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1996-02-22 第136回国会 参議院 法務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十二日(木曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員氏名     委員長         及川 順郎君     理 事         志村 哲良君     理 事         野村 五男君     理 事         平野 貞夫君     理 事         橋本  敦君                 岩永 浩美君                 遠藤  要君                 下稲葉耕吉君                 鈴木 省吾君                 中原  爽君                 林田悠紀夫君                 魚住裕一郎君                 大森 礼子君                 山崎 順子君                 久保  亘君                 千葉 景子君                 本岡 昭次君                 田  英夫君                 斎藤 十朗君     —————————————    委員異動  一月二十二日     辞任         補欠選任      岩永 浩美君     岡部 三郎君  一月二十五日     辞任         補欠選任      久保  亘君     一井 淳治君  二月八日     辞任          岡部 三郎君  二月十四日     辞任         補欠選任      大森 礼子君     都築  譲君  二月十五日     辞任         補欠選任      都築  譲君     大森 礼子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         及川 順郎君     理 事                 志村 哲良君                 野村 五男君                 平野 貞夫君                 橋本  敦君     委 員                 遠藤  要君                 下稲葉耕吉君                 鈴木 省吾君                 中原  爽君                 林田悠紀夫君                 魚住裕一郎君                 大森 礼子君                 山崎 順子君                 一井 淳治君                 千葉 景子君                 本岡 昭次君                 田  英夫君    国務大臣        法 務 大 臣  長尾 立子君    政府委員        法務政務次官   河村 建夫君        法務大臣官房長  頃安 健司君        法務大臣官房司        法法制調査部長  永井 紀昭君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        法務省刑事局長  原田 明夫君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局経理局長   仁田 陸郎君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡 恒男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○法務及び司法行政等に関する調査  (法務行政基本方針に関する件)  (平成八年度法務省及び裁判所関係予算に関す  る件)     —————————————
  2. 及川順郎

    委員長及川順郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一月十九日、菅野壽君が委員辞任され、その補欠として久保亘君が選任されました。  また、一月二十二日、岩永浩美君が委員辞任され、その補欠として岡部三郎君が選任されました。  また、一月二十五日、久保亘君が委員辞任され、その補欠として一井淳治君が選任されました。  また、二月八日、岡部三郎君が委員辞任されました。     —————————————
  3. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましては、法務及び司法行政等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 及川順郎

    委員長及川順郎君) この際、長尾法務大臣及び河村法務政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。法務大臣長尾立子君。
  6. 長尾立子

    国務大臣長尾立子君) このたび法務大臣就任をいたしました長尾立子でございます。  内外にわたり極めて困難な問題が山積しておりますこの時期に法務行政を担当することになり、その職責の重大であることを痛感いたしております。  申すまでもなく、法務行政に課せられました使命は、法秩序維持し、国民一人一人の権利を守ることにあります。国民生活の安定を確保し、国家の平和と繁栄を図るためには、その基盤ともいうべき法秩序が揺るぎなく確立され、国民一人一人の権利が十分守られていることが極めて重要であります。  私は、こうした認識のもとに、新しい時代要請を踏まえつつ、法務行政の各分野にわたり適切な方策を講ずるよう全力を尽くしてまいりたいと思っております。  委員長を初め委員皆様方には、日ごろから法務行政の適切な運営につきまして格別の御支援と御理解を賜っておりますことに厚く御礼を申し上げますとともに、引き続き御指導と御鞭撻をお廉い申し上げます。
  7. 及川順郎

  8. 河村建夫

    政府委員河村建夫君) このたび法務政務次官就任をいたしました河村建夫でございます。  時局柄、大任と存じますが、長尾法務大臣のもとの補佐役といたしまして、時代に即応した法務行政推進のために誠心誠意努力をしていく所存でございます。  委員長を初め委員皆様の御指導、御支援、よろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。
  9. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題といたします。  まず、法務行政基本方針について、長尾法務大臣から所信を聴取いたします。長尾法務大臣
  10. 長尾立子

