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1996-04-26 第136回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月二十六日(金曜日)    午前九時開会     —————————————    委員の異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      佐藤 静雄君     山本 一太君      菅野 久光君     上山 和人君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 貞敏君     理 事                 青木 幹雄君                 服部三男雄君                 風間  昶君                 常田 享詳君                 谷本  巍君     委 員                 井上 吉夫君                 岩永 浩美君                 浦田  勝君                 佐藤 静雄君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 阿曽田 清君                 北澤 俊美君                 高橋 令則君                 都築  譲君                 上山 和人君                 菅野 久光君                 村沢  牧君                 須藤美也子君                 国井 正幸君                 島袋 宗康君    国務大臣        農林水産大臣   大原 一三君    政府委員        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産技術会        議事務局長    山本  徹君        林野庁長官    入澤  肇君    事務局側        常任委員会専門        員        秋本 達徳君    説明員        環境庁自然保護        局国立公園課長  下   均君        文部省教育助成        局施設助成課長  玉井日出夫君        通商産業省生活        産業局住宅産業        課長       高橋 武秀君        労働大臣官房審        議官       吉免 光顯君        建設大臣官房官        庁営繕部営繕計        画課長      田村 至敏君        建設省住宅局建        築指導課建築物        防災対策室長   佐々木 宏君        自治省財政局調        整室長      岡本  保君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫  定措置法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○林業労働力確保促進に関する法律案内閣  提出衆議院送付) ○木材安定供給確保に関する特別措置法案  (内閣提出衆議院送付) ○生物系特定産業技術研究推進機構法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案林業労働力確保促進に関する法律案木材安定供給確保に関する特別措置法案、以上三案を一括して議題といたします。  三案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 井上吉夫

    井上吉夫君 林業法案の審議に当たりましてトップバッターを仰せつかりました、自民党井上吉夫でございます。  たしか昨年四月二十七日だったと思いますが、ちょうど一年前に緑の募金による森林整備等推進に関する法律、いわゆる緑の募金法議員立法によって成立をいたしました。私もこの法律成立を、山を愛する議員の一人といたしまして、何としても四月二十九日のみどりの日には間に合わせたいなという願いを込めながら走り回った一人でありますだけに、この法律の制定、そして一周年を迎えたことし、御承知のとおり四月二十三日から二十九日までの一週間全国一斉のキャンペーンが実施されていること、皆様御承知のとおりであります。きょうは仲間皆さん方の中に残念ながら緑の羽根がついていない人がおられますが、いずれまたお帰りになったら必ずつけてほしいなと思います。きょうはちょうどその週間の中日に当たります。  参議院予算委員会の模様を見てみましても、総理を初め全閣僚が緑の羽根をつけておられました。大変心強く感じた次第であります。恐らく大原大臣が二十三日の閣議の際にこの週間趣旨説明されたことが、やっぱりそろって羽根をつけて予算委員会に臨むということに大きくつながったのではないかなと実は思っているわけであります。  国土緑化推進機構が主催いたしまして、東京でも多彩な行事計画をされておるようでありますが、恐らく全国の都道府県でこの運動が大きな広がりを持って展開されていると思います。一年前に通過をいたしましたこの緑の募金法が、本当に年を追うごとに国民に緑の大事さというものを周知徹底し、そしてこれが大きな広がりを持って展開することを心から希望する者の一人であります。この際、改めて緑の募金運動の定着に向けての大臣取り組み気持ちを聞きたいわけであります。  もう一つ、実は二十三日、私はNHKのテレビを見ておりました。「おはよう日本」の中で、私が見ておりましたのはちょうど六時四十分ごろでございましたが、「ビジネストレンド」という小宮山さんがたしかキャスターだと思いますが、それを見ておりますと、東京の木で家を造る会というのが番組に出ておりました。大体四、五分の番組でありましたけれども、私はこの番組を見まして非常に心強く思いました。  したがって、この緑の募金国民への周知徹底は、募金をお願いするという活動とともに、集まった基金をどういう形で使っていくかという使い方が、国民の多くに山の大事さ、緑に対する関心をより深めるということにまたつながっていくと思います。  この番組の中から私は詳細はわかりませんでしたけれども、実はきのうNHKに問い合わせてみました。このグループは工務店が八社、製材所が三社、林業者が八人、設計事務所七社の二十六人でこの東京の木で家を造る会が構成をされておるようであります。そのほかに、メンバーのいわば外回りの、これを活用しながら関心を持って一緒にやっていこうとする、東京の山を育てるというそういう仲間皆さん方が百人前後おられると聞きます。  私は、きょうまで時間がありませんでしたけれども、この後時間を見てこの会の皆さん方にぜひ会いたいなと実は思っているわけであります。問い合わせてみましたら、この会の会長は長谷川敬という建築家の方でありまして、東京都の国分寺に住まいをしておられます。NHK「おはよう日本」の佐々木というディレクターと連絡をとってこのことがわかりました。林野庁関係皆さん方、同時にこの事業を受け持ってくれておりますいわば緑の募金関係者皆さん方も、ぜひひとつこの会の生い立ちなりあるいはどういう事業をやっておられるのか見ていただきたい。  恐らくこの際に非常に苦労されたであろうと思うのは、その番組の中で、皆さん一緒に山に入って、作業されるそのものではありませんでしたけれども、山を回っておられる姿、それから製材所でできた製品のよしあしなどの説明を聞いておられる姿、そして東京の木で家をつくったというユーザーの方の写真が出ておりました。そして、少しばかり高くはつくけれども、しかしそう外材に比べてめちゃくちゃに割高というほどでもない。ふんだんに地元東京の木を使って、この木に囲まれた住まいの中から本当にぬくもりに満ちた生活の場を喜んでいるということを言っておられました。  私は、この際、今申し上げましたように、せっかくでき上がりました法律が、本当に多くの国民皆さん方にみずからの体験を通して緑の大事さをさらに知ってもらってどんどん広がりを見せていくということのために、途中でも申し上げましたように、この活用の仕方の中にぜひこのことを頭に入れてやってほしいなと。  恐らく一番苦労されるのは、対象となる山を借りて、そして多くの皆さん方一緒に山を行くという、対象の山を見つけるということ。どういう作業の仕方をするか、インストラクターの適材を求めるということなどが大変苦労されたであろうと思います。この基金がさらに大きな広がりを見せるためには、このあたりがこの基金活用の中で立派に用意をされますと、恐らくこの広がりが大きく展開をされていくというぐあいに思います。  そういう感想を持ちましたので、予算委員会における各閣僚が緑の羽根をみんなつけておられるということ、そしてそのことからうかがえる大臣の意気込みも感じながらも、今申し上げましたような事例も含めて、このことが大きな広がりを見せていくために、その取り組みに向けての大臣のお考えをまずお聞きしたいと思います。
  4. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 井上委員初め各先生方の大変な御努力で、議員立法でこの緑の募金が本格的な軌道に乗っかることができましたことを心から感謝申し上げたいと思います。  今おっしゃいましたように、二十三日から二十九日までこの運動を展開するわけでございますけれども、先ほどの総理府の世論調査にもございましたように、国民の緑に対する関心は非常に高うございます。何らかの形で緑の行事なりボランティアに参加をしたいという方が七割を超えているわけでございますので、こういう関心高まりも、一つにはこういう議員立法で体系化させていただいたおかげだと、こう思っております。  問題は、募金活動をどのように効率的にしかも効果的に推進するかということでございまして、我々としても、そういう国民の中の高まりをどのように吸い上げ、そして所期の目的を達成するかということについて、大変腐心をしているところでございます。マンネリ化した行事だけやっていてもいかぬのではないのかなという感じも持っていますけれども、いずれにしましても、平成元年から行われてきております募金活動が、この法制化一年目にさらなる成果を上げるように、我々としても積極的に努力をしていきたいと思っております。  閣議でも、どうかひとつ二十九日まで全員おつけいただくようにと要請をしたところでありますが、けさも閣議がありまして、二人ばかり洋服をかえてきたというので早速忠告をいたしまして、秘書官につけるようにと言いましたら、閣僚皆さんがああそうかそうかと言って慌ててつけていただいた状況もございます。どうかひとつ国会議員、特に農林水産委員会皆さん方には、この推進方に対してお世話になっておりますが、さらなる御協力をぜひともお願い申し上げたいと思います。
  5. 井上吉夫

    井上吉夫君 どうもありがとうございました。  加えて申し上げますと、実は担当方々に御相談をして、衆議院参議院議員会館に緑の羽根募金箱を用意してあります。来館する人たちみんなが、なるほどこれだという感じを持つまでには、それは一年や二年では定着しないと思います。  それぞれの担当方々大変理解をしてくれまして、すべての会館、私の所属する自民党本部募金箱を用意してあります。  大臣のさらなる取り組みをお願いしておきます。  ところで、我が国林業は、昭和三十年代、四十年代におきましては、材価も大変堅調でございました。さらに、造林補助金という制度が本当に有効に機能をいたしました。この時期には造林面積もどんどんふえてまいりましたし、山に対する関心は、黙っていても良好な材価というのが支えてくれました。政策もそれに十分見合ったと思います。実は私が造林を始めたのは昭和三十一年からでございますから、ちょうどこのころであります。  そのころ、たまたまおやじが若いとき仕立ててくれた山がちょうど切りどきのやつがありました。その杉の一立方で大体十一人の人夫が雇えました。一立方材代でもって大体十一人の人夫が雇えたのがその当時でありました。もちろん四十年代に入りますと、これは七人とか八人とかということでありますれども、通して言うならば、実は十人なり十一人雇えたんです。今ではこれが一立方材代で一人の人夫しか雇えません。  昭和三十九年の木材輸入自由化以降、円高の進行などによりまして、外材輸入量がどんどんふえてまいりました。二二%余り国産材であって、七七%余りが実は今の外材依存率であることは既に御承知のとおりであります。こういう厳しい経営環境に置かれておりますので、この際、そういう状況の中で何とかしなければならないという思いが今度の林野法案という形でまとめられたと思います。  中身については、五年ほど前に森林法改正いたしまして、国有林であれ私有林であれみんな一緒になって流域単位で仕事をやっていく、大きなロット作業を進め、そして加工、利用も進めていくという、そのことを今度の法律の中でもまとめ上げたものだと思います。  流域を中心とする森林林業及び林産業活性化に向けての基本的な枠組みを確立するというのが今度の法律最大のねらいだと思うんですが、このことを含めて、今回提出された林野法案内容をひとつ御説明をいただきたいと思います。  林野庁長官からお願いします。
  6. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) ただいま御指摘がありましたとおり、戦後我々の先輩諸氏が大変な労苦を重ねまして世界に誇る一千万ヘクタールの人工造林をやったわけでございます。もうあと五年もしますとこれが伐期適齢期になりまして、マーケットを求めてその準備を今しているわけでございます。  ところが、今御指摘がありましたように、外材が八〇%近くを占めるというような状況のもとで我が国林業はあえいでいるという状況でございます。私も就任以来、現地に行きまして見ました。  森林組合では、材価が低迷するために、毎日の材価を見ながら木を切ったり切らなかったり、一喜一憂しております。原木市場に行きますと、国産材が入ってこないものですから、せっかく市場を開設してもこれが十分に機能しない。製材工場へ行きますと、国産材が十分に来ないものですから、せっかく施設整備をしたけれども操業がうまくいかない。こういう状況でございまして、川上から川下まで三すくみの状況でございます。  国産材時代が来る、あるいは流域管理システムを確立するんだというかけ声で我々はいろんな手を打ってきたんですけれども、このままではそういう状況を実現するのはなかなか難しい。思い切って川上から川下まで林業活性化林産業活性化を図らなくちゃいけないという気持ちがありまして、この三法を提案したわけでございます。  具体的には、山村に住んで林業主業として特用林産物とかなんかを含めながら所得確保して、そして山を整備していく。意欲のある林家あるいは森林組合造林公社等によって、間伐が進んでいませんのでその間伐を十分進める、森林を整備するということが一つでございます。  もう一つは、何といっても大事なことは国産材の需要の拡大であります。外材に対抗して十分に商品価値を主張し得る国産材マーケットに供給するにはどうしたらいいか、その条件整備をするための仕組みを考えたわけでございます。  さらに、林業の担い手である労働力を十分に確保しようと思いまして、この三法を提案したわけでございます。
  7. 井上吉夫

    井上吉夫君 きょうは十時よりちょっと前に、私ども同僚松村議員一緒に、一時間という番組をできれば少し節約し、予算委員会に間に合うように終われということでもございますので、用意した質問の中で若干の割愛はせざるを得ないと思います。  そこで、三法案は私は全体として非常によく仕組まれていると思います。ただしかし、本当にこれでもって林業がどんどんよくなるなというぐあいになるには、そう二年や三年でとても長官が考えているような筋書きを、全職員が全く同じような意識を持ちながら一生懸命踏ん張ってみても、容易でないと思います。  というのは、流域単位でやっていこうという五年前の森林法改正も、百五十八の地域は実際はまだ協議会ができたばかりというところが大部分だと思うんです。本当にそれが効果ある行動を起こしている地域というのは、林業白書などに書いてある幾つかの、恐らく一けたぐらいの地域がようやく本当の意味の実働体制に入っているというぐあいに思いますというと、今度の林野法案が、なるほどこれでやっぱり国産材時代という名にふさわしい内容になったなというには容易ではないと思います。  したがって、今一番大事なのは何なのかなというと、人工林は二千五百万ヘクタールの中の一千万ヘクタール、約四割、大体このくらいがほどほどではないのかな。山を仕立てる場合に一番経費のかかるのは、一番初めの地ごしらえから植えつけの期間であります。その期間は一千万ヘクタールを到達して、今新しく造林をしようという林家はほとんどありません。切った後植えてくれるのは森林開発公団なりあるいは各県にあります公社ぐらいのものでありまして、個人造林というのはほとんどもう見るべきものはありません。  私は昭和三十六年から今日まで我が町の森林組合長をやっておりますが、その間の歴史をずっと見てみますと、大体年平均四十ヘクタールぐらいをずっとやってきました。平成に入りましてからはこれは一けたであります。二、三年前は三ヘクタールであります。そして、二十ヘクタールから三十ヘクタールを公団がかわってやってくれているという姿であります。  ということは、今必要なのは何かといえば、せっかく植えた山を立派に手入れをするという、間伐を徹底して実行するというのが今一番大事な山の手入れであります。このことに向けて全力を投入していただきたいということを考えますので、その取り組みについての考え方をまず聞きたい。  それからもう一つは、これも時間がありそうにありませんので、実は去年、林業税制の中でもう少し概算経費を、今の税制の四〇%では概算経費にはとても足りないよ、最低四五ないし五〇%ぐらいの概算経費を考えないというと、林家はだれも新しく山に手を入れようという気持ちはわいてこない。そういうこともあって、実は林野庁はぜひともこの際に概算経費率を上げたいなということで要求したはずです。最終的にこれが実は認められませんでした。  何もこれは今に始まったことではなくて、いろんな議論の過程の中で四〇%の概算経費になったのは昭和六十二年であります。それから八年たっております。そのときから既に用意されております林業税制の中では、御承知のとおり五分五乗課税方式一つ森林計画特別控除が二〇%、さらに基礎控除五十万円がある、そういうもので他の税制よりも優遇されているではないかというのが主税の側の、実はそんなにあれもこれもいじるわけにいかぬという理屈の基本だったと聞いております。  しかし、昭和六十年以降、継続してどんどん材価は横ばいないし下落であります。この間の人件費増嵩を計算してみますと、当然のこと、概算経費率は少なくとも四五ないし四六%ぐらいにしなければ実情に合わない。そのことは、もっともっと詰めた議論をするならば、去年の税制改正の段階で答えとして出てきていなければならなかった問題だと私は考えます。  しかし、年末の税制改正の際に成功することはできませんでしたが、このことは去年で終わりではないんです。ことしはもっと状況が悪くなっているということもありますから、平成八年度に見送られたこの措置を少なくとも平成九年度にはぜひ認めさせなきゃならぬ、認めてもらわなきゃならぬという交渉をしていただかなきゃならぬと思います。これへの取り組みをどういうぐあいに考えておられるかということをお伺いをしておきたいと思います。  それから、時間がありませんのであわせて答えていただきたいと思いますが、我が国森林所有実態というのは、御承知のとおり二百五十万の林家のうち九割以上は実は五ヘクタール未満の零細林家であります。これがもっともっと大きなまとまりならば能率が上がるんだという、そういうとらえ方もあるでしょうが、実を言いますと、戦後荒れ果てた山を営々と造林をしてきた主力部隊はこの人たちであります。この零細規模林家方々がいなければ、今の山はでき上がっていないと思うんです。私は自分森林組合実態から見てもわかるわけでありますが、自力造林をやっている人は大体この層であります。十ヘクタールとか二十ヘクタール以上の林家というのはほとんどが森林組合作業班に頼まなければ、自分造林ができるという人たちはごくまれであります。  ということを考えますと、林業労働力対策対象者は、自分手山自力でやるという零細林家人たちが、その残された余力と経験を森林組合作業班員として支えてくれているというのが実は林業実態であるということをしっかりと認識しなきゃならぬ。労働対策もこういう対象を踏まえながら対応を考えていかなきゃならぬと私は考えております。  そして、これから先の大規模林家の山を作業してくれる人というのは、一般的な林家施業委託という形でだれでもに求めてもこれはもう無理であります。やれるとすれば、森林組合作業班というのをもっと力強いものに育て上げていって、それがこれから先の山を育て上げる主力にならざるを得ない。これは施業担当者公団であれ公社であれいずれも同じであります。一番大事なのは、大きなロットでできるだけ安く育林から加工まで、そして最後のところまで届くという、そういうことを考えている今度の法律最大のねらいと、林業白書のねらいも含めてやるとする場合、最終的にやっぱり一番大事なのは優秀な林業労務者確保することだということになると思います。  この人たちに対するいわば労働環境というものをどう整えるかということの細目をこの機会に議論する時間はありませんが、ぜひそういうあたりを考えながらしっかりこの三法案が生きてくるようにやっていただきたいなということを申し上げて、私の持ち時間はもうごくわずかでありますから、残りは同僚松村議員に続けていただくことにいたしまして、以上についてのお答えをいただきたいと思います。
  8. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まず、間伐促進につきまして御説明申し上げます。  間伐が進まない原因は、今先生がおっしゃったとおりであります。材価が安くて所得を山に還元できない、さらに零細な林家が九割を占めるということ、それから不在村の山林所有者が非常にふえちゃったこと、こういうことから間伐が進まないわけでございますが、今回の法律案におきましては、森林組合造林公社、意欲的な林家等によりまして、受委託の促進によりましてまず間伐を整備したい、やっていきたいと思っています。  従来からも間伐に対しましては各般の努力をやってまいりましたけれども、さらに間伐のピークの齢級、これが三十一年から三十五年生に移行していますので、これからは六齢級から七齢級まで補助対象を広げるというふうなこともやっていきたいと思っていますし、林道事業造林事業、それぞれの中で間伐についての予算措置を拡充しております。  それから、税制につきましては御指摘のとおり、大変な強い要求を大蔵省に対してやったのでございますけれども、なかなかうまくいかなかった。  そこで、平成九年度の税制改正要望につきましては、税制措置こそが経営対策として即効性があるということをもっと主張し、それからさらに、今回林業関係法案提出していることもありますので、昨年の経緯を踏まえまして、既存税制との調整を図りながら、林業経営対策として有効な税制措置について幅広く我々も勉強し、また大蔵省に勉強してもらいまして、適切に対処をしていきたいというふうに考えております。  それから、労働力確保あるいは零細のそれぞれの林家の必要性あるいは役割、これは十分に念頭に置きながら今回の三法の運用に当たってまいりたいと考えております。
  9. 松村龍二

