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1996-05-02 第136回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  五月一日     辞任         補欠選任      鈴木 正孝君     戸田 邦司君      直嶋 正行君     広中和歌子君      伊藤 基隆君     前川 忠夫君      上田耕一郎君     筆坂 秀世君  五月二日     辞任         補欠選任      尾辻 秀久君     佐藤 静雄君     ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長          井上  裕君    理 事                大河原太一郎君                 斎藤 文夫君                 清水 達雄君                 塩崎 恭久君                 泉  信也君                 白浜 一良君                 都築  譲君                 山本 正和君                 有働 正治君    委 員                 阿部 正俊君                 石井 道子君                 久世 公堯君                 河本 三郎君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 静雄君                 坂野 重信君                 関根 則之君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 野沢 太三君                 野村 五男君                 服部三男雄君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 荒木 清寛君                 岩瀬 良三君                 海野 義孝君                 大森 礼子君                 加藤 修一君                 小山 峰男君                 戸田 邦司君                 広中和歌子君                 益田 洋介君                 横尾 和伸君                 朝日 俊弘君                 一井 淳治君                 大渕 絹子君                 梶原 敬義君                 川橋 幸子君                 前川 忠夫君                 緒方 靖夫君                 筆坂 秀世君                 佐藤 道夫君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    証人        農林中央金庫理        事長       角道 謙一君        株式会社富士銀        行頭取      橋本  徹君        (角道証人補佐人 宮崎 好廣君        )        (橋本証人補佐人 海老原元彦君        )     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件平成八年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成八年度特別会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成八年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付) ○資料提出要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 井上裕

    委員長井上裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  平成八年度総予算案審査のため、住宅金融専門会社問題について証人証言を求めることといたします。  まず、委員長から確認させていただきます。  あなたは角道謙一君御本人ですか。
  3. 角道謙一

    証人角道謙一君) 角道謙一本人でございます。
  4. 井上裕

    委員長井上裕君) この際、一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただきまことにありがとうございます。当委員会におきましては、平成八年度総予算に関する審査を進めておりますが、本日は特に証人の方から住宅金融専門会社問題について御証言をいただくことになった次第でございます。  証言を求めるに先立ち、証人に申し上げます。  議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人には、証言を求める前に宣誓をしていただくことになっております。  宣誓または証言を拒むことができるのは、次の場合に限られております。  自己または自己配偶者、三親等内の血族もしくは二親等内の姻族または自己とこれらの親族関係があった者及び自己後見人後見監督人または保佐人並びに自己後見人後見監督人または保佐人とする者が刑事訴追を受け、または有罪判決を受けるおそれのあるときは宣誓または証言を拒むことができます。また、医師歯科医師、助産婦、看護婦外国法事務弁護士を含む弁護士弁理士公証人、宗教の職にある者またはこれらの職にあった者が業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについて証言を求められたときも宣誓または証言を拒むことができますが、本人が承諾した場合はこの限りではありません。  正当の理由がなくて証人宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または十万円以下の罰金に処せられます。  また、宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  なお、今回の証人喚問についての当理事会決定事項については、証人には既に文書をもってお知らせしたとおりでありますが、この際、その主要な点について申し上げておきます。  その第一点は、証人補佐人助言を求めることが許される場合についてであります。  証人は、補佐人に対し、宣誓及び証言の拒絶に関する事項について助言を求めることができますが、これらの助言は、いずれもその都度証人委員長にその旨を申し立て、その許可が得られた後に認められるものであり、補佐人の方から証人に対し助言することはできないことになっております。なお、補佐人発言することはできません。  その第二点は、資料についてであります。  証人は、既に通知いたしましたとおり、証言を行うに際し、あらかじめ当委員会に提出された資料を用いることは差し支えありませんが、委員長許可が必要であります。  その第三点として、証人メモ筆記尋問項目程度に限られております。なお、補佐人メモをとることが許されます。  以上の点を十分御承知願います。  それでは、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。  全員御起立願います。    〔総員起立
  5. 井上裕

    委員長井上裕君) 議院における証人宣誓及び証言等に関する法律第五条の三の規定により、これより角道謙一君の証言が終了するまで撮影は中止してください。  角道謙一君、宣誓書を朗読してください。    〔証人は次のように宣誓を行った〕    宣 誓 書  良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又  何事もつけ加えないことを誓います。               証人 角道謙一
  6. 井上裕

    委員長井上裕君) 全員着席を願います。  証人は、宣誓書署名捺印してください。    〔証人宣誓書署名捺印
  7. 井上裕

    委員長井上裕君) これより証言を求めることといたしますが、証人の御発言証言を求められた範囲を超えないこと、また御発言の際はその都度委員長許可を得て御発言なさるようお願いいたします。  なお、質問を受けているときは御着席のままで結構でございますが、お答えの際には起立して御発言を願います。また、委員尋問時間が限られておりますので、答弁は要点を的確に簡潔にお願いいたします。  この際、委員各位に申し上げます。  本日は、申し合わせの時間内で証言を求めるのでありますから、特に御協力をお願い申し上げます。  それでは、まず委員長から角道証人に対しお尋ねいたします。  あなたは、バブル崩壊した平成三年五月以来、農林中央金庫理事長として同金庫経営に携わってこられましたが、一、系統金融機関住専各社にどのような経緯で多額の融資を行うことになったのですか。二、系統金融機関住専各社の第一次及び第二次再建計画にどのようにかかわったのですか。三、平成五年二月三日のいわゆる覚書をどのように受けとめておられますか。  以上三点についてお述べください。
  8. 角道謙一

    証人角道謙一君) じゃ、お答えを申し上げます。  最初に、系統金融機関融資経緯でございますが、農林中央金庫住専に対する貸し付けば、昭和四十八年十月に金融機関貸し付けということで主務省から認められまして、同年十月から五十三年ごろにかけまして住専七社と取引を開始いたしております。また、系統金融機関も、本来は農協法に従いまして、住専に五十年代の初めから若干の取引が行われていたかと思います。  ただ、五十五年に農協法住専銀行と同様の金融機関というような指定を受けましたことに伴いまして、住専員外利用、いわゆる農協法上の員外利用規制の適用を除外されたということもございまして、住専に対する貸し付けというものは相当程度広がっていったというように考えております。  住専そのものは広く国民住宅供給を行うという公共性社会的意義の高いものでありますし、また住専母体行の金融子会社であり、かつ主要役職員母体行が派遣するというように、母体行がその経営を支配し、また母体行の高い信用力背景としておりましたし、また昭和四十八年の金融制度調査会の答申におきましても住専の育成が望ましいということがされておりますし、また大蔵大臣直轄指定ということで大蔵省直轄監督を受けている。また、先ほど申し上げましたように、昭和五十五年には農協法上も金融機関としての指定が行われたということで、金融制度上も住専については相応の位置づけがされているということでございまして、したがいましてこの通常貸し出し審査手続に加えまして、高い公共性信用力等を総合的に判断いたしまして融資対応を行ってきたという経過でございます。  特に六十年代に入りましてからは住宅資金需要というのは非常に広範に、また強く伸びてまいりまして、また政府の施策におきましても、住宅金融公庫それから一般金融機関につきましても住宅資金については大幅にこれを、貸し出しを伸ばしていったと。住専自身も当時の住宅資金需要の高まりを受けまして業容拡大しておりましたし、業況も非常に好調でありましたし、そういうようなことで、私どもとしては、先ほど申し上げましたが、総合判断のもとで融資対応を行ってきたところでございます。  特に、その後平成七年度まで、失礼しました、平成二年度までの住専決算状況は非常に良好でございまして、各社とも引き続き業容拡大し、黒字決算、配当も実施しておりましたし、またしたような状況でございましたけれども平成二年度の後半ぐらいから大型の不動産関連倒産の発生というような状況もございましたので、若干私どももこれについては警戒をしてまいりましたし、また同時に、住専に対しましては各社大口融資の、関する実態をより一層開示を求めるということとともに、貸し出し抑制についても、貸し出しにつきましても抑制姿勢をとってきたというようなことでございます。  そこで、平成三年の秋から平成四年の夏ごろにかけてでありますが、いわゆるバブル崩壊に伴います不動産あるいは建設業界経営不振に陥ったということもございまして、住専業況資金繰りが急速に悪くなってきた。そこで、住専七社が順次再建計画を策定いたしまして、系統に対しまして、各金融機関に対し協力要請を行ったと。これが第一次再建計画でございます。  第一次再建計画につきましては、各社とも大体計画期間が五年でございまして、その内容は、母体行が金利を軽減する、その他の金融機関につきましては迷惑をかけず、残高維持をお願いしたいというふうな内容でございまして、したがいまして、私どもとしては、住専母体行に対しましては、系統には残高維持以上の迷惑はかけないので再建計画協力をしてほしいというようなお申し出でございましたので、これ以上迷惑はかけないというような住専母体行の意向を確認した上で、金融システム安定性確保観点からこの計画協力してきたという経過でございます。  さらに、第二次再建計画でございますが、このような経過を経ましたけれども、景気の低迷あるいは地価動向が非常に悪いというようなこともさらに継続した関係から、平成四年の秋だったかと思いますが、最初日住金あるいはその他七社から、六社から系統にも、第一次再建計画の見直しをしたい、残高維持だけではなしに系統に対しても金利減免等のさらなる支援拡大をお願いしたいというような話がございまして、私どもといたしましては、金融機関同士約束事と第一次再建計画経過を踏まえますと、こういう約束事を安易にほごにするという極めて金融機関としては無責任な話でございますので、金庫系統といたしましては、債権回収ということも検討いたしましたが、どうしてもまたこの協力要請するということであるならば母体行は住専再建責任を持つということを明確にすべきであると要請をして折衝を行ってきたわけでございます。  また、このような金庫系統の主張なり母体行あるいは住専側折衝状況につきましては農林省にも御報告を申し上げまして、また住専再建母体行が責任を持つように、大蔵省に対しましても母体行を適切に指導するよう農林省としても御支援をいただきたいということをお願いしてきたわけでございます。  そういうような経過を踏まえまして、母体行ゼロ、一般行については二・五%、系統四・五%という金利減免措置を柱とする期間十年の第二次再建計画が策定をされました。  これに対しまして、平成五年二月ごろから七月にかけまして、住専母体行からは、系統に対しましては今回の措置以上の迷惑はかけないのでこの再建計画協力してほしいと、これは母体行、住専一致してのお話で、強い要請がございました。また、母体行からは大蔵省に対しまして、計画に沿って責任を持って対応するというふうな文書が提出されたというような説明を主務省あるいは住専母体行からも受けておりますし、また主務省からも、この再建計画に沿った対応がされるよう所要の指導を行うというような意向が表明されております。  こういうような経過を経まして、系統といたしましては、母体行と住専、あるいは政府のこういう再建についての協力要請がございますので、私たちとしても、この母体行、この再建計画の拒否というのは非常に難しいと。したがいまして、この母体責任に基づく住専再建基本的枠組み、これが確保されるということを評価いたしまして、金融システム安定性確保観点から再建計画協力したわけでございます。  今お話しございました覚書というものにつきましては、この両省間の第二次再建計画についての、これをどうするかということでのお話し合いの経過をおまとめになった、あるいは結果をお取りまとめになったというふうに伺っておりますが、ただいま申し上げましたように、母体行からは大蔵省に対して、計画に沿って責任を持って対応するというふうな文書が出されているとか、あるいは大蔵省もそういう御指導をなさるというふうなお話も伺っておりまして、そういうもので両省間の指導方針というものがそこにあらわれているというように考えております。
  9. 井上裕

    委員長井上裕君) ありがとうございました。  委員長からお尋ねすることは以上でございます。  それでは、角道証人に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 自由民主党の佐藤静雄でございます。  本日は、証人には、御多用中にもかかわりませず御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  証人は、既に衆議院予算委員会参議院予算委員会参考人として御出席をいただきまして、住専問題の経緯について事実究明のために御発言をちょうだいしております。  しかしながら、長期にわたる衆参両院の審議にもかかわらず、国民には、なぜ住専処理のために公的資金を投入するのかという疑問が根強くございます。完全に御理解をいただくまでには至っておらないという状況でございます。  その意味で、系統金融の総帥である証人の御出席を賜り、住専問題の真相解明に御協力をいただき、事実関係を述べていただくことは、本日このテレビを見ておられる国民皆様方の御理解をいただくために大きな力となるというふうに信じておりますので、誠実に正確にお答えをいただきたいというふうにお願いを申し上げます。  私は、政府・与党の住専処理策は、戦後我が国国民が孜々営々として築き上げてきた一千兆に上る個人貯蓄を守り、このまま推移すれば我が国金融システムに不安や混乱が広がり、国民経済全体にとっても取り返しのつかない事態を惹起する可能性がある、こういう逼迫した状況のもとで、このまま解決を先延ばしする、これは絶対にできない。したがって、早期処理のため、関係金融機関の最大の御努力をちょうだいした上で財政資金の投入を含むこの処理策が決定された、そういうふうに理解をしておるわけでございます。  翻って、我が国のみならず、このように国民経済経済活動基盤となる金融システムの安定という困難な課題に対処するために、各国は財政資金の導入をしてこれを支えるという姿勢をとっておる。御承知のように、アメリカではSアンドしの解決のためにRTCという機関をつくり、十九兆円に上る財政資金を投入しております。フィンランド、スウェーデン、ノルウェーにおいては、大体国民所得の四・五%、そのぐらいをこの金融システムの安定に使っておるのであります。フランスにおいても、国立銀行の危機に際しまして財政資金を投入しております。  我が国住専処理に関しましても、原因究明関係者責任を明確にすることが極めて国民信頼を得るためには必要でございます。私は、去る二月十五日に本委員会において、法務・検察、警察当局に対しまして、住専破綻原因となった関係者に対する民事、刑事責任を徹底的に追及すべきである、そういう意見を表明したわけでございます。  そこで、角道証人に対してお尋ねをしたいと思います。  ただいま委員長尋問にもございましたように、住専問題の経緯について簡単にお話をいただきたいと思います。  そもそも住専は、昭和四十六年に三和銀行グループ母体となりまして日住金を設立したのが嚆矢でございます。金融機関がみずからの住宅ローン分野を補完するために共同で出資設立したいわゆる金融機関の全くの子会社でございます。経営陣大蔵省出身者あるいは母体金融機関出身者で占めております。人事面母体行が深く関与しているばかりではなくて、業務展開においても母体行から貸付案件の紹介あるいは窓口の代理、それらを最初のうちはやっておったわけでございます。資金調達においても母体行の信用背景にして資金を調達しておりますから、全くの母体行の別働隊と言って過言ではないというふうに考えております。  昭和五十年代後半、母体金融機関は、いわゆる企業銀行離れ、直接金融を大企業は始めました。したがって、銀行はもう要らないというような状況になってきました。その中で、直接金融である小口の個人取引リテール分野を充実するために、子会社住専が一生懸命やっておった個人住宅ローン、その分野住専と相談もなくどんどんどんどん侵食していった。もうかる分野であればどこにでも手を出すと、こういう母体行の姿勢に私は大きな疑問を感じております。このあおりを受けまして、住専業務内容不動産あるいは建設業向け拡大せざるを得なかったという状態がございます。  昭和六十年代のいわゆるバブル期に、住専各社不動産業建設業分野業務拡大をどんどんどんどん行っていった。この間、土地関連融資規制指導が数次にわたって行われておるはずでございます。住専に対しても母体行を通じて、今は余り投資をするなよということが指導なされたにもかかわらず、住専各社はむしろこの時期に貸し付けを大幅に拡大していった。バブル経済崩壊が始まった平成二年以降、不動産建設業分野への相当の融資を行っていた住専経営が急速に悪化することになった。  この経緯から見て、住専の設立、経営関与業務展開上の結びつき及び経営破綻原因のすべての面で母体行の責任は大変重いというふうに私は感じておりますが、証人はどう考えていますか。
  11. 角道謙一

    証人角道謙一君) 母体行の責任につきましては、今、佐藤先生指摘のとおりでございまして、私どもも全くそのように感じております。  ただ、つけ加えることがあるといたしますと、日本におきましてはメーンバンクというものがその取引先に対しましていろいろ御面倒を見る、また経営破綻の場合にはそれにつきましても相応の支援をする、むしろ自分たちの所有している債権額以上の支援をしているというような例もございます。また、親会社子会社側の面倒を見る、親会社信用背景のもとにいろいろと通常企業におきましても取引あるいは信用というものが行われておる、こういうのが日本金融産業実態でございます。そういう意味で、私どもは、また同時に金融機関というのは、信義誠実という原則の上に、本当に信用というものを基盤に成り立っている業務でございます。  したがって、そういうような社会性または公共性の高い金融機関というものは、特にこの信用秩序維持あるいは自分責任というものに対して厳格でなければ、かえって金融というものについての信頼を失わせるというのが私どもの気持ちでありますし、今、佐藤先生お話がございました点についてもそのとおりだと思いますし、若干つけ加えればそういうような意見があるということでございます。
  12. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 私は、地方庁で三十年くらい農林漁業指導に当たってまいりました。もちろん、農協指導もいたしております。しかし、母体行の責任は極めて重いというふうに感じておりますが、系統においても反省すべき点は多々あるというふうに私は思うのであります。  そこで、農協系統金融機関住専に貸し込んでいった、農協系統金融機関リスク管理の問題あるいは審査体制を初めいろんな問題があるという指摘がございます。確かに系統金融系統住専七社への貸付金をずっと見てみますると、昭和五十九年度一兆円、それが六十三年度には一兆九千億、平成元年度では二兆九千億、平成二年度では四兆九千億、平成三年度で五兆六千億というふうに急増しておるわけです。平成三年度の融資などはもうバブル崩壊した後であります。  なぜこういうことが行われたか。住専問題については、私は系統には住専経営責任は問えないというふうに思っております。しかし、いかにバブルの時代に系統余裕資金を抱え込んでおったということであっても、その結果として金融機関リスク管理の面あるいは審査体制の面で本当にそのときの貸し付けが妥当であったのかどうかということに私は疑問が残るわけでございます。この系統責任についてはどうお考えになっていますか。
  13. 角道謙一

    証人角道謙一君) 系統から住専に対しました貸し出し経過あるいは金額につきましては、今、佐藤先生お話しのとおりだと思います。  ただ、御理解をいただきたいのは、それぞれの信連なり共済連、これは各県全体四十七ございますが、それぞれの信連、共済連が自分の判断でこれを貸していったと。全体として見ますと非常に大きい金額でございますけれども、一つの信連あるいは一つの共済連では自分たち資金力、運用というものを考えながら住専対応を行ってきたということでございます。  そこで、特に六十年代に入りまして、確かに急激に先ほど申し上げましたように住宅資金に対する需要が伸びていったと。また、政府の施策あるいは一般の状況につきましても、住宅資金については貸し出しを非常に積極的に伸ばしていったと。  信連につきましてもあるいは系統におきましても住専の、先ほど来のお話がございますが、むしろ社会的、公共的な性格を持った一種の住宅専門金融の準政策的な金融機関であるというように思っておりましたし、先ほど来申し上げておりますように、法制度上もそれほどの非常に大きい信頼度というようなものを与えるような基盤があったわけでありまして、その上で系統住宅資金貸し出し住専に対する住宅金融貸し出しはむしろ当時におきましては国民生活の改善に非常に役に立つんだというような理解をしていたと。今にして、その後の異常な経済変動、この中でバブル崩壊をして今日の事態になったわけでありますから、今にして思いますと、やはり制度的に非常に安心ができる、そういうものであっても十分な与信あるいは将来展望というものを持ってこの貸し出しに当たるべきではなかったかというような反省は、御指摘のとおり、私どもも持っております。  したがいまして、今後この金融機関リスク管理という面におきましては、私どもとしては十分な修練、私ども金庫自身もそうでありますけれども、さらに徹底したALMなり経済見通し、そういうものを通じましてリスク管理を強化していく必要がある、そういうふうに考えております。
  14. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 お答えではございますけれども、異常に系統融資が膨らんだというのは平成二年以降でございます。銀行不動産関連融資の総量規制を実施した時点以降でございます。その際に、政府は公定歩合引き上げを初め金融引き締め政策あるいは不動産融資規制、そういうものを必死にやったわけでございますが、その不動産関連融資総量規制のもとで、抜け道として住専、ノンバンク経由の貸し出しが穴として認められておった、それに系統金融機関がこたえていったと。そこに私は問題が大きくなった一つの原因があるんじゃないかというふうに思っております。そのときに在日外銀は、これはもうはしつこいですから、バブルのはじける直前に全部回収した、そういう事実もございます。  どうして系統金融機関の最高指導機関としての農林中金が経済金融実態あるいは分析、そういうことができなかったのか、その点についてお話しをいただきたい。
  15. 角道謙一

    証人角道謙一君) 先ほど委員長の御質問に対してお答えいたしましたように、農林中金におきましては、当時、平成二年の秋ごろでございますか、大型不動産関連産業の倒産等もございましたので、住専問題につきましてもやはりこの影響は出るんではないかというような懸念もございまして、そういうような問題が出るから十分注意しろというような情報は私どもとしては信連にはいろんな会議を通じて申し上げてきておりましたし、やはりこの住専貸し付けについては少し警戒を要するよということは申しておりました。  ただ、今、先ほどお話しございましたように、総量規制の段階では、確かにノンバンク等は住専も含めまして総量規制の対象外であったというようなこともございましたし、またそれが恐らく影響したかどうかは私も判然といたしませんけれども住専側からもあるいは母体側からもこの融資あっせんについていろんな信連あるいは共済の方にもお話があったというようなことは伺っておりまして、それが、先ほど来申し上げておりますように、住専というものに対する制度上の位置づけであるとか住専の性格というものに対します信頼、当時におきましては、恐らくそれ以前の段階におきましては非常に優良な貸付先であるというようなこともございまして、系統は若干そこにのめり込んでいったということについてはやはり反省すべき点はあるというふうに考えております。
  16. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 繰り返してしつこいようですが、お聞きをしたいんですが、系統は当時、構造的な資金運用難、資金が余っておったという背景がございますね。  そこで、大蔵省が認可した金融機関であるし、都銀、長信銀、あるいは信託、証券、そういう我が国を代表するような信用のある企業子会社である。したがって、無警戒で融資をしたと。目の前においしいごちそうがあったのでそれに飛びついたというような感じでいたんじゃないのかなという大きな疑問があるわけでございます。  特に、四月二十二日、この委員会で行われた参考人の質問で野党の委員から、無担保、無審査あるいは無保証で融資がされたんではないかという強い疑問が呈されておりますが、全国の農民が今注視しておりますのでお答えをいただきたい。
  17. 角道謙一

