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1996-04-19 第136回国会 参議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十九日(金曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  四月十八日     辞任         補欠選任      狩野  安君     三浦 一水君      真鍋 賢二君     林  芳正君      渡辺 孝男君     直嶋 正行君      笠井  亮君     筆坂 秀世君  四月十九日     辞任        補欠選任      一井 淳治君     三重野栄子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         井上  裕君     理 事                大河原太一郎君                 斎藤 文夫君                 清水 達雄君                 塩崎 恭久君                 泉  信也君                 白浜 一良君                 都築  譲君                 山本 正和君                 有働 正治君     委 員                 阿部 正俊君                 板垣  正君                 久世 公堯君                 河本 三郎君                 鴻池 祥肇君                 坂野 重信君                 関根 則之君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 野沢 太三君                 野村 五男君                 服部三男雄君                 林  芳正君                 三浦 一水君                 依田 智治君                 荒木 清寛君                 岩瀬 良三君                 海野 義孝君                 大森 礼子君                 加藤 修一君                 小山 峰男君                 鈴木 正孝君                 直嶋 正行君                 益田 洋介君                 横尾 和伸君                 朝日 俊弘君                 一井 淳治君                 大渕 絹子君                 梶原 敬義君                 川橋 幸子君                 前川 忠夫君                 三重野栄子君                 緒方 靖夫君                 筆坂 秀世君                 小島 慶三君                 島袋 宗康君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    参考人        全国銀行協会連        合会理事     橋本 俊作君        社団法人全国地        方銀行協会会長  玉置  孝君        日本住宅金融株        式会社代表取締        役社長      丹羽  進君        総合住金株式会        社代表取締役社        長        大槻 章雄君     —————————————    本日の会議に付した案件平成八年度一般会計予算内閣提出、衆議院送   付) ○平成八年度特別会計予算内閣提出、衆議院送   付) ○平成八年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付)     —————————————
  2. 井上裕

    委員長井上裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、平成八年度総予算三案の審査のため、住宅金融専門会社問題について参考人方々から御意見を承ることにいたしております。  まず、午前中に全国銀行協会連合会理事橋本俊作君及び社団法人全国地方銀行協会会長玉置孝君から意見を求めることといたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。当委員会におきましては、目下、平成八年度総予算に関する審査を進めておりますが、本日は特に参考人方々から住宅金融専門会社問題について御意見を聞くことになった次第でございます。  質疑に入るに先立ち、委員各位に申し上げます。  本日は、申し合わせの時間内で参考人に対し質疑を行うのでありますから、特に御協力をお願い申し上げます。  また、質疑時間が限られておりますので、参考人の答弁は要点を的確に簡潔にお願いいたします。  それでは、参考人に対し質疑のある方は順次御発言を願います。斎藤文夫君。
  3. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 御指名をちょうだいいたしました自由民主党の斎藤文夫でございます。  本日は、橋本参考人玉置参考人、御多忙のところ我々の予算委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。特に、橋本参考人におかれましては、四月二十三日に全銀協会長に御就任なさるきょうは直前ということに相なるわけでございます。にもかかわらず、お出ましいただいたことに厚くお礼を申し上げる次第でございます。  この難局を引き受けられる新会長予定者とされまして、まず全銀協運営に今後このように当たっていくという御決意を御披歴いただきたい。また、今日国家的な大問題になっております住専処理策をめぐり、国会あるいは国民、大変な状況でございます。それだけに、今日提案をされている住専処理案についての御見解を率直簡明にお答えいただきたいと思います。
  4. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) さくら銀行橋本でございます。二十三日に全銀協会長就任予定でございますが、現金長と名前が同じでございますが別人でございます。どうぞひとつよろしくお願いいたします。  意見を述べさせていただく前に、私ども母体として設立をいたしました住宅金融専門会社の問題につきまして、世間をお騒がせし、国民皆様方に大変御迷惑、御心配をおかけしておりますことにつきまして、まずもって深くおわびを申し上げたいと思います。  住専処理問題は、本来は当事者間で解決すべき問題でございますが、関係当事者話し合いによって解決がつかず、行政当局、さらには政府国会のお手を煩わす結果となってしまいましたことにつきまして、関係者の一員といたしましてまことに申しわけなく存じておる次第でございます。  この住専問題は、日本金融システム健全化、ひいては日本経済の回復、今後の発展につきまして大変重要度の高い問題でございますので、一日も早く関係予算あるいは法律が国会で御審議をいただきまして実現してまいることを常に望んでおるところでございます。
  5. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 全銀協の現在の会長、もう来週おやめになられますが、富士銀行橋本徹全銀協会長がいろいろな機会を通じまして、母体行は三兆五千億の債権を放棄したことによってその責任は十分果たしている、こういうことをおっしゃっておられますし、十六日には、言うならばこれ以上一歩も出ることができないと御勇退されるごあいさつでも述べておられるところでございます。  新たな同姓の橋本会長、御就任される直前橋本会長予定者におかれましては、現会長の趣旨をお継ぎになってこれからも進んでいかれようとするのか、それとも何か新しい発想をお考えになっていこうとされておられるのか、その辺をしかと承りたいと思います。
  6. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 現橋本会長が四月十六日に記者会見をされまして、これは最後記者会見でございますが、この一年間、金融界にとって大変な年であり、全力投球でこれに当たってこられた大変御苦労のにじみ出た会見であったと思います。  橋本さんの発言のとおり、私も住専処理に関しましては、先ほど申しましたとおり、予算案が参議院で早期に承認されるとともに金融三法あるいは関連法案承認等が済まされまして、住専処理が具体的にスタートできる要件が早急に整えられることを、現会長同様に強く望んでいるところでございます。  私ども母体行といたしましては、会社設立、出資等さまざまな経緯を踏まえまして、さらには問題の早期解決信用秩序の維持の観点から、法的に最大限の負担として債権全額放棄を行うことで責任を全ういたしたい。また、二次ロスにつきましては、強力な回収努力によりロス発生を抑えていくということが大前提でございますが、政府処理案に沿って国と民間金融機関が半分ずつ負担することが基本となるという点におきまして意見の相違はございません。  住専問題になぜ財政支出が必要かという理由は、農林系貯金者貯金の保護、ひいては金融システム安定のために必要なわけでございまして、それはとりもなおさず日本経済に好影響を及ぼして国民皆様にもベネフィットが還元されると、このように言っておられますが、私も全くそのとおりだと存じておるところでございます。
  7. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ありがとうございました。  玉置参考人は、本年六月に地銀協の会長に三選が内内定されておられるということを承りましたが、御多忙のところお出ましをいただき、ありがとうございます。  特に、玉置会長住専処理問題をめぐって、いろいろ新聞、雑誌等々を拝見しましても率直な御意見を展開してこられました。私ども政府案を見比べながら、現実には法的処理が筋だとか、あるいは株主に対して我々は経営責任を持っているのでとてもそれ以上のことは及ばないとか、母体行と言うけれどもそれには濃淡がお互いいろいろある、したがって言うならば出資金融機関であって親子というような関係にはほど遠いと、いろいろな御意見をその都度お述べになっておられる。あるときには、なるほどなと思いながらも、今、今回の政府提案スキームに御賛同いただき、テーブルに着いていただいたところではございますが、きょうは率直な御意見と、そしてこのスキームに今後とも御協力をしていかれるのかどうか、その辺のお心をお聞かせいただきたい。
  8. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 私ども地方銀行業界関係いたしておりますのは地銀生保住宅ローンという住宅金融専門会社でございますが、その会社内容につきまして、これはこのままでは立ち行かないのではあるまいかという感じを私個人として持ちましたのは一昨年の暮れから昨年の初めごろにかけてであったように存じます。そういうような考えに立ちまして、住専一つである地銀生保住宅ローンについてはなるべく早く処理すべきである。事業会社としての処理でございますから、その場合、処理する段階でのロス資産負担については、融資金融機関がそれぞれ融資シェアに応じて負担するのが通常のルールだということを申し上げていたわけでございます。  その後、八月に大蔵省当局によりまして住専会社に対する立入検査が行われました。秋ごろからは、与党の金融証券プロジェクトチームからいろいろ私どももヒアリングを受けたりいたしておりました。また、同チームの御慫慂によりまして農協系統一般民間金融機関との間で話し合いを進めるようにというようなお話もあり、数回話し合いの場を持ったわけでございます。当事者間の意見は一致に至りませんでした。  そこで、御当局が秋ごろからいろいろ大変な御苦心をされまして、最終的には、昨年十二月十九日の閣議決定によりますところの処理スキーム案をおつくりになられたわけでございます。処理スキーム案につきましては、処理段階に既に発生しているロス処理、それにつきましては母体行全額放棄をするという案でございます。  御存じのとおり、住専全体で十三兆円ばかりの融資金融機関融資がございますが、母体行三兆五千億、農協系統五兆五千億、一般行三兆八千億、そういう割合でございます。事業会社に対する処理段階で発生しているロス負担として、母体行全額負担というのは過重であるということは言うまでもないというふうに私は考えております。  ただ、その処理スキーム全体といたしましては、今もお話がございましたとおり、その整理に入りまして後から発生するであろう不良債権処理、あるいはその受け皿機構運営するための低利融資等広範囲内容を含んでいるわけでございます。私といたしましては、そういった処理段階における処理案、その後の受け皿機構運営その他について御当局がお考えになっております処理スキームは、私どもが単独で法的整理に入るよりは、国民経済的に見ましても、また私ども業界の立場から見ましてもはるかに効率的であるというふうに考えまして、その後は一貫して御当局による処理スキームによりまして事柄の解決に精いっぱいの努力をいたしたい、そういうふうに考えている次第でございます。
  9. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 よくわかりました。  これからは、母体行とそれがつくられた住専との関係、そして母体行責任というものをもっと感じていただかなければならない、それをいろいろな角度からお尋ねをしていきたいと思います。  とにもかくにも、今日の日本を築き上げたのは金融機関の貢献ということが言えると思うわけであります。二十一世紀を目前にいたしまして、景気が停滞する、あるいは今日のバブルの後遺症、産業の空洞化、雇用問題、高齢・少子化考えてみますと我々の前途はまことに多事多難であります。だからこそ、金融業界の今後に果たす役割というものはますます重きを加えてくる、このように思っておるところでございます。  しかし、思えば八〇年代から九〇年代にかけての土地の高騰に端を発しまして、バブルを醸成、そしてそれが泡のごとく消え去った今日、住専問題や不良債権金融業界はかつて経験したことのない苦しみの中に立たされておると承知をしておるところであります。これは金融業界のみならず、我々政界も、大蔵省を中心とした官界も、そして日銀も、関係者は本当に心から反省をしなければならないことだと私は承知をいたしておるところであります。  しかし、あのバブルをリードし、バブルの中で最も狂った踊りをしたのは何といっても金融機関であった、このように決めざるを得ないと思っておるわけであります。国民に良質の住宅をという時代の要請にこたえられまして、物や人や金を積極的に派遣してつくった、言うなら御関係者の生んだ子供であります。その子供と言える住専分野に、そのうちにどんどんとうまみを感じ住宅ローン分野を開拓していった。結局そうなれば、つくった住専のマーケットはどんどんと母体行に侵食をされた。弱肉強食のいわゆる金融戦国時代のまさに一つの縮図が身内であらわれた、このようにも指摘できると思っておるところでございます。  こういう中で住専が、今日いかに土地神話が崩れ行き詰まらざるを得なかったとは申しながらも、この経営破綻したことに対して母体行としての責任をどうお感じになっておられるのか、橋本参考人にお聞きいたします。
  10. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 住専がどういう考え方のもとにつくられたかと申しますと、そもそも国民住宅取得の道を開くということを目的に物的担保に着目した貸し出しを行う、出発点がそういう出発点でございましたので、最初から不動産価格下落影響を受けやすい企業体質を持っておったということは否めないところであります。加えて、いわゆるバブル経済の中で大口事業性貸し出しを増加させて地価下落影響を一層受けやすい構造になってしまったと考えられるわけであります。  こうした状況の中で、その後の地価のこれほどまで大幅なかつ長期にわたる下落というものを見通すことができなくて、結果として適切に対応できなかったことから住専経営破綻、こういう問題が起こったものでございます。  母体行住専の仕事をとってしまったから住専がだめになったんではないかということでございますが、それはそういうことではございません。ちなみに数字で申し上げますと、昭和五十五年から平成二年までの十年間で比較をいたしますと、個人向け住宅信用供与残高全体に占めます各業態別シェアといいますのは、全国銀行は三九%から三八%とほとんど横ばいであるのに対しまして、住宅金融公庫は二五%から三四%と、この間一〇%近くシェアを伸ばしております。  一方、住専は七%から三%へと四%のシェア低下を来しておりまして、言うなれば住宅金融公庫融資の大幅な伸びが住専により大きな影響を及ぼしたものであると、このように考えられます。
  11. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 わかりました。  そういう御認識、私は実は大変残念に思っております。なぜならば、住専はおつくりになった母体行からお金を借りてくる、直接預金者を持たない住専ですから当然であります。したがいまして、母体行がお集めになった預金住専に貸した貸付金ではおのずとコストにプラスアルファがかかっている。理屈の上で考えれば、住専はそれだけ不利な状況母体行住宅ローン住専住宅ローンが競争する。なれば、分野を当然侵食されるのは当たり前なんです。これはもう弱肉強食のあの金融戦国時代に、なりふり構わなかった母体行がみずから自分子供を食べるような戦いをした、こう指摘されても、実は橋本参考人住宅金融公庫が伸びたからそれによって住専は苦しかったと、そういう言い方は私はなかなか納得できません。  一方、総量規制や三業種規制が始まるや大銀行不動産融資がままならなくなった。住専の方には規制がかからなかったということで、言うなら裏口の実動部隊として母体行住専をお使いになったんじゃありませんか。一方は、総量規制不動産投資部門融資ができなくなってきた。だからこそ、その反動で住専が今までの個人住宅ローンから事業者向け住宅ローンにどんどんと拡大をして、結局は最後にばばを引いて、今日抜き差しならない不良債権を抱えるに至った。  あるいは、これも土地神話崩壊した外国で、特にアメリカは、もう八〇年代にRTC等によって積極的に小さな銀行崩壊に伴い、いろいろと手を打ってきた。バブル崩壊は八五年代に始まったと言われる。そういう情報は超一流銀行ならだれしもキャッチできたにもかかわらず、それを教訓として生かされなかった母体行責任というのは、国民の名において厳しくチェックされなければならないと思っておりますが、橋本参考人いかがでしょうか。
  12. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 母体行責任を否定するわけではございませんが、まず第一点といたしまして、昭和五十年代には個人のマイホームの取得が増加いたしまして住宅ローン需要が高まる中で、先生が今おっしゃいますとおり、金融機関からの借り入れによって資金調達をやっている住専は、金利選好を強めてきました借入者に対しまして金利面での競争力がだんだんとなくなってきた。その結果として個人住宅ローン市場におけるシェアを低下せざるを得なかったものと、そういう側面があるわけでございます。  第二点といたしまして、不動産融資総量規制によりまして母体行土地融資ができないから住専会社を使ったのではないかということにつきましては、住専会社は独立した企業体として経営運営されておりましたのも事実でございます。例えば、私ども母体行になっております日本住宅金融のように、上場企業でありかつ強いリーダーシップを持った経営者のもとで経営されていた住専会社につきましては、母体行といえども個々の施策や経営方針に口を挟めるものではなかったということを御理解賜りたいと思います。  それから第三点といたしまして、アメリカにおけるバブル崩壊というものを他山の石としなかったではないかというお話でございますが、これは御指摘のとおりでございまして、米国と同じ過ちを犯してしまったという点は私どもといたしましても悔やんでも悔やみ切れない、そういう気持ちを持っております。  ただ、国土庁やさまざまな調査機関が行った、例えば当時の首都圏におけるオフィスビル需要予想であるとか、あるいはそもそもアメリカに比べて我が国の国土が圧倒的に少ないというような点から、我が国不動産価格下落ということは過去ほとんど経験したことがございません。かつてあったとしても、それも短期間のうちに回復したというようなことでありますので、我が国地価をめぐる当時の特殊性というものが強く意識される状況にあったのは事実でございまして、現実にこれほどまで地価下落することになろうとは、予想できなかったのは返す返すも残念でございます。
  13. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 また別の角度から後ほどお尋ねいたします。  玉置参考人お尋ねを申し上げます。  御関係でおつくりになられた、いわゆる地銀生保でつくられた住宅ローンサービスCSローン、今千葉銀坂齊さんが社長をやっておられるということでございます。玉置参考人お話によると、住専住専みずからの判断によって融資がされているんだ、千葉銀はさして紹介融資もないよというようなお話がございましたが、実は大蔵省調査等を見ていきますと千葉銀でも御紹介をされている、これはもう事実でございます。しかし、それを今あえて問題にしようというのではなくて、住専に皆さんのところから重要な役員代表取締役を送り込みながら、実際融資に当たっての無審査状況。  例えば、これはさくら銀行さんの御関係によるところでございますけれども日住金あたりにおいては一人で月に八十件も巨額な融資案件処理する。一人でですよ。一体どんな融資内容なのか、融資する相手はだれか、そしてこのプロジェクトの将来性はどうだ、現場へ行ってチェックをしてといったら、一案件が百億、二百億の融資なら十人、十五人で当然一カ月も二カ月もかからなきゃならない。にもかかわらず、たった一人で八十件の融資案件処理せざるを得なかった。言いかえれば、大蔵省指摘においてもまことに無審査状態であった。そんなことを知っていながら、我々にも何にも注意をしない、あるいはまた住専母体行にも強力な指導をしなかった大蔵省責任、これはもう問われてもやむを得ない。  しかし、人、物、金を出しておった母体行として、今度は玉置さん、御自分CSローン審査も全く同じような状況であったということは一体どういうことなのかなと。一般庶民銀行を訪ねて金を借りる場合には保証人を要求される、担保が要求される、あるいはまた預金も取引を開く方法として預ける、こういうことをしなきゃならない。しかも、それで借りられるかどうか、非常に庶民として、国民としては制約を強く受けている。にもかかわらず、住専は本当にこんなひどい貸し方をしておったのか、その責任住専だけの責任ということで言い切れるんだろうか。やはり、住専つくり、人、物、金を出した母体行が何で日常指導監督をなさらなかったか。これは、昨年強く御指摘をした長銀と東京のあの二信組の関係のときと全く同じ思いを今私はここへ立ってさせられております。いかがでございましょうか。
  14. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 責任を痛感いたしております。  ただ、地銀生保住宅ローンについて申し上げますと、当初は地方銀行生保業界という母体行から常勤役員を六名、大蔵省のOBが一名加わっておりますが、それ以外は関係業界から出しておりました。ピーク時にはそれが九名、その場合も関係業界から出していたわけであります。現在は五名になっております。そういうことで、常勤役員のほとんどすべては母体である地銀業界生保業界から出していたことは事実であります。加えて、非常勤取締役監査役数名をやはり地銀業界あるいは生保業界から常時出していたことも事実でございまして、全く人のいない新しいところで発足した会社でございますので、母体となっている業界が当初から人、物、金、すべての面でつくり上げた会社であることは事実でございます。  ただ、地銀生保住宅ローンについて実態を申し上げさせていただきますと、地方銀行協会に加盟している銀行数は六十四行ございます。生保業界は二十五社ございます。いわば業界母体という感じが非常に強かったのが実態のようでございまして、特に今申し上げました非常勤取締役監査役につきましては、両業界ともいわば副会長といったような地位にある者が一年輪番制で行っておるといった関係であったのが事実であります。  したがいまして、昭和五十一年に設立されましたが、平成二、三年のバブル経済崩壊に伴って経営実態の悪さが明らかになるまでの段階会社が躍進している段階におきまして、実態的に母体となっておりました地方銀行業会もあるいは生保業界も、全くその経営には関与していなかったということが事実でございます。いわば、通常の事業会社では資本と経営が分離されておりますが、まさにそれと同じように、確かに資本はほぼ全額に近いものを出しておりますけれども、その経営母体から出向している役員に一任していたというのが実態でございました。  そういうような中で、確かに昭和六十年代から平成にかけましての土地絡みの融資資金につきまして、今から考えればややずさんな融資が行われていたということが今日の破綻につながっているわけでございまして、それを設立いたしました母体業界といたしましては強く反省しているところでございます。
  15. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 今お話を聞いて本当にもっと大きな責任を痛感していただかなきゃならないお立場だと思います。  同じ質問で恐縮でありますが、二住専母体行にランクされております橋本参考人、いかがでございますか、このずさんな貸し方について責任をどう感じておられるか。
  16. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 私どもさくら銀行は、日本住宅金融とそれから住宅ローンサービスの二つの住専母体行になっております。  これはどういうわけかと申しますと、私どもは、もともとさかのぼってみますと神戸銀行、太陽銀行、三井銀行、この三行が合併した銀行でございます。住宅ローンサービスというのは旧太陽銀行母体として参画をしておった、それから日本住宅金融は旧神戸銀行と旧三井銀行が参画をしておった、そういう関係でございます。参画の度合いはいずれもいわゆる幹事行という立場ではなくて、それより下のランキングでいわば参加をしておった、こういうことであるわけです。  いずれにいたしましても、母体行といたしまして、設立、出資、それから役員の派遣という、そういう関係がございました等の経緯を考慮いたしますと、一般の債権者と同じ立場ではないということは十分認識をしておるところでございまして、その責任も十分自覚をしているところでございます。  しかしながら、住専会社に共通して言えますことは、各住専会社母体から独立した一金融会社でございまして、独自の経営判断に基づいた経営を行ってきたということでございます。  なお、詳しく申し上げますと、私ども母体行一つであります日本住宅金融について申しますと、設立以来、破綻に至る直前までは大変強力なリーダーシップをお持ちの経営者のもとで全社一丸になって社業発展に取り組まれて上場まで果たされたということでございますので、当時を振り返ってみますと、世間一般の方々の中にも完全な一個の独立した存在として認識されておったということは間違いがないところでございます。
  17. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 橋本参考人お尋ねします。日住金の筆頭株主はどちらでございますか。
  18. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 筆頭株主は、三和銀行、それから私ども、いずれも五%以内の株主としております。
  19. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 事務方とよく御調査をいただきたいんですが、先ほどお話があった太陽神戸と三井銀行とが合併して、最初の株主シェアより御行が筆頭株主になっている。にもかかわらず、本当に庭山元社長等々となかなか反りが合わずにリーダーシップをさくら銀行がとれなかったとか、いろいろ経過は承知をしております。しかし、先ほど申し上げたような融資状況、その結果、不良債権を大きく抱えている日住金なんですから、庭山さんがどんなに立派なことを言ったって、この責任というのはやっぱりもう十分御本人が感じていただかなきゃならない。衆議院のあのときのやりとり等を聞いておりますと、これは何も庭山さんばかりじゃありませんけれども国民があの姿を見て反省がないと非常に強い憤りを持っている。こういうことも十分御認識をいただかなきゃならないと思います。  時間がないから次に参ります。  今私どもの中では紹介融資というのが大変問題になっているんです。ずさんな審査でどんどんと貸し込んでいった住専。それは住専経営判断ですよと口ではおっしゃられるけれども、実態はとてもそんなものじゃなかったということをもっともっと率直にお認めにならない。この住専の問題について、皆さんはただただ株主訴訟が恐ろしいとか、株主総会を何とかクリアするためにはこれ以上の処置はできないとか、自分のそろばん勘定だけで逃げ込んでいる。これは国民は許しません。よ。そういう意味でちょっとお尋ねをいたします。  まず、母体行紹介融資は一兆七千二百八十七億、一般行は一兆六百四十一億、合計すると約二兆八千億になります。そして、そのうちの不良債権は九〇%、二兆六千億あるんですよ。しかも、損失見込みというのが一兆四、五千億と言われているんですから、結局半分はバブルの泡と消えた、こういうのが紹介融資だと。  ところが、これは各住専の判断でやったことですと、こういうことで本当に逃げ切れるのか。先ほどちょっと一言触れましたけれども母体行総量規制、三業種規制にかかって融資ができなかったディベロッパーに住専紹介して裏口営業させた、ここにこういう数字があらわれているんですよ。それを率直にお認めいただかないと実はこの問題の真の解決にはならないんだ。  なるほど紹介融資はいろいろ千差万別ですから、一概にすべてそうだそうだと決めつけるわけにはいきません。ただ、私がふと思いついたケースで考えれば、優秀な案件については母体行が積極的に自行でそれを融資する、これはリスクが高いな、怪しいなと思うようなのを住専にお回しになる、こういうケースがたくさんある。あるいは、焦げつきを予想されながらも、今までの経過その他の措置によって住専に押しつけたと言われるものもある。そういうことの審査が確立していない住専だから、母体行一般行から電話一本かかってくれば、紹介があればほいほいと乗っていった。こういうバブルのときのあの姿というものを忘れちゃいけませんよ。  また、母体行が共同融資住専に申し入れて、例えば一億を融資するのに七千万は母体行一般行融資をする、残り三千万は枠がないからぜひひとつ住専で引き受けてくれ。一番抵当母体行、二番抵当住専。ところが、今日のこの地価下落、驚くなかれ商業地域では五分の一でしょう。アメリカは四割程度の地価下落だったから何とかうまく切り抜けたと私は承知をしておるわけでありますけれども、今商業地域が五分の一に値下がりしている。極端な言い方をすれば、一億の土地が二千万とか三千万になっている。となりますと、それを処分すれば七千万不足をする担保でありますけれども母体行がこれを回収する、一般行が先にとる、住専は全く手も足も出ないで処理をされるんですよ。こういう姿の不良債権というものがいわゆる住専にたまった。  だから、ある党のおっしゃり方ではごみ箱だと、こう言われるような状況にまでしたのはやっぱり日本の一流金融機関責任だと、これは声を大にして叫ばせていただきますが、いかがでしょうか。
  20. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 紹介融資の実態につきましては、全体の状況を知る立場にはございませんが、住専会社によりましてかなり濃淡の差はあったかと見受けられます。  私ども母体行をやっております日住金の例を申し上げますと、住専会社の事業貸付金に占める紹介融資の比率というのは二〇%程度というふうに聞いておりまして、これよりも低い住専もございますし、もっと高い住専もある、こういう状況であります。  また、この紹介内容につきましても、住専会社はそもそも営業拠点というものが非常に少ない。例えば、日住金では支店が十七カ店しかございませんので、むしろ住専側から営業展開の応援を求められるというようなこともございまして、住専の依頼によって紹介をしたというような、あるいは先生おっしゃいますとおり、何かのプロジェクトがあってそのうちの一部に住専がかむ、こういうケースもあったかと思いますが、最初から悪いものを住専に押しつけたということは決してございません。
  21. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 続いて橋本参考人お尋ねします。  例えば私の調査では、東京三菱銀行とか第一勧銀とか、さくら銀行関係住宅ローン紹介が非常に多いですね、目立ちます。それからもう一つ、住友銀行さんは母体行として関係するよりは一般行として紹介融資を各方面に非常に多くやっている。今こういう結果を見ますと、さすがに住友はうまい商売やったなと逆に指摘せざるを得ないのかなと思っているんですが、これは玉置参考人地銀生保ローンに多く住友銀行紹介融資が見られますね。これは事実でございましょう。こういうものが不良債権化しているんです。  ですから、母体行として三兆五千億を全額放棄しました、責任は果たしました、こういう一方の理論の中で、本来なら母体行の中でもっと責任を持っていただかなきゃならない。一般行でこういう融資をして住専不良債権をつくらせて、足らざるところを税金で補おう、こういうスキームができちゃったというところに、改めて冷静な判断をするとするなら、こういう一般行分野で、しかも回収がされるという立場になれば、果たしてその紹介融資をそのまま見逃していいのかどうか。  これは一般論でひとつ橋本参考人玉置参考人、お答えをいただきたいと思います。
  22. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 住専会社の破綻処理につきましては、本来、一般的な会社破綻の際に債権者が負担すべき割合というのは債権の割合によって負担するのが法的に決められた原則でございます。いわゆる債権者平等の原則と言われているものでございますが、母体行といたしましては、それを越えて、さまざまな住専に対する経緯及び関与等を総合的に判断した上で、母体行融資については全額放棄をする。残りの一般民間金融機関及び系統系の金融機関につきましては、したがって本来からいきますとプロラタでこの責任分担をやるというのが原則であろうと思うわけでございますが、そうなりますと系統系の金融機関に対する影響の度合いが非常に大きいというようなことになったために現在の政府案の金額がスキームとして考えられたわけでございますので、これが変わってくるということになりますと、この政府案スキーム全体がいわば崩れ去るということになります。  母体行といたしましては、全額の債権放棄に加えまして、住専処理機構に対する出資であるとかあるいは低利融資等についても御協力申し上げるという考えでありますので、私たちの気持ちとしては、何とか政府案スキームどおりに一日も早くこの処理が行えるようになってほしい、このように念願しておるところでございます。
  23. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 住専各社の一次ロスをどう負担するかということにつきましては、住専七社によって違いがあると思います。  私ども関係いたしております地銀生保住宅ローンについて申し上げますと、全体の資金量が一兆二千億ぐらいでございまして、そのうち第一次ロスとして確定いたしておりますのが五千六百億ぐらいでございます。それに対しまして、母体地銀生保融資額が五千四百億になっておりますので、母体地銀生保債権全額放棄いたしますと一次ロスのほとんどがなくなるということでございまして、ごくわずか一般行方々に御負担いただければ農協系統の御支援も財政の御支援も全く必要としないというのが地銀生保住宅ローンの実態でございます。  そういう実態にあるところとそうではないところとの間で母体行負担については考え方が違ってしかるべきではあるまいかというふうに私は思います。  また、紹介融資でございますが、先生から今お話がございましたが、地銀生保住宅ローンについて申し上げますと、紹介融資というのはなかなか難しい概念ですが、地銀生保住宅ローン全体として事業資金が八千億ばかりございます。そのうち四千億弱が大蔵省のお調べでは紹介融資と言われているものでございまして、その四千億弱のうち一千億程度が地方銀行母体行紹介したとされている融資でございます。  ちなみに、私が属しております千葉銀行の紹介融資と目されているものは、そのうち二十五億程度でございます。そういったようなことから、ほとんどないというようなこともちょっと申し上げた記憶がございます。  その紹介の実態でございますが、私ども、この今あります紹介融資二十五億、一件一件につきまして全部調べたんです。わずか九件しかないものですから調べるのは容易であったわけでございますが、記録としてしか残っていない。その記録がなかなかどう判断していいのか難しい。千葉銀行は担保不足だから断念したとか、千葉銀行はグループ全体として見ると先行きが不安定だから断念した、しかしながら地銀生保が取り上げたというような記述がございまして、それをどういうふうに読むのか。  いずれにせよ、紹介融資についての責任を本格的におとりになるのであれば、一件一件相当厳しい吟味が必要だということではあるまいかというふうに感じております。
  24. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 十二日の日に私ども自民党の大河原太一郎先生が代表質問で、そしてまた後、同僚の議員の方々、とりわけつい先日、関根先生の御質問で久保大蔵大臣が、一般行として回収される債権が一兆七千億ありますね、これについて踏み込んだ御発言をされておられるところでございます。私どもも、一般行が三兆八千億貸し付けておられる、そしてそのうち八割を母体行絡みの一般行に返済がされるということであれば、この不良債権の発生の流れの中からやっぱりもう一歩、一般行と称する母体行母体行と称する一般行、どっちでも結構ですが、踏み込んだ御判断ができないものかなと。  これは今ここで御返事をいただきたいけれども、あえてだめならやむを得ませんが、既に国会ではそういう論議が交わされているということの御認識をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  25. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 一般行部分の負担した以外のものについてスキーム自身を変えるというのは、これは関係者がさんざん集まって協議してまとまった案でございますので、どこかを変えるとどこかがまた崩れる、基本的なスキームの成り立ちが壊れる、こういうことになりますので、その辺は大変困難な問題かと思います。要は、住専処理機構ができまして、残った債権の回収につきまして母体行一般行を問わずそれぞれがそれぞれの立場で全力を振るって回収をしていく。その過程におきまして、例えば法に触れるような案件があったという場合には、それについて特別にそれぞれの関係者責任を問うとか、そういう措置がとられるべきであろうというふうに考えます。
  26. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ちょっと切り口を変えさせていただきます。  先ほど来お話がありましたように、早期解決は傷口を一日も早くいやす意味でもう絶対私は必要だと。昨年来、場合によっては公的資金を投入してもと、このように主張もしております。しかし、もっともっと母体行あるいは関係金融機関が本当に身を投げて解決していく、もうどんな泥でも火の粉でもかぶるんだ、こういう決意を早くしていただかなきゃいけないなと、重ねてお訴えをしておきます。  さて、主要二十一行がこのところ株価の上昇によりまして相当の含み益をお持ちになるに至っている。まことに喜ばしいことだ、金融機関の体質強化のためにはいいことだ、このように思っております。いろいろと計算をしてみましたが、株式でダウが千円上がると約二兆円弱の含み益がふえている。一番ひどいときのあの一万四千円台から今二万二千円台ですから、これは大変な含み益が金融機関、機関投資家に回っているんだ、このように思っておるところでございます。  しかも、この超低金利時代、実は私ども自民党は昨年、私も予算委員会で取り上げさせていただきましたが、積極的に年金受給者に温かい配慮を、この低金利時代に、年金生活者にとっては利息がまさに全く手元に残らないようなこの時期に何とか配慮をということで力を入れ、今全国の各種の金融機関は一%アップ、自分のところで取引をしてくださる年金受給者に、金額は百万円から三百五十万とかいろいろありますが、御配慮をいただいている。これは現橋本会長さんに大変敬意、また皆様にも敬意を表しますが、超低金利時代の結果、六倍、七倍に貸せる商売というのは今もう金融機関をおいてはない。それだけにこの三月の業務利益というものは非常に大きなものがあったと私は思います。  もとより不良債権を全額償却するというような機関もありますし、いろいろスリム化を図っておるところでありますからほとんどが赤字だとも聞いておりますけれども、実質的には大変な黒字を示した、こういうようなことが言えるところでありまして、低金利時代のメリットというものを考えれば銀行はいろんな対応が、社会に還元できるんじゃないか、こう思っておりますが、いかがでございましょうか。
  27. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 確かに、最近の低金利によりまして銀行の収益が一時的に向上いたしましたけれども、低金利政策はあくまで景気対策のためのものでございまして、銀行の収益拡大は副次的あるいは一時的と申しますか、当然調達金利が下がりますと運用金利が下がっていくということになるわけでございますのでそのタイムラグがどうしてもできると。したがいまして、金利低下のメリットというのは、資金調達を行っております企業、あるいは住宅ローン等の借り入れを行っております消費者にも及んでおるというふうに考えます。しかしながら、銀行としましては、できるだけ収益のいわゆる還元と申しますか、これについては最大限の努力を今後とも払っていかなければならない、このように思っております。
  28. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 まだまだ実はお尋ねをいたしたいところでございましたが、もう残す時間がわずかです。  最後一つ、私は特にお二人にお訴えをして反省というか御認識を新たにしていただきたい、このように思いますので申し上げたい。  今サラリーマン社長と俗に言われておりますが、社長になった以上は会社と心中する覚悟、自分の全財産をなげうつ、こういうお気持ちがなかったら社長はおやりにならない方がいい。特に金融機関の長はそうです。  二、三お聞かせします。  三和銀行の前身の三十四銀行のかつての頭取小山さんは、明治四十二年の日糖疑獄のときに、みずからの私財を、当時十一万円ですよ、なげうった。他の重役も十万円つくって日銀に供託して、不時に備えた。大正十一年、後の第三銀行でありますが、帝国商業銀行整理に際しては、藤山雷太さんが八十万円、郷誠之助さんが二十万円、後の東洋拓殖総裁の高山さんが十五万円、重役がみんな出して、法律の上においては一銭一厘責任がなくても自分たちは預金者や皆さんに申しわけないと、この立場でおわびをしているんです。  今の経営者は何ですか。株主総会だ代表訴訟だばかり恐れて、本当に国民の怒りの声を聞いたら、おやめになる方も自分たちが全財産を投げ出す、こういう解決策をとらなきゃいけません。特に、昭和にあって村井銀行は、あの総理官邸の隣の三千余坪の自分の御殿を差し出してまで国民におわびをしています。この気持ちを皆さん方は特に今後十分に肝に銘じていただきたい。  きょうは御多忙のところおいでをいただいてありがとうございました。
  29. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で斎藤文夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次に、直嶋正行君の質疑を行います。直嶋正行君。
  30. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 平成会の直嶋正行でございます。  本日は、橋本玉置参考人、大変御多用の中をこうして私どもの審議のためにお越しをいただきまして、本当にありがとうございました。まずもって御礼を申し上げます。  時間の関係もありますので、早速質問をさせていただきたいと思います。  最初は、橋本参考人にお伺いしたいと思います。  今も議論がございましたが、この住専問題におきましてはいわゆる母体行を中心とした金融機関責任は極めて重い、私自身もそう思っております。したがいまして、まずお聞きをしたいのでありますが、従来、例えばノンバンクの破綻とか救済とか、そういう事柄を含めて、これまで金融関係でこういった問題が生じた場合は、その設立の中心になった金融機関、さっきの言葉をかりれば親が子の面倒を見るといいますか、それが金融界の慣行ではなかったか、従来そうしてきたのではないか、恐らく一般の国民の皆さんもそのように受けとめていらっしゃると思うわけであります。  今回の住専処理に関してはなぜ異なるのか、あるいはそれがなぜできないのか、この点からまずお考えをお伺いしたいと思うのであります。
  31. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) お答えいたします。  住専各社はそれぞれの母体行が集まって複数で設立した会社でございまして、いわゆる商法上の一〇〇%出資の子会社というようなものとはおのずから性格が異なっておるわけでございます。したがって、一〇〇%子会社等につきましては、先生御指摘のとおり、例えば親会社がその子会社の破綻について全部責任を持って処理するというケースもございますし、そうではなくて、一般の会社整理の原則に従って整理をする、こういうケースもあるわけでございます。  住専につきましては、もともと一般会社としての整理方法をとるべきものであったと思うのでございますが、これに関係しておる金融機関の数が余りにも多くてなかなか債権者間の意見の一致を見ることができなかったところへ、この解決が国際的にも大変急がれる、こういう状況になりましたので政府案というものができて、これに従って処理をしていこう、こういう経過でございます。
  32. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 では一つお伺いをいたしますが、今般太平洋銀行が破綻をしました。これは、さくら銀行さんを初めあと三行だったと思いますが、関係の深い金融機関で再建をされるといいますか、新たな会社をおつくりになる、こういうふうに聞いています。  今一〇〇%子会社の場合はそうだけれどもほかの場合はそうでないというお話がありましたけれども、やはりこういうケースはたとえ母体行が幾つかあっても共同して処理をするといいますか、対処をするというのが本筋じゃなかったんでしょうか。
  33. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 太平洋銀行のケースにつきましては、従来から大蔵省、日銀、それに私どもを含めました金融機関四行が支援を続けてまいったところでございますが、地価下落等によりまして債務超過に陥ったために、これをどうするか、何とかこの処理をするについて民間銀行四行の協力を得たい、こういうお話当局からございまして、私ども四行が集まっていろいろ協議をした結果、そういう方向で進めていこうかというような段階に今なっておるわけでございます。  金融機関につきましては五年間はペイオフを起こさない、こういう政府の方針というのがございまして、もしここで破綻を来すということになりますと、預金者はもちろんでございますが、金融システム全体に非常に大きな混乱が広がるということを懸念された結果、そういうような要請があったものと、このように受けとめておるわけでございます。  住専の場合は我々が言っておる金融機関ではございませんで、預金者というものが住専には存在しないわけであります。したがって、これはこれから住専ごとに新しい会社をつくって再建していこうということではなくて、もうここで線を引いて整理していこう、こういう考え方でございますので、太平洋銀行のケースとはいささか異なった側面があろう、このように判断しております。
  34. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 この点、また後で議論したいと思いますが、今のお話で私がやっぱり腑に落ちないのは、政府、日銀の要請もあって今まで協力してきた、それで太平洋銀行については再建に協力するんだ、こういうことでありますが、そうすると公的なそういう要請があれば対応するということで、それも太平洋銀行預金者がいる銀行だからと、こういうお話です。  そうすると、住専は今おっしゃったように預金者のいない銀行ですから、その場合に、なおさらここの処理のために財政資金も含めて政府業界が一体になって穴埋めをするということがますます筋が通らなくなる、こう思います。また、政府の要請ということであれば考えるというお話でありますが、じゃ政府の要請であればどこまでやるのかというのはちょっとはっきりわかりません。これはまた後で議論したいと思います。  続きまして、玉置参考人にお伺いしたいのでありますが、先ほどもちょっと出ましたが、私いろいろ雑誌等も拝見しましたら、玉置参考人は昨年から貸し手責任論ということを盛んにおっしゃっています。その点ちょっとお伺いしたいのでありますが、恐らくこれは最大の貸し手である系統との関係も含めて、それを意識しながらお話しになったと思うんです。  今回の住専処理国民が一番怒っているのは、六千八百億という税金を使うということ、それも損失の穴埋めに使うという、要はそういうダブルの部分で非常に国民の怒りが強いと思うのでありますけれども、この点にもかかわってくる部分でありますので、参考人のお考えをかいつまんでお話をいただきたいと思います。
  35. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 先ほど斎藤先生の御質問でもちょっとお答え申し上げたのでございますが、一般事業会社整理する場合、整理段階におけるロス負担というのは、その段階における融資金融機関が各融資シェアに応じて負担するのがルールだということでございまして、先ほど来お話がございますとおり、住専預金者のいない一般事業会社でございますので、これを整理するという場合には一般事業会社のルールを適用するのが筋だというふうに当時考えていたわけでございます。  ただ、昨年の秋以来、当局による今既におおむねでき上がりつつあります処理スキームが出てまいりましてからは、私はそういう主張をしたことはございません。  なお、財政資金の投入につきましては、私どもは全体の実情がよくわからないわけでございまして、一般民間金融機関あるいは農林系統の経営実態、あるいは住専各社とのかかわり合い方、そういったことを総合的にお考えになった上で財政当局が財政資金の投入を含むスキームをお考えになったんだろうというふうに理解をいたしております。
  36. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 さっき拝見したという雑誌等、玉置参考人のインタビューから私が推測しますと、一般事業会社処理に財政資金を投入せざるを得なくなった背景は、率直に言いますと系統の体力問題だと、このように私は受け取ったんですが、いかがでございますか。
  37. 玉置孝

