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1996-04-26 第136回国会 参議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月二十六日(金曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      釜本 邦茂君     北岡 秀二君      小山 峰男君     和田 洋子君      上田耕一郎君     緒方 靖夫君      聽濤  弘君     筆坂 秀世君  四月二十六日     辞任         補欠選任      亀谷 博昭君     武見 敬三君      渡辺 孝男君     横尾 和伸君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         井上  裕君     理 事                大河原太一郎君                 斎藤 文夫君                 清水 達雄君                 塩崎 恭久君                 泉  信也君                 白浜 一良君                 都築  譲君                 山本 正和君                 有働 正治君     委 員                 阿部 正俊君                 石井 道子君                 北岡 秀二君                 久世 公堯君                 河本 三郎君                 鴻池 祥肇君                 坂野 重信君                 関根 則之君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 野沢 太三君                 野村 五男君                 服部三男雄君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 荒木 清寛君                 岩瀬 良三君                 海野 義孝君                 大森 礼子君                 加藤 修一君                 鈴木 正孝君                 直嶋 正行君                 益田 洋介君                 横尾 和伸君                 和田 洋子君                 朝日 俊弘君                 一井 淳治君                 大渕 絹子君                 梶原 敬義君                 川橋 幸子君                 前川 忠夫君                 緒方 靖夫者                 筆坂 秀世君                 小島 慶三君                 島袋 宗康君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        大 蔵 大 臣  久保  亘君        法 務 大 臣  長尾 立子君        外 務 大 臣  池田 行彦君        文 部 大 臣  奥田 幹生君        厚 生 大 臣  菅  直人君        農林水産大臣   大原 一三君        通商産業大臣   塚原 俊平君        運 輸 大 臣  亀井 善之君        郵 政 大 臣  日野 市朗君        労 働 大 臣  永井 孝信君        建 設 大 臣  中尾 栄一君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    倉田 寛之君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  中西 績介君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       岡部 三郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  臼井日出男君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       田中 秀征君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中川 秀直君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  岩垂寿喜男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  鈴木 和美君    政府委員        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        総務庁人事局長  池ノ内祐司君        防衛庁参事官   藤島 正之君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁施設        部長       小澤  毅君        経済企画庁調整        局長       糠谷 真平君        経済企画庁総合        計画局長     土志田征一君        経済企画庁調査        局長       澤田五十六君        大蔵大臣官房長  涌井 洋治君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省主計局長  小村  武君        大蔵省理財局長  田波 耕治君        大蔵省銀行局長  西村 吉正君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産省経済        局長       堤  英隆君        労働大臣官房長  渡邊  信君        建設大臣官房長  伴   襄君        建設省河川局長  松田 芳夫君        自治大臣官房総        務審議官     湊  和夫君        自治省行政局選        挙部長      谷合 靖夫君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    参考人        日本銀行総裁   松下 康雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件証人出頭要求に関する件 ○資料提出要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成八年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成八年度特別会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成八年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付)     ―――――――――――――
  2. 井上裕

    委員長井上裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  この際、証人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  平成八年度総予算三案の審査のため、住宅金融専門会社問題について、来る五月一日午前十時に株式会社住総元社長原秀三君を、午後一時半に株式会社桃源社代表取締役社長佐佐木吉之助君を、また五月二日午前十時に農林中央金庫理事長角道謙一君を、午後一時半に株式会社富士銀行頭取橋本徹君を証人として出頭を求め、その証言を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井上裕

    委員長井上裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、証言を求める事項の通知その他の手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 井上裕

    委員長井上裕君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  5. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、資料提出要求に関する件についてお諮りいたします。  平成八年度総予算三案の審査のため、住宅金融専門会社問題について、株式会社住取締役社長山本弘君に対し、過去十年間の  一 太陽エステートヘ融資状況返済状況  二 住総及びその関連会社太陽エステートグ   ループとの間の不動産取引状況  三 融資額上位十グループについての大口融資   案件(五十億円以上)の融資稟議書  また、株式会社太陽エステート代表取締役塚原裕君に対し、過去十年間の  一 定款及び住総から派遣された役員の状況  二 損益計算書及び貸借対照表  以上の文書を本委員会提出するよう議長を経由して要求いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 井上裕

    委員長井上裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、その手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 井上裕

    委員長井上裕君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  8. 井上裕

    委員長井上裕君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成八年度総予算三案の審査のため、本日の委員会日本銀行総裁松下康雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 井上裕

