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1996-03-28 第136回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十八日(木曜日)    午前九時三十一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  二月十六日     辞任         補欠選任      佐藤 静雄君     真鍋 賢二君      林  芳正君     板垣  正君      吉岡 吉典君     上田耕一郎君      吉川 春子君     緒方 靖夫君      西川  潔君     島袋 宗康君  二月十九日     辞任         補欠選任      加藤 紀文君     上杉 光弘君      三重野栄子君     峰崎 直樹君  三月十四日     辞任         補欠選任      野村 五男君     倉田 寛之君  三月十五日     辞任         補欠選任      倉田 寛之君     野村 五男君  三月二十二日     辞任         補欠選任      武見 敬三君     中原  爽君      島袋 宗康君     西川  潔君  三月二十五日     辞任         補欠選任      中原  爽君     武見 敬三君  三月二十七日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     岡野  裕君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         井上  裕君     理 事                大河原太一郎君                 斎藤 文夫君                 清水 達雄君                 塩崎 恭久君                 泉  信也君                 白浜 一良君                 都築  譲君                 山本 正和君                 有働 正治君     委 員                 阿部 正俊君                 石井 道子君                 板垣  正君                 岡野  裕君                 久世 公堯君                 河本 三郎君                 鴻池 祥肇君                 坂野 重信君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 野沢 太三君                 野村 五男君                 服部三男雄君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 荒木 清寛君                 岩瀬 良三君                 海野 義孝君                 大森 礼子君                 加藤 修一君                 小山 峰男君                 鈴木 正孝君                 直嶋 正行君                 益田 洋介君                 横尾 和伸君                 朝日 俊弘君                 一井 淳治君                 大渕 絹子君                 梶原 敬義君                 川橋 幸子君                 峰崎 直樹君                 上田耕一郎君                 緒方 靖夫君                 小島 慶三君                 西川  潔君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        大 蔵 大 臣  久保  亘君        法 務 大 臣  長尾 立子君        外 務 大 臣  池田 行彦君        文 部 大 臣  奥田 幹生君        厚 生 大 臣  菅  直人君        農林水産大臣   大原 一三君        通商産業大臣   塚原 俊平君        運 輸 大 臣  亀井 善之君        郵 政 大 臣  日野 市朗君        労 働 大 臣  永井 孝信君        建 設 大 臣  中尾 栄一君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    倉田 寛之君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  中西 績介君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       岡部 三郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  臼井日出男君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       田中 秀征君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中川 秀直君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  岩垂寿喜男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  鈴木 和美君    政府委員        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        人事院事務総局        職員局長     佐藤  信君        阪神・淡路復興        対策本部事務局        次長       生田 長人君        防衛庁参事官   澤  宏紀君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁施設        部長       小澤  毅君        法務大臣官房審        議官       山崎  潮君        法務省刑事局長  原田 明夫君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省条約局長  林   暘君        大蔵大臣官房長  涌井 洋治君        大蔵省主計局長  小村  武君        大蔵省銀行局長  西村 吉正君        国税庁次長    若林 勝三君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        厚生大臣官房総        務審議官     亀田 克彦君        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産省経済        局長       堤  英隆君        郵政大臣官房審        議官       品川 萬里君        郵政省貯金局長  木村  強君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君        労働大臣官房長  渡邊  信君        建設大臣官房長  伴   襄君        建設省住宅局長  梅野捷一郎君        自治大臣官房長  二橋 正弘君        自治省行政局選        挙部長      谷合 靖夫君        自治省財政局長  遠藤 安彦君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成八年度一般会計暫定予算内閣提出衆議  院送付) ○平成八年度特別会計暫定予算内閣提出衆議  院送付) ○平成八年度政府関係機関暫定予算内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 井上裕

    委員長井上裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成八年度暫定予算案審査についての理事会決定事項について御報告いたします。  質疑は本日一日間行うこととし、総括質疑方式とすること、質疑割り当て時間の総計は六十分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党・自由国民会議二十分、平成会二十六分、日本共産党八分、新緑風会三分、二院クラブ三分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとおりでございます。     ―――――――――――――
  3. 井上裕

    委員長井上裕君) 平成八年度一般会計暫定予算平成八年度特別会計暫定予算平成八年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。大蔵大臣久保亘君。
  4. 久保亘

    国務大臣久保亘君) このたび、平成八年四月一日から五月二十日までの期間につきまして暫定予算編成することといたしましたが、その概要について御説明申し上げます。  まず、一般会計につきまして申し上げます。暫定予算が本予算成立までの応急的な措置であることにかんがみ、今回の暫定予算におきましても、人件費事務費等経常的経費のほか、既存の法令等により支払い期日が到来する経費などについて、暫定予算期間中における行政運営上必要最小限経費を計上することといたしております。  なお、新規の施策に係る経費につきましては、原則として計上しないこととしておりますが、生活扶助基準等の引き上げ、国立大学の学生の増募等、教育及び社会政策上等配慮から特に措置することが適当と認められるものにつきましては、所要額を計上することとしております。  また、公共事業関係費につきましては、暫定予算期間中における事業継続的執行を図るため、一般公共事業につきましては平成八年度予算額のおおむね十分の三を目途に計上することとし、その枠内において積雪寒冷地事業については特別の配慮を加える等、所要額を計上することとしております。  さらに、地方財政につきましては、四月に交付する地方交付税交付金に係る所要額を計上することとしております。  歳入につきましては、税収及びその他収入暫定予算期間中の収入見込み額を計上するほか、公債金について、暫定予算期間中において財政法の規定により発行を予定する公債に係る収入見込み額二兆六千二百億円を計上することとしております。  以上の結果、今回の一般会計暫定予算歳入総額は三兆七千六百十億円、歳出総額は十一兆六千二百十五億円となります。  なお、七兆八千六百五億円の歳出超過となりますが、国庫の資金繰りにつきましては、必要に応じ大蔵省証券を発行することができることとしております。  次に、特別会計及び政府関係機関暫定予算につきましても、一般会計の例に準じて編成いたしております。  なお、財政投融資につきましても、一般会計に準じ、所要措置を講ずることとし、住宅金融公庫、日本道路公団等二十五機関に対し、総額九兆三千二百八十六億円を計上しております。  以上、平成八年度暫定予算につきまして、その概要を御説明いたしました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  5. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で平成八年度暫定予算三案の趣旨説明は終了いたしました。  それでは、これより質疑に入ります。岡野裕君。
  6. 岡野裕

    岡野裕君 おはようございます。きょうは与党三党のお時間全部をちょうだいいたしました。したがいまして、与党代表というようなことで質問を申し上げる次第であります。よろしくお願いをいたします。  さて、景気が本格的な回復軌道に乗るかどうか、今が最もその重要な段階になっております。このようなときに五十日間にも及ぶ暫定予算提出なさる、そうして私どもはこれを審議申し上げるというようなことは、景気回復を願う国民期待を裏切るものでありまして、まことに残念なことだな、こう思っているところであります。  しかし、そんな事態を招いたのはだれなのか。これは、衆議院新進党が去る三月の初めに予算委員会室ピケで占拠いたしました。そうして、つい一昨々日これを解除するまで、予算委員会空転は実に二十二日間に及ぶということであります。(「衆議院でやってこい、そんなのは」と呼ぶ者あり)だから、衆議院新進党と申し上げました。政府住専処理案国民にいまだ十分に理解されておらない、それを奇貨として、議会制民主主義を完全に踏みにじり、政局を混迷させ国会を解散・総選挙に持ち込もうと、こういう党利党略だけの暴挙は断じて許されるものではありません。  この間、前国会から引き続きの宗教法人問題を初め、新たに生起した中台問題、薬害エイズ、オウムとTBSとの関係など、内政、外交上幾多の問題が論議されるべくして論議されないままに無為に推移をいたしました。一体この責任はどうしてくれるのでありましょうか。  当時、私は選挙応援で長く岐阜におりましたが、新進党ピケという禁じ手を使って審議を妨害し、言い分が通るまではてこでも動かないというこの理不尽に対しては、県民、有権者の方々の御批判がどんどん厳しくなるというのを肌で感じ取っておりました。選挙で勝てばいいということだけ考えますならば、これはプラスではあります。しかし、憲政のありさまということを考えますとき、私は慨嘆これ久しゅうする思いでございました。  やっと今になって正常の道を歩むようになりました。私どもといたしましては、この長い国会空転による国民政治不信を可及的速やかに回復するよう予算審議を深めてまいりたいと存じております。総理におかれましても、住専処理を初め内外の山積する緊急課題について、総理のお顔が見えるすぐれた指導力を存分に発揮なさって、国民信頼理解を求められていくべきと存じますが、いかがでございましょうか。
  7. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、岡野委員から御指摘がございましたように、私ども内外に多くの課題を今日抱えており、日々その処理に追われております。  一月十一日に内閣総理大臣に就任いたしましてから私なりにそれぞれの課題に精いっぱい努力をしてまいったつもりでありますけれども、私は、何と申しましても今国民から求められております緊急の課題としての景気回復というものに、何としても本格的な回復軌道に乗せていくための努力を今一番払わなければならないときであると存じております。  また、沖縄県における状況は今さら申し上げるまでもありませんが、沖縄方々のお気持ちというものに最大限の理解を払いながらも、日米関係というもの、そして日米関係の基礎をなしております日米安全保障条約というものを考えますときに、私どもとして努力をしなければならない課題がなお多く残っておる状況であります。  内外の諸課題に対して私なりに引き続き全力を尽くしていきたい、そのように考えております。  ぎりぎりまで私どもは年度内の予算成立というものを心から願っておりました。しかし、ある時点において、参議院の御審議等をも考えましたとき、十分な審議時間をということを踏まえますと、五十日という期間を持った暫定予算編成し御審議を願う事態になりましたことを、私自身大きく責任を感じております。  暫定予算の中には、先ほど副総理大蔵大臣の方から御説明を申し上げましたように、当面でき得る限りの内容は盛り込んでおりますけれども、やはり本予算が一日も早く成立し動き始めることによって新たな仕事を起こしていくことができる。国の景気というものを考えますとき、本日暫定予算の御審議をお願いいたしますことに心からお礼を申し上げますと同時に、一日も早い本予算成立というものを心から願う次第であります。
  8. 岡野裕

    岡野裕君 ありがとうございました。  この間行われました参議院岐阜補欠選挙におきまして、私ども与党党推薦大野つや子さんが立派に当選をなさいました。  新進党住専問題を最大の焦点として選挙戦を展開されていたと思います。例えば、住専ノーなら吉岡へとか、御家族が四人なら住専税が四万円も徴収されることになりますよ、こんな住専許してよいか等のうたい文句がチラシだとか街頭あるいは電話戦術に使われました。  これに対しまして大野候補の方は、家庭を守る主婦、母親の立場から、景気回復を本物にしていく必要性を訴え、そのために足かせとなってしまう住専問題を一刻も早く処理すべきだ、こういう理解を求めていかれました。選挙民の反響として、住専よりも景気だなと、特に地場産業を元気づけろ、高山の工芸技術はどうなるんだ等の声が高まるように相なりました。  無論、これによって政府住専対策のすべてが選挙民理解されたなどとは思ってはおりません。しかし、下手くそで生硬な役所の説明ではなく、岐阜県下には与党三党約四百数十人の生身の国会議員がお邪魔をし、生の言葉で住専を一つ一つ解説し、県民の生の声、御質問に細かく答えていくという仕事をいたしました。だから、岐阜県民一般国民より住専についてはより多くの判断材料というものを提供され、前述の間違った座り込み戦術に対する批判と相まちましてこのような選挙の結果を招いたのだと、こういいますのが地元の直接選挙に携わっておられた方々感想ということで私は教わってまいったことを御披露いたしました。  総理は、三党首そろい踏みということで自民党総裁として来県をなされ、四つの会場、約二万人を超える大衆に、長く生きていて幸せだという国づくりを説かれましたが、今回の岐阜選挙戦の結果をどう受けとめておられますか、御見解をちょっとお尋ねする次第でございます。
  9. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今岐阜参議院補選の結果を住専をテーマにしながら述べられ、感想を問われました。  私は、住専処理策というものについていまだに国民皆様に御批判があることは痛いほど感じているつもりであります。しかし同時に、この住専問題を早期解決していくことが本格的な景気回復を実現する上で、そして我が国金融システム安定性内外信頼性を取り戻していく上で必要不可欠なことだということもその選挙で申し上げてきたところでございます。  私は、今回の参議院岐阜補欠選挙におきましても、国民皆様景気の一日も早い回復というものを心から願っておられることを強く感じてまいりました。  住専問題の処理に当たりましては、当然のことながら借り手や住専経営者を初めとした関係者責任というものを厳しく追及してまいる所存であります。また、委員が今引用されましたようなことが私はあると思いませんけれども、新たにこのために国民負担を求めるようなことがもし言われたとしたら大変残念であります。国民に新たな負担を求めるものではないことも申し上げてきた次第でありますから、私は全力を挙げてこの問題の早急な解決を図っていき、景気回復させるために全力を尽くすとともに、国民皆様理解そして信頼を確保していきたい、そのようにこの選挙の結果を受けとめております。
  10. 岡野裕

