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1996-11-20 第138回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年十一月二十日(水曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員異動  十一月十九日     辞任         補欠選任      景山俊太郎君     依田 智治君      亀谷 博昭君     須藤良太郎君      渡辺 孝男君     福本 潤一君      山下 芳生君     阿部 幸代君      朝日 俊弘君     中尾 則幸君  十一月二十日      依田 智治君     馳   浩君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野沢 太三君     理 事                 塩崎 恭久君                 松谷蒼一郎君                 吉川 芳男君                 山崎 順子君                 山下 栄一君     委 員                 岩井 國臣君                 海老原義彦君                 大木  浩君                 清水嘉与子君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 馳   浩君                 松村 龍二君                 守住 有信君                 依田 智治君                 海野 義孝君                 小山 峰男君                 福本 潤一君                 星野 朋市君                 益田 洋介君                 上山 和人君                 菅野  壽君                 清水 澄子君                 阿部 幸代君                 中尾 則幸君                 本岡 昭次君                 水野 誠一君                 栗原 君子君    国務大臣        文 部 大 臣  小杉  隆君        郵 政 大 臣  堀之内久男君    事務局側        常任委員会専門  貝田 泰雄君        員    説明員        大蔵省理財局国  飯島 健司君        有財産第一課長        大蔵省銀行局保  吉村 宗一君        険部調査室長        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部省教育助成  小林 敬治君        局長        文部省高等教育  雨宮  忠君        局長        文部省学術国際  林田 英樹君        局長        文部省体育局長  佐々木正峰君        文化庁次長    小野 元之君        厚生省生活衛生  堺  宣道君        局食品保険課長        郵政大臣官房首  結城 淳一君        席監察官        郵政省郵務局長  内海 善雄君        郵政省貯金局長  品川 萬里君        郵政省簡易保険  金澤  薫君        局長        郵政省通信政策  木村  強君        局長        郵政省電気通信  谷  公士君        局長        労働省職業能力        開発局技能振興  佐々木恭造君        課長        自治省行政局行  松浦 正敬君        政課長        会計検査院事務  小川 光吉君        総局第四局長     —————————————   本日の会議に付した案件 〇平成六年度一般会計歳入歳出決算平成六年度  特別会計歳入歳出決算平成六年度国税収納金  整理資金受払計算書平成六年度政府関係機関  決算書(第百三十六回国会内閣提出) ○平成六年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百三十六回国会内閣提出) ○平成六年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百三十六回国会内閣提出)     —————————————
  2. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十九日、山下芳生君、渡辺孝男君、亀谷博昭君、景山俊太郎君及び朝日俊弘君が委員を辞任され、その補欠として阿部幸代君、福本潤一君、須藤良太郎君、依田智治承及び中尾則幸君が選任されました。     —————————————
  3. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 平成六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、文部省及び郵政省決算について審査を行います。     —————————————
  4. 野沢太三

    委員長野沢太三君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 野沢太三

    委員長野沢太三君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 中島眞人

    中島眞人君 自由民主党の中島眞人でございます。  このたびの橋本第二次内閣での文部大臣郵政大臣就任を心からお喜び申し上げます。  なお、私は文部省に対しまして所定の問題で御質問を申し上げていきたいと思いますが、特に小杉文部大臣におきましては教育行政に大変御見識のある大臣で、御就任早々、ことし懸案でございました給食施設等調査も早速行われた。そんな報道も聞いております。  しかし、今や行財政改革は時の声であると同時に、一つの大きな問題としては教育改革もこれまた大きな課題である。特に、いじめの問題から発展をして、ことしは学校現場自殺予告などという大変好ましくない風潮が起こりつつございます。また、これから質問をいたします我が国の食中毒の八割は学校現場学校給食で起こっているというふうな問題、同時に、熾烈な入試問題、六三三制の教育制度が五十年間続いてきているけれども子供実態教育内容等からいってこれでいいかどうか等々の問題から、教育改革という問題は避けては通れない大きな課題として小杉大臣に期待するところ大変大である、こんな思いを込めながら、また、このことに関しての大臣の御所見もお伺いをしながら、質問に入らせていただきたいと思います。  さて、ただいま申し上げましたように、O157という大変恐ろしい集団食中毒事故が五月二十八日に岡山邑久町に発生をいたしました。そして約一カ月半後、堺市にまた発生をし、そしてことしの夏はまさにO157恐怖、あわせて食中毒恐怖全国的に国民恐怖発展をしていったことはこれまた恐るべきことでございますけれども、今日に至ってなおかつその感染源が、本体がつかめていないというまさに不可解な実態考えながら、依然として学校給食関係の中に食中毒の余韻のようなものがある。  しかし、幸いなことに、昨日の報道で、堺市で昨日から給食が再開をされた。子供たちも不安ながらも給食に臨んでおる報道がなされて、冬に向かって幾らか安堵の気持ちがいたしているわけであります。  さてそこで、岡山邑久町に発生をし堺市に発生をしていく間が一カ月半あったのであります。この中で、これは厚生省との関係もあろうかと思うのでありますけれども給食原材料保存期間邑久町の場合は食品衛生法による通知どおり七十二時間だった。O157は既に一九八二年にアメリカで発生をして、ことし初めて発生したいわゆる病原菌ではないはずでありまして、例年のごとく出ておる。この潜伐期間というのは少なくとも四日から九日とも言われ、比較的長い。にもかかわらず、堺市の一カ月半たつまでの間に、給食保存期間を依然として七十二時間というままにしておったところに堺市の感染源をつかむことができなかったんではないかという指摘があるのでありますけれども、これに対して文部省はどのように考えていますか。
  8. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 学校給食における食中毒感染源あるいは感染経路につきましては、厚生省等が中心となってその解明に努めておるところでございますが、御指摘のとおりほとんど解明ができていないという状態にございます。  その理由といたしましては、従来、調理済み食品保存期間が七十二時間であり、それ以前のものにつきましては適切に保存されていなかったことや、あるいは食材料保存がなされていなかったこと等が大きな原因考えられるわけでございます。  そういったことを踏まえまして、去る七月二十六日に、調理済み食品、それと食材料、これを両方ともにマイナス二十度C以下で二週間以上冷凍保存をするという措置を講じたところでございます。
  9. 中島眞人

    中島眞人君 これは文部省にも私は責任があろうかと思うんですけれども、この問題は食品衛生法を管轄する厚生省の方に問題が重点的にはあろうかと思うんです。しかし、食中毒O157発生というものがいわゆる文部省の管轄をしている学校現場で起こっている。この辺の問題の、O157の問題の食品保存原材料保存という問題に、岡山邑久町で発生をして一カ月半で堺市に至って、堺市で発生をした時点のときに全くそのままであったというところに感染源をつかむことができない最初のミスがあったんではなかろうかと、私はこんなふうに思うんです。ですから、二度とこういうことがないように十分注意をして対応していただきたい、このように思います。  さてそこで、冒頭申し上げましたように、日本の夏季における食中毒の八割は学校給食だと言われておる。これに対して率直な御見解を、お認めになるのか、あるいはそういう実態というものは、いやこれは間違いであるというのか。私ども報道されている内容を通して聞く限り、食中毒の大体八割は学校給食だと言われておりますけれども、これについて御所見をお伺いしたい。
  10. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 厚生省によりますと、平成七年でございますけれども食中毒原因施設判明総数が五百八十八件ございます。そのうち学校におけるものが二十一件、三・六%でございます。また、患者数総数は二万五千百七十九名でございますが、そのうち学校におけるものが五千四百六十八名、二一・七%となってございます。  ただ、患者数五百人以上の規模の大きい食中毒、この発生状況を見ますと、平成七年において発生した食中毒が七件でございますが、このうち五件が学校給食によるものでございまして、七一・四%というふうな数値になってございます。  学校においてはこのような状況でございますので、食中毒防止に引き続き万全を期してまいりたいと思っております。
  11. 中島眞人

    中島眞人君 私は、学校給食食中毒発生をしますと大変被害が大きくなっていくという、これはもうそのことだけで、対象になる子供たちが例えば五百人、千人というところであるわけでありますから、それは当然だろうと思うのであります。  そこで、現在の学校給食にそういうものが起こっていく要因というか、そういう要素というものがあるのではないかと思うんです。例えば学校給食校調理方式、あるいはセンター調理方式給食資材一括購入方式、あるいはまた単独購入校調理方式というようなものがありますね。コストを下げていこうということの中で起こってくるものの中で、給食資材購入購入からそれが貯蔵されていく過程、あるいは調理をする過程というところに欠陥があるんではないのか、欠陥があるからこそこういう食中毒発生をしているんではないのか。  そういうことに対して、率直に文部省としてはそれをどういうふうにとらまえているのか、それについてお聞きをいたしたい。
  12. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 安全で豊かな学校給食を提供するということが学校給食実施の上で最も肝要なことでございます。共同調理方式あるいは自校方式、あるいは食材一括購入等に伴いまして学校給食上留意すべき点というのが多々あるわけでございますが、中でも衛生管理徹底を期すということが食中毒防止の上で最大の眼目かと思うわけでございます。  この点につきましては、今回の食中毒というものを踏まえまして、夏休み中に例えば食材であるとか施設設備あるいは給食調理員衛生管理等につきまして緊急点検を実施し、また二学期以降につきましては日々の点検を着実に励行するというふうなことを通してその防止徹底を図っておるところでございます。  しかしながら、二学期以降も食中毒事故発生をしておるということもございまして、現在、専門家等による調査研究協力者会議を設けております。衛生管理面も含めてさらに幅広い観点に立って食中毒防止全般について検討を加えていただいているところでございまして、それらを踏まえて再発防止にできる限り早急な対応策を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  13. 中島眞人

    中島眞人君 ともかく岡山県の邑久町、同時に堺市、そしてまさに恐怖の一学期、そしてこれに七月、八月と厚生、文部が全力を挙げて徹底したにもかかわらず、二学期に入って北海道静内町のサルモネラによる食中毒発生岩手県盛岡市でO157による食中毒発生というふうに依然としてこういうものが、もう季節という問題を、冬を迎えなければ食中毒はおさまらないという、衛生管理徹底をしているにもかかわらずこういう問題が二学期に続発をしているという問題は、これは現場、同時にそれを担当する文部省としても従来とは発想を変えた形でこれに取り組んでいかなければいけないと思うんです。  そこで、総務庁の岩手行政監察事務所がことし四月から七月にかけて県内六市町村の十二の給食調理場調査したところ、環境衛生検査が実施されたのは一施設だけ、二施設でつくった給食にはみそ汁のキャベツに虫が付着している、リンゴが腐っているところがある。同じように千葉行政監察事務所調査では、業者の納入時に職員が出勤しておらず建物にはかぎがかかっているため生鮮食料品を含む給食用物資が屋外のコンクリートの上に置かれている、こういうような衛生管理に対する初歩的な問題が放置されている。これでは食中毒が起こるわけだ、起こらないのがおかしいんだと、そういう指摘がマスコミの論調であるんですね。  少なくとも子供たち給食というものがこのような形で放置されてきたことに対しては関係者一大反省と、そしてそれに伴う指導というものは、今の問題ですよ、これは。ですから、そういう問題について、就任早々給食施設の御調査をなさった。そういう積極的な大臣でございますので、この辺について、来年はもう一件も出さないんだ、そんな意気を込めながら、大臣から御所見をお伺いしたいと思います。
  14. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 学校給食現場O157食中毒発生したことはまことに残念なことであります。今、先生から御指摘のように、これから学校給食現場における衛生管理徹底して行っていくこと、あるいは施設設備面で手を加えなければならない点は十分に充実を図っていく、あるいはまた給食に携わる方々指導、こういったソフト、ハードあるいは職員への指導、こういう点を徹底して行うことによって再びこのような中毒の事故発生しないように一層努力をしていきたいと思っております。  私もそうした考えに立って先般共同調理場及び個別の調理場を拝見いたしまして、あの事故以来、学校現場では細心の注意を払って取り組んでいるというさまを見まして大変心強く思った次第でありますが、今後とも一層努力をしてまいる所存でございます。
  15. 中島眞人

    中島眞人君 私は大臣の決意をお聞きしたので、来年に関係各位努力をされて学校給食の中から食中毒発生しないように私どもも監視をしていかなければいけない、このように思っております。  さて、学校給食のあり方について私はこの辺で先ほどの教育改革という問題を含めながら考えていかなければいけない時代に来ているんではなかろうか、こう思うんです。  そもそも学校給食というのは、終戦直後のララ物資ガリオア資金によるミルクやバンの給食日本子供たち生命線から始まった学校給食であったわけですね。ところが、昨今の学校給食というのは子供たちの肥満や栄養過多が問題になるようになり、学校給食所要栄養基準改定で言うなれば給食によって熱量やたんぱく質等の配分、食生活、そういう問題に目が向けられてきている。最近では特に給食はいわゆるグルメと、そういうものを求めた多彩な給食に変わってきている、これも一つ日本学校教育の中の特色性だろうというふうに思うんです。  さて、そういう中で、私は文部省にお聞きしたいんですけれども、この学校給食にかかっている言うなれば公費というのはどのくらいかかっているんですか。そして、個人負担というのはどのくらいの率で学校給食というのは運営されているのか。マクロで結構ですから、ひとつ大まかな財政負担、これについてちょっとお答えをいただきたい。
  16. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 学校給食につきましては、学校給食法という法律の中で施設設備人件費については学校設置者負担をする、それ以外の食材費については保護者負担をする、こういう扱いになっておるところでございます。そして、施設設備整備につきましては、国庫補助制度を設けるとともに、学校栄養職員給与費の二分の一は国庫負担をする等の制度があるわけでございます。  こういった条件のもとで一つの試算として作成しますと、平成四年度における国、地方公共団体保護者負担割合は、国が約七%、地方公共団体が約五五%、保護者が約三八%というふうに推計をされるわけでございます。
  17. 中島眞人

    中島眞人君 実は現在の社会の中にあって、私の調査をした内容では給食関係公費支出は一兆円です。例えばいろんな給食施設整備補助金並びに人件費あるいは光熱水費、こういうものはすべて公費、そして保護者負担をするのは食材費、大体一食二百数十円、こういうことであります。  そこで、こういう給食が始まった当時の考え方から時代的にも大きく変わってきている。そして、今や栄養バランスとかカロリーのバランスとか、あるいはグルメというときになっていったときに、この負担率というものが五十年前の子供たち生命線を守ったあのガリオア・エロアのときの給食と同じ実態、あるいはあの当時よりもっとこの原則が貫かれていく行き方でいいんだろうかと私は思うんです。  同時に、例えば病院入院時の入院患者給食費を見ましても、ことし十月からまた改定をされておりますけれども、やっぱりこういう原則が貫かれているわけです。入院在宅等における負担公平化を図る、あるいはその財源で付添看護などの重い負担を持っている方々負担を解消する、家庭でも要している程度の額は特別の追加的費用でいただいていくというのが医療関係患者さんの給食に対する考え方でもあるんです。  今の学校給食というのは、飢えて命にかかわるという時代発想からの支出負担原則がまさに貫かれていると思うんですけれども、その辺について、大臣、私はこういう給食考え方が変わってきている中で、この負担割合あるいは負担率という問題にも目を向けていかなければならない時代に来ているんだろう。これもまたある面では行財政改革一つに問われている。行財政改革というのは国だけがやるんじゃなくて、国民負担も適当なところでは考えていかなければいけない問題の提起だと、こういうふうに思うんです。この給食費自己負担割合負担率問題等については私は手をつけていくべき、関心を持っていくべきだと、こんなふうに思うんですけれども、いかがですか。
  18. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今、先生から行財政改革という観点から御指摘がありました。  確かに、終戦直後、給食が始まった時代と現在とでは相当社会状況が変わってきている。それは御指摘のとおりであります。先生の御指摘行政改革という見地からの一つのお考えとして私は受けとめさせていただきたいと思います。  ただ、学校給食というのはやはり重要な学校教育活動の一環である、大きな教育的な意義を持っているわけであります。私もこの間、番町小学校子供たちと一緒に給食を食べましたけれども、授業時間のときとは違った先生生徒との触れ合いあるいは生徒同士の活発な交流、あるいはその学校給食に携わっている方々との親睦、あるいはこの給食というものがどういう過程でつくられてくるかという一つ現場のプロセスを見たり体験をするということ、これは教育としての非常に大きな私は意義を有していると思っております。  先ほど事務の方から答弁いたしましたように、今までの仕組みとしては、学校給食法におきまして、いわゆる設備費人件費公費負担、そして食材費だけは保護者負担をする、こういう仕組みになっているわけであります。御指摘の点も踏まえて、あるいは保護者負担点等も考慮しながら慎重に検討してまいりたい、こう考えております。
  19. 中島眞人

    中島眞人君 大臣からそれ以上の答弁をいただくことは無理だと思いますけれども、私はまだ資料を持っているんです。学校給食残飯年間四百八十億円というデータがあります。多摩市では、給食牛乳の飲み残し量を調査したところ、同市内の小中学校だけで年間三十八万本の牛乳が廃棄処分されている。給食牛乳の約一一・五%がふたをあけずに捨てられている。茅ケ崎では、残飯を処理するのにバクテリアで分解する生ごみ消滅機機械メーカーと市のごみ減量課が共同してつくった。こういうことの中にむだがあるんじゃないか。保護者負担の見直しという問題も、あの給食が発足した当時とは違った角度で検討すべきだということをあえて私は強く御要望申し上げておきたいと思います。  さて次に、時間もございませんから、私は、昨年の一月十七日、阪神・淡路大地震、午前五時四十六分に発生をいたしました。あのときに、もし登校時間帯あるいは子供たち学校へ行っている時間帯た発生をしたとしたら、子供たち被害は、あるいは幼稚園児あるいは保育園の子供たち被害というのは大変なものだったろう、このように思えて背筋が寒くなる思いでいっぱいでございます。せめて子供たちへの被害家庭保護者のもとにいてよかったな、そんな思いを、不幸中の中にも子供たちへのそんな思いがいたしたのは私だけではなかったろうと思うのであります。  そこで、実は昨年、早速、学校施設耐震にかかわる取り組み文部省がお取り組みをいただきました。山梨県でもやったんです。やりましたところ、これは小中学校ではございませんけれども県立学校四十一校の主要校舎及び屋内運動場二百七十棟中、昭和五十六年以前に建築された二百三棟の耐震診断を行った結果、百五十七棟については言うなれば〇・七を下回るというその耐震結果が出てきたんですね。多分これは、私どもの出身の山梨県では東海大地震南関東直下型地震に対する対応というのは今までずっと積み上げてきたんですけれども、このような活断層地震対策というのは全く皆無だった。  そこで、文部省が取り組んだやり方というのは、全国一斉の耐震調査をなさったと思うんですけれども耐震調査の結果というのはどういう結果で、そしてこれはもう四十六年以前、五十六年以前というのは、耐震法に基づく言うなれば補強をしなければならないという形になるんですけれども、それはどのくらいの数に上り、どのくらいの年度でこれを補強していくというか改築をしていくのか、あるいはそれはどのくらいの予算がかかるのか、この辺の概況をちょっと御説明いただきたい。
  20. 小林敬治

    説明員小林敬治君) お答えいたします。私どもとして一斉に全国耐震度調査をやるということではございませんが、私どもの方式といたしましては、平成七年度から耐震診断費でありますとか耐力度調査費を国庫補助の対象といたしまして各設置者でやっていただくというふうに考えておるわけでございます。  それから、地震防災緊急事業五カ年計画というのが今年度から始まるわけでございますが、その際に公立の小中学校の非木造校舎の補強事業の補助率を二分の一にがさ上げして工事をしやすくするというふうな措置をとっております。  私どもといたしましては、この五カ年、つまり八年度から十二年度までに、五十六年以前がどうしても中心になるわけでございますが、耐震性能が劣っているもの等について調べまして、それを当該五カ年中に何とか措置をしたいというふうに考えているような次第でございます。
  21. 中島眞人

    中島眞人君 そうすると、昨年六月に地震防災対策特別措置法が制定されましたね。これに伴いまして、各都道府県が、言うなれば五十六年以前あるいは四十六年以前という問題のそれぞれの校舎等の耐震性能のチェックをした。これは四十六年以前のものと五十六年以前というものに区分されますね。これについて、それぞれ都道府県に対しての指導というのはどういう指導でやるわけですか。四十六年以前のものは何年までに、五十六年以前のものについては何年までにと、そういう一つ整備計画というのはあるんでしょう。そしてマクロで結構ですけれども、それは総額でどのくらいの予算を要するんですか。
  22. 小林敬治

    説明員小林敬治君) 私どもとしては、四十六年、五十六年というのを境にした考え方はとっておりませんで、現に耐震性能が劣っているか否か、それから私ども独特の方式かと思いますが耐力度調査というのを持っておりまして、これらによりまして補強等の必要があるかないかということを判断させていただいているわけでございます。  今御質問のどのくらいの予算がかかるかというのは、実のところまだ私どもつかんでございません。ございませんが、多分この五カ年のうちにこれをすべてやりますときに、どうしても最後の方の十一年とか十二年の方に必要な経費がかさむのではないか。そういすことを避けるために、今まで国庫補助の対象にしておりました工事の前々年度よりもさらに前に調査をするというところまで国庫補助の対象にいたしまして、調査そのものを一刻も早くやっていただく。そういたしませんと、補強の必要があるかないかという判断もつかないというケースもございますので、そうした作業を今鋭意やっておるわけでございます。  もちろん、その耐震性能を向上させるための補強工事等が必要だというものは、予算の許す限り鋭意片方でやりつつ、そういうふうなことをやっておる段階でございます。
  23. 中島眞人

    中島眞人君 時間がございませんから、この問題については全国子供たちを持つ親にとってみると大変不安なことでございますので、これから予算編成等々の中でこの問題については積極的に取り組ませていただきたいと思います。  さて、昨年の十二月、臨時国会で宗教法人法の一部を改正する法律が通りました。その後、さまざまな論議を経た中でスタートいたしたわけでありますけれども、改正法の公布から施行まで、この間に宗教法人の中にこれは困るというような問題があったのかどうか、まとめて御質問申し上げます。  例えば収益事業を行わず、一会計年度の収入の額が寡少であるため収支計算書の作成を免除される小規模宗教法人について平成八年四月二十六日、宗教法人審議会で奥田文部大臣が八千万円以下というふうに決めておるんでこの対象になる宗教法人というのはどのくらいか。私の判断するところではさほど影響を受けていないんではないか、こんなふうに思うんですけれども、これについてはどうなのか。  また、宗教法人の収益事業に対する優遇税制のあり方については、これはとんでもないという意見が昨年の宗教特の中でも出ましたし、国民世論もそういう方向で動いておりますけれども、これに対してはどういう方向で進行しているのか。  一問一答でやらなきゃなりませんが、時間の関係でごめんなさい。  同時に、宗教法人法に係る問題点で、オウムの問題もそうでしたけれども、問題があって解散というだけでなくて、認証をするまでの段階でチェックするという一つの、文化庁としては認証前に妥当であるかどうかという問題のチェック機能はどのように整備を始めているのか。  それから、昨年の宗教法人法を論議して、なおかつこの約一カ年に依然として宗教界の中で起こっているいわゆる人権侵害の問題あるいはまた霊感商法の問題、脱会者への嫌がらせの問題等々の好ましくない行為があるわけでありますけれども、本来こういう公益法人等が問題を起こしますともう役員などは一掃されるくらい問題なんですけれども、これらの問題に対して、宗務行政を担当する文部省と。してはどういうそれらの宗教法人に対して指導をしておるかどうか、この問題についてお聞きをいたしたいと思います。
  24. 小野元之

    説明員(小野元之君) 幾つか御質問いただいたわけでございますが、まず第一点目の宗教法人法の改正でございますけれども、この九月十五日に施行させていただきまして、私どもとしては、各都道府県の宗教事務担当者あるいは宗教団体の方々等々にこの改正法の内容の周知徹底、それから所轄庁の変更手続等につきまして何度も説明会等を開きまして、円滑な実施のために努力をしてまいったところでございます。その結果、この新しい法律が改正後施行されるということにつきましては、おかげさまで特段の大きな混乱というものはなかったのではないかというふうに考えております。  それから第二点目の、収支計算書等を作成して所轄庁に届け出るという義務が生じたわけでございますけれども、八千万円以下ということで基準を定めさせていただいたわけでございますけれども、この点につきましては昨年の国会でもいろんな御論議があったわけでございます。私どもといたしましては、小規模法人に余り多大な御迷惑をおかけすることがないということで八千万ということを審議会の答申もいただいて決めたわけでございますけれども、おおむね四、五%ではないかというふうに思っております。  ただ、これは現実に具体的な収支計算書が所轄庁にまだ届け出が来ておりませんので、正確な数字は今の時点では申し上げられないわけでございます。  それから三点目の収益事業等についての公益法人の課税の優遇の問題でございます。この点についてはさまざまな御論議があったわけでございますけれども、私どもとしては、宗教法人は宗教法人としての、人々の心に安らぎを与える、あるいは日本の精神文化を向上、発展させるという意味で非常に大きな役割を多くの法人は果たしてきておるわけでございます。  そういう観点から、現行の優遇税制について、宗教法人を所轄する立場といたしましては、できるだけ優遇税制を維持していただきたいという気持ちを持っておることは事実でございます。もちろん脱税その他の行為がもしあったといたしますれば、そういったことに対しては当局の方から厳正な対処をしていただくということは私は当然だと思うのでございます。  それから、認証の問題でございますけれども、昨年もいろいろ御論議をいただいたわけでございますが、今回の改正法の趣旨、それからオウムの事件等に伴う反省、こういったものに立ちまして、私どもといたしましても認証時の審査をきちっとしていくということは行っていかなければいけないと思っておるわけでございます。  そういう観点から、現在も審査基準の例等も定めておるわけでございますけれども、各都道府県あるいは私ども自身が認証する時点において、きちんと宗教団体としての法に定める要件を定めているかどうか、きちんと対処してまいりたいというふうに考えているところでございます。  最後に、問題法人の関係でございますが、この法改正におきまして、宗教団体が仮に解散命令等の事由に該当する場合があれば報告徴収・質問権というものが新たに所轄庁に設けられたわけでございますけれども、私どもとしてはまずその前に、新聞やあるいはマスコミ等で違法行為ではないかといったような指摘がなされている法人等につきましては、必要に応じまして事情を聞く等によりまして適切な対応をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  25. 長峯基

    ○長峯基君 長峯でございます。  文部大臣、御就任おめでとうございます。大変大事な時期でありますので御活躍を期待いたしております。  実は、私は宮崎県の出身でございますけれども、九月十八日に隣県の知覧中学校というところでいじめによる自殺が起こりました。これはまた遺書もございまして、いじめた生徒の名前も八名ほど遺書に書かれていたわけでございますけれども、そのいじめた生徒の父親が十二日後の九月三十日に農業自殺をしたという大変痛ましいというか心の痛む事件がございました。  最近非常にいじめ問題が増加いたしておりますけれども文部大臣はどのように認識をしておられるか、またその取り組みについて大臣にお伺いしたいと思います。
  26. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) いじめの問題につきましては、平成六年度に全国の公立学校におきまして約五万七千件発生をしていると報告を受けております。今年度に入ってからもいじめが関係したと思われる生徒の自殺事件、あるいは父兄の自殺もあったわけでございますが、極めて深刻な状況にあると認識をしております。  いじめの原因とか背景については、家庭学校、地域社会それぞれの要因が複雑に絡み合っていると考えられます。したがって、その解決のためには学校のみならず家庭、地域社会というものが一体となって取り組んでいくことが重要であろうと思います。  家庭におきましては、思いやりの心とか善悪の判断などの基本的な倫理観を身につけさせるようにぜひ御父兄の指導をお願いしたい、そういうことが必要だと思います。学校におきましては、一人一人が大切にされ、個性を生かす教育というものを着実に推進していくということが大切かと思います。地域社会におきましても、無関心ということではなくて他人の子供であっても声をかけていくというような、地域社会子供を守り育てていくという風潮が必要だと思っております。  今後とも、学校現場はもとよりそうした家庭や地域社会の協力も得るためにいじめ問題の解決に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。
  27. 長峯基