    松村龍二君 自由民主党の松村龍二でございます。  本年二月二十三日の本委員会におきまして、大原大臣入澤長官に対しまして、私の地元の林業の動向も踏まえながら、林業木材産業の展開方向あるいは林業労働力対策についてお尋ねしたところでございます。  本日は、いよいよ林野法案提出されたわけでありますが、ただいま井上先輩から大所高所に立ちました御質問がありましたので、私からは各法案内容についてお伺いしたいと思います。  私も、平成三年、九州管区警察局というところに勤務しておりまして、秋に襲いました台風によりまして日田地方を中心に九州地方の美林が本当に根こそぎ壊滅状態になったという状況を目の当たりにいたしまして、間伐の重要性、あるいは森林に対する手入れの問題等について、痛感したことがございます。また、私の地元福井県におきましても、非常に植林に熱心な県でございましたけれども、ただいま篤農家と申しましょうか、一生懸命林業に努めている方が報われないという時代を必死になって切り開いているところでございます。  このような意味におきまして、本三法案提出が行われたということは、大臣初め林野庁当局の大変な御尽力のたまものであると敬意を表する次第でございます。地方、現場の方でも、この三法案の一刻も早い成立を心待ちにしていることをつけ加えさせていただきまして、質問に入らせていただきます。  まず、いわゆる林業経営基盤の強化法案についてでありますが、本法案森林施業の受託等を通じた経営規模の拡大と林家所得の向上による経営基盤の向上を図ることが大きなねらいであると理解しております。  全国共通の問題だと認識しておりますが、福井県下でも零細、小規模な林家がほとんどで、五ヘクタール未満の林家戸数が八六%となっております。林業だけで成り立っていくためには五百ヘクタールが必要であるという試算もあるようでございます。また、不在村者所有森林面積も増加しておりまして、不在村者所有面積率の高い市町村では七六%にもなっており、その山村では過疎化に加えて行政的にも大変苦労していると聞いております。  木材価格の低迷などを背景に林家の山離れが進んでいる中で、これら零細な林家や不在村者所有森林の施業の受託等を通じて適切な森林整備を推進しょうとすることは、水源涵養などの公益的機能の維持、確保の観点からもまことに時宜を得たもので、そのねらいについては大賛成でありますけれども、その具体的な促進となると大きな困難を伴うと思われます。  そこでまず、今回この二つの法律の一部改正により、その林業経営の規模拡大をどのように促進しようとしているのか、お伺いします。
  10. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 我が国森林の所有構造につきましては、今先生指摘のとおりでございます。  経営規模拡大には二つの方法があると思います。一つは林地取得によりまして拡大する、もう一つは施業の受委託によりまして経営全体を拡大していく。今回の法律改正では、地域林業を担うべき者を育成するために、林業経営の規模を拡大しようとする者が経営改善計画を作成いたしまして、それを知事が認定して、その計画に従って規模拡大を図る場合に種々のメリット措置を講ずるということでございます。  新たな林地取得による育林業の規模拡大をする場合には、林地取得資金の償還期限を延長する。  これは農林漁業金融公庫資金でございますが、従来は二十五年で原則一括償還だったんですが、今回は三十五年に延長しまして、二十五年の据置期間を設けました。  さらに、特用林産物等との複合経営の拡大によって経営規模を拡大しようという場合には、林業改善資金の中に新林業部門導入資金を設けました。これにつきましても、従来の償還期間十年を十二年にする。  さらに、森林施業の受託によって規模拡大をするということに対しましては、林業用機械等の割り増し償却を行う、あるいは奨励金を行う、無利子の資金を供給する、いろんな誘導措置法律の制度にあわせましてとることによりまして目的を達成していきたいというふうに考えております。
  11. 松村龍二

    松村龍二君 ただいまお話がございましたように、林家所得の向上の観点からですが、近年、材価の低迷あるいは労賃等の上昇により林家所得も落ち込み、林業経営はほとんど成り立たなくなっているのが実情であります。  このような中で、林業経営を改善することを目的として長伐期施業、特に福井県のような雪国では長伐期施業が大変有利であるといいましょうか必要である状況でございますけれども、キノコ、薬草あるいは炭などの特用林産物との組み合わせを想定した新林業部門導入資金を創設しようとしており、これについては評価するわけでありますが、林家所得確保のためには、特用林産物だけではなく、農山村の豊かな自然を背景としたグリーンツーリズムなどのための民宿や観光部門の開始についても助成すべきではないのか、この点についてお伺いします。
  12. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 御指摘のとおり、林家所得確保するためには、林業主業として特用林産物であるとか観光農業あるいはグリーンツーリズム、民宿等による所得確保、こういうことも必要であると考えております。  特に、今御指摘のグリーンツーリズムに関連する施設の導入につきましては、従来から共同利用に係る施設につきましては林業構造改善事業の補事業で対応しておりますし、個々の林業経営体が行う施設整備事業につきましては、農林漁業金公庫資金におきまして民宿あるいはキャンプ場、休養施設等の整備、あるいは風致施業の推進などに対して低利融資を行っているわけでございます。  さらに、今回の法律をきっかけといたしまして平成八年度におきましては、新たに農山村における滞在型の余暇活動施設の整備を推進するという名目のもとに、林家が民宿を設置する場合には林業構造改善事業に係る融資事業で対応するというふうに新しい工夫も凝らしております。
  13. 松村龍二

    松村龍二君 次に、林業労働力確保促進法案についてお尋ねいたします。  林業労働力確保には、二つの視点があると思われます。すなわち、若い優秀な労働力確保とそれを雇用し支える林業事業体の強化が考えられるわけでありますが、ここではそのうち労働力確保についてお伺いしたいと思います。  若い労働力についていえば、雇用条件のいい森林組合では都市部から若い労働者が入ってきておりまして、求人広告あるいはヤング向けの求職雑誌等への反響も高いなど、若い人を中心に労働意識の多様化が進んでいると思われます。  福井県でも名田庄村、和泉村、若狭の各森林組合などが、県森連がまとめ役になり、首都圏や京阪神地区から若手労働者を募集、採用するなど努力しておりまして、その雇用はもちろんでありますけれども、定着してもらわなくては意味がないわけであり、その条件整備が喫緊の課題となっております。名田庄村等におきましては、村が森林組合に補助金を出してそういうような若い都会からの労働者の給与を一部負担するというような意気込みでやっておりまして、定着もかなりいいというふうに聞いております。  本法案におきましては、第十一条において各都道府県に労働力確保支援センターを指定するとされておりますが、若い優秀な労働者の雇用、定着のためにこの法案における支援センターの果たす役割、またその事業内容についてお伺いします。  林野庁、労働省それぞれその支援措置はいかがか、お伺いします。  また、あわせて伺いますけれども、本法案では、第十三条において委託募集の特例について規定しておりますが、さきの森林組合の募集活動のような例も対象になるのかも含め、委託募集の特例適用を受けることができるのはどのような場合か、お伺いします。  また、委託募集の具体的な内容または方法について、公共職業安定所はどのような指導を行うのか、お伺いいたします。
  14. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まず、私からお答え申し上げます。  今、御指摘がありましたように、福井県の名田庄村のように非常に積極的に新規採用活動を行っているところもございます。  今回、こういうふうな優秀な事例をモデルにいたしまして法案を考えたわけでございます。各都道府県に今御指摘のように林業労働力確保支援センターというのを設けますけれども、この支援センターを拠点といたしまして、都市部での募集を含めまして、広域的な募集が効果的かつ効率的に実施できるようにするということ。そのために、後で答弁があると思いますけれども、職安法の特例措置として委託募集もできるようにさせてもらったわけでございます。  さらに、新規に就業する場合に必要となる移転とかあるいは事前の活動に要する資金も無利子で貸し付けるということにいたしました。  さらに、林業への就業に必要な林業技術を実地に習得させるための研修も実施するというふうなことにいたしておりまして、募集の段階から一人前の労働者として活動できるというふうになるまでの支援措置を継続して支援するということにしているところでございます。
  15. 吉免光顯

    説明員吉免光顯君) 林業労働力確保支援センターで労働省の方の関係で申し上げますと、雇用関係がはっきりしなかったり不安定というようなことがございますので、まずやはり雇用管理の改善を図る、そういう観点から、あるいは一つには雇用管理の改善の相談、指導をいたしましたり、あるいは雇用管理を担当する人たちの資質を向上するということで研修を行いましたり、それから、ただいま先生からも御指摘ございましたけれども、労働者募集について委託募集の特例という形を設けさせていただきまして採用活動を改善する。例えば、先ほども先生指摘ございましたけれども、いろいろな形で募集をすることが可能でございますけれども、事業所の内容につきまして、いろんな形でいろんな資料を一緒につくりましたり、あるいは説明会を一緒に開催をする、そういったようなことを進めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。  それで、この委託募集の特例でございますが、職業安定法の特例として実施をしたいというふうに考えております。これができる場合ですけれども、複数の事業主とこのセンターの共同の申請に基づきまして改善措置についての計画の認定を受けた事業主が、このセンターに林業労働者を募集することを委託する場合に特例を設けていきたいというふうに思っております。労働大臣に許可を受けることなく募集の時期あるいは人員等々につきまして届け出をしていただくということで、やりやすい形になるように実はしていきたいというふうに思っているわけでございます。  公共職業安定所の方では、その際の募集のいろんな方法でありますとか、あるいはどういう時期がいいのかとか、あるいは募集人員等について相談、指導をさせていただきたいと思っておりますし、求職者の動向でありますとか、どんな方向に働く人の意識が向いているか、そういった情報提供もあわせていろんな形で支援をしてまいりたいというふうに思っております。
  16. 松村龍二

    松村龍二君 次に、木材安定供給確保についてお伺いします。  林業白書を見ますと、平成六年の用材の自給率は二二・四%に低下し、木材産業を取り巻く情勢は、円高等に伴う製材品の輸入の増加等により、国内の木材産業界は低迷しているのが実情であります。  今後、真の国産材時代を実現していくためには、外材と比べて国産材の流通ロットが小さく不安定であるという問題点を何とか解決しなければならないのであります。このため、従来から国産材の供給体制の整備を行ってきたことは理解しておりますが、本法案による対策とこれまでの国産材供給体制の整備方策との関連についてお伺いします。  時間の都合もありますので、あわせて質問させていただきます。  特に、国産材の供給体制の整備を図っていく上で、生材は狂いやすいため住宅部材としての木材の品質管理を徹底する必要があることや、プレカット加工には乾燥材が必要であることなどから乾燥材の供給が重要であると考えておりますが、県下でも乾燥材の割合は一割程度と低位にとどまっております。  そこで、乾燥施設等の設置に対する助成措置等を含め、今後、乾燥材の普及に向けてどのような対策を行うこととしているのか、お伺いします。  以上でございます。
  17. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 我が国木材の供給状況につきましては、今先生指摘のとおりでございまして、非常に質が安定しない、あるいはロットが小さい、そういうことのために国際競争力がありませんし、また製材工場から出荷する段階におきましても競争力がないわけでございます。  このような状況につきましては、しかし、各地で大変な努力がなされております。例えば、百五十八の流域の中の十九の流域におきましては、年間原木消費量一万立方以上の製材工場が二十五工場も稼働しておりますし、このうち四工場につきましては年間原木消費量三万立方以上となっております。この一万立方から三万立方の消費量がありますと、十分に国際的にも競争できるコストになっております。  したがいまして、今回の法案におきましては、外材に対抗し得るだけの条件を整備するということで、森林組合連合、山元から製材工場群に対して一定の期間安定的にロットがまとまって出てくるような仕組みを、計画という制度を法律の中に入れまして担保したわけでございます。さらに、これが案現できるようにするために、立木または素材の安定的な取引のための必要な低利運転資金の融通措置予算措置として講ずることにしたわけでございます。  さらに、こういうことをやるためにいろんな施設整備を行いますけれども、その施設整備を行う場合には、森林法だとかあるいは保安林の解除の許可手続だとか、いろんなことを経なくちゃいけませんので、これらにつきましても特例措置を講じて、簡素化、合理化を図ることにしているわけでございます。  それから、もう一つのお尋ねの乾燥施設でございますが、確かに人工乾燥、これが急務の課題でございます。我が国の乾燥材の普及率は、今、福井県では一〇%と申されましたけれども、国全体では六%程度でございます。北米は五五%。このことが我が国の材の競争力を低くしている一つの大きな理由でございます。  そこで、今までいろんな援助措置を行っているところでございます。現在、乾燥施設は全国で千四百四十六製材工場において導入しておりますけれども、これではもちろん十分ではありません。  そこで、八年度予算におきましては、大型乾燥施設等を導入するための木材流適合理化整備特別対策事業、あるいは木材流適合理化設備のリース事業、あるいは製材工場等の再編と乾燥施設等の一体的な施設整備促進するための地域木材産業再編・近代化促進事業、こういう新しい事業を起こしましてバックアップをしていく方針でおります。  特に、プレハブ住宅あるいはツーバイフォー工法に対抗するためにはこの乾燥が必要不可欠でございますので、これにつきましては行政的に強力に支援していきたいと考えております。
  18. 松村龍二

    松村龍二君 今回、木材関係の三法案が出されまして、非常に林野庁、農水省の前向きの姿勢を感じまして、林野振興元年であるというふうに理解したいわけでございます。  最後に、大臣にお伺いしますけれども、本法案によって現下の厳しい状況にある木材産業の振興をどのように図っていこうとしているのか、お伺いしたいと思います。
  19. 大原一三

    国務大臣大原一三君) いろいろの視点から問題点の御指摘、ありがとうございました。  林野庁皆さん、意欲的な改正案を出していただいたわけでありますが、これは出発点でございまして、先ほど井上委員からもおっしゃいましたように、これをつくったからあしたから立派になるという性質のものではありません。  これを出発点にいたしまして、今後予算の充実、さらに、先ほどの新しい支援センター等のありようについてもいろいろ試行錯誤が起きてくるのではないのかな、こう思っております。そういう意味で、我々は一歩でも二歩でもこれを契機に林野行政、そして日本木材産業が前進できるように努力をしていかなきゃならぬと思っております。  先ほど福井県のある例が出されていたようでございますが、私もある山を歩きまして、人口二千人ぐらいの小さな村でございますが、百人をめどに木材専従の後継者をつくっていこうということで、その百人には国家公務員と同じ年金をやっていこうという仕組みをつくって募集をして、今ちょうど五十人ぐらいになっているそうであります。公務員と同じ年金と、それから超過勤務をやっていこうという意欲的なことをやっているわけでありますが、そういった山を守るための組織なり、あるいはそういう自主的な皆さん方の動きに対応してさらなる協力をしていく部門が今後出てくるんではないのかなと、こう思っております。  微力でありますが、我々も一生懸命頑張ってまいりたいと思います。
  20. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前九時五十一分休憩      —————・—————    午後一時一分開会
  21. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、菅野久光君及び佐藤静雄君が委員を辞任され、その補欠として上山和人君及び山本一太君が選任されました。     —————————————
  22. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 休憩前に引き続き、林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案林業労働力確保促進に関する法律案木材安定供給確保に関する特別措置法案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  23. 風間昶

    ○風間昶君 平成会の風間でございます。  連日、大臣、大変お忙しいところ恐縮でございますが、持ち時間をフルに使いたいと思いますので、御答弁は簡潔にお願いしたいことをまず申し添えておきたいと思います。  新林業部門導入資金についての融資対象、殊に森林施業の方法に関して具体的に示してほしいことが一点。連続して、その際融資を受ける場合、保証人や担保が人的担保、物的担保を含めて必要か否か。三点目に、では一件当たりの融資の上限は何を基準に決定するのか。四点目に、林業経営の安定化というなら融資ばかりではなくて新事業が軌道に乗っていくためのコンサルティング的な業務も私は必要じゃないかというふうに思うんですが、それを行う場合の窓口は林野庁がやられるのか、都道府県がやられるのか。  連続しての四問に対してお答えをいただきたいと思います。
  24. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まず最初の質問でございますけれども、新林業部門導入資金は、育林部門につきましては、伐期の長期化による森林施業、それから早期収益部門としましては特用林産物の生産等あわせて導入する者に対して貸し付けを行います。  具体的には、所有森林の全部または一部につきまして伐期を従来の伐期より十五年以上程度延期し、その間の主伐収入の減少を補うために、早期に収入を上げることができる部門としまして、キノコとか山菜等の生産を開始する者が考えられます。  具体的な資金使途は、伐期の長期化による施業の導入に必要な作業路の開設、それから先進地調査等でございます。それから、早期収益部門の開始に必要な費用といたしましては、ほだ木とか種菌を買うお金、それから機械、施設、器具等の購入費等でございます。  それから貸付条件は、貸付限度額は本格的な特用林産物の導入に対応するために、これまでの個人の上限であります一千万円を上回る千二百万円、さらに林業経営改善計画の認定を受けた者に対しては千五百万円というふうに金額を上乗せしております。  償還期間につきましては、制度上最長の十年以内、これを林業経営改善計画の認定を受けた者に対しては特例としまして十二年以内というふうに特例措置を設けております。  それから、担保の問題につきましては、林業改善資金そのものは財政資金を原資とする資金の貸し付けでありますから、債権を適切に保全管理することが不可欠でありまして、人的担保または物的担保が必要とされております。これにつきましては、貸付主体である都道府県が原則として「貸付けを受ける者に対し、担保を提供させ、又は保証人を立てさせなければならない。」というふうにしております。借り受けに必要な人的担保の人数等の具体的な内容につきましては、各都道府県の貸付規則等に定められております。  それから貸付限度額の決定の考え方でございますが、新林業部門導入資金の限度額につきましては、一般的な林業経営における林業所得、例えば三百万円、これを早期収益部門からの収入によって得るのに必要な規模を想定いたしまして千二百万円としたものでございます。内訳を例示いたしますと、特用林産物生産に必要な資金として、機械、施設の購入設置費資材購入費等、これを現在市場で出回っている施設等の価格を勘案いたしまして一千万円、それから伐期の長期化による施業の導入に必要な資金としまして二百万円、合わせまして千二百万円というふうにしたわけでございます。この伐期の長期化による施業の導入に必要な資金は、作業路の開設等に必要な資金と事前調査等経営の準備に必要な資金でございます。  それから、コンサルタントの必要性につきましては、私どもも全くそのとおり考えておりまして、林業経営者に対する林業経営の改善促進のための指導を十分にやらなくちゃいけないということで、都道府県が窓口となりまして林業普及指導職員あるいは森林組合等の関係者が連携をとりながら実施するということにしております。
  25. 風間昶

    ○風間昶君 次に、大臣についてお伺いいたします。  林業木材産業の経営基盤強化についての大臣が定めることとされている基本方針は今回のこの三法案のためのみのためなのか、あるいはこれ以外に考えられる対策をも含めてなされるのかが一点。  もう一点は、策定する際に、現場の林業関係者の意見を聞くのかどうか、明快にお答えいただきたいと思います。
  26. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) この基本方針は、法制局の法律制度の段階におきましても議論したところでございます。政府から財政資金を投入する、そのためにはやっぱりガイドラインが必要である。  それから林業労働力確保法律等も同じでございまして、ミニマムスタンダードを決めなくちゃいけない、そういう場合にはやっぱり国の基本方針が必要であるということでございまして、この法律制度に必要不可欠な事項として決めたものでございます。  中身につきましては、林業経営の規模とか、あるいは生産方式等の林業経営の改善に関する事項を示すということにしておりますし、それから育成すべき林業経営に関する基本的事項として、施業の合理化とか経営規模の拡大、複合経営等の推進等の事項を示し、これに基づきまして各都道府県が基本構想をつくるということになっております。
  27. 風間昶

    ○風間昶君 答えになってないんです。要するに、三法案のためのみのためなのか、そうでない、それ以外の対策も含めての基本方針なのかということを聞いておるわけです。
  28. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まさに三法案のための基本方針でございます。
  29. 風間昶

    ○風間昶君 もう一点答えていません。
  30. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) それから手続的には、林政審議会で林業関係者の意見を聞いて定めるということになっております。この林業関係者の中には林業経営者も入っておりますし、労働関係関係者も入っております。
  31. 風間昶

    ○風間昶君 最初からそれを言っていただければ時間を浪費しなくて済むわけです。  次に、県の基本構想が今度つくられているのかどうか。あるいはその実現度といいましょうか、その構想の達成度について林野庁は検査するのかどうか伺いたいと思います。
  32. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 県は基本構想をつくること、これは任意規定でございます。これは自治体の地域実態に応じまして定めることになっておりますので任意規定でございますが、基本方針が一本でございますので、できれば全国的に一律につくっていただきたいというふうに指導していきたいと考えております。
  33. 風間昶

    ○風間昶君 そうしますと、都道府県知事の作成する基本構想というのは義務づける必要があるのではないかというふうに思うんですけれども、なぜ義務づけていないのか。例えば東京とか大阪といったところであってもやっぱり山林があり、あるいは林家がいるなら、東京、大阪も構想をつくるべきではないかというふうに思うんですが、どうでしょうか。
  34. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) この法律をつくるときに農業経営基盤強化法も参考にさせていただきまして、国は基本方針をつくるけれども、できるだけ地方自治体の自主性に任せて、やる意欲のあるところからやったらいいではないかというふうな意見が大勢を占めまして、そして法律としては任意規定にしたわけでございます。しかし、行政指導としてはすべての都道府県で速やかに策定されるようにしていただきたいと考えております。  私どもとしましては、農業経営基盤強化法に基づいて、例えば今、認定農家の報告を聴取していますけれども、林野庁といたしましても各都道府県を督励しまして、常にこの実施状況をチェックしていきたいと考えております。
  35. 風間昶

    ○風間昶君 それで、経営改善計画が今度あるわけですけれども、その認定をするということはいわば認定農家の林家版というふうに思いますけれども、じゃ改善したというその指標、それは例えば収益性だとか生産性などの数値的なものなのかそうでないのか、それをひとつ教えていただきたいと思います。
  36. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 基本構想は、まずその地域林業経営の実情に応じた望ましい林業経営のあり方を経営類型ごとに指標として示します。例えば、どういう経営規模、面積がどうで、どのくらいの所得を目標にしてどのような経営をするかということを具体的にその地域実態のモデルに合わせましてつくって示します。したがいまして、この数字を達成しているかどうかということについて常にチェックをするというふうに考えております。
  37. 風間昶

