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1996-04-12 第136回国会 参議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十二日(金曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      岡野  裕君     上杉 光弘君      西川  潔君     島袋 宗康君  四月八日     辞任         補欠選任      峰崎 直樹君     前川 忠夫君  四月九日     辞任         補欠選任      谷川 秀善君     鈴木 栄治君  四月十一日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     関根 則之君      河本 三郎君     笠原 潤一君      鈴木 栄治君     谷川 秀善君      大森 礼子君     石井 一二君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         井上  裕君     理 事                大河原太一郎君                 斎藤 文夫君                 清水 達雄君                 塩崎 恭久君                 泉  信也君                 白浜 一良君                 都築  譲君                 山本 正和君                 有働 正治君     委 員                 阿部 正俊君                 石井 道子君                 板垣  正君                 笠原 潤一君                 久世 公堯君                 鴻池 祥肇君                 坂野 重信君                 関根 則之君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 野沢 太三君                 野村 五男君                 服部三男雄君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 荒木 清寛君                 石井 一二君                 岩瀬 良三君                 海野 義孝君                 加藤 修一君                 小山 峰男君                 鈴木 正孝君                 直嶋 正行君                 益田 洋介君                 横尾 和伸君                 朝日 俊弘君                 一井 淳治君                 大渕 絹子君                 梶原 敬義君                 川橋 幸子君                 前川 忠夫君                 上田耕一郎君                 緒方 靖夫君                 小島 慶三君                 島袋 宗康君    衆議院議員        予算委員長    上原 康助君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        大 蔵 大 臣  久保  亘君        法 務 大 臣  長尾 立子君        外 務 大 臣  池田 行彦君        文 部 大 臣  奥田 幹生君        厚 生 大 臣  菅  直人君        農林水産大臣   大原 一三君        通商産業大臣   塚原 俊平君        運 輸 大 臣  亀井 善之君        郵 政 大 臣  日野 市朗君        労 働 大 臣  永井 孝信君        建 設 大 臣  中尾 栄一君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    倉田 寛之君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  中西 績介君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       岡部 三郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  臼井日出男君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       田中 秀征君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中川 秀直君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  岩垂寿喜男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  鈴木 和美君    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房人事課長   安富 正文君        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        藤井  威君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        国際平和協力本        部事務局長    高野幸二郎君        阪神・淡路復興        対策本部事務局        次長       生田 長人君        警察庁刑事局長  野田  健君        総務庁人事局長  池ノ内祐司君        総務庁行政管理        局長       陶山  晧君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        防衛庁人事局長  大越 康弘君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁総務        部長       大野 琢也君        防衛施設庁施設        部長       小澤  毅君        経済企画庁調整        局長       糠谷 真平君        環境庁長官官房        長        田中 健次君        国土庁土地局長  深澤日出男君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        法務省刑事局長  原田 明夫君        外務省総合外交        政策局長     川島  裕君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省経済協力        局長       畠中  篤君        外務省条約局長  林   暘君        大蔵大臣官房長  涌井 洋治君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省主計局長  小村  武君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省銀行局長  西村 吉正君        国税庁次長    若林 勝三君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部大臣官房総        務審議官     辻村 哲夫君        文部省初等中等        教育局長     遠山 耕平君        厚生省保健医療        局長       松村 明仁君        厚生省薬務局長  荒賀 泰太君        厚生省社会・援        護局長      佐々木典夫君        厚生省年金局長  近藤純五郎君        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産省経済        局長       堤  英隆君        水産庁長官    東  久雄君        通商産業省環境        立地局長     鈴木 孝男君        通商産業省基礎        産業局長     林  康夫君        通商産業省機械        情報産業局長   渡辺  修君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君        郵政大臣官房審        議官       品川 萬里君        郵政省簡易保険        局長       天野 定功君        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        建設大臣官房長  伴   襄君        建設大臣官房総        務審議官     小野 邦久君        建設省住宅局長  梅野捷一郎君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省財政局長  遠藤 安彦君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長        兼最高裁判所事        務総局行政局長  石垣 君雄君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    参考人        日本銀行総裁   松下 康雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○証人書類提出要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成八年度一般会計予算内閣提出衆議院送  付) ○平成八年度特別会計予算内閣提出衆議院送  付) ○平成八年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付)     ―――――――――――――
  2. 井上裕

    委員長井上裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  この際、書類提出要求に関する件についてお諮りいたします。  平成八年度総予算審査のため、住宅金融専門会社問題について、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第一条により、証人として大蔵大臣久保亘君に対し、  一、住宅金融専門会社七社に関する平成三年ないし平成四年の第一次立入調査結果及び平成七年八月の調査結果  一、住宅金融専門会社七社上位貸し付け先実名リスト及び各社上位五十の借り手に係る担保評価額を含む債権の状況  日本住宅金融株式会社代表取締役社長丹羽進君、株式会社住宅ローンサービス代表取締役社長井上時男君、株式会社住取締役社長山本弘君、総合住金株式会社代表取締役社長大槻章雄君、第一住宅金融株式会社取締役社長山仲靖朗君、地銀生保住宅ローン株式会社代表取締役社長坂齊春彦君、日本ハウジングローン株式会社代表取締役會田稜三君に対し、  一、住宅金融専門会社七社が紹介によって事業向け融資を行ったと各社が認識している最新時点残高総額  一、上記のうち紹介金融機関別残高及び不良債権化した金額  以上を本委員会に提出するよう求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井上裕

    委員長井上裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、提出期限等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 井上裕

    委員長井上裕君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  5. 井上裕

    委員長井上裕君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成八年度総予算三案の審査のため、本日の委員会日本銀行総裁松下康雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 井上裕

    委員長井上裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 井上裕

    委員長井上裕君) 平成八年度総予算三案の総括質疑に関する理事会決定事項について御報告いたします。  総括質疑は七日間分とすること、質疑割り当て時間の総計は九百八十分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党三百五十五分、平成会三百五十五分、社会民主党・護憲連合百二十五分、日本共産党八十五分、新緑風会三十分、二院クラブ三十分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとおりでございます。     ―――――――――――――
  8. 井上裕

    委員長井上裕君) 平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  平成八年度一般会計予算衆議院における修正部分について、衆議院予算委員長上原康助君から説明を聴取いたします。上原君。
  9. 上原康助

    衆議院議員上原康助君) ただいま議題となりました平成八年度一般会計予算外二案のうち、平成八年度一般会計予算につきまして、衆議院における修正理由とその内容について御説明申し上げます。  平成八年度一般会計予算には、我が国金融システム安定性とそれに対する内外からの信頼の確保、預金者の保護、さらに我が国経済の本格的な回復に資するため、住宅金融専門会社、いわゆる住専の不良債権問題の早期解決を図ることとし、緊急金融安定化資金六千八百五十億円が計上されております。  衆議院予算委員会におきましては、去る一月二十六日、政府から提案理由説明を聴取して以来、この住専の不良債権問題に関し、連日、熱心な審議が行われたところであります。  しかし、住専不良債権問題解決のために財政資金を導入することに対し、いまだ国民の十分な御理解が得られていないとして、昨十一日、予算委員会での議決に際し修正を行ったものでございます。  修正内容について申し上げます。  本修正では、予算総則において、緊急金融安定化資金に係る措置として、第十五条の次に第十六条として「緊急金融安定化資金の六千八百五十億円については、制度を整備した上で措置する。」との条文を追加することとしております。  以上が衆議院における修正理由とその内容であります。
  10. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で衆議院における修正部分説明の聴取は終わりました。  これより総括質疑に入ります。石井一二君。
  11. 石井一二

    石井一二君 おはようございます。新進党、平成会石井一二でございます。  片道六十分の私の持ち時間の中で質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  光陰矢のごとし、歳月人を待たずとも申します。総理が御就任になってからはや三カ月という歳月が経過をいたしておると思いますが、この間、総理におかれましては東奔西走、実に精力的にお働きをいただいたように存じております。  この三カ月余を振り返って、まず現在の御心境をちょっと承りたいと思います。
  12. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先日、記者団から三カ月と言われまして、ああそうかと思いましたぐらい毎日毎日を夢中で過ごしてまいりました。  そして今、幸いに、昨日衆議院におきまして平成八年度本予算が通過をいたし、本日から参議院予算委員会における御審議をいただくわけでございますが、一日も早い本予算の成立、執行ができます状態に何とぞ御協力をいただきたい、まず第一点はそう思っております。  同時に、間もなく、週が明けますと、アメリカのクリントン大統領を国賓としてお迎えするわけでありますが、その間における議論のまだ集約しておりません課題につきまして、でき得る限りの努力を重ねることによって大統領訪日をより日米両国にとって意義のあるものにしたい、目下そのように考えております。
  13. 石井一二

    石井一二君 今国会は俗に住専国会と言われ、衆議院におきましては約二百時間に及ぶいろいろ論議をしてこられました。ところが、まだほとんどの国民は、どうも中身がわからない、理解できない、現在のやり方には反対である、そういった声が聞こえてくることはマスコミ等にも報ぜられておるところでございます。  この問題の基本というのは、社会常識として、一万円借りたら一万円返す、五万円借りたら五万円返す、こういうことでまいったはずの世の中というものが、大きく大きく借金をしたらお上が面倒を見てくれるというセオリーがあるような気がいたすわけであります。  そこで、文部大臣にお聞きしたいんですが、私は本屋へ行って一生懸命教科書を探しましたが、そういうことは教科書には書いていないように見受けられるわけであります。そういうことを書いてある教科書がもしあればお教えをいただきたい。なければそのままそこへ座っていていただいて結構でございます。――お座りでございますので、そういったことは文部省では教えていないと、そういうような理解を私はいたして、それがまた当然であろうと思うわけでございます。  ところで、じゃなぜこういう事態になったかということでございますが、そもそも提案者であります村山前総理あるいは武村前大蔵大臣あるいは大蔵省事務次官等が案だけつくって敵前逃亡したようにおられなくなった。そういった後を受けて現在の内閣答弁等において非常に御苦労をされておる姿も私は見るわけでございます。基本的には問題のぼやかしがあったり、すりかえ、先送り、あるいは官僚用語を重ねた国会答弁、事実の隠ぺい、問題をできるだけややこしくしておるようなスキーム、こういったことがその原因ではないかと思うわけであります。  反対であるという世論は全国に沸き返っておるわけであります。例えば、つい先日、総理のおひざ元の岡山県倉敷市議会におきましても、公的資金を導入しないことなどを意見書として可決されたところでございます。  こういったことを受けてかどうかわかりませんが、橋本内閣支持率というものは下がりに下がっております。最初スタートしたときは、歴代三位の支持率、すなわち細川内閣田中角栄内閣に続いて五六・九%という支持率でスタートしたわけでありますが、現在は三〇%台に落ちておる。こういったことを踏まえて、総理、なぜこのように支持率が下がってきたのか、総理は一生懸命やっておられる、このことについて総理の御見識を賜りたいと、そのように思います。
  14. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 政治家ですから支持率が気にならないなんて言えばこれはうそになります。そして、この住専の問題も含め、これは謙虚に国民からの御批判として受けとめるべきだと思います。  ただ同時に、これは委員にも御理解いただけると思いますけれども、その短期間の支持率というもの、例えば消費税を私どもが提案をいたしましたとき、世の中から大変な御批判を受けました。そして、自由民主党はまさにその逆風の中で参議院選戦い大敗を喫したわけであります。今も、消費税国民が喜んでおられるかといえば、私は、税というものを取られる、その限りにおいて余り喜んではおられない方もあると思います。しかし、消費税という税制は私はそれなりに今日定着したと考えております。  政治家行動と申しますものにはそうした重みもある、私はそう思います。
  15. 石井一二

    石井一二君 どうも答えになっていないように思うんです。その原因についてどのようにお考えになっておるか、私はそういう気持ちでお聞きしたつもりでございますので、できれば再度御答弁を願いたいと思います。
  16. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、さらにと言われますならば、この住専処理についての御理解がいただけておらないことも大きく原因の中にあろうと思います。また、ごらんになる方々で私の行動等に納得をしていただけないという部分がおありなのであろうという以上に私にはわかりません。
  17. 石井一二

    石井一二君 私の行動等にと言われましたけれども、どういう行動を指しておわかりにならぬと国民は思っておると思っておられるんですか。
  18. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 内閣総理大臣としての制約の中で仕事をいたしております部分、これは必ずしもその行動がすべて国民の目に見ていただけるわけではございません。  一つの例を挙げますならば、大統領訪日の前に、沖縄県における基地の整理、統合、縮小の問題に私なりに今必死で取り組んでおるつもりでありますが、これは外交交渉のことでありますから、そのプロセスが公開される影響というものを考えますときに、どのような議論をどなたとしているということ自体を公表すべきものではないと思っております。しかし、それは当然国民から見れば、その間何が進展しているのか、何が進展しないでいるのか、どこに問題があるのかといったことについては御理解がいただけないわけであります。いわば結果責任の部分について、そのプロセスで御批判を受けておる部分もあろうかと思います。
  19. 石井一二

    石井一二君 小出しでぽつぽつとおっしゃいますが、沖縄基地の問題については思い当たる節がある、そういうことであったと思いますが、私はまだまだ問題が多いと思います。  例えば、この住専問題に対して、あくまで初志を貫徹して予算を執行したいというようなこれまでの姿勢、現在の考え方にも一因があろうと思いますし、何といっても政府の中核は自由民主党でございます。自由民主党加藤幹事長は、住専関連の共和から一千万円、いわゆるまあいただいたのではなかろうかといった疑惑、こういったことに対してもなかなか証人喚問に応じないという現在の政府与党の姿、あるいはこの問題は静岡農協から一億円というような話へも話題は移っておるわけでございまして、こういったことをみずから進んで明らかにするという政府与党姿勢国民は期待しておるのではなかろうかと私は思います。  こういった面で、我々は加藤自由民主党幹事長証人喚問をまず要求しておきたいと思います、委員長
  20. 井上裕

    委員長井上裕君) 理事会で後刻協議をいたします。
  21. 石井一二

    石井一二君 それで、総理はおっしゃいませんが、今、世の中の非常に大きな関心はエイズ問題に関する処理ということでございます。菅厚生大臣におかれましてはいろいろ御苦労さまでございますが、私はこの問題について総理が一体どのような立場におられるのかと思うわけであります。  ここに講談社の出しておるヴューズという雑誌がありますが、その一面には「人殺し 厚生省と、橋本龍太郎の罪」と、こういったことであたかもこの問題の中心は橋本総理ではないかということが細々と書かれておるわけであります。  総理はあのミドリ十字からどの程度献金をいただいておられますか。
  22. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一点、私は先般衆議院答弁でも申し上げましたが、平成六年まで私の政治団体会員として会費をいただいておりました。昨年より寄附はいただいておりません。
  23. 石井一二

    石井一二君 私は金額を聞いているので、よく質問を聞いてからお答えいただきたいと思います。  それと、衆議院でも云々と言われましたけれども、これは皆さんにも申し上げておきますが、これは院が違うわけであります。我々はきょう良識の府参議院におきまして新たな審議のスタートを切っておるんだ、そういうことをよく認識して御答弁を願いたいと思います。
  24. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 平成元年以降、福祉経済研究会合計二百二十万円、それから同様の会費でありますが大阪昇龍会が二百十六万円、その他各団体におきまして四百二十四万円、元年以降合計八百六十万円であります。
  25. 石井一二

    石井一二君 ただいまはミドリ十字についてであろうと思いますが、ではミドリ十字会員であります日本薬業政治連盟から幾ら献金をいただいておられますか。
  26. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今手元に資料がございませんので、後刻御報告を申し上げます。受けておることは間違いがありませんが、総計等詳細を今持っておりません。
  27. 石井一二

    石井一二君 これはきのうちゃんと通告をし、ミドリ十字という会社からとこの連盟からということでございますので、後でもう一度やりましょう。その間にお調べをいただきたいと思います。一 では、一たんエイズ関連の問題を離れて一じゃ、どうぞ。
  28. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 失礼しました。  日本薬業政治連盟からの寄附金の収納、平成四、五、六の三年間で合計二千万円であります。
  29. 石井一二

    石井一二君 エイズ問題については後ほどまた詳しく同僚もやると思いますし私も触れますので、一たん住専に話題を変えたいと思います。  久保大蔵大臣、なぜ税金を投入しなきゃならぬのかということは国民の大きな関心でございますが、衆議院ではこうと言わずに、ひとつ初心に返って御答弁をお願い申し上げたい。
  30. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 参議院では、先般暫定予算審議の際に御質問がございまして少しだけお答えする機会がございましたけれども、きょうが初めてでございますから、石井さんが今言われましたように初心に返って誠実にお答えを申し上げます。  私どもは、日本の金融が今抱えております巨額の不良債権を早期に処理して金融システムの安定化を図り、内外の信用と信頼を確保すること、そしてそのことによって、日本の経済のようやく回復の基調にあります状況をさらに促進しつつ、結果的には預金者を保護する、こういうことが政治の任務だと考えております。  住専の問題は、もとよりこれは民間の企業の債権債務に関する問題であることは十分に承知をいたしております。しかし、この住専が今日巨額の不良債権を抱えておりまして、多くの母体行、一般行がこれに関与し、また農協系統金融機関もこれにかなり大きな債権を持ってかかわっておるという状況もございます。  これを民間の処理に任せました場合には、破産法の適用であれ会社更生法の適用であれ、非常に困難を生ずるのではないか。時間的にも非常に難しい問題が起こって、結局、今政治が至上命題といたしております不良債権問題の早期の処理、解決と金融システムの確立というこの政治的な任務を果たすことは困難ではないか。それならばいかなる方法があるかということで、大蔵省等を中心にいたしまして、関係の金融機関等との間にこの処理策について協議を進めてまいったところでございます。  その結果、昨年八月の立入調査の結果をもとにいたしまして、不良債権として回収不能のもの等六兆四千百億につきまして、これをどのように処理するかということで協議いたしました結果、その合意として、母体行が三兆五千億の住専に対する債権を全額放棄、一般行が三兆八千億のうち一兆七千億を放棄、農協系統金融機関は五兆五千億の債権を一たん全部償還を受けるが、そのうち五千三百億円を贈与の形で損失、欠損の処理のための負担として提供をすると、そういうことになりました。  この設定につきましては、いろいろなこれまでの経緯等にかんがみ、さらにそれぞれの金融機関等が持ちます体力、こういったようなものを勘案の上、最終的に当事者間の合意として決められたものでありますが、そのことによって不足してまいります六千八百億円を政府が公的財政支出を行うことによってこの不良債権処理住専の整理、そして債務の回収等に当たる、公的関与を行う、こういうことで決められたものでございます。  なお、このような決定に至りますまでの間には、昨年度を振り返ってまいりましても、昨年四月の経済対策の中で既にこの不良債権処理に対して公的な関与を含めて検討に入ることを関係閣僚の協議でも決められておりまして、その後、六月、九月、それぞれこれらに関する方針を出してまいりました。  そして、与党においては、この問題に関する金融・証券プロジェクトの検討を二十回にわたって進められた上、十二月一日にガイドラインを発表されたのであります。これらを受け、なお金融制度調査会の審議の経過等も念頭に置きつつ、十二月十九日、前内閣の閣議において決定をされたものであります なお、これは新内閣橋本内閣においても継承されることを決定いたしました。これらに関する予算並びに方針等につきましては、現内閣の責任において皆様方に御審議を賜っているところであります。  なお、早期の不良債権処理とあわせて新しい時代における金融システム、金融行政のあり方について、今私たちが皆さんとともに検討の上、早急に結論を出して、最終的には自己責任原則の確立、市場規律に基づく透明度の高い金融システムを目指す、そのことのためにこの不良債権処理とあわせて我々は今政治的な任務を負っているものと考えております。  そのような立場から、本日、閣議決定をいたしまして、国会にいわゆる金融三法案を提出し、御審議を賜ることにいたした次第でございます。(「よくわかった」と呼ぶ者あり)
  31. 石井一二

    石井一二君 今よくわかったというやじが出ましたが、私もよくわかりました。蔵相のおっしゃったことはすべて正しいと思います。御誠意に対して厚く御礼を申し上げます。  ただ、一つだけ納得いかないのは、私の質問はなぜ税金が必要なのかということでございました。全体の話はよくわかったわけであります。  それで、今我々は予算審議をしておりますが、一般会計で七十五兆円、財投を入れればそれにプラス四十九兆円、それに特別会計として電源開発以下三十八のアカウントがございますし、また政府関係機関は国民金融公庫以下十一の会計がございます。こういったことから見れば余りにも小さな、言葉は悪うございますが、六千八百億を投入しなくてもあなたのおっしゃったことはすべてできるという、いろんな方法が考えられる中において、なぜわざわざここで税金を入れなきゃならないかということを私たちは聞きたかったわけであります。  したがって、この件について総理、御所見があれば承りたいと思います。なぜ税金なんですか、総理から。
  32. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、副総理から御説明を申し上げましたように、昨年夏以降、関係者の間でこの問題をめぐり真剣な検討が加えられてまいりました。その最終の結論として、副総理から今御説明を申し上げたような結論に到達したということであります。
  33. 石井一二

    石井一二君 今、総理がおっしゃったのは経過なんです。答弁になっておりませんが、もう少し後でやりましょう。  私はどうもおかしいなと思いますのは、本来ならば七月に我々は概算要求を出し、与野党いろいろ一生懸命勉強して、政府の原案が十二月に出て、予算というものが一応決まっていく。ところが、十二月になって唐突に出てきて、この大事な問題を何とかやってくれというわけです。補正でもやれたんではないかとかいろんな意見が出ますけれども、なぜこの時期にやられたかというあたりで、特に御意見があれば大蔵大臣、お願いいたしたいと思います。
  34. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今、石井さんがおっしゃいますように、この不良債権処理に、税金の投入ということが一番わかりやすい言葉だと思いますが、財政支出を行いますことは、私どもといたしましても大変残念なことだと思っております。そのような政治的なことがなしに今の日本の経済や金融の立て直しということができれば一番望ましいことだと私も思っております。  しかし、残念ながら今これらの問題に対しましては公的な関与を行って速やかに処理しなければならない、そういう中で、国民の皆様方に私はおわびを申し上げる気持ちも一方に持ちながら、財政支出をお認めいただきたいと思っているのであります。そのことによってこの問題を解決することが日本経済の回復のテンポを速め、そして最終的には税収の伸びにつながる。  今我が国の税収は、御承知のように最も多かった時期の六十兆から十兆も落ち込む状況になっております。そういうことも考えてまいりますと、私どもといたしましては、ぜひ国民の皆様方の御理解と御協力をいただいてこの財政支出を認めていただくことによって経済の回復を急ぎたい。そのかわり、私どもはこの問題に取り組むに当たりまして、橋本内閣として確認をしていることが三つございます。  一つは、情報の公開を積極的に行うということでございます。先ほど委員長から御指示のございました情報の開示につきましても、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  二番目には、住専処理機構の体制整備をお認めいただきましたならば、強力な回収に当たりたいと思っております。そのために、預金保険機構に対して罰則をつけた財産調査権を与えるものであります。また、私どもは、そういう中で回収の努力によって少しでもこの負担が小さくなるようにと考えております。  もう一つのことは、衆議院でもと申し上げてはしかられるかもしれませんけれども、長い衆議院予算委員会審議の中でも議論の焦点の一つでございました、もっと当事者に、負担能力のある者、責任のある者、その両面から負担を求めることはできないかということがございました。  このことについても、住専処理機構の整備を御承認いただきますならば、私どもがさらに積極的にこれを進めることによって、最終的には国民の皆様方の御負担となります財政支出を極力縮減する努力を続けてまいりますこともこの任務に当たります者の責任であると考えております。  どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  35. 石井一二

    石井一二君 大蔵大臣のおっしゃったことは、言葉としては理解いたしました。また、いろいろ後ほど論じてまいりたいと思います。  そして、国民の約九割はこれに反対だということを申し上げましたように、与党内にもいろんな意見があるわけであります。例えば、三塚博前幹事長、竹下登元総理、鳩山由紀夫さきがけ代表幹事、そして小泉純一郎総裁候補、選挙を一緒にやられました。  そして、そこにおられます梶山静六内閣官房長官も、一月十六日付の新聞には「財政支出凍結論も視野に」と、こういう記事も活字になったわけであります。この時点では恐らくこう考えておられたんじゃないかと思うんですが、官房長官、何か御所見があれば御示唆をいただきたいと思います。
  36. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 確かにその新聞の記事に載ったような記者会見をいたしておりますが、記者のいわば設問というか質問は、今、政府与党、特に与党、特に自民党の中で予算の執行停止を求める声が大きいがどうだということでございますから、原則はこの定められたスキームで行きますと。しかし、そういう議論が大きいなれば、それも視野に入れなければなるまいと、こういうことを申し上げたことはございます。
  37. 石井一二

    石井一二君 今おっしゃったように、そういう意見も視野に入れて、今反対の方もあると。ただ、党議拘束があるから全体としては今ああいう方向で動いておると。  こういう中で、昨日、与野党の合意がなされまして、その中の文言で「制度を整備した上で措置する」ということが第十六条として予算案の総則に加えられた。この文言について、総理、どのように理解をされており、どのようなお気持ちで今後この問題に対処をされようとしておるか、御所見があれば承りたいと思います。
  38. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 予算総則に一項追加し、国会の御意思として決定されたことでありますから、これは政府にとりましては極めて重要なことであります。まさにそこに書かれておりますように、整備し措置すると書かれましたとおり、我々としては、今後この住専問題を処理していきます上で、関連法案の御審議等を通じよりよい方向に全力を挙げてまいりたいと考えております。
  39. 石井一二

    石井一二君 もうしばらく深く住専のスキームの中身に入ってまいりたいと思いますが、先ほど大蔵大臣から大変御懇切な御説明をいただきました。  銀行局長、担当局長として、あれに加えて、もう少し国民がわかりやすいようにスキームについて若干説明をお願いできればありがたいと思います。
  40. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 大臣から御説明がございましたことに私どもとしてつけ加えるべきことは特にございません。
  41. 石井一二

    石井一二君 つけ加えることがないということは、大臣のおっしゃったことをすべて理解して、そのとおりだということだと思いますので、そのとおりだということをもう一度おっしゃっていただきたいと思います。
  42. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 大臣から御説明申し上げたとおりでございます。
  43. 石井一二

    石井一二君 もっとしっかり答えさせてください。
  44. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 大臣から御説明を申し上げたとおりでございます。
  45. 石井一二

    石井一二君 とおりだったら、とおりを言ってよ、繰り返して、言葉どおり。  では、資料として図二を配り、ここに立てかけてありますが、この中の正常資産、回収見込み資産等々の分位について銀行局長はどのような理由でこういった線引きをされておるのか、そこらあたりをもう少し、これは大臣の答弁になかったので、ひとつよろしくお願いします。
  46. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 大臣の答弁の中でもその一端に触れたと存じますけれども、住専七社合計の要処理額が六兆四千百億円ございます。これの積算の基礎になっておりますのが、今お示しの図であろうかと理解をいたします。  住専全体の資産といいますか、別の言い方をいたしますならば負債ということにもなるわけでございますが、全体で十三兆円ばかりございます。そのうち正常資産、お示しの図では緑色に塗ってあるところと存じますけれども、正常資産が三兆四千九百億円ございます。また、回収見込み資産が三兆二千九百億円ございます。その資料ではブルーに塗ってあるところだと存じます。この回収見込み資産と申しますのは、不良債権ではございますが、不良債権の中で担保で回収ができる可能性のあるものというようなものをも含んでいるわけでございます。  以上のように、広い意味で回収可能なものを除きまして、逆に申し上げますと、損失が見込まれるものが六兆二千七百億円ございます。それに加えまして、本年三月末におきます住専七社の欠損見込み額千四百億円を加えました六兆四千百億円の損失見込み全体の額について今回どのように処理をいたしますか、そのことが問題になったわけでございます。  その点に関しまして関係者、関係者と申しますと大きく分けて三つの主体に分かれようかと存じますが、まず住専の設立、経営等に関係の深うございます母体行は、債権を全額放棄するということで約三兆五千億円の負担をいたします。さらに一般行は、これは一般の金融機関の立場でお金を住専に貸しているものでございますが、そのような立場のものは全体で三兆八千億円ぐらいのお金を貸しておるわけでございますが、そのうち一兆七千億円を放棄する。それから系統金融機関は、これは最大の貸し手でございまして、全体で五兆五千億円のお金を貸しているわけでございますけれども、その負担能力あるいは住専問題の過去の経緯等にかんがみまして五千三百億円を贈与する。このように関係者の間の意思というものを私どもとして取りまとめたつもりでございます。  そのようなことを昨年の十二月十九日に要請をしたわけでございますけれども、その場合に、損失額との対比で見ますと六千八百億円の不足分がございます。これをこのまま放置して解決を先延ばしするのか、あえて国民の皆様にこの六千八百億円の負担をお願いいたしましてこの問題の早期解決を図るのかということで、昨年十二月十九日に、政府与党としてこの六千八百億円を国民にお願いして一日も早くこの問題の解決に当たる、このように決定されたものと理解をしておるところでございます。
  47. 石井一二