    ○長峯基君 次に、いじめ対策について、スクールカウンセラーとも言うそうでありますけれども、これが非常に重要だと思うのであります。  それで大臣、官僚の書いた原稿とか官僚の発想ではなくて、ひとつ私はぜひ大臣にお考えいただきたいのであります。  校長先生とか学校職員の退職者の中には大変優秀な先生がたくさんおられます。そしてその先生方はボランティアでどういう協力でもしたいと、そういう立派な先生もたくさんいらっしゃるわけであります。しかし、学校現場が退職教職員をカウンセラーとして採用することについて非常に閉鎖的でありまして、現実にいろいろと相談をしてみましても、なかなか受け入れ体制が難しいというのが教育委員会あるいは文部省考えてあります。ですから、これはやっぱり政治的な判断でこの問題と取り組んでいく必要がある。  アメリカでは、各学校にカウンセラーというものが置かれております。これはクラス担任とか教科の専門的な先生とは別に、本当に心理学というかカウンセラーマインドを持った教師というものが採用されているわけでありますが、今、日本の教職員の中にこのポストをふやすということはなかなか難しい。  そこで、ボランティアのカウンセラーを長い間教職におられた先生方の中からお願いする。こういうことが私は必要ではないかなと思うのでありますが、大臣の御見解を伺います。
  28. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 先日、給食現場の視察と同時に、私は品川区立の伊藤中学校に参りまして、カウンセラーの先生やあるいは校長さん、その他一年、二年、三年の担任の先生方に集まっていただきましていろいろとお話を伺いました。カウンセルをやる部屋につきましても、なるべく子供さんがかたくならないでリラックスしていろいろな話ができるような、そういう雰囲気をつくっているというような工夫も私は見てまいりました。  まだ、このスクールカウンセラーの制度というものはそんなに歴史があるわけではありません。スクールカウンセラーについてはかなり専門的な知識とか体験も必要であります一したがって、そういった高度の専門性を持っていると思われる退職者の先生方にもぜひカウンセラーとして積極的にひとつ委嘱をしていきたい、こう考えておりまして、今後の検討課題だと思っております。
  29. 長峯基

    ○長峯基君 ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。  次に、教職員の不祥事について伺いたいと思います。  文部省の地方課から「平成七年度 教育職員に係る懲戒処分等の状況について」というのが出ておりますが、私これを見てびっくりいたしました。  まず、懲戒処分を受けた教職員の数が六百十八名、訓告等、諭旨免職まで合わせますと二千九百六十七名、三千名程度の教職員が何らかの形で問題を起こしている。これに対してどのように認識しておられるか、まず伺いたいと思います。
  30. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 御指摘のように、近年教職員の不祥事が増加していることに関してはまことに残念、そういった認識に立って、教員は全体の奉仕者として、少なくとも児童生徒の師表であるという立場にあっていやしくも国民の信頼を損ねるような行為があってはならない。こういうことは当然のことでありまして、厳格な服務規律を確保する、こういう姿勢で臨んでまいりたいと思っております。
  31. 長峯基

    ○長峯基君 少し具体的に数字を申し上げたいと思います。  特に、教職員の処分の問題でございますが、体罰それからわいせつ行為等、公費の不正執行または手当等の不正受給、こういうのが大きな項目でございますけれども、私は大変残念というか、先生生徒に対してわいせつ行為等を行うというこの数字が、平成三年が四十三件、平成四年が四十七件、平成五年が四十五件、平成六年が七十三件、平成七年が八十五件という驚くべき数字であります。これはもう想像を絶するというか許しがたいというか、今まで政治家も非常に問題がありました。これは私も含めて反省をしなきゃいかぬと思います。官僚にも問題がある。教職員にまでですね。国民は、あるいは子供たちは何を信じていいのか、だれを信じていいのかというような大変問題のある数字だと私は思うのであります。  昔はこういうのがあったんだろうかなと思うのでありますけれども、教師が生徒に対してわいせつ行為をするという、こういう事件が増加しているという現状を大臣としてどのように認識しておられるか。そして、この対策、対策といってもそう簡単に、難しい問題だと思いますが、職員の採用が果たして今のようなシステムでいいのか、あるいは一遍採用されるとあと研修期間はこれでいいのか、いろいろ問題もあろうと思いますけれども大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  32. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今、教育改革が叫ばれている中で、私は特に指導に当たる教職員の役割というのは非常に大きいと思っております。知育を詰め込む、教科の指導ばかりではなくて、私は一人の教師である前にやっぱり人間として恥ずかしくない行動をするということが求められると思います。  したがいまして、私は服務規律というものを徹底して守られるようにこれからも各教育委員会を指導していきたい、このように考えております。
  33. 長峯基

    ○長峯基君 それじゃ、少し夢のある話をしたい。と思います。  中高一貫教育について伺いたいと思います。  実は、中央教育審議会というのがあって、いろいろ議論がされているようでございますけれども、この中高一貫教育というのは、初めて教育審議会からそういう提言というか話が出たのは昭和四十六年六月十一日の中央教育審議会における提言であります。それから、昭和六十年の六月に中高一貫教育に関する臨時教育審議会の答申が出ました。六十二年に第四次の答申が出ました。それから昭和六十三年に中等教育改革の推進に関する調査研究協力者会議というので「審議のとりまとめ」、この中にも出ております。また、平成三年、中央教育審議会で「新しい時代対応する教育の諸制度の改革について」、この中でも中高一貫教育の話が出ております。最近では平成八年の七月、「二十一世紀を展望した我が国の教育の在り方について」という中でもこの記述があるのであります。  つまり、中高一貫教育について話が出てから二十五年たつわけでありまして、審議会というのは審議だけしておればいいかという疑問があるんですね。ですから、今日の教育のいろいろな問題が何も中学、高校が分離しているからと言おうとは思いませんけれども、こういった専門家の集団で二十五年間もいろいろ審議をされた。そのたびに多大の予算を使い、多くの人に御苦労をいただいた。それがなお今になっても実行されていないという現実について、この中高一貫教育について大臣はどのようにお考えになるか、まず伺いたいと思います。
  34. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 教育の問題は、対象の生徒児童あるいは学生の数が全部幼稚園から大学院まで含めますと二千万人に及ぶ。こういう巨大な教育の仕事でありますので、いわば船でいいますと、大きな船が直ちに方向転換をするということはできない、そういう宿命を持っていると思います。やはり私は、教育に関しては不易と流行、変えてはならないことと、そして時代の変化に合わせて変えていくべきものと両面を持っていると思います。  教育制度につきましても、これは大勢の対象者を抱えているだけにそう簡単に方向転換をするということは難しいというふうに思いますし、中高一貫教育のメリット、デメリットもあるわけでございます。  メリットとしては、高校入試の影響を受けずにゆとりのある安定した学校生活が送れるということや、今、中学と高校で重複があるというようなことも言われておりますが、そういった教育課程上の重複とか切れ目がなくなって効率的、一貫的な教育ができる、そういうメリットが考えられます。  一方においてデメリットとして、中高一貫ということになりますと、受験競争の低年齢化を招くというおそれがありますし、また生徒の発達段階の格差が拡大するわけですから、生徒の序列化が進んだり人間関係の固定化が生じるおそれもある。あるいは六年間同一の学校生徒の多様な能力と適性に対応した教育内容を用意するとすると、施設整備とか教職員の配置という面で困難が生じるという、並べ立てるとたくさんのメリット、デメリットがあるわけでございます。  この辺は現在の中央教育審議会におきましても、今、先生が言われた第一次の答申は去る七月に出されましたけれども、今始まっております第二期の後半の検討課題一つとして検討が行われることになっております。私自身も今月、可能ならば宮崎県で五ケ瀬中学・高校の現場を視察して、ぜひ参考にさせていただきたいと思っております。  文部省としては、中教審の審議を踏まえて適切に対応してまいりたい、こう考えております。
  35. 長峯基

    ○長峯基君 実はその五ケ瀬中高というのは宮崎県にあるわけでございまして、おいでいただきたいと申し上げようと思っていましたが、答弁が先に出ましたので、もうこれ以上お話は申し上げません。実際に見ていただくということは大変ありがたいと思います。  実は、私は県会議時代に、五ケ瀬町というのは宮崎からは約三時間半かかる、一番県北でございます。九州山脈のすそ野です。しかし、熊本空港から行くと一時間二十分で行くという、人口五千二百程度の過疎地でございます。ここに知事、教育長が中高一貫教育の理想的な学校をつくる、日本で初めて公立の中高一貫、文部省のいろいろな御協力をいただいたと聞いておりますけれども、県議会で大激論があったところでございます。  このように、若い人たちが都会へ志向しておるときに過疎地にそういったものをつくるということについて、これは入学試験もユニークでございますけれども、四季折々のいろいろな自然環境の中で全寮制度で学ぶという、しかも土曜日曜は地域にホームステイするわけですね。ですから、自分の育ての親というのは、四十四市町村から来ておりますから、宮崎市とか都城市とかいるわけでありますけれども、中学・高校時代の第二の父親、母親というのがまた地元にもいる。しかも、この地域は、大臣は都会のお育ちでございますから田舎のことについては知識が乏しいかもしれませんが、一度お出ましになれば、きっとすばらしい感動をお持ちになるだろうと思うのでありますけれども、地域の動植物の観察あるいは化石の調査、それから刈干切唄等で有名な民謡の宝庫でもございます。しかも、重要無形民俗文化財というのがございまして、荒踊りとか夜神楽とか、これは夜中に舞うのでありますが、寒い冬に夜中に舞をするという、こういう文化財もございます。こういうことに子供たちが積極的に参画できる地域でございます。しかも、宮崎県でありながらスキーができるという大変ユニークなところでございまして、ここの生徒たちは全員スキーをやるようなカリキュラムになっております。  もちろんここは特殊であるというふうに言えばそれだけでございますが、日本で初めての公立の中高一貫教育ということで、大げさに言うと毎日のように全国から視察が来ているというのが現況でございますから、ぜひ一度大臣、御訪問をいただいて、またモデルケースになれば大変うれしいと、このように思っております。  何か所感があればちょっとお聞きしたいと思います。
  36. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 公立て初めてのケースであるだけに私どもも注目しております。私立の方では既に中高一貫教育を実施しておりますので、そういったところもあわせ視察をしたいと、こう考えておりますので、視察の節にはぜひひとついろいろと先生のまたアドバイスをいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  37. 長峯基

    ○長峯基君 どうせこの内閣は長く続くと思いますので、じっくりひとつ取り組んでいただきたいと思います。  次に、マイスター制度について、実はこの九月に機会がございましてドイツを十日間ほど訪問いたしました。このマイスター制度というのは長い歴史に裏打ちされまして、教育制度の中で明確にドイツでは位置づけられているわけであります。  初等教育を終えますと、高等教育へ進む道と職業教育へ進む道と分かれておりまして、ドイツ独特のシステムにより職業学校による教育と実践による職業訓練を行い、マイスター試験に挑戦する、こういうシステムでございます。このマイスターの資格を得ますと、みずから親方となり事業を営む権利を有するわけであります。つまり、日本においては職人というものが余り高く評価されていない。ドイツにおいてはこのマイスター制度の中で、マイスターという免許を持っておりますと社会的評価は非常に高くて、待遇、これも非常に優遇されております。  もちろん、ドイツと日本の風土が異なることもありますのでそのまま受け入れるということは無理かもしれませんけれども、私は大いに参考になるのではないかなというふうに考えておりますが、まず、どのように評価しておられるか、労働省にお聞きしたいと思います。
  38. 佐々木恭造

    説明員佐々木恭造君) お答え申し上げます。  ただいま先生指摘なさいましたように、ドイツにおきますマイスター制度と申しますのは、これは長い歴史と伝統に基づいてなされておりまして、職業学校におきます教育が座学の教育と就業現場におきます実践の教育ということで、いわゆるデュアルシステムと申しますか、これによりまして教育訓練を行っております。そして、この教育訓練学校を修了した後で各職種ごとのマイスター試験を受ける、そしてマイスター試験に合格をいたしますとその職業によります営業資格が与えられるということで、その職種の分野としては最高の地位ということで、社会的な地位も確立し、また御指摘のように処遇面でもかなり優遇されているということでございまして、私ども勉強した中では、このドイツのマイスター制度は、技能労働者の処遇の改善なり地位の向上という観点からいたしますと非常に有効に機能しておる制度ではないかというふうに認識をいたしております。
  39. 長峯基

    ○長峯基君 我が国では、職業能力開発促進法に基づきまして技能検定制度というのがあるわけですね。それで、百三十三職種あるようでございますが、このドイツのマイスターに比べて日本の技能士というのは社会的評価が低いのではないかと思うのでありますけれども、労働省の御見解をお伺いしておきます。
  40. 佐々木恭造

    説明員佐々木恭造君) 我が国におきます技能士の評価制度と申しますか、これは職業能力開発促進法におきまして技能検定制度というものがございます。これは、技能労働者の方の技能のレベルを一定の水準でもって評価をするということで、昭和三十四年度以来始めておりまして、この技能士、特級から三級までございますけれども、以来、合格者も二百万強になっている制度でございまして、かなり歴史がございますので、それぞれの企業におきましてはその労働者の方の技能水準をはかるという意味ではかなり定着した制度ではないかと思います。  ただ、この制度は技能士に合格したいと働けないとかあるいは技能士を雇わないと企業がいろんな活動ができないとか、そういう就業制限のようなものを課した制度ではございませんので、その点がどうしてもなかなか技能士イコールすぐ処遇の改善止かに結びつくという点でちょっと難点があるように私どもは思っておりますのですが、私どもは、できるだけこの技能士に合格した方につきましてはそれなりの職務手当等に反映させるとか、そういうことで技能士の処遇改善を行っていただきたいということは企業の皆様方にはお願いしておりますし、各種事業、イベント等を通じましてそういう技能士の方の技能尊重という機運を盛り上げるよう、いろいろ事業を行っております。  さらにまた、今後ドイツのマイスター制度等も参考にしながら、技能労働者の方の処遇の改善にどんな有効な手だてがあるかということを勉強会を開いて鋭意検討しておる最中でございます。
  41. 長峯基

    ○長峯基君 それで、日本の技能士はマイスターに比べて地位が低いというか、そういう法体系になっていない。これは今後、今御答弁がありましたので勉強していただきたいと思うのでありますけれども、能力開発の行政というのは学校教育と重要な関係にあると思うんですね。労働省のそういった職人教育というか職人育成というものだけではなくて、教育問題でございますから、文部省がもっと積極的に私は取り組むべき必要があると思うのでありますが、まず文部省との連携について労働省の御見解を承っておきたいと思います。
  42. 佐々木恭造

    説明員佐々木恭造君) 先生まさしく御指摘のとおり、最近若者が技能離れと申しますか、ひところ三Kなどという言葉がはやったときがございましたが、こういうことで最近の若い方が特に物づくりから離れる傾向がある。これはやはり社会に出る前の学校教育の場におきましてもそういう物づくりを体験する、あるいはそういう技能労働を尊重するようなものに触れる機会がやや少ないのかなということで、特に私ども労働省だけではなくて、学校教育におきましてそういう物づくりを尊重する機運を盛り上げるようなものが必要であろうというふうに考えております。  それで、私ども文部省の方とも定期的に会合を持ちまして意見交換、情報交換を行っているところでございますけれども、特にますます今後この技能労働者の問題で能力開発行政と学校教育との連携ということを図りたいと思っておりますので、より一層連携を深めてやってまいりたいというふうに考えております。
  43. 長峯基

    ○長峯基君 最後になりますけれども文部大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、今、労働省との議論をお聞きいただいてどのような御感想をお持ちか。  つまり、日本の職人というのは、偏見を恐れずに申し上げると、大体学校の成績、それで評価することも私は問題があると思うんですが、成績が余りよくない人が職人になって、いい人は大学に進んでいくというような傾向があるわけです。ですから、ますます少子社会になると猫もしゃくしもというか、みんな大学に出したいので、いわゆる職人というものに対する職業観というか、尊敬の念がない。ですから、職人離れというか、職人になる希望者が非常に少なくなる。  ところが、ドイツのこのマイスター制度では、進んで職人になろうとする。それは、それだけの社会的評価があり、収入も高い。ほかに、今労働省からお話がございましたように、制度的なバックアップもあるということもあるわけでありますけれども、これから二十一世紀へ向けて、やはりこの制度を十分私どもは勉強をして、日本にも今の技能士にとどまらず、もっとレベルの高い段階での職人というものをつくれるようなシステムを考えていく必要があると私は思うんです。  そういう意味で、労働省と積極的にそこら辺を話し合いをして、文部省もその責任の一端を担う、こういう御決意があるかどうか大臣にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  44. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 先週、私は高等専門学校生徒によるロボットコンテストというのを見に行きました。これは、テレビでも放映されまして大変人気になっていますが、私は、そういった若い学生の姿を見て、豊富なアイデアに満ちあふれた。しかも非常にすぐれた技術を見まして、大変心強く思ったんです。  最近、若者の技術系離れ、理工系離れ、こういう風潮があるのはまことに残念でありまして、かつては日本も職業教育はもっともっと社会的な評価も高かったしウエートも高かったと思うんですが、どうもみんな一般教育の方に進みまして、一面教育の範囲が広くなった。普及したという面はありますけれども、職業教育の重要性というものは軽視してはならないと思います。そういう面では、ドイツのマイスター制度というのは大いに学ぶべきものがあると考えております。  私は、単に知識だけではなくて実学として、職業生活に必要な技術とか技能を身につけるということは非常に大切だということで、特に学校教育の場で職業教育というものの重要性を再認識してその充実を図ってまいりたいと考えております。
  45. 長峯基

    ○長峯基君 どうもありがとうございました。
  46. 守住有信

    守住有信君 自民党の守住でございます。  きょうは個別審査ということで郵政省について、どちらかというと実務的な角度からいろいろ御質問したり御意見を申し上げたいと思います。  その前に、郵政大臣、冒頭からなかなか度胸のある御発言でございました。就任のごあいさつも、みずから貯金のカードを見せてね。今も宮崎県の長峯さん、私も同じ九州の過疎地域でございますので、そういうことを踏まえた郵政大臣としての冒頭の御発言がございまして、非常に感銘深く、過疎地域代表として受けとめた次第でございます。きょうはいろいろ実務の問題でございますから、ずっとお聞き取りいただきまして、最後にでも御印象なりお答えいただければありがたいと思っております。  さて、きょうはここは決算委員会でございますので、会計検査院の郵政に関する検査の概要の主管局長の説明の中に、第一ページの方で、例の不正行為が出ております。そして、これを読みますと四十三件。なお、このうち「二十九件については、七年十月末までに損害額のすべてが補てん済みとなっております。」と、こういう検査院の記述でございます。  そこで、まず第一印象は、四十三件から二十九件を引くと十四件残っておりますな。これについては、ここは各年度絶えず不正行為、大分減ったとはいえ絶えずやっぱり職員の不正行為があるわけで、これは国損でございますからね、その後、十四件残ったものに対する具体的な措置がどうなされているか。裁判に訴えてやっておるはずでございますけれども、どのようなルールで、どのようなやり方で、どのような状況になっておるか。あるいはまた、六年度だけではなくて最近の傾向といいますか、民事事件で裁判でやってもなお、差し押えてもなお損害確保ができないという面もあろうかと思いますが、その辺のところをひとつ御説明いただきたいと思います。
  47. 結城淳一

    説明員(結城淳一君) 部内職員の不正行為により公金の不法領得が発生していることにつきましては、大変遺憾に存じております。  先生指摘のとおり、二十九件につきましては補てん済みで一億八千九百三万円を回収しているところでございます。損害補てんされていない残りの十四件につきましては、平成八年十月末現在でございますが、金額で五億七千三百七十八万円のうち一億二百十万円を回収済みでございます。一八%の回収率ということになっております。  この残額につきましては、不正行為者が借金の返済に窮して犯罪を起こして返済の資力が乏しいケースでございますとか、懲戒免職になっておりまして退職金が支払われていないケースでございますとか、服役しているケース、家庭が崩壊しまして親族等からの代納も困難なケース、こういった多々理由がございます。全額の回収に至っていないものでございまして、さらに回収に努めてまいる所存でございます。  しかし、この十四件の債権管理につきましては、地方郵政監察局におきまして裁判所に対して。支払い命令の申し立てなどを行いまして、債務名義を取得して法的に取り立てができるように措置をしておるとごろでございます。現実に債権の納入が滞納するなどの場合は文書で督促を行う、また監察官が回収に動いて取り立てる、新たな資産のあることが判明すればさらに法的措置を経て差し押さえるなどの措置を講じておるところでございます。  今後とも、債権の管理に当たりましては鋭意回収に努め、厳正に対処してまいりたいと考えております。
  48. 守住有信

    守住有信君 よくわかりました。  そこで、長い間郵政省は全職員に対して、管理職ももちろん含めて、防犯についての特別研修等をずっとやっておりますけれども、この中で、やっぱりこういう実例ですな、具体例を挙げてやっていく。ちょっとした出来心で犯罪を起こせばどういう悲惨な状況になっておるかということを、研修の中のテーマとして具体的な実例でこれをやっていただきたいということが第一点。  それからもう一つは、これは一郵政に限りません、政府職員の問題もいろいろどでかいやつも起こっております。検査院として各省庁についてこういう職員の不正行為についていろいろ指摘が出ておりますが、その後のフォロー。例えば三年ぐらいたってみたら、検査院の方も、その後これに対して各省庁はどう措置しておるのか、事後のチェック、事後の情報公開、これを国民の前に明らかにしていただくこと。  それからもう一つありますのは、えらい民営化、民営化とは言っておるけれども、民間の銀行その他はみんな公表していないんですよ。どでかいマスコミに載ったような事件はそれは出しますけれども、そのときだけは。事後は全く出ていない。そういうのはお互い公平に見ておらにゃいかぬわけですからね、民業の方が官業は民営化だとか何かぬかしておる動きがどんどん出ておりますので。  そういう思いを腹の中に込めながら、まずは検査院、公務員全体に対して、これの事後の措置について、何年かたってみてどういうふうになっておるかということを検査院もやっぱりチェックしていただく、そして公表していただく。と同時に、政府側、各省庁としては、公務員はこうやっておるのに一体民間の方の金融機関等はどうであるかということも含めて、これは私がわあわあマスコミその他にもやっていきますが、その点を検査院としてどうお取り組みか、あるいはまた取り組みをやっていこうと思っておられますか。  やっぱり二段ロケットで物事は進めにゃいかぬ。一段ロケットはこういう指摘だけれども二段ロケット目はその後の対処に、検査院として各省庁全体に対してどう処置していかれるのか、していかれておられるのか、そこをお聞きしたいと思います。
  49. 小川光吉

    説明員(小川光吉君) 会計検査院といたしましても、先生指摘のようなフォローするということについては、例えば処置を要求しましたもの、改善の意見を表示しましたもの、そういうものにつきましては従来から毎年のように事後時フォローして国会に報告しているところでございます。今後もそういう姿勢で取り組んでまいりたい、そういうふうに思っているところです。
  50. 守住有信

    守住有信君 国会報告事項が山のようにありましてね、それは全部マスコミに載るわけじゃないんだ。これ、シンボル的なやつを検査院としても検査院の広報、こういう角度で情報公開といいますか、そういうのでやっぱり世の中に広く刺激を与えていただく。その次は、広報をおやりになったときに、新聞記者諸君に、じゃ民間の方はどうですかと、こういう反論も多少はやっていただきたいし、各省庁も同じようなやり方でやっぱり官と民お互いが切瑳琢磨していく。競争原理で切磋琢磨していく中で、役人の方だけが公表されて、民の方はその都度警察の発表だけで全体的な発表はないんだ、大きな個別事件は出ますけれども。  ここらについてもやっぱり、検査院だけ要請するのも何だけれども、まず検査院からだな。そういう国会への報告、膨大な資料の中の一こまですからね、それをやっぱり抜き出して検査院としても検査院の記者クラブで公表なさる。そのときに、じゃ民間の類似の方はどうでしょうか記者の皆さん、という一言ぐらいは加えていただきたい。この点についてはいかがでございますか。
  51. 小川光吉

    説明員(小川光吉君) 会計検査院としては、補助金その他検査の権限の範囲の中でしかなかなかできないわけでございまして、御要望の点は承りましたけれども、必ずしも先生のおっしゃるとおり一〇〇%というわけにはまいらないと思いますが、もちろん公表されました新聞、マスコミその他の情報等の収集に努めまして、相互比較なり、先生のお話のようなことについては重大な関心、十分関心を持って対処してまいりたいと、そういうふうに思います。
  52. 守住有信

    守住有信君 これは院長マターかもしれぬな。言諭の自由、報道の自由、権限があるかないかだけじゃないんだ。一言コメントをということなんですね。念のために院長にも御報告のほどを。決算委員会、毎回ずっとあって、どうせ締めくくり総括をやるわけだからね、そこでもどういう姿勢で臨むかと。検査院としてのいろんな自分の権限があるなしにかかわらず、その関連した延長線の外側の事項だと思っております。権限があるかないかではない。一言だけその点を申し上げておきます。  さて中身に、もう一つのテーマに入りまして、もう大分前から私は台湾問題、台湾におけるいわゆる確定債務、一つは元軍人、百年前から日清戦争以降日本の領土でございまして、日本人であったわけでございます。台湾には郵便局もあれば、銀行も生命保険もいろいろ五十一年前まではあったわけでございます。そして、台湾の人たちが郵便貯金も簡易保険も郵便年金もやっておったわけでございますが、三年ぐらい前、あれはまだ日本新党があったころでございますが、超党派で新生党、自民党、社会党、社会党は長崎の田口さんだったな、さきがけは落選したけれども井出さんだった。御一緒に台湾に行きまして、立法院の人たちと大激論しながら、七千倍で返せとか慰安婦の問題とか何やかやだとか、ホテルでえらい大激論しながらね。  しかし、この確定債務の問題だけは、台湾の大衆社会がみずから個人として預金をなさっておるわけですから、これは返さにゃいかぬ。それで百二十倍。それも、いわば台湾の物価指数、戦前と今の状態の物価指数。日本でやりますと日本のインフレ率とかいろいろ難しいことになってくる、悪性インフレの戦後日本はそうでございましたので。台湾の物価、戦前の物価と今の物価と対比して、外政審議室を中心に我々も入って百二十倍と決めて、そしてこれは外交交渉ではない、日本の姿勢としてそれを実行していくんだということを決めまして、去年の十月の、あれは一日が日曜日だったから、二日から郵便局側は開始したわけでございます。  今もう一年たちました。それの状況がどうなっておるか、ひとつ貯金、保険両面から御報告をいただきたいと思います。
  53. 品川萬里

    説明員(品川萬里君) お答え申し上げます。  台湾における戦前の確定債務の支払い状況でございますが、平成七年十月二日の受け付け開始以来、平成八年十月末現在で、軍事郵便貯金及び外地郵便貯金の現地での支払い請求の受け付け件数は一万六千二百十七件でございます。金額につきましては、十七億四千六百五十三万九千三百九円と相なっております。  以上でございます。
  54. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) 簡易保険、郵便年金の数字について申し上げたいと思います。  現地での支払い請求の受け付け件数は約一万八千八百件でございます。支払い金額は約一億六千九百万円というふうになっております。
  55. 守住有信