    委員長井上裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  10. 井上裕

    委員長井上裕君) 平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、総括質疑を行います。筆坂秀世君。
  11. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 日本共産党筆坂です。  この間、住専問題で久保大蔵大臣も繰り返し母体行の追加負担について言及されてきました。衆参の論戦を通じても、母体追加負担必要性というのがそれぞれの委員から強調されてきました。しかし、残念ながら依然として母体行は追加負担について名案がないということでこれを拒否する、こういう態度をとっております。私は、この母体行の追加負担を実現していく上で一つのかぎになるのが大蔵省姿勢じゃないかというふうに思うんです。  そこで、まず伺いたいと思うんですけれども、我が党は本委員会に、母体行が住専設立する際に当然母体会議をやっておるはずだと、その母体会議記録等について提出するように要求をいたしました。これに対する大蔵省回答はどういうことだったでしょうか。
  12. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 資料提出については、国会の御要求も踏まえながら、私ども今まで誠実に対応をしてまいったと考えております。
  13. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 聞いていることに答えていないでしょう。
  14. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) ただいまの御質問資料につきましても、同様の態度対応をしていると考えております。
  15. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 同様の態度とはどういうことですか。
  16. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 対応の可能なものについては最大限の努力をしているということであり、大蔵省当局として対応できるものについては私ども対応し、あるいは当事者としての民間金融機関あるいは住専そのものにもそのような要望をしていると、こういうことでございます。
  17. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だめだよ、銀行局長設立の際の母体会議記録についてあなた方はどういう回答をしたかと聞いているんですよ。
  18. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 母体行の問題でございますので、大蔵省資料ではございません。そういう意味では、私どもがその資料提出するという立場にはございませんが、私どもが伺っているところによりますと、母体行はそのような会議に関する資料は存在しないと、このようなことを申しておると聞いております。
  19. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 最初からそう答えればいいんですよ。  データがないという回答が本委員会に寄せられているんです、大蔵省を通じてもちろん、母体会議記録大蔵省記録でないことなんて当たり前じゃないですか、そんなことは。  大体、一つの新しい会社を複数の企業が集まつてっくるのに、立ち話やって決めるわけじゃないんですから、会議記録があるのが当たり前ですよ。  お配りした資料の①を見ていただきたいと思うんですが、これは「全国地方銀行協会五十年史」からそのまま抜粋したものです。これを見ますと、住宅金融会社設立に関する合意書住宅金融会社設立に関する基本的事項あるいは生保業界地銀業界両者のどういう協議機関を設置するか、五十年史にだって全部出ているんですよ。記録あるじゃないですか。
  20. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 資料の御要求ということでございますが、私ども大蔵省としてお受けできるものと業界に対して御要求していただくものと、それは資料の性質上いろいろあると存じます。そういう意味において、私どもは私ども提出申し上げるべきものにつきましては誠心誠意対応し、今までに例のないような大量の資料提出申し上げてまいりました、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  21. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だからだめなんですよ。予算委員会への回答母体行かしてきたんじゃないですよ。大蔵省がしてきたんですよ。銀行側はこう言っておりますと、データがないと言っておりますといってあなた方がここに回答してきたんじゃないですか。あなた方はその銀行言いなりになって、だれが考えたってそんな記録なんかはあるに決まっている。なのに、あなた方は、銀行にありませんと言われれば、そのとおりありませんと、こういう回答をしてきたんですよ、大蔵大臣。まじめに銀行に問い合わせたとは到底思えない。常識で考えたってあるに決まっている。現にこの五十年史を見たってある。「日本興業銀行七十五年史」を見ると、日本ハウジングローン設立についてこういう基本方針合意に達したと七十五年史に載っている。これが何で銀行がないと言ったんだ。銀行局長、どうですか。
  22. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 私の聞いておりますところによりますと、設立のときの議事録を出せという御要求を承ったというふうに伺っております。その点につきまして、私ども議事録ではございませんので、私どもが直接そのことにお答えする立場にはないわけでございますが、御要望を受けて関係者に伺いましたところ、そのような記録がないと、こういうことでございまして、今御指摘のこのような設立経緯に関する資料ということとはお話が少し違うのではないかと考えております。
  23. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 会議録等と書いてある。要するに、設立したときに母体行はどういう趣旨設立したのか。だったら、あなた方がそんなに細かくわかるんだったら、こういうものだったらございます、こういうものはございませんと誠実に言うのが当たり前じゃないですか。
  24. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) そのような御趣旨でございましたら、御趣旨を踏まえまして関係者相談をするようにいたします。
  25. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 では関係者相談をして、今お示ししたような文書であるなら出せると、提出してもらう方向で検討をするということですね。
  26. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) たびたび申し上げておりますように、その資料をつくりましたあるいは保有しておりますものが、本来資料要求を受けるものだと考えております。しかしながら、今御指摘でございますので、そのような点について私どもとしても関係者考え方を聞くということをいたしてみますと申し上げたわけでございますが、その資料の対象といたしましては、先ほど議事録ということではなくて設立関係経緯に関する資料について何か存在するかどうかと、こういう御質問だと承りました。
  27. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 大蔵大臣、私はここに今の銀行局姿勢が出ていると思うんですよ。だって、会議録等と言っているんですよ。会議録を出せと言っているんじゃないんですよ。そういうものを出せと言っている。ところが、会議録がないと、それでもう何にもありませんと、こういう回答をしてくる。  だって、今母体行の責任がこれだけ問われているときですよ。住専問題の真相をいかに究明しなきゃいかぬということで国会が総力を挙げているときですよ。そのときに、こういう姿勢で本当に強い態度銀行追加負担を求めることができるのかと私は大いに疑問を持たざるを得ないんですけれども大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  28. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 資料請求につきましては、大蔵省としても可能な限り御要求におこたえできるよう努力をしてきたと思っております。  ただいま御指摘の点につきましては、大蔵省を経由してということでありますと、相手方にそのことで強制的に提出を命ずるということが銀行局としてできたのかどうか、そこは私も今お話を聞きながら、別にあれば出しては困る資料ではないと私は思っております。だから、そういう意味では恐らく銀行局としては母体行側の回答お答えしたんだと思っております。したがいまして、正式にまた当委員会として提出の御請求を御決定の上、命じられますならば、私どもとしても可能な努力をいたしたいと思っております。
  29. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今、大臣からそういう御答弁がございましたので、委員長、ぜひ資料要求として理事会で御協議をいただきたいと思いますが。
  30. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記をとめて。    〔速記中止
  31. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記を起こして。  ただいまの件につきまして、理事会協議いかします。
  32. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私、やっぱり銀行言いなりになっておると思うんです。これはこの問題だけじゃないと思うんです。  例えば、大臣紹介融資の問題がこの間随分問題になりました。銀行による紹介融資銀行局長に言わせると住専の方からもお願いしたと、もちろんそういうものもあるでしょう。しかし、いずれにしろ結果として銀行紹介した融資の九一%は不良債権になった。ところが、例えば都銀でいいますと、都銀十一行、今十行になりましたが、一番最近の決算でいいますと、総貸し出しに占める不良債権の額、この率は四・九%です。銀行がみずから融資したものは不良債権四・九%。銀行紹介したものは九割が不良債権になっている。この数字を見て、大蔵大臣、どう思われますか。
  33. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 私ども、今までもお答え申し上げておりますとおり、母体行の紹介融資という問題につきまして非常にいろいろな問題があったということは申し上げてきたとおりでございます。そのことについて私ども必ずしも異論があるわけではございませんが、ただ、今の九一%という点に関して申し上げますならば、単に母体紹介融資中の不良債権の割合の問題のみならず、住専七社の事業性貸付金全体に占める不良債権総額そのものが八九・一%と非常に高いものになっております。これは、ひとり母体紹介した融資に限らず住専の運営全体の問題ではなかろうかと。  そういう意味において、私ども問題が非常に大きいということもよく承知はしておりますけれども母体紹介した案件にとどまる事柄ではないというふうに理解をいたしております。
  34. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 住専全体の不良債権が八九%であろうとなかろうと、銀行紹介したものが九一%という数字は変わらぬでしょうが。それが、だからといって変わるんですか。だれも聞いていないよ。問題をごまかしちゃだめだよ。  銀行自分でやったやつは四・九%なんだから、明らかに銀行は峻別していたということじゃないですか。悪いものは住専に回していく、リスクの高いものは住専に回す、安全なものは自分のところで融資すると峻別していたからこそれ一%対四・九%、実に十九倍の開きが出てきている。常識的に考えれば、銀行には何らかの基準のようなものがあったと見るのが、大蔵大臣、当たり前じゃないでしょうか。
  35. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) その点につきましては、先般の御議論がございました際にもお答えを申し上げたところでございますが、一般的に紹介融資と言われている事柄性格は非常に幅広いものでございます。そのような幅広い概念としての紹介融資というものについての取り扱いの基準とか融資基準とかいうものが銀行の側にあったということではないというふうに私ども理解をいたしておりますし、銀行側もそのようにお答えをしているところでございます。
  36. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 銀行言いなりにあなた方は理解しているというだけでしょう、結局。銀行がないと言っているから私たちもないと思いますと、あなた言っただけじゃないですか。何の証明にもなっていないですよ、九一対四・九ということの。  私、元銀行員というのはこの前も言いましたけれども、友人もいますから聞きました。三つの基準があると言うんですよ。担保掛け目融資額に届かないもの、つまり担保不足のもの、収益還元法で評価して収益性の乏しいもの、エンドユーザーに行かないもの、つまり転がしなど実需につながらないもの、こういうものは住専に回したと、こう言っているんですから。そして、それを裏づけるように九一対四・九という歴然たる数字の差が出てきているわけですから、改めて銀行に対して、本当にないのかと、じゃ何でこんなに差が出たのかということを、大臣、少なくども調査をされるべきじゃないでしょうか、お聞きになるべきじゃないでしょうか。
  37. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 住専問題の処理に当たりまして、いわゆる母体行、この母体行にもまたかかわり方にはそれぞれ差があると思います。しかし、この母体行が今日の深刻な住専問題にかかわって負っている責任は大変大きいということを私は申しているのであります。したがいまして、今後これらの問題に当たりましては、賠償請求権に相当するものはどういうものがあるのか、そわから紹介融資の問題についても、その内容を子細に検討してその責任のあるものについてはこれん明確にしていくことは、今後の住専問題の処理の任務の一つだと考えております。そういうことに早急に着手できるよう体制を整えたいとお願いを申し上げているのであります。
  38. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 基準のようなものが私はあると思うんですよ。私がさっきも言いましたように、こういうものがあるかどうか、これはやっぱり調査すべきじゃないでしょうか。これまでだって銀行に対しては立入調査は何度かやられてきたわけですから、立入調査をやって調べる方法だってあると思うんですけれども、御検討されないでしょうか。
  39. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 今融資基準というお問い合わせでございますけれども先ほど例示として挙げられましたような考え方あるいは担当者の間での意識というようなものがあるかどうか。御経験のおありの銀行などにおける実情等は私つまびらかには存じませんけれども、そういうことはあるいはあるのかもしれません。  しかし、基準とおっしゃる以上は、それは何らかの文書になっているとか、あるいは指揮命令系統が働く中で何らかの基準があるとか、そういう意味合いのものをもって通常は基準と言うべきではないかと存じます。そのようなものは私どもが伺っているところでは存在をしないということでございますし、また先ほど例示として挙げられましたような性格のことが公の文書になるという性格のものでもないように拝察をしているところでございます。  なお、紹介融資と一般的に言われますものは、住専七社に関しましては総額で申し上げますと三兆九千九百六十億ばかりございます。約四兆円ございます。これは事業会社あるいは一般行をも含んでの紹介総額でございます。その中で母体行の紹介融資の額は一兆七千億ばかりでございまして、このことからも、私は決して母体紹介というものに責任がないと申し上げるつもりはございませんし、そういう問題は真剣に考えていかなければならないと存じますけれども、この四兆円に上ります紹介総額全体を考えた上で紹介融資というものの性格を考えていく必要があるのではないか、そのようなことを申し上げているわけでございます。
  40. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 要するに、銀行局長の答弁を伺っていますと、必死になって銀行の代弁をされていると思う。もしそういう明文化したものがないとおっしゃるなら、これだけ紹介融資が問題になつているんですから、あなた方は銀行に、せめて例えば都市銀行なら都市銀行だけにでも聞いて、最初の方におっしゃいましたよね、事実上のそういういわば慣例的になっているとかいうものがあるかもしれないと。広義の意味での、基準とまで言えるかどうかわからないけれども、ある経験的に何かがあるかもしれないと。じゃ、それを聞けばいいじゃないですか。そして、それを国会に報告されたらどうなんですか。
  41. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 私は、筆坂委員がそういうものを確認しておられるというようなお話がございましたので、委員がそういうふうにおっしゃるならば、それはそういうことがあるのかもしれないがという意味で申し上げたわけで、私がそういうものがあるというふうに聞いておるわけではございません。
  42. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 西村さんの話というのは、本当に私はもう一貫して銀行の代弁をなさっていると思うんですよ。  例えば、ノンバンクについて三つの種類があるという趣旨のことをおっしゃっていますね。独立系がある、直系がある、独立ても直系でもない中間がある、住専はこの中間だ、こういうふうに論文でも書かれているし、国会でもおっしゃっていました。住専はその中間なので母体行主義を貫くことは困難だと。何で住専は中間なんですか。
  43. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 私、銀行の代弁をしているつもりは決してございませんで、先ほど御指摘のノンバンク全体の中での住専の位置づけというものに関する私の説明に対しても、むしろ銀行側からは反論があるくらいのことでございまして、決して私は銀行の代弁をしているわけではございません。私がかねて銀行の方々に申し上げていることは、直系ノンバンクというものについては、従来、金融界において母体責任を持って対応してきたというケースが多いということでございます。すべてではございませんが、そういうケースが多いということでございます。  他方におきまして、独立系のノンバンクについて言うならば、これは母体というものがないわけでございますから、融資関係者が平等に負担をするというようなルールで処理されてくることが多かったであろう。  そこで、住専というものはそのような直系ノンバンクと関係が薄いノンバンクとの中間的な存在であるんだから、母体母体として責任を持って対応してほしい、むしろこの住専問題について母体責任を持って対応してほしいということを申し上げるためにそのような例を申し上げている、こういうことでございます。
  44. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 西村さんがおっしゃっているのは、独立系は親がいない、直系は親が一人だ、中間というのは親がいっぱいだ、親が複数だと言うんですよ。しかし、何でそれが中間なんですか。親はいるじゃないですか。一人じゃなくてたくさんいるだけの話でしょう。何でそれが中間なんですか。
  45. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 親あるいは母体という言葉の定義でございますが、例えば地銀生保住宅ローンで申し上げますと、親と言われているもの、母体と言われているものは九十ばかりございます。九十の集まりが出資をいたしまして設立したノンバンクというものについて、一対一で、名前もその銀行の名前をかりたようなノンバンクと同じような関係が維持されてきているであろうか、あるいは両者の間に親子という意識が同じようにあるであろうかということについては、これは関係者の間で見方が分かれるところでございます。それを母体あるいは親子ということで同じように律するということには無理もあるのではないかと、こういうことを申し上げているわけでございます。
  46. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 全然説得力ないですよ。  この前、参考人で来られた玉置地銀協会長は、地銀生保住宅ローンは業界直系だとおっしゃった。それはそうでしょう、親は一人じゃないですから。業界直系なんです。直系ノンバンクなんですよ。親がたくさんいたって、その業界できちっと取り決めをやってつくったんだから、業界一つですよ、言ってみれば。これは直系ノンバンクなんですよ。何でそうみなさないんですか。
  47. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 私もそういうつながりがあるということも申し上げているわけでございます。地銀生保住宅ローンに関しましては母体行は九十ばかりに上るわけでございますけれども、しかしながらその母体行は自分たちが融資をした額、これは地銀生保住宅ローンの融資全体の四〇%を超える非常に大きな割合を占めているわけでございますけれども、そういうものを全額放棄するという非常に重い負担を引き受けるほか、一兆円の基金に対する拠出だとか、あるいは低利融資に関しても協力をするという姿勢を示していると、こういうことでございます。  したがいまして、住専七社それぞれ親と子のつながり方に濃淡はございますが、しかしながら母体行としての責任を前提といたしまして最大限の努力をするという姿勢を私ども銀行に対して求めているところでございます。
  48. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 九三年の五月十九日に、当時の寺村銀行局長が中西啓介元衆議院大蔵委員長の朝食勉強会で講演をされているんですよ。私そのテープを聞いて、これ起こしたのを持っていますが、よくわかりました、何で母体行主義が親が複数だと貫けないか。  寺村さんはこうおっしゃっているんです。一人の親なら、このノンバンクがおかしくなると、親の銀行が面倒を見ないと親の銀行が怪しいと、自分の、母体行の信用にかかわるから必死になって面倒を見るというんです。しかし、十人、十五人の親がいると、わしゃ知らぬわしゃ知らぬと、このノンバンクが倒れて自分たちで面倒を見なくても別に親の責任がどこにあるかわからない、要するに責任逃れなんですよ。業界直系なんだけれども責任逃れなんだ。  それをあなたは中間だというふうに定義づけると、まさにその責任逃れを許すことになるんですよ。中間じゃない、直系ノンバンクだと、だから母体行主義でやるのが原則なんだというふうに指導していかなきゃ、追加負担だってこれは本当に強い態度で迫ることはできないと私は思いますよ。大蔵大臣、いかがでしょうか。
  49. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 何回も申し上げておりますように、母体行の住専問題に持ちます責任は、設立の段階から出資、その後の人事、経営、そして破綻に至るまで非常に重いと考えております。そういう立場で私は、今母体行であります銀行の代表の方にも国会の御意見を正確にお伝えする中で私の考えも申し上げているのであります。
  50. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 関連をお願いします。
  51. 井上裕

