○風間昶君 私は、
平成会を代表して、ただいま議題となりました
平成八年度以降に係る
防衛計画の
大綱と新
中期防衛力整備計画について
質問いたします。
その前に、過日、北海道後志管内の豊浜トンネルで発生した岩盤崩落事故でお亡くなりになられました二十名の方々の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の
皆様には心よりお悔やみを申し上げます。
今回の事故処理におきましても、初動のおくれと縦割り行政の弊害が強く指摘されております。阪神・
淡路大震災での教訓が生かされていないと言わざるを得ませんが、この点について、まず
総理の御
見解を伺っておきます。
さて、
総理、本日より訪米の途につかれるとのことでございますが、訪米の真意について伺いたいと思います。
クリントン大統領の近々の来日は既に決まっており、それまでの間に片をつけるべき緊急重要な課題も特に見当たらず、あまつさえ
国会で
国民の大方の世論を無視した住専処理予算を審議している最中の外遊に疑問の声が上がるのは当然のことであります。この疑問に対する
総理のお答えが単にあいさつのためと聞かされては、マスコミの中では、四月解散の意思を内々伝えに行くのではないかとか、村山前首相が昨年出かけていって
北朝鮮軽水炉に対して資金を拠出させられたように、何か約束させられるのではないかという憶測が乱れ飛んでおります。この際、
総理に、訪米の真意について
国民にもわかりやすい
言葉で説明していただきたいと思います。
次に、今回の
防衛大綱策定に至った
世界情勢の
認識について、
総理並びに外務大臣にお伺いをいたします。
新
大綱にもあるとおり、
冷戦の終結により米ソ両大国
緊張のなくなった分、
地域紛争の複雑化、多様化が指摘されております。極東アジア
地域におきましても、
我が国が一方当事者となっている複数の領土問題が、
国民の願いとは裏腹に未解決のまま残されております。また、
北朝鮮の軍事的不安
要素は払拭されておりません。昨年の大水害により国内に不安がある現在では、なおさら同国の動きを注視する必要があります。さらに、香港の
中国返還、中台
関係など、
我が国の周辺にも不透明
要素が山積しているこの現状を外務大臣はどのように分析していらっしゃいますでしょうか。
また、これを含めた極東アジア全般の
情勢をいかに感じていらっしゃるか、
総理の御所見を承りたいと思います。
次に、沖縄の米軍基地問題について伺います。
昨年、沖縄で小学生女児が在沖米兵三名に暴行されるというまことに痛ましい事件が発生し、沖縄県民のみならず、全
国民に衝撃を与えたのであります。日米
関係は
世界で最も重要な二国間
関係でありますが、かといって
我が国が払うべき負担のすべてを沖縄に押しつけて許されるわけがありません。
総理、今回の御訪米に当たり、米軍基地の整理・縮小についてどれだけ踏み込んだ合意が得られるかが
国民的関心となっております。その
国民の声を
総理としてどのように受けとめていらっしゃるのか伺いたい。
さらに、本日の一部新聞報道によりますと、普天間飛行場を岩国に移転してもよいとの
米国の意向が伝えられたようですが、
総理のお考えとして、在沖米軍基地の整理・縮小という場合に本土への一部移転が含まれているのか否か伺います。
また、
防衛庁長官には、在沖米軍基地の整理・縮小についての交渉
内容を伺いたいと思います。
ところで、米海兵隊が去る十六日、具志川市を中心に町の中を十一キロ行軍し、市民に不安を与え、基地撤去を望む沖縄県民の気持ちを逆なでした結果となりました。行軍
訓練については、地元から何度も中止要請が出ており、地位協定
見直しの中でも検討すべき課題であると考えますが、
総理として沖縄の心にどうこたえていくのかをはっきりとお示し願いたい。
さて、
我が国は憲法で国際協力をうたい、その
実現化としてPKO法を制定いたしましたが、PKFについては施行後三年で凍結を見直すと規定されており、昨年八月にその三年が経過いたしました。現在、ゴラン高原へ
自衛隊の
部隊が派遣されておりますが、本来ならば
見直しの終わった法に基づいて派遣すべきでありました。しかし、
政府・与党は、三党間の政策論争とそれによる政権の瓦解を恐れ、何もしていないのであります。権力を維持したいばかりに、国際
社会に対して
日本の方針を提示することもなく、無責任な
内閣の姿を浮き彫りにしております。PKFの凍結解除だけでなく、PKO法の
見直しにどのようなリーダーシップを発揮するおつもりなのか、
総理の
見解を伺います。
総理、今こうして議論をしている間にも、ゴラン高原にいる
自衛隊の
諸君は身に危険を感じながら頑張っているのです。平和維持
活動といいましても、
日本で言う平和とは意味
内容を全く異にしているのであります。機関銃二丁はだめで一丁ならいいという議論は余りにもお粗末です。隊員が自分の生命を守るに足る武器の携行を現在以上に認めるべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
また、
安全保障理事会常任理事国入りの問題についても、
施政方針演説の中で「国連改革の進展
