○秋葉
委員 社会
民主党の秋葉でございます。
社民党の中では、党としての
選挙の
評価、総括というのはまだまとめておりませんけれども、
衆議院の方は特に人数が少なくなりましたので、全員で
フリーディスカッションをして、その中で挙がってきた何点かを
皆さんに御報告したいと思います。
しかしながら、既に自民党から共産党まで四党の
皆さんがさまざまな観点から問題提起をしてくださいました。問題の範囲というのは大体既に出尽くしているような気がいたしますので、少々視点を変えて、どういった
議論をこれからしていくのかというあたりを頭に置きながら、三、四点、五つぐらいになるかもしれませんが、まとめて、私の
意見も交えながら申し上げたいと思います。
まず
最初に、この
制度が
導入されたその
趣旨、意図というのは私たち皆共通だったわけですけれども、
政治改革という言葉に表現された
国民の思い、それから私たちの思いというのは確かにありましたけれども、具体的にその
政治改革という名前のもとに行われたこの小
選挙区
比例代表並立制の
導入というものが、あれは熱病に取りつかれていたんだという反省が出てくるぐらい、残念ながら正常な形での
議論がしばしばおろそかにされた嫌いがあるのではないか、そういう点が我が
党内でも指摘されました。
それで、例えば現在
批判をされている
重複立候補制度、これは、
選挙をやってみて初めて、こんなことがあるんだ、それがわかったというような報道のされ方あるいは問題の取り上げられ方がされていますけれども、実は、この
選挙制度の
議論をしている間に、少数ではありますけれども、この点についてきちんと指摘をした専門家もいらっしゃいますし、あるいは我々もそういった問題提起をいたしました。残念ながら、それが
議論の中では十分に生かされなかった嫌いがあります。そこが非常に大きな問題ではないかという気がいたします。
特に、この小
選挙区
比例代表並立制という
制度ですけれども、この中にも幾つか
選択の余地があって、そういったものを入れますと、世界でこれまでにこの
選挙制度を採用して実行しだ国というのはたった五カ国であります。それらの国々はブルガリア、グルジア、ロシア、イタリアそして
日本ですけれども、ロシアはまだわかりませんけれども、ブルガリア、グルジア、イタリアでは、この
制度についての根本的な反省が行われて、いずれもこの
制度を廃止するという
決定をいたしております。
現在の
我が国の
議論は、少々の手直しをすることによっていい
方向に
制度を変えていくことができるのではないか、そういった
議論が
中心になっているように思われますけれども、いずれのこういった諸外国の例、それからその理由を詳細に検討してみますと、
制度そのものの根本的な欠陥があるという認識が圧倒的に大きな比重を占めているということがわかります。
導入の際にこういった諸外国、例えばブルガリアの例についての十分な検証が行われずに
導入された
制度ですけれども、これを
評価しさらに改善していく際には、やはり今度は、きちんと事実を踏まえた。諸外国の例も参考にしながらきちんとした
議論を行っていくべきではないか、そんなことが私どもの党の中では問題提起として出てまいりました。
一例を申し上げたいと思いますけれども、例えばブルガリアで行われました一九九〇年の
選挙においては、我が党と全く同じような
批判が出てきております。例えば死に票の問題であるとかあるいは有権者の間の
選挙制度に対する混乱の問題、
重複立候補の問題、こういったことがやはり
問題点として指摘されております。結果としてブルガリアはこの
制度をやめるという結論を得ております。イタリアにおいては、これは小
選挙区では
政党選挙にならなかった。
政党間の妥協が非常に大きかった。それから
比例では、それでも
政党色を出さなくては
選挙にならないという、これはこの
並立制そのものの持つ構造的矛盾ですから、手直しをしてもよくはならない。その結果として、
政党が地域
政党化してしまった。これは現在、
日本でも地域
政党色というのが非常に濃く出てきておりますけれども、そういったところから、最終的にはこの
制度をやめるという
方向になっております。
こういった点について、改めて今後の私たちの検討の中でも、諸外国における、それから
我が国のこれまでの小
選挙区
制度による
選挙の
実施例等も参考にした比較検討が、非常に重要であるというふうに私ども考えております。
