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1996-11-28 第138回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年十一月二十八日(木曜日)    午後二時十七分開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月十四日     辞任         補欠選任      今井  澄君     及川 一夫君  十一月二十六日     辞任         補欠選任      及川 一夫君     前川 忠夫君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      都築  譲君     山崎  力君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         真島 一男君     理事                 浦田  勝君                 高木 正明君                 石井 一二君                 高橋 令則君                 一井 淳治君     委員                 青木 幹雄君                 井上 吉夫君                 岩永 浩美君                 佐藤 静雄君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 阿曽田 清君                 及川 順郎君                 常田 享詳君                 山崎  力君                 前川 忠夫君                 村沢  牧君                 須藤美也子君                 国井 正幸君                 島袋 宗康君    国務大臣        農林水産大臣   藤本 孝雄君    事務局側        常任委員会博門  秋本 達徳君        員    説明員        外務省経済協力        局無償資金協力  奥田 紀宏君        課長        農林水産政務次  服部三男雄君        官        農林水産省農産  高木  賢君        園芸局長        食糧庁次長    阿部  修君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (平成年産米政府買価格に関する件)  (食糧農業援助の拡充に関する決議の件)     ―――――――――――――
  2. 真島一男

    委員長真島一男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十四日、今井澄君が委員辞任され、その補欠として及川一夫君が選任されました。  また、去る二十六日、及川一夫君が委員辞任され、その補欠として前川忠夫君が選任されました。  また、昨二十七日、都築譲君が委員辞任され、その補欠として山崎力君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 真島一男

    委員長真島一男君) 農林水産政策に関する調査を議題といたします。  まず、本調査のうち、平成年産米政府買い入れ価格に関する件について政府から説明を聴取いたします。阿部食糧庁次長
  4. 阿部修

    説明員阿部修君) 御説明申し上げます。  食糧法のもとでの米穀政府買い入れ価格は、自主流通米が制度的にも実態的にも米流通主体となったことを踏まえまして、自主流通米価格動向を反映させるほか、生産コスト等を参酌し、米穀の再生産を確保することを旨として決定することとされ、このための新たな算定方式を昨年の十二月に米価審議会意見を聞いて設定したところでございます。  平成年産米穀政府買い入れ価格決定に関しましては、この新たな算定方式に基づき算定した試算値につきまして本日の米価審議会諮問を行いましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、「諮問」を朗読いたします。     諮問  平成年産米穀政府買価格決定に関し、米穀需給事情市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営を図るとの観点に立って算定を行い、この算定に基づき決定することにつき、米価審議会意見を求める。   平成八年十一月二十八日        農林水産大臣 藤本孝雄  次に、「諮問説明」を朗読させていただきます。     諮問説明  「主要食糧需給及び価格の安定に関する法律」においては、自主流通米米流通主体となり、政府が買い入れる米穀は、備蓄の円滑な運営を図るためのものとされるとともに、生産調整実施者から買い入れることとされております。また、その価格は、自主流通米価格動向その他の米穀需要及び供給動向を反映させるほか、生産条件及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産を確保することを旨として定めることとされております。  このような政府が買い入れる米穀の意義・役割にかんがみ、政府買米価につきましては、昨年十二月、米価審議会意見を聴いて、自主流通米価格変動率及び生産コスト等変動卒基礎として、需給事情市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営が図られる方式を導入したところであり、平成年産米穀政府買価格につきましても、引き続き、この算定方式により算定することとしてはどうかということであります。  続きまして、お手元の「平成年産米穀政府買価格試算」という横長の資料につきまして御説明申し上げます。  めくっていただきますと目次があります。もう一ページめくっていただきまして、一ぺiジから御説明いたします。  「平成年産米穀政府買価格試算」でございます。  まず、1の「政府買米価算定考え方」でございます。  (1)ということで、自主流通米価格形成センターにおいて形成される自主流通米入札価格動向比較により価格変動率を求めるとともに、農林水産省統計情報部が公表しております生産費調査に基づく米販売農家の全算入生産費動向比較により生産コスト等変動率を求め、これらの変動率を均等のウエートにより基準価格に乗じるとともに、後から具体的には御説明いたしますけれども、消費税、来年の四月から引き上げということを適切に米価に反映させるために、消費税調整係数を乗じまして「求める価格」を算出しております。  この場合、基準価格は前年産米穀政府買い入れ価格としております。また、自主流通米価格変動率算出当たりましては、自主米価格センターで上場されますすべての上場銘柄加重平均価格を用いております。それから、生産コスト等変動率算出当たりましては、前年産米穀価格決定時から直近までの物価なり賃金動向及び反収動向を織り込んでおります。  右の方に算式が書いてございます。「求める価格」イコール、PO基準価格でございます、前年産米穀政府買い入れ価格。それに括弧でA、Aは自主流通米価格変動率。それにw1ということでウエートを掛けております、この場合〇・五のウエートでございます。それに足すことのBが生産コスト等変動率でございます。それにw2ということでウエート〇・五を掛けております。それで全体に掛けるαでございますが、消費税調整係数というような係数を掛けております。  次のページでございますけれども、政府買い入れ米価につきましては、需給事情なり市場評価を反映させつつ安定的な価格運営を図るという観点から、まず自主流通米価格変動卒を求めるに当たりましては、移動三年平均による比較を行っております。その際、需給変動による価格への影響を緩和するため、生産調整面積変更決定した年の年産にかかわります自主流通米入札価格平準化を行うというようなことを書いてございます。  ちょっと御説明いたしますと、近年豊凶変動が大きくなって、生産量在庫の数量の変動が大きい。それで、自主流通米価格の毎年の動きも大きくなるわけでございます。このような入札価格で形成される価格行政価格である政府買い入れ価格に適切に反映していくために、一定の価格平準化を行っております。  具体的には、需給変動当該年の秋に決定いたします来年の生産調整面積の増減にあらわれるという考えに立ちまして、生産調整面積変更決定した年の年産にかかわります自主流通米価格入札価格平準化を行うこととしておる次第であります。  それから②でございますが、生産コスト等変動率を求めるに当たりましては、移動三年平均によります比較を行っております。その際、平準反収を用いております。  (3)で消費税のことが書いてあるわけでございますが、来年四月一日から消費税率が三%から五%に引き上げられることを考慮しまして、消費税の適正な転嫁という観点から、消費税率引き上げ影響米価算定に適切に反映させるというふうにしております。  「算定」でございますが、以上の考え方によりまして算定した価格でございますが、六十キログラム当たり一万六千二百十七円、前年の価格に比べましてマイナスの百七十五円、パーセントで一・一%のマイナスというふうになっております。  右の方は算定の式でございます。  この価格の性格でございますけれども、ウルチ一-五類、一-二等平均包装込み生産者手取り予定価格というような価格でございます。  それで三ページ、「算定要領」でございます。  まず、「基準価格PO)」でございますけれども、基準価格は前年産米穀政府買い入れ価格ということで、一万六千三百九十二円をとっております。  それから次に、「自主流通米価格変動率(A)」でございますけれども、自主流通米価格変動率につきましては、自主流通米の中期的なトレンドを反映させるとの観点から、すべての上場銘柄加重平均価格直近三カ年平均とその前年の三カ年平均とを比較することによって求めております。  この場合、生産調整面積変更決定しました平成年産から七年産までの各年産価格につきましては、各年産加重平均価格とその年産入札取引におきます基準価格との平均価格を用いております。  具体的な数字の方は右の方に書いてあります。こういった計算をいたしますと、変動率が九七・四三%ということになります。  それから四ページでございますが、「生産コスト等変動率」ということで、Bのことでございます。この生産コスト変動率につきましては、生産費調査に基づきまして家族労働費、それから物財雇用労働費、それから反収というそれぞれごとにそれぞれの変化率を求めまして、それとともに家族労働費物財雇用労働費について全算入生産費に占めるそれぞれの割合によりウエートづけを行って、最後反収変化率で割り戻すというようなことをやっております。  具体的な式は右の方に書いてありますが、ちょっと説明は省略させてもらいます。  そういうふうにしますと、生産コスト変動率が九八・六五%というようなことになります。  それから五ページ、ここからただいま説明しました算式の要素を細目につきまして説明しておるわけでございます。  まず、「労賃の変化率」の部分でございます。これにつきましては、労働省の毎月勤労統計調査というのがございまして、これにおきます建設業製造業及び運輸・通信業の三業種の五人以上三十人未満の賃金をとっておるわけであります。それの直近一年平均とその前年の一年平均とを比較するというようなことになっております。  具体的な数字は右の方に書いてございます。  それから(2)でございますが、「十アール当たり家族労働時間の変化率」でございます。  この家族労働時間の変化率につきましては、生産コスト等の中期的なトレンドを反映させるという観点なり今後の客観性、連続性ある算定を考慮するというような観点から、直近三カ年平均とその前年の三カ年平均とを比較することによって求めております。  右のような計算をやっております。  それから、(3)が「物財雇用労働費農家購入価格等変化率」でございます。  これは、米生産費パリティーというのがあるんですが、これはいわば稲作経営にかかわります物財費等物価指数というふうにお考えになればよろしいわけでございますが、これによりまして、当年一月から直近月までとその前年の同期間の物価水準とを比較することによって求めております。  それから、(4)が「十アール当たり物財雇用労働費等投入量変化率」でございます。  投入量変化率につきましては、米販売農家の十アール当たり物財雇用労働費直近三カ年平均とその前年の三カ年平均とを比較することによって求めるわけでございまして、この場合、投入量変化率とするためにデフレーターによりましてこの間の物価上昇率を修正しておるというようなプロセスを踏んでおります。  それから、七ページでございますが、(5)ということで「十アール当たり算入生産費に占める家族労働費割合」でございますが、これは右のようなことで求めておるわけであります。三四・四一%ということになります。  それから、(6)の「十アール当たり収量変化率」でございます。これは、十アール当たり収量も近年作柄動きが激しいということ踏まえまして、客観性安定性のある算定をしようというような観点から、米販売農家の十アール当たり収量平準化した収量の、直近三カ年平均とその前年の三カ年平均とを比較するというようなことによって求めております。  八ページでございます。  最後に「消費税調整係数(α)」でございます。これにつきましては、来年四月から消費税率が三%から五%に引き上げられるというようなことから、物財費にかかわります消費税率引き上げ影響米価に適切に反映させるため、消費税率引き上げに伴う物財費増加率米価に占める物財費割合に乗じるということで米価への影響率を求めた上で、これに一を加えて求めております。  右の方に調整係数算出がございますけれども、米価に占めます物財費割合は四六・二六とbのところで書いてございますが、大体約半分ということでございまして、消費税引き上げ影響はこの部分にあらわれるということで、米価に対しましてプラス〇・九%となるということでございまして、調整係数一・〇〇九を乗ずるとしております。  最後ページでございますけれども、「類別等級別価格算出」でございます。  今までずっとやってきました「求める価格」、すなわち、ウルチ一-五類、一-二等平均包装込み生産者手取り予定価格基礎にいたしまして、銘柄間格差等級間格差を前提に、ウルチ類一等裸価格を求めて算定いたしまして、そこの三類一等をへそにしまして右のような表を開いておるというようなことで、その一覧表を掲げておるところでございます。  以上でございます。
  5. 真島一男

