の御努力を、警察庁としては捜査をしていただきたいというふうに思います。  まず、出資法違反になった場合ということでございますが、そもそも特殊な事件とも言えるわけ。ですが、政治家の政治団体の中にこのようなオレンジ共済組合をつくっているということも非常に国民にとってはわかりにくいことでございますし、また、その中での出資法違反ということになった場合、実際はどのような処罰があるのでしょうか。
  47. 泉幸伸

    泉政府委員 処罰としては、出資法の預かり金違反は、記憶で申しますと、三年以下の懲役あるいは三百万円以下の罰金ということになっております。
  48. 下村博文

    下村委員 今、ちょっとやじもありましたけれども、考えられないほどの軽微な処罰であるというふうに私も思います。  これだけの社会的な問題になっている中で、どうしてその程度なのかなという感じがするのですが、ちょっと簡単に、出資法そのものがどんな法律なのか、御説明を願います。
  49. 泉幸伸

    泉政府委員 正式名称、法律名は、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律でございまして、その第二条に「預り金の禁止」という条項がございます。「業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。」という条文でございます。それの罰則が八条で、ただいま申しました「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金」というふうになっております。  私ども、通常、この法律について趣旨等を加えて説明するときには、本来不特定多数の人から金銭を預かるにはしっかりした銀行等の者でなければならない、それが、そういう者でない者が預かると非常に不安定になるから、そういう者を罰しておるのだというふうな説明をいたしております。
  50. 下村博文

    下村委員 私、手元に、このオレンジ共済東広島支部で発行したという新聞折り込みのチラシのコピーを持っております。  これを見ますと、このオレンジスーパー定期について、チラシによって加入できるような呼びかけがあるわけですから、明らかに出資法違反になるのではないかと、この資料だけを見ても判断をできるというふうに思うのです。  さらにこの中で、「オレンジ共済 年金会」、そしてこの下に「元受団体自治省届出」というのが大きく真ん中に書いてあるわけですね。これを見ますと普通の人は、自治省に届け出た団体だから非常に信頼性が高く、少なくともこれだけの不況の中であってもまた大変な高利で、三年定期だと年利が七・〇二%、一年定期だと年利が六・七四%、これについて上限もない、幾らでも預けることもできるということについても、ここに自治省の届け出もある、元受け団体だということも書いてありますし、これはこんなにいい制度はないのではないかということで五十億ぐらいの大変大きな額が集まったということがあるかというふうに思うのですね。  この辺でもう一つ確認ですが、この自治省届け出、元受け団体、これについてはどんな団体としてどんなふうに解釈したらよろしいのでしょうか。
  51. 泉幸伸

    泉政府委員 このチラシについては私どもも承知しておりますが、年金会が元受け団体であるから年金会が受け入れるということを表示しておる、年金会自治省に届け出ている、いわゆる政治資金規正法による届け出をしておるということを表示しているものだというふうにこのビラからは理解しております。
  52. 下村博文

    下村委員 いや、私がお聞きしたかったのは、自治省に届け出というのはどういう団体で届け出をしているのか。推測するところ、これは年金会、マスコミ報道等によれば政治団体としての届けたと思うのですが、実は政治団体としての届けであるのにもかかわらず、このチラシを見ると政治団体の届けのようにはとても見えない。それ自体が詐欺行為にも当たるのではないかというふうに思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  53. 泉幸伸

    泉政府委員 ただいまの御指摘のチラシの文言を初め、そのほか集め方には非常に不自然といいますか、そもそも大もとで申しますと、そのような法律に規定のない者が一般人からこのような金利を保証して金銭を預かるということ自体が違法でございます。それの集め方にも非常に無理な、無理というか不自然な点がございます。そのような状況を認識しておりますが、その一環の表示だろうというふうに考えております。
  54. 下村博文

    下村委員 実は、この東広島支部だけでなく、先ほどの御報告のように、全国的な問題になっているそうでありますけれども、特にこの広島におきまして、広島県立生活センターが「オレンジ共済二〇番」というのを設けた。この資料がございますけれども、十一月十九日から二十一日までの三日間、県立生活センターにおいて実施した「オレンジ共済一一〇番」の相談者が、三日間で百三人もいたそうであります。  相談者を年齢別に見ると、五十歳代が二十八人で最も多く、次いで六十歳代の二十三人、四十歳代の二十一人の順となっており、さらに、本来年金等に年齢的に該当しないと十歳代からも四人の相談があったということでございます。  この相談内容について共済、定期等別に見ると、共済に関するものが八十六人、定期に関するものが二十七人、このほか年金に関する相談が二人となっており、いずれもその相談内容は、それぞれを解約をしたい、どう解約をしたらいいのか、あるいは、解約をしたいと申し込んでも、十二月に返還するとの確認書をもらったけれども大丈夫かと。もう大丈夫じゃないわけですね、きのう倒産してしまったわけですから。あるいは、満期の来ていない定期の途中解約は遠慮してほしいと言われているけれども、どうしたらいいのかとか、あるいは、満期になったのにお金の振り込みがない、こういう相談がほとんどであります。  こういう被害者といいますか、こういう方々が、実際にこのオレンジ共済組合が倒産をしてしまったということで、自治省届け出としての政治団体、それから先ほどの中での出資法違反の問題等を照らし合わせ、一つは出資法違反で今捜査されている。それからもう一つは、この自治省届け出については、年金会政治団体なわけですが、先ほどの御報告のように、平成四年度以降は収支報告はゼロで報告されているということは、事実が報告されていないということですが、これについての罰則はどんな罰則になりますでしょうか。
  55. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 ちょっと担当の政府委員が参っておりませんので、正確なお答えを申しかねますが、政治資金規正法につきましては、いわゆる政治団体はその年の、暦年主義でございますが、収支報告書で報告をする、こういうことになっております。それは事実をそのとおり報告するということになっておりますので、それが事実に反する場合は、あるいはその不記載罪とか虚偽記載罪とか、そうした政治資金規正法上の罰則があるというふうに承知はいたしております。
  56. 下村博文

    下村委員 この場合には、明らかに事実とは違う記載がされ、報告されたということになると思いますが、これについては、今後自治省はどんな対応を、処分も含めてお考えでしょうか。
  57. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 お答え申します。  自治省自体というよりも、自治大臣としては、いわゆる政治資金収支報告については、これを受け取ったものを、もちろん形式審査はいたしますけれども、それを文字どおり公表するということによって国民の皆様に御批判をいただくというのが基本的な仕組みでございまして、それが事実に反するかどうか等の実態的なものについては、私どもはそうした権限を持っていないわけでございます。  もちろん、それが法律に違反する場合は、それぞれ司法当局において適正な措置がとられるものというふうに承知をいたしております。
  58. 泉幸伸

    泉政府委員 ただいま御指摘のありました。一つは解約、預けたけれども解約に応じてくれなくて、実質的には返してもらえないという被害が出ているという点、あるいは、政治資金規正法による届け出が、本来届けるべきものが届けられていないのではないかという点につきましては、そういう報道あるいはそういう認識は私ども持ちながら、これについて、そういう事実に対しては厳正に対処するという基本方針のもとに現在捜査をしております。  ただ、今そういうことがあるのか、確定できるのかという点につきましては、実は捜査をいたしまして、何分、全体の資金実態がどうなっているかという解明が必要でございます。現在、押収しました段ボール箱にして百数十箱に及ぶ証拠書類を分析中でございます。捜査状況を申し上げますと、必ずしも整然とした経理が行われていたという状況ではございません。非常にいろいろな証拠書類、帳簿類等の整理がその解明のために、事実の認定のために必要でありますので、そういう作業をやっております。繰り返しますが、ただいま御指摘のありましたような事実も十分念頭に置きながら捜査を進めておるということで御理解を願いたいと思います。
  59. 下村博文

    下村委員 今のお話ですと、政治団体が虚偽の報告をしたことについては特別の罰則はないというふうな理解でよろしいでしょうか。じゃ、それについてお願いします。
  60. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 政治資金収支報告について、それが事実に反する虚偽記載であるとかあるいは事実を書かない不記載というようなものに実態的に該当いたすとすれば、それはそれぞれ政治資金規正法上に基づく罰則は書いてございます。政治資金規正法違反に問われることになります。
  61. 白川勝彦

    白川国務大臣 僕は、ちょっと簡単に整理しますと、共済事業そのものは許認可業ではありません。ですから、ちょっと持っているのは違うので、例えばこちらの交通事故に遭った場合という、本当にやっていたとしたら共済事業は、これはだれかに届け出てやらなければならないという事業の範疇ではありません。  そして、政治資金団体政治資金団体の付随の事業として本来の業務以外の付随の業務をしてはならないという定めもないようでございまして、付随の事業として政治団体がこういうことをやったとしても、それ自体直ちに違法という問題は起きないようでありますが、先ほど政府委員が答弁したとおり、政治団体としての収支報告がゼロということは、ゼロということは何も活動していないということなのかもわかりません。活動してもいないのに、一方、例えば付随事業で大変なものがあった場合、これは政治資金規正法上はどうなのかという問題については、ちょっと事務当局に、考えてみたいと思っております。
  62. 下村博文

    下村委員 これからさらに捜査が進まれるというふうに思いますが、ことしになってから九月までの中で三十億ぐらいは資金を集めだということも聞いておりますし、また五十億のうち約四十億程度が使途不明金であるというふうなことも言われている中で、また、この使途不明金の中では、これまで友部議員本人が約一億二千万を選挙資金として流用しているというような報道もされ、現職の国会議員がこのような政治団体ということを利用して、ある意味では金もうけをし、その金が、結果的には倒産という形で、出資した人たちに戻らないということについては、先ほどのような罰則以上の大変な社会的な問題があるというふうに思います。  そういう中で、既にその隠ぺい工作が行われていると言われているような問題がある中で、これは同じ国会議員としての質もやはり問われてくる中で、特にこの友部参議院議員は、かつて新進党の比例区で当選をされた方だと聞いております。新進党を離れ、今は無所属ということでありますが、しかし、議員をやめられるということは、これは新進党にとっても新進党の議席が違う方がふえるということにもなるわけですし、この辺の政治家としての個人の倫理の問題、それからまた政党としてこういうふうな問題が出たときにどう対処していったらいいかということについて、やはり国民の前にきちっと明らかにするというふうな自浄作用、自浄能力を国会で持たなければ、これは今後国民に対して大変な政治家不信が増長するのではないかというふうに思います。  この件に関して、大臣としてどんな御判断をされているか、また今後、それぞれの所轄の署に対してどのような決意を持って御指導をされ、あるいは警察庁としてどんな捜査をされるか、これについて最後にお聞きしたいと思います。
  63. 白川勝彦

    白川国務大臣 現在は、直接の被疑容疑政治団体年金会による出資法違反事件という被疑事実に基づきまして、既に多数の証拠品等を押収し、専門家が今鋭意事実を調査するということで、精力的に全容解明に向けて捜査を行っている、こういう報告を受けております。  その事実認定の過程で刑罰法令に違反する行為が認定されれば、警察当局としては、その事実に対してしかるべき刑罰法令を適用して、厳正に捜査が遂げられるもの、このように承知をしております。
  64. 下村博文

    下村委員 終わります。
  65. 穂積良行

    穂積委員長 滝実君。
  66. 滝実

    ○滝委員 初めての地方行政委員会におきまして質問の機会を与えていただきました先輩議員の皆様方あるいは同僚議員の皆様方に心から感謝を申し上げまして、質問に入らせていただきます。  まず、警察庁の御当局にお尋ねをさせていただきたいと思います。  先ほど警備局長から警察庁長官銃撃事件についての御報告がございました。その中で、問題になっております元巡査長につきまして、今回懲戒免職処分が行われたわけでございますけれども、その理由が必ずしも御報告では判然といたしておりません。それについてお伺いしたいと思うのでございます。  御報告では、この元巡査長は、現場の下見をした。あるいは銃の試し撃ちをした。二番目には、逃走する際の現場にオウム真理教の幹部が居合わせた。三番目には、神田川に銃を捨てだということを言っておる、こういう三つのことは御報告にございました。それから、なお、背景の事情としては、供述が具体的かつ詳細になってきている、あるいは目撃者の証言と一致する部分がある、こういうようなことを恐らく総合的に勘案されて懲戒免職をされたと思うのでございますけれども、実際の理由の具体的なところをもう少し御説明をいただきたいと思います。
  67. 野田健

    ○野田(健)政府委員 元巡査長につきましては、警視庁において懲戒免職処分を行ったものでありますけれども、その処分理由は、オウム真理教幹部からの依頼を受けまして、「警務要鑑」と名をつけております警察の内部資料を提供した。あるいは警察無線機の製造会社であるとか車両所有者の照会結果などの情報を提供したという事実が一つ。それから、警視庁がオウム真理教関連施設に対する強制捜査を実施した平成七年三月二十二日以降においても、同幹部の指示を受けて頻繁に電話で連絡をとり合っていたというようなものなどで、警視庁警察職員服務規程に違反し、著しく信用を失墜したということで、地方公務員法第二十九条一項に基づき処分したものでございます。
  68. 滝実

    ○滝委員 そうしますと、処分理由は、先ほど警備局長さんから御報告のあったのとは多少違いまして、問題になっている事件のいわば本体部分ということではなしに、いわばそれの周辺部分、要するにはっきりとしている部分だけを取り上げて免職処分、こういうことにされているわけでございますから、いわば本体部分はこれから、こういうようなことだろうと思うのでございます。  そこで、問題になりますのは、あわせて今回警視庁の幹部の皆さん方につきましてそれぞれ処分が発表されているわけでございますけれども、その処分理由につきまして御説明をいただきたいと思います。
  69. 野田健

    ○野田(健)政府委員 警視庁幹部の処分理由についてでありますけれども、これは元巡査長の服務規律違反に対する監督責任、この元巡査長が長官狙撃事件犯行を自認する供述をしているにもかかわらず、警察庁への報告をしていなかった責任についてであります。
  70. 滝実

    ○滝委員 この問題は、十月の中旬でございますか、マスコミに報道された際には、二つの点で国民の皆さん方に大きな反響を呼んだというふうに思います。  一つは、警察の身内が関与している。したがって、身内が関与しているから、四月以来この元巡査長からいろいろ事情を聞いているにもかかわらず、五カ月間も上の方には上がってこなかった。警察庁には報告がなかったということで、いわば不透明な取り扱い、殊さらに隠し立てをしていたのではないだろうか、こういうようなことで大きな反響を呼んだものでございます。  それからもう一つは、警視庁から警察庁への報告が相当程度おくれた。そのおくれた理由はいろいろあるでしょうけれども、警視庁考え方というものに何かボタンのかけ違いと申しますか、行き違いがあったのではないだろうか、こういうような二つのことがあったと思うのでございます。  そこで、今お尋ねいたしました警視庁幹部の処分理由の二番目の点にございましたように、大事な事件であるにもかかわらず、警察庁への報告がおくれた。これが二番目の理由として挙げられているわけでございます。問題は、そうしますと、やはり警察組織の中におきましても、国の機関たる警察庁と、いわば地方警察の機関たる警視庁との間の問題があるように思うわけでございます。  もともと警察法には、警察庁は「都道府県警察を指揮監督する。こういうような大原則を打ち出しているわけでございますけれども、やはり地方警察地方警察としての独立性を持って、それだけの自信とプライドを持って事に当たっているわけでございますので、大原則は警察庁の指揮監督、こういうことになるわけでございますけれども、具体的に今回の一連のオウム真理教あるいは警察官銃撃事件に関連いたしての現場警視庁あるいは都道府県警察でつかんだ情報について警察庁に報告するように、こういうような具体的な指図、指示、そういうものがどの程度であったかということをこの際明らかにされた方がいいのではないだろうかな。今までの報道では、どうもその辺のところがあいまいな格好で国民にはよくわからない。とにかく報告がおくれた。報告がおくれたといっても具体的にどうもよくわからない点がございますので、それは恐らくいろんな指示あるいは文書等が出ているんだろうと思いますけれども、そういうものがございましたら、この際明確にしていただきたいと思います。
  71. 杉田和博

    杉田政府委員 お答えをいたします。  警察庁は、オウム真理教の取り締まりに関しては全国が一体となって対応する必要があるという観点から、各都道府県警察に対しまして、特異情報さらにまた事件情報、こういったものを速やかに報告をするように指示をしておりました。  警察庁長官の狙撃事件は、そうした捜査のさなかに発生いたしました重大な事案でありますので、改めてその時点で、関連情報の収集そして事件情報の収集、こういったものの結果を報告せよという指示をいたしましたし、また、この種の事案については、各県が持っておる断片的な情報であってもそれが重なれば重大な情報になる、したがってささいなことであっても特異なものについては速やかに報告するようにという指示をしたところでございます。
  72. 滝実

    ○滝委員 その指示はどういう格好でなされたかについての御答弁はございませんでしたけれども、恐らくいろいろな会議でありますとか文書の通達とか、そういう格好でおやりになっているんだろうと思うのでございます。  今おっしゃいましたように、実は私は奈良の第二選挙区でございますけれども、ことしの春でございましたか、たまたま事務所におりましたら、地元の刑事さんという方が名刺を持って私の事務所をお訪ねになりました。これは選挙の取り締まりかなと思ったらさにあらず、だれかこの辺に新しく越してきた人はいないだろうか。私自身も事務所に移ったばかりでございますから、全く様子がわからなかったのでございますけれども、とにかく刑事さんはなかなか立派なものだと思うんですね。若い刑事さんですけれども、一人で、名刺を持ってやってきましてあれこれ聞き込みに歩いている。こういうことでございますから、かなり末端の捜査陣もそれなりに動いていた。当然、オウム真理教そのものあるいはこの銃撃事件そのものについても、広域捜査ということで全国的な展開が図られていた。こういうことだろうと思うのですね。  そういう意味では、ただいまの警備局長さんの御答弁のように、当然のことながら断片的な事柄であっても報告するように、これはもう常識的な感じがするのでございますけれども、それにもかかわらず、どうも五カ月間も現場警視庁捜査段階にとどまっていた。こういうことになりますと、最初報道されましたように、何か隠し立てをするようなというようなニュアンスで国民が受け取っているわけでございます。  しかし、もう一つ善意に解釈すれば、先ほど最初に申し上げましたように、警視庁は大警視庁ですから、自分の独立性といいますか、捜査に関する自信とプライドを持って、ある程度の目鼻がつくまではとにかく報告できない、こういうことだったんだろうというのが、これは善意に解釈すればそうだと思います。  しかし、こういうようなことを通じて、同じ警察法に抽象的に、「指揮監督する。」こういうことがうたわれておるのはそれで結構でございますけれども、もう少し細かい規則というものが平素からないとこういう事件が起こりかねない、こういう感じもするわけでございます。警察庁の規則で制定されております捜査規範を見ましても、広域捜査に関しては都道府県警察同士の連絡とか、そういうことは書かれております。それから、最先端の警察署がいろいろな情報をつかんだ際には本部長に報告するように、こういうようなことは捜査規範にきちんと書かれているのでございますけれども、どうも警察庁と地方警察との間の関係についてのそういうようなことは、少なくともあの警察六法のような小さなハンディー判のルール集には載ってない、こういうふうな感じを受けますものですから、その辺のところについて御意見があれば承らせていただきたいと思います。
  73. 杉田和博

    杉田政府委員 お答えをいたします。  警視庁においては、当該警察官供述、こういうものがありまして以来、裏づけ捜査等も行っておったわけでありますけれども、基本的に、当初供述が目まぐるしく変わる、そしてまた、あいまいな点、矛盾点が数多くあるということで、その供述の信懸性について疑いを持ちながら、いまだに捜査報告をする段階ではないということで結果的に報告がおくれたというふうに承知しておりますし、そういう状況の中でありましたので、捜査の手段等についても、それを選びながら慎重に進めたことがいわゆる捜査の徹底というものを欠いて解明がおくれておる、こういう状況にあるというふうに認識をいたしております。  警視庁としては、現場の判断というものがもとよりあったわけでありますけれども、事が警察庁の長官狙撃、しかも当時の現職の警察官長官を撃ちましたという供述をしておる、全国警察の信頼にかかわる重大な事案でありましたから、したがって、それだけに、裏づけ捜査等についてはできるだけ速やかに徹底をして行って、供述の真偽というものを判断すべきであったろうというふうに思います。  ただいま委員がおっしゃいましたとおり、全国で日々生起する事案というものを、それすべて警察庁に報告する必要はもとよりありません。ほとんどが各都道府県警察責任と判断に基づいて自己完結的にきちっとやられておるわけであります。したがって、そういった個々事件についての報告というものは必要ございませんけれども、昨今の事件、複雑性、広域性ということを考えますと、今後やはりこういった広域的でしかも組織の総合力というものを発揮しなければ解決できない事案というものもふえてまいります。したがいまして、こういった事案等については、やはり速やかに警察庁に報告がなされ、警察庁においてそういうものを分析、検討して、あわせて調整機能も果たしながらそういう事件への対応というものを進めていく必要があるというふうに思います。  ただいまの委員のおっしゃった趣旨というものも踏まえまして、今後、組織の中でも種々検討して遺漏のないようにしてまいりたい、かように考えております。
  74. 滝実

