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国務大臣(
久保亘君) 参議院では、先般暫定
予算審議の際に御質問がございまして少しだけお答えする機会がございましたけれども、きょうが初めてでございますから、
石井さんが今言われましたように初心に返って誠実にお答えを申し上げます。
私どもは、日本の金融が今抱えております巨額の不良
債権を早期に
処理して金融システムの安定化を図り、内外の信用と信頼を確保すること、そしてそのことによって、日本の経済のようやく回復の基調にあります状況をさらに促進しつつ、結果的には
預金者を保護する、こういうことが政治の任務だと考えております。
住専の問題は、もとよりこれは民間の企業の
債権債務に関する問題であることは十分に承知をいたしております。しかし、この
住専が今日巨額の不良
債権を抱えておりまして、多くの母体行、一般行がこれに関与し、また農協系統金融機関もこれにかなり大きな
債権を持ってかかわっておるという状況もございます。
これを民間の
処理に任せました場合には、破産法の適用であれ
会社更生法の適用であれ、非常に困難を生ずるのではないか。時間的にも非常に難しい問題が起こって、結局、今政治が至上命題といたしております不良
債権問題の早期の
処理、解決と金融システムの確立というこの政治的な任務を果たすことは困難ではないか。それならばいかなる方法があるかということで、
大蔵省等を中心にいたしまして、関係の金融機関等との間にこの
処理策について協議を進めてまいったところでございます。
その結果、昨年八月の
立入調査の結果をもとにいたしまして、不良
債権として回収不能のもの等六兆四千百億につきまして、これをどのように
処理するかということで協議いたしました結果、その合意として、母体行が三兆五千億の
住専に対する
債権を全額放棄、一般行が三兆八千億のうち一兆七千億を放棄、農協系統金融機関は五兆五千億の
債権を一たん全部償還を受けるが、そのうち五千三百億円を贈与の形で損失、欠損の
処理のための負担として提供をすると、そういうことになりました。
この設定につきましては、いろいろなこれまでの経緯等にかんがみ、さらにそれぞれの金融機関等が持ちます体力、こういったようなものを勘案の上、最終的に当事者間の合意として決められたものでありますが、そのことによって不足してまいります六千八百億円を
政府が公的財政支出を行うことによってこの不良
債権の
処理、
住専の整理、そして債務の回収等に当たる、公的関与を行う、こういうことで決められたものでございます。
なお、このような決定に至りますまでの間には、昨年度を振り返ってまいりましても、昨年四月の経済対策の中で既にこの不良
債権の
処理に対して公的な関与を含めて検討に入ることを関係閣僚の協議でも決められておりまして、その後、六月、九月、それぞれこれらに関する方針を出してまいりました。
そして、
与党においては、この問題に関する金融・証券プロジェクトの検討を二十回にわたって進められた上、十二月一日にガイドラインを発表されたのであります。これらを受け、なお金融制度
調査会の
審議の経過等も念頭に置きつつ、十二月十九日、前
内閣の閣議において決定をされたものであります なお、これは新
内閣、
橋本内閣においても継承されることを決定いたしました。これらに関する
予算並びに方針等につきましては、現
内閣の責任において皆様方に御
審議を賜っているところであります。
なお、早期の不良
債権の
処理とあわせて新しい時代における金融システム、金融行政のあり方について、今私たちが皆さんとともに検討の上、早急に結論を出して、最終的には自己責任原則の確立、市場規律に基づく透明度の高い金融システムを目指す、そのことのためにこの不良
債権の
処理とあわせて我々は今政治的な任務を負っているものと考えております。
そのような立場から、本日、閣議決定をいたしまして、
国会にいわゆる金融三法案を提出し、御
審議を賜ることにいたした次第でございます。(「よくわかった」と呼ぶ者あり)