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1996-05-22 第136回国会 参議院 本会議 第19号
公式Web版
会議録情報
0
平成
八年五月二十二日(水曜日) 午前十時一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第三十一号
平成
八年五月二十二日 午前十時
開議
第一
日本学術振興会法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
、
衆議院送付
) 第二
農畜産業振興事業団法案
(
内閣提出
、衆
議院送付
) 第三
自動車ターミナル法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) 第四
防衛庁設置法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件 一、
警察法
の一部を
改正
する
法律案
(
趣旨説明
) 以下
議事日程
のとおり —————・—————
斎藤十朗
1
○
議長
(
斎藤十朗
君) これより
会議
を開きます。 この際、
日程
に追加して、
警察法
の一部を
改正
する
法律案
について、
提出者
の
趣旨説明
を求めたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
斎藤十朗
2
○
議長
(
斎藤十朗
君) 御
異議
ないと認めます。
倉田国務大臣
。 〔
国務大臣倉田寛之
君
登壇
、
拍手
〕
倉田寛之
3
○
国務大臣
(
倉田寛之
君)
警察法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
いたします。 この
法律案
は、
オウム真理教関連事件
の
経緯
にかんがみ、
都道府県警察
が、
広域組織犯罪等
、すなわち、同
事件
のような
組織犯罪
その他の
全国
の広範な
区域
において
個人
の生命、身体及び財産並びに
公共
の安全と
秩序
を害し、または害するおそれのある
事案
に迅速かつ的確に対処することができるようにするため、
所要
の
規定
の
整備
を行うものであります。 以下、各
項目ごと
にその概要を御
説明
いたします。 第一は、
広域組織犯罪等
に関する
都道府県警察
の
管轄区域外
における
権限
に関する
規定
の
整備
であります。 これは、
都道府県警察
は、
広域組織犯罪等
を処理するため、必要な
限度
においてその
管轄区域外
に
権限
を及ぼすことができることとするものであります。 第二は、
広域組織犯罪等
に関する
国家公安委員会
及び
警察庁長官
の
権限
に関する
規定等
の
整備
であります。 その一は、
国家公安委員会
の
権限
に属する
事務
に、
広域組織犯罪等
に対処するための
警察
の
態勢
に関することを加えるものであります。 その二は、
警察庁長官
は、
広域組織犯罪等
に対処するため必要があると認めるときは、
都道府県警察
に対し、
広域組織犯罪等
に対処するための
警察
の
態勢
に関する
事項
について必要な
指示
をすることができることとし、
都道府県警察
は、
当該指示
に係る
事項
を実施するため必要があるときは、その
管轄区域外
に
権限
を及ぼす等の
措置
をとらなければならないこととするものであります。 なお、この
法律
の
施行日
は、公布の日としております。 以上が
警察法
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
でございます。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
4
○
議長
(
斎藤十朗
君) ただいまの
趣旨説明
に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。
和田洋子
君。 〔
和田洋子
君
登壇
、
拍手
〕
和田洋子
5
○
和田洋子
君 私は、
平成会
を代表いたしまして、ただいま議題となりました
警察法
の一部を
改正
する
法律案
について、
内閣総理大臣
並びに
国家公安委員長
に対して
質問
をさせていただきます。 戦後五十年を経て、
我が国
の
社会経済システム
には大きなきしみが生じております。
経済面
では、言うまでもなく住専問題であります。 霞が関の
最強官僚集団
である大蔵省により誘導されてきた
金融行政
は、
金融
の
国際化
というスローガンとは裏腹に
銀行業界
の
保護育成
に終始してきたことから、
世界
の
経済常識