    石井一二君 私は先ほど、国民理解していない裏には非常にスキームがややこしくてわかりにくいんじゃないかということを申し上げましたが、スキームの中に二つの基金がございます。銀行局長、この二つの基金の違いについて一言御説明を願いたいと思います。
  48. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 二つの基金という御指摘は、一つはこの六千八百億円という財政支出の受け皿になります緊急金融安定化資金のことであろうかと存じます。これは政府資金を預金保険機構として受け入れまして、それを住専処理機構に債権処理状況を確認しながらさらに支出をしていくためにプールするための仕組みでございます。  もう一つは、金融安定化拠出基金の問題でございますが、これは民間金融機関が住専処理機構の円滑な運営に資するために約一兆円の基金を拠出いたしまして、そのうち一千億円を住専処理機構の出資に充て、残りの九千億円の運用益をもちまして住専処理機構の運営の資金に充てる、このような仕組みになっているところでございます。
  49. 石井一二

    石井一二君 今運営の資金に充てると言ったあたりが若干違っているように私は思うんですが、それは後日あなたとまた論議をいたします。あれは低利の保証つき融資の返済に充てるべき金じゃないかと思うんですが、後刻論議をいたしましょう。  それで、このややこしさという問題につきまして、今回に至るまでに通達、覚書、念書、誓約書、指針といったようなものが乱れ飛んでおる。これを一覧表にして皆さんにはお配りを申し上げておりますが、その中で九〇年三月の銀行局長通達と九三年二月三日の両局長間の覚書、これが非常に大きな意味を占めるわけでございまして、この理解について、銀行局長、何回も恐縮ですが、ちょっとこの通達の意義、考え方等について御説明を願いたいと思います。
  50. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) お尋ねの平成二年三月二十七日に発せられましたいわゆる総量規制通達でございますが、当時、平成二年三月ごろの状況を振り返ってみますと、大阪圏で、近畿圏で極めて著しい地価上昇が続いておりましたほか、地価上昇の地方への波及問題が一段と強まっている状況にございました。この地価問題というものが極めて大きな社会問題になっていたように記憶をいたします。  最近、国土庁から発表されました地価の動向を見ますと、これは恐らく日本の歴史でもまれに見ることかと存じますけれども、五年連続地価が下落をいたしております。現在の状況からはなかなか想像しがたいことではございますが、当時は地価上昇が極めて急激であるということが最大の経済問題、社会問題になっていたように記憶をいたします。  そのような中におきまして、世の中の御指摘といたしましては、地価上昇の大きな原因の一つに金融機関の不動産融資というものがあるのではないかという強い御指摘がございました。これを受けまして大蔵省といたしましては、以前より投機的な土地取引等に係る融資を厳に排除すべく指導いたしてまいったところでございます。  累次にわたり指導をいたしてまいったところでございますが、当時の金融機関の土地関連融資の伸び自体は、土地取引等に関連をいたしました根強い資金需要を反映して、概して全体の貸し出しの伸び、総貸し出しの伸びを上回るような状況が続いておりました。残念ながら私どもの力及ばず、行政指導の成果というものは必ずしも上がっていないという状況でございました。  以上のような状況のもとで、当局といたしましては平成二年三月にいわゆる総量規制通達を発出したわけでございます。これは当時の政府の最重要政策課題の一つとなっておりました土地問題、地価問題の重要性にかんがみまして、前年十二月に施行されました土地基本法や金融機関の業務の公共性の趣旨を踏まえまして、金融面でも従来の措置からさらに一歩踏み込んだ措置をとらざるを得なかった、こういうことでございます。
  51. 石井一二

    石井一二君 いろいろありがとうございました。  次に、問題の覚書でございますが、これは大蔵省と農水省の間で若干の認識が違っておった、ここにこの問題がこじれた原因もあったわけでありますが、現時点で大蔵大臣のこの覚書に対する御認識、御見解を承りたいと思います。どういう性格のものでどういう機能を果たしてきたか、そういうことでございます。
  52. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 第二次再建計画を住専が立てまして、それを母体行とも相談をいたしました。その第二次再建計画を誠実になし遂げる、こういうことで両省の局長の間において覚書が取り交わされたものと承知をいたしております。  この覚書は、厳密な意味ではいわゆる法律上の拘束力を持つというものではないと理解をいたしておりますが、このことに関して系統側におきましては、第二次再建計画が立てられます際の協議の経過等を伺いますところでは、これを通じて元本の保証についての期待感を持ったものであろう、このように理解をいたしております。
  53. 石井一二

    石井一二君 議事録を見ておりますと、八年二月五日、衆議院予算委員会において西村銀行局長は、この覚書自体は元本を保証するということ自体について触れたものではない、こう断じてこれを否定しておられるんですが、現在もそのようなお考えでしょうか。銀行局長、いかがですか。
  54. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) この平成五年二月三日の覚書をごらんいただいてもおわかりいただけるかと存じますが、この覚書自体は住専の再建支援について関係者の間で意識のすり合わせをしたものでございます。この覚書自体は、再建計画の誠実な実行を両省間で申し合わせたと、再建計画が樹立されますならば、それを関係者の間において誠実に実行されていくよう関係当局としても支援をしていこうということを申し合わせたものでございまして、直接にそのような今御指摘の問題について触れたものでないことはこの文面をごらんいただければ御理解いただけるものと存じます。
  55. 石井一二

    石井一二君 俗に言う二枚舌とかうそつきという言葉があろうと思いますが、衆議院審議で笹川議員が質問しておるときに二回中断して、協議をした結果、今と違った、これは保証したものだと、そういうことを断言されたように私は議事録で読み取っておりますが、このことについて農水大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。
  56. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 委員御存じと思いますが、その当時、さらにまたそれに先立つ第一次再建計画というのがございまして、五年で再建するというお話が一回あって、いや、どうもこれでは再建できないというようなお話がその後に起きたわけでございます。  農協系統といたしましては、どうも住専が危ないぞということで資金の引き揚げを第一次の場合も第二次の場合も主張いたしたわけでございます。それに対して各方面からの御議論の中で、各方面といいますのは母体行、一般行、さらにまた住専、それに信連系統ということになりますが、何とかこれを再建したいという強い要請に基づいて、それならばといって、各信連系統、九十幾つの貸し出しをしているわけでございまして、議論百出ではどうにもならないということで、その百出する議論をまとめようとしたのがこの覚書であったと、こう理解しております。  その際に、六・五%以上の水準であった従来の貸出金利を四・五%にいたします、それ以外は一切系統には負担をかけませんという、そういう覚書でございまして、系統といたしましてはこれで一安心したということは間違いがないと思います。それには保証ということは書いてございませんけれども、内実、系統の受けとめ方は、まさに元本はこれで大丈夫だなという印象を与えたことは事実だと思います。
  57. 石井一二

    石井一二君 先般、TBSの磯崎社長が責任をとっておやめになったわけでありますが、この住専問題を見ておりますと、だれかが責任をとって、私が間違っていたんだ、私が悪かったんです、だから私はと言う人がいないんです。皆さんそれぞれ、いや、だけれどもああでこうでということでありますが、私は関係者それぞれに今日の混迷、この事態を招いたことについて、何らかの責任があったと思うわけであります。  かかる観点から、大蔵大臣大蔵省にもし責任があるとすれば、なければ全く責任ないんだよと言っていただいても結構ですが、どのような責任の一端が今日ここに至るまであったとお思いか、御所見があれば承りたいと思います。
  58. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 検査、監督の責任を持ちます大蔵省ではありますが、しかしおのずから法律に基づく監督の限界もございます。例えば、住専などに対しましては改善命令や業務停止命令を大蔵省が行うことはできないのでございます。  そういうようないろいろな制約はございますが、しかしバブルの発生から破綻に至るこの間、当時大蔵省としては精いっぱいこれが最善と考えてやってまいりました行政でございましても、結果的に振り返ってその対応が必ずしも適切でなかったというようなことはあると私は思っております。そういうことも要因となりながら、今日の事態が起きていることについて責任があります。  しかし、今大蔵省が何をやるべきかということになれば、この住専問題を処理し、そして住専処理機構をつくることによって取りつぶすと。その住専の持つ債権を全部譲渡させて、これを機構によって回収に当たる。そして、住専からの借り手であります債務者を徹底的に追及してその回収に当たる。法的に責任を負うべき者に対しては、国税、検察、警察の協力のもとに法的責任を徹底して追及してもらうということで、大蔵省としては今日、所得税等をめぐって執拗な捜査や査察にも取り組んでいるところでございます。  これらの問題をなし終えて、そして金融行政の新たなシステムをつくり上げる、そういうことをもって責任を果たすと同時に、この問題が解決に向かいます段階においてとるべき責任がありますならば、これらのことについては明確にすべきだということを橋本内閣のスタートに当たって私どもとしては確認をいたしているところであります。  そのような立場で、責任の明確化と責任のとり方についても、私どもとしては遺憾なきよう進めてまいりたいと考えております。
  59. 石井一二

    石井一二君 指導監督責任を中心に御見解、ありがとうございました。  ただ、私、一つ大事なことが抜けているように感じたんです。少なくとも一つ、まだあろうと思いますよ。  それは天下り人事。大蔵省の役人が住専の七社の歴代トップをすべて占め、重役も大多数を占める。こういった方が、第一次、第二次立入調査をしながらその結果をうまく把握して打つべき手を打っていないと。しかも、二億円近い退職金をもらったり、いろいろ問題がある。この天下り大事に関しての御見解を、今後の問題も含めて一言お願い申し上げたい。
  60. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 私は、就任と同時に、行政と行政が指導監督すべき対象である業界との間には適切な距離と緊張感が必要である、そういう立場に立って天下り問題に対しては厳しく当たるべきだと考えておりました。  具体的な方策をどのようにとるか、憲法上の問題、今日人事院の規則をもって行われている認可、許可になります制度がございます。こういうものとの関係を調整しながら、先ほど申し上げましたその距離と緊張感を保てる状態をつくり上げるために具体的な方策を出さなければいけないと考えております。
  61. 石井一二

    石井一二君 先ほど覚書の話が出ましたが、農水省あるいはまた系統農協の責任について、農水大臣、どのような御見解をお持ちでしょうか。
  62. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 与党サイドにおける長い議論の過程の中で、やはり明確に母体行責任ということが打ち出されていると私は解釈をしております。それは、大蔵大臣からも今お話がございましたが、いわゆる金融政策上の責任、さらに母体行の責任、一般行の責任、住専の責任と。  しかしながら、それにいわゆる融資をしていった農協系統、非常に多額の融資をしているわけでございますが、覚書等いろいろのトラブルはございましたけれども、その関係上、設立に直接関与していないし、資本的にも人的にも経営にも直接関与していないんだから、系統としては何らかの負担をするについては贈与という形で解決をしていけと。そして、我々の責任としては、今までの系統の金融秩序あるいは金融のあり方について抜本的な検討を加えろ、こういう結論に到達をしているわけであります。  そういう前提のもとに五千三百億円の拠出をいたしたわけでございますけれども、委員御存じのとおり、あのバブルの中で歯どめがきかなかったということもございますけれども、やはり融資をした以上はした者の結果責任というのは免れられない、こういう気持ちで現在対処をしておるところでございます。
  63. 石井一二

    石井一二君 次に、住専の責任について、住専はきょうはおられませんので、銀行局長、せんだって住専代表で庭山前日住会社長が衆議院参考人として来られて、大蔵省の横っ面を張り飛ばしたような証言をして帰られましたけれども、そのことを含めて、住専の責任があるとすればどのような責任か、御所見を賜りたいと思います。
  64. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) もとより、住専問題は住専という会社の経営問題でございまして、まず住専の経営に当たる者がこの問題について第一次的な責任を負うべきであるということは御指摘のとおりでございます。  そういう意味におきまして、今回の処理策におきましても、住専そのものはこれを清算する、住専という会社は七社全部なくなるという前提での処理策になっておりますし、会社がなくなるわけでございますので当然役員は全員退任をするということになりましょう。そのような措置をとるに際しまして、いろいろ厳しい措置をもあわせ講じなければならないということは当然のことであろうかと考えております。
  65. 石井一二

    石井一二君 役員は退任、いろいろ厳しい処置と、これは当然役員の民法上、商法上に基づく経営責任というものを問うてくれると思いますが、これについては後ほど論議をしたいと思います。  そして、政府並びに政治家の責任も当然問われてしかるべきであろうと思います。かかる観点から、総理、御所見があれば承りたい。政府あるいは政治家として責任があるとすればどのようなことが考えられるか、どのような自覚をお持ちか、お願いいたします。
  66. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私自身がそのバブル崩壊期の大蔵大臣でありました立場も考えてみますと、私は政治に責任がなかったと申し上げるつもりはありません。そして、バブルの発生からちょうど私はピークの時期に引き継いだことに結果としてはなろうかと思います。  そして、その後の一連のプロセスを見てまいります中で、そのときそのときの情勢の中で努力をしてきたつもりではありましても、結果としてこういう事態を発生させました。この政治の責任は負わなければならないと思っております。  だからこそ、逆に私は、今この住専処理というものを何とかここで決着をつけ、それを突破口として日本の金融機関の抱える不良資産の問題を処理していくことにより、日本の金融への国内外における信頼を再構築していくことで政治としての役割を果たしてまいりたい、責任を果たしてまいりたいと思っております。
  67. 石井一二

    石井一二君 我々は予算審議しておるわけでありますから、当然数字について語るべきであろうと思います。そういった意味で、私は次にちょっと角度を変えて積算根拠、ちょっと言葉は荒っぽくて失礼ですが、六つのでたらめということで積算根拠がしっかりしていないんじゃないか、そういう観点から論議をしてまいりたいと思います。  まず最初に、この五千三百億円の系統の贈与、なぜ贈与かということを含めて、農水大臣、この五千三百億円の根拠をちょっと御説明願いたいと思います。
  68. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 協力せよということでございましたが、御承知のように系統の金融構造というのは内部留保は非常に薄いわけでございます。超一流銀行のいわば戦艦陸奥に例えられるような積み上げ式内部留保はないのでありまして、正直言って航空母艦みたいに非常にフラットな留保仕組みになっているわけです。なぜかといいますと、いわゆる協同組合でございますから、内部留保は薄く配当は多くというのが協同組合の精神でございます。  にもかかわらず、これは政府のスキームとして決まったわけでございますので、何らかの形で協力するとした場合に、どういう形でどういう積算でいくかということで苦慮いたしましたのが五千三百億でございますが、その際に、平成六年三月の決算をもとにいたしまして、そうして大体半分ぐらいが系統の赤字、経常利益で赤字になる。これ以上になりますとやはり次の年の経営に影響が出ますので、その程度の負担ならいかがなものだろうかということで、系統の信連から二千億という数字を割り出したわけでございます。  そうして、比較的内部留保がありますし、農林中金の場合は有価証券の含み益も多少ございます。委員御存じと思いますけれども、農林中金の有価証券は株ではございませんで、ほとんどが国債でございます。したがって、吐き出し幅も非常に小さいわけでございます。しかし、それにしても有価証券の含み益を吐き出そうということで、二千億ということで積算をいたしまして、あとは共済関係の貸出金額をプロラタで割り当てますと千三百億という数字が出ますので、二千、二千、千三百という積算を一応いたしたわけでございます。
  69. 石井一二

    石井一二君 何か舌をかみそうな言葉も出てまいりましたが、大臣自身がこれで違う説明もしておられるわけですよね、貸出金利に基づく支援ということ。これはいろんな局面を見ていると大体五つぐらいその時々で違った説明が出てきておる。  要はどうでもいいんですよ。結果として、えいやということで決めたお金が五千三百億で、後から理由づけたと。積算根拠は極めて甘いと、私はそのように申しておきたいと思います。反論があれば何ぼでも受けて立ちますが、私は答弁する立場でございませんので。  次に、一次損失の六兆四千百億円、これについて銀行局長ちょっと中身を、なぜこうなったか、先ほどちょっと触れられましたので簡単で結構です。それと未払い負債の一二千九百億、これについてちょっと簡単に御説明を願いたいと思います。
  70. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 損失見込みの六兆四千百億円でございますが、これは昨年の八月から九月にかけまして私どもが住専八社に対しまして調査をいたしました。そのうちの七社、今回処理をいたします七社についての損失見込みを積み上げたものでございます。  この損失見込みと申しますのは、債権の回収が困難なものにつきまして担保でカバーされているものを除きまして、すなわち通常の手法をもちましては、たとえ債務者に対して法的な措置をとりましても、例えば破産手続等法的な措置をとりましても担保の処分によって回収ができないような部分、そのようなものを昨年見込みましたわけでございますが、それの合計額が六兆二千七百億円でございます。これは住専七社ごとにそれぞれ計算をしているわけでございます。それに加えますに住専七社の本年三月末の欠損見込み額、七社それぞれにつきまして足し合わせましたものを加えますと、七社全体としての損失見込み額六兆四千百億円となるわけでございます。
  71. 石井一二

    石井一二君 未払い負債。
  72. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 三千九百億円という御指摘がございましたが、住専は約十三兆円の債務を現在持っておりますので、それに対する毎年の利払いのことかと存じます。  もしそうでございましたならば、現在の契約上は住専七社は系統に対しまして五兆五千億の元本に対して四・五%の金利、一般行の三兆八千億円の債務に対しまして二・五%の金利、それから母体行に対しましては三兆五千億の債務があるわけでございますが、これについては金利は払っておりません。
  73. 石井一二

    石井一二君 これは通告もしておったんですが、よく問題を理解されておらないように思います。  お渡ししております図表三の一番右下の数字でございまして、十五年後に住専処理するときに要るという基本的なお金でございます。昼からでもいいです、後ほどもう一遍聞きますから、その間に勉強をしておいていただきたいと思います。  なお、先ほど六兆四千百億円についてごもっともな御答弁をいただきましたけれども、基本的に回収不能のⅣ分類、回収困難のⅢ分類、回収に時間を要するⅡ分類、この境目の定義というものがないんです。したがって、六兆四千百なんというばちっとした細かな数字を言ってみてもそれに根拠がない、そのように私はここで申し上げておきまして、反論があればまたお聞きします。やや急ぎますので。  一次損失の中の一般行負担の一兆七千億、これについて御説明願います。
  74. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 一般行の一兆七千億の算出に当たりましては、基本的な考え方といたしましては、いわゆる修正プロラタ方式と言われている考え方をもとに算出したものでございます。  すなわち、六兆四千百億円の損失の分担をどのようにするかという場合に、まず母体行、これは住専の設立、経営等に深く関与をしておりますものでございますから、母体行が持っております債権は全額放棄をする、三兆五千億円は全額放棄をするということで、まずこの母体行の債権部分処理をした上で、残りました損失部分につきまして、残りの債権者がその債権額の比率で負担をするとすると幾らになるかと、こういう計算をもとにしているわけでございます。  この六兆四千百億円をもとに計算をいたしますと、一般行の負担はもう少し軽いものになるわけでございますけれども、一般行もその負担能力であるとか、あるいは過去の経緯等も考えまして、六兆四千百億を分母といたしました修正プロラタ方式よりも重い負担をしていただく、限度いっぱいの負担をしていただくという考え方で一兆七千億の負担をしていただくことにしたわけでございます。  なお、この考え方の背景には、住専七社が今までの方式でそれぞれてんでんばらばらに債権回収に当たっていくとすれば、恐らくこのロスの額は六兆四千百億よりももっとふえる可能性がある。今回、この住専処理策によりまして、七社の債権を合わせまして、かつ法的な処理方法をも強力に進められるように警察、検察等の協力も得まして債権の回収に極力当たる、こういう前提で考えますならば、七社ばらばらに債権の回収に当たりました場合よりもより効率的な回収を図り得るであろう、こういう考え方をも背景にいたしまして、六兆四千億円を修正プロラタ方式で分担いたしましたときよりもより重い負担を協力してもらっている、こういうことでございます。
  75. 石井一二

    石井一二君 これが俗にダブルスタンダード、変則処理という、理論的には説明できないということなんです。それと、むやみやたらと検察や警察やと言わんといてほしいんです。これは民事不介入で、だからどうだという、何か怖いぞ、金は集まってくるぞみたいな印象を受けますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、これは全然説明になっておりませんが、この一・七兆円に関して一般行の負担、分担、割り振り基準が決まっておればお教え願いたいと思います。
  76. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 母体行、一般行それぞれの負担の中におきましてそれぞれの各行ごとの負担というものも今協議中でございますけれども、最終的にはこのスキームが固まりましたと申しますか、このスキームの成立が固まりました段階においてそれぞれの金融機関がそれぞれの手続、取締役会等の手続におきまして最終的な決定をいたす、こういう性格のものでございます。
  77. 石井一二

    石井一二君 総理大蔵大臣国民が聞いてもびっくりすると思うんですよ。予算衆議院で通して、また法案もどんどん上げてくるけれども、肝心の民間との話がついてないんですよ。だから、そういったことを本当は最初にやって、こういうことで同意もいただいておりますのでという説明があってしかるべきと思います。また、我々参議院の論議においてそういった問題も指摘されていくと思います。  それから、この六兆七千八百億円のでたらめ積算の五番目ですけれども、この第Ⅲ分類の一兆二千億円、回収困難も含んでおるというところに私は矛盾を感じておりますが、これについて御説明を願います。積算根拠。銀行局長
  78. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 六兆七千八百億円と申しますのは、住専の総資産が十三兆円余りございます。そのうち先ほど御説明を申し上げました六兆四千百億円は損失となって、住専処理機構に譲渡をする段階におきましては会計処理上は価値のないものとして、そのような評価のもとに譲り渡す、こういう会計処理がなされます。逆に申し上げますと、十三兆円余りからその六兆四千百億の価値のないものとして会計処理されるものを控除いたしました、逆に価値のあるものとして譲渡の対象になるものが今御指摘の金額になるわけでございます。
  79. 石井一二

    石井一二君 これは衆議院でも新進党の米田委員がしつこく聞かれておりましたけれども、結局、六兆七千八百億円で実際は五兆五千四百億円しかない。二次ロス、見えざるロス、回収困難一兆二千四百億円を含んで余分に高い金で買うという、そういう矛盾したものであるということを指摘しておきたいと思います。  この積算根拠の六つのでたらめの最後に、一次損失のときは国家というものは九分の一の負担をお願いされておる。これが六千八百億でありますが、二次の場合はいきなり二分の一は政府というような話になっておる。なぜ九分の一、なぜ二分の一か、こういうことを含めて、久保大蔵大臣、今までいろいろほかの数字があやふやなわけですから、六千八百五十億円というものがばっちりとした積算根拠があるとは思いませんが、この九分の一、二分の一ということの理由を含めて一言お願い申し上げたいと思います。
  80. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 一次ロスの問題につきましては、先ほど私からも銀行局長からもお話を申し上げましたように、六兆四千百億の負担について当事者と協議の上合意をした、そういう結果、六千八百億を財政支出することでこの問題の解決に公的関与を行うことになったということを申し上げました。  なお、昨年十二月十九日に閣議決定をいたします際に、新たにロスを生じた場合にはその一部を財政支出によって負担することを同時に決めているのでございます。その一部負担をどのようにするかということで、母体行や一般行、系統金融機関が六兆数千億に上ります低利融資に応じ、また拠出金一兆円を負担する、そのような負担との関係も考えながら、新たにロスを生ずる場合には国と民間との間で折半をするということ以外にこのスキームを成立させる方法は非常に難しいのではないか、そういうことで検討の上、一部負担を二分の一と決めたものであります。  このことにつきましては、今後、提出いたしております法案等を通じて十分御審議を賜ることになっております。(「二分の一の理由になっていないよ」と呼ぶ者あり)
  81. 石井一二

    石井一二君 今二分の一の理由というやじも出ておりますが、説明しにくいということが理由ではなかろうかと思います。お答えがあればもう少しばっちり聞きたいわけでございますが、また午後の論議で多少この問題にも触れたいと思います。  この際、久保大蔵大臣には極めて失礼でございますが、副総理という立場で社民党を代表して現在の与党の一角を占めておられる。そういう中で私は、旧日本社会党、現在の社民党の政治スタンスについて若干残念だなという気持ちを持っております。  今ここに一つの世論調査、フジテレビが行った三月の世論調査ですが、社民党支持率二・〇%という数字がこれによると出ております。  その裏には、先ほど私は加藤自民党幹事長の証人喚問をお願いいたしましたけれども、これは旧社会党が以前には一番熱心に、今の予算委員長上原さんが国会において求めておったことなんですけれども、与党になった途端にそれについてはだんまりこづくりだと。小選挙区で自民党の候補者と社民党の候補者とがやられるところも多いわけですから、国民は筋を通した社民党の姿というものを私は期待しておるんじゃなかろうか、おせっかいのようですけれども、そう思うわけであります。  振り返ってみますと、かつて日本社会党は、日米安保反対から消費税反対、PKO反対、日の丸、国旗は認めない、原発も認めないというところから、一夜にして百八十度変わられた。これはこれで、今まで間違いだ間違いだと思って走ってこられたのを変えられたのかもわかりませんけれども、それはそれなりに、では国民の信を問おう、総選挙を早くやろうといったようなスタンスがあっても私はよかったんじゃないか、そう思うわけなんです。  例えば、そこに環境庁長官座っておられますが、PKO調査団長としていろいろ行かれたけれども、元社会党はPKOに反対だったんです。あなた、団長として行かれて、どのような観点であのPKOはやっぱり賛成だと思われたのか、ちょっと御所見を述べていただきたい。
  82. 岩垂寿喜男

    国務大臣岩垂寿喜男君) 石井先生御案内のように、一昨年ルワンダで数十万人の人たちが殺りくされた。そして、その報復を恐れて同じように数十万人の人たちがルワンダから外国に出ていきましていわば難民となった。特にザイールが中心でありました。それで、特にザイールで御案内のようにコレラで一日数百人の人たちが亡くなっていました。そして、毎日毎日、テレビが世界じゅうにそのことを報道していました。道路にいたいけな子供の死骸が並べられている姿も放映されました。この問題について、私どもは何らかの形で人道的な援助ができないかということを考えたわけであります。  本来ならば、民間の人たちが行っていただくということが一番望ましいけれども、病院を何週間も休んでそれに従うということが非常に難しい。また、国際緊急援助隊法、これらの協力をいただこうというふうにも考えまして問題提起をいたしてまいりました。残念なことに、PKO法案の中でそれらの仕組みが分かれておりまして、国際緊急援助隊法については地震などを中心とする災害で出かけていくという枠組みができ上がったわけであります。  その意味でいうと、これは一人でも多くの医師を、医療を中心にした難民に対する救援の手だてを講ずることが、皮膚の色は違っても、どんなに遠く離れていても、私は日本人の優しい気持ちというものを、現場で活躍をさせていただいて一人でも多くの人たちの命を助けることができるとすれば、それはそれとして意味があるというふうに考えました。したがって、医療活動を中心として、医師を中心に自衛隊の派遣ということについて、調査団の私は団長でございましたので、皆さんの意見を尊重しながらその道を選んだわけであります。  もとより社会党、先生御案内のように、細川内閣のときあるいは村山内閣のときも、PKOに対する対応というものを与党の中で確認をしてきたいきさつもございます。したがって、そういう党の立場ということも踏まえてではありますけれども、私としてその中で最善の道を選ぶ。  しかし、そこで私は自衛隊の皆さんにくれぐれも申し上げました。例えば、私がお目にかかったアメリカの司令官あるいはフランスの司令官は、私たちは一発も銃を発射することはなかった、人道援助に徹してやってきた、そう胸を張ってお答えをいただきました。したがって、そのことを自衛隊の皆さんもぜひ認識をいただきたい。もし、発砲しなければならないような事態になったとしたら、ナイロビまで一時間、飛行場のすぐそばに駐屯をして、いわば難民の皆さんがいらっしゃるところからはかなり距離がありますから、率直に言ってナイロビまで撤収をするための勇気を持っていただきたい、そのこともくれぐれも申し上げてきた次第であります。  幸いにして無事に帰還をすることができました。その意味では、多くの批判はあろうと思いますが、私は、ヒューマニズムというものは何物にもかえがたい、そういうつもりで取り組んできたことについて御理解をいただきたいというふうに思います。
  83. 石井一二

    石井一二君 私は、かねてより心の中で岩垂大臣におわびをせにゃいかぬと思っておりました。それは、私がかつて参議院の本会議場で演説したときに、公費でもってPKOの調査に行きながらサファリ見物に行くとは何事だと、そういうことを申したわけであります。私は今、こういう気持ちでお帰りになったということの一端は理解いたしましたけれども、ここに私は選挙公報を持っているわけです、あなたが選挙に立候補したときの。それにはPKO反対だということであなたは選挙を戦っておられる。私だったら恥ずかしくて選挙区へよう帰らぬですよ。そういった中で元気で御活躍をお祈りいたしておきたいと思います。  さて、今、社民党に御無礼でございますが、若干の御発言をさせていただいておりますが、例えば佐藤観樹書記長が、官吏服務紀律に違反して、閣僚時代にある会社の監査役か何か務めて報酬をもらっておられたと、こういったこと等もみずから進んで明らかにされるべき姿勢が必要であったのではなかろうか、そのように思います。  以上申した社民党に対する私の発言に対して、社民党を代表して久保大蔵大臣、もし何かございましたら。なければないで結構でございます。
  84. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 私は現在、社民党の副党首の一人でございますが、今は内閣の仕事に専念をいたしておりますので党の会議に出ることがほとんどございません。そのことは党の方も了承されて、政務に専念するようにということで言われております。そのような立場にございますものですから、党の問題について私がここで閣僚の立場で発言をすることはお許しをいただきたいと思います。  佐藤幹事長の問題について今お触れになりましたが、このことについて私、政治資金規正法上の届け出は正確に行われていて、その点からの問題はないということだけは聞いております。
  85. 石井一二