    参考人玉置孝君) あるいはそうかもしれませんが、私はそういう推測はいたさないことにいたしております。
  38. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 先ほどのやりとりの中で橋本参考人も、やはり系統に対する負担といいますか問題がその背景だというお話をされております。私は今のお二人の発言から、今回の処理スキームについて銀行サイドの皆さんはそのような見方をされているということを改めて感じた次第でございます。  続きまして、さっきも議論がございましたが、今政府・与党を初め、母体行に対してこのスキームを超えてさらに追加負担を求める声が非常に強いわけであります。これは橋本参考人にお伺いしたいのでありますが、そもそもこのスキームをつくったときの経緯を踏まえると、追加負担の要請というのはどのようにお考えになっておられるんでしょうか。さっきのお話では応じることは難しいというお話だったと思いますが、その点も含めてお考えをお聞きしたいと思います。
  39. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 先ほどから申し上げておりますとおり、住専処理案策定の初期の段階では私ども母体各行といたしましても、いわゆる貸し手責任による負担ということ、つまり破綻時における貸国債権の割合によってそれぞれが負担をしていく、そういうことを主張したわけでございますが、最終的に政府案に盛り込まれました母体行による住専に対する貸国債権全額放棄という非常に重い負担を選択せざるを得なかったわけでございます。  これは行政当局から示されました設立母体行債権の全額を放棄するという御判断を、金融システムを担う一員といたしまして、我が国金融システムの安定性、それから国内外からの信頼を回復するためにはどうしてもこれを早期解決しないといけないという立場に立ちまして、政府処理案の基本的枠組みを受け入れて、民間金融機関としてでき得る最大限の負担としてやったということでございますので、そういう大変重いぎりぎりの判断をしたということをぜひとも御理解賜りたいと思う次第でございます。
  40. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、本当に銀行のといいますか、金融機関のこの問題に関する責任は重いと思います。  ただ、今のお話を受けて一言確認したいのでありますが、確かに政府閣議決定をしました後出されました具体的方策の中では、住専問題の処理方策ということでうたっていますのは、与党のガイドラインにのっとり、母体行は過去の経緯等を踏まえ、「住専に対する債権約三兆五千億円の全額を放棄する。」、こういう文言になっています。  これは、いろいろ紹介融資の問題等が今指摘されていますが、この文言を素直に読めば、こういった処理スキームを決めたその段階では、これらの点すべてを含めて母体行としての責任は三・五兆円の債権全額放棄でいいんだ、こういうことで政府・与党とも皆さん方は合意をされた、そのように私は受けとめるんですけれども、この点いかがでございましょう。
  41. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 母体行が三兆五千億融資をしておりまして、三兆五千億全額を負担するという政府案を私ども金融機関として承知をしておるわけでございます。
  42. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もうちょっと明確にその認識をお伺いしたいのでありますが、いかがですか、承知をしておるということだけでございますか。
  43. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) したがいまして、政府案に従って処理が行われる場合には、私どももその案に従って処理をしていくということでございます。
  44. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 では、今のやりとりを受けてもう一点お伺いしたいのであります。  ということは、政府サイドから今いろいろ出ている追加要求というのは、スキームをつくった時点から考えると、これは約束違反だと。つまり、世論の非常に厳しい批判の中で、さらに母体行を初めとする銀行に上乗せの要請をしておる、こういうことが言えるんじゃないかと思うんですが、この点はいかがでしょう。その辺が橋本参考人が先ほど来これ以上負担をするとスキームが壊れるというふうにおっしゃっている背景ではないかと思うのでありますが、いかがでございますか。
  45. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 先ほど来申し上げておりますように、母体行といたしましては債権全額放棄に加えまして住専処理機構に対する低利融資あるいは出資、こういうものにつきましても母体行としてこの政府案に従ってやっていこう、こういうふうに思っておるわけでございまして、この低利融資だとか出資ということにつきましても私ども負担というふうに考えております。  現に、低利で融資をするとかあるいは出資をするということになりますと、それに伴う資金負担につきまして母体行は得べかりし利益を得られなくなる、それをこの住専処理機構に提供するということになるわけでございます。そういう意味で、債権全額放棄に加えてそういう負担をもあえてやっていこう、こういうふうに考えたわけでございます。
  46. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の後段の低利融資の方は私はちょっとおかしいと思います。といいますのは、今の全額放棄政府との話し合いの中での合意であるならば、これも昨年の閣議決定の文書の中に、母体行に対しては三兆五千億円の全額放棄とあわせて、住専処理機構への出資及び低利融資を要請するということがはっきり書かれているわけです。  ですから、今の参考人お話は受けとめようによっては、従来の負担に加えてあるいはこちらもまだ別の負担があるんだから、もうこれ以上は難しいんだよと、こういう説明に聞こえるんです。私は、そういう誤解を与えるようなことはきちっと避けていかなければいけないと思うのでありまして、もともとの約束は債権全額放棄と低利融資がセットなんだ、これは少なくとも政府・与党含めて合意をされていたんだと、こういうことだと思うのであります。  私は、衆議院の二百時間に上る審議等もいろいろお聞きをしました。そして、今思いますのは、やはり母体行を初めとする金融機関責任は非常に重いと思うわけであります。  しかし、こういう合意をなされたスキームの枠組みの中で、例えばこの間も大蔵省首脳が銀行の頭取さんを集めてあたかも辞任を迫るようなことがございましたし、あるいは与党の追加措置の中には、銀行業界がリストラをしさらに合理化をして五千億円の税金をふやすんだ、それを政府がフォローアツプするんだと、とても私たちでは考えられないような、日本があたかも社会主義国家であるかのようなことも言われているわけであります。  やはりこういう無理をしなければ、今のスキームの枠の中で皆さん方にさらに御負担をお願いするということは私は難しいと思うのであります。したがって、もしこれ以上追加負担をお願いするということであれば、今のスキームは再検討、見直しをして、そして新たなスキームをつくって臨むべきだと、こう思うのでありますけれども、この点はいかがでございましょう。
  47. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 私どもといたしましては、昨年の暮れに政府案スキームとしてつくられまして衆議院に住専処理法案というものが提出されておりますし、また予算に財政資金の支出ということも盛り込まれておる現段階でございます。政府案による処理スキーム予算案並びに諸法案の通過によって早く実現をしないとこの処理そのものがますます時間がかかることによっておくれ、ひいては内外に対する信任の回復ということができないのみならず、非常に失望感を買うということになろうかと思いますので、参議院におかれまして御審議の上、ぜひ通していただければと、このように思っておるわけでございます。
  48. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、きちっと過去の事実を踏まえて政府にも非のあることを今申し上げたのでありますけれども、何か政府の応援をされるようなお答えで大変心外でございます。私は、やっぱりこういうことはきちっと話をしなきゃいけないと思うんです。  ですから、橋本参考人が今おっしゃったように、もうこのスキームでいくべきだと、こういうことであれば場合によっては新たな追加を、これは行政が介入するようなことになるのかもしれませんが、それも甘んじて受けると、こういうことになるんでしょうか、今のスキームではできないとおっしゃっているわけですけれども
  49. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 新たな追加負担を求められるということになりますと、現在のスキームそのものが基本的に変わってしまうということになりますので、先生御指摘のとおりもう一同一に戻って、原点に戻ってこの処理の仕方を考え直さないといけないと。そういう事態も予想されるわけでありますが、そういうことになること自身は決して日本経済並びに日本金融システムの回復にとっていいことではない、このように思っております。
  50. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 玉置参考人にお伺いしたいのでありますが、これもさっきちょっとお話が出ましたが、特に地銀生保ローンの場合は母体行が八十九社ある。これも以前、玉置参考人は、要するにいろいろ責任を持つというのは銀行ということでいえばメーンバンクなんだと、そうじゃなくて、八十九社も母体行があって我々はいわば出資銀行なんだと、さっき業界出資というおっしゃり方がありました。  確かに、今回の住専処理の議論の中でも、政府母体行が百八十社もあって非常に複雑なんだと、こういう説明をしているんですが、実は地銀生保ローンは母体行が八十九社もある、それからもう一つ、総合住金というところは六十五社ある、合わせるとこの二つの住専母体行の百五十四社を占めているんですね。じゃ、残りの五つはどうかといいますと、残りの三十が母体行ですから、平均すると六社ということなんです。したがいまして、母体行が百八十もあって複雑だから大変だというのはこれは大変な言い逃れだ、私はそのように思いますし、それからこれだけ母体行状況が違う中で、この七社を一括してすべて母体行責任はとか系統はとか一般はと、こういう論じ方をすることも私は無理がある、このように思うんです。  玉置参考人にお伺いしたいのは、このメーンバンクというのはいわゆる出資銀行だと、こういう関係で言うと、住専の中にも母体行が一番少ないところでは二社でやっているところがあるんですね。こういうところは少なくともメーンバンクあるいはメーンバンク的な非常に大きな責任を持っているのではないかと思うのであります。よその社のことをということはあるかもしれませんけれども、率直に御見解をお伺いいたしたい、こう思います。
  51. 玉置孝

