○小島慶三君 そのずれの回復の
努力ということも確かに必要かと思います。ぜひそういうふうに御
努力をお願いしたいと思います。
次に、お手元に
資料を差し上げてございますので、恐縮ですけれ
どもお目通しをいただきたいというふうに思います。これは
井上薫先生の作業をお借りして御
質問するわけでございますが、これでごらんになりますと、昭和六十年のドル高後の円高不況、大体八六年から八九年まで、それから今回のバブル崩壊後の円高不況、九二年から九五年、この金の流れというものを比較してみますといろんなことがわかってまいります。
まず、外貨準備がふえているということ。それから外為会計の払い超、これは横ばいである。それから公共事業の支払い、これは今回の方が明らかに大きい。しかも、金利の低水準というものがあって、それにもかかわらず名目成長、実質成長ともに今回の方が低いということで、結局これはバブルの影響というものを公共部門の資金供給でカバーした、ゼロにしたということだろうと思うんです。ちなみに、それならば通貨の供給の方が伸びているかといいますと、これが伸びていないんです。M2プラスCD、これも明らかに今回の方がはるかに低い。それから広義の流動性、これをごらんいただいてもこれも低いということなんですね。
そうすると、金は一体どこへ行っちゃったのかという話になるわけであります。これはいろんな
回答があると思うんですけれ
ども、
一つは、確かに海外への流出ということがあるでしょう。それからもう
一つは、借金の返済ということがあると思うんです。それから三つ目には、実物投資の増加というものがあればそういうものが考えられるということであります。
借金の返済の方は、これは別な
データで、金融機関の貸出残高、これを見ますと、前のときが五百十兆で今度が五百兆と十兆減っているんですね。だから、金を返しているということで、これはその
意味においてはバランスシートの回復とかそういうことに役立っていると私は思っております。
それからもう
一つ、海外への流出というのは、これも
数字は申しませんが、明らかに今回の方が低いんですね。そうすると、残ったのは一体どこへ行ったのか。実物投資という答えが一番まともな答えでありましょうが、最近の産業の方はかなり過剰設備を抱えております。そういった
意味で投資意欲というのはそれほど高くない。
それからもう
一つは、間接金融に今まで依存していたのがそうでなくなったという面があります。だから、なかなか
銀行から金を借りない。この間、三菱の方と話をしていましたら、三菱
銀行が今、いわゆる三菱グループ、大
会社がたくさんありますが、そういうところに貸している金は五%しかないと言うんですね。私は聞いて本当に唖然としたんです。そうすると、そのほかの九五%というのはどこかへ金が行っているということになるわけなんです。
そこで、こういった点をいろいろ考えてみますと、やはりかなりお金のマグマというものがたまってきているのではないか。そのもとは恐らく、その
データにもありますように、四十六兆の政府
関係債の増加ということだろうと思うんですね。これがまたこれからどんどんふえていく、金融緩和もこれからやっていくということになりますと、また投機資金の復活とかそういうことが出てくるという心配はないのかというのが私の疑問でございます。
この点はひとつ日銀総裁にお伺いしたいと思います。