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1996-12-12 第139回国会 衆議院 税制問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    平成八年十二月十二日(木曜日)     午前九時二分開議 出席委員   委員長 原田昇左右君    理事 伊吹 文明君 理事 尾身 幸次君    理事 村上誠一郎君 理事 村田 吉隆君    理事 愛知 和男君 理事 北側 一雄君    理事 前田 武志君 理事 日野 市朗君       植竹 繁雄君    江口 一雄君       小野 晋也君    大石 秀政君       大野 功統君    岸田 文雄君       岸本 光造君    坂井 隆憲君       高鳥  修君    滝   実君       萩山 教嚴君    林  幹雄君       藤井 孝男君    持永 和見君       茂木 敏充君    森山 眞弓君       横内 正明君    鍵田 節哉君       北橋 健治君    左藤  恵君       島津 尚純君    田端 正広君       谷口 隆義君    中野  清君       西川 知雄君    原口 一博君       藤井 裕久君    村井  仁君       山本 幸三君    山本 孝史君       吉田 公一君    海江田万里君       鉢呂 吉雄君    古川 元久君       佐々木陸海君    正森 成二君       秋葉 忠利君    濱田 健一君       船田  元君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         通商産業大臣  佐藤 信二君         郵 政 大 臣 堀之内久男君         自 治 大 臣 白川 勝彦君         国 務 大 臣 武藤 嘉文君         (総務庁長官)         国 務 大 臣         (経済企画庁長 麻生 太郎君         官)         国 務 大 臣 伊藤 公介君         (国土庁長官)  出席政府委員         総務庁人事局長 菊池 光興君         総務庁行政管理 陶山  皓君         局長         総務庁行政監察 土屋  勲君         局長         総務庁統計局長 伊藤 彰彦君         経済企画庁調整 土志田征一君         局長         経済企画庁物価 河出 英治君         局長         経済企画庁総合 坂本 導聰君         計画局長         経済企画庁調査 中名生 隆君         局長         大蔵大臣官房総 武藤 敏郎君         務審議官         大蔵省主計局次 林  正和君         長         大蔵省主税局長 薄井 信明君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総 中西 明典君         務審議官         厚生大臣官房審 江利川 毅君         議官         厚生省老人保健 羽毛田信吾君         福祉局長         農林水産大臣官 本田 浩次君         房総務審議官         通商産業大臣官 藤島 安之君         房審議官         資源エネルギー 江崎  格君         庁長官         中小企業庁計画 田島 秀雄君         部長         郵政大臣官房総 高田 昭義君         務審議官         郵政省貯金局長 品川 萬里君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         自治省税務局長 湊  和夫君  委員外出席者         議     員 上田 清司君         議     員 倉田 栄喜君         議     員 古賀 正浩君         議     員 坂口  力君         議     員 鈴木 淑夫君         議     員 野田  毅君         議     員 村井  仁君         参  考  人         (日本銀行総裁         )       松下 康雄君         税制問題等に関         する特別委員会 藤井 保憲君         調査室長     ――――――――――――― 委員の異動 十二月三日  辞任         補欠選任   二階 俊博君     北橋 健治君 同月十二日  辞任         補欠選任   大野 功統君     林  幹雄君   岸本 光造君     大石 秀政君   藤井 孝男君     茂木 敏充君   北橋 健治君     島津 尚純君   左藤  恵君     鍵田 節哉君   西川 知雄君     村井  仁君   原口 一博君     山本 孝史君   吉田 公一君     山本 幸三君   石井 紘基君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     岸本 光造君   林  幹雄君     大野 功統君   茂木 敏充君     藤井 孝男君   鍵田 節哉君     左藤  恵君   島津 尚純君     北橋 健治君   村井  仁君     西川 知雄君   山本 幸三君     吉田 公一君   山本 孝史君     原口 一博君   海江田万里君     石井 紘基君 同日  理事二階俊博君同月三日委員辞任につき、その  補欠として前田武志君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十二月九日  所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案小沢一郎君外二十六名  提出衆法第一号)  地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政  法の一部を改正する法律案小沢一郎君外二十  六名提出衆法第二号) は本委員会に付託された。 十二月十一日  所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案衆法第一号)の提出者  「小沢一郎君外二十六名」は「小沢一郎君外二  十五名」に訂正された。  地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政  法の一部を改正する法律案衆法第二号)の提  出者「小沢一郎君外二十六名」は「小沢一郎君  外二十五名」に訂正された。 十二月十日  消費税率引き上げ中止に関する請願金子満広  君紹介)(第三六号)  消費税率五%への引き上げ中止消費税廃止  に関する請願東中光雄紹介)(第三七号)  同(木島日出夫紹介)(第一五〇号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一五一号)  同(辻第一君紹介)(第一五二号)  同(寺前巖紹介)(第一五三号)  同(藤木洋子紹介)(第一五四号)  同(山原健二郎紹介)(第一五五号)  同(吉井英勝紹介)(第一五六号)  消費税率五%への増税中止に関する請願石井  郁子紹介)(第三八号)  同(大森猛紹介)(第三九号)  同(金子満広紹介)(第四〇号)  同(木島日出夫紹介)(第四一号)  同(児玉健次紹介)(第四二号)  同(穀田恵二紹介)(第四三号)  同(佐々木憲昭紹介)(第四四号)  同(佐々木陸海紹介)(第四五号)  同(志位和夫紹介)(第四六号)  同(瀬古由起子紹介)(第四七号)  同(辻第一君紹介)(第四八号)  同(寺前巖紹介)(第四九号)  同(中路雅弘紹介)(第五〇号)  同(中島武敏紹介)(第五一号)  同(春名直章紹介)(第五二号)  同(東中光雄紹介)(第五三号)  同(平賀高成紹介)(第五四号)  同(不破哲三紹介)(第五五号)  同(藤木祥子紹介)(第五六号)  同(藤田スミ紹介)(第五七号)  同(古堅実吉紹介)(第五八号)  同(正森成二君紹介)(第五九号)  同(松本善明紹介)(第六〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第六一号)  同(山原健二郎紹介)(第六二号)  同(吉井英勝紹介)(第六三号)  同(石井郁子紹介)(第九〇号)  同(大森猛紹介)(第九一号)  同(金子満広紹介)(第九二号)  同(木島日出夫紹介)(第九三号)  同(児玉健次紹介)(第九四号)  同(穀田恵二紹介)(第九五号)  同(佐々木憲昭紹介)(第九六号)  同(佐々木陸海紹介)(第九七号)  同(志位和夫紹介)(第九八号)  同(瀬古由起子紹介)(第九九号)  同(辻第一君紹介)(第一〇〇号)  同(寺前巖紹介)(第一〇一号)  同(中路雅弘紹介)(第一〇二号)  同(中島武敏紹介)(第一〇三号)  同(春名直章紹介)(第一〇四号)  同(東中光雄紹介)(第一〇五号)  同(平賀高成紹介)(第一〇六号)  同(不破哲三紹介)(第一〇七号)  同(藤木洋子紹介)(第一〇八号)  同(藤田スミ紹介)(第一〇九号)  同(古堅実吉紹介)(第一一〇号)  同(正森成二君紹介)(第一一一号)  同(松本善明紹介)(第一一二号)  同(矢島恒夫紹介)(第一一三号)  同(山原健二郎紹介)(第一一四号)  同(吉井英勝紹介)(第一一五号)  同(矢島恒夫紹介)(第一五七号)  特別地方消費税廃止に関する請願愛野興一  郎君紹介)(第六四号)  同(矢上雅義紹介)(第六五号)  同(村井仁紹介)(第一一六号)  同(青山丘紹介)(第一五八号)  同(大野功統紹介)(第一五九号)  同(保利耕輔君紹介)(第一六〇号)  同(御法川英文紹介)(第一六一号)  消費税増税反対に関する請願佐々木憲昭君紹  介)(第八四号)  同(佐々木陸海紹介)(第八五号)  同(中島武敏紹介)(第八六号)  消費税率引き上げをめぐる国会審議に関する  静願(高木義明紹介)(第八七号)  消費税率五%への引き上げ中止に関する請願  (川端達夫紹介)(第八八号)  消費税率五%引き上げ反対に関する請願(大口  善徳君紹介)(第八九号)  消費税率引き上げ中止に関する請願野田毅  君紹介)(第一四七号)  消費税率五%の中止に関する請願青山丘君紹  介)(第一四八号)  消費税率五%中止消費税法附則第二十五条に  基づく消費税率見直しに関する国会審議に関す  る請願青山丘紹介)(第一四九号) 同月十一日  消費税税率引き上げ中小業者への特例措置  改廃の中止に関する請願石井郁子紹介)(  第二〇五号)  同(穀田恵二紹介)(第二〇六号)  同(佐々木陸海紹介)(第二〇七号)  同(佐々木陸海紹介)(第六〇〇号)  消費税率引き上げ反対中止に関する請願(志  位和夫紹介)(第二〇八号)  消費税率五%への引き上げ中止消費税廃止  に関する請願春名直章紹介)(第二〇九号  )  同(春名直章紹介)(第三五一号)  同(不破哲三紹介)(第三五二号)  同(松本善明紹介)(第三五三号)  同(大森猛紹介)(第五六七号)  同(木島日出夫紹介)(第五六八号)  同(中路雅弘紹介)(第五六九号)  同(中島武敏紹介)(第五七〇号)  同(藤田スミ紹介)(第五七一号)  同(吉井英勝紹介)(第五七二号)  消費税率五%への増税中止に関する請願石井  郁子紹介)(第二一〇号)  同(大森猛紹介)(第二一一号)  同(金子満広紹介)(第二一二号)  同(木島日出夫紹介)(第二一三号)  同(児玉健次紹介)(第二一四号)  同(穀田恵二紹介)(第二一五号)  同(佐々木憲昭紹介)(第二一六号)  同(佐々木陸海紹介)(第二一七号)  同(志位和夫紹介)(第二一八号)  同(瀬古由起子紹介)(第二一九号)  同(辻第一君紹介)(第二二〇号)  同(寺前巖紹介)(第二二一号)  同(中路雅弘紹介)(第二二二号)  同(中島武敏紹介)(第二二三号)  同(春名直章紹介)(第二二四号)  同(東中光雄紹介)(第二二五号)  同(平賀高成紹介)(第二二六号)  同(不破哲三紹介)(第二二七号)  同(藤木洋子紹介)(第二二八号)  同(藤田スミ紹介)(第二二九号)  同(古堅実吉紹介)(第二三〇号)  同(正森成二君紹介)(第二三一号)  同(松本善明紹介)(第二三二号)  同(矢島恒夫紹介)(第二三三号)  同(山原健二郎紹介)(第二三四号)  同(吉井英勝紹介)(第二三五号)  同(石井郁子紹介)(第四五〇号)  同(児玉健次紹介)(第四五一号)  同(瀬古由起子紹介)(第四五二号)  同(藤木洋子紹介)(第四五三号)  同(藤田スミ紹介)(第四五四号)  同(正森成二君紹介)(第四五五号)  同(松本善明紹介)(第四五六号)  同(佐々木憲昭紹介)(第五七三号)  同(中島武敏紹介)(第五七四号)  同(春名直章紹介)(第五七五号)  同(不破哲三紹介)(第五七六号)  同(吉井英勝紹介)(第五七七号)  同(上田清司紹介)(第七三四号)  同(川端達夫紹介)(第七三五号)  同(熊谷弘紹介)(第七三六号)  同(達増拓也紹介)(第七三七号)  同(濱田健一紹介)(第七三八号)  同(松沢成文紹介)(第七三九号)  特別地方消費税廃止に関する請願逢沢一郎  君紹介)(第二三六号)  同(浅野勝人紹介)(第二三七号)  同(伊吹文明紹介)(第二三八号)  同(石川要三紹介)(第二三九号)  同(遠藤利明紹介)(第二四〇号)  同(小川元紹介)(第二四一号)  同(小澤潔紹介)(第二四二号)  同(小野晋也君紹介)(第一四三号)  同(越智通雄紹介)(第二四四号)  同(奥田幹生紹介)(第二四五号)  同(奥山茂彦紹介)(第二四六号)  同(柿澤弘治紹介)(第二四七号)  同(粕谷茂紹介)(第二四八号)  同(金田英行紹介)(第二四九号)  同(河村建夫紹介)(第二五〇号)  同(木村隆秀紹介)(第二五一号)  同外一件(木村義雄紹介)(第二五二号)  同(岸本光造紹介)(第二五三号)  同(久間章生紹介)(第二五四号)  同(栗原博久紹介)(第二五五号)  同(佐藤静雄紹介)(第二五六号)  同(佐藤勉紹介)(第二五七号)  同(櫻内義雄紹介)(第二五八号)  同(鈴木俊一紹介)(第二五九号)  同(鈴木宗男紹介)(第二六〇号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第二六一号)  同(田邉國男紹介)(第二六二号)  同(高橋一郎紹介)(第二六三号)  同(竹本直一紹介)(第二六四号)  同(武山百合子紹介)(第二六五号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第二六六号)  同(戸井田徹紹介)(第二六七号)  同(東家嘉幸紹介)(第二六八号)  同(中尾栄一紹介)(第二六九号)  同(中川昭一紹介)(第二七〇号)  同(西田司紹介)(第二七一号)  同(根本匠紹介)(第二七二号)  同(林幹雄紹介)(第二七三号)  同(福田康夫紹介)(第二七四号)  同(細田博之紹介)(第二七五号)  同(堀内光雄紹介)(第二七六号)  同(桝屋敬悟紹介)(第二七七号)  同(町村信孝紹介)(第二七八号)  同(松本純紹介)(第二七九号)  同(三ッ林弥太郎紹介)(第二八〇号)  同(御法川英文紹介)(第二八一号)  同(武藤嘉文紹介)(第二八二号)  同(石橋一弥紹介)(第三五四号)  同(稲葉大和紹介)(第三五五号)  同(植竹繁雄紹介)(第三五六号)  同(江藤隆美紹介)(第三五七号)  同(遠藤利明紹介)(第三五八号)  同(小里貞利紹介)(第三五九号)  同(大石秀政紹介)(第三六〇号)  同(亀井善之紹介)(第三六一号)  同(川崎二郎紹介)(第三六二号)  同(瓦力紹介)(第三六三号)  同(木部佳昭紹介)(第三六四号)  同(菊池福治郎紹介)(第三八五号)  同(河野洋平紹介)(第三八六号)  同(佐藤剛男紹介)(第三八七号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第三六八号)  同(坂本三十次君紹介)(第三六九号)  同(杉山憲夫紹介)(第三七〇号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第三七一号)  同(田中和德君紹介)(第三七二号)  同(高鳥修紹介)(第三七三号)  同(谷垣禎一紹介)(第三七四号)  同(虎島和夫紹介)(第三七五号)  同(中川秀直紹介)(第三七六号)  同(中山利生紹介)(第三七七号)  同(西川公也紹介)(第三七八号)  同(額賀福志郎紹介)(第三七九号)  同(能勢和子紹介)(第三八〇号)  同(野田聖子紹介)(第三八一号)  同(萩山教嚴君紹介)(第三八二号)  同(蓮実進紹介)(第三八三号)  同(原健三郎紹介)(第三八四号)  同(平沼赳夫紹介)(第三八五号)  同(福永信彦紹介)(第三八六号)  同(二田孝治紹介)(第三八七号)  同(穂積良行紹介)(第三八八号)  同(牧野隆守紹介)(第三八九号)  同(松岡利勝紹介)(第三九〇号)  同(松下忠洋紹介)(第三九一号)  同(宮下創平紹介)(第三九二号)  同(目片信紹介)(第三九三号)  同(森田一紹介)(第三九四号)  同(八代英太紹介)(第三九五号)  同(山口泰明紹介)(第三九六号)  同(山下徳夫紹介)(第三九七号)  同(吉川貴盛紹介)(第三九八号)  同(渡辺喜美紹介)(第三九九号)  同(大野松茂紹介)(第四五七号)  同(鈴木宗男紹介)(第四五八号)  同(住博司紹介)(第四五九号)  同(田中眞紀子紹介)(第四六〇号)  同(中谷元紹介)(第四六一号)  同(丹羽雄哉紹介)(第四六二号)  同(浜田靖一君紹介)(第四六三号)  同(平沼赳夫紹介)(第四六四号)  同(平林鴻三君紹介)(第四六五号)  同(保利耕輔君紹介)(第四六六号)  同(堀之内久男紹介)(第四六七号)  同(増田敏男紹介)(第四六八号)  同(村上誠一郎紹介)(第四六九号)  同(森喜朗紹介)(第四七〇号)  同(相沢英之紹介)(第五七八号)  同(青木宏之紹介)(第五七九号)  同(井奥貞雄紹介)(第五八〇号)  同(臼井日出男紹介)(第五八一号)  同(衛藤征士郎紹介)(第五八二号)  同(衛藤晟一紹介)(第五八三号)  同(尾身幸次紹介)(第五八四号)  同(越智伊平紹介)(第五八五号)  同(大原一三紹介)(第五八六号)  同(大村秀章紹介)(第五八七号)  同(加藤卓二紹介)(第五八八号)  同(田中昭一紹介)(第五八九号)  同(近岡理一郎紹介)(第五九〇号)  同(中馬弘毅紹介)(第五九一号)  同(中谷元紹介)(第五九二号)  同(藤本孝雄紹介)(第五九三号)  同(古屋圭司紹介)(第五九四号)  同(森山眞弓紹介)(第五九五号)  同(粟屋敏信紹介)(第七四〇号)  同(江口一雄紹介)(第七四一号)  同(亀井静香紹介)(第七四二号)  同(亀井善之紹介)(第七四三号)  同(高村正彦紹介)(第七四四号)  同(砂田圭佑紹介)(第七四五号)  同(田中眞紀子紹介)(第七四六号)  同(中山太郎紹介)(第七四七号)  同(仲村正治紹介)(第七四八号)  同(松下忠洋紹介)(第七四九号)  同(村田敬次郎紹介)(第七五〇号)  同(持永和見紹介)(第七五一号)  消費税率五%引き上げ反対に関する請願谷口  隆義紹介)(第二八三号)  同(近江巳記夫紹介)(第四〇〇号)  同(福島豊紹介)(第五九七号)  同(北側一雄紹介)(第七五二号)  同(久保哲司紹介)(第七五三号)  同(倉田栄喜紹介)(第七五四号)  同(佐藤茂樹紹介)(第七五五号)  消費税率五%中止に関する請願木島日出夫君  紹介)(第四四九号)  消費税増税反対に関する請願畠山健治郎君紹  介)(第四七一号)  同(濱田健一紹介)(第五九六号)  消費税税率引き上げ中止に関する請願(坂  本剛二君紹介)(第五六三号)  消費税増税反対等に関する請願北側一雄君  紹介)(第五六四号)  消費税増税反対廃止に関する請願志位和夫  君紹介)(第五六五号)  消費税率引き上げ反対消費税廃止に関する  請願濱田健一紹介)(第五六六号)  消費税率引き上げ中止に関する請願吉井英  勝君紹介)(第五九八号)  同(北橋健治紹介)(第七五六号)  消費税率五%中止消費税法附則第二十五条に  基づく消費税率見直しに関する国会審議に関す  る請願春名直章紹介)(第五九九号)  同(西村章三紹介)(第七五七号)  消費税率引き上げ中止生活必需品の完全非  課税に関する請願吉田幸弘紹介)(第七三  三号) 同月十二日  消費税率五%への引き上げ中止消費税廃止  に関する請願瀬古由起子紹介)(第九二四  号)  同(畑英次郎紹介)(第九二五号)  同(大森猛紹介)(第一〇四六号)  同(児玉健次紹介)(第一〇四七号)  消費税率五%への増税中止に関する請願(石垣  一夫君紹介)(第九二六号)  同(坂口力紹介)(第九二七号)  同(菅原喜重郎紹介)(第九二八号)  同(武山百合子紹介)(第九二九号)  同(土井たか子紹介)(第九三〇号)  同(永井英慈君紹介)(第九三一号)  同(藤村修紹介)(第九三二号)  同(松浪健四郎紹介)(第九三三号)  同(石井郁子紹介)(第一〇四八号)  同(大野由利子紹介)(第一〇四九号)  同(大森猛紹介)(第一〇五〇号)  同(海江田万里紹介)(第一〇五一号)  同(金子満広紹介)(第一〇五二号)  同(木島日出夫紹介)(第一〇五三号)  同(児玉健次紹介)(第一〇五四号)  同(穀田恵二紹介)(第一〇五五号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一〇五六号)  同(佐々木陸海紹介)(第一〇五七号)  同(坂上富男紹介)(第一〇五八号)  同(志位和夫紹介)(第一〇五九号)  同(瀬古由起子紹介)(第一〇六〇号)  同(高市早苗紹介)(第一〇六一号)  同(玉置一弥紹介)(第一〇六二号)  同(辻第一君紹介)(第一〇六三号)  同(寺前巖紹介)(第一〇六四号)  同(中路雅弘紹介)(第一〇六五号)  同(中島武敏紹介)(第一〇六六号)  同(春名直章紹介)(第一〇六七号)  同(東中光雄紹介)(第一〇六八号)  同(平賀高成紹介)(第一〇六九号)  同(不破哲三紹介)(第一〇七〇号)  同(藤木洋子紹介)(第一〇七一号)  同(藤田スミ紹介)(第一〇七二号)  同(古堅実吉紹介)(第一〇七三号)  同(正森成二君紹介)(第一〇七四号)  同(松本善明紹介)(第一〇七五号)  同(宮地正介紹介)(第一〇七六号)  同(矢島恒夫紹介)(第一〇七七号)  同(山原健二郎紹介)(第一〇七八号)  同(吉井英勝紹介)(第一〇七九号)  同(吉田公一紹介)(第一〇八〇号)  特別地方消費税廃止に関する請願甘利明君  紹介)(第九三四号)  同(石崎岳紹介)(第九三五号)  同(石原伸晃紹介)(第九三六号)  同(今村雅弘紹介)(第九三七号)  同(江渡聡徳紹介)(第九三八号)  同(小渕恵三紹介)(第九三九号)  同(越智伊平紹介)(第九四〇号)  同(大村秀章紹介)(第九四一号)  同(金子一義紹介)(第九四二号)  同(熊代昭彦君紹介)(第九四三号)  同(栗本慎一郎君紹介)(第九四四号)  同(小林興起君紹介)(第九四五号)  同外一件(古賀誠君紹介)(第九四六号)  同(河野太郎君紹介)(第九四七号)  同(河本三郎君紹介)(第九四八号)  同(佐藤孝行君紹介)(第九四九号)  同(桜井新君紹介)(第九五〇号)  同(野田実君紹介)(第九五一号)  同(野呂田芳成君紹介)(第九五二号)  同(藤井孝男紹介)(第九五三号)  同(村田吉隆紹介)(第九五四号)  同(茂木敏充君紹介)(第九五五号)  同(谷津義男君紹介)(第九五六号)  同(横内正明君紹介)(第九五七号)  同(中曽根康弘君紹介)(第一〇八一号)  消費税率五%への増税中止と医療へのゼロ税率  適用、消費税廃止に関する請願吉井英勝君  紹介)(第一〇四四号)  消費税率引き上げ中止に関する請願吉井英勝  君紹介)(第一〇四五号)  消費税率引き上げ中止に関する請願濱田健  一君紹介)(第一〇八二号)  消費税税率引き上げ中小業者への特例措置  改廃の中止に関する請願吉井英勝紹介)(  第一〇八三号)  消費税率引き上げ反対中止に関する請願(志  位和夫紹介)(第一〇八四号)  消費税率引き上げ中止生活必需品の完全非  課税に関する請願(草川昭三君紹介)(第一〇  八五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月六日  消費税引き上げ反対等に関する陳情書外三十  五件  (第  一八四号)  税制改革に関する陳情書外三十七件  (第一八五号)  税制改正等に関する陳情書外三件  (第一八六号  ) 同月十二日  消費税率五%引き上げ中止に関する陳情書外四  件  (第二五七号)  税制の改正に関する陳情書外二件  (第二五  八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案小沢一郎君外二十五名  提出衆法第一号)  地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政  法の一部を改正する法律案小沢一郎君外二十  五名提出衆法第二号)  税制及び金融問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、前田武志君を理事に指名いたします。      ――――◇―――――
  4. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 税制及び金融問題等に関する件について調査を進めます。  小沢一郎君外二十五名提出所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、順次趣旨の説明を求めます。野田毅君。     ―――――――――――――  所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案  地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  5. 野田(毅)議員(野田毅)

    野田(毅)議員 私は、ただいま議題となりました所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政法の一部を改正する法律案につきまして、新進党を代表して、提案の趣旨を説明します。  今、日本経済は、表向きは一時的な回復が見られますが、経済危機は深刻になるばかりです。規制が多くコストの高い日本市場は魅力を欠き、雇用不安や産業空洞化が進んでいます。不良債権による金融システムの行き詰まりも経済をむしばんでいます。これまでおよそ六十六兆円規模の経済対策が講じられてきましたが、十分な効果があらわれていません。超低金利政策もここまで来るとマイナス効果ばかりです。民間では、来年の実質経済成長率は一%台、もしくはゼロ%台になると悲観的な見通しを示しています。こうしたときに、政府は、消費税率引き上げ、特別減税打ち切り、国民年金や健康保険料の引き上げで約九兆円のツケ回しをして、国民生活や経済を圧迫しようとしています。  我々は、国民生活にとって喫緊の課題である消費税率の据え置きを法案化することとしました。今世紀の残された期間を経済再建、財政再建のための戦略的期間と位置づけて、消費税率を三%に据え置くことが不可欠です。  第一の理由は、消費税率の据え置きなくして、経済再建は達成できないからであります。物品税等の廃止が伴った消費税導入のときとは異なり、来年四月からの税率引き上げのインパクトは想像以上に大きいと言えます。消費税率引き上げが消費を低迷させ、経済を一層停滞させることは明らかです。  第二の理由は、消費税率の据え置きなくして、財政再建の達成は不可能だからであります。政府は、みずから汗をかく行財政改革を先送りして、消費税率引き上げを強行しようとしています。橋本総理は、火だるまになってでも行政改革を断行すると発言して行革に対して並々ならぬ決意を示していますが、中央省庁再編等のびほう策でお茶を濁そうとしています。具体的な歳出削減なくして、真の行政改革はあり得ません。消費税率をいたずらに引き上げれば、歳出の肥大化はとめどなく続きます。歳出削減を断行する保証としても、消費税率の据え置きは必要であります。  第三の理由は、消費税率の据え置きなくして、政府の税金のむだ遣いをストップすることは不可能だからであります。住専処理への税金投入に加え、厚生省の事務次官等が関係業者と癒着して多額の現金を受け取り、飲食、旅行などの接待、車の提供を受け、しかも提供された金品が国民の税金である補助金で賄われていた事態が明らかになりました。  政府は、社会保障ビジョンも明確に示していません。政府が拙速に提出した介護保険法案も初めに保険制度導入ありきで、消費税との関係も不明確です。  それでは、法案の概要について説明いたします。  まず、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案についてであります。  消費税の税率は三%のまま平成十三年三月三十一日まで据え置きます。  なお、簡易課税制度の適用上限の引き下げ、限界控除制度の廃止などのいわゆる益税の是正措置につきましては、既定方針どおり、来年四月から実施することといたします。  我々は消費税廃止にくみするものではありません。平成十三年四月一日からの消費税率については、社会保障等に要する費用の財源を確保する観点、行政及び財政の改革の推進状況、租税特別措置等及び消費税に係る課税の適正化の状況、財政状況等を総合的に勘案して検討を加え、必要があると認めるときは、平成十二年九月三十日までに所要の措置を講ずるものとします。  我々は、政府と異なり、この条項を単なる見直し条項ではなく、抜本的税制改革に向けた威し。い前提条件と位置づけています。  所得税、個人住民税の半減、法人諸税の実効税率の引き下げ、有価証券取引税や土地の保有・譲渡益課税のあり方などを総合的に見直しつつ、あわせて経済構造改革を推進し、スーパーゴールドプランの策定、実施を初めとした高齢社会に対応した福祉政策の充実に取り組みます。さらに、国・地方を通じた行財政改革の断行、歳入歳出構造の見直しを進めます。  これらの改革を断行しつつ、適正な消費税率を決定するという趣旨であります。その際には、飲食料品に対しては軽減税率を適用することも視野に入れるべきと考えます。  次に、地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政法の一部を改正する法律案の概要を説明いたします。  消費税と同様に、地方消費税の創設及び消費譲与税の廃止の時期を平成十三年四月一日とします。  平成十三年四月一日からの地方消費税率については、社会福祉等に要する費用の財源を確保する観点、地方の行財政改革の推進状況、非課税等特別措置等に係る課税の適正化の状況、地方財政の状況等を総合的に勘案して検討を加え、必要があると認めるときは、平成十二年九月三十日までに所要の措置を講ずるものとします。  我々は、この条項についても、地方消費税率設定のための厳しい前提条件と位置づけています。  国から地方への大胆な権限移譲、補助金制度の大幅見直し等の地方分権の推進、地方の行財政改革の断行、地域における福祉ビジョンの提示などに取り組んだ上で、適正な地方消費税率を定めることとします。  また、消費税の収入額に対する地方交付税の率を五・五%引き上げ、二九・五%とする時期についても、平成十三年四月一日に改めます。地方交付税の率につきましては、地方の行財政改革の推進状況、地方財政の状況等を総合的に勘案して検討を加えて、必要があると認めるときは、平成十二年九月三十日までに所要の措置を講ずることといたします。  さらに、個人住民税に係る税制改正に伴う平成九年度から平成十二年度までの間における地方公共団体の減収額を埋めるため、減収補てん債の発行対象期間を平成十二年度までとします。  以上が、提出法案の概要であります。  自民党の公認候補者の多くも、消費税率五%に反対の意思を演説や文書で明らかにして当選に至りました。橋本内閣の閣僚でも、二人は選挙公報で消費税率引き上げに反対しています。民主党や社民党の議員の中でも、選挙中に消費税率据え置きを公約された方がいらっしゃいます。これらの議員の皆様には当然御賛同いただけるものと確信しております。  提出法案を真剣に御議論いただきまして、速やかな成立をお図りいただきたいと存じます。  以上をもちまして、私の趣旨説明を終わります。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  6. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
  7. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 これより税制及び金融問題等に関する件とあわせて両法律案について質疑に移ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。尾身幸次君。
  8. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 自民党を代表いたしまして、政府側に税制一般に関する質問、それから、いわゆる消費税率凍結法案に対しまして新進党の皆様に質問をさせていただきます。  最初に申し上げたいことがございます。今回、新進党より提出されましたいわゆる消費税凍結法案でございますが、私ども自民党は、過日の当委員会理事会におきまして、この法案の提出者になっております小沢一郎党首、それから細川護煕元総理大臣にも提出者として質問をさせていただきたいと申し入れたわけでございますが、残念ながら、本席に御出席をいただけませんでした。  後で申し上げますように、このお二方は特にこの消費税問題に関して極めて深いかかわりを持っているわけでございまして、私ども、議会民主主義の原点に立ち戻ったときには、当然提出される方々の代表として正々堂々とこの委員会で議論を闘わすべきである、そういうふうに感じているわけでございますが、まことに遺憾であると言わざるを得ないわけでございます。したがって、私のこれからの第一の質問は、本来小沢党首及び細川元総理に質問すべきでありますが、代理の新進党の方々にやむを得ず質問をさせていただくということでございますので、御了解をいただきたいと思います。  現在新進党の細川元総理は、平成六年の二月二日、時の内閣総理大臣という要職にございました。そのときに、十分な国民的議論もなされないままに、いきなり、福祉のための目的であるということで、国民福祉税の創設という実質的には消費税を七%に引き上げる方針を打ち出したのであります。国民の皆様もこの点はよく覚えていると思いますが、真夜中の細川総理の記者会見で、七%引き上げの提案を政府決定としていたしたわけであります。  私どもこの内容を見てみますと、現在の私ども連立三党が村山政権のときに提出をいたしました内容と実はほとんど同じでございます。  その一つは、所得税、住民税の先行減税を平成六年、ちょうど三年前でありますが、三年前の一月から実施する、こういうものであります。それから、その三年後の平成九年の四月一日に、国民福祉税という名のもとに、実質は消費税と変わらないわけでありますけれども、税率を三%から七%に引き上げるという提案をされたわけであります。  一番の違いは、村山政権下で私どもが出しましたいわゆる消費税法案、その内容の税率が七%から五%に違っているということでございまして、あとの内容は細川政権のときに出された内容と実はほとんど変わっていないわけであります。  そのときの新聞記事、ここにあるわけでございますが、「国民福祉税を創設」というふうに書いてありましで、夜中の記者会見の写真が出ております。そのときに政府・与党の首脳会議を開いてこれを決定した。その席には当時新生党の小沢代表幹事も出ていて、これに賛成をした。もっと言い方を変えれば、この案の実質的な推進者は、当時の小沢代表幹事と日本新党の細川総理であったわけであります。  このときには、当時連立政権の中にいました社会党が、村山委員長以下、政権の離脱も辞さないということで大反対をいたしたために、たった一日でこの案は撤回されたのであります。厳密に言うと、三十四時間後には細川総理がこの案を撤回をしたわけであります。  その後、私ども、村山政権のもとでいろいろとこの税制問題を議論いたしましたときに、自民党、社会党、そしてさきがけの連立三党は、ぎりぎりの調整をいたしました。議論なしに突然夜中に決めるということではなしに、本当に我々真剣になって議論をいたしました。そしてその結果として、七%は幾らなんでもひどい、六%もまだ高過ぎる、だからぎりぎり必要最小限度のものとして、七%ではなくて五%まで上げよう、しかも三年のいわゆる減税先行をしようということで決定をして出した法案が消費税法案であります。  そのときに提案をした七%の、名前は国民福祉税という名前になっておりますけれども、実質は全く変わらない今の消費税法案。しかも、その当時に七%という提案をしていた中心人物である細川元総理と小沢党首が、その方々がリーダーになっている今の新進党の皆様が、突然今回の総選挙の前になって、この消費税引き上げはまかりならぬ、凍結法案だということで出したのは、どう考えても私は選挙目当ての票集めにしかすぎない、そういうふうに確信をしているわけでございます。  私は、これについて、本当は新進党の方々は説明できないと思う。しかし、質問ですから、何か答えていただかなければいけませんから、どういう弁明をされるのか、この点についてお伺いをさしていただきたいと思います。
  9. 村井議員(村井仁)

    村井議員 お答えを申し上げます。  平成六年の二月に国民福祉税構想が提案されましたけれども、これはまず福祉の充実など二十一世紀ビジョンと呼ばれるもの、それからインボイス制の導入などの消費税の改革、それから年金生活者への税額分の給付、こういったようなものも含むものでございましたけれども、今お話ございましたが、手続などの面で国民の御理解を得るには拙速であった。このような反省をいたしたわけであります。  その反省に立ちまして、これを白紙撤回しまして、当時の連立与党で、将来の高齢化社会においても十分な福祉を実現できる、そういう社会をつくるにはどのような税制が望ましいか、そういう観点から論議を深めるということにいたしまして、税制改革協議会というものをつくりました。そして、行財政改革、それから福祉・医療・年金、税制、この三つの小委員会を発足させまして、大変活発な議論をいたしたわけでございます。審議時間延べ三百時間を超えたと記憶をしておりますが、そして平成六年の六月二十一日に論議の集約を行った経過がございます。  さて、私どもの見解に従えば、その後村山連立政権が平成六年九月に決め、そして十一月の国会で、私どもは反対をしたにもかかわらず通過をさせた税制改正、これが実は、今度、来年の四月から実行されようとしている消費税の五%への引き上げを含むものでございますけれども、この税制改正、平成六年十一月の税制改正は、私が今申し上げましたこの税制改革協議会の見解の一部をつまみ食いいたしまして、所得税において中途半端な税率構造の手直しを行い、それからそれを覆い隠すためにいわゆる特別減税二兆円というのをつけ加えまして、穴埋めのために平成九年四月からの消費税引き上げを決めたもので、私たちは当時から反対していたわけであります。  細川元総理も含めまして、私たちは消費税そのものを反対しているわけじゃありません。将来の増税の必要も肯定しております。しかし、その前に行政改革などするべきことがあるのではないか。それをしていないのが問題だ。加えて、その当時と比べまして、現在の経済の危機的な状況、これについての認識が大変深まってきており、経済改革の必要、もはや待てない状況になっている。このことにつきまして私どもは強調をいたしまして、改めて消費税を据え置くという法律案提出している次第であります。
  10. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 新進党の提案によりますと、四年間消費税を凍結をする。そして新進党の選挙公約によりますと、年間十八兆円の物すごい減税をする。合計で年間二十三兆円の穴があくわけであります。これを四年間仮に続けますと、消費税凍結法案のとおり四年聞続けますと、ざっと計算しても約百兆円の債務がふえる。もちろん新進党は経費節減をするとかいろいろなことを言っておりますが、私は、現実にはこの百兆円ぐらいの債務は簡単にふえてしまうと思っているわけてあります。  現在、国、地方を合わせた債務というのが四百四十二兆円でありまして、国民総生産の九〇%に達している。イタリーが一二〇%に達しておりますけれども、イタリーの次に世界ナンバーツーのもう債務大国になっている日本であります。そのような状況の中で、選挙の前に、これだけ大きい減税をして、それで国民に甘いお菓子を見せて選挙をやるというのは、私は全くもって党利党略以外ではないと思うわけでございますけれども、これをもしやれば、財政は大赤字になって、国民総生産に対する債務の比率は一〇〇%を超えて、多分世界一、イタリーを抜いて世界一の債務国になってしまうわけであります。  私は、これは我が国財政の現状を全く無視した暴挙であると考えているわけでございますけれども、その点についていかが御説明されるか、お伺いをさしていただきます。
  11. 鈴木(淑)議員(鈴木淑夫)