    ○風間昶君 それに関連してですが、この認定された計画による経営の規模拡大は当然課税特例措置がありますけれども、規模拡大のために土地を売ったりあるいは作業を委託する者にも同様の特例の措置を与えないとインセンティブが弱まるんではないかと思うんですけれども、そこはどうですか。
  38. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まず、今回の改正におきまして、認定を受けた林業改善計画に従って林業経営の規模拡大を図る、これは林地取得も経営の受託もそうでございますが、こういう場合を対象林業用の機械を購入したとき等に対する割り増し償却制度を設けております。  それから、林地の保有によって規模拡大を図る場合、売買において図る場合には、売り手側が直接メリットを受ける税制上の措置といたしましては、森林組合等のあっせんにより林地保有の合理化のための譲渡所得の特例、八百万円特別控除措置がなされております。また、買い手側が直接メリットを受ける措置といたしましては、林業を営む者が経営規模の拡大を図るため取得する林地につきまして、特別土地保有税の非課税措置が講じられております。  このように林地流動化と税制措置関係につきましては、これらの措置活用状況、それから林地の流動化に及ぼす効果等を十分見きわめながらこれからも常にチェックしながら対応してまいりたいと考えております。
  39. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  次に、北海道の場合でありますけれども、道内の一般民有林の面積百七十六万ヘクタールのうち三七%が不在村森林であるわけです。不在村の林地について集積を拡大していくための方策がほかにも必要ではないかと思うんですが、どうですか。
  40. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 御指摘のとおり、不在村者の所有森林面積、これが年々ふえておりまして、平成二年の数字でございますけれども、三百万ヘクタールということでございます。民有林、私有林の二二%を占めるに至っております。これを解消するために種々の制度を設けるということが今回の法律制度でございます。これにつきまして、具体的には森林の管理委託を促進するために管理委託費の一括前払いに必要な費用を貸付対象とする、施業受委託導入条件整備資金というものを創設したいと考えております。  さらに、森林の施業受委託を促進するために森林組合等が森林施業を受託するに当たりまして、必要な短期運転資金に対して利子助成を行う事業も創設していきたいと考えております。  また、御審議いただいている法案によりまして林業経営改善計画の認定を受けた林業者が不在村者の所有森林等を取得する場合、この場合には林地取得資金の償還期限を延長する、二十五年から三十五年にするということと同時に、予算上の措置といたしましてこれらの者に対して奨励金という形で助成金を交付したいと考えております。
  41. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  次に、林業労働力確保に関して何点かお伺いしたいと思います。これは労働省も共管ということですので労働省の方にもおいでいただいておりますが、まず都道府県知事のつくる基本計画、今度は基本構想じゃなくて基本計画は、私は義務的なものであるべきだというふうに思うんですが、これに関しての林野庁の御意見はどうですか。
  42. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) これも先ほどの法律と同じように、森林資源の状況とかあるいは林業事業体をめぐる諸条件等に地域において差があること。それから林業においては地域特性が強くて林業労働力確保の必要度合いが各都道府県において必ずしも同一でない。それからさらに、今一番大事なところは、法案審査の段階で法制局とかなりやり合ったのでございますけれども、やはり都道府県の自主性を尊重するということを法律上は書かなくちゃいけない。そういうふうなことから基本計画の策定を都道府県知事の判断にゆだねたということでございますけれども、行政指導としてはすべての都道府県において基本計画が策定されるように積極的に指導してまいりたいと考えております。
  43. 風間昶

    ○風間昶君 そうですか。わかりました。  基本計画によって今度は指定される林業労働力確保支援センター、これは私は必ずしも県庁所在地にある必要はないのではないかというふうに思うわけです。地域林産業の中心となる市町村に置くのが私は最も適切ではないかと思うんですが、ここはどうですか。
  44. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 全く御指摘のとおりでございまして、必ずしも県庁所在地に設置する必要はないと私どもは考えております。
  45. 風間昶

    ○風間昶君 ということは、各県から上がってきたものを受け入れるということですか。
  46. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) そのとおりでございます。
  47. 風間昶

    ○風間昶君 支援センターに募集を行わせようとする、つまり、わかりやすく言うと人材紹介とも言えると思いますが、その人材紹介についてのみ職安法上の大きな例外が認められているこの根拠、最大の根拠は何なのかということが一点、これ労働省の方にお伺いしたいと思います。  もう一点、労働省の方に。事業主の労働者に対する義務は、例えば口頭契約が四六%を占めているとか書類の記載事項に不備な部分があるとか、まだまだそういう意味では不備な面が私はあるように思えてならないわけですが、事業主の経営が今度軌道に乗ったら、労働力確保のために努力ではなくて義務に変えるということを含めたこの法案の再改正をすることはあり得るのか。  この二点について伺いたいと思います。
  48. 吉免光顯

    説明員吉免光顯君) 一点目でございますけれども、支援センターによる委託募集を認めましたのは、林業労働力の現状から見ましてより一層確保しやすいという形をつくるために求職者にアピールしたり、あるいは知名度をもっと出していく、そういうことで特例的に委託募集の規定を含めさせていただいております。  それから、もう一点の方でございますが、先生がおっしゃいますように、雇用管理いろいろ改善をしていく必要がございます。法案の中で文書交付について事業主に努力義務を課すということにいたしておりますし、通年雇用についても経営基盤の強化と一体となって相談、指導をしてまいる所存でございまして、この法案成立しますればその円滑な施行に努めてまいりたいと思いますし、その施行状況を見ながら検討していく課題かなというふうに思っております。
  49. 風間昶

    ○風間昶君 じゃ、状況によってはあり得るというふうに、その含みを持たせていると理解していいんですか。
  50. 吉免光顯

    説明員吉免光顯君) 状況を見ながら十分検討してまいりたいと思います。
  51. 風間昶

    ○風間昶君 それでは次に、無利子貸し付けの就業促進資金、これについて伺います。  日本育英会の奨学金と同様に林産業に一定年数を従事した場合には返済免除とかあるいは猶予とかをする制度を導入すべきだと私は思うんです。  これは、むしろ新規労働者は若年の方よりも今現在もう五十代以上の人たちが七割近く就業されているということを考えますと、リタイアして、自分の趣味のレベルではできないんだと思うんですが、先ほど井上先生もそういうふうにおっしゃっていましたからかなり専門的な技術を要することでありますが、そうなりますと当然五十代以上の方々の新規の就業者にもっと目を配るべきではないか。林作業というのは七十までできるかどうか私はわかりませんが、もし七十までできるとしてもせいぜい十数年であると思いますから、だったら五年なら五年働いたらこの林業就業促進資金は免除しますよ、あるいは猶予しますよということをぜひやっていかないと、実態上はおいしいえさだけやっても新たに入ってくる人は極めて少ないのではないかと危惧するものであります。  したがいまして、育英会の奨学資金制度のような制度が導入できないかどうかが一点。もし国ができないと言うならば、例えば都道府県、市町村が同様の制度を導入することについて国はどう判断するのか、この二点を伺いたいと思います。
  52. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まず、免除規定を設けることにつきましては、これはあくまでも建前上は個人の自由な判断に基づく私的な経済活動でありますので、他産業とのバランスから見てあくまでも就業後の所得で償還することが適切であるという原則でございます。  ただし、こういうような原則でございますけれども、林業が持っている実態にかんがみまして、無利子であるとかあるいは最長二十年の償還期間、その中で四年の据置期間を設けるとかして、できるだけ負担を軽くするような措置も講じております。また、どうしても新規就業者を確保しなくちゃいけないという必要性に迫られている事業主があるとすれば、事業主が借り受け者となることによりまして労働者自身が返済義務を負わないというふうな方法があるかと思います。  したがいまして、育英会のような返済猶予あるいは免除の規定というのはなかなか他の例のバランスからしてとることはできませんけれども、いろいろと配慮しているわけでございます。  それからさらに、都道府県、市町村が国にかわっていろんな措置を講ずることができるかどうかということにつきましては、自治省からの地方交付税、これをもらいまして各都道府県に担い生育成基金がつくられております。この担い生育成基金は非常に汎用性の高い基金でございまして、その基金の運用益を使いまして就業促進資金について国ができない部分につきましても一定の援助をするという道は開かれております。よく運用の実態を見ながら、私どももそのような方向で指導してまいる方針でおります。
  53. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  次に、林業作業が危険であることは、一次産業の労働災害の被災といいましょうか事故を見ても、これは日本の急傾斜地あるいは林道の整備がまだ潤沢にいっていないということを考えますならば当然そうだというふうに認識するわけです。  であればなおさら、その事故を含めた危険な作業にかんがみて社会保険とか年金の制度上の優遇を私はもっと厚くすべきではないか。これは年金の一元化の問題もありますから、今週の本会議での農林大臣の御所見もこれありでありますが、そういう意味で、今現在農林年金が二〇%ぐらいの加入率という極めて低いことを考えますと、困った困ったと言って、努力はされていらっしゃるんでしょうけれども、年金加入低水準をどう解決しようとされているつもりなのか、ここをきちっとお答えいただけばと思います。
  54. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 確かに、労働現場の問題あるいは所得の問題等からしまして各種の社会保険制度に対する加入率が林業の場合は低うございます。しかし、これは逐次改善していかなくちゃいけないというふうに私ども考えております。  現在やっておりますのは、先ほどちょっと申しましたけれども、各都道府県に担い生育成基金ができております。これは金利が低いんですが、毎年毎年拡充強化されております。この一部を使いまして、例えば社会保険料の掛金の一部助成を森林組合作業班員に対してやるというふうなことも講じまして、言ってみれば間接的な直接補償、デカップリングでございますが、このような措置を講じながら、間接的にでも少しでも社会保険の加入率を高めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  55. 風間昶

    ○風間昶君 ちょっと話も出しましたが、まさに作業の安全を図る上で、また一方の視点では生産コストの低減を図るために林道などのインフラ整備が大変重要であるわけです。少なくとも今まで年度ごとに、例えば三年度は民有林の林道事業について、山村活性化林道リフレッシュ事業、四年度は防火林道整備事業、五年度は林業地域連絡林道整備事業、六年度は林道機能高度化事業、七年度は林道交通安全施設整備事業、カーブミラーとかガードレール、やっていらっしゃることはわかっておりますが、そうなると平成八年度あるいは九年度の新規拡充施策が当然用意されているはずです。用意されてしかるべきだと思いますが、ここはどうでしょうか。
  56. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 毎年いろいろな名目のもとに林道予算をふやしておりますけれども、基本的には森林法に基づきます森林整備事業計画の五カ年計画を具体的に実行に移しているわけでございます。林業労働の安全のためにもこの林道整備が必要でございまして、この予算に基づきまして毎年延長をしているわけでございます。  このほかに、最近ではふるさと林道緊急整備事業と称しまして、八年度では地方単独事業費で二千億円のお金をいただきまして、これも林業の就労条件の改善等に必要な林道の計画的な整備に向けて使っているわけでございます。  このように、国の公共事業費とそれから地方交付税に基づくふるさと林道の緊急整備事業とあわせまして整備をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、この森林整備事業計画につきましては本年度で期限が切れますので、また新しい視点から内容を拡充するべく今研究会を設けて来年度に備えているわけでございます。
  57. 風間昶

    ○風間昶君 そうすると、ふるさと林道緊急整備事業を八年度の新規拡充施策としていくわけですね。  まあいわば、素材は同じでも何とかして嫌いな食事を子供に食べさせようという思いでいろいろメニューしているというふうにとられてもしようがないぐらいに林道整備事業がおくれている。  やっぱりこの根本的なところを予算づけも含めてもっとやってもらわないと、実際に、例えば六年度の沿道の作業ポイントや休憩広場を林道の開設とあわせてやるという事業が一体どのぐらい達成されているのか、これすらも私は知らないわけですよ。該当するところの現場の人はわかっているかもしれませんけれども。  だから、メニューをたくさん並べてやっていきますという型どおりのあれではなくて、本当に五年なら五年でここまでやるというふうに決めているんだったら、その積み残しの分はどうするか等も含めてどうですか、インフラ整備にどう取り組んでいきますかというふうにお聞きしたわけですから、きちっと答えてください。
  58. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 現在の整備目標というのは、平成十八年度末にヘクタール当たり十四・六メーターの林内道路密度を達成したいと思っているわけでございまして、今御指摘平成六年度末現在では、ヘクタール当たり十二・二メーターになっております。このヘクタール当たりの林内道路密度を毎年毎年延ばしていくようなことを目標にして予算をとり、その実行に移しているわけでございます。
  59. 風間昶

    ○風間昶君 その現場を長官はごらんになったわけですか。
  60. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 私は各地に行って見ておりまして、非常にまちまちでございます。北海道にも行ってみました。沖縄にも行ってみました。  それから、宮崎県にも行ってまいりました。宮崎県のようなところではヘクタール当たり四十六メーターとか五十メーターとかいう非常に密度の高い道路を用意しておりまして、こういうところは切り出しコストが非常に安うございます。国際的に見ても十分競争力がある材価になっております。  そういうふうな現場を見るにつけまして、やっぱり林道網の密度、これを高めていくことが国際競争力を高めるためにも必要不可欠であるというふうに認識しております。
  61. 風間昶

    ○風間昶君 それでは、次に国産材時代を迎えるに当たりまして、平成二年のデータでは林業従事者が十一万人、平成十二年には五万人ぐらいに減るのではないかというふうに試算されているようでございます。林野庁は一方では国産材時代だと、じゃ、これに迎え撃つために必要とされる従事者人口をどのぐらいというふうに試算しているのか、現状から見てどういう数字と考えるのか、教えていただきたいと思います。
  62. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 林業就業者は、御承知のとおり三十五年当時四十四万人いましたのが、最近ではその四分の一の十一万人に減少しました。  しかも五十歳以上の割合が七割でございます。これを最近の新規高校卒業者の林業への就業動向等を見ますと、若干ふえているんですが、二百人前後で推移しておりまして、もし今後こういうような新規参入の状況で推移するとしますと、平成十二年には林業就業者は五万人強に減少してしまうのではないかというふうに危惧しております。  将来の労働力がどのくらいになるかということを試算してみますと、必要とする雇用量を一人一日当たりの年間就労日数、今百五十日程度でございますけれども、これを百八十日というふうに大幅に延ばして換算し、さらに機械も今開発途上でございますけれども、大幅に機械化が促進されるというふうに想定いたしますと、林業労働者は基幹的な人たちで少なくとも六、七万人は将来とも必要であろうというふうに考えております。この六、七万人の人を確保するためには、毎年千五百人ぐらいの新規参入者が必要であるというふうに計算しております。
  63. 風間昶

    ○風間昶君 それでは次に、木材安定供給について、私はいろんな視点があると思いますけれども、取ってつけたような形で足りないからどうだとかこうだとかという継ぎはぎ的なことではなくて、いろんな変動するファクターがありますけれども、むしろ二十一世紀前半ぐらいまでの木材の需給の見通しをきちっとつくる必要があると思うんです。  そういう意味で、長伐期の導入に伴って品質階級別の見通しをも含めてつくるべきだというふうに私は思うんですが、この木材需給の見通しについて大臣の御見解を承りたいと思います。
  64. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 今御指摘ございました長期需給見通しを立てるべきではないかという御意見でございます。  我々は国産材時代国産材時代ということを言っているわけでございますけれども、今お話のありましたように、これからの労働力の逼迫、それから外材等の圧力、そういったものを総合勘案して今回も施策を打ち出したわけでございますが、委員指摘のように、やはりそれらのいろいろのファクターを総合的に織り込んで、そして長期需給見通しを立てていくということはぜひとも私は必要であると、このように考えております。  しかし、外材の値段というのが不確定要素でございまして、それと太刀打ちできるような採算、収益性というものを考えていかなきやなりませんので、何はともあれ、我々はその体質改善のためにできる限り早くこの法が施行されまして、そして軌道に乗っけるということが非常に大事なことだと、こう思っております。
  65. 風間昶

    ○風間昶君 大臣、それはちょっと逃げの言葉のように聞こえてしょうがないんです。法案が通ってから木材需給の見通しを立てるというふうにもやや聞こえたんですけれども、そうではなくて、新たにこれからいろんな困難な状況があるにしても、改正する法案をどんどんつくるということは、ある意味ではもう根本的に見直さなきゃならない時期に来ているんではないかということからも、私は不確定要素があるにしても木材需給の見通しをきちっとつくる必要があるというふうに主張しているわけで、大臣も必要性をそうお感じになっていらっしゃいますから、いつやるのかということに尽きるんではないかと思いますが、再度いかがでしょうか。
  66. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 先ほど大臣が御答弁申しましたように、非常に不確定な要素がたくさんあるのでございますが、しかしこの法案を契機にいたしまして何としても需要拡大をしなくちゃいけないということでございます。  今、私どもが持っておりますのは、昭和六十二年に閣議決定されました林産物の需給見通してございまして、平成十六年に木材自給率を四三から四八%に高めていこう、そういう見通しを持っているのでございますが、二二%台に落ちてしまったわけであります。  そこで、各般の要因を分析して新しい見通しを立てるべきじゃないかということでございまして、現在、林政審議会に基本計画部会を設置いたしまして検討を行っております。ことしじゅうに成案を得て、今年度中には発表したいというふうに考えております。
  67. 風間昶

    ○風間昶君 確かに、不確定要素というか不安定要素が余りにも強い部分ですから、なかなか審議をされている中でも結論を出しづらい部分があるかと思いますけれども、鋭意この見通しを立てた上での国産材時代到来に迎え撃つ戦略をぜひ立てていただきたいというふうに思います。  それで、国産材の需要拡大策としていろんな切り口があるかと思いますが、私自身は、まず第一に地域の公共建築物を地域木材でつくろうという機運をどうやって盛り上げていくのかなと、このことが非常に大事ではないかと思います。しかし、そのためにはお金もかかると。したがって、私はこれは根本的なことに入っていくのかと思いますけれども、融資の世界ではなくて補助金で支援することも必要になるというふうに思っているんですが、これについてはいかがでしょうか。
  68. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 国産材の需要喚起のためには、ソフトからハードまでいろんな政策を準備しなくちゃいかぬと思っています。  まず、需要喚起するために「木と健康」というので映画をつくりました。今三千本も売れていますけれども、一般の皆さん方に見ていただきまして、居住空間を木材で埋めようじゃないか、国産材で埋めようじゃないかという気を起こしてもらいたいと思いまして映画をつくったんですが、これが好評でございます。これを受けまして、具体的に一定の予算で居住空間を木材で内装化するという場合に、木材利用相談センターというのを各都市に五十八カ所つくっております。  このようなことを前提といたしまして、予算としましては、木造建築物の耐震性を向上させるための指針の策定だとか、あるいは内装部材の開発とか、木材製品の品質向上のための普及啓発等の予算と同時にかなりの試験研究費等を用意しております。しかし、これは非常に限られておりまして、私どもは今御指摘の公共施設に対しまして一挙に国産材を使ってもらいたいと思いまして、先般、営林支局を通じまして公共施設の全国的な建設計画の調査を行いました。これによりますと、平成八年度から九年度までで八百六十九件の建設計画があるということがわかりました。  現在、この計画に従って具体的に設計に入っているところ、あるいは予算をこれからとろうとしているところに対しまして、都道府県あるいは林業関係者一体となりまして、国産材を使ってくれと、午前中もお話がございましたけれども、東京都では東京都の木を使ってくれというふうなことで売り込みを図ろうと思いまして、キャラバン隊まで編成して今対応しているところでございます。  そのようなことでありますので、これからも全力を挙げて需要拡大のPR等に努めてまいりたいと考えております。
  69. 風間昶

    ○風間昶君 最後の、後段の質問についてはお答えになっていません。
  70. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 具体的に補助金をハード施設に対してということでございますけれども、林業構造改善事業であるとかあるいは農業構造改善事業、あるいは畜産局が所管しております豚舎とか、そういうことに対しては国の補助金が出ております。特に、大断面の集成材の技術が飛躍的に発展しましたので、大きな集会所だとかあるいはコミュニティーセンターとか、そういうことに対しては農林省関係の補助金でもかなりの補助金が出ております。  さらに、文部省に対してもそういうふうな補助金を出すように要請しておりますし、建設省に対しても同じようなことを要請しているところでございます。
  71. 風間昶

    ○風間昶君 よく存じ上げております。  文部省の方にもおいでいただいているんでちょっと文部省さんにもお伺いしたいと思います。  一例としては木造の学校建設が挙げられるかと思います、まさに今長官おっしゃったように。去年は二十七校の小学校、中学校が木造建築としてつくられ、昭和六十年に文部省が木を利用する、木材を利用するという通達を出されて以来、六十一年から昨年まで百八十六校、木造建築の学校があるというふうに私はきのう教えてもらいました。そのうち小学校が百四十五校、中学校が三十四校、幼稚園、高校が七校と。まさに鉄筋コンクリートにはない教育上の効果、あるいは木の香りが優しい人格の形成に寄与するという、また児童あるいは教師の健康にもいいという、一々検証する必要もないと思いますけれども、いずれにしましても、木造建築と同時に、通達を読ませていただきますと、建物の内装の本質化についても、内装の本質化に間伐材を利用することを含めて通達が出されておるようでございます。  これは学校だけじゃなくて、例えば北海道でいうと、今年度も、木そのものでつくるものとしては道民の森・森林学習センターとか、あるいは内装の本質化に関しては道立江差病院あるいは札幌市にあります道立体育センター、あるいは今まさに工事中でありますけれども、札幌の中央警察署などにも使われているというふうに聞いております。  また、そういう意味では、話をもとに戻して、学校の施設における木材使用の促進について、木材需要喚起のために、文部省のまずスタンスを今後を含めてお伺いしたいと思います。  もう一点、文部省さんに伺いたいのは、現行の施設整備の補助制度はどういうふうになっているのか、先ほどの補助金支援ということの話と絡めての質問になって恐縮ですが、補助制度はどうなっているのか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  72. 玉井日出夫

