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1996-06-10 第136回国会 参議院 本会議 第25号
公式Web版
会議録情報
0
平成
八年六月十日(月曜日) 午前十時二分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第三十七号
平成
八年六月十日 午前十時
開議
第一
商業的造船業
における正常な
競争条件
に 関する
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件 (
衆議院送付
) 第二
商標法条約
の
締結
について
承認
を求める の件(
衆議院送付
)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件 一、
特定住宅金融専門会社
の
債権債務
の
処理
の
促進等
に関する
特別措置法案
、
金融機関等
の
経営
の
健全性確保
のための
関係法律
の
整備
に 関する
法律案
、
金融機関
の
更生手続
の
特例等
に関する
法律案
、
預金保険法
の一部を
改正
す る
法律案
、
農水産業協同組合貯金保険法
の一 部を
改正
する
法律案
及び
特定住宅金融専門会
社が有する
債権
の
時効
の
停止等
に関する
特別
措置法案
(
趣旨説明
) 以下
議事日程
のとおり —————・—————
斎藤十朗
1
○
議長
(
斎藤十朗
君) これより
会議
を開きます。 この際、
日程
に追加して、
特定住宅金融専門会社
の
債権債務
の
処理
の
促進等
に関する
特別措置法案
、
金融機関等
の
経営
の
健全性確保
のための
関係法律
の
整備
に関する
法律案
、
金融機関
の
更生手続
の
特例等
に関する
法律案
、
預金保険法
の一部を
改正
する
法律案
、
農水産業協同組合貯金保険法
の一部を
改正
する
法律案
、
特定住宅金融専門会社
が有する
債権
の
時効
の
停止等
に関する
特別措置法案
、以上六案について
提出者
から順次
趣旨説明
を求めたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
斎藤十朗
2
○
議長
(
斎藤十朗
君) 御
異議
ないと認めます。
久保大蔵大臣
。 〔
国務大臣久保亘
君
登壇
、
拍手
〕
久保亘
3
○
国務大臣
(
久保亘
君) ただいま
議題
となりました
特定住宅金融専門会社
の
債権債務
の
処理
の
促進等
に関する
特別措置法案
、
金融機関等
の
経営
の
健全性確保
のための
関係法律
の
整備
に関する
法律案
、
金融機関
の
更生手続
の
特例等
に関する
法律案
及び
預金保険法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。
金融
は、
経済
全体にとっていわば動脈ともいえる役割を担っており、
信用秩序
の
維持
、
預金者保護
に万全を期しつつ、
住宅金融専門会社
をめぐる問題に象徴される
金融機関
の
不良債権
問題の
早期解決
を図ることは、
我が国経済
が今後
持続的発展
を遂げていく上で不可欠の前提であります。同時に、
金融機関
の
不良債権
問題の
再発防止
を図るためにも、本格的な
金融自由化時代
にふさわしい、
自己責任原則
と
市場規律
に立脚した
透明性
の高い、新しい
金融システム
を早急に構築する必要があります。 このため、
政府
といたしましては、これらの
法律案
を提出することとした次第であります。 まず、
特定住宅金融専門会社
の
債権債務
の
処理
の
促進等
に関する
特別措置法案
につきまして御
説明
申し上げます。 本
法律案
は、
関係当事者
による
処理
が極めて困難となっている
住宅金融専門会社
の
債権債務
の
処理
を促進し、
信用秩序
の
維持
と
預金者
の
保護等
を図るため、緊急の
特例措置
として、
預金保険機構
の
業務
の
特例
及び国の
財政
上の
措置等
を定めるものであります。 以下、その
大要
を申し上げます。 第一に、
預金保険機構
は、
住専
から
貸付債権等
を譲り受け、その
回収等
を行うことを
目的
とする
債権処理会社
を設立するため
出資
することとしております。 第二に、
預金保険機構
は、
債権処理会社
が
住専
から
貸付債権等
を譲り受ける対価をもってしてもなお不足する
住専
の
債務処理
の財源として、
政府
の
補助金
により同
機構
に
緊急金融安定化基金
を置き、同
基金
から、同
会社
に対し
助成金
を交付することができることとしております。また、同
会社
が譲り受けた
貸付債権等
については、極力
損失
が生じないよう努める
所存
でありますが、仮に
損失
が生じた場合には、
当該損失
の二分の一に相当する金額について、
政府
は同
機構
に
補助金
を交付することができることとし、同
機構
は同
会社
に対し
助成金
を交付することができることとしております。なお、これらの場合において、同
会社
は、
回収
が進み
利益
が生じたときは、同
機構
を通じて国庫へ還元することとしております。 第三に、
預金保険機構
は、
債権処理会社
の円滑な
業務
の
遂行
のために必要があると認めるときは、
金融機関等
の
拠出金
による
金融安定化拠出基金
から、同
会社
に対し
助成金
を交付することができることとしております。 第四に、
債権処理会社
及び
預金保険機構
は
一体
となって、強力な
債権回収
及び
損害賠償請求権
の行使を含む
関係者
の
責任追及
を行うこととしております。このため、同
機構
に対し罰則で担保された
財産調査権
を付与するとともに、
回収
が困難な
事案
については、同
機構
がみずからその
取り立て
を行うことができることとする等の
措置
を講ずることとしております。 その他、
政府
の
預金保険機構
への
出資
に関する
規定
の
整備等
、
所要
の
措置
を講ずることとしております。 次に、
金融機関等
の
経営
の
健全性確保
のための
関係法律
の
整備
に関する
法律案
につきまして御
説明
申し上げます。 本
法律案
は、内外の
経済社会情勢
の
変化
に
対応
し、
金融機関等
の
経営
の
健全性
を
確保
する
必要性
にかんがみ、
信用協同組合等
の
協同組織金融機関
における
監査体制
の
充実
、
金融機関
の
経営
の
状況
に応じとるべき
監督
上の
措置
に関する
規定
の
整備等
、
所要
の
措置
を講ずるものであります。 以下、その
大要
を申し上げます。 第一に、
信用協同組合等
の
協同組織金融機関
について、
監事
の
権限等
を強化するとともに、
員外監事
の登用、
外部監査制
の
導入
によりその
監査体制
の
充実
を図るほか、
信用協同組合
の
役員等
の
兼職等
を
原則
として禁止することとしております。 第二に、
自己資本
の
充実
の
状況
に応じ、
大蔵大臣等
が
監督
上必要な
措置
を命ずることができることとしております。 その他、
金融機関相互
間における
営業譲渡等
ができる範囲の拡大や
金融機関等
の
トレーディング取引
への
時価会計
の
導入
を図ることとしております。 次に、
金融機関
の
更生手続
の
特例等
に関する
法律案
について御
説明
申し上げます。 本
法律案
は、
経営
が重大な危機に陥った
金融機関
について、
預金者等
の
権利
の
実現
を
確保
しつつ、
更生手続
及び
破産手続
の円滑な進行を図ることを
目的
として、
金融機関
の
特殊性
を踏まえたこれらの
手続
の
特例等
を設けるものであります。 以下、その
大要
を申し上げます。 第一に、
協同組織金融機関
について
更生手続
を行うことができることとしております。 第二に、
金融機関
の
破綻
時の
処理
を適時適切に開始する
観点
から、
監督庁
は
更生手続
及び
破産手続
の開始の申し立てができることとしております。 第三に、
預金者等
の
権利
の
実現
を
確保
しつつ、
更生手続
及び
破産手続
の円滑な
遂行
を図るため、
預金保険機構
が
預金者等
のためにこれらの
手続
に属する行為をすることとしております。 その他、
所要
の
措置
を講ずることとしております。 次に、
預金保険法
の一部を
改正
する
法律案
について御
説明
申し上げます。 本
法律案
は、最近における
我が国
の
金融環境
の
変化
に
対応
し、
破綻金融機関
の適時適切な
処理
を図るため、
預金保険機構
の
業務
の
拡充
を図るとともに、今後五年間に
信用協同組合等
の
経営
が
破綻
した場合における同
機構
が行う
資金援助
の
特例
を設ける等、
所要
の
措置
を講ずるものであります。 以下、その
大要
を申し上げます。 第一に、
預金保険制度
の
整備拡充
に関する事項として、
保険金
の
支払い
がなされる場合に、
預金保険機構
が
保険対象外
の
預金等
に係る
債権
を買い取る
制度
を設ける等、
所要
の
措置
を講ずることとしております。 第二に、
預金保険機構
は、今後五年間の
特例業務
として、
保険金
の
支払い
に要すると見込まれる費用を超える
資金援助等
ができることとするとともに、
金融機関
から
特別保険料
を徴収することとしております。 第三に、
預金保険機構
は、当分の間、
信用協同組合
の
破綻処理
を円滑に行うための
特例業務
として、
破綻信用組合
から譲り受けた
事業
の
整理等
を行うことを主たる
目的
とした一の
銀行
と
協定
を
締結
し、これに対する
出資
や
債務保証
を行うとともに、
当該銀行
が引き継いだ
貸付債権等
の円滑な
回収
を図るため、
債務者
の
財産調査
や
取り立て
を行うことができること等としております。 第四に、
政府
は、
信用協同組合
の
破綻処理
に関する
特例業務
のために
預金保険機構
が行う
資金
の借り入れに係る
債務
について保証できることとする等、
所要
の
措置
を講ずることとしております。 以上、
提案
の四
法案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
申し上げた次第であります。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
4
○
議長
(
斎藤十朗
君)
大原農林水産大臣
。 〔
国務大臣大原一三
君
登壇
、
拍手
〕
大原一三
5
○
国務大臣
(
大原一三
君) ただいま
議題
となりました
農水産業協同組合貯金保険法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。
農水産業協同組合貯金保険制度
については、最近における
金融環境
の
変化
に対処して、
貯金者等
の
保護
と
信用秩序
の
維持
に万全を期するため、
農協
、
漁協等
が
経営
困難に陥った場合における
対応措置
が適時適切に講じられるよう
制度