    ○滝委員 ただいまの警備局長さんの御答弁は、私も全く、先ほど申しましたように了解をさせていただく次第でございます。  そこで、当時言われましたのは、警察庁への報告がおくれたから例えば銃器の捜索についても大規模な展開がおくれたのではなかろうかとか、そういうようなことが取りざたされたわけでございますけれども、私は、そういうことは恐らくないのだろう、警視庁警視庁でそういうことは百も承知で、いろいろ考えてこられたというような理解をいたしております。  そこで、この際伺っておきたいのは、どうも国民の間と申しますか、私ども素人の目から見ますと、今一生懸命しゅんせつ船で神田川を捜しております。銃が出てくればそれで事件がほぼ解明するというような気持ちをみんな持っているのでございますけれども、よくお聞きしますと、どうもそうでもないという感じがございます。神田川にこの元巡査長が銃を捨てたといっても、自分が使ったものを捨てたのか、あるいは捨てだということを聞いたからたまたまそういうふうに証言をしているのか、そこら辺がよくわかりません。それから、それは警察の科学力をもってすれば一目瞭然わかると思いますけれども、そのたまたま見つかった一丁の銃がこの事件に使われた銃がどうかというのは、それを捜し当てて解明してみなければわからない、こういう問題だろうと思うのでございますけれども、その辺のところは、今後の捜査の段取りとして、警察庁としては今後の捜査方向というものをどうお考えになっているのか。  それから、最近も指名手配中の重要人物が数人逮捕されておりますので、恐らくは相当事件解明の手がかりになるのだろうと思うのでございますけれども、そういうこともあわせて、このしゅんせつ作業の動向も踏まえたこれからの捜査の見通し、それからその決意のほどを伺わせていただきたいと思います。
  75. 杉田和博

    杉田政府委員 お答えをいたします。  委員御指摘のとおり、この神田川におけるところの銃の捜索というものは、当該警察官供述の信懸性というものを裏づける上で大事な捜査一つでございます。しかし、もとよりこの当該警察官供述の裏づけというものは、下見から始まって犯行の時点での状況、さらにまた逃走の状況、そしてけん銃をそこに捨てたという、こういうやはり一連の流れがあるわけでありまして、そういう一つ一つの裏づけというものを総合的に判断をして今後とも捜査を進めるべきであるというふうに考えております。  また、今後の捜査についてでございますけれども、先ほど冒頭で御報告を申し上げたとおり、現時点においては、当該警察官が本件の実行犯であるということを判断するには至っておりませんけれども、申し上げたとおり関与していた疑いというものもございますので、その点について今後検察当局とも十分連絡をとりながら捜査を進めます。  そういう中で、十一月の十四日から十二月の三日までの間、特別指名手配被疑者四名が検挙されまして、残るは三名であります。このオウムの関連の事案を徹底解明するためには、何としてでもやはり逃亡しておる特別手配被疑者、こういう者をすべて検挙するということが必要であります。したがいまして、当面は、この当該警察官供述裏づけ捜査を徹底的に進めると当時に、あわせて、逃亡しておる残る被疑者の逮捕に全力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
  76. 滝実

    ○滝委員 今回の銃撃事件の問題は、実はもう一つ大切な問題があるように思います。警視庁から警察庁への報告がなされなかったということ以上に重要な問題は、やはり警視庁から東京都の公安委員会への報告も相当遅かったのではないだろうかな。新聞報道だけではよくわかりませんけれども、その辺の日程と申しますか事実関係をちょっと御説明していただきたいと思います。
  77. 杉田和博

    杉田政府委員 お答えをいたします。  警視庁においては、東京都の公安委員会に対しましては、十月の二十五日の朝、まず電話等によって報告をした後、その後詳細な報告をしたと承知をいたしております。
  78. 滝実

    ○滝委員 警察庁への報告警視庁捜査考え方の問題も多少あったのだろうと思うのでございますけれども、少なくとも東京都公安委員会に対する報告が大体同じような時期になったというのは、これは重要な問題じゃないだろうかな。やはり東京都公安委員会というのは警視庁について最終的な責任を負う委員会でございます。ただ単に形式的に公安委員会を定例的に開けばいいという問題ではないと思うのですね。やはり専門的な警視庁という大きな組織を民主的にいろいろな意見を踏まえた中でコントロールしていくという、少なくとも建前としてのそういう重要な委員会に対する報告。特に問題は、警察官に絡んだ事案について報告がおくれているというのは、むしろ警察庁に対する報告がおくれている以上に大きな問題ではないだろうかなというふうに考えられるわけでございます。  こういった点につきまして、やはり警察庁ないし国家公安委員会は、都道府県の公安委員会のあり方と申しますか、実際の運営のところをもう少し注意を喚起していただく必要があるのではないだろうかな、こういう感じがいたします。ただし、この辺のところも、公安委員会にどこまで報告するのか、どこまで御相談をするのか必ずしも私ども部外者ではよくわからない点がございますけれども、そういった点について、これは最後にさせていただきますので、自治大臣国家公安委員長の方から御答弁をいただきたいと思います。
  79. 白川勝彦

    白川国務大臣 大変大切な指摘だと思います。  私は十一月七日の組閣に当たって国家公安委員会委員長を命ぜられたわけでございますが、国家公安委員会は毎週木曜日に開かれることになっております。結果としては丸一週間あるわけでございますが、事実、私は一週間国家公安委員の皆さんにお会いできなかったわけでございます。警察庁の幹部はすぐ来たわけでございます。」  これは皆さんからも今後見ていただきたいという意味で申し上げますが、私は警察庁長官に、国家公安委員長が選ばれた場合にまず警察庁として、その事務方もあるわけでございますので、手配すべきなのは、五人の国家公安委員は既に選ばれているわけでございます、しかも五年という任期でいるわけだから、全員でなくてもいいからとにかく会える人からできるだけ早く国家公安委員長国家公安委員が会って、どういうふうに国家公安委員会としての任務を果たすかということをまず打ち合わせすることを手配するのが事務方としての第一の仕事ではないか、こう申し上げたところでございます。  それから、たまたま新潟県に行ってまいりましたが、私はまず第一にそこの新潟県の公安委員長とお会いしたいという形で、県警本部長に会ったのはその次でございます。  車ほどさように、せっかく警察の民主的な管理と政治的中立性ということのために、文字どおり三条委員会というのでしょうか、今非常に問題になっております強い独立性のある委員会という、しかも国会の同意人事のあるこういう国家公安委員会、県においてもそういうのがあるわけでございますから、その案をぜひ全うしてもらいたい、この前も国家公安委員会会議があったときにそう言ったところでございます。  そういう認識に立ちますと、今滝委員御指摘のとおり大変大事な問題でございまして、特に公安委員会は都道府県を含めて警察の民主的な管理ということが大事なことにあるわけでございまして、ひょっとしたら警察官の犯罪かもしれない、こういうところこそまさに国家公安委員会報告をしながら本来よく進めていかなければならぬことであるわけでございますので、このことについて私は事実関係の詳細は承知しておりませんが、東京都公安委員会にまず相談し、そして指示を受けながら慎重に進めるべきことだったのではないかなという印象を持っております。
  80. 滝実

    ○滝委員 銃撃問題はこの程度にさせていただきまして、次に、自治省の行政局長さんを中心にしてお尋ねをさせていただきたいと思います。  現在、厚生省の社会保険庁が年金番号の通知を年金加入者にしている段階だと思います。これは平成九年、来年の一月から年金番号をいよいよシステムとしてお使いになる、こういうことのようでございます。今まで国民年金手帳を見ましても必ず年金番号が入っているわけでございますけれども、これを改めてシステムとして年金番号制度を導入する、こういうことでございますから、当然この時期にそれぞれの年金加入者に通知が来ている、こういうことでございます。  そうしますと、年金番号制を導入することによって相当いろいろなことが合理化される、あるいは年金の加入者も受給者もこれによって相当便利になる、こういうようなことが予測されるわけでございます。  しかし、この十月の中ごろですか、もう一月半ぐらい前の新聞の投書欄に載ったところから見てまいりますと、どうもそうでもない面がございます。具体的に申しますと、現在、年金受給者は毎年一回誕生日の月に現況届というのを出すようにということではがきが参ります。はがきが参りますと、ありていに言えば、生きているよ、こういうようなことを証明するために市町村役場へ参りまして、住民登録にちゃんと載っている、こういう判をもらって送り返すということをいたしておるわけでございます。これは、普通手足がきちんと動けるような人ですと簡単にいくのでございますけれども、お年寄りはそういう手続そのものが何をやっていいかわからないということにどうしてもなりがちでございますし、また歩行困難な方は行くだけでも大変だ、何とかならぬか、こういうような苦情が常に出てくるわけでございます。  今回の年金番号制度はこういうことも解消するのかな、毎年一回の現況届をしなくても済むのかと思っていたら、この投書欄によりますと、社会保険庁が回答を寄せておりまして、それは今回のシステム化でも無理だ、自治省が検討している住民基本台帳のネットワークを待って改めて考えたいというような趣旨の回答がその新聞の投書欄に載っていたわけでございます、  実際問題として、この厚生省の社会保険庁が新聞で回答しているように、自治省のネットワークができればこういうふうな現況届もしなくても済むのかどうか、こういうようなことをまずお尋ねしたいと思うのでございますけれども、その前に、要するに新聞に載っておりました住民基本台帳ネットワークなるものを御紹介かたがた。簡単に今の現況届との関係お答えをいただきたいと思います。
  81. 松本英昭

    松本(英)政府委員 お答え申し上げます。  委員御承知のように、現在、住民の記録管理というのは住民基本台帳法に基づいて統一的にこれを行えるような仕組みになっておるわけでございます。先ほどの社会保険庁の年金番号というのは年金に限った番号制でございまして、これを広くほかの用途に使うというわけにはいかないものでございます。その場合も、先ほど御指摘のように、現況確認のようなものは、現にその対象者がどういう状況であるかということを知っているのは市町村の方でございますので、結局この市町村の住民基本台帳に基づくデータとあわせて現況の。確認をする、こういうことになってくるわけでございます。  したがいまして、現在は御指摘のように三千万人くらい年金受給者がいらっしゃるわけでございますけれども、毎年一回社会保険庁等年金保険者から送付されました現況届用紙というものに必要事項を記載いたしまして、市町村の窓口に持参をして、その記載内容が住民票に記載されているとの証明を受けるわけでございまして、それを年金保険者に送り返す、こういう手続をとっていただいているわけでございます。  私どもが考えております住民基本台帳ネットワークシステムというのは、先ほども申し上げましたように、そういう住民基本台帳に記録されております、少なくとも住所、氏名、性別、生年月日という四情報をもってこの本人の確認が可能になるような仕組みをつくろうということでございまして、全国的にそういうシステムをつくればいいではないか、こういうことでございます。  したがいまして、これができますと、中央のセンターと社会保険庁の年金業務を行っておりますところと結ぶことによりましてこの年金受給者の現況確認というものが必要なくなる、中央と社会保険庁との間でそれが済まされるという可能性を持っておるわけでございます。  そのほかにも、今回の住民基本台帳ネットワークで考えております効用は大きく分けると三つあるわけですが、一つは、住民基本台帳そのものの、例えば住民票をとる手続だとかあるいは転入、転出の手続だとか、そういう住民基本台帳業務に係る住民の方々の便益あるいは行政サイドの事務の簡素化、そういう面が一つございます。  それから二つ目は、他の行政分野、今も年金業務につきまして申し上げましたけれども、そのほか、今後予定されております介護保険なども考えられますし、場合によりましては旅券交付の事務なんかも、そういうことが法律上手当てができれば可能になっていくと思うのですが、そういう面での手続の簡素化に役立つ。  三つ目は、あくまでオンディマンドでございますけれども、ICカードを発行することによって、それを使って、本人確認だけではなくて、例えば健康情報とか福祉情報というようなものを、それを乗っけることによってさらに行政自身の高度化にも資する、あるいは住民のサービスの向上にも資する、そういう役割も期待できる、こういうようなことではなかろうかと思っております。
  82. 滝実

    ○滝委員 この際ぜひ検討していただきたいのは、例えば転勤とか、何かもう今日常茶飯事でございますから、そのたびに住所移転の手続をとるわけでございます。いつも矛盾に感じますのは、必ず転出証明をもといた市役所へ行って、もらってへそれを持って今度は新しいところの市役所に転入届をする、こういうことをするわけですよね。これは二回行かにゃいかぬわけです。それで、引っ越しのときに、ただでさえも忙しいのに往復しなければいかぬ、こういうことに相なるわけでございまして、私は、これは当然今のようないろんなコンピューターシステムであれば、転入届だけすればもとの市役所からそのまま自動的に処理される、こういうようなことでいいんじゃないだろうかなと思うんです。この辺のところは、技術的にそういうようなことがこの新しいネットワークを考えた場合にできるのかどうか。  それから二番目には、市役所の届け出、県庁の届け出でも住民票を持ってこいというのが物すごく多いんですね。そのたびにまた行がにゃいかぬ、こういうことでございます。同じ官公署でそういうようなものはもう自動的にチェックしてもらう、こういうことができないで、いつまでたっても足で往復する、こういうようなことは非常にむだが多いんじゃないだろうかな、こういう感じがいたします。  それから、やはり現在は共稼ぎの時代ですから、夫婦がそれぞれ職業を持っている。そうすると、今までは住民票なんというのは家族の者がだれかかわってとりに行く、こういうことがあったと思うんですけれども、これは共稼ぎの時代になってまいりますとそうもいかない。そうすると、住民票がなしでいければ一番いいんですけれども、仮に住民票が要る場合でも、勤務地のそばの市役所へ行けばそこでもって自分の住所地の住民票がもらえるとか、もうパソコンが日常茶飯事事務所に入っている時代に、こういう仕事だけが相変わらず足で往復するというようなことではぐあいが悪いんじゃなかろうかな、そういった点についての御検討をぜひお願いを申し上げたいと思います。  それからもう一つは、今まで住民基本台帳のこのシステムができなかったのは、何といっても個人情報の保護の問題があったと思うんです。この辺の問題も、どうも聞いてみますと、最近は相当細かい技術的なところまで突っ込んでいろんな新しい配慮が技術的にできるという状況のようでございますから、そういった点も含めてお答えをいただきたいと思います。  それから最後に、こういった点について、これは行政改革とか新しい行政のシステムのあり方を考える、こういうことでございますので、こういう新しいシステムということについて意欲的な自治大臣に最後に御見解をいただきまして、質問を終わらせていただきます。
  83. 松本英昭

    松本(英)政府委員 まず利用面の問題でございますが、転入、転出展の簡素化、これは、例えば転出証明書、こういうものはこのシステムを導入することによって不要になってまいります。私どもは、この転入、転出を一回で何とか済ませる方法を考えたいと思っておるわけでございますが、ちょっと選挙との関係がございまして、そちらの関係さえ解決づけば、それも一度で済ませるような可能性もあります。  それから、住民票の広域的な交付、これは当然このシステムができれば、市役所に行かなくても、自分の勤務地の市役所あるいはその出張所でとることができるようになります。  それから、本人確認のための住民票の提出を求められる、これはプライバシーの問題がいろいろございますので民間の方には適用できませんけれども、公的機関においては当該機関でこの住民基本台帳ネットワークシステムというものを利用するという、これは法令できっちりやっていただこうとは思っておりますけれども、そういうことがあれば、本人確認のための住民票の交付をとりに行くことを省略することができるようになる、こういうことでございます。  第二点の個人情報保護との関係でございますが、ただい支御指摘のように、最近は情報保護の面でも技術的にも大変造んでおりますが、逆に厳しくもなっておりまして、OECDの八原則とかいろんな個人情報保護に関する一般的な基準というようなものが示されております。したがいまして、私どもは、技術的な面での個人情報保護についても、例えば暗号化をするとかパスワードによる認証制度を取り入れるとか、そういう点で完璧を期してまいりたいと思っておりますし、それからまた、それぞれのそれを利用する人の面でも、例えば秘密を守ってもいただくというような点で法的な手当てをしていく、こういうことも考えて万全を期してまいりたいというように考えております。
  84. 白川勝彦

    白川国務大臣 住民基本台帳ネットワークシステムの今後の対応といたしましては、自治大臣主宰の懇談会でいただいた意見を踏まえつつ、特に私は、地方公共団体との具体的な意見調整をさらに詰めること、それから、行政改革の折でございますので、関係省庁との連携を図りながら進めるようにということを特に指示をいたしております。そして何よりも大切なのは、国民の皆様にこのシステムの内容やメリットをわかりやすく説明して、国民の十分な理解と協力を得る努力を行いながらこのシステムの早期導入を目指したいと考えております。  いずれにいたしましても、個人情報の保護、利用分野などについて明確に法律で規定を置くこととしたいと考えており、法制的、技術的検討を含めて地方公共団体等と今詰めているところであります。  提出時期等につきましては、次期通常国会提出も念頭に置きつつ、努力をいたしているところであります。
  85. 滝実

    ○滝委員 ありがとうございました。終わります。
  86. 穂積良行

    穂積委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後一時一二十分開議
  87. 穂積良行

    穂積委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉田公一君。
  88. 吉田公一

    吉田(公)委員 来年四月一日から五%消費税が導入をされるわけでありますが、そのうちの一%については地方消費税として地方公共団体の自主財源になるということであります。そのほかの一%については何に使われるのかよくわかりませんが、いずれにしても、私どもは理由なき消費税増税だという見解に立っているわけであります。  そこで、地方消費税についてまずお伺いしたいのでありますが、この地方消費税導入に伴いまして、自主財源だということでありますから、都道府県、区市町村は何に使ってもいいわけであります。したがって、消費税の増税をするときに、まず高齢化対策だ、財政難である、こういう理由で増税をしたわけでありますが、それならば地方消費税に回る分についても、残り国が使う一%につきましても、高齢化対策にどのようにこれを使っていくかということをまずお尋ねしたい、そう思います。
  89. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今委員からもお話がございましたように、地方消費税は自主財源であり、また一般財源でございますので、特に何に使うということが特定されておるわけでもございません。したがいまして、地方財政全体の財政需要に財政計画の上で広く充てられるというものでございます。
  90. 吉田公一

    吉田(公)委員 そうすると、地方の自主財源だから何に使ってもいいということになれば、人件費にも使われるかもしれない、あるいは補助金に使われてしまうかもしれない。もっと細かく言えば、時間外手当なんというものに使われてしまうかもしれない。しかし、それは消費税増税の本旨に反するのではないか、そう思うのであります。幾ら自主財源といっても、大きな題目として高齢化対策、三%の消費税を値上げするときにも高齢化対策、日本は早急に高齢化対策を図っていかなければならない。それには例の問題になっております特別養護老人ホーム等のゴールドプラン、一体それに幾ら消費税が三%の中で回っているんだ、八%だという。それでは高齢化対策の消費税増税という理由にはならない。ましてや地方自主財源になるということになれば、自主財源だから何に使ってもいいのだ。しかし、それでは消費税の趣旨に反するのではないか。  だから、ある程度地方自主財源として使われることはいいのだけれども、しかし、地方における高齢化対策に使うということだって自主財源であることは間違いないわけだから、やはりきちっと都道府県に、これはもう消費税増税、消費税そのものについても高齢化対策というのが趣旨なんだから、何に使ってもいいといっても少なくとも高齢化対策に使うべきだ、そういう方針なり自治省の見解を示して地方自主財源とすべきではないか、そう思っているわけですが、この点はいかがですか。
  91. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 先ほど、地方消費税の税源としての性格上使途が特定されていないという意味合いで申しましたが、今回、全般の税制改革を行います際には、個人の住民税関係の減税とあわせて消費税の増ということが行われているわけでございます。その全体の税財政改革の設計を行います際には、その中には社会保障関係分というものを含んで全体の歳出を見込んでおりまして、そういう意味合いでは、税制改正を行いました背景には、そういう社会福祉の関係についての税源をふやしていこうという背景があったことは間違いないことでございます。  そういう趣旨を私どもも地方団体に、これから地方消費税がいよいよ実行されていく段階、あるいは消費税に関します地方交付税の税率も今回上がってまいりますので、そういう趣旨はこれからも当然機会をとらえて徹底していかなくてはいけないというふうに考えております。
  92. 吉田公一

