○都築譲君 私は、
平成会を
代表して、ただいま議題となりました
平成八年度
予算三案に対し、反対の
立場から討論を行うものであります。
四月十二日に、衆議院より送付された
予算三案について、本
委員会で審議を開始して以来二十八日、実質審議日数十七日という極めて限られた審議日程ではありましたが、明らかになったことは、自民・社民・さきがけ連立政権の限界ということであります。
今日、
国民の安全も安心も、そして豊かさも、政治が指導的役割を発揮し、
国民の負託にこたえていくべき重要なこのときに、
住専処理問題を初め、有事対応、薬害エイズ、
経済活力の
回復、
高齢社会への対応などについて、将来の展望も改革の道筋も示すことができない野合連立政権の限界をこの
予算案は露呈しているのであります。
まず第一に、
住専の処理策であります。私たち
平成会は、
住専の破綻処理のための六千八百五十億円の削除を要求し、
国民に
負担を押しつけるべきではないと強く主張してまいりました。
実態の解明、
責任の追及もまだまだ不十分でありますが、明らかになったのは、
住専の破綻処理ではなく、
住専処理策の破綻であります。本来、民間会社の整理については、自己
責任原則、法治主義、預金者保護の原則を貫徹して、公正かつ透明な手続で行うことが当然であります。
政府提案の
住専処理スキームは、六千八百五十億円の合理的根拠も示されず、
母体行の債権放棄額もいまだ確定せず、債権回収の具体的方途も示されず、
責任追及の熱意も見られない、まさに密室協議の談合でつくられた虚構に等しいもので、これで果たして
政府が金科玉条のごとく繰り返す金融システムの安定が図られるとは到底
考えられません。まして、このために血税六千八百五十億円を使うことなど
国民の理解を得ることは不可能であります。
さらにゆゆしきことは、参考人招致、証人喚問等を通じ、借り手も
貸し手も
母体行も、そして指導監督の任に当たる
政府、大蔵省、農水省も、この
事態に立ち至った
責任を自覚しない総無
責任状態であります。
また、
住専への融資を初め、宮城県酪農連の水増し牛乳事件等に見られるように、協同組合の本来のあり方を忘れ、もうかればよいと金もうけに狂奔する農協系統の姿は、およそれ百万農家農民の心からかけ離れたもので、農民の、ひいては
国民全体の信頼を裏切るものと断ぜざるを得ません。
アメリカの勤労倫理をあげつらい外交問題となった事例が以前ありましたが、今我々に求められているのは、金融システム等に限らず、
社会全般にわたり戦後の繁栄を築き上げてきた勤勉、誠実な勤労観、人生観が報われる公正、公平、透明なルールの確立てあります。これらの視点を全く欠落させた
政府予算案には断じて賛成することはできません。
このほか、
政府予算案は、民需
拡大による
景気回復を強めるための大胆な
規制緩和と新産業育成分野への重点的な
予算配分の視点に欠け、他方、財政再建の道筋を示さぬまま巨額の赤字国債を発行し、膨大な公債残高を累積させるなど、将来に禍根を残す無
責任野合連立政権の産物と断じてはばからないものであります。
最後に、
住専問題の政治
責任の所在を問われて、
社会民主党の閣僚は、すべての政治家の
責任と強弁いたしました。すべての政治家の
責任ということは、それを選んだすべての有権者、
国民の
責任であると主張するに等しく、だから
国民に税金で
負担せよと言うのでしょうか。情報も公開されないまま、明確な理由も示されないまま
政府の決定に従わざるを得ない
国民の現実から目をそらし、
国民を愚弄するもの以外の何物でもない、激しい憤りを覚えるものであります。
すべての政治家、すべての有権者の
責任であると閣僚が強弁するのであれば、有権者の信を問うべく、速やかに衆議院を解散し、
国民の審判を仰ぐべきが憲政の常道であります。
総理大臣の決断を強く要請して、私の反対討論を終わります。(拍手)