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1996-04-23 第136回国会 参議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月二十三日(火曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      加藤 修一君     寺澤 芳男君      筆坂 秀世君     山下 芳生君  四月二十三日     辞任         補欠選任      岩井 國臣君     吉村剛太郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         井上  裕君     理 事                大河原太一郎君                 斎藤 文夫君                 清水 達雄君                 塩崎 恭久君                 泉  信也君                 白浜 一良君                 都築  譲君                 山本 正和君                 有働 正治君     委 員                 阿部 正俊君                 石井 道子君                 板垣  正君                 久世 公堯君                 河本 三郎君                 鴻池 祥肇君                 坂野 重信君                 関根 則之君                 谷川 秀善君                 野沢 太三君                 野村 五男君                 服部三男雄君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 荒木 清寛君                 岩瀬 良三君                 海野 義孝君                 大森 礼子君                 小山 峰男君                 鈴木 正孝君                 寺澤 芳男君                 直嶋 正行君                 益田 洋介君                 横尾 和伸君                 朝日 俊弘君                 一井 淳治君                 大渕 絹子君                 梶原 敬義君                 川橋 幸子君                 前川 忠夫君                 緒方 靖夫君                 山下 芳生君                 小島 慶三君                 島袋 宗康君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        大 蔵 大 臣  久保  亘君        法 務 大 臣  長尾 立子君        外 務 大 臣  池田 行彦君        文 部 大 臣  奥田 幹生君        厚 生 大 臣  菅  直人君        農林水産大臣   大原 一三君        通商産業大臣   塚原 俊平君        運 輸 大 臣  亀井 善之君        郵 政 大 臣  日野 市朗君        労 働 大 臣  永井 孝信君        建 設 大 臣  中尾 栄一君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    倉田 寛之君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  中西 績介君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       岡部 三郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  臼井日出男君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       田中 秀征君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中川 秀直君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  岩垂寿喜男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  鈴木 和美君    政府委員        内閣官房内閣安        全保障室長        兼内閣総理大臣        官房安保障室        長        三井 康有君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        公正取引委員会        委員長      小粥 正巳君        公正取引委員会        事務局経済部長  塩田 薫範君        総務庁統計局長  伊藤 彰彦君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        防衛庁経理局長  佐藤  謙君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁総務        部長       大野 琢也君        防衛施設庁施設        部長       小澤  毅君        経済企画庁長官        官房長      竹島 一彦君        経済企画庁調整        局長       糠谷 真平君        経済企画庁総合        計画局長     土志田征一君        経済企画庁調査        局長       澤田五十六君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        外務大臣官房長  原口 幸市君        外務省総合外交        政策局長     川島  裕君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省条約局長  林   暘君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省主計局長  小村  武君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省理財局長  田波 耕治君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  西村 吉正君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部大臣官房総        務審議官     辻村 哲夫君        文部省初等中等        教育局長     遠山 耕平君        文部省高等教育        局長       雨宮  忠君        文部省学術国際        局長       林田 英樹君        文化庁次長    小野 元之君        厚生大臣官房総        務審議官     亀田 克彦君        厚生大臣官房審        議官       和田  勝君        厚生省保険局長  岡光 序治君        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産省経済        局長       堤  英隆君        通商産業省産業        政策局長     牧野  力君        郵政大臣官房審        議官       品川 萬里君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君        労働大臣官房長  渡邊  信君        建設大臣官房長  伴   襄君        自治大臣官房長  二橋 正弘君        自治大臣官房総        務審議官     湊  和夫君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省行政局公        務員部長     鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      谷合 靖夫君        自治省財政局長  遠藤 安彦君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件平成八年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成八年度特別会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成八年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付)     ―――――――――――――
  2. 井上裕

    委員長井上裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  総括質疑を行います。吉村剛太郎君。
  3. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 おはようございます。総理を初め各大臣、連日お疲れさまでございます。  当面しております課題は山積しておりますが、そういう中にありまして、沖縄の基地問題を初め一つ一つ橋本総理のもとに閣僚の皆様方一体となって前向きに解決に向かって努力をされておりますことに心から敬意を表したい、このように思う次第でございます。  本日、私は、TBSを含みます報道の問題、それと住専、特に母体行、ノンバンクなどについて限られた時間の範囲内で御質問をさせていただきたい、このように思う次第でございます。  実は、四月二日の参議院逓信委員会におきまして、私は逓信委員でございますが、TBS磯崎社長ほか二名の取締役の方々参考人としてお呼びしていろいろと質疑をした次第でございます。  その中で、私は、オウム事件といいますもの、まさに前代未聞事件であったわけでございますが、その一連事件の原点と言っても差し支えない坂本弁護士一家殺害事件、この事件を誘発したのではないかと思われますTBS坂本弁護士インタビューテープオウム側に見せたというようなことに絡みます報道機関としてこれまた前代未聞のこの対応の仕方について質問をした次第でございます。  そういう中で、何といいましても、健全な民主主義発達のためには健全な報道放送といいますものの存在は欠かせない一つの要因である。TBSとしては、このような事態を招いたことについては大いに反省をしてもらわなければならない。しかしながら、それはやはり放送という立場から、他からの圧力その他によって強いられるのではなく、みずから自律作用自浄作用をもって反省してもらわなければならないというような趣旨のことを申し上げ、その一つのあらわれとして、一時期放送を停止するぐらいの厳しい反省の態度を持ってこれに当たることも一つの方法ではないかと。それによって放送といいますものがいかに厳しいものか、末端までその緊張感が波及して正しい放送がここで導かれる、それによって健全な民主主義が育つというようなことを申し上げた次第でございます。  ある意味では、放送事業者にとっては大変厳しい意見を申し上げたわけでございますが、これはNHKで生中継をされました。それに対する反応といいますか、反響といいますのは大変大きゅうございまして、私のところにも随分と電話がございました。はっきり申しますと、九割方が、そうだ、そのぐらい厳しい対応が必要だ、レストランでも食中毒を発生させれば何日間か営業を停止するではないか、そういう意見でございました。しかし、一割ぐらいはちょっと言い過ぎではないかというようなことの意見もあったわけでございます。  それはそれとして、意見でございますから私も謙虚に耳を傾けたし、そういう賛成論反対論が出てくるのがまた民主主義のいいところだと、このように思ったわけでございます。幸い磯崎社長も、重く受けとめますということでございました。  ただ、私はその質問をするに当たりまして、ささやかな実験も実は試みておったわけでございます。当然NHKで生中継ございましたが、民放ではございませんでした。したがいまして、民放ではこれを夕方もしくは夜のダイジェスト版特報版で恐らく取り上げるだろう、どのような取り上げ方をするかなと、このようなささやかな実験の心もあったわけでございます。  実は、私もほぼ全部検証してみましたところが、放送停止ということについては、その後の夕方及び夜の特番では全く取り入れておりませんでした。放送停止ということは大変厳しい意見でございますから一番嫌なことを言ったのかなと。しかし、そろいもそろって各報道機関放送事業者が全くこの意見を顧みなかったということは、ある意味では一抹の恐ろしさを実は感じたわけでございます。  また、次の日といいますか、四月三日の新聞でございますが、これも私は検証してみました。これもほとんどといいますか、九九%この問題は取り上げていない。同業者かなと、このように思った次第でございます。  当日、私ども逓信委員会で八人の発言者がございました。八人のそれぞれの名前発言の要旨が新聞に書かれたわけでございますが、中には私の名前だけが載っていない新聞がございました。だから、その新聞しか見ない人は、逓信委員会で私が発言したことすら全く知らないわけですね。NHKを見た方は私のこの質問を聞いて、それに対する反応が非常にあった。しかし、NHKを見ないで夜の民放特番だけ見た人は、そのような発言があったことすら知らないわけなんです。これは私は非常に怖いことだなという感じが実はした次第でございます。  すなわち、ニュースがある、また意見がある。しかし、そのニュースが、その意見放送を含む報道に気に食わないことであれば抹殺してしまう。国民に伝えないということですね。これは大変恐ろしいことだなと、私はこのように感じたわけでございます。  放送法では不偏不党とかそういうことが述べてございます。しかしながら、偏向した報道、偏向したコメントであれば我々はそれに反論することができますし、また意見を挟むことができますが、全く報道されない、知らされないということについて、これは大変なことだなと。  かつて、戦前我が国大変言論の規制がございました。また戦時中、戦況については大本営発表だけでございました。不利な戦況といいますのは全く伝えられなかった。そして、伝えられない中で原爆を落とされ、日本は敗戦した。そういう知らされないということ、知らせないということの恐ろしさ、罪深さといいますものを実は私は自分のささやかなこの実験の中で発見をしたわけでございます。  また、その新聞、これは私が毎日読んでいる新聞でございますが、八人質問して私の名前だけが載っていないんですね。ということは、私が質問したことはだれもわからないんだから。きょうは報道の方もたくさんいらっしゃると思います。これは報道の方も大変重要なことでございますから、ぜひ自分のところの新聞なりビデオを見て検証していただきたいと思いますが、そういう事実が実はございました。  不偏不党とか偏向しないというのは当然でございます。こういう、報道しない、ニュース国民に伝えない、そして生放送ではございませんから編集いたします、編集放送事業者なり報道者の恣意によってニュース重要性が判断されるわけでございまして、まさに我々はそういう報道の懇意によってしかニュースを得られないという立場、これは大変恐ろしいことだなと、このように感じた次第でございます。  そういう面で、ちょっと長々としゃべりましたけれども、総理放送を含めて報道のあるべき姿といいますものをお考えがあればお聞きしたい、このように思います。
  4. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、今回のTBSの問題を契機といたしまして、放送における報道というもののあり方についてさまざまな議論が展開されておりますことは承知をいたしております。  また、議員が今御自分の体験を通じて、報道する報道しないというニュース選択権メディアにある、そのいわばルールづくりといいますか、そうした問題についてお触れになりました。  私は、TBSだけではなくて各放送事業者において、議員が今述べられましたような御意見、こうしたものにも十分謙虚に耳を傾けていただき、放送が健全な民主主義発達に寄与するように、そのためにはどうすればよいのか不断の努力を払っていただきたい、そうした改めてみずからを問いかける機会をこの場で持ってもらうことができればと、そのような思いで今の御意見を拝聴しておりました。
  5. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 同じ質問郵政大臣にお願いしたいと思いますが、ここに放送法コピーがございます。放送法といいますのは非常におおらかな法律でございまして、例えば今申しましたように放送をする、それが偏向しておったとかそうであればこれは対応できるんですが、放送しないというようなことは全くこの考えに入っていないんですね。発想にないんです。  ということは、実はこういうことが私のこのささやかな実験の中にあるということはほかにもたくさんあると。この知らせない恐ろしさといいますもの、例えばエイズなんかでも、あれは知らせなかったから結末としてあんなに大きくなつちゃったんですね。大変悲惨な事件になりましたが、先ほど申しましたように戦争でも不利な戦況を伝えないことが最終的に大変悲惨な結末になるというようなこと、そういうことはこの放送法の視野に全く入っていないということを考えますときに、やはりこの辺も検討の余地があるのではないかなという感じが私自身はするわけでございます。  郵政大臣でございますから、放送のあるべき姿と、それから今の放送法について御所見、感想なりをお聞かせいただきたいと思います。
  6. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 参議院逓信委員会における先生の御質問、私も非常に印象深く伺っておりました。この模様はNHK生放送で全国に克明に放送されたところでございます。  私は民放の方のは詳しくチェックはしておりませんでしたが、しかし先生のあの御発言、それはNHKを通して、またいろんなメディアを通してかなり大きな影響を持ったと思います。私の知っている限りでは、先生のそういった御発言があった後に、先生の御発言の内容に沿う評論がかなりの数出ておりますし、それから投書欄なんかを見ましても先生と同様の趣旨投書がずっと上がってきているということは、やっぱり先生の御発言がかなり大きな影響力を持って伝わっているということであろうというふうに私は感銘深く今考えているところでございます。  放送をどのようにするかということについては、御承知のとおり、放送法の適用がございまして、その編集に関してはだれもこれは文句が言えないということでございます。ただ、不作為の恐ろしさといいますか、作為的に何かをやることの恐ろしさもさることながら、大事な問題点を不作為によって無視してしまうということの恐ろしさも、これは私、先生の御指摘のとおりであろうということで、よく考えざるを得ない現象でございます。  いずれにしても、この問題は、憲法の報道の自由というものを頂点とした放送法電波法の体系に沿っているわけでございますから、今度のいろいろ御心配をいただいているTBSの問題、これなども非常に貴重なテストケースになろうかというふうに思っております。今私の方からこの点についていろんな問題点、これを克明に洗い出すように事務方の方にも指示をしているところでございまして、この報道の自由という非常に高い価値観念に導かれながら、冷静にひとつこの問題に対処してまいろうというふうに思っております。  先生の御指摘、非常に貴重な御指摘として受けとめさせていただきます。
  7. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ありがとうございました。  いずれにしましても、反響がありましたのは、これはすべてNHK生放送を聞いた方のみなんですね。ほかは報道されておりませんから、新聞にも報道されておりませんから、もうこれはNHKだけでの反響であったということでございます。  それと、先ほどちょっと、これは放送ではございませんが、新聞でございますが、八人の中、私の名前だけを全く欠落させて論じないということ、報道しないということ、これはファッショですね。気に食わないことはもう報道しないんですから、これはまさにファッショなんですよ。ファッショには我々は、国会は力を合わせてやっぱり闘わなければならない問題ではないかなということを言及しておきたい、このように思う次第でございます。  この問題は大変大きな問題でございまして、我が党もプロジェクトチームをつくりまして、この報道あり方といいますものについてこれから英知を集めて研究していきたい、このように思っておりますが、きょうは時間がございませんのでまたの機会に移したい、このように思っております。  さて、住専に絡みまして、母体行の責任問題でございます。  バブル経済の発生から崩壊につきましては、総理もまた大蔵大臣もその行政責任を認める旨の御発言もあったようでございます。また、大蔵当局も、行政はその時点で適切と思われる政策選択をしてきたが、資産価格の急激な上昇、下落が与える影響に十分な認識がなかったということも十六日の当委員会で認めておるところでございます。その認識認識といたしまして、その認識の上に立って、やはり今回の一連住専問題の中で母体行の責任というのは私は非常に大きい、このように思っております。  これは、今日までの論議の中でも随分と論議されてきたわけでございますが、ここに、これはある母体行のPR誌コピーでございますが、要するに、その母体行が持っております住専一体であるというようなことをPRをしておるわけでございます。また、人事の面その他でも一体である、このように思うわけでございます。  実は、四月十九日の当委員会におきます参考人招致、これの要約を私も拝見したところでございますが、橋本さくら銀行頭取は「住専は独立した企業体として経営された。日本住宅金融上場企業であり、強いリーダーシップをもった経営者の下で経営されていた。母体行は口をはさめなかった。」、また住専の方は「母体行はもちろん他の金融機関も、当時の社長との力関係からいっても、押し込み案件とかひも付き案件を持ち込めない。こちらから、取引が取れなくて紹介を母体行にお願いしたのが実情だ。当社独自で開発した案件とまったく同じ状況で審査した。」、このように述べております。  私は、この一連参考人方々の答弁を見ておりましてまずぴんと感じましたのは、これは話し合っているなという感じが実は私個人はしたわけなんです。そして、今母体行のさらなる責任という論議も交わされておりますが、それを何とか抑えなければならない、抑えようという意思をこの参考人質疑の中で、母体行と住専のそれぞれの代表の方でございますが、非常に私は個人的には感じたわけです。  その感じたことは、ああ、ここまで母体行と住専一体なのかな、骨の髄まで一体だという感じを私は受けたわけでございます。まさにこの参考人質疑で、母体行は母体行、住専住専だと言えば言うほど、独立した企業体であるということを言えば言うほど一体だな、骨の髄まで一体だなという印象を私は実は抱いたわけでございます。  こういう経緯から見ますと、やはりこの参考人質疑を聞いた国民は非常に反発を感じたであろう、私はそのように感じておるわけでございます。大蔵大臣も、今日まで何度となく、母体行の責任というものは重い、さらなる寄与もということについての言及もあったわけでございまして、その点について大蔵大臣の御意見をお聞きしたい、このように思います。
  8. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 今お話がございましたように、母体行といいますか、住専を設立いたしますときからかかわりました金融機関が、その設立、出資、そしてその後の人事を含めて経営にも深くかかわってきたことは、これは私は銀行、母体行側も否定できないことだと考えております。そのような立場がありましたからこそ母体行としては債権の全額放棄に応じたものと思っております。  それだけではなくて、今後、住専処理機構に対して二兆円を超える融資にも、住専処理機構が設立されればそこへ融資を行うということについても既に合意をいたしております。拠出金についても同様でございます。これらのことは、単なる債権者という立場責任を超える重い責任感じた上での協議に応じ、合意した結果だと思っております。  しかし、今日、住専問題、不良債権を処理してまいります場合に、そのことだけで母体行の責任が終わるかということについては、国会でも党派を超えて皆様方の大変厳しい御意見がございました。私も、大蔵大臣として同じような考え方を表明してまいりました。銀行協会の会長にも国会における論議の模様や私どもの考え方もいろいろな方法を通じて伝えてございます。私も直接お目にかかったこともございます。そういうことを通じて、経営上の責任というものは民間企業として経営判断に基づいてみずから責任を決せられるべきものという立場を私は当初から一貫して申し上げております。  この不良債権の処理にかかわります寄与につきましては、三・五兆の債権全額放棄をもって終わったと考えることは妥当でない、さらに新たな寄与策について協議に応じ、そして合意できる内容を速やかに具体的に決めていくことが必要ではないかということを申し上げてございますが、法的に強制する手段がございません。そういう点で、今国会での皆様方の厳しい御論議等もいただきながら、このことについて母体責任というものをもう一遍考えていただくということが重要であると考えておるところでございます。
  9. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ただいま大蔵大臣は、母体行の責任は三・五兆の債権放棄で終わるものではない、またさらなる寄与というのが必要である、このようにお述べになったわけでございますが、これはまさに国民の声だと、私はこのように思っております。  ただ、いろいろと大蔵当局も検討されておられると思いますが、じゃ具体的にどういう策があるかということでございます。私自身も個人的には、税制でどうにかならないか、特別課税というのはできないだろうかとか、また自民党内でもちょっと論議になりました貸倒引当金の圧縮というような問題、租税特別措置の逆といいますか、逆租特というようなことはできないんだろうかとか、いろいろと考えもめぐらしたわけでございますが、なかなか税法の基本的な考え方からいきますと無理があるということでございます。  そういう中で、ただいま大臣は金融安定化拠出基金にちょっと言及をされたわけでございますが、全金融機関が九千億を拠出するという案であろうかと、このように思うわけでございます。これは新聞の中にももう既に述べてありますが、住専七社が国会に提出した資料によれば、母体行、一般行を含めた関係金融機関住専に紹介した融資案件の中で焦げついた金額が二兆五千九十六億円だということが述べてあります。  この分を拠出金に上乗せか、その辺の論議というのはこれからあろうと思いますが、これは負担能力といいますのはいろいろと母体行によっても違うと思いますが、さらなるこの程度の、紹介融資が焦げついた分ぐらいは拠出をさせるというようなこと、それの運用利回りによって十五年間かけてこの財政資金の投入の分をあかなっていくというような策といいますのは、これはまた考えられる案としては非常にいい点をついているのではないかなと、このように思う次第でございます。  そういう点につきまして、大蔵大臣、さらなる母体行の寄与についてもう少し踏み込んだ具体的なお考えがあればお聞かせいただきたい、このように思います。
  10. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 率直に申し上げて、法人税等の負担でもって母体行が新たな寄与を行うということでどのような方法があるのか、それから銀行側の自主的、積極的な負担という形で行えばこういう方法があるのか、こういうことなどを協議するに当たっては私どもの側も検討をしなければならないことだと思っております。  ただ、これはあくまでも銀行側との協議に基づく合意が前提でございますから、そういう意味におきましては、私どもとしても一方的に決めつけてこれでどうだという話にした方がいいのか、そうではなく、あくまでも両者が合意を得られるような協議を少し時間がかかってもやる方がいいのか、そういうことも含めて進めなければならないと思って、その下準備的なことはいろんな機会にやっているのでございますが、まだ住専処理機構そのものが成立していない、でき上がっていないという状況の中の難しさもございます。  銀行側にも、政府が考えているような方策で果たして住専の抱える不良債権は処理できるのか、できないということになれば法的処理ということになってまいりますから、その場合にはどうなるのかといったような多少まだ疑心暗鬼なところもございます。  いろいろ非常に難しい条件のもとでの話でございますが、皆様方の御意見も踏まえて、私どもとしてはこれらの問題をどうしてもやり遂げなければならないと思っているところでございます。
  11. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 おっしゃるとおりに大変難しい問題だ、このように思います。  いずれにしましても、先ほど申しましたように、十九日の参考人招致の折の母体行の代表の方と住専の代表の方のお話を聞いておりますと、まだまだその辺の自覚が足りない。やはり母体行は逃げるのではなく、あれは結局しりを国民に回そうということでございますから、そういう心構えでは今後の金融を担って立つ資格はない、本当に母体行がその責任を自覚してもらわなければならない、このように思う次第でございます。そういう点の説得、また指導といいますものも、大蔵大臣、よろしくお願いをしたいと、このように思う次第でございます。  住専処理機構がまだ正式にスタートしていないというお話でございます。まさにそのとおりであるわけでございますが、住専が抱える不良債権といいますのは実はどの程度あるのでございましょうか。十兆かそんなものではないか、このように推定をしておるところでございますが、全金融機関が抱えておるであろうと思われます不良債権というのはそれの何倍、ある人はけたが違うんだ、このようにも言われております。  そういう面からいきましても、この住専処理というのは今当面しております金融問題のまさに引き金になる、まだまだ大きなものがあるんだということはもう先刻国民承知のとおりでございますが、問題としては、この住専処理を処理機構が果敢に断行していく中で今度はいろいろな連鎖反応が出てくる、このように思います。  すなわち、住専が抱えております債権の回収を本格的にやっていきますと、今まで回収を余り厳しくしておらずに、つまり破産とか更生法の適用をしないまま何とか経営をしていた債務者が一斉に経営破綻に追い込まれてくると私は思うわけでございます。  そういうことで、住専が占めるよりもさらに大きなものを抱えております、いわゆるそこに貸し込んでおりますノンバンク、そのノンバンクにまた貸し込んでおります金融機関また農協、こういうところに大変大きな問題がこれから出てくるであろう、このように思う次第でございます。  もう時間も参りましたので、ノンバンクの抱えております不良債権の額、その他それに対応する素案があればお聞かせいただきたかったのですが、そういうことを問題提起して、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  12. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で吉村剛太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  13. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、直嶋正行君の質疑を行います。直嶋正行君。
  14. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 まず最初に、総理にお伺いをいたしたいと思います。  もう何回か同僚議員質問されておりますが、去る四月十日の新進党と与党三党との国対委員長合意の中で、六千八百五十億円、これは第一項に記載されていますが、「制度を整備した上で措置する」と。「制度を整備した上で措置する」、この解釈について再度総理の御認識を承りたいと思います。
  15. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先般の与野党合意で「制度を整備した上で措置する」とされております緊急金融安定化資金の六千八百五十億円につきましては、これまでも何回か申し上げてまいりましたように、徹底した債権回収を図るための体制整備に一層取り組んでいくことに加えまして、今後行われます特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法案の御審議における御議論などを十分に踏まえ措置していきたいと申し上げておるところであります。
  16. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 続きまして、法制局長官にお伺いしたいと思うんですけれども、今申し上げた文書の中に「措置する」という言葉が入っています。法令用語として見た場合に、この「措置」という言葉の意味をちょっと御説明いただきたいんですが。
  17. 大森政輔