    石井一二君 今、社民党の話をしておりますと、さきがけの田中秀征経企庁長官がちょっと寂しそうにお見受けをいたしましたので、一言さきがけについても言及させていただきたいと思います。  さきがけの政治献金の中身を見ておりますと、銀行からの献金が全体の八六%を九四年度占めておる。これは党首が大蔵大臣をやっていたから銀行から職務権限で集めようと、こういうことにもなりかねない話なんですけれども、そういった姿勢についてどのようにお考えか。
  86. 田中秀征

    国務大臣田中秀征君) 確かに、私は最初にそれを知ったときに大変びっくりするとともに恥ずかしい気持ちもございました。聞くところによりますと、各党の議員数というものをお考えいただいて献金をしていただいたということでありますが、とにかく力不足のために絶対額が小さいので割合として大変大きくなってしまいました。その当時から反省の機運がありまして、もうもらうべきじゃない、そういうあれがありまして、最近正式に党で御辞退しようと、こういうことを決定したところであります。
  87. 石井一二

    石井一二君 以上、私は住専の問題についていろいろ御質問をし、六つのでたらめな積算ということを質問いたしましたっ  続いて、政府大蔵省がどうも国民に対して六つのうそというと言葉は悪いですけれども、事実に反することを言及されておるんではなかろうかと。荒っぽい言い方が許されるならば、政府国民に対する六つの大うそ、こういうことで六つの観点からお聞きしたいと思うわけであります。  まず最初に、政府大蔵省国民に税負担をたった六千八百億、小さいぞというような印象を与えておりますが、これは後でぐんぐん大きくなっていくという理由が四つほど私には考えられるわけであります。  そういう観点でお聞きしたいと思うんですが、委員長にちょっとお聞きしますが、お昼の関係もあって、新しいテーマに入っていいですか。ちょっと協議いただけますか。五十五分までやるべきですか。
  88. 井上裕

    委員長井上裕君) やってください。
  89. 石井一二

    石井一二君 では、この国民負担を故意に小さく見せかけておるんではないかという中の第一点ですけれども、二次損失というものは今思われておるよりももっともっとふえてくるんじゃないかと思うんですけれども、何か心当たりはございませんか。今提示している程度でおさまると、そういうことですか。
  90. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) いわゆる二次損失と言われているものについて若干の御説明を申し上げたいと存じます。  回収が難しい事情のある債権につきまして、昨年の調査をいたしましたときにこのような債権の評価をしたわけでございます。債権全体のうち担保でカバーされるものがどれだけあるかということを評価いたしまして、それでも、担保を処分しても回収できないものを先ほど申し上げました損失に計上したわけでございます。  担保でカバーされるということをどのように算定したかと申しますと、昨年八月に発表されました路線価をもとに地価を計算いたしまして、それに基づきまして担保の評価をしたわけでございます。かつ、その路線価の三割相当分というものを、今御指摘の、かつて二次ロスというふうに一般に言われておりましたようなものの相当額という計算をしたことがございます。先ほどお示しいただきました図表の中で第Ⅲ分類と記されていたものがそれに当たるわけでございます。  以上申し上げましたように、これはあくまでも担保でカバーをされているものでございまして、その担保の処分をしたときに実際にどの程度の回収ができるかということについて、安全度をどの程度見込むか、こういう問題はあろうかと思います。しかしながら、私どもはあらゆる手段を講じましてこの担保でカバーをされました部分については最大限回収の努力をいたしますということを今回の処理策の仕組みの中で申し上げているわけでございます。  そういうことからいたしますと、いわゆる二次ロスと言われるものは最大限の努力をもちまして発生をいたさないようにするという前提で今回の仕組みができているわけでございますが、万が一そういうものが生じた場合にどうするかということもあわせて考えておかなければならない、これがいわゆる二次ロスの問題でございます。したがいまして、そのようなものが発生するという前提ではないことを御理解賜りたいと存じます。
  91. 石井一二

    石井一二君 三月二十二日付の読売新聞のコピーを私今持っておりますが、「住専損失三千九百億円拡大」、「地価下落で」ということもございます。また、橋本総理は二月十四日、衆議院予算委員会におきまして、法的に問題がある紹介融資には精力的に損害賠償請求を行うこともあり得るということを申されておりますが、こういったことは二次ロスを少なくしていく、母体行にその分を負担していただくということに相なってくるわけですが、このお考えは今も生きているんですか、いかがですか。
  92. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 紹介融資についてさまざまな問題が既に指摘をされております。当然ながら、今後、住専処理機構あるいは預金保険機構がスタートいたし回収の作業に入りました段階で、法的に問題がありますものについてこうした点の追及が厳しく行われるということは私は当然のことだと思います。
  93. 石井一二

    石井一二君 銀行局長、機構の運営費についてどの程度のものを見ておられるか、また保険料率の引き上げについてどのようなお考えをしておられるか、この関連でちょっとお考えを御示唆願います。
  94. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 機構という意味では、今回の処理策においては二つの組織を用意いたしているわけでございます。  一つは、従来からございます預金保険機構に、機能を拡充いたしまして、今回の住専から引き継ぎました債権処理に当たります本部機能を果たさせよう、こういうことでございます。その運営費は、政府からの五十億円の出資の運用等によります資金をもちましてこれに充てるという考え方をとっております。  それから、実施部隊に当たります住専処理機構の運営費に関しましては、住専処理機構に対しましては民間からの出資一千億円、それから公的な出資一千億円、合わせまして二千億円の出資金をもって運営されるわけでございますが、その出資金の運用によります経費等がその運営費に充てられると考えております。  なお、保険料の問題でございますが、これは今御指摘の問題とは直接の関連はないかと存じますけれども、金融制度調査会の答申が昨年十二月の二十二日に出されました。その中におきましては、今後五年間の不良債権処理に最大限の努力をすべき期間におきましては、民間金融機関が預金保険料という形でその処理に寄与すべきであるという考え方から、現在の、現在と申しますか、昨年度の預金保険料、これは〇・〇一二%でございましたけれども、これを引き上げるべきであると。どれくらい引き上げるかという点につきましては、一般の保険料については四倍、したがって〇・〇一二%の四倍でございますので〇・〇四八%ということになりますが、これは今年度から既に引き上げられました。  そのほか、新たに特別保険料という制度を設けまして、現行の三倍程度の保険料、すなわち〇・〇三六%の保険料を別途徴収いたしましてこれを預金保険機構の運用に充てる、このような仕組みを答申されており、金融三法の枠組みの中でそのような問題をも御提案申し上げようと考えているところでございます。
  95. 石井一二

    石井一二君 どうも銀行局長説明が必ずしも正しくないんですね。例えば、預金保険機構へ公的出資一千億、今こう言われたと思ったんですが、これは日銀の拠出金のことだと思うんです。  ここに二月十五日付の産経新聞、松下日銀総裁は、このお金は必ず返ってくるんだ、預けているんだという感覚なんです。あなたはこれを違うことをおっしゃっている。  だから、私は今、国民に対してうそをついているんじゃないか、どんどん国民の負担は大きくなりますよということで、第二番目に、この一千億は返すつもりがあるんですか、ないんですか、これをまた国民に負担させるんですか、この点をお聞きしたいと思います。
  96. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 今、委員が御指摘の日銀からの拠出一千億円は預金保険機構に対する拠出でございます。これは必ず日銀にお返しするような仕組みになってございます。  他方、私が先ほど申し上げましたのは、預金保険機構から住専処理機構に対する出資金一千億のことを申し上げたわけでございます。その原資は、ただいま申し上げました日銀からの拠出金というものになっているわけでございますが、仕組みの上では、日銀の拠出とは一たん切り離された形になって預金保険機構から住専処理機構への出資金という形で出される、こういう仕組みになっているわけでございます。
  97. 石井一二

    石井一二君 あなたは預金保険機構が今預かり残高を幾ら持っておると思ってその論理を展開しておられますか。私は、預金保険機構から住専処理機構へ行っても、最後は住専処理機構が返せなくて預金保険機構が返せなくなってくる、これは結局国民が負担する、こういう論法で申し上げているわけですよ。だから、言っていることは同じだというように理解をしていただきたいと思います。  それから三番目に、私は、国民負担がますます大きくなってくるという理由として、預金保険機構が筋違いの融資保証をする理由というものがはっきりわからないんです。すなわち、約六兆六千億に及ぶ母体行、一般行、系統からの低利融資、これを保証しているわけです。預金保険機構はもともと預金者を保護するために、銀行がつぶれたらお金を払ってやるためのものなんです。保証するということ自体が筋違いなんです。  それで、この結果、この六兆何ぼがすべて国民にかぶってくる、こういう事実を隠ぺいして今回の予算措置がなされていることに私は強い憤りを感じかかっておるわけでありますが、答弁いかんによって理解ができれば、またそれも一遍ゆっくり聞かせてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  98. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 住専処理機構に対しまして、母体、一般、系統、それぞれ約二兆二千億円ばかりの融資をすることになっております。これについては、そのうち少なくとも金融機関が融資をいたします分につきましては、預金保険機構が保証をするという仕組みになっております。  これは、今の仕組みの上ではその二兆二千億円というものが返ってこないということはない、そのような考え方のもとに仕組みがつくられているわけでございますが、万が一の場合に備えまして金融機関としては何らかの保証が欲しい、こういう考え方のもとに、金融機関が拠出をして金融システム全体のためにつくっております預金保険機構でそれではその融資をバックアップしよう、保証しよう、こういう考え方でこの保証がなされることになりました。  しからば、万が一その保証を実行しなければいけないというときに、それは国民の負担になるのかという意味で申し上げますならば、それは金融機関が拠出をいたしました預金保険料でもってカバーをされるということでございますので、直接的に税金というような意味での国民の御負担ということにはならないことを御理解いただきたいと存じます。
  99. 石井一二

    石井一二君 あなたの説明は全くでたらめなんです。預金保険機構は現在三千八百億程度しかお金がない。そこへ六兆何ぼの保証をする。〇・何%というようなちっぽけな料率を積み重ねてみて、しかもそれは本来預金者を保護するための料率なんですよ。これはもう全く国民の負担というものがふえることを隠しておる事実であろうと思います。  五十五分になるとちょっと昼でやめてくれと言われておりますので、もう一つだけ聞いてこの問題を終えたいと思います。  六つの大うその中の一番最後が、きょう出された法案の中で、生保、農林系から保証料を取るというような話が出かかっております。このこと自体がまた最終的にこういった分野の国民の負担というものを大きくする可能性を含んでおると思うんですけれども、これについてちょっと御説明を願いたいと思います。
  100. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 今申し上げました御説明の中で、少なくとも金融機関に関しましてはと申し上げたことと関連するわけでございますけれども、それでは系統あるいは保険会社から融資いたします分については預金保険の保証との関係をどうするか、こういう問題があるわけでございます。  保証をしなければ何らの問題は生じないのでございますが、もし保証を求められるということになりますと、もともと生命保険会社とか系統は預金保険料を拠出いたしておりませんので、その受益と負担の関係をどのように調整するか、こういう問題が生ずるわけでございます。保険料を納めていただくという方法もあるでございましょうし、あるいは別途の負担の仕方ということもあろうかと存じます。その点につきましては関係者の間で協議がなされることになろうかと存じます。
  101. 井上裕

    委員長井上裕君) 石井一二君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  102. 井上裕

    委員長井上裕君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、石井一二君の質疑を行います。石井君。
  103. 石井一二

    石井一二君 私は、午前中に引き続きまして、住専問題を中心に当面質問を続行いたします。  午前中におきましては、住専問題のスキーム、またその背景のいろんな事情、また私をして言わしめていただくならば積算根拠の六つのでたらめ、そういった中で分析を行い、政府大蔵省国民に対する六つの大うそともいうべき実態があるのではないかということで、その第一番の、国民の負担は小さいというように見せ過ぎておるのではないかというところが終わったところでお昼になったわけであります。  したがって、第二番目の、国民に対してやや率直性を欠いておるのではないかと思われる点は、株式会社住処理機構が利益を生むかもという表現を使っておられるわけでございますが、全く利益を生む可能性がないに近いぐらいその可能性が低いと私は思うわけであります。  その証拠に、東京共同銀行が同じように回収を目的にして営業を開始しておる。また、共国債権買取機構も似たようなことをやりつつございますけれども、まずこういった回収実績について、大蔵省、御説明を賜りたいと思います。
  104. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 確かに、債権の回収は大変に難しい問題があることは御指摘のとおりでございまして、その一例として挙げられました債権買取機構につきましても、現在のところ、不動産の流動性というものが地価の下落状況のもとにありまして大変乏しゅうございます。そういう中におきまして、回収と申しますか、不動産の処分に大変に苦労をしているということは御指摘のとおりでございます。
  105. 石井一二

    石井一二君 もう少し数字を挙げての御説明を期待いたしております。
  106. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 共国債権買取機構におきましては、おおむね現在までの回収の実績は八%程度にとどまっていたように記憶をいたしております。
  107. 石井一二

    石井一二君 私の資料では、昨年十月、不良債権四十三兆円、現在まで六・六%、そういう数字になっておりますが、いずれにしろほとんど進まないというのが現状であり、この我々の論じております機構においても非常な苦戦が予想される、国民に淡い期待を持たすということは国民を欺くことである、そのような気がしてならないわけであります。  また、現在までにも、財政出動以外に方法はないのかという論議がされた中において、収益を上げる見込みのないところへ日銀融資や政府保証融資はできないという答弁をいただいております。このことは、政府自身がこれはもうからぬ、運用してとても黒字が出る状態ではないということを認めておるわけでございまして、率直に国民に対してこういったことを報告すべきであろう、そのように思います。  次に、先ほど質問した緊急安定化基金の運用益でございますけれども、これは二次ロスの二分の一を負担するという中において我々は論すべきでありますが、これについてはどのようなお見通しを持っておられますか。
  108. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 安定化拠出基金の方は、これは民間金融機関を中心にいたしまして約一兆円の資金の拠出を仰ぐものでございます。そのうち、一千億円につきましては住専処理機構に対して出資をすることになります。残りの九千億円につきましては預金保険機構の中で運用をいたしまして、その運用益をもちまして住専処理機構に対する経費の補助を行うわけでございますが、その補助の対象は、今御指摘のいわゆる二次ロスというようなものが生じました場合の手当てにも充てられるわけでございます。  なお、先ほどちょっと手元に資料が見つかりませんで失礼をいたしましたが、共国債権買取機構の平成八年一月までの実績でございますけれども、発足当初の五年三月からの累計で申し上げまして、債権の買い取り額四兆四千八百六億円に対して回収の実績は三千七百八億円でございます。
  109. 石井一二

    石井一二君 運用ということについては、郵政省も厚生省もそれぞれ郵貯、簡易保険あるいはまた年金福祉事業団、こういった面で御苦労されておりますが、この辺の自主運用の実態について両大臣から所見を伺いたいと思います。
  110. 日野市朗

    国務大臣(日野市朗君) 郵政省におきましては、郵便貯金と簡易保険の資金の自主運用部分がございますが、六年度の運用利回り、簡保については四・六七%、郵貯が五・二五%、こうなっております。
  111. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 年金福祉事業団の自主運用事業の実績ということだと思いますが、国民年金、厚生年金の積立金は年金福祉事業団が自主運用を行っております。その累積額は二十一兆八千五百億円でありまして、運用先は信託銀行を通して十二兆六千五百億円、生命保険会社を通して七兆六千二百九十億円、自主運用として一兆五千七百十億円となっております。また、その運用利回りは、平成六年度におきまして二・六七%でありました。
  112. 石井一二

    石井一二君 つい先般でございますが、生命保険会社が年金福祉事業団の委託運用お断りだ、御期待に沿えない、難し過ぎると、そういった例も出ております。  ここに公定歩合の表を出しておりますが、かつて金利が高かったときの運用の実績というものを今申しておられるわけでありまして、一番低いこれから未来に向けてなかなかこの前途は多難である、そういう指摘をいたしておきたいと思います。  以上で運用は難しいよという指摘を終えまして、次に国民に対する三番目のうそだということで、農水大臣に申しわけございませんが、系統農協の保護ではないというような論調が常に今回のスキームに対してあるわけであります。私は、これは系統農協の保護にほかならない、またむしろそういうことをはっきり言った方が国民理解しやすいと。なぜならば、二十一世紀に向けて農業・食糧問題は大きな問題を抱えております。  そういった意味で、二十一世紀のあるべき我が国の食糧政策について農水大臣のビジョンをまず伺いたいど思います。
  113. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 先ほどちょっとお答え申し上げましたが、系統の助成のため、系統の援助のための公的資金であるという考え方は我々はとっておりません。その理由は、資本も出資も人も経営も責任のない住専でありますから、アメリカの貸し手責任という言葉が最近はやっておりますが、レンダーズライアビリティーという言葉は、その経営に責任を持つ場合の貸し手責任ということだそうでございまして、我々は従来とも母体行責任を強く主張してきたわけであります。  大蔵大臣の御発言を見ましても、やはり住専のああいう経営の実態というのを我々が知ったのはごく最近のことでございまして、そういう意味でも私は農協系統の救済のための拠出であるという考え方はとっていないところでございます。  後段のお話でございますが、私はやはり今までの系統の金融秩序、金融体系というものにも多分に問題があると。そういう意味で、九百万の農民、農家のための新しい金融秩序は何であるかということを真剣に模索しなければならぬ、かように考えております。  委員御承知と思いますが、貯貸率を見ましても、正直言って農協の設備投資というのはだんだん減ってまいりました。貯金はふえるわ設備投資は減るということになりますと、貯貸率は下がらざるを得ない。農協系統でもって、単協でもって四割水準、信連でもって二割水準と。つまり、六十八兆円の中の残りの資金は農中に集約して運用しているというのが実態でございます。そういう意味で、農中のありようを一般金融機関並みに行動できる範囲を広くする手法はないかどうか、この辺のことも真剣に考えていかなきゃならぬ課題だと思います。  農協のありようということでございますけれども、農協の経営の実態を見ますときに、正直言いましてその資金的サポーターは信用事業と共済事業でございます。ほかの事業は赤字になっておるということでございますから、その辺の再構築がこれからの農協経営の目玉になるのではないのかな、こう思っています。だから、農協のありようも今いろいろ問題になっておりまして、現在の三段階を二段階に集約してスリム化を図り、生産性の向上を図っていくという構想をJAさんみずから御提言なさっているのでありますから、我々もこれを積極的に支援しなきゃならぬと思っております。  農家、農協一体となって二十一世紀の日本の食糧安全保障を守っていくという体制を、委員御指摘のようにこれからの農政のありようとしては、自給率が四六%でございますから、何としてもこの水準は確保していくための手法を、系統の問題だけじゃなくていわゆる農協全体の仕組み、これも再構築していかなきゃならぬ、こう思っております。
  114. 石井一二

    石井一二君 総理は、一月二十六日の参議院本会議場におきまして、この問題について、農林系統金融機関を救済するものではない、こういう御答弁をされておりますが、これまでの議論を聞いておられて、現在はどのようなお考えでございましょうか。
  115. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、農林水産大臣からも御答弁がありましたけれども、確かに農協系統の内部留保は薄い、また非常に多くの預金者を抱えている、そうした面を強調すれば農協系統救済という御議論が一面で出てくることは私も全く否定をするものではありません。  しかし、この住専という問題は、母体行、一般行、非常に多くのものがこの上にかかわり合いを持ち、そしてそこに系統金融というものがすべてを横にくしに刺したような形になっているという意味で非常に解決に苦労する問題でございました。そして、この問題をあえてここで処理しようと決断し今御論議をいただいております理由は、やはり我が国の金融システム全体の安定を取り戻していくための努力、私はそう考えております。
  116. 石井一二

    石井一二君 ここにロンドン発の外電で、イギリスの有力格付機関IBCAのコメントが出ておりますが、政府が民間銀行救済のためと見せかけているから国民の抗議がやまない、外国からもそういう見方で見られているわけであります。  私は、系統農協をむしろ違う角度から守っていって、我が国の二十一世紀の食糧事情を考えた場合に、農協を強くしていくことは大いに賛成の立場でございます。特に今回の一連の流れを見ておりますと、系統は住専に役員も送っておりませんし、出資も母体行のようにやってはいない。また、誓約書とか覚書とかそういったプロセスでも落ち度はない、そういうことが断言できるように思い、また自分自身の住専会社である協同住宅ローンに対しては全額ばっちりと自分で面倒を見ていっておる、そういうことも言えるわけでございまして、私は系統保護だということを恐れる余り逆に国民から誤解を得ておるのではなかろうか、そのような気がいたすわけであります。  最後に、農水大臣、新食糧法というものを絡めて、もう少し深く今後の農政の基本的理念について御説明をいただきたいと思います。
  117. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 先ほどもちょっと触れましたが、食糧自給率が百二十数カ国の中で最低であるという非常に深刻な課題を我々は真剣に受けとめなきゃならぬと思っております。そういう意味で、食糧自給率の低下、これは国家の安全保障にもかかわる問題でございます。  中国十二億の民がだんだん嗜好が増大し、嗜好が上昇してまいりますと、また穀物自給率も肥大化するでありましょう。そういう意味で、新食糧法もようやくこれは緒についたばかりでありまして、まだ出先の方においてはいろいろ問題があるやに聞いておりますが、これを我々は早く軌道に乗せて、そしてお米の生産はもとよりでありますが、あらゆる食糧部門において自給率の向上をどうやったらいいかというところに農政の焦点を置いて頑張ってまいりたいと思っております。
  118. 石井一二

    石井一二君 次に、国民に対する政府のうそという言葉を私もちょっと恐縮しながら申し上げておりますが、法的処理の解決はだめだと断言をしておるところに問題がある。だめであり、どうしても財政投入と住専処理機構の設立が唯一の方法である、こういう見解に対して若干論議を求めてみたいと思うわけであります。  そこで、法務大臣、先般我が党の愛知議員の質問に答えて、平成八年二月九日、あなたは現在のスキームがベストであるというように御答弁されておりますが、現在でもそのお気持ちは変わりませんか。
  119. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) そのように考えております。
  120. 石井一二

    石井一二君 聞こえなかった。もう一回お願いします。
  121. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) そのように考えております。
  122. 石井一二

    石井一二君 全体として申しますと最良のものであるというふうに考えておりますというんですが、その理由を私は聞かせてもらいたいと思うんです。
  123. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) 私の所管にかかわりません部分も多い問題でございますので、全体としてスキームが最良のものであるということについては一部お答えを差し控えさせていただきたいと思っております。  私の関連のことでお話をさせていただきたいと思っているわけでございますが、委員から今御指摘がございましたように、法的な処理をすることと今回のスキームとの是非についての御議論をいただきまして、そのときの私の答弁について今お話があったかと思うわけでございます。  その際のお話といたしましては、例えば一般の破産法による処理または会社更生法による処理というような御提案がございまして、いずれもそれぞれの持っております問題解決への方法のよさはあるということは承知をいたしております。しかし、この問題に関しまして、非常に多くの債務、債権というものが複雑に入り組んでおりますことと、問題の解決のためにやはり早期の方法を明示していくというような必要性から考えますと、破産処理、または本来会社を更生する、いわば更生の可能性があるということで始まります会社更生法による処理、これはいずれもこの問題の処理のためには適切ではないのではないかと、そのような趣旨の答弁を私は申し上げたというふうに記憶いたしております。
  124. 石井一二

    石井一二君 あなたの答弁はそんなに詳しくないんですよ。とにかくこれが最良のものだと、そういうことだけなんです。だけれども、今は詳しくてありがとうございます。  それで、法的処理ということは法でぴしゃっと解決していくわけですが、あなたは法を遵守するということの重要性についてはどのようにお考えですか。
  125. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) 法務大臣としての仕事は法秩序の維持と国民の権利を守ることというふうに承知をいたしております。したがって、法体系の維持というようなことにつきましては、それは私の職務であるというふうに考えております。
  126. 石井一二

    石井一二君 大変力強い御答弁をお聞きしたと思うんです。  過去のことを申して恐縮ですが、あなたがかつて選挙に立候補されたときに、民生委員を総動員して選挙運動をして、これは法律違反だという一つの物議がございましたが、そのことについて今あなたの御心境を御披瀝願いたいと思います。
  127. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) お答えを申し上げます。  民生委員法には、民生委員がその職務に関しまして政治的な活動をしてはいけないという規定があることは私は十分承知をいたしております。しかし、民生委員は一方において一人の市民でございまして、例えば選挙権を行使する、それから一定の政治団体を支持するということは認められていることであるというふうに思います。職務に関しまして一定の政治的な主張を押しつける、例えば御自分の担当の生活保護の被保護者に対してそのようなことはしてはならない、これは法律の趣旨であると思います。  今、委員が御指摘になりました件は、民生委員団体が私を支持していただきましたときに、その団体のいわば政治連盟としての名称ではなくて、民生委員協議会というような封筒を使いましてそういったお知らせをした、これは非常に紛らわしい行為ではないかというような御指摘であったというふうに承知をいたしております。  確かに、このような紛らわしいことをするということは大変問題であるということで、この点につきましては厚生省からも御指導をいただき、また福祉関係の政治連盟からも今後このようなことのないようなきっちりとした指導をしておるというふうに承知をいたしております。
  128. 石井一二

    石井一二君 私は今ここに当時の、平成四年二月二十一日、山下大臣と水田議員との関連の質疑の議事録も持っておりますが、時間の関係もございますし、今後法を遵守していくという大臣の御答弁を多として、引き続いてこの法的処理に関して他の角度から論議を進めてまいりたいと思います。  私は、ここに二つの引用文をまず御紹介申し上げたいと思います。  一つは、アエラの十一月十三日号、「大蔵は会社更生法が怖い」、すなわち大蔵省から天下っておる住専の役員に対する責任追及、法的処理で管財人がばしばしとやってもろうたら困るんだということを書いておるのが一つでございます。  もう一つは、毎日新聞の三月七日、これは「「破産法、役に立たぬ」とは何事か」ということで、我々の同僚でございます二院クラブの佐藤道夫参議院議員が「住専処理策に異議あり」と元札幌高検の検事長でございますが、こういった角度から現在のスキームということに対していろいろ論戦を挑まれておるわけでございます。  それで、先ほどは法務大臣になぜ今のスキームがベストかということをお聞きしましたが、銀行局長の所見を承りたいと思います。
  129. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 私ども、金融機関の処理に関しまして、法的な手法、法的な処理自体を避けるとかいう考え方は全くございません。  今回の住専処理に当たりましても、例えば住専からお金を借りている人、住専の債務者を住専処理機構は引き継ぐわけでございますが、そのような債務者との関係につきましては、会社更生とか破産とかそういう法的な手法も含めまして、あらゆる手段を講じて債権の回収に臨む、こういうことでございます。  しかしながら、私どもが会社更生法や破産法の適用ということによって問題が解決できないのではないかと申し上げておりますのは、住専住専に対するお金の貸し手である金融機関、この関係の処理については法的処理というものはなじまないのではないか、こう申し上げているわけでございます。  すなわち、仮に法的な処理を行いますという場合には、まず、例えば会社更生法の場合にはその会社が更生される、立ち直るという前提で物事が始まるわけでございます。しかしながら、住専については既に関係者がこれを清算するという前提で物事が運んでいるわけでございます。  もとより、清算型の更生というもののあることも存じておりますけれども、しかしながらそれは手続が始まります時点におきましてはあくまでも会社は更生されるという前提に立って始まることでございます。途中におきまして清算する以外の方法がないということになりました場合にそういう手段があるということは私どもも承知をしているわけでございます。  また、この会社更生手続をとりますためには関係者の間の合意が必要なわけでございますが、関係者、すなわち母体行は債権額の二八%、一般行は三〇%、系統は四二%、このような割合の債権を持っているわけでございます。その関係者の間の意見がまことに厳しく対立をいたしておりまして、例えば更生計画案の決定に必要な債権者の債権額の三分の二以上の同意を取りつけるというようなことは恐らく難しいのではないか、こういうことがございます。  また、仮にそういう手続が開始されました場合の結論でございますが、恐らく現在政府提案しているものに比べますと、必ずしも金融機関の体力というようなもの、あるいは過去の経緯というものを反映した答えにはなりにくいのではないかというふうに拝察するところでございます。  そういう意味におきまして、今回のこの案件の処理につきましては、法的な処理にゆだねますよりも、このような形での関係者の間の合意によって解決をすることが適切と、このように考えている次第でございます。
  130. 石井一二