    鈴木(淑)議員 尾身委員の御質問にお答えをいたしたいと思います。  御指摘のように、日本の財政事情は、先進諸国に比べても、今や赤字の対GDP比率でもイタリアに次いで悪い。この調子でいくと一番悪くなるかもしれない。また政府債務残高の対GDP比率も非常に高くなっております。しかし、委員の申されるように私どもはそういう財政事情を無視しているのではなくて、逆に、そういう財政事情であるからこそ消費税率引き上げをやらないで二〇〇一年三月まで据え置く、そしてさらに、所得税、住民税、法人税の大幅減税を行って民間市場の活性化を図ろうとしているのであります。  そもそも、減税その他どういう経済政策をとった場合にも、その結果財政赤字がどう動くか、経済にどういう効果が波及するかという議論をするときは、その政策をとる時点で経済がどういう状況か、始発点ですね、出発点の経済の状況がどうであるかによってその後の推移は全然違ってくるわけです。早い話が、インフレの最中に減税をやったらインフレはますます激しくなって、その後物すごいデフレになるでしょう。しかし逆に、労働力が余っちゃう、失業率が高い、皆さん職が得られないという状況、そして企業経営が困難な状況、そういうところで減税を行えば、経済が実力相応の成長軌道に戻っていくことによって、逆に自然増収がふえてくるでしょう。  したがって、私はここではっきり申し上げたいのは、日本経済の現状をどうとらえておるかということであります。おっしゃるように、財政は危機的状況であります。しかし、危機的状況なのは財政だけじゃありませんよ。日本経済のさまざまの側面が危機的状況であります。  早い話が、雇用情勢はどうですか。失業率は、一度三・二まで下がったと思ったらまた三・四に上がってきておる。特に、学校を卒業したばかりの十五歳から二十四歳のところは失業率六%台ですよ。悲惨なことです、これは。希望を持って人生に出た人たちの失業率がこんなに高くなったことは、終戦直後を除けばありませんね。さらに、五十五歳から六十四歳、昔の定年を過ぎて、しかし今の人は若い、働きたい、この人たちの失業率も四%台であります。  雇用問題だけではありません。企業経営だって今非常に深刻であります。  企業倒産、取引停止処分等は高水準のまま横ばいでありますし、そういう状況だからこそ、政府は足元の景気がよくなると言っているにもかかわらず、株式市場では株価は沈滞しております。長期金利などはずるずると下がっておる。この長期金利がずるずる下がっているというもう一つの危機的状況が、金利生活をしているお年寄りにとって今大変深刻な状況を引き起こしているということは、委員の皆様方御承知のとおりであります。  さらには、この低金利が年金基金の破綻を招きつつある。こんな超低金利が長く続いたら、すべての年金基金はすっかり計画が狂います。日本には、民間あるいは公的な年金基金合わせて二百兆円ぐらいあります。大体五・五%で回るという計画でありますが、今長期金利は国債指標利回りで見ても二・四%、恐らくこの差三%というのはまだ続くでしょう。二百兆円の三%なら年々六兆円の穴があいちゃうのですよ。まことに深刻な状況。  さらに、もっとひどいのが金融不安であります。  さきに阪和銀行が破綻いたしました。あの中身を見ると、二つのことを言っておるのですね。  一つは、地価がまだずるずる下がっておる。したがって、回収可能債権であったはずのものが根っこから腐ってくる。すなわち、地価の値下がりで担保切れで、回収不能債権に変わっていく。もう一つは、お取引先がこの六年にも及ぶ経済停滞の中でなかなか業況が立ち直らぬ。だからこそ不良債権がふえてきているわけであります。これは阪和銀行だけの例じゃありませんよ。日本全国の不良債権がどんどんふえている。  私はなぜこういうことを申し上げているかというと、財政赤字が大変だ、それを新進党は認識してないとおっしゃるから、冗談じゃない、財政赤字は一部ですよ、もっとたくさんの深刻な構造的な問題があるということを申し上げた。それを直そうとしているんだ。それを全部直そうとしているんだ。全部直すためにはどうしたらいいか。これは新進党が主張しているとおり、戦略的に一番大事なことは、この六年間沈滞し切っている日本経済を、実力相応の民間主導型の三、四%の成長軌道に戻すということですよ。これなくしてどうして財政赤字が減りますか。  大体、財政赤字が大きい大きいと言っていますが、御承知のように、今税収は落ち込んでいるわけですよ。曲がりなりにも、一%ちょっとの成長だけれども、経済は成長しているのですよ。だけど税収は落ち込んでおるわけですよ。九一年度は九十八兆円、国税、地方税合計してありました。九五年度は、それに対して十一兆円も落ち込んでいる。法人税だけで五兆円も落ち込んでいるわけであります。本来なら税収はふえるはずのものが落ち込んでおるのですね。こういう状況を根本から立て直すこと。すなわち、我かが言っていることは、経済再建なくして財政再建なんてあり得ないということを言っているわけです。  それからもう一つは、消費税率引き上げの大前提には行政改革があったでしょう。国民は、行革によって政府の支出のむだを排除することを条件にして消費税率引き上げもやむを得ないかなといった人がいる。しかし、どうですか、この間、日本の財政支出の対GDP比率は先進国の中で唯一上がっていっていますよ。行政改革による財政支出の削減なくして財政赤字の縮小などはあり得ない。  ですから、私は委員に真っ正面からお答えしているんだ。委員は財政事情の悪化を無視しておるとおっしゃるから、冗談じゃない、我々は財政事情の悪化を百も承知だ、しかし財政事情だけじゃない、山のように構造的な問題がある、これを直すためには日本経済の再建と行革による財政支出カット、これが必要だと申し上げているわけであります。そのための手段が、我々の消費税率据え置きであり、十八兆円の大減税ですよ。  我々は、財政赤字を深刻に考えるから、消費税率の据え置きと財政の再建を言っておるのです。経済再建なくして財政再建なんかあり得ないですよ。行革による支出カットなくして財政再建なんてあり得ないですよ。この二つを今るる御説明申し上げたわけであります。
  12. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 今の説明を聞いておりまして私は全く納得できないのですが、もう一つ感想を言わせていただくと、まあ責任のない野党は楽でいいなと。日本経済と日本の財政に責任を持っている我々責任与党は、ああいう議論はできません。やはり財政をしっかりと再建をし、そして経済を活性化するということを現実の手段としてやっていかなければならない、そういう思いでいっぱいであります。そういう気持ちでありますが、あと伊吹議員が補足の質問をいたしますので私はこれ以上この問題をやりませんが、そういう感じでございます。  税制一般について、今の新進党側の説明に対しましてもその中でお答えもいただきたいと思いますが、総理以下、政府の方の皆様に御質問をさせていただきたいと思います。  私ども、責任政党の一員として、政府・与党一体のもとで税の議論をやってまいりました。検討もやってまいりました。そういう意味で、基本的には政府側と同じスタンスでございますが、しかし、行政府が、どうしても、どちらかというと政府が運営する財源を確保するという観点から税金を取るという立場に立って物を見るのに対して、私ども立法府は、税を納める側のスタンスからこの問題をしっかりと考えていかなければならないという違いがあると私は思います。そういう意味で、立法府の一員として政府側に幾つかの点を質問をさせていただきたいと考えているわけでございます。  最初に、消費税率引き上げの問題でございますが、先ほどいろんなお話がございましたが、何といっても我が国の財政が非常に悪化をしているというのはもう紛れもない事実であります。国と地方を合わせた政府の債務残高は、国民総生産、GDPに対して九〇%近くなっている。これより高い国はもう世界でイタリーだけでありまして、あとの国は、アメリカやイギリスやその他の国も非常に深刻だと言われておりますが、GDPの六〇%程度になっているわけであります。そういう意味で、我が国はもう世界最高の、最高のというか最低のというか、借金大国に財政がなっているという現状でございます。  八年度の国の財政で見ましても、税収等の収入が約五十四兆円でありました。それに対して、国の借金の残高は約四倍以上の二百四十兆円になっている。サラリーマンの家庭でいえば、五百四十万円しか収入がない家庭で二千四百万円も借金をしている、年間収入の四倍も借金をしているというのが国の財政であります。  そしてしかも、昨年の、平成八年の税収が五十四兆円であります、いろんな収入を合わせて。それに対して、二十一兆円もの借金をして、合計七十五兆円で歳入を何とか確保している。赤字国債も含めてであります。今度は歳出の方で見ると、同じく七十五兆円の名目歳出がありますけれども、今までの借金の利子の支払い十一・七兆円も含めて、今まで借金をした借金の返済と利子の支払いだけで十六兆四千億も使っているわけであります。二二%も借金の手当てのために使っているという現状であります。財政が完全に硬直化しております。  そしてさらに、高齢化が進み、お年寄りがふえ、働き手の若者が少なくなるという現状になると厳しい状況になることは目に見えているわけであります。  このような危機的な財政状況のもとにおいて、行政改革はしっかりやらなきゃいけません、経費節減もやらなければなりませんけれども、消費税引き上げは予定どおり実施することはやむを得なしと私は考えているわけでございますが、総理の御見解をお伺いをさせていただきます。
  13. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 消費税の税率を引き上げる、また地方消費税を創設する、これは、既に先行実施をいたしております所得税、個人住民税の恒久減税などとおおむね見合うものとして、平成六年の秋に議論され、法律で定められました。  そして、この増減税一体の税制改革、これは、高齢化の進展という我が国の構造変化に対して税制面から対応しようとするものであります。そして、税制改革は、我が国の将来にとって極めて重要なことであると考えておりますし、法律どおり実行していくべきものと思います。  また、現在、確かに我が国の経済は民需が堅調さを増してき、そして回復の動きが続いている。そして、その中で、消費税率引き上げは当然のことながら影響を及ぼすものではありますけれども、景気の根本的な回復軌道に影響を与えるものではないと思います川むしろ、それを克服できるような体制を我々はつくっていかなければなりません。  政府としては、消費税率引き上げを踏まえて、今後とも適切な経済運営に努めてまいりたい、そのように思っております。
  14. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 来年度の予算編成の問題、もう一つ問題があるわけでございまして、今まで続けてまいりました特別減税をどうするかという問題であります。  景気対策もありまして特別減税二兆円を続けてきているわけでございますけれども、しかし、その財源は何かといえば、まさに赤字公債の発行によって賄われているわけであります。つまり、減税をしておりますけれども、その減税そのものは、同じ金額だけ国の借金をふやしているという状況であります。まさに健全な財政とは言いにくい、言えない状況であります。  そして、九年度は財政構造改革元年と言われているわけでありますけれども、このような財政の現状から見れば、来年度において特別減税を続けることはなかなか難しいのじゃないかというふうにも言われておりますけれども、この京についてのお考えをお伺いをさせていただきます。
  15. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 本件につきましては、大蔵大臣として今次における財政状況の分析をいたしてきておるところでありますが、尾身議員御指摘のように、最悪の状態になりました。  また、八年度予算に言及をされた公債費、国債費の比率の分析もなされました。まさに先行減税、恒久減税も含めつつ、特に特別減税も赤字国債の発行によって賄いながら、後世代に借金を確実に残す形でやらざるを得ませんでした。なぜこんなつらいことをやらなければならなかったかということは、赤字体質の脱却から、経済の原則である、出るを制し入るをはかる、この原点に戻ってやらなければならないというところに苦悩の決断があったわけであります。  よって、総理からも言われましたとおり、この先行減税、三・五は恒久減税でありますけれども、の下支えによりましてようやく財政の基本に底がたさが出てきた。こういうことでありまして、この際、お約束どおり来年の四月一日から、院の理解を得て、ぜひこれは取り組まさせていただかなければなりません。  景気の動向につきましては、既に、経企庁の発表をまつまでもなく、野党提案者からは民間資料の一番悪いところの御説明がありましたが、来年の経済成長力は、二・五を目指し、着実にいけるのではないかというデータも民間にあるわけでございます。それをそのまま受けとめるわけではございませんが、経済成長の問題について、編成の根幹でありますからいずれ提示を受けることになっております。景気は、緩やかではありますが回復の兆しは確実でありますこと、御案内のとおりであります。全体を見ながら対応してまいります。
  16. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 総理大臣にお伺いをいたしますが、ただいま大蔵大臣からお話のありましたようなことで、消費税引き上げを予定どおりやる、そして特別減税を仮に今年度限りで打ち切るというようなことになったときに、これは財政上の事情からは確かにそういうことが必要だという議論があるわけでありますけれども、しかし他方で、このことが景気にどういう悪影響を与えるか、この点についての懸念も議論をされているところでございます。そこで、この問題が立ち直りかけた景気に腰折りの影響を与えることのないようにしなければならない、これも大変に大きな課題であります。  そこで、私は今後の経済運営について、景気対策として、例えば今政府で検討されておられます補正予算によるてこ入れとか、あるいは規制緩和とか新規産業の創出とか、あるいはいろんな経済構造改革とか、そういう手を打っていかなければならないと考えているわけでございますが、そういう点について、経済運営の基本について、総理、どういうふうにお考えになっておられるか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  17. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 我々政府の立場から申しますと、民需中心の自律的な景気回復への移行をいかに図るかということが基本でありますし、先ほども申し上げましたように、最近の景気の動向を見ますと、テンポは緩やかでありますけれども回復の動きを続けている、そして民間需要が底がたさ、堅調さを増してきております。  しかし、議員が仰せになりましたように、確かに消費税の二%の引き上げ、そして、これはぎりぎりまで判断をしていかなければなりませんけれども、特別減税をストップする、これが景気に与える影響というものは当然ながら考えていかなければなりません。そして、そうした問題点を考えました場合に、私は、平成九年度予算編成と並行して行ってまいります平成八年度の補正予算の中で、我々は特に次年度の四-六を十分に考えに入れながら補正予算を編成しておく必要があると思います。  そして、当然のことながら、我々は財政構造改革元年という考え方をとりますし、中長期的な経済の発展のための基盤をつくりますためには、今議員からも御指摘のありましたような、大胆な規制緩和あるいはその他の経済構造改革というものに全力を挙げて取り組んでまいらなければなりません。そして、そうした中で、安易に財政に頼るのではなく、民間活力というものを中心に生かしながら、民需中心の景気回復というものにこれを結びつけていかなければならない、そのように考えております。
  18. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 大蔵大臣にお伺いをさせていただきます。  消費税が五%に上がるに際しましては、所得税やその他の直接税の減税も先行で行ったわけでございますが、しかし、年金生活者とかあるいは低所得者に対しましては負担のしわ寄せがいくのではないかという批判がございますし、私どももその点を非常に心配をしているわけでございます。  そこで、そういう税金、いわゆる所得税などの直接税を納めるだけの力のない方あるいは恵まれない方に対して、この引き上げが弱者いじめにならないように、弱い者いじめにならないようなしっかりとした。きめの細かい配慮をきちっとしていく必要があると考えておりますけれども、この点について大蔵大臣としてはどういう具体的なお考えをお持ちか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  19. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 ただいまの御質問につきましては、既に御案内かと思うのでありますが、引き上げに伴う給付金については、真に手を差し伸べる方々への配慮として、平成六年九月に、生活保護世帯、老齢福祉年金等の受給者に一万円の臨時福祉給付金を支給することを決めております。また、低所得の在宅寝たきり老人に対しましては三万円の臨時介護福祉金を支給することといたしておりますこと、御案内のとおりであります。  その他につきましては、これから、どのような配慮が可能であるか、議論の推移を注視しながら対応してまいりたいと思っております。
  20. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 消費税引き上げに伴いまして幾つかの問題点がございます。そういう問題点につきまして、私ども、現在ただいま自民党の税制調査会の中でいろんな議論をしているわけでございますが、その中の幾つかの問題点をここで取り上げまして、政府側のお考えをこの際お伺いをさせていただきたいと考えているわけでございます。  この消費税、最初に始まりましたときに、財貨・サービスの消費に対しまして広く薄く負担を求めるという考え方でございました。したがいまして、消費税を導入した際には、いわゆる個別間接税と言われております、もとの物品税とか砂糖消費税とかあるいは電気ガス税などの大部分の個別間接税が廃止されたわけであります。たしか八項目か九項目あったと思いますが、廃止されたわけでございます。しかし、消費税導入後も残されている間接税が幾つかございます。その一つは酒やたばこの税であります。これは、消費税を最初に導入した際にかなりの負担調整、つまり減税が行われたわけであります。  それから、そのうちの大きな問題の一つが石油に関する税でございまして、ガソリン税を初めといたします諸税が石油には非常に重くかかっております。ガソリン税等は、いわゆる道路特定財源、日本じゅうの道路を整備するためのいわゆるひもつきの財源であるということで、この税率の引き下げは何ら行われなかった。つまり、調整は行われないままに消費税がその上にかけられることになったわけであります。現在ただいまで、ガソリンの価格のうち税金の占める比率が五五%にも達しているわけでございまして、国民生活の必需晶であるガソリンに対してかなり過重な税負担がかかっているというふうに考えているわけでございます。  今回、消費税を三%から五%に引き上げるというようなことになりますとこの負担がさらに重くなるというふうに考えておりまして、何らかの調整措置が必要ではないかという議論がなされております。  さらに、特にこの五五%分の石油関係の諸税の部分にも、その税金の上にさらに五%の税率をかける、五五%掛ける五%というようないわゆるタックス・オン・タックス、税に税をかけるという問題を生じているわけであります。  私どもの選挙公約の中では、道路財源は維持するという点と同時に、消費税率引き上げに伴い石油諸税等に係る税負担の適切な調整を行うというのが今回の選挙の公約になっているわけでございます。私ども、今、党内でもこの調整をどういうふうにするかということについて激論を闘わせているわけでございますが、この点につきまして、大蔵大臣及び通産大臣から、どのような考え方を現在ただいまお持ちかという点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  21. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 最初に、実務的な点について簡単に御説明させていただきます。  御指摘のように、個別の間接税が一方にあり、今度の消費税あるいはヨーロッパにおける付加価値税のように一般的にすべての取引に課税される税金と二つの間接税がある場合に、二つの税金が重なり合うという問題がございます。この点につきましては、一般的な付加価値税型の間接税の性格上、どうしても個別間接税を含んだ価格に対して課税するということにならざるを得ず、ヨーロッパにおいても同じような課税のされ方がされております。  ただし、一つ一つの物品を見たときに、その物品に対する税金が相対として高いかどうかというのは議論の対象であろうと思います。そういう意味で、御指摘のガソリンに対する税金が重いのか重くないのか、あるいはその使途との関係で適当かどうかということは御議論が必要かと思います。  なお、欧米におきましても、個別間接税、酒、たばこ、それから油につきましては一般的な間接税とは別にかけているのが現実でございまして、極めて理論的に考えたときにはいろいろな考え方があろうと思いますが、現実的にはこの種の税金は残らざるを得ないと思っております。  なお、最後に御指摘のありました点については、現在議論をしている最中でございまして、ガソリンの税金の使途の問題等々を含めて御議論をいただいているところでございます。
  22. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 ただいまの御指摘は、個別間接税を含む価格に対して消費税を一律に課税する現行制度を前提に、党の論議、政府税調の論議、本委員会の論議を踏まえながら、税の性格、税負担水準、財政事情等を勘案をしながら検討していかなければならない課題であろうと思っております。
  23. 佐藤国務大臣(佐藤信二)

    佐藤国務大臣 今、尾身委員御指摘のとおり、ガソリンなどの石油製品に対しては、消費税に加えて高額のガソリン税を初めとする石油諸税がかかっているということで、国際的に見ても、例えばアメリカの四倍以上、韓国の一・四倍と大変高く、こうしたガソリンの税負担でございます。こういう観点から、来年四月からの消費税率引き上げの実施に当たっては、石油諸税を初めとする個別間接税との関係について早急に検討を行い、税負担の公平性の観点から必要に応じ適切な調整のための措置が講じられることが必要であると考えております。  通産省としては、引き続き消費税と石油諸税との関係について適切な調整が行えるよう努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。
  24. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 この点につきましては我が党内においても非常に真剣な議論がなされているわけでございますが、いずれにいたしましても、ガソリンを中心とする石油関係だけに過重な税がかかっているというこの不公平感、不平等感というのは現実にあるわけでございます。私は、こういう点について納税者の納得と理解が得られるような何らかの調整をどうしてもしていかなければならないと考えているわけでございまして、関係大臣のこの点についての御理解をいただきながら、また私どもも党内でいろいろな議論を進めてまいりたい、そのように考えている次第でございます。  同じような問題なんでございますけれども、特別地方消費税というのがございます。これはもとの料理飲食等消費税でございまして、消費税の導入時に一〇%であったものが三%に引き下げられまして、しかしまだ残っているわけでございます。しかもこの税は末端でかかっておりまして、例えば、旅館に宿泊をいたしますと宿泊費が一万五千円までは全然税金がかからない。一万五千円を一円でも超えると、消費税のほかにさらに突然ぽんと三%税金が乗っかってくるということでございまして、お客様の立場も考え旅館の立場も考えると、どうしても宿泊を一万五千円以下に抑えるというようなゆがんだ措置が現に行われておりますし、本来この税は個別間接税廃止という、消費税に吸収しその財源でこれを賄うというふうにするのが正しいわけでございます。  これについてはいろいろ地方財源という問題点がありますけれども、しかし、税の公平感の確保という点から見て、この特別地方消費税はもうこれを廃止してもいい時期に来たのではないかというふうに私ども考えているわけでございますが、この点については担当の自治大臣に御意見をお伺いをさせていただきます。
  25. 白川国務大臣(白川勝彦)

    ○白川国務大臣 特別地方消費税の問題に入る前に、地方財政も百三十六兆円という多額の累積債務を抱えているわけでございます。そんな立場から、今までの議論を含めるときに、一人の国務大臣として申し上げたいことがございます。  私は昭和五十四年に議席を得ましたが、そのころ我が国の財政赤字は決して大きくなかったわけでございます。そして、鈴木内閣のときから一生懸命取り組みながらも今日のように大きな財政赤字になったというのは、そのときそのとき日本の経済が大変苦しくなってくる、そして政府が、諸般の政策をしてくれという国民の要望があって、そして政府も必要性を認めて、やった結果が今日の多額の累積債務になったのではないでしょうか。  そして、私は、国もしくは地方の公的な財政が今後とも我が国において果たすべき役割は大きいと思います。また、大きな役割を果たさなければならぬときがあると思います。そのときに、いやもう国も当てにならないんだ、地方の財政も当てにならないんだということで、果たして日本経済そのものが活性化するでしょうか。  そんな意味で、国としてもあるいは地方としても、民間が苦しいときは公的出動をいっぱいやってきたけれども、今度は国の財政自身が厳しいから財政の再建にお力添えをいただきたいということは、国民からも私は今後のために期待される点があると思いますので、一言私の考えを申し上げさせていただきます。  さて、お尋ねの特別地方消費税についてでありますが、いろいろ御要望が出され議論されていることを伺っております。いろいろあろうかと思いますが、一つは、課税対象とされている消費行為と、保健衛生、環境整備、リゾート整備等地方団体がサービスをしているものとの間に密接な対応関係がある。それから、平成六年度で千四百億円という税収が入ります。そして税収の五分の一が地元の市町村にも交付される。そして、地方分権、地方自治の時代、こう言われている中で地方の自主財源を強化しなければならぬ、こういうことはみんなが言っていることであります。こういう点を踏まえつつ、今税制調査会等において議論がなされていることを真摯に受けとめて、自治省としても適切に対応してまいりたい。  きょうはこれだけ申し上げさせていただきます。
  26. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 先ほど申し上げましたように、やはり税を取る立場と払う立場というのは感覚的に違うものでございまして、税でありますから当然少ない方がいいというのが払う立場でございます。しかし、そこそこの理解と納得が得られているものでなければ税制そのものが成り立たないわけでありまして、私は、この特別地方消費税はそこそこの理解も得られていない種類に入るのではないかというふうに考えております。もとより、大臣というお立場でそんなに前向きの答弁を現在ただいまでいただけるとは思っておりませんが、ひとつよくこの点をテークノートしておいていただきたいと考えている次第でございます。  次に、いわゆる消費税の益税問題でございますが、この益税問題は大変に難しい問題でございまして、中小零細企業が消費税を消費者の方からいただいてそれを税務署に納めるという、そういうかなり大変な手続をやっていただいている状況の中で、余りにも零細企業、いわゆる父ちゃん母ちゃんというようなお店からはその手続をやれないんじゃないかというような考えもありまして、この非課税業者等の措置がとられているわけでございます。  今回の税制改正におきまして、実は、いわゆる益税問題というのはかなり大きな改善というか、益税解消の方向での措置がなされました。一つは、三千万円から五千万円までに至る事業者の限界控除制度につきまして、これを廃止をいたしましたし、それからいわゆる簡易課税制度というみなし税率を使う制度も、四億円以下の方についてだけ適用しておりましたのを、これを二億円以下というふうに引き下げをいたしました。そういうわけで、いわゆる益税問題はかなり実態としては改善をされたというか解消されたわけでありますけれども、なお売り上げ三千万円以下の免税事業者の問題はあると言われております。  この点につきましては一体どういうふうに考えるべきなのか、この御批判についてどう説明をされるのか、大蔵省及び通産大臣からも御意見をお伺いしたいと思います。
  27. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 いわゆる益税問題についてのお尋ねでございます。  御披露いただきましたように、来年四月から、限界控除制度を廃止する、簡易課税制度を直す、またみなし仕入れ率を改善する等々措置を講ずることになっておりまして、大きな前進だと思っております。今回新進党から提出されている法案でも、この部分につきましては政府案どおりでいいという提案になっておりますので、大きな前進の面を評価していただいているのだと思います。  また、御指摘の免税点の問題、三千万以下の方についてどうするかという問題がございます。これは、付加価値税制度の性格からいえば、三千万は低いほど適当であるという考え方はあろうかと思いますが、三千万の年商ということは、所得に直してみれば三百万とか四百万の方々だと思います。こういう方々に、一般的な間接税にまだなれていない、習熟していない中で事務をお願いするということが適当かどうかということを考えれば、これを引き下げることは適切ではないとは思っております。  ただ、一方で誤解もありまして、三千万以下の方が、例えば百円のものを百三円で売って三円を懐に入れているんではないかという誤解がございますが、そういうことは私ども次のとおり考えております。  一つは、そういう方々でも仕入れるときには、百円のものには、例えば八割の仕入れ率であれば二円四十銭の税金が乗っているわけでございます。したがって百二円四十銭で売らなければならない。もう一点は、じゃ百二円四十銭で売れるかというと、中小零細の方はなかなかそれを転嫁できないという状況もあるわけでございまして、そういった転嫁の状況、消費税と価格の関係について、私ども十分に適正な転嫁がなされるよう、消費税導入時の経験に基づきまして、関係業界への広報、指導を通じまして、さらにこの点が適正になるように持ってまいれればいいかなと思っている次第でございます。
  28. 佐藤国務大臣(佐藤信二)

    佐藤国務大臣 いわゆる益税の問題でございますが、各事業者の転嫁の問題、こういうふうに考えております。転嫁の実態ということを見ると、中小企業の転嫁の割合が相対的に低いことから、この益税が広範かつ多額に発生しているとは考えにくいというのがまず基本的な考え方です。  そしてさらに、今御指摘のように、今回の税制改革において、事業者の消費税事務の習熟度合いをまず考慮し、中小企業者の実情も踏まえつつ制度の公平性をより重視する、こういう観点から、限界控除制度の廃止だとか簡易課税制度の適用上限の引き下げ、こういう抜本的な見直しを行いました。こういうことで、益税問題は相当程度解消しているというふうな認識を持っております。  いずれにいたしましても、この中小特例措置の見直しに当たっては、中小企業者の転嫁の能力や納税事務能力の実態を踏まえつつ、制度の公平性とそれからその簡素性との間でどのように均衡を図っていくかというような観点から議論が行われることを期待しているわけでございます。
  29. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 次に、総理に、経済構造改革の問題について、私の意見を申し上げながらお伺いをさせていただきたいと思います。  バブルが崩壊した後の非常に大きな景気低迷期におきまして、平成四年度以降、景気対策として何回かの対策が行われました。そして、特に公共事業の積み増しという形で、事業費ベースで、私の計算では、この数年の間に五十六兆円ぐらいの公共事業投資が行われたわけであります。  従来の我が国の経済のパターンからいいますと、これだけの長い間にわたってこれだけの大きな公共事業をつぎ込んで景気刺激策をやれば、大体において需要が喚起されて景気がよくなって回復してくる、民間の設備投資や民間経済活動が回復してくるというパターンであったと思うんでありますけれども、今回についてはなかなかそういうふうにいかないで、失業率もなお三・四%というような、むしろ徐々に高まってくるというような状況になっているわけであります。  私は、この原因は何かということをいろいろ考えてみました。公共事業を行ってお金を支出する。そうすると、そこで事業が行われて、そこで働く人たちがいろいろな形で収入を得る、給料を得る。そして、その給料が、今度はテレビや自動車を買うという形で購買力の方に回っていく。そこまでは今までのパターンと同じなんでありますが、そのテレビや自動車を売った日産やトヨタやあるいは日立や東芝がテレビや自動車を日本の国内で増産をしていけば、国内の雇用もふえて、それから下請中小企業も潤って、そのまた下請中小企業で働いている人たちがまた物を買って消費の拡大にはね返ってくるという、いわゆるケインズ流の拡大が実現をしてきたわけであります。  ところが、最近、円高あるいはいわゆる国内の高コスト構造等の要因もあって、企業が海外に展開をしております。いわゆる空洞化の現象であります。そこで、テレビや自動車が売れたときに、むしろアジアやその他の国々でそのテレビや自動車の生産が行われて、それをこちらに持ってきて売るという現象が起こりますから、日本の需要が公共事業を中心とした需要喚起でふえた結果、実は、生産が伸びて景気がよくなったのはアジアの諸国であって、日本は、空洞化の結果、大企業は工場を縮小し、そしてそこに部品を供給している中小企業は仕事がむしろふえない、減りぎみになるということで、いわゆるいい経済の循環が遮断をされて、ざるから水がこぼれるような形で外にお金が漏れていってしまうというのが、実はこの問題の大きなポイントだというふうに私は考えているわけでございます。  最近の状況で見ましても、日本の海外進出の企業数に対して、日本に入ってくる企業は進出企業の約七%になっています。アメリカやフランスなどの欧米諸国では、出ていく企業の八割が外から入ってくるという実態にもなっているわけでございます。通産省の調べによりますと、今後五年間の製造業の雇用は、現在の千三百六十万人から五年間で一割ぐらい、約百二十四万人ぐらい雇用が減ってしまうのではないかという極めて深刻な状況が予想されているわけでございます。  そこで、私は、橋本総理の経済構造改革というのは、こういう流れをとめて、日本経済の活力を回復するという方向にいく大きな策であるというふうに考えているわけであります。今のままでいくと、比較優位の産業、つまり非常に競争力のある最先端産業までむしろ国内から海外に行ってしまって国内の雇用減になる、いわゆる景気のサイクルがうまくいかないというような心配もされているわけでございます。  それからさらに、それに追い打ちをかけた状態で、高齢化社会の到来というのがございます。現在ただいまは働く人四人が一人の高齢者を支えていることに対しまして、二〇二五年になりますと二人の働き手で一人の高齢者を支えるというような極めて深刻な高齢化社会がやってくるわけであります。  そういう状況の中で、総理が五つの改革というのを提案をされました。私はこの方向はまさに正しい方向だと考えているわけでございますけれども、この点につきまして、総理のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
  30. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 私は、むしろ、企業が国際的にその活動の舞台を求める、こうした流れというものは本来否定すべきものではないと思っております。  しかし、問題は、それが非常に急速度に起きたこと、そして同時に、それにかわる産業を我々が育て得ていないということ、根本的にはここに尽きるでありましょう。そして、それはまさに、日本の海外投資に比べ日本に対する海外からの投資が少ないという問題点、その原因を探求しなければならないということにも逢着するかと思います。  そして、その産業空洞化あるいは高齢化の問題に対応して、経済活力を維持しながら豊かな国民生活をと考えましたときには、まさに経済構造改革を総合的に進める必要がありますし、その一つのポイントはまさに新規産業をいかにして創出していくか、そしてそれは、個別産業分野ごとのニーズを踏まえながら、人材の育成とともに研究開発、科学技術への投資というものを強力に進めていかなければなりません。  同時に、その事業環境をいかに魅力のあるものにしていくか、そうした事業環境の整備に向けまして、当然のことながら規制緩和を進めていく、また企業と労働に関するさまざまな制度というものを改革していく必要があろう、そうしたものを総合して進めていくことが必要だ、そのように考えております。
  31. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 現在、総理の指示を受けまして、経済構造改革プログラムを通産大臣が中心になって近く取りまとめるというふうに聞いているわけでございますが、この点につきまして、今どのような状況での進捗になっているか、通産大臣からお伺いをさせていただきたいと思います。
  32. 佐藤国務大臣(佐藤信二)

    佐藤国務大臣 今御質問がありましたように、総理の方の御指示によりまして、経済構造の変革と創造のためのプログラム、こういうものにつきまして、今月の半ばということで、今最終的な大詰めの調整を各省庁とやっている最中でございます。  したがいまして、この具体的な内容というのは細かに申し上げられませんが、今若干総理もお触れになりましたように、大きな柱は二つございまして、一つは新規産業の創出ということと、もう一つは魅力ある事業環境の整備、二つでございます。  新規産業の方に関しては、個別産業分野ごとのニーズに対応した規制緩和、人材の育成、技術開発等の総合的な政策というのが一つでございます。それから、新規産業創出にかかわる共通の課題を解決するための資金、技術、人材面の政策等を盛り込むこと、これを実は検討しております。  それからまた、魅力ある事業環境の整備ということでは、高コスト構造の是正ということで、そのための規制緩和、当省におきましてはエネルギーの分野、そしてまた物流などもこの中に入ります。  それから、二番目としては、企業と労働に関する諸制度の改革、そして地域の産業、技術集積の活性化、こうした政策を盛り込むように今検討しておりますが、大体今週から来週にかけてもうこれが具体的になってくると思います。いましばらくお待ちいただきたいと思います。
  33. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 私は、経済構造改革あるいは財政構造改革といろいろなことが言われておりますけれども、要は、日本経済を活性化して、日本経済そのものを強くしなければならないということがポイントだというふうに思っているわけでございます。そういう意味で、いろいろな税制を考えるときにも、日本の経済構造を改革する方向に、そして日本経済の体質を強くし、活性化する方向に税制もいかなければならないというふうに考えております。  今まで、いわゆる税の専門家の間では、税は公平、中立、簡素が基本的な原則だというふうに言われてまいりました。公平で申立て簡素であることと言われていたわけでありますけれども、私は、現在の日本経済あるいは日本社会の置かれた状況を見ると、やはりこのまま公平で申立て簡素でいった際に、そのままの考え方でいくと、実を言うと、日本経済全体が沈没してしまうのではないか、地盤沈下をしてしまうのではないかという危機感が非常に強くあるわけでございます。  そういうわけで、税の問題を考えるときにも、私は、経済の活力ということを税を決める際の一つの原則にしていくべきではないかというふうに考えているわけでございますが、こういう基本原則について、これは総理のお考えをお伺いをさせていただきたいと思います。
  34. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 今、平成九年度の税制改正につきまして税制調査会で鋭意御論議をいただいておるところでありまして、個別具体的には、私はその検討結果を踏まえて対応するという以上のお答えを申し上げるのは税制調査会に対しても非礼ではないかと思います。  ただ、私は、今議員が御指摘になりました税の公平、中立、簡素といった基本的な考え方、その上に、特に法人税  私は法人税だけとは思いません。法人課税全体をとらえての御議論と思いますけれども、企業活力をいかにして発揮させるか、あるいは新たな産業をいかにして創出しやすい状況をつくるか、あるいは我が国の産業構造の変化などの点も踏まえて物事を考えるべきだ、そうした視点は極めて大事な御指摘であると思います。そして、そうした視点で税制を見直していくということ、それは経済構造改革の推進にも役立つものだ、そのように感じております。
  35. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 ただいま総理から私の考えに対して御賛同をいただいたと大変感謝をしているわけでございますが、その中で、今度は具体的に、じゃ我々が今検討しているいろいろな税の提案の中でどういう問題があるか。つまり、日本経済を活性化する方向で税制を考えていかなければ大変なことになるという考え方のもとで、その方向で考えていった一つが、いわゆる技術開発とか、あるいはベンチャー企業の育成とか、新規産業の創出とか、そういう方向に向かってのいろいろな税制であります。  具体的に言いますと、いわゆるエンゼル税制と言われております、中小企業に対する、新規産業、新規企業に対します、ベンチャー企業に対する資金の供給をしやすくするような税制とか、あるいは試験研究開発を促進する税制とか、あるいは産官学の共同研究を促進するような税制とか、具体的にはいろいろな細かいことがございますけれども、しかし、方向としては、日本経済の研究開発を促進し新規産業を創出するといういろいろな案が出ているわけでございまして、そういう案につきまして、これは個別の問題じゃないですから局長は要りません、大蔵大臣にお願いしたいと思いますが、そういう前向きの税制について、私どもも今議論をしておりますが、大臣におかれましてもぜひ前向きに御検討をいただいて、対応をしていただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。
  36. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 経済の活性化、成長というのが税に結びつくことは当然であって、わかっております。そういう中で、なおかつ、財政構造改革、サミット国最低の劣悪な状況になったわけでありますから、体質を強化しなければなりません。そういう中で、行政改革、規制緩和、経済構造システムの改造等々がありますこと、御案内のとおりであります。  そういう中にありまして、連結納税制度という問題も、税調において、また三党の中でも、党の中でも御研究をいただいておるということ、聞いております。この点については、政府税制調査会の法人課税小委員会報告、十一月に出されておるところでありますが、この制度導入についてはまだ尚早ではないのか、研究の余地がある、こういうことでなされておるところであります。  私といたしましては、この問題は、我が国における今後の企業経営の実態の変化や商法等の関連制度の動きを見据えながら、十分な議論が必要であると思いますし、研究課題と認識をいたして取り組んでまいります。
  37. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 連結納税制度のお話が大蔵大臣から出されました。この連結納税制度は、今まで事業部制でやっていた企業が、一つの事業は黒字が出る、一つの事業は赤字が出る、それを一緒にやっているとうまく小回りがきかないから、幾つかの事業部を全部分けて、会社を分ける、いわゆる分社化という体制を整えて組織変更をして弾力的にリストラをやっていこう、そしてそれぞれの分野で活力を出すために分割をしようという考え方があるわけでございます。  実を言うと、そのリストラをやるべき分社化が日本でなかなかやりにくい。なぜやりにくいかというと、今までは赤字部門の赤字を黒字部門の事業部がカバーをして企業全体としてやっていたものが、会社を分けると、今度は赤字部門の赤字は黒字部門の企業でカバーできない、黒字部門の企業は黒字分だけ全部税金を持っていかれちゃう、赤字部門の赤字はそこへ滞留してしまうということで、分社化がしにくいという非常に大きな弊害がございます。  これは、じゃ連結納税制度が自本だけにないのかというと、実はそうで、ないのは日本だけでありまして、主なOECD諸国のうちでもう大部分の国がこの制度を導入して、企業の組織形態をリストラができるように、弾力的な対応ができるようにしているわけであります。ここが実は大変大事なところでありまして、大蔵省事務当局は非常にこれは難しいというようなことを言っております。  NTTの分割問題も議論されておりまして、これは連結納税制度が前提であるというようなことを新聞等の記事で私も拝見をしておりますけれども、しかし、これはNTT一社の問題ではなしに、企業が組織対応でリストラをすることを柔軟にやれるようなシステムを税制上つくってあげないと、日本の企業だけが大きなハンディキャップをしょって、つまり手を後ろに縛られたままで国際社会の中で競争をしなければならない。もっと逆に言うと、ほかの企業が日本に進出しようと思うときに、そういう弾力的なこともできないような税制では、日本市場でビジネスアクティビティーをしてもしょうがないというふうな形でやられてしまう危険性があるわけでございます。  この点については後で総理にもぜひお答えをいただきたいと思いますが、我が党の公約の中でも、連結納税制度は導入の実現を図るというふうにはっぎりうたっているわけでございまして、この点は、事務当局は大変難しいということを言っていますけれども、これはほかの国でできて日本でできないというのは私ども全く納得がいかないので、ひとつぜひ政治のリーダーシップでまともな検討をこの点について早急に始めて、どうしても実現ができるような形でのリーダーシップをお願いを申し上げる次第でございまして、ひとつ大蔵大臣、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  38. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 御熱心な御研究をいただいておりますこと、聞いております。グローバルな今日の世界情勢の日本の経済の置かれておる立場でありますから、やはり競争はオープンでなければならぬと同時に、体制はそれにこたえるものでなければならぬ。私も一生懸命勉強します。御鞭撻のほどを……。
  39. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 法人所得課税の問題なんでありますが、先ほど来申し上げているとおり、今やいわゆる大競争の時代になった。メガコンペティションの時代になったと言われておりまして、企業が国を選ぶ時代になった。別の言い方をすると、企業が世界的な事業展開の中で一番ベストの国を選ばなければ、企業の存立そのものが危なくなった時代になったというふうに私は考えているわけでございます。  そういう中で、やはり日本全体の高コスト構造の是正というのは非常に大きな課題でございます。流通の問題とかあるいは各種の規制の問題とか、いろいろありますけれども、私は、法人所得税制、法人税制の問題もこの大きな高コスト構造の一つに入っていると思うわけであります。  我が国の実効税率が国際的に見て一番高い四九・九八%である。アメリカの四一%、イギリス、フランスの三〇%程度と比べてかなり高いということは、巷間言われているわけでございますが、先ほど大蔵大臣の言われた政府税調の小委員会の報告によると、高いか低いかよくわからないというような報告が出ていますよ。しかし、いわゆる実効税率だけではなしに、日本全体の税収に占める法人所得課税の比率は、日本は二三%です。アメリカが一一%、イギリスが九%、ドイツが六%、フランスが六%。いずれにしても日本は、全体の税収の中で、ほかの国に対して法人所得課税の比率が二倍以上高いという現実になっております。  それから、もう一つの別の統計で言うと、国民所得との比率で見ても、法人所得課税の比率は、日本は国民所得の五・七%、アメリカがその約半分の二・九%、イギリスが三・二、ドイツが二・一、フランス二・〇というようなことで、ほかの国が二、三%なのに対して、五%を超える、六%に近い水準になっている。つまり、もっと別な言い方をすると、法人が高コスト構造というときに、やはり税の問題も入ってきていると思うわけであります。  先ほどの小委員会報告では、この法人税の減税は  これは自民党の公約になっています。自民党はその辺の状況をよく理解をしておりまして、国際的に諸外国に比べて高水準となっている法人所得課税の実質的な負担の軽減を図るというのが選挙公約であります。  ところが、それに対して、これはまさに政治と官僚の違いだと私は思いますけれども、大蔵省事務当局は、引当金とか準備金とかいういわゆる企業会計原則に基づく、認められている準備金を、削って、それを財源として法人税の税率引き下げをやる、つまり税収イコール、税収中立ということでやろうということでやっているわけでございます。  私は、こういうやり方でいくと、非常にきつい言い方をすれば、人間の体で言えば血液を売ってそのお金で米を買って生活するようなもので、だんだん経済の体質が悪くなってしまう、そして弱くなってしまう、だからこういう提案は到底受け入れられないと考えているわけでございます。本当の意味で実質的な企業減税をしていかなければ、企業が日本という国を生産拠点、事業活動拠点として選ぶような状態にならないわけであります。  そういう点で、これは総理のリーダーシップで、先ほどの連結納税制度の問題も含めまして、新しい経済構造改革の一環としてぜひ前向きに御検討をいただきたいと考えております。
  40. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 総理の前に私から。  法人税制の問題につきましては、政府税調はもちろん、御指摘がございました党税調、また三党の中におきましても協議が行われておることを承っております。その結果を踏まえまして適切に対処をしてまいるということをまず申し上げます。  法人課税につきましては、尾身議員、税の専門家で政策マンでありまして、万般にわたりお話がありました。しかしながら、税の公正中立等を基本とした視点というのはやはり税制の基本でなければなりません。我が国の産業構造の変化等の観点を踏まえながら、課税ベースを適正化しつつ税率を引き下げるという基本方向――これは大事なところですから、経典のところはきちっと申し上げているので、ちょっと聞いていてくださいね。そういうことを基本にしてどう見直しするかということでありまして、私から言いますと、法人税率、世界で一番高いわけでありますから、これを下げるということは、見直しをしてまいるということは、大変大事なことだなと思っております。  しかしながら、前段に戻ります、税調、三党の協議の結果を踏まえて考えさせていただきます。
  41. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 私は、その連結納税制度の問題、これは現行の商法上の問題から議論をしていかなければならない部分を含んでいることはよく議員御承知のとおりであります。企業経営の実態の変化、あるいは関連するほかの制度の動きも見据えながら十分研究をしていくべき課題、そのように受けとめてまいりました。また、企業の負担、法人課税全体を指しての御論議、私は、確かに企業の競争力というものを考え、また日本国内に対する投資を呼び込むためにも、こうした点について努力する必要があることは十分承知をいたしております。  ただ一方で、我が国の例えば各種の引当金あるいは積立金といった制度に対しいろいろな御批判が世間からあること、本院のこれまでの御論議の中にもそうした点に対して非常に厳しい御意見のあったことも私は同時に想起いたしております。  こうした点を十分我々は視野に入れているつもりでありますが、いずれにせよ、今、税制調査会の御論議というものの方向をきちんと受けとめて我々は仕事をしていきたい、そのように考えております。
  42. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 時間がなくなりましたので、最後に基本的な問題点を一つ質問をさせていただきます。総理のお考えを最終的にお伺いをしたいと思います。  先ほどからずっと御質問してまいりましたが、要は、基本は日本経済の活性化をしていく、そして特に大企業が日本というところを生産拠点に選ぶような体制にしていかなきゃならない、私はそのように感じている次第でございます。  大企業や力のある中小企業はどんどん生産拠点を海外に移すことができる。しかし、力の弱い中小企業とか農業とか、そしてこの企業で日本で働く人たち、いわゆる生活者とかは、外国に移転ができません。引っ越しかできません。政治家も官僚も外国に引っ越しできないのであります。ですから、この日本という国の経済環境を整えて、企業がここで経済活動をやれるように、そしてそこで働く人が十分収入を得られるように、生活者といっても全部働く人であります、収入が得られなければいけません。  そして、日本経済を活性化して、技術開発を進めて、二十一世紀の日本を経済の面で強くするということが何よりも、今度税制を考える際にも基本である、そしてパイを大きくしてそれによって財政再建をするという方向にいかなければいけない、私はそのように考えているわけでございます。  そういう意味で、総理の考えておられる、推進しておられるいわゆる五つの改革というのは、まさに日本経済を、日本社会を、日本という国を強くする、活性化する一番基本的な施策であると考えておりますので、税制を検討する際にもそのお考えと同じような方向での税制を我々はつくっていかなければいかぬ、そういうふうに考えている次第でございまして、この点につきまして、ぜひ総理の御決意、お考えをお伺いをさせていただいて、私の質問を終わります。
  43. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 私は、先般予算委員会におきましてもその点について議論をさせていただいたところでありますけれども、今内閣としてかざしております五つの改革というものは、同時並行で進まなければならない、一つだけを取り出して進めることはできないと考えております。  今、税制についての御論議でありますけれども、その税制改革というのは、当然のことながら財政構造改革に資するものでもある。そしてその必要性があることは事実でありますが、同時に、それは経済構造改革にも資するものでなければなりません。また、これは社会保障構造というものを考えます中で、税で負担する部分、保険料で負担する部分、こうした議論があるわけでありまして、当然のことながら社会保障構造改革とも連動をいたします。  そうした意味で、本院におかれましても非常に幅広い視点からの税についての御議論を行っていただいていることを私は敬意を表しますが、そうした意味では、ただ単に財政構造改革の視点からのみ税を議論するのではない、政府としてはそうした見方で取り組んでいきたいと考えておりますことを申し上げます。
  44. 尾身委員(尾身幸次)