    政府委員大森政輔君) 一般的な法令用語としての意味がどうかというお尋ねではありますけれども、しょせん、予算総則の修正に絡んだお尋ねになろうかと思います。  そういたしますと、これは衆議院において修正されたことでございまして、そこで用いられている用語の意味といいますのは、その前提としての与野党協議の実情というものを踏まえなければやはり正確に確定できないものであろうと思います。  そういうことで、それに言及する立場には本来はないんだということを前置きさせていただきまして、なお一般論、本当の一般論としてお答えいたしますと、もう既に御承知のとおりと思いますが、この「措置する」あるいは法令上「措置」という言葉が用いられる場合には、現実の法令ではいろいろな場合があるわけでございます。その場合の総じた意味といたしましては、一般にある問題に対する対策、施策等その問題を処理するためにとられるもろもろの手段を行う、手段を決める場合に「措置」という言葉が用いられていることが多いようでございます。  なお、国語辞典等ではもっと簡単に、物事を取り計らって始末をつけることである、このように書かれている次第でございます。
  18. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の御見解にかかわってもう一点お聞きしたいんですが、今「措置」というお言葉をお聞きしたんですが、一般論で結構ですから、もう一つよく似た言葉に「処置」という言葉があります。法令上この「処置」と「措置」の違いというのをちょっと解説していただきたいんですが。
  19. 大森政輔

    政府委員大森政輔君) ただいまのお尋ね、幸いに私どもが編集しております法令用語辞典というものにその説明をしておりまして、「措置」と「処置」は大体同意義であると。「「処置」が、個々の事項の始末をつけることの意味に用いられるのに反して、「措置」は、これを総体として表示する場合又はその結末よりも手続の面に着眼して用いられることが多い」とは言えるけれども、大体は同意義である、このように解説しております。
  20. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 法令用語辞典を見ますと、最後の大体は同じであるというだめ押しは何か解説にはないのでありますが、今の解説でおわかりのように、この問題は、「措置」という言葉は「処置」に比べて割合幅広くとられている。それから、今最初にお話がありましたように、もろもろの手段を用いて始末をするといいますか処理する、こういうことでありまして、私はここにはかなり幅広いものがある、このように受けとめておることを申し添えておきたいと思います。  それからもう一点、総理、恐縮ですが、この合意事項の第二項なんですが、これを読みます。「現行の金融、税制、財政制度及び経済構造全般にわたる改革を行い、併せて金融機関等の諸問題について協議し処理するための特別委員会を設置する。」、これが第二項であります。つまり、ここで言っていることは、この特別委員会では、まず国家としての重要な制度改革、構造改革をしっかり議論して実践しよう、その中で今の金融のいろんな問題についても処理しよう、文章を読めばこういうことではないか。したがって、今お答えになった住専の問題もその中の一部になってくるんじゃないか、このように思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  21. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今与党、新進党間における合意の第二項を読み上げられたわけでありますが、これを国会においてどういう御審議をなさっていかれるか、これは国会において判断されるべきことでありまして、政府がコメントすることは私は差し控えさせていただくべきことだと思います。  政府としての立場から申し上げますならば、市場規律に立脚をした透明性の高い金融システムを早急に構築するための金融関係諸法案を国会に提出しておるわけでありまして、国会における真剣な御議論というものを期待しているところでありますし、またそれが早期にお認めいただけることを心から願っております。  しかし、いずれにいたしましても、政府の立場といたしましては今回の合意を真摯に受けとめておりますという以上のことを申し上げるべきではないと思います。
  22. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 この議論はこれで一応終えたいと思います。  続きまして、大蔵大臣、お帰りになったばかりで大変御苦労さまでございますが、住専の問題について幾つかお伺いをしたいと思います。  まず、大蔵大臣は最近、特に住専の問題については母体行に対する追加負担といいますか、もっと母体行は負担すべきだと、こういうことを答弁等でも、さっきもおっしゃられました。大変恐縮なんですが、そのお考えをもう一度ちょっとかいつまんで、ポイントだけ教えていただきたいと思うのであります。
  23. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) もう一遍ちょっと済みません。
  24. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 住専の追加負担、母体行の追加責任というお話です。
  25. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 私が申し上げておりますのは、母体行の住専にかかわる責任をどう考えるかということについて皆様方からも大変厳しい御意見がありましたし、私もその経緯等にかんがみ、母体行としてはさらなる責任のとり方というものが求められているのではないかというのを当初から申し上げてきたところでございます。  経営者がみずからの責任をどうとるかという問題は、これは法的に追及される責任がございます場合には司法の手によってその責任は追及されるものでありますが、経営上の責任、その判断は経営体みずからが行うものと考えております。この負担の問題につきましては、そういう責任の自覚の上に立って、そして協議に基づいて合意し得るものを負担してもらいたいということを申し上げているのであります。  幸い、これらの当事者の体力論から申し上げますならば、金融機関全体がそうではありませんが、大部分が今日空前のと言ってもよいくらいの業務純益を上げておいでになります。また、最近の経済の状況によってその持ちます含み益も大きなものがあると考えておりまして、私どもとしては別に経営を揺るがすような負担をしてもらいたいという話ではない、このように思っておりますので、ぜひ金融機関当局もこの協議に真剣に応じて具体的な寄与を考えていただくようお願いをしたいと思っておるところでございます。
  26. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと確認なんですが、今の答弁の中でも申されたような気がしたんですけれども、二月の終わりか三月ぐらいだったと思いますが、大蔵大臣母体行トップに引責辞任を迫ったと。これは真意のほどは別にして、そういう報道がされて話題になったことがあります。今お話しされたさらなる負担ということは引責辞任の話とは全く別の話か、あるいは両方とも求めておられるんですか、大臣は。
  27. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 私は、母体行である金融機関に今日の深刻な住専問題に責任が重いという立場に立てば、この問題は経営主体がみずから検討せられるべき問題であると、このようなことは当初から申し上げてまいりました。  私が銀行の経営者を銀行法の条項を使って解任をするとか辞任を求めるとかそういう種類のものではない、こう思っております。私は、そのような立場から辞任を勧告したり辞任を求めたりしたことはございません。しかし、その責任の重いことをぜひお考えいただきたいということは直接に申し上げてございます。
  28. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっとそこのところは微妙なところなんでしょうが、話を先に進めたいと思います。  先日、参議院母体行のトップもお越しいただいて参考人質疑をやりました。そのときに母体行の代表は、大蔵大臣のおっしゃる新たな追加負担を求められるということになると現在のスキームが崩れてしまってもう一度原点に戻ってしまうことになると、こういうふうな趣旨のことを何回かおっしゃいました。  それから、事実政府の方も、もともとこのスキームをおつくりになった時点では三・五兆円の債権放棄と低利融資、出資、こういうことで皆さんの責任はオーケーですよということだったんじゃないかと思うんですよね。というのは、政府でお決めになった後の政府の資料の中にもこういうふうに記載しておるんです。母体行は、過去の経緯等を踏まえ債権三・五兆の全額放棄、つまり過去の経緯等という中に大臣がおっしゃっているもろもろのことというのは入っているんじゃないかと。だから、母体行の責任はこれで済んだと私は言っているんじゃなくて、そもそも政府はつくったときにはすべて織り込んでこのスキームを決めたんじゃないかと。  ですから、大臣がどうしてもこれで母体行の責任はまだ果たされていないというふうにお考えであるなら、やはり私はスキームそのものをやり直すべきではないか、こう思うのでありますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  29. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) そこが大変直嶋さんと意見の分かれるところだと思うんです。  私は、一応当事者間に政府が加わってスキームをつくることについての合意が得られたと思っております。それで、この合意に基づく住専不良債権の処理を進めていく段階で、私は母体行の持っている住専問題に関する責任、それから負担能力、そういったようなものを勘案しながら、さらに新たな寄与を母体行側はやるべきではないか。そのことが、国会で母体責任ということを皆様方が厳しく追及されました、その国民の声にもおこたえすることになることだ、このように思っているのであります。  六千八百五十億を帳消しにするために銀行が持て、こういう短絡的なとらえ方では、今の直嶋さんがおっしゃったようなお考えにならざるを得ない問題でございますから、私どもとしてはそのような考え方には立たないのでございます。
  30. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 非常にわかりづらいんですよ、おっしゃっておる趣旨が。  結局、このスキームが本当に母体行の、さっきちょっとおっしゃった住専の経営責任だと、こういうもの等を踏まえたものというのであれば、その根拠といいますか、もっと申し上げれば、政府の住専処理が出されましたときに、一体責任はどうなっているのだ、だれがこんなふうにしたのだという議論がありましたですね。それから、大臣が今口にされました六千八百五十億円の税金をなぜ投入するのだ、その根拠を示せ、こういうお話がありました。  今から思うと、結局、そのときにだれにどういう責任があるかということをきちっと整理してこなかったことが、あいまいに処理してきたことが、大臣は国会の議論を通してということをおっしゃいましたが、今になってそのことが問題点として浮上してきたのだと思うんです。  ですから、やっぱり私は、これは取っかかりのスキームをつくるときに、やり方といいますか詰め方が甘かった、あるいは問題があった、このように思うんですけれども、この点はいかがでございましょうか。
  31. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 御指摘になりました点につきましては、私は率直にお聞きしなければならない重要なことをおっしゃっておると思っております。これらの問題は、不良債権、とりわけ住専の問題についてはこの危機的な状況を処理するための方策というのが第一次再建計画、第二次再建計画と数年にわたって検討されてきたわけです。その努力も当事者間で続けられてきた。そういう長い経過がありますだけに、一体なぜそうなったのか、その責任はどこにあるのかというようなことがもっと徹底的に解明された上で問題が処理されれば最もよいやり方であったと私自身もそう思っております。  しかし、今そのことを言っているには余りにも不良債権の処理の問題は深刻に日本経済の障害となる大きな問題となってきた。これを何とかして処理しなければならない。だから、その処理に当たって、責任問題も明確にしよう、それから必要な情報も国民に最大限開示をしてこの事態を理解してもらおう、その上に立って我々はこの住専問題を債務者への追及も含めて、その回収の努力を全力を挙げてやりながら、今やらなければこれ以上先送りできないという事態の中でのやむを得ざる判断であったと思っております。  したがって、その責任問題は同時並行的に回収とあわせて追及されなければならないし、また母体行の責任問題も、国会の御審議の中で、紹介融資にとどまらず、初めから計画的な不良な紹介融資等があったのではないかというような御質疑等もいただいております。これらの問題も明らかにされなければならないことでありますし、私どもは債務者、債権者それぞれの立場において、住専は両方の立場に立つわけでありますけれども、債権債務にかかわっての責任は国税、検察、警察各面の協力を得て可能な限りの責任を追及しようということで、今日も既に大口債務者等の司法による追及も行われているところでございます。
  32. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今いろいろとお話しになった中で、大変重要なことをお話しになったと思うんです。つまり、六千八百億円を帳消しにするようなそういうことではないが、今の大臣のお言葉をかりれば、こういう国会等の議論の中で、あるいはこれからまだ法案審議がありますが、そういう審議、それから実際に回収に入った段階、これはいろんなことが出てくるだろう。そうすると、その中でまた改めて、今は母体行のことが問題になっていますが、それぞれ当事者に問題がある部分が出てくれば、この負担も含めて、走りながら考えるといいますか、走りながらやると、こういう理解でよろしいんですか。
  33. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 基本的な仕組みは御相談を申し上げておりますことでぜひ御理解をいただいて、これでスタートさせていただきたいと思うのであります。その中で、責任を伴って新たな負担を求めなければならないもの、その能力があるものに対してはそのようなことが検討されることもあり得べしと、私はそのように考えております。
  34. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それでは、大臣、こういうやり方もあるんじゃないですか。  もう六千八百億円削除しておいて、今お話があったように法案審議とかやりながらいろいろと責任を明らかにしていき、税金が必要だというのは最後の判断をして入れればよろしいんじゃないですか。どうなんでしょう。どこが違うんでしょうか、どっちから山に上がるかと同じだと思うんですが。
  35. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 今、金融機関等債権者を含めて合意いたしましたものをもしおりるということになりますならば、新たな方法による処理しか道がなくなるわけであります。そうなりました場合には、金融機関の側にも若干そのような意見がないではありません。もしそうならば法的処理で始末をつけてもらった方がわかりやすいんじゃないか、こういう意見も出てまいります。そうなりました場合には、母体行の実質的な負担による責任のとり方というものは逆に軽くなるんじゃないでしょうか。  私は、きちっとやるべきことをやる、そのために、大変国民の皆さんには申しわけないけれども、既にこの処理をスタートさせるために御負担を願うことにいたしました六千八百五十億はぜひ御負担を認めていただいて、その上で今申し上げたようなことを進めていくということが最もこの問題を処理する適切な今日的方法であろうと、このように思っているのであります。
  36. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 大臣の御説明は一見もっとものようなんですが、今状況はこうなんですね。まだ住専処理法案というのは審議されていないんです。スキームそのものも法案の中でこれから審議をするんです。ですから、今、政府が御提案になったのは、あの六千八百五十億円というお金を緊急金融安定化資金に投入するよと、こういうことを予算上御提案になったわけです、法案は国会に出されていますけれども。  したがって、今のようなお話でしたら、お金の話だけですから、とりあえずそれこそ本当に予備費にでも入れておいて、あとは法案審議しながら、出すことは全く否定しませんよということになるのかもしれませんが、審議をしたり回収する過程で本当に必要なものを入れていくと、こういうことは十分可能なんじゃないでしょうか。ちょっとそこが理解できないんです。
  37. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 今お話がございましたこれを予備費に回すということは、予算の制度上、私は困難なことだと解釈いたしております。だから、六千八百五十億というのは、これを認めないか認めるかということで決めていただく以外に、この六千八百五十億を予算のどこかへ移してということにはならないのではないかと思っております。
  38. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は別にテクニカルな問題を申し上げているんじゃなくて、物事の進め方として後でやってもいいんじゃないか、そういうやり方というのは十分間に合うんじゃないかと、まだこれから法案審議するわけですから。  もともとこういうものはそういう性格かもしれませんが、順序の話はここでは議論しませんが、大臣のお考えのように、やりながら責任が明らかになった段階でいろいろと負担を増したりしていくということであれば十分できるのではないか、こういうふうに申し上げているんですけれども、どうなんでしょうか。その六千八百五十億を入れる、投入するということを言わないとだめだという理由がちょっとよくわからないのであります。
  39. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御提案を申し上げております仕組みにつきまして補足的に御説明を申し上げたいと存じますが、大臣が申し上げております、もし母体行等に責任があり、例えば損害賠償請求等に基づいて負担をするというようなことになりました場合には、直嶋議員御提案のように当初措置するということではなくて、今御提案申し上げております仕組みの中では、そういうものが生じてまいりました場合には国庫に還流すると、そういう仕組みができております。そこで生まれたものが国庫に戻るという方法を通じまして国民にお願いしております負担が軽減される、そういう仕組みになっているわけでございます。
  40. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今のお話も要するによくわからないんですが、国庫に還流するとか損害賠償の話を私はここで議論しているんじゃないですよ、一緒にしないでいただきたいと思うんです。大臣も多分そういうお考えでさっきからお話しされているんじゃないと思うんです。ちょっとそこら辺、今の御説明ではすっきりしないところがあるんです。  もう一つ大臣に確認させていただきたいんですが、この問題で確かに母体行の責任というのは私も重いと思います。大臣がさっきおっしゃったような経営上の問題とか紹介融資だとか、いろいろ問われなければいけないことはあると思うんです。  しかし、国民世論が一番怒っているのは、実は一番責任を明らかにしなければいけないと思っているのは、多分、これは世論調査を見れば明らかですが、やはり大蔵省とか農水省といった行政当局の対応だった。これにあるんじゃないかと思うんですけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  41. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) どのような意味で御質問になったのか、私取り違えておりましたらまた御指摘いただきたいと思いますけれども、私は、バブルの発生から破綻に至りますまでの行政対応というものは、そのときそのときは一生懸命に考えてやったと思っております。しかし、すべてこれらの問題はその結果に責任を負わねばならぬことであります。したがって、その責任は当然のことだと考えております。  その責任をどのようにするのかというお尋ねだと思うのでありますが、そのためにこそ、今このような問題が起きないようにするために新しい時代における金融システムというのはどうあるべきか、金融行政は何をなすべきかというようなことについて明快な答えを出す。その第一歩として、金融三法が国会に今御審議をお願いする段階になっているわけでございますが、そういう問題点を明確にしてその答えを出すということも責任のとり方の一つだと考えております。また、行政そのもののあり方についても、行政改革の立場とあわせて検討をすべきことが責任として求められているのだと考えております。  個々の責任がどうかというような問題になってまいりますと、法律上の責任を問われるものは、これはその責任が司法によって問われることは当然やむを得ないことであります。  また、今後行政責任としてどのようなことをなすべきかについては、今やるべきことをきちんとやり遂げた上で判断すべきことだと思っております。
  42. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、行政は結果責任だというふうにおっしゃいました。それから、これからの行政あり方等もお話しなさいました。ただ、母体行の問題点として大臣は、経営に深くかかわっていた、人事の問題とかかわっていたと、さっきこのようにおっしゃいましたね。  そうすると、この間も議論がありましたが、住専経営者、経営陣のかなりは大蔵省から行かれた方であるわけですね。例えば、やっぱり世論というのはこういうことを見ているんじゃないかと。ですから、母体経営者の経営責任をおっしゃるなら、その一端は大蔵行政の中にもあったと、こういうことではないかと私は理解しているんです。それから、細かいことを挙げれば、もろもろの通達等も含めて、やはり住専がこういうふうになっていった上での責任は大きいんじゃないか。  今、大臣、しかるべきときには責任をとるんだと、こういうふうにおっしゃったわけでありますが、これは二月末の新聞なんですが、銀行の経営者が集まった席で、小川事務次官がこの住専に関する当事者の責任をいろいろとおっしゃった中で、「大蔵省の行政責任については、予算成立の際に蔵相から発言があると思う。」と、こういうようなことをおっしゃったという報道がなされています。  例えば大臣が今がおっしゃったようなタイミングというのは、あるいはそういう時期等も含めてこれから大蔵省の責任について何らかのことを意思表示されるおつもりなのかどうか、ちょっと確認したいんです。
  43. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 事務次官から私が報告を受けておりますのは、銀行協会会長に対して、私の何度かの記者会見や国会における答弁等が正確に伝わっていない面もあるので、そのことを正確に伝えたいということで、テープを起こして、それらのものを用意した上で説明をなさったと聞いております。  そして、銀行の幹部を集めたのではなくて、銀行協会の会長に皆さんにもぜひその旨説明をしていただきたいと申し上げたところ、それならば、あす集めるのでぜひあなたが来て話してくれぬかと、こういうことで次官は行って話をされたと私は報告を受けております。  その中で今のようなお話があったのかどうか知りませんが、ひょっとしますと私の記者会見の中に、直嶋さんが今おっしゃったようなことを申したことがあるかもしれません。  と申しますのは、予算が成立し、住専処理機構がいよいよスタートできると、そういう段階になったら、バブルの発生から破綻に至るもの、今までの金融行政がこれでよかったかどうか、また行政と業界のかかわりというのをどのように考えたらよいかというような問題等についてできれば取りまとめて、いよいよ住専問題の処理が始められるという段階では私の意見も申し上げる機会があろうということを記者会見で申したことがあるように思います。そのようなことを次官が話されたのか、そのプリントの中にそのようなことがあったのかもしれません。
  44. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、この国会で衆議院で二百時間を上回る議論、参議院もこれだけ議論してきました中で、区切りがついたところで大蔵大臣のお考えとしてしかるべき取りまとめをして話をされるということはやはり大事なことではないかと思っておりまして、この点申し上げておきたいと思います。  それからもう一点、ちょっと大蔵大臣の真意を確認したいのでありますが、大臣が今母体行の責任はまだ足らない、まだまだ重いということをおっしゃっておられます。その母体行ですが、これは例えば地銀ですとかあるいは生保とか、そういうところまで念頭に置いて母体行ということでおっしゃっておられるのか。あるいは、さっきちょっと紹介融資のお話がございましたが、ああいう紹介融資というのは大手銀行にかなり集中しているわけでございます。母体行とおっしゃっているけれども、そういう大手銀行の責任を念頭に置いておっしゃっておられるのか。この点はどうでございましょうか。
  45. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 余りそのことについて言及をして誤解を受けるといけませんけれども、母体行といいますと百六十八ございます。その母体行の七社の住専へのかかわり方というのは、大きい小さいではなくていろいろ違いがあると思っております。だから、これらのことは当然にいろいろまた母体行のかかわり方についてその責任が明確にされていく中では明らかになっていく問題だろうと思っております。
  46. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 さっきちょっと申し上げたことともかかわるかもしれませんが、僕はそれは非常に重要なことだと思っています。今、大臣がいみじくも住専各社に対するかかわり方がそれぞれ違うと、こういうふうにおっしゃいました。その話をきちっとやっていこうとすれば、これは七社まとめて一括処理ということではなくて、結局は個々の住専ごとにどうだったかということを突き詰めていかないと本当のところはわかってこないんじゃないか。したがって、一括処理というのは難しいんじゃないかと思うんです。これをきちっとやればやるほどそうなってくるんじゃないかと思うんですけれども、この点はいかがでございましょうか。
  47. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 直嶋議員今御指摘の点がこの住専問題につきまして大変に難しい点だと私どもも思っているところでございます。  この住専問題の処理につきましては長い経緯があるわけでございますが、そのような検討の経緯の中におきましては、御指摘のように住専七社あるいは住専八社を個別に処理するという方法もあるのではないかということで、関係者が検討をしたというプロセスもございます。  しかしながら、結局この住専問題と申しますと、その特質は七社に共通した系統金融機関という最大の貸し手がおられるという共通点があるということ。あるいは、それぞれ多少の違いはございますが、それぞれが多くの母体行、通常のノンバンクのように一対一の関係ということではなくて複数の関係者がいて、その権利関係が非常にふくそうしているというような共通点もある。このような点から、どうしても七社一括して解決するのでなければこの問題の糸を解きほぐすことができない。こういう結論に達しまして、昨年十二月十九日に今御提案申し上げております政府の処理案を御提案申し上げたところでございます。
  48. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 この問題、もう少しやりたいんですが、ここで同僚の大森議員に関連質問をお許しいただきたいと思います。
  49. 井上裕

    委員長井上裕君) 関連質疑を許します。大森礼子君。
  50. 大森礼子

    大森礼子君 平成会の大森礼子です。関連質問をさせていただきます。  まず、今回の住専処理問題について政府広報、大蔵省として「住専問題とは何ですか。 お答えします。」というパンフレットが作成されております。その中の四ページでも「悪質な借り手からは強力な取り立て機関があらゆる手段を使ってきちんと取り立てます。」と。それから、この予算審議、衆議院、参議院で政府が繰り返しておっしゃることは、強力な取り立てということでございます。その強力な取り立てが具体的にどういうふうになされるのかなということについてお尋ねしたいと思います。  説明を求める際に、大蔵省から平成八年二月に「強力な回収体制について」と題する文書が出ておりまして、この別紙として「強力な回収体制(イメージ・案)」、こういう図がございますので、これに沿って説明を求めたいと思います。  まず、預金保険機構がこの特別措置法案の言い方でいいますと債権処理会社を設立するわけなんですけれども、大蔵省としましてはこの設立時期をいつごろと想定して準備をしておられるんでしょうか。
  51. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 私どもは、住専問題は時間との勝負だと思っております。したがいまして、一日も早くこの住専処理機構あるいは預金保険機構の仕組みを整備する方策をお許しいただくようにお願いをいたしたいと存じております。
  52. 大森礼子

    大森礼子君 今のは答えですか。時間との勝負、一日も早く、そう思うから私は質問しておるんです。  それではお尋ねいたしますけれども、もう相当案ができておると思うんですが、この債権処理会社の本店の所在地、これはどういうふうに考えておるんでしょうか。どういう形になりますでしょうか。
  53. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) ただいま予算及び法律につきまして御審議を願っております段階でございますので、余り私どもが立ち入ったことを御説明することはいかがかという点もあるかと存じますけれども、私どもといたしましては、本部機能は東京に所在するものと想定をいたしております。
  54. 大森礼子

