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1996-06-18 第136回国会 参議院 法務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月十八日(火曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員の異動  六月十八日     辞任         補欠選任      遠藤  要君     河本 英典君      下稲葉耕吉君     岩永 浩美君      鈴木 省吾君     北岡 秀二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         及川 順郎君     理 事                 志村 哲良君                 野村 五男君                 平野 貞夫君                 橋本  敦君     委 員                 岩永 浩美君                 河本 英典君                 北岡 秀二君                 中原  爽君                 林田悠紀夫君                 魚住裕一郎君                 大森 礼子君                 山崎 順子君                 一井 淳治君                 千葉 景子君                 本岡 昭次君                 田  英夫君                 大野つや子君     衆議院議員         発  議  者 保岡 興治君         発  議  者 永井 哲男君         発  議  者 錦織  淳君     国務大臣         法 務 大 臣 長尾 立子君     政府委員         法務政務次官  河村 建夫君         法務大臣官房長 頃安 健司君         法務大臣官房審         議官      山崎  潮君         法務大臣官房司         法法制調査部長 永井 紀昭君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         法務省矯正局長 東條伸一郎君         法務省人権擁護         局長      大藤  敏君     最高裁判所長官代理者         最高裁判所事務         総局民事局長         兼最高裁判所事         務総局行政局長 石垣 君雄君         最高裁判所事務         総局刑事局長  高橋 省吾君     事務局側         常任委員会専門         員       吉岡 恒男君     説明員         警察庁刑事局捜         査第一課長   松尾 好將君         法務大臣官房審         議官      古田 佑紀君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○民事訴訟法案内閣提出衆議院送付) ○民事訴訟法施行に伴う関係法律整備等に関  する法律案内閣提出衆議院送付) ○民事執行法の一部を改正する法律案衆議院提  出) ○小委員会設置に関する件 ○婚外子差別を撤廃する民法等改正に関する請願  (第三三一号外七二件) ○選択的夫婦別姓制度法制化に関する請願(第  六二六号外一五件) ○夫婦別姓民法改正案反対に関する請願(第七  四二号外三件) ○夫婦別姓選択制法制化に関する請願(第七七  〇号外五五件) ○円満な日本の家庭を破壊する夫婦別姓民法改  正案反対に関する請願(第一〇三〇号) ○民法第二百三十九条の改正に関する請願(第一  〇八八号) ○治安維持法犠牲者への国家賠償のための法制  定に関する請願(第一一五八号外三三件) ○選択的夫婦別姓導入など民法改正に関する請  願(第一三六一号外五件) ○婚姻制度等民法改正に関する請願(第一五四  九号外四六件) ○法務局、更生保護官署入国管理官署大幅増  員に関する請願(第一五五二号外二六件) ○裁判所の人的・物的充実に関する請願(第一五  八八号外一三件) ○民事訴訟法改正における文書公開規定反対及  び修正に関する請願(第二二〇八号外一件) ○選択的夫婦別姓導入など民法改正に関する請願  (第二二二三号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     —————————————
  2. 及川順郎

    委員長及川順郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  民事訴訟法案及び民事訴訟法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 大森礼子

    大森礼子君 平成会大森礼子です。質問させていただきます。  この委員会では、本来、民訴法改正について十分な討議をする必要があるわけですが、会期末を控えまして十分な審議時間が保障されていないように思います。そんなときに、別の面で早期に法務省意見を伺っておかなければならない問題が出てまいりましたので、きょうはその問題について法務省法務大臣にお尋ねいたします。  私が問題とするのは、いわゆる北九州矯正センターの問題でございます。これは今、小倉刑務所敷地内に城野医療刑務所小倉拘置支所、これとそれから小倉少年鑑別所統合するという構想があります。昨年の秋から新聞などでも報道されまして、それを見て私は非常に驚きました。この施設の中でもとりわけ少年鑑別所がなぜ刑務所同一敷地内に移転されなければいけないのかという問題です。これについては五月三十一日の衆議院決算委員会第一分科会北橋健治分科員が既に質問しておられますので、きょうは時間の関係もありますからその質疑を踏まえまして、特に少年鑑別所、この問題について質問させていただきたいと思います。  少年鑑別所刑務所とか拘置所と同じ敷地内に移すということは、これは少年鑑別所という施設目的、性格を考えたときには全く信じられないことなわけであります。鑑別所少年資質鑑別をする施設でありまして、例えば家庭裁判所ですと保護処分の前段階収容鑑別、それからほかにも一般少年鑑別という、広く市民に開かれた業務も行っているわけであります。世間では、少年鑑別所というと少年院とか少年刑務所と同じようにとらえている人が多いわけでありまして、今回のこのセンター構想というものもさらにこのような誤解を助長させるものではないかと心配するわけです。  地元弁護士会とか日弁連もこれを問題にしておりまして、要するに弁護士会の言い分というのは簡単に言いますと、成人施設少年施設、特に少年のいわば未決鑑別施設というものが一緒になるのはいかがなものかということでございます。これを受けましてさきの決算委員会では、東條政府委員の方から「そういう少年についての御懸念には及ばないということをるる御説明申し上げました」とあるわけなんですけれども、もう一度この委員会でそういう懸念には及ばないという理由を御説明いただけますでしょうか。
  4. 東條伸一郎

    政府委員東條伸一郎君) お尋ねの北九州矯正センターなる構想というものは、今先生指摘のように、北九州地区にあります四つ施設一つ施設敷地内につくろうということでございます。これはあくまでも同一敷地内に刑務所拘置所及び少年鑑別所整備しようとするものでございまして、まず各組織統合して一つ組織にするものではございません。それぞれ独立した組織のままに行うものでございますし、建物位置構造も、刑務所拘置所、それから成人施設少年施設について、それぞれ明確に区分するというものを現在予定しております。  したがって、単に同一敷地内にあるからということで少年人権上の問題が生ずる心配は私どもはないと考えております。  現在も既に、先生御承知かと思いますが、例えば横浜施設あるいは仙台施設などは、刑務所拘置所少年鑑別所の三施設同一敷地内に置いておりますし、大阪少年鑑別所を初め十三の少年鑑別所は、それぞれ、刑務所と隣接する同一敷地内にございます。  私どもは、少年施設成人施設、あるいは未決施設と既決の施設、その運用についてはそれぞれの法律趣旨に従い、その理念を貫徹するように最大限の努力をもって運営しているところでございまして、それぞれの施設をそれぞれの趣旨に従って運営していく以上、先生懸念のような少年人権上の問題というものは生じない、また生じさせてはいけないという考え方で今後運営してまいりたいと思いますし、現在、先ほど申し上げましたような状態で運営しております各施設について特段の問題は生じておりません。
  5. 大森礼子

    大森礼子君 そういう答弁を聞きますと、人権擁護、これを推進していくのは法務省なわけですけれども、今のような人権感覚で本当によろしいのかと私は憤りを感じます。  それから、今、同一敷地内といっても統合ではない、それは統合ではないのは当たり前です。これを法務省の方では団地化とか言っているそうですが、統合と呼ぼうが団地化と言おうが、要するに同じ場所に、同じ場所というのは隣接するという意味も含めまして、することに問題があるのではないのかということを問題としているわけなんです。建物を別にするからいいじゃないかとか、そういうレベルではないわけなんです。  それから、それぞれの組織が独立したままというのですが、これは当たり前だと思います。一緒になるわけないんですから。  それから、位置構造も別なんだからというわけですが、弁護士会もそれから私自身も問題にしておるのは、では建物が別ならそれでいいのかという、ここを考えていただきたいということなんです。  それから、先ほど、今横浜仙台でも拘置所刑務所鑑別所ですか、同一敷地内にあるとおっしゃいましたけれども仙台は本当に少年鑑別所刑務所拘置所同一敷地内にあるんですか。
  6. 東條伸一郎

    政府委員東條伸一郎君) 宮城刑務所敷地内に仙台少年鑑別所を移してまいったという経緯がございまして、これは隣接するといいますか、同じいわゆる矯正団地的に四つ施設少年院も含めまして並んでおります。
  7. 大森礼子

    大森礼子君 仙台につきましては、これは古城三丁目にあったものを移したということでしょうか。
  8. 東條伸一郎

    政府委員東條伸一郎君) 少年鑑別所宮城刑務所敷地の一部へ移してまいったということでございます。
  9. 大森礼子

    大森礼子君 その移したのはいつになりますか。これ住宅地図が古いんでしょうか、別の場所にあるんですけれども
  10. 東條伸一郎

    政府委員東條伸一郎君) 現在その点の資料を持っておりませんので、いつ移したかはちょっと正確にお答えしかねますが、移ってまいったことは事実でございます。
  11. 大森礼子

    大森礼子君 移ったとしても多分最近なんでしょう。ちょっと私、住宅地図を調べましたら全然別のところにあったものですから、この点は御確認いただきます。  それから、例えば大阪ほか十三カ所でも刑務所同一敷地内にあるからいいんだということなんですけれども、考えるべきは、だから今回もいいんだということにはならないと思うんです。本来、少年鑑別所青少年保護育成、それから非行化防止、こういう目的にとって少年をそのような刑務所と同じ敷地内の施設に置くことがいいのかどうかという、こういう発想が必要だと思います。それが望ましくないのであれば、これから先の改築等につきまして移転の方向で考えるというのが筋でありまして、今十三あるんだから、だからいいんだというのは全く理由になっていないと思います。  なぜこれ私問題にするかというと、例えば平成七年の犯罪白書でも第三章に「矯正及び更生保護」ということがございます。それで、その中で少年鑑別所のあるべき姿というんでしょうか、そのところで、要するに鑑別所というのは、鑑別目的に資するために明るく静かな環境、それから安んじて審判を受けられるようにしなくてはいけない、そこでは少年の心情の安定を図らなくてはいけないと。まず、少年にとりましてはそういうまだ成長段階にあるわけですから、非常に大人と違った心理状態にもなりますから、そこら辺の安心できる環境をという、その中で鑑別が行われなくてはいけないと思うわけであります。  刑務所拘置所と同じ敷地内の施設、隣接することはこれ間違いないわけですね。隣は、刑務所の方は塀を張りめぐらすからいいんだということなんでしょうけれども、そういう塀があること自体少年にとってどういう影響を与えるか。監視塔だってあるんじゃないでしょうか。  それから、例えば小倉少年鑑別所のしおりというのもありますけれども地図というのが載っております。一般少年鑑別もするわけですから、やはり一般の方に来ていただこうと思ったら地図だってつけなきゃいけないわけですね。少年鑑別所はどこかなと思って見たら、刑務所の隣だった、拘置所の隣だった、隣接している、こういうイメージを与えることは間違いないわけなんです。特に、世間から見ましても、そういう形にしますと鑑別所というのは刑務所とか拘置所と似たような施設であるという印象を与えると思うんです。こういう環境の中に置くということが少年自身にどのような不安感とか挫折感を与えることになるか、これはその家族にとってもそうだと思います。鑑別所施設に対する新たな偏見を生む土壌になるのではないかということを私は言いたいわけなんです。  少年に対して果たして大人がこういうふうな扱いをしていいのかということを私は思うんですけれども法務省の方はそういう発想といいますか、子供にとってよい環境かどうかということ、こういう点をどのようにお考えになっているんでしょうか。
  12. 東條伸一郎

    政府委員東條伸一郎君) 少年鑑別所のあり方につきましては、私どもも今先生が御指摘になりましたような観点も含めましていろいろと検討しております。特に、少年が落ちついて資質鑑別を受けられるように、できるだけ建物もきれいなものにいたしたいと思っておりますし、それから日常生活いたします居室もきれいなものにしたい。それから一方、少年人権ということを考えますと、例えば運動場で運動しているところを近隣からのぞかれるというようなことは、やはり収容されている少年にとっては大変問題でありますし、また収容の安全というような面から考えますと、例えば暴走族その他の仲間というものが押し寄せてくるといいますか、そういうことでも落ちついた生活はできない。いろいろなことを考えながら少年鑑別所を建設しているわけでございます。  現在の小倉少年鑑別所の現状について若干御理解をいただきたいと思いますけれども、これは昭和二十九年に建築されました非常に古い建物で、しかも敷地が非常に狭隙な建物でございます。既に建物にはひび割れが多く、随所で雨漏りがございますし、庁舎自体が狭いものですから、OA機器整備もできませんし、会議室の確保、それから今先生がおっしゃいました一般鑑別といいますか、外来鑑別のための部屋もございません。家裁の調査官調査集団室で行わざるを得ないような状態もあります。それから、昔の建物でございますために、少年居室が狭くて、西日が当たる部分などは夏になると四十度を超えるというような状況がございます。おまけに敷地周辺都市化が進んでおりまして、周囲に高いマンションができましたために居室運動場が俯瞰されるような状況になっているというようなことから、これは現在のままでは到底落ちついて少年収容して、そして少年の気持ちを考えながら鑑別するということができない状況にございます。  刑務所敷地にあるから少年たちに悪い影響を与えるということは、これはすぐには言えない。その建物の建て方、それから周辺整備の仕方、これはこれから十分検討してまいりたいと思いますけれども、そういうことであろうかと思います。もちろん、刑務所敷地がベストであるなどということを私は申し上げているわけではございませんし、いつも刑務所敷地一緒にしようということを考えているわけでもございません。ただ、北九州の場合は諸般の事情がございましてそちらへ行かざるを得ないということを申し上げているわけでございます。  そして、十三施設があるからいいじゃないかというふうに、私の答弁がそのように聞こえましたとしたらお許し願いたいので、私ども人権上常に問題がないかどうかを見守りながら運営しておりますが、現在までのところ十三施設でも具体的に問題が生じていないということを申し上げただけでございます。
  13. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  14. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 速記を起こして。
  15. 大森礼子

