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1996-01-25 第136回国会 参議院 本会議 第2号 公式Web版

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  1. 議事日程(会議録情報)

    平成八年一月二十五日(木曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二号   平成八年一月二十五日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第二日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      —————・—————
  2. 議長(斎藤十朗君)(斎藤十朗)

    ○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣演説に関する件(第二日)  去る二十二日の国務大臣演説に対し、これより順次質疑を許します。大久保直彦君。    〔大久保直彦君登壇、拍手〕
  3. 大久保直彦君(大久保直彦)

    大久保直彦君 おはようございます。  私は、平成会を代表し、橋本新連立内閣の出発に当たりまして、専ら橋本総理政治姿勢と今国会最大の問題であります住専問題について質問をいたしたいと思います。外交、内政の諸課題につきましては、同僚の永野議員にゆだねたいと存じます。  まず、二十二日の橋本総理施政方針演説を伺いました。内外の諸課題につきまして多岐にわたって言及されておりましたが、残念ながら、その演説からは、橋本総理のもとに新しい日本が出発するというイメージも響きも全く伝わってまいりませんでした。橋本カラーが見えませんでした。これは三党連立の限界でございましょうか。総理の御所見を求めたいと存じます。  新年早々、まだ国民正月気分も抜け切らない五日の日に、村山前総理の突然やめるという辞任発言に、多くの国民は我が耳を疑ったのであります。つい二、三日前の新年の年頭会見で、ことしを新たな挑戦の年にして、困難な課題にリーダーシップを持って果敢に挑戦し、責任ある政治を行っていくと決意を述べたばかりでございました。その舌の根も乾かないうちに政権を投げ出すとは、これほど国民を愚弄したことは今までに例を見ません。国民は年頭から政治家にだまし討ちに遭ったのであります。  憲法第七十三条に明記されているとおり、予算の編成は内閣にとって最も重要な仕事であります。その予算をみずからが責任を持って成立させることが総理の当たり前の使命であり、責任であります。その課せられた使命と責任を村山前内閣はみずからほうり投げてしまいました。  考えてみれば、村山前内閣が平成八年度予算で、住専という民間企業の経営の失敗のツケを国民税金で穴埋めしようという前代未聞の予算編成を行ったためと患われます。住専問題をこの国会で追及されたらとても持ちこたえられない、逃げるなら今だと、大蔵大臣ともども敵前逃亡したわけでございます。人心の一新などと言って取り繕いましようとも、責任感のかけらもない逃避行であったことは国民のだれの目にも明らかであります。  橋本内閣が誕生いたしました。前回の総選挙から橋本内閣で実に四つ目内閣の発足となり、しかも村山前内閣からは政権の枠組みが百八十度変わっているにもかかわりませず、ただただ政権の維持だけを目的にしているこの連立政権こそ、日本社会全体を閉塞感に陥れているその根源であると言わざるを得ません。  心ある賢明な国民は皆、今回の橋本内閣の発足を典型的な政権のたらい回したと見ております。今こそ国民に信を問い、新しい日本を創造していく基礎をつくるべきときではありませんか。これ以上前回の総選挙で国民と交わした公約と根本的に相入れない間違った政治を続けることは、民主主義におけるある意味では政治的犯罪に等しいと言わなければなりません。  もし、橋本内閣たらい回し政権ではない、全く新しい内閣だと言われるならば、前内閣が編成した平成八年度予算は、橋本内閣の顔に合うよう抜本的に化粧直しをして国会に再提出すべきであります。橋本総理がそれを拒否されるのでありますならば、平成八年度予算を初め村山前内閣が投げ出したままになっているあらゆる課題について、橋本内閣はその全責任を継承することを国民に言明すべきであります。  さらに、橋本内閣たらい回し政権でないと言うならば、何をもってたらい回し政権でないと言われるのか、また、あなたは村山内閣をどう評価されているのか、あわせて御答弁をいただきたいと存じます。  「新しい政権に向けての三党政策合意」の前文には、「今まさに日本の政治・経済・行政のより抜本的な構造改革が求められている」と述べられております。さぞかし本文では立派な目の覚めるような改革案が示されているかと思いつつ拝見いたしましたが、そこに述べられているのは「検討する」でありましたり、「早期解決を図る」であったりと、ほとんど中身はありません。空虚な言葉の羅列にすぎないものでありました。政策合意といえば、連立に加わる政党間の約束の意味と同時に、国民に対してこの連立政権がどのような政治を行っていくかを明らかにするものであります。しかし、これでは、頑張ります、一生懸命やりますと言っているだけで、具体的な施策がよくわからない単なる作文だと言わざるを得ません。  橋本総理国民は今、政治のけじめを求めております。水と油がくっついたような不可解な内閣の延長を求めてはおりません。今こそ、あなたの手で一日も早く衆議院を解散し、国民に信を問うべきではありませんか。そして、国民の意思に基づく政治を実現すべきであります。橋本総理の明快な答弁を求めます。  住専の問題に入りますが、初めに、阪神・淡路大震災から丸一年がたちました。六千三百人もの犠牲者を出し、今も仮設住宅で九万人もの方々が不便な生活を余儀なくされております。私ども平成会は、今後とも被災地の復旧・復興に全力で取り組んでまいりたいと存じます。  被災された障害者の方の話でありますが、彼は、自身も体が不自由な身ですが、多くの障害者の相談に乗り、皆さんの自立を助け、面倒を見てきた人であります。自立障害者のほとんどは家賃の安い文化住宅やアパートに住んでおられるそうでございますが、これらの住宅は全部つぶれました。今は仮設住宅におりますが、二年後には追い出されることになっております。皆、行く当ては全くありません。建て直されたマンションは家賃が高くて、到底生活保護の手当では入れません。悩み抜いたあげく、すがる思いで上京し、厚生省の役人に相談いたしました。役人は、そんなことは我々は知りません、次年度に考えましようと、けんもほろろに冷たく追い返したそうであります。彼は、今の官僚や与党の政治家は少しも国のことなど考えていない、困っている人を救おうという慈悲も責任もない政治ではありませんかと憤っております。  もう一例お話しします。西宮で震災に遭ったサラリーマン一家の話であります。  まじめに働いてマイホームを手に入れ、三人の娘と一家五人、何不自由ない生活を送っていました。震災で家は一瞬に崩れ、両親は亡くなり、大学、高校、中学の三人姉妹だけが残されました。大学生の長女は、生活費を稼ぐためにやむなく大学をやめ、コンビニで働いております。しかし、手取り十万足らずの収入ではとても生活費には足りません。  ほかにもたくさんこうした困った人がいるのに、政府は何も手を差し伸べようとしてくれない、その一方で大変な額の税金住専には気前よく投入する、一体、日本の政治というのは根本的に何かが間違っているのではないでしょうか、これがこの三姉妹の怒りの言葉であります。  将来あるこうした青少年の生の怒りの言葉を総理並びに大蔵大臣はどのようにお聞きになりますか。心の通った御答弁を求めます。  昨年の予算委員会で、阪神大震災被災者何とか国として個人補償も考えるべきではないかという論議がありましたが、それに対しては当時の武村大蔵大臣は、「少なくとも今日まで日本の仕組みとしては、私有財産にかかわる個人補償を真正面からするという仕組みになっておりません」と冷たく言い放ちました。また、村山内閣の閣僚は、「災害対策におきましても、個人の皆さんの受けられた損害を、国民税金でそれを補償するところまで踏み込んでいいかどうかは大変私は疑問に思うところでございます」と答弁しております。  その村山内閣武村大蔵大臣が、住専という民間の会社の経営破綻に対して税金を六千八百五十億も使うことを決定いたしました。被災者皆さんは、将来の希望も見えず、家はなくなってローンだけは残り、二重ローンを抱えながら、この不況の中、必死で再起しようと頑張っておられます。その方々が今回の住専処理策を聞いて何と思われたでありましょうか。多くの国民は怒っております。総理の答弁を求めます。  住専とは何か、住専というと何かもっともらしく聞こえてまいりますが、住専とは住宅金融専門会社の略称であり、すべて民間の株式会社であります。貸金業者であり、私的金融機関であります。  住専の設立は、一九七一年六月の日本住宅金融に始まり、大蔵省の指導のもと、都市銀行等の各金融機関が関連の住専を設立し、計八社となり現在に至っております。  住専は、名前のとおり、もともと大衆向け住宅ローン会社として発足いたしました。八社のうち七社までが設立当初の社長は大蔵省のOBでございます。バブル期には多くの大蔵省OB住専の役員となっておりましたが、経営が破綻に向かい始めるや否や、ほとんどの役員が身を翻しております。中には、二億円を超す多額の退職金を手にして去った役員もおります。大蔵官僚がつくった住専のしりぬぐいのために国民の血税を投入するとは、こんなことが許されていいはずはございません。  大蔵大臣大蔵省から住専に天下った方々の氏名と、その報酬並びに退職金の一覧を国民の前に明らかにしていただきたいと思います。その上で、その人たち経営責任をどう問うのか、例えば退職金の返上も含めてお考えをただしたいと存じます。総理並びに大蔵大臣、御答弁をいただきます。  また、住専には預金者はおりません。銀行等金融機関から金を借りて、それを又貸ししてその利息の差でもうけるという、いわゆるノンバンクでございます。ところが、大蔵大臣はさきの演説で、預金保険機構に住専勘定を設けて処理するとおっしゃっておられますが、預金者がいない住専処理にこの機構を使うなどということは筋違いも甚だしいと言わざるを得ません。大蔵大臣、答弁を求めます。  そこで、住専八社のうち農林系を除く七社について、九兆五千六百億という多額の不良債権を抱え破産状態になってしまった。今回、七社一括で倒産整理をすることになり、そこに国民税金六千八百五十億を投入することにしたのであります。  決定に至るまでの経過や理由の説明も全くなく、結論だけが深夜の村山前総理記者会見で明らかにされたのであります。国民はびっくりいたしました。国民一人当たり五千五百円、四人家族で二万円を超える金額を、突然、住専という聞いたこともない会社のために負担することになるのでございます。  昨年一年間で一万五千件に上る中小企業が倒産いたしております。長引く不況に苦しんでいる中小零細企業経営者の中には、年の瀬に四十万円、五十万円の金が工面できずに倒産に追い込まれた方々もおります。その方々が納めた税金がこんな形で使われる、これほど納税者である国民をばかにしたケースは例がありません。  要するに、住専問題とは、バブル経済のときに土地の値上がりでもうけようとした不動産業者とそれに融資した住専、さらには住専に融資した銀行や農協等金融機関が、バブルがはじけたあげくの投機の失敗であります。これはあくまで当事者が自分の責任処理すべきではありませんか。その民間の貸金業者住専処理のために国民税金を使うことはいかなる法的根拠によるものでございましょうか。  橋本総理お尋ねをいたします。また、久保大蔵大臣にもお尋ねいたしますが、民間企業である住専処理国民税金を使うという法的な根拠を示すことができますか、お尋ねいたします。お答えをいただきたいと存じます。  大蔵省は、今国会に住専処理法破綻処理手続法を提出して新たな立法措置を行おうといたしております。これは今回の住専処理国民税金を使うことが法的に根拠のない違法な行為であるから、新しい法律をつくってつじつまを合わせようというものであります。順序が逆ではありませんか。総理並びに大蔵大臣国民に何と説明されるのか、しかと御答弁をいただきたいと思います。  さらに、大蔵省は昨年八月に住専立入検査をいたしております。この結果、住専各社融資先融資金額がいかなるものであるかを掌握したはずでございます。住専が抱える不良債権の多くがいわゆる地上げ屋暴力団関係に融資されたと言われておりますが、問題は、大蔵省当局がこうした実態を承知の上で、その実態を隠したまま国民税金を使うことを決めたということではないでしょうか。  総理並びに大蔵大臣のもとには、大蔵省から住専立入検査の結果が報告されているか否か、しかと御答弁をお願いいたしたいと思います。  今回の住専処理策は、極めて不透明であります。全体像が見えません。国際金融界からの信頼をなくすとも言わざるを得ません。昨年の大和銀行事件のときは、大蔵省は不都合な情報を隠す、日本は隠ぺい国家だと、アメリカからごうごうたる非難を浴びております。今回の処理策作成国民には全く寝耳に水の決定でありました。  国民に債権を肩がわりさせるなら、住専がどこにどれだけの金を貸し、そのうちどれが回収不能になり、その責任者はこのように責任をとりました、今後はこのようになってまいりますと報告するのが当たり前ではありませんか。国民には事実を明らかにもせず、密室で談合によって国民に負担を求める決定をするなど許されることではありません。まずは徹底した情報の開示を求めます。  アメリカの例を引きますと、アメリカでは公的資金の導入の前段に、経営責任の追及、金融政策担当者責任明確化を徹底して行っております。そして、政府組織の改革まで行っております。あわせて、公的資金の導入はあくまでも異例の措置であるとの認識から、清算期間を五年と明示いたしております。さらに大事なのは、公的資金の規模を明確に国民の前に明らかにしたことであります。いわゆる不良債権の正確な金額規模国民に公表されたことであります。全体像を明らかにしたのであります。国民への情報公開を徹底して行っているのであります。それから国民に理解と協力を求めたのであります。  しかるに、我が国では、一月十九日に大蔵農水省より提出されました「住専等関係資料」には、貸付先企業名もなく、具体的な内容は一切開示されておらず、破綻状況は全く明らかにされておりません。ところが、実名入りのリストが報道機関を通じて今、出回っております。これはどういうことでございますか。政府が関知しているのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。  今、我々が求めております情報開示の内容は、貸し方の金額、借り方の社名、金額担保物件評価額と実際の融資額、現時点での不良債権の基準と不良債権見込み額、その補てんに必要な金額等々、これらが開示されなければなりません。  政府の役割は、公的資金をつぎ込む前に徹底した情報を開示し、必要であれば民事、刑事上の責任をも追及し、現状を国民の前にさらけ出すことにあります。総理並びに大蔵大臣、法務大臣に答弁を求めます。  重ねてお尋ねいたします。  「住専等関係資料」を見ても、六千八百五十億円の税金を投入する計算の根拠は全くわかりません。今回、回収不能とされる六兆四千億のうち、農林系金融機関が負担するとされてきた一兆二千億が突如五千三百億に圧縮され、その不足分税金が投入されるとも言われております。大蔵大臣、六千八百五十億円という数値の算出根拠を明確にしていただきたいと思います。  さらに、もっと大きな問題は、今回の処理策が最終的な解決でないということであります。すなわち、今回処理しようとしているのは、住専七社の不良債権九兆六千億のうち六兆四千億分の第一次損失の処理にすぎないのであります。  大蔵省は第二次処理案も考えております。一兆二千億と言われる事実上回収困難な不良債権処理に、第二次損失としてまたまた税金を投入することを考えております。けさの報道によりますと、金額は六千億以上の財政投入を考えているとのことでありますが、こうなると国民の負担は一人一万円を超し、標準世帯で五万円にも上る負担になるのでございます。大蔵大臣、この事実を明らかにしていただきたいと存じます。  その上に不良債権がまだ二兆円残りまして、正常債権と言われている三兆五千億円も近い将来不良債権化が予想されるという、まさに底なし沼のような状態であります。  それに対して、今後、処理が第何次まで続き、どれほどの税金が投入されるのかわからないという、解決の出口が全く見えないまま見切り発車したとしか言いようのない、全く信じられない処理案なのでございます。大蔵大臣、全体でどれほどの金額になるのか御答弁をいただきたいと思います。  また、母体金融機関も、債権を全額放棄する第一次処理策でさえ受け入れを渋っております。第二次処理でさらに追加の負担を大蔵省が要求することは、民間金融機関経営者に対して行政措置の名目で背任を強要するに等しいのではないでしょうか。既に各金融機関の株主も代表訴訟を辞さない構えと伝えられております。  ここでお尋ねをいたしますが、昨年十二月十九日に閣議決定されました住専第一次処理策について、母体金融機関一般金融機関はいずれも大蔵省が示した負担、すなわち三兆五千億円と一兆七千億の債権放棄の問題ですが、これは了承したのでございましょうか。了承したとすれば、いつ、だれが、どのような法的根拠に基づいてどのような手続で決められたのか、明らかにしていただきたいと存じます。大蔵大臣、御答弁を願います。  農林系金融機関についてはいかがでしょうか。農水大臣お答えをいただきたいと思います。  私の認識では、各金融機関はまだこの案を了承していないと思います。母体行の責任者は、筋の通らない住専処理案はのめないと明言をいたしております。各金融機関がこの第一次処理策を拒否した場合、今回の予算はどうなるのか、大蔵大臣お答えをいただきたいと思います。  予算金額を出すためには、当然その根拠となる積算が必要であります。ところが、今まで指摘してまいりましたように、今回の住専処理策の六千八百五十億の根拠は全く見当たりません。このような根拠不明の財政支出を盛り込んだ予算案は到底認めることはできません。まさしく、国民納税者を愚弄するものであり、国会審議に値しないものだと断ぜざるを得ないのであります。  情報開示並びに責任所在明確化が決着を見ない現状において、私は、六千八百五十億円の削除を要求するものであります。総理並びに大蔵大臣、しかと御答弁をいただきたいと存じます。  住専七社の借入総額は十二兆九千億であり、そのうち農林系金融機関からの借入額は五兆五千億であり、四二%もあるわけでありますが、大変な金額であると存じます。  この背景には大きな問題があります。それが一九九〇年三月に大蔵省が出した二つの通達であります。すなわち、その一つは金融機関不動産関連融資の増加を制限するいわゆる総量規制であり、もう一つは不動産業建設業、ノンバンクヘの融資の報告を義務づけた三業種規制であります。このとき、なぜか住専総量規制の対象から外されます。そして、三業種規制では、農林系金融機関に報告の義務を負わせていないのでございます。このように巧妙に例外を設けることによって、結果的に農林系金融機関から住専を経由して不動産業へ資金の流れを一気に加速させたのでございます。  具体的には、農林系金融機関住専に貸し込んだ金額は、通達が出される前年には一兆九千億でありましたが、それが通達が出された年に一兆円増加し、さらにその翌年には二兆円増加とふえ続け、通達後わずか三年で三兆七千億も増加しているのであります。信じられない異常な貸し出しであります。そして、その大半が、住専の本業である個人住宅ローンではなく、住宅開発業者リゾート開発ゴルフ場地上げ屋などバブル融資に使われたのであります。  その背景に、農水省及び農林系金融機関通達違反大蔵省及び住専法令違反という重大な問題があることも指摘をいたしておきたいと存じます。  橋本総理、一九九〇年三月当時の大蔵大臣こそ、あなたであることは周知の事実でございます。あなたが最終判断を下した通達が住専の巨額な不良債権を発生させた原因なのであります。橋本総理はこの責任をどのように受けとめておられますか、国民に釈明をしていただきたいと存じます。  あわせて、農林系金融機関の異常な住専融資について、農水大臣並びに大蔵大臣の見解を求めます。  そこで、農林系金融機関が出資してきた五兆五千億すべて元本が保証され、今回の負担も半分以下になっております背景には大きな問題が隠されております。それは林大蔵大臣時代大蔵省責任問題であります。  住専は、既に一九九二年には巨額の不良債権を抱えて破産状態にありました。当時、日本住宅金融主力銀行である三和銀行が九二年五月に提案した案では、日本住宅金融倒産企業とみなした上で処理を検討いたしておりました。他の住専各社経営陣も経営の破綻を認識し、破産して整理することを考えていたのであります。  当然、大蔵省住専経営破綻状況は認識していたはずであります。関係者は口をそろえて、九三年の時点で整理していれば損害額は現在の半分以下であったと述べております。  ところが、大蔵省は当時、強引なやり方で住専各社再建策をまとめ、結果的に問題を先送りするという方法をとったのでありました。住専借入先農林系金融機関であり、大蔵省農水省と交渉して再建策を立てるのであります。なぜか現在の処理策と全く同じパターンであります。  そして、九三年二月三日、大蔵省寺村銀行局長農水省真鍋経済局長住専再建支援について覚書を交わしているのであります。その覚書では、母体金融機関に全責任を持たせ農林系金融機関にはそれ以上の負担をかけないこと、住専への貸付金利母体金融機関は〇%、一般金融機関は二・五%で、農林系金融機関は四・五%とし、十年かけて再建しようというものでありました。  大蔵省は、この再建策を受け入れるように母体金融機関に対して強力に働きかけます。しかも、この再建策は明らかに母体金融機関に損害を与えるものであります。母体金融機関経営陣は、法に基づくならば特別背任罪が適用されるおそれすらあるこの再建策は断固拒否すべきでありました。しかし、大蔵省の強力な要請により、覚書に基づいてこの再建策が受け入れられるわけであります。  実は、この覚書の背景には信じられない策謀がありました。大蔵省は、母体金融機関に対して、母体行の責任において対応するという誓約書まで提出させたのであります。その一方で、農水省とともに、農林系金融機関に対して、元本ロスが生じることはないと説明をいたしました。このことにより農林系金融機関は、母体行の責任が約束されたと主張しているのであります。  このことは、昨年十二月の予算委員会野呂田農水大臣が、「母体行から母体行の責任において対応するという誓約書大蔵省に出しており、それに基づいて大蔵と農水が、この問題については母体行の責任で対応してこれ以上系統に負担をかけないという覚書を結んでいるわけであります。これは、私は、いわば一種の契約に準ずるものでありまして、あくまでこのことは遵守されなければいけないことだと思います」と答弁をされております。この覚書と誓約書が今回の住専処理案税金の投入という結果となった大きな役割を果たしているのであります。  ここでお尋ねをいたしますが、大蔵省銀行局長にこのようなことをする権限があるのでありましょうか。銀行局長の背後に大きな政治力があったからだという意見もありますが、権限もないのに民間会社の経営に介入して、明らかに不利益になることを押しつけるなどということが許されるのならば、経済社会は成り立ちません。この行為は明らかに公務員の権限を越えております。  これは刑法で言う公務員職権乱用罪に匹敵するものではないでしょうか。さらに、母体金融機関から強引に誓約書を出させ不利益を押しつけたことは、刑法上の強要罪にも類するものではないでしょうか。  その責任者である寺村銀行局長は、その後、国税庁長官となり、全国銀行協会の特別顧問に就任しております。特別顧問の職は、今回の住専処理策がまとめられた直後に突然辞任をされております。  政府・与党は、住専処理の過程で発見される民事上、刑事上の責任は厳格に追及すると国民に約束されております。土肥新検事総長も就任の記者会見で、住専問題について、政治的にも社会的にも大きな問題だ、犯罪があれば追及すると積極的な姿勢を示されております。  アメリカでは、昨年七月までに、日本の住専に相当するSアンドLを金融破綻に追い込んだ経営者等二千百八十六名を刑事告発し、千九百三十一人の有罪が確定いたしております。こうした厳しい処分があったからこそアメリカ国民公的資金を出すことに納得し、その後アメリカ金融機関も力強くよみがえったのであります。  総理、このアメリカの対応をどのように考えられますか。御所見を伺いたいと存じます。  こうした状況にかんがみ、私は、当時の大蔵省寺村銀行局長と小山嘉昭審議官が行ったことは、公務員職権乱用や強要などを含め、何らかの刑事責任が追及されるべきではないかと考えますが、法務大臣の御所見を伺いたいと存じます。総理並びに大蔵大臣の見解もあわせて御答弁をいただきたいと思います。  さらに、国会としても、国政調査権を発動して調査し、真相を明らかにすべきであると考えます。それに対して、総理初め関係大臣並びに行政として全面的に協力していただけるものと思いますが、いかがでありましょうか。  あわせて、梶山官房長官は、先日発刊された雑誌の中で住専問題に言及し、  当時の大蔵省幹部が、いまも素知らぬ顔をして重要ポストに居座ったり、天下り生活を謳歌することなど、許されるはずはない。  事態がここまできた以上、金融政策担当者金融機関のトップの責任者は、江戸時代の温情味溢れる大岡裁きでも「家財没収のうえ江戸四万所払い」といったところだろう。私はいまこそ、これを求めたい。責任論を後回しにして、敗戦処理の対策を練るなど本末転倒も甚だしい。重要なのは、まず責任を明確にすることである。 と述べておられます。私も全く同感でございます。  大蔵官僚の刑事責任を含めた責任について、梶山官房長官の御見解をお伺いいたしたいと存じます。  この住専処理策は、最終的に政治が、政府・与党が決定したものであります。しかも、我が国の金融業界が抱える不良債権は、大蔵省は三十七兆円と言っておりますが、実際には数十兆円とも百兆円にも上るとも言われております。住専の問題はその一部にすぎないのであります。この住専問題の処理に際して今回のようにゆえなき血税の投入を許したならば、今後、国民の負担は際限なく膨らみ続けるのであります。この金融界全体にわたるより深刻な問題をどのようにとらまえるのか。私は、我が国の金融システムを混乱に陥れさせた大蔵行政の責任を今、改めて問わざるを得ないのであります。  これまでも旧東京協和・安全の両信用組合を皮切りに、コスモ信組、木津信組さらには兵庫銀行と相次いで経営破綻に陥っております。その上、大和銀行の不祥事によってFRBによりアメリカからの撤退の断を下されるなど、我が国の金融機関不良債権問題や不祥事はまさに最悪の状況であります。  今、国際金融市場では、大蔵行政の不手際と我が国の不良債権処理に先が見えないことから、我が国の銀行が海外から資金を調達しようとした場合、他の外国銀行より金利の上乗せを求められるいわゆるジャパン・プレミアムなる不名誉きわまりないハンディを課せられているのであります。さらには、アメリカの格付機関、ムーディーズによれば、日本の銀行の信用度は昨年来極端に下落していることが指摘されております。  日本の金融行政のあり方を抜本的に問い直さなければならないことは明白であります。打つべき対策それ自体提案できない状態なのではございませんか。日本の金融制度のすべてにわたって抜本的改革のメスを加えずして、当面する深刻な金融危機から脱出できる見込みはないのであります。  橋本総理は、このような金融危機に対する深刻な認識と危機打開への覚悟を持っておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。  また、久保大蔵大臣は、かつて自民党の金融政策を手厳しく先頭に立って追及しておられました。その久保大蔵大臣が今回の住専処理策で本当に国民の理解を得られると思っているのでしょうか。大変失礼ではございますが、政治家としての良心と信念に基づいて、しかとお答えをいただきたいと思います。  これまでさまざま指摘してまいりましたが、住専問題に象徴される今日の金融危機を招いた最大の責任者はだれでありましょうか。大蔵行政の責任者こそその責めを負わなければならないと思います。具体的に言うならば、その第一は、九〇年の総量規制通達当時の橋本大蔵大臣であります。第二は、九三年、覚書、誓約書で解決を先送りした当時の林大蔵大臣。そして第三は、無責任住専処理策をつくり、国民税金を投入しようとした武村前大蔵大臣であります。  橋本総理、あなたの時代の大蔵行政の失敗が今日このような惨状をもたらしているのであります。そして、その最大の責任者は、総理、あなた自身であると断ぜざるを得ないのであります。  これら大蔵大臣こそ、国民に多大な損失を与えた責任をとって、議員辞職をして国民に謝罪すべきではありませんか。政治家責任をとらずして国民に負担を押しつけるなどということが許されるわけはありません。  総理、あなたこそ議員辞職の先頭に立つべきではありませんか。その覚悟と姿勢を示さずして国民の血税を使うなど許されることではありません。国民は怒っております。しかと御答弁をいただきたいと思います。  官房長官の御所見もお伺いいたします。  私ども平成会は、国家社会のために、国民の利益を原点として国政に取り組んでまいりたいと決意をいたすものであります。まさに二十一世紀は目前であります。国際社会の中で今日ほど我が国のリーダーシップが問われているどきはありません。国民の意思の反映あってこそ真の民主主義であります。日本の政治の進路を過たぬためにも、新しい日本の政治の出発のためにも、総理、今こそ衆議院を解散し、国民に信を問うべきであります。  橋本総理国民及びアメリカを初めとする諸外国は、あなたは筋を通す政治家だと見ております。今ここで国民に信を問わずして、何の筋を通すのでありましょうか。橋本総理政治家としての決断を期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
  4. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) ただいまいただきました大久保議員からの御質問に順次お答えを申し上げたいと思います。  まず、三党連立政権の限界ということについて御言及がございました。  私は、だれが首相でありましても、内閣として今何をなすべきかが一番重要なことだと思います。そして、さきの施政方針演説におきまして、それを念頭に置きながら、私なりの政治の方針を述べてまいりました。そして、一年半積み上げてまいりました三党連立政権の成果に基づきました政策合意をも踏まえてお話を申し上げたつもりであります。  私の姿勢は、次なる世紀を展望し、政治行政経済社会の抜本的な変革を勇気を持って着実に実行することであり、その上に立って、活気と自信にあふれた社会、二十一世紀にふさわしいシステムをつくり出していく変革と創造の政治を進めることであり、これを実践するためには、独善を戒めながら、何よりも国民の御理解と協力を得られるよう全霊を傾けていく覚悟であります。  また、村山内閣予算編成、成立という内閣使命責任をみずから放棄して敵前逃亡をしたという御発言がございました。私は、政治家の出処進退はみずからの信念に基づいて決定すべきものであると考えて、この決意を評価いたしております。  そして、一月十一日、内閣の初閣議におきまして、私から、平成八年度予算は現下の諸情勢に対処するために万全の内容を盛り込んだものであり、内閣の交代に伴う国政の停滞は許されないことから、新内閣においては村山内閣決定した予算の概算を引き継ぎ、予定どおり国会提出の運びとしたいという意思を明確に表明いたしました。その上で、現内閣責任においてこの概算に基づいて予算を作成し、閣議の決定を経て国会に提出し、御審議をお願い申し上げているところでありまして、内閣予算編成の責務を全うしておると思っております。  また、前内閣編成した予算なのだから抜本的な化粧直しをという御指摘がございました。  私は、今申し上げましたとおりの意思の表明をした上で、現内閣責任において村山内閣決定した予算の概算に基づいて予算を作成し、これは三党連立内閣としての三党の意思を表明したものであることを御理解いただき、本予算について見直しを行うことは考えておりません。  また、政権論についてお尋ねがありました。  村山総理が人心一新ということを求められて辞意を表明された後、これまでの政権運営の中で信頼を築いてまいりました三党の中で、政党間の協議を行いまして新たな政策合意を取り結び、その三党連立政権を堅持することを確認いたしました。その上に立って、三党から次期の首班候補として私が御指名をいただき、衆参本会議の首班指名選挙を経て国会から御指名をいただき、憲政の手続において何ら非難される点はないと考えております。  また、一昨年の衆議院選が終わりました時点で、残念ながら自由民主党は過半数を国民から衆議院においてお与えをいただくことはできませんでした。しかし、比較第一党であったことは事実であります。そして、その比較第一党、これは最も民意を受けた政党であります。その民意を受けた第一党が参画する三党連立政権というものは、より正当性を持つものであると考えておりますし、憲政の常道をいくものだと考えております。  また、村山内閣は、民主、透明性というものを基礎としながら、お互いの中での対話を常に行い、未曾有の大災害や凶悪なサリン事件というかつて経験をしたことのない災害や事件に遭遇しながらも、さまざまな問題の解決に当たり、例えば史上最大規模経済対策、あるいは宗教法人法の改正等を行ってまいりました。私は、この内閣を、みずからが閣僚の一員でありましただけに多少面映ゆい気持ちもいたしますが、立派な評価を与えてよいものと考えております。  また、解散についてのお尋ねがございました。  今まさに、議員から厳しい御指摘をいただきました住専問題の解決を初めとして金融システムの信頼回復が求められており、また予算の年度内成立など切れ目のない経済運営により、景気を本格的な回復軌道に乗せていくことが必要であります。  加えて、クリントン大統領の訪日を控え、沖縄の米軍基地問題について誠実に取り組み、我が国の外交にとって極めて大切な、最も大切なと言いかえてもいいかもしれません日米関係をより強固なものにするためにも、さまざまな課題が山積しておる中で政治の空白をつくることは許されておらないと考えております。  また、具体的なお話を交え、阪神淡路大震災被災者の声にどうこたえるかという御質問がありました。その具体的なお話を私も真剣に聞かせていただいたつもりであります。しかし、政府は、三度にわたる補正予算平成八年度予算案におきまして、被災者の当面の生活支援のための仮設住宅の建設や災害援護貸付金の貸し付け、あるいは公的供給住宅の建設等、生活再建のためのさまざまな施策を可能な限り盛り込むなど、全力で取り組んでまいりました。  地震発生から既に一年が経過をいたしましたが、阪神・淡路地域の一日も早い復興と、被災者方々生活再建に最大限の取り組みを行うことが内閣の最重要課題であることはいささかも変わりはありません。今後とも、県あるいは市、町と御相談をいたしながら、政府一丸となって取り組んでいく決意であります。  また、これに関連をし、地震の問題と住専処理にあわせてお尋ねをいただきましたが、我々は、地震の復旧・復興についての努力、これは全力を傾けていくと繰り返して申し上げておきたいと思います。  一方、住専問題につきましては、我が国金融システムの安定性とこれに対する内外の信頼を確保し、預金者保護に資するとともに、我が国経済の本格的な回復軌道に乗せるためにその早期処理が不可欠であり、こうした措置を講じることといたしました。  また、大蔵省に在職した経験のある住専役員の氏名と報酬等のお尋ねがございました。  住専七社の設立以来の役員の状況につきましては、その出身内訳を含め、先日、情報開示を行い、本院にも提出をさせていただいております。なお、各人の報酬、退職金の額につきましては、プライバシーの問題などもあり開示を差し控えておりましたが、そのような問題も含め、さらに検討させていただきたいと存じます。  次に、住専役員経営責任についてのお尋ねがございました。  これらにつきましては、住専各社についての経営者責任の徹底した明確化を図っていく所存であります。退職金の返上についてのお尋ねにつきましては、まず当事者が判断すべき性格のものだと考えております。  また、住専処理税金を使う根拠についてお尋ねをいただきました。  住専問題は、預金受け入れ金融機関を含めまして多岐にわたる関係者が複雑に入り組み、また、金額も巨額でありますことから、我が国の金融システム全体、さらには我が国経済全体の信用にもかかわる問題であり、一刻も早い解決が求められていたところであり、このために、我が国の金融システムや経済に対する対外的な信用などをも慎重の上にも慎重に考えた上で財政資金投入を決断したものであります。  住専処理に関しましては、現在、所要の法律案の提出を準備しておるところでありまして、今後、予算、法案等御審議の場におきましてさまざまの角度からの御議論を通じ、国民の御理解を得るように努力したいと考えております。  また、住専立入検査の結果が報告されているかというお尋ねがございました。  細部にわたってはともかくとして、調査内容の概要を含めた住専処理策についての説明は受けております。  次に、住専貸付先実名入りリストが報道されているというお尋ねでありますが、これらについて、政府としては関知いたしておりません。  また、住専問題の処理に当たって、真相の解明と経営責任の追及が重要だという御指摘がありました。また、国政調査権への御協力につきましても御質問をいただきました。  政府としては、透明性の確保の観点から、先般、住専各社の財務状況等について資料を提出いたしましたが、今後とも住専問題をめぐる情報開示につきましては、本院の御理解、御協力をいただきながら最大限の努力を払う所存であります。  また、住専各社経営責任の徹底した明確化を図り、借り手、貸し手にかかわらず、その他の関係者につきましても違法行為に対しては厳正に対処してまいります。  住専問題につきまして何よりも求められておりますことは、透明性の確保、原因やさまざまの責任明確化であり、処理方策について国民の御理解を全力を挙げて得るためにも、こうした措置はきちんととっていかなければなりません。その上で、私どもとして、予算に盛り込んだ住専のための支出について削除を行うことは考えておりません。  また、九〇年三月当時の私自身の責任について厳しい御指摘をいただきました。このいわゆる総量規制通達と申しますものにつきまして多少申し上げたいと思います。  土地の関連融資につきましては、私が大蔵大臣に就任する以前から、通達やヒアリングを通じ、投機的な土地取引に係る融資を排除すべき指導は既に行われておりました。そして、私の就任後も同様の指導を行いますとともに、平成元年十月及び平成二年一月には、住専等が加入いたしております住宅金融協議会を初めノンバンクに対しまして、直接、投機的取引等に係る融資の自粛などについての要請を行い、さらに平成二年三月には、いわゆる総量規制通達を発出したわけであります。  これは当時の地価問題の重要性にかんがみ、前年末に施行されました土地基本法や金融機関の業務の公共性の趣旨を踏まえ、あえて一歩踏み込んだ措置として講じたものでございました。  そして、その時点におきまして農協系金融機関に対し、ノンバンク、不動産、建設といった三業種向けの融資報告を求めませんでしたのは、当時、既に他の通達によってその報告を求めているということであったと理解をいたしております。  また、九二年の三和銀行等措置の問題についてお話がございました。  過去における住専問題のお尋ねでありますけれども、平成四年の秋から関係者の間でさまざまな対応策が検討されたその過程で、当事者間の合意が得られなかったために実現しなかったものもあったと聞いております。  平成五年に住専の再建計画の策定の過程で関係省庁の間に覚書が結ばれましたり、母体行から大蔵省に文書が差し出された経緯がありますが、これは計画策定に当たりましての議論の整理及び意思の表明のためにつくられたものであるということから、権限の逸脱等の問題は特段生じないと理解をいたしております。  次に、SアンドLの問題に対するアメリカの対応についての御質問がございました。  米国におきましては、八〇年代後半に貯蓄貸付組合が大量に破綻いたしましたことを受け、整理信託公社が設立をされ、財政資金投入されると同時に、詐欺、横領、粉飾決算などの不正行為を働いた経営者などに対し、司法省を中心に厳格な責任追及が行われており、米国の法制度のもとにおいて厳正な対応が行われたものと承知しております。  先刻も申し上げましたが、我が国におきましても、この住専処理の過程におきまして民事上、刑事上の責任が発見されました場合には、厳格に追及されるべきものと考えております。  また、再建計画についての責任問題の御議論がございました。  私は、再建計画はあくまでも当事者間の自主的な話し合いにより作成されたものでありますので、職権の乱用等の問題は生じないと思います。  次に、我が国の金融危機に対する認識、危機打開についての覚悟のお尋ねがございました。  先刻、九〇年当時の通達責任の厳しい御指摘がありましたが、私は、我が国の経済を本格的な回復軌道に乗せていくために、金融機関不良債権問題を解決して金融システムに対する安定性と内外からの信頼を確保することは不可欠だと考えて、そのような認識のもとにこの問題についても真剣に取り組み、新たな金融システムの構築に全力を挙げたいと考えております。  私自身、昭和六十年代からの地価上昇が地方へも波及するといった状態の中で、平成元年夏から平成三年秋まで大蔵大臣として自分なりに努力をしてまいったつもりでありました。我が国の金融シテスムの信頼を取り戻すために全力を尽くして努力することでさらに責任を全うしたいと考えております。  最後に、解散についてでありますが、冒頭申し上げましたように、私は今日、政治の空白をつくることは許されないと考えております。  残余の御質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣久保亘君登壇、拍手〕
  5. 国務大臣(久保亘君)(久保亘)