を改善することとし、この
法律案
を提出した次第であります。 次に、この
法律案
の主要な
内容
について御
説明
申し上げます。 第一に、
農協
、
漁協等
に
保険事故
が発生した場合に、
機構
は、
貯金者等
の有する
貯金等債権
を買い取ることができることとしております。 第二に、
農協
、
漁協等
が
経営
困難に陥った場合に
機構
が行う
資金援助
の
対象
として、
信用事業
の全部
譲渡
を追加することとしております。 第三に、今後五年間の時限的な
措置
として、
機構
が行う
資金援助
及び
貯金等債権
の買い取りについての
特例措置
を講ずることとしております。 第四に、
漁協
から
信用事業
を譲り受けた
漁業協同組合連合会
を、
貯金保険
の
適用対象
として追加することとしております。 以上、
農水産業協同組合貯金保険法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
申し上げた次第であります。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
6
○
議長
(
斎藤十朗
君)
衆議院議員永井哲男
君。 〔
衆議院議員永井哲男
君
登壇
、
拍手
〕
永井哲男
7
○
衆議院議員
(
永井哲男
君) ただいま
議題
となりました
特定住宅金融専門会社
が有する
債権
の
時効
の
停止等
に関する
特別措置法案
につきまして、
提出者
を代表して、
趣旨
及びその
内容
の
概略
を御
説明
申し上げます。
特定住宅金融専門会社
の
債権債務
の
処理
の
促進等
に関する
特別措置法案
の
施行
に伴い、
特定住宅金融専門会社
の
債権
の
回収
を迅速かつ的確に行うためには、
当該特定住宅金融専門会社
が有する
債権
の
時効
を一定期間停止する等の
措置
をとることが強く求められております。 こうした
事態
にかんがみ、この
法律案
を
提案
した次第であります。 以下、この
法律案
の主な
内容
について御
説明
申し上げます。 まず第一に、
特定住宅金融専門会社
がこの
法律
の
施行
の日において有する
債権
については、同日以後、
特定住宅金融専門会社
の
債権債務
の
処理
の
促進等
に関する
特別措置法
に
規定
する
指定期間
の終了する日の翌日から起算して一年を経過する日までの間は、
時効
は完成しないこととしております。 第二に、
特定住宅金融専門会社
が解散したときは、
当該特定住宅金融専門会社
が有する
根抵当権
の担保すべき元本は確定することとしております。 なお、この
法律
は、公布の日から
施行
することとしております。 以上がこの
法律案
の
提案
の
趣旨
及びその
内容
の
概略
であります。 何とぞ、御
審議
の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
8
○
議長
(
斎藤十朗
君) ただいまの
趣旨説明
に対し、
質疑
の通告がございます。順次
発言
を許します。
前田勲男
君。 〔
前田勲男
君
登壇
、
拍手
〕
前田勲男
9
○
前田勲男
君 私は、自由民主党を代表して、先ほど
趣旨説明
のありました
住専処理法案
及び
金融関連
五
法案
について、
総理
並びに
関係大臣
に若干の
質問
をいたします。 冒頭、
中国政府
は八日、
地下核実験
の実施を発表いたしましたが、これは
包括的核実験禁止条約
の
交渉
のさなかに
唯一強行
に及んだものであり、
総理
は、
実験
直後の
遺憾表明
のみならず、今後あらゆる
機会
をとらえて
中国
に対して厳正に厳重に抗議すべきことを強く
要請
をいたし、
総理
の御
見解
を求めるものであります。 本
国会
は、巷間、
住専国会
と言われるほど
住専処理
問題をめぐり紛糾し、
衆議院
の
予算審議
の
長期空転等
により五十日間に及ぶ
暫定予算
を余儀なくされた上に、
住専処理法案
を初め
金融関連法案
が会期末間近の七日にようやく
参議院
に送付されてきたという
事態
を迎えております。 この間、我々は、
党利党略
を離れ、
国民
の目線で
予算案
を
審議
し、
証人喚問等
を通じて
母体
行、
住専
、
借り手等
の
責任
を追及するとともに、
預金者
の
保護
と
金融システム
の
安定化
の見地に立ち、
住専処理
に伴う
国民
の
負担
を可能な限りなくするように協議を重ね、
意見
の集約に努めてまいりました。残念ながら
参議院
の本
会議
の決議として実らなかったのでありますが、
参議院与党
三党として、五月十三日、
総理
に対し、三項目を
申し入れ
た次第であります。 六月六日、
衆議院
の
住専処理法案
及び
金融関連法案
の
特別委員会可決
に当たって
与党
三党の
声明文
が出されましたが、これは、
金融機関
の新たな
寄与等
については我々が一カ月前に
総理
に
申し入れ
た
趣旨
と同様なものであり、しかもその
具体的詰め
はこれからでありまして、まだまだ大きな
課題
が残っております。我々はこれから鋭意
審議
を進めていくつもりであります。
衆参両院
での
予算審議
を通じて
母体
行
責任
が大きく浮かび上がり、
金融機関
の
追加負担
を求める
国民
の声が一層高まってきている中、我々
参議院
が大局に立って改めて
金融機関
へ具体的な
要請
を強力に行うよう
最大限
の尽力をなすべきであります。 つきましては、まず五月十三日の
参議院
の
与党
三党の
総理
への
申し入れ
について、
総理
はどのように受けとめこの一カ月間
対応
されてきたのか、総括的にその辺の
事情
をお伺いいたします。
バブル崩壊
による
経済社会的影響
は多岐にわたり、特に
国民
の
資産価値
が低下し、今や超低
金利
により老後のための蓄えさえも当てにならなくなってきております。
日銀
が先日発表した
金融白書
によりますと、近年の
金利低下
が
家計部門
、
金融機関等
へ与えた
影響
を分析いたしておりますが、これによると、
家計部門
の純
利子所得
が九四年度に四・一兆円減少、九五年度もさらに二・六兆円減少しております。 このことは、超低
金利
により
生活者
から
金融機関等
へ毎年数兆円近くも
所得移転
がなされていると言われたことを明確に裏づけるものであります。他方、
信用組合等経営破綻
、
住専問題等
が
影響
して、
農協
や
中小金融機関
の
預金
が減少し、大
銀行
や郵貯へシフトする動きが出ております。
住専
における
母体
行
責任
、
紹介融資問題等
に加えて、大
銀行
を初めとする
金融機関
にはこのような
国民生活
にもいろいろ
影響
を及ぼす大きな
経済
的、
社会的責任
があることは明らかであります。これを十分踏まえて
国民負担
の
軽減
に極力
努力
をするのが
金融機関
本来の姿であると考えますが、この問題について
総理
の御所見を求めたいと存じます。
我が国
の
預金量
は約八百兆円と、G7の他の先進六カ国の
預金量
にほぼ匹敵するガリバー的な規模を誇っており、
世界金融市場
に及ぼす
日本
のこの
不良債権
の
影響
はまことに甚大であります。それであるからこそ、
不良債権
の象徴としての
住専
の
早期処理
が
国際公約
までになり、
世界
から注視されておるところであります。 巨額の
預金量
を有する
日本
の大
銀行
が、
アメリカ金融市場
で不祥事を起こしたり、国内では
乱脈経営
による
破綻
が連続し、
刑事事件
に発展する等、いわゆる
護送船団方式
の中で
自己責任原則
を忘れた
モラルハザード
は目を覆いたくなるような
状況
を呈するに至っております。 かてて加えて、高給をはみ、リストラも不十分なままで、しかも
大口借り手
が今ものうのうとしている
状況
にあります。これらのツケを何の反省もなく
国民
に回そうとすることに
国民
の真の
怒り
があるのであります。 先日、
全国銀行協会連合会会長
の
発言
に対して
官房長官
が、思い上がっている、庶民の気持ちがちっともわかっていないと
怒り
を爆発され、先月三十日に
全銀協会長
は蔵相に陳謝をする一幕がありました。 六月四日、
衆議院
の
参考人質疑
で
全銀協会長
は、新たな
寄与
について、「私としては、いい案が見つかるものなら
検討
を進める
可能性
が生まれると考えておりますが、業界の
事情
も考えると、乗り越えるべき
課題
も多いというのが率直な感じでございます」と答えて、
全面拒否
から姿勢が若干柔軟になった感がいたしております。 この乗り越えるべき
課題
とは、
株主代表訴訟
と
中小金融機関
の
負担能力問題等
のことであるようでありますが、この点について、今までの判例、
中小金融機関
と大
銀行
との
体力格差
の
分析等
を十分に踏まえて、これらに
対応
し得る
政府
の
要請
、
見解
を含めた
声明
の工夫や具体的な対策を
検討
すべきと考えますが、法務大臣並びに
大蔵大臣
の
方針
を伺います。
住専処理予算
六千八百五十億円については、
金融システム
の
安定化
を図ることが主たる
目的
となっておりますが、実質的には、
経営基盤
の弱い
農協
や
中小金融機関
の
経営破綻
を防ぎ、これら
預金者
の
保護
を図ることにもあります。 このところの
説明
が明確でなかったために
国民
の御
理解
がいまだ不十分のままとなっており、単なる
責任論
だけではなくて、
預金者保護等
も踏まえて
オールジャパン
で新たな
寄与
を求められれば、
農林系統金融
も当然のこととして
努力
をしていただかなければなりません。 さきの
参考人
の
質疑
の中で、
全国農協中央会常務理事
は、
農協系
の
追加負担
について、後日誠意を持って
対応
しますと答えておりますが、これらの点について
農林水産大臣
の御
見解
を賜ります。 ずさんな
住専経営
の
責任
や
資産隠し等
の
借り手責任追及
については、既に
国税当局
、
刑事当局
が一部捜査に着手をしておりますが、一層の徹底的な
摘発
が強く求められております。また、
住専処理
に伴う
債権回収
、
損害賠償請求
について、迅速かつ徹底的に行うために
債権回収機構
の
早期体制整備
が望まれているとともに、特に
回収困難事案
の
処理
に当たりまして、資産隠し、詐害行為等の
摘発
に
関係機関
が連携を強めて取り組むことが肝要であります。 次に、
預金保険法改正案等金融
四
法案
について伺います。
金融自由化
に伴う
市場規律
に基づく新しい
金融システム
を構築していくために、ディスクロージャーの徹底、適正な
リスク管理
、
破綻処理
の
迅速化
、
多様化等
を進めることが必要であります。そのために、
金融関連法案
により五年間で
金融システム
を健全化していくことは適切な
対応
であると考えますが、問題は、今までの
護送船団方式
からいかに決別し、
金融機関
、
預金者とも
に
自己責任原則
を確立していくかにあります。
早期是正措置
について、どれだけ客観的に基準を的確に設定できるか、
リスク管理
にしても
金融機関
の
内部監査体制
を果たして十分に
整備
できるのか、また、