    大森礼子君 改築自体がだめだと言っているわけではないんですよ。申し上げたいのは、いきなりそういうふうな同じ敷地内に置くという、その発想自体がおかしいのではないか。例えば改築自体施設が古ければ改築するのは当然です。私は、矯正施設本当に古くなっていると思います。どんどん変えていっていいと思うんです、予算をとっていただいて。改築自体は問題ない。なぜ同じ場所ではできないのか。あるいは移転を考えた場合に、現在の住所でできないのであれば、すぐ刑務所と同じ敷地内というふうに考えるのではなく、ほかに代替地とかそういうものを一生懸命探して、あげく、どうしてもこれしか方法がないということなのかどうかということです。そういうプロセスというものをちゃんと、地元弁護士会の方とかと話し合いになればまたいい知恵も浮かぶと思うんですけれども、そのプロセスが飛んでいるということを私は問題としたいわけです。  それから、いろいろ事情をお話しになりますけれども、こういう聞き方をしましょうか。例えば一般鑑別、これもやっていくと思うんですけれども、こういうときに、じゃ親御さんが一般鑑別を受けさせようかと思って地図を見たら、さっき言いましたように刑務所の隣だ、拘置所の隣だと。これだったらちょっとそういうところへは連れていかれないと思うでしょうし、それから、あそこは少年刑務所のところへ行っているんだよと周りから見られればやはり足が遠のくと。そうしますと、犯罪白書の中でも一般鑑別につきましては「地域社会青少年相談センターの役割を果たし、広く一般市民の要望にこたえ、青少年健全育成非行防止等に寄与している。」と、開かれた施設であるべきだと犯罪白書の中でも述べているわけなんです。  そうしたら、単純に最初の時点から考えていただいて、刑務所拘置所、そういうものが入っている同一敷地内に少年鑑別所を移すということがこういう目的にとって望ましいと思っておられるのかどうか、この点いかがですか。
  16. 東條伸一郎

    政府委員東條伸一郎君) 再三同じお答えになるかと思いますが、開かれた少年鑑別所、あるいは少年人権ということも十分考えながら、敷地内に建物構造その他を工夫してまいりたいと、このように考えております。
  17. 大森礼子

    大森礼子君 端的にお伺いします。  この前の決算委員会答弁では、当初は要するに一つ建物の中で下の方を少年鑑別所、上を拘置所というふうにしておりましたけれども地元方々の御指摘もあって別棟構想というのも今でき上がっているようですけれども、この構想というのはもう決まってしまったんでしょうか、少年鑑別所について。それとも、これからまだ検討の余地があるのかどうか、そこをまずお伺いいたします。
  18. 東條伸一郎

    政府委員東條伸一郎君) まだこれは調査費がついた段階でございまして、決まったという意味は、正確には予算もいただいておりませんのであれですが、私ども考え方といたしましては、いろいろと考えました結果、現在ございます小倉刑務所敷地に先ほど申し上げた三つの施設を集約せざるを得ないということは、私どもの一応計画としてそのように考えております。
  19. 大森礼子

    大森礼子君 計画としてある。それはよろしいんですけれども、例えば、一応とりあえず少年鑑別所についてだけ、もう別棟で決めちゃうのだじゃなくてもう一度検討する、させていただくというんでしょうか、その可能性があるんでしょうかどうでしょうか。それがもうだめなんだ、決まっちゃったんだといったらまた別の質問の仕方をしなくてはいけないと思うんですが、その点いかがですか。もう決まりなんでしょうか。
  20. 東條伸一郎

    政府委員東條伸一郎君) 少年鑑別所に限って申し上げますと、現在の少年鑑別所、先ほど申し上げましたようないろいろ問題がございます。それについてはここでは詳細は省略いたしますけれども代替地その他の問題、現在地改築が困難であるというようなことから、現在考えております小倉刑務所跡地へといいますか、その敷地へ移さざるを得ない、このように考えております。
  21. 大森礼子

    大森礼子君 この場合、例えば改築する場合にはどれだけ費用がかかって問題がある、あるいはその代替地をある程度当たってみたけれどもだめだったとか、そういう行動というのはちゃんとされた上でのことなんでしょうか。
  22. 東條伸一郎

    政府委員東條伸一郎君) 現在地敷地はもう大変狭うございますし、現在既に、現在地改築ということを言っておりませんから具体的には起こっておりませんけれども、たびたび暴走族等が来るということで近隣からは非常に迷惑がられているという状況、それから敷地L字型のおかしな形の敷地でございますので利用しにくいということでございます。  それから、移転地でございますが、城野医療刑務所移転地について非常にあちこち苦労して探しましたけれども、結局それもないという状況でございまして、そのほかに少年鑑別所その他についてもこれは到底不可能である、このように判断いたしております。
  23. 大森礼子

    大森礼子君 城野医療刑務所についてはいきさつを一応理解しておりますからいいんですけれども少年鑑別所ということではそういう行動はしておられないんじゃありませんか。城野医療刑務所と、刑務所ですから地域住民の方の御理解も得られないことがあると思うんですけれども、むしろ法務省側としては、鑑別所というのはそういう本来の矯正施設ではございませんと、青少年健全育成非行化防止のための開かれた施設なんですということをPRしていく必要があるのではないかと思います。  それから、私、検事をやっておるときに少年事件を担当したことがあります。それで、保護されたり逮捕されてきた少年は、最初は本当に突っ張ってこれが子供かと思うようなんですけれども、後で取り調べ、事情聴取等鑑別所に行きますと、本当に穏やかな顔になっていて、職員の方とも会話をして、本来の年代のような形になっている、こういう光景をよく見ているわけなんです。こういう経験から見まして、子供にとって静かな環境というものがいかに大切かということを痛感したわけなんです。そういうことを思いまして、やはり子供心理に与える影響というものをもう少し考えていただきたいと思うわけなんです。  それから、私は少年鑑別所等へいろいろ行きました。どこも静かなところにあります。神戸などでは住宅街の中にありまして、ほかの住宅なんかと自然にマッチして特異な施設であるという印象を与えておりません。これが本来の形であろうと私は思います。鑑別所の中で思ったことは、職員の方が非常に少年に対して熱心に接しておられるということなんです。こういう経験から見ますと、今回のこの構想というものを例えば少年鑑別所の所長さんであるとか職員の方であるとか家庭裁判所であるとか家庭裁判所調査官であるとか、少年の問題に直接接しておられる方が果たして支持するだろうかということなんです。  法務省として、この移転計画するに当たりまして、今挙げたような方々との意見交換とかこういうものは十分やった上でのことなんでしょうか。
  24. 東條伸一郎

    政府委員東條伸一郎君) もちろん、地元少年鑑別所職員その他の意見は十分徴しておりますし、具体的に今申し述べる資料を持っておりませんけれども関係機関とも協議は進めております。
  25. 大森礼子

    大森礼子君 きょうは時間がありませんけれども、そうしたらどのような過程でされたのかということをまた詳しく私はお尋ねしたいと思います。もし、そういうことで少年鑑別所の所長さんとかそれから家庭裁判所調査官の方とかそういう方がこの方がいいんだとおっしゃっているのであれば、これまた別な意味で問題にしなきゃいけないんじゃないかと思うわけです。  それで、時間の関係がありますので、もっと詳しく聞きたいんですが聞けませんけれども決算委員会の方では長尾法務大臣は、地元関係者の皆様の意見を十分伺いながら対策を進めさせていただくということは、特にこういう問題についてですけれども、もっともな指摘だと思います、その方向に沿いまして、この問題の処理に当たっていきたいと考えておりますと答えられております。  これは、弁護士会だけとは限りませんけれども地元方々の十分意見を伺ってこの構想を進めていくという、この決算委員会の時点ではより積極的な御発言だなと思って受けとめておったわけなんですけれども、きょうの政府側の答弁を聞きますと、何だかほとんどもう決まっちゃってどうにも、絶対何が何と言おうと動かさないというふうに聞こえるんですけれども、この問題につきまして法務大臣として、その場所もそれでいいのかどうかも含めまして、もう一度十分検討していくという、こういうお考えはございますでしょうか。
  26. 長尾立子

    ○国務大臣(長尾立子君) ただいま先生の方から、少年事件というものの特殊性、少年には未来があるという観点から、もう少し心の温かいそういう対応をすべきではないかというお話であるように承りました。私も先生の御意見には全く賛成でございます。確かに少年事件というのは、子供たちにとってこれからの人生があるわけでございますので、慎重な上にも慎重であり、子供の未来を考え、人権にも十分配慮したそういう対応が必要であるということはもう本当に御指摘のとおりであると思っております。  この件に関しましては、私は現地へ行ったことはないわけでございますけれども、ほかの条件というものもこの時期では大変厳しいものがあるのではないかと思います。他に用地を求めるということができるかどうかということになりますと、これは確かに条件的には厳しいのではないかと思うのでございますが、先生が今おっしゃいました留意点、これを十分に踏まえまして、限られた条件の中で最大限の努力をさせていただく、こういうことを検討させていただきたいと思っております。
  27. 大森礼子

    大森礼子君 結局、私いつも思うんですけれども矯正というのは本当にある意味世間から見捨てられたような場所、光が当たらない場所になっております。私はとても重要な場所だと思うんです。ところが、なかなか予算がとりにくいということがありまして、本当に矯正というものにもっと私たち国会議員も目を向けていって、そういう施設等を含めましても人権上の問題がありますから、大いに予算をとっていって充実させていかなければならないと思っているわけなんです。  特に、今の世界の流れからいきまして、「罪と罰」、平成八年五月号に「少年鑑別所の五十年」ということで千葉の少年鑑別所の所長さんが寄稿しておられるんですけれども、この最後に、「平成六年四月二十二日、国際連合の「児童の権利に関する条約」が批准されたことは、明日の少年鑑別の在り方を考える上でも、看過することができない、と言ってよかろう。」、こういうふうに言っておられます。  やはり少年につきましても人権というものが問題になっておりまして、殊に今の答弁を聞いていますと、何かこのまま突っ切っていくような言い方にも聞こえるんですけれども、この場所をこのようにするということだけでも少年人権上非常に大きな問題があると思いますし、いずれ国際論議になるかもわかりません。  ですから、お願いしたいのは、この少年鑑別所の問題についてはいま少し慎重であっていただきたい。それから、十分な意見交換等もしていただきたい。それで、もし予算の問題であれば、簡単に言ってとしかられるかもしれませんけれども、私これはとても大事な問題だと思いますから、例えば国会議員が理解を示して大蔵省に対する予算折衝をバックアップするとか運動を盛り上げるとか、そういうことでしたらいかようなことでもさせていただきます。それで、大蔵省につきましても、今回の住専でも、私からするとめちゃくちゃな予算ですけれども、ああいうことにはどんどん金を使うわけですから、なぜ二十一世紀の日本を担う人材育成のためにお金を使えないのかという交渉の仕方もあると思います。  十分言葉は尽くせませんけれども、この問題につきましては、もう決まっているからやるんだじゃなく、もう一度、法務大臣自身できれば現地を見られて、地元関係者、裁判所、家裁の調査官とかそういう方も含めて意見を聞いて、もう一度検討していただきたいと思います。また、場合によりましては、法務委員会の方でも現地視察ということもお願いしてもいいのではないかというふうに思っております。今の答弁ですと、もう決まつちゃったような言い方ではあるんですけれども、もしそうであればまた別な形で問題にしなくてはならないと思います。ともかく少年のことですので、その人権保護のためからも十分な御検討をお願いしたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  28. 橋本敦

    ○橋本敦君 まず、上告理由制限の問題に関連してお伺いいたしますが、三百十八条の関係で、「法令の解釈に関する重要な事項」という問題で、一体「重要な事項」とはどういうものを言うのか、文言上からは極めて明確でありません。法制審でそこらあたりどう論議されたかの問題もありますが、法務省なり最高裁はこれからこの法の運用に関してここで言う「重要な事項」とはどういうものを考えておられるか、その要件なり考え方なりを伺いたいと思います。
  29. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 最高裁判所に対する上告受理申し立ての要件としての「法令の解釈に関する重要な事項」というものの意義ということでございますが、条文ではその代表例として「原判決に最高裁判所の判例と相反する判断がある」場合というのを挙げておるところでありますが、要するに最高裁判所が法令解釈について実質的な判断を示す必要がある事項というふうに抽象的には申し上げることができようと思います。そういう事項に該当するかどうかは最高裁判所自身が判断されるということになるわけでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、代表例として掲げられております判例違反の場合のほかに、一つはこれまで最高裁判所の判断がない解釈問題について最高裁判所の判断を示すべき場合、二つとして、最高裁判所のこれまでの判断を変更すべき場合、そのほかに、三つ目として、高等裁判所の誤った法令解釈を高等裁判所の判決として確定させることが適当でないというふうに考えられる場合等がこれに当たるのではないかというふうに考えられます。  これに対しまして、法令違反に名をかりて単に原判決の事実認定を非難する場合とか、あるいは法令解釈に関する事項を主張しているけれども、それは当該事件に適用されるべき法令の解釈に関して独自の見解を述べるにすぎないもの、そういった場合にはこの「重要な事項」に該当しないということになるのではないか、立案担当者としてはそのように考えているところでございます。
  30. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 法案の解釈につきましては、ただいま法務省から御説明のあったとおりかと存じます。  その運用に当たります最高裁判所としましては、法案が成立した場合には、その改正趣旨やこの国会での審議内容を踏まえて適切な運用を行うことになるものと考えているところでございます。
  31. 橋本敦