    国務大臣長尾立子君) 委員長を初め委員皆様には、平素から法務行政運営につきまして一方ならぬ御尽力をいただき、厚く御礼申し上げます。今後とも皆様格別の御理解と御協力を賜りまして、法務行政の各分野にわたって全力を尽くしてまいる所存であります。  それでは、法務行政に関する所信一端を申し述べさせていただきます。  改めて申すまでもなく、国民生活の安定を確保し、国家の平和と繁栄を図るためには、その基盤ともいうべき法秩序が揺るぎなく確立され、国民一人一人の権利が十分守られていることが極めて重要であります。  私は、こうした認識のもとに、新しい時代要請を踏まえつつ、法務行政の各分野にわたり適切な方策を講ずるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。  まず第一は、治安確保及び法秩序維持についてであります。  国民一人一人が安心して暮らせる社会を確立するには、各種犯罪に厳正に対処し、治安確保法秩序維持に万全を尽くさなくてはなりません。  我が国は、これまで主要先進国の中にあって比較的良好な治安を享受してまいりましたが、最近における犯罪情勢を見ますと、オウム真理教関係者による一連の無差別大量殺人事件や、銃器を使用した強盗殺人事件など、国民生活の平穏を脅かし治安根幹を揺るがしかねない凶悪重大事犯が頻発しております。他方、公務員による涜職事犯、いわゆる二信組をめぐる大型背任事犯を初めとする各種財政経済事犯が相次いで発生するなど、国民不公平感を醸成し、政治行政経済システムに対する国民の信頼を損なうおそれが生じてきております。また、外国人による犯罪が増加し凶悪化するとともに、諸外国との間において逃亡犯罪人の引き渡し、捜査共助等を要する事件も増加するなど、犯罪国際化傾向が顕著となってきております。私は、このような犯罪情勢を的確に把握しつつ、変動する時代要請にこたえ得る検察態勢の一層の充実を図り、安全で公正な社会確保に努めてまいりたいと考えております。  また、いわゆる住専をめぐる不良債権問題は、その解決のために公的資金導入が図られるというものでありますから、この問題に対する国民不公平感不信感には深刻なものがあると考えられ、これらを払拭するためには、政府が一体となって債権回収のための万全な措置を講じることが必要であり、また関係者らの民事上及び刑事上の責任の所在が可能な限り明らかにされることが必要であると思われます。  検察当局におきましても、不良債権の発生にかかわった関係者らについて、その刑事責任を追及すべきであると認められるような事実が明らかになった場合、あるいは今後の債権回収の過程において悪質な妨害行為等不法事犯が発生したような場合には、警察当局等関係機関連携の上、鋭意所要捜査を行い、法と証拠に基づき、これに迅速かつ厳正に対処するものと考えております。そのため、検察当局において、平成八年一月十日及び同月二十四日、東京及び大阪で住専問題等に関する協議会捜査専従班を設置して態勢を整え、大蔵省から公表された資料をも含め、さまざまな観点から資料や情報の収集・検討等を進めているところであります。  他方オウム真理教に対する破壊活動防止法適用の問題につきましては、それが基本的人権に重大なかかわりを有する問題でありますところから、法と証拠に基づいて慎重に検討を重ねた結果、同法に定める解散指定請求のための弁明手続が開始されたものでありまして、今後その手続の中でオウム真理教弁明を十分聞いた上で、公安審査委員会に対する解散指定請求をするか否か慎重に判断することにいたしたいと考えております。  また、過激派集団は、破防法粉砕安保粉砕米軍基地撤去自衛隊海外派兵阻止成田空港反対などを闘争課題に掲げて、依然としてテロ・ゲリラ活動を基軸とする闘争の展開を強く主張しており、今後とも十分な警戒を要するものと考えています。  なお、刑事事件証人等被害についての給付制度介護給付を創設して被害者に対する給付充実を図るため、今国会証人等被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案を提出したところであります。  第二は、犯罪者に対する矯正処遇更生保護についてであります。  まず、去る二月十二日発生いたしました東京拘置所におけるイラン人集団脱走事犯につきまして、近隣住民方々はもとより、国民皆様に多大の御心配をおかけし、まことに申しわけなく、この場をおかりし深くおわび申し上げます。このような事態が二度と起きないよう、事務当局に対し徹底した原因の究明と再発防止策の策定を指示したところであります。  言うまでもなく、安全で平穏な社会確保するには、犯罪者矯正処遇更生保護に万全を尽くし、犯罪者社会復帰の援助にも努めなくてはなりません。  犯罪者矯正処遇につきましては、改善更生に多大の困難を伴う暴力団関係者薬物事犯者累犯者等が高い比率を占める一方、外国人収容者が急増するなど、依然として困難な諸問題に直面していますが、引き続き被収容者の特性、犯罪傾向等に応じた適切な処遇に努めてまいりたいと考えております。  また、犯罪者非行少年が現に生活している寿会環境のもとにおいて、その改善更生を図ることは刑事政策を全うする上で極めて重要であると認識しており、平素から献身的な御協力をいただいている保護司を初めとする民間篤志家方々との連携を一層密にして、今後ともこれらの者に対する保護観察の効果的な実施に努めるとともに、昨年五月に皆様の御賛同を得て制定された更生保護事業法趣旨に沿って、更生保護事業充実強化のための基盤整備にも一層の努力を傾注し、更生保護の実を上げてまいりたいと考えております。  第三は、民事行政事務効率化民事法改正及び訟務事件処理等についてであります。  国民一人一人の重要な権利保全にかかわる民事行政事務につきましては、国民の利便に配慮した事務効率化窓口サービスの一層の向上に努めてまいりたいと考えております。  民事法改正に関しましては、法制審議会において民事訴訟法及び民法改正につき検討が進められてまいりましたが、近くそのいずれについても改正要綱答申をいただける見込みとなっております。  