    委員長真島一男君) 以上で説明の聴取は終わりました。     ―――――――――――――
  6. 真島一男

    委員長真島一男君) この際、藤本農林水産大臣及び服部農林水産政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。藤本農林水産大臣
  7. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 農林水産大臣を拝命いたしました藤本孝雄でございます。  私は、十一月十二日から十七日までイタリアのローマで開催された世界食糧サミットに出席してまいりました。サミットの場では、世界食糧安全保障への取り組みにつきまして議論が行われ、私からもその重要性について訴えてきたところでございます。  本日は米の問題につきまして御審議いただくとともに、次期臨時国会には農協関係二法案の提出を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  さて、我が国農林水産業農山漁村は、国民生活に欠かすことのできない食糧安定供給や、国土、自然環境の保全にとりまして極めて重要な役割を担っております。  私は、農林水産行政責任者として、我が国農林水産業農山漁村が期待されている役割を十分に発揮し得るよう誠心誠意職務に精励する決意でございますので、委員長を初め委員各位の御支援のほどよろしくお願いを申し上げます。(拍手
  8. 真島一男

  9. 服部三男雄

    説明員服部三男雄君) 農林水産政務次官を拝命いたしました服部三男雄でございます。  藤本大臣を微力ではございますが補佐いたしまして、農林水産行政推進に全力を尽くしてまいりたいと思っているところでございます。  日ごろお世話になっております委員長を初め農水委員会委員各位の御支援のほどお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)     ―――――――――――――
  10. 真島一男

    委員長真島一男君) これより平成年産米政府買い入れ価格に関する件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 自由民主党の佐藤でございます。  まず、大臣お尋ねをしたいと思うのでございます。  新食糧法が施行されてほぼ一年経過いたしました。学者あるいは評論家、あるいはマスコミから新食糧法運営についていろんな意見が出されております。すなわち、供給過剰による在庫の急増、あるいは減反を強化しなきゃいかぬ、達成することが非常に難しい。また、それに伴う農民共同意識の崩壊、不信感の増大、さらに計画外流通米の無原則流通参入による流通秩序の混乱、あるいは具体的には消費者に高く生産者に低い米価の出現など、新法がその目的とする需給価格の安定が図られてはいないのではないか、そういう強い批判がございます。  新食糧法の施行、運営に携わる当局の責任者として、大臣はどのように評価をしているかお尋ねいたしたい。
  12. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 佐藤先生から御指摘がございました食糧法目的というのは、米の需給価格の安定を通じて主食である米を安定的に供給しようというものでございますが、今御指摘のように、最近の需給過剰基調である、それから価格過剰基調を背景にして弱含みであるというようなことから、この新食糧法についての御批判があったわけでございます。  御承知のように、具体的にはこの新食糧法というのは幾つかの問題を決めておりまして、例えば十一月の末には生産と出荷の指針を決めるとか、三月には需給見通し基本計画をつくるとか、また生産調整の円滑な推進を図るとか、備蓄調整保管の適切な運用を通じて供給過剰分については市場から隔離するとか、いろいろ工夫をしておるわけでございます。  残念ながら、この新食糧法がスタートしてまだ一年しかたっていないということ、それからことしは異常に夏が暑かったというようなこと、それによって米に対する消費が減ったということ、それから作況指数が一〇四という非常な豊作だったというようなことからして、我々が具体的に考えている、需給関係をきちっと調整をして、そして価格の安定を図っていくということが必ずしも十分に達成できていないというような御批判はあろうかと思うわけでございますけれども、一年ということもございますので、そこはひとつもう少し時間を見て御理解いただきたいというふうに考えておるところでございます。
  13. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 ところで、食糧問題を検討する場合に、在庫量、これが非常に問題でございます。  時点時点在庫量の発表が食い違っておりますので、きょうはこの席で在庫見通し、これについて責任ある御回答をいただきたい。さらに、できれば国産米ミニマムアクセス米ごとに分けて説明をしてほしい、こう思っております。また、超過剰在庫となった米を今後どのように処分していくか、その大筋についてもお聞かせ願いたい。  最近における国民米離れ、米に対する消費動向は、このまま推移するならば減退の一途をたどっていくはずでございますので、消費拡大策をどういうふうに考えていくのか、その点について御説明願います。
  14. 阿部修

    説明員阿部修君) まず、初めに提起されました在庫量見通してございます。  まず、国内産米在庫でございますけれども、ことしの十月末、二百六十三万トンというようなことでございますが、一〇四の大豊作というようなことで、来年の十月末では二百九十から三百万トンというような見込みでございます。それから、お米全体でございますけれども、ことしの十月末が二百九十四万トンでございますが、これが来年は三百から三百十万トンというような見通しを持っておるところでございます。  そして、今大変在庫が正常の在庫よりも多いというようなことでございまして、この在庫につきましては政府及び生産者団体備蓄として保有するほか、また生産者団体調整保管として保有するというようなことになるわけでございまして、いずれにしてもコスト負担がかかるというのが現状でございます。  私ども、できるだけ早く備蓄運営基本の方に戻していくことが必要であると認識しておるところでございます。  このため、現行の生産調整の着実な実施ということに加えまして、お米を中心といたしました日本型食生活の普及と定着というような形でお米の消費拡大を図ってまいる。それから、なかなかいい知恵がないわけでございますけれども、新規用途の開発ということも今まで以上に力を入れてまいりたいというふうに思っております。それから、国際機関なり食糧不足の国から要請がありましたら、適切に応じたいわば援助輸出ということにつきましても取り組んでまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  15. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 援助輸出については後ほど詳しくお尋ねをしたいと思います。  そこで、今の一年保管した後に古米売却するというような回転備蓄方式、これを私は再検討する必要があると思う。古米になればやはりおいしくないんですから、だれも買わないということになってきます。  そこで、稲の作柄というのは七月ころ大体わかるわけでございます。豊凶が大体わかってくる。ですから、その辺から備蓄米の整理というか積極的な売却を行っていって、在庫の量を調節して適正在庫に近づける必要があるというふうに思うんですが、現在の回転備蓄方式をまだまだ続けていくおつもりかどうか、お聞きをしたい。
  16. 阿部修

    説明員阿部修君) 今、先生指摘のように、食糧法におきましては政府主体となって備蓄運営するということでございまして、この備蓄米売却当たりましては、需給事情に応じて一年間保管した米を売っていくという原則でやっておるわけでございます。  八米穀年度におきましては、一方で夏場の気候が大変暑かったというようなこと、そういうことで需要が減ったというようなこともありました。それから、日本消費者新米志向が非常に強かったというようなこともございましてなかなか政府備蓄米売却ははかどりませんで、計画の半分ぐらいというような低調なところでございました。  そこで、我々いろいろな売却の促進をやったわけでございます。備蓄米はそんなに味も落ちるものではないというPRを初めといたしまして、入札で売り払う特別売却、さらには先生指摘のございましたような七年産も、十月でございますけれども売却したというようなことをやってきたわけでございます。  ことしの経験も十分に踏まえまして、今後、需給状況なり在庫状況を踏まえまして、売却対象なり売却の方法ということにつきましては検討してまいりたいと思っております。
  17. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 次に、生産調整についてお尋ねをしたいと思うんです。  先ほどもお話がございましたように、現在の三割になんなんとする生産調整目標面積、これはもう農家受忍限度を超えております。限界を超えておる。農家生産意欲を著しくそいでおりますし、農民の間に連帯感を喪失させる、あるいは不公平感を増大させる極めて酷なものになっている。したがって、これ以上の目標面積拡大はしないという本日の諮問は、私は当然であろうというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、平成九年度の生産調整目標面積、この達成は極めて容易じゃないというふうに思っておりますが、大臣、どのようなお考えをお持ちになっておるのか。
  18. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 平成九年度の生産調整目標面積につきましては、関係各方面でいろいろな御議論がございました。  私は、まずこの生産調整というのは現場の皆様方の御理解と御協力ということが何よりも大事でございまして、現場の意見としては生産調整目標面積がもう限界に来ている、限界感が非常に強いということを十分承知いたしまして、その点を特に考えたこと。もう一つは、農家の営農の安定という問題にも配慮いたしまして、平成九年度の生産調整目標は据え置きというふうに決めさせていただいたわけでございます。
  19. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 農家の間を回ってみますと、やはりまじめに減反数量を達成した農家の方々は、仲間でありますけれども達成しない農家に対して非常な不満を持っている。私は、減反はせっかく仲よくやってきた農民意識を分断させるような非常に悪い制度だと思っております。しかし、これは米の総体の需給考えるとどうしてもやらなきゃいかぬということでございます。  まず、八年産の未達成県、十二府県あったはずでございますね。三百ほどの町村があったはずでございますが、このできなかった面積、それとそれから出てくる推定生産量、それをちょっとお聞かせいただきたい。また、一生懸命やって達成した府県の実績がございますね。その超過実績、どのくらいの面積を超過してやっていただいたか。それによる推定の生産量、それはどのようになっているか。それについてお聞かせ願いたい。  今申し上げましたように、農民の感情、特に不公平感、これは農家を回って歩きますと著しいものがございます。したがって、未達成県の農家の方々には農林省の最高幹部がぜひお出かけいただいて、達成されるようにやはり最善のお願いをすべきだというふうに思っております。達成された農家の方々には、ぜひことしの超過して達成されたような実績を来年もお願いしたいというふうな考え方で努力をすべきじゃないかというふうに思うんですが、その点をお答えいただきたい。
  20. 高木賢

    説明員高木賢君) まず、最初の御質問でございます。  未達成が十二府県でございますが、その未達成面積が六千十六ヘクタールというのが六月三十日現在の報告での集計でございます。それによります生産量といいますか、その相当分が約三万トンということに相なります。一方、その残りの達成県の超過分が六千四百七十一ヘクタール、それに見合う米の生産量が約三万二千トンというふうに推定されるところでございます。  それから、後段の御質問でございます。  私どもも、幹部が手分けをいたしまして、全国四十七都道府県、それぞれ何らかの形で、督励というとちょっと大げさになろうかと思いますが、生産調整につきましての理解と協力を得る、そういう活動をしてまいりました。そういう中で十二府県が未達成ということになりましたが、まことにこれは残念なことだというふうに考えております。  来年度以降どうするかということでございますが、引き続き生産調整の意義につきまして理解と協力を求めていく。こういうことと同時に、大体どこがどうだということがだんだんはっきりとしてきております。例えば、市町村レベルでまいりますと約三百が大変苦慮している地域でございますが、そうしたところで個別にいかなる問題に遭遇しているのか、そういう問題点の洗い出しを行っておりまして、そういった地域の実態に即して対応をしていく、こういうことを受け目下県と農政局の間で相談をしている、こういう共同作業を進めているところでございます。  そうしたことをもとに、引き続き来年におきましても必要な活動は行ってまいりたいと考えております。
  21. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 生産調整の円滑な実施のために、生産調整に積極的に参加していただいた農家に対して、あるいはさらに超過達成をした地域に対して十分手厚い助成を検討していかなきゃいかぬ、私はこう思っております。  その点と、特に達成した農家に対しましては計画流通米の助成を増額する、そのようなことも考えていいんじゃないか。達成した地域に対しましては、補助事業の優先配慮措置、目に見えるような措置を講ずる必要があるんではないかというふうに考えておりますが、簡単にお聞かせをいただきたい。
  22. 高木賢