    証人角道謙一君) 住専貸し付けにつきましては、慣行といたしましていわゆる協定書方式ということを言われておりますけれども、原則的には、融資機関が譲渡担保、住専の持っております債権を譲渡担保という形で担保としてとっております。この全体が一つのグループとなっておりますし、また貸出融資機関はそれについて準共有という形で担保を持っておるわけであります。  ただ、その担保の管理が母体行の母体行、特に幹事行が管理をしているということでございまして、担保につきましては十分私どもとしてはほかの銀行と同様の担保をとっていますし、また審査通常審査手続、あるいは貸し出しにつきましても厳密に通常審査を行っていると。また、それに加えまして、特に住専につきましてはそういう制度的な背景、また母体行は有力な銀行であるというようなこともあったかと思いますし、その辺につきましては審査判断が甘いと。これも今にして思いますと、確かにそういう点は否めないと思いますけれども、当時におきましてはそういう判断のもとに融資が行われていたというように考えております。
  18. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 四月二十四日に本院に提出された関連資料を見ますと、住専、ノンバンク向けの融資のシェアは異常なほど系統は大きい。県信連、共済連の貸し出しを検討しますと、総融資残高に占める住専の割合が七割もあるような県信連もございます。それから、住専、ノンバンク向けの貸し出しの割合が七〇%を超える信連が十五もある。全国の信連でも平均六〇%を超えるという報道もなされております。これは金融機関の常識を超える、異常に偏った不健全な貸し付けだというふうに私は思います。これらの状態は、これは農林中金でも把握されておると思いまするし、あるいは報告がございますから、行政庁でも当然これは認識しておられるというふうに思うわけでございます。  そこで、私はこのような状態を放置しておった行政の責任はまことに重大であるというふうに考えておりまするし、系統金融指導的立場にある農林中金の責任もこれは極めて大きいものというふうに思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  19. 角道謙一

    証人角道謙一君) 最初に、住専とノンバンク、一括してノンバンクという理解もあろうかと思いますが、私ども住専とその他のノンバンクというものにつきましては、やはり経営の性格、位置づけが違うというように考えております。住専は、もう先ほど来何度も申し上げておりますように、住宅専門の一種の準政策金融を行っている、しかも制度的にも担保されている、そういう機関であると。ただ、それ以外のノンバンクにつきましてはそういう制度的な問題はございません。そういうことが一つございます。  また、ノンバンクの中にも、経営といたしましては、ノンバンクの主流は、やはりリースであったりクレジットであったり、またグループファイナンスというものが主体であると思いますし、また貸金業者も確かにございます。ただ、一般的に今ノンバンクということで問題になっておりますのは、バブル期に安易に不動産等への投融資を行った、投機資金貸し出した一部のノンバンクというものではないかというように考えております。  私ども、確かにノンバンク貸し付けば非常に多くなってきておりますが、特に最近におきましては経済構造あるいは産業構造が変化をしておりますし、あるいはリース、信販、クレジット、クレジットカード、こういうような業種が資金ニーズを増大させておると。  また、企業自身も資金調達手段ということで自分のファイナンスのための子会社をつくる、これも一種のノンバンクでございます。そういう場合には、背後にメーカーあるいは銀行、あるいはその他の商社等もいろいろついておりますし、そういうものを全体を判断してノンバンクというものについての信頼度あるいは貸し付け内容というものを見なきゃいけないというように考えております。  ただ、私どもに、今ノンバンクの貸し付け実態はどうかということでございますが、私ども住専、失礼しました、信連等の経営の個別の貸付先ノンバンクの内容を、どこにどういうふうに貸しているかということにつきましては私ども把握をしておりません。  そういうこともございまして、ただ、ノンバンク一般についてはいろんな、こういう業態があり、こういう業態についてはこういう問題があるというようなことは各信連にいろいろ情報としてお伝えしておりますが、それ以上その内容を、どこにどういう貸し付けをしているとか、それについては私どもとしては承知をしていない実態でございます。
  20. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 せっかくノンバンクの問題になりましたので、ちょっと御質問をノンバンクについていたしたいと思います。  系統では、たしか全体で七兆七千億のノンバンク融資がございます。不動産、建設分野の不況がノンバンク経営にこれから容赦なく襲いかかってくるというふうに思っております。  そこで、サラ金なんかをやっているところは大もうけしているから大丈夫なんですけれども、その他のノンバンク、これは今非常に住専と同じように経営危機にさらされておるはずでございます。  それで、申し上げますと、これは大蔵省資料でございますが、ノンバンクの貸し付け住専を含めて八十九兆円ございます。しかし、そのうちの主要な二百七十八社の融資実態を調査したところ、貸付総額五十六兆円、そのうち実に六〇%、三十一二兆円が不動産担保貸し付けになっている、ノンバンクでも。これは、全国の銀行のその融資割合が三〇%でございますから、ほぼ二倍の貸し付けをノンバンクは不動産担保でやっておるということになります。  また、業態別の貸し付けをこの二百七十八社でございましょうか、これで見ていきますと、ノンバンクの不動産業向け融資残高は二十兆三千億というふうになっておりまして、ノンバンクの融資総額のうちの三六・五%になっておる。全国銀行融資割合は、この同じものは二・九%、ほぼ三倍の貸し付けになっておる。  したがって、証人のおっしゃるように、サラ金なんかやっている、あるいは信販なんかやっているから大丈夫だというのは、これはだめなんです。この実態から見ますと、もう住専と同じように、地価の急激な低下を考えてみると、不良債権を恐らく相当抱え込んでおる、損失見込み額も相当大きくなっている、まことに恐るべき事態になっておるというふうに私は考えております。  証人の見解をもう一回お願いしたいと思います。
  21. 角道謙一

    証人角道謙一君) ノンバンク全体の状況につきましては、私は一般的な状況しか存じませんし、今、先生のお話のございました資料については十分理解はいたしておりませんが、金庫の立場から見ますと、金庫のノンバンク貸し付けというものにつきましては、住専以外約三兆四千ぐらいがございますが、これにつきましても、不良債権というのは、いわゆる破綻債権あるいは延滞債権というものは、私どもの手元の資料では大体百十二億ぐらいでございますから非常に少ないものだと。私どもとしては、そういうノンバンクを選別をしながらやってきております。  そこで、先ほど来、系統についてどうかというお話でございますが、系統につきましては私ども共済の内容については知りませんし、また信連の個別のノンバンク貸し出しについても承知はしておりませんが、先ほどお触れになりました農林水産省の方の資料でございますと、たしかノンバンク貸し出しが七年三月まで七兆七千億。そのうちの不良債権というのは、これは延滞とそれから破綻先だと思いますが、この七兆七千に見合うのが五兆七千九百億と。失礼、五百七十九億です。  そういうような数字というふうに伺っておりますので、それはそれなりの、それ以外に今御指摘のような問題があるというような懸念は私も持ってはおりますけれども、表で私どもが承知しているのはそういう状況でございます。  なお、失礼しました。先ほど、金庫の不良債権、百十二億と申し上げましたが、これ金利減免債権が入って百十九億。ごれは農林省の方から示されている数字ではないかというふうに思っております。
  22. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 お話ししましたように、中金の段階ではそのぐらいで済むかもしれませんが、不動産担保融資が二百七十八社の中で六〇%もある、金額も物すごいものがあるということをひとつ御認識の上、傘下の県信連あるいは県共連の指導に私は万全を期してもらいたいというふうに思っております。  そこで、今度は処理スキームの五千三百億円の贈与についてお伺いしたいと思います。  系統農協法によって営利を目的としちやいかぬということになっております。剰余金が出た場合には組合員に還元しなさいよということになつております。このために、系統は利益は小さくて内部留保も極めて貧弱という特殊性があると考えております。  今回の処理スキームに五千三百億円を協力するということに決定をしたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、系統住専経営に参画もしておらぬ、何の破綻の原因もつくっておらぬという状況でございます。しかしながら、そうはいっても、日本金融全体が今おかしくなり、金融システムの安定化のために協力しなきゃいかぬということだろうと思うのであります。  そこで、私は農協実態信連実態を知っておりますので、これがもうぎりぎりの協力だということは十分身にしみてわかっておるんですが、野党を初め一部のマスコミあるいは評論家から積算基礎がないんじゃないかという指摘がなされております。  そこで……(発言する者あり)ちょっと黙って聞いて。そこで、五千三百億円の協力額の受け入れの経緯、積算の根拠、それについてお答えをいただきたい。
  23. 角道謙一

    証人角道謙一君) 系統の負担の問題につきましては、私どもは本来この住専問題の処理、つまり住専経営破綻によって生じたものは当然住専あるいはその住専の実質的な支配者であった母体行というものが最大限の負担をすべきであるという立場でありまして、私どもの立場からは、これについて極力母体行に最大限の責任をとってもらうようにということを求めてきたわけでございます。  また、住専の整理につきましても、なかなか再建、第二次再建計画経過から見ましても、その後の経過を見ましても、私どもとしてはなかなか受け入れがたいということでございまして、この負担については系統としては原則的にこれを受け入れるべきではないということで、母体行に最大限の責任ということでやってきておりまして、したがって、この五千三百が決まるまでに、私どもとしてどれだけの負担をするというようなことは、内部ではなかなかそういう心配もしながら、具体的な金額というものは私どもとしては算定はしておりません。  それは、金庫なりあるいは各信連あるいは共済連、それぞれが自分たち責任のもとに融資をしてきたわけでありますから、それに伴う負担につきましても、それはどの信連がどれだけ持つことができるとか、そういう判断をできる者は実はいないわけでありまして、そういうこともございまして、私どもとしては自分たちの立場からそういうことを申し上げているんです。  したがって、五千三百についても、十二月の十八日ごろでございましたか、農林水産大臣が大蔵大臣のところに折衝に行かれる直前に、私ども系統団体が要請もありましてお伺いしたときに、この五千三百億程度をめどにして交渉をしたいというお話は伺いました。したがって、そのときに、その根拠であるとかあるいは内容等につきまして、積算等について特に明示もございませんし、私どももそんなに時間のあるわけではありません。また、とっさにその金額を、いいか悪いかということにつきましてもなかなか判断をするあれはございませんでしたが、ただ全体として、農林大臣がこの住専問題を系統の要望を受けて、担って大蔵大臣にお会いになる、折衝に行かれるということであれば、大臣として最大限もう御尽力いただければ、私どもとしてはそれをお受けしますよと。  そういうことで大臣に善処方をお願いをしたということでございますので、この五千三百億につきまして積算がどうかということを言われますと、私どもとしては残念ながらその根拠については承知をしていないというお答えをせざるを得ないわけでございます。
  24. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 この議論を本当はもう少し深めたいと思うんですが、これで系統に配分しても、県信連によっては二十以上の県信連が赤字決算をしなきゃいかぬと。当期損益が赤になる。あるいは県共連段階では、十までいきませんか、十弱の県共連が当期損益が赤になるというような厳しい数字でございます。この厳しい数字を系統はやはり金融システムの安定のために耐え忍ばなきゃいかぬ、こういうふうに私は思います。この議論をしておると次の議論ができないので進みます。  次に、一-三月の住専に貸している利払いの問題、六百億の問題でございますが、三月二十六、七日に住専各社系統に対して、とても払えないから勘弁してくれ、停止したいという旨を通知したと聞いております。  しかし、農林中金あるいは県信連、県共連の段階では決算をもう締めているはずでございますが、未収に計上しなきゃいかぬと思っておりますけれども、どうなっておりましょうか。
  25. 角道謙一

    証人角道謙一君) 今お話しのように、利払いにつきましては、私ども当然利払いがあるものと。これは住専と私どもの契約関係でございますので、住専が消滅するまでは当然この契約は生きているというふうに思っておりますし、そういう意味で考えておりましたけれども、三月の二十七、八日ごろでしたか、そういう時期に急に私どもの方に利払いを停止をしたい、利払いをしないということではなしに停止をしたいと。その問題、あとの利払いについてはその後また御相談を申し上げたいというようなことがございました。  今お話しのように、これを決算上どうするかと。これは今現在、各信連、共済連、私どもの方もこの決算手続を今進めておりますが、金庫におきましては保守性といいますか、経営の安全性という観点から一応利払いにつきましては未収計上をしておりません。  したがって、これは今後どういうことになるか、私どもとしては当然利払いを要求してまいりますけれども経営の保守性といいますか、経理の保守性といいますか、そういう安全という意味で未収計上していない。  ただ、これはあと、ほかの信連、共済連がどういうことをしているかということにつきましては、私ども今現在それぞれの決算整理をやっている最中でございますので、正確には把握はしておりません。
  26. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 当然支払ってもらわなきゃいかぬ金額だと私は思いますよ。これは正式に契約をして、しかも今住専は細々ながら事業をやっている。生きておる。ニューマネーも入っておるし、ある程度の貸し付けも一-三月やっておるわけですから、当然そういう企業の実体があるものだったら、これは払うものは払わなきゃいかぬ、これが契約だと私は思います。  これを信連あるいは共済連の段階で未収計上をしておるとすれば、私は今後の監視、監督が必要じゃないか、こう思うのであります。これは四月-六月も同じような問題が出てまいりますね。  そこで、これは私の個人的な提案でございますけれども、現在提案されている住専処理のための方策あるいは法案については、スキームを崩すことなく早期に成立させるべきであるというふうに私は考えております。しかしながら、現在国民の間に高まっている母体行の責任追及の声は、これは決して無視することができない。国民の負担を軽減するためのあらゆる可能性を私どもは追求していかなきゃいかぬ。金融秩序維持のために、この問題に最も責任を負うべき母体行を中心に追加負担を考えていかなきゃいかぬというふうに私は考えております。  この際、主たる責任母体行であることは間違いないんですけれども日本金融システムを安定化させるという目的のために、一般行系統も全金融機関が一体となって公的資金の軽減を考えることも一つのあり方ではないかというふうに私は考えます。  その際に、六百億円についても前向きな処理ができないものかどうかなというふうに考えておる一人でございますが、証人意見を聞いておきたいと思います。
  27. 角道謙一

    証人角道謙一君) この利子の問題につきましては、先ほど来佐藤先生おっしゃるとおり、昨年の十二月十九日でございますか、閣議決定の後も住専はそれなりの経営活動を続けてきておると。特に、新規の業務開拓もやってきておりますし、そういう意味では当時において既に利払いの問題もあったわけでありますが、十二月末には利払いが行われておりました。したがって、三月についても当然行われるというのが私どもの予想でございますし、そういうことで今まで来ております。  ただ、残念ながら住専処理策政府処理策というものは、恐らく前年度前には大体決まって、法案についても御審議をいただいて、そういうものは早期に現実化していくというように私どもは期待をしておりますし、また現実に期待、現在の段階においても期待をしております。ただ、それがおくれて、非常におくれてきております。  その関係で一-三月の問題、あるいは四-六の利払いの問題もお話があるかと思いますけれども、四-六の問題につきましては、第二次損失の処理問題として今現在大蔵省でもいろいろ作業され検討されているというようなことでもございますし、こういう第一次処理計画あるいは第二次処理計画というものについて、今後どういうことになっているのかということにつきましては、行政庁の意見をよく伺って処理をしていきたい。  ただ、特別、今言われた負担の問題につきましては、やはり私どもとしては、多くの関係者が、しかも利害錯綜している関係者がいろいろ議論を重ね、その結果、昨年政府が決断されたのが政府の現下の処理策でありますから、それについて私どもとしてはそれが一番現在時点では望ましい解決策であるというように考えております。
  28. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 時間が参りました。三月の農協貯金が極めて減っております。それに、信用組合あるいは第二地銀の貯金量も前年対比で減っております。この住専処理方策の審議のおくれが大きな原因になっております。私は、中小企業金融、農業金融の将来を考えた場合、一刻も早くこの審議を促進して国民皆様方に御安心をいただきたいというふうに考えておるところでございます。  以上をもって終わります。
  29. 泉信也

    ○泉信也君 平成会の泉信也でございます。  証人には、きょうは、農林中金の理事長というお立場もお持ちかと思いますが、系統の全体にわたりましてお答えをお願いいたしたい、このように思っております。  早速でございますが、仮に政府の処理スキームがこのまま成立をいたしました場合に、農林中央金庫法あるいは農業協同組合法、こうした法律によって関係者の方に責任が出てくる、何らかの責任が追及されることがあると証人はお考えでしょうか。
  30. 角道謙一

    証人角道謙一君) ただいまのお尋ねは、恐らく決算処理等について、この段階で経営上の、金庫あるいは系統経営の問題での責任はどうかというふうな御質問かと思いますが、そういうことでございますれば、私どもとしては、最終的には決算承認という形でそれぞれの総代会あるいは総会等にこの処理をお諮りをするということになるわけでございまして、私どもでは今月末、あるいは信連によりましては五月から六月にかけて各それぞれの総会、総代が行われると思いますが、その段階でこの処理方針につきましてお話をいたしまして、総会であるいは総代会で御承認を得ると。それについて、その場合どういうようなお話が出るか。  責任問題ということでは、私は現在、金庫の立場から、金庫理事長としての立場で申し上げますと、私としては過去の、今の時点におきましては過去のバブルの時代に生じました不良債権というものをこの際やはり一挙に処理をしていく、そうした形で経営体質を改善をしていく。早く黒字体質に持っていって、将来に向けて立て直していく。また同時に、系統組織につきましても、いろいろ信用事業につきましては問題は取り上げられておりますし、これを機会にやはり再編あるいは組織整備を進めていきたいというように考えております。
  31. 泉信也

    ○泉信也君 仮に、この五千三百億が贈与でなくて債権放棄と、金額は必ずしもこの五千三百億を意味するわけではありませんが、債権放棄というスキームであった場合にはどういう責任が出てまいりますでしょうか。
  32. 角道謙一

    証人角道謙一君) これは、債権放棄であれあるいは贈与であれ、それぞれの系統が、団体が負担する額は同じでありますから、その処理についてこれはいいか悪いかというお話でございまして、ただ私どもが贈与ということを申し上げましたのは、あくまで住専問題についての経営の、住専問題の処理は住専経営破綻の問題だろうと、したがって経営責任のある方が住専のこの負担について最大限の負担をすべきである、そういう住専経営責任ということで申し上げているわけでございます。
  33. 泉信也

    ○泉信也君 住専七社への金融機関別残高を見ますと、農林中央金庫が八千百二十五億と都市銀行を超えましてトップにランクをしておりますが、農中の理事長としてどのようにお考え、またこの残高が一番大きかったということをどういうふうにお考えでございましょうか。
  34. 角道謙一

    証人角道謙一君) 金庫住専に対します貸し出しにつきましては、冒頭いろいろ御説明申し上げました。  私ども、ノンバンク、住専全体に対します貸し出しにつきましても、先ほど来いろんな与信の態度等を申し上げてまいりましたが、同時に、ほかの銀行、長信銀等がどのように貸し付けをしているかというようなこともやはりこの与信枠の設定については配慮がございまして、大体私ども住専に対する貸し付けというのは、他銀行、他の長信銀並みの大体六%、五%から六%というようなものと考えてございまして、そういう意味では、それほど金額として、いい悪いは別にいたしまして、私としては十分な与信をやってきたと、的確な与信をしてきているというように考えております。
  35. 泉信也

    ○泉信也君 証人理事長に御就任になりましたのは、先ほどの委員長への御答弁で一九九一年ということでございますが、ちょうどこの時期ですと、住専の第一次再建計画がつくられたころでございますが、森本前理事長からどのようなこの住専問題についての引き継ぎ事項がございましたでしょうか。
  36. 角道謙一

    証人角道謙一君) 住専問題そのものについて特定して、こういうようなことはなかったかと思いますけれども、ただ経営全体について、バブル崩壊ということの中で金融としてはしっかりやっていかなきゃいかぬよと。その中に住専問題も恐らく含まれていたというように思いますけれども、そういうようなことだと思います。
  37. 泉信也

    ○泉信也君 これから、系統住専への資金流入の枠組みの変わり方について若干お尋ねをさせていただきます。  七三年の十月、これは初めての住専ができました約二年後でございますが、いわゆる農中の住専貸し出しが認められるような、これは内部の通達だと承っておりますが、そういうものができて動きが、住専への対応ができるようになった。こういうことが一つありまして、また八九年にはいわゆる財基令というものがつくられまして、信連等の余裕資金住専あるいは株式投資へ向かえるようになったというふうに承知をいたしております。こういうことができました際に、いわゆる系統機関の政治への働きかけとか、そういうことはあったわけでしょうか。
  38. 角道謙一

    証人角道謙一君) 純粋にこういう資金運用の問題であれば、やはり政治の方に御要請申し上げるというようなことはおよそないと思います。考えられないということでございます。
  39. 泉信也

    ○泉信也君 私どもが想像いたしますと、八〇年代に、言いますならば構造的な金余りというか、系統系の金余りの構造を打破する、あるいは運用先を求めていくというその過程でいろいろな仕組みができてきたのではないか。その中で、農中を中心とする系統の方々の何らかの働きがあったのではないか、こういう思いを私は持っているわけです。特に、八〇年十月の信連向けの通達が出ておりますが、これは御承知であろうと思いますが、住宅に限って長期的な貸し付けのための必要なものを融資することができる、こういう通達が出ております。これは九三年の春には廃止されておりますが、このことは御承知でございましょうか。
  40. 角道謙一

    証人角道謙一君) 五十五年十月にですね、先ほども申し上げましたように、住専農協法上の金融機関として一応位置づけをしたということについてはそのとおりでございますし、もう一つ、ちょっと失念をしましたが、よろしゅうございますか。
  41. 泉信也

    ○泉信也君 この八〇年十月の信連向けの通達では、住宅に限ってと、限定してと、こういうふうなものでございましたから、信連住専向けの貸し出しが個人住宅でずっといっておれば今回のような大きな問題にはならなかったんではないかという思いがあるわけでございますが、これからはみ出してしまった、言うならば通達違反をしてきておったんではないか。このことについてどのようにお考えでございましょうか。
  42. 角道謙一

    証人角道謙一君) 五十五年の通達そのものは、たしか、今手元にちょっと文書は見当たりませんけれども住宅資金と同時に宅地を含めて、またこれに関連するものを住専住宅資金としてこれを含むと、そういうふうに理解をしておりましたし、またそういうものとして運用をされてきていると、行政庁の通達の解釈もそういうようになっておりました。  したがって、厳密に個人住宅、そういうものではなしに、宅地であるとか個人住宅、マンションあるいはそのための宅地開発等、そういうものに対する業者についても十分貸し出しは可能であるというのが今の通達の解釈というように思っております。
  43. 泉信也

    ○泉信也君 この通達が出まして、住専七社への信連融資残高が急激にふえておるわけなんです。初年度、八〇年度末は七十億、八三年度が千五百億、九〇年度は二兆七千億弱と、こういうふうにこの通達がきっかけになってふえてきた。しかも、個人住宅ではなくていわゆる事業用融資が行われたのではないか。このことを系統関係者が見逃した、あるいは意識的にこれに目をつぶったとすれば、ここに一つの大きな責任があるのではないかと思うわけですが、手短にお願いいたします。
  44. 角道謙一

    証人角道謙一君) 系統といたしましても、私どももそうでありますけれども住宅資金ということで住専貸し出しをいたしております。住専の特定の貸出先を指定をしながら貸しているということはございませんで、住専は主としてそういうものを、個人向けの住宅というものを資金供給するのが本来の任務でありますし、私どもそういうものとして住専を見てきております。  また、住専自身貸し出し内容も十分、住宅資金というものは恐らく一番少ないときの四分の一以上はあったのではないかというように考えておりますので、私どもはそういうふうに理解をしてきております。
  45. 泉信也