とは大きくかけ離れてしまい、その結果、破綻したのであります。まさに今こそ、この
崩壊責任
の究明と
日本
の
経済システム
全体の再
構築
が求められているのであります。 これと同様に、
社会面
、特に
治安
・
危機管理体制
に対して
国民
は大きな不安を感じております。国際的に高く評価されてきた
我が国
の
安全神話
が、続発する重大特異な
事件
によって大きく揺らぐ中で、
政府
の
対応
の悪さが
国民
の不安に拍車をかけているのです。 阪神・
淡路大震災
における
初動態勢
のおくれ、希薄な
危機管理意識
、
情報収集
・
伝達体制
の乱れ、
緊急輸送路
の分断など、
体制
の不備は目を覆うものであり、無
差別大量殺人
を惹起した
オウム真理教関連事件
についても共通の問題が露呈しております。無
差別テロ
を目的とした
地下鉄サリン事件
の
発生
は、全
世界
に衝撃を与えたのであり、
我が国
の
国際的信用
を打ち砕いたと言っても過言ではないでしょう。 このような地に落ちてしまった戦後
システム
をどのように立て直すのか、
国際的信頼
を取り戻すとともに、
国民
が
安心感
を持って暮らすことのできる
社会
を今後どうして築いていくのかは、
我が国
が当面する最大の
課題
であります。このことについて、まず
橋本総理
の所信を伺いたいと存じます。
国民生活
の安寧と
社会
の
秩序維持
のため、
警察当局
が日々努力されていることに対し深く敬意を表するとともに、
我が国
の
信頼回復
のためにも
警察体制
の
整備
は必要であるとの
観点
から、本
法律案
に対して賛成の
立場
ではありますが、若干の
疑問点
を含め、以下、
改正案
及び
警察行政
に関する
問題点
について
質問
いたします。 今回の
改正案
の眼目は、
広域組織犯罪
に関する
態勢整備
でありますが、
広域捜査
の
重要性
は従来から何度となく
指摘
されてきたところであります。
平成
六年には、
警察法改正
において、
広域捜査
に関する
規定整備
が行われたばかりであります。
警察法制定
以来四十年ぶりの大
改正
と
説明
されていたことからしても、
広域捜査
に関して十分な検討をした上での
改正
であったはずであります。 今回の
オウム真理教関連事件
の
捜査
に関して、
平成
六年の
改正
を踏まえ
整備
された
広域捜査態勢
についてどのような点に限界があり、そのために
警察庁
として迅速かつ的確な
対応
ができずに失態を招いたのか、
国家公安委員長
にお伺いいたします。 また、周知のように、
オウム真理教関連事件
に関する
捜査そのもの
についても各方面から疑問視される中で、徹底的な総括を経ずに
法律改正
を提案することについて
批判
が出されております。
坂本弁護士事件
についての
初動捜査
のつまずき、
松本サリン事件
における第一
通報者
に対する
見込み捜査
、あるいは
地下鉄サリン事件
の
事前予知
の
可能性
などについて、
国民
の厳しい
批判
に対しどのように
説明
なさるのでしょうか。
捜査指揮
の不手際、
情報
の
一元化
と
分析力
の欠如、
刑事警察
と
公安警察
とのあつれきなど、
警察当局
による
国民
への
説明
が求められている問題は多数あるはずであります。これら
国民
の不信にこたえるべく、それぞれの点について
国家公安委員長
から明確な
答弁
をいただきたいと思います。 加えて、
國松警察庁長官狙撃事件
に関する
捜査状況
について伺います。
警察庁長官
は
警察官僚
のトップであり、
犯罪捜査
の
最高責任者
であります。
警察庁長官
が狙撃されるということは、
日本警察
のねらい撃ちを意味するものであります。当然その
捜査
を
警察当局
のメンツにかけても
全力
で行っておられるはずでありますが、いまだ
犯人解明
に至っておりません。ゆゆしき事態であります。よもや
迷宮入り
とはならぬよう、
事件
の
捜査状況
及び
解明
に向けての
国家公安委員長
の断固たる決意をお示しいただきたいと思います。 さて、
我が国
の
警察制度
は、
警察法
第三十六条に
規定
する
自治体警察
の
原則
によって、
都道府県警察
が
当該都道府県
の
区域
につき
警察
の
責務
を果たすこととなってきましたが、
広域組織犯罪
に対してはもはや
自治体警察
の
原則
が維持し切れなくなったということなのでしょうか。今回の
改正
を突破口として、
警察庁長官
の
指揮監督権
がより
強化
され、
中央統制
が強まるのではないかとの懸念もあるようであります。
現行
の
警察制度
の
根本原則
に対する
内閣総理大臣
及び
国家公安委員長
の
基本的認識
を伺いたいと思います。 また、
地方分権
の
推進
が強く求められている
状況