    国務大臣(久保亘君) 大久保さんの御質問にお答えいたします。  最初に、総理から御答弁申し上げましたように、阪神淡路大震災につきましては最大限の措置を講じてきておりますが、災害復興、公営住宅の建設、道路・港湾等の整備等、これまで三回の補正予算におきまして計三兆二千二百九十八億円を計上したほか、八年度予算においても復興関連事業として多種多様な事業を盛り込んだところであります。今後も地元の復興計画を尊重しつつ、被災者の心を心として積極的支援を行ってまいります。  一方、我が国経済に対する信頼感を揺るがせている金融機関不良債権問題について、その解決のめどを早急につけるためには、象徴的かつ喫緊の課題となっております住専問題を一刻も早く解決することが不可欠であると考えております。このため、財政資金導入を決断し、本問題の具体的な処理方策を決定した次第であります。  次に、大蔵省から住専への天下りについては、総理から御答弁を申し上げました。  次に、一月十九日の「住専等関係資料」に実名がないにもかかわらず実名入りのリストが出回っていることについてのお尋ねがございましたが、この問題につきましては、そのようなマスコミによる報道があったことは承知いたしておりますが、内容に関しましては私の方では関知いたしておりません。  それから、大蔵省から住専立入検査の結果が報告されているかというお尋ねがございましたが、担当大臣として、この調査内容を含め住専処理策内容について今説明を受けているところであります。  次に、住専問題の処理においては、透明性の確保を図るため、国民及び国会に対して積極的に資料の開示を行っていくことが必要であり、大蔵省としては可能な限りの対応を行っていく所存であります。このような見地から、プライバシー保護等の観点から問題がないと考えられるものについては進んで開示することとし、去る十九日に国会等に対して公表したところであります。国会審議に協力を申し上げることは当然であると考えております。  なお、住専問題の処理に当たっては、住専経営陣責任を含め、種々の責任明確化することが必要であると思っております。仮に法的な問題が生じるような場合には、刑事、民事両面で厳正な対応が行われ、その責任を徹底的に追及すべきものと考えております。  六千八百五十億円についてのお尋ねがございました。  住専問題の処理については、関係金融機関に対し、母体行は債権の全額三兆五千億円を放棄、一般行は債権のうち約一兆七千億円を放棄、系統は約五千三百億円を贈与するよう要請がなされているところであります。今般、これに加え六千八百億円という金額政府資金を支出することとしたのは、住専の回収不能債権に係る損失見込み額、欠損見込み額について早期かつ円滑な処理を行うためであります。  また、今回の処理に当たっては、住専処理機構における不良債権の強力な回収について、預金保険機構が必要な指導助言を行うこととしており、その運営を強化するため、預金保険機構に設ける住専勘定に五十億円を出資することといたしております。  次に、住専処理機構が住専から買い取った債権等については、法律上認められているあらゆる回収手段を迅速的確に用いることにより、まず回収に全力を挙げることとしており、こうした回収努力を行うことによって、現在以上の損失が極力生じないように努めてまいりたいと思っております。  なお、御質問がございました二次処理案報道に関しては、現在、関係当事者間で最後の詰め、協議を行っているところであります。  次に、昨年末の住専処理に係る政府・与党合意及び閣議決定においては、民間金融機関に対し、債権の一部または全部放棄、贈与を行うよう要請することとされているところでありまして、総理から御答弁申し上げましたとおり、この趣旨に沿って関係当事者間の努力が行われているところであります。こうした努力が実を結び、円滑な住専処理が行われるよう努めてまいる所存であります。  また、六千八百五十億円の住専不良債権処理のための支出を削除しないかという御質問でございましたが、この点については、削除を行うことは考えていない。総理の方からお答えがありましたとおりでございます。  次に、農林系金融機関住専融資増加したことについては、当時の経営環境のもとで、それぞれの経営判断に基づき行われたものと考えております。  九二年、三和銀行を中心に策定された住専処理策を見送ったことについての所見につきましては、総理からお答えを申し上げました。  九三年二月の大蔵農水両省間に覚書が締結され、誓約書が存在したことについての御質問並びにその関係者責任についてのお尋ねがございましたが、再建計画の策定はあくまでも当事者間における自主的な話し合いの結果得られた合意に基づいて策定されたものであり、その際作成されました覚書は議論の整理のためのものであり、また、母体行から提出された文書についても、あくまでも母体行としての立場で再建計画について真摯に取り組んでいく意思を自主的に表明したものであると考えております。したがって、大蔵省銀行局の幹部が職権の乱用や強要を行ったわけではないと思います。  最後に、大久保さんから私に対して、この住専処理策で理解を得られると思っているかという御質問でございました。  我が国経済に対する信頼感を揺るがせている金融機関不良債権問題について、その解決のめどを早急につけるためには、その象徴的かつ喫緊の課題となっております住専問題を一刻も早く解決することが不可欠であるとの判断から、政府・与党一体となって今回の処理方策を取りまとめたものであります。  いずれにせよ、今回の住専問題の処理に当たっては、透明性の確保と、原因と責任明確化を図りつつ、国会審議等の場において議論を尽くしていただきたいと思っております。その上で国民の御理解を得るべく全力を尽くしてまいる考えであります。  とるべき行政責任につきましては、これを回避する考えは全くございません。(拍手)    〔国務大臣長尾立子君登壇、拍手〕
  6. 国務大臣(長尾立子君)(長尾立子)