    石井一二君 あなたの答弁の中で重大な考え違いがあると思いますのは、債務者を責めていくということは我々も一緒なんですけれども、今法的処置をとった場合、債務者は住専の役員なんです。住専なんです。  ところが、このスキームの場合は住専を逃しておいて不動産会社を責めていくということになるわけです。そこに、天下りの元大蔵省幹部を保護しているんじゃないか、そういう観点があるということと、あなたは法的に難しい難しいと言われますが、もっと難しいのは、今のスキームでやった場合に、営業権譲渡のための特別総会あるいはまた和議、今はもうそれがだめだという見込みで和議ということでお考えのようですけれども、和議法関連の、あるいはそれの三分の二という多数がとれるかどうかということについてどのような読みをしておられるか。そちらの方が実現しない可能性が強い、行き着くところは最終的にもう一度破産なり会社更生に戻ってくるんじゃないか、私はそう思います。どうですか。
  131. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 恐らく、御指摘は日本住宅金融の問題について御質問であろうかと思います。  日本住宅金融は一部上場会社でございますので、他の住専に比べまして個人株主が多いとは聞いております。各住専におきましては会社整理の方針で議論を進められているところでございまして、各住専における株主総会の開催をも含めまして株主に対する対応等は会社及び母体行等において現在努力されているものと聞いております。その点については遺憾なきを期しておられるものと確信をいたしております。
  132. 石井一二

    石井一二君 遺憾なきを期しておると思うという他人事みたいなことを言うことは実にけしからぬですよ。  違う角度からもう一つ申し上げますけれども、債権者というのは母体行、一般行が債権を放棄したりしてもほかにたくさんおるわけですが、そういった方に対して住専処理機構が先取特権を持っておるわけでも何でもないわけなんです。こういった面についてどう考えておられるか。
  133. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 住専処理機構が住専から引き継ぎました債権はもちろんもとの契約関係に応じたものになるわけでございます。それは当然のことでございます。したがいまして、当初住専が持っておりました債権の性格、契約の内容に基づいてその回収が行われるということもこれまた当然のことでございます。
  134. 石井一二

    石井一二君 ここに三月十六日付の日経がございますけれども、住専分の五倍の債権者がおると。私は、こういった中で現在のスキームでは再建が非常にうまくいかないということをここで強く指摘をし、また同僚議員が別の機会に一連の質疑の中でこの問題を追及してくれることと思います。  私は、今政府の大うそという観点で以上四つ述べましたが、五番目に、今回十二月ごろになって急にこの問題をどうしても解決したいと言われた裏には、外圧ともいうべきいろんな圧力がほかからかかっているのじゃないかという気がしてならないわけであります。  その一つは、今我が国が持っておる米国の国債、この金額がどれぐらいになっておるかということを問い合わせても絶対に資料が出てこないのですが、この現状について、久保大蔵大臣、どの程度の米国国債を今我が国関係者が保有しておりますか、わかればお教えいただきたいと思います。
  135. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 今手元に資料がございませんので、調べまして御報告させていただきます。
  136. 石井一二

    石井一二君 これは今手元に資料がないなんて悠長なことを言ってもらっては困ります。十日も二週間も前に文書で資料請求をして、その結果資料が出せないという回答が来て、局長に来てもらってどうのこうの言うた結果、やっと不十分な資料が出てきた。  私は今ここに富士総研の調べた資料を持っておりますけれども、米国債の二七%を日本が民官両方合わせて持ち、世界一の米国債の保有国であると。こういった中で、今、大統領選挙を前にして米国の国債がどんどん売られる、住専処理のために。これは選挙にとって非常なマイナスだ、これを何とかしてくれという特別な指令がおりておるのではないかと、そのような気がしてならないわけであります。  総理はバンコクにことし行かれましたけれども、同行筋のバンコクの報道としてここに書いておるが、三月一日の日経新聞でございますけれども、日本の金融機関は米国債の一割以上を保有しており、米国債を売りに出る公算が強いと。その場合、米国の景気に悪影響を与え、大統領選挙を控えたクリントン政権にとって耐えがたい事態を生ずると、こういう指摘がなされておるわけであります。同じような指摘は他の雑誌にも幾らか出ておりまして、こういった観点から総理、何か身に覚えはございませんか。
  137. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御質問を受ける立場でありますが、どういう意味の御質問でありますか。
  138. 石井一二

    石井一二君 ポーカーフェースという言葉がありますが、わざとわかっていてそうおっしゃるのか、わかっていなくてそうおっしゃるのか。  あなたとクリントン大統領のサンタモニカ会談、わずか三十分でございますが、この会談の中身においてもあなたはこの問題に言及しておられる。また、レビン米財務長官が来られたときにも、この問題をどうしても解決しようという強い指示がおりておるような報道もたくさんございます。また、ソロス氏が一月にやってきて、この問題を解決しないと日本の株界というものを撹乱してみせるぞといったような強い態度で物を言ったという実績もございますし、二月には大蔵省・日銀が二百億ドルに近い空前のドル介入をやったと、そういうこともこの関連として指摘をされておるわけであります。  したがいまして、私はあなたがサンタモニカへ行かれたこと自体が、大統領がお越しになるまでにはこの問題は解決しておきますといったような会話があったのかなかったのか、そういう問題も含めて御質問をしておるわけであります。
  139. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは私ばかりではなく、恐らく市場に影響を与えかねない立場にある人間がそのような不穏当な会話をするとは思いません。
  140. 石井一二

    石井一二君 不穏当という意味の御説明を願います。どういう意味ですか。
  141. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 市場に影響を与えると言いかえても結構でありますが、特定の国の国債を売却する、あるいは買い取る、いずれの場合におきましても、市場に影響を与えることであることは委員よく御理解のとおりであります。
  142. 石井一二

    石井一二君 それが不穏当ですか。  例えば、これは「選択」という私の大好きな雑誌でありますが、三月号に、「不良債権「八十兆円」の重圧」という中でも同じことが指摘されており、今回の住専問題と米国債、我が国の民間金融機関、なり政府がそれを売らないようにするということが一つの関連性を持った問題であるという指摘がなされております。一つの新しいそういう視点があるということを御認識していただきたいと思います。  次に、久保大臣にお聞きしますけれども、よく国際信用の維持のためにこの住専が大事だということを言われますけれども、大和銀行事件というものがニューヨークで勃発し、今度司法取引ということがなされた。また、長銀ニューヨーク信託という問題も新たに立入調査を受けておる。こういったことをほっておいて、わずか六千八百億のこの問題が国際的な信用だという論理に私は無理があると思います。その点いかがでしょうか、御所見を賜りたいと思います。
  143. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 大和銀行ニューヨーク支店等の問題は、これは極めて国際信用にかかわる重要な問題だと思っております。  今六千八百億の話とおっしゃいましたが、これは直接は関係のない、そしてその六千八百億という財政支出を通じて、四十兆近いと言われる不良債権処理のまず象徴的喫緊の問題、住専問題を処理するという極めて大きな問題で、直接的には大和銀行問題とこれを結びつけて考える問題ではないと、こう思っております。
  144. 石井一二

    石井一二君 あなたがしょっちゅう国際信用が大事だ大事だとおっしゃるから、大蔵省としては大和銀行のような問題を起こしておると国際信用を傷つけますよ、むしろそちらの方がインパクトが大きいんじゃないですか、しっかりやってくださいということで関連性があると、こう申しておりますので、ひとつ御検討をお願い申し上げたい、そのように思います。  なお、最後に、と申しましても全体の最後じゃなしに、政府国民に対してうそをついておるんじゃないかという六つのうそという中の最後ですが、財政の投入は今回の住専限りだという言葉をよく聞くわけでありますが、私はそれではおさまらない。ノンバンクの問題もございます。また、今国会に出されております特別勘定の設置ということが預金保険法の改正案に並んで起こっておりますが、このことについて大蔵大臣の御所見を賜りたいと思います。
  145. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御指摘のとおり、ノンバンク問題は極めて重要な問題でございます。この住専処理も広い意味でのノンバンク問題の処理の一環ではございますが、そのほかにもノンバンクは住専を含めまして総額で八十九兆円の貸付規模を持っている大きな存在でございますので、今後それに関連いたします不良債権処理は逐次進んでまいると存じております。そのような問題の解決の大きな糸口といたしまして、この住専問題も位置づけられているものと考えております。  なお、住専以外のノンバンクにつきましては、公的な関与の対象にしないという意思決定がなされているところでございます。
  146. 石井一二

    石井一二君 私の質問の半分にしか答えていないんですよ。私は、この預金保険法改正絡みで、今回設けんとしておる特別勘定の設置、これが公的資金をさらに誘発するんじゃないか、そういうことを申し上げております。  ここに四月二日付の毎日新聞がございますが、はや「財政資金五千億円必要」というような記事も出ておるわけでございまして、このことがはっきりとこれ以上公的資金は投入しなくて済むんだということを断言できるのかどうか。大臣、いかがですか。
  147. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 十二月二十二日の金融制度調査会の答申にも、信用組合の破綻処理に関しましては預金保険機構の特別保険によって処理をいたしますほか、この問題に関しては預金者を保護するために納税者である国民に負担をお願いすることがあるという意味の答申が出されてございます。これらの答申の趣旨も尊重をしながら、今回特別保険の問題等とあわせて金融三法の中で御審議をお願いすることといたしております。
  148. 石井一二

    石井一二君 今のお話を聞いておりますと、また財政投入やむなしと、そういうニュアンスがありありとうかがえるわけでございまして、私はこういったことを国民にはっきりと事前に御説明申し上げて対応をしていただきたい、そのように思います。  では一応、政府はうそをついておるんじゃないかという六つの観点から離れまして、私は将来的な問題として、以下の、また六つですが、なぜそんな六が並ぶんだと、原案がろくでもないからだと言われると困るんですが、六つだけ問題点を指摘しておきたいと思います。  一つは、系統役員とかあるいはまた住専の役員等に、だれにどう責任をとらすのか、これをやはり我々は国民の前にはっきりしていく必要があると思います。大蔵大臣、いかがですか。
  149. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 住専と……
  150. 石井一二

    石井一二君 だれにどういう責任をとらせていくかということですよ、最終的に。
  151. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 法的な責任、例えば経営者としての背任等の責任は、当然これは司法の手によって追及されるものと考えております。これらの事実が明らかになれば、司法に対してそのような手続をとるということもあろうかと思っております。それから、経営そのものに対する責任のとり方ということは、これはみずから決せられる部分も多いと思います。  ただ、私どもは、この住専問題を処理してまいりますためには、いろいろな立場からの責任を明確にし、その責任をどのような形できちんととっていくかということについて、この住専処理機構の活動の中でも進めていかなければならないし、また国会においても立法府の責任においてそのようなことをなさるんだと思っております。衆議院においては、既に特別委員会の設置をお決めになったと聞いております。  そのような立場立場におきましてこの問題を究明していく中で、その責任がどのような内容のものかによってその責任のとり方は決まってくるものだと思っております。
  152. 石井一二

    石井一二君 かつて、久保大臣が母体行の責任を促されたという新聞記事がよく出まして物議を醸されましたが、その後トーンダウンされておる。そういう意味で、どのように考えておるかお聞きしたわけでございます。特に、商法の二百六十六条、農協法の三十九条、このあたりの観点で、今後、国民はだれがどういう責任をとるかということを見続けておる、そういうことを理解してどんどんこの問題を進めていただきたい、そのように思います。  次に、地価でございますが、我々は路線価を中心に話をしております。また、その先行きというものが負債額を大きくもし小さくもする。そういう中で土地政策が極めて重要でありますが、国土庁長官、この問題を路線価で論ずることの理由なり、それに対する考え方、またあるべき土地政策、流動化という観点からどのようにお考えでございましょうか。
  153. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 今後の土地政策の観点でございますが、経済社会の状況の変化に的確に対応しつつ、ゆとりある住宅とか住環境の形成、快適な安心できる町づくり、新しい産業構造への転換などを図っていくためには、地価がこのような状況にある今こそ、所有から利用へ転換をするという観点から土地の有効利用を一層促進することが必要だと考えます。土地の有効利用に伴って土地が動き、不動産市場が活性化するということが重要な今日的な認識ではないかと思っております。  現在、政府といたしましては、道路、公園等の公共用地の取得の問題や、再開発等の開発事業に対しましての援助の問題や、東京土地有効利用促進協議会による低未利用地に関する情報の交換などを中心にいたしまして、公共、民間両面にわたって対策を強めているところでございます。今後とも、安心した町づくりの問題や防災町づくりの広い観点から、関係省庁とまた相談をしてまいりたいと思っております。  特に、私といたしましては、有効利用の促進に向けまして、今月二十二日に各界の有識者の方々に御出席をいただいて、有効利用についての意見を聞きたいと思っております。そして、その後、四月二十四日に土地政策審議会を開きまして、これからの土地政策の問題についても議論をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  154. 石井一二

    石井一二君 いずれにせよ、塩漬けになっておる土地というものが動かないと問題が解決しない、だがしかしまたバブルがもとへ戻ってどうにもならぬと。難しい選択だろうと思いますが、ひとつ我々もどんどん意見を述べさせていただきますので、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、株主代表訴訟ですが、株主代表訴訟は果たして乗り切れるのか。これだけ無理なことを銀行筋に押しつけたらかなり苦しいという説もあると思いますが、株主代表訴訟についてどのようなケースが想定されるのか、民間は大丈夫なのかということを含めて、大蔵大臣、御所見があれば承りたいと思います。
  155. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 今回の住専処理方策は、放置すれば究極的には金融機関の破綻による金融不安により影響をこうむりかねない国民の皆さんの預金を守るとともに、経済の動脈と言われる金融に対する不安感を一掃いたしまして、景気回復を確実なものとするために検討された成果でございます。  このような趣旨は、各金融機関の株主の方々にもその趣旨を十分御理解いただけるものと私どもも考えておりますし、このスキームに対して、要請をされました金融機関の側におかれましてもそのように理解をされて賛成していただいているものと考えております。
  156. 石井一二

    石井一二君 株主代表訴訟に関して西村銀行局長が大うそつきだという話があるわけなんです。その事のてんまつは、昨年の十二月十六日、十七日に母体行代表を呼びつけて、そのときあなたは「法的問題を遮断する新たな対応をとる」ということを発言されたと、それがエコノミスト九六年二月十三日号等にも出ております。ところが実際はとれなかった。また、連立与党の責任者会議には、株主代表訴訟についてのことも中に入れた案というものを十二月二十日に出して、十二月二十日の各紙にそれが載っているわけでありますが、閣議決定の段階でそれが削除されたといういきさつがあるように記録上はたどれるわけであります。このことについて御意見があれば承りたいと思います。
  157. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) この問題を検討しております過程におきまして、金融機関の方々の間に株主代表訴訟というものに対する不安が大変強かったということは御指摘のとおりでございます。  私どもも、そういう金融機関側の方々のお気持ちというものをどのようにして御納得いただくかということについていろいろと苦慮したというわけでございますが、もとより、例えば法律をもちまして株主代表訴訟が起こらないようにするというようなことは、恐らく憲法上の建前からいっても余り適切なことではなかろうかと存じます。  しかしながら、この問題を解決いたしますために、今回の処理スキーム全体を金融システム安定のために関係者が協力してこれに当たるという趣旨のものに構築するということは、ひいてはそういう株主の方々の御理解を得るために大きく貢献するのではないかと、そういう考え方のもとに今回の処理策を決定いたしましたところでございます。
  158. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  159. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記を起こして。
  160. 石井一二

    石井一二君 今住専問題についていろいろ質問させていただいておりますが、時間も大分押してまいりました。また、出典等を明らかにせよという御注意もいただきましたので、一たん住専問題から離れて、橋本総理の政治姿勢について質問をいたします。  総理は、厚生大臣の秘書官に就任されてから政治の分野に入り今日まで、昭和三十八年十一月の御当選を含めて活躍してこられましたが、この長かった政治生活というものを振り返って、イバラの道であったかとも思いますし、御努力の跡も、厚生大臣、運輸大臣、大蔵大臣等々を経た中でいろんなことがあったと思いますが、その辺について御所見があればまず承りたいと思います。
  161. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昭和三十八年の十一月選挙で当選をさせていただきましてから随分長い時間がたちました。その中で、そのときそのとき、自分に与えられた役割に自分なりに一生懸命取り組んできたと思います。いろいろな局面でいろいろな決断をしてまいりましたこともありますし、振り返って後で悔いたこともありますが、自分なりに全力を尽くしてきたと思っております。
  162. 石井一二

    石井一二君 いろいろ記録をたどっておりますと、厚生大臣の時代には日中病院の中国における建設等についても御尽力なされたとか、あるいは運輸大臣のときには旧国鉄の清算事業団についての案を出された。だがしかし、今これが非常にうまくいっていないということを残念に思います。また、蔵相時代にはいわゆる証券不祥事というものが出まして、この責任をとっておやめになったが、その裏には秘書の不正融資の事件が絡んでおったとも巷間言われておるわけであります。また、通産大臣のときは日米通商交渉で活躍されましたけれども、CIAの盗聴事件というものが起きて、それについては日本側として十分なクレームをつけるというような状態もなしに何となくこの問題がうやむやになっておる。そして今、総理に就任された早々、住専の問題とエイズの問題が出ておる。  エイズ関連につきましては、私は先ほどエイズ関連のミドリ十字がメンバーになっておる政治団体から幾ら献金をいただいておられるかということを聞きまして、歴年で二千万円という数字が出ました。これは表に出た、旧法のもとにおける百万円以上等を足したものであろうと思いますが、それ以下のものを含めてどの程度のミドリ十字との御関係になっておるか、わかればお聞かせをいただきたいと思います。
  163. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほどお答えを申し上げました例えば福祉経済研究会手元にありますものをそのまま読み上げさせていただきます。平成六年二十四万円、平成四年七月百万円、平成三年八月二十四万円、平成二年六月二十四万円、平成元年四十八万円、先ほど御報告を申し上げました福祉経済研究会二百二十万円と申し上げた内訳がそれであります。  大阪昇龍会、同じく平成六年三十六万円、平成五年三十六万円、平成四年三十六万円、平成三年三十六万円、平成二年三十六万円、平成元年三十六万円、計二百十六万円であります。  そのほかといたしまして、平成五年百万円、平成四年百二十四万円、平成二年百万円、平成元年百万円、それぞれ集計をいたしまして四百二十四万円であります。
  164. 石井一二

    石井一二君 公表を義務づけられておるもの、そうでないものを含めてミドリ十字からの献金は以上ですべてであると、そう理解させていただいてよろしゅうございますね。
  165. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私自身の政治資金関係の責任者に調べてもらったものでありますから、ミドリ十字から後援会費として収納いたしておるものは以上であると思います。  ただ、先ほど委員が薬業政治連盟の数字を言われましたが、薬業政治連盟団体でありますから、その構成までは私にはわかりません。
  166. 石井一二

    石井一二君 あなたの政治団体の入金関係を見ておりますと、倉敷市長が毎年献金しておられるんですが、渡邊倉敷市長とはどういう御関係でございましょうか。
  167. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 渡邊市長の御父君と私の父親は、長い間、公私ともに非常に仲よくいたしておりました。そして、先日亡くなられ、明日葬儀を控えております故渡邊倉敷市長は、私にとりましても公私ともの親友であります。
  168. 石井一二

    石井一二君 渡邊市長が個人的に献金をされた、あなたの後援会に入ったと。あなたの後援会から渡邊市長の後援会に同額がまた献金されておるという事実を御存じですか。
  169. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変申しわけありませんが、私は自分の政治資金の問題について、誤解を生じないためにも政治資金の責任者と全く別に行動しておりますので、個別の問題までは存じません。
  170. 石井一二

    石井一二君 だがしかし、あなたに責任がないという問題ではないと思うんです。これは税法上の問題にもつながる話であろうと思います。  不幸にもたまたまこの四月に故人になられましたのでこれ以上この問題を今取り上げませんが、はっきりと記録に出ておるということをここで指摘しておきたいと思います。
  171. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  172. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記を起こして。  ただいまの件につきましては、速記録を精査の上、後刻理事会で協議をいたしたいと思います。
  173. 石井一二

    石井一二君 それで、あなたの過去のいろんな活動の中で、何か問題が起きると必ず出席率が非常にいいんです。例えば、リクルート事件のときには二百四十万円、証券スキャンダルが起きたときは水戸証券から、あるいはまた入院給食有料化が実現した直後には日本メディカル給食政治連盟から百万円、住専関連では、既に御発表になりま円したけれども、四社から一千万円。  こういった中で、先般、フォーカスでしたか、ある雑誌にサンピアという、厚生年金事業団の事業、川崎系統の会社が流れた中で、川鉄の高級社宅というものを便宜供与と思われる可能性があるという、あなたが御使用になっているという実態が出ておりましたが、あれはどれぐらい家賃をお払いになっているんですか。
  174. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 小選挙区制が実施をされるということになりまして、従来、私は岡山県総社市に自宅を持っておりましたが、地元を離れて倉敷に選挙区を移すことになりました。そして、その新四区となりましたときから移るべき家を探しておりました。たまたま昭和五十九年から空き家となっており、川崎製鉄としても取り壊しか売却を考えておられた昭和四十二年に建設された浴室つきワンルームの集合した寮を拝借することにいたしました。そして、すべてをこれは私が借りる必要のある大きさでもありませんので、双方の意向で寮のうち居住に必要なスペースのみ、すなわち二階部分に六つの浴室つきのワンルームが備わっております、そのうちの二室を私と家内の部屋に、一室を長男用として改修していただき、現に居住をいたしております。  今、私もちょっと賃貸料は幾らかというところまでは存じませんので、必要でありましたなら後ほど理事会の方に資料として提出をさせていただきます。
  175. 石井一二

    石井一二君 この家賃については、きのう事前にお願いを申し上げておるわけでございまして、本来ならばいただいて当然のお答えであろう、そのように思います。  また、川鉄関係の会社が建設したサンピア、この工事を行った工務店と、あなたがかねて御関心の九段に建つ予定の日本遺族会に運営を委託する予定になっております祈念館、これはまだ工事が発注されておりませんが、一たん発注された、その前に談合の疑いがあるという通報があって、にもかかわらず予定どおりの会社が落札をしたということで朝日新聞が大きく報じたことがございます。  それと工務店も同じですし、私が冒頭申し上げました、あなたが厚生大臣当時、中国に若干御意向を出された日中病院も同じ工務店だと。その工務店が今自由民主党に対しまして五億六千万円の献金を行っておる。また、ミドリ十字は同じく党に対して、これはあなたじゃありませんよ、八千二百万円という献金を行っておると。これとあなたとの御関係は、まさか全然ないですよね。念のためにちょっと確認させていただきたいと思います。
  176. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 自由民主党に対する献金と、私は党の総裁でありますから、関係という意味はどういう意味なのかわかりませんが、自由民主党に献金をしておられるということでありますなら、自由民主党の総裁として当然その献金を受け入れる最高責任者であろうと存じます。  ただ、それが私的な云々と、関係というような意味でお尋ねでありますなら、私的な関係ではございません。
  177. 石井一二

    石井一二君 私は、ここに平成六年三月十九日の朝日新聞を持っておりますが、「政治家の巧妙な「税逃れ」」として、「政治資金規正法でもすり抜け可能」と。県連や支部に手数料を払って、いわゆる迂回献金というものが指摘をされておるわけであります。  私は、あなたと余りにもそういった過去の関係が深いこういった団体会社が大阪府連に対して通常考えられないような多額の献金をなさっておる中で、よもやあなたとの御関係がないかということを確認したわけでございまして、将来確認してそういう関係が出てきた場合には、今のお答えをもとにして、また我々としては次の質問をさせていただきたい、そういう経過で御質問をさせていただいたことを御理解いただきたいと思います。  あと、いろいろお伺いしたいと思いますが、ここで一たん同僚の白浜議員に関連としてバトンを渡したいと思います。
  178. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  179. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記を起こして。
  180. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど党としての政治献金と私の関係というお尋ねがございました。そして、私は党本部に対して行われている寄附でありましたなら、私自身が知る知らずにかかわらず、総裁として全くかかわりがないということ、お答えはいかがかと思いました。  しかし、都道府県レベルあるいはその支部等に行われました寄附についてまで総裁として私がかかわりを持つことは……
  181. 石井一二

    石井一二君 当時は総裁ではないですよ。
  182. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) それであれば、なおさら不可能であります。
  183. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  184. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記を起こして。  ただいまの石井君の発言につきましては、速記録を精査の上、後刻理事会におきまして協議することといたします。  関連質疑を許します。白浜一良君。
  185. 白浜一良

    ○白浜一良君 住専問題に関連いたしまして、少し時間をとって総理大臣初め閣僚の皆さんに御質問をしたいと思います。昼過ぎというのは、委員会をやっておりましても停滞しますので、気合いを入れてやりたいと思います。  まず、総理大臣、私これは通告していないんですが、昨日、衆議院で八年度予算が成立いたしまして、本日から参議院で審議が始まったわけでございます。昨日のテレビ朝日のニュースを見ておりましたら、衆議院を通過した段階でも、緊急の世論調査を見ましたら、予算案の衆議院通過、支持するが九・六%、支持しないというのが七五・一%。二カ月以上の衆議院における審議があったわけでございますが、いまだに国民の皆さんの意識というのはこういう段階であるという事実を、これは一つの世論調査でございますが、総理大臣としてどのように受けとめられますか。
  186. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この問題が始まりましたときから、私自身に対して届きます手紙等におきましても非常に厳しい御意見を寄せてこられる方が多数ありました。そして、その状況は今日も続いております。しかし、その上で、私は何回も申し上げておりますように、昨年の夏以降、関係者が日本の金融の不良資産の処理というものを真剣に見据えた中で、一番喫緊の課題として住専、この問題を処理しなければならないという必死の思いの中の議論を続けてきて、我々としてはこれ以外に方法がないという決断を下してきたこの方向について、何とか国民にも御理解をいただきたいと思いますし、むしろこのスキームを早く動かせていただくことによって少しでもこの実態を明らかにしつつ、不良資産の回収、投入した資金の回収というものにも全力を挙げていきたい、そのように思います。
  187. 白浜一良

    ○白浜一良君 今の総理のお話というのは、政府姿勢といたしましては、昨年このスキームができたときもそうでございましょうし、またこの常会が始まって予算審議がされているときも同じような御趣旨のお話をされているわけで、それでこれだけ、二カ月余り、いろんなトラブルはあったにせよ衆議院審議して、今なおかつ総理の期待されているような、そういう国民の皆さんの理解を得られないという事実、そのことをどう思われますかということを私は言っているんですよ。
  188. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、ちょうど消費税の大変国民の御批判の厳しかったときに、自由民主党の幹事長として参議院選の矢面に立ちました。そのときも、同じように非常に厳しい国民批判を浴びておりました。その後、大蔵大臣になりましてもその逆風は続いておりました。しかし、今、賛否と言われれば多分税金についてみんな賛成はなかなかなさいません。しかし、消費税というものが定着してきていることはお認めがいただけると思います。  私は、この住専処理スキームというものが動き始め、同時にその貸し手あるいは住専本体、その他責任のある者が司直によってきちんと法の運用の中で摘発されるべきは摘発され、回収されるべき資産が回収され始めていけば、必ず国民はわかっていただけると思っております。
  189. 白浜一良

    ○白浜一良君 これ以上議論はやめますけれども、午前中も消費税の例をお出しになっていましたけれども、消費税と今回の住専処理の問題は、これは明らかに違うんですよ。明らかに違うんです。要するに、歳入そのものをどうするかという議論と、民間会社である住専のいいかげんな経営の穴埋めに税金を使うということとは全く違うんですよ。  私は、きょうはその議論がメーンじゃないんでちょっと角度を変えますけれども、結局なぜ国民の皆さんが理解されないかといいましたら、いろんな経緯はあったにせよ、二カ月余り国会で論議をして、それでもなおかつ六千八百五十億円というそういう税金を使う根拠がわからない。率直にわからないんです。  それから、事実を解明しますとか責任を追及しますとか、確かに制度ができてからしかできないこともございます。それはよくわかっています。しかし、国会で二カ月余り議論をして、いまだにそういうことが形に、目に見えない、国民の皆さんが。私はそういうことが強くあると思うんです。  そして、そのことはこの参議院の予算委員会におきまして順次議論されますが、もう一つ私、大きな問題だと思いますのは、要するに政府内閣としてこの予算案を組まれる。そうすると、衆議院、参議院で予算審議をいたしましても、一字一句修正しないんだという強い政府姿勢があるわけですね。今回、すったもんだの末で総則に一条追加された。衆議院におきましては、一種の修正で合意されたわけでございます。  だけれども、予算の確かに提出権というか、そういうようなものは内閣はお持ちでしょうけれども、国会というのは国権の最高機関ですから、衆議院、参議院で議論をするわけです。そして、何らかの修正があってもそれはごく自然なことだと私は思うわけですが、なかなか、何回議論をやってもそうならないという今の予算国会審議の関係が国民の皆さんが非常にわかりにくい一つの理由じゃないかと、このように私は思うわけでございます。  そこで、総理にも御意見を伺いたいんですが、まず久保大蔵大臣。私ども昔同じ野党として、久保大臣は私どもの大先輩でございますし、一緒にいろいろお仕事をさせていただきました。当時、自民党単独政権時代は、幾ら国民のためにということで予算修正を頑張ろうといってもそれはなかなか実現しなかったという経緯は十分経験されているわけでございますが、この内閣予算の提出権と国会審議における修正権の関係というのは、いろいろ党の幹部として経験してこられましてどのようにお考えになりますか。
  190. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 内閣予算提出権と国会修正権の問題に関しては、国会でも古くから議論のあったところだと思っております。私の記憶では、たしか五十二年であったと思いますが、国会において一つの見解が示されて、そのときはそれが一つの考え方として了承されたのではなかったかと思っております。結局、憲法に定める内閣予算提出権とこの修正権との調整の問題だと思っておりますが、私は国会には修正権は存在すると思っております。  ただ、それが内閣予算提出権を、憲法に定めるものを根本的に侵害するかどうかというのは、これはその事例に基づいて調整を図る以外にないんじゃないかと思っておりまして、御審議を願って国会修正が行われるということについて私どもがこれに異を申し立てるようなことではない、こう思っております。
  191. 白浜一良