    岡野裕君 住専問題につきましてはまだまだいろいろ問題があるところだと思いますが、新進党さんからもついこの間になりましてようやく対案というようなものが出た趣であります。今後いずれ、ともあれこの住専問題につきましては、国民の目線で審議をし、総理が今おっしゃいますような、国民負担を多くするのではなくて軽減をしていくような方策を煮詰めていかれたならばいかがなものであろうか、こう思う次第であります。  さてそこで、暫定予算景気対策についてであります。  今、多くの国民の願いは景気回復軌道に立派に乗せることだと。そのためには、来年度予算早期成立と金融不安を解消することです。今回の暫定予算には、最小限事務的経費のみならず、政策的経費として、大蔵大臣お話しのとおり、公共事業費は来年度予算額の三割、約三兆円を計上されています。前年度からの継続分についてはこれを十分担保する、景気に及ぼす影響はほとんどないものにするということだと存じますが、しからばどんな工夫をなさっておられるのか、大蔵大臣にお尋ねいたします。
  11. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今回の暫定予算におきましては、公共事業費につきましては本予算の三一・一%に当たる額を計上いたしております。特に、昨年秋の景気対策としてとられました経済対策が今日執行中でございますが、これらはもちろんのこと、継続事業となっておりますものに支障を来すことがないよう、これらに必要な公共事業費についてはこれを可能な限り計上いたしたところでございます。  また、私どもといたしましては、五十日の暫定予算国会審議状況景気動向に着目しながら御審議をお願いいたしているわけでございますけれども、ただいま総理からも御発言がございましたように、一日も早く本予算成立させていただきまして、景気対策全力を挙げて取り組むことができるように国会の御協力を心からお願い申し上げる次第でございます。
  12. 岡野裕

    岡野裕君 大臣、ただ一つ不安があるとすれば、地方自治体財政、これじゃないかと思うのです。ただでさえ厳しい財政事情の中です。国の支出がおくれて公共事業に悪影響が出てしまう、そんなことになりますと、せっかくの暫定予算も台なしになつちゃいます。地方自治体公共事業執行地域経済活性化には欠かせない。これが新年度からおくれるようなことでは、せっかく上向きかげん景気がまた戻っちゃうんじゃないか。政府としては、せっかくの公共事業でありますから、地方自治体を含めまして、事業の実施について切れ目が生じないよう十分の配慮をしていただくようにお願い申し上げます。  取り組み方、これは大蔵大臣あるいは自治大臣、いかがでございましょうか。
  13. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 平成八年度の国の予算につきましては、大変厳しい状況のもとで景気の着実な回復に資していくために、公共事業関係費の伸びを確保することを初めといたしまして、流動的な内外経済情勢などの推移に即応することとして編成をされておるところでございます。また、提出をされているところでもございます。地方団体におきましても、このような国の予算平成八年度地方財政計画を踏まえまして、地域経済動向に即応して適切な予算編成がなされているものと考えております。  既に、総理大蔵大臣から御答弁がございましたように、平成八年度の政府予算案早期成立が図られますよう心から期待をしているところでございます。  岡野委員指摘のように、景気回復を確実なものにしてまいりますためには地方団体におきまする公共事業切れ目のない執行が極めて重要でございますので、地方団体に対しましては年間を通じまして公共事業等の適切な執行が図られますよう要請をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  14. 岡野裕

    岡野裕君 総理は二月二十三日にサンタモニカでクリントン大統領会談をなさいました。あの首脳会談は大変和やかな雰囲気の中で行われたと伺っております。  総理は、出発されるときに、記者団の諸君に会談最大の目的は何だと聞かれたのに対しまして、二人の相互信頼を深めることだ、こうおっしゃった由であります。結果はいかがでございましたでしょうか。  また、我が国外交の基軸は日米関係の強化であります。これを堅持することであります。特に、冷戦後における日米安保体制日米関係の土台であります。アジア太平洋地域ばかりじゃなくて、世界の平和と安全にとってこれは不可欠なものであります。  来月にはクリントン大統領が訪日なさいます。その際、二十一世紀に向けて日米安保体制の重要な役割を改めて確認する、そういった日米安保共同文書の公表でありますとか、沖縄米軍基地の整理、統合、縮小問題、あるいは日米経済分野における問題の解決など、いろいろな問題についてお話をなさると存じます。クリントン大統領の訪日を機会にこれらの課題解決なされ、揺るぎない日米協力関係を築くため、政府として東京におきます日米首脳会談にどうお取り組みになられるか、御所存をお伺いしたいと存じます。
  15. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先般、サンタモニカで日米首脳会談を持つことになりましたとき、私が大統領に対し伝えたいと考えておりましたポイントは大きく分けて二点だと思います。  まず一点目は、日米関係というものが本当に大切である、そしてその基盤に日米安全保障条約がある。この点はお互いはいつも口にしていることであります。  昨年、皆さんにも大変御心配をかけました日米自動車協議を行っておりましたとき、アメリカ側の考え方と我々の考え方とが大きく食い違い、各国に対してWTO提訴を含めてみずからの立場の説明をいたしましたときに、どこも、EUもアジア太平洋地域の国々も、全部日本の考え方を支持してくれました。しかし、私の心に非常に残りましたのは、その三〇一条に対し日本側の主張を支持してくれつつ、同時に、これで日米関係が破局に至らないように、この点はどこの国もが非常に強く懸念を表明されたところでありました。言いかえれば、私どもが認識している以上に、日米関係というものはほかの国々から見ても世界の平和安定のために非常に大きな関係であるということを痛いほど感じました。  私は、その点をまず大統領にきちんと伝え、そうした関係であることを確認する。そして、その基盤となっている日米安全保障条約の持つ重要さを国民に御理解いただくように全力を尽くしていく。そのためにも、昨年の大変不幸な事件が起こりましてから沖縄県に起きている基地の整理、統合、縮小というものに向けての沖縄県民の気持ちというものをアメリカ側としても最大限の配慮を持って受けとめてもらいたい、これが伝えたいことの第一点でございます。  同時に、そうした懸念を起こすような経済交渉はよくない。むしろ、経済問題における議論が二国間の破滅に至るかもしれないといった懸念を他国に抱かせるような交渉の仕方はよくない。それぞれの分野の交渉にとどめるべき。現在もアメリカと日本の間には経済問題は存在をいたします。これからも出てくるでありましょう。それぞれの分野で解決をしていくようにお互いが努力すべきだと、これを私は伝えたいと考えて参りました。  幸いに、その目的、そしてこの議論を通じての個人的な信頼関係というものはできたと私は思っております。その上で、今回国賓としてクリントン大統領を日本がお迎えするわけでありますけれども、その機会には日米両国間の、これはただ単に政治、安全保障、あるいは経済といった分野にとどまらず、グローバルな協力関係の結べる各分野における両国間の協力関係というものを一層発展させていくためにあらゆるレベルの議論を積み重ねているわけでありますが、訪日の時点におきましてこうした議論を総括しながら、新しい時代における日米関係の積極的な意義というものを両国民に対し改めて明確に示すことをぜひ実現したいと思っております。  殊に、日米関係の中核をなしております日米安全保障条約体制というもの、これはこれまでの安全保障分野における日米間の緊密な対話の成果を踏まえまして、この体制の重要な役割というものを改めて確認する共同文書を発出し、二十一世紀に向けた日米同盟間の関係のあり方について内外にその考え方を明らかにいたしたいと思います。  また、沖縄における米軍の施設・区域に関連するさまざまな問題につきましては、大統領の訪日までにできるだけの成果を上げられるように、成果という言い方が適切かどうかわかりませんが、少なくとも結論の出せるもの、方向を示せるもの、こうしたものをきちんとまとめていけるようにアメリカ側とも協力をしながら、現在も特別行動委員会における作業を精力的に進めているさなかでありまして、誠心誠意努力をしてまいりたい、そのように考えております。  そして、日米経済関係には、今申し上げましたような原則を既にサンタモニカで確認をいたしましたが、アメリカ側として指摘をされている個別問題につきまして、引き続き国際ルールにのっとって適切に処理していく、そしてコモン・アジェンダの推進など日米協力の側面、こうしたものに重点を置きながら日米の経済関係の円滑な運営に努めていく、こうしたことが大切だと考え、現在準備をいたしております。
  16. 岡野裕

    岡野裕君 日米関係を強化しようという絡みからしますと、次はやっぱり沖縄の基地の問題になるかなと、こう思います。  この二十五日に沖縄代理署名の判決がおりました。国側の勝訴だと東京の新聞には書いてあります。沖縄タイムス等には沖縄県側の敗訴だと、こういう表現だそうでありますが、この判決そのものにおいて知事の署名拒否にも一定の理解が示されております。つまり、米軍基地の段階的整理、縮小の推進に対する国の責任は重いのだということがあります。我々も、基地の整理、統合、縮小に向けて一層の努力をしていかなければならない、こう存じます。  あの読谷村の楚辺通信所用地の一部の使用権原、これが三月三十一日で切れてしまいます。だから、六カ月の緊急使用の手続が間に合わない場合、もうすぐ四月から国が法的根拠のないまま基地を使用する、こんな事態が想定をされるところであります。この際、政府の対処方針はどうなっているのか、防衛庁長官にお伺いをいたします。  それから、継続使用の間、国には管理する義務があり、必要な行為を行えるという主張もあります。だけれども、地主の立ち入り要求というものがあった場合十分に対抗できるのかどうか、この辺につきましても御答弁をちょうだいいたしたいと存じます。
  17. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 駐留軍用地特措法に基づく使用権原取得手続の一環でございます沖縄県知事の署名押印等の事務につきましては、委員お話しのとおり、三月二十五日、福岡高等裁判所那覇支部におきまして、同知事に対しまして職務執行を命ずる判決がございました。  この結果、同知事による事務の履行の期限は三月二十八日午後五時、すなわち本日午後五時までとなっているわけでございます。本日午後五時になりましてなお知事が署名押印の事務を履行しないという場合には、その事実を確認いたしました後に、地方自治法の規定に基づきまして主務大臣たる内閣総理大臣に同事務の代行をしていただくことになっているわけでございます。  楚辺通信所につきましては、日米安保条約第六条の規定に基づきまして施設・区域を引き続き駐留米軍に提供する必要があるため、私ども沖縄県収用委員会に緊急使用の手続をとることといたしておりまして、同委員会におきましてはできるだけ早く結論を出していただけるように期待いたしているところでございます。  当該の土地は、以下申し上げるような理由からその占有を容認されるものと考えております。  三月三十一日限りで賃貸借契約が終了いたしまして、四月一日以降はその占有につき権原がない状態になるわけでございますが、過去二十年間にわたり土地所有者との間の賃貸借契約に基づき適法に使用してきたものであること、当該土地を引き続き米側に提供することは、安全保障条約並びに地位協定上の私どもの義務であるのみならず、我が国のみならず極東の平和と安全のために必要であると考えられること、目下、駐留軍用地特措法に基づき土地使用の権原を得るための所要の手続をとり、引き続き適法に使用し続けるための努力をいたしていること、土地所有者に対しては借料相当の全員を提供いたしまして土地所有者に損害を生じない措置を講ずることといたしておることという事情を踏まえて、土地所有者との間で法的な紛争状態になりました場合でも、当該土地が土地所有者に返還されていない状態につき、即違法であるというふうには考えておらないわけでございます。  以下、立ち入りの件につきましては政府委員の方からお答え申し上げます。
  18. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) お答えいたします。  今、大臣から御答弁申し上げましたように、当該土地は日米安全保障条約及び地位協定に基づきまして米軍に提供されておる地域でございます。したがいまして、米軍は地位協定の第三条第一項の規定に基づきまして、施設・区域内において、「それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」という規定がございまして、このような権原を米軍は持っておるわけでございます。  このような権原に基づきまして、日米安全保障条約の目的達成の観点から、施設・区域の運用に支障があると米軍が判断いたした場合には、土地所有者等の施設・区域への立ち入りは拒否される場合がございます。  仮に、立ち入りを認めることによりまして楚辺通信所の運用に支障があるというようなことになりますと、日米安全保障体制に重大な支障を生ずるというようなことになるわけでございまして、そういう立ち入り申請に対して米軍が拒否をしたというようなことになっても私ども政府としてはやむを得ないことではないか、このように考えております。
  19. 岡野裕

