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1996-05-07 第136回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月七日(火曜日)    午後一時二分開会     —————————————    委員異動  四月三十日     辞任         補欠選任      三浦 一水君     坪井 一宇君      北澤 俊美君     木暮 山人君  五月一日     辞任         補欠選任      坪井 一宇君     三浦 一水君      林  芳正君     浦田  勝君      小川 勝也君     阿曽田 清君      木暮 山人君     北澤 俊美君      上山 和人君     村沢  牧君  五月二日     辞任         補欠選任      菅野 久光君     一井 淳治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 貞敏君     理 事                 服部三男雄君                 風間  昶君                 常田 享詳君                 谷本  巍君     委 員                 井上 吉夫君                 岩永 浩美君                 佐藤 静雄君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 阿曽田 清君                 北澤 俊美君                 高橋 令則君                 都築  譲君                 一井 淳治君                 村沢  牧君                 須藤美也子君                 国井 正幸君                 島袋 宗康君    国務大臣        農林水産大臣   大原 一三君    政府委員        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産省経済        局長       堤  英隆君        農林水産省構造        改善局長     野中 和雄君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        農林水産省畜産        局長       熊澤 英昭君        農林水産省食品        流通局長     中須 勇雄君        食糧庁長官    高橋 政行君        林野庁長官    入澤  肇君        水産庁長官    東  久雄君    事務局側        常任委員会専門        員        秋本 達徳君    説明員        運輸省海上技術        安全局船員部労        働基準課長    鈴木  実君        海上保安庁警備        救難部航行安全        課長       長江 孝美君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成八年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成八年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成八年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (農林水産省所管及び農林漁業金融公庫)     —————————————
  2. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月一日、林芳正君、小川勝也君及び上山和人君が委員辞任され、その補欠として浦田勝君、阿曽田清君及び村沢牧君が選任されました。  また、同月二日、菅野久光君が委員辞任され、その補欠として一井淳治君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 去る五月一日、予算委員会から、五月七日午後の半日間、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、大原農林水産大臣から説明を求めます。  大原農林水産大臣
  4. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 平成八年度農林水産予算概要を御説明申し上げます。  平成八年度一般会計予算における農林水産予算総額は、関係省庁計上分を含めて三兆五千九百七十三億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆九千五百七十四億円、非公共事業のうちの一般事業費が一兆三千六百九十四億円、主要食糧関係費が二千七百五億円であります。  以下、予算重点事項について御説明いたします。  第一は、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の着実な推進であります。  対策二年目として、平成八年度予算においては、公共事業である農業農村整備事業について六百億円、農地流動化対策を初めとする非公共事業について四百八十三億円、合計一千八十三億円を計上し、事業の着実な推進を図ります。  第二は、担い手による意欲的な生産活動支援であります。  経営感覚にすぐれた農業担い手を育成するとともに、そうした担い手生産の大宗を担う農業構造を実現するため、農業金融充実を図るほか、農業者に対する経営相談指導体制充実等推進します。  また、新たな「農産物の需要生産長期見通し」に沿いつつ、主要作目生産流通対策強化を図ることとしております。特に、野菜については、契約取引産地連携推進原産地表示適正化等推進します。畜産関係については、乳業及び食肉処理施設再編整備広域流通に対応した生乳のブロック流通体制モデル的構築等推進します。麦、大豆については、生産性品質向上のための技術の実証、基礎的な生産条件整備による主産地形成等推進します。  さらに、主要食糧需給価格の安定を図るため、自主流通米計画流通対策自主流通米計画販売対策自主流通備蓄調整保管関連対策から成る米の計画流通推進総合対策を創設します。また、米の生産調整の円滑な推進を図るため、生産調整実効性確保生産者地域自主性の尊重及び望ましい営農の実現に重点を置いて新生産調整推進対策実施します。  第三は、農山漁村対策総合的展開であります。  関係省庁との連携により農山漁村対策を総合的に推進することとし、農山漁村高齢者対策について厚生省、文部省と連携し、高齢者生きがい発揮の場、高齢者等アメニティーに配慮した生活環境整備を総合的に実施するとともに、建設省と連携し、中山間地域においてふるさと情報を幅広く一般に提供します。  また、都市と比較して著しく立ちおくれている農山漁村地域生活環境整備を図るため、集落排水施設農道等整備推進するとともに、農山漁村情報化等を進めます。  さらに、地域防災計画に基づく避難広場等防災施設整備等防災対策強化を図るほか、公共性が高い大規模土地改良施設を対象として維持管理強化を図ります。  このほか、「安全な海岸、自然と共生する海岸、利用され親しまれる海岸」をテーマに第六次海岸事業五カ年計画を策定します。  第四は、食品消費流通対策充実であります。  容器包装に係る分別収集及び再商品化促進等に関する法律の適切かつ円滑な施行を図るため、容器包装廃棄物リサイクルシステム普及定着等推進します。  また、食品安全性への関心の高まり及び国際的な品質管理システムヘ整合化要請に対応して、JAS制度への食品高度品質管理システム導入等を図ります。  第五は、新しい産業分野創出支援であります。  農林水産関係の新産業分野創出基礎となる技術開発促進を図ることとし、革新的技術創出のための基礎調査生物系特定産業技術研究推進機構を通じた基礎研究民間能力活用による新産業創出のための研究開発等推進します。  また、地域気象予報自由化を受け、農業分野における詳細な気象情報の高度な活用に向けた条件づくり推進します。  第六は、林業木材産業活性化と緑豊かな森林山村整備であります。  森林施業の受委託を通じた施業規模拡大等による林業経営安定化新規就業促進等による林業労働力確保林業事業体の育成、また、製材工場等再編及び施設近代化促進等による木材供給体制整備需要拡大を一体的に推進する総合的な対策実施します。  また、災害に強い国土基盤形成、良質な水の安定供給や緑豊かな環境創出等を図るため、造林、林道、治山の林野公共事業計画的に推進します。  さらに、国有林野事業については、国有林野事業改善に関する計画に即して、経営改善を着実に推進することとし、一般会計から国有林野事業特別会計への繰り入れ措置充実を図ります。  第七は、新たな海洋秩序に対応した水産施策充実であります。  国連海洋法条約に対応した的確な資源管理推進するため、我が国周辺漁業資源調査等実施するとともに、基幹的漁業生産構造再編整備を進めます。  また、栽培漁業養殖業振興等により、つくり育てる漁業を一層推進します。  さらに、漁業経営の安定を図るとともに魚価の安定にも資するため、漁業者等実施する資源管理型漁業流通改善等取り組み支援する資金を創設する等、水産制度金融対策充実を図ります。  このほか、消費者ニーズに対応した水産物流通加工体制整備沿岸域漁業管理上重要な基幹漁港緊急整備等実施します。  次に、特別会計について御説明いたします。  食糧管理特別会計においては、管理経費節減等に努めつつ、一般会計から調整勘定所要額繰り入れを行うとともに、その他の各特別会計についてもそれぞれ所要予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画については、農林漁業金融公庫による資金運用部資金等借り入れ等総額七千四百三億円を予定しております。  これをもちまして、平成八年度農林水産予算概要説明を終わります。
  5. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 服部三男雄

    服部三男雄君 私の方から大原大臣にお尋ねしたいと思います。  我が国農業の基幹的な作目といいますと米でありますが、昨年十一月に主要食糧需給及び価格の安定に関する法律、いわゆる新食糧法が施行されたわけで、既にもう半年が経過いたしました。  この新食糧法でございますが、今後とも需給価格の安定を通じて国民に米を安定的に供給するとともに、これからが大事なんですが、生産者自主性を生かして稲作生産体質強化を図ると、また規制緩和によりまして流通合理化を図るということを最大の眼目としておるわけであります。  そういう意味で、新たな米の管理システムとして大いに期待されているのでありますが、ここ半年の状況を見ておりますと、米の需給緩和基調で推移しておりますし、自主流通米価格低下傾向にあると、新制度における課題というものも明らかになってきているんではないかなと、このように感ずるところであります。  今後、このような緩和基調価格低下傾向というような課題に対してこの制度をどのように運用していくのかということについて、まず第一点にお願いしたいと思います。
  7. 高橋政行

    政府委員高橋政行君) ただいまお話がございましたように、新食糧法のもとにおきましては、的確な需給見通しを立てまして、それに基づきまして適切な需給調整、いわゆる数量調整を行っていきまして、それによって需給価格の安定を図ろうと、こういうふうに考えておるところでございます。  もう少しこれを具体的に本米穀年度について申し上げますと、本年三月末に、的確な需給見通しということで、米穀の需給及び価格の安定に関する基本計画というのを策定いたしまして公表をしたところでございます。これによりますと、本年の十月末で二百二十五万トンから二百三十五万トンの在庫が生ずるのではないかと思っております。  そうしますと、こういったお米が市場にうろうろすることによって価格を下げるということがあってはなりませんので、我々としてはこのお米を何とか市場から隔離するということが必要であると考えまして、この基本計画に即して、政府といたしましては、備蓄百七十五万トンから百八十五万トンを予定しております。また、自主流通法人におきましては備蓄で十万トン、それから調整保管で二十から三十万トンをやろうということで、現在、特に自主流通米につきましては、各経済連等におきましてもその準備が着実に進められている状況にございます。  それから、さらにこういった計画流通米である自主流通米の安定的な出荷、流通確保する目的で、平成八年度予算、ただいま御審議を願っておるわけでございますが、その予算におきましても、計画流通推進総合対策というのを創設いたしまして、備蓄あるいは調整保管計画流通について所要助成措置も考えておるところでございます。  それで、こうした一連措置効果も徐々に出てきつつあるんじゃないかと思います。と申しますのは、自主流通米価格の動向でございますが、確かに本年は昨年に比べて大分価格は下がって、指標価格下限価格に近い水準で推移をしておりましたが、ことし四月の東京の入札の結果で見ますと、全銘柄の加重平均で二万二百十九円、一俵当たりでございます。それが二月に比べたものと比べますと百二十二円の上昇、わずかでございますが上昇となってまいりまして、こういった一連措置効果を生じて下げどまり傾向が見られるようになったところでございます。  いずれにいたしましても、新食糧法におきましては、ただいま申し上げましたように、しっかりした需給見通し基本計画を立てまして、それに基づいて全体需給調整生産調整を的確に実施する、それから、そのほか、先ほど申しました備蓄調整保管、そういったことをしっかりやって価格の安定、需給の安定を図ってまいりたいと思っております。
  8. 服部三男雄

    服部三男雄君 その米の需給調整の役割で一番問題になったのは生産調整対策ですな。もうそろそろ田植えが始まるわけですけれども、ところが、四月二十四日、二十五日、毎日新聞等で、この生産調整目標達成が難しいんじゃないかというような記事がぱらぱら出だしておりますが、ことしの生産調整進捗状況、それから目標見通しについて農水意見を伺います。
  9. 高木賢

    政府委員高木賢君) 八年度の米の生産調整進捗状況でございます。これまで国から都道府県都道府県から市町村というところまでガイドラインの提示が終わりました。現在、農業者別生産調整目標面積ガイドラインが通知されているという段階でございますが、これは四月いっぱい現在でほぼ終わってきております。  したがいまして、現在は農業者ごと生産調整への取り組みが進められているというところでありまして、地域によりまして進度に多少のばらつきはありますけれども、全体としては手続はおおむね順調に進行しているというふうに見ております。  それで、この過程で生産調整必要性に対します農業者理解、これはかなり浸透してきたものと思っております。お話がありましたように、まさにこれからというか、現在田植えが進んでいる地域もございます、これからの地域もございますが、水稲の作付が本格化しつつある重要な時期でございます。さらに、生産現場におきまして生産調整の意義、内容の理解を深めながら、生産調整の着実な実施に向けて、行政生産者団体が一体となった取り組みをさらに積極的に推進してまいりたいと考えております。  現在のところは、今申し上げましたように取り組み途中でございまして、確たることを申し上げる段階にはないと思いますけれども、こうした関係者の努力が積み重ねられれば、最終的に目標を達成することは可能であるというふうに見ております。
  10. 服部三男雄

    服部三男雄君 目標達成に頑張っていただきたいと希望しておきます。  次に、私の出身県でもあります奈良県なんかは近郊農家ということで野菜が多いんです。この野菜というのはもう国内農業生産額の中で五分の一強を占めるという非常に大きな重要なウエートを持ってきておるわけでありますが、これにもやっぱり問題がありまして、テレビなんか見ていると、もう成田とか関空にどんどん海外の野菜が入ってきている。円高ということもありましょうし、国民ニーズ高まりというものもあるんだろうと思うんですが、こういう輸入野菜増加に伴いまして、当然安全性という問題、いわゆる原産地表示要求要請というのは強くなってくる。  同時に、農水として、国内野菜競争力強化せにゃいかぬという問題も出てくるでしょうし、その需要にどれだけ応ぜられるかという確保の問題も出てくるでありましょうから、そういう生産流通消費の問題について今後どのような対策を講じていくのかお伺いしたいと思います。
  11. 高木賢

