○橋本敦君 私は、
日本共産党を
代表して、
住専処理法案並びに
金融関連四
法案について
反対の
討論を行います。
住専国会が終わろうとする今も、
税金を使うなという
国民の声はさらに高まり、
反対は八割、九割にも達しています。総理自身も、つとに
住専処理法案は
国民の理解と納得を得られていないと認めていました。しかるに、この天の声、地の声に背を向け、さらなる
審議も尽くさず、
与党の多数で強引に押し通そうとするなどは、まさしく理不尽に
議会制民主主義を踏みにじるものではありませんか。我が党は
国民とともに断固抗議するものであります。
これまでの
国会論戦を通じて、
住専処理に
国民の
税金を投入することがいかに根拠も道理もないものであるか、疑いの余地なく明らかになりました。
そもそも
住専処理に第一の
責任を持つべきものは、
住専をつくり、支配し、紹介融資などで甘い汁を吸い、あげくの果てにこれを
破綻させた母体行であることは余りにも明白であります。この母体行の
責任にふさわしい
負担をどうとるようにさせるかこそ
住専問題の核心であります。
ところが、
政府・
大蔵省は、母体行
責任を免罪、軽減するため、
金融システムの安定、
不良債権の早期
処理など、次々口実を設けては
税金投入の
合理化を図ってきました。しかし、
政府も認めたように、これまで銀行系列のすべての
ノンバンク処理は、ただの一つの
例外もなく母体行の主体的
責任で
処理されたのであります。これこそが不文律の基本
ルールであり、
住専も業界直系の
ノンバンクでありますから、二の
ルールによって
処理するなら、
国民の
税金投入など全く必要ないのであります。
しかるに、
政府・
大蔵省は、これを守らせるべき
行政責任を放棄して、臨
特例外の
措置などと言い、
税金投入のスキームをつくり、あえて平地に波乱を起こす
ルール破りを行ったのであります。
このように、
政府が率先して
税金投入のスキームをつくるなら、それは母体行に絶好の
責任逃れの口実を与え、彼らが追加
負担を拒否するのは自明のことではありませんか。
しかも、
政府も母体行もともに認めざるを得ないように、超低金利政策のもとで母体行は空前の利益を上げ、それこそ我が世の春を謳歌しているのであります。十分に体力があるこの母体行の
責任で
処理させることこそ、最も道理にかない、早い解決の道であることは明白であります。
しかるに、
政府は、母体行に新たな
負担を強制する法的根拠がないといって、
税金投入はやむを得ないとの態度に終始してきました。しかし、超低金利政策で泣かされている年金生活者など
国民に対しては、この母体行の不始末のツケを法的に強制し、無理やりに押しつけようというのであります。これはタックスペイヤーの基本的人権として税の使い道に
発言の自由と権利を有する
国民に対するまさに道理なき
政治的強要ではありませんか。これを強引に推進する橋本連立
内閣は、
民主政治存立の規範的モラルである公正と正義さえ踏みにじるものと言わねばなりません。
こうした
国民の厳しい批判を受けて、
政府・
与党も母体行の追加
責任を言わざるを得なくなりました。そのこと自体、
政府の
住専処理スキームの
破綻を明白に示すものでありますが、新基金構想に母体行などがあと数千億円出せるというなら、そもそも
税金投入の必要は全くないではありませんか。
しかも、この新基金構想なるものは
国民の
税負担の軽減には全くつながらない代物であります。もともと六千八百五十億円は赤字国債の発行によって賄われることになっており、新たな基金の
運用益はせいぜいこの赤字国債の利息分程度にしかならないからであります。これでは
国民負担の軽減といっても全くのまやかしにすぎません。しかも、これは一次損失についてのみであります。
二次損失問題もさらに重大であります。
この二次損失は、最低でも一兆二千四百億円、それが四兆円あるいはそれ以上に膨らむとする研究機関の予測
調査もあるなど、損失の拡大は必至であります。何の
責任もない
国民がなぜこの二分の一を
負担させられるのか、
政府はついにその合理的根拠を示すことができませんでした。
国民負担は六千八百五十億円でも一人当たり約六千円、それが二次
処理で損失がさらに膨らめば
国民にとっては耐えがたい過酷な
負担となることは明らかであります。
加えて看過できないことは、損失が拡大すれば、九千億円という今の拠出基金では到底賄えず、
処理スキームの
破綻は必至であり、そうなれば日銀特融などさらに莫大な
公的資金の投入が不可避となり、これは断じて容認できません。今でも時限爆弾を抱えた国の
財政破綻はいよいよ進み、
国民生活も破滅への道となるのではありませんか。
なぜ
政府・
大蔵省は、母体行
責任主義を投げ捨て
税金投入の
処理法案にしがみつくのか。それは
大蔵省自身が
住専の設立を推進し、総量規制で
住専の投機的不動産融資に拍車をかけ、
経営破綻を知りながら第一次、第二次再建計画で問題を先送りするなど、今日の
住専問題を引き起こしてきたいわば共犯者にほかならないからであります。その根本には、天下り、天上がりに見られる銀行業界と
大蔵省の癒着、それに政界に対する巨額の
政治献金があることは明らかであります。
驚くべきことに、
大蔵省の
責任がこれほど重大であるにもかかわらず、歴代、どの大蔵大臣も、どの銀行局長もだれ一人として
責任をとった者がいないのであります。これでは母体行に強く迫ることができないのも当然ではありませんか。
早くから我が党は、この
処理スキームは
住専にどどまらず、さらに莫大な
不良債権処理にも母体行
責任主義、メーンバンク
責任など大銀行
責任の
ルールを否定して
税金投入主義を持ち込むためであることを厳しく指摘してきました。
金融機関の
健全性確保法案、
金融機関の
更生手続特例法案、
預金保険法改正案の三
法案は、この指摘を裏書きするものであります。
この三
法案は互いにリンクしており、
早期是正措置による
業務停止、
経営困難な
信用組合の集中的な整理淘汰、その上
公的資金投入という道筋をつけて、母体行
責任主義とメーンバンク
責任での
処理の保証は全くないままに、不当に
法的処理を促進する
危険性が極めて高いものであります。しかも、
預金保険法改正案は、本来
預金者保護を目的とする
預金保険機構を銀行業界の救済の機構へと大きく変質させるものであり、断じて認めることはできません。
さて、
最後に橋本総理と
連立与党に申し上げたい。
このように道理も根拠もない
住専処理法案はきっぱり廃案にすべきであり、それこそが圧倒的多数の
国民の願いにこたえる唯一の道であります。今こそ、これを直ちに廃案にした上、速やかに
国民の信を問うことこそ、我が憲法のもとでの
民主政治の大道ではありませんか。
今日、
住専問題に加えて、安保、沖縄、消費税増税などあらゆる面で
政治の閉塞
状況が深まっているとき、橋本総理に真摯に
国民の声に耳を傾ける
姿勢があるなら、潔く
国民の審判を受けるために一日も早い
衆議院の解散・総
選挙を行うことを強く要求して、私の
討論を終わります。(
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