○続訓弘君 私は、
平成会を代表して、ただいま御
報告のございました
規制緩和推進計画の
改定に関連して、
総理並びに
関係大臣に
質問いたします。
規制緩和は、自由な経済社会をつくり、国際的にも開かれた社会となるために必要な国家的
課題であると同時に、
国民生活に密接不可分なものであります。そのために、
規制緩和推進計画をさらに一層充実した
内容に
改定すべきことは当然であります。
そこで、まず
橋本総理の
規制緩和に対する基本
姿勢について伺います。
橋本総理が書かれました「政権奪回論」によれば、連立という体制は無難な最大公約数でしか物事を処理できないようでは日本の将来は託せないと主張されておられますが、今回の
改定はまさに連立政権の党利党略に左右された結論となっております。
NTT分割や持ち株会社の解禁といった重要な問題ほど与党内での利害が対立して調整が進まず、その結果、中身が極めて薄いことが
国民の
批判を招いております。これは
総理のいわゆる連立政権の限界を示すものと言わざるを得ません。
国民は、
橋本総理のリーダーシップに強い期待を寄せておりましたが、果たして
総理はどの程度積極的に指導力を発揮されたのでしょうか。今回の
改定では、日本の将来像が
国民には全く見えてこないのであります。この点に対する
橋本総理の明確な
答弁をお願い申し上げます。
現在の我が国は、政治、経済、社会あらゆる面において
構造改革が必要とされる大転換期にあることは
国民周知の事実であります。ところが、今回の緩和策は、
項目数こそ多いものの、
制度の根幹に踏み込まず、各省庁にとって痛みの少ない、数合わせに終始しているとの印象を免れないものであります。
総理には、この危機的
状況に対する認識が希薄であると断ぜざるを得ないのであります。「変革と創造」を標擁し、経済の
構造改革を最優先
課題とされる
橋本総理にとって、この日本の置かれた現状をどのように認識しておられるのか、御所見を承りたいと存じます。
次に、今回の
規制緩和推進計画の
改定における
行政改革委員会の意見の尊重について伺います。
行政改革委員会は、昨年十二月十四日、「
規制緩和の推進に関する意見」を
村山前
総理に
報告いたしました。委員十六人のうち官僚OBが一人だけという
行政改革委員会の
規制緩和小委員会によって練り上げられた
報告は、従来の官僚主導の作業によるものとは一味違ったものと高い評価を得ました。
行政改革委員会の意見については、
行政改革委員会設置法においてその尊重義務が明示されております。先般の施政方針演説においても、
行政改革委員会の意見を最大限尊重することを
総理みずからがはっきりと表明されております。
しかるに、NTT分割や持ち株会社解禁等の重要事項について先送りした今回の
規制緩和推進計画の
改定は、
行政改革委員会の意見を最大限尊重したものと果たして言えるのでしょうか。
総理の明確な
答弁を求めます。
さらに、
行政改革委員会は、
規制緩和について勧告権というこれまでにない強い権限を付与されております。今回の
改定作業の大詰めの段階で、各省庁の抵抗に危機感を抱いた
行政改革委員会が、計画の
決定直後の委員辞任や勧告権の行使を検討したという報道がございました。
そこで、
総理に伺いたいのは、実際に
改定計画が不十分であるという勧告が出された場合、その勧告はどのような効果を有するのでしょうか。私は、当然勧告に従うべきものと考えますが、重ねて
総理の明確な御
答弁をいただきます。
なお、今回の
改定では、NTTの経営形態の
見直し、持ち株会社の解禁、著作物の再販売価格維持
制度の
見直しなど、
改定内容の目玉とされてきた幾つかの
重要課題が先送りされておりますが、今後の
取り組みと方向づけについて、
総理の御
見解を伺います。
〔議長退席、副議長着席〕
さて、
規制緩和は、従来から臨調や行革審の提言を受けて逐次実施されてきたところでありますが、
平成五年八月に発足した
細川内閣が
規制緩和を政治が真正面から取り上げるべき
課題として大きく掲げました。続く
羽田内閣も、内外価格差の縮小をキャッチフレーズとして、透明性の