    説明員高木賢君) 協力農家といいますか生産調整を達成した農家につきましては、計画流通助成金の対象にすると同時に政府買い入れの対象農家ということにしているわけでございます。ただ、それではまだ必ずしも十分でない、計画流通助成についてもっと積み増しかできないかという御意見はあるわけでございますが、これはちょっとまた趣旨が違いますので、端的に言ってなかなか難しいと思います。  ただ、そういうことではございませんが、現下の需給状況にかんがみまして、このたびの米価諮問に際しましての決定といたしまして、米需給調整特別対策というものを緊急的な事業といたしまして百億円の経費をもって、国費をもってこれに取り組む、こういうことにしているところでございます。
  23. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 在庫がこのように極端に積み上がってまいりましたので、この過剰在庫を解消するためにも、これは農水省とか外務省と言わずして、国として人権外交あるいは広義の安全保障、そういう観点から政府米を利用した。活用した食糧援助を積極的にこれから行っていく必要があると思うのでございますが、これについて大臣、ちょっと御意見を聞かせていただきます。
  24. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 政府米による海外援助の問題でございますけれども、これから我が国の発展途上国等に対する食糧援助、これは非常に必要なことでございまして、大きな柱であるというふうに考えております。  財政上の問題であるとか国際的なルールとか、いろいろそういう制約はございますけれども、しかし今後我が国としては、この食糧援助を通じて海外に対して我が国として貢献をする、そういう分野であることは間違いないわけでございまして、外務省に対しましてもその点は強く我々の方からも要望している次第でございます。  最近のことといたしましては、御承知のように今週の火曜日に閣議で十万トンの国産米等の援助を決定したところでございまして、九カ国、ほぼ六万トンは決まっております。あと四万トンを今詰めておる、そういう段階でございます。
  25. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 外務省にお尋ねしますが、今、日本はWTOの約束を全部果たしておりますね。例えば内国産の待遇をしろと、これはもう全く国内産とイコールフッティングで売買している。買う者はだれもいないけれどもね。それから減反をしろというので減反も三〇%もしている。だから、これは外交ルール、経済ルールに忠実にやっておりますから、これ以上私は、国産米あるいはミニマムアクセス米を出したって文句を言われる筋合いは一つもないと、こう思っております。  ですから、きょうこの後決議があるはずでございますが、八億五千万人の飢餓人口がある中でなぜ日本の米を、これは輸入した米をも含めてですよ、なぜ出せないのか。財政上の問題があるのか、あるいは外交ルールの問題があるのか。その辺をちょっとお聞かせいただきたい。
  26. 奥田紀宏

    説明員(奥田紀宏君) 今の御質問にお答え申し上げます。  今おっしゃいましたように、政府米の援助利用に際しましては、効率的な経済協力の観点から政府米の価格を、従来調達されていた外国産米並みの国際市場価格に抑える必要があるということから、通常の食糧援助のほかに追加的な財政負担というものが必要になってくるわけでございます。  これに加えまして、まさに御案内のとおり、WTO協定上の問題、ミニマムアクセスの問題でありますとか生産調整の問題でありますとかそういう問題、並びに我々が食糧援助をやっております基準になっております食糧援助規約で、通常の貿易による穀物の輸出輸入というものを阻害しないというようなルールを遵守するということが必要でございます。また、伝統的な米輸出国とか被援助国との関係に留意する必要があるわけです。  今回のその十万トンの方針につきましては、これらの問題について慎重に検討した結果、総合的に判断して、今年度の在庫の状況というものを踏まえて我々としては例外的にそういう方針を固めたということでございます。  したがいまして、これらの問題を考えますと、援助に利用する政府米の数量というものが拡大すれば、それはこれらの問題にとってまた難しいことになると思いますので、これらの数量の拡大ということについては一層慎重に考えていかなければならないというのが私どもの立場でございます。
  27. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 終わります。
  28. 高橋令則

    ○高橋令則君 平成会の高橋でございます。  ただいま御説明がございました米審に対する諮問等につきまして質問をさせていただきます。まず、大臣に二点ほどお尋ねをいたしたいわけでございます。  先般、去る二十六日に、当面の水田農業対策等々につきまして、私ども新進党といたしましても大臣に要望をさせていただきました。御承知のように、JAを初め各団体、そして関心のある方々からこういったことにつきまして多々要望があり、私どもとしても十分検討いたしまして、そして大臣に要請に参ったわけでございます。  その内容は、改めて申し上げるのもいかがかと思いますが、六項目にわたっておりまして、一つは、生産調整は現行面積を上限、そして生産調整への参加者が不利益をこうむることのないように措置をせられたい。そしてもう一つは、平成年産米政府買い入れ数量及び価格については、現行数量及び価格を基準に決定すること。三つ目には、平成年産米調整保管については、生産者団体の負担に配慮して必要な予算を確保すること。四つ目には、米の消費拡大を初め新規用途の開発等々を進め、さらに援助等多様な利用を積極的に推進していただきたい。そして、これは長期的な問題にかかわる問題でございますけれども、日本農業及び農村の国民経済の中での位置づけを明確にするとともに、日本農業の将来展望を明示する新基本法の制定を行うこと。そして最後に、基盤整備のための十分な予算措置、このような六項目でございます。  これらは、当面の産米価格等の問題、そしてまた長期的な問題にかかわる問題でございますけれども、いずれにいたしましても、こういったことが今回の問題、そしてまた長期的な今後の農政の推進の根幹にかかわる、このような認識を持っておりますが、これらを総じての大臣の包括的なお考えをお聞きしておきたいと思います。  それから二つ目には、先ほど次長から御説明がありました米審に対する諮問基本的な考え方、これも事務当局の御説明は伺いましたが、その基本的な考え方についてお尋ねをしたいと思います。  以上二点でございます。
  29. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 米価審議会に対する諮問基本的な考え方、これからまずお答えを申し上げたいと思います。  米価審議会に対する生産者米価諮問の問題につきましては、御承知のように、昨年の十一月に生産者米価決定についての新しいルールができたわけでございまして、それをもとにして米審の意見を聞いた上で農林水産大臣決定する、こういう仕組みになっておるわけでございます。あくまでこの政府買い入れ米価につきましては、自主流通米価格動向を反映させる、それから生産コスト等を参酌した上で米の再生産を確保できる、そういうことを考えた上での試算米価ということでございます。  それから、先ほどの六項目につきましての御要望を確かに承っておるわけでございまして、今後、各項目につきましては、私どもこの問題について十分に御意見を念頭に置きながら農林水産行政を進めていかなきゃならぬというふうに考えておる次第でございます。  特に具体的な問題としては、「新しい食料・農業・農村政策の方向」においてお示しいたしました望ましい経営感覚にすぐれた効率的、安定的な経営体、他産業並みの所得になるそういう経営体を考えておるわけでございまして、そういう生産の大半を担う農業構造がそれぞれの地域の創意工夫に生かされて実現されるように期待をいたしておるわけでございます。  また、農村地域が住みやすく活性化することなどを目指しまして、ウルグアイ・ラウンド関連対策、これも十分にこれから推進していかなきゃならぬというふうに考えております。
  30. 高橋令則

    ○高橋令則君 ありがとうございました。二十六日の大臣と会見をさせていただいたときも御理解をいただいたと思っておりますので、ぜひ強力に今後の農政のしかるべき方向についての御努力をお願いしたいと思います。  以下、ただいま申し上げた各項目に関連してお尋ねをしたいと思います。  まず、政府買い入れ価格算定方式についてでございます。  この米価算定方式につきましては昨年の当委員会でも議論になりましたが、これは米審の算定方式が決まる以前の話でございました。特に、その時点で問題になりましたのはコストの問題でありました。コストの中で、御承知のとおり、生産費を農家が努力して下げますとその分が米価の引き下げにつながっていくということについて、まあ全部が理解できないというわけではありませんが、確かに消費者に還元しなければならない分もありますけれども、それが丸々生産者にはね返ってくる、下げられちゃうということでは生産者の意欲をそぐではないかというふうな意味の質問がありました。私もそのように主張した二人でございます。それに対してしかるべく配慮がなされなければならないのではないか、このように申し上げたつもりでございます。  そしてまた、変動率のとり方としても、法律では確かに需給の、自主流通米価格動向、そしてまた再生産のためのコストの問題、並列に書いてありますけれども、そのウエートがこれは〇・五、〇・五、同じようになっていますが、これもそのままでいいかどうか。そういう問題とも関連してくると思うんですが、再生産コストの問題、その補償の問題、そういった問題についてどのようにお考えになっているのかお尋ねをしたいと思います。
  31. 阿部修

    説明員阿部修君) 御指摘いただきました生産性向上の還元をどういうふうに考えているかということにつきまして、ちょっと触れさせていただきたいと思います。  生産性が向上した場合に、両論あるわけでございまして、それは農家の方に全部還元すべきだという議論と、いや、こういった時代だから消費者の方に還元すべきだというような議論もあるわけでございます。  それで、算定方式の関連で申しますと、自主米の価格変動率が五〇%、それから生産費の変動率が五〇%ということでございますので、生産性の向上は五〇%で分け合うというようなシステムになっておりまして、先生がおっしゃいましたように金額生産者の方に行くということにはなっておりません。ただ、計算式考え方といたしましては半分は生産者の方に行くというようなことになっております。  それからもう一点でございますけれども、再生産の確保ということで御議論がございました。これは、従来から個々の農家の再生産がどうかというような議論もあるわけでございますが、むしろ国民経済上必要な米穀の総量が確保されているかどうかということを通じまして、個々の農家の再生産考えていくということではないかというふうに思っておる次第でございます。  いずれにいたしましても、米につきましては今大変な潜在需給ギャップがあるわけでありまして、大変な苦労のもとで生産調整をやっているところでございまして、私どもの算定方式でやった米価の値が、再生産の確保が困難になるということにはならないというふうに思っております。
  32. 高橋令則