    ○橋本敦君 まさにこれからの適切な運営がどうなるかということが重大問題であります。法令の解釈に誤りがあるということは、それ自体は認められる。しかし、重要な法令の解釈でなければ、原審の法令の解釈に誤りがあっても、それが原判決に影響を及ぼすということであっても上告を受理しないのかどうか、これが問題になってこの間も私が追及していろんな矛盾的な答弁もありました。  もう一遍重ねて聞きますが、法令の解釈に誤りがあると認められる、しかしそれは重要でないと、こういうことで法令の解釈に誤りがあっても上告を受理しないということがあり得るのじゃありませんか。そこをはっきりしてください。
  32. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のとおり、前回の私ども答弁、若干明確でないところがございましたので整理して答弁させていただきます。  御指摘の、法令違反があってそれが判決に影響を及ぼすというような場合がどうなるのかということについての御指摘かと思いますが、まずもって判決に法令の違反があると認められる場合には、法令の解釈を前提といたしますので、法令の解釈にかかわる問題を含むことになります。したがって、その事項が重要なものであるかどうかということが問題になるわけでございますが、法令違反があって、かつそれが判決に影響を及ぼすというふうに最高裁判所が判断する場合には、最高裁判所としてはそういう誤った法令解釈を高等裁判所の判決として確定させるということは適当でないということでございますので、法令の解釈に関する重要な事項を含むものとして受理されるという取り扱いになるであろうというふうに考えております。  したがって、言葉の問題は違う用語を使っておりますが、実際問題といたしまして、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があると認められる事件が法令の解釈に関する重要な事項を含まないとして受理されないということはないものというふうに考えております。  前回の委員指摘ございました多摩川水害訴訟とか税理士会の寄附事件等につきましても、これはいずれも法令の解釈についての重要な事項を含むものと認められる典型的な事例に該当するのではないだろうか。立案担当者としてはそのように考えているところでございます。
  33. 橋本敦

    ○橋本敦君 最高裁判所は今の解釈でよろしいですか。
  34. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 法案の解釈につきましては、ただいま法務省から説明のあったとおりであると理解しております。
  35. 橋本敦

    ○橋本敦君 それならば、上告の理由として、重要な法令解釈の誤りがある場合ということだけにとどまらず、重要な事項を含むということだけにとどまらず、高等裁判所に対する上告ではっきりと書かれておりますように、「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある」、これも上告理由としてはっきりすればいいんです、法文上、そういう解釈でいくなら。そうしないというところに問題がある。そして、今の解釈が本当に最高裁によって貫かれるかどうか、これからの運用にかかるし、裁判官の判断にかかるわけでありますから、私は、今のような答弁であるならこの法案はきちっと修正をする必要があるというように考えております。  この問題はそれくらいにして、時間がありませんから次の問題に移らせていただきます。  国民にとって親しみやすい裁判という、そういう観点から、二、三の問題でありますが、伺っておきます。  まず法務省に対して、訴訟手数料を印紙で納付するということではなくて、現金で納付すれば一層国民はやりやすいということがよく言われております。現金納付にかえてやれないということであれば、印紙の販売について、印紙の販売場所裁判所の近くもしくは自動販売機など国民の親しみやすいところにいたしませんと、少額訴訟の簡易迅速なこれからの手続を進める上でも国民の利益にマッチしないのではないかと思います。ここらあたり、国民のための改善措置として法務省は知恵を出していただくことはできませんか。
  36. 永井紀昭

    政府委員永井紀昭君) こういった手数料現金納付の御意見があることは十分承知しております。ただ、いろいろ会計法上の問題その他で、あるいは現金を取り扱うということから生じるいろんな難点もございます。いずれにいたしましても、民事訴訟費用制度に関する問題でありまして、今回の法制審議会民事訴訟法部会の審議においても指摘されております。  そこで、今回は間に合いませんでしたが、民事訴訟費用全体につきまして、現在、司法法制調査部の方で研究会を行っておりまして、これは法曹三者のほか学者の方も入っていただいて民事訴訟費用全体についての抜本的な検討を今行っているところでございます。
  37. 橋本敦

    ○橋本敦君 それでは、その検討を進めてぜひ具体的な方向を打ち出していただくことを希望しておきましょう。  次は、最高裁に対してですが、裁判所職員や裁判官の数が足らないということはさんざん指摘をされておるんですが、これから少額訴訟事件になりますと本人訴訟がふえる可能性があるし、またふえてよろしいと思うんですね。そういう場合に、窓口で本人訴訟として相談に乗ってあげる、そういうシステムをつくっておきませんと、なかなかやっぱり法律の素人である国民にとっては具体的な対応をやりにくいわけです。法務省の方では法務局の窓口に相談員を置かれまして登記手続等についてはいろいろ相談もなさっておられますが、裁判所で今後、少額訴訟手続事件が本人訴訟も含めてふえることに対応して、国民サービスの観点で御検討なさっていただく点はありませんか。
  38. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 少額訴訟制度が取り入れられた場合に、本人訴訟への配慮が重要になってくるという御指摘は全くそのとおりだと思っております。  御案内のとおり、簡易裁判所におきましては、これまでも手続に関するリーフレットや訴状等の定型書式を窓口に備え置くとか、あるいは手軽に相談に応じるなどの工夫をしてきたところでございますが、さらに東京簡易裁判所では平成七年九月から電話とファクシミリによる民事手続の案内サービスも開始をしております。コンピューターを利用して情報を電話やファクシミリによって提供するというものでございますが、二十四時間利用することができるようになっております。こういった工夫をさらに今年度中には大阪、名古屋、福岡、札幌等の簡裁にも拡大したいと思っております。  いずれにしましても、訴訟になれていない一般市民がこの少額手続を利用することが多くなろうかと思いますので、これまで以上に手続の教示制度といいますか、これを確立させ、そして適切な運用を図っていくことが大事であると思っております。いろんな工夫をあらゆる衆知を集めて実行していきたい、こう思っているところでございます。
  39. 橋本敦

    ○橋本敦君 その他、国民的司法前進のためにはいろいろな課題が山積みであろうと思いますが、そういった問題についてはまた法務委員会で順次、一般質疑等でもお願いをしていくことにして、時間がありませんから、もとに戻って民訴法の質問をいたします。  次の問題は、いわゆる争点、証拠の整理手続、つまり弁論の準備手続の問題であります。  この問題では、一番大きな問題は、私は、裁判の公開、その原則との関係だと思うんです。そこで、非公開で弁論準備手続をするということについて、まず百六十八条では「当事者の意見を聴いて」と、こうあります。これはもっともだと思います。しかし、この「当事者の意見を聴いて」という文言は、当事者の意見は聞くけれども当事者双方の合意が必要だと、こういう解釈、運用をして、そこのところは厳密に、裁判所が職権的あるいは当事者の一方の意思を無視して強権的にやるということがないようにするような、そういう運用が望ましいのではないか。そういう点で、裁判所の考え及び法務省の考えを伺いたいと思いますが、どうですか。
  40. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のように、弁論準備手続に付する場合に、事前に当事者の意見を聞くということにしております趣旨は、これはやはり当事者の協力なくしては争点の十分な整理を行うことができないということから、この手続に入るについては当事者の意向を事前に聴取した上でこれを選択するということにしたものでございます。  ただ、条文上、当事者の同意を要するということにしますと、ともかく一方の当事者が反対と言えば、事案の性質からはやはり弁論準備手続の方がいいと思う場合であっても、裁判所がそういう手続をとる余地が全くないということになりますために、これは裁判所の適正な運用に帰するという趣旨意見を聞くという条文になっているわけでございます。  ただ、しかしながら、今申しましたような趣旨でございますので、当事者が単に反対ということでなくて、合理的な理由をもって強く反対しているというような場合には、手続を開始しましても円滑な争点整理をすることができないわけでございますので、裁判所の運用といたしましては、そういう場合にはむしろ準備的口頭弁論を利用される、そういう運用がされるのではないだろうか、このように立案担当の方では考えているところでございます。
  41. 橋本敦

    ○橋本敦君 この問題は訴訟関係当事者にとっては非常に重要な問題でありますから、当事者の意見を聞きさえずればよいという形式的な運用ということでは私は絶対に済まされない問題だと思うんです。まさに、裁判を受ける権利にかかわって、その訴訟手続が国民にとって納得のいく手続で行われるかどうか。手続というのは、まさに国民が納得する裁判とのかかわりで大事です。だから、手続が適正であり、納得がいく審理方式がやられれば、そしてその結果判決が出れば、少々不服であってもやっぱり考え方が違ってくるんです。  一般に上訴が多いということの中には、納得のいく裁判としての国民のそこのところの信頼が欠ける場合だってたくさんあるわけですね。だから、この問題で、「当事者の意見を聴いて」というこの運用については、今後の課題として、今おっしゃるように、当事者双方の同意がなければできないとまで法文には書いてないけれども、可能な限り当事者の合意と納得を得て、だからこそ準備手続がスムーズに進むということにもなりますから、そういう運用について裁判所は特段の配慮をなさっていただく必要があると思いますが、裁判所のお考えはいかがですか。
  42. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 裁判所としましては、判断の内容そのものが大変大事であるということはもちろんでございますが、今委員が御指摘になりましたような、納得をいただく手続をきちっと守るといいますか、そういうことが非常に大事なことであるというふうに思っております。  この「当事者の意見を聴いて」という条文の解釈につきましては、法務省から御説明したとおりでございますが、今後ともその納得をいかにして確保していくかという面におきまして、運用上の工夫を十分積み重ねなきゃいけない。わけても、当事者に最も近い立場にいる弁護士会との間では十分な意見交換をして、納得を得られる手続をいかに確保するかについて率直に意見を交換していきたいというふうに思っているところでございます。
  43. 橋本敦

    ○橋本敦君 今おっしゃったように、弁護士会等とも十分意見の交換をして運用の適正を期していただくことを私は期待しております。また、そうすべきであると思います。  それで、その関係でもう一つ問題になりますのは傍聴の問題であります。  準備手続は私ども経験がありますが、準備手続室で、あるいは時には事件が込みますと裁判官室の一隅でやるということもあり得ます。それは事件の性質によっていろいろケースがありますから、一概にそれは密室裁判だと私は言いません。  しかし、当事者の合意があればそれは別なんですが、そうでない場合に、やはり公開の法廷という原則を守って口頭弁論は公開の法廷でやるということを民事裁判でも貫くのが、これが何といっても訴訟法の大原則ですから、そういう意味で傍聴という問題も軽視できません。その点で考えてみますと、百六十九条で傍聴の問題については「相当と認める者の傍聴を許すことができる。」と、こうあります。ここで言う相当の者とは何なのか。この点はどういう判断をなさっておりますか、法務省
  44. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) この弁論準備手続の目的は、従来お答え申し上げておりますように、事案の内容、性質等に照らして、争点の整理を公開の法廷で行うよりも当事者がひざを突き合わせた穏やかな雰囲気の中で自由闊達に議論を行うことが適切であると、こういう事案についての手続として用意しているものでございます。  しかしながら、そういう目的を損なわないと認められるものについてまで傍聴を制限するのは適当でないという考慮から、現行の準備手続の規定と異なりましてこの傍聴の規定を設けたわけでございます。  したがいまして、「相当と認める者」という意義は、裁判所がそういう事案の内容、手続の円滑な進行くの影響、傍聴を希望する者の数、そういった諸般の事情を総合して今申しましたような趣旨から裁判所において判断されるものであるというふうに考えております。
  45. 橋本敦

    ○橋本敦君 具体的に中身がわからないんですね。裁判所はどうお考えですか。
  46. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 基本的に、当事者の了解の得られない手続の運営ではなかなか準備の手続の実効が上がりがたいということは御理解いただけると思います。  そういう意味で申し上げますと、基本的には当事者が了解をしてもらえそうな運用を図るということが最も大事でございまして、「相当と認める者」につきましては、そういう意味で言いますと、原則的にはなるべく傍聴を認めるという方向でいくのが当然ではなかろうかと思っております。しかし、どうしても支障のある場合には傍聴を遠慮していただくということにはなろうかと思いますが、一応そういう心構えでいくべきではなかろうかと思います。  いずれにしましても、この法案が成立した場合には、ここでの御論議等も踏まえて、裁判官や書記官等の協議会を通じて運用のあり方等について十分協議をしてもらいたいと思っているところでございます。
  47. 橋本敦