預金保険機構
は、七倍に大幅アップする
保険料
を実質的に
負担
する
預金者
の
代理
としてその機能をどのように向上させ、万全の
体制
を
整備
していけるのか、これらの問題について十分に留意した運営がなされてこそ初めて二十一
世紀
に向けた新しい
金融システム
が再構築されると考えますが、
大蔵大臣
はどのような
対応方針
で臨まれるのか、御答弁をお願いいたします。
不良債権
問題、特に
住専処理
については、先送りして今日の
事態
を招いた
行政
の
責任
を重く受けとめ、
金融機関
への天下りの
自粛等
について徹底するとともに、
大蔵省
を中心とした
金融行政
について、新しい
金融システム
の構築と
一体
のものとして、この際、全面的に洗い直す必要があることは言うまでもありません。 特に、
金融行政
と
検査
・
監視体制
を分離し、
預金保険機構
が
預金者
の
代理
として
検査
のほかに
金融機関
の
格付等
も行うようにし、
預金者
が選択する場合の
利便性
を高めていく
方向
を
検討
していく必要があるのではないかと存じます。 また、
財政政策
に加え
金融政策
の
責任
を
大蔵省
に持たせることについては、既にかなり批判的な
意見
があり、
日銀法
の
改正
による
日銀
の
独立性
の
確保
を初め、
国会
への報告の義務づけ、
政策委員会
の
透明化等
の
チェックシステム
の
導入
も時期を区切って早急に
検討
すべきであります。 さらに、
農林系統金融
が
住専
の問題に深く関与したこと、
信用組合
の
ずさん融資
による
経営破綻
が連続発生していること、
ノンバンク不良債権
が大きな問題となっていること等にかんがみ、
金融全般
を一元的に監視する
金融監査機関
の
具体的構想
も
検討
していくべきと思っております。
農林系統金融
の
改革
で問われているのは、
農協金融
の
あり方そのもの
であります。自助、
自己責任
、公正などの
協同組合原則
に立ち戻って議論されなければなりません。
内部留保
を多く持つことはできない仕組みの
農協金融
の将来展望について、今こそ真剣に考えなければならないときであります。
農協金融
の
存在意義
はどこにあるのか、今後、
金融システム
全体の中でどう位置づけ、どう発展させていくべきか、今こそ真剣に考えるときに来ているのであります。
日本経済
の大動脈たる
金融
について、その
行政
の
あり方
をどうするかという重大な問題であります。総合的に
検討
を要し、今、簡単に具体的な話のできる段階ではないと思いますが、以上四点について、
検討
の
方向
だけでも
大蔵大臣
並びに
農林水産大臣
にお伺いいたしたいと存じます。
景気
は大分明るさを増してまいりました。
雇用等
、まだ厳しい問題があり、
景気
を本格的な
回復軌道
に乗せるためには、
不良債権
の重荷をできるだけ早く軽くしていくことが緊要であります。
総理
が外交に大きな成果を上げられ、
経済等
の内政に真剣に取り組んでおられることに
国民
の期待が多く集まり、最近の
内閣支持率
が五十数%と大幅に回復しております。
総理
、ここは
住専処理
、
金融行政
の
改革等
に自信を持って強力なリーダーシップを発揮されるように願うとともに、二十一
世紀
を見据えた今後の
金融行政
の理念、あるべき姿の
実現
に向けた
総理
の御決意を伺い、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣橋本龍太郎
君
登壇
、
拍手
〕
橋本龍太郎
10
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
前田議員
にお答えを申し上げます。 まず、
中国
の
核実験
に関する御
意見
がございました。 我々としては、これは極めて遺憾なことであり、八日、
核実験
を行ったとの報を知った直後、私からも談話を出し、同日、
池田外務大臣
から武大偉・
在京中国臨時代理大使
に対して
申し入れ
を行いました。
中国
がこれ以上
核実験
を繰り返すことがないよう、また、
CTBT交渉
の
早期妥結
に貢献するように、今後あらゆる
機会
をとらえながら
要請
をしていきたいと考えております。 次に、先般、五月十三日に
与党
三党からいただきました「
住宅金融専門会社
の
処理
に関する
申し入れ
」につきましては、
政府
としても、その
趣旨
を真摯に受けとめながら
最大限
の
努力
をいたしているところであります。 なお、
関係金融機関
などによる新たな
寄与
の問題につきましては、今後とも、結果としてできる限り
国民負担
の
軽減
につながるよう、
関係金融機関等
の自主的かつ真剣な
取り組み
を促しているところであります。 また、
政府
としては、
住専処理機構
を一日も早く設立し、あらゆる手段をもって
債権回収
と
責任追及
に取り組んでまいる
所存
でありまして、そのためにも
関係法案
の一日も早い成立を心から願う次第であります。 次に、
金融機関
による
国民負担
の
軽減
についての
お尋ね
でございました。
金融機関
は、その
公共性
にかんがみ、すべての
預金者
の
利益
を守るために
金融システム
の
安定性確保
に努めるなど重い
社会的責任
があることは、
議員
御指摘のとおりであります。 このため、
政府
としては、
住専
問題に関する
国民
の皆様の御
理解
を深めていただく
観点
からも、
系統金融機関
を含む
関係金融機関
などに新たな
寄与
を求め、結果として
国民
の
負担
をできる限り
軽減
するよう
努力
してまいる
所存
であります。 次に、
住専処理
、
金融改革
への
取り組み
についての
お尋ね
がございました。
金融
は
経済
の動脈ともいうべき重要な役割を果たしており、
景気
回復を確実なものとするためにも、
住専
問題を初めとする
不良債権
問題をできるだけ早期に解決し、
自己責任原則
の徹底と
市場規律
の十分な発揮を基軸とした
金融システム
を新たに構築していく必要があると考えております。
政府
といたしましても、そのための方策を盛り込んだ関連
法案
を早期に成立させていただき、
住専処理
や
透明性
の高い新しい
金融行政
の
実現
に全力を尽くしてまいりたいと存じます。 二十一
世紀
を見据えた
金融行政
の理念についての
お尋ね
がございました。 これまでの
金融行政
に対するさまざまな御批判を真摯に受けとめながら、
金融行政
の手法を見直し、新しい
金融システム
を構築していくために、先ほども申し上げましたように、
自己責任原則
の徹底と
市場規律
の十分な発揮を基軸とする
透明性
の高い
行政
を行っていくことを基本
原則
としていくことが重要だと考えております。残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から御答弁を申し上げます。(
拍手
) 〔
国務大臣久保亘
君
登壇
、
拍手
〕
久保亘
11
○
国務大臣
(
久保亘
君)
関係金融機関等
による新たな
寄与
についての
お尋ね
でございましたが、
住専
を消滅させるための
損失
処理
に要する
財政
負担
につきましては、徹底した
債権回収
と
責任追及
を図るとともに、
国民
の皆様の御
理解
を深めていただく
観点
から、
系統金融機関
を含む
関係金融機関等
に新たな
寄与
を求め、結果として
国民
の
負担
をできる限り
軽減
するよう
努力
してまいります。このため、
関係金融機関等
と協議し、
中小金融機関
の
負担能力問題等
も踏まえつつ、できる限り速やかに具体化を図ってまいりたいと考えておりますb 新しい
金融システム
についてでありますが、
金融機関
の
経営
の
健全性
を
確保
するための
監督
手法として
導入
しようとしている
早期是正措置
に関しましては、基本的には、
自己資本
比率を基準とした客観的なルールに基づく
措置
命令についての明確化を図り、
金融行政
の
透明性
を高めるためのものであります。なお、その際、
金融機関
の資産
内容
の自己査定における外部監査の活用を図ることにより、その客観性と実効性を
確保
することといたしております。 また、
預金保険機構
につきましては、今後五年間の時限的
措置
として
預金
の全額を
保護
する
特別
資金援助等
を行うとともに、
金融機関
の司法上の倒産
手続
において、
預金者
の利便を図るため、
預金保険機構
が
預金者
を
代理
する
制度
の
整備等
を図ることといたしております。 いずれにいたしましても、二十一
世紀
に
対応
した新しい
金融システム
を構築していくため、今後の
金融行政
については、
自己責任原則
の徹底と
市場規律
の十分な発揮を基軸とする
透明性
の高い
行政
を行っていくことを基本
原則
としていくことが重要と考えております。
金融行政
と
検査
・
監視体制
の分離についての御
質問
でございますが、今後の
金融行政
につきましては、市場原理の貫徹した
金融システム
を構築していく必要があると考えております。その際、
検査
は適切な
行政
を行う手段であることから、その役割が十分に果たせるように留意する必要があります。そのような立場から、これまでの
行政
の
あり方
について十分な
検討
を行い、その反省の上でこれからの新しい
金融行政
の
あり方
について
改革
のための真剣な
検討
を進めてまいりたいと存じております。
日銀法
改正
につきましては、現在の
日銀法
のもとにおいて、
日銀
の
独立性
、中立性を尊重した形で運用されており、特に支障となるような問題は発生していないと認識いたしておりますが、中央
銀行
の
あり方
は、各国の政治
経済
体制
、歴史的経緯等を反映し、さまざまな特徴を有しているところであります。
政策委員会
の議事録の公開と政策決定過程の情報開示につきましては、
政策委員会
が
日銀
の最高意思決定機関であることにかんがみ、現行法のもとでも可能と考えられますので、その
方向
で
検討
すべきものと考えております。 今後、
日銀法
の
改正
については、その
独立性
と
透明性
の
確保
の立場から
検討
を続けたいと考えております。
金融全般
を監視する
金融
監査
機構
についての御
質問
でございますが、系統
金融行政
など各省庁の
金融
関係
行政
はそれぞれの
行政
目的
に沿って
遂行
されておりますので、
金融
業務
を行っているという一つの側面から
金融
監査機能を独立した機関に集中することにはさまざまな問題があると考えられ、慎重な
検討
を行うことが必要であると考えております。 いずれにいたしましても、関係省庁間の緊密な連携の
確保
等に努め、整合的な
金融行政
の運営に
努力
してまいる
所存
であります。(
拍手
) 〔
国務大臣大原一三
君
登壇
、
拍手
〕
大原一三
12
○
国務大臣
(
大原一三
君)
前田議員
にお答えいたします。
農協
系統金融機関
の
追加負担
についての
お尋ね
でございますが、農林水産省といたしましても、十分
農協系
統の
意見
を聴取していく必要があると考えておりますが、