    国務大臣(長尾立子君) 大久保議員の御質問にお答えをいたします。  破綻した住専経営幹部について、必要があれば刑事責任を追及されるべきではないかとのお尋ねでございますが、いわゆる住専をめぐる不良債権問題につきましては、債権の回収のための万全の措置を講じるとともに、関係者らの民事上、刑事上の責任が可能な限り明らかにされる必要があると考えております。  不良債権の発生にかかわった関係者らの刑事上の責任を追及すべきであると認められるような事実が明らかになった場合には、検察当局におきまして、警察当局等の関係機関と連携の上、法と証拠に基づき、これに厳正に対処するものと思います。  住専の再建支援のための覚書に基づき住専母体金融機関に対して誓約書を提出させた行為に対し、何らかの刑事責任が追及されるべきではないかとのお尋ねですが、具体的事実における犯罪の成否につきましては、捜査当局が収集した証拠に基づいて個別具体的に判断されるべき事柄であると考えておりますので、私からの答弁は差し控えたいと思います。  ただ、一般論として申し述べますならば、捜査当局は、刑事事件として取り上げるべきものがありましたなら、鋭意所要の捜査を遂げて事案の真相を解明し、法と証拠に基づいて厳正に対処するものと思います。(拍手)    〔国務大臣大原一三君登壇、拍手〕
  7. 国務大臣(大原一三君)(大原一三)

    国務大臣(大原一三君) このたび農林水産大臣を拝命いたしました大原でございます。よろしくお願いいたします。  大久保議員の御質問にお答えいたします。  まず、農林系金融機関住専処理策資金協力について了承したかどうかという御質問でございますが、住専処理案については、昨年末の農協等四連会長会議におきまして、農林系統にとってはその経営基盤の弱さから大変厳しい状況でございますが、我が国の金融システムが求められている早急の信頼回復に向け、これを真摯に受けとめるものとして受け入れることが承認されております。  それから次に、農林系金融機関住専向け融資についてのお尋ねでございますが、農林系金融機関住専向け融資については、住専の信用力、公共性等にかんがみ、金融機関貸し付けとして位置づけられたところであります。  こういう状況の中で農林系金融機関住専への融資増加させましたのは、当時、金融機関の競争の激化等を背景として、信用力のある取引先に融資することが農林系金融機関経営安定上必要であるとの理由によるものでございます。  なお、三業種に対する通達につきましては、総理大臣から御答弁のあったとおりであります。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣梶山静六君登壇、拍手〕
  8. 国務大臣(梶山静六君)(梶山静六)

    国務大臣(梶山静六君) 大久保議員にお答えをいたします。  ある雑誌への稚拙な投稿がお目にとまりまして、大変恐縮をいたしております。私的な投稿でございますので、これについて官房長官としての具体的な意見は差し控えたいと思いますが、責任とは、法律論以前の人間の生き方、古来からある恥の文化とかあるいは誇りの精神文化とか、こういうものが根底にあって責任問題は処理をされなければならないと考えております。どうか御理解のほどをいただきたいと思います。  大蔵大臣の経験者の責任問題については、総理から御答弁があった認識と基本的に同じでございます。  終わります。(拍手)
  9. 議長(斎藤十朗君)(斎藤十朗)

    ○議長(斎藤十朗君) ただいま議院運営委員会の理事が協議中でございますので、しばらくお待ちください。  答弁の補足があります。久保大蔵大臣。    〔国務大臣久保亘君登壇〕
  10. 国務大臣(久保亘君)(久保亘)

    国務大臣(久保亘君) 非常に多くの問題で御質問でございましたので、失礼をいたしました。  預金保険機構を使うことについての御質問でございますが、住専問題は金融機関不良債権問題における象徴的な課題であり、その早期処理により、我が国の金融システムの安定とそれに対する内外からの信頼が確保されるとともに、ひいては預金者保護にも資するものと考えております。  このような考え方のもとで、具体的な処理方策を実施していくに当たっては、預金者保護を図り信用秩序の維持に資することを目的とする預金保険機構を活用することが最善の方策であるとの判断をしたところであります。(拍手)     —————————————
  11. 議長(斎藤十朗君)(斎藤十朗)

    ○議長(斎藤十朗君) 村上正邦君。    〔村上正邦君登壇、拍手〕
  12. 村上正邦君(村上正邦)