    参考人玉置孝君) メーンバンク的な機能というのは特に厳密な定義があるわけではないのでございますけれども、通常その事業会社に対して貸し付けの面で主位に立っており、そしてその会社経営実態についても常時よく把握しており、場合によってはその銀行考え方を相手先に伝えることができる、そういったような地位にある銀行我が国では大体メーンバンクというふうに言っているのではないかというふうに思います。  したがいまして、先ほど先生からお話がございました各銀行の直系ノンバンク、例えば私ども千葉銀行に即して申し上げさせていただきますと、千葉銀ファイナンスという直系ノンバンクを持っておりました。この銀行に対して私どもはもちろんメーンバンクとして機能いたしておりました。私どもの貸付額はそのほかの金融機関よりずっと少なかったのでございますけれども、そのノンバンクを把握し、かつその実態をよく知っており、かつ私ども考えを伝え得た子会社でございましたので、貸付額は少なかったのでございますけれども、その整理についてはほかの金融機関に一切迷惑をかけずに私ども銀行だけで今処理中でございます。これが一般的にそうであろうかと思います。そういう立場がいわばメーンバンクということでございます。  先生がおっしゃいます住専七社のうちに今申し上げましたような意味での関係をお持ちの銀行があるならば、それはメーンバンク的な立場にあったというふうに言わなければならないと思いますが、まさに御指摘のとおりほかの会社のことで、よく存じません。
  52. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、今回のやり方というのは、一括で七社処理するというのは非常に問題がある、私はこう思うのであります。  例えば、もう一つちょっと玉置会長に御確認したいんですが、さっきのお話の中にありました地銀生保ローンの場合は、第一次損失部分だけを考えますと、母体行債権全額放棄を決断すれば九十数%、九四、五%だったと思いますが、もう解消するといいますか解決をする。ですから、こんなに国民の非難を浴びている税金などはもちろんあえて投入する必要はありませんし、系統だっていろいろ話し合いに応じてやれるんではないか、このように思うわけであります。  そういう意味では、十分財政資金を入れなくても処理できるんではないか、こう思いますけれども地銀生保に限定して、いかがでございますか。
  53. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 地銀生保につきましては、先ほど申し上げましたとおり、一次ロスが五千六百億ほどございまして、それに対しまして母体銀行及び生保会社による貸し付けが五千二百億ございますので、あと四百億不足いたします。その四百億は二千億円の貸し付けを持っております一般行負担していただくということになるわけでありまして、農協系統の御負担もゼロ、財政資金の御負担もゼロということでございます。一次ロスについて母体行全額放棄を主体に処理するということを各社別に行うことができるならば、もちろん財政のお世話にはならないで処理できる筋合いでございます。
  54. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、そういう中で七社一括でやるというのは、さっきも言いましたが、大変疑問が多いと思うわけであります。  橋本参考人にお伺いしたいのでありますが、大変恐縮なんですが、参考人が今頭取をされています、さくら銀行母体行でもございます日住金についてでございます。  先日、この日住金が今回の住専処理スキームに沿って対応するためには株主総会において営業譲渡を決議しなければいけないと、こういうことであるわけなのでありますが、その営業譲渡に必要な株主数がなかなか集まらなくて非常にこれが危ぶまれている、こういう報道がございました。  母体行としてもいろいろお聞きだと思いますし、今回のスキームを決めるに当たって、これからその決めた当事者銀行協会の会長をされるわけでありますから、お立場も含めていろいろ御関心があろうかと思いますので、今御承知の範囲内で状況をお伺いしたいと思うわけであります。
  55. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 営業譲渡に関する決議をします場合に、持ち株数の過半数を占める株主の出席で株主総会を開きまして、出席株主数の三分の二以上の賛成が必要と、こういうことになっております。  これに対しまして御質問の日住金の場合は、最近の金融機関全体のいわゆる安定株主と目される持ち株比率、それは四割程度というふうに聞いております。したがいまして、金融機関を除く一般株主の動向次第ではどういうことになるか確たることは申し上げようがないわけでございますが、もし万一否決というようなことにならないように母体行といたしまして一般株主の御理解を求めていきたい、このように思っておるわけであります。  それでもなおかつ、万一この特別決議ができなかったという場合にどうするか、こういう問題でございますが、それは政府処理案に沿って当社の資産を住専処理機構に譲渡して、当社を解散させるために法的手続を含めて別途の方法を考えていくということにならざるを得ないと思います。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、日住金の処理及び営業譲渡については政府案に沿って処理を進めていく、こういう気構えでおります。
  56. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、もしできない場合には法的手続も含めてというお話がございました。  これは、もう和議を考えているというような一部の報道もございましたが、やはりそういったことも念頭に置いて今お考えになっていると、こういうことでよろしゅうございますか。
  57. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 今の段階でそういう和議等の準備を進めているということでは決してございません。今はとにかくこの営業譲渡に関する株主総会におきまして特別決議を得られるように準備をしておると、こういう段階であります。  一般株主の皆様がすべて賛成をされないということはまず考えられないというふうに思いますので、一〇〇%大丈夫だということは言えませんが、まずまず確率といたしましてはそんなに大きい確率では、否決が起こるということはまああり得ないんではないだろうかと。ですから、今申しましたのは本当に万が一の場合ということでございます。
  58. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 万が一という大変慎重な言い回しをされているわけでありますけれども、もしそうなった場合にはこの七社一括で処理をする、こういうことが極めて難しくなるんじゃないかと思っております。  それからもう一つ、これは先ほども議論がございましたが、紹介融資についてお伺いしたいのであります。  まず、玉置参考人にお伺いしたいのでありますが、玉置参考人地銀業界母体行であります地銀生保住宅ローンは、紹介融資を見ますと、実は母体行よりもその他の金融機関紹介融資が圧倒的に多いわけであります。事実、その中の大半がやはり不良債権になっているし、かなりが損失になっていると、こういう実態にあるわけなんです。この地銀生保ローンの紹介融資の実態について、私が申し上げたような点も含めて、さっき千葉銀行のケースをお話しされましたが、今全般的にどのように見ておられるのかお伺いしたいと思うのであります。
  59. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 若干煩わしいのでございますが、手元にある数字を申し上げますと、現在地銀生保住宅ローンの事業性貸付金が約八千億ございます。そのうち紹介融資というふうに大蔵省から査定されましたものが三千八百億ございまして、そのうち地方銀行紹介したとされている数字が千億でございます。  これは大蔵省の計数でございますが、ちょっと業態別に申し上げますと、都市銀行さんが千八百六十億ございます。長期信用銀行が百二十億、信託銀行三百九十億、第二地方銀行二百三十億といったような数字でございまして、このほかの業態の各金融機関別の計数は今手元にないのでよくわかりません。  それで、先ほど申し上げましたのはこの千億の中に含まれます千葉銀行の二十五億、九件でございますが、紹介と記載されている内容につきまして申し上げたところでございまして、ほかの案件については全く調べておりませんので、よく存じません。
  60. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  実は、住専各社が予算委員会に提出をいたしました紹介融資の資料がございます。これを債権ベースで見ると、地銀生保ローンの場合には母体機関が紹介をして住専各社が紹介を受けたと、こういうことで報告をしているということでありますが、その紹介の中で不良債権になったのが五百四十七億、損失見込みは三百二十六億、こういう数字でございます。  ちなみに、千葉銀行さんの方は損失見込みがそのうち七十四億という数字が出ています。これはちょっときょうは議論しないでおこうと思います、この部分に関しては。千葉銀行さんの部分に関しては議論したくないのであります。  それから、同じ資料で都市銀行の数字を申し上げますと、都市銀行紹介融資をした中で不良債権になっておるものが千三百二十二億、それから損失になっておるものが七百三億ということで、母体行よりも圧倒的に都市銀行、今おっしゃいましたがその他の銀行、とりわけ都市銀行紹介不良債権になっている、あるいは回収できなくなっている。こういうことなんですが、この点はどうしてこういうことになるのですか。例えば、地銀さんの場合はさっきお話があったように余り多くありませんけれども、都市銀行は圧倒的に多いと。ここはどういうふうに理解をすればよろしいんでしょうか。
  61. 玉置孝

    参考人玉置孝君) それを御説明申し上げます前に、重要な数字の件数の違いがございますのでちょっと御説明申し上げさせていただきたいと思います。  今、先生がおっしゃいましたのは債権者ベースの紹介。私が先ほど申し上げましたのは債務者ベースの紹介債権者ベースというのは、住専がどの金融機関から紹介を受けたか、受けた件数一件をカウントしております。債務者ベースというのはもうちょっと広げて、最初にある金融機関から紹介を受けましたら、その後の貸し増しについて紹介は受けなくても全貸し付けがその金融機関から紹介を受けたものとみなす、そういう意味でございます。したがいまして、私が最初に申し上げました金額の方が広いのでございます。  それはそれでよろしいのでございますが、先ほど千葉銀行の紹介を申し上げました。その債務者ベースで申し上げますと、千葉銀行の紹介金額は四億でございまして、そのうちロス見込みは七十四億ではございませんで七千四百万円ということでございますので、御訂正をお願いいたしたいと存じます。  いずれにしましても、債権者ベース、債務者ベース、いずれをとりましても、地銀生保住宅ローンの場合には、母体行である地銀よりは都市銀行等からの紹介が多かったのは事実であったようでございます。これは推測でございますけれども地方銀行は全国に六十四行が散在いたしております。バブル期に土地関連資金需要が集中いたしましたのは首都圏と関西地区に限定されていたと申しましょうか、そこが主体であったというふうに思います。その辺の地域での営業戦力の極めて強い母体以外の金融機関からの紹介がおのずから多かったということではなかったかというふうに思います。  それは、土地の購入資金といった事業資金だけではなくて、住宅資金についても同じようなことが言えるんではないか。やっぱり住宅資金需要の規模の大きいのは首都圏及び関西でございまして、地方銀行としてはほかの金融業態に比べましてそこにそれほど強い力を持っていないということのあらわれではなかったかというふうに思っております。  以上です。
  62. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 先ほどもちょっと議論がございました。今の議論でも、紹介融資に関して母体行と一般銀行という分けた議論の仕方を一律にやるというのはかなり問題があるような気もするわけであります。  橋本参考人にお伺いしたいのでありますけれども、この紹介融資に関して、一般行母体行でどのような差が出てくるのでございましょうか。ちょっとそこら辺、私よく理解できないところがあるんですけれども、いかがでございますか。
  63. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 紹介融資の全体につきまして、それぞれの比較というものについては私は知り得る立場にはございませんが、一つ言えることは、玉置参考人も今おっしゃいましたとおり、地域によって土地下落率が異なっておりまして、特に大都市商業地の下落率が大きいということが結果としてそういう紹介融資不良債権化の差ということに影響した面がかなり強いんではないだろうかというふうに思います。  私どもといたしましては、住専会社にもしも紹介をするというときには、一定の基準を設けてということではなくて、住専会社の要請を受けて個々の営業店の判断で紹介を申し上げて、住専サイドでこういう案件についても社内規則にのっとりまして貸し出しの可否を判断して、これはやれると思ったものを実行したものであろう、このように思いますが、その後において地価の思わざる下落といったようなものが影響したんではないだろうかというふうに考えております。
  64. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 したがいまして、私は、紹介融資という場合、今のお答えにもありましたが、これも母体行紹介融資責任がある、こういう言い方は必ずしも当を得た表現ではなくて、これは母体行一般行共通して言える問題である、そういう視点に立って議論すべきだ、このように思うわけであります。  先ほど来、母体行責任についていろいろ議論がありました。最近の報道を見ていますと、やっぱりこの住専を隠れみのにしてごみ箱扱いとか、紹介融資のいろいろなことが盛んに報道されています。さっきの御議論の中でお二人とも共通しておっしゃられていたのは、いろいろこういう状況になったけれども橋本参考人も今おっしゃられたように、住専というのは独立した形態であり、そこでいろいろ判断をしながら融資は行っていた、したがってこれに関して母体行ということで責められても、住専は別の形態だからそこでの経営判断に基づいてさまざまな事業がされてきているんだ、こういう議論が先ほど来交わされたというふうに思うわけであります。  私は、これは率直に申し上げたいのでありますが、実は住専というのはもともとそういう仕組みだったんじゃないか。つまり、住専自身はそんなに審査能力があるわけでもなくて、さっきもお話にありましたが、幹部の方は母体行の中から出向で来ておられる、シャッポは大蔵省出身だ、こういうパターンが割合多いわけであります。もちろん母体行が非常にたくさんあるところはまたちょっと事情が違うかもしれません。  いずれにしても、少ないところも含めて母体行からいろいろ役員を出して、場合によっては実務者ベースのトップも行かれておるケースがある、そういう構図になっております。実は、住専は拠点が少ないこともあって、もともと金融機関からいろいろ融資先の御紹介を受けて融資をする。例えば住宅ローンの場合、消費者が金融機関の窓口へ行ったときに、ああ、住専というところがあるよ、こういう紹介をするとか、そういうことでこの住専の事業というのは成り立ってきたんじゃないか。これは、できたのが昭和四十年代の後半からでありまして、五十年代にかけて順次できたわけでありますが、そういう仕組みでこれまで来たんじゃないでしょうか。  この点、いかがでございましょうか、両参考人にお伺いをしたいのであります。
  65. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 先ほども申し上げたところでございますが、住専は、当時の一般国民住宅取得のニーズが大変高まってまいりまして、それに対して銀行としては余りできないような超長期の土地担保にした形のローンをやるということを目的にして設立された会社でございまして、設立それ自身は銀行紹介というものを当てにしてつくった会社ではないわけでございます。  ただ、おっしゃるとおり、住専会社それぞれは店舗も銀行に比べて数は多くございませんし、それを補う意味で住専サイドのニーズとして銀行からの紹介というものを求める必要性があったということも考えられます。
  66. 玉置孝

    参考人玉置孝君) それぞれの局面で住専経営者は最善の努力をしてきたというふうに思うのでございますけれども、今から考えますと、住専だけではなくて母体行も含めてでございますけれども経営対応としてやはり二つの問題があった、それが今回の経営破綻につながったというふうに私は考えております。  先ほど来お話がございましたとおり、昭和五十年代の半ば以降、民間金融機関も、そして公的機関でございます住宅金融公庫住宅金融に対して一段と積極化したことは事実です。民間金融機関はそれまでも一生懸命にやっておりましたけれども、五十年代の後半以降一生懸命になりましたのは、やはり大企業を中心にいたしまして企業の資金調達が内外の資本市場に大きく依存していったということと無関係ではないと思います。  また、官業である住宅金融公庫も、国民の福祉の充実であるとか、あるいは平成に入りましてからは景気対策といったようなことから大きく住宅金融を伸ばしていった。そのいずれも、よかったかとか悪かったかと言っているわけではないのでございますが、そのいずれの段階におきましても、住専経営者及び設立者である我々母体は、その環境の変化した段階における住専のあり方あるいは住専経営の実態についていま少し考えるべきであったという反省は、私はいたしております。  そういった反省を、そういった考え方を当時はなかなかとり得なかったと思いますが、今から考えればそうであったかなということで、その辺の経営の対応上の問題が住専各社の経営破綻に結びついたというふうに私は反省をいたしております。
  67. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  もう一つ、さっきこういう仕組みだったというふうに申し上げたんですが、それまではいろいろ紹介もいただきながら住専という会社が伸び続けてきたわけでありますが、これがやっぱり変わったのはバブル崩壊あるいはバブルのピークのころからだと思うのであります。  私は、これも率直にお伺いしたいんですが、結局いろんな金融機関がそういうことで、もともと銀行からの紹介を当てにして住専をつくったものではないよとおっしゃったけれども、そういう仕組みの中でやってきた。ところが、バブル崩壊して例の総量規制が出たあたりからこの仕組みが、率直に申し上げればこの仕組みを利用して、要するに金融機関がいろいろこの紹介融資制度に絡んで不良債権を押しつけたということが言われていますけれども、そういうことがなされたんではないか。これはどこでどうということではありませんけれども、要するに金融機関からの紹介がなければ、あるいは口ききだとかそういうものがなければ事業が成り立たない住専でありますから、これはいきなり自分でということは難しいと思いますし、ましてやバブル崩壊した後、やっぱりそういう構図があったんではないか。  これは断片的ないろんな報道がなされておりますし、やはりそれがかなり広範囲にわたって行われてきたんではないかと、これは推論でございますけれども、このように思うわけでありますが、この点についてまず玉置参考人の方から御見解をお伺いしたいのであります。
  68. 玉置孝

    参考人玉置孝君) どういうような実態があったのか、私どもは今の段階ではよくわからないのでございます。  ただ、私も推測できますことは、当時におけるグッドネームで、しかも当時の時価で担保があれば恐らく簡単な審査融資をしたに違いないということは十分に推測できます。その後の土地価格と申しましょうか担保価値の暴落に伴いまして、それが不良資産化したんであろうというふうに思います。  それが母体行なり金融機関なりの能動的な行為に基づくものであるかどうか、その辺のところはよくわからないのでございますが、ただ、先ほども申し上げましたとおり、平成二年の終わりから三年になりまして、私ども関係しております住専についてその実態を把握した段階での状況からいたしますと、おっしゃるような悪意に満ちたと申しましょうか、いわば結果的に悪意に満ちたケースというのは極めて少なかったんではないか。やはり担保評価の甘さと申しましょうか、あるいは逆に言えばその後の土地価格の下落率の大きさと申しましょうか、それが住専の不良資産発生の少なくとも金額的には一番大きな原因であったというふうに私は感じております。
  69. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 私も今の玉置参考人と同じようなことを申し上げるわけですが、住専そのもののスタートがいわゆる住宅ローンをやるということからスタートいたしましたので、先ほども申し上げましたが、要するに担保主義でスタートをした。しかしながら、その後において住宅ローンのほかに事業ローン、事業貸付に乗り出していったと。  その段階では、スタートはそういう住宅ローンに対する担保主義ということでスタートしておりますし、また資金調達の面におきましても、銀行からの借り入れであるとかあるいは抵当証券の発行による調達というようなやり方をやっておりましたために、普通の銀行が持っているほどの高度な技術、審査技術といいますか、そういうものがまだ十分育っていなかった。そのうちにバブル経済崩壊をして、資産価値が上昇から下落という非常に極端な動きのあおりを食ったためにこういうことになったということではないだろうかというふうに推測をいたしております。
  70. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 あと一点、玉置参考人にお伺いしたいのでありますが、これもちょうどことしの四月ぐらいのインタビューの中で、それに答える形で参考人お話しされているのは、第二次再建計画のときに地価の見方を、三年間ぐらい横ばいでその後上がるという判断をして間違えてしまったと、こういうふうにおっしゃっています。それから、今の状況を見るとまだ地価はしばらく下がるんではないかということもちょっとその中でおっしゃっておられるんです。  そのころの地価の見方についての判断、これは住専の全般的に第二次再建計画すべてそうだと思うのでありますが、衆議院の審議でたしか十年間で毎年一割ずつ上がるというんですか、そういう御発言もありましたが、間違えたわけですけれども、そこのところが一つと、これからもう少しまだ下がるのではないかという御発言がございました。この辺の解説をちょっとお願いしたいと思うんです。
  71. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 平成五年の第二次再建計画のときの前提は、その段階から三年間は地価は横ばい、その後少しずつ上昇していくという前提でございました。これが物の見事に外れたわけでございます。そういったことを申したことはあります。  現段階における地価の見通しでございますが、私は専門家でないのでよくわかりませんけれども、いわゆる収益還元地価といったような理論的な観点からいたしますと、東京の商業地でも優良なところは既に下げどまっていい水準に来ているように伺っております。しかしながら、そういったところでも引き続き下落しており、今後もさらに下落しそうでありますが、これの一つの大きな原因は、都心部におけるオフィス供給の超過傾向が改まっていない、したがってオフィスの底地の値段が下がっているということではないかというふうに思っております。  ただ、住専の計画との関係からいたしますと、昨年の八月における大蔵省住専の資産査定というのは、路線価格という最も厳しい価格を基準にして査定しているやに伺っております。したがいまして、公示価格は新聞等で報道されておりますように低下しておりますけれども、それよりかなり低い路線価格で昨年の段階で査定いたしておりますので、公示価格の低下がありましても住専絡みの不良資産、一次ロスがさらに大きく膨らむという可能性は乏しいのではないか、そういうふうに見ております。
  72. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 最後の部分はちょっと私は見方が違っていまして、またこれはこの予算委員会でも政府と議論したいと思っています。  今までのずっと議論を踏まえて私率直に所感を申し上げますと、この処理スキームというのは非常に拙速でかつ無理があるつくり方をされたんじゃないかなと。先ほど来議論しました母体行責任あるいは負担の問題も、一たん決めながら、決めた政府サイドからさらに要求をするというような状況でありますし、必ずしも詰まっていない。それから、七社一括処理というところについても、地銀生保ローンなどは税金を投入して処理する必要は全くない、独自でできるということでありますし、さっきお聞きした日住金の株主総会の問題もあります。それから、今この紹介融資のところで母体行一般行という議論がありました。私は、ここのところもきちっと整理をしなきゃいけないと思うんです。  したがって、そういうことを考えますと、この処理スキームというのは非常にガラス細工のような側面を持っているんではないか。予算の方ももう一度改めて措置し直すということで参議院に来ているわけでございますから、お金も使えないわけでありますけれども、こういった点を考えますと非常にもろいものがあるんではないか、こう思うわけであります。私は、ぜひ政府はそういう点を再検討してやはりもう一度考えるべきではないか、こう思います。  最後に、ちょっとお二人に一言ずつコメントをいただきたいのでありますが、この間新聞を見ていましたら、JPモルガンのウォーナー会長という方がインタビューを受けていまして、その中にこういうくだりがありました。今世界の銀行は供給過剰状態なんだと、こういう表現がありました。それから、経営トップとしてこれから必要なことはという問いに対して、一言、リスク管理であると、こういう答弁でありました。  この二つの、供給過剰状態ということについてと、これからのトップとしての役割とか使命等について、これは日本の国内事情も含めて少し所信をお伺いしたいと思うのでありますが、橋本参考人からどうぞ。
  73. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 供給過剰かどうかということは、金融サービスというものが世界経済にとって過剰であるかどうかという観点から決められるものだと思いますが、そういう観点から見た場合に必ずしも供給過剰という認識は持っておりません。  ただ、リスク管理が非常に重要なことであるということは、今後の銀行経営というものが自己責任原則のもとに市場原理に基づいて経営をやっていく、しかも世界の銀行を相手にしてワールドワイドな市場で激烈な競争を展開していく、あるいは金融技術が物すごく高度化してきているという状況から考えますと、リスク管理なくして経営はあり得ない、このように思います。
  74. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 時間超過しますので、もうこれで切りたいと思います。大変恐縮ですが、申しわけございません。
  75. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で直嶋正行君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次に、山本正和君の質疑を行います。山本正和君。
  76. 山本正和

    ○山本正和君 社会民主党の山本でございます。銀行協会を代表する立場での御出席で、大変御苦労さまでございます。  両参考人にまずお伺いしたいと思いますのは、国民がこの住専問題について一体どうなったんだという不信感を持っている最大の理由は、いわゆる銀行というのがかたいところであると。何か自分たちが仕事をしようと思ってお金を貸してくれと頼みに行っても、本当にしっかりとした話し合いをして、担保についても、また経営する人の能力についても随分厳しく問われて、そして最終的には銀行の支店長さんが、あなたが失敗したら私は首ですよと、そこまで詰めた話をしてでなければお金は貸さない、これが銀行というものの融資の原則だろう、こう思っているんです。  ところが、住専という会社は、これは法律とは言いませんけれども、そもそも設立の趣旨は個人住宅に対するローンから出発した。ところが、それが明らかにもう投機に走っているというのがわかっている。にもかかわらず、なぜあのかたい銀行が金を貸したんですかと、これが国民が一番不審に思っている理由なんですが、それについてひとつ銀行協会を代表する立場でお二人からまず御見解を承りたい。
  77. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 住専問題につきまして本当に世間をお騒がせし、また国民皆様に大変御心配をおかけいたしましておりますこと、重ね重ね申しわけないというふうに存じております。  住専は、元来住宅ローンをやる会社としてスタートしたわけでございますが、それからだんだんと発展をして、それの川上分野に進出をしていって、バブル経済の急激な膨張と崩落に逢着したことによって経営が蹉跌したわけでございます。住専各社が独立会社であり、かつ経営は私ども出資行とは独立して行われておったとはいうものの、出資行として十分な監督ができなかったということについては大変遺憾に存じておるところでございます。
  78. 玉置孝

    参考人玉置孝君) いろいろな理由がございますが、これは住専向けだけではないのでありますけれども、あの異常な期間に銀行融資担保に偏重したということは事実でございます。担保があれば審査態度が甘かったということはあのころ銀行界共通に言えたことでございまして、バブル経済崩壊後の反省に立ちまして、担保は信用度を補完的に見る一つの材料にすぎない、要は相手先企業、相手先企業経営者いかんであるというふうに見るように改めております。住専に対する銀行融資が行われましたことの背景には、担保偏重主義ということがあったように思います。
  79. 山本正和

    ○山本正和君 実は、アメリカの国債を我が国の機関投資家を含めて大変なものを所有しています。そればかりじゃないんですけれども、要するに戦争に負けて何もかもなかった時代から、一生懸命国民が働いて貯蓄をして日本の国力をつけてきた。そして、貯蓄を預かっている金融機関は絶対大丈夫という国民の信頼があったわけです。これは信用組合に至るまでです。  そういう中で、よもやと思う都市銀行地銀までがバブルに走って、そして預かったお金の運用先、どこに預けていいかわからぬからとにかくもうかるなら貸そうかと、こういうことをしたということに対する反省はいかがでございますか。
  80. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) バブルの時期に土地融資というものが住専に限らず行われまして、それが結果として崩壊に伴う債権の焦げつき、こういう状態を招いたということにつきましては深く反省をいたしておるわけでございます。  これからの私どもの責務といたしましては、やはりこの傷ついた銀行に対する信頼性の回復ということを第一義的に、個別の銀行としても、また業界全体としてもそう考えて行動していかなければいけない、このように思っております。
  81. 山本正和