において、これまでの
警察制度自体
についても再検討する必要はないのでありましょうか。
犯罪
の
広域化
が進んでいる一方で、
本格的高齢社会
を迎え、
住民生活
に密着した、
地域
に根差した地道な
警察活動
も求められているところであります。
地方分権
の
観点
から、
広域的警察活動
と
地域警察活動
にそれぞれ
対応
し得るような
警察組織
のリストラを含めた再編成を行う必要があるのではないかと考えますが、
地方分権
の
推進
と
警察制度
の
あり方
について、
総理大臣
及び
国家公安委員長
の所見を伺いたいと存じます。
具体的改正内容
に入りますと、まず、
改正ポイント
の第一は、
広域組織犯罪等
に関する
権限
として、「
都道府県警察
は、
広域組織犯罪等
を処理するため、必要な
限度
において、その
管轄区域外
に
権限
を及ぼすことができる」とする六十三条の三の新設であります。 これまでは
都道府県警察
は、
管轄区域
内の
公安
の
維持等
に関することが明確に認定できなければ
管轄区域外
に
権限
を及ぼすことができなかったわけですが、この
規定
により、明確に認定できなくても
広域組織犯罪等
であれば
管轄区域外
に
権限
を及ぼすことができることになるわけであります。 では、この「
広域組織犯罪等
」とは、具体的にはどのような
事例
がこれに当たるのでしょうか。特に、
広域組織犯罪等
における「
組織
」とは何か、法文上明示されていないので、まずその定義をお示し願いたいと思います。 また、「必要な
限度
において」とは、他の
都道府県警察
によって
権限
が
行使
され、それで足りるような場合には、それに加えて
管轄区域外
に
権限
を及ぼすことはないとされておりますが、その認定は非常に不明確であると思われます。 「
広域組織犯罪等
」として
都道府県警察
が
管轄区域外
で
権限
を
行使
すべきか否かの
判断基準
を今後
警察庁
として示すことになるのか、示すとすれば、その
内容
及び
自治体警察
の
原則
とのバランスについて、あわせて
お尋ね
いたします。
改正ポイント
の第二は、第六十一条の三に
規定
される
警察庁長官
の
都道府県警察
に対する
指示権
の創設であります。
警察庁長官
が、「
広域組織犯罪等
に対処するための
警察
の
態勢
に関する
事項
について」
都道府県警察
に
指示
することのできる
権限
を新たに設けるとともに、
指示
を受けた
都道府県警察
は、
当該指示
に係る
事項
を実施するため必要があるときは、他の
都道府県警察
に対する援助の要求や
管轄区域外
における
権限行使
などの
措置
をとらなければならないとされております。この場合の「
警察
の
態勢
に関する
事項
」というのは具体的に何を指すのでありましょうか。 また、現在の
都道府県警察
の
警察官
の定数を見てみますと、北海道が約九千人、東京が約四万人、
神奈川県警
が約一万人、愛知県が約一万人、大阪府が約一万八千人、兵庫県が約一万人、福岡県が約九千人となっており、他の府県に比べて格段に大
規模
となっております。 結局、
警視庁
が
全国レベル
の
中核
となって、
警視庁
以外のこれらの
道府県警察
が
地域レベル
の
中核
となって、
警察庁
の
指示
を受けて
広域組織犯罪等
の
捜査
に当たるということなのでありましょうか。
人員
、
装備面
では
警視庁等
の
中核都道府県警察
が仮に
中心
となる場合であっても、具体的な
捜査方針
の
決定等
については、
自治体警察
の
原則
からして、
当該捜査
が行われる
都道府県警察
が実質的に
中心
となって
捜査
が実施されることが望ましいと考えられますが、どのような
態勢整備
を考えておられるのか、
国家公安委員長
の
見解
をお伺いします。 さらに、大
転換
期にある
我が国社会
においては、
国民
から求められる
警察活動
も多種多様、多方面にわたり、
警察
の
守備範囲
は広範な領域に広がっております。このような
状況
の中で、
警察当局
が、
個人
の権利と自由を保護し、
公共
の安全と
秩序
を維持するため
責務
を遂行するには、
国民
の
理解
と
協力
が不可欠と考えます。 そこで、
警察
が不偏不党かつ公平中正であり、
国民
のための存在であるという
観点
から、
警察
に関する
組織
、予算、
人員
、
活動状況
などを広く
国民
に
情報公開
する必要があります。
オンブズマン制度
などの
監査
・
監視制度
を充実することも一考に値します。
国民
と
警察当局
とが積極的にコミュニケーションを図ることによって、より一層
国民生活
の平穏と安全が確保されると考えますが、
橋本総理
の
見解
をお聞かせください。
最後