農協系
統は、既に
金融システム
の一員としてその
内部留保
、経常
利益
等から見て極めて厳しい
資金
協力を行うこととしているところでありまして、容易に新たな
寄与
に応じられる
状況
にはないと認識しております。 いずれにしても、今後、諸般の情勢を見きわめながら真摯に
対応
してまいりたいと考えております。 次に、
金融監査機関
についての
お尋ね
でありますが、その審査能力や
リスク管理
体制
の面で十分でなかったではないかという御指摘を踏まえ、
農協系
統の
健全性
の
確保
、効率化等、
事業
・組織の再編
整備
に取り組むことといたしております。 これらを適切に推進していくためには、指導
行政
と有機的に連携させつつ、効果的な
検査
・
監査体制
を
整備
することが必要と考え、現在その
あり方
について
検討
を進めているところであり、一元化することはただいまのところ考えておりません。
農協系
統の今後の
あり方
についての
お尋ね
でございますが、
金融
の自由化や農業を取り巻く情勢の
変化
に
対応
していくために、御指摘のとおり、
事業
・組織の見直しが避けて通ることのできない重要な
課題
であります。このため、現在、
総理
大臣の諮問機関である農政
審議
会において
農協系
統の
事業
・組織の今後の
あり方
について鋭意
検討
を続けているところであり、その結果を踏まえ、遅くとも来年の通常
国会
には関連
法案
を提出できるよう早急に準備を進めていく考えであります。(
拍手
) 〔
国務大臣
長尾立子君
登壇
、
拍手
〕
長尾立子
13
○
国務大臣
(長尾立子君)
前田議員
にお答えをいたします。
金融機関等
の
寄与
に関する
株主代表訴訟
についての
お尋ね
でございますが、
株主代表訴訟
におきましては、取締役の
会社
に対する善管注意義務違反、忠実義務違反等の違法行為の有無が問題になろうと思います。 このような義務違反の有無は、今般の
住専処理
問題に関する当該
金融機関等
の置かれた
状況
等の諸般の
事情
を総合して判断されるものと思われますが、
金融システム
の安定性を
確保
する等の
観点
からの
金融機関
の
寄与
については、この点に関する
国会
における御議論や
政府
としての考え方等もこの諸般の
事情
の一つとして裁判所の判断に当たって考慮されるものと考えております。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
14
○
議長
(
斎藤十朗
君) 平井卓志君。 〔平井卓志君
登壇
、
拍手
〕
平井卓志
15
○平井卓志君 私は、
平成
会を代表し、ただいま
議題
となっております
金融関連法案
につき、
総理
並びに
関係大臣
に
質問
をいたします。 まず、
住専処理法案
について伺います。
政府
の
住専処理
スキームは、昨年の十二月に発表されて以来、衆参の予算委員会並びに
衆議院
の
金融
問題
特別
委員会においてあらゆる角度から議論がなされてまいりましたが、いまだ
国民
の納得が得られていないのは明白な事実であります。 全く密室で、しかも
母体
行、農林系
金融機関等
の当事者間の
責任
のなすり合いの結果、突如として六千八百五十億円の
財政
資金
投入が決定されたのでありますが、この数字に理論的根拠があろうはずもなく、今回の
住専処理
策はその第一歩において誤りがあったと言わざるを得ません。
与党
三党は、三月に入り
国民
の批判がおさまらないと見るや、
金融機関
及び農林系
金融機関
に対して、七年間でリストラによって
財政
資金
に見合う税収増を図るとする
住専処理
追加策を発表しましたが、これほど見え透いた詭弁、まやかしはありません。この追加策は、
住専
という私企業の
破綻
になぜ税金を投入するのかとの疑問に対し、税金は投入するがいずれ国庫に返ってくると抗弁するためのトリックにすぎず、
国民
を愚弄する全くお粗末な
内容
のものとの評価が下されたのであります。
政府
・
与党
は、この国の
金融機関
をどういう
方向
に持っていこうかという構想が決定的に欠けているのであります。
母体
行、一般行及び農林系
金融機関
は繰り返しぎりぎりの
負担
であると強調し、
政府
も苦渋の選択としております。しかし、その実、
参議院
での証人喚問でも五千三百億円の積算根拠を知らないと答えるほど今回の
処理
策が
政府
・
与党
の協議の中で生まれた政治的産物であり、そろばんが合わなければ税金投入といった論理的整合性のないものであると言わざるを得ません。 今回の
住専処理
が唯一の選択であり、
金融システム
安定化
に資するとする明確な理由をまず
総理
にお示しいただきたいのであります。 また、
預金者
のいない
住専処理
への
財政
資金
投入に係る基本的な諸問題も依然解決しておりません。具体的に言えば、法的拘束力のない覚書がどうして
住専処理
の指針となるのか、
住専
の再建策に関与していながら問題の先送りをした
大蔵省
に
責任
はないのか、
債権回収
に伴って発生する二次
損失
の半分を
政府
が
負担
する理由はどこにあるのかなと、官僚の言葉でなく
総理
みずからの言葉でお答えいただきたいのであります。 これに関連して、今回の
政府
の
住専処理
スキームがいかに将来の見通しのない、
国民
の目を欺く虚構の上に成り立っているのか、まずこの点について伺います。
住専
から
住専処理機構
が引き継ぐ
債権
六兆七千八百億円のりち、正常
債権
三兆四千九百億円、
回収
に時間がかかる
債権
を二兆五百億円、
回収
困難な
債権
一兆二千四百億円と試算しており、これを十五年間かけて
回収
する計画となっております。 しかし、これは昨年一月時点の路線価を基準に算定した数字であり、三月十一日に国土庁が発表した公示地価を見ましても、都市部の地価、特に商業地の地価の下落が依然続いていることから、今年の路線価がさらに下がるのは確実であります。そうなれば、時間がかかっても
回収
可能と判断した二兆五百億円の
債権
の一部が
回収
困難な
債権
に振りかわったり、正常
債権
の一部も
不良債権
化する
可能性
があります。 報道によれば、
住専処理機構
の収支に関する試算が示されておりますが、これによると、九七年から地価が毎年三・五%ずつ上昇し、公定歩合が現在の〇・五%から二・五%程度に上昇した場合でも、十五年後に
住専処理機構
の損益は約四兆二千億円の赤字になると見通しております。このりち半分は
財政
資金
で賄うこととなっておりますから、約二兆二千億円の
財政
支出が必要となります。 当初の
損失
処理
に伴う六千八百億円の
財政
資金
と合わせると、約三兆円近い
財政
支出を求められる
可能性
があります。この試算がもし誤りだとおっしゃるのなら、
大蔵大臣
は
住専処理機構
の損益に関する試算をお示しいただきたいのであります。 次に、
政府
の答弁によればへ
住専処理機構
を設立して悪質な借り手を地の果てまで追いかけ
債権回収
を行っていくとしておりますが、この
処理
機構
がどのような
体制
となるのか明確になっておりません。東京協和、安全の二
信用組合
の
債権回収
が順調に進んでいない例を見ても、本来
損失
とすべき
債権
の
処理
の先送りが
債権回収
を決定的に困難なものとし、また、
不良債権
化を進めていくのであります。
政府
の案では、
債権
の
回収
について
預金保険機構
と一緒になって
体制
を
整備
し、協力していくこととなっておりますが、
住専処理機構
そのものは株式
会社
であり、
特別
な権限を持っているわけでなく、
会社
更生法の管財人のような否認権であるとか、
特別
の権限を持っておりません。
政府
提出の
金融
法案
の中に
金融機関
の
更生手続
特例
法案
がありますが、この
法案
の
趣旨
は、
破綻処理
の
迅速化
及び多様化のため
会社
更生手続
を
金融機関
にも適用するとあります。これは
政府
が
会社
更生法を
金融機関
に適用するメリットは十分にあることを認めたことにほかなりません。我々が
提案
している
会社
更生法の適用及びそれを支援する
日本
版RTCの設立による
住専処理
策と同様の考え方であり、
政府
も不透明な
住専処理
策を捨て、我々のこのような
処理
策について同調できると考えますが、
総理
の御
見解
を伺います。 さらに、強力な管財人の権限を有しない
住専処理機構
が、今後、
預金保険機構
とどのように協力して借り手や
住専経営
者の刑事、民事の
責任
を追及していくのか、どのような陣容で
債権
を
回収
していくのか、その具体像を
大蔵大臣
に明らかにしていただきたいのであります。 次に、
預金保険法
改正
案について伺います。 この
法案
には、五年間の時限
措置
として
預金保険機構
に
信用組合
と一般
金融機関
の
破綻
に対処するために
特別
勘定を設定し、
特別保険料
を徴収するとともに、この
信用組合
勘定は東京共同
銀行
を改組した整理
回収
銀行
の
処理
財源とし、五年後の清算時に不足すれば
財政
資金
で補てんすることとなっております。 まず、
預金
保険料
というものは究極だれが
負担
しているのか考えなければなりません。一般的に
預金
保険料
は
金融機関
の
経営
コストとみなされておりますが、最終的には
預金者
に転嫁されていると考えます。いたずらに
預金
保険料
をふやし、
機構
の
責任
準備金を
充実
させることにばかり注目していると、この点を見逃してしまいます。
預金
金利
が自由化された現在、
預金者
の得べかりし
利益
を超えた
負担
が
金融機関
の
経営
維持
のために回ることは許されず、適正な
負担
にとどまらなければなりません。 こうした
観点
から、
保険料
が既に四倍に引き上げられた一般
保険料
と合わせて七倍に引き上げられることの妥当性はどのように検証されているのでしょうか。
大蔵大臣
にお伺いいたします。 次に、
財政
資金
投入のスキームは
信用組合
の
破綻
に限定されており、
銀行
など一般
金融機関
に対してはこの
措置
はとられておりません。また、今回提出されております
農水産業協同組合貯金保険法
改正
案についても、同様に
財政
資金
投入は予定されておりません。これはいかなる理由に基づくものか、
大蔵大臣
並びに農水大臣に明確にしていただきたいと思います。 見方によっては、
信用組合
を除く一般
金融機関
には
責任
準備金がなくなってしまうほどの倒産は起きない、また起こさない、つぶすのは
信用組合
に限定したものという
政府
の
方針
を
法案
に反映させたものとも受け取られかねません。場合によっては、
信用組合
から他業態へ大きな
資金
シフトが生ずる懸念もあります。 そして、八年三月期における
信用組合
の貸出金残高は十七兆四千億円であり、このりち
不良債権
は約二兆円という
状況
でありますが、これとあわせて、既に
破綻
している木津、大阪、山陽、けんみん大和の各
信用組合
についても
特別
勘定を使った
処理
が行われる
方針
が示されており、かなりの
財政
資金
が必要になるのではないかと考えますが、
政府