    吉田(公)委員 地方公共団体にとっては、通常国会でやるのかどうかわかりませんが、公的介護保険についても、いずれにしても地方にツケが回るのじゃないか、そう言われているわけです。  それからもう一つは、末端の区市町村で高齢化対策を推進していくためにはどうしても財源が必要、その財源に本来は充てるべきであって、何に使ってもいいのだよ、そういう消費税の使い方というのは私は国民が納得しないのじゃないかと思うのです。地方にお金さえ回してやるのだから、自主財源だから、地方自治地方分権につながっているのだからいいじゃないかというのでは趣旨が違う。そのかわり地方譲与税というのは引き揚げてしまうのでしょう。  だから、やはりまず消費税の趣旨からいっても、何に使ってもいいということにはならない、その点をきちっと配分する方が明確にして地方公共団体に言わなければおかしい、そう思っているのですが、再度、何に使っても構わないというのじゃないでしょう。
  93. 湊和夫

    ○湊政府委員 地方消費税あるいは消費税の使用目的に関連してお話してございました。  この制度を今回創設するに当たりましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、個人住民税あるいは所得税の中堅所得者層を中心にする税負担の累増感緩和ということを一つ大きなねらいといたしまして、その税負担の緩和措置を講ずるということが一つ柱としてございました。  同時に、これからの高齢化社会の進展を背景にして、税の構造という意味で、所得税から消費税へという移転を考えるということで、所得税あるいは個人住民税の減税を消費税による国民の負担に振りかえるということにしたわけでございますが、その際に、全体としては住民税あるいは所得税の減税と今回の二%分はおおむね見合う額にはなっておりますが、その中に一部、それぞれ社会保障あるいは地方団体のことでいいますと地域福祉の充実のための財源の確保という観点も、若干ではございましたけれども、組み込まれた上で、全体の額のセットがされておるわけでございます。  そういう意味で、地方消費税そのものは国の消費税と同じように普通税として構築されておりますから、税の建前からいいますと、この税そのものは目的税とは違いまして一般的に使える税であるという性格は持っております。ただ、今回の税制改正一連の背景にございました。先ほど申し上げました地域福祉の充実あるいは社会保障の充実という視点も全体の中に織り込まれておりますので、これは国あるいは地方の、国でいえば国の予算、地方で申しますと地方財政計画策定の上で、当然のことながら地方の歳出の充実という形で反映されていくべきものだというふうに考えておりまして、そのことを受けて、地方団体の実際の財政運営におきましても社会福祉に対する措置というものが当然のことながら充実されていくべきものというふうに考えておるところでございます。
  94. 吉田公一

    吉田(公)委員 先般の地行で、私は野中自治大臣に同じような趣旨で伺ったことがある。そのときに野中自治大臣は、まさかそんなことはありません、こういう答弁でありましたが、できるだけ消費税については、やはり貴重な財源だろうし、そしてまた景気の悪いときに増税をするというような、私に言わせれば理由なき消費税みたいな形なんですね。国民がよくわかってない。第一、一%が地方消費税になるなんてことは知らない人がほとんどだ、説明不足。そういうこともある中で、ぜひ、大事なこの地方消費税の財源を自主財源だからといって人件費に使ってみたり会議費に使ってみたり、そういうことのないようにやはりちゃんとすべきだ、私はそう思っているわけです。  次に、地方消費税導入に伴って、特に不交付団体一つ言えば東京都がある。この不交付団体の東京都は、地方消費税が導入されることによって地方財源の自主財源として要するにプラスになるという話だけれども、全国の地方消費税額を試算すると約二兆五千六百億。そのうち不交付団体としての東京都に、地方消費税額というのは約八千七百億。そのうち国への徴収取扱費というのは、これはまだ未定だ。そして、東京都が、本社があるから地方消費税の税収が一番上がるわけだ。何といったって一千二百万人だから。そうすると、さっき申し上げたように八千七百億円が収入見込み額だ。ところが、八千七百億円東京都へ来るのじゃなくて、払った地方消費税は東京都から他府県へ約五千三百億円行っちゃうじゃないか。そうすると、都の精算後の収入額の見込みは三千四百億円なのですよね。東京都の都民が払った消費税が何でそういうことになるのか、説明してくれませんか。
  95. 湊和夫

    ○湊政府委員 地方消費税の帰属の仕方に関連する御質問だというふうに受けとめておりますので、もし違いがありましたら、また後で御指摘をいただきたいと思います。  地方消費税につきましては、この税制をつくりますときに、過去の経緯からおわかりのとおり、当初の消費税スタート、平成元年度のスタートの際には、地方に対しましては、地方消費税という形ではなくて消費税の中の一部を譲与税として地方に配分するという仕組みがとられておったわけでございます。しかし、今回、平成六年度の改正に当たりましては、住民税減税あるいは所得税減税というものとの関連で消費税の税率の見直しか行われたということもありまして、地方の税財源をいかに確保するか、税源として地方にいかに確保するかということが大変重要な課題でございました。  特に住民税の減税、かなり大幅な恒久減税を行うということでございましたので、これを従前のように単なる譲与税、譲与税になりますと巨額な譲与税になってしまうわけでございますが、こういう形、あるいは交付税でこういったものをすべて賄ったりということは地方の税制の構造としては好ましい形ではないということで、いわゆる地方税として、譲与税ではなく税として構築しようということで取り組まれたわけでございます。  その際、地方の税源をそれぞれでどういうふうに帰属させるか。例えば東京でいいますと、東京都の都内で行われる消費というものと、それから実際に東京都の中でどういう形で生産が行われ消費が行われるかということ、最終的な税の帰属を何をもって考えるかということがいろいろ議論となったところでございます。  それで、基本的には帰属先はやはり消費、できるだけそれぞれの地域で行われる消費に近い形でそれぞれの税源が帰属することが望ましいという考え方に立ちましてこの現在の配分の仕組み考えられたわけでございますが、最初に議員が御指摘になりました。例えば都では先ほど八千七百億というものが納められるというお話でございましたが、これはまさに企業の、例えば本店が東京にございますと、その企業が納めるべき全国分の消費税額が本店がある東京都で納められてしまうというようなことになるわけでございます。  したがって、企業の生産活動を通じて本店で納められる税額というものが、それぞれの地方で実際に消費されているものとは違った形で出てまいります。例えば全国に四十その支店を持った会社が東京にあるといたしますと、その四十七県で実際には消費活動が行われて売り上げがあって、その分が税の手続としては東京都で一括して納められるという形に今回の制度の仕組みとしてはなっておりますので、これを最終的にそれぞれの消費が行われたであろう額によりましてそれぞれの都道府県に必要な税額としての調整を行うという仕組みがとられているわけでございます。
  96. 吉田公一

    吉田(公)委員 余りよくわからないのだけれども、要するに、仮に三千四百億東京都へ残る、そうすると、東京都から今度は区市町村へ約千七百億円回さなければいけないわけだ。東京都の残り分というのは一千七百億。そうすると、さっき言ったように地方消費税をやるかわりに地方譲与税というのを廃止しますよということですから、今まで東京都は地方譲与税というのを一千三百億円もらっていたらしい。一千七百億円のうち千三百億円を引くと、要するに差が四百億円しか残らないわけだ。そのうち住民税の恒久減税分に充てると、これが東京都が約三百億円。そうすると、残り百億円だ。その百億円で今度、消費税が五%、これは東京都に限らず各都道府県全部そうですが、建築の契約、土木工事の契約、物品購入の契約で二%多く消費税を払わなければいけない。それが、東京都の場合を積算すると、三%が五%になって年間約三百五十億円ぐらいかかってしまう。そうすると、百億円余る予定になっているのだけれども、さっき言ったように二%増税した分だけ消費税を払わなければいけないから、計算上でいくと差し引き二百五十億円損するのじゃないか、こういう話なんだ。  ただ、これは綿密に計算した段階じゃないので、見積もり積算だから多少の誤差はあると思うのだけれども、これでは自主財源どころの騒きじゃない。しかも、東京都は不交付団体だから、足りなくなったから、マイナスになりましたからといってそれに充当するお金というのは来ないんじゃないの。足りないからといって特別にくれるのかね。それは大事なところだ、くれるのとくれないのとえらい違いだから。
  97. 湊和夫

    ○湊政府委員 今次の改正は、全体といたしましては、地方の増収に係る分あるいは減収に係る部分は、先ほど申し上げました一部今後の地域福祉充実に充てる部分、この額はそんなに大きなウエートは占めていないわけでございますが、そういったもの、それから、今御指摘がございましたが、消費税の税率が上がりますことによります消費税の負担増加分あるいは並行して実施いたしました先行減税の償還財源分、こういったものと住民税の恒久減税分あるいは所得税の減税分、こういったものをトータルにいたしまして増減収のバランスをとった形でセットされております。したがいまして、地方団体全体といたしましては、社会福祉に係る充実を含めた全体としての額の確保ができたというふうに考えております。  その中で、個々団体ごとの割り振りになってみると東京都の場合は不都合ではないか、こういう御指摘かと存じますが、まず、先ほどちょっと申し上げましたけれども、この中で、特に税にかかわる税源の部分に関して例えて申しますと、個人住民税がちょうど今回一兆三百億円の恒久減税でございまして、この分と、それから従前、消費譲与税として確保されておりました一兆四千三百億円、この二つを合わせました二兆四千六百億円というのが、これまでの財源ぶりからいたしますと説あるいは譲与税として確保されておった分でございます。  こういったものをできるだけ、先ほども申し上げましたけれども、税として確保しておきたいという発想は、やはりすべての団体が交付団体ではなくて、自主財源だけでそれこそやっておられる不交付団体もある。したがって、そういう団体のことを考えますと、少なくとも説あるいは譲与税によるマイナス部分のカバーは税という形で帰属させるべきだという観点に立ちまして、その総額は、おおむね今回の地方消費税全体でいいますと、消費税の一%分になるわけでございますが、二兆四千五百億円、大体これに見合った額という形のものも確保されたわけでございます。  不交付団体でございますので、地方財政計画上きちんと計算が合っていても、実際には不交付額が多少縮小するだけで現実には金が来ないではないかという御議論、これはこの問題に限らずある問題だなというふうに思っておりますが、そういった東京都等不交付団体のことも十分念頭に置いて全体の構成を、交付税のウエートをただ高めるのではなくて、極力税財源の部分は税源で補うという姿勢で取り組んだのは、そういう観点も踏まえて精いっぱい取り組ませていただいた結果であるというふうに考えているところでございます。
  98. 吉田公一

    吉田(公)委員 今のところはそんな厳密な積算をしているわけではないからこの程度にいたしまして、東京都が実際に損をするようになったらもう一回やりますから。  それから、今大都市に住む住民にとって一番問題になっているのは固定資産税。土地が下がっているのに固定資産税が上がるという変な現象なんだね。やはり、資産にかける税金だから、土地が下がったら資産価値が下がるのだから、固定資産税は安くならなければおかしいと思う。ところが実際に、来年は評価の見直しか行われるわけですけれども、つまり土地が下がっているのに固定資産税だけはだんだん上がっていく、こういうことについて抜本的な見直しをしなければおかしいじゃないか、そういう意見が大都市に住む住民の皆さん方の切実な声だと思うのです。  その点について、例えば条例で固定資産税なんかでも多少幅の範囲の中でできるようになっているらしい。一遍都議会で私どもやったことがある。そうしたら、標準税率以下に勝手にするのなら、おまえ起債認めないぞ、そういう話なんだ。だから、東京都が条例でできる範囲というのは本当に少ないのだね。自治省の見解を待っているといつのことかわからないから、東京都民の負担を軽減しようじゃないか、こういって都議会でやろうと思うと、いやおまえ、標準税率以下に、そんなことしたら今度は起債認めてやらないよ、こう言われるものだから、みんな困って、しょうがないから従来どおりにしている。その点はいかがですかね。
  99. 湊和夫

    ○湊政府委員 固定資産税の平成九年度以降の税負担について抜本的な見直しをすべきではないかという御質問についてお答えを申し上げたいと思いますが、現在各市町村、二十三区の場合は都でございますが、評価がえに向けての最後の大詰めの作業をいただいております。  その作業過程でそれぞれいただいたデータで申し上げますと、今回の平成九年度の評価がえにおきましては、最近の地価下落、評価を始めましてから下落する評価というのはもちろん初めてでございますけれども、最近の地価下落まで極力反映する努力もいたしてまいりました結果、一番問題になります宅地の評価の変動割合は、平成八年度、要するに評価がえ前と比較いたしますと、全国で二四・九%の下落、要するにマイナスとなる見込みでございます。  都道府県ごとに見ますと、大変評価変動にばらつきもございまして、先ほどからお話のございます東京都等は大変大きな下落になっております一方で、全国を見回しますと、逆に評価が微増ではございますけれども上昇している県も十三県あるというようなことでございます。また、全国を、市町村三千二百余ございますが、市町村ごとにこの宅地の評価変動の状況を見ますと、半分弱は微増ではございますが下落ではなくて増加している、もちろん増加割合は低うございますが。それから、半分強が下落をしているという形で、地価の下落が固定資産税の評価額に反映されてまいりました結果を見ますと、やはり問題の所在は大都市と地方ではかなり様相が違うなという感じを持っておるところでございます。  こういった評価の状況を踏まえまして今後の税負担のあり方を検討していかなければならぬという状況でございますが、先ほどお話のございました。地価が下がっているのに固定資産税が上がるのじゃないか、おかしいのじゃないかという御議論は、その点についてだけの説明をあえて申し上げさせていただきますと、これまで地価が大幅に上がりましても納税者の税負担をその地価にまさに連動して引き上げるということは固定資産税の税のあり方として適切でないということで、なだらかな負担調整措置というのを講じさせていただいてまいりました。その結果、実際に税負担をいただいております課税標準のレベルが、地価が大幅に下落した後の評価額と比べても、まだその評価額のレベルまでいっていない、全国的に見ますと恐らくまだ半分までいっていないというような状況がございまして、現行法の規定等に照らして考えますと、この評価額にまでいっていない現状からすれば負担の適正化、均衡化を図る余地があるということで、そういう観点をとらえて、地価が下がるのに固定資産税が上がるのではないか、こういう御議論があるというふうに承知をいたしております。  今いろいろ評価の最終的な状況、データを集めておりますけれども、こういったいろいろな状況、それから今お話のありましたような状況、いろいろな視点から現在税制調査会等でも御議論をちょうだいいたしておりますので、こういう議論を踏まえまして検討していきたいと思っております。
  100. 吉田公一

    吉田(公)委員 要するに、全国でも上昇しているところと下落しているところがあるというのだから、だからますます地方公共団体に任せろというのだよ、そんなのは。統一するからおかしくなってしまうのだから、大体、東京都なんて商業地が五〇%も下がってしまった。そういう上昇しているところもあるというなら、そこはそこで固定資産税を上げればいいじゃないですか。下がったところは下げればいいのだよ。要するに、地方の自主課税権というのはやはり制約が多過ぎるのだよ。だから、地方分権とか地方自治といったって、今言ったように、地方団体の課税自主権が制約を受けてなかなかできないということにならないように、本当地方分権というのなら税制の面からも改正していかなければいけない、そう思っていますよ。  それから次に、警察庁にお尋ねをしたいのですが、例のけん銃捜索が、川ざらえとして今一生懸命努力しているわけでありますが、いまだに出てこない。最終的には、出てこなかったらどうするのかということであります。  それから、先ほど懲戒免職にした理由については御質問があって御答弁いただきましたから重複いたしますから結構でありますが、現在は一般民間人になっているわけでありますけれども、その民間人となった人は今まだ警視庁の管轄範囲に身柄があるのかどうか、その二点についてお伺いしたいと思います。  それから、さっき公安委員会の話が出ましたけれども、これは大臣伺いたいのですが、各都道府県の公安委員会というのは独自の事務局というのはないのですよ。みんな制服がやっているわけです。だから、やはり中立、第三者的なという見解からいえば、行政委員会で独自の事務局がないのは公安委員会だけなんだ。例えば人事委員会だとか公平委員会、監査委員会とかというのは独自の事務局を持ってやっているわけだ。一番第三者的な立場に立たなければならない各都道府県の公安委員会が独自の事務局がないというところがやはり問題なんですよ。  そういう点も最後に大臣の御答弁をいただいて、神田川のお話をいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  101. 杉田和博

    杉田政府委員 初めに、神田川の捜索についてでありますけれども、御案内のように、十月の二十七日以来、上流下流合わせまして大体二百メーターの範囲内を徹底的に捜索しようということで、しゅんせつ船等も加わっていただいて今徹底的な捜索をやっておるところでございますけれども、現時点、けん銃等の発見には至っておらないわけであります。  現時点の捜索でありますけれども、大体あと一週間から十日ぐらいでこの二百メーターの範囲内というのは終わります。その時点でも発見されないという場合にあっては、しゅんせつ等の現在やっておるような大がかりな捜索というものはこの辺で打ち切りまして、あとは縮小して、捜査状況によって捜索をしていくということであります。  発見をされない場合は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、捜査の重要な一つではありますが、全体ではございません。したがいまして、全体的な供述の裏づけをとりながら判断をしていく、こういうことになります。  二点目の御質問であります。  十一月の二十八日に懲戒免職になって以来まさに一民間人となったわけでありますけれども、直後、同人から引き続いて保護していただきたいということが文書で要請をされております。現時点では、警視庁においてはそれを受けて引き続き保護の状態に置いて任意で事情聴取をしておる、そういうことでございます。
  102. 白川勝彦

    白川国務大臣 国家公安委員会並びに都道府県の公安委員会の任務は、警察庁並びにそれぞれの都道府県警察本部を管理するということでございます。したがいまして、私どもが独自にいろいろな行政をやるというよりも、警察がなした。あるいはこれからなそうとするということについての報告を受けて、それてそのまま承認する場合もあればこうするという形で直接することが多いわけでございまして、特別国家公安委員会として独自のあることをするということは余りないもので事務局等が現在はないのではないか、こう承知しております。
  103. 吉田公一

    吉田(公)委員 終わります。
  104. 穂積良行

  105. 富田茂之

    富田委員 ただいま吉田委員の方から、元巡査長の身柄のことについて最後に御質問がありましたので、その関連で私の方からも何点がお尋ねしたいと思います。  十一月二十八日付の懲戒免職を受けて、本人から保護願が文書で出たということでありますけれども、ことしの四月なり五月に自分長官を狙撃したんだという供述をした以降、どういう形でその身柄の確保がされていたのか、またその身柄確保の法的根拠は一体どういうところにあったのか、まずその点からお尋ねしたいと思います。
  106. 杉田和博

    杉田政府委員 お答えをいたします。  五月の初めに本人が自分長官を狙撃をしたという供述をしましてから、同人は身の安全に不安を覚えまして、自分の居場所さらにまた供述をしたこと、こういうことが他に知られるのを大変恐れて、それが知られないことを強く望んだのでありまして、そういうことを受けまして、本人の同意を得て保護下に置いて、他方、本人の供述、そういうものが大変不安定で供述が変わる、裏づけもなかなかとれない、やはり裏づけは慎重に進めていかなければならないという状況がございましたので、保護の状態に置いて、同時に事情聴取を進めていった。こういうことでございます。
  107. 富田茂之

    富田委員 保護の状態で事情聴取を進めたというふうにおっしゃっていますけれども、その保護の意味がよくわからないのですよ。ある場所に隔離して、オウム真理教関連の人たちから何かされないようにというふうに本人は思っているのでしょうけれども、警察としてこの元巡査、当時は巡査長でした。この身柄をどういうふうに扱っていたのか。例えば、五月から十一月までの間、保護下にあったときのこの巡査長の生活費、当然御飯食べて寝たりするわけですから、そういうものがどこから出されていたのか、そのあたりも含めて、保護の実態がどういうものであったのか、もう少し御説明いただけますか。
  108. 杉田和博

    杉田政府委員 お答えをいたします。  保護の状態でありますけれども、この当該警察官については現在賃貸借の都内のマンションを借り上げる形でそこで生活をしておる、その状態の中で任意で捜査を進めております。  なお、本人の状況でありますけれども、当然外出はさせておりますし、それから外部との連絡、さらにまた家族との面会、こういうものもいたしております。  ただいまお尋ねの生活費等についてでありますけれども、生活費等については当然本人から支払わせておる、こういうことでございます。
  109. 富田茂之

    富田委員 今の御答弁ですと、いわゆる拘束状態ではないという趣旨だと思うのですけれども、本人はどういうふうにでも動ける、ただ身の安全のために警察の方で配慮しているんだというふうに聞こえるのですが、それでよろしいですか。  この懲戒免職までの期間、給与が支払われていたようなんです。これも参議院の地方行政委員会の方でも御質問があったみたいですが、給与の支払いということに関して、保護下に置いて事情聴取もされているというような警察官になぜ給料を払うんだというような国民の声もあるようです。また、報道によっては、懲戒免職以降この間の給与の返還を求めるんだというような報道もされておりましたが、その点はどうなんでしょうか。
  110. 野田健

    ○野田(健)政府委員 事情聴取中の給与につきましては、警視庁において勤務状況を精査いたしましたところ、欠勤とすべき日についても給与が支払われているということが判明いたしましたので、過度に支払われた給与あるいは通勤手当については、元巡査長に対し返納を求める手続を既に行ったところでありまして、近日中に本人が返納するということでございます。
  111. 富田茂之