    尾身委員 ありがとうございました。終わります。
  45. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 この際、伊吹文明君から関連質疑の申し出があります。尾身君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊吹文明君。
  46. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 自民党の伊吹でございます。  きょうは新進党の皆さんも御苦労さまでございました。  先ほど野田提案者からお話がございました新進党の御提案、つまり消費税の三%凍結という案を議論をしながら、果たしてそれが現実にうまくいくのかどうか、うまくいかない場合には日本の国というのはどうなるのかということを国民の皆さんにテレビあるいは報道を通じてきょうは見ていただく、そしてその中で政治家のあるべき姿、政党のあるべき姿というものをもう一度考えてみたいと思いますので、どうぞよろしく御協力のほどをお願いいたします。  さて、先ほど、今日の金融状況あるいは経済状況にも大変大きな影響を与えた日本銀行の通貨供給量あるいは金利政策についての最高意思決定機関であるボードの一員であり、また著名なエコノミストである、あったですね、今は政治家ですから、あった鈴木先生から大変結構な御講演をいただいたわけですが、実はそれを私聞いておりまして、走るほど経済がうまく回らなければ財政の再建というのはなかなかできないというのは一つの大切なポイントだと思います。  しかし同時に、経済の再建ができると思ってやった結果、経済も再建できないし財政も悪くなるのではないかというところが実は問題なのであって、一番大切なことは、つまり政治家とそれから学者あるいは評論家の違い、また経営者と経営評論家の違いというのは、私はそこの判断にあると思うのです。  つまり、一つの政策は必ず長所と欠点が出てまいります。例えば、ただいま議論のございました消費税に関する免税業者であるとかあるいはまた益税の問題というのは、確かにいいことではないと私は思います。しかし、これによってお父さんとお母さんだけで商売をしている人たちが、結果的に帳簿をつけるという大変な苦労をかけるというところを免れながら、免税業者、ややあいまいな税という欠点を甘んじて受けるのか、あるいは、そちらをきっちりときれいにするために日本社会の中に厳しい帳簿制度を入れるのかというバランスの判断をするのが経営者であり、政治家の仕事だと私は思います。そういう意味で、先ほどの新進党案の、経済がうまく回らなければ財政再建はできないというのは、私は全く同じ意見であります。  ただ問題は、果たしてそうなるのかどうなのか。そして、それを伺っておって、今の財政赤字を完全になくするということの一番の近道は、インフレにすることであります。これは、日本銀行が最も嫌っておられる通貨価値の維持ということに反することであって、先ほど来総理がおっしゃったように、要は、つらいけれども、一方の政策だけはとれないから、現実とのバランスの中で、さて増税もある程度国民の皆さんに甘受をしていただかなければならないときがあるかもわからない。しかし、今回の消費税は増税ではありません。所得税をかって減税したものの穴埋めをしている措置です。  その後さらにどうするかというのは、これからの議論だろうと思いますが、それと同時に、私はやはり歳出カットも行っていく。新進党のおっしゃっている歳出カットが果たして現実にうまくいくかどうかということも私は後で伺いたいと思いますが、結局、橋本総理が五つの改革ということを言っておられます。経済構造、財政構造、この中に私は税制が入ると思いますが、同時に金融構造、金融システムというのでしょうか、それから社会保障構造、そしてそれらをすべて受けるパブリックセクター、国の受け皿である行政改革、こういうことでしょう。  これは、私はもう一つあえて加えれば、ぜひ教育の改革というか、日本人の生き方をもう少し改めていかねばならないということを私は考えておりますが、その総理の考え方と、先ほどの鈴木さんの、財政を立て直すためにはともかく経済をよくするのだと。その経済がどういう形でよくなっていくか、これが私は最大の問題だと思うのです。  そこで、まず最初に総理に伺いたいのですが、日本は戦後、私は非常にラッキーな状態で成長過程を歩んだと思うのですね。これは例えて言えば、戦争が終わって、打ちひしかれて破産をした二人の若い夫婦が、誇りは失わずにもう一度昔の状態を取り戻そうということで、父親やおじいさんから教えてもらった。公益を守るとか、勤勉さだとか、そういうことを非常に大切にしながら一生懸命頑張ってきた。その中で、私は日本は今日のような成長を遂げたと思いますが、そのときにラッキーだったのは、結局、お年寄りの方々の数が相対的に少なかった。だから、年金だとか医療というものにお金をかけなくても、大きくなったパイを減税に回したり再生産に回して、さらに大きく日本経済はなれた。  しかし、今や、非常に我々は世界に誇るべきことだけれども、その結果、世界に冠たる年金制度をつくり、老人医療の無料化制度をつくり、そして生活水準が上がり、そして長寿社会を達成した。その結果、年金、医療、介護という移転支出がふえることによって、昔のような日本人の期待、昔のような生き方はできないのだ。それをやはり変えていこう。それを変えながら、同時に経済の活性化の力も何とか注いでいこうというのが、私は今の五つの総理のおっしゃった構造改革の意味だと思うのですね。  これはつまり、日本人が従来当然視していた生きざまを、ある程度現実に合うように、つらいけれども、火だるまになってでも変えていこう、そういう時代になったんだという認識を持っておられる。つまり、豊かになるということはすばらしいことだ。貧しいということはどうしても卑しさが出るから、一生懸命豊かになりたい。しかし、豊かになった中でもなおかつ日本人はつつましく暮らすすべを知る国として、世界の中で尊敬されたい。そういう国にもう一度つくり直さねばならない。そんな気持ちで総理はこの五つの改革をおっしゃったと私は思うのですが、戦後の大きな歴史の中で今をどのように認識しておられるか、一言お答えをいただきたいと思います。
  47. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 私は、戦後の日本の歩みについて、伊吹委員が概括されましたことを基本的に否定する部分は全くありません。  私自身の体験からいきましても、私が社会人になりまして繊維産業に入りました年は、まさに日米繊維問題が発生をし、その後の貿易摩擦のスタートという年でありました。そして、それまで、ある意味では我々は、自分たちの商売の仕方というものが問題を呼ぶものだとは全く考えずに、輸出を進めることはよいことということで仕事をしてまいったものが、初めて壁にぶつかったという時代であります。  そして、そういう状況の中からいまだに我々は抜け切れていない部分も持ちながら、同時に、その反省を国際社会の中でしなければならない。そして、それに基づいて国際的な行動をある程度決めて、他に拘束されるのではなく、みずから律していかなければならない、そんな状況の中に入っているということも言えます。  同時に、そうした中で我々が、バブルの崩壊というものの結果として、今日非常に厳しい局面に立っておる、これは覆いがたい事実であります。そして、もし今の時代認識ということを一言にして申し上げますならば、この厳しい状況の中から我々が見据えるべきは、子供や孫の世代というものにおいて、少なくともよりよい社会を引き渡すことができ、活力を持った社会を引き渡すことができ、同時に、それぞれの夢を追える、そしてその夢の実現可能性のある国を譲り渡していくために今を耐え忍んでいかなければならない、そうした思いでそれぞれの制度の改革にも取り組まなければならない、そのような思いであります。
  48. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 結局へ私は、現実というものは一つのやり方だけではやはりうまくいかないので、一つのやり方というのは、効果と必ず副作用が出てきます。それを、その副作用をできるだけ抑えながら、政策の長所を時代に合わせてどう選択をしていくのか、そういうことだろうと思うのです。  その一例として、これは後でまた大蔵大臣にもお伺いしなければいけないときに大変大切なキーワードになりますので、総理との問答をよく聞いておいていただきたいのですが、税に対する公平という言葉がありますが、十人人がいれば十人とも公平という言葉は違うと思うのですね。時代とともにやはり公平感もまた変わってくる。  戦後、貧しい二人の若い夫婦が一生懸命頑張っていたときは、ほとんどの経済成長のパイは減税と再生産に回せました。しかし今は、ほとんどそれは、その当時頑張ってくだすった若い夫婦、今の御年配の方々の年金と医療に回さねばならない。そういう状況になりますと、年金と医療というのは、六十五歳になれば、基礎年金はフラットにもらえます。七十歳になれば、老人医療はどなたでも受けられるのですね。  しかし、税の構造というのは今どうかというと、日本で約二百四十万ぐらい法人数がありますが、その中で法人税を納めているのは大体九十万なんですね。それから、人口は日本は御承知のように一億二千万なんですが、そのうち自営業者あるいはサラリーマンの方を含めて六千四百万人なんです。そのうち税金を納めておられる方は五千三百万人ということですね。日本人の御年配の方や子供さんまで入れれば、もうはるかにこれは五割以下になっているということですね。  そういう状態で、六十五歳になればなべて同じように年金、基礎年金をもらい、なべて同じように老人医療の恩恵に浴するという状態になったときは、説もやはり、一部の人たちからだけ取る法人税とかあるいは所得税でこれを賄っていくということになりますと、多くの納税をしている人たちは大変不公平じゃないかという気持ちを私はこれは当然持ってくると思うのです。それと同時に、その一部の人たちから税金をたくさん取っていくということになると、とてもこの重税感に耐えられないということで、いろいろな意味での海外流出が起こってくる。  だから私は、そこで直聞比率の問題というのが出てくると思うのですね。新進党の皆さんも消費税を、後で御紹介しますが、小沢さんや羽田さんの書物でも間接税をむしろふやしていけ、消費税をふやしていけというふうにおっしゃっている。  だから、こういう時代になった場合の公平感と、それからほとんど移転支出がなくて、すべての人に還元される道路だとか産業だとかというものに税が使えていた場合の税の取り方と、それはおのずから私は公平感が違ってくると思うのですが、総理は、これから財政改革、つまり税制を含めた改革をなさっていく上で、そのような公平感についてはどういう御判断をお持ちですか。
  49. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 私は、税負担の公平ということは、間違いなく税制に対する国民の信頼の基礎として最も重要なものだと思いますが、同時に、その公平という原則というものは、実は時代とともに動くような感じがいたします。そして、今議員が挙げられましたような所得あるいは資産、消費といった面での公平という視点とともに、もう一つ私が忘れてはならないと思いますのは、世代間の公平というものも、この税を考えるときに必要ではないでしょうか。  たまたま今、社会保障の問題にも多少お触れになりましたけれども、今後高齢化がいよいよ進展をしていく、本格的な高齢社会あるいは超高齢社会というものになりますと、いや応なしに国民の負担はふえていかざるを得ないわけでありますが、そうした申においてもなおかつ国民に税制に対する信頼と公平感を持っていただこうとするならば、私は、その議員の御指摘をされましたものに、あえて世代間の公平という視点、これもつけ加えさせていただきたい、そのように思います。
  50. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 さてそこで、例えば私が申し上げているような間接税的な公平、間接税にもう少しウエートを置いたような税制の方が公平だという立場をとりますと、これは必ず、従来所得税を納めなくてもよかったレベルの方は間接税で何らかの負担を、物を買うときにお受けになるわけですから、この方々からは不公平だという声が当然出てくるのですよ。  政治家というのは票が欲しいから、あらゆる方に満遍なくいいことを言おうとしますよ。その結果が実は大変な今の日本の状況をつくり出した。これはだれが責任があるとかどうだというのじゃなくて、我々政治家すべてがずっとそういう態度を実はとってきたのではないかと私は思うのですよ。  先ほど申し上げたように、一つの政策にはやはり長所と欠点があるわけですね。だから、長所と欠点があるからこそ、その長所だけを国民に訴えてはならない。欠点も必ずあるんだということを、有権者を信頼して私は話すべきだ。と同時に、長所だけを、おれの政策はいいんだからといって幾ら国民に訴えても、欠点の方を覆い隠していれば国民的な議論は私は巻き起こらないと思うのですね。当選やポストのために政策や公約を考える政党や個人はそういうことを言うでしょう。しかし、そういうことをもう今言っている暇がないのじゃないか。  だから、政治家は理論がわからなければなりません。確かに、あらゆる政策を知っている必要があります。しかし、それを現実の権力構造や国民の現実の政策の中でできるかできないかの判断をするのが私は政治家だと思うのですね。同時に、当選をするために都合のいいことだけ言っているのは政治屋であって、決して政治家ではないと私は思う。  総理が、火だるまになってでも、与党からどんなにしかられてもやるという決意を私は高く評価をいたしておりますが、今私が申し上げた政治家と、まあ学者と申し上げると失礼ですが理論家と、あるいはまた政治屋と政治家の違いについて、今後の五つの改革を火だるまになってでも貫き通すと言われる総理のお気持ちとあわせて、どのような感想を持っておられるか、テレビの前で国民に話していただきたいと思います。
  51. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 私は他人を批判するほど自分に力があるとは思いませんけれども、少なくとも、七年前に、本当に激しい国民の消費税に対する反対のさなかに行われました参議院選で、幹事長として当時全国を必死で遊説を続けながら消費税に対する理解を訴えて回りました。本当に厳しい風の中でありましたが、その後も消費税の定着ということに全力を尽くしたつりです。  そして今回の衆議院選、私は行政改革に向けて、規制の緩和をすれば国の仕事は減る、地方分権を進めれば国の仕事は減る、それだけでも行政はスリム化できる、そうしたことを訴えながら、同時に、消費税を二%引き上げさせていただきたい、そのうちの一%は地方の財源に回す、残りの一%は、先行している所得税減税等の財源を埋めていくと同時に、これからの介護の財源等に充てていきたいということを訴え続けました。私は、その意見に対して、賛否はいずれであれ、国民は、真剣に訴えたとき真剣に耳をかしていただいた。そう思っております。これからもそのように自分としては行動していきたい、そのように思います。
  52. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 総理は、年末、予算編成を控えておられて、これもまた国民やあるいはまた景気のために大変重要なお仕事をたくさん持っておられると思いますので、これから新進党の案について野田先生以下と議論をさせていただきます。最後にまた締めくくりのときまで、お仕事がお忙しければ、委員長の許可を得て御退席をいただいても結構だと思いますので、どうぞよろしく。  そこで、今度は、今野田提案者以下がおっしゃったこの新進党の案というのが現実にうまく動くかどうかという議論を少ししてみたいと思うのです。  そこで、私の理解が間違っていれば野田先生に訂正をしていただけば結構だと思いますが、新進党の案を総括して国民の方にわかりやすく申し上げれば、まず、今回は消費税の凍結法案を出していらっしゃる。しかし、選挙の際には、所得税や法人税の軽減、あるいはまた有取税や地価税の廃止というものも国民との間の契約という形でお出しになっていました。それらの大減税を行う。これに見合う、これも後ほどお伺いしますが、西岡幹事長がいろいろな意味での歳出カット、まあ行革というのか歳出カットかわかりませんが、これを行って、この大減税に見合う分の、税収が入ってこない分に対応する歳出のカットをすると。  しかし、減税は平成九年度からやる、しかしカットは瞬時においてできないのであれば、その間のずれは国債によって賄うけれども、先ほど鈴木先生がおっしゃったように、減税によって景気が夢のように浮揚する、そしてそれによって増収が出てくる、だから減税分を埋めるんだ、だけれども埋め切れない部分はしばらくの間は赤字国債を発行しておく、そしていずれこれが定着すれば自然増収がどんどんふえてきて、それまでの赤字国債の減額分をすべてカバーをしていくんだというような感じだと思うのです。  しかし、減税を埋め切れなければ、将来の消費税の増税の余地を残していらっしゃるわけだから、いずれ将来は消費税を増税されるのか、あるいはもう少し公平に言えば、直間比率の見直しをして、さらにもう一段所得税の減税に踏み込んで消費税をふやされるのか、そんなトータルな姿を描いておられる、こういうことだと思うのですね。  この案が実行可能であれば、非常にいい一つの御提案だと私は思うのです。しかし、もしこの案が実行できなくて、結局国民に耳ざわりのいい、消費税は凍結します、そして所得税などは減税をし法人税は下げますということだけに終わってしまいますと、極めて非現実的で、日本人や日本社会の将来を、ある党の得票をとるために結局もてあそんでしまったという結果にこれはなりかねないのですね。  そこの一つ一つの問題について、これから、できるのかできないのかということを議論をしたいと思うのです。  まず提案者である野田先生、財政、金融、税制はもう大専門家でいらっしゃるのですが、先ほど来私と総理の間で問答しておりました財政の現状、これはまあ大変な状態で、赤字国債以外の建設国債その他隠れ借金と言われるもの、地方団体の地方債合わせて国民一人当たり、赤ちゃんまで含めて三百五十二万円、こう言われているこの状態がどんな悪影響を財政に与えるかというのは、これはもう野田先生が一番御存じのことで、あえてここで講義を受けて時間を浪費するのはやめたいと思うのです。  まず、財政再建はぜひ達成しなければいけないし、同時にまた直間比率の見直しもやはり将来の課題としてやらなければならないというのは、新進党のずっと言っておられるお話や、皆さん方の政党の有力者の方のお話でほぼ間違いないと思うのですが、そこだけちょっと確認していただけますか。
  53. 野田(毅)議員(野田毅)

    野田(毅)議員 先ほど来、総理とのいろんなやりとり聞かせていただぎました。その中で、責任ある政治家や責任ある政党が、選挙の票欲しさだけで無責任なことを言うことは慎まなければならぬというのは全くそのとおりだと思います。  そういう点で、今度消費税について自民党の皆さんが、百人近い方々が好き勝手なことをおっしゃって、ともかくこの選挙だけは勝ち上がってきて、その時点では党としては何らのお仕置きもなくて、いよいよ選挙が終わっちゃって政権をとった後で、さて、今度の消費税の法案にどうするかというときになったら今度は党議拘束をかけるというのですから、これは本当に責任ある態度かどうか。  あるいは先ほど、尾身さんとそれから総理のやりとり聞いていました。私は同感を持って聞いていたのですよ。本当に今、自民党でも政府でも、何とか法人税のコストを下げなきゃだめだ、実質減税やらなけりゃだめなんだとみんな頭じゃわかっている。わかっているけれども、いろいろおっしゃるが、何が一番ネックかというと財源問題じゃないですか。だから右のポケットをつぶして左のポケットに移しかえるとか、その程度の議論しかできないから話が全然進んでいないのです。この状態を私たちは何年続けてきたか。このことを続けている限り、日本の空洞化――雇用を支える企業活動、あるいは所得を生み出すその根源である企業活動、あるいは財政のもとになる税を生み出すその経済活動そのものが今閉塞状況に現に陥ってしまっている。  さっき冒頭、尾身さんからのお話の中で、細川さんのとき、小沢さんの話、いろいろ出ました。(伊吹委員「いやいや、私の質問に答えてください」と呼ぶ)だけれども、ここは大事なところですから、お互いきょうは堂々と論戦をやってもらいたい。私は、単に質問にだけ答えるようなことでは、政府対議会のやりとりじゃなくて、お互い政治家同士、堂々と経済論議なり税制論議やりたいのですよ。だから少しは御理解を願いたい、これは、ぜひ。そういう意味で冒頭まず申し上げておきたいのです。  そこで、今、伊吹さんが御理解があった我々の考え方について、まず、所得税なり法人税なりの大幅減税はもとより、消費税の今世紀凍結をやるよと。この財源については、まず第一に、行政経費の大幅削減で我々はやりたい。そして第二に、この大幅減税を含む、あるいはこれだけじゃありませんが、先ほど御指摘のあった有取税、これはなくしたい。そして土地の問題もあります。地価税も、廃止もしくは凍結をしたい。これも直ちにやりたい。  そのほか持ち株会社の話あるいは規制緩和の話、やるべきことを我々ずるずる延ばしてきた。やらなきゃならぬことはわかっていながら、決断ができなくて延ばしてきている。それを今やることによって、民間部門の皆さんに中長期的な経済の成長に対する確信をまず持ってもらうことだ。このことが民間部門主導の経済を確立することにつながるのですよ。そのことが株価を将来に向けて上昇させる原動力になるのだ。このことが我々は今一番大事なやることなのだ。そのことによって出てくる税の増収が、すべてを直ちに十八兆埋め切ることはそれはもちろんできないと思います。しかし、半分程度のものは、そういう中から税の自然増収はでき上がってくる。  そして同時に、行政改革という言葉の中で言われているけれども、何よりも行政経費の大幅削減に、言葉じゃなくて本気で乗り出そうということになると、そこからくる財政再建効果というものも十分あるが、同時に、我々はなぜその減税ということ、消費税据え置きにこだわるかというと、本当に行政経費を削減していくということになれば、GDPベースでいうと政府支出の削減につながるのです。GDPに対してはデフレ効果が出るのですよ。それをどうやってカバーをするかということもあるわけですから、そういったことを頭に置いて、我々は、財政再建のためにも、この際はぜひ減税あるいは消費税据え置きということを前提にしてスタートをさせたい、このことをまず申し上げておきたいと思います。
  54. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 それでは、ちょっと時間がだんだんなくなりますので、今、野田先生が言われたことができるかどうかということが問題なのですね、これは。現実にそういう事態が生ずるかどうかということが問題なのです。  そこで、いろいろなことを伺いたいのですが、まず、新進党の言っておられる減税の内容を見ますと、所得税と地方住民税を半減するんだ、こう言っておられますから、これは国で約六兆円、地方で七兆円、十三兆円の税金がまず九年度には入ってこないのです。それから、法人関係諸税の二割減と言っておられるわけですから、これは国で約二兆円、同じく地方の事業税で約二兆円、合計すると四兆円ちょっとだと思いますね。それから、地価税と有価証券取引税を廃止するとこれは五千億でしょう、平成九年で。合計で、国で約八兆円のお金が入ってこないのです。それから同時に、地方で十兆円のお金が入ってこないのです。これで十八兆円。十八兆円、十八兆円と選挙のときに言っていたのはこれなのですね。  それから、消費税の三%を据え置きますから、国が一%、それから地方消費税が一%、これはよく言われているように、二兆五千億の税収があると言われておる。だからこれで五兆円ですね。そうすると、十八兆と五兆で約二十三兆円のお金が国と地方に入ってこないのですよ。そして景気がうまく浮揚して税収がどんどん入ってきてそして、行政改革というか歳出カットが新進党の言っておられるとおりうまくいけば、これで少なくともつじつまが合うのです。  そこで、それについて、十月七日の公明新聞に、まず今入ってこないお金を賄うため、「国、地方を通じて二十兆円の行政改革をします」ということを西岡幹事長がおっしゃったと。これは公明新聞ですから多くの方が読んでおられると思うので、特に坂口先生や倉田先生にぜひ、公明新聞の関係だから私は伺いたいのです。まず一番最初に「国の行政改革、つまり退職者の一部不補充による公務員等の削減で約二兆円お金が入ってくる」、こう言っておられるわけですよね。  そうすると、自衛隊だとか郵便局という現業とか国の守りについておられる方を除くと、公務員は約二十四万人なのですよ。そして、その公務員の方の年間の平均給与が約七百万円なのですよ。そうすると、この二兆円を七百万円で割ってみますと、自衛隊や郵便局を除いた国家公務員はほぼ全員いなくなってしまうという計算になるのですね。そして不補充とかという話じゃないと思うのですが、倉田先生、どうですか、その辺。
  55. 倉田議員(倉田栄喜)

    倉田議員 新進党は、さきの総選挙の公約である国民の皆さんとの五つの契約の中で、行政改革を断行して行政経費を二十兆以上削減をする、このように申し上げました。今御指摘がありました。公務員の総定数を削減をすることによって、御指摘の二兆ぐらいの経費の削減はできるということも目標として想定をいたしました。これは、今先生は公務員の一人当たりの経費を七百万ということで御計算されましたけれども、そこは少し数字の違いは私どもはあると思っております。  それから、それではどうしたらそのようにやっていけるのかということを申しますと、私どもは、公務員の方々の年間の退職率、これは五%、そういうふうに考えているわけですけれども、これを例えば十カ年計画で、年次、半分なりあるいは四分の一なり補充をしない、そういう形で計算をいたしてまいりますと、大体、大体と申し上げては申しわけないのですけれども、二兆程度の経費の削減はできる、そしてまた、それはやっていかなければならない、こういうふうに考えております。
  56. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 今の話はテレビに映っているわけだから、これ以上……。お互いに政治家同士で役人のような細かな数字を持っているわけじゃありません。確かに人件費は一人平均七百万ですが、その人たちが使う物件費みたいなものだとか何かも若干あるでしょう。しかしどうも、例えば地方自治体でいえば、地方自治体の職員のほとんどは、まず学校の先生ですよね、それから警察官、それから消防の方々、こういう方々を含めて、地方レベルで六兆八千億というお金を出すということであれば、大体八十万人の削減をしないと数は合わぬですね。いろいろ計算があるのでしょう、それは国民が私は判断してくださったらいいことだと思いますから。  そして、あえてまた言えば、この二番目に「行政経費の削減によって一兆三千億出すんだ」、こう言っておられる。それから同じく、「地方レベルでも市町村の統合等による物件費の削減が約六兆八千億円ある」と言っておられるのですね。  ところが、国の一般行政経費というのは、これは大蔵大臣が調べればすぐおわかりになると思うが、平成八年度で四兆円なのですね。このうち三兆八千億は人件費ですよ。残りは、物件費は三千四百億ぐらいしかないのですね。国の一兆三千億というのは、これはどういう計算で出てくるのか。それから、地方でも市町村を合併等、こういうわけなんだけれども、これは自治大臣の方で調べればすぐわかるでしょうが、平成六年の地方公共団体の財政の決算書というのを私は財政局から出してもらって見たのだが、物件費が約六兆八千億なのですよ。ちょうど一致しているのですよ。鉛筆もコピーもパソコンも何も使わずに仕事をしろということにもなるので、私は、この辺はやや無理だという感じがするのですね、数字的に。  それ以外に、国有財産の売却だとか補助金制度の見直したとかというのはいろいろあって、確かに倉田先生おっしゃったように、やらなければならないし、切り込まなければならないわけなのだけれども、数字の上で、それが国民生活を混乱させずに、また我々に一票入れてくれた有権者の日常生活を困らせずにできるのかどうなのかということを、さっき申し上げたように、必要なことで理論的には立派なことであっても、現実に他のマイナスがあってはやってはならないということを総理と私の間で問答をしたというのは、まさにそういうことだと思うのですよ。  このことばかりやっていると時間が足らないので、次に――いやいや、これはまだほかに一押し、二押ししなきゃいかぬところがいっぱいあるんですよ。  それで、今度は、景気がよくなることによって、つまりこれだけの大減税に対する税収が上がってくるということになれば、これは今の、どこまでできるかわからない、失礼だけれども、数字の上で私は、かなりつじつまの合わない数字だと削減の数字は思いますけれども、これと景気浮揚による税の増収を合わせて、ただし、その場合には、制度減税を一方でしていますから、所得税率は半分になっちゃっているわけですよ。法人税は今の八〇%の税率に落ち込んでいて、その税率でもって景気が本当によくなるというか、景気はよくは若干なるでしょうが、これだけの税収減の穴埋めをするということになると、これはバブル期以上の超インフル経済をつくらない限りは、私はやや無理じゃないかという気がするんですよ。  そこで、レーガンのときだとかいろいろな話がありますが、景気が非常にインフレにいきますと、制度減税をした結果、レーガンのときも結局は減税をしたほどの増収効果は上がらなかったわけですね、アメリカの場合は残念ながら。景気がインフレになると前年度よりは少し税はふえますよ。しかし、それは減税をした経済効果による増収効果なのか、それとももともと根っこにあった増収効果なのか、その辺よくわからぬのです、これ。  そこで、これはちょっと鈴木先生に伺いたいんだが、また長い話になっちゃうと困るので最後に伺いますけれども、その前にちょっと大切なことを、時間の割り振りをしながら質問していますので、幾つか伺っておきたいと思うのです。  村井先生、あなたは僕らと自民党におられたころは税制の議論も一緒によく仲間としてやったわけだし、新進党の中でも税調の責任者としていろいろおやりになっていたと思うのですが、今回、消費税の凍結法案を出されましたね。しかし、選挙公約としては、私たちと契約してくださいという打ち出しで、法人税の軽減、地価税、有取税、住民税減税の公約もしておられるわけですね。それについての法案は引き続いてお出しになるのかどうなのかということが一点。  それからもう一つは、我々は公的助成をもらっている。政党というのは非常に公的な資格に、立場にだんだんなってきているわけですね。ましてや、単独政権を目指して、国民の負託を受けて印綬を帯びたいと小沢さんは言っておられた。そういう意味では非常に公的な組織なんですね。まさにオープンでなければならないんですよ、意思決定は。特定の方の名前を挙げるとまた新進党の中で御迷惑がかかってもいけないからあれですが、そういうことは全然おれたちが知らない間に決まったとか、おれたちは聞いていないという声が非常にあるんです。僕はそれはそうじゃないと思うのです、立派な政党ですから。そうじゃないと思う。  だから、法人税、地価税、有取税、それから所得、住民の減税法案を国民への公約に従ってお出しになるかならないか、それからもう一つは、このいわゆる減税に関する国民に対する契約という公約が党内でどういう手続で決まったのか、これはやはり公党のことですから、ちょっとテレビで国民に教えてもらいたいのです。
  57. 村井議員(村井仁)

    村井議員 せっかくお名指してございますからとりあえずお答えさせていただきますが、いずれにいたしましても、この問題につきまして私どもの党内で十分議論をいたしまして、一定の手続に従いまして決めたことであるというふうに私自身税制調査会の担当者として理解をいたしておりますし、それから、私どもこれから、今御指摘の地価税あるいは有取税の廃止ないしは法人税、所得税の軽減、これにつきまして法律案をどのような形で対応していくか。これはいずれ通常国会を控えまして十分また議論をしたい、このように思っております。
  58. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 わかりました。  ちょっと時間がどうかな。それじゃ鈴木先生、ちょっと簡単に、いやもうそれは政治家ですから、評論家じゃないんだから簡単にお願いしますが、今の、先ほど来先生がおっしゃった。経済が大きくならなければ財政というか税収が上がってこないという基本的な考え方は、私も決して反対じゃありません。しかし、今ずっと申し上げた歳出カットという話がどの程度可能なのかということを考えますと、景気浮揚による税の増収への期待というものがほとんどこの案にかかっていると思うのですよね。  まあ野村総研や日本銀行はどういうモデルを持っておられるのか僕は知らないが、経済企画庁でいろいろ試算をさせてみますと、十八兆円の所得税、個人住民税の減税、つまり個人の可処分所得が十八兆円ふえたという前提で、日本のGDPはどれぐらいふえるだろう。そしてGDPがどれぐらいふえることによって、租税の弾性値を計算に入れると増収効果はどれぐらいあるだろう。失礼ですが、今回初めて御当選になったわけで、これの作業のときに関与しておられたかどうか僕はちょっとつまびらかじゃありませんので、お伺いするのはあるいは不適当なのかもわかりませんが、しかし、先ほどやはり増収によってということをテレビの前で国民にお話しになったので、そのあたりのシミュレーションで、ある程度のめどが立ってなかったらやはり政治家はやっちゃいけないと思うのですね、これ。  財政支出をふやし、減税をすれば景気がよくなる、これは理論家としてわかっているのです。しかし、どの程度ふえて、どういうプロセスでどれくらいの自然増収が上がってくるか、それによって、今回の減税がどれぐらいあって、差し引きどうなるかというところを総合判断して決断するのが政治家なんですね。そこのところはどうですか。
  59. 鈴木(淑)議員(鈴木淑夫)

    鈴木(淑)議員 初めに申し上げますが、伊吹委員が、経済をうまく回るようにしなければ財政赤字削減なんかできないという新進党の主張、私の主張をそうだとお認めになったこと、それからもう一つ、行政改革、地方分権等による財政支出カットなしに財政再建なんかできないということもお認めになった。これは大変乱はうれしく思います。  問題は、伊吹先生心配しているのは、どうやって経済が回るようにするのというところですね。それで、我々は、その方法を国民との五つの契約の中ではっきり申し上げているわけですね。  まあ時間の制約もありますから、先生がお気に召すように数字をそれじゃ申しましょうか。  十八兆円のうちの十四兆円は所得税、住民税の減税ですね。百歩譲って、効果は非常に小さいと見て、十四兆円のうち半分しか消費に回らない、半分は貯蓄してしまった。私多分そんなことないと思いますけれども、仮に限界消費性向が二分の一だ、十四兆円懐はふえたけれども、国民の皆さん、増税だ増税だと自民党政府は言っているから心配てしょうがない、貯蓄に回すということが仮にあったとしてですよ。そうしますと、七兆円というのは国民所得の約一・五%ですよ。ですから、ことしの政府見通しの二・五を前提にすればそれだけで四%成長になる。初年度の最初のインパクトだけでですよ。  それから、残りの四兆円は、これは法人税の実効税率の五〇%から四〇%への引き下げです。これは法人の現在の設備投資額四十二兆円の約一割ですね。それだけ自己資金でやれるようになる。所得税、住民税減税で二・五と思っていた成長率は四になるよと言われれば、当然先行きの見通しは好転しますから、設備投資だって上方修正するでしょう。  私は、初年度においての最初のインパクトだけで五%近い成長に上がると思います。その後ずっと波及効果があるわけですからね。波及効果があるわけですから、私は、平均して二〇〇〇年度まで三、四%の民間需要主導型の持続的な成長経路に乗るという推計を、シミュレーションを簡単にできるということを申し上げておきます。  その場合に、税収がどのぐらいふえるかということですよ、税収が。九一年度の国税と地方税を足すと九十八兆円ですよ。ところが、最新の、九五年度しかないから言いますが、九五年度というのは何と十一兆円も落ち込んでいるのですね。この間、仮に日本の実力相応、まあ潜在成長率三%に落ちたとしても、九一から九五の四年間ですから、一二%成長していなければいけない。実際はたったの五%しか上がっていないけれども。一二%成長していれば、これは長期的な所得弾性値の一・一が実現するでしょう。そうしたら、一三%、十三兆円ふえている。要するに、一三兆プラス十一兆、二十四兆円、本来経済が正常な軌道に乗っていれば取れたであろう税収が落ち込んでいるのですよ。  そういう適切な成長軌道に新進党は十八兆減税を一つのてことして戻していく。そうすれば、私は十八兆円減税の半分以上は自然増収で賄えると思います。あとは行政改革等による支出カットであります。
  60. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 まず、行政改革で賄えるという分は、これは半分じゃないのですよ、鈴木さん。半分じゃないのですよ。満額やっておられるわけですよ。そうでしょう。だって、よく、まあ当時いらっしゃらなかったから御存じないのかもわからぬが、当時の公明党の公明新聞では、この所得税以下のすべての税の減額に見合うだけの財源二十四兆九千億円分の行革をする、こう言っておられるわけですよ。半分じゃないのですよ。  それで、しかも、今の数字でいえば、十八兆減税のうちの所得税は幾らかという話があります。そして、それで名目GDPが幾らふえるか、そして名目GDPが幾らふえて、そのふえたものに租税弾性値を掛けますと、結果的に自然増収の数字というものは仮定計算だけれども出てくるわけですよ。私はもう時間がないからこれ以上議論はしないけれども、とてもとてもそんな数字は出てまいりません。  そこで、国民にいろいろなことを聞いていただかなければならないので、本当は我々は、二日間やりたいと申し上げたのですよ。二日間やりたいと申し上げたのです、いろいろなことを聞きたいから。ところが、新進党の皆さんは、ぜひ一日にしてくれと言ったからこんな短い時間になってしまった。だから、本当なら二日間やればもっといろいろ聞かせていただきたいことはありますよ。  そこで、大蔵大臣、さっきからずっと議論をしておるのでおわかりだと思いますが、これだけの非現実的なカット、それからこれだけの減税を前提にして、財政を預かっている立場から、財政再建ということが本当にできると思いますか。  そして、さらにもう一つ聞きたいと思うのだけれども、先ほど総理が答弁をされたように、私は、やはりいろいろなことを総合してやっていかねばならない。そして、その中では、申しわけないけれども、やはり有権者の皆さんにも私は自己負担をある程度御負担いただくとか、あるいはまた負担のない給付というのはあり得ないのだから、その給付に見合う負担はお願いするとか、いろいろなことを総合的にやっていかねばならないので、一面だけで官民の役割見直しで今二十兆円、こう言っておられるわけですよ。これ、一度やればずっと続きます。これ、ずっと続きます、一度やれば。国有財産の売却収入などというものは一年限りのものもあるでしょう。だけれども、公務員のカットだとかなんか、一度やればずっと続くという前提なのですが、そういうことだけで財政再建ができますか。  まず、私は大蔵大臣に、簡単でいいから答えてもらいたい一のです。
  61. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 行政改革以下五つの改革、もう時間がありませんから申し上げません。その基本に財政構造改革、これはまさに受益と負担の問題に真正面から取り組むということなのです。あなた任せ、これは政府が、これは地方自治体がやってくれるであろうと言う前に、みずから何ができるかということがこれからの国民像でなければなりません。  そういうことを基本に据えながら進まなければなりませんし、提案の説明も聞きましたが、そのようにできるのであればこれはよろしいのでありますが、根底がすべて違っております。
  62. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 大蔵大臣、根底が違うというのはちょっと非常に私はわかりにくいのだが、つまり、先ほど来私、倉田先生にずっと伺ったように、行政改革は必要なことで、やらねばならない部分はたくさんあるでしょう。しかし、だからといって一度にこれはできませんわね、一度にはできないけれども、何年かけてやるのかということは、はっきりしていないからわからないのだけれども、仮にすべてできたとすれば、先ほど言ったように、地方公務員の使用する物件費はなくなってしまう。あるいは地方公務員はほとんど半分以下になるとか、あるいは国家公務員は今の人数の三分の一ぐらいになるとか、ほとんどいなくなってしまうとか、そういう状況で国政が動いていくのか。動かなくなれば、我々は国民に対して責任があるわけですから、そのあたりの自信があるかということを、じゃ自治大臣に聞きましょう。  これだけ地方公務員をカットして、地方の物件費をこれだけカットして、地方分権という時代に地方自治体のサービスはどういうふうに動くのですか。
  63. 白川国務大臣(白川勝彦)