    ○高橋令則君 法律によりますと、まさに再生産を確保しなければならないというのが大きな柱でございますから、それはそのとおりやっていただかなければなりませんが、その算定の中で、要すればいわゆる生産計算をしていった場合、実績に全部依拠してその分だけ下がっていく、機械的に下がっていくというようなことになりますと、農家が努力した分が全部下げられちゃうというふうなことになるのじゃないか、この議論なんですよ。したがって、その分について努力した分が全部下げられていくのでは困るんで、それについても配慮が必要じゃないかということを昨年も申し上げたし、今回も改めて申し上げているわけでございます。  それから、この問題だけ申し上げておりますと時間がなくなりますので進ませていただきますが、その点はそういう御理解をお願いしたいし、御検討をお願いしたいと思います。  もう一つは、大臣から先ほどお話がありました。減反をしないということでございますね。減反を強化しないということは大変朗報と申しますか、いいことだというふうに思います。私どもの申し入れにもその点は書いてありますし、農業団体もこれが最重点要望だったと私は受けとめております。そういう意味で農家に喜ばれると思います。ただ一方、その過剰在庫はもう現実に認めざるを得ないわけです。過剰在庫の解消は、消費拡大するか、さもなければ生産調整を強化するか、あるいはその分は外に出すとか、いずれそういう限られた方法しかないわけでありまして、これを将来的にどうやっていくのかなということは、当面は減反しないとしても非常に大きな心配があるわけでございます。  農水省が昨年、平成七年の十二月でしたか、例の農産物の需要生産の長期見通しをお出しになりましたね。あの数字を見てみますと、現在、例えば平成五年あたりの作付が二百十三万ヘクタール、それが平成十七年では、相当先の十二年後ということになりますけれども、百八十万ないし百九十一万ヘクタールになる、こういうふうな減少の数字が長期見通しては出ております。  その中でも、仮に平均反収が直播とかそういうことで落ちてくれば、それは直播、そういうものの普及によってコストは下がるけれども反収は減る、そういうことでカバーするというような方法もあります。それからまた、消費量がふえればいいのじゃないかということはありますけれども、この長期見通してはそうなっていないんですね。これは見通しては、数字を挙げますと、反収平成十七年には五百十九キロになる、こう書いてある。それから一人当たり消費量は六十一ないし六十五キログラム、こう書いてある。そうすると、これはどちらにしても減らざるを得ないようなことになる。  今回は、大臣の大変な御努力によりまして減反を抑えるようなそういう措置がとられましたけれども、将来的に見た場合どうかな、この農水省がお出しになった長期見通しがら見てもどうかなどいうふうなことで懸念をされるわけですが、その点についての見通しを、あるいはこの長期見通しとの関連での御説明をいただきたい、このように思うわけです。
  33. 高木賢

    説明員高木賢君) 高橋先生からお話のありました長期見通しは昨年の十二月に閣議決定をしまして、全部が閣議決定じゃないんですが、一部参考付表ということでつけさせているものでございますし  その中で、御指摘のように平成十七年では一人当たりの食べる量の見通しが年間六十一キログラムないし六十五キログラム、それに人口の見通しを加味いたしますと、需要量が九百七十三万トンないし千二十五万トン。一方で、御指摘のとおり生産力が上がってまいるという、五百十九キログラムということを考えますと、作付面積は百八十万ヘクタールないし百九十一万ヘクタール、こういう見通しが示されているわけでございます。  これは、残念ながら今お話にもありましたように、需要がなかなか下げどまらない、消費の減退がやまない、これが漸減傾向がこのままいきますとさらに続くであろう、こういう見通しのもとにできております。また、生産力は逆に逐次上がっておりまして、若干水田の壊廃というものが都市近郊などで進んでおりますけれども、それを加味いたしましてもなおおおむね三割ぐらいの需給のギャップが想定される、そういう事態であろうと思います。  それに対しまして、じゃ何か答えがあるのかという御質問で大変難しいわけでございますが、やはり今おっしゃられた生産調整なり需要拡大運動でどれだけ戻るかということ、あるいは海外問題その他の用途の開発、こういったものの総合的な対応になるのではないかというふうに想定をされます。当面のところは、昨年、三年間新しい生産調整対策の行使ということで、今お話がありましたように六十七万七千ヘクタールということで三年間、需給あるいは価格変動が起こる場合には変えるということにはなっておりますけれども、そういうことで決めておりまして、平成九年度につきましては前年度と同様ということにしたわけでございます。
  34. 高橋令則

    ○高橋令則君 非常に難しい問題でございまして、私もそう言いながら、困ったなと思いながら質問をしているわけでございます。  私は基本的に、今回の減反をふやさないということはこれはもう本当に賛成と申しますか、いい措置であるというふうに思っております。なぜかと申しますと、やはり農家からすれば毎年毎年これがふえたり減ったりというのは非常に不安定だと、不安を巻き起こすんですね。ですから、農水省がさきにおつくりになった新生産調整推進対策、これが平成八年から十年までの三年計画、これはやはりこの三年間なら三年間は極力最大限努力して据え置く、そしてその間は安心してつくっていただくというふうなことがもう大事なことだと思うんです。  ですから、今回の措置として私は評価するんですが、そうは言っても、それに安住していられないので、やはり長期的にはきちんと今言ったような見通しがあるわけでございますし、残念ながらその趨勢は変わらないのではないか。したがって、それに向かって相当な努力が要る。それを毎年毎年追われてやるということではなくて、きちっと哲学を持ってやらなければいけないだろうなというふうに私は思っておるわけでございます。  そのためには、先ほど佐藤委員からもお話がございましたけれども、特に生産調整については、まさに生産者生産調整のインセンティブになるような措置を何とか工夫をしてやっていかないと、押しつけとかなんかでやってももうできないような限界感があると思うんです。これはもう佐藤委員仰せのとおり、私もそのとおりに思います。したがって、今回のことはこれでいい、賛成ですが、ぜひともこの長期見通しを踏まえたもろもろの対策を本当に、言葉をかえて言えばふんどしを締めてやっていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  なお、委員長恐縮ですが、大臣がいらっしゃる時間が限られておりますので、この後私どもの常田委員からの質問と私は分けさせていただきます。
  35. 常田享詳

    ○常田享詳君 平成会の常田でございます。  農林水産大臣お尋ねをいたします。  今、高橋委員の方から哲学という話が出ましたのですが、前の農林水産大臣に初めて質問をさせていただきましたときにも同じことを申し上げましたので、改めて新大臣に申し上げたいと思います。  「飢餓の世紀」という本がございます。お読みになったことと思いますが、その十六章に「ただちに地球食糧安全保障を」という項がございまして、  国際社会は指導力と指針を提供することができるが、人々の運命を決定するのは各国政府である。政府は国内資源の大部分を配分し、人口政策と農業政策を策定し、資源の分配方法を決定する。国際食糧援助も利用できるだろうが、たとえそれを現行水準の数倍に増やしたとしても、需要に比べれば取るに足らないだろう。結局は、政府だけが自国民を養うことの責任を担うことができる。 という項目がございます。  それを踏まえまして、お尋ねをいたします。  今、政府・与党、自民党が農業政策をどのようにやろうかということで、私どもが知り得るものはさきの衆議院議員選挙における公約であろうと思います。  ここに日本農業新聞における自由民主党の公約がございます。二点、お尋ねをいたします。  私は、今の我が国が抱えている生産調整の問題、米価の問題、在庫の問題等、解決する上からは我が国だけでは解決できないというふうに思っております。国際社会の中で、我が国がどのように事を主張し、これを解決していく姿勢を示していくかということだろうと思います。自民党はこの公約の中で、  二十一世紀には食料不足が懸念されており、食  糧安全保障の見地から主食であるコメの国内自  給方針は極めて重要。そうした視点に立って、  今後のWTO協定の改定に当たって臨むことと  しています。というふうにおっしゃっております。  今後のWTO、いわゆる世界貿易機関に対して今後の交渉の中でどのようにその視点で当たっていかれる御決意なのか。  二点目は、先ほども佐藤先生からお話が出ましたが、米の援助に対する国際貢献の問題であります。  世界食糧サミット農林水産大臣が先般行かれたわけでございますが、先ほどお話がありましたように約八億五千万人が飢餓状態にある、世界で毎旦二万五千人が餓死している。サミットにおきまして採択したローマ宣言と行動計画でも、緊急措置として食糧援助の重要性を強調したところであります。今こそ飽食の国の責任が問われているわけであります。  さきに政府は、米の過剰問題解決策の一つとして年内に十万トンの米援助をODAの枠で行うことを決定したところであります。  報道によりますと、前の農林水産大臣はこのようにおっしゃっております。今の輸入米は非常識輸入である、要らないものを買っているのだから輸出国ばかり威張るな、外務省にも硬直的な考えを直してもらい、援助システム自身を変えなきゃいけないということをおっしゃっております。ところが、先ほどの外務省の答弁等を聞きましても何ら硬直的な考えは変わっていないように私には思われるわけであります。  そういった点で、WTOに対する姿勢の問題、そして米の援助、国際貢献に対する姿勢の問題、前の大臣と新しい大臣と違いがあるのか、それとも新大臣も全く同じ姿勢で臨んでいただけるのか、確認をしておきたいと思います。
  36. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 二つの問題の御質問がございました。まず米の食糧援助の問題について先にお答えいたします。  我が国は、特に発展途上国、食糧援助を希望しているそういう国に対しましては、その援助要請に基づいて検討していく、国際的なルールに従って援助していく、こういう基本的な考え方がまずございます。  これは御承知のように外務省が取り扱っているわけでございまして、農林水産省としては外務省に対して、我が国食糧援助については十分に配慮してやってほしいということは申し入れをしております。また、人道的な立場からいたしましても、現に八億人の人が栄養不足、飢餓状態にあるわけでございますから、可能な限りの援助の方策というものはこれからの我が国の海外援助の大きな課題であるという認識は私は持っておるわけでございまして、今後その点は努力していこうと思っております。  それから、ローマにおきます食糧サミットでは、輸出国と食糧の輸入国とそれから発展途上国と三つのグループに分かれまして大いに世界食糧の安全保障の達成について議論がなされました。  その議論の中で、輸出国は貿易を通じて世界食糧の安全保障を達成したい、こういう主張でありましたけれども、我々の立場は、食糧の安全保障については、主な食糧は国内で自給していく、足らないところは貿易または備蓄、この三つの適切な組み合わせで食糧安全保障を達成させる、こういう主張をしたわけでございます。  そういう我が国考え方は大半の参加国の支持を受けたわけでございます。食糧に関するサミットという会議の性格からしてそういう考え方が支持されたということもございますけれども、しかし大半の国が自分の国の食糧は自分の国で主に自給していく、こういうことが会議の空気としてあったわけでございますので、この会議の空気は今後WTOとかその他の国際的な会議の中で当然我々は生かしていかなきゃならぬ、そういうふうに考えておるわけでございます。
  37. 常田享詳

    ○常田享詳君 実は、年内に十万トンの食糧援助というのが新聞に出たときに、私は一けた違っているんじゃないか、百万トンの間違いじゃないかと思ったのでありますけれども、かなりの国民がそう思ったのではないかというふうに思います。  しかしながら、第一歩としてそういう糸口ができたということでありますので、さらにこれを進めていただきまして、世界に貢献するという意味からも、また国内の食糧、米の問題をあわせて解決するという問題からいきましても、外務省と農水省というような縦割りの問題ではなくて日本一という国の政府としてどう当たるかという強い決意を持って当たっていただきたいと思います。  最後にもう一点、公約の点でございますが、農産物価格と所得政策の点につきましてこのように述べておられます。  行革、規制緩和が進行するなかにあっても、基本的に国民食料の安定供給のために必要な農業政策は、これをしっかりと堅持しながら、構造政策を進めつつ生産性向上に努めることが肝要です。 ということであろうと思います。  私は、やはり価格政策と構造政策というのは一体となったものでなければならない、また構造政策にとって担い手政策というのは最も中心的な課題であろうというふうに思っております。このあたりに対する御決意を伺って、私の質問を終わります。
  38. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 私もそのように考えております。これからもよろしくお願いいたします。
  39. 一井淳治