    岡野裕君 なかなか難しい微妙な点があろうかと思いますけれども、よろしくお願いをいたします。  それでは、次は外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  今回の中国のミサイル発射演習であります。あれは我が国の一番台湾に近い与那国の西方海域近くで実施をされました。あの距離は六十キロといいますから、ここから小田原ぐらいまでの近さ、そんなふうに思います。一時的だとはいいましても、不測の事態が起こらぬかと随分心配をいたしました。  また、民間の船舶、航空機の運航などに影響を及ぼしたことは遺憾の限りであります。もし、この海域において偶発的にでも軍事衝突というようなことになったらどうなるか。我が国の安全はもちろん、シーレーンだとか漁場とか、これらに対しましてもっとうんと大きな影響をもたらすことになるな、こう思いました。また、アジアの平和と安定のためにも、台湾海峡情勢、これに重大な関心を持って対応していくべきだと思います。  中台関係を改善いたしますのには、まず台湾海峡の緊張の緩和をする国際的な環境づくり、これを日米が中心になって進めるということが要請だと思います。中台が平和的な話し合いによって交流を深めていくことが望ましい、こういうわけでありますが、外務大臣とされましては、中台関係の改善についてどう対応をなさいますのか、お聞かせをいただければ幸せであります。
  20. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 岡野委員指摘のとおり、先般の台湾近海で行われました中国の軍事演習、それによってあの地域の緊張が大変高まりました。これにつきましては、我が国国民、いや国際社会全体としても事態を非常に憂慮して見守っておったわけでございますが、今御指摘のございましたように与那国島から六十キロという我が国の領土からも大変近いところで行われましたので、非常に我々としてもそれを注視し、また心配しておったところでございます。  また、御指摘もございましたように、現に航空あるいは船舶の運航にある程度影響を与えたということもございました。また、あのミサイルの訓練地域そのものに、着弾地域そのものに出漁するという漁民の方はなかったようでございますが、この近傍の海域での操業を予定しておられた漁民の方が出漁を取りやめられたと、こんなふうな影響もあったわけでございます。  そのような事態にかんがみまして、政府といたしましては、訓練は八日から行われたわけでございますが、その演習の実施が発表されました六日に直ちに担当のアジア局長から在京の中国大使館に対し、今申しましたように、我が国の領土領海に近い水域で行われるということであるので万一不測の事態が起こりはしないかと非常に心配しているというようなことを申し入れたわけでございます。また、十一日にも再度申し入れております。そのほかにも、他の外交ルート等も通じまして適宜そういった申し入れをしたところでございます。  この軍事訓練、軍事演習は一応二十五日までで終了したと、こういうことになっております。また、この軍事演習の一つの契機になったかと思われます台湾における総統選挙も終わったわけでございます。そういったことを踏まえまして、今あの地域での緊張は緩和の方向に向かっているかとは思いますけれども、しかしそれを確実なものにし、さらに台湾地域でのいろいろな問題、特に台湾問題について両当事者の間の直接の話し合いを通じて平和的な解決に向かっていくといった環境を醸成し、そういった動きを促進してまいらなくちゃいけない、国際社会、とりわけ我が国や米国が中心になってそういった雰囲気をつくらなくちゃいけない、それは御指摘のとおりだと思っております。  これまでも機会あるごとに我が国のそういった立場あるいは希望というものを伝えてまいりました。  具体的には、先般バンコクで行われましたASEMの会議の際に、橋本総理から李鵬首相に対して平和的解決を望む我が国の基本的立場を伝えたわけでございますし、私もこれまで二度行いました銭其シン副総理兼外務大臣との会合でもそういうことを申しております。また、この三十一日にもまた銭其環外相が来日される予定になっておりますので、その際にも、我が国初め国際社会がこの台湾問題の平和的解決をぜひ両当事者の直接の対話を通じて実現してほしい、こういう立場を持っているんだと、これはアジア太平洋地域はもとより、世界の安定、平和のためにも大切だということをしっかりとお伝えしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  21. 岡野裕

    岡野裕君 よろしくお願いいたします。  次は、薬害エイズ関係であります。  本人には何にも落ち度がない、それにもかかわらず血液製剤によってエイズに感染させられてしまった患者さん、あるいはその遺族の皆さんの無念さを思いますと、本当に腹の底から憤りが込み上げてくる、そんな思いでございます。  あす二十九日には和解の調印が行われる予定と聞いておりますが、自民、社民、さきがけの連立与党は、原告団それから弁護団から出された要求、すなわち治療と研究体制の整備につきまして、和解の補完とするためにも政治面で全力努力をしてまいったところであります。和解に基づく被害者救済がきちんと行われるように強く要望するものであります。  そこで、問題になりますのは、なぜこんな被害が生じてしまったのか、当時、既にアメリカで使われていた加熱製剤の承認がなぜおくれてしまったのか、これらの問題についてその真相はまだ明らかになっているとは申せません。二度とこのようなことが起こらないように、起こさせないように徹底的に真相の究明を行うことが肝要です。  当時の業務行政に問題はなかったのか、こんなことを検証するとともに、業務行政全体の問題をもう一遍ここで見直す必要はないのかどうか、ないはずのものを出させた菅直人厚生大臣に真相究明の御決意とあわせてこの点についてお伺いをいたします。
  22. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) ただいま岡野委員の方からお話がありましたように、この問題につきましては与党各党の大変な御協力をいただきまして、いよいよあす正式な和解にこぎつけるところまでやってまいりました。また、総理にも、昨日の朝も含めていろいろとこの点では御指導いただいております。特にこれからの診療体制あるいはエイズにかかわる研究体制の整備、これは大きな課題でありまして、そういった問題でもいろいろ御指導いただきながら頑張ってまいりたいと思っております。  そこで、今、岡野委員の方から特にお話がありました真相究明、さらには当時の業務行政についてどういう問題があったのか、こういう問題についてであります。  今回のエイズの問題のようなことを二度と起こさないために徹底した真相究明が重要と考え、大臣就任直後に調査プロジェクトチームを設置し、従来確認できないとされていた資料が発見されたほか、十一の調査項目についてできるだけの事実関係の調査、整理を行い、その結果を先般ほぼ、一部残っておりますが、それまでの整理がついたものについて公表してきたところであります。  また、先般公表した調査報告書にもありますように、血液製剤によるHIV感染問題に係る政策決定プロセスや行政のあり方についていろいろな点で反省すべき点がある。例えば、エイズ研究班といったような専門家の皆さんの意見を聞くことももちろん重要ではあったんですけれども、それでは最終的にどこが判断をしてどういう決定をしたのか、そういう責任の問題が今振り返ってみて必ずしもはっきりしないといったような問題などはやはり反省しなければいけない。また、いろいろな情報が部分的にはわかっていたにもかかわらず、それぞれ必要なところに公表されていなかった、伝えられていなかったといった問題、さらには薬事行政というものの今の組織のあり方が果たしてこのままでいいのかどうか、こういった点についても検討していかなければならないと思っております。  特に、あす和解が最終的に成立をするという見通してはありますけれども、裁判所の方からも、かつてのサリドマイドあるいは総理が厚生大臣のころに取り組まれたスモンの問題、その時々に再発防止を約束しながら結果的にそのことが果たせずに今回のようなことを招いたということは、これは深刻に受けとめなければならないと考えております。  今申し上げたような点を含めて、さらに必要な調査や検討を加えて、薬事行政のどの部分を変えなければならないのか、また本院の委員会などにおいてもいろいろ御意見をいただいておりますので、そういうものも参考にさせていただいて取り組んでいきたい、このように考えております。
  23. 岡野裕

    岡野裕君 次は、坂本弁護士一家殺害事件とTBSとの関係の問題であります。TBSが坂本弁護士のインタビュービデオを事前にオウム側に見せたとされている、それで問題になっているわけであります。  TBSは、二十五日に磯崎社長が緊急会見を行いました。事件前にオウム側にビデオを見せていたということを初めて認めたわけです。衆議院の法務委員会などで、参考人として同社の大川常務が出席をし、見せてはいないという主張をしておりましたが、これはうそといいますか、そうとしか思えないような現在の姿になっております。このビデオ問題は、坂本弁護士一家を襲ったあの悲劇に間接的ではありますがかかわっている、こう考えざるを得ません。その責任は極めて重い、こう存じます。  また、TBSがこの事実を認めましたから、テレビ関係者全体の報道倫理の確立、これが大きな課題として問われなければならないと思います。  放送法は、三条でありますが、こう書いてあります。「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」、こういうことで放送番組編集の自由を認めております。だけれども他方では、第三条の二の第一項の中で、放送番組編集に当たり「公安及び善良な風俗を害しないこと。」、これを定めまして、放送機関に対しまして自由に伴う当然の責任の重さ、これを自覚するよう、自戒するよう促しているところであります。  ジャーナリズムの原点とは、偏見を排し公正に真実を伝える、こういうことにあるわけであります。にもかかわらず、それぞれの報道機関の現場現場にこの報道倫理が根づかない。その確立を、その努力を怠るならば、報道機関みずからがその存立基盤を失ってしまう、基盤に対する信頼を失ってしまうということになります。いやいや、それだけではありません。報道の自由自体を土台からなし崩しにしていくことにつながりかねない、こういう大きな危機感を私は持っております。  TBSには、今後徹底的な調査、検証を行うべきです。オウムとの接触、番組放映の中止の判断はどこでなされたのか、その責任の所在を明らかにしてください。そうして、問題が表面化した後、社内の調査体制や内容、いろいろな問題点の一切をつまびらかにすることを求めます。また、放送行政監督の立場から、政府は早急な調査、放送法に基づく厳正な措置をお願いいたします。  本件について郵政大臣の御認識、今後の対処につきましてお願いいたします。
  24. 日野市朗

    国務大臣(日野市朗君) ただいま先生からお示しをいただきましたお腹立ち、私もそれを共有するものでございます。これに対する厳正な調査を行ってまいらなければならないと考えております。私どもは、きちんと透明度の高い調査方法をもってこれを調査いたしたいと思います。  それで、まずTBSに対しましては、十八日、TBSから来てもらいまして聞き取りをいたしました。それから二十五日、その聞き取りの内容とは異なった事実が発表されておりますので、直ちに人を呼んでその報告を受けたところでございます。そのとき、十分に解明されていないとして、さらに三点ほどTBSの方に至急調査をして報告するようにということを厳重に話してあります。  その三点というのは、ビデオを見せたときの状況いかん、それから放送を中止した経緯いかん、もう一つは、このようにビデオを見せろと言われたときの基本的な考え方、どのようなものを持っているかということを中心にいたしまして、その他にもございますが、報告を求めているところでございます。  その後も何点かにわたりましていろいろ問題点が出てまいっております。これについては早急に対応するようにということを指示しているところであります。  ただ、今ここでおまえの考えを述べろと、こういうふうにおっしゃられましたけれども、何しろこれは報道の自由という民主主義を維持する上で非常に高い価値を与えられるべき一つの価値がございまして、それに対して、あとは放送法、電波法というような法規とどのようにこの事実関係が抵触してくるのかという問題でもございます。  何しろ我々の調査というのは、犯罪捜査とは異なりまして、行政処分等による不利益を報道機関に課するという問題でございますから、ここに一つの予断を我々が持つべきではない、持たずしてまず調査をする。それから、人々に我々の調査によって予断を与えるべきではないという要請もまたあるところでございますので、我々としてはそういうことを十分に考えながら、しかし透明度のある手続で、そして厳しい事実の調査、これを進めるつもりでおります。
  25. 岡野裕

    岡野裕君 終わります。
  26. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で岡野裕君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  27. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、都築譲君の質疑を行います。都築君。
  28. 都築譲

    ○都築譲君 平成会の都築でございます。  きょうは久しぶりに予算委員会で正規の発言の機会をいただきましたので、ぜひ関係の閣僚の皆様方にはよろしくお願いを申し上げたいと思います。  今回、三月末のこの時点で暫定予算審議と、こういう状況でございます。先ほど来いろいろ御意見がございました。私自身、景気回復は大変重要な課題だというふうに思っております。景気回復も大変重要な課題でございますけれども、五十年余にわたって制度疲労を起こしつつある金融市場のこの大問題を構造改革という形で大きく改革を図っていかなければならないというのも、これまた大変な課題でございます。  金融市場をこのまま放置しておく、あるいは今まで政府案が示されておりますけれども、そういった状況の中でわけのわからない処理国民の九割が反対するような問題をやすやすと片づけていくようなことでは、これはとても許されるわけではないし、ますます景気回復は長引く。今日の低迷が十年、二十年と続きかねないような大禍根を残すのではないかという思いで平成会審議に臨んでおるわけでございます。ということで、限られた時間でございますので、そういった点を中心に御質問を進めさせていただきたい、こういうふうに思います。  今回の住専処理の問題につきまして、私も地元に帰っていろんなところで演説をやったり、あるいは説明をさせていただいたりしておりますが、今回の住専処理案政府案の本質というのは、いわゆる地上げ屋が踏み倒した借金の穴埋めを国民の皆さんの税金で肩がわりをする、こういうものだろうというふうに思うわけでございます。その観点からいきますと、やはり実態の解明、また責任の追及、そして金融システムが本当にこれで透明、公正、効率的なものになるのか、そういう三つの観点をしっかりと確認しない限り今の住専予算案を通すわけにはいかない、こういうことでやらせていただいておるわけでございます。  今まで衆議院委員会の議論をお聞きしておりますと、どうも実態解明の方も、何か資料要求をやってもなかなか出てこないし、出てきたら小出し小出しという状況で、いつまでたっても国民が納得できるような状況になっていない、こういうふうに思うわけです。また、責任追及のところも、今の住専処理のスキーム案で本当にできるのか、そこら辺のところもはっきりしておらないわけでございます。  これはまた後ほど詳しく触れたいと思いますが、要は責任追及というのは、同七人が同じ過ちを繰り返さない、そして国民の皆さんにも迷惑をかけないということをはっきりさせる、けじめをつけるというのが大変重要なことだ、こういうふうに思うわけでございます。このまま野放しにしておいて、ぜいたく三昧の暮らしをしている人たちがこんなことで済むということだったら、また同じ過ちを繰り返しかねない、こういうことになるわけでございます。  それから、金融システムのあり方につきましても、戦後の荒廃の中から産業、経済発展のために今までいろいろ重要な役割を果たしてきたわけでございますが、今そのほころびがかなり目立ってきているというか、これほど国民に迷惑をかけるような状況になってきている。一説には、バブルをあおって自分たちはそのときに大もうけをして、その清算を国民に肩がわりしてもらう、こういう状況になっておるわけですから、金融システムが本当に透明で公正で効率的なものになるようにするという観点がぜひ重要でございますし、システム自体を同じ過ちを繰り返して同じ迷惑を国民の皆さんにかけないようなものにする必要がある、こういうふうに思うわけでございます。  そういった観点を重点に踏まえていきたいと思いますが、実は幾つかの問題も出てまいります。一つは、このスキームのほころびの問題、あるいは金融システムの改革の問題、そして行政のあり方の問題にもなるわけでございまして、この観点から実は今回五十日間の暫定予算を組む、こういうことになったわけでございます。これにつきましてまず久保大蔵大臣にお伺いしたい、こういうふうに思うわけでございますけれども、今回の五十日間の根拠というのはどういうところから積算をされたのか。参議院での審議状況、こういったものも十分踏まえてやっていただいているのか。  さらにまた、その内容について、先ほどもお話がございましたけれども公共事業関係費、こういったものの比率が三割と高いわけです。三百六十五分の五十ということであれば約一四%強、こういうことになるわけですが、三一%という状況になっておるわけでございます。  私自身こういうことをお聞きしますのはあれでございますけれども、確かにいろんな景気対策の観点の予算はありますが、なぜこういうふうな新規政策に絡むような予算をつくることができるのか。ここに行政府としての緊張感が欠けているのではないか。こんな予算を組めるんだったら、暫定予算を組んでいけばいい、本予算なんか出す必要はないと、こういう話にもなりかねない。  アメリカの方は、例えば議会と大統領が対立して政府機関の窓口を閉鎖したと、こんな話もあるわけでございます。そこの緊張感があるからこそ政府も一生懸命やるし議会も一生懸命やって、あるいは政治が選択をする、妥協をしていくということが出てくる、こういうふうに思うわけでございますが、今申し上げた点について久保大蔵大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  29. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 都築さんからそのような御質問を受けますこと、私にとりましては大変意外なことでございます。私は、国会審議の模様について政府の側からいろいろ申し上げる立場にはございませんけれども、本予算が年度内に成立しないことが明らかになりました段階で、暫定予算の御審議をお願いするのは政府責任と心得ております。そして、なおこの本予算成立の見通しがつかない場合、特に今お話がございました公共事業の継続にかかわる執行などに支障を来さないよう、また必要な支払い等に支障を来さないように、暫定予算の日数につきましても、暫定予算の補正を必要とすることがないようこの暫定予算の日数を考えることが重要であると考えまして、総理にも御相談を申し上げて五十日の暫定予算を御審議願うことにしたのでございます。先ほども申し上げましたように、できるだけ早く本予算成立させていただくことによりまして暫定予算がその役割を早目に終えることを私どもとしては期待いたしておるのでございます。  なお、公共事業の十分の三、寒冷地事業につきましては十分の四を計上いたしましたものにつきましては、新規の事業をこの中に含むことはいたしておらないと思っております。なお、この点について、詳細は政府委員の方から答弁をさせます。
  30. 小村武