    委員長井上裕君) 関連質疑を許します。緒方靖夫君。
  52. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私は、前回の本委員会で、銀行から大蔵省への天上がりの非常勤の実態についてただしました。きょう、この委員会提出してあります資料1を御参照いただきたいんですけれども、その後、一九七四年から二十二年間にわたって七十一人の非常勤がいることが明らかになりました。  大蔵省、この資料に間違いありませんね。
  53. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) ただいま手元に届いたところでございますので、精査してお答え申し上げます。――この資料のとおりでございます。
  54. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それは当然です、大蔵省からいただいた資料ですから。  きょうは、銀行大蔵省の癒着の象徴、そう言うべき常勤の天上がりの問題を取り上げます。  まず事実関係。現在、大蔵省住専母体行から配置されている常勤職員は何人か、どの金融機関からの出向か、その配属先、格付、以上四点お伺いいたします。
  55. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 人事院規則八-一二第九条第八号に基づく選考採用により民間銀行から大蔵省に受け入れた常勤職員在職者数は、平成八年三月末現在十一名となっております。  その十一名の出身銀行名は、三菱銀行一名、さくら銀行一名、三和銀行一名、日本長期信用銀行一名、富士銀行二名、大和銀行一名、住友銀行一名、第一勧業銀行一名、三菱信託銀行一名、東京銀行一名。なお、東京銀行は四月一日、合併により東京三菱銀行となっております。  それから、現在の配属先でございますが、関税局企画課二名、関税局国際調査課二名、証券局企業財務課一名、国際金融局調査課一名、国際金融局開発政策課二名、国際金融局開発機関課一名、国際金融局開発金融課一名、財政金融研究所研究部一名でございます。  クラスは大体係長、係員クラスで配属しているところでございます。
  56. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 お配りしてある資料2を見ていただきたいんですけれども、ここには現在、金融機関から常勤として出向している中身と数が記されております。全部で十四名おりますけれども、これは保険会社等々を含めている、そういう数になりますね。  いつからこういう制度があるのか、またその制度が始まって以来、合計して何人こういう仕事をしているのかお答え願います。
  57. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 人事記録等により確認できたものといたしましては、昭和三十九年以降このような運用を行っていると承知しております。
  58. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 人数。
  59. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) これは制度というよりも人事の運用でやってきておりますので、全体としての人数は確認ができておりません。
  60. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 昭和三十九年というと東京オリンピックが行われた年です。それ以来、余り数が多過ぎてわからないということかもしれませんけれども資料3をごらんください。  これは常勤の天上がりですけれども、これも大蔵省提出資料です。これを私たちがっくり変えたものが資料4になります。同じものですけれども、これは矢印が始まったのが勤め始めたとき、入省です。それから、矢印が終わっているのがやめたときということで、その期間が在職期間になるわけですが、ちょうど二年間ずつきれいに並んでいるんです。そして、そこに書かれているのが配属先です。  こういうことで、非常勤の出向先の場合には大蔵省の官房調査企画課だけでしたけれども、常勤の場合には一九八八年から合計六十二名、配属先も主計局、主税局を除く六局、全六十課のうち十二課に及んでいるんです。一番多いのが国際金融局で、直接の監督局の銀行局もそこに含まれております。間違いありませんね。
  61. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 資料はこのとおりでございます。
  62. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大蔵大臣、こんなことでは金融政策、大蔵省の情報が金融機関に筒抜けになると思うんですけれども、いかがですか。保証できますか、抜けないと。
  63. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 私は、天下りとか天上がりとかいう表現が使われていることは余り適切ではないのではないかと思って、官尊民卑の感じがいたしますので、そのことは私は余り好まないところであります。しかし、官民の交流ということは、今日、全面的に否定せられるべきことではないと私は思っております。官民の交流は各分野において必要な場合には積極的に行われてよいものだと考えております。  ただ、緒方さんが今御指摘になりました金融機関とその監督指導の立場にあります行政の側との関係において問題があるのではないかということについては、私は今日の事情にかんがみてそのようなことについてはきちっと姿勢を正した方がよいのではないかと考えまして、先般御指摘がございました後、政府委員から今申し上げましたような調査の結果を私も報告を受けまして、現在その任についている者についてこれを直ちに引き揚げさせるということについては問題があると思いますが、新たに金融機関と交流を行うことについては当分これを停止するよう指示いたしました。
  64. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 重大なことだということで、一つだけ証言紹介いたします。  常勤の経験者から聞いたことですけれども、目的は大蔵省の情報集め、公表される前でもその決定の中身を事前に一刻も早くキャッチし、いち早く出身行に伝えるのが仕事、頭はいつも価値ある情報収集のことでいっぱい、そして銀行間の横の連絡で大蔵省の動きが業界に筒抜け、これが実態なんですよ。  ですから、大蔵大臣が今言われたように、常勤の問題でも見直し、そして中止、これを求めたいと思います。重ねて伺います。
  65. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 繰り返して申し上げますが、現在発令されて大蔵省の職員として採用されている者を直ちに解任するということについては問題がございます。しかし、期限が二年ということでこの交流は行われておりますので、今後新たに金融機関からの任用を行うことは当分中止する、やらないということで対処してまいりたいと思っております。
  66. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今、大臣から、当分の間新たな採用はしないと。というのは、やはりいわゆる天上がりに対する批判におこたえになるということだろうと思います。  私、母体行の追加負担を迫る上で、いま一つ銀行の無責任さといいますか、あるいは公約違反、銀行に公約はないかもしれませんけれども、とも言うべきものがあると思うんです。  そこでお伺いしますけれども、一九九二年の十月三十日に、三菱銀行が当時全銀協の会長行だったわけですけれども不良債権の買い取り会社構想というのを発表しております。この設立趣旨についてお伺いいたします。
  67. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 株式会社共国債権買取機構は、公正な価格で債権を買い取ることにより金融機関の不良債権処理し、損失を確定させることをその目的としております。  同機構は、平成四年八月に発表された金融行政の当面の運営方針及び総合経済対策の趣旨を踏まえまして、民間金融機関の自助努力により不良債権の早期確定と計画的、段階的処理を通じ金融機関の信頼性を強化し、かつ融資対応力を向上させることを図り、あわせて不動産取引活性化への呼び水効果を果たすことを期待して、平成五年一月、金融機関の共同出資により設立されたものでございます。
  68. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 先日、参考人として出席された共国債権買取機構の金澤社長も、この共国債権買取機構の設立というのは、住専不良債権も含む金融機関全体の不良債権を公的資金の導入はしないであくまでも銀行の、金融機関の自助努力処理をしていく、そのために設立されたということをはっきりお認めになりました。  ところが、この間、十二兆円の債権元本額を約五兆円で買い取って約七兆円の売却損、したがって法人税約五〇%として三兆五千億円の無税償却をこれによって銀行は進めた。ところが、今、住専処理で我々はもう三・五兆円以上の債権放棄、これ以上はしないんだということで、そのしりを税金に回してくると。  大臣、これは約束が違うんじゃないでしょうか。最初は、公的資金の導入をしないであくまでも自助努力不良債権を償却していく、住専の分も含めて。そのために、無税償却をやりやすくするためにこの買い取り会社をつくったわけです。そして、現に無税償却を進めてきた。なのに、今、税金投入、これ約束が違うんじゃないでしょうか。
  69. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 共国債権買取機構の仕組み及び設立趣旨は先ほど申し上げたとおりでございます。  その中で、御指摘のございましたいわゆる無税償却でございますけれども、これは特別に銀行あるいは不良債権処理のために認められた制度だとか新設された制度ということではございませんで、一般的な法人税の処理方式に沿いまして税務上の処理がなされているということでございます。  したがいまして、後段でお話のございました公的な資金というものとはまた性格の違う、制度としてはまた別のものであろうかと存じますので、そこは区別をして御理解いただきたいと存じます。
  70. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 よく理解していますよ。  じゃ、買い取り会社は何でつくったんですか。
  71. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 買取機構の設立趣旨は、先ほどの御質問に対してお答えしたとおりでございますが、公正な価格で債権を買い取ることにより金融機関の不良債権処理し、損失を確定させることをその目的としているわけでございます。
  72. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから、要するに損失を確定して損金処理ができるようにつくったわけですよね。そうでしょう。この前、金澤さんにも聞きましたよ。  仮に私が銀行で、共国債権買取機構に不良債権を売る、売る金を私が融資するんですよ。自分で売って自分融資するんですよ、バックファイナンスで。ですから、これは架空の土地取引なんです。そして無理やり売却損を確定するんです。そして無税償却を進めるんです。そうやって早く不良債権処理を進めようとしたわけでしょう。買い取り会社がなかったらこんなことはできますか。
  73. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 委員の御指摘は、よく言われる銀行不良債権処理銀行の帳簿上の処理にとどまっている、なかなか担保不動産の実体経済上の処分というようなところまで結びついていないという意味では御指摘のとおりであり、私どもも今まで、そういう問題点がある、現在の経済情勢、土地の取引状況から申し上げまして担保不動産の処分というものがなかなか思うようにいかない、買い手というものがそうたくさん出てくるわけではないということは私どもも申し上げてきたとおりでございます。  しかしながら、そのことは今御指摘の架空の取引とかそういうこととはまた別の問題ではないかと考えております。
  74. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 架空の取引かどうかというのは言葉のあやの問題ですよ。帳簿上の処理をするだけなんだから。  ともかくそういうことはお認めになりました。そして、大蔵大臣、約三・五兆円の無税償却ができているんですよ、これによって。できなきゃ、つくった意味がないんですから。これはまさに、どういうわけか放棄した三・五兆円とほぼ同じ額です。三・五兆円を住専で放棄すると言うけれども、もう一方では無税償却で三・五兆円は言ってみれば返ってきているんですよ。  ところが、先日来の議論を聞いていると、例えば六千八百五十億円削除だとかなんとかいうと、大臣は盛んに、それをやるとスキームが崩れてしまう、破産法にいかざるを得なくなるということを昨日もおっしゃいました。しかし、破産法の処理というのは大臣自身も反対されているんじゃないでしょうか、破産法に基づく処理というのは。
  75. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) 破産法の処理がなかなか実情に合わないであろうということは、破産法という手続自体を私ども否定しているわけでも何でもございませんで、そういう処理をこの問題に適用した場合に、実際の経済上大きな影響を与え過ぎるのではないか、この問題の取り扱いになじまないのではないかということを申し上げているわけでございます。
  76. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 農林水産大臣にお伺いしますけれども、系統金融機関や農水省は破産法による住専処理に対してどういう態度をとっておられるんでしょうか。
  77. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 御承知のように、系統並びに共済連は数が非常に多うございまして、これに関与しているそれぞれが態様も違うし融資の金額も違うわけでございまして、破産法に持っていった場合は、仮にその結論がよく言われますように貸し手の金額のプロラタで決まるというようなことになりましたら、破産法に規定のございます別訴によって恐らくずっと訴訟が、たくさんの訴訟が続いていったであろうという意味で反対であったと思います。
  78. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 おっしゃるとおりだと思うんです。角道農林中金理事長も、もしそんなことがあれば我々は応訴するというふうにおっしゃっています。  ですから私は、大臣の昨日の答弁を伺っておると、何かもう六千八百五十億円をいじるとすぐに破産法にいくかのようにおっしゃるけれども、そんなに簡単に破産法にいくことはない、系統は大反対なんですから。そして、大臣だって、それでは母体責任が免罪される、軽くなり過ぎるということでこれまで何度もおっしゃってこられた、こう思うんです。ですから私は、破産法による処理というのはいわば銀行のおどしたと思うんですよ、そんなものは。だって、三・五兆円の放棄だってもうやめるというんでしょう。とんでもない話じゃないですか。  今、国会でも内閣でも挙げて言っていることは、三・五兆円でもまだ済まないよと、もっと追加負担するのがこれまで母体行がやってきた責任だというのが今や問題になっているときに、もし大臣がそういうふうにおっしゃるのなら、三・五兆円を母体行が債権全額放棄、これを取り消すというなら内閣も反対されるでしょう。国会も反対すると思います。国民はもっと怒ると思いますよ。それに抵抗して銀行がやるとは思えない。  私、この点について大臣の御見解を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  79. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 私は何も、六千八百五十億円の問題や母体行の新たな寄与をめぐって、このスキームが不可能になります場合には即破産法の処理になるということを申しているわけではありません。国会でも、法的処理で破産法でやったらいいじゃないかという御意見は衆議院の予算委員会の段階でも何人もの方から御主張がございました。  そういう中で、もしこの合意しているスキームが崩れれば、このまま放置しておくわけにはいかないわけでありますから、住専がもう破綻しているわけですから、それで当然これは何らかの法的処分を求められることにならざるを得ない、そういうことを申し上げているのでございます。
  80. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 どうもありがとうございました。
  81. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で筆坂秀世君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  82. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、小島慶三君の質疑を行います。小島慶三君。
  83. 小島慶三