    政府委員高木賢君) まず、生産対策の面につきましてお答え申し上げたいと思います。  野菜輸入増加状況などに対応いたしました今後の生産対策につきましては、何としてもやはり消費者あるいは実需者の多様なニーズ、これに対応できる安定的な供給体制を確立するということが重要であると思っております。したがいまして、これまでも野菜産地におきます効率的な生産システムの確立、これを目指しまして労働力調整でありますとか、生産安定化のための施設整備とか、あるいは機械などの革新的技術導入ということに努めてきたわけでございます。  さらに、八年度におきましては新たに三つのことを考えております。一つは、定量、定価格によります生鮮野菜供給ということを促進するために量販店との契約取引推進するということが一つでございます。  それから、重量野菜などの供給基地になっております大規模畑作地帯におきます供給力強化のために、機械によります植えつけから収穫までの一貫した生産体系導入すること、これが二つでございます。  それから三つ目は、お話にございました都市近郊産地、これにつきましては、その立地条件を生かしまして多品種・少量生産あるいは直接販売など、消費者と密接に連携した形での地域の特色ある野菜生産推進する、こういう対策を打つべく現在御審議いただいている八年度予算に盛り込んでいるところでございます。  これらの施策実施によりまして、国産野菜競争力強化需要確保を図ってまいりたいと考えております。
  12. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 流通消費面についてお答えを申し上げます。  第一点は、御指摘のとおり輸入急増増加が大変著しいわけでございまして、これに対応した原産地表示強化を図るということを現在進めております。昨年十一月に食品表示問題懇談会から御報告をいただきまして、それを踏まえて当面ブロッコリー、里芋等五品目について野菜原産地表示を義務づける、こういうことでJAS法に基づく品質表示基準、この策定作業を進めているところでございます。それからまた、野菜原産地表示についてはもともと平成三年からガイドラインを設けてその普及を図ってきたところでございますが、これついての強化も図ったところでございます。  それから二点目として、従来から進めておりました野菜価格安定対策でございますが、これにつきましては平成八年度予算においてその充実を図ることとしておりまして、指定野菜保証基準額の平均的な引き上げ、あるいは交付予約数量増加等を行うこととしております。  このほか、輸入野菜急増ということに対処して、国産野菜の年間を通した安定供給のための産地連携体制整備であるとか、全国規模での野菜消費改善運動推進、あるいは流通コスト低減を図るための新しい流通システムの検討などを平成八年度予算に盛り込んで、ぜひ進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  13. 服部三男雄

    服部三男雄君 地元の話ばかりして恐縮ですが、私ども奈良県というのは非常に山が多くて中山間地域という問題があるわけであります。  これは、過疎化高齢化という非常に厳しい深刻な状況にあるわけでありまして、その対策としては交通網通信網あるいは農村生活基盤改善ということは言われてきておりましたが、やはり根幹的な対策としては農林業振興経済基盤安定拡充ではないかなと思っております。  特に、奈良県のように大都市部に近いところになりますと、中山間地域といっても千差万別でありまして、比較的距離の近い、すぐ高速道路で行けるところにも山になっているところと、奈良県南部なんかは交通網が非常に悪いというところもあるわけでありまして、行政として余り画一的な中山間対策というのを考えていると間違うだろうと思うんです。  やっぱりそれぞれの地域特性を生かしつつ、住んでいる人たちふるさとUターンを誘導するような自主性工夫というものも必要であろうかと思うんですが、そういったことについて、新しい中山間対策というもののお考えについて農林大臣意見を求めます。
  14. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) 中山間地域につきましては先生指摘のとおりでございまして、置かれている自然的、経済的、社会的な諸条件が大きく異なっているわけでございますので、その活性化のためにはそれぞれの地域特性を生かすことが重要であると私どもも思っているところでございます。  このため、いろんな事業がございますが、その中でも例えばソフトの面につきましては市町村に中山間地域活性化推進資金を造成いたしまして、新しい作物の導入あるいは都市との交流等地域の実情に応じましたソフト活動支援するというようなこと。それから二番目に、山村振興等農林漁業特別対策事業におきましても、地域自主性を生かしまして土地基盤整備、あるいは農業近代化施設整備生活環境施設等整備といったようなものをメニュー方式地域で選んでいただくというような方式実施をいたしております。  また、公共の方でございますが、中山間地域総合整備事業というのがございます。ここにおきましても市町村の自主的な構想によりまして生産基盤生活環境整備を、これもメニュー方式地元に選んでいただきながら総合的に実施をするというような方式をとっているところでございまして、市町村がそれぞれの創意工夫計画をし、実施していただくということに最大限配慮をしているつもりでございます。  先生お話しのとおり、今後ともこの地域特性を生かした創意工夫が発揮されるような事業推進に十分配慮してまいりたいと思っております。
  15. 服部三男雄

    服部三男雄君 今の局長の答弁にあるとおりでありまして、特に生活基盤農村林業村の生活基盤拡充、今アメニティーという言葉があるとおり、快適な生活を求めるというのは若い人にとってはこれはもう自然な要求でありまして、いわゆる一番いい例が集落排水なんかそうでありまして、こういったことを重視するように今後も要望しておきます。  時間の関係ではしょりますが、今度林野三法が通過したわけでありますが、林業というのは国民の間でまだその重要性理解が足らないと思うんです。  まず、気象環境が非常に変わってきておりますから、国土保全という一番大きい問題がある。  それから水資源あい涵養という問題。それから、ふるさとへ帰ろうというわけじゃないが自然に親しむ場として非常に大きいウエートを持っている。  これからの余暇時代を考えると、どうも農業より、農業も大事であるが林業をもっと農政として重視してもらわなきゃいかぬじゃないかと。特に奈良県なんというのは日本の三大森林でありますから。  そういう意味で、今度林野三法を通したわけでありますけれども林野庁として特に国内生産材という問題がありますから、アメリカ、カナダに押されておるわけですから、これを産業基盤としても、それから国土保全という観点からも重点政策として頑張ってもらわなきゃいかぬと思うんですが、その林業振興の決意について林野庁長官から回答を求めます。
  16. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) まず、林野三法、大変ありがとうございました。来るべき国産材時代の到来を現実のものにするために現在この三本の法律の執行につきまして直ちに検討を始めているところでございます。  第一に、やはり山村に住んで林業を主業として他産業並みの所得を確保し、定住する条件整備したいと考えております。そのために森林施業の受委託の促進であるとか、長伐期施業の実施が行われる中で、林業プラスアルファの所得が確保できるような仕組みを考えていきたいと思っています。特に山が荒れているという状況に対応しまして、森林組合、造林公社等々による零細な林家の森林整備促進していきます。  第二に、労働関係では、都道府県林業労働力確保支援センターというものを設置することになっていますが、これを急ぎまして、そのセンターを通じまして新規就業の方々に対する無利子資金の供与とか、あるいは林業従事者の養成、機械の貸し付け等を促進いたしまして、林業労働者の確保を図りたいと考えております。  それから三つ目には、これが一番大事なんですけれども、木材の需要拡大を図るために、現在零細な製材業者がたくさんありますけれども、これを大規模化し合理化して、木材の安定的な取引関係森林組合等とそれから木材製造業者等との間で確立するという仕組みをこの法律に基づきましてつくっていきたいと思っています。それに基づきまして新しい分野、内装材等への木材利用の促進を図るべく新しいマーケットを確立していくということにしたいと考えております。
  17. 服部三男雄

    服部三男雄君 終わります。
  18. 風間昶

    ○風間昶君 平成会の風間です。  漁業労働者の点について何点かお伺いいたします。  外国人の漁船員混乗の問題が挙がっていますが、現時点では三千四百七十三人の外国人漁船員、混乗率を二五%から四〇%に緩和した、引き上げたというそのメリットは、人件費削減になりますから、その概算は運輸省さんがやられるんでしょうから、きょうはおいでになっていただいていないのであれですけれども。それに伴って、今度日本人の漁船員の雇用確保予算上どのように措置されているのかということで先般お聞きしましたら、水産庁の企画課の方は、外国人については運輸省がやっているんでこれはわかりませんと。それは当然そうなんだけれども、何のためのレクなのかということを私は感じた次第であります。  そのことによって、外国人の状況によって日本人漁船員の雇用の部分に影響があるというふうに私は考えるから、それは縦割りの部分でできませんというお答えがあったのには大変がっかりしまして、だったらもうちょっと後からでもレクをしてくれるような状況にしてもいいのではないかというふうに思います。愚痴を言いまして、これは質問ではございません。  したがいまして、省庁で縦割りになっている部分が、ちょっと範囲が違うともうわかりません、しかしそれ以外の部分についてはかくかくしかじかですという範囲でいつまでもやっていると、外国との交流、あるいは日本の中で水産業を守れ守れと言っておきながら、本当に守っていけるのかどうかということに危惧を覚えるものですので、ぜひその部分は情報を交換しながらやっていただきたいというふうに思います。  質問に戻りますが、外国人漁船員の混乗に伴うことで邦人漁船員の雇用確保予算上どのように措置されているのかこの間お聞きしましたら、漁業就業者確保総合対策事業といういやに長ったらしい名前のものがあるということで、これは見直しをかけていらっしゃるというふうにお聞きしました。  じゃ、見直しということは予算上の措置でどういうふうに見直しされているのか、教えていただきたいと思います。
  19. 東久雄

    政府委員(東久雄君) まず、水産庁といたしまして、ちょっと若い人が行ったのかもしれませんが、全体として運輸省とも非常に連携をとりながら、外国人漁船員のことにつきましても十分な関心を払いながら、主管はもちろん運輸省ではございますけれども、十分情報等の交換をさせていただいております。それで、我々の方もいろいろとお願いをしてやっていただくということをやっております。  それから、今御質問のちょっと長ったらしい、漁業就業者確保総合対策事業でございますが、これは八年度から新たに組みかえたような形になっております。今までどちらかというと沿岸漁業に就業する方の確保ということに重きがあったわけでございますが、最近は遠洋また沖合、特に沖合漁業に対する乗り組んでいただく漁業者の確保というものが大変難しくなっているということを念頭に置きまして、それらについて就業センターというようなものを設けて、漁船員でございますが、就業センターというようなものを設けて就業をどちらかというと促進するということをやっております。  それで、そのほかにUターン、Iターンというような方々に対しての漁業に対するPR活動、それから漁業技術の研修というようなことをやっていく事業という形で、繰り返しになりますが、沖合、遠洋、特に沖合に力を入れた新しい事業として組み直した次第でございます。
  20. 風間昶

    ○風間昶君 それで、今のお話ですと、漁業労働者を新規に確保するための予算上の、何か新規事業としてあるのかどうかも含めて教えていただきたいんですが。
  21. 東久雄

    政府委員(東久雄君) まず一つでございますが、組織的かつ効率的に漁業者を確保するということで、東京の大日本水産会に置いていただくんですが、中央に漁船漁業を主体とする育成センターを置いたということと、各都道府県に県、それから県漁連、県の漁業協同組合連合会でございますが、それから漁業者団体等で構成する都道府県漁業就業者確保育成センターというものを設置するということで、このセンターが相互に連携をとりまして、先ほど申し上げました漁業のPR活動、Uターン、Iターン等の人々への勧誘活動、それから漁業技術等の研修というようなことをやる事業でございます。
  22. 風間昶

    ○風間昶君 漁業者が確保されても残念ながら海難事故がどうしても起こってしまいます。先ほど昼のニュースで、このゴールデンウイークに交通事故死者だけでも二百四十九名の方が亡くなったと。それよりはずっと少ないにしても、海難防止上の問題で、とりわけことしは七月二十日海の日、ここをどう有効的に使いながら海難防止あるいは漁船員の事故防止対策をやっていくかということにもこの初年度で私は勝負がつくのかなというふうに思います。  そういう意味で、ここもまた海難防止は海上保安庁が所管で、漁船員の労働災害防止は運輸省の海上技術安全局だということで、これも本当におかしな話だと思うんですけれども、まあそうは言っても両方おいでになっていただいていますから、今年度の取り組みをぜひそれぞれの分野でちょっとお聞かせ願いたいと思います。まず、海上保安庁さんにお願いしたいと思います。
  23. 長江孝美

    説明員(長江孝美君) まず、平成七年におきます救助を必要といたしました漁船の海難隻数でございますが、六百七十三隻ということで海難全体の約四割を占めておりますが、最近はやや減少傾向にございます。  漁船の海難防止につきましては、海上保安庁は大変重視いたしておりまして、先ほど先生指摘ございましたように、今年も含めまして全国で海難防止強調運動を精力的に実施いたしますとともに、漁業関係者の方々を対象といたしまして海難防止講習会の開催、訪船指導、救命胴衣の着用運動などを実施いたしまして海難防止思想の普及に努めております。また、航法や海事に関する法令の遵守、出漁前の整備点検の徹底、気象・海象情報の的確な把握、さらに見張りの励行、相互連絡・協力体制の確立など、所要の指導を機会をとらえて行っております。
  24. 鈴木実

    説明員鈴木実君) 労働災害防止に関してお答えいたします。  船員の労働災害の防止につきましては、船員災害防止活動促進に関する法律という法律に基づきまして、運輸大臣が五年ごとに作成します船員災害防止基本計画及びその基本計画実施を図るための毎年度の船員災害防止実施計画を作成しまして、船舶所有者、船員及び関係団体等に対して船員災害防止のための主要な対策等の周知徹底を図っております。  その実施計画の確実な実施を行うために、毎年九月、船員労働安全衛生月間というのを設けております。これは各運輸局管内に船員安全衛生協議会、これは関係者一丸となってやる組織でございますけれども、そこで訪船指導などを行いまして、より具体的な指導を行っております。特に平成八年度の船員災害防止実施計画におきましては、漁船の主要災害防止対策推進としまして、海中転落の防止、漁労作業中の転倒による災害の防止を主要な対策に掲げまして、その防止対策の徹底を図ることといたしております。
  25. 風間昶

    ○風間昶君 それぞれが別個にやっているということなんですが、最初にちょっとお話しさせていただいた、七・二〇の海の日に合わせた形のものはそれぞれお考えになっていることがありますか。
  26. 長江孝美