    ○村上正邦君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、橋本総理並びに関係閣僚に質問と若干の提言をいたしますので、意欲的に前向きに答えていただきたいと存じます。  三党の連立政権であることにかんがみ、若干控え目に、配慮しながら、しかし自民党として聞くべきところはずばりお聞きしてまいります。どうかお役人的な答弁ではなく、本音、本心をお聞かせ願います。検討するなどという答弁はもう聞き飽きております。  まず、質問に入ります前に、内閣の行う施政方針演説のあり方についてみんなで考えていかなければならないと思います。  去る二十二日にこの本会議場において、総理ほか三閣僚より政府演説をお聞きいたしました。今回に限らず毎回感じておりましたことは、衆議院において全国放送や国会テレビを通じて既に放映され、今回は特に夕刊に全文が報道された後、おくれて参議院で一字一句同じ演説が行われているのであります。これは全くの二番せんじとなって、演説を行う方も気迫と感激性が薄れ、聞く方もつづり方を聞いているようで、この本会議場から国民へ向けて緊張感も熱気も伝わらないと思うのは私一人でございましょうか。参議院の予算委員会は非常に緊張感と活力、熱気があると言われていますが、国会論議の口火となる重要な政府施政方針演説だけに、改善に向けて一工夫あってしかるべきと思います。皆さん、いかがでしょうか。  さて、日本政治史の中で大きな節目となった三党連立、自民党と旧社会党、さきがけとの連立は、決して野合などと野党から非難されるものではなく、戦後の日本の繁栄と時代の進展の中で、双方の足らざるを補い合う必然の中で生まれたものであります。  それが証拠には、村山政権は、長年にわたる自民党単独政権ではなし得なかった課題、つまり水俣病患者の救済を初め、被爆者援護法の制定、消費税率の見直しなど多くの課題を三党連立政権の枠組みの中で解決し、日米安保条約の堅持、自衛隊の合憲を容認するなど、戦後五十年という歴史的な節目に重要な役割を果たしたのであります。  村山総理は、日本の行く末に深い思いをして、三党連立のさらなる強いきずなが求められるこの時期に退陣を決断されたものと拝察いたします。歴代首相の出処進退を見る限り、その決断は潔く、しかも鮮やかなものでありました。この村山総理の決断にこたえていくためにも、新しい時代にふさわしい政治を切り開くチャンスにしなければならない、私はそう決意しておりますが、総理の所感はいかがでしょうか。  日本は、来るべき二十一世紀に向けて、国家としての進むべき道を定め、さらに国際的な役割を果たしていかねばならない。今ほどそうした国づくりを進めることのできる強力なリーダーシップを求められている時代はないと私は考えております。  橋本内閣発足直後の各新聞の世論調査の数字を見ますと、支持率は六〇%前後と非常に高くなっています。国民の期待の大きさを知ることができるものであります。龍が雲を得て天に駆け登るように、橋本龍太郎総理国民の期待にこたえて日本の新しい国づくりに向けて大きく飛躍していただきたいのであります。  私は、三党連立は三頭立ての馬車だと考えます。個性の違う悍馬の持ち味を生かして初めて目的地に到達するのであります。橋本総理は、その御者として、政治の王道をばく進していただきたい。  過日の一月二十一日、国技であります大相撲は千秋楽でありました。大衆の大歓声で歓迎を受け、総理として初めてみずから総理大臣杯を手渡した。そのように、素朴にみずからの行動と言葉政治理念を国民に率直に語りかけてください。これからも、総理、人の意見をどしどし聞き入れてください。  橋本総理、あなたは国民の待望久しい総理であります。総理御自身、思いこもごもの総理の志があると存じます。その志、その思いを率直にお聞かせいただければと存じます。  さて、景気に幾らかの明るさが出て、株価も二万円台を回復し、三年連続のゼロ成長から脱する兆しが見え始めました。しかしながら、本格的な景気回復の軌道に乗るかどうかは今がまさに重要な段階にあり、その重大な決め手となる平成八年度予算を初め、税制等の関連法案の早期成立が強く望まれております。  自民党総裁選のとき、橋本総理は、今後一年間であらゆる政策を集中的に投入し、ゼロ成長からの脱却と本格的な景気回復を図ると強調されておりました。金融不安、特に住専処理、土地の流動化が喫緊の課題となっている今日において、総理としてどのような景気展望をお持ちか、どう取り組んでいかれるのか、その方針をお伺いします。  特に、景気回復の足取りを確かなものとし、日本経済の再建の基盤を固めるためには、金融不安の払拭、中でも大きな足かせとなっている住専問題の処理が焦眉の急となっております。  久保大蔵大臣は、我が参議院出身の初の副総理であり、大蔵大臣として入閣され、未曾有の難問に直面している金融・財政の立て直しの使命を担われました。今国会の最重要課題である住専問題の処理については、政争の具としてではなく、国民の目線で取り組んでいくことが肝要であります。  久保大蔵大臣は、社会民主党きっての財政通であり、高い見識を持ち、胆力もあり、西郷隆盛翁のような愚直さも備える薩摩隼人であります。国際的にも信用を回復するために、国民の期待にこたえるよう自信を持ってぜひ頑張っていただきたい。参議院の野党の皆さんも御賛同いただけるものと信じます。  住専問題を初めとする金融・財政再建の取り組みについての決意と、どう認識されているか、お聞かせ願います。  昨年暮れに決定されました住専問題の処理案、特に六千八百五十億円の政府支出案については、国民の大きな批判を巻き起こしています。住専七社の六兆二千七百億円に上る巨大な損失額について、明確な情報開示もされずに、責任問題もあいまいなまま、国民一人当たり約五千五百円に及ぶ負担を求めることはとても理解されにくく、我々は国民の声を真剣に受けとめ、全力を挙げて対応していかなければなりません。  長年、額に汗して営々と築き上げてきた中小企業が連鎖倒産の憂き目に遭ってもだれも、救済してくれない。乱脈経営金融機関だけになぜ公的資金導入がなされるのか。この大きな疑問に真正面から答えていかなければなりません。  「政治の要諦は、不公平と不安定をなくすにあり」、これは論語に示されている言葉であります。事は、住専の借り手、貸し手の徹底的な責任追及は言うに及ばず、金融行政責任、システムの総点検、大改革を要する問題であります。  莫大な公的資金導入する以上、プライバシーの守秘義務というベールはもはや許されません。政府が今日、資料開示に積極的に取り組んでいることは評価したいと存じますが、さらなる透明性の確保に努められるよう強く要望いたしておきます。  二次損失が最終的に二兆円を超すとの報道もある中で、今や、徹底的に不正を摘発し全力を挙げて不良債権を回収することにより、国民負担を軽くしていくことが至上命題であります。不良債権の回収機関の具体的構想はどのようになっているのか、大蔵大臣お答えを求めます。  特に、借り手責任の追及は重大であり、借り入れた法人役員個人責任、時効等の障害が出てくると思われますが、どのような特別措置が考えられるのかどうか、その点、総理及び大蔵大臣に伺っておきます。  また、住専各社には母体銀行から多数の幹部や職員が出向しており、その経営を担当してきたことは明白であります。住専本来の住宅ローン分野へ母体銀行は大きく進出し、住専を不動産融資に走らせ、さらに母体銀行から住専への紹介という形でリスクの大きな融資を押しつけた等、母体銀行責任は大変大きいものがあります。  また、このような事態を招いた責任明確化を求め、金融行政・検査・監督のあり方についていろいろ論じられています。バブルを抑制する融資総量規制を実施したときの大蔵大臣であった総理は、みずからの責任について、世間に誤解があると言われていると報道されています。先ほど大久保議員の質問にお答えになられましたが、そのこともわかりやすく機会があるたびに説明される必要があり、さらに金融行政のあり方についてどのようにお考えか、お聞かせをいただきたい。  住専処理問題は、もはやあいまいな解決は許されません。国民の目線で国会で審議を進めることが何よりも大切であります。二院制のもと、参議院としてもその役割を果たすべく、チェックすべき点については十分に責任を果たしていく決意であります。  景気停滞が長引く中で、国民生活を直撃している問題があります。その第一が中小企業の問題であります。  今までの日本経済発展を支えてきた中小企業は、産業の空洞化、下請の減少、単価の切り下げ等により、かつてない苦境に陥っております。さらに、日本の伝統的な技術、工芸を守ってきたさまざまな分野での後継者がいなくなっているという問題が生じております。これは地場産業衰退のみならず、日本文化、工芸の伝承という面からもゆゆしき問題であり、後継者の育成確保のため、例えば職人大学設立等を進め、ドイツのマイスター制度のように、職人の技能を養成し、資格を与える特別の施策を早急に打ち出すべきであると提案いたしますが、総理大臣のお考えはいかがでしょうか。  第二は、いまだ改善の兆しが見えない雇用問題であります。  特に、この春、大学、短大を卒業する若者たちのうち十五万人がいまだに就職が決まっていないことは、大変な社会問題であります。新たな人生へのスタート、社会への第一歩の夢が無残にも打ち砕かれた当人はもちろんのこと、我が子の成長を願い、生活費を削って仕送りしてきた御両親の心情を思うと、かつて労働行政責任を担ったことのある私といたしましては、いても立ってもおられません。  会社訪問を何十回と繰り返し、疲れ果てて私のところにやってきた女子学生が、私たちも働きたいのです、早く就職先を決めて親を安心させたいと悲痛に訴えました。これらの学生たちに何とか手を差し伸べられるよう国を挙げて取り組んでいただきたいと切に要望いたします。  また、昨年のWTOの発足に伴い、国内の体制の整備の問題があります。  日本の農業の再建、国民への食糧の安定確保が重要な課題となっております。特に、思い切った発想の転換により、農業の魅力を引き出し、若者が生き生きと農業経営に取り組む新しい農政の枠組みを示すことが何よりも必要であります。そのため、早急に新しい農業・食糧基本法を制定すべきでありますが、見通しを総理大臣にお伺いしておきます。  政府は、昨年、新経済計画を決定し、総理施政方針演説において「強靱な日本経済の再建」のシナリオを打ち出しておられますが、科学技術、情報通信等、経済フロンティアの拡大、経済構造改革の中で、中小企業役割をどのように位置づけ、雇用の安定確保をいかに図り、農業分野を含む日本全体を元気づけていかれるか、総理にお伺いいたします。  次に、これからの高齢化社会への対応や家族の問題でありますが、このテーマは総理がこれまでも一政治家として最も力を注いでこられた問題であります。  今や世界一となった長寿社会に魂を入れ、長生きして本当によかったと実感できるようにするのも政治の重大な使命であります。  ところが、老後のために長年節約して当てにしてきた貯金が、この史上最低の超低金利で十分の一近くに利子収入が激減してしまい、多くのお年寄りの暮らしが一段と厳しくなっているのが現実なのであります。  私ども参議院自民党は、昨年来この問題を取り上げて、年金生活者に金利上乗せ措置を講ずるように具体的提案を行い、金利を一%上乗せする一年定期預金が実施され、金融機関にも広がっております。  しかし、この問題は、こうした臨時の措置民間の協力のみで事足りる問題ではもちろんなく、今後の金融政策を推進するに当たり、景気の動向を見て超低金利政策の転換が必要であると思いますが、いかがでしょうか。総理の方針をお聞かせください。  間もなく四人に一人が六十五歳以上になる大変な少子・高齢社会が到来することになります。その準備のために新ゴールドプラン、エンゼルプラン等が策定され、さらに新たに介護保険制度の問題が検討されつつありますが、いずれにしても、その社会の基礎単位としての家庭の問題が一番大切になることは言うまでもありません。  家族の中ではぐくまれ、苦楽をともにする家庭からすべてが始まるのであります。ところが現実はどうでしょうか。安らぎ、助け合う家族のきずなが年々弱まっていると感じるのは決して私一人だけではないと思います。  高齢化が進展していく中、健全な社会をつくっていくために、この家族の問題についてどのように考えていかれるのか、これは個々人の人生観、価値観にもかかわる問題でありますが、家族のきずなの復活こそ新しい社会づくりの原点と考えます。お年寄りの介護保険問題も含め、総理のお考えを伺っておきたいのであります。  また、民法の改正で夫婦別姓が提案されようとしていますが、これは家族のきずなをさらに弱め、家族崩壊の芽をはらんだ大きな問題と心配しています。この問題につきましては国会で十分議論する必要があります。あわせて御答弁を願います。  また、子供の問題も深刻であります。  近年、痛ましい事件として、いじめ、自殺や不登校の問題があちこちで起こっております。担任の先生から、自殺にまで追い詰められているとは全く知りませんでした等という言葉が繰り返し聞かされるようでは、学校教育のあり方として根本的に反省しなければならないことは言うまでもありません。しかし、すべてを学校だけの責任ということでは問題の本質を見失ってしまいます。  学校教育については、対立していた文部省と日教組の対話が始まり、いじめを初めとする多くの問題について解決していく方向が出てきたことを大いに期待するものであります。いじめ、不登校等の問題には、戦後五十年の日本社会のひずみのしわ寄せが最も弱い立場の子供たちに襲いかかったものと考えます。教育現場と家族と地域の連携を緊密にして、健全な青少年が育っていくようにしなければなりませんが、総理大臣、この実態をどのように思われますか。  村山内閣は、戦後五十周年記念事業の重点施策として国立こども図書館の設立を計画し、その推進のため、党派を超えて二百余名の議員が加入いたしております。この議員連盟では、こども図書館をさらに発展させ、豊かな感受性を持つ子供たちの知的形成を助けるため、国際こども基金の設立を提唱しております。  総理は、施政方針演説において、文化立国への取り組みに対する強い決意を示されました。まさに文化こそ日本の存立基盤であり、また、子供こそ文化を継承し、我が国の将来をゆだねる相手であります。子供の目線で子供の生活全体を見た総合政策の立案に向けて、有識者による諮問委員会の設立を提案いたします。総理の御見解をお聞かせください。  さて、今ほど宗教の問題が国民的関心を呼んだことはかつてなかったことだと思います。あのオウム真理教は、宗教の名において、身震いするほど凶悪な数々の事件を起こしました。そのようなオウムになぜあれだけの若者が吸い寄せられていったのか。世間ではエリートと言われるような前途ある多くの青年たちが、いいように操られることになったのはなぜなのか。私たちは、教育のあり方も含めて宗教のあり方というものを深く考えさせられたのであります。  我々は、昨年、臨時国会で、宗教法人法の大きく不備な点について必要最小限度の改正を行いました。しかし、法改正の議論を通して他のさまざまな問題点が浮き彫りになりました。その中で看過することのできないのは、憲法二十条の政教分離の原則についての政府見解の見直し問題であります。  国民の信教の自由が保障されなければならないことは憲法の明記するところであります。が、同時に、いかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならないということについても憲法はうたっているのであります。  ところが、国の内外で活発な活動を続ける創価学会においては、公明党という自前の政党を結成して政治に大きな影響力を及ぼし、細川、羽田両内閣においては政権に直接参画するに至りましては、これが宗教団体の政治権力の行使でなくて何でありましょうか。  さらに、創価学会は、政権交代を主張する新進党の中にあって極めて大きなウエートを占めており、政治への影響力はこれまで以上に強くなっているとさえ言われております。  事態は、従来の政府見解が示したような、宗教団体の幹部である者と政権を担当する者とがたとえ同じ人物でも、法律上は別個の存在であるから憲法上の問題はないなどという形式論で済ましてはいられないところまで来ていることを政府認識すべきであります。  人が信仰を持つことは大変大切なことであると思います。私は、特に政治家が信仰心を持ち、政策や立場の違いを超えて和解し、調和し、許し合う心を錬磨することは、政治の自浄能力を高めるために極めて大切なことであると思います。しかし、そのことと、宗教団体が政治権力を行使してはならないという憲法二十条の規定の問題とは全く別問題であります。  宗教は、絶対的なるものへの畏敬であり、疑うことなく信ずることであります。一方、政治は、さまざまな価値観を持った多くの人々の最大多数の最大幸福を実現することにほかなりません。したがって、宗教の世界の価値観をそのままストレートに政治の世界に持ち込むことには、私は恐怖感すら覚えるのであります。まして、政治を宗教の手段とすることは厳に戒めなければならないことだと思います。あのオウム事件の始まりは、麻原を盟主とするオウム王国をつくるという目的を持ったときからであり、そこからさまざまな惨事が引き起こされたことを見逃してはなりません。  橋本総理国民がこの国会に特に注目しておりますのは、住専、宗教、そして沖縄問題でありますが、施政方針演説では宗教問題は取り上げられていませんでした。宗教と政治にかかわる問題について、この国会における位置づけをどうお考えになっているのか、私の質問のお答えの中で、この宗教と政治の問題で何が問題なのか、この際、触れていただきたい。  橋本総理、憲法二十条の政教分離の原則の政府見解の再検討に当たっては、宗教団体が実質的に政権を支配することの是非を初め、今申し上げたことを十分に念頭に置き、また、野坂前官房長官より、検討し政府見解を出すとの約束を踏まえて、遅くともこの国会中には新しい見解を示されるよう強く要望いたします。  加えて、宗教法人については、優遇税制の問題、認証のあり方等を初め、宗教団体の現状にそぐわない点など、いまだ多くの問題点があります。  本院は、今国会でも再び宗教法人等に関する特別委員会を設置して、宗教法人法の再改正を視野に入れながら、残されたこうした問題点を鋭意引き続き議論していく必要があると思っております。健全な信仰者を守るために政治は今何をなすべきか、我々は真剣に考えなければならないときであります。あわせて総理の御見解を伺います。  ちょうど一年前の阪神淡路大震災による甚大な被害で、今もなお仮設住宅で不便な苦しい生活を余儀なくされている方々が十万人近くもいるのであります。一日も早い生活基盤の回復に政府が一体となって努めていかなければなりません。鈴木国土庁長官の就任早々現地入りした姿勢は、さすがと敬意を表するものであります。  政府は、今回の大地震を教訓に十分な危機管理体制を整える必要があることは言うまでもありません。この阪神淡路大震災は、図らずも現在の我が国における危機管理体制が決して十分ではなかったことを白日のもとにさらしたのであります。総理及び国土庁長官はどのように受けとめておられましょうか。  これには憲法に非常事態における総理大臣の権限が何一つ規定されていないことに根本的な原因があると思います。  例えば、阪神淡路大震災のような緊急事態が発生した際、総理大臣は即座に各省大臣を招集して閣議を開き、有効適切な措置を講じなければなりません。しかし、時として、大臣の出張などで所在が直ちにつかめず閣議を招集できない事態が当然予想されます。そこで、総理大臣は閣議を経ずに適宜有効な施策を講ずることができるかというと、それができないのであります。  憲法六十六条は、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ」と規定しております。しかも「閣議は全会一致でなければならない」という政府解釈であります。現憲法のもとでは、非常事態に際し、総理が迅速適切な施策を講ずることは難しいのが現状なのであります。  憲法改正といえば九条だとされがちでありますが、論点はそれにとどまるものではありません。我々が目指す参議院改革も、突き詰めればその一つ課題であります。そのほかにも、天皇の国事行為の限界・機能の範囲について国会の召集及び衆議院解散の決定権の所在が明確でないこと、国民の権利義務について人格権及びプライバシー権に関する明文規定が欠けていること、私学助成などに対する公金支出の禁止など、時代の進展、価値観の多様化に応じて現状に合わない面も多くあるのであります。  戦後、日本国憲法が施行されて以来五十年近く、憲法改正はタブー視されてきました。しかし、憲法は不磨の大典であってはなりません。国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という三つの原則は擁護されなければなりませんが、時代の要請、国民の要望に沿って憲法を改正することは国民に対する国会の重大な責任なのであります。  諸外国を見ましても、この五十年間に、アメリカは六回、フランス十一回、ドイツ四十三回、イタリアは七回、憲法改正が行われております。  もちろん、連立三党の憲法問題についての見解を十分承知しております。しかし、憲法は国の根幹にかかわる基本的な問題であります。タブー視することなく、常に見詰め直し、議論の俎上にのせておかなければならない、そうした思いからあえて質問をさせていただきました。総理、どのようにお考えになりますか。  橋本総理は、外交の基本理念として「平和立国」、「平和貢献」、「平和創造」を掲げ、あらゆる分野で機先を制して行動する、自分の足でしっかり立つ外交の展開を目指しておられます。さらに、自衛隊の派遣を初めとする人的貢献の重要性を説いておられます。まず、総理から、橋本外交の真髄についてわかりやすくお聞かせ願いたいと思います。  ところで、国際交流に重要な役割を担う国際会議の開催が最近とみに減少していることは問題であります。ちなみに、三年前、東京で開かれた国際会議は九十件、これが二年前には約半分の五十五件に減っています。  この国際会議開催の減少は、日本の国力、国威が低下している証拠であります。どこに問題があるのか、国際国家日本として世界じゅうから尊敬され、日本で国際会議が再び盛んに開かれるようにするにはどうしたらよいか、総理にお伺いしておきます。  私は、二十一世紀の我が国を担う若い人々に、自国の歴史に誇りを持ち、未来に向かっての展望と勇気を与えることのできる歴史教育が今、必要とされていると考えます。  「平和は戦争よりも気高く、理解は怒りより高く、愛は憎しみより高い」、私たちは教訓としてこのことを戦中戦後の歴史の中から学んだのであります。日本の未来を担う子供たちが、近隣諸国との友好を一層深め、国際社会の中で名誉ある立場を得るためにも、諸外国との共通の歴史認識に立った教育が必要なことは当然のことであります。民間レベルを初め、学界、財界、政界などさまざまな交流の中で共通の認識の醸成を図っていくことが大切ですが、まず日本政府が中心となって関係国との間でこの問題について話し合いを進める機関をつくることが緊急の課題だと思うのでありますが、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。  次に、日米関係についてお伺いいたします。  冷戦構造が崩壊したとはいえ、アジア太平洋地域は依然として不安定要素を抱えております。日米安保体制はこの地域の平和と安定に引き続き重要な役割を果たしています。来る四月、クリントン大統領の来日において、冷戦後の安保条約の意義を鮮明にした日米安保共同文書を公表し、我が国の外交の基軸である日米安保の根幹をなす安保体制に新たな魂を吹き込まねばなりません。  総理、日米安保体制の今日的な意義をどのように考えておられますか。  昨年九月、沖縄で起きた米兵の暴行事件以来、日本国内では日米安保体制をめぐる議論が巻き起こっています。もとより、今回の沖縄における不祥事件の解決と米軍の沖縄における諸問題の改善は政府の最重要課題であります。我々は、沖縄の同胞の痛みを我々自身の痛みとしてこれを分かち合いながら、沖縄の県民の方々が納得できる方法を何としても見出さねばなりません。在日米軍基地の七五%が沖縄に集中し、沖縄の人々の犠牲において安保体制が成立していると言っても過言ではありません。沖縄以外の地域でも、同じ痛みを分かち合うということがぜひとも必要であります。  本土より遠く離れた沖縄県の振興開発を促進するために、観光立県として観光・リゾート地域の開発整備を積極的に進め、ノービザで海外の人が沖縄県を訪問できるように、また、航空運賃に関しても他の地域より安く抑える等の施策を早急に努力していただきたいのであります。  この沖縄問題に関し、橋本総理並びに岡部沖縄開発庁長官の答弁をお願いします。  世界一の援助国である我が国は、それに見合う外交機能の充実強化が図られなければなりません。この観点から、例えばODAを専ら担当する外務政務次官の増員やスタッフを充実し、機能的な援助体制の整備が急務であります。  アジアは世界の経済成長センターと言われ、特に中国、東南アジア諸国、韓国、台湾等は目覚ましく発展しつつあります。今後、アジア近隣諸国との友好関係の発展がますます重要となり、このため、長期的幅広い視野でアジアにおける日本のあり方を検討するため、参議院外務委員会において常設の小委員会の設置を提案したいと思っております。  本日、各紙一斉に、中国が台湾に対してのミサイル攻撃の準備が完了したとの報道があり、これはアジア及び日本にとってまことにゆゆしき事態であり、政府はこの実態をどう把握しているのか、総理にお伺いいたします。  日本周辺の軍事情勢を見れば、朝鮮半島の緊張は依然として続いており、また、今申し上げました中国の軍事力強化は、アジアの安定にとって脅威となっております。我が国の防衛力は、目前の課題にとらわれず、長期的な視野に立った整備でなくてはなりません。科学的装備の開発と展開に向けた不断の努力とともに、国際情勢の変化、多様な危機に対する柔軟な対処が求められていると考えます。総理の御見解を承ります。  行政改革と規制緩和につきましては、行革のプロと自他ともに認められ、旧国鉄の民営化に大きな成果を上げられた橋本総理の手腕に大いに期待するものであります。集中から分散へ、規制から創造へと日本の進むべき方向を大胆に転換し、国民のエネルギーを結集できる変革の大目標を掲げて蛮勇を振るうべきであります。総理の決意を明確にお述べください。  私は、昨年七月の参議院選挙の投票率四四・五二%という数字を見て愕然としたのであります。これは国会国民から余りに遠い位置にいること、参議院そのものの存在が問われていること、及び政治家に対する抜きがたい不信の意思表示以外の何物でもありません。とはいえ、政治不信は、ただ法律をつくれば解消するというような生易しいものでは決してないということであります。  衆議院においては、政治改革がいつの間にか選挙制度の改革にすりかわってしまい、二年前の細川政権の際、小選挙区比例代表並立制度法案を参議院が否決したにもかかわらず、導入決定されました。今になって、衆参を問わず与野党のあちこちからも、あれは熱病のようなものであったと反省の弁が聞かれる始末であります。  先日、土井衆議院議長が小選挙区制について、講演で小選挙区制に疑念を示されたと報道されています。  小選挙区制では、金がかからず、政党本位で政策中心で選挙が争われ、二大政党に収れんしていくことがうたい文句でしたが、しかし、現実は、これまで以上にきめ細かな金のかかる運動をしなければ生き残れず、政策論争はどこかに吹き飛んでしまった感じがあります。  一度も選挙をやらず選挙制度をつくり直すのは間違っていると言う人もいるが、悪くなるものは実行しないことに意味があると言う人もいると土井議長は指摘されております。他方、自民党の加藤紘一幹事長は、立法府で決めたことを朝令暮改していいとは思わない、一回か二回はテストしてみなければならないと発言されております。この問題については、否決という二年前の院議を重く受けとめて、議員立法として提案してはどうかという要望が私のところへ多く寄せられております。  関連して参議院選挙制度の問題であります。  本来、衆参の選挙制度の改革は、同時一体としてとらえるべきでありました。二院制の一翼を担う参議院としても、定数是正の大幅削減を含む抜本改革は急務と考えます。今後、党内で、あるべき参議院の役割と機能を十分検討した上、それにふさわしい大胆な制度改革を早急に確立しなければなりません。政府として参議院の選挙制度の改革をどう受けとめておられましょうか。これについては、総理及び自治大臣の御見解を伺います。特に自治大臣は参議院を本籍としていることを自覚して御答弁願いたい。  私は参議院議員に初当選して以来、参議院はどうすればその役割を果たし国民の負託にこたえることができるかということを真剣に同志と議論してまいりました。三年前に超党派の議員集団「あるべき参議院を考える会」を結成したのもこうした思いからでありました。  私は、参議院が与党と野党というような政党間の対立で二分化されてしまえば、良識の府としての参議院の役割は果たせないと考えます。それでは衆議院と同じになってしまいます。そうなれば参議院はもう要らない。二院制の価値や意義も生まれてこないのであります。国会審議に当たっても、熱く焼けたフライパンの上を走っていくようなことではなく、参議院はきめ細かくしっかり腰をおろして問題点を解明していかなければなりません。  我々参議院は、二十一世紀への展望として自然破壊や国家間の対立等を止揚し、自然と調和しつつ世界が持続的に共生していく思想や哲学に焦点を当てた地球的、総合的、長期的な国策を打ち立てるべきであります。また、私は、六年間の任期を保障された参議院の特性からいって、防衛、文教、外交など長期的視野に立った議論が必要なものについては参議院に優位性を持たせるべきだと考えます。  さらに、憲法、外交、防衛など各政党の立党の基本にかかわる問題はともかく、それ以外の問題については極力党議拘束を外すべきだと考えるのであります。  例えば、七たび衆議院で継続審査となっております臓器移植法案やサマータイム法案などの議員立法は言うに及ばず、およそ人間の生命、倫理、社会や家族制度など多様な価値観にかかわるものについては、党議で一律に縛るものではなく、個人の良識と責任において、自由裁量にゆだねるべきではないかと思います。党議拘束を外すことができれば、参議院は参議院らしさを発揮し、我が国の政治に新たな活力を与えることになると私は確信するものであります。  総理は、私が提案した一連の参議院改革についてどうお考えになりますか。  国民政治に対する信頼を取り戻す施策として、国会国民の距離を近づけることが大切であります。国会には日本全国から年間八十万人もの小学生、中学生、高校生が見学に来ています。こうした子供たちに国会の真の姿を理解してもらうために、ナショナルセンターとなる「国会情報センター」の設置を提案いたします。国会情報を一堂に集め、参観者のサービス向上に努めるとともに、情報通信を利用して全国の国民にいながらにして国会情報を提供できるようにしようというものであります。  また、国会周辺の立地についても、危機管理上必要とするならばヘリポート基地を国会情報センターの屋上に併設することや、尾崎記念館を有効に使用する観点に立って、例えば日本文化の象徴たる正倉院の宝物の常設展示場として広く国民のために活用するなど、前向きに検討すべきだと思いますが、総理の御意見をお伺いします。  終わりに、我が国の近現代史を振り返ると、昭和という時代が大きな位置を占めていると思います。  昭和天皇の誕生日であります四月二十九日は、今、みどりの日として国民の祝日になっておりますが、私は、この日を「昭和の日」としてその名称を変えることを提案いたします。このままでは後世に、なぜ四月二十九日が国民の祝日なのか、昭和天皇とみどりの日との関係がだれにもわからなくなるおそれがあります。総理、この私の提案をどのようにお考えになりますか。  ところで、私は、昨年十二月に国立劇場で行われた戦後五十年を記念する集いに出席して深い深い感銘を受けたことを忘れることはできません。それは天皇陛下のお言葉でありました。今上陛下のこのお言葉の一言一言に深く思いをいたしたのであります。  特に国政に携わる者にとっては、一層重く受けとめなければなりません。そのお言葉の趣旨を私なりに次のとおり拳々服膺させていただいております。  とうとい自由と平和を未来にわたって維持していく責任国民の創造性を伸び伸びと発揮させる環境とシステムづくり、国の繁栄を国民一人一人の幸せにつなげるきめ細かな行政の確立、国民が国の内外にあっても常に他と共存する精神であらゆる差別や紛争をなくす取り組みの強化、慎みと品位ある国民性を培い、世界各国と友好を強め、真の国際化を目指す、いずれも二十一世紀の新しい国づくりに向けて欠かすことのできない五つの理念なのであると私は思いますが、総理はいかがお思いでしょうか。  総理は、長生きしてよかったと思える長寿社会建設、そこに息づく国民一人一人が心豊かに平和に暮らせる社会をつくるために全力を傾けると所信を述べられました。生きとし生けるもののすべてがみずからの所を得て互いに争うことなく、病むことのない、飢えることのない、貧しさに苦しむことのない、そうした社会をつくることこそ政治の至高の目的であると私は思います。希望にあふれる二十一世紀の扉を、若いリーダーとしてあなたの力で、あなたの英知で開いていただきたいのであります。  総理橋本内閣の歴史的使命を勇気を持って果たしていただきたい。政治家が勇気を失うことはすべてを失うことであると申します。その大きな期待を込めて、私の代表質問を締めくくらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