向上と国際的調和を図りつつ、自己
責任と市場原理を根拠とする民主的な経済社会の実現を高らかにうたいとげてから、一躍脚光を浴び、内外から大きな期待と熱い声援が送られたのであります。
しかし、その後、現連立政権となってからは、
平成六年の行革大綱のような型どおりの公的規制の
見直しを示すにとどまり、国内はもとより海外からも、現政権ではもはや日本に
規制緩和を期待するのは無理と、その当事者能力を疑問視する意見すら出ているのであります。こうした
指摘に対して
総理は何と答えられるのか、伺います。
規制緩和推進五カ年計画が三カ年に前倒して実施されたにもかかわらず、抜本的な構造改善につながるような目に見える形での
規制緩和はほとんど進んでおりません。一体その最大の要因は何だと思いますか。総務庁長官に御
答弁を願います。
規制緩和は公的規制の緩和・撤廃だけで完結するものではございません。公的規制と並行して、民間における
各種の競争制限的な
行為の撤廃もまた重要であります。談合、カルテル、取引慣行といったいわゆる民民規制は業界の
努力ですぐにでも撤廃できる事柄であるのに、既得権益にしがみついて慣行という形で残っており、
国民に大きな負担を強いる結果となっております。これら民間における規制の改善は、基本的には業界団体等の意識改革の問題かもしれませんが、行政の側においてもこれまでの保護育成中心の行政から政策中心の行政に転換する必要があると思います。そこで、民間における
規制緩和にどう対処されるのか、
総理の御所見を伺います。
次に、
規制緩和の情報開示と経済効果について伺います。
規制緩和は戦後改革の最大の
課題とされ、内外から強くその早期実現が要請されてきたにもかかわらず、それがなぜ必要であるのか、いまだに
国民の皆様には十分に
理解されているとは言えません。それは
政府が
国民の皆様に
規制緩和の経済効果について理論的、定量的な分析結果を明確に示していないため、
国民の多くは一体どの
制度を改善すればどのような新しい
事業の拡大が期待できるのか、また、
国民生活がどう豊かになるのか、ほとんどわからないままに来ているのであります。
規制緩和は、規制の数を減らすという視点より、経済的な効果をどう高めるかということに力点を置くべきであります。そして、
規制緩和に関するすべての情報をわかりやすく丹念に提供して、
規制緩和の効果を
理解してもらう
努力が極めて重要であると考えますが、これに関する総務庁長官の御所見を伺います。
あわせて、
規制緩和の経済効果の詳細について、経済企画庁長官に
お尋ねいたします。
関連して、内外価格差の是正について伺います。
内外価格差の問題は、これまでも豊かさの実感を妨げている大きな要因として繰り返し
指摘されてきた問題でありますが、私は、内外価格差がビジネスインフラのコストを引き上げ、日本産業の国際競争力を損なう要因ともなっていることをここで
指摘しておきたいと思います。
日本のエネルギー、オフィス使用料、電気通信料金などのビジネスインフラのコストの高さが国内産業の海外移転を招く結果となっています。そして、発展するアジアから日本が取り残されていくことにつながるということを
政府は認識し、この内外価格差の是正及び
規制緩和の推進に当たらなければならないと思います。これについての
総理の御所見を伺います。
次に、去る四月一日、米国通商代表部発表の「一九九六年外国貿易障壁
報告」について、国内の
規制緩和措置との関連で伺います。
発表によりますと、障壁数の最多国である日本は、八分野五十
項目にわたり不公正な貿易慣行を
指摘されております。この中には、新規のものとして著作隣接権、通信サービス、放送衛星サービス等が挙げられており、このような例示は将来をにらんだ戦略的なものであるとか、大統領選を意識した
成果強調型とも言われておりますが、米国の通商戦略の重心がサービス分野に移ってきていることを示しております。
このようないわゆる物以外のサービスについての
規制緩和は、今回の
改定で対外的に十分対応できるものなのでしょうか。特に