    説明員(長江孝美君) 本年の海の日に合わせまして、先ほど御答弁いたしましたように、全国海難防止強調運動、例年はこれ九月の後半でございましたが、本年は七月の海の日に合わせまして、この日を基準日といたしまして精力的に展開したいと、かように考えております。
  27. 鈴木実

    説明員鈴木実君) 船員の災害防止につきまして毎年九月に、これは関係者、運輸省のみならず検疫所とかいろいろな団体が多うございます。そういうものの連絡調整を行う関係でこの九月というものをなかなか変えることは難しゅうございますので、ことしも九月に船員災害防止の月間をやらせていただきたいと思っております。
  28. 風間昶

    ○風間昶君 今の運輸省の海上技術安全局の方、だから要するに、七月二十日を海の日というふうに決めたんだから、九月は九月でやるかもしれないけれども、七月二十日の取り組みはどうされるおつもりかと聞いているんですよ。
  29. 鈴木実

    説明員鈴木実君) 七月二十日につきましては、残念ながらことしにつきましては新たな主な企画というものは考えておりませんので、今後ちょっと考えさせていただきたいと思っております。
  30. 風間昶

    ○風間昶君 ぜひお願いいたします。  それでは次に、漁業協同組合の合併、統合の進捗状況に伴って、漁組に平地あるいは漁組の建物の中にある無線局の統合についての検討もまた漁協の合併に伴ってしなければならないと思うんですけれども、その再編作業というか、プランというか、それをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  31. 東久雄

    政府委員(東久雄君) 先生御承知のとおり、漁協の合併はもう過去何年も進めてきておりまして相当進んできております。  しかし、いわゆる無線局というのは、船舶の安全のために、無線の発信の設置場所というのは地理的条件等によって電波の到達距離の制約等を考慮しておりますので、過去における数字を見ましてもそう大きな変化はないわけでございます。多少減っておりますけれども、大きな変化はないわけでございます。とにかくやはり電波の到達距離というものを考えてやっていかなければならない。  ただ、一つこの無線局に対しては再編整備計画がございます。これは実は、先生御承知と思いますが、遠洋、沖合の漁船は中短波と短波の漁業無線局を使います。それから、沿岸の方は超短波の漁業無線局でございます。遠洋、沖合の方が最近は減船だとか、インマルサットというような他の通信メディアを使うということがふえてまいりまして、これにより無線局の運営上の問題もありというようなこともあって、現在、再編整備計画ということを考えておりまして、それは現在関係者との間でその作成に取り組んでいるということでございます。  いずれにいたしましても、無線局というのは、そういうふうに発信の地理的な条件というようなこともございまして、やはり漁協の合併でそのままなくなるということではなく、適切な配置ということに今後とも心がけていきたいというふうに考えております。
  32. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  次に、北海道の天売島というところがあるんですけれども、ここは本当に小さな島で、五百五十人ぐらいの人口のところなんです。ここに海鳥が八種類いまして、有名なやつがウミガラスで、オロロン鳥というふうに地元では言うんですけれども、この海鳥が海洋環境汚染を知る意味で大変指標生物として重要でありまして、海洋に含まれる汚染物質をどのぐらい体内で摂取しているのかということを海鳥の筋肉あるいはその内臓から推しはかる意味でも大事なわけであります。  そういった意味から、漁業振興環境保護というのは常にバッティングする部分がありますが、いずれにしても水産庁として特定の地域だけじゃなくて、そこに一番関連のある海鳥を含めてそこの環境を守りながら水産指導というか、水産庁として考えなければならないと思いますので、この北海道の天売島における漁業振興ということをちょっとお聞かせ願えればありがたいと思います。
  33. 東久雄

    政府委員(東久雄君) 天売島は北海道の日本海側にある島でございますが、御指摘のとおり、オロロン鳥等の希少水鳥がいるということのようでございます。  平成五年の四月に、水産庁といたしましては野生水産動植物の保護に関する基本方針というのを策定いたしまして、まずどういう水鳥がどういう水産漁業の影響を受けるかというような調査をして、その上でしかるべく手を打つということを考えておるわけでございますが、これを五年間の予定で今調査を行っているというのが現状でございます。  なお、水産につきましては、これは御承知と思いますが、これまでもずっと続けてきた漁業でございます。特に北海道の沖というのは、これは今の天売島の近くでは一部の刺し網漁業、これはカレイですとかアイナメというようなもの、一部タラも入っているようでございます。それから、島の近くでサケ・マスの刺し網漁業も一部やられておるようでございますが、最近やっぱりサケ・マスにつきましてロシア側からの厳しい規制等もございますので、そういう刺し網漁業がその海鳥と関係を相当深く持っていると言われておるわけですが、これはむしろ減っておる状態でございます。その中での問題でございまして、漁業との関係、もう少し突っ込んで勉強しながらこれに漁業側でどう対応するべきかということを相談していきたいというふうに考えております。
  34. 風間昶

    ○風間昶君 もう一つ環境の部分で言うと、襟裳岬のあるえりも町で植林を多くすると漁獲高も上がったということで、要するに山と川と海とは三位一体だということで、町長さんが襟裳砂漠に植林をして、それから漁獲高が上がったという事業がありますけれども、こういった森が魚を育てる植樹運動に対する補助金は水産庁として今後どう考えていくのか教えてください。
  35. 東久雄

    政府委員(東久雄君) 植林といいますか、森林がその沿岸域のプランクトン等の発生を促すということで、水産資源の培養に役立っているというふうに言われておることは事実でございますが、その関係というのがなかなか難しいわけでございます。  確かに、人々は森というか林の状況を見ながら、木の状況を見ながら定置網を設置するというようなことをやるぐらい大変重要な一部であるというふうに考えておるわけでございますが、森林そのものをやはり水産業のために設置するというようなことはなかなか難しい。コスト的にも、今補助というお話ございましたけれども、じゃ補助残をどうするかというようなことは大変難しいわけでございます。やはり林業というものを主体にした形での植林というものが水産の側からもぜひ望ましいということで、それに対して漁業者がどういう協力ができるかということでいろいろな活動が各地に見られます。  今、先生指摘のえりも町の場合は、国有林野の中の植林事業に漁協等が協力しているという例でございます。そういうような形でやはり林業といいますか、森林の造成というものに漁業者が協力していくという形をとっていくべきではないかというふうに考えております。
  36. 風間昶

    ○風間昶君 じゃ、将来的にも補助事業を視野に入れていくということはないということですか。
  37. 東久雄

    政府委員(東久雄君) 現在いろいろな調査をやっておりますが、補助事業として仕組むことは大変難しいんではないかと思います。  ただ、一般的な植林事業というのがございます。国有林の植林がございますし、他の補助的な植林の補助事業があると思います。そういうものに対して漁業側がどういうふうに協力していくかということで対応していかなければならないというふうに考えております。
  38. 風間昶

    ○風間昶君 次に、魚価の安定対策ですけれども流通コスト削減とともに、魚価安定のために、基金を積んで地域で魚価対策推進協議会というのを設置してほしいというのが全漁連の九六年からの運動方針にもありますけれども、このことについての評価と、それに団体が要望している個々の助成対象事業、これについてちょっと一言お願いしたいと思います。
  39. 東久雄

    政府委員(東久雄君) 先生指摘の点は、平成七年十一月の、九六年から九八年度漁協の運動方針という中の一つだと思いますが、拠点地域魚価対策推進協議会を設置していくというようなことが言われております。ただ、この設置につきましては、まだ具体化していないわけでございます。  我々といたしましても、やはりこういう関係者の協議という形の中で魚価を安定していくという考え方は重要な点だと思っておりますが、まだ、具体的なやり方その他について漁業者団体の中で検討中であるということでございまして、水産庁としてもこの検討状況をよく見守っていきたいと思っております。  また、基金というお話が今ございましたけれども、いろいろな形で事業実施していくということなんですが、具体的な形でどういうふうな事業になっていくのかというのがまだ具体化いたしておりません。それらの結果を見まして我々としても検討していきたいと考えております。
  40. 風間昶

    ○風間昶君 最後に、大臣、ことしイギリスでIWC総会がまた行われますね。つくり育てる漁業という第七番目の項目にもまたありますが、これとは別個に、ことし私も鯨を食べたいんで、一つは大臣はイギリスへ行きますか。もし行かないとしたら、大臣はことし鯨を食べられそうですが。  それを含めて、最後に、つくり育てる漁業に対する大臣の決意を伺って質問を終わりたいと思います。
  41. 大原一三

    国務大臣大原一三君) イギリスでのIWCには出席を特に予定しておらないようであります。  また、今おっしゃったつくり育てる漁業、これは非常に大きな漁業収入のウエートを占めてきているわけでありまして、ちなみに委員の御質問があるということで私なりに計算してみたのでありますが、量でもって八百万トンのうち百四十万トンがつくり育てる漁業の収穫分、一八%を占めているようであります。それに対して価格面では、二兆三千億円の総漁業収入に対して七千億円でありますから、三〇%というウエートを占めているわけです。  やはり、これからの二百海里の問題等々を勘案すれば、管理漁業資源管理というのが非常に重要な時代がやってくるわけでございまして、その中で特に委員指摘のようなつくり育てる漁業については、漁家の所得の増加等々を勘案しながら今後さらに充実をしていく必要があると思っております。そういう見地から予算の面でもなお一層の努力をしてまいる所存でございます。
  42. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございました。終わります。
  43. 阿曽田清

    阿曽田清君 私は、農業者にも退職金制度導入してほしいという観点から質問をいたしたいと思います。かねてから農業者にも退職金制度導入を図るべきだと訴えてまいりましたし、中小企業対策特別委員会におきましても、小規模経営者の共済制度と同じように農業者も認めていただきたいと質問をいたしてきたところであります。  これまで小規模企業経営者に対しましては昭和四十年から、すなわち三十年前から実施されておりますのに、いまだ農業経営者にはそのような制度が実現いたしておりません。法的には農業者も排除されておらず、もともとは農業者も対象とした制度でありましたが、中小企業政策審議会では、農業基本法のもとで農業者には別途対策を講じることから小規模企業共済制度の対象としないとされてきました。そのような報告がなされております。このことは農林省の対応が行政上怠慢ではなかったのかと思わざるを得ないわけでありますが、そのお答えをいただきたいと思います。
  44. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) 小規模企業共済制度のお尋ねでございますけれども、農林省といたしましても農業者が他産業並みの所得を得て生活を安定させるということは極めて重要であるというふうに考えているわけでございまして、従来からいろいろな価格安定制度でございますとか、あるいは農業者年金制度等々によりましてその充実を図ってまいったところでございます。  特に、最近になりまして、一方で小規模企業共済制度でございますけれども、これにつきましての御要望が大変各地に多くなってまいったわけでございます。何といいましても、農林省、新政策にもうたわれておりますけれども、今後の農業経営を推進していきます場合に、他産業並みの生涯所得を実現し得るような効率的かつ安定的な農業経営を育成をしていくということが重要でございまして、そのためには、従来にも加えまして、リタイア後の生活安定、あるいは廃業、死亡等の不測の事態への備えといったようなことから、他産業並みの福利厚生の充実をさらに図るべきであるということを考えていたわけでございます。  そういうこともございまして、国会の方々からの御指示、関係の方々からも御要望がございましたので、この小規模企業共済制度への農業者の加入につきまして通商産業省と調整を進めてまいったわけでございます。その結果、この八年度中には、農業者が加入対象とされることになったわけでございます。  私どもといたしましては、若干これに加入がおくれたということもございますけれども、今回の加入によりまして、農業者がほかの制度と相まちまして、リタイア後の生活の安定が図られるというようなことで、農業経営の安定にも資するのではないかと考えているわけでございます。
  45. 阿曽田清