    守住有信君 この点は、私九州でございますけれども、熊本に貯金の方の原簿がある、貯金センターの地下の倉庫に。五十年以上たっても完全に保管されておった。保険の方は福岡の簡保センターの地下に保管されておった。原簿がなくちゃだめなんですね。これがきちっと保管されておりましたので、この原簿と照合をして、台湾の人たちには知られておりませんので新聞やテレビや、あそこはCATVも盛んでございますから、そういう手段を使って広報活動をした。  当時がちょうど立法院の選挙でございまして、何か選挙の手段に使われたような傾向もありましたけれども、選挙が終わってからどうもどんどん申告がふえてくるような傾向にある、こう理解しておりますが、そんな大ざっぱな理解でよろしゅうございますか、開始してから以降の傾向は。
  56. 品川萬里

    説明員(品川萬里君) 月別の状況はつまびらかにしておりませんけれども、大変積極的にこの支払いが進んでおるというふうに承知しております。
  57. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) 受け付け件数で申しますと、四月、五月が非常に多くて、四月が三千百十三件、五月が三千二百四十四件というふうになっておりまして、これがピークでございまして、前後それぞれ数字が出ております。
  58. 守住有信

    守住有信君 そこで、我々は、国営事業たる郵便局の方からまずやり出す。残っておるのがどこだ。民間でございます。イコールフッティングというけれどもね。  そこで、ずっとその後を見ておりましたら、大蔵省銀行局銀行課長、保険一課長、二課は損保の方でございますが、そうしたところが、やっとことしの六月になりましてあのアエラに、生保が十五社か、生保協会といいましても戦後できた生保全社もあります、外資が入っておるのもあります、これは関係ないので。戦前からずっと続いておった明治生命以下が明治時代からですからね。これは台湾にも支店を置き、ずっとやっておられた。それがやっと何かそういう動きが出たというふうにアエラに報道がなされておった。銀行については何にも出ておりません。  だから、そこの方面について、我々はあのとき超党派で議論をする中で、まずは郵便局からやっていく、そしてそれが民間に及んでいく、こういう一種の考え方、戦略で臨んだわけでございます。この民間の方の世界については、大蔵省銀行局の方で、銀行、生保、それぞれどのようにとらえておられて、どのようにアプローチしておられるのか、そこのところを大蔵省にお尋ねしたいと思います。
  59. 吉村宗一

    説明員(吉村宗一君) お答え申し上げます。  今、先生指摘いただきました民間の銀行預金及び生命保険につきましては、銀行及び生命保険会社各社が預金者、契約者等から支払い請求がありましたら、正当権利者であることを確認の上支払いを行うという考え方に即しまして、現に支払い請求があり確認できるものにつきましては支払いを行っていると聞いております。  さらに申し上げますと、生命保険につきましては、平成七年十月より簡易保険の上乗せ支払いが開始されたという新しい事態を踏まえまして、上乗せ支払いを行うという方向で各社において鋭意検討を行っているところであると聞いております。
  60. 守住有信

    守住有信君 銀行の場合はそうだと。ただ、余り周知していないんだよ、台湾の中において。台湾のマスコミを使って、やっておるならやっておるように台湾の大衆に知らせにゃいかぬわけだ。会社の預金で、会社がつぶれたところはあるでしょうけれども、個人はずっとおられる。正当権利者である子供もおる。銀行はそういうふうにやっておられるからもっと周知をしなきゃいかぬ、台湾の人たちに。これを知らせなさ過ぎる。これが第一点。  その次が生保です。生保の方、これがアエラに載っておったわけです。我々は、戦前の台湾の物価指数と戦後の台湾の物価指数、日本のじゃありません、それと対比して百二十倍で支払いを開始したわけで、同じように生保もと。ところが、動きがあるようだというだけでございまして、アエラの記者まで呼んだんだ、朝日の記者だったけれども。それがさっぱりだった。新聞記者も朝日も。こういう経過。じゃ行政はどうしておられるのかと。それをやっぱり台湾で周知しなきゃだめですよ。日本の国内じゃだめですよ。台湾で、台湾のマスコミを使って台湾の人たちに知らせる。  それから、生保もまだ検討中のようでございまして、この間も、生保協会の会長になった。あれは明治生命の社長だが、大臣お聞きください、わしも台湾に短現で行っておりましたとか言っておったですよ。おれは二等兵だったけれども、まあそれは別として。その生保協会の会長たる明治生命が模範を示さにゃいかぬわけです。第一生命その他いっぱいあります、日本生命。  そうして、自分のところはこっちはこうしておいて、やるのをせぬでおいて、今度は生命保険の民営化だとかなんとか、近ごろほら損保どこうなってきたものだから、この間もNHKが報道で、これは保険局長には電話しておいたんだけれども、今までの生保のセールスのやり方と損保が子会社をつくってやるやり方と、これはNHKでちゃんと番組で、教育テレビじゃありませんよ、一チャンネルの方で報道がありました。そういう動きの方にどうも目を奪われて、台湾の方はほったらかしじゃないのかという感じがします。  というのは、その後、明治生命の社長が生保協会の会長になりましたから電話した。それで、ちょっと二十分ばかり言い合いしたんだ、社長とね。それで、後で明治生命と生保協会が私の部屋に飛んで来ましたよ、申しわけありません、こうこうと。そんなおれ個人に対してじゃなくて、大蔵省としても行政指導ですよ、これは正しい行政指導ですよ。妙な住専問題とか、ああいう問題のあれじゃないんだからね。これトップに報告してくれよ。でないと、また三塚大蔵大臣まで言わにゃいかぬようになっちゃうんだよ。わかりますか。  片や郵便局はもう一年以上たってどんどん続けておる。あれは五年間有効ですね、五年間続けていく。ところが、民間側は一体どうなんだ。おれ個人だけじゃだめなんだから、銀行課長、保険一課長にも電話したんですよ。住専問題があるからそれまでは遠慮しておった。大きな峠を越したなと思ったから、銀行局もそれまでは大変だったろうと思いながらことしの七月からお電話をしたと、こういうのが事実でございますので、その後のフォローを。今まで、これずっと三年間もやってきておるからね。  そして、我々参議院は、村上幹事長以下ついこの間も台湾にも訪問しておるんですよ。それで、あの後はどうなっておるかといって、台湾の現地で私も新聞記者になったような気持ちで取材をして回ったりしておるわけです。これ、会議録に載っておるわけだから、よく上司へこれを見せてやってください。お願いしておきます。  以上で本件は終わりまして、あとはここへちょっと書いておりますけれども、通告表の中に。  この前も、あれは久保大蔵大臣の大蔵省の決算のときに、いわゆる大きな流れ、縦割り行政をいかにして横割りで連携していくかという一つの実例として、国有財産の利活用、それから公有財産の利活用。  それは何だと言いますと、もう一回繰り返しますが、かつて私は、もう七年ぐらい前になりますかな、熊本に郵政局があって、横に郵政会館がある、行政財産だ。こういうのはみんな土曜、日曜休みなんですよ。駐車場がある。銀行その他もありますよ。土、日は休みです。周辺の商店街は、近郊に規制緩和で大店舗ができて、お客はみんな大駐車場へ行って、みんな衰えて旧商店街は疲弊しておる、シャッターがおりたりして、メインの商店街が。  それはなぜだ。駐率場がない。土地は高い。ところが、周りを見ますと、国の出先の機関あるいは自治体の機関、あるいは民間もビルがあって駐車場があるんですよ。  そこで、まず第一号は郵政会館。お役所の財務局長だったと思っておるが、あれから許可をとって熊本市に貸しました。市が転貸だ、商栄会に貸すと。こういう形で土、日、祭日の駐車場利用。ここが国有財産利用第一号と言われたんですよ。皆さん方の各議員の地元にもいろいろある、このやり方。  その次が、その周辺を眺めますと、国の出先機関や県庁なり市役所なりいろいろあるんですよね。それで、ふだんはお客と職員とで駐車場はいっぱいですよ。土、日は休みでございます。がらんとしておるんですよ。  これをどういうやり方をするかといえば、やっぱりそこの地元の市が一番動く。市長が動き、助役が動いて、国の出先とか、県とか、銀行とか、その他と協定を結ぶ。そして、管理人は、相手側の方は休みですから、シルバーセンターから派遣をする。六十歳以上のシルバーセンターですな、市役所はみんなつくっておられます。それを管理人として派遣するんです。それで土、日、祭日にせっかくある駐車場を有効活用する、こういうやり方でございます。新しく駐車場をつくろうものなら借金して、まあ大分立体駐車場をやっておりますけれども必ずしも十分じゃない。助成に金もかかる、補助金も要る。財政難の折、せっかくあるあれを土、日、祝日に活用するというやり方、それが役割は市役所でございますが、この場合もまずあれしました。  もう一つは、これは郵政に関係する無線、例の携帯電話。まず熊本市でやったのは、市役所の屋上にドコモの受発信機を立てた。ただでございます。使用許可、国有財産と同じだ。使用許可で、自治団体にもちょうど国有財産審議会と同じように審議会があります、市有財産、県有財産の審議会がある。そこの許可をとって、これも第一号でございましたかな。  ところが、眺め回してみると、さっぱりよその都市ではそういう利活用がない。そして、しかもそれは都市難聴でございまして、大きな市役所のビルがあるために向こう側の下通りとか新市街は電波が通じぬのですよ。だから、それを自分だけでこれはやっちゃだめだなと思いまして、この前も大蔵大臣に、国有財産の利活用、今度は土地じゃありませんよ、ビルの屋上ですよ、上だ。  それで、もう一つシンボルを申し上げますと、この霞が関一帯、膨大な各省庁のビルがありましてビル陰難聴でございます。そこで郵政省は、郵政省の屋上に立てられたわけだ。ドコモ以下、あと何社かありますからね。ところが、あれは端っこでございますので、中心はどこだといったら法務省だと。そこで、法務省の官房長にも電話しまして、国有財産課長にも電話しまして、今調査で、来年から工事に入ります。  これは一つのシンボル的なものだ。まず中央政府の東京において、このビル街、官庁街、国会。国会も影響しておるのですよ。そこでそういうシステムをつくる。そのためにはやはり無線屋の郵政省だけではだめたんだ、組まなきゃだめなんだ。大蔵省の国有財産一課。そうするとどこがいいかというのを調査して、どこかの省庁と。これが大事です、都会地においては。  その次が、ちょっと話が長くなるけれども、一番大事なのは地方ですよ、中間地域と過疎地域だ。聞こえぬというのですよ。今はもうこの時代だから、それは衛星からやるやり方はありますけれども、N−STAR、NTTの衛星通信用の携帯電話、これが受発信機が百万円するんだ、肩からかけるようた簡易型がね。船舶はみんな載せておるんだ。売れたやつを聞いたら五百売れておった。陸上はさっぱりなんですよ。これは防災的なやり方しかない、百万円もするからね。一軒、一人一人じゃ無理なんだから、やはり地上系でずっと、途中に公共施設もある、いろいろ公民館もあれば農協会館もある、その屋上にちょいと立てればいい。  こういう仕組みをつくるためには、やはり各省庁の連携が必要だ。国有財産は大蔵省、公有財産は自治省。自治省も大変だと思う。行政局の組織を調べたら、たった二課と一室しかなかったな、あとは選挙部と公務員部だけれども。だけど、やっぱり県知事会議とか、何か具体的、実践的なデータをよこして、郵政省も自治省と絶えず連携して具体的なあれを県知事以下あるいは市町村長以下に、県を通じてでいいんだ、地方事務所を通じてでいいんだから、そういう仕組みをつくっていかないと、ますますこの縦割り行政というもの、無線の利用は、幅広くにせよ地域社会にせよ、みんな国民のため県民のため町村民のためなんだよ、今はビジネスのためだけじゃないんだよ、これは。時間がないからそのくらいにしておきますけれども。  こういうことに対して、それぞれ郵政省、大蔵省、自治省はどう取り組んでおられるのか、また本当に取り組んでいかれるのか。これは押して進める世界なんだな、押して認識させる世界なんだな。それで実際に動くのは事業者ですよ。事業者を指導して、事業者がどこかへ行って、県庁とか市役所とか役場とかへ行くと。こういう仕組み、システムをつくらぬと、都会地だけで、我々のような田舎は携帯電話の利用普及というのはどんどんできない。この利用普及が広がれば広がるほど新しい高度産業の、一つの産業改革の、新規産業の景気振興、いろいろな設備投資、これになっていくわけですよ。アジアとか何か言う前に、まずはみずからの足元の利活用を広げていく、そしてこのノウハウ技術をアジアその他に向かって広げていく、こういう戦略でないとだめなんだ。  そのためには自分の足元からどうやるか。郵政省も、自治省とか、大蔵省とか、それで具体的に地方電波監理局、これは地方ですよ。本省が枠組みを決めて、地方の電波監理局がそれぞれの地方の出先、国の出先機関あるいは県庁、大きな市、その他県を通じての地方事務所、これを通じての町村、これに具体的な戦略を展開しなければ、また過疎の差別ということになる。格差だけじゃない、差別だな、都会地ばかりだと。都会地でも難聴の問題がある、大ビルだ。もう一つはずっとエリアを広げる。  前置きはこれくらいにしておきますけれども、それぞれ最近どういうふうに取り組んでおられるのか、あるいは各省庁の連携状況はどうなのか、これをお尋ねしたいと思います。
  61. 谷公士

    説明員(谷公士君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおりでございまして、携帯電話の事業者がアンテナ等の基地局設備を設置いたします場合に、電波伝播上の特性から高いところが大変有利なわけでございまして、建物の屋上等というのは非常に有効なわけでございます。  また、国、地方自治体、その他公共機関の建物と申しますと、大体それぞれの都市の中心部、市街地に建てられており、かつ屋上等を持っておるという場合が多いわけでございまして、こういったところを利用いたしますと、広いエリアで利用者に便益を提供することができるということで大変有効だと思います。  ただ、私ども、それから関係の事業者もこの点についての理解が従来不十分でございましたが、先生の御指導をいただきまして、先ほど先生もお挙げになりましたように熊本市の市庁舎でございますとか、あるいは法務本省ということで関係省庁の御理解もいただきまして、現在のところ、稼働しておりますものが十一カ所、計画中のものが四カ所ほどございます。今後一層こういったことを推進するために、関係省庁の御理解をいただいて取り組んでまいりたいと考えております。  それから、もちろん郵政省所管の建物、郵便局等につきましては、可能なものは携帯電話事業者の基地局設置に活用していただきたいと、これは当然でございます。
  62. 飯島健司

    説明員(飯島健司君) 国の庁舎等の行政財産でございます国有財産につきましては、その用途また目的を妨げないことを限度といたしまして使用等を許可することができると、こういう法令上の扱いになっております。  既に、御指摘ございましたけれども、庁舎敷地の一部を地方公共団体等に駐車場として使用させていただいております例、あるいは庁舎の屋上等に携帯電話等の基地局を設置しております例、こういった事例があるわけでございます。  今後とも、行政財産としての利用をあるいは制約したり、あるいは駐車場として開放することにより営利的なものにならないという、そういう法令の許します範囲内におきまして、地域住民の皆様方の利便に供したり、あるいは地域経済の活力に役立つような形で国有財産の活用を図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。  なお、この点につきましては、先般の当委員会におきます先生からの御質問の御趣旨等を踏まえまして、財務局長会議等の場におきまして、御指摘のような観点から各省庁の庁舎等の有効活用を図るよう周知、指導しているところでございます。
  63. 松浦正敬

    説明員(松浦正敬君) 御指摘ございました県庁とかあるいは市役所等の庁舎でございますけれども、地方自治法上の行政財産ということでございまして、先ほど大蔵省の方からも御答弁がございましたように、設置目的を妨げない限度においてこの活用ができる、こういうふうな仕組みになっております。  先生の方から御指摘ございましたアンテナの設置の問題につきましても、そうした行政財産の有効活用の一つの例であろうというふうに思っておりますけれども、それぞれの設置者であります地方公共団体におきまして住民の意向あるいはサービス、そういったことを勘案しながら判断されていくべき問題であろうというふうに思っております。  このように、この問題は行政財産の設置目的を妨げないという制約がございますし、また、地方公共団体のそれぞれの実情というふうな問題もございますけれども、ただいまの先生の御意見等も十分踏まえまして、私ども自治省としまして御協力する点があればまた郵政省等ともよく相談しまして対応させていただきたいというふうに考えております。
  64. 守住有信

    守住有信君 もう時間があれなものだから、自治省の方はまた来週だ。来週やるからね、白川自治大臣に。あの人は弁護士だけれども。  横割りでいかにゃいかぬ、横割り。みんな県庁も県知事も情報化社会と言うよ、国際化とか言うよ。住民のためでしょう。住民の利便の向上のためのでしょう。ここが最大の哲学じゃないか。  終わります。
  65. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ————◇—————    午後一時二分開会
  66. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、依田智治君が委員を辞任され、その補欠として馳浩君が選任されました。
  67. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 休憩前に引き続き、平成六年度決算外二件を議題とし、文部省及び郵政省決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  68. 星野朋市

    ○星野朋市君 私は、郵政三事業について平成六年度の決算に関連をして、それぞれ特有の事項がございますので、これと関連づけて御質問をいたしたいと思います。  まず最初に郵便事業の件でございますけれども、事実の確認をいたしたいと思いますので、私が今資料を読み上げますので、それが間違っていないかどうかお答えをいただきたい。  昭和五十六年に郵便料金の値上げがあって、その後十二年間これが据え置かれたということでございます。それで、平成二年度までは黒字が続いておったのが、平成三年度に百七十三億円の赤字、平成四年度はこれが何と六百八十一億円の赤字、平成五年度は、年度そのまま推移をすれば恐らく一千百億円ぐらいの赤字だろうと想定されたのが、平成六年の一月に郵便料金の値上げが決まって平成五年度は八百三十二億円の赤字である。ここで累積の損害というのが一千億を超えたということであります。それで、平成六年度は何と利益が一千百四十七億円に達した。この事実は間違いございませんか。
  69. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) 先生おっしゃるとおりでございます。
  70. 星野朋市

    ○星野朋市君 さらに、平成七年度は千二百十八億という巨額な黒字が出ておる。この値上げによって平成六年度は約二千億の収支の改善がなされたと。黒字になったのは非常に結構なんですが、問題は、その値上げの過程でこういうことがあったと思うんです。  郵便事業損益の試算表というのがありまして、平成五年度は、さっき申し上げたとおり、そのまま値上げがなければ千百七十六億円の赤字になるであろう、平成六年度は値上げをしても五百九十九億の黒字にしかすぎない、平成七年度はそれが二百六十九億、平成八年度は三十六億の黒字であろう、こういう予測のもとに値上げがなされた。さらに、御丁寧に、平成五年の十一月二十三日の日経にこれは詳しく解説されていて、郵便料金は四年後には再引き上げをせざるを得ないだろう、九七年度の累積赤字が九百億円に拡大をするだろうという記事が出ておるんです。  それが事実上は、さっき私が述べたような形でもって収支は大幅に改善された。この一番大きな理由は一体何なのか、それをお答え願いたいと思います。
  71. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) 先生おっしゃるとおりの結果でございましたけれども、料金改定をさせていただきました平成六年当時におきまして、諸情勢を勘案して予測を立てたわけでございます。収益と収入の面から見ますと、その予想とほぼ一致したような予想でございましたが、経費という面から見ますと、人件費のベースアップがこの間予想したよりも低かったために大変経費が削減された。さらに、それ以外に各種機器の配備だとか、いろんな面で合理化努力をいたしまして大幅に経費削減をすることができた。その結果、今先生おっしゃったような事業収支の改善が急速に図られた。そういうことでございます。
  72. 星野朋市

    ○星野朋市君 今、御説明ありましたように、確かに人件費の問題というのが大きなファクターであるということは認めます。  それはどういうことかというと、人件費の増大というのを、伸びを二・八%という過去の線上で計算をしていたということなんですね。平成六年度、一般の民間企業の人件費の増はどうであったかということは当然予測されるわけですから、郵政省のお役人と、それから審議会に専門家と称するのがいっぱい出てきて議論しているところに、このところの過去の線上で経費を計算したというのが一番問題だと私は思うんです。  それで、今御説明ありましたけれども、もしこれが民間企業でもってこういう大きな差が出たときは、人件費でどのくらいの違いがあって、こういう機械化をしてこういうふうにした。こういう合理化によってどのくらい節約できた。こういう御説明があって私は当然だと思うんですね。だから、そういうことを一括してこうだと言うことは私は非常に説明が不足していると思うんですが、いかがですか。
  73. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) 料金改定を決めた時点は平成五年の十一月ごろだったと思うわけですが、そのころ、平成元年から平成五年までの郵政職員の平均のベースアップ率というのは二・九%でございました。それから、将来を予測した数字というのは当時なかなか世の中になかったんですが、民間の研究機関の長期予測によりますと、当時三・一%増ということを予測されていました。そして、私どもは過去は二・九%、将来三・一%増という、そういう数字がございましたが、非常にかた目に見込みまして、二・五%増ということを予想いたしまして経費見積もりを考えたわけでございます。  ところが、実際は、大変その間の景気の変動、世の中の変動がございまして、一・〇五%のベースアップという結果になったわけでございます。それを計算いたしますと、今先生がおっしゃられた予測と、それから人件費が低かったために得られた利益ということが大体計算されるわけなんです。  それをちょっと申し上げますと、審議会時の見込み、料金改定を行ったときの見込みに対して大体四百八十五億円の経費削減が行われておるんですけれども、ベースァヅプが予想よりも低かったという面で経費削減が行えた利益というのは大体百七十億円ぐらいございます。これは郵政職員の経費でございますが、世の中の人件費アップが低かったために、我々が郵政省からいろいろ部外へ委託している経費等が同じように下がったという意味で、人件費に連動して下がった経費が同じようにございます。それから、今申し上げましたその人件費は、ベースアップが期末手当に影響しますから、それが大体五十億円ぐらいと。その残りのところがいろんなところで合理化した数字と、そういうような格好になります。
  74. 星野朋市

    ○星野朋市君 この答申の中に、「少なくとも平成八年度までの向こう三年間は単年度の郵便事業損益において欠損が生じないよう郵便料金を設定することが必要である。」という一項目があります。それで、本来という言葉は使ってないんですが、物価変動率からすると、「第一種及び第二種郵便物の料金決定の特例における物価等変動率からは、料金改定の上限は二十五グラムまでの定形郵便物が九十円、通常葉書が五十五円となるが、現下の社会経済情勢にかんがみ、それが利用者に及ぼす影響を考慮すると、改定率はできる限り大幅にならないことが望ましい。」と言って、結果的にどうなったかというと、六十二円の郵便物が八十円、はがきが四十一円から五十円、こういうふうに決定したわけですね。それで、今言ったような二千億も大きく改善されたということです。  そうすると、一般の庶民の立場からいえば、そういうことならばこんなに値上げをしなくてもよかったんじゃないかという意見が出てくるのもまたこれ当然だと思うんですが、郵政省は今どういうふうにお考えになっていますか。
  75. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) 料金改定をさせていただいた平成五年の時期におきましては、先ほど申し上げましたように、その当時、みんな同じような世の中の将来予想ということを行っていたんではないかと思うわけです。結果として、世の中が予想していた結果とはならなかったということで、先生おっしゃいますような二千億ぐらいの累積黒字というのが現在予想される、そういう状況にあります。当時の判断としてはそういうことではなかったのかというふうに考えているところでございます。
  76. 星野朋市

    ○星野朋市君 それでは、参考までに今年度の予想利益は幾らぐらいであると今試算しておられますか。
  77. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) 予算ベースで四百九十二億円の利益を予想しております。
  78. 星野朋市

    ○星野朋市君 そうすると、さっき私がちょっと申し上げた。郵政省の試算によって平成九年度累積赤字が九百億円にも拡大して、それで再引き上げをせざるを得ないというようなその当時のあれは、相当期間、当分据え置きでそのままいけるというふうに考えてもよろしゅうございますか。
  79. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) 現時点ですと先生おっしゃいますように約二千億円ぐらいの累積黒字を予想できますので、これを使いますと当分の間料金値上げというようなことはないんではないかというふうなことが考えられますが、人件費がどの程度アップするかということはなかなか予想が難しい話でございます。郵便事業というのは人件費に相当する部分、人件費的経費と申しますものが約八〇%を占めておりますので、ほんの少しの人件費ベースアップが極めて収益に影響するという状況でございますので、今この時点で将来をどうというのはなかなか予想が難しいところでございますが、いずれにしましても、いろんな経費の削減、効率化努力を図りましてできるだけ長い期間今日の料金を維持する、そしてよりよいサービスを提供するということに努力いたしたいと考えております。
  80. 星野朋市

    ○星野朋市君 これはもう私の意見を申しあげますので御答弁は要らないんですけれども、要するに今おっしゃられたことの中に、もし民間だったならばそういうことは多分言わないだろうと思うことがあるんです。どういうことかというと、人件費が上がるからしょうがないんだという。民間の場合は人件費が仮に上がってもその他の合理化でもってできるだけ抑えるというのが鉄則です。官業もそのことをやっぱり頭に置いていただきたいと思います。これは私の意見ですからお答えは結構です。  続いて、もう一つの事業の簡易保険関係についてちょっと御質問をいたします。  立派な本が出ているんですね、これ。「みなさまの簡易保険」、今年度分ですけれども、このパンフレットというか、この本はどのくらい印刷されてどういうところに配られていますか。内容は今までのお役所としてはすばらしいぐらいディスクローズが進んでいると私は思っているんですけれども、どのくらい発行されてどういうところに置かれているのかお答えをいただきたい。
  81. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) まず、発行部数でございますが、四十七万部発行いたしております。それから、配布先でございますけれども全国の郵便局にまず常備しております。それから、記者クラブに配布いたしております。それから、地方自治体、払い込み団体、簡保加入者の会、それから全国の図書館というふうなところに配布しているということでございます。
  82. 星野朋市

    ○星野朋市君 それはそれで結構なんですけれども、この冊子は私に言わせれば余りにも立派過ぎる。もう少し簡易なものを大勢の人に配って簡易保険の内容について知らしむるべきだと私は思うんです。民間の保険会社が契約者に対して送ってくるものは、逆に言うと余りにもおざなりで、あんなもの見たってよくわからない。つい近年のものは、運用利回りがほとんどなくなっちゃったから配当ゼロであるという言いわけばかりなんです。だけれども、簡易保険の場合、こういう立派なものをつくると同時に、もう少し簡易なものでもって一般の契約者に対して知らしめるということが必要だと思いますが、いかがですか。
  83. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) この「ご契約者のみなさまへ」というパンフレットがございまして、これは一千百万部以上刷っておりまして、契約者を中心にして皆様方に配布しているということでございます。
  84. 星野朋市

    ○星野朋市君 それでは、簡易保険の問題についてちょっと御質問をいたします。  ちょうどこの年度中に簡易生命保険積立金運用法の一部を改正する法律案というのが出まして、いわゆる積立金の運用範囲に債券の先物及びオプションを加えるということと、それからもう一つ、発行された外債の限度をなくして購入できるという二つのことがあったと思います。  その先物、オプションを加えるというのは、これはどちらかといえばヘッジの部分であったと思います。それから、制限をなくして購入できるというのは、大口で買えば手数料が安くなるという説明を私は受けたことがあるんですが、その二つについていかがお考えになっておられるか、お答え願います。
  85. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) まず、先物外国為替でございますけれども、これは円高が進行した場合に発生する為替差損を軽減できるヘッジ負担ということでございまして、今お話がございましたように、五月八日より法改正の効果が発効いたしまして運用が可能となっているところでございます。  実際に運用したのかどうかということでございますが、為替相場が昨年来円安基調ということでございまして、円安に振れましたことから、先物外国為替につきましてはこれまで運用実績がないということでございまして、現在ちょうど為替が円安、円高のいずれに振れてもおかしくない状況ということでございますので、内部管理体制の準備を進めながら慎重に実施の時期をはかっているということでございまして、先物外国為替の運用状況は現時点においてはないということでございます。  それから、もう一点でございますけれども、今ちょっと数字を持っておりませんので、調べまして後ほどお答えいたしたいと思います。
  86. 星野朋市