報告は、サービス障壁として、建設・建築・エンジニアリング、金融・保険サービス等も例示しておりますが、この分野についての対応を通産
大臣にお伺いいたします。
次に、日米間における
規制緩和の問題について伺います。
今回の
規制緩和推進計画の
改定について、米国側は、
橋本総理が二月に訪米された際、
規制緩和を強くアピールされたにもかかわらず、重要問題はすべて先送りされたと、よい反応を示していないと報道されております。
さきに行われた日米首脳会談では、日米の安全保障問題を中心とした協力関係が主要なテーマとなり、経済問題、通商問題はさほど大きなテーマとはなりませんでした。
しかし、クリントン大統領は、首脳会談後の記者会見や
国会演説でも、我が国の市場開放、自由競争の促進の
必要性を
指摘し、政治家の強力なリーダーシップの
必要性を随所で強調されました。
規制緩和計画については米国からも
総理の強いリーダーシップが求められることになると思いますが、米側への対応について、
総理の御所見を伺います。
次に、
地方公共団体における
規制緩和について伺います。
現在、
地方自治体においては、宅地開発等指導要綱、公害防止条例等によって国の定めた基準を上乗せ、横出しする規制が行われております。今回の
改定計画の中でも、
改定前の計画と同様、
地方自治体による規制については、「国・
地方を通ずる
規制緩和の推進の観点から、この計画の趣旨を踏まえ、規制の
見直しが進められることを期待する」としております。宅地開発等指導要綱については、昨年、自治省、
建設省からその行き過ぎの是正を求める通達が出されたと伺っております。
もちろん、
規制緩和の実効性をより高めるためには、
地方における規制の緩和は重要であると思います。しかし、一方では、
地方自治体がその
地域の実情に応じて自主的、主体的な判断のもとに個性的で多様性に富んだ
地域社会を実現していくことは
地方分権の観点からも非常に大事なことであり、
地方がそれぞれの
地域特性に合った形での規制をしていく中では、国の基準を上回るものが出てくることもあるわけであります。こういった場合、国は
地方自治体に対してその規制の緩和を求めるのか、それとも
地方の判断を尊重するのか、国、
地方を通ずる
規制緩和推進の要請と、
地域の自主性、自立性を高める
地方分権推進の要請との整合性をどう保っていくのか、
総理の御所見を伺います。
最後に、去る三月二十九日、
地方分権推進委員会から、機関委任事務の廃止を含む中間
報告が
橋本総理に提出されました。
これに関して都立大学の磯部力教授は、「「分権型社会の創造」と題する今回の中間
報告は、
地方分権推進法によって直接設置された
地方分権推進委員会が、同法の基本趣旨を具体化しつつ、その権威と
責任をもって来るべき分権改革の実現への具体的な道筋を示したものであり、これからの日本を方向付ける重要な処方せんとして、歴史的な意義を持つということができる」と毎日新聞にコメントしておられました。ところが、同じく毎日新聞によれば、「分権論議に不快感を募らせる中央省庁とその意向を受けた「
族議員」が、露骨な抵抗を始めた。三月中旬、自民党の関係両院
議員が自治省と総務庁の幹部を呼び、「こんなんじゃ法案は絶対につぶれる」などと声高な反対論をぶった」と報じておりました。
私は、あえてこのような報道を信じたくありません。なぜなら、
国会では日本国憲法が保障する
地方自治の実現を目指して、
平成五年六月に
地方分権の推進に関する
決議が、また、昨年五月には
地方分権推進法をともに全会一致で議決し、
地方自治体でも民間団体においても
地方分権の実現に真剣に取り組もうとしているさなかであるからであります。
橋本総理は、昭和五十年代、自民党
行財政調査会長として
地方分権に情熱を傾けておられました。私は、
総理が今なおいささかも変わらない情熱を持ち続けておられるものと信じ、
総理の
地方分権に対する基本
姿勢を伺って、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣橋本龍太郎君
登壇、
拍手〕