    ○白浜一良君 そこで、法制局長官、今お話に少し出ましたけれども、要するに法制局の見解といいますか、政府の統一見解と申しますか、両者の関係を少し説明していただけますか。
  192. 大森政輔

    政府委員大森政輔君) お尋ねの内閣予算提案権と国会予算修正権との関係につきましては、ただいま大蔵大臣から答弁がございましたとおりでございます。  正確を期すために念のために申し上げますと、昭和五十二年二月二十三日の衆議院予算委員会におきまして政府の統一見解なるものが述べられております。それを紹介いたしますと、   国会予算修正については、それがどの範囲  で行いうるかは、内閣予算提案権と国会の審  議権の調整の問題であり、憲法の規定からみて、  国会予算修正内閣予算提案権を損わない  範囲内において可能と考えられる。と、このように述べられております。  この見解は、その後変わらず維持されているものと承知しております。
  193. 白浜一良

    ○白浜一良君 長官、もう一つお聞きしたいんですが、この解釈はいろんな学説があるんですね。国会の方が国の最高機関なんだから、当然修正権の方が優位なんだと、こういう学説もたくさんございます。この政府の統一見解を見ましても「内閣予算提案権を損わない範囲内において」と、ここは非常に解釈の幅があるわけで、そういう意味から申しましたら、国会審議を経て予算修正されるということがもっと普通にあっていいんじゃないか。何かちょっと修正しただけでも内閣不信任だと、もうそういう時代じゃないと私は思うんです。  だから、この統一見解の解釈、法制局長官、(「関係ない、法制局に答えさせる理由もない」と呼ぶ者あり)わかっている。わかっているけれども、いろんな学説があるということもお答えいただきたいし、この解釈に対するお考えがあったらお話しいただきたい。
  194. 大森政輔

    政府委員大森政輔君) 先ほど私がお答えいたしました以上のことにつきましては、私の立場からお答えいたすことは非常に難しい問題であると。事ほどさように、いろいろな立場からのいろいろな見解があるということは委員紹介のとおりでございます。  何か言えということでございますので申し上げますと、要するに……
  195. 白浜一良

    ○白浜一良君 そうじゃない。いろんな学説がある。いろんな学説があるでしょう。質問したんだ、言いなさい。
  196. 大森政輔

    政府委員大森政輔君) 私の立場から責任を持って申し上げられることは先ほど申し上げたことに尽きるわけでございまして、それ以上につきましては、統一見解が出される過程におきまして確かにいろいろな議論国会においてなされたことは議員も重々承知のことであろうかと思います。
  197. 白浜一良

    ○白浜一良君 私の言ったこと、いや、答えもういいです。それはいろんな学説があるでしょうと。そのぐらいあるの当たり前や、本を見たらわかるんやから、そんなもの。そのぐらい言いなさいよ。  それで、総理に最後に見解を求めたいんですけれども、こういう連立政権の時代といいますか、内政、外交ともに難しくなっている時代でございます。今回の住専問題に関して言いましたら、何回も指摘されているように、国民の九割の方が反対していた、いまだに反対も強い、そういうものをこの予算に生かせない、国会で何ぼ議論しても生かせないというんじゃ、国会議論は要らぬわけです。国会の構成の人数だけで、与野党の人数だけで決まるわけです。  国会で時間をかけて審議する意味は何かということを踏まえたら、もう少し予算修正というものに対する政府側の柔軟性というか、そういうものがあっていいんじゃないかと私は率直に思うわけです。また、国民の皆さんも、これはごく当たり前なことですから、そういうことがなかなかできないということに対して、国会に対するいら立ちというか距離感というものをお持ちになっていると私は思うんですが、総理の御見解を求めたいと思います。
  198. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、政府の立場として申し上げます限り、政府としてはその時点で最善の判断をもって予算を編成しておるということを申し上げるわけでありますし、そしてその上で御審議を願っているわけであります。一方、全く立場を変えましたとき、私自身が個別委員会の理事をいたしておりますころに、当時の野党の皆さんと御相談をし、予算に関連する法案修正を行ってきたこともございました。  私は、国会が御論議の末、さまざまな見解を踏まえられて、例えば今回予算書の総則に一文をつけ加えられる修正をなさいましたが、国会の論議の落ちつくところとして示された決断は重く受けとめておりますし、政府とすればこれはやむを得ないことと思っております。  ただ、政府はやはりその時点その時点に最善を尽くしたつもりで予算提案させていただいておる。その提案権というものは憲法によって保障される政府の権限であり、国会との機能の調整は、先ほど久保総理からも述べられましたが、その事象によってまた判断は具体的に行われるもの、私もそのように思います。
  199. 白浜一良

    ○白浜一良君 これはこれ以上議論が進まないと思いますが、やはりこれからの時代というのは、そういう予算というものに対する修正の柔軟性、国会審議の重みというものを反映されるようなものにしていかなきゃならないということを主張しておきたいと思います。  それから、少し時間をとりまして、今回の住専問題の具体的な問題点を指摘したいと思うわけでございます。  まず私が指摘したいことは、今回のいわゆるスキームと言われている住専処理の仕組みがあるわけでございますけれども、これが非常にもうガラス細工みたいなもので、一点崩れたら皆崩れていくという仕組みになっているということを指摘したいと思うんです。  そういう意味で申し上げましたら、もともとの大蔵省の仕組み、いわゆるスキームと言われている仕組みが実態に合わない。西村銀行局長は何回も答弁されておりますけれども、例えば今つくられている六兆四千百億円の不良債権の償却の内訳なんかやっているわけでございますが、その第Ⅳ分類の不良債権にしても昨年の路線価でされているわけですね、路線価。あなたの国会答弁を見たら、時価で評価するんだと答弁されております。しかし、時価という面で言いましたら、ことし一月一日の公示価格が発表された、それをもとにこの八月にはもう路線価が発表されるんです。明らかにこれはもう評価損なんです、下がっているんですから。  ここの分類と実際の中身の問題の違いを、これは銀行局長でいいです、どう考えていらっしゃいますか。
  200. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 確かに、現在の不良債権問題の根底に地価の下落というものがございますので、地価の動向というものがこのような問題の処理に非常に大きな影響を与えるということは御指摘のとおりでございます。私どももそういう問題の取り扱いに大変苦慮しているところはございます。  今回の処理策におきましては、昨年の八月の時点で最新のデータでございます路線価をベースに担保の評価を行ったということでございまして、この処理策策定の時点におきます方策としては最善の策をとったということは御理解いただきたいと存じます。  その後、地価の動向といたしましては下落の傾向がございまして、当時見込みました安全度というものが苦しくなっていく方向に動いているということも私どもは認識をしているところでございます。
  201. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういう答弁あかんわ。要するに、安全度と今言ったけれども、このスキームの中で何が安全度なの、これ。
  202. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 昨年の路線価をもちまして担保の評価をいたしましたということは先ほど申し上げたとおりでございますが、その路線価というものは、地価が動くということをも前提にいたしまして公示価格の八割相当額になっているという意味も踏まえてとった措置でございます。  したがいまして、このスキームの前提になっております担保の評価にはそういう意味での多少の安全度を見込んでおられたわけでございますけれども、しかしながら今回の地価調査の結果を見ますと、例えば東京近辺におきましては一七%程度の地価の下落を示しているところもございますので、そういう地域における担保の処分については回収の段階で一層の努力を要する点もあろうかと、そのように申し上げたところでございます。
  203. 白浜一良

    ○白浜一良君 回収が困難だというような話、それは当然いわゆる二次ロス分の問題は私はわかりますよ。要するに、最初の損失見込み額六兆四千百億、ここを拡大しますよと。これは去年の路線価で出されたわけだから、例えば具体的に聞きますけれども、この具体的な実行がことしの八月以降となってしまったと。そうすると、八月に新しい路線価が出るわけです。明らかにこれは下がっていますよ。どうするんですか、その場合は。この枠組みは崩れますよ。
  204. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) そのような点をも含めまして、先ほど、言葉が適切かどうかは問題があるかもしれませんが、安全度と申し上げたわけでございます。  路線価と公示価格の間には約二割の差がございます。ことしの一月時点での公示価格の動向を見ますと、全国平均で見ますと一けたではございますが、大都市圏におきまして非常に変動の大きいところでは一七%というようなところもございますので、そういう意味ではなお一層努力を要する事態であるということを申し上げたわけでございます。
  205. 白浜一良

    ○白浜一良君 努力を要する問題じゃないんですよ。これは非常にガラス細工の仕組みだから私はちょっとしつこく言うんですけれども、努力じゃないんですよ、この仕組みが崩れるんですよ。  要するに、六兆四千百億、この損失見込みが新しい路線価で拡大しますよ。あなたはしないと保証できますか。そうしたら、安全度というのはどのぐらいあるんですか。今の公示価格は三大都市圏で二八%下がっているんですよ。それを吸収できるような安全度がどこにあるんですか。
  206. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) その点について、路線価と公示価格の差、約二割ということを申し上げたわけでございます。しかしながら、私どもそれをもって何も万全であると申し上げているわけではございませんで、そういう動向を踏まえますと、この処理策を策定いたしました段階よりもなお一層回収等に努力を要する事態になっておるということもまた私ども認めているところでございます。
  207. 白浜一良

    ○白浜一良君 いや、要するに二次ロス分を少なくするという面で回収をするというのは、それはよくわかるけれども、いわゆる最初の損失見込み、これはもうあかんと決めた六兆四千百億円のことを言っています、私は。これが拡大しますよということを言っています。もし拡大したらその分担はどうなるんですかということを聞いているんですよ。
  208. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 今の段階で私どもが策定をいたしました処理方策を改める必要があるところまでいっているとは思いませんけれども、その処理策を実行するに当たりまして一層の努力を必要とする事態だと申し上げているわけでございます。
  209. 白浜一良

    ○白浜一良君 大臣、それは確かに答えにくいことかもわかりません。それはわかります。しかし、実際にスムーズに予算が上がって関連法案が上がったとしても、それは通常国会内で上がるのか延長してから上がるのかわかりません、これからの国会審議ですから。  しかし、随分ずれ込んでいるということは間違いないわけで、少なくとも一月の公示価格は八月の路線価に反映されることは間違いないわけですから、第一次の損失見込み額だってロスが出るのはこれはもうわかっているんですよ。それを努力と。努力の範囲内ですか。この仕組みそのものが物すごく大事な仕組みとしてつくられているわけですから、少しでも崩れてくると全体が壊れてくるわけですよ。  だから、私は現実的に可能性があるからこそどう対応されるのかということを聞いているから、局長は答えにくいかもわかりませんが、大臣ならば。
  210. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 昨年の八月の立入調査の結果に基づいてこの基準がつくられているわけでございますから、そういう意味では、今回発表になりました公示価格がさらに下落をいたしておりますことは、処理機構が引き取ります債権であります担保物件、不動産の価値がそれだけ落ちるわけですから、当然厳しくなってくると思っております。  ただ、銀行局長が今申し上げますように、現在発表されております公示価格で直ちにスキームが崩壊するようなそういう変化にはならない、それは昨年の公示価格の八割を基準にして定めてきたからであると言っております。私も今直ちにこのスキームを崩すという状況ではないと思っておりますが、確かにこれから住専処理機構がこのような状況が続いてまいりますならば非常に厳しいものとなるということは予測されるところでございます。そのためにも、一日も早くこの処理機構を発足させる必要があるのではないだろうかと思っております。  そして、もう一つのことは、それではこの機構ではどうにもならないということで、しばらくこれをまた先送りするということになりますと、さらにその傷口は大きくなっていよいよ処理を困難とするのではないかというようなこともございまして、銀行局長が今申し上げましたことをぜひ御理解を賜りたいのでございます。
  211. 白浜一良

    ○白浜一良君 後段の話は別に私はしていないわけでございます。今のスキームの問題点を指摘しますということで私は議論をしているわけで、そのように御理解いただきたいと思う。  じゃ、西村さん、ちょっと角度を変えます。  もし六兆四千百億円以上にそういう第一次ロスが拡大した場合、お金を充足する方法というのはそんなにないんですよ。この関連法案の内容から見ましたら、一つはこの六千八百億円をもっとふやすことです。これが第七条に規定されているわけで、あとは第八条が第二次分のロスですね、二分の一の財政措置分です。そうしたら、このフレームの中で使おうと思ったら、あとはこのいわゆる金融安定化拠出基金、第十条の規定を使う以外ないんですよ。これを使うかいわゆる七条を使うかしか充足できないんですよ。どこかから持ってくるほかにないんですよ。これはどうなんですか。
  212. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御指摘のとおり、住専処理法案の七条、八条、十条において助成金に関する規定が定められております。そして、七条の規定は六千八百億円の財源に関するものでございます。  仮に、御指摘のように地価の動向等によりまして、あるいは担保の処分の仕方によりまして、住専処理機構が譲り受けました後に予見しておりませんでした損失が発生した場合にどうなるか、その場合のロスの処理はどうなるか、こういうことでございますれば、それは第八条の助成金によって処理される部分と第十条の助成金によって処理される部分に分かれてくる、こういうことになろうかと思います。
  213. 白浜一良

    ○白浜一良君 今の局長の御答弁でしたら、このフレームからはみ出て損失が出た場合は、第一次ロス分の拡大であってもそれは二次ロス分に上乗せされるんだということですか。そういうことですね。
  214. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 二次ロスという言葉の定義の問題になろうかと存じますけれども、譲り受けました後におきまして生じます。そのような損失は、今申しましたように八条及び十条によって処理されるべき損失になろうかと考えております。
  215. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう一つ今の答弁に問題があるんです。これは言葉の定義の問題ですから、広い意味で二次ロス分なんですよ、一般的に使うと。  それで、八条と十条を使うということは、ふえた分は半分、また全部税金負担ですよ、こういうことになるんです、論理的には。これはお認めになるわけですね。今の答弁だったらそうなるんですよ。
  216. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 私どもはそういうものが生じないように最善の努力を尽くすということでございますが、万が一生じた場合には白浜委員御指摘のような処理になる、こういうことでございます。
  217. 白浜一良

    ○白浜一良君 これは大蔵大臣、もともとわかっていたことかもわかりませんが、非常に私はこれは大事な問題点であると。二次ロスがふえる要素はこれだけじゃない、いっぱいある。これは後でもう少しやりたいと思いますが、このスキームを守ろうと思えば、そういう二分の一が財政出動、財政措置でやる、税金で賄うという部分がどんどん膨らんでいくんだという構図にあるということを確認できた、このように思います。  それから、住専処理機構ができましたら、いろんな債権の譲渡を受けるために母体と一般行と系統から融資しますね、低利融資を。これはそれぞれ幾らずつ融資されるかはもう既に決まっているんですか。
  218. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 母体行、一般行あるいは系統が負担いたしますものについては、一兆円の基金に対する拠出と融資と両方あるわけでございます。今御指摘の点が融資という点についてのことでございますれば、それは母体、一般、系統、それぞれ三分の一相当分をめどにして負担をしようと、こういうことになっております。  しからば、個々の金融機関がどれだけ負担をするかという点につきましては、現在その分担につきまして協議が進められているところでございます。
  219. 白浜一良

    ○白浜一良君 今の答弁でしたら、要するに総枠も決まっていない、分担も決まっていない、三分の一ずつは決まっているけれどもということですか。そういうことであれば、それは民間のことですから政府が勝手に線引きしていくわけにいかぬでしょうけれども、これは要するに法案の成立との関係なんですか。大体いつごろまでにというお考えはあるんですか。
  220. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) もとより早く明確にした方がいいという点はあるわけでございますが、具体的には、住専住専処理機構に対しまして債権を譲渡するまでに決めればいいことでございます。譲渡する際の買い取りのための資金に充てられるわけでございますので、その段階までに決まればいいという見方もできるわけでございます。  しかしながら、関係者の間では、そのような買い取り資金に充てるために関係者が低利の融資を行うという基本的な考え方については了解が得られているところでございますので、現段階において個々の金融機関が幾ら融資をするかというところまで確定をしておりませんことは必ずしも不適切ではないと考えております。
  221. 白浜一良

    ○白浜一良君 重ねて確認しておきますけれども、この四月から、四月一日で住専処理機構が設立されるというような、それが皆さん方のお考えでは最善のケースであったんでしょうけれども、そういう意味でいうと、もうこれはできてなあかんわけでしょうね、時期的には。  そういう観点でいいましたら、要するにいつごろこういうことが明確になったらいいというようなガイドラインはあるんですか、いつごろという。
  222. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) これはそれぞれの住専処理の計画が確定をいたしますまでに決まればいいことではございます。  ただ、この点につきましては、今御指摘の融資の額ではございませんけれども、債権の放棄の額などにつきましては融資の額よりも現段階で明確化されようとしているところでございます。例えば、母体の放棄額という点につきましては、日本住宅金融については八千二百億円とか住宅ローンサービスについては二千八百億円と、そういうような全体の額の中でそれぞれの母体が放棄する額を念頭に置いて対応しているところでございます。
  223. 白浜一良

    ○白浜一良君 それは後で聞きます。それは聞いていないんですわ、放棄した方は。  それで、もう一つ聞きますけれども、これは先ほどもちょっと議論されていたんですけれども、この低利融資の債務保証、これは預金保険機構でやるんですね。  一般的な問題を言います。要するに、預金保険機構は銀行だから、保険料を払っているのは。系統とか生損保会社は払ってないですね。そういう預金保険機構が損保も系統も含めた融資の保証をするということは、これは非常に論理的に矛盾がある、公平さも欠ける。これはもう当たり前にわかることなんですが、どのようにお考えになっていますか。
  224. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 融資をしましたものの保証を受けるかどうか、これは融資をする者の判断にもかかわるところでございます。  この処理策を策定いたします際に、関係の金融機関の方々は、最終的に、万が一融資に損失が生ずるというようなものの備えとして、預金保険の保証というものが望ましいという判断をされたわけでございます。  その場合に、確かに白浜委員御指摘のように、融資をする主体の中には預金保険機構に参加していない、すなわち別の言い方をすれば保険料を払っていない主体があるのではないか、こういうことでございます。それは、具体的に申し上げますならば保険会社であり系統金融機関であるわけでございます。  その場合に、保険会社あるいは系統金融機関がどのような考え方に立つか。それは、一つにはもう保証は要らないと、こういう考え方もあろうかと思います。あるいは、保証をしてほしいという場合に、その保証する主体としてどこが保証をするのかということもあろうかと思います。例えば、系統の場合には貯金保険機構との関係というようなことも考えられるわけでございますが、仮に預金保険機構にそういう方々も保証してほしいということであるならば、保険料に相当する対価というものをどのような形で負担をするか、こういう問題があるということも事実でございます。それは関係者の間で議論がされることになろうかと思います。
  225. 白浜一良

    ○白浜一良君 私がなぜこういう問題を取り上げるかというと、非常に無理のある仕組みだということを私は角度を変えて何回も言っているわけですけれども、今の西村さんの話だったらこう解釈していいんですか。要するに、債務保証は低利融資する方の希望にかなうんだ、うちはもうここでやりますから結構ですと、こういうことが言えるということですか。
  226. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 融資をされる方が保証が必要ないという御判断をされれば、それはそれで成り立つことでございます。
  227. 白浜一良

    ○白浜一良君 それで、逆に言いましたら、生損保とか系統が保証をお願いしますと言った場合に、そういう保険料の公平さというのはどこではかるんですか、これは。何が基準になってそういう公平さをはかるんですか。
  228. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 仮に、そのような御要望があり、預金保険機構がそれを引き受けるという場合には、預金保険機構の判断としてどのような対価を得てそのような保証をするかと、こういうことが決められることになろうかと思います。
  229. 白浜一良

    ○白浜一良君 いいかげんですね。これは専門的な話だから国民の皆さんはちょっとわかりにくいかもわかりませんが、本当にいいかげんだと私は思いますよ、考え方としては。  預金保険機構にそういう負担は任す、低利融資、債務保証してほしいと。任すということでしょう。一種のガイドラインみたいなものは、まあ言うたら民間の問題だと。政府としてのそういう考え方を示さない。そういうものが全体のフレームで、これは物すごい額ですよ。一般に報道されている額からいくと六兆六千億でしょう。物すごい額のいわゆる債務保証をこの預金保険機構が担うようになっているわけでこの議論を聞いただけで私は本当に非常に矛盾の多いスキームというか仕組みだなということをおわかりいただけたらいいと思います。  それから、次に大蔵大臣、いろんな議論をされていることですが、ちょっと一つだけ確認しておきたいんですけれども、この仕組みの中に欠損見込み額一千四百億が入っていますね。これは銀行局長の当初の審議での見解は、要するにこの中に系統、一般行の利息分が入っていると、一月から三月分まで。ところが、大蔵大臣は十二月の段階でもう住専は破綻しているんだ、当然払う必要はないんだと。入っていると言いながら払わぬでいいんだという、何か二つの考え方があるように思うんですが、一応これ全体を整理して答弁していただけませんか。
  230. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 私が衆議院審議の段階で申し上げておりますのは、これはもともと住専債権者であります金融機関側との契約でございますから、この契約の履行については当事者間において話し合われるべき問題であると思う。しかし、現実には既に住専の代表的な上場企業であります二社はみずから再建計画の断念、そして整理、清算に入る方針を公表いたしております。  そういうような状況もございます中で、私は、第四・四半期になりますでしょうか、この三月の支払い利息について話し合いができるならば、これは利息を支払わないことによって住専の欠損一千四百億が縮小されれば望ましいことであるということを申し上げたと思います。
  231. 白浜一良

    ○白浜一良君 ちょっと理解しにくかったんですが、銀行局長、当然この千四百億の見込み額の中には六百億が入っていると、こう答弁されていますね。
  232. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 千四百億と申しますのは累積欠損の見込みになるわけでございますが、その算定の根拠の中に三月末に支払われる金利というものは一応計上してございますと、こういう意味で申し上げているわけでございます。
  233. 白浜一良

    ○白浜一良君 だから入っていると。大臣はもう払う必要ないんだと。そこだけちょっと話してくださいよ、短く。
  234. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 私が申し上げておりますのは、これは民事の契約でありますから私どもが払え払うなということを申し上げる立場にはない。しかし、このような状況の中で、できることならば、住専の欠損一千四百億がこのことによって縮まるわけでありますから、その分は当然国庫に回収される部分に当たるだろう、こういうことを申し上げているのであります。
  235. 白浜一良

    ○白浜一良君 それはわかりました。それは民民の問題だと言っていましても、もともとそういうことであれば入れる必要も何もないわけです。大蔵大臣のお考えをベースにすればですよ、フレームをつくるときに。まあそれ以上はやめておきます。  それから、二次ロスの問題で、先ほども、一部議論しましたが、少し議論したいんです。  いわゆる第Ⅱ分類、第Ⅲ分類の回収、路線価の七割、八割。ところが、実際今のいろんな裁判所で競売しているケースを見たら、とてもじゃないけれどもそんな値段で回収できないと私は思うんです。そういう評価もたくさんされております。  ちなみに、参考例といたしまして、共国債権買取機構がございますね。これ実際どれぐらい買い取って、路線価に対してどれぐらいの金額で回収しているのか、ちょっと教えてください。
  236. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 共国債権買取機構で売却いたしました担保物件はかなりの額になっておりまして、例えば平成七年度では三千三百八十三億円に上っておりますが、その担保物件の評価につきましては、買取機構では市中での売却を前提といたしました評価を不動産鑑定士に依頼をいたしております。相続税の路線価に基づく評価は行っていないと聞いております。したがいまして、売却した担保物件について路線価に基づく評価額との比較をお示しすることができないことを御理解願いたいと存じます。
  237. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういう作業をしてはらんのかわかりませんけれども、そういう資料を出してくださいと頼んでますのや、私が。そういう作業をしていないというのは説明でわかりましたけれども。非常に難しいということは一般的に言われているんですよ、債権回収が。だから、共国債権買取機構も先鞭つけてできた機構ですね。出してくださいよ、一遍、路線価。わかりますよ、路線価で。それ比較したやつを、いいですか。
  238. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) この買取機構は直接の監督権が及ばない民間の会社でございますし、また売却いたしました担保物件数は二千件を超える相当膨大な作業を要するものだろうと思われますが、御要請の内容を買取機構にお伝えするということにさせていただきたいと存じます。
  239. 白浜一良

    ○白浜一良君 積極的に伝えてくださいよ。言うとりましたでというのではあきませんで。  それから、二次ロスが膨らむんじゃないかという面でもう一つ指摘したいんですけれども、先日報道されておりましたが、メイセーという会社が破産しましたね。そこが地価税、消費税を滞納したということで強制回収、こういう記事が載っておりましたが、国税庁来ていらっしゃいますか、本当ですか、これは。
  240. 若林勝三

    政府委員(若林勝三君) 御指摘のような新聞報道があったことは承知をいたしておりますけれども、ただ個別にわたる事項については従来から答弁を差し控えさせていただいておりますので、御理解いただきたいと思います。
  241. 白浜一良

    ○白浜一良君 もういつも同じ答弁で。  そうなんですよ、報道されている。これは大蔵大臣、要するに不良債権を抱えている、融資をされて。末野興産もそうでございますが、借り手ですね、いわゆる。消費税を払うてないわ地価税も払うてないわ、税金払うてない。末野興産なんか従業員の税金まで払うてなかったひどい会社でございます。それを強制回収しようと思ったら、その税金、いわゆる国税分でこれ減っていくわけですね、債権回収がその分減っていく。これは理屈の上でそうなると思うんです。これはメイセーだけが一例載っておりますが、それだけじゃないと思いますよ。あっちこっちこういう問題があると思うんです。そうすると債権回収がその分、額が減る。これは全部二次ロス分の拡大というふうになるんでしょうね、理屈の上では。
  242. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) それはもともと支払うべきものであったということでございます。影響を与えるということは事実でございましょうが、それは当然払うべきものであったということでございますので、そのような処理をすることはやむを得ないと考えております。
  243. 白浜一良

    ○白浜一良君 そのようにすることはやむを得ないというのは何を指しているんですか。要するに、国税が強制回収する。当然ですものね、税金払ってないんやから。それは正当な行為だと。その分、債権回収が減るのもこれはやむを得ないんだと。その減る分が、あなたは希望的観測で少ないやろうと、そう希望的観測を持っていらっしゃるわけでしょう。大きいかもわかりませんよ。これ、調査しなさいよ。
  244. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 返済をするかどうか、あるいはその担保物件の処分をするかどうかというある個別の債権債務関係と、会社が税金を会社という組織の中で、会社の経理の中で払っていくかという問題とは直接には関係しないわけでございますけれども、担保の処分の前の段階におきまして、借り手が会社の力でもって債務を返していくという場合には間接的には影響するわけでございます。  しかしながら、それは他の権利関係がいろいろある中で、この住専処理機構との関係も複雑な権利関係の一環として処理せざるを得ない問題でございますので、その点は全体の枠組みで考えていく以外にないというふうに考えられます。
  245. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう時間がないのでやめますけれども、全体の枠組みで考えると言わはりますけれども、要するに、それは二次ロスがふえますよということをおっしゃっているだけの話。そうすると、またその膨らむ部分だけ国民の税金の負担はふえるんだと、そういう理屈になるんだということを私は、あなたもおわかりでしょうから、そのように主張しておきたいと思います。  それからもう一つ、これは法務大臣ですか、債権回収のための競売で非常に難しい問題になっていますのが短期賃借権の問題です。短期賃借権、これを設定される。特に、いろいろ報道されているのを読みましたら、暴力団がそういうのをうまく利用していると、こう言われている。それで非常に競売が成立しにくいという。これは、確かに短期賃借権というのは居住者を守るという意味では大事な権利でしょうけれども、こういう債権回収という面でいうと非常に足かせになっている。これは事実あるんです。これに対して法務省として何か特に対応する措置をお考えになっていますか。
  246. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 御指摘の短期賃貸借という制度を乱用するということによって抵当権の適正な実行あるいは強制執行を妨害している事例が相当あるということは私どもとしてもお聞きしているところであります。ただ、委員も今御指摘になりましたように、この短期賃貸借の制度そのものは抵当権と利用権との関係の調整ということで民事法の基本法として定着しているものでございますので、これに手だてを加えるということについては慎重な考慮を要するものと考えております。  ただ、抵当権のあるいは強制執行の適正な執行という観点からは、裁判所の運用解釈上、乱用形態においては短期賃貸借の効力を認めないというような取り扱いがされてきているところでございますし、また民事執行における執行妨害等の排除のための保全処分等の改善ということにつきましては、議員立法という形での検討が進められているということを承知しているところでございます。そういった動向に民事執行法を所管する私どもとしても関心を持って見守っているところでございます。
  247. 白浜一良