    ○泉信也君 今、証人はそのようにお話しになりましたけれども系統自身がこの住専環境を十分承知し得る状況にあったということは、後でまたお尋ねをさせていただきます。  こうしたふえていく資金に対しまして、先ほども若干議論がございましたのは、系統のリスクマネジメントみたいなものが十分なされていなかったということがあるわけであります。資金が急増するという中でどのような手を打たれたのか。審査部の拡充だとかいうようなことはやられたかもしれませんが、どんな手を打たれたのか、お聞かせください。
  46. 角道謙一

    証人角道謙一君) 私ども中金の立場で申し上げますと、それぞれの営業部がございまして、営業部が住専等と連携をとりながら、要請を受けて、それについてまず第一次的な審査をする。それに対しまして、それをさらに、営業統括部あるいは審査部的なものを持っておりますが、そこで審査をすると、そういう二段階の審査制度をとっております。  したがって、こういう審査手続としては従来も金庫としては十分なものをやっておりますし、その場合に、相手方の担保徴求手続あるいは審査内容についても十分的確な対応をしてきていると。恐らく信連についても、特に住専につきましてはそういうような、先ほど来申し上げているような非常に高い公信力があるというようなこともあって審査には多少の過信があったかもしれませんが、それは制度の問題でございます。
  47. 泉信也

    ○泉信也君 審査が本当にきちんとなされておれば、少なくともこうした問題が起きなかったのではないかというふうに思われますが、先ほど来、あるいは参考人としてお越しをいただきました際に、いわゆる母体行を信用していたというようなことを再三おっしゃいました。しかし、母体行の保証という観点から見ますと、八二年以降は実はこれは解除をされておる。  これは、大蔵省から出ました「金融機関の債務保証のあり方について」というものが出てから母体行が系統住専向け融資に対して保証をつけなくなった。したがって、この時点からもう、実質的にはこれは若干遅いようですが、系統自己責任で、自律のもとでこの融資金融業務をやらなきゃならなくなったんではないかというふうに私は思いますが、この通達を厳しく受けとめられたんでしょうか。それとも、従来どおりの融資の考え方でいかれたんでしょうか。
  48. 角道謙一

    証人角道謙一君) 当時の銀行局の通達は、過度にやはり金融機関が保証をしているということについての警戒ということで恐らく出されたものでございまして、私ども住専は当初は確かに御指摘のように母体行の保証ということをやってきておりますけれども住専自身が非常に成長してくる、また住専業容拡大をしてくる、安定をしてくるということになりますと、それなりの信頼度も出てきておりますし、また同時に担保のとり方につきましても、先ほど来申し上げておりますような住宅債権の譲渡担保という形が一般化をしてきていると。それがまた一般の慣行となり、都銀その他、金融機関住専に対する貸し付けにつきましても、そういう形での担保徴求になったと。  したがって、私どもとしてはそれと同様の担保徴求の手続をとってきているわけでありまして、決して債務保証あるいはそういう担保徴求について手落ちがあったというようなことは私どもとしてはないと考えております。
  49. 泉信也

    ○泉信也君 これは、先ほども御説明ございました債権譲渡担保契約という、そういうものに切りかえていったということは私も承知をいたしておりますが、再三言われる、その母体行を信頼してという最初の出だしは、この保証が母体行からあったというところから私はスタートしたというのが素直な解釈だと思うんですね。  ところが、それがなくなった。そこで、本来は信用リスクの管理という意味では、先ほどお尋ねいたしましたけれども審査体制というようなものが切りかえられるとか、あるいは手続が厳密になされるというようなことが必要だったんだと思うんです。  再度お尋ねします。そこのところは、特別にこの母体行の保証がなくなったということによって体制の組みかえはなかったということでございますか。
  50. 角道謙一

    証人角道謙一君) 五十年当時の組織の改正があったかどうか、ちょっと私も正確に記憶はしておりませんが、恐らく担保の形の切りかえあるいは保全の仕方の切りかえだけであれば、そのために組織を改正するというようなことはなかったかと思います。
  51. 泉信也

    ○泉信也君 京都大学の吉田教授が、リスクに対処できる能力も意思もない組織がなぜ資本主義の土俵に上がってしまったのか、農協はリスクを負担しなければならなくなるような事態を制度として想定していなかった。これは、農協法を読んでも確かにそうだと思うんですね。こういう御指摘があることについて証人はどうお考えでしょうか。
  52. 角道謙一

    証人角道謙一君) 今お話しの京都大学の先生の御指摘については、非常に私はおかしいと思っております。  戦後、信連自身がもう営々と何十年も信用事業に携わってきておりますし、それなりの判断能力を持った、審査能力を持った人間も育ってきております。地方銀行並みの金融機関としてここまでやってきたわけであります。したがって、また今回の住専については、先ほど来申し上げていますように、一般銀行と同じような担保徴求、審査をやってきておるわけでありますから、それがよくないということであれば、一般銀行自身も担保徴求あるいはその審査能力がないということになるんで、それはやはりその先生の御指摘は非常に失礼ではないかというふうに私は思っております。
  53. 泉信也

    ○泉信也君 私はむしろ吉田教授のこの御意見に賛成でございまして、農協はもともと組合の中の相互扶助という立場でスタートして、その体質が変わらないままいきなり大海に出たということによって問題が発生したのではないかというふうに思っております。  これは評論になりますので次に進ませていただきますが、系統のいわゆる住専への貸し付け融資の方法について若干お尋ねをさせていただきます。  先ほども若干お触れになりましたけれども住専との間は、住専からの要請を受けて融資なさるのか、それとも系統側が案件を持っていかれるのか、いろんなケースはあるかもしれませんけれども、大ざっぱに分類しますとどちらからの働きかけなんでしょうか。
  54. 角道謙一

    証人角道謙一君) これも個別の信連あるいは共済の対応でございますので、具体的にどういうことであったかということは私は正確には承知はしておりません。  ただ、一般的には、それぞれの信連がやはり貸付先を探す、あるいは相手方から資金源を求めてくる。特に、三業種、総量規制のあった時期についてはむしろ住専あるいは母体行の方から積極的な資金需要の申し入れがあったというふうな話は聞いておりますけれども、具体的にどうかということになりますと、そこは具体的には承知はしておりません。
  55. 泉信也

    ○泉信也君 この部分が大変、責任を考える際に私は一つのポイントだというふうに思ってお尋ねをしたわけですけれども、御承知ないということであれば先に進ませていただきます。  今も証人はおっしゃいましたが、個別の信連とか共済に融資のことは任せておる、運用については任せておる、それぞれの判断でやっておるということは再三おっしゃっておるわけです。しかし、こうした信連でありますとか単協を農中として何らかの指導をするというようなことはなかったんでしょうか。
  56. 角道謙一

    証人角道謙一君) 個別の信連を私ども、行政庁のように経営内容について指導するとか、経営内容を把握する、そういうような権限はございませんで、ただ信連協会の中に実務者中心の一般委員会とか、そういうような機関もございますし、私どももそれに参りまして、一般情勢として、またそれぞれの業態がどういう状況にあるよというようなことは御説明もし、情報としてお話をしております。
  57. 泉信也

    ○泉信也君 系統の中での資金の貸し借りと申しましょうか、余裕資金はどう処理するかという意味では、単協から信連信連から農中というふうに、そういうルールができておるということを承知いたしておりますが、そういう中でお互いの状況を掌握し、そして農中という立場で指導をしていくというのが私は本来の姿ではなかったかというふうに思うんです。  どうしても私が解せませんのは、新聞報道によりますと、これはもう再三国会でも取り上げられておりますが、三重県信連の常務理事のコメントですと、信連協会が全国の要望を取りまとめて各協会の貸出額の割り当てを決定したとか、あるいは読売新聞の報道ですと、半年ごとに信連協会が各信連融資限度額を決めていた、こういうことがあるわけでございますので、証人がおっしゃることと違うんではないか、こう思うわけです。  そこで、私、ある資料で、これは正式に出された資料でございますけれども、各住専ごとに母体行、一般、系統がどういうふうに融資をやったか、借入残高がどうなっているか、七年三月末現在で見ますと、母体ですとトップは日本住宅金融でございます。そして、最後の七番目が総合住金です。この一位と七位の差は四倍あります。一般行のトップは日本ハウジングで、七番目は地銀生保ローンでありまして、この一位と七位の差は四・二倍なんです。系統につきましては、トップと七番目は同じく日本ハウジングと地銀生保なんですが、この差は二・一しかないんですね。概数的な把握の仕方で恐縮ですけれども、ここに一つの何らかのコントロールがあったんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 角道謙一

    証人角道謙一君) 信連住専向け貸し出しにつきましては、先ほど先生御指摘の通達に基づきまして、各上半期、下半期ごとに届け出を出すということになっております。  信連協会自身がそこで調整をしておるとかという話につきましては私は承知をしておりませんし、先回の参考人の説明のときに信連協会の会長からお話をしておりますので、そこで意図的にどの住専に向けてどうだというようなことは恐らくないというように考えております。
  59. 泉信也

    ○泉信也君 土地をめぐります状況の変化というようなものについて、証人は当然いろんな情報を得ておられたというふうに思いますので、このことについてこれから少しお尋ねをさせていただきます。  九〇年の三月、いわゆる総量規制によりまして系統から住専への融資が著増しておるということはもう再三指摘をされておるわけであります。証人は、八五年の七月ごろから再三にわたって、大蔵なり農水なりそれぞれの立場の役所から投機的な土地取引抑制するようにという通達が出ておりますが、このことは御承知でございますか。
  60. 角道謙一

    証人角道謙一君) 総量規制なり三業種規制の通達については承知をしております。
  61. 泉信也

    ○泉信也君 九〇年三月には総量規制を受けまして、農水省から住専向け融資について信連に注意喚起がなされておるということがわかっておりますが、こうした通達が出るあるいは土地投機に対する融資を抑えなきゃならないという中で、系統はどういう指導を、また御自身はどう部下を指導なさったんでしょうか。
  62. 角道謙一

    証人角道謙一君) 今御指摘の総量規制なり三業種規制のころ、私は農林中金にはまだ就任をしておりませんので、どういう指導をしたかということについてはお答えする立場にございませんが、よろしゅうございますか。
  63. 泉信也

    ○泉信也君 時間的には確かにそうかもしれません。しかし、御就任後、やはりこういう文書に基づく体制の組み直しとかあるいは指導の徹底ということをやっていただくのがお立場ではなかったか、こういうふうに私は思うわけです。  もう一つ、協同住宅ローンという、これは信連、農中が主体になってつくられた八番目の住宅専門会社でございますが、八七年の国会で農水省は、投機的土地取引への融資系統農協関連の協住ローンが行うべきではないと答弁をしておるわけですね。ということは、信連なり農中は、この協同住宅ローンのあり方によって住専問題の一端をうかがい知り得た立場にあったんではないかと思うんです。そのことについて、その後も余り変わらないような融資をなさったということについてどのようにお考えになりますか。
  64. 角道謙一

    証人角道謙一君) ただいまの御指摘は、たしか協同住宅ローン経営の中で一部問題があったということで、そういうようなお話があったというふうには聞いております。  ただ、信連は、住専に対しましては、住専そのものはやはり住宅資金を供給する業者であるというふうな認識でありましたし、また住宅資金については非常に需要が旺盛であり、住宅金融公庫におきましても、あるいは政府施策におきましても、一般銀行におきましても、住宅資金と住宅に関連したものについては積極的に伸ばしていったというように私ども理解をしていたわけでございます。
  65. 泉信也

    ○泉信也君 今そういうふうにおっしゃいますけれども、この一件当たりの金額で住専八社を比べてみますと、九一年三月の最高は一件当たり五千三百万、協住ローンにつきましては四千万。九三年の三月で最高は五千九百万で、協住は四千八百万。しかも、協住のこの一件当たりの融資額は必ずしも最低ではない、中間ぐらいのところに位置しておるわけでありまして、協住も決して個人住宅ローンだけをやっておったのではない、ほかの七社の住専と同じような事業用資産の融資をやつておったというふうに私は理解をいたしております。  そこで、今お尋ねをいたしておりますことは、母体行が責任がある、そういうことももちろん私はわかります。そのことを今ないとかあるとかいうものではありませんが、系統自身、こうした通達が出たりあるいは協同住宅ローンを抱えておられるということから、先ほど申し上げましたように、全体の土地取引についての知識を十分持っておられたんではないか。そして、農中自身にも、これは昨年のアエラの報道でございますので私自身がつぶさに承知をしておるわけではありませんが、今住専で起きておるような問題、それと同じようなことに農中御自身も巻き込まれていたんではないかと、こういうふうに思うわけであります。住専を取り巻きます環境を十分把握できないままいわゆる金融をなさっておられたということは私は否定できない、このように思います。  そこで、問題解決への動きが、先ほども御説明がありましたように加速をされるわけであります。お尋ねいたしたいのは、まず九三年二月三日の両省覚書、簡単にお答えをいただきたいわけですが、いつ御存じになったのか、この内容についてどう考えているのか、例えば元本は保証されておるというふうにお考えになるのかどうか。
  66. 角道謙一

    証人角道謙一君) 覚書そのものは、私ども両省間でいろいろ住専再建問題について私ども要請もございましたし、いろいろ議論されたものを取りまとめたものだというふうに伺っておりますし、この覚書そのものから、元本保証であるとかそういうものを、法律上の権利義務とかそういう効果が生ずるものではないと。ただ、両省間の行政の指導なりあるいは行政の方針というものについてお互いに意見交換されたものが取りまとめられたという意味では非常に重要なものだというふうに思っております。
  67. 泉信也

    ○泉信也君 こうした覚書ができておる最中といいますか、この両省からいただきました決裁文書を見ますと、決裁の途中で、二月十六日に大蔵、農水大臣あてに系統四社連名での要請書というものが出ておりますが、これはなぜこの時期に出されたんでしょうか。そして、御返事はあったんでしょうか。  もう一つお聞きしますと、これは日住金だけが文書に載っておりますけれども、ほかの六社も同様の文書を出されたんでしょうか。
  68. 角道謙一

    証人角道謙一君) 手元に今ちょっと要請書は見当たりませんが、この二月中旬の要請というのは前年の、たしか平成四年の秋ごろから、日住金を初めといたしまして住専七社から金利減免拡大の要求があったということはもう御存じのとおりです。  それを前提にいたしまして各信連等がみんな、それまでは、第一次再建計画のときは個別に対応してきた。したがって、これはなぜかといいますと、当時はただ残高維持と、金利減免というような要求はございませんで、債権には元本ロスをかけないと、残高維持ということだけが第一次再建計画のあれでございましたので、団体としてあるいは信連協会あるいは全中としてどうこうするという対応はとっておりません。  ただ、第二次再建計画の段階ではそういう話が出てまいりましたので、四年の秋ごろから信連協会あるいは全中等とも御相談をしながら、団体としてやはりこの問題については対応せざるを得ないだろうと。一社一社、一信連あるいは一共済連がそれぞれの母体行あるいは住専と話し合いをするということであれば、非常に私どもとしては不利になるんではないかと。また、この住専問題の経緯から見ても、やはり準政策金融ということで系統一丸となってやっていかなきゃいかぬだろうと、そういうことでいろいろ議論を重ねました経過がやはり団体として要望を行うべきであるということになったものでありまして、それについて要望を申し上げた後、三月の中旬に改めて両省担当官からそれについての、私ども要請に対する回答というものがございました。
  69. 泉信也

    ○泉信也君 この資料が出された背景証人は今御説明いただきましたけれども、私の思いでは、これは両省覚書内容を御承知になって、漏れ聞かれて、その中に元本保証というような文言がない、したがって改めてこういう要請書を出されたのではないか、しかもその結果二月二十六日の例の大騒動があってゴム印をつくというような事柄があったんではないか、相当この系統系が大きな動きをなさったんではないか、私はこのように思うわけであります。しかし、これらの文書は、もう再三言われておりますように、いずれも法的な有効性を持つものではないということであることは当然でございます。  そこで、この住専の問題で五千三百億の贈与ということがなされておりますが、朝日新聞の四月二十五日では、いわゆる農中、信連、単協、そういう三者一体で考えれば四兆円を超す自己資本を持っておるということも言われております。私自身計算をいたしますと、少なくとも三兆ぐらいの、三者合わせますとそれぐらいのお金をお持ちではないか。また、ある評論家は六兆円の余力があると、こういうことを言われております。  それはさておきまして、この五千三百億という根拠は、先ほどは聞かなかった、わからなかったと、大臣から言われて、大臣の意を受けて、御努力いただくならばというふうにお答えになりましたが、そんなことで五千三百億をぎりぎりだという発言がおできになるんですか。
  70. 角道謙一

    証人角道謙一君) ぎりぎりかどうかというお話につきましては、私ども系統自身は、例えば信連、共済と私どもで考えますと、信連の年間の経常利益というのは、この五年見ますと大体平均で千億、せいぜい六年度で千三百億程度でございます。  また、内部留保についてもお話がございましたけれども、一般に協同組合組織というのはそういう意味では内部留保は非常に乏しいものでございます。専ら組合員に、会員に還元をすると。しかも、これから店じまいをするというんではありませんで、やはり組合金融機関として積極的にこれからも地域の金融にも役立っていかなきゃいかぬと、そういう経営としての存続ということを考えてみますと、非常にこれは厳しい内容であるというように考えております。  したがって、五千三百億につきましてどうかということにつきましても、そのときについては、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、最大、この金融システム安定のために、そういう形で大臣がお臨みになるということであれば、それ以上の私どもとしては折衝力はございませんでしたので、大臣にお願いをしたということだと思います。
  71. 泉信也

    ○泉信也君 その程度のことでは、金利の減免額の一部だという説明があったり、これは農中、証人がやられたわけでありませんけれども最初あって、それでその次はぎりぎり論が出てまいりました。  しかし、今回の五千三百億の分担を議論されるときに、農中は二百億という金を信連等に肩がわりをするというようなこともお決めになっておりますね。これは先ほど来、信連、共済独自の判断で融資をしたということと、農中がその二百億を出して肩がわりをするということはどういうふうに私ども理解したらいいんでしょうか。
  72. 角道謙一

    証人角道謙一君) 五千三百億の負担につきましては、農林大臣が大蔵大臣折衝されてお決めになったと。その結果について、私どもについては五千三百億で決まったと。そこで、共済連と、共済系統信用事業系統では大体四千億と千三百億程度で負担をしろと。この四千億についてどうするかという話は、これは専ら信用事業の中で御相談申し上げるということになったわけでございまして、その際、私どもとしては、慣行でございますが、いろんな事業をやっていく上におきまして、信連の会長会議、その前提には一般委員会というのがございまして、それぞれの分担等につきましても十分御相談申し上げる。  私どもとしては、農林水産省のお考えも大体半分程度は、一応系統全体の信用事業の維持のために金庫で負担したらどうかというお話も内々承っておりましたし、私ども実は不良債権の処理、先ほどお話ししました協同住宅ローンでありますが、それの償却も考えておりましたが、やはり全体の立場から見ますとこの際負担はせざるを得ないなということで二千億というものを決めたわけであります。  もう一つでございますが、二百億の話は、その中で一律に配分するものと、経営の非常に格差がございますので負担できない信連がある、そういうものについてはどうするか、これもやはり全国連の立場からいえば私どもとしては何らか、系統全体を維持しなければいけませんので、そういう意味信連の会長の皆様方にお諮りをして、皆様方の御相談の結果そういう配分が決まったということでございます。
  73. 泉信也

    ○泉信也君 今のお話を聞きますと、もしも大臣から一兆二千億負担をしてくれ、こういうふうなお話があればそれを受けられたのではないか。あるいはまた、信連の中でいろんな経営のよし悪しがあることは承知をいたしておりますが、そういうものに対して農中が援助の手を差し伸べるということができるのであれば、先ほど来、それぞれの主体が独自の判断でやったということは私には理解できない、このように思います。  最後になりましたが、今までお尋ねをいたしました中で、系統は余剰資金融資拡大、このための努力をなさった、私はこのことは決して悪いとは言いません。時には通達を無視してまでも続けてこられた。国の土地政策の方向を承知しておられる中で、また住専の環境は農中自身の経験あるいは国会論議などの場で承知しておられるにもかかわらず住専への貸し込みを続けてこられた。これはまさに未必の故意というような例えにも当たるようなことではないかと私は思うわけであります。最後の局面では政治、行政、関連団体を巻き込んで責任の回避を図ろうとされたんではないか。しかも、今も明確にはお答えにならなかった五千三百億、このことが系統系のごり押しで税金投入になったという国民の批判さえあるわけであります。  私どもは、九百万という農家の方々、この方々が肩身の狭い思いをしないように、何とかして堂々と胸を張って歩いていただけるように、この場で解明をしたがったわけであります。  今、新進党・平成会も新しい案を考えておりますので、証人はこれまで生涯の大半を農村漁村のためにお尽くしになったわけでございますから、どうぞ大所高所からまた御活躍くださいますようお願いを申し上げまして、お尋ねを終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  74. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 証人にお尋ねをいたします。  証人は従来から住専母体行の経営責任ということを大変終始一貫して国会でも述べられてまいりました。設立の経過経営実態金融制度上の位置づけ、また経営悪化の原因再建計画経過金融機関の信義誠実の原則、そして紹介融資実態からもそれは明らかです。  また、先ほど来メーンバンクはその会社の面倒を見るのが当たり前、親会社子会社の面倒を見るというのは日本の商慣行だというふうにもおっしゃられたわけでございます。終始一貫して母体責任を主張してこられた証人が、さっき、大臣の調停の中で政府案作成のときに五千三百億円の贈与を承認させられていくという、証人はそうはおっしゃいません、言葉は違いますけれども、私の立場からすれば、終始一貫母体責任経営責任母体行にあるというふうに主張されてきた証人であるならば、この五千三百億円の負担についても恐らく拒否をしたいとごろであったのではないかということを思うわけでございます。  そういう中で、この五千三百億円の贈与を承認させられた経過についてはただいまも証言があったわけでございますけれども、さらに詳しく証言いただけるところがあったら証言をしていただきたい。  それから、この際、その話し合いの際に母体行側はこの責任について、あるいは自分たちの負担についてどのような主張をされておったのか、また行政サイドは行政サイドの責任に対してどのような主張をされておったのか、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  75. 角道謙一

