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1996-03-22 第136回国会 参議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十二日(金曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  三月十四日     辞任        補欠選任      依田 智治君     田沢 智治君  三月十五日     辞任        補欠選任      平田 耕一君     釜本 邦茂君      瀬谷 英行君     鈴木 和美君  三月二十二日     辞任        補欠選任      世耕 政隆君     中島 眞人君      石田 美栄君     小林  元君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 木宮 和彦君                 山下 栄一君                 三重野栄子君     委 員                 井上  裕君                 釜本 邦茂君                 田沢 智治君                 中島 眞人君                 馳   浩君                 小林  元君                 菅川 健二君                 浜四津敏子君                 林  寛子君                 上山 和人君                 阿部 幸代君                 堂本 暁子君                 江本 孟紀君    国務大臣        文 部 大 臣  奥田 幹生君    政府委員        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部省初等中等        教育局長     遠山 耕平君        文部省教育助成        局長       小林 敬治君        文部省体育局長  佐々木正峰君    事務局側        常任委員会専門        員        青柳  徹君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師  の公務災害補償に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出)     —————————————
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十四日、依田智治君が委員辞任され、その補欠として田沢智治君が選任されました。  また、去る十五日、平田耕一君及び瀬谷英行君が委員辞任され、その補欠として釜本邦茂君及び鈴木和美君が選任されました。  また、本日、世耕政隆君及び石田美栄君が委員辞任され、その補欠として中島眞人君及び小林元君が選任されました。     —————————————
  3. 小野清子

    委員長小野清子君) 公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。奥田文部大臣
  4. 奥田幹生

    国務大臣奥田幹生君) おはようございます。早くからありがとうございます。  このたび、政府から提出いたしました公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、国家公務員等災害補償制度改正に倣って、公立学校学校医等公務災害補償制度に、傷病補償または障害補償補償の事由となった障害により必要な介護を受けている場合における補償として、新たに介護補償を設けることとするものであります。この補償の範囲、金額等の基準につきましては、国家公務員災害補償法規定を参酌して政令で定めることとなっております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
  5. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山下栄一

    山下栄一君 冒頭の質問でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま大臣の方から法案趣旨説明があったわけでございますけれども、これは昨年の第百三十二通常国会で、一般民間の会社の方の災害補償制度、それから国家公務員地方公務員公務災害補償制度の中に新たに介護補償時代要請の中で設けようということで置かれたものだと思うわけでございます。  ちょっと私は基本的なことでわからぬことがありまして、質問させていただきます。  学校医学校歯科医、それから学校薬剤師に限って特別法があるわけでございます。今回の介護補償を新たに創設して制度化するという、こういうことが去年のいろんな審議会答申等を経て法改正が、国家公務員災害補償法それから地方公務員災害補償法労働者災害補償保険法、それぞれ改正されたわけですけれども、同じ趣旨で今の学校医等特別法もその時期に当然制度化するということを考えられたと思うんですが、なぜ一年おくれたのかなという基本的な疑問がございまして、その点いかがでしょうか。  ちょっと質問通告していませんでしたが、よろしくお願いいたします。
  7. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 公立学校学校医等につきましては、御案内のように公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償に関する法律という特別法によって公務災害補償制度がつくられてございます。そして、この法律による補償内容といたしましては、国家公務員災害補償法規定を参酌するとともに、常勤国家公務員である医師等公務災害補償と同程度となるように定めなければならないとなっておるわけでございます。  したがいまして、公立学校学校医等公務災害補償というものについて新たに介護補償制度をつくる場合には、国家公務員災害補償法改正を待って制度化する必要がございますので、今回法案審議をお願いしておるところでございます。
  8. 山下栄一