    阿曽田清君 中小企業庁でも今のような御答弁でありました。むしろ、私は農業基本法のもとでの農業者を育成していくという観点からすれば、農林省で独自の制度をつくるということも私は本来あるべき姿じゃなかったのかな、そのように思うわけであります。まずは今年度中にスタートさせる、いわゆる小規模経営者と同じように中小企業事業団の方が対応するということでまとめていくということでございました。近々ということでありますが、できれば秋口ぐらいにはその設定をしていただいて、周知期間も必要でございますので、その点よろしくお願いをいたしたいと思います。  それと、この導入について二、三御検討していただきたいことがございます。  その一点は、窓口の設定が一つであります。この小規模企業共済金は、商工会あるいは青色申告会、あるいは金融機関等が窓口になっておりますが、全国津々浦々、しかも農家の方々の経営の内容なりすべてを知り尽くしておるのは農協でもあります。農協も金融事業を行っておるわけでありますから、そういう意味では農協もその窓口にぜひひとつ加えていただきたいというのが一点であります。  さらに、今まで一人月一万円、三十年間掛けると三百六十万掛けたことになりますけれども、三十年後受け取る金額が千二百六十万というのが今までの金額でありましたけれども、中小企業庁からお聞きいたしますと、低金利のもとであるということから今回七百八十万程度になると。五百万ほど下がることになります。もちろん二段階制をとってということでございますけれども、さしずめ掛ける方々にとって、七百八十万ということになると三十年後二倍ちょっとだということになると、魅力を感じなくなってきやせぬかなという思いもいたしております。  もちろん、時代が変わってくることによってそれが変動するということは当然のことでありますけれども、やはり互助制度のもとであるならば確かに今の金利水準からいたしますと七百八十万程度ということに落ちつかざるを得ないのかもしれませんが、やはり三十年間頑張って、あるいは六十五歳になって、農家にとっては腰痛と神経痛が退職金だということじゃなくて、やはりそれにかわるべくある程度の頼りになる金額というものが三十年間積み立てたときに来る。それが一つの私は安らぎにもなるし希望にもなるんじゃなかろうかなと思いますので、この点、ある意味では公的資金の投入もこの場合必要じゃなかろうかなと考えるわけでございます。  どうぞひとつ、中小企業庁に質問したときはどうしても第三者的な立場での答弁が多かったわけでありますが、やはり農業者なり実際掛ける方々の立場に立っての小規模企業共済制度であってほしいなと思うわけでございますので、その点のお考えをお聞かせいただければと思います。
  46. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) この制度につきましてのお尋ねが二点ほどあったわけでございます。  第一点目の窓口の件でございますが、現在、この制度の運用主体であります中小企業事業団と業務委託契約を締結しております団体または金融機関が全国に約三万三千余窓口を設定しているわけでございます。所管の通産省におきましては、これだけの数があるわけでございますので仮に農業者が加入をしてきても実務上の対応が可能であるということ。それからもう一点は、中小企業政策審議会におきまして、新たな委託先を増加するよりも既存の委託先との連携強化を図ることというような事務の効率化に関する意見具申というのがなされておるわけでございまして、こういう点から、なかなか新たな増加というのは難しいというのが通商産業省の見解でございます。  私どもといたしましては、これから加入をするというような状況でもございますので、現在のところはこれでやむを得ないのかとも思いますけれども、今後、農業者がどのぐらい入ってくるのかというような加入の状況も見ました上で、今の御要望、御指摘の点につきましても検討していくことが適当ではないかというふうに今考えているわけでございます。  それから二番目に、給付の内容でございますが、確かに先生お話ございましたように、月一万円を掛けまして三十年掛けました場合に、事業を廃止した場合七百八十四万六千円というような共済金がおりることになっておりまして、掛金に対して二・一八倍というようなことでございます。  これは現在の金利の状況を見ますと、運用利率を試算しましてもかなりの率になるわけでございまして、そういう意味ではかなりの給付水準ではないかということ。それからもう一点は、これは基本的な共済金でございまして、これ以外に、いわば運用によりまして、金利の動向によりまして付加共済金というのがこれにつけ加わることになっておるわけでございます。それからさらには、この掛金につきましては、御承知のとおりでございますが、税制上の優遇措置といったようなこととか、あるいは共済金の受け取りについても同様の措置がございます。そういうようなことを考えまして、この制度のメリットは十分あるということで、私ども農業者の加入の促進推進をしたところでございます。  制度につきましては、今後とも通商産業省と連携をとりながら、農業者の加入あるいは利用の促進というのを図ってまいりたいと考えております。
  47. 阿曽田清

    阿曽田清君 ありがとうございます。  なぜ窓口にこだわるかといいますと、農協ではそれぞれ金融機関を持っていて、それぞれ農家の方々の預金をお預かりしているわけです。その窓口がほかのところになりますと、往々にして向こうへ行ってくださいということになってしまいます。そうすると、預金もそこから引き落とすということになりますと銀行関係に預金が流れていくということになります。私も組合長をいたしておりましてそういう面で大変危惧をいたしますので、ぜひ農業者のそういう共済加入の際には窓口を農協に設置していただきたいということであります。  それから、できれば金額の面におきまして、上がったり下がったりということは互助制度ですからわからぬでもないんですが、付加部分がかかってきますよといえども、やはりそのときに示される額というのは七百八十万ということであれば、前回一千二百六十万あったのが七百八十万ということになると、その時期掛ける人は下がった感じがする。今度は上がってまた時代によっては下がってくるというようなことでは、やっぱり最低の最終金額がこれくらいであって、あと付加部分が乗ってくるよという形ならば、まだ希望を持って非常に掛ける人たちも多く出てくるんじゃなかろうかなと私は思いますので、どうぞひとつ御協力賜りたいと思います。  次に、農村環境整備について、先ほど御質問がありましたけれども、やはり農村と都会との生活環境の格差というものはもう諸先生方御指摘のとおりでございます。確かにおくれておるわけでございます。  私が調べましたところ、町村と中都市ということで比較をいたしまして、それぞれ道路の問題あるいは上下水道の問題、あるいは保育所の問題、養護老人ホームの問題、プールの問題あるいはベッド数の問題、図書館数の問題、それぞれ厚生省、文部省、建設省にまたがるわけであります。  特に、農林省とのかかわりの中で申し上げるならば、集落排水事業を中心とする下水道事業、あるいは道路の舗装の問題、改良の問題、ともに道路の改良率は十八年前、あるいは舗装率は十年前の水準が今の町村の実態であります。また、上水道あるいは下水道の普及率、ゴミの収集率、これは二十年前の水準にしか達しておりません。  これをやはり縮めるといいますか、中都市並みのレベルまで持っていくことが快適な環境をつくっていく第一前提じゃなかろうかなと思うわけでございます。これだけ見ましても、いかに農村が社会資本の整備の問題等を踏まえても冷遇されておるんじゃないかと言わざるを得ないと思います。  自治省、総務庁の調査によりますと、一人当たりの生活環境の投資額が都市圏に比べて七〇%に満たないという状況でありますことも考えれば、農村の快適な住環境、定住条件を早急に確保することが大切だと思いますが、農林省としての取り組みをお聞かせ願いたいと思います。
  48. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) まさに先生指摘のとおりでございまして、私ども農業振興あるいは農村活性化のためには生産基盤整備が重要ではございますけれども、これとともに、やはり担い手が定住できるような、そして農村地域の活力が出るような生活環境、特に都市と比べておくれておりますので、こういう面での生活環境整備していくことが重要であると考えております。  このため、私どもは従来から、農道整備事業、それから今お話しの生活排水の処理を行います集落排水事業、それから生活環境施設生産基盤と総合的に整備をいたします農村総合整備事業、あるいは中山間総合整備事業といったようなことで、まさに農道あるいは集落排水その他の生活環境施設整備ということに力を入れているわけでございます。農業農村整備事業全体の中に占めますこれらの割合でございますが、例えば昭和六十年でございますとこの農村整備というのは二二%のシェアでございましたが、御審議をお願いいたしております平成八年度予算案におきましては農村整備が三六・四%というようなことで、重点を置いて整備をしてきております。  こういう中におきましては、例えば集落排水事業などにつきましても、第四次土地改良長期計画におきまして中都市並みの整備を図っていくというようなことで、約三万集落の整備を図っていくというような計画も立てているところでございまして、予算につきましてもその点について重点的に配分をしていこうというふうに考えているところでございます。  まさに先生お話のように、私どももこの農村地域生活環境整備に力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  49. 阿曽田清

    阿曽田清君 イソップ物語には、よくハッピーエンドは田園、農村に消えていくというのがハッピーエンドなんですね。日本では都会に出ていくことがハッピーエンドで大半物語が終わっているわけです。やはり日本も最後は農村に住む、それがハッピーな人生の送り方だというふうにするためには、生活環境が満たされていないとそれは実現しないことだと思います。  もちろん、農業に対する経済的な問題もありましょうけれども、そういうものはそういうものとしていくにしても、国民として同じ快適な生活を享受できるというのが政治の原点だろうと思いますから、そういう意味でぜひ取り組みをいただきたいと思います。予算というようなもの等がやはりあるだろうと思いますが。  これは一つの私案として、大臣、例えば簡保が九十八兆円のうち六兆円ほどが資金運用部として使われている。その資金運用部の方に簡易保険が出ておりますね。全共連のいわゆる運用資金といいますか、これが二十七兆円あるんですね。それを政府資金運用部の方に融資しまして、そして、それを農業農村環境整備費に活用されるということ等も考えていただければ、農業者の方々が保険として出しているお金がある、そして全国段階で集められている、それが農林省の新しい取り組みの中で追い風として使われるというようなこと等もできるんじゃないかと私自身思うんですが、大臣、どうでございましょうか。そういうものを将来の構想として取り組まれるお考えはありませんか、予算が不足するということであれば。
  50. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 大変ユニークな発想であります。しかしながら、現在の財投原資というのは財投のシステム全体で検討していかなきゃならぬのでありますが、郵貯は非常に膨れているわけでありますね、簡保も入れてでございますけれども。財投原資そのものがじゃぶじゃぶ多過ぎて困っちゃっていると。九十二の特殊法人、それから融資を受けて仕事をしているのでありますが、その特殊法人そのものがいわゆる規制緩和行政改革の見地から見ると、なおスリム化しなきゃならぬ部門がかなりあるような感じがいたします。  そういう状況の中で、財投原資に新しい原資を入れて、これ一般論でございますが、増幅させるということは、現在の行財政改革の方から見ると大変難しい隘路だと思うんです。  しかしながら、委員指摘のように農村還元ということで何か突破口はないかというお話でございますが、その辺のことについて私考えたことありませんで、ひとつ検討をさせていただきたいなと、こう思っております。
  51. 阿曽田清

    阿曽田清君 突然の提案で、大臣お考えがなかったのは当然だと思いますが、ひとつ農林予算がふえていく方向で何かお考えいただければというふうに思います。  だんだん農村の疲弊が強まってまいりまして、農村に残る人たちが少なくなってきている現実の中では、もう村が崩壊しているというところもあります。後継者がいない、それによって消防団そのものも維持できない、まして部落の行事もそれぞれ廃止をしていく、そういう実態が今の中山間地、過疎地には目立ってきておると思います。私の地元もそうであります。  そんな中で私が大変危惧いたしますのは、昔からの農村の文化あるいは郷土芸能、あるいは古くから言い伝えられたいろいろな伝説、そういうようなもの等を継承していく人たちがだんだんいなくなってきている、そういう思いをいたしております。私の町で、そういう郷土芸能というのがたくさんあるだろうということでそれぞれ調査をしまして、復元運動をやりました。ところが、こういうのもあったという話は聞くんですけれども、実際にメロディーなりあるいはいろんなそういう振りつけなりを知っている人がいないというのが実態であります。  いわゆる農民文化がすなわち日本の文化の原点だろうと思うわけでありますが、その農村の文化、伝統芸術なり伝統芸能、そういうものをどうやって継承し、維持されておられるか、また、されようとされているか、簡単にひとつ御答弁いただきたいと思います。
  52. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) お話のように、地域の伝統芸能は農林水産業の営みを通じて形成をされているわけでございまして、農山村のコミュニティーの形成などに重要な役割を果たしているわけでございます。これを維持保全していきますことは大変重要であると考えているわけでございます。  農林水産省におきましては、これらの地域伝統芸能等の活用促進を図りますために、ふるさとのまつり推進事業というのを行っておりまして、これによりまして民間団体あるいは都道府県が行います支援指導活動に対して助成をしております。  それからまた、八年度におきましては、これは新たに拡充をしたものでございますが、市町村におきまして地域伝統芸能を活用いたしました交流活動等の企画をするというようなことに対して支援をするということのための予算も計上をしているところでございます。また、具体的に今、伝統文化等の保存伝習施設等につきましては、山村振興等農林漁業特別対策事業の中でも助成対象にされているというようなことでございます。  私どもも、こうした伝統芸能を活用いたしました地域づくりの取り組みに対しまして、今後とも支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  53. 阿曽田清

    阿曽田清君 時間がありませんのでそれぞれ追及したいのは省略いたしますけれども、極めてこれは大事な点だと思います。どうぞひとつ、軽い思いの中でなくて、非常に重要な問題としてとらえて、もう一度その掘り起こしといいますか、農林省としてもしかるべき対応を考えてやっているんだということを農村農業者の方々に知らしめるようにお願いいたしたいと思います。  もう時間がありませんので、これは簡単に経過報告だけで結構ですが、住専についてちょっと御質問いたします。  私は、十月三十一日の質問で野呂田農水大臣に、「住専が設立された経緯、性格、その後の運営、管理等からして、すべて母体行そのものであると思います。したがって母体行にすべて責任があると」思いますが、ということでの質問をいたしました。その折に野呂田農水大臣からは、住専問題についてはぎりぎりの責任を負うべきというお答えをいただいております。今回の政府のスキームにおける母体行の三・五兆円の負担をぎりぎりだとお考えなのかどうなのか。  さらに、今後の処理の推移を、一・二兆円の処理を二分の一公的資金、残りを三機関で持つということについて、実態はどうなっておりますか。  基金をして積み立てるということのようでありますが、住専に出すのか、積み立てるのかということ、どちらなのか教えていただきたい。  残りの六・六兆円も三分の一ずつの中身をそれぞれ融資をして、金利面の負担はどうなっておりますか。その金利の三機関で持つ割り振りはどうなっておりますか。その点をまず教えていただきたいと思います。もうそれを教えていただくだけで結構です。
  54. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 先生指摘のように、野呂田大臣の方からお答えをしております。この問題、それにつきましては母体行がぎりぎりの責任を負うべきであると、こういうふうなお答えをしていると思います。この点につきましては、住専設立の経緯なり性格、まさにおっしゃったような観点から、当時の大臣それから現大臣も、住専につきましては母体行がぎりぎりの責任を負うべきだ、こういう答えで一貫して対応してきているわけでございます。  ただ、他方におきまして、この住専処理というものが非常に急がれまして、日本の金融システムの安定という観点から、その信頼を回復するということでどうしても対応しなきゃならない、早期解決が非常に求められたという中におきまして、金融システムの一員として農協としてもどれだけの対応をすべきかと、こういう観点からの対応をしてきたということでございます。  今お尋ねのように、母体行についてはぎりぎりであったかどうかということがまず御指摘ございました。私どもとしましては、農協系統につきましては債権の五・五兆円全額返済ということになっていることに対しまして、母体行につきましては今おっしゃいましたように債権の全額放棄ということに加えまして、系統への債権全額返済を前提として、二・二兆円が母体行、一般行が同じく二・二兆円ということでの低利融資をするということになっておりますし、さらに三点目といたしましては、今おっしゃいましたように二次ロスの発生に対応するために金融安定化拠出基金ということで対応するというふうに聞いているわけでございまして、そういうスキームになっております。  そういう意味では、政府の一員として申し上げれば、予算委員会でもお答えになっているとおり、母体行、一般行としてそれぞれ最大限の努力をした処理スキームということで御審議をお願いしていると、こういうふうに理解をいたしております。  それから、二点目の二次ロスに対応するところでございますけれども、まず一つは、住専問題の処理に当たりましては、一次ロスの処理の後で住専処理機構があらゆる回収手段を的確に展開して、住専から引き継いだ資産にかかわります損失を生じさせないように全力を挙げるということになっているわけでございますが、これに伴いまして住専処理機構が住専七社の債権を買い取るための資金関係金融機関が同機構に融資するということと、預金保険機構内に新たに基金を設置いたしまして損失が生じた場合に対応するというふうになっております。  そこで、農協系統の住専処理機構への融資ということにつきましては、今現在、当事者間での協議が行われております。そこで、農協系統としては、やはり具体的な融資の条件につきましては系統が受け入れられる水準を基本にしてほしいということで今話を進められておるというふうに聞いておりまして、私どもとしましてもそういった対応ができますように対応していきたいというふうに考えております。  それから二つ目に、農協系統の金融安定化拠出基金一兆円の拠出でございますけれども、これはオール関係金融機関が協力するということでございますので、関係金融機関の一員として農協系統を代表いたしまして農林中金に対して拠出の要請がございます。そういう中で、これも具体的な金額等につきましては現在当事者間で検討されているというふうに承知をいたしております。
  55. 阿曽田清