    政府委員(小村武君) 公共事業につきまして原則十分の三を計上いたしましたのは、ただいま大臣からお答え申し上げましたとおり、継続事業についてでございます。この十分の三につきましては、平成五年、六年、七年の過去における一般公共事業の契約率の平均をとったものでございまして、政策的にどうこうということではなしに、暫定予算の性格にかんがみまして極めて事務的、中立的な配慮から計上いたしたものでございます。
  31. 都築譲

    ○都築譲君 そういう御説明でございましたので、きょうのところは暫定予算ということでお聞かせをさせていただきました。  それでは、住専の問題に入らせていただきたいと思いますが、きょう、各紙でいろいろな記事が出ておりました。それで大変目を引きましたのは、参議院の自民党幹事長村上先生が、毎日新聞の取材に応じられたのか、野党の要求に柔軟に対応する姿勢を参議院審議では示した、こういうことでございまして、参議院衆議院のカーボンコピーと言われることは我慢できない、参議院の真価を予算審議で形にして示そう、こうごあいさつをされたということでございます。  それについて、これは総理大臣にちょっと、こういう参議院の自民党幹事長の御発言についてどういう御所見をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  32. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変失礼でありますが、行政府の長として、政党の役職にあられる方の御発言を論評するべきではないと思います。今、内閣総理大臣としてお求めでありますので、行政府の長として答弁の範囲を超えております。
  33. 都築譲

    ○都築譲君 それでは、恐れ入ります、自民党総裁としてどういうふうにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
  34. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) あえてお尋ねでありますなら、政党はそれぞれみずからの主張を持つわけでありますし、また衆参両院はそれぞれ審議について独自の御方針をお持ちになることを妨げるものはどこの政党もないと思います。
  35. 都築譲

    ○都築譲君 ありがとうございました。  私自身は、政党として、大変重要な案件について、国民生活あるいは財産、こういったものにかかわるものであれば、党として一体となって運営をしていくべきではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、参議院の自民党幹事長の御発言というのは、私ども本当に国民の利益を図るという観点からは大変力強い御指摘ではないか、参議院に回ってきた際にまた大いに御議論をさせていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  それでは個別の問題に入ります。住専問題でございますが、まず第一に、実態解明のところからまいります。  金融機関全体の不良債権の総額でございますけれども、私ども今まで衆議院予算委員会審議どもいろいろ聞かせていただいておりますし、議事録も読ませていただいておりますけれども、なかなかその数字がはっきりしていない。この間の、二月十五、六日の補正予算審議の際にも参議院でいろいろな方が質問されておられました。一説では、他の民間機関では八十兆とかあるいは百兆、アメリカの試算では百四十兆と、こういう話があるわけでございます。金融機関の不良債権の総額について、西村局長、既にもうお答えになっておるわけでございますけれども、いろんな説があるわけでございまして、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  36. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 平成七年九月末におきます預金取扱金融機関の不良債権の総額、これは破綻先債権、延滞債権及び金利減免債権を含めたものでございますが、各金融機関からの報告によれば約三十八兆円となっているわけでございます。  なお、ただいま委員指摘のいろいろな機関がいろいろな数字を言っているということとの関係でございますが、例えばアメリカの基準などで見るともっと大きくなるのではないか、こういう御指摘があるわけでございます。この点に関しまして、例えば三菱銀行は、アメリカにおいても上場をしておりますのでアメリカのSECの基準に基づいて不良債権を公表しているわけでございますけれども、それと比較をいたしますと、日本信託銀行のような子会社の不良債権とアメリカの場合には合算をしておりますということをあわせて考えますと、アメリカにおいては七千九百億円、日本の基準では七千六百億円というような若干の定義の差に基づく差はございますけれども、おおむね一致していると私ども理解しているところでございます。
  37. 都築譲

    ○都築譲君 ありがとうございました。  今、三菱銀行の例を引かれました。確かに、日米で三百億程度の相違ということでございますけれども、私が経済雑誌を読んだところでは、ある方は三菱銀行についても倍になっている、こういう話もございました。ただ、そこのところはもう水かけ論でございますし、私も詳細な資料を持つておりませんのでここではやりません。  その金融機関の不良債権三十八兆の中にノンバンクといったものが入っているのか入っていないのか。そこのところを実はこの間、二月十五日の西村局長の御答弁では、「三十八兆円の中に含まれているというふうにお考えをいただきたいと存じます。」、こういうふうに言っておられますが、本当にそうなんでしょうか。
  38. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) ノンバンクは、一般の銀行とは違いまして、その資金調達、原資は大半を金融機関からの借り入れで賄っているわけでございます。銀行とかあるいは系統金融機関から借りまして、それをもう一度貸しているというのがノンバンクの特徴でございます。したがいまして、ノンバンクの抱えます不良債権の問題は、最終的には金融機関サイドの不良債権として把握できる、すなわち金融機関がノンバンクに貸しているお金が不良債権化しているかどうかという問題として把握できる、こういうことになるわけでございます。  ところで、日銀の統計月報によりますと、七年九月末の例えば部長銀信託、大きな銀行二十一行の住専を除きますノンバンク向けの貸出額は約三十一兆円でございますが、当局のヒアリングによれば、このうち住専を除くノンバンク向けの不良債権額は約七兆円ということになってございます。
  39. 都築譲

    ○都築譲君 今の説明ちょっと納得できないんですが、最終的には金融機関サイドで不良化しているもので確認をできる、こういうお話でございますけれども、金融機関の抱える不良債権というのは延滞債権とか金利減免債権とかそういう話になるわけですね。ところが、ノンバンクの方が金融機関から借りている分にしっかり利子も払っているという状況だったら、それは不良化していないと。ただ、ノンバンク自体は不良債権を持っているということはあるんじゃないんですか。
  40. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御指摘のとおりでございまして、それは性格上、ノンバンクの不良債権というものと銀行がノンバンクに貸しているものが不良化したものとは直接イコールではございません。しかし、同様の性格のものとして考えてもいいのではないかと先ほど申し上げたわけでございますが、そのものではございません。  ただ、ノンバンクと申し上げましてもその実態はさまざまでございまして、消費者金融と言われているようなものからリースやクレジットを主体とするものまで、いわゆるノンバンクと言われておりますものの内容はさまざまでございますし、その経理の仕方もまちまちでございますので、全体といたしまして何万にも上る業者の不良債権というものを把握するという手段は今のところは残念ながらないわけでございます。
  41. 都築譲

    ○都築譲君 これはエコノミストという経済雑誌ですが、これの三月十九日号に記事が出ております。そして、全国貸金業協会連合会というのがあるということですが、これは大蔵省あるいは通産省の所管の法人ではないんですか。
  42. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 緩やかな業界団体といたしまして全国貸金業協会というものがございます。ございますが、その仕事の中身と申しますと、先ほど申し上げましたように、いろいろな業種が寄り集まってなしている団体でございまして、業界全体としての不良債権の実態を把握するというようなことはいたしておらないと理解をいたしております。
  43. 都築譲

    ○都築譲君 いや、今の御説明はちょっと納得できないんです。この記事を読めば明らかなんです。  そこでは、約二万社のノンバンクがあると。これは今言われた消費者向けとかリースとかあるいは事業者向け貸金業者、こういうのがある。事業者向けというのが一番大きいわけですが、九四年三月末、これは平成六年ですか、そこで四十一兆五千億円の貸付残がある、こういう状況でございます。  それで、その中の記事でいきますと、実はこの貸金業協会連合会が不良債権の状況を詳細に調べて述べているということで、資産残高三百億円以上の大手会社では五一・七%が延滞債権で、そのうち八七・二%が延滞一年超である。それに比べ償却比率は三・九%にすぎないということでございまして、実は延滞が五割だから三十兆円が延滞になっている、その九割が一年超の延滞だから二十七兆円が長期に回収できなくなっている、こういう事実があるわけでございますけれども、これは知らないというんですか。
  44. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御指摘の、雑誌に掲載された記事でございましょうか、私、そのものを今手元に持っておりませんけれども、今の御指摘でございますと、貸金業協会に加盟しておられる方の中の抽出調査によって調査をした結果を発表しておられるもののように見受けられましたけれども、二、三万に上る数のいわゆるノンバンク全体として不良債権というものを公表しておられるようには私ども理解をいたしておりません。
  45. 都築譲

    ○都築譲君 今、局長のお話を聞いておりまして、抽出したもののように見受けられるということですが、そのとおりなんですよ。全国貸金業協会連合会、ここが貸金業白書平成六年版というのを出しているんです。そこからとった数字をこのエコノミストの解説記事を書かれた方は使っておるわけでございまして、だから局長は御存じだったんじゃないんでしょうか。  私どもが細かくいろいろ聞いていかないと全然資料が出てこない。ノンバンクの不良債権なんて知らないんだ、わからないんだ、こういうことをおっしゃっていたんじゃないんですか。わかっていることをなぜ最初からどんどん言っていただけないんですか。実態がいつまでたってもわからないのが今日の状況じゃないんですか。そこのところはどうですか。
  46. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 私ども、我々の把握しております資料をお答え申し上げないというようなことは決してございません。私どもが把握しておりますものは率直にお答えをしておるつもりでございます。  今突然の御指摘でございましたので、私、抽出調査ではないのかと申し上げたところでございますけれども、抽出した調査ということでございましたら、私ども貸金業者を対象といたしまして大手業者に対する抽出調査をしておるものは我々としてもございます。ただ、それは今御指摘のように不良債権額が幾らかと、そういうような調査をしておるわけではございませんで、例えば不動産業向け融資がどれくらいあるかとか、そういうような調査をいたしておることは事実でございます。
  47. 都築譲

    ○都築譲君 それで、今御説明になった大蔵省の方で抽出調査をやっている部分でございますけれども、いわゆる不良債権化していないということは金利を払っているから不良債権化していない。じゃ、追い貸しというか利息貸しをやっている、そういうケースで実態は本当は不良化しているというのがわかっていますか。
  48. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) ただいまの御指摘がノンバンクのそういう性格のものがどれくらいあるかという御指摘でございましたならば、残念ながら私ども正確にそういうことを把握しているとは申し上げられないと思います。
  49. 都築譲

    ○都築譲君 でも、これは本当に大きな問題になってくる。何十兆というお金が実はノンバンクの方で焦げついてきている。ノンバンクに貸している今の金融機関、大手の銀行から中小の信金あるいは信用組合、こういったところが貸しつけていて、ノンバンクが返せなくなってしまった、金利が返せないところじゃなくて本体が返せなくなってしまったら、全部それは波及をしていくことになるんじゃないでしょうか、いかがでしょう。
  50. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御指摘のとおりでございまして、過去十年のバブルの発生、崩壊というプロセスにおきまして、この金融危機を招きました一つの大きな原因がノンバンクというものにあることは、私どもも非常に深刻に受けとめているところでございます。  かつ、そのノンバンク問題の一つの象徴が住専問題でございまして、住専と申しますのもノンバンクの一種であるわけでございます。私どもは、このノンバンク問題の象徴たる住専問題というものをきっかけにいたしまして、現在の深刻な不良債権問題というものを一刻も早く打開してまいりたいと考えているところでございます。
  51. 都築譲