    ○小島慶三君 きょうお伺いしたいのは、まず第一に、今年度の経済成長率の見通しということでございます。  先般、IMFでは日本の経済成長率を、これ年度でなくて年間なんですけれども、九六年二・七、それから九七年三・一という比較的高い想定を出しております。これは、九四年の〇・五、それから九五年の〇・九に比べるとかなり高い想定をしておるわけであります。ただ、その前提として、本格的な回復軌道に乗った場合にという条件がついておりますので、ちょっとその点を割り引きしなければなりませんが。  一方、国内の主要な調査研究機関におきましては九六年度一・三%から二・四%と非常にばらついておるんですが、殊にその内訳を見ますと、上半期については大体二%前後で、下半期には屈折をして若干落ちるというふうな想定になっておるわけでございます。これは住専処理とかの問題が大いに関係があると思うんですが、まず企画庁長官に現時点における八年度の成長見通しをお伺いしたいと思います。
  84. 田中秀征

    国務大臣(田中秀征君) 現時点での経済成長率をどう見るかというお尋ねでありますけれども、昨年の年末に平成七年度の実績見込みを丁二といたしまして、平成八年度二・五というふうに見通したわけですが、私はこの実績見込みの一・二は多少上回る数字が出るんじゃないかというふうに現在思っております。  それで、まだ本年度が始まったばかりであり、また予算が成立していないという状況でございます。そういう中で今年度はどうなるかと、非常に難しいお話でありますけれども、結論から先に申し上げますと、私は二・五%は達成可能であるというふうに思っております。回復の基盤が順調に整っているというふうに思っておりますので、金融、為替の好環境が維持されるとして、あとは幾つかの課題がございますが、それを着実に克服して予定の施策を力強く進めていけば二・五%は可能であるというふうに思います。  小島先生の方から需要項目別にというふうに通告をいただきましたので申し上げますと、個人消費は基調として緩やかな回復を続けて二・三%程度、民間設備投資は回復過程に移行して大体四・一%程度、民間住宅投資は引き続き高水準で推移して二・二%程度、政府支出は一・五%程度、外需の方は輸出の伸びを上回る輸入の伸びが見込まれることから寄与度マイナス〇・二%程度と見込んでおります。
  85. 小島慶三

    ○小島慶三君 この項目別の寄与度という点から見ると、ちょっと設備投資が高過ぎやしないかという感じがいたします。今のように、政府予算が民間投資に連動するという動きが鈍いときには、ちょっとこれは高過ぎやしないかという感じがいたします。  次にお伺いしたいのは、今回の政府予算、これが成立した場合でいいと思いますが、成立した場合の経済成長に対する予算の寄与度といいますか、こういうことをお伺いしたいと思います。予算がどのくらいの寄与度になるか、ひとつよろしく。
  86. 糠谷真平

    政府委員(糠谷真平君) 先ほど大臣からお答えを申し上げましたように、政府支出全体といたしまして今年度は一・五%程度伸びるという見通しを立てているわけでございます。これは、今年度の本予算案が成立をいたしまして実行に移されるということに加えまして、昨年秋にかなり大きな経済対策を講じたわけでございますが、その経済対策の効果が若干ずれ込むものもある、若干といいますよりもかなりずれ込むというふうに申し上げた方が正確かとも思いますけれども、そういったものを含めて本予算プラス昨年度の経済対策等の効果のずれ込みをあわせて見込んでいるものでございます。
  87. 小島慶三

    ○小島慶三君 ただ問題は、暫定予算を組まれましたね。暫定予算で日割り分の予算を組まれたわけでありますが、これの後で本予算が成立をするという形になった場合のずれといいますか、例えば公共事業なんというのは暫定予算で三分の一を計上した。あと三分の二というのはそのまま連動、接続するというぐあいにうまくいけばいいんですけれども、何かその辺の本予算のおくれによる経済成長への影響というか、ずれというか、そういう点はいかがでございましょうか。
  88. 田中秀征

    国務大臣(田中秀征君) 先ほどの小島先生のお話で、ちょっと私の方から感想を申し上げたいんですが、設備投資の四・一%ですけれども、私は設備投資で四・一%頑張らなければ二・五%は達成できないと、こういう感じで見ております。そのためには規制緩和の推進というのが非常に大きな仕事であるというふうに思っているわけです。  暫定予算ということになりまして、本予算の執行がおくれているわけですけれども、今、調整局長の方からも話がありましたが、一般公共事業費の三一・一%というものを盛り込んでおります。それから、七年度のずれ込みがあるということで、新規事業の展開ということでおくれをとったものはありますけれども、景気に対しては悪影響をほぼ回避できるというふうに思っております。
  89. 小島慶三