    大森礼子君 東京か大阪になるんでしょうけれども、例えば東京のどういう形にするのか、どういう建物を使うのか、これをまずお尋ねします。  それから、一緒に質問しますと、債権処理会社の取締役の人選というのは預金保険機構の運営委員会で決めることになると思うんですが、どういう人をこの債権処理会社の取締役に選ばれるお考えなのか。そこら辺はいかがでしょうか。
  55. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) まだ建物まで検討する段階には至っておりませんけれども、住専処理機構の役員は、これは組織としては株式会社組織でございますので、この住専処理機構の株主としての立場からそういう検討がなされるかと存じます。御指摘のように、住専処理機構の出資者は預金保険機構でございますので、そういう観点から預金保険機構の考え方というものも反映される、こういう仕組みになっているわけでございます。  この役員は、これもこれからの検討課題でございますけれども、当然、住専処理機構が担っております役割から申しまして、公正公平でかつ業務に精通した人が選ばれなければならないと思っておりますけれども、具体的には今後の検討課題でございます。
  56. 大森礼子

    大森礼子君 預金保険機構が検討するというのは当たり前なんです、これは運営委員会で決めることになると思いますので。発起人なんですから、預金保険機構が。だけれども、この預金保険機構というのは大蔵大臣が監督するわけでしょう。必要な命令も出せると。全く大蔵省と独立てはない。実際にこの案をつくるのは大蔵省がやるしかないわけでしょう。だから、何かその具体的な考えというのはあるんじゃないんですか。預金保険機構が検討するといっても、例えばどういう人が取締役になるのか、それによって債権処理会社の性質は決まってくるわけですよ。例えばまた天下りの方が行かれるのか、あるいは母体行から行かれるのか、そこら辺の案もまだ全然検討しておられないんでしょうか。
  57. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 先ほど申し上げましたように、この機構の性格から申しまして、その責任者は公平公正であり、かつ業務に精通した人でなければならないということは御理解いただけると存じますけれども、それを具体的にどのような経歴を持っなどのような方にお願いするかということは、今の段階でまだ私どもそこまで検討をするという段階には至ってございませんので、御了解いただきたいと存じます。
  58. 大森礼子

    大森礼子君 今の段階で検討するに至っていないということです。  それから、原始定款とか定款の絶対的記載事項には目的が要るわけですね。それで、目的についてですが、これは新規貸し出しをやるんでしょうか、それとも回収のみの会社になるんでしょうか。
  59. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 業務の運営に関しましては、実際にこの機構が設立された段階でその運営の責任者が決めることになろうかと存じますけれども、私どもは、この組織の性格といたしましては、あくまでも住専の処理、清算をするということを主たる目的とするものでございますから、新たな仕事に取り組むというような性格のものではないと理解をいたしております。
  60. 大森礼子

    大森礼子君 そうしたら、新規貸し出しはやらないと理解してよろしいんですか。
  61. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 基本的な考え方として、新規貸し出しをどんどん行っていくというような性格のものでないというのは、これが清算をするための組織でございますから、御指摘のとおりかと存じます。  ただ、実際に仕事をしていく上で全く新しい、例えば現在ある債権を処理していくための一つの手法として新しい貸し出し、それを新しいと言うのかどうかというのは定義の問題でございますけれども、新規の貸し出しを全くやらないということにした方がいいのかどうか、それは現実にこの組織を運営していく段階で個別のケースに応じて判断をしていくべきものもあろうかと存じます。  しかしながら、私どもは、この組織の性格から申しまして、あくまでも住専七社を清算するためのものでございますので、新しい仕事に取り組んでいくというようなことではないというふうに考えております。
  62. 大森礼子

    大森礼子君 先ほど来、現実に運営していく人が決めることだとおっしゃるんですけれども、現実に運営していく人だったら、要するに新しくできた株式会社の取締役会ですか、業務を決めていくのは。それで、これが独立の会社なんだから大蔵省とか預金保険機構はタッチできませんよと言われちゃったら全く我々は不安ですし、これまで大蔵大臣総理大臣も大蔵省も強力な債権回収をやりますやりますと何か自分の手足みたいにして言うわけですから、そこのところ矛盾するわけですよ。だから、今の新規貸し出しについてはその説明で結構ですが、そこのところをはっきりさせてくださいよ、案はっくるけれども後は知らぬじゃ困りますので。  それから、イメージ・案に沿って質問させていただきますと、下の事業部のところから行きます。住専処理会社の債権管理・回収部門の中で一番下に事業部が規定してございます。第一から第七までの事業部です。ここが実際は手足となって動くわけですから実際の回収の実動部隊になると思うんですけれども、ここがどのような体制になるのか、もうできていると思いますから、具体的に説明してください。
  63. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) まことに恐縮でございますが、まだ予算案、法案が御審議の途上でございますので、私どもといたしましてはぜひ一日も早くこの組織を発足させていただきたいという願望は強く持っているところでございますけれども、非常に詳細なところまで、その組織の内容まで詰めるということは必ずしも適切でないと存じております。  ただ、今御指摘の七つの事業部でございますが、これは基本的な考え方といたしましては、七つの住専を清算するための組織でございますので、その七つの組織それぞれ今までの長い経緯を持っておりますから、それぞれの特徴を持っております。それを生かしつつ債権の回収に当たる、あるいは事業の整理を行うという意味で、この七つは現在の住専七社に対応するような組織というふうに念頭に置いて取り組むつもりでおります。
  64. 大森礼子

    大森礼子君 予算も法案も通っていないと言うけれども、それまで教えてくれないんだったら我々どうやって、中身がわからないのに審議できるわけないでしょう。この予算案についても、あなた方が強力な債権回収だと言うから、その中身を大体見せていただかないと審議しようがないじゃないですか。  それから、詳細までと言いますけれども、確かにまだ法案通ってないわけですから、そんな詳細まで詰まっているとも思えませんし、あなた方が最後に決められることでもないわけです。大体でいいんです、大体で。今の現状どういうふうになっているか、こういう観点からお尋ねしておりますので、よろしくお願いします。  それから、各事業部ですが、旧住専に、まだ住専ありますけれども、旧住専対応して事業部ができると。例えば建物なんかですけれども、これまでの住専の建物がそのまま看板をかえて事業部になるということも考えられるのか。それから従業員の人数、全体でどのぐらい考えておられるのか。それから住専の従業員がそのまま移るという形になるのか、ここら辺についてお尋ねいたします。
  65. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) まず、建物でございますが、現在七つの住専は東京のみならず全国各地にそれぞれが支社を置いて手広く活動をしているということでございます。恐らく、住専処理機構ができますならばそういう組織は必要なくなるわけでございますので、建物につきましても整理統合をできるだけ早くし、経費がかからないような工夫をする、こういうことかと存じております。  なお、人数でございますが、現在住専七社で二千人ばかりの人数を抱えております。これをどうするかということでございますけれども、恐らくこれは半分以下の人数に集約されることになろうかと存じます。その仕事の内容から申しまして、必ずしも従来住専が行っておりました仕事ではなくて、債権の回収だとか損害賠償請求だとか責任の追及というような部分も含めまして、法律的な知識経験を有する者あるいは不動産の処分の知識経験を有する者等、今まで働いていた人とは違った能力を有した人が必要となると考えております。そういう方々の積極的な御協力をいただくような組織にして運営されるべきものと考えております。
  66. 大森礼子

    大森礼子君 今の住専の人員が二千人、今半分以下と。これはそうしますと、ちょっと今はっきり聞けなかったのですが、この一から七の事業部で大体千人ぐらいの従業員の体制になるという、そういう意味でしょうか。イエス、ノーだけで結構です。
  67. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 今私どもが現段階で想定しております姿という本当に経過的なものでございますけれども、二千人程度おられる方々の半分以下の人数で仕事を進めることは十分可能であろうと考えているところでございます。そのほかに、先ほど申し上げましたような法律の専門家だとか不動産の専門家だとか、今までにおられなかったような方々にどの程度御協力いただくかということもあわせて考えていかなければいけないと思っております。
  68. 大森礼子

    大森礼子君 専門家の方は、その上の回収困難事案対策室のところだと思うんですけれども、これは後でお尋ねします。人員が半分になると手足の人数が半分になるということかもしれないということでございますね。  それから、四月二十日付の朝日新聞に記事がありまして、「住専処理機構 「一括勘定」を大蔵検討」とあるんですね。これまでは何か七社別に会計を分けて、各住専それから母体行の出身者が自社から移された債権回収の責任を持つようなことも聞いておったんですけれども、この新聞記事、これは正しいんでしょうか。
  69. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) この住専処理機構の勘定区分をどのようにするかというのはなかなか難しい問題でございます。  それぞれの過去の経緯もございますので、そういうものの特質を生かしながらそれぞれが責任を負っていくというためには、勘定をできるだけ分割いたしまして切磋琢磨していくということのメリットもあるわけでございます。他方におきまして、七つの住専を一括して処理するわけでございますから、例えば住専各社が債権を持っております。ある債務者につきましてその債権の取り立てを行っていくに際しましては、全体を通じまして一括して仕事をしていくということのメリットもございます。その両者をどのように兼ね備えていくのがいいか、兼ね合いを今模索しているところでございます。
  70. 大森礼子

    大森礼子君 記事によりますと、当初案からさらに別の検討に移ったのは、「「住総」など、七社のなかでとくに回収不能額が多くなりそうな住専母体行からの要望がきっかけ。」とあるんですけれども、こういう要望があったんでしょうか。
  71. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) これは母体行によって意見の違いがあるというよりも、いろいろな金融界の経験を積んだ方々の御意見として、勘定を分けてやった方が効率的に運営されるであろうという御意見の方と、できるだけ統合的な運用をした方が効率的に債権の回収ができるであろうという方と、いろいろな御意見の方がおられます。私ども、これからそういう各種の御意見を集約していく形で取りまとめてまいりたいと考えております。
  72. 大森礼子

    大森礼子君 明確な答えではないと思うんですけれども、それは時間の関係でよろしいです。  次に、この図のプロジェクトチームなんですけれども、もう簡単に質問いたします。  債権回収のエキスパートで構成するとありますが、このプロジェクトチームは各事業部に対応する形で設置されるのか、それとも東京、大阪の二カ所なのか。もし二カ所だとすると、各事業部とどのように対応させるのでしょうか。  それから、もうついでに聞きますけれども、このプロジェクトチーム全体の規模、人数とか、これはどういうふうになるんでしょうか。
  73. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 繰り返しになって恐縮でございますが、あくまでもまだこういう段階におきます私どもの一種のイメージということで御説明をさせていただきたいと存じますけれども、先ほど申しましたように住専七社を共通した債務者というようなものを念頭に置きながら処理していくとするならば、七社を統合して管理していくようなセクションが必要になろうかと存じます。今御指摘の組織はそういうためのものでございます。  私ども、こういう事案というものは主として首都圏と近畿圏を中心に分布をしておるのではないかと存じますので、そういう組織は東京と大阪に置かれてそれぞれが近隣の地域をも管轄しつつ運営されていく、そういう姿が効率的ではなかろうかと考えております。
  74. 大森礼子

    大森礼子君 イメージで結構なんですよ。ただ、あなた方が、大蔵省がやっぱりこういうふうにしたら債権回収できるでしょうと具体像を示していただかないと、総理大臣大蔵大臣、大蔵省のおっしゃる強力な債権回収、言葉だけ先行しちゃって本当に大丈夫なのかなと思うわけです。だから、安心できるような案を示してもらいたいんですが、今の段階ではまだ具体的にはなしていないということでございますね。  次に、本部の中に回収困難事案対策室を東京、大阪に置くとありますけれども、この対策室は債権回収部門の各事業部とどのように対応させることになるんでしょうか。  また、あわせてお尋ねしますが、いろんなスペシャリストを結集とありますけれども、各対策室の陣容、構成はどうなるんでしょうか。嘱託なのか専属なのか、それから各種団体、日弁連とかにもう既に協力依頼等を実際にやっておられるんでしょうか。  たくさん言いましたけれども、お願いします。
  75. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) この特別対策部というような性格のものを東京、大阪に置いて、そこには法務・検察あるいは警察、国税の、これは住専処理機構でございますので現役ということではなくてOBの方々の御協力をお願いするような形になろうかと思いますが、そういう方々あるいは不動産取引の専門家だとか法律の専門家、具体的に言いますならば弁護士とか不動産鑑定士の方々ということになろうかと思いますが、そういう各分野のスペシャリストの方にも御協力をお願いする必要があろうかと存じます。それがどれぐらいの人数が必要かということにつきましては、まだ公にそこまで申し上げるだけの準備が必ずしも整っておりませんので、御容赦願いたいと存じます。
  76. 大森礼子

    大森礼子君 今の御答弁ですと二月の時点で書いたイメージ案、これを読んでいるだけなんですよ。私が聞きたいのは、具体的にどうなるのか、どう動くのかということなんです。まだ要するに明確になっていない、これがわかっただけで結構です。  次に、債権回収推進指導部というのが預金保険機構の中にありますが、ではこれについても陣容とか人数とかはまだ明確になっていないということでよろしいですか。もうイエス・ノーで結構です。
  77. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) この預金保険機構の方は、認可法人といたしまして住専処理機構に比べますと公的な色彩をより強く持ったものでございます。そのようなことから、こちらの方は現役の職員の出向も私どもは可能だと考えております。  今御指摘になりました組織に対しましては、法務・検察、警察、国税等の現役の人々の出向のほか、やはりここにも法律の専門家だとかあるいは金融の精通者等の御協力も得ていくべきものだと考えております。
  78. 大森礼子

    大森礼子君 またそれもこれまでの説明どおりで、その中身を知りたいんですよ。具体的に実際どういうふうに動くのか。要するに、それもできていないということでございます。  なぜこんなことを聞くかといいますと、預金保険機構が債権処理会社に出資するわけですけれども、そのときに大蔵大臣の認可が要るわけですね。それで、特別措置法案の五条四項二号ですか、大蔵大臣はチェックしなくてはいけないと。「出資しようとする株式会社が、」「債権の回収のため、十分な調査を行い、及び必要な民事手続を迅速かつ的確にとり得るものであると認められること。」、これをチェックしなくてはいけないんですね。  これがなかったら、要するに資金ですか、これも出せない。出せないとなると、設立には現実に出資が要るわけですから、会社自体が設立てきないんですよ。ここの措置法案の五条四項二号、ただこんなペーパーだけでいいということではございませんでしょう。実質に人的要素も満たされていないといけないということでしょう。今こんな状態であれば、大蔵大臣、認可できないんじゃありませんか。そのことを指摘しておきたい。  最後に大蔵大臣に。大蔵大臣はこれまでもこういうことを聞かれまして、何よりも早く住専処理機構が発足するように皆様の御協力をお願いしたいと、これは一月三十一日の予算委員会です。それから、四月十二日の参議院予算委員会でも大河原委員質問に答えまして、「早くから申し上げていることでございますけれども、機構の成立、整備を急がなければ、やはり時間とともにこの処理は傷口を深くし、難しくなっていくなという感じを持っております。」と。そうであれば、もっと急がなくてはいけないんではないかと思うんですけれども、今のやりとりを聞かれまして、大蔵大臣、どのようにお感じになりますでしょうか。
  79. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 先ほど直嶋さんの御質問に、今取り上げられましたようなことを、同じことを申し上げたと思います。
  80. 大森礼子

    大森礼子君 ちょっとこれは大丈夫かなという気がするんですけれども、要するに言いたいことは、強力な債権回収ができるかどうか、こういう判断資料なくして私たちは予算審議できるはずがないということなんです。  今の大蔵大臣の答弁も何か本当に受けとめる気もしませんけれども、より早急に具体的な案、具体的なイメージ案で結構なんですから、それをどうぞお示しください。これをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
  81. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それでは、残る時間で、今ちょっと議論ございましたが、二次損失について大蔵大臣にお伺いしたいと思います。  まず、政府の御決定では、二次処理スキームの中で、損失が生じたときは「政府・民間の共同の責任で処理することとし、」というふうにうたわれているわけでありますけれども、政府にはどういう責任があるというふうにお考えなんでしょうか。
  82. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) いわゆる二次損失の処理でございますが、考え方といたしましては、六兆四千百億円の損失の処理というものは当事者がそれぞれ果たし得る最大限の努力を行って分担していく。この上で、さらに損失が生ずるかどうかという点でございますが、それは生じないように最大限の努力を払うわけでございます。万が一生じました場合の処理は、これは金融システム全体の安定のための施策でございますので、民間と政府が金融システム全体の安定を図るという見地から、その責務を分担してまいる、こういうことで二分の一ずつ分担をしていこう、こういう考え方になっているわけでございます。
  83. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の答弁は納得できないんですよ。金融システムとかシステム全体の安定と言われると、何となく筋が通っているように思うんですけれども、そのためにやるということであれば何だってできると思うんですよ。すべてのことが金融システムの安定とかかわってくると思うんです。  大事なことは、政府が負担するということは税金を使うということですから、言いかえれば。ですから、そうすると、なぜ回収によって生じてくるロスまで税金、財政資金で補わなければいけないのか、こういうことなんですが、この点どうなんでしょうか。なぜやらなきゃいけないんでしょうか。回収は、さっきもおっしゃっているように処理機構が責任を持ってやるわけでしょう。なぜその負担を税金、財政資金を入れなければいけないんでしょうか。
  84. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 回収に要するという御指摘でございましたけれども、いわゆる二次ロスと言われているものは、最大限回収努力をしてそういうものが生じないようにしていくという前提に立ちながら、万が一その回収努力にもかかわらず損失が発生をいたしました場合には、それをどのように処理していくかと、こういう仕組みのことを言っているわけでございます。  これを放置する、あるいはその処理のめどがつかないということになりますと、この住専問題の全体の処理がはかどらない。そのことが金融システムあるいは日本経済にとってマイナスであるという判断から、金融システム全体のために国あるいは民間も、これは直接責任があるというような立場というよりも、むしろ金融システム全体をスムーズに運営していくことに寄与したいという見地から御協力をいただくという趣旨のものでございます。
  85. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 そこの考え方がすっきりしないんですよ。  さっきのあなたの言い方だと、もう二次ロスは、この閣議決定された政府と民間が半々ずつ責任を持つ、こういう条項は要らないんですよ。なぜこんなの決めるんですか。そして、やった結果、それこそほとんど出なくて、万が一出たときにやるんですから、住専だって万が一の事態が生じたから今やっているわけでしょう。そういう処理にすればよろしいじゃないですか。なぜあの閣議決定をしたんでしょう。これは撤回すべきじゃないですか。
  86. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 住専の処理ということになりますと、直接的には損失が予想されます六兆四千百億の処理ということになりますが、しかし全体的に考えますと、十三兆円に上る債権債務関係をどのように考えるか、将来起こる可能性のある問題をも含めまして関係者の間でどのような処理のルールをつくっておくか、こういうことになるわけでございます。  六兆四千百億に係るいわゆる一次ロスの処理というのは既に生じることが明らかになった部分の問題でございますけれども、それにとどまらず、将来起こる可能性のある事柄につきましても、あわせてその処理方策を関係者の間で合意をしておくことがこの問題全体を処理するためにどうしても必要不可欠なことであるということは御理解いただけると存じます。
  87. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それじゃお伺いしますが、万が一の場合生じる二次ロスの上限は幾らぐらいだとお考えでしょうか。
  88. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) できるだけそういうものが生じないようにということでございまして、上限というものは我々想定をいたしておりません。
  89. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つくっていないということは、ないということですね。青天井ということですか。
  90. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 私どもはできるだけそういうものが生じないように、限りなくゼロに近づけていくという努力をする、こういうことでございます。
  91. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それじゃ、西村さんにお伺いします。  去年の十二月二十五日付の日経金融新聞なんですが、あなたはこのインタビューを受けて、二次ロスについてこういうふうに答えられています。「今想定しているのは一兆二千四百億円を限度とするものであり、今後、今までにないような回収努力をすることによって、むしろ縮小すると考えている」、こういう御返事をされているんです。縮小ということはおっしゃっているんですが、限度は一兆二千四百億円だ、こういうふうにおっしゃっているんですけれども、そうじゃないんでしょうか。
  92. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) その限度という言葉でございますけれども、住専七社がそれぞれ別々に処理をしていくということになると、それは昨年八月の段階で調査をいたしました結果として一つの数字、一兆二千四百億円というような可能性もあろうかと存じます。  しかしながら、それはあくまでも住専七社がばらばらにそれぞれが回収努力をした場合の想定ということでございまして、私どもの今回の処理方策におきましては、そういうことにはならないように七社が一括して回収の努力に努める、その結果として限りなくゼロに近づけるような努力をするという考え方で取り組んでいるところでございます。
  93. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の答弁は全く間違っているといいますか、わざと違うことをおっしゃっていると思うんです。このインタビューは後でお見せします。すべてこれは住専のスキームが決まった後の二次ロスの話の中であなたは一兆二千四百億円が上限だ、このようにおっしゃっているんです。だから、今の答弁はうそがあると思います。こういう答弁が出るようでは私はちょっと質問できないんですよ、本当に。きちっとおっしゃっていただかないと。
  94. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) ただいま申し上げましたように、その一兆二千四百億という数字は、昨年の八月におきまして私どもが住専八社の調査をいたしました段階でのいわゆる第Ⅲ分類というものに相当する数字になるわけでございます。  私どもの考え方といたしまして、住専七社がそれぞれ各社ごとの回収努力あるいは公的なバックアップを前提としないような回収努力を行いますならば、そういうものもロスになる可能性のあるものということで昨年の秋にも御説明をしてまいりました。しかしながら、今回のような七社を一括して、かつ公的なバックアップ策をも講じながらその回収に努力をするということによって、そのような可能性を限りなくゼロに近づけるという努力をしていこう、こういう構想でございます。
  95. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 午前中はこれで終わります。
  96. 井上裕

    委員長井上裕君) 直嶋正行君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時半に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十五分開会
  97. 井上裕