    ○山本正和君 そこで、私は思うんですが、本来からいえば住専といえども民間会社ですから、こういう不良債権処理というのは民間同士で、また法的な処理によってやったらいいんです。しかし、それがどうにもできないと。そのできないことが不良債権問題として既に数年前から国際的にいろんな非難を浴びたり不安を持たれたりしてきている。ですから、ムーディーズの調査で日本銀行の格がAスリーあたりからどんどん下がっていっている。  日本金融機関に対する不信感、日本経済に対する不信というものが募ってきているという中で、最終的には系統機関も含めて民間の話し合いに、日本不良債権の象徴とされるのが住専ですから、仕方なしに政府が乗り込んでいった。私はもちろん政府責任も言いますよ。もう五年も十年も前から政策上の問題はあったでしょう。また、政治家が金融機関にひとつ何とか政治資金を助けてくれというようなことを安易に言う悪さもあるでしょう。しかし、そういうことも含めて、本来しなきゃいけない民間の間の問題に政府が乗り出してここでやろうとした。  それは、日本経済がどうにもならなくなるよ、だから銀行さんに任しておくだけではできないというのでこのスキームへ入っていったんです、処理枠は。そこのところの認識はしっかりお持ちでしょうね、要するに政府が介入したということについては。政府というのは国民全体なんです。現在の政府を、与党であろうと野党であろうとつくっているのは国民なんです。その国民に対して申しわけないという気持ちがおありになるかどうか、そこはどうですか。
  82. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) もちろん国民皆様に対して大変申しわけがないという気持ちはございます。  もともとこの住専問題というのは、民間の金融機関住専会社あるいは系統系の金融機関住専会社の問題でございますから、本来それらの間において処理すべき事柄であるべきでございますが、何しろ関係者が非常に多数に上っておりまして、なかなかこの処理についての意見がまとまらない。一方、これを解決しないと国際的な信用もなかなか回復しない。そういうことがございましたので、その結果として行政、政府のお手を煩わすということになったわけでございまして、この点につきましては甚だ遺憾というふうに存じておるわけでございます。
  83. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 私も橋本参考人が申し上げましたと全く同様でございまして、そこの責任の重大さを痛感しているところでございます。
  84. 山本正和

    ○山本正和君 そこで、お二人とも業界を代表される立場でございますし、また大変御苦労された経験をお持ちでございます。そういう意味で、日本経済が今日こういう状況の中で、不良債権という言葉、その不良債権問題の象徴的な存在としてある住専問題この解決は本来は政府としては三月の末までに決着をつけたかったんですけれども、おくれました。何とか決着をつけるよう全力を挙げていますけれども、これがおくれた場合、日本経済なり国際経済なりに与える影響ということについてどういうふうな御認識でございますか、ちょっとそこだけひとつお願いします。
  85. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) この住専処理案がまとまったということを契機にいたしまして、例えば株式の価格が上昇したとか、あるいは海外で起こっておりましたジャパン・プレミアムが鎮静化したとかということがあります。これらはすべてこの住専処理案による影響とも考えられませんが、それも一部作用しておったことは事実であろうというふうに思いますので、もしこの処理ができないというような状況になったとした場合には、これはまた大変な国際的な不信を招くというおそれが十分あるのではないだろうかというふうに推測いたします。
  86. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 全く同じことでございまして、昨年の暮れに行政当局から私どもに御提起いただいております住専処理スキームの大枠につきまして、民間金融機関全体がこれを受け入れる方向にあるということについては海外からは全く疑いの目はないということでございまして、若干の時期の早さ、遅さはございましょうが、そのことが我が国の経済に対する極めて大きな悪影響であるとか、あるいは金融機関の信用度に対する悪影響とか、そういうことをもたらすはずはないというふうに感じております。
  87. 山本正和

    ○山本正和君 そこで、先ほどからいろいろと御指摘がございました母体行としてのいわゆる住専経営等に絡む責任の問題がございましたけれども、私はそのことよりも、まず母体行一般行も、それから系統も政府も含めてでき上がりましたスキームがあります。そのスキームに基づいて処理をして、そして処理機構をつくった。その処理機構はかなり大きな権限を与えられております。財産調査権、要するに住専という会社が持っておる負債あるいは債権、これについて徹底的に調べることのできる財産調査権を持っている。  この財産調査権に基づいていろいろと追及をしてまいります。そうすると、経営責任が問われる、あるいは出資責任が問われるというような問題が出てまいります。現在のままでいわゆる母体行なりあるいは一般行なりが債権放棄をする、あるいは低利融資をする、こういうことでそれは確かに企業としては随分重たい負担だろうと私は思うんですよ。しかし、その上に、処理機構がいろいろ調べていって、まだこれがありますよ、これがありますよというふうに追及を受けた場合には、これは苦しくても当然お受けになっていただけると思うんですけれども、その辺についての御決意はいかがでございますか。
  88. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 住専処理機構におきまして、この住専の営業譲渡されました資産について回収及びその過程においていろいろな問題を追及されていく、その中で民事的、刑事的に問題があるものがもしあれば、それに対する責任が生じてくるということは当然のことであろうというふうに存じております。
  89. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 全く同様でございまして、住専処理機構の運営につきまして全面的に協力を申し上げたいというふうに考えております。
  90. 山本正和

    ○山本正和君 そこで、実は私もいろいろとお聞きしたいことがたくさんありますが、細かいことについてはきょうはお聞きいたしません。大きな観点からお二人の御見解を承りたいんです。  銀行と行政の癒着ということがよく言われます。そして、大蔵省からの天下りということがよく言われます。また事実、今までは確かに戦後五十年間、貧しい中での復興ですから、行政と一体的なこともしなければ日本金融は国際市場できちんとやっていけなかったという部分も含めますと、私は罪ばかりとは思いません。まさに一体的な運営をしなきゃいけない部分はたくさんあったと思うんです。  しかし、これからはやっぱり、日本金融というものが国際的にこれだけ大きくなってきている中で、要するに行政と金融とのあるべき姿についてどういうふうにお考えか、それについてひとつ御見解を承りたい。
  91. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 行政と金融機関との関係のあり方ということにつきましては、行政サイドが昨年の暮れにメッセージを出しておられまして、銀行の監督、検査等のあり方についてもこれから変わっていくということをおっしゃっておられます。  住専問題の処理等につきましても、国際的に最も問題にされておりますのはやはり透明性の問題だろうというふうに思います。これまでの行政というのは言うなれば一種の護送船団行政とよく言われておりましたが、これからは金融機関そのものが市場原理に基づいて、自己責任体制のもとに自分自分を律して経営をやっていく、こういうことになるわけでございます。  行政の方もそういう金融機関を見ておって、そこでもしルールを踏み外すというようなことが起こった場合にこれをチェックする、そういう立場になっていくんではないだろうか、このように考えております。
  92. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 確かに、規制時代と自由化時代の行政と私ども金融機関との間は相当大きく変わっていかなければならないというふうに思っております。国会提案されておりますいわゆる金融三法が行政なり政府サイドからの枠組みをつくるものであろうというふうに理解しておりまして、極めて重要な法律が並んでいるというふうに理解しております。  その法律の基本的な性格は、やはり金融機関に対する行政サイドからの規律を求めるルールが国際的に見て共通のルールで透明性のあるものであることが必要だということでございまして、そういった舞台におきまして、私ども金融機関としては自己責任と自助努力という考え方をさらに徹底いたしまして対応していきたいというふうに考えているところでございます。
  93. 山本正和

    ○山本正和君 それから、これは特に都市銀行という立場で少し御見解を伺いたいんです。不良債権問題の処理等をめぐっていろいろやっている中で、これは外国の新聞、雑誌等にも出ておりましたけれども、また我が国でも報道されましたけれども、余り日本を責めると、日本金融界を余りいじめて、要するに自己資本の問題だとかいろいろやっていくと、アメリカから国債買わされたやつを引き揚げると大変な問題が起こる、こういうふうなことがちょっと出たりしています。いろんな言い方ですね。しかし、私は思うんですけれども、それは銀行銀行の意思に基づいて、金融機関金融機関の意思に基づいて利益という観点から外債を買ったのか、国策に協力をして買ったのかといった場合、国策に協力したという部分はかなりあると私は思うんです。  そういう意味で、日本金融というのが日本の今日の国際社会に占める位置というものをかなり強固にしている大きな役割があると私は思うんです。その辺について、これは言いにくいことかもしれませんけれども、私どももこういう貢献はしていますよと、これはお言いになってもいいんじゃないか。そして、国民の皆さんに対して、逆に今金融業界の皆さんは、我々はこうやってきたんです、しかし今度はこういう間違いをいたしました、これからはこうしますということを声明でもお出しになったらどうか。  あるいは、一般行員、私どもの親戚にもいますし、教え子もいろいろ金融界におる。みんな青い顔しているんですよ。今までなら銀行といったら胸張っておったんです。何かこのごろ銀行員といったら胸を張っていない。それはやっぱり業界トップとして、住専問題にかかわる反省ということを国民の皆さんに、あるいは預金者の皆さんに、取引先の皆さんにそういうことをお言いになると、実はこういういいこともしているんですよということを誇りを含めて言っていただく必要があるんじゃないか。特に、銀行で働いている行員の皆さんの気持ちを考えた場合に、やっぱりトップとしてそういうお考えは、国民の皆さんに訴えるお気持ちはおありになりませんか。
  94. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 確かに御指摘のとおり、日本金融機関及び金融システムというものが日本経済のみならず世界経済あるいは世界の信用秩序において果たしておる役割というものは非常に大きいものがあると思います。したがいまして、私どもといたしましては、やはり日本金融機関経営なり金融システム全体のあり方がさらに世界じゅうの信頼が得られるような努力というものを一層やっていく必要がございます。  それとあわせて、先生おっしゃいますとおり、やはり金融機関あるいは業界としての国内外に対するアピールというものがいささか不足しておったんではないかということも感じておりますので、そういう点についてもこれから十分留意してやっていきたいというふうに思っております。
  95. 山本正和

    ○山本正和君 そこで、これも恐らくお二人のお気持ちの中には、一生懸命にやろうとしても、例えば債権処理の問題一つにしても、これは住専ばっかりじゃありませんけれども、なかなかとりにくい現行制度があります。悪いやつほどよく眠ると。この前、桃源社の社長が衆議院で胸を張って、民間のことに政府が口出すなと、こう言ったんですね。そういう本当に正常な市場経済の中で公平にやらなきゃいけない部分が、まだまだやりにくい部分がある。現行の法律制度の中ではどうしてもできにくい部分があって銀行の第一線の皆さんが大変苦労されている。こういう話も私は聞くんですよ。  この住専問題は、現行の我が国の制度の仕組みの欠陥をそのままさらけ出した。だから、知らぬ顔して短期の賃貸借権つくって取り立てをとめたり、この前も、事件になったから言いますけれども、末野興産さんみたいにどんどこどんどこ子会社をつくってわけがわからなくしてしまう。資産隠しができる。こういうふうな状況があるわけです。  私も今度の住専問題はあながち金融界にばかり責任があると思いません。政府自身がそういうことをきちっとしなかった責任があると私は思うんです。しかし、現行では取り立てができない。だから、住専機構をつくって、金融三法案もつくって、国民の皆さん安心してください、これからこうしますから一日も早く御理解を願いたいというのが私は提案されている趣旨だろうと。  それで、確かに経営という観点からいえば銀行の皆さんもつらいと思うんです。決して私は日本銀行の体力が今国際的に強いと思わない。しかし、その中でも歯を食いしばってこの危機を乗り越えるために頑張るんだ、こういう気持ちを当事者としての反省を含めてぜひとも持っていただきたい。このことを心の底からお二人を通じて銀行指導的な立場に立っておられる皆さんに訴えたいわけでございます。  以上申し上げまして、私の質疑を終わります。
  96. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で山本正和君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次に、筆坂秀世君の質疑を行います。筆坂秀世君。
  97. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 日本共産党の筆坂でございます。  まず、玉置参考人にお伺いします。  先ほど住専問題で反省があるということを言われました。それは、本来住専のいわば固有の分野だった住宅金融、この分野銀行が進出していった、結果として住専の存在理由そのものがいわば奪われていく、こういう大きな環境の変化があった、しかしそれに対応することができなかった、この点が反省だというふうにおっしゃいました。  例えば角道農林中金理事長も、住専をつくったのは母体行だ、運営もしてきたし支配もしてきた、しかも追い詰めてきた、ここに母体行責任があるというふうに述べられています。  私は、事実の経過に照らした場合、これはもっともな御意見だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  98. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 今、先生のおっしゃったことにつけ加えることは余りないのでございますけれども、五十年代後半以降、一般民間金融機関あるいは住宅金融公庫国民のニーズにこたえまして住宅金融に積極的に乗り出していったということ自身に特に問題はない。ただ、住専という会社は、御存じのとおり一般民間金融機関からの借り入れに一定のスプレッドを乗せて住宅金融を行う会社でございますので、一般民間金融機関及び官業がそこまで積極的に同じような金融分野に乗り出した場合には、あるいはもうちょっと違う分野で行くべき道がありはしないかということを模索してよかったのではあるまいかというような感想が、今からいたしますとするということでございます。
  99. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 先ほど橋本参考人は、住専には高度の審査技術はなかったというふうに述べられました。これは実態を見れば明白です。一方で、住宅金融分野を奪われる、そのために事業金融に走っていく。私も元銀行員なんですけれども銀行というのは担保だけで見ないんですね。その企業の潜在能力であるとかあるいは資質であるとか、こういうものを当然評価する。しかし、残念ながら住専にはその能力はなかったということですね。  ですから、この点でも、住専がこういう事態になるということはある程度予測できたということじゃないでしょうか。橋本参考人にお伺いしたいと思います。
  100. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 確かに住専会社住宅ローンをやるべく設立をされたわけですが、後になりまして住宅ローンの川上分野に乗り出していった。そのときにちょうどバブルに逢着した。ところが、住専側では出発点住宅ローンでありましたために十分な事業金融をやるだけの体制が整っていなかったというのが事実であろうと思うのでございます。  一番の大きな原因は、やはり地価がこれほどまでの幅で、しかもこれほどまでの期間にわたって低落するということをだれもがそのときに予想し得なかったということが一番大きな原因ではないだろうかというふうに思います。
  101. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 玉置参考人にお伺いいたしますけれども、ことし三月の「金融財政事情」のインタビューの中でこう述べられています。設立責任であるとか役員派遣してきたとか等々述べられた上で、「債権放棄による負担だけではなく、なんらかのプラスアルファの負担は求められることになるのではないか。」と。ここでおっしゃっているプラスアルファというのは、今問題になっている何らかの形での新たな寄与といいますか、新たな負担ということを指しているのでしょうか。
  102. 玉置孝

    参考人玉置孝君) その文脈を実ははっきり覚えていないのでございますけれども、先ほど来一、二申し上げておりますが、私ども責任のとり方といたしましては、住専会社整理する段階で確定いたしておりますロス負担と、そのロス負担を終えた後に受け皿機構をどういうふうに運営していくかについてのお手伝いと両面あるわけでございます。その整理段階におけるロス負担としては、母体行全額放棄というのは許される限界であると私は感じておりまして、それ以上の負担増はとても承服できないと思いますが、一次ロス処理した後の受け皿機構運営につきましては、いろいろと御協力申し上げる考えはあるということでございます。  今考えられる二次ロス負担、あるいは預金保険機構への出捐、あるいは処理機構への低利融資といったような大まかなお話行政当局スキームの中にございますが、ああいったもの全体を見まして、これが私どもとして現在考え得る負担の限界かなという感じはいたしております。あの話も個別におりてはきていないのでございまして、個別におりてまいりました段階で誠意を持って御検討申し上げることにいたしたいというふうに考えております。
  103. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 前段の方のおっしゃる意味はわかりましたが、後段の個別にというところでは、地銀生保がどういう状況かは先ほど来聞いておりましてよく知っておりますが、個別にはその前段とは違ったプラスアルファもあり得るという意味でしょうか。
  104. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 今二次ロス負担につきましては、財政と民間サイドがおおむね半々ぐらいで負担してはどうかというのが大蔵省スキーム内容でございます。処理機構に対する低利融資につきましては、母体、一般、系統が三割ずつ持つ、低利で負担するということではどうであろうかというのが、私どもが漠然と伺っている処理機構の運営等に関する、つまり一次ロス処理以降の運営に関するスキーム内容でございますが、その内容業態別にも個別にもまだおりてきていない。  したがいまして、諾否を決定することは難しいのでございますが、全体の感じといたしましては、当局が苦心の末お考えになっておられるそういう処理機構からくる私ども負担は、ちょうど耐え得る限界であるかなというふうに感じているところでございます。
  105. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 橋本参考人にお伺いしますけれども、ことし三月期の決算で、さくら銀行では行内で不良債権処理は大方めどがついた、今後の不良債権処理については業務純益の中で処理していくことができると、こういう決算の説明をされていますね。間違いございませんか。
  106. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) この三月期におきましては、不良債権処理の大方のめどがついた、あと残されたものについては業務純益の範囲内でということは申し上げておりません。業務純益を中心にしてやれる程度のものになったということでございます。
  107. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私が聞くところによると、業務純益の範囲内で大体対応できると説明をされているようですが、そこはいいです。  つまり、基本的に不良債権処理していく体力はあるということだと思うんですね。ところが、あなたはこれまでの記者会見の中で、三・五兆円の債権全額放棄、これ以上の負担については法的根拠がないというふうにたびたび言われております。  そこで伺いたいんですけれども、三・五兆円の債権全額放棄というのは一体どういう法的根拠に基づいているんでしょうか。
  108. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 本来、民間会社整理が起こりました場合に債権者が負担すべき金額は、債権者平等の原則に従いまして、それぞれの債権額に比例して負担をするというのが原則であるわけでございます。したがいまして、今回、三・五兆円の債権があって、もし全部をこの原則に従って処理するということになった場合には三・五兆円も責任を持つ必要がないわけでございますが、住専の場合には、これまでの設立経緯あるいは人材の派遣等の関与のことを考えますと、その債権額を放棄するというのがぎりぎりの限度であり、かつ必要であるという判断を持っておるわけでございます。
  109. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 いろいろおっしゃったけれども、要するに法的根拠があってやったものではないということは確認されますね。三・五兆円は法律で何か説明できないでしょう。一言でいいですよ。
  110. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) これは、私どもの顧問弁護士数名の意見をよく徴しまして、法律上の解釈に従ってそのような結論を下したわけでございます。
  111. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 何を言っているか全然わからないですよ。じゃ、三・五兆円の放棄はどういう法律的根拠があるんですか、橋本参考人
  112. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 法律に従ってこの三・五兆円の放棄をすることになった、こういうことでございます。
  113. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 全然お答えになってないですよ。あなた、さっきは法律に基づけば三・五兆円までいかないと言ったんですよ。また、三・五兆円は法律に基づかないで、これまでの母体行であるということの責任、いろんな経緯を勘案して、平等原則じゃないけれども三・五兆円の負担をする、こういうことじゃないんですか。
  114. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 法律上、取引先破綻の場合は債権者自己責任、すなわち貸し手負担が原則でございますが、破綻原因に対する直接間接的な関与がある場合は、一般債権者との間で負担に格差を設けることは公平性の維持、円滑な処理を進める上で場合によって必要な措置である、このように思っておるわけでございます。
  115. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 法的根拠があつでやったものじゃないということだけははっきりしたと思うんですよ、それは。どうなんですか。もうちょっと明確に答えてくれませんか。
  116. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 端的に申しますと、法的根拠があってやっておるわけでございます。法律にこういうことを直接、住専処理の場合には母体行は一〇〇%放棄しなさいということは書いてございませんで、現行の法律の解釈としてこういう判断が妥当であるという見解を持っておるわけです。
  117. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから、どういう法律に基づいているんですか、具体的に言ってください。
  118. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 商法でございます。
  119. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 商法でどういうふうに。もうちょっと具体的に。
  120. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 商法の何条かということは記憶しておりません。
  121. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 要するに、おっしゃっていることは、株主代表訴訟にたえ得るかとかそういうことでしょう。そういう意味でぎりぎりということであって、三・五兆円というのが法律で計算して出てきたわけじゃないでしょう。
  122. 井上裕

    委員長井上裕君) 時間ですから、簡潔に答えてください。
  123. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) はい。  三・五兆円ということは別に法律に決まっているわけじゃございませんが、この負担金額というものは債権額が最高の限度でございまして、それ以上の負担額というものは私企業としては法的な裏づけがないということであります。
  124. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  125. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で筆坂秀世君の質疑は終了いたしました。  次に、小島慶三君の質疑を行います。小島慶三君。
  126. 小島慶三

    ○小島慶三君 きょうは両参考人の方、本当に御苦労さまでございます。  私が一つお伺いしたいと思っておりますのは、今回の住専を中心とした金融問題というのは、これはもうすぐれてモラルの問題だというふうに思っておるわけでございます。借りた金は返さなくてもいい、最後に赤字が出れば国につけ回せばいい、これは大変なことだろうと私は思っております。こんなことは日本の歴史上でもございません。室町以来の珍事だと思うのでございます。それから、システムの自己否定でもあると私は思っておるわけであります。  こういうことがございますので、何か銀行に対する一般の目も変わってまいりまして、銀行に金を預けておくと何をされるかわからぬというのが一般の心理ではないか。とにかく、そのうちに銀行に金を預けに行くと金利を逆に取られるんじゃないか、(「国民の声だ」と呼ぶ者あり)これは国民の声だと後ろでおっしゃっています。  そういうことでございますので、本当に銀行経営の本質というのは私はサウンドバンキングだと思っておるわけでございますが、この銀行に対するモラルの面からの国民の批判、そういったものをどうやって取り返して、銀行の一番大事な信用という問題をどういうふうに回復していかれるか、これを一つお伺いしたいと思います。
  127. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 住専問題を契機といたしまして銀行に対する信任というものが非常に低くなったということにつきましては、私ども大変申しわけないと思いますと同時に反省をいたしております。  これからは、住専を初めとした不良債権というものを一日も早く償却し、処理を行い、経営の健全性を取り戻すということが世間の銀行に対する信頼性を回復する一番大きな方法ではないかと、このように思っております。
  128. 小島慶三

    ○小島慶三君 玉置さん、いかがでございましょう。
  129. 玉置孝

    参考人玉置孝君) こういうことを申し上げると怒られるかもしれませんけれども銀行の役職員に対してモラルの面で厳しい追及があるというふうには私は考えておりません。  しかしながら、バブル経済の罰、その崩壊過程で銀行経営上の誤りを犯しまして多量の不良資産をつくりまして、それが内外から金融システム全体の不安感につながっているということにつきましては、私は強い責任感を感じているところでございます。そういう責任感に基づきまして、これから十分の努力をいたしていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  130. 小島慶三

    ○小島慶三君 それからもう一つ、こういうことがありますね。今超低金利のもとで、一方では銀行の方には二兆とか三兆とか言われる金がたまっている、一方ではこれは殊に高齢の預金者、金利生活者といいますか、そういう者は本当にもう四苦八苦の生活をしているわけであります。  それで、さっき橋本参考人が景気回復のためとおっしゃいましたけれども、私はこれは景気の逆行にもなっているというふうに思いますのは、今国民融資産が一千兆ある。一%動けば十兆ですね。十兆というのは国民所得の二%ですから、だから二%の分が景気回復の面から、消費需要という面からはおっこっていくわけであります。仮に二%であればその倍ですね、四%。 そういうふうな大きな金が景気回復の過程からおっこっていくわけでありますが、この点はどういうふうにお考えになりますか、ひとつ橋本さんにお伺いいたします。
  131. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 低金利が結果として利子所得に収入の多くを依存しておられる方々の生活に対して大きな影響を及ぼすということは痛感しておりまして、銀行といたしましても、例えば年金受給者を対象とした優遇金利預金を創設するというようなことでできる限りの努力をしておるところでございます。  一方で、住宅ローン負担軽減などの面で国民にメリットももたらしておりますので、預金者を含めてそのメリットは広く国民に及んでいくものと思っております。
  132. 小島慶三

    ○小島慶三君 ありがとうございました。終わります。
  133. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で小島慶三君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋君。
  134. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 二院クラブの島袋でございます。御両人、きょうは参考人として出席いただきまして御苦労さまでございます。  まず、住専はもともと個人向け住宅ローンを行うことを主たる目的としてスタートしたわけでありますけれども、今回の不良債権の大半は個人向けのものではありません。今回、住専がなくなりますと、住専からお金を借りている個人の方への対応をどうするのかということが私には非常に心配であります。  債権処理機構は十五年という指定期限があります。二十年のローンを組んでいる人たちにとって五年の差が生じるわけでありますけれども、そういったことを含めて、個人の方の返済がこれからどうなっていくのかというふうなことを含めて、その責任母体行としての御感想を聞かせていた  だきたいと思います。
  135. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) 個人住宅ローンにつきましては、私ども普通銀行を初めといたしましていろいろな金融機関がこのローンの制度を持っておりまして、需要者、消費者に対しましてローンの制度に合ったものにいつでもおこたえできるような体制ができておりますし、また政府系の金融機関でも住宅金融公庫というようなものが存在をしておりますので、これから新しく住宅ローンを借りたいと言われるお客様に対して御迷惑をおかけするようなことはないと信じております。
  136. 玉置孝

    参考人玉置孝君) 橋本参考人お話と同じでございまして、今私ども関係いたしております地銀生保住宅ローンについて申し上げますと、約八千億が事業性の資金、約千億が住宅ローンということでございます。  住宅ローンの中には、先生がおっしゃいますとおり、かなり長期なものが含まれているものと思います。 十年、十五年先にどうするかということを今から申し上げるわけにはいかないのでございますけれども、決してそのローンの借り入れの方に御迷惑をかけないような方向で母体行責任を持って対応していくというふうに考えております。  また、事業性の八千億の中でもすべてがすべて不良資産化しているわけではございませんで、その中には極めて正常なプロジェクトファイナンスの部分的な実行というところもあるわけでございます。その残りの部分につきましても、母体各行が責任を持ってお借り入れの方々には御迷惑をかけないというような対応をしていく予定でおります。
  137. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そこで、母体行紹介融資の八七%が不良債権化しているということにつきましてどのようにお考えなのか、その責任の一端をどのようにお考えなのか、御説明願いたいと思います。
  138. 橋本俊作