    山下栄一君 余りよくわかりませんですけれども。  傷病補償、それから障害補償と並んで新たに介護補償もやっぱり必要であるということが提案されて、そして法改正が必要であるということで、国家公務員災害補償地方公務員災害補償、それから一般民間労働者災害補償保険法、全部改正されたわけですよね。それで、学校医さんも、嘱託の非常勤かわかりませんけれども公務員ですよね。だから、なぜそのときに一緒にやらなかったのかという基本的なことです。  きょうはほかの委員会も、法務省関係、それから自治省関係、警察官の関係ですな、それからもう一つは海上保安庁の何か、これは全部公務員じゃなくて一般市民協力援助したという方々への一般市民介護補償。だけれども、今やっている学校医さんというのは公務員さんですから、ちょっと扱いが違うと思うんですよ。きょう一斉に四つやっていますけれども、ほかの三つのものと違うのではないか、この文部省管轄学校医特別法はね。だから、去年当然話題になり、制度化するべきであるということがあってよかったのではないか、忘れられていたのかなと思いますけれども制度の問題だからそのときに一緒にやるべきだったと思うんですけれども、なぜ一年おくれたのか。
  9. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 国家公務員災害補償法改正は、御指摘のように平成七年四月に行われたわけでございます。ただ、この法律によります介護補償制度の実施が平成八年四月一日でございます。したがいまして、国家公務員災害補償制度に倣った公立学校医等公務災害補償法改正というものも平成八年四月一日に施行すべく制定がなされればいいというふうな時間的関係もございまして、今国会法改正をお願いしているところでございます。
  10. 山下栄一

    山下栄一君 まだ時期は間に合うと思うんですけれども、まあ役所の連携の問題かなとも思うんですが、忘れられていたのじゃないかなというようなことを思いまして、基本的な申しわけない話ですけれども、そういうちゃんと連携をとれば問題なかった話じゃないかなということを思いました。  それと、今、国家公務員のとおっしゃっていましたね。先ほどの大臣趣旨説明にもございましたけれども国家公務員災害補償法を参酌してとかなんとかいう言葉がございましたですが、この学校医というものの身分を改めて確認させていただきたいと思います。
  11. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 非常勤地方公務員でございます。
  12. 山下栄一

    山下栄一君 これは法律制定経過があると思うんですけれども国家公務員災害補償法昭和二十年代に既にもう制定されていた、それで地方公務員災害補償法昭和四十二年に、いろいろ経過があったと思いますけれども、なされたと。この学校医特別法昭和三十二年なんですよね。だから、昭和三十二年当時は地方公務員災害補償法がなかった。そういう制度もなかった。だから、国家公務員災害補償法に既にある制度に基づいて、学校医さんの公務上の災害事件もあったので、急遽こういう法律ができたのではないかなとも思うんですね。  僕は、この法律は今はもう必要ないんじゃないかなと思っています。地方公務員災害補償法があるわけですから、そこに統一的に組み込んだ方がいろいろメリットの方が多いんじゃないかなと思います。国家公務員にのっとってとかいうふうなことを言うから、地方議会の方もいろいろ困って、法改正のたびに地方議会にかけにゃいかぬとか、そんなこともあるんではないのかなと思います。  地方分権時代ですから、学校医さんは義務教育も含めまして地方公務員扱いだから、この特別法はもう必要ないのではないかなと思うんですけれども、どうでしょうか。
  13. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 先生の御指摘のとおり、この特別法昭和三十二年に制定されたものでございますが、昭和三十二年当時、非常勤地方公務員公務災害補償につきましては、常勤職員もそうでございますけれども、適切な公務災害補償を行う制度が確立しておりませんでした。そこで、学校医が安んじて学校保健に積極的に参画することができるよう法律制定したわけでございます。  その後、地方公務員災害補償法制定をされまして、非常勤職員についても、地方公務員災害補償法補償というものに準じて条例で補償を行わなければならないような仕組みとなったわけでございますが、学校医等につきましては経費都道府県負担をするというふうな特例がございまして、そういった特例が存するために引き続きこの特別法を維持しておるところでございます。
  14. 山下栄一

    山下栄一君 費用負担関係でということですか、そういうことですか。
  15. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) はい。
  16. 山下栄一

    山下栄一君 ということは、例えば一般地方公務員の方の災害補償については国庫負担はなしということですか、そういう意味ですか。
  17. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 学校教職員につきまして、例えば市町村立小中学校教職員給与につきましては都道府県負担をすることとなっております。一般的にはその地方公共団体職員でございますから、市町村給与負担するというのが原則でございますけれども県費負担教職員制度によりまして市町村立小中学校職員については都道府県給与負担するというふうな特例がございます。  それと同じように、市町村立小中学校学校医等経費につきましては都道府県負担をするというふうな特例があるわけでございます。
  18. 山下栄一