    ○橋本敦君 その文言の中で、「相当と認める者の傍聴を許すことができる。」、「相当」の範囲は、これは裁判所法務省もこの範囲だということは具体的になかなか例示的にも言えないということですから、極めて抽象的な規定なんですね。強いて言えば、裁判官の判断にかからされてしまうという心配がありますよ。また、かかってくるわけです。  その次に、「当事者が申し出た者については、手続を行うのに支障を生ずるおそれがあると認める場合を除き、その傍聴を許さなければならない。」と、こうありますが、「相当と認める者」と「当事者が申し出た者」との関係はどうですか。相当と認める者というのは、当事者が申し出なくても相当と認める者は裁判所が判断して入ってよろしいよということになるんですか。当事者が求めた者は、相当でないと認めても当事者が求めた以上は、支障がないと考えた以上は傍聴を許さなきゃならない、こういうことにもなるんですか。  この規定は、解釈の仕方によっては全く裁判所の恣意的判断を許しかねない問題で、結局傍聴の自由が阻害されるのではないかという心配はぬぐい切れません。どうお考えになりますか。
  48. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 本文とただし書きの関係についての御指摘でございますが、究極のところ、今申しましたように、この弁論準備手続というものを争点整理の手続の一つの形態として設けました趣旨に照らして判断されるところでございます。  ただ、この傍聴の問題についても、とりわけ当事者の考え方を尊重するということが必要であろうと。そういう観点から、当事者が申し出た者については要するに原則としてその傍聴を認めるんだ、特別に支障のおそれがあるということを裁判所が積極的に判断した場合を除いては原則的に傍聴を認めるんだと、こういう趣旨を明確にしたということに意義があるというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、最高裁御当局が御答弁になられましたように、この規定の趣旨のもとに適切な裁判所の運用がされるということを期待しているところでございます。
  49. 橋本敦

    ○橋本敦君 当事者の意見を可能な限りこの傍聴問題でも尊重するという立場で運用するというように理解してよろしいですか、裁判所
  50. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) まさに委員が御指摘になったとおりと存じます。  私どもとしては、あくまでも争点を整理する、いわゆる本格審理の前段階の手続でございますので、この前段階の手続でいろいろなトラブルが発生するようであれば、ほかの口頭弁論あるいは準備的口頭弁論もあるわけでございますので、それらを事件に応じて利用するという方が実際的ではなかろうかと考えているところでございます。
  51. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから、したがって、十分に当事者の合意が得られない、傍聴の問題もなかなかそういう意味では当事者との関係でコンセンサスが得られないというようなケースについては、準備的口頭弁論をするそのこと自体が妥当かどうかという判断をし直さなきゃならぬということもあり得るというように私は思います。  次の問題に移りますが、百五十一条の釈明処分の関係が百七十条で準用されております。この百五十一条の問題について言いますと、これは訴訟関係を明瞭にするために、裁判所が、一つは当事者本人及びその法定代理人、それに対していろいろな釈明もまたいろいろな手続もおとりになるんですけれども、この関係で準備手続の中で、「当事者のため事務を処理し、又は補助する者で裁判所が相当と認めるものに陳述をさせること。」ができると、こうある。これは準備手続でこのとおり準用されますか。
  52. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) そのとおり準用されるということでございます。
  53. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうしますと、争点整理だけではなくて、例えば私がしばしば経験する労働事件で例をとりますと、当事者のために事務を処理する者として会社の労務担当の重役とか課長とか部長が出てくる。労働組合は労働組合関係者の利益を守るために組合の責任者が出てくる。そういうことで、それぞれの意見をそこで述べるということが可能になり、陳述書はこれはこういうものであるとか、この書証はこういう性質のものであるということを意見交換されるとなると、実質的な証拠調べと実体的にどう変わるのかという問題があるんですよ。  もしそこまでやるとすれば、本来、準備手続は訴訟の今後の進行がスムーズに行くための争点整理をやるはずなんですが、裁判所がそこで一定の心証をとるということは事実上の証拠調べとして可能になってくる。そうなれば、公開の法廷で証人調べをどれだけやるかという問題についても、既に一定の心証をとられているから、裁判所の判断でこれは要らない、これは必要だということで、証人調べの範囲も当事者の意思に反して限定されかねないという心配さえ出てきて、公開口頭弁論における十分な審理ということがその意味ではゆがめられる危険性がある重要な問題ではないかというように思うんです。  そういうことは、私は、裁判官が心証をとらないようにということであっても、心証というのは事実上出てくるんですから、今この準用によってそういうことが公開の法廷でなくて密室で論議されれば、公開法廷での弁論による真実の究明という意味がなくなってくる可能性さえあるんです。そこらあたり、本当にきちっとやれるんですか、やれないんですか。これは大問題だと思いますが、裁判所、どうお考えですか。
  54. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 今御指摘になりました法案の百五十一条の規定による釈明処分、これはあくまでも当事者の主張の不明確な部分をただすことなどによって訴訟関係を明瞭にするために行うものだということでございます。証拠調べとして行うものではない、あくまで釈明処分に関する現行法の百三十一条についての解釈と全く同様になるものというふうに理解をしております。委員指摘のようなおそれが全くないかと言われると、それは今後の運用にかかわることではございますが、御指摘のようなおそれはないものと考えております。  なお、繰り返し申し上げますが、この国会における審議等も十分資料として各裁判官あるいは書記官等の協議の際に参考にさせていただこうかと思っているところでございます。
  55. 橋本敦

    ○橋本敦君 最後になりますが、まさに法廷という公開の場で、国民の目の届いているところで当事者が真剣に議論を交わし、証人に対しても反対尋問、対質尋問も含めて真相究明のために積極的に努力する、まさに裁判所はそれの行司役として公正な審理手続を進めて、最終的に裁判所の事実の判断と法令の適用が適正に行われるようになるというのが生きた裁判です。  そういう意味で今度の改正は、私は、いろいろ御答弁いただきました、運用の努力をするというお話もいただきましたが、裁判公開の原則とまさに国民の裁判を受ける権利との関係で重要な問題はなお残っている、大問題があるということを指摘して、今後よい裁判を国民のために進めるために裁判所なり弁護士会なり当事者なりと一層の努力と協議をしていただくことをお願いして、質問を終わります。
  56. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 時間的な問題がございますので、委員長の指揮に協力して質問をいたします。そこで、あらかじめ通告していた質問と変わりますが、お許しください。  今、橋本委員が質問なさいました弁論準備手続問題、私は専門家じゃありませんのであのように詳細な質問はできませんが、私自身納得できないところがありますのでお尋ねします。  長尾法務大臣は、十三日の私のこの点の質問に対して、憲法で公開を求めている対審に該当しないし、裁判の傍聴についても人権保障という観点から現行法よりも一層の配慮をしていますということで、この弁論準備手続の問題について、公正な裁判を受ける権利すなわち公開という問題について問題があるんではないかという私の質問に対して答えておられます。  十七日、昨日の参考人の意見陳述の中においても、坂本参考人がこの点について非常に詳しく述べられました。私の心配していることをそのまま意見としてお述べになったと見ています。そこで坂本さんはこのようにおっしゃったんです。原則非公開の弁論準備手続では、傍聴できる法廷での証拠調べは証人調べしか残らなくなってしまいうそがまかり通る民事裁判がふえるのは目に見えていますと、私どもに配られた文書の中に書きつづられていたのであります。うそがまかり通る民事裁判がふえては困るわけでありまして、私はそういうことにはならないのではないかと思いますが、しかしその心配は残ります。今の橋本委員の質問の中で出てくる答弁についても、その疑念は消えません。  そこで、裁判所に聞きますが、あなたは橋本委員への答弁に、傍聴問題のときに、原則的にはなるべく傍聴を認めるという答弁をなさいました。このなるべくという言葉は削除なさった方がいいんじゃないですか。原則的には傍聴を認めるということで、なるべくと、絶えずこういう言葉がついてくるところにその運用の中で紛らわしい状態が生まれると思います。一々揚げ足を取るような質問で申しわけありませんが、傍聴問題については原則的には傍聴を認めるというのでいいんじゃないですか。なるべくというふうな答弁をなさったことについては、私はこれはちょっと削除をしておいていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  57. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 多少言葉遣いに厳格性を欠いた表現を申し上げて失礼したかと思いますが、基本的に争点等の整理手続に支障がない限り相当と認める者になるというふうに考えているところでございます。
  58. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、私は、あなたがなるべくとおっしゃった、なるべく傍聴を認めるという言葉は私は非常に問題のある言葉だと思うから、そのなるべくという言葉、議事録に出てきますから、それは削除されてはいかがですかと。もしそのことが裁判所の本委員会答弁としてこれから通用していくとすれば私は大変だと思うからです。
  59. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 正確に申し上げますと、ただいま本岡委員に申し上げたとおりでございますので、なるべくという言葉は撤回をさせていただきます。申しわけございません。
  60. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 法務省、坂本参考人が述べられた心配、うそがまかり通る民事裁判がふえるのは目に見えていますと。それぞれ立場立場からの考えが堂々と述べられていいと思うんですが、このことに対して反論があればひとつしてください。
  61. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 今回、法案として提出しております弁論準備手続は、現行法で規定をしております準備手続に関する規定に改善を加えて整備をしたものでございます。  一つには、この準備手続は当事者双方が立会して行う手続であるということを明確にしておりますし、また傍聴につきましても、現行の準備手続の規定では傍聴に関する規定がないわけでございますが、できる限り、目的に反しない限り傍聴を制限すべきでないという観点から傍聴に関する規定を設けるといった改善を加えているものでございます。  それから、争点の整理を口頭弁論で行うということが適当である場合のために、準備的口頭弁論という規定も新たに設けるという改正をしているわけでございます。もちろん、その運用は裁判所の適正な運用に帰することになるわけでございます。  いずれにいたしましても、この改正によってうそがまかり通る民事裁判がふえるというような批判は当たらないというふうに確信しているところでございます。
  62. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私もそんなことがあってはならぬと思います。しかし、こういう批判がなされるような内容であるということもまた事実であります。このことにはもうこれ以上深く触れません。  私の手元に「「民事訴訟法改正法案」に関する陳情書」ということで、全国青年税理士連盟から関係議員殿ということで来ております。これは全国会議員に来ているんじゃないかと思うんです。この文書の中にこういう項があります。  現在の民事訴訟の手続は、税金裁判にも使われており課税庁側に証拠資料の請求をしても公務員の守秘義務をタテにこれを拒否し、裁判所も課税庁側に証拠資料の請求を致しておりません。これでは原告は攻撃防御の手段を狭められ非常に不利な立場に甘んじることを余儀なくされ当事者対等の原則にも反しております。 というふうに書いてあるんです。  課税庁側に証拠資料の請求をしても、公務員の守秘義務を盾にこれを拒否する、裁判所の方も同じように請求をしないと、こう言っているんですが、こういうことになっているんですか。
  63. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 裁判所としては、課税処分の当否を判断するために必要と思われる資料については課税庁に提出を求めるなどして適正な訴訟運営を行っているというふうに承知しております。
  64. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、陳情書のここに書かれてあることは事実でないということですね。
  65. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 課税庁に提出を求めるなどしているということが正しいところでございます。
  66. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 わかりました。どういう理由でもってこういう文書が出されたのか、私も全国青年税理士連盟にただします。  いずれにしても、この当事者対等の原則というものは極めて大事であります。そういう観点でちょっと意見を申し上げますが、私は、これから情報公開法を制定しようとしているときによくこんな法案が出せたものだなと、法務大臣、率直に思うんです。もう行政庁を特別扱いにする時代ではありません。情報を知らしむべからずは時代錯誤もいいところであると私は思います。行政庁側が膨大な資料を占有して、そして強大な権力を持っている。それに対して個人は全く非力であり、それが裁判という場で対等の立場に立つためには、これはもう情報の公開、行政庁が持っている資料をオープンにしていくということなくして対等な裁判はできないというのが当たり前であります。  私ども会議員もそういう立場に置かれます。私もこの法務委員会で、法務省が今持っているBC級戦犯の裁判記録を見せてくれと言ったけれども、それは絶対に見せない。あるけれども見せない。これは公務員の守秘義務ということで、プライバシーだと。プライバシーだと言うのなら、プライバシーに触れないように見せる方法の努力があってしかるべきですが、それも一切ない。見せないで押し通すわけです。一体これはどうしたらいいのかという問題で、あっても見せない、戦後五十年たってもまだ見せない、その理由は何か。こういうことに我々国会議員でもしばしばぶつかるんですから、一般市民は当然のことであります。  だから、私どもは仕方がないから、そういうものを隠しておかない、秘匿することができないような法律をつくって、そしてその資料の提出を命じるということを国会議員の責任でやらなければならなくなってくるんですよ。だから、私は、その種の資料を全部出してもらうための調査会を設置するための法案を国会議員の有志にお願いして、今出しました。国会議員ですらこういう努力が要るんですね。一体これはどういうことかと私は思うんです。  長尾法務大臣法務省が司法という場で国民に相対峙するときに、一方が強大な権力とそれから情報を持ち、一方がそれを持ち得ないというのを、対等な立場に立って裁判させるということの一つの大きな要件が公開ということであり、その公開という場は、権力者であるとかあるいは権力者であるがゆえに持つ独占する情報とかさまざまなものを大衆の前で弱めていくという効果があると私は思うんです。  もう一つは、情報を可能な限り公開していく、できるかできないかは最終的に裁判所が判断をするとかいうふうなところまで持っていかなければ、とても公開の原則を貫き公正な裁判を受ける権利を国民に保障するということにならない。  この改正法案はそのことに一歩近づいていっていると大臣はおっしゃいますけれども、私はとてもこの全体の様子を見て信じられない。衆議院の法務委員会が公務文書の提出問題についてこれを修正したというのも当然のことだと思うんですよ。もしあれをやらなかったら一体国会は何だということになったと思いますが、しかしあれとても、二年間検討するということじゃなくて、今すぐでも私は修正できたと思うんです、やる気があれば。国会も含めて先送りを法務省一緒にやってしまったという事柄であったと私は思っております。  法務大臣、いかがですか、私の今申し上げましたことについて、ひとつ大臣としての御感想をお聞かせいただきたい。
  67. 長尾立子