    参考人橋本俊作君) まず、紹介融資につきましては、先ほども申し上げましたがいろいろな内容がございまして、住専会社の方から紹介をしてほしいというものもございましたし、あるいは住専の営業活動を側面的に支援してほしいという要請にこたえてこれに協力をした、あるいは大きなプロジェクト一つに参画してもらったといったようなさまざまなケースがあるわけでございますが、最初から不良債権化するようなものを母体行として住専に押しつけたということは決してないわけでございます。今不良債権化いたしましたのは、貸し出した当時に比べまして地価が当時の三分の一ぐらいに下落してしまったというようなことが原因のほとんどであるわけでございます。
  139. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で午前中の質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言御礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしましてここに厚く御礼を申し上げます。  御退席くださって結構でございます。  午後二時に再開することとし、休憩いたします。    午後一時九分休憩      —————・—————    午後二時二分開会
  140. 井上裕

    委員長井上裕君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  休憩前に引き続き、参考人方々から御意見を承ることとし、午後は日本住宅金融株式会社代表取締役社長丹羽進君及び総合住金株式会社代表取締役社長大槻章雄君から意見を求めることといたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただきまして、ありがとうございます。  当委員会におきましては、目下、平成八年度総予算に関する審査を進めておりますが、本日は特に参考人方々から住宅金融専門会社問題について御意見を聞くことになった次第でございます。  質疑に入るに先立ち、委員各位に申し上げます。  本日は、申し合わせの時間内で参考人に対し質疑を行うのでありますから、特に御協力をお願い申し上げます。  また、質疑時間が限られておりますので、参考人の答弁は要点を的確に簡潔にお願いいたします。  それでは、参考人に対し質疑のある方は順次御発言を願います。谷川秀善君。
  141. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。  丹羽進参考人、大槻章雄参考人におかれましては、住専債権の回収に大変お忙しい中をわざわざこの予算委員会にお越しをいただきまして御意見を賜る機会をちょうだいいたしましたこと、心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。どうも御苦労さまでございます。  午前中は橋本参考人玉置参考人から、いわゆる銀行方々から御意見をお伺いいたしたわけでございますが、なかなか要領を得ないわけでございまして、銀行からお金を借りて住宅ローンへ貸した住専の皆さん方から忌憚のない御意見と実情をお伺いいたしまして予算審議の参考にいたしたいと、かように考えておるところでございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  最近、大阪で、特に大阪はこういう問題に非常に敏感でございまして、大阪の小学校、幼稚園で住専ごっこというのがはやっておるんですよ。御存じですか、住専ごっこ。何かというと、要するに借りた金を返さない、これが住専ごっこ。これがえらいはやっているんですよ。これはもう大変なことであります。  特に、日本の場合、いわゆる借りたものは、借金を質に置いても、丸裸になっても返すというのが今までの日本のいわゆる倫理であり、道徳であり、美徳であったわけです。ところが、ここ二、三年、何か要するに借り得やというようなことで、子供にまでそういう遊びがはやってまいりまして、大変なことに相なっておるのではないかというふうに考えるところでございます。  いわゆる住専と言いましても、国会で非常に議論になり、テレビ、新聞もえらい書いてございますが、国民の皆さんは住専とは何かいなと思っておるのが大方であって、さっぱりわからぬということだろうと思うわけであります。  そういう意味で、いい機会でございますので、いわゆる住専とは何ぞやということからお伺いをいたし、その設立から経過、どうなってきたのかということを、きょうはテレビ中継をされておるようでございますので、お伺いいたしたいと思います。どうぞ簡潔にわかりやすく、国民の皆さんに向けてお話をしていただくようなつもりでお話をしていただきたい、かように思います。  まず、日本住宅金融昭和四十六年の六月に設立をされておるわけでございますね。総合住金は昭和四十七年の七月に設立をされておるわけでございますが、その設立当初のいわゆる母体行といいますか、金融機関はどこであったわけですか、それぞれお伺いをいたしたいと思います。
  142. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 日本住宅金融社長をしております丹羽でございます。よろしくお願いいたします。  ただいまの先生の御質問につきまして御回答を申し上げます。  当時の銀行名で申し上げますと、当社の場合、母体金融機関といたしまして、三和銀行、三井銀行、協和銀行、神戸銀行、北海道拓殖銀行、三井信託銀行、東洋信託銀行、以上の七行でございます。
  143. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 総合住金の大槻でございます。よろしくお願い申し上げます。  ここのところ関係者皆様には大変御迷惑をかけまして、まことに申しわけないと思っておる次第でございます。  御質問にお答えいたしたいと思いますが、当時の相互銀行七十二行の出資によりまして、資本金五億円で設立されておるわけでございます。当時の社名は株式会社相銀住宅ローンセンターと称しておりましたが、その後、合併等の要因もありまして、現在はその数は六十四行ございます。
  144. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それでは、丹羽参考人それから大槻参考人の御経歴を簡単にお伺いいたしたいと思います。
  145. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 私は、平成二年五月、三和銀行の常務を退任いたしまして当社に転籍いたしました。六月に取締役に選任されまして、同七月に専務取締役に、二年間専務取締役を務めました後、平成四年六月に前庭山社長の後を受けまして社長に就任いたして今日に至っておる次第でございます。  以上でございます。
  146. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 私は、昭和二十六年に大学を卒業しまして、大蔵省に入りました。  大蔵省での主な経歴と申しますと、四十六年に大臣官房の参事官、四十九年に関税局の総務課長、五十年に国税庁の間税部長、五十二年に大臣官房の日本専売公社監理官、五十三年六月に関東財務局長になりまして、そして五十四年七月に退官をいたしました。  それから国際協力事業団、JICAの理事を務めました。そして、六十年六月に退任し、六十年の六月十三日、当時の相銀住宅ローン株式会社取締役社長に就任いたしまして一期務めまして、六十二年六月十八日、相銀住宅ローン株式会社取締役社長に就任、この社名が総合住金株式会社と平成元年に改正されたわけでございますが今日に至っている、そういう次第でございます。
  147. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 どうもありがとうございました。  それでは、設立当時の役員の構成ですね、いわゆる出身で結構です。銀行出身なのか大蔵省出身なのか、その構成比率をそれぞれお伺いいたします。
  148. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 設立当時の役員構成と出身母体でございますけれども大蔵省が一人、母体が七名でございました。  社長大蔵省からでございます。常務は三和銀行と三井銀行、一名一名でございます。取締役は、当時の銀行名で言わせていただいておりますが、協和銀行、神戸銀行、北海道拓殖銀行、三井信託銀行、東洋信託銀行、それぞれ一名でございます。  以上でございます。
  149. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 常勤役員は、社長大蔵省、常務一名母体行取締役一名相銀協会、計三名でございました。ほかに、非常勤役員として母体行から取締役九名、監査役三名でございました。  以上でございます。
  150. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 今お伺いしたように、大体ほかの住専もほぼ似たようなものだろうと思いますが、結局、大蔵省OBと銀行とでつくったわけですね。役員構成を見てもそのとおりでございます。だから、大蔵省銀行住専をおつくりになったと理解をしてよろしゅうございますね。  それでは、日本住金は昭和四十六年六月にできておりまして、四十六年九月に現在の第一勧銀、富士、三菱、住友、さくら、あさひ、東海の七行によってローンサービスという会社設立をされております。  このローンサービスが設立をされたときに、ここに新聞があるんですが、えらい鳴り物入りではやしているんですよ、これ。この新聞によりますと、「民間の住宅金融会社は三和、三井などの日本住宅金融会社がすでに発足、信託銀行七行も十月ごろをメドに住宅金融会社設立を予定しており、」、これがいわゆる住総ですね、三菱、住友、三井、安田、東洋、中央、日本の七信託銀行が寄って設立をした住総ですが、この新聞では、「わが国の金融界はにわかに産業金融優先から消費者金融への転換姿勢をみせ始めた。」、こう書いてあるんですよ。  また、昭和四十六年の十月の朝日新聞、これですが、ここに大きく出ています。これには、「高金利…でも借りなくちゃ 申込み殺到に「手が足りない」「ローンよりも手軽」とうける」、こう書いてあるんです、見出しが。それで、その中を読みますと、日本住金、あなたのところですよ。日本住金、あなたのところだ。   日本住宅金融の場合、開業いらい約三カ月間で融資の申込みは約百七十億円に達した。これは予想のざっと二倍。そこで約五十人の社員を、九月から十月にかけて約百人にふやした。しかしこれでも足りず、いずれは二百人ぐらいが必要だという。  同社の窓口には、出資銀行から紹介を受けた客などが、毎日四、五十人つめかけている。客層も融資額もマチマチだが、平均では四百万円前後だという。  これは、いわゆる当時大変な高度経済成長をいたしまして、国民の持ち家といいますか、住宅を持ちたいというニーズが非常に高まった時期ですね。しかし、当時は資金を調達するのにも銀行はなかなか資金を貸してくれなかったんですよ。銀行はへにょごによへにょごにょ言って貸さなんだ。あとは借りるといったらどこかというと住宅金融公庫ですね。これもいろんな制約があってなかなか借りられなかった。そこへ目をつけたんです。そこへ目をつけて、当時は非常に国民のニーズにかなった。手軽に借りられるというところに目をつけておつくりになったと私は思うんです。これは非常に私はいいことだったと思っているんですよ。当時はいいことだったと思っているんです。  それでは、両参考人住専設立の趣旨についてどうお考えでございましょうか。
  151. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 先ほど御指摘のとおり、当社は我が国で初めての住宅金融専門会社として昭和四十六年六月に設立されました。従来の銀行のローンとは異なる融資方式を取り入れまして営業を開始いたしました。顧客が購入されました住宅担保にとるだけで、保証人は必要としないという画期的な方式でございました。門前市をなす盛況でございました。このような実績が、当時の金融制度調査会のテーマとなっておりました民間住宅金融のあり方の審議過程で取り上げられました。設立されて間もない住宅金融専門会社の存在意義とその育成が再認識されたという状況でございました。
  152. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 先ほども先生のお話にございましたように、当時は一般大衆が住宅ローンを活用することが難しい状況にありましただけに、良質でかつ豊富な住宅金融サービスを提供する住専会社設立の持つ社会的意義は大変に大きかったと、さように考えておる次第でございます。
  153. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 おっしゃるとおりだと思うんですよね。  当時の四十九年度版の銀行局の金融年報にも、住専は都銀グループ等金融機関グループを母体設立されたものであり、事情はおおむね次のとおりであると、こう書いてあります。  (A)住宅資金需要が集中する大都市圏に営業基盤を持つ金融機関は資金不足に悩まされ、長期資金や余剰資金を有する金融機関は店舗等の関係住宅資金の需要に応えにくいといった不均衡を解消する必要があること(B)母体以外からも資金調達を行うことによって住宅金融への資金流入を大きくすること(C)小口・煩雑な事務処理を伴う住宅ローンを集中的に行うことにより母体金融機関の事務処理能力の限界を補完すること こうなっているんですね。  そうすると、これであればいわゆる母体行の別働隊ですな、早う言ってしもうたら。母体行の別働隊なんですよ。そうと違いますか。どうお考えでございますか。
  154. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) むしろ、別働隊と申しますよりは、母体行から独立した住宅金融専門会社を育成していこうと、そういうことではなかったかと思いますが。
  155. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 しかし、いわゆる住専というのは預金を集めていないわけでしょう。金ないわけですよ、全然。ゼロでしょう。どこからか金を借りてくるわけでしょうが。中身は、金を集めているのは銀行やないですか。銀行なりいろいろな金融機関もあろうと思いますが、あなたのところは金ないんですよ、全然。言ってみたら、借りてきた金を又貸ししておるわけですよ。それでさやを稼いでいる、こういうことなんですよ、言ってみたら。そうでしょう、違いますか。どうですか。
  156. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) さやを稼ぐという意味では御指摘のとおりでございます。
  157. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それでは、日本住金と総合住金、それぞれ設立から平成七年度までの収支というとなかなか難しいでしょうけれども、当期利益で結構でございます、当期利益をそれぞれお答え願えませんでしょうか。
  158. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 大分長い期間にわたりますが、それをずっと毎年順次御報告させていただきます。  初年度の四十七年三月期が三億五千五百万の赤字でございます。第二期、四十八年三月期が一億七千万円の赤字でございます。四十九年三月期が三億三千八百万の黒字でございます。五十年三月期が一億八千八百万の黒字。五十一年三月期が二億一千百万の黒字。五十二年三月期が四億の黒字。五十三年三月期、九億二千八百万の黒字。五十四年三月期、二十億二百万の黒字。五十五年三月期、二十億五千万の黒字。五十六年三月期、十三億三千五百万の黒字。五十七年三月期、十二億五千七百万の黒字。五十八年三月期、十三億三千六百万の黒字。五十九年三月期、二十億二百万の黒字。六十年三月期、二十億二千九百万の黒字。六十一年三月期、二十億八千三百万の黒字。六十二年三月期、二十三億九千八百万の黒字。六十三年三月期、二十五億七千百万の黒字。平成元年三月期、三十一億千八百万の黒字。平成二年三月期、三十六億九千三百万の黒字。平成三年三月期、三十億三千七百万の黒字。平成四年三月期、六十四億九千百万の赤字。平成五年三月期、五百五十六億七百万円の赤字でございます。平成六年三月期、六十二億四千六百万の赤字。平成七年三月期、九十六億の赤字でございます。  以上でございます。
  159. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 総合住金も大体よく似た傾向をたどっていると思います。  結局、設立当初は急に黒字になることはないと思うんです。しかし、順調にずっと黒字が続いているわけですね。ある日突然、平成四年三月から大きく赤字が続いている。赤字になっているんですよ。これは恐らく大槻参考人会社もその他の住専もよく似た傾向をたどっておると思います。  これはおいておきまして、それでは日本住金さんにお伺いをいたしますが、昭和四十六年度末、五十年度末、六十年度末、六十一年度末、平成二年度末、平成三年度末、総合住金さんは五十年度末、六十年度末、六十一年度末、平成二年度末、三年度末の個人向け住宅融資残高と事業向け融資残高をそれぞれ教えていただけませんでしょうか。
  160. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 順を追って御質問の点にお答え申し上げます。  四十六年度末の個人向け融資の残高は二百十八億でございます。同年度の事業者向け融資はゼロでございます。五十年度末、個人向け融資残高千六百三十五億に対しまして、事業者向け融資は二十六億でございます。六十年度末は、個人向け融資四千六百四十一億円に対しまして、事業者向け融資四千四百六十六億円でございます。六十一年度末、個人向け融資四千六百八十二億円に対しまして、事業者向け融資五千二百七十億でございます。平成二年度末、個人向け融資五千四百九十六億円に対しまして、事業者向け融資一兆六千九百二十三億円でございます。平成三年度末、個人向け融資五千四百十七億円に対しまして、事業者向け融資一兆七千三十億円でございます。  以上でございます。
  161. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 昭和五十年度末、個人向けが千三百六十一億、事業者向けゼロでございます。六十年度末、個人向け三千九百二十八億円、事業者向け二千八百二十二億円。六十一年度末、個人向け三千百七十九億円、事業者向け三千六百六十億。平成元年度末、個人向け千七百六十億円、事業者向け九千百八十一億円。平成二年度末、個人向け千六百五億円、事業者向け一兆二千五十四億円。平成三年度末、個人向け千五百十六億円、事業者向け一兆一千八百四十一億円。  以上でございます。
  162. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 そうですね。大体そのとおりだと思うんです。日本住金は四十六年度末では事業者向けゼロなんです。五十年でやっと二十六億ぐらい。設立から九年ほど経過しても、五十五年度末を見ますと、個人住宅向け残高が六千百七十億に対して事業者向け残高は五百九十一億、一〇%にも満ちていないんです。総合住金も同じだと思うんです。  ところが、六十年度末ぐらいから急激に逆転していますね。個人住宅向けが減って、いわゆる事業者向けがとんでもないスピードでふえていっているんです。住専設立の趣旨は、個人住宅を提供するためのお金をお貸しするというのが設立の趣旨であったわけでしょう。なぜ六十年度ぐらいから逆転するというよりもむしろ事業者向けにずっとシフトしていったか、これは何か理由があるんですか。丹羽参考人の方からお願いします。
  163. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 昭和五十年後半から銀行を初めあらゆる金融機関住宅ローン分野への参入が激しくなってまいりまして、競争が激化いたしました。競争の激化のために収益も大分落ちてまいりました。そのころ、たまたま六十年代に入りましてからは都市の再開発とか土地の有効利用というふうな機運が高まってまいりました。新しい分野への展開を模索しておりました当社も、この風潮に乗じまして賃貸住宅ローンとか分譲マンションとか、いわば住宅周辺の分野に事業展開をしていった、それがそもそもの背景でございます。
  164. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) ほぼ同じような理由でございますので、簡潔に御説明申し上げます。  会社設立の四十七年から五十年代の半ばごろまでは個人向け住宅ローン中心の業務運営でございましたが、その後は銀行住宅ローン分野への進出に伴い、住宅ローンだけではやっていけなくなり、住宅ローン案件の確保を目指した川工作戦として不動産事業中心の融資に傾斜せざるを得なくなったわけでございます。
  165. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 日本住金は昭和六十一年九月に東証一部に上場をされておる。だから、これは赤字なりなんなりであれば恐らく上場できなかったと思いますから、この辺ぐらいまでは非常にまだいわゆる個人向けの方のシェアがずっと多いですからよかったんだろうと思うんですよ。  ところが、五十年代後半、今両参考人がお述べになりましたように、いわゆる親であるところの銀行が、どうも個人住宅はうまみがある、住専にやらせずに自分のところでやろうということになってきたんじゃございませんですか。自分のところで集めた金をわざわざ住専を通して住宅ローンをやらなくても、自分のところで直接やろうと。そうすると、恐らく一カ所通るところが少なくなるわけですから、借りる側は自動的に金利が安くなるのは当たり前であります。そうすると、いやでも住専の方は先細りにならざるを得ないと私は思いますよ、金利は高いわということで。  そうすると、銀行がやり出したんだから、本来であるならばもう住専整理に入るべきじゃないですか。目的がいわゆる日本国民の皆さんに良質でいい住宅を、安い金利で借りていただくということであるならば、何も住専を通して貸さなくても、本体の銀行がおやりになり出したら、その時点で住専整理に入るといいますか、目的は達成してきたわけですから整理に入るべきだったろうと思いますが、その辺のところの御議論をそれぞれの会社でおやりになったかどうかということをちょっとお伺いいたしたいと思います。
  166. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 先生ただいま住宅ローン分野銀行住専分野を侵食した、蚕食したと、このようにおっしゃられましたけれども、私の手元の資料、ちょっと御参考までにお聞きいただきたいと存じます。  昭和五十年度のマーケットシェア全国銀行の比率は三八・一%でございました。このときに住宅金融公庫の比率は一八・五%でございました。住専のマーケットシェアは三・五%でございました。これが十年後の六十年度を見ますと、全国銀行の比率は、マーケットシェアは三一・八%でございます。これに対しまして、住宅公庫の比率は三二・二%でございます。住専の比率は五・二%と若干上がっております。  これをごらんいただきますと、マーケットシェアで圧倒的に優位に立ったのは住宅金融公庫のマーケットシェアの拡大、こういうことが言えるんではないかと思います。必ずしも銀行住専のマーケットを侵食したとは言えないのではないかと私は従来から考えている次第でございます。
  167. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 最初は手間暇かかるし期間も非常に長いとこういうようなものに手を染めなかったのが、先ほど申し上げました金融事情の変化もございまして、銀行住宅ローン分野に進出してきたということは事実でございます。  それで、住宅ローン会社もそれに対応してどうするかということは先生御指摘のようにいろいろ検討したわけでございますが、いわゆる宅地開発とかあるいは宅地分譲とか、それに伴う住宅建設によりまして住宅ローン案件を確保できる川工作戦をとらざるを得ないということで分野を広げていって、そしてローンの獲得を何とか維持していきたい、またそういうことができるとすれば維持することも可能だというふうに考えたと聞いております。
  168. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 午前中の橋本参考人もそういうことを言っているんですよ。住宅金融公庫が伸びたんだと、こう言っているんです。事業者がしわ寄せを食った、こう言っているんですよ。そんなことありますか。ありませんよ、そんなの。どうもおかしいんですよ。数字的に見たってはっきりしているじゃないですか、数字的に見ても。どんどんと事業者向けへシフトしていっているじゃないですか。それなら、なぜ住宅向けにシフトしないんですか、常識的に考えりゃ。事業者向けにどんどん幾何級数的にふえているんですよ、事業者向けに。  それじゃ、話を変えてお伺いいたしますが、住専は資金を持っていないわけですから、それだけシフトする以上、どこからか金を貸してくれないといかぬわけでしょう、違いますか。どこからか金を工面してこなきゃいかぬのですよ、住専預金を集めているわけじゃないんですから。そうすると、いわゆる母体行一般行か系統か、要するにお金を窓口で集めている金融機関からお金を借りて、事業者向けであろうが個人住宅向けであろうが貸しているわけでしょう。  そうすると、おたくが貸してくれ貸してくれとおっしゃったのか、金融機関が借りてくれ借りてくれと言うたのか、これはどうでしょう。
  169. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) どちらがどうだと言うのは難しゅうございますが、要は業容拡大に伴いまして調達先ほどんどんふやしていかなきやなりません。それに対する調達ニーズとそれから運用先の運用ニーズがたまたまコマーシャルベースでマッチしたということが言えるんではないかと思います。
  170. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 丹羽参考人とほぼ同じ意見でございます。
  171. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それはどっちがどっちとも、まあ双方にニーズがあったということだろうと私は思いますがね。  それでありますならば、人数その他も多数の人員じゃございませんですね。日本住金も総合住金も人数が銀行から比較すると少ないですね。そういうところが、個人住宅ならお貸ししてもそんなに億というような金を貸すわけはないと思うんですよ。住宅ですからせいぜい二、三千万ぐらいだろうと思います。ところが、幾何級数的にふえている事業向けは何十億、何百億でしょう。これを、言っては失礼でございますが、住専のようないわゆる体力と人員も少ない、恐らく不動産向けの専門家はそんなにいなかったと思いますよ。  そういうところが、貸してくれるからどんどん借りて貸したんだ、こう言いますけれども、その貸す場合に、大阪でもそうですが、昔から大体建物は最高五掛けですよ。不動産でも大体最高で七掛けというのが相場なんです。最高ですよ、これ、最高。だから普通は大体半値以下ですわ。  丹羽参考人さんも銀行におられたんやからよく御存じだと思いますが、少なくとも大体担保にとってお金をお貸しするという場合でも、何ぼよっても建物やったら三割以下、土地でも五割以下が常識だろうと思うんですが、どうもいろいろ調べてみますと十割、ひどいのは十二割、そんなことをやっておられる。  これはどういうことで、そういう審査する人がいなかったからそないなってしもうたんだとおっしゃるのか、それともどこからかがこれはこれだけ貸してやってくれ、そのかわりこのお金はそっちへ貸すからと、こう言われたのか、ちょっと答えにくいかもわかりませんが、その辺のところをお答えいただけますでしょうか。
  172. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 当社を含めまして住専各社が六十年代以降急速に事業者向け融資にシフトしていきました最大の理由は、私は収益機会がより大きかったと。パーヘッドの比率を考えましても、いわゆるロットが大きゅうございますので、利幅の小さい住宅ローン、小口の住宅ローンで収益を上げるよりはロットの大きい融資で大きな収益を上げる方がずっとプラスになるという判断があったかと思います。  担保の件につきましては、確かに先生御指摘のとおり五割以下が最も安全な担保のとり方ではないかと私は思いますが、私どもの基準は八割以下、こういうことで社内の基準をずっと設けておりました。  ただ、一部には例外的にそれを若干超えるものもあったかと思いますけれども、基準は八割以下ということでございます。
  173. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 担保の掛け目でございますが、私ども会社の基準におきましては九割ないし八割でございまして、これは貸し付け、すなわちローンの態様によってその差があるわけでございます。  それから評価につきましては、七億円超のものにつきましては、これは不動産鑑定士あるいは当社の中にもそういう資格を持っている者がおるわけでございますので、そういう鑑定士として精通した者に鑑定を求めるとか、それ以下のものにつきましては、不動産鑑定士でもって研修を受けてそういう業務に練達した部内の職員を活用するとか、あるいは特殊、異常なものにつきましては全面的に外部の専門の鑑定士に依存する、こういうようなことで厳正に図ってきたわけで、これを標準として実行してきたわけでございます。
  174. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 担保の掛け目につきましては、それはいろいろ意見の分かれるところだろうと思いますが、当時はバブルが右肩上がりで行っていましたから、一億円の土地でも来年ぐらいには二億ぐらいになるやろうから一億貸しても取り損ねはないだろうというようなこともあったんだろうと思います。  それにしてもちょっと、やっぱり少なくとも金融機関ですから、金融機関というよりもいわゆる人様のお金を借りて貸しているわけでしょう。それは人の金やから構わへんわい、こう思うたのかどうか知りませんよ。しかし、銀行銀行で、銀行かて自分の金と違うでしょう。人様の、国民のお金ですよ、これ、銀行も。  だから、せっせと汗水垂らして働いた国民が、金融機関銀行、信用組合、最近はがたがた来ている信用組合もたくさんございますが、要するに信用組合に至るまで金融機関は大丈夫と。ということはどういうことかといいますと、安全確実に運用をしてくれる、踏み倒されないということでしょう。その国民の大切なお金をお預かりした銀行からおたくの方がお借りして、それをまた貸すわけでしょう。そうすると、なおさら少なくとも住専七社はより慎重に取りはぐれのないようにとおやりになるのが、これはあなた常識でしょう。常識だと思いますよ、これ。  ところが、今お伺いしますと、利幅の高いところヘシフトしていった。これひとつも利幅高いことありませんがな。ただいま当期利益をお伺いいたしましたが、平成元年三月まで二十億ずつぐらいずっと続いているんですよ。一番大きなところでたったの三十億でっせ。その次一平成四年三月、がたがたと六十五億、五百五十五億の赤字を出しているんですよ。何が利幅が高いんですか。赤字つくっただけのことじゃないですか。違いますか。赤字つくっただけでしょう。今まで稼いだ金、二年でがばっとそれ以上いっておるんだ。数字はっきり出てますがな。総合住金も同じだと思いますよ。ここが私は問題だと。  というのは、貸す方も貸す方やいうことでしょう、母体行、一般、系統。ところが、この数字を見ますと、だんだん銀行は貸し渋っておるんですよ。それで、結局は農業系、いわゆる系統のウエートが非常に高くなっているんです。これがいわゆる平成二年の総量規制以降を見ると顕著にあらわれている。  平成二年三月の総量規制以降、完全に銀行は横ばいなんです。ところが、系統はだあっと上がっているんです。これは結局、人の金やから、貸してくれるからどんどん借りて、今、丹羽参考人お話によりますと利幅の濃いところへだあっと行った。それで、もうけてくれてたんやったらこんな問題は起こらないからいいんです。ところが、損を出すときはもうむちゃくちゃですがな、単年度で。今まで稼いだ金が一年で全部パア。それで、またつりが来るのやから、赤字のつりが。これは数字を見たらそうなっていますがな。そうでしょう。  それで、私、大蔵省の肩を持つわけではございませんが、大蔵省昭和四十七年から四十八年、五十年、六十年、六十一年、六十二年といろいろ通達を出していますね。投機に走ってはいけませんとか、そういうことはしてはいけませんとか言っておるわけです。これはそれぞれ参考人は御承知でございましたか。何遍も通達が出ているんですよ、ずっと毎年毎年。  私は大蔵もぐるやとは言いたくありませんが、大変なこともあると思いますが、大蔵省は既に四十七年からずっと引き続き六十一年、六十二年と通達を出しているんです。この通達をそれぞれの住専で議論されて、不動産事業者向けはそろそろ撤退をせにやいかぬということを議論されたかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  175. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 通達の件は承知いたしておりますけれども、すべて私が当社に参ります前の時点でのことでございまして、申しわけございませんが承知いたしておりません。
  176. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 私も当社に参りましたのはそういう住宅ローンのターニングポイントになる時期ではなくて、不動産融資に徐々に参入しつつある段階のことでございました。  先ほども申し上げましたように、一つ会社として店を張り職員を抱えておるわけでございますから、その中で、狭い意味の住宅ローンとして採択できるものはそれに励むべきであるということはもちろんでございましたが、その余のところの経営の維持ということにつきましては、住宅関連ということでマンションとかアパートとかあるいはそういう住宅関連の分野にも広げていって何とか維持していこうと努めたわけでございます。それがバブルの時期に際会し、さらに不動産業というものに対するもっと広がった分野にだんだん足を入れていったというのが実態であろうかと思います。
  177. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 会社経営される立場からいたしますと、できるだけシェアを広げていく、業績を上げていくということは経営者としては当たり前のことで当然だろうと思います。それがある程度個人住宅向けが頭打ちになっているんですね。むしろ、これに力を入れるべきと違うんですか、個人住宅向けに。それを何かディベロッパーみたいに不動産だとかそんなところへ金を貸しているというのはある意味では邪道でありまして、だからそれぞれ住専役員の皆さん方の責任を問われてもいたし方がないというふうに私は思うわけであります。  そして、結局平成二年三月にいわゆる総量規制という通達が出たわけです。この総量規制の通達が出てからは個人向け残高は減っているんですよ。ところが、事業向け残高はほとんど減っていない、まだふえているぐらいなんです。ということは、いわゆる総量規制によって親であるところの金融機関貸し出し規制された、そのかわり住専を窓口としてそっちへ貸し出した、窓口が変わったということだろうと思いますが、いかがでございましょうか。
  178. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 個々の案件につきまして詳しくは私存じておりませんけれども、例えばそういう母体銀行から振りかわってきたとかいうふうな認識はいたしておりません。  ただ、総量規制が施行されました平成三年当時は、まだこのような不動産市況が厳しい事態になるとは全く思っておりませんで、先ほど申し上げましたとおり、まだあの当時は有力な収益源である事業者向けに、テンポは大分落ちておりましたけれども融資をふやしていった、こういうことが実情でございまして、まだ回収の意識がなかったということは、今から考えますと大変大きな反省材料ではございます。
  179. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 個人向け融資につきましては、先生御指摘のとおりほとんど右下がりでもって残高が減っていったわけでございます。片や、事業者向けは確かにバブルの当時上がったわけでございますが、当社の場合、平成二年度末がピークでございまして、三年度から我々も業務運営の方針として引き締めということの徹底を図ってドライブを、抑制をかけていったものでございますから、三年度以降徐々に残高が減っているというのが実態でございます。
  180. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それはそのとおりだと思いますが、結局、何遍も申し上げておりますように、住専はいわゆる預金を持っていないんですよ。そうでしょう。お金を金融機関から借りてきているんです。それを又貸しと言ったらおかしいけれども、貸しているんです。  そうすると、一般行なり母体行や系統が金を貸さなければ住専はいやでも事業向けへシフトできなかったんじゃないですか。住専がお金を集めて、それで貸しておられるならばそれは自由でしょう。ところが、住専というものは金融機関からお金を借りてきて次へ貸しているわけです。そうすると、貸す側が貸さなければ貸せないわけです。原資がないんですよ。違いますか。そうすると、銀行とまるっきりぐるだと言われてもこれはしようがないでしょう。そこなんです、私が申し上げたいのは。  住専がお金を持っておられるなら、それは住専の御自由です。住専は、母体行であろうが一般行であろうが系統であろうが、金融機関からお金を借りなければ貸せないんですよ。それが何となく、午前中の話をお伺いいたしましても、いわゆる金融機関住専とは全然別のものでありますというようなことを言っておられるんですよ。そんなこと子供でもわかるでしょう。違いますか。子供でもわかりますよ、金借りなきゃ次へ貸せないんだから。そうすると、もう一体である。  しかも、貸す方が一番悪い。まあ借りる方も悪いですよ、おたくは借りて又貸ししているんだから。そうだけれども、一番の元凶は、国民からせっせと働いた預金を集めた銀行ですよ。違いますか。おたくもそれはえらい責任ありますよ、ありますけれども、そうと違いますか。そう思いませんか。おたくは国民からお金集めていないんですよ。お百姓さんからお金集めていないんですよ。集めたのは金融機関なんです。それをおたくは中継ぎをして貸しているだけなんですよ。原資がなければ貸せないんです、これ。だから、原資を与えたところが一番悪いというのは当たり前じゃないですか、原資を与えたところが。ところが、午前中の参考人質疑を聞いておりますと、何か全然関係がないようなお答えをしておられるので非常に残念であります。  そこから第一次処理案が出るわけです、第一次処理案。そうでしょう。平成三年に第一次処理案が出る。特に日住金さんの場合、三和が処理案を出しました。ここにあります。それを見ると、もう既につぶれておるんです。日本住金、平成二年度末では融資残高、事業向け一兆六千九百二十億、個人向け五千四百九十五億、合計二兆二千四百億。総合住金、事業向け一兆二千億、個人向け千六百億、合計一兆三千六百五十億。ほとんどが事業向けであります。もうこの時点では恐らく事業向け債権のほとんど大部分は回収不能に陥っていたんじゃないですか。いかがでございましょうか。
  181. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) いろいろあの時点では問題債権が急増している時期ではございました。ただ、そういう問題先ではございましたけれども、ほとんどの先が、約定金利ではございませんけれども、例えば約定金利が五%のお先が、当社はもう二%でぎりぎり精いっぱいですというふうなことで、相手さんの体力に応じて曲がりなりにも金利を支払っていただいておる先が非常に多うございました。破綻した先は非常に少なかったというのがあの当時の実情でございます。
  182. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 先主御指摘の第一次の再建計画がスタートしたのは平成四年の四月からでございましたが、その前年の十二月に行われました大蔵省の立入調査では、当社の総資産分類率が約二七%ということでかなり高い水準でございました。  しかし、第一次再建計画がスタートした段階では延滞率が一七・三%程度で、確かによくはありませんでしたけれども、これほどまでその後不動産不況が長く続くとは思いませんでしたので、まだ立ち直ることが可能であろうということを考え、規模の圧縮、それから金利のある程度の引き下げ、残高の維持、そういうようなことを骨子といたしまして第一次再建計画、これも今になって振り返ってみますれば一年でもろくも崩れたわけでございますけれども、何とかそういうことで維持していきたい、再建していきたいというふうに考えた次第でございます。
  183. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それでは、ちょっと話を変えまして、大阪は住専からお金を借りているところが相当ございまして、先般は末野興産の社長が逮捕されたということであります。  そこで、この末野興産に日本住金は貸していますね、八百九十億。これはいつから融資をお始めになったのでございましょうか。
  184. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 御質問の会社との融資の始まりは昭和五十七年一月からでございます。
  185. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 総合住金もお貸しになっておられますね、四百五億。これはいつからでございましょうか。
  186. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 末野興産グループに対しましての融資の現在残高は四百五億円でございます。これは、昭和五十七年二月に末野興産に二億円融資をいたしましたのが取引のスタートでございまして、当時は社名も相銀住宅ローン株式会社と言っていた時代で、今から十四年前のことでございます。
  187. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それで、再建計画を立てないかぬと言っているさなかに、平成三年、日本住金は二回、計二十三億利払い資金として追い貸ししている。返してもらうどころか、利子が払えぬ、その利子代をまた貸している。これはもうどう考えてもおかしいわけですな。どう考えてもおかしい。  そういうことで、時間がもうありませんのでそれ以上は申し上げませんが、結局今の御答弁の経過から見ますと住専には大変な責任があります。同時に、それに貸したいわゆる金融機関、これはとんでもない話であるということがこの参考人質疑の中で明らかになったと私は思うわけであります。そういう意味では、一日も早くこの予算を通して、少なくとも予算を通して景気を回復さすこと、これがまず第一であり、同時に皆さん方は責任債権の回収に努めていただきたい、かようにお願いを申し上げまして私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  188. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で谷川秀善君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次に、益田洋介君の質疑を行います。益田洋介君。
  189. 益田洋介