    ○小島慶三君 そのずれの回復の努力ということも確かに必要かと思います。ぜひそういうふうに御努力をお願いしたいと思います。  次に、お手元に資料を差し上げてございますので、恐縮ですけれどもお目通しをいただきたいというふうに思います。これは井上薫先生の作業をお借りして御質問するわけでございますが、これでごらんになりますと、昭和六十年のドル高後の円高不況、大体八六年から八九年まで、それから今回のバブル崩壊後の円高不況、九二年から九五年、この金の流れというものを比較してみますといろんなことがわかってまいります。  まず、外貨準備がふえているということ。それから外為会計の払い超、これは横ばいである。それから公共事業の支払い、これは今回の方が明らかに大きい。しかも、金利の低水準というものがあって、それにもかかわらず名目成長、実質成長ともに今回の方が低いということで、結局これはバブルの影響というものを公共部門の資金供給でカバーした、ゼロにしたということだろうと思うんです。ちなみに、それならば通貨の供給の方が伸びているかといいますと、これが伸びていないんです。M2プラスCD、これも明らかに今回の方がはるかに低い。それから広義の流動性、これをごらんいただいてもこれも低いということなんですね。  そうすると、金は一体どこへ行っちゃったのかという話になるわけであります。これはいろんな回答があると思うんですけれども一つは、確かに海外への流出ということがあるでしょう。それからもう一つは、借金の返済ということがあると思うんです。それから三つ目には、実物投資の増加というものがあればそういうものが考えられるということであります。  借金の返済の方は、これは別なデータで、金融機関の貸出残高、これを見ますと、前のときが五百十兆で今度が五百兆と十兆減っているんですね。だから、金を返しているということで、これはその意味においてはバランスシートの回復とかそういうことに役立っていると私は思っております。  それからもう一つ、海外への流出というのは、これも数字は申しませんが、明らかに今回の方が低いんですね。そうすると、残ったのは一体どこへ行ったのか。実物投資という答えが一番まともな答えでありましょうが、最近の産業の方はかなり過剰設備を抱えております。そういった意味で投資意欲というのはそれほど高くない。  それからもう一つは、間接金融に今まで依存していたのがそうでなくなったという面があります。だから、なかなか銀行から金を借りない。この間、三菱の方と話をしていましたら、三菱銀行が今、いわゆる三菱グループ、大会社がたくさんありますが、そういうところに貸している金は五%しかないと言うんですね。私は聞いて本当に唖然としたんです。そうすると、そのほかの九五%というのはどこかへ金が行っているということになるわけなんです。  そこで、こういった点をいろいろ考えてみますと、やはりかなりお金のマグマというものがたまってきているのではないか。そのもとは恐らく、そのデータにもありますように、四十六兆の政府関係債の増加ということだろうと思うんですね。これがまたこれからどんどんふえていく、金融緩和もこれからやっていくということになりますと、また投機資金の復活とかそういうことが出てくるという心配はないのかというのが私の疑問でございます。  この点はひとつ日銀総裁にお伺いしたいと思います。
  90. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私ども、現在の経済情勢につきましては、やはり緩やかながら景気は回復しつつあるというふうに判断をいたしております。  しかしながら、その過程におきまして、ただいま御指摘がありましたように、例えば資産価格が上昇する何らかの兆しのようなものがあるかどうか、あるいは通常の物価情勢におきまして何か今後上昇に転ずる動向はあるかどうか、それらの点につきましては、御指摘のような前回のバブルの経験もございますから特に注意を払って観察をしているところでございますけれども、現在までのところ、そういった点につきましては現実問題は起こっていないというふうに考えております。  したがいまして、現在の金融政策といたしましては、むしろ現状の景気を真に自律的に引き継いでいくことができるようなそういう情勢をつくっていく、そのための基盤をしっかりさせていくということが大切であると思います。そういう考えで現在の各種の経済指標等を注意して観察を続けているという段階でございます。
  91. 小島慶三

    ○小島慶三君 そういうことで今回は抜け目なくというかタイムリーに、できれば金融政策の転換というか、そういうことをぜひおやりいただきたいというふうに日銀総裁にお願いをいたします。  それで、私が一番懸念していますのは、現在はそういう兆候はないというものの、今の表にあった四十六兆に匹敵するようなそういう大きな金が公債、国債あるいは政府債としてこれから出ていくわけでありますから、これは必ず民間の方に転移していくということでありますので、さっき膨大なマグマと申しましたけれども、そのマグマがさらに大きくなるということであろうかと思うのでございます。  したがって、そういう点についてはできれば前広に政策転換をお願いしたいというふうに思っております。金融緩和から金融引き締めという形はなかなか決断が要ると思うのでございますが、ひとつその辺よろしくお願いしたいと思います。その辺について、もうちょっと日銀総裁からお願いいたします。
  92. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 金融政策の実施におきましては、常に各種のリスクの存在について注意深く判断を怠らないということが非常に肝要なことであると思っております。景気の現状につきましては、先ほども申し述べましたように、当面、景気の回復基盤を本当に万全なものにしていくということによって、現在の景気回復の動きにもう一段の強さや広がりが加わることが望ましい、それによって自律的な回復への移行が達成されるというふうに考えておりますので、その点、現状におきます政策姿勢といたしましては、情勢の推移を注意深く見守るという慎重な姿勢が望ましいように考えております。
  93. 小島慶三

    ○小島慶三君 それに絡んでの問題なんですけれども、最近、長期金利に若干の動意が見られるということがございます。  アメリカあたりでは、ファイナンシャル・タイムズとかモルガン・スタンレーのレポートとかいろいろ資料を見ておりますと、非常にアメリカの株高、それから国債高というものに関心がある。これは日銀が引っ張っているんじゃないかなんというそんな記事も出ておりました。要するにアメリカとしては、日本が仮に金利が高目に誘導される、あるいは公定歩合が引き上げられるということになると、そういった株高、国債高の兆候が一遍に吹っ飛んでしまうというので、恐らく大変なショックを受けるだろうということが書いてあるわけでございます。日本はそういう情勢にも目を配らなければいけないでありましょうが、一方では、〇・五%というこの金利というのは、私は金利生活者に対しては非常に苦痛であるというふうに思うわけであります。  それがアメリカとの関係その他でずるずる延びるということになりますと、一体その辺のことにどういうふうに対処すればいいのか。特定な優遇金利を老人に適用するとかいろいろな話もございましたけれども、そういうことはまだ実現をしておりませんが、この辺の公定歩合の操作という問題につきましては、これは日銀総裁、いかがでございましょうか、よろしくどうぞ。
  94. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもが金融政策の運営を行ってまいりますときに非常に重視をして考えておりますのは、それは、我が国においてインフレなき持続的な成長を実現していくにはどのような措置をとっていくべきかということでございます。  もちろん、金融の世界におきましてはいろいろと国際的な反響その他もございますから、それはそれとして事実の推移をよく把握をいたさなければなりませんけれども、基本的な姿勢というのは今のようなことでございます。したがいまして、その他の国際的な配慮が優先をして金融政策の決定に何らか影響を及ぼしていくというようなことは通常ないことでございます。  それから、ただいま御指摘がございました預金者の方々がこの低金利のもとにおいてどういうふうな生活上の影響があるかという点につきましては、私どもも、この低金利水準でございますから、利子所得に多くを依存しておられる方々の生活に影響を及ぼしている点はまことに心苦しいことに存じておりますけれども、最前申しましたような景気回復をよりしっかりしたものにするインフレなき持続的成長を実現させるということをやってまいりますれば、結局は預金者も含めまして国民に広く利益がもたらされることになるということを御理解賜りたいと思います。
  95. 小島慶三

    ○小島慶三君 通貨当局としてのお立場も大変よくわかるわけでございます。そういった御配慮がなくてはいけないと思うんですけれども、この低金利政策を通じて、これが景気回復の引き金になり、そしてそれが経済の健全な回復というものにつながっていくというルートも確かにそれはそうだと思うんです。  一方におきましては、例えば個人の金融資産が一千兆といたしますと、一千兆で一%というのは十兆でございますから、金利を一%下げれば十兆が吹っ飛ぶわけでございます。十兆というのは国民所得の二%でございます。だから、そういった点では、やはり低金利政策というのは景気回復促進というか、それだけの面では考えられないと。一方で、消費を通じて景気が落ちるという側面も含んでいるというふうに私は思っておるのです。  だから、これはもろ刃の剣だと思いますので、その中で低金利政策の持続ということについてはやはり相当慎重にお考えになる必要があると思うんですけれども、この点いかがでございましょうか。
  96. 松下康雄

    参考人松下康雄君) ただいま申し述べましたような経済実勢に対して力強さを与えるために現在必要と考えられる政策をとっているわけでございます。  また、他面、現状において考えますというと、金利を引き下げることの目的は、それが例えば銀行の貸出金利等の低下を通じまして民間の経済活動の活性化に寄与するということでございますから、そういう点におきましては、例えば個人の家計におかれましても、一方で住宅ローンその他の借り入れをしておられる方々につきましては、金利低下のメリットというものもまた個人の方にもある程度及んでいることでもございます。  そのあたりも総合的にお考えをいただきまして、全体としての経済成長を実現していくための必要な一つのプロセスであるということの御理解をいただきたいと存じます。
  97. 小島慶三

    ○小島慶三君 ありがとうございました。  実は、私どものところなんかでも大変多くの方から、今の金利では食えないと、もう本当にこれからどういうふうに生活していっていいかわからないといったような手紙がたくさん舞い込んできておるわけでございます。そういう方々の代弁をも含めまして今御質問申し上げたんですけれども、ひとつ適切な時期に適切な対応というものをぜひお願いしたい、かように考えております。  それから、これはお答えが大変難しいかと思うんですけれども、今の金融正常化の問題です。この住専処理のスキームその他から決めていかなければなりませんからいろいろ想定が難しいと思うんですけれども、これはどのくらいの期間で処理されるおつもりか、大蔵大臣にひとつお伺いしたいと思うんです。
  98. 西村吉正

    政府委員西村吉正君) お尋ねは、現在の不良債権問題の処理をどの程度の期間を想定して解決していくのか、こういうことかと存じますけれども、私どもといたしましては、最大限今世紀中、約五年の期間には必ずや解決しなければいけないと存じております。その中でできるだけ早く、恐らく主要な金融機関についてはもっと早くこの不良債権問題にめどをつけることは可能だと考えておりますけれども、全体といたしまして、幾ら遅くとも五年以内に正常化を図らなければいけない、その上で二十一世紀に備えていかなければならない、こういう考え方で取り組んでいるところでございます。
  99. 小島慶三