    ○一井淳治君 まず、生産調整に関して質問をさせていただきます。  今年度の生産調整ですが、まさに農民を初め関係者が必死で、血のにじむ思いで実現していったと考えております。  そして、現実に集落を見ますと、例えば三〇%の減反が割り当てられている場合に、三〇%を実行しない人がいますから、ある人は集落内で五〇%とか六〇%の減反に協力しなきゃいけないということが出てまいります。  これ以上減反を、生産調整の規模を拡大強化していきますと、農村の生活基盤、農業基盤である集落が破壊されてしまう、そういう問題に私はまさに直面していると思います。そういうことで、これ以上生産調整の規模を拡大していきますと、農業も農村もがたがたになってしまうのじゃなかろうかという心配がひとつございます。  また、大規模農家を育成する、コスト低減をするという観点からいたしましても、生産調整は非常に大きな支障を来しますし、中山間地域、ここでは農業は非常に重要な産業でありますけれども、畦畔など相当程度耕地面積の割合をとっておりますから、さらに減反が加わりますとほとんど耕作できないというふうになってくるわけでありまして、とにかく生産調整の規模拡大というのは農業に非常に深刻な影響を及ぼす。  来年度の生産調整につきましては、農林省も大変御努力いただきまして、これ以上拡大しない方向で運用されつつあるとお聞きしておりますけれども、今後とも生産調整の規模は拡大してはいけない、そのように思うんですけれども、大臣の御認識をまずお伺いいたします。
  40. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 平成九年度の生産調整目標面積でございますけれども、当委員会におきまして今まで御説明申し上げましたとおり、いろいろな御意見が確かにございました。  しかし、私は、生産調整を円滑に達成させるためには何よりも現場の方々の理解と協力というものが必要であるわけでございまして、現場の空気というのは今の生産調整がもう限界だ、こういう強いお考えであることはよく承知をいたしておりますので、そういうことを念頭に置いて、さらに農家の営農の安定ということもあわせ考えまして、平成九年度の生産調整目標は据え置きにする、こういうふうに決定したわけでございます。  今後の問題につきましては、今のお米は御承知のように自主流通米が中心でございますから、需要供給需給関係生産者にとって価格の問題については一番大事な問題になるわけでございますので、我々もここの点を十分にこれから注意をしていかなきゃならぬし、生産者の方も余った米をつくるということになりますと、その米を抱え込んでそれをまた自分たちの手で売らなきゃならぬ、こういうことにつながるわけでございますので、生産者政府と両方が需給の関係については十分に考えていかなきゃならぬ非常に重大な課題だというふうに認識をしております。
  41. 一井淳治

    ○一井淳治君 需給調整についてのお考えが披瀝されましたが、私は農業・農村を振興させていかなくちゃならない、そういう立場に立ちますと、供給の側については生産調整による供給の制限ということは今が本当に限度であると。これ以上はやはり農林省に頑張っていただきまして、消費拡大をするとかあるいはお米を外に出していただくとか、需要の方を何とか農林省の方に頑張っていただきたいと思うわけでございます。  そして続いて、現実に生産調整が行われるように実効の確保ということでございますけれども、まず第一に、生産調整に対する助成、例えば共補償の助成についても予算を確保していただいて早期に支払っていただきたいというふうに思うわけでございます。  それと同時に私が質問させていただきたいのは、同じ六十キロのお米を農協等に売った場合に、生産調整に協力した人の受け取る金額と、生産調整に協力しなかった人の受け取る金額、これが余り接近すると生産調整の実効確保はできなくなってしまうわけでありまして、やはり生産調整実施者側が出荷した場合の計画出荷米に対する助成というものを十分に考えていかないと実効確保はできないと思います。  農林省の方で大変御配慮いただきまして、超過達成推進対策費五十億円、政府需給調整推進対策費五十億円、計百億円を御配慮賜ったわけで、感謝申し上げるわけでございますけれども、そこのところを引き続きさらに細かい配慮をされながら前進をいろいろお考えいただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  42. 高木賢

    説明員高木賢君) 新しい生産調整対策、八年度から三カ年のフレームでやっておりまして、その際に助成措置の中身を決めたわけでございます。  その中身は、共補償額十アール当たり二万円を含みまして最高五万円ということで助成金を出す、それから計画流通助成金は生産調整実施者に限り助成をする、それから政府米買い入れも生産調整実施者のみに限って買い入れ対象とする、こういうことで動いているわけであります。  ただ、今御指摘のような事情、特に緊急に需給調整を図る事情もあるものでございますので、九年度の緊急措置といたしまして、地域が実態において取り組む超過達成の推進とか政府米の需給調整の取り組みを促進する特別対策を講ずるということにいたしたわけでございます。
  43. 一井淳治

    ○一井淳治君 今後とも生産調整に協力した人たちが、正直者がばかを見たということにならないように、本当にお米の生産にまじめに将来とも取り組んでいくということができるような農政にしていくようにお願いをしておきたいと思います。  それから次に、ミニマムアクセス米のことについて質問させていただきます。  輸入米が毎年増加しまして、これが非常に過剰圧力になっていると思います。これはもう国際的な約束でありますから守るのは当然であります。しかし、やはりこれは外交交渉でありますから、例えば来年の輸入は少し減らしてもらうとか、あるいは外交交渉によって、来年は少し減らしてもらうけれどもその先を少しふやすとか、そういうふうなフレキシブルな対応をしてもらうような外交交渉、これは交渉であるから私はできないことはないと思います。  ですから、その交渉をおやりいただくということが国内の農業振興のために必要ではなかろうかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  44. 阿部修

    説明員阿部修君) ミニマムアクセス米の輸入でございますけれども、これは先生今御指摘のように、ウルグアイ・ラウンドの農業合意に基づきまして我が国が国際的にずっと毎年の数量を約束しておるものでございまして、その場合、我が国の輸入は国家貿易でやっておるというような立場にあることから、決められた量は輸入すべきものであるというふうに私どもは認識しておるところでございます。
  45. 一井淳治

    ○一井淳治君 それでも交渉は交渉ですから、農民がこれだけ必死になって生産調整に協力しているわけですから、農林省の方も新聞に出ないような形でまず交渉ぐらいはやって、いただくようにお願いします。これに対する御答弁はいいです。しかし、それくらいの交渉はやはり手をつけて、もし活路が開かれるものなら、ぜひ総体として縮減するというのではなくて、来年は少し減らすけれども再来年はふやすとか、そういったことも可能だと思いますので、私は、その辺のことについてもいろいろと高度な御配慮をお願いしたいと思います。  それから、世界食糧サミットが開かれまして、ローマ宣言なり行動計画がまとめられました。その趣旨も考えながら質問をさせていただきます。  例えば全中は、世界食糧備蓄機構というものをつくりまして、国際貢献を考えると同時に、我が国食糧が余ることに対する対策、あるいは非常に開発途上国の方々が、栄養不足人口が八億人もおられるという状況に対応していこうという一つの提案がありますけれども、そこまで一気に行けないかもしれない。  しかし、最近新聞記事に載っておりましたけれども、これは今村奈良臣日本女子大教授が投稿しておられたものを引用させていただくわけなんでありますけれども、東アジアのジャポニカ米を主食としている地域、例えば韓国とか中国とか台湾とか、そういった国々がお互いに力を合わせて、米が足らない場合は貸し借りを行うとか、そういった形での国際貢献をやってはどうだろうかという提案をしておられます。  ちょっと調べてみますと、これらの国々は相当お米を輸入している国でありますから、私はそういった国々と図れば、何か我が国の国際貢献と同時に、水余り対策も出てくるんじゃなかろうかと思うわけでございますけれども、大臣の御感想をお伺いしたいと思います。
  46. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 東アジア食糧安全保障機構、これは仮称でございますけれども、これを創設すべきではなかろうか、こういう趣旨のお話だと思うわけでございます。  先般の世界食糧サミットにおきましては、ローマ宣言と行動計画が採択されたわけでございまして、これは世界また地域、国家などの食糧安全保障への取り組みのための指針、宣言、行動計画基礎になるものでございまして、これを踏まえまして、我が国としては各国と協調しながら今後こうした課題に取り組んでいかなきゃならぬわけでございます。  今、御指摘のございました人口の増加や食糧生産の地域的なアンバランスによる食糧問題の深刻化が予想されておるわけでございますので、こういう問題に対応するため、御指摘のような東アジア食糧安全保障機構を創設することも、これは実現可能性と、また既存の食糧農業分野の国際機関が果たしている役割等も考慮しながら、慎重に検討していきたいと思っております。  ちなみに、この構想は、今、全中の会長からのお話も御披露ありましたけれども、江藤隆美議員からも、また農林政務次官の保利さんからも同様な構想が出ておるわけでございまして、真剣にこれを取り上げていきたいというふうに考えております。
  47. 須藤美也子

    須藤美也子君 冒頭に御報告がありましたが、九年産米政府買い入れ価格、一・一%引き下げを諮問しました。自主流通米価格の下落とあわせて、米作経営の困難を一層拡大するものであります。これでは、後継者が稲作に意欲を持つことなど到底できるはずがありません。  新食糧法の第一条は価格の安定をうたい、第五十九条では「米穀の再生産を確保する」としてありますが、米価の引き下げは新食糧法のこの趣旨にも反したものではないですか。
  48. 阿部修

    説明員阿部修君) 諮問値のことでございますので、私の方から返答させていただきたいと思います。  新食糧法のもとにおきます政府の買い入れ価格でございますが、これは自主流通が制度的にも実態的にも米流通主体であるということを踏んまえまして、自主流通米価格動向を反映させるほか、生産コスト等を参酌して米穀の再生産を確保することを旨として決定するというようなことをしておるところでございまして、この算定方式につきましては、昨年十二月、米価審議会意見を聞いて設定したところでございます。  九年産価格につきましては、この算定式に先ほど御説明いたしましたようなパラメーターを入れまして算定いたしますとマイナスになったというようなところでございまして、米価審議会の答申を踏まえまして適正に決定してまいりたいというふうに思っております。
  49. 須藤美也子

    須藤美也子君 先ほどの報告では、四月から引き上げ消費税も加算している計算でしたね。あれでは納得できないんですよ、私といたしましては。同時に、農水省の算出した生産費は、この資料を見ますと、全階層平均で一万九千七百二十八円ですね。政府買い入れ価格は、一・一%引き下げによって一万六千二百十七円です。これで農家の再生産ができるとお考えですか。変な算出をしているようですけれども。
  50. 阿部修

    説明員阿部修君) 米価生産費のカバー率のことではないかと思うわけでありますが、全体の生産費のカバー率で見ますと、その場合に生産費、コストを何でとるかというような問題、課題がいろいろあるわけでございますが、確かに、今先生指摘のございましたような生産費をとりますと、御指摘のようなことになっておるわけでございます。  ただ、そういった中におきましても、確かに米の生産農家でございますが、規模によって、地域によって、非常に高いところと低いところとまちまちにあるわけでございまして、多くの農家が零細階層にあるというようなことでありまして、生産費は高くなってきておるというようなことは言えるのではないかと思います。  ただ、今のような米価におきましても、大変生産圧力が高いと申しましょうか、潜在的に生産圧力が余っておって、一方の方では生産調整を強力に推進しておるというような状況でございまして、一概に今の米価が米の全体の再生産を確保していないというふうには言えないと思います。
  51. 須藤美也子