    ○白川国務大臣 私は就任以来、自治大臣というのは世間が思っているほど、あるいは国は地方自治体に対して、今申し上げたように何人半減せよというようなそういう法律的な権限はありません、結論から申しますと。  ですから、地方それぞれが決めることであって、計画を立てるのは結構でございますが、政権をとった政府が、あなたのところは半分にしなさいと言ったって、地方自治体が決めてくれなければ一歩も動きません。
  64. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 結局、私は、これはまことに、こういうところで言うのはあるいは我が党の諸君たちのおしかりを受けるかもわからないけれども、日本の将来を考えた場合には、従来の行き方というのはある程度変えてもらうということは、国民が政府から期待をしておられるものもある程度はやはり我慢していただく。同時に、政府もそれに従ってスリムになる。それでもなおかつ高齢化社会を迎えて財源が足りない場合には何らかの負担をやはりお願いする。そのお願いをする負担の形態が、所得税がいいのか保険料がいいのかあるいは消費税がいいのかという議論。その負担のあり方によってこれから将来の日本人の生きざまとか日本の経済構造がみんな変わっていく。  そういうことを実は総合的に判断してやらねばならないので、行政改革をどんどん進めますということは国民に対して痛みが生じないなんということは絶対ありませんよ。例えば、従来一時間に五度家の前を通っているバスが三度になるということなんですよ。それをあえて受け入れるということがなければ行革というものはできません、これは。そういう前提でいうと、私は、国民につらいことを言うことを隠すということは、余り政治家の姿勢としては賛成じゃないです。私は、選挙のときは、消費税は七%ぐらい必要じゃないかと実は申し上げてやったのです。  そこで厚生大臣、お待たせして申しわけないのですが、今度介護法案をお出しになりますね。いずれまた厚生委員会や本会議等で各党のいろいろな議論があると思うのですが、私が非常に心配しておりますのは、一応、月二千四百円とか二千七百円とかというようなことで在宅介護を含めて始めるという、ともかく介護というのは必要なことは確かなんです、これは。  私も父を介護して、これは大変だなと、亡くなった父なんですが、思いました。ましてや女性の社会進出ということを考えると、そういうことは大変必要なことなんですが、つくる限りは、今厚生省の諸君が毎日毎日各党を日参してやっているように、保険財政が赤字ですからこういう策でともかく解決さしてください、何をさしてくださいという苦労を介護で与えずに、最初から給付に見合う負担というものはしっかりと国民に私は正直にお話ししてやるべきだ。  例えば、今のこの二千四百円をベースにして計算しまして、在宅も入れて、八十歳になったときに介護希望者はどれくらい出てくるかというのはこれは問題なんだけれども、どういう介護が受けられるかといいますか、私は希望している、こう言ったのだけれども財源がありませんということになると、そこでまた新たな財源をつくらねばならないということなんですよ。  そこで、財源をつくると選挙に落ちるからということでそれを逃げているといい制度は私はでき一ないと思うのですが、その辺どうですか、厚生大臣。
  65. 小泉国務大臣(小泉純一郎)

    ○小泉国務大臣 御指摘のとおり、医療サービスにしても福祉サービスにしても、どこかでだれかが負担しなければならない、受けるためには。そういう問題については、逃げないで、ある程度のサービス、給付を受けるためにはこの程度の負担が必要ですということははっきりと提示して議論をしていただかないと、なかなか国民の御理解は得られないのじゃないか、隠さないで数字を出して御議論をいただきたいと思っております。
  66. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 厚生大臣、また法案が出た段階でゆっくりやりたいと思いますが、二千四百円で、隠さずに厚生省はっくったわけですか。
  67. 小泉国務大臣(小泉純一郎)

    ○小泉国務大臣 今の推計でいきますと、平成十二年度、二〇〇〇年、当初大体月二千五百円程度でできるような給付サービス、在宅、施設を考えていこうということを前提に今やっております。
  68. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 まことに時間が足らなくて残念なのですが、いろいろ議論してきた中で、ある程度問題点は私は浮き彫りになってきたのではないかと思うのですが、結局、選挙というのは国民一人一人に耳ざわりのいいことを言うと票がとれると政治家は思っているかもわからないけれども、決して私はそうじゃないと思うのですよ。国民というのは賢いです。私は、この十八兆円の減税案が出てきたときに、これで選挙は勝ったと思いましたよ、正直なところ。私の気持ちを率直に言えば。国民は、やはりそれだけ減税してくれるのはありがたい。例えば、これだけ議員の先生も皆さんいらっしゃるけれども、減税だけ取り上げて、増税が好きですか嫌いですかといえば、嫌いに決まっ一ているのです、みんな。しかし我々は、必要かどうかという議論、できるかできないかという議論をしなければならぬわけです。  そこで、アメリカでは、大統領選挙の前になると必ず景気が過熱すると言われているのですよ。これは、大統領が人気を博するために減税をして財政支出をふやすからなんですね。これは大統領の景気循環という言葉であらわされています。  民主主義というのは、一部の学者の方々は、場合によっては、これは下手をすると衆愚政治に陥るという学説を展開される方が多いです。しかし、我々が戦後一貫して守ってきたのは、自由と民主制なんですね。だから我々は自由民主党という名がついておるわけです。民主主義というのは、排他的な信仰だとか排他的な意見だとか排他的な考えだとかということを前提にしてないのです。あらゆる人の意見を認める、しかし認めた中、最後は多数決に従うということですから、座り込んだり審議拒否だとかということは本来あってはならないことなんです。  そういう中で、私は総理にぜひ伺いたいと思うのですが、私は、日本の有権者は今回は非常に賢明な選択をされたと思うのですね。(発言する者あり)しかし、百五十何議席よりはるかに多い議席をいただいたのですね。そこで、私は、日本の民主主義を健全なものに育てていくために、政治家としてはやはり言うべきことを言う、つらいことがあるかもわからないけれども、言うべきことを言うという姿勢でやっていかないと、ますますパイが小さくなったこれからは大変な時代になると思うのです。  やはり日本国の民主主義を守っていく上で、政治家として、あるいは日本の印綬を帯びておられる総理のお立場として、これからつらいことをたくさん国民に言ってもらわねばならない。しかし、それをあえて言われれば我々はバックアップしていきたい。迎合をされるようなことを言われる場合には我々はバックアップできない。迎合されるような方を我々は自民党の総裁に選んだつもりはない、私はそう思っておるのです。  どうぞ総理のそのあたりの決意を、これから五つの改革、できれば私はもう一つ、教育の改革というか、私は考えが違うかもわからないけれども、やはり義務教育の間は日本人としての当然の、生きていくルールだとか知識を教える場であって、個性というのは高校以上で伸ばすべきものだと私は思っておりますが、まあ教育というか日本人の心の改革をも含めた六つの改革を総理に私はやってもらいたい。その改革に取り組まれる決意を、今の議論を聞いておられて私はぜひ国民にはっきりと申し上げていただきたいと思います。
  69. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 あえて今のお話につけ加えるとすれば、私の気持ちの中には、沖縄問題の解決へ全力を挙げて取り組み、それに対して国会の御協力を得たいという思いもございます。これも。またいろいろな御批判のあることでありますが、現実に存在する基地をどこかに移しかえなければ、それをなくすということは動きません。先日、沖縄県に参りましたときにも、基地所在市町村長さん方に私はそうしたことも率直にお話しをさせていただいてきました」そして、その意味では大変つらい訴えを国民に続ける場面が多いと思いますけれども、少しでも御理解をいただくようにこれからも全力を尽くしてまいりたいと思います。
  70. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 大蔵大臣はこれから大変な作業に、財政と税制というのは、橋本内閣のすべての、全政策をお金で表現したものを預かっておられるのですよ。ですから、大蔵大臣の立場は私は非常に重要だと思うのですね。  それで、一番最初、総理と議論をしたときに、公平感というものはどんどん変わってくるということを私は申し上げました。それで、すべての人を満足させる公平感というものはないのです。独裁者が決めるのなら一発で決まるでしょう。独裁者の命令一下動く団体ならそれで可能なのです。しかし、そうじゃないところは多数決でその公平基準を決めるのです。だから、だからこそ政治家が、自分たちの考えている公平感はこういう公平感で、そういう公平感に基づいて税制を動かしていくんだということをやはり言わないといけないと思うのですね。  だから、所得税中心型のあるいは法人税中心型の税制でこれからも移転所得、年金、医療を賄っていくという財政構造を私は変えないといけないと思う。公平じゃないと思いますよ。変えたときに、これはまたそこに付随した問題も出てきます。だからといってこの大きな道をとらないということはあってはならないと私は思うので、大蔵大臣は、これからの公平感として、従来のような持てる者から取って全部にフラットに分けていくという税制がいいのか、フラットに分けていくのならフラットな負担に近づけた方がいいのか、これは程度問題ですよ、どちらを考えておられるのかということが一つ。  それから、将来の問題として、フラットに負担を求めるという方向をとった方がいいという意見もあります。これはそうじゃないという意見も当然あるでしょう。これは所得がどのンベルにあるかによっても違います。だから、最後は税制調査会で議論をしていただきたいのだけれども、私はもう少し税制調査会に庶民の声が反映するような構成にしてもらいたいと思うのですよ。学者の先生とか偉い経済団体の長だとかという方々ばかりではないような構成ができないかという気もしますが、そういうことも含めて、将来の税体系に対する準備なども大蔵省でどう進めていくおつもりなのか、それもあわせて伺って、本会議が近いですから、少し早いのだけれども終わりにしたいと思います。
  71. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 ただいまの論議をお聞きをしておりまして、最終的に税のあり方の御質問をいただいております。  一人一人の国民各位がこの国またこの郷土を、若い人は若い人なりに負担をしていくということは大事なことだと思うのです。成人に、二十でありますが、選挙権を与えられる、そしてこの国の政治の前進のために行動をされる、同時にタックスペイヤーとしての意気込みを持つということも大事なことであります。低収入であればあったなりにどうやるかと。これも、これから国家として自立した国家、そして自立した個人が今日多数を占めると言われておるわけでありますから、その点の意識の中でそのことが行われてしかるべきだろうど。  力の強い者、収入の多い人たちに累進課税で納税をいただくことも今日までは必要であったと思うのであります。依然としてこの傾向は直ちに変えるわけにまいりませんけれども、しかし同時に、直接税基本で頼るということでありますと、経済社会に及ぼす影響大であります。活力がなくなります。企業の外国への移転の方向もそこにあるわけであります。そうであれば、間接税を中心とした形の中で広く浅く国民各位がこれを御負担をいただく、こういうことの中で、それを基本として直接税制がどうあるべきか、地方税がどうあるべきか、こういうことであろうと思います。
  72. 伊吹委員(伊吹文明)

    伊吹委員 それでは、これで終わります。
  73. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 これにて尾身君、伊吹君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時十五分開議
  74. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。村井仁君。
  75. 村井議員(村井仁)

    村井議員 質問に入らせていただきます前に、私、実は長野二区でございまして、去る十二月六日に起こりました北小谷のあの災害でございますが、あれはまさに私の選挙区で起こった事件でございまして、去年の七月十一日の梅雨前線災害の際に、竣工したばかりの新国界橋という立派な橋があの土石流で流されてしまった。その関連の修復の過程で起きた痛ましい事故でございまして、犠牲者の皆様に心からお悔やみを申し上げたいと思いますし、また、行方不明の方々の救出になお献身的な努力をされておられる方々に心から敬意と感謝を申し上げたいと存じます。  それから、今度の災害に際しましては、東京、名古屋を初めとする広域消防の皆様方が御協力をくださり、静岡県警を初めとして多くの他県の警察の御協力、そして自衛隊の御協力をちょうだいしたこと、そしてまた、亀井建設大臣が即時に現地にお入りになりまして二日間にわたりまして不眠不休の陣頭指揮をとられたこと、私はもうひとえに感謝の言葉を申し上げるばかりでございます。我が党も、早期に調査団を現地に派遣しまして視察をいたしました。例えば土石流センサーが設置されていなかったなど人災の可能性もありますが、私といたしましては、地元の議員といたしまして、即時に最大限の対応をとっていただいたことに改めて敬意を表したいと存じます。  さて、午前中、自由民主党の、私大変尊敬しております財政、税制に通じたお二人の議員からいろいろ御議論がございました。ただ、その中で二つだけ、私ちょっと申し上げておきたいことがございます。  一つは、我が党が税制改革特別委員会、この委員会でございますが、二日を一日にした。こういうふうにおっしゃった。これは大変不本意な話でありまして、本来私どもは、税制特別委員会と行政改革特別委員会、これは両方二日ずつやってほしい、こういうお願いをした。しかしながらそれが一日ずつになったというのが実態でありまして、それは会期が短いからそうなった。こういう話なんですね。しかし、会期も我々は二十日まで要求したのですね。それが十八日ということになってしまった。それで、せっかくの我々のこの税制改正につきましての法律案、一日しか審議をしていただけない。我々、答弁のために座っていたわけでございますけれども、十分にお尋ねをいただけない。大変不満でございます。  もう一点、先ほどお話がありました中で、例えば行政改革の姿につきまして、二兆円という金額は、人七百万円――二兆円行革で減らす、行革でといいますか人員削減で減らす、こういう数字を確かに我が党は出したわけでございますけれども、それにつきまして、それが当たらないということを指摘するために、二兆円を七百万円で割って、出た数字が国家公務員の、半分にもなるとか、ほとんど国家公務員の全体の数に等しいとかいうような御議論がありましたけれども、それについて我々は全然説明させていただくこともできないで、一方的に決めつけられた。  例えばこの一つをとってみましても、私どもが計算したのは、例えば、一般会計の予算定員というのが五十六万五千人ほどたしかあるはずでございますけれども、教員ですとか郵政関係の職員ですとか、これは全部外しております。外しておりまして、毎年自然に退職する人があるわけですね。退職していくわけです。それで、退職する人が大体平均して年四%ある。このうちの半分だけでも不補充にする、こういうことにいたしまして、そしてこれをずっと毎年続けていきますと、大体十数万入減ってくる、十年たてば。そうして十年たったところで計算してみると、平年で見ますと大体一兆四千億くらい節約できる。  それにさらに、例えばベースアップ分なんかもカウントいたしましたり、あるいは児童の減少に伴いまして教員も少し減るかもしれないという今の一般会計以外の部分、その他の部分ですね、その部分もつけ加えれば、まあ二兆円ぐらいになるのではなかろうか。そのくらいの数字の目標をきちんと立てなければ行政改革なんというものはなかなかできるものではない、そういう志を示したものなんで。すね。  そういう説明も聞かないで、一方的に、できもしない案をつくって何だなんて言われたのでは、こっちも立つ瀬がない。これだけちょっと申し上げさせていただきました。  さて私は、経済財政政策というのは、ある意味では生き物を相手にしたものだと思っているのですね。経済政策というのは、言うまでもなく、一種の人体実験だと思っております。誤れば大変なことになる。さような意味で、私どもが消費税引き上げないという法律案を今ここにお出ししている理由というのは、経済がこれだけ停滞しているときに引き上げたら、消費を抑制して経済をおかしくしてしまわないか、政策を実施するには時期を選ぶということが大切だということを非常に強調しているのです。  経済再建なくして財政再建というのはあり得ない。財政というのは、やはり経済の部分なんです。もちろん、非常に重要な部分であります。そのことは私どももよく存じているところであります。経済が不振になれば、税率を仮に引き上げましても税収がふえないということが当然あるわけでございます。そういう意味で、経済をおかしくしてしまっていいのだろうか、そういうことになる危険のある消費税引き上げを来年の四月にやっていいのだろうか、私ども真剣にそれを憂えているわけであります。  ことしの六月の二十五日、閣議でお決めになったことはよく承知しております。先ほども午前中の質疑で明らかにいたしましたように、平成六年の十一月の時点で、私どもは、既にこのようなパッケージに対しまして反対の姿勢を示しておりました。私はしかし、そのいきさつだけを取り上げて申し上げるわけではない。経済政策というものは、そのときのタイミングというものをきちんと見て、見きわめて措置することが大切である、このように思っているわけであります。  二%引き上げることによりまして四兆から五兆の増収を期待しているとしましても、法人税、所得税が伸びないということになりますと、差し引き増収にはならず、結果的に財政再建ができない、こんなようなことになるのじゃなかろうか、私ども、そういうことを非常に憂えているわけであります。  大蔵大臣に御見解をお伺いしたいと思います。
  76. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 経済企画庁が発表いたしました試算によりますと、御案内のとおり、物価は一・五上がりますね、こう言っております。同時に、御説のように、実質国内総生産は○・九程度引き下げられますねと。もう一つ申し上げたいのは、減税を先行実施いたした。こういうことで、やらないときと比べまして三年間の平均で○・円高い経済活動水準が維持される、この指標が企画庁の発表であります。  私どもは、それ以外にも、それぞれの経済成長率どうなるであろうか、こういう点を考えておるわけでありますが、鈴木さん言われる民間試算もあります。同時に、あの中でも高目の水準を発表しておるところもございます。経済見通しは、年末に、予算編成直前に出てまいります。そういう中で、そのベースが着実に実現されていくだろうと。その理由は、規制緩和であり、行政改革の断行であり、ビッグバンの初年度における大改革であり、そういうものの総合的な効果としてそのことがいくであろう、こう思っておるところです。
  77. 村井委員(村井仁)

    村井委員 今、来年の経済見通しについて、それは確かに予算編成の際に来年度の政府の正式な見通しを御発表になるのでございましょうが、明らかに経済企画庁の見通しでも、〇・九%くらい、消費税引き上げ、それから特別減税の中止、こういったことによって影響が起こるということを認めておるわけであります。  民間の中にも高い数字がおるとおっしゃいましたけれども、今出ている週刊エコノミストに掲載されている数字をちょっと引用させていただきますと、大和総研が二・六%という数字を出していますが、ある意味では異常に高い数字でございまして、それ以外の機関を全部平均しますと一・三%ということでございまして、そんな楽観的な成長率は期待できないのですね。  それから、「九七年の景気はこうなる 有カエコノミスト二十人アンケート」というのがやはりこの雑誌に出ているのですが、これを見ていきますと、この中で、はっとびっくりしましたのは、叶芳和さんが三%というのを出していまして、これはすごいなと思ってよく見ましたら、消費税引き上げと、それから特別減税の中止をやれば一%に落ちる、こういうことをつけ加えておられるというぐあいでございまして、その他ほとんど皆悲観的な数字が並んでおります。〇・九%、〇・八%、中には〇・五%、それからいずれにしてもゼロ%台、マイナス〇・五%、こういう恐るべき数字まで日本を代表するエコノミストの中の来年の経済予測にあるわけであります。  私は、今の日本の経済の状態というのは本当に大変な事態ではないかと思うわけでございまして、そこで、まだ与党の間でいろいろ御協議になっておられる段階ではあろうかということは重々承知でございますけれども、もう一度、特別減税、これについてどうなさるのか。これは、やはり関係者は非常に関心を持っているところでございます。消費税の方は、私ども認めていませんよ。ですけれども、消費税はもうともかく、家建てるのも、それから自動車買うのも駆け込みでいろいろ対応しちゃったからいいや、せめて特別減税くらいは、この景気を考えますと、続けてくれるのだろうねというような声もあるわけであります。  大蔵大臣、そこの点、どういうふうになさるおつもりか。
  78. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 財政改革元年であります。それと、前段申し上げました減税の先行実施というもの、特別減税も含めてやらさせていただいたわけでございますが、今日ただいま御審議をいただいておるわけでございますが、主管大臣とすれば、後世代にまたもや借金を残す、ツケ回しをするということは、財政構造改革元年の基本からいいますと、逆行しますし、とり得べきことではない。  経済成長率の話を御説明いただきましたが、欠落いたしておりますのは五つの改革、これを必死の形相というよりも、火だるまとなってやり抜くというのが橋本首相の基本理念。同時に私もそうでありますし、ここにいる白川大臣もそうでありますし、全閣僚そのことに協調してまっしぐらに進むわけですね。  外国の見方も、果たして東京ビッグバンはうまくいくのだろうか、いやうまくいくはずだ、こういう二つの意見に分かれております。  待ったなしの時点に我が日本が来ておるわけでございます。すべてをかけてやり抜くということ、この気迫がメッセージとして逐次伝わっておるわけでありますから、その悲壮な、またすべてをかけた努力が評価をされる、こういうことでありますと、見るベースが違っできますし、経済は生き物でありますから、いよいよニューヨーク市場と同じようなところに、日本が五年をたたずしても、半年や一年は短縮をしてグローバルでフリー、フェアな状態になるであろうということでありますと、株式市場もその他も一気に活力を取り戻す。  こういうことでありますから、特別減税は、後世代にツケを回すことはできない。お互いが、一億二千万、辛抱しながら頑張り抜くということにしていかなければならないのではないでしょうか。
  79. 村井委員(村井仁)

    村井委員 私どもが今世紀中の消費税引き上げをとめるということを言っていますのは、今の日本の潜在経済成長率というものはまだまだ高い。まだまだ若い人たちがいる。しかし、二十一世紀に入ってしまいますと、これがどんどん年をとって、年をとればどうしても体は言うこと聞きません。それは気は若いつもりで沌なかなかそうはいかない。しかし、今ならまだその成長力を引き出すことができるはずだ。その時期に、まずは出るを制するというところに力を入れるべきではないか。  そのように入るをはかる。入るをはかるが、しかし、これが家計と国家経済の違うところでありまして、財政が入るをはかれば民の方がどうしてもへこむわけでありますね。それを何でやらなければいけないのか。それは私だって、財政をバランスさせる、できるだけ均衡させていかなければならない、大きなツケを後代に回すことがいかに恐ろしいことかわかっていますよ。わかっていて申し上げているので、大切なことは、今の経済の活力をどうやって引き出すか、そこが大切なのではないかということを申し上げているのです。  そういう意味で、先にやるべきことは、大蔵大臣どうでしょう、何とかして支出の削減を図っていく、そっちじゃないんでしょうか。  それで、今の経済成長率ですね。私は、過去の経済成長率、便宜ちょっと見てみますと、本当にここ五、六年、四、五年と申しましょうか、ちょっとひどい状態なのですね。ともかく、九二年度が〇・四%、それから九三年度〇・二%、九四年度〇・五%、そしてこの一-三になりまして、少し公共事業などの成果もありましてきゅっと伸びた。しかしことしだっで二・五から三かな、こういう感じでありまして、これを景気がよくなったと言っているわけですが、ここで景気の腰を折ってしまうのですよね、一%とかなんとかということになってしまいましたら。そうしたら、またこれを回復させるのは大変ですよ。  そのときにまた公共事業を景気対策のためにやる。私は、公共事業の大切さ、それはもちろん認めます。しかし、それを景気対策のためにやるんだということになりますと、言ってみますと、せっかく財政改革元年とおっしゃって抑えながら、これはクーラーかけるようなものですよね。そうしておいて一方で公共投資をつぎ込む、ヒーターかけるようなものです。よね、完全にエネルギーのむだじゃありませんか。  そして何よりも恐ろしいのは、ここで時間が失われていくことなんですよ。私は、恐らく与党自民党の中でもそういう懸念を持っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるんじゃないかと思うのです。財界の中でもそうだと思うのです。そのあたり、本当に大臣、今お答えのようなお考えでいらっしゃるのですか。
  80. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 基本的な税の取り組み姿勢を大蔵大臣として申し上げさせていただきました。  もう一つ大事なことは、政府原案の前になります大蔵原案を作成する責任がございます。補正予算、今三党で詰めております。そして九年度当初の一般会計予算、これに向けても取り組んでおるところであります。橋本総理大臣からは、三次にわたり、財政健全化に向けての編成に当たり、出るを制する、歳出の各項目、それぞれ法律に基づくもの、制度に基づくもの、政策に基づくものありますけれども、総点検の中で切り込め、こういうことであります。  もちろん、阪神大震災のような緊急のものについては最優先でなければなりません。O157またしかり、災害復旧またしかり、緊急時における問題については、それに対してしっかりとやらなければなりません。  そういうことで、経常経費はもちろん、公共事業全般につきましても、平成財政構造改革元年にふさわしい形でこれをつくり上げてまいらなければなりません。  そういうことでありますので、村井さんの言われる、歳出予算についてやらなければならない基本的な取り組み姿勢は同じであります。
  81. 村井委員(村井仁)

    村井委員 そこで、結局消費税増税をやる、それから特別減税をやめてしまう、それから保険料の方で二兆くらいふえるんですか。そうすると、言ってみると国、広い意味で国の立場からしますと、九兆から手が広がってしまうんですよね。これはやはり私は、逆にぐっと抑え込んでしまいまして、この範囲内でやりなさいよ、この範囲内でやってごらんなさいよということの方が抑制がきくと思うのですよ。だから私、そういうことを申し上げているのですよ。このあたり、またもう一度戻らせていただくかもしれません。  さらに私は、この消費税引き上げの問題につきまして、大蔵大臣、もう一つ申し上げたいのは、今の低金利政策との関係なんです。  これはもうもちろん大臣のお耳にも十分入っていることだと思いますけれども、例えば年金で暮らしていらっしゃる高齢世帯、これは実際問題として年金だけでやっていける方々というのは日本の社会でも比較的少数だろうと思います。営々として蓄えられたお金の金利をつけ加えて暮らしていらっしゃるというのが実態だろうと思うのですが、それが最近の低金利で、申し上げるまでもなく、一千万円預けたって、税を引かなくたって二万円から九万円、そんなところが手に入ればいい。一千万円ですよ。そういう水準まで落ちてしまった。これは本当に怨嗟の的ですね。大変な事態です。  そうして可処分所得が減ったところへも、ってきて、ここで消費税引き上げが行われみ。これがやはり消費税に対する不満、これを一層かき立てている。私は、長い目で見て直間比率の是正というのは大切だと思いますし、その際に消費税というのは非常に大切な道具であるということを積極的に評価すればこそ、あえて申し上げているのでありますけれども、そういう意味で、景気の腰を折らないようにやっていく必要があるんだと思うのですね。そしてまた、国民の御理解を得るように努力しながらやっていく必要があるのだと思うのですね。そういう意味で、今は私は本当に不適当なことだと思うのです。  それで、平成八年度の経済成長率、私は大体三%くらいになるのじゃないかという感じのことを申し上げましたけれども、これはことしの一-二月の公共事業が非常に大きく働きまして、そしてそれがある程度こっちへ残ってきているというようなこともありまして支えられているのと、もう一つは住宅なんかですね。特に九月末までに契約すれば現在の消費税のままでいいということで、大変な駆け込み需要が起こった。私の地元なんかでも新築しておられるお宅が非常に多うございます。  それから、実際統計的に見ましても、設備投資に占める建設工事の受注、民間分という数字がございますけれども、これは非住宅、住宅以外のものですね、民間の建設についての設備投資、これは数字が出ているのでございますが、ことしの九月は前の月に比べて二倍になっています。そして、それが十月になったらまた半分にぽんと落ちています。そのぐらいこれに敏感に反応している。  ですから、個人の住宅なんてもっとすごいと思うのですね。着工数ではしばらく伸びましょう。ですけれども、私は、これはしょせん来年の三月ぐらいになればぽきっと折れる。四月からは本当に仕事がない状態になり得る。来年の一-三月になれば、恐らく自動車を初めとする耐久消費財の駆け込み需要が当然起こってくるだろう。そして、それの反動で九年度の状態というのは本当にえらいことになるのじゃないか。  もう一回伺いますけれども、こういう景気の腰を折る危険のあるような政策、大臣、何とかこれを避けるわけにはいかないのですか。同じことをお伺いしているように聞こえるかもしれませんけれども、これは本当に真剣な問題なんですよ。
  82. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 重ねての御質問であります。  超低利のお話がありました。預けておられる国民の皆さん、大事な貯金を定期にしておられる方々から聞こえてくる声はよく承知をいたしております。しかし同時に、景気対策が今論点になっております。やはり景気対策は、一般会計予算もさることながら金融財政の中で行われるものでなければなりませんし、〇・五という超低利が景気の下支えをしながら、よくなるはずはないと言われる申におきまして、これが緩やかな成長から底がたいものにということになっておるデータも、この金利政策の結果であることは間違いありません。  それともう一点申し上げますのは、やはりそういう中で先ほど五つの項目、大改革を橋本首相が提唱し、そのトップに立っておるわけであります。それと、先行きを見て経済構造システム改革もやるわけでございますが、そういう中で、それぞれの企業が参加できるような体制をつくるという予算措置を講ずることといたしておりますし、民間活力というものを沸き立たせるということが大変大事であろうと思いますし、そういう中で民需が着実に進むということになりますと、御懸念が大分消えていくのではないでしょうか。
  83. 村井委員(村井仁)

    村井委員 伺っていて、何とも甘いなという感じがするのでございます。  私は、八〇年代というのは、俗にタックスディケートという言葉がございますけれども、税制改革の十年というふうに言ったらいいでしょうか、そういう時代だというとらえ方があるのですね。これは申し上げるまでもなく一九八一年のレーガンの第一次減税法案、それからそれに引き続いてサッチャーがイギリスの税制を改正するというように、いずれも低い税率にどんと落としていく、そしてそれをめぐっていろいろな経済政策が展開するという時代であるわけでありますけれども、私は、ある意味では、レーガン減税の評価ということで我々はある種の呪縛に陥っているのじゃないだろうかという思いがあるのです。  確かに、八一年にありましたレーガン減税、これは鳴り物入りでトラスチックに行われたわけでありますけれども、その結果もたらされた財政の悪化、それから長期金利の高騰に伴う国債の消化難とかいろいろな問題が起こりまして、そしてついにはアメリカの双子の赤字として、レーガンが八八年に退陣するときには悪評さくさくということで退陣をせざるを得なかったということは一つの現実であります。  しかし、レーガン減税、レーガノミックスといいましょうか、これは私は前期と後期と、先日も鈴木先生がお触れになりましたけれども、ちょっと違うものがあったと思うのです。八六年からのレーガン減税というのはどちらかというとフラット化ですとかというようなことに重点を置きまして、そして所得税率もそれまで十四段階ありましたのを二段階に単純化する、法人税も四六%を三四%に引き下げる。そのかわり、もちろんキャピタルゲイン増税なども行って増減税中立ということをしている。そういった点だけ強調がされて、八六年のレーガンの政策というのは減税の側面の思い切った措置というのが私は正当に評価されていないと思うのですね。  同時に、幸いに状態がよくなったのは、レーガンの後のブッシュの時代になって冷戦が終わり、軍事費などを相当削減することがアメリカの場合できるようになったという環境の成果もありましょう。しかし、私はどうしても無視すべきでないと思うのは、八六年に行ったレーガンの思い切った税率のカット、それからzフット化、こういった措置がアメリカ経済の活力をもう一度呼び覚まずその源になったのじゃないか。そういう意味で、レーガン減税あるいはレーガノミックスというものを私どもはやはり再評価すべきじゃないかと思っているのですね。  私どもも実は、そういう視点も含めて今の時点での消費税引き上げというのを考え直した方がいいのじゃないかということを申し上げているのです。  アメリカは復活したけれども、日本は財政の均衡ばかゆ考えていて経済を活性化させることができなかった。財政が均衡して経済は破綻する。これは例えて言えば、手術は成功した。しかし患者は死んだ、こういうことと等しいことになるのではないか。私はそういう意味で、手術をする前に患者の体力を回復させる努力というものが経済政策としてどうしても必要なんじゃないかと思うのですね。その辺、大蔵大臣、どうお考えになりますか。
  84. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 改革は犠牲を伴います。血が出ます。それを恐れて逡巡してはなりません。政党政治の議会政治でございますから、不評判のことをやれば次の選挙で敗れるかもしれません。しかし、政党があって議会があるわけではございません。政治家があって国民があるわけでもございません。お互い総選挙のときは、天下国家のためにという、簡単に言いますと、そのために我かく訴え、かく戦う、こういうことでしょう。  言われるとおり、野田議員、鈴木がつてのエコノミスト、新政治家、いろいろと提言を拝聴させていただきました。やりたいんです。それをやればレーガンの失敗を繰り返す、その状況は説明をさせますけれども。よって、八六年度の改正で負の遺産の解消のために戦った。これは大した。私は八六年は評価をいたすわけであります。  そんなことがございまして、苦悩の決断をしながら、やはり政権をお与えいただいておるのであれば喜ばれないこともやり抜かなければならない、そういうことを橋本第二次内閣首班は決心をし、党とともに、社民党の各位とまたさきがけの諸君とよく話し合いをしながら、その方向で御理解を得、突き進んでおるところでありますから、問題のポイントをきっちりと整理して申し上げさせていただきました。こういうときにこそ政治がよくぞやり抜いた。こういうことでなければなりません、
  85. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 八一年のレーガン減税につきましては、これはまさにレーガン減税と言われる減税でございまして、そのときには減税することによって増収が図れるということであったわけですが、結果的には大きなマイナスになってしまったというのが結論でございます。八一年の減税のときには、総額八十兆円の減税を行うと言っていたわけですが、結局は、歳入の見積もりが五十兆円ぐらい狂ってくる。  ただし、御指摘のように八六年のレーガン改革は、これは私は非常にうまくいった改革であったと思います。それは、内容は所得税、法人税の大改革をするわけですが、所得税を減税し、法人税を増税しております。ただし、法人税の中では税率を下げて課税ベースを非常に広く広げます。結果的には法人税増税をやっております。レベニュー・ニュートラルの中で税制の内容を変えたということでございまして、これは結果的にはいい結論を出してきたということで評価されているというように認識しております。
  86. 村井委員(村井仁)

    村井委員 私も承知して申し上げているつもりなんでありますけれども、今の薄井主税局長の説明で、課税ベースを広げて法人税は増税しているんだ、こういう御指摘がありましたけれども、税率の引き下げの幅でいえば、四六から三四と大幅なんですね。このインパクトというのはやはり大きいのですよ。これにつきましては、私はまだいろいろ申し上げたいことがたくさんございます。  私の申し上げたいのは、もう一度申し上げますけれども、やはり経済政策というのは一種の人体実験なんですね。行政の、薄井主税局長なり大蔵省の立場で財政の均衡を図るためにそのパートパートで全力を尽くす、それは当然のことでしょう。ですけれども、それを総合判断してどうするかというのは、これは政治家の責任ですよ。私は、そういう意味であえて問題点を指摘しているわけであります。そして、レーガン減税と呼ばれるものが、言われるように、ともかく失敗に終わったとかなんとかいう性質のものじゃないんだということを我々は他山の石とするべきじゃないかということを申し上げているのです。今法人税のお話になりましたので、ちょっと話題を進めさせていただきたいのですが、先ほども自民党の質問者からもお話がございましたけれども、法人税を引き下げる議論がどうも何かさたやみになりそうなお話をちょっと伺っている。私は、法人が総体として支払う税が変わらないということでは産業の空洞化対策にならないと思うのですね。  この間、私、衝撃的なことを聞いたのです。九州は一時シリコンアイランドとまで言われたわけでありますが、そこにある半導体工場がともかく去年は本当にもうかってもうかって大変だった。それがことしになったらばったりもう受注が、といいますより割が合わなくなっちゃった。値段が下がっちゃって。それで全部外国へ移しちゃったというのですね。  さっき尾身議員からも指摘がありましたけれども、私は、この日本の高い法人税がどうしたってやはり企業決断の一つの要素になると思うのですね。企業がそこにあれば雇用も生じ、そして給与も払われ、そして消費も起こっていくという循環になるはずなんでありまして、そういう意味で思い切った実質減税というものを私はやるべきだと思うのですね。それが一つ。  それから、地価税。これは、地価が異常に高騰したときに導入された経緯がありますけれども、実施以来五年がたった。率直に申して、ここまで地価が低落しますと、固定資産税と二重課税になって過大な負担を強いている。経済の活性化を妨げている。それから、特に固定資産税の課税標準が非常に引き上げられていますから、土地保有の有利性がなくなった現在、私は、この地価税というのはそろそろ考え直すべきじゃないか。地価税というのは、最も有効利用されている土地に過剰な課税がされるという非常に根本的な欠陥がある税なんですね。私はそう思っています。  この二点について、大蔵大臣、できるだけ簡単に答えてください。
  87. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 法人税がサミット構成国の中でも一番高い、こう言われております。法人税の減税といいますか、パーセンテージを若干でも下げるということについては、これからの成長産業、また相対的に高い負担ということで立地が難しいという企業が、それによってなお盛んな活動になるきっかけをつくることは容易に想像できることであります。  ただ、御案内のとおり三七・五%で、一%四千億程度とよく言われております。その財源を赤字国債に頼らなければできない、こういうことであれば、前段申し上げました。やはりまた後世に借金を残すということになりますから、これは大蔵大臣としてはとるところではございません。課税ベースを広げ、これに見合う財源を捻出をしながら、法人税の国際基準まで一挙にいけませんから、まずスタートを切るということは、財政経済構造改革の観点からいっても大変大事なことだなと思っております。  地価税は、御案内のとおり半分になったわけでございます。問題は、有効利用を促進する。それを有効利用しておるものに地価税と。地価税は有効利用をさせるためにあると考えていただきながら御理解をいただきたいと思います。
  88. 村井委員(村井仁)

    村井委員 全く納得できない御見解でありますけれども、もうともかく時間が迫っておりますし、国民の皆さんみんな見ていらっしゃいますから、固定資産税、これをちょっと自治大臣にお伺いしたいのですが、平成九年度、これは評価がえの時期になるわけですね。固定資産税につきまして、特に非住宅地といいますか商業地、これにつきまして大変な不満があることは御案内のとおりであります。  端的にお伺いしますけれども、実効税率〇・四%ということをよく言われますね。地価税導入のときにも、当時の主税局長がそういう発言をしたことがある。せめてその程度まで持っていく工夫は何かありませんか。
  89. 白川国務大臣(白川勝彦)

    ○白川国務大臣 土地に対する固定資産税、実効税率〇・四%前後がいいのではないかというお尋ねについて言うならば、直ちに、それはそれでいいと思うのでございますが、そこに持っていくために税率を変更すればいいという問題ではありません。  多分お尋ねは、今よく言われていることは、大都市においては地価が下がっているのに固定資産税が上がる、これは何とかならないのかねということを多くの方が言っているわけでございまして、それはそのとおりだと思います。庶民感情に合わないことをやるつもりはありませんけれども、じゃ、なぜそんな傾向が起きるかということも一方ではお考えいただきたいのであります。  地価が大変上がって、規則どおりにいけば固定資産税は上がるべきところだけれども、それでは余りにも大変だということで、本来ならば上げるべきところを上げなかったわけでございます。しかし、徐々に上げていこうというところ、そうこうするうちに土地が落ちてきたというのがクロスしているところがあるわけでございまして、それが第一点の理由でございます。  しかも、土地について言うならば、全国すべて下落しているわけではございません。この間でも地価が上昇しているところもあるわけでございまして、地価が上昇しているところで据え置けとかあるいは下げろということはないわけでございまして、いずれにしましても、適正な負担水準になるように今いろいろと我々も知恵を出し、いろいろな御要望に耳を傾けながら、税制調査会等で議論をして、必ず御期待にこたえるような方向に持っていきたいと思います。
  90. 村井委員(村井仁)