    ○小島慶三君 五年でというお答えでございましたので、できるだけのスピードアップということをお願いしたいと思うんです。  この問題というのはかなり経済の成長に絡んでおりまして、今まで過去四年間の予算、補正予算を含めて随分金をつぎ込んだわけであります。約四十兆とも五十兆とも言われておりますけれども、これだけつぎ込んでほとんど経済成長がなかったわけであります。だから、この問題は非常に大きくこういった金融問題に絡んでいたのではないかと私は思っております。そうすると、今後の日本の経済の見通し、体力、その辺をいろいろ考える上でも、住専を含む金融市場の再建といいますか、そういったことにかなり影響してきやしないかというふうに私は思うんです。  私、従来から日本の経済の先行きについて、人口の減、技術進歩率の低下、それから空洞化と三つの要素があってなかなか高度成長は難しい、三%以上の成長は難しいということを申し上げてきたわけでありますけれども、やっぱりこれに金融問題が絡んできますと、もっと難しくなるということが考えられるわけであります。  ですから、先ほど最初に企画庁長官からお答えいただきましたようなIMFのいろんな予測や何かでも全部この問題に絡んできているというふうに思うわけでありますが、これに対して従来の手法で、例えば国債をふやし、赤字公債をふやし、そして財政の成長率を高めていくというやり方では目的を達しないんじゃないかというのが私の感じでございます。  ですから、これはちょっと総理と見解を異にするかもしれませんが、やはり低成長路線というか、そういったものに沿っての財政のあり方というのは従来からかなり大きく変えていかないといけないんじゃないかというふうに思っております。  これをもちまして私の質問を終わらせていただきます。最後に、総理からひとつお答えいただきたいと思います。
  100. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員は、従来からこうした問題意識の中で、低成長の時代における我が国の財政のあり方というものについて何回か警鐘を鳴らしてこられました。私は、その懸念というものを全く否定するつもりはありません。  その上で、私どもにとりまして今非常に緩やかな回復基調にあります日本経済というもの、これをやはり中長期的に持続的に安定的な内需主導型の成長というものにどうつなげていくかということが今極めて重要な段階に参っておると思っております。  そして、そうした方向を考えながら、私どもは昨年の十二月に構造改革のための経済社会計画をつくりまして、高コスト構造の是正を初めとする対応を今進めているわけであります。その中には、当然のことながら規制緩和、あるいは新たな技術立国を目指しながら開発された技術というものをいかに産業に結びつけていくか、さまざまな工夫を必要とすることは間違いがありません。  そうした中で、今後より一層我々に求められるものは、限られた財源というものをいかに重点的、効率的に配分していくかということを常に意識し続けながら、いずれにいたしましても、今この緩やかな回復基調というものを確実な内需主導型の成長路線に位置づけていく、これを我々は目指すべきと、そのように思います。
  101. 小島慶三