に、
犯罪被害者対策
についてお伺いします。
警察庁
の
任務
は、
犯罪捜査
だけではなく、
被害者対策
は非常に重要であり、
國松警察庁長官
も、
被害者対策
は
警察活動
全体の柱であり、それは単に
一つ一つ
の
措置
が適切にとられるということだけで満足すべきものではなく、
警察官
の
意識改革
を伴う
精神活動
として展開されるべきであると述べておられます。
警察庁
においては、二月には「
被害者対策要綱
」が
制定
されたようでありますが、そこで、今後の
警察庁
の
被害者対策
の
基本方針
、それに、
オウム真理教関連事件
の
被害者
に対して
事件発生
以後どのような
対策
を講じてこられたのか、詳しく御
説明
をいただきたいと思います。
警察活動
が
国民
の
生活
と安全を守るための公権力の
行使
であればこそ、
国民
の
信頼
なくしては成り立ち得ないのであります。
重大凶悪事件
が続発する今こそ、
地域社会
に密着した
都道府県警察
の着実な
活動
こそが
警察
に対する
国民
の
信頼回復
の条件なのです。
総理
並びに
国家公安委員長
におかれましては、今後とも
自治体警察
の
原則
を堅持し、
国民
の
生活
と安全のため一層活躍されることを期待して、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣橋本龍太郎
君
登壇
、
拍手
〕
橋本龍太郎
6
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
和田議員
にお答えを申し上げます。 まず、戦後
日本
の
社会経済システム
の再
構築
についての御意見をいただきました。 戦後五十年を経て、これまでの
経済社会システム
にさまざまな問題が生じておりますことは御
指摘
のとおりであり、二十一
世紀
を間近に控えて、
我が国
は現在大きな
転換点
に差しかかっております。すなわち、内外におきまして、グローバリゼーションの進展、高次な
成熟経済社会
への
転換
、さらに少子・
高齢社会
への移行、
情報通信
の
高度化
といった大きな
潮流変化
が生じており、これらに的確に
対応
してまいりますためには、政治、
行政
、
経済
、
社会
などあらゆる分野で根本的な変革が求められております。 このような
認識
の
もと
に、御
指摘
の新たな
金融
・
経済システム
、
危機管理システム
などを含め、来るべき
世紀
にふさわしい新たな
システム
をつくり出すべく
全力
を傾けてまいります。 次に、
自治体警察制度
に対する
基本的認識
であります。
都道府県警察
を
単位
として各
都道府県警察
がその
判断
と
責任
の
もと
に具体的な
執行
を行うとする
現行
の
自治体警察制度
は、
現行警察法
の
制定
以来、
治安
についての国の
責任
に基づく補完的な
関与
を加味しながら、効果的かつ効率的に運用されてまいったと思います。 また、今回の
改正案
第六十一条の三に申します
警察庁長官
の
指示
は、
広域組織犯罪
などに対処するための
関係都道府県警察
間の役割の
分担
でありますとか、
指揮系統
の
調整
などの
態勢
に係る
事項
に限られるものであり、
個々
の
警察活動
にわたるものではございませんので、
中央統制
が強まるといった心配はないと思います。したがいまして、今回の
改正案
におきましても
現行
の
警察制度
の
根本原則
に変更を加えてはおりません。 次に、
地方分権
の
推進
と
警察制度
の
あり方
についての
お尋ね
であります。
警察制度
の
あり方
につきましても、
地域警察活動
のような
住民
に身近な
事項
につきましては各
都道府県
にゆだねるとともに、広域的な
警察活動
につきましては、国としての一定の
治安責任
を果たし得るものでなければならないと思います。そして、そうした
視点
から見るとき、私は、
我が国
の
自治体警察制度
というものは非常によくっくられた
制度
だと思ってまいりました。
現行
の
都道府県
を
単位
とする
自治体警察制度
というものは、私はこうした
観点
からも適切なものだと思いますが、さらに
広域組織犯罪
に迅速かつ的確に
対応
することができるよう、今回の
警察法改正
をお願いしているところであります。 次に、
警察行政
に関する
情報公開
と
監査
などの
制度
につきましては、
警察行政
というものの円滑な運営も、当然のことながら
国民
の
理解
と
協力
があって初めて実現されるものでありますから、
警察
におきましても、私は、従来から
国民
に対する
情報
の提供には努力をしてこられていると、そう思ってまいりました。 また、
警察行政
につきましては、既に、