    ○星野朋市君 そういうことでありながら、これを見ますと、外債の運用というのは、平成五年度に対して平成六年度は若干減って、さらに平成七年度は大幅に減っているんですね。これはどういうことですか。
  87. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) 外債の運用でございますけれども、そもそもこれは五十六年度から運用を開始いたしております。当時、五十六年度の為替レートは二百円程度であったわけでございますけれども、その後どんどん円高に振れまして、平成六年には九十円内外というふうになりました。  平成六年度末の為替評価損が九千四十二億円ということで非常に為替差損が発生したということでございます。しかし、六年度末以降、円安の進行によりまして、七年度末は二千二百三十九億円というふうに戻しました。現時点では為替評価損はさらに減少しておりまして、数百のオーダーになっているということでございます。  このように為替は非常に変動リスクがございまして、私どもとして為替につきましては変動リスクを勘案して慎重に運用しなければならないというふうに考えているところでございます。  そういう視点から、お示しございましたように、平成六年度末の外国債運用残高四兆一千五百四十八億ということで、前年度末より六百七十四億円減少しているということでございますが、しかし私ども、この外債は運用利回りが非常に高いということもございまして、できるだけ今後は外債を取得して運用実績を上げていきたいというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、簡保の場合は余り短期ではなくて長期的に物事を考える必要がございますので、長期的に見て確実有利という判断ができれば外債を購入していきたいというふうに思っているところでございます。
  88. 星野朋市

    ○星野朋市君 いずれにしても、簡保は平成五年度で八兆八千億、平成六年度で八兆二千七百億、平成七年度は九兆八千億というふうに膨大な膨張を続けておる。平成七年度末で資金量の合計が約九十二兆円ですか、間もたく百兆円に達するというような非常にマンモス化している状況の中で、これが民間の生保の経営を圧迫しているんじゃないかというふうな指摘もあるわけでございますので、運用その他について慎重にお願いしたいと思っております。  それから、時間がなくなりましたので、あと郵便貯金の問題でございますけれども、郵貯の方もこういうような低金利時代にもかかわらず毎年十数兆円ずつの拡大をしているわけでございます。現在の残高、それから平成六年度末の残高、それをおっしゃっていただきたいと思います。
  89. 品川萬里

    説明員(品川萬里君) お答え申し上げます。  平成六年度末残高は百九十七兆五千九百二億円でございます。現在、八年十月末残高でございますが、二百二十兆七千四百六十億円でございます。
  90. 星野朋市

    ○星野朋市君 これの一番大きな問題は、低金利の中でどういうふうにこの郵貯の膨大な増加する資金を運用していくかということが一つのポイントだろうと思いますけれども局長いかがお考えですか。
  91. 品川萬里

    説明員(品川萬里君) 私ども国営の郵便貯金といたしまして確実に利子をお払いする、あるいは元本をお払いするということが使命でございまして、これはもうあらゆる金融機関にとってさようかと存じておりますが、平成六年度の状況におきましても、収入十兆三千五百四十三億円、費用十兆一千三百七十億円で、差し引き二千百七十三億円の黒字を計上してございます。  それからまた、自由化の進展に伴いまして、より自由化の進展に対応した利払い、あるいは元本をきちんとお返しするということから、金融自由化対策特別勘定というものを設けて運用されておりますが、こちらも収入が一兆四千七百八十六億円、費用が一兆四千六百九億円、この勘定も差し引き百七十七億円の黒字を計上してございまして、確実にこの運用、もちろん一般勘定の方は資金運用部への預託でございますが、これの健全な運用と、それから金融自由化対策資金での健全な運用を通じて確実な元本支払いあるいは利子の支払いに努めてまいりたい、このように考えております。
  92. 星野朋市

    ○星野朋市君 最後に、大臣にお伺いしたいんですが、今ざっと触れましたように、簡保にしろそれから郵貯にしろ、この時代にもかかわらず毎年膨大な増加があるわけですね。だから、こういう形でもってふえ続けていくから民間を圧迫しているんだということで、これは財投の問題に絡むし、わずかな時間ではなかなか議論はできませんけれども、一方で、いわゆる郵政三事業について民営化という議論が依然としてあることも事実です。  大臣は、この民営化論に対してどういうふうにお考えになっているか、最後にお聞かせください。
  93. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 郵政事業は、独立採算のもとで税金からの補てんは一切受けておりません。そして、健全な経営を維持しておるところであります。  採算地域、不採算地域を問わず、全国すべての市町村に設置された二万四千六百の郵便局を通じまして、郵便、貯金、保険のみならず年金支払い等の公的窓口業務も含め、国民の日常生活に欠くことのできないサービスを国民にあまねく公平に提供することを使命としておるわけであります。これまでの長い歴史の中で国民の暮らしに密着し、今日では国民から高い信頼を得ているものと考えております。また、御案内のとおり、集められた郵便貯金また簡易保険資金は、民間では困難な長期低利の資金を効率的、安定的に供給いたしまして、財政投融資を通じて社会資本の整備や民生の安定、向上に貢献しておるものと考えておる次第であります。  したがって、今日、一部そうした議論があることは承知をいたしておりますが、私どもはこれからも郵政事業の公的な使命、役割は今後とも維持されるべきものと考えており、したがって郵政事業は現行の国営、非営利の経営形態が最もふさわしいものと考えておるところであります。
  94. 星野朋市

    ○星野朋市君 終わります。
  95. 山下栄一

    山下栄一君 平成会の山下でございます。  御就任早々の両大臣ではございますけれども平成六年度の会計検査院の決算検査報告の中から、また昨年度の本決算委員会における私の質疑のフォローの観点から、最初に両大臣に御質問したいと思います。  まず、文部大臣の方にお伺いをいたしますけれども、ことし一月に国会の方に提出されました平成六年度の決算検査報告の文部省にかかわるものの中に、「職員の不正行為による損害が生じたもの」というのがございます。これは静岡大学、香川医科大学における職員の方の不正行為であるわけでございます。  特に、その中で静岡大学にかかわるものが六千百万円余り、不正行為の行われた期間は十一年間にわたっておるということでございます。だから、こういう不正行為が常態化していた。金額は六千百万円だと。これは検査院が調べて見つけたというよりも、公金詐取ということで職員の方が逮捕されて、そこから検査院が入ってずっと調べていったら延々と十一年間にわたってというふうな話でございます。  これは静岡大学教育学部附属の学校が幼稚園、小学校、中学校、養護学校、七つほどある。その教育学部の附属学校事務長がそういう不正行為を働いていた。要するに、物品購入の架空伝票を切って、それでお金をプールしまして、たまったお金を大学本体の方の事務局長に上納して、そのお金で接待したり贈り物を贈ったりというふうなことが行われておった。それだけじゃなくて、それ以後の、裁判中でございますけれども、公判の中における被告の発言の中から、その事務局長や庶務部長ですかの方に一千万円になんなんとする現金を供与していたというようなことを被告の方がおっしゃっている。  これは判決おりていませんので途中経過でございますけれども、そういう公判の途中の中でいろいろと、単に個人の、附属の学校事務長個人の問題ももちろんあるわけですけれども、それが常態化していて、附属の学校の予算が少ないものだからいろいろ便宜を図ってもらってたくさん予算をいただくということとか、学校事務の方というのはよくわかりませんけれども、附属の学校事務方々というのは事務長以下地元採用だと。その人事の面でも事務長が采配を振れるような、そういうふうなことをしていただくために上の方にいろいろと上納金、物品その他を贈っていたというふうなことが公判の中で明らかになっているわけでございます。  こういうことは、今いろいろと役所の不祥事が、行政改革ということが叫ばれる中で起こっておるわけでございますが、今まだ裁判が続いている途中でありますが、平成六年度決算検査報告の中から始まった事件の中で、大臣も御存じだと思いますけれども、この事件についてどういう認識を持っておられるかということをお聞きしたいと思います。
  96. 佐藤禎一

    説明員(佐藤禎一君) 事実関係につきまして、最初に私からお答えを申し上げたいと存じます。  ただいま委員から御指摘ございましたように、静岡大学の教育学部附属学校を中心に、平成六年の六月から九月にかけまして物品の架空購入などによりまして公金が騙取をされたという事実が判明をいたしました。大変遺憾なことでございます。  当事者につきましては、今お話がございましたように、現在公判中でございますが、文部省といたしましては、厳しい姿勢を示すために、既に平成六年の十二月二十二日付で当事者三名を懲戒免職にいたしますとともに、監督責任者などを含めまして五十六名の懲戒処分を行っているところでございます。  なお、これ以後、静岡大学の中におきましても、学長を中心に綱紀の粛正の徹底を図ってございます。  御指摘のありましたようなことを公判の中でいろいろ言われているわけでございますが、審理の途上でございますので、そしてまた間もなく結審をするというようなことも予想されておりまして、私どもも相応の関心を払っているところでございます。
  97. 山下栄一

    山下栄一君 関心を払っているということでありますけれども、確かにまだ判決に至っておりません。要するに一大学本体の事務局長、庶務部長さんというのは本省採用だと。そういう方々に現金供与が行われて、受け取ったけれども返したというふうなことをおっしゃっている。また、場合によっては予算の便宜を図ってもらうために文部省OBの方を通じて本省の方に商品券を配ったりというようなことをいろいろと公判の中では言われているわけです。今、官房長からお話があった状況であろうとは思いますけれども、この静岡大学における事件というのは、確かに公金をだまし取った上でそれを上層部に上納しているということがもう十一年間にわたって行われたということは極めて厳しい現実である。教育現場、国立大学の中に起こったわけでございます。  後から大臣にあわせてお聞きしたいと思うわけでございますけれども、関連はしませんけれども、以前にも本委員会で取り上げられた問題でございます。北海道教育委員会における空出張といいますか、によりまして、空雇用もあるのか、そういうためにためた、それも北海道の本庁の教育委員会、また地方局、十四あるそうでございますけれども、さらに道立の学校、高校、養護学校その他、さらに今度は市町村の小、中。一番下は小学校から、上は北海道本庁の教育委員会に至るまで、上からの指示で空の、虚偽のもの、にせものの予算の書類をつくらせて、今度は現金を下から上に上げていったという、こういう上納システムというのが、これもまた延々と、一年二年じゃなくて、何年さかのぼるのかわかりませんけれども、四年になんなんとする、調べられたのがその範囲で、制度化しておったというふうなことがあるわけです。  これも一番下の小学校、中学校、高校、校長先生がそういう最終の決裁権、予算の収支の書類についても決裁を図っておられるわけでございますけれども、校長先生も御存じの上でそういうことが、教育現場で不正な経理が行われておったという現実がある。こんなことが北海道を挙げて行われておったわけでございますので、現場ではもう学校の教師が、校長先生指導しても生徒に入らない。校長先生が廊下を通ると空出張と言って冷やかされるということが現実に延々と、延々とというか、あった上で、ことしですか発覚し、大量の一千五百人になんなんとする教育長以下処分されておるわけでございます。  こういう実態があると、幾ら文部省から、また教育委員会がいろんな生徒指導をやろうとしても全然入らないというように私は思います。保護者ないし生徒に至るまで、こういう不正経理が校長先生も御存じの上で続けられておったわけでございますから、一たん失った信頼というのは、生徒の信頼、保護者の信頼というのはそう簡単にこれは、倫理観も教えなければいかぬそういう教育現場が全然正反対のことを行っていたという、そういうことであるわけでございます。  非常にこれも私は深刻な事態であると思うんですけれども、この北海道の教育委員会挙げての不正経理実態については、文部省はどのように対応されたかということをお聞きしたいと思います。
  98. 小林敬治

    説明員小林敬治君) 文部省といたしましては、北海道教育委員会から詳しい事情をお聞きいたしますとともに、教育行政に対する保護者や地域の方々の信頼を一日も早く回復するための改善に取り組むよう御指導申し上げました。道教委といたしましては、これを踏まえて再発防止のための取り組みを行っているところと承知をいたしております。  それで、その一環として実施されました公認会計士等の調査グループによる分析がこの十月にまとまったところでございまして、これによりますと、今回の不正経理問題の背景といたしましては、以前から指摘されておりました北海道教育委員会における教育局と道立学校等との間の上下意識の存在だけじゃなしに、例えば除雪の予算を公務員宿舎の補修に流用するなど、必要な分野に必要な予算が措置されておりませんで、硬直化した予算編成がなされたことなどもあるというふうな指摘があるわけでございます。道教委におきましては、この調査グループの指摘も踏まえまして改善にさらに取り組むこととなっていると承知をいたしておりますが、いずれにいたしましても、文部省としては教育行政に対する信頼回復のために今後とも一層の努力を重ねていただく必要があるものと考えておるところでございます。  このような問題を生じさせないための具体的な防止策につきましては、基本的には各地方公共団体においてそれぞれの実情を踏まえて主体的に取り組んでいただくべきものだというふうに考えているところではございますが、文部省といたしましても、教育行政の適切な運営が確保される観点から、今後とも適時適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
  99. 山下栄一

    山下栄一君 法律の範囲内ではこういう教育行政にかかわる文部省の地方における都道府県教育委員会等の指導、助言ということなんですけれども、非常にデリケートな、非常に微妙な難しい問題にもかかわってくると思います。例えば、こういう北海道の小中高の教育挙げての不正事件に対して、文部省は適時適切に指導、助言と言ってはるけれども、それは具体的にはどんなことをするのか、どういうことが考えられるんだと、それをちょっと教えていただけますか。
  100. 小林敬治

    説明員小林敬治君) ただいま申し上げましたように各教育委員会で、例えば今回の北海道教委のような問題が生じましたときに、私どもとしては、まず第一義的にはその団体自身が自浄作用を発揮いたしまして、その不正の部分に係る事実をはっきりさせ、それからそのようなことが二度と起こらないように適当な対策を立ててくれるということが最も望ましいと考えております。  私どもとしてもこの教育行政、これは国もそうでございますが、地方公共団体教育委員会等の行政機関に対する地域住民あるいは国民の信頼というのが大変大事でございますので、その地方教育行政機関の信頼というものが適切に確保されますように適切な指導をやっていく必要はやはり大事な仕事として私どもは持っているのであろう、こんなふうに考えているところでございます。
  101. 山下栄一

    山下栄一君 全然よくわかりませんわ。全然わからぬな。  大臣、この問題につきましては、ことしこの事件が発覚して新聞に載った段階で奥田前文部大臣が、驚嘆すべきことだ、びっくりしたと言って、とにかく実情を把握するために調査したいというようなことをおっしゃっていたわけですけれども調査するいうて、どんな調査をするのかなと。  実際北海道におきましては、文教委員会等でもう既に北海道教育委員会の調査がされて、道議会にも報告されているわけです。冊子もいただいております。ちゃんと調査は終わっているわけです。だから文部省として何をするのかというようなことも大変難しい問題であるなというふうに思うわけですけれども大臣、それに対する本省として指導、助言で何をするんだということ。  それからもう一つ、先ほど決算検査報告における静岡大学教育学部の不祥事件、これはもう一年二年じゃなく、先ほど申し上げたようにわかった範囲だけでも十一年間にわたる不正経理が常態化し、本省採用の文部省の大学事務局長の方にも上納されていたということ、これは事実として明らかになっておるという大変な問題、それも被告の発言によると一千万を超える金を渡したんだということを言われておるわけでございます。それで、またこれもうすぐ判決がおりるのかもわかりませんけれども、そのときに本省がどの程度までかかわっておったかというようなことが明らかになってくると大変なことになってくると思うんです。それから、今申し上げた北海道の全道挙げてのこういう不正経理の実態という、先ほど申し上げましたようにこんなことが起こると教育にならぬという現実があると私は思うわけでございます。  私は、大臣の御認識をしっかりとお聞きして、そういう実態があるということをわかった上で大臣としての教育行政のお取り組みをお願いしたいと思いますので、大臣の御認識をあわせてお伺いしたい、このように思います。
  102. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今回御指摘があった静岡大学、北海道教育委員会の不祥事に関しましては、文部大臣としても大変残念という気持ちであります。  今事務方から御説明申し上げたように、それぞれ適切な処置をとってきたと思いますが、本来、教育行政保護者や住民の信頼ということが基本でございます。そうした信頼が損なわれることのないように、私どもこれからも注意をしていきたいと思っております。  文部省教育委員会との関係というのは、あくまでも地域の教育委員会が主体であって、文部省が直接やるということについては、地方分権との関係もあり、また日本教育制度との関連もあって制約があるわけでございますが、聞くところによりますと、北海道教育委員会におきましては、不正経理の再発を防ぐための改善プログラムを決定してその取り組みを進めているというふうに承知しております。  文部省といたしましても、そうした地域の教育委員会の努力を見守るとともに、保護者や地域住民の信頼を一日も早ぐ回復するように最大の努力をしたいと思っているところでございます。
  103. 山下栄一

    山下栄一君 都道府県の教育長の人事は知事が任命し文部大臣が承認するということですか、これは地方分権との問題で私は承認というようなこともやめた方がいいと思うわけでございます。  見守る——見守らなきゃいかぬわけですけれども、私は、一つは、処分を行うことはできないと思いますが、ただ、大臣が例えば全国教育会議等があったときにこういうことを具体的に話をして触れるだけでもやっぱり、指導、助言というのはそういうことなのかなというようなことを思うんです。何かこう見守って、例えば課長さんが教育長の報告を受けるという、それだけじゃまずいんじゃないかなと。全体の会合等の中とかで具体的な、こういうことは大変な問題で、生徒の皆さん、児童の皆さん、保護者の方の不信感というのは大変なことだと私は思うんですよ。そういう形でぜひかかわって、かかわるというか、適切な指導、助言を文部大臣のお立場で知恵を出していただいてやっていただきたい、こういうように私は考えております。  次に、冒頭も触れましたけれども、昨年の九月に本決算委員会で郵政互助会、これは郵政職員方々の互助組織で、公益法人になっているという。この問題につきまして、昨年の九月は、平成四年度の公益法人にかかわる行政監察で改善しなさいということがあったので、途中経過ではございました。それで、さらに改善に取り組んでまいりますという御答弁をこの中でいただいておるわけでございます。そのフォローの形で質問させていただきたい、このように思うわけでございます。  まず、公益法人なので公益事業をやらないかぬと、当たり前の話ですけれども。公益事業を郵政互助会の場合はほとんどやっていない、去年の段階で全事業の〇・〇四%だと。それが公益法人かというふうなことがあったわけでございますが、その改善状況と、時間の関係もありますので、もう一つは、一〇〇%近い出資率で、要するに株式を保有しているというか子会社をつくったというか、そういう会社が四つある、それについても出資比率を引き下げるようにという行政監察結果が出ておるわけでございます。それについての、努力いたしますという、改善状況を御報告いただきたいと思います。
  104. 安岡裕幸

    説明員(安岡裕幸君) 郵政互助会の平成七年度の事業報告によりますと、まず公益事業に対する取り組みでございますけれども一つは地域社会への貢献施策ということで、各郵便局の施策とタイアップいたしまして、車いすを老人ホームヘ寄贈する、あるいは手話教室を開催するなどの施策を展開いたしております。事業費といたしまして約五百七万円という格好になっています。それからもう一つでございますけれども、遺児への育英金支給ということでございまして、平成七年度におきましては遺児三百十五名に対しまして二千五百万円等の事業を行っているということでございます。  御指摘を踏まえまして、平成八年度は公益事業に一層積極的に取り組もうということを考えておりまして、まず一つでございますけれども、今までは不特定多数を対象にしました公益事業、退職給付事業、それから収益事業、これが一緒になりまして一般会計というふうにされておりましたのをそれぞれの事業に分割をして、公益事業の事業規模等が、その内容がよくわかるように公益事業会計を独立させたということでございます。この公益事業会計に新たに公益基本金ということで十億円をファンドという格好にしております。この結果、平成八年度の予算規模は七千万円というところになっております。今後とも、この公益事業規模を一層拡大するように指導していきたいというふうに思っています。  それから、もう一つの子会社の問題でございますけれども、現在郵政互助会は互興建設と弘信観光、二社の株式のほぼ一〇〇%を保有しておるわけでございますけれども、ぜひ株式保有の分散化をやるべしということで郵政省として互助会を強く指導しているところでございます。  まず互興建設の方でございますけれども、当該株式の二分の一にするということを考えております。それから弘信観光の方は、経営権の譲渡による会社の整理、清算、これを方針にいたしまして今取り組んでいるところでございます。  しかしながら、大変長引く不況の中で結構苦労いたしておりまして、まず互興建設の方につきましては、受注する工事高が先細りするんではないかという見方から株式の譲渡先が見つからないという状況になっています。弘信観光につきましては、現在ホテルを四ホテル保有しておりますけれども、その一ホテルを売却できましたけれども、他のものはまだ売却先が見つからないという状況になっておるわけでございます。  今後とも先ほどの方針に即して株式の分散化に努めてまいりたい、このように考えております。
  105. 山下栄一

    山下栄一君 郵政互助会の全事業における公益事業の比率が、七千万と金額おっしゃっていましたけれども、要するに〇・〇四%が〇・一%になったということですな、そういう実情。  じゃ、これはどこまで高めるんだということになってくるわけですけれども、それはどうですか。
  106. 安岡裕幸

    説明員(安岡裕幸君) 私どもとしては、公益事業につきましては、互助会といたしましても時代の要請に応じるということで高めてまいりたいというふうに思っておるわけですけれども、現在の公益法人の指導監督基準の取扱指針の中では「公益事業費の規模は、可能な限り総支出額の二分の一以上とする」というふうに定められているわけでございますけれども、一方、その基準の中には、「経営状態が悪化している法人に対して性急な公益事業の拡大を要求すれば、更に事態を悪化させる可能性もある。」ということで、「法人の経営の実態を見て、収支の安定を図ることが先決」だということでございますので、「その上で可能な範囲で、徐々に公益事業を充実していくことが望ましい。」と示されておりますので、その線に沿いまして公益事業の拡大に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
  107. 山下栄一

    山下栄一君 今おっしゃった基準というのは、閣議決定の基準ということですか。それでいいんですか。
  108. 安岡裕幸

    説明員(安岡裕幸君) 閣議決定の基準でございます。  もう少し補足させていただきますと……
  109. 山下栄一

    山下栄一君 結構です。  ことしの九月二十日の閣議決定によりまして、公益法人の設立許可及び指導監督基準というのが非常に厳しくなったと、公益法人に対する。本来、この郵政互助会というのは現在の法的な基準から考えると公益法人に当たらないものだろうと思うんです。したがって、今おっしゃった経過措置の中で、できる範囲でこの基準に背かない努力をしていくということになっていくのであろうとは思うのでございますが、ちょっともう時間がありませんので、具体的に聞かせていただきます。  だから、この閣議決定の基準でいくと、公益事業の比率は二分の一以上でなかったらいかぬのだろうけれども、それは現段階ではあり得ないと、できないということ、それでよろしいですな。できるかできないかだけでよろしいわ。
  110. 安岡裕幸

    説明員(安岡裕幸君) 大変失礼しました。  先ほど申し上げたのは旧基準ということでございまして、その趣旨は今度の閣議決定でも承継されているわけでございますけれども、今後とも、私どもとしてはそれに即していきたいと思っています。  ただ、先般の閣議決定において言われている中では、真にやむを得ない事項につきましては、法人に関する抜本的法改正を待って対応するということにもなっておりますので、真にやむを得ないかどうかということについて関係部門の御意見、解釈を参考にして、閣議決定の趣旨に沿うように公益事業の充実に努めていきたいと、このように考えております。
  111. 山下栄一

    山下栄一君 この閣議決定の中では、株式保有についても「営利企業の株式保有等を行ってはならない。」と、こういうことになっております。ところが、先ほど申し上げた四つの会社は、もうそのうち三つまで九九%なり一〇〇%の出資、株式を保有している。一つだけ努力して、津久井湖観光だけは半分以下になっているということなわけですね。ただ、清算したり、株式を譲渡したり、ホテルを売却したりということもなかなか思うように進まないという実情があると、こういう実態であろうと思うわけです。  だから、これは非常に重荷を背負いながら、郵政互助会は、職員方々の積立金といいますか、退職給付を夢に見ながらというか、退職のときに給付金をいただけるように一生懸命ためていたお金がそういう形で使われ、その事業が非常にうまくいっていない。中には弘信商事みたいにノンバンクでもう特別清算六百億になんなんとする負債をつくって、損失を抱えて、それをどう運営していくかというような事態になっておるという厳しい現実があるわけでございます。  これは、特に株式保有の問題につきましても全くゼロにしなさいということにはならぬと思うのですけれども、今のお話で、二分の一以下になるように努力するというふうに理解いたします。  それから役員でございますが、理事五人、互助会の方いらっしゃるわけですけれども、これは閣議決定の基準によりますと、官庁に関係する方は三分の一以下にしなさいということは、五人のうち三分の一といったら何人ですかな、一・七人か、まあ二人。  この現在の理事の方の御出身の役職というか、お願いいたします。わかりませんか。
  112. 安岡裕幸

    説明員(安岡裕幸君) まず会長でございますけれども、これは郵政省のOBでございます。理事二人が郵政省OBということになっています。それから、もう一人が民間の方がなっておられますし、それから組合の全逓、全郵政の御出身の方も理事になっていると、こういう構成でございます。
  113. 山下栄一

    山下栄一君 「所管する官庁の出身者が占める割合は、それぞれ理事現在数の三分の一以下とすること。」と。だから、五人中一人だけでなかったらいかぬと、こういうことですな。あとの四人は官庁出身者であってはいけないと、こういうことになると思うんです。官庁OBは一人だけだったらいいけれどもと、そういうふうに理解するんですけれどもね。  ところが、会長は東京貯金事務センター所長、理事は東京中央郵便局長、あと全逓、全日本郵政の組合の方というふうに、これはまあ官庁OBと言えないのかもわかりませんけれども。一人だけ第一勧業銀行の方だと。五人中四人が郵政関係の方で、そのうち組合の方を除いて二人がお役人OBだと。一人以下でなかったらあかんのに二人いらっしゃる。これはどういうことですか。だから、これは閣議決定違反ということですか。
  114. 安岡裕幸

    説明員(安岡裕幸君) ただいま申し上げましたように、この「所管する官庁の出身者」という意味で言いますと郵政省のOBでございますので、五人中二名という格好になります。
  115. 山下栄一

    山下栄一君 だから、閣議決定違反かどうか。
  116. 安岡裕幸

    説明員(安岡裕幸君) ということでございまして、五人中三名ということでございまして、三分の一にしていこうということからいいますと、まだ基準に達していないということでございますけれども、閣議決定の中には経過措置がございまして、「既に設立されている法人で、法人格を取得する手段が民法第三十四条によることに限られたため、公益法人となっている業界団体等に関しては、真にやむを得ない事項については、法人に関する抜本的法改革を待って対応することとする。」ということでございまして、「それまでの間は、所管官庁においては、当該業界関係者又は所管する官庁の出身者以外の者を、可及的速やかに監事とする」ということにされておりまして、そういう意味合いで言いますと、互助会の監事についてはその規定どおり措置されておるというふうに考えております。
  117. 山下栄一