    ○国務大臣(長尾立子君) 行政が持っております情報を国民の皆様の中に開示をしていく、それが国民の皆様にとって利益である、そういう基本的な方向についてのお話であったかと思います。こういったことについては私も委員のおっしゃることと同意見であるわけでございます。  一方におきまして、官公署、公務が持っております資料の中には、今、委員もプライバシーということについて言及をされたわけでございますが、いろいろな公益上の観点からやはり秘密の取り扱いをお願いせざるを得ないものもあるかと思っているわけでございます。  私どもがこの法案を提出いたしましたときにおきましては、その線引きについてどういうような形で秘密公開のラインを設けるかということにつきましては、情報公開法の御議論がまだ具体的に定まっておりません段階でございますので、現行の法制の枠組みの中で提案をさせていただいたわけでございます。  しかし、今、委員も御指摘になっておりますように、この問題については大きな議論がさまざまな場で行われているわけでございまして、衆議院におきましてもこのような趣旨から修正がなされ、附則において今後の検討を義務づけるような御規定をいただいたわけでございます。  私は、この法案の成立後、衆議院におきます御審議、また附則の趣旨、こういうものを踏まえまして、情報公開の現在の国民の皆様の御要請にこたえる線を私どもとして求めていきたい、このように考えている次第でございます。
  68. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 終わります。
  69. 田英夫

    ○田英夫君 民訴法の審議をしているわけでありますけれども、きのうの新聞に、刑事訴訟法、刑訴法の方も改正計画しておられるという記事が出ておりましたけれども、これは事実でしょうか。事実とすれば、どういうことを改正しようとしておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  70. 古田佑紀

    説明員(古田佑紀君) ただいまのお尋ねの件でございますが、新聞報道につきまして詳細なコメントは差し控えたいと存じます。  法務省におきましては、これまで何度か国会でも御説明申し上げましたとおり、組織的な犯罪が近時、非常に大きな問題になっていると認識しております。このような組織的な犯罪につきましては、やはりその重大性とかあるいは組織性、密行性、こういうことから現行の法律ではなかなか対応し切れない面があるというふうに認識しているわけでございまして、これに対してどういうふうな対策をとるかということを真剣に検討してきているわけでございます。  そこで、そういう観点から、当面必要と認められますいろんな手当てを、実体法、手続法、それから国際協力など、そういう種々の観点から検討しているということでございまして、特に刑事訴訟法だけに焦点を当てているというわけではございません。  その内容についてのお尋ねでございますけれども、これはまだ具体的に確定しているという段階ではございませんが、これまで国会の御議論等の中でいろいろ御指摘がありました問題、これも視野に入れまして検討していると、そういう状況でございます。
  71. 田英夫

    ○田英夫君 民訴法にしても刑訴法にしても、この前も私申し上げましたが、弱者という言葉は使いたくありませんけれども、今も本岡委員が言われましたように、官庁、お役所、もっと広く言えば政府あるいは裁判所も含めて、そうした一つの力を持っておられるところに対して、一般の庶民の立場を重視して庶民を守る、そういうことができるようなものでなければならないと思います。  刑訴法については、昭和二十四年一月一日施行ということを今お調べいただいて聞きましたが、私も大体そのころと記憶しております。民訴法についてはいささか遅きに失したと思います。大正十五年のものがずっとまかり通っていたということをむしろ驚くべきことだとさえ思うわけであります。  今回の問題については内容も私は相当問題があると思います。特に衆議院の修正部分につきましては、私などは特にこの問題はよくああいうものが原案として出てきたとさえ思うわけでありますが、それはそれとして、きょうは時間がありませんから、そうした弱者を守るということを根底に置きながら、一つの具体的な問題を御質問というより私の方からかなり一方的に申し上げますから、お聞きいただきたいと思います。  今、JR、特に東日本の管内で相次いで列車妨害事件が起きていることは御存じだろうと思います。四月だけで三十九件、今日も引き続き最近まで起きております。しかも、その内容は非常に悪質であると言わざるを得ない。これを治安当局といいますか、検察、警察はどういう性格の事件というふうにとっておられるか、まずそのことを伺いたいと思います。
  72. 松尾好將

    説明員(松尾好將君) 御指摘のとおり、最近首都圏を中心として、例えば運行中の列車に異常電波を発信したり、線路上に大型の障害物を放置したり、あるいは列車内に塩酸等を含んだ液体を放置するなどの極めて悪質な列車妨害事案が多発をしているところであります。この種事案につきましては、列車利用者に甚大な迷惑をかけますとともに、列車転覆などに発展するおそれが極めて高いわけであります。その重大性にかんがみまして、あらゆる可能性を考慮しながら、幅広く所要の捜査及び警戒活動を推進しているところであります。
  73. 田英夫

    ○田英夫君 ちょうど新刑訴法が施行された昭和二十四年、その七月、八月にかけて、当時の国鉄、今のJRに対して非常に悪質な列車妨害事件が起きております。一つは下山事件、これは国鉄総裁が殺されたか自殺なのかいまだにわからないという事件。それから三鷹事件、松川事件、これは明らかに列車妨害事件と言っていいことが起きております。当時とは時代も世界の情勢からして全く違うわけではありますけれども、この問題、最近の列車妨害事件というのは私は非常に根が深いのではないかと。  実はその同じ三鷹、JR東日本の三鷹電車区で四月六日に、電車に積んである防護無線、これは無線を発信も受信もできる装置でありますが、これが盗まれました。翌七日にさらに二つ盗まれて、合計三つ盗まれているということがわかりました。すぐに会社が三鷹署にこの被害届を出すということが行われております。ところが、この盗んだものを使ったと思われる、さっきも言われたように、電波を出して列車妨害をするという事態が千葉と新潟で起きた。こういうことを考えますと、相当悪質な計画的なものと言わざるを得ないわけでありますが、この点については、ひとつ検察、警察で鋭意犯人検挙に向かって御努力を願いたいということを申し上げておきたいと思います。  ところが同時に、きょう申し上げたいことは、先ほどから申し上げている人権ということ、刑訴法にしても民訴法にしてもそういうことを基盤にして考えなければならないという立場からすると非常に残念なことが実は起きているのであります。  その防護無線盗難事件ということの捜査のために、警視庁に捜査本部を置きまして三鷹署を中心にして捜査を始めたわけでありますが、四月十一日、事件が起きて直後から六月七日までの間に三鷹電車区のJR東日本社員全員の事情聴取をされた、これは警察の一つの方針としてそういうこともあり得ると思います。初めのうちは任意で調べてもちろん調書もとらない、こういう形でやっておられたようですが、途中から調書をとるということで再度呼ばれた者もかなりありまして、延べ二百八十二人が警察の事情聴取を受けたわけであります。  その間、内容がかなりプライバシーの問題にまで立ち入るような、事件とは関係のないような問題までお調べになっているということが出てきまして、会社と労働組合が相談をして、まず一つは、勤務時間内で事情聴取が行われるので時間を一時間ぐらいに限ってほしい、その前はかなり長時間やられたようです。それから、事件のことだけお調べいただきたい、それから個室で、密室でやらないで管理職が立ち会って二組、三組一緒にやるというようなことも考えていただきたい、こういうようなことを警察側に申し入れて、以後これは守られているようであります。  実は私もこういう訴えをJRの側から聞きましたので、念のために事情聴取を受けた御本人二人に会ってみました。常識では考えられないようなことを刑事さんの場合は、当然一般の方なら刑事さんの前で事情聴取をされればかたくなりますから、それを途中ではぐらかすためということもあったかもしれませんけれども、かなり立ち入ったといいますか問題の取り調べをしていると私は思うわけです。  例えば、このような巧妙なことをやっているのは内部の者としか思えないけれども、どうだ、どういう感想を持っているか、こういうことを若い社員に聞いておられます。この若い社員は非常にしっかりしていて、私の印象もそうですが、いやそんなことを言うなら、私たちがもしやったということになれば社員としては自分の首が飛ぶようなことになるんだから、会社の無線機を盗んで、それから発信して列車妨害をやるなんということが、もしそんなことをやったら自分の首が飛ぶんですから、そんなことをやるわけないでしょう。お巡りさんだったら、ピストルを盗んでそれで何かやるというようなことと同じことじゃありませんか、こういって反論をしたら、それは調書から削られた、こういうことを言っております。  あるいは、もう一人別の人は、犯人はだれだと思いますか、想像がつかないと答えたら、じゃ私が書こうと調書を刑事さんが書いて、それを読んでみたら内部の者の犯行という意味のことが書いてあった。だから、私はそんなことを言っていませんから、これは削ってくださいということを言って削っていただいた、こういうような話を聞いております。  私の方もかなり詳しくいろいろ事情聴取をやったので、御参考までに申し上げておきますけれども一つは、内部の人がやったんじゃないかということをずっと一貫して別の刑事さんも別の人間に対してそれぞれ質問をしておられます。それから、労働組合の間の争いを頭の中に置きながら質問をしておられる、そういう意味の質問があります。例えば、二十三歳の運転士さんに対しては、内部の者の犯行と思わないかという御質問で、いやそうじゃないと思いますと言ったら、いきなり今度は、松崎会長をどう思うか、松崎会長というのは、昔、勤労の委員長をやられて、鬼の勤労と言われたときの委員長で、現在はJR東日本労働組合の会長という、委員長をやめられて会長になっておられる方ですが、有名な人ですが、そういうことをいきなりぱっと聞かれたというような記録もあります。  あるいは、これはさっき申し上げたはぐらかすためかもしれませんが、やはり二十三歳の若い運転士さんですが、彼女の名前と年は、こういうことを聞かれて、ちゃんと答えたんだそうですけれども、いきなりそういうことを聞かれた。あるいは休みの日は何をしているんだと。  捜査というのは、私も長いこと新聞記者をやりましたから、いろいろ苦労して質問をされて、その中から真実を割り出すということをおやりになるのは理解できないわけではありませんけれども、いささか見当が違っているんじゃないだろうか。御注意の意味で申し上げておきたいと思います。  最後に申し上げたいのは、こういう刑事さんの言葉が気になるんです。今まで我々はこのJRの職場へ入ることができなかったが今回のことで入ることができるようになった、組合のこともわかるようになった、こういう言葉を若い社員の前で事情聴取のときに言っておられるというようなことは、刑事さんは何げなく言われるのかもしらぬけれども、さっきから繰り返し申し上げているように、捜査の段階でもやはり人権という観念が非常に重要ではないか。刑訴法にしても民訴法にしても、そうしたものが法務省でも警察庁でも検察庁でも一貫してないと、本当に庶民の立場に立った法律ということにならないのではないかということを強く感じております。  最後に、今のことをお聞きになって法務大臣の御感想を伺って、終わりたいと思います。
  74. 長尾立子

    ○国務大臣(長尾立子君) 現在の我が国の社会において、人権を尊重していくということは非常に重要であるということは、まことに御指摘のとおりであると思いますし、私どもの職務の執行の上でもその部分の配慮ということが必要であるという御指摘はごもっともなことであると思っております。
  75. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。     —————————————
  76. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
  77. 及川順郎

    委員長及川順郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、下稲葉耕吉君、遠藤要君及び鈴木省吾君が委員を辞任され、その補欠として岩永浩美君、河本英典君及び北岡秀二君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  78. 及川順郎

