○山本正和君 そこで、これは単に住専に限りません。まだ信用組合の問題がある。まだ
日本の金融機関、これは個人預金ですか、個人資産が一千兆円あるというんですね。その一千兆円のお金はどこへ行きましたか。銀行やいろんな金融機関に預けていますね。しかし、その一千兆円のうち、かなり外国にも行っているんですよね。
それはいいんですが、いずれにしても、この一千兆円預かっている金融機関が住専みたいなおかしなところに金を貸してどうにもならなくなった。ところが、どうにもならなくなったやつが開き直って、捕まえてみろとこうやって腕をたたいていると。捕まえられない、今の法律上の不備があって。そういう問題を全部含めたときに、どうしてもこれは不良資産となって回収困難な
状況が何年かは続くんです。これは外国でもみんなそうですよね、どこでも。その回収困難な
状況が続いたときに何をしなければいけないかというのが今の仕事なんです。
ところが、私は率直に言いますけれ
ども、これは大蔵省に責任があると思うし、歴代
政府に責任があると思うけれ
ども、不良資産問題を解決するということについて本腰を入れて
政府がやりますと言えなかった。なぜ言わないかといったら、今度みたいにマスコミにぱあっとやられて、税金を悪いやつを助けるために使ったらけしからぬと、こうやられたらみんなお手上げたからですよ。党利党略からいえば住専処理なんかやらない方が一番いい。知らぬ顔をしておけばいいんです、党利党略からいえば。しかし、それをこの際どうしてもやらざるを得ないということで、何年もかかってきた宿題を解決するために、私は、こう言ったらおかしいけれ
ども、羽田さんが大蔵大臣のときにもこの金融問題を
議論したことがある。いろいろありますよ。しかしなかなかできなかった。しかし、やっとここまで来て、そして三与党が何と一年近く
議論してやってきたんです。
それはいいんだけれ
ども、大蔵省、非常に私は残念に思うのは、これを見たら国民の皆さんもわかるというのをやっとつくった。こういうのをつくった。(資料を示す)皆さんに行っておるでしょう。これが行っておる。これは何と衆議院の審議が終わるときに持ってきたんです。(「そんなもの税金使ってつくっちゃだめだよ」と呼ぶ者あり)そういうことを言うからいけない。これをずっと読んだらある程度わかるんですよ、国民の皆さんは。ところが、これが何で衆議院の
議論の前につくらなかったんだと私は大蔵省に怒った。
それから、もう一つ言います。今国民が反感を持っている理由、住専に反対している最大の理由は、銀行や信用金庫を含めて金融機関に預金したら間違いないと思っている、
日本人は全部。戦後五十年間、皆そう思ってお金を預けてきたんですよ、一生懸命働いて貧乏人が。ところが、金融機関というのは当てにならぬなと頭にきちゃった、とんでもないところに金貸して悪いことしているなと。
正直言って、母体行の一部には住専に金貸したときに、おい、おまえ、これだけ貸すけれ
ども、これだけバックせいよと言って定期預金させた例があるかないか。これは銀行
局長に後で聞いたらいいけれ
ども、もうけさえずればいいと思ってやった母体行の、そういう利益さえ上げればいいというけしからぬ
部分が随分あるんですよ。国民が皆怒るのは当たり前ですよ。
それから、大蔵省に不信感が生まれちゃった。これを私は言うんです。大蔵省の役人は本当にみんな朝から晩まで一生懸命勉強して頑張ってくれておるんです。しかし、たまたまこの前二人ほど新聞に載って騒がれた人が出た。みんな何じゃと、これで怒った。大蔵省はほとんどの職員は一生懸命頑張っておるんですよ。しかし、そこのところにちょうどこれがぶつかった。
それから、自分
たちの身の回りで悪いことして金もうけしているやつが余りにも威張っておるんですよ、正直言って。ゴルフ場へ行ってごらんなさい。税金一銭も納めぬやつがベンツに乗って遊んでおる。そういうのを見たらみんな腹立つんですよ。
そして、おまけに、そこで私が言いたいのは、
政治家に対する不信がここ十年間ずっと来たんです。脱税をした
政治家もおる。それから、現在野党の党首だけれ
ども、かつてここで私らは証人喚問しようとした。絶対に受けなかった。そういう人が今、党首でおる。いろいろありますよ。しかし、そういうことを含めて
政治家が負うべき責任もあるんです。世の中に対する不信が住専に対する誤解と不信を招いている。
だけれ
ども、
日本の国は今そんなことを言っておられる
状況じゃないんです。何としても二百四十兆円という国の抱えている借金、財政再建しなきゃいけない。年寄りはどんどんふえてくる。しかも世界的にいろんな
意味での責任を
我が国は持たせられている。だから、この不良資産の解決はしていかなきゃいけない。(発言する者あり)今やじっておる連中は余り勉強していないもので言うんだけれ
ども、勉強したらわかります。本当にこの不良資産問題を解決するためには党利党略を超えて、まじめに数字と事実をもって
議論しなきゃいけないということです。そういうことを私は思うんです。
そこで、ちょっとこれは質問をしているときに演説になつちゃったから、演説はやめて質問に戻しますが、一番私が大蔵省にお聞きしたいのは、母体行の中で歩積み両建てとかいろいろありましたね。法律の範囲内で企業というのは利益を上げようとしますからやりますよ。しかし、住専問題が出るまでに銀行は一体どれぐらい利益を上げたのか、そして住専問題が出た後回収するためにいかに手早く動いたか、その数字があったらちょっと教えてほしいんです。