    山下栄一君 万やむを得ないから経過措置の範囲内だと、こういうふうに認識されて、これはだから努力しないということでしょうか、結論は。
  118. 安岡裕幸

    説明員(安岡裕幸君) 我々は閣議決定に向かってその趣旨に即して進めていくわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、基本的な抜本的法改正を待って対応をするということでございまして、それまでの間はまず監事でもって公平さを担保する、こういう格好になっていますので、差し向き監事を所要の措置をいたしておるわけでございまして、将来的にはこの閣議決定の趣旨に沿って考えていくというのが方向でございます。
  119. 山下栄一

    山下栄一君 じゃ、だから抜本的改革までは仕方がないと。  次に、その仕方がない間は、所管官庁においては、郵政省においては、当該業界関係者または所管する官庁の出身者以外の者を可及的速やかに監事としなさい、やむを得ないのかしらぬけれども、監事だけは官庁の者以外にしなさいよというふうに書いてあるわけだけれども、その監事の方は一人が郵政OBの方で、もう一人は全逓の方だと、こうなっているわけですね。そういうことですよね。だから、これは全然閣議決定に、これこそまた違反していると私は認識しますけれども、どうでしょうか。
  120. 安岡裕幸

    説明員(安岡裕幸君) ただいま監事二名とも郵政省の出身者でないかというお尋ねでございますけれども、申し上げたように郵政省OBが一人で、それから全逓の出身者が一人ということで、私どもとしては全逓の方は省の出身ではないというふうに思うわけでございますけれども。ただ、郵政省で明快に説明できる立場でございませんで、私どもとしてはここで言う「所管する官庁の出身者」というのは、本省の課長相当職以上経験者と解釈をするということで関係の部門から聞いております。  いずれにいたしましても、その閣議決定の中身をよく吟味して、それに沿うように努めてまいりたいというふうに思っております。
  121. 山下栄一

    山下栄一君 中身の精神が大事だと思うんですけれども、逆の方から中身の精神の空洞化を図るようなことをされているというふうに私は思うわけです。だから、郵政互助会の場合は、設立当時の状況から考えて公益法人に関するルールがなかったからやむを得ない面があるだろう。しかし、それであっても監査ですね、監査する人、監事というのですか、これは所轄する官庁の者以外の人にしなさいと言っているのに、一人はOBで一人がやはり郵政の関係の組合の方だったら、これは閣議決定の精神に全然合わないと私は思います。大臣、どうでしょうか。
  122. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいまの役員の選任の問題について、先ほどからお尋ねがございますが、先ほど事務当局から答弁申し上げましたように、まだ解釈の違いもあるようであります。いずれにいたしましても、この郵政互助会の立て直しにつきましては、先ほど先生から御指摘をいただきましたが、今後一層公益事業の充実拡大、こういうことに努めながら、そしてまた弘信商事問題で大きな損害をこうむった後でありますので、これの立て直し、そして改善に引き続き努力するよう強く指導してまいりたいと思っておる次第でございます。  いずれにいたしましても、この互助会が国民と郵便職員の期待にこたえられる郵政互助会となるよう今後発力していく所存でございます。
  123. 山下栄一

    山下栄一君 大臣、だから職員の方が不信を抱いているわけですよ、本当に。これはもう先ほど申し上げたとおりでございます。ノンバンクの問題も、損失六百億を抱える、郵政互助会の年間予算の一・五倍ぐらいの損失を抱え込んでいるわけです。退職金をちゃんともらえるのかなというふうな、それは心配のないように処置されているとは思いますけれども、そういう信頼をかち取っていくという観点であるならば、この公益法人の設立許可及び指導監督基準というのは、圧倒的な国民の行政に対する不信感を払拭しようとしてこういう公益法人の監督基準を二カ月前に、選挙の前に決定されたばかりのはずですから、これの精神にやはり少しでも近づける努力をしないと職員の方の不信感は払拭できないと私は思います。  次に移ります。  本決算委員会でも私が取り上げた問題でございますけれども文部大臣にお聞きいたします。  国体の件なんですけれども国民体育大会、これは日本体育協会の方で開催基準要綱というのをつくっておりまして、その中の参加資格ですけれども、外国籍の方でもできるだけ参加できるように配慮していこうという流れが数年前から始まっておる。特に昨年ですか、ことし開催の広島、来年開催の大阪、再来年開催の神奈川、三県の知事さんが一緒に国籍条項の見直し、外国籍の方もできるだけ参加していただけるような形の見直しをお願いしたいという要望を文部大臣に直接おっしゃっておるわけでございますが、まず体協小委員会における検討状況、いろいろさまざまな議論の中で前向きに検討されているとお聞きしておりますので、簡潔にその御報告をお願いします。
  124. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 従来、国体の参加資格は、日本体協の規則によりまして日本国籍を有する者ということで決められておりました。ただ、例外的に学校教育法第一条の学校に在籍する外国人については認めてきたところでありますが、今回、体協の小委員会におきましてこの枠をさらに広げて、今まで参加を認められてきた外国籍の学生、生徒については卒業後も社会人になっても国体に参加できるという方向で取りまとめたと伺っております。私は、こうした取り組みに対しては前向きに評価したいと思っております。
  125. 山下栄一

    山下栄一君 大臣みずから前向きに評価したいという御答弁をいただいたわけでございますけれども、国体というのは主催はもともとは日本体育協会だったんでしょうけれども、現在は地元開催県も主催者である、さらに文部省ももちろん主催者である。こういう三者共同主催の国民的行事である、こういうことになると思うんです。  それで、私は大臣から今御答弁ありました今回の体協小委員会における検討事項も本当に評価したいと思うわけでございます。この学校教育法の一条校の生徒が国体に参加した、社会へ出てから参加できない、そういう事態は解消しようという今回の案であるということでございまして、それは前向きに評価したいというお話があったわけでございます。  また、地元開催県も主催者の中心であるわけでございまして、その地元開催県からは、社会人の参加なんですけれども、今回の検討内容に加えまして、一定居住年限の、例えば十年以上日本にお住まいの方については、地域の住民として税金も払っておるというふうな状況の中で、地元開催県も参加の中心であるということから考えましても、そういう地元の要望も私は合理的なのではないか、このように思うわけでございますけれども、このことについての大臣のお考えをお聞きしたい、このように思います。
  126. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 国体の歴史的な経過を調べてみますと、終戦直後の昭和二十一年に、広くスポーツを国民の間に普及させ、そして地方のスポーツや文化を交流させよう、こういう目的でスタートしたと承知しております。  そういうことから日本国籍を有する者というふうに限定をしてきたわけですが、最近における日本の国際化あるいは外国人が大変ふえてきた、あるいはまたスポーツというのは世界共通の文化であるという観点からできるだけ門戸を広げよう、こういう方向をたどってきたと思います。そういう観点からいたしますと、今回、一定の条件つきながら社会人、卒業生にも認めたということは一歩前進だと思っております。  先生が言われるように、いろいろまた他のことも考えよということですが、これは今の段階で云々することはちょっと差し控えたいと思いますが、基本姿勢としてはできるだけ門戸を広くしていく、オープンにしていく、そういう構えでこれからも取り組んでいきたいと思っております。
  127. 山下栄一

    山下栄一君 どうもありがとうございます。  最後に、青少年の薬物汚染の問題でございますけれども、これは今、大変大きな問題になってきていると私は思います。特に教室、学校、校舎内、そこで薬物汚染が広がっておる、麻薬、覚せい剤、これが非常に広がっているという実態があるわけでございまして、これはもう本当に深刻な問題であろうと思うんです。  ちょっと時間がなくなってまいりましたので、実情についての御報告、警察の方も来ていただいているんですけれども報告いただけませんけれども、実はさっき昼間のニュースで、東京の八王子市、国立市の方で高校生が覚せい剤で補導、逮捕された。高校生を含む七人、女子高校生二人、男子高校生二人、無職の青年三人、ほかに三十人の未成年の方がかかわっておった。仲間の家で覚せい剤を使って、これは仲間同士で販売していた。外国人の方から購入し携帯電話を使ってそれを転売してというふうなことでございます。やせたいと思って軽い気持ちで使いましたというふうにある女生徒は言っていたということです。  本年一月から十月、未成年千百六十九人、うち高校生が百六十七人。二十年間で過去最悪の事態である。総理府の最近の世論調査によりましても、一般の親御さんがもう大変心配されておるという実情がございます。ことしの三月には千葉県松戸市で小学校六年生の児童が覚せい剤で補導されたと、こんなのはもう氷山の一角だと私は思うわけです、こういうふうに上に上がってきているのは。  だから、大人も大分深刻になってきておりますけれども子供の世界というか小学生、中学生の世界ではもう全国に大変な勢いで蔓延しているのではないかというふうに私は憂えるわけでございますけれども、これに対する大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  128. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 御指摘のとおり、薬物乱用の問題は青少年にとって非常に憂慮すべき問題であると受けとめております。  政府におきましては、総理府に薬物乱用対策推進本部というのを設けまして関係機関、団体と連携して強力に進めておりますし、また青少年対策を総合的効果的に進めるために関係省庁の局長クラスで青少年対策推進会議というものが設置されておりまして、ことしの七月に青少年対策推進要綱を定めまして、深刻な状況となっている覚せい剤等の薬物乱用問題について家庭学校関係機関、団体等の地域社会が一体となって取り組みを行うという考えのもとに関連施策を一層充実させようということに取り組んでおります。  文部省といたしましても、関係省庁と連携をして、これからも施策の一層の充実を図って青少年の薬物乱用の防止に取り組んでいきたいと思っております。
  129. 山下栄一

    山下栄一君 大臣、これは私、啓発も大事だと思うんです。パンフレットとかをつくり、ビデオもつくられている。総理府でもつくり、厚生省でもつくり、麻薬・覚せい剤乱用防止センターと言われる警察、厚生所管のところではもう大変な啓発活動をやっている。文部省としても教師用教材をつくり、千三百億だったか来年度予算ではビデオもつくる、そういうことをやっているんですけれども、連携が問題なんです。  麻薬防止センターでは一生懸命考え、たくさんのビデオをつくっているわけですよ。その中には文部省の体育局の方も参加している。ところが、今おっしゃった薬物乱用対策推進本部というのは、官房長官中心の、各省局長クラスなんだけれども、官房長官は一回も出席されたことがない。局長も参加されているのかどうかは非常に疑問だ、課長レベルの会合になってしまっているのではないか。この薬物乱用対策推進本部に参加されるのは初中局長、生涯局長なんですよ。ところが、もちろんそこでもやっておられるんですけれども、体育局の方も非常に熱心にやっておられるのに参加されない、推進本部の中のメンバーになっていないということもある。  それから、きょうは御答弁いただく予定だったんですが時間があれですけれども、警察の生活安全局でプロジェクトをつくって一生懸命、どうしたら早くこの実態を乗り越えられるかということで、中学、高校においては適切な指導書がないから効果的な薬物乱用防止教育の実施は困難だ、小学校においてほとんど実施されていないと、こういう提言がされておるわけですよ。適切な指導書がない、指導書はつくられているんですけれども適切じゃないということだと思うんです。警察の方ではそういう提言があるわけですよね。  文部省でも三つの局の連携、そして政府全体でも、総理府、総務庁でも青少年対策で頑張っている。厚生省、警察庁。それで、民間レベルでは、法務省の保護司の方とか、それから厚生関係では民生委員とか児童委員とか、警察関係では防犯協会とか、さまざまな組織がある。それを有機的に使っていけばもうちょっと効果的なものができる。そのためには、民間レベル、草の根レベルでの取り組みも大事だけれども、これは国際社会の、本年のフランスのサミットでも薬物のことが一項目触れられている、最高首脳の会議の結論として提言の中で。  そんな中で、私は、閣議というか閣僚会議の中で文部大臣が先頭に立って、教室がもう薬物汚染されている、小学生まで補導されているという大変な実情の中で、国を挙げて取り組む。こんなものと言うと怒られますけれども課長さんのレベルではなくてもっと、あえて言えば局長さんのレベルじゃなくて閣僚レベルでこれは、サミットでも確認されておることでもございますので、大臣が音頭をとっていただいて、日本国の将来を託する子供たちが大変な事態にならないようにぜひ真剣な、深刻なお取り組みをお願いしたい。  最後に御答弁をいただきたいと思います。
  130. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 文部省としてやるべきことはしっかりやると同時に、これは政府全体で取り組むべき課題であるという受けとめ方をして、今後真剣に取り組んでいきたいと思います。
  131. 上山和人

    ○上山和人君 社会民主党・護憲連合の上山和人でございます。    〔委員長退席、理事吉川芳男君着席〕  私は、きょうは学術科学研究費のあり方に絞って文部省に御質問申し上げます。  昨年八月四日の日経新聞の「経済教室」に東京大学の吉川総長が「未来の頭脳に投資急げ 国の科技費倍増を」という趣旨の小論を寄せていらっしゃいます。今、世界か新しい状況を迎えて私たち人類が未知の問題に遭遇している中で、今まで以上に科学技術が重要な役割を果たさなければならない、そういう前提のもとにこういうテーマで小論を寄せられていらっしゃるのであります。  とりわけ今私たちが悩まされておりますのは、がん、エイズ、そして新たな結核菌、そして最近はO157の問題もありますけれども、果てしなく人類の将来を決定的に左右されると思われるウイルスとの闘いを強いられているんじゃないかという気がしてならないんですよ。そういう状況の中で、国民は今とりわけ医学分野の研究成果を切実に求めているんだと思うんです。  そういう状況の中で、大臣も御存じのように、連立政権になりましてもう三年三カ月たちましたけれども、細川政権になったときに初めて教育は未来への先行投資であるという理念が確立され、そして、以来、この理念は定着していると思うんです。これから政権がどんなふうにかわっても教育は未来への先行投資であるというこの理念は変わるべきものではないと思うのでございますけれども大臣には改めてこの場で、今までの政権で定着し確立されているこの理念についてどのように見解をお持ちか、最初にお聞かせいただきたいと思うんです。
  132. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 教育とか学術の成果というのは、私たちの発展の源泉となる国民の資産、人類共通の知的資産であるということで、これは永久に残るものであります。そうした意味で私は教育や学術を未来への先行投資と位置づける先生の論点には賛成をするものであります。そうした観点に立って今後学術あるいは教育全般にわたって重要な政策課題に取り組んでいきたいと考えております。
  133. 上山和人

    ○上山和人君 橋本政権は第二次内閣になっておりますから、総理の見解はもちろん変わっていないと思うのでありますけれども文部大臣、御就任なさったばかりでありましたので、失礼ながら改めて確かめさせていただきました。定着しているこの理念を尊重するという大臣見解だと受けとめましたので、ぜひその観点で今後とも御努力をお願い申し上げます。  そこで、私たちは厚生委員会として実は八月の下旬にエイズの拠点病院を視察いたしました。そして、エイズの拠点病院の中でエイズの診療体制だけでなくて、エイズの研究といいますか、どのように治療体制、根治する体制を確立するかという追求を懸命に若い教授がチームをつくってお二人で大変な努力をされておりました。それを厚生委員会としてその現場実態をつぶさに見て、また携わっていらっしゃる学者、研究者の御意見や御要望も承ったんです。  文部大臣として、これは担当の局長でも結構ですが、エイズの拠点病院を現在四十七都道府県、三百二十二医療機関を拠点病院として指定をされておりますけれども、エイズの拠点病院の果たすべき役割、任務について、つまりエイズの拠点病院の性格づけはどのようになされているのかということについて、少し現場を見て疑問を感じましたので明確にお答えいただきたいと思います。
  134. 雨宮忠

    説明員(雨宮忠君) エイズの拠点病院の性格づけについてのお尋ねでございます。  エイズの拠点病院につきましては、これは全体の話ではございますけれども厚生省平成五年の夏に各都道府県に対して通知を発出しているわけでございます。その通知によりますと、エイズ拠点病院の機能といたしましては、一つにエイズに関する総合的かつ高度な医療の提供ということ、それからもう一つ情報の収集と地域の他の医療機関への情報提供及び地域内の医療従事者に対する教育を行う、この二つを挙げているというように伺っておるわけでございます。簡単に申しますと、高度な医療をせよということ、それから自分だけの医療機関の役割だけではなくて他の医療機関にも協力してという、その二つが役割だというように理解しておるところでございます、
  135. 上山和人

    ○上山和人君 厚生省の性格づけというのは、局長から今お答えがありましたように、総合的かつ高度な医療の提供を主な任務として位置づけられていると理解をいたしておりますけれど鳥、文部省サイドとしては、これはしかも文部省所管の国立大学の附属病院が中心になっています、この指定病院は。  そうしますと、やっぱり文部省サイドとしては、文部省が所管する国立大学の附属病院が拠点病院として指定されているわけですから、厚生省サイドの、厚生省の領域といいますか分野として総合的かつ高度の医療の提供が主たる任務であるということは当然のこととして理解できるわけでありますけれども、そのほかに文部省としては新たな任務づけというのはされてはいないんですか。
  136. 雨宮忠

    説明員(雨宮忠君) 先ほどは一般的な話でお答え申し上げたわけでございますが、大学の附属病院としての特色があるのではないかという御指摘でございます。  御指摘のように、大学の附属病院におきましては高度な医療をするということだけではございませんで、教育、いわゆる人材養成ということと、それから高度な学術研究を行うというところが他の病院と異なった特色になるわけでございます。したがいまして、先ほどもお尋ねの中で数字を挙げられましたように、現在三百余りのエイズの拠点病院がある中で四十二の国立大学の附属病院が拠点病院として指定され、約八分の一ではございますが、ただそれは八分の一という数字のことだけではなくて、今申し上げましたような大学病院としてのやはり特徴というものがあるわけでございますので、単に他の病院と同じように診療を行うだけではなくて、人材養成の点でもあるいは研究の面でも重要な役割を果たさなきゃならないというように認識しておるわけでございます。
  137. 上山和人

    ○上山和人君 今の局長の御答弁をお聞きしまして納得できるわけです。当然のこととして文部省筋としては、今局長がお答えになりましたように、やっぱり大学の附属病院でありますから、研究機関の附属病院ですから、そういう高度な今おっしゃった学術研究の場、研究の場としても重要な役割を持つべきだという御答弁、よくわかりまして、本当はほっとして安心しているわけであります。  第一線のエイズの治療や研究に当たっておいでの医師の皆さんから率直にお聞きしますのは、今のようなスタッフ、今のような予算措置ではエイズを根治する見通しが立つのは二十世紀中には無理じゃないかと言われるんですよ。もっとスタッフもふやし、そして十分な予算措置をしていただけるなら、我々はもっと早くエイズを根治する見通したって立てられるんじゃないか、そんな話も第一線で御苦労なさっている医師の皆さんからは聞くわけであります。  今、局長がお答えになりましたような性格づけをなさるのであれば、そういう趣旨に沿って、そういう目的、性格に沿っでそれなりの予算措置が行われていなければならないのではないかと思うんですけれども、エイズの拠点病院に対する研究費の措置といいますか配分は、特に他の研究分野と違って手厚く行われているのかどうか、そこをちょっと教えていただきたい。
  138. 雨宮忠

    説明員(雨宮忠君) 国立大学の病院におきます患者の受け入れ体制の整備を目的といたしまして、今年度、八年度でございますが六億一千百万円を計上いたしておりまして、これを各大学に予算配分しているところでございます。ちなみに昨年度、平成七年度におきましては五億一千万円余りでございました。  そういうことで、年々エイズの対策経費につきましては充実の努力を払ってきておるところでございますが、来年度の概算要求におきましても約十億円の要求を行っているところでございまして、それらを通じまして大学病院におきますエイズの診療体制の充実に努力したいということでございます。
  139. 上山和人

    ○上山和人君 それなりの御努力はよくわかるのでありますけれども、実は私は拠点病院に厚生委員会としての委員派遣の後再度行きまして、直接いろいろ実態をさらに詳しく見たりお話をお伺いしたりしたんです。局長、私たちがびっくりするのは、例えば今のように平成七年度は五億円余り、八年度はそれが一億プラスされて六億円余りになって、来年度の概算要求では十億円要求しているんだというお話、その御努力は十分評価できるんですけれども、これが一拠点病院ごとに割り出すと大体幾らぐらいになりますか。ごくわずかな額になりませんか、これはもう算術計算をすればすぐわかることなんですけれども
  140. 雨宮忠

    説明員(雨宮忠君) 先ほど申しましたように、平成八年度において六億ということでございますし、またエイズの拠点病院として指定されている国立大学の病院の数が四十二ということでございますので、それを割り込んだ数字が平均的な数字になるということでございますが、配分自体におきましては多少のでこぼこはあるわけでございます。
  141. 上山和人

    ○上山和人君 そういう程度のと言ったら少し語弊もありますけれども、実は現場に行きますと、局長現場をお訪ねになって担当なさっていらっしゃる研究者の先生方、あるいはエイズ治療に当たっていらっしゃる先生方と直接お話しなさったことがございますでしょうか。現場の第一線に本当にその予算が届いていない。これは仕組みの問題もあるんじゃないかと思うんですけれども患者に還元できるような予算措置は行われておりませんと。何とかしてひとつ政府としてもあるいは政治の分野でも格段の御努力を願えませんかと。    〔理事吉川芳男君退席、委員長着席〕  先ほどちょっと申し上げましたように、今のままのスタッフや今のような程度の予算措置では、二十一世紀に入らないと本当にエイズの根治体制というのは見通しが立てられないんじゃないでしょうかと。一生懸命私たちはやっているけれども、何せ人手も足りない、十分な施設設備等を伴った研究体制もできていないし、何せ予算が足りませんと、こう言われるんですよ。  現場の第一線にそれが届くほど十分な予算措置ではないと私たちは思って、私は、厚生委員会の委員派遣で実態調査をしたことに基づきながら、そして文部省の行政にもいつも関心を持っているしまた期待を寄せている者の一人としても、この大変大きなエイズ問題は、これはエイズに限らず感染症の問題は、ほかにもたくさん今当面している課題だってありますけれども、今、拠点病院の問題としてエイズの問題に絞ってお尋ねをしていますけれども、これは一般の科学研究費から配分をされているというふうに理解してよろしいですね。
  142. 林田英樹

    説明員(林田英樹君) 御指摘の科学研究費でございますけれども文部省は現在約一千億余もの科学研究費をいただいておるわけでございますけれども、これらをいろんな形で大学の先生方の御要望に応じて、研究テーマに応じた配分を今いたしておるわけでございます。  現在、科学研究費におきましては、エイズの関係が重要な研究課題であるということを認めまして、平成七年度から新たに科学研究費補助金の重点領域研究というような形で東京大学の医科学研究所の先生を代表にいたしまして、現在のところ平成七年度から九年度までの三年間が認められておるわけでございますけれども、年平均三億円というような金額を配分いたしておるわけでございます。  そのほか国立大学の附置研究所で、例えば今の東京大学医科学研究所も含まれますけれども、その他京都大学のウイルス研究所でございますとか大阪大学微生物病研究所というようなところもあるわけでございますけれども、これら合わせまして国立大学の附置研究所が、現在関係研究所が七研究所ございますけれども、これらに合わせて一億二千百万円というような金額を来年度要求いたしておるわけでございます。これら相まちまして、関係のエイズ対策というものが大学におきます研究としても進められますように努力をいたしておるところでございます。
  143. 上山和人

    ○上山和人君 生物系の研究分野に、特にがん・エイズ等難治疾患関係費として計上されている、今の局長の説明はその分野の御説明だと理解してよろしゅうございますね。そのとおりですね。おっしゃるとおり、そこにはこんなふうに計上されていることをこの資料でも私どもはわかっているんです。  問題は、局長にお尋ねしたいのは、先ほど冒頭大臣にも見解も承りましたけれども教育は未来への先行投資であるという基本的な理念、位置づけがございます。そして、今当面している問題は、もういろいろ繰り返しません、申し上げたとおりでございますが、実はそういう理念に沿いまして、平成七年度から公共投資重点化枠の三千億、三千億、来年度の概算要求には五千億ですけれども、そういう公共投資重点化枠からも文教関係への配分が行われるようになっていますね。  これは、文部省の皆さんの御努力も、それから私どもの側を含めた一体的な努力の結果、公共投資重点化枠から教育関係費、文教関係費へも配分されるようになったと私たちは理解をいたしておりますけれども、最初の平成七年度は三千億のうち百五十六億でしたね、文教関係への配分は。そして、平成八年度は百四十二億五千三百万でしたか、来年度の概算要求では五百五十一億九千二百万円ですね。八年度は少し落ちましたけれども、概算要求の段階では、これは本格編成はこれからですけれども、随分とふえている。  この公共投資重点化枠の性格、これは七年度、八年度のこの重点化枠予算の配分を見ますと、主としてハード面にこれは投資をされているというふうに理解できるんですよ。この公共投資重点化枠というのは、そんな分野にしか使えない性格の財源なんですか、どうなんですか。
  144. 佐藤禎一

    説明員(佐藤禎一君) 予算の仕組みといたしましては、今お話の出ました公共投資の重点化枠は、すべて公共事業費及びその他施設費ということになっているわけでございます。したがいまして、今御質問がありました七年度の百五十六億、八年度の百四十三億弱、そして九年度の五百五十二億弱の要望額というものは、すべて私どもの分野で申しますと研究施設費に、研究だけではございません、施設費に充当をされるべき経費になっているわけでございます。  そこで、九年度の予算要求の中では、このほかに経済構造改革特別措置という枠が別途設けられておりまして、こちらの方は経常的な経費も要求ができる、こういう枠組みが新しくできましたので、私どもといたしましては、この新しい枠を使いまして研究関係の経費を重点的に要求している、こういう状況でございます。
  145. 上山和人

    ○上山和人君 今の官房長の御説明もよくわかるんです。公共投資重点化枠ですから、公共投資用の予算ですので、そういう施設設備等の整備をするために中心的にこれが投資される、使われるというのはわかるんですが、私が冒頭から申し上げていますように、文部省のサイドとしては公共投資というのをどういうふうに考えるか。これはもう少し広く、そういう研究施設整備もハード面の整備として重要です。これはそういう施設の劣悪化というのが、東大の吉川総長も指摘をされておりますように、随分古くなったり、また手狭になったり、大学に行ってみますと大変な状態だと私たちも思いますね。そういう施設整備は大変重要です。  でも、当面している、例えばエイズの拠点病院を指定した。そしてエイズの診療体制なり治療体制をどう確立するかというのは焦眉の課題だということになりますと、一般の予算の中で配分して不足を生じるような、まだまだ手厚くしたいという場合には、このせっかくの公共投資重点化枠から文教関係にも配分されるようになりましたので、この重点化枠というのはそういう研究分野へも投資できる性格の財源として理解はできないんですか。それはどうなんですか。
  146. 佐藤禎一

    説明員(佐藤禎一君) 先ほど御説明をいたしましたように、公共投資重点化枠そのものは、これまで言ってみれば公共事業という枠組みでの飛び出し部分であったわけでございますが、その中にその他の施設費も加えていただくという考え方が大分定着をいたしまして、しかもその部分が九年度では範囲がふえて要求ができるようになったわけでございます。ただ、これは財政法上の仕分けなどがありまして、すべて施設費の分野でございます。  そこで、先ほど御説明が若干足りなかったかと思いますが、その他の経常的な経費についても特別な措置ができるようにということで、九年度予算の要求に当たっては経済構造改革特別措置という枠が設けられております。実は、文部省はこれを使いまして約八百億の予算要求をしておりますけれども、この八百億がすべて研究関係経費でございます。
  147. 上山和人