    阿曽田清君 終わります。
  56. 高橋令則

    高橋令則君 中山間地域対策一本に絞ってお尋ねをしたいと思います。  中山間地域対策は、先ほど服部先生もお触れになりましたけれども、我が国の農業農村にとりまして、また永続可能な我が国の社会全体を構築していくためにも喫緊の重要事である、このように思っております。ウルグアイ・ラウンド対策の一環としても取り組みが強められております。言うまでもなく、新農政の展開以来、これが国の施策として重要な位置づけを占めてきていることはまことに意義あることだというふうに思っております。  そこで、特にウルグアイ・ラウンド対策の一環として進められてきたこれまでの中山間地域施策進捗状況平成八年度の新しい取り組み、その内容とその目指すところを農業林業、それぞれお伺いをしたいと思います。
  57. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) 中山間地域活性化を図りますことは、私ども大変重要であるというふうに考えておりまして、重点的に施策を進めてきているところでございます。  お尋ねのウルグアイ・ラウンド対策におきます対策でございますが、私ども事業の中では、山村振興等農林漁業特別対策事業でございますとか、あるいは中山間を対象にいたします公共事業でございます中山間地域総合整備事業といったような事業によりまして、例えば新規作物の導入、人材の育成あるいは圃場整備等の農業生産基盤整備、あるいは農産物の集出荷施設などの農業生産の高度化のための施設整備、定住条件整備、あるいは地域活性化のための生活環境基盤整備国土環境保全等の公益的機能の維持保全といったような事業を、これらの事業によりまして総合的に実施をしてきているところでございます。  また、ウルグアイ・ラウンド対策の中で実施をすることといたしました中山間地域市町村等が地域の産品あるいは地域資源等に関する情報を都市の住民の方々に発信をする施設、拠点でございますが、ふるさとプラザと言っておりますが、これを東京と大阪に設置をすることにいたしておりますが、平成七年十一月に東京の原宿に開設をして都市の方々への情報の発信を図っている、こういうような状況でございます。  それから二番目に、八年度につきましてどういう施策を行うのかというお尋ねでございますが、八年度におきましても中山間施策拡充を図っているところでございます。  一つは、先ほど申し上げたような中で、いろんな施設でございますとか基盤整備でございますとかいうものにつきましてはかなりメニューがそろったというふうに考えております。問題はこれらを実施していくソフトという点にございますので、平成八年度におきましては新たに中山間地域におきまして地域おこしをいたします人材を、いろんな分野で得意な方がいらっしゃいますから、これらの方を登録して、そしてそういう方々に各地に行っていただいて活動していただくというような事業。さらには、そういう中で、中山間地域も新しい作物を導入するといたしましても、単独の市町村だけではなかなかロットがまとまらないとかいうこともございますので、広域の市町村連携をいたしまして地域で戦略的な作物をつくっていく。これは昔からつくってきた特産物もございますし新たな作物もございますが、そういうようなものの賦存量を検証して、どういうところでやればつくれるのか、そしてどういう販売戦略を展開すればいいのかというようなことを少し市町村連携をして計画を立てて、戦略を立てていくということを推進するというような視点を加えました事業を新たに実施することにいたしているわけでございます。  このほか、八年度におきましては、私ども農林水産省だけではなくて少し関係省庁とも連携をしようということで、厚生省ないし文部省とも連携をいたしまして、高齢者のための生きがい農園でございますとか高齢者の方に特に配慮をした生活環境施設整備でございますとか、それからさらには建設省と連携をいたしまして、国道沿い等に道の駅というのがございますが、こういうような地域の交通拠点あるいは交流拠点で、都会の方が出かけた場合に、例えばこの市町村ではどんな特産物があってどういう体験ができるのであろうかというような情報がないわけでございますので、そういう道の駅等でふるさと情報都市の方々に提供できるようにしていこうということ。さらには、もう少し身近でございますが、環境庁と連携をしまして、中山間地域では特に野生鳥獣による農作物への被害がございますので、これらの防止対策推進するといったようなことも関係省庁連携をして新たに八年度に実施をすることといたしております。  今後とも、こういうことで関係省庁とも連携をしながら施策の一層効果的な推進、さらには充実に努めてまいりたいと考えております。
  58. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 中山間地域の約八割は森林でございまして、私ども林野庁といたしましてもその総合的な振興対策を図ることが極めて重要であると認識しております。  従来から、農業における中山間地域対策とあわせまして、林野庁におきましても、中山間地域林業生産基盤、それと生活環境整備を行うために総合的なメニューを総合的な補助率で行う中山間地域山村総合整備事業というのを予算的に設けまして実施しているわけでございます。  これはかなりいろんなところでその需要が多うございまして、平成七年度からはさらにメニューを強化しようということで、これに加えまして農林地の管理経営の担い手の育成を図るメニュー、あるいは耕作放棄地等へ特用樹林等を造成していくこと、あるいは都市山村交流拠点を整備するということ、これは森林とか林業体験の場をつくるということでいろんな施設整備することでございます。このほかに、快適な森林空間の創出ということで生態系の保存地域創出するためにビオトープなどの整備を行うための予算制度、こういうものもメニューに入れましてその制度拡充を図っているわけでございます。名前も中山間地域林業山村活性化総合対策というふうに変えまして、現在実施しているところでございます。八年度はこれらをさらに拡充してやっております。  具体的なメニューで見てみますと、その一例を申し上げますと、例えば岩手県では中山間地域林業活性化モデル事業というのを大迫町とか大槌町でやっておりますし、豊かな森林づくり事業として宮古市でもやっております。これらは、基盤整備とあわせましていろいろな施設整備を行いまして、そして具体的に所得の確保と定住条件整備をするという目的のために具体的な計画を各市町村実施しているものでございます。
  59. 高橋令則

    高橋令則君 時間がありませんので、要望にとどめます。  先ほどお答えがありました広域市町村連携による事業、これは非常に私どもとしては時宜を得た、大変よく取り上げていただいたと思っておりますので、その実が上がるように御努力をいただきたい、このように思います。  それから、林野庁長官森林整備活性化資金ですか、これは私は先般の委員会でちょっと誤解をしたんですが、最近は非常に売れ行きがいいそうで非常に結構でございます。ひとつ、むしろもっと資金枠をふやして、そしてまた採択ができますように、補助残というか、それから計画策定という枠がありますので、これもできるだけ広げられるように御努力をいただきたい、このように思います。  それから、大臣が立たれましたのであれですが、中山間地域について、これは私どもの常田委員からも御質問申し上げたんですけれども、やはり基本法を見直す過程で地域政策としてきちんと明確に位置づける、そういうことが必要ではないかというふうに思っておりますので、そういうお取り組みをお願いしたいと思います。  終わります。
  60. 谷本巍

    ○谷本巍君 四月二十六日の参議院の農林水産委員会で、私どもの党の村沢議員の国有林問題での質問に大原大臣は次のようにお答えになりました。国有林は大事な森林資源であり、これを守っていくことは国民の義務だと考えるということを言われながら、国有林野事業会計だけの運営に任せるのではなく、何らかの追加負担を国民に求められる手法はないものか、こう大臣はおっしゃりながら、思いつきだがと前置きをされて次のように述べられました。消費税に含まれる水道税を例に挙げられたのでありますが、消費税率を上げるとするなら、その際にでもこれを山に還元することを考えてもよいのではないかということでありました。  国有林財政問題の解決は、国全体の財政事情が非常に厳しいときでありますから、非常に難しい。国民理解を得ながらどういうきっかけをつかむかということが政治判断としてはまことに重要だろうと思うのです。そういう意味では、四月二十六日に大原農林水産大臣がおっしゃったことはさすがだなと私は感服をいたしました。  初めに、大臣のこの発言と関連しまして、国有林と水問題について大臣はどのように認識しておられるか。この際、国民に対して一定の問題提起ができないかということを考えながら、私の意見も若干述べさせていただきたいと存じます。  まず、日本の水需要でありますが、都市化、工業化、そして核家族化と生活近代化が進んだ。  使用量は増大の一途でありました。もはや、もうダム建設というのも限度ではないでしょうか。それからまた、水問題に詳しい専門家の皆さんに言わせますというと、もう使用量をどう制限するか、そこのところを生活体系の見直しからやっていかなきゃだめだという問題強調も出てくるようになってまいりました。  こんな状況の中で、戦後、植林というのが杉やヒノキや経済林一辺倒であったことへの反省の声も聞かれるようになりました。こういう深刻な状況のところへ今襲ってきているのが異常気象ですよ。いろいろな問題がありますけれども、一番困るのは何といったって台風と梅雨が日本列島をそれるような状況が生まれてきていることであります。そして、水飢饉というのが西日本から始まってきたということであります。  こんな状況の中で、例えば上流にみずからの水源林を確保した横浜市で申し上げますというと、上流の水源林の針葉樹の伐採はしないと、これは九〇年からそういう方針になったようですね。そして大木にさせていく、そしてその中に広葉樹を自生させていく、それがやっぱり水を確保していく上で一番いいことだと言っております。  これから民有林にもそういうことを期待していかなきやなりませんけれども、何といったって手っ取り早くやれるのは国有林ですよ。民有林は主として里山であり、国有林はその奥手にあり、そして水問題に貢献する度合いは決定的に国有林の方が高いわけであります。でありますから、国有林についてはこの際、水や土や風景を涵養する環境資源としての役割を徹底して追求していく。  つまり水戦略から見た国有林事業の展望といいましょうか、そういうものを描いていくことが大事になってきているのではないかと私は思います。  大臣もはっきりお答えいただけるかどうかわかりませんが、そういうものを検討すべきときに私は来ていると思うんですが、大臣、どうお考えでしょうか。
  61. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 委員と同じように私も山の中に育った男でありまして、山を歩くんでありますが、歩くたびに非常な不安を覚える。といいますのは、非常に経営規模の小さな、いわば山主のいない山というのは歩いてみてすぐわかるわけです。特に夏はツタが伸びるころでありますが、下刈りができないで、まるで蔵王の木みたいに木の葉っぱが見えないでツタの葉っぱだけ見えるという木がたくさんあります。こういった状況を放てきしておいたら、今、委員指摘のような日本の環境保全、さらにまた水資源確保という国策上の非常に重要な課題が放置されたまま二十一世紀を迎えるんではないのかなという不安であります。  そういう意味で、とりあえずは今の国有林の状況を見ましても、一年間に二千億ぐらいの赤字が出ている。今回、大蔵省も踏ん張ってくれたにもかかわらず五百億程度の財源しかできない。もし仮に、我々の計画計画どおりいかないとすれば、三兆三千億はさらにふえていくわけであります。  そういった意味で、国鉄の二十七兆円も問題でございますけれども、やはり将来に禍根を残さない手法というのを早急に検討していく必要があろうと。概算要求もあることでありますし、何らかの手法を新たに提言することによって、この三兆三千億円の赤字対策をまず考えていかなければならぬなと。  野呂田大臣も山の中の男でありまして、引き継ぎの中で彼は、おまえ大蔵省にいたんだからこれ何とかならぬかというような話でありますけれども、これは私一人で幾ら踏ん張ったってすぐ右から左に出る話ではないと思うのでありまして、委員指摘のような、どうかひとつ超党派で我々のコンセンサスをつくっていただいて、日本の水と緑を守る政策をもう少しすっきりしたものに、はっきりしたものにしていかなきゃならぬと思っております。  どうか御理解と御支援をぜひともお願いしたいと思うわけであります。
  62. 谷本巍