市民
の声を反映させ
市民
によってコントロールするための仕組みとして
公安委員会制度
が設けられております。従来から
国家公安委員会
及び
都道府県公安委員会
による
警察
の
民主的管理
というものは適正に行われていると考えており、改めて他の
制度
を導入する必要はないと私は思います。
最後
に、
被害者対策
の
基本方針
につきまして、
犯罪
の
被害者
は、
犯罪
による直接的な
被害
だけではなく、その結果として精神的な
被害
、
経済
的な
被害
など多くの
被害
を受けていると思われます。また、
警察
は、
被害者
にとりまして身近で密接なかかわりを持つ機関でありますから、
被害
の
回復
や再発の
防止
についても大きな期待が寄せられております。 こうした点を踏まえ、
警察庁
では、本年二月から今後の
基本方針
として、
被害者
の
視点
に立って、
被害者
の救援、
事情聴取
における
被害者
の
精神的負担
などの二次
的被害
の
防止
、軽減などの諸施策を
組織
的、総合的に
推進
することとしております。 次に、
オウム真理教関連事件
の
被害者対策
についてでありますが、
オウム真理教関連事件
の
被害者
、その御遺族に対しましては、
関係都道府県警察
において
捜査状況
の連絡、各種御相談に応じるなどしてまいりましたほか、
犯罪被害者等給付金支給法
に基づき、十一名の
被害者
に対しまして総額五千四百五十九万六千円の
給付金
を支給いたしております。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から御
答弁
を申し上げます。(
拍手
) 〔
国務大臣倉田寛之
君
登壇
、
拍手
〕
倉田寛之
7
○
国務大臣
(
倉田寛之
君)
広域捜査態勢
の
問題点
についての
お尋ね
でございますが、
平成
六年の
警察法
の
改正
におきましては、
合同捜査
の
制度
に関する
規定等
、
都道府県警察
間の
協力
に関する
規定
が
整備
され、複数の
都道府県警察
が
管轄権
を有する
事案
につきまして、その処理を円滑に行うために、
警察本部長
が
相互
に協議して定めたところにより、
関係都道府県警察
の
指揮
を
一元化
することができることとされたところでございます。 今回の
オウム真理教関連事件
の
捜査
におきましても、
警察庁
の
指導調整
の
もと
、その
改正規定
による
指揮
の
一元化
が有効に機能して
捜査
が円滑に
推進
されたところでございますが、「
目黒公証役場事務長拉致事件
や
地下鉄サリン事件
が
発生
する前に、
警視庁
が
山梨県内
の
オウム真理教関連施設等
に対し
権限
を及ぼすことができなかったのか」などの
指摘
を受けておるところでございます。 しかし、
現行法
上、
個々
の
都道府県警察
は、
犯罪
が
管轄区域
内の
公安
の
維持等
に関連することを明確に認定できなければ
権限
を及ぼすことが困難でございます。
犯罪
に
対応
するために必要な
全国
的な
警察
の
態勢
につきまして
判断
することは困難であります。こういった問題があります。 このために、
広域組織犯罪等
に関し、
都道府県警察
の
管轄区域外
における
権限
、
警察庁長官
の
指示
などについて
規定
を新たに
整備
する必要があり、今回の
改正
をお願いいたしているところでございます。
坂本弁護士事件等
数点について
お尋ね
がございました。
坂本弁護士事件
につきましては、
事件発生
直後から、
弁護士一家
が何らかの
被害
に遭っている
可能性
が高いものとして、
捜査本部
を設置し、
初期的段階
から
オウム真理教
の
関与
についても視野に入れた
所要
の
捜査
を鋭意進めてきたものと
承知
をいたしています。 次に、
松本サリン事件
につきましては、
サリン
が
犯罪
に使用された初めての
事件
であり、
警察
にも戸惑いがあったものでありますが、第一
通報者
については、あくまで第一
発見者
、
被害者
として適正な
捜査
を行ったものと
承知
をいたしております。その過程において、第一
通報者
に対して御心労をおかけしたことにつきましては、大変申しわけなく感じている次第であります。 また、
地下鉄サリン事件
につきましては、結果的に
強制捜査
に着手する直前にその
発生
を見たことはまことに残念でありますが、
警察
は、
松本サリン事件
や
公証役場事務長拉致事件
などについて、証拠に基づき
一つ一つ
事実を積み重ね、懸命な
捜査
を行ってきたものと
承知
をいたしております。 さらに、一連の
オウム真理教関連事件捜査
につきましては、
警察庁
の
調整
の
もと
、
関係都道府県警察
及び