    ○都築譲君 だから、そこのところは本当にしっかりと把握をして、それを公表してもらいたい、こういうふうに私は思うんです。でないと、十三兆円のうちの七兆五千億円とかそんな規模の話じゃない、全体で物すごい規模の不良債権が発生してきて、じゃそれをどう処理するか、こういう話になっていく。そのときにまた国民が税金を払えばいいんだ、こういう話になっては困るわけです。だから、そこのところをしっかりやってもらいたい。  大蔵大臣、いかがですか、金融機関全体の不良債権の総額、ノンバンクも含めて。
  52. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 不良債権の実態等につきましては、大蔵省としても銀行局長が今申しましたように、全力を挙げて確実な状況を把握した上、御要請のありますことにはこれを公表することに努めてまいりたいと考えております。  なお、ノンバンクの不良債権の処理に関しまして財政支出を行わないということにつきましては、十二月十九日の閣議決定に当たりましてそのようなことが既に明らかにされているところでございます。
  53. 都築譲

    ○都築譲君 今いみじくも大蔵大臣が触れられましたノンバンク以外への財政資金投入についてのお話でございます。これについても触れておられました。  それから、先ほど西村局長が言っておられたように、把握をしてないような状況でございますということですが、私はある程度本当に規模の大きさというものを認識していると思うんです。だからこそ、きょうの新聞でもいろいろ出ておりましたし、連日、最近出始めたいわゆる金融三法案、信用組合への財政資金の投入の問題について相当内部で意見が割れていると、こういう話でございますが、事務方の方は、政府の方は大蔵大臣いらっしゃるからあれですが、省の事務方サイドはとにかく信用組合に財政資金を投入する道筋をつけないといかぬというのは、いわゆるノンバンク等が破産したときの信用組合への波及とかそういったものをもう既に考えている、そういうわけじゃないんでしょうか、どうですか。
  54. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) ただいま御指摘の問題は、少し違った観点からお考えいただくべきものだと考えております。  すなわち、信用組合、預金を受け入れているわけでございますが、信用組合を含みます預金を受け入れております金融機関の破綻処理をどのように取り扱うか。これは、一昨年の十二月九日に二つの信用組合が破綻をいたしまして、国会でもたびたび御議論をいただきまして以来、一年余りにわたってその問題は議論をされてきているわけでございます。そういう問題をどのように取り扱うかということで、今政府部内で金融に関する三つの法案を検討しているわけでございますが、その場合、最終的に財政的な措置をどのように考えるべきかということは、御指摘のように大変に重要な問題だと考えております。  このこととノンバンク問題の重要性、これは大変重要でございますが、また違った問題であろうかと考えております。預金を受け入れておりませんノンバンクというものにつきましては、ただいま大臣が御指摘いたしましたように、住専という象徴的な課題を除きましてはその破綻に公的資金、財政資金を投入するというようなことは考えていないという方針は十二月十九日に公表したところでございまして、この問題とは分けてお考えいただきたいと存じます。
  55. 都築譲

    ○都築譲君 答弁は大変滑らかに出てくるんですけれども、どうもおかしいんですね。  住専は例外ということです。それで、今度、信用組合とかそういったものについては預金者がいるからと、こういうふうなお話で、そこのところの説明もそれなりにわからないではない気がするんです。  ただ、今回の住専処理という形で大穴をあけておいて、そして今信用組合とか信金とかほかのところへもどんどん広げていく形になっていくわけです。税金投入という道筋をつけて、一体何兆円かかるかわからないそういう金融市場の救済の話をやっていくことになるのであれば、もっと徹底的な改革をやってから初めて、どれだけお金がかかるのか、そして国民の皆さんにお願いをしますと頭を下げるというのが本来のあり方ではないか、こういうふうに思うわけです。大蔵大臣、いかがでしょう。
  56. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) この預金取扱金融機関の破綻処理をどうするかという問題は、むしろ住専問題よりも前に、それに先駆けまして議論が始まった課題であろうかと思っております。  また、それは昨年の六月以来、金融制度調査会におきましても半年間のオープンにされた議論の中で、国民の皆さんの御批判をも仰ぎながら、かなりの時間をかけて検討されてきた課題であるというふうに私ども理解をしております。私どもの御説明というものが、住専といういわば非常に特殊な問題について国民の御関心を集めましたので、全体の枠組み、預金をどのようにして守っていくかという全体の枠組みについての御説明が今のところ不十分になっているところもございますが、議論といたしましては相当長い期間をかけて二信組の破綻以来御審議をいただいている課題だと、このように理解をしているところでございます。
  57. 都築譲

    ○都築譲君 おっしゃるとおりです。だから、二信組の問題について財政支出をするかしないかということで去年の国会でも大もめにもめたわけです。  それで今回、金融三法案がいろいろ取りざたされておりますが、毎日毎日、新聞に出てくる情報が変わっている。例えば、きのうの日経では「与党「削除」が浮上」ということで、信用組合への財政支出をやめる、こういうふうな話があった。きょうの新聞には「新たな火種」と、いうふうな形で出ておりますけれども、とにかく信用組合へも財政資金を投入するんだというふうな話になっておるわけですが、大蔵大臣、これについてはどういうふうにお考えになるんですか。
  58. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 政府といたしては、大蔵省といたしましては、銀行局長が今御説明申し上げましたような方針で金融三法についての準備を進めております。しかし、この問題に関して与党の間にいろいろと真剣な御議論もございます。この御議論の集約を私ども期待しながら、できるだけ早く政府与党の意見を取りまとめて提案をいたしたいと考えております。
  59. 都築譲

    ○都築譲君 新進党の米沢幹事長も、とにかく金融三法案が出てこないと今回の処理スキームの全体像がわからないと。住専処理だけじゃない、金融市場をどう改革するのか、こういう話になるわけですから、できるだけ早く本当に出していただかないことには議論もできないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。だからこそ、私ども衆議院予算委員会では二十二日間座り込んでいたというふうな話があるわけですが、この間、何をやっていたのか、そこら辺のところどうでしょうか。
  60. 久保亘

    国務大臣久保亘君) それは私の方からお聞きしたいようなことでもございますけれども、金融三法の問題につきましては、金融改革の基本的な方向ということについては、既に財政方針の中でも、また予算案の提案の中でも詳細に申し上げていることでございます。自己責任原則の確立や市場規律を基軸とする透明度の高い金融行政のあり方を追求するということについても申し上げているのでありまして、そのような金融行政の改革も含めて、今日までかなり長時間にわたって衆議院予算委員会を中心に御議論をいただいたところでございます。  なお、この金融三法の提案につきましては、私どもとしても、都築さんの今お話にもございましたように、できるだけ速やかに提案をいたしたいと思っておりますが、この住専問題処理に関しての御議論は、今申し上げました金融行政のあり方に関する基本的な立場を踏まえて御議論を進めていただいたものと考えております。
  61. 都築譲

    ○都築譲君 今、大蔵大臣いろいろ御答弁されているわけですが、西村局長のさっきの話だと、とにかく安全、協和の観点から一番早くから問題が顕在化をしてきたわけでございまして、そういうもう早くから発見の端緒があって取り組んでいる課題についてどういうふうにしていくのかというのがなぜいつまでたっても出てこないのか、そこのところが本当にわからぬわけです。全体像を見せていただかないことには、どれだけのお金がかかるか、あるいはこれから五年、十年でどういうふうになっていくのか、わけのわからないまま国民の皆さんは税金を払ってくださいということを承諾するわけにはいかないわけです。  総理、この辺の決断を早くやっていただきたい、こういうふうに思いますがいかがでしょうか。総理大臣にお伺いしたいと思います。いつごろをめどに出てくるんですか。
  62. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今申し上げておりますように、与党との間で調整中でございます。できるだけ早く提出したいと思っております。
  63. 都築譲

    ○都築譲君 とにかく、そういったところも早く示していただかないことには十分な審議ができないし、国民負担が本当にどんどんふえていく、国民の皆さんの怨嗟の声が聞こえてくるような思いがいたします。  それでは、もう一つの課題は、今回公示地価が発表されたわけでございますけれども、これが大幅にまた下落をしているということでございまして、この損失額がさらに増大するのではないか、こういう質問でございます。  地価の下落に伴って損失がどの程度増大するというふうに見込んでおるのか、これはいかがでしょう。
  64. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 損失という御指摘住専の損失という御趣旨であるとするならば、住専の損失の評価につきましては路線価をもとにやっておるわけでございます。この路線価は、昨年の夏、八月に発表されましたその時点では最新の路線価を使っているわけでございますが、これは次の機会と申しますと本年の八月中下旬にもまた新しい路線価が公表されることになろうかと存じます。  しかしながら、今の御指摘は恐らく一月一日現在の公示価格の状況を見ると地価の動向は下落傾向にあるではないかということを踏まえての御質問かと存じますけれども、現在住専の評価の基礎としております路線価の水準は、課税の基礎として用いられます性格上、地価変動の可能性等を勘案して安全性を見込みまして公示価格の八割程度に設定されているわけでございます。  今般公表されました公示地価を見ますと、全用途全国平均ではマイナスの四・〇%でございます。しかしながら、一番大きな下落幅ということで見ますならば、東京圏の商業地一七・二%というものもございます。これは今申し上げました二割という範囲に入っておりますものの、しかしながら従来見込んでおりましたこの評価の安定性、安全性というものが全体として低くなっているということは否定できないと思っております。  したがいまして、こうした状況のもとで処理方策の見直しに直結するというふうには私ども考えてはおりませんが、このような事態を真摯に受けとめまして、今後回収努力に一層万全を期していかなければならないという思いを新たにしているところでございます。
  65. 都築譲

    ○都築譲君 今の御答弁で処理方策の見直しにつながることはないと思うがと、こうおっしゃられましたが、処理方策というのは処理の具体的なスキームのことなのか、あるいは投入すべき金額のことなのか、どっちでしょう。
  66. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 私、御質問の御趣旨を正しく理解しておるかどうか自信はございませんが、私の理解では両方を含んでおると考えております。
  67. 都築譲

    ○都築譲君 そうすると、例えば東京圏で二〇%地価が下落している、三大都市圏では一六%商業地の地価が下落しているという状況の中で、本当に損失額の拡大というものが、安定性は低くなるけれども何とかなるんじゃないかというところにおさまるとお思いですか。  それから、さらにこの傾向が続くとしたらどういうふうになるか。例えば、私、きのうの衆議院予算委員会の海江田先生に対する総理の御答弁を聞いておりましたけれども、土地の価格が今日でも高い、私はこういうふうに思っておりますし、総理も同じお考えを持っていらっしゃるんじゃないかと思うんです。まだまだ一般の勤労者が家や土地を買うというのはなかなかできない。こんな状況の中で、本当に異常に値上がりをしてしまった土地、こういったものがまたインフレ懸念とかそういったものが発生してどんどん上がり続けるなんということを考えること自体が大変不謹慎なことだと、こういうふうに思っている。  だからこそ、金融市場を大きく改革して、こういう状況の中でどういう対応ができる、そして国民が安全で安心で豊かに暮らせる生活ができる、そういったものをつくっていくのが政治だと思うんです。西村局長に、本当にそれは大丈夫なのか、もう一度改めてお伺いします。
  68. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 今回発表されました公示地価というものを踏まえての私ども感想を申し上げたわけでございますけれども、そういう意味で全体として安定性、安全性が低くなっているということは否定いたしませんけれども、私どもとして今の枠組み、今の算定の方式の中で努力をしていくことは十分可能であると考えていると申し上げたわけでございます。  しかしながら、さらにその先、地価がどうなるか、そのことによってこの問題がどうなるかということはまた別の問題でございますし、地価が下がった方がいいか安定した方がいいかという問題については、もとよりこれは不良債権の処理という観点からのみ評価できる問題ではございませんし、我々もそういう限界は十分認識を申し上げた上でお答え申し上げているところでございます。
  69. 都築譲

    ○都築譲君 今、西村局長がお答えになられましたので、久保大蔵大臣に同じ質問をちょっとさせていただきたいと思います。
  70. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 局長がお答えしたことで十分と思いますが、地価の下落に伴って住専処理機構が預金保険機構とともに回収に努めてまいります。その努力は厳しくなることは間違いない、こう思っております。
  71. 都築譲

    ○都築譲君 今、大蔵大臣の御答弁と西村局長の御答弁を聞いておりまして、私は本当に政治と行政といいますか、あるいは国会の役割と行政の役割が混在化してきているんじゃないかと。  私、不正規発言をするようになったのは、村山前総理が阪神大震災のときに、最善の努力を尽くしますと、高齢者がばたばた死んでいるのに最善の努力を尽くしますという役人の皆さんの答弁を読み上げたから、できることをやるんじゃない、やらねばならぬことをやるのが政治家だ、こういう不正規発言をさせていただいたわけでございまして、以来とまらなくなってしまったんです。  行政官の立場であれば、一生懸命誠意を尽くしてやっていますというところで済むかもしれないけれども、政治家だったら、結果倫理の世界ですから、本当にどうするんだというところをはっきりさせてくださいよ。
  72. 久保亘

    国務大臣久保亘君) これ以上はっきりしょうがありますか。私は、この住専処理方策を御提起申し上げていることが、今日、政府のとり得る最善の方策だと今も確信いたしております。この方策に基づいて処理機構が全力を挙げて最大限の回収に当たる、そのことが今最も重要なことだ、それが政治家として私が申し上げることだと思っております。
  73. 都築譲

    ○都築譲君 まあ、しょうがない。今、最善の方策だと思っているからと。今まで逐次、今回の住専スキーム案のほころびを指摘したわけです。不良債権の総額から、ノンバンク、あるいは財政資金投入の有無、公示地価の下落。  それで、今度は、一ないし三月分の住専から系統への利払いの停止というふうな話になっている。五千三百億円のうち六百億円が一-三月分の利払いということで見込んでおった。これがずれてしまったけれども、この点について大蔵大臣は去年の暮れに、実は住専は第二次再建計画はもう終わったんだ、こういうことを言っておられるけれども、これはそのとおりですか。そういうことを言われたんですか。
  74. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 十二月十九日に債権者であります金融機関との間に合意がございまして、そしてこの住専問題処理スキームが閣議決定をされた段階で実質的には第二次再建計画は終わりを告げた、私はそう思っております。
  75. 都築譲