    証人角道謙一君) 先ほどの五千三百億の経過につきましては、特に私の方から付言することはございません。  ただ、私どもとしては、当時におきましても、本来住専問題についての負担は住専経営問題として処理すべきであるし、そういう意味母体行が最大限の負担をすべきであると、住専母体行の責任ということを追及してまいりました。  そういう意味では、本来ならば私どもとしてはこの負担について拒否をするということは十分できると思っておりますけれども、ただやはり当時の住専問題につきましては、今もそうでありますけれども、この解決が不良債権問題の象徴ということで内外の注視を浴びておりまして、海外におきましてもジャパン・プレミアムというような問題も出てまいりましたし、この解決が早急に必要であるというような要請がございました。  これにつきまして、やはり私どもとしても金融機関の一員でありますから、この解決のためには、私ども融資をしたことも事実でありますし、そういう観点から金融秩序の安定ということについては第一次、第二次再建計画についても支援もし協力もしてきたということを踏まえて、この五千三百億の負担ということは結果的に大臣の御判断にお任せをする、むしろ大臣が私どもの立場で最大の御尽力をされるもの、努力をされるものと、していただけるものというように私ども信頼を申し上げておりましたので、そういうことになったわけでございます。  当時、母体行の方からは当初私ども面談の段階でも負担の問題は全然出てまいりませんで、専ら、お名前申し上げると失礼でありますけれども銀行の団体の代表の方々がいろんな記者会見その他のところでお話しになっていたことは承知をしております。その内容は、再建のときには母体行は再建責任がある、しかし整理、清算の場合にはもうそれは母体責任はないんですね、貸し手が一様に同じような責任を負うんだと。それがいわゆるプロラタとか称されておりますけれども、債権者側が貸付額に応じて比例案分をして持つんだと、そういうような主張が当初出てきておりました。  これ、私どもその当時におきましては、住専なり母体行からは平穏に金利なり元本の償還を受けておりまして、およそそういうような話は実際は想定していなかった。それが冒頭、委員長の御質問に、御尋問に対してお答えいたしましたように、不良債権問題というのが一挙に顕在化してくると、秋ごろからそういう話がむしろ母体の方から間接的に出てきたと。  私どもにしますと、非常に突如の話でありますし、また再建の場合には母体行は責任がある、しかし整理、清算の場合には母体行の責任はなくて、これ一般行と同じであると。これは金融機関としては、非常に私どもとしては不本意。再建の場合というのはやはり正常に立ち直って利益を出すということでありますから、利益が出てくるような状況の場合には母体行が責任を持つ、しかしこれは整理、清算の場合にはそういう責任はないので一般行と同じような負担しかしないと。もうかるときは自分はもうけるけれども、損をするときはみんな同じだと、そういう論理はないのではないかということから始まって、私どもはいろんな母体責任というものを強く主張してきたわけでございます。  その間、行政の方でどうだったかということについては、私どもから、農林省大蔵省両省間の話し合いが現に行われていたわけでありますが、私どもの方は農林省に対しまして母体行主義ということをもう強く主張しておりましたので、農林省の方も私どもの立場、力量というものを御理解もいただいて、また再建計画に至る経過も御承知ですね、そういうような大蔵省折衝されていたものというように考えております。
  76. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 五千三百億円は結果責任としての拠出というふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  77. 角道謙一

    証人角道謙一君) 御質問のとおり、金融システムの安定のための、そのための系統としての資金贈与であるということでございます。
  78. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 政府案をできるだけ早く私たちもつくり上げて、そして金融不安をなくしていきたいという観点が一つあるわけでございますけれども、二次損失の問題も非常に危惧をしております。  一兆三千億円の二次損失が既に出ることが見込まれておる中で、母体行が一般行として回収できる債権が一兆六千八百億円あるということが委員会の質疑の中で明らかになりました。この一般行としての債権の放棄も私はぜひ実施をしていただきたいと思うわけでございますけれども証人はどうお考えでしょうか。
  79. 角道謙一

    証人角道謙一君) この母体行の方の負担につきまして、今一般行としても貸し付けがあるんだからどうかということでございますが、私どもといたしましては、現在の政府処理案というものが昨年後半、恐らく非常な時間と労力をかけまして、関係者が必死の努力をして合意ができなかった。それを政府・与党でお取りまとめいただいたのが、またそれについて基本的な合意があったというのが今の政府処理案だというふうに考えておりますので、この政府処理案によってやはり解決を図っていただくと、それが私どもとしましては一番望ましい、現下では一番適切な策ではないかというように考えている次第でございます。
  80. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 証人としてはそう言わざるを得ないというところだろうと思いますけれども、私たちは国会として母体責任をさらに追及していきたいというふうに思っております。  証人は先ほども行政の態度についてはよく承知をしておらないということであったわけでございますけれども、この間の住専問題に対する大蔵省農林省のかかわりについて、行政の責任について私は小さくないものだというふうに思っているわけでございます。その点についてどうお考えでしょうか。
  81. 角道謙一

    証人角道謙一君) 住専問題の経緯につきましては冒頭いろいろ申し上げてきておりますけれども、これについての責任問題ということになりますと、私どもの立場からやはりどうこう申し上げることは非常に難しいかと思いますので、御了承いただきたいと思っております。
  82. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そのことに触れられないというお立場にあられることはよく承知をしておりますけれども、私はこの行政の責任論なくして六千八百五十億円の公費負担はあり得ないと、そう思っています。  先ほど五千三百億円は中金としての結果責任系統としての結果責任というふうにおっしゃいました。私は、こういう観点から行政責任は大変多くあると思うんです。大蔵省住専実態調査についての報告を求めて、住専内容については隅から隅まで承知をしていたにもかかわらず、中金に対してさらに融資をして拡大させていけるような通達を出したり覚書をしたりということを、そういうことの中で中金に融資をさせていったというような責任もあるというふうに思うわけでございます。  こういう行政の責任からすれば、金額であかなうことは今までの行政の中では絶対にあり得なかったことでございますけれども、行政責任、結果責任として六千八百五十億円、これは負担をした中で何としても金融不安を解消していくという政府責任、行政の責任を私はここで申し述べておきたい。そして、全国民にそのことを理解していただきたいことを心からお願いするものでございます。  それから、住専のこの問題で農協の下部の組合員、私は三連休に農村部をくまなく回ってまいりましたけれども、一般農協組合員は非常に不信感を募らせています。もう何年も前からこんな問題が起こっていたのに下部の農協組合員あるいは農協の理事さんさえもこの住専の問題については一切情報が知らされていなかった、ある日突然に農林系が五兆五千億円も貸し付けてあってということが明らかになり、これは大変なショックを受けた、トップに対する不信感が物すごくあるということを本当に口々に、今は田植えの準備の盛りですけれども、あぜ道で私はそういう文句を言われました。  そういう状況の中で、社会的な不安を与える、社会的な責任、あるいは一般農家組合員に対するこの不信感をこれからどういう方法で払拭していかれるのか、証人にお尋ねいたします。
  83. 角道謙一

    証人角道謙一君) この住専問題がこうしていろんなところで取り上げられてからもう久しいわけでありますし、また私どもとしてはそれぞれの信連あるいは中央会等、傘下の団体を通じまして十分に会員なりまた会員の、これは単協でございますが、単協の組合員の方々に十分お話をしていただくように随分私どもとしては努力してきたつもりでございますけれども、今、先生御指摘のような事例があるとしますと、また私どもとしては非常に申しわけないと思っておりますし、さらに努力はしなきゃいかぬと思っております。  ただ、この責任についてこれをどのようにこれからやっていくのだということにつきましては、先ほどお話し申し上げましたように、やはりこれからの組合系統信用事業というものを見ていきます場合には、やはり農協あるいは信連というものはそれぞれの地域にとって不可欠な、特に農山村に参りますと重要な組織でありますから、これを足腰の強いもの、将来に向けてやはり立派なものにしていくことが大事だというように考えておりますので、そのためにやはり今回の教訓を踏まえまして、まず不良債権を早急に処理をしていく、そして病根をまず断ち切って将来に向けて組織改革をやっていく、経営の面では能率化、合理化を徹底をしていく、また同時に組織につきましても、今まで事業三段あるいは組織三段というような戦後つくられた経営形態の上できておりますので、これについても抜本的な見直しをしていく、そういうことをもってやはりこれからの組合員の負託にこたえていくということが一番大事なことだというように考えております。
  84. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 もう時間がありませんが、農協貯金の減少であるとか、あるいはノンバンクの破綻によって農林系統が大変な窮地に追いやられるのではないかというような報道がここで相次いで起こっていて、農民、組合員の皆さんは非常に不安に思っていますけれども、ひとつここではっきりと安心をしていただきたいというメッセージを証人の口から伝えていただきたいと思います。
  85. 角道謙一

    証人角道謙一君) 今、今まで申し上げてまいりましたように、系統信用事業というものはそれなりに地域に根差して、また組合員の皆様方信頼の上に成り立っているものでありますし、また農林中金自身は、私どもとしてはこういう会員の負託にこたえまして、国の内外でも非常に高い信頼度を受けて、また国際的にも非常に高い評価を受けている組織でございます。  そういう意味で、系統信用事業全体をこれからも組合員の方々が安心できるようなそういうものにやっていく最大の努力はいたします。そういうことで御信頼をいただきますようにぜひお願いをしたいと思っております。
  86. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。
  87. 有働正治

    ○有働正治君 日本共産党の有働であります。  住専に対する農協金融機関融資をめぐりましては、批判の対象になっていることは御承知のとおりであります。証人もその責任の一端については言及されました。私どもも、農家の皆さんの大事な金を預かりながら今日これだけ破綻した住専に倍々ゲームといったように貸し込んでいかれた責任については、今後のあり方を含めまして、きちんと考えて教訓を生かすべきだということを指摘しておきたいと思います。  その上で尋問に入ります。  一つは、なぜ農協系統住専融資をふやしていったかという、この問題をめぐっての母体行などとのかかわりについての問題であります。  住専への系統融資が、一九九〇年三月の不動産投機を抑制するもとで、当時の橋本大蔵大臣のもとに発せられました総量規制と三業種規制の際、住専がその総量規制の対象外に置かれる、あるいは農協系統が三業種規制の対象とされるということから、農協系統から住専に対し融資が急増していく、そういうことになっています。ところが、住専経営が悪化しその再建が問題になり、九一-九二年にかけまして第一次再建計画がつくられ、一年足らずの間の九三年に第二次再建計画がつくられました。しかし、事態は深刻の一途をたどりまして今日に至っている、こういう状況であります。  そこで、証人にお尋ねするわけでありますが、第一次、第二次再建計画に当たりまして、とりわけ第二次再建計画に当たりまして、系統金融機関としては住専からの引き揚げ、こういうことはお考えにならなかったのかどうか、結論的にお示しいただければ助かります。
  88. 角道謙一

    証人角道謙一君) これは第二次再建計画に限りますが、第一次再建計画の段階でもやはり一部外国銀行融資の引き揚げというような事態もございましたし、系統の中では元本引き揚げをこの際やるべきではないかというようなことが検討されたことも事実でございます。  ただ、それに対しまして、第一次にしても第二次再建計画にいたしましても、計画について母体行全体がこの計画を立てており賛成をしている、関係者もみんな了解をしていると、そういうことで、それに対して系統協力をしないということでは非常に問題があるというようなことで、元本引き揚げということはやってはおりません。
  89. 有働正治

    ○有働正治君 今もお述べになりましたけれども、引き揚げは考えたと。問題は、そこでなぜそうにもかかわらず協力していったかということでありますが、今述べられましたように母体行や住専からの要請があったということでありますけれども住専なり母体行なり、その点でどこが一番熱心であったのか、特に母体行はどうであったのか、そこらあたりいかがですか。
  90. 角道謙一

    証人角道謙一君) これは、第一次再建計画、第二次再建計画におきましても、やはり住専母体行一様にこの問題については再建について努力をしてほしい、協力をしてほしいというようなお話がございました。どこが一番ということはちょっとなかなか申し上げにくいかと思っております。
  91. 有働正治

    ○有働正治君 私は、今手元にその資料を持っているわけでありますが、住専の一つ、総合住金の母体行の集まりである第二地銀協会が、住専だけでなく農協系統に対しましても住専の第二次再建への協力を求めました浜田第二地銀協会会長名のお願いの要請文であります。その中では、母体銀行である当協会会員行は再建のため支援を行うということがはっきりと明記されているわけであります。その点、間違いがないかどうか、そういう要請があったかどうか、この点だけお示しいただきたいと思います。
  92. 角道謙一

    証人角道謙一君) 平成七年の二月の段階で、当時総合住金については元本償還が当初から予定されておりましたが、当初予定しておりました六百億の資金について、これは資金繰り上半分を繰り延べをしてほしいというようなお話がございまして、そのときにそういう文書が総合住金の方から来ている、また母体行からも来ているということでございます。
  93. 有働正治

    ○有働正治君 二つ目の私がお尋ねしたい問題は、大蔵省指導とのかかわりの問題であります。  第二次再建計画に当たりまして、九三年二月三日、大蔵省の寺村銀行局長と農水省の眞鍋経済局長との間に覚書が交わされているわけであります。そこでは、再建計画に沿って母体行が責任を持って対応していくこと、大蔵省農協系統に今回の措置を超える負担をかけないよう責任を持って指導していく、金利減免等々が示されているわけであります。  そこでお尋ねするわけでありますが、この覚書につきまして、客観的に見ましても再建計画農協系統協力を取りつけるためにつくったものと私は思わざるを得ないわけでありますが、いかがでありましょうか。
  94. 角道謙一

    証人角道謙一君) 覚書というよりも、私どもとしては、平成四年の秋以来、日住金を初め七社から協力要請再建計画についての協力要請があった。これは一次とは違いまして、残高維持だけでなしに、むしろ残高維持と同時に利息の減免というふうな話がございまして、これは私ども当時の経営から見ますと非常に大きな話でございますので、これに対してどういうように対応していくかということで、農林水産省にも私ども系統挙げて要請を行ってまいりました。  その要請を受けて大蔵省あるいは農林省がいろいろこの再建の問題について、枠組みについて基本的にどうするかというようなことをお取りまとめになったのがこの覚書ではないかというように考えております。
  95. 有働正治

    ○有働正治君 それから、証人はこの覚書そのもの、あるいはこういう内容、趣旨については当時ある程度事情がわかるような状況にあったのでありましょうか。そこらあたりいかがでしょうか。
  96. 角道謙一

    証人角道謙一君) 当時におきましては、たしか農林水産省あるいは大蔵省との交渉の経過につきましては、大体の大筋につきましては、担当官あるいは私どもの担当者の方に経過等は大筋はお話がございました。
  97. 有働正治

    ○有働正治君 覚書の中身は、農協系統が第二次再建計画に当たりまして要望いたしておられました三項目の要求、要望、つまり再建母体行が責任を持って対処していただきたい、あるいは系統に元本ロス負担を求めない等々の三項目でありますが、これに対しての大蔵省や農水省の回答と実態的な内容上は符合するものと考えるわけでありますが、この点はどうお考えでありましょうか。
  98. 角道謙一

    証人角道謙一君) 私ども要請内容につきましては、今、有働先生からお話あったような点でございますし、またそれに対しまして三月中旬に系統の代表者が農林省大蔵省の方に再度要請に参りまして、その要請に対する回答を承っておりますが、それについても、計画が達成されれば元本ロスが生ずることがないように、関係者にさらなる負担が招来することはないというようなお話がございましたし、また母体行からは銀行局に対しまして、再建計画に沿った責任を持って対応してくるというような文書が出ていると。また、大蔵省としてもこの再建計画に沿った対応をしていくというようなお話がございましたので、私どもとしてはこれを了として再建計画協力をするということを決めたものでございます。
  99. 有働正治

    ○有働正治君 参考人として御出席していただいた前回と、今回の今までの答弁を通じまして、農協系統に対する母体行、住専の元本維持などの条件つきの強い協力要請が行われていたということもはっきりしました。同時に、行政の側からも強い指導があったということもはっきりしたと思うのでありますが、この点いかがでしょうか。
  100. 角道謙一

    証人角道謙一君) ただいま有働先生御指摘のとおりでございます。
  101. 有働正治

    ○有働正治君 わずかの時間の尋問を通じましても、私どもは、系統責任があるということはもちろんですけれども系統住専にのめり込む背景に、母体行が強い要請を行う、そして解決のために責任を持って図っていくという、そういう誓約、それに対してまた大蔵省がお墨つきを与えていたということもはっきりしたと思うのであります。  となりますと、住専問題の解決には国民の血税導入ではなくて母体行の責任解決する、お墨つきを与えていた政府がその点で責任を持って対応するということが求められて、この間の経緯からいって私は当然の帰結だと思うのであります。  その点で、母体行の追加負担を求めるという点では私どもも、与野党もかなり共通の国会論戦を通じて認識が深まってきて一致する、こういう状況になってきていると思うんです。母体行の追加負担を政府が今すぐやっぱり国会、国民の皆さんにお示しする、このことが非常に重要になっていると思うわけであります。  そういう状況にあるということを指摘して、反省すべき点は反省されて、今後教訓も酌み出して対応していただくことを申し述べて、私の尋問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  102. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最後になりました。わずか五分ですからしばらく辛抱してください。  今回、政府住専処理機構をつくりまして、強力に債権の回収を行うと。検事あるいは警察官を動員して、地の果てまで追いかけていくということを言っております。しかし、遺憾ながら、余りにも遅過ぎたと思います。もう借り手たちははるかに政府よりもこうかつですから、隠すべき財産はもう隠していると思います。.一体に世間の人が相手に金を貸して期限を過ぎても返してくれない、しかも財産隠しをやっているという疑いがある場合にはどうするか。弁護士さんに頼んで債権の保全を図る、これしかないわけであります。みんなそうしておるわけです。  ところが、住専なるものは今まで何もしていない。住専がしないのはいいんですけれども住専に貸しておる農協系、系統といいますか、系統にしろ母体行にしろ、これがまた何もしていない。なぜ母体行と相談して住専をして債権確保のために、保全のために必要なことをやらせなかったんでしょうか。
  103. 角道謙一

    証人角道謙一君) 住専に対しましては、貸し出しました債権の保全という観点で、私ども定期に決算なりあるいはそれらの場合におきましても財務状況貸し出し状況等を伺っております。  その段階でも、昨年の春ごろまで平穏に元本の償還、あるいは利子弁済も行われておりますし、経営内容につきましては若干再建計画と違った、若干悪化の傾向は見られておりますが、これについてはどうかというようなことも住専の方にも指摘をいたしましたが、住専は十分再建はやっていけるんだというようなお答えでございましたし、私どもそれを承服していたわけでございます。
  104. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 債務者にどうだと聞けば、大丈夫、やっておりますと答えるのは当たり前でありまして、そんなことで経営責任が全うできるなら私でも幾らでも社長はやりたいと思いますが、そういうものではないと思います。  それから、証人は大学の法学部を出ておる以上は債権者代位権というのは御存じだと思います。住専がやるべきことをやらなければ、債権者代位権を行使して債権の保全を図る、これまた当たり前のことです。口頭で何かやっておるか、うん、やっておるよ、それで終わるという問題ではなかったわけですから、その点いかがですか。
  105. 角道謙一

    証人角道謙一君) 私ども住専との経営状況の報告という点で十分手を尽くしてきたつもりでございまして、私ども住専にかわって債権者代位権を行使するというようなことは現実にはやっておりません。
  106. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 先ほどから聞いておりますと、大変私は心に引っかかるものがあるんです。  一番気になりましたのは、だんだん時間がなくなってきましたけれども平成元年十二月に土地基本法が制定されたことは御存じですね。
  107. 角道謙一

    証人角道謙一君) 存じております。
  108. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 この基本法というのは画期的な法律でして、土地の投機取引を禁止するという感じです。それと相前後して大蔵省からもいろんな通達あるいは要請が出ております。このことについても御存じでありますね。
  109. 角道謙一

    証人角道謙一君) 通達その他細部につきましては、申しわけございませんが承知はいたしておりません。
  110. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私そこで疑問を持ったわけです。理事長に就任すればすぐ部下を呼んで、通達を守ったのか守らなかったのか、守らなかったとすればその理由は何だと問い合わせまして、理由が定かでなければその部下を処断する、責任の所在を明らかにして今後通達を守っていくというのが理事長として当然の仕事じゃないでしょうか。その点はいかがでしょうか。
  111. 角道謙一

    証人角道謙一君) 今の通達というのは土地関連、土地対策基本法に対する通達と誤解を、誤ったわけでございますが、三業種規制あるいは総量規制というものについては、そういう通達に従ってそれなりの対応をしていたというふうに私は理解をしておりました。
  112. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 実は大蔵省からもいろんな意味で通達その他が出ておりまして、土地の投機取引につながるような融資は厳に慎むようにというふうなことが言われておりまして、これは天下公知の事実と言ってもいいわけですけれども系統がこれを遵守しなかったのはどうしてでございましょうか。簡単に述べてください。
  113. 角道謙一

    証人角道謙一君) 系統におきましては、住専に対する貸し出しというものは土地投機につながるものであるというように理解をしていなかったと。それは住専の性格なり、また住専の、住宅資金に対します国民資金ニーズというものを前提にしてそういうふうな理解をしていたということでございます。
  114. 井上裕

    委員長井上裕君) これをもって角道謙一証人に対する証言の聴取は終了いたしました。  証人には、長時間にわたり御証言をいただきまことにありがとうございました。  御退席くださって結構でございます。  午後一時半に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十分開会
  115. 井上裕

    委員長井上裕君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  平成八年度総予算案審査のため、住宅金融専門会社問題について証人証言を求めることといたします。  まず、委員長から確認させていただきます。  あなたは橋本徹君御本人ですか。
  116. 橋本徹

    証人橋本徹君) そうです。
  117. 井上裕

    委員長井上裕君) この際、一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただきまことにありがとうございます。当委員会におきましては、平成八年度総予算に関する審査を進めておりますが、本日は特に証人の方から住宅金融専門会社問題について御証言をいただくことになった次第でございます。  証言を求めるに先立ち、証人に申し上げます。  議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人には、証言を求める前に宣誓をしていただくことになっております。  宣誓または証言を拒むことができるのは、次の場合に限られております。  自己または自己配偶者、三親等内の血族もしくは二親等内の姻族または自己とこれらの親族関係があった者及び自己後見人後見監督人または保佐人並びに自己後見人後見監督人または保佐人とする者が刑事訴追を受け、または有罪判決を受けるおそれのあるときは宣誓または証言を拒むことができます。また、医師歯科医師、助産婦、看護婦外国法事務弁護士を含む弁護士弁理士公証人、宗教の職にある者またはこれらの職にあった者が業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについて証言を求められたときも宣誓または証言を拒むことができますが、本人が承諾した場合はこの限りではありません。  正当の理由がなくて証人宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または十万円以下の罰金に処せられます。  また、宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  なお、今回の証人喚問についての当理事会決定事項については、証人には既に文書をもってお知らせしたとおりでありますが、この際、その主要な点について申し上げておきます。  その第一点は、証人補佐人助言を求めることが許される場合についてであります。  証人は、補佐人に対し、宣誓及び証言の拒絶に関する事項について助言を求めることができますが、これらの助言は、いずれもその都度証人委員長にその旨を申し立て、その許可が得られた後に認められるものであり、補佐人の方から証人に対し助言することはできないことになっております。なお、補佐人発言することはできません。  その第二点は、資料についてであります。  証人は、既に通知いたしましたとおり、証言を行うに際し、あらかじめ当委員会に提出された資料を用いることは差し支えありませんが、委員長許可が必要であります。  その第三点として、証人メモ筆記尋問項目程度に限られております。なお、補佐人メモをとることが許されます。  以上の点を十分御承知願います。  それでは、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。  全員御起立願います。    〔総員起立
  118. 井上裕