    ○谷本巍君 大臣から大変積極的なお答えをいただき、私もさらに感動しておるところでありますが、問題の深刻さをこの際さらに明らかにする意味でも、入澤長官にこの際伺っておきたいと思うのでありますけれども、国有林野合理化とそれから財務事情についてであります。  職員の数でいいますというと、昭和三十九年の八万九千人をピークといたしまして、平成七年度末には一万七千人になるとされております。何と五分の一ということですね。行政改革ということからいえば優等生中の優等生という感じがいたすところであります。それだけの努力をしてきたが、財務事情というのは借金返済のために新たな借金をしなきゃならぬというような状況にあるやに伺っております。  経営改善の現状をどう認識しておられるか、簡潔にひとつお答えいただきたいと存じます。
  63. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 平成三年に経営改善計画をつくりましてから、林野庁としてはできるだけのことはやってまいってきたわけでございます。  今、要員の規模につきましても、平成七年度末で一万七千人、さらに労使の間で約束いたしましておおむね平成十二年には一万人程度の規模にすると。さらに、営林署等の機構の統廃合を進めてまいりました。  こういう中で、経常事業勘定とそれから累積債務勘定とを区分いたしまして、そのような経営改善計画を着実に実行しているわけでございますが、何といってもやっぱり一般会計からの相当な応援がなくちゃいけないということでございます。そこで大蔵省ともいろんな話をいたしまして、治山事業につきましては全額一般会計で負担する、さらにその割合をふやしていく、さらに造林、林道につきましても民有林並みのお金をいただく。それから、一般的に保安林だとか保護林とか何かの維持管理につきましては、これはもう一般会計から負担すべきであるという一般世論の動向を踏まえまして、予算措置もそのようにしていただいているわけでございます。  こういう計画をずっとやっているわけでございますけれども、何といっても累積債務の重みに若干耐えかねているところでございます。私どもは少なくとも経常事業部門につきまして、まず自己回転できるようにしたいと。幸いなことにあと五年後には人工林の伐採量が一・五倍になります。  十年後に二・四倍になります。今回制定していただきました三法をフルに活用いたしまして、一番大きなメリットを受けるのは一番大きな山林地主であります国有林でありますから、そのメリットを十分に生かすようにして収入を上げていく、それによって少しでも累積債務の解消あるいは借金の解消に充てていきたいというふうに考えているわけでございます。  しかし、独自ではなかなか難しいと。この点は大蔵省も十分承知しております。ただ、いろんな制度を縦横斜めから眺めながら、いろんな制度のバランスを考えながら着実に行政当局としては進めていく以外にはないというふうに考えております。
  64. 谷本巍

    ○谷本巍君 最後にこの件でもう一度大臣に伺いたいのであります。やっぱり国有林の赤字問題というのは、言うならば住専に似たところがありまして、先に持っていけば持っていくほど国民の皆さんに対する最後のツケというのは大きくなっていく、その意味では早ければ早いほどいいというふうに言ってよかろうと思います。  先ほども、大臣は赤字対策について手法を早急にひとつ検討していきたいということを述べられ、そしてまた超党派でその辺の問題検討はやるべきではないかという問題提起をされました。超党派でやっていくというのはこれは私どもの責任でありますが、役所として早急に検討したいということをおっしゃっておられましたが、その辺のところをもう少し具体的にお考えがあったらお示しいただくことはできないものでしょうか。
  65. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 財政当局とアプローチをしたいなと思いながら、まだ十分話をしておりません。今、林野庁長官も申し上げましたとおり、いろいろ過去の積み上げというような経緯もあるわけでございますから、その経緯をすっ飛ばして一足飛びにというわけにもまいらないわけでございまして、そういう意味でやはり八月が正念場でございますから、現在の一般会計から繰り入れるベトスを何らかの形で上回る手法、こういったことをめどに研究を積み上げていきたいなと、こう思っております。
  66. 谷本巍

    ○谷本巍君 そうしますと、当面の問題は当面の問題としてやっていくが、根本的問題についてはまた別途検討していくと、こういうお考えでございますね。
  67. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 委員の最初の御質問、日本の国土保全環境の保護、緑と水の確保ということ、これはこれからの重要な国策の基本的柱でありますから、八月の概算要求でどうこうという話にはならないんではないのかなと。やはり国民の広いコンセンサスを得るいわゆる哲学の展開がないと、申し上げましたような消費税が現在、水道で七百億円ぐらいあるようでありますが、これを還元できる手法というのも思いつきで終わる可能性があります。そういったこともやはり将来の視野に置いた長期的な考え方をとっていかないと二十一世紀の山が守れない、こういう事態は深刻に我々は受けとめて、そして長期的ないわばコペルニクス的展開がないとこの問題は解決は不可能だろうと、こういう考え方でおります。  当面は当面としてしのいでいくつもりでございます。
  68. 谷本巍

    ○谷本巍君 ありがとうございました。  次に、十一月十三日からローマで開かれます国連食糧農業機構による食糧サミットの問題について伺いたいと存じます。  二十一世紀に向けて、環境問題とともに食糧問題の解決は人類共通の課題だとされております。  このサミットで協議することは、貿易拡大の立場で農業、食糧問題を論ずるのではなしに、食糧、農業の立場で問題解決をどう図るかというところに焦点があるとされております。  外務省は四月二十三日にNGOと懇談をしたそうでありますが、初めに伺いたいのは、この会議の評価も含む農林水産省の考え方と参加に当たってのNGOの位置づけはどうなるかということについて伺いたいと思います。
  69. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 今御指摘のように、本年十一月にローマで世界食糧サミットが開かれるわけでございます。  基本的な考え方といたしましては、今先生指摘のように、二十一世紀に向けまして食糧あるいは人口、環境問題ということが非常に重要な課題になってくるということでございますので、私どもとしましては、このサミットが途上国の飢餓とかあるいは栄養不良といったことだけでなしに、食糧輸入国であります我が国を初めとした先進国を含めた世界的なグローバルな課題という形の中でこの問題をとらえて対応すべきではないか、こういうふうに考えております。  そこで、NGOの関係でございますけれども、これにつきましても、FAO事務局も各国国内、それから国際的な議論の過程におきますNGOの参画を大変強く期待いたしております。今、外務省の方での話もございましたけれども、実は農林水産省といたしましても、世界食糧サミットに向けまして国内の各界の御関心が高まるということが非常に重要だというふうに考えておりまして、この二回ほどでございますけれども、食糧、農業関係のNGOを中心に世界食糧サミットにかかわります情報提供、意見交換ということをやってきております。今後、時間もございますので、さらにそういった意味でのNGOの方々との意見交換、それから情報提供、そういったことにつきましても意を用いて進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  70. 谷本巍

    ○谷本巍君 時間がなくなってしまいましたので、最後に大臣に一言考え方を伺いたいのであります。  ともかくも、ウルグアイ・ラウンドが始まった当時と情勢は一変いたしました。あの当時は過剰対策が問題になっていた、これから先というのは不足対策に比重がかかってきておるところであります。しかも九二年には地球環境サミットが開かれ、経済よりも環境優先の貿易ルールを確立すべきであるというような考え方が出されるようになり、それから九四年の国際人口開発会議では食糧安保に特別な注意を払った公正な貿易関係強化といったことが強調されるようになってまいりました。これまでの日本の主張は正しかったということになってまいります。  そうした点も含めて、ひとつこの会議に臨む大臣の考え方をお聞かせいただきたいと存じます。
  71. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 十一月にローマで行われる世界食糧サミットでございますが、今おっしゃったように、確かに地球規模で考えた場合には食糧の不足、五十億の中で八億近い人が栄養不足の状況にあるということ、それが来世紀の中ごろには百億にふえる、幾何級数的に人口はふえるが食糧はそれについていけない。そこにいろいろの地球規模での社会的不安やあるいはまた飢餓、時に食糧が争いの材料になる可能性がないとは言えない。そういう状況の中で、一部の意見でございますが、いわゆる国際分業論というような見地から、安いものを買った方がいいじゃないかというような短絡的な議論をする人が日本には多いと思うんです。  例えば貿易交渉一つを見ましても、全部が全部ではございませんが、一部財界人の中には三〇一条のスケープゴートに食糧を提供しようじゃないか、農業開放をやろうじゃないかと。わずか一・三ヘクタールの日本の農業が、アメリカでは百八十ヘクタール、EUでも狭いところで十七ヘクタール、大きいところでは六十ヘクタール、勝負に勝てるわけがないんです。  したがって我々は、消費者を含めてでございますが、多少コストはかかっても二十一世紀の半ば、まさに国家の安全保障にかかわる事態が食糧問題から起きるとすれば、やはり多少の我慢はしてもらって自給率をふやしていく仕組みを一歩でも二歩でも前進させていくのは今世紀の我々の課題ではないのかなと、こう思っております。サミットにおいても日本の技術その他、提供できるものがあれば大いに提供してあげたい、このように思っております。
  72. 一井淳治

    一井淳治君 国産材の関係業界がまさに壊滅的ともいうべき大変厳しい状況に陥っています。特に最近、木造住宅の輸入の促進が強力に行われまして、どうも時には在来型木造住宅の振興とか、あるいは我が国の森林林業、製材業の振興ということの影が薄くなりかねないような状況がなきにしもあらずというふうに思われます。  そこで、大臣におかれましては、今さら言うまでもないことでございますけれども、我が国の環境国土保全という国民課題もあるのですから、森林林業、製材業、そして在来型木造住宅の振興などのために、閣議などにおかれましても強力に御主張いただくなど、強力な対策を展開していただきたい、このように大臣に要望を申し上げる次第でございますが、大臣の決意のほどをお伺いいたします。
  73. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 私が来る前からでありますが、林野庁を中心に農水省の皆さん、ぎりぎり現在置かれた諸条件を前提に知恵を絞って今回の三法案をよくつくってくれたと私は思っております。問題は、この法案のアイデアが本当に地についた施策になっていくことが大事でございます。  委員指摘のように、まだ予算面では貧弱な面もございます。これから充実していかなきゃならぬ部門が多々あるわけでございますから、どうかひとつ一井委員、十分その辺、山のことは御存じでありますから、ぜひともひとつ御理解をいただいて、これからの予算充実に向けて御協力をいただけたらありがたいと、こう思っております。
  74. 一井淳治

    一井淳治君 何といいましても大臣が頼りでございますから、一層の御努力を賜りたいと思います。そして今、大臣からお話もございましたけれども林野三法、そして平成八年度予算におきまして、大変国産材対策について強力に推進されるように相当細かいところまで御配慮いただいていることに対して、感謝を申し上げます。  そして、これまた大臣も言われたことでございますけれども、ここに予定されているさまざまな対策をすべて強力に実行していただきたいわけでございます。それに加えまして、地元の木材のよさの理解を深めるなどの国産材の需要拡大対策をさらに積極的に展開していただきたいことや、輸入木材あるいは輸入木造住宅対策、そして国や公共団体が積極的に国産材を内外で活用していただくなど、経済ベースを超した分野の開拓とか、あるいは広範な業界や大工の関係者等の提携、あるいは業界の若いリーダーの方たちが結束して挑戦するなどのさまざまな対策平成九年度予算施策に向けて御配慮いただきたい。  そして、国産材に関係する方々が自信を持って日本の森林林業を守るんだ、日本の環境国土を守るんだという誇りを持って頑張っていけるように強力な対策支援策をお願いしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  75. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) まさに今、先生おっしゃったとおりでございまして、国産材の時代を迎えるに当たりまして、外材とか新建材に対抗して十分に建築現場におきまして国産材が使われるような条件整備しようというのが今回のねらいでございます。幾つか既に八年度予算でもそのための芽を出しております。  従来から、木のよさをPRするためには映像で見せたらいいんじゃないかということで、これは直ちに「木と健康」ということをテーマにしましてビデオをつくりました。もう既に三千本が売られて全国で見られております。それから、全国主要都市に木材利用相談センターも設けました。  さらに、営林局等が中心となりまして、平成八年度、九年度で一体どのくらいの公共施設の建設計画があるのかということを調査いたしました。  全体で八百六十九件ございました。この八百六十九件の建設計画に対しまして、具体的な設計の段階から木材利用の働きかけを今キャラバン隊を派遣しながらやっているところでございます。このようなきめの細かい、あるいは地味な活動を中心に国産材の需要拡大を図ってまいりますけれども、何といっても新商品の開発あるいは新技術の開発、マーケットの開発がこれからは急がれます。  特に、私ども林野庁で計算してみますと、内装材だけでも追加的に約四百万立方、今の建築基準法、消防法を前提といたしまして、もし今の林野庁長官室みたいに内装材に木材を使うとなれば、今需要が低迷して困っている国産材業界でも四百万立方は新しいマーケットが開発し得るというふうな計算がございます。このような方向に向けて業界を指導しながら、国産材の需要拡大、さらにそれによって林家の所得確保に努力をしてまいりたいと考えております。
  76. 一井淳治

    一井淳治君 ありがとうございました。
  77. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、熊本県の国営川辺川土地改良事業計画変更にかかわる問題について質問いたします。きょうは、遠く熊本県の地元の方々が夜行でこの会場においでになっております。現地農家の御苦労もお考えの上、御答弁をお願いしたいと思います。  まず、構造改善局長にお尋ねをいたします。  計画変更に異議申し立てをしている関係者並びに農家は何人おりますか。
  78. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) 国営川辺川土地改良事業計画の変更に対しまして、平成六年十二月十九日から二十一日にかけまして計画変更の取り消しが認められたわけでございますが、その数は七件、千百六十二人、農家の方は八百六十三人でございます。
  79. 須藤美也子