    ○都築譲君 それだったら、何で五千三百億円の中にその六百億円が入っていたんですか。第二次再建計画が十二月の時点で終わったと。じゃ、住専はもう業務停止に近い状況になるわけですから、なぜその利払い分六百億円が五千三百億円の中に組み込まれて計算されていたのか言ってください。
  76. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 住専七社はこれまでのところ、これまでのところと申しましても昨日整理の方針を示しましたところがございますので、正確に申しますならば昨日までのところと申し上げるべきかもしれませんけれども、第二次再建計画に沿った業務運営を行ってきておりまして、利払いについてもこの計画に基づいて実施されてきたところでございます。  しかしながら、昨年十二月に住専の具体的処理方策が閣議決定されまして、基本的にはそれ以降、住専の整理、清算を前提といたしまして物事が進められてきております。実質的には第二次再建計画は破綻しているとも考えられること等にかんがみまして、現在住専各社といたしましても三月末の利払いをどうするかについて関係者の間で調整を行っているというところでございます。  本件につきましては、一つの考え方として、契約上の問題としてはまだ住専そのものは存続していることから、利払いにつきましても契約に従って処理すべきであるという考え方、これはお金を貸している立場の方からはそういう考え方もあるわけでございます。他方、既に実質的には住専は破綻しているものであるから、この三月末の利払いについては検討の余地があるのではないかという、いわば住専側の考え方というものもあるわけでございます。  いずれにいたしましても、本件については現在住専各社と系統等金融機関との間で調整がなされているところでございますので、大蔵省といたしましてもその議論を見守ってまいりたいと考えております。
  77. 都築譲

    ○都築譲君 住専各社と系統とで話し合いが行われているので推移を見守ってまいりたい、こういうことになると、まだ決着がついていない話なんですが、ほとんど決着はついているんじゃないのかなというのがきのう、きょうの新聞を見たところの印象でございます。  その認識に立って農水大臣にお伺いしますが、五千三百億円ということで、実は信連と農林中金とそれから共済系統で二千、二千、それから千三百、こういうふうにそれぞれ分けたわけでございますが、六百億円の利払いかないということになると推定経常利益といったものは出てこないことになるわけでございますし、そうなるとどういうふうに対応されるのか、お考えをお伺いしたいと思います。
  78. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 利払いの問題につきましては、銀行局長から今お話がございましたように、きのうの夜ですか、遅くなってそういうお話が一部の住専からあったということで、現在当事者間での話し合いが進められているわけでございますので、その状況を私どもとしても見守ってまいりたいというふうに考えております。  ただ、今御指摘のように、系統に対します利払いが一-三月期でも全体として六百億という形になろうかと思います。そういう意味で系統の経営に対します影響というのは大きいかと思いますが、また信連なりなんなりの個別の経営にとりましてもそれぞれ様子が違います。住専に対する貸付額の大小でありますとか、あるいは依存度でありますとか、そういうことがございますので、そういうことをもろもろ含めて系統の方で現在住専の方との話し合いをしているわけでございますので、それをもう少し私どもとしては見ていきたい、こういうふうに考えております。
  79. 都築譲

    ○都築譲君 では、それはまた改めてやることにしたいと思います。  それで、大蔵大臣にお伺いしたいんですが、日住金あるいは第一住金の再建断念の記事が実は出ておったわけでございまして、久保大蔵大臣も去年の閣議決定の段階で実はもう済んでいるんだと、こういうふうなことでございましたが、これはなぜ今まで業務停止をかけるとかせずに三カ月間延命をさせてきたのか、そこら辺のところはいかがなんでしょうか。公的整理あるいは法的整理をやってはまずいようなことがあったのか、自主的な整理、清算といったものによらざるを得なかった理由は何かあるのか、それを教えていただきたいと思います。
  80. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 日住金あるいは第一住金、いわゆる住専でございますが、ノンバンクや住専につきましては、銀行とか信用金庫というものとは違いまして私ども業務の停止を直接命ずるというようなことをすることはできません。日住金、第一住金はそれぞれ経営の判断として今回発表したような決断をしたということでございまして、私ども住専の現状にかんがみまして、このようなことにならざるを得ないんではないかという前提のもとに住専処理策というものを検討してまいったところではございますけれども、直接に行政が命ずるという性格でないことは御理解いただきたいと存じ上げます。
  81. 都築譲

    ○都築譲君 そういう御答弁であれば、本当に何かイメージができるんですね。とにかく三月まで日住金や第一住金を引っ張っておいて農協系統への利払いをやる、今回利払いの話がなくなったからもう清算して構わないんだと、こういう構図を実はどこかでだれかが描いていたんじゃないか、こういう気がするわけです。この問題はまた後日やることといたします。  それから、今回の住専のほころびの問題について、あと有税、無税償却の問題についてもかなりいろいろ銀行間で荒れているような気がいたします。だから本当に債権放棄ができるのか、こういう問題。  それからさらに、十二月十九日の債権放棄を求める閣議決定、これ自身が憲法の私有財産、第二十九条で「財産権は、これを侵してはならない。」、こういうことになっているのに、それに抵触する疑いがあるんではないか。なぜ政府が法律によらずに、あるいは憲法にもよらずに勝手に三兆五千億円も民間企業に捨ててくれと頼むことができるのか。何でそんなことを政府ができるんですか。法制局長官にちょっとその点について御見解を伺いたいと思います。
  82. 大森政輔

    政府委員大森政輔君) お尋ねの今回の住専処理案の閣議決定、これは行政の立場から諸要因を勘案して適当と思われる住専処理の基本的な考え方を示して要請を行ったものであるということでございます。これは閣議決定の中でも、「関係金融機関に対し、次により対応することを要請する。」という言葉になっております。したがいまして、これを受けた住専処理における損失分担というものは最終的には関係当事者の自主的な判断により決められるべきものであると。今回の閣議決定により行政府が決定して強制する性質のものとはなっていないということでございます。  したがいまして、お尋ねのような問題点はないんではなかろうかというふうに考える次第でございます。
  83. 都築譲

    ○都築譲君 ありがとうございました。いずれ改めてその点についてはもう一度やらせていただきたいと思います。  それで、今回の住専処理スキームのシナリオを書いたと言われております加藤紘一自民党幹事長の問題がいろいろ出ておるわけでございまして、つい先日も共和事件で阿部さんが有罪の判決を受けたわけでございますが、この観点で実は幾つかお伺いをしたい、こういうふうに思います。  あのときに実は加藤紘一さんに一千万のお金を共和の森口五郎当時の副社長が渡したと、こういうことでございますが、そのやりとりがいろいろございました。  実は、当時の週刊誌を拾い出してみますと、破産管財人の原田さんという弁護士さん、この方は亡くなられたようでございますが、その中で、「森口から加藤さんにカネが渡ったことは、間違いないようですね。他の政治家何人かにはすでに接触して、森口が提供したカネの返還請求について話し合っています。加藤さんについては、贈賄にあたるのかどうか、献金そのものの位置づけがアヤフヤなところがあって、返還請求できるかどうかをいま検討中です」と言っておられる。だからこそ、第二回の貸付金仮払い報告書の中にも一千万円ということで加藤紘一さんの名前が出ている、こういう事案があるわけでございます。  ただ、なぜこれが立件されなかったのか。ここら辺のところについてよくわからないわけですが、阿部さんだけが額も大変大きかったということでやられたのか、そういったところについて法務省はどういうふうなお考えを持っておられるか。いろんな方が出ておったわけですが、結局政治家については阿部さんだけの立件になっていった。そこら辺の状況を教えていただきたいと思います。
  84. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) お尋ねは、具体的な事件におきまして検察当局がさまざまな観点から法と証拠に基づきまして事件処理をされた事柄の中身ということでございます。  そのような具体的な事件の処理の実情につきまして私どもの方で把握している面はないわけでございまして、またそのような具体的な事件の捜査処理につきましては、法務省の立場で言及することは差し控えさせていただきたいと存じます。
  85. 都築譲

    ○都築譲君 法務省の刑事局長さんにお伺いします。  秋霜烈日という言葉がありますが、どういう意味でしょう。
  86. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) 秋霜烈日という言葉については、私も検察の一つのあり方ということで論じられる場合に用いられる言葉というふうに存じております。秋の霜、烈しい日ということで、いずれも厳しいという意味が込められているものというふうに存じております。
  87. 都築譲

    ○都築譲君 ということは、いわゆる司法、検察に携わる者としては厳格、公正な捜査と、そしてまた的確な判断に基づいて、法と証拠に基づいてやっていく、こういうことだろうと思います。  ただ、今回いろんな調査をさせていただきましたけれども、私どもが確認したところでは、当時この共和事件の担当に当たった東京地検特捜部の検事さん、具体的にお名前を申し上げると永野義一さんという方がいらっしゃると思いますが、何かこの方は加藤紘一さんのお兄さんと司法修習が同期であったということのようでございます。その永野義一さんをこの共和事件の捜査終了後に、いわゆるお礼の意味なのかどういうことなのか、お礼の意味を込めてということで聞いておりますが、加藤紘一さんが永野義一さん御夫婦を晩さん会に御招待して懇談をした、こういうことでございます。  普通、いろいろな事件とかかわり合うと思いますけれども、そういったことをするのが普通なのか、あるいはどういう目的で何が話されたのか、そういった問題について、これはぜひ調べていただきたい。本当に秋霜烈日という心構えですべての検事の皆さんにやっていただくという観点からはゆるがせにできない問題ではないか、こういうふうに思うわけでございまして、法務大臣、ぜひ御調査をお願いしたい。お願いできますね。また、ぜひ御報告をお願いしたい、こういうふうに思います。
  88. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) 突然のお尋ねで、その事実関係については私ども全く存じないことでございます。具体的な検事の事柄でございますけれども、そのような事態があったことを全く承知しておりませんし、もし仮にそのことが職務の行使上問題になるというようなことでございますれば私どもとしても調査いたしたいと思いますが、現在そのような状況があるとは認識いたしておりません。
  89. 都築譲

    ○都築譲君 調査していただけるんですね。調査をやってくれるんですね。
  90. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) 御指摘の点について私どもとしてもそれなりに調査をいたしますが、現在のところそのような状況はございません。
  91. 都築譲

    ○都築譲君 ありがとうございました。  以上で質問を終わりたいと思いますが、総理大臣、今回住専処理ということでいろいろ議論をさせていただいておりますが、金融市場全体が日本の産業の大動脈になるわけでございますから、ぜひ大きな視点からの大改革をお願いしたい、こういうふうにお願いします。  以上で終わります。
  92. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で都築譲君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  93. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、有働正治君の質疑を行います。有働君。
  94. 有働正治

    ○有働正治君 この間の国会論戦を通じまして、住専問題につきまして母体行の責任こそ一番の核心だということがはっきりしてまいりました。責任のとり方も非常に弱い、もっと追加負担を、こういうことでは共通項が形づくられてきているわけであります。久保大蔵大臣も、母体行は三・五兆円の債権放棄で責任を果たしたことにはならない、追加負担を求める、こういうことを言明されているわけであります。これを貫く上で銀行側への強力な指導が求められる。ところが、相手の全銀協の橋本会長は、何を言っているかと言わんばかりの態度であります。  この点で、きっちり母体行に社会的責任もとらせ、母体行の負担増による解決を図る、また大蔵省改革云々というためには、大蔵省、政府みずからが襟を正す必要があると、国民から厳しい指摘があるわけであります。それは、あれだけ大蔵省が銀行に天下っていて、お世話になっていて、本当に物が言えるのか、癒着の最だるものとして天下りがあるじゃないかと厳しい指摘があるわけであります。天上がりもありますし、MOF担問題等々もあるわけであります。  そこで、私はこれらの問題に絞ってきょうお尋ねしたいと思うのであります。  まず、MOF担問題であります。銀行には通称MOF担、ミニストリー・オブ・ファイナンスと呼ばれる大蔵省担当の情報収集の担当官、これを配置しているようでありますが、接待が重要な仕事のようであります。新聞の中でも宴会疲れの銀行局と指摘されるほど、昼間の行動とともに夜の接待、休日のゴルフ接待など忙しいということが指摘されているわけであります。こうした癒着を深めると、銀行側のためにその中で機密の情報もとっている、こういう指摘があるわけであります。いつ大蔵の検査が入るのか、どの店に入るのか等々、銀行側は重要戦略に位置づけているようであります。  大蔵大臣にお尋ねします。このMOF担について、銀行側のねらい、役割などを含めまして、どう把握し、どう認識しておられるのか、まずお尋ねします。
  95. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 私はMOF担と呼ばれる人と直接会ったことが一度もございません。それで、今御質問のございましたことについてどのようにお答えしたらいいのかと思っておりますが、たしか数年前ドラマでこのMOF担の活動が放映されたことがございます。今御質問をお聞きしながらそれを思い起こしておりました。  私はかねがね申し上げておりますように、指導監督の行政の責任を持つ大蔵省とその相手方であります業界との間には適正な距離と必要な緊張感が絶えず保障されておらなければならないということを申しております。そういう意味で、少なくとも私が今日知ります限りでは、今御指摘のような銀行局を中心としたいわゆるMOF担との癒着というのはないものと思っておりますし、またあり得べからざることである、私はそのように考えております。
  96. 有働正治