警察
各部門が緊密な連携を図るなど、
警察
の全
組織
を挙げた懸命な
捜査
を行ったものと
承知
をいたしております。
警察庁長官狙撃事件
については、
発生
直後から
警視庁
を
中心
に鋭意
捜査
を
推進
しているところであります。また、
全国
の
警察
におきましても
関連情報
の
収集
に努めておりますが、
犯人
の特定には至っておりません。 本
事件
は、
我が国
の
警察
の
最高責任者
である
警察庁長官
がけん銃で撃たれるという極めて重大な
事件
であり、本
事件
の解決なくして
国民
の
治安
に対する
安心感
、
警察
に対する
信頼感
を取り戻すことはできないと
認識
をいたしております。国の
治安
を預かるものとして、このような
認識
の
もと
、
警視庁
を初め
全国警察
の総力を挙げて
犯人
の検挙に取り組む所存であります。
自治体警察
の
原則
に対する基本的な
認識
についての
お尋ね
でございますが、
総理
からも
答弁
がありましたとおり、
都道府県警察
がその
責任
と
判断
の
もと
に具体的な
執行
を行うとする
現行
の
自治体警察制度
につきましては、
政府
が進めております
地方分権
の
推進
の
観点
からも極めて意義あるものと
認識
をいたしているところであります。 今回の
改正案
につきましても、
オウム真理教関連事件
の
経緯
にかんがみまして、各
都道府県警察
が
広域犯罪等
に迅速かつ的確に対処できるようにするために、国が
全国
的な
立場
から補完的に
関与
することとするものであり、具体的な
捜査活動
における
個々
の
方針
や方法の
指揮
を行うものではございません。したがいまして、
都道府県警察
がその
判断
と
責任
の
もと
に具体的な
執行
を行うとする
現行
の
自治体警察制度
の枠組みを変更するものでもございません。
地方分権
の
推進
と
警察制度
の
あり方
についての
お尋ね
でございますが、
地方分権
の
推進
は、現在、
政府
を挙げて取り組んでいる
重要課題
であります。
自治体警察制度
もその
趣旨
に沿ったものであると
認識
をいたしております。
警察
におきましては、
地域
に密着した
警察活動
の
重要性
にかんがみまして、交番の
機能強化等
、
地域社会
における安全の確保のための諸方策を講じているところでございます。このような
地域警察活動
の基盤の
強化
の上に、国が
都道府県警察
の
活動
を補完的にサポートし、
広域組織犯罪等
に迅速かつ的確に対処することができるようにするため、今回の
改正
をお願いいたしているところであります。 次に、具体的な
内容
についての
お尋ね
でございますが、まず第一に、「
広域組織犯罪等
」に該当する具体的な
事例
としては、
オウム真理教関連事件
と同種の
テロ事件
、
全国
の広範な
区域
にわたって
組事務所
や傘下の
組織
を有する
暴力団相互
間の
対立抗争事件
などがございます。また、「
広域組織犯罪等
」にいう「
組織
」についてでございますが、ただいま申しました
オウム真理教
や
暴力団
のほか、薬物の
密売組織
などのような多数人の
集合体
を指すものであります。 第二に、
広域組織犯罪等
に関し、
都道府県警察
が
管轄区域外
で
権限
を及ぼすべきか否かの
判断
につきましては、
発生
した
事案
の
規模
や
態様等
の具体的な
事情
に基づきまして個別的に行う必要がありますので、あらかじめ定型的な
判断基準
を示すことは困難であると考えております。 第三に、「
警察
の
態勢
に関する
事項
」とは、
捜査
を行うべき
都道府県警察
の
範囲
、その間の
任務分担
、
指揮系統
の
調整等
に関する
事項
を指すものでございます。 また、
広域組織犯罪等
の
捜査
に当たっての
態勢整備
の
あり方
についてでございますが、
広域組織犯罪等
とは、
全国
の広範な
区域
において
公安等
を害し、または害するおそれのある
事案
を言うものでありますから、すべての
都道府県警察
が
広域組織犯罪等
を処理するため
管轄区域外
に
権限
を及ぼし得ることとすることは、
現行法
の
自治体警察制度
の基本的な枠組みに変更を加えるものではございません。 このように、
広域組織犯罪等
の
捜査
はいずれの
都道府県警察
もこれを実施することができるものでございますが、その
捜査
をいずれの
都道府県警察
が
中心
となって行うかなどの具体的な
態勢整備
の
あり方
については、
事案
の
規模
、その
発生
地を管轄する
都道府県警察
のとり得る
態勢
の
内容
等に応じ、個別的、具体的に決せられるものと
承知
をいたしておるところであります。
被害者対策
の