    須藤美也子君 このうち、行政不服審査法に基づいて口頭意見陳述をした方は代理人も含めて何名ですか。
  80. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) 口頭意見陳述を私ども三回にわたり実施をいたしております。  これは、第一に平成七年二月十日から十二日まで熊本市におきまして、それから四月四日から六日まで人吉市、同年八月二十八日から三十日まで相良村及び多良木町において実施をいたしたところでございまして、この三回における意見陳述におきましては延べ二百七十四人の方々が意見陳述を行っております。
  81. 須藤美也子

    須藤美也子君 局長、この数字について、各市町村ごとの異議申し立てをしている方、それから同意している方、この資料を提出するよう要求いたします。  時間がありませんので第二点目。  土地改良法九条二項により、六十日後の昨年の二月四日までに異議申し立てに対して決定しなければならなかったのに、棄却の決定をしたのは一年たったことしの三月二十九日でしたね。六十日以内に異議申立人が口頭陳述を求めたにもかかわらず、なぜ何もなされなかったのか、この理由をお聞かせください。
  82. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) 先生お話しのように、異議申立人の代理人から口頭意見陳述の申し立てがなされまして、その後、意見陳述の開催時期、場所あるいは方法などにつきまして代理人らの方々と調整の上、二月十日から十二日の第一回を皮切りといたしまして三回にわたる口頭意見陳述を開催いたしますとともに、広く関係者の方々から意見を伺いまして、慎重な審査の上、お話しのとおり去る三月二十九日に異議申し立てに対する決定を行ったものでございます。  六十日以内に決定をできませんでしたのは、申し立ての内容が極めて多岐にわたっておりますことから、口頭意見陳述の開催を含めましてその事実関係の把握等に時間を要したため、そういうことによるものでございます。  なお、この異議申し立てに関する決定の期間六十日といいますのは訓示規定というふうに解されているわけでございまして、期間を経過いたしました決定が直ちに違法ないし無効になるものではないというふうに解釈をされているところでございまして、我々ただいま申し上げましたように、申し立ての内容の極めて多岐であること、それから事実関係の把握等に時間を要したということで三月二十九日の異議申し立てに対する決定になりたものでございます。
  83. 須藤美也子

    須藤美也子君 局長、それだけの理由ではないでしょう。  口頭意見陳述の申し立てがありながらそれをただ積み上げていた、つまり九州農政局ではそれを放置していた、この事実を九州農政局の課長が認めて現地の関係農家に謝罪をした、このことについて御存じありませんか。
  84. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) 申し立て書の日付から日数がやや経過したわけでございますけれども、必要な事務手続を経た上で担当課で一月二十三日に異議申し立て書を受理したというふうに今承知をいたしております。
  85. 須藤美也子

    須藤美也子君 その現地の九州農政局に対して、このようなずさんなやり方にどのような御指導をなさったんですか。具体的な指導があれば教えてください。
  86. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) 私ども、本件に限りませんけれども、異議申し立て等がございました場合には法律で定めるところに従いまして迅速に事務処理をいたすように常々その体制をとっているところでございます。本件につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように極めて内容が多岐でございましたこと等々によりまして、若干時間を要しまして六十日以内に決定することができずに三月二十九日の決定となったものでございます。
  87. 須藤美也子

    須藤美也子君 三点目は、三回の口頭陳述はやったと、しかも合わせて二百七十四人、異議申し立てをなさっている方は千百六十二人。これは異常な数だと思いますね。関係農家が八百六十三人、まだ四分の一しか口頭陳述をしていない。しかも、四回目の口頭陳述を求めているのに対して意見陳述の機会を与えていて中断したことは、行政不服審査法二十五条一項に、申請人の申し出があったときは農水省は「申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。」、こういう法律に違反してはいませんか。
  88. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) 異議申し立てにつきましては書面で行われておりまして、これに対しまして書面できちっと審査をするのが原則でございます。  ただ、口頭意見陳述の申し出がございましたので、私どもそれに対しまして先ほども申し上げましたように三回にわたりまして口頭意見陳述を開催したものでございます。  この意見陳述の仕方等につきましては、代理人の方々とも十分御相談をいたしまして三回にわたりまして、場合によっては時間延長をしてもいいというような形できちっと行っているわけでございまして、私ども、延べ二百七十四人の方々から意見陳述をされているわけでございますけれども、これは異議申し立てに対する決定を行うに際しまして必要な御意見はこれで出尽くしておるというふうに判断をいたしまして、第三回で伺ったところでそういう決定をいたしたということでございます。  法律上、口頭意見陳述は全員の方から伺わなければならないということではなくて、異議申し立ての決定をするに際しまして必要な意見陳述を行うということが基本的な考え方でございますので、私どもはこの三回の陳述で十分異議申し立てに対する必要な御意見は承ったというふうに判断をいたしたものでございます。
  89. 須藤美也子

    須藤美也子君 千人を超える異議申立人がいるのにもかかわらず、もう三回でいいと、こう判断なさったわけですね。この問題については、今回の国営川辺川土地改良事業関係者からよく意見も聞かずに強引にやること、このこと自体私は大きな誤りだと思います。  さらにもう一つは、口頭による意見陳述は記録を起こし、双方が捺印の上その内容を確認することになっています。私はここに一回目の確認した書類を持っています。一回、二回は双方で確認をしています。農水省も割り印をきちんと押していますね、代表の方が。にもかかわらず、三回やっているにもかかわらず三回目はまだ確認していない。そういう事務手続を完璧にやりもしないで棄却の決定をした。私は、この点で行政不服審査法に基づく違法行為、さらに今回のこの問題で二重に現地の関係農家を裏切っている、違反行為をしている、このように思うのですが、いかがでしょうか。
  90. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) 先生、これは私ども事業計画の変更に際しましては御承知のとおり地元で御説明をし、しかるべき同意をいただいているわけでございます。それから、異議申し立てにつきましても口頭意見陳述二百七十四人、少ないというふうにお話してございましたけれども、異議申し立て書につきましてはそれぞれきちっと理由等が記載をされておるわけでございまして、それらにつきまして私どもも十分審査をさせていただいた上で、その書面審査で足りない点を補うという点で口頭意見陳述をさせていただいたという意味で、必ずしも全員の方々から伺わなくても書類による異議申し立てについての御意見を判断させていただく上で十分な御意見を伺ったというふうに考えているところでございます。  そういう意味で、私どもといたしましては書類及び口頭意見陳述を通じまして十分な御意見を伺い、そして各方面の御意見も伺いながら、この事業必要性、これは関係市町村を初め関係の方々からも推進についての強い要望もございますし、そういうようなことも含めまして、慎重に審査をさせていただいた上で決定というような手続をとったものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  91. 須藤美也子

    須藤美也子君 異議申立人の方々が口頭陳述をさせてほしいと、このように要求しているんです。これを中断した、そして異議申し立てに却下の決定を下した。まさに私はここに農民不在のやり方があるのではないか。そういう点では、今回の棄却、却下したことについて効力は発しない、このように考えざるを得ません。  時間がありませんので、大臣に最後にお尋ねしたいんですが、対象農家約四千戸のうち二二%の八百六十三名という大勢の関係農家が異議申し立てをしております。この人たちを無視して強引に事業を進めることは集落の共同を壊し農家の生産意欲さえ奪うものであり、農水省に対する不信を拡大するものだ、このように考えざるを得ません。まさに、今、農業情勢が大変厳しいときに現地の農家の感情や願いを考えるならば、このような強引なやり方、これはやるべきではない、こう考えます。  大臣、異議申し立てをしている現地関係者の方々に今後どのような対応をなさるおつもりなのか、最後にお答えをしていただきたいと思います。
  92. 大原一三

    国務大臣大原一三君) この問題、改善局長からいろいろ事情を聴取いたしました。事の初めには、法定同意数には達しておるということでありまして、また関係市町村を含めてこの事業促進の要望が強かったということも事実であるようであります。  そこで、事業推進に当たっては県、関係市町村、川辺川総合土地改良事業組合等とも十分な連携をとりながら、今後ともさまざまな機会をとらえて説明を行い、できるだけ多くの農家の理解を得ながら進めていきたい、このように考えております。
  93. 須藤美也子

    須藤美也子君 もう時間がありませんので終わりますが、強引な事業の進め方はやめるように最後に強力にお願いを申し上げまして、質問を終わります。
  94. 国井正幸

    ○国井正幸君 新緑風会の国井正幸でございます。  私、この連休を利用しまして地元の栃木の各地を回ってみました。それで、農協の組合長等に会いますと、頭の痛い問題が今二つあるというんですね。一つは、住専の問題でいわゆる金利が入ってこない、一−三月分の金利が入ってこない。これが一つ頭が痛い。もう一つは、昨年の十一月から施行されました新食糧法に基づいて、いよいよ今田植えの真っ最中でございます。この生産調整実効性確保、これが大変に頭が痛いということを言っております。  昨年も作況が非常によかった、こういうふうなことで今も過剰に在庫の状況があるというふうに思うんです。昨年も私この委員会で御質問させていただいたと思うんですが、この新食糧法が成功するかどうかというのはやっぱり生産調整がうまくできるかどうか、この一点にかかっているんではないかなという気がします。そういう意味で、今まさに、これは栃木だけではなくて日本列島田植えの真っ最中だというふうに思いますけれども生産調整進捗状況、これについて今どういうふうな状況になっているかお伺いをしたいと思います。
  95. 高木賢

    政府委員高木賢君) 八年度の米の生産調整進捗状況についてでございます。  国から県、県から市町村、それからさらに市町村から農業者に対しますいわゆるガイドラインの通知でございます。これは四月末現在でほぼ全国的にガイドラインの通知は農業者段階まで達しております。したがいまして、現在は農業者ごと生産調整への取り組みが進められている、こういう状況でございます。ただ、御案内のように地域によって進捗状況に多少ばらつきはありますけれども、全体としてはこの手続はおおむね順調に進行しているというふうに見ております。  今お話がありましたように、まさに米穀の需給事情が大幅に緩和しているという状況の中では、生産調整の確実な実行なくしては新食糧法の目的であります米穀の需給価格の安定は期しがたいというふうに私どもも考えております。したがいまして、本対策推進に当たりましては、生産者地域自主性の尊重あるいは望ましい営農の実現、こういうことに留意することは当然でございますけれども、特に生産調整実効性確保ということに万全を期することが重要と考えております。  そこで、農業者の方々にも生産調整必要性に対する理解につきましていろいろ関係者に御尽力いただいております。このことによりまして農業者理解はかなり浸透してきたと考えておりますが、今御指摘がありましたように、まさに田植えの真っ盛りに差しかかっておるという非常に重要な時期でございますので、先月来、私初め農産園芸局の担当課長とか幹部の皆さん方あるいは農政局の局長、担当課長等が生産現場に出向きまして、生産調整の意義と内容の理解につきまして訴えておるわけでございます。  今後とも、生産調整の着実な実施に向けまして行政生産者団体が一体となった取り組みをさらに積極的に推進してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  96. 国井正幸

    ○国井正幸君 今、局長お答えいただいたような状況で本当に進めば私もいいなと、希望的観測も含めて思っておるんですが、どうも一歩現地へ入ってみるとなかなかそこまで行っていない。どうしてもいわゆるやり得というんでしょうか、自主性という部分に力点が置かれてどうもやはりうまく行っていない声なんかも私は実は多く耳にします。  特に、その中でやり得というんでしょうか、やってしまったものはしようがない、こういうふうなことでやられたら大変な状況になるわけでございまして、いかにしてそれを、押さえ込むという言い方はおかしいのかもしれませんが、協力をしてもらう、このことに農業団体の関係者、もちろん行政関係者もそうでありますが、大変な苦心をしているわけです。そういう中で、それは生産調整実効性確保ということで、政府米の買い入れば生産調整をやった者に限るとか、それは共補償もあるでしょう、あるいは補助事業の優先採択もあるでしょうけれどもなかなかどうも難しい。正直者がばかを見そうだ、こういう感じなんです。  そういう中でこれは、こういうことがいいのかどうかという問題もあるんですが、私も農業団体に勤務してまいりまして、現場サイドでは物が過剰になるときはどういうわけか農協というところにはたくさん集荷、物が集まってくるんですね。  前にあった冷害のときのように、物が足りないとなれば全然集まらなくなってどこかへ散っていってしまう。こういうふうな実態にあるわけなんですが、今農業団体の関係者が心配しているのは大変に集まってくるんじゃないかということなんです。集まってきたときに、当然価格もそうなれば暴落するでしょうし、今この秋の政府買い入れ米価を論議するということにもならぬと思いますが、ただこれまでの仕組みからすれば自主流通米等の価格も参考にするということになっているわけです。これは大変な問題に発展するというふうに私は思うんですよ。  そういう意味で、農業団体の関係者の中にはいろいろ考えて、そういう生産調整を守らずに、みんなが協力しようというときにそれを守らずに余計作付をしてうんとつくってしまう、こういう人にはペナルティーとして格差をつけて幾らか安く出してもらおうじゃないか、こんなことをいろいろ考えている人もいるわけですね。それをやるのがいいか悪いかという議論はあると思うんですよ。これは抑制効果もあるわけですね。ただ、そういうことを今度やろうとすると、農協の米の集荷のシェアは大きいですから、どうも公正取引委員会等で優位な地位を使ってそういうことをしちやならぬとか、そういうことになるんだという話なんですね。どうも皆さん方行政の方でもそういうことは好ましくないというふうな行政指導をしているかのように私は聞いているんですよ。  私は、そういう意味でいかにしてこの実効性確保するか、そういう意味ではこれまでやろうとしてきた政府実効性確保措置だけではちょっと弱いんではないかというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。大丈夫ですか。
  97. 高橋政行