    ○益田洋介君 平成会の益田洋介でございます。  本日は、両参考人におかれましては御多用の中お出ましいただきまして、国民の前できょうはじっくりと住専問題をお話ししていただきたい、このようにお願いしたいわけでございます。  まず最初に、日住金の丹羽参考人お尋ねいたします。参考人である社長は九二年の六月に社長に就任されたというふうに伺っておりますが、その直前までの前職、そしてどういつだ業務内容をその職場において担当していらっしゃったのか、それをお聞かせ願います。
  190. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 私は、九〇年の五月に当社に入社いたしました。先ほど申し上げましたとおり、七月に専務に就任いたしまして、約二年間、まあ見習いと、会社になれる、仕事になれるということもございまして、関係会社とそれから当社の所有しております不動産部門の担当、この二つの部門を担当してまいりました。  以上でございます。
  191. 益田洋介

    ○益田洋介君 日住金に専務としてお入りになる以前に、どちらの職場におられてどのような業務を担当されていたかをあわせてお聞かせ願いたいのと同時に、その職場におかれましてその業務に当たっておられた段階で、日住金とは仕事の上でかかわりがあったのかなかったのか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  192. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 当社に参ります前の職務は、三和銀行時代、常務取締役で約二年間、情報開発本部と申しまして、主としてMアンドA、それから不動産のプロジェクト開発等を東京、大阪両地区につきまして担当いたしておりました。  日住金との関係は全くございませんでした。
  193. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは、どういう理由であなたの出身母体であった三和銀行から、三和銀行は日住金のメーンのバンクでございますけれども、あなたに新しい職場で専務として、また社長として頑張るようにというお考えだったか、その辺の背景については御承知でございますか。
  194. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 平成四年六月まで当社の副社長をしておりました大藤と申します者が三和銀行出身でございまして、私はこの大藤の後任含みでどうかということで推薦を受けました。  実は、ずっと以前でございますけれども、大藤が大阪の支店長をしていましたときに私がその下で次長を務めておりまして、いわば大藤からスカウトを受けたと言ってもいいんじゃないかと思います。
  195. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは次に、具体的な御社のプロジェクトについて若干の質問をさせていただきます。  御社の自社開発のプロジェクトとして、東京の虎の門に、皮肉なことにちょうど大蔵省から南へ四百メートルぐらい行った場所に千七百五十平方メートル、約五百三十坪の土地をお持ちでございます。  この土地については、八七年ぐらいからディベロッパーをお雇いになって地上げを始められた。そして九〇年末には、相当お金がかかった地上げたったと思いますが、約三百億円の融資額になっておるわけでございます。それが翌年の九一年の秋にはディベロッパーが倒産された。その事実を参考人会社は御存じなくて、それを放置して、その三百億円の融資を引き揚げることをしなかった。  そのディベロッパーが倒産するに任せておいて、やっとのことで九三年の三月に、ある大手ゼネコンと協調で開発を進めようということでプロジェクトを組んだそうでございますが、この場所には現在NK倶楽部という看板の立った建物がありますが、それ以外は何も開発が行われていない。三百億円はそのままほったらかしにされているというのが現状である。このプロジェクトについてはどのようにお考えなのか、そして倒産されるまで融資を引き揚げなかった、放置していたということに物件管理の甘さがなかったのかどうか。その辺についてお答え願いたいと思います。
  196. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 倒産いたしましたディベロッパーに対しましては数カ月前に当社に状況の悪い情報が入っておりまして、当社といたしましては担保の保全措置、譲渡担保措置をこの物件にとらせていただいておりました。もともとこのディベロッパーに対する融資は御指摘のとおりの形で行われておりましたものですから、いち早く担保措置を講じなければならないということで譲渡担保措置を講じておりました。保全措置は講じてまいったわけでございます。  それから、当該地の有効でございますが、残念ながらまだ虫食い状態でございまして、それにしても広い土地をあの高価な地域で遊ばせておくのはもったいないということで、先生御指摘のとおりNKビル、これは従来の建っておりますビルをそのまま活用しておるのでございますけれども、そのほかに空地に共同事業として提携してまいったディベロッパーさんに建てていただきまして、私どもの管理本部の人員が皆移っております。できるだけの活用はするべく努力しておるつもりでございます。
  197. 益田洋介

    ○益田洋介君 本年三月三十一日に相談役を退任された庭山慶一郎氏とは参考人は非常に親しい間柄であったと当然のことながら思うわけでございますが、このミスター住専と異名をとりました庭山氏が、社長退任の九二年六月から翌年の九三年三月までの間に御自分で所有されていた日住金棟十九万株のうち十万株を売却している。このことは御本人もお認めになっているようですが、九二年六月ころといいますのは、ちょうど参考人の出身母体である三和銀行が内部調査を行っていまして、その結果、一兆円を超える不良債権を日住金は抱えている、したがって実質的に倒産状態であるというふうに結論づけられていた時期でございます。  その時期でございますので、庭山氏は、会社が大変なことになるという御認識を当然のことながらお持ちだったと思いますし、それなりにさまざまな情報をお持ちだった。バブル期においては日住金の株価は二千円でございまして、それが九二年の六月当時には三百円に下落している。さらに下落するだろうという予想を庭山氏はお持ちであったことだろうと思います。現在では一株三十五円程度と。  そのぐらいに下落するというふうな予測があったかどうかはわかりませんが、いずれにしても二千円から三百円に下がってきた段階で、もうこれ以上持っていると危ないということをお感じになった。それで売却をされたわけです。  問題は、証券取引法百六十六条に、これはインサイダー取引の条項でございますが、会社関係者の禁止行為ということで、こうした特別な立場において特別な情報を持ち得る人間が株式の売買をしてはならないと。社内譲渡ということであれば問題ないという除外はあるわけでございますが、この時期に庭山さんから譲渡を受けたという取締役はいないわけでございますので、やはり売買をなさった。そして、その売買については別に売買益が出る必要はありませんで、とにかく株の売買が禁じられている。こうした状況で、これはいわゆるインサイダー取引に当たるというふうにお考えになりますか。
  198. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) まことに申しわけございませんが、庭山氏個人の持ち株の処分について私詳しく承知いたしておりません。申しわけございません。
  199. 益田洋介

    ○益田洋介君 しかも、その当時、日住金そのものが群栄化学工業とか、群栄化学工業の場合は百七億円の含み損を今抱え込んでいるというふうに伺っておりますが、それから住友金属といった特定株に、要するに仕手戦に積極的に参加していたという記録が残っております。  大蔵省の調査報告書によりますと、日住金の有価証券保有高千六百五十億円のうちの実に千四百億円が含み損を出しているという状況で、本来は個人住宅向けローンで出発した住専が事業用の不動産物件に融資をし、しかもそれに加えてこのような仕手戦も行っていたと。これがやはり不良債権ばかりでなく、この株による損が、投資による損が経営破綻の大きな原因であると大蔵省からも指摘されておるわけでございますが、この点どのようにお考えでしょうか。
  200. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 当社が株式投資にかなり大きく傾斜した結果になりましたけれども、そもそも株式投資を始めましたのは六十年代の初めからでございまして、もともとは金融の逼迫時に、銀行から資金供給が難しくなる時期に備えまして、安定的に住宅資金のローンを供給できるようにという考えから有価証券投資に入ったわけでございまして、そのこと自体は私はよかったと思うのでございます。その後、株価の、株式市場の右肩上がりのときに結構これで利益を上げてまいりました。この利益を上げてまいったことが逆に株式投資に傾斜する大きな要因になったのではないかと深く反省しておるところでございます。
  201. 益田洋介

    ○益田洋介君 さらに、その群栄化学の株につきましては、ファイナンスカンパニーをおつくりになって売却をしたような形をとって、そしてその際、売却損が二十五億円出たんだという経理報告をしました。しかし、それは東京国税局から経理操作の疑いがあるんだということで否認をされまして、そして九億円の追徴金を支払っている。一体、参考人会社の有価証券の運用の基本的なお考えというのはどんなものか、お聞かせ願えますか。
  202. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 当時の有価証券運用につきましては、毎期、期初にどれだけの投資をするかという枠が決められておりまして、もちろんそれに対する収益計画も立てられておりました。ただし、個々の株についての投資判断につきましてはすべて担当者に任されておりました。これが群栄化学といったこういう小型株に集中的に投資する大きな要因になったんではないかと思っております。
  203. 益田洋介

    ○益田洋介君 またさらに、粉飾決算に関しましてですが、先ほど申し上げたように九二年、三和銀行が内部調査に入って、一兆円の不良債権を抱えているといったその年の決算が七億七千万円の経常利益を上げて黒字決算をなさっている。こういうことはやはり経営責任、実態を明かさない、株主に対する開示義務を怠っているということになるのではないかと私は思います。  それから、時間がないので次に参りますが、大阪の個人株主グループから、これは株主オンブズマンというふうに呼ばれていますが、二月の下旬、御社に対して出された告発状がこのたび東京地検特捜部に受理をされたというふうに伺っています。その告発の理由としては、回収不能な債権、抱えていらっしゃる債権の約一割程度しか帳簿に計上されていないということで、これは債務超過を隠ぺいしているというのがその告発の主たる内容でございます。  そして、これが事実であるとすれば、証券取引法のうちの虚偽記載の有価証券報告書提出ということになり、また再びここで粉飾決算が問題になろうとしているわけでございますが、この点いかがでしょうか。
  204. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 当社は監査法人の監査を受け、会計原則にのっとりまして適正に処理いたしておりますので、その点の御指摘は私は否定させていただきたいと存じます。
  205. 益田洋介

    ○益田洋介君 監査法人の監査を受ければそれで済むという問題じゃないと思うんです。監査法人自体が相当この住専問題では責任を問われなきゃいけない。  これはきょうは時間がないので言及できませんが、アメリカのSアンドしの事件の後、RTCが組織されたわけですが、そのときは約四百億円近い損害賠償請求を受けたわけです。実際支払っております。ですから、監査法人自体も、貸し手、借り手、それから監督官庁の行政責任とあわせてこの住専問題についてはきちんとした責任をとっていただきたい、そのように思っております。それでなければ国民は、今国民の九〇%が税金の住専処理問題への投入を反対している現状でございますから、すべてを明らかにして責任の所在を明らかにしない限り国民は絶対に税金の投入には反対を続けると、私はそのように考えているわけでございます。  それからさらに、今言いました株主オンブズマンは、ことしの六月、御社の日住金の定例株主総会において定款変更の議案を提出する、さらに加えて、政府が今提案しています住専処理機構への日住金、会社の譲渡について反対する、そうした議案を提出するという構えでおります。もしこれがこの方向で定例株主総会で議決をされるとすれば、これはもう現在の政府スキーム自体が崩壊する、先に進まなくなるということになるわけでございますが、この点どのようにお考えでしょうか。
  206. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 当社といたしましては、株主様の御理解を得まして、決議をいただくべく最大限の努力をいたすつもりでございます。
  207. 益田洋介

    ○益田洋介君 御理解してないからこそこうしたオンブズマングループというものをつくってみんなで、要するにこれ個人株主が多いんですよ、日住金というのは。優良企業だということで出発していますから個人株主が多い。弁護士であるとかあるいは関西大学の教授の森岡さんだとか公認会計士といった人たちが中心になって、怒りを持っている個人株主の方を糾合して、そして会社の今の状態を是正してもらいたい、損害を賠償してもらいたい、こういうことで今怒りをぶちまけている状態が株主オンブズマンの問題だと、私はそのように理解しているわけでございます。  さて次に、先ほどの庭山さんのお話に戻りますが、庭山慶一郎さんのお宅は非常にいいところにございまして、場所はちょうど自由が丘と田園調布の間、奥沢六丁目という東京でいえば最高級、これ以上の場所はないという一等地でございます。そこに昭和二十五年に土地を購入されまして、地籍は奥沢六丁目十六番七号、私はこれ謄本を三月十一日にとってまいりました。二十五年に取得をされてお住まいなわけですが、問題は、この土地に根抵当権が設定されておりまして、限度額が昭和四十七年で二千四百万円。これが六十二年になりまして五千万円に変更になっている。この抵当権を設定した抵当権者はどなたか御存じですか。
  208. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 私のお答えが間違っておるかもわかりませんけれども、これは当社の所有物件でございましたので、当社が再建計画に沿いまして母体銀行から新規資金を借り入れいたしましたときに母体銀行担保として差し入れた抵当権ではないかと思います。
  209. 益田洋介

    ○益田洋介君 これは日住金が持っていた土地ではないんです。先ほど申しました六の十六の六、現在庭山慶一郎さんが自宅としてお住まいのところは持ち主は全く違う方でございました。ただし、この抵当権者は三和銀行さんなんですよ。お調べになってください。これ、よろしかったら持っていっていいですよ、コピーありますから。この辺の関係が実に私は不明朗だと思う。違いますか。  それからさらに、ここに地図がある。大きくしてこなかったんですが、テレビに映りますか、これ。(資料を示す)その隣にある土地、これは番地で言いますと奥沢六の十六の四、これを日住金さんがお買いになったんですよ。それは昭和六十二年の四月二十一日です。これを窪田さんという方から日住金がお買いになった。それは住宅としては約百坪程度なわけですが、これが購入当時、八七年で三・三平方メートル、一坪当たり七百五十万円ぐらいで、ですから明らかにされておりませんが、七億円前後のお金を出して恐らくこれをお買いになっているんです。  それが現在どういうようになっているか。その後、そこに二階建ての建物が、全く庭山慶一郎さんと同じようなデザインの家屋が建てられて、庭山慶一郎さんの娘さん御夫妻がお住まいになっているんですよ。日住金から賃貸契約で、しかも非常に安い家賃でお借りになっている。八七年から現在に至るまでまだお住まいなんですよ。  この辺は公私混同だとお思いになりませんか。
  210. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 先生御指摘のとおり、あの隣に庭山氏の女婿に当たられる方の御家族が住んでおられまして、このお方と賃貸契約を結んでおります。  ただし、この賃貸契約は、この土地全体の開発に着手する場合は直ちに明け渡してもらわなければなりませんので、貸借人はこの事情を承知して賃借するものであるという特約を定めております。そういうことで、当社としましては見ず知らずの方に入っていただきまして居座られても困りますので、その辺はよく心得た方が住まっていただくのがよろしかろうということで入っていただいたと、このように理解しております。
  211. 益田洋介

    ○益田洋介君 ちょっと理解に苦しむわけです。身内の方に、当時社長さんでしたから、娘さん御夫婦に会社の持ち物の家を格段に安い家賃でお貸しになるということ自体がまずおかしいんですが、この土地を購入されたときのもともとの目的は販売用不動産ですよ。ということは、会社としては会社経営が苦しくなったり資金繰りがっかなくなった場合には売却すると、そのために所有した不動産なわけです。  先ほど申し上げたように、購入時の八七年には坪七百五十万円だったんです。それが、庭山さんがおやめになった九二年の時点では坪四百万円程度に下がっている。そして、現在ではこれが坪二百万円です。三・五分の一になっちゃった。  販売用不動産として購入しておきながら前社長の娘さん御夫婦に住まわせて、会社が苦しくなって、九二年当時ですよ、まさに庭山さんが社長をおやめになって相談役に就任され、参考人が専務から社長に昇格された時期です。会社が大変だった時期ですよ。その時期に何でこれを売らなかったんですか。当時まだ坪四百万円で売れたんです。今もう二百万円ですよ。販売用不動産として買ったものを社長の娘さん夫妻に安い値段で賃貸しをして、しかもその会社が苦しくなったときに売却しないでまだその人たちを住まわせている。そんな会社がありますか、参考人。お答えください。
  212. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) あの時点ではこのように大幅に値下がりするとは夢にも思っていなかったというのが事実でございます。
  213. 益田洋介

    ○益田洋介君 大体の概略は国民の皆さんおわかりになっていただけたと思いますが、これがまさに相談役、前社長である庭山さんがなさっていたことで、そうした庭山前社長の公私混同ぶりを容認していたのが日住金という会社なんです。  さて、それでは次に、これはやはり九二年五月のことでございますが、参考人の出身母体である三和銀行が再建案というのを作成しました。もうこれではとてもじゃないけれども日住金という会社は先行き成り立っていかないという判断から、母体行である三和銀行が再建案をつくったわけでございます。  その再建案の内容は、回収不能債権が四千五百億円ある、それを母体行主義で、修正母体行主義だとかプロラタ方式だとか何だとかというわけのわからないことじゃないんですよ、純粋な母体行だけの責任で回収しましょう、解決しましょう、こういう実にすっきりした案でございまして、現在の政府案とは全く違う。それを作成して、そして他の母体行であるさくら銀行さんですとか大和銀行さん、あさひ銀行さん、東洋信託銀行さん、各社に持ち寄って相談をした。この結果、ほかの母体行はこの三和銀行提案に対してどのようにお答えになったか御存じですか。
  214. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) そういう案が母体行の間で議論されたということは聞いておりますけれども、当社に何ら提示されたこともございませんし意見を求められたこともございませんので、先生の御質問にはお答えできない状況でございます。
  215. 益田洋介