    ○有働正治君 極めて認識が甘いし、大蔵省がこれだけ問題になっている発言とは思えない。  昨年八月、三和銀行に大蔵省検査が入った際、三和銀行は事前に情報を得て段ボール二千箱の資料を隠した、こういうことが私どもに証言として寄せられているわけです。癒着の一つであると厳しく指摘しておきます。  そこで、関連質問をここでお許しいただきたいと思うのであります。
  97. 井上裕

    委員長井上裕君) 関連質疑を許します。緒方靖夫君。
  98. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私は、銀行から大蔵省への天上がり問題について質問いたします。  天上がりというのは、銀行から大蔵省へ一定期間出向している大蔵事務官のことです。こういう事実があるのか、現在何人いるのか、銀行名も挙げていただきたい。同様に、昨年についてもお示し願います。
  99. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。  民間金融機関から大蔵省へ調査員として出向してきている者は、現在六つの銀行から六名来ているところでございます。
  100. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 銀行名も。
  101. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 現在、日本興業銀行、東京銀行、東海銀行、三和銀行、さくら銀行、第一勧業銀行、以上六名でございます。
  102. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 配付資料のⅡを見ていただきたいと思うんですけれども、天上がり職員を大銀行がローテーションを組んで大蔵省に送り込んでいるその実態がわかるわけです。  大蔵省、いつからこんな慣行があるのか、主な配属部署はどこか、どんな仕事をするのか、以上三点、明確にお答え願います。
  103. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 現在の調査員制度は昭和四十九年から始まっていると承知しております。それから、この六名につきましては、大臣官房の調査企画課というところに配属されておりまして、調査、統計等の仕事をしているところでございます。
  104. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本テレビが三月四日に放映の番組で元出向大蔵事務官が証言しているわけですけれども、その主な目的というのは情報収集。出向者は完全に大蔵省の役人。名刺ももちろん大蔵省。一つ部署が変われば完全に大蔵省事務官で、出向のことは全くわからない。同僚として電話一本で内部情報はとれる。そういうことなんです。  それからまた、「官僚・公務員の仕事」という本の中に、そういう人の経験談、ある天上がり大蔵事務官の証言がありますけれども、相手のこと、大蔵省のことがわかっていれば対応がやりやすいと、銀行側のメリットをあけすけに証言しています。このように、出向の目的は派遣された銀行のために働くことです。  大蔵大臣、お尋ねいたします。  監督するところが監督される側の人間を入省させる、大蔵省の動きは銀行にすべて筒抜け、これでは監督できるわけがないじゃありませんか。所管大臣として人事管理上こうしたことで責任がとれるのかどうか、お尋ねいたします。
  105. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、この調査員はいずれも大臣官房の調査企画課というところで経済関係の調査、統計の仕事を担当しているところでございまして、金融関係の職務とは関係ないところで働いてもらっているところでございます。
  106. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 全くおかしいじゃありませんか。  大蔵大臣にお尋ねします。同じ問いです。
  107. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 御指摘のありました問題について十分に調査をした上、どのように考えるべきか決めたいと思っております。
  108. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それでは、調査を要求いたします。  総理、行政府の長として、住専問題がこれだけ大きな問題になり大蔵省の責任が問われている。そしてまた、大蔵省と銀行の癒着がこれだけ国民の大きな批判を受けている。そうしたときに、天上がりは直ちにやめるべきではありませんか、お尋ねいたします。総理
  109. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、主管閣僚としての大蔵大臣から、調査をし、その実態を把握した上で態度を決めるというお話がございました。私もその大蔵大臣をサポートいたします。
  110. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 次に、天下りの問題について幾つかの事実をお尋ねいたします。  一つは、住専七社での大蔵官僚出身の役員の状況住専七社の設立以来、会長あるいは社長を務めたのは何人か。その中で大蔵官僚出身は何人いるか。住専が七社体制となった七六年六月の時点で大蔵OBは何社の社長ポストを占めていたのか。以上三点について。
  111. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) まず、設立以来、社長を務めていたということでございますが、延べ二十六名の社長がおられたと存じております。そのうち、十名が大蔵省に勤務した経験を有する者でございます。  それから、七六年の六月時点で社長となっていた大蔵省の出身者ということでございますが、七社のうち六社についてその時点では大蔵省の職務経験を有する者が社長に就任していたものと承知をいたしております。
  112. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 民間金融機関の大蔵OBの人数、現在何行に対して何人か、九一年時点についても同様にお尋ねします。
  113. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 現時点で申し上げますと、全国銀行、これは全体で百五十行ございますが、平成七年三月期の有価証券報告書に記載された役員のうち、大蔵省の職歴のある者は百三十八名となっております。  それから、九一年の六月時点で申し上げますと百三十一名となっております。
  114. 有働正治

    ○有働正治君 この間に天下りが確実にふえているという姿がわかるわけであります。  天下りをやっているとどういう関係になるか。先日退任された日住金の庭山氏が、立入検査を一たん拒否したそうだがという質問に対して、自分の後輩に自分の会社を指導してもらうようなそんな見識のないことは私はやらない、大蔵省の課長補佐が来たが帰った、次に銀行局長が来た、君が直接来たのなら、君のやった政策のせいで困った結果が当社に起こっているからと、そういう意味で検査することを許した、こういう言い分であります。追い返され、天下りの住専社長に許しをもらって説教までされているありさまと、こういう関係があるわけであります。  今日、天下り問題が大きな問題になっているわけであります。大蔵大臣としてこの天下りを抜本的に見直すべきだと考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
  115. 久保亘

    国務大臣久保亘君) ただいま有働さんから御意見をいただくまでもなく、与党三党としてもこのことに関しまして、既に天下り問題の自粛にかかわって明確な方針を出すよう御決定をいただいております。  私といたしましても、天下りに関しましては、先ほど申し上げましたような監督指導を行う官庁としてふさわしい、国民の御理解を得られますように、天下り問題の規制を厳しくしてまいりたいと考えております。
  116. 有働正治

    ○有働正治君 総理に具体的な問題について幾つかお尋ねします。  昨日、人事院の昨年のいわゆる天下り白書が発表されましたが、大蔵省から金融機関に三十九名の天下りが行われています。こういうことが起きるのは、人事院が天下りを甘く狭く解釈、運用している問題があります。  国家公務員法百三条「私企業からの隔離」の第二項で、離職後二年間はその離職前五年間に在職していた国の機関と密接な関係のあるものにつくことが禁止されている。ところが、人事院規則はこの天下り禁止基準について、その国の機関がその企業に直接かかわる事務をやっていたかどうかと狭く解釈して抜け穴をつくっている。だからこういう天下りが起こる、こういうわけであります。  国家公務員法を厳格に運用し、甘い人事院規則を即刻改め、総理として、最高責任者として疑念のない対応をされることを求めるわけでありますが、いかがでしょうか。
  117. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 本来でありましたならば人事院当局の現実をお聞きいただいた方がより正確ではなかろうかと存じますが、今私への御質問でありますので、私からお答えをさせていただきます。  私は、公務員の営利企業への再就職問題というものにつきましては、公務の公正な執行の確保の要請と退職公務員の職業選択の自由、こうした基本的人権の尊重とをどう調和させていくか、大変難しい問題を含んでいるものであると従来から思ってまいりました。そして、その中におきまして人事院制度というものが存在をし、人事院はこれを厳正に運用してこられたと私は思います。  しかし、委員からも今御指摘のありましたように、公務員の姿勢の全体が問われている中におきまして、公務員の就職規制のあり方というものにつきましても、最近の公務員をめぐる世論の大変厳しい情勢というものを踏まえながら各方面の御意見を十分にお聞きし、議論の行く末というものを見定め、十分に論議を深めていく問題である、そのように受けとめております。  私は、いずれにいたしましても、人事院制度というものが現在公正に運用されている、そう思っておりますことだけは申し添えさせていただきたいと思います。
  118. 有働正治

    ○有働正治君 そうなっていないところに問題があることを指摘しているわけであります。  いま一つ、特殊法人への天下りにかかわる問題について総理に二点お尋ねします。  大蔵キャリア組の天下りを調べてみますと、特殊法人、認可法人への天下りを経て金融機関へのケースが多いわけであります。特殊法人労連が調べたところによりますと、大蔵省の局長級以上の百二十二人についての天下り先分析、特殊法人、認可法人を経由した天下り経験のある者を調べると、これはおおむね九三、九四年についてでありますが、民間金融機関に限定しても五十人が天下りしている。四一%です。その中で、特殊法人、認可法人を経由して民間金融機関に天下りした経験のある者を抽出しますと三十人、全体の六割。五十人の中の六割という実態が調べで明らかになっているわけであります。  その点で具体的に二つお尋ねします。一つには、天下った大蔵キャリア組の役員の退職金規定ですが、在職の月数でやっている。これが国家公務員、特殊法人の一般職員は在職年数で計算する。だから役員が法外な退職金になる。この点の規定の見直し。二つには、特殊法人、認可法人への天下り禁止規定を国家公務員法に設けて禁止すべきだと考えるわけでありますが、総理、いかがでしょうか。
  119. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 後段の方から申し上げますと、私ども政府機関に有能な人材を起用してこの機関の設置目的を効率的に果たすということは一面重要なことであると考えております。しかし、今お話ありましたように、いわゆる天下りという言い方が適切かどうかわかりませんけれども、天下りということで御批判のありますことには十分に配慮をしながら人事を考えていくべきものと考えております。  退職金の問題に関しましては、民間の機関等の役員の退職金との対比その他について十分に調査をいたしました上、適正を欠くものがございますれば、これは適正化しなければならないと考えております。
  120. 有働正治

    ○有働正治君 非常に認識が甘いんです。大蔵大臣総理政府にも述べますけれども、私、天下り、天上がり、MOF担を例に政府と金融機関との癒着の構造を指摘したわけであります。  こういう点で大蔵側、政府側が襟を正して改善しない限り、銀行からなめられて社会的責任あるいは負担増等々が果たせない。母体行に社会的責任を自覚させて必要な負担をさせる方向で解決する、そのためには、まず大蔵みずから、政府みずからが襟を正せ、これが国民の声なんですよ。そういう点で政府の対応というのは国民とは乖離している。その点が厳しく今求められている。根本的な反省と根本的な対応、そういう点で銀行にきっちり物が言える、そういう状況をつくるべきだということを厳しく指摘して、私の質問を終わります。
  121. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で有働正治君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  122. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、小島慶三君の質疑を行います。小島君。
  123. 小島慶三

    ○小島慶三君 私は、今回提出されました暫定予算につきましては賛成をいたします。  ただ、この賛成は私自身にとりましても大変苦渋に満ちた賛成でございました。事ここに至ってはやむを得ないというのが賛成に至る私の結論でございました。  そういうことで、多くの皆さんもそう思っておられると思うんですけれども、事ここに至るまでのいろんな動きにつきまして、ひとつ一国のつかさである橋本総理大臣から所信と所感とをお伺いしたいと思います。
  124. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変失礼なことかもしれませんが、委員が私に問いかけになられましたのは、ここしばらくの国会状況についての私の考え方を問われたわけでございますか。
  125. 小島慶三

    ○小島慶三君 さようでございます。
  126. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私自身、行政府の長として、国会の御審議についてその論評をいたすのはいかがなものかと存じます。  しかし、私自身、三月の上旬から三週間余り国会審議のできない状況に入り、その状態が継続をいたしたことは大変残念でございました。残念なだけではなく、その間、台湾海峡をめぐる情勢の厳しき折に、あるいはその他の場面におきまして国会としての御意見を拝聴する機会がなかったことを非常に残念に思っております。  現在、土井議長、副議長、あるいは議運委員長以下の議運の関係方々、各党の関係者の御努力によりまして正常化をいたし、御審議をいただけるような状態になりました中で、私自身、先ほど来の答弁でも申し上げてまいりましたように、本日暫定予算の御審議をいただいておるわけでありますが、我が国景気回復を本格的な軌道に乗せますためにも一日も早い平成八年度予算案の御審議とその成立を心から願う次第であります。
  127. 小島慶三

    ○小島慶三君 ありがとうございました。  私、総理に御質問したわけで、総理としてのお立場と今のお答え、そういう点を拝聴しまして、あるいは自民党総裁というお立場での御意見を承った方がよかったのかもしれません。  問題は、今後ともこういうふうな事態が頻発するということになると、これはやはり国会の権威というものに大変大きな影響を及ぼすと私は思います。したがいまして、こういうことが繰り返し繰り返し行われるということになれば、議会政治そのものの自己否定にもつながりかねないというのが私の大変心配しているところでございます。そういう点で今御質問を申し上げたわけでございます。  これは私、余り詳しいことは存じませんが、ヨーロッパでも大変多数党による政治の運営がされておる。しかし、その場合でもいろいろ、何というんでしょうか、アコモデーションというんでしょうか、お互いに妥協というものを非常に重く考えて政治の運営をやっているというふうに伺っておるわけです。  何か今回も、A案に対してB案の激突という形で問題が展開してきたことを私は大変残念に思うんですけれども、そういうふうな妥協による、あるいはもうちょっと突き詰めて言えば思いやりということが必要なのかもしれませんが、そういう政治のあり方について、いかがでしょうか、総理の御見解を伺いたいと思います。
  128. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私自身、衆議院議員として、党派を超えた御協力をいただきながら議員立法を手がけてまいりましたこともございます。また、担当委員会の筆頭理事として、野党の皆さんと御相談をしながら政府提出いたしました法律案を修正いたしたこともございます。しかし、そうした議論が残念ながらどうしても双方の合意を得るに至らず、与党としての意見で採決を委員長にお願いした経験も持ってまいりました。  私は、本来、話し合いというものは当然のことながら議会制度でありますからその中で運用されるべきものであると思いますし、同時に与野党の意見が一つの結論を導き出し得るものであれば、そうした合意ができることに努力することも当然必要だと思います。しかし、同時に与党の筆頭理事として何回か私自身が決断の責任をとらなければなりませんでしたのは、一歩も自分たちの修正要求を引かないというような議論になりましたとき、反射的に与党の側も政府原案を一歩も譲らないといった不毛の議論になった経験もございます。  私は、要はその問題、そしてそれにかける責任、その判断の中から出てくるものではなかろうかと思います。
  129. 小島慶三