    委員長井上裕君) 議院における証人宣誓及び証言等に関する法律第五条の三の規定により、これより橋本徹君の証言が終了するまで撮影は中止してください。  橋本徹君、宣誓書を朗読してください。    〔証人は次のように宣誓を行った〕    宣 誓 書  良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又  何事もつけ加えないことを誓います。                証人橋本
  119. 井上裕

    委員長井上裕君) 全員着席を願います。  証人は、宣誓書署名捺印してください。    〔証人宣誓書署名捺印
  120. 井上裕

    委員長井上裕君) これより証言を求めることといたしますが、証人の御発言証言を求められた範囲を超えないこと、また御発言の際はその都度委員長許可を得て御発言なさるようお願いいたします。  なお、質問を受けているときは御着席のままで結構でございますが、お答えの際には起立して御発言を願います。また、委員尋問時間が限られておりますので、答弁は要点を的確に簡潔にお願いいたします。  この際、委員各位に申し上げます。  本日は、申し合わせの時間内で証言を求めるのでありますから、特に御協力をお願い申し上げます。  それでは、まず委員長から橋本証人に対しお尋ねいたします。  あなたは、平成三年、富士銀行頭取に就任され、また昨年四月から本年四月まで全銀協会長の職にあって今回のいわゆる住専処理スキーム策定に当たられましたが、一、処理スキームはどのような経緯で策定されましたか。また、全銀協はその策定にどのようにかかわったのですか。二、住専各社に対して母体行は経営にどのように関与したのですか。三、富士銀行を初め各銀行住専各社に対しどのように紹介融資を行ったのですか。  以上三点についてお述べください。
  121. 橋本徹

    証人橋本徹君) 委員長の御質問にお答えいたします。  まず最初の御質問は、このたびの住専処理スキームの策定がどのようになされたかということでございます。  初めに、この住専問題につきまして国民の皆様に大変御心配やら御迷惑をおかけいたしましたことにつきまして、心よりおわびを申し上げます。  本来、住専問題は我々関係当事者が話し合いで解決すべきものでございましたが、この両者、特に系統金融機関側と我々母体行との間の話し合いがなかなか成立しなくて、ついに大蔵省御当局あるいは農林省、さらには国会のお手を煩わすというような結果になりましたことにつきまして、本当に申しわけなく思っておる次第でございます。  ところで、全銀協としてこの住専問題の解決にどうかかわったかという御質問でございますが、実はこの住専問題というものは関係者が非常に多いわけでございまして、我々全銀協傘下の、これは三月三十一日までは百五十一行ございましたが、東京銀行と三菱銀行の合併によりましてただいまは百五十行でございますが、この全銀協の枠を超えて、生命保険、損害保険あるいは証券会社、こういったところもかかわっている問題でございます。また、住専七社が今問題になっておるわけでございますが、その七社それぞれに経緯あるいは事情が異なるというようなこともございまして、全銀協としてこの問題を取りまとめて取り仕切っていくという性格のものではございませんでした。  したがいまして、この住専処理スキームの策定に当たりましては、大蔵省御当局あるいは農林省が、我々母体行につきましては大蔵省でございますが、大蔵省銀行局がそれぞれの母体金融機関の代表といろいろ意見交換をされて、そして今回のスキームができた。また、私ども、私としては全銀協会長ということもございまして、銀行界全体の立場から何かアイデアとか意見はないかという形で御相談にあずかり、私どもとして個別行の立場から、また私ども母体として関係しております株式会社住宅ローンサービスの母体行の一つという立場からいろいろなアイデアを提供したという経緯はございました。  それから二番目に、住専経営への関与という点でございますが、それは私どもも会社の設立、それから出資、役員の派遣といった形での関与度合いが非常に大きかったことは事実でございます。  それから第三番目に、紹介融資の件でございますが、この紹介融資というのはそれぞれ個別に見なければなりませんが、一般論として申し上げますと、住宅金融専門会社は営業拠点が限られているということもありまして、当初から母体金融機関のみならずいろいろな金融機関取引先の紹介を依頼しておったわけでございます。そういった関係から、私どもの営業店にも住専各社の営業マンがしばしば出入りをしておられまして、何かいい案件があったら紹介してほしいというような御依頼があって、それにおこたえして、場合によっては案件を紹介し、場合によっては単にこういう取引先に当たってみられたらどうですかといった形で取引先を御紹介したというような形でございました。  以上でございます。
  122. 井上裕

    委員長井上裕君) ありがとうございました。  委員長からお尋ねすることは以上でございます。  それでは、橋本証人に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  123. 関根則之

    ○関根則之君 自由民主党の関根則之でございます。証人に対しましてきょうは国民の立場からいろいろと証言を求めてまいりたいと思っております。  住専処理案ができまして、それに対する論議が随分長い間続いておりますけれども、いまだ大部分の国民からは、住専処理に税金を投入するということにつきまして納得を得られていないというのが現状だと思うんです。  大きな銀行がみんなついていて、それが住専というものをこしらえた。その住専が破綻したと。そのときに、銀行というのは、富士銀行もそうですけれども、大都市のど真ん中、駅前の一等地に大きなビルを構えている、これが銀行ですよ。預金量も大変あるんです。これだけ堂々たる銀行がついていて、その子会社が不始末を起こしたわけですから、その始末は親会社が見るのは当然のことじゃないか。  二十万や三十万の月給で妻子を抱えて、満員電車へ乗って、一生懸命働いているサラリーマンがいっぱいいるわけです。その人たちだって、ちょっとしたところはもう大体一〇%ぐらいの税金を払っているわけです。その税金の中から何でそんな住専の処理のために自分たちの払った税金が使われなければならないのか、これを納得できるように実は私は説明をする必要があると思うんですよ、母体行はね。  それで問題は、きょうもテレビは静止画面ですけれども、音声はびっしり入っておるわけです。国民の皆さん大勢聞いていらっしゃると思うんです。その人たちに対して、母体行も富士銀行も本当に真剣に対応しているなということがわかるようなぜひ証言をしていただきたい。まず、それをお願いしておきます。  そこで、私は母体行の責任というのは非常に重いと思いますよ。非常に重いと思う。大体日本では、親が産んだ子が何か不始末をしてかしたら、その後始末をするのは親の責任ですよね。だから、銀行だってそうなんです。住専というのはまさに銀行が産んだ子供ですからね。その子供の不始末というものは母体行が完全に面倒を見るべきだ、それが特に金融界におきましては商慣習に日本ではなっているんじゃないかと思いますけれども証人はいかが考えますか。
  124. 橋本徹

    証人橋本徹君) 関根先生の御質問にお答えをいたします。  税金の投入について国民の皆様が大変怒っておられる、また納得をされておられない、これはよくわかります。親が子の不始末を見るのは当然ではないかということでございますが、これにつきましては、私ども母体住専との関係について申し上げなければならないと思います。と同時に、私ども母体というものが株式会社であるという性格を御説明する必要があろうかと思います。
  125. 関根則之

    ○関根則之君 手短に。それはわかっています。
  126. 橋本徹

    証人橋本徹君) はい。  株式会社でございますから、私どもといたしましては法的な制約がございます。取締役として会社に対する忠実義務に違反するわけにまいりません。そういった制約の中で、私どもとしては最大限の負担をしようと。その最大限の負担というのが債権の全額放棄でございます。その最大限の負担をした上で、しかし金融システムの構成員として金融安定化拠出基金に無利息の資金を拠出し、また住専処理機構ができましたらそこに低利融資をしよう、こういうことで責任を果たしてまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
  127. 関根則之

    ○関根則之君 貸付額を全額放棄すればそれが最大限だというお話がありましたけれども、私はそれはおかしいと思うんです。全く関係のない人がたまたま貸し主として出ていって、いわゆる貸出側として、貸出行として負担をするというのは貸した金額でいいと思うんです。しかし、母体行の場合は、関係のない人に貸しているんじゃないんです。まさに自分の産んだ子に貸しているわけですね。だから、それはその貸している金額全部を負担したからといって、それでもう責任が済まされるというものじゃない。  母体行はそこに出資をし、人を出し、紹介融資をし、また子供である住専がやりかけた仕事を、住宅金融というものに後から自分で乗り出していって子供である住専が仕事ができないようにしちゃっているわけでしょう。いろんな責任があると思うんですよ。そういう母体行としての責任の限度というのは、私は法律上の最大の限度ではないというふうに考えております。  ただ、ここで幾ら議論をしてもしようがありませんから、私は母体行にしろ、人に物を、お金を貸している人の責任は、最初はやっぱり貸し高、貸し付けの残高比例、これが原点だと思うんです。ただ、残高比例でいくと、時には優先債権もあれば劣後債権もあるじゃないかと、いろんな事情で責任をより余計に持たなきゃいけないところもあるでしょう。逆に、支払い能力がなくて、そんなところにそんなに持たせたって大体持つことができないじゃないかと、いろんな要因があって、それでプラスしたり少しまけてやったり、そういうやり方になってくると思うんです。  しかも、それはよく株主代表訴訟というようなことを言われますけれども、その幅というのは相当あるんじゃないか。大体、今母体行が貸し付けている貸付残高全額を負担すること自身が法律要請される最低限の当然の義務的負担を私は上回っているんじゃないかと、そんな感じがするんですけれどもね。そういう物の考え方を前提としてこれから質問をいたします。  貸付額全額の放棄ということを言っていらっしゃいますが、富士銀の場合は幾ら母体行としての債権を放棄することになりますか。簡単に額だけでいいです。
  128. 橋本徹

    証人橋本徹君) 富士銀行としては四百一億円の放棄をいたします。と申しますのは……
  129. 関根則之

    ○関根則之君 ちょっと待って。そこ、答えだけでいいです。
  130. 橋本徹

    証人橋本徹君) そうですが。
  131. 関根則之

    ○関根則之君 五百一億円の間違いではございませんか。
  132. 橋本徹

    証人橋本徹君) 間違いではございません。  五百一億円というのは、平成五年の五月に第二次再建計画を策定いたしました場合に、母体行は金利をゼロにする、そして一般行は二・五%にする、そして系統金融機関には四・五%にすると、こういうことになりました。しかしながら、それだけの金利減免だけでは足りない、再建をするためにはもう少し収益支援をしなければいけない、そこで母体七行は百億円ずつ無利息資金を提供しよう、それによって運用益を稼いでいただいてそれで再建計画を成立させようと、こういうことで預金担保の百億円のニューマネーの貸し付けをいたしました。これは当然のことながら元本は返済していただくということが前提でございますので、この百億円を減額した四百一億円を放棄しようというものでございます。
  133. 関根則之

    ○関根則之君 時間が極めて限られておりますので、証言はできるだけ手短にぜひお願いを申し上げます。  実は私どもは、八年の四月二十四日に、大蔵省を通じまして住宅ローンサービスから提出していただきました、これは予算委員会に正式に、議長あてに提出していただいた資料で、富士銀行母体行としての融資残高は五百一億円であると、こういう数字をいただいております。それから、ほかのいろんな資料でもすべて五百一億ということになっているのが、四百一億ということでは百億どこかに行っちゃっているわけですよ。おかしいんじゃないですか。  それで、この百億は、今の御説明で、いや再建計画が始まって無利子で提供するということになったんだ、だから無利子提供品なんだと、こういう説明ですよ。しかし、最後のところでは貸付金ですと、こう言いましたよね。  あなたはあっちこっちに行っていろんなところであいさつをしたり、ことしの二月十五日に衆議院予算委員会におきまして「貸国債権を全額放棄する」ということを言っていますよね。同じくだりで「すなわち貸国債権の」となっています。貸し出しですね、だから住専側からじゃなくてあなたの方からでしょうからね。「貸国債権の全額放棄を行うことによって責任を果たしたいと考えている」、貸国債権の全額ということをずっと言ってきているわけです。この百億だって貸し出しには間違いないんだから、貸国債権の全額の中には含まれるんじゃないですか。
  134. 橋本徹

    証人橋本徹君) いや、これは私どもは含まれないと。貸国債権の全額放棄という場合は、先ほど申し上げましたような理由で四百一億円と、このように理解しております。
  135. 関根則之

    ○関根則之君 それはあなたがそういうふうに考えているだけなんですか、それとも銀行協会の中でみんなで申し合わせをしたようなことなのか。  母体行が七つありますよね、おたくの住宅ローンサービスの場合は。その残りの六社も全部そういう打ち合わせであるのか、その辺どうですか。
  136. 橋本徹

    証人橋本徹君) そのとおりでございます。残りの六社も同じでございます。
  137. 関根則之

    ○関根則之君 大蔵の了解は得ておりますか。得ていると……。
  138. 橋本徹

    証人橋本徹君) 得ております。
  139. 関根則之

    ○関根則之君 いつ、どこで、どういう形で了解を得ましたか。
  140. 橋本徹

    証人橋本徹君) いつ、どこでということは定かに記憶しておりませんが。
  141. 関根則之

    ○関根則之君 定かに記憶していただかないと困るんですよ、そのことは。  大蔵省は、今まで衆議院予算委員会、それから我が方でも、参議院の本会議でもこの住専問題、しかも母体行がどういう形で責任を果たすのかという大問題なんですよ。そのときに、母体行は貸付残高全額を負担しますと言っているときに、このスキームができたのはいつですか、十二月でしょう。八月から九月にかけてずっと調査をやって、いろんな詰めをして、十二月十九日閣議決定をしたわけですよ。そこまでの過程で、おたくの母体行としての、住宅ローンサービスに対する母体行としての貸付残高は五百一億ということでずっと来ているわけです。大蔵省の説明も全部そうなんです。そんな中で自分たちだけで勝手にそんなことを決めるというのは、そもそも大原則である、あなたが今言っている、国会で答弁している全額負担しますという言葉に反するんじゃないんですか。いかがですか。
  142. 橋本徹

    証人橋本徹君) いえ、それは私ども顧問弁護士意見も徴しておりまして、我々の全額放棄というのは四百一億円ということでございます。
  143. 関根則之

    ○関根則之君 あなた方の中でどんな議論をしても、そんなことは世の中に通用しないんですよ。まさにあなた方がつくった子会社が破産状態になっちゃった。まさに破産なんですね。そういう状況になっちゃっているんでしょう。それに公費の六千八百五十億もつぎ込もうと言っているんですよ。そのときに自分のこの百億は別だよと言ってポケットに入れちゃうわけでしょう。そんなばかなことが国民の皆さんに理解してもらえると思いますか。まあいいですよ、それはいいんです。そんなこと聞いてもしようがないんだ。そんなものは国民は絶対理解なんかしませんよ。  しかも、それは大蔵省がいつ了解したのかわからないというんでしょう。スキームの中で、さっき言った正式な議長あての大蔵省からの通知にはっきり五百一億円と書いてある。そのほかに百六十七億円の一般債権がありますよと、こういうことが書いてある。それを自分たちだけで、こういうことで決まっているんだから、顧問弁護士にも聞いたんだからそれでいいじゃないか、そんなこと言ったって通るはずがない。  これは、そういうことは今まであなたはどこか公の場で、公じゃなくてもいいですけれども、新聞記者の前で、あるいは新聞記者に聞こえるように、堂々とですよ、全銀協の会長を退任なさるときの最後の記者会見でも、我々は貸付残高の全額を持ちます、法律上許される最大限なんですと、そういうことを堂々と言っている。そのときに、いや、実はしかし、今貸付残高は五百一億あるんですけれども、そのうち百億は返してもらって四百一億なんです、その全額ですよという説明はしましたか。
  144. 橋本徹

    証人橋本徹君) そういう御質問はなかったように記憶しております。  それで、なぜそうなるかということですが、この百億円というのは、先ほども御説明しましたように、収益支援が目的であります。したがって、貸し出しじゃない方法で収益支援をしてもいいわけですが、貸し出しをゼロ金利でやることによって運用益を稼いでいただく、そういうのが目的で、したがって当然のことながら返済は一〇〇%確保しようということで預金担保をとっているわけですから、その預金担保を放棄することは取締役としての忠実義務違反になるわけでございます。
  145. 関根則之

    ○関根則之君 これは大体いつ貸したんですか、百億。預金担保とかいう形で提供したんですと言っていますけど、貸付金には間違いないでしょう。そこをもう一回確認します。それから、いつ提供したのか、それ。
  146. 橋本徹

    証人橋本徹君) 先ほど申しましたように、平成五年の五月二十七日に第二次再建計画というものをつくりました。その際に、収益補てんの必要があろうということで、そのときに貸し付けることを決定し、その後貸し付けております。これは、したがって住専会社の営業貸付金資金調達という形ではないんです。したがって、今度のロスとは関係のない貸し出してございます。
  147. 関根則之

    ○関根則之君 今度の住専の処理スキームというのは、さっきも言ったけれども、繰り返させないでくださいよ、去年の夏から詰めてきて、実態調査は八月から九月にかけてですよね、それをもとに十二月に決めたわけです。しかも、これは平成五年でしょう。五年の貸付金なんというものはその後もどんどん追い貸しみたいな形であちこちに貸し付けておると思いますよ。おたくは貸し付けていないかもしれないけれども、いろんな債権債務が動いてきている中で、この問題がそういう中の一つとして借り貸しが行われているんですよ。  あくまでも債権なんですから、さっき確認しませんでしたけれども、債権であるということを確認してくださいよ。
  148. 橋本徹

    証人橋本徹君) 債権ではありますが、預金担保をとっておりますので、債権放棄の対象にはなりません。また、営業貸付金に使われている資金ではございません。
  149. 関根則之

    ○関根則之君 自分のところで都合のいいようにしてもらっても困る。当然、貸付残高は五百一億あるものとしてスキームができ上がって、それを国会にも報告し、そういうことで全体システムが動いているんですからね。  そんなことを言ったらほかにもあるんじゃないですか。ほかにもありませんか、この百億以外に。それはこれこれこういう事情で非常に困っているからちょっと貸してやったんだとか、これは無利子の担保で別途手当てしたんだとか、そういうものはほかにもありませんか。
  150. 橋本徹

    証人橋本徹君) ほかにはございません。
  151. 関根則之

    ○関根則之君 もう時間も大分過ぎちゃいましたから、押し問答していてもどうにもならない。私は絶対納得しません。国民の皆さんも納得しないと思う。だけれども、あなたと今ここで幾らやってもどうにもならない。だから、一応この問題はこれからの参議院予算委員会における大きな問題として引き続き究明をし、しっかりした私は国民の納得いけるようなそういう解決策をとりたいと思っています。  だから、そういう意味でこの問題につきましては一応ここでおきまして、(「大蔵省が了解しておるかどうかということを聞けよ」「大蔵のだれだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)それじゃ、そこのところをちょっと詰めておきますが、だれが了解したか。いつどこでということはわからないと言いましたけれども、だれが了解したのか、ちょっと。
  152. 橋本徹

    証人橋本徹君) 大蔵省のだれかということは私は存じませんが、私どもの担当者が銀行局のどなたかにそのことは申し上げているはずでございます。(「確認しろ」と呼ぶ者あり、その他発言するもの多し)
  153. 関根則之

    ○関根則之君 それでは、これはきちっと確認しないと、そんなあやふやな証言では受けるわけにはいかないんですよ。あなたは知っていて隠しているのかもしれないじゃないですか。きちっとしてください。ひとつお願いします。
  154. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  155. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記を起こして。  橋本証人に申し上げます。  先ほどの関根委員の質問に対しまして、あなたの富士銀行のどなたと、また大蔵省のどなたが了解したのかわからないということでございますが、それに間違いございませんか。
  156. 橋本徹

    証人橋本徹君) 日付につきましては、私どもの記録では一月十九日に、一月十日に大蔵省から示された処理案に対して回答をする際に、これは住宅ローンサービスの母体行の代表である第一勧業銀行を通して大蔵省に回答をいたしております。その中にそのことを書いておりますから、その時点だというふうに私は了解しております。
  157. 関根則之

    ○関根則之君 ということは、その書類を出して、それでこれでよろしいという承認をもらったということですか。
  158. 橋本徹

    証人橋本徹君) いいえ。そのことを承認していただくことを条件に大蔵省の案を受諾するということでございます。
  159. 関根則之

    ○関根則之君 これは極めて重要なことなんですよ。  いずれにいたしましても、この問題は大蔵省のだれに了解を得ているのかいないのかわからないと言うけれども、そこのところをもう少し細かく正確なところをもう一回よく調べていただいて、この委員会に報告していただきたいと思います。  それから委員長、お願いしたいのは、大蔵省に対しても母体行の三・五兆円の積算、あの積算はことしの一月十九日にできたんじゃないんですから、スキームができたときに三兆五千億というのはできておるんですから、こんなものを一月十九日に出したからといって変更できるようなものじゃないはずですよ。閣議決定は十二月十九日にやっているんですから、そういうものを一月十九日に出したからといったってどうってことない、今さらここで動かせるような性格のものじゃないんですから。去年スキームをつくった時点での三兆五千億の細かい積算を全部出すように委員長を通じて委員会として要求していただきたいと思いますが、お願いできますか。
  160. 井上裕

    委員長井上裕君) わかりました。  それでは証人に申し上げます。本日中に、私、委員長あてにその大蔵省の幹部、役職名、お名前、それから富士銀行のどなたか、わかり次第私の方へ御報告をお願いしたいと思います、お名前をですね。
  161. 橋本徹

    証人橋本徹君) 先ほど申しましたように、第一勧業銀行を通して回答をいたしましたので、第一勧業銀行のどなたが大蔵省銀行局のどなたに回答をしたかということにつきまして後で書面で回答をいたします。
  162. 井上裕

    委員長井上裕君) それでは証人、書面をもって委員長の方へ御提出をお願いいたします。
  163. 関根則之

    ○関根則之君 第一勧銀を通じてという話にすりかえちゃっているんですよ。  私が最初に聞いたときは大蔵省の了解も得ておりますと言ったんだよ。だけれども、だれにいつどこでと聞いたら、それはわかりませんと、こういう話から発展してきたんでしょう。あなたはその前の私の質問に対するきちっとした回答を含めて一緒に提出してください。
  164. 橋本徹

    証人橋本徹君) かしこまりました。
  165. 関根則之

    ○関根則之君 それから、今まで対外的に一月十九日に初めて勧銀を通じて大蔵へ出したと言うけれども、その前に我が方の母体責任は四百一億円ですよということを外に出して言ってないとさつき言いましたよね。どうして言わなかったのか。隠しておかなきゃいけないから言わなかったのか。その辺はどういうことですか。
  166. 橋本徹