  13. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 村上議員にお答えを申し上げます。  まず、村上議員は、村山総理の進退についてお触れになりました。  私は、先刻、大久保議員にもお答えを申し上げましたように、政治家の出処進退はみずからが決するところ、その信念に基づいた行動とこれを大きく受けとめ、心から敬意を表しております。同時に、一年半にわたって内閣総理大臣として指導力を発揮してこられたそのリーダーシップにも敬意を表したいと思います。  また、私自身の思いと志について述べよと御指摘をいただきました。  私は、国の内外において大きな転換点にぶつかっております今日、この時局の中で最高の責任を負うことを、心からその責任の重さを痛感いたしております。力不足でありますが、全力を尽くすということのみを申し上げたいと存じます。  また、次に、景気展望についてのお尋ねをいただきました。  今日、ようやく一部の指標において我が国の経済についても明るさが見え始めてきております。こうした中で、今後とも適切な財政金融政策、構造改革の実施に取り組んでいくことによって本格的な景気回復に向けて努力をしていかなければなりません。  このため、政府は、研究開発や情報通信など経済社会の発展基盤の整備、あるいは土地の有効利用の促進などのほかに、住専問題を含む不良債権の問題の早期解決が不可欠と考えております。そして、御審議をお願いしている平成八年度予算関連法案が一日も早く国会で通過、成立をさせていただけることを願っており、いずれにいたしましても、政府としては、引き続き為替動向を注視しながら切れ目のない経済運営に努めてまいりたいと考えております。  また、住専の借り手責任についてお尋ねがございました。  民事につきましては、預金保険機構の指導のもとに、住専処理機構が法律上認められているあらゆる債権回収手段を迅速的確に用いることにより、債権回収を強力に行い得る体制を整備いたします。また、刑事につきましては、既に検察、警察がそれぞれ協議会や対策室を設置しておりますが、今後とも借り手に対しても厳正に対応してまいります。  なお、御指摘のように、時効等の問題ございましたが、刑事事件の公訴時効に影響を与えるような法律改正というものはなかなか難しいと思われます。  また、次に、バブルを抑制する総量規制を実施したときの大蔵大臣だったおまえが、何か世間に誤解があると言ったという御指摘を受けました。これは恐らく平成元年十月、住宅金融協議会に発出をいたしました投機的土地取引などに関する融資の自粛の通達、要請をめぐってのことであったと思います。  これは、まず平成元年の十月に、住専を含みますノンバンクに対する投機的土地取引等に対する融資の自粛に対する要請を行いました後、平成二年三月にはいわゆる総量規制通達を発出いたしました。これは前年末施行されました土地基本法、あるいは当時の地価問題の重要性にかんがみまして、金融機関の業務の公共性の趣旨を踏まえて、いろいろな御議論がありましたが、当時としてはあえて一歩踏み込んだ措置を講じたつもりでありました。  この際、この通達におきまして、農協系金融機関に対しましては、他に求めましたノンバンク、不動産、建設といった三業種に対する融資状況の報告を求めませんでした点が今御指摘を受けております。しかし、これを、農協系の金融機関に対してこの三業種に対する融資の状況の報告を求めませんでしたのは、当時、既に他の通達により政府部内において報告を求めていたということにありました。  金融行政のあり方につきましては、過去の金融政策のあり方、金融検査・監督のあり方を総点検しながら、今後、金融機関における自己責任原則の徹底を図りながら、市場規律が十分に発揮されるような透明性の高い新しい金融システムを早急に構築していくように全力で努めてまいります。また、それが私の大きな責任であるとも考えております。  次に、技能の後継者の育成という視点から御提言を含めた御質問がございました。  物つくりの大切さというのは、今さらここで申し上げるまでもありません。御指摘のように、我が国の産業あるいは文化伝承の基盤となる技能の後継者を育成確保していくことは、文化伝承という上ばかりではなく、我が国の今後の経済社会の発展にとっても極めて重要なことだと思います。  そのため、政府としては、技能検定、表彰等を通じて、技能者の育成、社会的地位の向上にも努めてまいりました。また、伝統的な工芸分野の熟練した従事者の認定等、その確保育成等にも努めてまいり、わざが尊重される社会に向けて努力をしてきたつもりであります。  そうした観点から、議員御提案になりました職人大学といった構想については、興味を持って勉強させていただきたいと思います。  次に、若年者の就職問題についてお尋ねがございました。  確かに、女子学生を初め新規学卒者の就職環境は極めて厳しい状況にあります。今春卒業する子供を持っております私として、その子供の友人たちを見ておりましても、この状況の厳しさは例年をはるかに超えるものがあります。  そのために、積極的な求人開拓、求人一覧表の提供、就職面接会の開催、新卒者に対する窓口の開設など各般の施策を展開しながら、きめ細かな職業紹介、相談などを今日までも一生懸命進めてまいりました。  さらに、女子学生が不利に取り扱われることのないように相談や指導を行うと同時に、新卒者などの採用枠の拡大、男女雇用機会均等法とその指針の周知徹底が図られるよう事業主団体に対する要請を行ってまいりました。これからもこうした努力を女子学生を含めた若年者の就職に向けて全力で支援をしてまいりたいと思います。  次に、新しい農業・食糧基本法についてのお尋ねがございました。  農業基本法につきましては、社会情勢の変化、国際化の進展という状況変化の中で、平成六年十月に決定されましたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱におきまして、新たな基本法の制定に向けて検討に着手するとされております。農水省におきましては、既に検討に着手しておるところであります。  新たな基本法の制定の問題は、農政の根幹にかかわる極めて重要な問題であると認識をいたしております。将来にわたって、例えばこのアジア太平洋地域におきましても、食糧が制約要因として指摘される状況の中であります。この検討に当たりましては、農業・農村に対する国民的な理解が得られるよう、国民各層の御意見も伺いながら、当面、腰を据えた十分な議論を積み重ねて対応したいと考えております。  また、経済構造改革について御指摘をいただきました。  我が国経済の将来の展望を切り開くためには、昨年決定をいたしました新経済社会計画に基づきまして、大胆な構造改革に直ちに着手することが必要だというのが私の基本認識であります。その際、中小企業につきましては、議員御指摘のように、経済フロンティアの拡大などの面で大きな期待が寄せられております。現在、中小企業が持っておられるそれぞれの特色を発揮して活躍をしていただきながら、ベンチャー企業群の創出のために資金調達面での支援を充実するなど、創造的事業活動に対する支援の充実を図ってまいりたいと思います。  また、雇用という観点からは、新規事業の展開を支援することなどによりまして新たな雇用を創出すると同時に、産業間、企業間の円滑な労働移転を可能とする、参入しやすい、また転出しやすい労働市場の整備に努めてまいりたいと思います。  次に、低金利下における高齢者の生活について御質問をいただきました。  確かに、現在は物価も安定をいたしておりますけれども、超低金利の状況の中で、年金生活者などの方々にとりまして利子収入の減少をもたらすという面は当面否めません。こうした中で、近時、民間金融機関の中で、それぞれの経営判断によるものではありますが、年金生活者に配慮した金融商品の開発といった努力をされていると承知をいたしております。  金融政策につきましては、こうした状況をも視野に入れながら、内外の経済情勢等、動向に注意しながら、適切かつ機動的な運営に努めるべきものであると考えております。  次に、家族のきずなという視点からの御指摘をいただきました。  私は、この視点については全く異論がありません。むしろ、厚生大臣当時に私は、世代間同居を中心とした我が国の社会保障、福祉行政というものはできないものかと随分考え、また、議論をいたしてみました。  今振り返ってみますと、この中において大きく欠如いたしましておりました部分が高齢化の進展に伴う介護の問題の深刻化であります。そして、世代間同居を言うことがいたずらに家庭の奥様方やお嬢さん、殊にお嫁さんの肩にその介護の責任を負わせるのではないかという誤解をも当時生じました。そうした気持ちでこれを考えたわけではありませんでしたが、人口の少子化、高齢化や女性の社会参画の進展などによって家族が担ってきた子育てあるいは介護などの機能が脆弱化しつつある、これは議員御指摘のとおりであります。  こうしたことから、家族の機能を社会的にバックアップしていく必要があり、エンゼルプランや新ゴールドプランの一層の推進に向け、新たにまた、あわせて高齢者介護システムの制度化に向けて努力していきたいと考えており、人々が家族に安らぎを見出しながら、すべての国民が幸福感を持って暮らし得るような状況をつくり出すために最大限の努力を払いたいと考えております。  また、民法の改正により夫婦別姓が提案されようとしている、これは家族のきずなを弱める等の大きな問題があるという御指摘がございました。  民法の改正と家族との関係につき、家族は、夫婦が協力して安定した生活を営み、次代を担う子を健全に育成する基盤として極めて重要なものであり、今後ともにその時代の変化に応じながら機能を十分発揮することができるよう、法制度の面においても支援する必要があると考えております。こうした視点から、法制審議会において選択的夫婦別氏制の導入を含む民法改正について審議が行われており、現在、大詰めの段階に至っております。  政府といたしましては、法制審議会の答申が得られたときは、これを踏まえ、所要の民法改正法案を国会に提出したいと考えておりますが、私の知人の中にも夫婦別姓を現に実行しておられる方がありますけれども、そのお子様がどちらの姓を名乗るのかについて、今、悩んでおられるといった具体的なケースもあります。恐らく国民の中にはさまざまな御意見があるものと承知をいたしており、国会での御審議に至りました場合は十分な御議論をいただきたいと考えております。  次に、青少年の健全育成についてのお尋ねがございました。  これは御指摘のとおり、学校だけの責任ではなく、家庭にも地域社会にも一体となって取り組んでもらわなければ解決のできるものではございません。国におきましては、各省庁の間における連携を強めながら、青少年の健全育成に努めておりますし、教育現場を所管しておられる文部省におきましても、中教審において現在これら連携のあり方についての審議を行っておるところであり、今後ともに家庭、学校、地域社会の連携に一層配慮しながら、青年、少年の健全育成に努めてまいりたいと思います。  また、子供の生活全体を見た総合政策の立案に関し御提言をいただきました。  個性に、また創造力にあふれた責任感と思いやりを持った、そして将来の夢を生き生きと語ることのできる子供たちが育つことが何よりも願わしいことであり、現在、国立こども図書館の設立が進められておりますが、御指摘のような文化の担い手という側面、こうした面にも十分配慮しながら、広く皆様の御意見も伺いながら、総合的な見地からの人づくりに努力したいと思います。  次に、政治と宗教のかかわりについて御質問をいただきました。この国会における位置づけはどうかという御指摘であります。  宗教と政治のかかわり、これは憲法二十条の解釈を含め、さきの国会で非常に大きな御議論がございました。また、国民的な関心も高く、今国会にもその論議は継続されているもの、そのように考え、重要な問題ととらえております。  次に、憲法第二十条についてお尋ねがございました。  政教分離の原則を定めております憲法第二十条の解釈につきましては、さきの国会におきまして、現時点における政府としての見解を申し述べた上、その活発な御議論の中から、当時の官房長官から、いわゆる宗教活動の政治的限界の問題については十分勉強して統一見解を出したいという御答弁を申し上げたところでありまして、私も憲法学説などをよく勉強したいと考えていることであります。  次に、宗教法人につきましての税制等多くの問題点があるが、政治は何をなすべきかという御指摘をいただきました。  宗教法人課税についてお尋ねをいただいたわけでありますが、昨年の臨時国会におきましてさまざまな御議論がありました。そして、これを受けて、宗教法人を含む公益法人等に対する課税につきましては、八年度税制改正におきまして寄附金の損金算入限度額の特例の見直し、課税当局への収支計算書の提出の義務づけを行うことにより、その適正化を図ることとしたところであります。  今後も公益法人等に対する課税の適正化につきましては、その活動実態などを踏まえながら引き続き検討する必要があると考えております。  また、宗教法人の認証のあり方などにつきましては、社会状況の変化などに対応し必要な見直しを行っていくことは十分考えられることであり、そうした際には、各方面で十分な御議論を行っていただくとともに、よりよい結論を得るための努力をしていくことが大切であると考えております。私としても、認証のあり方などにつき、今後とも慎重に検討していく必要があると思っております。  次に、阪神淡路大震災についての危機管理の問題を御指摘いただきました。  防災面における我が国の危機管理体制につきましては、政府として初動期における被害規模の把握がおくれましたこと、官邸への情報連絡体制が十分ではなかったことなど、反省すべき点は迅速に改善措置を講じてきたところでございます。  大規模災害の場合には、総理大臣みずからが陣頭に立ち、政府が一体となって全力で災害応急対策に取り組むべきものと考えておりまして、このため防災面における危機管理体制の強化を鋭意進めておるところであります。  なお、私自身としてあの震災で痛感をいたしましたもう一つの問題点は、阪神淡路大震災において第一線の職員たちが非常によく努力をしてくれながら、指揮命令系統がはっきりしないために混乱をしたということでありました。自治体職員など第一線の現場が独自の判断で緊急の対応を弾力的に行えるような仕組みを考えなければならないと思っております。  次に、憲法改正をタブー視することはなく議論をすべきではないかという御意見でありました。  憲法の基本理念であります民主主義、平和主義及び基本的人権の尊重は、憲法が制定されてから今日に至るまでの間、一貫して国民から広く支持されてきたものであり、私は、こうした基本原則は将来においてもこれを堅持すべきものだと考えております。  もちろん、現行憲法には改正手続の規定を設けておりますし、法理的に永久不変のものとは考えておりません。私自身が私学助成について、憲法についての言及をいたしたこともございます。そして、憲法をめぐる議論が行われること自体、何ら私は制約されるものではないと考えております。同時に、国の基本法でありますから、この憲法の改正というものにつきましては、世論の成熟を十分見きわめるなど極めて慎重な配慮を要するものだと考えております。  次に、どういう外交をする気かというお尋ねをいただきました。  私は、これを自立的外交という言葉で表現をいたしました。すなわち、我が国として国際社会に受け入れられる理念を打ち出しながら、それに基づいてみずからのイニシアチブで行動する外交を展開していくこと、新しい国際秩序の構築に向け積極的、創造的役割を果たしていくということであります。これは国家間の相互依存関係が深まり続けている中で、我が国の安全と繁栄を確保するための最良の道だと私は考えております。  その際、日米安全保障条約を基礎とする日米関係を外交の基軸といたしながら、アジア太平洋諸国を中核に心の通い合う外交を展開すると同時に、国連改革の推進、地域紛争の解決と軍縮・不拡散への創造的な取り組み、世界経済の繁栄への枠組みづくりについても努めてまいりたいと思います。  次に、国際会議が減少しているという御指摘をいただきました。  御指摘のとおり、東京に限定をいたしました場合、大規模国際会議の件数は平成五年に九十件でありましたのが、平成六年には五十五件に減少をいたしています。しかし、近年、地方都市における会議施設の充実などによりまして、国際会議は、例えば昨年のAPEC大阪会合が象徴いたしておりますように、東京以外の都市でも開催される傾向になりました。小規模の国際会議も含め日本全国の開催件数は、平成六年には千七百六十九件、対前年比六・二%の増となっております。  そして、私自身こうした立場に立つと全く思っておりませんでした昨年の暮れに、日本が今回議長国となります四極通商代表会議を、私は、新しく今、必死で復興に取り組んでいる復旧・復興のさなかにある神戸で開きたい、神戸市で開催したいということを各国に連絡をし、各国も喜んでこれに応じてくれるという返事をいただきました。  私は、東京だけではなく、やはり国際会議の誘致は我が国にとって相互理解の上でも大きなことでありますし、できるだけ積極的に情報提供等も行いながら、これからも誘致に努めていきたいと思います。  次に、共通の歴史認識に立った教育について関係国と話し合う機関をつくれ、こうした御指摘をいただきました。  我が国としては、歴史研究支援あるいは青少年交流を含む平和友好交流計画の推進を初めとして近隣諸国との相互理解の促進に努力をしており、今後ともアジアの近隣諸国などとの関係の歴史を直視しながら、関係諸国との信頼協力関係を一層強化していきたいと思います。  次に、日米安保体制の今日的な意義をどうとらえるかという御質問をいただきました。  私は、先ほども申し上げましたように、日米関係が日本だけではなく世界の中におきましても極めて、最もと言ってもいいぐらい重要な二国関係だと思っております。そして、その日米同盟関係の中核をなす日米安保体制というものは、冷戦後の国際社会が依然不安定な要因を残している中で我が国の安全を確保していく上で不可欠でありますし、また、日米安保体制は、日米協力関係の政治的基盤と我が国の安全だけではなく、アジア太平洋地域の平和と繁栄にとって極めて重要な役割を果たしているものであり、これを堅持していきたいと願っております。  その上で、沖縄県における米兵による不祥事件の解決及び米軍の駐留についてお尋ねをいただきました。  昨年九月に沖縄県で発生いたしました事件は、私としても断じて許すことのできない忌まわしい事件であります。三名の米兵は、現在、我が国の裁判所におきまして公正な審理を受けているところであり、このような事件が二度と起きることがあってはなりませんし、政府としては、引き続きアメリカ側に対し、再発防止及び綱紀粛正を強く求めてまいる所存であります。  また、沖縄における米軍の駐留に関する諸問題につきましては、長年にわたる沖縄の方々のお苦しみ、悲しみに最大限心を配った解決をしていきますためにも、先般設置いたしました特別行動委員会などを通じて日米安保条約の目的達成との調和を図りながら、沖縄の米軍施設・区域の整理・統合・縮小の推進などを初めとして、県民の負担の軽減のために誠心誠意努力をしてまいりたいと考えており、先日、大田沖縄県知事にもその旨申し上げたところでありました。  次に、沖縄における観光・リゾート開発という点についての御指摘をいただきました。  第三次沖縄振興開発計画におきましても、沖縄の地理的、自然的な特性を生かし、国際的規模の観光・リゾート地域を形成することが今後の沖縄の振興開発を進めていく上での戦略的施策の一つとされております。  政府といたしましては、今後ともに沖縄県とよく御相談をいたしながら、自然環境の保全に配慮しながら、観光開発に必要な交通基盤、施設の整備を図り、魅力ある観光・リゾート地域の形成に努めてまいりたいと考えております。  そして、ノービザで海外の人が沖縄県を訪問できるようにするという御意見をいただきました。  地域における国際的な人的交流が促進されるべきという点については同感であります。他方、査証を含む外国人の入国問題につきましては、基本的には私は国のレベルで統一的に対応するものだと考えておりますが、政府の規制緩和策の一環とし、現在の計画の中で査証手続を簡素化し迅速化を推進することによって国際交流を促進していく方向であることを申し添えたいと存じます。  次に、航空運賃につきましては、新しい種類の割引運賃であります事前購入割引運賃が設けられたところであり、これは航空各社の判断によるものでありますけれども、沖縄関係路線につきましては他の路線に比べて高い割引率となっていると聞いております。普通運賃につきましても昨年十二月に幅運賃制を導入したところでありまして、今後、航空会社におきましてこれらの制度を活用した多様な運賃の設定が図られ、沖縄を初めとする観光需要の喚起が図られることを期待いたしております。  次に、外交に関連し、まず冒頭、中国が台湾に対しミサイル攻撃計画を準備中との報道に触れ、これは非常に大きな問題、そうした御指摘をいただきました。  中国は、従来から外国勢力による中国統一への干渉、台湾独立をねらう陰謀に対しては武力行使を放棄しないと明言をしております。我が国としても、台湾の選挙を控えまして、台湾海峡の情勢には大きな関心を持っておりますが、武力行使が直ちに行われるといった差し迫った状況にあるという情報には接しておりません。  いずれにせよ、我が国としては、台湾をめぐる問題が当事者間で平和裏に解決されることを強く希望しておることは従来から申し上げてきているとおりでございます。  次に、我が国の防衛力整備のあり方についてお尋ねがありました。  新防衛大綱におきましては、冷戦後の国際情勢、とりわけアジア太平洋地域の不安定要因を踏まえ、現行の防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を一層進めるとともに、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることにより、多様な事態に対し有効に対応し得る防衛力を整備することとしており、政府としては、新防衛大綱に基づきまして引き続き適切な防衛力の整備に努めてまいります。  次に、行政改革について決意を問われました。  これは施政方針でも申し上げたことでありまして、内外の大きな課題解決を図っていきますためには、まず行政自身が時代の潮流変化を踏まえて大きな価値観の変換を遂げていかなければなりません。そして、私は、根本的な問いかけにこたえる行政改革を行いたい、政治家の強い意志と責任で大きな改革の方向づけを行い、その最終責任行政責任者である政治家が持たなければならないと考えております。  こうした考え方の上で、現在、それぞれが独自に論議をされております規制緩和、地方分権、中央省庁の改革あるいは特殊法人といった各般の行政改革課題についても有機的に組み合わせることにも配慮をしながら、積極的に取り組んでまいりたいと思います。  次に、小選挙区比例代表並立制の見直し論についてお尋ねがございました。  参議院における議決の結果は、私も十分記憶をいたしております。しかし、この小選挙区比例代表並立制は、長い期間論議が重ねられてまいりました政治改革の一環として、関係法令が国会で議決された結果として導入をされたものであり、新制度による総選挙もまだ実施をされていない状況であります。現時点におきましては、この制度が正しく運用されることが重要と考えており、政府としては、これを抜本的に見直すという考えは持っておりません。  次に、参議院の制度改革についてお尋ねをいただきました。  この問題につきましては、これまでも各党各会派により熱心な御論議が行われてきたと承知をいたしております。院のことであり、政府からとやかく申し上げることは差し控えるべきと思いますが、今後ともに各党各会派においてさらに論議を深めていただき、合意点を見出していただきたいと考えております。  次に、参議院の優位性と党議拘束にお触れになりました。村上議員の参議院改革にかける意欲、情熱に対し、高い敬意を表します。そして、参議院の優位性につきましては衆参両院におきまして、また、党議拘束を外すことにつきましては、いわゆる臓器移植法案等、私自身が党議拘束になじまないと考えてきた問題もございます。各党におきましてそれぞれ御論議が深まることを期待しております。  さらに、国会の周辺における立地、国会情報センター等についてお尋ねがございました。国会の姿を国民にどう理解していただくか、真剣に考えておられる御意見と受けとめております。私どもとしては、国会における御検討がこうした視点から幅広く行われることを願っております。  次に、みどりの日を「昭和の日」に改めてはどうかというお尋ねがございました。  私は、それぞれの国民がみどりの日を通じて昭和天皇をしのび、昭和の時代を考えるということは極めてとうといものだと思います。ただ、みどりの日というものが制定されましてから既に七年近く経過をいたしました。そして、国民の間にも私はみどりの日というものは定着してきていると思います。同時に、明治天皇の御誕生日が現在は文化の日として国民の中に定着をしている。こうしたことを考えていきますと、私は、みどりの日を「昭和の日」に改めるということにつきましては慎重に御議論をいただく必要があると思います。  最後に、「戦後五十年を記念する集い」における今上陛下のお言葉への所感がございました。  私としては、陛下のお言葉を一言一言胸に刻みながら、国政に全力を尽くしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣久保亘君登壇、拍手〕
  14. 国務大臣(久保亘君)(久保亘)