    ○白浜一良君 今のお話よくわかりました。それを裏づけるためにも、悪らつなそういう賃貸借権を利用している詐害的賃貸借というんですか、こういうのは債権回収の中で指摘できたことが、その事例件数は非常に少ないと思うんです。少ないからこそ対応せないかぬということなんですが、特にそんなのございますか、事例件数が。
  248. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のような形態における執行妨害行為が実態としてどういう件数であるかということについては、私ども承知することができる立場にはございませんので、御了解いただきたいと存じます。
  249. 白浜一良

    ○白浜一良君 いずれにしても、何らかの法律をつくって対応せざるを得ないということだと思います。  もう時間が迫ってまいりまして、本当はいろんな責任問題もやりたかったんですが、一点だけ大蔵省の責任問題で西村局長にちょっと伺っておきたいんです。  あなたは国会答弁で、平成二年のいわゆる総量規制、それから三業種規制の問題で、農水系統だけ下の項がないですね。要するに報告せいというやつ、ノンバンクと建設と不動産。それは農水ではもともと報告義務があったんだと、こういうふうに答弁されておりますが、それは事実ですか。
  250. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御指摘のとおりでございます。
  251. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういうことが非常に僕は論弁だなと思うんです。そうおっしゃるんでしたら、金融関係に出されている大蔵の通達の中で書かれているけれども、既に銀行局の通達が出ているじゃないですか、報告せいというやつ。出ているんですよ。報告が出ているんですよ。まず先に答弁してください。
  252. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 私、あるいは御質問の趣旨を誤解しておるかもしれませんが、いわゆる総量規制通達の中で、系統金融機関に対するものでは三業種に関する報告義務が課されていないのはなぜかと、こういう御質問の趣旨に承ったのですが、もしそうでございましたら、系統金融機関に対しては既に報告をする趣旨の通達が存在していたので重ねては通達をすることはしなかったと申し上げたわけでございます。
  253. 白浜一良

    ○白浜一良君 だから、系統はもう既にそういう報告義務を課せられているから、そういう明記をしなかったんだということでしょう。そうしたら、金融関係にも昭和六十一年四月十六日に銀行局長の通達が出ているんです。不動産業及び建設業向けの土地関連融資実行状況を今後一年間、半年ごとに報告せよと、こういう通達を出されていますよ。六十一年にもう通達出ているんですよ。だから、金融関係もそう書くことは要らぬじゃないですか、別に。あなたの答弁は非常に論弁だと思わざるを得ないような、そういう面があるから私指摘しているんです。
  254. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) この地価上昇の問題は、昭和六十年代に入りましてから世の中の御関心が大変に高くなりました。したがいまして、金融行政といたしましても、たびたびこの土地関連融資の取り扱いについては、例えば銀行局長通達を出しているところでございます。  御指摘の通達は、あるいは六十一年十二月十九日の「土地関連融資の取扱いについて」という通達のことをおっしゃっているのかもしれませんけれども、この通達以外にも、六十二年十月、六十一年の四月、たびたびこの土地関連融資の取り扱いについての銀行局長通達は出してございます。しかしながら、平成二年三月二十七日に、より厳しい措置をとるということで、全体として不動産業向け貸し出しについては貸出量の抑制の要請、三業種については融資の実行状況の報告を依頼したと、こういうことでございます。
  255. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう時間がないのでやめますけれども、要するに系統に対する説明からしたら、銀行に通達されていることの追加項目の意味がわからぬ、既に出されていると、おかしいということだけ指摘しておきたいと思います。  最後に、私、大阪でございますが、木津信用の関係で、木津信の抵当証券がございますが、これも当然ですが破綻したんです。この問題として、時間がないので二つだけ質問します。  端的にお答えいただきたいんですが、平成六年二月七日に大阪府が木津信を調査して、検査して、非常に貸付金の担保不足が大きい、債務者の返済能力も脆弱だ、それからそういう監査もしていない、不動産融資の実態が非常に悪いと、こういう調査をしてそれぞれに警告というか知らせたんですね。これが大蔵にも、近畿財務局にも行っているんですよ。行っているんですが、何ら対応していない。そういう深刻な現状報告をされているのに、知らないと言っている。これが一つの問題なんです。こういうことが実態の不良をだんだん大きくしている原因でもあるんですよ。  もう一つは、この会社が監査を受けていない。それは監査を受けなくても百万以下の過料だと。実際、監査を受けると四百万、五百万金がかかる。こういう実態があるというんですよ、会社の監査に関しては。こんなのじゃ、要するに株式会社のいろんな経営の責任、経営実態というものの問題が今回の住専問題として大きく出ているわけですから、こういう監査体制でいいのかということを法務大臣に最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
  256. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 私どもとしては、御指摘の会社について監査の実態がどうであったかということを承知しておりませんけれども、御指摘は、いわゆる商法特例法に定める会計監査人の監査というものを受けていなかった場合の一般的な問題点の御指摘であろうと存じます。  御指摘のとおり、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律におきましては、一定の資本額または債務総額を超える規模の株式会社についてはいわゆる公認会計士等の資格を有する会計監査人の監査を受けなければならないこととされておりまして、その対象会社であるにもかかわらず取締役が会計監査人の選任のための手続をとらなかったときには、百万円以下の過料の制裁を受けることとされております。これは過料の額の問題でございますけれども、商法及び商法特例法の考え方といいますのは、株式会社についての株主及び債権者の保護という観点から、会社の一定の秩序違反行為に対していろんな過料事由について規定しているものでございます。  そういう形で、いろんな過料事由についての過料の額と制裁のあり方との関係、それから他法令の罰則との整合性ということを考慮して一般的な義務違反を対象として定めているものでございます。  なお、取締役がそういう選任行為を怠った、選任手続を怠ったということによって会社あるいは債権者に損害が生じたという場合につきましては、これは商法二百六十六条あるいは二百六十六条ノ三に規定する取締役の損害賠償責任ということが問題になる余地がある問題でございまして、そういう取締役の責任、それから今申しました過料の制裁、これが相まってその適正な運営が図られるようにということで規定しているわけでございます。
  257. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) お答えを申し上げます。  委員の御指摘は、商法特例法に規定されております罰則の強化について検討すべきではないかという御質問でございますが、政府委員が今御答弁を申し上げましたように、商法特例法の規定は、一定の要件を満たす株式会社につきまして、その会社の業種とか経営が社会に及ぼします影響、そういうような性質を問わず一般的に適用されるということでございます。御指摘の罰則のあり方ということになりますと、商法やその他の関係法令に規定されております罰則とのバランスというものを慎重に考慮する必要があると考えております。
  258. 白浜一良

    ○白浜一良君 西村さん、財務局の関係だから関係ないかもわからぬけれども、大蔵省、何か答えて。
  259. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律によりましてこの株式会社の監査に関する事項が定められているわけでございますが……
  260. 白浜一良

    ○白浜一良君 そうじやなしに、木津信抵当が、経営実態が悪いという報告が行っていたのよ、近財にも。
  261. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 木津信抵当証券の監査がどのように行われていたかということについては、当局としては承知をしていないところでございます。
  262. 石井一二

    石井一二君 歳月がたつのは早いもので、震災から十五カ月という歳月が経過をいたしました。総理におかれましては、一月十八日、就任間もなく神戸に入っていただきまして、いろいろ御視察をいただいたように聞いております。今ごろ何しに来た、住専につぎ込む金があったら我々に分配すべきだという抗議の手紙を受け取ったことをみずから御紹介なさっておるわけであります。  その後、家賃三万円台の復興住宅の建設へ向けていろいろ御指示が出たやに聞いておりますが、建設大臣と国土庁長官、この分野でどのような進行状態にあるのか、御報告をいただきたいと思います。
  263. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 石井委員にお答えをさせていただきます。  家賃に関する総理の指示につきましては、二月二十八日に兵庫県で地元知事、市長、関係町幹部との意見交換を行いましたほか、三月二十九日には国、県、市の実務者クラスの会議を行ったところでございます。  一方、地元兵庫県におきましては、応急仮設住宅の入居者全員につきまして、全員といいましても四万数千ということになりまするから、その一人一人について現在調査を行っているところでございまして、その中間報告が間もなく来るということを私は承っておる次第でございます。  住宅対策としましては可能な限りの努力をしてきたところでございますが、建設省としても、被災者の方々の生活状況を十分把握の上、関係省庁、特に国土庁、自治省、厚生省大蔵省、内政審議室と十分に相談してまいりたいと思います。  三万円の問題点は、これは総理も非常に熱意を込めて我々に指示をいただきましたので、私ども建設省としましてはそこまでの努力はいたしましたが、あとの問題点は関係省庁とも十分に目下検討中である、この旨申し添えたいと思います。
  264. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 今、建設大臣からお話のあったとおりでございますが、具体的には、住宅の問題につきましては二月二十八日に現地で相談をしまして、三月二十九日に今度はこちらに来てもらって相談をいたしました。その間に建設省さんにお願いをして住宅の調査を全部、アンケート調査でなくて個別に調査を行いまして、その結果に基づいて五月に今度は現地でもう一回話し合いましょうということで、五月を最終的な目標として家賃の軽減の問題について話し合う、こういう段取りになっているところでございます。
  265. 石井一二

    石井一二君 国民が聞いておりますと、もちろん実態を的確に把握するということで極めて重要かと思いますが、どうも調査とかそういったことに時間がかかり過ぎているような気がしてならぬのでございます。ひとつ迅速かつ慎重によろしくお願いをいたしたい、そのように思います。  なお、入居希望登録の世帯数は三万四千世帯ということで、この間、年間合算収入三百万円未満という方々が五三%ということでございまして、そういった面での御尽力がない限りなかなか仮設住宅は抜け切れない、こういう御事情をよく御認識賜りたいと思います。  また、もろもろのインフラ等も含めて被災自治体の財政状況というものは極めて苦しくなっておるわけでございますが、こういった中で交付税の問題を含めて一体何がなし得るのか、何をなすことができるのか、自治大臣、御所見があれば承りたいと思いますが、いかがですか。
  266. 倉田寛之

    国務大臣(倉田寛之君) 自治省といたしましては、これまでの間、石井委員御案内かと存じますが、復興事業が円滑に実施をされますように土地区画整理事業などにつきまして特別の地方財政措置を講じてきたところでございます。  また、去る三月に決定をいたしました平成七年度の特別交付税におきましても、阪神・淡路大震災の災害対策にかかる経費といたしまして、被災団体に対して平成六年度を上回ります五百一億円を配分させていただいたところでございます。  さらに、総理からの御指示もございましたが、平成八年度におきましても平成七年度に引き続きまして阪神・淡路大震災復興協賛宝くじを発売することとなっております。これは初の五百円くじでございまして、一等賞金が一億円という宝くじでございます。  今後とも、被災されました地方公共団体に対しましては、その実情について県などを通じて十分に把握させていただきまして、行財政運営に支障の生じることのないように適切に自治省としては対処してまいりたい、かように考えているところでございます。
  267. 石井一二

    石井一二君 自治大臣、よろしくお願いをいたします。  先般、三月十四日に神戸市の助役が焼身自殺をされました。働きに働き、頑張りに頑張り抜いた結果、非常に身に苦しむところあってのことと思いますが、ちょうどその二十四時間前に私も電話でお話をしただけに極めて残念でならないわけでございます。  兵庫県神戸には個人補償を求める強い声というものがあるわけであります。これまでの政府の答えというものは極めて期待に沿いかねないものであったように思っておりますが、個人補償を適用していくことについて総理、何か新しい御見解がございませんでしょうか。
  268. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 個人補償については残念ながら新しい考え方ぱございません。  ただ、建設大臣等から今お答えを申し上げましたように、私ども神戸の住宅を考えます場合に、一日も早い恒久住宅をということで進んでおりますけれども、同時に、震災前、非常に低い家賃の水準で住んでおられた方々が多くの範囲を占めておられる。そういたしますと、現在定めております家賃の水準を低めている三万円といった水準でもその方々からすれば非常に重い家賃負担になるというケースについて何らかの工夫をするように今関係閣僚に指示をいたしております。
  269. 石井一二

    石井一二君 参議院で予算審議にほぼ三百時間ぐらいの時間をいただいておりまして、震災問題についてまた同僚各位から引き続いていろんな角度から質問をさせていただきたい、そう思うわけであります。  きょうは代表的な質疑でございますので、エイズ問題について一、二点だけ質問をいたしたいと思います。  具体的な日時でいいんですけれども、加熱製剤の販売を承認された月日、非加熱製剤の廃止の届け出をせよということを指令された月日、これがわかればお教えをいただきたいと思います。
  270. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 加熱製剤承認後の非加熱製剤の回収については、日本血液製剤協会を通じて厚生省に対して、各製薬企業より昭和六十年の十月から六十一年の八月にかけてほぼ回収が終了したと報告されておりましたけれども、この報告された時期以降においても非加熱製剤が回収されずに使用されていたことが明らかになるなど、回収のおくれが判明しているところであります。  非加熱製剤へのエイズウイルスの混入といった危険性については、昭和五十八年以降徐々に知見が集積され、昭和六十年当時はもう既にウイルスも発見されて抗体検査もできておりましたので、危険性の認識は相当持ち得た段階でありましたが、できるだけ早期に非加熱製剤から加熱製剤への転換を図るべきであったわけですけれども、それがおくれたところであります。  日にちを今おっしゃいましたが、実は加熱製剤にも二種類ありまして、後ほど正確な日時は政府委員より報告をさせます。当時、血液製剤は血友病の治療に不可欠であったために、加熱製剤を出した段階で従来の非加熱製剤を一斉に回収すると治療に重大な支障を来すんではないかという心配をして、結果的に自主的な回収にゆだねたわけであります。現在の時点で考えますと、その非加熱製剤の中にウイルスが混入していた危険性が高いという認識が弱かったんではないか、もっと必要な、例えば命令による回収措置なども十分考えられてよかったのではないかと思っております。  なお、日時については、ちょっと正確な日時を事務方よりお知らせいたします。
  271. 荒賀泰太

    政府委員荒賀泰太君) 加熱製剤の承認日とそれから非加熱製剤の製造廃止の届け日でございます。  第Ⅷ因子製剤につきましては、バイエル、バクスター、化学及血清療法研究所、ミドリ十字につきましては昭和六十年七月一日に承認を取得し、バイエルは翌年三月十日、バクスターは四月一日、化血研は三月二十八日、ミドリ十字は四月八日に非加熱製剤の製造あるいは輸入の廃止の届け出をいたしております。それから、日本臓器につきましては、加熱製剤の承認日は昭和六十一年三月一日でございます。また、翌年四月十八日に非加熱製剤の輸入廃止の届け出をいたしております。さらに、国内の血液を原料としておりました日本製薬につきましては、昭和六十一年十一月十九日に加熱製剤の承認を取得し、同年十二月十八日に非加熱製剤の製造廃止の届け出を行っております。  また、第Ⅲ因子製剤につきましては、バイエルは昭和六十年十二月九日に加熱製剤の承認を取得し、翌年三月十日に非加熱製剤の輸入廃止の届け出をいたしております。ミドリ十字につきましては、昭和六十年十二月十七日に加熱製剤の承認を取得し、翌年四月八日に非加熱製剤の製造廃止を届け出ております。さらに、日本臓器、バクスターは昭和六十一年四月二十三日に加熱製剤の承認を取得し、日本臓器は同年六月四日に非加熱製剤の輸入廃止を届けております。  エタノール処理でエイズウイルスが不活化されていたバクスターの非加熱製剤につきましては、昭和六十二年四月六日に輸入廃止の届け出が行われております。  また、国内の血液を原料としておりました日本製薬につきましては、昭和六十一年十一月十九日に加熱製剤の承認を取得し、同年十二月十八日に非加熱製剤の製造廃止の届け出を行っておるところでございます。
  272. 石井一二

    石井一二君 これまで見つからなかったファイルが出てきて、菅厚生大臣が被害者に非を認めて謝罪された。厚生省としてということは当然政府としてということになろうかと思いますが、こういった御方針を決められた省議の日時と、橋本総理に御報告されて御了承を得られた日時をちょっとお教えいただきたいと思います。
  273. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) エイズ訴訟につきましては、三月二十九日に東京地裁及び大阪地裁において、原告と国及び製薬企業の被告との間に和解が成立したことは御承知のとおりであります。これによって七年に及ぶ裁判が和解という形で大きな区切りがついたということで、厳粛に受けとめているところです。  この問題につきましては、二月十六日、裁判所が和解勧告の所見で指摘をした国の責任を認めて、患者の方々に私の方からおわびを申し上げました。そしてまた、三月二十九日の和解の成立に際しても、何の落ち度もない方々に甚大な被害を与えたことについて改めて厚生省としての、この和解の中で述べられた所見に指摘をされた重大な責任ということを認めておわびを申し上げたところであります。  二月十六日、厚生省を代表して責任を認めるという発言をさせていただきましたが、このことにつきましては、それまでの間に事務次官を初め事務方と話し合いをいたしまして、省としての意思を統一した上で行ったものであります。  また、総理に対しましては、二月十六日の前の日に、この問題の対応を含めてその間の経過の御報告に伺い、そして基本的に私の方にお任せをいただくというか、了承いただいたと受けとめております。  また、三月二十九日の和解の締結につきましても、事前の三月二十七日に総理にその間の経過を報告しまして、そして省内の決裁手続を経て、二十九日、当日の閣議によって報告をして、最終的に和解の締結ということになった次第であります。  なお、この間にも適宜総理に御報告に伺いまして、いろいろと御指示をいただいたり、激励をいただいたりして進めてまいったことを申し添えておきたいと思います。
  274. 石井一二

    石井一二君 国民が今非常に心配をしておりますことは、俗に第四ルートと言われる感染ルートでございますが、医療機関名の公表というものがとかくいつなんだろうという関心事でありますが、これについて具体的なお答えがいただけますでしょうか。
  275. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) いわゆる第四ルートと言われておりますのは、血液凝固因子製剤によりまして血友病以外の方にそれを使ってHIVの感染があった問題につきまして、これまでHIV感染者発症予防・治療に関する研究班、これはいわゆる山田班と言われておりますが、これによって当初調査を行い、さらに厚生省が都道府県や指定都市を通じた調査を行ってきたわけですけれども、いろいろな関係が交錯しておりまして、必ずしもすべてを網羅するという形になっておりませんでした。  そこで、四月二日に省内にもう一度いろいろな可能性を含めて調査ができるように調査プロジェクトを設置いたしました。  そうした過程で、従来の調査の中でもかなりの数の医療機関、約千二百近くの医療機関が少なくとも非加熱製剤を使っていたということがわかっているわけですけれども、今こういうところにつきましても調査を進めております。  そういうことにおきまして、今この医療機関を公表する点についての御指摘でありましたが、患者の皆さんが自分が行っていたところが使っていたのかどうかというのは確かになかなかわかりにくいものですから、病院名の公表ということもそういう点では必要ではないかという思いもあります。同時に、そのことについては医療機関自身のいろいろな協力なり了解を得なければならないということもありまして、現在、病院名の公表という方法についても行うべきかどうか、必要ではないかと考えておりますけれども、そのことについて検討している段階であります。
  276. 石井一二

    石井一二君 今までの大臣の御言動からすると非常に腰が引けているように思うんですね。このこと自体がどんどん感染者をふやしておる可能性があると思いますので、ひとつ前向きに御検討いただくようにお願いをいたしておきます。  なお、本件に関しまして、安部英氏、松下廉蔵氏、また郡司篤晃氏、ジョン・ドリース氏の証人喚問を要求いたしておきます。  最後に、竹島の問題について若干お伺いをいたします。  私は、今、手に兵庫県鍍金工業組合からの陳情書を持っておりますが、「土下座外交から転じて独立国らしい国益を考えた外交によって断固奪還させるようご尽力の程お願い申し上げます」、こういうことでございますが、この問題についての外務大臣の御所見をまず承りたいと思います。
  277. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 御承知のとおり、竹島に関する我が国の立場は一貫したものでございますが、その領有をめぐりましては、我が国と韓国との間でその立場、主張するところに食い違いがございます。一方におきまして、国連海洋法条約、これに関連いたしましていろいろな措置をとることが必要になってくる。  その間をどうするかということでございますが、先月末、バンコクにおきまして橋本総理と金泳三大統領の間で首脳会談が持たれましたが、そこにおきましても、お互いそれぞれの竹島に関する立場は損なうことなく、海洋法条約に関連してとる措置は話し合っていこう、こういうことになっているわけでございます。  そういったことでございますので、漁業協定が現に存在しますから、それを新しい海洋法秩序のもとでどうするかということ等について相談しようとしておりますが、それはあくまで竹島の領有権の問題をどういうふうに解決するかという問題とは切り離して話し合っていこう、こういうことで一応合意していると。そして、その協議をなるべく早くしようと韓国との間で今話し合いをしている、こういうところでございます。  先ほども申しましたけれども、領有権の問題については我が国の立場、主張は一貫しておりまして、これはあくまで平和裏に粘り強く今後その解決を図ってまいる努力を続けたい、こう思っております。
  278. 石井一二

    石井一二君 二月十六日付のシカゴのインターナショナル・ヘラルド・トリビューンという新聞にこの記事が出ております。韓国の大統領は現地の島にあるポリスステーションに電話をして、領土の問題のみならず国のプライドにかけてこれを死守せよということを指示したということですが、日本は非常にこの問題については弱腰外交というものが続いておるわけであります。それで、日本海の漁民の皆さん方は非常にこういった問題を、心配されておりまして、旗国主義なんていう主義のもとにいろいろ漁業権が荒らされておるという現実もございます。  今、外務大臣のお話ございましたが、総理は韓国の大統領とのお話の中でこの問題でどの程度の会話をされたのか、できれば御披瀝をいただきたいと思います。
  279. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 限られた時間の中でありましたから、その問題だけで長々と時間をかけたわけではございません。  その上で、領土問題について我々の立場が一貫していること、そしてその問題について両国に議論の違いがあることは承知をした上で、漁業問題についての話し合いを領土の問題と切り離して早急に開始ができるようにしていきたいということ、主要なポイントとしてそのようなことを申したと思います。そして、金大統領も領土と切り離して漁業の問題の論議を進めるという考え方に基本的に同意をされている状況であります。
  280. 石井一二

    石井一二君 韓国ではここに船着き場や防波堤をつくるということで、もう既に工事に着工しておるように聞いておりますし、この問題は日本の弱腰ということが非常に問題を難しく難しく時の経過とともにいたしておるように思います。ひとつ頭を切りかえてもう一度この問題に当たっていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
  281. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で石井一二君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  282. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、大河原太一郎君の質疑を行います。大河原君。
  283. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして総括質疑をいたします。  まず、橋本総理に申し上げたい。  総理は変革と創造、停滞、梗塞的な我が国の社会を打破するという意気込みで、決断と責任を持ってその諸問題に取り組んでおる。我々はこれに対して大きな期待を持っております。もちろん、総理に就任して以来、次々と容易ならざる問題にも当面しておられますけれども、ひとつ勇奮敢闘、前進を続けていただきたい、そのことを心から期待しているところでございます。  さて、ようやく平成八年度予算をここで審議するようになりました。率直に申し上げますと、衆議院における住専問題の激しい対立から、野党の予算委員会の座り込み、ピケ等によって、国会史上類例がないようでございますけれども、三週間以上にわたる審議ストップのために五十日の暫定予算、これを経て本日審議が行われることになったわけでございます。我々は、国民が景気の本格的な回復を望んでおる、速やかな予算の成立を望んでおる、この熱いまなざしを背中に受けまして、ひとつ整々としてこの予算審議させていただきたい、野党の皆さんとの御協力も得てやっていきたい、さように思っておるところでございます。  さて、冒頭に、これは既にきょう午前中にも石井委員から質問があったわけでございますが、予算の採決直前において、与野党協議によって予算総則の十六条に加えられた緊急安定化資金に対する六千八百五十億、これは制度の整備の上で措置するということが入れられたわけでございます。予算執行の責任者としてはこれをどういうふうに受けとめておられるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  284. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国会の御論議を受け、その中から与野党の話し合いが行われ、そして修正を受けました部分につきましては、とれは我々として大変重いものとして受けとめております。そして、真摯にこれを受けとめながら今後行動していくことが我々の務め、そのように考えております。
  285. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 次に、一点集中的に議論されております住専問題について、私も与党の立場からひとつ総括的な質問をさせていただきます。もちろん、この総括質疑におきましては、我が党の同僚がそれぞれ個別分野にわたって突っ込んだ質疑もさせていただくわけでございますが、私は冒頭でございますので総括的な質問をやらせていただくというわけでございます。  まず第一に、きょうもお話が出たようでございますが、住専問題についてはまだまだ十分な国民理解を得ておらないということが言われておるわけでございます。それはそれとして、やはりこの現実を率直に認めて、真正面からこの問題に取り組んで、国民に対して理解を求めるということが必要ではあるまいかというわけでございます。そして、今後もこの処理問題については、できることを積極的に各般の面で検討していくということが必要かと思うわけでございます。  それについての総理のお考えを承りたいのでございますが、先ほど白浜委員の御質問に対して総理は、世論の支持率とかいろいろな問題に関連して消費税の際の苦労の話をなさいました。それでは、総理、それとこの住専問題を全く同じように理解しておられるのか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。
  286. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、先ほど白浜委員に同じものという意味合いでお答えしたつもりはございませんでした。ただ、国民の反発というものと政策遂行というものの一つの例として申し上げたつもりであります。そして、まさにこれは先ほど来の御議論の中にもありましたように、消費税というのは今までなかった新しい税をこれから国民からいただくことに対しての是非でありました。  そして、今回御論議をいただく住専の問題、これは確かに国民の方々からすれば、御自分の貯金を預けている金融機関ではない、ノンバンクの一つでありますけれども、直接かかわりのない方からすれば、あるいは御自分が住宅ローンを組んでおられるといった方を除けば直接縁がないところに存在をする、その住専というものの処理公的資金が使われる、御自分の納めた税金が使われる、それは果たして正しいことか、恐らくそういう気持ちを持たれたということは想像にかたくありません。  問題は、私はそうしたお気持ちを持たれるに至りましたことについて、六千八百五十億円という公的資金を投入する決断を政府がいたすまでの、どうした議論プロセスの中からそうした結論に到達したか、なぜ必要か、そうした情報を全く国民にお知らせするいとまのない形でこれが決められていった、この点に私は一つ大きな問題があった、これは素直にそう思います。  ただ、昨年の夏以降、我が国の金融機関に対するさまざまな、本日も例えば海外における幾つかの事例が出ておりましたけれども、そうしたものを含めて我が国の金融というものに対して非常に厳しい御批判が寄せられる中で、我々としては不良債権処理という問題に真正面から取り組まざるを得なくなりました。これ以上これを先送りすることはできません。  そうした中で、喫緊の問題は何かといいましたとき、母体行、一般行、系統を含めまして非常に多数の金融機関がかかわりを持っている住専、そして非常に大きないわば不良債権を持っている、しかもさまざまな現行の法体系での処理には非常に問題があると思われる、これをどう処理するかが喫緊の課題として浮上いたしました。そして、関係者の議論の中から最終的に六千八百五十億円の公的資金投入が決断されたもの、政府としてはそれだけのいわば大きな決意と責任を持って取り組んできたもの、この点だけは御理解をいただきたいと思うのであります。
  287. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 ただいまの総理の御答弁の中にも既に出ておるのでございますが、住専については、住専とは一体何の会社だ、預金もしていないのに乱脈経営の後始末をするために税金から銭が出るのはおかしいというような率直な声を私はしばしば耳にいたしました。  これはなかなか難しい話ですが、総理が今おっしゃいましたように、やっぱり住専問題の処理に当たっては、最初から経緯、プロセスというものがディスクローズされて、それぞれの主張等もその過程で出て、そして最後にやむを得ず財政出動をしなければならなかったという点では、ボタンのかけ違えというのか順序が逆になったと、一般の国民の皆さんにとってはそう感じるわけでございます。それはそれといたしましても、総理も今おっしゃったように、不良債権の典型的なシンボル、この住専問題は何としても片づけなければ相ならぬ問題だと思うわけでございます。  それで、二、三のお話をさせていただきたいと思います。  経済企画庁長官、我が国の国民が今一番望んでいる最大公約数は何かといえば、やっぱり景気の本格的な回復だと思います。景気の現状は緩やかな回復の足取りを示しているというようなことが言われておりますが、本格的な回復の見通し、まだ腰が弱いという意見もありますが、それと、それに対して不良債権が足かせになっておるということが言われておるわけでございますが、それらの関係について企画庁長官の御認識を承りたいわけでございます。
  288. 田中秀征