    ○上山和人君 そうすると、研究分野にも投資できるというふうに理解してよろしいんですね、今のお話で。
  148. 佐藤禎一

    説明員(佐藤禎一君) 投資できるということの意味が必ずしもうまくつかまえ切れておりませんが、経済構造改革特別措置というもので設けられましたその措置の中身は、各省によって取り扱いはそれぞれお考えはございますけれども文部省は少なくともその八百億の枠をすべて研究経費として要求するという態度をとっておりますので、新たにそこに新しい特別措置を見つけて研究関係経費の拡充を目指している、こういう段階でございます。
  149. 上山和人

    ○上山和人君 この公共投資重点化枠という新たな枠が設定されて有効な配分をされるようになりましてから、それが文教関係にも配分されるようになって、まさにこれぞ文部省の置かれている状況の中で当面している最も重要課題にこの一般会計予算で十分でない部分を補うものとして大変貴重な財源だと思って、私たちはこの獲得に与党の立場でも十分それなりにみんなで力を合わせて努力をしてきたつもりなんですよ。  それで、いろんな資料を見てみますとハード面に、施設面に中心的にこれが配分されているので、そういう研究分野、それこそ未来への先行投資の最も中心的な分野であるのに研究分野にこれが使えない予算であるとすれば、私たちが期待していたものとは少し違うなと、もしそういう状態であればやっぱり改革をしてほしいという気持ちがあるんです。  それで、今の官房長のお答えは、現実問題として、実際問題としてはこの重点化枠の予算配分についても、そういう研究分野にも研究経費としても配分しているというお答えで、それでいいんですか。
  150. 佐藤禎一

    説明員(佐藤禎一君) 言葉が足りませんで失礼をいたしましたが、公共投資重点化枠は予算の仕切りといたしましては投資的経費でございます。ですから、研究のための施設費はそちらで対応しておりますが、先生指摘のように、それじゃ足りない、研究費について枠が要るではないかということがございまして、今回新たに設けられました枠を使って今までの重点枠よりもさらに大きな額の研究経費の要求ができている、こういう姿になっているわけでございます。
  151. 上山和人

    ○上山和人君 それでは、もう時間が迫ってまいりましたが、ほんの一つの問題に絞りましたけれども、実はこれからの科学研究費あるいは学術研究費、そして科学技術の発展なりその成果に、今難しい問題に人類が遭遇して未知の課題を抱え込んでいるときにどんなに期待が寄せられているかということを思いますと、私は文部省の役割といいますか文部省に期待されているものというのは非常に切実で、国民のサイドから見ても大変重要だと思うのです。  ですから、エイズの拠点病院を一つの具体例としていろいろお尋ねいたしましたけれども平成九年度の概算要求では重点化枠だって一挙に五百五十一億九千二百万円と何倍にもふえる概算要求になっていますので、ぜひこれはこれ以下に削減されることのないように、満額確保する努力をしながら、これは高等教育局長からもいろいろ御答弁がありましたけれども、何とかして国際的に見劣りしている日本の科学研究費、学術研究費、こういうものがせめて国際レベルに達するようにすることが一番大事じゃないか、それが未来への先行投資として教育を位置づけているこの趣旨に沿う具体的な重要な課題だと思います。  私たちも大変強く文部省にも期待をいたしておりますから、こういう分野で、ほかにもたくさん課題文部省ありますけれども、こういう人類の将来を決定的に左右するような課題についてはもっと大胆に予算措置、重点配分をできるような努力を続けてほしい。そういう点について最後に文部大臣の御決意をお伺いして、この質問は終わりたいと思います。
  152. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 先生教育は未来への先行投資であるという点に関しましては、私も共通認識を持っております。従来の伝統的な公共事業の概念、これも我々はやはり変えていかなくちゃいけないと思っておりますし、特に最近、そういうエイズの問題とかあるいは情報通信とか、新しい分野がたくさん出てきているわけです。  しかし、従来の枠組みを変えるというのは、その分野の人たちもやっぱり必要性を主張しておられるわけで、なかなかこれを一挙に覆すというわけにいかない。そういう中から生まれたのがこの公共事業の重点化枠であったと思うんですね。しかし、それは公共事業ということになると施設費に限られるという、こういう財政上の制約がありますので、その中からさらに財政構造の改善という見地からの新しいソフトの面にも使えるようなお金も出てきているわけでございます。  さっきからお話がありますエイズを初めとして、特に文部省としては基礎技術の分野、そういったところに予算もそれから体制も人員ももっとつけられるようなそういう努力を今までのいろいろな締約の中で必死に頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞ御協力のほどをよろしくお願いいたします。
  153. 上山和人

    ○上山和人君 これで終わります。
  154. 阿部幸代

    阿部幸代君 O157と集団食中毒の多発と学校給食行政について質問いたします。  まず、今年度に入ってからの学校給食における食中毒発生状況ですが、十一月八日現在で十六件、一万一千九十九人に上っています。とりわけO157の発症者については、岡山邑久町で四百三十五人に上り、二人が死亡しているのを初め、岐阜県岐阜市で三百五十七人、広島県東城町で百八十五人、岡山県新見市で三百五十六人、群馬県境町で百三十八人、そして大阪府堺市で五千四百九十九人にも上り、堺市で二人が死亡しています。  その後、学校給食衛生管理マニュアルを策定した後も岩手県盛岡市で二百八人の被害が生じ、北海道帯広市の幼稚園で百五十八人の被害発生しているということを確認してもよろしいですね。文部省、簡単にお願いします。
  155. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) おっしゃるとおりでございまして、平成八年度の小中学校における集団食中毒発生状況は、現在十四道府県で十七件発生しております。また、幼稚園につきましては、北海道帯広市の私立の幼稚園でございますけれどもO157による食中毒が一件発生してございます。
  156. 阿部幸代

    阿部幸代君 報道によりますと、厚生省は病原性大腸菌O157による牛の汚染実態全国調査をやり、ふん便で一・四%、枝肉で〇・三%の検出、また輸入牛肉についてもO157が検出されたということです。O157患者全国的な発生とあわせてO157日本に定着した。常在菌化したという認識をお持ちでしょうか、厚生省
  157. 堺宣道

    説明員(堺宣道君) 我が国におきます病原性犬腸菌O157による食中毒につきましては、平成二年に埼玉県の幼稚園で集団発生を報告して以来、毎年散発的に発生していたところでございますが、本年はこの菌による集団発生が相次いで発生したところでございます。  厚生省といたしましては、この病原性大腸菌O157による食中毒年間を通じてどの地域でも発生し得るという認識に基づきまして、引き続き大規模調理施設等の衛生管理徹底を図るとともに、原因究明を確実に行うための体制整備一治療マニュアル等の普及、毒素中和方法等の新たな治療方法の研究など総合的な対策を講じていく必要があるというふうに考えております。
  158. 阿部幸代

    阿部幸代君 O157がいわば常在菌化したということだと思うんです。  おっしゃるとおり、私の地元埼玉県では九〇年にO157により幼稚園児二名の死亡を含む集団下痢症が発生しました。当時のことは埼玉県衛生部が報告書にまとめ、全国に配布したと聞いています。この報告書の発刊に寄せて衛生部長が次のように述べているんです。「私の三十年近い衛生行政の中に死亡例はない。」、「私は緊張した。」、「その後、埼玉県で散発例があった。今後も起こるかも知れない。下痢患者には十分注意することだ。」、このように述べています。  また、県議会でもこの衛生部長は、「O157は、意外と広く分布しているのではないか」、「O157型を含めた病原大腸菌について保有状況調査を行うとともに、入院した患者を中心に症例をまとめ、全国の医療機関に配布して治療に役立てたい。」、こういう答弁をしています。当時からO157常在菌化の認識と危機感を持っていたと思われます。  ちなみに、この埼玉県の事例には厚生省も深くかかわって対策を立てていました。これが生かされず、ことしたくさんの被害者を出し、四人の子供が亡くなったということは本当に残念ですし、率直に言ってO157日本全土に蔓延させた厚生省初め政府の責任は重大だと思います。ここで、死亡者を生むほどの危険と、危険の拡大から子供たちを守る立場での給食行政が求められていると思います。  そこで、文部省対応について伺いたいのですが、衛生管理を強化するためには指示だけではなくて条件整備が必要です。いろいろありますが、ここでは堺の事例が投げかけた。食材共同調理場調理済みの食品の輸送途中並びに学校到着後の温度管理の問題について伺いたいと思います。  O157はマイナス二十度Cの冷凍肉内でも九カ月以上生きていて、解凍時のドリップに注意が必要、八度C以上で増殖し、三十五度Cでは二十五分で倍になると、日本体育・学校健康センターと文部省がつくった啓発ビデオで言っています。私も見ました。  温度管理をどうしますか。少なくとも保冷車や既に使用されている牛乳保冷庫などの冷蔵設備の整備徹底を急ぐべきではないでしょうか、文部省
  159. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 文部省では、学校給食用のまず食材でございますけれども食材の保管につきましては食品ごとに適切な温度、場所で保管するよう指導しておるところでございます。  また、調理後の食品の温度管理、これを適切に行うための保冷庫あるいは牛乳用保冷庫の整備でございますけれども、これにつきましては従来から国庫補助の対象としてきたところでございますが、今回のO157による食中毒発生の重大性にかんがみて改めて通知を行いまして、早急な改善に努めるよう都道府県あるいは市町村教育委員会等を指導したところでございます。この点につきましては、設備の整備ということが衛生管理の上で重要性を持つということを踏まえて引き続き努力してまいりたいと思っております。
  160. 阿部幸代

    阿部幸代君 検体の二週間保存のための冷蔵庫の設置は随分力が注がれたのですが、子供たちの口に入る食材、また調理済みの食品の安全性確保のための保冷車、保冷庫、冷蔵冷凍設備、その整備徹底を急いでいただきたいと思います。給食現場では、検食の保存作業だけでも新たに人が要る、こういう声も上げられています。給食従事者の緊急増員、これを強く要望いたします。  質問したいのは、研修機会の拡充についてです。  学校給食従事者たちは皆さん大変誇りを持って仕事をしています。この人たちに、とりわけ一人のエラーが大事を招くんだから学びたい、こう言っている調理員さんたち全員が参加できる研修の機会を設けていただきたいのです。リーダーだけ研修を受けてきてあとは書類を読んでおいてねと、こういう意識にならないように広く参加をさせていただきたいわけです。これはやろうと思えばできますね、文部省
  161. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 御指摘調理員の研修でございますが、公立学校につきましては、従来から市町村教育委員会において、リーダー研修が中心となろうかと思いますが実施をされてきたところでございます。  文部省といたしましても、設置者に対し非常勤職員も含めて調理員の研修を確実に実施するよう指導してきたところでございますが、平成九年度の概算要求におきましては、調理員も含めた給食関係者に対する研修会に要する経費を新たに要求し、その先出天を期してまいりたいと考えておるところでございます。
  162. 阿部幸代

    阿部幸代君 ぜひ上意下達ではなくて広く参加を呼びかけていただきたいんです。次に、保健所との連携強化について伺いたいと思います。  学校給食施設には、食品衛生法に基づいて保健所の食品衛生監視員が年十二回、立入検査をすることになっています。しかし、食品衛生監視員が圧倒的に不足をしていて、都道府県単位で見てみますと、一年に一回の検査はよい方で、約半数が二年ないし三年に一回の検査になっています。私の地元でも、例えば大宮市などでは百十八の学校を五人の食品衛生監視員が担当しています。どうしても二年に一回のところができてしまう、こういうことでした。専任の食品衛生監視員が一人もいないところが一府十四県もあります。  O157食中毒多発を機に専任の食品衛生監視員の増員を図るべきではないでしょうか。これは厚生省に伺います。
  163. 堺宣道

    説明員(堺宣道君) 食品の安全確保に関する専門知識を持っている食品衛生監視員というものは全国に七千三百六十七人、これは平成七年末現在でございますが、配置されております。食品営業施設に対する日常的な監視、指導のほか、食中毒事件発生時の原因究明、それから被害拡大防止等の業務を行っているわけでございます。  なお、日常の監視、指導に当たっては、食品衛生の現状あるいは地域の実情を勘案して計画的に実施しているところで……
  164. 阿部幸代

    阿部幸代君 それはわかりますので、ふやしてほしいということに答えてください。
  165. 堺宣道

    説明員(堺宣道君) それで、昨年の食品衛生法の改正によりまして、営業許可事務に係る事務量が軽減されたことに伴いまして、日常的な監視、指導の強化が図られているものというふうに考えておるところでございます。  このように、現在の食品監視体制の中で必要な対策を講じて食品衛生の強化に取り組んでいるところでございます。  以上でございます。
  166. 阿部幸代

    阿部幸代君 圧倒的に不足をしているということを直視していただきたいのです。  今日、O157食中毒が相次ぐ中、保健所への地域住民の期待が大変高まっています。食品衛生監視員の増員など、保健所体制の拡充こそその期待にこたえる道であり、国民の立場に立った行政改革であるということを私は強調したいと思います。  この食品衛生監視員による学校給食施設に対する問題点の指摘ですが、いろいろあるそうです。例えば、給食施設の出口と入り口が同じだとか、排水路の汚水の出口付近に給食の仕上げ、盛りつけの場所があるとか、あるいは天井や網戸、食品庫の不備を一度に指摘されるとか、さまざまあるわけで、すぐ改善される場合もあり、何度も同じ指摘が繰り返され居場合もあるそうです。文部省は、保健所の指摘全国的にどういう傾向があるか把握しているでしょうか。  なかなか改善されない理由に、目に見えない微生物管理の意識の弱さだけではなくて、金銭的な理由があるというのを御存じでしょうか。学校現場にお金がなくて、やりたくてもなかなかできないんです。新しい施設設備での助成措置だけではなくて、この際保健所から指摘されている問題点を解決するための助成が必要です。  まず、実態把握をしていただけないでしょうか、文部省
  167. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 厚生省におかれましては、二学期からの学校給食の実施に当たって、食中毒防止観点から、給食施設に対してお話にございました食品衛生監視員による衛生監視、指導を行っておるところでございまして、このことにつきましては文部省といたしましてもそれぞれの教育委員会において衛生監視、指導が適切に行われるよう依頼をし、また指導もしたところでございます。その指導等の内容につきましては今後取りまとめがなされるというふうに聞いております。  文部省といたしましては、厚生省等と緊密に協力しながら、学校給食施設における衛生管理実態把握をし、指導内容等を踏まえた適切な改善措置に努めてまいりたい、都道府県教育委員会と一体となって努力をしていきたいと考えております。
  168. 阿部幸代

    阿部幸代君 次に、日本体育・学校健康センター並びに各都道府県の学校給食会の食品検査について伺います。  日本体育・学校健康センターは、学校給食用物資の適正、円滑な供給を設立目的の一つとして持ち、食品検査室も持っています。取り扱う指定物資の中には輸入牛肉やその加工品も含まれています。取り扱い物資のO157チェックはどうなっていますか、文部省
  169. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 御指摘のように、日本体育・学校健康センターでは、食品検査のための施設を有し、従来から食品添加物、残留農薬等の検査を実施してまいりました。  そして、そのO157につきましては、センターが取り扱う牛肉につきまして、六月二十五日から日本食品分析センターへの依頼により実施をし、検査方法が確定をした八月からはセンターの食品検査施設において検査を実施しておるところでございます。
  170. 阿部幸代

    阿部幸代君 ことし八月から始まったということですね。  外国牛のO157感染率は高いと言われていて、厚生省も文献に基づいて汚染実態を公表しています。輸入牛肉を学校給食食材として一手に供給する日本体育・学校健康センターの責任は極めて重大です。厳重なO157チェックを要望いたします。これを各都道府県の学校給食会にも徹底していただきたいと思います。  最後に、教育の一環としての学校給食を、効率性やコスト優先の立場から安全性と食事内容の豊かさを重視したものへと転換するために質問したいと思います。  堺市のO157中毒事件は、センターのないセンター方式とも言われる共通献立と食材一括購入方式被害を拡大しました。共通献立や食材の一括購入、それらに基づく調理方式そのものを改めていくべきではないでしょうか、文部省
  171. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 共通献立の件につきましては、やはり学校実態に応じて、あるいは子供の実情に応じた給食をそれぞれの設置者が提供するということが望ましいわけでございます。そういった観点で、統一献立というのは設置者の判断により行われているわけでございますが、今後そのあり方については研究をしていく必要があるというふうに考えておるところでございます。  また、給食食材の一括購入につきましても、これはどのように購入するかというのは設置者の判断にゆだねられておるわけでございますけれども、これ自体は保護者負担の軽減を図りながら良質で安全な食材購入することを目的として実施されておるわけでございます。ただ、食材に病原菌が付着している場合には被害が拡大をするというふうな問題点もございます。  いずれにいたしましても、設置者が統一献立てあるとかあるいは一括購入というものを行う場合には、今回の食中毒事件も考慮に入れながら、それぞれのメリットを生かしつつ運用面で工夫をしていく必要があろうかと思いますし、その内容等については今後検討すべきものと考えております。
  172. 阿部幸代

    阿部幸代君 文部省の認識は甘いと思うんですよ。冷凍庫を全国学校に設置することを急ぎながら、子供たちの口に入る食材の安全確保のための努力がないじゃないですか。食材原因物質だから、その食材を一括して購入したり、その根拠になる統一献立を見直すべきだというふうにみんな認識しているわけですよ。これは改めるべきだと思います。  そもそも食材を時間を置かずに調理して、調理したものを時間を置かずに食べるのが一番安全なんです。これに一番合致するのが直営の単独自校調理です。さんざん議論がされていますが、お弁当というのは栄養面からも衛生面からもおのずから限界があるし、民間委託は業者のもうけの分、給食内容給食従事者におのずからしわ寄せが行くわけなんです。  そこで、一九八五年の「学校給食業務の運営の合理化について」という文部省体育局長通知についてですが、「学校給食の質の低下を招くことのないよう十分配慮すること。」と言いつつ、「パートタイム職員の活用、共同調理場方式、民間委託等の方法により、人件費等の経営経費の適正化を図る必要がある」としています。この押しつけをやめるべきではありませんか、文部省
  173. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 学校給食をどういう形で実施をし、運営するかについては設置者の判断にゆだねられているところでございますが、文部省といたしましては、学校給食業務の合理化に当たりましては、学校給食教育活動の一環として円滑に実施されるということを基本に置きまして、設置者として十分その責任が果たせるような体制のもとで行うとともに、学校給食の質の低下を招くことのないよう十分配慮するように指導しておるところでございます。  今後とも安全に十分配慮しながら、しかも豊かな給食が提供できるよう指導してまいりたいと思っておるところでございます。
  174. 阿部幸代

    阿部幸代君 設置者の判断ということで文部省の責任を回避しないでいただきたいのです。文部省の通知というのは周知徹底するために出されるんですよ。もし設置者の判断でいいというのでしたら、この通知は廃止をするべきではありませんか。
  175. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 現下、行財政改革が進められる中で、どのような形で給食を提供するかということにつきましては、それぞれの自治体が地域の実情等あるいは学校実態も踏まえながら判断をしていただきたいという趣旨で申し上げているところでございます。
  176. 阿部幸代

    阿部幸代君 ぜひ廃止をしていただきたいと思います。  私は、日本体育・学校健康センターの「学校給食広報」十一月号で紹介されている「ドライシステム導入で清潔で楽しい環境づくり」と紹介されている、私の地元なんですが、埼玉県越谷市立第三給食センターを見てまいりました。いろいろ勉強させていただいたんですが、早朝から午後四時までで、私のような素人でもいろんなことに気づいてしまったんです。  小学校八校、中学校合わせ十三校、八千七百七十八人分の給食をつくるこのセンターは、学校から遠過ぎて子供たちが見に来ることができません。調理室も、最も人間的な営みである調理師さんたちの切菜、野菜を切る作業を見ることができない構造になっています。  残菜処理はどうか。文部省衛生管理チェックリストの、残菜処理を適切に行った。残菜容器は清潔であるの項国に合格しないのじゃないかと思われます。養豚業者の三本の円筒状の容器に一トン程度の残菜が入れられるんですが、本当は室内に入れてはいけないのに室内の食器、食缶の洗浄器、デラックスな大変衛生的と言われる設備の前に置かれて、そこで残菜が次々と入れられています。外の窓際に置くとハエが集まってくるのは必至です。  十三校八千人を超える児童生徒に対して給食指導の中核を担う栄養士が四人、そのうち二人は越谷市が単独で置いているんです。結局、教育の一環としての安全で豊かな学校給食という根本精神が貫かれないからこういうことになったと思うんです。もし貫けば、教育的な構造や残菜システムにお金をかけることもあり得たはずです。せっかくつくっても本当に矛盾そのものです。まして、センターのないセンター給食、堺方式で大量の食中毒と死亡者が出るというのは、学校給食の質の低下そのものではありませんか、文部省
  177. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 学校給食につきまして、食中毒事故というものが起こっていることはまことに残念なことであります。  文部省といたしましては、やはり給食関係者に対する衛生管理徹底を期すと同時に、施設設備について衛生管理の面からより充実したものとなるよう、今後とも引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
  178. 阿部幸代

    阿部幸代君 大臣、一言、済みません。
  179. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) いろいろ御指摘がありましたが、O157の事件が再発しないように、我々としては学校給食についてのソフト面あるいはハード面の改善に全力を尽くしていきたいと思っております。  また、共同調理方式がいいのか、自校調理方式がいいのか、これについては私も現場を見まして、それぞれにメリット、デメリットがあります。こういう点につきましても、それぞれの教育委員会とよく協議をしながら、ひとつ実態に合った対策を立てていきたい、このように考えております。
  180. 中尾則幸

    中尾則幸君 中尾でございます。  先ほど来の質疑にもございましたけれども、私は、まず平成六年度の決算検査報告のうち、一郵政、文部両省が指摘を受けた不当事項について若干お尋ねしたいと思います。  毎年度の検査報告で指摘されておりますのが、郵政関係では郵便局職員による保険料、それから預入金等の現金に関する不正行為でございます。大多数の職員は大変まじめに働いていらっしゃるということは私も存じ上げておりますけれども、ごく一部とはいえ、こういう不正行為が依然として後を絶たない。調べましたら、平成四年度は四十九郵便局で損害額が六億七千万余り、それから平成五年度が三十二郵便局で二億二百六十万余り、当決算の六年度でございますが、四十四郵便局で七億六千万余りでございます。  こうした不祥事は、やはり現金を扱う大変な大事な仕事でございまして、国民の不信感というんですかね、郵政に対する不信感にも大変つながりかねない。そこで、どんな防止策をとられているのか、簡単に御説明願いたいと思います。
  181. 結城淳一

    説明員(結城淳一君) 職員による不正行為というのはお客様の郵便局に対する信頼を裏切るものでございまして、大変遺憾に存じております。  職員による不正行為を防止するため、郵政研修所、郵便局等におきましては教育訓練、それから各種会議を通じて職員に対する防犯意識の高揚及び生活指導徹底を図る等の措置を講じております。  それからまた、お客様との間での正規取り扱いの遵守、特定郵便局長が相互に郵便局を点検する相互防犯点検施策の実施、そのほか犯罪を許さないための現金や切手の検査、重要式紙類等の監査の徹底、こういったことに取り組んでおるところでございます。  それからまた、監察活動ということでございますけれども、犯罪の未然防止と早期発見に重点をおきまして、郵政監察官等が郵便局に臨局いたしまして防犯管理体制の点検や取扱業務に関する調査を行うなど、犯罪の防止に努めでおります。  以上のような防止策を今後ともさらに一層徹底することによりまして、犯罪の根絶を図るよう努めてまいりたいと考えております。
  182. 中尾則幸

    中尾則幸君 文部省に伺います。  これも毎年のように指摘されている事項でございますが、義務教育費の国庫負担金の経理の問題でございます。  これは教職員定数の過大な算定のミスということが背景にあろうかと思われますけれども平成四年度が一億六百万円余り、六年度が大変改善されて、三千八百万円余り。しかし、まだ三千万余りの会計ミスといいますか、これは悪意はないと思うんですが、これについていろいろ聞きましたら、複雑な算定基礎だとか対象が果たして含まれるかどうかというようなことがあろうかと思いますけれども、どういうふうに周知徹底を図っているのか、一言お伺いしたいと思います。
  183. 小林敬治

    説明員小林敬治君) 今、義務教育国庫負担金につきまして、平成六年度につきましては五県で約三千八百万円の過大交付があったという御指摘がございました。  総額が約三兆円ほどになります。その原因といたしましては、総数が約七十五万人の教職員に係るものということでございまして、大変膨大かっ複雑な事務処理が必要になってくるというところからこうした誤りが生じているものというふうに考えております。私どもといたしましては、会計検査院から指摘を受けました関係県につきましては今後再び同様な事態が生じることのないように注意を促しますとともに、それぞれ過大交付となった国庫負担金を平成六年度につきましては平成七年度中に返還させました。  それから、今般指摘を受けなかった都道府県におきましても同様の事態が今後生じることが考えられますので、文書等を通じまして指導いたしますとともに、都道府県の関係課長会議等におきまして必要な指導を行ってきたところでございます。件数、金額が急速に少なくなったとはいえ、それでもなおこういう時代でございますので、今後ともその絶滅といいましょうか、こうしたことがないように注意を払ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  184. 中尾則幸

    中尾則幸君 私は、今決算委員会の審査に当たって、私が持っているのは平成三年度以降の決算検査報告に関し国会に対する説明書、これは国会に毎年度提出されているというので三年度からちょっと調べてみました。そうしましたら、これは郵政それから文部関係で、不当事項あるいは不正事項、郵政省関係を若干紹介しますけれども、「職員の不正行為による損害が生じたもの」、これはたしか郵政省郵政省で決意というか、今後こういうことのないようにという決意表明をやられている。  ところが、これを読みましたら、平成三年度も平成四年度も、それから平成五年度も一字一句違わないんです。私は重箱の隅をつつくようなことはしたくないんですが、今お話しのように今までこれほど大変いろいろ御苦労されてこういった犯罪の未然防止に努めておられるということは先ほど来の質疑でも伺っておるんですが、これはこういうマニュアルがあって完璧だということであるかどうか、一点聞きたい。  それから文部省文部省は接続詞を一つ変えたり、あるいは名詞を一つ変えてございました。ほとんど同じでございます。これを国会に出して、わざわざ調べる人もいないんでしょうけれども、私はこれを見る人が見たらせっかくの皆さんの御努力がむだになるんじゃないかと思っているんですが、一言で結構です。
  185. 結城淳一

    説明員(結城淳一君) 発生いたしました不正行為の態様を分析いたしまして、防犯のための対策を毎年種々講じているところでございます。しかし、個々の施策を包括的にあらわすための抽象的な表現になってしまうということでございます。  例えば一、二具体的な中身を平成五年度の例で申し上げますと、特定郵便局長がほかの郵便局を点検する相互防犯点検を開始したのは平成五年度でございます。防犯点検をしっかりやろうという書き方になっておろうかと思います。それから資金横領事件が多発いたしましたため、その防止のための現金検査の徹底……
  186. 中尾則幸

    中尾則幸君 言いわけは結構です。
  187. 結城淳一

    説明員(結城淳一君) はい。  こういったことも具体的な措置として講じさせております。今後とも、マンネリとかなおざりにならないように対処してまいる所存でございますので、よろしくお願いいたします。
  188. 中尾則幸