    国務大臣(久保亘君) 村上さんの私に対するお尋ねは、住専問題と財政再建問題でございました。  これらの問題と取り組むに当たっての決意をお尋ねになります中で、過分の激励をいただきましたことに大変恐縮いたしております。全力を挙げて取り組むことを申し上げます。  住専問題につきましては、早期に本問題を解決することにより、我が国金融システムに対する内外の信頼を確保すべく全力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。  この問題と取り組むに当たりまして、政府では、関係閣僚懇談会を開き、積極的な情報開示、強力な債権の回収、明確な責任の追及を申し合わせたところでございます。多額国民税金を支出することの重さを考えながら、今、申し合わせとして申し上げましたことについて誠実に果敢に進めてまいりたいと考えております。  なお、不良債権の回収機関の具体的構想についてお尋ねがございました。  住専不良債権の回収機関として、預金保険機構の指導のもとに債権の回収を強力に行う住専処理機構を設立することといたしております。  住専処理機構については、各方面から有能な人材の確保を図り、本部に回収困難事案対策室を設け、また、共通・大口・回収困難事案について特別のプロジェクトチームを組織し、過去の経緯や関係者の利害にとらわれることなく、不良債権の強力な回収を行うものとする方向で検討いたしております。  次に、不良債権回収に関し、借り手責任の問題についてお尋ねがございました。  総理から御答弁を申し上げましたとおり、借り手責任については、民事であれば法律上認められているあらゆる回収手段を用いる、刑事であれば厳正に対処していくということに尽きると思います。そこで、例えば借り手の法人役員個人で保証しているような場合には、住専債権を引き継ぐ住専処理機構において当然その保証債務の履行を求めていくこととなります。  次に、財政再建への取り組みについてのお尋ねでございますが、我が国財政は、平成八年度末の公債残高がGDPの約四九%になります二百四十一兆円に増加する見込みとなり、十六兆円を超える国債費が政策的経費を圧迫するなどの構造的な厳しさに加え、税収の動向も引き続き厳しく、一段と深刻さを増しております。  平成八年度予算においては、このような財政事情のもと、景気や国民生活の質の向上に十分配慮しつつも、歳出削減などに一層強力に取り組んだところでありますが、なお特例公債を含む公債発行に大きく依存せざるを得ない容易ならざる事態に立ち至っております。二十一世紀に向けてこのような財政の状況を放置することはできません。財政改革に取り組むことが喫緊の課題となってきており、この八年度予算を地ならしとして新たな財政改革への歩みをさらに進める必要があると考えております。  そのため、財政制度審議会においては、昨年末に出された基本問題小委員会報告を受け、財政の果たすべき役割や守備範囲の見直し、財政健全化に取り組むに当たっての目標について検討を行っていただく予定であります。  また、今回の三党合意により設置されることになります財政の構造改革に関する与党の検討の場や国会の場においても、財政の構造改革について幅広く論議がなされていくものと考えております。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣鈴木和美君登壇、拍手〕
  15. 国務大臣(鈴木和美君)(鈴木和美)