それから第二点ですけれども、小
選挙区
制度導入に当たって、その審議の場には大きな問題として浮かび上がってこなかったけれども、
選挙を
実施するに当たってこれが非常に重要な問題であるというふうに認識された点が何点かございます。その中で、今まで指摘された点がありますけれども、これはアメリカとの比較で特に申し上げておきたいところなんですけれども、金をかければかけただけ効果のある
選挙というものが合法化されてしまう。
例えばアメリカの
選挙で非常に大きな問題になっているのは、テレビのコマーシャルの使用といった点であります。さまざまなメディアを活用するということ、それで、特にテレビを活用する際には、そのプログラムをつくるためのノウハウとか、それから俳優、あるいはさまざまな技術的な問題がありますから、お金をかければかけるほど効果的なものが使われる。それでいいのかというのがアメリカにおける深刻な反省ですけれども、
日本では、今回の
選挙ではそれを何の制限もなく合法化してしまいました。
その他にも、例えば
選挙期間中の非常に大きなサイズのポスター。これもほぼ制限がなく、お金持ちの、一等地を持っている支持者がある
政党にとっては圧倒的に有利だけれども、しかしながら、それ以外の、本当に裏通りにしかポスターを張れないような
政党にとっては、あるいは無所属候補にとっては圧倒的に不利である。これも金のあるなしによって
選挙の効果に直接影響を与えるようなものですし、あるいはパンフレットの無制限な配布も許されている。これは、
ビラはだめですけれども、パンフレットは
選挙期間中にも
政党が配っていいといったような点。
具体的にはこういったことを申し上げましたけれども、金をかければかけるだけ効果が出る
選挙制度というものを実際に今回やってしまったという点がございます。
それから、今までの
選挙制度運用の際にも問題であったことだけれども、特に今回は新しい
制度ということで
選挙の問題に目を向けると、小
選挙区
比例代表並立制という
選挙制度における
問題点ではないけれども、
選挙全体としてやはり問題にしなくてはいけない点が幾つかあるのではないか。
これは午後の質問の際にも提起したい問題ですけれども、例えば、アメリカのワシントンに国際
選挙制度財団という、これは一種のシンクタンクですが、特に、五五年体制といいますか、冷戦構造が終わった後で東欧と旧共産圏の国々が新しい
制度に移行するに当たって、
選挙制度についてのアドバイスをしようという
目的でつくられた一種のシンクタンクなわけですけれども、この財団の判定によると、世界じゅうの国々で
日本の
選挙制度というのは、これは秘密
投票を行っていない国の中に入ってしまう。
例えば秘密
投票というのは、
投票をする際に、最低限、
投票をするブースの中に入ってカーテンを閉められる、立会人といえども、
投票者が一体どのような人に
投票しているのかがわからない。
日本の場合には自書式ですから、手の動きを見るだけでだれに
投票しているかということが簡単にわかる、隣のブースを簡単にのぞけるといったような点から、これは秘密
投票とはみなされていない
選挙制度です。それでいいのかといったような問題が提起されております。それから具体的には、
不在者投票の際に
候補者の名前が掲示されていないとか、あるいは
選挙管理
委員会の方で誘導的な指示を与えて
投票者を混乱させるとか、実際に
選挙施行上のさまざまな
問題点が指摘されております。
それともう一点、
供託金の問題が先ほどから
重複立候補に絡んで出されていますけれども、そもそも
供託金制度があるべきなのかどうか、この点についても新たに問題提起をする必要があるのではないか、そんな
意見も我が党の中には出てきております。
そして、
最後になりますけれども、そもそも
政治改革という
課題が
国会で取り上げられるに至った初心に戻って、金権腐敗
政治、現在もさまざまな分野で問題になっていますけれども、その初心に返ると、やはり企業・団体献金の即時禁止というところにどうしても目を向けざるを得ない。企業・団体献金を即座に廃止するというところからもう一度
政治改革、これが全く行われていないというのが特に我が党党首の土井さんの考え方ですけれども、きちんと
政治改革をやりましょうという
意見が非常に強く出されたことを申し上げまして、私たちの党の
意見のサンプルの幾つかを御報告させていただきました。ありがとうございました。