状況やアジア近隣諸国を初め国際
社会の支持と一層の
国民的
理解を踏まえて対処する」とおっしゃっていますが、周りの
状況を眺めているだけで、主体性もなければ「自立」もありません。国際
社会の中では、待ちの
姿勢だけでは通用しないのであります。常任理事国になって国連改革や
世界平和
貢献を
我が国が堂々と主張していくチャンスなのです。常任理事国になるという
姿勢を明確にすべきであり、入って何をするのかという積極外交が必要であると思いますが、
総理の毅然とした答弁を求めます。
次に、新
防衛大綱について伺います。
今回の
大綱策定は昨年の三月から十一月にかけて行われたものでありますが、その経過を一切
国民の前に明らかにしないまま議論を進めてきたのであります。
大綱は文民統制を大きな柱の
一つに数えておりますが、文民統制の意味するところは民主的な手続の遵守であり、新
大綱や
中期防の
策定に当たって
国会の承認を義務づけるべきではないかと考えますが、
総理のお考えを伺います。
次に、
大綱において専守
防衛に徹すると明確に定めておりますが、一方では基盤的
防衛力構想を打ち立てており、この
関係について御
質問をさせていただきます。
専守
防衛に徹する場合、周辺諸国の
情勢の変化により必要とされる
防衛力に変動があります。しかし、基盤的
防衛力を
整備するためには、周辺諸国の
情勢とは無
関係に一定の
防衛力を持つ必要があります。両者は矛盾する概念であり、実は
防衛費を抑えたいときに専守
防衛、
防衛費を使いたいときに基盤的
防衛力構想と使い分けただけなのではないかと思いますが、二者の
関係はどうなっているのでしょうか、
総理に伺います。
また、有事
対応として
日本は一体どのようなことができるのかについてはこの
大綱に全く触れられておりません。そもそも有事といっても、外国からの
侵略、大
規模な
自然災害、同時多発的なテロリズムなど幾つかの類型があり、それぞれについて
対応の仕方は異なるはずであるにもかかわらず、
大綱を読む限りでは
対応の具体的手順は一切不明であります。
例えば、「
関係機関との緊密な協力の下、適時適切に災害救援等の所要の行動を実施する」と言ってみても、仮に東京で直下型地震が発生して、
総理以下主要閣僚の生死が不明で、省庁間の連絡
もとれない場合、
自衛隊はだれの指示で動けばいいのかわかりません。また、地方から東駅への救援
部隊はどうやって東京に入り、所要は何時間ぐらいかを住民に知らせるにはどうすればよいのか、そういったことなど肝心なことは何もわからないのであります。いざというときの
対応は、心構えばかりではなく、こうした具体的な対処の方法を確立しておくことも不可欠であると考えますが、
総理の御所見を伺います。
さて、新
大綱が
日米安保体制の
もとでの共同対処を確認し、
日本単独の限定的小
規模侵略に対しては
日本が独力で対処するということがなくなりましたが、これは大きな前進であります。しかしながら、主要装備の削減については若干疑問があります。
政府は、質が
向上した分、量を減らしてもいいと説明しておりますが、今、
我が国が抱えている脅威は、核の脅威を除けば、質的脅威というよりもむしろ量的な脅威ではないでしょうか。今回の
措置がこうした現状にきちんと対処できるものか、
総理に説明を求めます。
次に、
中期防衛力整備計画について伺います。
まず、装備についてでありますが、連立三党の合意により、空中給油機や弾道ミサイルについては調査検討の対象として結論を先送りした形になっておりますが、全体としては、社民党のイデオロギーに押されて
正面装備が後退しているとの印象をぬぐえません。
正面装備の
あり方について
防衛庁長官に意見を求めます。
また、後方支援の中で、掃海
部隊は
日本は
世界最高の水準を誇りながら、これも
コンパクト化することになっております。これにより本当に掃海能力は後退しないのか、説明をいただきたいと思います。
さらに、装備の
コンパクト化に伴い、国内の
防衛関連
産業の
生産ラインに急激な
影響を与えることにならないのか、また、
技術研究の水準を維持できるのかを伺いたいと思います。
また、人員については、今回、
即応予備自衛官の
制度が導入されましたが、この
制度をうまく
機能させるためには、
国民にもっと広く
防衛に関する
理解をしていただく必要があります。例えば、
即応予備自衛官を招集する際、本人に対する手当の支給はもちろんですが、招集により人員の減少する
企業に対して財政的な支援
制度を講ずることができるのか、伺いたいと思います。
防衛は、
国民の
生命財産を守る大変に崇高な職務であります。にもかかわらず、
我が国においては堂々と
自衛隊出身であると言いにくい環境があります。それは一部政党の偏狭な
歴史観、
世界観が広まってしまったものであって、
自衛隊の責任でも
自衛官の
諸君の責任でもありません。
自衛官がもっと誇りと責任を持ったとき、
我が国の
防衛力の質的
向上が遂げられるのであります。そのための
施策について
総理に伺って、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣橋本龍太郎君
登壇、
拍手〕