    富田委員 給与の点は納得しました。  ただ、本人から十一月二十八日に懲戒免職を受けた以降もまた再度保護願が文書で出たということですけれども、実質的に半年以上にわたって身柄が確保された状態でいる。それは拘禁ではないのかもしれませんけれども、半年間身柄が警察庁のもとにある中で事情聴取が続く。参考人としての事情聴取だとは思うのですけれども、刑事訴訟法には違反しないのかもしれませんけれども、捜査手法としてこれが果たして妥当なのか。裏がとれない、供述が変遷している、その供述の裏が、物証が出てこないということで、被疑者に切りかえることも難しいというのはわかるのですけれども、事実上身柄が確保された状態が半年も続いてずっと事情聴取されているというのは、本来はきちんと逮捕して、十日、十日でやるべきものを、何か警察の方で、まあもともと身内だからというようなことでやっているのじゃないか、こういうような疑念もあるのですが、その点、捜査手法について妥当だというふうに考えられますか。
  112. 杉田和博

    杉田政府委員 お答えをいたします。  本委員会の冒頭でも御報告をした状況でございまして、本人は撃ったという供述は終始一貫変えておりませんけれども、その客観的な裏づけがとれない、したがって、現時点では通當言うところの参考人という状態でございます。  ただ、本人が撃ったと言っておりますし、事が大変重大でございます。何としてでも、やはり供述の裏づけというものは時間がかかってもとっていかねばならない。しかし、今委員御指摘のそういった懸念もこれあり、十二分にやはり任意性というものについては配意しつつこれまで捜査を進めてきております。  したがいまして、半年という期間は大変長うございますけれども、それだけやはり重大な、しかもいろいろと裏づけについてはきちっとした裏づけをしなければならぬという状況下でございますので、これまでの警視庁捜査というものはやはり適法であり、特段問題はなかろう、かように考えております。
  113. 富田茂之

    富田委員 適法で問題はないということですけれども、今局長がおっしゃったように、任意性の問題が、仮にこれが逮捕、起訴、裁判まで行きましたら、やはり半年間もこういう状態にあったということは恐らく争われるだろう。また、信用性の問題もかなり出てくるのじゃないかと思うのですね。  そういう意味でも、この元巡査長の弁護人を依頼する権利、弁護人の弁護を受ける権利というのがどうやって保障されるのか。警察庁の方にお聞きしましたら、本人が弁護士を希望していないということでありましたけれども、今後、例えば物証が出たり、そういったときに、被疑者というふうな形になっていって、警察の保護下にあるわけですから、弁護士が接見頼むと言っても事実上なかなか難しいと思うのですね。そういう点での元巡査長の弁護人を依頼する権利というのをどうやって警察として考えていこうとされているのか。何かお考えがあるようであれば。
  114. 杉田和博

    杉田政府委員 ただいま申し上げたとおり、本人は現時点で参考人でございます。かつまた、本人が現時点、弁護人というものについては求めておらないという状況でありますけれども、委員御指摘のとおり、将来いわゆる裏づけ捜査によってこの疑いというものに客観的な裏づけというものができるようになりますと、いわゆる通當言うところの被疑者という立場になってくる可能性もあるわけでありまして、そういうような場合については、常に警察としては適法、適正ということを旨として、そういう点についても十分配意するつもりでおります。
  115. 富田茂之

    富田委員 それはぜひお願いしたいと思います。  この元巡査長のことについて、もう一点。  十一月二十八日付の懲戒免職ということでしたが、先ほど午前中の御説明では、懲戒の事由として、「警務要鑑」をオウム側に渡した。あと警察無線機の製造会社を教えたり、車両ナンバーの照会に応じたとか、強制捜査以降も頻繁に電話で連絡をとり合っていた。こういう事由で懲戒免職にしたのだという御説明でしたが、それだとしたら、これがなぜ十一月二十八日まで延ばされたのか。  四月か五月で、長官を撃ったということと、いろいろなことを、今挙げたようなことをもう本人は多分言っていたと思うのですが、警視庁の方から警察庁に報告が上がらなかった。十月の中旬に上がってきたわけですよね。十月中旬に上がって以降十一月二十八日まで、もうこれだけの事情はわかっているわけですから、懲戒免職の時期が果たして本当に適当だったのかなと疑問に思うのですが、その点はどうでしょう。
  116. 野田健

    ○野田(健)政府委員 元巡査長がオウム真理教教団に対して情報提供を行ったと供述したのは確かに昨年の五月ごろでありましたけれども、その内容が非常にあいまいであったというようなこともありまして、この元巡査長の処分というのは警視庁において行われるべきものでありますけれども、そういうようなことで、その当時は懲戒責任を問わなかったということであります。その後、具体的ないろいろな状況がはっきりしてきたということで、このたび懲戒免職という処分をしたということでございます。
  117. 富田茂之

    富田委員 今、昨年と言われましたけれども、ことしですね。  ちょっと質問を変えます。  警視庁からの巡査長の供述報告がなかったという点を踏まえて、いわゆる今後のことなのですが、警察庁と警視庁を含めた各都道府県警との連携のあり方がやはり問題になると思うのですね。  この問題が起きてきてふと思い出したのですが、この委員会室で実は四月の二十六日に大臣の方から趣旨説明があって、五月の十四日にこの委員会でオウム真理教事件を教訓として警察法の改正を行ったわけですね。広域捜査が機動的にできるようにということで、長官の方からも必要があるときは必要な指示ができるように、広域的な組織犯罪に対処するための警察の態勢の強化ということでこの委員会で法案審議をして、成立していったわけですけれども、四月二十六日に大臣が趣旨説明されて、五月十四日に委員会でそういう法案を審議しているさなかに、警視庁の方では巡査長が長官を撃ったのだという供述をしていたわけですよね。  そういうことを考えますと、当然、この警察法改正の問題も去年からずっと問題になっていたわけですから、警察庁の方としても、なぜこういう法改正をするのだということを各都道府県警にも説明していたと思うのですね。長官の権限が強化されて、本当捜査がしやすくなるという態勢をつくろうという法律国会審議しているのに、現場ではもうそれと全く逆行するようなことが行われている。特異な情報が出てきたのにそれすら上げない。そういうのを考えますと、何のために我々立法機関は法改正をして、警察捜査しやすいようにやっていたのかなと、ちょっと当時の委員会で一生懸命審議していたというのを無視されたような印象を私自身は受けました。今回の件が出てきて。  警察庁として、この春の警察法改正について一体どういうふうに各都道府県に説明されていたのかちょっと教えていただきたいと思いますし、立法府の方で行政庁である警察庁のバックアップをしようということでそれだけの改正をやっているのに、現場ではそれに逆行するようなことが行われていたということに関して公安委員長はどういうふうに思われるか、この二点についてお尋ねします。
  118. 國松孝次

    國松政府委員 御指摘もございましたように、本年の警察法の改正は、一連のオウム真理教関連事件捜査の経緯を踏まえまして、広域組織犯罪等に対する全国的な捜査態勢を強化するという見地から御提案を申し上げたものでございまして、改正案が国会で御審議をいただけるということの決まりましたおおむね二月の中ごろからは、全国警察に対しまして、その趣旨、内容等を伝達をいたしました。趣旨の徹底を図っていったところでございますし、制定後につきましても、いろいろな通達、あるいは全国会議等で改めてそうした趣旨、内容の周知徹底を図ってきたところでございます。それもあると思いますけれども、一般的に申しまして、最近、いわゆる広域捜査に対する態勢、捜査態勢というものは、かってに比べれば格段によくなっていると私は自信を持って言えると思います。  ただ、御指摘もございましたように、本件につきましては、大変特異な対応がなされたということは大変残念に思っております。  したがって、やはり全国態勢で捜査をしているというものにつきましては、全国警察が必要な情報の共有をするということが何といっても必要でございますので、そういう方向にもう一度、今回の一連の事態も踏まえまして、せっかくおつくりをいただいた法律でございますので、全国警察警察法の趣旨を徹底して、こういうことのないようにやってまいりたいというように考えておるところでございます。
  119. 白川勝彦

    白川国務大臣 委員御指摘のとおり、このような警察法の改正がなされているときこういうようなことがあったとしたならば、基本的には立法府の意を体していないな、私はこう思います。  また、正直申しまして、我々としても、警視庁には警視庁なりの事情があって、直ちに報告すべきものであるかどうか迷いがあったという点についても、国家公安委員会の中でも議論をぎせていただきました。というのは、御案内のとおり、このことが明るみに出た後懸命に捜査をしているわけでございますが、それでもなおかつ、警察官供述が真実であるのかどうか確定するのに大変手間取っているわけでございます。この当時は、供述そのものがもっとあいまいで変転していたときであろうから、多分警視庁には警視庁なりの事情があったのだと思うのでございますが、しかし、私は、一般論としてちゃんとした情報を上げろということだけで言いますと本当の情報が共有されないわけでございまして、重要であるか重要でないかは、最終的には全国の情報を正しく掌握している警察庁において掌握すべきものであるから、やはりこれはいろいろ事情があったにしろ、警察庁への報告がおくれたことは遺憾である、こういうのが最後の結論であり、御案内のとおりの処分をさせていただいた次第であります。
  120. 富田茂之

    富田委員 ただいま長官の方からも広域的な犯罪については情報の共有が必要だという御指摘がありまして、長官もいろいろな報道機関のインタビューに対して、捜査の秘密性と情報の共有という問題をどうやって両立していくかが課題なのだ、広域捜査については特に情報の共有という点に力点を置いていかなければならないということを答えられていました。  今それを徹底しているということですけれども、今回のような事件が起きますと、警察庁の長官あるいは警察庁全体として各都道府県に徹底したとしても、今のシステムがちょっとどこかおかしいのではないか、情報が上がってこないような何か欠陥があるのではないか。人事の交流とか今の警察の機構、刑事畑があり、公安畑がありというような機構面も含めて、指示徹底したとしても、何かそういうところにわだかまりがあって上がってこないようなものがあるのであれば、そこも見直していかないとだめなのではないかなというふうに私は思います。  ある報道に、今回警視庁の公安部長になられた方は暴村部長からなられたみたいですけれども、刑事畑一筋の人だった。その方を公安にということは、捜査の手法についてある程度警鐘を鳴らしてきているのだ、そういう趣旨もあっての人事だというような報道もされていました。本当にそういう観点からやられることも必要だと思いますし、ただ首のすげかえだけで今回のことが全部終わるとはとても思えないのですね。そういうシステム的なところについて、何か今後も検討していかれるつもりなのかどうか、そのあたりについてお尋ねしたいと思います。
  121. 國松孝次

    國松政府委員 御指摘のとおりでございます。  ただ一遍の指示、一遍の会議、一回の会議ということでそういう趣旨が徹底するとも思われません。したがいまして、一つのシステムとしてそういった情報の共有というものと捜査の密行性というのをいかに両立しながらうまくやっていくか、そういうことがうまくできる捜査官をどうやって育成するかということが問題でございまして、そのために私ども腐心をしておるわけでございます。いろいろな各級レベルでの人事交流というのもやっておるところでございますし、府県境付近におきまして共同で捜査に当たるというシステムをつくっております。なお、今後、いろいろなそういったシステムとしていかにそういうことを保障されるかということについては、さらに知恵を絞っていきたいと思っております、  なお、今回の警視庁の公安部長の更迭につきましては、公安部がどう、あるいは刑事部がどうという問題ではございません。公安捜査であれ、あるいは刑事捜査であれ、密行性と情報の共有というものを両立させなければならないということは全く同じでございます。林新公安部長につきましては、今回のこの事件につきましては、やはり捜査一筋で、現在の捜査をいかに究明するかという捜査のことだけを考えてやっていってもらいたいということで、その一番適切な人材ということを公安委員会においてお選びをいただいたということでございます。
  122. 富田茂之

    富田委員 ぜひ、システムの方についてもいろいろ検討を加えていただきたいと思います。  今、法務省の方で法制審に投げかけているようですけれども、組織犯罪に対する規制法というようなことも検討されているようであります。これは当然警察にも関係が出てくると思いますので、警察庁または各都道府県警の方で本当捜査の密行性と情報の共有とをきちんと両立していっていただかないと、また新しい法案が出てきて警察の権限強化につながるような場合に、幾ら法律を変えたって現場でこうなっているじゃないかというような形で、法案の成立にも影響すると思いますので、そのあたりは十分慎重に検討されて、長官が言われたように実行していっていただきたいと思います。  狙撃事件につきましてはこれで終わらせていただきます。  午前中にも山本委員の方から質問がありましたけれども、外国人の地方公務員の任用問題につきまして何点がお尋ねしたいと思います。  午前中、白川大臣は、今までと違った新しいこと重言ったわけでもないし、過激なことを言ったわけでもないというふうな御答弁でしたけれども、報道を見る限りは、大臣就任されて、事務方の方に従来のままでいいのかということで三点にわたって検討を要請したというような報道がありました。  ちょっと指摘させていただきますと、例えば一点目として、「外国人といっても住んで間もない人から永住権を持つ人まで様々だ」。二点目として、「外国人が公権力を行使するのは好ましくないとしているが、具体的にどのような実害があるのか調べる必要がある」。三点目として、「そもそも地方自治体に対して国が指針を示す必要があるのか」。  午前中の大臣の御答弁は三番目がかなり強調された答弁だったと思うのです。こういう検討課題を示した上で十一月二十二日付の大臣談話と大臣の方の御説明というふうになったと私は思っているのですが、これまでと違ったことを言っていないとおっしゃいますけれども、やはり地方自治体における一般事務職への外国人の採用機会の拡大につ狂がった発言だったと思うのですね。私のような認識でよろしいのでしょうか。
  123. 白川勝彦

    白川国務大臣 従来の、政府がいろいろな機会に出しております文書をよく読んでも、あるいは自治省がこれまでに出したものを見ても、だめだとは言っていない。「適当でない」、こういう言い方をしているわけでございます。  この「適当でない」というのをどう受けとめるかということによって、事実上これはだめだというふうに解釈している人がいたとしたならば、私の言ったことは道を開いたもの、こう言うのかもわかりませんが、私の場合は、いずれにいたしましても、今触れた三点、例えば現実には、地方公務員を採用するかしないかということについての問題、そういうことを真剣に考え地方自治体もあるでしょうし、そうでない自治体もあるでしょう。そういうことを含めて、地方分権時代だ、地方時代だと一方では自治省はいろいろな機会に言っているのですから、何でこの問題だけは中央集権的に統一的でなければいけないのという私の、正直申し上げて素朴な疑問から問題を提起し、そしていろいろ議論した結果、最終的には私の考えをあのような形でまとめさせていただいたということでございます。
  124. 富田茂之

    富田委員 大臣は今の考えに基づいて、午前中、山本委員のガイドラインを示すつもりはないのかという御質問に対しまして、全くない、地方自治体の方でまず考えることだし、市町村会等そういうような機能すべき場があるんだからそこで考えたらいいじゃないかという御答弁でしたけれども、実際問題として大臣の談話の中に、制度的にも運用の面においても工夫して適切な措置を講じてくださいというふうに言われているわけで、地方自治体の方で大臣談話を受けて何か工夫したとしたら、どういう職務が公権力の行使に当たつたり、あるいは公の意思形成への参画に当たるのかというのをまず地方自治体の方で判断した上で、それを採用、募集の段階で本人に明示する必要が出てきますよね。  そうすると、各自治体、私のところはこう考えるんだというようなものがばらばらになって、大臣は、何でも自治省に相談に来てください、適切なアドバイスはしますというふうに言われておりますけれども、各自治体と自治省の見解が異なってくるということが当然予想されると思うのですね。まずその自治体でやりなさいというのはよくわかるのですが、地方公共団体の方で大臣がそう言ってくれるからやったというふうになった場合に、やってみたけれども自治省に相談したら結局それはだめだよと言われるようではなかなか踏み込む自治体が出てこないんじゃないかと思うのですね。  そういう意味で、山本委員の方もガイドラインというお話をされたと思うのですが、地方公共団体考えた公権力の行使あるいは公の意思形成への参画の範囲が自治省の見解と異なるような事態が出てきた場合にはどうされるおつもりですか。
  125. 白川勝彦

    白川国務大臣 憲法並びに法律に関して、自治省がこれが最も権威ある公的な解釈だと言う役所だとは私は承知しておりません。そういう役所が仮にあるとしたならば、それは我が国では最高裁判所でありまして、自治省の見解といえども、それはあくまでも地方自治というものを現実に預かり、相談するという立場でございまして、事は憲法並びに法律に関することでございますから、私は、自治省がそれほど公定的解釈をするべき役所だと思っていないから、自治省が余り軽々にこれが適当だとか適当でないとか、そういうことを言うのは謙抑的に慎むべきである、こう申し上げているわけでございます。
  126. 富田茂之

    富田委員 それはよくわかるのですけれども、ただ、地方公共団体の方から見たら、大臣のように最後は最高裁判所に判断してもらえばいいじゃないかというのでは実際の実務は動いていかないと思うのですね。どうしても何らかの指針を示してもらえないのかというような意向があると思いますので、例えば自治省の事務方の方で法制局と相談したり、こうしろということではなくてある程度の大枠なり指針になるような、そういうものを示してもいいのじゃないかというふうに思うのですが、その点はどうでしょう。
  127. 白川勝彦

    白川国務大臣 何度尋ねられても、それだったら私の言った意味はないわけでございまして、まず地方自治体で地方自治体の問題としてお考えください、それが地方分権ということではないでしょうか、これが私の一番言いたいことでございます。  ただし、現実に私は、地方自治の実際の将来においても問題がないように、そして、特に採用される外国人の立場にも立って、そちらの方も大事だからそれをいろいろつくる過程で一緒になって御相談することを否定するのではありませんが、何かあったらガイドラインを示せというのは、私はそういう発想では真の地方自治時代は来ないと確信しておりますので、事務方に余り適当だとか適当でないというレベルの話を軽々に言わないように私は注意しているところであります。
  128. 富田茂之

    富田委員 大臣考え方はよくわかりました。  大臣がこの国籍条項に関する御発言をされた後、各自治体の首長さんの中で、公務員になりたかったら帰化すればいいじゃないかとか、あるいは自民党の総務会でもそういう御発言があったというような新聞報道もありましたけれども、全く問題の本質を理解されていない発言だと思うのですが、大臣はどう思われますか、その発言について。
  129. 白川勝彦

    白川国務大臣 人の発言に対して、どういう場で、しかもどういう趣旨のことを本当に申されたのか、新聞報道だけで私はコメントする気はありません。  ただ、今申し上げたとおり、あくまでも外国人が事務職を含めて公務員になれるかなれないか、あるいは地方自治体が採用するかしないかという摘題が難しいのであって、しかし、難しいからといってそこから避けたのでは何の意味もないだろう、こう思って、確かに私が言ったことのために一部混乱があるかもわかりませんが、しかし、こういう苦労は前に進むために避けて通ることができない苦労だろうと私は思っております。
  130. 富田茂之

    富田委員 ちょっと問題が変わるのですが、大臣がこの問題に関して三点検討を事務方に指示したというのと同じ基盤があると私は思うのですけれども、外国人の地方参政権の問題で、やはり大臣が投げかけた三点が根っこにあって、外国人の地方参政権、どうしようかという問題がいろいろ議論されていると思うのですね。各党の考え方等もまだまとまってきていませんけれども、大臣御本人はこの外国人の地方参政権ということについてどういうふうに今お考えですか。
  131. 白川勝彦

    白川国務大臣 地方公務員への外国人の任用の問題につきましては、現実に問題が起きているわけでございますし、若干の現場でもそういうことがなされたわけでございますので、私は、あえて現実的な必要性があると思って発言したことでありますが、地方参政権という問題については立法政策の問題であり、自治大臣として何か申し上げるべきことなのかな、それにしてはちょっと大き過ぎる問題であるというふうに考え、これはむしろ国会の中において各党各会派において議論されて立法政策の問題としてお考えいただきたい、こう考えております。
  132. 富田茂之

    富田委員 わかりました。  最後に、もう時間もありませんので、午前中の質問でも滝委員の方から、積極的に推進すべきだということで、住民基本台帳ネットワークシステムについて御質問がありました。私自身は、ちょっとこれ、こんなに早急に進めていいのかなという懸念を持っている一人であります。  今、新聞報道等を見ますと、前の倉田大臣が通常国会にもう法案を出すんだというように意思表明されたようで、かなり準備が進んでいると思うのですが、このネットワークシステムの現時点における検討状況、また法案化がどの程度まで進んでいるのか、差し支えない範囲で教えていただきたいと思います。
  133. 松本英昭