    説明員玉井日出夫君) お答えを申し上げます。  学校施設における木材の使用でございますけれども、これは先生御質問の中でもお触れいただきましたけれども、学校施設はやはり潤いだとかあるいは温かみというものも大変重要だと認識をしているわけでございます。そういう意味からいきますと、木材を使用することは有効である、こういう認識も持っているわけでございまして、そういう観点から、従来から学校施設を整備するに当たって木材をできるだけ活用するようにという考え方を持って臨んできているわけでございます。  特に、これからの学校教育はいろいろ難しい問題もあります。そういう目で見ますと、ゆとりだとか潤いというものを施設面でももっと求めていかねばならない、かように考えておりますので、そういう観点からの努力もさらにさせていただきたいと思っております。  また、そういう施策をどのような形でやっていくかということになるわけでございますけれども、主な施策を少し説明させていただきますと、先ほどこれも先生の御質問の中で大方は触れていただいたわけでございますけれども、一つ昭和六十年に文書をもちまして「学校施設における木材使用の促進について」という通知を出し、各都道府県にできるだけ使用するようにという要請をしてきているわけでございます。そして翌年度、六十一年度に、木造建築のための補助単価、これを前年度に比べまして、小中学校の校舎の場合でございますけれども、六八・八%引き上げまして、鉄筋コンクリートづくりと同じだけのものに引き上げたわけでございます。さらに、その後、鉄筋コンクリートづくりも含めまして、五年度、六年度には大幅なまた単価増も行っているわけでございます。  さらに、昭和六十一年度には、児童生徒等の集いやあるいは交流を促進するという観点から、木材を使用した集いの木の部屋等の教育研修施設を整備する事業も新たな補助制度として出発をしているわけでございます。  それらが主なものでございまして、これらを活用しながら今後とも学校施設整備に努めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  73. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございました。  いずれにしても、文部省が音頭をとってというよりは、自治体なりなんなりの申請があって初めて動かざるを得ないということでありましょうが、ひとつここは注文なんですけれども、もう少し本当に木の持っているハードな部分とやわらかい部分との微妙なあれを教育の現場に生かしていくという、積極的な木材利用あるいは木材使用の促進についてお願いしたいということが一点。  それともう一点は、北海道内に木造建築で新しくできている学校は、今比較的少ないんでありますが、よく見ますとほとんど外材の方が多いというような印象なんです、これは私の印象。これは、文部省さんにとってみれば国産材であろうが外材であろうが木材じゃないかという思いかもしれないけれども、これはまたちょっと話が別でありまして、根っこはやっぱり国産材を使って学校教育に寄与していただきたいということでございますので、そこを余り間違えないようにしていただきたい。つまり、国産材を特に利用していくような木材需要喚起という観点に立っていただきたいと思いますけれども、ひとつそういう意味でよろしくお願いしたいと思います。  文部省さん、結構でございます。一言あればどうぞ。
  74. 玉井日出夫

    説明員玉井日出夫君) 私どもは、あくまでも学校をどのようなよりよい教育環境の中で整備していくかと、こういう観点でございますので、そこはひとつ御理解を賜りたいと存じます。  先ほど先生お触れになりましたように、申請でございますので、それぞれの設置者において、我が地元の産業振興という観点もございましょうし、また一方においてはやはりそれぞれの市町村の財政事情もございましょう。それらを加味しながらそれぞれの設置者において御判断いただきたい、かように考えているわけでございます。
  75. 風間昶

    ○風間昶君 文部省さん、もう結構でございます。  ありがとうございました。  それでは次に、木造家屋などの耐火性といいましょうか、さまざまな材質のものができて発展性があるわけですけれども、地方自治体で域内産材を使った場合に補助金を出すような例が、例えば北海道では道南杉商品性向上対策事業というのがあるんです。これは、わずか三百六万ぐらいの事業費で半分を補助していただいているわけですが、補助率は半分なわけですけれども、全国に大体これどのぐらいあるんでしょうか、つかんでいらっしゃったら教えていただきたいと思います。
  76. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 各県でいろんな取り組みをやっていて、今の北海道の例は、マーケッティング等に要する経費であるとか、あるいは定規格・定品質材の流通促進のための融資だとか、こういうものでございますが、そのほかに具体的に建物に対して補助金を出している場合もあります。  今、私どもがつかんでおりますのは、平成六年度におきまして全国で二十一億六千二百万円、これが各都道府県から木材需要拡大対策として補助金として出ている金額でございます。中身は、木材供給体制の整備、これはビジョンの策定とかあるいは流通調査なども入りますが、加工体制の整備等ハードのものも入っております。それから、木材利用の普及啓発、これは展示会だとか催し物、コンクール等でございます。それから木材利用の開発促進、利用技術の開発普及、あるいは間伐材等小径木の利用技術の開発普及等が対象でございます。それから、木造住宅・建築物の振興ということで、木造住宅の普及啓蒙のためにお金を出しているところでございます。  こういうふうな中で非常に有名なのが、例えば、滋賀県の愛知郡湖東町の湖東町立図書館であるとか、あるいは長野県松本市のグローバルドームだとか、あるいは秋田県大館市の大館地区多目的ドームであるとか、あるいは熊本県の小国町の小国ドームであるとか、いろんな建物が具体的に補助金を使って建てられております。その県の県産材を使って建てるということでございます。
  77. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  次に、輸入住宅について伺いたいと思います。  通産省さん、おいでになっていただいていますでしょうか。  私は、よくマスコミというか、つまり業者さんが言っている輸入住宅と、消費者サイドに立った輸入住宅とどうも乖離があるような気がしてならないんです。一体、輸入住宅というものの定義はどういうものなのか。通産省で押さえている、通産省で押さえている定義ということはあり得ないわけで、定義がそんなにまちまちだったら定義じゃないわけですけれども、輸入住宅の定義をまず一つ教えてもらいたい。  もう一つは、国産材の需要を拡大しようとしているときに、いろんな対外的な問題もあるんでしょうけれども、日本全体の産業構造の中での方向性ということもこれありでしょうが、国産材を使おう使おうというふうにしているときに、大々的に輸入住宅を促進するというのは二律背反だというふうに単純に考えると思うわけです。したがいまして、二点目の質問は、輸入住宅に対する我が国の立場と現状を簡単に報告していただきたい。  この二点、お願いしたいと思います。
  78. 高橋武秀

    説明員高橋武秀君) 御説明申し上げます。  まず第一点の輸入住宅の定義でございますが、私ども、後ほど御説明いたしますジェトロが輸入住宅展示場と申しますものを現在日本各地に八カ所運営をしておりますが、その運用の際の応募のときの取り扱いは、まず第一に諸外国からのパッケージで輸入される住宅であって、簡単に申し上げると設計思想が在来の日本のデザイン設計思想とは異なるというのが一つでございます。  それから、資材費ベースでおおむね五割以上を輸入資材、これは資材全体でございますので、構造躯体に使う木材も含みますし、あるいはガラスであるとか窓枠であるとかというものも含めてでございますが、このような資材の中で大体金額ベースで半額以上、ジェトロの運用ですと大体六割程度を、実際の運用に当たってみますと六割を超えているものが圧倒的でございますが、大体半分以上がそのような外材、外国からの輸入資材によって建築をされているもの、こういうようなことで輸入住宅を取り扱わせていただいておるわけでございます。  輸入住宅そのものの取り扱いについて政府全体の取り組みの経緯からちょっと御説明を申し上げますと、平成五年九月の緊急経済対策の際に、関係省庁、輸入業者等による住宅の輸入に関する協議会を設けるということと、それからジェトロの輸入住宅展示場の設置ということが決定をされております。  平成六年二月八日の総合経済対策でさらにジェトロの輸入住宅展示場の増設を決定して、これで平成五年度じゅうに計四カ所、場所は横浜、札幌、大阪、福岡でございますが、この四カ所に展示場を設けたと、こういうことでございます。  平成七年の緊急円高対策の中でやはりジェトロの展示場を追加いたしまして、これもさらに四カ所追加をいたしまして、先ほど申し上げましたとおり八カ所展示場ができ上がっておるわけでございます。  さらに加えまして、輸入住宅の部材、これは先ほども申し上げましたガラス、サッシでありますとか、そのようなものも含めた形の部材だけを取り扱うセンターを二カ所、東京と大阪に設けておる、こういうことでございます。  私どもの方といたしましては、住宅政策、住宅を供給をしてまいるときの基本的な考え方といたしまして、住宅価格をいかに低減し、かつ国民の住宅の選択肢、どのような家をお選びになるかという点の、チョイスの幅を広げるという観点から輸入住宅というものを取り上げて従来進めてきておる、こういう次第でございます。
  79. 風間昶

    ○風間昶君 このことに関して、通告外でありますけれども、農林大臣の率直な御感想を伺いたいと思います。
  80. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 過般でございましたが、モンデール大使が私のところへ来られましておっしゃったことは、アメリカの加工木材の輸入の促進についてJAS規制のアメリカの基準との統一という要請ばかりして帰られたんですね。もっとおもしろい話があるのかなと思ったら、なかなかやはり向こうの方はセールスマンでございまして、首尾一貫してそのお話だけをして帰られました。私は正直言いまして、日本国産材の資源は非常に豊富なんだ、それが二〇%しか利用されていない、今後一千万ヘクタールという大量国産材時代が来るときに二〇%では困るんだと、そういうことで、外交上必要な規制の緩和ということはやらなきゃいかぬだろうが、我々はそういう国産材の問題を非常に大きな負担として考えておるので、その辺は御理解を賜りたいと、こういう話をいたしました。  けさの閣僚会議では、外国からの投資促進懇談会というのがありまして、これは外国からできるだけ投資を促進するようにという懇談会であります。御承知のように、マツダがああいう形になった。これは非常にそういう意味では推奨すべき事件である、こういう見地からの議論もあったわけでございます。  しかしながら、私はまあ大蔵省出身でありますが、金融あたりは大いに自由化してもらっていいと思うんですけれども、そういった国産材、これはお米にしても同じでございますし、医療にしても同じでございますが、余りこれ自由化自由化とやりますと、これからの先行きは非常に不安だということを感じておりまして、こういった問題で発言するのは農林水産大臣しかおりませんので、せっかく頑張ってまいりたいと思っております。
  81. 風間昶

    ○風間昶君 大臣、通告外で、しかも与党さんでないと聞かれない中身まで教えていただきまして、本当にありがとうございます。あした万が一、通産大臣大原農林大臣がなったとしたら、今のお言葉が虚妄にならないようにひとつまた御精励をよろしくお願いしたいと思う次第でございます。  通産省さん、農林大臣の御意見、御感想を率直に聞いてくださった上でまた検討していただきたいと思いますので、お帰りになって結構でございます。ありがとうございます。  次に、我が国木材コストが高くつくのは、急傾斜が多く単位面積当たりの造林費が、先ほども井上先生の方から造林事業についての貴重な御意見と御指摘がありましたけれども、非常に造林費が高いということが挙げられるわけで、そうなれば、先ほど一立方メートルに十一人の人夫さんが今や一立方メートルに一人ということを踏まえて、造林コストをどうやって押さえ込むかということが非常に大事だと思うんですけれども、単に補助だけではなくてやっぱり根本的にきちっと考えなければならないと思うんですが、その施策を教えていただきたいと思います。
  82. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まさに造林コストの縮減は我々としても急務な課題だと考えております。  特徴が特に人力の作業のウエートが高いということでございまして、やはりそういう状況をよく見ますと、林内作業効率を高めるということがすぐ造林コストの縮減につながるということになると思います。  そこで、何といっても作業路を含む路網の整備を図ることを第一にやらなきゃいけない。二番目には、天然の稚幼樹、これの育成など自然力を活用して作業推進することが造林作業の中で必要だということを十分認識しなきゃいけない。それを造林作業体系の中にきちんと位置づけなくちゃいけないということでございます。それから、一番効果がありますのは、育林過程の機械化でございます。急傾斜地域で、我が国の人間の体躯、体の大きさに合わせてハンディーな機械を一刻も早く開発しなくちゃいけないということでございます。  現在、こういうふうなことに対しまして具体的に取り組んでいるわけでございます。特に八年度予算におきましては、今までは収穫用の機械、これの開発に重点を置いてきたんですけれども、今後は育林用の機械の開発、これに重点を置いて機械開発をしようじゃないかということで方針を定めているところでございます。
  83. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  もう一点、忘れておりはしないかというのがあるんですが、それはやっぱり木材の価格を上げる努力を、それは林野庁がやるということには即ならないんでしょうけれども、ここの視点を抜いてもらってはやっぱり困るんではないかと思いますけれども、この件に関してはどうですか。
  84. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) そこがまさに今度の法律の一番の要点でございまして、ちょっと時間をいただきますと、木材需要が一億一千万立方でとどまっておるわけでございまして、特に製材の需要が三千七百万立方、これがずっと横ばいなわけでございます。需要が右肩上がりにならなければこれは価格も上がっていかないわけであって、国産材の需要をその中で高めていくためにはやはりマーケットを開発すると。  価格を上げるためには、私は総量規制なんということはなかなかこれは国際化の時代にはできないと思いますので、国産材の価格を上げるためには国産材外材に対する対抗要件、競争条件を整備することだということを念頭に置いて今度の制度を仕組んだわけでございまして、需要の拡大、なかんずく内装材という新しいマーケットの開発に全力を挙げることによって国産材の価格の上昇、あるいはそれによる所得の向上ということを図っていきたいと考えているわけでございます。
  85. 風間昶

    ○風間昶君 次に、木材の複雑な流通ルート、一昨年、川上から川下へ一体になって取り組んでいって規模拡大を含めてやっていくという流域管理システム法案が通りましたけれども、本当にそれが現場の地域の隅々まで行き渡っている状況ではとてもないように私は感じます。  したがって、その流域管理システムを壊せとは言いませんけれども、スクラップ・アンド・ビルドということを言うにはまだ早いかもしれませんけれども、全国一律にこの川上から川下へという流域管理システムが本当に全国一律にすることがいいのかなということも一つ思っているわけです。  あるいは、一次加工を今までは川下でやっていたのを林産地の川上でやるということも私はこの複雑な流通ルートを簡素化していく、あるいは整理する方向を見つけられる一つの選択肢ではないかと思うんですけれども、そこの木材の複雑なルートを整理するような施策について伺いたいと思います。
  86. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 御指摘のとおり、我が国国産材の流通ルートは大変複雑でございます。  これが同一規格の部材の大量供給を基本とする外材との競争においておくれをとっている大きな原因だと思います。  そこで、今回の御審議いただいております木材安定供給確保に関する特別措置法案では、森林所有者等と木材製造業者等とが連携して木材の安定的な取引を図る。具体的には、原木あるいは製品流通拠点の整備によりまして原木製品の流通ロットの規模拡大を図る、スケールメリットを追求する。さらには、カタログ等による直送流通の導入促進などの物流、商流の分離の推進を図る。  こういうことを総合的に実施することによりまして、流通経路を短縮し、競争条件を整備していきたいというふうに考えているわけでございます。
  87. 風間昶

    ○風間昶君 工夫はされていらっしゃると思いますが、ここも大事なポイントになるんじゃないかなというふうに思います。  それでは、林政一般についての問題と、若干北海道のことで恐縮ですが、数点伺いたいと思います。  どちらかというと森林木材を生産するということが主流で、むしろ森林の持っている公益的機能、いろんな試算があるわけですけれども、平成三年度の金額試算で三十九兆円ぐらいとされているわけですけれども、目に見えるものとしての多元的な機能、公益的な機能をどうやって実際上付加価値をつけていくのかということが私は大変大事じゃないかというふうに思うんです。細かな施策は別にして、森林の持っている公益的機能を、さまざま項目はありましょうけれども、それを束ねた上で、大所から見て大臣にその付加価値をどうつけていくのかということについてのお考えをお伺いしたいと思います。
  88. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 森林の公益的機能は、言うまでもなく、今、数十兆円という経済効果を生んでいるんだという御意見もございます。しかしながら、その公益的機能を強調しますが、なかなか還元がないということが基本的な問題だと思います。  今、緑の募金活動等により国民関心を呼ぶ、これも非常に大事な活動だと思うのでありますが、これは二十一世紀の中ごろまで行っちゃって、現状のまま山が果たして健全に維持、確保できていくだろうかということを考えますと、非常な私は危機意識を持つ者の一人であります。  何らかの形で水や環境や空気、これは空気と水を飲むのは当たり前だとこう言えばそれで終わりでありますが、その供給源泉が枯渇しては国民生活が脅かされるわけでありますから、それへの還元をやはり税金かあるいはまたシステム化したいわゆる受益者負担かで還元をする仕組みをやはり今からでも用意しておかなければ大変な時代が来るんではないのかなという感じを持っております。
  89. 風間昶

    ○風間昶君 森林交付税の話題もこれありですから、おっしゃるとおり、その仕組みについての議論をきちっとしていく必要があるんではないかというふうに思います。そういう意味で、率直な大臣の御意見、ありがとうございました。  次に、木材を生産する場合でもこの木材のまま使用するんではなくて、この木から出てくるフィトンチッドの抽出など、より付加価値の高いものをつくる技術が我が国にはあるわけですけれども、きょうこれを持ってまいりました。(資料を示す)これは国有林の緑のオーナー募集中の広告入りで、これは脱臭抗菌防虫消臭作用で、初めて開けますけれども、こういう木のにおいがするんですよ。十袋で五百円だか四百六十円だかでありますけれども、一カ月ぐらいもつわけです。こういうものはまあ十袋で五百円だからどうということはないと言えばないかもしれませんけれども、価格的には。しかし、これを少なくともおしゃれを大事にする大臣なんかがあちこちで外遊するときにも持っていくと、ことしのゴールデンウイークは大臣御外遊する予定があるかどうか私わかりませんけれども、輸出も含めて、私はこれは検討していくべきだと思うんですけれども、どうですか。
  90. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 御指摘のとおりでございまして、木材資源からいろんな付加価値の高い製品をつくっていかなくちゃいけないということで、今御指摘のような製品をつくっているわけであります。  国の森林総合研究所、それから官産学の研究組合としまして技術研究組合をつくりまして、例えば樹木に含まれる薬理作用等を示す生理機能性物質の効率的な分出などということで、制がん剤とかあるいは食品酸化防止剤等の開発にも取り組んでおりますし、それからシロアリ等の防止のための製品、それから殺菌性の石けん、こういうものの開発にも取り組んでおります。  市場価値ができまして、国民皆さん方に十分なニーズがあるとすれば、輸出ということも考えられるかと思います。今のところは、まだ国内の市場を開発するのに精いっぱいのところでございます。
  91. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  次に、北海道の話題で恐縮でございますが、昨年度のエゾシカによる造林木被害が三十三億八千四百万円の被害額です。そのうち林業が一億一千五百万円という被害に遭っているわけですが、そのたびごとに、去年は狩猟期間中、雄は十一月十五日から一月十五日、雌は一月六日から一月十五日までの間、免許者の人たちがシカを狩猟したのが一万七千九百九十五頭、その期間以外の部分で知事許可で免許者がとる駆除が一万九百二十七頭、合計二万八千九百二十二頭、六年度エゾシカを捕獲しているわけです。林業白書を見ますと、シカによる被害を防ぐために防護棚だとか忌避剤だとかというふうにありますけれども、北海道はことしは特に道東では十三万頭ぐらいエゾシカがふえてきているという話で、殺しているわけですね。  そういう意味で、このシカによる造林被害の対策はどうでしょうか。これを教えていただきたいと思います。
  92. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 御指摘のとおり、北海道では平成六年度で被害面積六十六ヘクタールでございます。これまでもいろんなことをやっているのでございますけれども、平成八年度から新たに、地域によっては新しい防除技術を導入してしかるべきだということで、シカ遮光ネット、それから食害の防止チューブなどを導入、普及するための予算を計上しております。さらには、発想を転換して野生鳥獣と共存したらどうかと、そういう観点から野生鳥獣による森林被害を防止して森林の機能発揮と野生鳥獣の共存を目指していこうということで、野生鳥獣共存の森整備事業、こういうふうなものを新しく起こしたわけでございます。  いろんな工夫をやっているんですけれども、なかなか被害が減らないということで、各地からいろんな苦情が来ております。一生懸命努力していきたいと思っています。
  93. 風間昶

    ○風間昶君 もう一点、北海道の道南に知内町という町があるんですが、そこで北海道的には大きな問題になっていますが、日本的にはというか全国的には一昨年の台風十三号で九州、大分、福岡の風倒木被害が同僚の横尾議員によっても問題提起されてさまざまな措置が施されたわけです。北海道も規模は小さいですけれども、平成六年の九月二十一日から二十三日の豪雨あるいは平成七年の八月二十日と二十八日の二日間の豪雨で中小河川、知内川を含めて重内川とか森越川とか六河川あるんですけれども、特に知内川の海岸に土砂と同時にどこから来たのかわからぬけれども根つき、枝つきの流木がありまして、そのために地元の日赤奉仕団あるいは高校のボランティアを含めて七十名ぐらいの方々が手探りの中というか、流木のでかいやつを処理し切れなくて大変困って、六年度のやつなのか七年度のやつなのかわかりませんけれども、現在も流木残っているわけです。  これに対する、どこから来たのか流木よということじゃないんですけれども、要するに川上から流れてきたのか豪雨のときに農地から流れてきたのかちょっとわからないんですけれども、その原因追求をきちっとやっていただいて、早急にこの流木の処理の実現に向けてぜひこれはやっていただきたいというふうにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  一言、お願いいたします。
  94. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) お昼に事情を聞きましたので、早速、原因追求をすると同時に、関係省庁や北海道庁と協力して、特に国有林はこういうときこそ民有林のためにも地域住民のためにも一生懸命やっていくということをPRしなくちゃいけないのだから、国有林、営林署も出ていって処理に協力するようにというふうに指示しております。
  95. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございました。
  96. 高橋令則