の試算、見込みについて明らかにしていただきたい。 また、都市部を中心とした
信用組合
に対し業態転換を促す
意見
もありますが、
金融システム
の中で
信用組合
をどう位置づけていくのか、その
必要性
、
存在意義
についてあわせて
大蔵大臣
に伺います。 さらに、農水産業協同組合
貯金保険
機構
の場合はこの
特別保険料
はどの程度の水準になるのか、
預金保険機構
のそれと異なる水準ならばそれはいかなる理由によるものなのか、農水大臣に伺います。
住専
の
処理
が終わったとしても、今後、農林系
金融機関
にはノンバンクへの貸出金
処理
等多くの問題が山積しているのであります。当面の
負担
能力ばかりを考慮していると判断を誤るおそれがあります。この点についても農水大臣の
見解
を求めます。 次に、
金融機関
の
経営
の
健全性確保
法案
における
早期是正措置
について伺います。 これは
金融機関
の
自己資本
比率等を基準にランクづけを行い、そのランクに応じてあらかじめ定めた指導を行うものであると言われておりますか、
法案
では「
自己資本
の
充実
の
状況
によって」とされているだけであって、
自己資本
の定義やどのような指導
内容
となるのか、その具体的
内容
は政省令にゆだねられており、
経営
改善計画や
業務
停止命令の発動基準が明確になっておりません。 このため、
早期是正措置
の
内容
によっては
金融
当局が各
金融機関
の生殺与奪の
権利
を握ることになり、権限を拡大する懸念があります。
自己資本
比率として
不良債権
のロス見込み額を差し引いた実質
自己資本
比率を用いることとなれば、
不良債権
の査定について裁量の余地が出てくることになります。裁量の余地のない米国の
早期是正措置
と比較して今回の
措置
はどのような
内容
になるのか、
金融行政
の
透明性
が求められている現在、客観的な基準を策定することが必要と考えますが、
大蔵大臣
の答弁を求めます。 以上、
金融関連法案
について
質問
してまいりましたが、今、必要なことは、
我が国
金融システム
の抱える
不良債権
に係る全体
処理
の
原則
を確立することにあります。
金融機関
が抱える
不良債権
は、
大蔵省
の調査でも約三十四兆七千億円、外国の調査機関には百兆円にも上るとの見方があります。
政府
は、まず
不良債権
の全体像とその
処理
策の
原則
を示さなければなりません。 もちろん、
金融行政
の
責任
も問われずには済みません。不明朗な
処理
策をつくった大蔵官僚の
責任
はもとより、
金融行政
の転換、さらには
大蔵省
の
機構
改革
も避けて通れない問題であります。
不良債権
処理
については、市場原理に基づき
自己責任
で
処理
するという大
原則
に立ち、
国民
に開かれた
状況
の中で行うことが必要であります。
住専処理
も、この
原則
に照らし
政府
の
処理
策を改めなければなりません。誤った方式による
住専処理
は、六千八百五十億円の投入にとどまらず、将来にもっと大きな禍根を残すことを申し上げ、最後に
総理
に、
不良債権
の今後の
処理
原則
、今後の
金融行政
の
あり方
について明確な
見解
を求め、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣橋本龍太郎
君
登壇
、
拍手
〕
橋本龍太郎
16
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 平井
議員
にお答えを申し上げます。 今回の
住専処理
方策をまとめた理由について
お尋ね
がございました。
住専
につきましては、
我が国
の
不良債権
問題の緊急かつ象徴的な
課題
となっていたこと及び
関係当事者
の意欲と
努力
だけでは解決を図り得ない
状況
となっていたことにかんがみ、
国民
の皆様の
預金
を守るとともに、
我が国
金融システム
の安定の
確保
を図り、
景気
回復を確実なものとするなどのための臨時異例の
措置
として公的
資金
の投入を含む
処理
方策を取りまとめたものであり、
政府
・
与党
として最善の方策であると考えております。 覚書及び再建策への関与に関する
大蔵省
の
行政
責任
についてであります。
平成
五年の覚書は、
大蔵省
と農林水産省が
住専
の再建問題の取り進め方について議論の整理を行い、当事者間の合意形成を促したものであります。また、同じ年の第二次再建計画につきましては、
行政
当局も必要に応じ相談を受けておりましたが、
住専
各社の
経営
は当事者による
対応
が
原則
であり、
住専
各社及び
関係金融機関
の真剣な協議に基づく合意によって再建が図られることを期待していたものと
理解
をいたしております。 いわゆる二次
損失
の半分を
政府
が
負担
する理由についての御
質問
でありますが、
住専処理機構
が買い取った
債権
などについて
最大限
の
回収
努力
を尽くした上で、なお現在以上の
損失
が発生し、その結果、
関係当事者
のみで埋め切れない
損失
が拡大するような場合には、
住専処理
策が
金融システム
全体の安定を担保するための施策であることにかんがみまして、
政府
と民間がともにその二分の一を
負担
することといたしました。
住専
の
処理
を
会社
更生法で行うべきではないかとの御
質問
がありました。
住専
七社の
事業
内容
などを考えましたとき、
事業
自体にそもそも更生の望みがない、見込みがないことなどから、
更生手続
は使えないと思います。 また、御
提案
の
日本
版RTCにつきましては、特殊法人であり、給与体系、定員の制限を受け、民間活力を生かした
業務
運営が困難であり、
債権回収
が非効率となるのではないかと考えております。 なお、更生
特例
法案
におきまして
金融機関
に
更生手続
の道を開いておりますのは、
破綻金融機関
は消滅させるとしても、その
事業
に更生の見込みがある、また、地域
経済
の安定のために
事業
の
維持
更生を図る必要がある、そうした場合もあり得るといった理由により、
更生手続
を活用した
破綻処理
を行うことが適切な場合もあるためであります。
不良債権
の今後の
処理
原則
あるいは
金融行政
という御指摘がございました。
金融機関
の
不良債権
の
処理
におきまして、まず
金融機関
自身の自助
努力
が求められます。そのためには、各
金融機関
におきまして
最大限
の合理化などの
努力
が求められることになると思います。 また、
不良債権
処理
の過程で万一
破綻
が生じました場合には、現時点においては
預金者
に直接
破綻処理
費用の分担を求めることは難しいことから、
預金者保護
、
信用秩序
の
維持
に万全を期すために、今後五年間に限り
預金
を全額
保護
し得る仕組みを設けることといたしました。 さらに、今後の
金融行政
につきましては、
自己責任原則
の徹底と
市場規律
の十分な発揮を基調とする
透明性
の高い
行政
をつくっていくことが重要と考えております。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から御答弁をいたさせます。(
拍手
) 〔
国務大臣久保亘
君
登壇
、
拍手
〕
久保亘
17
○
国務大臣
(
久保亘
君)
住専処理機構
の損益に関する
お尋ね
でございましたが、
住専
七社から譲り受けた
貸付債権等
につきましては、
住専処理機構
が
預金保険機構
と
一体
となって強力かつ効率的な管理、
回収
及び処分を行うことにより、現在以上の
損失
を極力生じさせないよう
最大限
の
努力
を行っていく
所存
であります。 この問題につきましては、損益に
影響
を与える地価や
金利
の動向など、今後の
金融
経済
情勢等により左右される不確定要素が大変多いこと、二番目には、
貸付債権等
の実態を踏まえての
住専処理機構
としての
業務
運営
方針
の
検討
と切り離して議論するのは適当でないことなどから、現段階で具体的なことを申し上げるのは困難であり、今後、
住専処理機構
が設立され、その
体制
が整えられていく中で具体的に
検討
されていくものと考えております。
住専処理機構
や
預金保険機構
による
債権回収
や
責任追及
についての御
質問
でありますが、管財人の否認権は
住専
の資産の逸失を防ぐための権限でありますが、強力な
債権回収
のために必要なのは、むしろ
住専
の借り手の資産隠しに対処し、その資産の実態を解明することであると考えております。 このような
観点
から、
預金保険機構
に対して、管財人には与えられていない罰則つきの
財産調査権
を付与し、両
機構
が
一体
となって強力な
債権回収
を行う
体制
としたところであります。 また、
住専処理機構
は、
住専
の保有する
損害賠償請求権
を未確定のものも含めすべて包括的に譲り受けた後、速やかに過去の取引等を精査した上で、損害の概要を特定したものについて厳しく民事
責任
を追及することといたしております。さらに、刑事
責任
の追及につきましては、
住専処理機構
は、その
債権回収
に当たり犯罪があると認めたときは、
預金保険機構
に報告するとともに、告発に向けて
所要
の
措置
をとることとしているところであります。 なお、こうした強力な
債権回収
及び
責任
の明確化に必要な
住専処理機構
の陣容としては、法務・検察、警察及び国税のOBの参加を求めるほか、
法律
等の専門家をも結集した
特別
対策部を設けるとともに、共通・大口・悪質
事案
への集中的
対応
のため
特別
整理部を組織すること等を予定いたしております。
預金
保険料
の引き上げについての御
質問
でありますが、今般の提出
法案
におきましては、
預金者
に
自己責任原則
を問い得る環境が
整備
されるまでの時限的な
措置
として、今後五年間は
預金
を全額
保護
し得る
制度
を
整備
することといたしております。
保険料
率については、今後生じ得る
金融機関
の
破綻
の規模等を予測することは困難であることから、
預金保険機構
の
資金援助
が初めて実施された
平成
四年から七年末までに生じた
破綻金融機関
の
損失
額が二兆五千億円程度であったことにかんがみ、今後五年間に同程度の
破綻処理
費用を要する場合にもこれに対処し得るよう、昨年度の料率の七倍程度に引き上げることといたしております。 いずれにせよ、今般の
保険料
率の引き上げは、
預金者保護
、
信用秩序
維持
に万全を期すための必要不可欠な
措置
と考えております。
政府
保証を
信用組合
の
破綻処理
に限定することについての
お尋ね
でございますが、
金融機関
の
破綻処理
は
原則
として
金融システム
内の
負担
により
対応
すべきものであり、
信用組合
以外の
金融機関
については、全体として
不良債権
額に対して十分な償却財源があること等から、
政府
保証等
特別
の
制度
を用意する必要はないと考えたところであります。 しかしながら、
信用組合
については、その
経営
体力等にかんがみ、
預金者等
が無用の不安を感じないよう
制度
的に万全の備えを準備しておく必要があり、このための