    委員長井上裕君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、直嶋正行君の質疑を行います。直嶋君。
  98. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、休憩前の銀行局長の答弁について納得がいきませんので、理事間で協議をお願いします。
  99. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  100. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記を起こして。
  101. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 先ほどお問い合わせの十二月二十五日付の日経金融新聞の記事の件でございますが、新聞のインタビューでございますので多少の省略なりはあろうかと存じますが、その質問は、二次ロスと言われておりましたもの、当時は一兆二千四百億という第Ⅲ分類のことを念頭に置いて世の中で議論がされていたわけでございます。そのような問題につきまして、記者の方から、二次ロスがどれくらい発生するかにもよるのではないかと。仮に第Ⅲ分類にとどまらず第Ⅱ分類の一部まで回収できないとすると、一兆二千四百億にとどまらずもっと大きなものになるので、むしろ民間の負担が一兆円を超える可能性があるのではないか、このような御質問でございました。  それに対しまして私の方からお答えいたしましたのは、第Ⅱ分類のところまで損失が膨らむというような想定をお置きになるのは少し行き過ぎではないでしょうかという趣旨で、ただいま我々が想定をいたしておりますのはせいぜい第Ⅲ分類と言われている一兆二千四百億円を限度とするものでございまして、今後今までにないような回収努力をすることによりまして、むしろその問題も縮小する努力を続けてまいりたいと考えているという趣旨のことを申し上げたわけでございます。
  102. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、一兆二千四百億円が限度だと。今あなたはいろいろ言葉を挟んで説明されたんですけれども、そういうことを明言しておられるんですよ。これはいいです、あなたを責めるのが目的じゃないから。  私が申し上げたいのは、大臣、閣議で財政資金を半額入れますということを決めるときに、普通は上限これぐらいのロスが見込まれるとか、あるいは何か客観データに基づいて判断するのは当然だと思うんです。多分、閣議でお決めになったんだからそういうことをなされたと思うんですが、どうでしょうか。この二次ロスはどこが上限なんでしょうか。
  103. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 閣議で決定されましたことは、まず第一段階でございますが、十二月十九日の閣議決定におきまして「政府は、同勘定に損失が生じた場合に、適切な財政措置を講ずる。」という方針を決めているわけでございます。これを踏まえまして、御指摘の一月三十日に閣議了解におきまして「政府・民間の共同の責任で処理することとし、政府の負担は二分の一とする。」という了解をしているわけでございます。この場合に、おっしゃるような意味での上限というようなことは想定されておりません。
  104. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 何も答えていないですね。  大体どれぐらいと見通しを立てて閣議で財政資金を半額入れるという決定をされたわけでしょう。税金を使うわけですから、当然きちっとした見通しを立てて議論されたと私は思うんです。だから、それを言っていただければいいんですよ。
  105. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 当時の、一月三十日の議論の前提といたしましては、いわゆる二次ロスと言われる損失につきましては、それが生じないように最大限の努力をする、したがってそういうものが生ずるという前提で決めるわけではないけれども、万一損失が生じた場合の処理の方式についても決めておく必要があると。そういう議論の上に立ちまして、この閣議了解におきましては「万一、損失が生じた場合には、上述の閣議決定の趣旨に従って、政府・民間の共同の責任で処理することとし、政府の負担は二分の一とする。」という処理の方式を定めたものでございます。
  106. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、万一ということであれば全く決める必要はないんです。  大蔵大臣、これは撤回していただけませんか、そういう決め方なら。
  107. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 銀行局長が今申しましたように、村山内閣のときでありますが、十二月十九日の閣議決定をいたします際に、いわゆる六兆四千百億に関する処理スキームとあわせて住専問題処理の全体のスキームを検討しますときに、もしいわゆる二次ロスを生ずる場合には財政支出を行うことを決めているわけです。その内容は決めてありません。数字は入っていないわけですね。  この問題を、最終的に現内閣の方針としてこれを受けて確定をいたします際に、ありますものは全体十三兆の中で六兆二千七百億を引いた分が残っているわけでありますから、その中で正常債権がございます。いわゆる分類としていいますならばⅢ分類、Ⅱ分類に属するものがいろいろ意見のあったところであります。しかし、債権の回収に全力を挙げることとして、もし第Ⅲ分類にまでいわゆる回収不能の不良債権が及んだ場合にはどういうふうにやるかということで、その場合には政府と民間とで折半、こういう方式を決めたと、こういうことであります。
  108. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今のはちょっと答えになっていません。  では、ちょっと申し上げますが、債権回収するとロスが出るというのはもう常識なんですよ。今ロス見込みと言われるⅢ分類だけの話をされましたが、例えばこういう資料があります。これは東京地裁で競売に付された物件の状況を整理したものです。これの現実に競売にかけて債権を回収できた比率を見ると、これは年々下がってきているんですよ。平成六年が二二だったのが平成七年の前半は一八、直近の平成七年の十月からこの三月までを見ると一五なんですよ。こういうことはもう債権回収の世界では常識なんですよ、満額回収できないということは。  例えば、大臣が今おっしゃった第Ⅱ分類、第Ⅲ分類の合計の債権三兆二千億円を、仮にこれの直近のデータの一五%の回収しかできないとはじくと、何とロスは二兆七千億出るんです。昨年までのデータを使っても三兆二千億円なんです。だから、こういう試算をやっておくべきなんですよ、税金を使おうという決断をするときには。どうなんでしょう。やられたんでしょう。
  109. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 私どもといたしましては、従来の金融検査等の手法を用いまして、昨年の八月にそういう見通しを立てたわけでございます。それに際しまして、通常の従来の手法によって回収が難しいものという意味で六兆二千七百億円という金額を算定したわけでございますけれども、それにとどまるかどうかという議論があることは、最近の地価の動向等を見まして、直嶋委員指摘のとおりでございます。  しかしながら、他方におきましてまだ十分な体制が整っているとは申し上げられません。これから法案、予算を御審議いただいた上で、お許しをいただいてそういう本格的な体制を整えさせていただけるわけでございますが、現段階におきましても、例えば最近の事例で申しますと、なかなか回収が難しいであろうと想定されたようなケースにつきましても新たに預金が見出されるとか、そういうような事例もございます。今後最大限の回収努力をすることによりまして従来の手法ではなかなか難しかったようなものも解決できる問題があり得るのではないか、そういう努力を最大限進めるのが私どもの務めであろうかと考えているところでございます。
  110. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いい事例ばかりとって楽観的に見るというのは問題だと思うんです。  例えば、もう一つ申し上げます。民間のシンクタンクが最近試算したもので、仮に今後地価が横ばいで推移したと、そしてその上で従来の経験的な債権回収率をもとにはじきますと、地価が横ばいでも今回の債権の計算をしますと最終的な損失は四兆一千億円になる、こういう試算が出ているんですよ。これは上がっても損が出るんですよ、少し上がっても。  もう時間がありませんから、総理、ちょっとお伺いしたいんですが、要するにこれは一次の税金入れる話だけじゃなくて、二次の損失についても、これはさっきから万が一というお話をされていますけれども、税金を使おうということなんですよ。その税金を使おうということについてやっぱりきちっとした見通しを立てて、少なくともいろいろなケース計算をして、これぐらいにおさまるでしょうという世間の常識的なものに合致するようなことを踏まえておっしゃるべきだと思うんです。  ですから、こういうことが余り議論されずに、閣議でもしこんな半額財政負担をするというようなことが決まったとすれば、これはもうゆゆしい問題だと思うんですが、最後にこのことを指摘申し上げで、総理の答弁をいただいて私の質問を終わります。
  111. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先刻来、委員からの御議論は拝聴させていただきました。  しかし、その政府の住専処理策というものにおきましては、財政資金が投入されることを踏まえて、住専処理機構が住専から引き継ぎました債権などについては処理機構と預金保険機構が一体になって最大限強力な債権回収を進めて、現在以上の損失が極力発生しないように努めるという組み方をしておるわけでありまして、一定額の損失の発生を前提としているつくり方をしていないということでございます。
  112. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 これは非常におかしいと思います。  終わります。
  113. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で直嶋正行君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  114. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、依田智治君の質疑を行います。依田智治君。
  115. 依田智治

    ○依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。  きょうは、安全保障の問題につきまして、先般の日米首脳会談等を踏まえまして、基本的諸問題を総理並びに関係大臣にお伺いしたいと思っております。  ちょうど午後の眠い時間になっていますが、先ほどから見ていますと、大分目をつぶっておられる方も、瞑想にふけっているんじゃないかと思いますがね。  安全保障といいますと、この中にも総理以下安全保障会議のメンバーが相当おられるわけでございますので、通告はしておりませんが、場合によると感想をお伺いするかもしれませんのでよろしくお願いいたしたいと思います。  まず、やはり私も警察の方に二十数年いまし.て、あと防衛庁に六年、さらに民間の方に行きまして、この間まで同友会みたいなところに入って安全保障の問題を多少やっておったんです。その際、つくづく感じましたのは、我が国の場合はまだまだ、湾岸危機以来大分この安全保障という問題に対する関心は高まってきてはいるけれども、なお基本的問題についての理解に欠けているなということをつくづく感ずるわけでございます。現に、総理が大変苦労されて普天間基地の全面返還問題を初め先般の日米安保共同文書等を出しましても、このあたりの問題につきまして非常に危険だなんということを言っているところもありまして、どこに危険なことを書いてあるのかと、こうつくづく思うわけです。  一方、この安全保障という問題は、ただ単に軍事面だけでなくて、国防の基本方針第二項にもありますように、民生ないし内政の安定ということが極めて基本にあるわけでございます。国防を支える内政の安定なくして国の安全はない、こういうのが基本でございます。  そういう点からしまして、実は私も住専問題について非常に関心を持っているわけです。これからの我が国の金融等のあり方、さらにこの大変な赤字の積もっている我が国の財政事情というのを考えますと、これ質問したい気持ちなんですが、これは先ほど愚行と言っていましたが、座っている暇はないと思うんですね、座り込みなんかやっている状況じゃないというのが私の認識でございまして、やはり早急にこれは解決すべき問題だ、こう思うわけでございます。  そこで、私はあと憲法の問題その他いろいろ御質問したいと思っているんですが、やはりその根底には我が国の安全保障、国の安全保障ということについてどう考えるのかという点が結局基本にあるんですね。そういう点を考えますと、まず安保会議の議長であり、自民党総裁でもあり、総理でもあられます橋本総理並びに社民党の副党首であられ、現に財政を抱えておる大蔵大臣、さらにさきがけの代表代行として、しかも安保会議のメンバーとしても参画しておられる田中経企庁長官、さらにあとお一方、これはやっぱり安保会議並びに内閣のかなめとして大変重要であります官房長官、この四人にぜひ自分の言葉で、国の安全保障ということを現在どういうように自分考えておるのか、これに対する政府、政党というものの責任というものをどのように理解しておるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  116. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 自分の言葉ということで言われましたのであえてある程度自分の言葉を使わせていただきたいと思うのでありますが、議員は安全保障を定義しろと言われましたが、私は安全保障以前に国政というものの定義から始めなければお答えにはならないと思うんです。なぜなら、国政というもの自身が国の独立と平和を守ること、そして国民が安心してできるだけ豊かな暮らしを享受できるような状態をつくることだと思います。  ですから、もし広い意味で安全保障という言葉を使うなら、まさにこれすべてが安全保障でありましょう、そのために必要な努力が。ですから、.それはある場合、その紛争の未然防止でありましょうし、あるいはその紛争の未然防止のため、起きてしまっている紛争を静めるための二国間の努力、あるいは多国間の外交面での協力関係をつくり上げていくこと、あるいは貿易とか投資といった経済面において諸外国との間に相互依存関係を深め、切れない仕組みをつくっていくといったこともあるいはこれは入るかもしれません。さらに国内を考えました場合に、治安というものを我々は内政の安定の上で当然考えていかなければなりません。  そして、我々は今、今日の状態におきまして、そうしたもののすべての根幹を日米安全保障体制の堅持というところに基盤を置いた日米関係というものを中核に組み立ててきているわけであります。将来を考えれば、こうした基盤の上にどれだけ多角的にそれぞれの地域あるいは国との間により相互連関の強い関係を築いていき、その内容を深めていけるのか、そうした考え方をとっていくことが必要であろうと思います。
  117. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 今基本的な考え方については首相から御答弁がございました。  国連憲章一条は、武力による紛争の解決、集団的自衛権と申しますか、そういうことを明記いたしておりますが、同時にこの国連憲章一条は平和的手段による国際間の紛争解決を併記いたしております。日本国憲法は、この国連憲章一条に定める平和的手段による国際間の問題の解決という立場を理念として持つものだと考えております。  なお、平和の問題になりますと、その理念をみずから追求し、国際的に武力による紛争がなくなっていく努力も国連を中心にしてやっていくということが重要でございますが、同時に、国際的な争いが起こってくる要因の中には経済的な問題、格差といったようなものも非常に大きいと考えております。そういう立場からいたしますと、日本の果たすべき役割は、外交、経済を通じて世界の平和に貢献すべき立場は非常に大きいのではないかと思っております。  今日のように国際化がどんどん進展をいたします場合に、私は日本の果たすべき平和への貢献は日増しに大きくなってきていると考えております。それは、なお幅広く考えてまいりますと、社会開発や環境保全の問題等も含めて日本の平和への貢献が求められているのではないか、このように考えております。
  118. 田中秀征

    国務大臣(田中秀征君) 自分の言葉でというお話でありました。私自身は、他国の脅威、特に軍事的脅威から国家の平和と安全を将来にわたって確保するためのさまざまな努力と、そのように大体認識をいたしております。  それから、政府、政党の役割という御質問もございました。私は、政党政治、議院内閣制下の政治においては、政府の政策は、安保政策にかかわらず、政権与党の政策によって規定されるものだというふうに理解しております。連立政権のもとにおきましては与党の政策合意によって規定される、そのように理解をしております。  ただいまの総理、副総理からの御答弁はそれにのっとったものと理解しておりますので、同様の考え方をいたしております。
  119. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 総理の見解に尽きます。
  120. 依田智治

    ○依田智治君 今るる御説明いただきました。  安全保障という問題は、ただ単なる軍事面だけでなくて、内政、外交等あらゆる事象を包含する大変な問題で、それを政府、政党とも国民の生活の安全、安心を得るために努力すべき課題だと思うわけです。そして、そういう点で考えてみますと、どうも我が国の場合は、もうちょっと安全保障という視点に立って政府等もいろんな活動というものをもっと活発にしていいんじゃないか。  その一つの例は、せっかく安全保障会議というのがあるんですが、割合活用されていないなと。私も第二代安保室長をやったわけですが、割合にやらないんですね。  そこで、きょうは安保室長に来ていただいていますが、安保会議の現在の性格とか任務、それに最近の開催状況なんかをちょっと御説明願います。
  121. 三井康有

    政府委員(三井康有君) 安全保障会議の任務、性格でございますけれども、この会議は、国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項につきまして総理からの諮問を受け、審議、答申することを主たる任務とする総理の諮問機関でございます。  具体的には、総理は、国防の基本方針、防衛計画の大綱、産業等の調整計画の大綱、防衛出動の可否、その他総理が必要と認める国防に関する重要事項につきまして安全保障会議に諮ることとされております。また、重大緊急事態が発生した場合、総理は必要があると認めるときはその事態への対処措置について安全保障会議に諮ることとされております。  最近の開催状況でございますけれども、この会議は昭和六十一年七月に設置されまして間もなく満十年を迎えるわけでございますけれども、この間、六十七回開催されております。また、このほか安全保障会議議員懇談会が二十一回開催されておりまして、両者加えますと開催回数は八十八回となっております。  審議の内容につきましては、新防衛大綱あるいは新中期防などの防衛政策や防衛力整備の基本にかかわる事項、湾岸危機などの重大緊急事態への対処に関する事項、国際平和協力業務に当たる自衛隊の部隊の派遣に関する事項、それからその時々の国際情勢、国際軍事情勢、さらに防衛白書の刊行等々、国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項を中心に、我が国の安全保障にかかわる事項につきまして幅広く審議を行ってきておるところでございます。
  122. 依田智治

    ○依田智治君 一番最近開いたのはいつですか。
  123. 三井康有

    政府委員(三井康有君) 一番最近開きましたのは平成七年十二月二十五日でございまして、そのときの議題は平成八年度におきます防衛力整備内容のうち主要な事項についてということでございました。
  124. 依田智治

    ○依田智治君 私が防衛庁の次官をておりましたときに湾岸危機が起こったんです。あのとき、今日の頭で考えますと、海部内閣でしたが、直ちに安全保障会議を開いて問題点を詰めるというくらいの配慮があってもよかったかなと思いましたが、どうでしょうか、安保室長、八月二日に湾岸危機が発生して、安保会議が開かれたのはいつですか。
  125. 三井康有

    政府委員(三井康有君) 平成二年八月二日にイラクのクウェート侵攻があったわけでございますが、同年九月十八日に安保会議の議員懇談会をまず開きまして、中東軍事情勢等につきまして審議をしております。同じ日に安全保障会議を開きまして、同様にイラクのクウェート侵攻を中心とする国際情勢等について審議をしております。  その後、十月、十一月にそれぞれ一回、翌年の一月には三回、それから二月に一回、四月に二回とそれぞれ安全保障会議あるいは安全保障会議の議員懇談会を開いておるところでございます。
  126. 依田智治

    ○依田智治君 私、このときを今思い出しておるんですが、外務大臣が中東視察に行ってきて、官邸で会議を開くということで、当然これは防衛庁長官も行かにゃいかぬなと思っていましたところ、防衛庁長官が来るといろいろ憶測を呼ぶ、だから来ないで、依田君らも待機しておってくれ、こういう状況でございました。その後、何としてもこれは情報がとれないから自衛官を外務省併任でサウジアラビアへ送らにゃいかぬとか、終わった後、掃海艇の問題とかいろいろ出てきたわけです。当時の状況というのはそんな状況でした。  現在、先ほどの総理ほか各大臣の答弁にありますように、非常にこの安全保障問題というのは絡み合って、特にこのアジア地域においては、さきのコモン・アジェンダでも環境問題、人口問題、その他あらゆる問題について取り組んでいかなければいけない。これからアジア地域というのは、ただ単に軍事面だけでなくて、むしろ人口爆発、環境汚染、エネルギー不足、そういう面から果たして本当に対応できるのか。こういうことで、私は今後、総理、この前、他の委員質問に対して、閣議後の閣僚懇を大いに活用すると、こういう話がございました。私は、非常に結構だと思います。  ぜひこの安保会議も、ただ単に防衛問題ないし緊急事態的なものがあったときに対応するというだけでなくて、例えばこの間、中台問題なんかは非常に微妙だと思いますが、しかし国民は非常に不安を覚えている。台湾の地図を見ればまさに日本の島々の真ん中にミサイルが落ちてきているというような状況を考えますと、我が国の安全保障にとっても極めて重大な問題なので、安保会議ないし議員懇談会ぐらい開いて、そして情勢を詰め、我が国としては米国と対話をしつつどういう態度をとるかというようなことが大変重要じゃないか。この点、意見を申し上げて、次のテーマに移りたいと思います。  これらの安全保障観を踏まえまして、この間の日米安保共同文書、まさにこれからだという感じが私はしておるわけです。その点でまず考えておかなきゃならぬのは、結局、憲法と自衛権の問題について、閣議決定をこの間していただきました。それから、与党の申し合わせもあります。憲法の枠の中で、憲法、法令に従いと、当たり前なんですね。憲法九十九条、国務大臣、国会議員等は「憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」、当たり前のことです。もしこの憲法が古くさくて遵守できないような憲法であるならば、あらゆる努力をして国民に理解を得て、今日の日本が存立できるようにしなきゃいかぬ、こう考えるわけでございます。そういう点で、まず国民にわかりやすくと。  一番わかりにくいのは、法制局長官、憲法九条だと思いんですね。第二項、陸海空軍その他の戦力は持たない、保持しないと。小学生、外国人に読んでもちっともわからぬじゃないですか。私は、文言のとおりだったら、この間までの社会党、社民党さんの態度の方がまさに当時の、制定当時を考えれば適切だったかなと思うくらいです。  この際ひとつ、憲法の自衛権と自衛力の問題について、どこを根拠に今の法制局見解があるのか、ちょっと根拠を示していただきたい。おさらいでございますが、法制局長官、お願いしたい、法的根拠。
  127. 大森政輔

    政府委員大森政輔君) わかりやすくということでございますけれども、憲法九条、これは文字どおり読みますと、いわゆる戦争を放棄し、そしてまた二項におきまして戦力の保持を禁止しているわけでございます。ただ、これによりまして我が国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されているものではないということが第一のポイントでございます。  憲法前文におきまして、第二段あたりでございますが、  われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。 さらに、  われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。 このように憲法前文では述べているわけでございます。  これを踏まえて考えますと、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとる、とり得ることは国家固有の機能として当然のことであるというふうに考えているわけでございまして、憲法第九条がこのことを禁止しているとは到底考えられないということでございます。このことは、昭和三十四年十二月十六日の最高裁判所砂川事件判決において明確に確認されているところでございます。  以上でございます。
  128. 依田智治

    ○依田智治君 法制局、そのように御説明いただいておるわけでございますが、最近、公になった憲法改正小委員会、いわゆる芦田委員会の秘密議事録、これは私、前に森清先生のアメリカの公文書館のものを意訳したのを読んでいったんですが、今度これを出してもらったので詳細に読んでみたんです。実はこの中には憲法の、今法制局長官の説明したような文言は一項もない。ただ、一項と二項をひっくり返して、むしろ戦力は放棄すると。  したがって、戦争も放棄するんだというようなことで芦田さんもこだわって、最後に金森国務大臣が、侵略戦争を放棄するというのは一項で、永久的なものだからそうしておきましょうと、そうしておくのがいいんだと。二項の方は、将来、国際連合等に加盟した場合に、何か日本国民考える余地があるんじゃないかというようなことを示唆しておりまして、そうだなということになっているようです。  そういうことを考えますと、やはり憲法の今の解釈というのは、憲法も生き物ですから、GHQに監視されている占領下では最初こういうことでよかった。それで、独立した時点でやっぱり改正すべきだったものが、改正せずに解釈で来た、冷戦構造が崩壊した今日では、先ほど各大臣から御説明いただきましたように、我が国が存立していくために必要最小限とは何かということでやはり憲法を考えていくしかないんじゃないか、こんな感じがしておるわけです。  そこで、法制局長官、戦力というものについての法制局の見解をちょっと御説明をお願いします。
  129. 大森政輔

    政府委員大森政輔君) まず、わかりやすくするために、現在、憲法九条第二項が保持しないとしている「戦力」とはどういう意味であるかということからお話しいたしますと、先ほど申し上げましたように、国家固有の自衛権は否定しておらないと。したがいまして、それを行使するための、自衛のための必要最小限度の実力というものも当然否定せず認めているはずであるということが言えようかと思います。最近、一貫してそのように述べてきているわけでございます。  そういたしますと、憲法第九条第二項が「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」ということで、保持しないこととしている「戦力」というものは、ただいま申し上げましたような、我が国を防衛するために必要最小限度の実力以外の実力であるというふうに言えようかと思います。  以上が現在の結論でございますが、先ほど制憲議会における議事録についての御説明がございました。確かに、当時は戦争の惨禍に打ちひしがれまして、平和国家の再建を模索している、そういう状況におきまして、いろいろな観点から、またいろいろな考え方に立って議論がなされたわけでございます。しかも、国際情勢もあのような情勢でございました。したがいまして、あの当時の議論と申しますのは、確かにただいま申し上げました現在の考え方のような一貫した、確定した見解が述べられたというわけではございません。  しかしながら、そのような中でも一つの流れというものは酌み取るわけでございます。その点を二点ばかり申し上げますと、まず自衛権を九条が放棄したのかどうかということにつきましては、これはもう当時から一貫して、憲法九条と自衛権との関係につきましては、我が国が独立国家である以上、自衛権を放棄しているはずはないんだということでは一貫していたかと思われます。  次に、ただいまお尋ねの戦力の定義に関しましては、御存じのとおり、警察予備隊が発足しました第三次吉田内閣当時の国会答弁におきましては、戦力の定義として、近代戦争遂行能力あるいは近代戦争を遂行するに足りる装備編成を備えるものという説明をしておりました。そして、これは第四次吉田内閣まで同じ基本的な考え方を維持しております。  ところが、第一次鳩山内閣が成立しました昭和二十九年十二月に至りまして、戦力の定義として、先ほど申し上げました自衛のための必要最小限度の範囲内の実力、これは憲法の禁ずるところではないんだ、したがってそれを超えるものを憲法が規定している戦力と言うんだと説明を変えました。  これは、決して考え方、そしてその考え方を適用した結果が異なってくるような考え方の違いではありませんで、表現は異なっておりますが、我が国の防衛力の限界を示す上においては、その実質に大きな差異は、変化はなかったというふうに私どもは考え、そのように説明してきているわけでございます。
  130. 依田智治

    ○依田智治君 法制局長官、今の持てない戦力というのは具体的にはどういうものですか、具体的な兵器。
  131. 大森政輔

    政府委員大森政輔君) 現在の憲法上保持することができない戦力、これはまず抽象的には先ほど申し上げましたように我が国を防衛するために必要最小限度のものを超える実力は持てないんだということでございます。  それが具体的にどういうものかというのは、そのときの国際情勢とかあるいは科学技術の進歩の状況とか、そういうものを踏まえた総合的な判断になろうと思います。また、例えばこういう装備はだめなんだとか、これはいいんだとか、個々具体的な装備ごとに判断すべき問題ではないんだど。その時々に保有している総体としての実力が我が国を防衛するために最小限度の実力を超えるというふうに評価できるかどうか。さらには、これは法律あるいは予算によって毎年国会の御審議を受けるわけでございますから、最終的には国会の判断を経て、それは即最終的には主権者たる国民の判断によって決まるものであるということが言えようかと思います。
  132. 依田智治

    ○依田智治君 ここで今なぜ聞いたかといいますと、自衛のため必要最小限の実力は持てる、これは科学技術の進歩とか社会情勢の変化の中で変わってくる、したがって現在日本はイージス艦とかF15という第四世代の最新戦闘機を持っていますし、ただ持てないのは弾道ミサイルとかそういうようなものだ、核兵器は法制局の解釈では一部持てるけれども政策として持っていないんだと、こういうように理解しております。  そういう点を考えますと、さっきなぜ安全保障のことを聞いたかというと、今日、政府、政党というのは国民の生存を維持していく義務があるわけでして、この憲法の中でどう国民の生活を維持していくか、こう考えた場合に、自分の置かれている時代の中でやはり考えていかなきゃいかぬわけだ。戦力はそのとおり。  防衛庁にお伺いしますが、今ミサイルの発達している時代でBMDですね、これの研究はどんなぐあいになっているんですか。今の日本のパトリオットでは戦闘機しか落とせないということはわかっているんですが、もしミサイルが飛んできたら落とせるのかという点をちょっと聞きたいんです。
  133. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 弾道ミサイル防衛につきまして、我が国防衛政策上の位置づけ、また我が国の対応というものは大変重要な問題であるというふうに認識しておりまして、いずれこれについての政策判断を必要とする時期が来ると考えております。  ただ、弾道ミサイルにつきましては、委員の今御指摘にございましたように、いろいろ解決しなければならない難しい要素がございます。例えば、弾道ミサイルの脅威というものはどういうタイプ、どういう程度のものなのか、あるいは弾道ミサイルの防衛システムというものは技術的にどういうものが考えられるのか、できるのか。最終的には費用対効果といったような問題も解決しなければならないわけでございまして、現在米国の協力も得ましてこのBMDの研究を続けているところでございます。  八年度の政府予算案でお願いしております委託研究費四億数千万のものでございますけれども、実はこの事業費をもちまして、BMDのいずれくるべき政策判断に必要な資料を得るための研究ということで、現時点で最終段階の予算をお願いしていると、そういう段階でございます。
  134. 依田智治