    山下栄一君 いろんな経緯があるとは思うんですけれども、もう時代的に私はこの法律は必要ないと、このように思います。地方公務員災害補償法の中でやればいい問題であると。非常勤職員の方は、別に校医さんに限らず、非常勤講師の方もいらっしゃるわけですし、その災害補償の実質的な中身補償額もほとんど変わらないわけですから、別にわざわざこんな特別法をつくって、また国家公務員でもないわけですから、地方公務員なわけですからね。  だから、そういう時代経過の中で、当時はなかったからこういう特別法が必要であっただけの話で、今はもう地方公務員災害補償制度非常勤も含めて制度化されているわけですから、私はこの法律見直して、きちっと統一的な体制にした方がいいのではないかと思います。もう制度中身から、公務員身分から、通常報酬から考えても、地方公務員非常勤の方と同じ扱いなわけですから、全然特別法として存続させる必要がないと、このように私は考えるわけでございます。地方分権の流れもございますし、ぜひともこれは見直しをするべきであると考えるんですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  19. 小野清子

    委員長小野清子君) それでは、事務的な面で、佐々木体育局長
  20. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 済みません。繰り返しになって恐縮でございますけれども、この特別法の中では、その五条におきまして、「都道府県は、市町村立義務教育学校学校医等に係るこの法律による補償に要する経費負担しなければならない。」というふうな規定があるわけでございます。  本来であれば、市町村職員でございますから、市町村がそれに要する経費負担するというのが原則でございます。こういう原則について、都道府県経費負担するという特例を定めるためには法律が必要でございます。そのような意味におきましてこの法律を維持しているところでございまして、御理解を賜りたいと存じます。
  21. 山下栄一

    山下栄一君 それはちょっと無理があるお答えだと思います。  当時はなかったからこういう特別法をつくっただけで、非常勤も含めて地方公務員全体の災害補償制度が整った昭和四十二年以降については、なぜこれがいまだにずっと続いているのか、私はもう全く必要ないのではないかというようなことを思いますので、これは余りかたくなにならずにぜひ検討を願いたいと思います。  続いて、特に学校医さんの役割についてちょっと質問したいと思うわけでございます。  今、学校医さんというのは、今というか、私はちょうど一年前に百三十二通常国会で、不登校、そしていじめ等の問題の関連の中で学校医役割は大変重いということを質問させていただきました。ところが学校医は、これも見直しがほとんど行われていないという現状がある。特に、子供の病気の構造が時代で相当変わってきているわけでございまして、寄生虫とかトラホームの時代から今はもう小児成人病とかそれから心の健康とか、そういうことが大きな課題になってきておる。それに見合う学校医体制見直しする必要があるという観点質問させていただいたわけでございます。  ただ、この学校医さんは小学校中学校、高校の各学校に配置されているわけでございますけれども出動日数といいますか、実際に現場にどれぐらいの日数行かれておるのか。また、健康診断だけじゃなくて健康相談とか、それも子供だけじゃなくて教職員も含めて健康診断ということが学校保健法施行規則にあるわけでございますけれども役割から考えたら派遣される日数余りにも少ないのではないかという基本的な疑問がございます。一体、例えば義務教育に絞りますと、学校医さんが年何回ぐらい現場に行かれているのか、これをちょっとお聞きしたいと思います。
  22. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 平成二年五月一日現在の調査でございますけれども学校医年間の一人当たり平均勤務日数といたしましては、小学校が五・一日、中学校が四・五日となってございますが、このほか教職員あるいは児童生徒学校医のもとに出かけて健康相談等に当たるというふうなことも行われているところでございますが、その実態につきましては把握しておりません。
  23. 山下栄一

    山下栄一君 私の知り合いで、歯医者さんですけれども、お聞きしましたら、年に二回行っておられるわけですね。それも学校といろいろ年間スケジュールを話し合ってされたらいいんですが、そういう余り連携がとれていないような感じで、機械的にやっておられるようなんです。  ただ、子供の歯の問題にしましても、食べ物の問題、そして生活面も含めていろいろアドバイスしたいと思うことが、ずっと全生徒を見ていくと子供傾向性も出てくるでしょうし、例えば担任の先生との意見交換とか、それから場合によっては子供健康相談みたいなものを、一日フリーというわけにはいかないかもわかりませんけれども、お医者さんに来ていただいて、そして相談に乗れるようなチャンスも設けるとか、そんなことも含めて、健康診断のためだけに一日大量の子供に疲れ果てて、診ただけでさっと帰るというふうなことだけで終わっておったんじゃもったいないのではないか。せっかく直接接していただいているわけですから、いろいろアドバイスしたいこととか出てくるのではないかと思いまして、学校医役割を機械的じゃなくてもう少し見直しする必要があるというふうなことを感じるんですよ。  それで、養護教諭先生とか、スクールカウンセラーも配置され始めていますし、そういう方々連携しながらやっていくと、もう少し心の健康の問題、場合によっては不登校の問題、いじめの問題も含めていろいろ活躍できるのではないか、学校医さんの意見が非常に貴重なのではないかと。ちょっと余りにも役割が形式的になっているのではないかなということを感じているんですけれども大臣いかがでしょうか。
  24. 奥田幹生