    証人橋本徹君) 隠しておかなければいけなかったというわけではございませんが、私どもとしてはそれは当然のこととして理解しておりました。
  167. 関根則之

    ○関根則之君 それでは次に移ります。  先ほど、冒頭の委員長尋問に対しまして橋本証人は、富士銀行の頭取としてだけではなくて、全銀協の会長としていろいろとスキームその他について相談にあずかった、こういうお話でございましたので、その立場からの尋問でございます。  このスキームの中で一般行の損失負担というのが非常におもしろい形にできていると私は思います。というのは、さっき申し上げましたように、まず原則は、ある事業が破綻したときの出発点は債権者同士の残高比例なんですね。そこから出発していろいろ加減乗除していく、状況によって変化をさせていくということだと思うんです。そういうことから考えますと、今度の損失率、逆に言えば配当率は大体半分なんです。十三兆の総債権があるわけでしょう、住専七社に対して。それで、損失が六兆四千百億円なんです。正確に五〇%じゃないけれども大体二分の一でしょう。二分の一までは私は当然の義務負担じゃないか、そんな感じがするんです、特別の事情がない限りですよ。  一般行というのはどういう形になっているかというと、残高が三・八兆円あるんです。そのうち返してもらえるのが、二・一兆円返ってくるんです。半分じゃないんですね。半分以上返ってくるんですよ。半分だったら一・九兆円なんです。そこで二千億余計一般行に返してもらっているんですよ。こんなおかしなスキームは何だろうと思った。もちろんそれは、スキームはあなたがこしらえたことではない。しかし、全銀協の会長として銀行のいろんな要因を背景にしておつくりになった。  あなたはこういう現象を御存じですか。東京三菱とさくら銀行、大体同じような母体行、一般行合わせた残高があるんです。東京三菱は三千四十五億、さくらは三千百五十五億です。それが今のようなスキームなものだから、損失額は、東京三菱の方は千四百億返してもらえるんですが、さくらはたったの五十六億しか返してもらえないんです。こういうおもしろい変化が出てくるんですね、銀行によって。  あなたは当然のことと言うかもしれませんが、どうしてこういうスキームをおつくりになったのか。何かあなたの側から、銀行サイドから、そういうふうにしてください、こういう結果をねらってそうしてくださいよということをお願いしたとか発言をしたとか、そういうことがありますか。
  168. 橋本徹

    証人橋本徹君) そもそも当初大蔵省から言われたのは、いわゆる第Ⅳ分類と第Ⅲ分類……
  169. 関根則之

    ○関根則之君 あるかないかでいいんですよ。
  170. 橋本徹

    証人橋本徹君) いや、よく説明をしないとわかっていただけませんので。  七兆五千億なんです、いわゆる一次ロスと二次ロスを加えたのが七兆五千億。そのうち母体行としては全額を放棄しなさい、その全額というのは貸出金の一〇〇%、すなわち三・五兆円なんです。そうすると……
  171. 関根則之

    ○関根則之君 委員長、注意してください。聞いていることだけに答えてください。
  172. 橋本徹

    証人橋本徹君) いや、三・五兆円を今の七・五兆円から引きますと四兆円なんですね。その四兆円を一般行系統金融機関が貸出額に応じて比例して負担した場合には一般行が一・七兆円、農林系統金融機関が二・三兆円と、こういうことなんでございます。
  173. 関根則之

    ○関根則之君 こういうふうに両方、母体行としての貸付額と一般行として貸付額を持っている人たちはごちゃごちゃになつちやうからよくわからない。  たまたま東京銀行というのがあるんですよ、今合併しちゃっていますけれども。単独で残っているときには母体行としての貸付残高ゼロなんです。というのは、住専つくっていませんから母体行はゼロなんですよ。それで、一般行としてだけの貸付額が二千三百十三億あるんです。それだから、ある銀行がたまたま住専に一定の金額を貸し付けていた、その企業が破綻したわけ、住専がね。それで、配当率が二分の一だったら返ってくるのは半額なんです。それが通常でしょう。だから、半額というと千百五十六億しか返らないはずなんです。ところが、このスキームによると東京銀行は千二百七十八億返してもらうんですよ。百二十二億返り過ぎなんですよ。この分だけスキームの負担がふえちゃっているんですね。  これは私は非常におかしい、何か意図的なものがそこにあるんではないかと思いますけれども、そういう意図的なものを銀行サイドから出したことがあるかないか、結論だけ教えてください。時間がない。
  174. 橋本徹

    証人橋本徹君) そういう意図はございません。  それで、先ほど先生は六兆二千億というのがロスだとおっしゃいましたが、我々の了解は、二次ロスを合わせて七兆五千億をベースにして考えておるわけです。で、三兆五千億母体が全額を持とうと。そうしますと四兆円残ります。それを系統と一般、一般はさっき先生もおっしゃいましたように総額三・八兆円の貸し出しをやっております。系統は五・五兆円です。したがって、トータルで九・三兆円。九・三兆円の三・八兆と九・三兆円分の五・五兆。これは計算しますと、一般が一・七兆円、系統が二・三兆円と、そういう計算になるわけでございます。
  175. 関根則之

    ○関根則之君 七二七ですか。七兆二千……。
  176. 橋本徹

    証人橋本徹君) 七兆五千億でございます。
  177. 関根則之

    ○関根則之君 七兆五千億。はい。  あなたが今そういう説明すると、かえって逆なんですよ。損失が七兆円ということになると、配当率は四割いかないんじゃないですか。それにもかかわらず六割近い配当、五五%の配当をもらうんですよ。こんなスキームというのはおかしい。何かそこに私はスキームそのもののおかしさというものを感じるんです。  ただ、スキームの責任はあなたが全部持っているわけじゃありませんから、引き続き審議の対象にはしておきますけれども、あなたのサイドから何かそういう働きかけがあったのかどうかということをお聞きしたわけで、それについてはないということで再度確認をしていいですね。
  178. 橋本徹

    証人橋本徹君) そういう意図は全くございません。
  179. 関根則之

    ○関根則之君 母体行として、また一般行として住専に対しましていろいろと、富士銀行だけじゃありませんけれども母体行がかかわりを持っております。その中で一番大きいのは、私は人的なかかわりだと思うんです。  それで、時間がありませんから一々御説明をいただいている暇がないのでこちらから申し上げますけれども、人的な交流については、兼務という形で住専に出ていく場合がありますね。それから、出向という形で、これは帰ってくることが条件つきで、必ず帰ってきますよというのが出向だと思う。それから、OBとして退職後住専に移る、母体行から移るという方がいると思うんです。  私のいただきました資料によりますと、昭和六十二年から十年間とりまして、富士銀行から住宅ローンサービスへそういう形で、三つの形態でかかわっている方が、六十二年が十八人、六十三年が十八人、平成元年が十九人、二年も同じ十九人、平成三年が十八人、それから平成四年が十九人、五年からちょっと少なくなりまして十五人、十二人、九人、現在六人、こういう形になっておりますが、この数字は正しゅうございますか。
  180. 橋本徹

    証人橋本徹君) 正しいと思います。
  181. 関根則之

    ○関根則之君 そのうち、いろんな役職でお出になっているんですけれども、まず兼務で、富士の常務さんがずっと各年度とも必ず一名ずつ非常勤の取締役として住宅ローンサービスヘおいでになっている。それから、平成三年から四、五、六と四年間につきましては、おたくの退職後のOBの方が住宅ローンの社長をお務めいただいている、そういう関係にある。これは正確ですか。
  182. 橋本徹

    証人橋本徹君) 正確でございます。
  183. 関根則之

    ○関根則之君 そういう意味で、人的な面でも非常に深くかかわっていたと思います。  それから、非常に問題になりますのが紹介融資でございます。紹介融資の中で二、三ちょっとお尋ねをしたいことがあるんですが、仙台にエスケージーという会社がございますね。この会社はホテルとかレストランとかゴルフ場を経営いたしておりましたけれども平成四年ですか、不渡りを出しまして倒産になってしまっている会社でございます。  この会社に対しまして、富士銀は総額で百億に及ぶ融資をなさっておるというふうに聞いておりますが、その中で絵画を買うので十五億、それから日総ビルの購入資金に十五億、これはJMCCの保証で貸し付けておりました。そういう状況の中で、平成二年六月に二十三億五千万現地の支店の扱いで貸しておった。しかし、それを二カ月後の二年八月に地銀生保住宅ローンに対しましていわゆる肩がわり融資というような形で移していったということが記録にございますけれども、大体のところそういう粗筋は事実でございますか。
  184. 橋本徹

    証人橋本徹君) 百億円というのは日本抵当証券とかそういったところも含めた額だと思いますが、今の、平成二年の六月、二十三億五千万貸して、平成二年八月に回収し、その分は地銀生保住宅ローンが貸していると、こういう事実関係はそのとおりでございます。
  185. 関根則之

    ○関根則之君 富士銀が貸している額は総額で、直貸したと思いますが、五十三億五千万、トータルですけれども。それは全額回収されておりますね。ところが、哀れ地銀生保の方は肩がわりをした、二十五億円貸し付けたらしいんですが、それは残念ながら現在のところ全額損失になるんではないかという状況になっていると思いますが、その辺は事実でございますか。
  186. 橋本徹

    証人橋本徹君) 私ども貸し付けも全額は回収しておりませんで、平成二年三月だと思いますが、総量規制というものが出ましたが、その総量規制の前に貸し付けておりました絵画ローンとか幾つかのものはそのままになっております。  それで、この地銀生保がお出しになった二十五億円が今どういう状態になっているかということにつきましては、恐らく先生のおっしゃったとおりかと思います。
  187. 関根則之

    ○関根則之君 それで、問題は担保設定なんです。担保設定は、第一順位がジェーエムシークレジット、それが十五億ついているんです。それから、第二順位がセントラルリースという会社とサン・アミティという会社と芙蓉総合開発という会社なんですね。それで、第四順位といいますか、一番遅い方の順位にこの住専の債権がついていると、こういう状態です。  最初は、最高のときには何か資産価格が百十八億ぐらいあるという評価をもらっていたらしいんですが、現在ではせいぜい四十億ですか、四十億もないぐらいのところまで来ちゃっているということですから、後の方の、後順位の抵当権しかついていない住専はとてもこれは回収をすることが不可能だと、全額損になってしまうんではないかと思いますが、この第一順位をつけたJMCCとか第二順位の芙蓉総合開発というのは富士銀行の関連会社であるというふうに思いますけれども、いかがですか。
  188. 橋本徹

    証人橋本徹君) その両社は富士銀行関係のある会社でございます。
  189. 関根則之

    ○関根則之君 こういう肩がわりをやって、富士銀そのものは何とか損失を大きくしないで丸々これは回収しているわけです。絵画ローンとか最初のJMCC保証の十五億、しかしこの二つはいずれ、大丈夫なんじゃないですか、セゾンの保証がついているわけですからね。まあしかし、そこは問いません。  そもそもなぜこの時点で、自分の方で二年六月に貸して、それをすぐに二カ月後の二年八月に肩がわりで住宅ローンに回したのか。回したというか住宅ローンが貸すことになったのか。その辺、非常に不自然なものがございます。  その理由としては、二年三月に例の総量規制というものが出まして、銀行は総貸出残高の伸び率以上に不動産に貸すことができないということで、自分の中できちんと整理しなきゃならない、会社に対する融資ができない、枠がなくて。非常に困ったわけですよ。枠づくりの必要性が非常に強かったということが一つ。  それからもう一つは、当時、エスケージーの経営状況を見ますと、ともかく借入金が急増しているんですね。平成二年の二月に三百十四億あったものが、平成二年の四月に、わずか二カ月で倍増しているんです、六百一億七千万。二年の六月、ちょうど富士銀が貸したとき、このときがやっぱり六百一億六千九百万。こういうふうにわずか二カ月で倍増するというような状況で、これはそろそろ危険性が高まったなということが感じられる時期じゃないか。そういうものを感じて、危険分散という意味も込めて肩がわりをしたのではないかと思いますけれども、いかがですか。
  190. 橋本徹

    証人橋本徹君) 平成二年の六月に、これは私どもの支店が支店の権限内で、たしか九件ぐらいの貸出金の総額が二十三・五億だったと思いますが、貸しておりました。  このエスケージーがゴルフ場をつくろうという計画がありまして、それからも相当大きな金額になるであろう、そういうこともありまして、それと二年の三月に総量規制が出されたということ、そういったこと等がございましたので、私どもの本部から支店の方に対して、この貸し金は極力回収するようにという指示を出しました。その結果、営業店は従来から出入りをしておられました幾つかのノンバンクに声をかけたと。そのうち、地銀生保住宅ローンがその案件について自分で実査をし調査をされた上で審査オーケーということになって取り上げられたと、このように聞いております。
  191. 関根則之

    ○関根則之君 きのう、住総の原社長さんに証言をいただきましたときの話だったと思いますが、還元融資というのが母体行と住専の間、母体行だけじゃないのかもしれませんけれども住専に紹介をしたときに、紹介額に応じてその全額相当額を一週間の通知預金で、バックファイナンスというような言葉をお使いになりましたけれども、還元融資をしている、これがあちこちで行われているというような感じのニュアンスで証言なさいました。富士銀行はこういう還元融資をお受けになったことがありますか。
  192. 橋本徹

    証人橋本徹君) 還元融資というものではなくて、恐らくその原社長がおっしゃったのは、住専取引先を紹介していただいた、あるいは貸出案件を紹介していただいた、そのお礼に預金をする、協力預金、そういうものだと了解しておりますが、そういうケースは私どももそのころは幾つかあったようでございます。
  193. 関根則之

    ○関根則之君 残念ながら、少しその辺を詰めていきたいと思いましたけれども、時間がなくなりましたので最後に申し上げておきたいと思います。  母体行として住専に対しましていろいろな影響力の行使をやってまいりました。ところが、富士銀としては、現在、有価証券の含み益一つとりましても六千六百六十八億、都銀全体では八兆一千億あるようですけれども、そういう状況である。それから、ここへ来て、昨年の九月からことしの八年三月までちょっと株価が上がっております。三千四百九十三円ほど上がっておりますので、富士銀の有している有価証券の増加額をとりましても三千二百二十七億ある。平成七年度、ことしの三月に行いました決算の、まだ最終決まっていないと思いますが、業務純益は四千六百億ほどあると、こういうような状況のようでございます。  私は、今おたくの言うように、母体行として四百一億、それに八十八億ですか、足しますと四百八十九億おたくが負担することになるわけですね、住専処理で。それを仮に六千八百億公費を投入した分を自分の方で持つということになりますと、金額は五十八億、わずか一割ふえるだけなんです。この程度の負担ができないのかと私は思います。  やり方がないじゃないかという話がありますけれども、やり方は幾らでもあるわけです。預金保険機構に対する拠出をするとか、そういう保険料をもうちょっと上げるとか、そういう話もあります。そういうことをおやりになったらいかがかと思いますよ。  あなたがそういう問題を責任を十分に感じて、名誉あるバンカーとしての名を金融史に残していただきたい、私は心から祈念を、お願いを申し上げまして、尋問を終わります。
  194. 白浜一良

    ○白浜一良君 平成会・新進党の白浜でございます。  まず初めに、私どもの基本的な考え方を申し上げておきたいと思います。  いわゆる住専が放漫経営の末、破産になって、その穴埋めに国民の税金を投入するというような、こういう今回の予算案、また仕組みそのものは私たちは反対でございます。そして、今回のこの仕組みは仕組みの問題として私どもは否定しているわけです。ですから、この六千八百五十億円の予算削除というのが私たちの政策要求であるわけでございますが、これをさておいても、私は母体行の責任は重い、そういう観点からきょうはさまざまな証言をいただきたい、このように思うわけでございます。  それで、まず初めに私が申し上げたいことは、いわゆる母体行と住専子会社、これは一貫して言われておりますが、親子の関係だというふうに言われておるわけでございます。全くそのとおりでございまして、いわゆる経営の一体性というか住専経営に対する母体行の責任が本当にあると。その辺の実態に関しまして尋問をしたいと思います。  まず、それに先立ちまして、関連してちょっと御感想をお伺いしたいんですけれども、けさ農林中金の理事長さんが見えましていろいろ証言をいただきました。理事長いわく、要するに母体行が、再建のときは母体行に責任はある、しかし整理、清算は母体行に責任はない、こういう母体行の姿勢であった、私どもは大変不本意であった、こういう証言をされておりました。  こういう母体行の代表ですから、証人は、そういうことをおっしゃっていたのかどうかということを確認したいですし、おっしゃっているという前提で、この農林中金の理事長の御発言をどのように受けとめていらっしゃいますか。
  195. 橋本徹

    証人橋本徹君) 農林中金の理事長さんがどういうように御発言になったかつまびらかに知りませんが、再建責任を持ってやろうということは確かに言っておりました。しかし、再建ができなくなった、そして清算のやむなきに至った。清算のやむなきに至ったら全然責任をとらないんではないかという御質問ですけれども、そんなことはございません。  私どもは、先ほども申しましたように、住専の設立、それから住専への出資、役員の派遣、そういった形で関係しておりまして、その関与度合いが大きいことは事実でございまして、そういう意味からいいますと、単に住専に対する貸し付けをやった金融機関という以上の責任があることは重々承知しております。  そういった道義的な責任も含めてどこまで負担ができるかということを考えました場合に、今の商法二百五十四条ノ三に書いてあります取締役の忠実義務に違反しない形でどこまでできるか、それを私どもの顧問弁護士の方の意見も徴しながら考えた結果が貸国債権の全額放棄ということでございます。だから、それは責任を感じているから  それをやっているということでございます。
  196. 白浜一良

    ○白浜一良君 一緒に今回のスキームというか仕組みをつくられた片方の系統責任者がそういう御発言をされていたので、私は確認したわけでございます。  それで、きのうも住総の元社長から証言がございましたが、要するに母体行が優良な物件をどんどん借りかえをしたというんです、激しかったんだと。そういう証言を昨日されているんですが、実際母体行が子会社である住専にそんな借りかえの手を出したと、これは事実ですか。事実として、そのようなことは大変経営責任が私はあると思うんですが、どのように反省されていらっしゃいますか。
  197. 橋本徹

    証人橋本徹君) 他行のことは存じませんが、私ども富士銀行におきましては、住専住宅ローンを積極的に肩がわれというような指導はしておりません。  ただ、お客様の中に、住宅ローンから今お金を借りておるが、金利も高いし、何とか富士銀行自体からの借り入れに変えてもらえないかと、そういうリクエストに応じまして富士銀行として取り上げ可能なものは取り上げたと、それが結果的に住専住宅ローンの肩がわりになったというケースはあったようでございます。
  198. 白浜一良

    ○白浜一良君 私、そういうことを言っているんじゃないんですよ。原さんがきのう、本当に激しかったんだとおっしゃったんですよ、富士銀行はどうか知りませんが。きょうは全銀協の前会長でこのスキームをまとめられた立場でいらっしゃっているんですから、銀行界全体の実態発言してくださいよ。私は別に富士銀行のことだけ聞いているんじゃないんです。借りかえが激しかったとおっしゃっているんですから、認めなさいよ。
  199. 橋本徹

    証人橋本徹君) その点につきましては、私は確認できる立場にございません。
  200. 白浜一良

    ○白浜一良君 あなた、きょうは国民の前でこういう証人喚問をやっているわけですよ。国民が血税を出さされるということに対して非常に不本意だと。それは当たり前ですよ。一番責任のある母体行の責任者の方がこういうことをはっきりおっしゃらないということでは、どこまでいっても国民の納得は得られませんよ、あなた。もっと責任ある発言しなさいよ。
  201. 橋本徹

    証人橋本徹君) 責任ある発言をするためには、そういう事実があったかどうかという確認を私自身しなきゃいけませんが、そういった確認はできておりません。
  202. 白浜一良

    ○白浜一良君 押し問答してもあれですから、あなたがこういう証言をされればされるほど国民の反発や不信は高まりますよ。そういうことを前提で御発言してくださいね。  それで、もう一つ違う角度から御質問いたしますが、住専のいわゆる経営実態というのは全く母体行に責任があるという一つの例証として、おたくの子会社になっております住宅ローンサービス、ここの役員構成と、その役員がどういう持ち回りでされているのか、これを言ってください。
  203. 橋本徹

    証人橋本徹君) 株式会社住宅ローンサービスについて申しますと、母体行が七社ございますが、そのうち私どもと三菱銀行と第一勧業銀行、この三社から交代で社長を出しておりますし、その他四行からは常に代表取締役が常務というような形で出ております。
  204. 白浜一良

    ○白浜一良君 要するに、きのうも住総の原さんがおっしゃっておりましたが、原さんが行ったときにはプロパーは、専従の職員の住専の方は課長代理までしかいなかったということをおっしゃっていました。  今住宅ローンサービスの実態をお聞きいたしましたが、役員はそれぞれ母体行からある一定の時期派遣されてそして帰っていくと。これは大体どんな周期で帰っていかれるんですか。
  205. 橋本徹

    証人橋本徹君) 出向役員あるいは職員につきましては、通常二、三年の周期でございます。  なお、私どもからのOBですね、出向者ではありませんで、もと富士銀行にいた浅野社長の場合はたしか四年であったと思います。平成二年の六月から平成六年の六月までであったと記憶しております。
  206. 白浜一良

    ○白浜一良君 そうしたら次に、いわゆる一般職員も派遣されていますね、当然。これ、実際どのぐらいが母体七行から派遣されていて、住専の職員の中でどのぐらいの比率を占めていたのか、これを言ってくれますか、わかる年次でいいですから。
  207. 橋本徹

    証人橋本徹君) 記憶が正確かどうかちょっと自信ありませんが、たしか十年前は母体からの出向者並びにOBが二四、五%だったと思います。それから、平成四年あたりの数字でいきますと一七%ぐらいではなかったかというように記憶しております。今は一〇%ぐらいだと思います。
  208. 白浜一良

    ○白浜一良君 その職員の方も要するに二、三年で交代されていく、こういうことでしょうか。
  209. 橋本徹

    証人橋本徹君) そのうちのいわゆるOB、既に富士銀行を退職してそちらに転籍している者の場合はずっとそこにおりますが、出向社員につきましては二、三年というのがローテーションでございます。
  210. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういう短い二、三年の単位で役員もどんどん派遣されていく、職員も主要部門は、これは後で聞きますけれども、どんどん入れかわっていくと。いわゆる住宅ローンサービスとしての経営責任というのは幽霊みたいなもので、実際は母体行が全部コントロールしている、そういう実態を今の御説明はあらわしていることと私同じだと思うんですよ。  特に私が聞きたいのは、この住専審査部門、ここを重点的に派遣社員で占めていたんじゃないですか。
  211. 橋本徹

    証人橋本徹君) はい。審査部門につきましては、当初はこのプロパーの人材がなかなかいないというようなことで、母体行から派遣された者が審査部門を占めておりました。
  212. 白浜一良

    ○白浜一良君 それは、そういう経験者がいないという意味ではいいことなんですが、ここが非常にわかりづらい。紹介融資がある、そうしたらその母体行から出向されている方が審査する。それだからもうそこが非常に不透明なんですよ。全然審査なしにどんどん融資が決まっちゃう、そういう温床になるというのは、こんなのは企業経営として当たり前でしょう。そういう実態に対しておかしいという、それは富士銀行の頭取にまでなられた方だったらわかるでしょう。そういう反省点というか、考えはなかったのですか。
  213. 橋本徹