    国務大臣(鈴木和美君) 村上議員にお答え申し上げます。  私に対する質問は、危機管理体制の整備についてだと理解をしております。  この件につきましては、先ほど総理から危機管理の現状認識と対応についての基本的な考え方が示されましたので、私は、やや具体的な問題を簡単に御報告申し上げたいと思います。  その一つは、大地震発生時の内閣総理大臣官邸への情報連絡体制の整備や関係省庁幹部の官邸への緊急参集などを内容とした閣議決定が昨年二月に行われているところでございます。同時に、災害対策の基本となる防災基本計画を昨年七月に改定いたしまして、情報収集、連絡の対応や災害時の初動対応などについての具体策を細かに明示したところでございます。  なお、国土庁といたしましては、四つの主なる課題について重点を置きまして対処しているところでございます。  その一つは、何といっても職員による当直体制の整備でございます。二つ目には、国土庁職員のほかにも官邸の関係者及び関係省庁の職員に対する地震情報などの連絡体制の整備を確立していくことでございます。三つ目に、地震防災情報システム、俗称DISと言っておりますが、この整備に着手したことでございます。四つ目には、中央防災無線網の都道府県への拡充や画像伝送系の整備を行ったところでございます。こういう問題について国土庁としても全力を今、注いでいるところでございます。  また、法制度面においても、昨年秋の臨時国会において、内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部について、全閣僚を本部員とするとともに、本部長の権限を強化することを主なる内容として災害対策基本法を改正したところでございます。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、今後とも総合的な災害対策の充実に取り組んでまいる所存でございます。  以上です。(拍手)    〔国務大臣岡部三郎君登壇、拍手〕
  16. 国務大臣(岡部三郎君)(岡部三郎)