    国務大臣田中秀征君) このところ三カ月間ほどにわたって月例経済報告で景気の着実な歩みという形で報告をさせていただいたんですが、先生から今お話ありましたように、緩やかであるということと、もう一つ勢いかないという特徴があろうかと思います。  私はこれからの半年間が景気を本格回復軌道に乗せるために大変大事な時期だというふうに思っておりますし、一つの当面の課題は、いわば政府が後押しをしているトロッコという感じなんですね。自分のエンジンで動いていない、要するに民需が主導していない、そういう景気回復であるわけで、何とか政府主導から民間主導の景気回復にバトンタッチするということが課題ですが、現在の回復過程を見ても、どうしても住宅建設あるいは公共投資が大きな役割を占めていて、個人消費あるいは設備投資という一番大きな力というものがまだ勢いが鈍いという状態にあります。  何とか半年間にてこが入るものなら幾つでもてこを入れたい、そんな心境でありますが、一つには、規制緩和によってなるべく早く一つ一つ実施していくことによっててこ入れをしていくということと同時に、住専問題に着手して、それを推し進めることによって不良債権の問題に展望を切り開いていく。これは幾つかいろんな好影響を与えると思うんですが、すぐ頭に上ることは、やはり土地が動くことによって土地の有効利用が促進されるということが挙げられると思います。  それからもう一つは、金融機関の融資機能を円滑化する。必要な人のところへお金がうまく回っていくということによって、特にもう一つ元気のない中小企業の皆さんに元気を出していただいて、中小企業の活性化というものを促していくことによって景気に大きな好影響を与えるものだというふうに思っております。
  289. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 それから、一つはよく住専対策の必要性、金融システムの安定という言葉を使うわけですが、私などは信用不安の解消と言っていただいた方がわかりやすいのではあるまいかと思います。もっとも、信用不安なんということはこの問題の性質からいって抑制的に使わなければならない点もあるかと思うんですが、とにかくバブルの崩壊によって金融機関がどっさり不良債権を抱えている、そしてその破綻が時々起こる。両信組、コスモ、木津信、兵庫銀行、太平洋銀行、その他いろいろノンバンク等でも倒れておるというようなことで、信用不安が底流に流れておるというわけでございます。  こういう点からいいますと、金融組織の中で経済活動と国民生活、また預金者もその一環でございますけれども、この不安を払拭するためには、やはり不良債権の目玉である住専、これをいかなる形にしろ片づけなければ相ならぬというふうな感じがいたしておるわけでございます。  余計なことですけれども、やはり地域的な体力の弱い金融機関から預金が都市銀行とか郵貯等に移動しておると。静かな取りつけなんという言葉も使われているようでございますし、そういう意味では信用不安というものとの関係と理解しておるんですが、大蔵大臣、いかがですか。
  290. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今お話しくださいましたことは全くそのとおりだと思っております。  金融は経済の動脈と言われておりますけれども、この金融に不安があり信用に欠けるということは、これは経済にとって致命的なことであると考えております。その意味では、この不良債権が信用の維持を傷つけるということは当然でございますから、巨額に上ってまいりましたこの不良債権を政治の責任として早期に解決する。そのことによって経済の動脈の流れをよくすることが、単に日本経済というだけではなく、地域におきます経済、中小企業、農業を含めてこういった地域の経済に活力を与え、国民生活に安定感を与えていくことになると思っておりますから、不良債権の早期処理ということは今政治にとって最も重要な課題だと考えております。
  291. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 午前中の質問にも既に出たわけでございますけれども、もう一つは日本の金融市場に対する国際的な不安、懸念。不良債権列島日本なんという言葉があるぐらいでございますが、不安、懸念というもの、あるいは日本発の信用不安の輸出を懸念するというような言葉が言われておるわけでございます。これについては、しょっちゅう言われるジャパン・プレミアムというようなことで、繰り返すまでもないんですけれども、これに対して我が国も、政府でもG7とかIMFとかで不良債権の整理に努力する、特に住専問題は年内に処理するというような公約をなさって、それだからこそ年内に住専問題についても大変急がれたというふうに受け取っておりますが、それでよろしゅうございますか。
  292. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 昨年十月のG7に出席されました前大蔵大臣が、年内に不良債権処理について日本政府としては積極的に取り組みの方向を決めたいということを日本の経済金融事情の説明としてお話しになったということを私は報告を受けております。それを国際公約と言えばそうかもしれません。  しかし、別にそのことを公約したとかそういうものではなかったのではないかと思っておりますが、一月のG7、そして先般三月十七日に行われましたAPECの京都におきます蔵相会議等を通じまして、アメリカのルービン財務長官やIMFのカムドシュ専務理事などとも個人的に私も会談を持たせていただきました。  その中で、日本の今日の経済事情、住専問題を中心とする不良債権の取り組みについてもお話をいたしました。私は、あくまでもこの不良債権処理の方策は日本の国内問題である、しかし今日の金融の自由化、国際化の時代において、この日本の国内問題として果たされる不良債権処理住専問題の早期解決が国際的にも重い責任を果たすことになると考えている、そういう立場に立って今我々は日本における不良債権処理の問題に取り組んでいるということをお話しいたしました。  アメリカの財務長官も全くそのとおりだということでありましたし、IMFの専務理事は、日本政府が今やろうとされていることを聞いて私は大変関心を持ち、日本政府がやろうとされていることは大変立派なことだということをそのとき彼は話をいたしました。これは相手の人が言ったことを言っているのであります。  そして、そのときに私は、何もそういうことを外圧として日本政府がこの住専問題を納得してもらおうなどということはいささかも考えていないということも、記者会見を通じて、パリでも京都でも申し上げてございます。これはあくまでも私ども日本政府と日本の国会の皆様方との責任においてやり遂げなければならないことであり、その方策は国内問題であっても、またそれは国際的責任を果たすことでもある、このように考えております。
  293. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 それでは、ひとつ今回の処理方式を採用したと申しますか、こういう方式になった経緯、住専問題の処理方式、スキームについてお聞かせを願い、さらに一歩踏み込んで、新進党さんの方でいろいろ抽象的な方針を出した後に、三月十三日には対案、これは対案じゃないともおっしゃっていますけれども、会社更生方式を基礎にした考え方を出されておりますが、これについて二番目に率直なお考えを聞かせていただきたいと思います。  一言つけ加えますと、私どもが見ていても、住専七社については母体行が百六十八もあって、しかも三百も貸付機関がある、大変入り組んでいるというようなことで、利害関係が違うからいろいろな更生計画を立てるとか破産の財産の分配をするとかなんということになると、訴訟がやたらに起こるんじゃないかというようなことは当時も予想されたわけでございます。大蔵大臣衆議院その他各所でこのお話はされているわけでございますが、要点だけひとつ簡潔に聞かせていただきます。
  294. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今日御審議をいただいております処理方針並びに六千八百五十億円の財政支出につきましては、政府といたしましても長い論議の経過、そしてそれぞれの国会における御議論等も経た上で昨年の十二月十九日に決定をしたものであり、その過程においては当然に法的処理の問題などについても議論が行われたことでございます。そういうものを通じて、この問題を処理する最も適切な方法としては今日提案をしているものしか考えられないと、こういうことで最終的に提案を申し上げたのでございます。  なお、今お話がございましたように、衆議院予算委員会審議の過程におきまして、野党新進党の皆様方からいろいろな、こういう方針でどうだと、具体的にはこういうやり方があるではないかという御提起が論議の中でございました。最後まで対案として案が提案されることはございませんでしたことは、私どもとしては大変残念に思っております。  そういうことが論議の中で御説明がありましたことはそのとおりでございますが、例えば今お話がございました会社更生法を適用するということになります場合には、この法律の三十八条によって、果たしてこれを裁判所は受理できるのかどうかという問題がございます。再建の見込みの問題でございます。  それから、先ほどもお話がございましたように、また大河原さんからも今御説明がございましたように、百六十八の母体行と、合わせて三百の銀行がこれに関与いたしております。また、農協系統金融機関が多数に上っております。こういう債権者であります金融機関の側の意見の対立もございます。そういう中で、果たして三分の二の債権者の合意を必要とする会社更生法の適用が可能となるであろうかというようなことも検討の論点となったところでございます。そういうものを通じまして、非常にこの更生法の適用や破産法の適用は難しい。  それと、最後に一言申し上げておきますけれども、例えば破産法等によって処理をいたします場合には、一般論でございますが、公平に債権に応じて損失の負担をしなければならないということになりますと、今度は逆に母体行の負担が一兆七千五百億となり、一般行が一兆九千億、そして系統金融機関が二兆七千五百億というふうに変わってまいります。このようなことが果たして住専の設立以来の経過にかんがみて適切な方法であるかどうかというようなことにも意を用いまして、そして母体行の責任を極力重く考えるというような立場も含めてこのスキームが検討されたものでございます。
  295. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 次に、住専問題の解明と申しますか理解のためには、関係者の責任の問題、またそれと表裏した負担問題に対して明確にしていかなければならないというふうに思います。  責任問題等につきましては、やっぱり一番直接的には住専の経営者、これは第一回の大蔵省調査を見ても、追い貸しだ、極めて劣悪な融資内容だとか、とにかく読むにたえないような報告が載っておりました。まさに経営者の責任が大変大きいというふうに思います。  それからもう一つは、借り手の問題ですね。これは今しばしば指摘されているところでございまして、大口の融資を受けながら誠実な償還努力を行っていない。それで、わしには関係ないというような顔をして、のうのうとしているというのが国民の大変な憤りであります。これについては民事なり刑事の責任、一々法律、法文等も申し上げませんけれども、やはり追及されなければならないというわけでございます。特に刑事責任等については、本当にこれは検察なり警察、これが体制を整備してその不正を立証して摘発に努めなければ相ならぬというふうに思っておるわけでございます。  それについての国家公安委員長それから法務大臣に検察、警察を含めたお話を承りたいんですが、その前に、たしか衆議院の方で久保大臣は、損害賠償責任の追及によって住専経営者の責任を求めるということをおっしゃっておりますが、これはしっかりやってもらわなければ相ならぬということを申し上げるわけでございます。それについてのお答えと、両大臣のお答えを同時にお願いいたします。
  296. 倉田寛之

    国務大臣(倉田寛之君) 警察といたしましては、いわゆる住専問題の処理の過程におきまして刑罰法令に触れる行為を認めれば、貸し手、借り手を問わず厳正に対処することとしておるものと承知をいたしておるところでございます。  そのために、警察庁におきまして金融・不良債権関連事犯対策室を設置いたしますとともに、関係都道府県警察におきましても、例えば警視庁におきましては約二百名の専従捜査体制、大阪府警察におきましては二百五十名の専従捜査体制を確保いたしまして、所要の体制整備をいたしてきたものと承知をいたしております。  また、私といたしましても、二月九日に設置をされました政府住専問題処理対策本部を通じまして、政府にとりまして喫緊の課題でございます住専問題の処理には最大限の努力をしてまいる所存でございます。
  297. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) 住専問題に関する刑事責任追及についてお答えを申し上げたいと思います。  いわゆる住専をめぐります不良債権問題、これは我が国の経済秩序にかかわる重大な問題でありまして、国民各層から強い関心を集めている問題であると認識をいたしております。この問題につきましては、政府が一体となって取り組みまして債権回収のための万全の措置を講じる必要があり、また関係者らの民事上及び刑事上の責任が可能な限り明らかにされる必要があると考えております。  検察当局におきましては、既に住専問題等に関する協議会、また捜査専従班を設置いたしまして所要の体制を整えているところでございまして、国会のこういった御議論内容も踏まえつつ、あらゆる観点から情報や資料の収集、分析、検討を行っているものと思います。  今後、この問題につきまして関係者らの刑事責任を追及すべきであると認められるような容疑事実が判明いたしました場合には、警察当局等の関係機関と緊密な連携のもとに鋭意所要の捜査を遂げ、法と証拠に基づいて厳正に対処するものと思います。
  298. 久保亘

    国務大臣久保亘君) ただいま両大臣からお話がございましたけれども、検察、警察の協力のもとに、大蔵省といたしましては税務の立場から強力なその責任の追及をいたしたいと考えております。特に、損害賠償請求権は債権の譲渡に包括的に含まれるものという立場に立って、あらゆる段階の責任を私どもは徹底して追及すべきであると考えております。  そのためにも、この住専処理機構が預金保険機構と一体となってそのような任務が遂行できるように、特に財産調査権を法律によって与えていただくようお願いを申しておりますので、これらの問題を含めて速やかにお決めいただくようお願いを申し上げている次第でございます。  私どもといたしましては、この処理機構を通じて、住専を取りつぶし、そして債務者であります借り手、特に悪質なる借り手は徹底的に追及をして、その回収に強力に当たりたいと考えております。
  299. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 次に問題なのは、母体行の責任でございます。恐らく責任問題の中心はこれではあるまいかと私どもも思っておりますし、後で申し上げますけれども紹介融資等の実態が明らかになって、ますます国民の中からもその声が追加的負担を求めるという形で出ておるわけでございます。  一々申し上げませんけれども、住専は母体行が設立して、経営については大蔵省から天下った人たちとともに母体行から派遣された、それによって経営の運営が行われたというわけでございまして、事実上の母体行の支配下にあったと。金融子会社ですから支配下にあったというふうに、人格はいかに別であっても、やっぱり金融界なり産業界の常識なんですな、これが。そういうわけでございます。またもう一つは、実は母体行の役員が同時に住専の役員を兼ねていた事例も相当見られるわけでございます。まさに事実上の支配でございます。  そういうわけでございます上に、実は住専と母体行との関係を見ますと、一番大きな問題は、住専というのは本来は当時非常に需要が強かった個人住宅ローンでございますね。今みたいに住宅金融公庫の規模が大きくないし、都市銀行もああいうリテール金融には向かなかった、事業金融だけであったというわけでございます。しかも、個人の住宅需要が非常に強いということで設立されたわけでございまして、むしろ金融制度調査会なんかでも、これは育成すべきものだというようなお墨つきをもらっているようなものだった。  ところが、個人住宅ローンの需要が強くなったものですから、母体行が出かけてきていわばその領域を蚕食したわけでございます。そして、最後は住専は結局不動産投資の方に走ったということが客観的に見れば今日のその経営破綻の一つの原因ではあるまいかというふうに見られるわけでございます。  それからもう一つは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、紹介融資の問題。私の記憶の数字は、大体紹介融資の金額は一兆七千億円で、九割まで不良債権化して、特に回収困難というのがその半分だというようなことが言われておるわけでございます。  これについては、その責任問題について後でもう少し申し上げますけれども、たしか総理が記者のインタビューで、不良債権のうち悪質なものはやっぱり損害賠償を求めるべきではないかというようなことをおっしゃったという報道がありましたが、大蔵大臣はこのお話についてどう考えておられますか、まず承りたい。
  300. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 衆議院におきましても、母体行責任について各党の皆様方から強い御意見がございました。私どももその見解を申し上げてまいったわけでありますが、母体行は間違いなく住専の設立、出資に関与し、その後、今お話がございましたような、役員を含めて人事、経営にかかわり、紹介融資と言われるもの、そしてこの紹介融資の九割が不良債権となるというような事態を生み出している。この経過は疑いのないところだと私も思っております。  そのような経緯にかんがみますと、母体行であります銀行が持ちます、もともと銀行の持つ公共性、社会的責任の立場からいたしましても、銀行の負うべき責めは非常に大きいと考えております。  したがいまして、このスキームの段階まででも、債権の全額放棄、そして住専を取りつぶした後のこの債権の機構への譲渡資金となります低利融資の分担、さらに基金の分担等についても、現在一応の御提案申し上げておりますスキームの合意に達しているわけであります。それで十分であるかという御議論もあり、私どもとしては母体行側に対して、極力新たな負担措置を検討するよう要請いたしているところでございます。与党三党におきましても、そのことについての協議を進められたのであります。  今後も、この処理スキームが確定をいたしますと、私どもといたしましては、その中でどのようにしてこの母体行の責任に見合う新たな負担をしてもらうかということについてさらに積極的な話し合いをしなければいけないと考えております。今母体行に三・五兆の債権全額放棄をもって責任がすべて終わったなどということは考えていないということは伝えてございまして、私たちとしては、皆様方の御協力もいただきながら、今後も母体行責任については負担を含めてさらに努力をいたしたいと考えております。
  301. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 それとの関係で、三月の初めに与党三党から住専対策の追加的な提案がありました。  あれについて、一つは金融機関のリストラの問題と、一つは例の、例のと申しますかいろいろ議論したのでそういう話が出るんですが、これは農協も金融機関も含めて、七年間の計画的なリストラによって業務純益から法人税を国庫に納めることによって国民負担の軽減に資するというようなことが提案されました。  これについては、私もなかなか容易でないなというふうに思っておりますが、大蔵大臣、どう受けとめておられるか。また、農林大臣も、農林系統金融機関についても同様な提案がありますので、受けとめ方についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  302. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 三月四日に与党三党からいただきました新たな措置に関する方針は七項目から成っております。情報の公開から責任の追及なども含め七項目ございます。  その最後の七項目めに、銀行側と協議をされた結果の一つとして、今お話がございました七年間にわたるリストラによって、法人税が実質的に銀行側で国税として五千億、そして系統金融機関側で一千八百億伸びるようなことによって、なお新たな寄与をしなければならないというところまでの話ができていると思っております。私どもは、このことをもって母体行等いわゆる今債権者であります金融機関側の貸し手責任、経営責任というものがすべて完結したということにはならないのではないか、こう思っております。  なお、新たな寄与の方法について、残念ながら今日までのところ、損害賠償請求権に関する問題が明確になってまいりますならば法的に請求が可能だと思いますが、新たな寄与について法的に金融機関側に強制することは、今の段階では我々はその可能性を見出すことができないのであります。あくまでもこれはその責任にかかわる両者の協議と合意によって進めなければなりませんので、そのためにも、私は国が公的関与によってこの住専の不良債権問題を処理する方針を一日も早く明確にすることが極めて重要になってきたなという感じを持っております。
  303. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) せっかくの御質問でありますが、今までの委員議論の経緯からいいまして、我々も母体行責任ということで一貫した主張をしてきたわけでございます。  結論から言いますと、九百万人の方が五千三百億を負担するわけですから、頭割りで割っていただくと非常に大きなものに相なることは御存じのとおりであります。一方、母体行、これはほとんどの金融機関が入っているわけでございますが、それとのバランスで負担を考えて預金者負担ということになりますと、我々としてはかなり思い切った負担をしたものと、このように思っております。しかも、内部留保、資本金と資本準備金を除きましてこちらを一にしますと、現在で主要二十一行が約二十倍、母体行全体を見ますと約三十一数倍という内部留保になるわけでございます。  そういう中での負担でございますが、非常に厳しいのでございますけれども、いわゆるこの住専処理のスキームと、そして委員御指摘のように金融を安定させなきゃならぬという立場から、あえて我々もこの御協力に踏み切ったことは、その過程において大変御苦労なすった委員の方が私より十分御存じのはずだと私は思っております。  そこで、この第二次案というのは与党からお出しになったものでございまして、我々としても既におととしからJA内部において約三〇%の合理化を進めようではないかという既定方針がございまして、与党でおまとめになりますとああいう数字になりました。したがって、既にそれぐらいの思い切った合理化をやろうという態勢にあるわけでございますので、この問題についても与党の御提案に我々としてもその方針で今後臨んでいきたいと、かように考えております。
  304. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 話は前後いたしましたが、与党の方から計画的リストラによってその六千八百五十億円を法人税の形で七年間で納付させるという話がございましたが、不良債権問題その他についてもう金融機関一般も徹底したリストラをすべき時期だというふうに思います。一般企業が経済構造の転換の中で円高に追われて死ぬか生きるかという必死の努力をしている際に、しばしば銀行の報酬なり給与、これで利ざやの上に眠っておるという批判が行われたわけでございます。これらについて、銀行のリストラの動きとか、あるいは大蔵省はどういう指導をしているのかというような点について、それをお聞かせ願えたらと思います。
  305. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 金融機関の効率化、合理化につきましては、店舗の合理化だとかあるいは人員の削減につきましてもかねてから努力をしてまいったところでございますが、今回与党からあのような御提案もございましたのを機会に、一層そのような努力を進めるというふうに金融機関の側も決意を固めておるところでございます。その結果につきましては公表をいたしまして、その努力の成果も示していくというふうに伺っております。
  306. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 農協系統の自主的なリストラという、今の与党提案の以前に既に一つのスタートを切っておるわけでございますが、それらについてはかけ声倒れではなくて、実質的な前進の動きというのはどうなっているか、ひとつ農水大臣にお伺いしたいと思います。
  307. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) おととしの暮れに決められましたJAの基本方針は、着実に現在進行中でございます。とにかく二千五百ある単協を六百弱に集約していこうというのでありますから、あと三、四年のうちにこれをやり上げるというハイペースであのリストラは私は進んでおるものと思っております。  ただしかし、そのリストラの中で金融秩序の再構築、リエンジニアリングだけではなくて再構築という大きな課題をこの住専問題に関連して抱え込むことになりましたので、御承知のように預貸率が非常に低い、設備投資は余りない、農協関係の。残った資金をどう運用していくかという、七十兆円の課題が農林中金の体質改善や制度改革、信連の統合等を通じて実行に移される方がむしろ喫緊の課題であるように私は考えております。
  308. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 また母体行責任に返りますが、母体行が例えば三兆五千億の債権放棄が限度だとか、ほかに基金に対する出資等の協力もあるわけですが、これよく出てくるんですが株主代表訴訟、これが一番大きな理由になっているように思うわけなんですけれども、そう理解してよろしいんですか。  あるいは、母体行といってもいろいろ体力の差があります。都市銀行と第二地銀というような体力の差があるし、信託銀行は余り何かよくないようですけれども、こういうことを言うと差し支えがありますが、そういうことであるのか、この点についてはどう認識しているんでしょうか。
  309. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 政府委員に補足をさせますが、私が直接話を聞きました際にも、やはり株主代表訴訟ということに関してはかなり強い関心を持っておられるように伺いました。  ただ、私は、仮に経営上責任があり、その責任を負うべきことであれば、法律上存在する株主代表訴訟というものがそのことの責任を回避するための道具になってはいけない、こう思っております。とるべき責任はきちんととる、これは一般論として申し上げるのでありますが、その上での株主代表訴訟ということならば、それには対応すべきことであろうと思っております。ただ、株主代表訴訟によって経営上いろいろ支障を来すというような問題等につきましては、私には専門的なことはよくわかりませんが、そのことが一つの関心事ではあったと思います。  ただ、例えば銀行協会の会長が言われますことは、いろいろと御協力もしてまいりましたと、それでみずからの責任も感じて融資その他についても話し合いをし、合意をしてまいりましたが、これ以上のことについてなかなか名案がないんですということも言っておられたことも事実でございます。これは相手方の銀行側の現在の一つの考え方といいますか、気持ちといいますか、そういうものをあらわす言葉かなと思って、こちらからその名案を提示することも必要になってくるなということも今感じておるところであります。
  310. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 私は、母体行に対する直接負担の増加ということは、何としてもやはりこの問題に対して国民的な合意と申しますか、理解を得るために必要ではあるまいかと思うわけでございます。  繰り返しますが、一般の事業会社だって子会社が破産してしまいますと全部面倒を見るわけですよ。いわんや信用を重んずる金融機関は過去の例でも子会社をほとんど自分で見ていると。それで、よその金融機関なんかに支援を求めると親が子を食うのかというような、そのぐらいの批判を受けるような世界でございます。  ただ、問題は、住専は母体行が複数なものですから、どうも責任感がなくてお互いが横を向き合っているという点があるわけでございますけれども、そういう点から見ても母体行の直接負担の追加ということについては、ぜひ我々もまた議論していきたいと思います。  実は、参議院自民党の中でも、もちろん党の政調がありますし、連立与党の政策調整部会もございますけれども、参議院自民党の中で住専問題の問題を深めようということで、三月の初めまでに結論を出していろいろな提案を用意した。私の質問も実はその中の幾つかを取り上げさせていただいているわけですが、直接的負担、例えば金融システム安定のために業務純益の一部を国庫だとかあるいは保険機構の基金の中へ納付するとか、あるいはなかなか勇ましい議論が出ております。そういう金融機関には特別な税金をかけろとかいろいろな意見が出るわけでございます。  任意的な拠出といったって、やっぱり金融システムの安定のためのもので、結局母体行の信用がそれで高まるんだから、私も株主代表訴訟についての判例なり法理論については詳しくありませんので申し上げませんけれども、クリアできるんじゃないかという感じもいたすわけでございますので、その点については重ねて、ややしつこいようですけれども、ひとつ大蔵大臣に検討を進めていただきたいと思うわけですが、いかがですか。
  311. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 国会におきましても、政府の考え方としてしばしば御答弁を申し上げてまいりました。そのことにつきましては、政府として、特に直接その任に当たります大蔵省として全力を挙げて今お話がございましたことにこたえられるようにいたしたいと思っております。  どうぞ国会におきましても、党派を超えて皆様方の御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
  312. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 次に、回収の問題、これも大変住専問題の処理に大事なところでございますけれども、住専処理促進法では住専処理機構と預金保険機構、この二つが中心になって回収に当たるわけでございます。  何といったって、住専七社の債権の個数はもう二十四万件もありまして、時とともに回収困難になっておる、時間との闘いだとも言われておるわけでございます。  一方、刑事の方で背任、横領などを摘発したり、また競売の妨害行為等を排除したり、あるいは暴力団の介入等についてもこれを排除していくというようなことも必要でございます。特に私は、住専処理機構と預金保険機構、これによる債権回収を実効性あらしめるためには、政府側の支援体制、税務とかあるいは検察それから警察というような支援体制が何としても必要だと思うわけでございますが、既にその体制はできているというふうにも承知しておりますので、その点についてはお答えがあればお答えを願うわけでございます。  先ほどの長尾法務大臣の答弁にも一部出ておるんですが、重ねて繰り返してそのバックアップの体制についてもう一度お話を聞くとともに、処理機構なりあるいは預金保険機構の中の体制とか人員とか具体的に、我々はまだ承知しておりませんので、お教え願いたいと思います。
  313. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 早くから申し上げていることでございますけれども、機構の成立、整備を急がなければ、やはり時間とともにこの処理は傷口を深くし、難しくなっていくなという感じを持っております。  今お話がございましたことにつきましては、預金保険機構に設けます組織の方には検察、警察、国税等の現役の方々に入っていただくことにいたしております。そして、ここに悪質な借り手に対する財産調査権を与えようとするものであります。また住専処理機構には、これらの機関で経験を持つ人たちにぜひ協力をいただくような体制にして、そして強力な回収の体制がしけるようにしてまいりたいと思っております。  十三兆の債権をすべて譲り受けるわけでありますから、一円たりともこの債権を免責することなく、債務者に対して、私は衆議院で申し上げてまいりましたことは、地の果てまで追いかけるという気持ちで、徹底してその回収の任に当たりたい、こう思っております。
  314. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 それから、今の体制の問題と関連して、回収能力の問題があるわけでございます。  御案内のとおり、この住専問題が出てからしばしばアメリカのSアンドLの破綻に対するRTC、管理保全公社とかいろいろ訳し方はあるようですけれども、それが九兆円の金をつぎ込んで、そして八千人の人員をつぎ込んで回収と責任の追及を行ったわけでございます。有罪者千五百人、回収率八七%ということで、先般その幕を閉じたということを聞いております。  よくそれが引き合いに出されまして、今度の住専処理機構と預金保険機構のセット、確かに今おっしゃったように、保険機構なんかについては特別公務員で強力な立入調査権が与えられるというようなことで、困難な回収事案は住専が委託するという関係があるわけです。そういうRTCなんかを例にとって、回収する能力が低いだとかあるいは破産法とかの管財人の強力な否認権等があって、そういうものに比べれば住専の回収体制は弱いんだというような意見があるわけでございますが、これについては事務方でも結構ですから、ひとつその点についてのお考えを聞かせていただけたらと思うわけでございます。
  315. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 私どもも今回の処理策を検討いたします段階で、アメリカのRTC、これはSアンドしの処理を担当したわけでございますが、そこの機構あるいは仕事の仕方というものも参酌をさせていただきました。  御指摘のように、RTCは公社という組織でございますので、公的な性格が極めて強いわけでございます。それに比べまして今回の住専処理機構あるいは預金保険機構は、住専処理機構が株式会社組織、それから預金保険機構が認可法人ということでございますので、形は少し違うわけでございます。  私どもといたしましては、日本の社会の実情あるいは雇用形態、そういうものを参酌いたしますと、一方におきまして、弾力的な役割は住専処理機構という株式会社組織によって、公的な性格は預金保険機構という認可法人の組織をもって、この両者が協力し合いながら、連携を保ちながら仕事を進めていくということが最も適切ではないか、このように考えたところでございます。
  316. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 回収のために特に必要になるのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、資産隠しや競売の妨害行為等に対する強力な対抗体制をつくるということだと思います。  特に、暴力団絡みの資産占有などがかなり取りざたされております。これについては、議員立法で民事執行法の改正、保全なり引き渡し命令の強化というようなことが用意されておるようでございますが、やはりこの点が大変大事だと思うわけでございます。暴力団の民事介入の手口がえらく巧妙になっておるというわけでございますので、その点に対しては例えば検察なりあるいは警察等の対応も必要だ、一層の御努力をお願いしたいというふうに思うわけでございますが、いかがですか。
  317. 倉田寛之