基本方針
についての
お尋ね
でありますが、
被害者
の方々は、
犯罪
によって多大の身体的、財産
的被害
をこうむるばかりでなく、特に殺人
事件
の遺族や性
犯罪
の
被害者
の方々につきましては、その
犯罪
によって極めて大きな精神
的被害
を受けておられるのであります。 また、銃器使用による殺人
事件
や
サリン
事件
等によって
被害者
の救済に対する関心が高まっており、国際的にも
被害者
の権利を重視することが近年の潮流となっているのであります。 こうした点を踏まえまして、
警察庁
では、有識者からの提言等も参考にしながら、
被害者対策
についての
基本方針
をこのほど取りまとめ、本年二月に各
都道府県警察
に示したところであります。 その
基本方針
につきましては、
総理
から先ほど御
答弁
いたしましたとおりでございますが、具体的な施策といたしましては、「
被害者
の手引き」の作成・配布、
被害者
連絡係の設置、性
犯罪捜査
における婦人
警察官
による
事情聴取
の拡大、
被害者
カウンセリング連絡
体制
の
整備
等を図ることといたしております。 次に、
オウム真理教関連事件
の
被害者
に対しての
対策
についての
お尋ね
でありますが、ただいま
総理
が御
答弁
申し上げたとおりでございます。 いずれにいたしましても、
警察
といたしましては、今後とも
被害者対策
に一層の努力をしてまいる所存であります。(
拍手
)
斎藤十朗
8
○
議長
(
斎藤十朗
君) これにて質疑は終了いたしました。 —————・—————
斎藤十朗
9
○
議長
(
斎藤十朗
君)
日程
第一
日本学術振興会法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。文教委員長小野清子君。 ————————————— 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ————————————— 〔小野清子君
登壇
、
拍手
〕
小野清子
10
○小野清子君 ただいま議題となりました
法律案
につきまして、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本
法律案
は、学術研究を積極的に
推進
するため、
日本
学術振興会の目的及び業務に学術の応用に関する研究を行うことを加えるとともに、
日本
学術振興会に対し
政府
が出資することとする等、
所要
の
措置
を講じようとするものであります。なお、衆議院において、施行期日等について修正が行われております。 委員会におきましては、学術の応用に関する研究の意義、未来開拓学術研究
推進
事業の目的と
内容
、研究テーマの選定方法、同種事業に係る関係省庁間の
調整
・連携の
あり方
、外国人教員の雇用などの諸問題につきまして質疑が行われましたが、その詳細は
会議
録によって御
承知
願います。 質疑を終了し、採決の結果、本
法律案
は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
11
○
議長
(
斎藤十朗
君) これより採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
斎藤十朗
12
○
議長
(
斎藤十朗
君) 総員起立と認めます。 よって、本案は全会一致をもって可決されました。 —————・—————
斎藤十朗
13
○
議長
(
斎藤十朗
君)
日程
第二 慶畜産業振興事業団法案(
内閣提出
、
衆議院送付
)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長鈴木貞敏君。 ————————————— 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ————————————— 〔鈴木貞敏君
登壇
、
拍手
〕
鈴木貞敏
14
○鈴木貞敏君 ただいま議題となりました
法律案
につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本
法律案
は、特殊法人の整理合理化を
推進
し、農産物の価格安定業務の効率的な運営を図るため、畜産振興事業団と蚕糸砂糖類価格安定事業団とを統合し、新たに農畜産業振興事業団を設立しようとするものであります。 委員会におきましては、
行政
改革
推進
の一環として行われる両事業団統合の具体的効果、新事業団の運営
方針
、農畜産物価格政策の
あり方
、肉牛、繭及び砂糖の生産
対策
等について質疑が行われましたが、その詳細は
会議
録によって御
承知
願います。 質疑を終了し、採決の結果、本
法律案