    ○小島慶三君 終わります。どうもありがとうございました。
  102. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で小島慶三君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  103. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
  104. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 前回に引き続きまして、普天間基地返還合意の評価についてお伺いします。  これまで何度も申し上げてきましたけれども、大田知事を初め、沖縄県民は本気で沖縄基地の永久固定化を危惧しております。  先般の日米安保共同宣言では、次のように明記されております。「日米安保条約を基盤とする両国間の安全保障面の関係が、共通の安全保障上の目標を達成するとともに、二十一世紀に向けてアジア太平洋地域において安定的で繁栄した情勢を維持するための基礎であり続けることを再確認した。」というふうなことになりますと、これはつまり沖縄の基地を固定化する確認と言っても差し支えないんじゃないかというふうに思いますけれども、総理はどのように考えておられますか。
  105. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 先般の日米首脳会談において発出されましたいわゆる安保共同宣言におきましては、現在の国際情勢、そういうものを考えまして、それを前提に置きまして、我が国の安全を守ると同時にアジア太平洋地域の安定と繁栄に資するといった観点から、日米安保体制を基盤とする協力関係が非常に大切である、こういうことを確認したわけでございます。  また、そういった安保体制を維持していく上で、沖縄を含めました我が国における米軍のプレゼンス、これが我が国の平和やこの地域の安定のために資するという米国の明確なコミットメントを示すものとして大切である、こういう認識でも一致いたしました。  しかしながら、そのことが委員指摘になるような沖縄の方々の負担との関係で、従来のような過大なものをいつまでも強いることがあってはいけないという意識や認識は、我が国はもとよりのこと米国にも十分ございまして、御承知のとおり日米間で非常に綿密な作業を進めてまいり、また最終的には両国首脳の非常に大きなリーダーシップの発揮ということもございまして、沖縄における基地の整理、統合、縮小について中間的な合意を見たところでございます。  それによりますと、現在ございます沖縄の基地の面積において二〇%を超す縮小ということを実現していこう、そしてその中には、御承知のとおり、沖縄の方々の間で非常に返還の御要望の強かった普天間基地の全面返還ということも含められているわけでございます。  そういったことでございますので、私どもとしては、沖縄を含めて我が国における米軍のプレゼンスというのは大切でございますが、しかし一方において、沖縄県民の御負担をあとう限り軽減していこうということで最大限の努力を払ってきたつもりでございますし、今回もその合意の実現に向かって全力を尽くしてまいる所存でございます。
  106. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 先般の返還合意の中身を冷静に吟味いたしますと、実際上絶望的な内容なんです。  その理由は、那覇軍港の返還問題など、いわゆる三事案が二十年前に合意されながら、県内移設が条件となっているために現在までたなざらしになっているのが事実であります。どんな立派な返還合意がなされても、沖縄県内移設が条件ならば、私は一〇〇%実現の見込みはないのではないかと断言いたします。  つまり、安保条約の目的達成との調和を目指すというまやかしの基地政策は、少なくとも沖縄では通用しません。何よりも、沖縄には既存の基地では移設できるスペースはないのであります。そういうふうな状況の中で、今回、普天間基地というものが移設を条件としているというふうなことについては、やはりこれは大きな問題と言わなければならないというふうに思っているわけです。  総理、もう一遍、御答弁をお願いします。
  107. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 今回の沖縄における基地の整理、統合、縮小につきましては、従来に見られなかったような多角的な検討を加えました。そして、ありとあらゆる方面から検討を加え、いろいろな手段も講じていこうということでやった結果が、先ほど申しましたような合意を見ることにつながったんだと、こう考えております。  ただいま御指摘のありました普天間基地の問題につきましても、その機能の一部本土への移転、そういうものも含まれておりますし、また確かに、御指摘のように沖縄の県内においてこれまで普天間の果たしておった役割を一部引き受けていただかなくちゃならぬという点はございます。しかし、そういったものも含めまして、全体として地元の御負担をあとう限り軽減しようということでやっておるわけでございます。  こういったものを実現するに際しましては、当然のこと地元の御理解、そして沖縄県を初め地元地方公共団体の御協力を得なくちゃならないということでございまして、とりわけ普天間の問題につきましては総理御自身が大田知事ともお話しになりました。大田知事も、それはもう今回の沖縄の基地問題についての政府の対応というものを、もろ手を挙げて賛成だと、そこまではおっしゃいませんけれども、やはり今回の日米の共同作業、その中でも総理御自身が本当にリーダーシップを発揮され、普天間の問題についてはみずから格別の取り組みをされたということは高く評価しておられる。そして、今後そういったことを実現していく上において、沖縄県においても御協力をいただけるものと期待しておりますし、またそれがあって初めて沖縄県民の方々の御負担の軽減も可能になるんだ、こう考えております。  そういった意味で、どうぞ委員にも、頭からこれはだめだとおっしゃらずに、沖縄県民の皆様方の御負担軽減にお力を賜りますようお願い申し上げたいと存ずる次第です。
  108. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ここで沖縄県が公表している米軍基地面積のデータをちょっと示しておきたいと思います。  国土面積の〇・六%の沖縄に米軍基地が七五%も集中している事実は最近になってようやく知られてきております。実は、沖縄県内でも自治体によって基地の集中度が格段に違うわけです。現在、沖縄県内では米軍基地が自治体面積の二五%以上に達している自治体が十一市町村あるわけです。この二五%という数字は、例えば東京都の場合、二十三区全体の面積が東京都の全面積の二八・四%ですから、それがどの程度の広大な面積であるかということが想像できると思うわけです。  そこで、その比率を読み上げますと、小さい方からですけれども、国頭村で二五・三%、恩納村で三〇・七%、宜野湾市で三三・二%、伊江村で三五・三%、沖縄市で三六・八%、東村で四二・二%、読谷村で四六・九%、宜野座村五一・五%、北谷町五六・七%、金武町五九・八%、嘉手納町八二・八%。  先般、日米両政府は、普天間基地の全面返還と引きかえに、一部機能を嘉手納基地へ移駐するということを発表されております。その嘉手納基地の大半は嘉手納町に横たわっております。嘉手納町は、先ほど申し上げましたように八二・八%の基地があるわけでございます。あるいは東洋一を誇る米空軍基地に政府はさらに基地機能を強化するというような内容になるわけであります。  これは住民の生存権を真っ向から否定する狂気のさたと批判されても仕方がないではありませんか。これは明らかに地域差別であると私は思いますけれども、総理大臣、外務大臣防衛庁長官の御所見を承りたい。
  109. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 先ほど来申し上げているような整理、統合、縮小と同時に、これからも基地が存在するという状況に耐えていただかなくてはならない地元の方々に対する御配慮をいろいろしてまいったところでございます。  例えば、今例示されました嘉手納飛行場につきましても、これまでにはなかったいわゆる騒音協定と申しましょうか、夜間の飛行を極力抑えていくとかいろんな措置をしておりますし、また海軍駐機場の内部における移設ということで、最も住民の方々から苦情の多かった騒音についても配慮する等々の措置も講じております。  確かに、基地が存在する以上、いろいろな御不自由あるいは被害というものを全くゼロにするわけにいかぬわけでございますけれども、あらゆる角度からその努力をいたしまして、少しでもそういった面での軽減に努めてまいりたい、こう考える次第でございます。
  110. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 委員お話しのとおり、沖縄に大変長い間御迷惑をかけてきている、このことは事実でございます。しかし、長い間のSACO等の場を通じての努力によりまして、委員御承知のとおり二十三事案のうち既に四事案を残すのみとなっておりまして、ほぼ解決を見ているところでもございます。  また、今回の返還によりまして、その残っております十八事案の約三〇%の面積が戻ってくる、こういうことにもなっております。先ほど外務大臣からお話しのとおり、現在の面積の二〇%を超える規模、あるいは二十四年間の返還面積の四千三百ヘクタールを超える規模にもなっております。  また、県が御提議をいただいておりますアクションプログラムとの関係を見ましても、その第一期分の九〇%の面積が戻ってくる。二期分の約四〇%。一期分につきましては十施設があるわけでございますが、そのうち三つは既にもう返還の道筋がついておりますので、七つのうち四つが返ってくる、二期につきましても十四のうち二つと、こういうことで、沖縄県の皆様方のお気持ちにも十分配意をしながら努力させていただいてきたところでございます。  したがいまして、お話しのように、全く今まで努力もしないし、成果が上がっていないということでは決してない。私どもは今後とも沖縄県の皆様方のお気持ちに配意しながらこの返還に向けて全力を尽くしてまいる覚悟でございます。
  111. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど来、あるいは先般の御質問におきましてもいろいろな御意見を承りました。しかし、本日、この中間報告について議員はまやかしという言葉を使われ、狂気のさたとまで言われました。努力をしてきた、その努力は認めていただきたいと私は今感じております。
  112. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それは沖縄県民の一人としては、全く狂気のさたと言わざるを得ません。  普天間基地の移転先は、マスコミの報道によりますと約三百ヘクタール、これを嘉手納弾薬庫跡付近に移設予定というふうなことが報道されておりますけれども、その辺についての真偽のほどをお伺いしたいと思います。もしその点におきまして何か資料がありましたら、御提出を願いたいと思います。
  113. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) お答えいたします。  平成八年四月十五日のSACO中間報告におきまして「今後五~七年以内に、十分な代替施設が完成した後、普天間飛行場を返還する。」ということが合意されたところでございます。この返還条件の一つでございます、先生今御指摘のヘリポートの建設先につきましては、今後私ども日米間で具体的に協議を行っていくという段取りになっておりまして、現時点では施設の建設等についてはまだ固まっていないという状況でございます。
  114. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 まだ固まっていないということでありますので、これは先ほどから申し上げているように、嘉手納基地にさらに基地機能を強化するというふうなことにしかなりませんから、その辺についてはぜひこういったことのないようにお願いしておきたいと思います。  この十一市町村の基地面積を合計すると、沖縄県内の八五%の基地が集中していることがわかります。つまり、全国三千三百余の自治体の中、このわずか十一市町村で我が国全体の米軍専用基地の六三%を背負っているというふうなことになるわけであります。換言すれば、日米安保体制の六三%はこれらの自治体によって支えられているというふうな勘定になるわけであります。  我が国の防衛政策は本当にこれでいいんですかというふうに私は問います。こんなことが五十年も見過ごされ続けているというふうな沖縄県民の立場からすると、これはもう本当に異常としか言いようがないわけであります。総理大臣の御所見を承りたい。
  115. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 何度も同じことを繰り返して申しわけないと思いますが、私自身、沖縄県の実情をある程度知っていると思いながら、初めて大田知事にお目にかかりましたとき、私の知らなかったことが余りに多過ぎたことに気づきました。そして、申しわけありませんでしたという言葉から始めましたということをあなたにも申し上げました。そして、私はその御苦労を全く察しないというような言葉を使ったことは一度もないはずであります。  しかし同時に、五十年間続いてきたものを変えていく努力というものが一度にすべての問題を解決できないということも、それは議員も、御賛成がいただけるとは思いませんけれども、その努力も御理解はいただけるのではないでしょうか。少なくとも大田知事は本当に喜んだお声ではありませんでした。これもここで申し上げたことです。しかし、一歩前進と評価をしていただくだけの理解は示していただきました。そして、今後の作業に県も国と一緒になって努力しようということを言っていただきました。  私にとりましては、議員の今の御質問と大田知事が受けとめていただきました言葉との違いを感じながら、大田知事にとりましても不満足ではあるけれども一歩前進という言葉を吐かれるつらさをよく心の中で整理をしていただけたと、改めて今お礼を申し上げたい気持ちでいっぱいであります。
  116. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この普天間基地の返還というものが、本土に移設するとか、あるいは一〇四号線の砲撃演習を本土に移動して行うとかというふうなことで、やっぱり沖縄で嫌なものは嫌だというふうなことになろうかと思います。  多少の異論はあっても、私たち沖縄県民は、その嫌な基地を全国にばらまいてくださいというふうなことは決して申し上げるつもりはありません。しかし、同じ日本人として、あるいは同じ憲法のもとで基本的人権の享受を保障されている国民として言わせていただくならば、政府は今本当に基地問題というものをどのように解決していこうとしているのか、その辺が全然我々に見えてこないんです。そういった意味で、本当にこれはただ通り一遍の今のような答弁では県民は納得しないと思うんです。
  117. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 通り一遍というふうな言葉を申し上げたつもりはありません。今通り一遍と言われましたが、それは私は大変心外であります。私なりに真剣にお答えを申し上げたつもりでありました。  私は、本当にぎりぎりの決断をする前に大田知事にお電話を入れました。残念ですけれども県内に施設が残りますということを申し上げました。知事は決してうれしい声ではなかったということを何度も申し上げております。それでも一歩前進と評価をしていただいたことを私は今本気で、当時の知事のお気持ちを思いやれば、大変苦しい思いをされたであろう。そして、一歩前進と評価していただいたことに感謝しますという言葉は、通り一遍の言葉ではございません。
  118. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 総理が通り一遍でないという決意で臨まれているというふうな、これからやはり通り一遍でないような形でどう沖縄の基地問題を整理、統合、あるいはむしろ撤去していくかというふうなことが問われていると思いますので、あえてそのことを申し上げたわけでございます。  少なくとも、政府が緊急避難的に今最優先すべきは異常なまでに集中、集約された在沖米軍基地の無条件整理、縮小であって、物品役務相互協定の締結やガイドラインの見直し、さらには集団的自衛権や有事立法の研究などではないというふうに私は思うわけです。  ですから、その辺について、そういう安保条約の強化じゃなくして、沖縄からいかに基地をなくしていくかということをもっと真剣に政府は考えるべきであるというふうに思いますけれども防衛庁長官、いかがですか。
  119. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 現在、私どもとアメリカが結んでおります日米安保条約は、前から申し上げておるわけでございますが、単に我が国を守るという立場ばかりではなくて、アジア太平洋地域の全体の安定と平和のために極めて私は意義があるものと、こう考えている次第でございます。  今後、ACSAの問題等もございますが、これらのこともこの基本というものをしっかりと踏まえながら引き続き努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  120. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 外務大臣、どうですか、今の。
  121. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 私どもは、我が国の安全を守る、そのためにも、またアジア太平洋の安定と繁栄に資する観点からも、日米安保体制というものをしっかりと維持しなくちゃいけないと思います。  しかしながら、一方におきましてそのために米軍の基地が存在する、そういうことでとりわけ沖縄の県民の皆様方におかけしております御負担というものは、我々はこれを忘れちゃいけない。そして、できる限りの御負担の軽減を図ってまいらなくちゃいけない。しかし、やはり安保条約の目的達成との調和を配すというところは、これは我が国の政府としては大切にしていかなくちゃいけないところだと、こう思っております。