    ○依田智治君 そういうことで、我が国にもし弾道ミサイルが飛んできてもまだ落とせないんですね。落とすためには早く衛星でキャッチしてこれに対応しなきゃいかぬ。この衛星も国会決議で宇宙の平和利用となっているわけですから、日米安保体制の中でアメリカに情報をもらうしかない。情報をもらうのも憲法違反だとは多分言わぬと思いますが、そういう状況ですね。  したがって、もしあるとすれば相手の基地をたたく以外ない。これも三十一年ころ、有名な政府の答弁があります。要するに、座して死を待つよりは、相手の基地をたたく以外ない場合はたたける。しかし、日本はさっきの戦力の中で、相手の基地をたたくような戦略爆撃機も持てないとなっていれば結局アメリカにたたいてもらうしかない、こういうことになるわけですね。ここにちょっと矛盾があるわけですが、私はこの点は安保体制の中でやむを得ない。そのかわりにアメリカにたたいてもらうというときに燃料を補給するのはだめだとかなんとかは言わぬだろうと思うんですがね。これはむしろ個別的自衛権の問題である。そして、アメリカとの集団的自衛権で日本の個別的自衛権を代行してもらうというような問題ですから、燃料補給とか武力行使の一体化理論なんというのはここではないんじゃないか。  そこで、時間もだんだん過ぎていますので、この自衛権の問題、最後の私の結論の部分に入って意見を聞きたいと思うんです。  社会情勢の変化並びに科学技術の進歩に伴って我が国が持てる戦力というのは時代とともに変遷しておる。当たり前ですね。ところが、自衛権については国を守るため必要最小限の自衛権というものは認められるべきだと、こういう考えに私は立つわけです。これは砂川判決とかその他、時間がないので引用しませんが、国の存立を保持していくために、国民の存立を保持していくために最小限の自衛権は認められる、当たり前のことじゃないかと。  これは時代の進歩とともにやっぱり自衛権の中身も進歩していくんですよ。占領下だったら自衛権を発揮する必要ないから、ないと言っていてもいい。冷戦構造崩壊のときは近くを守っているだけでそれでよかった。しかし、冷戦構造が崩壊して、国際的に手を携えてやっていかなきゃいかぬとか、我が国近海で有事になったというようなときに、いや、もう急迫不正の侵害というような、まさに昔のアパッチとりでを守っているような感覚で解釈していたらおかしいんです。この自衛権というのも、先ほどの戦力の解釈と同じに、私は政府解釈を変えろというのじゃなくて、政府解釈は自衛のため必要最小限の自衛権は認められる、これは政府解釈。これは一貫しておると思うんですよ。自衛のため必要最小限の解釈。  ただ、法制局は、自衛権とは急迫不正の侵害に対して我が国はあれだからぎりぎりであって、個別的自衛権の中のさらに小さい部分であって、ましてや集団的自衛権というような、自分の国が攻められていないときに攻めるようなことはできないんだと、こういうことになって、飛躍があるんじゃないか。  だから、そこのところ、私は全部集団的自衛権を認めよという、これは認めるも認めないも、それがそのときの状況の中で、我が国が国際国家として生きていくために真にやむを得ない場合には、憲法改正しない限り政府の責任において、与党の責任においてやはり解釈すべき問題だと思いますが、それはさておいて、少なくともこれから研究しようという、周辺で何か起こった、それを支援する、燃料補給も一体化がと、こんなような議論はもう関係ないんじゃないかと。  私は、それはむしろ個別的自衛権の延長の問題として考える問題であり、またPKOで今武器の使用その他もあって凍結になっていますね。国連で使うマニュアルの一つの自衛の、身を守るためしか使えないようになっていますが、このあたりもやはりみんな力を合わせて、しかも停戦後の国連の平和維持活動というのは、国権の発動たる戦争に武力を行使するために行くわけじゃないわけです。法制局の見解でも武力行使を目的とする海外への自衛隊の派遣は海外派兵であると言っていますが、これは全然国権の発動として武力行使するために行くんではなくて、平和を維持するために、最小限の平和維持活動のために行って、何かもし強盗なり若干のゲリラ等から攻められたときにぎりぎり身を守る。これはまさに平和維持のための武器の使用じゃないか。  そういう点を考えますと、結論として、自衛のため必要最小限の戦力が時代の変化とともに変わると同様に、この自衛権の解釈も、自衛のため必要最小限の自衛権というものは国の存立のために政府の責任において解決していくべき問題であって、それは決して憲法の枠を超えるものではないというのが私の考えでございます。この点、意見を聞いてもまた違うかと思いますし、意見を述べてこれで終わりにしておきたいと思います。  次に、極東有事のガイドラインと極東有事、この問題についてお伺いしたいと思います。  これは全く危険なことでなくて、当然やるべきことをやっていなかったんですね、この極東有事研究は。  外務省、この日米安保、これは極東有事などというのは、五十七年一月、私がちょうど総理秘書官をしているころ、第一、第二と共同研究の報告が総理にあって、以後はこの問題ですとかいって、以後開始しますというようなことを言っておったんですが、その後これは多少研究したんですか。どういうわけでこの研究がストップしていたのか。
  135. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 昭和五十年一月の日米安全保障協議委員会において研究を行うことが望ましいということで、日米間で意見の一致を見たところでございます。そして、同協議委員会の開催に先立ちまして、同日の閣議におきまして、外務大臣から、このような事態における日米間の協力についての研究を開始する旨了承を得たわけでございます。閣議においては、そのような研究の進展いかんによっては外務、防衛両省以外の省庁の仕事にもかかわり合いを持つことが当然想定されることから、あらかじめ関係大臣の協力を依頼した経緯がございます。  その後、日米の研究グループを開催、何度か協議を行ったわけでございますけれども、ガイドラインの第一項、第二項に基づく研究がまずなされたというようなこと、研究の対象が米軍の運用に直接かかわり極めて多岐にわたること、それから非常に多くの省庁の所管事項にも関係する極めて幅広い事項にわたること等から、委員今御指摘のように余り進捗してこなかったということでございます。
  136. 依田智治

    ○依田智治君 余り進捗してこなかった。  それでガイドラインですが、防衛庁、ガイドラインもこの前、防衛庁長官が大綱が新しくなったので見直す必要があるということで、これから中身は見るというんですが、新大綱が変わったからと言う以上は、どういう点が変わったので見直すということをお答えいただけますか。
  137. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 今般の日米安全保障共同声明でも、昭和五十三年につくられました日米防衛協力についての指針について見直し作業をするということが合意されております。  その一つの理由は、今御指摘がございましたように、新しい防衛大綱が昨年末にできた、それから五十三年から今時点まで考えてみますと国際環境も大きく変わっている、それに加えまして、日米の共同協力関係というものの積み重ねが大変大きくなってきているといったようなことが背景にあろうかと思います。  御指摘の点につきましては、まさにこれから日米間でこれは議論していかなければいけない問題でございますので、現在、主として日本の自衛隊それから米国軍との関係における運用面での日米防衛協力についてのガイドラインなり、指針なりあるいは共同研究というのを進めてきたわけでございます。その運用面において、例えば今般の新防衛大綱におきましても、日本の防衛力の役割として、従来の我が国に対する侵略から守るということにつけ加えまして、大規模震災等多様な事態への対応ですとか、より安定した安全保障環境構築への貢献とか、新しい面が出てきております。  あるいは、いわゆるこれは主としてオペレーションについての点でございますけれども、旧防衛大綱に限定小規模侵略独力対処といったような考え方がございましたが、今回の防衛大綱ではそういう文言は落としました。それから、陸海空自衛隊の組織の改編も考えておりますし、装備面での改編も考えている。いろんなことがやはり日米間の防衛協力に大きな影響を与えるであろう。  それから、今御指摘のありました我が国周辺における我が国の安全保障に対する重大な影響を与える事態に対する対応といったような問題も注目を集めているわけでございますので、そういった面を全部考えまして、これから日米間で議論をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  138. 依田智治

    ○依田智治君 ガイドラインにしても研究にしても、やはりやる以上はできることは実施に移すということが重要で、最近新聞等でも官房長官は、法律は必要によれば変えるとか、有事法制もやった場合、やらにゃいかぬ場合かもしらぬが、その場合にはやはりできることは云々、こういうことを言っておられます。官房長官、このあたりちょっと質問通告しておりませんが、新聞等に出ておりましたんですが、これを今度の研究を進めるに当たってやはりある程度実施に移せるものは移していかなければ共同文書の意味はないと思うんで、そのあたりについてちょっとお伺いできればありがたいと思います。
  139. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 先ほど来、委員の御主張をずっとお伺いしておりまして、共感を覚える部分も多々ございます。しかしながらまた、現実に安全保障政策を現在の情勢を考えながら運用していくものと、そういった立場から申しますと、表現はなんでございますが、まだそこまでは今の段階で突っ込むことが適切なのかどうなのかと、こういう思いを抱いた点もあったということを率直に申し上げさせていただきたいと思います。  そして、ただいま官房長官に対して御質問の点でございますが、我々は、今日の情勢というもの、また昨年新大綱もできました、また先般日米の間での安保の共同宣言も出したわけでございます、そういったことを踏まえましていろいろなケースについて研究を進めてまいりたい、こう思っております。そして、具体的に個別的に、こういった事態に対して例えばどういつだ行動あるいは措置をとることが必要だろうか、あるいはそれが適切かどうか、そういったふうに一つ一つ考えてまいりたい、こう思っております。  それは当然憲法の枠内であることが大前提でございますし、またこれまでの憲法解釈の中で、例えば集団的自衛権に関する政府の見解というものは、これは昨年の十一月末の段階で確認し、それを現政権でも継承しておりますので、そういったものであろうことは当然でございます。  しかしながら、そういういろいろやっていく中で、現在、例えば法令で何ら規定はされていない、そういったものにどういう対応をしたらいいんだろうか。これは法令なしでもいけるんだというものもございましょう。しかし、一方では法律の空白があるから法律をきちんと整備してやるということが、これは実際の運用の面においても、また国民の皆様方の御理解を得る上でも適切であるという、いろんなケースがあると思います。そういったことは研究を進めていく上で適切に対応してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  140. 依田智治

    ○依田智治君 やっぱりできることはやるようにしていくということが大変重要じゃないか。私は、先ほど憲法問題でいろいろ意見を申しましたが、決して突出した意見を言ったつもりはなく、今の憲法の解釈の範囲内でもできることというのは時代の情勢の変化の中でいっぱいあるんじゃないか、これを指摘したわけでございます。  基地問題、普天間基地の全面返還という問題に関連しまして、これから国民の理解を得つつ解決していくということは並大抵のものじゃないと思うんですが、このあたりに対する決意をこれは総理並びに防衛庁長官からちょっとお伺いしたいと思います。
  141. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 普天間基地を含む沖縄の米軍施設・区域の整理、統合、縮小につきまして、先般SACOで日米間共同事業の中で大変熱心に真剣に協議をいただきまして結論に達したわけでございます。  この間、安全保障の目的達成との調和というものを図っておるわけでございまして、この中間報告を出させていただいたわけでございます。この中間報告に載っております事項につきまして、この措置を的確かつ迅速に行うための方策について、先般、十六日の閣議におきまして、法制面、経費面を含め総合的に検討を行い、十分かつ適切な措置を講ずることが必要である、このように決定をいたしたところでございます。  私ども防衛庁といたしましても、このような閣議の決定にかんがみまして、所要の施設の移転を含めた中間報告の実施につきまして、地元の御理解と御支援をちょうだいいたしながら、少しでも早く実行ができますように最大限の努力をいたしてまいりたい、このように考えている次第でございます。特に、本土を含めました地元の公共団体の皆様方には今後とも御協力をいただくことが不可欠だ、こう考えているわけでございまして、御協力をいただくように全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  142. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私からは冒頭、むしろこれはこの席を通じておわびを申し上げなければならないことかもしれませんが、普天間基地の返還交渉が非常に難航いたしました結果、関係の方々に事前に御相談をいたすいとまがございませんでした。そして、いよいよ最終的に決断をしなければならないぎりぎりの時点になりましてもなおかつ自信の持てませんでした部分が、どうしてもヘリコプターの基地に関しては県内に現存する他の基地に移設をしなければその機能の維持ができない、果たしてそれに沖縄県が同意をいただけるかどうかという点でありました。  モンデール大使にお越しをいただく直前、大田知事に、全力を尽くして全面返還という言質まではとったが、これを確定するためには県内移設を避けて通れない、それでも県の皆さんは喜んでいただけるだろうか、そして約束を取りつけた上、これを実現させるために県の関係者の御努力を、御協力を得なければ、これは到底いつ実現することになるかわからない、県の全面的な協力をお願いできるだろうか。その時点では大田知事のお返事は必ずしも、そうした情勢において万全の協力をというところまではいただけませんでしたが、それでもでき得る限りの協力というところまでのお返事をいただき、その上は私自身の責任でこの返還を決断いたしました。  今になりますと、これに伴う他の県への移設について、あるいは県内における移設について事前に相談がなかったというおしかりが多数私に届いております。私自身の選択でありますからおわびをする以外にありませんが、果たして事前に御相談をかけて御同意がいただけたか、いただけないとすれば普天間の返還をあきらめなければならなかったんだろうかと思いますと、あの時点で私には今回決断をいたしました以外の方法はございませんでした。  そして、今後、返還に向けての作業にいたしましても、かわり得る場所をどこに求めるのか、その環境アセスメントはどのぐらいの期間を必要とするのか、アセスメントがクリアいたしましたとして関係の皆さんの御同意がいただけるのかどうか、建設にどれぐらいの時間がかかるのか、さらに跡地利用計画をつくり上げる上で関係者の協力がどこまで得られるのか、それは他の計画と整合性を持ったものであるのか、そしてそれは沖縄県全体の青写真の中にどう位置づけられるのか、こうした作業を一つずつ積み重ねていくことを考えますと、気の遠くなるような作業が待ち構えております。  しかし、おかげさまで内閣としては一体となってこれに取り組んでいただくだけの決意を固めていただき、事務副長官のもとに沖縄県からも参加を得てタスクフォースを編成するところまで詰まってまいりました。  今後、一つ一つの問題に誠実に取り組みながら、関係する他の地域の方々への御了解を求める作業も含めまして、一つ一つの事務を誠実に積み重ねることででき得る限り短い期間にこの目的を達成したいと考えております。本院の御協力を心からお願い申し上げる次第であります。
  143. 依田智治

    ○依田智治君 この問題の解決には、結局、安保の重要性に関する国民全体の理解、特に沖縄県民の皆さんの理解をいただくということ、それから日米相互の信頼関係の上にこの安保が成り立つわけですのでそういう問題、それから特別の負担のかかるところにはやっぱり国として金を国民全体で出して支援してやる、こういうようなことが重要でございます。  それで、一、二の例として、例えば今度八一キュリーズの移転先ということで言われております岩国、これあたりは今どんな建設状況か、この建設費用というのはどんなぐあいになっておりますか。
  144. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) お答えします。  先生指摘の岩国飛行場の沖合移設でございますが、私ども、航空安全上とか運用上の観点から、現在の飛行場より沖合へ約千メートル程度移設する事業ということで推進しておるところでございます。平成五年度から一応工事に着手ということで、必要な実施調査、実施設計並びに公有水面の埋立承認手続等を行っております。  これまで、関係漁業組合であるとか、あるいは環境アセスメント等をようやく終了いたしまして、現在、公有水面の埋立承認手続をとっておるところでございます。  本年度の予算でお願いしております予算案が契約ベースで約百四億ございます。本事業全体に要する経費として私どもが見積もっております価格は平成八年度単価で約一千六百億、工事期間は大体十年を予定しておる、こういう概要でございます。
  145. 依田智治

    ○依田智治君 今聞いていただきましたように、一千億を超える予算で十年かかるというのが岩国への移設でございます。これから普天間等関連というのは膨大な金と期間のかかる並々ならぬ仕事ですので、このあたりについての腹構えを我々としても持っていかないと、せっかくの総理の決断が生きない、こういう問題があるわけでございます。  それから、やはり負担のあるところには面倒を見るということが重要でして、そういう面でかねがね感じておるんですが、騒音対策というのが非常におくれている。現在、沖縄、全国の基地周辺の住宅防音とか、そういう状況はどうなっていますか、施設庁長官
  146. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) お答えいたします。  住宅防音工事につきましては、私ども周辺対策事業として最重点項目の施策としてその促進を図っておるところでございますが、何せ非常に対象世帯数が多うございまして、これまでの進捗状況を若干御説明いたしますと、いわゆる私ども新規工事と言っておりますが、一、二室の工事、これは現在一〇〇%終了しておるところでございます。追加工事と言っておりますいわゆる残室の工事でございますが、これは家族数に応じまして大体五室を限度として住宅防音を行わせていただいておりますが、これの追加工事の促進状況が現在全国平均で大体五三%の進捗状況でございます。  沖縄につきましては、それよりも若干私ども重視しておるということで、現在大体六四%ぐらいの進捗状況になっておる、こういうような状況でございます。
  147. 依田智治

    ○依田智治君 運輸省、これ施設庁長官が答えられるのか、運輸省の場合はもう周辺対策一〇〇%とっくにできているというふうに聞いていますが、それは本当でしょうか。
  148. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 運輸省所管でございますので正確を期す意味ではまた後ほど確認していただきたいのでございますが、運輸省の場合には特別会計制度をとっておりまして、もう既に十年以上前に一〇〇%達成しておるというふうに私ども伺っておるところでございます。
  149. 依田智治

    ○依田智治君 今のペースで住宅防音工事等をやっていくにはどのぐらい期間がかかりますか、施設庁長官
  150. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 住宅防音工事の実態をちょっと御説明いたしますと、住宅所有者の方々の御希望というものもございます。あるいはその周辺の施行能力みたいなものもございます。そういうことで、私どももう一日でも早くという気持ちを持っております。  一方では、限られた予算の中で実行していくということでございまして、今御指摘の将来計画という意味では、確実に何年で仕上げるというようなことではちょっと私ども計画を現在持っておりませんで、毎年着工できる可能性を一応踏まえまして概算要求をお願いして、その範囲内で着実に実行していっている、こういう状況でございます。
  151. 依田智治

    ○依田智治君 今一、二の例を挙げましたが、基地問題の解決には移設だけでもかかる。さらに、基地の御協力をいただいた方々、地域の開発、跡地をどう開発していくかという面でもいろいろまた金がかかる面もございます。  そういう点で、大蔵大臣、大変な金がかかると思うんです。これはやっぱり国として腹構えを持って、私は防衛費の別枠問題じゃないかと思うんですが、いずれにしてもこの財源、総理の公約の実現のために、任せてくださいというような答弁をひとつお願いしたいんですが、いかがでございましょうか。
  152. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 日米の合意をこれから具体的にどのような施策で実現していくかということでございます。  その具体的な施策の検討、展開は当然に経費を伴うものでありますが、経費の規模とか負担のあり方についてこれから論議を始めるわけでありますから、私の方でこういうことだということを今申し上げるのは非常に困難でございます。  そもそも沖縄におきます基地の整理、統合、縮小という問題は、普天間基地はもとより、これは政府全体が真剣に取り組んで実現しなければならない課題であります。そのことに首相は懸命に努力をされて今日の合意を見ていると考えております。この合意の実現のために政府として適切な対応をしなければならないと考えております。
  153. 依田智治

