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今泉昭君 二つほど要望を申し上げておきたいと思いますが、先ほど私が申し上げましたように、当初の法を制定したときのねらいから外れまして、先ほど申し上げましたように、大変
専門性の薄いところに
ニーズが高くて、大変多くの
方々がそこに働いているような
実態でございます。
それにもかかわらず、当初は
専門性が高いということで、
アメリカやドイツやフランスに比べて、
派遣期間もある
程度、一年
程度はやむを得ないという、少し長くてもやむを得ないという
考え方であったようでございますが、そういうような
専門性のないところが多いにもかかわらず、
実態の
派遣の長さを見てみますと、一年以上というのは大変
我が国の場合は多いわけでございまして、本来ならば、そういう
専門性のないところが多いならばもっと
派遣期間が短いのがこれは自然の形だろうと思うわけでございますので、本来の
目的に沿ったような
実態が出てくるようにこれはやっぱり行政の指導というもの、あるいはまた法の不備の改正というものが必要ではないだろうか、こういうふうに思うわけでございまして、ぜひその点について今後とも御努力をお願いをしたいと思います。
それから第二点は、
労働者の苦情の問題におきまして、現場に
労働組合でもあれば
労働組合が肩がわりして苦情を吸い上げて、いろんな形で積極的に解決をしてくれるんでしょう。しかしながら、
派遣元にもほとんど
労働組合がないような
実態でございますし、
我が国の場合は、
派遣先においても、
派遣先で働いている
労働組合の中に実は入れてくれるというようなことはまずあり得ないわけであります。
アメリカの場合はそういう例も実はあるわけでございますが、
日本の場合は皆無でございましょう。そういうことになりますと、そこに働く
労働者はみずからの力でもってこの問題を解決していかなきゃならないという気持ちになるわけでございます。
データなどを見てみますと、七〇%以上が苦情は解決をされているということの結果は出ているようでございますけれ
ども、
実態は必ずしもそんなものではないだろうというふうに、下に埋もれている例がたくさんあるのではないだろうか、よっぽどひどいものだけが出てくるのではないかというふうに思うわけでございまして、この苦情処理機関というものの工夫を今後とも
検討していただきたいと思います。この二点を、まず要望として出しておきたいと思います。
さて、時間も迫ってまいりましたので、介護
派遣の問題あるいは育児休業に対する
派遣の問題について少し触れたいと思います。
この問題については、むしろ女性の
先生方の方から集中的にお聞きになると思いますので多くは避けたいと思いますが、育児休業
制度というものの法制化がなされてこれからますます利用者がふえてくると思うわけでございますが、介護休業の問題は大変微妙な問題が多いものですから、なかなか普及というものが遅々として進まないのではないだろうかと思うわけであります。そういう
意味で、
我が国の場合は介護の問題はボランティアの問題と絡めて根本的に考え直す必要があるのではないかというのが私の持論でございます。と申すのは、たまたまボランティアといえば阪神・淡路大震災を契機にいたしまして大変クローズアップされておりまして、それだけが
中心になって論議されがちでございますけれ
ども、それとは別に、基本的に
我が国はボランティア問題というものを考え直す時期に来ているのではないかと思うわけであります。
と申しますのは、
我が国は大変幸いなことに徴兵
制度というのがございません。これは大変喜ばしいことでございます。この伝統は、我々としては残していきたいし育てていきたいと思っているわけです。そういうことから、どちらかといえば国民の中に、
一つの組織に入って、そして国のために何をするかあるいは団体のために何をするか、自治体のために何をするか、社会のために何をするかという
意識の大変薄いのが私は心配なのでございます。これからますます
高齢化社会になって、高齢者の数が大変ふえるとするならば、これは単に介護保険の問題であるとか、あるいはまた一部の人のボランティアにこれを任せておくということではいけないような、大変重要な危機的な
状況が
我が国には将来やってくるのではないかということを心配しているわけです。
そこで、私
自身といたしましては、徴兵
制度にかわるという
意味合いの、表現はおかしいんですけれ
ども、私は
教育の中にこれをカリキュラム化してしまって義務づける必要があるのではないか。例えば半年なら半年、ちょうど教員の免許を取るためには実地に出て実習をやってこなきゃならないわけでございまして、そういう形のものを一億国民がすべて
経験をして世に出ていく、こういうシステムが必要なんじゃないかと思うのであります。そういう
経験をしていなければ
企業には就職できない、これは社会に出る前の義務なんだという形の、これは文部省の管轄でありますからここでは余り大きく言えませんけれ
ども、そういう社会をつくっていく必要があるんじゃないか。
そのためには、幾らそういう
教育を受けても、実は実際に社会に出てそれを組織的に動かす社会的なシステムができていなければ、これは全く何にもならないわけでありまして、ボランティアが勝手気ままにボランティア作業として介護の実地に出ていっても何の役にも立たない、ばらばらなことになるわけでございますから。
そういう
意味で、介護という問題に絡めて根本的に介護問題を考え直してみる必要があるのではないだろうか、こういうふうに考えるわけであります。例えば、
労働省の範囲で言うならば、これは文部省とは全然別個にそういう段階を経た者でなければ
企業としては受け付けない、
企業の中に就職できない、こういうようなシステムをつくるという
考え方はいかがでしょうか。