    政府委員高橋政行君) ただいま先生から非常に多岐にわたった御質問があったわけでございます。  まず一つは、例えばまた豊作になって米が農協にたくさん来過ぎてしまうんじゃないかというようなことでの、恐らくその辺の数量調整生産者ごとの数量調整がどうなるんですかということではなかろうかと思います。我々来年も大体百四十五万トンから百五十五万トンぐらい通常のベースでいけば政府に出荷していただくというような予定を現在基本計画の中で組んでおります。今まで大体政府にどの程度集荷されてきたかという実績を見ますと、豊作のときも含めまして大体百五十万トン、六十万トン、その程度のところでございますので、著しく集まってくるということは余りないんじゃないかとまず考えております。  しかしながら、万が一そういう場合があったらどうするんだということもあるわけでございますが、生産者ごとの計画出荷基準数量、これにつきましては現在の法律上の定め方では市町村長が生産者の申し出を踏まえて決めるということですから、生産者の希望をできるだけ尊重するという形でやることにしております。しかしながら、ただいま申し上げましたように計画出荷数量の全体の枠を超えた数量が農家から希望が上がってしまうという亡きにはどうしても調整が必要になるわけでございまして、そのときには市町村段階生産調整実施状況生産者ごとによく見て、それで調整ができるようにしていきたい、そんなことで指導もしていきたいというふうにまず一つ思っております。  それからもう一点は、価格の方で差をつけることで何か方法はないのかということでございますが、一般的には農協は今度出荷取扱業者ということになるわけで、そうした場合には生産者からお米の売り渡しの委託を受けて売るということになるわけでございます。それで、その場合にはやっぱり実際に販売された価格を精算しまして農家にお返しするということになりますので、生産調整実施しているとかあるいは実施していないとかということでそこに差を設けるということはなかなか難しいんじゃないかと思っております。  それから、じゃ農協が買い取ればいいじゃないか、価格に差をつけて買い取ればいいんじゃないかという道もあることはあります。しかし、これは恐らく農協として買い取りでやるということは余り考えられないと思いますが、万が一そういうことがあった場合には、先ほど先生からお話がございましたように、どうしても公正取引上の問題といたしまして不公正な取引に当たるのじゃないかという問題が生じようかと思っております。しかしながら、やはり生産調整実施者に経済的なメリットを与えて何とか生産調整を実効あらしめるようにしなくちゃいけない、そういう面からの工夫もしていかなければいけないと思っております。  それで、現在八年度予算の中で考えておりますことは、自主流通米計画流通対策費、これは最高千百四十円もらえることになっておりますが、これは生産調整実施者だけにしか交付しないということにして、何とかこれがひとつ生きた形で使えるようにならぬかということが一つでございます。それからあとは先生お話しのように、政府買い入れを生産調整実施者に限定するとか、あるいは共補償なんかに助成金をやるとか、そういうようないろいろな経済的なメリットをほかの面で与えることによって何とか生産調整実効性確保できるように我々としては努力しているところでございます。
  98. 国井正幸

    ○国井正幸君 我々も決して生産調整が進まないことを望んでいるのではなくて、うまくいくことを望んでいるわけなんですが、いわゆる現場サイドからするとなかなか非常に厳しい、こういう状況を承っております。  したがって、これは昨年の十一月二十四日ですか、省議決定された新生産調整推進対策大綱、ここの九条、ここで未達の場合の目標面積の上乗せとか、あるいは補助事業の不採択措置、これはやらない、こういうふうなことでなっているわけなんですが、ことしうまくいけば私はこれでいいと思うんですよ。しかし、やっぱり生き物ですから、どうしても進まぬという場合についてはこういうことを含めて、やはり余りきれいごとばかりで、現実に本当に行ってくれればいいんですが、やっぱり行かないという場合も考えなくちゃいけないだろうというふうに思いますので、その辺もできるだけ柔軟にひとつ対処をしていただきながら、大所高所からみんながよくなるようにぜひ農水省においても御検討いただきたいということをお願いしまして、時間でございますので私の質問を終わらせていただきます。
  99. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 住専の不良債権処理に当たって系統の責任のとり方が極めて不十分ではないかというような批判があります。そこで、財政支出を六千八百五十億円計上しておきながら、バブルに浮かれて無責任な多額の融資をした系統が融資額の九・六%に当たる五千三百億円しか負担しないということ、これ自体それでよいのかという疑問を感じている国民が多いというふうに思います。この点について、農林水産大臣の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  100. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 昨年末からのいろいろの経緯、委員十分御存じの上での御質問であろうと思っております。住専というのは、事の初めは銀行が産業金融に偏重して消費者金融をボイコットしてきた、それに対して政府の政策として住宅金融に金融機関の融資を振り向けよう、これ自体の最初の発想は非常にいいことだったんですね。  ところが、その経営が進行するにつれて住宅ローンというものに、金融機関がみずからつくった住専をほうり出して、その利益、採算の合う住宅ローンにみずからが進出していって住専の経営を窮地に立たせたということも事実であります。  農林系は、最初住宅金融であり、それをまた経営する親会社というのはすべて超一流銀行かいわゆる名の通った地方銀行が母体行、そういった従来の滑り出しがらいってかなりの資金を融通してきたわけでございますが、この経営そのものに系統はタッチしていないし、また資本も提供していない。設立母体行がここまでずさんな経営をするとは、実際問題として平成六年、七年の立入検査が行われるまで何らの報告も行われていなかったわけでございます。  そういう意味で、昨年の経緯をごらんになりますと、本来ならこれ母体行が全部責任を持つべきであるが、貸し手として農協系統も無責任とは言えない、したがって何らかの形で拠出をするようにということで、向こうは債権放棄でありますが、こちらは贈与という形で五千三百億円を受け入れざるを得なかったわけでございます。そういう意味で、我々の主張は母体行責任一本やりで来たわけでございますけれども、いわゆる大所高所の判断から何らかの責任分担を負えということで、農協にとっては大変過大な負担でございます。  委員御存じと思いますが、これ余り言うなと最近言い出しちゃったんです、僕が国会答弁をやるのにこれはいい答弁だと思って言ったんですが。  なぜ言うなと言うかというと、余り農協の経営が悪い、悪いと言うと郵便貯金に逃げていくから、大臣は予算委員会で余りそれを言うなという。言うなといったってわからせるためには言わなきゃならぬということで、内部留保が一兆三千億なんですよ。母体行は地方銀行まで入れますと最近の株式の評価益等を入れれば三十五、六兆円の内部留保を持っているんです。  私は予算委員会でも申し上げました。協同経営というのは内部留保を持ってはいけないんです。  つまり、協同で経営しているんですから、利益があれば組合員に還元するというのが組合組織のこれが本来の目的でありますから、わずか一兆三千億円で五千三百億ということは内部留保の半分を拠出したわけでございます。母体行は三十数兆円のあれがありながらわずかに十分の一しか拠出をしていない。こういった意味で非常に経営にショックを与える。与えるが、この際我々としては次の経営がある、未来の経営がある。そこで、ぎりぎりの負担とは何だろうかということで、赤字法人が半分出るというようなことも承知の上で、これ以上の負担は無理だ、これなら次の経営にステップを乗り出せるのではないかということで、いわゆるぎりぎりの負担が五千三百でございましたということで御説明を申し上げてきたわけでございます。  委員指摘のように、御理解の筋がないところがあれば我々はそういったことを十分御説明をしていかなければいかぬと、かように考えております。
  101. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間がないので前に進みます。  沖縄県の農業生産基盤整備についてお尋ねします。  昭和四十七年の復帰後、平成五年末までに約五千七十八億円の事業費が投じられております。平成五年までの圃場整備率は四三・二%になっておりますけれども、全国の五五%に対して非常に立ちおくれているように思われます。今後、沖縄県の農業生産基盤整備をどのように推進していかれるか、お伺いいたします。
  102. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) 沖縄の農業生産基盤につきましては、沖縄振興開発特別措置法に基づきまして平成四年に決定をされました沖縄振興開発計画に沿いまして積極的に推進をしているところでございます。沖縄の自然条件などによりまして流況の安定した河川に恵まれないといったようなこともあり、圃場整備等の農業生産基盤整備状況は、先生指摘のように本土に比べて立ちおくれているという状況にあるわけでございます。  このため、従来から沖縄の農業生産基盤整備につきましては、採択基準、補助率等につきまして優遇措置を講じつつ、かんがい排水施設整備、農道や圃場の整備などの生産基盤整備推進してきているところでございます。平成八年度予算におきましても、特に畑地帯総合土地改良事業、これは農道、区画整理、かん排等を総合的に実施する事業でございますが、こうした事業につきまして、全国の対前年伸び率を上回ります沖縄の対前年比一〇四・四%という伸び率で、総額二十八億一千万円というような重点的な予算配分を行いまして事業の積極的な推進を図ることといたしております。  今後とも、沖縄の特色ある農業、サトウキビ、野菜、花、果樹、畜産等を組み合わせました亜熱帯農業振興を図りますために、地形、気象等の条件を十分配慮いたしまして、農業用水の確保なり農地の整備なりの生産基盤整備等を積極的に推進してまいりたいと考えております。
  103. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 一〇四%の伸び率で配慮されているということは理解しておりますけれども、なお一層の御努力をお願いしたいと思います。  次に、沖縄県の水産業についてお尋ねします。  沖縄県は、我が国唯一の熱帯性海域という自然的特性を持っております。平成六年の漁業生産量は約三万四千トンで、部門別では沿岸漁業が一万五千トンで四四%、沖合漁業が約八千トンで二三%、養殖業が一万トンで三一%となっております。平成元年から六年までの生産量を年次推移で見てみますと、元年から四年までは四万トン台の後半から五万トン台までの生産量であります。五年で四万トン台を少し切っておりますけれども、六年には約三万四千トンとかなり落ち込んでおります。  その原因は、主に沖合漁業の大幅な落ち込みにあると思いますけれども、水産庁としてはこの点についてどのように位置づけているのか、また今後沖縄県の漁業振興策についてどういう取り組みをして生産量を上げていくことをお考えになっているのか、お尋ねいたします。
  104. 東久雄

    政府委員(東久雄君) 数字的には先生指摘のとおりでございます。特に、平成五年から平成六年に落ち込みというところで、先ほど御指摘のとおり四万トンから三万四千トンになっております。これは、三万四千トンの生産のうち約一万トンが沖縄名産のモズクでございます。このモズクが三千トン前年よりダウンいたしました。ちょっとその前の数字を見ますと、大体モズクは一万トンぐらいの生産だったところが平成五年に急激に上がったという点が一つあったと思います。そのほか、金額的に大きいのはクルマエビの養殖でございまして、そういう意味で温暖な海域を利用してのそういう養殖業生産というのは非常に沖縄にとっては大事な漁業だと思います。  それと、もう一つ大きな落ち込みの原因は、近海カツオの一本釣り漁業でございまして、これは南の方に位置しておりますだけにカツオの漁業基地になっておった点がございます。十二隻沖縄に船籍があったのでございますが、これが平成六年に十一隻がソロモンへ移転しまして、基地を移した。したがって、そこが三千トン強の生産が二百トンぐらいの生産量にがくんと落ちた形になっておるということでございます。  我々一番心配しておりますのは、沖合、特に底魚の一本釣りが東シナ海で資源が少し悪くなってきて、これは昭和五十年前後の数字等を見ますと、その辺の落ち込み、これは三百トンぐらいだったのが五十トンぐらいになっているということで、量としては少ないのでございますけれども、やはりなりわいとしての小さい漁業をやっておられる方が多いものですから、その辺を大変心配しています。  そういう意味で、これから海洋法条約の批准、それと日中間の資源の適切な運営ということに心がけていくことが大事でございますが、沖縄県全体としては、先ほどの養殖業振興ということに励まなきゃいけないことと、もう一つは、離島が多うございますので、いわゆる漁港の整備等基盤の整備が大事でございます。特に沖縄につきましては、県の方もきちっとした計画をおつくりになっておりますし、我々の方も百分の九十の補助率で、こちらの本土の方は百分の五十でございますが、百分の九十という補助率で特に手厚く漁港の整備に努めておるところでございます。これから地域の産業の中心としての位置づけということをきっちりやって、やはり基盤整備を中心に進めていかなきゃいかぬというふうに考えております。
  105. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄は離島が多い関係で、特に長さが東西千キロで幅が四百キロというふうな海面を擁しているわけですから、沖縄における水産業というものはなおそれ以上に生産を高めなければいけないということが必要だと思いますけれども、例えばクルマエビの養殖、それは国としてはまだまだ生産量を高めるというふうな位置づけはあるんですか、ちょっとお答えください。
  106. 東久雄

    政府委員(東久雄君) 養殖全体といたしまして、これは過剰生産になれば必ず値段ががくんと落ちるという性格がございます。そういう意味で、今、日本の国内での養殖による供給というのはちょうど消費と見合った状態になっておりまして、消費の伸びを見ながら進めていかなきゃいけないということだと思います。  ただ、一番の問題は魚病でございます。今後、海外からの魚病の侵入等を防がなければならぬということで、今回法律もお願いしております。沖縄ではまだ発生いたしておりませんが、九州の一部のクルマエビ養殖場で魚病が発生したために全滅をするという状態がございます。そういうことはよく気をつけながら養殖の振興、それはつくり過ぎない程度の振興、モズクの例に見られるわけでございますが、そういう方向で進めていかなければならぬというふうに考えております。
  107. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ありがとうございます。時間ですから終わります。
  108. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 以上をもちまして、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十九分散会