    ○依田智治君 その点よろしくお願いしたいと思います。  なお、楚辺通信所等の問題が今まだ収用委員会にかかっているわけですが、こういう基地の利用の問題は、今後、住民の理解を得て解決できる部分と、やはり国の責任において、法の空白をつくらないという意味で、場合によったら機関委任事務等を見直して国の事務として問題解決していくとか、必要な法律をつくるとかいうような問題があるんじゃないか。  それから、有事立法等は極東有事とは直接関係ありませんが、当然やるべきことは国として研究し有事に備えておくということも大変重要ですし、憲法等の問題も、九条だけの問題ではなくて、公金の私学助成とかいろいろ問題がありますので、やはり政府なり国会の責任において、我が国の今日の存立を維持していくためのいろいろな法制面の整備というようなことに努力していく必要があるんじゃないか。最後にその点を申し上げて私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  154. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で依田智治君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  155. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、寺澤芳男君の質疑を行います。寺澤芳男君。
  156. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 平成会の寺澤です。  まず、住専の話から始めたいと思います。  住専処理の議論の中で母体母体行という言葉が出てまいりますが、大蔵省の母体行の定義についてお伺いいたします。
  157. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 最近、住専問題を契機といたしまして母体行という言葉に接することが多くなったわけでございますが、母体行という言葉の定義が特に定められているわけではございません。ただ、二回にわたる住専の再建計画の策定を通じまして、一般に住専の設立に関しまして人的、資本的に深く関与したものを指すと理解されております。  なお、一月十九日に大蔵省、農水省より提出いたしました「住専等関係資料」二十七ページに母体行の欄がございますが、ここに書いてございます母体金融機関というのは、第二次再建計画におきまして母体行としての支援、すなわち金利をゼロ%に減免いたしました機関を指してございます。
  158. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 いろいろ御説明がありましたが、住専の株式を持っていた銀行というふうに考えてよろしゅうございますでしょうか。
  159. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 株式を設立当初から持ち、設立に関与してきたというような立場のものを母体と言っておりますが、設立後、市場において株式を取得したとか、そういうものについては通常は母体という考え方をいたしておりません。したがって、住専の株式をただ保有しているというだけでは通常は母体という呼び方はされておりません。
  160. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 住専の株式を設立の当時から持つていた銀行、すなわち母体行、これは債権を全額放棄いたしました。母体行が債権を放棄せざるを得ない、それはどういう理屈でそうなるのか、大蔵省の御理解のほどを教えていただきたい。
  161. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 今回の住専処理方策の策定に当たりましては、昨年の十二月一日に与党三党からガイドラインが示されました。そこでは、第一に我が国金融の国際的位置づけ、第二に住専設立から破綻への経緯等、第三に当事者の経営状況、対応力等を考慮して負担割合を決めることとされたところでございます。  このガイドラインの考え方に従いまして、設立等に関与が深かった母体行につきましては損失の処理に当たって最大限の努力が求められたところでございまして、このような考え方から約三兆五千億という債権の全額放棄を要請したところでございます。
  162. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 銀行が債権の全額を放棄したという例が過去にありますか。
  163. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御指摘はいわゆる母体というような立場にある金融機関とそのもとで金融活動を行っているノンバンクとの関係においてどうかというような御質問だと理解いたします。  母体たる金融機関と系列ノンバンクとの関係にはさまざまなものがあるということは寺澤委員承知のとおりであろうかと存じます。したがいまして、その関係に基づく処理というものもさまざまなわけでございます。しかしながら、金融機関母体とする直系ノンバンクと言われるような非常に密接な関係のあるノンバンクの経営問題に関しましては、程度の差はあれ母体金融機関が経営に関与をしておりますこと、あるいは母体金融機関自身の信用保持を図ること等の観点から、母体金融機関が最大限の支援を行って再建を図る方法をとることが多いというふうに認識をいたしております。そういうものの中において御指摘のような手法がとられたものもあろうかと存じます。  ただ、住専母体との関係がそのような直系ノンバンクと同一であるかどうかという点につきましては議論のあるところでございまして、必ずしも一対一の関係である直系ノンバンクとは同じような関係にないというふうに私どもは考えているところでございます。
  164. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 住専の株式を所有している母体行は、自分のところの行員を出向させたり、あるいは取締役を送り込むということで住専の経営に非常に深く参画していました。そして、運用に困っていた農林系統から入ってくる資金を使って、母体行自身が融資できない案件について住専を使って融資していたという、このように母体行は貸し手としての責任に加えまして、さらに住専をコントロールしていた株主としての責任を負わなければならない。母体行は持っていた債権を放棄するだけでよいのか。果たしてそれで一般の国民の理解が得られるのか。  大蔵大臣、何回か御答弁あったことかと思いますが、もう少し踏み込んだ御答弁をしていただければ大変ありがたいと思います。
  165. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 今御意見がございましたように、母体行と呼ばれる金融機関住専の設立の段階からかかわり、破綻に至る段階まで経営にもかかわった部分が非常に多いと思っております。そして、住専をみずからの経営に利用した面もあるという御指摘も衆参の委員会において出されたところであります。  そのような厳しい御意見等も踏まえた上で、私といたしましては、母体行である銀行側が三兆五千億の債権の全額放棄をもって責任がすべて果たされたという考え方に立つべきではないということを当初から申してまいりました。この考え方に基づいて、銀行側におかれてもぜひこの住専問題、不良債権の処理に積極的な寄与を行われるよう今日も要請を申し上げているところでございます。
  166. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 個人の預貯金を使って株式という非常に危険な商品を買う、そういう制度がまた許されているということ自体が非常に問題があるのではないかと思います。米国では普通、銀行は普通株が持てないということになっておりますが、これは後で触れることにいたします。  我が国のバブルの崩壊というものはアメリカの一九二〇年代の大恐慌を上回る深刻な事態であると私は理解いたしますが、大蔵大臣はいかが理解されますか。
  167. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 日本のバブルの崩壊と米国の大恐慌を比べてどうかという御質問でございます。時代も半世紀以上の違いがございますので簡単に比較することはなかなか難しいわけでございますが、例えば実質成長率で見てみますと、御承知のとおり、我が国はバブル崩壊後ゼロ%成長といいますか〇・数%成長にとどまっております。  当時、アメリカの一九二九年以降の動きを見ますと、一九三〇年にはマイナス九・八%、三一年にはマイナス七・六%、その翌年にはマイナス一四・七%というようなマイナス一〇%以上のマイナス成長という事態を迎えております。また、失業率を見ましても、御承知のように、我が国は三%以上の大変厳しい失業の状態でございますけれども、アメリカの一九三〇年代の失業率は二〇%を上回るようなことでございます。  確かに、御指摘のように、我が国のバブル経済の生成、崩壊の過程におきまして、資源配分や所得分配のゆがみをもたらすといったような、我が国経済の健全な発展に大きな負の遺産を残したのは事実でございますけれども、指標で見る限りにおきましては、我が国のバブルの崩壊がアメリカの大恐慌を上回るものというのは、そこまで言うのは適切でないのではないかというふうに考えております。
  168. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 一九二九年十月二十四日、暗黒の木曜日、これに株式の大暴落が始まりまして、時価総額が五分の一になった。それで、高値を更新するのに二十五年かかったというのがアメリカのあの一九二九年からの大暴落だったわけです。アメリカでは上院の銀行委員会で、法律国家として立法によって構造改革をする、経済構造を改革することによってアメリカ経済を立ち直らせようということで、有名なペコラ委員会というものをつくりました。  ペコラさんというのは当時弁護士でして、その小委員会委員長だったことでこの名前が出てくるわけですが、このペコラ委員会で二年間にわたって一万二千ページに及ぶ膨大な公聴会の資料をつくり、経済構造改革のグランドデザインをした。そして、一九三三年法、あの証券法、それから一九三三年銀行法、グラス・ステイーガル・アクトという俗称がありますが、あるいは一九三四年の証券取引法。  アメリカは何をやろうとしたかというと、銀行と証券との境目をきちっとつくって、特に銀行の株式取得というものを一九三三年グラス・スティーガル・アクトで禁止をしたわけであります。  このペコラ委員会が行ったこと、つまり米国はバブルの後始末を、行政指導の改善ではなく、ましてや原則を決めずに財政資金を投入することではなく、立法によってやり遂げたということがこの意義だと思います。自来、六十年以上この法律は生きております。  もちろん、我が国においても金融問題特別委員会等々が設置され、我々国会のローメーカーとしては徹底的に法律国家としてのグランドデザインをこれから構造改革に至るまでつくっていかなきゃならないと思いますが、この動きについて橋本総理大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  169. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) スピンエージとも言われました大恐慌の時代からアメリカ経済が復活し、その後の繁栄に至りますプロセスには、議員が今挙げられましたようなペコラ委員会の活動に象徴される銀、証の垣根の問題あるいはTVAに代表されるような違った角度での雇用創出の試み、そして新たな技術開発の中で新分野が次々に切り開かれていった当時の経済社会の実態、さまざまな要因があったと思っております。  私は、むしろペコラ委員会のようなものをと言われる議員の御論議一つの見識として評価をさせていただきたい。この分野の大先輩をつかまえて失礼な言い方でありますけれども、評価をさせていただきたいと思います。  ただ、銀、証の垣根というものが必ずしも万能かどうかということになりますと、私は今大きな時代の流れの中で状況は変化しつつあるのではないかと思います。なぜなら、必ずしも銀、証の垣根というものにヨーロッパは鋭敏な運営はしてまいりませんでした。アメリカはその意味では非常に独特の手法で独特の世界を築き上げたと申してもよいと思います。  そして、金融自由化の流れの中で、我が国においてもその部分は長い間垣根で隔てられてまいりましたものが、世界的な流れの中で、その垣根という意味からいきますならば、むしろ相互の乗り入れの方向に向かいつつあることは御承知のとおりであります。  そうした客観情勢の変化する中におきまして、しかし理念といいますかシステムといいますか、こうした状況の中で政府自身がこの住専を初めとする金融機関の不良資産問題を処理していく、我々はこれを早期に解決する喫緊の課題ととらえておりますだけに、こうした情勢の中で今後の同種事件の再発を防ぎ、不良資産がこれ以上累増するような事態に陥らせないような新たな市場規律に立脚した透明度の高い金融システムというものを一刻も早く構築していくために、我々もまた今苦しんでおります。議員御提案のようなさまざまな角度からの御意見というものをお聞かせいただくことにより、我々もまたそうしたものを参考にしつつよりよい仕組みを考えてまいりたい。しかし、時間をいたずらにかけることはできない、私はそのように考えております。
  170. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 今、総理がお触れになりました銀行と証券との相互乗り入れという角度から私は考えていたのではなく、むしろ個人の預貯金を扱っている銀行が非常に危険のある株式を保有できるという制度そのものにそろそろ疑問を投げかけてもいいのではないか、私の議論のポイントはそこにあるわけであります。  我が国の金融機関は上場株式全体の一体どれぐらいの株を持っているんでしょうか、大蔵省さん。
  171. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 全上場株式に占めます我が国金融機関の持ち株数は、統計の制約上、投資信託や年金の運用資産を含めて申し上げますが、平成七年三月末時点におきまして四三・五%でございます。
  172. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 上場企業全部の株の四三・五%というのが金融支配であるということは、私の意見では決して資本主義自由市場経済のノーマルな姿ではない。やはり健全な発行市場あるいは流通市場としての資本市場を考えた場合に、個人株主がもっともっとふえなければならないし、また企業のオーナーがこれだけ金融機関に寡占的に持たれるということは決して健全ではない。  そして、もう一方、預金者の方からこの事態を見てみますと、やはり株というのは非常に危険なものです。これは当たり前のことでしょうが、運用に非常に高度のテクニックを必要とすると思います。銀行が別の形で初めからそういう危険があるということをディスクローズして、開示して、そういうファンドをつくって、そのファンドにリスクを承知の上で普通の投資家が参画してやる、これはまた話は全然別であります。  私が申し上げているのは、今まで銀行が長い間ほかの会社とのいわゆるもたれ合い、あるいは人的なつながりを強めるためにいろんなことをやって、それが株式の保有という形で行われているという、その事実を特に指摘したかったわけであります。  四月二十一日の日本経済新聞の朝刊のトップに「株式の益出し 銀行三兆円超」とあります。普通の人が見たら「株式の益出し」って何だろうと、よくわからないだろうと思うけれども、要するに、三月末日に自分のところの簿価で今二千円している株の買ったときの値段が五百円であれば、五百円の株を二千円で、一応クロスと言うんですが、売って、そして千五百円の益を出すという、この益出しということが三兆円。  このように銀行の経営内部で、例えばBIS、国際決済銀行規制に基づく自己資本比率というのがこれによってもし非常に大幅に株が下がれば低下して、これが余りにも株が下がって低下しそうなので一年ではやれなくて二年連続して少しずつ益出しをやったと新聞には書いてありますが、銀行経営にとって普通株を、そのまま生身の株を持つということが非常に危険であるという指摘をしたいと私は思っております。  現在、銀行に株式を持たせることをどのように考えているのか、公取委員長の御意見を承りたいと思います。
  173. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) 独占禁止法の立場から申し上げますが、金融会社は、ただいまも御指摘がございましたように、広く一般国民から預金等の手段を通じて資金を調達しそれを事業会社に供給する、そういう信用創造等の経済的機能を果たしているわけでありますが、その資金供給を通じて、一般的に申せば事業会社を支配しやすい、そういう立場にあると存じます。  このような状況のもとで金融会社がさらに事業会社の株式を保有した場合には、先ほど申し上げました資金供給による影響力、それと相まって事業会社に対する支配力が時によれば容易に形成され得る、そういう問題が生ずるわけであります。あるいは、金融会社がさらに金融会社を支配する、こういう形もあり得るわけでありますが、いずれにいたしましても、そのような場合には経済全体に与える影響力は一層強まるということになります。  そこで、独占禁止法では第十一条におきまして、このような事態を、いわば経済に対する一般的な支配ないし影響力、これを未然に防止することを目的といたしまして、金融会社の株式保有の上限を国内の会社の発行済み株式総数の、つまり個々の会社ごとにその五%を超えて保有してはならない、こういう規定を設けているわけでございます。  ただいま委員指摘のような、アメリカで原則として商業銀行が事業会社の株式保有を認められていない、そのような規制とは趣を異にいたしますけれども、我が国は株式総数の五%を超えて保有できないという規制によりまして、御指摘がございました金融会社の経済全体に与えるいわば過度の支配力ないし影響力を未然に防止する、このような仕組みを持っているわけでございます。
  174. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 独禁法の十一条、五%をアッパーリミットとして、それまでは銀行が各事業会社の株を買ってもいいという。いろんな子会社を通じあるいは系統のところを通じてこの五%というのが実質的にもっともっとパーセントが上がるということはあるわけで、とにかく銀行の企業支配ということがまず一面にありまして、片方にはやはり個人の預金者の金というのがあると思います。  日本でもバブル崩壊の教訓として、また母体行による住専支配の反省として、独禁法十一条を改正して銀行による株式取得を禁止すべきではないかと私は思いますが、大蔵大臣の御意見をお聞かせいただきます。
  175. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 先ほどお答えいたしましたケースにつきましては、銀行ということに限らず、いわば顧客から預かったものの運用という意味での信託財産だとか、あるいは機関投資家としての生命保険とかそういうものも含まれておるわけでございますが、いずれにしても、アメリカと比べますと日本の銀行が株式を持てる仕組みになっているということは御指摘のとおりでございます。  しかしながら、他方、例えばドイツにおきましては、そういう銀行の株式保有という点では日本よりもより緩やかな制度になっているとか、それぞれの国の金融制度の中でその国に適した仕組みになっているというふうに理解をしております。  また、先ほど公取委員長からお答えがございましたように、そういう中におきましても、我が国においては銀行業が過度に他産業を支配するというような弊害が起こらないように独禁法十一条によりまして五%を上限とする規制が課せられているわけでございます。私どもといたしましては、このような仕組みのもとで事業支配力の過度の集中というような問題は必ずしも生じておらないと理解をいたしております。
  176. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 ありがとうございました。  田中経済企画庁長官に御質問をしたいと思います。  もちろん、我が国は資本主義市場経済の国であります。どうもこの企画、プランニングという言葉がひっかかるわけですが、経済企画庁から去年の十一月二十九日に戦後十三番目の中期経済計画が出された。社会主義計画経済ではない我が国が、これだけ世界第二の経済力を持つ資本主義市場経済の国がいまだに中期経済計画を政府が出しているという、大変に奇妙な感じがいたします。  実際、資本主義の国で、G7で、経済を計画するという意味行政庁というのは、日本の経済企画庁とイタリアの予算経済企画省だけであると言われております。また、中期経済計画を立てるのは、やはり日本とイタリア、フランスぐらいではないでしょうか。そして、これは宮崎前長官に御教示いただいたわけですが、イギリスとドイツが、経済全体ではなく政府の行動である公共投資に関する長期見通しを持っているそうであります。  田中長官は、資本主義自由経済、市場経済において経済計画を策定することの意義、さらに経済企画庁の意義などをどうお考えでしょうか。
  177. 田中秀征

    国務大臣(田中秀征君) 経済企画庁長官の先輩であられる寺澤委員にお答えするのは大変恐縮なんですけれども、私は、市場経済のもとにおける経済計画というのは計画経済における計画とどう違うのかずっと考えておりますけれども、計画経済のもとにおける計画というのは、例えて言えば電車の走るレールのようなものだと、しかし市場経済のもとにおける計画というのは広い道路のようなものだ、それだけの柔軟性があるんだというふうに思ってまいりました。  今御指摘のように、フランス、イタリアなどでは同様の計画がございますし、またイギリス、アメリカ、ドイツなどでは中期の経済見通しがこれにかわるものだというふうに思います。そういう点では先進諸国では同様のものがあるというふうに理解をしているんです。  まず、中期の経済社会の望ましい姿を政府が描いて示すということは私は大変意味のあることだというふうに思っております、それに到達するための政策目標や政策手段を示して、そして経済活動あるいは行政一つのガイドラインを示すということは。私は、そうでないと経済活動、特に自由主義経済というのは成り行きに任せておく感じであるといろんな意味で不安な状態になるというふうにも思います。  この経済計画というのは強制力のないもので、先ほど申し上げましたように大きな通りを進んでいくと、そんな印象であるんですが、非常に意味のあることで、それでなおかつある面から見れば共通の閉塞状況に直面しているかなというふうに思われる先進国経済、不透明感というのはあると思います。特に、私は経済社会の価値という面でそういうことを感じているんですが、そういう意味ではこういう経済計画を立ててそれを示していくということは大変意義深いことであるし、これからますます大事なことだというふうに思っております。
  178. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 私は、秩序にこだわることによって、いわゆる政府、行政がガイドラインを出すということを余り好みません。やはり自由主義市場経済というのは自己責任と自由競争によって、もちろん行政としては非常にフェアな公正な競争をするための透明度とか、あるいは行政の公正さとかそういうものは別でありますが、ガイドライン的な考え方というのはどうもついていけません。  特に経済企画庁が今でもやっておられるわけですが、月例報告の中に、例えば三月は「景気には緩やかながら回復の動きがみられる。」、二月は「景気には緩やかながら再び回復の動きがみられ始めている。」、一月は「緩やかながら」「足踏み状態を脱する動きがみられる。」、こういう一部の好事家の間でもてあそばれているような非常に特殊なレトリックというのを使って、果たして国民にわかりやすく日本の経済の実態を説明できるのかどうか。私もそれをやっていたわけですが、非常にむなしい。もうやめた方がいいんじゃないかと思いますが、田中経済企画庁長官、いかがですか。
  179. 田中秀征

    国務大臣(田中秀征君) 寺澤長官も何度か責任においてお出しになったわけですが、私も率直に申し上げて最初は抵抗がございました。しかし、これが四カ月に一遍、半年に一遍の報告ということであればある意味でもっと明快に出せるんじゃないかと思うんですが、私は、毎月の経済指標すべてを収集して、分析して、その時点での経済の現状というのを適切に報告するということは、経済活動を営んでいる皆さんに対しても、また政府、国民、あらゆるところに対して非常に意味のあることだというふうに思っております。  言葉が多少変わって、どこが変わったんだというのは、やっぱり経済の動きがそうだからそういうことになるんだと私は思います。
  180. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 経済企画庁の役割というのは、田中長官もおっしゃっておりますように、政府の経済関係部門を調整していくことであると私も思っております。  ただ、生活者としての国民立場というものを経済企画庁としては守っていかなければいけないんじゃないか。他の省庁がさまざまな業界の利益に強く影響される中で、生活者としての国民立場に立って物が言えるのは経済企画庁ではないか、私はそう思います。  例えば、公共料金を値上げするかどうかの議論、経済企画庁が国民、生活者の立場から値上げの影響を試算し、他の省庁に対して論陣を張らなければ、生活者を守る省庁というのは日本にはない。あるいは規制緩和について、今は総務庁が取りまとめているようですが、私は経済企画庁がもっと強いリーダーシップを発揮すべきであるとかねがね思っております。  田中長官は、当委員会で四月十六日に、同僚の塩崎委員に対し、権限が弱い形で調整機能を預かって十分に役割を果たし得るのか、また内閣の調整機能の強化の流れの中で経済企画庁の役割も見直したいというふうにおっしゃっております。我々も、経済企画庁の国民生活局を核にして国民生活省を創設すべきであるという法案を衆議院に提出しております。田中長官のお考えになる経済企画庁の行革構想はどのようなものがありますか、教えてください。
  181. 田中秀征

    国務大臣(田中秀征君) 経済企画庁は、経済政策についてのまず総合調整をする役所だというふうに心得ておりまして、私も四年前に経済企画庁に政務次官としておりました。当時、宮澤内閣が第三次行革審に諮問して、その諮問内容は二つあったんですが、一つは政府の役割、もう一つは縦割り行政の弊害是正ということでありました。  この縦割り行政の弊害是正ということの方策いかんということは、裏を返せばこれは内閣の指導機能、調整機能の強化を求めたものであります。細川内閣のときにその答申を得たわけですけれども、政府も、ずっとこのところ内閣の調整機能が不足している、そういう認識に立っているからそういう諮問をしてきたんだというふうに思うんですが、これは一つの課題となっているわけであります。  ですから、そういう内閣の総合調整機能、指導機能の強化の中で、経済政策一般の調整機能、これも非常に重要な部分であります。そういう流れの中で、経済企画庁の役割や位置づけというのは当然見直されてしかるべきだ。その際には、経済政策の総合調整というのは私は国の中枢機能として不可欠のものだというふうに思っておりますので、そういう中で考えるべきだということを申し上げたところであります。
  182. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 次に、英語教育について文部大臣にお伺いをいたしたいと思います。  これから、いわゆる労働集約的な生産体制から明らかに知識集約的な生産体制に移っていくわけでありますが、そのためには金融とか証券とか、情報あるいはマスコミ、こういう産業が世界をマーケットにして羽ばたいていかなければならない。やはり一番のネックは英語だろうと思います。英語というか世界語だろうと思います。私が韓国へ行って話す言葉も、ドイツのフランクフルトへ行って話す言葉も残念ながら英語であります。英語しか通用しない。中学のころは一生懸命になってエスペラントを習いましたが、やはり世界語は英語になってしまった。  我が国のTOEFL、TOEFLというのは英語を母国語としない国からカナダとアメリカの大学へ行く場合に受ける英語のテストをいうんですが、百八十二カ国中、日本のTOEFLの平均スコアというのは百六十二番目である。あるいはアジアの二十七カ国中、日本の平均スコアは二十三番目である。要するに英語が非常にできない。  私も、非常に恥をさらすようでありますが、二十二年間アメリカにおりまして、今英語のテレビを見て、よくわかるときで半分、わからないと三分の一ぐらいしかわからない。私自身の能力の問題、人間的な欠陥の問題、あるいは勉強が不足であるということもありましょう。  しかしながら、やはり日本の小学校、中学、高校、大学と、英語の教育にあれだけの時間とエネルギーと金をかけて果たして本当に、英語がコミュニケーションの道具というよりもむしろ人を試験で落とす、選択する道具のように思われております。  今小学校の英語教育ということが中教審で取り入れられそうになったんですが、これを見送ったようですが、その辺の経緯を文部大臣からお聞きしたいと思います。
  183. 奥田幹生

    国務大臣(奥田幹生君) 国際化が進んでまいりましたから、英語がそれに応じて非常に重要になってきております。学校教育におきましても決して例外ではございません。  そこで、文部省といたしましては、先生今御指摘のように、英語のコミュニケーション能力を第一義的に考えまして、今の学習指導要領でもそれを非常に重視いたしておるところでございます。  昭和六十二年から海外の青年を招致いたしまして、七年度はそれが四千四百人でございますけれども、平成八年度、今お願いをしております予算の中では四百人ふやして四千八百名にさせていただきたいという数字が入っておるわけでございます。なおまた、英語の先生の講座を設けましたり、あるいは英語の先生を海外に派遣するというような事業も行わさせていただいておるわけでございます。  それから、英語の教員の採用につきましては、今年度の場合、各都道府県それから十二の政令指定都市があるわけですが、その中で四十八の教育委員会が英会話の実技を試験項目に取り入れまして採用しておるというようなことで、近年は特に英語の先生の能力も非常に重視をしてまいっておるという状態でございます。  ただ、先生今おっしゃいましたとおり、小学校に英語を取り入れるかどうかについては見送ったというお話をいただいたんですが、来月の二十日ごろになるだろうと思いますが、第一、第二両方の中教審の中の先生の合同の委員会、総会を持っていただきまして、そこで結論を出そうという予定にしていただいておりますから、完全に今見送ったという話は、私は伺っておりません。  以上でございます。
  184. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 今インターネットの言葉も世界語の英語になっておりますし、私は四年ばかり国際機関にいたのでありますが、非常に優秀な日本から来た職員が英語ができないということだけで非常に不利な立場に置かれているという実態を目の当たりにして愕然とした覚えがあります。大学の英語、特に知識人がもう少しこれから英語が読める、あるいは書ける、特に読み書きという、情報が英語でとれるというようなことをこれから真剣にやらないと大変なことになるんだろうと私は思っております。  次に、日米の留学交流の促進についてお伺いをいたします。  フルブライト留学制度の創始者であるフルブライトさんが去年の二月に亡くなりました。この第二次世界大戦後に創設された制度は、あの当時非常に外貨の乏しかったころ、向学心に燃えた留学を希望する若者にとっては大きな福音であったわけであります。その後四十年余りたつ今日まで両国の留学交流で大きな成果を上げている。クリントン大統領来日の際署名されました「日米両国民へのメッセージ 二十一世紀への挑戦」には、フルブライト計画の拡充などによる両国間の若者の交流事業の推進が盛り込まれました。  そこで、日米間の留学交流の促進に向けた具体的構想と総理の所見をお伺いしたいと思います。
  185. 奥田幹生