    須藤美也子君 十アール当たりに対する生産費もいろいろ計算されておりますけれども、農水省の計算で、例えば十アールで生産費が十六万八千九百二十九円です。しかし、それに対して農家の粗収入が十四万九千六百二十円です。生産費よりも粗収入の方が低いんです。これで幾ら米をつくれ、米をつくれといったって、農家は米をつくる意欲はありませんよね。これでは二十一世紀の日本の農業がどういうふうになるか、これを非常に私は憂慮するものであります。  価格も不安定、再生産も確保されないような新食糧法はわずか一年目でその重大な問題点が浮き彫りになりました。政府の責任は極めて重大だと思うんです。その立場で私は現実に沿うような新食糧法の抜本的見直しを要求したいと思いますが、そのお考えがあるかどうかお尋ねいたします。
  52. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今までも同様な趣旨の御質問がございました。  食糧法は、御承知のように、米の需給価格の安定を通じまして米を安定的に供給するということが目的でございます。このために、この食糧法のもとでまず適確な米の需給見通し、それに基づいて需給調整を適切に行う、需給調整を適切に行うことによって需給価格の安定を図る、こういうことでございまして、具体的には幾つかの指針であるとか基本計画の策定、公表であるとか、また生産調整の円滑な推進であるとか、また豊作・凶作変動に備えた備蓄調整保管の適正な運用であるとか、また時期的に偏らないために地域的にも偏りのない計画流通を実施するとか、そういうことを具体的に考えておるわけでございます。  ただ、この制度ができましてから一年目ということもありまして、確かに問題は全然ないとは、問題がないというよりも考えているようなことどおりに進んでいない。つまり、思った以上に豊作であるとか、また異常な暑い夏であったために消費が落ちているとかというようなことで需要供給需給見通しが多少そこを来したというようなことはございました。しかし、この新食糧法に基づいて、我々としては米の需給価格の安定を通して米を安定的に供給したいという考え方でございますので、現在のところ見直しをする気持ちは毛頭ございません。
  53. 須藤美也子

    須藤美也子君 私どもは、生産費が一万九千七百二十八円ですから最低でも米価は二万円必要だ、この二万円を下支えにする体制を早急につくるべきだ、このように考えております。  時間がだんだんなくなってまいりましたので次に移りたいと思いますが、この二万円の要求と下支えについては、大臣、ぜひ検討をしていただきたいと強く要求したいと思います。  次に、最後に、大臣世界食糧サミットに出席されました。私も行ったわけですが、そのときに大臣の演説をお聞きいたしました。その内容について私もそのとおりだと思いながらお聞きをしたわけです。そこで重要な点、三点おっしゃいました。この三点について具体的に我が国大臣がどのように進められるのか、それをお聞きしたいと思うんです。  まず一つは、各国の食糧安全保障を達成する上で少なくとも基礎的な食糧は自国で生産することが重要だと、このようにおっしゃいました。現状のこういうもとでどういうふうに具体的に自給率を高めていくのか、これが一つ。  二つ目は、最近の減反の押しつけや価格破壊政策によって現存する農業資源を有効に活用されているとは考えられません。つまり、減反によって耕作放棄地がどんどんふえています。農地の崩壊が進んでいます。こういう点で日本の農業資源をどのように有効に活用するのか、これが二つ目です。  三つ目は、飢餓に苦しむ国々に対して大臣食糧援助を行うと、こうおっしゃいました。先ほど来お話がありましたけれども、食糧援助をどのように具体的に進めていくのか。つまり、日本国民が要らない外米を輸入しているわけです。日本のぜいたくな輸入をやめるならば、飢餓で苦しむあるいは栄養不足で苦しむ人たち一億人を救うことができる、こういう調査結果に内外の人たちの注目が寄せられているんです。日本の立場に立ってどういう形でこの飢餓人口を二〇一五年までに半減させるのか。  この具体的な点、三点について、大臣のお考えを聞きたいと思います。
  54. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) ローマ・サミットにおきましては、いろいろな前提を置きまして、日本の国のように世界最大の輸入国におきましては、主な食糧は国内の自給率を高める、足らないところは輸入と備蓄、この三つの考え方を適切に組み合わせてやっていくということを申し上げました。  この自給率の向上の問題はこれからの我が国の農業にとって基本的な問題でございまして、今ちょっと数字を持っておりませんけれども、自給率が下がっておることは事実でございます。今約十年先の目標を立てておりまして、平成十七年だったと思うわけでございますが、その時点で自給率四四から四六%の目標を今考えておるわけでございまして、現在が四六%でございますから、これ以上自給率は下げない、そういうことでこれから努力してまいりたいというふうに考えております。  それから、食糧援助の問題につきましては、これは開発途上国における食糧問題の解決のためには、基本的には持続可能な食糧生産能力の向上、自助努力に努めていただくことが重要でございまして、このために我が国として技術移転など援助をしていくということが必要なことだと思っております。  それから、それと同時に、現に飢餓、栄養不良に悩む国々があるわけでございますので、これらの問題については人道的な見地からも当面の措置として食糧援助が必要であることは当然でございます。これまでも食糧不足国に対して米、小麦等の輸入に必要な資金の無償提供、KR食糧援助を行ってまいりましたし、また、世界食糧計画、WFPへの現金の拠出などによる援助を行っております。  先ほど申し上げましたように、十万トンの食糧援助を九カ国に、うち六万トンは既に決まっておりますけれども、あとの四万トンも近々にこの相手国が確定するわけでございまして、途上国からの要請がございましたら、この要請を踏まえながら関係省庁と連絡をしながら対応していきたいというふうに考えております。
  55. 須藤美也子

    須藤美也子君 終わります。
  56. 国井正幸

    ○国井正幸君 民主党・新緑風会の国井正幸でございます。もう時間も随分迫っていますので、端的に御質問をさせていただきたいと思います。  きょうの政府の米審への諮問につきまして、私は、生産調整目標面積を据え置いたということは本当によかったと、大変な御決断だと思っております。ただ、価格の問題につきまして一・一%の下げと、これについてはちょっと遺憾だなと思っています。  なぜかと申しますと、この下げの要因、これは算式ですから当てはめていけばこういうことになるのは私もよくわかります。しかし、この中身を見ていきますと、いわゆる主な下げの要因として出てきたのが、自主流通米価格変動率がやっぱり需給がこういう状況ですから下がっています。だからこれが一つ下げの要因だと。それからもう一つは、労働時間が短縮された。言うならば生産性向上ですよ、この部分を当てはめていって結局下げということになったということからすると、今の農家の現状というものを考えてみたり、あるいは農村経済というものを考えていったときに、ぜひ僕は据え置いてほしかったなと、そういう思いがあります。  ただ、そういう中でも別途対策を講じられるということについては大変な御決断でございますし、これは多とするところでございます。  そういう中で、限られた時間でございますから端的に聞いていきたいと思うんです。きょうお配りをいただいた資料の中で、需給関係なんですけれども、九米穀年度では加工用等需要量というところが九十万トンないし九十五万トンと、こういうふうに見ているんですね。それが十米穀年度になると七十五万トンから八十万トンと、こういうふうな見通しなんですね。当然、この中にはいわゆる九米穀年度においては海外への援助米等が入っているんだろうと想像するんですが、なぜ九米穀年度と十米穀年度で、いわゆる加工用等ですけれども、その需要量を落とした見通しになっているのか、端的にひとつお答えをいただきたいと思います。
  57. 阿部修

    説明員阿部修君) 数字は今、先生指摘になりましたようなことになるわけでございますが、今年度、当初の在庫が多うございますので、その在庫の処理をやっていくということを考えております。その結果、来年度のミニマムアクセスの在庫量が十万トンぐらい減るというようなことになりまして、来年度の需要量そのものは、要するに供給量が減るから十万トンぐらい減るというようなことになっております。
  58. 国井正幸

    ○国井正幸君 こういう状況ですから、いろいろそれは数字のとり方の部分もあるのかもしれませんが、一つは需要を喚起するということでの引き続いた努力というのが必要だろうと思います。それからこの後、当委員会でも、先ほど佐藤先生からもおっしゃられたわけでございますが、ぜひ海外への人道的な援助、こういうものを進めるべきだということで、決議がなされるというふうに思いますが、そういう背景を受けて、そういうものを引き続き続けていくという努力をぜひいたしてもらいたいなと思います。  そういう中で、きょう配られた米関係のこの資料等を見ても、百二十四ページあたりにずっとこれまでの米の生産量の推移なんかが出ているんですね。非常に粗っぽい言い方ですが、昭和四十年代は大体十アール当たり四百キロ台の前半、五十年代に入って大体四百キロ台の後半、そしてそれ以降が五百キロ台に大体乗ってきている。それは天候の不順等もありますから一概には言えないけれども、そういう趨勢にある。これは当然品種の改良も進んでいますし、営農技術の開発もしているわけですから、これから反当たり収量というのは上がってくる傾向にあると思いますし、またそうしなければいけないと思うんです。ところが、我が国の人口構成等の問題からすれば、なかなか消費拡大というのが難しいというのが率直なところだと思うんです。  そういう中で、端的にお聞かせをいただきたいと思うんですが、生産者団体に自主調整保管をさせても、いろんなことをしてもやっぱり金はかかるんですよ、率直なところ。そういう意味で、一律的な生産調整目標面積というのをこういうことで据え置かれたというのは、私は非常にいいことだと思うんです。これをいじる必要はないというふうに思うんです。それをやりますと専業農家がまず参っちゃいますから、そういう意味ではこれはこのままにしてもらいたいというふうに思うんです。  ただ、計画以上に自主的に生産調整ができるというところについては、何らかの政策誘導をするような、いわゆるプレミアムをつけるようなことが私は必要なんじゃないかと。やっぱり金の使い道ですから、その辺をこれから、それは生産調整の助成全体系はいろいろありますけれども、何らかの形で私はそういう部分に工夫を凝らすべきなんではないかというふうに思うんです。  大臣、今どういうことをするということを言っていただく必要はないんですが、そういう物の考え方について大臣どのようにお考えですか。
  59. 高木賢

    説明員高木賢君) 今、国井先生から御指摘の超過達成を自主的にやった場合の助成措置はどうかということでございますが、まさに今回の米価諮問に際しまして、あるいは生産調整の面積をどうするかと、こういう検討の中から超過達成推進対策費というものを米需給調整特別対策、これの中で五十億円措置しようということにいたしたわけでございまして、今おっしゃられた内容を含んだものとして検討いたしたいと思っております。
  60. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今お答え申し上げましたとおりでございまして、平成九年度について米の需給調整特別対策のために合計百億円、そのうちの五十億円は今のようなことで使わさせていただこう、こういうことでございます。
  61. 国井正幸