    高橋令則君 平成会の高橋でございます。  今回の三法案に関連し、またそれに絡んで林業問題について少し質問をさせていただきます。  まず最初に、法律関係でありますけれども、木材安定供給法の方です。それに絡んで法の第二条第一項及び法の第四条第一項に指定地域及び事業計画の定めがあるわけですが、指定地域の要件に合致する地域としてどの程度を考えておられるか、その指定の見込み数をお尋ねいたしたいと思いますけれども、どういう考え方でどのような地域全国で何カ所ぐらい。  それから次に、事業計画についてはその指定地域内で一定のものについて計画策定を進めていくわけですけれども、その設定数がどのような形で進んでいくのか。例えば、指定地域内で複数どんどんふえていくのか、何年度でどの程度やるのか。  それから、さっきもちょっとお話が出ましたけれども、いわゆる林野庁全体で川上から川下までやってもらいたいなという全国的なねらいがあって、それに対して例えば五年でこの程度カバーできますよとか、十年でこの程度それはカバーできますよというふうな、施策のカバー率という表現は適当でないかもしれませんが、その点をお尋ねしたいと思います。
  97. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まず、木材安定供給確保に関する特別措置法の指定地域でございますが、これは既に定められております百五十八の流域を基本に考えております。具体的には、森林の林齢とかその他の森林資源の状況から見まして、毎年安定的に木材が供給できるという条件の整った森林、例えば毎年三万立方程度の素材を新たに供給し得る資源として、標準伐期齢が全国平均で約四十年といたしますと、これに達している約一千ヘクタール相当の森林があるということ、これが一つの要件として考えられると思います。  それからその次には、その地域におきまして木材の安定的な取引関係の確立を図るためには素材生産の安定が図られなくちゃいけない。そこで、木材製造業の事業規模が拡大すると認められる地域、例えば規模拡大が期待できる中規模の工場、これは年間平均二千立方程度の生産量が必要でございますが、こういう工場が存在しているところ、こういうところを指定地域として想定しております。  具体的には、百五十八流域のうちこのような条件を満たすところを精査してみますと、百流域程度は対象になるのではないかと。これを五年とか十年とかなかなか今計画は立っていないのでございますけれども、可能な限り早く指定していきたいというふうに考えているわけでございます。  それから、事業計画につきましては、この指定地域が指定されますと、森林所有者、それから木材製造業者またはその団体、こういう人たち事業計画に必須参加者として参加しなくちゃいかぬことになります。それから、任意参加者といたしまして、森林組合とか森林組合連合会、あるいは素材生産業者あるいは木材の卸売業者、木材市場の開設者、こういう人たちも入ることによりまして、具体的な素材の安定供給の目標であるとか、あるいは取引の時期とか取引の場所とか、あるいはさらには伐採する森林の所在場所とか、あるいは乾燥施設等の設置の条件だとか、それからさらにこれらに必要な資金の額とか調達方法とか、こういうことを事業計画の中に書き込んでもらいまして、それを認定いたしまして各種の助成措置を講じていきたいというふうに考えております。これも法案が通りましてからさらに具体的に可能な限り実効を上げるようにということで年度計画等も検討してまいりたいと思っております。今は五年でどのくらいとか十年でどのくらいということはまだ検討に至っておりません。
  98. 高橋令則

    高橋令則君 なかなかその実態から見て、これだけ川上から川下まで意思がきちんと統一されてやっていくというのは、この業界の場合必ずしもそう楽じゃないと思うんですね。したがって、法案ができたはいいけれどもなかなか滑り出さないということも実はちょっと危惧するものですから、相当な努力が要るなという感じを私は思っておりますのでぜひ御努力をいただきたい、このように思います。  それから、この安定供給の末端というのは、川下川下はさらに言えば当然ながら木材需要の問題ですね。残念ながら木材需要というのは林業白書を見ても今後そうふえないだろうというふうな書き方になっているわけですね。国産材の自給率というのは二二%、製材用で三四%ですか、そういうようなこともありますけれども、今後の人工林の成熟に伴って出てくる国産材を消化していくためには新しい需要の開拓といったものが非常に重要ではないかというふうに思います。林業白書に書かれてある認識はまさにそのとおりだと思います。  そのために、今まで林野庁の方ではさまざまな新しい分野への拡大を目指して、加工技術とかあるいは新製品開発の取り組みをされているようなんですけれども、それを少しめどがついたようなものをお尋ねしたいと思います。平成八年度の講じようとしている施策の中の十五ページにこれからやろうとしているものが幾つか書かれてありますので、それは見ております。  それからもう一つは、これは一挙にお聞きしますが、ドームのような大規模な建造物への木材の利用というのは、我が国の場合は非常に歴史が浅いんですね。建築基準法上の問題もありまして、なかなかこれができなかった。たしか二千平米以上の木造の建物はだめだったというような時期もあったりしまして、地方団体が取り組む場合も制約があったという時代があるわけであります。今だんだんにそれが緩和されてまいりまして、先ほど風間委員からお話があったように学校もできておりますし、例えば出雲ドームとか、それから私の隣の秋田県でも大館で今ドームをつくっているはずですし、それから長野の屋内スケート場も何かそれでおつくりになるというふうな話も聞いております。したがって、象徴的な意味を含めて、こういう大規模な公共建築物への利用といったものをもっと力を入れておやりになってはどうかなというふうに思います。  林業白書等々を見ていますと、平成七年の林業白書の百八十二ページには、「欧米諸国の大型木造建築物における木材利用方法を普及定着させる事業」云々と、こう書かれてありますが、平成八年度の政策にはその種の言及がないんですね。これは事業ですからやっていますよと言われればそうですけれども、力をお抜きになったということはないでしょうね。
  99. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 最初に、新しい製品の開発の具体例はということで幾つか挙げますと、国の研究機関がやっていますのが、小径木から高強度の材料を開発したSSTの開発でありますとか、あるいは合板、集成材等の組み合わせによりまして耐震性にすぐれたパネルを開発するとか、あるいは木材の染色技術を開発するとか、あるいはセルロースの無公害溶媒による高強度なフィルムの製造方法を開発するとか、いろんな形で付加価値の高い製品が開発されております。  それから、都道府県の公立試験場におきましても、木製の防火戸だとか防火サッシ、あるいは木材金属メッキ処理技術とか、あるいは杉の住宅用のフロア材とか、あるいは水溶性の樹脂を含む浸木材とか強化LVL接合板とか建築部材の開発が行われております。  そのほかに、技術研究組合におきましても、木炭を原料とした土壌改良材とかあるいは緑化資材とか難燃化の処理の方法だとか、いろんな形で付加価値を高める新しい製品の開発に対する試みがなされております。  それから、大断面の集成材につきましては、これはまさに木材需要を大量に促すための大きな要因でございますので、私どもも力を入れてやっていかなくちゃいけないと思います。先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、これはさらに力を入れていこうと思いまして、全営林局を通じまして調べました。全国で新しい公共用の施設八百六十九件の建設計画があります。これはほとんど大断面の構造材を使った建物でございます。  これに対しまして、国産の大断面の構造材、集成材を使っていただこうということで、今都道府県、それから営林局、それから木材関係業者、森林組合、キャラバン隊をつくりまして、設計の段階から入り込もうと思って作戦を練って具体的な行動を開始したところでございます。
  100. 高橋令則

    高橋令則君 ぜひ積極的なお取り組みをいただきたいと思います。私の乏しい経験なんですけれども、林野庁の方の補助をちょうだいして私どもの県北のある森林組合でいわゆる大径製材の集成材をつくったんですよ。これはいわゆる南部アカマツのあれを利用してつくって、私としてはなかなかいいものだと思ったんですが、売れないんですね、なかなか。今はそうではなくなりました。その途中の苦労を見ていますと、今おっしゃられたような新しい製品をつくられてもなかなか軌道に乗るまでには時間がかかる。その間のつなぎ資金に困るというわけですよ、組合長が。それで、県単で何とかしてくれと言われて弱っちゃったことがあるんです。  そういうふうないわゆるリードタイムのときの手当て、それからまた、速やかにこの業界に、いわゆる使う方の、風下の風下の方の業界にそういう新しい技術、製品を普及させるための力添えといったものが、これは民サイドですからいいんですけれども、こういう時代になりますと、林野庁としてもやっぱりそれなりに官の域を超えないでのお取り組みが必要だと思いますので、これは要望申し上げておきます。  それから次に、林業労働力確保支援センター、これは非常に多様な機能を持っているんですね。  職安的な機能もあれば、林業金融というか金融的なものも持っていれば、それから経営の合理化というんですか林業の合理化というような非常に多様な機能を持っております。これだけの機能を持ったものを各県に一つつくって本当にうまく機能するのかなという、結構なんですけれども、心配をしております。相当な体制が要ると思うんですね。  今、県の場合、どこの県もそうだと思うんですが、これだけのものを受け入れてやれる林業団体というのは森連の事業体か林業公社か、それからいわゆる自治省のお世話をいただいてつくった担い手基金、それらぐらいかなという感じをちょっと持つんですが、長官の頭にあるのはどの辺ですか。
  101. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まさに御指摘で今例示されたようなところが私どもの頭にありまして、既存の森林整備法人であるとか担い生育成基金、こういうところを指定してまいりたいと考えております。
  102. 高橋令則

    高橋令則君 そうおっしゃるだろうと思っていたんですが、これらはいずれも体制は決してそんなに強くないんですね。例えば、農業団体のそういう同じような分野、それから漁業関係の分野等々と比べても決して強いとは言えません。したがって、よほど現実に運用できるようなバックアップをしませんと、絵にかいたもちにならないかということを私は大いに心配しておるわけです。  したがって、この件は労働省の方にもよく御相談をいただいて、私は商工労働部にもいたことがありますので承知していますから、労働省の方とよく連絡をとられて、関係者が力を出し合って、力も精神的な方だけではなくて物的な方も出し合って実効が上がるような体制をとっていただきたいと思います。これは要望です。  それから次に、時間も大分経過していますので飛ばしてお尋ねをしたいと思いますが、今ちょっと言及をしました林業公社の現状及び今後について、まずどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  103. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) いわゆる林業公社、これは民法三十四条に基づく公益法人で、現在のところ三十八都道府県で四十二の公社が設立されております。分収林契約によります拡大造林を中心にしまして、現時点におきまして約四十万ヘクタールの造林地を持っております。平成六年度では民有林の人工造林面積の一三%に当たります約五千ヘクタールの造林を実施しております。  その資金でございますが、補助金を除きますと、農林公庫資金あるいは都道府県等からの借入金によって調達されておりまして、一番問題なのは平成六年度末で債務残高が約七千億円ということでございます。しかも、その保有している森林の大部分がまだ若齢林で、当分の間伐採による収入が期待できない。しかも木材価格が低迷しているということで、元利償還財源を間伐収入に期待することも非常に困難だということで、経営状況が非常に難しい状況にあるということを聞いております。  それで、何とかしなくちゃいけないということで、私どもといたしましても、林業公社等が分収方式を行う場合には、いろんな公的な分収林整備事業推進をやるとか、あるいは既存の造林資金とあわせまして無利子の資金を供給して、そして実質上の金利を下げるとか、あるいは長伐期施業を行うために農林公庫の既往の造林資金の借りかえを行うことを認めるとか、いろんなことをやっているのでございますが、非常に厳しい状況にあるということを認識しております。
  104. 高橋令則

    高橋令則君 林野庁の方の御努力の経過はそれなりに承知しております。私も林業公社の役員を多年やっておりまして現実に知っておりますが、なかなか大変なんですよ。本当に大変なんですよ。  今、長官が言われたぐらいでは焼け石に水かなというような感じを率直に持ちます。  ということは、現在、御承知のように農林公庫の貸付利率というのは、平成六年八月の公庫法改正で非補助で三・二五ですか、それから補助事業で三・二五から三・四であり、活性化資金制度を入れて三%ぐらいになるのかなと思いますけれども、いずれもそういう利回りですね。ところが、杉の造林投資利回り相当率は、これちょっと私は今年度の林業白書から見つけかねたんですが、教えていただきたいんですが、平成五年の林業白書を見ると、平成四年度の実績として〇・九%ということになっていますね、数字が間違っていれば御指摘いただきたいんですが。  だから、分収契約を結んで、これは一般の林家にも言えることですけれども、いわゆる投資をしたあるいはお金を借りてやったものの利率とそしてそれによって上げた収入との間にえらい懸隔がある。林業公社あるいはこれは県行造林にも言えることですけれども、もう六%を超えるような差異もあるということですね。それで、このままではもうとても払っていけない。私が役員をしておりました岩手県の林業公社の場合でも三百億を超える累積債務があるようです。  それで、ことし元金と利子の支払いが、元金が一〇ないし二〇%弱、あとは全部利子なんですよね。ですから、利子を払うので精いっぱい。その利子を払う金をどうしているかというと、しょうがないから県が貸しているんですよ。もうこれでは林業公社は元気が出ません。  ところが、林業公社の役割は、申し上げませんけれども、山村地域では県行造林なりいわゆる機関造林の、公団を含めまして、役割が非常に高いですね。山村振興といった場合に、いわゆる山で現金が入るということは非常に大きいわけです。  公社の方は地元からぜひ事業を縮小しないでくれと言われている。一方では、さっき申し上げた経営上の問題があって、これは財政当局も限界がありますから、もう勘弁してくれというような話もあるし、大変なんです。  したがって、私は、もう本当にもっともっと抜本的な対策をしていただかなければ早晩行き詰まるだろうなと、こう思うんです。その事態認識だけ、重大性だけをもう一遍長官にお答えいただきたいと思います。
  105. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 全く御指摘のとおりでございます。ほうっておいて傷を大きくするかということになりますと問題がありますので、私ども、実は去年も林業公社の財務状況の問題につきまして、我々国有林も持っておるものですから、同じような気持ちで眺めてみたんですけれども、無利子資金の制度を創設するとかいろんなことをやりましたので、ステップ・バイ・ステップでやる以外にないなと思いましたけれども、さらに一層年々強化していって、何とかしてこの経営の立て直しにも努力してみたいと思っています。
  106. 高橋令則

    高橋令則君 森林整備活性化資金制度、これはかなり制約がいろいろあって使いにくいという話があります。全体で二十五億でしたか、消化率がそんなに高いというふうに私は聞いていません。  したがって、これをぜひもう少し緩和して、財政当局の縛りがあるでしょうけれども、御努力をいただきたいと思います。これは要望です。  大臣、大変恐縮なんですが、国有林事業のあり方について大臣のお考えをお聞きしたいんです。  平成六年度の債務はついに三兆円を超えました。一方では環境と生産、この二つの要請に林野庁が現在の体制でこたえていけるのか。特に環境、景観、こういったものに対する要請が強まっている中で、今までのトレンドでもってこの問題に取り組んでいくことがいいかどうかという非常に根本的な問いかけが方々からなされています。  私は、国有林事業地域に果たしてきた役割その他については十分承知しておりますし、林野庁皆さん方が一生懸命やっておられることも承知しておりますが、この辺の展望、取り組みの方向についての大臣の所見をお願いします。
  107. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 国有林事業、今、合理化計画推進しているさなかでございます。これらの計画が人員を減らしたりあるいは立木の伐採を進める段階も見通しを入れたりやっているにかかわらず、三兆三千億という膨大な赤字を抱え込んでいるわけであります。  大蔵省も多少の理解はしてくれまして若干の助成はやってくれているのでありますが、正直言ってこの程度じゃスズメの涙だと、私から言うのはおかしいのでありますが。やはり将来この債務問題について、もう少し基本的な債務整理のためのプランを立て直していく必要があるんではないのかなと。ずるずる行っちゃって結局国鉄みたいな二の舞になるというようなことでは、これは国民負担を一挙にふやすわけでありますから国民皆さんにも申しわけないわけで、そういったことを予算編成の都度、やはりしっかりした計画を持ちながら対応していく段階にもう来ているんではないのかなと、私はこう受けとめております。  国有林野の重要性については、もう委員御存じのとおりで、私からるる申し上げる必要はないと思いますけれども、私は、森林というものがいかに国民生活に至大の影響を持ち、関係を持っているかということを十分国民皆さんにもおわかりいただいて、何らかの還元の手法を、ずるずる行って最後で、土壇場でひっくり返るというのでは間に合いませんので、やはり今から構築をしていく必要があるんではないのかなと、こう思っております。
  108. 高橋令則

    高橋令則君 最後でございます。自治省お見えになっていますね。  最後の質問ですが、地財対策上自治省が森林整備について非常に御理解を示されて、いろいろ手当てをしている実情を承知しております。今から数年前に財政局に行ってお願いした一人でございますのでよく知っていますが、平成八年度以降どのようなお考えでお取り組みになるか、その点だけお尋ねをしたいと思います。
  109. 岡本保

    説明員(岡本保君) 今、先生指摘のように、私ども平成五年から森林山村対策を始めまして、千八百億程度で始めましたものを平成八年度では三千億弱に規模拡充をしてまいっております。林道の事業費の拡充でございますとか、先ほどもお話が出ました担い手基金につきましては累計で今九百三十億程度の累積の措置をいたしております。これから森林整備でございますとか山村地域の振興の施策がますます重要になってまいると存じますので、林野庁とも十分相談をいたしまして、連携を深めて適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  110. 村沢牧

    ○村沢牧君 ここ数年、林野庁森林事業に関する法律なんかも出してきておりますが、特に今後の森林林業策に対する方針を示しておるのは、平成三年の百二十国会に森林法及び国有林野改善特別措置法、これだというふうに思うわけです。  そこで、この方針を具体化して森林整備あるいは林業生産活動を維持継続させる、川上から川下まで活性化を図っていく、その方策として今度林業三法が出されたものだというふうに私は理解をいたしているところであります。  しかし、林業を取り巻く情勢は大変厳しい。今までの法制だとかあるいは予算だけでもって林業活性化といっても大変困難だというふうに思いますけれども、しかし大臣、これからの林業森林活性化のためにどのようなことを考えられておるのか、大臣の所見をまずお伺いしたいと思います。
  111. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 今回の法案は、ある意味では従来積み上げてきた手法の上にではございますが、やはり私は画期的な手法であろうと、このように考えております。  しかしながら、日本国産材の今の需要状況、自給率というのは、どういう言い方がいいのか知りませんが、山はたくさんあり、木はたくさんあるにかかわらず二割しか使ってもらえないという状況の中で、その隘路をどう切り開いていくかということの抜本策が求められていると、こう思うわけであります。林野庁皆さんも、現在与えられた与件、例えば予算その他の条件の中でぎりぎりその手法を考えてくれたのが今回の法律だと思っております。  私も、この法案に基づいて、通していただきましたらさらなる、来年の概算要求もございますことでございますし、努力を重ねていかにやならぬと思っております。  委員指摘のように、日本林業の厳しさというものをしっかり受けとめていかなければならぬと、こう思っております。
  112. 村沢牧

    ○村沢牧君 自給率の問題が先ほど来論議をされており、大臣からも今答弁のあったところであります。木材自給率は二二%、国産材のシェアは三四%、こういう現状の中で、長官が言われておりますように、五年たてば国産材時代が来るということですね。今林野庁は、森林資源の基本計画だとかあるいは林産物の需要と供給の見通しを改定しょうとして努力をしているということは承知をいたしております。  そこで、これは農業についても言えることでありますが、米の自給率低下傾向に歯どめをかけるという一つの方針があった、しかし昨年末に出された見通しを見るとそんな形になっていないので、私は与党として、その総論の中に、自給率の低下傾向に歯どめをかけると盛り込ませたことがあるわけでありますが、今進めている需要と供給の見通しの中で、国産材時代が来れば自給率はどの程度になるのか、またどういうふうにしたいのか、その点についてお伺いしたい。
  113. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 現在、私どもが持っておりますのは昭和六十二年に決められました自給率でございまして、これでは平成十六年には四三ないし四八%の自給率となっているわけでございます。現在、林政審議会の基本計画部会におきまして御議論いただいておりますけれども、私は、国産材時代ということですから国産材が相当部分製材業界の中で使われなくちゃいけないということでございまして、五〇%程度は維持するようなことを目指していろんな検討をしてもらったらいいんじゃないかと思って意見を述べたわけでございます。  何といっても国内の需要全体を国産材で賄うということはできません。少なくとも今のように落ち込んだ自給率を回復するということがまず基本的な前提で、さらに回復作戦を徐々にその目標を上げていくという二段構えでこのことについては臨むべきじゃないかというふうに考えております。
  114. 村沢牧