    村井委員 問題提起にとどめます。  あと、土地の譲渡益についての課税の問題ですね。  個人の長期保有土地の譲渡についての重課措置というのは、平成八年度、ことしの税制改正で若干改善されたわけでありますけれども、私はなお重いと思っております。  それから、法人の長期保有土地の譲渡についての五%の追加課税、これを継続しておくというのは、土地の流動化が今非常に必要とされている現在、大きな障害になっているのではないでしょうか。また、このために、譲渡に係る税収というのは激減しているのですね。そういうものを設けているために結果的に土地が動かない、その結果税収が入らない、こういうばかばかしい結果になっている。私は、今のバブルの後始末のためにも、土地を動かすための配慮が税制面で必要なのではないかと思うのです。  それからもう一つ、有価証券取引税ですね。これが日本市場の魅力を失わせているわけでありまして、株価も全然さえませんし、ニューヨークやロンドンなどの市場との格差が大変大きくなっております。また、世界の成長センターとしてアジアの諸国というのは大変な脚光を浴びつつあるわけでありますけれども、そこの株式で、日本市場への上場なんというのは本当にもう少なくなってきている。日本の投資家にとっても、こういう有望な投資対象に手を出す機会が奪われるばかりじゃなくて、日本の証券会社もビジネスチャンスを失う、あるいはアジア諸国の資金需要にこたえられない、こういった問題になってきている。  取扱手数料の率が高いから、それが原因だ、こんなような議論もありますけれども、私は、それもあるかもしれないが、やはり税の面で思い切った措置を、国がイニシアチブをとってやるべきではないか。税源といったって、これは率直に言って大したものじゃないと思うのです。  時間がどんどんなくなりましたので、あともう一つだけ申し上げたいのは、石油関係諸税、先ほどちょっとお触れになりましたけれども、あの中でやはり問題なのは、税金部分にまた消費税がかかるという問題なのですね。  私どもは消費税を今回引き上げるのに反対だと言っているのでありますから、私どもの案が通ればこの問題は生じないと言ってもいいのでありますけれども、我々の案が否決されれば、このままタックス・オン・タックスをやっていくのですか。これは私、大蔵大臣、大変な問題だと思いますよ。  それからもう一つ、これは自治大臣、特別地方消費税ですね。あれも早い話が、飯を食ったり宿屋に泊まったりすると結果的に六%の税金になって、何でそれでダイヤモンドを買っても三%なのか。これはもう庶民感情に全然合いませんよ、それは地方財源が大切なことだって百も承知ですけれども。この二つ、それぞれ簡単にお答え願います。
  91. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 簡単に各税目について申し上げます。  有取税につきましては、昨年の改正によりまして、平成十年までの改正としまして三割滅をいたしました。二年間の特別措置としてやっております。今後、証券市場の問題についても大議論が始まります。私ども、株の譲渡益課税との関係において、証券税制全体の中で検討すべき課題だと思っております。  それから、タックス・オン・タックスにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、一般的な消費税と個別間接税の関係、どうしても価格に乗せて課税標準として税制をつくらざるを得ないということは御理解を賜りたいと思います。個別間接税の水準の問題としては議論の余地がございますが、その使途の問題等々と一緒に考えていくべき問題だと思っております。  最後に、土地の譲渡益課税でございます。  これも昨年かなり大胆に直しまして、平成二年の税制と大体似てまいりました。譲渡益八千万円以上、利益が八千万円以上のケースについてのみ三九%が残っておりますが、他方、優良な譲渡については二〇%という税率を残しておりまして、それとの関係でごらんいただきたいと思っております。
  92. 白川国務大臣(白川勝彦)

    ○白川国務大臣 特別地方消費税がタックス・オン・タックスであるかどうかという問題は違うと思うわけでございます。税金にさらに税金がかかるというのがタックス・オン・タックスであって、特別地方消費税は、一定の免税点を超えるものについては消費税のほかに別途負担をいただいてもいいのではないかということで、飲食については一人七千五百円、宿泊費については一万五千円以上というのが、ある面では一般の消費よりは上なので、軽減税率の道として、地方税だけでございますけれども御負担いただけないだろうか、もともと料理飲食税は一〇%かかっていたわけですからということでいただいたものであります。  ただ、いろいろな御要望がありますので、現在税制調査会等において真剣に議論をされているところであり、自治省としてもそれには適切に対応してまいりたい、こういうつもりで今議論をしている最中であります。
  93. 村井委員(村井仁)

    村井委員 北側一雄議員の御了解を得てもう一言だけ申し上げさせていただきますのは、石油関係諸税のタックス・オン・タックスの問題と、それから特別地方消費税の問題と、この二つは、申し上げるまでもなく、消費税導入の際にきちんと整理をし損ねた。要するに積み残しなんですね、ある意味では。そういう意味で、私は、あえて今度どうしても引き上げるというなら、この問題を片づけなければ大変ですよということを御指摘を申し上げているわけであります。  それから最後に総理、恐縮でございます。平成六年の十月に、所得税法消費税の平成九年からの引き上げ、これの法律案が提案されましたときに、所得税の二階建て減税、制度減税と景気対策としての特別減税を合わせて、合わせわざでやるというやり方、それを埋め合わせるのに消費税の五%の増税を平成九年の四月からやる、こういう形になると。  実はそのとき私、幸い本会議で代表質問をさせていただく立場にございました。二、三年後にきっと消費税引き上げと特別減税の廃止と二つの増税がどんと重なってくる、それが本当に適切な選択なのだろうか、非常に疑問があるという質問を当時の村山総理に申し上げました。この点については、残念ながら、速記録を後でよく調べてみましたが、お答えがありませんでした。今、当時のツケを橋本総理のところでお払いにならなければならないようなお立場になっておられる。  しかし、私はあえて申しますけれども、もう一度冒頭の私どもの問題意識に立ち返りますと、経済はやはり生き物でございまして、手術は成功したが患者は死んだというようなことにしてしまってはいけない、そういう意味で、総理のお考えをもう一回承らせていただきたいと存じます。
  94. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 今委員は、手術は成功したが患者が死んでしまってはという例えを使われました。しかし、逆に手術を先延ばしすることによって、より状態が悪くなるというケースもありますということを私は申し上げたいと思います。  そして、その平成六年の秋の税制改革の際の考え方、このときの考え方と申しますものは、今さら申し上げるまでもないわけですが、活力ある福祉社会の実現を目指すという観点から、社会の構成員が幅広く負担を分から合う、かつ歳出面のさまざまな措置の安定的な確保に資するよう、そうした視点から所得税、個人住民税の恒久減税と消費課税の充実を一体的に行うということでありました。本院においても、また参議院においても、さまざまな角度から御議論があったこともよく配慮をいたしております。  しかし同時に、この税制改革というものが、急激な少子・高齢化の進む我が国の経済社会を税制の面から活性化しようという構造改革でもございました。そして当時、今御指摘のように、足元の経済状況にも配慮をしながら、恒久減税を、消費税率引き上げに先行させて今日まで実施をしてきたわけであります。  確かに、消費税率引き上げ及び特別減税は、廃止によって〇・九ポイントぐらいの影響が来年の春に生ずる。もちろんそれ以外の問題点もありますけれども、そういう数字が経企庁からも出されております。同時に、恒久減税が先行している部分について、ならして〇・四ポイントぐらいのものがあるということも、先ほど大蔵大臣からお話がございました。我々は、確かにこの時期を非常に注意深く乗り切っていかなければならない。これは、先ほど来の御指摘を、私は素直にそのとおり受けとめたいと思います。  そして、そうしたことを念頭に置きながら、八年度補正予算案並びに平成九年度予算案の編成にもかかりたいと考えておりますが、私は、議員が言われましたように、確かに生き物のような経済を相手にという御指摘はそのとおりでありますけれども、だからといって、この税制改革が間違っていたとは思っておりません。こういう組み合わせで行うことが間違っていたとは思いません。  その上で、私は、議員の先ほど来の御指摘をも受けながら、特に九年度当初、特に四-六あたりを頭に置きながら、その時点における影響を排除し得るような予算編成というものに努めてまいりたい、そのように思います。
  95. 村井委員(村井仁)

    村井委員 終わります。
  96. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 この際、北側一雄君から関連質疑の申し出があります。村井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。北側一雄君。
  97. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 北側一雄でございます。  それでは、早速質問をさせていただきますが、先般の衆議院の総選挙では、消費税率引き上げ問題がやはり大きな争点でございました。この選挙の結果は、過半数には及びませんでしたが、自民党が第一党になられました。この結果からすると、総理は、明年四月からの消費税率の五%引き上げについて、有権者、国民の皆さんは信認をされた。理解をされたというふうに御理解されておられますでしょうか。
  98. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 率直に申しまして、私は、むしろ消費税税率引き上げの問題は、既定の問題として、告示の日には議論の中に、というか私自身の演説に取り入れませんでした。  ところが、第一日を終わってみますと、やはり関心は非常にその消費税率の問題にあるということを私自身も実感をいたしまして、二日目以降の遊説、その中では二%の引き上げをお願いを申し上げたいということは、常に言い続けてまいりました。当然のことながら、税金を引き上げさせていただきたいと訴えているわけですから、うれしそうな顔をなさる方がたくさんあったということは言えません。  しかし、それなりに私は真剣に、賛否は別として聞いていただけたと考えております。そして、そうした中で、新しい内閣をスタートさせますに当たり、私自身が国民にお願いをしてまいったことを、お約束してきたことを実行しようとするのと同時に、これも進めさせていただきたい、そう願っております。
  99. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 今の総理の御答弁は、明年の四月からの消費税率引き上げを有権者の皆さんは御理解いただいているだろうというふうに理解をされておられるのだというふうに考えます。  そこでお聞きをいたしますが、政治家にとりましては、選挙公約というのは有権者との約束事でございまして、当然のことながら、その政治生命をかけて公約の実現に向け努力をすべきものでございます。ましてや、さきの総選挙ではこの問題、消費税率の問題が大きな争点でございまして、これについての公約であれば、政党であれ、また候補者個人であれ、極めて重大な意味を私は持っているのだというふうに思っております。予算委員会でも取り上げられましたが、選挙公約の問題で、当委員会でも、私改めて指摘をさせていただきたいと思っております。  自民党公認で今回の総選挙で当選をされた方の中にも、選挙公報で消費税率引き上げについて明確に反対とおっしゃっている方が相当いらっしゃいます。具体的にちょっと御紹介をさせていただきたいというふうに思っておるのです。  ちょっと読ませていただきますと、これは秋田の方でございますけれども、自民党公認の当選された方でございます。「消費税は景気回復するまで上げない」「日本の景気が回復しないのは個人消費の伸びなやみが大きな原因です、いま消費税率を上げると、せっかく緩やかな回復基調にある景気回復の足を引っ張るだけです。だから、消費税率をいま上げるべきではありません。」明確に公約をなされておられます。  さらに、幾つかちょっと御紹介をさせていただきたいと思うのですが、これは兵庫の当選議員の方でございますけれども、見出しで「造反します!!「消費税アップ」」「国会でロクに審議もしないで3%から5%ヘアップした消費税を、総選挙後の新国会で再審議して、前国会での結論を白紙「3%」にもどします。政党の離合集散にうつつを抜かした前議員ではなく、消費税アップの議論に加わらなかった新人議員だからこそ、その主張ができるのです。税率アップを決定した過去にこだわらず、有権者の意見を国政へ反映させなければなりません。景気が沈滞している今、消費税をアップしたら、景気は浮揚するどころか益々混迷します。」  さらに、たくさんあるのですけれども、幾つか御紹介させてもらいます。  これも選挙公報で、「③つのスローガン」の一番員に、これは自民党の当選した候補者ですよ。「大減税で早急な景気回復を」、大減税で。「景気を回復させるには、所得税・法人税等の大減税と、消費税の暫定据え置きがぜひとも必要です。」これはどこかの党の政策に近いわけでございますけれども。さらには、これも冒頭でおっしゃっているのですけれども、「消費税増税反対!!」「低金利時代の年金生活者の台所を直撃する増税に、私は断固反対します。」自民党の当選された候補者です。  さらに、「消費税の引上げ問題は選挙目当てに勝手な議論が行われていますが、食料品はかけないとか、贅沢品の税率は高くするとか、きめ細かな配慮が必要で、直ちに五%引上げには反対です。」さらには、「消費税引き上げは凍結、景気の回復後検討」。さらに、「積極的な行政改革を断行し、歳出の節減を図り、景気回復に伴う税収増加等を考慮し、消費税は当面三%に凍結します。」「景気低迷の現状では消費税アップはNOです」、見出しで「消費税凍結!!」と大きく書かれている候補者、これなのかも、一番冒頭に大きな字で「消費税凍結」と書かれています。これはすべて自民党の当選された候補者でございます。  まだほかにもございまして、消費税引き上げに反対とおっしゃっている方、また消費税引き上げは行革とか景気回復が前提だというふうに条件をつけられた方、相当いらっしゃいます。私がこの選挙公報をざっと見た限り、三十人以上いらっしゃいます。それ以外にも、新聞等のアンケート調査を見れば百人以上の方が、百人余りの方がやはり同じように凍結、据え置き、行革前提等々のことをおっしゃっておられる。  自民党内にこのような意見をお持ちの方が多数いらっしゃったということを、総理はどのように御理解をされておられますか。
  100. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 税制というものについて国民の御理解と信頼を必要とする、これが大変重要なものであることは言うまでもありません。そして、予算委員会でも申し上げたことでありますけれども、選挙中の発言につきましては、国会での論議あるいは行革の実行などを通じて税に対する国民の御理解と信頼を高めていくことが重要だという趣旨だと私は理解をいたしております。  そして、消費税率の五%への引き上げを含んだ増減税一体の税制改革というものが、平成六年の秋に、議論を行った上でその法律は国会において可決成立をしているわけでありまして、私どもとして、これは選挙期間中に本当に私自身は訴え続けてまいりましたけれども、この方針をそのとおりに進めてまいりたい、そのように思います。
  101. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 先ほど来申し上げていますように、先般の総選挙ではこの消費税率の問題が大きな争点でございました。総理はそうおっしゃったんだと思います。しかし、党内の候補者の多くの方に、今私がお話ししたような選挙公報で堂々とおっしゃっている方がたくさんいちっしゃる、そのことをどのように御理解されておられるのかということを私は聞きたかったのです。  それでは、別の観点からもう一つこの選挙公報の話をさせていただきたいのですけれども、これは候補者個人の選挙公報ではございません。比例代表の方の選挙公報でございます。ですから政党の選挙公報です、自民党の。自民党の比例代表選挙の方の選挙公報。  この選挙公報では、これは東京でございますけれども、「国民が求める「小さな政府」への行政改革なくして消費税率のアップはありえません。」このように見出しでおっしゃっておられます。「行政改革なくして消費税率のアップはありえません。」この公約、これは今回の消費税率の五%引き上げと矛盾しませんか。
  102. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 行政改革を進めていく、今までにも努力をしてきております。しかし、これ以上に本当に行政改革をまっしぐらに進めていく、これは御協力をもお願いしつつ、何回も国会に対し私は自分の意思を表明いたしております。
  103. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 「行政改革なくして消費税率のアップはありえません。」というふうに、有権者の方がこれをごらんになった場合にどのように理解をされるかといいますと、やはり行政改革について具体的に実行されて初めて消費税率のアップはあるんですよというふうに理解しますよ。単に総理が火だるまとなってやりますよと言っても、また再来年の通常国会で法案を提出しますよと言っても、内容もまだこれから検討するわけでしょう。行政改革の内容自体が何ら明らかではない、具体的ではない。これから始めるという話じゃないですか。「行政改革なくして消費税率のアップはありえません。」というこの選挙公報に違反しますよ。こういうふうに私は理解するわけですが、いかがですか。
  104. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 我々は行政改革を断行しようと考え、そしてそうした方向に進みつつあります。そして、国会においてもぜひ御協力をいただきたいとお願いを申し上げております。
  105. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 御協力をいただきたいというのであれば、我々がかつて行政改革の法案を出したときに、全く審議もしないで廃案とされたわけじゃないですか。行政改革について熱心であったなんて、とても我々は思えません。  国土庁長官、済みません、来ていただきまして。  予算委員会でも聞かせていただきましたけれども、もう一度同じ質問ですが、伊藤大臣は、やはりこの選挙公報で「消費税より行革が先。五%は行革が実現されてからの議論です。」というふうに書かれているのですよ。これもやはり読んだ有権者の方は、行政の改革が具体的に進む中で初めてこの消費税の論議というのはあるんだというふうに理解すると思うのです。いかがですか。
  106. 伊藤国務大臣(伊藤公介)

    伊藤国務大臣 私も実は、この選挙公報を書くときに私自身も真剣に考えました。どう書くことが一番いいか。そのときに私は、今国民の皆さんは、政治、行政がどう改革をする姿勢があるかということが一番問われているというふうに思いました。  そこで、もちろん私も議会に籍を置いてきましたから、先生も御案内のとおり、これからの高齢化社会、あるいは我が国の置かれている財政事情、そしてまた二十一世紀への新しい時代への投資、さまざまなことを考えましたら、税制改正も急がなければならないということも考えていました。しかし、国民の皆さんに負担を求めるというなら、その前に私たちがみずから身を切る改革をすることが先決ではないか、こう私は考えて、消費税のアップをする前にまず国が痛みを伴う改革案をきちっと示すことだ、そう私は、何十回という選挙戦の中で有権者の皆さんに訴えてきました。  そして今、御案内のとおり、総理自身も、不退転の決意で明治から続いてきました我が国の霞が関の改革に取り組む、そのタイムスケジュールを既に国民に約束をいたしました。さまざまな問題がある。大蔵省の改革案も既に、来年の一月、通常国会にはその成案を示す。私たちはこういうタイムスケジュールが決まった中で、心ず国民の皆さんは政治を信頼してくれる、そして、私自身も閣僚の一員としてこの改革を全力を挙げて一緒にやりたい、こう考えているところであります。  私自身の選挙公報に書きました意のあるところは、ぜひお酌み取りをいただきたいと思います。
  107. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 聞かれている有権者の皆さんはよく理解されておられると思いますが、実現されているというふうにはとても思えないわけでございまして、ですから私は、この公約の内容からするとやはり相反しているのではないかなというふうに思いますし、多くの方もそう感じられているのではないかと思います。  いずれにいたしましても、これは自民党の皆さんだけではなくて民主党の皆さんや社民党の皆さんの中にも、同様に消費税引き上げ反対とか明確におっしゃっている方、もう紹介しませんけれども、あと前提条件をつけられている方もたくさんいらっしゃいます。私は、要するに国民の皆さんは、先般の選挙結果から見て、明年四月からの消費税率引き上げを容認しているとか理解を示しているとか、そういうことは到底言えないということをぜひ訴えたいと思っております。  そこで、ちょっとこの税の内容の問題に入らせていただきますが、午前中、我が党の答弁者の皆様と自民党の質疑者の皆様との間で質疑があったわけでございますが、なかなか我が方の答弁者が答弁をさせていただけなかったようでございますので、まず午前中の質疑の感想を、野田先生どうぞ。
  108. 野田(毅)議員(野田毅)

    野田(毅)議員 午前中の質疑を通じてもそうですし、今の応酬見ていてもそうなんですが、特に午前中、自民党の皆さんは、私どもの案に対して盛んに無責任だ、無責任だということを演説をしておられましたね。しかし、今の答弁見ていて、選挙の公約を適当な形であしらって、総選挙直後に明らかなる公約違反を堂々とやるということの方が、そっちの方こそ無責任であるということをまず申し上げておきたい。  我が党の考え方について、できるかできないかという検証は、やらせてごらんなさい。やってみせます。それを、やる気もないからできないのですよ。数字のちまちました話じゃないのですよ。それは午前中の法人税論議にしてもそうだ。三塚大蔵大臣も、法人税減税やらなきゃだめだ、空洞化はどんどん進むんだと。尾身さんも盛んにそれを言っている。しかし、現実には減税財源が出てこないからやれないんじゃないですか、現実に。そうでしょう。そういうことを一体何年やってきているんですか。そして、そういうことをやっているうちにどんどん雇用はおかしくなり、空洞化は進み、本当に構造問題が危機的状況に今日来ているんです。  だから、橋本総理も、三年前の村山内閣のときには五つの改革というような発想すら出てこなかったと思うんだ。我々が今度の総選挙で国民との五つの契約というこの中身とおおむねにおいて、経済構造改革、財政構造改革、行政改革あるいは社会保障改革、みんな似ているじゃないですか。言うことまで、実は、一郎命をかけますと言ったら、総理は火だるまになりますと言っているんだもの。そうでしょう。  金融の世界でも、ビッグバンをやろうというのなら、有取税の問題を放置して進むわけがないじゃないですか。そういうこともわかっておって、来年度の税制改正、本当にそのスタートでやるんだというのなら、じゃ、なぜ有取税の廃止ぐらい今度の税制改正でできないんですか。  私は、そういう無責任だという言葉をつけて攻撃するだけが政権政党のすることではない。特に細川政権のときの消費税のことを、鬼の首をとったように喜んで言っておられるような方々があるけれども、あれは三年前の話だ。  あのときの経済の現状認識と、皆さん方の今日の経済の現状認識とがどう変わっているか。どれだけその後景気対策のために借金をふやして、財政赤字をふやし続けてきたか。その結果、経済は現実に今どういう状況にあるのか。私は、そういう深刻な状況の中からこの悪いスパイラルを、完全に閉塞状況に陥っているこの状況を、足元の景気動向がちょっとばかり自動車の売り上げがふえてどうだとか何がどうだとかいうことじゃないんです。根本的に経済の構造からもう一遍やり直しをしなければだめなんだ。それがまさに総理の認識と経済構造改革の原点だと思う。  財政構造改革も同じなんです。現状の仕組みをそのまま頭に置いて、やれ何%削減だよというようなことばかり言っているからメスが入らないんです。だから、本当に財政構造改革をやろうというなら、予算編成の仕組みそのものから、あるいは国、地方の行政の今の仕組みそのものから、もう一遍ゼロからの考えの中で、国家機構のあり方そのものからどう組み立て直すかという発想がなければ、本当の五つの改革にはならないんですよ。  言うならば、金融の世界だけじゃなくて、そういう全体をビッグバン的発想でやっていこうというのが本来の発想なのではないか。そうであるとするならば、私は、政権をとった皆さんが本当に命をかけておやりになることを我々は決して反対はしないけれども、ぜひその覚悟でやってもらいたい。  そして最後に一点、長くなって恐縮でありますけれども、私は消費税率引き上げについて、なぜ財政再建論議との関係の中で行政経費削減を優先をすべきかというと、連日のごとく報道されているじゃないですか。そんな目先のつじつま合わせの、何%削減したからいいんだとかいう話じゃないんです。少なくとも、現在のむだな経費やらでたらめの金の使われ方やら、そういったことにどれだけの憤りを感じておりますか。  まず消費税を上げようというのなら、まず財政再建のために税を上げようというのなら、そういうむだな金の使われ方をこの機会に徹底的にメスを入れて、必要ならば仕組みからやり直してほしい川その上でどうしてもというのなら、私は国民も納得するだろう。しかし、ただ単に数字づらだけ合わせて、いや、この前決めたことだからとか、今回金がないからどうだとかいうような発想で消費税引き上げて、それによって財政再建が進むような発想の仕方というのは、私は、国民の受け入れるところではない。  だから多くの皆さんが、当選者の三百人以上の皆さんが、今度の選挙の中であえて消費税引き上げを前面に出さないで、引き上げ反対とか行革前提とかいろいろ言って当選してきたんじゃないですか。この原点をなくして、選挙が終わったらもうどうでもいいんだというようなことを言っていて本当に日本の大改革が進みますか。このことをぜひ自民党の皆さんには御認識をいただきたい。  同時に、この問題は、民主党の皆さんも社民党の皆さんも公約の中で堂々と反対と書いている人たちはたくさんある。それを何か党議決定で消費税据え置き法案に反対するんだということを決めたとか報道してある。私は、ぜひ皆さん方がしっかりとこの問題をまじめに受けとめて対応を決めてもらいたい。これをこの機会に、恐縮でありました。お時間をとって申しわけありませんでしたが、訴えたいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  109. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 それでは、ちょっと私パネルをつくってきましたので、これを示しながらお話、質問をさせていただきます。  お手元の、委員の方にはぺーパーが行っているかと、同じものでございます。これは、上の方の棒線グラフは一般会計の歳出でございます。下の方の棒線グラフが、折れ線グラフですね、折れ線グラフは租税収入でございます。平成元年、一九八九年から昨年の平成七年、九五年まで、この七年間、歳出の方と税収の方がどういう推移をしておるか、そういうグラフでございます。  私がぜひ知っていただきたいといいますか、注目をしなければいけないと思っていますのは、まずこの税収の方でございますが、ピークは平成二年でございます。総理や大蔵大臣はそんなことは当然よく御存じのことでございますが、平成二年に六十兆を超えております。これは単位は億でございまして、一日盛りが五兆円でございますけれども、六十兆を超えました。平成二年。税収は翌年以降すっと減少をしておりまして、ようやく平成七年に若干税収がふえたということになっております。  それに比べまして、歳出の方は、ほとんど毎年のように歳出がふえていっておるわけでございます。平成六年で若干下がっているときもありましたが、去年はまた上がっておりまして、ことし平成八年度予算でも、当初予算で七十五兆でございますから、これを補正をやりましたら、また、この上をいくのかなというふうに思うわけでございます。  私が言いたいのは、税収はこの平成二年以降、大まかに言いますとずっと下がってきている。二年と六年を比べますと、約十兆近い差がございます。一方、歳出の方は毎年のようにふえていってしまっているということなんですね。この間のギャップをどうしているのかというと、その多くは国債を発行しているわけでございます。建設国債であれ赤字国債であれ、借金をしてこの間の足らない分を賄っているというのが実態でございます。  この下に書いていますのが、一番下の数字が経済成長率でございます。平成元年は四・四%の経済成長がございました。ところが、平成四年、平成五年、平成六年と、この三年間はずっとゼロ%台の経済成長、昨年は二・三、ことしの平成八年は見通しては二・五というふうな見通してございます。  私、このグラフから二つお話をさせていただきたいわけですが、要するに、これは歳入歳出のギャップが構造的に出てしまっているということでございまして、これをどうするんだという話なんですね。これは方法は、単純に言いますと二つしか方法がないのですね。税収の方を上げるか歳出の方を下げるか、このどちらかしか歳入歳出のギャップを縮める方法はないわけでございます。  まず、税収の方をどうやって上げるのだ。上げる方法は、これも二つございます。一つは、増税でございます。そしてもう一つは、これはやはり景気を回復するということ、本来持っておる経済成長を回復するということ。この〇・四、〇・二、〇・五という、このような低成長ではなくて、本来まだ我が日本が持っている三%、四%の経済成長をいち早く回復することが税収を回復するもう一つの方法であると思うわけでございます。  もう一つ、歳出の方をどう削るかという話ですが、ここはやはり削るような方向に持っていかないといけない。歳出の削減を進めていかないといけない。税収が減っているにもかかわらず毎年毎年歳出はふえている。この歳出削減がなかなかできないような構造となっているところにメスを入れて、具体的な歳出削減の計画を定めて、それを実施していくというふうなことが必要なんだろうというふうに思うわけでございます。  そこで、ちょっとお聞きをしたいと思うのですけれども、我々新進党は消費税率の凍結を主張させていただいておる。自民党の皆さんは五%にされる。この違いがどこから生まれてくるのかというと、一つは、先ほど来質疑も大分出ておりますが、日本の経済の現状をどう見ているのか、また、来年平成九年度の成長をどう見ているのか、ここの認識に違いがあるのではないかと思うわけでございます。この日本の経済の現状、また、来年平成九年度がどういう経済見通しが考えられるか、その辺のところ、御答弁をお願いしたいと思います。
  110. 鈴木(淑)議員(鈴木淑夫)

    鈴木(淑)議員 北側委員のお尋ねにお答えいたします。  今のグラフにもございましたけれども、九二年度から四年度まで三年間ゼロ%台成長、その後、昨年度と本年度は恐らく二%台成長でありましょう。しかし、これは日本の実力から見ると大変に低いのですよね。御承知だと思いますが、高度成長が終わった後、平成景気まで日本は平均四%成長しております。それがいわば潜在成長率ということでしょうね。その後、九〇年代へ入って、労働時間の短縮があるとか労働力の伸びが落ちたとかいうことで少し下がっているかもしれませんが、実力相応の成長率は三%台ぐらいだろうね、つまり、今高い失業率が正常な水準へ下がってくるような成長率は三%ぐらいだろうねというのが大方のエコノミストの意見だと思います。  そうしますと、ゼロ%台三年やって、二%台二年やって、この五年間というのはもう毎年毎年実力以下なんですね。これは平均すると一%強ですよ。三引く一%強で五倍したら、これはもう日本の経済は、労働力が余って失業者が多いだけじゃない、設備も余っている、GDPにして七、八%はむだにしてしまっているわけですね。このことから今のさまざまの構造的な問題が起きてしまっているわけですよ。税収が今のグラフのように落ち込んで財政赤字が大きくなっている、失業率は高い、不良債権はふえている、それから産業空洞化の問題もある。さまざまのことが起こっているわけですね。極めて深刻な危機的な状況にあると思います。  ですから、この危機をどうやって解決するか、そのための将来への展望を持った経済政策の戦略と戦術こそが今求められているのだというふうに思います。
  111. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 経企庁長官、来ていらっしゃっていますので。  先ほど大蔵大臣も明確に、特別減税もうやらないというふうにおっしゃられたわけでございます。特別減税もう継続はしないということをおっしゃったわけでございます。そうすると、来年四月からは消費税が五%、来年の一月からの特別減税はない、そして先ほど来話が出ていますように社会保険料の負担は重くなる、こういう状況下で来年度の経済成長というのをどのようにごらんになられているのか。これは数字はまだ言えない話だと思いますけれども、どういう認識を長官はお持ちでしょうか。
  112. 麻生国務大臣(麻生太郎)

    ○麻生国務大臣 ただいまの御質問でありますけれども、これは、前提が消費税を三%から五%へ二%引き上げる、そして特別減税の二兆円はやめるという二つのものを突っ込みの計算になっておりますので、平成九年度から十一年度までの平均で出しておりますので単年度では出ておりませんけれども、三年間平均で国民総生産を約〇・九%程度引き下げる要因になり得るというのが私どもの認識であります。
  113. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 今のは三年間で平均〇・九%下がりますよ、特別減税をやめて消費税率引き上げたらということですね。これは社会保険料の負担の増加は入っておらないのですね。  じゃ、平成九年度、どの程度の経済成長をお考えですか。
  114. 麻生国務大臣(麻生太郎)

    ○麻生国務大臣 この十二月の十九日前後に出せると思っておりますが、来年度のものにつきましてはただいま計算の真っ最中でありますので、ちょっと今この段階で予測を与えるような数字を申し上げるわけにはいきません。
  115. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 新進党の方は政府でございませんので御主張できるかと思いますが、来年度経済成長とうですか、どの程度を考えられますか。今のような前提ですよ。簡単にお願いします。
  116. 鈴木(淑)議員(鈴木淑夫)

    鈴木(淑)議員 さっき村井委員の質問の中に非常におもしろい数字が出ていたのですよ。それは、叶さんという民間で非常に評価の高いエコノミストですね、国民経済研究協会の、ついこの間まで理事長です。彼が何と言っているかといいますと、消費税の税率三%据え置き、特別所得減税二兆円継続、との二つの前提を置けば来年度は三%だと言っているのですね。ところが、今言われているように、消費税率を五%に上げ、もし二兆円の特別減税を打ち切ると、これは一%台に下がるだろうなと言っております。  私も試算してみると、一%台の下の方に来年度の成長率が下がるし、もしかすると一を割ると思っています。ゼロ%台の高い方に来るというふうに思います。
  117. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 国民負担が、特別減税がなくなり、消費税率が五%に上がりということのほかに、今の駆け込み需要というものも当然なくなるでしょう。そういうことをそれぞれ考えますと、先ほどのこの表ではございませんけれども、去年が二・三、ことしか見通し二・五、この程度の数値が果たして出せるのかどうか、私も非常に心配をしておりまして、私は、今のようなこのような状況を考えたときには、やはり消費税率引き上げについてはしない、また特別減税については続けるというふうな選択肢が極めて今大事なときではないかというふうに考える次第でございます。  平成八年度の補正予算をどうするのかというふうな話がございますが、これは政府側の方は現在検討されているところであると思いますが、当然、災害対策等は必要だと思います。ただ、その経済効果ということを考えたときに、来年の初頭にこういう公共投資、補正予算を組むということがどの程度の経済効果があるのか、いかがでしょうかね。
  118. 鈴木(淑)議員(鈴木淑夫)

    鈴木(淑)議員 お答えいたします。  来年一-三月に補正予算で公共投資を追加した場合の波及効果は、異常に低いだろうと思います。なぜなら、四月から特別減税の打ち切り二兆円、消費税率引き上げ五兆円、そして国民負担率の、さらに保険料に伴う上昇二兆円、合計九兆円、国民所得の二・三%ぐらいの負担がふえるわけですから、国民は当然それに備えて所得の増加のほとんどを貯蓄に回すでしょう。そうしましたら、公共投資をふやしても、それで所得がふえたって次の波及効果は出ません。消費に回りませんね。だからこれはもう、来年一-三月に増税と一緒に公共投資の追加の補正予算を出すなんというのは、本当にお金をどぶに捨てて財政赤字をむだに拡大するような話だと思います
  119. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 経企庁長官にもう一問お聞きしますけれども、昨年、「構造改革のための経済社会計画」、これが報告をなされまして、昨年十二月の一日に閣議決定されています。――済みません。ちょっと今質問していますので、静粛にお願いします。  これは、昨年十二月一日閣議決定されて、「平成七年度から平成十二年度までの期間における経済運営の指針とすることを決定する。」というふうに閣議で決めておられるわけですね。この報告書による構造改革を進めた場合の成長率の見通しと進めない場合の成長率等々が何か出ていましたね。これはいかがですか、どういうふうになっていますか。
  120. 麻生国務大臣(麻生太郎)

    ○麻生国務大臣 昨年度の、今お示しになりましたが、経済構造改革に対する指針というのに書いてありますが、先ほど野田先生の方からお話があっておりましたけれども、日本という国の経済構造というものをさわらない限り、いろいろな意味で大胆な改革を行う、その中には行政改革、規制緩和、いろいろなものも入っておりますが、そういったものをやっていかなければ、日本の国の経済というものはいわゆる自律回復、いわゆる公共投資に頼らない自律回復というものはなかなか難しいということで、主に経済審議会においては六つの分野、御存じのような六つの分野にわたっての経済構造改革というものをやるという前提で計算がなされております。  それによりますと、いわゆる高コスト構造というものを是正し、規制緩和等々の構造改革が実施されれば、平成八年度から、計画の最終年度はこれは平成十二年になっておりますけれども、十二年までで実質で年平均三%程度の成長が見込まれるということでありまして、しかし、もし構造改革等々の問題が全然進展しなかった場合においては、約一コンマ四分の三%、一・七ぐらいの程度にしか成長が見込まれないであろうというのがその計画の主な数字の背景であります。
  121. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 ということでございまして、平成八年度は既に始まっているわけでございます。ことしの見通しが二・五。来年が、先ほど来議論になっておるところでございますが、これも相当厳しい状況になるのではないか。そうすると、構造改革が進展した場合に平均三%程度五年間は経済成長するであろうというこの報告どおりになっておらないということになってくるわけですね。やはり構造改革をしっかり進めていくということが極めて今大事であるということを、この報告書は示しているわけでございます。  そこで、一点お聞きしたいと思うのですけれども、先ほどの歳出削減の話でございますが、歳出の削減をしていかないといけない。行政の改革といいましても、かなめは、やはり歳出の削減をいかに進めるかということが私はポイントであると思っております。  総理、この行政の改革、総理が進めようとされておられます行政の改革によって、歳出、出の方の削減をどうしていこうと考えておられるのか、御答弁をお願いします。
  122. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 私は、行政改革で金目をと言われる、そうした視点から必ずしも試算をいたしておりません。なぜなら、よく従来、例えば一つの例でありますけれども、特殊法人の民営化に伴って、それを株式化し証券市場で売却する、その売却益はというような議論がございました。私どもも、ちょうど一昨年の秋、特殊法人改革論議のさなかに、これを東証の上場基準に合わせていろいろ検討してみた時期がございます。ところが、なかなか実は東証の上場基準に乗ってこないというのが現状でありました。  しかし、私は、行政改革というものはそういう視点だけではなく、本当に、一方で規制を緩和することにより、また分権を進めることにより中央省庁の役回りがそれだけスリム化すれば、当然のことながらスリムな行政組織に変えていく、そのためだけでも進めていく価値があると思っております。
  123. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 今の総理の御答弁はあれですか、具体的な歳出削減の、例えば中期計画をつくるだとか、そういうことが必要でないという御趣旨じゃないでしょう。
  124. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 行政改革によってどれだけのと、こういう御質問でありましたから、あえて行政改革というものを財政という見地からのみとらえておりませんということを私は申し上げたかったわけであります。  次年度予算の編成に際しましても、私どもは、一般歳出の伸びを昨年よりもできるだけ少なく抑えてほしい、そのために重点的、効率的な予算の編成をしてほしいということは既に大蔵大臣に指示をいたしておりますし、本日、国会のどこかで時間をちょうだいできました段階で、公共事業を主管する閣僚と公共事業の重点的な、かつ効率的な予算編成というものへの協力の要請のための時間もとりたいと思っておりますし、当然のことながら、そういう努力はいたしてまいります。その上で、当然のことながら、やはり我々は財政再建に向けての計画というものは持たなければなりません。そういうものも検討してまいります。    〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  125. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 それでは、補助金の問題について最後にちょっと触れさせていただきたいと思うのです。  今回の厚生省の汚職事件で、業者や官僚、政治家が、これは一部の方でございますけれども、補助金を食い物にしてきたという実態が浮き彫りとなっております。この補助金制度というものをしっかり点検するとともに、私は、この補助金のあり方について見直しをするべき時期に来ているのではないのかなというふうに思っておるわけでございます。昨日でしたか、会計検査院の報告でも補助金の不当の例が出ておりましたが、私は、この厚生省の問題も、もちろんだれだれが悪いという問題はあるのですけれども、単にそれだけではない、制度そのものにやはり問題点があるのではないか。補助金制度自体について徹底して抜本的に見直しをしていくべきじゃないか。地方自治体の自立性とか、自主性をできるだけ尊重していく時代でございますし、地域ごとにニーズはもうさまざまでして、投資の対象についても地域によって優先順位は違います。また、行政の効率化とかむだをなくすという意味でも、もうできるだけ地方でできることは地方にどんどん任せていくということをしていく必要があるのではないか。  そういう意味では、この補助金につきまして、これは原則論ですよ、原則論でございますけれども、そういう広い地域にまたがっている事業だとか、また国の専管事項だとかそういうものを除きまして、これはできるだけ一般財源化というのを進めていく必要があるのではないかと思うのですね。  この補助金の見直しについて、総理また新進党の方からそれぞれ御答弁を聞きまして、質疑を終えたいと思います。
  126. 野田(毅)議員(野田毅)

    野田(毅)議員 時間の関係がありますので、簡潔に申します。  今御指摘のとおり、結局、中央集権型の国のあり方から、もっと本当に地方を主体にした国のあり方に切りかえていこう、そうでなければ、本当の意味で行政経費の削減もできないし、補助金の効率的な使用もできないのだ。そしてさまざまな不祥事件も、国が全部補助金を基本的に中央、霞が関で鉛筆をなめて決めるというその構造に、今度の補助金、厚生省だってみんなそういうことになっている。あるいは、この時期陳情行政がどんどん出てきている。これをどうやってなくしていくかという、官官接待のもとはやはりそこにあるわけですから。  そうであるならば、今まで事業ごとに各中央省庁か査定をしてやっておるやり方を改めて、むしろ一括して地方に交付をしていくという形に、つまり補助金ということをやめて地方の財源化をしていく。当面は、すぐの切りかえは難しいならば、交付金的な形で一括交付していく。どこの県でどういう事業にどれだけいっやるかということは、それぞれの県が自己責任において主体的にやってもらう。そのことによって実は重複投資も避けられる。ある県によっては下水道を優先するところがあるかもしれない。地方においては、漁港だとかあるいは農業の基盤整備がまだ必要なところが現にあるはずだ。そういったところはそういうところに行くでしょう。  それを今は全部農林省なりそういったところ、あるいは建設省な力、学校にしたって文部省なり、そういったことを全部中央で査定してしまうから、要らないところに金が行ったり、補助金がつくから手を挙げようとかそういうことになってしまって、結果的にそのことが行政経費削減、歳出削減の上でもネックになっている。だからこれは単なるシーリングという方式だけではできないのじゃないか。  私たちは、そういう意味で制度の仕組みからメスを入れてやっていくような、そういう歳出削減ということに、つまり制度そのものに切り込んでいくようなそういう削減を我々が責任を持つ立場になればぜひやりたい、またやらなければいけない、またそれをやらなければ本当の歳出削減はできないんだということを申し上げておきたいと思います。
  127. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 私もできるだけ簡潔にお答えを申し上げたいと存じます。  確かに私は、今の野田議員の主張されたことを全く否定するものではありません。そして、当然のことながら、将来において補助金が一括交付金方式になるというのは最終の目標です。  しかし、そのプロセスにおきましても、我々は、補助金制度というものが現実にある以上、あるいはメニュー化、統合化を図る、あるいは補助基準の単価をきちんと積算を見直していく、そしてその交付の実態についてもできるだけその情報が開示されるように一方では努力をしながら、整理合理化に加えてこうした点の努力を進めていきたい、これは当然のことでございます。  そして、私たち自身が、今回非常に世間をお騒がせしている事態を本当に残念に思いますけれども、基本的には、やはり国の許認可、規制、こういうものを減少させ、また分権を進めていけばその温床を断つことができる、そうした視点も持ちながらこの問題には取り組ませていただきたい、そのように思います。
  128. 北側委員(北側一雄)