特別
措置
として
政府
保証の
制度
を用意したところであります。 今後見込まれる
財政
資金
の投入額についての
お尋ね
でありますが、今後の
金融機関
の
破綻
を現時点で予測することは困難でありますが、今後五年間で約一兆円に上る
特別保険料
を徴収することとしていること、
特別保険料
率は今後の
特別
勘定の損益の
状況
や
金融機関
の収益の
状況
等を踏まえつつ三年後に見直しを行うとしていること、
信用組合
については、仮に現在把握されている
不良債権
が全額
損失
となり
破綻処理
が行われたとしても、他の業態において大規模な
破綻
が発生しない限りは、基本的には今般の料率の引き上げにより集められる
保険料
によって対処し得ると見込まれること等にかんがみれば、仮に
信用協同組合
特別
勘定の廃止時において
財政
支出が必要となる場合でも多額にはならないのではないかと考えております。
信用組合
の位置づけについての
お尋ね
でありますが、
信用組合
は、本来、組合員の相互扶助という基本理念に基づき地域に根差した健全な
業務
運営を図りつつ、組合員等利用者のニーズに応じたきめ細やかな
金融
サービスを提供していくことにあり、今後とも、地域の中小零細企業、勤労者等の専門
金融機関
として機能することが期待されていると考えております。 最後に、
早期是正措置
に関する
お尋ね
でありますが、これは
金融機関
の
経営
の
健全性
を
確保
するため、基本的には
自己資本
比率を基準とした客観的なルールに基づく
措置
命令についての明確化を図り、
金融行政
の
透明性
を高めるためのものであります。
早期是正措置
の発動基準につきましては、米国と同様、客観性を持った指標であるところの
自己資本
比率を用いることが適当ではないかと考えておりますが、
措置
内容
等も含めましてその具体的な
内容
につきましては、今後、
金融
に関する専門家等から成る
検討
の場を設け、十分な御議論をいただき、
透明性
のある形で決定いたしてまいりたいと考えております。(
拍手
) 〔
国務大臣大原一三
君
登壇
、
拍手
〕
大原一三
18
○
国務大臣
(
大原一三
君) 平井
議員
にお答えいたします。 まず、
貯金保険
法
改正
法案
において
財政
資金
投入が予定されていない理由についての
お尋ね
でありますが、
農協
、
漁協等
については、
信用組合
の場合と異なり、これまで
信用組合
のような大型
経営破綻
の事例が発生していないことに加え、
貯金保険
制度
と相まって既存の相互援助
制度
による新たな
対応
も行われること等を踏まえれば、
貯金保険
法の中に
政府
保証による借り入れを
規定
する必要はないと考えております。 次に、
貯金保険
の
特別保険料
の水準についての
お尋ね
でありますが、今回新たに設定される
特別保険料
については、現行
保険料
水準と同程度とする
方向
で
検討
を進めているところであります。 なお、この水準が
預金
保険と異なるのは、
貯金保険
における
保険金
支払い
限度、つまり一千万円を超える部分の貯金比率が
預金
保険に比べて極めて少ないこと等によるものであります。 ノンバンクへの貸し出し等、
住専
以外の問題についての
お尋ね
でございますが、ノンバンクへの貸し付けにつきましては、本年三月末について報告を聴取しましたところ、概数で昨年に比べ約一・一兆円減少し六・六兆円となっております。なお、
不良債権
額は、
銀行
協会の新基準によって計算いたしますと三千億円程度と相なります。 ノンバンクへの貸し付けについても、相手方の信用
状況
等の審査を行い、必要な担保保全
措置
をとっていると承知しておりますが、その
不良債権
の
処理
についてはそれぞれの
経営
内部において
処理
されることが基本と考えております。 いずれにしましても、これを
機会
に
農協系
統の
事業
の
あり方
について抜本的な見直しを行い、大胆なリストラを進めることが必要であると考えております。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
19
○
議長
(
斎藤十朗
君) 上山和人君。 〔上山和人君
登壇
、
拍手
〕
上山和人
20
○上山和人君 お疲れさまでございます。社会民主党・護憲連合の上山和人でございます。 先ほど
趣旨説明
のございました
金融関連
六
法案
につきまして、社会民主党・護憲連合を代表して御
質問
申し上げます。
住専国会
と言われましたこの百三十六通常
国会
もいよいよ終幕に近づいておりますが、今、私たち
参議院
はその総仕上げをする重要な任務を担っているのだと思うのでございます。これまでの
衆参両院
における
住専
審議
の中で、
大蔵大臣
の答弁回数は既に九百回を超えたとお聞きいたしているのであります。恐らく最長不倒の記録になるのではないでしょうか。大変な御苦労だと思うのでございます。 申し上げるまでもなく、
総理
も
農林水産大臣
も、そしてほかの関係閣僚の皆さんも同じような御苦労をなさっていらっしゃると思うのでございます。今、
住専国会
の締めくくりの段階で
住専
審議
の総決算の意味合いを込めて、この間、重大な関心を寄せ続けている
国民
の皆さんに対するメッセージとして
責任
ある明快な御答弁をいただきますように、
総理
と
大蔵大臣
にお願いを申し上げます。 さて、長い間の
住専
審議
を通して
住専
問題の
処理
に関する
政府
の
方針
がどれほど
国民
の皆さんに
理解
をされているのだろうかと毎日思うのでございます。 現実の姿でありますからあえて申し上げますが、郵便局は今、全国的に貯金獲得の運動を差し控えていると言われているのであります。それでも郵便貯金は、本年三月時点で対昨年同期比四・八%、六兆三千八百億円余りも伸びているのでございます。他方、最近伸び率が低下する傾向にある農林系
金融機関
の
預金
は、同じく本年三月時点で対前年度比〇・一%マイナスになっているのでございます。これらの状態が何を物語るかについて御
説明
の必要はないと思うのでございます。 一方で、地価は依然として低下する傾向にありまして、
債権回収
の問題につきましては決して楽観を許さない状態になっております。 これらの諸
状況
のもとで、
住専
問題については一日も早く可能な限り早期に
処理
されるべきものとする
政府
の根本
方針
については、
国民
の皆さんの御
理解
は十分に得られたと私たちは確信をいたしております。しかし、大変残念なことに、その中心的な手法としての六千八百五十億円の公的
資金
の投入については、この段階においても、残念ながら
国民
の皆さんに十分に御
理解
をいただいているとは必ずしも言えないと思うのでございます。 私たちは、
住専
審議
の最終段階を迎えている今、この問題については
国民
の皆さんの御
理解
をいただくために、どれほど
努力
をしても
努力
し過ぎることはないと思うのでございます。そのためにも、これまでの
審議
の過程を通して
大蔵大臣
が繰り返し強調されました
金融機関
の
自己責任原則
が最終的には貫かれるものとなるように、六千八百五十億円については何らかの形で可能な限り
国民負担
が
軽減
されるべきものだと思うのでございます。どのようにして
国民負担
が
軽減
をされるのか、
国民
の皆さんにわかりやすく、
責任
を持ってお答えいただきたいのが第一の
質問
でございます。
大蔵大臣
、お答え願います。 第二の問題は、安定した
金融システム
の確立についてでございます。
住専
問題は
一体
私たちに何を突きつけているのか、
住専
問題が提起した根本の
課題
は何かということについて、私たちは毎日銘記しつつ、それにこたえる
努力
をするのでなければ
責任
を果たすことはできないと思うのでございます。
我が国経済
の発展拡大とともに、
我が国
の
経済
の動脈ともいうべき
金融
が自由化、国際化を迫られ、その環境
変化
とともに、これまで
護送船団方式
と呼ばれた
金融システム
はもはや問題解決能力を失ったことを
住専
問題は浮き彫りにしたと思うのでございます。 時間の制約上、端的な
質問
になって恐縮でありますが、安定した
金融システム
の確立について、内外の
信用秩序
を
確保
する
観点
と、何よりも重要な
預金者保護
の視点を踏まえつつ、その道筋を明らかにしていただきたいのでございます。これも
大蔵大臣
にお答え願いたいのでございます。 私の持ち時間十分がもう迫っておりますので、最後の
質問
になりますが、
金融行政
の
改革
と
大蔵省
の
改革
は不可分のはずであります。
住専
は個人住宅融資という国家的政策を担っていたことから、
大蔵省
は一口に言って
住専
には
特別
の地位を与えたのであります。その
住専
が
事業
融資を増大させて変質し、所期の
目的
を逸脱した営業を始めたときに、
大蔵省
がその
特別
の地位を取り上げていたなら
住専
の
破綻
は免れたはずでありますが、残念なことに、
大蔵省
は逆に
母体
行を指揮して
経営
継続を図ったのであります。 どうしてこういうことが起きたのか。
大蔵省
解体論が出るほど
大蔵省
の
改革
は厳しく求められております。次の時代の
金融行政
を誤らないという保証を
国民
の皆さんに御確認いただくためにも、
大蔵省
の
改革
は
国民
の皆さんの御
理解
を得られるものでなければならないと思うのでございます。
総理
大臣に
大蔵省
改革
についての御決意をお伺いし、そして
大蔵大臣
に
大蔵省
改革
の展望について明確な御
説明
をいただきたいと思うのでございます。 今回の
住専
問題の
処理
に関する
政府
・
与党
の苦渋の決断は、近い将来必ず
国民
の皆さんから正当に評価される日の来ることを確信しつつ、
質問
を終わらせていただきます。(
拍手
) 〔
国務大臣橋本龍太郎
君
登壇
、
拍手
〕
橋本龍太郎
21
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 上山
議員
にお答えを申し上げます。
護送船団方式
に象徴される過去の
金融行政
に対し、大変厳しい御批判を今日までも浴びてまいりました。こうした御批判を踏まえながら、今後は
自己責任原則
の徹底と
市場規律
の十分な発揮を基軸とする
透明性
の高い
行政
を行っていくことが必要であると考えております。 私個人としては、
金融自由化
、国際化の大きな流れの中で、今のような視点を持ちながら、
大蔵省
の
改革
など、これからの新しい
金融行政
の
あり方
につき真剣な
検討
を進めてまいりたいと考えております。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から御答弁を申し上げます。(
拍手
) 〔
国務大臣久保亘
君
登壇
、
拍手
〕
久保亘
22
○
国務大臣
(
久保亘
君)
国民負担
の
軽減
の具体的方策についての
お尋ね
でございましたが、
関係金融機関等
による新たな
寄与
の問題につきましては、既に私からも、
国会
におきます厳しい議論を踏まえ、
金融
界に対して協力を再三