    証人橋本徹君) 確かに、この審査部門は母体からの出向者が占めておったということはそのとおりなんでございますが、七行母体行がございまして、その一つの銀行審査部門を全部牛耳っていたというようなことは意識的に避けておりまして、必ずチェックが働くようにしておりましたから、母体の持ち込んだものは何でも取り上げると、そういうルーズな形にはなっておらなかったと理解しております。
  214. 白浜一良

    ○白浜一良君 そんな立派にされていたら、住宅ローンサービスもこんな不良債権焦げつきますか。これは結果がすべてなんです。これだけ焦げついた結果が起こっているということ自身、どこかに問題があるんですよ。その問題の一つとして私は指摘しているわけで、そんな問題はなかったと、そんなことはないですよ、別に。  だから、一般の企業経営として見れば、それは複数の母体行からっておっしゃいますが、皆同類じゃないですか、母体行は。チェックし合えますか、そんなのは。
  215. 橋本徹

    証人橋本徹君) 結果的に不良資産がふえたということについては大変遺憾に思っておりますが、その審査のプロセスに関する限りは、これは住宅ローンサービスの社内の内規に従ってきちんと審査をしておったというように聞いておりまして、担保価値を超えるような融資はやっておらなかった。  ただ、御存じのように地価が暴落をした、こういうことで結果的に不良資産がふえたということは確かでありますし、我々母体である銀行自体もこの不動産融資については多くの不良債権を抱えてしまったわけでございまして、その点はまことに遺憾に思っておる次第でございます。
  216. 白浜一良

    ○白浜一良君 私、あなたと押し問答する気はないんですけれども、何か今の話を聞いたら、経営は正しかったんだ、地価が下がったからこうなったんだと。何か地価が下がったことがすべての責任で、その責任国民にとれと言うんですか、あなたは。
  217. 橋本徹

    証人橋本徹君) いえ、そうは言っておりませんで、もちろん、地価が下がったというマクロ経済の変化というものが大きな要因ではありましたが、そうかといって経営者に責任がないとは言えないわけでございまして、やはりその結果というものについては経営者は責任を持たなきゃいけない。したがって、住専は存立基盤を失ったわけでございますから、今回清算をして消滅すると、こういうことでございます。
  218. 白浜一良

    ○白浜一良君 それは一民間会社として倒産するのは簡単なんです。それはそうだったらいいんですよ、別に。わざわざこんな大きな仕組みをつくって国民の税金まで投入するというところに問題があるわけで、そこに対するあなたの意識が全くないじゃないですか。  それで、紹介融資という観点でちょっと具体的なことを聞きますが、当委員会で要求した資料を見ますと、シーエスグループというのがございますね。ここがわざわざ富士銀行の紹介で地銀生保ローンから融資されているんです、七十七億。本来であれば子会社である住宅ローンサービスから融資されればいいのに、なぜこのシーエスグループ、七十七億というのを地銀生保ローン、そちらの方に紹介されたんでしょうか、これ。
  219. 橋本徹

    証人橋本徹君) この紹介融資というのは、何も自分たち母体行になっている住専だけではなくて、他の住専からもいろいろ案件の紹介あるいは借入人の紹介の依頼がございまして、シーエスグループには私どもが御紹介したと思いますが、このさっき言われました七十七億円というのは私どもが紹介した案件ではございませんで、私どもが紹介した案件はたしか昭和六十三年ごろですか、二件ばかり御紹介しております。その分につきましてはたしか二十億ちょっとだったと思いますが、それは平成二年の八月までにすべて回収いたしておりまして、その後、地銀生保住宅ローンの方で独自に取り上げられた案件ではないかというように思います。
  220. 白浜一良

    ○白浜一良君 これ、今回大蔵省から出てきた本委員会に対する資料ですよ。この資料の中にシーエスグループほか三社となっておりますが、紹介元は富士銀行、七十六億九千三百万、貸付金残高と。これはうそですか。あなたの今のお話でしたら、これが何かうそみたいな話になる。
  221. 橋本徹

    証人橋本徹君) 大蔵省資料にそのように記載されておりましたので、私も関心を持って調べたわけでございますが、調べた結果、先ほど申し上げましたように、当初御紹介した案件はすべて回収になっておりまして、そこに上がっていると十七億という案件は、私どもが紹介した案件ではないというように聞いております。
  222. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういうことを言われると、この資料をとった意味が、これは大蔵省からとった資料で質問しているのに。まあそれはあなたの意見が正しくて、この大蔵省資料が間違っているかもわかりませんよ。それはわかりません。こちらが正しくてあなたが間違っているかもわかりません。わかりませんもの、私はこれはもらった資料で質問しているんですから。
  223. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  224. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記を起こしてください。
  225. 橋本徹

    証人橋本徹君) 大蔵省は、たしかこの資料はそれぞれの住専から聞き取り調査をされておつくりになった資料だと思いますが、その段階では私どもは照会を受けておりませんで、その後、その資料に載っておりましたので、私ども独自に調べましたところが、先ほど言いましたような事情でございます。
  226. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  227. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記を起こして。  ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議することといたします。
  228. 白浜一良

    ○白浜一良君 私、これ具体的な例を聞きましたけれども、紹介融資で特色があるんですね、この住専七社の中で。  それで、資料によりましたら、母体行が紹介したという住専はいわゆる住宅ローンサービスと住総が、これは当然でございますが、大手の都市銀行と信託銀行ですから圧倒的に多いんですね。  ところが、一般行分を見ますと地銀生保ローンヘの紹介融資が圧倒的に多いんですよ、ここにツケ回されたのが。私、先ほどシーエスグループ、これを聞いたのはそれと関係がある。  ちまたには、この地銀生保ローンは手数料が高い、だからここに紹介すると手数料がたくさんもらえると、そういう話がある。それは事実と認めますか。どのように認識されておりますか。
  229. 橋本徹

    証人橋本徹君) 地銀生保住宅ローンの手数料が特に高かったかどうかということについては、私は存じません。
  230. 白浜一良

    ○白浜一良君 それはこちらから紹介があるのは私は一般的にはわかりますよ。だけれども、わざわざ紹介するというのは、何かやっぱり利益がないと、メリットがないとそれはしないはずなんですね。住専経営実態、それから母体行の紹介という観点からいきましたら、具体的に住専に紹介する場合にどういうメリット、どういう基準で紹介をされるんですか。
  231. 橋本徹

    証人橋本徹君) 住専への紹介について、私の方で組織的にこういう方針でやれ、ああいう方針でやれというような指示は出しておりませんで、これは営業店の段階でいろいろな住専あるいはノンバンクから貸出先を紹介してほしいというような依頼がございまして、それに基づいて営業店の段階でいろいろ御紹介をしたと。そういうことで、そのメリット、インセンティブというのは、確かにおっしゃるように協力預金だとかあるいは手数料といったものがあったかもしれません。  ちなみに、住宅ローンサービスという私ども母体で関与しております住専につきましては、たしか一件当たり五千円、それと協力預金というようなものをインセンティブとして与えていたようでございます。
  232. 白浜一良

    ○白浜一良君 どうもこの辺もわかりづらいということでございます。  それから、次にお伺いしたいのは、いわゆる第一次再建計画がございますね。このときの問題をちょっとお伺いしたいんです。  この中で、いわゆる再建計画を見ましたらいろんな項目が指摘されておりますが、例えば富士銀行関係で申し上げましたら、この住宅ローンサービス、富士銀行の江戸川支店でリッチという会社に二十一億貸し付けされているんですね。これは要するに住宅でも住宅関連でも何でもない、株式購入のために貸し付けたんだと、こういう指摘がされているんです。本来のいわゆる住専の役割から見れば明らかに逸脱しているんですよ。こういう点が指摘されているんです。これ御存じですか。そして、御存じであるならばどのような対応をされましたか、この事実に対して。
  233. 橋本徹

    証人橋本徹君) 申しわけありませんが、このリッチという案件は私は存じておりません。
  234. 白浜一良

    ○白浜一良君 では、私が今質問しましたことを、経緯、それからこういう対応をしましたと書面でまた、委員長、出してくれますか。
  235. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  236. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記を起こしてください。  橋本証人、確認していただけますか。
  237. 橋本徹

    証人橋本徹君) かしこまりました。
  238. 白浜一良

    ○白浜一良君 私が申し上げたいのは、第一次再建計画からこういう具体的ないろんな指摘がされているんです。それを忠実に守っていたらこんなに傷口が大きくなったかなと、そう思うから私はこれを確認しておるんです。  もう一つ聞きます。  この第一次再建計画でおっしゃっている中身が、業務内容を見ましたら、こういうふうに書かれているんですね。「都市銀行七行と協議の結果、ご支援のご了解が得られ、以下の通り当社の中期業務計画を策定致しました。」と。これ、第一次再建計画ですよ。ちゃんと母体行七行と協議した上で当然書かれている。その中で、住宅金融分野への回帰と、この段階でもう明確に、「中期業務計画の基本方針」のまず第一番に本来の使命である住宅金融分野に回帰すべきだと明記されているんです。  これ以後どんどん事業向けの不動産投資がふえていっているんですよ。なぜですか、これ。
  239. 橋本徹

    証人橋本徹君) 第一次再建計画というのは平成四年にできたわけでございます。その時点で住宅金融への回帰ということをうたったのは事実でありますし、またその後は事業性の土地融資だとか、そういった不動産融資はやっておりません。現実に、ですから残高はふえておりません。
  240. 白浜一良

    ○白浜一良君 それがわかりませんね。  それで、私不思議に思いますのは、第一次再建計画平成三年十月の地銀生保ローンから始まって、翌年の平成四年八月までに七社出そろうんですね。これは、第一次再建計画でお互いの連携が取り合われていたのか、それともどこかから再建計画を出すようにというふうな指針が出たのか、ここの実態はどうなっていたんですか。
  241. 橋本徹

    証人橋本徹君) たしか一次のときも二次のときもそうだったと思いますが、大蔵省の方でも問題意識を持っておられて、それぞれ各住専母体行と住専経営陣とで再建計画をつくりなさいと、そういうことであったと思います。
  242. 白浜一良

    ○白浜一良君 大蔵省等から呼びかけがあってまとめられたと。それで、まとめられる内容に関して何か具体的なアドバイス等もございましたか。
  243. 橋本徹

    証人橋本徹君) 第一次再建計画のときには、母体金利を五%減免する、そして支払い金利を一%に抑えたと、そういう内容でございますが、これにつきましてはたしか大蔵省の方ともいろいろ御相談をした結果だったと了解しております。
  244. 白浜一良

    ○白浜一良君 大蔵省と相談の結果だと、ここが非常に大事なことなんで、御証言いただいておきます。  それから、第二次再建計画について、次にお伺いをしたいと思います。  ここが非常にややこしいんですね、平成五年の二月から以降の流れが。それで、具体的にいわゆる銀行大蔵省に誓約書というんですか、念書というんですか、出されたということになっておりますが、富士銀行の場合はいつどのような場面でこの念書を書かれたのか、教えてください。
  245. 橋本徹

    証人橋本徹君) 第二次再建計画におきましては「住宅ローンサービスの再建計画について」という文書大蔵省銀行局御中ということで出しております。  それには住宅ローンサービスの母体行である七行の行名を書いたゴム判が押してあるわけでありますが、これにつきましては、平成たしか五年の五月二十七日にその文書に署名をいたしました。これは持ち回りで、署名というかゴム印を押しております。
  246. 白浜一良

    ○白浜一良君 それは一カ所にいわゆる母体行の関係が集まられて署名されたと、こういうことですか。
  247. 橋本徹

    証人橋本徹君) そうではございませんで、持ち回りで各行が押したということでございます。
  248. 白浜一良

    ○白浜一良君 そのときに、この念書を書くということの意味、要するにどういう意味があると、それをだれが説明しましたか。
  249. 橋本徹

    証人橋本徹君) この念書の意味につきましては、これはこの再建計画というものができまして、この再建計画に沿って全金融機関協力するという前提で私ども母体行も責任を持ってこの再建計画を遂行しようという所存を述べたものでございます。  私も、こういうものを出すんだというので、これはどういう性格のものかという質問をしたわけでございますが、担当者は、これはそういった再建の決意表明であって、これを出すことによって何ら法的義務が生ずるものではない、決意表明であると、こういうことで、それであれば大蔵省に対してそういう文書を出すのも差し支えなかろうと、このように判断したわけでございます。
  250. 白浜一良

    ○白浜一良君 いわゆる決意表明だというのは大蔵当局が説明されたんですか、母体行に対して。
  251. 橋本徹

    証人橋本徹君) 大蔵省からは、こういった同じ文面を日本住宅金融を初めとして各住専母体行から再建計画に伴って出していただいているので、同じ文案で住宅ローンサービスの母体行も書いてほしいと、そういうことでございました。そして、それがいわゆる元本の保証であるとかそういった意味のものではないということは大蔵省も御存じのはずでございます。
  252. 白浜一良

    ○白浜一良君 この決意表明というのは、これは言葉ですけれども、要するに、じゃだれに対する決意なのか。そうでしょう。だれにその決意を見せる必要があったのですか。
  253. 橋本徹

    証人橋本徹君) 大蔵省の方から、決意のほどを見たいと、こういうことでございますから、あて先は大蔵省銀行局御中でございます。
  254. 白浜一良

    ○白浜一良君 大蔵省銀行局あてに書かれているんですよ。それは私も承知しています。だけれども大蔵省はそんなものをもらってもしようがないでしょう。何のために大蔵省が決意表明が欲しいと言ったのかという、そこのところの理解はどうされたんですか。
  255. 橋本徹

    証人橋本徹君) そこのところはよくはわからなかったんですが、とにかくこういったものを出さないとこの再建計画についてうんと言えないということでございましたから、それであれば決意表明をしようではないかということであったと思います。
  256. 白浜一良

    ○白浜一良君 ここが本当に大事なんですよ。ここが今回のスキームにつながっているんです。  この予算委員会をやっていましても、大蔵大臣の立場と農林水産大臣の立場が微妙に違う。ここのところが、それはもう私が質問するまでにあなたがおっしゃっている、決して元本保証したものじゃないと。私は質問していませんよ、そんなことは全然。そのぐらい意識されているものなんですよ、これ。  だから、私くどく聞きますけれども大蔵省は何のために各母体行から決意表明を受けざるを得なかったのか。それは大蔵省から言われて書かれたんでしょうけれども、盲目的に書かれたわけじゃないでしょう。そこのところの理解はどうですか。
  257. 橋本徹

    証人橋本徹君) いや、あくまでもこれは決意の表明であって、再建に努力しようという所存を書いたものであります。ですから、大蔵省がそれをどのように使われるかということは我々は関知しなかったわけであります。
  258. 白浜一良

    ○白浜一良君 だから、ここも非常に大事なことなんですが、あなたはこれ以上おっしゃらない。これ以上おっしゃると多分いろんな差しさわりが出てくるからでしょう。でも、ここのところが本当は明らかにされぬとあかんのですよ、本当は。国民が非常にわからないところなんです。これは押し問答になりますから。  次に、昨年の年末に今回の住専処理のスキーム、いわゆる処理の仕組みをつくられたときのあなたは全銀協の会長ですから、そのときのかかわりをお伺いしたいんですが、まずあなた自身が、要するに今回のこの処理スキームの大綱を大蔵省から示されたのはいつごろですか。
  259. 橋本徹

    証人橋本徹君) たしか十二月の十六日の晩だったと思います。たしか土曜日であったと思いますが、こういった形でやるんだと。  ただ、その段階では、母体は一次ロス六兆二千億のうち三・五兆円、要するに持っている全額を放棄しなさいということでございました。それで、その段階では一次ロスと二次ロスに分けて、一次ロスは六・三兆円、二次ロスが一・二兆円。とりあえず一次ロスを処理するんだと。その場合の負担割合は、母体行が三兆五千億、一般行は一・七兆円、そして農林系統金融機関は一・一兆円、こういう話で進んでおりました。  それが突然、系統は……
  260. 白浜一良

    ○白浜一良君 それは聞いていないから。
  261. 橋本徹

    証人橋本徹君) そうですが、はい。
  262. 白浜一良

    ○白浜一良君 それは十二月十六日と。  そこの分担の割合が変わったのは、あなたが承知されたのはいつですか。
  263. 橋本徹

    証人橋本徹君) たしか十二月の十八日ごろでしたですかね。突如として、今の話で六千八百億財政資金が入りますと。なぜなら、農林系統金融機関は一・一兆円は負担できない、五千三百億しか負担できないと。したがって、その足らず前は財政資金を出さないと系統金融機関に不安が生ずると、そうすると農協の貯金者に不安が出てくる、それは金融システムに不安を生ずる、それはどうしても避けなきゃいけない、したがって財政資金を入れざるを得ないんだと、そういう御説明だったと思います。
  264. 白浜一良

    ○白浜一良君 今の御証言によりましたら、十六日に聞いて十八日にはもう変わっていたと。この二日間のところがわからないと、なぜ変わったのかわからないとおっしゃいましたですね。  でも、あなたも全銀協の会長というお立場です。変わったということに対して不自然なものをお感じになったでしょう。そこの感想と、変わった結果、財政資金を投入する、税金を投入するということに対して、母体行のいわゆる象徴として、代表的なお立場として率直にどう思われましたですか。
  265. 橋本徹

    証人橋本徹君) 私どもも青天のへきれきと申しますか、農林系統金融機関が本来負担していただく二・三兆円じゃなくて一・一兆円であるかと思ったら、さらにそれが五千三百億ということになって、足らず前は財政資金が出るということで、大変これは困ったことだなと。しかし、翻って金融システムの安定化ということを考えると、これもやむを得ないことであるなと、このように思いました。
  266. 白浜一良

    ○白浜一良君 あなたね、十六日の話は比較的理屈としてはわかりやすい。ところが、十八日には六千八百億の税金を投入する案になっている。せんじ詰めれば、簡単に言うと、あなた方の不始末で税金を投入するということに対して、そんな感想しか持たなかったんですか、あなたは。
  267. 橋本徹

    証人橋本徹君) もちろん、この遠因は住専が破綻したことによるわけですから、そこにつきましては先ほどから道義的責任を感じておると、だから法的に許される限度まで負担しなきゃいかぬと、こういうことですね。それで、当然のことながら、この一・一兆円は農林系統が負担されるものと思っておりましたから大変驚いたわけで、これは大変なことであるなと、そう思いました。
  268. 白浜一良

    ○白浜一良君 きょうはこれ本当にテレビで国民が見ておりまして、私は本当にますます不信感が募っただろうなと、あなたのこの御証言を聞いて思ったと思います。  もう一つ、具体的なことを聞きます。  今回、急に富士銀行の頭取をおやめになった。いろいろ理由はおっしゃっておりますが、私は責任をとってやめたんだと言った方がわかりやすいんです、国民には。なぜあなたはそういうことを言えないんですか。いろいろ理屈はおっしゃっておりますが、任期を残しておやめになっているんです。それは、理屈は何ぼでもおっしゃっている。しかし、国民から見たら、一連の責任をとって辞任したんだと言った方がわかりやすいんですよ。その一言を言えないから国民には非常にわかりにくいんです。
  269. 橋本徹

    証人橋本徹君) 住専問題につきましては、先ほど来言っておりますように、大変遺憾に思って、皆さんに御迷惑をかけている点については重々おわびをいたします。しかしながら、今回、頭取を辞任いたしましたのは、断じてこの住専問題の責任をとってやめるわけではなくて、私がこの間、四月二十六日の記者会見で申し上げたとおりでございまして、すぐれて富士銀行経営体制という富士銀行固有の問題でございます。  以上でございます。
  270. 白浜一良

    ○白浜一良君 終わります。
  271. 前川忠夫

    前川忠夫君 私の方からは、今度の住専問題の背景といいますか、いきさつ、経過を含めて、最後の結末に至る経過について証人の方から御意見を伺いたいと思います。  まず、私ども銀行に対するイメージ、特に大手の都銀については、とにかくかたい、堅実だというイメージが私の子供のころからあったんですけれども、なぜいわゆる八〇年代半ばからのバブルの時代にさまざまな、もちろんその銀行本体の問題もあるんですけれども、関連会社あるいは住専の問題を含めて、なぜこういうところに銀行がのめり込んでしまったのか。銀行それぞれ、特に大手の場合にはそれぞれのシンクタンクをお持ちだと思います。さまざまな経済分析もやっておられるし、あんな異常な状態が長続きをするはずがないのは実は素人でもわかることなんですね。  そういう状態のときに、本来は信頼性を第一義とすべき銀行がそれにのめり込んでいったいきさつ、経過について、まず簡単で結構ですから感想をお伺いしたいと思います。
  272. 橋本徹

    証人橋本徹君) 確かに、私ども反省する点が非常に多いわけでありまして、あのバブルの時代に私どもはやはり収益競争に走ったと思います。  そして、地価がどんどん上がっていく中で、いつしか、地価というものの土地神話といいますか、日本という国土の狭いところの地価というものはそんなには下がらないだろうというような認識で不動産関連融資をやったと。それがこの総量規制あるいは金融の引き締めということで今回、地価が暴落したと。そのためにすべての金融機関で、おっしゃるように大手の金融機関におきましてももう一様に不良資産を抱え込んでしまったと。これは事実でございまして、私ども金融機関経営を預かる者としてはその点は大いに恥じ、また反省をしているところでございます。
  273. 前川忠夫

    前川忠夫君 土地神話は確かにあることはあるんですが、私はむしろ、金融機関とかあるいは生保等を含めて、例えば駅前の一等地を再開発する、新しいビルを建てる、ばあんと土地が上がるんですよね。大体は銀行や何かが支店を開店する。周辺の土地の値段以上のもので買って、結果的にはそれが周辺に波及をして土地神話を生んだ。そういう原因はやはり銀行に私はあったと思うんです。何やらほかにそういう雰囲気があって銀行がそれにのめり込んだというんではなくて、むしろそういうものを生み出した責任は私はやっぱり銀行にもあったんじゃないかというふうに実は感じるわけです。  と同時に、周辺のそういう土地がどんどんどんどん今のお話のように上がっていく、そうすると、例えば個人の住宅を買おうという場合でもかなり大きな金が動くわけです。そうすると、当然のことですがローンを組まなければいけない。銀行がいわゆる個人向けの住宅貸し付けについても手を出すようになる。これがいわゆる一九七〇年代でありますね。  そこで、銀行本体ではなかなか手が回らない、したがって住専をつくって銀行業務の補完をする。もちろん、指導した大蔵省にも天下り先をつくりたいという意向があったのかもしれません。しかし、そういう形で銀行自身が土地神話あるいは土地の値上がりに手をかして、むしろ自分たちの仕事をつくったといいますか、もうける場をつくったというような感じが実はしてならないんです、私には。  そこで、いわゆる住宅専門会社をつくるに当たって、私は本来であったらば、そういう例えばもうかるところがあるという場合には、例えば富士銀さんなら富士銀さんの子会社とかあるいは関連会社を一社つくって、そこがそれを業務とするというのが本来の姿じゃないかと。ところが、結果的にできましたのは、さまざまな幾つかの銀行が集まったり、あるいは業態やらが違う会社が集まって住専をつくる、このことが実は後々まで尾を引くんですね。この問題について、住専設立の当時の事情を含めてどんな理解をされておられますか。
  274. 橋本徹