    国務大臣(奥田幹生君) まず、全般的な留学生の動きと、それから日米間の問題とに分けて答弁をさせていただきます。  全体では昭和五十八年から、あの当時中曽根内閣だったと思いますが、これからだんだん国際化が進んでまいるので、やはり留学生もふやしていかなければならないということで、新しい世紀に入るまでに留学生を十万人にふやそう、こういうような計画を総理の指示で文部省で立てていただきました。現在五万四千人でございます。ただ、それの九割が東南アジアからの留学生でございまして、先生が今非常に重視されましたアメリカから日本に見えております生徒というのは非常に少ない。日米間だけに限って数字を拾ってみますると、四万五千人日本からアメリカに留学をしておりますが、逆にアメリカから日本に見えておりますのはわずか一千百人です。  もう一つ日本の国立大学、これは九十八ございますけれども、国立大学の研究者並びに国立大学の共同事業研究施設の研究者、ここからアメリカに研究に渡っておられますのが一万七百人、逆に日本ヘアメリカから来ておられますのが二千三百人、これは大体四対一の割合。  しかし、いずれにしましても非常にアンバランスでございます。先般、橋本総理とクリントン大統領との間でいろいろとおまとめいただきましたあの国民向けのメッセージも、今私が申し上げているようなことを相当真剣にお考えいただいてのメッセージであったんではなかろうかなと思っておるところであります。したがって、総理の御指示もございますので、もっともっとアメリカから日本にお越しいただくような新しい施策も打ち出さなければならぬと思っておるんです。  その中で、今お話しのとおり、昭和二十一年にスタートいたしましたフルブライト氏によるところの新しい制度がちょうどことし五十年目を迎えたわけでございます。日本からその制度を利用されてあちらに勉強に行かれた方が、先生あるいは沖縄県の大田知事さん、あるいは駐米の元大使をやっておられた大河原さんというような非常に立派な方も、育っておられると言うと失礼でございますけれども、そういう方もございます。やはりいい制度は時代が変わりましてもどんどん取り入れて積極的にやってまいりたい、こういうように思っておるところでございます。
  186. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 次に、憲法十五条第一項で定められております在外邦人の参政権の問題についてお伺いをしたいと思います。  憲法では日本国籍を持っていれば国政に参画できるというふうなことをはっきり書いておりますが、現在六十八万七千人の邦人が、日本人が海外で住んでおります。私自身、二十二年間海外にいた間、十二回の国政選挙ができなかった。日本だけがG7の中で、海外にいる日本人は投票ができないという今憲法違反がなされているわけであります。  一九九二年、日本の自衛隊はカンボジアにPKOで行った。そのときに衆議院の選挙があった。カンボジアに行っている自衛隊は投票できない。ところが、自衛隊によって投票できるようになったカンボジアの東京にいた人は東京で投票をしたという非常におかしなことが行われております。  このまま在外投票制度がなく次の国政選挙が行われた場合、選挙訴訟や国家賠償請求訴訟が出されるのではないかと思います。私はこの法案を超党派で出してみようと今鋭意検討をしておりますが、この問題を政府は、総理、外務大臣、自治大臣はどうお考えになっておりますか、教えてください。
  187. 倉田寛之

    国務大臣(倉田寛之君) 寺澤委員指摘の在外選挙につきましては、与党三党の政治改革協議会におきまして検討が行われてきたところでございますが、これまで、対象といたします選挙を衆参の比例代表選挙といたしまして、投票の方法につきましては在外公館投票と郵便投票を併用することとするなどの方向が示されておることは承知をいたしているところでございます。  海外在留邦人の投票の機会の保障は極めて重要な課題であるというふうに私も認識をいたしております。現在、自治省といたしましては、どの程度の在外公館において投票を行うことが可能であるか、在外公館投票と郵便投票の組み合わせをどのように行うべきかなどの問題につきまして、外務省との間で協議を進めさせていただいているところでございます。選挙の公正確保、適正かつ円滑な執行という観点を踏まえながら鋭意検討を進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  188. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) ただいま自治大臣から御答弁がございましたけれども、外務省といたしましても、在留邦人が御承知のとおり七十万になんなんとする多数に及んでいる次第でございます。その方々の権利を保障していくという観点から前向きに考えてまいりたいと、こう思っております。  そして、五十九年に提案されました公選法の改正案が六十一年、解散によって廃案になったと、こういう経緯がございますけれども、自治大臣から今答弁がございましたように、与党三党でも今積極的に対応しておられます。我々としても政府内でいろいろ前向きに検討してまいりたいと、こう思います。
  189. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今両大臣からも御答弁を申し上げましたが、先般の与党三党の政策合意にも、早急に改革案をまとめて実現を図ると明記をされ、検討が進められていると承知しております。当然ながら、政府としても、公正の確保をどうするか、また適正かつ円滑な執行という観点を踏まえながら努力をしてまいりたいと考えております。  なお、一点、先ほどの文部大臣の答弁で補足をさせていただきたいと思いますのは、今までにも形の上ではある程度の仕組みを持っておりました。それぞれの青少年交流を、殊に日米の場合、受け入れ側を日本とした場合の施策の充実が求められるわけであり、特に今までに不足しておりました一つは高校生であります。  今、文部大臣にお願いをして、アメリカの高校生の短期招致ができないだろうか、殊に日本語を勉強しているお子さんを中心に受け入れができないだろうか。もう一つは、さまざまな分野の若手の芸術家に日本に来てもらい、日本の伝統的な芸術と触れ合ったり、あるいは同じジャンルの日本の芸術家と交流してもらうことはできないだろうか。この二つにつきましては、既にある程度文部大臣のもとで検討を進めていただいております。  あと、民間の青少年団体、例えばボーイスカウトとかガールスカウトとかがそれぞれの活動を通じて交歓することを支えていくことはできないだろうかと今検討をお願いしておるところでありまして、本日も閣議の後の閣僚懇談会で文部大臣から、このアメリカとの青年交流についての中間報告をちょうだいしたばかりであります。  今後できるだけ、今度は日本側が受け入れていくその枠をふやしていきたい、そしてアメリカから来ていただきやすい仕組みをつくっていきたい、そのように考えておりますのでぜひ御協力をお願いいたします。
  190. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 在外邦人投票制度につきましては、先ほど自治大臣が触れておられましたように、比例代表だけに限って投票をさせるということではなしに、あくまでも憲法十五条一項で認められている、日本国民は参政権があるんだ、国政に参画できるのだということを遵守してこれからやっていただきたいと思います。  これにて質問を終わります。
  191. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で寺澤芳男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  192. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、阿部正俊君の質疑を行います。阿部正俊君。
  193. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 自由民主党に所属しております阿部正俊でございます。  実は、きょう橋本総理にこういう形でお目にかかるわけでございますけれども、十七年前になりますが、大臣が厚生大臣のころにかばん持ちをさせていただきました。そのころを考えますと、こういう立場でこんなところにいるというのは非常に予測できなかったところでございます。しかもまた、ついせんだってまで向こうの席に座っておりまして、向こうのテーブルでは多少質疑応答はさせていただいたのでございますけれども、こういう委員長の目の前で、総理の目の前でというのは初めてでございますので、いわば質疑のイロハにかなわないようなこともあるかと思いますけれども、御容赦賜りたいというふうに思います。  きょうお話しさせていただきますのは、私のテーマは、我が国の抱えております私は最大のテーマではないかなと思いますが、いわゆる財政再建の問題と、そういう中におけるどうしても乗り越えなきゃならない社会保障なりあるいは高齢化社会というものについて、どんなふうなことで考えたらいいのかということに少し触れてみたいと思います。  ただその前に、やはり住専国会というふうに言われますように、ずっと話を聞いておりまして一つだけ御質問をさせていただきたいと思います。と申しますのは、住専及びそれにかかわる、あるいはまつわる方々の行ったことはどういう行為であったのかなということでございます。通常のビジネスであったのか、あるいはアンラッキーにバブルに逢着して残念なことになったというだけなのか、あるいは悪事とは言いませんけれども少し悪行だったのか。私の見るところ、俗っぽく言えば、少なくとも始末書ぐらいは書いてもらわなきゃいかぬようなことではなかったかな、こんなふうに思うわけでございます。  そうしたときに、住専処理機構あるいは六千八百五十億というお金の投入等々の問題は、国民からさまざまな批判なりあるいは好意的に迎えられていないわけでございますけれども、どうも悪といいましょうか、に対する姿勢が一つ感じられないというのが私の感想でございます。  銀行局長の西村さんも大変御苦労されておられますけれども、大変お優しいお顔で非常に実務的にとんとんと御説明されますけれども、もう一つ私は怒りが欲しいなということではないかなと。国民も、金額もさることながら、そうした部分についてどうも納得がいかないという感じを持っているのではないかな、こんなふうに思いますので、これからの住専の処理に当たりましては、どうかひとつ、長谷川平蔵とは言いませんけれども、社会正義を実現するんだというふうな視点に立った意気込みで事に当たっていただきたい。  このことにつきまして大蔵大臣と、できますれば総理にも一言お言葉をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いします。
  194. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は今、阿部議員指摘をされたポイントは非常に大切なポイントではありますけれども、行政当局として感情論をぶちまけることが果たして許されるのだろうかという思いを感じました。それこそ歯にきぬを着せずに申してよろしいものならば、我々はこの住専の関係について申したいことは山ほどございます。しかし、少なくとも行政責任者としてこの問題に取り組む場合、感情論で云々することは避けなければなりません。  そして、今日までこの問題が衆議院並びに本院で御論議をいただくに当たりまして、我々は関係者のさまざまな意味での責任の明確化が必要だということは繰り返し申し上げてまいりました。そして、今日まで院から、また衆議院におきまして御要望のある資料についてはでき得る限りのものを公開してまいったつもりであります。そしてまた、独自の御調査による非常に厳しい御指摘をも、この中で私たちは拝聴してまいりました。その中には、残念ながら政府が存じておらなかったような問題もあったと思います。  そして、今日、我々は予算の御審議とともに、この住専の処理というものに対し強力な債権回収機構を整備したいということで国会に法律を提案し、一日も早くこれらの問題に国会としての結論をお示しいただきたいと願っておるところであります。  我々は、当然ながらこの回収体制を運営していきます際に、法律上問題のある関係者に対して民事、刑事の責任を問うていくことは当然でありますし、今許される限りの法的な手段を講じて債権の回収に当たっていく。その努力の土台には、やはり社会正義という思いと、不正に対するあるいは不法に対する怒りというものが燃えていることだけは信じていただきたい。その上で、我々は法に基づいた行動をとってまいりたいと考えております。
  195. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 やはり感情論ではないかと多少たしなめられた思いもいたしますけれども、多分総理の心の中はそうではないんではないかな、こんなふうな気もしますので、ぜひ期待していきたいというふうに思っています。  さて、きょうの私の主題は、財政再建とそのもとでの医療・社会福祉政策の展開、こういうことでございますので、そちらのお話に移りたいと思うのです。  最初に、我が国のいわゆる国債発行額というのは大変な額になっているとよく言われます。そのときに、大蔵省さんの御説明等々の資料ですと例えば要調整額というような表現になってまいりますが、大変わかりにくい。端的に言えば赤字でございます。これどうするのかねというようなところあたり、非常にわかりにくいといいましょうか、できれば少し家計に例えながら俗っぽく御質問をさせていただきたいなと思っております。  第一問として、久保大蔵大臣に、我が国の今抱えている借金総額及び大臣としてその重さをどういうふうに感じていられるのか、できればその辺についてお尋ね申し上げたいと思います。
  196. 小村武

    政府委員(小村武君) 先生御案内のように、我が国の財政が戦後初めて特例公債を発行いたしましたのは昭和五十年でございます。自来、特例公債の依存体質脱却まで十五年かかりまして、平成二年に特例公債の依存から脱却をいたしました。その後、景気の落ち込み等もございまして数次の経済対策等々を講じました。  最近におきまして、過去五カ年間で七十兆円もの国債の残高が積み上がりまして、現在、八年度末では二百四十一兆円という残高でございます。国債費にいたしまして十六兆円でございますが、これがいろんな政策的な経費に対して圧迫要因になっているということでございます。  なお、こうした結果、フローベースで見ましても、ストックベースにおきましても先進諸国に比べまして大変水準が低いといいますか、最悪の状況にあるというところでございます。
  197. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 また同時に、二百四十一兆円という国債残高のほかに、いわゆる隠れ借金と言われるものがあるはずでございますけれども、この額をお示しください。
  198. 小村武

    政府委員(小村武君) 私ども隠れ借金という言葉は必ずしも用いておりませんが、特別の措置を講じまして工夫したものという意味でございますといろんなものがございます。一つは特別会計で累積赤字を持っていたものを最終的に国で処理をしなきゃいけないもの、先生御案内の政管健保の四十八年までの赤字の分とか、あるいは特別会計と一般会計の間でいろんなやりくりをし繰り入れ繰り戻しをしているもの、それから公企体でございますが、最終的には国民の負担に帰するという国鉄の債務等々がございます。それらをすべて合わせまして四十三兆円でございます。  ただ、国鉄の債務の二十七兆円につきましてはこれから資産の売却等々行っていきまして、最終的にこれがどの程度の国民負担になるかというところまでは、これからさらにその処理をした後でないとわかりかねるということでございます。
  199. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 時間内で明らかにすることはなかなか難しいんでございますけれども、質問をさせていただきます。  こういう我が国の財政状況といいますのは、世界に比べて、他の諸国に比べてどうだろうか。かつて日米の貿易問題のときにアメリカのいわゆる双子の赤字ということで相手さんを攻撃したような経験も我が国は持っていると思いますけれども、今我が国の置かれている世界的な状況でのそうしたいわば借金構造というものはどういう地位にあるのかということについて御説明いただきたいと思います。
  200. 小村武

    政府委員(小村武君) 先ほど若干触れさせていただきましたが、OECDの統計等々を見てみまして、フローベースで見ますと我が国は対GDP比、これは国、地方を含めたものでございますが、三角の七・五%、赤字でございます。これに比べましてアメリカは二・三というところでございます。アメリカのピーク時におきましてもGDP比、財政赤字、フローベースで見まして五・一でございますから、大変悪い状況でございます。  ちなみに、フローベースで見ますと、先進七カ国ではイタリアを追い抜きまして日本が最悪の事態でございます。ストックベースで見ましても日本は大変高うございまして、GDP比九七・三でございます。これはイタリアに次いで悪い順番からいうと二番目という状況でございます。
  201. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 要するに、一年間飲まず食わずやって一年分全部つぎ込んでもというふうな状況なんではないかなと思うんです。  普通の家計と比較して考えますと、収入と借金というのはどういう割合かということになりますと、いわば六倍になるんでしょうか、年収の約六倍が借金だと、こういう形になるわけでございますけれども、総務庁の政府委員にお聞きしたいんですけれども、一般の家計では、普通の家庭でどんなふうな借金状況になっているのか、ちょっとお答えいただきたいと思うんです。
  202. 伊藤彰彦

    政府委員(伊藤彰彦君) 当庁では毎年、貯蓄動向調査を実施しておりますが、負債・年収比の分布統計については集計しておりませんので正確な数字を申し上げることはできないわけでございますが、年収階級別、負債現在高階級別世帯数という表がございまして、その分布から見ますと、年収の六倍以上の負債を有する世帯というのは平成七年末で最大でも四%であると推定しているところでございます。
  203. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 そうしますと、今の数字ですけれども、六倍ということになるとほとんどだれもいないということじゃないでしょうか。  今まで議論してまいりました住専というのは何倍かちょっと計算していませんけれども、相当なものだろうなというふうに思います。あれこれ考えますと、会社なんかの場合には、いわば年収といいましょうか、私は余り経済詳しくありませんけれども、年収の六倍も借金を抱えている会社というのは果たして会社として存立てきるのかな、こんなふうにも思います。家計でもそんなのはない。  そうなりますと、日本中で一番貧乏なのは橋本総理ではないか、こういうことにもなりかねないわけでございますけれども、総理、そうなった御感想はいかがでございますか。
  204. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、政府委員の答弁を、総務庁、大蔵省、あわせて聞いておりまして、議員の対比と比べましたとき、収入の六倍借金があるケースというのは四%あるという話でありましたが、恐らくそれは、分析した場合、住宅取得あるいはそれに類する大きな資産を取得し、その結果として金融機関にローンが組まれ、しかもその支払いの初期の段階といったようなケースが年収の六倍あるいはそれを超えるような借金を抱えている家庭ということになるのではなかろうかと思います。そして、我々はむしろ、年収の五倍なり四倍なりで住宅が取得できるように一方では努力していきたい、住宅政策の方ではこれを考えているわけでありますが、現実、特に都市部においては残念ながらそこまでいっておりません。  問題は、国の場合に、二百四十兆という国債の残高を抱える、これに対して我々の資産がそれだけふえているのか。今私は、住宅ローンと対比して、先ほど委員が家庭に例えろということを言われましたので同じような考え方をとってみますと、問題は、それだけの資産が公債の残高の累増にあわせてふえているのかという視点であろうかと存じます。  そして、少なくとも建設公債に依存しながら財政運営をいたしてまいりました時期において、それだけの資産は、少なくとも帳面の上においては我々は、道路であるか港湾であるか治山治水であるか、あるいは福祉施設、学校、さまざまな形であれ次の世代につなぎ得る資産をつくり上げるために投資をしてきたという理屈は通用するだろうと思います。しかし、赤字公債というものを発行せざるを得なくなった現在において、それはもう通用しない我々の立場であります。  問題は、これから先、逆に収入に応じて家計を縮小することを考えなければならないのか、あるいは一方で、節減はしながらもあえて必要なぎりぎりの資金を得るために何らかほかの収入を考えなければならないのか、さもなければ借金を続けるのかということでありましょう。我々はその借金だけをいつまでも続けていくことはできません。  赤字国債という名の借金をもしこれから先許されるとすれば、それが新たな仕事を生み出したり、新たな収入の道を生み出すための、例えば開業の準備、開店準備の費用であったり、新しい企業を起こすための準備であったり、そうした理由が許されるような範囲にこれをとどめながら、一方では収入を正規に上げていく努力を、そして一方ではむだを省いていく努力を、そして不要不急の仕事を後に繰り延べてでも仕事に優先順位をつけながら進めていくというだけの決意を必要とする時代に入っている、私はそのように思います。
  205. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 総理は結論のようなことを申されましたけれども、その借金がどういう形で積み上がってきたのかということについてちょっと振り返ってみたいと思うのでございます。  財政法四条では、原理原則としては、当然のことに借金はだめということが原則なわけでございますけれども、何が原則で、どういう場合に借金が許されるのか、あるいはその理由は何なのか、単なる形式論ではなくて、国会の決議があるとかないとかということじゃなくて、例えば実質的なあるいは政策的な理由というのをひとつ大臣からお伺いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  206. 小村武

    政府委員(小村武君) 財政法の第四条におきまして「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」、先生指摘のように、公債、借入金によらない収入をもって財政を営むことが原則であります。ただ、ただし書きにおきまして「公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」と、これはいかなる理由であるかというお尋ねでございます。  いわゆるただし書きに書かれておりますのは建設公債と言われるものでございます。この内容は、条文にも出ております公共事業費、出資金、貸付金の財源となるということでございまして、いわば資産としてこれらのものが後世代にも残っていく、そういう意味から、世代間の負担の公平という見地から公債によっても健全財政の原則をゆがめるものではないという範囲内において認められているということでございます。
  207. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 そうしますと、公共事業費というものであるから、実質的な理由としては将来の世代にも役に立つ資産を残せるからと、こういうことですけれども、建設公債も多分原則六十年の償還ということになっているのかなと思うんです。本当に自信を持って六十年先まで読み込んで、その世代に有益だというふうな公共事業のやり方をしているのかどうなのかということについてはいかがでございましょうか。六十年が絶対に役に立つんだと、こういうことは言えましょうか。
  208. 小村武

    政府委員(小村武君) もとより、財政法四条は公共事業におきましてもすべて公債によれと言っているのではございませんで、できるだけ一般の財源によることが望ましいわけでございます。ただ、公共事業等において許されるのは、先ほど申し上げました資産として後の世代に負担をしてもらってもいいんではないかという思想が入っております。  ただいま六十年償還ということでいたしておりますが、これは永久資産である土地が百年という前提でございまして、残余の公共事業等々の事業につきましては、原則として税法上の耐用年数を参酌して計算をいたしたというところの平均のものが六十年ということでございます。
  209. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 それでは、次にもう一つ、収入の面にかかわる話で、ちょっと国会議員という立場ではなかなか言いにくい面ではありますけれども、いわゆる税制改革で減税ということをやってまいりました。でも、これは財政という面から見ると、あるべき収入をいわばまけてあげて取らないということですね。これは逆に見ますと、例えば一兆円の減税をやるというのは一兆円の補助金をやるというのとある意味では一緒なんだと思うんです。そういう意味での減税というものについての、その時々の政策的な目的はありましょうけれども、その効果というものの検証、点検というものがどうなったのかなということをやはり私は気にせざるを得ない。  そういう意味で、過去十年間ぐらいの大きな税制改革の減税額はどれくらいで、そのときにできれば経企庁長官からその消費拡大などの効果というものがどういうものであったのかということについての御意見をちょうだいしたいと思います。
  210. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) ここ十年間ということですと、昭和六十三年の抜本的な税制改革とそれから平成六年に行いました税制改革におきまして減税が行われております。それを積み重ねるということがなかなか難しいんですが、昭和六十三年の抜本税制改革では、一年につきまして、平年度ベースというんですが、二・六兆円のネット減税をいたしておりまして、単純に考えれば、これがこのままずっと毎年、現在も減税の効果は続いている。  それから、平成六年から税制改革を行いました。所得税、個人住民税の先行減税というのを三年間続けておりまして、一年間五・五兆円、これを三年間先行しております。これを累計しますと、この三年間で十六・五兆円の先行減税をさせていただいている、計数的にはそういうことでございます。
  211. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 長官、どうですか。
  212. 田中秀征

    国務大臣(田中秀征君) 私には所得税減税の経済効果、さまざまな効果の中で経済効果についてお尋ねだというふうに受けとめます。  平成六年の所得税減税については平成七年の経済白書で分析をいたしておりますし、昭和六十二、三年はそれぞれ翌年の経済白書で分析をしておりますが、ほぼ同じような見方でございます。所得税減税が可処分所得を下支えして、消費にプラスの影響を与えたというふうに判断しておりますが、大事な問題でございますので、政府委員の方からもうちょっと詳しく報告させていただきたいと思います。
  213. 澤田五十六