    ○国井正幸君 ありがとうございました。
  62. 真島一男

    委員長真島一男君) 以上で農林水産大臣に対する質疑は終わりました。  引き続き、政府当局に対する質疑を行います。
  63. 高橋令則

    ○高橋令則君 前段、大臣がいらしたところで質問させていただきましたが、その補足というわけではございませんが、やや細かい問題についてお尋ねをしたいと思います。  その一つは今度の需給見通し平成九年の米穀年度の需給見通してありますが、それにおける新規の政府買い入れ米の数量、これがどの程度になるかお聞かせをいただきたいと思います。
  64. 阿部修

    説明員阿部修君) 九年産米で百二十から百三十万トンと見ておるところであります。
  65. 高橋令則

    ○高橋令則君 政府米の備蓄の基準が百五十万トン、プラマイ五十万トンという説明を去年受けております。したがって、マイナスといえば百万トンまでいっちゃうわけですから、その範囲内におさまっているという言い方もできようかと思いますが、そうはいいましてもこの百五十万トンというのは、言うならばいろんな意味の機能があろうと思うんですね。そういう意味で、こういう米の過剰基調、そしてまた、この算定方式によると諮問案では下がってしまうというふうな情勢の中で、農家サイドから見た場合、政府買い入れ数量が減るということは心配される面もないわけではない。その辺についての影響をどのようにお考えでしょうか。
  66. 阿部修

    説明員阿部修君) 政府買い入れ数量の件でございますけれども、ただいま私ども政府が持っておりますいわゆる政府持ち越し米でございますけれども、これも備蓄の上限でございます二百万トンを超えまして二百二十四万トンという数字を今我々は持っておるわけでございます。  こうした中で八年産、ことしとれましたお米の政府買い入れ数量でございますが、これはもうそろそろ出荷は終わっておるわけでございますが、現時点の出荷状況なりそれから生産者団体の方々の出荷見込みを踏まえますと、現時点では百十から百二十万トンというようなことになるであろうというのが大方のあれでございます。  そして、先ほどの九年産の百二十から百三十万トンという買い入れでございますけれども、これは現在備蓄の数量が非常に多いというような状況の中で、備蓄運営基本ということを念頭に置きつつ、生産者団体の方々とも十分意見を交換いたしまして百二十から百三十万トンというようにしたところでございます。
  67. 高橋令則

    ○高橋令則君 自主流通米価格形成、そしてまた余剰在庫があるということはよくわかっておりますが、そういう価格問題に好影響というか悪影響というか、そういった面がないかということを心配して聞いておるんですが、それはないというお考えですか。
  68. 阿部修

    説明員阿部修君) 価格へのインパクトは、ちょっと難しい問題があると思いますけれども、全体のお米の売却量と申しましょうか、自主流通米政府米を合わせた全体の需要量は、それは通常のベースで見ておるわけでございますから、正常な形で需給が展開されると思っておる次第であります。
  69. 高橋令則

    ○高橋令則君 よくわからないんですが、私が心配しておるのは、生産者サイドにとってこの百五十万トンをどんどん下回った。結局売れなければ買えないということになるでしょうから、さらにこれを下回るという形になりますと、政府買い入れ数量といったものは一体何なのかという気持ちもしないではないんですね。買い入れ価格をこれだけ御努力なさってこういう価格になさっても、その影響といったものは影響範囲が非常に狭まってしまう、こういうことになりますね、結果的に。それがいいことなのか悪いことなのか、そういう議論はありますけれどもね。したがって、それを踏まえますと、基本的に言うと、去年決めたばかりですから、百五十万トンをできるだけ動かさないような努力が必要なのかなと思っているわけです。これは難しい問題ですが、私はそう思っておりますので、申し上げておきます。  それから次に、調整保管は十万トン程度ふえるんですか、十ないし二十万トンふえるんですか、いかがでしょうか。
  70. 阿部修

    説明員阿部修君) 四十五から五十五万トンというような調整保管の数量を見込んでおります。
  71. 高橋令則

    ○高橋令則君 調整保管について、やはり保管をしているサイドの負担の問題がございますね。したがって、これがふえていくようであれば、それはもう生産者に裨益することだからそちらで持つのは当たり前だというだけで済まないような気がするんですが、それに対するお考えはいかがでしょうか。
  72. 阿部修

    説明員阿部修君) 調整保管の数量でございますが、確かに政府在庫が先ほど申しましたような高い水準にあるというようなことでございまして、生産者の方々の方にも一定の調整保管という形でマーケットから隔離していただきたいというようなことでやっておるわけでございます。  ただ、この調整保管備蓄と若干性格が違いまして、例えば作がよくて市場がだぶついてきた場合に、その部分市場から隔離いたしまして一定の自主流通米価格水準を維持しようというものでございまして、第一義的にはそのメリットと申しましょうか、価格メリットは生産者サイドの方において享受されるというようなことから、調整保管の費用は生産者サイドで負担すべしというような意見も一方にはあるわけでありますが、現在は金利・保管料という形で政府の方から助成して調整保管実施しておるというようなことをしておるわけであります。
  73. 高橋令則

    ○高橋令則君 それは昨年水準をそのまま、昨年というか現行水準をそのまま維持なさると、こういうお考えでございますか。
  74. 阿部修

    説明員阿部修君) この金利・保管料は、今から予算をやっていくわけでございますけれども、金利ですと金利の情勢によって変わったりいろいろしますので、若干の微調整はあるかと思います。
  75. 高橋令則

    ○高橋令則君 そうすると、考え方としては基本的には現行水準の維持ということですね。わかりました。  この調整保管については、今御答弁にあったように隔離することによって価格の保持ができる、生産者にその利益が帰属するからいいではないかという議論が最初からあったことも私は承知しております。そうは申しましても、政府備蓄が、新しく買えるよと言ったやつが減ってくる、そしてまた生産調整は一方では据え置きだというふうなことになりますと、在庫が積み上がってくる。そのツケというんですか、しりが行くと生産者の方の調整保管もふえるということで、直ちに生産者の方の丸のみという形にもコストはならぬのではないかという議論があるんですね。したがって、今そのままの水準で維持されるというお話がありますけれども、その辺についての要望もあるわけですので、十分検討していただきたいと思います。  それから次に、計画外流通米の状況についてお尋ねをしたいと思います。  新しい食糧法のもとで、計画流通米と計画外流通米という区分に分かれたわけですが、この計画外流通米の流通実態というものはいかようになっておりましょうか、把握しているところをお教えください。
  76. 阿部修

    説明員阿部修君) 計画外流通米につきましては、統計的に計画外流通米のみの調査というものはないわけでございますけれども、一応私ども推計しておりますところをちょっと申し述べさせていただきたいと思います。  生産量から計画流通米を引きますと農家消費等というような概念のお米が出てまいります。これから純粋に農家消費農家で食べられたお米の量を引いて、さらにくず米とか減耗とかこういうふうに引いてまいりますと、平成七年度で二百六十万トンぐらいの計画外流通米が流れたであろうというような推計はできるわけであります。
  77. 高橋令則

    ○高橋令則君 今、推計値ではございますけれども、二百六十万トン、大変大きな数量なわけですね。したがって、この流れ方はわかりませんけれども、これは相当実情として計画流通米の在庫価格影響を与えているんではないかと、そういうふうに思うんですけれども、その辺についての分析あるいは受けとめ方というのは農水省いかがでしょうか。
  78. 阿部修

    説明員阿部修君) 計画外流通米自主流通米と違いまして、自主流通米ですと通年販売するための金倉経費と申しましょうか、それが出るわけでございますが、計画外につきましてはそういったものは一切出ません。したがいまして、出来秋にはずっと量が多く、農家は早く売るわけでございますけれども、正月を越しますとずっとそのラインが細ってくるというのが通年のパターンでございます。  それで、この計画外流通米につきましても、これは計画流通制度をきちんと維持するためにもそこをきちんとつかまえるということが不可欠でございまして、私ども、生産者米穀現在高調査というようなのが、これは八千戸ぐらいの調査農家を対象にしておるんですが、そこをきちんと調査しておるというのが一点。  それから、新しい法律になりまして、計画外流通米の届け出というようなことになってはおります。農家なり流通業者の方が計画外流通米で出す場合は食糧事務所の方に届けるというようなシステムになっておるわけでございまして、これもそういったことのPRと申しましょうか、今食糧事務所を挙げまして、農家の方にそういったものを計画外で流通する場合は食糧事務所の方にも、全く簡単なあれでございますもので、ぜひお届け願いたいというようなことで啓蒙活動と申しましょうか、そういうことを今一生懸命やっているところでございます。
  79. 高橋令則

    ○高橋令則君 今度の新しい食糧法で認められた制度でございますので、これをどうこう今さら言叶うわけにはまいりませんけれども、非常に大きな量が結局存在するわけですね。したがって、それがやっぱり私どもが今心配をしております政府買い入れ数量あるいは政府買い入れ価格、これを包括する計画流通米の在庫なり価格に大きな影響を与えてくるということになりますと、これは必ずしも放置はできないんではないかというような感じがするわけです。したがって、これについては今後どうぞ与えられる手段を利用してきちっと把握して、そして全体の食糧需給なりそういったことに影響を与えないような、好ましい影響はいいんですけれども、好ましくない影響を与えないような、そういうふうなことも御研究をいただきたい、このように思います。  それから次に、米の消費拡大対策の強化についてお伺いをしたいと思います。  予算を拝見しますと、農水省の予算がここ二年ぐらい四十八億ですか、それから学校給食の方が二百億ちょっとということで余り増減がないわけですね。ほとんど同額という状況になっているわけですが、この中で新規の分というのはほとんど見受けられない。若干、良質米云々ということでつけ加わった分もあるんですが、どうも最近の消費動向等、やっぱり消費をふやすための努力といったものが従来以上に、新しい工夫というかそういうものが要るんではないかということをつとに考えるわけです。  その中でも、家庭食、外食、加工原材料用、そして学校給食というふうに大きく分かれるんでしょうけれども、見ていますと、減り方といったもの、あるいは何といったらいいかわかりませんが、外食のシェアが意外と若干ずつ伸びてきているような気がする。その中でも外食が比較的ふえている年もあります、少ない年もありますが、家庭食に比べるとどっちかというとふえているのかなというような感じがしないではない。したがって、そういった点からしますと、外食向けの消費拡大対策といったものは何か考えられないものだろうか、こういうふうな感じが特にいたします。  したがって、私は今外食の問題を特に取り上げたわけですけれども、その問題を含めてそれぞれお答えをいただきたいと思いますし、特に学校給食については、例の残念なO157の問題等で米飯給食が一時的にせよ中止あるいは後退という表現は適当でないかもしれませんが、そういう懸念がございます。したがって、それが消費の減退にも通ずるというようなことも心配されますので、それについて、これは文部省サイドになりましょうけれども、農水省としてどのような話し合いをされどのように対応しておられるのか、含めてお尋ねをしたいと思います。
  80. 阿部修