    松本(英)政府委員 お答え申し上げます。  この住民基本台帳ネットワークシステムの問題につきましては、二年前から研究会を設けまして、そしてことしの春に研究会の報告をいたしたところでございます。その後、さらに各界各層からの御意見を承るということで、大臣のもとに懇談会を設置いたしまして、そして御意見を伺ってまいりました。その中で慎重論もなかったわけではございません。慎重論もなかったわけではございませんが、多くの方はこの住民基本台帳ネットワークシステムというのをできるだけ早期に導入を目指すべきではないかというような御意見であったかと思います。  そういうことを受けまして、私どもといたしましては現在この法制化に向かってのいろいろな問題点等について法制局等とも御相談をいたしているところでございますが、いずれにいたしましても、これは地方公共団体の自主的なシステム、できるだけそういう形が望ましいと私どもも考えております。したがいまして、地方公共団体との調整を初めとする準備を進めつつあるわけでございまして、そういうものを見た上で判断をしてまいることかと考えておるところでございます。
  134. 富田茂之

    富田委員 時間が来ましたのでもう質問はしませんが、今局長が言われていた報告書の中でも、今後の検討ということで、地方公共団体の意見をきちんと聞けとか、技術的なところの検討を詳細にするようにというような指摘もされておりまして、報告書が出て以降、今度大臣の私的諮問機関ですか、審議会みたいのを三度ほどやってすぐ法案化に行くというのはちょっと大丈夫なのかな。仮に通常国会で法案が出てくるということであれば、本当によく議論をして、先ほど大臣がおっしゃっていたように、国民に理解してもらえるような議論をしたい。  また、大臣の指摘はすごくよかったと思うんですが、個人情報の保護とか利用分野について明確に法律で規定するというふうに答えられておりまして、これはもう本当にそういうふうにしてもらいたいな。プライバシーの保護はどうなるんだ。また、利用分野について、もともとの報告書なんかでは法令でという法令の令がついているんですね。政省令でできてしまうということに関して、この件を研究をしている人たちは、何か勝手に行政庁の方でやられるんじゃないかということを大分心配しております。そういう問題点。また、カード化されると、そのカードを所持していないと処罰されるんじゃないかとか、そういういろいろな懸念もありますので、通常国会に法案が出てきたときにはしっかり議論させていただきたいと思います。  これで終わります。ありがとうございました。
  135. 穂積良行

  136. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 私は国会で初めての質問でございますので、よろしくお願いいたします。  私は、二点お尋ねをしたいと思っております。一つ地方分権行革二つ目は介護保険にかかわります地方財政の影響、こういう点から二点お伺いしたいと思っております。  まず最初は、地方分権行革等につきましては、午前中の委員の皆さんの御質問の中から大臣の決意なり考え方はややわかったわけでございますが、ここで改めて大臣地方分権に対する基本的な考え方と、それをどのように今後進めていくのか、こういったことについて所感を述べていただきたい。
  137. 白川勝彦

    白川国務大臣 地方分権といいますか、地方が中心になって国づくりをやっていくということに関して、同じことを述べてもあれでございますので、私は常々こう考えております。  日本というのは、江戸時代は、長く続いた江戸幕府でございますが、基本的には藩というものがあって、地方自治と言ったかどうかわかりませんが、それぞれの地域がかなりそれぞれにやってきた。こういう時代が二百六十年続いて、今郷土芸能とか郷土料理と言われるものはほとんど江戸時代にできたものなんじゃないでしょうか。  それが、明治政府になりましてから、文字どおり近代国家、追いつき追い越せという中で中央集権でやられてきた。以来百三十年たったわけでございまして、特に戦後の高度成長などは、この中央集権で日本が強力な一つの固まりをなしたということによって大きく伸びた面もあるかもしれないけれども、同じことがやはり百年以上伝わってくるとその逆の面も出てきたねと。  そんな意味で私は、歴史的な大きな流れの中で、いろんな困難があろうけれども、逆に今度はもう一回地方を中心にやっていく。中央集権というのはもう一回後ろに控えてみるという大きな歴史的な一つの結節点というか、曲がり角があったから、この十年あるいは二十年地方時代ということが言われたきたんじゃないかと思っております。そして、私はそれが正しいんだと思います。  ですから、地方分権はもう議論は出尽くしたわけでございまして、実行の段階に移りつつある、こう思っております。来年の春までに基本的には最終的な委員会勧告をいただきまして、これを受けて政府は一日も早く実施計画をつくり、できるところからどんどん実行していく、こういうことであります。  自治省は、地方自治体のますますの発展を願う立場から、地方分権を進めるという立場からこのことをお手伝いしていかなきゃならない、こう思っております。
  138. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 ただいまの大臣考え方というのは全く私も共感をするわけでございますが、一つは、江戸時代、明治維新に、やはり国政の基盤といいますか国の基盤をつくるための中央集権システムというのがある程度機能したと思いますし、必要であったかと思います。またさらに、戦後、昭和二十年の敗戦の時期はまさに日本混乱の時期ですから、その混乱の時期の国を立て直すためにはやはり中央集権システムはある程度必要であったというぐあいに私は考えます。  しかし、戦後五十年になりますと全くこれはもう違った価値観が生まれておりまして、今大臣がおっしゃったように非常に地方のニーズというのも多様化しておりまして、もう中央集権システムではなかなかこれは対応できない、こういうことが各地域で起こっているわけでございます。したがって、やはり地方分権というのは、いろいろなこれまでの記録を見ましても自治省が非常に頑張っておられる、こういう姿を私見せているだきまして、これからこの地方分権を進めるに当たりましては、自治大臣が各大臣に負けないだけの発言をして、地方の立場、いわゆる地方分権というのはより住民に近い立場で実行するということが非常に大事だと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  139. 白川勝彦

    白川国務大臣 私がというよりも橋本総理自身が、官から民へ、まず行政というか公的部門が関与するところをできるだけこの際少なくしていこう、削っていこうということであります。そして、しかしどんなことをしても最後まで公がなさなければならない仕事というのは残るわけでございますが、それについては中央から地方へ、こういうことでございまして、これはある面では、自治省がというよりも全国民考えていくべき立場なのではないかな、こう思っております。  私は、自治省というのはそういう中でどういう役所になっていくのかな。ある面では、自治省というようなものがなくたってどんどんそういうものが進んでいくようになればいいわけでございますけれども、私は、今自治省がそのような健全なそして強力な地方自治が育ってくるということを本気で本当考えて、それこそ、そういうことをしていくと、身を燃焼し尽くすと最後自分はなくなるかもわからぬけれども、それでいいんだぐらいの気持ちを持たなきゃいけないんじゃないか、私は本当にそう思っているんです。  そういうことをみんな口では言うけれども、さっき申し上げたとおり、たまたま地方公務員の問題ではちょっと雰囲気が違うものだから、これはみんな言っている中とどういう整合性があるんだというのがこの問題の発端であったわけでございます。ですから私は、自治省の諸君に対しても、そういうことを考えながらやってほしいということを言っているわけでございます。
  140. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 まず今回の行政改革、橋本第二次内閣というのはまさにこの行財政改革というものが本当のメーンである、国民はそういうぐあいに思っておると思います。  それからもう一つは、やはり何といっても国の財政も大変困窮している。いわゆる二百四十兆の公債残高。地方地方債の残高は恐らく百二十五、六兆あるんではないか。それに国鉄の債務を入れますと四百兆近い。この膨大なツケを、今後どうやって財政を再建しながら国民のニーズに合った政策を展開していくか、非常にこれは難しい。  そういう意味で、総理が、火だるまになってもという決意、それと同時に、これまでと違うことは、総理がみずから行政改革会議の会長になって強いリーダーシップで進めるというのが恐らくこれまでなかったことではないか。これまでは審議会とか協議会とか委員会とか、そういうところにやって、答申をいただいていくという形ですが、これはなかなか実を結ばなかった。  私は今までずっと、諸井さんが委員長をやっている地方分権推進委員会ですか、この精力的な活動に非常に敬意を表しているわけでありますが、先ほど大臣がおっしゃいましたように、地方分権議論はもう終わっている、終わっているといいましょうかやや出尽くしている、私もそう思います。中曽根さんが行政管理庁長官時代から行革が本格的に始まってきて長い歴史を刻んできているわけでございますけれども、今はもう地方制度調査会、行革審、あるいはまた衆参の国会決議もありますし、地方団体は異口同音に地方分権と財源の再配分あるいは税源の確保ということをうたっておりますから、大臣考えられておることはまさにそのとおりだ、このように思います。  そこで、分権を進めるに当たりましては非常に難しいことが実はあるわけでございます。それは、私はいつも考えておるのですが、一つはやはり補助金というものですね。補助金は、これは各省のひもつきでございます。この補助金によりまして、金の縛りとそれから膨大な手続、こういったものが付随しているということ。それから、二つ目はやはり何といいましても許認可。許認可というものは、中央官庁にありますと、これはどうしても分権というものを阻んでいくわけでございます。  したがって、この補助金とか許認可をすべて、今言ったように許認可がすべてこれはだめだというわけではありません。国として必要な補助金、許認可はあろうと思います。国政上どうしてもこれは必要だというものはあると思いますが、必要以上のものは抱え込まない。国はどんどん都道府県へ、都道府県は市町村。私は、どちらかというと、住民に最も距離の近い市町村にできるだけ可能な限り権限も移譲し、自治体がみずから治めるということでやっていくことが一番妥当だと思いますが、そういう点がなかなか各省庁の縄張りによって事が進んでいかないという点が今後多々あると思うのです。  恐らくこれから機関委任事務の問題が十二月ころ出され、来春には委員会の方からも答申が出ると思いますが、そういった省庁のいろいろな抵抗といいましょうか、これについて自治省は、地方分権を進めるという立場から、やはり大臣が先頭に立って努力をしていただきたいというのが先ほど私が質問したことなわけですが、その点はいかがでしょうか。
  141. 白川勝彦

    白川国務大臣 この御時世で、今地方分権というようなものに仮に反対をしたり抵抗をしたりする、そういう省庁があれば、きっとそういう省庁は私は国民の厳しい指弾を受けるものと承知しております。  また、そういう気持ちでは、今まさに、随分政治のありようもたたかれたわけでございますけれども、厚生省の不祥事を初めとして、官僚機構のあり方が私は本当に今国民から見て厳しい批判の対象になっておると思うのでございます。ですから、俗に言う自分の権限を離したくないというようなことでもし抵抗するようであるならば、それはまた大変厳しい指弾を受けるだろうと思っています。  ただ一方では、同時に、そういうことではなくて、これは絶対国がやるべきものであるということは堂々生言えばいいと思うわけでございます。私ども自治省も、本当自治省がやらなければならないことは何なのか。そして、地方自治体にもう完全にお任せをして自治省も関与しないということも、本当地方分権を進めるという、もし仮にそういう立場に自治省があるんだとしたならば、腕より始めろで、早く私に案を見せてくれ、こう言ったわけでございますが、さっき言ったとおり、部局をちょっと減らすのだなんていって、僕らから見たら、そんなのが果たして大きな改革かね、その程度で胸を張れるのかねといって、私は事務当局に言ったところでございます。  ですから、正直申しまして、地方行革という問題も分権にも関係することでございますので、今まで課長レベルでの地方行革プロジェクトチームというものがありましたけれども、それではだめだ、私たち責任はそんなところではないんだということで、事務次官を長にして、最も高いレベルでの地方行革推進本部というのを自治省に設け、私も機会があればそこに出て大いに地方行革推進という立場から地方分権を一方では進めていきたい、こう思っております。
  142. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 地方分権につきましては、時間がございませんのでまたほかに譲るといたしますが、都道府県でもいろいろな問題も起きておる、こういったことを考えてみましても、市町村、都道府県、国、国にいろいろ地方分権行革をどんどんやれという以上に地方もやはりしっかりとしたその受け皿というものをつくっていく、仕事あるいは財源、そういったものが付与されることによって本当に住民のための行政が展開される、あるいは仕事が展開されるというような形になっていくことがやはり好ましいのではないか。ですから、地方分権というのは、どういうことにせよ、やはり今はっきりとこれを進めるべき時期であるということをぜひお願いしたいと思っております。  さて、時間も少なくなりましたので、次に介護保険の問題で、これは特に行政局長さんの方がよろしいのではないかと思いますが、介護保険を法案として決めた場合に、これは保険者が市町村になったわけでございます。したがいまして、介護保険の内容その他につきましては、これは厚生委員会の管轄でございますので、この辺はいろいろ私自身も意見はありますけれどもこれは除きまして、この法案を出すについて地方の財政上の問題といったことについて、厚生省との話し合い、そういった中ではどういうことが問題になり、あるいはまた自治省としてこの介護保険法案によって地方財政にどの程度の影響を与えるのか、こういった点についてわかればひとつお願いしたいと思います。
  143. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 お話ございましたように、今回の介護保険制度の創設に当たりましては、市町村が事業主体ということで制度が仕組まれることになったわけでございます。市町村におかれましては、これまで国民健康保険制度というのを運営されてこられまして、その過程でいろいろ問題なりまた苦労をされておったという経緯がございます。したがいまして、この介護保険制度の創設に当たりましては、市町村からそういう経験も踏まえていろいろな意見が出されてまいりました。  その意見を一つ一つ、それに対する対応策を検討してまいったわけでございますが、大きく分けますと、一つは、介護保険の保険料が全部取り切らないということは当然予想されるわけでございまして、そういう場合の財政の不安をどうやって解消するのか、安定した財政運営が図れるようにするためのそういう措置をとる必要があるということ。それから介護認定、これはいろいろ専門家で認定をするわけでございますが、この事務運営上の懸念もいろいろあるというふうなこと。それから、当初、在宅サービスと施設サービスとを別々に行う、実施時期をずらすという案がございまして、それに対する懸念。市町村側から、これは同時実施が望ましい、こういうふうな意見が出されたわけでございます。  これらにつきまして私どもも厚生省も一緒に、個別にいろいろ検討をいたしたわけでございますが、そのうち、特に財政的な面につきましては、今の保険料の未納の分、そのうちでも特に六十五歳以上の方々の保険料の未納分、これは赤字になってくるわけでございますけれども、そういうものにつきましては財政安定化基金というのを各県ごとに設けまして、それによってその未納分の二分の一を補てんする、残りの二分の一は保険料で、次の改定で回収をしていく、そういう仕組み一つつくったわけでございます。  それから、介護認定につきましては、まず認定の事務費について、これは国が二分の一を負担をするということをはっきり決めたわけでございます。  それから、全体につきまして、そもそも保険で賄うものが半分、公費で賄うものが半分ということでございますので、その公費の半分の分につきましては国がさらにその半分を持ち、県と市町村が四分の一ずつを持つ、二分の一の四分の一でありますから八分の一ずつを持つ、こういうことで財政負担を決めたわけでございます。  これに対しましては、国の分は地方財政法で一言う国庫負担金というふうに位置づけをいたしまして、地方の負担分につきましてはいわば裏負担として地方財政措置を講ずるという形で、おおむね市町村の要望に沿った形で財政的な面につきましては措置を講ずることができたというふうに考えております。  また、先ほど申しました在宅サービスと施設サービスにつきましても、いろいろ市町村の意見を聞かれた結果、同時実施をするということで今回の法案になっております。  したがいまして、全般的には市町村の要望を十分踏まえた形で現在の法案ができ上がっておりますが、なお念には念を入れるということもございまして、この法案には実施状況を踏まえた見直しの規定が置かれております。それから、その見直しに当たっては、地方公共団体などの意見を十分に考慮してその見直しを行うという旨も法律の附則に書かれておるわけでございます。  また、今回のこの介護保険につきましては、都道府県が財政面でもあるいは事務運営面でも積極的に役割を拡大するということも行われておりまして、私どもといたしましては、今後とも、市町村の財政の運営への影響等も含めまして、制度が円滑に実施されますようにその都度実施状況を見ながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  144. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 介護保険につきましては、日本の場合は、この保険の法案をつくるまでに期間が非常に短いのですね、検討して法案になるまでが。ですから、これについて非常に不十分なところがたくさんあるわけなんです。ドイツなどは二十年近く検討してつくったというケースがありますし、イギリスなどは人頭割で失敗してしまったというケースもございます。そういうことを考えますと、これは個々のケースで首長さんがなかなか細部にわたって承知していない場合が多かった。ある専門的にかかわった首長さんは割合とこの内容は少しわかったと思いますが、だんだんわかるに従って、正直、疑心暗鬼な首長さんがふえてきた。私どもに訴える首長も随分多いわけなんです。  そんなことで、一番我々が心配しているのは、今局長も申されましたが、一号被保険者の、いわば老齢化した。所得のない一七%の負担部分ですね。三三%は二号の四十歳から六十五歳ですか、そういうところは特別徴収でいいのですが、普通徴収という部分は、これは現場から見るとほとんど取れないのですね。  ですから、国民健康保険がなぜ膨大な赤字を起こしておるか。北海道は、特に札幌などは大変な赤字ですし、かつての我が市でも、現在ももう二十数億の赤字。ですから、全国を見ても相当きつい市町村はたくさんあるのではないか。そういう中で、国保に合わせてまた徴収するわけですね。しかし、これはなかなか徴収不可能であります。私も一緒に徴収したことはありますけれども、ほとんど本人がいないとか、あるいは所得がほとんどなくて、とてももらうに忍びない。それとあと生活保護、生活保護になると介護扶助、介護扶助になれば、これは二〇%地方負担になります。いろいろな意味で膨大な負担が後ほど市町村に押し寄せてくるのではないかという不安があるわけです。  それからもう一つは、施設福祉の面で、これもやるということになりますと、今の新ゴールドプランの中で果たして平成十二年までにこれは完成できるのかどうか、これも我々の中では非常に疑問な点でございます。これはつたない私どもの市ですが、現在でもなおかつ二百八十人から三百人、例えば特養に入りたいと言っても入れない。それだけの枠がない。ですから、新ゴールドプランでやっていってもなかなか達成できないのではないかという不安が、現実に今市町村の中に、やりたくてもできない。  それから、在宅支援といっても、この基盤整備というものを行うということになっていますが、これもなかなかできない。そうなりますと、最終的には、末端の市町村長は、少なくとも介護保険料が未納だといって、ペナルティーということで介護の給付をしませんよ、あるいはできませんということは実際的にはできません。本当にここで今介護を必要としている人を見て、市町村長は、あなたは保険料も何も納めてないからできませんということは到底できないので、必ずこれは措置する、あるいは何かせざるを得ない。これは全部地方財政、いわゆる市町村の自主財源で補っていく。こういった点が非常に懸念されるので、今後、ひとつそういっ走地方財政を守っていくという立場から、自治省の強力な指導というのでしょうか、あるいはまた地方財政に対する応援といいましょうか、こういったことを考えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  145. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 確かに、御指摘のように、先ほど申しましたようなことで現在の制度を一応つくり上げて国会に法案を提出する段階になりましたけれども、市長会、町村会におかれましても、今鰐淵委員御指摘のようなさまざまな問題につきましての懸念を持っておられるという向きは当然ございます。まとまった意見として、先月に入りましてからも、改めて、今の法案の取りまとめに当たっては市長会の要望をおおむね反映してもらったけれども、なおこういうことについていろいろ留意してほしいということの中に、今申されましたような、施設の整備がきちんと進むかどうか、それから、特に財政関係でいいますと、設計をいたしました未納の保険料に対する財政補てんが、いわば制度で想定したとおりにいくかどうかということを十分に検証してほしいということが非常に強調された意見が出ております。  私ども、そういう意見を十分踏まえて、平成十二年というのが実施の一応の目標でございますが、それまでの間はもちろんでございますし、実施後に当たりましても、そういう市長会、町村会で持っておられます問題意識を十分踏まえて、その制度がきちんとそのとおり動くかどうか、あるいはどこか足りないところが出てくるのではないかといったようなことにつきまして、十分検証しながら取り組んでいきたいというふうに思っております。
  146. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 もう余り時間もなくなりましたのであれですが、この保険の地方財政に与える影響というのは非常に軽微なものではない、私は現場を担当してきた者の一人として、実感としてわかるわけでございます。しかも、実際こういう介護保険を実施していく場合に、認定の問題それからいろいろな基準の問題、これはやはり国で統一していろいろな形で、機関委任事務ということではないのでしょうけれども、それと同じような形になってくると、今機関委任事務廃止していくというような時期に、ある意味では逆行していくような法案の内容にもなっているのではないか、そういう危惧をするわけでございます。  そういう意味で、今後この介護保険法案、これからいろいろ議論されることと思いますが、地方財政がこれによって圧迫されないように、しかも自主的にそのニーズに合って実施できるような形でなければ非常に問題が残っておるのではないか、私はこのように思っておりますので、ぜひその点、今後自治省におかれても、厚生省との折衝その他についても留意をしていただきたい、このように思います。  以上、質問を終わります。
  147. 穂積良行