    ○村沢牧君 先ほど来お話があったように、これから外材やあるいはまた輸入住宅もふえてくる、これは何とかして極力抑制をしていくことは当然でありますが、国産材の付加価値を高めるために、今までの木材生産だ、素材販売だという林業の発想を転換させていくことが必要だと思う。  そこで、先ほど来、こういうことをやっております、こういうことをやりたいというように思いますという答弁があったわけでありますが、林産加工や内装分野までウイングを広げていくこと、さらに林産加工や流通販売まで力を入れていく、そしてそのためには調査や研究も必要だというふうに思いますけれども、この法律がどのようにそのために寄与するんですか。
  115. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) この三本の法律は、まさに新しい試みとして、今まで山を営々としてつくってきた、その結果、伐期適齢期が来た木材マーケットを求めて出ていかなくちゃいかぬ時期が間もなく来るわけでございますから、まさに林産加工業、これにウイングを広げて行政を展開しなくちゃいけない。今まで林産加工業に対する行政がある意味じゃ十分でなかったと私は率直に言っていいんじゃないかと思います。試験研究、商品開発から始めまして、マーケットの開発、そこまで十分に検討しながら、せっかくつくり上げた森林が十分にマーケットを求めて出ていくための生産、流通、加工の諸条件を整備することが必要なのでございまして、それがこの三法案の基本的なねらいでございます。
  116. 村沢牧

    ○村沢牧君 その内容については時間がありませんからいろいろとお聞きはいたしません。  そこで、建設省は見えておりますか。  木造建築物ですね、あるいは国産材を使用せよということで先ほど来いろいろと意見があるところでありますが、建設省も、建築基準法との関係がいろいろあるけれども、国産材の需要を拡大するように努力すべきである。特に建設省は官庁営繕を担当しているわけでありますから、官庁について内装も含めて国産材の使用は積極的に推進すべきだと思いますが、どうですか。
  117. 田村至敏

    説明員(田村至敏君) 私ども建設省が整備を担当しております施設は、国民の貴重な財産あるいは個人的情報を扱う税務署、法務局、それらの官署を集約合同化いたしました合同庁舎等が主なものでございます。したがいまして、火災等の災害または盗難等に対しまして国民の信頼にこたえ得る堅牢で耐久性の高い施設とする必要があることから、鉄筋コンクリート主体の構造としておるところでございます。  しかしながら、国立少年自然の家あるいは青年の家等の自然の場における教育研修施設のロッジ、宿泊棟などにおきましては、これまでも骨組みや内装材に地元産木材を用いるなど、国産材を積極的に採用してきております。  御質問の趣旨を踏まえ、今後ともこうした木材の使用が望まれる施設等につきましては積極的な活用を図ってまいりたいと存じます。
  118. 佐々木宏

    説明員佐々木宏君) 御指摘のうち規制緩和の問題につきましてお答えをさせていただきます。  御承知のように、建築基準法におきましては、火災からの安全性を確保するために木造建築物の階数あるいは規模につきまして一定の制限を設け、また建築物の外壁、柱、はり等の防火性能などを定めておるところでございます。  これにつきましては、御承知のとおり、近年の木造建築物の防火性能の向上に関する技術開発の進展等を踏まえまして、昭和六十二年には建築基準法の改正によりまして準防火地域において一定の防火措置を施した木造三階建て建築物等を建築可能といたしております。  また、平成四年の建築基準法の改正によりまして、一定の防火措置を講じた木造建築物を耐火建築物に準ずるということで準耐火建築物に位置づけまして、木造建築物の建築が可能となる地域、規模等を拡大いたしました。また、一時間以上の耐火性能を有する木造三階建て共同住宅等を防火、準防火地域以外の区域において建築可能とするという措置を講じたところでございます。  今般、この三月二十九日に決定をされました規制緩和推進計画におきましては、まず第一に木造三階建て共同住宅の建設可能地域を拡大するため平成九年度中に要求性能水準を明確化するということにいたしておりまして、この一環といたしまして、去る三月五日には建設省建築研究所において木造三階建て共同住宅の実大火災実験を行うなど、必要な技術開発、技術的知見の集積を図っておるところでございます。  また、建築基準全般につきましては、仕様規定中心の現行制度から原則として性能規定という形のものに改めることといたしておりまして、例えば内装の制限につきましても、火災に対する安全性の総合的な評価による性能規定化といったような観点から今後見直しを進めていくということにいたしておるところでございます。  以上でございます。
  119. 村沢牧

    ○村沢牧君 建設省も木造だけではいけない建物もある、よく承知をしています。そのことは承知をしているけれども、内装も含めて国産材を使えるものは使っていくんだと、そういう方針で今後とも取り組んでもらいたい。強く要請しておきます。  そこで、先ほどの質問で国有林の問題も出たわけでありますけれども、大臣がおっしゃったように国有林は累積債務を初めまさに危機的な状況にあることは私も承知をしております。  一九七八年、昭和五十三年に国有林野改善措置法ができてから今日に至るまで四回の法改正が行われた。私はその都度、修正案を出したり、当委員会の決議を行ったり、提案もしてまいっておるところであります。政府が私たちの提案を取り入れておったとするならばこのような形にならなかったであろうと私は今もって思っているわけです。  そこで、現在、与党は政策調整会議の中に森林資源に関するプロジェクトチームをつくって検討しておりますが、大臣も、国有林問題はだれかがあるとき決断しなければ、このままずるずるといってしまったら大変なことになる、抜本策を早急に検討する必要があるというような趣旨の答弁を今までされております。これは累積債務の問題だけではありません。大臣の考える抜本策とは何でしょうか、お聞かせください。
  120. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 私の先ほどの発言の一番頭の中にありましたのは、累積債務の問題をまず頭に置いて申し上げたわけでございます。  やはりこれは、一定の計画、三万一千人体制を一方に持っていこうというのですから、かなり厳しい合理化をやっていかざるを得ないわけでございます。そういった状況の中で、この累積債務の解決については一定の期間において、いついつまでにこれを解消するといった手法を予算の中に組み込んでいけないものかどうか、この辺は概算要求も間近でございますから十分勉強させていただきたいなと、こう思っております。  国有林野の問題は、これは国の、我々の唯一の大事な森林資源でございまして、それを守っていくということは国民の義務だと私は考えるわけでございます。これをひとり国有林事業会計だけの運営に任せるというのではなくて、何らかの追加負担を国民に求められる手法はないものかどうか。  これは思いつきで大変恐縮でありますけれども、現在三%の消費税の中に水道分というのが実は七百億ぐらい入っておるようでございます。仮に来年の四月から五%に上がることになりますと一千数百億というのが水道税なのでありまして、これを何らか持ってこられないものかと、そういう理論構成ができればいいなと。もしこれで消費税が今後どんどん上がっていくということになりますと、恐らく食料品の非課税問題も出てくるでございましょう。そうなったら水道分については何とかこれを確保して山へ還元できることも思考の頭の端っこに置いていい問題ではないのかな、そんなことも考えて私は申し上げたつもりでございまして、なかなか難しい課題だと思いますが、御理解をいただけたらありがたいと思っております。
  121. 村沢牧

    ○村沢牧君 私は一部に言われているような国有林野から一部分を離して他の省庁へ持っていくというような考え方については賛成できない。あるいはまた、林野庁は改善計画を進めてこのままいくんだということをいつも言っているんですが、それでもだめだと思いますね。  大臣は累積債務のことを強調されておりましたけれども、これは一定の方向が出ているんですね。  すなわち、百二十国会で国有林野改善措置法改正して国有林野会計を経常部分と累積債務部分に分けたんです。そして平成十二年の改善計画までに赤字をなくしていく、それから十年かけて国有林野会計は借金をゼロにして収支の均衡を図っていくんだと、方向は出されているんですよ。当時の累積債務は二兆二千五百億、このうち一兆二千五百億については林野庁が自己努力によって何とかしましょう、一兆円については別途財源を講ずる、すなわち一般会計から支出をする、その方向は閣議了解でもできているわけなんですよ。しかし、日時がたつと担当者もかわってくるし、こうしたことが忘れがちになる。また、忘れなくても観念が薄くなるんですね。  林野庁長官、この累積債務の分担について確認をしてもらいたいと思います。
  122. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 前回の国有林事業の改善に関する計画のときに、経常事業部門は平成十二年度までに借入金をゼロにする、それから累積債務については新しい借入金を二十二年度までにゼロにするということを目標にして各種の経営改善をやらなくちゃいけないということが決められたわけでございます。  その議論の中で、二兆二千五百億円の債務残高については、言ってみれば国有林で持っている林野、土地の売り払いで一兆二百億円ぐらいは分担し、それから残りの部分については別途財源措置でやろうかなという議論がございました。しかし、このことは文書に書いてあるわけではございません。議論の過程で、大蔵省も十分念頭に置くという話で進んだわけでございます。文章では「これらの徹底した自主的努力による累積債務対策を講ずることとした上で、なお不足する費用については、別途財源措置を構ずる。」という抽象的な文句になっているわけでございます。  しかし、私どもは、この経営改善計画に従いまして要員規模も縮小するしそれから組織も合理化してきているわけでございますから、あとやれることはやった上でさらに一般会計から相当の援助をしていただきたいということで、毎年毎年大蔵省当局にかけ合っているわけでございまして、今後とも一生懸命その姿勢で臨みたいと思っております。
  123. 村沢牧

    ○村沢牧君 当時、林野庁次長であったあなたがそんなことではだめですね。なるほど文書には書いてないよ、しかしこの国会の委員会の論議の中でこらしますという答弁をしているんじゃありませんか。それが最高の方針だというふうに思いますよ。  ところが、平成七年には三兆三千億を超えるような状況になっている。もし当初に計画したように一般会計負担分、十年間で一兆円ということになれば、利子も含めて毎年一千億ぐらい一般会計からもらわなきゃこれは約束を果たしたことにならない、国有林の再建にならない、大臣が言われているような累積債務の問題も解決しない。したがって、今まで一体どのくらい一般会計から入れているんですか、累積債務について。
  124. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 一般会計の繰り入れが平成三年度以降今日までどのくらいかという御質問でございますが……
  125. 村沢牧

    ○村沢牧君 累積債務です。
  126. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 累積債務につきましては、トータルで七百十三億円でございます。平成三年度に百億入れまして、それから徐々にふやしていきまして平成七年度が百八十億で、累計すると七百十三億ということでございます。
  127. 村沢牧

    ○村沢牧君 大臣、このようなことが、こういう方針でやろうという閣議了解のもとにこれの改善措置法を検討したんですよ。国会で当時の大臣も大蔵省も答弁しているんですよ。しかし今は、御承知のとおり、十年間で一兆円程度負担をしよう、あるいはまたそれから若干延びるかもしれませんが、それが今言った程度のことしか負担をされておらない。大臣は累積債務を大変心配されているけれども、まさにこれこそ大臣のやるべきことではありませんか。
  128. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 私も、農林水産大臣になりまして林野庁関係から最初のレクチャーがこの累積債務のお話でございました。  先ほどからも申し上げますように、この程度のペースでは赤字はふえるわけであります。同時に、金利負担を見ますと非常に高い金利のものが残存しておるということで、この辺からまず整理をしていかなければいかぬ課題が残されているように思いますので、その辺も十分これからの折衝に対応してまいりたいと、こう思っております。
  129. 村沢牧

    ○村沢牧君 今、金利の問題が出たんですが、平成六年度のプライムレートは四・四%だったけれども、国有林野会計が財投からの借入平均金利は五・五七%ですね。今はこういう三法をつくって、民有林について、金利も安くしましょう、あるいは償還もなくしましょうという、今まで国有林に対して、造林やあるいは林道についても民有林並みにしなさいということで三年かかってやっとなった。だから、金利だってそういう立場に立って措置すべきものだと思いますが、どうなんですか。
  130. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まさにそういうことでございまして、一般会計からの林道事業とか何かに対する繰入金は民有林並みにするんだということで進めてきたわけでございますが、金利の問題にメスを入れないで国有林の累積債務対策はあり得ないということで、平成八年度には何としてもこの金利対策をやらなくちゃいかぬということで大蔵省に要求いたしました。  そこで、民有林の農林公庫の一般利子三・五%、これを上回るような金利、これにつきましては、造林の借入金につきまして初めて一般会計から金利助成を行うようになったわけでございます。さらに、借りかえ借入金、これの利子補給の対象も限定されていたんですが、拡大していただきました。まだ十分ではございません。しかし、このような新しい道を開きましたので、これをさらに強化することによって一般会計からの繰り入れをさらにふやしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  131. 村沢牧

    ○村沢牧君 大臣、前内閣におきまして、閣僚懇談会の中で農林水産大臣も発言があった、他の閣僚からも国有林をこのまま放任することはできないではないか、例えば今申し上げましたような財務の問題、定数の問題、そういう発言がありまして、何とかしょうじゃないかということが閣議で話題になってある程度前進したものもある。大臣もひとつそういう閣僚懇談会なりにぜひ出していただきたい。また大臣の応援団を私どももつくります。ぜひ頑張ってください。そのことを申し上げておきましょう。  次に、林業労働力確保法案について伺いたいと思います。  社会民主党、その前の社会党は、野党時代、議員立法として林業労働法を何回も提出してまいりました。すなわち、昭和五十八年の第九十八国会、それから同じ年度の第百国会、それから五十九年の百一国会、六十年の百二国会、それから六十一年の百四国会、そしてさらに六十二年の百八国会、そしてさらに六十三年の百十二国会、平成五年の百二十六国会、これは林業労働法とは言いませんけれども、提出してきた。私は、これらの法案の発議者、提案者となって、当時の社会労働委員会で何回も趣旨説明をしてきたところであります。  そこで、先ほど申しました平成三年の百二十国会で、林業労働に関する私の質問に対して当時林野庁次長の入澤さんは、「今先生指摘のとおり、林業労働法という名前がいいかどうかわかりませんけれども、基本的な法制度が必要じゃないかというふうに考えております。」と、こういう答弁をしておる。そのとき、大臣林野庁長官ものらりくらりの答弁をしておる中であなたがこういう答弁をしたことは、私は高く評価したい。私はこの十年間、政府に対して、こういう対応は遅過ぎると指摘をしてまいりましたし、その中であなたが林野庁長官になって法案を出したことは敬意を表します。しかし、私が出した法案と名前は同じようだけれども、中身はそれほど私は高く評価をしておらない。  そこで、長官、私が申しましたように、私どもが提案した法案を随分私も勉強してこんなに内容をいろいろ持っているんですよ。それと比べてみて今のあなたが出した法案、どういうふうに思いますか。
  132. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 確かに、前回私は慎重に検討いたしますと答弁したわけでございます。慎重にというのはやらないという意味ではありませんでして、長官になりましたので、約束を果たそうと思っていち早くこの労働力関係法律の作成を指示したわけでございます。  社会党の出した案と比較した表を私は持っていますけれども、ほとんど盛り込まれております。  財政上の措置だとかいろんなところにつきまして、これは他の法令との整合性がございますから整理したところはございますけれども、基本的には農林水産大臣、労働大臣が基本方針を定めて、そして都道府県知事がそれに即して基本計画を策定して、そして各都道府県が設ける支援センター、これを指定法人にいたしまして各種支援措置運動の骨体とするというふうな考え方で社会党の案もできたと思います。全く私はこの社会党の案を参考にしながら労働省と協議をしてつくったのでございまして、私どもの案がそれほど劣っているというふうには考えておりません。
  133. 村沢牧

    ○村沢牧君 出したことは敬意を表しますよ。しかし、長官が言われるほど私は高く評価していない。与党だからよくやったというふうに思いますし、また私どもの気持ちを酌んでくれたというふうに思いますけれども。  そこで、例えばこの法案を見ると、私どもは今置かれている劣悪な労働条件の中で雇用の安定とともに福祉の向上をしなければならない、このことを正面に出しておりますが、政府提出法案にはその文言が余り見られない。したがって、この法律の施行に当たってはその点を十分に留意しなければならないが、どうですか。
  134. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まさに御指摘のとおりでございますが、この法案では事業体において雇用関係の明確化等、雇用管理の改善及び事業の合理化が図られることを定めておりまして、この中には林業労働者の雇用の安定と福祉の向上が入っておるというふうに私どもは考えております。  福祉の向上という言葉を直接入れようかということで、これは法制局とも議論いたしました。しかし、この法律の性格からしてそのような言葉を入れるのが妥当かどうかということで、雇用管理の改善それから事業の合理化ということで思想を統一したわけでございます。この中には、しかし、意味するところは福祉の向上が入りますので、各種の補助金を出す場合には福祉施設の整備等に対して当然のことながら補助対象にしていくということで臨みたいと考えております。
  135. 村沢牧

    ○村沢牧君 これは農林水産大臣と労働大臣との共管の法律ですね。したがって、政府が基本方針を定めなければならないというふうになっておりますが、この基本方針について労働省はどういうふうに関与するんですか。基本方針について労働省が重点とする項目は何ですか。
  136. 吉免光顯

    説明員吉免光顯君) 基本方針の作成に当たりまして、労働省の方からは、今もお話がございましたように、雇用管理の改善というところは大変大事でございますから、そういう観点から雇用環境の改善でありますとかあるいは福祉の増進、そういったところの方針を極力明らかにしていきたいというふうに考えております。
  137. 村沢牧

    ○村沢牧君 基本方針には四つほどの項目しか挙げておりませんが、この基本方針をさらに細かく示すわけですね。その場合には、今申しましたような労働条件の改善あるいは雇用の安定、福祉の増進を図る、こうしたことをこの基本方針の中に盛り込むべきである。どうですか。
  138. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) その方針で臨みたいと思っております。
  139. 吉免光顯

    説明員吉免光顯君) 先生指摘のことは大変大事な具体的な御指摘だというふうに受けとめておりまして、基本方針作成に当たりまして先生の御趣旨を十分踏まえて考えていきたいというふうに思っております。
  140. 村沢牧

    ○村沢牧君 私が言う雇用の安定ということは、具体的に言うならば、林業労働者は、季節雇用だとか出来高払い、こういう中で不安定な雇用状態に置かれておりますので、それを直して通年雇用だとか社員化だとか月給化を図ろうと、そういうことでありますが、私どもの法案にはそのことをちゃんと説明に書いてありますけれども、いかがですか、具体的に言うならば。
  141. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 雇用管理の改善ということの中には、これはできるだけ不安定な所得対策、出来高制あるいは日給制等から月給制とか安定した所得が得られるような関係に改めていくんだということも目指すのでございまして、これを法律で強制的に書くことがいいかどうかということについてはやはり議論があるところでございまして、林業の各地域実態に合わせまして指導として可能な限りそのような方に持っていくということの方が私は現実的ではなかろうかというふうに考えておりまして、そのように指導してまいりたいと思っているわけでございます。
  142. 村沢牧

    ○村沢牧君 そのように指導していくと。そういう状態に持っていくことが望ましいことであり、しなければいけないというふうに思いますが、労働省は、そのように通年雇用あるいは月給化を図っていく。そういうときに、林業労働者の福祉の増進にとって雇用保険を初め社会保険が適用できるように、あるいは特例でも適用するように努力をする、また周知徹底を図る必要がある。いかがですか。
  143. 吉免光顯

    説明員吉免光顯君) 先生指摘いただいたとおりで、私どもの方も特に事業主に対して周知、指導を徹底いたしまして、通年雇用を初め雇用の安定を図って雇用保険等の適用ができるように努力してまいりたいというふうに思っております。
  144. 村沢牧

    ○村沢牧君 この法律は、例えば地方公共団体が「基本計画を定めることができる。」先ほどもお話があったように、非常に弱いと思いますね。特にまた国だとか地方公共団体の責務が明文化されておらない。  そこで、労働省に聞きますけれども、労働省所管の例えば介護労働法の四条一項だとか看護婦法の四条三項だとか障害者雇用法の第七十八条、これらに比べてみてどういうふうに思いますか。
  145. 吉免光顯

    説明員吉免光顯君) 規定から見ますと、先生指摘の点はあるわけでございますが、今回の法案の中では、国が基本方針の策定をしてまいりますし、都道府県が基本計画をつくっていく。そういう中で、目的としております雇用管理の改善あるいは事業の合理化、そういったものが一体となって国、都道府県の取り組みの方向といいますか、そういったものをはっきりさせていきたいと  いうことで考えているわけでございます。
  146. 村沢牧

    ○村沢牧君 私が今指摘をした法律と比べてみて弱いということは、これらの法律はいずれも国や地方公共団体は「努めなければならない。」あるいは「努めるものとする。」と、こういうことが書いてあるわけですね。この林業労働力確保法ではそういうことはちっとも見当たらないけれども、もう少し基本計画をつくる、もちろん大臣が基本方針もつくる、そういうことでありますから、地方自治体として国としてやるべきことはやっぱりはっきりしておかなければいけない。その点について今後検討してもらいたい。いかがですか。
  147. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 国の基本方針あるいは基本計画に従いまして、各都道府県が、任意規定ではありますけれども、すべての都道府県で基本構想なり基本計画をつくるように指導してまいりたいと思います。
  148. 村沢牧

    ○村沢牧君 これまた申し上げますが、地方公共団体が「定めることができる。」、これは弱過ぎる。  したがって、法施行に当たっては、認定事業主だとかセンターだけの問題じゃなくて、林業労働者を確保していく、労働力確保していくという立場から、こういうことをつくりなさい、つくってもらいたい、つくるべきだということをやっぱり指導すべきだと思いますが、いかがですか。
  149. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) そのような方向で指導してまいりたいと思います。
  150. 村沢牧