    中尾則幸君 これを深く追及するあれはございませんけれども、そういったお心があれば確かにこれで完璧と言われるかもしれませんけれども、その時代、その年度においての特徴と取り組みを私はしっかりこの文書に、少なくとも国会に提出する資料でございますので、やっていただきたいなと思っています。  続いて、私は、両大臣がせっかくおいででございますので、情報通信政策について若干御質問申し上げたいなと思っています。  申すまでもなく、マルチメディア元年と言われたのは、たしか大出郵政大臣大臣になられた二年前だろうと思っています。アメリカ等世界の例を見るまでもなく、二十一世紀、これは産業、社会、経済すべてにかかわってくる大きな問題、課題であろうかと思っております。  まず、郵政大臣にお伺いしたいなと思っておりますが、都市の一極集中をなくすためにもマルチメディア、高度情報化というのは大変必要だというふうに言われておりますけれども、新しい時代の地域づくり、地域の再生といいますか、その切り札の一つである情報通信政策、これは今後どう取り組むのか、大臣の決意を先に伺いたいと思います。
  189. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 郵政省では、情報格差の是正、地域の特性を生かした情報通信の活用、また先導的アプリケーションの開発、産業振興の四つの観点から地域振興政策を推進しているところであります。こうした観点は、政府の高度情報通信社会推進に向けた基本方針の中の行動原則にも反映されているところであります。  今後とも、このような考え方のもとで全国的に均衡のとれた情報通信基盤を整備し、住民が高度なサービスを享受できる環境の整備や就業機会の拡大を図ることにより、一極集中を緩和し活力ある地域社会の実現に取り組んでまいる所存であります。
  190. 中尾則幸

    中尾則幸君 平成六年度から郵政省は各省庁と連携をとりまして地域の情報化に取り組んでおられる。大変努力されているなというふうに私も常々思っておりました。  特に地域の情報化の中で、遠隔医療介護システム、これは大分県でも実際に行われているやに聞いております。それから遠隔学習システム、さらには静岡県浜松では電子市役所、電子市役所という言い方が適切かどうかわかりませんけれども、行政サービスを非常に簡素化するというような取り組みも始まっていると伺っています。  こうした自治体ネットワーク施設整備事業について私、大変興味を持っておりまして、これが一つの地域政策のあり方の呼び水になるかなと私は理解しておるんですが、今後、この地域政策について郵政省としてはどう取り組んでいくのか。  それからもう一つ、今盛んに言われている沖縄の振興策の中で、郵政省がたしか九月ですか、打ち上げました高度情報化、いわゆる私は日本版スマートバレー構想というふうに思っておりますが、そのマルチメディア特区についての青写真、これをかいつまんで御説明願いたいと思います。
  191. 木村強

    説明員(木村強君) 先生たしか参議院の逓信委員会で情報通信について御理解を賜りまして、これからの時代に非常に大切な仕事であるというようなことで私どもを激励していただいたことを覚えておりますが、特に高度情報通信社会の構築ということで、政府にできました総理大臣を本部長といたします会議にも郵政大臣が副総理権でこれからの情報通信社会の音頭取りをいただいておるところであります。  その中で、私ども行動原則、政府一体となって、郵政省だけがどうだということではなくて、例えば今の先生のお話にもございましたように、自治体ネットワークというのは遠隔教育であるとか医療であるとか、具体的なアプリケーションになりますと、文部省であるとか厚生省であるとか、関係するところとよく連携をとって進めなきゃいかぬということでもございますので、そういう点に配慮をしながら取り組もうということでありますけれども、既に平成七年には行動原則というものが大臣も申し上げましたように出ております。この中で特に、だれもが情報通信の高度化の便益を安心して享受できる社会、それから活力ある地域社会の形成への寄与といった点に重点を置いて地域振興策を進めたいということであります。  私ども、とりあえずといたしまして高度な情報通信基盤ができるということは、それ自体大切なことでありますけれども、これがどのように使われていくかというのがもっと大切でございまして、まず日本国民、地域住民の方々が一番役所との関係で深い、どうしても核で必ずサービスを受けるというのは自治体における住民サービスでございます。  したがいまして、自治体ネットワーク施設整備事業というものを平成六年度からスタートさせておりまして、最初は一億円程度のお金でございましたけれども、八年度では三十億ちょっと、九年度では四十億弱の予算要求を現在しておるところでありまして、自治体と連携をしながら実際に遠隔教育であるとか遠隔医療であるとか、それから大分県は先生指摘ございましたように医療の分野であります。それから岐阜県の谷汲村というのがこの十一月の初めにスタートしたわけでありますけれども、村の段階でもそういう情報通信を使って中学校学校教育で遠隔教育あるいは授業風景あるいは共同の学習をしていこうという試みもなされておるということで、私は、これを西暦二〇〇〇年までに三百自治体で行っていこう、先行整備期間として一番住民に身近に、情報化がこういうことだなということがわかるような仕組みというものを国の力でやっていきたい。あとは民間が中心になっていこうかと思いますけれども、そういう立場でこれからも地域振興策、活性化あるいは一極集中の是正と。情報通信というのは本当に離れておってもこれからの社会に非常に役に立つ問題でありますから、そういう対応の仕方ということで取り組んでおります。  それから、御指摘のございました沖縄振興策ということであります。これは、沖縄の振興ということで政府として全力を挙げてこれから取り組もうということでございます。  私どもといたしましては、沖縄をマルチメディア特区構想ということで、アジア太平洋地域の情報通信のセンターにしていこうと。ここでそういう試みをいたしますと、具体的には、そこで産業が興りコンテンツが集まり人材も集中するということで、沖縄の産業振興にもかなうことでございますし、それから雇用にも大切なことだろうと。それからやはり情報通信というものが全世界に発信をしていくという県の要望にもかなうだろうということで、県の御意向をよく踏まえながら、情報通信政策の分野で何か新しいことができないかということで構想を抱いておるものがこの特区構想でありまして、現在政府に置かれております沖縄政策協議会にプロジェクトの一つとして登録をいたしまして、現在検討を鋭意行っておるということでございます。  沖縄の情報発信機能の強化、あるいは離島も含めた行政サービスが、四十九ほど今人の住んでおられる離島が沖縄にはございますけれども、ここと診療所だとかあるいは学校と結んだ遠隔教育もできる。それから、先ほど申しました産業集積と雇用促進にもなるということで、沖縄県とよくすり合わせをしながら、中央が一方的に何か構想を押しつけるというのではなくて、そういうニーズをよくつかみながら構想として今検討を進めておるという段階でございます。
  192. 中尾則幸

    中尾則幸君 今の御説明もありましたけれども文部大臣に伺います。  自治体ネットワーク施設整備事業でも随分各地でやられておりますけれども文部大臣、遠隔教育についてどのようなお考えを持っていらっしゃるか。つい先日調べましたら、パソコンの設置状況、これは文部省も大変努力されて、高校が公立ても一〇〇%、中学校で九九・七%等々の状況である。いよいよ施設整備をされてきているなということは実感するんですが、インターネットを使っての情報の発信、やりとり等々、まあ教育環境も随分変わってくるなど。  簡単で結構ですが、遠隔教育についての文部省取り組みをひとつお伺いしたいなと思っています。
  193. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 具体的なことは担当から答弁させますが、基本的な部分について申し上げたいと思います。  今郵政省からも説明があったとおり、これからの日本社会は急ピッチで情報化が進展していくと思います。そういう中にあって、これからの高度情報通信社会に生きる子供たちにとっては、必要な資質を養っていくということは重要な課題だと認識しております。特に、今実用面としては遠隔教育、既に始まっておりますし、医療もそうでしょうし、そういった点で進んでいきますが、文部省といたしましては現在の小中高の学習指導要領においても情報教育内容の充実ということを図っておりまして、ハード面、ソフト面の整備充実及びもう一つ大事なのは教員の指導力の向上、こういうことが大事だということでさまざまな施策をやっております。  今御指摘のとおり、確かにコンピューターの設置率は高校一〇〇%、中学九九・七%、小学校八四・七%となっておりますけれども、平均設置台数を見ますと、高等学校で六十一・九台、中学校で二十三・九台、小学校で六・九台というように、まだ設置台数においても不十分なところがあります。  それから、ソフトの面でも一応大変なソフトの保有本数、高等学校では二百五十五本とか中学校は四百六本、小学校は百本ということですけれども、その種類はまだまだ三十本とか五十八本、十九本と、こういう状況であります。そういうふうにまだまだ充実をしていかなきゃいけない。  特に、私もこの間、学校給食と同時にコンピューター教育も見てまいりましたけれども指導先生が非常に限られているんですね。本当に若い理科の先生ぐらいしか指導ができないという状況でして、現在コンピューターを操作できる先生の数は、高等学校で五四・五%、中学校で四七・一%、小学校で三二・二%と、こういうことでありまして、特に今度は子供指導する能力を持っているという点になりますと、これはさらに減りまして、高等学校四一・三、中学四四・七、小学校三八・五ということで、なかなか大人になってコンピューターを覚えるというのは大変なことでありまして、私も文部大臣になって大臣の机の上にコンピューターを設置しましてホームページも開設をしたんですが、なかなか操作は難しいというのが実感でございまして、ぜひそういった面でこれからハード面、ソフト面、そして教員の養成という面から充実を図っていきたいと思っております。
  194. 中尾則幸

    中尾則幸君 文部省から資料をいただいたんですが、公立の小中学校に対して僻地学校マルチメディア活用方法研究開発事業というのを平成七年度からやっていらっしゃる。もう時間も余りないんで一言で伺いたいんですが、今、自治体ネットワーク施設整備事業、それから実際具体的に遠隔教育は始まっているわけですよ。それはビデオ・オン・ディマンドとかいろいろありますね。その対応取り組みが違うんですが、それと文部省が一体化してやるべきじゃないか。当然やっているんではないかと思うんですが、研究事業で四億四千万余りあれしているんですが、もうそういう時代ではないかと思っています。  時間あと一分ぐらいしかありませんので一言。この連携、言ってみればネットワーク社会なんで、もちろん御存じの縦割りじゃないという中で、私も各省庁いろいろ聞いていまして、どうもまだ失礼ですけれども昔の癖が出ているなと思っているんですが、一言。
  195. 小林敬治

    説明員小林敬治君) 確かにネットワークとしては、利用できるものは利用させていただくということがよろしいかと思いますけれども、私どもとしては、いわば都市部にある本校とそれから僻地にあるいわば分校、仮にそういうふうに申し上げますと、そこで大画面による情報通信ができたときにどのような事業展開ができるのかというようなことを中心に研究しようとする事業でございます。  それからさらに、今後は病院内の学級とそれを設置いたします学校との間で同じようなことをさらに研究的にやってまいりたい、こういう趣旨で私どもはやっているところでございます。
  196. 中尾則幸

    中尾則幸君 本当はきょうはテレワークについても、一昨日出たあれについてもお伺いしたかったんですが、時間が参りました。  私もこの夏、ノースカロライナのある高校でちょっと遠隔教育を見てまいりましたら、学校先生ばかりでコンピューターを覚えるというのは大変なので、いわゆるCG、コンピューターグラフィックを扱う専門の技術者が教育の素材をつくって一生懸命やっているわけですね。だから、そういう分担をしていったり、いろいろな方法があると僕は思います。  それから、文部省の方に申し上げたいんですが、大変潜越ですが、例えば僻地と都会の学校という発想法が、私これ資料を読みましたら、それじゃないんですよ。それを抜け切っていかなきゃいけないんです。恐らく双方向なんです。だから、僻地だとか日本国内だけじゃなくて、世界的な視野から考えていっていただきたいなと。例えば動脈から静脈に流すという発想法であれば、恐らくそううまくいかないだろうということで、多分釈迦に説法であったと思いますけれども、どうぞよろしくお願いします。  ありがとうございました。終わります。
  197. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、阪神・淡路大震災に対する学校教育の復旧・復興対策に絞って質問をしていきます。  阪神・淡路大震災から一年十カ月が経過して、多大の被害を受けた被災地学校周辺では、家の新築や道路の補修が進んで復興の兆しか感じられます。しかし、被災した子供たちの生活の中には震災の傷跡がまだまだ深く深く残っているということを私は文部大臣にきょうはぜひとも知っていただきたい。  兵庫県教育委員会が九月十七日に集約した大震災影響調査によりますと、被災地の要保護・準要保護の児童生徒が、平成六年三万一千九百二十七人であったのが、平成七年は四万九千二百二十九人、平成八年には五万三百九十三人と確実に増加をしております。  この事実と事態とに比例して、心の健康について教育的配慮が必要だとする児童生徒の数も確実にふえているんです。復興は進んでも、子供の心の傷はやはり深く、それが増加するというこの問題をぜひとも御認識いただきたい。  それで、神戸市では小学校児童数が、小学生が九万八百七十一人います。平成七年では教育的配慮を要する児童が八百八十一人でありましたけれども、四百三十人増加して千三百十一人となりました。中学校では生徒総数四万六千九百九十五人いますが、平成七年には教育的配慮を要する生徒が九百七人いたのが、何と五百二十人増加して千四百二十七人になった。阪神各都市でも同じように、児童数で二百八十五人から三百九十四人へ、生徒数で三百三十二人から四百七十九人と増加をしているんですね。  その一方、いじめとか不登校、暴力行為といった問題行動も、各年度の四月から六月、統計を見ると、平成六年は千二件、平成七年は千三百二十件、平成八年千三百四十三件とやはり増加をしております。  さらに、仮設住宅を初め校区外から他都市へ転出した児童生徒数は、平成八年七月現在で七千百五十一人に及んでいるんです。それで、もとの学校に復帰できるかというとなかなかそうはいかない。平成八年度で何とわずか三百六十八人、平成九年度に予定されているのは百二人という状態なんです。戻れない。それがどういうことかというと、仮設住宅にいまだに二千九百四十人子供が住んでいる。それから親戚・知人に九百四十七人、その他ということで自宅でないというのが四千三百七十三人、こういう実態。道路はよくなった。鉄道は通じた。ガス、電気、水道は戻ったといっても、こういう事態はほとんど変わっていないということなんです。  そこで、文部省は大変な配慮を去年はしてくれました。感謝しています、それは正直言って。それは、こうした被災地の学校に通う子供たちの心の健康についての教育的配慮をするために、被災地特例として教育復興担当教員というのを兵庫県に配置してくれました。この措置に勇気づけられた兵庫県の教員は文字どおり必死になって頑張りました。やはり文部省がやってきたことにこたえようと。家を焼かれ、家をつぶされ、先ほど言いましたように親や家族を失い、最低の生活と環境に置かれた子供たちを励まし励まして今頑張っております。  そういう皆さんが何をやっているかという記録を私はここに一部もらってきました。文部大臣もちょっと読んでもらえばいいと思うんですが、文部省がやったこの配慮でその教師がどないして学校で頑張っておるかということなんです。大変た仕事を彼らはやっています。  どういうことをやっているかというと、例えばこういうことなんです。震災以後、親と離れることが不安で家を出られない子供がやっぱりおるんです。それから学校へ行く途中に地震が起こったらどうしようという不安と心配で家へ帰ってしまう子供もおる。それから震災のときから親や他人に不信感を持って、そして荒れる子供。  結局、そういう子供対応するには単なる今までの生徒指導じゃなくて絶えず生活指導が要る、家庭訪問が必要になっているんです。むしろ親の心の健康をどう取り戻すかというところまで学校の教員がかかわっていかたきゃいかぬという事態が起こっておるんです。文部省としてはそんなことは学校の教員のすることじゃないとおっしゃっても、そういう親のところから通っている子供考えるときに、やっぱり親との対話をせにゃいかぬでしょう。  それからまた、さっき言いましたような転出した子供に対しても学級通信を出したり学校通信を出したり、帰ってきたときにその子供が素直に学校に入れるように絶えず情報をその担当教員が流している。そして激励、また悩みの相談、わざわざその子供の転出先へ行ってやったりしております。  さらに、仮設住宅とか親類・知人とか、あるいはまたその他今までの自宅でないところで生活する間、子供は勉強できないんですよ、はっきり言って。だから一これは学習補助をしてやらなきゃいかぬということで、その子供たちだけを別にする。また、震災の間、あれは一月十七日でしたから、あの年の三学期と一学期ほとんど勉強できなかったという子供のいる学校は大変なことなんですよ。中学校のことをどうするかという問題を控えて、その子たちの学習補習を特別にやってやらなきゃいかぬ。まさかその子供たちに間に合うような試験を出せと言うわけにはいかぬでしょう。  こういうことが起こっているんですよ、事実。それを文部省が中心になって特別な配慮をしてくれたし、それぞれの学校では担当時間をそれぞれうまく割り振ってできるだけこういう地震の復興に対応できる教職員をつくり出して、努力して頑張っているのが現状なんです。  そこで私がお願いしたいのは、何とか来年度もこういう教育復興担当教員の数を増員してもらえないか。というのは、先ほど私が例を挙げたのはそういう条件でぎりぎりの状況を説明したんですよ。一年十カ月もたてば、先ほど言ったように道路もよくなる、いろんなインフラの面はよくなっていっているけれども子供の心の中に負った傷とかあるいは行動状況というのは一向によくない、さらにふえているという状況に対して、もう来年はそういうのは特例として要らぬだろうと、こういう状態だけには絶対なってもらいたくない。むしろ、こうした増加している現象に対応して増員を私は地元出身の議員としてぜひとも文部省にお願いしたいんです。  最後に子供の詩を一つ読んでみます。  生きていること。  それは、困難のかべにぶつかり  それを乗りこえること。  約束された死までの時間を  輝くものにすること。  死んでしまうこと。  それは、輝く人生を終え、  他の人の心の中で  永遠に生きていくこと。これは芦屋市の精道小学校の六年生が友人を震災で失ったその悲しさを詠んだ詩たんです。立派な詩だと思うんですよ。  だから、子供子供といってもこれだけの詩が書けて、そんな思いを持った子がいっぱいおって、それに対応する学校なんですよ。  どうかひとつよろしくお願いしたいと思います。
  198. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) あのような悲惨な体験をした子供たちの心にいかに大きな衝撃を与えたか、そしてそれがいまだに大きな傷跡として残っているか、今、先生が御指摘されたとおりであります。外形的なインフラは着々と復興しておりますけれども、心のケアという面では私はまだまだだと思っております。そうした中で、現場学校あるいは教職員方々が必死にそうした子供たちの心の傷をいやすという活動に努力されていることは太いに評価しております。そして、先生から今御評価をいただきましたようにカウンセリングの担当教員、これはかなりふやしたところでございますが、これから平成九年度の予算につきましては、兵庫県からその後の状況も十分聞いた上で適切に対処していこうと、こういうことでございます。平成七年度から八年度につきましては、職員定数について兵庫県の実態あるいは要望を踏まえて、また先生方の御努力もあって教育復興担当教員、我々はカウンセリング担当教員ということで、追加配置ということでかなり努力をしたつもりでおりますが、先ほど申し上げたように、今後の問題につきましては十分県の意見も聞いた上で対処していきたいと思っています。
  199. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今の答弁、私は不満ではないんですが、適切なる対応とおっしゃったわけで、その適切なる対応ということは、全体の中で今教職員の定数を減らせという物すごい攻撃がかかっているでしょう、だから危ないなと思っておるんです、私。震災なんてもう終わったんじゃないかといって、吹っ飛ばされるんじゃないか。だから、さっきから時間をかけて、何が一体起こっているのかということを文部大臣にはわかっていただきたいといってお話ししたんですよ。  適切なる対応とおっしゃいましたが、これは今配置されている教員の数がなくなったり減ったりするんじゃなくて、現状、そういう状況が増加していることに適切に対応すると、こうおっしゃっていただいたというふうに理解してよろしいですか。
  200. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 内閣全体としましても、阪神・淡路大震災の復興対策というのは最重点の課題でございます。しかし、一方において非常な財政難という状況もあります。その中で、私としては、特に精神面、ソフト面のケアというものは非常に大事だと、この辺の対策の重要性を大いに訴えて、力いっぱい頑張っていきたいと思っております。
  201. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ありがとうございます。  子供の心に残った傷は今治さないと。やはりそれを残したときに一体どういう状態になるかということに私たちは悔いを残さないようにしっかりやりたいと思いますので、よろしくお願いします。  それで、今この問題は、結局、来年度予算で教職員定数がどうなるかという問題と私は深くかかわっていると思います。ところが、これは毎年の年中行事みたいになっているから別に驚きはせぬのですが、またことしも十一月十七日にさる新聞が一面のトップに、来年度の予算編成では教員定員増を認めず、国庫負担を削減するという方針を大蔵省が固めたという記事が躍るわけです。皆びっくりします。  そこで、私はこのことも文部大臣にきちっと御理解いただきたいんですが、この定員増を認めずなんという、この定員増というのはふえるような錯覚を持つんで、ふえるんじゃないんですよ、実は減っているんですよ。  第六次教職員配置改善計画というのが現にあるわけで、今進行中で来年度は五年目になるんです。六年の計画で五年目になるんです。そこで、文部省が四千八百三十二人を要求している。これは増の要求だと言うけれども、しかし実態は一九九三年から九八年までのこの六年間に教職員の数は六万四百人も減るんです。六万四百人も減るんですよ。私たちは減らさずにその教員を確保すればもっといい教育条件が整備できるだろうと主張したんですが、削るとこう言うわけです。黙って削らせるわけにはいかないので、そこで削られる半分だけは教育条件の改善に回せということで、毎年約五千人、六年間で三万四千人、減るのを何とかとめたということだと理解しておるんです。  教職員の実数からすれば三万人が確実に減員になるというこの事実がわからへんのですよ。それで、ふえる、ふえる、何で教職員だけかと。ふえているんじゃないんだ、実数は減っているんだというここのところはもう篤と大臣も御承知だと思うんです。大蔵省が文教に聖域を認めずと。私らは文教に聖域などと言うたことはないですよ、一遍も。必要だから要求しているだけでありましてね。  だから、第六次教職員配置改善計画の第五年次分、四千八百三十二人、これを確保するということについてのひとつ文部大臣の御決意を一言披瀝いただければと考えます。
  202. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 先生指摘のとおり、平成五年度から十年度までの六年計画で教職員の配置改善計画というものを発表して、自然減は一万人以上毎年減るわけですけれども、そこを半分くらいにとどめてその点で教育の改善をしていこう、こういうことでやっているわけであります。来年度の予算につきましては改善計画の第五年次分ということで、今御指摘のように四千八百三十二名の教職員配置の改善を図るということで概算要求をしているところでございます。  財政当局は厳しい現在の財政状況のもとでかなり厳しい姿勢を示してくると思いますが、今、先生指摘のとおり、私も教育というものはやはり未来に対する大変な投資である、そういう見地に立って精いっぱい頑張っていきたいと思っておりますので、ひとつ御支援いただきたいと思います。
  203. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それと同じように、これも毎年出てくるんですが、義務教育国庫負担法の問題で事務職員栄養職員を義務教育国庫負担法の枠から外せという問題が出てくる。ことしもまたやっぱり出てきております。  この辺についても歴代の文部大臣は、事務職員栄養職員もこれは学校教育法に基づく学校の基幹職員であるということを明言されて、義務教育国庫負担法の枠から外すわけにはいかないということで頑張ってきていただいた。大臣もその方針を貫いていただけますか。
  204. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 教育は、単に教える先生だけではなくて、やはり栄養職員あるいは事務職員も含めて一体となって学校教育を支えているわけでありますから、今、先生指摘のとおり、教育の場、学校の基幹的な部分を占めている基幹的職員、そういう認識に立って今後とも対処していきたいと思っております。
  205. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 最後に、同和教育関係する問題をお尋ねします。  ことしの七月二十六日に閣議決定された「同和問題の早期解決に向けた今後の方策しというのがございます。私も持っているんですが、この中に高等学校等進学奨励費補助事業というのが非物的事業の中に書かれてございます。これは、五年間の経過措置を講じて終了する、終了するときは所要の法的措置を講じると、こうなっておりますから、引き続き継続されるものと私たちはこの文面からは読み取ります。  そこで、説明のところにこういうことがあるんです。「経済的理由による返還免除制度及び貸付金額について他の奨学資金制度との整合性を考慮し、適正化を図ることとする。」という項目があって、私はこの「適正化」という言葉にひっかかっています。というのは、今、日本育英会が実施している奨学資金制度の問題と同和地区の差別部落の子供たちが高等学校へ進学するときの奨励費、一般的には解放奨学金とかいうふうに呼ばれております。  というのも、平均で見ますと、高等学校や高専への進学率で、九四年では全体として九六・五%が進学しているけれども、対象地域の子供たちは九二%しか進学できていない、四・五%の格差がある。大学では全体で三六・一%の進学率があるけれども、対象地域は二四・三%、一一・八%の格差がある。こういうことにかんがみてこの奨学金制があると私は見ているんです。だから、これは他の奨学資金と、やはりこうした差別という具体的な事象が解消されるまで本来の趣旨にのっとった形で継続されるべきだ、適正化の名のもとに一般的な奨学資金の形にしないでいただきたいという私は強い願いを持っておりますので、このことについて一言お願いいたします。
  206. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 同和問題の対象地域の教育水準の向上には、従来やってまいりました高等学校等進学奨励費補助事業というのはかなり効果を上げてきたと思います。これは地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律という大変長い法律に基づいて実施をされてまいりまして、その期限が来るわけでございます。しかし、本年五月の総務庁の地域改善対策協議会から意見具申が行われまして、この措置を引き続き五年間継続すると、こういうことが決定され、そして七月に閣議決定をされたところでございますが、私、文部大臣としては、この閣議決定を踏まえて、単に期間が延びるだけではなくて、その中身についても後退しないように最大の努力を払いたいと思っております。
  207. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 終わります。
  208. 水野誠一