    穂積委員長 田中甲君。
  148. 田中甲

    田中(甲)委員 民主党の田中でございます。  持ち時間を四十分いたださました。特に関心を持って御答弁をいただきたいと思っていた事項に、まず最初は、第四十一回衆議院選挙は新しい選挙制度のもとで、小選挙区比例代表並立制という制度で行われました。その報告をいただきたいと思っております。また、その後は、ストーカー犯罪について警察庁の方からいろいろと答弁をいただきたいと思っております。三点目は、風営法の改正ということで、これも警察庁サイドから答弁をいただきたいと思います。四点目は、阪神・淡路、三回目の冬を被災者は迎えるわけでありますが、そのことに対して、自治省並びに自治大臣、どのようにお考えになられているかもお聞きをしたいと思います。もし時間が余りましたら、いろいろもう質疑の中で出てまいりましたが、地方分権地方自治というものがどういう認識のもとで行われていくべきかという私なりの意見もお話しさせていただきまして、大臣に御所見をまた賜われればと思います。  それでは、第四十一回衆議院選挙の結果、総括というものをぜひ自治省の方からお聞かせいただきたいと届います。
  149. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 今回の総選挙は、小選挙区比例代表並立制に基づきます初めての選挙でありましたために、投票も二票制になりましたし、選挙区の数もふえましたし、また公営物資なりあるいは届け出書類あるいは選挙運動手段、すべていろいろと変わりましたので、私どもも管理、執行に当たりましていろいろ心配をいたしましたけれども、制度が変わったからミスがあっていいということでは絶対ない、弁解は許されないということで、各都道府県の選管あるいは市町村の選管とが一体となって万全を期して取り組んでまいったところでございます。  結果といたしましては、一部の地域におきまして投票用紙の交付誤りなり、あるいは投開票結果の報告ミスなど若干のミスはございましたけれども、全般的には文字どおり大過なく円滑公正に執行できたものと考えているところでございます。ただ、投票率が戦後最低という状況になりましたことは、極めて残念に思っております。  以上でございます。
  150. 田中甲

    田中(甲)委員 まずは大変に御苦労さまでした。  投票率が下がってきていることに対する自治省サイドの見解などもお聞きをしたいところでありますが、その前に、私の知る限りにおいて、この選挙が終了した後しばらくたってからでありますが、ある選挙区では投票の無効を求めた提訴ということが行われています。千葉県の選挙区でありますけれども、そのことに関して、現段階でわかっていることで結構ですから御報告をいただければと思います。
  151. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 選挙が終わりましてから、不在者投票の有効無効を争った訴訟の提起なり、あるいは定数訴訟なり、あるいは重複立候補の違法性を問うた訴訟等が提起をされておりますが、詳しい中身の実態は承知しておりません。
  152. 田中甲

    田中(甲)委員 千葉県の例では、これはいわゆる疑問票判定に不合理があったのではないかといって選挙の無効を求め、やり直しというものを求めているわけでありますが、こういうものも実際に出てきております。そのことを今どういうことで考えているか、あるいはどういう方向にこれが処理されていくかということを予測して聞こうとは思いません。しかし、このような形で、全国で提訴された。あるいは訴訟が起きていることをやはりこの選挙制度の中での問題点としてとらえていただきまして、改善を重ねていっていただきたいということをまず自治省にお願いをしておきたいと思います。  引き続き、この選挙制度のもとで行われた選挙での違反その他、警察庁の方から報告をいただきます。
  153. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 選挙期日後三十日現在で集計した数字でございますが、違反検挙状況を申し上げますと、総数で八百五件、千五百四十五人となっております。前回の総選挙における同時期の二千八百十件、五千五百十三人と比較いたしまして、件数で二千五件、人員で三千九百六十八入減少しております。いずれの場合も減少の度合いは七〇%強となっております。  罪種別に申しますと、買収六百七十六件、千三百六十三人、以下、自由妨害五十五件、二十人、戸別訪問八件、五十七人、文書違反二十四件、六十五人、その他四十二件、四十人となっております。ただいま申し上げました検挙事件のうち、買収が八〇%を超えており、最も多くなっております。  また、警告状況でありますが、総数で七千三百七十三件であります。前回が一万二千七百四件でございましたから、五千三百三十一件、四〇%強減少いたしております。なお、警告事案のほとんどは文書違反関係でございます。  以上でございます。
  154. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます。  かなり高い率で減少しているということをお聞きして、小選挙区の中で随分選挙のスタイルというのが変わってきたのかなということも感じておりますが、八〇%が買収ということの報告を受けました。買収が行われ、そして連座制というのが適用されて、立候補した候補者自身に五年間の立候補の禁止規定などの適用になる可能性のある者はどのぐらいあるか、わかっている範囲で結構ですからお教えいただきたいと思います。
  155. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 ただいま御指摘の数字につきましては、現在取りまとまっておりませんし、また個々の案件につきましては申し上げるべきものではないと存じますので、差し控えさせていただきたいと存じます。
  156. 田中甲

    田中(甲)委員 きょうは中間報告という形で受けとめさせていただきます。ですから、その結果が出ましたら、地方行政常任委員会のメンバーにもぜひとも報告をしていただきたい。私の方からお願いをさせていただきます。  それでは、そのことはこのぐらいにしておきまして、次に私は、一九九五年のオウム真理教の一連の事件から始まりまして、警察庁長官の狙撃事件に至り、またいまだにその被疑者が検挙されていない。自民党の議員さんもそのお一人として発言をされておりましたが、私も同じ意見を持つ一人として、早い段階から、治安行政の揺らぎというものをこれ以上つくり出さないためにも、警察庁長官の狙撃事件被疑者の検挙というものを一刻も早く行ってもらいたいということを発言していた一人でもありました。  要は、一つ一つ事案に対して最善を尽くしていただきたいということを申し上げるに尽きると思うのですけれども、日本の治安行政というもの、治安の実態というものが揺らいできているということは、これは事実だと思います。全国民がそういう気持ちを持って今見ているのではないでしょうか。  ですから、私がきょうここで質問させていただく二つの問題ですけれども、それはいかに国民から治安のいい国日本というものを、またその信頼というものを認識してもらえるような警察行政というものをつくり上げていくかという気持ちで質問をさせていただきますから、その気持ちを酌んでいただきまして、前向きに積極的に二つの法案に対して皆さん方の御意見というものをいただきたいと思います。  最初は、もう対岸の火事とは言えないストーキング犯罪であります。  ストークという言葉は、忍び寄る、あるいはえたいの知れない者が跡をそっとつけてくるなどという、そういう意味がありますけれども、このストーキング犯罪に対して、今警察庁ではどのような対応というものを考えていらっしゃるか。私の方でも個々に事例を挙げて説明をさせていただきたいと思うのですけれども、その前に、現段階でそのストーキング犯罪というものが凶悪犯罪につながっていくという実態を警察庁はどの程度認識をされているのか、御答弁をいただきたいと思います。
  157. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 御指摘のストーカー犯罪という概念が必ずしもつまびらかではございませんので、その現状について申し上げることは難しいところでございますが、例えば本年十一月に東京において発生し、警視庁が検挙した事例を申し上げますと、交際を断られまして、被害者から電話をかけないように言われたということに対し、道連れにして死んでやるというような脅迫をし、あるいは深夜頻繁に電話をかけるというようなことがございました。バスを待っていた被害者に近づいて、誘いの言葉をかけたが拒否されたということで、腕をつかむなどの暴行を加えたという被疑者を、脅迫、恐喝未遂、強要未遂並びに暴行罪で通常逮捕したものがございますが、ただ、私どもにおきましては、罪種別、あるいは暴力団のように特定が可能な集団別の犯罪の統計は集計をいたしておりますけれども、御指摘のような形態別の統計は持ち合わせておりません。  いずれにいたしましても、警察としては、法に触れる事案を認知いたしました場合には厳正に対処し、国民の不安感の除去に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  158. 田中甲

    田中(甲)委員 法に触れる事案に対しては適正な対処を行っていく、確かにその答弁で正しいと思います。ただし、今の現行法で対応できない犯罪はありませんかということなんです。  例えば、条例では迷惑防止条例というのがつくられて、東京都にもその条例があります。あるいは、今私が指摘しているストーク犯罪、ストーキング犯罪というものに法律で対応するとするならば、これは軽犯罪法の二十八項目めが適用されると私は判断します。この範疇で、今起きている社会的な病理現象とも言えるストーキング犯罪を未然に防ぐことができるのか。例えば跡をつけられて困っている、それも頻繁につけられる、同じ方に同じ場所からいつも後からつけられるとか、そして、家に逃げ込むようにして帰ると電話がかかってくる、無言電話が何回もかかってくる、あるいは差出人の書いていない手紙というものが、あなたのことをいつも見ています、あなたにあこがれていつもそばであなたのことを見守っていますなどという手紙が頻繁に届いてくる。それは現在の、今申し上げた社会的な病理現象とも言えますけれども、精神的なレイプだということをアメリカは定義をして、このストーカー犯罪、五十州の中の四十八州で既につくられている。  日本でもつい最近、ことしの九月でありましたが、大阪で女高生が金属バットで殴り殺されて遺体に火をつけられたという犯罪がありましたが、これもストーカー犯罪ということが言われています。  アメリカのことを若干お話ししておきますと、レーガン大統領をねらった犯人というのはジョディー・フォスターの熱烈なファンでありまして、映画の中で大統領が暗殺されるということで注目される、それを、全く自分がその映画の中の主人公に、主人公ではないのですけれども、人物になってしまった。そんな状態の中でレーガン大統領をねらったというものでありました。ジョン・レノンの暗殺者もそうだと言われています。プロテニスのセレシュ選手を襲った人も、これはストーカー犯罪ということ。特に、O・J・シンプソンの元妻を殺害したあの一連の報道というのはストーカーとして報道がされていましたから、その辺からかなり我が国においてもストーカー犯罪という言葉は定着し始めていると思います。  そして、法的な適切な処置をとりますと言いましたが、ストーキング犯罪を未然に防いていくための法案というものをつくらなければいけないということを私たち立法府の人間は今考え始めているということをお伝えさせていただきます。再度、ストーカー犯罪を防止するためにストーキング防止法なるものが日本に必要かどうか、御所見を現段階でお答えをいただきたいと思います。
  159. 泉幸伸

    泉政府委員 いわゆるストーカー犯罪といいますか、人に不安や迷惑を与えるような行為につきまして、現在、警察では、それが刑法等に触れるあるいは凶悪事件になるというようなことにつきまして厳格に対応するということは当然でございますが、それ以前のものにつきましても、相談や被害の申告があった場合に、その具体的な事実につきまして、例えば先ほどお話ありました軽犯罪法あるいは公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例などを適用して取り締まりを行うとともに、いわゆる一般的な困り事相談、市民相談としまして、困りごと相談、レディス相談所、性犯罪相談専用電話を通じて事案ごとに適切に指導をしておるとともに、あるいはまた被害者宅の周辺のパトロール等の実施ということで対応いたしておるところでございます。  ただいま御指摘の、こういうものについて新たな立法による対策についてどう考えるかということにつきましては、私ども、立法府の御判断でございますし、それぞれ、現在のところ、先ほど申しましたような対策でその防止に懸命に努めておるという状況でございます。
  160. 田中甲

    田中(甲)委員 交番に電話をして、こういう怖い目に遭いましたと震えながら電話がかかってきても、何かあったら連絡をしてください、何かあったらまた連絡を下さい。何かあったらでは遅いということを申し上げたいのであります。それはもうおわかりいただけていると思いますが。全米では、もう年間に二十万件が警察に届けられているということであります。そして、これはただ単に法律をつくればいいということではなくて、現在の社会における病理現象としてカウンセリングが必要になってくる、その対応も同時に必要と思われます。  国家公安委員長、このことに対してどうか積極的に、法案の必要性があるならば、それをつくっていかなければならない立法府の姿勢というものをぜひ大臣の御所見の中でお伺いできればありがたいと思います。
  161. 白川勝彦

    白川国務大臣 私は、国家公安委員会委員長就任して以来、警察官諸君には、今警察はやはり非常な正念場に差しかかっている、こう機会あるごとに申し上げております。それは、私も別段警察というのに縁があった人間ではありませんが、むしろ弁護士というのは、時には警察と訴訟では、あるいは法廷では争うという立場で、激しくやったこともありますけれども、そういう私を含めて、日本は治安がいいというのはお互いに誇りにしてきた。ただ、それが揺らぎ出してきているということは深刻だ。しかし同時に、私は常につけ加えておるのは、しかし今は、今警察一つ一つの重要案件を着実に検挙をして解決していくという中で、この揺らぎ出しているというか陰りが出てきている治安に対する信頼感は必ず回復できる、だから正念場なんだ、頑張ってくれ、こう言っているわけでございます。  今、田中委員がおっしゃった治安に対する不安感というようなものを、ストーカー犯罪によってもし一般の市民が持つとしたならば、軽犯罪法等にもこのようなものがありますけれども、諸外国の立法例等を考えて事務当局も勉強したいと思いますが、何よりも、行政も改革しなきゃなりませんが、国会も大きく変わっているときでございまして、今まで大事な法律はもう政府立法に決まっているんだということでございますが、そんなことはない。私は、刑法であろうが刑事訴訟法であろうが、必要なものは議員立法によって改正がなされるということがあってもいいと思いますので、どうぞひとつ立法府においては立法府において御研究していただきたい。私は、事務当局に、同じような問題意識を持って検討せよということを申し上げるつもりでございます。
  162. 田中甲

    田中(甲)委員 公安委員長、ありがとうございました。  通常国会にはぜひ法案として提出をしたいと思っておりますので、どうぞよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。これは、新しくつくっていかなければならない法案だろうと考えていたものであります。ストーキング防止法、反ストーキング法とも訳されています。  現行の風営法の中で、改正をしなければならないと思われる点があります。ここで指摘をさせていただきますので、さらに御検討をいただき、前向きに対処いただきたいと思っております。  実は、NHKの「レッツダンス」という教室をテレビでやっていた方なのですけれども、このままでまいりますと逮捕されるということになってしまいます。これは、今警察庁の方が御答弁されたように法に対して適正に対処するということを行っていくならば、これは逮捕されざるを得ないのであります。  それは、ダンスホール、ダンススクールも含めて風営法の適用になっていますから、この方は、これからのダンスというものが、ダンススクールというものが、社会的にさらに認知され、評価されたものになってもらわなければ困ると。NHKでダンススクールを行っていたぐらいの方ですから非常に紳士的な方でありますが、風営法の許可をとらずに新しいダンススクールを開設いたしました。それは現行ある法律を守らないということで大変に困ることでありますし、警察はそれに適正に対処しようとしているのですけれども、その方は、自分のダンスにかけた今までの人生の総括としてといいますか、これから強制捜査を受け逮捕されることになろうとも、私はこの法の矛盾を訴えて、法改正のために自分が闘う覚悟なのだということを私にも、また多くの皆さん方に、関係者の方々にもお話をされています。警視庁の管轄内でありますから、そこで今逮捕寸前という状況に陥っているわけであります。  私からも、その方に現行の法は守っていただきたいということは申し上げておりますし、これからもその説得はしていくつもりでありますが、ダンススクールに対して風営法の適用を除外するということを、新風営法が昭和五十九年にできてからもうかなり時間がたっているわけでありますから、当時の改正のときにはビリヤード場が風営法から除外されたという、そんなときでありました。ダンススクールとダンスホールの違いということをしっかりと判断してもらって、時代に即応した法改正を行ってもらいたい。  なぜ時代に即応したということを申し上げるかといいますと、オリンピックのIOC事務局長のフランソワ・カラーさんが、ボールルームダンスは夏のオリンピックに近々採用するのだ、競技として、正統なスポーツとして認めたいということを既に発言をしています。アイスダンスやシンクロナイズドスイミングのようなスポーツのイベントに匹敵すると評価をし、オリンピックの正式種目に近々なる、そういう世界の流れ。また、先進国の中では日本だけが風営法という網の中でダンススクールを管轄しているのであります。  この法の改正ということも、これは警察庁の方から積極的に行ってもらいたいということを私が考え、そして要望させていただきたいと思うのですが、現段階での御所見というものをまず聞かせてください。
  163. 泉幸伸

    泉政府委員 ただいまありましたボールルームダンスを初め、ダンスが、あるいは競技として、あるいは社交の場として非常に健全なもの、健全な性格を持っているという点の認識は同一だと考えております。  しかしながら、営業として、客にダンスをさせる営業というのは、その性質上、営業の行われ方いかんによっては、他の風俗営業と同様、善良の風俗と清浄な風俗環境を害し、または少年の健全育成に障害を及ぼすおそれも有している、そういう点もまた事実であります。風適法におきましては、そういう観点から、ダンスホールにつきまして一定の規制をかけております。  ただ、今御質問にありましたいわゆるダンススクール、法律的にはダンス教授所と言っておりますが、これらにつきましては、ダンス営業そのものに一般的な規制をかけておる中で特に少年の健全育成あるいは善良の風俗に与える影響がより少ないということで、一般のダンスホールよりむ規制を緩めております。これは、今お話しのような、一定の要件を満たし非常に健全に行われておりますダンス教授所につきましては、それを見きわめた上で、例えば十八歳未満の少年の立ち入りの禁止を、夜を除きまして解除したり、また構造、設備につきましても緩やかな構造、設備にしたり、あるいは立地規制についても緩めておるというところでございます。そのような形でダンススクール、ダンス教授所については、風適法による規制をかけながらも、できる限りその規制を緩和するという方向で対応してまいっているところであります。  さらに緩和すべき規制の有無につきましては、関係者の方々の意見も広く伺いながら検討してまいることとしておりますが、先ほど申しましたような構造の中でダンス教授所、いわゆるダンススクールが位置づけられておりますので、これを全く風適法の対象外というところに出してしまいますと、本来持っている危険性、例えばその経営主体に風適法上では風俗営業の経営は許されない人間が経営をするとかいうことについて野放しになりますので、御指摘ではありますが、今申しましたように、ダンス教授所につきまして、さらに緩和すべき要件については検討してまいりますが、風適法の枠外に出すという点については今のところ考えておらないので、御理解を賜りたいと思います。
  164. 田中甲

    田中(甲)委員 理解できません。  これは考え方が、昭和二十年から三十年代の考え方をまだされているのではないか。ダンスホールの今までの姿を、そのような見方しかできない警察庁の対応では私はあってもらいたくないのです。それをしっかりと判断した中で、どういう対応が前向きにできるのか、それも警察庁がこれから国民に信頼されて、しっかりと現状に対応していく警察庁の姿がつくられてきたということを思ってもらえるかどうかの大事なところだと私は思っていますから。  同時にお聞きします。これから風営法を改正していく必要性がある、そういう営業内容というのはどういうものだと思っていらっしゃいますか。あるいは、前回改正されたときに風営法からビリヤードが除かれた。同じように、除く営業関係は今考えていらっしゃるのかどうか、その点をお聞かせください。
  165. 泉幸伸

    泉政府委員 現時点でどう考えているかという御質問でございます。  風適法につきましては、ある特定の営業を風適法の規制を外すということについては、そのような業種は今のところ警察として思っておりません。  それから、先ほどの御答弁を補足させていただきますと、私どもは、ダンス自体、特にダンス教授所で現に行われている状況が風適法上非常に問題のある有害な状況を醸していると申し上げているのではなくて、これを風適法の外へ出しますと、例えば暴力団関係者による経営が行われるとか、一定の規制のないままのダンス教授所が蔓延するとかいう事態が想定できますので、現行の規定の中で今までどおりの健全なダンス教授所が行われるということが望ましいというふうに判断しておるところでございます。
  166. 田中甲

    田中(甲)委員 風営法は、やはり随時見直していく必要があると思いますね。新しい営業が行われているものがたくさん出てきていますから、今のところ考えていないというお考えは改めた方がよろしいかと思います。  それと、このダンススクールのことで、財団法人日本ボールルームダンス連盟といって、皆さんが集まって活動しているところです。この認定、登録の教室は、つまりダンススポーツなのです。スポーツとしてダンスをとらえられるかどうか。スポーツとしてとらえられるダンスは、ダンススクールということで今おっしゃられましたが、ダンススポーツに対しては風営法から除外するという考え方。あるいは、ダンスホールとして従来の活動を行っていきたいというものは風営法の中征とどめておけばいい。なぜならば、十八歳未満が十時までダンススクールには入ることができるという例外の規定をつくっていること自体がそのことを意味しているのではないでしょうか。  ダンスというものを世界じゅうが今スポーツとして認めようとしているときに、風営法の対象から除外するということを積極的に考えていく警察庁の姿勢をぜひとも持っていただきたいと思います。公安委員長、いかがでしょうか。
  167. 白川勝彦

    白川国務大臣 一般的に、法律は社会情勢に適応してその都度見直していかなければならぬわけでございますが、第一義的には、立法府の問題としてどうぞお考えいただきたい。  警察は、国会で決められた法令を厳正に執行していくのが本来の職務でございます。どうぞ、立法府の議員である、貴重な意見でございますのでどんどん進めていっていただき、各党各会派で早急に御意見をまとめていただければ、警察庁としてそのときまた自分たちの意見を述べさせていただきますが、国会で決まったものに日本国の警察はとやかく言うべき筋合いにありません。
  168. 田中甲