  122. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 角度を変えてちょっとお尋ねしたいんですけれども、普天間基地返還のめどに関して、総理は先日の私の質問に対して、五年を一日でも縮めたい、これが本当の思いですというふうなことがございました。この御答弁は、沖縄県のアクションプログラムの第一期を念頭に置かれた決意であるのか、あるいはまた単なる政府サイドの目標なのか、アクションプログラムとの関係についてどういうふうな位置づけをなさっているのか、その辺についてお伺いします。
  123. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょうど第一回のアメリカ大統領との会談になりましたサンタモニカに出発をいたします前、県民の声を代表された大田知事から、何とかして普天間という名前を首脳会談で出してほしいという御要請がありました。私はその言葉を首脳会談で出しました。政府の事務方の諸君は、返還の見通しのない中でそれを口にすることを皆がとめましたけれども、あなたから言われれば誠意のない一片の言葉かもしれませんが、私は出しました。  そして、二度にわたりまして大田知事とお話をしましたときに、そのアクションプログラムというもので我々が描いている夢を理解してほしいと言われ、そのために普天間が戻ってくる時期だけでも明らかにするように努力をしてほしいと言われました。  私なりに全力を尽くして努力をいたしたつもりでありますが、最後に、県内のヘリポート移設という問題が出ましたときに、議員のような御意見の方もおられましょう、それだけに県の御協力がいただけるかどうかが私にとりましては不安でありましたし、ヘリポートの機能を県内移設という条件がついても県としては受け入れていただけるかどうかが心配でありましたから、私は知事にお電話を入れました。知事さんも本当にお考えになった上の御返事としてでありましょうが、一歩前進と評価をするということでありました。  そして、確定をいたしました段階でもう一度御連絡をいたしましたとき、その移設の場所の環境影響評価あるいは埋蔵文化財の調査等を考えますと、五年という日限で完了し切れる自信がありませんでしたので、五年ないし七年という時間差を置きましたということを御説明すると同時に、作業についての県の御協力を私は心からお願いを申し上げました。  知事はその点についてははっきりと私に協力を約束してくださいましたし、その意味で私はアクションプログラムというものを十分意識しながら行動してきたつもりであります。
  124. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 アクションプログラムを評価し、尊重した上で……
  125. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 意識した上で。
  126. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 意識した上で取り組みなさったということについて評価したいと思います。  なぜなら、基地の重圧に耐えるにしても、その返還の期限とかあるいは目標とかが明確に示されないと、やっぱり県民にはもう我慢のしようがない、これから我慢するにしてもそのかいかないんじゃないかというふうになるわけでありまして、さきの普天間基地は名を捨て実をとった米国に軍配が上がっていると論評されているわけでございます。  そういうふうなマスコミの論評に対して総理としては、アクションプログラムを意識しながらというふうな関連について、沖縄の基地というものがどういう時点でどういうふうな処理の仕方をされるのかということは非常に県民にとっては大きな関心事でありますので、県民に総理の御意思をひとつお聞かせ願いたいというふうに思います。
  127. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変恐縮でありますが、ここでは私の方から議員にお尋ねをする権限はございません。しかし、今まで私どもが沖縄県からアクションプログラムの御説明を受けましたときには、県内での意見調整はまだだということでありました。言いかえれば、県として確定された県民の総意を受けての案ではない、県としての作業であって、関係される自治体、地主の方々あるいは町の方々まで、すべての方々の同意をとるというようなことはこれからなんだというお話で伺いました。  そうした限りにおいて、私どもは県の御希望としてこれを拝聴いたしましたし、その第一期の中にあり、現に知事さんから具体的にこれだけはと名を挙げられましたものが普天間基地でありましたから、その期間内に返還が可能になるように全力を尽くしたつもりであります。これも口先だけかもしれませんけれども、少なくとも環境調査、埋蔵文化財調査までを頭に入れながらその期間を設定いたしました。
  128. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今沖縄の大田知事は、沖縄の地理的条件を生かしてどのように将来の自立に向けて発展していくかというふうなことについては、真剣にいろいろアクションプログラムあるいは国際都市形成構想といったようなことを練りつつありますから、ぜひそういった面に向けて政府とされましても特段の御配慮をお願いしたいというふうにお願いしておきたいと思います。  さて、戦後はや五十一年、この間沖縄は名状しがたい不満を抱え、日米両政府のはざまで十分過ぎるほど苦悩してきました。しかし、政府もまた楚辺通信所で不法占拠を続けるなど基地政策は混迷しております。沖縄県基地の現状やこれから先何年程度維持されるのだろうかということが私は問われていると思います。総理は、日米安保を今後どういうふうな形で沖縄県民の期待にこたえるようなことを念頭に置いているのか。そういったふうなことをぜひお聞かせ願いたいと思います。
  129. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、現在の我が国をめぐる国際情勢、とりわけ安全保障環境というものを考えました場合、私はやはり日米安保体制というものが我が国の安全を守っていく上で不可欠のものであると考えております。それと同時に、またアジア太平洋地域全般の安定と平和に資するという意味からも、この日米安保体制というものは大変重要なものだ、このような認識を政府として持っているわけでございます。また、これは米国ともその認識を共有しているところでございます。  そういったことでございますので、私どもは、遠い将来のことは別といたしまして、予見し得る近い将来におきましては基本的に現在の日米安保体制というものは堅持さるべきものだと、このように考えております。  しかし、そういった中におきましても、沖縄の県民の方々の米軍基地の存在に伴う御負担の軽減に最善の努力を払ってまいりたいという意思、そしてそのために汗をかいているということは先ほど来総理からもるる御答弁申し上げたところでございます。
  130. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄の戦後というものは大変な状態でございまして、今日まで非常に米軍基地によっていろんな事件、事故等によって基地の重圧から逃れるためにいろいろなことを考えながらやっておりますけれども、一向に解決されない。  やはり、今のアメリカの単なる占領当時の沖縄の基地じゃなくして、沖縄は日本の全体的なわずか〇・六%しかないわけですから、そこに沖縄県というのがあるわけですから、その沖縄県をこれからどういうふうに、私はよく言うんですけれども、アメリカの単なる軍事植民地的な支配と今でも沖縄県民はそういうふうに考えているわけですよ。そういうふうなことをどうしても逃れたいということで、やっぱりアメリカに単なる軍事基地を任せるのではなくて、日本は今後どうやっていくかということを示していただかないと沖縄県民としては納得いかぬわけです。そういった点では、官房長官、どういうふうにお考えですか。
  131. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 先ほど申しましたような御負担の軽減の努力と同時に、やはり基地が存在することによっていろいろ生活の面に御不自由をかけております。あるいはいろんなあってはならないような事態が起こったこともございます。そういった点でもでき得る限りの改善を図らなくちゃいけないということで、御承知のとおり地位協定をめぐる問題につきましてもいろいろ努力を重ねておるところでございます。  それからまた、同時に沖縄県全体の生活の安定あるいは将来の発展などにつきましても、これは外務大臣立場で御答弁申し上げるべきかどうかという点もございますけれども、政府といたしましてはいろいろな観点から総合的に考え、そして沖縄県とも御協力しながら将来を考えていこうという姿勢であることは委員も御理解をちょうだいしておると思います。
  132. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私は、橋本総理の安全保障政策は米国の東アジア戦略を与えられた前提として米国に追随する政策であり、自立外交にはほど遠いのではないかというふうに考えております。  私は、世界政治のあるべき姿について、米国に追随するのではなく、我が国独自の構想を持つべきであると考えます。  例えば、我が国は平和憲法を持ち、唯一の被爆国としてせっかく非核三原則を国是としているのであるから、いつまでも米国の核の傘に頼ることなく、日米安保条約を廃棄して、東南アジア非核兵器地帯条約を結んだASEAN諸国や、ラロトンガ条約を持つ南太平洋諸国や、非核政策を強力に推進するニュージーランド等と協力して、広大なこの地域にアジア太平洋非核地帯を創設して世界の平和に貢献するというような、みずからのイニシアチブで行動する国家になるべきだと私は思います。そして、そのような構想を提唱するような国家になった暁に、名実ともに国連の常任理事国入りの資格が出てくると思いますけれども、総理のこの点についての御所見を承りたいと思います。
  133. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 日米安保条約を廃棄と言われ、その上での委員の構想でありますから、それはそれで恐らく,一貫したものでありましょう。そして、それが現実の世界に適合するものであることを、それが許されるような世界に早くなれることを私は心から願います。  その上で、私は日米安保条約というものは我が国のために必要なだけではなく、まさにアジア太平洋地域の中において、他の国々もまたここに安定の存在することを求めておると思っております。そして、オーストラリアの首相あるいはニュージーランドの首相が安保共同宣言が発出されました後どういう評価をされたかも御参照いただきたいものだと思います。
  134. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 意見の相違があると思いますけれども、沖縄の私の立場からするとやはり安保条約廃棄、そうしなければ沖縄はいつまでたっても基地がなくならないというような感じがしてならない、そういった意味であえて質問をさせていただきました。  今度の安保条約の再定義問題に関連して、ソ連の脅威にかわって北朝鮮や中国を仮想敵国と想定するような米国防総省関係者や米軍人などの発想に追随して、我が国がそのような政策を是認するようなことでは困ると思います。政府はどのような危険ないし脅威に対処するために日米安保体制を堅持しようとしているのか、その辺について根拠をお示し願いたいと思います。
  135. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 我が国は、ただいま特定の国を脅威と考えたりあるいは特定の国に対抗するためにどこかの国と同盟を結ぼうと、そういったことを考えているわけではございません。  しかしながら、委員も御承知のとおり、現在の国際社会、そうしてアジア太平洋、我が国を取り巻く地域の情勢をごらんいただきますならば、かつての冷戦のような状況はなくなりましたけれども、依然として不安定な要因があちらこちらにあります。それからまた、かなり規模の多いといいましょうか、レベルの高い軍事力が存在するということも事実でございます。そういった意味で、先行きの不透明さもございまして、やはりみずからの国を守り安全を守っていくという努力は欠かすことができない、こう考えている次第でございます。  そういったアジアの不安定要因あるいは不確定要因の中で朝鮮半島の情勢がこれからどういうふうに動いていくかということは、私どもはやはり常々注視を怠ってはならないことであるということは否定できないと存じます。
  136. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 最近の国際情勢の変化に対応するために安保条約の再定義が行われたことと思います。従来、日米安保条約を前提としていた国際情勢とはどのようなものであり、近年の変化した国際情勢とはどういうふうな状況になっているのか、総理の国際情勢に関する認識を承りたいと思います。
  137. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) かつて、私どもが青年時代、日米安全保障条約の改定問題が国論を二分するほどの大きな論争になった時期がございました。そして、それ以来、随分長い時日が経過いたしました。その当時の世界というものは東西二大陣営というものが対立し、冷戦構造が存在していたことは委員も御承知のとおりであります。  ソ連の崩壊とともにその状況は消滅をいたしました。しかし、その後、では東西二大陣営の対立の時代が終わって地球上が完全に平和になったかといえば、残念ながらなっておりませんし、各地に依然として戦乱が続いていることは御承知のとおりであります。幸いに、現在、我が国の周辺において戦闘が行われ、殺傷が続いているといった地域がないことはお互いに幸せとしなければなりませんが、朝鮮半島一つをとりましても、例えば先般クリントン大統領と金泳三大統領の二人が会談をされ、朝鮮半島の平和を真のものにするために、何らの前提のない中国、北朝鮮との四カ国の会談を呼びかけられたものに対しましても、北朝鮮の返答は、けさ私がこの委員会に入りますまでは少なくとも意思表示はなかったと承知をいたしております。残念ながら平和ではありません。  一つの例でありますが、そうした地域は旧ユーゴスラビアでもございますし、今ヒズボラの行動から、レバノンにおいても関係国の外相たちが大変な苦労をしながら中東和平プロセスに支障が生じないよう懸命の努力を払っておられるはずであると私は承知をいたしております。旧ソ連邦の中におきましても、チェチェンに戦闘が続いておることは議員も御承知でありましょう。  残念ながら、我々は戦争という手段による問題解決というものを捨て切った状況にはございません。そうした中において、いかにみずからの国の安全を確保し、一国平和主義に陥るのではなく、他の国々とも力を合わせながら国際社会に平和を構築していくための努力を払うかということは政府として当然真剣に考えている課題であります。
  138. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私は、それほど国際的な変化がないというふうに思うんです。しかし、今度の共同宣言の中で、やはり極東条項からアジア太平洋地域というふうな、何か我々からすると世界的にもっと広がったような安保条約の改定ではないかというふうな言われ方もするわけでありますけれども、その辺について、それほど情勢変化していないと思うのに、なぜ極東からアジア太平洋地域というふうな国民が最も懸念するようなことを条約として改定していったのか、改定というよりも確認していったかというふうなこと。
  139. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一に、よくおわかりのはずでありますが、日米安保条約を改定はいたしておりません。(「わかってないよ」と呼ぶ者あり)いや、今、議員は改定したかのごとくおっしゃいますから……
  140. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 取り消します。取り消しました。
  141. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) それでは、正式に取り消していただけますね。
  142. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 はい。
  143. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 日米安保条約は改定をいたしておりません。当然のことながらその内容も変化をさせておりません。  極東条項の意味するものがどうであるかということは、先般来当委員会でも委員お聞きのとおりに何遍かお答えを申し上げております。その上で、現実にアジア太平洋地域においてこの日米安保条約の存在と、これを基盤とする日米関係というものがどれだけ高く評価をされているかという事実をアジア太平洋地域という言葉で私どもは表現をいたしました。  そして、私は御参照いただきたいと申し上げましたけれども、この共同宣言の発出後にオーストラリアの首相、ニュージーランドの首相、非常に評価をされた歓迎の声明を出しておられます。まさに、アジア太平洋地域の中で日米安全保障条約というものが存在をすること、この上に築かれている日米関係というものが安定していること、これがどれほど歓迎されているかという事実を申し上げたものであります。
  144. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。ありがとうございました。
  145. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて総括質疑は終了いたしました。  次回は来る四月三十日午前十時に公聴会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会