    委員長及川順郎君) これより両案に対する討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  79. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 平成会魚住裕一郎でございます。  原案、そしてまた衆議院での修正案に対しても反対の立場から討論を行いたいと思います。  以下、理由を述べます。  まず第一に、やはり文書提出命令を不完全なままに法制定をするわけにはいかないということでございます。  マスコミが注目し、国民的関心が寄せられた公務秘密文書の扱いは、原案では情報公開の流れに全く逆行するものであり、また修正案でも先送りにすぎません。かえって、この委員会でも修正案提案者の一人であります枝野議員指摘のとおり、公文書、私文書の扱いの官民格差が大きくなってしまうという、そういう結果をもたらしております。  衆議院でも参議院でも、短時間ではございましたけれども、充実した審議がなされました。私は、それを踏まえて、一つの成案を検討すべき段階にあるのではなかろうかというふうに考えます。これが立法府を尊重する態度であり、逆に、仮に修正案であったとしてもそのままいってしまうと、国会の論議を無視するものというふうに私は言わざるを得ないと思います。  第二に、右の点のみではなくて、原案が文書提出命令の構造につきましてパラレルに考えております公務員の証人義務、それ自体の規定ぶりについても大いに疑問を持たざるを得ないわけであります。大きな官民格差、そして証言拒否事由が従前と比較して余りにも緩やかに過ぎるからであります。行政庁の持つ膨大な情報、これは国民の共有財産である、こういう認識が全くないような、そして民事紛争における実体的真実解明にさお差すような原案、そしてこの問題の先送りであります修正案とも是認しがたいものである、このように考える次第でございます。  第三に、弁論準備手続の問題であります。  運用の仕方によっては密室審理と言わざるを得ないような状況になるわけであります。これは憲法八十二条の対審の公開に反するのではないか、この疑問がぬぐえません。昨日の坂本参考人までのような強硬には言い得ないとしても、少なくとも一当事者の申し立てによって口頭弁論に戻れるようにすべきであるというふうに私は考えております。  第四に、上告制限の問題であります。  無益なあるいはまた無意味な上告というような表現も飛び出しましたけれども、当事者は必死であります。これを憲法あるいは法令解釈の統一という副次的な目的のもと制限してしまうのは本末転倒ではないだろうか、このように考えます。たとえ、経験則違背の認定による破棄が数%であれ、その救済の道は私は閉ざすべきではないというふうに考える次第であります。  以上、現時点においては、六法の中の一つというふうに数えられる重要な民訴法の七十年ぶりの全面改正を、わずかこの参議院においては一週間での審議にすぎません。それを考えますと、到底納得することはできず、少なくとも継続審議にすべきではないか、こういうふうに考える次第であります。  以上でございます。
  80. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、民事訴訟法案並びに同法律整備等に関する法律案について反対の立場で討論をいたします。  今回提案された民事訴訟法案の中で最大の問題となりましたのは、言うまでもなく文書提出命令の問題であります。各方面から厳しい批判の声が起こりました。それについては衆議院段階で修正案が可決されたのであります。  我が党としては、公務員の職務上の秘密に関する文書で、その提出により国の重大な利益、公共の福祉に重大な不利益を及ぼす、そういったことになるものを除いては、これは一切、私文書と同様、文書提出命令の対象にすることが当然であるという立場で修正案を提出いたしましたが、残念ながら御賛同をいただけませんでした。  しかし、提案された、可決をされた修正案については、世論の批判をそれなりに受けとめて、さらに慎重な検討をしようという、そういう立場のものでありますから、その点については、裁判所のインカメラ制度の今後の導入も含めて今後の検討課題をやれるという、そういう立場から次善の策としてこれを支持、賛成したものであります。  しかし、これ以外の部分につきましては、国民の基本的人権の擁護と裁判を受ける権利など憲法の根幹にかかわる重要な問題が含まれており、慎重審議がなお求められる重要な課題が残っておりまして、賛成するわけにはまいらないところでございます。  なお、一点申し上げたいことは、法制審では五年もかけて論議をしてまいりましたものが、我が良識の府と世に言われる参議院においてわずか二日半ということで審議が終えられるということは到底納得できないところでございます。本来なら、慎重に次国会にもかけて継続して審議を尽くすことでありますから、この点については私は極めて遺憾であると思っております。  次に、この法案についてでありますが、まず第一の反対理由は、この法案が非公開の弁論準備手続を導入いたしまして、本来は国民にとって傍聴が自由であるという、そういう原則があるのに、それを裁判所の判断にかからしめて傍聴の制限が行われるということについてであります。坂本参考人の意見でも明白になりましたが、これは裁判の公開の原則から大きく後退しているという点だけでなくて、まさに真実を発見する裁判がそれで十分行われるのかどうかという重要な問題にもかかわって、口頭弁論の形骸化を招くというおそれがあるということは否定できません。この点については、公開の法廷裁判における公正な事実の認定と正しい法律判断という裁判本来の本質的な責務を十分に果たし得るかどうか、重大な疑問があると言わねばなりません。  訴訟の遅延の大きな原因は、つとに指摘されておりますように、裁判官、職員の圧倒的な不足、施設整備の不十分さにあることは言うまでもありません。対人口比の法曹人口は、先進諸国の中では我が国が顕著に低い数字を示していることは当委員会でも各委員からしばしば論議をされているところであります。  このような点を抜本的に改善することなしに、いたずらに訴訟の促進を図ろうとすれば、ついつい訴訟の効率化、省力化、ひいては勢い裁判官による職権的な訴訟運営ということにいかざるを得ないのでありまして、このような傾向が強まれば、まさに当事者主義を後退させ裁判の公正な運営を妨げるだけではなくて、国民の裁判を受ける権利を狭める結果となりかねないことを極めて憂慮するものであります。  第二に、公務員の職務上の秘密を理由とする証言拒否の問題も、最近のエイズ関係における公文書の提出問題に見られるように、証人喚問という場においてもこの問題は極めて重大でありまして、さきに触れた公文書提出問題と並んで、国民の知る権利を十分に考えるならば、これらの点についてはなお厳しく改正する必要がある問題を残しておると言わねばなりません。  第三は、上告の制限についてであります。今回の改正によって裁量上告制度が導入されることになったわけでありますが、これまで上告の大部分を占めてきた審理不尽、経験則違背を理由とする、判決に影響を及ぼす法令違背という、そういう問題での上告においての当事者の具体的な救済が道を閉ざされることになってはこれは大変なことであります。質問でもこの点については厳しく触れたのでありますが、なお、この点についての私の疑問は氷解するに至っておりません。  以上の理由から、国民のために憲法の番人、人権のとりでとして最高裁判所を初め裁判所が本来の責務を果たすためには、私はむしろ裁判官の増員、多数の国民から信頼される慎重な訴訟手続を十分に行う、そういったことが可能になるそういう体制の整備こそが重要であると考えております。現行の民訴法が制定されて七十年、条文の現代・口語文化など一定の今日的要請にこたえる改善、改良があることは否定するものではありませんが、全体として以上の理由から賛成できないことを申し上げて、討論を終わります。
  81. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、民事訴訟法案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  82. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、志村哲良君から発言を求められておりますので、これを許します。志村君。
  83. 志村哲良

    ○志村哲良君 私は、ただいま可決されました民事訴訟法案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、新緑風会及び参議院フォーラムの各派の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     民事訴訟法案に対する附帯決議(案)  一 政府は、附則第二十七条の検討を速やかに開始し、公文書についても、文書提出を一般義務化し、不合理な官民格差を生じない方向で、早期に成案を得るよう努めるべきである。  二 政府は、附則第二十七条の検討に当たっては、公務秘密文書に関して、その秘密の要件、判断権及び審理方式について、司法権を尊重する立場から検討を加えるべきである。  三 政府は、附則第二十七条の検討に当たっては、公務員の証人尋問についても、あわせて検討を加えるべきである。  四 政府は、前二項の検討に当たっては、その経過を広く開示し、国民の意見が十分反映されるように格段の配慮をすべきである。  五 政府及び最高裁判所は、民事訴訟が国民に利用しやすく、分かりやすいものとなるように、制度の周知徹底を図るとともに、少額訴訟手続の教示制度を充実させることに努めるべきである。  六 政府は、民事訴訟が国民に利用しやすいものとなるように、訴訟費用制度の全般的な見直しを検討すべきである。  七 政府及び最高裁判所は、裁判事務の適正迅速な処理を図るため、事件動向等を踏まえた上で、裁判所の人的・物的態勢の拡充・整備をすることについて特段の努力をすべきである。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  84. 及川順郎

    委員長及川順郎君) ただいま志村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  85. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 全会一致と認めます。よって、志村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、長尾法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。長尾法務大臣
  86. 長尾立子

    ○国務大臣(長尾立子君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。  附則第二十七条に規定する検討につきましては、これを速やかに開始し、成案を得るべく最大限の努力を傾ける所存であります。  また、本法律案趣旨の周知に努めるとともに、最高裁判所にも本附帯決議の趣旨を伝え、運用上遺憾のないように配慮いたしたいと存じます。  なお、本法律案の審議につきまして大変御熱心に御審議をいただき、ただいま議決されましたことにつきまして厚く御礼を申し上げます。
  87. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 次に、民事訴訟法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  88. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。     〔速記中止
  90. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 速記を起こして。     —————————————
  91. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 民事執行法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 平成会魚住裕一郎でございます。  ただいま議題となりました民事執行法について質問をいたします。  きょう、衆議院の方からも提案者の先生がお見えになっておりまして、若干の質問をさせていただきます。  昭和五十四年に現行の民事執行法が制定され、それ以来十七年たっわけでございますが、今般、議員立法という形で改正案が出てまいりました。その間における衆議院の先生方の努力に敬意を表するものでございますが、この提案理由の中にございます、「占有者等の不当な妨害行為により、競売の手続の円滑な遂行に支障が生じている現状」という表現がございます。私は、昭和五十四年当時もこういう現状が多分あったんだろうと思います。そうすると、この十七年間、これはずっと放置されてきたのかということになるわけでございます。それが何ゆえ今回なのか、そしてまた、こういう民事の競売手続に関する基本法というこの民事執行法、本来であれば法制審議会のしかるべき部署においてきちっと議論して法案として出てくるのが私は筋だと思いますが、何ゆえ先生方の議員立法という形で出てきたのか、この二点につきまして衆議院の先生に御答弁をいただきたいと思います。
  93. 保岡興治

