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須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、
植物防疫法の一部を
改正する
法律案に対して反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、
植物防疫に関する
懇談会報告にもあるように、昨年発効したWTO協定に基づく新たな国際的枠組みのもとで、衛生
検疫協定、SPS協定によって、
検疫の基準を国際基準に合わせて基準を緩めるという問題であります。
日本は、四方を海に囲まれ、動
植物の
生態系は独特であり、外国の動
植物や
病害虫が侵入すると大きな
被害が
発生します。最近は、毒グモが話題になりましたが、これまでも、セイタカアワダチソウ、アメリカシロヒトリ、イネミズゾウムシ、マツノキ
センチュウ、黒星病などが取り返しのつかない大きな
被害を与えました。したがって、農産物の
輸入がふえればふえるほど、
病害虫の侵入を防ぐために
検疫体制を厳しくしなければならないはずであります。
また、今回の
法改正で採用しようとしている
FAOの
ガイドラインに沿った
病害虫の
危険度解析は、既にアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、EUで
導入されていると言われていますが、これらの国々は食糧自給率が高く、
輸出国です。世界最大の
輸入国である
我が国がこれらの
輸出国と同様に
導入することの危険は明らかです。
我が国の農産物の
生態系、環境などを考慮し、国際基準に統一した
検疫体制の緩和はやめるべ去であります。今必要なことは、
植物防疫官を
増員し、抜き取り
検査の数量をふやすなど、厳重次チェックこそ重要であります。貿易の拡大のために
病害虫の
侵入防止、
国内農薬の安全を犠牲にすることは許されません。
第二の理由は、今回の
改正で
国際植物検疫に
検疫有害動植物の定義を設けることに対してであります。
それによって、カツオブシムシやコウジカビ病菌など一部の
有害動植物は
検疫措置の
対象から外され、その
有害動植物のみが付着した
植物については、
消毒、廃棄処分など一切とられず、素通のすることになります。
現在の
輸入検疫では、
検査して
有害動植物が
発見されれば、
消毒、廃棄などの
措置を講じ、
有害動植物の侵入を防止しています。それは、外国から新たに侵入した
病害虫は
国内の在来の
病害虫とは違った強い
危険性があり、原産国では思いもよらない
被害を
輸入国に与えるからです。
今回の
改正は、
病害虫の侵入を防ぎ、
我が国の有用
植物を保護し、
農業生産の安全を図ることを
目的に確立されてきた
植物防疫体制を大きく後退させることにならざるを得ません。今、
輸入食料品のはんらんによって安全性、健康についての国民の
心配と不安を取り除くための具体的な
対策こそ強化すべきであることを強く要求いたしまして、反対の討論を終わります。
以上であります。