    国務大臣(岡部三郎君) 沖縄開発庁長官を命ぜられました岡部三郎でございます。  村上議員の御質問にお答えいたします。  まず、沖縄の基地問題についてでありますが、昨年九月、米軍人による女子小学生の痛ましい事件が発生いたしましたことはまことに遺憾であり、関係者の深い悲しみと強い憤りは私も県民の方々と全く同じ気持ちであります。昨年十月二十一日に開催された県民総決起大会も、こうした県民の方々の大きな不安や心からの憤りをあらわしたものとしてよく理解できるところであります。私としましては、こうした事件の再発防止に最大限の努力を払うべきものと考えます。  私は、過日、沖縄を訪問し、米軍施設・区域を視察し、地元の方々から御説明をいただきました。そして、沖縄の米軍施設・区域は、県民生活にさまざまな影響を及ぼすなど、沖縄の振興開発を進める上で解決を要する基本的な課題一つであると認識いたしました。米軍施設・区域の整理・統合・縮小については、日米の特別行動委員会や県との協議会で検討されているところであり、お尋ねの米軍の沖縄駐留方法の改善の問題についてもこの中で検討されるものと考えております。  次に、沖縄の観光振興についてのお尋ねでありますが、沖縄は恵まれた自然環境と独特の伝統文化や歴史を有し、これらの資源を有効に活用して、余暇時代や長寿社会にふさわしい観光・リゾート地として整備することが沖縄の振興開発にとって極めて重要な問題であると思います。  沖縄開発庁といたしましても、今後とも自然環境の保全に配慮しつつ、観光振興に必要な道路、空港、港湾などの交通基盤や施設の整備を推進してまいりたいと存じております。  また、航空運賃の低減やビザなし入域につきましては、沖縄観光振興策を考える上での御提言と承りました。  私としては、沖縄の観光振興のために必要な施策について、関係省庁の意見を聞きながら、その実現に真剣に努力をしてまいりたいと存じております。(拍手)    〔国務大臣倉田寛之君登壇、拍手〕
  17. 国務大臣(倉田寛之君)(倉田寛之)

    国務大臣(倉田寛之君) 衆議院の選挙制度についてのお尋ねでございますが、選挙制度には一長一短があり、そのあり方をめぐりまして各党あるいは各議員におかれましてもいろいろな御意見があるのは当然のことと思います。よりよき制度に向けて絶えず御議論をいただくことは大切なことと考えておるところでございます。  現行の小選挙区比例代表並立制は、長い期間にわたりまして論議が重ねられてまいりました政治改革の一環として、関係法案が国会で議決をされた結果導入されたものでございます。次期総選挙から実施されることになっております。  政府といたしましては、現行制度が改革の趣旨に沿って正しく運用されることが重要と考えており、自治省といたしましても、その適正かつ円滑な執行ができるよう万全を期してまいる所存でございます。  次に、参議院の選挙制度改革につきましてお尋ねでありますが、この問題につきましては、これまで各党各会派で協議、検討が重ねられてまいりましたが、平成六年の第百二十九回国会におきまして、四増四減による定数是正が図られたところでございます。その際、定数是正以外の比例代表選挙のあり方につきましても各党各会派により熱心な御論議が行われたことは御承知のとおりであります。  このような経緯を踏まえまして、今後ともさらなる改革に向けて各党各会派で十分御論議を深めていただきまして、合意点を見出していただきたいと考えているところでございます。(拍手)
  18. 議長(斎藤十朗君)(斎藤十朗)

    ○議長(斎藤十朗君) 答弁の補足があります。橋本内閣総理大臣。    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
  19. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 村上議員への答弁の中で、大切な問題を一つ落としておりました。大変申しわけありませんでした。  御質問いただきました点は、ODAについて、専従外務政務次官の増員、スタッフの充実など機能的な援助体制の整備の急務についての部分でありました。  ODAにつきまして、その機能的な援助体制の整備につきましては、人的にも物的にも両面から援助体制の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
  20. 議長(斎藤十朗君)(斎藤十朗)

    ○議長(斎藤十朗君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 議長(斎藤十朗君)(斎藤十朗)

    ○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十四分散会