    衆議院議員(保岡興治君) 魚住委員からお尋ねの点でございますが、我々は、今、日本の経済が非常に重要な局面に立ち至っていると。これから日本がいろいろ経済の構造改革を初め、次の時代に備えていくために経済が活力を持つことが非常に大事だが、それを大きく制約する要因が住専を初め大量な不良債権の山積みの状況、これを一日も早く解消しなければならないわけでございます。  確かに、この不良債権の処理というのはいろいろな手だてがありますが、最終的には競売で売却して回収を図っていくということになるわけでございますが、不動産市況の低迷とか競売案件が非常に急増しているとかいろいろありますけれども、今競売の妨害というのが非常にふえてまいりまして、これが債権の処理を的確迅速に行っていくことの最大の障害の一つになっている。この競売の妨害を的確に排除するための法整備は喫緊の課題であり、不良債権の処理の決め手であると、こういう認識を一つ持ちました。  それとまた、バブルの発生時期は地上げなどで陰の勢力というのか、不当な勢力が融資などに絡んでいろいろ巨利を得ると。それがまたバブルの崩壊のこの大量不良債権の山の中で、それを温床として占有妨害等、競売妨害を行って、そうして不当なお金を得ている。これは将来日本にとって非常に重大な社会問題になっていく可能性がある。これは絶対に防がなければならぬ。  こういう二つの考え方で、実は競売に関する法の整備が必要なのではないかということで、実は日弁連の民暴関係者、民暴対策委員会先生方あるいは学者あるいは当局からいろいろ状況を十分一伺いまして、そしてやはりこれはぜひ立法しなきゃならぬ。どういう点を立法するかという点を与党の住専対策法的責任等検討プロジェクトチームで取りまとめまして、議員立法として提案したわけでございます。  先生がおっしゃるように、この民事執行法を制定した昭和五十四年当時、実は政府が今度の議員立法で提案した内容をほぼ基本とする案を法制審議会の議を経て政府提案として国会に提出した。それを実は社会党の提案で、参議院に行ってから修正が行われまして、それが現行法になっているのでございます。  そういった経緯を実は踏まえまして、これは基本法であるからして政府提案でやるのが今までの慣行であるし、そういうことが適切だという点もあるとは思いますが、先ほど申し上げたような二つの大きな政治的な理由によってこれは緊急に立法する必要があると。政治が修正したものを、国会で修正したものを役所がかつての政府提案の法案を基本とする法案は出しにくかろうと。そしてまた、いろいろ検討にも時間がかかるだろう。その経緯からすれば、法制審議会もまた経なければならないだろう。そういった行政に当然必要とされる手間暇というものをかける余裕がない。ここは議員立法で結団してやるべきだというのが我々の考えでございます。  当時に比べて確かに現在は、先生、先ほども申し上げましたとおり、大量不良債権の山を解決するには、競売の案件が急増する中で、この競売妨害をぜひ排除する法的な手だてを持たなきゃならぬということでございまして、あの当時に比べたら状況は一変している。あの当時ですら不動産の占有者に対する保全処分というものは必要だと政府は一応考えて出した。しかし、今日はそういった、先ほどから申し上げているような現状が社会に出てきておりますので、今度はそういう変化を踏まえて議員立法の必要があると判断したことは先ほど来申し上げたとおりでございます。  以上でございます。
  94. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  95. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 速記を起こして。
  96. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今の先生のお話を伺って、立法する政治の場、非常に将来を見通した判断が必要だなということがよくわかったわけでございます。  そこで、特に五十五条、七十七条の点について、昭和五十五年以降、どのような事件数といいますか推移があったのか、そしてまた、今答弁の中にありました、懸念された労働組合運動、それに係るような事案というものがあったのかどうか、この点について裁判所の方から御答弁をいただきたいと思います。
  97. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 保全処分の事件数の関係でございますが、五十五条及び七十七条に基づく保全処分の平成元年以降、東京地裁あるいは大阪地裁の状況を見ますと、特に平成三年あたりから増加をしてまいりまして、平成五年、六年と、例えば平成五年ですと百十八件、平成六年ですと百八件というぐあいに急増しております。ただ、平成七年につきましては五十七件ということになっておりますが、事案がかなり巧妙化してきているのではないかという御指摘がございます。  それから、労働組合の関係でございますが、民事執行法が昭和五十四年に制定されてからこれまでの間、特にそのような事例を最高裁として把握しているわけではございません。取り急ぎ、執行妨害に関して記述された文献等の公刊物を調べてみましたが、労働組合による執行妨害の事例は見当たりませんでした。
  98. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 私は、裁判実務においては非常な努力をされながらこの執行妨害に立ち向かってきたというふうに認識をしております。  その判例の動きの中でも、例えば東京高決平成五年六月二日、判時千四百六十八号、九十四ページ、この判例ですと、「債務者に対して売却のための保全処分を命ずることができる以上、無権原占有者に対しても、同様の保全処分を命ずることができると解すべきである」というふうに判示しております。  また、これは東京だけではなく大阪でも同じような例が出てきております。大阪地決の平成五年十月十八日、判時千四百七十六号、百三十七ページでございますが、これも同じような趣旨の判示になっております。  この「債務者」という言葉を無権原占有者まで広げていく、そこまで来ているわけでございまして、私は今回の改正の中で「債務者又は不動産の占有者」、そこまで書き改める必要性が本当にあるんだろうかというふうに考えるものであります。  先ほどの引用いたしました判例時報千四百六十八号の無署名コメント、その末尾にも「本件のような東京高裁の判断が裁判例として定着すれば、国会修正にもかかわらず、保全処分が執行妨害の排除手段として極めて有効であることになろう。」というようなコメントが出ております。  この点につきまして、つまり「不動産の占有者」ということを書き込む必要性があるのかどうかにつきまして、裁判所なり法務省の方からコメントをいただきたいと思います。
  99. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) この保全処分の対象として、法文上は御案内のとおり「債務者」となっております、担保権実行の場合は「所有者」に当たるわけでございますが。これを順次、今御指摘のような形で、判例上おおむね保全処分の相手方を広く解釈する傾向の判決が出てきておるということは事実でございます。  ただ、なお裁判例が統一されているわけではございませんし、また第三者を相手方とする保全処分の発令の要件、基準というものが必ずしも明確ではないという指摘がございます。
  100. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ただ、こういう事件は最高裁まで上がることはほとんどないわけで、高裁でのこういう扱いが事実上の運用になると思います。  それから、今回の改正案では、直ちに執行官保管ができるというような形になっております。  これも裁判実務は大変努力されておりまして、またこれは通説なんだろうというふうに思いますけれども、「一定の場合には、一項の命令を経ることなく、いきなり執行官保管命令を発することができる」というふうになっております。東京地決の平成四年十月十三日、判時千四百三十六号、六十七ページでございます。  この点につきまして、本当に必要なのか。裁判実務ではこういうふうになっている、直ちにできるようになっているにもかかわらず、本当に必要なのか、この点につきまして裁判所あるいは法務省にお聞きいたしたいと思います。
  101. 山崎潮

    政府委員山崎潮君) ただいまの点につきましては、確かに判例上の努力でそういうような傾向になっているということは間違いございません。  ただし、すべての判例がそうなっているかどうか、これは検証は完全にはし切れませんけれども、そうではないという認識がございます。やはり判例上でいろいろバランスを欠いている点を、速やかに実務で指針を示せるように法律改正していくということが必要であろうというふうに理解をしているところでございます。
  102. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今回、改正案では、競売開始決定前の保全処分という、そういう新設をされるということでございますけれども、これにつきましてもいろいろ努力されているようでございまして、東京地裁、平成四年九月二十二日、七月二十三日、いずれも判タの七百九十八号、二百六十二ページ、二つの決定でございますけれども、これにおきましては、競売開始申し立てがあった、それで差し押さえ登記までに新たな占有をした第三者に対し建物退去あるいは執行官保管をそれぞれ命じているものでございます。大変裁判実務においては努力されているなと。  にもかかわらず、今回はかなり大きな拡張をするということになるわけでございまして、そこまで拡張する必要性があるのかどうか。そしてまた、それとの裏返しかもしれませんが、決定の取り消し期間というのが三カ月というふうに設定をしておりますけれども、これはどうしてそうなのか。この必要性とその三カ月の根拠について裁判所あるいは法務省にお尋ねをいたします。
  103. 山崎潮

    政府委員山崎潮君) まず、必要性についてでございますけれども、特に一番問題になりますのは、この抵当権をつけられました物件が第三者に移転されている場合でございます。  この場合には、第三者がみずからお金を払って抵当権を消してもらうかどうかという判断ができる制度になっております。民法上では滌除という制度になっているわけでございますが、その場合には、抵当権を実行しようとする者はその第三者に対し滌除の手続をとるかどうかを実行通知するわけでございます。この手続から始まりますと、まずそこで執行妨害が行われやすいという実態にあるわけでございます。この手続を全部一番長い期間かかってやるとすると、二カ月と一週間を要することになるわけでございます。そのほかいろいろ準備期間等を考えながら、一応三カ月前になればほぼ競売手続を開始する準備態勢に入るということになるわけでございます。そういう点を考えまして、今回のように前倒しの規定をつくらせていただいたということでございます。
  104. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今回の改正案ですと、この法律施行後五年を目途としていろんな状況を勘案して検討を加えるというようなことが出ておりますけれども、何でこういう五年を目途とした再検討といいますか、が必要なのか、この理由につきまして衆議院の先生、簡潔にお願いをいたします。
  105. 保岡興治

    衆議院議員(保岡興治君) 我々の提案した法が、保全処分を不動産の占有者まで拡大する等、いろいろ今まで裁判所が苦労して社会の競売妨害に対していろいろ工夫しているものを立法によって解決していこうというようなことをしたわけでございますけれども、この拡大によって、昭和五十四年のときも懸念して修正されましたように、労働組合活動あるいは正当な行為、こういった正当な占有というものを侵害することがあっては絶対ならない。拡大した以上は、逆にそういう立場の方々を保護するいろいろな仕組みも工夫しようと。  それと同時に、提案理由やあるいは附帯決議等で衆議院でもその趣旨を御決議いただいてきたわけでございますけれども、それを、この法の施行後、その実施状況を見て、そういう正当行為を侵害するような事実があればさらに慎重に必要な措置を講ずるということにして、なお慎重に運用も見きわめた上、そういった正当な行為を保護する趣旨でございます。
  106. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 この執行妨害、多くはいわゆる短期賃貸借という制度に基づいてやられていることが多いと思いますが、乱用的な短期賃貸借というようなことになるかと思います。民法三百九十五条の規定がありますけれども、この使われ方と、今後この短賃の見直しというのはあるのかどうか、あればその方向性というものを教えていただければと思います。法務省、お願いします。
  107. 山崎潮

    政府委員山崎潮君) ただいまの乱用的な短期賃貸借につきましては、解釈上かなり制限を加えているところでございますが、これでも間に合わないという状況もあろうかと思います。こういう問題につきましては、担保物権と利用権の調整の問題でございます。事はかなり財産権の保障の問題で難しい問題を抱えております。せっかくの御指摘でございますので、我々も十分に検討はしていきたいというふうに考えているところでございます。
  108. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  109. 千葉景子

    ○千葉景子君 時間が短いものですから、二、三点だけ御質問いたします。  今回のこの民事執行法改正につきましては、労働組合運動などに関しましてさまざまな配慮もされているというふうに思います。とりわけ審尋規定などが盛り込まれているところでございます。  提案者に御質問いたしますが、この審尋規定についてですが、立法過程において、例えば要件を例示するというような形をとらずに今回のような規定になった経過、提案の法案の形式になった経過、検討経過、そういうことについて御説明をいただきたいと思います。
  110. 永井哲男

    衆議院議員永井哲男君) 今回、特に参議院の修正の経過等を十分に勘案して、労働組合の正当な活動をできるだけ阻害しないようにということで考えました。基本的に労働組合法の一条二項において違法性阻却事由がありますので、正当な労働組合活動は価格減少行為に該当しないということで保護されるわけでありますが、しかしそういった事情も踏まえて前回の参議院の議院修正があったわけであります。  そういう点で、この審尋の要件を新たに設けることにしましたが、具体的に例えば労働組合の活動の場合は除くとか、未払い賃金を確保するために労働組合が占拠する場合を除く、こういうような要件を明示した必要的な審尋ということはどうかということを現実に検討してまいりました。  しかし、そうした場合に、例えばこの未払い賃金の確保という形態以外の労働争議の場合に対応できるのかどうか、またこういった要件を外形的に基準として設定した場合に暴力団等に悪用されないかどうか、その不安というものはつきまとうわけであります。そういった点で、一般要件としまして、裁判所が必要な場合にはしなければならないという規定に落ちついたという経過でございますが、しかし正当な労働組合の活動というものはいろいろなこういう流れの中でしっかりと確保されているというふうに立法者としては考えているところでございます。
  111. 千葉景子

    ○千葉景子君 そうなりますと、ちょっと手続でお伺いをしたいんですが、法務省の方にお伺いをいたします。  このような審尋規定が入りましたが、審尋をすべき事件について例えば執行裁判所が審尋をしないままに保全処分命令を発したというようなことになると、この審尋をしなかったという点はどういう形で担保されるというか保障されるようになるんでしょうか。手続上はどういう形になりましょうか。
  112. 山崎潮

    政府委員山崎潮君) ただいま御指摘の点は、これは審尋をしなければならないのにしなかったということになりますと、負けた方は不満でございますので執行抗告ができます。その抗告裁判所で審尋が必要であるという判断になれば、みずから判断をして審尋をするか、あるいは原審に差し戻して原審に審尋を行わせてもう一度判断をするというような点で保障をされているということになろうかと思います。
  113. 千葉景子

    ○千葉景子君 今回、審議に当たってこのような労働組合運動などの保障というのが問題になったというのは、そもそも考えますと、労働者の賃金債権、こういうものの確保について法制上まだまだ不十分な点があるというようなことが根本の問題にあるのではないかというふうに思われます。  その意味で、提案者とそして法務省にもお伺いをしたいんですけれども、この賃金債権確保の問題について今後改めて検討すべき点ではないかと私は思っておりますが、どのように扱われるおつもりでしょうか。提案者、法務省、それぞれにお伺いをしたいと思います。
  114. 永井哲男

    衆議院議員永井哲男君) まさに先生指摘のとおりでございまして、この民事執行法改正作業を検討していく中で、いわば民事執行という最終的な場面で、裏からそういった労働組合の人たちの権利を保護するというのが抜本的な解決とならない。むしろ倒産法制の中における優先債権、税金のはるか後方に置かれている、そういったような問題。また、国際状況の中でILO百七十三号条約等における労働債権というものは確保されなければならない、生活のために確保されなければいけないといったような諸問題、これは抜本的に検討されなければならないというふうに考えました。  この民事執行法案を通す際に、与党としては賃金債権確保のプロジェクトチームというものを発足させまして、九月を目途にこれらの労働賃金債権確保の諸法制、賃金支払い確保のさらなる充実というような問題も含めて検討して一定の結論を出すというふうに進んでいる状況でございます。
  115. 山崎潮

    政府委員山崎潮君) ただいま永井議員の方から御答弁がございましたけれども、私どもも基本的に同じ認識を持っているわけでございます。大変重要な問題であり、かつ難しい問題であるという意識はございますが、事は財産権の調整の問題に絡んでまいりますので、私ども一省庁だけではなかなかし切れない面がございます。  今回、与党プロジェクトチームが設けられましたので、その中で各行政庁等につきまして調整をしていただくという中で我々も最大限努力をしたいというふうに考えているところでございます。
  116. 千葉景子

    ○千葉景子君 終わります。
  117. 橋本敦

    ○橋本敦君 この問題については、今も議論がありますように、本院で、労働組合の権利を不当に制約、侵害してはならぬということで、全会派の一致で修正されたわけです。労働組合の正当な権利を阻害しないようにという配慮からの修正が行われたその状況について現在では何ら変わっていないわけですから、今度この修正された部分を「占有者」を入れるということにするについては、前のそういった修正をしっかり踏まえてやらなければならぬというのは当然ですが、先ほどから議論をお聞きしていますと、それは審尋の規定を入れたことによって可能になるだろうというようなお話に伺ったんですが、そういう趣旨ですか、提案者の方。
  118. 錦織淳