    ○水野誠一君 さきがけの水野でございます。  きょうは、通告の質問と順序を変えさせていただきまして、先に文部省にお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず、文部大臣にお尋ねをしたいと思います。  このたびの行政改革委員会規制緩和小委員会の論点公開の中で初めて教育問題が取り上げられたわけでありますが、私はこの意味は大変大きい、とりわけ日本の横並び、みんな同じという教育原則というものをひとつこれから破っていく上で非常に大きな意味のある論点公開ではないかというふうに評価をしております。  その中で、「学校選択の弾力化」、あるいは「教育内容の多様化」、「中学校卒業程度認定試験の弾力化」、「学校設置の弾力化」というような項目があるわけでありますが、とりわけこの中でも「学校選択の弾力化」ということが私は大きな意味を持つんではないかというふうに感じています。  学校指定制度というのは、確かに限られた期間に多数の就学予定者に対して学校を振り分けなきゃならないということで、また保護者にいたずらに不公平感を与えないというようなことで、市町村で通学区域を設定し、それに基づいて学校指定を行っているということだとは思うわけでありますが、これは現在唯一その例外的に学校を変えることが認められるのは、極端ないじめ問題等々が発生したときに、親からの希望によってそれが認められるということが例外的な措置であるわけであります。基本的にはその選択の余地は認められていないということであります。  しかし、今日のように非常にいろいろな質の問題、あるいは個性化という大きな課題が出てきたときに、私はこの学校指定制度というものの見直しをそろそろしていかなければいけないタイミングに入っているんではないかというふうに思っております。  例えば、公的介護なんかでも質的な選択権というものが、選択肢が用意される時代になってきているということを考えても、とりわけ学校教育の中で、完全な自由選択というのは無理でも、一種の条件をつけたある程度の範囲の中から選べる規制つきの選択制ということでもいいのかなと思うのであります。こういう制度の導入が教育現場への刺激というものを大いに与えていくのではないかと思うのでありますが、この点について大臣のお考えを例えればと思います。
  209. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今、委員指摘のとおり、この学校指定制度というのは、限られた期間に多数の就学予定者を一斉に就学させる、そういう学校を確定するという必要から、教育委員会でまず学校の指定を行って、その後個々の子供の事情に応じて事後に変更を認めるという仕組みとなっております。  その際、恣意的に学校指定が行われるということのないように大体どの市町村においても通学区域が設定されて、それに沿って学校指定が行われているわけでございますが、これを直ちに弾力化して全部無制限にやれということについては、いろいろと学校間格差が起こってしまうとか、受験競争が激しくなる、こういうような懸念も指摘されておりまして、慎重な検討が必要だと思うわけでございます。  しかし、いずれにしろ、学校指定の具体的な事務につきましては、地域の実情や住民、保護者の意思を把握する立場にある市町村教育委員会の判断によって行われているところでありますので、文部省としても、今後とも各市町村の教育委員会の自主的な判断により地域の実情に即して可能な限り保護者の希望を生かす、できるだけオープンというか弾力的な対応ができるような、そうした多様な工夫が行われるように指導してまいりたいと思っております。
  210. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。ぜひ御検討をお願いしたいと思います。  それから、今申し上げた論点公開の中の二番目に「教育内容の多様化」というテーマがあるわけでありますが、ここでは教科書検定ということが大いに絡んでくるのではないかと思います。  御案内のように、教科書検定制度というのは、学習指導要領と並んで戦後の教育制度のレベルをそろえていく、つまり画一性の高いものにするという効果もあったわけでありますが、その背景にはいかに効率よく知識を吸収させるかという知育偏重の方針というものもあったのではないかと思います。その結果、確かに高度経済成長あるいは教育レベルが非常に高く、国際比較をしてもこの日本教育レベルの高さということはこれは否めない事実でありますが、個人の主体性とか自主性といいますか、その個性に見合った泊我の確立ということを促すという意味では、これからまだまだ取り組まなければいけない教育課題というのはあるのではないかというふうに思います。  その中での教科書検定でありますが、八九年より教科書検定が文部省の諮問機関であります教科用図書検定調査審議会が審査することになっているというふうに理解をしております。しかし、ここで問題なのは、審議会の内容非公開という一つの流れによるものなんですが、審査の過程が公開されていない。また、審査の結果伝えられる検定意見というものは、文書ではなくて口頭であるというところにも私は不透明感があるのではないかと思います。またさらに、最終的に審査が不合格になった場合でも、検定基準が不明確であり、その具体的理由がはっきりしないということが多いようでありまして、そうなってくると出版社側が不合格を恐れてどうしても内容が似たようなものになる、画一的なものになりがちではないかと思います。これは、情報の非公開性というものが、本来教科書の中に求められている多様性というものを圧迫しかねないことになるんではないかと思うわけです。  そこで文部大臣に、教科書検定制度の改革、特に今申し上げました検定プロセス、検定の意見、あるいは検定基準の公開ということについて御見解を伺いたいというふうに思います。  教科書問題というのは、歴史責任の問題も含めて今まで非常にいろいろな議論がされてきていることではありますが、私はその問題とはひとつ切り離しても、この検定プロセスとかあみいは検定基準というものを明らかにしていく、公開していくということの意味は非常にあるんではないかと思いますので、その御検討がされているのかどうか、あるいは具体的状況についてお聞かせいただければと思います。
  211. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 大きく分けて二つの御質問があったと思います。まず教科書の選択について、そして検定プロセスや検定基準の公開ということでございました。  教科書の採択については、今御指摘のように行政改革委員会でも審議が行われております。現在行われている各地域ごとの共同採択制度というのは昭和三十八年の実態制度化したものでありますが、今御指摘のようにデメリットもありますけれどもメリットも十分あるわけでありまして、教科書採択に当たって広く調査研究を十分可能にすること、そして地域内での共同した教育課程の編成や教材開発や教員研修などを円滑に進める上で有益である、こういったメリットもあるわけでございます。  御指摘学校ごとに教科書を採択するということは、お話しのようにより教員の意向を踏まえた採択が行われるといういい点もありますけれども、他方、まだ全国小中学校で一万校を超える小規模の学校がありまして、こういうところが十分に調査研究を行うということは難しい状況にあること。それから、一人の教員の判断が実質的に採択結果を左右しかねない、採択の公正というものが妨げられるおそれがある、こういうような問題点があるのではないかと思っております。  文部省としては、今行われている共同採択制度のメリット、デメリットをよく勘案しながら、これを前提としながら、今後教科書の採択についてはどうすべきか適切に努力をしていきたいと思っております。  それから、情報公開の面ですけれども、教科書検定の透明化については行政改革委員会でも審議されておりますが、この教科書検定制度について広く国民に一層の御理解をいただくようにすることは必要なことであるというふうに考えまして、これからも文部省としても努力をしてまいります。  具体的には、教科書の検定結果については従来から毎年度六月末にマスコミを通して公表し、個別の検定意見の趣旨等について具体的に説明してきたところでございます。さらに、平成三年度からは申請図書及び見本本の公開展示を全国六カ所で行っているほか、主な検定意見の概要等についてリーフレットを作成、配付しております。また、検定基準についても従来から文部省告示として明らかにしております。  そういったことで、公開にするあるいは透明性を保つということについては従来もかなり努力をしてきたところでありますが、検定プロセスである教科用図書検定調査審議会の審議については、この審議会に申請された図書の内容について審議をし合否の判定という行政処分を行うものであるということから、これはやっぱり各委員の自由な論議を十分確保しなければいけない、また審査の公正を担保しなければいけない、そういう観点から非公開としているところでございます。  私は文部大臣就任してから、できるだけ閉鎖的であってはいけない、でき得る限り公開、透明性ということを大事にしてほしいということを指示しておりますけれども、今後とも国民の教科書に対する関心にこたえ、教科書への信頼を増進させるために一層努力をしていきたいと思っております。
  212. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  特にこの審議内容の公開ということについては、情報公開法の問題にしろ審議会の情報公開ということにしても今大きな歴史の流れだというふうに思いますので、ぜひその辺は積極的にお取り組みをいただきたいというふうに思います。  次に、郵政省にお尋ねをしたいと思うんですが、私は本年二月の逓信委員会でも情報通信分野における国際競争の重要性ということで御質問をした経緯がございます。  そのとき、当時の五十嵐電気通信局長から、国内における競争を進めながら積極的に海外に進出、提携を行うことに努めたいという御答弁をいただいたのであります。情報通信分野において我が国が果たすべき役割として、二十一世紀に向けたビジョン、国家戦略を策定し、激化する国際競争に勝ち抜くための環境整備を行う必要があるというのが私の持論であるわけですが、そことはまだ隔たりがあるお答えであったという記憶を持っております。  このような状況の中で、去る十一月三日に英国のBT、ブリティッシュ・テレコムによるアメリカ第二位の長距離通信事業者MCIの買収が発表されました。これによって世界の情報通信市場は、単にメガキャリアの戦略的提携という段階から、アメリカのAT&T、それから英国のブリティッシュ・テレコム、それからドイツ、フランスの両テレコム連合のまさに三つどもえの一層厳しい競争状況に入ってきている。つまり、新たな段階に入っだということが言えるのではないかと思います。  現在、郵政省の政策は、いろいろ継続検討されておりますNTTの分割ということによって国内に競争状況をつくり出そうというものだと理解をしておりますが、今世界で起こりつつあるこういったまさにメガコンペティションの状況というものを考えますと、私が前回逓信委員会で申し上げたように、このような国内で、言ってみれば非常に限られたところでの競争を前提として考える議論というもの自体がもう相当時代おくれになってきているんじゃないか、そんな感じを持つわけであります。  橋本総理がNTTの国際進出を郵政省に指示されたということを聞いていますが、もはや国内、国際の垣根の意味がない通信世界化の時代において、まさにこの総理の御認識が現状を踏まえた正しい考えではないかというふうに私は受けとめました。  そういった意味で、現在の外資規制による参入規制を見直していく、そして国内においても国際においても電気通信事業者の全分野において自由な競争が促進されるようにすることこそが、やや立ちおくれている我が国の情報通信基盤の整備、そして国際競争力のある情報通信産業を育てていくインフラになるのではないかと思うわけであります。この点について郵政省の御見解を例えればと思います。
  213. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 先生指摘のとおり、情報通信市場においては各国の事業者が海外の市場へ展開したり異なる国の事業者が相互に連携を行うなど、国際的な競争の動きが強まっております。我が国としても情報通信の国際競争力強化については積極的に取り組んでいく所存であります。  このような意味において、国際競争力の向上につながる規制の緩和、これは積極的に推進してまいる所存であります。あわせて、国際競争力の向上を図る上で望ましい体制について、すなわちNTTのあり方にかかわる検討も重要だと考えておるところであります。  このような中で、NTTのあり方については本年三月の閣議決定によって次期通常国会までに結論を得ることとなっておりますので、このような国際競争力の観点も含めて検討を現在進めているところであります。早急に結論を得てまいりたいと、こう考えておる次第でございます。
  214. 水野誠一

    ○水野誠一君 時間が余りございませんので、次の質問に行きたいと思うんですが、今盛んに行われていますインターネットにおける犯罪の問題ということが話題になってきております。  先日も京都の高校生ハッカーが逮捕されると、これは天才ハッカーというふうな言われ方をしておりますが。しかし、実はその際でも、他人のコンピューターに不正アクセスをするということ、そしてそこからIDナンバーあるいはパスワードを盗むというような本質的な罪状ではなかなか告訴できないと。そういうことで、そのケースでもわいせつ図書販売というような、どっちかというと余罪的な罪状で告訴をするというようなことになったということを聞いております。  これは、アメリカでももうこのハッカー、ハッキングというのは大変な問題になっているわけでありますが、ちなみに昨年アメリカの会計検査院、GAOが発表したデータによりますと、昨年の国防総省のコンピューターにハッカーが不正アクセスをトライした数が二十三万回、そして成功してコンピューターの中に入れたのが十六万回というような驚異的な数字が報告されているということは、まさにコンピューターに対する不正アクセスに対しての対応というものが我が国でも求められてきているということではないかと思います。  我が国では、私の知る限りでは、コンピューター犯罪に関して、電磁的記録不正作出及び供用罪とか電子計算機損壊等業務妨害罪とか、何か非常に難しい名前の罰則はあるわけでありますが、どうも不正アクセスそのものについての罰則規定がない。これは一度法制審議会でも討議されているようでありますが、その法制化が見送られているというようなことがあるようでありまして、言ってみればこの不正アクセスというのがコンピューター犯罪のすべての入り口になるわけですが、その入り口で犯罪を告発するあるいは防ぐということができないということ、これが非常に私は問題なんじゃないかなと思うわけであります。  そういう視点から郵政省として、このようなコンピューターへの不正アクセスに関して今後どのような対策、検討をお考えなのか、簡潔にお答えをいただければと思います。
  215. 谷公士

    説明員(谷公士君) お答え申し上げます。  インターネットやパソコン通信の爆発的な普及に伴いまして、ネットワーク上取引情報や行政上の申告あるいは申請情報等が流出するようになってまいりますと、そのような情報に対する不正アクセスもまた増加することが懸念されるところでございます。現に、先生指摘のとおり、ネットワークを利用した取引につきましては、パスワードやクレジットカード番号を第三者に盗まれて流用されてしまって、後で自分の覚えのない請求を受けるといった事例が発生をしております。  このようなネットワークヘの不正アクセスを防止するためには、まず厳正な本人確認を行うことが必要かと考えております。現在、インターネットやパソコン通信における本人確認の手段といたしましてはパスワードを入力する方法が一般的でございますけれども、今後、ネットワークを活用してさまざまなビジネスが普及発展してくることを想定いたしますと、より安全で信頼性の高い本人確認の方法といたしまして、暗号・認証技術を活用することが有効であると考えております。  このため、郵政省におきましては、民間企業約百社で構成されますサイバービジネス協議会というものがございますが、この協議会によります暗号・認証技術を活用しました次世代電子商取引実験、これにつきまして平成七年度補正予算を初め、これまで支援してまいっているところでございますけれども、今後ともこの暗号・認証技術の利用環境整備に努めてまいりたいと考えております。  それから、インターネットやパソコン通信の爆発的な普及を踏まえまして、今月からでございますけれども、情報通信ネットワークの安全・信頼性に関する研究会というものを開催いたしておりまして、この研究会におきましてはネットワークヘの不正アクセスに関して通信事業者の対応方策のあり方、それから利用者側において講じていただくことが適当と考えられますセキュリティー対策、これらにつきまして来年の六月までに検討していただきたいと考えて、今お願いをしておるところでございます。  今後ともネットワークの不正アクセス問題に関しましては所要の技術開発の推進、事業者、利用者への適切な指導、助言等の施策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  216. 水野誠一

    ○水野誠一君 本来は法制という視点からお答え一をいただきたかったんですが、時間がありませんので、またそれは次の機会にしたいと思います。  ともかく、まだ郵便料金のあり方等々も御質問したかったんですが、私は逓信委員会でまた次の機会にお尋ねさせていただくことにして、きょうはこれで質問を終わらせていただきます。
  217. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。  私は、新郵便番号制度について、いわゆる七けた化の問題につきまして幾つか質問をさせていただきたいと思います。  九八年二月二日実施予定の新郵便番号制のことでございますが、まずこの七けた番号実施の目的と効果、機械化に向けての進捗状況、研究開発費についてお教えいただきたいと思います。
  218. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) 郵便事業は人力に依存する部分が大変高い事業でございまして、効率化だとか合理化を一生懸命やらなければいけない分野でございます。  新郵便番号制の導入は、配達までの準備作業を機械化して、そしてそこを効率化することによって将来にわたって低廉でいいサービスが提供できるようにしようということが目的でございます。  現行の郵便制度というのは、配達する局までをあらわすために三けたあるいは七けたの郵便番号を使っておりますけれども、今度さらに二けたあるいは四けたを追加いたしまして、町名のところ、漢字で書いております何々町とかという町名のところまでをコード化いたしまして、そして合理化していこうという考え方でございます。このことによりまして、郵便物が配達する局まで行きまして、そして配達する局まで行った後、今まで配達順に手で作業して並べておったわけですが、その郵便番号を読み取りまして、それで機械で配達順に並べる、それを持って配達に行く、そういう仕組みになるわけでございます。そういう配達の準備作業のところを機械化することによりまして、導入後十年ぐらいで大体八千人分ぐらいの労働力の削減が図られ、さらに経費で見ますと二千億円ぐらいのコストダウンが図られるものと今試算しておるところでございます。  それで、これの準備状況といいますか進捗状況でございますが、平成五年度からいろんなことを研究しながら段階を踏んでやったところでございます。そして、本年四月から一部郵便局においてこの実験機を置きまして、現実の郵便物を扱ってうまくいくかどうか、そういうことをやっているところでございますが、平成九年の夏ごろから新型の区分機を本格的に配備して、そして平成十年二月から実施しようと、そういう考え方でございます。  それから、先生お尋ねの研究開発費用にどの程度要したのかということですが、いろんな計算の仕方はあるかとは思うんですが、大体六十億円ぐらいを研究開発に要しております。現在実験している機械も含めてでございますが、この実験している機械はうまくいきますと実際に使用する機械に使えますので、何を研究開発と言うかなかなか難しいんですが、大体六十億円ぐらいを使って今まで実施してきているところでございます。    〔委員長退席、理事吉川芳男君着席〕
  219. 栗原君子

    ○栗原君子君 それで、今実験をしていらっしゃるようでございますけれども、そこの中でいろんなトラブルがたくさん出ているというような報告が来ております。エリアの配達は砂上の楼閣とかあるいは実用にはほど遠い機械処理能力、トラブル続きでパンク寸前、私たちのところにはそうした報告も来ているわけでございます。さらに、今回新しい機械を入れることによって局舎の増改築などもしなければいけない状況も起きてくるであろう。そうすることによってさらなる赤字を生むことにはならないかと、これを私はやっぱりひとつ心配するものでございます。  それと、今日、ダイレクトメールなど定形外の郵便物が大変ふえておりまして、郵便番号の下にアンダーラインがあるとかあるいはあて名のシールが張り方が悪いとか、機械が読み取れないとか、そういったことがありまして、これは毎日新聞でございますけれども、全体のわずか四五%しか現在の自動読み取り機でも読み取ることができないといったことがあります。さらには三七%にすぎないとかいったような状況もあるようでございます。  こんな中で、配達順路機械化ということを言っておりますけれども、これはどういうことなんでしょうか。また、現在の機械でもかなりのお金をかけているわけでございまして、ワンセット十億から十五億円とかいうことを言われておりますけれども、なぜ今日ある機械では読み取ることはできないんでしょうか、お伺いします。
  220. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) 先生、トラブルが続発だというお話でございますが、私ども三局でいろいろ実験をやっておりまして、一番最初の実験でございますから最初はなかなかうまくいかない部分もございますが、私も先日、深川局ですが見学に行きまして、現実に郵便物を扱ってやっているのを見ましたら、ほぼ一〇〇%近い驚異的な読み取り率で区分をちゃんとやっておりました。ですから、先ほど何か数字をおっしゃられましたけれども、ちょっと腑に落ちない数字でございます。  それから、ダイレクトメール等で郵便番号を書いている場所がいろいろ悪くてなかなかまずいんではないかというようなことでございましたが、そういう場合も中にはないことはございません。今回の新しい郵便番号制を導入いたしましてやろうとしていることは、基本的には郵便番号を最初読み取りましてそして区分するんですが、最初読み取ったときに、バーコードというものを最初読み取った機械が、これは目に見えないバーコードですけれども印刷しまして、そのバーコードを読み取るというのは非常に機械は簡単に読み取れますので、次の区分をするときにはそのバーコードの方を読み取ってどんどん区分していくという、そういう仕組みで合理化を考えております。  さらに、一番最初のときに読めなかったやつは人間が見て、そしてそのバーコードを打つ。そうすると、次のプロセスからはそのバーコードを読めるという、そういうような工夫もしておるのが今回導入していこうとしております新郵便番号制とそれから新しい機械でございます。  最後に御質問がありました。なぜ今までのでやれないのかという御質問でございますが、現在までの三けたあるいは七けたの郵便番号で区分している、そしてそれを機械化している部分は、先ほどもちょっと御説明いたしましたが、郵便物を配達する局までのプロセスを原則的に機械化していくという、そういう仕組みでございます。  今、もっとさらに合理化、効率化をしなければならないのは、郵便物が配達する局まで来た。そしてそれを配達する順番に並べかえなきゃいけない。その配達する順番に並べかえるためには、その町名だとか番地だとかそういうところを読み取って区分しなきゃいけないんですが、それは現在の郵便番号ではできない。それで、新しい郵便番号を追加する。さらに、その町名、番地を読み取ること等をするために新しい区分機を導入してやっていかなきゃいけない。そういう仕組みになっております。
  221. 栗原君子

    ○栗原君子君 これは新聞の記事でも、先ほどちょっと申しましたように、全体のわずか四五%しかこの読み取り機が処理できなかったとか、これはダイレクトメールが多くなったとか、地域によって違うのかもしれませんけれども。それから、これがさらに三七%とかそういったところがあるということが毎日新聞に出ております。  それと次に、先ほどお答えいただきました機械化によりまして二千億円の削減、八千人の合理化が可能だということをおっしゃっておりますが、なぜこれが八千人なんでしょうか。その八千人の根拠について伺いたいと思います。  それらは、内務者と非常勤、あるいは配達非常勤と組み立て非常勤、さらには郵便内務と外務、都市部と地方部、どういったところを八千人の合理化対象にしているのか。そしてまた、多くの失業者が出るのではないか、そういった心配の向きがあるわけですけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  222. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) 八千人ぐらい労働力を節減できるという試算でございますが、郵便のネットワークというのは全国津々浦々で十数万人が取り扱っておりますので、機械を導入することによってどの程度になるかという詳細な計算というのは非常に難しいところでございます。  さらに、郵便番号をどの程度御記入いただけるかということにもかかっておるところでございますが、私どもとしては、特定の地域をモデル地域にいたしまして、そこで一体どういうことが起きるのか、機械を導入して初年度、それから三年、五年、七年、十年と将来の物数がどの程度伸びるのか、何%ぐらいちゃんと書いてくれるかというようなことをモデルの地域で計算いたしまして、そういうことが起きるとすれば、それを全国へ引き伸ばすとどういうことになるだろうかということで計算してみているところが八千人という数字でございます。  これは、先ほどから何度か申し上げておりますように、配達する準備をする作業を新たに機械化していくという、そういうところでございますめで、現時点では配達をする準備というのは、我々は外務と呼んでいる郵便を配達する者が配達する前に配達する順番に並べかえる、私どもでは道順組み立てというふうに呼んでおりますが、そういう作業を中心に機械化をしていくということでございますので、この八千人という数字は外務を中心としたところで労働力の節減が図られるという、そういうことになるわけでございます。  それから、最後にお尋ねのこれで失業者が出るのではないかという御質問でございますけれども、現在郵便物数というのは毎年数%ずつ物数が増加しております。また、我々も営業努力を重ねて物数増というようなことに努めておりますので、物数が増加しますとそれに必要な労働力というのを確保しなければなりません。さらに、郵政事業は大変大きい組織でございまして、例年多くの退職者が出ております。    〔理事吉川芳男君退席、委員長着席〕  そういうことを勘案すれば、この機械化による八千人の労働力の節減があるからといって失業者が出るというような、そういう心配は毛頭もないところでございます。
  223. 栗原君子

    ○栗原君子君 これは日経新聞なんですけれども、「行き過ぎた設備投資」ということで、郵政事業の経営上の問題も大きかったと。これは赤字だから人を削減しなきゃいけないとか経費を節減しなきゃいけないとかいって、今鳴り物入りでやっていらっしゃるわけですけれども、そうした行き過ぎた設備投資といったことも指摘をしております。さらには、「バブル景気を機に積極的に進めた設備投資のツケが回ってきたという面も無視できないようだ。」と、こういった指摘もしているわけでございます。  郵政省といたしまして、今までどのような経営をしていらっしゃったんでしょうか。むだを省くためにどういった努力をしていらっしゃったのか、お伺いしたいと思います。
  224. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) 郵便事業は、先ほどから何度も申し上げておりますように人手に依存しておりまして、人件費に相当するようなものが約八割あるわけでございます。どうやってその部分を合理化していくかということで、郵便番号というのを昭和四十三年だったと思いますけれども導入いたしまして、そしてまず局内の機械化ということに一生懸命取り組んできたわけでございます。  そのほか、例えばかつては郵便物というのは郵袋という袋に入れて、そしてそれを閉じて、ほうり投げて、そして運ぶというような、そういうようなことをしておったんですが、ケースの中に入れてパレットで輸送するということで非常に簡便に輸送、局内作業もできるようにするようなこと。あるいは、郵便というのは夕方ごろ差し出されますので、非常に夕方、夜にピークが来る。そういうことになりますとそこにたくさんの人を充てなきゃいけない。そして、コストが高くなるということなんですが、例えば少しおくれてもいいような郵便は割り引きしますよというようなことで割引制度なんかを導入して、多少おくれてもいい郵便ということで、局内の作業を夕方だけというんじゃなくて朝からずっと平準化して作業できるようにして人間の配置を少なくするとか、いろんな合理化、効率化をいたしまして、過去十年間で郵便物数というのは四四%増加してきたんですが、定員という面でいきますとただの一・二%しか増加していないということで、大変効率的な経営をして努力してきたんではないかなと思っております。  そして、最後に大きくやらなきゃいけないところが、何度も申し上げております配達準備作業のところの機械化、そのために七けたの郵便番号で利用者の方々には御迷惑をおかけするんですが、ぜひともそこを導入して、その作業の部分も機械化していくと。  さらに、部外へ委託ができるようなところ倣とにかく委託をするとか、あるいは窓口の事務というのがなかなか機械化できていないんですが、窓口の事務の機械化だとか、あるいは省内全体の情報ネットワークをもう少し機械化して合理的にやるとか、いろんな努力をいたしましてやっていきたいと考えておるところでございます。
  225. 栗原君子

    ○栗原君子君 昨今、銀行とか病院とか官公庁とか企業から個人情報が漏れて、これが名簿屋などのところに渡ってもうけの対象になったりとかいったことが大変心配をされているわけでございますけれども、配達総合情報システムについて、配達データの入力を民間に委託していると聞きます。それで、個人情報の漏えいなど国民のこういったプライバシーが侵される可能性はないのか、このことを心配の向きもあるわけでございます。  今回、この配達の順路だけではないようでございまして、そこの家族構成とか電話番号とか飼い犬の有無とか、こういったことまでも組み込まれるようにされる計画があるようでございますけれども、こうしたプライバシーの件についてはどのようにお考えなんでしょうか。
  226. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) 配達の準備作業のところを機械化するために郵便物を配達する順番に並べなければいけないのですが、配達する順番に並べるためにはその郵便物がどこのだれあての郵便物だということがわからないと順番に並べられません。それで、それをするためにその情報を機械に入れまして、そしてそこを機械が判断して順番に並べる、そのためにつくるシステムのことを配達総合情報システムというふうに呼んでおりますが、これは大変膨大な情報量でございますので我々の職員でその最初のデータベースをつくるということはとても不可能でございますので、データベースを作成するための作業を民間に委託して、一部今しておりますが、これから委託していこうと考えておるところでございます。  先生おっしゃるように、この情報がそれ以外に活用されるということは大変問題でございまして一秘密の厳守義務を厳しく受託者に課しまして、作業の責任体制、それからデータの管理方法等について我々が直接監督して、おかしいことのないように、さらに情報を入力する人にその基礎デiタを渡さなきゃいけませんのでその渡した相手、それから情報の授受簿、それからちゃんと返ってきたかどうか、そういうことを厳密に突合しまして情報が部外へ漏えいしないように万全の措置を講じていきたいと考えております。
  227. 栗原君子

    ○栗原君子君 郵便貯金振興会ソフトウエア開発センター所長の川久保さんという人がこう言っていらっしゃいます。今度そういった情報ができますと、郵政省内部の活用システム、これ五つほどほかにあるんですね、それから郵政省新サービス、新南昌、これも幾つかあるんですけれども、さらには公的機関での活用システム、民間への提供システム、新事業進出、次々とこれが入力をしたことによって拡大をする、事業が拡大をしていくと、こういったこともおっしゃっておられますけれども、こういう心配の向きというのは私は国民の中にたくさんあると思っております。ぜひそうしたことに対して十分お考えをいただきたいということを改めて指摘しておきたいと思います。  それから、時間も参りましたけれども、来年度実施の消費税の値上げで郵便料金はどのようになるのか、このことを一つお伺いします。  それからもう一点は、また最後に大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、今回の大量差し出しの企業の通信にはさまざまな割引料金があるわけでございます。例えば、バーコードの印字によって千通以上でしたら五%の割引をする、あるいは広告郵便百万通以上でしたら一週間程度の配達の余裕を置いて四八%の割引をするということにたっております。一般利用者にとってはどのようなメリットがあるのかということが国民の皆さんの関心の的でもございます。そうしたことで、郵便料金の値上げについては国民生活に大きな影響があるわけでございますので、郵政省としても安易な値上げをなさらないようにぜひこうした経営努力を十分にしていただきたいということをお願いして、答弁を求めたいと思います。
  228. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) 私の方から消費税との関係でございますが、御承知のとおり消費税は消費に広く薄く負担を求めるということで、現在の郵便料金の中にも既に三%分の消費税が含まれているところでございます。この三%が五%に引き上げられた場合、郵便料金をどういうふうにするのかということについては現在検討中でございます。
  229. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま栗原先生から御指摘がありましたが、郵便は国民生活に不可欠な基本的サービスであります。今後とも、一層の効率化を進めながら、できるだけ長く現在の料金水準を維持するように努めて国民の負託にこたえてまいる所存でございます。
  230. 栗原君子

    ○栗原君子君 終わります。
  231. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 他に御発言もないようですから、文部省及び郵政省決算の審査はこの程度といたします。  次回の委員会は来る二十六日午前十一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会