民事訴訟法につきましては、現在の社会要請を踏まえ、民事訴訟手続をより充実させるとともに、規定の全文を平仮名、口語体の表記による現代用語に改め、民事訴訟制度国民に利用しやすく、わかりやすいものとする観点から検討がされてきたものであり、また民法につきましては、戦後約半世紀の間に家族をめぐる社会状況が大きく変化していること、婚姻中心とした家族法制あり方政府施策でもある男女共同参画型社会の形成に重要なかかわりを有することなどから、婚姻等に関する制度をより現在の家族状況に適合したものとすることを目的として、選択的夫婦別氏制の導入などを中心検討されてきたものであります。これらについて法制審議会答申が得られましたときは、これを踏まえて民事訴訟法案及び民法等の一部改正案を作成して今国会に提出いたしたいと考えております。  また、訟務事件処理につきましては、近年における科学技術の進歩、社会経済構造の変化、国民行政に対する期待の増大と権利意識高揚等を反映して、事件数が多数に上っているにとどまらず、質的にも複雑困難なものが増加する傾向にあり、その中には、訴訟の結果いかんが国の政治行政国民生活等に重大な影響を及ぼすものも少なくありませんので、引き続き訟務事務処理体制充実強化を図り、適正円滑な事件処理に努めてまいりたいと考えております。  第四は、人権擁護行政についてであります。  人権擁護は、憲法の重要な柱であり、民主政治基本でもあります。すべての人々が人権を尊重され、差別を受けない社会をつくり上げるため、人権についての正しい認識を広めていかなくてはなりません。  人権擁護行政につきましては、各種広報活動によって国民の間に広く人権尊重思想が普及高揚するよう努めるとともに、具体的な人権に関する相談や人権侵犯事件調査処理を通じて関係者人権尊重思想を啓発し、被害者の救済にも努めてまいりたいと考えております。  特に、昨今大きな社会問題となっているいじめの問題を初めとする子供の人権問題、我が国社会国際化に伴う外国人人権問題、部落差別を初めとする各種差別問題につきましては、関係省庁とも緊密な連絡をとりながら、昨年より開始されました人権教育のための国連十年の趣旨を踏まえまして、一層きめ細かい啓発活動を行ってまいりたいと考えております。  また、法律扶助制度は、国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するために極めて重要なものでありますから、今後ともその充実に努めるとともに、我が国にふさわしい制度あり方について抜本的な検討を進めるために必要な調査研究にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  第五は、出入国管理行政充実強化についてであります。  国際化の著しい進展により、出入国管理行政国民生活とのかかわり合いを深め、ますます重要なものとなっております。  出入国管理行政においては、国際協調国際交流の増進への寄与及び我が国社会の健全な発展の確保基本理念としつつ、この理念に沿って、外国人の円滑な受け入れの促進を図るとともに、不法就労外国人問題に対する効果的な対策推進していく必要があります。我が国と諸外国との間の経済的、文化的交流拡大等に伴い、本邦に入国する外国人は年間約三百八十万人前後に上っており、その活動内容はこれまで以上に多様化しております。また、その一方で、そのほとんどが不法に就労していると思われる推計約二十九万人の不法残留者が存在し、社会問題化しております。  このような出入国管理行政をめぐる現下の情勢に適切に対応するため、委員皆様格別の御協力をいただき、入国者収容所大村入国管理センター、同西日本入国管理センター等施設充実が図られたところでありますが、今後も引き続き要員の確保等所要体制整備を図るとともに、職員研修充実等に取り組み、より適正な業務運営推進してまいりたいと考えております。  第六は、司法制度及びそれに関する立法についてであります。  司法試験制度法曹養成制度抜本的改革に関しましては、昨年十一月、法曹養成制度等改革協議会意見書が取りまとめられ、法曹三者に提出されたところでございます。今後、この意見書趣旨を尊重し、真に国民的見地に立った抜本的改革を実現するための具体的な方策について、最高裁判所及び日本弁護士連合会と誠実かつ率直な協議を行ってまいりたいと考えております。  また、我が国における外国弁護士受け入れ制度は、外国弁護士による法律事務取扱いに関する特別措置法の施行後、円滑に運用されているところでありますが、外国弁護士問題の一つであります国際仲裁手続における代理の問題につきましては、国際仲裁代理研究会の提言、内外国際民事紛争当事者のニーズ、国際社会要望等を踏まえ、外国活動している外国弁護士及び我が国活動している外国法事務弁護士国際仲裁手続において当事者代理することができることとするため、今国会外国弁護士による法律事務取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を提出いたすこととしているところであります。  なお、地方裁判所における民事訴訟事件等の適正迅速な処理を図るため、今国会裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を提出したところであります。  今国会に提出し御審議をお願いすることになります法案内容につきましては、今後逐次御説明いたしますので、何とぞ十分な御審議をいただき、速やかな成立に至りますようお願い申し上げます。  以上、法務行政重要施策につきまして所信一端を申し述べましたが、委員長を初め委員皆様の一層の御指導、御鞭撻を賜りまして、法務大臣としての重責を果たしていきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
  11. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 次に、平成八年度法務省及び裁判所関係予算について順次説明を聴取いたします。頃安法務大臣官房長
  12. 頃安健司