    国務大臣奥田幹生君) 確かに従来とは学校医さんの存在というものは変わってきておりまして、非常に重要度が私も増してきておると思うんです。  それで、従来ですと、先生がおっしゃるとおり、一般児童生徒健康診断でありますとか、あるいは伝染病予防でありますとか、そういうことでお世話になっておればそれでよかったわけでありますけれども、今おっしゃったとおり、非常に心のケアというようなことにまでひとつ学校医さんにお世話にならざるを得ないような状況に変わってきました。  しかし、それも現に学校現場におきましても、いわゆる生徒健康管理をどうしましょうかという学校の中での相談をまとめる保健委員会に既に学校医さんも先生方一緒に参加をしていただいて、同じ立場意見交換をやっていただいておるというような学校もかなりふえてきておるわけでございまして、私どもはよりそういうような心のケアというようなことについてもひとつ自覚を持って御協力を賜ってまいりたいと非常に期待をいたしております。
  25. 山下栄一

    山下栄一君 先ほど局長の方から、実際に学校医さんがどれだけ学校医として現場にかかわっておられるかという平均日数がございましたですけれども、これは本来、規則で定められている職務内容を考えますと余りにも少な過ぎるのではないか。  報酬の面とかいろいろ問題点があるかもわかりませんけれども、もう少し役割を大事にして、年二回とか三回とかじゃなくて、仕事内容を、規則では健康診断、これは先ほど申しましたように生徒だけではなくて職員健康診断、それから先ほど大臣のお話がございましたように伝染病予防の指導とか助言とか、それから健康相談に従事するということもあるんですね。もう一つは、その他の事務的な処置とか救急処置の問題とか、場合によっては校外学習の引率についていくとかいうようなこと等もある。学校の方で要請もあるかもわかりませんけれども規則で定められている勤務手当と申しますか報酬の問題も含めまして、学校医さんの使命とか役割から考えますと余りにも貧しい体制になっているのではないかなということを考えますので、この辺の見直しをやはりやるべきではないかなと、こういうふうに思います。  それと、先ほどもちょっと私は触れましたけれども生徒の直接の健康診断に基づいて、別の日に教員との意見交換の場、それから生徒健康相談日健康相談デーとかいう形で学校医さんの活躍の場を広げていくというようなこともあわせてこれから検討していく必要があるのではないかなと、このように感じております。  それと、先ほど申しましたスクールカウンセラーとの連携養護教諭との連携も、今非常に大きな問題になっております不登校の問題、それからいじめ課題につきましても学校医さんの役割期待されるのではないかなと、こういうふうに思いますので、もう少し学校医さんの勤務形態を強化したらどうかなと、こういうふうに具体的な形の提案として思うんですけれども大臣いかがでしょうか。
  26. 奥田幹生

    国務大臣奥田幹生君) 先ほど局長が御答弁いたしました数字平成二年と言っていましたが、この四年、五年間ということは社会も学校教育現場も非常に状況が変わってきておりますから、先ほど申し上げましたとおり、その間に学校保健委員会ができて、そこにも先生だけでなくて校医さんにも参画してもらっておるというような状況も生まれておるわけでございますから、当然私は局長が申し上げた数字よりもふえてきておるという感じは持ってきておるわけです。  しかし、それで十分ということは必ずしも言えません。先生お話しのとおり、カウンセラーといいましても、臨床心理士の資格を持った方はまだ全国に四千人余りしかおられませんし、そして今年度までは一都道府県三校でございましたのを十校に八年度からふやしていただいても、全校に満遍なく十分なお世話をいただくというのには量的にはとてもとても不足しておると思います。そういう不足しておる分を、今お話しのとおり学校医さんにお世話にならなければならぬというところが私は非常に大きいと思うんです。  先般も、日本医師会村瀬会長さんとこういう問題について意見交換をさせていただきました。村瀬さんも、十分必要なことはわかっておるので協力をしてまいります、医師会の組織を挙げて協力いたしますとありがたいお言葉を賜っておりますから、私どもは非常に喜んで期待をしておるところでございます。
  27. 山下栄一