    国務大臣(倉田寛之君) 不良債権問題にかかわります暴力団に対する対応でございますが、先ほども警察としての住専問題に対する対応については御答弁申し上げました。警察といたしましては、住専の不良債権についての暴力団等の関与につきましては、刑罰法令に触れる行為があれば厳正に対処いたしまして、検挙を通じてその実態の解明に資してまいりたいと考えているところでございます。
  318. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) 住専処理機構の実効性を高めるためにどういうような協力をするかということであるかと思います。先生の御指摘のとおり、関係省庁の緊密な連携協力、これは大変必要なことだと思っております。  法務省といたしましては、このような連携協力を推進するため、人材面での協力について前向きに検討いたしておりますし、刑事責任追及の面におきましては、刑罰法令に触れる行為が認められますれば、これに厳正に対処するため、検察当局が警察を初めとする関係機関との緊密な協力や連携を図っていくものと考えております。
  319. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 もう一つ、債権回収にとって大変大事なことは競売の実行手続、これがスムーズに行われるかどうかということだと思うわけでございます。  近時、大変競売の申し立て件数が激増しておる、また未済も累積しておる、しかも競売の対象の担保不動産の処分も未処理が非常にふえておると。これについては、回収の迅速化とか確実な回収といっても、実際担当する執行官の体制が何としても必要であるわけでございます。  最高裁の方から来ていただいておりますか。この執行官の増員、体制強化の問題、これは大変大事なことでございますので、お考えを承りたい。
  320. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) ただいま御指摘ありましたように、バブル経済崩壊後の平成三年以降、大都市の裁判所を中心に不動産競売の申し立て件数が急増しまして、平成六年以降も高水準で推移しております。不動産市況の影響も受けまして売却率も低迷し、未済件数が増加している状況にございます。また、バブル期の取引の影響もございまして、権利関係が複雑に錯綜し、その処理に多くの労力を要する事件も少なくない状況でございます。そこで、裁判所としても、不動産執行事件を適正かつ迅速に処理するために、執行事件を担当する職員等の人的整備の充実を図ってまいりました。  御参考までに申し上げますが、例えば事件数の最も多い東京地裁の執行部の職員につきましては、平成三年四月には裁判官五名、書記官及び事務官三十九名でございましたが、平成八年四月には裁判官を十二名としたほか、書記官、事務官二十四名の大幅な増員を行って、合計で書記官、事務官九十四名という体制にしております。また、大阪地裁につきましても、平成三年四月には裁判官三名、書記官及び事務官三十一名でございましたが、平成八年四月には裁判官六名、書記官及び事務官五十五名の体制としているところでございます。  そこで、ただいま委員御指摘の執行官でございますが、不動産執行事件において、物件の形状や占有状況等の現況の調査をし、その報告書を作成して裁判所に提出する事務を担当しているのが執行官でございまして、事件数の動向等に応じて弾力的な人員配置を行ってきているところでございます。  例えば東京地裁におきましては、平成三年四月には二十五名でありましたものを、その後増員を図りまして平成八年四月には三十五名の体制としております。そのうち、特に問題となります現況調査担当の執行官については六人から十七人としておりますし、大阪地裁につきましても、平成三年四月の二十一人から平成八年四月には二十七人とし、現況調査担当執行官は八人から十四名に増員をしているところでございます。  今後とも、事件処理体制につきましては、事件数の動向等を十分見極めまして増員等の適切な措置を講じていきたい、こう思っているところでございます。
  321. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 それから、債権回収を効率化するという点で、不良債権の証券化という問題がしばしば議論されます。  アメリカのRTCなんというのはこれを活用して非常に効率が上がったというわけでございます。ただ、日本の不良債権とアメリカの不良債権は、こっちは更地で向こうには建物がちゃんとある、収益性を生むというわけでございまして違うわけでございます。すぐ一概にパラレルというわけにはいかないんですけれども、やはりその不良債権の証券化の問題というようなことについて検討をする必要があるのではないかという点について大蔵大臣にお伺いします。
  322. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 不良債権処理と申しましても、今までどちらかといいますと銀行の帳簿上の処理に終わっていたのではないかというような御批判がございます。このような状況を脱しますためには、御指摘の証券化だとかあるいは担保の処分等、実態的な処理を進めていかなければいけないというふうに私どもも考えているところでございます。  こうした観点から、証券化に関しましては、これまでに信託方式及び特別目的会社を用いた担保不動産の流動化だとか、あるいは共国債権買取機構が保有いたします担保不動産の処分促進策の拡充など方策の拡充に努めてまいったところでございますが、この問題につきましては、我が国の経済的な状況あるいは今までの取引の慣行等もございまして、必ずしも今まで十分進んでいるとは言いがたい面があろうかと思います。今後とも努力を続けてまいりたいと考えております。
  323. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 また、公共用地として住専の不良債権、担保の活用という問題があると思います。これは建設大臣にお伺いしますが、民都機構等による買い入れ、あるいは住専債権の担保不動産は分散的であり虫食い的だということで、不動産の専門屋さんはみんなそう言うわけですけれども、それもミニ開発をするとかあるいは道路を整備してもらうと大分違うとか、いろいろな工夫をすればある程度の活用は大丈夫だと言う人もいるわけですが、これについて建設大臣のお答えをお伺いします。
  324. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) リストラと先ほど委員がおっしゃられていたとおり、その言葉にも類するわけでございますけれども、特に総合農政調査会長を長くおやりになっておられる先生などはその点をひしひしと感じられていると思いますが、土地のある意味における流動化というのが経済の活性化の促進剤にもなる、同時にまた、それがなければある意味における経済の活力が生まれてこない、昨今こう言われているわけでございます。  全く御指摘のとおりに、土地市場全体の低迷が不良債権の円滑な処理や企業のリストラというものの妨げになっていることだけは事実でございます。ちょっと地方都市へ行きますると、行政の関係もございましてか、農振の問題やその他の問題、今悩みは尽きないのでございますが、これらも含めて先生などの協力を得ながら私どもは考えていかなきゃなるまいかなと考えておる次第でございます。  このため、従来から、平成七年度二次補正におきまして事業費の追加がなされた公共用地の先行取得の推進、これをまず第一に挙げていかなければならない。  二点目としましては、御指摘のとおり民間都市開発推進機構の土地取得業務というものによる都市開発のこれまた推進が必要であろう。  第三点目におきましては、透明でオープンな不動産流通市場の形成のためのある意味における指定流通機構の制度、俗に言うレインズの充実を、これは私ども農林関係でも昔よくやっておった、それ以来の変わりない果てしない大きな理想であり、また流動化に対する一つの跳躍台になるのではないか、こう思っておるわけでございます。  また、四番目といたしましては、住宅土地に係る規制緩和、あるいは地方分権と言われているときでございますからそのトレンドは大事にしながら、そういう意味においてこれまた考えていかなければなるまいなと、こういう推進の問題、規制緩和を含めた問題等の施策を積極的に推進させていただければと、こう思っている次第でございます。  最後に、今後とも引き続きまして、国土庁を初め関係省庁と連携をとりつつ土地の流動化対策に積極的に努めてまいりたいと思いますし、特に公共投資の積極的な活用を通じまして土地の流動化の一層の促進に励みたいと思っておりますので、よろしく御指導、御鞭撻のほどを賜りたいと思っている次第でございます。
  325. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 それから、大蔵大臣住専処理機構から土地を買い受けるというか、あるいは担保不動産の競売、そういう場合に、優良宅地だった場合にはひとつ税制上の配慮をできないかどうかということを我々の間で議論しているわけですけれども、これはいかがですか。
  326. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 土地税制につきましての御質問でございます。  土地の流動化ということは、有効利用を促進するという意味で意味のあることかと思います。そういう意味で税制上も関心を持っているわけでございますが、一方で税制は、他の所得に対する負担とのバランスということで、土地を売った場合の負担との関係を常に考えなければなりません。  とはいうものの、最近におきます土地をめぐる状況からしまして、保有、譲渡、取得の各段階において負担のあり方を見直すべきだということを昨年大議論いたしました。その結果といたしまして、既に法律を通していただきましてこの一月から実施されておりますが、譲渡益課税につきましてはかなり大幅な軽減をいたしております。また、登録免許税、地価税等につきましても従来とは違う水準になっているわけでございまして、こういったことでかなり対応できるのではないかと思っております。  また一方、今申し上げましたように、一般的な土地税制のみでこれに対応していくということはなかなかやりにくい面があろうかと思いますが、土地政策全体の中で何か新しい目標を定めて全体の構想の中で税制が役割を果たせということであるならば、いろいろ議論をしていくことも考えられるのではないかと思っております。
  327. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 その次に、金融行政あるいは金融システムの問題について若干の質問をさせていただきたいと思います。  住専問題、不良債権問題を契機として、金融行政の問題、あり方あるいは機構の問題が火を噴き出しました。大きい話では、大蔵省の歳入歳出、金融、保険、証券等々、先進国に例を見ないような強い権限についての解体論ということが出ておりますし、また金融庁の問題等も出ております。  本来こういう問題は、総理も言っておられるように、規制緩和とか地方分権、これを徹底して進められていって、スリム化した中央行政組織を前提とした省庁等の統廃合が行われるべきだということだと思いまして、これは相当時間をかける必要があると思います。  ただ、今度の住専問題なんかを見ても、金融自由化が進む中で相変わらず護送船団方式によって事なかれ主義でやってきたということが大きな禍根でございます。アメリカにおける大和銀行の不祥事なんかについて見ますと、やっぱりアメリカでは金融自由化のもとで金融市場のルールを厳守する、そしてまたハイリスク・ハイリターンに走りやすいようなモラルハザードについての問題を監視するということで、監視検査機構、これが行政の中心になっておるようでございます。  そういう点を考えますと、私は我が国においても監視検査機構については、例えばアメリカでは連邦の機関は預金保険公社がありまして非常に強い権限を持っておりますが、我が国でも預金保険機構等の強化をいたして、こういうことで監視検査機構を独立させてやるというようなことに踏み切っていくべき時期が来ているんじゃないかというふうに思うわけですが、御所見いかがですか。
  328. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 既に与党三党におかれても、金融行政のあり方等について改革のためのプロジェクトチームを発足せられております。また、国会でも皆様方から熱心に改革の問題についての御意見をちょうだいいたしております。  大蔵省といたしましても、新しい時代の金融行政のあり方について検討するためのプロジェクトチームを先般発足させたところでございます。その際、特に私からお願いを申し上げましたことは、現在の機構組織を防衛するためのものではなく、新しい時代にふさわしい改革の方向を見出すような努力をしていただきたい。  しかし、現実には灯台もと暗しということもございますが、一方また一隅を照らすという言葉もございます。現に、その行政の場にあって責任を負ってきました者は、みずからの反省も加えつつ今後の金融行政のあり方、大蔵としては財政、金融の行政がどのように関係を持つべきかというようなことについても積極的な検討を進めてまいりたいと思っております。国会での御検討、また各党におきます御検討を賜ります中で、ぜひ新しい時代にふさわしい金融行政のあり方がまとめられて、その改革の方向がスタートできますように、今私どもが不良債権問題と取り組みます重要な任務の一つはそのことにもあると考えておるのでございます。
  329. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 金融行政なり金融システムの問題と関連いたしまして、今日、日銀の独自性の問題が大変議論されております。  松下総裁、きょうは御苦労さまです。  伝えられるところによると、非常に日銀総裁が積極的だというようなことも報道されておるわけでございます。  日銀法というのを読んでみると、食管法と同じころに出て、片仮名の法律で、食管法はこの間廃止されましたけれども、非常に戦特色が強い。しかも、政府の監督権限というか内閣の監督権限というか、人事権、監督権あるいは業務執行権というようなことで、本当に制度としては中央銀行としてはまれに見る従属的な地位にあるわけでございます。もちろん、運用等については政府と日銀とのあうんの呼吸で公定歩合の政策とかは行ってきている面も見られるんですけれども、この際、日銀の独自性のための検討ということが必要だと言われておるわけです。もっとも、逆にまた日銀の方でも、政策委員会なんというえらく立派な制度があるんで私も驚いたんですけれども、これが形骸化しているようですな。大げさで恐縮ですけれども、理事会の決定の報告を受けるだけの機関になっておるわけでございまして、そういう意味ではいろいろな検討の問題があるわけでございます。  それから、もう一つちょっと申し上げておきたいのは、約定考査ということをやっておりますな。これは金融制度の保全とか、日銀法も第一条に書いてあるから、各銀行について不良債権問題等の実態が相当わかっておるはずなんですけれども、これは大蔵省の方にそっと持っていってディスクローズしないんですか、おたくの方の考査なんというのが金融機関の経営の実態が一番わかっておるはずだと思います。いろいろ申し上げましたけれども、その点についてお考えを聞かせていただきます。
  330. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 現在の日銀法は御指摘のように昭和十七年に制定されたものでございますから、今日の目から見れば、当時の時世を反映いたしまして政府に広範な監督権限を付与しておりますけれども、戦後、政策委員会の設置という改正が行われておりますので、金利政策につきましては日銀の専管事項というふうに定められております。現に、日銀といたしましても、あくまでみずからの判断と責任で金融政策を行ってまいったところでございまして、また日銀法全体の運用もこの間、総じて弾力的に行われてきていると考えております。  しかしながら、この先、経済の市場化や金融の国際化がさらに進展していきますことを考えれば、現在の法律は、先ほど申し上げたような性格がございますから、中央銀行に対する信任を維持しながら適切な政策運営を確保していくという点で必ずしも十分に対応できない可能性もございます。したがって、現在の日銀法は、経済、金融の変化に即して、また先進各国の中央銀行法と比べて遜色のないよう見直すことも必要であると考えております。  その際、日銀が独立性を強めますならば、その表裏の関係で当然責任は一層大きくなるわけでございます。こうした責任を明らかにしていく仕組みをつくる必要もあろうと考えております。そのためには、御指摘のような国会報告義務あるいは政策委員会による政策決定過程の透明性の確保というようなさまざまな方法や工夫を検討していくことが必要と考えております。  日銀法は、我が国の通貨、金融の根本法でございまして、今後長きにわたって経済に大きな影響を及ぼす重要な法律でございますから、その改正ということになりますれば、国民の英知を集めて議論を尽くしていただくことが必要であろうかと思います。この点につきましての大方の御賛同が得られ、中央銀行のあり方に関して議論が行われるのでありましたらば、私どももそうした議論に積極的に貢献してまいりたいと存じております。  なお、ただいまは日銀の考査についてのお尋ねでございました。私どもとしましては、日銀が行っております考査あるいはモニタリングは通貨価値安定と金融システム安定、この日銀の二つの使命を達成する上で必要不可欠な機能であると考えており、またこれは日銀の政策、業務運営と一体となって行われているということでございます。金融政策を適切に運用いたしますためにも、またあるいは決済システムの円滑な運行を確保する、最後の貸し手機能を有効に発揮していく、信用不安の発生を未然に食いとめるというような点におきまして、こういう機能は非常に必要なものでございます。海外の中央銀行におきましても、手法の違いはございますけれども、何らかの形で金融機関の検査あるいは監視に関与いたしておりますのも、こういった理由によるものと思います。  そういった意味で、私どもとしましては考査、モニタリングは外部の情報とかあるいは他の機関との共同検査によって代替するわけにはまいらないように考えているところでございます。  これまで私どもの行ってまいっております考査、モニタリングによって得ました情報は、ただいまお尋ねがございましたけれども、私どもも、例えば大蔵省との間で金融機関のシステムの安定の問題についていろいろと協議をしてまいります際に、やはり大きな情報の一つとして交換いたすように努めてまいったところでございます。
  331. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 ずっと申し上げましたように、住専問題について概括的な御質問を申し上げました。あと総括質問の過程でそれぞれの分野につきまして同僚からいろいろな突っ込んだ質疑をさせていただきますので、この程度にさせていただきたいと思います。  次に、財政再建問題について、大ざっぱな御質疑になるかと思いますが、基本的な考えを承っておきたいと思います。  総理は、施政方針の中でも、財政は危機的状況にあるとはっきりおっしゃっております。そう言われなくても、もう本当に数字を見れば気が遠くなるような我が国の財政状況でございます。  平成八年度の予算を見たって、国債の発行額が二十一兆、依存度二八%というようなことでございますし、累積額は二百四十兆というわけでございます。国際的に見たって、よく言われるんですが、国、地方の収支の赤字のGDPに対する比率、これが日本も高い、あるいは累積公債額のGDP比率も高いというわけでございまして、先進国でまことに名誉でないような財政状況であるわけでございます。そういうことで、まさに危機的状況にあると総理はおっしゃられたと思うんです。  さてしからば、これをどう脱却していくかという点については、かつては赤字公債からの脱却と言ったり、あるいは当面の目標は公債依存度五%だと言ったり、これも今二八%ですから現実性がないわけでございますが、総理、どうですか、この目標等についてのお考えでもお持ちだったらひとつ聞かせていただきたいと思います。
  332. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私自身、大蔵大臣在任中に国債依存度を下げること、そして赤字公債発行をゼロにしたいということを目標にしてまいりました。そして、基本的な考え方は今も私は財政についての本質としてそのようなものであるべきだと思います。  しかし、その後、バブルの崩壊後、打ち続いております非常に厳しい経済情勢の中で、累次にわたる経済活性化のための努力が次第次第に公債依存度を高め、しかもさまざまな要因の中でなかなかそれが効果を発揮しないという状況の中で、ついに今年度末の国債残高が二百四十一兆というような状態にまで参りました。そして、このままこの状態が続けば危機である、これは本当に私どももそのとおりだと思います。  それだけに、今私どもは、弱いと言われながらもようやく回復軌道に乗りました我が国の景気の足取りを着実なものにすることに全力を挙げさせていただきたいと心から願っております。  そして、そのためにも平成八年度本予算が一日も早く通過、成立をし、その中に盛り込まれておる各種の施策を十分に活用させていただきたいということを願い続けてまいりました。幸い、本日から本院におきまして予算審議を始めていただいたことで心からお礼を申し上げます。願わくば、この中で一日も早く成立をさせていただきますように、そして景気を回復軌道に乗せることによって我が国の経済自身を安定させる。私は、びほう策はもうないと考えております。  そして、本年度予算を編成いたします時点で、我々としてはできる限りの努力を払いながら、節減できる歳出については思い切って節減の努力もいたしてまいりました。また、効率化の努力もしてまいったつもりであります。そして、その上で、なおかつ税収の不足の中で縮小均衡をとるよりも、一時的に国債発行残高の増ということにはなりましても、赤字国債を発行することによってより積極的に景気回復に向かわせることを願いながら今回の予算を編成したわけであります。  目下、財政審においても御論議をいただいておりますし、国会の中においても御論議をいただき、また与党三党の中においても財政構造改革に関する検討の場等を設けていただいておりまして、私どもは幅広い御論議の中から方向を打ち出していくことを心から願っております。
  333. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 財政再建の問題でございますけれども、例えばアメリカでは双子の赤字で、貿易赤字と財政赤字が言われて久しいわけです。財政赤字については、御案内のとおり包括財政法というような法律ができまして、そしてある中期的な計画で財政支出を明確に削減していく、それが例の大統領府と議会との予算をめぐる緊張の原因であるわけでございます。  我が国においても、今後財政再建を進める上においては、目標ではなく、これはなかなか難しい話ですけれども、やっぱり中期の再建計画に近いものをつくって、それに関係者すべて努力をいたすということが必要ではあるまいかと思うわけでございますが、これについて大蔵大臣のお考えをお聞かせください。
  334. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今、総理からお答えがございましたが、私どもそのような考え方の上に立って、大河原さんがおっしゃいましたように、再建の目標もできるだけ明確にしながら具体的な再建策を歳入、歳出両面にわたって検討を急がなければならないと思っております。  今私が事務当局にお願いを申し上げておりますのは、平成九年度の予算編成が再建に向かう元年となるよう財政再建の方策を可能な限り具体的に決めてもらいたい、検討してもらいたいということでお願いをしているのであります。これらの問題がまとまってまいります段階では、また皆様方にもぜひいろいろと御検討を賜りたいと思っております。  政党におかれても、与党には財政再建を検討する場をおつくりになると承っております。ぜひ本委員会におきます論議等の中でも、財政再建についての皆様方のいろいろな御意見もお聞かせいただければ大変幸いだと考えております。
  335. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 それで、私の承り方が間違っているかもしれませんが、現在、財政構造特別部会というのを財政審議会の中でつくっておられて検討が進められております。これはまた総理にもお聞きしなくちゃいけないんですけれども、行革については推進委員会とかあるいは地方分権推進委員会とかできて一定の進展をしておるわけですが、財政改革はこれからでございます。どういうスケジュールでこれを推し進めていくつもりであるか、その点についてのお考えをこの際聞かせていただきたいと思います。
  336. 小村武

    政府委員(小村武君) 財政構造改革のための財政審における特別部会の検討状況でございますが、ただいま精力的に検討をしていただいております。  一つは、先生御指摘の財政再建目標といいますか、そういったものの整理ができないだろうかということ。それからもう一つは、その目標を達成するためにどういう改革をしていくか、具体的な歳出構造の見直し、こういう二つの分科会に分けて今検討しております。できましたら、六月ごろに一つの目安のような中間報告的なものができないかということも検討しております。  さらに、九年度予算案に向けて具体的な報告を出して、大臣が先ほど申し上げました、九年度予算が財政改革への初年度に当たるような、そういうものを今検討している段階でございます。
  337. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 この際ちょっと申し上げておきますが、例の財政の中期展望、本年度も予算委に提出をした。あれは財政運営の指針をつかむ手がかりだというようにみずからを規定しておりますが、まあ平成八年度を起点として機械的に伸ばしているんじゃないか。それで、歳入歳出のギャップは要調整額というようなことで、余りこれは財政運営の方針を探るあれとは思えないんです。もうちょっと踏み込んだ展望等を、国会へ提出の場合には工夫をなさってもいいんじゃないかということを、ついででございますが申し上げておきます。
  338. 小村武

    政府委員(小村武君) ただいま国会に提出をしております財政の中期展望というのは、先生御指摘のとおり、現行の制度のもとでどうなるんだろうということを一応の姿として出しております。  本年度は、これにさらに、仮にこういう仮定をおいた場合にはどういう姿になるか。例えば、一般歳出をゼロと置きまして、この特例公債を脱却するには何年かかるだろうか、一般歳出を七年間ゼロにすると特例公債の依存から脱出できるというような一つの議論のたたき台として、出発点としてお示しをしているわけでございます。これを基礎として将来どうすべきかという議論をここからしていただくという目的でございます。  財政計画という完結したいろんな具体的な方策をもって、これをもって収支相償う計画というものは、残念ながら我が国においてまだ検討の緒についておりません。これはいろんな問題がございまして今までも出すに至っておりませんが、こうした資料をもとにして、これからどういうふうにしてこの財政改革をしていくかということを真剣に議論してまいりたいと思っております。
  339. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 それから、財政再建の問題等を考える場合には、いろいろな財政に関する問題あるいは各種の事業、制度の問題、それぞれが縦割りの中で議論されておる。国債あるいは歳出は財政審、税制は税制調査会、社会保障制度については社会保障制度審議会、それぞれの縦割りの中で議論されている。全体の整合性が果たしてあるかどうかという点について、もちろん財政のことを考えながらそれぞれ議論が行われ、それなりの意見をまとめるんですが、必ずしも整合性を持った議論が行われているかどうかという点について問題があるのではあるまいかというふうに思うわけでございます。  そういう意味では、財政再建問題に本当に必死になって取り組むという段階における議論としては、歳入歳出の問題はもちろんですけれども、各種の事業とか制度、主要な財政に影響を与える大きなウエートを持っているそういうものを代表する委員の人たちと横割りの論議が十二分に行われて、それによって財政再建目標に対して集約されるというようなことが考えられていいんじゃないかと思うわけでございます。  そう言うと大変言い過ぎになりますけれども、財政審ではその役割が果たせるかどうかというような点もあえて申し上げますけれども、そういう感じもしなくはないわけでございます。そういう意味では、行政改革委員会があるし、それから分権推進委員会もあるんだから、本当なら財政改革推進委員会ぐらいのものをつくって、そうして本格的に取り組むということが必要ではあるまいかというふうに思うわけでございますが、総理、いかがでございましょうか。
  340. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、財政再建の視点からではございませんが、たまたまある問題で委員が御指摘のような感じを持ちまして、今その方向を模索し始めました。それは、総理に就任いたしてみまして、行政改革委員会、地方分権推進委員会、既に任務を終了いたしております国会等移転調査会、さらに経済審議会といった主要審議会の任期がそれぞれに異なり、持ち込まれている問題それぞれに事務局があり、その間の横の連携がない、そのために二律背反の状態が生じて動きがとれなくなるケースがあるということでありました。  そして、今まさに縦割りを横割りにと言われましたが、こうした主要な委員会審議会の会長あるいは会長代理の方々に横の会合をお持ちいただきまして、そのそれぞれの審議会の御了解を得て、事務局同士の横の連携をも今とらせ始めております。それぞれに違った視点が入り、喜んでいただいておりまして、それがこれからの建議、答申あるいは勧告等にも生かされることを願っております。  今、委員からの御指摘を踏まえて、私、それでもう一つ審議会をつくるというのは本当は好きじゃありません。むしろ、それよりも財政審を中心に、あるいは税制調査会あるいは経済審議会等が横の連携をとり、それぞれの特色を生かしながら方向づけができるような工夫をいたしてみたい、率直にそのように思います。
  341. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 それから、大変地味な話でございますけれども、財政再建というのは経費、支出の地道な積み上げということも大事だと思います。そういう意味では、決算の問題、決算の重視ということが非常に大事ではないかというふうに思います。  それで、決算について、これは制度上の制約もあるようですが、読み方によっては大丈夫だという見方もあるんですが、国会に対する決算の早期提出と、我々参議院自身の問題ですけれども、審議の重視というようなことが財政再建の一環としても大事ではあるまいかというふうに思うわけでございます。  これは手前みそになりますけれども、我が党では参議院改革の中で決算の重視ということを取り上げて、いかなる制度としてやっていくかという点を議論しておるわけでございます。  大車輪でやった決算の承認が平成四年と五年ですからね。ですから、やはり予算への反映ということになると、とにかく考えさせられる話があるわけです。これについて大蔵大臣はどう考えていますか。決算重視の思想について、最大限のその配慮ということについてお願いしたいと思います。
  342. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 大蔵大臣の立場で申しますよりは、私も参議院に所属をいたしておりますので、かねがね参議院改革に強い関心を持って皆様方と一緒に議論もさせていただきました。  決算の早期提出、そして決算審査の充実ということは、財政を考えてまいります上で非常に重要なことでありますが、今の決算の審議の状況では、予算編成に前年の決算が意味を持ってこないというような乖離がございます。  こういう点につきましては、御提起がございましたように、私どもといたしましてもできるだけ短い年次で予決算の関係がきちんとついていくように努力をしなければならぬと思っておりまして、その点ではとりわけ参議院の改革の中で御論議をいただいております皆様方の御努力をお願い申し上げたいと思っております。
  343. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 それから、もうぼつぼつ最後になるのでございますけれども、新進党の小沢党首が今国会の代表質問において、財政の運営について相当ドラスチックな提案をなさいました。所得税、法人税等は現在の半分にする。そして、平成九年の消費税の引き上げを先送りして、十三年に六%にして、そしてざらに一〇%にするというような相当ドラスチックな提案をなさったわけでございます。  これについては、私どもも細かい基礎がわかりませんし、勉強もしていないんですけれども、なおそのほかに公共事業に五兆円を投下するというようなわけでございまして、この期間に膨大な財政赤字が予想されるわけでございますが、この点について大蔵大臣、検討なさったことはありますか。いかがでございますか。
  344. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 今御指摘の点につきましては、新進党の党首選挙の際、それから先ほど御指摘の際にそういう構想が発表されたわけでございますし、また先日発刊されました「語る」という表題の書物の中で構想が示されております。  私ども、その提案の前提となるデータとか、あるいは全体の財政フレーム等が必ずしも明らかでない形で出ておりますので、これについて云々することはいかがかと思いますが、委員今御指摘のように、最初に所得税、住民税、法人税を半分にするということです。これは、今全体で四十兆円ぐらいの税収になりますから、一年に二十兆円の減税になる。これを五年間続けますと百兆円の減税になります。それから、消費税を上げていただけるということで、さらに消費税が十年後には一〇%になるということで、これを全体としてどう評価していいのか難しいですけれども、当面大変な財政収支の悪化が生じるということは言えるのではないかと思っております。
  345. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 以上で、私の持ち時間多少余りましたけれども、質問を終わらせていただきます。次回に、なお時間が残っておりますので、やらせていただきます。(拍手)
  346. 井上裕

    委員長井上裕君) 大河原太一郎君の残余の質疑は次回に譲ることといたします。  次回は来る十五日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十一分散会      ―――――・―――――