    政府委員澤田五十六君) 平成六年の場合についてお話ししたいと思いますけれども、六、七月に減税が行われました。その当時はボーナスなどの落ち込みがございまして実収入の方は減少でございまして、消費に対する寄与度がマイナス一・二%ぐらいでございましたけれども、減税等によりまして可処分所得全体が伸びることになりまして、トータルの寄与度が二・八%ということで、そういったことを反映しまして消費がプラスになっているということでございます。もう一つの消費を刺激するチャンネルとしては消費性向が上がってくるというチャンネルがあるわけですけれども、こちらの方はならしてみますとそれほど大きな消費性向の上昇ということは見られておりません。  したがいまして、トータルといたしましては可処分所得の上昇を通じて消費をふやす、それが景気の上昇にプラスになっていると、こういうふうな姿でございます。
  214. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 どうも私の見方はまだ甘いかもしれませんけれども、借金というのは将来の増税なんだろうと思うのでございます。将来の世代との関係における理屈づけというのがなされておりますけれども、これは右肩上がりの経済状況下では相当な理由になったかなと思います。これからはどちらかというとフラットな経済というふうな中で、将来世代へのいわば必要性というのを先取りして今使ってしまうのは本当にどれだけの合理的な理由があるのか、私、反省しなきゃならぬ点というのはかなりあるような気がしてなりません。  先ほどその点についても総理から概括的な御答弁をちょうだいしましたので、時間もありませんので先に行きますけれども、要するにこれから今度これをどう返すかということだと思うんです。  住専の問題について、お金のやりとりということについて少しモラルがどうもという話がございました。住専も当然でございますけれども、国も借りたら返すというのが大原則であって、まさにそこから事が始まる、こういうことではないかと思います。借り続けるということを前提にしてこれからの国政の運営というのは私はできないと思います。それを減らしていくという前提に立って財政再建というのは初めて緒につく、こういうことではないかなと思うわけです。  そうすると、当然のことに、大蔵大臣、今住専で御苦労いただいていますけれども、御自分も借り手だということからしますと、この借金はまさか返さないということにはならないと思う。お返しになるのは当然のことだと思いますけれども、御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  215. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 今度の住専問題で、先ほどから悪いのはだれだということでのお話もございましたけれども、私は、借りた金を返さない、特に初めから返さないつもりで借りている、こういう者は許せないと思います。こういう者を追及することなしに、住専問題は単に不良債権がなくなったというだけで済む問題ではない、このように思っております。
  216. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ちょっとそこの御答弁が違うような気もするわけですけれども。  御参考までに、大臣、私は地元へ帰って選挙民には、今回の住専問題というのはいわば法的処理ということで主張される方もおられますけれども、私は、法的処理というのはいわば自然死といいましょうか、通常の死だと思います。今回、私ども与党が、政府が提案しているものは、自然死ではない、むしろ司法解剖するんだと、こういうことを私は地元民に申し上げております。そのための一つの土台というのが住専処理機構であり六千八百五十億だと、こんなふうに説明していますが、それはともかくとして、もとに戻ります。  借金は借りたら返すということで考えるということでございますけれども、そのときに家計で考えれば二つある。一つは、頑張って収入を何とかふやすように努力する。もう一つは、何とか生活を切り詰めて少しでも借金返しに充てる、努力するというのが家計の通常の姿でございますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
  217. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 人間の社会が秩序を保って維持されるということの場合には、最小限必要な共存するためのルールが必要でありますし、そのルールが守られないということになれば、これは社会自体が維持できないことにつながっていくと考えております。そういう意味では、やはり返せるものはあらゆる努力をして返済するということでなければいけないのではないでしょうか。
  218. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 そうなると、八年度予算あるいは九年度予算でも新規の借金はしないと仮にいたしますと、通常の歳出の半分以上はカットしなきゃいかぬ、こんなふうな計算になるんではないかなと思うんです。  きょうは他の閣僚の方も御出席いただいておりますので、大どころにお聞きしたいと思うんですが、厚生省さんと建設省さんにお聞きしたいと思うんですけれども、それぞれ、今もし半分カットするとしたらできるのかできないのか、できるのはどのくらいまでなのか、かつ各省の大臣立場を超えて、財政再建についてそうした歳出カットということについてどう考えるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  219. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) ただいま予算を五〇%カットして次の年度をやっていけるかという御質問だったと思います。  御承知のように、厚生省の予算というのは政府の一般歳出約四十三兆円の三分の一を占めております。高齢化の進展に伴っていわゆる自然増がなかなか避けられない構造となっております。  特に平成八年度の厚生省予算を見ておりますと、その十四兆三千億円余りのうちで、医療費の国庫負担が六兆四千五百億円、年金の国庫負担が四兆一千三百億円、合わせて十兆五千八百億円でありまして、これだけで厚生省予算の四分の三近くとなっております。また、その他の経費も、社会福祉施設の運営費や生活保護費等の義務的経費が大半を占めております。さらに、新ゴールドプラン、エンゼルブラシ、障害者プランなど総合的な保健・福祉施策の推進を初め、厚生行政分野の緊急の諸課題に取り組んでいくための予算の確保も必要になっております。  こういった意味で、財政状況が大変厳しいという中であることは十分承知しておりますけれども、現在の厚生省の予算を大幅にカットするということは大変難しい、もっと言えば、伸びを抑えることも非常に難しい構造になっていることは委員も一番よく御承知のとおりだと思っております。  そういう中で、大臣という立場を離れてといいましょうか、省を離れてどう考えるかという御質問もあったようですけれども、考え方としては、福祉にかかる費用というものをより効率的に使うように、やはり従来の制度などももう一度、単にこのままの制度でだんだんと量的にふえていくということでいいのかどうかは厳しく見直していかなきゃいけない。つまり、福祉の構造改革というものを行うことによってせめて伸びを抑えていく、そういうことの努力は精いっぱいしなければならない、そういう問題意識でおります。
  220. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 大変難しい課題でございまして、したがいまして答弁も多少込み入った答弁になるかもしれません。  ただ、我が国の財政そのものは、先ほど総理もおっしゃいましたように、公債残高が二百四十一兆円と、こういう増加が見込まれるわけでございますから、極めて厳しい状況にあることだけは論をまたないわけでございます。しかしながら、欧米に比べまして依然立ちおくれている我が国の住宅あるいはまた社会資本整備につきましては、国民のニーズが極めて高うございまして、また二十一世紀の高齢化社会を目前に控えまして積極的に整備することが強く求められておるわけでございます。  こうした観点からも、建設省におきましては、平成八年度の予算においてもコスト縮減対策というものを進める等、住宅、社会資本整備の効率的、効果的な増進あるいはまた推進を図りながらも、なおかつ活力ある地域づくり、快適な暮らしの実現、あるいは安全で安心できる町づくり等の政策課題に対応した分野に特に重点を置いて必要な予算を計上しているところでございまして、これを削減するというわけにはまいらないのでございます。  いずれにいたしましても、厳しい財政事情の中で、今後とも国民の住宅、社会資本整備に対する期待にこたえられますように、重点的、効率的な投資に努めてまいる所存でございます。  そこで、先ほど政治家としての意見もということがございましたからちょっと言わせていただきますれば、私もその意味においては、先週でございましたか、いわゆる税金というものを我々がたくさん預かって社会資本その他にいろいろとかけていかなければならない、それに対しては本当に心からこれがむだなく効率的に立派に運営されているかということを、あと一回それぞれの問題点あるいは地域にある不定愁訴等々を吸い上げてやっていく必要があるのではないかということで、全地建の方にも命じまして、それを目下吸い上げつつございます。  しかし、考えてみますれば、私なども体験をいたしまして思いますのは、日本の国内全体にわたって、御承知のように道州制度もなければ何でもない小さな村、町というのがたくさんございます。私の県などにおいてもちょっと県にふさわしくない六十何カ町村というのがございまして、各所にみんな道路を完備し、そしてまた庁舎は立派にする、YLO会館等々はつくるというようなこともございます。そういうものをこのような形でやっていくことをもう少し広域行政的にとらえていったときに、問題点というものが減少することはあり得ないだろうかと、こういうような構築も実は研究課題として今考えているわけでございます。  それよりも何よりも、委員どうでございましょう、各所から町村の方々がここにもあそこにも河川、橋梁あるいはまた道路、これはもう社会資本が現実的に言うと日本は非常におくれているわけでございますから、世界のヨーロッパ各地から見ましても大体二割から三割はおくれているでしょう。それだけに、これに対するまた活力とニーズというものも大きいということもよくひとつ御研究賜りたいと思っている次第でございます。
  221. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 誤解しないでいただきたいんですけれども、私がやりたいというんじゃなくて政府としてどうするかということを求めているつもりでございます。  今それぞれの省庁さんがそのようなときに、大蔵大臣、どういう視点で財政改革をやっていかれるか、御覚悟のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  222. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 覚悟といいますと何か切腹する前の話のようなことでございますが、しかし本当に今の我が国の財政事情はそういう厳しい状況下にあると思っております。  今御審議をいただいております平成八年度の予算が一般会計におきまして七十五兆余りでございますが、このうちもともと地方のお金であるものがございます。税収の約三分の一、そういうことでございます。それから、国債の利払いが十六兆余りございます。そういうものを控除いたしますと、国が使えるいわゆる一般会計というのは四十兆を少し出るぐらいだろうと思っております。しかし、それでも実際には五十兆をちょっと超えるだけの税収で賄っていくということは不可能でありますから、二十一兆という国債を発行して財源をようやく確保していると、こういう厳しい状況でございます。  そういう中で、しかし私どもは今内外から景気回復という極めて重要な任務を負わされているわけであります。公的資本の形成という問題について建設大臣が今お触れになりました。その視点からも重要でございますが、景気対策の面からも前例のない昨年秋の経済対策、十四兆二千億を超える対策を今実行中でございます。  そういう公的資本形成、つまり公共投資によって景気を上げるという面と、それから一方で、今度は年金生活者等が九次にわたる公定歩合の引き下げによって、これも国際的に例を見ない〇・五%というところへ金利が低下をしたままで金融緩和によって景気対策を進めていかなければならないという苦しい状況もございます。そういう財政の中で、なお国民生活を守り、そして個人消費の面から景気対策を進めるために減税を続けているわけでございます。  そういうことを私は、昨日開かれましたワシントンでのG7でも日本の財政事情ということで報告をしてまいりました。今先進諸国問にとってどこも財政再建ということが一つの重要な命題となってきております。しかし、景気回復を損なってはならぬ、この回復の基調をしっかり支えなければならない。また一方では、いつまでも財政によって支えるのではなくて、早く自律的回復の軌道に乗せるべきだという強い意見もございます。  今、世界じゅうの国々が財政問題で非常に大きな問題を抱えているわけでございますけれども、日本の場合には、先ほど政府委員からも申し上げましたように、先進諸国家の中でももはや比肩する、並べて考えることのできない状況と言っていいほど日本の財政赤字は大きくなり過ぎております。  したがいまして、大蔵省といたしましては、景気対策にしっかり目配りをしつつ、財政再建に対しても平成九年度の予算編成が再建の初年度としてスタートできるよう、財政再建の目標とそれから大胆な再建のための方策も含めて検討を始めるよう、私の方からもお願いをしているところでございます。
  223. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 一言だけ最後に申し上げますが、やはりどうも各省間のやりとりということに任せてはいかぬのじゃないか。相当総理のリーダーシップをとっていただくような形で、いわば各省から独立した、例えば財政再建委員会というようなものが必要なんじゃないのかなと思えてなりません。かなり構造的な問題なんだろうと思うのでございます。  そのことを一つ申し上げておきたいと同時に、これから財政についての民主主義といいましょうか、そういうものを真剣に考えていただくような、ただお金が足りるか足りないかというだけではなくて、財政についての世代を超えた民主主義というのを私どもは考えていかなきゃいかぬのじゃないかなということを申し上げておきたいと思います。  さて、そういう中で、いわば国民生活の確保、特に医療なり福祉なりということは待ったなしでそれなりの経費がかかります。ここをどうしていくかということに少し入ってみたいと思うのでございます。  その前に明るい話題を一つ総理、大分渋っ面されていますけれども、きょうの新聞を見ましたら、橋本内閣の支持率が上がったという日経新聞を見まして、大変喜んでおります。ただ、喜びだけじゃございませんで、そのときに、二面にしか出ていませんけれども、国民の一番望むものは何かというと、やはり福祉、年金なんですね。これはやっぱり大事なことなんじゃないかなと思うのです。この点はもう時間もありませんので、先ほども菅大臣から御説明をいただいたので、そのためのコストは非常にかかるのだということを前提にして話を進めたいと思うのでございます。  実はお手元にグラフをちょっとお配りさせていただいております。ごらんいただければありがたいと思うんですが、一枚目は人口のピラミッドでございます。これはよく見なれた図だと思いますが、昭和二十二年と平成六年でいわば六十五歳以上の人たちの割合がふえたのでどうのこうのという議論です。  実はきょうは二枚目を見ていただきたいと思うのでございます。これはいわゆる昭和二十二年と平成六年の男女別のある一定の、十万人なら十万人生まれたときにどれだけ死亡していく、かっ逆に残っているかという生存数曲線と言われるものでございます。これをごらんいただきたいと思いますのは、例えば七十歳のところを見ていただきますと、昭和二十二年には女性ですと約四割ぐらいしか生存しなかったのが、平成六年のペースではほぼ九割、ほぼ全員が七十を超すんだという数字でございます。  逆に、今度は八十まで見てください。これは数字を入れていませんけれども、女性の場合ですと昭和二十二年には約一割、一五%ぐらいの人しか生存しないというような想定だったわけでございますけれども、平成六年には、八十のところを上にとっていただきまして左に行っていただきますと、約六五%の方々が八十以上だということです。  だから、意識としてはお年寄りがふえるのではなくて、みんながそういう時期に到達しますよということで、これからの社会のあり方考えていきましょうということを実は御理解いただきたかったわけでございます。  ということで、きょうはできれば閣僚の方々に一人二人御質問させていただきたいんですけれども、このグラフを見ての御感想と、閣僚は老人にならないというわけではないんですから、御自分もそういう時期を必ず迎えるんですから、そのときの生活設計といいましょうか、特に八十過ぎぐらいになりますと大半の方々が足腰が弱くなったりということになってくるわけです。そのときの御自分の生活設計をどう考えておられるのか、まず最初に一番若い閣僚でございます通産大臣、どうでしょうか。
  224. 塚原俊平

    国務大臣(塚原俊平君) まず、個人的な生活設計のお話でございますが、自分自身は大変肥満でございまして、はっきり申し上げて健康的に自信がないということがございます。  政治活動の中で、現在銀行からも五千万借金がございますし、これから自分が健康がおかしくなってこれを子供に残したときの不安感というものは物すごく持っております。それと同じように、国会議員としては、子供、孫の代に借金を残すことは絶対避けなければいかぬということも感じております。  ただ、今日、通産大臣という立場をお与えいただきました。そういう面では、ある意味では一つには社会を自分の力で活性化することができるという立場を与えられたと思います。何とか活性化ある社会をこれからつくり上げることによって、当然税収も含めてふえるような形のものをつくっていきたい。それから介護のための製品とか、あるいは体が不自由になったときに自分自身がそれを使って動けるような製品等も通産省は開発をしております。そういったことにも力を入れていかなくちゃいけないというふうに思っております。  私は昭和二十二年生まれでございますので、非常にこの曲線を見て自分自身の置かれている立場の大変さを認識いたしました。
  225. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 次に、唯一の女性閣僚の法務大臣、いかがでございましょうか。
  226. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) お答えをさせていただきます。  今、委員がお示しになりました昭和二十二年というのは、俗に人生五十年という言葉がございますが、ちょうどこの年が平均余命五十年の年ではないかと思います。それからこの四十年後にこのような非常に長寿社会を迎えたということは、我々の社会は大きな進歩を遂げたなというような感想をまず持つわけでございます。  まず、法務大臣としての感想を申し上げさせていただきたいと思います。  高齢化社会といいますと、やはり国民の皆様の関心は福祉ですとか社会保障の充実ということであると思います。それはそれとして当然のことでございますが、私どももそれぞれの行政の中でも高齢化の影響というものをいろいろな角度で受けとめていかなければならないものであると思っております。  法務省の分野でございますと、これは委員はよく御承知でいらっしゃると思いますが、例えば成年後見制度、こういうものを今後やはり真剣に検討していかなくてはいけないのではないかという気がいたしております。この問題の検討に際しまして考えますことは、やはり法律の分野だけではなくて、当然その身上監護といったような福祉の諸サービスとの連携ということが必要になってくる部分であると思います。そういう意味では、行政のそれぞれの分野が高齢社会の中で新しい形の連携を模索していかなければならない、これが非常に大きな課題であるというふうに認識をいたしております。  次に、個人としての感想ということでございますが、私たちの親の世代から比べまして、いわば八十年という長い人生を約束してもらえるような時代に生きているわけでございます。この時間をぜひ充実したものに、有意義なものとして人生を送りたい、そういう意味では最後まで現役のつもりで頑張りたい、このようなつもりでございます。
  227. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 最後に総理、言いかがでしょう。
  228. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今これを見ながら幾つかのことは感じました。  まず、この生存数曲線と人口ピラミッドを重ね合わせたとき、若年労働力の低下が非常に激しい、そしてこれは産業構造にもいや応なしの変化を生じさせたわけだ、こういう印象とともに、今後の産業の新たな展開と雇用構造をどう結んでいけば適切なものになるのか。今これはとっさに浮かんだ疑問でありまして、これから自分なりの勉強をしてみたいと思います。  二点目は、先ほど来の御質問とあわせまして、ちょうど議員と初めてイギリスを訪問しましたとき、サッチャー内閣ができて間もないときでありましたが、ちょうど社会保障担当大臣のジェンキンに会う約束で参りましたときに、非常に混雑しているので時間を縮めてほしいと。その理由が、サッチャー首相から呼ばれて社会保障省の予算を一割、とにかくどういう手法でもいいから総額を削れという指示を出され、その命令に従って計画づくりをしなければならなくなったので落ちついて時間がとれなくなったという話でありました。  今その記憶をよみがえらせておりましたが、その後、数年たちましてイギリスに参りましたとき、イギリスが選択いたしましたのは、ナショナル・ヘルス・サービスにおける高額医療の部分を切り落とすという、ちょっと我々とすれば考えられない手法をもって社会保障費の圧縮にかかるというやり方でございました。同時に、たしかそのとき失業給付も切り下げておったというふうに思います。そうした手法を見ましたとき、非常に乱暴なやり方だというのが当時の率直な感じでございました。  しかし、これから先の日本考えたとき、今のままの仕組みをそのままに続けようとすれば、やがて我々はそういう日にぶつかります。となれば、一つは、我々は国民負担率の上限をどこまで上げていくことが許されるのか。私個人は第二臨調の時代に、高齢化のピークになっても国民負担率が五〇%を絶対に超えてはいけない、できれば四五%ぐらいで食いとめろという議論がありましたものを、自分なりにさまざまなことを考え一つの前提としてよく頭に描いてまいりました。とすれば、あと六ポイントであります。それを一体新たな財政需要、例えば介護といった分野に振り向けていくのか、あるいは借金の返済に一部を充てながら一部を新たな行政需要に振り向けるのか、この辺は私は国民の合意を形成するにはまだ至っておらないように思います。  そうなりますと、先ほど何か特別な財政を検討する仕組みをという御提案もありましたが、私は余り仕組みをたくさんつくるのは好きじゃありません。現在審議会がたくさんありますから、むしろその審議会の連合体、あるいは会長さんたちに集まってもらい、事務局に集まってもらってでも、壁を越えて議論をしてもらうことを工夫したい。行革ではそうした試みを今既に始めておりますが、財政についても同様の必要があるのではないだろうか。例えば、社会保障制度審議会と財政審、さらに政府税調が経済審議会を間に挟んで将来を議論していただいた場合どのような議論をしていただけるだろうかと。とっさにそのようなことを感じておりました。  自分の余生の方まではまだ思いが及びません。
  229. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 さて、社会保障、医療とか福祉とかいいますと特に租税負担、いわゆる負担という関係から議論されてまいりました。その代表的な例がいわゆる医療費でございまして、多分現在も必ずしも離れていないでしょうけれども、医療費の伸びを国民所得の伸びにとどめるというふうな政策目標らしきものがあったように記憶しているんですけれども、そうした動向がどうなっているのか。厚生大臣、お願いいたします。
  230. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 近年の医療費の趨勢と国民所得の伸びとの関係でありますが、国民医療費は、人口の高齢化、医療の高度化に伴って毎年一兆円前後増大しておりまして、平成七年度には前年度に比べて四%増加いたしまして、二十六兆七千億円に達するものと推計をいたしております。また、国民所得については、近年の経済基調の変化により低成長が続いておりまして、平成七年度には三百七十六兆六千億円ということで、対前年度比一%の増加にとどまるものと見込まれております。  このために、この平成七年度を見ておりますと、国民所得の伸びが一%、国民医療費の伸びが四%ということでギャップが三%ありまして、そういった意味でだんだんと国民医療費の国民所得に占める割合が近年増加をいたしておりまして、平成七年度は七%を初めて超えて七・一%になる見込みになっております。  御承知のように、医療費そのものも相当伸びはかってに比べれば抑えられてきているわけですけれども、それ以上に近年の経済成長が小さくなっておりますので、そういった意味では、この構造が続くとすれば、GNPの伸びがもっと戻るか、あるいは医療費の伸びをさらに下げない限りは国民所得に占める医療費はさらに伸び続けていくという、そういう傾向にあるということでございます。
  231. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 一方で大半の医療機関が赤字だというのも現実でございます。そうすると、これから先をどう考えるのか。従来、社会保障なり医療なり福祉なりというのは他の負担でこれをカバーするんだという考えで来たのかなと思うんですけれども、この考えでは逆にこれから先、いわば負担の範囲内に必要なサービスを押し込めるということになってしまいはせぬかな、これはやはり国民自体が不幸なことなのではないかなと、こんなふうにも思えるわけでございます。負担がすべてじゃないんだと思うんです。  現実に私どもが必要な、あるいは手にできるサービスというものを我が国力に従って享受するというのがまず大原則なんじゃないかなと、こう考えますと、いわゆる負担と給付論議というのを、従来の発想を変えて、サービスをまず実現する。あとは、負担というのは多分税金と保険料でしょう。これは一定範囲というのはあるはずです。それを超えてそれぞれが例えばお支払いをするというようなことを通じて必要なサービスを実現していくんだというふうな発想による構造的な転換というのが、どうしても医療なり福祉なりに迫られるのではないかなと、こんなふうに思うわけです。  この辺について、ここにきょう持ってまいりましたけれども、総理が三年前に出されました「ビジョン・オブ・ジャパン」でも提言されておったように思うんですけれども、こういったふうな考え方について、総理なり、あるいはできれば厚生大臣なり経企庁長官なんかにちょっとお聞きできればありがたいと思います。よろしくお願いします。
  232. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 今、委員がお話しになりましたのは、従来のようにといいましょうか、これまでのように、これだけのサービスをすればこれだけの負担がかかるから、この負担をこれ以上伸ばすことが難しいからこの程度に抑えるという発想ではなくて、望ましいサービスというものを前提として考えて、逆にその中でそれをどう負担していくかということが考えられるのではないかという御指摘かと思います。これは本当にこれからの議論として非常に大きな問題提起だと思っております。  御承知のように、昨日、公的介護保険制度の報告もいただいているわけですが、こういった問題も含めて福祉サービスというものが大変いろいろな多様性が出てきていると。それらを全部カバーする場合に、画一的に公費という形だけでカバーできるのか、あるいは場合によっては、公費で賄う部分とそれ以外の仕組みで負担をする部分とそれらを組み合わせていくのか、こういうことも考えなければならない時代であるかと思っております。  それと同時に、サービスの提供の仕方自体も、従来のようなどちらかといえば画一的な形のサービスからマーケットメカニズムの働くような中で提供する。そういったことも含めて、全体の負担の率だけではなくて負担の仕方、負担のスタイルといいましょうか、そういうものについてもこれから大いに議論をしながら新しい仕組みをつくっていかなきゃいけないんじゃないか、このように考えております。
  233. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 菅大臣が言われたことに非常に似ていると思いますが、例えば今の医療保険の仕組みが保険診療と自由診療の二者択一になっている。この考え方を本当に捨ててもらいたい。基礎部分は公費で、その上にそれぞれの自己責任による選択で私保険、民間保険を組み合わせることを私はもう認めてもいいということを数年前から言い続けてまいりました。今後私は、一層そうした私保険の多様な商品開発というものがニーズの多様化と相まって民間保険の役割をふやしていくのではなかろうか、そういう感じを持っております。また、その方向は間違っていないとも思います。
  234. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ありがとうございました。時間が参りましたのでこれで終わりますが最後に。  今いわば分権論議というのが盛んでございます、地方分権ということでですね。一方で、社会福祉とか医療とかをやっていきますと、これはどうしても第一線の自治体に力をつけてもらわないとどうにもならないというのも現実でございます。ところが、日本では市町村と言いながら、一方で三百万を超す横浜市と二百人弱の村が一つの自治体と、こうなっているわけですけれども、これから先これでうまくいくんだろうか。やはり福祉とか医療というのは住民行政の一番基本ではないかなと思うんです。  そうなりますと、ある一定規模で、能力とそれから機能とお金を持ったいわば分権の受け皿といいましょうか、基礎自治体とでもいいましょうか、そういうものをはっきり想定して、これからいわば自治体の再編成というものに長期的には取り組んでいかなければいけないのじゃないか、こんなふうに思いますけれども、この辺について自治大臣に最後に一問御質問をさせていただきまして、私の質疑を終えたいと思います。よろしくお願いします。
  235. 倉田寛之

    国務大臣(倉田寛之君) 阿部委員指摘のとおり、現行の地方自治制度におきましては、市町村につきまして人口三百万を超える政令都市から人口二百人の小規模の村に至るまで、基本的には同様に取り扱われておるところでございます。  市町村の規模や能力に応じまして事務配分を行う制度といたしましては、従来からの政令指定都市制度に加えまして、先般、地方自治法の改正におきまして中核市制度を創設したところでございます。これは、政令都市以外の都市で規模、能力が比較的大きな都市につきまして、保健衛生であるとか民生行政などにつきまして、その事務権限を強化して、できる限り住民の皆様の身近なところで行政が行うことができるようにしたものでございます。  一方、市町村の行財政能力を強化してまいりますために、昨年の四月一日に施行になりました市町村合併特例法を適切に運用をさせていただきまして、自主的な市町村の合併を推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  しかしながら、自然的、社会的な条件などから合併が容易に進まない地域につきましては、小規模町村に対する方策といたしまして、第二十四次地方制度調査会におきまして、広域行政制度による補完・支援の充実を図る必要があること、また都道府県や広域市町村圏の中心市によります補完・代行の仕組みを検討する必要があることなどが指摘をされているところでございまして、さらに検討を深めていく必要があろうというふうに考えているところでございます。
  236. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 以上で終わりますが、未熟な初めての質問で大変失礼な言辞も弄したかもしれませんけれども、御勘弁いただきたいと思います。  ありがとうございました。
  237. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で阿部正俊君の質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会