    北側委員 最後に一言。  冒頭申し上げました選挙公約に関連いたしまして、あした我が方の法案が本会議にかかる予定でございます。記名投票でございますので、どの議員の方が選挙での公約と投票行動が違うかははっきりと国民の目の前で明らかになりますので、その点を指摘いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  129. 村田(吉)委員長代理(村田吉隆)

    村田(吉)委員長代理 この際、山本孝史君から関連質疑の申し出があります。村井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山本孝史君。
  130. 山本(孝)委員(山本孝史)

    山本(孝)委員 新進党の山本孝史でございます。  先月の十一月二十日に、社会保障関係審議会の会長会議がまとめた「社会保障の構造改革の方向」の中間まとめというのが出ました。橋本総理が主張される国民負担率五〇%以下の目標を達成しようとすれば、社会保障制度の見直しだけでそれを達成しようとすれば、今後、医療保険、年金の給付を二割以上引き下げる必要があるだろうという見通しが出されております。  一方で、政府は今、消費税引き上げ、医療保険の負担増あるいは介護保険の新設といったような形で、国民にさらなる負担を求めようとしている。そこに今回の厚生省の福祉汚職が起こったわけですけれども、阪神・淡路大震災あるいは薬害エイズ問題で増幅された国民の官僚機構への不信感というものは、今究極のものになっているのではないだろうかと思います。  きょうの朝日新聞でしたかで国民の六五%は官僚を信用していないというような数字も出ておりまして、税金の徴収とその執行に当たる官僚機構への信頼なしに国民にさらなる負担を求めるということは、これは押しつけ以外の何物でもない、そんなふうに思うわけであります。  そこでお尋ねなのでございますが、総理にお尋ねをいたしますけれども、政府として、行政への信頼を取り戻すためにどのような対応策を講じようとしておられるのか。これまでにもたびたび御答弁をいただいておりますけれども、ぜひ具体的にお答えをいただきたいというふうに思います。    〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  131. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 本当に、先般来何回もお答えを申し上げておりますように、この事態を私ども残念に思います。そして官房長官と私は事務次官会議に出席をし、事務次官会議において異例の綱紀粛正に対する指示をいたしました。それとあわせて、武藤総務庁長官から官房長官に対し、実効の上がる綱紀粛正策というものを求めて、できるだけ早くこれをまとめるようにという要請をいたしております。  まだ現在、その結論を私は耳にする、国会に実はくぎづけになっておりましてまだ聞くに至っておりませんけれども、今日、公務員の倫理に対して新たな立法を求める声すら大変強くなっております。そうしたものも視野に入れながら、私は、官房長官から出てくる綱紀粛正策というものがその立法を必要としないものであるような内容であることを期待をいたしておりますけれども、現実においては、その可否を含め、考えていかなければならない状況にあることを非常に残念に思います。
  132. 山本(孝)委員(山本孝史)

    山本(孝)委員 私の質問は官僚に対する不信感を払拭するためにどういう手だてを具体的に講ずるかということで、今の御答弁は綱紀粛正策という形でお話しになったわけですけれども、今回の不祥事そのものは、やはり厚生省ぐるみの色合いを持っているのではないかというふうに思うわけです。官僚機構が官益を広げるという目的でいわば自己増殖機能をフルに発揮した。それが今回のこの事件ではないか。そういう意味で、単なる公務員の綱紀の問題ではなくて、行政組織にかかわる構造問題だという認識が私は必要であろうというふうに思うわけです。それは、後でお尋ねをします補助金の問題ですとか、あるいは茶谷さんの衆議院選挙の問題にもうかがえるのではないかと思うわけですね。  ことしの十月の十二日に上尾市内で開かれた茶谷しげるを励ます大集会で応援演説に立たれた小渕恵三代議士が「茶谷君はベテラン中のベテラン。我が党を代表してぜひ政界に送り込みたい。よろしくお願いします」と述べて、さらに次のようにもおっしゃっておられる。「以前、厚生事務次官だった古川官房副長官から私に電話があってね、竹下内閣のときに一緒に仕事した男ですが、「ぜひ、彼のことをお願いしたい。彼は大変ハートのある男だ。切れば血の出るような誠実な男だ」と。よく考えてみると、切れば血が出るのは当たり前なんだけどね(笑い)」というようなお話が出ている。古川官房副長官から働きかけがあったと。あるいは関根則之参議院議員が、「外では言えませんけれども、厚生省の事務次官も官房長も、よろしくと言ってきてますよ」というふうにおっしゃっておられる。  厚生大臣は、このように厚生省の中枢におられた方たちが茶谷さんの選挙に非常に熱心だったという、この事実は御存じでございますか。
  133. 小泉国務大臣(小泉純一郎)

    ○小泉国務大臣 これは、政治家も反省しなければならない点があると思います。  というのは、役所出身の人は役所が応援するのは当たり前なんだというような認識が政治家の方にもあると私は思うのです。しかし、公務員というのは政治的行為を厳しく制限されております。これについて甘過ぎなかったか。与野党ともに、役所を動員するとか、役所を使うとか、省を挙げてやるというのは、これは公務員の政治的中立性を保つ上において厳に慎むべきだということを再度認識する必要があるというふうに私は考えております。
  134. 山本(孝)委員(山本孝史)

    山本(孝)委員 九月に灘尾ホールで開かれた茶谷さんのパーティーのパーティー券が厚生省内の指示系統で売られていたという疑いがあって、これは以前も御質問でお答えになって、そんなことはないんだというお話になっておりますが、厚生省の中の調査として、そんなことはありませんでしたという一片の御通知が人事院の方に出ている、ただそれだけにしかすぎないわけですね。やはり厚生省ぐるみの選挙だったのではないかというふうに疑われるような事態が起きているということについて、しっかりとした中の調査をやっていただきたいというふうに思います。  きょうは時間の関係で短くなりましたので、はしょって申しわけございませんけれども、総理は、茶谷さんを公認候補としたことの不明を恥じるというふうに何度も答弁をしておられます。その点は大変に謙虚にというと失礼でございますけれども、受けとめておられるのだなというふうに思っておりますが、自民党の問題というよりは、茶谷さんが官僚としてお出になったということについて、自民党のお立場でも、茶谷さんに出馬をいつから働きかけられたのか、あるいは自民党から立候補させるのを事実上決定したのはいつなのか、こういう茶谷さんの出馬に至るまその経緯をぜひはっきりとしていただきたい。  これは、そういう自民党のどうだこうだというのはもう総理の御答弁でわかっておりますので、ぜひそういうことを、経緯を明確にしていただきたいということを、ここは指摘だけ、お願いにさせていただきたいというふうに思います。ちょっと時間がございませんので……。
  135. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 答えさせていただけませんか。――今、確かに私ども、茶谷さんという方を公認したという点について、その不明を恥じております。  御依頼がありましたので、これを調べてみましたところ、平成八年の一月十六日に、当初埼玉六区で立候補を予定されておられた方が公認辞退を県連本部に申請をし、それを本部が許可をいたしたところから新たな候補者の選定の作業が始まったようであります。そして、七月ごろに支部の中で、複数の候補者の一人として茶谷氏の名前も上り、支部では決定をすることができず、支部から二人の人間を併記して、県連にその作業を一任をいたしました。県連は、その一任を受けた結果、八月二十日、本部に茶谷氏が適当という公認申請をしてまいりました。本部は、八月二十七日、茶谷氏を公認したということであります。この点は、不明をおわびすると繰り返した以上、事実として申し上げておきます。
  136. 山本(孝)委員(山本孝史)

    山本(孝)委員 御丁寧な御答弁、ありがとうございました。  我々、今回のこのいわゆる厚生省の福祉汚職事件の背景を調べるために、福祉行政のどこを手直しすべきなのかということを考えまして、まずは現地を調査すべきだということで、埼玉県と山形県に行ってまいりました。  現在、山形県の大江町に彩福祉グループが進出して、特養と地域福祉センター、そこに精神薄弱者の更生施設と授産施設をあわせた複合型の福祉施設の建設が進んでいるわけです。この一件についてお尋ねをいたしたいのですね。これは補助金の使い方ということについても大変に大きな問題がございまして、特に消費税の問題は福祉社会をつくるという意味でもございますので、今お手元にお配りしております資料をぜひ皆さん見ていただきたいと思います。  この計画の推進役になっておりますのが、厚生省から山形県の障害福祉課長に出向されておられた黒川さんという課長さんです。この課長さんが行かれたところでこういう計画が立てられた。これが大江町の計画でございますけれども、この中で、既に今回の厚生省の調査で明らかになっていますけれども、この施設の設置話が大江町に彩福祉グループの小山理事長とそれからこの黒川さんとで持ち込まれたのは、平成七年、昨年の六月十五日、初めてこの話が大江町に持ち込まれました。そして、わずか半年後の十二月十三日には、社会福祉法人の彩江会が認可をされております。なぜこんなにも事が早く進んだのか、大江町を訪ねるまで大変に不思議でした。この資料によってそのなぞが解けました。  この資料は、二人が大江町を訪問した直後の平成七年の夏につくられたのではないかというふうに思います。七ページの記述にございますように、「大江町に設置する福祉施設の構想」という中に、「建設、運営にあたる法人の認可申請も行っていない段階であり、また、県、国との協議にも入っていない状況であるため具体的建設計画はつめられていない。」こういうふうに書いておられます。  確かに、この時点では、県の施設整備計画にもこの大江町の計画は載っておりませんでした。それが、両名が大江町を初めて六月に訪問してからわずか三カ月後の九月二十七日には、国庫補助協議書が法人から県に提出をされています。翌十月十九日には、厚生省から県に対して国庫補助内示通知が出されている。六月に初めてそこを訪問してからわずか四カ月で国庫補助金がっくという状況が山形県の大江町であったわけです。何という早さでしょうかというふうに思うわけですね。  その答えが九ページ目に実は載っております。恐れ入ります。九ページをごらんいただきまして、「社会福祉法人の設立」というところでございますけれども、「事業実施年度については、もちろん未確定であるが、ただ平成八年度、九年度は県内の数市町村が希望を出しているため、平成七年度の第二次補正をターゲットに名乗りをあげ、平成七年度に事業採択を受け、七・八・九年度の三か年間の継続事業として実施できないかどうか現在検討中である。」というふうに書いてあります。事実はそのとおりに進みました。  厚生大臣にぜひお尋ねをいたしたいのですけれども、このように、国の予算を地方の県庁に出向している厚生官僚がまるで自分のポケットマネーのようにして自由に使うことができるのでしょうか。社会福祉法人をつくる、あるいはそれの認可をいただく、国庫補助金をいただくという中で、六月に話を持ち込んで、もうその年のうちには法人ができて補助金がおりてくるというような状況は、普通、社会福祉の現場では聞いたことがありません。こういうようなことができるのかどうか、厚生大臣の認識をぜひお伺いをいたしたいと思います。
  137. 小泉国務大臣(小泉純一郎)

    ○小泉国務大臣 今回の不祥事は、福祉施設整備が必要だという、この拡充を図るための制度を悪用した点にあると思うのです。そういう点を含めて、今、選定手続やらあるいは申請者の資質その他に問題がないかということを点検しておりますが、率直に私は感じているのですが、もしこのような不祥事が起こらなくて、わいろも収賄もない、立派な人が運営してこのようになされたら、これはいいことですよね。そうでしょう。これは全くスピード、よくやったと言われることなんですよ。そういうことも含めて、今までの制度はどういう点に問題があったのかということを今再点検しています。そして、必要な改善措置を講じていきたいと思います。
  138. 山本(孝)委員(山本孝史)

    山本(孝)委員 ゴールドプランという大きな計画に基づいてきちんと各地公平に物事を進めていこうと言っている中で、県の施設整備計画も飛び越して、一人の県庁に出てきている中央官僚が自分の意図でもって何かができる、こういう補助金の交付、認可の権限がその出向者に集中をしているという状況が極めて問題である。確かに施設は立派です。こんな施設、私の地元にもあったらいいなと多分皆さんお思いになるほどに立派な施設です。しかし、それがそういう形でなされていくということが、本当にそんな恣意的なことがあっていいのだろうかというふうに思うわけですね。そこのところをぜひチェックをしていただきたいというのがきょうの私のお願いでございます。  本日指摘したこの山形県大江町に見られるようなゴールドプラン、これは総理が大蔵大臣のときにおつくりになって、三塚大蔵大臣が政調会長だったかと思いますけれども、そのときに心を込めておつくりになったゴールドプランが、今回錬金術のようにして使われてしまっているということで大変心を痛めておられると思いますけれども、こういうふうにゴールドプランを舞台にしてのずさんな行政が行われているというのが残念ながら事実ではないかと認めざるを得ないのですね。  ここにもう一つ手紙を持ってまいりましたけれども、これは昨年の秋に、とある施設長経験者から厚生省の老人保健福祉局企画課指導調査室長あてに送られた手紙のコピーです。この中には、理事長が法人を私物化している、あるいはずさんな経営をしているということについて、この元施設長から厚生省に切々とお訴えになっておる内容になっております。  一生懸命福祉の現場で今高齢者福祉に携わっておられる方たちが、今度の厚生官僚のこの汚職事件でもって、自分たちもそうじゃないかと思われているというのは大変に残念な思いですし、無念な思いがいたします。ただ、これは、そういうことが少なくないということがこの手紙でも見られるわけですね。この彩福祉グループのような報道が問題外で、多くの高齢福祉事業に従事されておられる方たち、その方たちのお心を思っても、ここはやはりもう一遍このゴールドプランというのを見直すべきではないだろうか。  一例として、今、やはり自治体によるベッド買いが横行している。この間の新聞でも、青梅市で、十八の施設がある中で、そこで青梅市民は一割しか住んでいないというような状況もあるわけですね。ゴールドプランというものが進む中で、国が定めた目標に追いつくために地方の自治体は、どこへ行ってもそうですけれども、一生懸命やっている。ただ、その目標に追いつくがために、これは羽毛田老人保健福祉局長もお認めになりましたけれども、変な業者が入ってくるということを今排除できないという状況の中で、本当に心のこもった福祉行政というのはなされているのだろうか。その中で消費税は本当に引き上げていいのですかという部分は、やはりもう一遍点検し直すべきだと思うのですね。  それで介護保険法案、あす本会議の趣旨説明だというふうにも聞いておりますけれども、きょうも先ほど厚生委員会理事懇で、早くやれ、早くやれというふうにおっしゃる。早くやれ、早くやれとおっしゃる前に、もう一遍見直しをしていただきたい部分があるのではないでしょうか。でないと、税金のむだ遣いはどこまでもとまらないのじゃないでしょうかというふうに思うわけです。  そういった点で、予算委員会の中でも、そうした御疑念を払拭するためにもしっかりとその調査をしますと総理はおっしゃっておられますし、各省庁にもそれだけの努力をする責任があろうと思いますというふうに今月に入っての予算委員会でおっしゃっておられますけれども、厚生大臣、そこら辺で調査が本当にきちっと進んでいるのか。単にポイントをとっての調査じゃなくて、全部の施設の今までの洗い直しをして、そして国民に新たな負担を求めるなら求めるという形で介護保険を私はお出しになるのが筋ではないだろうか、こういうふうに思うのですけれども、厚生大臣、いかがでしょうか。
  139. 小泉国務大臣(小泉純一郎)

    ○小泉国務大臣 介護保険制度の導入は、これから高齢社会に向かって介護の必要性というのは大方の人は認めると思うのであります。そういう中にあって、保健医療サービス、福祉サービス、これを効率的に、利用者本位の制度を何とか導入したいということで、今回、介護保険制度の法案を提出しているわけでございまして、その点と、在宅サービス、施設サービス、両方を拡充する上において私はこの介護保険制度の導入は必要だという観点から、今、国会に御審議をお願いしているわけであります。  確かに、不祥事の問題、信頼を失墜した点はあります。しかしながら、そういう不祥事を克服する努力をしながら、介護保険制度は必要だという多くの方々の声、この不祥事が起こる前からできるだけ早くこの介護保険制度を導入してほしいという方々の声にも耳を傾けながら、この不祥事を反映しつつ、介護保険制度の導入を御審議いただきまして、できるだけ早く効率的で、介護を要する方の利用者本位に適したような制度を導入していきたいと思いますので、よろしく御協力、御理解をお願いしたいと思います。
  140. 山本(孝)委員(山本孝史)

    山本(孝)委員 もう一度申し上げますけれども、消費税引き上げるのであれば、ぜひ厚生大臣、現場を見ていただきたい。老人ホーム、たくさんあります。ぜひ現場を見ていただいて、新しい施設だから必ずしもいいサービスをしているとは限らない、そこのところをぜひ見ていただきたいと思うのです。  新進党の方も、ぜひ野田先生お考えを、今ここで介護保険、早急に、早く通せ、通せとおっしゃっておられるわけだけれども、ぜひお考えをお聞かせをいただきたいと思います。あるいは坂口先生、お願いをいたします。
  141. 坂口議員(坂口力)

    坂口議員 私たちも、介護保障制度を確立をしなきゃならないということは、そのとおりであります。ただし、何が何でもまず介護保険制度をやろうというこの考え方には、私たちはいささか抵抗を感じております。  と申しますのは、先ほどからも話がありますように、その前にもう少し調べなければならない、現実を把握しなければならない点が多いと思います。一つは、やはり人的な問題で、非常に足らない、あるいはまたもっと訓練を要する地域があるということ。それから、施設にいたしましても大変足らない地域が出てきている。市町村の方々にお聞きをしました場合に、前回の厚生省の調査のときに出しました数と非常に格差の出てきているところがある。そうしたことから、もう一度調査をし直してほしいという御意見も多いわけでございますので、ぜひ実態の調査というのはもう一度やらなければならないというふうに思っております。  そうした中で、どういう制度でやったらいいのかということを私たちもまとめたい。六十五歳以上の大体約一割ぐらいの人が介護にかかるわけでございます。その中でまた、認定を受けてそこにかかれる人とかかれない人とが出るわけでありますから、一部の人たちがその中に入るわけでありますので、保険制度がなじむのかどうか、そんなことも含めまして、私たち、考え方を次の通常国会でお示しをしたいと考えているところでございます。
  142. 山本(孝)委員(山本孝史)

    山本(孝)委員 質問時間が終わりましたので、終わります。ありがとうございました。
  143. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 これにて村井君、北側君、山本君の質疑は終了いたしました。  次に、古川元久君。
  144. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 さきの総選挙で初当選させていただきました民主党の古川元久でございます。どうかよろしくお願いいたします。  民主党は、さきの総選挙におきまして、行政改革の断行を初め幾つかの条件を挙げながらも、未来への責任を掲げる責任政党として、安易にツケを将来世代に回さないという基本姿勢に立ち、消費税引き上げについてはやむを得ないという立場をとりました。そこで私は、この条件部分の実現を政府に求めるという意味で、政府に対して質問をさせていただきたいと思います。  これは経営の神様と言われました松下幸之助さんが言われな言葉でありますが、私は、税の問題を考えるに当たっては、ただ単に政府のそろばん勘定だけを考えるのではなく、国民の感情もよくよく考慮して、この二つの感情のバランスの上に国民に負担をお願いしなければならないものと考えております。  今回の消費税引き上げに対します政府の説明を見ておりますと、所得税減税の見返りという政府のそろばん勘定の部分ばかりが強調されて、国民の感情には十分に目が向けられていないのでないか、そんな気がいたすのでありますが、それが、消費税の必要性自体には多くの国民が理解を示している中で、消費税に関する各種の世論調査で半数以上の人が消費税引き上げに反対している原因ではないでしょうか。  消費税引き上げになぜこれほど多くの人が反対しているのか。私は、大きな原因として次の三つのことが考えられると思っております。  まず第一に、税金がむだに使われているのではないかという、税金の使い道について大きな疑念があること。第二に、消費税が今後どんどん上がり続けるのではないかという、そうした将来に対する大きな不安があること。そして第三に、現行の消費税制自体に逆進性や益税など制度的な問題点があるということであります。  そこで私は、この三つの切り口から質問させていただきたいと思います。  まず第一に、税金の使われ方に対する大きな疑念であります。官官接待や空出張、そして社会福祉法人設立にまつわる補助金の不正な使い方など、税金のむだ遣いがいろいろと指摘されております。  消費税引き上げの大前提として、目に見える形での大胆な行政改革が必要なことはもちろんでありますが、この点に関しましては、再来年とは言わず、総理には次の通常国会でぜひとも大胆な行政改革の実現をしていただきたいと思うのでありますが、昨日発表されました会計検査院の九五年度決算検査報告によりますと、税金のむだ遣いが二百八十六億円もあって、過去十年でも最高という話であります。大きな行革ももちろん大切なのでありますが、こうしたむだ遣いも許しておくわけにはまいりません。総理は、この報告をごらんになってどう思われましたでしょうか。
  145. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 昨日、会計検査院の方からその概略の説明を受けました。その中には本当に悪質なものもございます。また、職員がちょっと注意を払えばそのようなことがなくて済んだというようなケースのものもございます。さらに、さまざまなケースがこの中にはございまして、海外におけるODAの中でも何件かがその対象となっておりました。  これ、それぞれに私は指摘事項、指摘を受けるだけの重みのある実態と存じますし、特に私が感じましたことは、実は同じ種類の勧告を連続して受けているケースがある。これはやはり本当に事務的にどこかたるみがあるといいますか、ミスがあるといいますか、連続して同じような注意を、検査院からの指摘を受けなければならないような問題については、より積極的にその対応を検討させなければならない。  また、うっかりという種類のものは、むしろ末端の職員まで、ルールが変わったこと、それを徹底させるといったことによってそのうっかりミスを防がなければならない。悪質なものについてはこれは当然でありまして、これは当然きちんとしなければなりませんが、そうした細かな注意を払うだけでも指摘事項の相当部分を減らし得る。そうした点でも業務の見直しか本当に必要になっているというのが実感でございます。
  146. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 行政内部の。チェック機関といたしましては総務庁の行政監察局があるわけですが、こういう検査報告を見ますと、行政監察局は税金のむだ遣いをチェックするという機関としては機能していないのではないかと思われるのですが、いかがでしょうか。
  147. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 むだ遣いをチェックできないと私は思っておりません。  例えば、一つの例を申し上げますと、これは雇用保険事業の運営に関しての行政監察を平成六年に労働省に対して行った勧告でございますけれども、移転の就職者の入居が非常に低調であったために住宅計画の戸数を縮減したらいいんじゃないかということで、たしか四千戸縮減をさせたわけでございます。これはやはりむだ遣いを私はさせなかったことになっていると思います。  また、先ほど来いろいろ議論されております特養老人ホームにつきましても、私は早速今の行政監察局に指示をいたしまして、東北管区を初め四カ所でこの問題に対してもう一回チェックをし直すようにという指示をしたわけでございまして、一生懸命、できるだけ行政経費が効率的に使用されていく占つにチェックをしていくということはやっておると思っております。
  148. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 今お話がございました特養につきましては、既に行政監察局、一度平成四年にも勧告をしておるはずでございまして、それが見過ごされてきたことが今回のいろいろな不祥事につながっている。  そういうことから考えますと、私たち民主党といたしましては、こうした行政の内々のチェックでは十分な監視はできない、民間企業でも監査の外部化が叫ばれますように行政も外部監査が必要である、そのように考えて、私どもは、国会に行政を監視する行政監視院を設置し、かわりに行政監察局を廃止する法案を、行政の質的改革を進める第一弾として提出いたしました。  総理におかれましては、ぜひとも前向きに御検討をいただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  149. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 私は、国会が行政の監視機能を強化する、そうした視点から、憲法のさまざまな規定を踏まえて活動されるということは非常に大切なことであると存じます。従来からも、例えば調査室の機能を充実する、あるいはそれを大きくまとめて活動してもらえるような工夫をする、さまざまな角度で国会の行政に対するチェック機能を強化しようという議論がなされてまいりました。それだけに、私は、国会にこうしたものをおつくりになるということを全く悪いことだというようなことを申し上げるつもりはありませんし、その機能を強化されるということは大事なことだと思います。  ただ、私は、行政監察機能を政府自身が全く持たなぐていいとは思っておりません。もし内部監査としての力が弱い、事実弱かったわけであります、今議員も御指摘になりましたように、過去に勧告をしたものが是正をされておらなかったという実例がここにあるわけですから。これは私は、本当にそれだけの力を持たせるように我々もまたしていかなければなりませんし、行政監察機能の強化というものは、私はやはり内部努力としてこれは必要なものだと思っております。
  150. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 この問題につきましては、行特委の方でもまた議論をさせていただきたいと思っております。  さて、税金のむだ遣いといえば、最近では岡光元次官に対しますボーナス支給などはその最たるものと言えるのではないかと思うのですが、法律で決まっているから仕方がないと言っていたのでは国民の感情はおさまりません。何とか取り戻す方法を考えるべきだと思います。  厚生大臣は、厚生省に対する信頼を岡光元次官が失わせた。そういったことで、岡光元次官に対して損害賠償を提起してはいかがでしょうか。
  151. 小泉国務大臣(小泉純一郎)

    ○小泉国務大臣 人間の信用というのは、金銭では償い得ないものだと思います。この厚生省に対する信頼を失墜させだということは、いかなる金銭でも私はぬぐえないものだと思います。  今回、確かに不祥事を起こしました。退職金は支給を停止いたしましたけれども、このボーナスは給与の後払い的な性格もある。いろいろ国民感情も考慮いたしました。しかしながら、法律的にこれはやむを得ない措置であるということで支払わざるを得ないことになったわけでありますが、国民感情も考えまして、返還をどうかと働きかけておりますが、今のところ、本人からその返事はないというのが実情でございます。
  152. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 どうか国民が税金を納める気をなくすることのないように、その使い道、そして公務員の行いについては、政府として最善の注意を払っていただきたいと思います。  次に、将来の負担増に対する国民の不安感についてお尋ねいたします。  私は、こうした国民の不安感を解消するためには、将来の国の財政の姿をビジョンとして明確に国民に提示することが必要だと考えますが、総理は、来るべき高齢化社会において我が国の歳出規模はどれくらいで、そのときに国民負担はどの程度になるとお考えでしょうか。
  153. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 まず申し上げなければならないこと、それは、現在の財政構造を放置したまま進行してまいりました場合、既に現在二十一兆円に上っております歳出と歳入のギャップはますます拡大をしていく、高齢化の進展等によって歳出規模が増大しますから。年を追うごとにその規模は拡大していくということであります。  そして、産構審あるいは経済審等の部会あるいは小委員会で幾つかのシミュレーションをいたしておりますけれども、現時点の状況のままで一切の制度改革をせずに、もちろん一定の仮定は置いてでありますけれども、その数字を延ばしていきますと、西暦二〇二五年ぐらいになりますと完全に我々は破産の状態になるというシミュレーションがあります。そして財政構造改革のみ、あるいは社会保障構造改革のみという改革では、国民負担率を実質五〇%の中におさめるということ自体が難しい。むしろ、社会保障構造改革、財政構造改革の努力を並行して行ってようやくその目標に到達できるといったシミュレーションが既に出されております。  恐らく最終的な報告までにこれはより精査をされるでありましょうし、両者とも多少の数字の食い違いはございます。しかし、二十一世紀に向けて、本当に私たちが子供たちや孫たちに責任を果たすことを考えましたとき、今のような財政構造を放置するということは到底私は許されることではないと思います。  今委員から、数字の上でのお話がございましたけれども、これは私は、これから先国民が同じ負担をしてくださるにしても、税を選ばれるか、保険料の形態を選ばれるかによっても変わってくることでありますので、軽々なことを申し上げるわけにいきません。  しかし、我々は、それ以前の問題として財政健全化に向けての目標を設定していかなければなりませんし、これは、例えばEUにおける財政赤字の対GDP比率をとった基準、あるいはアメリカ、イギリス等において目指しまたは予想をいたしております財政収支均衡、我々はかつて特例公債脱却、公債依存度引き下げといった手法を用いたわけでありますが、こうしたことを考えながら財政健全化目標の設定に努力していきたい、今そのような感じでおります。
  154. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 今のお話では、国民は一体どれくらい将来的に負担を求められるのか、それを政府として、ある程度具体的な数値として目に見える形で国民の前に示していくということが、今後の、国民に負担をお願いするにしても、御理解をいただくためにまず必要なことではないかと思いますので、ぜひともその点に関しましては、政府としてもビジョンを明らかにしていただくような努力をしていただきたいと思います。  さて、先日、総理は大蔵大臣に対しまして、来年度予算の歳出圧縮、すなわち歳出の伸びを一%台に抑えるように指示されたというお話がございますが、国債残高だけで二百四十兆円を超えるという財政状況を考えれば、今日必要なのは、伸びの圧縮といった生易しいものではなく、歳出の大幅カットという蛮勇を振るうことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  155. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 圧縮という言葉もあります。縮減という言葉もあります。カットというのもあります。そういうことで、カットということでありますと、全部やめちゃう、こういうことの意味もあるでしょうから、直ちにやめられるものもありとせば、それは制度上の問題ですからやめなければなりません。来年が財政構造改革元年ということで取り組むわけでありますから、明らかな形でこれが目に見えていかなければなりません。聖域を設けず縮減を図り、一%、こういうことで、シーリングはゼロということに結果はなるでしょうか。
  156. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 最初にも申し上げた松下幸之助さんは、石油ショックの昭和四十八年に、昭和十年を基準にして、物価は千倍、賃金は千三百倍、それにもかかわらず国家予算は一万三千倍、このままいけば三万倍になる、そうなれば国家は破産するというふうに言われたそうです。  今の国家予算は、この考え方でいけば、既に三万倍を超えています。財政危機宣言どころではないはずなんです。総理、ここは財政均衡法を制定して、これ以上の歳出膨張を法律で禁止し、計画的な歳出削減を法律で義務づけるべきではありませんか。
  157. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 今、ですから、私はその財政再建目標というものをつくるということは既に申し上げました、御答弁で。そして我々は、平成九年度予算の編成、まあ当然のことでありますけれども、その後に向けて目標をつくろうと今努力をいたしております。
  158. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 まだまだ、私は、政府の御認識ではこの今の財政危機を克服するには十分ではないというふうに思っておりますので、政府がやらないということであれば、私どもは議員立法という形でそういう財政均衡法のような法案を提出して、その成立を目指していきたいというふうに思っております。  それでは、次に、消費税自体の制度上の問題点についてお尋ねいたします。  消費税に対する国民の不満の多くは、消費税が所得の多い人にも少ない人にも同じ税率でかかり、所得に占める税負担の割合が所得が低いほど大きくなるという逆進性の問題と、消費者が支払った消費税のうち国庫に納入されずに業者の手元に残ってしまう部分があるのではないかという、いわゆる益税の問題に集約されると思います。  逆進性の緩和につきましては、食料品等の生活必需品への軽減税率の適用や、低所得者層への消費税の還付といった対策が考えられると思いますが、まず、現行制度においてこのような軽減税率を導入することが可能でしょうか。
  159. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 現行の消費税は三%でございまして、来年四月から五%に上げさせていただくわけでございますが、世界の付加価値税の例等から見ましても考えられることですが、極めて低い税率のもとで軽減税率を設けることが価格にどう反映するか、事務負担がどうなるかということを考えた場合には、現実的でないと思っております。
  160. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 今、インボイス方式にしなきゃできないというお声があったんですが、まさに、軽減税率導入のためにはインボイス導入が私も必要ではないかと思うんですが、それがない現在におきましては、歳出面で配慮していくしかないというふうに思うのであります。  歳出で対応する場合に問題となりますのが、所得税は納めていないし、かといって生活保護やあるいは年金も受け取っていないような人たちがいる。こうした人たちは、今回行われた所得税減税の恩恵も受けていませんし、臨時給付金のような形で消費税の負担増分をカバーすることもできませんから、もろに消費税分の負担増だけをこうむることになります。  一体、こうした網から漏れてしまっているような人たちは、おおよそどれくらいいるというふうに考えられるのでしょうか。
  161. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 国税を納めていただいている方、その下に、また、地方税を納めていただいている方がおられます。一方で、福祉の世界でカバーされる方がいらっしゃいますので、その中間がどのぐらいの数になるかということを的確に申し上げることは、なかなか難しいと思います。また、日本の場合、課税単位が個人ごとになっておりまして、その方々が必ずしも世帯主ではなくて、かなりの場合独身の個人であるというケースではないかと思っております。
  162. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 私は、これはかなりの人数、何百万という単位でいるんじゃないかと思うんですが、こういった多くの人たちを見過ごすわけにはいかないと思うんです。  しかし、こうした人たちに消費税を還付するためには、所得把握のために納税者番号の導入が必要だと思うのでありますが、政府は、二〇〇一年の納税者番号制度導入に向けて検討を進めているはずだと思いますが、現在の検討状況はいかがでしょうか。
  163. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 納税者番号につきましては勉強を続けてきておりまして、これまでは使うべき番号がないという中でどうするかという議論を並行して行ってまいりましたが、現在では、厚生省におきまして年金番号の問題が現実的になってきております。また、自治省さんにおかれましては、住民基本台帳からコードをつくるという話が現実的に動いております。  これを納税者番号に使えるかどうかというのはまた別の問題でございまして、そういう意味で、今世紀中に番号そのものがあり得ないという認識をしておりますし、もう一つ極めて重要な問題は、世界各国見ますと、英国あるいはヨーロッパのように、番号というものに国民が拒否反応を示している、プライバシーの問題を重要視する、そういう世界もありますし、アメリカのように社会保険番号、あるいは北欧のように住民番号が普通に使われている国もありまして、そういう意味で、日本という社会においてこの番号がどうなじんでいくのか、あるいは番号を入れることがどういう負担を伴うのか、その辺についても国民の皆様に十分理解していただきながら議論を進めていかないといけないと思っております。
  164. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 国民の理解促進に努めつつ、できる限り早期の導入を目指していただきたいと思います。  しかしながら、納税者番号制度導入までの間でも、こうした現行制度では救われない人たち、低所得者の人たちに対して何らかの措置を講ずることが必要だと思います。そこで一案ですが、一」うした人たちに所得申告を勧めて、申告してきた人に対しては、所得に応じ消費税負担分として一定額を給付するというような仕組みを設けてはいかがでしょうか。
  165. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 現在の日本の税制のもとでは所得のある人に申告を求めて課税をしていくというシステムになっております。納税をしていない方を把握するということは難しいわけでして、その方々が自分はこういう所得ですから還付してくださいと言ってこられた場合、税務署としてこれをチェックするといいますか、その能力はないわけでございます。  また、その方がどういう方であるかを含め把握のしようがない世界でございまして、先ほどおっしゃいましたように、仮に納税者番号制度のようなものができれば、その番号のもとでシステムはあり得ると思いますが、現状においてそういう御提案のような仕組みをつくることはできないと私は思っております。
  166. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 私が申しましたのは、税を還付するということではなくて、あくまでも給付。ただその給付の基準として、自分が所得が課税最低限以下であってかつ生活保護とかを受ける、そこまで低くない、そういうことを意思表示した人に対して給付をしたらどうかということでございまして、一度、この案についてはぜひとも一考に値すたいと思います。  次に、益税の問題についてお尋ねいたします。益税解消のためには、やはりヨーロッパのような厳密なインボイス方式の導入が不可欠と思いますが、いかがでしょうか。
  167. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 益税の問題につきましては、確かに幾つかの懸案事項が残っております。例えば簡易課税制度、今度は二億になりますけれども、これを下げていくということが方向としては適切かと思います。また、免税点の問題もございます。  ただ一つ、日本の場合には確かにインボイスという問題はございますが、このインボイスも、いわゆる納品書があるかないかということでは、日本でもほとんどインボイス制度は整っていると私は思っておりますし、どこがヨーロッパのインボイス制度と違うかというと、これは免税業者がインボイスを発行できるかどうかという問題でして、この点はさっきちょっと御説明いたしましたが、三千万という免税点を設けている中で免税業者からの仕入れ控除は控除できないというようにしてしまうと、零細の方々から物を買う人が少なくなってしまうという問題があります。こういった問題があるということを御認識いただきたいと思います。  インボイス制度については、ヨーロッパ型というのはなかなか難しいことではないかなと思っております。
  168. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 インボイスの導入がなかなか難しいというのであれば、免税点を大幅に引き下げてはどうかと思うのですが、三千万円という免税点は、これは世界的に見ても余りにも高過ぎると思うのですが、いかがですか。
  169. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 三千万円というのは年商でございます。売り上げです。そうしますと、小さな御商売をされている方でも日に十万御商売すると三千万になるというようなことで、そうしますと、従業員の方が一人おられるか二人おられるかというような規模かと思いますけれども、現実との低い方がいいのかと思いますけれども、現実とのバランスを考えていかなければいけないと思っております。
  170. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 この問題についてはぜひとも御検討を進めていただきたいと思いますが、それについてなかなか簡単にできないということであれば、少なくとも旅館のマル適マークのように、課税業者に対して課税業者証明書のようなものを税務署が発行して、これを店頭に表示させるということならすぐにでも実施できるのではないでしょうか。国民は、どう見ても売上高三千万以下の非課税業者が外税で消費税を取るということに対してやはりかちんときているわけですから、課税業者かどうか消費者にわかるようになればこういう問題は起こらないと思うのですが、いかがでしょうか。
  171. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 今御質問のような御発想がこれまでもございました。ただ、そういうことにつきまして二つ申し上げたいと思いますが、一つは、そうした課税業者になれない小規模の方々に差をつける、歴然と差をつけることがいいのかどうか、適切ではないのではないかという議論が今あるわけでございます。  もう一つは、繰り返しになりますが、例えば三千万以下の事業者が百円のものを百三円で売るというのが今御指摘の外税で売るということですけれども、この百三円で売られる事業者の方々は、それを仕入れるときに、仕入れ率が八割であれば百二円四十銭になるわけですが、これを百三円で売っているかどうか。零細の方々が非常に厳しい競争の中で、むしろ百二円で売っているかもしれない。そこのところの差がどうなるかが益税でありまして、百円のものを百三円で売っていると断言するのは難しいと思っております。
  172. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 この点に関しても検討していただきたいと思います。  次に、これはちょっと益税とは若干異なるかもしれないのですが、税務執行上の問題になるかと思うのですが、国税庁によりますと、九五年度の消費税の新規滞納額は四千億円を超え、申告所得税や法人税を上回って断然トップであって、全税目を合わせた滞納総額に占める割合も三割近くになるといいます。消費者から受け取った消費税はいわば預かり金のようなものですから、本来、消費税に滞納があってはならないはずであります。それがこのように多額の滞納が生じている。  この滞納は、今回税率が引き上げられれば滞納金額はさらに膨れ上がることが予想されますから、そうなれば、国民の消費税に対する不信はますます強まるのではないかと思われます。中間納付の回数をさらにふやすなど、早急に制度的対策をとるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  173. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 御質問のように、当初消費税が入ったときには確かに納付の回数が少なくて、これでは問題が多いということで、平成三年の与野党一致の改正によりまして原則年四回の納付になりました。その結果が今日の姿なんですが、確かに滞納額が相当額に上っているということはゆゆしきことでございます。私どもは、消費税の滞納につきましては、既に租税債権が確定しているものでありますから、他の租税債権と同様に、滞納処分の対象としてこれは執行面で厳正に対応していかなければならないという認識でおります。  いずれにしましても、今後とも消費税の滞納未然防止それから滞納整理の促進には努めてまいりたいと思っております。また、平成六年秋の税制改革の効果も見きわめていきたいと思っております。
  174. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 最後になりますが、総理、この新聞広告、見覚えがあるかと思うのです。これは、消費税について少しでも国民によく理解していただきたい、そういう気持ちから、当時大蔵大臣になられて既に国民的な人気を得ておられました総理御自身が新聞に登場して、新聞紙上で国民に直接訴えかけた政府広報のコピーでありますが、当時の政府そして当時の大臣は、国民に対して必死で理解を求めるような姿勢があったと思います。  今回の消費税引き上げに際して、政府そして私たち政治家は、国民の理解を求めるために本当に十分な努力をしていると言えるのでしょうか。消費税は国民の間に定着したものとして、私たちどこかあぐらをかいている部分があるんじゃないのか。国民が汗水垂らして稼いだお金から税金をいただくということは本当に大変なことであります。私たち政治家は、税金の問題を考える場合には、その税金の裏にある、その税金を払った国民の顔を常に思い浮かべて、そして考えていかなければならない。そうした謙虚な姿勢があって初めて国民に対して負担増をお願いすることもできるんだと思います。  総理にどうか大蔵大臣時代のそんなお気持ちを思い出していただき、国民に負担増をお願いするに当たっては真摯な努力をしているということを具体的に、明確に、目に見える形で国民の前にお示ししていただくことをお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。
  175. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 この際、海江田万里君から関連質疑の申し出があります。古川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。海江田万里君。
  176. 海江田委員(海江田万里)