    田中(甲)委員 その御意見も理解はできます。立法府が頑張っていかなければならない、そんな気持ちを改めて持って、しかし、現状を多くの皆さん方に知っていただくためにも最後に一点このダンスに関して言うならば、車いすのダンスですが、ウイールチェアダンスはパラリンピックの正式種目になりまして、もう取り入れられるということで決定しています。ダンスというものをスポーツとしてみなしていく、そういう認識も警察庁にお持ちをいただきたいと思います。  時間が余りなくなってしまいましたので、私は、今、衆議院第二議員会館の前できょうで六日目、ハンガーストライキを行って、白湯しか飲んでいないという被災者の皆さん方のことを自治大臣にお伝えをさせていただきたいと思います。  ことしの冬で三回目の冬を迎えます。今が最もつらい、そんな時期を被災者の皆さん方が過ごしている。そして何がつらいかといえば、国会が、あるいは国民が被災者の方をもう忘れてしまっている、忘れ去られてしまおうとしている、その思いというものを被災者が感じるときに最もつらい、そういう思いを一人一人の被災者の方々が今持っているのではないでしょうか。  何回も仮設住宅に泊まって、私は皆さん方とお話をしてきました。兵庫県や神戸市では決して案内をしてくれない。地域型共同住宅といいまして、四畳半の中に高齢者や障害者が押し込まれて水も引かれていないという、そんな状況を、自分の足で歩いて自分の目で確認をしてまいりました。その方々が、もうこれ以上自分たちは生きていく、自立していく望みがないという思いを持つ中、今、衆議院の第二議員会館の前で座り込んでいらっしゃる。ハンガーストライキを行ってもう、くどいようでありますが、六日間何も食べていない、その姿というものを自治大臣もぜひ御承知をいただきたいと思うのです。  この問題は、いろいろな施策を国政の方も講じてまいりましたが、地方行政の場において心ある対応といいますか、きめ細かい対応というものが行われていないというのが一つの要因になっていると思われます。兵庫県においてあるいは神戸市において、公共施設というものの建て直しや表面上の復興ということが行われているように見えても、被災者の心の傷と申しますか、実際の復興というものはまだまだ行われていないんだなということを私は強く認識をしております。  特に、自殺を行う、あるいは孤独死をしている方が五十代、六十代の男性が多いということを調査の中から知ったとき、私は、自立していくための支援措置ということがまだまだとられていないと。弱者に対する救済措置というものほかなり手厚くとられている、そんな認識を今持っていますし、これからもされようとしていますけれども、つまり、無担保・無保証で融資がされるとか制度はあっても、実際には融資ができない、はねられているというのが現状です。  そういう方々は、今まで持っていた負債にプラス何らかの融資というものを受けて、事業の再開や生活の立て直しということを行っていかなければならないのですが、それが許されない。声を大にして叫んでも、自立しなければならない、したいと思っている方が、仮設住宅に入らず、自分の命まで住んでいたところの家賃を払いながらどうやって事業を再開し自立をしていくかということに、今、三度目の冬を迎える中で、もう生きていく希望が持てないということを言われる方がふえてきている。  そんな阪神・淡路の実態に、積極的に行動される自治大臣にもう一度目を向けていただいて、自治大臣としてもまた、閣議の場でも、手厚い自立のための施策というものを講じなければならないだろうということをぜひ力強く発言をしていただきたい、これはお願いをさせていただきたいと思います。
  169. 白川勝彦

    白川国務大臣 阪神・淡路大震災のその後の復旧につきましては、官房長官を先頭に、その後も引き続きいろいろな施策を講じているところでございます。私が大臣になった以降、まだ一カ月もたちませんが、その間の閣議の間に、二度にわたってこの問題が既に取り上げられたと思っております。  私ども自治省といたしましては、それぞれの省庁あるいは各地方公共団体が行う各種の支援措置に地方財政の立場から協力をさせていただくということで、誠心誠意最大限の配慮をしてまいりましたし、これからもしてまいる、こういうことで、今も与党三党の間で協議がされております。新しい支援措置についても、財政当局最大限の知恵を傾けて、どういう支援策があるのか、思い切った御支援ができるようにということで指示を出しているところであります。
  170. 田中甲

    田中(甲)委員 衆議院第二議員会館の前に、この雨の降る風の強い中、きょうは六日目ですが、ハンガーストライキで自分たちの気持ちをわかってほしいということで行動されている方々がいます。もし前を通られたら、大臣も一声、君たちのことは忘れていないよということで声をかけていただければ本当にありがたいと思います。  自治大臣に、これが最後の質問になろうかと思います。  秋田県知事の辞意の表明ということが行われていますが、官官接待、また、官官接待の裏表の関係でありますが、国会に対する予算の陳情合戦の現在の姿。ある衛視さんは、三十年勤められているという方でありますけれども、三十年の間にこんなに陳情者の多い年はありませんでしたということを言われておりました。こういうことなども背景にあるのでしょう。また、秋田県の知事が辞意を表明されたということ、今後波及することが予測できるかもしれません。  そんな中、自治大臣はそれをどのように今受けとめられているかをお聞かせいただきたいと思います。
  171. 白川勝彦

    白川国務大臣 ちょっと、秋田県知事が辞任をされた。いわゆる例の空出張とか食糧費の問題のことでしょうか、それとも陳情が多いということでしょうか、どっちでしょうか。
  172. 田中甲

    田中(甲)委員 秋田県知事の辞意の表明ということに対して。
  173. 白川勝彦

    白川国務大臣 全国でこのような問題が各地で多発をしているということは、私自身まことに憂慮にたえません。そして、どうしてこんなようなものが今この時期になって、しかも各県で同時に発覚をするというか、問題になっているのか、この辺について、私は地方自治現場というのは余り知らないものでございますから、どうしてこういうことが行われるのということを率直に聞いているところでございます。  少なくとも、出張もしていないのに出張しているということはまことに、遺憾なことではなくて違法なことでございますし、食べてもいないのに食べたというのもこれまた遺憾な話でございまして、見つかったから返せばいいというならば、では泥棒をしても返せば問題ないのかという話と同じたぐいであって、根はもう少し深いのではないのかなというふうに思っております。  ですから、実態は実態としてそれぞれの地方自治体でよく把握をしていただいて、それぞれの議会等で議論をしていただきたいと思いますが、一方では、もし、どうしても必要なお金を予算上計上できないためにこういう形で便宜上生み出していたというようなことがあるならば、だから許されるのだというならば、これも私は勇気のない発言だと思うわけでございます。いろいろな活動のために必要なものがあるならば、必要なものとして議会の同意を得てやればいいのであって、やはり透明性といいますか、みずからやることについては、いつも世の中の批判に耐えられるようにしていくということが一番大事なのだと思いますので、まずそれぞれの議会の中において、なぜこういう問題が多発したのか考えていただきたいし、どういうことでこういう問題に今後対処していけばいいのか、どうか私はそれぞれで考えていっていただきたい、こう思っております。
  174. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございました。  もう時間になりましたので終了しますが、次回の予告は、もし質問の時間をいただけるならば、市町村合併に自治省が積極的に乗り出すべきだということをぜひ質問をさせていただきたいと思っております。また、警察庁に対しては、きょうの問題もまた継続して質問いたしますが、警察庁OBもそこに加わっているパチンコ・プリペイドカードのことについて御質問させていただきたい。また、情報等ありましたら事前にお教えをいただきたいと思います。ありがとうございました。
  175. 穂積良行

  176. 穀田恵二

    穀田委員 私は、長官狙撃事件とそれにかかわる現職警察官の狙撃供述の問題について、一連の経過の問題について質問します。それともう一つ、時間がありましたら、いわゆる自治省の出向と言われた天下りの問題についてお聞きします。  最初に、長官にお聞きしたいのです。この間、いろいろな事実がずっと出ているわけですけれども、きょうはやはり一つ一つ明確にしていきたいと思うのですね。  まず最初に、長官、あなたは狙撃事件に関連して参議院の打合会で答弁なすっていまして、その中で、現職警察官供述を知ったのは十月十五日以降、つまり警備局長警視庁から報告を受けた日に知ったと答弁されていますが、そのとおりですか。
  177. 國松孝次

    國松政府委員 正確に申しますと、私としてこの事件につきましての報告を受けましたのは十月の十六日でございます。
  178. 穀田恵二

    穀田委員 報道によりますと、大体、杉田局長がこれを報告を受けたのは十五日になっていますね。それは確かだと思うのですが、そうしますと、そういう重大な問題を、いろいろな理由があったにせよ、さらに一日おくれなければならないというふうなことですか、局長
  179. 國松孝次

    國松政府委員 実は、私、十五日の日は一日じゅう北海道に出張中でございまして、帰ってきたのが九時過ぎであったと思います。十六日の朝一番で報告を受けたということでございます。
  180. 穀田恵二

    穀田委員 それは新聞にも書かれているのですよね、出張で翌日に受けたと。それで、打合会のときにはそういう報告はなすっていないのですね。そういうことについてはお話しなすっていませんよね。  私は、これほど重大な問題なのに、局長がどなり上げたというか驚いたというか、そういうことをなされて、こんな事実があったのかと驚かれた。これはとりわけ、しかも長官の狙撃に関する問題であって、世界が注目をしていて、しかも現職の警察官がそういう供述をしているという問題について、幾ら九時まで出張していたとはいえ、出張先に電話するなり、それから夜を徹して待つなりするのが当たり前じゃないですか。その辺のことの認識もまず私はどないなっているのかなというふうに率直に言って思いますね。局長、どうです。
  181. 杉田和博

    杉田政府委員 私は十月十五日の午後、電話で報告を受けまして、事が重大であるのでもう少し詳しく報告をせよということでいろいろと聞きました。その結果、今長官お答え申し上げたとおり、長官自身はその夕刻帰られるということであるので、電話ないしあれで急にそういう形で報告をするよりは、きちっと朝登庁をされたときに正確に御報告をしよう、こういう判断であったのでございます。
  182. 穀田恵二

    穀田委員 常識的に言うと、私は驚くべきことだと思うのですよね。  しかも、先ほどの午前午後の質疑の中で議論になった東京都の公安委員会に対する報告も、先ほどの話で言うと少しおくれて、これも電話で状況を若干報告したということでしたね。それは事実ですね。もちろんあなたが報告したわけじゃないのだけれども、立場上の問題とすれば、どちらでもいいわけですけれども、東京都公安委員会報告されたのは何日ですか。
  183. 杉田和博

    杉田政府委員 警視庁が東京都の公安委員会報告をしたのは十月二十五日の朝であるというふうに承知をいたしております。
  184. 穀田恵二

    穀田委員 じゃ、もう一つ、当時公安委員長は、前任者でございましたけれども、だれにお聞きすればいいのかというのはあるんでしょうけれども、国家公安委員長がこの事実を知ったのはいつですか。
  185. 杉田和博

    杉田政府委員 十月二十五日の早朝でございます。
  186. 穀田恵二

    穀田委員 この経過を追ってみると、ちょっと皆さん、わかりますね。報道が、少なくとも投書があって、それで報道機関が出てくる、そして報告をされる。報告をされたのが十月の十五日、長官報告されたのが十六日、国家公安委員長と東京都の公安委員会に連絡されたのが二十五日。こんなふうに重大な問題を十日も、それこそ警察庁も含めて報告をおくらせる理由は何なんですか。これほど大事な問題が、少なくとも全体の治安の問題や、それから先ほどるるお話ありましたように、民主的コントロールの最大のポイントであると自治大臣お話あった公安委員会にすらおくれて知らせなければならない理由は何なんですか。
  187. 杉田和博

    杉田政府委員 私といたしましては、十月十五日に報告を受けまして、そして間もなく詳細の報告、今ほど詳細ではございませんけれども報告を受けまして、その報告を受けて、これから具体的に早急に裏づけ捜査を進めるためにはどうすればいいかということを公安部長とともにいろいろと検討をいたしまして、川の捜索をひっくるめまして段取り等について進めておったところでございます。  そして、そういう一応のきちっとした話と、今後どのような形で進めて、どういうふうに捜査をするんだということについて、それなりのきちっとした考えをまとめて公安委員会等に御報告をする、こういうふうに考えておりました。
  188. 穀田恵二

    穀田委員 驚くべきことですね、そんなことは。  先ほどお話あったように、警察庁長官は、少なくともこのオウムの問題について国民的な関心を呼んでおり、その一刻も早い解決が望まれていることは御承知のとおりです。そういった問題で、ささいな点も報告すべし、それから特異な問題については報告すべしという指示までわざわざ出している。指示を出している張本人は国家公安委員長報告しなくてもよかったのですか、長官
  189. 國松孝次

    國松政府委員 報告が特におくれたということでなくて、私どもも、今こういう状況になってみれば、大変詳細な供述が今日の前にあるわけでありますから、一つの判断というのが出てくるわけでございましょうけれども、私どもが、特に私が十六日に聞いたときというのは、早い話、私といたしましても、とてもじゃないが半信半疑といいますか、その一つ一つの裏づけというのは一体どうなっているんだということについて警備局長にいろいろと問いただした。ところが、警備局長の方もその話については余り具体的な話はまだ聞いていないというような状況でございましたので、その間、いろいろと私どもとして、私ども警察庁というのは、警察運営の実務に関しては私以下で責任を持ってやっているわけでございますが、既に出ている話をどうこなしていくのかということについて検討する時間というのは必要でございますし、その必要な時間がそういうものであったということでございます。
  190. 穀田恵二

    穀田委員  それは全くわかりませんね。私、少なくとも先ほどのお話報告を聞いていると、東京都公安委員会に対してもおよそ詳細な報告をしたと言っていないのですよ。そういう一定の事実だけを報告したという、そういう報告でしたよね、先ほどの午前中の話では。  だから、私は、少なくともこういう事態が半信半疑であったという言い方について言うならば、公安委員会が処分をされた。そういう警視庁も含めて処分された方々の、処分といいますか辞任された方もそうですが、余り変わらないのじゃないですか。大体警視総監の認識と共通していますよね。警視総監は、供述している以上白黒をつけなければならない、供述がいろいろ変わるので時間がかかるとして警察庁に報告しなかったわけですね。それがたまたま五カ月間だった。それから聞いたあなた方は十日間黙っていた。こういう関係じゃないですか。  要するに、詳細はともかくとして、実を言うと私は、こういった問題の背景にあるのは、供述は実は報告があったのじゃないかという、みんながそういう気持ちとして疑問があるわけなんですね。だからそういうことが起こっているのじゃないかというふうに思うのは当然だと思うのですがね。それはいかがですか。そんなふうに思いませんか。
  191. 杉田和博

    杉田政府委員 質問の御趣旨、よくわかりませんけれども、いずれにいたしましても、警察庁として認識をいたしましたのは十月十五日の午後であります。
  192. 穀田恵二

    穀田委員 なぜこんなふうなことを言うかといいますと、やはり新聞にそういった問題についての指摘が随分あるのですね。  というのは、これは埼玉新聞だと思うのですけれども、「警視総監は真相語れ」ということでわざわざ記事が書かれています。その中にこんなふうに書いているのです。   かつて警視庁でトップの姿を見てきたが、縦  社会の警察では上意下達が徹底していて幹部は  部下から細かく報告を聞く。全国の警察共通で  重要情報は直ちに警察庁に報告される。誘拐事  件などでは地元警察の発表より警察庁発表の方  が詳しいことが多い。その報告は克明だ。警官  不祥事などは真っ先に警察庁が知る仕組みに  なっている。   警視庁が「警官供述」を告発文が報道機関に  届いた十五日、警備局長報告するまで警察庁  に全く報告しなかったというのは本当だろう  か。こう言っている。  つまり、みんなの疑問は、私も含めて国民の多くの方々は、こんなことについて報告しなかったのだろうか、本当を言うと知っているのじゃないか、だからそういう段取りで結局五カ月間も放置してはみせるし、十日間おくらせても別に平気でいるというようなことになるのじゃないかというふうに思うわけなんですね。そう思うのが普通の認識だ、常識でいえば、普通人でいえばそんなふうに思うのじゃないだろうか。だから「信じられない。」とこの共同通信の編集委員の方は述べられて、「マスコミの知るところとなり、慌てて詳しく報告したのではと思えてならない。」こういうふうに思うから私は聞いているのですよ。だから、そういう声に答えるべきじゃないか。真相を語れと言っているのはそんな形で多くの方々が疑問に思っているのじゃないか。前から知っていたのじゃないか、そういう疑問があるから私はそれを聞いているのですよ。その声にはどうお答えになりますか。
  193. 國松孝次

    國松政府委員 ですから、この委員会におきまして、御質問に答えて真相を申し述べているところでございます。
  194. 穀田恵二

    穀田委員 どうもかみ合いませんね。  だけれども、国家公安委員長警察のトップが襲撃されて、現職の警察官供述をしているという問題が五カ月間も、正確に言いますとそれはどうかわかりませんけれどもおくれる、それで、聞いた警備局長も一日おくらせる、そして東京都の公安委員会にも国家公安委員長にも十日間ほどおくれる。それほどこの問題は重大じゃないのですか。  やはり正確を期すのは当然ですよ。捜査方法を決めたりするのは当然だ。しかし、こんな情報があるのです、ただ、今我々としては裏をとっているので次のことはわからないけれども、こういったことがもし起こっているとすればこれは考えられないことだという認識ですね、普通は。だから、普通の我々の常識からすれば、えらいこっちゃといってみんな報告して、今までの警察庁の仕組みからいっても報告を受けているのが当然じゃないかと思うのですが、国家公安委員長はどうお思いになりますか、その辺は。
  195. 白川勝彦

    白川国務大臣 私は十一月七日に国家公安委員長就任をいたしたわけでございますが、報道等で知っておることにつきましては私も知っておりましたが、例えぱきょう警備局長の方からお話があったようなことについては、私も実は聞いておりません。また、私はそういうことをあえて尋ねませんでした。  ただ、警備当局、警備局長から聞く、本当かどうかわからないけれども、現職の警察官がやったと言っている事案だから、身内の目こぼしということでもし万一ということがあったらいけないので、少しでも可能性があればもう最大限の捜査をいたしておるのです、こういうことであり、そういう気持ちでやってくれればいい、こう思っておりまして、どういう供述をしているか、なぜそんなことを言っているのかということについては国家公安委員長としては特に口を挟むべきことでもないし、私は、それらの点についてそういうことを言っていただければいいと思って、彼らがその任に当たってくれればいいと思っておりますし、多分、前任の倉田国家公安委員長も同じような気持ちだったのではないかなと思っています。
  196. 穀田恵二

    穀田委員 後段の方は余り聞いていないのですけれども、いずれにしても、そういうふうな多くの常識からすれば、これだけの重大なことが期間はいろいろあったにせよ秘匿される、その後の報告も常識では考えられないというのが私の意見です。  しかも、長官は、この案件で報告が不要という判断に現場が立つとしたら、警察庁の存立基盤がなくなる、こうも言っておられるのですね。このとおりだと思うのです。長官狙撃事件にかかわる警官の供述に関連して発生した警察捜査の不手際を、警視庁の幹部が重要な情報を警察庁に速やかに報告しなかったことに要因を求めているわけですが、辞任した井上総監はそのことを明確に認めているわけではないのですね。その点、処分の理由をもう一度明確にしていただきたいと思うのです。
  197. 國松孝次

    國松政府委員 今回の井上前警視総監を含む幹部の処分というものの理由といたしましては、一つは元巡査長の服務規律違反に対する監督責任というものがございます。もう一つが、この元巡査長が長官狙撃事件犯行を自認する供述をしていたにもかかわらず、警察庁への報告をしていなかった責任ということがその事由になっているものでございます。
  198. 穀田恵二

    穀田委員 そのことを理由にしますと、私は同じことが井上総監にも当てはまるのだと思うのですね。結局、私は個人をあれこれ言っているわけじゃないんですが、先ほども午前午後の質疑の中で、わざわざオウム捜査に関連して、繰り返しますが、ささいなこどでも特異なことは報告せよと指示された。再三にわたって指示された。少なくとも、この間の法改正の問題を含めていろいろあるわけでしょうが、そういう指示というのに一番いわば現場のトップが従わないという実態ですね、結果としては。ですから、そうなりますと、私は、先ほどの処分の理由ということからしましても、当然警視総監もその処分の理由たるにふさわしい実態じゃないか、なぜ処分しないのかと思うのですね。それをひとつお聞きしたい。  しかも、さらに今回の処分は、新聞によりますと、こう説明したと言っています。「部下の不祥事に伴う処分は通常、監督責任を問うものだが、今回は加えて幹部がそれぞれの立場で当然行うべき行為を怠った行為責任があった」、こう言っています。その行為責任については、巡査長の供述警察庁に報告しなかった点が厳しく問われたと警察庁の首席監察官は説明したと言われています。そうであるならば、警官の不祥事件のように部下に対する監督責任を理由にした処分とは質が違うわけですね、当然これは。  だから、私、繰り返し言いますけれども、やめればいい、辞任したらいいというものではないと思うのですね。確かに新聞その他では、それも責任のとり方、こういう言い方はありますけれども、私はそうじゃないと思うのです。やはり、警官供述という重大情報を得ながら、巡査長の供述報告しなければならぬとわかっている最大の責任者が警察庁に報告しないとの方針を決定しているわけです。それが警視総監なんですね。だから、なぜ処分の対象から外したのかというのは、幾ら考えてもそれは理由がつかないと思うのですね。その辺いかがですか。
  199. 國松孝次