    山下栄一君 今、大臣お話しいただきましたように、学校医さんはもうほとんどの学校でいらっしゃるわけですから、スクールカウンセラーというのは代表型で、ことしはまだ各県三校ですか、そういう程度ですから、それは心理学観点だと思うんですけれども、医学の観点でさまざまな、特に健康、体だけじゃなくて心の問題も含めていろいろアドバイスできる立場にあると。もっと積極的なその見直しといいますか活用のあり方を考えるべきではないかなという観点からきょうは質問させていただいております。  去年、ちょうど一年前に私がこの文教委員会質問させていただいた点の確認でございますけれども、要するに学校医さんは、具体的には内科耳鼻科それから歯科、この三つが中心である。ただ、僕は、精神面精神科医さん、数は全体的には少ないかもわかりませんけれども精神科医さんも心の健康という観点から学校医の中に位置づけて検討する必要があるのではないかという質問を一年前にさせていただきましたら、当時の小林局長関係者とも連携をとりながら指導してまいりたいというふうにおっしゃっているんですけれども、何か具体的に改善の方向というのは検討されているんでしょうか。
  28. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 御指摘にございますように、学校医内科が最も多く、次いで眼科、耳鼻咽喉科となっておるわけで、神経・精神科というものの数は少のうございます。  学校医委嘱につきましては、地域の実情や児童生徒実態に応じてそれぞれの学校が地元の医師会等とも相談をしながら決めるべきものでございますけれども子供精神面ケアというものが御指摘のように非常に重要になってきております。そういった点も踏まえまして、現在、学校医につきましては三名の地方交付税措置がなされておるわけでございますけれども、これをさらに増員すべく文部省としても努力はしてまいったわけでございますが、現在のところまだ実現は見ておりません。  いずれにいたしましても、近年の子供の健康上の問題の変化というものも踏まえまして、学校医委嘱というものが適切に行われるよう文部省としても引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
  29. 山下栄一

    山下栄一君 増員も、先ほど申しましたように報酬、手当にかかわることですけれども、お医者さんが学校にかかわるチャンスをふやす、そういう検討もぜひやっていただきたいと思います。  今申しましたように、何か学校医というと、内科検診、それから耳、鼻、のど、歯医者というふうな固定観念があると思うんですよね。だから、別の観点から学校医さんというものを位置づけて、そして、カウンセリングも含めて健康相談やなんかはそういう方々にやっていただくとかいうようなこともモデル的にやってもいいのではないか。こんなことも、精神科医の方、いわゆる医学の、心の健康面の専門家の配置も考慮に入れながら検討されてはどうかなと、こういうふうなことも考えているわけでございますけれども、最後に大臣のお考えをお聞きしまして、終わりたいと思います。
  30. 奥田幹生

    国務大臣奥田幹生君) 確かに私どもも、カウンセラーとかあるいは教育相談員とか、いろんな角度で多方面な皆さん方にお世話になっていかなければなかなかたくさんの課題は解決しないと思っておりますけれども、その中で学校医先生方にも新たな視点で協力をいただきたい。  今お話しのとおり、健康診断でございますとかあるいは伝染病予防、そういう従来の通り一遍のお世話だけでなくて、委員会へ来てもらって御意見を聞くとか、あるいはにわかに学校全体で子供のことについての心配事が起きたときに職員会議にもお願いをして来てもらりて専門医の方から話を聞くとか、そういうような多様な御貢献をこれからも期待したいというように私も思っておるところでございます。
  31. 山下栄一

