○橋本敦君 じゃ、厚生省はやっているかというと、厚生省は
被害者の
実態調査すらしていないんです。
きのうの毎日新聞でも、「地下鉄サリン キズなお深し」として、ある女性会社員が、この後遺症で自分の精神が荒れ果ててしまった、つらいことは余りに多くてもう答え切れない、毎日が精神的に地獄だ、こういう報道もなされています。そしてこの問題について、聖路加国際病院が多くの
被害者の手当てをなさったんですが、そこの精神科の担当の中野医長が、まさにこの問題については深刻な
事態だということを明らかにされておっしゃっています。これは、心的外傷後ストレス
障害、PTSDの典型症状を示しているそういう
被害者が実に全
被害者の六割を超える数に及んでいるということを言っておられます。
共通する症状はいわゆるフラッシュバック、つまりその事故の惨状を突然思い出すという精神的な
被害ですね。突然、事件の
状況をありありと思い出し、おびえる、過敏に反応する、落ちつかない、こういった症状が出てくる。そして、その恐れを回避する方向に進んで、ついには無感動、無気力、そして忘れっぽくなり、体力の衰えを訴え、それが
身体化をするということで精神
障害が
身体面にもあらわれて、頭痛、目まい、そういったことから仕事をすること、日常生活さえ困難になるという、こういう
状況だと言っています。まさに深刻です。
こういう皆さんがどういう
治療を受けるかというと、これはもう自分で医者に行って自分で
治療費を払って受けるしかないんですよ。例えば犯罪
被害者等
給付金
制度によりますと、
障害を受けた場合の
給付はありますよ、しかしこれは極めて重い
障害に特定されているでしょう。それに認定されるような症状でない、精神的ストレスを含むこういう心的外傷後遺症というのは、とても犯罪
被害者等
給付金
制度で救済対象になるような
障害とはならないんですよ。そこに深刻な問題がある。
こういった問題について一体国はどのように
責任を持って補償していくかということが今問われているわけです。
ですから、この患者の皆さんたちは切実な要望として、この問題について
被害者の現状を国が把握をし、そして国、
法務省、厚生省が先頭に立って、後遺症に悩むこれらの皆さんに対する医療費負担をどうするか、あるいはさらに進んで、精神的カウンセラーということは非常に大事ですから、そういったことを切実な要望にこたえてどのように設けていくかなど、抜本的な地下鉄サリン事件の
被害者救済対策を国の
責任でやってほしいという要望をしておられるのは、私は当然だと思うんです。こういう要望に私はこたえるべきだと思います。
そこで、
刑事局長おっしゃったように、犯罪
被害という
範囲でサリンの
被害を受けた皆さんを
法務省はつかんでいらっしゃる。名前も住所もつかんでいらっしゃる。厚生省と
協力をして、そういう皆さんに対する現状の後遺症を含む
被害の実情の
調査を
政府はまず
責任を持って行うこと。そして、それらの皆さんに対する
治療体制を国としてどう
援助して進めるかを
検討すること。そしてさらに、それだけじゃありません、国の
責任として必要な補償をやる必要があれば、犯罪
被害者給付制度、これをさらに改善して、それも含めて
検討することということを、犯罪の徹底的糾明、処断と並んで
被害者の問題を私は
責任を持ってやるべきだと思うんです。
そういう点を閣議において
政府としても積極的に取り上げて議論をしていただきたい。そのことは
法務大臣として、
政府の中でこういった問題について、今私が
指摘したような方向で、
政府としての実情把握、そして処置をどうとれるかという問題についての議論を
法務大臣がぜひ積極的に推進していただきたいということを強く要望しますが、
大臣いかがでしょうか。