要請
いたしており、これを受けて
金融
界との間でさまざまな
意見
の交換が行われているところであります。 今後とも、結果としてできる限り
国民負担
の
軽減
につながるよう、
関係金融機関等
の自主的かつ真剣な
取り組み
を促してまいりたいと思っておりますが、
関係者
との協議の中で、
関係金融機関
の
負担
の具体的方策を提示することもあり得ると考えております。 安定した
金融システム
の確立のための道筋についての
お尋ね
でございますが、
金融
は
経済
全体にとっていわば動脈ともいえる役割を担っており、
信用秩序
の
維持
、
預金者保護
に万全を期しつつ、
住専
問題をめぐる問題に象徴される
金融機関
の
不良債権
問題の
早期解決
を図ることは、
我が国経済
が今後
持続的発展
を遂げていく上で不可欠の前提であると考えております。 また、より基本的には、
金融機関
の
不良債権
問題の再発を防ぐためにも、本格的な
金融自由化時代
にふさわしい
自己責任原則
と
市場規律
に立脚した
透明性
の高い新しい
金融システム
を早急に構築していく必要があり、その基本的考え方に沿って
金融行政
も大きく転換していかなければならないと考え、
金融関連
三
法案
等を
提案
いたしておるところでございますが、今後五年間で新しいシステムを確立してまいりたいと考えております。
大蔵省
改革
の問題につきましては
総理
から御答弁を申し上げましたが、
大蔵省
の
金融行政
の見直しを進めるに当たりましては、みずからを最もよく知る者が自己
改革
を考え実行するということが極めて重要であり、新しい時代に
対応
する
金融システム
はいかなるものか、そのためにどのような
行政
で臨まなければならないかという積極的な自己
改革
を目指して、先般、
大蔵省
としても、今後の
金融行政
の
あり方
を
検討
するためのプロジェクトチームを省内に発足させ、広範な視点から
検討
、議論を進めているところであります。
金融行政
等の今後の
あり方
については、
与党
においても精力的に
検討
を進められていると伺っており、
大蔵省
としても、これを含め、
国会
を初め広く各界での御議論を見守りつつ、真剣な
検討
と
改革
の
実現
を進めてまいりたいと考えております。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
23
○
議長
(
斎藤十朗
君) 吉岡吉典君。 〔吉岡吉典君
登壇
、
拍手
〕
吉岡吉典
24
○吉岡吉典君 私は、
日本
共産党を代表し、
金融関連法案
について、
総理
並びに
大蔵大臣
に
質問
いたします。 昨年来、
住専
問題を初め
金融機関
の
破綻
が相次ぎ、
金融機関
の膨大な
不良債権
の実態が明るみに出されました。そして今、「
住専
に血税を使うな」は大きな
国民
の声になっています。
住専処理
に当たってまず求められることは、その
責任
を明らかにすることであります。 このような
事態
をもたらした背景に、八〇年代以降の
金融自由化
と、その中で引き起こされたバブルとその崩壊があることは、ひとしく指摘されているところであります。 では、バブルを引き起こし、バブルを崩壊させ、今日の
住専
問題を引き起こした
責任
者はだれか。それはまさに大
銀行
であり、
大蔵省
ではありませんか。そうであるなら、その
処理
は当然その
責任
で行うべきであります。ところが、大
銀行
は本来とるべき
責任
をとろうとせず、
大蔵省
は
国民
の血税による
破綻処理
で大
銀行
の
責任
を免除しようとしているのであります。これでは
国民
が納得せず、
怒り
の声が巻き起こっているのは当然と言わなければなりません。
総理
、
大蔵大臣
、これをどう考えますか。 特に、
住専
の場合、設立から今日まで親
銀行
としてその
経営
に深くかかわってきた
母体
行が
責任
を持ってその解決に当たるべきものであることは、従来の系列ノンバンク
処理
のルールからいっても明らかであります。にもかかわらず、
政府
は、従来ノンバンク
処理
のルールになっていた
母体
行
責任
主義を放棄し、
政府
が
住専処理
の主体であるかのような立場に立ち、史上例のない公的
資金
導入
を図りました。そして、今それを法的に確立しようとしているのであります。
大蔵大臣
、
住専処理
ではなぜ従来のルールによらないのですか。
一体
これまでノンバンクを含めて
金融機関
の
破綻処理
に
財政
資金
を投入した例がありますか。明確な答弁を求めます。 その一方、
政府
は、
母体
行に
追加負担
を求めるためにも
住専処理法案
をそのまま成立させてくれと言います。とんでもない言い分です。そもそも
提案
されている
法案
は、公的
資金
投入初めにありきで、
法案
を原案のまま通すことは、
母体
行に
追加負担
を求めないで
処理
する枠組みをつくることではありませんか。それは
国民
の
負担
をなくすこととは全く相入れず、逆に
追加負担
を妨げるものとなっているではありませんか。
法案
そのものは
追加負担
を想定しておりません。
大蔵大臣
、そうでしょう。はっきりお答え願います。 重大なことは、税金投入を
住専
にとどまらず
信用組合
にも広げようとしていることであります。
法案
は、今後五年間の
措置
として、
破綻
した
信用組合
処理
のためにも公的
資金
を投入する仕組みをつくろうとしています。東京の二信組を初め、木津、コスモなどの
破綻
の事例から明らかなように、多くの
信用組合
の
破綻
は
経営
者の
乱脈経営
に加えて大手
銀行
の深い関与が原因として挙げられています。今回の法
改正
は、これらの
関係金融機関
の
責任
を棚上げにしてしまうものであります。そうでないと言えますか。 一たび
住専
へ、
信用組合
へと公的
資金
投入に道を開けば、これは果てしなく広がることは必至であります。これは
金融機関
全体への公的
資金
投入の突破口になる危険を持つものと言わざるを得ません。
銀行
など一般
金融機関
の
破綻
の場合には、いかなる場合にも公的
資金
の投入はないと言い切れますか。さらに、
住専
と同じような理由を持ち出してノンバンクにも公的
資金
を投入することはないと断言できますか。しかと答えてください。 ところで、
大蔵大臣
、あなたは
住専処理
の最も望ましい方法をどう考えていますか。できることなら、これまでの系列ノンバンクと同様に、
母体
行が
責任
を持ち、みずから
母体
行にふさわしい
負担
を行い、
関係金融機関
の協力を得ながら
処理
するという従来のルールこそ望ましい
処理
方法だとは考えないのですか。
母体
行
責任
による
処理
を妨げたのはだれですか。その最大の障害は、
母体
行が
追加負担
を拒否し、果たすべき
責任
を逃れる態度をとり続けていることです。 したがって、
母体
行の
追加負担
を本当に
実現
するためにも、
住専処理
の一協力者にすぎないかのような主客転倒の立場に立っている
母体
行の態度を許さず、
国民
とともにこれを厳しく糾弾し、親
会社
としての
責任
を迫ることこそが必要であります。
総理
の
見解
はいかがですか。 同時に、
国民
が求めている
追加負担
は、六千八百五十億円の
財政
資金
にとどまらず、二次
処理
で生じるであろう巨額になることが予想される
損失
の国の
負担
部分をきっぱりなくすこと、すなわち、民間企業の
破綻処理
にいかなる形でも
国民
の税金を投入するなということであります。
大蔵大臣
が考えている
追加負担
とはどのようなものなのか、これまで明らかにされておりません。この際、具体的に
説明
していただきたい。 ここで、
住専
問題をめぐる
大蔵省
の
責任
には極めて大きいものがあることを改めて厳しく指摘しなければなりません。
大蔵省
は、
住専
の設立を推進したのに始まり、総量規制、第一次、第二次再建計画への関与、さらに
処理
過程でも一貫して深くかかわってきました。にもかかわらず
大蔵省
は、よかれと思ってやったなどと言って今日に至るまで深刻かつ具体的な反省は示しておらず、
住専
とのかかわりについても明らかにしておりません。このような
責任
逃れは決して容認できません。
大蔵省
には、これまでの政策と
行政
の自己点検を行い、これらの
責任
を疑問の余地なく明らかにし、
国民
の疑惑を解明する
責任
があります。
大蔵大臣
、いかがですか。 さらに、これまでの論議の中でも明らかになった天下り、天上がりなどに象徴される今までの不明朗で業界と癒着した
金融行政
をきっぱりと改め、
国民
に目を向けた
金融
監督
・
行政
を確立することが必要であります。 連立
与党
の
大蔵省
改革
案も後退に後退を重ねていますが、我が党がかねて提起しているように、
金融機関
に対する
監督
を
大蔵省
から切り離し独立した
監督
機関をつくることは、ますますその
必要性
を増しています。
総理
、どう考えますか。 さらに、
政府
は、
金融機関
の
健全性確保
のためなどとして、
早期是正措置
の
導入
などの
措置
をとろうとしております。
健全性
の
確保
はもとより当然のことですが、バブルの反省からも必要なことは、
金融自由化
が急速に進められた結果、
公共性
、社会的役割の重要性を忘れた
金融機関
に
社会的責任
を厳しく確認させることであります。その立場から、
銀行
の
業務
を規制し、ディスクロージャーを
拡充
するなど、
銀行
法を必要に応じて強化していくことなどが必要であると思いますが、これらの
措置
はとらないのですか。具体的にお答えください。
総理
、
大蔵大臣
、主権在民の憲法発布五十年という年に、
国民
の八割、九割が反対していることをあなた方自身も認めている
住専処理
策を強行することは、まさしく主権在民の否定ではありませんか。主権者の意思に沿ってこの際きっぱり廃案にすべきであることを強調して、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣橋本龍太郎
君
登壇
、
拍手
〕
橋本龍太郎
25
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 吉岡
議員
にお答えを申し上げます。 税金で
金融
破綻
を
処理
しようということについての
国民
の
怒り
及び
母体
行の
追加負担
についての御
意見
をいただきました。
住専
問題を初めとする
不良債権
問題を早急に解決しようとすることは、
国民
の皆様の
預金
を守るとともに、
我が国
金融システム
の安定の
確保
を図り、
景気
の本格的な回復を確実なものとするために、ぜひとも必要だと私は信じております。今回の
住専処理
策は、
国民
の命運に
責任
を持つ
政府
・
与党
としてこのように考え、
国民
全体のために決断したものであり、最善の方策であると考えております。 なお、
母体
行の
責任
については、これまで
住専
の
経営
に深くかかわってきた経緯などを踏まえれば重いものがあると考えております。
政府
としては、
母体
行を含め
関係金融機関等
に新たな
寄与