    衆議院議員(錦織淳君) まず、先ほど保岡議員から説明をいたしましたように、前回の法制定当時の議論は十分承知をいたしております。しかしながら、その後の運用実態、そういったものにかんがみましてどうしても現行法制のままでは悪質な占有妨害に対処できない、こういう認識を持ったわけでございます。そして、労働組合等の正当な活動に対しては、御指摘のように審尋の機会を設けることによって権利主張の機会を与える、こういうことでございます。
  119. 橋本敦

    ○橋本敦君 その審尋の機会を与えることしかないというところに私は、まだまだ不十分であるし、前回の削除修正の各党合意の意見というのは酌み取られていないということを思います。  今も議論になりましたが、それではなぜ必要的審尋にしないんですか。
  120. 錦織淳

    衆議院議員(錦織淳君) 本来、このような保全処分は審尋を要しない、つまり緊急の保全処分としてなされるものでございます。つまり、審尋を行えばそのことによって直ちに相手方の対応が行われてしまう、こういう性格でございます。したがって、審尋というのはあくまで例外的なものである、こういうことでございます。  しかし、労働組合の正当な行為等に対してはそうした例外的な場合に当たる、つまり審尋が必要である、こういうことで特殊な対応をしているということでございます。
  121. 橋本敦

    ○橋本敦君 裁判所にお伺いしますが、労働組合に対しては実質的には必要的審尋というようなことで扱っていくという、そういう趣旨に聞こえる提案者の答弁があったんですが、裁判所はどう受けとめられていますか。
  122. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 裁判所では、本年の九月から十月にかけて全国で高裁管内ごとに執行事件を担当する裁判官、書記官の協議会を開催する予定でございます。今回の改正趣旨改正法下における運用のあり方についても協議をすることを考えております。その際には、国会での御議論や既に出ております附帯決議の内容等も紹介をし、運用上遺憾のないように配慮をしたいというふうに思っております。
  123. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、必要があるときに審尋をする、必要があると認めるというその判断を裁判官なり裁判所がするのには、現場を見るとかあるいは当事者の意見を聞くとかいうことなしにどうやって判断できるんですか。つまり、審尋なしに、あるいは現場を見ないでどうやって判断できるんですか。これは裁判所としてどうですか。
  124. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) まさに具体的な事項についての判断でございますので執行裁判所が判断すべき事項でございますが、今、一つ話題になっております審尋と申しますのは、御案内のとおり、相手方から口頭または書面によって陳述を求める、そして裁判の資料を収集するということとされております。  これによって、審尋を受ける相手方の権利保護を図るとともに、裁判を行うために必要な資料の収集を図ることができるということでございますので、これらを活用して遺漏のないような判断をしてもらうということになろうかと思います。
  125. 橋本敦

    ○橋本敦君 今おっしゃった資料で、労働組合が例えば企業倒産後の賃金債権保全を要求するなり、あるいは会社の再開を要求するなりして、自分の会社の職場を離れないでそこで闘っているという状況はそういう資料で一見明白に必ずわかりますか。
  126. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) これは事案によりけりということになろうかと思いますが、先ほど来申し上げておりますことは、労働組合問題というものについて常に十分な配慮をされなければならないというこの国会での御議論を十分踏まえていただけるような措置を考えていただこうか、そういう趣旨でございます。  なお申し上げますと、民事執行規則の二十九条というのがございますが、執行官は不動産の現況調査をしたときは、その当該不動産の占有者あるいは占有状況等を現況調査報告書に記載しなければならないと定められておりまして、当然これを記載する以上は占有状況等について十分な調査をするということが義務づけられているというふうに思っております。
  127. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、次にその現況調査報告書について議論を移したいと思っておったんですが、それは執行官がつくるわけですね。執行官が現場状況を見てつくるということですが、果たしてその執行官が、労働組合がどういう闘いでどういう理由でそこを占拠しているか、占有しているかというようなことについて十分な調査ができるのかどうか私は疑問に思っているんですよ。  そして、先ほど提案者の答弁がありましたが、審尋をするということは相手方に直ちにそのことが察知されるおそれがあるから、一層妨害を巧妙にされてはならぬので必要なときだけの審尋でいいというんです。だから、本当に労働組合の問題がよく理解できないで裁判所がその執行官の現況調書、それが十分に労働組合問題の現況が記載されていないのをそのままにして必要ないと認めてやったならば、これはもう権利が侵害されるおそれというのは現実化するわけですよ。そういう意味では何の担保もないですよ、この法律では。  そこで、もう一つ伺いますけれども、この八十三条の第三項関係ではこう書いてあります。債務者以外の占有者に対して引き渡し命令を発する場合であっても、「事件の記録上その者が買受人に対抗することができる権原により占有しているものでないことが明らかであるとき、」は審尋を要しない。逆に、審尋を要しないことはこういう場合は要しないとはっきり書いてある。だから、現況調書を見て、それで正当な占有権原がそこである者ではないということを書類上判断すれば、もう審尋しなくてよろしい、いきなり命令を出してよろしいと、こういうことですから一層危険が深まるんですよ。  だから、現況調書を執行官がっくる場合には、裁判所はどういう現況調査をやるべきかということについて、労働者、労働組合の権利侵害が起こらないように十分に執行官に対する打ち合わせなり、あるいは要項の指定なり、細かな関係で工夫をしてやってもらわないと私はこの不安は除去できません。  そこで、もう一つ伺いますが、この五十五条関係で、占有者に対しても著しく不動産価格を減少する行為を禁止して一定の命令をすることができると、こういうことがある。  そこで、提案者に伺いますが、この命令は職場から全員退去せよという命令を含みますか。
  128. 錦織淳

    衆議院議員(錦織淳君) それは事案によるわけでございますが、作為命令または不作為命令でございます。事案に即して行われるものと思いますけれども、抽象的、一般的に言えば、その場所に立ち入ってはならない、あるいは退去しなさいという命令を含むことは当然考えられるわけでございます。
  129. 橋本敦

    ○橋本敦君 ですから、退去せよということになれば、まさに労働組合の占有を奪っちゃって執行官保管を命ずることに等しいことになるんですよ。そういうことが、まさにその執行官保管は五十五条の第二項で特別の事情がなきゃできないんですよ。一項の命令だけで簡単にやってはならぬのですよ。  そういうことを考えても、この要件をどう厳格にやるかということについて、この法律構造は労働者の権利を守るという立場から見れば極めて不備だということを私は考えざるを得ません。  そこでもう一つ伺いますが、労働組合が職場で闘って、赤旗を立て職場を守っているという姿もあるでしょう。そういうことはそれ自体、不動産価格を著しく減少する行為というように思っているんですか、提案者の方は。
  130. 錦織淳

    衆議院議員(錦織淳君) 先ほど永井議員が答弁申し上げましたように、労働組合の正当な活動等については原則として価格減少行為に当たらない、こういうふうに考えております。もちろんその対応については、労働組合が組織されていないというような場合もあろうかと思いますが、そうした周辺といいますか外縁の行為も含めてそのように理解をいたしております。
  131. 橋本敦

    ○橋本敦君 法務省裁判所に伺いますが、不動産価格を著しく減少するという行為の中には、労働組合が平穏整然と職場を占有して組合活動を行っているという状況は、これは入らないと断定できますか。
  132. 山崎潮

    政府委員山崎潮君) この点の認識につきましては、昭和五十四年に当法務委員会で民事局長からお答えした答弁と認識は全く同じでございます。  私ども考え方といたしましては、労働争議が正当なものとして通常の平穏な状態で行われているという場合には、価格減少行為には当たらないというふうに考えております。
  133. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) ただいまの法務省の見解に特につけ加えることはございません。
  134. 橋本敦

    ○橋本敦君 それで、実際問題として、法務省裁判所かどちらでもいいんですが、不動産価格を著しく減少する、そういう行為に当たる占有が占有者によって実際に行われているというケースが問題になっている例として、具体的にはどういう例が最近ありますか。
  135. 山崎潮

    政府委員山崎潮君) 典型的には、その物件を破壊する行為あるいは暴力団を入れて占有させる行為、あるいは更地に一夜城でプレハブの建物を建てるというような形態でございます。
  136. 橋本敦

    ○橋本敦君 そういうケースは、私は、競売申し立て事件、執行事件の中でそんなに多くないと思いますが、全体の中で今おっしゃったような事例はパーセント的にはどのくらいですか。
  137. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 現在、手元にお答えすべき資料がございませんのは大変恐縮でございますが、実は事件はいろんな執行妨害行為がございまして、特に多い類型と申しますのは、いわゆる三点セットと言われております物件明細書や現況調査報告書あるいは評価書の写しの盗み取りとか書きかえとか、あるいはそういう書類への暴力団名義の名刺の挟み込み、あるいはその競売物件への看板の設置や張り紙の張りつけ等でございます。しかし、これらに限りませんで、いろんなケースがございまして、ただいま法務省から申し上げたような事例もございます。
  138. 橋本敦

    ○橋本敦君 占有者が今言ったような著しく不動産価格を阻害する行為を具体的にやっている例というのは、提案者の方は最近住専に絡んでいっぱい出ているとおっしゃるけれども、私の経験でそんなにもふえていないんですよ。  裁判所に聞きますけれども、住専問題の関係で競売申し立て事件は急増していますか。そういう傾向は顕著には出ていないでしょう。これからですよ、住専問題で出てくるのは。
  139. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 特に住専という形で統計的なものを掌握しているわけではございませんが、今後不良債権問題等に絡んでいろんな事件が相当数ふえるであろうということは認識をしております。
  140. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、不当な執行妨害だとかあるいは債権回収行為に対する不当な妨害を許してはならぬ、厳しくやるべきだという立場です。しかし、それは今、魚住議員からも提起がありましたが、これまでの裁判所の努力による判例の集積あるいは現行法の運用を厳格にやるということを通じてまだまだやれる余地がある。それにもかかわらず、私が指摘したように、まさに前に修正が行われた労働者の、労働組合の権利を守っていくというそのことを阻害されるおそれがあるようなことを、あえて今なぜ復活させる必要があるのかという点について私は疑問が払拭し切れません。  きょうは時間がありませんから、その点を指摘して質問を終わります。
  141. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  142. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、日本共産党を代表いたしまして、民事執行法改正法案に反対の討論をいたします。  内容は、今、質問を申し上げ、また意見も申し上げたとおりでございますが、私としては、今回の改正案によりまして我々が、国会が心配だとしてかつて修正をしたその部分が復活されておりまして、労働組合の正当な職場での権利活動を侵害するおそれが今回の法案によっても依然として払拭し切れないということが重大な問題でございます。  審尋ができるということがお話にございましたが、それは必要的審尋ではないし、あるいは執行官による現況調書によって裁判所の判断を正当にやれるという趣旨のお話もありましたが、それについての具体的な保障もありません。  私は、今回の改正案がこういった問題について、労働者の権利を保全するという具体的な保障的規定を欠いておるという点で、この法案については到底賛成できないものであります。かえって、判例の集積及び現行法の厳格な解釈と適用を通じて、不法な占有者に対するあるいは不法な債務者の執行妨害に対する処置をやっていくことが可能であるし、そうすべきであるという立場から、反対をいたします。  以上です。
  143. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  民事執行法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  144. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、野村五男君から発言を求められておりますので、これを許します。野村五男君。
  145. 野村五男

    ○野村五男君 私は、ただいま可決されました民事執行法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、新緑風会及び参議院フォーラムの各会派の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     民事執行法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   本法の施行に当たっては、労働組合運動その他正当な活動を阻害することがないよう十分配慮されたい。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  146. 及川順郎

    委員長及川順郎君) ただいま野村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  147. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 全会一致と認めます。よって、野村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、長尾法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。長尾法務大臣
  148. 長尾立子

    ○国務大臣(長尾立子君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、本法の趣旨の周知に努めるとともに、最高裁判所にも十分に本附帯決議の趣旨を伝え、運用上遺憾のないように配慮をいたしたいと存じます。
  149. 及川順郎

    委員長及川順郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  151. 及川順郎

    委員長及川順郎君) この際、小委員会の設置に関する件を議題といたします。  民事訴訟法改正に伴う情報開示について総合的に検討するため、小委員十名から成る民事訴訟法改正に伴う情報開示に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、小委員及び小委員長の選任は、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  小委員及び小委員長につきましては、後日これを指名いたします。  なお、小委員及び小委員長の辞任の許可及びその補欠選任、並びに小委員会からの参考人の出席要求がありました場合の取り扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  155. 及川順郎

    委員長及川順郎君) これより請願の審査を行います。  第三三一号婚外子差別を撤廃する民法等改正に関する請願外二百八十一件を議題といたします。  今国会中本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第一五五二号法務局、更生保護官署入国管理官署大幅増員に関する請願外四十件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第三三一号婚外子差別を撤廃する民法等改正に関する請願外二百四十件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、特定住専七社の債権処理に伴い、大都市圏を中心とする登記所に大量かつ集中的に登記が申請されることが予想され、その適正迅速な取り扱いが求められること等を考慮し、法務局の事務量に見合った人員、予算措置が講ぜられるべきであることを本委員会として政府に要望いたします。     —————————————
  158. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  法務及び司法行政等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  161. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十四分散会      —————・—————