    國松政府委員 警視総監は、今回の一連の事態につきまして、警視庁の最高責任者としてみずから責任をとるという形で辞任を決断したものでございまして、そうしたものは最も重い責任のとり方であるというように私どもは認識をいたしております。
  200. 穀田恵二

    穀田委員 責任のとり方じゃなくて、本人がそういう形でやったのはいいかもしれないけれども、処分をするということに対しては、これは処分に値するんじゃないですかと聞いているのです。
  201. 國松孝次

    國松政府委員 処分というのは責任を明確にするという意味でなされるものでございます。警視総監がみずから職を辞するという決断で責任をとるという意思を表明されたのは、それなりに潔い責任のとり方であったというように考えておりますので、責任は彼なりにきちんととったということであろうと思います。
  202. 穀田恵二

    穀田委員 私は、本人はそういったことでいいかもしれませんが、しかもそういう言い方というのはいつも出てくるのですが、新聞の論調でも、そういったことで本当責任がとれたんだろうかということを多くの方々が言っていますよ。それは私、言っておきたいと思うのです。  ではもう一つ、当時の副総監、この人も行為責任が問われているのです。なぜそういう人が大阪府警のトップにおられるんですか。警視総監がやめざるを得ないという重大な事態を招いた責任の一端を負っているわけですね。しかも、長官狙撃という重大事件捜査する上での捜査の遅延を問われて処分を受けた方ですよね。そういう人が本部長に居続けることができる処分が適切な処分なのかどうか。これでは大阪府警の士気が上がりますか。私は、本当にそういう意味でいったらこれ自身もどうかと思うのです。もちろん、私は個人的にこの方にどうこうという意味はないんですよ。だけれども、それほどまでに責任という問題を問うとか問われないとかというんだったらば、そういった方を引き続きトップに置いておくこと自身も、これは問題だと言わざるを得ないと思うんですね。その辺はどうですか。
  203. 國松孝次

    國松政府委員 前の副総監につきましては、処分を受けた幹部の中で最も重い減俸百分の二十、一カ月という処分を受けているわけでございますので、大変重い処分を受けて、それなりに責任をとったということであろうと思います。
  204. 穀田恵二

    穀田委員 それなりに責任をとった。重い処分だ、それだから処分しているわけで、問題は、そういう人を引き続き、いわゆる今言った行為責任が問われているのに府警のトップに据えていていいのかということを言っているのですね。だから、こんなことまで当然出ているわけですよ。要するに、「国会追及かわしへ先手」とった。こういう記事が書かれたり、それから新聞では、「トカゲのしっぽ切りがしゃっぽ切りに変わっただけ。」こんな指摘もあるわけなんですね。これほど重大な問題が、警察全体がこれを受けとめるという場合において、そういう人々を引き続きトップに据えているのはどうかと思うのが普通の神経だというのですよ。私はそう思うのですよ。国家公安委員長、その辺はどうですか。
  205. 白川勝彦

    白川国務大臣 先ほどからいろいろな御意見をお伺いしておりますが、一方では、責任もしくはけじめをどうつけるかということと同時に、私は就任以来、何よりも、この元警察官が言っていることが事実なのか、事実でないのか、この全容解明責任云々の問題よりも第一に大切なことである、ここに全力を尽くしてもらいたい、その上で、こういう不祥事があったということについてはどこかで何らかの形でのけじめをつけるなりこういうことはしてもらいたい、こういうことを警察庁長官に指示し、警察庁長官はその意を受けて、現実に、ある面では責任をとらなければならない井上警視総監は、一方では現実には捜査を遂げなければならない責任者であるわけでございますので、そこは私は警察庁長官にお任せをし、そして一カ月有余、一カ月というか、時間をいただいて、こういうふうにしたいという案が出てまいりましたので、私並びに国家公安委員全員でよく議論した結果、それを子としたということであります。
  206. 穀田恵二

    穀田委員 この辺でこれはやめますけれども、私は、やはり余りこっちの場合とあちらの場合との処分の内容といいますか、今国家公安委員長お話しした内容は理解できます。そうすると、そういう方向でいくならば、きちんと最後まで責任を負いながら、処分は処分できっちりするということの方が私は明らかに望ましいという意見であります。  そこで、もう一つの元巡査長の処分についても先ほどありましたので若干お聞きしたいのですが、今回の処分理由は、先ほど大きく分けて二つあったとありましたね。後半で言いますと、三月二十二日以降も情報を流し続けたということがありました。それら二つの大きな理由というものは、その事実はいつ掌握したのですか。
  207. 野田健

    ○野田(健)政府委員 巡査長が最初にいわゆる「警務要鑑」を渡したというような趣旨のことを発言したのは、昨年の五月ごろのようであります。ただし、それは松本智津夫が逮捕された直後で、大変いろいろな意味で精神的に動揺もあるということで、言っていることがはっきりしないというようなこともあり、そして供述が二転三転するということがあって、事実関係がなかなか確定できない、供述の中からだけではなかなかわからないというようなことがありました。  それから、今年の五月になりまして、今度は、本人が撃ったんだ、長官を狙撃したんだというような話をしまして、そういうことがあって、この裏をずっととっていく過程の中で、今回処分できるような事実がはっきりしたということでやったものであります。
  208. 穀田恵二

    穀田委員 いつですか。
  209. 野田健

    ○野田(健)政府委員 裏づけですから、何月何日にはっきりすることができたということでなくて、徐々にはっきりしていって、この処分の日の前に確定したということでございます。
  210. 穀田恵二

    穀田委員 なぜこれを言っているかといいますと、先ほども意見が出ましたように、わかっておればさっさと処分すべき問題なんですね。それが、一緒になって処分されるまで本当にわからなかったのかということに疑念があるからなんですね。  というのは、参議院でも議論になりまして、これは報告があったわけですが、週刊誌で取りざたされた本富士署の問題などだとか、以前からオウムの信者とわかっていたんじゃないか。それに対して局長の方は、それは断じてない、こういうお答えでしたね。そうしますと、裏がとれて、そういったものが少なくとも事実として、処分の理由とされる事実を掌握した時点がこれほど遅かったのかということについて疑念が残るから言っているのですね。  つまり、少なくとも今お話あったように、まず昨年の五月にそういう関係の証言、供述があった。つまり情報の、「要鑑」を流したとかいう話があったということがまずわかったわけでしょう。その他の事実について言った。無線機だとか、それから車両番号の照会だとかとありましたね。これらを含めて全部わかったのはいつなんですか、実際は。
  211. 野田健

    ○野田(健)政府委員 昨年の五月以降断続的に事情聴取をしたわけでありますが、公判廷で井上被告人が警察官から情報を得たんだというような話がありまして、その裏づけをしていくというような過程でまた事実がはっきりしていったということでございます。
  212. 穀田恵二

    穀田委員 要するに、私は思うのですが、いずれにしても、処分される、いわば発表される以前に相当早ぺからわかっていたという気が今の報告でもするわけなんですね。  私、最後にどうしても言いたいのは、多くの方々が、これは新聞もそうなんですが、今回の警官の供述に関連しての警察捜査の不手際について、匿名の投書が公にならなければ国民には知らされずに終わったかもしれない、こういう疑問というか感情というのを抱くわけですね。これについては、あるところで長官もそうかもしれないと言った発言を耳にしたように思いますけれども、私は本日の報告でも、警視庁が警官供述報告をしなかったというなら、なぜしないという判断に至ったのかなと、国民が抱いている警察捜査に対する疑念に答えるべきだと思うのですね。  これは前も私、オウムのときに長官とやりとりしまして、当時こう言いましたね。「初動捜査のミスがあったとの指摘があるが、警察庁として検討を加え、反省、教訓として他府県警に披瀝したい」、こういったことがありました。同じように今回の問題でも、最初のところで、取っかかりのところでまた大きなミスをしたというのが率直な事実ですよ、それが何カ月間かは別として。こういう問題がたび重なっているということに対して、やはりそういう疑念に答えるべき義務がある。したがって、国民は今までの話だけでは納得しないということを、ぜひそういう声をお聞き届けいただいて、今後一定の時期に一連の経過の問題についてしっかり明らかにする、疑問に答えるということについてだげ要望して、国家公安委員長の見解だけ最後にお聞きして終わります。
  213. 白川勝彦

    白川国務大臣 今の点につきましては、正直いろいろな問題がありまして、本当意味で、なぜこういうことになったのかということは、警視庁には警視庁の事情があると思いますが、最終的には、今現に進めている捜査をすべて遂げた後にいろいろな形でこれは皆様方に報告をし、また御意見を賜らなければならない、そういったぐいのものと警察庁長官と私との間では承知をして、今はとにかくもう一度全容解明する、全容というか特にこの供述がどういうことなのか、今は全力を挙げてこのことに捜査を遂げているところであります。
  214. 穀田恵二

    穀田委員 終わります。
  215. 穂積良行

  216. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ラストバッターにもなりましたので、かなり重複する部分があるわけでありますが、質問通告をしてございますから、視点を少し変えながら御質問をさせていただきたいと思います。  橋本総理の掲げる行政改革、経済構造改革、金融システム改革、社会保障構造改革あるいは財政構造改革のどれ一つをとってみても、地方分権とのかかわりを抜きにしては語ることができないと思います。そこで、地方分権に対する大臣の基本認識を中心に幾つか御質問申し上げたいと思いますが、国会審議の実を上げるという立場からも、この際政府委員ではなくて大臣自身お答えをお願い申し上げたいというふうに思います。  地方分権推進委員会は、昨年の十月、基本的考え方、そして十二月には検討試案を皮切りに、本年の三月は中間報告、また十月にはたたき台などの重要な考え方を報告をいたしております。これは、機関委任事務制度の廃止とそれに取ってかわる自治事務、法定受託事務制度の創設を中心としたものでございます。  そこでお尋ねいたしますが、大臣としては、推進委員会のこの一連の考え方あるいは報告をどのように評価をなさっておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  217. 白川勝彦

    白川国務大臣 地方分権推進委員会が鋭意御検討いただいた結果出された。特に機関委任事務等を中心とした考え方は、今までの地方分権という中で言われたことに比べてはるかに重いものと私は理解しております。そして、この地方分権推進法によれば、この委員会勧告は、私ども政府は尊重しなければならぬということでございますので、評価しつつ、この意に合ったものに沿った計画がつくられるように政府の一員として全力を尽くす決意であります。
  218. 畠山健治郎

    ○畠山委員 総理は、行政改革、なかんずく省庁の再編について、単なる行政機構の再分類ではなくて、国が直接関与すべき業務の範囲にふさわしい省庁体制、また経済社会の変化に対応できる組織、そして総合政策展開を可能にする分野の太くくり、そして官邸のリーダーシップ、この四つの指標を挙げておられます。  官邸のリーダーシップはともかく、これら指標に基づいて各省庁再編を進めようとすれば、まず中央政府地方政府の明確な役割分担をしなければならないということだと思っております。その意味で、省庁再編は地方分権先行が条件であろうと考えます。この点についての大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
  219. 白川勝彦

    白川国務大臣 おっしゃる趣旨はよくわかるわけでございますが、地方分権が条件だ、こう言われますと、さっき言ったとおり、こちらの方が、まだしばらく議論をいただかなければならぬ問題が残っております。一方、総理が会長を務める行政改革会議は、一年以内に結論を出してほしい、こう言っておるわけでございますから、来年の今ごろに至るまでに、どういうふうに中央省庁を再編するかという案を出さなければならぬわけでございますので、私はむしろ同時並行的に、相関連するものとしてお互いに考えていって、そして実のある省庁再編と地方分権が同時に語られる中で、正しい、実のある方向に向かっていかなければならない、そのように承知しております。
  220. 畠山健治郎

    ○畠山委員 これまで推進委員会での議論が相当進んでおるわけであります。他の省庁の問題についていろいろ見える部分が出てきているわけでありますが、肝心の自治省分権に対する体制あるいは考え方、省としてですよ、そこの部分が残念ながら、担当しておりながらなかなか見えてこない、率直に言ってそう言わなければならないと思います。  この時期になりましたから、もうこれ以上どうこう申しましても始まらないというふうに思いますが、いずれにしても今月末には第一次の指針勧告が出されるというふうに言われております。となれば、これまでの自治省役割や財政にかかわる機能のあり方についても当然出てくる問題だというふうに思っております。  そこでお伺いいたしたいと思いますが、そうした勧告がなされた場合、自治省指針勧告に沿った検討を率先して行うべきだというふうに思いますが、大臣の決意のほどをお伺い申し上げたいと思います。
  221. 白川勝彦

    白川国務大臣 地方自治体の立場に立って地方分権を今までも進め、努力してきた自治省として当然のことだと思っております。そして、近いうちに出るのだからいいのかもわかりませんが、ただ、全般のものは来春までかかる、こう申し上げておるわけでございますから、自治省で、自分たちでできるものは直ちに、やれるものは直ちに実行せよというふうに事務方には指示しておるところであります。
  222. 畠山健治郎

    ○畠山委員 昨年の地方分権推進法制定におきまして、時限立法、五年のうちの前半は推進委員会審議勧告に充てるし、後半は計画策定及び法改正とするということが確認をされております。  これに従いますと、既に一年半経過をしておるわけでありまして、今月末の第一次勧告あるいは年度末の第二次勧告は速やかに計画がされる必要があろうかと思うのです。地方分権先行による省庁再編ということをも含めて、勧告が行われ次第策定計画を急ぐ必要があろうかと思いますが、大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
  223. 白川勝彦

    白川国務大臣 私もおっしゃるとおりだと思っております。  来春、最終的な勧告をいただいて、それから一年かけていわゆる計画をつくって、それから実行していくのだなどということを当然のことのように言うわけでありますけれども、もうそういう発想はやめてくれと言っているのです。もちろんこれは自治省だけでできるわけではないのですが、今行政改革やら地方分権というのは本当に待ったなしなんだよ、どうしていつもお役人はそうやって時間を置き、何か理屈をつけて、何か大したことでないのを難しいことだというふうなパフォーマンスをするんだ。私は国会へ出させていただいて十七年目になりまして、さんざんそういうものを見てきたから、その時間稼ぎはどうかやめてほしい。そして、もしそんなことをまた今度するようだったら、もうあなた方は多分国民のすべての信を失うだろうと私は思います。  ただ、問題はそこなのでございます。そうしてもなおかつ、例えば政治家や政党がでたらめをやれば選挙で落ちたり議席数が減ったりするわけでございますが、役所は、さてそうやって国民の期待にこたえなくても、どうするんだという結果責任が出てこないわけでございます。それはひとつ立法府においても、きちっと最後は立法府において決めるんだという立場でお力添えを賜りたいと思います。
  224. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、午前も午後からもいろいろ議論がありましたが、地方公務員の国籍条項問題でございます。地方分権とのかかわり合いで大事にしなければならないという観点から質問をさせていただきたいと思います。  この問題に関する自治大臣の談話、十一月二十二日に出されてございます。地方公共団体責任を持って適切に判断していただくとの考え方が出されておりますが、私は基本的に大臣のこの談話を歓迎いたしたいというふうに思っております。  しかし、この五月における川崎市との折衝経過を踏まえますと、幾つか疑問を呈さざるを得ないというふうに思っております。自治省は既に川崎市の方針に対して五月十三日に見解を示しておりますし、その後十一月一日には前大臣の談話も出ております。にもかかわらず、新たに白川大臣による談話が出されたという理由は一体何なのか、その辺のところを、これは従来の自治省見解と違うのか違わないのかを含めて端的に見解をお伺いいたしたいというふうに思います。
  225. 白川勝彦

    白川国務大臣 五月十三日に自治省から出された見解、あるいは十一月一日、私が就任する一週間前でございますか、談話が出されたということでありますが、それらを子細に検討して、そして一番最後に私がそれらを踏まえて出したわけでございますので、これは私の個人的な意見ではございません。自治大臣としての談話でございますから、これを受けて自治省はこれから動いてくださるものと思っております。
  226. 畠山健治郎

    ○畠山委員 どうも納得ができない部分が少しあります。観点を変えれば納得できないわけでもないような気もいたします。それは「職員の任用は、法令等に基づきその団体責任をもって自主的かつ適切に行っていただくもの」とする見解部分でございます。この点に大臣の真意があるとするならば、それは理解できるというふうに思っております。公の意思形成、公権力の行使といった原則は守りながら、実態的運用は自治体の主体性に任せるべきだ、大臣の真意はここにあるのではないかと思いますが、改めて確認をさせていただきたいと思います。
  227. 白川勝彦

    白川国務大臣 おっしゃるとおり、結構でございます。  ただし、あわせて申し上げたいのは、自治体の御都合もあるだろうが、同時に採用される外国人の立場も考えていただいて、一生の問題であるから、その辺後でいろいろとトラブルが出てきたり、あるいはその方が後でつらい思いをしたりということがないような、そういう面もまたひとつ御配慮を賜りたいということも、私はそういう談話を発表するに際して一番考えたことであります。
  228. 畠山健治郎

    ○畠山委員 大臣談話の末尾にもありますように、時代の変化に採用も合わせようとする大臣の努力した結果が今度の談話だと確認をさせていただきながら評価をさせていただきたいというふうに思っております。  しかし、大臣談話をまつまでもなくて、地方公共団体の職員の任用は地方公共団体の固有の機能であり、自治体が責任を持って適切に判断するというなら、今回の談話のような内容にことしの五月時点で既にならなければならなかったのではないかというふうに思うのです。その点、あえて申し上げますけれども、自治省の事務的判断に、いかにも硬直的だ、こう言わざるを得ないというふうに思っております。大臣も先ほどお話がございました。ぜひひとつ、硬直的な自治省考え方を払拭する努力を引き続きやっていただきますようにお願いを申し上げたいというふうに思っております。  それから最後になりますが、地方公共団体の主体性に基づく任用という大臣時代認識に立つならば、川崎市が行った採用方法も自主性に基づく一つの方法として尊重されるべきものだというふうに思っております。もしそうでないとするならば、談話の言う自主性とは一体何なのか、基本に疑問が生ずることになろうかと思います。自主的判断による選択と結果責任はひとしく当該自治体が負うべきものと思います。それが地方分権の重要な側面であるというようなことをあえて強調しておきたいというふうに思っております。  最後に、今回の談話をきっかけに、自民党内における、職員になりたければ帰化すればいいとの声があるやに聞いております。そうした考え方は外国人の雇用機会拡大を求める大臣談話の趣旨に反するものではないでしょうか。あえてこのことをお伺いさせていただきながら、私の質問を終わりたいと思います。
  229. 白川勝彦

    白川国務大臣 二点にわたってお答えさせてもらいたいと思います。  第一に、いわゆる川崎方式でございますが、川崎方式の募集要項を見ていただきたいのでございますが、多分二十前後の、あるいは大学卒業で二十二、三の方があれを読んで、それは確かに国籍条項は要らないと言っているのだけれども、一体どういうことなのかわからないと思うし、あれだけでは、ではどういう職種が将来制限されるのですかというようなことも、どれだけ内規がつくられているのかどうかわかりませんが、あれでは親切でないと思います。  ですから、川崎市が自主判断でそうなったことはそれで結構でございますが、しかし同時に、受験をする人の立場に立って、将来にもわたって大事なことだからもう少しきちんとした方がいいのではないか。そして、それをつくることが多分誤解を生じさせないための大きな理由じゃないかということで、あえて談話の中でも付言していることであります。ただ、自治省が言つな言葉は「適当でない」ということであるということもまたあわせて御承知おきいただきたいと思います。  二つ目でございますけれども、私は新聞で、私も大したことはしゃべっていないのでございますが、書かれたことというのは、随分別のふうに新聞は書いてくれまして、余り私自身、そういうことについてコメントすることは差し控えたい、こう思うわけでございますが、やはりそれは確かに、そういうことであるならば問題は一切なくなるわけでございます。ただ、外国人が地方自治体に採用してほしいというこの問題をどうとちえるかというところに我々は知恵を絞り、また、我々の将来を見据えてどういう決断をするかというのが地方自治体に今問われていることだと思っております。
  230. 畠山健治郎

    ○畠山委員 どうもありがとうございました。終わります。
  231. 穂積良行

    穂積委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十一分散会