○横尾和伸君 私がこの総量規制の一連のものにこだわるのは、大変これ重要、これもやっぱり先ほどの覚書と並んで重要な柱の
一つなんですね。
住専問題の
一つのガンというのは、農林糸金融機関の
住専向け融資が九〇年以降に急増した、先ほど数字言いましたけれ
ども、急増したこと、私はこれが一番大きな問題だと思っているんです。この原因をつくったのが、先ほどから言っている二つの通達であります、総量規制、三業種規制、こう言われておりますけれ
ども。
詳細は省きますけれ
ども、大蔵省所管の金融機関は、不動産融資すなわち
住専への融資を厳しく制限される。一方で、農林系は融資先がなくて巨額の資金がだぶついている。そういう状態の中で、従来どおり融資ができることになっている。その結果、農林系の
住専向けの融資が急増したと、こうなったわけです。それは言いかえれば、総量規制と称して全体の蛇口を閉めながら、見えない一部の蛇口をあけるといったことをやったわけです。私、これは私なりの言い方で小細工と言っているんです。小細工づきの総量規制と、こう言っているんです。これは言ってみれば、厳しい規制というのがむちであるとするならば、特別な一部分のみを外すというのは、うまみを残すという、いわゆるむちに対してあめの
役割をしているんだろう、こう思うんです。
ここで何でこんなことを言うかというと、
住専の関係者がこの小細工づきのといいますか、今申し上げた意味での一連の総量規制の施策を大変ありがたがっているということを聞いているんです。それは、
一つは、
住専自身は農林系統という強い味方を得て実質的に規制から外されたわけで、生き延びることができたと。当時の状況からすれば本当にありがたかったんだろうと、今はどうかわかりませんけれ
ども、九〇年当時。
また農林系統、これも言うまでもありませんけれ
ども、お金があり余ってのどから手が出るほど融資先を求めていたとき、大口で強力な融資先を与えられたということで、これも事実が物語っているように相当ありがたがったんだと
思います。何しろ無審査、無担保、無保証、ほとんどの案件がそういう形で相当な額の融資をされたわけです。
問題はもう
一つ、母体行なんですけれ
ども、母体行は厳しい規制をかけられて大変だっただろうと、こういう面はあるんですけれ
ども、反面、反対の実は御
意見を言われる方もいらっしゃいました。すなわち、
事態を一番よべ把握していた母体行は、バブルの進行とともに不良債権の怖さと実態をよく知っていた。何とかしたいと悩んでいた。そんなときに総量規制の名のもとに小細工をしてもらって手ごろなごみ箱を得た、これは
新聞の表現ですけれ
ども、手ごろなごみ箱、
住専という。自分は融資が制限されている、だから母体行から見て、
住専よ、あなたがかわって融資をしてあげてくださいと。表現の仕方もいろいろあると
思いますけれ
ども、これがいわゆる紹介融資の主要部分と考えられるわけです。
危ない債権をどんどんごみ箱に投げ込む。母体行にとってもこの総量規制は、むちだけでなくて、みずからの安全を高める、いわゆる身ぎれいになるために大変都合がよくて、したがってあめの部分もあったということであります。その意味では、母体行もその
責任者。実行者に対して随分と感謝をしていただろうと
思います。すなわち、この措置をありがたいと思っていたのは
住専、系統のみならず、母体行も一面ではありがたいと思っていたということを申し上げたいわけなんです。
このことを前提にしましてちょっとお聞きしたいんですけれ
ども、
総理、
総理の九〇年の政治献金が約四億円、九〇年に限ってふえているんですね。私は政治家個々人のそういったポケットに手を突っ込むようなことは好まないんですけれ
ども、ただ大変大事な立場、特別な立場におられるのでお聞きします。これをグラフにしたんですけれ
ども、八七年から当面九〇年前後でグラフにしました。(図表掲示)
これは自治省の届け出分だけを合計したものですけれ
ども、橋本
総理の政治献金の推移をトータルであらわしたものです。したがって、これはほかに、自治省ではなくて都道府県選管分の届け出もありますのですべてとは言いません。私の調査の能力というのはこれしかないものですから、官報から拾ってきました。それを合計したものですが、例えば八九年は四億七千万、九〇年が八億五千万、九一年が五億五千万、このグラフで九〇年だけが何でこんなにふえているんだろうか。四百万が八百万になるというのならわからないではない。四億が八億になって倍増している。しかも、その次の年はもとに近い形に戻っている。
政治家というのは、九〇年だけですけれ
ども、億単位でこんなにも変動するものかということで私は大変興味を持ったと同時に、九〇年の時点で、先ほど申し上げたように大変ありがたいと、総量規制、これは私は断定はしません、
総理に後でお答えしていただければいいんですけれ
ども、九〇年のあの総量規制でありがたいと思った方々が大変金融関係で多くいらっしゃいました。そういう意味で私としてはどうも結びつけて考えたくなってしまうんですが、そうでないということを御説明いただきたいと
思います。