    ○村沢牧君 時間が参りましたからこの程度にいたしますが、法律を出したことは結構、与党でありますから賛成ですけれども、しかし中身を見ると私どもが期待をしたようなことにも大分欠けている面がありますから、法の施行の中において十分配慮してもらいたい。これは林業労働力確保法案だけでなくてその他の問題についても強く指摘をし、さらにまた施行に当たってのいろいろと通達や扱いについては私どもも注文をつけていきたいと思いますから、十分聞いてください。  以上をもって終わります。
  151. 須藤美也子

    須藤美也子君 緑と水の源泉である山が今荒れ果てています。先ほど井上委員の質問の中に、これまで日本の山を守ってきたのが九割を占める零細、小規模の林家であったと言われました。私は東北出身であります。一年の半分は雪に埋もれています。雪が降っている間は山に入ることができません。だから、中山間地の農家が農業の合間に山を守ってきました。ところが、この中山間地、高齢化と価格が低迷してもう造林の意欲さえもない、これが今のお山の実態だと思います。そういう中で、林野三法がこういう山林関係者にとって意欲を回復するようなそういう内容のものになるように、まず最初に私は期待したい。  では、これから若干質問したいと思います。  まず一つ木材安定供給確保に関する特別措置法についてでありますけれども、私はせんだって九州に行ってまいりました。大臣の地元である宮崎県であります。  大臣にまずお尋ねをいたします。  杉生産量日本一の宮崎県、その中でも製材の出荷量が一番多い都城に、丸紅がアメリカ村と称して約四十戸の輸入住宅を展示、販売しています。  この輸入住宅は一戸二千五百万円ぐらい、四十戸で十億円であります。住宅というのは木材だけではないんです。台所やふろ場、窓ガラス、畳、家具、大変すそ野の広い総合的な産業であります。だから、地元の人たちも住宅の建設は地域の経済の活性化につながる、こう言っています。  宮崎県は林業白書にも取り上げられるほど先進的な林業県であります。現在では何とか国産材の需要拡大を図ろう、こういうことで現地の人たちが懸命に努力をしているときに、住宅までも輸入する。しかも、日米首脳会談で住宅輸入が一層促進できるような規制緩和を約束された。住宅までどんどん輸入しながら、一方で今回の林野三法で国内林業の振興と言っても全く矛盾したものではありませんでしょうか。大臣、どうお考えでしょうか。先ほど風間議員に答弁なさったことと違う答弁をお願いいたします。
  152. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 林野庁からいただいた資料によりますと、輸入住宅の戸数がだんだんふえていっていまして、平成四年度千三百戸、それから平成七年度で四千五百七十五戸という数字をいただいております。  宮崎の話、私は実は余りよく知らないのでありますが、都城といえば非常に有名な船の材木、船材でございますが、の日本における唯一の主産地でありまして、現在皆さん方が非常に苦労をしながら船が材木からプラスチックにかわっちゃったと。何とかこれを新しい用材として開発できないかと四苦八苦して苦労しておられるところでありまして、そのど真ん中でやっているというお話でございまして、非常に残念なことであります。  いずれにしましても、これは先ほども申し上げましたけれども、アメリカさんの方は例のJASの基準を日本の基準とあちら側の基準とを統一してくれというお話が主たるお話でございました。  どんどん外国から買いなさいという意味ではないわけでございまして、我々としてはこういう国際基準の統一化を、JISについても言えることでありますが、JASについても可及的に統一することは規制緩和の現在の流れの中でやむを得なかろうということで是認をしたわけでございます。  この法案を出しまして、まさにおっしゃるように国産材時代が目の前に来ておる、それをこういう外材との価格競争の中でどう生き延びていかなければならぬかという問題をとらえましたときに、やはり従来の手法を超えた新しい手法で対抗措置をとっていく必要があるのではないかというのがそもそもこの三法を出す発想の始まりでございます。いろいろ先ほども村沢先生から、これは我々が考えるとまだ百点満点じゃないと、私もまた現にそう思っている者の一人でございまして、いずれにしてもこれを起爆剤にして、そういった国産材時代の対応を展開できる足がかりをこれによってつくっていきたい、こう考えているわけであります。
  153. 須藤美也子

    須藤美也子君 ちょっとついでですから、大臣にもう一つお尋ねいたします。  衆議院の答弁の中に、この輸入問題に対して大臣はこうおっしゃっています。「これを克服する道として三法を出したと言いながら、この三法でそれじゃ答えが出ますということは、私は言い切る自信はございません。」、大臣、自信のない三法を提案しているんですか。我々は、大臣は確信を持って三法を出している、このように考えているわけです。それが答弁の中で、「自信はございません。」と言われたら私たちはどう答えたらいいでしょうか。  釈明をお願いします。
  154. 大原一三

    国務大臣大原一三君) まさに釈明の要るところでございまして、質問の流れがありまして、その前段があったと思うんです。これで百点満点の答えであるかと、こう聞かれますと、百点満点ではない。しかしながら、この厳しさの中で少しでも苦労をしながら道を切り開く手法としてとりあえずこの法案を提案いたしました。しかしながら、当面の予算やその他を見ますと百点満点ではない、この程度の予算では完全に対応ができるとは自信を持って申し上げられない、今後努力をいたしましょうと、こういう意味でございまして、誤解のないようにお願いをいたします。
  155. 須藤美也子

    須藤美也子君 余り大臣にしつこく言いますと、何かいじめているみたいで悪いのでこの程度にしますけれども、せっかくつくった三法ですから、ぜひこの三法が生かされるようにその先頭に大臣から立っていただきたいというふうに要望いたします。  二点目は、大臣木材安定供給確保に関する特別措置法趣旨説明の中で、「製品輸入の増大、木材価格の低迷等により一段と厳しいものとなっており、大規模化によるコストの低減を図ることが急務」、こういうふうに述べられました。  まず、森林所得者でこれから経営の規模拡大をしようとする意欲を持っている方がいらっしゃるでしょうか。
  156. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 平成五年に私どもの統計情報部で、林業経営に関する担い手層の意向調査というのをやりました。その中で、今後の経営方針について聞きましたところ、林業に力を入れると回答した林家のうち、規模拡大をして力を入れていくんだといった林家が九・七%、それから他人の山林作業も請け負うといって答えた林家は七・九%、さらには特用林産等の多角化を進めていくんだ、そして林業経営を守っていくんだと答えた林家は六・二%、広い意味で経営規模を拡大しようと考えている者が二四%でございます。この時点ではまだこのような三法の法律はなかったわけでございまして、今回この三法をフルに使いまして、さらに今、大臣がおっしゃいましたように、予算等の内容を充実させていきまして、この割合をふやしていきたいと考えております。
  157. 須藤美也子

    須藤美也子君 現地に行きますと、森林組合方々は、まず規模拡大する人はいないでしょうと、開口一番そうおっしゃいます。木材の価格がこうも低い中で、規模を拡大して山の管理をしようとする人がいるなんということは聞いたことがない。これは九州ですよ。これが現場の声なんです。  こういう中で、規模拡大すればコストが下がって外材に打ち勝つことができるのか、経営が安定できると林野庁では考えていらっしゃるんでしょうか。
  158. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 誤解がないと思いますけれども、規模拡大というのは何も林地を買って、その所有権を取得して規模を拡大するということだけを考えているのじゃありませんでして、他人の山の施業を受託して、その受託も含めて経営基盤を強化していきたいということもこの中には入っているわけでございます。  具体的に各地の例を見てみますと、例えば今、都城の話がございましたけれども、鹿児島県の例でも、素材生産のほかに他人から受託をして、その受託収入によりまして全体としての所得確保している例もございます。このようなことも考えておりますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  159. 須藤美也子

    須藤美也子君 それでは、例えば木材製造業者の共同化、大型化と、こう出されていますね。  例えば、国産杉ではメーカーから乾燥率を二〇%にしてくれ、こういう厳しい注文が来る。これは杉と競合する米ツガが二〇%、こういう点で同様の規格を要求される。しかし、杉の乾燥率を二〇%まで落とすと、大型乾燥機械で一週間熱風を送り続けるこのコストは立方当たり一万円以上もかかる、こうおっしゃっているんです。これは、米ツガは自然乾燥でコストなど全くかからない。  大型化してもこうした新たなコストが要求される中で、外材に打ち勝てるというふうには私は考えられないんです。基本は外材の輸入を規制すること、それ以外に木材安定供給確保は実現できないのではないか、このように私は考えておりますが、いかがでしょうか。
  160. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 御承知のとおり、WTO条約の発効にも見られますように、今の時点で外材の輸入を規制するということはなかなか難しゅうございます。やはり、開かれた社会の中で、その中で競争に打ち勝っていかなくちゃいけない。そのためには、困難であるかもしれませんけれども、外材に打ち勝つだけの条件を国内で整えなくちゃいけないと思います。道は遠いかもしれないけれども、しかし耳川とかあるいは岩手県の例にもございますけれども、各地で十分に対抗している例もございますから、そういう例を参考にしながら全国的な普及運動を続けていきたいと思っております。
  161. 須藤美也子

    須藤美也子君 ちょっとその答弁では何かもやもやしていますね。余りはっきりとした答弁は聞けないようなんですけれども。  次の木材安定供給確保に関する特別措置法では、木材製造業者と森林所有者が共同して木材の安定的な取引を図るための事業計画をつくるとありますね。これは知事の認定を受ける。宮崎県など西日本では、森林所有者が原木市場に切り出した素材、丸太を持ち込んで、そこで一台五千万円から七千万円もする選別機械にかけて長さや太さや曲がり、この規格をそろえて今、競りで製造業者が買い付けをしている。今度そういう森林所有者と木材製造業者が共同して取引を図る事業計画になりますと、これまでの市場での取引が否定されるのでしょうか。
  162. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 木材技術の今の実態では、全体では製材工場に入荷される原木の四五%が原木市場を経由しております。ただ、地域によって大分違います。例えば、原木市場への経由率が高い福岡県などでは八九%でございますが、北海道では一%というふうにまちまちでございます。  今度はこの法律に基づきまして、地域実態に応じまして森林所有者等、それから木材製造業者等のほかに、木材市場の開設者等の各地域木材の流通の各段階を担っている事業者を事業計画の参加者として位置づけまして、そしてその積極的な参画を期待しております。  特に、原木市場の開設者につきましては、原木の仕分けとか配分とか、あるいは代金の回収とか決済等の機能を担うことに加えまして、森林所有者等と木材製造業者等とのコーディネートの役割も果たしてもらうことが期待されておりまして、その参加を促してまいりたいと考えております。
  163. 須藤美也子

    須藤美也子君 これまで長い歴史があるわけですから、ぜひこういう現地の実態に即した弾力的な運用を要請したいんです。これは考えていただきたい。お願いしたいと思います。  次に、過去五年間に伐採を行った跡地に植林しているのは全国平均して五五%ですね。現地で話を聞くと、木材価格の低迷から再造林する意欲はない、出てこない。つまり、伐採した跡地に造林する経費もない。借金をしてまで造林をしても元が取れない。今の木材価格を見ていると、とても借金などできない。これが現状なわけです。再造林をするために、都道府県の林業公社活用する場合には、経費を助成するなど国が指導、援助を図るべきではないかと思うんですが、これはどうでしょうか。
  164. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 再造林の面積は最近では漸増傾向でございまして、予算も、平成八年度予算を例にとれば一〇五・三%というふうに伸ばしているわけでございます。造林公社等造林を請け負う場合には、今、金融が中心でございますけれども、先ほども質問がございましたけれども、非常に財政事情が厳しいという中でいろんな工夫がなされております。今回のこの法律をきっかけにしまして、造林公社が例えば施業の受委託をするというふうな場合には、無利子資金だとかまたは奨励金等の措置が講ぜられることになりますので、そういうものを活用しながら進めていきたいというふうに考えております。
  165. 須藤美也子

    須藤美也子君 時間がもう二分しかありませんから、最後に、林業労働力確保促進に関する法律案に関して簡単に質問したいと思うんです。  先ほど来皆さんからいろいろ質問されていますけれども、各県に担い手対策基金の運用益を財源にして行われているわけですけれども、最近金利が現行で〇・五%、非常に低くなりました。計画どおりの事業が進められないことから、例えば宮崎県では、金利が低いので三・五%まで、つまり県が三%分を一般会計から補てんしている。担い手基金の運用益を賄っている。ですから、何とかこういう形で事業を進めている、こう言っているわけですが、林野庁では林業労働力確保支援センターの業務をこうした既存の担い手対策基金にゆだねることを想定しているようですけれども、基金方式では財源が不足して、法案に掲げる林業労働力確保支援センターの業務が十分機能できるというふうには思われないんです。国の助成措置が必要なのではないでしょうか。  それと、もう一つ、北海道、東北地方、冒頭に申し上げました。冬季分、冬の間、これはどうするんでしょうか。農作業の合間にやってこられたこの中山間地の環境保全問題、こういう点では林業をやっても生活できる賃金などの労働条件などを抜きに労働力確保はできない、あり得ないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  166. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まず、担い手対策基金につきましてはさらに上乗せをしていただきまして、八十億円積み増していただきまして、運用益が低下している部分を補っていただくことになっております。  私ども林野庁といたしましても、森林整備の担い生育成確保総合対策事業あるいは林業構造改善事業によりまして、支援センターに対して直接の補助金を出してその運営を行っていきたいと考えているわけでございます。  それから、冬の間どうするかということで、これは農業も林業も共通の課題でございまして、労働力の完全燃焼を図るというようなことを考えますと、冬の場合には、例えば特用林産物の経営を森林組合等がやる場合にそこに労働力としてあっせんするとか、あるいはいろんな加工品がございますから、そういうところの木工所で働くとか、新しい隣接した関連の職場のあっせん等も考えていって、それによって所得確保する道もぜひ開いていかなくちゃいけないというふうに考えております。
  167. 須藤美也子

    須藤美也子君 終わります。
  168. 国井正幸

    ○国井正幸君 新緑風会の国井正幸でございます。    〔委員長退席、理事青木幹雄君着席〕  我が国森林は、木材生産のほかに国土保全、水資源の涵養など公益的な機能を持っておりまして、国民生活にも多大な恩恵をもたらしている、これはだれもが認めることだというふうに思います。しかし、近年の我が国林業を取り巻く環境というのを見てみますと、先ほど来お話ありましたように、国産材価格の低迷、さらには伐出経費等の増加、経営コストが非常にふえておりまして一段と厳しい状況に置かれている、こういうことでございます。  さきに発表されました林業白書にもあるとおり、山村の人口というのが、やはりどうしても道路や生活環境施設、いわゆる社会資本の整備の立ちおくれなどによって、さらには就業の場が少ないということも含めて、なかなか若年労働層というか若年層を中心に人口が減少しているような傾向にあるようでございます。林業の振興と林家経営の安定、さらには山村の振興というのは一体不可分のものだろうというふうに思います。  そういう意味で、この三法案、先ほど大臣のお話にもありましたように、これで決して必要十分ではないにしても、一歩前進という意味で基本的には私は賛成をする立場でございます。  したがって、そういう意味で若干御質問をさせていただきたいと思うんです。  まず、林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案に関してでございますけれども、先ほどの質問にもあったんですが、今度この法改正で新林業部門導入資金というのを設ける、こういうことで、特用林産品を導入する場合に資金の無利子貸付制度ができる、こういうふうなことになるわけなんです。  私は栃木でございまして、八溝山系あるいは那須、日光の方でもシイタケ等の栽培も随分今やられているわけなんですが、なかなか中国産等のシイタケが入ってきて大変に価格的に厳しい状況に置かれていると、こういうふうに承っておるんです。この特用林産品、特にシイタケ、これらの価格の動向、さらには将来の見通し、この辺についてはいかがでしょうか。
  169. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 特に、シイタケにつきましては、中国等からの輸入がありまして国産の価格が下がっております。平成三年度キロ当たり三千八百四十五円していた乾シイタケが平成七年には三千五十二円というように八百円も下がっている。しかし、生シイタケの方は十分に競争力がございます。  大事なことは、与野党にシイタケの議員連盟があるんですけれども、私はそういうところでも申し上げるんですが、それからまた私の私的な研究会としてシイタケの需要拡大を図るにはどうしたらいいかと研究してもらっているんですけれども、いろんな形で需要拡大をすることが価格安定につながると考えております。  農林省は、過去いろんな努力をして需要が減退した作物なり商品の需要拡大を図ってまいりました。シイタケにつきましても、我々が家庭で浸さなくても朝スライスしたものをみそ汁に入れればすぐ食べられるような高速真空冷凍の技術などもあるわけでございますから、そういう製品を大々的に開発したらどうかというふうなことを一例として申しております。  いずれにいたしましても、新商品の開発によってまだまだシイタケにつきましては、特に国産のシイタケにつきましては需要の拡大が見られる分野だと思います。したがいまして、その結果価格も安定するのではないかというふうに見ているわけでございます。
  170. 国井正幸

    ○国井正幸君 私の身近な問題ばかり申し上げて恐縮なんですが、実は八溝山系の一部に茂木町というのがございまして大変にシイタケを生産している農家が多いわけなんです。ここで価格が低迷しているというふうなことでいわゆる原木のオーナー制度、オーナーになってもらって都会の人に来てもらって、その季節に出たものをもぎ取ってもらう、あるいは観光シイタケ狩りとか、そういうことをいろいろやっているわけなんですよね。それはできるだけ自然に親しんでいただいて、そしてあわせてしゅんのものを味わってもらって農山村を理解してもらおう、こういうふうなことでもあるわけでございます。  そういう中で、先ほど松村先生の質問にもあったんですが、この新林業部門導入資金の適用の枠ですね。そういう意味ではいわゆる林家自分の敷地を利用したり、あるいは周りにある自然環境を利用したりして民宿なんかもやっているんですね、そういういわゆる観光農園で迎え入れる場合なんかに。ぜひ私は公庫資金で、これはあるというのは事前に御説明はいただいたんですが、この特用林産品の価格がなかなか厳しい状況であるだけに、この利用の範囲、適用の範囲というものをぜひ拡大していただきたい、このことは今後の運用の中でぜひしていただきたいと、これは要望でございます。    〔理事青木幹雄君退席、委員長着席〕  次に、林業労働力確保促進に関する法律案について若干伺いたいと思います。  林業労働は、森林所有者の自家労働、それから森林組合やあるいは会社に雇われる雇用労働と二つあるんじゃないかというふうに思うんです。その就労も、先ほど来皆さんがおっしゃっておられるように、臨時的あるいは短期的なものから通年的なものまで、種々雑多というか非常に多様だというふうに思います。  これが間断なく通年雇用されれば私は問題がないんだろうと思うんですが、なかなか現実の問題としては難しい。例えば、Aさんという家に行ってその業務を請け負ってもそれだけでは長く続かずに、次はBさんのところへ行ってまた別の作業をする、こういうふうなこともあるわけなんですね。  先ほど風間先生あるいは村沢先生からも御質問があったわけなんですが、林業労働力確保するということになりますと、やっぱり林業労働者の雇用の安定ということと、さらにはその福祉の増進を図るということが私は必要なんだろうと思うんですね。幾らそこへ来て働いてくださいと、こう言ってみても、働く方の立場で、三Kどころか五Kだと、こう言われるように大変厳しい状況の中ではなかなか難しい状況があるんじゃないかと思うんですね。  そういう中で、港湾労働、いわゆる港の荷役の部分で、昭和四十年に港湾労働法というのが制定をされて、日雇い港湾労働者の登録制度の実施がなされた。そして、港湾労働者の雇用の安定と福祉の増進というのが図られてきた。さらに、昭和六十三年には状況も変わってきた。こういうふうなこともありまして、この港湾労働法というのを全廃して、新たに港湾労働者の雇用の改善と能力の開発向上、こういうことを措置するというふうなことで新たな港湾労働法が制定をされたということでございます。  そういういろいろな状況を考えたとき、私は、林業労働者についても、林業労働者のいわゆる登録制度、こういうものを設けて共同雇用制度というものを措置することができないものだろうかと思うんですね。いわゆるAさんの家で働いていてもBさんの家へ行って働いても同じような作業をして継続して反復するものを、雇用主が違うからということで分断をするのではなくて、やっぱり一体的な継続したものとして措置をすることが必要なのではないかと思うんですね。  もちろん、通年雇用になっていけば、私は一番それがいいと思うんですよ。しかし、そこまで行かない間、何らかの措置が必要なのではないか。  そして、これが必要がなくなるということになれば、なお私は非常にいいことだというふうに思うんですが、そういう意味でこれらの共同雇用制度というものを設置して、先ほど来ありますように、雇用保険を初めとする社会保険等が適用されて、そして安心して働けるような職場環境というか、そういうものをぜひつくっていただきたいと思うんです。  そういう意味で、林野庁としてもこれは事業主サイドに働きかけをしていただかなくちゃなりませんし、さらに労働省としては、これらの保険の適用の特例措置というんでしょうか、私はこれらをぜひ検討していただきたいと思うんですが、その辺についていかがでしょうか。
  171. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) まず、私から。  今度の法律に基づきまして各都道府県に林業労働力確保支援センターが設けられますと、ここに林業労働者の登録をするようなことは必ずできるようになると思います。ただ、共同で雇用するとか何かになりますと、これはまた上から押しつけてやるような話じゃございませんから、十分に各事業体の意見を踏まえて地域実態に合わせてやらなきゃいけないというふうに考えております。  しかし、それが雇用の安定につながるということで大方の了解が得られれば、そちらの方向に進んでいくこともあり得ると私は考えております。
  172. 吉免光顯