    ○海江田委員 今、古川委員からの話にもございましたけれども、民主党はさきの選挙で、この消費税の問題については五%やむなしという態度を示しております。私は民主党の設立からかかわっておりましたので、この消費税の問題、選挙前に党内で大変な議論をしたことをよく覚えております。大変苦渋に満ちた選択でございました。  しかし、私たちは、未来への責任という観点からはこれはやむを得ないのではないだろうかということで選挙に臨んだわけでございますが、その後の、いわゆる福祉汚職と言われるような岡光さんの補助金、つまり税金でありますね、これをあたかも自分が左右できるようなおごり高ぶった気持ち、納税者をばかにした気持ちということ、そういう事件が明るみに出まして、選挙前よりやはり消費税のアップに対する国民の怒りというのはさらに厳しいものになってきたということ、これは新進党の方々の発言をまつまでもなく、私たち民主党自身も肌に感じている点でございます。選挙前は私たちは苦汁をのんだわけでございますが、今回は、いわば青酸カリを飲むようなつもりでこの消費税の問題に対応しなければいけないということを考えておるわけでございます。  そして同時に、この税金の使われ道、税金のむだ遣いでございますね。やはりこれが、昨日の新聞に出ておりました会計検査院の報告にもございますが、ただ、会計検査院の指摘をします税金のむだ遣いというのは、いわば重箱の隅をつつくような問題でございます。  これまで過去十年にわたって、会計検査院は自分たちの予算の規模ぐらいの不当事項しか、税金のむだ遣いしか指摘してこなかったというような事実もあるわけでございますから、今回は多少力を入れて、もう少しこの税金のむだ遣いの指摘を大きくしたわけでございますが、私たちは、この税金のむだ遣いを生み出す基本的な構造、いわゆる政官業の癒着の構造と言われておりますけれども、ここのところにやはりメスを入れなければいけないんではないだろうか、そういうふうに考えておりまして、そういう視点から質問させていただきます。  まず第一点でございますけれども、今回のこの岡光前次官の福祉汚職の問題で、国民が非常に端的に怒っておりますのは、特定指定寄附を悪用しました、これは節税というよりも脱税でございますね。  自分のジェイ・ダブリュー・エムという、小山容疑者が自分が筆頭株主であります、全部自分の言うことの聞く会社、これが九五年に一億九百三十七万円、そして昨年九六年は二億八千四百六万円、味をしめましたから、ますます膨らんでおります。これが埼玉県の共同募金会を通して贈り先を指定して、いわゆる特定指定寄附ですね、そしてこれが全部、全額損金になっている。そして自分のところの、理事長を務めます福祉法人に寄附をされているということ。現在では、この金額については青天井になっているわけですね。一億やろうが、二億やろうが、三億やろうが、税金で全額これは損金扱いになってしまう。こういうことで果たしていいんでしょうか、どうなんでしょうか。大蔵大臣、お聞かせください。
  177. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 委員御指摘のように、今回のケースは、この指定寄附金制度を悪用したケースかと思います。そういう意味では、この指定寄附金制度、非常に有効に利用されているわけですが、善意で……(発言する者あり)そういう意味ではなくて、私の申し上げたいのは、この制度が一般的に有効に利用されているものを、悪意の方が、これを今回のようなやり方で悪用したということかと思います。  私ども、いろいろな面でチェックをしなければいけないと思いますが、制度面も含めてチェックはしますが、その前に、厚生省なりあるいは公益法人をお持ちの各省庁において、運用なり内規をきちっとこの際見直していただきたい。こういうものが出てきたからといってこの制度をとめてしまう、制度的に、これは早まってはいけないと思っておりますが、今回のようなケースが続くようであれば、ゆゆしき問題であると思っております。
  178. 海江田委員(海江田万里)

    ○海江田委員 悪意で悪用したということですけれども、この制度自体は合法的なわけですからね。だから、今のまま、そのまま手つかずで残しておけば、これはもう広く国民一般に知れ渡ったことですから、まあ普通の人は利用すべくもありませんけれども、これはできてしまうわけですよ。それは大蔵省だけで決めるわけにはいかないから厚生省と相談をしましょうとか、そういうことはあってもいいんですけれども、何らかの形でやはり手直しをしなければいけない、私はそういうふうに申し上げているのですが、いかがですか。
  179. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 既に厚生省と私ども議論をしておりますし、厚生省の中で、この進め方につきましては厳しい対応をしていくものと思っております。
  180. 海江田委員(海江田万里)

    ○海江田委員 ぜひこれは改善をしていただきたいと思います。  それから、やはり構造的な税金のむだ遣いでございますが、私はここで、毎年の予算の中から未消化で、つまり使い切れずに翌年に繰り越しをするこの繰越金の問題について、問題として提起したいと思います。  まず、その一つが農水省でございます。農水省は、一般会計で九三年度が歳出予算額五兆一千百七十一億円、これに対しまして翌年に繰り越しをしましたのが六千六百五億円、これは全体の一二・九%ですね。きょうは時間がありませんから一々お答えいただかずに、私がいただいた資料でお話をさせていただきます。もちろん農水省からいただいた資料でございますが、九四年が、予算が五兆百四億円に対して繰り越しが五千九十一億円、一〇・二%。それから九五年になりますと、四兆九千三百十三億円の予算に対して六千八百九億円で、これは一三・八%の繰越金があるわけですね。  特にこの九五年からというのは、ガット・ウルグアイ・ラウンドの対策費がのってまいります。このガット・ウルグアイ・ラウンドの対策費だけでいきますと、これは九五年度でもって経費が九千億ございまして、そのうち約三千億円が繰越金となっているわけですね。これをこのまま毎年毎年繰り越しをしていいものなんでしょうか、どうなんでしょうか。  その年度年度でいくと、やはりこれは使い残してございますから、余っているわけですね。これは、その分、翌年カットをするという、極めてストレートな言い方をすれば、カットをするというようなことがあってもいいんじゃないですか、いかがでしょうか。
  181. 本田政府委員(本田浩次)

    ○本田政府委員 農林水産省関係の予算につきましては、国民への食料の安定供給のための生産基盤の整備、農山漁村地域の活性化のための生活環境施設の整備、国民の生命財産を守るための国土保全等のために執行されているところでございます。平成五年度から七年度までの繰り越しの状況につきましては、先生御指摘のとおりでございます。  このような繰り越しの要因などにつきましては、私どもとしては次のように考えているところでございます。  まず一つには、下半期に予算が成立した場合には、県におきまして、予算での対応に一定期間を要することでございます。それからまた、降雪などの気象条件によりまして、冬期間の施行が困難な地域がありますことから、農林水産省関係ばかりではなくて、公共事業の実施が翌年度に繰り越されることは一般的に見られるところでございます。  それからまた、繰り越しがなされた予算につきましても、既に事業の実施箇所はすべて決定しておる状況でございますので、事業の執行及び予算の消化につきましては全く支障がないものであると考えているところでございます。  それからまた、ウルグアイ・ラウンド関係の予算でございますけれども、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策につきましては、我が国農業の将来展望を切り開いていくために政府・与党が責任を持って決定したものでございます。この予算につきましては、UR合意に対応する六年間の新しい事業で、従来の農業予算に支障を来さないものとして政府・与党で合意したものでございまして、平成七年度におきまして、補正予算において追加措置を講じたところでございます。このために、先ほどの一般的な措置と同様の事情もございまして、一定部分の実施が他の事情と同様、翌年度に繰り越されているところでございますけれども、事業は円滑に執行されております。  今後とも、この事業の所期の目的の達成に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  182. 海江田委員(海江田万里)

    ○海江田委員 今、ウルグアイ・ラウンド対策費のところで、事業が非常に円滑に行われているということでございますが、どういう事業が円滑に行われているのか。私は必ずしも円滑だとは思いませんが、このガット・ウルグアイ・ラウンド対策費のおかげで何が日本全国に起きているかというと、いわゆる複合温泉ランドですね。温泉がありまして、しかも、これはただ温泉だけじゃウルグアイ・ラウンドの対策費にならないから、その隣に、例えば北海道なんかではわざわざそば打ちの体験施設をつくるんだそうですね。このそば打ちの体験施設がっくとこれはウルグアイ・ラウンドの対策費になるから、だからこれをつくろうじゃないか。そしてそこに観光客に来てもらって、毎日やっているわけじゃないけれども、そば粉か何かが置いてあって、ちょっとこういうふうにやる。  この施設はまだできておりませんけれども、結果的に、国からそういう形でウルグアイ・ラウンド対策費が来ることによって、最初の建設の計画が温泉だけの場合だったら五億からそこいらでできるものが一気に二十億になるとか、しかもそこが建ち上がってから後の経費は、ランニングコストというのは市町村がこれは負担をしなければいけないわけですから、これは地元の人が喜んでいるかというと必ずしもそうじゃないわけですね。そんなのつくってもらったおかげでこれから町の経費というものが非常に負担になって、またこの地域の財政を圧迫をする、こういうようなことをやはり言っているんですね。  私は、毎年毎年一兆円、確かにこれはそういう政治的な判断で金額がついたわけでございますけれども、やはり三二%繰り越しがあるというのは、これは多過ぎるんじゃないですかね。もう少し減額できないものですかね。総理、さっきから時々うなずいて聞いておられますが、いかがでしょうか。
  183. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 私は、今たまたまウルグアイ・ラウンド関係経費のみを例示に挙げられましたけれども、公共事業を含めまして補助金全体、それぞれをやはり必ず見直していく努力というものは必要でありますし、昨日会計検査院の報告を受けましても、実は毎年のように同じような項目で指摘を受けている。その中には本当に注意不足、悪意ではないが注意不足というようなものまである。こうした点は本当に私問題だと思います。そして、そういうものを是正する努力というものは積み重ねていかなければならない、そのように思っております。
  184. 海江田委員(海江田万里)

    ○海江田委員 農水省ばかりやり玉に上げてもいけません。次は建設省です。  建設省もやはり予算をあり余らせています。特に道路整備事業費でございますね。これも、建設省からいただいた資料によりますと、九五年度に約九千百八十五億円、これは未消化がありまして、翌年九六年、つまりことしに繰り越しをしております。これは建設省の予算の二二%になります。もちろん、先ほど農水省からお話をいただいたように、公共事業の場合、一般的に下半期の場合は繰り越しになるというようなことも考えられるわけでございますけれども、正直申し上げまして、建設省、とりわけこの道路整備事業については、お金があるものだから、一体どこか自分たちの仕事がないかということを一生懸命探しておるわけですね。かなり無理をしてほかの仕事を自分たちのところにとってきて、そして仕事をやっているという実情があるわけです。  ひとつパネルで御説明をさせていただきます。ここにございますけれども、総理の方から見えないかもしれませんけれども、これは私がつくったパネルではございません。これは道路広報センターが道路審議会の中間答申をわかりやすく説明するためにつくったパネルでございます。私がかいたんじゃないですからね、これは。カラーコピーです。一般国道の自動車専用道路というのがピンクでかいてあります。それから高速自動車国道、それから一般国道。高速自動車国道というのは、これは道路公団の仕事でございますね。一般国道と一般国道自動車専用道路というのは、これは建設省の仕事でございます。  これは一般の国道なんですけれども、これを見てください。ここが実は、このブルーのところが、これが公団の高速自動車国道ですけれども、ここだけピンクの色になっているわけですね。このピンクの色というのが、要するにこれが実は建設省の、国の予算で工事をやっているんですよ。  ですから、実際の高速道路にはカラーで色分けなんかがありませんから、一体どこまでが公団の高速道路で、一体どこからが、今言った建設省の予算でついている一般国道自動車専用道路かわかりません、私たちは。ずっと走っていますから。だけれども、こういうところが高速道路の中にこれからどんどん出てくるわけですよ。しかも、これは国民の税金から来ているわけですから。表向きの言い方は、これはプール制度でもって高速道路の料金が上がるから、大変だからできるだけ国の方にも面倒見てもらおうということなんですが、ただ、それはやはり話が違うんじゃないですか。色分けしてみれば一段とよくわかるんですけれどもね。つまり、使い道がないから。  しかも、これは去年の十一月に道路審議会というところにわざわざ中間答申をさせておるわけですよ、そういうふうにしなさいよということで。先ほどのもとになるところにありますけれども、わざわざ、全国プールの負担を軽減させるために、この一般国道自動車専用道路による代替をさせなさいよということ。もちろん言うまでもありませんけれども、この道路審議会は、いわば建設省の、これはダミーと言っちゃきついかもしれませんけれども、操り人形ですね。この中間報告にその手の報告をさせることというのはいともたやすいことですよ。  こういう形で、余った税金のむだ遣いをしている、私に言わせれば。こういうことはやはりもうやめていただかなければいけないと思うんですが、いかがでしょうか。
  185. 佐藤(信彦)政府委員(佐藤信彦)

    佐藤信彦)政府委員 お答えいたします。  高速自動車国道につきましては、一万一千五百二十キロのうち、現在六千キロくらいできてきております。その残りの三千五百キロになるわけでございますが、これについてはまだこれからといった状況でございます。そういった中で、有料道路でございますので、整備していく段階で料金の問題とかそういう問題が出てくるわけでございますが、こういったものの料金の抑制を図りながら、採算性をとりながら進めていかなくちゃならないといった状況でございます。  その中で、答申でいただきました内容としましては、道路公団の建設、管理費の削減とか、それから公的助成等いろいろございますが、その中に一つございますのが、ただいま先生御指摘ありました、高速道路の計画とそれから一般国道の計画が並行する区間、これについて二重投資をするのではなくて、むしろ同じ性格のものは兼ね合わせる形で整備していくといったことで、そういう答申をいただいております。  そういったことで、高速道路につきましては、今後そういった効率のいい整備の仕方を進めていきたいと私ども考えているところでございます。
  186. 海江田委員(海江田万里)

    ○海江田委員 効率のいいと言いましたけれども、むだ遣いの効率のいいということに私はなるのではないだろうかという気がするわけでございます。  それから、やはり本当でしたら道路公団を民営化すればいいんですよ。あの高速道路の中というのは、私も時々利用しますけれども、サービスエリアのカレーライスが六百五十円とか、あそこだけ社会主義国ですよ。不思議なところですね、あれは。ああいうのもどんどん競争をやって、自由に参入をさして、そして安い料金にして食べられるようにしなければ、幾ら減税やったって、一回高速道路使ってどこか温泉でも行けばすぐ一万円から飛んでしまうんで、やはりそういうことは改めていただかなければいけないと思います。それから、時間もございませんが、この消費税の税率アップ、まあ来年の四月から予定をされておりますけれども、郵政省が、これは現在検討中だというふうに聞いておりますけれども、来年四月からの消費税率アップに伴って郵便料金はアップをしないでおこうということを実は今検討中だそうです。間もなく決めるということになりますけれども、郵便事業というのは随分もうかっております。おととしの一月に上げましたおかげで大変もうかっておりますから、ですから、上げないというのはこれは当たり前の話ですけれども、それだけじゃありません。  私は、やはり今回のこの消費税の税率アップについては公共料金を据え置くということ、これは新進党も提案をされている。新進党は二割下げるというふうに言っておるんですか、これは。まあ二割下げるのはなかなか無理だろうと思いますが、これはやはり政府は上げさせないということを、前回の初めてのときは、周知徹底をしなきゃいけないということで、きちっと転嫁をさせるということで値上げを許したわけでございますが、公共料金、特に去年、おととしと随分上がっています。  先ほど来話題になっています高速自動車道の料金、私鉄の運賃、旅券の手数料、戸籍手数料、自動車免許手数料、国立学校の入学料、こういうものは全部去年、ことし上がっている話ですから、こういうものぐらいは値上げを抑制をするということ、大蔵大臣か総理、言えないんですか、これは。
  187. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 私は、消費税の税率の引き上げが決定をいたしますに伴って公共料金の改定申請が出される場合、これはやはり基本的な消費税の性格というものを踏まえて、きちんと適正な転嫁をするというのが本来の姿だと思います。しかし同時に、公共料金が物価に与える影響、国民生活に大きな影響を与えるということを考えれば、その審査といいましょうか、当然のことながら、非常に厳正なチェックが必要であるということだけは間違いがありません。そのように今の委員の御意見も解し、厳正に対応したいと思います。
  188. 海江田委員(海江田万里)

    ○海江田委員 ここはひとつ慎重が上にも慎重に処理をしていただきたいと思います。  それから、新進党の皆様方、本当に御苦労さまです。今回皆さん方が議員提案でこの消費税の据え置き法案というものを出してくれたおかげで、初めてのことでございますが、こういう形で議論ができたということは、大変これは私も国会議員の一員としてうれしいことでありますので、その点はまず敬意を払っておきます。  ただ、若干私はやはり中身に問題があるというふうに考えておりますが、この三%の据え置きを向こう五年間、二〇〇一年までやるんだということ、私は予算委員でもありますので予算の議論も聞いておりましたけれども、確かに、来年の三月、四月ぐらいの日本の景気が非常に深刻なものであるという認識は、同じ認識を持っております。とりわけ、ニューヨークの株式市場も、きのうあたりも七十ドルぐらい下がりましたし、その前は瞬間風速で百五十ドルも下がっておりますので、かなり高所恐怖症になっております。それから日本の機関投資家も随分ニューヨークの株を買っておりますので、このあたりが来年の春ごろに値崩れが起きるのではないだろうか、それの日本経済に与える影響というようなものもかなり深刻なものがあるのではないだろうか、こういう認識を持っております。  その場合、例えば五年間も、この法案では五年間とにかくずっと三%でいくんだよという法案になっておるわけですね。先ほど野田先生ですか、村井先生ですか、三年前の細川総理のときの七%の話を見て、三年の間に経済の状況が大きく変わったのだということをおっしゃっています。経済は生き物でございますから、かなり急激な変化を遂げることもありますから、私は、例えばこの三%を来年一年に限ってこういうことでやるよ、つまり、凍結だけれどもどうだろうかというような議論は党内でなかったのかどうなのかということを一つ。  それからもう一つは、これはまだ法案になっておりませんけれども、皆様方の選挙公約では、私も読ませていただきましたけれども、消費税三%据え置き、それから「さらに所得税・住民税の半減を中心として、来年度から十八兆円の大減税を実施します。」ということが書いてあるのですね。これは来年度の大減税をやるということになれば、もう法案にしまして出さなきゃいけない。今度のこの臨時国会が無理でも、通常国会の頭ぐらいに出さなきゃいけない。そういうような御準備はされておるのかどうなのか。十八兆というのは大変ですよ、これは。そのことについて、もう時間もありませんので私の質問はここまでにいたしますが、国民も恐らくこの放送を注視をしていると思いますので、国民の納得のいくように回答をお願いしたいと思います。
  189. 野田(毅)議員(野田毅)

    野田(毅)議員 二つ御指摘があったと思います。  まあ一年、当面でなくてなぜ今世紀いっぱいか、これは率直に言って我々も考えました。しかし大事なのは、さっきも申し上げたのですが、目先あるいは今現在の経済の足元がどうだからどうだという発想、これはもちろん大事ですよ。本当に景気をしっかりと立て直していこうというとタイミングが大事ですから、せっかく伸びていこうというときに水をぶっかけるようなことをやったのではやはり大変なことになる。それからいま一つは、さっきも言いましたが、そういう目先の話じゃなくて、現在の日本の経済の低迷というのは、単にバブルが崩壊した反動だとか、あるいは景気循環論的な、今景気が悪いからどうだとかいうような性質のものではない。だから、さっきもちょっと言いましたが、橋本総理もようやく気がつかれたのだ、日本の現在の状況について。だから五つの構造改革をやろうというところにようやく気がついてきたのだ。つまり、日本の経済の空洞化なりあるいは財政の状況なり、そういったことを本当に根底的に立て直そうということになれば、それをしかも今世紀の間に、これを戦略的期間として、行財政改革なり財政再建なりあるいは地方分権なり、そういったことを今世紀の間に戦略的にしっかりやるんだという、これが実は今世紀いっぱいにすべてのことを集中してやるという、ここにターゲットを絞ったということはまず申し上げておきたいと思っております。  それから減税法案の話です。  これは先ほど来るる言いました。ですからこれは、今度の通常国会の中で我々は、さっき伊吹さんが減税の中身を、国、地方をどうするとかいう話があります。しかし、これはただ単純に、簡単に言えば、それはブラケットをそのままにして税率だけ半分にすれば、これは簡単な法案になりますよ。だけれども、そういうことじゃなくて、やはり国、地方の財源配分なりあるいは国、地方の行政経費削減なりということまで一応頭に置いて考えてみたい。今度の通常国会、まあいつになるか、タイミングを見ながらとは思いますけれども、我々はぜひそのことの勉強をしていきたい、こう思っております。以上です。
  190. 海江田委員(海江田万里)

    ○海江田委員 ありがとうございました。
  191. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 これにて古川君、海江田君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  192. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  税制及び金融問題等に関する件の調査及び両法律案の審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  194. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 次に、正森成二君。
  195. 正森委員(正森成二)

    ○正森委員 私は、日本共産党を代表して、総理初め閣僚に質問をさせていただきます。  予算委員会で我が党の志位書記局長が指摘いたしましたように、今回、消費税引き上げを重要な争点の一つとして行われた十月の総選挙で当選した議員のうち、税率引き上げについて約三十六名は反対、延期、凍結もしくは前提条件をつけております。自民党で明白に税率引き上げを明言した候補者は五人に一人しかおりません。当委員会の、失礼ですが、委員四十名の中でも、日本共産党の反対、新進党の三%凍結のほか、与党の中でも、名前は申しませんが、反対、延期議員があり、六割が反対、凍結、見直しであります。これは国民の声を代表している、あるいは反映していると思います。  そこで総理に伺いますが、総選挙の投票日の翌日の二十一日ですが、NHKの報道特別番組で行われた世論調査では、消費税引き上げについて、反対が四五%、廃止すべきだ一九%で、明確な増税反対が六四%もおります。賛成と答えたのはわずか四%で、やむを得ないで三二%であります。  総理は、なぜ国民が選挙が済んだ直後でもなおこんなに反対していると認識されておりますか。
  196. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 今、そのNHKスペシャルの、数字が発表されました後のやりとりの議事録を見ております。そして、そのとき我が党の代表者が、賛成とやむを得ないで三六%もあるというのは、むしろちょっと驚きなんですという言い方をいたしております。  私は、本当にこうしたアンケート調査の結果と申しますものは、その設問の仕方あるいはその背景説明の仕方、そうしたもので随分いろいろ影響を及ぼすと思っておりますから、必ずしもこの結果をそのままにコメントをすることはむしろ控えるべきだと思います。  しかし私は、その消費税の問題に対して、子供や孫の時代に本当にツケを回せるか、それがいいのかということを、またお年寄りやハンディキャップのある方々が安心して暮らせる社会をつくっていくためにも、この二%の引き上げはぜひお願いを申し上げたいということを訴えてまいりました。もちろん、それは喜んで結構ですとおっしゃってくださるということではありませんでしたが、しかし、税が上がるのは決して多くの方々にうれしい話ではないにかかわらず、非常に真剣に耳を傾けていただいたということについては国民に感謝をいたしております。
  197. 正森委員(正森成二)

    ○正森委員 総理は、もちろん総理として二%引き上げてほしいということを訴えられている。これはこの委員会でも承りました。熱心に耳を傾けていただいたと、今言われたとおりであります。しかし、それにもかかわらず、自民党が、失礼ですが新進党を相当引き離して選挙の結果は多数をお占めになった、過半数ではありませんが。それでもなおかつ有権者は消費税引き上げには反対だと言っているのは、これは一般にもちろん増税に賛成する国民というのは非常に少ないのですが、増税に賛成しないというだけではなしに、主として、庶民はこの税金が典型的な逆累進性を持った税金だ、今多くの同僚委員からも質問がございましたが、そういう点についての、これは困るという気持ちがあらわれているのではないかと思います。  私は、ここにたくさんございますが、日本生活協同組合連合会が毎年各世帯にモニターとしてお願いしまして、消費税の負担額の収入に占める割合、これを調べられたものをお願いして持ってまいりました。詳しくは申しませんが、九五年度分の調査では、年収三百万円以下の世帯で収入に占める消費税負担は二・一%、それからずっと漸減しまして、千六百万円以上では一・一%になります。明白な逆累進性であります。全世帯平均では一・六%、十二万五千四百七十九円で、食費の一・七カ月分に相当いたします。九四年度の調査も同様の傾向を示しまして、三百万円以下ではニ・四%、千六百万円以上は〇・八%、平均一・五%という数字が出ております。  この傾向は、総務庁にも来ていただいておりますが、総務庁の家計調査をもとに民間の税理士やあるいは公認会計士、そういった人々が推計をした理論推計値でも同様の傾向を示しております。これは新聞紙上で広く報道されたとおりであります。  そして、生協の調査では、高齢者の多くが低所得者であるとは言えません。例えば国会議員の中には高齢者がおりますが、必ずしも低所得とは言えないようなものであります。しかし、低所得者には高齢者が多いということは比較的言えることで、この生協の調査では、三百万円未満では十世帯中九世帯ぐらいが高齢者の一人または二人世帯で占められていたということがここに書いてあります。  今回の橋本内閣は、閣僚では自民党単独内閣になっております。歴代自民党の大蔵大臣が近代税制のあり方についてどう認識し、どう答弁してきたかということを三塚大蔵大臣に伺っておきたいと思います。  ここに私は資料を持ってまいりましたが、例えば、昭和六十二年ごろの宮澤大蔵大臣の答弁によりますと、これは議事録にちゃんと載っているわけですが、「総合性、累進性、生計費非課税といったような考え方は今日でも私は有効であると思います。」あるいはその同じころ、「一般的に申して、その総合性であるとか累進性であるとか生計費非課税、これは今日でも守られておる、また守られるべき原則と思います。」こう答えております。これは参議院の我が党の吉岡議員の質問に答えたものであります。  現在の橋本内閣は、この近代税制のあり方についての原則を維持しておられるのか、あるいは現在はもう違うと思っておられるのか、その点について一言お答え願いたいと思います。
  198. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 税制については、税目はいずれも長所もあり、短所もあることは正森委員おわかりのとおりであります。  宮澤元首相の「総合性、累進性、」ここまでなかなかのものだと思うのです。私も賛成です。累進性は、依然として我が国税制に残っておりますのは、公平な負担を、いわゆる社会正義という税制の中にのっておることにより、日本は依然として社会主義的な税制だと批判されますけれども、ここのところは大事なところだ。総合性は広く薄く公平に御負担をお願いを申し上げる、こういうことでありますので、その点は宮澤財政エキスパートと同感です。
  199. 正森委員(正森成二)

    ○正森委員 今三塚蔵相は必ずしもお答えになりませんでしたが、我々が大蔵委員会で論戦をしますと、消費税だけを取り上げるのは間違いで、税全体を取り上げれば今の三つの原則は多かれ少なかれ維持されておるというようにお答えになるのが常でありました。しかし、消費税だけをとってみますと、生計費非課税なりあるいは累進性ということでなしに、逆累進性を持っておる。  選挙の直前に、ここにおられる大臣方も名前を聞けば御存じと思いますが、花沢徳衛という特異な、特異なと言ったらいけませんが、脇役の、決して二枚目ではありませんが、俳優がおられます。その方が消費税についてこう言っておられるのですね。「都会のど真ん中の池袋で飢え死にした親子も死の直前まで消費税を取られていた。生きている限り搾り取る税金が消費税だ」なぜかといいますと、御承知のように、消費税というのは空気と太陽以外、水にまで税金がかかります。だから、どんなに貧乏な飢え死にするような世帯でも死ぬ直前まで水は飲んでいるからこういう表現が出て、政府の消費税に対して、庶民が反対しているわけであります。  ところが、政府はこの消費税を一層拡大して、法人税等についてはこれを減らそうとしているように我々としては思われます。例えば、選挙の直前の九月に毎日新聞との会見に応じた政府税調の加藤会長は、こう言っておられるのですね。「所得税、法人税の税率を半分にし、消費税の税率は二けたに引き上げることは不可避である」、こういうぐあいに述べられるだけでなしに、「社会保障を欧州並みに充実するとすれば、機械的に計算すれば税率は一八%必要である」、こういうように言われて、ここに新聞の写しを持ってきましたが、大きく載ったことは閣僚の皆さんも覚えておられるとおりだと思います。  こういうのがありますから、国民は五%だけでなしに、将来は二けたになるぞということで一層反対するのですね。これについてどう思われますか。やはり将来は二けた必至だ、不可避だと思われますか。
  200. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 加藤寛先生、政府税調の会長、会長の立場で言われたのか、学長として言われたのか定かでありませんが、一つの考え方を示したものかな。しかし、私はそれにこれ以上批判も賛成もいたしません。税調の決定を今待つ身でありますので、御理解ください。
  201. 正森委員(正森成二)

    ○正森委員 多分そうお答えになると思っておりました。しかし、この加藤寛氏は、至るところで放言といいますか思い切った発言をしておられるのですね。例えば週刊新潮の九四年九月三日号ですが、かつての消費税導入について極めて率直にこう言っておられるのですね。「消費税を導入したとき、高齢化社会に備えるためと言われ、我々税調もそう説明しましたが、本当はあれは、ああ言えば一般の人に分りやすいから、ということでした。消費税の本来の意義はそういうものではないんです。暗い徴税である所得税を減らす分、明るい消費税をふやすという考え方が正しいんですよ。つまり、まず、所得税減税の規模を決め、それに応じて消費税の税率を考える。そうやって直間比率のバランスを取って行くことになるんですね。」こう言っている。  ですから、七年前、八年前の竹下内閣の消費税導入で、高齢化社会のためなんて言ったのはあれはうそなんで、そう言えば通りやすいから言ったんだ。本当はそうじやなしに、暗い所得税を減らして明るい消費税、逆累進性の強い、三塚蔵相もお認めになったものを、あなたの政府税調の会長は明るい税制だ、こう言っているのですよ。ですから、これでは国民が、失礼ですが橋本内閣総理大臣や三塚大蔵大臣を信頼できないというのは当然ではないんですか。信なくんば立たずと論語でも言いますけれども、税制を白紙から議論するというなら、会長も含めて政府税調の委員を、人事を一新するぐらいの気持ちが必要ではありませんか。
  202. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 見識のある経済学者として税制にも詳しい方であるわけで、委員として選任をし、選挙の結果全委員の中で委員長になられたわけでございますから、今一生懸命やられておりますので、賛成と反対の立場とあるとは思いますが、私は、加藤教授は決して国民の皆様を困らせるなどという考えは全くない方である、よく知っておるものですからそのように思っておりますし、所得、消費、資産という税率構造が広く浅く、逆累進性と言われますが、これは中産階級意識が定着をしておるという今日の日本人の意識からいたしますと、なぜ税が必要なのかという根本の御理解をいただけるようになる。喜んでとは申し上げません。しようがないな、やはり国民である以上、こう言ってくださるのではないでしょうか。
  203. 正森委員(正森成二)

    ○正森委員 御答弁でありましたが、私は大蔵大臣と見解が違って、加藤税調会長を見識のある学者だとも、あるいは専門家とも思っておらないことを申し上げておきます。  そこで、日銀の松下総裁がお見えになっていると思いますが、あなたは十月十一日、選挙の真っ最中ですが、読売の国際経済懇話会に出席して講演をされ、その中で、詳しくは申しませんが、低金利政策に触れて、「家計部門の所得動向をみてみると、金融緩和開始後の五年間で、金利収入・金利支払はともに減少し、これらの収支尻であるネット利子収入は、確かに、約八兆円減少している。しかしその反面で、家計の給与所得は、この間に約四十兆円増加している。このように、家計部門全体としてみれば、この五年間に相応の所得増加がもたらされた計算になる。」こういう趣旨の講演を、日銀のスタンス全般の説明の中でおっしゃったというように、これがそのときの記録ですが、これは間違いありませんね。
  204. 松下参考人(松下康雄)

    松下参考人 私は、講演におきまして御指摘のような点を申し上げました。  ただ、その場合に、なお個々の家計において金利収入に依存しておられる方の状況が、それはいろいろでございますから、個別に見ますというと大変厳しい状況にあるお方もあるということも申し上げました。
  205. 正森委員(正森成二)

    ○正森委員 松下総裁に公平を期するためにその後の部分をちょっと読んでおきますと、確かに「金利所得に多くを依存している家計にとっては、厳しい状況であることに変わりがなく、大変心が痛む。」ということも言っておられます。それは事実ですが、全体としてそういう判断をされていることもまた事実なんですね。  ところが、この講演には明白な無理があるんではないんですか。なぜ〇・五%という、あなたの言う緊急避難的な臨時異例の超低金利を一年数カ月以上も続けなければならないんですか。また、〇・五%にしたから家計の所得がふえ、そうしなければ減少したなどという何らの証明もありません。  第一、あなたの講演では基準年を九〇年としておりますが、九〇年というのはまだバブルの時代で、公定歩合の低下政策をとったのは九一年の七月からであります。そうしますと、雇用者所得の伸びは、九一年から数えますと、四年で二十二兆円にしかなりません。年平均五・五兆円。  ここに、私が国民経済の計算に基づき調査した金融緩和期の給与所得の伸びと家計部門の利息収入のグラフがあります。委員諸兄にはこれでお配りしております。これの資料一のところであります。これを私はわかりやすいようにグラフに、こういうぐあいにしてまいりました。  この青い部分が所得の伸びですね。それで、赤い部分がネットの金利、受け取りと支払いがありますから、その推移であります。これを見ますと、この下に書いてある青い部分が金融緩和期なんですね。このときに公定歩合がずっと下がっている。  それで、どういうぐあいになっているかというのを申しますと、まず最初の金融緩和期は一九七五年から七九年で、第二は八一年から八九年ですが、第一の時期には雇用者所得は八十四兆円から百二十二兆円に、四年で三十八兆円、年平均九・五兆円ふえております。一方、利子所得はどうかといいますと、六・一兆円から七・七兆円で、減少せずにわずかではありますが一・六兆円ふえております。第二の時期はどうかといえば、雇用者所得は百四十三兆円から二百十六兆円へ七十三兆円、八年ですから年平均九兆円ふえ、利息収入は若干減少したが二・五兆円で、今回とは比でありません。ところが今回は、こういうように所得は非常に少ししか伸びておりません。ところが、利息収入はこういうようにどかんと減っていることがおわかりになると思います。  そこで、勤労者にとりましては、全体の金融資産は千百八十四兆円あるんだそうで、そこから負債を引きまして、現金を引きまして、それから株で持っておる部分、投資信託の株で持っておる部分はキャピタルゲインが予想されますからこれは除くということになりますと、七百五十兆円ぐらいが大体金利低下によって利息収入を失うという数字になるわけであります。それに対して非常に大きな損失が起こっている。  ここにおられる委員の方は、資料二を見てください。これは、ニッセイ基礎研究所という、ニッセイですから大手の生保ですが、「歴史的低金利の出現と個人マネーの変容」という論文があります。これを調べますと、七百五十兆円の低金利の影響を受ける金融資産がどういうぐあいになったかということについて、こう述べておるのですね。  これまでの金利低下の最終局面における公定歩合と一年定期預金金利の関係をみると、前々回と前回は、いずれも一年定期預金金利が公定歩合を上回っており、また両者の金利差は公定歩合の低下に合わせて拡大していることがわかる。前々回は〇・二五%であった金利差が最終的には一%に、前回も○・五%であったものが〇・八九%へと拡大している。これらはいずれも公定歩合と同幅の預金金利引下げが預金者に及ぼすマイナスの影響に配慮された結果である。  これに対し、今回は当初〇・五七%であった金利差が公定歩合が一%に引下げられて以降マイナスに転じていることがわかる。前々回が規制金利下、前回が預金金利自由化開始直後であるのに対し、今回は預金金利完全自由化下という環境の違いがある。  預金者は今回の局面に限ってみると預金金利完全自由化のメリットを十分享受できない状況におかれているこういうぐあいに言って、その結果、所得移転額を推計してみると、七百五十兆円に対して、この金利差のほぼ一%、つまり七兆円前後が家計から銀行あるいは企業に対して所得移転が行われている。これは日本共産党が言っているのじゃないんですよ。ニッセイの研究所が、その研究の中でこう言っているわけであります。  一方、銀行の業務純益はどれだけふえたかというと、九五年が六兆七千四百億円で、史上空前の利益を得たことは御承知のとおりであります。つまり、家計が失った分がそっくり銀行等に移転しているということが非常に明らかであります。国民は、こういうことを知っている。だから今度のことに対しても、あるいは住専の問題に対しても反対をしているわけであります。  皆さん方に申し上げたいのですが、金利自由化というなら自分も金利自由化を徹底すればいいのですが、いざ自分が住専で損害を受ければ、六千八百五十億円、第二次にはもっと大きくなりますが、国民の税金で出してくれ、これは自由化でも何でもないのですね。自分が損したら税金をもらう、そして都合のいいときは金利自由化だ、こんなことで国民が納得できるわけがないと思います。七兆円というのは、これは消費税の税率にすればほぼ三%近いんです。それを既にもう現在国民は失っているわけであります。  そこで政府に伺いますが、これまで各委員の質問に対して、二兆円の特別減税は来年からはやりませんね。
  206. 松下参考人(松下康雄)

    松下参考人 ただいまの御質問に逐次お答えを申し上げますが、まず最初に、私どもの金融政策の目的は、経済全体を昨年の非常に落ち込んだ状態から何とか回復に向けたいということでございます。その際に、公定歩合の引き下げに伴いまして預金金利が低下をいたしておりますが、ただ、その低下のぐあいにつきましてのただいま御指摘でありますけれども、私ども着目をしておりますのは、預金金利がそれだけ下がった、これに対応して貸出金利の方はどれだけ下がったかということでございます。その点は、銀行の預金、貸し出しの利ざやは、この金融緩和の前と現在とでは拡大をしておりません。ということは、預金金利が下がった分だけ貸し出しの金利も下がっているということで、それが金融政策の効果となってあらわれているわけでございます。  もう一つ、先ほどお示しの金融資産の数字の中には、ちょっと聞き漏らしたかもしれませんけれども、私は、生命保険の残高が控除されているかどうか、その点はちょっと疑問に思いました。三百数兆円の生命保険が下がっておれば、その差というのはもっと非常に小さくなると思います。  それからなお、九〇年を基準年度としたことの御批判でございますが、九一年の七月から金融緩和が始まりましたので、九〇年を基準年度としたことは間違っておらないと思います。  そのように、私は、全体として預金の金利の低下に見合う貸し出しの金利の低下が行われまして、これが経済の若干の下支えに今効果をあらわしつつあるというふうに感じております。
  207. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 特別減税の件でございます。かねがね本国会始まりましてから申し上げておりますとおり、財政構造改革元年でありますし、次の世代に借金を先送りし、現代がこれを甘受するということはでき得ません。景気も、累次の発表にありますとおり、緩やかな成長を遂げる見通しに相なっております。  以上のようなことを考えますと、これをやりますことは適当ではございません。広き国民各位の理解を求めつつ、特に臨時国会、今議会において各党の同意を賜りますようお願いを申し上げ、改革元年にふさわしい予算編成に向かわさしていただきたいと存じます。
  208. 正森委員(正森成二)

    ○正森委員 非常にえんきょくに申されましたが、景気もよくなってきているので、二兆円の減税は、各党の理解を得て来年からは、これは先行減税しているのでやめたい、こういう意向ですね。
  209. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 主管大臣としてそのように決心をいたしております、各党協議は続いております、こういうことです。
  210. 正森委員(正森成二)

    ○正森委員 松下日銀総裁が、預金金利が下がれば貸出金利も下がっているという意味のことを言われましたが、これは金融関係を少し知っている者にとっては常識ですが、その間にタイムラグがあって、借りる方の金利は早く下がるけれども貸す方の金利はなかなか下がらない、それだけでなしに貸す方の金利は高どまりをするというのは多くの文献に出ております。  難しい言葉ですから言いませんが、イールド曲線というのがあります。これは金融引き締めのときと金融緩和のときとは違いますが、この論文にもこういうのが出ておりまして、曲線がこういうぐあいに変わっているのが出ておりますが、今回の場合だけ、金利が一年定期とかそういうものについては非常に低いという傾向が顕著に出ているわけであります。私は、余り難しい資料を載せますと国民にわかりにくくなったらいけないと思って、わざと載せませんでした。しかし、そういう傾向が歴然とあらわれているということは、これは事実であります。それは金融関係のシンクタンクがこういうぐあいに言っているわけで、預金金利が下がるのと全く同じに貸出金利も下がるのなら、大体業務純益がふえるなんというようなことはあり得ないわけであります。そこにタイムラグがあり、その金利差があるから六兆七千四百億円も九五年にもうけたのではありませんか。だからいいです。時間があれば十分言っていただきますが、反論をするにとどめます。  そこで厚生大臣、お待たせいたしました。厚生大臣に伺いたいと思います。  他の同僚委員もお聞きになりましたけれども、健康保険の財政がいろいろ思わしくないという点があるので、本人負担は二割、高齢者にも一割ぐらいは定率制で持ってほしい、あるいは薬剤費は三割負担、あるいは五割負担という説もありますが、そういうようなことが医療保険審議会の建議書あるいは老人保健福祉審議会の意見書というものに出ているようであります。そういうことを来年からなさる予定ですか。  いろいろ厚生省は、ケースA、B、Cというように分けて、それを行った場合の国民の負担増といいますか、形を変えれば健康保険財政の改善ですね、そういう数字を出しておられるようであります。それについての御答弁あるいはお教えを願います。
  211. 小泉国務大臣(小泉純一郎)