    政府委員(頃安健司君) 平成八年度法務省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、法務省所管一般会計予算額は五千六百六十八億八千万円であり、登記特別会計予算額は一千六百九十一億五千七百万円でありまして、その純計額は六千六百二十四億七千万円となっております。  この純計額を前年度当初予算額六千四百七十五億三千五百万円と比較しますと、百四十九億三千五百万円の増額となっております。  次に、重点事項別予算内容について御説明申し上げます。  まず、定員関係でありますが、前年度定員に比較いたしますと純増百十五人となっております。  平成八年度の増員は、新規四百五十八人と部門間配置転換による振りかえ増員四十一人とを合わせ、合計四百九十九人となっております。  その内容を申し上げますと、一、法務局における登記事務訟務事務人権擁護事務及び国籍事務処理体制強化するため、登記特別会計の百三十五人を含め百四十三人、二、検察庁における特捜事犯財政経済事犯及び治安根幹侵害型犯罪等に対処するため、検事三十五人を含め百十九人、三、刑務所における保安体制処遇体制及び医療体制充実を図るため百十四人、四、少年院及び少年鑑別所における教育観護体制充実を図るため三十二人、五、保護観察活動等充実を図るため十五人、六、出入国審査及び在留資格審査並びに退去強制手続業務充実強化を図るため八十六人となっております。なお、公安調査岸につきましては十人の減員となっております。  他方平成三年七月五日の閣議決定に基づく平成八年度定員削減分として三百八十四人を削減することとなっております。  次に、主要事項経費について御説明申し上げます。  第一に、法秩序確保につきましては、三千二百十四億七千五百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと六十三億四百万円の増額となっております。  その内容について申し上げますと、まず検察庁関係では、検察活動充実を図る経費として九百七十五億八千百万円を計上しております。  矯正施設関係では、刑務所等矯正機能充実を図るため千八百六十九億八千四百万円を計上しており、この経費の中には、被収容者処遇確保のための生活備品日用品改善及び食糧費単価改定等に要する経費を含んでおります。  更生保護関係では、保護観察等充実を図る経費として百七十四億七千九百万円を計上しております。  訟務関係では、国の利害に関係のある訟務事務処理経費として十五億三千百万円を計上しております。  公安調査庁関係では、公安調査活動充実を図る経費として百七十九億円を計上しております。  第二に、出入国管理業務充実等につきましては、二百九十億四千八百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと十一億六千三百万円の増額となっております。  その内容の主なものについて申し上げますと、出入国及び在留管理業務充実を図る経費として五十七億六千七百万円、不法就労外国人対策強化を図る経費として二十億五千八百万円、外国人登録事務処理経費として五十九億七千四百万円等を計上しております。  第三に、国民権利保全強化につきましては、一般会計で九百十一億二千万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと十六億一千五百万円の増額となっております。  その内容について申し上げますと、まず登記関係では、登記事務費として七百三十五億六千七百万円を計上しております。この登記事務費は、登記事務を円滑適正に処理するために設けられている登記特別会計の財源の一部として繰り入れるための経費であります。  法務局のうち登記を除く関係では、国籍戸籍等事務処理充実を図る経費として百六十億八千三百万円を計上しております。また、人権擁護関係では、地域改善対策としての啓発等人権擁護活動充実を図るため十四億七千万円を計上しております。  第四に、施設整備につきましては、老朽・狭隙化が著しい基幹の大行刑施設及び大拘置所継続整備を含め、法務省の庁舎及び施設整備するための経費として二百四億五千三百万円を計上しております。  第五に、登記特別会計につきましては、総額千七百三十七億八千三百万円の歳入、千六百九十一億五千七百万円の歳出となっております。  歳出の主な内容といたしましては、登記所等管理経費九百四十三億五千二百万円、登記事務コンピューター化計画推進及び登記簿謄抄本交付事務適正迅速化を図る経費六百十七億七千二百万円、登記申請事件審査等経費四十六億六千万円、法務局支局出張所等整備する施設整備費として七十二億一千五百万円等をそれぞれ計上しております。  以上、平成八年度法務省所管予算概要を御説明申し上げました。
  13. 及川順郎