    説明員吉免光顯君) 御指摘の港湾労働法のセンター等のお話がございましたので、そちらの方を少しお答え申し上げたいというふうに思います。  先生指摘のように、港湾労働法の中では指定法人として港湾労働者雇用安定センターというのを設けておりますけれども、御承知のように港湾労働で港の方の作業は大変に、作業量はその時々によって多かったり少なかったりその波動性がかなりございます。そういう意味で、仕事の量がその時々によって変化するということが非常に大きい、そういう特徴がございますものですから、そういう形で実は運用をさせていただいているという状況でございます。  林業労働の方を見ますと、むしろそういうことよりも、雇用関係をはっきりさせるとか、あるいは事業量を確保して安定的な仕事についていただく、そういうところを図っていくことがむしろ非常に大事なわけで、いろいろ御議論ございましたように、経営基盤を強くする、あるいは今申し上げましたような雇用管理改善をする、そういう対応をする中で立ち向かっていく方がいいのではないかというふうに実は考えております。そういう中から事業主へのいろんな指導、周知も強めてまいりたいというふうに思っておりますし、雇用が安定するように我々の方も努力をしてまいる中で、そういった雇用保険等の適用についても促進されるようにまた頑張ってまいりたいというふうに思っております。
  173. 国井正幸

    ○国井正幸君 時間の関係もありまして、用意した部分が全部できそうもないのでちょっと飛ばさせていただきたいと思うんです。  次に、国有林事業について若干お伺いをしたいというふうに思います。  現在、国有林事業は七百六十一万ヘクタールの主として山合い、非常に高い山等を国民の共通の財産として管理運営をし、木材供給のみならず大きな公益的な機能を発揮しているということは既にだれもが認めているところでございます。そういう意味では職員の皆さんにも大変な御苦労をいただいておりまして、この点に関しましては改めて敬意を表するところでございます。  しかし、白書でも述べているように、林業全体が不振の中にあって、財政状況が極めて厳しいということで伺っております。国有林事業については思い切った国の財政援助を行って早急に、先ほどのお話にもありましたとおり、財政再建を図るべきだというふうに考えておりますけれども、そのことはさておきまして、当面の事業の実行について伺いたいと思います。  林野庁においては、最近、平成八年度の業務予定をそれぞれ策定しているというふうに聞いておりますが、木材販売収入の増収がなかなか見込めないというふうな厳しい財務見通しであるということから、造林関係の予定事業量を相当減らさざるを得ないというんでしょうか、そういうふうな状況にあると伺っているわけでございます。国有林森林整備が十分でないことは大きな問題であると同時に、今回のこの三法の改正でも林業事業体の育成を目的にしているわけですね。  そういう意味では、この国有林事業量の減縮というのは請負事業体に大変大きな打撃を与える、こういうふうなことになるわけでございまして、その辺、私もお話を聞いて大変心配をしている一人でございます。森林整備を着実に実行するということとあわせて、請負事業体の育成のためにも、ぜひ国有林事業が必要とする資金は何としてもやっぱり確保してほしいと思うんですね。  この点についてはいかがでしょうか。大臣、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
  174. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 確かに御心配になるような面がありまして、昨年はそういう状況でございましたので大幅な補正予算をいただきまして、事業費としては久しぶりに大型の、一年九カ月分の予算をもちまして請負事業体の要請にもこたえたわけでございます。  平成八年度予算は、当初予算ベースでいいますと確かにそれほどの伸び率ではございませんけれども、今後いろんな機会にその事業費予算を確保して、そして森林整備に努めていきたいと考えております。
  175. 国井正幸

    ○国井正幸君 大変に厳しい状況でありますけれども、みんなでとにかく頑張って前進をしていく、そういう意味でこの三法についても、一里塚というんでしょうか、私どももそういう意味で受け取っておりますので、ぜひ農林水産省においても、特に林野庁において頑張っていただくことをお願いしまして、時間でございますので、私の質問を終わらせていただきます。
  176. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 まず、沖縄県における松くい虫の被害状況、これは通告していなかったんですけれども、ついでに全国的に松くい虫の被害状況というのはどういうふうになっているのか、その辺を御説明願いたいと思います。
  177. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 松くい虫の全国的な被害状況は、一番新しい数字ですとピーク時の約半分程度に減っております。  沖縄県の場合には四十八年度に初めて発生いたしまして、平成五年度には三十年ぶりに少雨傾向などの影響で四万二千立方と過去最高の被害量を記録したのでございますけれども、四万二千立方から平成六年度には約四万立方というふうに漸減しております。七年度はさらに減少する見込みだというふうに聞いております。
  178. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄県の説明がありましたけれども、全国的に減る傾向にあるのか、蔓延する傾向なのか、その辺についてもう一遍。
  179. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) ちょっと資料がありませんで、具体的に申し上げますと、松くい虫の被害状況昭和五十四年度がピークでございました。  全国では二百四十三万立方。その後減少いたしまして、平成六年度の被害量は百十二万立方というふうになっております。  これはいろんな努力もありましてこれからは減っていくのではないかというふうに見ておりますけれども、まだ特別対策を実施する前のレベルでとどまっておりますので、さらにこれから松くい虫の被害対策を強化すべきかどうか、あるいは森林病害虫制度そのものの中で抜本的な対策を講ずるべきかどうかということにつきまして、現在、研究会を設けて検討しているというような状況でございます。
  180. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄県の林道は平成六年度末で総延長約二百五十三キロメートル開設されておりますけれども、ヘクタール当たり林道密度は三・四メートルで、全国平均の約七六%の水準であります。そこで、沖縄県における林道については今後どのような方針で臨まれるお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。  沖縄県における林道の開設に当たっては、その工法いかんによっては赤土の流出というものが大変大きな環境問題になります。そういったことで、貴重な自然環境というものが破壊されるおそれもあるというふうな懸念が非常に強いところでありますけれども、そのことについて、どういうことでこの赤土対策をしながら林道をつくっていくのか、これから対策としてどのようにお考えなのか、お聞かせください。
  181. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 確かに、全国平均で林道密度を見ますと、平成六年度の数字ではヘクタール四・六メーターなんですが、沖縄県の場合には三・四メーターというふうに低い水準でございます。これは沖縄県の特殊な事情でございまして、さきの大戦によりまして森林のほとんどが荒廃状態になったと。民有林の人工林率が全国平均では四五%ですが、沖縄県の場合には一四%というふうに低いということが大きな理由だと思います。  それから、森林が特定の市町村、本島の北部とか石垣島に偏っておりまして、森林が散在している他の市町村では林道のかわりに農道とか市町村道が活用されているということで、林道の整備がおくれているということだと思います。  しかし、復帰当時から比べますと、年々予算措置もありまして林道整備が進んでまいりまして、全国的な平均とは差が縮まっております。今後とも森林整備事業計画に即しまして、沖縄県に特別に配慮しながら林道整備を進めていきたいと思っております。  特に、今御指摘のありました赤土、これにつきましては、沖縄県自身が平成六年の十月に沖縄県赤土等流出防止条例というのを制定いたしまして、これに基づきましてアセスメントをやりまして対処しているわけでございます。  具体的には、切り土のり面等についてネット張り緑化工法等を採用するとか、裸地面には土砂流出防止のための土壌侵食防止剤の散布をするとか、他のところではやっていない措置を講じながら対策を講じているというふうに認識しております。  今後ともこういうふうなことをきちんとやるように指導してまいりたいと思います。
  182. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この林道の建設に当たっては、復帰直後に大国林道という、大宜味村と国頭村をつなぐ大国林道と言いますけれども、これは国頭の北部の山林地帯のいわゆる分水嶺という形でつくられているんですけれども、赤土流出の問題では十分な対策をとっていないために非常に見るに忍びないような、沢に赤土がどんどん流出してしまって、これで非常に貴重な生物あるいは動物が死んでいったんじゃないかということが非常にうかがわれるわけです。  ですから、今、赤土対策をどうしていくのかということを尋ねたわけでありますけれども、再度、県もそのことを非常に重要視していわゆる赤土流出防止対策条例をつくったわけでありますけれども、これは予算を伴う問題だと思いますけれども、国としてそういった予算の面でどういうふうな対策がとられているのか、その辺についてもう一度御説明願えませんか。
  183. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 国が林道事業における全体計画調査の通達を出しまして、そういうことも基本にありまして、沖縄県が条例をつくって具体的に実施しているわけでございます。この具体的なアセスメントの実施等に要する経費は林道予算の中に入っておりますから、それを用いてきちんとアセスメントをやって林道開設するように、これからも指導してまいりたいと思っております。
  184. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 予算もついているようでありますから、ぜひそのことをひとつ慎重にやっていただきたいと思います。  それで、沖縄県の森林面積は十万四千九百ヘクタールで、民有林が七万三千七百九十五ヘクタールで七〇%、国有林が三万一千百五十五ヘクタールで三〇%となっております。また、民有林における森林資源量は二千二百十二立方メートルで、これを天然林と人工林の別で見ますと、天然林が八八%を占めていることが大きな特徴になっております。  所有形態別に見ると、市町村有林が六三%、県有林が九%、私有林が二八%となっております。  市町村有林の比率が高くなっておりますけれども、森林資源の一ヘクタール当たりの蓄積は全国の百三十一立方メートルに対して、沖縄県は九十八立方メートルと低い状況になっております。  そこで、お尋ねいたしますけれども、沖縄県における森林の整備と林業の振興についてはどのような基本方針を持っておられるのか、大臣の御見解を承りたいと思います。
  185. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 今御指摘がございましたように、沖縄県の森林は県土の約五割を占め、そのうち天然林が八三%で、我が国で最も高い比率を占めております。これらの森林が特に水資源に乏しい沖縄県民にとって水資源の涵養、さらにはまた良好な自然環境の形成に重大な役割を果たしていることは十分存じ上げております。  このため、沖縄県における森林について、このような多面的な機能が発揮されるように、今も御指摘がございました林道などの基盤整備、育成天然林施業、複層林施業等を今日まで推進してまいりましたが、今後とも沖縄県の森林が持つ水資源の涵養等多面的な機能の強化を図る観点から、多様な森林整備のさらなる推進に努めてまいりたいと思います。
  186. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 大臣の力強い表明がありましたから、ぜひそういうことで頑張っていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  そこで、最近の沖縄の基地問題なんですけれども、沖縄に関する特別行動委員会、SACOの中間報告によりますと、沖縄県北部の山原地域の東半分近くを占めている米軍北部訓練場の過半が返還されるということであります。ここは国の天然記念物のヤンバルクイナやヤンバルテナガコガネ、特別天然記念物のノグチゲラなどがいっぱいすんでいるところでございます。自然の宝庫というふうなことで、東洋のガラパゴスとも称されているところでありますけれども、ここが返還された暁には国立公園に指定していくと、貴重な自然環境を守るべきであるとの意見があります。  また、地元の国頭村におきましては、一貫して利用法を検討しているというふうなことも聞いておりますけれども、これらの点を踏まえて、環境庁としては現時点でのこの国立公園の問題についてどういう方針を持っておられるか、まずお聞きしておきたいと思います。
  187. 下均

    説明員(下均君) 過半が返還されることになりました北部訓練場の地域一帯でございますけれども、イタジイに代表されるような亜熱帯性の自然林に広く覆われておりまして、多くの固有種を含む野生生物が生息しております。それらの中には、今、先生指摘のヤンバルクイナでございますとかあるいはヤンバルテナガコガネといったような絶滅危惧種が含まれているなど、生物多様性という観点から大変貴重な地域であるというふうに考えているところでございます。  私どもといたしましては、返還を機会にこのすぐれた自然の地域を地元の皆さんの理解と御協力をいただきながら将来にわたって保全していきたい、そのように考えているところでございます。  そのための方策の一つといたしまして、国立公園の指定も考えられるところでございますけれども、いずれにいたしましても、この地域の保全と活用につきましてはまず地元の県やあるいは地元の村の意向を十分に伺い、また関係省庁等とも調整を図る必要があると考えているところでございます。  このため、環境庁といたしましては、山原地域一帯の自然環境や社会経済的状況につきましてできるだけ早く調査をいたしたい、このように考えているところでございます。
  188. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この北部訓練場の面積は約七千八百ヘクタールあります。現在、山原地域では本島で一番高い与那覇岳四百九十八メートルを中心に約百六十ヘクタールが天然保護区域に指定されているわけであります。その地域そのものが天然記念物であるとも言われているわけです。返還されるのは訓練場の過半ですけれども、半分としてもこの天然保護区域の約二十四倍に相当するわけです。  国立公園化に際しては、国頭村などの地元の考えも十分尊重して、完全に自然を保護する地域、それから人が自然に接する地域、そして自然を保全しつつ利用していく地域といったような区分をして、完璧に対応していただきたいというふうに思いますけれども、林野庁としてはどのようにお考えですか。
  189. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 国有林が返還された場合には、当然のことながら森林の現況等を精査いたしまして、地元の意向も踏まえまして、まず保安林に指定する、水源涵養保安林になるかと思いますけれども、保安林の指定にすること。  それから、私どもで保護林の制度をつくっております。森林生態系保護地域の規制の制度だとか、あるいは生物遺伝資源保存林だとか植物群落保護林だとか特定動植物種の保護林だとか、いろんな種類の保護林の制度を設けておりますが、このような保護林に設定することも含めまして検討してまいりたいと考えております。
  190. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 余計なことかもしれませんが、現在、米軍に賃貸していますね。林野庁に入る賃貸料というのは幾らぐらいですか。
  191. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) 約四億二千万程度だというふうに承知しております。
  192. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 これはどういうふうに使われるんですか。
  193. 入澤肇

    政府委員入澤肇君) これは特別会計に内地と同じように貸付料として入ってきまして、一般的に事業経費とか行政経費に使っているわけでございます。
  194. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  195. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより三案に対する討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに三案の採決に入ります。  まず、林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  196. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、風間昶君から発言を求められておりますので、これを許します。風間君。
  197. 風間昶

    ○風間昶君 私は、ただいま可決されました林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、新緑風会及び二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  以下、案文を朗読いたします。     林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   我が国林業は、木材資源の供給だけでなく、森林の有する公益的機能を維持する上でも大きな役割を果たしてきたが、最近の林業経営を取り巻く情勢は、極めて厳しく、これら諸機能の発揮に支障を来すおそれすらでてきている。   よって政府は、林業生産活動活性化させるため、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万遺漏なきを期すべきである。  一 農林水産大臣は、基本方針の策定に当たっては、現在の林業の実情を踏まえ、次の世紀に向けて、林業関係者に明るい展望を与えることを基本とするとともに、都道府県知事が策定する基本構想にその地域森林林業の実情に即した形で経営規模の拡大等の経営基盤の強化が盛り込まれるよう指導していくこと。  二 長伐期施業の導入に伴う複合経営の推進に当たっては、特用林産物の振興はもとより、特用林産物以外の複合経営の推進についても十分配慮すること。  三 林業経営改善計画の認定や林業改善資金及び農林漁業金融公庫資金の貸付に当たっては、市町村、森林組合等の関係機関との連携・協力を一層強化するとともに、林業者等の事務負担が増加しないよう、極力、事務手続の円滑化に努めること。  四 森林木材生産機能及び公益的機能に支障を来すことのないよう、森林組合等との受委託の促進等を通じて、不在村者の所有する森林など手入れが十分に行われていない森林の適切な整備に努めること。また、林地取得による経営規模拡大の推進に資するため、不在村者等が所有する売却希望林地に関する売買が円滑に行われるよう努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  198. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) ただいま風間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  199. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 全会一致と認めます。よって、風間君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、大原農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大原農林水産大臣
  200. 大原一三

    国務大臣大原一三君) ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。
  201. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 次に、林業労働力確保促進に関する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  202. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、風間昶君から発言を求められておりますので、これを許します。風間君。
  203. 風間昶

    ○風間昶君 私は、ただいま可決されました林業労働力確保促進に関する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、新緑風会及び二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  以下、案文を朗読いたします。     林業労働力確保促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   近年、山村においては、林業就業者の減少・高齢化が著しく、過疎化も急速に進行している。我が国森林資源は、人工林を中心に二十一世紀に向けて成熟過程にあるが、このままではそれを担うべき労働力が不足し、森林の有する公益的機能にも支障を来しかねない。   よって政府は、林業労働力確保と山村の活性化の重要性にかんがみ、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万遺漏なきを期すべきである。  一 新規参入者の確保・育成に当たっては、山村地域における定住条件の整備等を引き続き積極的に推進するとともに、若い人々を惹きつける魅力ある職場づくりができるよう支援すること。また、林業労働の社会的評価の向上に努め、やりがい、誇りが持てる産業として林業を育成すること。  二 都道府県知事は、基本計画の策定に当たっては、地域林業労働力の現状及び問題点に的確に対処するため、幅広く林業関係者の意見を聴取すること。  三 林業労働力確保支援センターの業務の運営に当たっては、就業者の十分かつ円滑な確保が行えるよう国、都道府県はもとより、市町村、森林組合などの関係機関が密接な連携・協力を行うよう努めること。  四 通年雇用の確立、文書による雇用契約の促進、福利厚生面での充実等雇用条件の改善に努めるとともに、林業機械の積極的導入を通じた労働の過重負担の軽減、労働災害の防止等労働環境の近代化に努めること。  五 国有林事業にあっては、林業事業体の経営の安定化と林業労働者の雇用の安定化に資する観点から、計画的、安定的な事業の発注に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  204. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) ただいま風間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  205. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 全会一致と認めます。よって、風間君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、大原農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大原農林水産大臣
  206. 大原一三

    国務大臣大原一三君) ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。
  207. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 次に、木材安定供給確保に関する特別措置法案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  208. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、風間昶君から発言を求められておりますので、これを許します。風間君。
  209. 風間昶

    ○風間昶君 私は、ただいま可決されました木材安定供給確保に関する特別措置法案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、新緑風会及び二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  以下、案文を朗読いたします。     木材安定供給確保に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)   我が国林業木材産業は、それを取り巻く厳しい情勢に対処して、コストの削減、需要への的確な対応等に積極的に取り組む必要がある。特に加工・流通部門における構造改善は喫緊の課題となっている。   よって政府は、来るべき国産材時代に向けて、活力ある林業木材産業を実現するため、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万遺漏なきを期すべきである。  一 木材需要の拡大に資するため、木材の環境への低負荷、優れた断熱性・加工適性等その特徴のPRに力を入れるとともに、将来消費者となる子供達が、木の良さを理解し、それに親しむ機会を増やす等普及啓発活動に努めること。また、間伐材を含む需要拡大のための調査研究活動や公共施設の木造化等の推進に力を入れること。  二 国産材の安定的需要の確保を図るために必要な定品質・定時・定量の木材供給の実現に向けて、原木の安定的確保、流通拠点施設の整備に努めるとともに、国有林事業、地方公共団体、林業木材産業関連団体との連携・協力の推進により、木材安定供給確保支援法人の支援活動が円滑に行われるように努めること。  三 大手需要先である木造住宅建築分野における大工等技能者の減少・高齢化や工期の短縮化に対処するため、乾燥等による品質管理やプレカット等の高次加工推進に努めるとともに、それに必要な諸施設の整備を図る等木材製造業の近代化の促進に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  210. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) ただいま風間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手をお願いします。    〔賛成者挙手〕
  211. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 全会一致と認めます。よって、風間君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、大原農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大原農林水産大臣
  212. 大原一三

    国務大臣大原一三君) ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を体し、今後最善の努力をいたしてまいります。
  213. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  215. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 次に、生物系特定産業技術研究推進機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。大原農林水産大臣
  216. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 生物系特定産業技術研究推進機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  近年、政府研究開発投資の充実により我が国における基礎研究を抜本的に強化し、科学技術創造立国を目指すことが喫緊の政策課題として求められており、昨年十一月には科学技術基本法の制定を見たところであります。  このような状況を背景として、農林水産業、食品産業等の分野においても、基礎研究の強化により新技術及び新分野の創出を促進し、生産性の向上、新製品の開発等を通じた農林水産業の総生産の増大及び体質の強化、農林漁家の所得の向上、農山漁村の活性化、さらには地球規模での食糧・環境問題への取り組み等を図ることが強く期待されております。  以上の情勢に対処するため、生物系特定産業技術研究推進機構に、農林水産業、食品産業等の基礎的試験研究の実施に関する業務を行わせることにより、生物系特定産業技術の高度化を図ることとし、この法律案提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、機構の目的に、生物系特定産業技術に関する基礎的試験研究の業務を行うことを追加し、従来から行っている民間における生物系特定産業技術に関する試験研究の促進に関する業務と相まって、生物系特定産業技術の高度化を推進し、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に資することを目的とすることとしております。  第二に、機構の業務として、生物系特定産業技術に関する基礎的試験研究を行うこと等を追加することとしております。  第三に、機構は、主務大臣の認可を受けて定める基準に従って基礎的研究業務の一部を委託することができることとしております。  以上が、この法律案の提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。
  217. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会