    ○小島慶三君 あと私の希望しておりますのは、できるだけ早く平成八年度予算が送付されるということを希望いたします。  ちょうど時間が参りましたので、これで終わります。
  130. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で小島慶三君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  131. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、西川潔君の質疑を行います。西川君。
  132. 西川潔

    西川潔君 短い時間です。よろしくお願いいたします。  昨年三月の予算委員会で、マル優の利用者が死亡した場合に、奥さんや御主人などの相続人がマル優の対象者でありましても、相続人のマル優枠に余裕がない場合は、亡くなった方の契約時にさかのぼって、つまり生きていた期間についても課税されるという問題について御質問をさせていただきました。その後、検討いただきまして、ことし一月一日より制度の改善が行われた旨の御報告をいただきました。  改めまして、本日、これまでの経緯と利用者への対応につきまして、大蔵大臣と郵政大臣にお伺いしたいと思います。
  133. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 昨年三月、参議院におきまして西川議員から御意見がございましたことにつきまして、本年一月から、相続されましたマル優の預金につきましては、相続前の生存の期間中のものについてはこれを非課税とするということにさせていただきました。  また、既に相続されました方がマル優の資格をお持ちの場合には、その残存の幅で、これは従来も取り扱ってきたところでございますが、先生の御指摘のとおり今年一月からそのようにさせていただきました。このことについては今後十分に周知徹底させてまいりたいと考えております。
  134. 日野市朗

    国務大臣(日野市朗君) 先生御指摘のとおり、先生が従来から取り組んでおられたいわゆるマル優でございますね、先生の御趣旨を生かしまして、昨年末の税制改正でマル優預け入れをなさっていた方の死亡後からの税金ということにしまして、その前は非課税ということにさせていただきました。非常に先生の御尽力には私ども感謝いたしております。  今までの、名義人だった方が亡くなられて、そして今度は奥さんがそれを相続されるという場合に、前まで税金をもらいますよというのは非常にお気の毒でございます。政府関係部門ともいろいろ相談をさせていただいてこのような結果になったことを私も喜んでおります。おかげさまで、取扱件数でございますけれども、本年一月の制度改善から本年二月末日までの二カ月間で八千件マル優としての取り扱いをいたしております。  それから、改正内容についてもこれはちゃんとPRをいたしましょうということで、郵便局の窓口等に周知文を掲示、掲出しているほかに、パンフレットにも掲載をいたしまして預金者の方々にお知らせをしているということで、周知徹底を図ろう、こう考えているところでございます。
  135. 西川潔

    西川潔君 ありがとうございました。  次に、先月の十六日にお伺いいたしました、阪神・淡路大震災によって家を失われた被災者の中で公団住宅に一時入居されている方々への対応について再度お伺いしたいと思います。  先日、質問させていただいたときに、神戸で三十六年間営んでいた店も家もなくされて、大阪の公団住宅に一人で一時入居されていると十二歳のお年寄りの方のお手紙を総理にも読んでいただきました。その入居期限が三月三十一日と迫っている中で、恒久的住宅に見通しが立っていない方々に対しては入居期限の延長と、その場合の家賃の減免をお願いいたしました。総理の御答弁をあのときにお伺いいたしまして、正直申しまして二月の時点では御理解をいただけなかったのではないかなというふうな印象を持ちました。  そして、その二日後に、総理が早速に被災地を視察されたというニュース、報道を目にいたしまして、担当大臣に対して住宅対策について御指示を出されたとお伺いいたしました。被災地を視察なさって改めてどういう認識をお持ちになられたのか、お聞かせいただきたいと思います。
  136. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先日、あなたからちょうだいをいたしましたお手紙、今もここにそのコピーを持っております。そして、このコピーを持ちながら現地を改めて見せていただきました。そして、私は、まさに御指摘のように住宅対策が非常に重要でありますし、一時居住の状態から安心して住むことのできる恒久住宅への移行が一刻も早くできるようにしていくこと、これが被災された方々の将来の不安をなくすという点で一番大事なことだということを痛感いたしました。  と同時に、このお手紙を拝見しながら気になっておりまして現地でお話を伺って改めて感じましたことは、今政府として阪神・淡路地域の被災の方々の住宅の家賃については非常に低い負担に設定をいたしております。しかし、問題は、従来の神戸における集合住宅等の家賃が非常に低かった、そのために今設定している家賃でも実は震災前に御自分たちが支払っておられた家賃よりも倍以上高いような状態のケースが出てき得ること。あるいは、このお手紙を下さった方のように、自営であり、震災によって一切を失ったために現在無収入であると言われる方々に対しては、現在低く抑えて設定をした家賃でありましても非常に大きな負担になるということでございます。  こうしたことを考えましたとき、単純な仕組みではなかなか難しいな、県、市とも御相談をしながら進める必要があるということを考えまして、東京へ戻りましてすぐに関係閣僚に対しても指示をいたしました。  同時に、県、市にも御相談をいたしまして、震災対策の本部の幹事会を一々東京へ出てきていただいて会議をするよりも、何回かに一回でもいい、こちらから出ていって幹事会を開かせていただこう、そんなことで幹事会を直後神戸の方で開かせていただき、中央の方から逆に出向く形をとりました。そうしますと、やはり東京へ来ていただく以上に多くの方に地元側も入っていただけますし、それだけ幅の広い意見を聞かせていただくことができる。これからも二度三度に一度、むしろ現地へ参上しての幹事会を続けていくことの方がより身近な対応ができるな、今そのようなことを感じております。
  137. 西川潔

    西川潔君 よろしくお願い申し上げます。  次に、建設大臣にお伺いしたいと思います。  公団の一時入居者に対しまして出されたこの退去通知、三日後ということでございますけれども、来月以降の対応についてお伺いしたいと思うんです。
  138. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 委員にお答えさせていただきます。  阪神・淡路大震災によりまして居住の場をまさしく失い、現在公団住宅等で仮住まいをしておる、こういう世帯につきましては、一日も早く、先ほど総理も御指摘のとおり、恒久的な住宅に入居していただきまして、そして安定した生活を送れるように努力をしていくことが極めて大事だということの御下今も受けますと同時に、私どもも真剣にそれに取り組んでおる次第でございます。  公団住宅に一時入居しております世帯につきましても、このような基本的な考え方に立ちまして地方公共団体において公営住宅あるいは公団住宅へのあっせんを行ってきたところでございます。近畿圏における一時貸与中の戸数は、二月末現在で当初の二千九百五十八戸から大幅に減少いたしまして、四月以降の移転先が固まっていない世帯は現在三百二十二戸でございます。今後、今月末の期限までに入居が固まっていない高齢者世帯あるいは低所得者世帯等につきましては、引き続き地方公共団体において公団住宅の借り上げを含めまして恒久的な住宅の確保を図っていくこととしております。それまでの必要最小限期間、一年間を限度として公団住宅の一時貸与を行うようにした次第でございます。  なお、自宅再建期間等で転居時期が短期間ずれる世帯につきましても、これも何人かございますから、自宅再建等に必要な最小限期間、公団住宅の一時貸与を行うことにしておる次第でございます。
  139. 西川潔

    西川潔君 建設大臣総理大臣、ありがとうございました。  今回の政府の対応にはひとまず安心をいたしましたという皆さん方のお喜びの声をたくさんお聞きいたしております。しかし、本当に安心できるのは、恒久的に住める住宅が確保されることだと思います。その意味で、恒久住宅対策に全力を挙げてお取り組みいただきたいわけですけれども、今回本予算成立がおくれたことによりまして対策に支障を来さないのかなというふうな心配をいたします。  最後に、総理の御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  140. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 阪神・淡路大震災、昨年の一月十七日に発生をいたしましてから既に一年二カ月余りになりました。ようやく本格的な復興段階にこぎつけたわけでありますけれども、この復興というものには相当な長期をお互い覚悟しなければなりません。そして、昨年の七月、この復興につきましての取り組み方針として、政府は生活の再建、経済の復興及び安全な地域づくり、この三つの基本的課題を中心にこれに対応した施策を組み立てていくこと、そしてそれを着実、円滑に実施していくことの必要性を確認してまいりました。  今回、御審議をいただいております平成八年度の暫定予算におきましては、一般公共事業について、七年度事業の進捗状況等を勘案して、復興事業の着実な推進が図れるように、継続事業に支障が生じないように対応はきちんといたしております。  また、そのほかにつきましても暫定予算期間中に必要となる所要額を計上しておりまして、本予算成立のおくれによって、恒久的な住宅対策を初め、復興のための諸施策の円滑かつ着実な実施に支障を来すことのないように、可能な限りの措置はとってきたつもりでおります。  しかし、実はここには大きな問題がございます。新規事業を計上することが許されない暫定予算の性格上、新しい事業というものはこの中に予算化をされておりません。そして、特にこれからの阪神・淡路大震災の復興の中で大きなかぎを握りますものは、職、働き場をどうやって神戸に再建するかということでございます。そうしたことを考えてまいりますときに、新規事業に着手ができないということは、私はやはり残念ながら影響をどうしても受けざるを得ない部分が被災地区に生ずるのではないか、これは本気で心配をいたします。  そうしたことを考えてみますと、復興に向けての新たな施策というものを一日も早くスタートさせることができますように、本予算成立というものが本当に一分一秒でも早くということを祈りたい気持ちでいっぱいであります。しかし、暫定予算の中で許される範囲内において私ども全力を尽くしま玄
  141. 西川潔

    西川潔君 ありがとうございました。  少し時間が余っております。本当に時間があればいろいろお伺いしたいんですが、国際的にも国内的にも大変ではございましょうが、皆さん方に聞かれた質問を一つだけ最後に総理にお願いしたいと思います。  余り我々はぜいたくを言うものではありませんが、今後この国で本当に安心をして暮らせるのだろうかというようなことを、きよしさん、機会があれば一度国会質問をしてみてくれないかなと。少しお時間がございましたので、通告はしておりませんが、お聞かせいただければ幸いです。
  142. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 結論から申し上げて恐縮でありますが、私は安心して暮らしていただける安全な国をつくる、再建する、そのために全力を尽くしてまいります。そして、国会にもぜひそのための御協力を心から願いたいと存じます。国の中に対しても、また外に対しましても、我々は安全と安心を確保するためには我々自身が努力をしていかなければなりません。そうした思いの中で、全力を尽くしますというお答えを申し上げます。
  143. 西川潔

    西川潔君 ありがとうございました。
  144. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で西川潔君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。     ―――――――――――――
  145. 井上裕

    委員長井上裕君) それでは、これより討論に入ります。  討論の通告がございますので、これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。緒方靖夫君。
  146. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、平成八年度一般会計暫定予算外二件に対する反対の討論を行います。  政府暫定予算を組まざるを得なくなったのは、国民の圧倒的な反対を無視して住宅金融専門会社、住専の不良債権の処理に六千八百五十億円の血税を投入する予算を強行しようとしたことにあります。まず、その政府責任を厳しく指摘しておきます。  今回の暫定予算は、経常的経費等について必要最小限経費を計上したものと説明されていますが、その内容は反国民的な政策経費を含む本予算の五十日分に当たるもので、到底賛成することはできません。  現在、国の財政状況は、来年度末の公債残高が二百四十兆円にも達し、財政制度審議会の報告でも時限爆弾を抱えた状態と警告されている危機的な状況です。したがって、平成八年度予算は、本来、従来型の財政政策を抜本的に見直し、国民本位の財政再建の第一歩にすべきであるにもかかわらず、放漫財政を繰り返しています。  本暫定予算においても、軍事増強と日米安保体制の強化のための予算拡大、ゼネコン奉仕の公共投資など、浪費とむだの構造が温存され、その穴埋めとして二兆六千二百億円という巨額の公債発行を予定しています。これは歳入予算の七割にも達するもので、この暫定予算は赤字国債依存の財政体質をいささかも改善するものではなく、時限爆弾をさらに大きくするものと言わざるを得ません。  歳出についても、例えば公共事業関係費は本予算の三割を超える二兆九千九百十五億円を計上しており、その多くが大手ゼネコンを潤すことになる大型公共事業を最も優先しています。防衛費も、本予算の一三・七%、六千六百六十一億円を計上していますが、この中にはペトリオットミサイルなど武器車両等の購入費七百五十四億円、AWACSなど航空機購入費千三百八十九億円など、巨額の正面装備費が含まれています。しかも、地域紛争を想定したものと報道される環太平洋合同演習の参加訓練費を本予算計上額の七九%に当たる十一億八千万円計上し、米軍への思いやり予算百四十九億円も盛り込んでいます。  まさに本暫定予算は、真にやむを得ない必要最小限のものと言うことはできず、財界奉仕、軍事費拡大、国民生活切り捨て、財政危機拡大を特徴とする本予算をそのまま五十日間執行するものとなっており、決して容認することはできません。  以上の理由から本暫定予算に反対であることを表明し、討論を終えます。
  147. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  平成八年度一般会計暫定予算平成八年度特別会計暫定予算平成八年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  148. 井上裕

    委員長井上裕君) 多数と認めます。よって、平成八年度暫定予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 井上裕

    委員長井上裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会      ―――――・―――――