    ○益田洋介君 日住金に聞いたかどうかということを言っているわけじゃないんです。日住金という会社の再建案を母体行同士が、三和銀行が作成した再建案を中心に話し合いをした。このときは各母体行が賛成をした。これでいくしかないでしょう、母体行が全責任を持って日住金を救いましょう、救済しましょう、こういうことになった。それを大蔵省に説明に行ったわけでしょう。大蔵省はこれに反対したんです。もし提案があった九二年五月当時の三和銀行の再建案がそのまま採用されていたら、大蔵省が賛成してそれでやってくださいというふうなことであったならば、今のような状況にはならなかったんじゃないかと私は思う。  不良債権は、ある方の計算によると、九二年当時に解決しておけば現在の半分以下であったと、このことを御存じですか。
  216. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 申しわけございませんが、私は全く承知いたしておりません。
  217. 益田洋介

    ○益田洋介君 何にも知らないということでは、これは参考人ということでなしに証人としてお話を伺う以外にはないと思います。今まじめにこの問題を、本院もそうですが、衆議院でも二カ月近くかけて討論をしているわけでございますから、今住専で最大手の日住金の最高責任者である参考人が知らぬ存ぜぬということではこれは通りませんので、ぜひこれは御検討願いまして証人喚問の一人に名前を連ねさせていただきたいと思っております。  さて次に、桃源社というディベロッパーがあります。これは平成七年八月の大蔵省による第二次立入調査の結果わかったことでございますが、日住金は桃源社に対して、債務者から、桃源社から要請されるままに低順位の抵当権つきの多額の貸付金を肩がわりした。詳しいことはわかりません、大蔵省に聞いてみなけりゃ。大蔵省のレポートにはあります。レポートをごらんになりたいんだったら、御存じないというんだったらコピーを差し上げます。知っていますね。  そしてまた、平成三年にはそれに加えて会社経営が苦しくなった桃源社に運転資金を提供している。先ほど自民党の先生がおっしゃった追い貸しですよ、これは。全くもとの債権が返っていないのに運転資金を提供している。これはどういうことですか。
  218. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 当社に対しましては、当社が比較的長期の資金を提供させていただく、かなり短期の資金をあちこちから調達していらしたようでございまして、当社がもう少し長期の資金を提供させていただくということで切りかえさせていただいた、貸し出しがふえていった、そういうふうに私は承知いたしております。  抵当権の件は詳しくは存じておりません。
  219. 益田洋介

    ○益田洋介君 大蔵省が昨年調査をしてわかったことを社長であるあなたが知らないという、そういう論理はないでしょう。そんなことは通りませんよ。あの大蔵省でさえわかるんですから、参考人がわからないわけないでしょう。そういう答弁はだめですよ。  それで、この桃源社の社長参考人は御存じだと思いますが、佐佐木吉之助さんは国会にもお運びいただいていろいろユニークな御意見を伺っているわけでございますが、この人がどういうことを言ったか。これは衆議院の予算委員会ですが、融資をするときにしっかり審査をするのが金融機関の務めである、義務である、それをしないで桃源社に貸し出しをしたから焦げつくんだ、したがって我が社には何の責任もない。とんでもない論理ですけれども、そういうふうにおっしゃいました。これについてどう思いますか。
  220. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) そういうことをおっしゃったのが事実であるとしますれば、貸し手としてはまことにお恥ずかしいという一語に尽きると思います。
  221. 益田洋介

    ○益田洋介君 お恥ずかしいんじゃなくて、国民の前できちんと責任関係を、責任の所在を明確にしてもらいたいと思うんです。  先ほど申し上げたように、現在、日本国民の九〇%は住専処理案に、税金を投入することに反対をしております。六千八百五十億円の話をしている。これは国民一人当たりの負担額で五千五百円。成人じゃないですよ、成人だけじゃなくて赤ん坊まで入れて五千五百円を負担しろと、こういう話です。  それが第二次処理案になると、一兆二千億と昨年の十二月十九日に政府は言っておりましたが、この間提示された公示価格が三大都市部で一六%から一七%下がっている。ということは、昨年政府が案を出したこの一兆二千億という額の二次処理案はもう効かなくなる。  ある民間のシンクタンクの調査では約四千億ほどこの土地の値下がりによって、土地が値下がりをしたので当然債務が大きくなるわけですから、もともとはじいていた二次処理策不良債権額の一兆二千億に四千億円を加えて一兆六千億円になる、単純計算で。そうすると、国民一人当たりの負担は第二次処理案で七千五百円、第一次処理案と合わせて一万三千円とだんだんだんだん膨らんでくる。そして、第三次、第四次とある。土地は下げどまりはまだしていない。不良債権の額はどんどん大きくなっていく。  だから、やはり今の段階できちっと、もうこれは国民の税金を入れないんだということで私たちは本院でも主張してまいりたいと思います。  そこで、どうか参考人の方にも、こうしたことでみんなが必死になってこの問題を解決しようとしている状況ですので、知らないとか、わからないとか、資料はないとか、そういうふうな言い方をぜひしないでいただきたい。きちっと協力をして、今、日本の国じゅうの問題になっている、そしてまた世界から注目を浴びている、何とかしなきゃいけない住専問題、不良債権問題、これを解決するために御協力願いたいというふうに私は思います。  本日は大変ありがとうございました。
  222. 井上裕

    委員長井上裕君) 関連質疑を許します。海野義孝君。
  223. 海野義孝

    ○海野義孝君 平成会の海野でございます。  ただいま同僚の益田委員から、主として日住金の丹羽参考人経営者の立場から経営の実態、あるいはまたこれまで携わってこられたことにつきましていろいろとお聞きしたわけでございますけれども、私はお二人の参考人に対しまして、半ば共通する面があろうかと思いますけれども、種々お聞かせいただきたい、このように思います。  まず、丹羽参考人にお聞きしたいのでありますが、先ほども出ておりましたけれども、三和銀行から日住金にお移りになりました。平成二年専務でお入りになり、そして平成四年社長に就任されたということでありますので、一九九〇年から今年まで約六年間、これはまさにバブルのピークからその後の今日に至るまでのいわゆる長期低迷、不況と、こういった言うなれば大変厳しい過程において会社経営を担ってこられたわけであります。前社長から職務を引き継がれまして、この厳しい中で社長として具体的に日住金の経営についてどのように今日まで指揮をとられてきたか、あるいは具体的にどのようなお考え社長としての重職に臨んでこられたか、その点をまずお聞かせいただきたいと思います。
  224. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 平成四年、前社長から社長を要請されましたときは当社が既に信用不安の猛火に包まれておりましたさなかでございました。大げさな言い方をするようではございますけれども、まさに私は刑場に引き出されるような思いがいたしました。しかし、当社従業員のひたむきな姿勢を見ておりますと、これは絶対敵前逃亡はできないという気持ちで社長をお引き受けした次第でございます。  社長就任直後から第一次再建計画、さらには第二次再建計画の策定に明け暮れました。第二次再建計画がすべての取引金融機関によりまして承認されました後は、これを軌道に乗せるべく全力を傾注してまいりました。  計画の初年度は、計画を遂行する上での最大目標でございました延滞債権の回収も計画を大幅に上回りました。また、ロスにつきましても、貸し倒れ率でございますが、これも計画を大幅に上回ることができまして前途に希望をつないだのでございますが、その後の予想を超える不動産価格の低落と、それから史上前例を見ない金利の低下というダブルパンチを受けまして、これはもういかんともしがたく、その後の状況は先生御高承のとおりでございます。  しかし、いかなる事情がございましたにせよ、このような事態を招きました当事者としての責任は当社にございまして、深くおわびを申し上げる次第でございます。
  225. 海野義孝

    ○海野義孝君 先ほどもお話に出ましたけれども、庭山社長から業務を引き継がれたときの申し送り事項といいますか、前社長はまさに法王とも言われたようでありますけれども、社内におきましてもワンマン経営をされてきたように思いますし、一方では母体行依存というよりもまさに独自の企業としての社長のプライドといいますか、そういったことで大変社員も誇りに思っていたやにも聞きます。  丹羽参考人社長を受け継がれたときは、先ほどのお話のとおりで、もう既に大変厳しくなりかかっていたという状況であります。株式市場におきましても、一九八九年末をピークにして既に暴落に入っていたさなかでありますし、土地の方も既に下降に入っていたわけであります。そういった大変厳しい中で、具体的に前社長からどういつだ引き継ぎ事項というか、申し渡し事項があったかお聞かせいただきたいと思います。
  226. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 前社長からの引き継ぎ事項とか申し渡し事項は特にございませんでした。
  227. 海野義孝

    ○海野義孝君 大変驚くようなことでございますけれども、わからぬでもないというような感じ経営の実態かと思います。  次に、大槻参考人にお聞きしたいと思います。  大槻さんは、一九八五年六月、当時相銀住宅ローン時代に副社長でお入りになり、その後社長に昇格、今日に至っておられるわけであります。この間、十一年間ということでございまして、この間はいわゆる、一九八五年からということでございますから、バブルが発生するその前後ぐらいからバブルの開花期、そしてこれが破裂して今日に至るという、そういう意味では約四半世紀の住専会社の歴史の中で、まさに一番激動の時期にそのトップとして采を振るわれたという面で、日住金の丹羽参考人とはまた違ういろいろな御経験をこれまでされてきているわけです。  その面で、総合住金のトップとしてどういつだ経営に携わる理念、あるいは具体的な経営方針、また具体的な施策をおとりになってきたか、その点をひとつ率直にお聞かせいただきたいと思います。
  228. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 私が総合住金の前身の相銀住宅ローンに入社いたしましたのは六十年でございまして、最初は副社長でございました。一期二年務めまして、六十二年の六月に前社長の中嶋さんからバトンタッチを受けて、今日まで四期八年社長を務めてきたわけでございます。  この八年間を大別いたしますと、半分がバブルの時期に当たり、それからあとの半分がバブル崩壊した後の一意専心、管理、回収に邁進する、この時期でございまして、アバウトな言い方をすれば半々の分け目になろうかというふうに思うわけでございます。  その前半の時期は、先ほどからの御質問にもあったところでございますが、住宅ローンが非常に低迷していきましたといいますか、銀行などの進出によりまして住宅ローンというものがなかなかとれなくなり、そして残高も落ちていくというような中でどうやって住宅ローンの維持を、しかも銀行との金利競争その他を通じて厳しい金融環境下での競争があったわけでございますが、その中でどういうふうにして会社を維持していくかという苦闘をいたした。  世の中の時流としては確かに不動産神話が唱えられ始めた時代であり、不動産の取引も盛んに行われた時代でございますが、そういうものに乗りますと、要するに非常に短期間に金を貸して回収するという営業基盤といいますか、経営基盤というものが不安定な状態になりますので、私といたしましては、いわゆる住宅ローンのように長期安定的で毎月毎月割賦的に利息が入ってくる、こういうものの維持強化ということに努めていきたいという気持ちでいろいろ督励をしてきたわけでございます。  しかし、残念ながら世の中の全体の動きの中でそれを全うするということは非常に難しかったということで、片や住宅ローンの基盤に足を踏まえながら、片や時の動きの中で住宅関連ローン等不動産事業に関連するような分野にも、やはり経営を維持していくという立場からいいまして、三百五十人の職員を養っていくと、そういう意味からいきましても、せざるを得なかったわけです。  最大限のそれなりにブレーキをかけてやってきたつもりでございますが、金融引き締めのもと、バブル崩壊しまして、不良資産の山が築かれ、不動産不況というものが長期化し、そして思いも寄らないと申しますか、予想外の土地の価格の低下、物件の下落、こういうようなことから再建という問題に誠心誠意努力せざるを得ないということになったわけでございまして、第一次再建計画、第二次再建計画ということに取り組んで今日に至ってきたわけでございます。  私も責任感じて、第一次再建計画をつくったときで職を引かせてもらいたいということを母体行の方にも申し上げたわけでございますけれども、ここで去るのは敵前逃亡であると、責任としてはやはり計画をつくった以上それを全うしていくというのが男の道であると、こういうことで強く慰留されましたわけでございます。  その後も辞任したいと申し上げましたけれども、後任者の関係等なかなかできなくて、全く一意専心、管理、回収を図ってきたわけでございまして、会社のリストラ等を今日まで一生懸命やって回収を図ってきた、再建に努めてきたが、残念ながら所期の目的を達成するようにはいかなかった、こういうことでございます。
  229. 海野義孝

    ○海野義孝君 おっしゃることはわかりますけれども、衆議院におきましても二百時間以上、また参議院に来まして現在、予算委員会で審議をしているわけでありますけれども、いろいろな理由はともかくとしまして、住専が破綻を来したということ、そしてそのしりぬぐいの一端を国民の税金に押しつけられている、こういった国民方々にとって大変わかりにくい面があるわけでございます。  そういう意味で、午前中の母体行方々からもいろいろお話はありましたけれども、そういったことはともかくとして、私は住専会社の、お二人の参考人会社責任といった点を中心に申し上げていきたい、こう思うのであります。  一つは、住宅ローンからいわゆる不動産融資に重点が移っていったということでありますけれども、そもそものスタートが個人住宅ローン関係融資ということで始まったわけでありまして、それが事業向け、いわゆる不動産ディベロッパー向けの融資ということになってきますれば、これは業務につきましても、その体制あるいはまたこれに対する経営の判断の問題等々について、当然企業としましてのいろいろな体制を強化しなくてはならない、こういうふうに思うわけであります。そういったことを当時において会社経営責任としておやりになったかどうか、その点を簡単にひとつお聞きしたいと思います。丹羽参考人からお願いします。
  230. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 個人住宅ローンから事業者向けの大口の融資にどんどん転換していったわけでございますけれども、それに当たりまして当社は住宅ローンの延長としての居住用アパートローンからまず手がけまして、このノウハウを生かしまして、漸次、都市再開発のためのビルローンの事業展開を図っていったというのが実態でございます。  ただし、もう一つ重要な社内審査の体制につきましては、既に大蔵省の調査でも指摘されておりますとおり、従来どおり審査役という役職を配しまして、この組織は当時、東西両営業本部内の下部組織として位置づけられておりました。もちろん、その上部組織として、融資金額の多い案件につきましては融資常務会に付議するという体制をとっておりましたものの、審査の基本はどうしても物的担保に依存する傾向が強うございまして、地価の暴落と相まって傷口を広げたというのが実情でございます。
  231. 海野義孝

    ○海野義孝君 引き続き丹羽参考人にお聞きしたいんですが、有価証券報告書を見ますと、御社の審査部門というのはつい近年まではなかったんですね。たしか私が見ましたら、九四年三月期の有価証券報告書の中に会社の機構図が出ておりまして、そこに初めて審査室というのが出てきているんですけれども、たしかそれまではなかったんです。ですから、巷間あるいはマスコミの言われるように、日住金さんにはもともと審査というものはなかった、無審査融資をしたんではないかというようなことが言われるんですけれども、この点どうですか。
  232. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 審査の実態は御指摘のような実態ではございません。先ほど申し上げましたように、東西両営業本部の下部組織として審査役というのがおりまして、この審査役に与えられた権限内で、範囲内で審査役が審査をいたしておりましたわけでございますけれども、その上に、体制といたしましては本部長決裁、それからさらにその上では融資常務会決裁、そういった審査の組織がございましたので、全く審査の体制がなかったというものではございませんでした。
  233. 海野義孝

    ○海野義孝君 大槻参考人、ちょっと簡単に同じ点、審査体制について。
  234. 井上裕

    委員長井上裕君) 大槻参考人、簡単に。
  235. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 審査部というお話がございましたが、当社におきましては審査部というのがございまして、例えば平成元年の八月現在でいいますと男が十人、女が三人、平成二年八月で男が十一、女が二ということで、大体十三名程度の審査要員が本社にあったわけでございますし、機構的にもあったわけでございます。これがだんだん管理、回収の方に重点が移っていきますと、営業審査面よりも回収の方の審査ということで管理部門にその人間がシフトしていって特別管理というようなことで強化していった、こういうことで振りかわっていったということでございます。
  236. 海野義孝

    ○海野義孝君 次に、不良債権問題でありますけれども大蔵省が第一次立入調査を行ったのが九一年から九二年でありますが、それから四年後、九五年八月、昨年ですけれども、第二次調査をしたわけです。この間、いわゆる住専七社の不良債権が七五%ふえた。四兆六千から八兆一千というようなことであるんですけれども、実はこの四年前の九一、二年、第一次の立入調査時点におきましても、各住専の大口融資先五十社向けについて見ますと既に当時で債権の六七%が不良化していた。これが第二次の立入調査の段階では何と九四・七%が不良債権化していたということでありまして、こういった点から見ますと、いわゆる住専各社が営業成績、収益上ピークを迎えたその直後において既に六〇%を超える債権が不良化していた、こういうことであります。  しかも、そういった中で総合住金は上位五十社のうち四十六社が貸出残高の全額が不良債権化しており、日住金については二十五社が不良債権化していたというようなことでありまして、大口のそういった貸付先におけるほど不良債権化率が高い、こういうような状況であります。  私は、単に地価が下がってきたという面が大口の貸付先に特に重く響いたんだ、こたえたんだということでは、経営上ちょっとこれは違うのじゃないか、このように思うんです。そういった大口貸出先について不良債権化率が高かった、こういった面と、社内でのそういった融資の姿勢あるいはその後の回収に対する姿勢、こういった面がここ近年どのように行われてきたか、その点をひとつお二人にお聞きしたいと思います。簡単にお願いします。まず、日住金さん。
  237. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 当時のバブル期の融資の当社の基本姿勢でございますが、先ほどもちょっと触れましたとおり、基本的には担保さえちょうだいしておれば大丈夫だ、不動産価格下落はまずあり得ないというふうな、いわば信仰に近い神がかり的なそういう思い込みというのがあったことが背景でございます。最大の要因でございます。  したがいまして、巨額の融資を一部の債務者に貸し込んでいったというのも、ひとえにそういう担保を重視する余り、個々の企業に貸し出しし得る限度はどの程度なのかとか、その企業の返済能力あるいはキャッシュフローはどうなのかというふうな融資のある意味では基本的な問題についての詰めば甘かったというのは、もう謙虚に反省しなければならないと思います。
  238. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) バブルの当時の審査といたしまして、今になって考えてみれば担保主義にやや依存しておった面があったということは否めないと思います。  したがいまして、バブル崩壊後、先ほど先生おっしゃいました大蔵省の立ち入り時期より前に、私どもにおきましては大口債権についての一元的な管理ということで特別対策室を発足させて、早急に債権管理を基本とした営業方針に切りかえていったわけでございます。そして、年明け後の平成四年一月からは事業者向けの貸し付けについての支店長権限というものを全面的に停止して、基本的には新規貸し付けのベースをダウンさせて残高を減らしていくという方向に向かったということでございます。
  239. 海野義孝

    ○海野義孝君 時間も迫ってきましたので、次に紹介融資の件でございます。  これも午前中のお話の中でいろいろ出ておりましたけれども住専の方からリテールがないというようなことから母体行あるいは一般行等から紹介融資を受けるという部分もあったかと思います。具体的に紹介融資をそういった母体行あるいは一般行等から受けていらっしゃるわけですが、これに対する住専としてのいわゆる審査とか受け入れについての体制というか、これはどうだったか。  紹介融資不良債権率が大変高くて、これについてはどうも住専が押しつけられたのではないかとか、あるいはまたそういった母体行とか一般行等の関係筋であるからということで無審査でこれを受け入れてしまったのではないかとか、経営を問われるそういった問題点があろうかと思うんですが、具体的に紹介融資の実態というか、どのように受け入れられていたか、どういつだ審査等をおやりになったか、これをひとつお聞きしたいと思います。
  240. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 紹介融資につきましての当社の実態を申し上げますと、母体行はもちろんのこと、その他の取引されている金融機関におきましても、当時の社長との力関係と申しますか、変な表現でございますけれども、から申しまして、押し込み案件とかひもつき案件を持ち込めるような力関係ではございません。したがいまして、私がここで、当社で挙げております紹介案件につきましても、ほとんどはこちらからむしろお取引がとれなくて紹介母体銀行等にお願いしたというのが実情でございまして、当社が独自で開発した案件と全く同じ基準といいますか、状況審査をさせていただきました。
  241. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 紹介融資の問題につきましては、資料につきましては貴院からの要求に基づきまして既に提出いたしておるところで御高覧のところかと思いますが、金融機関からの紹介融資の比率は、債権ベースで一八・二%、債務者ベースでは四六・八%というふうになっておるわけでございます。  債権ベースと申しますのは当社の内部資料に当該融資紹介によると記載されているものであります。一方、債務者ベースと申しますのは、取引開始のきっかけが紹介によるものであればその後の融資案件はすべて紹介があったものとして集計したということでございます。したがいまして、紹介の実態は単なる情報の提供や口ききといったものから案件そのものの紹介までその実態はさまざまであり、また金融機関側の確認を得たものでもございません。  私どもは、こういうことで紹介があったものにつきましても、審査は当社は当社として全く独自の立場でやっているところでございまして、押しつけられたとかなんとか巷間言われるようなことはないものと了解しております。
  242. 海野義孝

