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井上吉夫君 きょうは十時よりちょっと前に、私
ども同僚松村議員と
一緒に、一時間という
番組をできれば少し節約し、
予算委員会に間に合うように終われということでもございますので、用意した質問の中で若干の割愛はせざるを得ないと思います。
そこで、三
法案は私は全体として非常によく仕組まれていると思います。ただしかし、本当にこれでもって
林業がどんどんよくなるなというぐあいになるには、そう二年や三年でとても
長官が考えているような筋書きを、全職員が全く同じような意識を持ちながら一生懸命踏ん張ってみても、容易でないと思います。
というのは、
流域単位でやっていこうという五年前の
森林法の
改正も、百五十八の
地域は実際はまだ
協議会ができたばかりというところが大部分だと思うんです。本当にそれが効果ある行動を起こしている
地域というのは、
林業白書などに書いてある幾つかの、恐らく一けたぐらいの
地域がようやく本当の意味の
実働体制に入っているというぐあいに思いますというと、今度の
林野三
法案が、なるほどこれでやっぱり
国産材時代という名にふさわしい
内容になったなというには容易ではないと思います。
したがって、今一番大事なのは何なのかなというと、
人工林は二千五百万ヘクタールの中の一千万ヘクタール、約四割、大体このくらいがほどほどではないのかな。山を仕立てる場合に一番
経費のかかるのは、一番初めの地ごしらえから植えつけの
期間であります。その
期間は一千万ヘクタールを到達して、今新しく
造林をしようという
林家はほとんどありません。切った後植えてくれるのは
森林開発公団なりあるいは各県にあります
公社ぐらいのものでありまして、
個人造林というのはほとんどもう見るべきものはありません。
私は
昭和三十六年から今日まで我が町の
森林組合長をやっておりますが、その間の歴史をずっと見てみますと、大体
年平均四十ヘクタールぐらいをずっとやってきました。
平成に入りましてからはこれは一けたであります。二、三年前は三ヘクタールであります。そして、二十ヘクタールから三十ヘクタールを
公団がかわってやってくれているという姿であります。
ということは、今必要なのは何かといえば、せっかく植えた山を立派に手入れをするという、
間伐を徹底して実行するというのが今一番大事な
山の手入れであります。このことに向けて全力を投入していただきたいということを考えますので、その
取り組みについての考え方をまず聞きたい。
それからもう
一つは、これも時間がありそうにありませんので、実は去年、
林業税制の中でもう少し
概算経費を、今の
税制の四〇%では
概算経費にはとても足りないよ、最低四五ないし五〇%ぐらいの
概算経費を考えないというと、
林家はだれも新しく山に手を入れようという
気持ちはわいてこない。そういうこともあって、実は
林野庁はぜひともこの際に
概算経費率を上げたいなということで要求したはずです。最終的にこれが実は認められませんでした。
何もこれは今に始まったことではなくて、いろんな
議論の過程の中で四〇%の
概算経費になったのは
昭和六十二年であります。それから八年たっております。そのときから既に用意されております
林業税制の中では、御
承知のとおり五分五乗
課税方式が
一つ、
森林計画の
特別控除が二〇%、さらに
基礎控除五十万円がある、そういうもので他の
税制よりも優遇されているではないかというのが主税の側の、実はそんなにあれもこれもいじるわけにいかぬという理屈の基本だったと聞いております。
しかし、
昭和六十年以降、継続してどんどん
材価は横ばいないし下落であります。この間の
人件費の
増嵩を計算してみますと、当然のこと、
概算経費率は少なくとも四五ないし四六%ぐらいにしなければ実情に合わない。そのことは、もっともっと詰めた
議論をするならば、去年の
税制改正の段階で答えとして出てきていなければならなかった問題だと私は考えます。
しかし、年末の
税制改正の際に成功することはできませんでしたが、このことは去年で終わりではないんです。ことしはもっと
状況が悪くなっているということもありますから、
平成八年度に見送られたこの
措置を少なくとも
平成九年度にはぜひ認めさせなきゃならぬ、認めてもらわなきゃならぬという交渉をしていただかなきゃならぬと思います。これへの
取り組みをどういうぐあいに考えておられるかということをお伺いをしておきたいと思います。
それから、時間がありませんのであわせて答えていただきたいと思いますが、
我が国の
森林所有の
実態というのは、御
承知のとおり二百五十万の
林家のうち九割以上は実は五ヘクタール未満の
零細林家であります。これがもっともっと大きなまとまりならば能率が上がるんだという、そういうとらえ方もあるでしょうが、実を言いますと、戦後荒れ果てた山を営々と
造林をしてきた
主力部隊はこの
人たちであります。この
零細規模の
林家の
方々がいなければ、今の山はでき上がっていないと思うんです。私は
自分の
森林組合の
実態から見てもわかるわけでありますが、
自力で
造林をやっている人は大体この層であります。十ヘクタールとか二十ヘクタール以上の
林家というのはほとんどが
森林組合の
作業班に頼まなければ、
自分で
造林ができるという
人たちはごくまれであります。
ということを考えますと、
林業労働力の
対策の
対象者は、
自分の
手山を
自力でやるという
零細林家の
人たちが、その残された余力と経験を
森林組合の
作業班員として支えてくれているというのが実は
林業の
実態であるということをしっかりと認識しなきゃならぬ。
労働対策もこういう
対象を踏まえながら対応を考えていかなきゃならぬと私は考えております。
そして、これから先の大
規模林家の山を
作業してくれる人というのは、一般的な
林家の
施業委託という形でだれでもに求めてもこれはもう無理であります。やれるとすれば、
森林組合の
作業班というのをもっと力強いものに育て上げていって、それがこれから先の山を育て上げる
主力にならざるを得ない。これは
施業担当者が
公団であれ
公社であれいずれも同じであります。一番大事なのは、大きな
ロットでできるだけ安く
育林から
加工まで、そして最後のところまで届くという、そういうことを考えている今度の
法律の
最大のねらいと、
林業白書のねらいも含めてやるとする場合、最終的にやっぱり一番大事なのは優秀な
林業労務者を
確保することだということになると思います。
この
人たちに対するいわば
労働環境というものをどう整えるかということの細目をこの機会に
議論する時間はありませんが、ぜひそういう
あたりを考えながらしっかりこの三
法案が生きてくるようにやっていただきたいなということを申し上げて、私の持ち時間はもうごくわずかでありますから、残りは
同僚の
松村議員に続けていただくことにいたしまして、以上についてのお答えをいただきたいと思います。