は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本
法律案
に対し、三項目にわたる附帯決議を行いました。 以上、御報告申し上げます。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
15
○
議長
(
斎藤十朗
君) これより採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
斎藤十朗
16
○
議長
(
斎藤十朗
君) 総員起立と認めます。 よって、本案は全会一致をもって可決されました。 —————・—————
斎藤十朗
17
○
議長
(
斎藤十朗
君)
日程
第三
自動車ターミナル法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長寺崎昭久君。 ————————————— 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ————————————— 〔寺崎昭久君
登壇
、
拍手
〕
寺崎昭久
18
○寺崎昭久君 ただいま議題となりました
法律案
につきまして、運輸委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本
法律案
は、近年の旅客輸送の利便性の向上及び物流の効率化の要請に
対応
し、自動車ターミナル事業を免許制から許可制とすることにより事業への参入を容易にするとともに、施設の変更、料金の変更等の事業運営上の手続を簡素化することにより、自動車ターミナル事業者による多様なサービスの提供を促進しようとするものであります。 委員会におきましては、自動車ターミナル事業の規制緩和による具体的効果、自動車ターミナルの
整備
促進と安全性の確保等について質疑が行われましたが、その詳細は
会議
録によって御
承知
願います。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、
日本
共産党筆坂委員より本
法律案
に反対の意見が述べられ、採決の結果、本
法律案
は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
19
○
議長
(
斎藤十朗
君) これより採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
斎藤十朗
20
○
議長
(
斎藤十朗
君) 過半数と認めます。 よって、本案は可決されました。 —————・—————
斎藤十朗
21
○
議長
(
斎藤十朗
君)
日程
第四 防衛庁設畳法の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長宮崎秀樹君。 ————————————— 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ————————————— 〔宮崎秀樹君
登壇
、
拍手
〕
宮崎秀樹
22
○宮崎秀樹君 ただいま議題となりました
法律案
につきまして、御報告申し上げます。 本
法律案
は、防衛庁の
任務
の円滑な遂行を図るため、防衛大学校に一般大学の大学院修士課程に相当する総合安全保障研究科を設置し得るよう同大学校の所掌
事務
を改めるとともに、統合幕僚
会議
に、防衛に関する
情報
の
収集
及び調査に係る統合幕僚
会議
の
事務
等をつかさどる
組織
として
情報
本部を新設し、あわせて、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊から統合幕僚
会議
に
所要
の自衛官を移しかえること等のため、自衛官の定数を改めようとするものであります。 委員会におきましては、
情報
本部の運用構想、防衛大学校総合安全保障研究科学生の募集対象等について質疑が行われましたが、その詳細は
会議
録によって御
承知
願います。 質疑を終わり、討論に入りましたところ、
日本
共産党を代表して笠井委員より反対の旨の意見が述べられました。 次いで、採決の結果、本
法律案
は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
23
○
議長
(
斎藤十朗
君) これより採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
斎藤十朗
24
○
議長
(
斎藤十朗
君) 過半数と認めます。 よって、本案は可決されました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時四十八分散会 —————・—————