    ○海野義孝君 よくわかりましたけれども、時間がなくなりましたので、あとお聞きしたがったのは、実はいわゆる一般行あるいは系統等に対しての融資でありますが、ある時期においては幾らでも、とにかく電話一本で金を持ってきたというようなことも聞いているわけでありますけれども、大変そういう意味でも住専さんの経営のまさにピークのころにおきましては、そういう面では一般に言われる企業としての経営の厳しさという面がやはり多分に欠けていたんじゃないか、私はこのように思うわけであります。  今後、いよいよ整理段階に入っていくわけでありますけれども、当面とにかく少しでも回収に努力をし、そして新しいスキームに受け継がれるようにひとつ最後の御努力をお願いしたい、このように申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  243. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で益田洋介君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次に、梶原敬義君の質疑を行います。梶原敬義君。
  244. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 両参考人におかれましては大変御苦労さまです。  私は社民党の梶原敬義でございます。持ち時間が二十五分と短い中でございますが、鋭意お答えをお願い申し上げたいと思います。  きょう皆さんの質問とお答えをお聞きしておりまして、若干疑問が解けたのが一つあります。それは、最初は住宅ローン中心でやってきたけれども母体行個人向け住宅ローンにどんどん手をつけてきたから、結局事業向け、企業向け、不動産向けにどんどん貸さざるを得なかったというような言われ方が住専サイド等から、あるいは銀行サイドからもずっと来ておりました。お二人の話からいたしますと、そこのところが、むしろそうではなくて、どうも住宅金融公庫のせいだというようなお話もちょっと聞きました。しかし、これも誰弁じゃないかという気がするんです。  御承知のように住宅金融公庫は長期低利の金利でお貸ししますから確かに非常に強い面はあると思いますが、しかし個人住宅投資の統計から見ますと、全体の投資の五三%ぐらいは住宅金融公庫が行っている、あとの四七%は手持ちの資金やあるいは皆さんのローンを使うという傾向だと。したがって、住宅金融公庫がどんどん出ていくとそれだけ家がたくさん建ちますから、皆さんのシェアもおのずから膨らんでくるようなそういう性質がある。統計上、住宅金融公庫が伸びているときには住宅着工戸数が大きい、そこが落ち込んだときには全体が小さくなってきている。だから、この点についても少し皆さんは言いわけというか、むしろ事業者向け、不動産向け大型投資というのは、先ほど聞いておりますともうかる、利益率がいいと、本音はそこじゃなかったんでしょうか、いかがですか。
  245. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 御指摘のとおりだと思います。
  246. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ありがとうございました。  次に、若い時分でしたが、私も民間のパルプ会社、製紙会社にちょっと勤めたことがあるんです。そして、十億や二十億というお金をなかなか経営が厳しい状況の中で借りるというのは大変なことです。  これが末野興産には、住専各社で合計いたしまして約二千三百億行っております。それで、その二千三百億の中で、きょうお見えの日本住金さんが八百九十億、それから総合住金さんが四百五億、住専五社で末野興産には二千三百六十七億行っておるんですね。それから、銀行あるいはその他のノンバンクから約二千億、ピーク時は約六千億末野興産にお金を貸しておったのが、今四千三百億ぐらいになっておるわけです。  こういうあっちも貸しているこっちも貸しているというところに、皆さんやっぱりどんどんもうかるからそれ行けということで、借りる金は系統資金を使ったり、おたくもそういう金をどんどん借りて、そしてどんどん競争で金を貸していたという状態。これらを住専各社がどのように、このバブルがいっかは危ないぞと、貸す相手先もあっちもこっちも貸している、これ大丈夫かというチェック体制がどうしてなかったのか非常に残念でなりませんが、皆さん方の審査体制、先ほどからお話があるとおりでございますが、この点について弱かった。  では、弱いときの責任はトップの社長あるいは会社経営者にあるんですよというようなことをフランクに国民の前にやっぱり自戒をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  247. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) こういう巨額の事業者向け融資をどうしてこれほどまでに貸し込んだのかと、今から思えば信じられないようなことなのでございますけれども、その一つの根底には、あのバブル時代、業者間の競争意識というのがやはり非常に強うございました。もう御指摘のとおりでございます。特に私ども会社業界トップという意識が強うございまして、貸出残高面で他の住専に負けてはおれない、こういう経営者の意識は非常に強うございました。これがやはり貸し出し競争に追われた一つの大きな原因だったと思います。  それからもう一つは、個々の不動産に対する、もう不動産は下落することはあり得ないという、先ほどもちょっと触れましたですけれども、そういう思い込みというのが非常に強うございまして、個々の不動産をかっちり担保をとっておればこれは大丈夫だという、今から思えば非常に信じられないようなことかもわかりませんですけれども融資を行います場合の審査の基準といたしましてそういう意識が非常に強く働いたというのがもう一つの大きな原因でございます。
  248. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) バブルの中におきまして、やはりあの当時のことを振り返ってみますと、融資担保依存主義というものに走り過ぎた嫌いがあったと思います。資金繰り上からどうだという面のチェックももちろん無視したわけではございませんが、担保があってそれに対して一定の掛け目を見れば融資してもいけるんではないか、こういう考え方で走り過ぎた嫌いがあるというふうに思います。
  249. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 このバブルを招いた原因というのが、東京、大阪、名古屋、福岡を中心にした大都市、そこで事務所が足らないというようなことから、バブルがどんどん膨らんでいきましたね。バブルの一番のもとというのは土地の価格の急激な上昇ですね。このバブルを形成した、バブルで踊った主役の方々というのはやっぱり住専七社も主役の中に入っていると思うんですが、この点は、いやそうでもないということになるのか、いや我々にもバブル形成の責任があるとおっしゃるのか、その点について承りたいと思います。
  250. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) こういうバブル崩壊を余儀なくされた事情はいろいろあろうかと思いますけれども、しかしいかなる事情がございましても、このような事態を招きましたのは当事者である当社でございまして、その意味では第一義的に責任を免れることはできない、このように考えております。
  251. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) バブルの中で動いたのは金融機関全体でございまして住専だけではございませんが、その中で住専の一翼としての当社の責任もあるというふうに考えております。
  252. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 丹羽参考人、あなたの前の社長の庭山さんがたびたび思い切ったことを言われております。  朝日新聞のことしの二月十日の夕刊の紙面でこういうことを言っているんです。「住専破たんの原因は、ブーム時の地価の急騰を招いた日銀と、ピークを過ぎていた地価総量規制で人為的に急落させた大蔵省にある。」と、こう言っているんです。それから、九五年九月二十七日の同じく朝日新聞の朝刊によりますと、「プラザ合意に伴う過剰流動政策で地価を暴騰させ、次にそれを是正しようとして、いわゆる総量規制や不動産に対する差別課税で暴落させ、いま日本経済に深刻な打撃を」云々と、こう言っております。それから、その後にまた思い切ったことを言っているんですが、自民党の皆さん、ちょっと気分悪くしないでいただきたいんですが、「この責任は当時の政権政党だった分裂前の自由民主党、内閣、大蔵省日本銀行を含む「政府」にある。」と、こうまた断言をしているんですね。  当たっているところもあるんじゃないか、それはまた後で少し議論をしてみたいと思いますが、問題は、衆議院の予算委員会で庭山さんが言っておられるのは、丹羽さんはやっぱり我々に責任があると、今こう言われておるんですが、あの人は「このような事態は、過剰流動性政策による地価の急騰と、総量規制、不動産に対する差別課税による地価の急落の二つが原因となって起こったことであり、いずれも、当時の政権政党、内閣、大蔵省日本銀行の誤った政策によるものであります。」と、こう言って自分たちの責任を回避しております。  先ほどから丹羽さん自身が、おたくの会社経営をしながら問題があったということも指摘をされました。私は、大きな観点で、このバブルつくり出す土地に、日銀や大蔵省は確かにそういうこともあるかもわからないですが、住専社長として、この土地土地にと、これは大変大きな責任がある。そういう方がこういうことだけで、おのれの責任を認めないでよそばかり責任があると、こういうことを言っておられることに対して大変遺憾です。それは先輩の社長の言ったことに対してなかなか物が言いにくいんではないかと思いますが、御所見を思い切って承りたいと思います。
  253. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) このバブル崩壊の原因につきまして新聞、雑誌等に大きく前社長がいろいろ意見を述べていらっしゃることにつきましては、当社といたしましては非常にいわば迷惑をしております。室長あるいは大蔵省から来ていただいております現会長にも何度もお願いいたしまして、あの発言はもう慎んでいただきたい、当社の考えとは違いますのでと言っていただきましたのでございますけれども、なかなか聞き入れていただけないのが実態でございまして、どうも申しわけなく存じております。
  254. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 したがって、今度の住専処理に国費を投入してこの厳しい世論の風も受けておりまして、大変な問題を今扱っておりますが、そういう中で、やはり当時のワンマン経営者であった庭山さんは、先ほど斎藤委員が言われましたように、思い切っておれも悪かった、おれも責任をとった、そしておれの持っている財力はできるだけ償いに投入するというようなことが本当は出てもいいんだと私は思うんです。ぜひその道を探っていただきたいと思います。  さらに、丹羽社長にはつらいことになるかと思いますが、ついこの前まで、やめられてああいうことで新聞で発表されましたが、恐らく住専から相談役のときも年俸、年収幾らかわかりませんが報酬が出ていたと思うんです。この際ですから、例えばこのくらい報酬は差し上げておったというようなことを国民に言えたら、これはプライベートに関することでまことに質問しにくい話ですが、よろしくお願いします。
  255. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 庭山氏はこの三月末をもちまして相談役を辞任されました。その間、相談役の期間におきましてはそれなりの手当は支給させていただいております。ただ、申しわけございません、個人の問題でございますので具体的な金額については御容赦を賜りたいと存じます。
  256. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いずれこれは何らかの形で国民が知ることになると思うんです。  本当に国会の論議も非常に大変です。みんな汗かいておりまして、頑張っておるわけです。それはなぜかというと、この混乱した金融秩序を回復して、そして二十一世紀に向けて盤石な体制で日本の経済あるいは日本金融がしっかりする足がかりをとにかく血を流してもつくろう、こういう努力を必死にしているときですから、本当に皆さんも真剣に考えていただきたいと思います。  あと、母体行責任の問題、紹介融資の問題です。  日本住金の方は、庭山さんの経営姿勢もあったのかわかりませんが、母体行等の紹介融資というのは余り多くないんですね。非常に少ない。一方、総合住金さんの方は、あっちこっちから紹介融資もありますし、大蔵省の調査でも問題を指摘している部分がたくさんあります。  私は、一概に紹介融資全部が悪いと言うことには無理があると思う。だから、これから住専処理機構で回収をする過程の中でその問題を一つ一つチェックしていって、そしてどうもこれはおかしいというものについてはやっぱり母体行並びに一般行にも応分の負担をお願いする、こういう姿勢をとるべきだと、このように思うんですが、その点いかがでしょうか。
  257. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 先生御指摘のとおりでございます。まことにごもっともな御指摘だと思います。
  258. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 先ほども御答弁申し上げたかと思いますが、紹介融資紹介というのはいろんな意味があるわけでございまして、なかなか一義的というか一律にどうこうということは言えないわけでございます。単なる情報の提供や口ききといったものから、案件そのものの紹介までその実態はさまざまでございまして、私どもが計数的に本院に対して御提出申し上げているものでも、これは金融機関の確認を得たものではございません。そういう意味において、非常に態様がばらばらであるということでございます。  それから、よく母体行から押しつけられたんじゃないかと、こういうお話を承ることが多いのでございますけれども、私どもはそういうような事例というものは当たっていないんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。当社は当社としての独立性を持って、その案件が一体了承できるのかどうかということでやっているわけでございます。
  259. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そこまで言いますと、私も資料をいっぱい持っておりまして、大蔵省の調査とあなたの言われる、ちょっとあっちこっち事例を見たら食い違いがありますが、これは時間がありませんからまた後日突き合わせをしていきたいと思います。  私どもも、大蔵省や日銀にも責任がある、我々にも政治の責任があると。民活民活でやり始めた、それは責任があると反省をしながら、大蔵改革もやっていこう、あるいは日銀も変わってくれ、もっと独立性の強い日銀として頑張れと、こういうことで真剣に検討しているわけであります。その点についてはこれまでの経過がありますから、大蔵省と今の御答弁との若干の差については後日また突き合わせをして、何らかの形でまた国会意見を反映させていただきたいと思います。  次に、住専処理機構について、今度の住専処理についてお伺いをしたいと思います。  私も、当時はこれが決まるときに大蔵政務次官をしておりまして、非常に困難な問題だなと思いながら実はサインをいたしました。いろいろ考えてみても、私は国費を投入して七つの住専一つに集めて、そして預金保険機構のもとに株式会社住専処理機構をつくって、それぞれ七つの部をつくる。そして、その横に困難事案というか、暴力団絡みとかあるいはそういう占有されている物件とか、そういうものを解決するための回収困難事案対策室をつくる。  そして、預金保険機構にはさらに現役の検察や警察官あるいは国税庁の皆さんにも入ってもらって、専門的な知識を生かしながら、それにさらに立入調査の権限も法律で与えて、そしてみんなが一緒になってその七つの会社一つにまとめて住専処理機構で鋭意回収して、できれば国費投入の六千八百五十億も十年後ぐらいにはもうそんなに出さぬでもよかったというような形をつくっていきたい。それも私はまあ可能性がないわけではないと、このように考えておりますが、この住専処理機構に対して現場のあなた方が一体どのように受けとめておられるのか、最後一つだけ承りたいと思います。
  260. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 将来予想されます住専処理機構につきましては、私どもの希望といたしましては、日々手足になって債務者と金利の交渉とか、あるいは担保の有利な売却について交渉いたします、そういう当社あるいは住専各社の従業員のかなりの者たちがそちらに移ることになろうかと思いますけれども、そうした人間が希望を持って高いモラールのもとで仕事ができるような機関にぜひなっていただきたい、していただきたいということを、母体行にも、さらに大蔵省にも現在お願いしておるところでございます。  そのためには、例えば従業員の雇用条件をどうしていただけるのか、あるいはモラールを高めるために、労働意欲を高めるためにどのような形で成果の上がった事項に対して評価していただけるのか、そういったこともぜひ勘案していただきたいというふうにお願いいたしております。
  261. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 伝えられる住専処理機構は、警察、検察、税務、こういう強力なスタッフがいわば参謀本部として、それから住専の方から移行してくる職員がその実動部隊として、従来以上に高度なテクニックを使って管理、回収に徹底する、こういうお話だというふうに承っておるところでございます。私どもも大いに期待しておるところでございますし、職員もそこで働きたいという希望を持っておるわけでございまして、なるべく多くを採用していただけるというようなことで御検討いただければ幸せに存ずるところでございます。
  262. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 丹羽参考人、仮の話ですが、住専処理機構に営業権を譲渡するこの問題で、おたくの株主総会対策とか、要するにこれからが大変だと思います。これは責任を持ってやっていただきたいと思うんですが、決意を。
  263. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) とにもかくにも総会で決議していただけるように全力投球させていただきます。
  264. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 どうもありがとうございました。
  265. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で梶原敬義君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次に、有働正治君の質疑を行います。有働正治君。
  266. 有働正治

    ○有働正治君 日本共産党の有働でございます。私は、住専母体行との関係を中心に事実関係をお示しいただきたいということでお尋ねいたします。  最初は住専設立の経緯をめぐってであります。まず、大槻参考人にしばらくお聞きいたします。  実は私、ここにおたくの前身の「相銀住宅ローン十年史」、これを持っています。ここで会社設立の経緯について「相互銀行業界にとって始めての大規模な協同事業であった。」というふうに位置づけておられますし、また事業につきましては「人、資金、業務面にわたって、参加相互銀行全体のメリットを実現し得るよう運営することを基本とする。」ということが明記されているわけでありますが、この点、そのとおり間違いないかだけお答えいただけますか。
  267. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 御説明のとおりでございます。
  268. 有働正治

    ○有働正治君 それから、同じくこの社史によりますと、設立当初の業務、営業の特色につきまして「ローン希望者からの申込みの受付と取次、融資決定後の債権書類の徴求と融資金の交付、貸出後の元利金受入などの事務」を母体行の相銀の方に委託している、そして「貸出の実務を母体銀行窓口に依存することとした点が」「当社の第一の特色であった。」、こういうことも明記されているわけであります。つまり、母体行に委託、依存、そういう形で進めたと。これ、間違いございませんか。
  269. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 貸し付けの仕組みといたしまして、全国の母体銀行本支店を業務の取次店とし、申込書等の必要書類の受理、担保設定手続等の代行をお願いしていたことは事実でございます。
  270. 有働正治

    ○有働正治君 それから、融資内容審査についてであります。それは当然住専の職員が当たったということもお書きになっていますが、同時にその職員につきましてこの社史は、当面母体行からの出向者をもって充てるということを明記しています。出向者によって充てて、そういう母体行関係者審査はお願いしたということを明記しているわけであります。そういう点は間違いございませんでしょうか。
  271. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 設立当初のことでございまして、古いことでございまして私もその当時の書き物を読んで理解しているところでございますが、創業当時でございますので、いわゆるプロパー職員というのは養成されていないということは、これは当然なところでございます。  したがいまして、その当時といたしましては、母体行の方からの職員に依存したということは事実でございまして、ちなみに設立当初の常勤役職員は社長以下十九名、うち女子職員六名は当社採用、男子職員十名のうち九名は母体出向者であったということでございます。
  272. 有働正治

    ○有働正治君 設立の経緯から見ましても、母体行のメリットのためにいわばこういう専門会社をつくったということは明白であります。  次に、人的、資金的な関係について事実関係お尋ねするわけでありますが、引き続き大槻参考人でございます。  会社のいわば決定権でありますけれども常勤役員は先ほども若干お話しになったと思いますが、大蔵省母体行から構成されていたと承知しています。非常勤役員につきましては相銀協の会長と全国八つの地方の協会会長社長または頭取、監査役は各地区協会のうち順次三つの地区から推薦される社長または頭取という形で構成されてきているようでありますが、この点いかがでございましょうか。
  273. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 非常勤取締役の構成は基本的には御質問のとおりでございます。
  274. 有働正治

    ○有働正治君 会社の定款によりますと、第二十三条で、取締役会の決議は、取締役の過半数が出席し、その取締役の過半数をもってすると。これは大方そうだろうと思うのであります。  そうしますと、十二人の取締役のうち九人が現職の母体行社長または頭取ということになるわけであります。ということになりますと、日常の経営権といいますか決議決定権、これは母体行が事実上決定するということに文字どおり兼務しているということからいっても言えると思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  275. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 創業当時の役員の構成は先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、役員構成だけで言えば母体行出身者を含めると母体関係者が圧倒的多数の取締役となるわけではございますけれども会社としては主体性を持って会議の運営を行ってきたというふうに聞いております。
  276. 有働正治

    ○有働正治君 なかなか苦しい弁明だと私は受けました。実態的には、母体行社長または頭取、現職の方がおやりになっておられれば、当然そうした意向が厳然として存在することは明らかだと私は考えるわけであります。  丹羽参考人お尋ねいたしますが、役員取締役監査役を合わせまして母体行九人、母体行系列として三井銀行なりお二人、つまり十五人中十一人がそのような母体行及び関係者で占められていると思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
  277. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 現在は母体行出身者は十五名中十三名でございます。
  278. 有働正治

    ○有働正治君 となりますと、先ほどのそういう定款等々から見ましても、母体行の意向がやっぱりきっちり据わるということにならざるを得ないと私は思うのであります。  引き続き丹羽参考人お尋ねします。  今度は出資の問題あるいは資金上の問題でありますが、母体行合わせてで結構でございますから、株式保有状況は、全体でどれぐらいで、それは比率としてどれぐらいであるのか、お示しいただければと思います。
  279. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 議決権割合を申し上げますと、母体行の持ち株比率は平成八年三月末現在で三二・四%でございます。
  280. 有働正治

    ○有働正治君 日住金が上場される前の時点であります八三年七月一日で調べてみますと、資本金三十億二千万円のうち母体行を合わせますと二十三億二千万円、約七七%ほどになると思いますが、いかがでございましょうか。
  281. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 上場直前の資本金の総額は先生御指摘のとおりでございますが、母体行の出資額は十二億円でございます。
  282. 有働正治

    ○有働正治君 私は、出資金なり人的なかかわり等で見まして、やはり住専というのは母体行のいわば子会社と言っていい状況だと思うのであります。  実は、日住金の企画室次長でありました幹部職員の方が、一九八三年七月当時、住宅金融業界の研究会で住専業界の実態をリアルに報告されているレポートを私はここに持っています。記録として報告書がまとめられているわけであります。  そこでは、実は住専というのは母体行金融機関の子会社であると。子会社という言葉。あるいは、資金貸し出し住専としての子会社母体行の親の言うとおりに借りるなど、そういう子会社であったと。子会社という言葉を使いながらそういう位置づけにあったということを述べておられますが、この点、こう書いてあることに間違いないか。当時この幹部職員はこういう認識であったということだろうと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  283. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) まことに申しわけございませんが、ただいまの先生の御質問につきましては、私は承知いたしておりません。
  284. 有働正治

    ○有働正治君 これはレポートで恐らく記録をきっちりとっておられるものと推測します、報告、その後の質問状況等もリアルに書いてありますから。まさに子会社であると自負しておられたとみずからも述べておられた。  次に、問題になっています紹介融資の問題をお尋ねします。  まず、大槻参考人お尋ねいたしますが、あなたの会社では、八〇年四月、不動産向けなどの開発資金の取り扱いを始められて、翌五月から紹介制度というものを導入されておられるようであります。この紹介制度というのはどういう制度だったか、そのことだけ簡潔にお述べください。
  285. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 八〇年というのは、失礼でございますが一九八〇年の意味で……
  286. 有働正治

    ○有働正治君 はい、そうです。五月から紹介制度というのが導入されたと明記してあります。
  287. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 当社は、会社設立以来、全国の母体行本支店を業務の取次店といたしまして、ローン希望者からの申し込みの受け付けと取り次ぎ、債権書類の徴求等をお願いするということで、貸し出しの実務を母体銀行窓口に依存するという体制を特色として、当時の社名自体も株式会社相銀住宅ローンセンターという名前があらわしておるような状態であったわけでございます。  この辺のことで、銀行経由の案件につきまして、実質審査を伴わない申込書類の単純送付だけの紹介制度を実施したということであることを先生はおっしゃったのだと思いますが、これは今申し上げたような背景から生まれたものでございますが、貸付審査につきましては逆に、自社でより厳格な審査を行おうという趣旨でこの十年史の方では記しているというふうに理解いたしております。
  288. 有働正治

    ○有働正治君 まるっきり違うんですよ。母体行から回ってきた融資案件について、住専側では改めて審査をしないシステムだと明記しているんです。だから母体行の言うとおりになったんですよ。  あなた、先ほどからいろいろ言いわけされておられますが、そんな甘いものじゃないんですよ。そんな口だけいろいろ、押しつけられたことはないとか、制度まであなたのところはシステム的にされていたんですよ。それははっきりこの中に書いてあるんです。そういうものなんですよ。だから、そういいかげんなことを言ってもらっちゃ困るというのが国民の声だということをはっきり述べておきます。  それから、紹介融資額というのは、それは各住専によって違いますけれども、非常にやっぱり比率は大きく、その中で不良債権損失が大きな額に達していること、これは私は時間の関係でお聞きしませんけれども、事実関係として設立の経緯、あるいは人的、資金的な関係等々から見て、住専というのが母体行の文字どおりの子会社であると、そうすればあなたたちの責任も大きいことは明白だけれども、もっと質的に大きいのは母体行なんです。  国民の税金で解決するのでなくて、母体行責任で、そして追加負担できっちり解決する、これが国民の要望だと、そのために我々は全力を挙げている、挙げるという決意を述べて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  289. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で有働正治君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次に、小島慶三君の質疑を行います。小島慶三君。
  290. 小島慶三

    ○小島慶三君 きょうは両参考人の方、本当に御苦労さまでございます。  山高ければ谷深しという言葉がありますが、その深い谷間の中で経営をされているのは本当に大変だろうと思います。御同情申し上げます。  それで、私が伺いたいのは、これからどうなさるかということでございます。現状持っておられるいろんな経営実態というものを踏まえて、これからのアクションプログラムといったようなものでどういうふうに今のおたくの問題を処理されていくのか、そのタイムスケジュールを含めまして、いつごろまでにどういう見当をつけてどうというふうなことがありましたらお答えをいただきたいと思います。
  291. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 今まさに今国会で御審議していただいている最中でございまして、私どもはその御審議に沿って、政府処理スキームを視野に置きながら、予想されますいわゆる受け皿機関といいますか、そういったものに何とか無事整理、清算を移譲いたしたいと。  私どもは、御高承のとおり、上場会社でございまして、株主総会の議決というこのハードルを越えねばなりませんので、これを、先ほども申し上げましたとおり、安定株主比率が若干過半数に達しておらない状況でございますから、その他の株主さんの御理解も得まして何とか無事議決にこぎつけたいと、それが第一の私どもの当面の目標でございます。
  292. 小島慶三

    ○小島慶三君 なかなか難しい状況にあるということは私もよくわかります。しかし、政府スキームが決まる場合、決まらない場合、いろいろ前提を置かなきゃなりませんが、それにしても会社経営の持っていき方についての素案といいますか、試案といいますか、そういったものはございませんでしょうか。
  293. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) かなり時限的にも押し詰まっておりますものですから、私どもも現在、弁護士を初め関係先のお知恵を拝借しまして、いろいろな選択肢を視野に入れまして検討しておるところでございます。まだ具体的な煮詰まったものではございません。
  294. 小島慶三

    ○小島慶三君 それでは、もうちょっと時間がたってから、多少霧が晴れるという状況になってからまた改めてお考えを聞かせていただきたいというふうに思います。  では大槻参考人にひとつ。
  295. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 私どもは、新しい住専処理機構というものが強力な組織でもって進められるということのお話を承っておるわけでございますので、社内の体制、その引き継ぎの方に全力を向けて結集していくということで進めておる次第でございます。
  296. 小島慶三

    ○小島慶三君 ちょっと余りに抽象的で、私はどうも次の質問をどうしていいかわかりませんが、一つだけお尋ねしたいのは、恐らく不良債権処理というふうなことになりますと、不明朗ないろんなやみの世界と申しますか、そういったものが絡んでくるということも想定されるわけでございます。  先般、前の皇宮警察本部長の宮脇さんの話を伺ったんですけれども日本は今やソ連やイタリーと同じようなマフィア国家になりつつあるというふうなことで、恐らくこれが絡んでくるのが一番御苦労だろうと思うんですけれども、そういう点につきましてのお覚悟なり何なりを例えれば幸せです。
  297. 井上裕

    委員長井上裕君) 時間ですので、簡潔に。
  298. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 私ども会社におきましても何件かそれらしきものがあることは承知いたしております。ただ、そういう状況を発見いたしました場合は、直ちに弁護士とも相談いたしまして、果敢に法的な手続で対応いたしておる状況でございます。
  299. 小島慶三

    ○小島慶三君 ぜひそういうことで頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。  終わります。
  300. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で小島慶三君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
  301. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 住専各社の無責任融資、無責任経営が今日の事態を引き起こしております。皆さん方にとって大変だと思いますけれども、その反省をどのように位置づけているのか、またその責任のとり方についての方針をお聞かせ願いたいと思います。
  302. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 先ほども触れさせていただきましたが、若干繰り返しになるかと思いますけれども、こういう事態になりました背景につきましてはいろいろと事情があるかと思っております。しかし、自由主義経済のもとでは企業の自己責任が問われるものと思っております。その意味におきまして、当社は第一義的に責任があると判断いたしております。  私といたしましては、特に再建計画を破綻させた責任を痛感いたしておりまして、その点につきましては責任をとるべく適切に対処いたしたいと考えております。
  303. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 関係者皆様方に大変な御迷惑をおかけしておりまして、まずもっておわびをいたす次第でございます。  今日、弊社がこのような不振に陥っている主たる原因は、八〇年代後半から九〇年初めにかけましてのいわゆるバブル時期に行った事業者向け融資がその後のバブル崩壊による物件価格の急激な下落によりまして、担保物件の資産価値が著しく劣化したところにあると認識をいたしております。  この点、当社のみならず、銀行、ノンバンクともに、一部の例外はあるにせよ、ほとんど同様の原因ではないかと見ておるところでございます。  私は、会社経営につきましての法的な責任があるとは考えておりませんが、経済の急激な環境の変化にあるとはいえ、物件価値の急落によりまして当社が経営不振に陥っている結果につきまして、会社の代表者として道義的、社会的責任を強く感じておるものであります。  私は、九二年の第一次再建計画を策定した段階社長辞任すべきものと考えてその旨申し出ましたが、しかし母体行関係者らから、計画に沿って管理、回収に専念することこそが最も重要だということで認められなくて、会社再建に向けてこれまで頑張ってきたところでございますが、今後とも頑張っていきたいというふうに考えております。
  304. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 その責任のとり方の方針をもっと詳しく聞きたかったんですけれども、それをおっしゃっていないものですから、もう時間がないですから前に進みたいと思います。  住専側としては一次損失のそれぞれの負担割合は妥当なものと考えておられるのか。いわゆる系統の負担額と負担割合が財政資金よりも少ない点について、それはどういうふうに理解されているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  305. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 私どもはこういう事態を招きました当事者でございますから、それにつきましてコメントをさせていただく立場にはないと存じております。
  306. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 私どもも、政府の方で進めていただいておりますスキームにつきましてコメントをする立場にはないものと考えております。
  307. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間がありますから、その責任のとり方の方針、これからどういうふうな計画でそれを処理しようとしているのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  308. 丹羽進

    参考人(丹羽進君) 当社の場合、総会及び総会の成否、その辺の状況によってどのような事態を考えねばならないか、そういう問題もございますので、直ちに今この段階で申し上げるわけにはまいりませんが、少なくとも当社の代表取締役会長、私社長、副社長、この三名は総会をもちまして責任をとって退任させていただく、こういうふうに考えております。まだこれはそれぞれの母体行あるいは大蔵省の方へも申しておる段階ではございませんですけれども、私の考えとしてはそういうふうに考えております。
  309. 大槻章雄

    参考人(大槻章雄君) 今後とも債権回収に最大限の努力をいたす決意でありますが、当社の処理につきまして大方のめどのつきました暁には、ぜひとも社長辞任させていただきたいと考えております。その節には、当社の持ち株を放棄し、また当然のことながら退職金を辞退することを考えております。
  310. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で参考人方々に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言御礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、ここに厚く御礼を申し上げます。  御退席くださって結構でございます。  次回は来る二十二日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会