    説明員阿部修君) お米の消費拡大でございます。  私どもこれは日本型の食生活の普及ということで非常に重要なことであるということで、単に米の需給バランスの回復ということだけではなくて、そういった広い見地から取り組んでおるところでございます。  先生指摘になりましたように、予算の伸び方と申しましょうか、これが非常に少ない、四十八億なり二百億ちょっと超えたぐらいのところだということで、御指摘のとおりでございます。  実は、私どもこの予算の制約の中で内容をいろいろ変えてやっておるというのが現状でございます。若干例を申し上げさせていただきますと、今年度の予算でございますと、子供を対象にいたしまして田植えとか稲刈りとかそういった体験学習を通じましてお米、御飯に親しませるとか、それから、単にお米関係の団体だけではなくて販売業者団体、それから消費者団体、それからお米関連の食品関連業界の団体の方々をずっと集めまして、ごはん食ネットワークというようなのもつくりまして、みんなでやっていこうというようなことをやっておるところでございます。  それから、外食の方も私どもいろいろやっておるわけでございまして、たくさんお米を使っていただいております外食事業者、さらには新しい米料理をどんどん開発されております外食事業者の方々とも懇談したり、そういった優良企業の表彰などもいたしましてやっておるところでございます。  それから、学校給食のO157の関係では、ちょっと私どものあれではございませんけれども、学校給食への米の供給でございますけれども、よりおいしいお米をということで地元の自主流通米を使っていただけるような措置も講じておりまして、児童がそういったよりおいしい御飯を食べてもらえるような工夫もしておるところでございます。
  81. 高橋令則

    ○高橋令則君 なお一層御努力をいただきたいと思います。  最後でございますけれども、これは御答弁は必要ございませんが、どうぞ次官、お聞きをいただきたいと思います。私どもは、このたびの米価決定につきましては、いわゆる算定方式その他については御説明をいただきましたし、昨年の経過もこれあり、そうだろうなというような感じを持ちますが、農家の現状あるいは昨年米価決定する際も若干特例的な計算をしたわけですね。ことしはそのような事情にないということもわかりますが、その年々によってそういう計算方法もあるのかなと。例えばたばこの価格決定の際も両方で合意した数字をなおかつ踏まえながらああいう決定もされているわけでございますので、そういう意味からしますとなお努力する余地がなかったのかなというふうな感じを持っております。その点を、いろいろ御努力を多としながらも、今回下がるというふうな計算については非常に残念に思っておるということを申し上げます。  それからもう一つは、その中に消費税が五%という計算がされておるわけでございますが、これは私どもは消費税の五%については党として納得をいたしかねます。そういうことでございますので、これを計算式に入れて出すということについてはこれは賛成はいたしかねますので、次官に申し上げておきます。  次の常田委員が予定した質問を取りやめますので、我が党はこれで終わります。
  82. 一井淳治

    ○一井淳治君 余剰のお米を海外の援助に充てるために、農林省におかれましても大変御努力いただきまして、そういう方向に進んでおり、ありがたく思っています。しかし、もう少しその辺を頑張っていただきたいという思いで質問をさせていただきます。  私のお聞きしております情報によりますと、大体外務省の方で対外援助用として十万トンぐらいがまとまりそうだと。そのうち六割強ぐらいをせんだって閣議決定いただいたと聞いていますけれども、残りの四割弱ですか、この四割弱についても確実に食糧援助に実施していただくように御努力を賜りたいと思いますし、それ以上に、やや具体的に過ぎる質問でお答えがしにくいかもしれませんけれども、十万トン以上にもそういう方向の御努力を賜りたいと思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。
  83. 阿部修

    説明員阿部修君) 残りの四万トン程度の援助につきましても、これもできる限り早く決定できるように外務省に要請しているところでございます。外務省も各国と今やっておる最中でございますので、なるべく早くやっていくようにしてまいりたいと思っております。  それから、この十万トン以外のお米につきましても、私どもといたしましては外務省と連携をとりつつ進めてまいりたいというふうに思っております。
  84. 一井淳治

    ○一井淳治君 それから、生産調整の関係でございますが、中山間地域での減反は、非常に他の地域に比べて厳しい影響があると思います。この中山間地域における減反対策を厚くするという意味で、デカップリング、直接所得補償のことを考えてはいけないかということを質問させていただきます。  実は、十月三十一日に自由民主党、社会民主党、新党さきがけの三党の合意ができまして、その中に農業政策についてはおおむね合意したということが書いてありまして、その農業政策のくだりの中に、「中山間地域の農業の振興を図るため、日本型デカップリングの導入を検討する。」となっておるわけでございます。  これまで生産調整は全国一律平等に進めてきたわけでありますけれども、中山間地域はまさに大変でありまして、その中での農林業の振興を図るということで、デカップリングの考え方を減反対策に導入をして中山間地域の減反については厚い対応をすると。折しも、諸外国で最近不足払いの方式をやめたということがありますけれども、例えばアメリカにおいてもEUにおいても不足払いの助成というものをやめまして、その場合には直接所得補償ということで振りかえていっています。  そういうことで、私は中山間地域に対する対策ということでそういうお考えを導入していただくことの御検討を賜りたいと思いますけれども、政務次官の御達見を実は期待しているわけでございますので、お尋ねします。
  85. 服部三男雄

    説明員服部三男雄君) 中山間地域対策は、文字どおり、自由民主党はもちろん、政府、関係機関、みんなやらなきゃいかぬ、各党間の統一したお考えだろうと思いまして、政府としましても予算も組みやっておるところでございます。それに関する関連五法もつくりまして、鋭意やっているところでございます。  効果も大分出ているんではないかなと思っておりますが、そこで、それでは今先生指摘の、あるいは社民党の提案されている日本型デカップリングを直ちに導入すべきかどうかということになりますと、今まで日本にない制度でありますから、まず国民の間でどういう御意見が出てくるのか、これはやっぱり慎重に検討してみなきゃいかぬのではないかなということが一つでございます。  それから、中山間にいる人が全部が全部、住んでいる人全部が農業に従事していただけるならばいいんですけれども、そうでない非営農者の方もたくさんおいでになります。この中山間の活性化のために所得補償をすることが非営農者との関係でどうなのかなと。これもちょっと慎重な検討を要する問題ではなかろうかなとも思います。いろんな問題がありまして、もうちょっと国民意見をよく聞かなきゃいかぬなということでございます。  それから、今先生から御指摘のありました三党合意でありますけれども、これは政党間の問題でありますから、政府としてはよく御意向をお聞きしなきゃならぬのですが、私ども自由民主党で聞いているのは、中山間の対応、直接のことではなくて、「農業政策の「水・土・緑」の保全などこと、こう書いてありまして、そのどの部分先生指摘部分が入っているのかちょっとつまびらかじゃないものですから、今のような回答にさせていただきたいと思います。
  86. 一井淳治

    ○一井淳治君 政務次官は、中山間対策の問題、農業の問題について非常に御造詣が深いというのがよくわかりました。任期中にぜひともこの点の前進を図っていただくように期待を申し上げておきます。  次に、米価の安定という観点から考えた場合に、これは生産者にとりましても消費者にとりましても安定ということが非常に大切であると思います。とりわけ、政府の買い入れ価格は下支え機能を持っているわけでありまして、また政府買い入れ価格が下がると自主流通米価格への影響というものにも及んでいくわけでございます。  そういうことで、政府買い入れ価格につきましては現行水準によるように努力していただきたいと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
  87. 阿部修

    説明員阿部修君) 政府買い入れ価格でございます。  これは、新しい食糧法のもとにおきましては、自主流通米が制度的にも実態的にもお米の流通の主体となったというようなことを踏まえまして、自主流通米価格動向生産コストを参酌して算定していこうというようなことで、新しい算定方式を昨年の十二月に設定したところでございます。  それで、九年産米価でございますが、このような算定方式に当てはめて計算いたしますと、先ほど来議論がありますように、自主流通米の値段も弱くなっておるというようなことも反映いたしまして、マイナスの一・一%というようなことになっておりまして、この試算値をきょう米価審議会の方にお諮りしたわけでございます。  いずれにしましても、来年産米価につきましては、米審の答申をも十分踏まえまして、適正に決定してまいりたいというふうに思っております。  なお、先生指摘のお米の価格安定でございますが、これは法の趣旨からいいましても大変重要なことでございまして、これは自主流通米政府米を通じました総合的な観点から、この価格安定を図っていく必要があると認識しておりまして、生産調整備蓄なり調整保管の適切な運用ということでお米全体の需給をきちんと安定させていくということによって価格の安定を実現していきたいというふうに思っております。
  88. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、政府買い入れ数量ですが、政府米は生産調整実施者から買い入れるということで、生産調整推進対策の一つでございます。また、政府米が縮小いたしますと、その分だけ自主流通米が増加いたしまして、米価の不安定にもつながっていくと思います。  そういった観点から、政府買い入れ数量につきましては、最大限多くするよう農林省の方で極力努力をお願いしたいと思いますけれども、御所見を伺います。
  89. 阿部修

    説明員阿部修君) 政府の買い入れ数量でございます。  買い入れ数量の議論に入ります前に、現在、非常に備蓄が多いというようなことで、政府、我々が持っております備蓄量も二百二十四万トンということで、食糧法におきます備蓄運営の上限と申しましょうか、二百万トンを大きく上回っておる状況でございます。  そういった状況の中でございまして、ことしとれますお米でございますけれども、これも現時点では百十万トンから百二十万トンぐらいの政府出荷見込み量であろうというような見込みになっております。来年のお米につきましては、先ほど申しましたような備蓄のお米の状況の中で、備蓄運営基本を念頭に置きまして、備蓄の円滑な運営が図られるように生産者団体との十分な意見交換をいたしまして、今年産よりも十万トン上回ります百二十万トンから百三十万トン程度と設定しておるところでございます。
  90. 真島一男

    委員長真島一男君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、この際、石井君から発言を求められておりますので、これを許します。石井君。
  91. 石井一二

    ○石井一二君 私は、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、民主党・新緑風会及び二院クラブの各派共同提案に係る食糧農業援助の拡充に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     食糧農業援助の拡充に関する決議(案)  先頃開催された世界食糧サミットにおいて採択されたローマ宣言からも明らかなように、飢餓にさらされあるいは栄養不足状態に置かれている世界の人口は、アフリカを中心に八億人を超え、援助の拡充が先進諸国に強く求められている。  このような事態にかんがみ、政府は、広く人道的見地に立って食糧農業援助の拡充に遺憾なきを期すべきである。また、その際、現在その量が適正水準を大幅に上回っている在庫米を有効に活用すべきである。  右決議する。  以上でございます。
  92. 真島一男

    委員長真島一男君) ただいま石井君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います、    〔賛成者挙手〕
  93. 真島一男

    委員長真島一男君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、服部農林水産政務次官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。服部農林政務次官。
  94. 服部三男雄

    説明員服部三男雄君) 大臣が米審の方に行っておられまして、政務次官の発言で申しわけございませんが、お許しを賜りたいと思います。  ただいまの御決議につきましては、その趣旨を踏まえまして関係省庁との連携を図りつつ、今後十分努力してまいる所存でございますので、委員各位におかれましてはよろしくお願い申し上げたいと思います。
  95. 真島一男

    委員長真島一男君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十四分散会