を求め、結果として
国民
の
負担
をできる限り
軽減
するよう
努力
をいたしておるところであります。 また、
金融行政
については、
自己責任原則
の徹底と
市場規律
の十分な発揮を基軸とする
透明性
の高い
行政
を行っていくことが重要であり、
大蔵省
の
改革
など、これからの
金融行政
の
あり方
につき真剣な
検討
を進めてまいりたいと考えております。 独立した
金融
監督
機関をつくる必要があるのではないかという御指摘でありますが、
金融行政
につきましては、これまでのさまざまな御批判を踏まえて、今申し上げましたような
透明性
の高い
行政
を行っていくことが必要だと思います。 いずれにいたしましても、初めに組織や権限の見直しありきということではなく、これまでの
行政
の
あり方
について十分な
検討
を行った上、これからの新しい
金融行政
の
あり方
について真剣な
検討
を進めてまいりたいと考えております。 今後における
金融行政
の
あり方
という御指摘でありますが、
金融
は
経済
全体にとっていわば動脈ともいえる重要な役割を担っております。この役割を適切に果たしていくためにも、
金融機関
はその
経営
の
健全性
を
確保
していくことが必要と考えております。 そのためには、
行政
当局が規制や
監督
の強化という形で臨むことは適当ではない、むしろ
自己責任原則
と
市場規律
に立脚した
透明性
の高い
行政
を行っていくことを基本
原則
としていくことが重要だと考えており、
所要
の
法律案
を御
提案
申し上げているところであります。 最後に、主権在民の立場に立って、主権者の意思を持って考えろという御指摘であります。 今回の
住専処理
策は、選挙で選ばれ、
国民
の命運に
責任
を持つ
政府
・
与党
として、
住専
問題は
不良債権
問題の突破口であり、これを早急に解決することがぜひとも必要と考え決断したことであります。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
からお答えをざせます。(
拍手
) 〔
国務大臣久保亘
君
登壇
、
拍手
〕
久保亘
26
○
国務大臣
(
久保亘
君)
住専
に
財政
資金
を投入した理由についての御
質問
でございましたが、
住専
については、
我が国
不良債権
問題の緊急かつ象徴的な
課題
となっていたこと及び
関係当事者
の意欲と
努力
だけでは解決を図り得ない状態になっていたことにかんがみ、
国民
の
預金
を守るとともに
景気
回復を確実なものとする等のため、
住専
を整理消滅させるに当たって臨時異例の
措置
として、
財政
資金
の投入を含む今回の
処理
方策を決定したものであります。 なお、
信用組合
の
破綻処理
に当たりましては、地域
経済
に与える
影響
や民生の安定等を勘案の上、公益上の
必要性
から、都道府県の
財政
支援が自己の
責任
に基づく自主的な判断により行われてきているところと承知いたしております。
追加負担
を含め
母体
行の
責任
において
住専
を
処理
し、公的
資金
の投入を撤回すべきだとの御
趣旨
に基づき、
大蔵省
の果たすべき
責任
など幾つかの視点からの御
質問
がございましたが、
母体
行の
責任
につきましては、これまでの
住専
の
経営
の経緯等を踏まえ、
債権
放棄、拠出、低利融資など、
政府
の
処理
スキームに沿っての
負担
や協力を
要請
してきたところであります。 また、
金融機関
の公共的
責任
の上から、
関係金融機関等
による新たな
寄与
の問題について、今後とも、結果としてできる限り
国民負担
の
軽減
につながるよう、
関係金融機関等
の自主的かつ真剣な
取り組み
を促してまいる
所存
であります。なお、この問題はあくまでも現行の
処理
スキームを前提としたものであり、新たな
寄与
がスキームの変更をもたらすものとは考えておりません。 いわゆる直系ノンバンクの
経営
問題に対しては、
母体
行が
最大限
の支援を行って再建を図る方法をとることが通例と
理解
しておりますが、
母体
行の体力的な問題等から、
債権
額に比例した
損失
分担などの考え方に基づいて法的
処理
が行われる例も見られるところであります。
住専
問題については、
関係当事者
間の話し合いだけでは解決を図り得ない
状況
となっており、未解決のまま放置すると、系統等体力の弱い
金融機関
の
経営
が困難に陥ることによって
預金者
に不安が広がる等のおそれが大きいため、公的
資金
の投入を行ってでも早期に解決する必要があると判断したところであります。 また、
大蔵省
としては、
住専
を含むノンバンクについて、
銀行
等に対するような広範な指導
監督
権限を有していない中で、これまで
制度
上許される
最大限
の
努力
を行ってきており、今後は、現在御
提案
申し上げている
関係法案
を早期に成立させていただいて、
住専
の
処理
及び強力な
債権回収
等に取りかかることが我々の責務であると考えております。 いずれにしても、公的
資金
の投入を含む
政府
の
住専処理
策は、
総理
も御答弁がありましたように、
我が国
の命運に
責任
を持つ
政府
・
与党
として
国民
全体の最終的
利益
のために決断したものであり、公的
資金
投入で
責任
を取り繕おうというものではなく、撤回ということは考えておりません。
信用組合
の
破綻処理
と
関係金融機関
の
責任
に関する御
質問
でありますが、
政府
としては、信用不安を醸成しやすい現下の
金融環境
にかんがみ、今後五年間は
金融機関
の
破綻
に際し
預金
を全額
保護
し得るような時限的な
制度
の
整備
を図ることといたしております。また、
信用組合
の
破綻処理
に限り、その厳しい
経営
状況
等にかんがみ、
政府
保証等
所要
の
措置
を講ずることといたしております。
金融機関
の
破綻処理
は
金融システム
内の
負担
により賄われることが
原則
であり、このため、今般、
預金
保険料
率の
最大限
の引き上げを行うこととしております。また、昨年末の
金融
制度
調査会答申にもあるように、
預金
保険という公的手段に頼る前に
関係者
の可能な限りの
努力
が払われる必要があり、
破綻
した
信用組合
と関係の深い
金融機関
に対しては可能な限りの支援が求められると考えております。 一般
金融機関
の
破綻
の場合には公的
資金
を
導入
しないのかとの御
質問
でありますが、
信用組合
以外の一般
金融機関
については、全体として
不良債権
額に対し十分な償却財源を有しており、
預金保険機構
による大規模な
資金援助
が必要となる
可能性
は現時点では低いと見込まれることから、
政府
保証等
特別
の
制度
は設けていないところであります。 ノンバンクに対する公的
資金
の投入についての
お尋ね
でありますが、
住専
以外のノンバンクにおいては
関係金融機関
の数が少なく、独立系ノンバンクでは
関係当事者
間の利害は対立が余り先鋭でなく、直系ノンバンクにおいてはいわゆる親子の関係が一対一と明快なものであり、また、借入先に占める系統の比重が大きくない等、さまざまな点で
住専
とは異なるものと
理解
しております。 ノンバンクの
不良債権
問題は、
住専
の場合と異なり、
原則
に戻ってそれぞれのケースごとに
関係当事者
の意欲と
努力
により
金融システム
内において十分解決できるものと
理解
しており、昨年十二月十九日の
政府
・
与党
合意においても、
住専
以外のノンバンクの
不良債権
問題については公的関与を行わないことを確認したところであります。 今後における
金融行政
の
あり方
に関する
お尋ね
でありますが、先ほど
総理
からも申し上げましたとおり、
金融
は
経済
全体にとっていわば動脈ともいえる重要な役割を担っており、この役割を適切に果たしていくためにも、
金融機関
はその
経営
の
健全性
を
確保
していくことが必要と考えております。 そのためには、
行政
当局が規制や
監督
の強化という形で臨むことは適当ではなく、
自己責任原則
と
市場規律
に立脚した
透明性
の高い
行政
を行っていくことが重要であり、市場のチェック機能の活用を図る
観点
から、
金融機関
のディスクロージャーの一層の
拡充
を促していくことはもとより、客観的ルールに基づき
経営
の是正を促す
早期是正措置
の
導入
をお願いいたしているところであります。(
拍手
)
斎藤十朗
27
○
議長
(
斎藤十朗
君) これにて
質疑
は終了いたしました。 —————・—————
斎藤十朗
28
○
議長
(
斎藤十朗
君)
日程
第一
商業的造船業
における正常な
競争条件
に関する
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件
日程
第二
商標法条約
の
締結
について
承認
を求めるの件 (いずれも
衆議院送付
) 以上両件を一括して
議題
といたします。 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長木庭健太郎君。 ————————————— 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ————————————— 〔木庭健太郎君
登壇
、
拍手
〕
木庭健太郎
29
○木庭健太郎君 ただいま
議題
となりました条約二件につきまして、外務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 まず、
商業的造船業
における正常な
競争条件
に関する
協定
は、
商業的造船業
に対する助成
措置
で撤廃すべきものを定めるとともに、船舶の加害的廉売を効果的に防止する手段について定めるものであります。 次に、
商標法条約
は、商標及びサービスマークに係る登録の出願及び記録等の申請の
手続
に関する各国の
制度
を調和させ、これらの
手続
の簡素化を図ることを主たる
目的
とするものであります。 委員会におきましては、船舶取引に係るダンピング防止
規定
の乱用、米国の造船業に対する助成
措置
、知的所有権の侵害に対する
我が国
の
対応
等について
質疑
が行われましたが、詳細は
会議
録によって御承知願います。
質疑
を終え、採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって
承認
すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(
拍手
)
斎藤十朗
30
○
議長
(
斎藤十朗
君) これより両件を一括して採決いたします。 両件を
承認
することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
斎藤十朗
31
○
議長
(
斎藤十朗
君) 総員起立と認めます。 よって、両件は全会一致をもって
承認
することに決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十六分散会 —————・—————