    ○小泉国務大臣 医療保険制度の改革についてでありますが、医療保険審議会とかあるいは老人保健福祉審議会等の答申を得ております。そして、これから患者に対する負担、さらには薬剤費等健康保険財政をどうやって改善していくか。また、構造的な赤字体質を持っているこの医療保険制度について、今後とも永続的に発展させなければならないという観点から、患者負担もやむを得ないだろう。  ただ、どの程度負担していただくか。これは国民の御理解を得るのに大変苦しい状況でありますが、これも、ここまで築き上げてきた医療保険制度を改善発展させるためにはやむを得ないなと。今後とも各界各層に御理解を得て、納得のいくような医療保険法案を提出したいと今鋭意努力しておりますが、いずれにしても、どこかでどなたかに御負担をいただく、適切な医療サービスを受けるためにどこかで御負担いだだけるというような努力を今している最中でございますので、法案が提出されましたら、また御理解と御協力をいただければ大変ありがたいと思います。
  212. 正森委員(正森成二)

    ○正森委員 厚生大臣は非常に慎重にお答えになりましたが、あらかじめ事務当局に、審議会の建議書や意見書に基づいて厚生省が計算したものがここにもう出ているのですね。それで、それを事務当局からお答えするようにお願いしておきました。  例えば、老人の患者負担が一割になりますと、ケースCの場合は三千二百億円、被用者本人の患者負担が二割になりますと七千二百億円、薬剤に係る患者負担が三割になると一兆一千九百億円、これは負担がふえるといいますか、あるいは健保財政が改善されるといいますか、そういう数字が出ているはずであります。それについて一言答えてください。
  213. 羽毛田政府委員(羽毛田信吾)

    ○羽毛田政府委員 お答えをいたします。先生今お述べになった数字は、審議会に提出をいたした資料で、もちろん一定の条件を置いてでの推計でございますが、条件を置きますと、今お述べになったような姿が影響額として出ているという数字を出しております。
  214. 正森委員(正森成二)

    ○正森委員 では、時間が参りましたので結論に入りますが、総理、今私が申し上げましたように、消費税の税率が今三%ですが、金利収入が約七兆円減少しましたので、消費税の税率に直すと約三%です。来年減税が廃止になりますと二兆円ですから、厳密に言えば〇・八%分です。そしてまた、健康保険の本人負担がふえますと、今私が言いましたものを全部合わせると二兆三千億円ぐらいになります。これは消費税負担のほぼ一%です。  そうしますと、来年五%に上がりますと、これらを全部含めましたら、消費税一〇%相当分が国民の負担になるということになります。ですから、国民が反対するのは当たり前であると思うのですね。ですから、私たちは今度の国会に、来年四月一日からの消費税率引上げを行わないことを求める決議というのを出して、各党に御賛成を求めよう、こういうぐあいに思っております。  最後に、それについての総理のお考え及び、時間がなくなって申しわけございませんが、新進党さんが三%に据え置くということについては、私どもはもちろん賛成でございます。同時に、今言いましたようなことから、二〇〇一年から五%に上げるということはやめていただいて、三%にとどめるという一点で我々と共同していただきたいと思いますが、それについての御答弁を伺って、私の質問を終わります。
  215. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 御指摘の決議案につきましては、これはコメントは差し控えさせていただくべきだと思います。しかし、共産党の従来からの御主張、そう拝見をいたしました。
  216. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 野田毅君。簡単にお願いします。
  217. 野田(毅)議員(野田毅)

    野田(毅)議員 二点申し上げます。お考えはよくわかるんですが、やはり租税法定主義というのは一番大事な原則だと思います。したがって、税率をどうこうするとかいつからやるとか、そういう租税政策に関して決議という方式はなじまない、堂々と私は法律案を出してやるべきであると。したがって、我が党の出しました法案が、共産党も引き上げ反対ですし、民主党の皆さんも五十二人のうちの三十二人が反対なり前提条件を置いている。社民党の皆さんは十五人の中で十人の皆さんが反対なりあるいは前提条件をつくっている。自民党は二百三十九名の中で百人以上がそういうことを言っているんですから、圧倒的過半数で我が党法案が通るはずである。そうであれば決議は要らない。これが第一点であります。  そして最終的に、私どもは、やはりこの消費税の制度というものをなくするわけにはいかない、この点だけは共産党とともにするわけにはいかない、これだけ申し上げておきます。
  218. 正森委員(正森成二)

    ○正森委員 時間ですので、終わります。
  219. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 これにて正森成二君の質疑は終了いたしました。次に、濱田健一君。
  220. 濱田(健)委員(濱田健一)

    濱田(健)委員 最後の質問者になりました。社会民主党の濱田健一でございます。税制のあり方について臨時国会で特別委員会を設置し徹底的に論議を行う、そして今後とも消費税の改革に大胆に取り組む、税制民主主義の確立を図るという観点で、自民、社民、さきがけ三党の政策合意に基づいて、本日、臨時国会に設置されました税制問題特別委員会が開催されたわけですが、当初二日間の日程だったんですけれども、諸般の事情で本日一日、七時間ということで、実質この国会の審議を終了しなければならないということにつきましては、まず残念だと言わざるを得ないというふうに思います。  税制に関しての、税制に限定して徹底論議という観点で、ぜひ次期通常国会の中にも本委員会を設置をしていただきたいことを要望して、私の質問を始めたいというふうに思います。  まず、総理にお尋ねしたいと思うんですが、打ち続く官僚の不祥事について、本日、ある新聞の全国アンケートによりますと、調査対象の六五%の国民が官僚を信頼できないというふうに言っておりますし、五一%が不祥事が相次ぐのは政官業の結びつきが強いからと答えております。そして、大変失礼ではございますが、総理の行政改革に取り組む姿勢について余り変わらないと六五%が見ているという記事がございました。  けさからの総理の強い決意をお聞きしておりますので、そういうことはないとは思うんですけれども、補助金問題や、今申し上げました国民の意識から、政治家や官僚に自分たちの血税を渡すわけにはいかないということでの拒税ということを主張する方々が私たちの周りにもふえているということを実感するわけでございます。  国民と国の権利義務という関係から、拒税などという風潮が広がるということは憂慮にたえません。ぜひとも総理、このような国民の状況といいますか、それに最高責任者としてどうこたえていっていただくのか、決意をいただければ幸いだと思います。
  221. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 私どもも確かにその拒税という言葉をマスコミの上でも目にし、また耳にいたします。時に投書の中にもそうしたものが見られます。私は、これは本当に残念でありますし、税制というものが国民の信頼と理解に支えられて初めて機能する、そういう性格の中で行政に対する信頼を失墜させるような事件が相次いだこと、そしてその結果として拒税を唱える方がふえているということは、もう本当にこれはざんきの念にたえないと申し上げるのか、情けないと申し上げるのか、本当に言葉の選びようがないような思いです。  ただ、同時に、その税というのは、そもそも国家活動の基礎でありますから、国民にさまざまな行政サービスを供給していくために必要不可欠ないわば対価と申すべきものかもしれません。改めて、そうした税の基本を国民各位に対して申し上げなければならない事態、それ自体が何とも情けない恥ずかしいことでありますし、そうした思いを持ちながら、今後ともに行政の信頼を取り戻すためにでき得る限りの努力を尽くしていきたい、今そのように思います。
  222. 濱田(健)委員(濱田健一)

    濱田(健)委員 これは官僚とか政治家とか業者とか問わずに、国民全体が日本の国のあり方というものをしっかりしたものにしていくために、納税の義務ということを本来の姿としてやっていけるような国の姿というものをお互いにつくっていかなければならないということを私も感じているところでございます。  さて、日本は時間がありませんので、来年四月消費税五%へという現実的な対応に絞って質問させていただきますが、我が党の土井党首は、総選挙中に、消費税の税率云々はともかくとして、本年九月の見直し、検討について、与党内での検討はある程度なされたとしても、そのことが国民の皆さん方に、納税者としての目にはっきり映っていなかったということでのこういう特別委員会設置を主張されました。そしてここに実現し、その一日が終わろうとしているわけですけれども、きょうも何名かの方が質問をされておられましたけれども、総合的な逆進性の緩和という意味で、復習になるかもわかりませんけれども、幾つかお尋ねしたいわけでございます。  三年間の特別減税、二兆円掛ける三年、六兆円ございましたが、いわゆる景気回復という意味ではわずかなその気配が見えてきているというふうな情報いろいろ入っておるわけですが、激変緩和と逆進性緩和の観点から、当然年末の景気動向を見ながらということが前提になるわけですけれども、やはり特別減税の実施というのはどうしても国民の願いじゃないのかなと私は感じるところなのでございます。それは、二兆円というお金を固定する必要はないというふうに思いますし、所得制限を設けてでも、いわゆる消費税率二%アップの部分と減税のこれまでの効果が逆転する層から下の国民の皆さん方への特別減税というようなことでも結構ですので、対応できないのか、そのことをお聞きしたいと思います。
  223. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 お答えいたします。所得制限を設けての特別減税があるかという技術的な面についてのみお答え申し上げたいと思いますが、所得税制の性格からいたしますと、現在、各人はいろいろなところから所得があり得るわけでございますので、事業者が雇用者を把握して源泉徴収制度を中心として成り立っている我が国の所得税制のもとで、所得制限を設けてそれ以下の方だけに減税を行うということはできないわけでございます。  もしこれができるのであれば、例えば昭和五十年代にラーメン減税とかいろいろやりました。あのときはばらまきと言われて批判されたわけですが、やはり高額所得者にも同じようにお配りせざるを得なくなってしまったということが批判を受けたわけでございまして、所得制限を設けての低所得者への特別減税というのは、日本の所得税制度のもとでは不可能であると思います。
  224. 濱田(健)委員(濱田健一)

    濱田(健)委員 その辺の工夫というのができないのか調べてもらいたいと思うのですが、とにかく七月から九月のGDPは四月から六月からの実質の伸びが〇・一%しかないというようなこと、そしてGDPの六割を占める個人消費の動向は去年の九月と比べても一向にふえていないというようなことで、二%アップの部分そして減税がなくなるということについては、国民の皆さん方には非常に厳しい思いがあるということを私は伝えておきたいというふうに思いますし、けさほどの尾身先生の総理への質問の御回答の中にも、三塚大蔵大臣はそういうことはできないというふうにおっしゃいましたけれども、ぎりぎりまで考えるというような御表現もあったように私は耳に残っております。そういう部分につきましても、最後まで本当に検討をいただきたいというふうに思います。  引き続きやりますが、既に決定されている臨時福祉給付金一人当たり一万円、約三百五十億円計上されておりますが、臨時介護福祉金一人当たり三万円、対象は三十三万人で百億円ということがなされているわけですが、この対象者以外のところで、いわゆる年金受給者の中での低水準の年金受給者という部分が欠落した形でこれが平成六年に決められているというふうに私は思っているところでございます。  何らかの形でそこを救う方法はないものか。住民税の所得最低限で線を引くとか、そういう工夫はできないのかな、そしてそれが恩恵ではなくて、一、二年、三年ぐらい制度として定着てきないのかなということをお聞きしたいのですが。
  225. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 平成六年九月の与党合意の中で、九年四月の消費税税率引き上げの際に、福祉年金などの受給者に対して臨時福祉給付金等を支給することが決定されてまいりました。そして今国会になりましてから、私自身も、ほかにどのような手法があり得るのか、与党内の議論を注視しておりますということを申し上げてまいりました。  今回与党において、さらにどのような配慮が必要か、改めて検討された結果として、主として低所得の年金受給者の方々を念頭に置かれて、激変緩和措置として六十五歳以上の低所得者の方々に対し新たな給付金を支給することについて合意が成立した、そのように報告を受けております。政府としては、このような与党の申し入れ事項につきましては、その御趣旨に沿って誠意を持って対処していきたいと考えております。
  226. 濱田(健)委員(濱田健一)

    濱田(健)委員 今初めてお聞きいたしましたけれども、いろいろ調べた結果、そこだけぽんと抜け落ちていたものですから私たちもいろいろな方面にお願いをしていたところですけれども、そういう配慮をいただきましたことを、今から詰めが始まるのだろうとは思うのですが、感謝申し上げたいというふうに思います。それに続いてということではないのですが、やはりそれ以上に生活困窮をしていらっしゃいます臨時福祉給付金等の受給対象者の皆さん方に、もうあと一つ何らかの措置といいますか、手厚いものというものは考えられないのか。欲張りなのかもしれませんけれども、大蔵大臣いかがでしょうか。
  227. 林(正)政府委員(林正和)

    ○林(正)政府委員 先生から臨時福祉給付金の拡充のお話がございました。  先生も先ほどおっしゃっておられましたが、御案内の消費税率引き上げに伴う給付金につきましては、平成六年九月に二つの給付金が決定されてございます。この額一万円につきましては消費税の導入時の例を参考にしつつ決められたものでございまして、この一万円は食費、光熱水料等に対する一人当たり支出額五十万円強に消費税率引き上げに伴う物価上昇一・五%を掛けたものとおおむね合っているということでございます。したがいまして、臨時給付金の増額については困難ではないかというように考えております。
  228. 濱田(健)委員(濱田健一)

    濱田(健)委員 そういう国民の皆さん方の生活動向というのは、いろいろな消費動向も含めて一年で回復するということにはならないわけで、一般の低所得者の皆さん方以上に手厚い、消費税を二%上げるということへの配慮というのが必要だ。ですから、一年こっきりじゃなくて二年なり三年という制度化はできないのかということも含めて展望を示していただけないでしょうか。
  229. 林(正)政府委員(林正和)

    ○林(正)政府委員 お答え申し上げます。先生御案内のとおり、九年度におきます給付金は、十年度以降物価スライド制により、実質的にそういう意味では恒久化されておるところでございます。この点を御理解いただきたいと思います。
  230. 濱田(健)委員(濱田健一)

    濱田(健)委員 その辺の詰めばまた与党の中でさしていただきたいと思うのですが、本当に物価スライドが対応できるのかどうか、その保証というのもまたきちんとしたものにしていきたいというふうに思っております。  時間がありませんから、先を急ぎます。  平成元年の消費税三%導入のとき、国民全体に対して、消費税は福祉財源充実のためというふうにアピールがなされたことは記憶に新しいというふうに思います。平成六年の税制改正のときにも、平成九年より、来年からですが、老人介護対策として三千億、そして少子対策として一千億という措置がなされております。消費税一%アップによりまして二兆五千億というふうに、最初に二兆円と言っていたお金が、余るわけではありませんけれども積算の基礎が上がっていくという状況の中で、この社会的弱者関連の福祉予算というものをもっと目に見えるような形で拡充を図ること、それによって国民の消費税に対する感情というものも、なるほど国が言ったとおりの方向性になっているんだという感情の変化というものもできていくんじゃないかと私は思うのでございます。  私の周りのたくさんの皆さん方も、五%そのものに反対はしないという方もたくさんいらっしゃいます。その使途について、私たちの望む方向というものを国がしっかり指し示してほしいという思いがいっぱい渦巻いているということを御報告申し上げ、その辺の対応というものは検討する余地はないのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  231. 林(正)政府委員(林正和)

    ○林(正)政府委員 先生御案内のとおり、社会福祉を推進するためには、新ゴールドプラン、障害者プラン、それから緊急保育対策等五カ年事業を策定しておりまして、計画的に社会福祉対策、施策の拡充に取り組んでおるところでございます。  各プランをちょっと見てみますと、新ゴールドプランは御案内のとおり七年度から八年度にかけまして二八・七%、緊急保育対策事業については九・四%、障害者プランにつきましては一四・一%ということで、八年度予算において高い伸びを示してきておるところでございます。今後ともこれらの計画の着実な実施に努めてまいりたいと存じております。
  232. 濱田(健)委員(濱田健一)

    濱田(健)委員 その御努力については私たちも評価しているわけでありますけれども、今の政府の状況、行政の状況を見たときに、より一層そういうところに努力をするという姿勢と細かな配慮というものがあることによって政府は国民から信頼されるということを肝に銘じていただかなければ、やはり埼玉の事件かれこれを含めて国民の信頼を取り戻せないという、その辺を考慮していただきたいなというふうに思うのでございます。先ほど、いわゆる納税者背番号制度の問題が出されました。このことも質問をしようと思っていたわけでございますが、これは意見にかえさせていただきます。  消費税の逆進性を税制全体の中で解消していくためにも、累進性に裏づけされた応能負担の個人所得税、これを今後とも基幹税として堅持しなければならないと考えるわけでございます。そのためにも、その制度の支柱となります納税者番号制度の早期導入というものが、先ほどのお話にありましたとおりに必要だと我が党も考えておりますので、その推進に向けてなお一層の御努力をいただきたいと御要望を申し上げておきます。  その他、まだまだ時間があれば御質問したいことがあるわけですが、我が党は生活弱者、本当に光を当ててほしいと願っていらっしゃる皆さん方への対応というものを幾つも提案をしてまいりました。しかしながら、現実的、制度的に難しいと言われていることもございます。ただ、やはり逆進性の問題というものが、この消費税がある以上ある程度いつまでもつきまとっていくという現実を解消するために、公共料金の問題、これらをどうしていくのか。大規模自然災害等の被災者住宅再建への道を消費税の還付などを含めて対応していかなければならないとか、そういう支援策なども、直に税とは関係ないけれども検討をいただきたいというふうに要望と意見として申し上げておきたいというふうに思います。  最後にWTOに関する酒税の問題ですが、私の鹿児島県、回りが早い大衆の酒しょうちゅうが税率の格差是正の問題で大きく揺れ動いているということは、総理、大蔵大臣も御案内のとおりでございます。  私たちは、この問題をキャッチしましたときに、いわゆる酒の文化といいますか、ふるさとの文化、国の文化の違いというものを、そしてアルコールの度数に対して税をかける仕組みと、酒の種類、価格に対して税をかけていくという違いを全く考慮していただけない今回の状況に、腹立たしさを通り越して怒りまで感じているところなのでございますけれども、WTOという国際ルールを無視しては生きていけない日本の中で、地場、中小零細の皆さん方にやはり激変緩和に対する措置というものを講じていただかなければ、百円上がったばかりにしようちゅうが一四、五%多分売れ行きが落ちるだろうということを言われておりますし、リキュール類と同じぐらいの税率になりますと、四〇%ぐらい売り上げが落っこちてしまうのじゃないかという心配をされておられます。これは農業の問題とも直結している。鹿児島のあのシラス土壌の中でできるサツマイモの部分とも直結しておりますので、十六日ですか、聞くところによると日本のある程度の意思表示をしなければならない、延期について打診をしているけれどもなかなか難しいというような話も聞こえてくるわけなんですけれども、大蔵大臣、その辺の対応につきまして。
  233. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 WTOのしょうちゅう、ウィスキーの酒税格差の問題につきましては、しょうちゅうを愛飲されている地域の方々、あるいはおつくりになっている方、原料生産者の方々に大変申しわけないと思っておりますが、今御指摘のように非常に厳しい状況でございます。  ほぼ九年にわたって議論が続いておりまして、二回のパネルを経ております。今回のパネルも昨年から続けてきておりまして、この十一月一日に採択されたわけでございまして、その内容は御承知のとおりで、しょうちゅうの税率格差をスピリッツと同じにする、あるいはウイスキー等の間も、デ・ミニミスと言いますけれども、僅少の格差しか許せない、これがWTOの考え方であるといういわば判決をもらっているわけでございます。私も、十一月の末に向こうに行きまして、御指摘のように、これを直ちに実施しろ、例えば来年の四月からと言う国もありましたが、これはこれだけの変化をそういう短期間にやることはとても無理であるということで説明をしてまいっておりますが、非常に厳しい状況でございます。  もう一つ、その場合には、もし期間がとれればその間に商売のやり方を変えるとか、業を転じていくというようなことも必要になってくるかと思いますので、その辺の受け皿をどうするかということも含めまして、総合的に考えていかなければならないと思っております。  現在もシンガポールで税制二課長を中心に外務省と折衝を続けておりますが、実施の時期については、特にしようちゅうの乙については、長い時間をいただかなければならないということを根気強く説明している状況でございます。
  234. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 今御説明のように、全力を尽くしております。濱田議員から御指摘をされました要望、御意見を肝に銘じながら、督励をし、外務省と一体となってこれをやっておるところであります。
  235. 濱田(健)委員(濱田健一)

    濱田(健)委員 貿易のルールというのは当然守らなくちゃならないんですが、やはり日本人としての長い伝統と歴史、その中で生きてきた私たちの文化というのは、価格だけで、また税の問題だけで解決できないということを、お互い自分たちではわかっているんですが、諸外国の皆さん方にもあらゆる機会に訴えながら、今大臣決意いただきましたことをどうぞよろしくお願いしたいというふうに思います。  総理の所信表明に対する代表質問から衆参の予算委員会、この消費税の問題について、いろいろ質問や御答弁、私も伺ってまいりました。弱者対策について、なかなか進展しないのかなというふうに思っておりましたが、この一週間、十日の間に、五%来年四月実施という前提の中でお互いに努力してまいったことは、国民の皆さん方も評価をくださるものというふうに私思うところでございます。  これから後も、来年の税制改革、予算編成、近づいておりますので、政府・与党一緒になって頑張っていっていただきたいと思いますし、社会民主党も全力で頑張ってバックアップしてまいりたいと思います。  本日は、どうもありがとうございました。
  236. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 これにて濱田健一君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、両法律案についての質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  237. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 この際、両法律案に対し、佐々木陸海君から、それぞれ修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。佐々木陸海君。     ―――――――――――――  所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政法の一部を改正する法律案に対する修正案〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  238. 佐々木(陸)委員(佐々木陸海)

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の修正案の趣旨を御説明申し上げます。  修正案は、お手元に配付したとおりでございますので、案文の朗読は省略をいたします。  さきの総選挙結果に示された消費税をめぐる世論の動向並びに国民生活の実態にかんがみるとき、新進党の改正案が消費税増税を四年間とはいえストップさせることは、その限りで国民の利益に合致するものでありますが、同時に、この改正案は、二〇〇一年以降の税率については今あらかじめ決めるという立場に立っていないという同党幹部の選挙中の発言にもかかわらず、四年後の二〇〇一年四月に自動的に五%に引き上げるという内容になっている点で、重大な問題と矛盾を持っております。さらに、改正案は、中小業者の事務負担増と経営破壊を推し進める中小企業特例の改廃等を来年四月からそのまま実施することとし、また逆進性の強い間接税を一層体系化する地方消費税創設を容認しているのであります。  我が党の修正案は、このような新進党改正案の問題点を修正しようとするものであります。すなわち、所得税法及び消費税法の一部改正法関連の改正案につきましては、消費税率引き上げ措置そのものを行わないこと、中小事業者に対する特例措置の見直し及び仕入れ税額控除要件の見直し等の改正を行わないことなどの修正を行うこととしております。  地方税法等の一部改正法関連の改正案につきましては、地方消費税の創設、地方交付税率の引き上げ措置、さらに消費譲与税法の廃止措置など、一連の九四年改正を行わないなどの修正をすることとしているのであります。  以上が、修正案の趣旨であります。総選挙で示された多数の国民の意思と利益に合致するものと確信し、委員各位の御賛同を心からお願いを申し上げるものであります。以上であります。
  239. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。  この際、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び同法律案に対する修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があればお述べいただきたいと存じます。三塚大蔵大臣。
  240. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 平成六年秋の所得税法及び消費税法の一部を改正する法律は、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ち、社会の構成員が広く負担を分かち合い、かつ、歳出面の諸措置の安定的な維持に資するような所得、消費、資産等の間における均衡がとれた税体系を構築する視点から税制の改革を行うものであります。  政府としては、我が国の中長期的発展のためには、経済構造改革の重要な柱であるこの税制改革を確実に実施していくことが必要であると確信しております。  したがいまして、本法律案については、政府としては反対であります。  次に、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について申し述べます。  政府としては、原案に対して反対であります。したがいまして、本修正案に係る部分にのみ意見を申し述べることは適切でないと思われます。
  241. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 次に、地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政法の一部を改正する法律案及び同法律案に対する修正案について、念のため、内閣において御意見があればお述べいただきたいと存じます。白川自治大臣。
  242. 白川国務大臣(白川勝彦)

    ○白川国務大臣 平成六年秋に成立した地方税法等の一部を改正する法律は、活力ある豊かな福祉社会の実現を目指す視点に立った税制改革等の一環として、個人住民税について減税を実施するとともに、地方分権の推進、地域福祉の充実等のため、消費譲与税にかえて地方消費税を創設することにより地方税源の充実を図ろうとするものであります。  政府としては、我が国の中長期的発展のためには、この税制改革を確実に実施していくことが必要であると確信いたしております。したがいまして、本法律案については、政府としては反対であります。次に、地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政法の一部を改正する法律案に対する修正案について申し述べます。政府としては、原案に対して反対であります。したがいまして、本修正案に係る部分にのみ意見を述べることは適切でないと思料されます。     ―――――――――――――
  243. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 これより両法律案及び両法律案に対する修正案を一括して討論に入ります。討論の申し出がありますので、順次これを許します。村上誠一郎君。
  244. 村上委員(村上誠一郎)

    ○村上委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております新進党提出所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政法の一部を改正する法律案並びに両案に対する日本共産党提出の修正案に対し、反対の立場から、以下、討論を行うものであります。  今や、我が国の高齢化は急ピッチで進んでおり、年金や医療、介護、さらには子育て支援など、各種施策への急速な支出増が見込まれています。一方、それを支える勤労世帯の比率が減少することから、二十一世紀を目前に控えた今、国民の負担のあり方を見直して活力ある福祉社会の実現を目指す。このような観点から、平成六年秋に税制改革関連法が成立したわけであります。この法案に基づき、いわゆる所得税及び住民税の制度減税については既に平成七年度から先行実施しており、消費税率については来年四月一日より引き上げることとしております。今回提出された新進党のいわゆる消費税率据え置き法案は、この税制抜本改革の方針に真っ向から反するものであり、到底容認できるものではありません。  以下、両案及び修正案に対する主な反対理由を申し上げます。  新進党は、さきの総選挙においては、消費税率を西暦二〇〇一年三月まで据え置くとともに、所得税、住民税などの十八兆円減税を来年度から実施し、その財源として行政改革の断行等により国と地方の経費を二十兆円以上減らし、さらに公的年金、介護も保障し、公共料金を二割から五割引き下げることを内容とする国民との五つの契約を公約として掲げました。これが本当に実現できれば結構なシナリオでありますが、その実現への具体的な裏づけとなると、多くの疑問ばかりわいてくるのであります。  まず、減税の財源をどのように確保するかという問題であります。  新進党は、行政改革、地方分権、規制撤廃などで二十兆円以上を捻出し、それが実現するまでの間はつなぎ国債で賄うと言い、経済活性化による税の自然増収に期待し、それでも足りない場合は消費税引き上げようとしております。  果たして、二十兆円以上もの経費の削減を、いつまでに、どのように達成することができるのか、いまだその根拠も示しておりません。現時点において、十八兆円減税の法案すら提出しておりません。  次に、今後、税の自然増収をどれほど期待できるのか疑問です。かつてのバブル期のような自然増収が今後望めない状況下で、大幅減税に伴う赤字国債の増発、これによる国債残高の増加、ひいては国債費の増加でその大半が消えてしまうことになるのではありませんか。国や地方を合わせた累積債務残高が、本年末には四百四十二兆円で、GDPの九割を占める現状において、責任を持って財政の再建に取り組まなくては、数年で国家財政は破綻し、民間経済にも大きな打撃を与え、日本が沈没してしまう。このような懸念すら覚えるのであります。  新進党、日本共産党から提出された法案及び修正案には、こうした危機的な財政への現状認識が欠けており、少なくとも国民に納得させる説明がなされているとは思いません。その上に、高齢化社会に対応した税制の構築に全く意を用いることなくしかも現在の財政状況をさらに悪化させ、我々の子や孫の世代に一層の負担増加を押しつけると言わざるを得ません。  既に申し上げましたとおり、平成六年秋の税制改革は、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ち、社会の構成員が広く負担を分かち合い、かつ歳出面の諸々の措置の安定的な維持に資するような所得、消費、資産等の間における均衡がとれた税体系を構築する観点から行われたものであります。  その後、政府は、いわゆる検討条項の趣旨に基づき、消費税率について検討を行った結果、既に法定されている税率の引き上げを変更せずに、平成九年四月一日から施行することを閣議決定いたしました。また既に、真に手を差し伸べるべき方々への激変を緩和する措置として、九年度において臨時福祉給付金及び臨時介護福祉金を支給することを決定している上に、さらに充実を図るとしております。  我が国の中長期的発展のためには、経済構造改革の重要な柱である平成六年秋の税制改革を確実に実施していくことが必要と考えられることから、この決定は極めて妥当なものであります。  以上のとおり、我々は、責任ある政治を目指す見地から、新進党の消費税率据え置き法案及び日本共産党の修正案には反対の意を表し、私の討論を終わります。(拍手)
  245. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 前田武志君。
  246. 前田(武)委員(前田武志)

    前田(武)委員 私は、ただいま議題となっている新進党提出所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政法の一部を改正する法律案につきまして、新進党を代表して、賛成の討論を行うものであります。賛成の第一の理由は、消費税率の据え置きなくして、経済再建は達成できないからであります。今、日本経済は、表向きは一時的な回復が見られますが、未曾有の不況から受けた傷は大きく、経済危機は深刻になるばかりです。来年以降は一%、悪ければゼロ%台の成長というのが民間研究機関を中心とした大方の声であります。政府は、消費税の増税に加えて、特別減税打ち切り、国民年金や健康保険料の引き上げも含めると約九兆円の負担増を国民に求めようとしています。国民の暮らしを立て直し、経済再建を図るためにも、今世紀中は消費税率を三%に据え置くことが不可欠であります。  賛成の第二の理由は、消費税率の据え置きなくして、財政再建の達成は不可能だからであります。  政府は、みずから汗をかく行財政改革を先送りして、消費税率引き上げを強行しようとしています。橋本総理は、火だるまになってでも行政改革を断行すると発言して行革に対して並々ならぬ決意を示していますが、中央省庁の機構いじりでお茶を濁している実態はお寒い限りです。具体的な歳出構造の見直しも歳出削減もなくして、真の行政改革はあり得ません。消費税率をいたずらに引き上げれば、歳出の肥大化はとめどなく続きます。行政改革を断行する保証としても、消費税率の据え置きは必要であります。  賛成の第三の理由は、消費税率の据え置きなくして、税金のむだ遣いをストップすることはできないからであります。  住専処理への税金投入に加え、厚生省の事務次官の不祥事が発覚し、議会制民主主義や予算、税制そのものに対する国民の信頼は著しく損なわれたと言わざるを得ません。政府が拙速に提出した介護保険法案も初めに保険制度導入ありきで、高齢社会の福祉充実のために導入された消費税との関係も不明確であります。  賛成の第四の理由は、新進党の提出法案が、単に消費税率の据え置きだけではなく、二十一世紀に向けた行財政改革や福祉ビジョンの策定にも責任を持ち、国民のための抜本的税制改革につながる道をきちんと担保している点であります。新進党の案は、無責任な消費税廃止論にくみするものではなく、平成十三年四月一日からの消費税率については、社会保障等に要する費用の財源を確保する観点、行政及び財政改革の推進状況、租税特別措置等及び消費税に係る課税の適正化の状況、財政状況等を総合的に勘案して検討を加え、平成十二年九月三十日までに決めると定めています。新進党の案では、政府と異なり、この条項を単なる見直し条項ではなく、抜本的税制改革に向けた厳しい前提条件と位置づけています。所得税、個人住民税の半減、法人諸税の実効税率の引き下げ、有価証券取引税や土地の保有・譲渡益課税のあり方などを総合的に見直しつつ、あわせて経済構造改革を推進し、スーパーゴールドプランの策定、実施を初めとした高齢社会に対応した福祉政策の充実に取り組み、さらに、国・地方を通じた行財政改革の断行、歳入歳出構造を見直した上で、適正な消費税率を決定するという趣旨であります。自民党の公認候補者の多くも、消費税率五%に反対の意思を演説や文書で明らかにして当選に至りました。橋本内閣の閣僚でも、二人は選挙公報で消費税率引き上げに反対しています。民主党や社民党の議員の中にも選挙中に消費税率据え置きを公約された方々がいます。これらの議員の皆様には当然御賛同いただけるものと確信しております。まかり間違っても、みずからの公約に違反して新進党案に反対するような、有権者に対する裏切り行為を平然と行う議員はいないと確信しています。しかし、我々としては、各議員の厳しく投票行動をチェックして、公約違反があった場合は国民の前に結果を公表する予定であります。以上をもちまして、私の新進党提出の各法案についての賛成討論といたします。なお、日本共産党提出の修正案については、消費税に対する考え方が基本的に異なるものであり、反対であります。以上で討論を終わります。(拍手)
  247. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 日野市朗君。
  248. 日野委員(日野市朗)

    ○日野委員 私は、民主党を代表して、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政法の一部を改正する法律案に対し反対し、また、共産党が提出いたしました右の両法案に対する修正案に対して、反対の討論をいたします。私ども民主党は、さきの総選挙の際の公約の中で、今回の消費税率の五%への改定については、二年前の所得税等の恒久減税の見合い分であり、かつその一%は地方消費税として国から地方への財源移転を進めるものであるという意義を踏まえ、これを基本的に容認することを表明してまいりました。また、消費税制度そのものにつきましても、現行所得税がいわゆる水平的公平、世代間の公平という点で問題を有していることに照らすと、これと相補う税制として肯定的に評価すべきであるとの認識に立つものであります。もちろん、消費税率の改定をめぐって、国民の中にはなお不満の声が存在していることも十分に承知いたしております。この不満は、一つは、消費税制度に内在している逆進性の問題に起因し、また累次の見直しにもかかわらずいわゆる益税が完全には解消していないこと等に向けられたものと理解をいたします。さらに、官官接待問題や厚生省官僚の汚職事件などによって次々に明るみに出てきている官僚機構の腐敗、不透明、不公正な税金の使われ方などが放置されてきたことが国民の怒りを増幅させているものと考えます。これらの問題については、私たちは不断の努力を重ねて国民の御理解を得る努力をしていかなければなりません。新進党の提案されたこの二つの法律案についてさらに若干申し述べれば、我が国の財政危機というものは目を覆うばかりでございます。このような現実を目の当たりにすれば、その解決のために、政治はもちろん行政も経済界も、そして国民も真剣に取り組むべきでございます。このような状況下にあって、なお財政需要は増大しこそすれ、決して減少することはありません。そして、新進党の提案を拝見し、またきょうの議論を拝聴しておりまして、新進党は、経済を再建してそして財政の再建に資する、このような方法論をとっておられるようであります。問題は、日本の現在の経済の低迷が、ケインズ的な手法はもう通用しないというような事態に立ち至っていることであります。一時的な手当てをもって回復するといった生易しいものではありません。これまで日本の経済成長を支えてきた経済構造そのものが経済低迷の原因となっているのであります。そして今、私たちは、この構造そのものを改革する、このことの必要に迫られております。今国会においては、改革、大競争時代、閉塞状況といった言葉がキーワードとして語られております。これらの実現もすべてこの構造改革に対して注目した上のものであります。この改革を懸命に行うことは、政治の衝に当たる者の当然なすべきことでありまして、民主党もまた、行政改革を初めとする諸改革に懸命に取り組んでいるところであります。もちろん、景気の回復はだれしも望むところでございます。しかし、十八兆円にも上るこの減税を賄うだけの景気の回復があるというふうに私は考えることができないのであります。きょういろいろ論議を伺っておりました。しかし、私は、きょう伺った論議にさらに、経済のボーダーレス化の問題、それから為替の問題、労賃の問題、さらに労働市場の動向、こういった数多くの要因が加味された検討が進められなければならないというふうに思っております。この財政の再建というのは非常に難しい課題であることは言うまでもないのでありますが、バブル景気に日本が踊っていたときにも、当時の財政状況の目立った改善が行われたかどうかということを考えてみますと、これについては若干疑問を呈さざるを得ないところであります。そしてさらに、私は、提案者の言っておられる景気回復、それがどの時点で達成をされるのかという点について非常に大きな疑問を呈さざるを得ません。もちろん、構造の改革を行ってまいりますと、当然リードタイムということもございます。そのリードタイムをどのように乗り切っていくかという方法は明らかにされなかったというふうに私は考えざるを得ません。もし提案者の言う経済回復がなかったとするならば、提案者の言われる経済運営の政策の中で、日本は回復不能の痛手をこうむることになると私は考えざるを得ません。私は、提案者の御提案に対して、以上のような考えから、皆さんの考え方についてはこれにくみすることはできないということを申し上げざるを得ないと思います。まことに失礼ではありますが、選挙の前に、選挙に向けての、十分な検討もないままにお出しになった政策ではなかろうかというふうに考えざるを得ないのであります。共産党がお出しになった二つの修正案につきましては、その反対の理由は今私が申し述べました中に含まれておると思いますので、それにも反対させていただきます。終わります。(拍手)
  249. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 正森成二君。
  250. 正森委員(正森成二)

    ○正森委員 私は、日本共産党を代表して、新進党提出の二つの法案について反対、日本共産党提案の修正案に賛成の討論を行います。さきの総選挙で示された民意は、消費税五%増税の中止であります。この国民の審判にこたえることこそ、この臨時国会における本委員会の責務であります。日本共産党は、消費税増税の中止を求め、今国会での徹底審議を求めてきました。ところが、本特別委員会の審議は、日本共産党以外の諸党の賛成で、わずか一日、たった七時間の質疑で幕が引かれようとしています。さきの総選挙で、来年四月からの五%引き上げに反対または異論を唱えた議員は、衆議院議員五百人中実に三百六十人を超え、七三%に達しています。この特別委員会委員では、六割の委員が何らかの形で引き上げ中止を公約しています。さらに、九月の自民、社民、さきがけ三党合意でも総選挙後に税制のあり方を徹底的に議論するとしていたように、税制特別委員会での徹底審議は、消費税への立場の違いを超えた各党共通の公約であります。各党、各委員は、この公約に忠実に行動すべきであります。たった一日の審議でお茶を濁す態度は、消費税問題での公約違反の罪をさらに重ねるものであり、国民の政治不信をさらに深めるものと言わなければなりません。新進党の消費税率据え置き法案は、四年間について消費税率を据え置くという点では国民多数の利益にこたえる面を持っているものの、四年後の二〇〇一年四月一日から税率が自動的に五%へ引き上がる仕組みとなっているなど、将来の税率はあらかじめ決めないという同党の公約にも反する重大な問題を含んでいます。我が党は、消費税廃止を展望していますが、公約を実現する立場から、消費税五%増税中止の一点での国会内での合意を追求し、新進党に対しても、将来の税率や将来の消費税のあり方についての立場の違いを横に置き、五%への自動増税となる法案に固執すべきではないと求めてきました。我が党の修正案は新進党提出法案の問題点を取り除くものであり、国民多数の願いに合致すると確信するものであります。消費税の増税は、税の逆進性を一層強め、年金生活者や低所得層を直撃し、不況に苦しむ中小企業に一層の困難を強いるものであります。さらに、将来の二けた税率への突破口となるものであり、断じて認められません。この一カ月間に国会に寄せられた増税中止請願署名が六百三十万を超えるなど、消費税増税を許さない国民の世論はますます高まっております。日本共産党は、たった一日の税制特別委員会での審議で消費税問題の幕引きを許すことなく、既に本院に提出している消費税率引上げを行わないことを求める決議案の採択を初め、増税の阻止に向け引き続き奮闘する決意を表明しまして、討論といたします。(拍手)
  251. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 これにて討論は終局いたしました。
  252. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 これより採決に入ります。まず、小沢一郎君外二十五名提出所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する佐々木陸海提出の修正案について採決いたします。まず、佐々木陸海提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。〔賛成者起立〕
  253. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。次に、原案について採決いたします。原案に賛成の諸君の起立を求めます。〔賛成者起立〕
  254. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。次に、小沢一郎君外二十五名提出地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政法の一部を改正する法律案及びこれに対する佐々木陸海提出の修正案を採決いたします。まず、佐々木陸海提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。〔賛成者起立〕
  255. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。次に、原案について採決いたします。原案に賛成の諸君の起立を求めます。〔賛成者起立〕
  256. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。お諮りいたします。ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  258. 原田委員長(原田昇左右)

    ○原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三分散会      ――――◇―――――