  14. 仁田陸郎

    最高裁判所長官代理者仁田陸郎君) 平成八年度裁判所所管歳出予算要求額について御説明申し上げます。  平成八年度裁判所所管歳出予算要求額総額は三千五十二億八千六百万円でありまして、これを前年度当初予算額二千九百五十億四千八百万円に比較いたしますと、差し引き百二億三千八百万円の増加となっております。  これは、人件費において六十八億九千八百万円、裁判費において十六億三百万円、施設費において七億九千九百万円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において九億三千八百万円が増加した結果であります。  次に、平成八年度歳出予算要求額のうち、主な事項について御説明申し上げます。  まず、人的機構の充実、すなわち増員であります。  民事訴訟事件民事執行法に基づく執行事件、破産事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判官十五人、一般職員五十三人、合計六十八人の増員をすることとしております。  他方定員削減計画に基づく平成八年度削減分として一般職員三十二人が減員されることになりますので、差し引き三十六人の定員増となるわけであります。  次は、司法の体制の強化に必要な経費であります。  裁判運営効率化及び近代化のため、庁用図書、等裁判資料整備に要する経費として七億九千百万円、ワープロ、パソコン等裁判事務能率化器具等の整備に要する経費として二十八億五千五百万円、調停委員に支給する手当として七十八億八千四百万円。裁判費の充実を図るため、国選弁護人報酬に要する経費として三十七億九千六百万円、通訳人謝金等に要する経費として八億五千四百万円、証人、司法委員、参与員等旅費として十一億二千四百万円を計上しております。また、裁判所施設整備を図るため、裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として百三十九億九千百万円を計上しております。  以上が平成八年度裁判所所管歳出予算要求額の大要であります。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  15. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 以上で所信及び予算の説明聴取は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時三十三分散会