    山下栄一君 ありがとうございました。
  32. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 法改正そのものというより、関連して学校医の果たす今日的役割に関して幾つか質問したいと思います。  文部省からいただいた資料、学校健康教育課の調べによりますと、学校医の診療科別配置率を見ると、小学校中学校、高等学校とも圧倒的に内科医の率が高くて、次いで眼科医、耳鼻咽喉科医となっています。小児科医、神経・精神科医の率が非常に低くて、神経・精神科医の率について見ると、小中高とそれぞれ〇・五%、一・四%、一・五%にすぎないということが大変気になるんですね。  こうした構成で学校医に今日期待される役割を果たし切れるのか大変疑問になっているんです。といいますのも、日本医師会が「子どもの精神保健—今、子どもたちは一」と題して座談会を開催していて、その様子を雑誌で私も読みまして大変関心を持ちました。その中で、学校医をされている先生の多くは内科先生で、精神医学も専門ではないし小児科も専門ではない、そのため、身体的疾患はともかく、精神的疾患までは手が届かない、その辺に学校精神保健が発展しない問題点があるのではないかということが指摘をされています。  学校精神保健、子供の精神保健について文部省はどのような関心を寄せているのか具体的に知りたいので、一つは、阪神・淡路大震災の被災児童生徒の心の健康管理、これがどのようになされたのか、どんな対策がとられ、どんな教訓を導き出されたのか。それから二つ目は、全国的な日常の取り組みの成果、全国学校保健研究大会というのが開かれているそうなんですけれども、こういうところにも反映されるんだろうと思うんですけれども、そうした全国的な日常の取り組み状況などをお聞かせいただきたいと思います。
  33. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 阪神・淡路大震災でございますけれども、被災した児童生徒に対する心のケアというのは極めて重要な問題でございます。文部省としても学校における心の健康相談というものが十分実施されるように県、市と一体となって取り組んできたところでございます。  その際、学校養護教諭を初めとした教職員相談活動に当たるということはもとよりでございますけれども学校医臨床心理士などのカウンセリングの専門家の協力も得て適切に対応するということが重要でございますので、文部省といたしましても日本医師会などに協力を求めて対応してまいったところでございます。  具体的に、兵庫県や神戸市などにおきましては、これまで精神科医臨床心理士を派遣する、あるいは電話相談に応ずる、来所相談に応ずる、こういった形で心の健康相談活動を行ってきたわけでございまして、本年度につきましてもこのような事業を継続して実施しておるところでございます。  文部省立場といたしましては、兵庫県、神戸市等のこのような心の健康相談活動に対する支援を行っておるところでございます。と同時に、平成七年度の補正予算におきましては心の健康状態の実態調査や健康相談体制についての調査研究を行うことといたしまして、現在、被災地における子供たちの心の健康に関する実態調査について、その結果の集計や分析を行っているところでございます。また、平成八年度におきましても引き続き経年的な実態調査を行うこととしてございます。  今後とも、そのような調査結果なども踏まえて、被災をされた児童生徒の心のケアについて適切な対応を行ってまいりたいと考えておるところでございます。  それから、先ほど申し上げました平成八年度予算に計上した児童生徒の心の健康管理の充実関係内容でございますけれども一つは、経年的な実態調査、これはアンケート調査を実施するわけでございますが、そのほか、中央及び各都道府県におきまして心の健康相談活動等に関する研修会なども開催することといたしてございます。
  34. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 メンタルヘルスケアは、非常時に、こういう大震災のときなどに非常に大きな問題になると思うんですけれども、潜在的には日常的な問題であると思うんですね。また、日常的な備えがあれば、いざというときにも対応ができるわけで、そうした観点でぜひ重視していきたいと思っているんです。  最近、いわゆるLD、基本的には全般的な知的発達におくれはないんだけれども、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなど、特定の能力の習得と活用、特定の能力なんですね、習得と活用に著しい困難を示すいわゆる学習障害児とその周辺の子供たち、そういう子供たちへの理解と関心が高まっています。研究も進められ始めていると思うんですが、いわゆる障害、健常、こういう二分、二つに分けるということではなくて、どの子供も量や質は別にしてそれぞれ個別の教育ニーズを持っているという視点、もっとわかりやすく言うと障害も個性、そういうふうに考える視点の大切さが強調されています。  医学、心理学、教育領域における専門家や研究者の努力に対する、だからこそ教育行政上の対応が求められていると思うんです。不登校いじめの問題も医学的・心理学的対応が求められているんではないかなと思うんです。今日、子供の健康を診る場合、身体的側面と同時にこうした精神的側面のケアが非常に大事になっているというふうに思うんですけれども、ほかの委員さんの質問もありましたが、大事なものなので、文部省の認識はどうか、伺いたいと思います。
  35. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 御指摘のとおりでございまして、やはり心の健康に常日ごろから配慮した活動ということを各学校において推進していく必要があるわけでございます。  したがいまして、各学校においては養護教諭や学級担任などの教員が協力して心の健康相談活動の充実を図っておるところでございますが、その際、学校医の助言や協力も得て、学校全体で一体となって精神的ケアに取り組むことが必要であるというふうに考えておるわけでございます。  なお、文部省におきましては、平成五年度から精神科医、産婦人科医等を学校等に派遣して、学校保健関係者、これは教職員子供たちでございますけれども学校保健関係者を対象として指導助言等を行うため、思春期の児童生徒の悩みに対する支援事業を、これは地方交付税でございますけれども、実施し、そういった観点からの支援を行っておるところでございます。
  36. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 学校保健の中に子供のための精神医学・医療を位置づけていくということだと思うんです。そういう意味で、学校医の新しい役割を直視していかなければならないと思うんです。  全国保険医団体連合会によると、大阪府医師会が、大阪市内の公立小中高等学校・養護学校養護教諭に対して、学校医に対する意見、要望のアンケート調査を九四年に行ったそうです。そうしたところ、学校医の研修会の開催、不登校児を含む心の問題や性の問題への対応等々、学校医の積極的関与を望む声が大きく出されたそうです。  こうした要望に文部省は今後どう対応していきますか。
  37. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 学校医につきましては、その専門的立場から、児童生徒の精神的ケアに関して教員を指導したり、直接教員とともに児童生徒健康相談にあずかるということが大事でございます。その意味におきまして学校医の果たす役割というのは極めて重要でございます。  そういった点に立って、教職員の研修会等において学校医が指導者としてその任に当たるというようなことも大切でございますし、また学校医自体につきまして、例えば日本医師会であるとか地区の医師会等において学校医等の研修も行うことによって、より適切に学校医がその活動を積極的に展開できるように文部省としても引き続き努力してまいりたい、また指導してまいりたいと考えております。
  38. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私の質問の最初のところに戻るんですけれども、今学校医を担っておられる方の診療科目を見ると、まだまだ学校医に今日的に求められている役割を十分果たし切れない実情というのは、これはリアルに見る必要があるんだろうというふうに思うんですね。  それで、少なくとも文部省学校医の新しい今日的な役割ということで関心を寄せておられるということは確認をしてよろしいですね。
  39. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) はい。
  40. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 それで、現在進められているいわゆるスクールカウンセラー、これは調査研究事項にまだなっていますね、二年間の調査研究事項ですね。私もこれは期待しているんですが、臨床心理士の資格を持っている専門的な方が、人数がまだ充足できますから、これを担当してこの事業にかかわっていくんだと思うんですけれども、今後やはり学校の精神保健全体の中にこの事業が位置づけられてほしいと思うんです。  というのは、このスクールカウンセラーの問題というのは、心のケアということで、いじめ克服対策、そこから導入されてきた事業ですね。それで、従来の学校医さんなどの学校保健、これとのかかわりはまだ不明な部分があるわけですよね。私としては、この事業がぜひ学校の精神保健全体の中に位置づけられて積極的な成果が引き出されるように期待してやまないということなんですが、文部省のお考えはどうですか。
  41. 奥田幹生