    証人橋本徹君) 住専ができたのが昭和四十六年が最初でございます。その昭和四十六年当時はまだ住宅融資資金が不足していたときであります。また、銀行も担保だけに依存した貸し出しということはやらない、むしろ事業向けの貸し金の需要が非常に強かったときでございましたから、この住宅ローンの需要に、住宅資金の需要にどうこたえたらいいのか、そういうことについて金融制度調査会等でもいろいろ御議論がございまして、その結果、それなら住宅金融を専門にする会社を数行で集まってつくったらどうかということでございました。  したがって、私ども住宅ローンサービスは昭和四十六年の八月末に設立したわけでございますが、当時の事情としては、そういった形で数行が集まって設立しようということであったかと思います。
  275. 前川忠夫

    前川忠夫君 そこで、けさの日経新聞、当然お読みになっていると思うんです。  今度は富士銀さんということでお聞きをしたいと思うんですが、けさの日経新聞を見ておりましたら、例えば富士銀さんの場合は、支援先の債権等を含めまして約一兆九千五百億円の不良債権があると、このことは新聞の情報ではありますけれども、頭取としてお認めになりますか。
  276. 橋本徹

    証人橋本徹君) けさの日経に、確かに銀行の不良債権の総額としてそういう金額が出ておりました。あの数字は、私どもに関する限りはほぼ間違っていないというように申し上げられると思います。
  277. 前川忠夫

    前川忠夫君 要するに、先ほど自民党の関根先生の方からもお話がございましたが、例えば一兆九千五百億円という不良債権がある。しかも、これは情報によりますと、貸倒引当金という形ではあっても間接的には事実上の償却が可能だというふうな見通しを立てておられる。つまり、例えば住専の問題は、母体行がたくさんある、あるいは融資先もたくさんあってややこしい。しかし、直接の子会社であるとかあるいは直接融資をしたものであるとかそういうものであれば、一兆九千五百億円という不良債権も償却をする力が今あるということなんですね。このことをお認めになりますか。
  278. 橋本徹

    証人橋本徹君) あの新聞に出ておりました支援先債権というのは二千億ちょっとありましたが、これは何かといいますと、住専はあれには入っておりません。支援先というのは、私どもの系列ノンバンクという、いわゆるそういったものでございます。  この支援先として出ている数字というのは、金利が延滞しているわけでもなし、金利を減免しているわけでもない、正常な貸し金でございます。この支援先に対する貸し金の中でも、金利を減免したり支援をしている、そういった形で金利を減免しているという先は金利減免債権の方に入っております。それが約五千億ぐらいございます。  恐らくお尋ねになりたいことは、住専については我々は貸出残高全体を放棄するということをもって限度としているのに対して、系列ノンバンクに対してはなぜ際限なく支援をするんだと、そういう御趣旨でございましょうか。  それにつきましてお答えいたしますと、系列ノンバンクというのは、私ども富士銀行にとりまして戦略的に非常に重要な役割を負ったノンバンクでございまして、と同時に、その存立基盤はまだ失われていない、再建は十分に可能である。こういうことで、仮に一部貸国債権を上回った支援でも、これをすることが当行グループ全体の利益にかなうことであり、当行の利益にかなうことは株主の皆さんにとってもこれは利益である。したがって、私どもも、そういったことをすることが取締役の忠実義務に違反しない、そのように判断してやっておるわけでございます。
  279. 前川忠夫

    前川忠夫君 そういう論理があるということは私は頭から否定をするつもりはありませんが、それならば住専はどうでもいいのかという声が出てくるんですね。  確かに、法的処理についてはさまざまな問題があって今度の政府の処理スキームができ上がったというのは御承知のとおりなんです。先ほど関根委員あるいは白浜委員の方からも指摘がありましたように、私はやはり母体行としては、例えば住宅ローンサービスの場合には七行の母体行があります、やはり七行共同の責任はきちっとあるわけですよ。なおかつ、七行で話し合って、もし早い時期にこの問題についての手をきちっと打っておけば、今ここで、先ほど御指摘がありましたように、四百一億かあるいは五百一億かの議論は残るにしましても、全体の今不良債権と言われている数字に比べたらほんのわずかな額なんですね。私は四百億という金はわずかだなんて思っていませんよ。トータルの中ではわずかな額なんです。にもかかわらず、これだけ大きな問題、世間を騒がす問題に実は発展をしているんですね。その方が私はむしろ銀行全体あるいはもちろん代表する頭取としての責任は非常に大きいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  280. 橋本徹

    証人橋本徹君) 私ども住専はどうでもよいというふうには思っておりません。したがいまして、先ほど来言っておりますように、私どもが法的に許される範囲で最大限の負担をしていこうということでございます。そういうことで、貸国債権全額を放棄しようということでございます。  ちなみに申しますと、七・五兆円を仮に法的処理の場合に考えられるいわゆる貸国債権に比例してプロラタで負担するという場合にどうかといいますと、母体は二兆円なんです。それを三・五兆円放棄しようということでございます。ちなみにその場合は、一般行は二・三兆円、系統は三・二兆円を放棄しなきゃいけない、そういうことでございますが、私ども住専母体行としての道義的な責任をも踏まえて、法律いわゆる法的処理の場合に比べて一・五兆円も多く負担しょうとしているわけでございます。
  281. 前川忠夫

    前川忠夫君 先ほどから議論がありますように、私も政府の処理スキームそのものが何やらようわからないという気はいまだに私の心の中にはあるんです。しかし、それはさまざまな議論を積み重ねた結果、昨年十二月のほんのわずかな期間だったかもしれませんけれども、最終的に耐えられるか耐えられないか、そういう議論の積み重ねの結果決まったわけです。私はそれだけやはり母体行の責任が大きいということを、さまざまな議論の積み重ねの結果そうなったわけですから、そのことはまず一つは認めていただきたい。  と同時に、お聞きをするところによりますと、今期の業務純益がかなり大きなものになるという話を私もお聞きしています。この今期業務純益がたくさん出るという背景を考えてみますと、私はいわゆる政府金融政策がかなり大きなウエートを占めているというふうに申し上げられると思うんです。  つまり、預金をしている人に対しては史上最低の金利でお預かりをして、貸し出す場合にはある程度の金利をいただいてと、この差額が今の純益につながっているわけですね。結果的には政府全体の、あるいは景気全体の、経済政策全体の中から上がってきた純益であれば、私はそれは当然国民に還元をしても決しておかしくはないというふうに思います。  としますと、私は、先ほどからお話を聞いていますし、あるいはせんだって衆議院予算委員会で、我が党の坂上議員の方からの質問に対して、さまざまな工夫あるいは努力はできませんかということに対して、橋本頭取も、努力、工夫はしていますけれども名案がございませんとお答えをいただいていると思うんです。  私は、今全銀協の会長をおやめになる、あるいは富士銀の頭取をおやめになる、しかし現にそういう議論が積み重なってきたということについてはしっかりお認めをいただきたい、この議論が積み重なってきたということ。つまりこれからの、もし名案というのがどういう内容かこれから議論をしますけれども、そういう場合にはきちっと協力をしていただけるかどうか、最後にお尋ねをしたいと思います。
  282. 井上裕

    委員長井上裕君) 時間ですから簡潔に。
  283. 橋本徹

    証人橋本徹君) 母体責任が大であるということ、それから業務純益がふえているということ、それは事実でございます。  金融政策によるところも大であろうと思いますが、そもそも金融政策の目的は景気を浮揚するということで、そのために金利が下がったと、そういった状況の中で、私ども市場性の取引、債券のディーリングだとか、そういった面で大きく業務純益を稼いだという面がございます。ただ、預金金利も下がりましたが、貸出金利も下がってきております。そういった意味では、金利低下のベネフィットは企業、それから個人でも個人で借り入れをしておられる方には行き渡っているわけでございます。  さはさりながら、もっと大きな負担、協力はできないのかという点につきましては、私も久保大蔵大臣から直接そういう問いかけを受けておりまして、今までいろいろと名案はないかと知恵を絞ってきたわけでございますが、現時点においては名案がございません。したがって、現時点におきましてはこれ以上の負担は極めて難しいと言わざるを得ないわけでございます。
  284. 前川忠夫

    前川忠夫君 終わります。
  285. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 先ほどの関根委員の質問に関連して一、二伺いたいと思うんです。  第二次再建計画で、無利子融資、追加融資をした。それは放棄しないと。しかし、今その債権も含めて五百一億あるわけですね。したがって、皆さん方がおっしゃっていた母体行は債権全額放棄というのは、これは看板に偽りありということにならざるを得ないんじゃないですか。
  286. 橋本徹

    証人橋本徹君) 全額という場合には、その百億円を除いた全額という意味でございます。
  287. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そんな証言じゃだめだよ。百億は債権として残っているんじゃないの。だから全額放棄じゃないと。当然じゃないですか。
  288. 橋本徹

    証人橋本徹君) いや、それは先ほど来御説明しているとおりでございます。
  289. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そんな説明じゃないの。
  290. 橋本徹

    証人橋本徹君) はい。
  291. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 債権全額放棄かどうかと聞いているんだよ。
  292. 橋本徹

    証人橋本徹君) 全額放棄であります。
  293. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 何で全額放棄か。
  294. 橋本徹

    証人橋本徹君) それは、百億円は第二次再建計画のときに、収益支援として、収益支援の便法として提供したものでありまして、性格の違う貸し金なんでございます。
  295. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 貸付債権であることは間違いないじゃないですか。百億除いて放棄なんだから、だれが見たってそんなのは全額放棄と言わないんだよ。一部放棄なの。  しかも、これは重大問題だと思うんですよ。四百一億円というのは平成五年三月期の残高ですよ。今は五百一億です。政府のスキームというのは五百一億でできているんですよ。そうでしょう。それで、三・五兆円放棄ということになっているんです。平成五年三月の母体行の融資残高は三・三兆円ですよ。だから、あなた方がもし五百一億放棄しないというなら、政府のスキームそのものを崩すことになるんですよ。
  296. 橋本徹

    証人橋本徹君) 私どもは、先ほど申し上げましたように、一月十九日に御回答申し上げるときに、この百億円は返していただきますということをはっきり申し上げております。
  297. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ともかく政府のスキームがきょうの証言によって事実上崩れているということが明らかになりました。  そこで、次に伺いますけれども、富士銀行系列のいわゆる直系ノンバンクというんですかね、系列ノンバンクに対しては融資額以上の支援をする場合もあると、これは戦略的に重要だからだとお一つしゃいましたが、これは間違いないですね。
  298. 橋本徹

    証人橋本徹君) 間違いございません。
  299. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 つまり、住宅ローンサービスはあなた方にとって戦略的に重要ではなかったという  ことになるわけですか。
  300. 橋本徹

    証人橋本徹君) 我々の系列ノンバンクと比してそういうことでございますし、また存立基盤が既に失われておると。我々の系列ノンバンクにつきましては、存立基盤があり再建が十分可能であると。したがって、支援をしておるということでございます。
  301. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それは全く誰弁で、系列直系ノンバンクだからいわゆる母体行主義、母体責任によって、例えば他の金融機関だって融資しているところがあると思うんですよ、富士銀行だけじゃなくて。しかし、他の金融機関の手は煩わせないで富士銀行責任でやっていくと、こういう態度で来られたことは間違いないですね。
  302. 橋本徹

    証人橋本徹君) そのとおりでございます。
  303. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 富士銀行で、各行員に対してこういう「企画ノート」というのを渡しておられます。私、これを見てみました。そうしますと、富士銀行の関連会社一覧というのが載っております。そこには芙蓉総合リース、芙蓉総合開発、日本抵当証券、これと並んで住宅ローンサービスも同じ欄に載っているんですよ。  あなた方の扱いは、これまでは少なくとも芙蓉総合リースや芙蓉総合開発と全く同じように住宅ローンサービスを扱ってきたんじゃないですか。ところが、都合が悪くなったので、最近もありましたね、住宅ローンサービスだけ名前を外しちゃうと。これは単なる責任逃れじゃないですか。
  304. 橋本徹

    証人橋本徹君) いや、その「企画ノート」に書いてあるものの概念と直系ノンバンクという概念は違うわけでございます。
  305. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 「富士銀行百年史」というのがありますね。私、図書館から借りてきて見ました。何と書いてあるかというと「当行をはじめとする都市銀行六行が中心となって、「株式会社住宅ローンサービス」を設立した」、「出資銀行住宅ローンを補完する役割を果たしている」ということで、わざわざ百年史にまで出てくるんです、百年史にまでね。記録すべき会社なんですよ、富士銀行にとっては。そうでしょう。しかも、独立系じゃない、親がいると。  芙蓉総合リースや芙蓉総合開発と同じように、倒れたのならなおのことですよ、再建できるのならこれからもうかるかもわからないからと、つぶれたんだからこそなおかつ母体行主義で、母体責任で面倒を見るのが銀行の社会的責任じゃないですか。
  306. 橋本徹

    証人橋本徹君) 百年史にそういうことが書かれていることは私も存じておりますし、この住宅ローンサービスを設立した昭和四十六年ごろの情勢からいえばそういうことでございました。しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、住宅ローンサービスは今や存立基盤を失った、したがってこれは清算せざるを得ない、そういうことであります。  それで、したがって私どもとしては、母体行としての責任を果たすべく、法律で認められる、あるいは我々が取締役として忠実義務違反にならない範囲で最大限の負担をしていこうということを言っているわけでございます。
  307. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 先ほどから法制上許されるというのがたびたび出てくるんだけれども、じゃ三・五兆円の全額放棄、富士銀行でいえば五百一億じゃなくて四百一億の債権放棄は株主代表訴訟に絶対に訴えられないと、こういう保証はあるんですか。
  308. 橋本徹

    証人橋本徹君) 訴えられないという保証はないと思います。しかし、訴えられても勝つという自信がございます。
  309. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 訴えられない保証なんてないんですよ。訴えるのは株主の自由です。株主の当然の権利なんです。勝つか負けるかは、これも富士銀行が決めることじゃないんです。富士銀行の顧問弁護士が決めることでもないんです。裁判所が決めることなんですよ。そうでしょう。あなた方はすぐ弁護士に相談したと、弁護士なんか保証にならないですよ。決めるのは裁判所が決めるんだから。そうでしょう。だから、まず株主代表訴訟で債権放棄だったら絶対に勝つという保証はないです、しかしもちろん負けるという保証もない。そうでしょう。  先ほど善管義務ということをおっしゃったが、きょう資料も配られているけれども、例えば福岡高裁の判決に関連してこういう解釈だってあるんですよ。たとえ結果として銀行に損害をかけたとしても、それがその企業の社会的責任を果たしているという場合にはこれは善管義務違反には問われないと。  現に、法務省民事局長だってそうでしょう。国の金融システム維持安定のために協力すると、そのために例えば債権全額放棄あるいは追加負担、こういうことがあったとしてもそれは金融システム維持安定のために協力したということは当然考慮の対象になるだろうと法務省の民事局長もおっしゃっています。これはお認めになりますね。
  310. 橋本徹

    証人橋本徹君) 今回の政府処理スキームに従って債権を全額放棄し、その上に金融システムの構成員として金融安定化拠出基金に無利息の資金を拠出し、住専処理機構に低利融資をすると、こういうスキームにつきましては、我々の顧問弁護士も、これであれば忠実義務違反にはならないと。確かに、それは株主代表訴訟が起こった場合に、勝つか負けるかは裁判所が決めることであることは間違いございませんが、そういうことでございます。
  311. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 やはり私は責任を痛感してもらわなければいかぬと思うんですけれども、先ほどこういう質問がございました、住専の個人住宅金融分野をいいところだけ奪ったんじゃないかと。これは書いてありますよ、「企画ノート」に。何と書いてあるかというと「やればできる!」、「個人ローン二兆円増強計画」、「ここ二~三年が勝負どころ!」、「戦略商品」に「住活」というのがある、これは「究極のローン」だと。「住活ローン」と入っているんですよ。一九八九年版です。  ですから、あなた方がこういうことをやってきたことは明白だと思うんです。しかも今、ですから追加負担をすべきだと内閣も国会も、国民挙げて言っているんです。あなた方はいかなる形でも追加負担はやらない、絶対だめなんだという態度を貫き通す考えですか。
  312. 橋本徹

    証人橋本徹君) 住活ローンを確かに積極的に売ったのは事実でございます。これは当然、銀行経営戦略上大事な仕事はどんどんやろうというのは当然でございます、株式会社として。  それで、このさらなる負担ということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、大蔵大臣からも再三そのような御要請があっていろいろと知恵を絞ったわけでございますが、先はどのような法制上の制約もございまして、なかなか名案が出てこないというのが事実でございます。
  313. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  314. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私からも株主代表訴訟に絞って質問いたします。  要すれば、追加支出としての六千八百五十億、これを仮に銀行側が負担するとした場合に、これは株主代表訴訟に対抗できない、支え切れない、こういうお考えだろうと思います。先ほどからしきりに法的に許される許されないという言葉を使っておられます。どうやら債権放棄は法的に許される、しかし六千八百五十億の追加支出は法的に許されない、こうお考えのようでありますが、その法的というのはいかなる法律でしょうか。
  315. 橋本徹

    証人橋本徹君) 先生に法律論議をするというのは大変僭越でございますけれども、私どもが先ほど来申し上げております取締役の忠実義務違反というのは、商法二百五十四条ノ三に書いてあるもので、民法の二百四十四条に言う善管注意義務と同様だというように存じております。
  316. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 問題の六千八百五十億の支出について、政府がどのような説明をしておるか、当然おわかりと思います。  これは金融システムを守るために必要な金である、これを出さないとあっという間に二、三のまず農協金融機関が破綻して取りつけ騒ぎが起きて、全国で大変なことになる。ひいては金融システム全体が破綻する。要すれば、銀行を守るためにどうしても必要な金だと、こういう言い方をしておるようです。しております。  自民党の加藤幹事長がまさしくアリの一穴という言い方をしました。堤防を支えておる、これは金融システム銀行に見立てたわけでありまして、アリの一穴、穴があると堤防自体が崩れてしまう、ですから六千八百五十億の公的支出をして穴を埋める必要があると、こう言いました。  そうすれば、問題は額なのでありまして、これをだれが負担するか、こういう問題ではないと思います。政府が負担するからこれは必要適切な金である、銀行が負担すると株主代表訴訟にも耐えられない、法的根拠のないいいかげんな金だと。要すればむだ金ですから、あそこで、株主代表訴訟の対抗になるものは。銀行が出すとむだ金である、政府が出すと正しい正当などうしても必要な金だと、こういう理屈があるのでございましょうか。到底私は納得できないと思います。  仮に銀行が六千八百五十億を支出したとします。株主の中にはいろんな人がおりますから訴えを提起するでしょう。銀行側は今政府が言ってい、ることをそのとおり法廷で述べればよろしいんじゃないでしょうか。これがなければ大変なことになります、銀行がつぶれます、農協がつぶれるだけじゃありません、銀行もつぶれます、もう大変なことになります、こういうことを言えばよろしいわけで、それでも足りなければ、今こういうことをしきりに言っている政府関係者橋本さん以下、久保大蔵大臣、あるいは今の加藤幹事長、それから西村銀行局長、これを証人にして、この六千八百五十億がいかに必要かということを証言してもらえれば、これはもう議論するまでもなく銀行側が勝ちますよ。何を一体恐れておるんですか。  しかも、おかしいことに、法的根拠がないといいますれば、問題の何兆円という債権だって法的根拠は全くありませんよ。この放棄は自由にやりますと、株主から見ればこれは大変な問題です。三兆円もの債権を簡単に放棄する、そうしていざとなると六千八百億はこれは出せません、法的根拠がないから許されないからと、同じ問題でしょう。どうして片っ方は許されて片っ方はだめなのか、この説明は顧問弁護士さんは到底できないでしょう。  いかにお考えなのか。どうしても六千八百五十億が支出できないと、それを合理的に説明してもらいたいと思います。
  317. 橋本徹

    証人橋本徹君) 私どもは三・五兆円の債権を全額放棄する上に、金融安定化拠出基金、これに今の一兆円程度だと思いますが、全体で……
  318. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 ちょっと、法的根拠を聞いているんですよ。
  319. 橋本徹

    証人橋本徹君) ですから、それの法的根拠でございます。  要するに、負担としては我々は債権の全額放棄しかできない。その上にできることは、金融システムの構成員の一員として金融システムの安定化に寄与しようと。その場合に……
  320. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 全然質問に答えてないんですね。
  321. 橋本徹

    証人橋本徹君) いやいや、その説明を今しているわけでございます。
  322. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 片っ方は法的根拠があると、片っ方はないと言うから、その区別を聞いているんです。まじめに答えなさいよ。
  323. 橋本徹

    証人橋本徹君) お答えいたします。  なぜ根拠があるかということでございますが、法的整理の場合、先生も御存じのように、破産処理であればこれは債権者平等の原則で全部プロラタでございます。そういうことからいけば我々の負担は二兆円になるわけでございます。ただ、法的整理のうちのもう一つの特別清算の場合は、債権者の四分の三が同意すればプロラタでなくてもよろしいということになっております。  しかし、それは債権額が限度であって、配当が期待できる部分を合理的な理由もなく全部放棄するということについては問題がある……
  324. 井上裕

    委員長井上裕君) 簡潔に。
  325. 橋本徹

    証人橋本徹君) しかし、配当が期待できる部分を放棄するところまでは合理的な理由があれば認められる、それ以上に負担をするという法的な根拠はないと、このように理解しております。私どもの顧問弁護士もそのように言っております。
  326. 井上裕

    委員長井上裕君) 時間ですから。
  327. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 法律家として到底納得できない説明でございますけれども、遺憾ながら時間切れなので、この辺で断念いたします。
  328. 井上裕

    委員長井上裕君) これをもって橋本証人に対する証言の聴取は終了いたしました。  証人には、長時間にわたり御証言をいただきまことにありがとうございました。  御退席くださって結構でございます。
  329. 井上裕

    委員長井上裕君) この際、資料提出要求に関する件についてお諮りいたします。  平成八年度総予算三案の審査のため、住宅金融専門会社問題について、日本住宅金融株式会社代表取締役社長丹羽進君、第一住宅金融株式会社取締役社長山仲靖朗君、株式会社住総取締役社長山本弘君、地銀生保住宅ローン株式会社代表取締役社長坂齊春彦君に対し、大蔵省の第一次立入調査時における分類債務者一覧表を本委員会に提出するよう議長を経由して要求いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  330. 井上裕

    委員長井上裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、その手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  331. 井上裕

    委員長井上裕君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十六分散会