    国務大臣奥田幹生君) おっしゃるとおり、七年度に試みにスタートをしまして、そうして八年度にはさらに充実をしてまいりたいということで、先ほど申し上げたとおり、一都道府県三校でありましたのを新年度は十校にふやしていきたいということ。それから政令指定都市にも置くということ。  それで、先月の十日に、各都道府県の教育長会議でいじめ克服・追放についての協力要請しましたときに、こちらから一方的にお願いするだけじゃなしに、向こうにもマイクを回して聞いてみたんです。そうすると、このスクールカウンセラーの果たしている役割というのは非常に高く評価をしていただいて好評でございました。  したがって、おっしゃるとおり、八年度ということで、九年度以後のことについてはまだ文部省として申し上げておりませんけれども、七年度、八年度を早目に総括しまして、そして私としては、せっかくそうして大きな役目を果たしてもらっているスクールカウンセラーでございますから、九年度以後も引き続いて充実をしていきたいなと、こういうように思っております。まだこれは文部省内で相談したことはございませんけれども、私自身はそういう方向で省内で相談をしていきたいと思っております。
  42. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 学校医が今日的な役割を果たすことができるように、研修体制の充実、並びに学校医養護教諭やまた一般先生たち、それからカウンセラー協力体制子供の心のケアに十分当たっていただけますように心からお願いして、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  43. 小野清子

    委員長小野清子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  45. 小野清子

    委員長小野清子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時四十九分散会      —————・—————